JP2008012706A - 基板の製造方法、インクジェットヘッドの製造方法および電子部品の製造方法 - Google Patents

基板の製造方法、インクジェットヘッドの製造方法および電子部品の製造方法 Download PDF

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博則 鈴木
Takehide Matsuo
剛秀 松尾
Osamu Fujimori
修 藤森
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Abstract

【課題】基板をエッチングしたときに、エッチングにより形成された凹部に隣接する凸部の頂部近傍を除去する基板の製造方法、その方法を用いたインクジェットヘッドの製造方法およびその方法を用いた電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の基板の製造方法は、エッチングにより形成された凹部22に隣接する凸部23の頂部近傍を除去する基板の製造方法であって、前記基板の前記凹部22に液状または半固形状の補強材24を充填する第1の工程と、前記補強材24を固化する第2の工程と、前記基板を、前記頂部側から所定の厚みに薄板化する第3の工程と、前記基板から前記補強材24を除去する第4の工程とを有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、基板の製造方法、インクジェットヘッドの製造方法および電子部品の製造方法に関するものである。
近年、モバイル用途向け液晶ディスプレイ、携帯電話などの携帯性の電子機器およびプリンタのヘッドなどの機器では、薄型・軽量化の要求が高まり、内部に設けられている部品の小型化が図られている。例えば、基板においては、支持基板を貼り合わせた基板を研磨して薄板化する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、基板にパターンを形成するに際しては、フォトレジストとの選択性が高く、微細加工が可能なドライエッチングなどの処理が行われている。特に、垂直異方性ドライエッチングは、垂直方向に選択的にエッチング処理を行うことができるため、多く用いられている。
しかし、パターンを形成したい基板に垂直異方性ドライエッチングを行うと、ドライエッチングにより形成された凹部に隣接する凸部の頂部において異常形状が発生し、所望の形状が得られないという問題がある。
また、凸部に異常形状は発生しないが、エッチング過剰により、凸部が高くなり、所望の凸部が得られないという問題もある。
これらを解決するために、あらかじめレジスト層を厚く積層して、垂直異方性ドライエッチングを行う方法もあるが、装置上の問題やレジスト除去が困難といった問題がある。
特開平2−202024号公報
本発明の目的は、基板をエッチングしたときに、エッチングにより形成された凹部に隣接する凸部の頂部近傍を除去する基板の製造方法、当該方法を用いたインクジェットヘッドの製造方法および当該基板の製造方法を用いた電子部品の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の基板の製造方法は、エッチングにより形成された凹部に隣接する凸部の頂部近傍を除去する基板の製造方法であって、
前記基板の前記凹部に液状または半固形状の補強材を充填する第1の工程と、
前記補強材を固化する第2の工程と、
前記基板を、前記頂部側から所定の厚みに薄板化する第3の工程と、
前記基板から前記補強材を除去する第4の工程とを有することを特徴とする。
これにより、凸部が損傷、倒壊または変形することなく、凸部の頂部近傍を簡便に除去することができる。したがって、所望の形状の基板を得ることができる。
本発明の基板の製造方法では、前記エッチングは、垂直異方性のドライエッチングであることが好ましい。
これにより、凸部が損傷、倒壊または変形することなく、凸部の頂部近傍を簡便に除去することができる。したがって、所望の形状の基板を得ることができる。
本発明の基板の製造方法では、前記凸部は、その頂部近傍に異常形状を有することが好ましい。
これにより、凸部が損傷、倒壊または変形することなく、異常形状を簡便に除去することができる。したがって、所望の形状の基板を得ることができる。
本発明の基板の製造方法では、前記基板は、前記エッチングされた面と反対の面側に、複数の構造体が設けられていることが好ましい。
これにより、基板の構造体が設けられた面とは反対側の面をエッチングするため、基板の両方の面を所望の形状でパターン形成することができる。
本発明の基板の製造方法では、前記第1の工程において、前記補強材は、前記頂部を覆うような位置に充填されることが好ましい。
これにより、より確実に凹部に隣接する凸部を補強することができる。また、複数の凸部の高さが互いに異なっていても、同じ高さで均一に凸部を薄板化することができる。
本発明の基板の製造方法では、前記第1の工程において、前記補強材は、前記凹部の頂面と略等しい位置まで充填されることが好ましい。
これにより、確実に凹部に隣接する凸部を補強することができる。また、補強材が頂部を覆っていないため、補強材の使用量を抑えることができる。したがって、短時間で所望の厚さに凸部を薄板化することができる。
本発明の基板の製造方法では、前記第1の工程において、前記補強材は、前記異常形状のみを露出するような位置まで充填されることが好ましい。
これにより、確実に凹部に隣接する凸部の有効成分を確実に補強することができる。また、異常形状のみが露出して補強材が凹部に充填されているため、補強材の使用量をさらに抑えることができるとともに、補強材の削りかすの発生を防ぐことができる。したがって、より短時間で、簡便に凸部を薄板化することができる。
本発明の基板の製造方法では、前記補強材は、樹脂材料であることが好ましい。
これにより、凹部に隣接する凸部を適切に補強することができる。また、補強材の固化および除去を簡便に行うことができるので、簡便に頂部近傍を除去することができる。したがって、所望の形状の基板を得ることができる。
本発明の基板の製造方法では、前記エッチングの際に形成されたレジストを除去することなく、第1の工程を行うことが好ましい。
