JP2008022693A - 永久磁石、ロータおよびモータと、永久磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】渦電流損の低減効果に加えて、永久磁石の製造コストの格段の低減を図ることができる永久磁石、ロータおよびモータを提供する。
【解決手段】モータを構成するロータに埋設される永久磁石10Aであり、この永久磁石10Aは、凹凸状に成形された2つの分割体1A,1Aから構成されるものであり、一方の分割体1Aの凸部が他方の分割体1Aの凹部に嵌め合わされて形成される。この分割体1A,1Aの嵌め合い方向に直交する方向を挿入方向としてロータ内に該永久磁石10Aが挿入溝に挿入されることにより、ロータが製造される。この分割体1A,1Aは横磁場プレス法によって製造される。
【選択図】図2
【解決手段】モータを構成するロータに埋設される永久磁石10Aであり、この永久磁石10Aは、凹凸状に成形された2つの分割体1A,1Aから構成されるものであり、一方の分割体1Aの凸部が他方の分割体1Aの凹部に嵌め合わされて形成される。この分割体1A,1Aの嵌め合い方向に直交する方向を挿入方向としてロータ内に該永久磁石10Aが挿入溝に挿入されることにより、ロータが製造される。この分割体1A,1Aは横磁場プレス法によって製造される。
【選択図】図2
Description
本発明は、磁石埋込型のモータを構成するロータの内部に配設される永久磁石とその製造方法、該永久磁石を備えたロータ、および該ロータを備えたモータに関する。
ブラシレスDCモータをはじめとする各種のモータの中で、ロータコア内部に複数の永久磁石が埋め込まれてなる永久磁石埋込型のロータを具備するモータはよく知られるところである。例えば、ハイブリット車両用のモータには、上記する磁石埋込型のロータを有するモータが使用されている。
ところで、ステータティースには巻線が集中巻き若しくは分布巻きされることによってコイルが形成されており、コイルに電流を印加することによって磁束を生じさせ、永久磁石による磁束との間でマグネットトルクおよびリラクタンストルクを発生させている。この分布巻きコイルの場合には、集中巻きコイルの場合に比して磁極数も多くなり、したがって、ロータ回転時にティース側からロータの永久磁石に入ってくる磁束(または磁束の変化)は相対的に連続性がある。そのため、ロータ回転時の磁束密度の変化は相対的に少ない。それに対し、集中巻きコイルの場合には、磁束密度の変化が相対的に大きくなることから永久磁石には渦電流が生じ易く、渦電流の発生によって永久磁石は発熱し、不可逆な熱減磁が招来されることで永久磁石自体の磁気特性が低下することとなる。
上記する渦電流の発生およびそれに起因する熱減磁の招来を防止するために、特に集中巻きコイルを備え、かつ永久磁石埋込型のロータを備えたモータにおいては、該永久磁石を複数の分割ピースから形成し、この分割ピースを束ねてロータの挿入溝に挿入設置する方策が講じられている(例えば、特許文献1参照)。その製造方法の実施例としては、所定数の分割ピースを束ねた姿勢で溝内に挿入していき、挿入後に溝と永久磁石との隙間に樹脂を注入硬化させる方法が一般的である。しかし、この方法では、溝内挿入の際に分割ピース同士がずれてしまい、場合によっては挿入不可に至ることもある。そこで、所定数の分割ピース同士を予め接着して所望形状および寸法の永久磁石を形成しておき、その後に溝内に永久磁石を挿入する方法や、所定数の分割ピースを束ねた姿勢でその外周を樹脂モールドし、このモールド体を溝内に挿入する方法などが有効であり、かかる製造方法も実用化されている。
