JP2008014780A - ガスセンサ素子およびガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスセンサのより一層の小型化を可能にするガスセンサ素子およびガスセンサを提供する。
【解決手段】ガスセンサ素子10は、第1および第2の主面28、34を有する酸素イオン導電性の固体電解質層18と、前記第1の主面28と接するように設けられた多孔質の第1電極層20と、前記第2の主面34と接するように設けられた多孔質の第2電極層22と、前記第1電極層20における、前記第1の主面28とは反対側を向いた外側主面30を覆って形成されたガス遮蔽性の遮蔽層24と、を備え、前記第1電極層20を陰極とし、前記第1電極層20における周縁面32は被測定ガスに曝されることを特徴とする。これにより、明確な限界電流特性を有する、小型のガスセンサ素子10が得られる。そして、このガスセンサ素子10を有することで、ガスセンサの小型化も図れる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両、工場などにおいて生じる被測定ガスの酸素濃度等を検出可能にするガスセンサ素子、およびこのガスセンサ素子を有するガスセンサに関する。
従来のガスセンサの一例として、固体電解質シートの両面に酸素の濃淡起電力を取り出す電極が配置されたセンシングセルと、別の固体電解質シートの両面に酸素イオンを移動させるためのポンプ電極が配置されたポンピングセルと、加熱シートとを備え、それらが積層された空燃比センサが、特許文献1に開示されている。この空燃比センサでは、ポンプセルとセンシングセルとの間に配設されるセラミックシートに測定ガス室を形成すると共に、センシングセルと加熱シートとの間に配設されるセラミックシートに大気を導入する基準ガス室を形成するようにしている。
特開平9−281075号公報 特開2004−205488号公報
ところで、狭小空間中の被測定ガスの測定等の目的から、ガスセンサのより一層の小型化が望まれている。しかしながら、上記特許文献1に記載のセンサでは、測定ガス室と基準ガス室とを備えることを必須にしているので、その小型化には限界がある。
そこで、本発明は、ガスセンサのより一層の小型化を可能にするガスセンサ素子、および当該ガスセンサ素子を有するガスセンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るガスセンサ素子は、互いに表裏をなす第1および第2の主面を有する酸素イオン導電性の固体電解質層と、前記第1の主面と接するように設けられた多孔質の第1電極層と、前記第2の主面と接するように設けられた多孔質の第2電極層と、前記第1電極層における、前記第1の主面とは反対側を向いた外側主面を覆って形成されたガス遮蔽性の遮蔽層と、を備え、前記第1電極層を陰極とし、前記第1電極層における周縁面は被測定ガスに曝されることを特徴とする。
上記構成によれば、第1電極層における周縁面は被測定ガスに曝される。そして、多孔質の第1電極層を拡散層として、固体電解質層への酸素の供給が行われる。このように、第1電極層が拡散層としての機能をも有するので、ガスセンサ素子の構成要素の数を減らすことができる。したがって、ガスセンサ素子の小型化を図ることができる。
また、前記第2電極層に接するように基準ガス室を形成すると共に、前記第2電極層を被測定ガスから遮蔽する遮蔽層を更に設けても良い。このような構成とすることで、被測定ガス中に可燃性ガスが多く含まれている場合(リッチガス)であっても空燃比を測定することができる。
また、前記固体電解質層を加熱する加熱手段を更に備えていると好ましい。これにより、固体電解質層の温度を活性化温度にまで高めることができる。
好ましくは、前記第1および第2電極層の厚さは、0.01μm以上、15μm以下である。第1および第2電極層の厚さをこの範囲内とすることで、酸素濃度に応じた適切な限界電流特性を得ることが可能になる。
また、本発明に係るガスセンサは、上記したガスセンサ素子を備えることを特徴とする。上記したガスセンサ素子は小型化が達成されるので、ガスセンサとしても小型化が図れる。