これにより、レジストと補強材と基板とを一度に薄板化できるため、レジスト除去工程を不要とし、基板の製造を簡便にすることができる。
本発明の基板の製造方法では、前記第2の工程は、前記補強材から溶媒または分散媒を除去することにより行われることが好ましい。
これにより、補強材から溶媒または分散媒を除去するだけで補強材を固化することができるため、簡便に基板を製造することができる。
本発明の基板の製造方法では、前記第3の工程は、前記基板を研削および/または研磨することにより行われることが好ましい。
これにより、補強材と基板を確実に薄板化することができる。
本発明の基板の製造方法では、前記研磨は、機械的研磨であることが好ましい。
これにより、同時かつ迅速に基板を薄板化することができるため、凸部の高さが均等となり、凸部の頂面の平面性が向上する。また、補強材が溶解または変質することなく、基板を薄板化することができる。
本発明の基板の製造方法では、前記樹脂材料は、その固化物が有機溶媒に可溶性のものであり、前記第4の工程は、前記補強材を前記有機溶媒で溶解することにより行われることが好ましい。
これにより、有機溶媒で溶解するだけで補強材を除去することができるため、簡便に補強材を除去し、基板を製造することができる。
本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、母材の一方の面側に対しエッチングを施すことにより所定形状とされたインクジェットヘッドを製造するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記母材の一方の面に、前記エッチングを施すことにより凹部を形成する第1の工程と、
前記凹部に、液状または半固形状の補強材を充填する第2の工程と、
前記補強材を固化する第3の工程と、
前記母材を、前記凹部に隣接する凸部の頂部側から所定の厚みに薄板化する第4の工程と、
前記母材から前記補強材を除去する第5の工程とを有することを特徴とする。
これにより、エッチング後補強材で凸部を補強するため、凸部が損傷、倒壊または変形することなく、凸部の頂部近傍を簡便に除去することができる。したがって、所望の形状を有する信頼性の高いインクジェットヘッドを得ることができる。
本発明のインクジェットヘッドの製造方法では、前記母材は、前記凹部が形成された面と反対の面側に、液滴を吐出するための駆動素子を含む構造体が設けられたことが好ましい。
これにより、母材の凹部が形成された面と反対側の面に所定の構造体を有するため、より信頼性の高いインクジェットヘッドを得ることができる。
本発明の電子部品の製造方法は、エッチングを施すことにより所定の形状とされた基板を有する電子部品を製造する方法であって、
前記基板の一方の面に、前記エッチングを施すことにより凹部を形成する第1の工程と、
前記凹部に、液状または半固形状の補強材を充填する第2の工程と、
前記補強材を固化する第3の工程と、
前記基板を、前記凹部に隣接する凸部の頂部側から所定の厚みに薄板化する第4の工程と、
前記基板から前記補強材を除去する第5の工程とを有することを特徴とする。
これにより、エッチング後補強材で凸部を補強するため、凸部が損傷、倒壊または変形することなく、凸部の頂部近傍を簡便に除去することができる。したがって、所望の形状を有する信頼性の高い電子部品が得られる。
<第1実施形態>
以下、本発明の基板の製造方法、インクジェットヘッドの製造方法および電子部品の製造方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<インクジェット式記録ヘッド>
まず、本発明により製造される電子部品をインクジェット式記録ヘッドに適用した場合の実施形態について説明する。
図1は、本発明の電子部品をインクジェット式記録ヘッドに適用した場合の実施形態を示す分解斜視図であり、図2は、図1に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図、図3は、図1に示すインクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。なお、図1は、通常使用される状態とは、上下逆に示されている。
図1に示すインクジェット式記録ヘッド1(以下、単に「ヘッド1」と言う。)は、図3に示すようなインクジェットプリンタ(本発明の電子機器)9に搭載されている。
図3に示すインクジェットプリンタ9は、装置本体92を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ921と、下部前方に記録用紙Pを排出する排紙口922と、上部面に操作パネル97とが設けられている。
操作パネル97は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えている。
また、装置本体92の内部には、主に、往復動するヘッドユニット93を備える印刷装置(印刷手段)94と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置94に送り込む給紙装置(給紙手段)95と、印刷装置94および給紙装置95を制御する制御部(制御手段)96とを有している。
制御部96の制御により、給紙装置95は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録用紙Pは、ヘッドユニット93の下部近傍を通過する。このとき、ヘッドユニット93が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行なわれる。すなわち、ヘッドユニット93の往復動と記録用紙Pの間欠送りとが、印刷における主走査および副走査となって、インクジェット方式の印刷が行なわれる。
印刷装置94は、ヘッドユニット93と、ヘッドユニット93の駆動源となるキャリッジモータ941と、キャリッジモータ941の回転を受けて、ヘッドユニット93を往復動させる往復動機構942とを備えている。
ヘッドユニット93は、その下部に、多数のノズル孔111を備えるヘッド1と、ヘッド1にインクを供給するインクカートリッジ931と、ヘッド1およびインクカートリッジ931を搭載したキャリッジ932とを有している。
