JP2008017261A - 音叉型圧電振動片、センサ発振回路および音叉型圧電振動片の製造方法 - Google Patents

音叉型圧電振動片、センサ発振回路および音叉型圧電振動片の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】振動片に加わる力にかかわらず発振する音叉型圧電振動片、センサ発振回路および音叉型圧電振動片の製造方法を提供する。
【解決手段】音叉型圧電振動片10は、複数の振動腕12と基部14を備えている。振動腕12は、互いに並列に配置されており、基端側が基部14に接続している。そして音叉型圧電振動片10は、励振電極16を振動腕12に設けるとともに、マウント電極18を基部14に設けている。このような音叉型圧電振動片10の基部14に薄膜抵抗22aを設けている。この薄膜抵抗22aは、複数ある励振電極16のうちのいずれか1つと導通している。そして基部14には、薄膜抵抗22aに対向した部分に孔部24を設けてある。
【選択図】図1

Description

本発明は、音叉型圧電振動片、センサ発振回路および音叉型圧電振動片の製造方法に関するものである。
音叉型圧電振動片を備えた発振回路は、例えば音叉型圧電振動片、インバータおよびドレイン抵抗で発振ループを形成し、インバータに帰還抵抗を並列接続するとともに、音叉型圧電振動片に負荷容量コンデンサを接続した構成になっている。このような発振回路は、音叉型圧電振動片に電気信号を加えて屈曲振動させると、発振ループに電流(ループ電流)が流れて発振する。なおドレイン抵抗はループ電流を制限し、負性抵抗を調整する等のために設けられている。そして発振回路は、音叉型圧電振動片の発振周波数に応じた周波数の信号を出力する。このため発振回路から出力される信号の周波数を読み取ることで圧力等の物理量を測定できる。
なお特許文献1は、音叉型圧電振動片を用いた圧力測定方法について開示している。
特開平4−93735号公報
音叉型圧電振動片は屈曲振動するので、気体中よりも真空中の方が発振させ易い。このため音叉型圧電振動片をパッケージ内に搭載して振動子として利用する場合は、このパッケージ内を真空にしている。また音叉型圧電振動片を利用して圧力等を測定する場合でも、大気圧から負圧の範囲となる測定環境に音叉型圧電振動片を配置して発振させている。すなわち音叉型圧電振動片を正圧で発振させていない。
図5は音叉型圧電振動片を正圧で発振させた場合の圧力の関係を示すグラフである。すなわち図5(A)は基準周波数からの周波数のずれ量(dF/F)と圧力との関係を示すグラフであり、図5(B)はクリスタルインピーダンス(CI)値と圧力との関係を示すグラフである。そして図5(A)からわかるように、音叉型圧電振動片の発振周波数は、圧力が高くなるほど低周波数側へずれていく。また図5(B)からわかるように、圧力が高くなるほどCI値も高くなる。このため音叉型圧電振動片を配置した測定環境の圧力が高くなるとループ電流が小さくなって発振ループのゲインが小さくなるから、発振が起こり難くなる。そして、さらに圧力が高くなると発振が停止してしまう。このような理由から、音叉型圧電振動片を正圧で発振させていない。
また特許文献1に記載された発明では、圧力をかけた音叉型圧電振動片はCI値が高くなるので、複雑な回路を構成して音叉型圧電振動片を発振させている。そして圧力変化で大幅にCI値が変化しても、安定な発振を得るようにした回路としているが、フィードバックを含めた全体構成が複雑になり、コストがかかる。
