JP2008019893A - 鉄道車両用電動ブレーキ - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄道車両用電動ブレーキにおいて、低出力の電動モータを用いて低コスト化、低重量化及び低燃費化を維持しつつ、応答性の向上と大きなブレーキ力の確保とを両立できるようにすること。
【解決手段】鉄道車両用電動ブレーキは、台車側に支持されて車輪側の被制動部10に接離される制動部材30aと、制動部材30aを駆動する電動アクチュエータ機構とを備える。電動アクチュエータ機構は、回転駆動力を発生する電動モータ320と、電動モータ320からの回転駆動力を直動駆動力に変換して制動部材を駆動する回転直動変換機構110a、110bとを備える。さらに、電動アクチュエータ機構は、電動モータ320から回転直動変換機構110aに回転のみ伝達する伝達機構150a、150bを介在させると共に、回転直動変換機構の回転部110aの直動方向に弾性部材100を設置している。
【選択図】図1
【解決手段】鉄道車両用電動ブレーキは、台車側に支持されて車輪側の被制動部10に接離される制動部材30aと、制動部材30aを駆動する電動アクチュエータ機構とを備える。電動アクチュエータ機構は、回転駆動力を発生する電動モータ320と、電動モータ320からの回転駆動力を直動駆動力に変換して制動部材を駆動する回転直動変換機構110a、110bとを備える。さらに、電動アクチュエータ機構は、電動モータ320から回転直動変換機構110aに回転のみ伝達する伝達機構150a、150bを介在させると共に、回転直動変換機構の回転部110aの直動方向に弾性部材100を設置している。
【選択図】図1
Description
本発明は、鉄道車両用電動ブレーキに係り、特に台車側に支持されて車輪側の被制動部に接離される制動部材を駆動する電動アクチュエータ機構を備える鉄道車両用電動ブレーキに好適なものである。
電動モータを動力源としてパットをディスクロータに圧接させてブレーキ力を得るようにした従来の電動ブレーキ装置として、例えば特開2000−104766号公報(特許文献1)に記載されたものがある。
この電動ブレーキ装置は、キャリパに設けた電動アクチュエータと、該電動アクチュエータの回転動を受けて直線的に移動する移動体を有する回転動−直線動変換機構と、ディスクロータを間にして前記移動体側及びこの移動体と対向する側にそれぞれ配置されるインナパット及びアウタパットからなるブレーキパットとを備え、前記移動体の移動により前記インナパットを前記ディスクロータに押圧してブレーキ力を発生させると共に、前記インナパットの前記ディスクロータへの押圧の反力により前記キャリパを変位させ、該変位により前記アウタパットを前記ディスクロータに押圧させるようにしている。さらに、この電動ブレーキ装置では、前記インナパットと前記移動体との間に、前記移動体からの力を大きくして前記インナパットに伝達するトグル機構を介装したものである。係る構成によって、バッテリやオルタネータの小型化、車両の重量低減及び燃費の向上を図ることができることが記載されている。
しかし、上記電動ブレーキ装置は、ディスクブレーキのキャリパ方式であり、主として自動車用のブレーキ装置として案出されたものであるが、鉄道車両用のブレーキ装置に適用する場合にはさらなる応答性の向上が望まれる。
すなわち、キャリパ方式の自動車用電動ブレーキ装置では、一般にディスクロータとパット間の隙間は一定で且つ微少であるので、パットがディスクロータに接触するまでの無駄な時間が短く、応答性が問題になることは少ない。これに対して、鉄道車両用のブレーキ装置では、一般に、車軸と台車との間にばね等の衝撃吸収材を介在し、台車側にパットを支持しているため、車軸の振動によるディスクロータとパットとの衝突を回避するように、予めディスクロータとパットとの隙間を広く確保する必要があった。このため、鉄道車両用のブレーキ装置では、高い応答性を有することが重要である。