なお、インクカートリッジ931として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。
往復動機構942は、その両端をフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸943と、キャリッジガイド軸943と平行に延在するタイミングベルト944とを有している。
キャリッジ932は、キャリッジガイド軸943に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト944の一部に固定されている。
キャリッジモータ941の作動により、プーリを介してタイミングベルト944を正逆走行させると、キャリッジガイド軸943に案内されて、ヘッドユニット93が往復動する。そして、この往復動の際に、ヘッド1から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
給紙装置95は、その駆動源となる給紙モータ951と、給紙モータ951の作動により回転する給紙ローラ952とを有している。
給紙ローラ952は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ952aと駆動ローラ952bとで構成され、駆動ローラ952bは給紙モータ951に連結されている。これにより、給紙ローラ952は、トレイ921に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置94に向かって1枚ずつ送り込めるようになっている。なお、トレイ921に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
制御部96は、例えばパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等のホストコンピュータから入力された印刷データに基づいて、印刷装置94や給紙装置95等を制御することにより印刷を行うものである。
制御部96は、いずれも図示しないが、主に、各部を制御する制御プログラム等を記憶するメモリ、圧電素子(振動源)14を駆動して、インクの吐出タイミングを制御する圧電素子駆動回路、印刷装置94(キャリッジモータ941)を駆動する駆動回路、給紙装置95(給紙モータ951)を駆動する駆動回路、および、ホストコンピュータからの印刷データを入手する通信回路と、これらに電気的に接続され、各部での各種制御を行うCPUとを備えている。
また、CPUには、例えば、インクカートリッジ931のインク残量、ヘッドユニット93の位置等を検出可能な各種センサ等が、それぞれ電気的に接続されている。
制御部96は、通信回路を介して、印刷データを入手してメモリに格納する。CPUは、この印刷データを処理して、この処理データおよび各種センサからの入力データに基づいて、各駆動回路に駆動信号を出力する。この駆動信号により圧電素子14、印刷装置94および給紙装置95は、それぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷が行われる。
以下、ヘッド1について、図1および図2を参照しつつ詳述する。
ヘッド1は、ノズル板11と、インク室基板12と、振動板13と、振動板13に接合された圧電素子(振動源)14とを備え、これらが基体16に収納されている。なお、このヘッド1は、オンデマンド形のピエゾジェット式ヘッドを構成する。
ノズル板11は、例えば、SiO、SiN、石英ガラスのようなシリコン系材料、Al、Fe、Ni、Cuまたはこれらを含む合金のような金属系材料、アルミナ、酸化鉄のような酸化物系材料、カーボンブラック、グラファイトのような炭素系材料等で構成されている。
このノズル板11には、インク滴を吐出するための多数のノズル孔111が形成されている。これらのノズル孔111間のピッチは、印刷精度に応じて適宜設定される。
ノズル板11には、インク室基板12が固着(固定)されている。
このインク室基板12は、ノズル板11、側壁(隔壁)122および後述する振動板13により、複数のインク室(キャビティ、圧力室)121と、インクカートリッジ931から供給されるインクを一時的に貯留するリザーバ室123と、リザーバ室123から各インク室121に、それぞれインクを供給する供給口124とが区画形成されている。
各インク室121には、それぞれ短冊状(直方体状)に形成され、各ノズル孔111に対応して配設されている。各インク室121は、後述する振動板13の振動により容積可変であり、この容積変化により、インクを吐出するよう構成されている。
インク室基板12を得るための母材20としては、例えば、シリコン単結晶基板、各種ガラス基板、各種プラスチック基板等を用いることができる。これらの基板は、いずれも汎用的な基板であるので、これらの基板を用いることにより、ヘッド1の製造コストを低減することができる。
インク室基板12の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000μm程度とするのが好ましく、100〜500μm程度とするのがより好ましい。
また、インク室121の容積も、特に限定されないが、0.1〜100nL程度とするのが好ましく、0.1〜10nL程度とするのがより好ましい。
一方、インク室基板12のノズル板11と反対側には、振動板13が接合され、さらに振動板13のインク室基板12と反対側には、複数の圧電素子14が設けられている。
また、振動板13の所定位置には、振動板13の厚さ方向に貫通して連通孔131が形成されている。この連通孔131を介して、前述したインクカートリッジ931からリザーバ室123に、インクが供給可能となっている。
各圧電素子14は、それぞれ、下部電極142と上部電極141との間に圧電体層143を介挿してなり、各インク室121のほぼ中央部に対応して配設されている。各圧電素子14は、圧電素子駆動回路に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて作動(振動、変形)するよう構成されている。