本発明は、振動片に加わる力にかかわらず発振する音叉型圧電振動片、センサ発振回路および音叉型圧電振動片の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る音叉型圧電振動片は、圧電基体から形成された基部と、基部と一体に形成され、互いに平行に延伸する一対の振動腕と、基部に設けられた薄膜抵抗とを備えたことを特徴としている。そして音叉型圧電振動片の前述した基部には、一対のマウント電極と、薄膜抵抗用マウント電極とが形成されており、一対のマウント電極のそれぞれと接続された励振電極が、一対の振動腕のそれぞれに形成され、薄膜抵抗の一端は、一対のマウント電極のいずれか一方に接続され、薄膜抵抗の他端は、薄膜抵抗用マウント電極に接続されていることを特徴としている。励振電極と薄膜抵抗が接続しているので、音叉型圧電振動片の屈曲振動の周波数変化によって薄膜抵抗に流れる電流を変えることができる。これにより薄膜抵抗の温度を変えることができるので、自動的に抵抗値を変えることができる。
また本発明に係る音叉型圧電振動片は、基部における薄膜抵抗に対向した部分に孔部を設けたことを特徴としている。これにより薄膜抵抗の熱が音叉型圧電振動片に伝わり難くなるので、熱慣性の小さな薄膜抵抗が得られる。
本発明に係るセンサ発振回路は、前述した音叉型圧電振動片と、この音叉型圧電振動片を発振させる発振段とを接続したことを特徴としている。音叉型圧電振動片のCI値が変わったとしても、音叉型圧電振動片と発振段で形成される発振ループに流れる電流が変化し、薄膜抵抗の温度が変わる。これにより薄膜抵抗の抵抗値も変わるので負性抵抗を調整でき、発振ループのゲインを一定にできる。すなわちセンサ発振回路は、音叉型圧電振動片に加わる力にかかわらず発振できる。また音叉型圧電振動片に薄膜抵抗を搭載したことにより、音叉型圧電振動片を備えるセンサ発振回路を小型化できる。
また本発明に係るセンサ発振回路は、センサ素子となる圧電振動片と、この圧電振動片に接続し、前記音叉型圧電振動片に加わる力の圧力変化に起因して抵抗値が変わる抵抗素子と、この圧電振動片および抵抗素子に接続し、圧電振動片を発振させるインバータを備えた発振段とで発振ループを形成したことを特徴としている。音叉型圧電振動片に加わる力が変化するとCI値も変わるとともに、抵抗素子の抵抗値も変わる。これにより負性抵抗を調整できるので、音叉型圧電振動片に加わる力が変化しても、発振ループのゲインを一定にできる。すなわちセンサ発振回路は、音叉型圧電振動片に加わる力の大きさにかかわらず発振できる。またセンサ発振回路は、抵抗素子の抵抗値を自動調整できるので、1個のインバータを用いる簡単な回路構成にできる。
そして前述した抵抗素子は薄膜抵抗であることを特徴としている。薄膜抵抗は、これに流れる電流が大きくなると温度が上昇し、電流が小さくなると温度が下降する。そして薄膜抵抗の抵抗値は、これの温度が上昇すると高くなり、温度が下降すると低くなる。すなわち薄膜抵抗は、発振ループに流れる電流変化によって抵抗値を可変できる。よって薄膜抵抗を備えるセンサ発振回路は、音叉型圧電振動片に加わる力に応じて薄膜抵抗の抵抗値を自動的に可変できるので、発振ループのゲインを一定にして、発振を維持できる。
また前述した音叉型圧電振動片は複数の振動腕と基部とを備え、前述した薄膜抵抗は基部に設けられるとともに、前記振動腕に設けた励振電極のうちのいずれか一つと導通したことを特徴としている。音叉型圧電振動片に薄膜抵抗を搭載したことにより、音叉型圧電振動片を備えるセンサ発振回路を小型化できる。
また前述した抵抗素子は、外部圧力の変化によって変形するダイヤフラムと、このダイヤフラムに設けられ、外部圧力の上昇に伴って電流が減少するピエゾ抵抗体とを備えたことを特徴としている。なお抵抗素子は、音叉型圧電振動片の近傍に配置してある。ピエゾ抵抗体は、ダイヤフラムの変形に伴って形状が変化するので抵抗値が変わる。これにより前述した抵抗素子は、測定箇所の圧力変化に応じて抵抗値を変えることができる。そしてセンサ発振回路は、音叉型圧電振動片に加わる力の圧力変化に応じて抵抗素子の抵抗値を自動的に可変できるので、発振ループのゲインを一定にして、発振を維持できる。