永久磁石に生じ得る渦電流の発生を効果的に防止するために、該永久磁石を複数の分割ピースから製造するのは有効な方法である。しかし、無垢の永久磁石を製造することに比して、複数の分割ピースを製造してこれらを束ねる製造方法ではその製造コストが大幅に高くなり、さらに、分割ピース同士を接着したりモールド体を製造する場合には、製造工程の増加や製造手間が相俟って、より一層製造コストが高騰することとなる。渦電流を低減するために分割ピースの厚みを可及的に薄くすることは一つの方策であるが、ピースの厚みを薄くすることは分割ピースの製造数量を増加させることを意味しており、製造コストの高騰に拍車をかけることは必至である。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、磁石埋込型のロータに埋設される永久磁石において、渦電流損を効果的に防止するとともに、その製造コストを大幅に低減することのできる永久磁石とその製造方法、および該永久磁石を埋設してなるロータと、該ロータとその外周のステータとから構成されるモータを提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による永久磁石は、モータを構成するロータに埋設される永久磁石であって、前記永久磁石は、凹凸状に成形された2つの分割体が嵌め合わされてなることを特徴とする。より具体的には、一方の分割体の凹凸状を形成する凸部を他方の分割体の凹凸状を形成する凹部に嵌め合わせることで本発明の永久磁石が形成される。
永久磁石は、ネオジムに鉄とボロンを加えた3成分系のネオジム磁石、サマリウムとコバルトとの2成分系の合金からなるサマリウムコバルト磁石、鉄酸化物粉末を主原料としたフェライト磁石、アルミニウム、ニッケル、コバルトなどを原料としたアルニコ磁石など、コストと磁気特性を勘案して適宜の磁石を適用することができる。中でも、最大エネルギー積が高く、比較的安価なネオジム磁石を適用するのが好ましい。
本発明の永久磁石は、上記する適宜原料からなる磁性粉を素材として、2以上の凸部(および1以上の凹部)を備えた凹凸形状の分割ピースを2つ製造/用意し、双方の凸部と凹部を嵌め合いすることによって所望形状(扁平な直方体や、扁平で湾曲した形態など)および寸法の永久磁石を形成するものである。また、その凸部の数(永久磁石として組み付けられた際の分割数)は、磁界強さや該永久磁石の耐熱温度、さらには製造コスト等を勘案して適宜の数量に設定することができ、例えば、各分割体が4つの凸部を有していることで8分割された形態の永久磁石などに設定することができる。
本発明の永久磁石によれば、凸部の厚みを薄くすることによって渦電流損の低減効果を高めるために多数の凸部を具備する分割体とした場合においても、かかる分割体を2つ用意するのみで永久磁石を構成することが可能となる。したがって、従来の平板状の分割ピースを縦方向または横方向に積層させてなる形態の永久磁石に比して、その製造コストを格段に低減することが可能となる。なお、この分割体の製造方法は、上記素材からなる無垢体から分割体を切断加工する方法や、分割体形状を内空形状とする成形型内に上記素材(の粉体等)を充填してプレス加工する方法など、適宜の製造方法を適用できる。
ここで、上記する分割体は、成形型内に上記の磁性粉が充填されてプレス成形され、かつ磁界が印加されることによって着磁され、該プレス成形時のプレス方向と印加される磁界の方向が直交する横磁場プレス法によって製造されるのが好ましい。
性能を重視する永久磁石においては、着磁方向(磁化方向)に対する磁気特性を強化する目的でこの磁性粉に磁気的な異方性を持たせたものを用い、プレス加工の際に一定方向に磁界を印加することによって着磁される。この際にプレス方向とプレスの際に印加した磁界の方向が同じ場合を一般に縦磁場プレス法と称し、プレス方向とプレスの際に印加した磁界の方向が直交する場合を横磁場プレス法と称している。
同じ磁性粉を用いた場合、一般的には、横磁場プレス法を用いてプレス成形した永久磁石の方が磁気特性(最大エネルギー積)が向上する。これは磁性粉粒子が細長い形状をしており、この方向に磁気特性が優れている一方で、縦磁場プレス法ではプレス加工の際にその応力で磁性粉粒子の磁気的配向性が損なわれてしまい、その分だけ、磁気特性が落ちてしまうからである。
横磁場プレス法によって分割体を成形することにより、磁気特性に優れた分割体を製造することができ、この分割体同士が上記する凹凸状を呈していることで上記するように製造コストの大幅な低減をも図ることができる。
