JP2008024221A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスバリア性が良好で屈曲性の優れた単層又は多層熱可塑性樹脂フイルム層をインナーライナーとして使用し、該樹脂フイルム層を接着剤層を介して円筒形にオーバーラップジョイントするに当たり、このジョイント部の未加硫時せん断接着力が高く、成形後保管中のグリータイヤ(生タイヤ)のジョイント部のずれ量の少ない成形作業性に優れる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】インナーライナー層として(A)マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している単層又はマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している層を含む多層熱可塑性樹脂フイルムを使用するタイヤを製造する際に、前記(A)層が(B)接着剤層を介してジョイントされ、ジョイント部の未加硫時せん断接着力が10kPa以上であることを特徴とする空気入りタイヤである。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。さらに詳しくは、熱可塑性樹脂フイルムをインナーライナーとして用いる場合、インナーライナーの端部を別の端部にオーバーラップジョイントし接着剤層を介して円筒形にする必要があるが、このジョイント部の未加硫時せん断接着力高く、成形後保管中のグリーンタイヤ(生タイヤ)のジョイント部のずれ量が少なく製造中にジョイント部に起因する不具合の生じない作業性に優れた空気入りタイヤに関するものである。
従来、空気入タイヤの内面には、空気漏れを防止しタイヤ空気圧を一定に保つために、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどの低気体透過性ブチル系ゴムを主成分とするインナーライナー層が設けられている。しかし、これらのブチル系ゴムの含有量を多くすれば、未加硫ゴムの強度が低下し、ゴム切れやシート穴空きなどを生じ易く、特にインナーライナーを薄ゲージ化する場合には、タイヤ製造時に内面のコードが露出し易いという問題を生じる。
したがって、前記のブチル系ゴムの配合量は自ら制限され、該ブチル系ゴムを配合したゴム組成物を用いる場合、空気バリア性の点からインナーライナー層の厚さは、1mm前後が必要であった。そのため、タイヤに占めるインナーライナー層の重量は約5%程度となり、タイヤの重量を低減し、自動車燃費を向上するための障害となっていた。
そこで、近年の省エネルギーの社会的な要請に伴い、自動車タイヤの軽量化を目的として、インナーライナー層を薄ゲージ化するための手法が提案されている。例えば、ナイロンフイルム層や塩化ビニリデン層をインナーライナー層として従来のブチル系ゴムの代わりに用いる手法が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂とエラストマーとのブレンドからなる組成物のフイルムをインナーライナー層に用いることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、これらのフイルムを用いる方法は、タイヤ軽量化はある程度可能であるとしても、マトリックス剤が結晶性の樹脂材料であるために、特に5℃以下の低温での使用時における耐クラック性や耐屈曲疲労性が通常用いられるブチル系ゴム配合組成物層の場合より劣るという欠点があり、また、タイヤ製造も複雑となる。
一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記することがある。)はガスバリア性に優れていることが知られている。EVOHは、空気透過量がブチル系ゴムを配合したインナーライナーゴム組成物の100分の1以下であるため、50μm以下の厚さでも、内圧保持性を大幅に向上することができる上、タイヤを重量低減することが可能である。したがって、空気入りタイヤの空気透過性を改良するために、EVOHをタイヤインナーライナーに用いることは有効であると言える。例えばEVOHからなるタイヤインナーライナーを有する空気入りタイヤが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、このEVOHをインナーライナーとして用いた場合は、内圧保持性改良効果は大きいが、弾性率が通常タイヤに用いられているゴムに比べ大幅に高いため、屈曲時の変形で破断、あるいはクラックが生じることがあった。このため、EVOHからなるインナーライナーを用いる場合、タイヤ使用前の内圧保持性は大きく向上するものの、タイヤ転動時の屈曲変形を受けた使用後のタイヤでは、内圧保持性が使用前に比べて低下することがあるなどの問題を有していた。
この問題を解決するためには、例えばエチレン含有量20〜70モル%、ケン化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体60〜99重量%及び疎水性可塑剤1〜40重量%からなる樹脂組成物を用いてなるタイヤ内面用インナーライナーが開示されているが(例えば、特許分献5参照)、耐屈曲性については、必ずしも十分に満足し得るものではない。
したがって、ガスバリア性を保持したまま、高度の耐屈曲性を有し、薄ゲージ化が可能なインナーライナーの開発が望まれていた。
このようなインナーライナーとしては、ガスバリア性が良好で屈曲性の優れた単層又は、特に多層の熱可塑性樹脂フイルムが考えられる。この場合、該樹脂フイルム層を接着剤層を介して円筒形にジョイントする必要があるが、このジョイント部の未加硫時におけるせん断接着力が高く、成形後保管中のグリーンタイヤ(生タイヤ)のジョイント部のずれ量が少ないことが要求される。
特開平7−40702号公報 特開平7−81306号公報 特開平10−26407号公報 特開平6−40207号公報 特開2002−52904号公報
本発明は、このような状況下で、ガスバリア性が良好で屈曲性の優れた単層又は多層熱可塑性樹脂フイルム層をインナーライナーとして使用し、該樹脂フイルム層を接着剤層を介して円筒形にオーバーラップジョイントするに当たり、このジョイント部の未加硫時せん断接着力が高く、成形後保管中のグリータイヤ(生タイヤ)のジョイント部のずれ量の少ない成形作業性に優れる空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ガスバリア性が良好で屈曲性の優れた単層又は多層の熱可塑性樹脂フイルム層を、特定の組成の接着剤組成物から構成される接着剤層を介してジョイントすることによって、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) インナーライナー層として(A)マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している単層又はマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している層を含む多層熱可塑性樹脂フイルムを使用するタイヤを製造する際に、前記(A)層が(B)接着剤層を介してジョイントされ、ジョイント部の未加硫時せん断接着力が10kPa以上であることを特徴とする空気入りタイヤ、
(2) インナーライナー層として(A)マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している単層又はマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している層を含む多層熱可塑性樹脂フイルムを使用するタイヤを製造する際に、前記(A)層が(B)接着剤層を介してジョイントされ、タイヤ成型後にずれるグリーンタイヤのジョイント部のジョイント長さ(ずれ量)が未加硫時で5mm/day以下である上記(1)の空気入りタイヤ、
(3) インナーライナー層として(A)マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している単層又はマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している層を含む多層熱可塑性樹脂フイルムを使用するタイヤを製造する際に、前記(A)層が(B)接着剤層を介してジョイントされ、ジョイント部の未加硫時せん断接着力が10kPa以上であるとともに、タイヤ成型後にずれるグリーンタイヤのジョイント部のジョイント長さ(ずれ量)が未加硫時で5mm/day以下である上記(1)又は(2)の空気入りタイヤ、
