JP2008024547A - ドーピング装置及び引き上げ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドーピング装置は、外管21と、外管21内部に配置される内管22と、熱遮蔽部材23とを備える。内管22は、収容部221と、この収容部221に接続された筒状部222とを備える。筒状部222と、外管21の内面との間を塞ぐように熱遮蔽部材23が配置される。この熱遮蔽部材23は、収容部221の下方を覆い、融液の輻射熱の収容部221への照射を遮断する。
【選択図】図2
Description
チョクラルスキー法によって製造されるN型シリコン単結晶に対するドーピングは、ドーパントを気化させたガスをシリコン融液に吹き付ける方法(例えば、特許文献1参照)や、固体状態のドーパントをシリコン融液に直接投入する方法(例えば、特許文献2参照)で行なわれている。
ドーパントガスをシリコン融液に吹き付ける方法では、ドーピング装置の収容部内に固体状態のドーパントを収容し、この固体状態のドーパントを引き上げ装置のチャンバ内の高温雰囲気下で気化させて、ドーパントガスをシリコン融液の液面に吹き付けている。
また、固体状態のドーパントをシリコン融液に直接投入する方法は、上部及び側部が密閉され、下部に格子状の網部が形成されたドーピング装置である注入管の中に固体状態のドーパントを入れ、注入管の下部をシリコン融液に浸漬させて、シリコン融液の温度により、ドーパントを気化させるものである。
また、ガスが吹き付けられたシリコン融液が吹き飛ばされてしまうため、吹き飛ばされたシリコンが単結晶化を阻害し、所望の抵抗値を有する半導体ウェハを製造することが困難となるという問題がある。
さらに、シリコン融液の熱を利用して、シリコン融液中でドーパントを気化させる方法においても、前記と同様の問題が生じ、所望の抵抗値を有する半導体ウェハを製造することが困難となるという問題がある。
これにより、勢いよくドーパントガスが出過ぎて、ドーパントが融液に溶解する時間的な余裕がなくなることもなく、融液にドーパントを十分にとけ込ませることができるため、吸収率が悪化することもない。また、吹き飛ばされたシリコンが単結晶化を阻害し、所望の抵抗値を有する半導体ウェハを製造することが困難となるということもない。
さらに、本発明のドーピング装置は、収容部に上端の開口が連通し、揮発したドーパントガスを融液まで導く筒状部を有している。このような筒状部を有し、揮発したドーパントガスを融液まで導く経路を形成することで、融液へのドーピング効率を向上させることが可能となる。
また、引き上げ装置内では、収容部の上方から下方に向かってアルゴンガス等の不活性ガスを流すが、本発明のドーピング装置は、前記ガスが収容部に直接吹き付けられるのを防止する吹き付け防止部材を備えているので、ガスの吹き付けにより収容部の温度が必要以上に冷えてしまい、ドーパントの気化温度未満になってしまうことを防止することができる。
外管の下端部を内管の筒状部の下端部よりも融液側に突出させることで、外管の下端部のみを融液に浸漬させて、ドーピングすることが可能となる。
このようにすることで、内管の筒状部から噴出されたガスのうち、融液に溶解しなかったガスがあったとしても、前記ガスは内管の筒状部と、外管と、熱遮蔽部材とで形成される空間内に留まることとなり、ドーピング装置の外方に排気されてしまうことがないので、ドーピング効率を向上させることができる。
さらに、内管の筒状部の下端部を融液に浸漬させず、外管の下端部のみを浸漬させることができるので、融液の熱が内管に直接伝達してしまうことがない。従って、内管に融液の熱が直接伝達されることにより、収容部の温度が上がってしまうことがなく、収容部内のドーパントの揮発速度の上昇を防止することができる。
このような本発明によれば、内管の筒状部と外管との間には、内管の下端部から融液表面に向かって吹き付けられたドーパントガスのうち、融液表面に接触しなかったガスを、融液表面に導くための経路が形成されているので、ドーピング効率を向上させることができる。
