JP2008013525A - ナリンゲニン誘導体、それを含有するグルコース取込み促進剤及び血糖値上昇抑制剤 - Google Patents

ナリンゲニン誘導体、それを含有するグルコース取込み促進剤及び血糖値上昇抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】筋肉細胞への糖取込み活性を促進させることにより、血糖上昇抑制効果や脂肪増加抑制効果を有する治療又は予防剤や、かかる治療剤を含有する飲食品を提供する。
【解決手段】下記の一般式
Figure 2008013525

(式中、R1は6単糖−n分子数(n≠0)と5単糖−m分子数(m≠0)を示し、R2は水素原子を示す。*は異性体であることを示す。)で表されるナリンゲニン誘導体や、該ナリンゲニン誘導体を含有する抽出物やグルコース取込み促進剤や血糖値上昇阻害剤や、これらを含む飲食物を用いる。
【選択図】図3

Description

本発明は、新規ナリンゲニン誘導体、それを含有するグルコース取込み促進剤及び血糖値上昇抑制剤に関する。
食生活が豊かになるにつれ、「肥満」は現代人が抱える最も深刻な悩みの一つとなっている。肥満は、美容的に好ましくないばかりか、糖尿病、動脈硬化、高トリアシルグリセロール血症、高コレステロール血症、血栓症等疾患などの様々な疾病を引き起こすことが知られている。
肥満は、脂肪細胞の分化・肥大、或いは脂肪細胞数そのものの増加により生じるが、いずれの場合にも“グルコースの取込み”が深く関与している。グルコースは極性物質であるため、血中から各細胞にグルコースが取り込まれるには輸送担体(glucose transporter:GLUT)が必要である。現在9種類以上のGLUTがクローニングされており、その中で生体内の糖・脂質代謝に大きく関与する脂肪細胞には主にGLUT1及びGLUT4が発現している。その中でも特にGLUT4は脂肪細胞の膜上におけるグルコースの取込み活性に主要な役割を果たしていることが知られている。
GLUT4は、インスリン感受型GLUTと呼ばれ、通常は脂肪細胞及び筋肉細胞における細胞内小胞に存在し、インスリンの刺激を受けると細胞膜上に移行(トランスロケーション)し、グルコースを取り込める状態とする。GLUT4のトランスロケーションは、インスリンが受容体に結合し、受容体のβサブユニットが自己リン酸化することが情報伝達の開始となり、その後インスリン受容体基質(IRS)のリン酸化、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(phosphoinositide 3-kinase, PI3K)の活性化、Akt/Protein Kinase Bの活性化という経路を介して細胞内の小胞体から細胞膜へのエキソサイトーシスにより、移行が完了する。また、GLUT4は、筋肉細胞内により多くのグルコースを移動させる働きを為し、運動選手は一般の人よりもGLUT4が多いことなども報告されている(「炭水化物ローディングの最新知見」慶応義塾大学スポーツ医学研究センター紀要
1996)。
肥満の増加を反映して、糖尿病患者数が増える傾向にある。糖尿病は、いったん発症するとなかなか完治しづらいばかりか、合併症を発症し易いやっかいな疾病である。
糖尿病患者に特異的に発症する合併症として、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害などあり、糖尿病三大合併症とも呼ばれている。これらの合併症は、細かい血管の病変に基づく細小血管障害に因ると考えられている。具体的には、プロテインキナーゼC等の酵素の働きが異常に亢進して細胞機能が低下したり、高血糖の持続により酵素などの蛋白質にグルコースが化学結合して酵素機能が低下したり、高血糖による代謝障害のためにソルビトール(糖アルコール)が細胞内に蓄積して細胞障害を起こしたりして、これが原因で細小血管の細胞や血液細胞に異常が生じ合併症を発症すると考えられている。
例えば、特許文献1には、ナリンゲニンを有効成分とする脂質代謝改善剤が記載されており、さらにナリンゲニンを有効成分とする高脂血症治療又は予防剤、高コレステロール血症治療又は予防剤、動脈硬化症治療又は予防剤、心筋梗塞症治療又は予防剤が記載されている。また、特許文献2には、ナリニンゲンを配合した脂質代謝改善に有効な食品について記載されている。
さらに、非特許文献1には、ナリンゲニンが、GLUT4トランスロケーションの主要調節物質であるホスファチジルイノシトール3キナーゼ(phosphoinositide 3-kinase, PI3K)の阻害作用を有することや、グレープフルーツ由来のナリンゲニンが投与量依存的に3T3−L1脂肪細胞におけるグルコース取込み活性を阻害することが記載されている。また、非特許文献2(Breast
