JP2008020154A - 熱交換器用プレコートアルミニウムフィン材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アルミニウムフィン板材に、アクリル基を有する樹脂を10〜35重量%含有するエポキシ樹脂系塗料であって、溶剤として炭素数3以上でアルコール性の−OH基またはアルコール性−OH基とエーテル結合を1個以上有する直鎖状アルコールを用いた水性塗料を、塗布、焼き付けしてベース塗膜を形成し、該ベース塗膜上にアクリル基および/またはポリビニルアルコール基を有する親水性樹脂塗膜を形成するプレコートアルミニウムフィン材の製造方法および該製造方法により製造されたプレコートアルミニウムフィン材。
【選択図】なし
Description
近年、ルームエアコン等の熱交換器においてもコンパクト化、省エネルギーに対する要求から伝熱効率を更に高める工夫がなされ、ルーバーを立ち起こしたり、熱放散能を高めるためフィンとフィンの隙間を狭くする等を行うようになった。
しかし多くの親水性樹脂塗膜はアルミニウム材表面との密着性に劣るため,アルミニウム材と親水性樹脂塗膜の間に中間層を設け,アルミニウム材と親水性樹脂塗膜の密着性を高める処理が行われている。熱交換機用フィン材には親水性に加えて耐食性も求められるが、親水性塗膜は通常防食能が弱いかまたは無いため、耐食性向上のための処理も付加されるのが通例となっている。
さらに最近では、商品の差別化を図るため、室内機側、室外機側のそれぞれに高度かつ特殊な性能が求められるようになってきた。例えば室内機側の場合には、汚染性に対する耐性や臭気発生防止があげられる。室外機の場合には、高度の耐食性であったり、着色であったりする。
これらの処理方法では、硬質な無機質材料が含まれないため工具摩耗が少なく、臭気発生が殆どないという特性を有するものの、冷房運転と暖房運転とを交互に繰り返すと、フィン表面に付着した水滴の接触角が高くなり親水性が低下してしまう場合がある。
[1] アクリル基を有する樹脂を10〜35重量%含有するエポキシ樹脂系塗料であって、溶剤として直鎖状の炭素数3〜7の含酸素有機溶媒を用いた水性塗料をベース塗膜として設け、該塗膜上に親水性樹脂塗膜を設けたことを特徴とするプレコートアルミニウムフィン材、
[2] 含酸素有機溶媒が、直鎖状の炭素数3〜7であるアルコール、エステル、セロソルブエステル、ケトン、グリコールまたはそれらの混合物である上記[1]に記載のプレコートアルミニウムフィン材、
[3] ベース塗料のエポキシ樹脂が、ビスフェノールA型樹脂である上記[1]に記載のプレコートアルミニウムフィン材、
[6] 上記[1]〜[3]のいずれかに記載のプレコートアルミニウムフィン材を用いたエアコンディショナー用熱交換器、を開発することにより上記の課題を解決した。
このような問題に対し、最近では有害なクロムに変わり、ジルコニウムやチタンなどを使用したノンクロム処理が検討されているが、耐食性が不十分であったり、密着性が劣る傾向にあるなどいくつかの問題がある。
水性塗料を作製する場合、樹脂の安定性,分散性等を確保するための理由から有機溶媒を併用することは一般的である。ところが、使用される有機溶媒の種類により、親水性や耐汚染性,塗膜密着性といったフィン材として重要な性能に影響を及ぼすことを発見した。
すなわち、有機溶媒分子中、炭素(C)の数が3〜7で、アルコール性−OH基またはアルコール性−OH基に加えエーテル結合を1個以上有する直鎖型の含酸素有機溶媒、例えばアルコール、エステル、セロソルブエステル、ケトン、グリコールまたはこれらの混合物を使用する。沸点的には180℃以下のものが好ましい。これより高沸点溶媒であると焼き付け時に長時間必要とするばかりでなく塗膜の硬度を高めるのに困難となる。好ましいものとしては代表例としては、ブタノールやブチルセロソルブあるいはこれらの混合物等があげられる。
エーテル結合とは、酸素原子の2価の原子価がともに炭化水素残基と結合している場合の[−C−O−C−]結合であるが、この結合は化学的に非常に安定な結合であり、アルミニウムフィン材の親水性及び耐汚染性に側鎖のような悪影響は与えない。
すなわち、上記以外の有機溶媒が存在すると、塗料を加熱乾燥する際に、該有機溶媒とエポキシ樹脂末端のエポキシ基とが反応し、疎水性のエステル結合を形成し易い。このようなエステル結合が存在すると、エポキシ樹脂中の−OH基を減少させる。
この−OH基は基板との密着性,他のエポキシ樹脂との架橋,親水性樹脂塗膜との水素結合形成等による塗膜同士の密着性に寄与する。親水性樹脂塗膜との密着性が低下し親水性樹脂塗膜が剥離しやすくなるため、結果的に親水性,耐汚染性を阻害する。
詳細なメカニズムが不明であるが、アクリル基を有する有機樹脂中のカルボキシル基が親水性樹脂塗膜の−OH基等に水素結合等により付加または脱水縮合等によりエステル化し、親水基の親水性を阻害するためと考えられる。種々の検討よりアクリル基を含有する有機樹脂がエポキシ樹脂重量の35重量%以下であれば、親水性樹脂塗膜に影響を与える影響が少ないことを発見した。
該アクリル基を有する樹脂を10〜35重量%含有するエポキシ系樹脂を13〜25重量%含有し、好ましくは17〜22重量%、有機溶剤として直鎖状の炭素数3〜7の含酸素有機溶媒を10〜25重量%、好ましくは13〜22重量%、残部は水からなる水性塗料である。