固体電解質層と、この固体電解質層の両側に設けられた一対の多孔質の電極層とを有するガスセンサ素子において、被測定ガス中の酸素濃度に応じた明確な限界電流特性を確保するためには、固体電解質層を通過させることができる酸素の排気能力が、固体電解質層への被測定ガス中の酸素の供給量(あるいは拡散量)を上回ることが必要である。従来、固体電解質層への酸素の供給量は、酸素の供給量を制限調節するために特別に設けられている拡散層の拡散係数と、その形状とにより決められていた。他方、従来、固体電解質層への酸素の供給量は、酸素の拡散距離に反比例し、酸素の通る拡散層の断面積に比例することが知られている。近年、狭小空間の酸素濃度測定や、ガスセンサ素子の酸素濃度を測定するための活性時間の短縮等を目的として、ガスセンサ素子の小型化の要望が高まっている。しかしながら、ガスセンサ素子を単に小型化すると、酸素の拡散距離が短くなるため、明確な限界電流特性が確保できなくなるという問題があった。
他方、そのようなガスセンサ素子の電極層として、従来、多孔質体が用いられている。そこで、本発明者らは、電極層が多孔質であることに着目して、酸素濃度に応じた明確な限界電流特性を示すガスセンサ素子、およびこのガスセンサ素子を有するガスセンサを発明した。この発明の主たる点は、後述するように、電極層に、電極としての役割と、拡散層(あるいは律速層)としての役割を担わせた点にある。以下に、本発明に係るガスセンサ素子およびガスセンサについて、実施形態に基づいて説明する。なお、ガスセンサ素子における電圧−電流特性(V−I特性)において、陰極電極と陽極電極との間に印加する電圧値を上昇させても電流値が概ね変化しない、いわゆるフラット域が観測される特性を限界電流特性といい、そして、そのときの電流を限界電流という。
まず、本発明の第1実施形態に係るガスセンサ素子およびガスセンサについて、説明する。図1は、第1実施形態の積層型構造を有するガスセンサ素子10の側面図である。図2は、図1のガスセンサ素子10のA−A線に沿った断面図であり、各構成要素の寸法を誇張して表している。それ故、図2に示した図の各構成要素の縮尺は各構成要素で異なり、第1実施形態のガスセンサ素子10の好ましい大きさとは関係なく、それぞれの構成要素の関係を概念的に示している。なお、ガスセンサ素子10は、図示しないが、その素子全体がハウジングや素子カバー内に収容され、ガスセンサの一部を構成するように形成されている。以下、本明細書においては便宜上、各構成要素の図中上側の面を上面と、下側の面を下面と称して説明するが、本発明に係るガスセンサ素子の向きを限定するものではない。
ガスセンサ素子10は、測定部12と、支持部14と、リード部16とを有する(図1参照)。測定部12は、固体電解質層18と、固体電解質層18を挟んで配置された1対の多孔質の第1および第2電極層20、22と、これらを挟んで配設された第1および第2遮蔽層24、26とを有している(図2参照)。これら構成要素はそれぞれ細長い板状で、積層一体化されている。
固体電解質層18の第1の主面である上面28の全体を覆うように、第1電極層20がその上面28に接するように設けられている。固体電解質層18側、すなわち上面28側とは反対側を向き、固体電解質層18を基準として外側を向いた第1電極層20の外側主面、すなわち上面30は第1遮蔽層24によりその全体を覆われている。それ故、第1電極層20の内、第1電極層20の周りに形成された周縁面32のみが外界に接している。一方、固体電解質層18の第2の主面である下面34には、第2電極層22がその下面34に接するように設けられている。固体電解質層18側とは反対側を向き、固体電解質層18を基準として外側を向いた第2電極層22の外側主面、すなわち下面36は第2遮蔽層26によりその全体を覆われている。それ故、第1電極層20と同じく、第2電極層22の周りに形成された周縁面38のみが外界に接している。ただし、本第1実施形態では、第1および第2電極層20、22の各周縁面32、38の内、図2における側方部位のみならず、図1における先端部位も外界に接しているが、この先端部位は外界に接しなくても良い。
