JP2008008863A - 活性酸素量測定による感染判定方法,ストレス判定方法および抗酸化能判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】病原体の感染の有無を手軽にかつ汎用的に判定可能な活性酸素量測定による感染判定方法を提供する。
【解決手段】唾液中の白血球が細菌,ウイルス等の病原体を貪食する際に発生する活性酸素量を測定し、測定された活性酸素量に基づいて病原体の感染の有無を判定する。活性酸素量を測定する方法としては、白血球が病原体を貪食する際に発生するフォトンを測定する化学発光法や,活性酸素種センサを用いて活性酸素量を直接測定する方法等がある。これにより、風邪やインフルエンザ等の感染症にかかり始めていないかを簡単に判定できる。
【選択図】図6
【解決手段】唾液中の白血球が細菌,ウイルス等の病原体を貪食する際に発生する活性酸素量を測定し、測定された活性酸素量に基づいて病原体の感染の有無を判定する。活性酸素量を測定する方法としては、白血球が病原体を貪食する際に発生するフォトンを測定する化学発光法や,活性酸素種センサを用いて活性酸素量を直接測定する方法等がある。これにより、風邪やインフルエンザ等の感染症にかかり始めていないかを簡単に判定できる。
【選択図】図6
Description
本発明は活性酸素量測定による感染判定方法,ストレス判定方法および抗酸化能判定方法に関し、特に唾液中に含まれる白血球が病原体等を貪食する際に発生する活性酸素量を測定することによる感染判定方法,ストレス判定方法および抗酸化能判定方法に関する。
従来の風邪,インフルエンザ等の感染症の感染判定方法としては、鼻咽腔の擦過標本や分泌液を用い公知の免疫蛍光抗体法や公知の酵素抗体法により、病原菌やインフルエンザウイルス抗原を証明する方法が一般的であった(例えば、非特許文献1参照)。
ところで、唾液中には、好中球,好酸球,マクロファージ等の白血球が含まれている。これらの白血球は、健康時の唾液中にはほとんど存在しないが、口腔内が細菌やウイルス等の病原体の侵入を受け始めると、それを食い止めようとして貪食殺菌能力のある白血球(貪食白血球=好中球,好酸球,マクロファージ等)が唾液中に集まってくることが知られている。中でも、好中球は病原体侵入後の機動性が高く、しかも圧倒的な数によって細菌,ウイルス等の病原体の侵入を食い止めようとして働く。貪食白血球は、貪食時に主に活性酸素によって病原体を殺し、活性酸素放出時にその量に比例して極微量の光(フォトン)を発生する。化学発光法は、この光(フォトン)を検出して増幅・定量する方法であり、病原体侵入に連動して集まる貪食白血球を、病原体侵入開始から感染症発現までの広範囲に渡って高感度で検出可能である(例えば、特許文献1参照)。また、活性酸素量は、活性酸素種センサを用いて直接測定することもできる(例えば、特許文献2参照)。
また、従来のストレス判定方法は、多数の質問が並べられた問診表に逐一回答して総合的にストレスがあるかないかを判定する精神科的な診断方法が一般的であった。これに対して、科学的なストレス判定方法の一例として、唾液中に含まれるストレスマーカーの量を測定する方法が知られている。例えば、ストレスマーカーとして信頼性の高い分泌型IgA抗体とコルチゾール(cortisol)を測定対象物質に選び、高い選択性を持つ抗原抗体反応を微小な反応場で迅速化し、さらに電気泳動による高性能分離を組み合わせた分析法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
ところで、ストレス時にも、唾液中に貪食白血球が集まり、生体の過剰防衛反応として口腔内粘膜などを攻撃して粘膜等の荒れ(口内炎等)を招くおそれがあることが知られている。
さらに、従来の抗酸化能判定方法の一例としては、リノール酸(linoleic acid)の自動酸化モデル系による方法が知られている。この方法は、リノール酸の酸化を抗酸化物質が抑制するか否かをα−トコフェロール(tocopherol)などの既知の抗酸化剤を対照として評価する方法である(例えば、非特許文献3参照)。
特開2004−251870号公報
特開2005−106490号公報
「インフルエンザQ&A」、[online]、国立感染症研究所感染症情報センター、[平成18年6月22日検索]、インターネット<http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/fluQA/QAdoc01.html#q02>