(4) 前記未加硫時のジョイント部のせん断接着力が40kPa以上である上記(1)〜(3)いずれかの空気入りタイヤ、
(5) 前記タイヤ成型後にずれるグリーンタイヤのジョイント部のジョイント長さ(ずれ量)が未加硫時で2mm/day以下である上記(1)〜(4)いずれかの空気入りタイヤ、
(6) 前記マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散しているマトリックスを構成する熱可塑性樹脂が、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物1〜50重量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる上記(1)〜(5)いずれかの空気入りタイヤ、
(7) 前記柔軟樹脂が水酸基と反応する官能基を有し、ヤング率が500MPa以下、かつ柔軟樹脂の含有率が前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、10〜30質量%であり、該共重合体中に平均粒径2μm以下で分散している樹脂組成物からなる上記(1)〜(6)いずれかの空気入りタイヤ、
(8) (A)マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している単層又はマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層の表面層として熱可塑性ウレタン系エラストマーを用いる上記(1)〜(7)いずれかの空気入りタイヤ、
(9) (A)層が(B)接着剤層を構成する(C)接着剤組成物用いて接着する上記(1)〜(8)いずれかの空気入りタイヤ、
(10) (C)接着剤組成物が、(a)ゴム成分と、その100質量部当たり、(b)架橋剤及び架橋助剤としてポリ−p−ジニトロソベンゼン、マレイミド誘導体のうち少なくとも一種を0.1質量部以上含む上記(9)の空気入りタイヤ、
(11) 前記(b)成分のマレイミド誘導体が、1,4フェニレンジマレイミドである請求項10に記載の空気入りタイヤ、
(12) (C)接着剤組成物が、(a)ゴム成分として、クロロスルホン化ポリエチレン10質量%以上を含む上記(10)の空気入りタイヤ、
(13) (C)接着剤組成物がさらに、(c)充填剤2〜50質量部含む上記(9)〜(12)いずれかの空気入りタイヤ、
(14) (C)接着剤組成物が、(c)充填剤としてカーボンブラックを含む上記(13)の空気入りタイヤ、
(15) (C)接着剤組成物において、(a)ゴム成分が、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴム50質量部%以上を含む上記(9)〜(14)いずれかの空気入りタイヤ、
(16) (C)接着剤組成物がさらに、(d)ゴム用加硫促進剤0.1質量部以上含む上記(9)〜(15)いずれかの空気入りタイヤ、
(17) 前記(d)ゴム用加硫促進剤が、チウラム系及び/又は置換ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤である上記(16)の空気入りタイヤ、
(18) (C)接着剤組成物がさらに、(e)樹脂、低分子量ポリマーのうち少なくとも1種を0.1重量部以上含む上記(9)〜(17)いずれかの空気入りタイヤ、
(19) (e)成分における樹脂が、C5系樹脂、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、変性テルペン系樹脂、水添テルペン系樹脂及びロジン系樹脂の中から選ばれる少なくとも一種である上記(18)の空気入りタイヤ、
(20) 前記樹脂が、フェノール系樹脂である上記(19)の空気入りタイヤ、
(21) (e)成分における低分子量重合体の重量平均分子量が、ポリスチレン換算で1,000〜100,000である上記(18)の空気入りタイヤ、
(22) (C)成分における低分子量重合体の重量平均分子量が、ポリスチレン換算で1,000〜50,000である上記(21)の空気入りタイヤ、
(23) (e)成分における低分子量重合体が、分子内に二重結合を有する重合体である上記(17)〜(22)いずれかの空気入りタイヤ、
(24) (e)成分における低分子量重合体が、スチレン単位を含む重合体である上記(17)〜(23)いずれかの空気入りタイヤ、及び
(25) (e)成分における低分子量重合体が、スチレン−ブタジエン共重合体である上記(24)の空気入りタイヤ、
を提供するものである。
本発明によれば、ガスバリア性が良好で屈曲性の優れた単層又は多層熱可塑性樹脂フイルム層をインナーライナー層として使用し、該樹脂フイルム層を接着剤層を介して円筒形にジョイントするに当たり、このジョイント部の未加硫時せん断接着力高く、成形後保管中のグリーンタイヤのジョイント部のずれ量が少ない成形作業性に優れる空気入りタイヤを提供することができる。
先ず、本発明の空気入りタイヤは、インナーライナー層として(A)マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している単層又はマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している層を含む多層熱可塑性樹脂フイルムを使用するタイヤを製造する際に、前記(A)層が(B)接着剤層を介してジョイントされ、ジョイント部の未加硫時せん断接着力が10kPa以上であることを特徴とする。
前記未加硫時のジョイント部のせん断接着力が、10kPa以上あることが必要であるが、40kPa以上あることがより好ましい。また、前記タイヤ成型後保管中にずれるグリーンタイヤのジョイント部のジョイント長さ(ずれ量)が未加硫時で5mm/day以下であることが好ましく、未加硫時で2mm/day以下であることがより好ましい。
特に、未加硫時のジョイント部のせん断接着力を上記範囲にすることによって本発明に用いられるインナーライナーは、ガスバリア性、耐屈曲性に優れ、かつ製造中におけるジョイント部に起因する不具合の生じない成形作業性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
ジョイント部のせん断接着力の上限については特に制限はないが、通常400
kPa程度である。
尚、ここで「ジョイント」とは、通常インナーライナー層の両端を重ね合わせ
たオーバーラップジョイントであり、そのジョイント幅については特に制限は無
く、タイヤザイズ等によって適宜決定されるが、通常5〜20mm程度である。
また、「グリーンタイヤ」とは、成形後未加硫の生タイヤのことをいう。
本発明の空気入りタイヤにおける(A)層に用いられるマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散しているマトリックスを構成する熱可塑性樹脂としては、ガスバリア性が良好で、適度の機械的強度を有するものであればよく、特に制限されずに、様々な樹脂フイルムを用いることができる。このような樹脂フイルムの素材としては、例えばポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体系樹脂、さらには熱可塑性ウレタン系エラストマーなどを挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの素材を用いて作製された樹脂フイルムは、単層フイルムであっても良く、二層以上の多層フイルムであっても良い。
前記素材の中で、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂は、空気透過量が極めて低く、ガスバリア性に優れており、好ましい素材である。また、熱可塑性ウレタン系エラストマーは、耐水性とゴムに対する接着性に優れており、特に多層フイルムにおいて、外層部分に配置して使用することが好ましい。
また、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂としては、特にエチレン−ビニルアルコール共重合体にエポキシ化合物を反応させて得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。このように変性することにより、未変性のエチレン−ビニルアルコール共重合体の弾性率を大幅に下げることができ、屈曲時の破断性、クラックの発生度合いを改良することができる。