そこで、電動ブレーキ装置を鉄道車両用に適用する場合、高い応答性を確保するために、高出力の電動モータとすることが考えられるが、高コスト、高重量及び燃費の低下を招く、という課題が生じていた。
本発明の目的は、低出力の電動モータを用いて低コスト化、低重量化及び低燃費化を維持しつつ、応答性の向上と大きなブレーキ力の確保とを両立できる鉄道車両用電動ブレーキを提供することにある。
前述の目的を達成するために、本発明は、台車側に支持されて車輪側の被制動部に接離される制動部材と、前記制動部材を駆動する電動アクチュエータ機構とを備え、前記電動アクチュエータ機構は、回転駆動力を発生する電動モータと、前記電動モータからの回転駆動力を直動駆動力に変換して前記制動部材を駆動する回転直動変換機構とを備えている鉄道車両用電動ブレーキにおいて、前記電動モータから前記回転直動変換機構に回転のみ伝達する伝達機構を介在させると共に、前記回転直動変換機構の回転部の直動方向に弾性部材を設置した構成にしたことにある。
係る本発明のより好ましい具体的な構成例は次の通りである。
(1)前記弾性部材として電動ブレーキの初期状態では圧縮されていない自由な状態の圧縮ばねを用いたこと。
(2)前記伝達機構は、前記電動モータからの回転駆動力により回転駆動される外筒と、当該外筒の回転駆動力により回転駆動されると共に前記外筒内に直動方向に移動可能に配置されたスプライン軸とを有するボールスプラインで構成されていること。
(3)前記回転直動変換機構は、前記伝達機構からの回転駆動力により回転駆動されるねじ軸と、前記ねじ軸の外周に直動可能に配置されたナットとを有するボールねじ機構で構成されていること。
(4)前記伝達機構は、前記電動モータからの回転駆動力により回転駆動される外筒と、当該外筒の回転駆動力により回転駆動されると共に前記外筒内に直動方向に移動可能に配置されたスプライン軸とを有するボールスプラインで構成され、前記回転直動変換機構は、前記スプライン軸の一側端面に同軸に固定されたねじ軸と、前記ねじ軸の外周に直動可能に配置されたナットフランジとを有するボールねじ機構で構成され、前記弾性部材は前記スプライン軸の他側端面に設置されると共に電動ブレーキの初期状態では圧縮されていない自由な状態の圧縮ばねで構成されていること。
(5)前記ナットフランジには可動力点部材が固定され、前記圧縮ばねの反スプライン軸側には固定力点部材が固定され、制動部材は車輪側の車軸に設けられたディスクロータの両側に配置された2つの制動部材で構成され、前記2つの制動部材と前記可動力点部材及び前記固定力点部材との間をブレーキ梃子で連結したこと。
(6)前記可動力点部材及び前記固定力点部材の力点に作用させる最大推力発生時のばね圧縮長さが前記回転直動変換機構の直動部の移動長さ以下となるばね定数の前記圧縮ばねとすること。
(7)前記回転直動変換機構の回転部と前記伝達機構は、前記電動モータの回転駆動により伝達機構から前記回転部へ回転を伝達し、直動方向は低摩擦係数からなるスライダ機構を介して連結されていること。
(8)前記弾性部材の弾性状態を検知する検知部材を具備し、前記弾性部材の自由状態を検知可能としたこと。
(1)前記弾性部材として電動ブレーキの初期状態では圧縮されていない自由な状態の圧縮ばねを用いたこと。
(2)前記伝達機構は、前記電動モータからの回転駆動力により回転駆動される外筒と、当該外筒の回転駆動力により回転駆動されると共に前記外筒内に直動方向に移動可能に配置されたスプライン軸とを有するボールスプラインで構成されていること。
(3)前記回転直動変換機構は、前記伝達機構からの回転駆動力により回転駆動されるねじ軸と、前記ねじ軸の外周に直動可能に配置されたナットとを有するボールねじ機構で構成されていること。