各圧電素子14は、それぞれ、振動源として機能し、振動板13は、圧電素子14の振動により振動し、インク室121の内部圧力を瞬間的に高めるよう機能する。
基体16は、例えば各種樹脂材料、各種金属材料等で構成されており、この基体16にインク室基板12が固定、支持されている。
このようなヘッド1は、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力されていない状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と上部電極141との間に電圧が印加されていない状態では、圧電体層143に変形が生じない。このため、振動板13にも変形が生じず、インク室121には容積変化が生じない。したがって、ノズル孔111からインク滴は吐出されない。
一方、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力された状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と上部電極141との間に一定電圧が印加された状態では、圧電体層143に変形が生じる。これにより、振動板13が大きくたわみ、インク室121の容積変化が生じる。このとき、インク室121内の圧力が瞬間的に高まり、ノズル孔111からインク滴が吐出される。
1回のインクの吐出が終了すると、圧電素子駆動回路は、下部電極142と上部電極141との間への電圧の印加を停止する。これにより、圧電素子14は、ほぼ元の形状に戻り、インク室121の容積が増大する。なお、このとき、インクには、後述するインクカートリッジ931からノズル孔111へ向かう圧力(正方向への圧力)が作用している。このため、空気がノズル孔111からインク室121へ入り込むことが防止され、インクの吐出量に見合った量のインクがインクカートリッジ931(リザーバ室123)からインク室121へ供給される。
このようにして、ヘッド1において、印刷させたい位置の圧電素子14に、圧電素子駆動回路を介して吐出信号を順次入力することにより、任意の(所望の)文字や図形等を印刷することができる。
このようなヘッド1は、例えば、次のようにして製造することができる。以下、ヘッド1の製造方法(本発明の電子部品の製造方法)の一例について説明する。
図4、図5および図6は、それぞれ、図1および図2に示すインクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための図(縦断面図)である。
なお、以下では、インク室基板12を母材20として説明する。
[1] まず、図4(a)に示すように、インク室基板12となる母材20と、振動板13とを貼り合わせ(接合して)、これらを一体化させる。
この接合には、例えば、母材20と振動板13とを圧着させた状態で熱処理する方法が好適に用いられる。かかる方法によれば、容易かつ確実に、母材20と振動板13とを一体化させることができる。
この熱処理条件は、特に限定されないが、100〜600℃×1〜24時間程度とするのが好ましく、300〜600℃×6〜12時間程度とするのがより好ましい。
なお、接合には、その他の各種接着方法、各種融着方法等を用いてもよい。
[2] 次に、図4(b)に示すように、振動板13上に、複数の圧電素子14を形成する。
圧電素子14は、下部電極142を形成するための導電性材料層と、圧電体層143を形成するための圧電材料層と、上部電極141を形成するための導電性材料層とを順次積層し、その後、圧電素子14の形状となるようにエッチングすることにより形成することができる。
前記各材料層は、それぞれ、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法等により形成することができる。
また、前記材料層のエッチングには、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、このような圧電素子14を構造体ともいう。
[3] 次に、図4(b)に示される圧電素子14を有する母材20を上下に反転させ、インク室基板12となる母材20の圧電素子14に対応した位置に、それぞれインク室121となる凹部22を形成する。また、母材20の所定位置にリザーバ室123および供給口124となる凹部(図示せず)を形成する。
まず、図4(c)に示すように、母材20上に、インク室121、リザーバ室123および供給口124を形成する領域に対応した開口部を有するレジスト層(マスク)21を形成する。
レジスト層21は、例えば、フォトリソグラフィー法等により得る(パターニングする)ことができる。
具体的には、母材20上に、レジスト材料を塗布(供給)した後、インク室121、リザーバ室123および供給口124の形状に対応したフォトマスクを介してこのレジスト材料を、i線、紫外線および電子線等により露光・現像することにより得ることができる。
ここで、レジスト材料は、ネジ型およびポジ型のレジスト材料が挙げられる。
また、レジスト材料を塗布する方法としては、例えば、インクジェット法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法のような各種塗布法が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本実施形態では、レジスト層21は、レジスト材料を主材料として構成される場合について説明したが、このような場合に限定されず、例えば、レジスト層21は、レジスト層21の下層として金属層を備える積層体であってもよい。
これにより、当該レジスト層21をマスクとして用いて、ドライエッチング法によりインク室121、リザーバ室123および供給口124を形成する際に、母材20をエッチング(加工)するのにしたがって、このレジスト層もエッチングされるのをより好適に防止または抑制して、より寸法精度の優れたインク室121、リザーバ室123および供給口124を形成することができる。
このような金属層としては、例えば、Al、Cu、Fe、NiおよびCrのうちの少なくとも1種を主材料とするものが挙げられる。