本発明に係る音叉型圧電振動片の製造方法は、圧電基板の表面に薄膜抵抗を形成し、振動腕および基部の形状に倣うマスクを圧電基板の表面に形成し、振動腕および基部の形状に倣うとともに、薄膜抵抗に対向する部分が開口するマスクを圧電基板の裏面に形成し、圧電基板をエッチングして、振動腕および基部の形状と孔部を形成し、マスクを取り除いた後、励振電極およびマウント電極を振動腕および基部のそれぞれに形成するとともに、薄膜抵抗を介して励振電極とマウント電極とを接続する導通パターンを形成することを特徴としている。
これにより基部に薄膜抵抗を備えた音叉型圧電振動片が得られる。そして音叉型圧電振動片に薄膜抵抗を搭載したことにより、音叉型圧電振動片を備えるセンサ発振回路を小型化できる。また励振電極と薄膜抵抗が接続しているので、音叉型圧電振動片の屈曲振動の周波数変化によって薄膜抵抗に流れる電流を変えることができる。これにより薄膜抵抗の温度を変えることができるので、自動的に抵抗値を変えることができる。
本発明に係る音叉型圧電振動片、センサ発振回路および音叉型圧電振動片の製造方法の実施形態について説明する。なお本発明は、音叉型圧電振動片に加わる力に応じて発振ループのゲインを自動的に調整できるようにしたものである。この構成にするために、音叉型圧電振動片が配置される環境の圧力変化に起因して抵抗値が変わる抵抗素子を発振ループに設けている。以下に、具体的な実施形態を説明する。
図1は音叉型圧電振動片の平面図である。また図2は、図1のA−A線における断面図である。図1に示すように、音叉型圧電振動片10は、圧電基体から形成された振動腕12を2本平行に配置しつつ、それぞれの基端側を圧電基体から形成された基部14に接続した形状を有している。なおこの形状は、水晶などの圧電体ウエハをエッチング加工することによって、形成される。そして励振電極16が各振動腕12に設けてあり、またマウント電極18が基部14に設けてある。マウント電極18は、音叉型圧電振動片10を保持部(図示せず)に搭載するときに、この保持部との接合箇所になる。そしてマウント電極18は、励振電極16と1対1に導通した第1マウント電極18aを2つ備えるとともに、導通パターン20を介して一方の第1マウント電極18aに接続した第2マウント電極(薄膜抵抗用マウント電極)18bを備えている。なお導通パターン20の一部は断線しており、この断線箇所に抵抗素子22を設けることで、一方の第1マウント電極18aと第2マウント電極18bを導通している。
この抵抗素子22は熱慣性の小さな抵抗であり、具体的には薄膜抵抗22aである。薄膜抵抗22aは僅かな電流の変化でも温度が変化し、また温度の上昇に伴って抵抗値が高くなる正特性を有している。そして薄膜抵抗22aに対向している部分(導通パターン20が断線している部分)、すなわち基部14における薄膜抵抗22aの下側の部分に孔部24を設けている。この孔部24は、図2に示すように、基部14の上面から下面まで貫通している。
図3はセンサ発振回路40の説明図である。ここで図3(A)は音叉型圧電振動片の素子回路図であり、図3(B)はセンサ発振回路の回路図である。前述した音叉型圧電振動片10は、一方の励振電極16に薄膜抵抗22aが接続しているので、これの素子回路図は図3(A)に示すように、音叉型圧電振動片10と薄膜抵抗22aが直列接続した構成になる。
そしてセンサ発振回路40は、図3(B)に示すように、薄膜抵抗22aを備えた音叉型圧電振動片10に、この振動片10を発振させる発振段30が接続した構成である。具体的には、発振段30は、インバータ32、ドレイン抵抗Rd、負荷容量コンデンサ34、帰還抵抗Rfおよび出力端子36を備えている。そしてセンサ発振回路40は、薄膜抵抗22aを備えた音叉型圧電振動片10、インバータ32およびドレイン抵抗Rdで発振ループ38を形成し、インバータ32に帰還抵抗Rfが並列接続するとともに、音叉型圧電振動片10に負荷容量コンデンサ34が接続した構成である。さらにセンサ発振回路40は、発振ループ38に出力端子36が接続している。なお負荷容量コンデンサ34は、音叉型圧電振動片10の一方に接続するドレインコンデンサCdと、他方に接続するゲートコンデンサCgとを備えている。また図3(B)では薄膜抵抗22aとドレイン抵抗Rdが直列接続しているが、実施形態によっては薄膜抵抗22aとドレイン抵抗Rdが並列接続してもよい。また出力端子36の後段に検出部(図示せず)が設けてあればよい。この検出部は、センサ発振回路40からの出力信号を入力して周波数を測定し、様々な物理量の測定を行う構成であればよい。