(4)前記伝達機構は、前記電動モータからの回転駆動力により回転駆動される外筒と、当該外筒の回転駆動力により回転駆動されると共に前記外筒内に直動方向に移動可能に配置されたスプライン軸とを有するボールスプラインで構成され、前記回転直動変換機構は、前記スプライン軸の一側端面に同軸に固定されたねじ軸と、前記ねじ軸の外周に直動可能に配置されたナットフランジとを有するボールねじ機構で構成され、前記弾性部材は前記スプライン軸の他側端面に設置されると共に電動ブレーキの初期状態では圧縮されていない自由な状態の圧縮ばねで構成されていること。
(5)前記ナットフランジには可動力点部材が固定され、前記圧縮ばねの反スプライン軸側には固定力点部材が固定され、制動部材は車輪側の車軸に設けられたディスクロータの両側に配置された2つの制動部材で構成され、前記2つの制動部材と前記可動力点部材及び前記固定力点部材との間をブレーキ梃子で連結したこと。
(6)前記可動力点部材及び前記固定力点部材の力点に作用させる最大推力発生時のばね圧縮長さが前記回転直動変換機構の直動部の移動長さ以下となるばね定数の前記圧縮ばねとすること。
(7)前記回転直動変換機構の回転部と前記伝達機構は、前記電動モータの回転駆動により伝達機構から前記回転部へ回転を伝達し、直動方向は低摩擦係数からなるスライダ機構を介して連結されていること。
(8)前記弾性部材の弾性状態を検知する検知部材を具備し、前記弾性部材の自由状態を検知可能としたこと。
かかる本発明によれば、低出力の電動モータを用いて低コスト化、低重量化及び低燃費化を維持しつつ、応答性の向上と大きなブレーキ力の確保とを両立できる鉄道車両用電動ブレーキを提供することができる。
以下、本発明の複数の実施形態について図を用いて説明する。各実施形態の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の鉄道車両用電動ブレーキを図1から図8を用いて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の鉄道車両用電動ブレーキを図1から図8を用いて説明する。
まず、本実施形態の電動ブレーキの全体構成に関して図1及び図2を参照しながら説明する。
鉄道車両は、台車(図示せず)と、台車を搭載する車軸60と、車軸60の左右両端部に設けられてレール80a、80b上を走行する車輪50a、50bと、車軸60に設けられて被制動部を構成するディスクロータ10と、台車に支持された電動ブレーキとを備えている。ディスクロータ10及び車輪50a、50bは、車軸60に固定されて設置されており、車軸60の回転に伴って回転される。
台車は、走行時の衝撃を吸収するための衝撃吸収材(図示せず)を介して車軸60に搭載されている。走行時にレール80a、80bと車輪50a、50b、車軸60との間で発生する振動がこの衝撃吸収材によって吸収される。これによって、台車への振動の伝達が抑制される。従って、車輪側の振動が大きくても、台車側の振動は小さくなる。
また、台車は、電動ブレーキを支持する台車横梁70を有している。図1に示す台車横梁70は、車軸60の近傍に車軸60と平行に延びている。この台車横梁70からディスクロータ側に延びるアーム状ブラケット20aが設けられている。このアーム状ブラケット20aは台車横梁70に固定されている。アーム状ブラケット20aの先端部にはブレーキ梃子受台20bが固定されている。このブレーキ梃子受台20bは、車軸60及び台車横梁70と平行に延び、ディスクロータ10に近接して対向して設けられている。
電動ブレーキは、図1のアーム状ブラケット20a及びブレーキ梃子受台20bと、図2の各構成要素(ディスクロータ10を除く)とを備えて構成されている。
ブレーキ梃子受台20bには、図2に示すように、2つのブレーキ梃子40a、40bが連結部材210a、210bを介して連結されている。ブレーキ梃子40a、40bと連結部材210a、210bとは回転可能に連結されている。連結部材210a、210bは、ブレーキ梃子受台20bの左右両端部に設けられた2つの穴と2つのブレーキ梃子40a、40bの中央部に設けられた穴とに跨って取り付けられ、ブレーキ梃子40a、40bの回転支点となる。2つのブレーキ梃子40a、40bは、左右対称に前後に延びている。