「唾液でストレスを手軽に測るラボチップの開発に成功」[online]、独立行政法人産業技術総合研究所、[平成18年6月22日検索]、インターネット<http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2005/pr20051102/pr20051102.html>
「食品の機能を評価する」、[online]、財団法人日本食品分析センター、[平成18年6月22日検索]、インターネット<http://www.jfrl.or.jp/other/jfrlnews/news_no22.pdf>
従来の風邪,インフルエンザ等の感染症の感染判定方法は、鼻咽腔の擦過標本や分泌液を用い、公知の免疫蛍光抗体法や公知の酵素抗体法により、病原菌やインフルエンザウイルス抗原等の病原体を証明する方法であったので、判定できる感染症の範囲が限定されており、汎用的に使用できるものではないという問題点があった。
また、従来のストレス判定方法は、唾液中に含まれるストレスマーカーの量を測定するものであるが、唾液には非常に数多くの生体物質が含まれており、またストレス関連物質は微量であり濃度はたいへん低いので、大型の分析機器を駆使しても判定が容易でないという問題点があった。
さらに、従来の抗酸化能判定方法としては、リノール酸の酸化を抗酸化物質が抑制するか否かをα−トコフェロールなどの既知の抗酸化剤を対照として評価する方法であったが、生体において実際に抗酸化能が発揮されるかどうかを評価することができないという問題点があった。
本発明の目的は、唾液中に含まれる貪食白血球が細菌やウイルス等の病原体を貪食する際に発生する活性酸素量を測定することにより、生体への病原体の感染の有無を手軽にかつ汎用的に判定可能な活性酸素量測定による感染判定方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ストレスによって唾液中に集まってくる貪食白血球が食細胞刺激剤を貪食する際に発生する活性酸素量を測定することにより、生体の過剰防御作用を発現させるストレスを判定可能な活性酸素量測定によるストレス判定方法を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、抗酸化物質がある場合とない場合とで唾液中に含まれる貪食白血球が食細胞刺激剤を貪食する際に発生する活性酸素量を測定して比較することにより、抗酸化物質の抗酸化能の有無を判定する活性酸素量測定による抗酸化能判定方法を提供することにある。
請求項1記載の活性酸素量測定による感染判定方法は、唾液中の白血球が病原体を貪食する際に発生する活性酸素量を測定する工程と、測定された活性酸素量に基づいて病原体の感染の有無を判定する工程と、を含むことを特徴とする。請求項1記載の活性酸素量測定による感染判定方法によれば、唾液(うがいのすすぎ水等)に含まれる貪食白血球が細菌,ウイルス等の病原体を貪食する際に発生する活性酸素量を測定することにより、風邪やインフルエンザ等の感染症にかかり始めていないかどうかを簡単に判定できるようになる。この判定方法ならば、採血の必要も無いため、誰でも手軽に感染の有無を判定することができ、自覚症状を自ら訴えにくい子供などの健康管理に大いに役立てられると期待される。
請求項2記載の活性酸素量測定によるストレス判定方法は、少なくとも唾液と食細胞刺激剤とを混合する工程と、混合物中の白血球が前記食細胞刺激剤を貪食する際に発生する活性酸素量を測定する工程と、測定された活性酸素量に基づいてストレスの有無を判定する工程と、を含むことを特徴とする。請求項2記載の活性酸素量測定によるストレス判定方法によれば、仕事,運動などの肉体的ストレスや面接,試験などの精神的ストレスがかかる事柄の前後で測定し、これらを比較した結果、活性酸素量に大きな違いがあったとすると、肉体的ストレスや精神的ストレスによって口腔内白血球の貪食作用により活性酸素が生成されるので、うがいをしてそのすすぎ水(唾液)から活性酸素量を測定することにより、ストレスの有無を判定することができる。