この変性処理に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体においては、エチレン単位含有量は25〜50モル%であることが好ましい。良好な耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点からは、エチレン単位含有量は、より好適には30モル%以上であり、さらに好適には35モル%以上である。また、ガスバリア性の観点からは、エチレン単位含有量は、より好適には48モル%以下であり、さらに好適には45モル%以下である。エチレン単位含有量が25モル%未満の場合は耐屈曲性及び耐疲労性が悪化するおそれがある上、溶融成形性が悪化するおそれがある。また、50モル%を超えるとガスバリア性が不足する場合がある。
さらに、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度は好ましくは90モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり、最適には99モル%以上である。ケン化度が90モル%未満では、ガスバリア性及び積層体作製時の熱安定性が不充分となるおそれがある。
変性処理に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、21.18N荷重下)は0.1〜30g/10分であり、より好適には0.3〜25g/10分である。但し、エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは21.18N荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
変性処理は、前記の未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物を、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜40質量部、さらに好ましくは5〜35質量部を反応させることにより行うことができる。この際、適当な溶媒を用いて、溶液中で反応させるのが有利である。
溶液反応による変性処理法では、エチレン−ビニルアルコール共重合体の溶液に酸触媒あるいはアルカリ触媒存在下でエポキシ化合物を反応させることによって変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が得られる。反応溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のエチレン−ビニルアルコール共重合体の良溶媒である極性非プロトン性溶媒が好ましい。反応触媒としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸及び三弗化ホウ素等の酸触媒や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキサイド等のアルカリ触媒が挙げられる。これらの内、酸触媒を用いることが好ましい。触媒量としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対し、0.0001〜10質量部程度が適当である。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びエポキシ化合物を反応溶媒に溶解させ、加熱処理を行うことによっても変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を製造することができる。
変性処理に用いられるエポキシ化合物は特に制限はされないが、一価のエポキシ化合物であることが好ましい。二価以上のエポキシ化合物である場合、エチレン−ビニルアルコール共重合体との架橋反応が生じゲル、ブツ等の発生により積層体の品質が低下するおそれがある。変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造の容易性、ガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性の観点から、好ましい一価エポキシ化合物としてグリシドール及びエポキシプロパンが挙げられる。
本発明に用いられる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のメルトフローレート(MFR)(190℃、21.18N荷重下)は特に制限はされないが、良好なガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点からは、0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜25g/10分であることがより好ましく、0.5〜20g/10分であることがさらに好ましい。但し、変性EVOHの融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは21.18N荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
この変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を素材とするフイルム層の20℃、65RH%における酸素透過量は、3×10-15cm3・cm/cm2・sec・Pa以下であることが好ましく、7×10-16cm3・cm/cm2・sec・Pa以下であることがより好ましく、3×10-16cm3・cm/cm2・sec・Pa以下であることがさらに好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおける(A)層を構成する熱可塑性フイルムとして、熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に柔軟樹脂を分散させることが必要である。柔軟樹脂は水酸基と反応する官能基を有し、ヤング率が500MPa以下である樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂マトリックス中の柔軟樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、10〜30質量%が好ましく、その分散状態としては、平均粒径が2μ以下であることが好ましい。
柔軟樹脂を分散させる熱可塑性樹脂としては、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対し、エポキシ化合物1〜50質量部反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、通常のエチレン−ビニルアルコール共重合体に比べて弾性率が低く、さらに、水酸基と反応する官能基を有し、上記物性を満たす柔軟樹脂を分散させることで弾性率をさらに低下させることができる。そのため、上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるマトリックス中に柔軟樹脂を分散させてなる樹脂組成物は、弾性率が大幅に低下し、屈曲時の耐破断性が高く、また、クラックも発生し難い。
上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるマトリックス中に分散させる柔軟樹脂は、水酸基と反応する官能基を有し、ヤング率が500MPa以下であり、水酸基と反応する官能基有することで変性エチレン−ビニルアルコール共重合体中に柔軟樹脂が均一に分散するようになる。ここで、水酸基と反応する官能基としては、無水マレイン酸残基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。
かかる水酸基と反応する官能基を有する柔軟樹脂として、具体的には、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレン等が挙げられる。また柔軟樹脂のヤング率が500MPa以下であると、樹脂組成物の弾性率を低下させることができ、その結果耐屈曲性を向上させることができる。