また、本発明による永久磁石の製造方法としては、鉛直方向に移動する第1の可動型と、水平方向に移動する第2の可動型と、を少なくとも具備し、該第1および第2の可動型によって分割体の形状に応じたキャビティが磁性粉投入開口を上方に向けた姿勢で画成されてなる成形型と、上方から鉛直下方に向ってキャビティ内に充填された磁性粉を加圧するプレス機と、前記成形型の側方に配設されてキャビティ内に充填された磁性粉に水平方向に磁界を印加する磁界発生装置と、を用意する第1の工程と、キャビティ内に磁性粉を充填し、プレス成形するとともに着磁させる第2の工程と、第1の可動型を移動させ、次いで第2の可動型を移動させて成形および着磁された分割体を取出す第3の工程と、成形された2つの分割体を嵌め合いして永久磁石を製造する第4の工程と、からなる製造方法を適用することができる。
この製造方法では、まず、鉛直方向と水平方向にそれぞれ移動する2つの可動型(第1の可動型、第2の可動型)と、それらの移動を規制する固定型とからなる成形型を用意する。2つの可動型うち、例えば水平方向に移動する第2の可動型には分割体の形状に応じたキャビティ用の凹溝が形成されており、第1の可動型と第2の可動型が当接した状態でキャビティ空間が形成されるようになっている。また、このキャビティ空間は、第2の可動型の上面に開設された磁性粉を投入するための開口に連通している。この開口の上方にはプレス機が昇降自在に配設されており、開口を介して磁性粉がキャビティ内に充填された後に、プレス機が降下し、この開口からキャビティ内の磁性粉を加圧することによってプレス成形がおこなわれる。
一方、成形型の側方にはプレス成形された磁性粉を着磁させるための公知の磁界発生装置が配設されており、プレス成形方向(鉛直方向)と直交する水平方向に磁界を印加することにより、上記する横磁場プレス法によって分割体を成形および着磁するようになっている。
成形および着磁された分割体を成形型から取出す方法は、まず、第1の可動型が例えば下方へ移動することによって分割体の一方面を解放し、次いで固定型に対して第2の可動型を水平移動させることにより、分割体を固定型からも分離することで取出し可能な状態とする。この第2の可動型から作業員の手で分割体を最終脱型する方法であってもよいし、第2の可動型内に押出し機構が内蔵されていて、押出し機構によって最終脱型を図るようにしてもよい。このようにして成形された凹凸状を呈する分割体同士を嵌め合いすることにより、上記する永久磁石を製造することができる。
この製造方法によれば、横磁場プレス工程と効率的な脱型工程の双方を実現することができ、磁気特性に優れた分割体の製造歩留まりを高めることが可能となる。
また、上記する第2の可動型のキャビティを構成する壁面には分割体の凹部を形成するための突起部が設けられているが、少なくとも該突起部の壁面には分割体脱型時の抜き勾配が設けられているのが好ましい。より具体的には、突起部のみならず、該突起部に対向するキャビティ用壁面にも必要に応じて抜き勾配を設けておく。
突起部を含むキャビティ画成用壁面に上記する抜き勾配を設けておくことで、最終脱型時の効率が高められ、さらには脱型不良の発生を効果的に防ぐことができる。
また、本発明の永久磁石は2つの分割体が嵌め合いされることによって形成されるため、双方を接着剤等にて接着させることなく、ロータに形成された挿入溝内に挿入設置することが可能となる。すなわち、2つの分割体を嵌め合いした姿勢で挿入溝内に挿入するのみでよいため、製造工程の簡素化を図ることができる。
また、本発明によるロータは、永久磁石の挿入溝を周方向に複数備えたロータであって、前記分割体の嵌め合い方向に直交する方向を挿入方向として前記永久磁石が挿入溝に挿入されていることを特徴とする。
本発明のロータは、永久磁石埋込型のロータであり、例えば、適宜素材の複数の鋼板が所定高さに積層され、かしめや溶接等で一体化されることによって製造される。このロータには、磁極数に応じた永久磁石挿入用の溝が設けられており、この溝内に上記の永久磁石が挿入される。なお、ロータ製造用の鋼板としては、電磁鋼板のほか、冷延鋼板、熱延鋼板、炭素鋼板などを適用することができる。また、ロータに形成される挿入溝の形態(および永久磁石の形態)は、磁極数に応じた矩形断面の直方体や、2つの該矩形断面の直方体がハの字の態様で1つの磁極を形成する態様など、適宜の形態を設定できる。