請求項3記載の活性酸素量測定による抗酸化能判定方法は、少なくとも唾液および食細胞刺激剤を混合して第1混合物を作成する工程と、前記第1混合物中の白血球が前記食細胞刺激剤を貪食する際に発生する活性酸素量を測定して第1の活性酸素量を得る工程と、少なくとも唾液,食細胞刺激剤および抗酸化物質を混合して第2混合物を作成する工程と、前記第2混合物中の白血球が前記食細胞刺激剤を貪食する際に発生する活性酸素量を測定して第2の活性酸素量を得る工程と、前記第1の活性酸素量と前記第2の活性酸素量とを比較して前記抗酸化物質の抗酸化能の有無を判定する工程と、を含むことを特徴とする。請求項3記載の活性酸素量測定による抗酸化能判定方法によれば、抗酸化物質には活性酸素を除去する働きがある。抗酸化物質を多く含んだ「抗酸化食品」を摂る前後でうがいをしてそのすすぎ水(唾液)から活性酸素量を測定することにより、活性酸素量が小さいものは抗酸化物資によって体内の活性酸素が効果的に除去され、そうでないものは抗酸化物質の効果があまり現れなかったと、その抗酸化能を生体を使って確かめることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、本発明の実施例1に係る活性酸素量測定による感染判定方法に用いられる微弱発光測定装置Dの正面図および背面図である。この微弱発光測定装置Dは、化学発光法に基づいてフォトンをカウントして活性酸素量を測定するものであり、すでに公知のものである(例えば、http://www.tokken.jp/tetralight.html参照)。このため、詳細な説明は省くが、微弱発光測定装置Dは、図1に示すように、略直方体の筐体1の表面に、電源スイッチ11と、スタートボタン12と、スライド扉13とが配設されている。また、図2に示すように、筐体1の背面には、商用電源(AC100V)のコードを接続する電源コネクタ14と、商用電源(AC100V)のヒューズホルダ15と、RS−232C等の通信コネクタ16とが配設されている。
図3は、微弱発光測定装置Dの透過側面図である。筐体1内には、ステッピングモータ等の正逆回転可能なモータ21と、唾液,食細胞刺激剤および/または増光剤を入れた試料セル25を保持しつつ正逆回転により攪拌する回転ステージ22と、唾液中の貪食白血球が病原体を貪食する際に発生するフォトンを検出する光電子増倍管40等が配設されている。
回転ステージ22は、図4に示すように、円盤状に形成され、試料セル25を上方から押し込んで密着固定する4つの配置孔22a〜22dが等間隔に穿設されている。回転ステージ22の回転軸内には試料セル25中の唾液等を温めるヒータ20が収納されている。ヒータ20は、温度検出センサ(図示せず)を備え、制御コンピュータ10(図5参照)により恒温(37±0.1℃)に制御される。図4で見て配置孔22aの位置に回転移動した試料セル25の底面が光電子増倍管40の真上になるように配置する。モータ21の出力軸にプーリを固定し、プーリと回転ステージ22の下端外周面との間にベルト(図示せず)を掛け渡す。回転ステージ22の外周面には、4つの位置検出用突片23a〜23dが等間隔に取り付けられている。位置検出用突片23a,23dは長片であり、位置検出用突片23b,23cは短片となっている。一方、筐体1には、図4で見て、45度,135度,270度,および315度の各位置に、位置検出用突片23a〜23dを検出する光センサ24a〜24dが配置されている。光センサ24a,24bは透過型光センサであり、光センサ24c,24dは反射型光センサである。このような位置検出用突片23a〜23dおよび光センサ24a〜24dにより、回転ステージ22に配置された試料セル25を位置決めし、また正逆回転して攪拌する(詳細は後述)。
図5に示すように、微弱発光測定装置Dは、制御コンピュータ10と、試料セル25の温度を例えば37±0.1°Cに加熱保温するヒータ20と、モータ21,回転ステージ22を含む攪拌回路30と、試料セル25内の唾液に含まれる好中球,好酸球,マクロファージ等の貪食白血球が病原体を貪食する際に発生するフォトンを検出する光電子増倍管40と、光電子増倍管40により検出されたフォトンの数をカウントするフォトンカウント回路50とを含んで構成されている。
制御コンピュータ10は、図示しないCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等により構成されており、フォトンカウント回路50によりカウントされたフォトン数(極微光量)をパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略記する)100に出力する。