各ブレーキ梃子40a、40bのディスクロータ側には、制輪子30a、30bが連結部材200a、200bを介して連結されている。ブレーキ梃子40a、40bと連結部材200a、200bとは回転可能に連結されている。連結部材200a、200bは、各ブレーキ梃子40a、40bのディスクロータ側の端部に設けられた穴と各制輪子30a、30bの端面に設けられた凹部とに跨って取り付けられ、ブレーキ力発生時におけるブレーキ梃子40a、40bの作用点となる。
2つの制輪子30a、30bは、ディスクロータ10を左右両側から挟み込んでブレーキ力を発生させる摩擦部材であるパットを具備している。図2に示す電動ブレーキの初期状態においては、各制輪子30a、30bのパットとディスクロータ10の側面との間には、所定の隙間Lnが形成されている。鉄道車両用電動ブレーキの場合には、走行時に車軸60に固定されたディスクロータ10の振動よりも台車に支持された各制輪子30a、30b振動の方が小さく、通常走行時にディスクロータ10と各制輪子30a、30bのパットとが接触しないようにするため、この隙間Lnは自動車用電動ブレーキにおける隙間よりも大きく設定される。
また、各ブレーキ梃子40a、40bの反ディスクロータ側(反制輪子側)には、可動力点部材130、固定力点部材170が連結部材220a、220bを介して連結されている。可動力点部材130と連結部材220aとは回転可能に連結され、固定力点部材170と連結部材220bとは回転可能に連結されている。連結部材220a、220bは、ブレーキ力発生時の力点となる。
係る構成において、ブレーキ梃子40a、40bの力点となる連結部材220a、220b(可動力点部材130、固定力点部材170)の間隔を左右に広げる方向に推力を加えることで、ブレーキ梃子40a、40bが回転支点となる連結部材210a、210bを中心に回動する。これによって、ブレーキ梃子40a、40bの作用点となる連結部材200a、200bに回転支持される制輪子30a、30bでディスクロータ10を挟持してブレーキ力を発生する。
次いで、力点となる連結部材220a、220bの間隔を広げる電動アクチュエータ機構について以下に具体的に説明する。
電動アクチュエータ機構の動力源には、電動モータ320が用いられている。電動モータ320の出力側には減速機310が接続され、減速機310の出力側には2つの歯車300b、300a及びボールスプラインで構成される伝達機構が接続されている。電動モータ320、減速機310及び歯車300bは、ブレーキ梃子受台20bと平行な直線状に配置されている。
歯車300bは減速機310の出力軸に同軸に固定されている。歯車300aと歯車300bとは、互いの外周面の歯車が噛み合うように設置され、平行な回転軸心を有している。ボールスプラインは、外筒150b及びスプライン軸150aとを備えている。具体的には、歯車300aに外筒150bが同軸に固定され、外筒150b内に回転トルクのみを伝達可能で軸方向には移動可能なスプライン軸150aが配置されている。外筒150bは歯車300bの内周を貫通して左右に突出するように設けられ、スプライン軸150aは外筒150bの内周を貫通して左右に突出するように設けられている。
スプライン軸150aの一側には、ボールねじ機構で構成される回転直動変換機構が接続されている。このボールねじ機構は、スプライン軸150aの一側端面に同軸上にねじ軸110aの一側端面が固定され、このねじ軸110aの外周に直動部分であるナットフランジ110bが軸方向に移動可能に配置されている。ナットフランジ110bには、一方のブレーキ梃子40aの力点となる連結部材220aを支持する可動力点部材130が固定されている。