また、最も融液に近い位置に配置される熱遮蔽板を黒鉛部材で構成し、熱伝導率が小さいものを使用することで、融液からの熱伝導を収容部から離れた位置で阻止することができ、これによっても、収容部内のドーパントの揮発速度の上昇を防止することができる。
このような引き上げ装置では、上述したドーピング装置を備えるため、所望の抵抗値を有する半導体ウェハを製造することができる。
[1.第一実施形態]
図1〜図2を参照して、第一実施形態を説明する。
図1には、本実施形態の引き上げ装置が開示されている。図2には、前記引き上げ装置のドーピング装置の断面図が開示されている。
引き上げ装置1は、引き上げ装置本体3と、ドーピング装置2とを有する。
引き上げ装置本体3は、チャンバ30と、このチャンバ30内に配置された坩堝31と、この坩堝31に熱を放射して加熱する加熱部32と、引き上げ部33と、シールド34と、断熱筒35とを備える。
坩堝31は、半導体ウェハの原料である多結晶のシリコンを融解し、シリコンの融液とするものである。坩堝31は、有底の円筒形状の石英製の第一坩堝311と、この第一坩堝311の外側に配置され、第一坩堝311を収納する黒鉛製の第二坩堝312とを備えている。坩堝31は、所定の速度で回転する支持軸36に支持されている。
加熱部32は、坩堝31の外側に配置されており、坩堝31を加熱して、坩堝31内のシリコンを融解する。
引き上げ部33は、坩堝31上部に配置されており、種子結晶又はドーピング装置2が取り付けられる。引き上げ部33は回転可能に構成されている。
断熱筒35は、坩堝31及び加熱部32の周囲を取り囲むように配置されている。
シールド34は、加熱部32からドーピング装置2に向かって放射される輻射熱を遮断する熱遮蔽用シールドである。このシールド34は、ドーピング装置2の周囲を取り巻くように配置されており、融液の表面を覆うように設置されている。このシールド34は、下端側の開口部が上端側の開口部より小さくなった円錐形状となっている。
ここで、ドーパントとしては、例えば、赤燐、砒素等があげられる。
このドーピング装置2は、外管21と、外管21内部に配置される内管22と、熱遮蔽部材23とを備える。
外管21は、下端面が開口し、上端面が閉鎖された有底の筒型形状であり、上端面を構成する上面部211と、この上面部211の外周縁から下方に延びる側面部212とを備えている。本実施形態では、外管21の側面部212は、円柱状となっている。この外管21の材質としては、例えば、透明石英が挙げられる。
外管21の高さ寸法Tは、例えば、450mmである。また、外管21の側面部212の径Rは、100mm以上、引き上げ結晶径の1.3倍以下とするのが好ましい。
外管21の上面部211には、上面部211から上方に突出した支持部24が設けられており、この支持部24を引き上げ装置1の引き上げ部33に取り付けることで、外管21が引き上げ装置1に保持されることとなる。
また、この外管21の上面部211は、後述する内管22の収容部221の上方を覆うものである。この上面部211は、チャンバ30内を上方から下方に向かって、換言すると、収容部221の上方から下方に向かって流れる前述した不活性ガスが収容部221に直接吹き付けられるのを防止する吹き付け防止部材としての役割を果たす。
内管22の材質としては、例えば、透明石英があげられる。
収容部221は、固体状態のドーパントを収容する部分であり、中空の円柱形状となっている。この収容部221は、平面略円形形状の上面部221A、この上面部221Aに対向配置される底面部221B、上面部221A及び底面部221Bの外周縁間に配置される側面部221Cを有する。
底面部221Bの中央には、開口が形成されており、この開口の周囲の底面部221B上に固体状態のドーパントが配置される。そして、固体状態のドーパントが揮発すると、ドーパントガスが前記開口から排出されることとなる。なお、前記開口の周囲には固体状態のドーパントが落下するのを防止するための落下防止壁221B1が形成されている。
また、この収容部221に収容されたドーパントの位置は、収容部221が融液に近いと高温に晒されて断熱効果が小さくなるので、ドーパントの昇華温度付近となる位置が好ましい。ここでは、例えば、融液の表面から300mm程度としている。