固体電解質層18と、その上下の両側にそれぞれ接して設けられた第1および第2電極層20、22とは、ポンプセル40を構成する。このポンプセル40は、第1および第2電極層20、22間に電圧を所定の方向に印加することで、酸素のポンピングを行う。ポンプセル40の固体電解質層18は、概ね650℃から900℃の温度範囲で活性である。
測定部12は、その断面図(図2参照)において、幅Wおよび厚さTを有した矩形状断面を有している。本第1実施形態では、その幅Wを約0.5mmとし、その厚さTを約0.3mmとした。このような測定部12の断面積は、従来用いられている、電極層とは別に拡散層が設けられた積層型構造のガスセンサ素子(例えば、特許文献2参照)の測定部の断面積に対して、例えば約60分の1と非常に小さい。
固体電解質層18は、酸素イオン導電性を有している。固体電解質層18に所定の方向に電圧がかけられると、所定方向に酸素イオン(O2−)が流れることが可能になる。固体電解質層18は、平板状をしている。固体電解質層18は、YをドープしたZrO系の酸素イオン導電体からなっている。なお、固体電解質層18は、他の成分を有するように構成されても良く、例えば、YbなどをドープしたZrO系の酸素イオン導電体から構成されても良い。
第1および第2電極層20、22は、被測定ガスの拡散量を調整可能な多孔質体であり、所定の気孔率を有し、所定の厚さにされている。第1および第2電極層20、22のそれぞれは、厚さT1を有し、平板状をしている。第1および第2電極層20、22は、主にPtで構成された多孔質体からなっているが、他の材料からも作製され得る。第1および第2電極層20、22は導体であって、電極としての機能を有している。
第1および第2遮蔽層24、26は、絶縁体であり、第1および第2電極層20、22の上面30および下面36と外界との間のガス交換をそれぞれ遮蔽する。第1および第2遮蔽層24、26のそれぞれは、厚さT2を有し、平板状をしている。第1および第2遮蔽層24、26は、Al体からなっている。なお、第1および第2遮蔽層24、26は、他の材料から作製され得る。
支持部14(図1参照)は、測定部12に連続している。支持部14では、第1電極層20と固体電解質層18との間に第3遮蔽層(不図示)が設けられていて、さらに、第2電極層22と固体電解質層18との間に第4遮蔽層(不図示)が設けられている。第3遮蔽層および第4遮蔽層により、第1電極層20と第2電極層22との間に電圧を印加しても、支持部14では固体電解質層18に電圧が印加されず、これにより酸素イオンの流れが生じることが防止される。第3および第4遮蔽層は、上記第1および第2遮蔽層24、26と同じ材料からなっている。
2つのリード部16は、Pt線から作製されており、一方が電圧印加手段の正極に接続され、他方がその負極に接続される。
ガスセンサ素子10は、測定部12および支持部14を一体として作製される。その作製過程で、あるいはその作製後に、リード部16は、支持部14の第1電極層20と第2電極層22とに繋げられる。固体電解質層18は、シート状の材料、本第1実施形態ではジルコニアシートから作られている。そして、その焼成前のジルコニアシートの、支持部14の一部となる部分の両面に、第3および第4遮蔽層を形成するため、絶縁セラミック(アルミナ)ペーストがスクリーン印刷で形成される。部分的に絶縁セラミックペーストにより挟まれたジルコニアシートを更に挟むように、測定部12の一部となるジルコニアシートの部分の上下面に加えて、その絶縁セラミックによる遮蔽層の上下面をも覆うように、所定の多孔度の第1電極層20および第2電極層22を形成することになるPtペーストがスクリーン印刷により形成される。その後、それに第1および第2遮蔽層24、26を形成するため、上記第3および第4遮蔽層を形成するのと同様に、絶縁セラミック(アルミナ)ペーストがスクリーン印刷で形成される。これにより積層構造体が得られる。これは複数個分のガスセンサ素子になる前段階のものが一体となった集合体である。これが約1400℃以上の高温で焼成された後、各ガスセンサ素子10の大きさに裁断され、ガスセンサ素子10が得られる。ただし、スクリーン印刷を用いるのではなく、第3および第4遮蔽層を形成するため、セラミックシートがジルコニアシートを挟むように積層されても良い。これは第1および第2遮蔽層24、26に関しても同様に当てはまる。なお、第1および第2電極層20、22の電極厚さT1が例えば0.1μmより薄い、特に0.01μm以下のときには、ジルコニアシートを焼成して固体電解質層18を作製してから、その固体電解質層18上に、Ptを蒸着、スパッタ等により成膜して第1および第2電極層20、22を形成すると良い。