他方のブレーキ梃子40bの力点となる連結部材220bを支持する固定力点部材170には、ニードルベアリング160を介して弾性部材である圧縮ばね100の一側が固定されている。圧縮ばね100の他側はスプライン軸150aの他側に固定されている。圧縮ばね100は、図1に示す初期状態では、圧縮されていない自由な状態で設置されている。固定力点部材170、ディスクロータ100、ボールスプライン、回転直動変換機構は、ブレーキ梃子受台20bと平行な直線状に配置されている。
また、ねじ軸110aの他側端部は軸方向に移動可能なリニアブシュ120で支持されている。リニアブシュ120、電動モータ320、減速機310、及び固定力点部材170は、動力部ブラケット330に固定されて支持されている。
更に、ねじ軸110aの回転時に可動力点部材130の回転を防止し直動方向に案内するための案内ガイド(図示せず)が固定力点部材170から可動力点部材130を貫通して動力部ブラケット330に固定されている。
以上説明したブレーキ梃子40a、40bの力点間を左右に駆動する電動アクチュエータ部分は、図示していないカバーで覆われ、異物の混入を防止する構成となっている。
次に、上述した構成の電動ブレーキのブレーキ動作について図2から図8を参照しながら説明する。
図2の初期状態において、電動モータ320を図3の回転矢印に示すように回転駆動すると、減速機310、歯車300a、300bを介して、ボールスプラインの外筒150b及びスプライン軸150aが回転駆動される。このスプライン軸150aの回転駆動により、ねじ軸110a、及び圧縮ばね100が回転駆動される。このねじ軸110aの回転駆動により、ボールねじ機構のナットフランジ110bとこれに固定された可動力点部材130とが図3の直動矢印に示すように直動駆動される。これによりブレーキ梃子40aが連結部材210aを中心にして回動され、制輪子30aが連結部材200aで押されて隙間Lnがなくなるように移動され、ディスクロータ10の側面に接触する。このときのナットフランジ110bの移動速度Vbは、ねじ軸110aの1回転でナットフランジ110bが進むリード長さをP、ねじ軸の回転速度をωbとすると、Vb=ωb・Pで求まる。
制輪子30aがディスクロータ10に接触すると、ブレーキ梃子40aにより連結部材220a及び可動力点部材130の軸方向の移動が制約されることとなる。この状態から更に電動モータ320を回転駆動すると、移動が制約された可動力点部材130に対してねじ軸110aの方が回転しながら軸方向に移動されることとなる。このねじ軸110aの移動によって動力部ブラケット330も図4の矢印に示すように移動され、これに伴って固定力点部材170も移動される。これによって、ブレーキ梃子40bが連結部材210bを中心にして回動され、制輪子30bが連結部材200bで押されて隙間Lnがなくなるように移動され、ディスクロータ10の他側の側面に接触する。このようにして、左右の制輪子30a、30bでディスクロータ10を挟持した状態となる。
更に電動モータ320を図5の回転矢印に示すように回転駆動すると、左右の制輪子30a、30bがディスクロータ10に接触しているため、可動力点部材130、固定力点部材170(換言すれば、連結部材220a、220b)に加わる推力Rcと、ブレーキ梃子40a、40bの梃子比itとから求められるブレーキ力Wがディスクロータ10に加えられることとなる。
ここで、鉄道車両として必要なブレーキ力Wを得るには、大きな推力Rcを必要とする。本実施形態では、図4の状態から電動モータ320の回転駆動を継続すると、ねじ軸110aと共に直動するスプライン軸150aが圧縮ばね100を圧縮しながら固定力点部材170側に移動する。圧縮ばね100の圧縮長さxとばね定数kから、可動力点部材130、固定力点部材170(換言すれば、連結部材220a、220b)に作用する推力RcはRc=x・kとなる。また、ブレーキ梃子40a、40bによる梃子比itより、ブレーキ力Wは、W=it・Rc=it・x・kとなる。このとき、ボールスプライン外筒150bに対してボールスプライン軸150aが固定力点部材170方向に直動することで、歯車300aの1回転当たりに可動力点部材130が進む長さがボールねじのリード長さPより短いP1に切替わる。そのため、減速率の変化する割合の減速変化率iはP/P1で表され、この減速変化率i分、電動モータ320のモータトルクに対して発生するブレーキ力Wは増大される。よって、小出力の電動モータ320でより大きなブレーキ力Wを発生することが可能となる。
