JP2008013645A - 浸透型吸水防止材 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗布性、多孔性材料への浸透性に優れ、長期間にわたって優れた吸水防止効果を発揮すると共に、長期間の保存安定性に優れた、コンクリート等の構造物用多孔性材料の吸水防止剤として好適な浸透型吸水防止材を提供する。
【解決手段】(A)アルキルアルコキシシラン、(B)非極性溶媒、(C)界面活性剤、(D)水からなる浸透型吸水防止材。上記(C)界面活性剤は、非イオン性界面面活性剤、特に保存安定性の面からHLB値15以上の非イオン性界面面活性剤が好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】(A)アルキルアルコキシシラン、(B)非極性溶媒、(C)界面活性剤、(D)水からなる浸透型吸水防止材。上記(C)界面活性剤は、非イオン性界面面活性剤、特に保存安定性の面からHLB値15以上の非イオン性界面面活性剤が好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、塗布性、多孔性材料への浸透性に優れ、長期間にわたって優れた吸水防止効果を発揮すると共に、長期間の保存安定性に優れた浸透型吸水防止材に関する。
コンクリート等の構造物用多孔性材料の吸水防止剤としては、アルキルアルコキシシランを主成分としたシラン系浸透型吸水防止材が知られている。このシラン系浸透型吸水防止材としては、溶剤タイプのものと水系タイプのものが知られている。
溶剤タイプはアルキルアルコキシシランを溶剤に可溶化させたものであるが、火災、爆発や中毒の危険性から水系化が望まれている。一方、水系タイプとしては界面活性剤を用いてアルキルアルコキシシランを乳化したエマルジョンタイプが上市されているが、加水分解性をもつアルキルアルコキシシランを乳化しているために本質的に安定性に問題がある。
この問題を解決する手段として多くの場合、オルガノポリシロキサンを併用しており(特許文献1、2、3)、ある程度安定性の問題は解決される。しかし、不揮発性のオルガノポリシロキサンはコンクリートなどに塗布した場合、浸透せず表層に残る。そのためにコンクリート表面の撥水汚染や浸透性の低下、乾燥性の遅延などの問題があった。またエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を重ね塗り(二度塗り)した場合、重ね塗り部の成分が浸透せず表面が白化現象を起こす問題があった。
特開平5−170574号公報
特開2004−315631号公報
特開2004−338980号公報
本発明は、上記従来技術の欠点を改善し、多孔性材料への浸透性に優れ、長期間にわたって優れた吸水防止効果を発揮すると共に、長期間の保存安定性に優れた浸透型吸水防止材を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、アルキルアルコキシシラン、界面活性剤及び水からなるエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材において、非極性溶媒を加えることにより、経時変化の少ない安定な浸透型吸水防止材が得られること、並びにこの系はオルガノポリシロキサンを使用しないのでコンクリート表面の問題も発生しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(A)アルキルアルコキシシラン、(B)非極性溶媒、(C)界面活性剤、(D)水からなる浸透型吸水防止材である。
本発明の浸透型吸水防止材は、多孔性材料への浸透性に優れ、長期間にわたって優れた吸水防止効果を発揮すると共に、長期間の保存安定性に優れている。また、オルガノポリシロキサンを使用していないので、表面汚染、乾燥性の遅延等のコンクリート表面の問題も発生しない。更に、経年変化によりリコートが必要となった場合でも、重ね塗りで十分な再浸透性が得られる。
本発明の(A)成分であるアルキルアルコキシシランは一般式(1)で表わされるものである。
(1) R1 XSi(OR2)4−X
式(1)中、R1は同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、R2は同一または異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基又は水素原子、Xは1又は2の整数である。
(1) R1 XSi(OR2)4−X
式(1)中、R1は同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、R2は同一または異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基又は水素原子、Xは1又は2の整数である。