側面部221Cには、収容部221外方に向かって突出した断面略T字形状の支持片221C1が形成されている。この支持片221C1を外管21の内周面に形成された支持部212Aに載置することで、内管22が外管21に支持されることとなる。
筒状部222の径は、外管21の径よりも小さくなっており、筒状部222の外周面と、外管21の内周面との間には、隙間が形成される。
本実施形態では、筒状部222は、収容部221の開口に接続される第一筒状部222Aと、この第一筒状部222Aに接続され、下方に延びる第二筒状部222Bとを備える。
第一筒状部222Aは、収容部221と一体的に構成されており、第一筒状部222Aと第二筒状部222Bとは別体となっている。
第一筒状部222Aには、第一筒状部222Aの周方向に沿ってリング状の複数の溝222A1が形成されている。本実施形態では3つの溝222A1が形成されている。この溝222A1は、後述する熱遮蔽部材23の熱遮蔽板231を支持するためのものである。
第二筒状部222Bは、径が20mm以上、150mm以下である。本実施形態の第二筒状部222Bは円筒形状であるため、ドーパントガスの排出口の径も20mm以上、150mm以下となる。内管22を外管21に保持させた際に、外管21の下端部先端は、第二筒状部222Bの下端部先端よりも下方(融液側)に突出する。
ここで、熱遮蔽板231の枚数は、融液に吹き付けられるドーパントガスの流量が3〜15L/minとなるように適宜設定すればよい。筒状部222の下端から流れ出るガスの流量は、融液から蒸発する蒸発物の流量よりも多くなっている。
また、収容部221に収納されたドーパントの昇華速度は、10〜50g/minである。
熱遮蔽板231は、外管21の内径と略同じ外径を有し、中央には、筒状部222を挿入するための孔2311が形成されている。この熱遮蔽板231は、内管22の筒状部222と、外管21との間の隙間を遮蔽するように略水平に配置され、各熱遮蔽板231は互いに略平行となっている。
また、5枚の熱遮蔽板231のうち、収容部221側配置される3枚の熱遮蔽板231Bは、不透明石英からなるものを採用することができる。不透明石英は、例えば、石英ガラス中に微細な泡を多数包含させたものである。このような熱遮蔽板231Bの熱伝導率としては、例えば、1412℃で8W/m・℃以下の材料のものを採用することができる。
熱遮蔽板231Aは、その外周縁が外管21の内側に形成された突起212Bに支持される。融液に最も近い熱遮蔽板231A(231A1)は、筒状部222の下端部先端から、例えば、80mm程度上方に設置される。
また、熱遮蔽板231A1の上方の熱遮蔽板231A2は、筒状部222の下端部先端から例えば、170mm程度上方に設置される。従って、熱遮蔽板231A1と、熱遮蔽板231A2との間には、90mm程度の隙間が形成される。
3枚の熱遮蔽板231Bのうち、最も融液に近い位置に配置された熱遮蔽板231B1は、例えば、筒状部222の下端部先端から250mm程度上方に設置される。
熱遮蔽板231B1の上方に設置される熱遮蔽板231B2は、熱遮蔽板231B1から10mm上方に配置される。
さらに、熱遮蔽板231B1上に設置される熱遮蔽板231B3は、熱遮蔽板231B2から10mm上方に配置される。すなわち、各熱遮蔽板231B間には、所定間隔の隙間が形成されている。
なお、熱遮蔽板231B1と、収容部221との距離は、例えば30mmである。
まず、内管22の収容部221内に固体状態のドーパントを挿入する。
次に、収容部221と一体成形されている筒状部222の第一筒状部222Aに熱遮蔽板231Bを取り付ける。具体的には、各熱遮蔽板231Bの中央の孔2311に、第一筒状部222Aを通し、第一筒状部222Aの各溝222A1に各熱遮蔽板231Bの孔2311の周縁部を引っ掛ける。
その後、収容部221、第一筒状部222A及び熱遮蔽板231Bを外管21の中に挿入し、収容部221の支持片221C1を外管21に形成された支持部212A上に設置する。