図8に電動モータ320のモータトルクTmによるブレーキ力Wの関係を示す。ブレーキ梃子40a、40bの力点間の回転直動変換機構にボールねじ機構のみを使用した電動ブレーキの場合、図8(a)に示すようにモータトルクTmに対するブレーキ力Wは直線的に変化する。一方、本実施形態の電動ブレーキの場合、図8(b)に示すように、制輪子30a、30bがディスクロータ10に接触した後からのモータトルクTmに対するブレーキ力Wの傾斜角は、P/P1倍に拡大されるため、目標ブレーキ力を発生するのに必要なモータトルクTmは減少する。つまり、その分、低出力の電動モータで目標ブレーキ力Wを発生できることになる。
次に、減速変化率iを決定する要素について説明する。
制輪子30a、30bがディスクロータ10に接触する前の固定力点部材170、可動力点部材130間の移動速度Vcは、ナットフランジ130の移動速度Vbと同じである。従って、制輪子30a、30bの接触後の移動速度Vc1はナットフランジ130の移動速度Vbから圧縮ばね100の圧縮速度Vsを引いた値のVc1=Vb−Vsから計算でき、減速変化率iはVc/Vc1=Vb/(Vb−Vs)で表される。このため、圧縮ばね100の圧縮速度Vsが大きいほど減速変化率iが増加し、電動モータ320の必要トルクTmが減少する。しかし、減速変化率iが大きいほど、力点間の移動速度Vc1も減少するため、制輪子30a、30bの必要移動量と、応答性より減速変化率iを算出し、圧縮ばね100のばね定数kを設定する必要がある。
次に、ブレーキ力解除について図6及び図7を参照しながら説明する。
ブレーキ力Wの解除は、図6の回転矢印(破線)に示すように電動モータ100を逆駆動することで行う。通常、ブレーキ動作を繰返すことで制輪子30a、30bの磨耗部材であるパット面はディスクロータ10との摩擦により磨耗する。磨耗によりパットクリアランスLnは拡大してブレーキ動作の応答性の低下を招く。
そのため、隙間Lnを一定に補償するために、図7に示すように圧縮ばね100の自由長さLoを検出する検出器400を設けている。これにより、ブレーキ力解除時に検出器400により圧縮ばね100の自由長さLoを検出したら電動モータ320の回転数を一定とすれば、図7に示すように制輪子30a、30bのパットがLg磨耗しても、左右の制輪子30a、30bとディスクロータ10との隙間Lnを一定とすることが可能である。パット磨耗量に応じて、初期状態でのナットフランジ110bの位置は、磨耗前の位置より2・it・Lg移動する。このように、パット磨耗量に応じてナットフランジ110bの初期位置は移動するため、最大パット磨耗量分のボールねじのナットフランジ110bの移動量だけねじ軸110a長さを確保する必要がある。
次に、障害により電動モータ320への電力供給が停止した場合について説明する。
電動ブレーキは電動モータ320への電力供給が停止しても、ブレーキ力を維持する必要がある。本実施形態の電動ブレーキは、電動モータ320の回転駆動をボールねじ機構により回転直動変換している。そのため、ボールねじ直径Dとブレーキ力発生時のボールねじ1回転当たりに進むリード長さP1からねじ軸110aが回転せず静止状態を維持するために必要な静止摩擦係数μsが求まり、μs>P1/(2πD)を満たせば電動モータ320への電力供給が停止してもブレーキ力Wは維持される。または、電動モータ320と歯車300b間の減速機310に歯車300b側からの回転トルクに対して電動モータ320が回転し難いような逆効率の悪いウォームギヤ等の伝達機構を用いても、ブレーキ力を維持可能である。