式(1)中のR1の例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基のようなヘキシル基、n−ヘプチル基のようなヘプチル基、n−オクチル基及び2,2,4−トリメチルペンチル基のようなオクチル基、n−ノニル基のようなノニル基、n−デシル基のようなデシル基及びn−ドデシル基のようなドデシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基及びメチルシクロヘキシル基のようなシクロアルキル基であり、分子中で同一または異なっていてもよい。好ましいR1は、炭素数4〜10のアルキル基である。
式(1)中のR2の例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基のようなヘキシル基であり、分子中で同一または異なっていてもよい。これらのなかでも好ましいR2は炭素数1又は2のアルキル基である。
本発明に用いる(B)成分の非極性溶媒とは、誘電率が小さく(15〜20F/m以下)、双極子モーメントが小さい溶媒のことで、脂肪族炭化水素系、不飽和脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、脂環式炭化水素系、揮発性シリコーン系などが挙げられる。例として脂肪族炭化水素であるペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなど、不飽和脂肪族炭化水素系であるペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デケンなど、もしくはその混合物であるイソパラフィン系溶媒、芳香族炭化水素であるベンゼン、トルエン、キシレンなど、脂環式炭化水素であるシクロペンタン、シクロヘキサン、揮発性シリコーンであるオクタメチルテトラシロキサン、デカメチルペンタシロキサンなど公知の非極性溶媒であれば何れのものも使用できるが、臭気、安全性、環境への影響、経済性などから炭化水素系溶媒および/または表面に残らない揮発性シリコーン、特に脂肪族炭化水素系および/または脂環族炭化水素系を主成分とする溶媒が好ましく、最も好ましいのはイソパラフィン系溶媒である。
また、高沸点のものほどエマルジョンの経時安定性への寄与が高い傾向があり、非極性溶媒として沸点範囲150℃以上のものを60重量%以上含むもの、特に沸点範囲200℃以上のものを60重量%以上含むものの使用が好ましい。
本発明の浸透型吸水防止材は、一般的にエマルジョンの粘度が20,000mPa・s未満であることが好ましく、浸透型吸水防止材がこの粘度となるためには基本的に(D)水が30重量%以上含まれていることが必要である。(A)アルキルアルコキシシランの濃度の下限は、特に制限されないが効果の点から5重量%程度である。
また、(B)非極性溶媒は(A)アルキルアルコキシシラン100重量部に対し、(B)1〜1000重量部の割合、特に5〜400重量部が好ましい。
本発明の(C)界面活性剤成分には、各種の公知の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の具体例は、アニオン性界面活性剤としては、炭素原子数8〜18の鎖長を有するアルキルスルフェート、疎水性基中に8〜18個の炭素原子数を有し、かつ1〜40個のエチレンオキシド(EO)又はプロピレンオキシド(PO)単位を有するアルキル及びアルカリールエーテルスルフェート、8〜18個の炭素原子数を有するアルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、一価アルコール又はアルキルフェノールとのスルホコハク酸のエステル及び半エステルを挙げることができる。
非イオン性界面活性剤としてはポリビニルアルコール、3〜40個のエチレンオキシド(EO)単位及び8〜20個の炭素原子数を有するアルキルとからなるアルキルポリグリコールエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロック共重合体、アルキルアミンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加生成物などを挙げることができる。
カチオン性界面活性剤としては炭素原子数8〜24個を有する第一級、第二級及び第三級脂肪アミンの塩、第四級アルキル及びアルキルベンゾールアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩及びアルキルオキサゾリニウム塩、長鎖の置換アミノ酸、ベタインなどを挙げることができる。
界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、特に保存安定性の面からHLB値15以上の非イオン性界面活性剤が好ましい。