上記の如く、ガスセンサ素子10の測定部12は、概ね積層構造となっていて、上下いずれの方向にも同じ順番で重なっている。ガスセンサ素子10をこのように図2で上下逆転しても同じ構成にしたのは、第1電極層20と第2電極層22との間にどちらの向きに電圧を印加しても、すなわちどちらを陰極にしても、適切にガスセンサ素子10を機能させるためである。それ故、第1電極層20と第2電極層22とに対しての電圧の印加が、適切に所定の方向になされるのであれば、第1および第2遮蔽層24、26の一方は不要である。
図3に、図2に示した測定部12の断面図から、理解の容易のために第2遮蔽層26を図示省略した測定部12の断面図を示す。図3では、第1電極層20および第2電極層22間に、所定の方向に、所定の電圧を付与する電圧印加手段42が示されている。ただし、電圧は、正確には、上記リード部16を介して第1および第2電極層20、22間に印加され、第1電極層20を負極、すなわち陰極とする。
測定部12の周囲に被測定ガスが流れるように、ガスセンサ素子10を有するガスセンサを配置して電圧を印加したときの、酸素のポンピングを図3(b)に概念的に示す。本第1実施形態では、排気通路を流れる排気ガスである、被測定ガス中に酸素が存在するときには、ポンプセル40によって酸素のポンピングが行われるようになる。周縁面32から第1電極層20内に被測定ガスが拡散し、その被測定ガス中の酸素(O)が固体電解質層18の上面28に至ることになる。このとき、酸素は概して周縁面32の近傍から幅Wの1/2程度までの間の第1電極層20の領域を経由して固体電解質層18に至るが、その移動における平均の経路距離は概ね図3(b)に示すような拡散距離Lである。そして、第1電極層20を介して固体電解質層18に至る過程で、酸素は酸素イオン(O2−)にイオン化される。そして、その酸素濃度に応じた量の酸素イオンは、第1電極層20側から第2電極層22側へとポンピングされることになり、ポンプ電流が検出されることになる。この検出されるポンプ電流の値は、被測定ガス中の酸素濃度に比例するから、これにより被測定ガス中の酸素濃度を測定することが可能になる。なお、本第1実施形態のガスセンサ素子10は、陰極である第1電極20側から陽極である第2電極22側へと酸素のポンピングをさせるものであるので、例えば、酸素濃度が比較的多い被測定ガス中の酸素濃度を測定するのに好適である。
本第1実施形態に係るガスセンサ素子10の構成で、適切に酸素濃度を測定できるガスセンサが得られることを実証するべく、具体的には、酸素濃度に応じた明確な限界電流特性を確保することができることを明らかにするべく、実験を行った。その実験結果を、図4に基づいて説明する。
図4(a)に、被測定ガス中の種々の酸素濃度における電圧−電流曲線を重ねて示し、図4(b)に、図4(a)中のそれら曲線と線αとの交点での酸素濃度と電流値との関係を図示する。なお、図4(a)中の線αは、ガスセンサ素子10への印加電圧を決定するための印加電圧直線の一例である。そして、この線αの傾きは、概ね、上記フラット域である限界電流域よりも低電圧側(すなわち、抵抗支配域)の部分の傾きに一致している。なお、図4における電流値は、ガスセンサ素子10を有するガスセンサのセンサ出力となり、このセンサ出力に基づいて予め求めて作成しておいたデータテーブルを検索することで被測定ガス中の酸素濃度を得ることが可能になる。得られた酸素濃度は、被測定ガス中の空燃比を求めることにも利用可能である。
ただし、実験において、第1および第2電極層20、22の厚さT1をそれぞれ5μmとし、また第1および第2遮蔽層24、26の厚さT2をそれぞれ5μmとした。被測定ガスとして、酸素濃度(O濃度)が0%、5%、10%、20%の模擬ガスを用いた。模擬ガス中の酸素(O)以外の成分は、全て窒素(N)とした。