また、上記樹脂組成物における柔軟樹脂の含有率は、10〜30質量%の範囲であることが好ましい。柔軟樹脂の含有率を上記範囲にすることによってガスバリア性の低下を抑え、耐屈曲性を向上させることができる。
さらに、上記柔軟樹脂の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体に分散している状態での平均粒径は、2μm以下であることが好ましい。平均粒径が2μmを超えると上記樹脂組成物からなる層の耐屈曲性を充分に改善できないおそれがあり、ガスバリア性の低下、延いてはタイヤの内圧保持性の悪化をもたらすことがある。
上記樹脂組成物は、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体と柔軟樹脂を混練して調整することができる。また、上記樹脂組成物は、インナーライナーの製造時フイルム状であることが好ましく、樹脂組成物からなる層は、溶融成形、好ましくはTダイ法、インフレーション法等の押出成形により、好ましくは150〜270℃の溶融温度でフイルムやシート等に成形さらインナーライナーとして使用される。
また、本発明の空気入りタイヤにおける(A)層を構成する熱可塑性樹脂フイルムの前記熱可塑性ウレタン系エラストマー(以下、TPUと略記することがある。)は、分子中にウレタン基(−NH−COO−)をもつエラストマーであり、(1)ポリオール(長鎖ジオール)、(2)ジイソシアネート、(3)短鎖ジオールの三成分の分子間反応によって生成する。ポリオールと短鎖ジオールは、ジイソシアネートと付加反応をして線状ポリウレタンを生成する。この中でポリオールはエラストマーの柔軟な部分(ソフトセグメント)になり、ジイソシアネートと短鎖ジオールは硬い部分(ハードセグメント)になる。TPUの性質は、原料の性状、重合条件、配合比によって左右され、この中でポリオールのタイプがTPUの性質に大きく影響する。基本的特性の多くは長鎖ジオールの種類で決定されるが、硬さはハードセグメントの割合で調整される。
種類としては、(イ)カプロラクトン型(カプロラクトンを開環して得られるポリラクトンエステルポリオール)、(ロ)アジピン酸型(=アジペート型)<アジピン酸とグリコールとのアジピン酸エステルポリオール>、(ハ)PTMG(ポリテトラメチレングリコール)型(=エーテル型)<テトラヒドロフランの開環重合で得られたポリテトラメチレングリコール>などがある。
本発明において、(A)層を構成する樹脂フイルムの成形方法に特に制限はなく、単層フイルムの場合、従来公知の方法、例えば溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法などを採用することができるが、これらの方法の中で、Tダイ法やインフレーションなどの溶融押出法が好適である。また、多層フイルムの場合は、共押出しによるラミネート法が好ましく用いられる。
本発明における(A)樹脂フイルム層の厚さは、熱可塑性樹脂フイルムの積層体をインナーライナーとして用いる場合の薄ゲージ化の観点から、200μm以下が好ましい。したがって、(A)層の厚さの下限は1μm程度であり、より好ましい厚さは10〜150μm、さらに好ましい厚さは20〜100μmの範囲である。
本発明においては、(A)樹脂フイルム層として、熱可塑性ウレタン系エラストマー層を含むものが好ましく、特に熱可塑性ウレタン系エラストマー層を含むと共に、前記の柔軟樹脂が分散している変性エチレン−ビニルアルコール共重合体層を一層以上含む多層フイルムからなる層が好ましい。
このような多層フイルムの具体例としては、前記の柔軟樹脂が分散している変性エチレン−ビニルアルコール共重合体フイルムの両面に、それぞれ熱可塑性ウレタン系エラストマーフイルムが積層された三層構造の多層フイルムを挙げることができる。
この(A)層を構成する樹脂フイルムは、その上に設けられる接着剤層との密着性を向上させるために、所望により、少なくとも接着剤層側の面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材フイルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
本発明においては、(A)マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している単層又はマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している層を含む多層熱可塑性樹脂フイルムのジョイント部に(B)接着剤層を構成する(C)接着剤組成物を用いて接着することが未加硫時のせん断接着力向上の面から好ましい。該(B)接着剤層を構成する(C)接着剤組成物としては、(a)ゴム成分と、その100質量部当たり、(b)架橋剤及び架橋助剤としてポリ−p−ジニトロソベンゼン、1,4−フェニレンジマレイミドのうち少なくとも一種を0.1質量部以上含む組成のものが用いられる。
当該接着剤組成物においては、(a)ゴム成分については特に制限はなく、ジョイント部における(A)熱可塑性樹脂フイルム層同士や、(A)熱可塑性樹脂フイルム層と隣接するゴム状弾性層の種類とその組み合わせ等によってそれぞれに優れたタック性及び平均はく離力を確保するために適宜決定されるが、通常、50質量%以上のブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムやジエン系ゴムを用いることが好ましい。
前記ブチル系ゴムとしては、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムを挙げることができるが、ブチル系ゴムの中では、加硫速度が速く、耐熱性、接着性、他の不飽和ゴムとの相溶性に優れる点から、ハロゲン化ブチルゴムが好ましい。前記ハロゲン化ブチルゴムとしては、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、その変性ゴムなどが含まれる。例えば塩素化ブチルゴムとしては「Enjay Butyl HT10−66」(エンジェイケミカル社製、商標)があり、臭素化ブチルゴムとしては「ブロモブチル2255」(エクソン社製、商標)がある。また、変性ゴムとしてイソモノオレフィンとパラメチルスチレンとの共重合体の塩素化又は臭素化変性共重合体を用いることができ、例えば「Expro50」(エクソン社製、商標)などとして入手可能である。
該(a)成分としては、接着剤層の作業性及び平均はく離力などの点から、ハロゲン化ブチルゴム70〜100質量%を含むものが好ましい。
前記ジエン系ゴムとしては、例えば天然ゴム、イソプレン合成ゴム(IR)、シス1,4−ポリブタジエン(BR)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン(1,2BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。中でも天然ゴム、ブタジエンゴムなどが好適である。
さらに、(a)成分として、所望によりクロロスルホン化ポリエチレン10質量%以上含むことが好ましい。該クロロスルホン化ポリエチレン(以下CSMと略記することがある)は、塩素と亜硫酸ガスを用いてポリエチレンを塩素化ならびにクロロスルホン化して製造される二重結合を含まない飽和構造を有する合成ゴムであり耐侯性、耐オゾン性、耐熱性などの安定性に優れている。CSMは商品名「ハイパロン」としてデュポン社より市販されている。接着剤層の平均はく離力の向上、耐熱性等の点から、CSMを10〜40質量%含むものが好ましい。
本発明においては、平均はく離力の点から、特にハロゲン化ブチルゴム70質量%以上、クロロスルホン化ポリエチレン10質量%以上及び天然ゴム及び/又はイソプレンゴム5質量%以上を含むことが好ましい。
当該接着剤組成物においては、加熱処理後の平均はく離力を改良するために、(b)架橋剤及び架橋助剤として、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、分子中に反応部位を二つ以上有するマレイミド誘導体のうち少なくとも一種を0.1質量部以上配合することが好ましい。
該マレイミド誘導体としては1,4フェニレンジマレイミド、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン等が挙げられ、この中でも1,4フェニレンジマレイミドが好ましい。