そして前述した音叉型圧電振動片10やセンサ発振回路40を次のようにして使用する。なお以下では、音叉型圧電振動片10やセンサ発振回路40を用いて、圧力を測定する例を説明する。まず音叉型圧電振動片10を前記保持部に搭載しておく。前記保持部は、音叉型圧電振動片10を支持するものであり、表面に回路パターンを有している。そして導電性接着剤を用いて前記回路パターンとマウント電極18を接合することにより、音叉型圧電振動片10を前記保持部に固着している。なお、このとき音叉型圧電振動片10は外部に露出しているので、正圧や大気圧、負圧のところで屈曲振動することになる。そして前記回路パターンを発振ループ38に接続して、センサ発振回路40を形成する。
次に、音叉型圧電振動片10を圧力測定箇所に配置して発振させる。すなわち音叉型圧電振動片10を屈曲振動させると、ループ電流が流れて発振する。そして、この発振時における圧力測定箇所の圧力がはじめから高かった場合(正圧の場合)や、前記圧力測定箇所の圧力が高くなった場合(正圧になった場合)は、図5(B)に示すようにCI値が高くなり、ループ電流が小さくなる。このため薄膜抵抗22aに流れるループ電流が小さいので薄膜抵抗22aの温度が低くなり、これに伴って抵抗値が小さくなる。すなわち薄膜抵抗22aは、音叉型圧電振動片10に加わる力(圧力)に起因して抵抗値が変わる。そしてドレイン抵抗Rdの抵抗値は変わらないが、薄膜抵抗22aの抵抗値が小さくなるので、発振ループ38全体の抵抗値が小さくなる。よってCI値が高くなるが、発振ループ38全体の抵抗値が小さくなるので、発振ループ38のゲインが一定に保たれて発振を維持する。
これに対し、発振時における圧力測定箇所の圧力がはじめから低かった場合や、圧力測定箇所の圧力が低くなった場合は、図5(B)に示すようにCI値も低くなり、ループ電流が大きくなる。そして薄膜抵抗22aは、ループ電流の増加に伴って温度が高くなり、抵抗値も大きくなる。すなわち薄膜抵抗22aは、音叉型圧電振動片10に加わる力(圧力)に起因して抵抗値が変わる。そしてドレイン抵抗Rdの抵抗値は変わらないが、薄膜抵抗22aの抵抗値が大きくなるので、発振ループ38全体の抵抗値が大きくなる。よってCI値が低くなるが、発振ループ38全体の抵抗値が大きくなるので、発振ループ38のゲインが一定に保たれて発振を維持する。
そして、このような動作をするセンサ発振回路40の出力端子36を介して、音叉型圧電振動片10の発振周波数に応じた周波数の信号(出力信号)が後段の前記検出部に入力する。前記検出部は出力信号を入力すると周波数を測定し、その周波数に対応した圧力を求める。
次に、音叉型圧電振動片10の製造方法について説明する。音叉型圧電振動片10は、圧電体ウエハの状態で形成することにより1度に複数製造することができる。以下では、圧電体ウエハの状態から音叉型圧電振動片10を形成する形態について説明するが、圧電体ウエハを切断して得た圧電基板の状態から音叉型圧電振動片10を形成する形態も同様な工程になる。