Cancer Research and Treatment, 85, 2, 103-110, 2004)には、ナリンゲニンがマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)のリン酸化を阻害し、乳癌細胞におけるグルコース取込み阻害活性阻害に深く関与していると思われる。
しかし、特定の配糖体を有するナリンゲニンが筋肉細胞へのグルコース取込み活性を促進することや、かかるナリンゲニンが血糖上昇抑制効果を有することや、脂肪増加抑制を有することはこれまで知られていなかった。
特開平8−283154 特開平8−280358 Biochenical and Biophysical ResearchCommunications35, 2, 229-234, 2003 Breast Cancer Research and Treatment, 85,2, 103-110, 2004
本発明の目的は、筋肉細胞への糖取込み活性を促進させることにより、血糖上昇抑制効果や脂肪増加抑制効果を有する治療又は予防剤やかかる治療剤を含有する飲食品を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、次の化学式[1]で表されるナリンゲニンに筋肉細胞へのグルコース取込み作用や血糖上昇抑制作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
Figure 2008013525
すなわち本発明は、
(1) 下記の一般式〔I〕
Figure 2008013525
(式中、R1は6単糖−n分子数(n≠0)と5単糖−m分子数(m≠0)を示し、R2は水素原子を示す。*は異性体であることを示す。)で表されるナリンゲニン誘導体、
(2) 5単糖の分子数が1である(m=1)ことを特徴とする上記(1)記載のナリンゲニン誘導体、
(3) 6単糖の分子数が3である(n=3)ことを特徴とする上記(1)又は(2)記載のナリンゲニン誘導体。
(4) 発酵茶由来であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載のナリンゲン誘導体。
(5) 上記(1)〜(3)のいずれか記載のナリンゲン誘導体を含有する植物由来抽出物。
(6) 抽出物が熱水抽出物又は水溶性抽出物であることを特徴とする上記(5)記載の植物由来抽出物。
(7) 発酵茶由来であることを特徴とする上記(5)又は(6)記載の植物由来抽出物。
(8) 上記(1)〜(4)のいずれか記載のナリンゲン誘導体及び/又は上記(5)〜(7)のいずれか記載の植物由来抽出物を有効成分として含有するグルコース取込み促進剤。
(9) 上記(1)〜(4)のいずれか記載のナリンゲン誘導体及び/又は上記(5)〜(7)のいずれか記載の植物由来抽出物を有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤に関する。
本発明によれば、グルコース取込み活性化合物やグルコース取込み活性化促進剤や血糖上昇抑制剤や、これらを含む飲食品を提供することができる。
ナリンゲニンとは、一般的に4’,5,7−トリヒドロキシフラバノン(4’, 5,
7-trihydroxyflavanone)を指すものであり、フラバノン類の代表的な化合物である。本発明におけるナリニンゲン誘導体は、7位の糖鎖に特徴的な構成を有するものであり、関与する糖種はグルコースとラムノースの6単糖とキシロースなどの5単糖で構成されている。さらに2位の部分で異性体を構成することもわかっており、本発明のナリニンゲン誘導体に含まれる。本発明のナリンゲニン誘導体の構造式を以下に示す。
Figure 2008013525
本発明におけるナリンゲニン誘導体には、グルコース2分子とラムノース1分子に5単糖が1分子で構成された構造を有するものも含まれる。かかる構成を有するナリンゲニン誘導体にも、2位の位置(*の部分)で異性体が認められる。(以下、化合物1、2と呼ぶことがある。)化合物1の化学構造を以下に示す。
Figure 2008013525
また、本発明におけるナリンゲニン誘導体には、母核の7位の糖鎖が6単糖2分子と5単糖1分子で構成されたものも含まれる。上記の化合物と同じく2位で部分構造の差が認められる。(以下、化合物3,4と呼ぶことがある。)化合物2の化学構造を以下に示す。
Figure 2008013525