ポリ−p−ジニトロソベンゼンは、ハロゲン化ブチルゴムのような二重結合の少ないゴムに対して、有効な架橋剤であり、ポリ−p−ジニトロソベンゼンを加えて熱処理することにより未加硫配合物のコールドフローを防止し、押し出し特性、加硫物の物理特性を改良するし、また可塑度を調節することができる。
また、1,4−フェニレンジマレイミドを用いた加硫は炭素−炭素の共有結合が生成し、耐熱性、耐老化性を向上させる。特にクロロスルホン化ポリエチレンゴムに対しても有効な架橋剤である。
これら(b)成分の接着剤組成物に対する配合量は、該接着剤組成物のゴム成分100質量部に対して0.1質量部配合することが好ましい。
当該接着剤組成物における(c)成分の充填剤としては、無機フィラー及び/又はカーボンブラックを用いることができる。無機フィラーとしては、例えば湿式法によるシリカ(以下、湿式シリカと称する。)、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、モンモリロナイト、マイカ、スメクタイト、有機化モンモリロナイト、有機化マイカ及び有機化スメクタイトなどを挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カーボンブラックの種類は特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填剤として慣用されているものの中から任意のものを適宜選択して用いることができ、例えばFEF、SRF、HAF、ISAF、SAF、GPFなどが挙げられる。
本発明においては、前記無機充填剤とカーボンブラックとの合計含有量は、耐空気透過性、耐屈曲疲労性、耐低温クラック性及び加工性などのバランスの面から、ゴム成分100質量部当たり、30〜200質量部の範囲が好ましく、特に50〜140質量部の範囲が好適である。
当該接着剤組成物においては、この(c)成分である充填剤の含有量は、前記(a)成分であるゴム成分100質量部当たり、タック性及び平均はく離力などの点から、2〜50質量部、好ましくは5〜35質量部の範囲で選定される。
また、当該接着剤組成物に含まれる(a)ゴム成分のクロロスルホン化ポリエチレン、(b)成分の架橋剤及び架橋助剤、(c)成分の充填剤を含む市販接着剤組成物として、例えばケムロック6250(ロードコーポレーション社製)が挙げられる。このケムロック6250を接着剤組成物の(a)、(b)、(c)成分混合物として使用することも可能である。
当該接着剤組成物においては、(d)成分として、ゴム成分100質量部当たり、加硫促進剤を0.1質量部以上含むことにより、得られる積層体は所望の平均はく離力を発揮することができる。加硫促進剤としては特に制限はなく、例えば、チウラム系、置換ジチオカルバミン酸塩系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、キサンテート系などの中から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。中でもチウラム系及び/又は置換ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤が好ましい。前記加硫促進剤の含有量の上限については特に制限はないが、通常5質量部程度である。前記加硫促進剤の好ましい含有量は0.3〜3質量部の範囲である。
チウラム系及び/又は置換ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤を0.1質量部以上含むことにより、得られる積層体は所望の平均はく離力を発揮することができる。前記加硫促進剤の含有量の上限については特に制限はないが、通常5質量部程度である。前記加硫促進剤の好ましい含有量は0.3〜3質量部の範囲である。
チウラム系加硫促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、活性化テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムモノスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィドなどが挙げられる。
一方、置換ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤としては、例えばジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸カリウム、エチルフェニルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジンなどが挙げられる。
本発明においては、前記のチウラム系加硫促進剤及び置換ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤の中から選ばれる少なくとも一種が用いられるが、これらの中で、置換ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤が好ましく、特にジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛が好適である。
当該接着剤組成物においては、(e)成分として樹脂及び/又は低分子重合体が、特に貼り付け作業性(接着剤組成物の粘着性向上)のために用いられる。
(e)成分の樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、変性テルペン系樹脂、テルペン系樹脂、水添テルペン系樹脂、ロジン系樹脂,C5、C9石油樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、スチレン樹脂などが挙げられるが、これらの中で、C5留分樹脂、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、変性テルペン系樹脂、水添テルペン系樹脂及びロジン系樹脂が好適である。
5留分樹脂としては、ナフサの熱分解によって得られる、通常1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン等のオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエンなどのジオレフィン系炭化水素等を重合又は共重合した石油樹脂が挙げられる。
フェノール系樹脂としては、例えばp-t-ブチルフェノールとアセチレンを触媒の
存在下で縮合させた樹脂、アルキルフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物などを挙げることができる。
また、テルペン系樹脂、変性テルペン系樹脂、水添テルペン系樹脂としては、例えばβ−ピネン樹脂や、α−ピネン樹脂などのテルペン系樹脂、これらを水素添加してなる水添テルペン系樹脂、テルペンとフェノールをフリーデルクラフト型触媒で反応させたり、あるいはホルムアルデヒドと縮合させた変性テルペン系樹脂を挙げることができる。
ロジン系樹脂としては、例えば天然樹脂ロジン、それを水素添加、不均化、二量化、エステル化、ライム化などで変性したロジン誘導体を挙げることができる。これらの樹脂は一種を単独で用いてもよいが、これらの中で、特にフェノール系樹脂が好ましい。
一方、低分子量重合体としては、重量平均分子量が、ポリスチレン換算で1,000から100,000の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは1,000〜50,000である。また、分子内に二重結合を有するものが好ましく、さらにスチレン単位を有するものが好ましい。このような低分子量重合体としては、スチレン−ブタジエン共重合体を挙げることができる。
この低分子量スチレン−ブタジエン共重合体は、例えばシクロヘキサンなどの炭化水素溶媒中において、有機リチウム化合物開始剤をエーテル又は第3級アミンの存在下で用いて、ブタジエンとスチレンとを、50〜90℃程度で共重合させることにより製造することができる。得られた共重合体の分子量は、有機リチウム化合物の量で、ミクロ構造はエーテル又は第3級アミンの量によって制御することができる。