まず圧電体ウエハの表面における各音叉型圧電振動片10が形成される箇所に、薄膜抵抗22aを形成する。なお薄膜抵抗22aは、音叉型圧電振動片10の基部14となる部分に形成される。この薄膜抵抗22aは、例えばスパッタ等の成膜法により形成できるので、厚さを高精度に制御できる。この後、圧電体ウエハの表面および裏面にマスク(第1マスク)を形成する。この第1マスクは、音叉型圧電振動片10(振動腕12および基部14)の外形に倣い、この振動片10が形成される部分を覆っているレジスト膜である。また第1マスクは、圧電体ウエハの裏面において、薄膜抵抗22aに対向する位置が開口している。この開口は、音叉型圧電振動片10の基部14に設けられる孔部24を形成するためのものである。そして圧電体ウエハをエッチング液に浸漬して、音叉型圧電振動片10の外形と孔部24を形成する。この後、第1マスクを除去する。なおエッチングにより音叉型圧電振動片10と孔部24を形成するときは、音叉型圧電振動片10を支持するフレームも同時に形成しておく。
次に、音叉型圧電振動片10に金属膜を形成した後、励振電極16、マウント電極18および導通パターン20を形成するための第2マスクを前記金属膜上に形成する。すなわち第2マスクは、励振電極16、マウント電極18および導通パターン20を形成する部分を覆っている。そして第2マスクに覆われていない部分の金属膜をエッチングで除去して、励振電極16、マウント電極18および導通パターン20を形成する。この後、第2マスクを除去する。
なお導通パターン20は、薄膜抵抗22aと基部14との間にくるよう形成してもよい。すなわち薄膜抵抗22aと基部14の間に位置する導通パターン20を部分的に予め形成しておき、その後に薄膜抵抗22aを形成してもよい。これにより図2に示す形態となる。
これにより前記フレームに支持された音叉型圧電振動片10が得られる。そして音叉型圧電振動片10を前記フレームから折り取れば個別化できる。
以上説明したように、音叉型圧電振動片10の励振電極16と薄膜抵抗22aが接続しているので、屈曲振動の周波数変化によって薄膜抵抗22aに流れる電流を変えることができる。これにより薄膜抵抗22aの温度を変えることができるので、自動的に抵抗値を変えることができる。この薄膜抵抗22aの厚みは成膜により正確に制御できるので、ばらつきの小さな薄膜抵抗22aが得られる。そして音叉型圧電振動片10は薄膜抵抗22aを基部14に搭載し、薄膜抵抗22aが対向している部分に孔部24を設けているので、熱慣性の小さな薄膜抵抗22aが得られる。また薄膜抵抗22aを基部14に搭載することにより、音叉型圧電振動片10を備えるセンサ発振回路40を小型化できる。
またセンサ発振回路40は、前記圧力測定箇所の圧力が変化してCI値が変わったとしても、これに応じてループ電流が変わり、薄膜抵抗22aの温度も変わる。したがって薄膜抵抗22aの抵抗値が変わるので、発振ループ38のゲインを一定に保つことができる。すなわちセンサ発振回路40は、音叉型圧電振動片10に加わる力にかかわらず発振できる。そしてセンサ発振回路40で圧力センサを形成した場合は、音叉型圧電振動片10が配置される環境の圧力が正圧、大気圧、負圧であったとしても、測定を行える。またセンサ発振回路40は、薄膜抵抗22aを備えた音叉型圧電振動片10を用いることにより、1個のインバータ32を用いる簡単な回路構成にできる。
なおセンサ発振回路40に音叉型圧電振動片10と薄膜抵抗22aを別々に設けても、前述した実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。そしてセンサ発振回路40に音叉型圧電振動片10と薄膜抵抗22aを別々に設けた構成にすると、従来からある音叉型圧電振動片を利用した場合でも前述した実施形態と同様の作用と効果が得られる。
また抵抗素子22は薄膜抵抗22aに限定されることはなく、圧力ダイヤフラムを用いた抵抗素子22であってもよい。図4は圧力ダイヤフラムを用いた抵抗素子の概略断面図である。抵抗素子22は、外部圧力によって変形するダイヤフラム50を備えている。具体的には、ダイヤフラム50はガラス製の基台52を有し、この基台52の上面に感圧部54を接合している。感圧部54には、その下面の中央部分に凹部56を設けてある。すなわち感圧部54は、中央部が周縁部に比べて薄くなった薄肉部58を有している。そして凹部56と基台52で囲まれる空間を真空または気体で満たしている。また抵抗素子22は、複数のピエゾ抵抗体(図示せず)を備えている。これらのピエゾ抵抗体は、感圧部54に設けた薄肉部58に配設してある。