なお、ナリニンゲン誘導体には、6単糖2分子で構成されグルコース1分子とラムノース1分子で構成され5単糖を持たないものもあることがわかっている。上記化合物と同様に、2位で部分構造の差が認められる。(以下、化合物5、6と呼ぶことがある。)実施例中に記載されているように、化合物6のグルコース取込み活性は、化合物1及び2のグルコース取込み活性と比較して弱いものであった。化合物6の化学構造を以下に示す。
Figure 2008013525
ちなみに、同じ紅茶抽出物であるテアフラビンが、筋肉細胞へのグルコース取込み促進作用、脂肪細胞へのグルコース取込み阻害作用、血糖値上昇抑制作用等を有することは公知である(特開2006−1929)。しかし、本発明者らは構造を解析した結果、本発明の作用効果に関与する化合物がテアフラビン類でなく、新規ナリンゲニン誘導体であることを明らかにした。参考までにテアフラビン類の構造を以下に示すが、テアフラビン類には、(1)7員環部分があること、(2)ガレートが構成に存在する化合物があること、(3)糖鎖がないことから、本発明におけるナリンゲニン誘導体と構造的に明らかに異なる。
Figure 2008013525
なお、テアフラビン類は酢酸エチル層に移行しやすく、本発明の化合物は分配後の水相を合成吸着樹脂で処理し、単離したため極性がかなり高かったが、これはOH基の数に起因しているようである。すなわち、テアフラビン類と本発明のナリンゲニン誘導体とは極性が異なるといえる。
本発明におけるナリンゲニン誘導体は、筋肉細胞へのグルコース取込み活性を有する。上述のように、ナリンゲニンが脂肪細胞へのグルコース取込み阻害活性や、癌細胞へのグルコース取込み阻害活性を有し、よってナリンゲニンが肥満防止作用や癌細胞増殖抑制作用を有することは公知である。しかし、特定のナリンゲニン誘導体が筋肉細胞へのグルコース取込み促進活性を有することは知られていなかった。本発明のナリンゲニン誘導体は、活力増強、持久力向上、滋養強壮、抗疲労、血糖値上昇抑制について効果を有する。
本発明におけるナリンゲニン誘導体は、天然由来、生合成、化学合成のいずれの方法により得られたものでもよいが、入手容易性や工業的コスト等を考慮すると植物から抽出により得られたものが好ましい。対象となる植物は、本発明のナリンゲニン誘導体を抽出できるものであれば特に限定されないが、茶類、特に紅茶等の発酵茶が好ましい。
本発明のナリンゲニン誘導体の抽出方法は、本発明のナリンゲニン誘導体を抽出できるものであれば何ら限定されないが、熱水抽出、エタノール等のアルコール抽出等が簡便性の観点から好ましい。該ナリンゲニン誘導体は、抽出後に1又は2回以上の精製工程を経た、高純度のものを使用することができるのは当然であるが、本発明における活性が失われない限りにおいて該ナリンゲニン誘導体を含有する抽出物や画分を代わりに用いることができる。
本発明のナリンゲニン誘導体又は該誘導体を含有する抽出物や画分は、これらを有効成分とする薬剤や飲食品に配合することができる。
本発明におけるナリンゲニン誘導体の食品中の総含有量は、適用する食品や個体差(個人差、人種差、動物種差など)等によって異なるが、0.001〜99.9w/w%が適当であり、好ましくは0.01w/w%、さらに好ましくは0.1〜5w/w%である。0.001w/w%より少ないと本発明における十分な活性が期待できないおそれがある。
本発明における飲食物は、飲食物を製造する工程中に適当な段階でナリンゲニン誘導体そのもの、抽出物や画分、又はこれらを含有する混合物を添加し常法に従って混合し、その他は当該飲食物の通常の製造方法によって製造することができる。また、ナリンゲニン誘導体を含有する混合物を一旦製造された飲食品に添加し、常法により混合することにより製造することもできる。
添加するナリンゲニン誘導体の形態は、ナリンゲニン誘導体の結晶や粉末であってもよいし、適当な賦形剤や飲食物中の原料の一部とナリンゲニン誘導体を混合させたものでもよい。また、ナリンゲニン誘導体をエタノールやその水溶液等に溶解されたものであってもよい。適当な賦形剤としては、澱粉、乳糖、セルロース、デキストリン、糖アルコール、増粘多糖類などを挙げることができる。
本発明における飲食物の投与対象は特に限定されない。人間が摂取する飲食物はもちろんのこと、犬、猫、ウサギ、ラット、マウスなどの人間以外の哺乳動物用の飼料をも含むものである。また、飲食物の添加物には嗜好品などもふくまれる。具体的には、パン、麺、ビスケット等の小麦加工品や、ビスケット、ケーキ、キャンディー、ゼリー、チョコレート等の菓子類や、みそ等の発酵食品や、かまぼこ、ちくわ等の水産練製品や、ハム、ソーセージ、チーズ等の畜産食品や、たれ、ドレッシング、ソース等の調味食品や、コーヒー飲料、茶類飲料、穀物抽出飲料(麦茶、豆茶、トウモロコシ茶など)、野菜飲料、果実飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、天然水、スポーツ用飲料、各種機能性飲料等の飲料や、サプリメント等の健康食品などを挙げることができるが、各種飲料に配合することが摂取簡便性の観点から特に好ましい。また本発明におけるナリンゲニン誘導体は、茶類、特に発酵茶、とりわけ紅茶に含まれることが明らかになったことから、天然由来のナリンゲニン誘導体にその機能性を期待することもできる。