なお、金属層は、母材20に酸化膜を形成し、その酸化膜上のほぼ全面に金属膜を形成し、さらにこの金属膜上に前述したような方法でレジスト層21を形成した後、レジスト層21をマスクとして用いて、ウェットエッチング法により、この金属膜をレジスト層21と同様の形状にエッチングすることにより得ることができる。
なお、ウェットエッチング法に用いるエッチング液としては、例えば、NaOH、KOHのようなアルカリ金属水酸化物の水溶液、Mg(OH)のようなアルカリ土類金属水酸化物の水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの水溶液、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系有機溶媒等が挙げられ、これらを単独または混合して用いることができる。
次に、図4(d)に示すように、母材20の上側、すなわち圧電素子14が形成されていない面側から、エッチング法を用いて、インク室121、リザーバ室123および供給口124を構成する凹部22を形成する。そして、インク室121、リザーバ室123および供給口124などの側壁122としての機能を有する凸部23が、凹部22に隣接して形成される。
エッチングは、ドライエッチング法またはウェットエッチング法のいずれを用いてもよいが、ドライエッチング法が好ましい。これにより、化学物質を用いることなく、プラズマによりエッチングを行えるため、簡便かつ確実に母材20をエッチングすることができる。
ドライエッチング法は、チャンバと、チャンバ内にプラズマ発生用ガスを導入するための第1の導入バルブと、母材20を冷却する冷却媒体ガスを導入するための第2の導入バルブと、チャンバ内に対向するように設けられた一対の電極と、一方の電極側に設置された母材20を冷却媒体ガスが通過可能な連通孔を通じて冷却する冷却板と、母材20を固定するための設置台とを備えたドライエッチング装置を用いて行うことができる。
すなわち、ドライエッチング法は、一方の電極と圧電素子14とが対向するように母材20を、この電極側に設けられた設置台にセットし、チャンバ内を減圧する。そして、第2の導入バルブから導入した冷却媒体ガスを母材20の下側に吹き付けて前記冷却板および冷却媒体ガスの温度を伝えて冷却し、かつ、第1の導入バルブから導入したプラズマ発生用ガスを一対の電極間に供給した状態で、この電極間に高周波電圧を印加するものである。これにより、電極間の間でプラズマが発生し、これにより生じたイオンや電子がレジスト層21を備える母材20の上面に衝突することによりインク室121、リザーバ室123および供給口124を構成する凹部22を形成する。
このようなドライエッチングは、垂直異方性のドライエッチングであることが好ましい。これにより、プラズマ中の活性ガスであるプラズマイオンが垂直に入射するため、異方性のエッチングが効率良く行われる。
プラズマ発生用ガスとしては、例えば、フッ素系ガス、塩素および臭素のうちの少なくとも1種を含有するハロゲン系ガス等が挙げられるが、本実施形態のように母材20がシリコン単結晶で構成される場合には、SF、C、CBrF、CF/O、Cl、SF/N/Ar、BCl/Cl/Arガスを用いるのが好ましく、特に、SFおよびCガスのうちのいずれかを単独で、またはこれらの混合ガスを用いるのが好ましい。これにより、母材20のエッチングを効率よく行うことができる。
冷却媒体ガスとしては、冷却効率に優れ、プラズマの発生に影響を与えないようなものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素のような不活性ガス等が挙げられ、これらの中でも、ヘリウムを主成分とするのが好ましい。ヘリウムは、特に冷却効果に優れるものであることから冷却媒体ガスとして好適に用いられる。
また、前記冷却板の温度すなわち冷却媒体ガスの温度は、−20〜60℃程度であるのが好ましく、−10〜10℃程度であるのがより好ましい。これにより、母材20を冷却して適切な温度を維持することができるようになる。
このようなドライエッチングを行った後は、レジスト層21を除去する。その方法としては、例えば、大気圧または減圧下において酸素プラズマやオゾン蒸気に晒すこと、または、これらのものを溶解し得るアセトン、アルキルベンゼンスルホン酸のようなレジスト剥離液に浸漬することにより、レジスト層21の全てまたはその一部を液状化することにより行うことができる。
[4] レジスト層21をマスクとして母材20にエッチングを行うと、図4(d)、図5(e)に示すように、レジスト層21と母材20との接面付近(凸部の頂部近傍)がサイドエッチングされ、異常形状231が発生することがある。このような異常形状231はアンダーカットともいい、母材20を深くエッチングするほど顕著に発生する。そのため、所望の適正な凸部23形状が得られなくなる。
また、異常形状231は発生しなくとも、エッチング過剰により凸部23が高くなりすぎ、所望の凸部23形状が得られない場合がある。
この母材20の加工(エッチング)時に形成された凸部23の頂部近傍をを除去するために、本発明の基板の製造方法が用いられる。すなわち、エッチングにより形成された凹部22に隣接する凸部23の頂部近傍を除去する母材20の製造方法であって、母材20の凹部22に液状または半固形状の補強材24を充填する第1の工程と、補強材24を固化する第2の工程と、母材20を、頂部側から所定の厚みに薄板化する第3の工程と、母材20から補強材24を除去する第4の工程とを有する。
以下、本発明の基板(母材20)の製造方法について説明する。
[4−1] 第1の工程
図5(f)に示すように、凹部22内に所定の位置まで液状または半固形状の補強材24(正確には補強材の前駆体)を充填する。
凹部22に充填される補強材24は、凸部23が倒壊、変形または損傷しないように凸部23を補強する機能を有する。したがって、この機能が発揮される限りにおいて、補強材24が充填されるレベルは特に限定されない。
図5(f)では、補強材24は、凸部23の頂部を超えて該頂部を覆うような位置に充填されている。これにより、より一層確実に凸部23を補強することができる。また、複数の凸部23の高さが互いに異なっていても、確実に同じ高さで均一に凸部23を薄板化することができる。