次に、本実施例1に係る活性酸素量測定による感染判定方法の手順を、図6に示すフローチャートを参照して微弱発光測定装置Dの動作とともに説明する。
まず、準備として、微弱発光測定装置Dの通信コネクタ16とパソコン100の背面にあるシリアルポート(図示せず)とをRS−232Cリバースケーブル等の通信ケーブルで接続するとともに、電源コネクタ14に商用電源(AC100V)の電源コードを差し込む。次に、電源スイッチ11を操作することにより、微弱発光測定装置Dに電源を投入する。電源スイッチ11に内蔵されている電源ランプの点灯を確認した上で、微弱発光測定装置Dが安定するまで約30分程度待つ。次に、パソコン100の電源を入れる。デスクトップにある微弱発光測定装置Dのアイコンをクリックして、専用アプリケーションプログラムを立ち上げる。この専用アプリケーションプログラムは、パソコン100と微弱発光測定装置Dとの通信を可能にする。
微弱発光測定装置Dの安定化後、試料セル25を用意し、判定対象のうがいのすすぎ水(唾液)を入れる(図6のA1)。
次に、必要に応じて、試料セル25に食細胞刺激剤および/または増光剤を加えて十分に混ぜ合わせる(図6のA2)。食細胞刺激剤としては、ザイモザン(Zymosan)を使用することができるが、この他にConA(Concanavalin A),PHA(Phytohemagglutinin),PWM(Pokeweed Mitogen)等を使用することもできる。また、増光剤としては、一般的にルミノール(luminol)を使用することができるが、この他にルシゲニン(Lucigenin),ウミホタル・ルシフェリン誘導体(Cypridina Luciferin Analogue)等を使用することもできる。
続いて、試料セル25を微弱発光測定装置Dにセットする(A3)。詳しくは、微弱発光測定装置Dのスライド扉13を取手13aを持って左方にスライドさせると、回転ステージ22の一部が外部に露呈するので、露呈した配置孔(図4で見て配置孔22cの位置にある配置孔)に試料セル25を所定深さまで押し込んでセットした後、スライド扉13を取手13aを持って右方にスライドさせることにより閉じる。スライド扉13の開閉はマイクロスイッチ(図示せず)が検出する。このマイクロスイッチの検出により、制御コンピュータ10は、微弱発光測定装置Dが動作可能状態になったと判断する。なお、回転ステージ22に4つの配置孔22a〜22dが設けられているので、同時に4つまでの試料セル25の測定が可能である。
次に、スタートボタン12を押下して、微弱発光測定装置Dにセットされた試料セル25の測定を開始する(図6のA4)。詳しくは、回転ステージ22の配置孔22cにセットした状態では、試料セル25が光電子増倍管40に対応した位置にないので、制御コンピュータ10は、モータ21を駆動して回転ステージ22を時計回りに180度回転して、光電子増倍管40に対応した位置(図4で見て配置孔22aの位置)に移動させる。この移動は、光センサ24a,24b,24dの出力に基づいて制御される。すなわち、配置孔22cにセットされた試料セル25の配置孔22aの位置への移動は、位置検出用突片23bの光センサ24dによる検出、かつ位置検出用突片24dの光センサ24bによる検出によって判定される。なお、位置検出用突片23cは短片なので、透過型の光センサ24aによっては検出されない。
次に、制御コンピュータ10は、回転ステージ22を反時計回りおよび時計回りに45度ずつ回転させることを約5秒間繰り返すことにより、試料セル25の内容物を攪拌する(図6のA5)。この攪拌は、光センサ24c,24dの出力に基づいて制御される。詳しくは、位置検出用突片23bの光センサ24d,24cでの検出によって判定される。
続いて、制御コンピュータ10は、光電子増倍管40に対応した位置(図4で見て配置孔22aの位置)にある試料セル25の内容物に含まれる貪食白血球が細菌,ウイルス等の病原体を貪食する際に発生するフォトンをカウントする(図6のA6)。詳しくは、制御コンピュータ10は、ヒータ20への通電により試料セル25を恒温(37±0.1℃)に維持し約20分間放置して病原体および貪食白血球をインキュベートしながら、試料セル25内から化学発光されるフォトンを光電子増倍管40で検出し、フォトンカウント回路50によりカウントする。
そして、制御コンピュータ10は、1分間毎のカウント値(単位はCPM)に基づく微弱発光量をパソコン100に出力する(図6のA7)。