図4(a)によれば、模擬ガス中の各酸素濃度に対する各電圧−電流曲線で、電圧軸(横軸)に概ね平行なフラット域が観察された。したがって、ガスセンサ素子10では、ガスセンサとして明確な限界電流特性が得られることが明らかとなった。また、図4(b)によれば、被測定ガス中の酸素濃度変化に対して、比例的な電流値、すなわちセンサ出力が得られることが明らかになった。したがって、ガスセンサ素子10を有するガスセンサでは、適切な値の電圧を第1および第2電極層20、22間に印加することで、適切に酸素濃度を測定できることが明らかとなった。
このようにガスセンサ素子10で明確な限界電流特性が得られたのは、次の理由によると推察される。第1電極層20は、所定の気孔率を有する多孔質体であるため、第1電極層20を拡散層として、被測定ガス中の酸素が固体電解質層18の上面28に供給される。ここで、その固体電解質層18の上面28への酸素の供給量を、固体電解質層18を通過する酸素の排気量に対して相対的に少なくするためには、酸素が拡散する拡散層、すなわち第1電極層20における拡散断面積を小さくしたり、酸素の拡散距離Lを大きくとったりすることが必要である。酸素は、第1電極層20の周縁面32から、第1電極層20内を通過して、固体電解質層18の上面28に至るが、酸素の中には、第1電極層20内を最短距離(例えば、L≒0)で通過して固体電解質層18に至るものもあれば、幅W方向で第1電極層20の中ほどにまで至ってから固体電解質層18に至るものもある(例えば、L=1/2×W)。それ故、酸素の拡散距離Lは、平均化すると、例えば、第1電極層20の幅Wの4分の1程度と考えられる。本ガスセンサ素子10の場合には、ガスセンサ素子10の厚さTが0.3mm(300μm)であるのに対して第1電極層20の厚さT1が5μmであるのでその拡散断面積は小さく、幅Wが0.5mmであるのでこの場合の拡散距離Lの平均は0.125mm(125μm)程度となり、ガスセンサ素子10の幅Wに対して拡散距離Lは十分に長いと考えられる。すなわち、本発明によれば、第1電極層20である拡散層の拡散断面積を十分小さくすると共に、第1電極層20の外側主面30を遮蔽層24で被覆したことによって、拡散距離Lを相対的に長くとることができ、それ故、固体電解質層18を通過する酸素の排気量が、被測定ガス中の酸素の供給量を上回ることになり、明確な限界電流特性が得られたと推察される。
さらに、ガスセンサ素子における第1および第2電極層の電極厚さの違いによる、ガスセンサ素子の特性の変化を調べた。この実験でも上記第1実施形態で説明したガスセンサ素子10およびガスセンサと同じ構成を有するガスセンサ素子およびガスセンサを用いた。ただし、実験で用いたガスセンサ素子10では、第1および第2電極層20、22の厚さT1のみを、1μm、5μm、10μm、15μm、17μmと変え、それぞれの電極厚さにおける、限界電流の傾き、温度依存性を調べた。ただし、本実験では、限界電流の傾き(単位:μA/V)を、第1および第2電極層20、22に印加される電圧が0.5V近傍のときの傾きとし、0.55Vでの出力電流と、0.45Vでの出力電流とをそれぞれ求め、次式(1)に基づいて求めた。また、温度依存性(単位:%)を、ガスセンサ素子10の温度が710℃であるとき出力電流と、700℃であるときの出力電流とをそれぞれ求め、それらを次式(2)に当てはめて求めた。なお、被測定ガスとして、酸素濃度が20%(残部は、窒素)の模擬ガスを用いた。この結果を、図5および図6に基づいて説明する。
Figure 2008014780
Figure 2008014780
図5には電極厚さT1に対する限界電流の傾きを、図6には限界電流の傾きに対する温度依存性を示す。一般的に、検出精度の確保のためには、十分なフラット域が得られることが必要であると共に、温度依存性が10%以下であるのが好ましい。本実験によれば、電極厚さT1が15μmのとき、限界電流の傾きが500μA/Vであり、温度依存性が10%であった。そして、電極厚さT1がそれよりも大きくなると、限界電流の傾きと共に、温度依存性も高くなることが明らかになった。したがって、第1電極層20の電極厚さT1は、15μm以下であることが好ましいことが示された。