本実施形態では、電動モータの回転を回転直動変換機構により直線運動に変換して、左右のブレーキ梃子の力点部材に推力を加えることでブレーキ梃子を回動しディスクロータを左右の制輪子で挟持しブレーキ力を発生する鉄道車両用電動ブレーキにおいて、回転直動変換機構と片側のブレーキ梃子力点間に弾性部材を具備し、更に電動モータの回転を伝達機構を介して回転直動変換機構へ回転トルクのみ伝達可能とし、直動方向は自由に可動可能な構成とすることで、制輪子のディスクロータ接触前後で減速率を切替え可能な構成により、低出力モータで過大なブレーキ力を発生可能な電動ブレーキを提供できる。
また、本実施形態では、前記弾性部材に圧縮ばねを用いて、最大ブレーキ力発生時に圧縮ばねに加わる推力により、圧縮ばねの圧縮長さが動作時の回転直動変換機構の直動長さ以下となるばね定数とすることで目標のブレーキ力を発生可能で、且つ制輪子のディスクロータ接触前後で減速率が切替わる電動ブレーキ機構を提供できる。
さらに、本実施形態では、前記回転直動変換機構の回転部と前記伝達機構を回転トルクのみ伝達可能な構成で、且つ直線方向には低摩擦部材からなるスライダ機構で連結することで、制輪子のディスクロータ接触後からの回転直動変換機構の回転部が反力により直動運動し易い構成とすることで、低出力のモータで過大なブレーキ力を発生可能な電動ブレーキを提供できる。
さらに、本実施形態では、前記弾性部材の弾性状態、特に自由状態を検出可能な検出器を具備し、検出器による検知から電動モータの回転数を制御することで、前記制動部材が磨耗しても、前記被制動部材と制動部材間の隙間を常時一定に保つことが可能な電動ブレーキを提供できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の鉄道車両用電動ブレーキについて図9を用いて説明する。図9は本発明の第2実施形態の鉄道車両用電動ブレーキを鉄道車両に取り付けた状態の側面図である。この第2実施形態は、次に述べる点で第1実施形態と相違するものであり、その他の点については第1実施形態と基本的には同一であるので、重複する説明を省略する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の鉄道車両用電動ブレーキについて図9を用いて説明する。図9は本発明の第2実施形態の鉄道車両用電動ブレーキを鉄道車両に取り付けた状態の側面図である。この第2実施形態は、次に述べる点で第1実施形態と相違するものであり、その他の点については第1実施形態と基本的には同一であるので、重複する説明を省略する。
この第2本実施形態の電動ブレーキは、車輪50aの円周面に制輪子30cを直接押し当てて制輪子30cと車輪50aとの摩擦力で輪軸60の回転を停止させる踏面方式の電動ブレーキである。この電動ブレーキでは、第1実施形態のようなディスクロータ10に押し当てて制動する2つのブレーキ梃子40a、40b、アーム状ブラケット20a及びブレーキ梃子受台20bを備えていない。
また、台車90の横梁70に固定されたブレーキブラケット20cによって駆動部ブラケット330が固定されている。そして、制輪子30cは、ブレーキ梃子を介することなく、可動力点部材130に固定されている。可動力点部材130に踏面用の制輪子30cを固定することで、踏面方式のブレーキとして使用することが可能である。なお、台車90は、車軸60に衝撃吸収材500を介して搭載されており、この構成は第1実施形態でも同様である。
この第2実施形態の電動ブレーキの動作は、基本的には第1実施形態と同様であるが、ブレーキ梃子による機能がないこと、固定力点部材170が完全に固定されていてブレーキ梃子が1つであることなどが相違している。