本発明においては、(e)成分として、前記低分子量重合体を一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。あるいは前述の樹脂一種以と前記低分子量重合体一種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、この(e)成分は、前記(a)成分のゴム成分100質量部に対し、5質量部以上用いることが好ましく、より好ましくは5〜40質量部特に好ましくは10〜30質量部の割合で用いられる。
特に該(e)成分としてフェノール系樹脂を用いる場合得られる接着剤組成物は、優れたタック性を示すことから好ましい。
当該接着剤組成部においては、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、加硫剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤などを含有させることができる。
次に本発明に用いる積層体の製造方法について説明する。
まず、有機溶媒に、前記(C)接着剤組成物を構成する各成分を加え、溶解又は分散させて、有機溶媒を含む接着剤組成物からなる塗工液を調製する。
この際、有機溶媒として、(a)ゴム成分の良溶媒であるヒルデブランド(Hildebrand)溶解度パラメーターδ値が14〜20MPa1/2の有機溶剤が好ましく用いられる。このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
このようにして調製された塗工液の固形分濃度は、塗工性や取り扱い性などを考慮して適宜選定されるが、通常5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲である。
次に、前記塗工液を、(A)層を構成する樹脂フイルム表面に塗工・乾燥したのち、(A)層を(B)接着剤層を介してジョイントする成形工程を経て、グリーンタイヤを加熱・加硫処理することにより、本発明の空気入りタイヤが得られる。
前記方法において、(A)層を構成する樹脂フイルムが、柔軟樹脂が分散している変性エチレン−ビニルアルコール共重合体層を有する場合、この樹脂フイルムとゴム状弾性体フイルム又はシートを、接着剤組成物層を介して貼合する前に、該樹脂フイルムに、予めエネルギー線を照射して、該変性エチレン−ビニルアルコール共重合体層を架橋しておくことが好ましい。この架橋操作を行わないと、後で行われる加熱・加硫工程において、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体層が著しく変形し、均一な層を保持することができなくなり、得られる積層体がタイヤ用インナーライナーとして所定の機能を発揮しなくなるおそれがある。
エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、α線、γ線等の電離放射線が挙げられ、好ましくは電子線が挙げられる。
電子線の照射方法に関しては、樹脂フイルムを電子線照射装置に導入し、電子線を照射する方法が挙げられる。電子線の線量に関しては特に限定されないが、好ましくは10〜60Mradの範囲内である。照射する電子線量が10Mradより低いと、架橋が進み難くなる。一方、照射する電子線量が60Mradを超えると樹脂フイルムの劣化が進行しやすくなる。より好適には電子線量の範囲は20〜50Mradである。
前記加熱・加硫処理は、通常100℃以上、好ましくは125〜200℃、より好ましくは130〜180℃の温度で実施される。なお、本発明の空気入りタイヤの場合、前記加熱・加硫処理は、通常タイヤ加硫時に行われる。
本発明の空気入りタイヤに用いられるインナーライナー層は、特定組成の接着剤組成物を用いてジョイントすることにより、該ジョイント部はタック性が良好で、未加硫時におけるせん断接着力に優れるなどの特徴を有している。
図1は、本発明の係わるインナーライナー層を用いてなる空気入りタイヤの一例を示す部分断面図であって、該タイヤはビードコア1の周りに巻回されてコード方向がラジアル方向に向くカーカスプライを含むカーカス層2と、カーカス層のタイヤ半径方向内側に配設された本発明に用いる積層体からなるインナーライナー層3と、該カーカス層のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配設された2枚のベルト層4を有するベルト部と、ベルト部の上部に配設されたトレッド部5と、トレッド部の左右に配置されたサイドウォール部6から構成されている。
尚、図示はされていないが、インナーライナー層3は接着剤14を介してオーバーラップジョイントされている。
図2は、前記空気入りタイヤにおける本発明に係わるインナーライナー層の一例の断面詳細図であって、インナーライナー層3は、柔軟樹脂が分散している変性エチレン−ビニルアルコール共重合体層11の両面に、それぞれ熱可塑性ウレタン系エラストマー層12a及び12bがラミネートされてなる樹脂フイルム層13と、接着剤層14からなる構造を有している。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
製造例1 変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造
加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン化度99.9モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(MFR:5.5g/10分(190℃、21.18N荷重下)2質量部及びN−メチル−2−ピロリドン8質量部を仕込み、120℃で、2時間加熱攪拌することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体を完全に溶解させた。これにエポキシ化合物としてエポキシプロパン0.4質量部を添加後、160℃で4時間加熱した。加熱終了後、蒸留水100質量部に析出させ、多量の蒸留水で充分にN−メチル−2−ピロリドン及び未反応のエポキシプロパンを洗浄し、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を得た。さらに、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を粉砕機で粒子径2mm程度に細かくした後、再度多量の蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間室温で真空乾燥した後、2軸押出機を用いて200℃で溶融し、ペレット化した。
なお、上記エチレンービニルアルコール共重合体のエチレン含有量及びケン化度は、重水素化ジメチルスルホォキシドを溶媒とした1H−NMR測定[日本電子社製[JIM−GX−500型を使用]で得られたスペクトルから算出した値である。また、上記エチレンービニルアルコール共重合体のメルトフローレート(MFR)は、メルトインデクサーL224[宝工業株式会社製]の内径9.55mm、長さ162mmのシリンダーにサンプルを充填し190℃で溶融した後、重さ2160g、直径9.48mmのプランジャーを使用して均等に荷重をかけ、シリンダー中央に設けた径2.1mmのオリフィスにより単位時間あたりに押し出される樹脂量(g/10分)から求めた。但しエチレン−ビニルアルコール共重合体の融点が190℃付近あるいは190℃を越える場合は、2160gの荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし190℃に外挿して算出した値をメルトフローレート(MFR)とした。
製造例2 柔軟樹脂の製造
無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を公知の方法により合成し、ペレット化した。得られた無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体は、ヤング率が3MPa、スチレン含有量が20%、無水マレイン酸量が0.3meq/gであった。なお、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体のヤング率は、下記の方法で測定した。
(1)ヤング率の測定
得られたペレットを用い、東洋精機社製二軸押し出し機によって、下記押し出し条件で製膜し、厚さ20μmの単層フイルムを作成した。次に該フイルムを用いて、幅15mmの短冊状の試験片を作成し、23℃、50%RHの条件で恒温室内で1週間放置した後、株式会社島津製作所製オートグラフ[AG−A500型]を用いてチャック間距離50mm、引張速度50mm/分の条件で23℃、50%PHにおけるS−Sカーブ(応力−歪曲線)を測定し、S−Sカーブの初期傾きからヤング率をもとめた。