次に、熱遮蔽板231Aを外管21内部に挿入し、熱遮蔽板231Aの外周部を外管21の突起212Bで支持する。
そして、最後に、内管22の筒状部222の第二筒状部222Bを外管21内に挿入する。具体的には、外管21に支持された熱遮蔽板231Aの中央の孔2311に第二筒状部222Bを通し、さらに、第二筒状部222Bの上端部と、第一筒状部222Aの下端部とを接続する。
これにより、ドーピング装置2が組み立てられる。
次に、引き上げ装置1の上方から融液に向かって不活性ガスを流す。この不活性ガスは、融液表面に沿って流れる。
不活性ガスは、ドーピングを行なう間及び成長結晶を引き上げる間中、流し続ける。この不活性ガスの流量は、50L/min以上、400L/min以下とする。不活性ガスの流量を400L/minを超えるものとした場合には、収容部221が冷却されすぎて、ドーパントが揮発しなくなる、若しくは、昇華したドーパントが固着されてしまう可能性がある。
次に、外管21の下端部を融液に浸漬させる。この際、内管22の筒状部222の下端部は、融液に接触しないようにする。
ドーピング装置2の収容部221内に設置されたドーパントは、融液の熱により徐々に昇華し、ガスとなってドーピング装置2の筒状部222から排出され、融液に溶解することとなる。
なお、ドーピングする際の坩堝31内の融液の温度は、融液の原料の融点以上、融点+60℃以下とする。本実施形態では、融液の原料シリコンであるため、融液の温度を1412℃以上、1472℃以下とする。
ガスが融液に溶解したら、引き上げ装置1の引き上げ部33からドーピング装置2を取り外し、引き上げ部33に種子結晶を取り付ける。そして、成長結晶の引き上げを開始する。
(1-1)引き上げ装置1にシールド34が設けられており、このシールド34は、ドーピング装置2の周囲を取り巻くように配置され、融液の表面を覆うように設置されている。これに加えて、ドーピング装置2は、融液からの熱線の透過を遮断する熱遮蔽板231を備えており、この熱遮蔽板231をドーパントを収容する収容部221の下方を覆うように配置している。
従って、シールド34及び熱遮蔽板231により、融液の輻射熱の収容部221への伝達を確実に防止することができ、収容部221内のドーパントの揮発速度を、従来のドーピング装置における揮発速度に比べ、低下させることができる。
そのため、ドーパントが一気に揮発することがなく、ドーパントのガスの融液への吹き付け圧力を低下させることが可能となる。本実施形態では、ドーピング装置2から排出されて融液に吹き付けられるドーパントガスの流量を3L/min以上、15L/min以下としており、ガスの流量を制御しているため、ガスを融液に吹き付けた際に、融液が吹き飛んでしまうことがない。
これにより、勢いよくドーパントガスが出過ぎて、ドーパントが融液に溶解する時間的な余裕がなくなることもなく、融液にドーパントを十分にとけ込ませることができるため、吸収率が悪化することもない。さらに、吹き飛ばされたシリコンが単結晶化を阻害し、所望の抵抗値を有する半導体ウェハを製造することが困難となるということもない。
また、最も融液に近い位置に配置される熱遮蔽板231Aを、例えば、カーボン断熱材のような熱伝導率の小さいものとすることで、融液からの熱の伝導を収容部221から離れた位置で阻止することができ、これによっても、収容部221内のドーパントの揮発速度の上昇を防止することができる。
(1-6)また、複数の熱遮蔽板231を所定の間隔を空けて配置しているので、熱遮蔽板231を重ねて配置する場合にくらべ、各熱遮蔽板231に熱が蓄積されにくくなる。
融液の温度をシリコンの融点未満とした場合には、ドーパントガスが吸収されにくくなる可能性がある。一方で、融液の温度を融点+60℃を超えるものとした場合には、融液が沸騰してしまうおそれがある。また、融液の温度を融点+60℃を超えるものとした場合には、融液に吸収されたドーパントガスの蒸発を促進することとなり、ドーパントの吸収効率が低下する可能性がある。
本実施形態では、融液の温度をシリコンの融点以上、融点+60℃以下としているので、このような問題が生じることがない。