本発明で用いる界面活性剤の量は、エマルジョンに対して通常0.1〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明のクリーム状浸透型吸水防止材を製造する方法は、特に限定されないが、通常、室温下、水と界面活性剤(C)との混合液をホモミキサー、ウルトラディスパーザー、高圧ホモジナイザー等で撹拌し、次いでアルキルアルコキシシラン(A)と非極性溶媒(B)を添加しながら粗乳化物を調整し、高速で撹拌することにより製造することができる。あるいは調整した粗乳化物をコロイドミルにて乳化することも可能である。
本発明で用いる界面活性剤の量は、エマルジョンに対して通常0.1〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明のクリーム状浸透型吸水防止材を製造する方法は、特に限定されないが、通常、室温下、水と界面活性剤(C)との混合液をホモミキサー、ウルトラディスパーザー、高圧ホモジナイザー等で撹拌し、次いでアルキルアルコキシシラン(A)と非極性溶媒(B)を添加しながら粗乳化物を調整し、高速で撹拌することにより製造することができる。あるいは調整した粗乳化物をコロイドミルにて乳化することも可能である。
本発明のクリーム状浸透型吸水防止材を製造する際には、本発明の目的を損なわない範囲で防腐剤、防蟻剤、紫外線吸収剤、香料、防食剤および消泡剤などを適宜添加してもよい。これらの添加物はエマルジョンに対して2重量%以下が好ましい。
本発明の浸透型吸水防止材を多孔性材料に塗布するには、ローラー、刷毛、スプレー等を用いる。また、乾燥方法としては、室温下に放置して乾燥させても良いし、天日乾燥、加熱乾燥でも良い。
本発明の浸透型吸水防止材を塗布する多孔性材料としては、例えば多孔性土木建築材料があり、さらに詳しくは、打放しコンクリート、軽量コンクリート、プレキャストコンクリート、軽量発泡コンクリート(ALC)、モルタル、目地モルタル、石綿セメント板、パルプセメント板、木毛セメント板、セメント系押出成形板、ガラス繊維入りセメント板(GRC)、カーボン繊維入りセメント板、珪酸カルシウム板、石膏ボード、ハードボード、漆喰、石膏プラスター、ドロマイトプラスター、ブロック、レンガ、タイル、瓦、天然石、人工石、ガラスウール、ロックウール、セラミックファイバー等の無機質材料を主成分とする材料、および木材、合板、パーティクルボード等の有機質材料を主成分とする材料が挙げられる。
本発明の浸透型吸水防止材は、長期間にわたって、激しい風雨による雨水の漏水、酸性雨による材料の劣化、汚れのしみ込み、海水による塩害、寒冷地における凍害、材料中の塩の溶出による白華等の水に起因する種々の問題を解決することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の記載において「部」は「重量部」を意味する。
実施例1
水58.9部とエチレンオキサイドが20モル付加しているポリオキシエチレントリデシルエーテル1.1部を混合・攪拌し、次いでオクチルトリエトキシシラン20部およびイソパラフィン系溶媒−1の20部を注ぎ粗乳化物を調製した。得られた粗乳化物をコロイドミルにて乳化し、本発明のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
水58.9部とエチレンオキサイドが20モル付加しているポリオキシエチレントリデシルエーテル1.1部を混合・攪拌し、次いでオクチルトリエトキシシラン20部およびイソパラフィン系溶媒−1の20部を注ぎ粗乳化物を調製した。得られた粗乳化物をコロイドミルにて乳化し、本発明のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
実施例2〜6
実施例1のイソパラフィン系溶媒−1の代わりにイソパラフィン系溶媒−2〜6を用い、それ以外は実施例1と同様に同成分かつ同方法で本発明のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
実施例1のイソパラフィン系溶媒−1の代わりにイソパラフィン系溶媒−2〜6を用い、それ以外は実施例1と同様に同成分かつ同方法で本発明のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
比較例1
イソパラフィン系溶媒−1を使用せず、水の量を78.9部とした以外は実施例1と同方法で比較用のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
イソパラフィン系溶媒−1を使用せず、水の量を78.9部とした以外は実施例1と同方法で比較用のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
比較例2
イソパラフィン系溶媒−1を使用せず、オクチルトリエトキシシランの量を40部とした以外は実施例1と同方法で比較用のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
イソパラフィン系溶媒−1を使用せず、オクチルトリエトキシシランの量を40部とした以外は実施例1と同方法で比較用のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