製造例3 3層フイルムの作製
製造例1で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体と製造例2で得られた柔軟樹脂とを二軸押出し機で混練し柔軟樹脂がマトリックス中に分散した変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を得た。変性エチレン−ビニルアルコール共重合体に対する柔軟樹脂の配合量は20質量%、透過電子顕微鏡で測定した樹脂組成物中の柔軟樹脂の平均粒径は1.2μmであった。
得られた樹脂組成物と熱可塑性ポリウレタン((株)クラレ製、クラミロン3190)とを使用し、2種3層共押出装置を用いて、下記共押出成形条件で3層フイルム(熱可塑性ポリウレタン層/柔軟樹脂分散変性EVOH層/熱可塑性ポリウレタン層)を作製した。各層の厚みは、柔軟樹脂分散変性EVOH層、熱可塑性ポリウレタン層ともに20μmである。
共押出成形条件は以下のとおりである。
層構成:
熱可塑性ポリウレタン/柔軟樹脂分散変性EVOH/熱可塑性ポリウレタン
(厚み20/20/20、単位はμm)
各樹脂の押出温度:
C1/C2/C3/ダイ=170/170/220/220℃
各樹脂の押出機仕様:
熱可塑性ポリウレタン:
25mmφ押出機 P25−18AC(大阪精機工作株式会社製)
樹脂組成物:
20mmφ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(株式会社東洋精機製)
Tダイ仕様:
500mm幅2種3層用 (株式会社プラスチック工学研究所製)
冷却ロールの温度:50℃
引き取り速度:4m/分
製造例4 接着剤組成物−1及び塗工液の調製
接着剤組成物(配合単位:質量部)
*Br-IIR:(JSR社製 Bromobutyl 2244) 90
*クロロスルホン化ポリエチレン:(Dupnt・Dow ElastomersLLC社製 ハイパロン) 10
*カーボンブラック:(東海カーボン社製 シーストNB) 10
*フェノール樹脂:(住友ベークライト社製 PR-SC-400) 20
*ステアリン酸:(新日本理化社製 50S ) 1
*酸化亜鉛:(白水化学工業社製 ハクスイテック) 3
*P-ジニトロソベンゼン:(大内新興化学工業社製バルノックDNB) 3
*1,4フェニレンジマレイミド:(大内新興化学工業社製バルノックPM) 3
*加硫促進剤:(大内新興化学工業社製 ノクセラーZTC) 1
*加硫促進剤:(大内新興化学工業社製 ノクセラーDM) 0.5
*加硫促進剤:(大内新興化学工業社製 ノクセラーD) 1
*硫黄:(鶴見化学社製 金華印微粉硫黄) 1.5
上記配合組成に従って常法により混練りした後、該接着剤組成物を、有機溶剤としてトルエン1000質量部に加え、溶解又は分散して各接着剤塗工液を調製した。
製造例5 接着剤組成物−2及び塗工液の調製
カーボンブラックの量を60質量部とした以外は製造例5と同様にして接着剤組成物及び塗工液の調製を行った。
製造例6 接着剤組成物−3及び塗工液の調製
カーボンブラックの量を45質量部とした以外は製造例5と同様にして接着剤組成物及び塗工液の調製を行った。
製造例7 接着剤組成物−4及び塗工液の調製
カーボンブラックの量を60質量部、フェノール樹脂の量を5質量部とした以外は製造例5と同様にして接着剤組成物及び塗工液の調製を行った。
製造例8 接着剤組成物−5及び塗工液の調製
カーボンブラックの量を45質量部、フェノール樹脂の量を5質量部とした以外は製造例5と同様にして接着剤組成物及び塗工液の調製を行った。
実施例1
日新ハイボルテージ株式会社製電子線照射装置「生産用キュアトロンEBC200-100」を使用して、製造例3で得られた三層フイルム(熱可塑性ポリウレタン/柔軟樹脂分散変性EVOH/熱可塑性ポリウレタン)に、加速電圧200kV、照射エネルギー30Mradの条件にて電子線照射し架橋処理を施し、多層熱可塑性樹脂フイルムとして使用した。
製造例4で得られた接着剤組成物−1、100質量部に、有機溶剤としてトルエン1000質量部に加え、溶解又は分散して接着剤塗工液を調製した。その塗工液を、上記架橋した多層熱可塑性樹脂フイルムの片面に塗布し、乾燥処理した後、フイルムの接着剤塗布面と接着剤非塗布面とを張り合わせた試験用サンプルを作製し、これにてせん断接着力測定及び保持力試験を実施した。
さらに、前記フイルムを長方形に切り出し、一端の接着剤塗布面ともう一端の接着剤非塗布面とを張り合わせるオーバーラップジョイントをすることで円筒形にし、それをタイヤ最内面に張合わせる成形工程により、多層熱可塑性樹脂フイルムをインナーライナーとした未加硫タイヤ(195/65R15用)を作製した。尚、ジョイント幅は10mmであった。得られたグリーンタイヤを室温で一日放置し、そのタイヤ内面の多層熱可塑性樹脂フイルムジョイント部のジョイント性状を確認し、タイヤとして製造可能であるか否かを評価した。
せん断接着力、保持力(ずれ量)及び成形後の熱可塑性樹脂フイルムジョイント部のジョイント性状を確認した結果を第1表に示す。
尚、せん断接着力、保持力(ずれ量)、成形後のタイヤのジョイント部の確認については以下に示す方法に基づいて測定及び評価を行なった。
(1)せん断接着力の測定
せん断接着力:JIS Z1541に準拠し試験サンプルフィルムをステンレス板に固定し、フイルムを上記実施例の様に張り合わせ、5kgローラーで1往復圧着し、72時間養生後、23℃で引張速度50mm/分で試験体が破断するまでの最大荷重を測定。
(2)保持力(ずれ)の測定
JIS Z1541に準拠して、ステンレス板にフイルムを上記実施例の様に張り合わせた試験片を貼付け、室温において9.8Nの荷重をかけてズレを測定した。
(3)成形後グリーンタイヤのジョイント部の確認
上記実施例で記載したように、得られたグリータイヤを室温で一日放置し、そのグリーンタイヤ内面の多層熱可塑性フイルムジョイント部のジョイントの性状を確認し、ジョイント部が剥がれタイヤとして製造可能でないものを×、タイヤとして問題なく製造可能であるものを○とした。
実施例2
実施例1において、製造例6で得られた接着剤組成物を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。せん断接着力、保持力(ずれ量)及び成形後の熱可塑性樹脂フイルムジョイント部のジョイント性状を確認した結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1において、製造例8で得られた接着剤組成物を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。せん断接着力、保持力(ずれ量)及び成形後の熱可塑性樹脂フイルムジョイント部のジョイント性状を確認した結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、製造例4の接着剤組成物を塗布しないこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。せん断接着力、保持力(ずれ量)及び成形後の熱可塑性樹脂フイルムジョイント部のジョイント性状を確認した結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1において、東洋化学研究所製メタロックR−46である市販の接着剤組成物を塗布したこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。せん断接着力、保持力(ずれ量)及び成形後の熱可塑性樹脂フイルムジョイント部のジョイント性状を確認した結果を第1表に示す。
比較例3
実施例1において、製造例5の接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。せん断接着力、保持力(ずれ量)及び成形後の熱可塑性樹脂フイルムジョイント部のジョイント性状を確認した結果を第1表に示す。
比較例4
実施例1において、製造例7の接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。せん断接着力、保持力(ずれ量)及び成形後の熱可塑性樹脂フイルムジョイント部のジョイント性状を確認した結果を第1表に示す。