他方、ある程度以上の検出精度を確保するためには、第1および第2電極層20、22と、固体電解質層18との合計の電気抵抗が、例えば100Ωより小さいことが必要である。ここで、固体電解質層18の厚さ方向の電気抵抗は、数十Ω、例えば50Ωである。それ故、第1および第2電極層20、22の厚さ方向の電気抵抗は、例えば25Ωより小さいことが必要になる。そこで、上記第1および第2電極層20、22と同様の材料から構成され、幅が0.5mmで、長さが20mmの試験片の、厚さ方向の電気抵抗を測定した。この測定結果を図7に示す。なお、実験において、試験片の厚さ(図7中の「電極厚さ」)を、0.001μm、0.01μm、0.1μm、2μmと変えた。その結果、その厚さが0.01μmのとき電気抵抗が20Ωであり、その厚さが0.001μmのとき電気抵抗が88Ωであった。したがって、第1および第2電極層20、22の厚さT1は、0.01μm以上であることが好ましいことが示された。
以上より、本第1実施形態における第1および第2電極層20、22の電極厚さT1は、0.01μm以上、15μm以下であることが望ましいことが理解できる。なお、このときの固体電解質層18の厚さは、概ね0.3mmであるのが好ましい。
次に、本発明の第2実施形態に係るガスセンサ素子110について、以下に説明する。本第2実施形態のガスセンサ素子110は、概ね上記第1実施形態のガスセンサ素子10と同じ構成を有しているが、上記第1実施形態のガスセンサ素子10に対して、基準ガスが導入される基準ガス室が設けられている点が主として相違する。同じ構成要素についての説明を省略して、この相違点に着目して、以下に本第2実施形態のガスセンサ素子110について説明する。
本第2実施形態のガスセンサ素子110の測定部112の、図1のA−A線相当断面図を図8に示す。本第2実施形態の測定部112の固体電解質層118、第1電極層120、第1遮蔽層124は、上記第1実施形態の測定部12の固体電解質層18、第1電極層20、第1遮蔽層24と同様の構成を有している。本第2実施形態の第2電極層122、第2遮蔽層126は、上記の如くガスセンサ素子110が基準ガス室150を有するので、その構造上、上記第1実施形態の第2電極層22、第2遮蔽層26と相違する。第2電極層122は、固体電解質層118の下面134に接して設けられているが、その下面134の全体を覆ってはいない。第2遮蔽層126は、断面Uの字形状またはステープル状であり、図8中左右の縦方向の部分において固体電解質層118と直接に接している。これにより、第2遮蔽層126と固体電解質層118とで基準ガス室150が形成される。第2電極層122は、その基準室150内に配置されており、第2電極層122の周囲は基準ガス室150内に露出している。基準室150内には基準ガスが導入され、第2電極層122は被測定ガスから遮蔽される。基準ガスとしては大気などが有用である。
上記構成であるガスセンサ素子110を有するガスセンサを用いた酸素濃度、特にここでは空燃比の測定について、図9の概念図に基づいて説明する。図9(a)には被測定ガス中の酸素が所定量よりも多いときの酸素の流れを、図9(b)には被測定ガス中の酸素が所定量よりも少ないときの酸素の流れを概念的に示している。なお、図9(a)は、被測定ガスがリーン雰囲気であるときに、図9(b)は、被測定ガスがリッチ雰囲気であるときに対応している。
図9(a)および(b)では、ガスセンサ素子110の周りに排気ガスなどである被測定ガスが流れていて、図9(a)と図9(b)の場合でその被測定ガス中の酸素濃度が異なる。図9(a)の場合には、基準室150内に基準ガスとして大気が導入されていて、被測定ガスは酸素が過多なガス(リーンガス)である。第1電極層120および第2電極層122間に、第1電極層120を陰極として、所定の電圧が電圧印加手段142により印加されると、第1電極層120側から第2電極層122側への酸素のポンピングがポンプセル140で行われるようになる。この結果、第1電極層120側から第2電極層122側へと酸素イオンが流れて、正の出力電流、すなわちポンプ電流が検出されることになる。