一方で、チャンバ30内の圧力を79980Pa(600Torrを換算した値)を超えるものとした場合には、融液からのドーパントの揮発を抑えることができるものの、チャンバ30を耐圧性、耐熱性を有するものとしなければならず、コストがかかる。
本実施形態では、ドーピングする際に、チャンバ30内の圧力を上記の範囲としているので、このような問題が生じない。
(1-10)内管22の第二筒状部222Bのガスの排出口の径を20mm以上とすることで、ドーパントガスの流量を3L/min以上、15L/min以下とした場合に、ドーパントの揮発したガスが融液に勢い良く吹き付けられることを確実に防止することができ、融液の吹き飛びを確実に防止することができる。
(1-11)ドーピングする際に、ドーパントの位置を融液の表面から、非常に近い位置に設置した場合には、融液の熱により温度が高くなった雰囲気中にドーパントを設置することとなり、ドーパントの揮発速度の制御が難しくなる可能性がある。
本実施形態では、ドーパントの位置を融液の表面から300mm以上上方とすることで、ドーパントの揮発速度を確実に制御することができる。
次に、図3を参照して、第二実施形態について説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のドーピング装置5は、第一実施形態と同様の内管22と、支持部24と、熱遮蔽部材23と、外管51と、外管51及び内管22の間に配置される管55を有する。
外管51は、第一実施形態の外管21と略同様の構造であるが、下端部先端内側に外管51内側に向かって延びる複数の突起512Aが形成されている。外管51の他の点は、第一実施形態の外管21と同じである。
管55は上端面及び下端面が開口したものであり、その径は、外管51よりも小さく、また、内管22の筒状部222よりも大きい。この管55は前記突起512A上に配置され、外管51と内管22との間に位置する。外管51の側面部212の内周面と管55の外周面との間には隙間が形成され、管55の内周面と内管22の筒状部222との間にも隙間が形成されている。
管55の高さ寸法は、外管51の下端部先端から、最も融液に近い位置に配置された熱遮蔽板231A(231A1)までの距離よりも小さくなっており、管55と熱遮蔽板231A(231A1)との間には隙間が形成されている。
管55の下端部を融液に浸漬させる。この際、内管22の筒状部222の下端部及び外管51の下端部が、融液に接触しないようにする。
ドーピング装置5の収容部221内に設置されたドーパントは、融液の熱により徐々に昇華し、ガスとなってドーピング装置5の筒状部222から排出され、融液に溶解することとなる。
このとき、筒状部222から排出されたガスのうち、融液に溶解せずに、筒状部222の外側に逃げるガスがある。また、融液に溶解せずに、融液の表面で反射されてしまうガスがある。これらのガスは、筒状部222の外周面下端部と管55の内周面との間の隙間を通り、上方に上がった後、熱遮蔽板231により折り返され、外管51の内周面と管55の外周面との間に導入される。そして、融液表面に導かれる(図3の矢印Y5参照)。
すなわち、筒状部222の下端部外周面と管55の内周面との間の隙間、外管51の内周面と管55の外周面との間の隙間がガスを融液表面に導くための経路となっている。
(2-1)ドーピング装置5は、外管51及び内管22の間に配置される管55を有しており、筒状部222から排出されたガスのうち、融液に溶解しなかったガスは、筒状部222の外周面下端部と管55の内周面との間の隙間を通り、上方に上がった後、熱遮蔽板231により折り返され、外管51の内周面と管55の外周面との間に導入される。そして、融液表面に再度導かれることとなる。融液に溶解しなかったガスを再度、融液表面に導くことができるので、ドーピング効率を向上させることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、ドーピング装置2,5は、外管21,51を備えるものであるとしたが、これに限らず、外管はなくてもよい。例えば、図4に示すように、外管のかわりに、内管22の収容部221へのガスの吹き付けを防止する吹き付け防止板64を収容部221の上方に設けてもよい。このように外管を有しないドーピング装置6を使用する際には内管22に全ての熱遮蔽板231を固定すればよい。
