JP2008007695A - 吸湿塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】物品収容空間を汚染させずに、高吸湿率で物品を防湿できる吸湿膜を形成するための吸湿塗料を提供することである。
【解決手段】吸湿塗料は、樹脂溶液、及びこの樹脂溶液中に分散される乾燥剤から構成される。乾燥剤として、炭酸カルシウムとゼオライトからなる混合粒子が含まれる。樹脂溶液中に含まれる合成樹脂の溶剤として、メチルエチルケトンが含まれる。合成樹脂として、ポリウレタン系樹脂が含まれる。合成樹脂として、ポリウレタン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とが含まれる。樹脂溶液には、架橋剤として、ブロックタイプのイソシアネートが含まれる。
【選択図】図1

Description

本発明は、家電製品などの機器やその部品(有機ELディスプレイの有機EL素子など)、楽器(ピアノなど)、医薬品(錠剤など)、食品(乾麺、塩など)、衣類、靴など、湿気によりその機能や効能、風味や風合いなどが劣化する物品の防湿技術の分野に属するものであり、このような物品を収容する空間(物品収容空間)を吸湿し、物品を防湿するための吸湿膜を形成するために用いられる塗料(以下、吸湿塗料)に関するものである。
一般に、家電製品などの機器やその部品、楽器、医薬品、食品、衣類、靴などの物品は、物品製造後、袋、ビン、缶、箱、包装紙などの物品収容体によって形成される物品収容空間に収容されている。また、物品を収容した物品収容体を複数個まとめて袋、箱、包装紙などの別の物品収容体の物品収容空間に収容させることもある。そして、製造後の物品の品質を維持するため、物品収容空間に吸湿材を入れて物品収容空間を吸湿し、物品を防湿している。
例えば、菓子類(食品)は、製造後、プラスチック製の袋の内部(物品収容空間)に吸湿材と一緒に入れられ、袋の入口が熱シールなどの手段によって封止されている。錠剤(医薬品)は、製造後、ビンの内部(物品収容空間)に吸湿材と一緒に入れられ、ビンの入口がキャップで封止される。また、有機EL素子(精密機器の部品)は、ガラス基板上に組み立てられた後、封止キャップ(封止基板とも呼称されている)とガラス基板との間の空間(物品収容空間)に密封され、この物品収容空間が封止キャップに取り付けた吸湿材によって吸湿されている。
従来、このような吸湿材として、例えば、通気性シートからなる袋に乾燥剤(シリカゲルやゼオライトなど)を封入したものが使用されている(特許文献1、2を参照)。
このような吸湿材は、乾燥剤を袋内に単に投入しただけのものなので、袋内に投入した乾燥剤のほぼ全量が物品収容空間の吸湿に寄与し得る。
しかし、このような吸湿材では、吸湿材の姿勢が変わると、乾燥剤が移動して片寄り、吸湿材の形状、特に厚さを一定にできず、嵩張るだけでなく、このような吸湿材を狭い物品収容空間内に入れて、この物品収容空間を吸湿し物品を防湿することが困難であるという問題がある。
また、吸湿材として、物品を収容するための袋や包装紙(物品収容体)自体に乾燥剤を練り込んだものが使用されている(特許文献6を参照)。
このような吸湿材は、乾燥剤を練り込んだ合成樹脂からなるシートであり、その厚さを薄く(60μm〜200μm)できるものであるが、合成樹脂に練り込まれる乾燥剤の量を多くすると、袋や包装紙自体が脆くなるので、多量の乾燥剤を練り込むことができず、高い吸湿性が得られない。また、吸湿材の表面部分に位置する乾燥剤のみが物品収容空間の吸湿に寄与するだけなので、高い吸湿率が得られないという問題がある。
一方、有機EL素子などの精密部品のように、防湿されるべき物品のサイズが非常に小さいものを防湿する場合、物品収容空間を封止する封止材に乾燥剤が固定されている(特許文献3、4、5、7を参照)。