本発明のナリンゲニン誘導体は、ナリンゲニンを通常の製造方法で製造してからナリンゲニン誘導体を製造することができる。ナリンゲニンは、発酵茶葉を熱水やリン酸塩溶液等を用いて抽出し、放置後、沈殿する部分を分離する。必要に応じてこれを水や氷酢酸で再結晶することができる。これを酢又は酵素で加水分解し、常法により分離精製することによって製造することができる。
なお、上記の各方法において、必要に応じて常法により脱色、濾過、再結晶することができる。なお、上記の加水分解の条件は絶対的なものでなく、加熱温度、時間及び使用する試薬の濃度、量等に依存して適宜変更されうる。
本発明のナリンゲニン誘導体は、筋肉細胞へのグルコース取込み活性化作用や血糖上昇抑制作用を有することから、活力増強、持久力向上、滋養強壮、抗疲労、血糖値上昇抑制について効果を有する。また、本発明のナリンゲニン誘導体は、例えば茶葉等から抽出できるため安全性にも優れている。さらに、本発明におけるナリンゲニン誘導体を飲食品に添加することにより、長期間で定期的な摂取も容易になる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1:紅茶熱水抽出物とその水溶性画分の糖の取込み亢進効果
筋肉細胞へのグルコース(糖)の取込みを亢進させる有効成分が、紅茶中に含まれるか調べた。紅茶熱水抽出物及びその水溶性画分を被検物質としてグルコースの取込み活性を測定した。
ラット骨格筋由来L6筋管細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むMEM培地を用いて37℃、5%CO−95%空気中で培養した。24穴プレートでサブコンフルエント状態までL6細胞を増殖させた後、2%FBSを含むMEM培地で2日毎に培地交換し、10日間培養することにより筋管細胞へと分化させた。分化させたL6筋管細胞を0.2%BSAを含むMEM培地で18時間脱感作した後、培地を除去し、クレブス‐リンガーHEPES緩衝液(KRH; 50 mM HEPES、pH 7.4、137 mM NaCl、4.8 mM KCl、1.85 mM CaCl2、1.3 mM MgSO4) 300μlに置き換えた。KRH中での終濃度が100nMとなるようにインスリンを、または50μg/mlとなるよう被検物質を15分間処理した後、[H]標識された2−デオキシグルコース(2−DG)を最終濃度として6.5mM(18.5μCi)となるように5分間作用させた。その後、細胞を氷冷したKRHで4回洗浄し、細胞内に取り込まれなかった2−DGを除去した。
完全にKRHを取り除いた後、0.05 N NaOH 250μlで可溶化した細胞を回収した。さらにプレートの各ウェルを200μlのKRHで2回洗浄して、この洗液も合わせて回収した。液体シンチレーションシステムLSC−5000シリーズ(アロカ社製)を用い、回収した可溶化細胞の[H]の放射活性を測定することにより、細胞内に取り込まれた2−DGの取込み活性とした。非特異的な取込量は、グルコース輸送の阻害剤であるサイトカラシンBを20μMで15分間処理し、上記と同様の方法で2−DGの取込み活性を測定した。
その結果、熱水抽出物は50μg/mlの濃度で2−DGの取込み活性にある程度の影響を与えるに留まったものの、水溶性画分は同じ濃度で取込み活性を有意に上昇させ、陽性対照である100nMインスリンと同等の効果を示した(図1)。このことから、紅茶水溶性画分にグルコースの取込み活性を上昇させる化合物が存在することがわかった。
実施例2:紅茶水溶性画分の糖の取込み活性に対する濃度依存性
実施例1で2−DGの取込み活性を上昇させることが分かった水溶性画分について、その作用濃度によって取込み活性が変化するか調べた。実施例1と同様に、分化させたL6筋管細胞にさまざまな濃度で被検物質である水溶性分画物を作用させた後に2−DGの取込み活性を測定したところ、水溶性画分は0.5μg/mlで有意に、また濃度依存的に取込み活性を上昇させ、5μg/mlで活性は最大となった(図2)。
実施例3:紅茶水溶性画分中の化合物の糖の取込み亢進効果