2つの分割体を嵌め合いしてなる永久磁石であって、分割体同士が接着されていない場合には、分割体の嵌め合い方向に直交する方向を挿入方向としながら永久磁石を挿入溝に挿入していけばよい。双方の分割体同士は相互に嵌め合いされているため、かかる態様で挿入していくことにより、挿入時に挿入溝のエッジ等と永久磁石とが干渉した場合でも、永久磁石はその嵌め合い状態を維持しながら効率的に挿入される。なお、分割体同士が接着されている場合の永久磁石の挿入方向は、分割体の嵌め合い方向に関わらず任意の方向に挿入することができる。
また、挿入溝内における永久磁石の固定方法としては、溝の断面寸法に比して予め大きめの断面を有する永久磁石を製造しておき、その隅角部を溝のエッジで削りながら押圧挿入する方法や、溝内に永久磁石を挿入後に該溝と永久磁石との間に樹脂材を注入硬化させる方法などを適用できる。
本発明のロータは前記する永久磁石を内部に埋込むことにより、永久磁石の製造コストが低減することに起因して該ロータの製造コストも低減することとなる。また、従来の接着剤等で相互に鋼板ピースが接着されてなるロータの場合には、その長期に亘る繰り返し使用(回転)により、接着部が剥がれることで永久磁石がその途中から分離する危険性を否定できない。例えば、ロータに埋設された永久磁石のステータ側の一側面と該側面と反対側の他側面にそれぞれN極およびS極が着磁されている場合には、各鋼板ピースは同じ側で同じ磁極を有することから、低下した接着強度をピース同士の反発力が上回った段階で剥がれが生じ得る。本発明の永久磁石においては、双方の分割体が接着剤等にて接着されて一体化したものではなく、2つのブロック体が嵌め合いされていることからかかる問題は生じ得ない。
さらに、本発明によるモータは、前記ロータと、その外周に配設された平面視が略円環状のステータと、を少なくとも具備してなることを特徴とする。
本発明のモータ(電動機)は、永久磁石埋込型のモータであれば、シンクロナスリラクタンスモータやインダクションモータ、ブラシレスモータ、IPMモータなど、モータ一般を包含するものである。また、ステータティースに形成されるコイルの巻装形態も、分布巻き、集中巻きのいずれであってもよいが、本発明のモータは、既述するように集中巻き形式の場合にその効果をより一層発揮できるものである。
以上の説明から理解できるように、本発明の永久磁石と、該永久磁石を埋設してなるロータおよび該ロータを具備するモータによれば、2つの分割体を嵌め合いするだけで永久磁石を形成することができるため、渦電流損の低減効果に加えて、永久磁石の製造コストの格段の低減を図ることができ、その結果としてロータおよびモータ双方の製造コストの低減をも図ることができる。また、本発明による永久磁石の製造方法によれば、横磁場プレス法を適用することによって永久磁石の磁気特性をより高めることができ、鉛直および水平方向に相互に可動する可動型を備えた成形型にて加工することで脱型工程の効率を高め、延いては製造歩留まりを高めることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の永久磁石の一実施の形態が、2つの分割体を嵌め合いすることで形成されることを説明した図である。図2,3は、本発明の永久磁石の他の実施の形態が、2つの分割体を嵌め合いすることで形成されることを説明した図である。図4は、成形型を模式的に示した斜視図であり、図5は、可動型の移動態様の説明図である。図6は、磁界発生装置とプレス機からなる横磁場プレス成形機を示した模式図であり、図7はa、bの順にプレス成形後の可動型の移動態様を説明した図である。図8は、抜き勾配を具備する可動型を示した図であって、図8aはその斜視図であり、図8bは図8aのb−b矢視図である。図9は、図8の可動型を具備する成形型によって成形される分割体を示した図であって、図9aはその斜視図であり、図9bは図9aのb矢視図である。図10は、図9の分割体からなる永久磁石の他の実施の形態であって、図10aはその斜視図であり、図10bは図10aのb−b矢視図である。図11は、永久磁石をロータの挿入溝に挿入している状況を説明した図である。図12,13はそれぞれ、本発明のモータの実施の形態の斜視図であって一部を破断した図である。なお、本発明によって製造されるロータは、埋込型のロータであればよく、図示する実施の形態に限定されるものでないことは勿論のことである。