一方、図9(b)の場合には、被測定ガスは可燃性ガスが過多なガス(リッチガス)である。その結果、第1電極層120および第2電極層122間に、第1電極層120を陰極として、所定の電圧が電圧印加手段142により印加されると、第2電極層122側から第1電極層120側への酸素のポンピングがポンプセル140で行われるようになり、第1電極層120上で可燃性ガスとポンピングされた酸素とが反応するようになる。すなわち、第2電極層122側から第1電極層120側へと酸素イオンが流れて、負のポンプ電流が検出されることになる。
このようにして検出されるポンプ電流の値は、被測定ガスの空燃比に比例する。したがって、被測定ガス中の酸素濃度に対応するポンプ電流の値を予めデータテーブル化しておき、そのデータテーブルをポンプ電流の値で検索することで、被測定ガス中の空燃比が測定可能になる。また、この第2実施形態のガスセンサ素子110の構造では、第1電極層120と第2電極層122との間の電圧を測ることでも被測定ガス中のλ特性、酸素濃度、または空燃比を測ることができる。これは酸素濃淡電池を応用したものである。
ところで、上記した第1および第2実施形態で示したガスセンサ素子10、110を有するガスセンサでは、排気ガスなどの被測定ガスの温度が、固体電解質層18、118の活性温度である、例えば650℃から900℃である場合に、上記の如く酸素のポンピングが生じて、適切に酸素濃度等を測定可能になる。しかしながら、被測定ガスの温度がそのような活性温度でない場合には、固体電解質層18、118が活性温度にまで暖められず、適切に酸素濃度等を測定することができない。そこで、固体電解質層18、118をその活性温度まで加熱するように、例えば外部ヒータ等によりガスセンサ素子10、110を加熱するようにしても良い。あるいは、外部ヒータ等の外部加熱手段を用いるのではなく、ポンプセル40、140、特に固体電解質層18、118をその活性温度にまで加熱するために、ガスセンサ素子10、110内に加熱手段を備えるようにしても良い。この例を次に、本発明の第3および第4実施形態として図10および図11に基づいて説明する。
本第3実施形態のガスセンサ素子210の構成は、上記第1実施形態のガスセンサ素子10に加熱手段としてのヒータ260を追加した構成に相当する。ヒータ260は電熱式であり、上記第2遮蔽層26と同じ構成を有する本第3実施形態の第2遮蔽層226に設けられている(図10参照)。これにより、第2遮蔽層226を介して、固体電解質層218と第1および第2電極層220、222とからなるポンプセル240は、その活性温度にまで加熱されることになる。
また、本第4実施形態のガスセンサ素子310の構成は、上記第2実施形態のガスセンサ素子110に加熱手段としてのヒータ360を追加した構成に相当する。ヒータ360は上記ヒータ260と同様に電熱式であり、上記第2実施形態の第2遮蔽層126と同じ構成を有する本第4実施形態の第2遮蔽層326に設けられている。これにより、上記第3実施形態と同様に、固体電解質層318を含むポンプセル340は、その活性温度にまで加熱されることになる。
ただし、第3および第4実施形態は、ヒータ260、360の配設箇所を限定するものではなく、加熱手段としてのヒータ260、360は他の箇所に設けられても良い。例えば、上記第1遮蔽層24、124と同じ構成を有する第1遮蔽層224、324に設けられても良いし、または、第1電極層220、320上に設けられた第1遮蔽層224、324および、第2電極層222、322下に設けられ、あるいはそれを囲うように設けられた第2遮蔽層226、326の両方に設けられても良い。
以上、例示したガスセンサなど、本発明に係るガスセンサを用いるときに、例えばその印加電圧を上述した印加電圧直線αと同様に変化させるようにしても良い。また、印加電圧を例えば0.5Vといように、固定としても良い。
また、上記実施形態では、本発明を積層型構造のガスセンサ素子に適用した例について説明したが、本発明は多孔質の電極層の周縁面が被測定ガスに向けて露出する構造であれば、例えば、固体電解質層が縦断面においてU字型をなす、いわゆるコップ型構造のガスセンサにも適用できる。