そしてピエゾ抵抗体は、圧力が加わると(変形すると)これに応じた抵抗値となる。このため圧力ダイヤフラム50を用いた抵抗素子22は、外部の圧力が高くなって感圧部54が基台52に向けて凹になったときに、ピエゾ抵抗体が変形して抵抗値が小さくなる一方、外部の圧力が低くなって感圧部54が外側に向けて凸になったときに、ピエゾ抵抗体が変形して抵抗値が高くなる。
このような圧力ダイヤフラム50を用いた抵抗素子22は、センサ発振回路40の発振ループ38に接続している。そして、この抵抗素子22、音叉型圧電振動片10および発振段30を接続してセンサ発振回路40を構成した場合、音叉型圧電振動片10の近傍に圧力ダイヤフラム50を配置しておく。すなわち圧力測定箇所に音叉型圧電振動片10と圧力ダイヤフラム50を配置する。
そして、このようなセンサ発振回路40を用いて圧力を測定する形態を以下に例示する。まずセンサ発振回路40を発振させると、この発振時における圧力測定箇所の圧力がはじめから高かった場合や、前記圧力測定箇所の圧力が高くなった場合はCI値が高くなるのに対し、圧力ダイヤフラム50の感圧部54が凹になってピエゾ抵抗体の抵抗値が低くなる。すなわち圧力ダイヤフラム50を用いた抵抗素子22は、音叉型圧電振動片10の近傍に配設されているので、音叉型圧電振動片10に加わる力(圧力)に起因して抵抗値が変わる。そしてドレイン抵抗Rdの抵抗値は変わらないが、ピエゾ抵抗体の抵抗値が小さくなるので、発振ループ38全体の抵抗値が小さくなる。よって発振ループ38のゲインが一定に保たれて、センサ発振回路40は発振を維持する。
他方、発振時における圧力測定箇所の圧力がはじめから低かった場合や、圧力測定箇所の圧力が低くなった場合はCI値が低くなるのに対して、圧力ダイヤフラム50の感圧部54が凸になってピエゾ抵抗体の抵抗値が大きくなる。すなわち圧力ダイヤフラム50を用いた抵抗素子22は、音叉型圧電振動片10の近傍に配設されているので、音叉型圧電振動片10に加わる力(圧力)に起因して抵抗値が変わる。このためドレイン抵抗Rdの抵抗値は変わらないが、ピエゾ抵抗体の抵抗値が大きくなるので、発振ループ38全体の抵抗値が大きくなる。よって発振ループ38のゲインが一定に保たれて、センサ発振回路40は発振を維持する。
このような動作をするセンサ発振回路40の出力端子36を介して、音叉型圧電振動片10の発振周波数に応じた周波数の信号(出力信号)が後段の前記検出部に入力する。前記検出部は出力信号を入力して周波数を測定すると、その周波数に対応した圧力を求める。
以上説明したように、ダイヤフラム50にピエゾ抵抗体を設けた抵抗素子22を音叉型圧電振動片10に接続したので、音叉型圧電振動片10に加わる力に応じてピエゾ抵抗体の抵抗値を自動的に変えることができ、またセンサ発振回路40の発振ループ38のゲインを一定に保って発振を維持できる。またセンサ発振回路40は、1個のインバータ32を用いる簡単な回路構成にできる。さらに音叉型圧電振動片10の発振周波数を利用して物理量を測定しているので、分解能の高い高精度な測定を行える。
なお前述した実施形態や変形例では、センサ発振回路40で圧力を測定する場合を例にして説明したが、本発明はこれらの形態に限定されるものでない。すなわち本発明に係る音叉型圧電振動片10やセンサ発振回路40は、屈曲振動の変化(音叉型圧電振動片10の発振周波数の変化)を測定して、被検出物質の検出や物理量を得るセンサに適用できる。このためガスセンサやガス粘性センサを始めとして様々なセンサに応用することができる。