(実施例1)
前記第一実施形態と同様の引き上げ装置を使用して、ドーピングを行ない、CZ法により成長結晶を引き上げた。
1.ドーピング条件
(1)ドーピング装置
径が150mmの外管を使用した。内管の第二筒状部の径を20mmとした。熱遮蔽部材としては、5枚の熱遮蔽板を使用し、筒状部の下端部側から、2枚のカーボン断熱材の熱遮蔽板、3枚の不透明石英製の熱遮蔽板の順で配置した。
(2)その他の条件
他の条件を表1に示す。なお、坩堝内の融液はシリコンの融液であり、ドーパントとしては、砒素を300g使用した。
実施例1の熱遮蔽板のないドーピング装置を使用してドーピングを行なった。熱遮蔽板がない点以外は、実施例1で使用したドーピング装置の構成と同じである。また、ドーピング条件も実施例1と同じとした。
次に、ドーピングが終了した後、成長結晶の引き上げを行なった。成長結晶の引き上げ条件は実施例1と同じである。
実施例1のドーパントの昇華速度は、50g/分であり、ドーピング装置から吐き出されるドーパントガスの流量は15L/分であった。そして、実施例1では、ドーピングする際に、融液が飛散することはなかった。
これに対し、比較例1のドーパントの昇華速度は、100g/分であり、ドーピング装置から吐き出されるドーパントガスの流量は25L/分であった。比較例1では、ドーピングする際に、融液が飛散してしまった。
実施例1では、融液の飛散を防止することができ、所望の抵抗値を有する半導体ウェハを製造することができることが確認された。
Claims (6)
- 半導体融液中に、揮発性ドーパントを注入する際に使用されるドーピング装置であって、
固体状態のドーパントを収容する収容部と、
前記収容部の上方に設けられ、収容部の上方から下方に向かって流れる不活性ガスが前記収容部に直接吹き付けられるのを防止する吹き付け防止部材と、
上端面及び下端面が開口しており、前記収容部と上端側の前記開口とが連通し、揮発したドーパントガスを前記融液まで導く筒状部と、
前記収容部の少なくとも下方を覆い、前記融液から前記収容部への輻射熱を遮る熱遮蔽部材とを備えることを特徴とするドーピング装置。 - 請求項1に記載のドーピング装置において、
前記収容部及び前記筒状部を備える内管と、
前記内管を収容するとともに、下端面が開口しており、この開口と対向配置された上面部、及びこの上面部の周縁から融液側に延びる筒状の側面部を有する外管とを備え、
前記外管の上面部は、前記吹き付け防止部材を構成し、
前記熱遮蔽部材は、前記内管の筒状部と、外管の側面部の内周面との間をふさぐように配置されることを特徴とするドーピング装置。 - 請求項2に記載のドーピング装置において、
前記外管の側面部の下端部は、前記内管の筒状部の下端部よりも融液側に突出していることを特徴とするドーピング装置。 - 請求項3に記載のドーピング装置において、
前記内管の筒状部と外管との間には、前記内管の下端部から融液表面に向かって吹き付けられたドーパントガスのうち、前記融液表面に溶解しなかったガスを、再度、前記融液表面に導くための経路が形成されていることを特徴とするドーピング装置。 - 請求項2から4の何れかに記載のドーピング装置において、
前記熱遮蔽部材は、前記内管の筒状部の外周面と、外管の側面部の内周面との間をふさぐように配置される複数の熱遮蔽板を有しており、
前記複数枚の熱遮蔽板のうち、前記内管の収容部に最も近い位置に配置される熱遮蔽板は不透明石英で構成され、
最も融液に近い位置に配置される熱遮蔽板は黒鉛部材で構成されていることを特徴とするドーピング装置。 - 請求項1から5の何れかに記載のドーピング装置と、融液が収納された坩堝と、坩堝内の前記融液の表面を覆うように設けられるとともに、前記ドーピング装置の周囲を取り囲む熱遮蔽用シールドとを備えたことを特徴とする引き上げ装置。
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