比較例3
イソパラフィン系溶媒−1に代えてポリエチレングリコールモノメチルエーテルを用いた以外は実施例1と同方法で比較用のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
イソパラフィン系溶媒−1に代えてポリエチレングリコールモノメチルエーテルを用いた以外は実施例1と同方法で比較用のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
比較例4
アルキルアルコキシシラン15部とイソプロピルアルコール85部を混合し、比較用の浸透型吸水防止材を得た。
アルキルアルコキシシラン15部とイソプロピルアルコール85部を混合し、比較用の浸透型吸水防止材を得た。
比較例5
イソパラフィン系溶媒−1に代えてオクチルトリエトキシシランの部分加水分解物を用いた以外は実施例1と同方法で比較用のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
イソパラフィン系溶媒−1に代えてオクチルトリエトキシシランの部分加水分解物を用いた以外は実施例1と同方法で比較用のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を得た。
これらのエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材について、以下の方法で性能を評価した。組成と共に結果を表1に示す。
[評価方法]
(保存安定性(粒子径))
実施例および比較例で得られたエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材100gを150ml容量のポリエチレン製の容器に入れ、室温で6ヶ月間静置した。経時後にコールターカウンター社の粒度分布測定装置 LS230にて粒子径の測定を行った。
(乾燥時間)
JIS A5758に準じたJISモルタル(50×50×15 m/m)を供試体として使用し、実施例および比較例で得られたエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を200g/m2の割合で全面に塗布した。塗布供試体を25℃、50%RH下で養生し、表面外観が塗布前と変わらなくなるまでに要した時間を乾燥時間とした。
(浸透深さ)
JIS A5758に準じたJISモルタル(50×50×15 m/m)を供試体として使用し、実施例および比較例で得られたエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を200g/m2の割合で全面に塗布した。得られた供試体を垂直に立てて25℃、50%RH下で7日間養生した後、塗布供試体を割裂した。割裂面を水に浸して水による濡れ色を示さなかった部分(疎水層)の深さを12点測定し、最も深い点と浅い点を除いた計10点の平均値を浸透深さとした。
(粘度)
実施例および比較例から得られたエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を25℃に調整し、それぞれを芝浦システム株式会社の単一円筒型回転粘度計(型式 VS−A1)にて同一条件(ローター;No.2, 60rpm、1分)で回転粘度を測定し、3回の平均値をそのエマルジョンの粘度とした。
(リコート性、白化性)
JIS A5758に準じたJISモルタル(50×50×15 m/m)を供試体として使用し、実施例および比較例で得られたエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を200g/m2の割合で50×50m/mの面に塗布した。30分後、まだ乾燥しきらない表面に再度同量のエマルジョンを塗布し、エマルジョンが均一にムラなく塗布できるかどうかでリコート性を判断した。供試体を25℃、50%RH下で7日間養生した後、表面を観察し、白化や変色が起きていないかを確認した。
[評価方法]
(保存安定性(粒子径))
実施例および比較例で得られたエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材100gを150ml容量のポリエチレン製の容器に入れ、室温で6ヶ月間静置した。経時後にコールターカウンター社の粒度分布測定装置 LS230にて粒子径の測定を行った。
(乾燥時間)
JIS A5758に準じたJISモルタル(50×50×15 m/m)を供試体として使用し、実施例および比較例で得られたエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を200g/m2の割合で全面に塗布した。塗布供試体を25℃、50%RH下で養生し、表面外観が塗布前と変わらなくなるまでに要した時間を乾燥時間とした。
(浸透深さ)