図1は、本発明の永久磁石の一実施の形態を示している。この永久磁石10は、凹凸状に成形された2つの分割体1,1を相互に嵌め合いすることによって構成される(図中のX1方向)。
分割体1の具体的な構成は、繋ぎ部11から長さの異なる2つの凸部12,13が同方向に突出され、その間に凹部14が形成されている。この分割体1は、例えば、ネオジムに鉄とボロンを加えた磁粉を成形型内に投入し、磁場内にてプレス成形し(磁場中成形)、焼成および防錆処理を施して製造される。分割体1,1によって構成される永久磁石10は、4つに分割された実施の形態となる。
図2は、8つに分割された形態の永久磁石10Aと、この永久磁石を構成する分割体1A,1Aを示している(嵌め合い方向は図中のX2方向)。
この分割体1Aは、繋ぎ部11aと該繋ぎ部11aから突出する長さが相対的に短い3つの凸部12a,…と長さが相対的に長い凸部13aから構成されており、凸部間に凹部14aが形成されている。
ここで、永久磁石10Aが埋設されたロータにおいて、該永久磁石の端部(例えば、繋ぎ部11aやその周辺)に相対的に強い磁界が作用するロータにおいては、凸部の平面視における幅をa、繋ぎ部11aの幅をbとした場合に、a=b若しくはa>bとなるように可及的に繋ぎ部11aの幅を小さく設定するのが好ましい。なお、繋ぎ部11aが一定の幅を有していることにより、2つの分割体1A,1Aが分離することなく、嵌め合い態様を保持した姿勢で永久磁石10Aの長期に亘る耐久性の維持を図ることができる。
また、図3は、永久磁石のさらに他の実施の形態を示したものである。この永久磁石10Bは扁平な湾曲形状を呈しており、該永久磁石を構成する2つの分割体1B,1Bはそれぞれ、繋ぎ部11bと、該該繋ぎ部11bから突出する長さが相対的に短く、所定の曲率を呈した3つの凸部12b,…と長さが相対的に長く、同様の曲率を呈した凸部13bとから構成されており、凸部間に凹部14bが形成されている。ここで、永久磁石10Bの有する曲率は、ロータ内における磁束の通路を勘案した曲率である。
次に、図4〜7に基づいて分割体の製造方法について説明する。
まず、図4には、分割体がプレス加工される際の成形型を模式的に示しており、図5には各可動型の移動態様を示している。この成形型40は、固定型43と、該固定型43に対して鉛直下方(図5のZ1方向)に移動する第1の可動型41と、固定型43に対して水平方向(図5のY1方向)に移動する第2の可動型42とから構成されており、第2の可動型42の一側面には分割体形状の凹溝42aが設けられており、第1の可動型41と第2の可動型42が当接した姿勢において図4に示すようなキャビティCを画成するようになっている。凹溝42a内に設けられた突起部42a1によって分割体の凹部が形成される。また、キャビティC(凹溝42a)の上面は開口部となっており、この開口部から磁性粉がキャビティ内に充填されるようになっている。なお、各可動型41,42の移動手段であるサーボモータやシリンダ機構等のアクチュエータ等の図示は省略している。
まず、図4には、分割体がプレス加工される際の成形型を模式的に示しており、図5には各可動型の移動態様を示している。この成形型40は、固定型43と、該固定型43に対して鉛直下方(図5のZ1方向)に移動する第1の可動型41と、固定型43に対して水平方向(図5のY1方向)に移動する第2の可動型42とから構成されており、第2の可動型42の一側面には分割体形状の凹溝42aが設けられており、第1の可動型41と第2の可動型42が当接した姿勢において図4に示すようなキャビティCを画成するようになっている。凹溝42a内に設けられた突起部42a1によって分割体の凹部が形成される。また、キャビティC(凹溝42a)の上面は開口部となっており、この開口部から磁性粉がキャビティ内に充填されるようになっている。なお、各可動型41,42の移動手段であるサーボモータやシリンダ機構等のアクチュエータ等の図示は省略している。