また、図5(f)の1点鎖線で示すように、補強材24は、凸部23の頂面(頂部の上面)と略等しい位置に充填されてもよい。これによりより確実に凸部23を補強することができる。また、凸部23の頂部を覆うような位置に充填するよりも、補強材24の使用量を抑えることができる。したがって、より短時間で所望の厚さに薄板化することができる。
また、図5(f)の2点鎖線で示すように、補強材24は、異常形状231のみを露出する位置に充填されてもよい。これにより、凸部23の有効部分を確実に補強することができる。また、補強材24の使用量をさらに抑えることができるとともに、補強材24の削りかすの発生を防ぐことができる。したがって、より一層短時間で、簡便に薄板化することができる。
このような補強材24としては、例えば、ポリイミド系樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、もしくは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテンのようなポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂、ポリパラキシリレン、ベンゾシクロブテン、ポリビニルフェノールのような芳香族系樹脂などの熱可塑性樹脂等の樹脂材料の他、ネガ型およびポジ型のレジスト材料が挙げられる。
また、補強材24には、金属粒子が含まれていてもよい。これにより、補強材24の熱伝導率を向上させることができることから、補強材24への金属粒子の充填量およびその種類を適宜設定することにより、補強材24の熱伝導性を比較的容易に制御することができる。すなわち、補強材24の熱容量と構造体(圧電素子14)の熱容量との差が小さくなるように比較的容易に制御することができる。
金属粒子としては、特に限定されないが、例えば、Al、Zn、Sn、Li、Be、Na、Mg、K、Ca、Sr、Cr、Mn、Co、Ni、Ga、Hf、Ta、In、Ti、Cu、Ag、Au、Fe、Pt等の元素(原子)のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
このような補強材24は、有機溶媒に可溶性のものであることが好ましい。これにより、後述する第4の工程において、固化された補強材24を有機溶媒で溶解することにより補強材24を除去することができるため、簡便に頂部近傍が除去されたまたは異常形状231がない母材20を得ることができる。
補強材24は、液体状または半固形状のものが用いられる。これにより、凸部23を損傷することなく凹部22に補強材24を充填することができ、凸部23を確実に補強することができる。
補強材24は液体状または半固形状のものであるため、凹部22にそのまま充填してもよいが、溶媒や分散媒と混合して充填してもよい。固体の補強材24の場合は、溶媒または分散媒と混合して使用する必要がある。
この場合、用いられる溶媒または分散媒としては、補強材24の種類によって異なるが、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
補強材24の充填は、例えば、補強材24を含む溶液または分散液を凹部22または凹部22を含む領域に塗布(供給)することにより行うことができる。
補強材24を含む溶液または分散液を塗布する方法としては、例えば、インクジェット法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、スキージ法のような各種塗布法が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、補強材24を充填する際の雰囲気は、大気圧下であってもよいが、減圧下であるのが好ましい。具体的には、雰囲気の圧力は、50Pa〜5kPa程度であるのが好ましく、100Pa〜1kPa程度であるのがより好ましい。これにより、補強材24の固化を促進することができる。
なお、図5(f)では、エッチングの際に形成されたレジスト層21が除去された状態で補強材24が充填されているが、このレジスト層21を除去することなく、本工程を行うこともできる。これにより、レジスト層21と補強材24と凸部23とを一度に薄板化できるため、レジスト除去工程を不要とし、母材20の製造を簡便にすることができる。
[4−2] 第2の工程
凹部22に充填した補強材24を固化する。その方法は、補強材24の種類によって異なる。
補強材24が熱硬化性樹脂の場合には、加熱や光照射等によって固化させることができる。
加熱の場合は、例えば、補強材24が充填された母材20をホットプレートやオーブンなどで加熱することにより、補強材24を固化させることができる。加熱温度は、補強材24の種類によっても異なるが、50〜300℃あることが好ましく、100〜200℃であることがより好ましい。これにより、確実に補強材24を固化させることができる。また、加熱時間は、補強材24の種類によっても異なるが、1分〜1時間であることが好ましく、15〜30分であることがより好ましい。これにより、確実に補強材24を固化させることができる。
光照射の場合は、例えば、母材20の補強材24に紫外線などを照射することにより、補強材24を固化させることができる。紫外線の照射時間は、補強材24の種類によっても異なるが、1〜20分であることが好ましく、3〜5分であることがより好ましい。これにより、確実に補強材24を固化させることができる。
補強材24が熱可塑性樹脂の場合には、例えば、補強材24中の溶媒または分散媒を除去することにより行われる。具体的には、補強材24が充填された母材20を減圧雰囲気下に置くことにより行われる。すなわち、例えば、所定のチャンバ内に補強材24が充填された母材20を設置し、チャンバ内を減圧することにより、補強材24中に含まれる溶媒または分散媒が外部に排出される。
このとき、溶媒または分散媒を除去する条件として、チャンバ内の圧力は、50Pa〜5kPaであることが好ましく、100Pa〜1kPaであることが好ましい。これにより、確実かつ迅速に補強材24中の溶媒または分散媒を除去することができ、補強材24を固化することができる。固化時間は、1分〜1時間であることが好ましく、15〜30分であることがより好ましい。これにより、確実に補強材24中の溶媒または分散媒を除去することができ、補強材24を固化することができる。