JIS A5758に準じたJISモルタル(50×50×15 m/m)を供試体として使用し、実施例および比較例で得られたエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を200g/m2の割合で全面に塗布した。得られた供試体を垂直に立てて25℃、50%RH下で7日間養生した後、塗布供試体を割裂した。割裂面を水に浸して水による濡れ色を示さなかった部分(疎水層)の深さを12点測定し、最も深い点と浅い点を除いた計10点の平均値を浸透深さとした。
(粘度)
実施例および比較例から得られたエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を25℃に調整し、それぞれを芝浦システム株式会社の単一円筒型回転粘度計(型式 VS−A1)にて同一条件(ローター;No.2, 60rpm、1分)で回転粘度を測定し、3回の平均値をそのエマルジョンの粘度とした。
(リコート性、白化性)
JIS A5758に準じたJISモルタル(50×50×15 m/m)を供試体として使用し、実施例および比較例で得られたエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材を200g/m2の割合で50×50m/mの面に塗布した。30分後、まだ乾燥しきらない表面に再度同量のエマルジョンを塗布し、エマルジョンが均一にムラなく塗布できるかどうかでリコート性を判断した。供試体を25℃、50%RH下で7日間養生した後、表面を観察し、白化や変色が起きていないかを確認した。
比較例1のようにアルキルアルコキシシランのみのエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材は経時変化が大きく、シランの分離が起こり経時後の粒子径および粘度は測定できなかった。さらにアルキルアルコキシシランを高濃度で配合した比較例2は比較例1よりも経時変化が早く、同様に経時後の粒子径および粘度は測定できなかった。また、比較例3のように極性溶媒を用いて乳化しようとするとエマルジョンは得られなかった。それに対して、非極性溶媒を併用した実施例のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材は経時変化が大きく改善され、長期的に安定化することがわかる。また、より高沸点な(200℃以上)非極性溶媒を用いることで経時変化のないエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材が得られることが示された。また、比較例4の溶剤タイプの浸透型吸水防止材例と実施例のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材の浸透深さを比較すると、エマルジョンタイプの方が基材に対してより深く浸透することが確認された。さらに、不揮発性オルガノポリシロキサンを配合した比較例5と実施例のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材のリコート性を比較すると、実施例のエマルジョンは完全に乾ききらないうちでも再塗布可能であるのに対し、比較例5のエマルジョンはムラになり、局所的にしか塗布することができなかった。また、乾燥後にそれぞれのモルタル表面を観察したところ、比較例5のエマルジョンで処理したモルタルの表面には白く跡が残っていた。これは再塗布したエマルジョンの成分がモルタル内部に浸透せずに表面に残り、白化が起きたからである。一方、実施例のエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材で処理したモルタル表面は処理前と何も変わらず、本発明から得られるエマルジョンタイプの浸透型吸水防止材はリコート性に優れ、白化現象を引き起こさないことが示された。
以上のことから本発明組成物は、上記問題点を解決し安定なエマルジョンを提供するため非常に有用であることが示された。
Claims (7)
- (A)アルキルアルコキシシラン、(B)非極性溶媒、(C)界面活性剤、(D)水からなる浸透型吸水防止材。
- (A)アルキルアルコキシシラン100重量部に対し、(B)非極性溶媒を1〜1000重量部の割合で含む請求項1記載の浸透型吸水防止材。
- (C)界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項1又は2記載の浸透型吸水防止材。
- (C)界面活性剤がHLB値15以上の非イオン性界面活性剤である請求項3記載の浸透型吸水防止材。
- (B)非極性溶媒が炭化水素系および/または揮発性シリコーンからなる請求項1〜5の何れか1項記載の浸透型吸水防止材。
- (B)非極性溶媒が沸点範囲150℃以上のものを60重量%以上含む溶媒である請求項6記載の浸透型吸水防止材。
- (B)非極性溶媒が沸点範囲200℃以上のものを60重量%以上含む溶媒である請求項6記載の浸透型吸水防止材。
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