図6は、図4,5で示した成形型40の側方に磁界発生装置50が設けられ、さらに成形型40の上方(より具体的には上記開口部の上方)に昇降自在なプレス機60が設けられてなる横磁場プレス成形機を示している。成形型40のキャビティC内に磁性粉Mが投入され、次いで水平方向(Y2方向)に磁界が印加されることでキャビティ内の磁性粉Mが着磁され、この状態で上方からプレス機60が降下して加圧することにより(Z2方向)、分割体1が形成される。
この横磁場プレス法を用いて分割体をプレス成形することにより、磁性粉粒子が細長い形状をしていてこの方向に磁気特性が優れていることから、従来の縦磁場プレス法に比して磁石の磁気特性(最大エネルギー積)を向上させることができる。
次に、図7に基づいてプレス成形後の分割体1の脱型方法について説明する。プレス成形された分割体1を成形型内から取り出すに際し、まず、図7aに示すように第1の可動型41が鉛直下方(Z1方向)に移動することで分割体1の一側面を開放させる。
次いで、図7bに示すように、固定型43に対して第2の可動型42を水平方向(Y1方向)に移動させ、この第2の可動型42が分割体1のみを押すように移動することによって分割体1が脱型される。
上記するように、本実施の形態に示す成形型40を具備する横磁場プレス成形機を使用して分割体を製造することにより、磁気特性に優れた永久磁石を効率よく製造することが可能となる。
図8は、抜き勾配を具備する第2の可動型を示した図であり、図8aは斜視図を、図8bは平面図を示している。図8bに示すように、突起部42a1’は不図示の第1の可動型側に向って突起部の幅が狭くなる形状となっており、このテーパー面が分割体脱型時の抜き勾配を形成している。なお、この実施例では、第2の可動型42Aの内壁面のうち、突起部42a1’と対向する壁面42a2も突起部42a1’との間の空間が不図示の第1の可動型側に向って広くなるような抜き勾配を有している。この抜き勾配を突起部や適宜の凹溝面に設けておくことにより、効率的な最終脱型作業を実現することができ、さらには、脱型不良等が生じることもなくなる。
上記する抜き勾配をキャビティ壁面の突起部に設けてなる成形型を使用して製造された分割体1’を図9a、bに示している。また、この分割体1’、1’からなる永久磁石10’を図10に示している。図10(b)に示すように、相互に抜き勾配が逆の分割体同士を組付けることで、組付け時の隙間を無くすことができ、磁石の占積率を高めることが可能となる。
次に、図11に基づいて、2つの分割体を嵌め合いしてなる永久磁石をロータに設けられた挿入溝へ挿入する方法を説明する。
まず、ロータ2は、電磁鋼板、冷延鋼板、熱延鋼板、炭素鋼板などの鋼板2a,2a,…を所定高さに積層し、かしめや溶接等で全体が一体化されて製造される。鋼板2aには予め挿入溝用の開口とシャフト孔22が開設されており、各鋼板2a,2a,…の開口同士が位置決めされた姿勢で積層されることで挿入溝21,21,…が形成される。
2つの分割体を嵌め合いして、例えば図示する14分割の永久磁石10Cを構成し、この嵌め合い方向に直交する方向が永久磁石10Cの挿入方向(図中のY方向)となるようにして永久磁石10Cを挿入溝21内に挿入していく。各挿入溝内に永久磁石を挿入し、挿入溝と永久磁石との間に樹脂モールド材を充填し、該樹脂モールド材が硬化することで永久磁石10Cと挿入溝21とが固定される。なお、モールド材の代わりに、接着剤を流し込んで硬化させる固定方法であってもよい。
本発明の永久磁石と上記挿入方法によれば、永久磁石の溝内挿入に際して分割体同士を接着させる必要が必ずしもないことから、ロータの製造歩留まりを格段に向上させることができる。
図12,13は、本発明の永久磁石を具備するロータを備えたモータ(電動機)の実施の形態を図示したものである。