補強材24が、ネガ型またはポジ型のレジスト材料の場合には、例えば、熱可塑性樹脂の場合と同様に、減圧下で乾燥させることにより、固化させることができる。
[4−3] 第3の工程
図5(g)に示すように、補強材24が充填された母材20を、凸部23の頂部側から所定の厚みに薄板化する。
母材20の薄板化の方法は、母材20が均一に薄板化されれば特に限定されないが、例えば、凸部23の頂部側から研削および/または研磨などをすることにより行われるのが好ましい。研削または研磨することにより、凸部23の頂部近傍または異常形状231を確実に除去することができ、迅速に凸部23を所望の厚さに薄板化することができる。また、研削および研磨を併用することにより、迅速に凸部23を薄板化することができ、凸部23の頂部を滑らかにすることもできる。
研削および研磨は、機械的なもの化学的なもののいずれでもよいが、機械的なものが好ましい。これにより、母材20を同時かつ迅速に薄板化することができるので、各凸部23の高さが均等になり、凸部23の頂面の平面性が向上する。また、化学的なものに比べて、補強材24を溶解または変質することなく薄板化することができる。
なお、薄板化時に、母材20の剛性を保つため、母材20の下側にガラスまたはシリコンなどの材料(補強板)を貼り合せてもよい。
母材20を所定の厚みに薄板化するに際しては、予め、頂部近傍または異常形状231の寸法を所定の機器を用いて測定しておき、その寸法だけ除去すればよい。また、予め、当該寸法以上の深さを定め、その深さまで凸部23を薄板化してもよい。このように、予め頂部近傍または異常形状231の除去量を決定した上で薄板化工程を行うので、頂部近傍の除去量または異常形状231の有無をリアルタイムで確認しながら薄板化する必要がなく、迅速かつ確実に凸部23の頂部近傍または異常形状231を除去することができる。また、凹部22がインク室121、リザーバ室123および供給口124として適正に機能することができる。
なお、頂部近傍または異常形状231を除去するために母材20の薄板化を行うため、当該薄板化を想定した厚さの母材20を用いることが好ましい。すなわち、頂部近傍または異常形状231の除去量を想定して、エッチングにより適正な深さの凹部22を形成しておくことが好ましい。これにより、薄板化し過ぎることにより、凹部22がインク室122等として機能しなくなるのを好適に防ぐことができる。
[4−4] 第4の工程
図5(h)に示すように、母材20の凹部22から補強材24を除去する。
補強材24の除去は、例えば、チャンバ内で大気圧または減圧下において酸素プラズマやオゾン蒸気に晒すこと、または、固化された補強材24を溶解し得る有機溶媒に浸漬することにより行われる。
酸素プラズマやオゾン蒸気に晒す場合、チャンバ内の圧力は、10Pa〜1kPaであることが好ましく、50〜100Paであることが好ましい。これにより、確実に補強材24を除去することができる。また、酸素プラズマやオゾン蒸気に晒す時間は、5分〜2時間であることが好ましく、10分〜1時間であることが好ましい。これにより、確実に補強材24を除去することができる
有機溶媒に浸漬する場合、有機溶媒への浸漬時間は、20分〜2時間であることが好ましく、30分〜1時間であることが好ましい。これにより、確実に補強材24を除去することができる
ここで、固化された補強材24を溶解し得る有機溶媒は、補強材24の種類によって異なるが、前記[4−1]で説明した有機溶媒と同様のものが挙げられる。このような有機溶媒を用いることにより、補強材24が溶解するので、簡便かつ迅速に補強材24を除去することができる。
具体的には、補強材24にエポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を用いた場合、例えば、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ソロソルブ系溶媒、アルコール系溶媒などが用いられる。補強材24にアクリル樹脂を用いた場合、例えば、アルコール系溶媒などが用いられる。補強材24にポリオレフィン系樹脂を用いた場合、例えば、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒などが用いられる。補強材24にポリアミド系樹脂を用いた場合、例えば、芳香族炭化水素系溶媒などが用いられる。補強材24にフッ素系樹脂を用いた場合、例えば、ハロゲン化合物系溶媒などが用いられる。補強材24に芳香族系樹脂を用いた場合、例えば、芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒などが用いられる。
このような補強材24と有機溶媒の組み合わせのうち、アルコール系溶媒またはケトン系溶媒に可溶な補強材24を用い、それらの溶媒で補強材24を除去することが好ましい。これにより、アルコール系溶媒またはケトン系溶媒の取り扱いが簡単であるため、簡便に補強材24を凹部22から簡便に除去することができる。
なお、これらの有機溶媒は、2種以上混合して用いてもよい。
[5] 次に、図6(i)に示すように、複数のノズル孔111が形成されたノズル板11を、各ノズル孔111が各インク室121となる凹部22に対応するように位置合わせして接合する。
これにより、複数のインク室121、リザーバ室123および複数の供給口124が画成される。また、[4−3]の第3の工程における機械的研磨により、凸部23が同じ高さに研磨され、かつ、凸部23の頂面の平面性が向上するため、ノズル板11を凸部23に密着性よく接合することができる。そのため、ノズル板11と凸部23との間からインク漏れを防ぐことができる。
この接合には、例えば、接着剤による接着等の各種接着方法、各種融着方法等を用いることができる。
[6] 次に、インク室基板12を、例えば接着剤による接着等により基体16に取り付け(固定する)、ヘッド1を製造する。
以上のような工程を経て、ヘッド1が製造される。
以上のように、本発明によれば、エッチングにより形成される凸部の頂部近傍を、簡便に除去することができる。