Figure 2008024221
本発明の空気入りタイヤは、ガスバリア性が良好で屈曲性の優れた単層又は多層熱可塑性樹脂フイルム層をインナーライナー層として使用し、成形工程において、該樹脂フイルム層を接着剤層を介して円筒形にジョイントするに当たり、このジョイント部の未加硫時せん断接着力が高く、成形後のグリーンタイヤのジョイント部のずれ量が少ない成形作業性に優れる空気入りタイヤを提供することができる
本発明のタイヤの一例を示す部分断面図である。 本発明に用いる積層体の構成の一例を示す断面詳細図である。
符号の説明
1:ビートコア
2:カーカス層
3:インナーライナー層
4:ベルト部
5:トレッド部
6:サイドウォール部
7:ビードフィラー
11:柔軟樹脂分散変性エチレン−ビニルアルコール共重合体層
12a、12b:熱可塑性ウレタン系エラストマー層
13:樹脂フイルム層
14:接着剤層

Claims (25)

  1. インナーライナー層として(A)マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している単層又はマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している層を含む多層熱可塑性樹脂フイルムを使用するタイヤを製造する際に、前記(A)層が(B)接着剤層を介してジョイントされ、ジョイント部の未加硫時せん断接着力が10kPa以上であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. インナーライナー層として(A)マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している単層又はマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している層を含む多層熱可塑性樹脂フイルムを使用するタイヤを製造する際に、前記(A)層が(B)接着剤層を介してジョイントされ、タイヤ成型後にずれるグリーンタイヤのジョイント部のジョイント長さ(ずれ量)が未加硫時で5mm/day以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. インナーライナー層として(A)マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している単層又はマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している層を含む多層熱可塑性樹脂フイルムを使用するタイヤを製造する際に、前記(A)層が(B)接着剤層を介してジョイントされ、ジョイント部の未加硫時せん断接着力が10kPa以上であるとともに、タイヤ成型後にずれるグリーンタイヤのジョイント部のジョイント長さ(ずれ量)が未加硫時で5mm/day以下である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記未加硫時のジョイント部のせん断接着力が40kPa以上である請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記タイヤ成型後にずれるグリーンタイヤのジョイント部のジョイント長さ(ずれ量)が未加硫時で2mm/day以下である請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散しているマトリックスを構成する熱可塑性樹脂が、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物1〜50重量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記柔軟樹脂が水酸基と反応する官能基を有し、ヤング率が500MPa以下、かつ柔軟樹脂の含有率が前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、10〜30質量%であり、該共重合体中に平均粒径2μm以下で分散している樹脂組成物からなる請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. (A)マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している単層又はマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層の表面層として熱可塑性ウレタン系エラストマーを用いる請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. (A)層が(B)接着剤層を構成する(C)接着剤組成物用いて接着する請求項1〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  10. (C)接着剤組成物が、(a)ゴム成分と、その100質量部当たり、(b)架橋剤及び架橋助剤としてポリ−p−ジニトロソベンゼン、マレイミド誘導体のうち少なくとも一種を0.1質量部以上含む請求項9に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記(b)成分のマレイミド誘導体が、1,4フェニレンジマレイミドである請求項10に記載の空気入りタイヤ。
  12. (C)接着剤組成物が、(a)ゴム成分として、クロロスルホン化ポリエチレン10質量%以上を含む請求項10に記載の空気入りタイヤ。
  13. (C)接着剤組成物がさらに、(c)充填剤2〜50質量部含む請求項9〜12のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  14. (C)接着剤組成物が、(c)充填剤としてカーボンブラックを含む請求項13に記載の空気入りタイヤ。
  15. (C)接着剤組成物において、(a)ゴム成分が、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴム50質量部%以上を含む請求項9〜14のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  16. (C)接着剤組成物がさらに、(d)ゴム用加硫促進剤0.1質量部以上含む請求項9〜15のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  17. 前記(d)ゴム用加硫促進剤が、チウラム系及び/又は置換ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤である請求項16に記載の空気入りタイヤ。
  18. (C)接着剤組成物がさらに、(e)樹脂、低分子量ポリマーのうち少なくとも1種を0.1重量部以上含む請求項9〜17のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  19. (e)成分における樹脂が、C5系樹脂、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、変性テルペン系樹脂、水添テルペン系樹脂及びロジン系樹脂の中から選ばれる少なくとも一種である請求項18に記載の空気入りタイヤ。
  20. 前記樹脂が、フェノール系樹脂である請求項19に記載の空気入りタイヤ。
  21. (e)成分における低分子量重合体の重量平均分子量が、ポリスチレン換算で1,000〜100,000である請求項18に記載の空気入りタイヤ。
  22. (C)成分における低分子量重合体の重量平均分子量が、ポリスチレン換算で1,000〜50,000である請求項21に記載の空気入りタイヤ。
  23. (e)成分における低分子量重合体が、分子内に二重結合を有する重合体である請求項18〜22のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  24. (e)成分における低分子量重合体が、スチレン単位を含む重合体である請求項18〜22のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  25. (e)成分における低分子量重合体が、スチレン−ブタジエン共重合体である請求項24に記載の空気入りタイヤ。
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