パソコン100は、微弱発光測定装置Dから受信した微弱発光量をディスプレイに表示させる。例えば、測定中の微弱発光量の測定結果は、グラフとデータとで同時に表示される。グラフ表示では測定回数に応じた微弱発光量の経時的変化をグラフで、データ表示では測定結果の微弱発光量を数値で、それぞれ表示する。単位はいずれもRLU(Relative Light Unit ;相対発光量)である。そして、パソコン100は、微弱発光測定装置Dからの微弱発光量と予め測定された病原体の感染が疑われる活性酸素量に対応する微弱発光量とを比較し、微弱発光測定装置Dからの微弱発光量が予め測定された病原体の感染が疑われる活性酸素量に対応する微弱発光量の閾値を越えている場合には、病原体の感染が疑われる旨のメッセージをディスプレイに表示する(図6のA8)。
微弱発光測定装置Dにセットされた各試料セル25に対してステップA5〜A8が繰り返され、全ての試料セル25に対する測定が終了したならば、パソコン100のディスプレイの「終了」のボタンをクリックして、専用アプリケーションプログラムを終了してから、電源ボタン11を押圧操作することにより微弱発光測定装置Dの電源を切ることができる。
実施例1によれば、唾液を採取し、唾液中の白血球が唾液中の病原体を貪食する際に発生する活性酸素量を化学発光法により測定して活性酸素量を得、測定された活性酸素量を予め測定されている基準活性酸素量と比較することにより、病原体の感染の有無を判定することができる。具体的には、うがいのすすぎ水に含まれる貪食白血球が細菌,ウイルス等の病原体を貪食する際に発生する活性酸素量を測定することにより、風邪やインフルエンザ等の感染症にかかり始めていないかを簡単に判定できるようになる。なお、本実施例1では、風邪やインフルエンザ等の感染症の感染判定を例示したが、予め測定された病原体の感染が疑われる活性酸素量に対応する微弱発光量の閾値を病原体に応じて変更することにより、本発明は他の多くの病原体の感染判定に汎用的に適用することができる。例えば、口内炎や歯周病等の感染判定にも用いることができる。
図7は、本発明の実施例2に係る活性酸素量測定によるストレス判定方法の手順を示すフローチャートである。本実施例2に係る活性酸素量測定によるストレス判定方法では、まず、唾液,食細胞刺激剤および増光剤を混合して混合物を作成し(B1)、次に混合物中の白血球が食細胞刺激剤を貪食する際に発生する活性酸素量を化学発光法により測定して活性酸素量を得(B2)、測定された活性酸素量を予め測定されている基準活性酸素量と比較してストレスの有無を判定する(B3)。
なお、本実施例2に係る活性酸素量測定によるストレス判定方法でも、実施例1に係る活性酸素量測定による感染判定方法と同様の微弱発光測定装置Dおよびパソコン100を用いて測定が行われるが、それらについてはすでに説明したので詳しい説明を割愛する。
このように構成された実施例2に係る活性酸素量測定によるストレス判定方法では、測定された活性酸素量を予め測定されている基準活性酸素量と比較してストレスの有無を判定するようにしたが、仕事,運動などの肉体的ストレスや面接,試験などの精神的ストレスがかかる事柄の前後で測定をするようにしてもよい。これらを比較した結果、活性酸素量に大きな違いがあったとすると、仕事,運動などの肉体的ストレスや面接,試験などの精神的ストレスによって唾液中に多量の白血球が集まり、口腔内粘膜等を攻撃する。白血球は、口腔内粘膜等を攻撃する際には活性化される。このような白血球が唾液と混合されると、体内で活性酸素が生成される。肉体的ストレスや精神的ストレスがかかる事柄の前後で測定し、これらを比較した結果、活性酸素量に大きな違いがあったとすると、肉体的ストレスだけではなく精神的ストレスによっても口腔内白血球の貪食作用により活性酸素が生成されるので、うがいをしてそのすすぎ水(唾液)から活性酸素量を測定することにより、ストレスの有無を判定することができる。
図8は、本発明の実施例3に係る活性酸素量測定による抗酸化能判定方法の手順を示すフローチャートである。本実施例3に係る活性酸素量測定による抗酸化能判定方法では、まず、唾液,食細胞刺激剤および増光剤を混合して第1混合物を作成し(C1)、第1混合物中の白血球が食細胞刺激剤を貪食する際に発生する活性酸素量を化学発光法により測定して第1の活性酸素量を得る(C2)。次に、唾液,抗酸化物質,食細胞刺激剤および増光剤を混合して第2混合物を作成し(C3)、第2混合物中の白血球が食細胞刺激剤を貪食する際に発生する活性酸素量を化学発光法により測定して第2の活性酸素量を得る(C4)。最後に、第1の活性酸素量と第2の活性酸素量とを比較して抗酸化物質の抗酸化能の有無を判定する(C5)。