実施例1と2で、紅茶水溶性画分中に有効成分が含まれることが示唆されたことから、水溶性画分から単離した化合物1から6について、糖の取込み活性に及ぼす影響を調べた。実施例1と同様に50μg/mlとなるよう被検物質を作用させた後、2−DGの取込み活性を測定したところ、化合物1と2は陽性対照である100nMのインスリンと同等のレベルまで有意に取込み活性を上昇させることがわかった(図3)。
実施例4:紅茶水溶性画分中の化合物1と2の糖の取込み活性に対する濃度依存性
実施例3で糖の取込み活性を上昇させることを確認した化合物1と2について、その濃度依存性を実施例2と同様の方法で確認した。その結果、化合物1と2は5μg/ml以上で有意に、また濃度依存的に取込み活性を上昇させることが明らかとなった(図4)。
紅茶熱水抽出物及びその水溶性画分の糖の取込み亢進効果を調べた結果を示す図である。分化させたL6筋管細胞に紅茶熱水抽出物または水溶性画分を50μg/mlとなるよう15分間作用させた後、[H]標識された2−DGを最終濃度が6.5mM(18.5Ci)となるよう5分間作用させた。細胞はNaOHで可溶化させて回収し、[H]の放射活性を測定することで2−DGの取り込み活性とした。陽性対照として100nMインスリン(図中破線)、陰性対照として同量の溶媒(図中実線)、また非特異的取り込み量として20μMサイトカラシンBをそれぞれ作用させた場合の取り込み量を測定した。図は陰性対照の取り込み活性を1とした場合の比率を平均値±標準誤差で示し、アステリスクは危険率5%未満で陰性対照と比較して有意差があることを表している。 紅茶水溶性画分の糖の取込み活性に対する濃度依存性を調べた結果を示す図である。分化させたL6筋管細胞に水溶性画分を0.5、2、5、50μg/mlとなるよう15分間作用させた後、図1と同様にして2−DGの取込み活性を測定した。陽性対照として100nMインスリン(図中破線)、陰性対照として同量の溶媒(図中実線)を作用させた。図は陰性対照の取込み活性を1とした場合の比率を平均値±標準誤差で示し、アステリスクは危険率5%未満で陰性対照と比較して有意差があることを表している。 水溶性画分中の化合物の糖の取込み亢進効果を調べた結果を示す図である。分化させたL6筋管細胞に水溶性画分に含まれる化合物1から6を50μg/mlとなるよう15分間作用させた後、図1と同様にして2−DGの取込み活性を測定した。陽性対照として100nMインスリン(図中破線)、陰性対照として同量の溶媒(図中実線)を作用させた。図は陰性対照の取込み活性を1とした場合の比率を平均値±標準誤差で示し、アステリスクは危険率5%未満で陰性対照と比較して有意差があることを表している。 紅茶水溶性画分中の化合物1と2の糖の取込み活性に対する濃度依存性を調べた結果を示す図である。分化させたL6筋管細胞に水溶性画分中の化合物1と2を0.5、5、50μg/mlとなるよう15分間作用させた後、図1と同様にして2−DGの取込み活性を測定した。陽性対照として100nMインスリン(図中破線)、陰性対照として同量の溶媒(図中実線)を作用させた。図は陰性対照の取込み活性を1とした場合の比率を平均値±標準誤差で示し、アステリスクは危険率5%未満で陰性対照と比較して有意差があることを表している。

Claims (9)

  1. 下記の一般式〔I〕
    Figure 2008013525
    (式中、R1は6単糖−n分子数(n≠0)と5単糖−m分子数(m≠0)を示し、R2は水素原子を示す。*は異性体であることを示す。)で表されるナリンゲニン誘導体。
  2. 5単糖の分子数が1である(m=1)ことを特徴とする請求項1記載のナリンゲニン誘導体。
  3. 6単糖の分子数が3である(n=3)ことを特徴とする請求項1又は2記載のナリンゲニン誘導体。
  4. 発酵茶由来であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のナリンゲン誘導体。
  5. 請求項1〜3のいずれか記載のナリンゲン誘導体を含有する植物由来抽出物。
  6. 抽出物が熱水抽出物又は水溶性抽出物であることを特徴とする請求項5記載の植物由来抽出物。
  7. 発酵茶由来であることを特徴とする請求項5又は6記載の植物由来抽出物。
  8. 請求項1〜4のいずれか記載のナリンゲン誘導体及び/又は請求項5〜7のいずれか記載の植物由来抽出物を有効成分として含有するグルコース取込み促進剤。
  9. 請求項1〜4のいずれか記載のナリンゲン誘導体及び/又は請求項5〜7のいずれか記載の植物由来抽出物を有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤。
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