音叉型圧電振動片の平面図である。 音叉型圧電振動片の断面図である。 センサ発振回路の説明図である。 圧力ダイヤフラムを用いた抵抗素子の概略断面図である。 音叉型圧電振動片を正圧で発振させた場合の圧力の関係を示すグラフである。
符号の説明
10………音叉型圧電振動片、12………振動腕、14………基部、16………励振電極、18………マウント電極、20………導通パターン、22………抵抗素子、24………孔部、30………発振段、32………インバータ、38………発振ループ、40………センサ発振回路、50………ダイヤフラム、Rd………ドレイン抵抗。

Claims (8)

  1. 圧電基体から形成された基部と、
    前記基部と一体に形成され、互いに平行に延伸する一対の振動腕と、
    前記基部に設けられた薄膜抵抗とを備え、
    前記基部には、一対のマウント電極と、薄膜抵抗用マウント電極とが形成されており、
    前記一対のマウント電極のそれぞれと接続された励振電極が、前記一対の振動腕のそれぞれに形成され、
    前記薄膜抵抗の一端は、前記一対のマウント電極のいずれか一方に接続され、
    前記薄膜抵抗の他端は、前記薄膜抵抗用マウント電極に接続されていることを特徴とする音叉型圧電振動片。
  2. 前記基部における前記薄膜抵抗に対向した部分に孔部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の音叉型圧電振動片。
  3. 請求項1または2に記載の音叉型圧電振動片と、前記音叉型圧電振動片を発振させる発振段とを接続したことを特徴とするセンサ発振回路。
  4. センサ素子となる音叉型圧電振動片と、
    前記音叉型圧電振動片に接続し、前記音叉型圧電振動片に加わる力の圧力変化に起因して抵抗値が変わる抵抗素子と、
    前記音叉型圧電振動片および前記抵抗素子に接続し、前記音叉型圧電振動片を発振させるインバータを備えた発振段と、
    で発振ループを構成したことを特徴とするセンサ発振回路。
  5. 前記抵抗素子は薄膜抵抗であることを特徴とする請求項4に記載のセンサ発振回路。
  6. 前記音叉型圧電振動片は複数の振動腕と基部とを備え、
    前記薄膜抵抗は前記基部に設けられるとともに、前記振動腕に設けた励振電極のうちのいずれか一つと導通したことを特徴とする請求項5に記載のセンサ発振回路。
  7. 前記抵抗素子は、
    外部圧力の変化によって変形するダイヤフラムと、
    前記ダイヤフラムに設けられ、外部圧力の上昇に伴って電流が減少するピエゾ抵抗体と、
    を備えたことを特徴とする請求項4に記載のセンサ発振回路。
  8. 圧電基板の表面に薄膜抵抗を形成し、
    振動腕および基部の形状に倣うマスクを前記圧電基板の表面に形成し、
    前記振動腕および前記基部の形状に倣うとともに、前記薄膜抵抗に対向する部分が開口するマスクを前記圧電基板の裏面に形成し、
    前記圧電基板をエッチングして、前記振動腕および前記基部の形状と孔部とを形成し、
    前記マスクを取り除いた後、励振電極およびマウント電極を前記振動腕および前記基部のそれぞれに形成するとともに、前記薄膜抵抗を介して前記励振電極と前記マウント電極とを接続する導通パターンを形成する、
    ことを特徴とする音叉型圧電振動片の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013099298A1 (ja) * 2011-12-26 2013-07-04 ワックデータサービス株式会社 圧電駆動装置
CN109164253A (zh) * 2018-10-26 2019-01-08 浙江师范大学 一种音叉谐振式血小板收缩力测量装置与方法

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