以上、本発明の基板の製造方法、インクジェットヘッドの製造方法および電子部品の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の基板の製造方法および電子部品の製造方法は、インクジェット式記録ヘッドの製造に適用することができる他、例えば、MEMSデバイスにも適用することができる。
なお、本発明の電子部品の製造方法では、凹部が形成された面と反対の面側に構造体が設けられていてもよい。
インクジェット式記録ヘッドの実施形態を示す分解斜視図である。 インクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図である。 インクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。 インクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための図である。 インクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための図である。 インクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための図である。
符号の説明
1……インクジェット式記録ヘッド 11……ノズル板 111……ノズル孔 12……インク室基板 121……インク室 122……側壁 123……リザーバ室 124……供給口 13……振動板 131……連通孔 14……圧電素子 141……上部電極 142……下部電極 143……圧電体層 16……基体 20……母材 21……レジスト層 22……凹部 23……凸部 231……異常形状 24……補強材 9……インクジェットプリンタ 92……装置本体 921……トレイ 922……排紙口 93……ヘッドユニット 931……インクカートリッジ 932……キャリッジ 94……印刷装置 941……キャリッジモータ 942……往復動機構 943……キャリッジガイド軸 944……タイミングベルト 95……給紙装置 951……給紙モータ 952……給紙ローラ 952a……従動ローラ 952b……駆動ローラ 96……制御部 97……操作パネル P……記録用紙

Claims (16)

  1. エッチングにより形成された凹部に隣接する凸部の頂部近傍を除去する基板の製造方法であって、
    前記基板の前記凹部に液状または半固形状の補強材を充填する第1の工程と、
    前記補強材を固化する第2の工程と、
    前記基板を、前記頂部側から所定の厚みに薄板化する第3の工程と、
    前記基板から前記補強材を除去する第4の工程とを有することを特徴とする基板の製造方法。
  2. 前記エッチングは、垂直異方性のドライエッチングである請求項1に記載の基板の製造方法。
  3. 前記凸部は、その頂部近傍に異常形状を有する請求項1または2に記載の基板の製造方法。
  4. 前記基板は、前記エッチングされた面と反対の面側に、複数の構造体が設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の基板の製造方法。
  5. 前記第1の工程において、前記補強材は、前記頂部を覆うような位置に充填される請求項1ないし4のいずれかに記載の基板の製造方法。
  6. 前記第1の工程において、前記補強材は、前記凹部の頂面と略等しい位置まで充填される請求項1ないし4のいずれかに記載の基板の製造方法。
  7. 前記第1の工程において、前記補強材は、前記異常形状のみを露出するような位置まで充填される請求項3に記載の基板の製造方法。
  8. 前記補強材は、樹脂材料である請求項1ないし7のいずれかに記載の基板の製造方法。
  9. 前記エッチングの際に形成されたレジストを除去することなく、第1の工程を行う請求項1ないし8のいずれかに記載の基板の製造方法。
  10. 前記第2の工程は、前記補強材から溶媒または分散媒を除去することにより行われる請求項1ないし9のいずれかに記載の基板の製造方法。
  11. 前記第3の工程は、前記基板を研削および/または研磨することにより行われる請求項1ないし10のいずれかに記載の基板の製造方法。
  12. 前記研磨は、機械的研磨である請求項11に記載の基板の製造方法。
  13. 前記樹脂材料は、その固化物が有機溶媒に可溶性のものであり、前記第4の工程は、前記補強材を前記有機溶媒で溶解することにより行われる請求項1ないし12のいずれかに記載の基板の製造方法。
  14. 母材の一方の面側に対しエッチングを施すことにより所定形状とされたインクジェットヘッドを製造するインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記母材の一方の面に、前記エッチングを施すことにより凹部を形成する第1の工程と、
    前記凹部に、液状または半固形状の補強材を充填する第2の工程と、
    前記補強材を固化する第3の工程と、
    前記母材を、前記凹部に隣接する凸部の頂部側から所定の厚みに薄板化する第4の工程と、
    前記母材から前記補強材を除去する第5の工程とを有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  15. 前記母材は、前記凹部が形成された面と反対の面側に、液滴を吐出するための駆動素子を含む構造体が設けられた請求項14に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  16. エッチングを施すことにより所定の形状とされた基板を有する電子部品を製造する方法であって、
    前記基板の一方の面に、前記エッチングを施すことにより凹部を形成する第1の工程と、
    前記凹部に、液状または半固形状の補強材を充填する第2の工程と、
    前記補強材を固化する第3の工程と、
    前記基板を、前記凹部に隣接する凸部の頂部側から所定の厚みに薄板化する第4の工程と、
    前記基板から前記補強材を除去する第5の工程とを有することを特徴とする電子部品の製造方法。
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