10…ディスクロータ(被制動部材)、20a…アーム状ブラケット、20b…ブレーキ梃子受台、20c…ブレーキブラケット、30a、30b…制輪子、40a、40b…ブレーキ梃子、50a、50b…車輪、60…輪軸、70…台車横梁、80a、80b…レール、90…台車、100…圧縮ばね、110a…ねじ軸、110b…ナットフランジ、120…リニアブシュ、130…可動力点部材、140…ナットフランジホルダ、150…ボールスプライン、150a…スプライン軸、150b…外筒、160…ニードルベアリング、170…固定力点部材、200a、200b…連結部材、210a,210b…連結部材、220a、220b…連結部材、300a、300b…歯車、310…減速機、320…モータ、330…駆動部ブラケット、400…検出器、500…衝撃吸収材。
Claims (9)
- 台車側に支持されて車輪側の被制動部に接離される制動部材と、
前記制動部材を駆動する電動アクチュエータ機構とを備え、
前記電動アクチュエータ機構は、回転駆動力を発生する電動モータと、前記電動モータからの回転駆動力を直動駆動力に変換して前記制動部材を駆動する回転直動変換機構とを備えている鉄道車両用電動ブレーキにおいて、
前記電動モータから前記回転直動変換機構に回転のみ伝達する伝達機構を介在させると共に、前記回転直動変換機構の回転部の直動方向に弾性部材を設置した
ことを特徴とする鉄道車両用電動ブレーキ。 - 請求項1において、前記弾性部材として電動ブレーキの初期状態では圧縮されていない自由な状態の圧縮ばねを用いたことを特徴とする鉄道車両用電動ブレーキ。
- 請求項1において、前記伝達機構は、前記電動モータからの回転駆動力により回転駆動される外筒と、当該外筒の回転駆動力により回転駆動されると共に前記外筒内に直動方向に移動可能に配置されたスプライン軸とを有するボールスプラインで構成されていることを特徴とする鉄道車両用電動ブレーキ。
- 請求項1において、前記回転直動変換機構は、前記伝達機構からの回転駆動力により回転駆動されるねじ軸と、前記ねじ軸の外周に直動可能に配置されたナットとを有するボールねじ機構で構成されていることを特徴とする鉄道車両用電動ブレーキ。
- 請求項1において、前記伝達機構は、前記電動モータからの回転駆動力により回転駆動される外筒と、当該外筒の回転駆動力により回転駆動されると共に前記外筒内に直動方向に移動可能に配置されたスプライン軸とを有するボールスプラインで構成され、前記回転直動変換機構は、前記スプライン軸の一側端面に同軸に固定されたねじ軸と、前記ねじ軸の外周に直動可能に配置されたナットフランジとを有するボールねじ機構で構成され、前記弾性部材は前記スプライン軸の他側端面に設置されると共に電動ブレーキの初期状態では圧縮されていない自由な状態の圧縮ばねで構成されていることを特徴とする鉄道車両用電動ブレーキ。
- 請求項5において、前記ナットフランジには可動力点部材が固定され、前記圧縮ばねの反スプライン軸側には固定力点部材が固定され、制動部材は車輪側の車軸に設けられたディスクロータの両側に配置された2つの制動部材で構成され、前記2つの制動部材と前記可動力点部材及び前記固定力点部材との間をブレーキ梃子で連結したことを特徴とする鉄道車両用電動ブレーキ。
- 請求項6において、前記可動力点部材及び前記固定力点部材の力点に作用させる最大推力発生時のばね圧縮長さが前記回転直動変換機構の直動部の移動長さ以下となるばね定数の前記圧縮ばねとすることを特徴とする鉄道車両用電動ブレーキ。
- 請求項1において、前記回転直動変換機構の回転部と前記伝達機構は、前記電動モータの回転駆動により伝達機構から前記回転部へ回転を伝達し、直動方向は低摩擦係数からなるスライダ機構を介して連結されていることを特徴とする鉄道車両用電動ブレーキ。
- 請求項1において、前記弾性部材の弾性状態を検知する検知部材を具備し、前記弾性部材の自由状態を検知可能としたことを特徴とする鉄道車両用電動ブレーキ。
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- 2006-07-11 JP JP2006190035A patent/JP2008019893A/ja active Pending
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