なお、上記実施形態では、本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明については、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。すなわち、本発明は特許請求の範囲およびその等価物の範囲および趣旨に含まれる修正および変更を包含するものである。
第1実施形態のガスセンサ素子の側面図である。 図1のガスセンサ素子のA−A線に沿った概念的な断面図である。 第1実施形態のガスセンサ素子における、酸素のポンピングを説明するための図であり、(a)は電圧の印加方向を説明するための概念図であり、(b)は酸素のポンピング中の状態を表した概念図である。 第1実施形態におけるガスセンサ素子の特性を説明するためのグラフであり、(a)は被測定ガス中の種々の酸素濃度における電圧−電流曲線を重ねて示した図であり、(b)は(a)中のそれら曲線と線αとの交点での酸素濃度と電流値との関係を示した図である。 第1実施形態のガスセンサ素子における、電極厚さに対する限界電流の傾きを表したグラフである。 図5と連関したグラフであり、第1実施形態のガスセンサ素子における、限界電流の傾きに対する温度依存性を表したグラフである。 電極材料からなる試験片の厚さを変えたときの、その厚さに対する電気抵抗を表したグラフである。 第2実施形態のガスセンサ素子の測定部の、図1のA−A線相当断面図であり、図2と同様に概念的に表した図である。 第2実施形態のガスセンサ素子における酸素のポンピングを説明するための図であり、(a)は被測定ガス中の酸素が所定量よりも多いときの酸素のポンピングを、(b)は被測定ガス中の酸素が所定量よりも少ないときの酸素のポンピングを表した概念図である。 第3実施形態のガスセンサ素子の測定部の、図1のA−A線相当断面図であり、図2と同様に概念的に表した図である。 第4実施形態のガスセンサ素子の測定部の、図1のA−A線相当断面図であり、図2と同様に概念的に表した図である。
符号の説明
10、110、210、310 ガスセンサ素子
12、112、212、312 測定部
18、118、218、318 固体電解質層
20、120、220、320 第1電極層
22、122、222、322 第2電極層
24、124、224、324 第1遮蔽層
26、126、226、326 第2遮蔽層
40、140、240、340 ポンプセル
150、350 基準ガス室
260、360 ヒータ

Claims (5)

  1. 互いに表裏をなす第1および第2の主面を有する酸素イオン導電性の固体電解質層と、
    前記第1の主面と接するように設けられた多孔質の第1電極層と、
    前記第2の主面と接するように設けられた多孔質の第2電極層と、
    前記第1電極層における、前記第1の主面とは反対側を向いた外側主面を覆って形成されたガス遮蔽性の遮蔽層と、
    を備え、
    前記第1電極層を陰極とし、
    前記第1電極層における周縁面は被測定ガスに曝されることを特徴とするガスセンサ素子。
  2. 前記第2電極層に接するように基準ガス室を形成すると共に、前記第2電極層を被測定ガスから遮蔽する遮蔽層を更に設けたことを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ素子。
  3. 前記固体電解質層を加熱する加熱手段を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスセンサ素子。
  4. 前記第1および第2電極層の厚さは、0.01μm以上、15μm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のガスセンサ素子。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載のガスセンサ素子を備えるガスセンサ。
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