まず、図12に示すモータ100は、永久磁石10Cをロータ2の内部に埋め込んでなる磁石埋込型でインナーロータ型のモータである。ステータ3は、リング状のヨーク31と、該ヨーク31から径方向内側に突出する複数のティース32,32,…とから構成されており、電磁鋼板等をプレス打ち抜き等することによって成形された鋼板3a,3a,…を積層し、かしめや溶接等で全体が一体化されている。また、図11に示す製造方法にて製造されたロータ2のシャフト孔22に、シャフト4が貫通固定されている。なお、ティース間に巻装されるコイルの図示は省略しているが、ティースごとにコイルが形成される集中巻きの形態であっても3相分布巻き等の形態であってもよい。
この実施の形態にかかるモータは、平面視が扁平で矩形の永久磁石10Cが1つの磁極を形成するようにロータ内に埋設されたものである。
一方、図13に示すモータ200は、2つの永久磁石10C,10Cが平面視ハの字状にロータ内に埋設されて1つの磁極を形成する実施の形態である。ハの字状の開き角度は、ロータ内における磁束の流れに基づいて決定される。
本発明のモータによれば、ロータ内に埋設される永久磁石が2つの分割体の嵌め合い構造を呈していることで、永久磁石の強度特性が向上する結果、モータ自体の耐久性も向上することとなる。また、永久磁石に励起され得る渦電流を可及的に低減できることに加え、その製造歩留まりも格段に向上することから、その製造コストを大幅に低減することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1,1’,1A,1B…分割体、11,11a,11b…繋ぎ部、12,12a,12b,13,13a,13b…凸部、14,14a,14b…凹部、2…ロータ、2a…鋼板、21…挿入溝、22…シャフト孔、3…ステータ、3a…鋼板、31…ヨーク、32…ティース、10,10’,10A,10B,10C…永久磁石、40…成形型、41…第1の可動型、42…第2の可動型、43…固定型、50…磁界発生装置、60…プレス機、100,200…モータ
Claims (7)
- モータを構成するロータに埋設される永久磁石であって、
前記永久磁石は、凹凸状に成形された2つの分割体が嵌め合わされてなることを特徴とする永久磁石。 - 一方の分割体の凹凸状を形成する凸部が他方の分割体の凹凸状を形成する凹部に嵌め合わされてなる請求項1に記載の永久磁石。
- 前記分割体は、成形型内に磁性粉が充填されてプレス成形され、かつ磁界が印加されることによって着磁されるものであり、該プレス成形時のプレス方向と印加される磁界の方向が直交する横磁場プレス法によって製造されることを特徴とする請求項1または2に記載の永久磁石。
- 永久磁石の挿入溝を周方向に複数備えたロータであって、
前記分割体の嵌め合い方向に直交する方向を挿入方向として請求項1〜3のいずれかに記載の永久磁石が挿入溝に挿入されていることを特徴とするロータ。 - 請求項4に記載のロータと、その外周に配設された平面視が略円環状のステータと、を少なくとも具備するモータ。
- 凹凸状に成形された2つの分割体が嵌め合わされてなる永久磁石の製造方法であって、
固定型と、該固定型に対して鉛直方向に相対移動する第1の可動型と、固定型に対して水平方向に相対移動する第2の可動型と、を少なくとも具備し、該第1および第2の可動型によって分割体の形状に応じたキャビティが磁性粉投入開口を上方に向けた姿勢で画成されてなる成形型と、上方から鉛直下方に向ってキャビティ内に充填された磁性粉を加圧するプレス機と、前記成形型の側方に配設されてキャビティ内に充填された磁性粉に水平方向に磁界を印加する磁界発生装置と、を用意する第1の工程と、
キャビティ内に磁性粉を充填し、プレス成形するとともに着磁させる第2の工程と、
第1の可動型を移動させ、次いで第2の可動型を移動させて成形および着磁された分割体を取出す第3の工程と、
成形された2つの分割体を嵌め合いして永久磁石を製造する第4の工程と、
を少なくとも具備する永久磁石の製造方法。 - 前記第2の可動型のキャビティを構成する壁面には分割体の凹部を形成するための突起部が設けられており、少なくとも該突起部の壁面には分割体脱型時の抜き勾配が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の永久磁石の製造方法。
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