このような目的にはエッチング性を有するpH=9〜13程度のアルカリ性脱脂剤が好適である。
リンスの際は極力pH7〜9の領域を通過する時間が短くなるようにすることが好ましい。このためには大量のリンス水をアルミニウム板上に与えるのが良い。
脱脂処理した後にベース塗膜を設ける。
塗膜量(固形分量)は、0.2g/m2以上〜5.0g/m2以下が良い。0.2g/m2未満では耐食性が低下し、5.0g/m2を超えても性能の向上は認められないし、必要以上のコストアップを招く。
焼付温度は160℃以上〜300℃以下が良い。160℃未満では塗膜の硬化不足であり、300℃を超えた場合には塗膜の分解が始まる。焼付時間は5秒以上〜30秒以下が良く、ラインの能力や生産性を考慮し、適宜決定すればよい。
pH=12の水酸化ナトリウムを主成分とするアルカリ脱脂剤(濃度=1.5%、温度=65℃時間=6秒)にて脱脂した後、約1秒後に水洗し(水量=6リットル/m2、温度=20℃)、乾燥を行った。その後、アクリル基を含有するビスフェノールA型エポキシ樹脂を塗膜形成要素とするベース塗料[ビスフェノールA型樹脂(遊離アクリルポリマー含有量20重量%)20重量部にブタノール7.5重量%、ブチルセロソルブ7.5重量部、残部水からなる水性ベース塗料]で塗装(板温度=20℃,処理液温度=20℃,塗工から乾燥までの時間=1秒,乾燥は風速=15m/秒、温度=280℃、時間=10秒,塗膜量=1.5g/m2)を行った。
尚比較例としては、上記水性ベース塗料に代え、有機溶媒としてブタノール6重量部、ブチルセロソルブ6重量部、イソブタノール3重量部を用いた他は同じ構成のベース塗料を用いた。
ベース塗膜を形成した後、市販のアクリル/ポリビニルアルコールを主成分とする親水性樹脂塗料を塗布,焼付(塗膜量=1.0g/m2,焼付=260℃にて10秒)を行った。
以下、表1の水準の塗膜を作製し、評価した結果を表2に示す。
・密着性評価:バウデン試験機にて3/16φ鋼球を使用し、荷重=100gfにて、無潤滑状態にて摺動させた。[1〜5往復でカジリを生じたもの:×、6〜10往復でカジリを生じたもの:△15往復まで異常無し:○とした。]
・親水性評価:出光興産製プレス油AF2Cに浸漬後、160℃にて10分乾燥し、その後塗膜面の水接触角を測定した。[15°以下:○,16〜30°:△,30°を超えるもの:×とした。]
・耐汚染:パルミチン酸を70℃に加熱し、パルミチン酸蒸気に1時間暴露した後の接触角を測定した。[15°以下:○,16〜30°:△,30°を超えるものを×とした。]
・成形性評価:フィンプレスにてDOF成形を実施、10万ショット/ポンチ成形後のカラー内面の塗膜状態を観察した。[異常無し:○、クラック発生:△、剥離:×とした。]
pH=12の水酸化ナトリウムを主成分とするアルカリ脱脂剤(濃度=1.5%、温度=65℃時間=6秒)にて脱脂した後、約1秒後に水洗し(水量=6リットル/m2、温度=20℃)、乾燥を行った。その後、アクリル基を含有するビスフェノールA型エポキシ樹脂を塗膜形成要素とするベース塗料[ビスフェノールA型樹脂(遊離アクリルポリマー含有量20重量%)20重量部にブタノール7.5重量%、ブチルセロソルブ7.5重量部、残部水からなる水性ベース塗料]を用い、表3に示す条件(板温度=20℃,処理液温度=20℃,塗工から乾燥までの時間=1秒、乾燥は風速=15m/秒、時間=10秒)で塗装した後,市販のアクリル/ポリビニルアルコールを主成分とする親水性樹脂塗料を塗布,表3に示す条件で焼付を行った。なお、各特性については実施例1と同様に評価を行った。
Claims (6)
- アクリル基を有する樹脂を10〜35重量%含有するエポキシ樹脂系塗料であって、溶剤として直鎖状の炭素数3〜7の含酸素有機溶媒を用いた水性塗料をベース塗膜として設け、該塗膜上に親水性樹脂塗膜を設けたことを特徴とするプレコートアルミニウムフィン材。
- 含酸素有機溶媒が、直鎖状の炭素数3〜7であるアルコール、エステル、セロソルブエステル、ケトン、グリコールまたはそれらの混合物である請求項1に記載のプレコートアルミニウムフィン材。
- ベース塗料のエポキシ樹脂が、ビスフェノールA型樹脂である請求項1に記載のプレコートアルミニウムフィン材。
- アルミニウムフィン基材に、アクリル基を有する樹脂を10〜35重量%含有するエポキシ樹脂系塗料であって、溶剤として炭素数3以上でアルコール性の−OH基またはアルコール性−OH基とエーテル結合を1個以上有する直鎖状アルコールを用いた水性塗料を、塗布、スプレーまたは浸漬した後焼き付けしてベース塗膜を形成し、該ベース塗膜上にアクリル基および/またはポリビニルアルコール基を有する親水性樹脂塗膜を形成するプレコートアルミニウムフィン材の製造方法。
- アクリル基を有する樹脂を10〜35重量%含有するエポキシ樹脂系塗料であって、直鎖状の炭素数3〜7であるアルコール、エステル、セロソルブエステル、ケトン、グリコールまたはそれらの混合物である溶剤を用いたプレコートアルミニウムフィン材用水性ベース塗料。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレコートアルミニウムフィン材を用いたエアコンディショナー用熱交換器。
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