なお、本実施例3に係る活性酸素量測定による抗酸化能判定方法でも、実施例1に係る活性酸素量測定による感染判定方法と同様の微弱発光測定装置Dおよびパソコン100を用いて測定が行われるが、それらについてはすでに説明したので詳しい説明を割愛する。
このように構成された実施例3に係る活性酸素量測定による抗酸化能判定方法では、抗酸化物質には活性酸素を除去する働きがあるが、抗酸化物質を多く含んだ「抗酸化食品」を摂る前後でうがいをしてそのすすぎ水から活性酸素量を測定することにより、活性酸素量が小さいものは抗酸化物質によって体内の活性酸素が効果的に除去され、そうでないものは抗酸化物質の効果があまり現れなかったと、その抗酸化能を確かめることができる。
図9は、唾液内好中球について、微弱発光量(活性酸素量)と時間との関係をプロットしたグラフである。このグラフからも分かるようには、抗酸化物質としてビタミンCを加えた3例と、抗酸化物質としてビタミンCを加えなかった1例とでは、明らかに有意な違いが見られる。すなわち、唾液を提供した被検者に対するビタミンCの抗酸化能が明らかに判定できたものである。
ところで、上記各実施例では、化学発光法に基づいて活性酸素量を測定するようにしたが、活性酸素種センサを使用して活性酸素量を直接測定するようにしてもよい。
また、微弱発光測定装置Dの電源として商用電源(AC100V)を使用する場合を説明したが、野外等で病原体の感染の有無を判定する必要がある場合等を考慮して、電源を持ち運びに便利な電池式(バッテリ式)にしてもよい。
以上、本発明の各実施例を説明したが、これらはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
1 筐体
10 制御コンピュータ
11 電源スイッチ
12 スタートスイッチ
13 スライド扉
14 電源コネクタ
15 ヒューズホルダ
16 通信コネクタ
20 ヒータ
21 モータ
22 回転ステージ
22a〜22d 配置孔
23a〜23d 位置検出用突片
24a〜24d 位置検出用センサ
25 試料セル
A1〜A8 ステップ(活性酸素量測定による感染判定方法)
B1〜B3 ステップ(活性酸素量測定によるストレス判定方法)
C1〜C5 ステップ(活性酸素量測定による抗酸化能判定方法)
D 微弱発光測定装置
10 制御コンピュータ
11 電源スイッチ
12 スタートスイッチ
13 スライド扉
14 電源コネクタ
15 ヒューズホルダ
16 通信コネクタ
20 ヒータ
21 モータ
22 回転ステージ
22a〜22d 配置孔
23a〜23d 位置検出用突片
24a〜24d 位置検出用センサ
25 試料セル
A1〜A8 ステップ(活性酸素量測定による感染判定方法)
B1〜B3 ステップ(活性酸素量測定によるストレス判定方法)
C1〜C5 ステップ(活性酸素量測定による抗酸化能判定方法)
D 微弱発光測定装置
Claims (3)
- 唾液中の白血球が病原体を貪食する際に発生する活性酸素量を測定する工程と、
測定された活性酸素量に基づいて病原体の感染の有無を判定する工程と、
を含むことを特徴とする活性酸素量測定による感染判定方法。 - 少なくとも唾液と食細胞刺激剤とを混合する工程と、
混合物中の白血球が前記食細胞刺激剤を貪食する際に発生する活性酸素量を測定する工程と、
測定された活性酸素量に基づいてストレスの有無を判定する工程と、
を含むことを特徴とする活性酸素量測定によるストレス判定方法。 - 少なくとも唾液および食細胞刺激剤を混合して第1混合物を作成する工程と、
前記第1混合物中の白血球が前記食細胞刺激剤を貪食する際に発生する活性酸素量を測定して第1の活性酸素量を得る工程と、
少なくとも唾液,食細胞刺激剤および抗酸化物質を混合して第2混合物を作成する工程と、
前記第2混合物中の白血球が前記食細胞刺激剤を貪食する際に発生する活性酸素量を測定して第2の活性酸素量を得る工程と、
前記第1の活性酸素量と前記第2の活性酸素量とを比較して前記抗酸化物質の抗酸化能の有無を判定する工程と、
を含むことを特徴とする活性酸素量測定による抗酸化能判定方法。
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