例えば、有機ELディスプレイでは、有機分子が酸素や水分(湿気)と反応して劣化し、ディスプレイの寿命が短くなるため、ガラス基板上に透明電極層、有機EL発光層及び対向電極層を積層して組み立てた有機EL素子を防湿している。この防湿は、有機EL素子を組み立てたガラス基板と封止キャップ(封止材)とを貼り合わせ、ガラス基板と封止キャップとの間の空間(物品収容空間)に有機EL素子を収容して、この空間を封止キャップで封止し、この封止キャップに固定されている乾燥剤によって行われている。(有機EL素子の構成については、例えば、特許文献7、非特許文献1を参照。)
一つの防湿技術では、封止キャップに塗布した粘着剤に乾燥剤(無水硫酸カルシウム粒子など)を固定して封止キャップに吸湿膜を形成し、この吸湿膜で有機EL素子の防湿が行われている(特許文献3、4、5を参照)。
しかし、この防湿技術では、乾燥剤を粘着剤に粘着させた後、余分な乾燥剤を振動により振り落している。このため、この振り落とされた乾燥剤が封止キャップに付着したままの状態で、有機EL素子を収容している空間が封止されていると、封止キャップに付着している乾燥剤が剥離して物品収容空間内を浮遊し、有機EL素子に付着して、有機EL素子が汚染されるという問題が生じる。また、有機EL素子の温度変化によって粘着剤中の溶剤が揮発し、この揮発ガスが有機EL素子に付着するという問題も生じる。
また、他の防湿技術では、乾燥剤を樹脂溶液中に分散した吸湿塗料を封止キャップに塗布し乾燥させて吸湿膜を形成しているが、有機ELディスプレイの温度変化による吸湿膜と封止キャップとの熱膨張差により吸湿膜が局所的に剥離するという問題が生じるため、吸湿膜と封止キャップとの間に、吸湿膜と封止キャップのそれぞれの熱膨張率の中間の大きさの熱膨張率を有する応力緩和層を介在させている(特許文献7を参照)。
しかし、この防湿技術では、応力緩和層を設けるための手間とコストがかかるだけでなく、応力緩和層の表面に、単に、吸湿塗料を塗布し乾燥させて吸湿膜を形成しているだけなので、吸湿膜中の乾燥剤が水分を吸収して膨張し、これにより、吸湿膜自体が破壊され、乾燥剤が吸湿膜から脱落し、有機EL素子に付着して、有機EL素子が汚染されるという問題が生じる。
上記問題に鑑みて、シート状の基材(プラスチックシート)の表面に、高い破断伸度を有する合成樹脂(固形分)で乾燥剤を固定した吸湿膜を形成した吸湿シートが検討されている(例えば、特願2005−185843、出願日:平成17年6月27日、出願人:本願の出願人と同一)。
この吸湿シートは、物品収容空間が非常に小さくても、嵩張らずに設置できるものであり、また高い破断伸度を有する合成樹脂で乾燥剤を固定しているので、乾燥剤の水分吸収により吸湿膜自体が破壊されるという問題も生じない。
しかし、この吸湿シートを有機EL素子のような非常に小さい物品の防湿に使用する場合、吸湿シートは封止キャップに塗布した粘着剤(粘着剤の層の厚さが吸湿シートの厚さの約10%)で固定しなければならないので、有機EL素子と封止キャップとの間に形成されている物品収容空間が大きくなるだけでなく、有機EL素子の温度変化によって粘着剤中の溶剤が揮発し、この揮発ガスが有機EL素子に付着するという問題が生じる。
また、この吸湿シートは、樹脂溶液中に乾燥剤を分散した吸湿塗料をシート状の基材の表面に塗布し乾燥させて基材の表面に吸湿膜を形成することによって製造されるもの(すなわち、吸湿材の原反)であり、製造後、ロール巻きされて保管される。その後、このロール巻きした吸湿シートをカッターで所定の形状にカットした後に吸湿材として使用されるので、吸湿シートを製造してから、吸湿材として使用されるまでの間に乾燥剤が水分を吸収し、このため、使用時における吸湿材の吸湿率が低下するという問題がある。
そして、この問題は、吸湿シート(吸湿材の原反)の製造から、カット工程を経て、吸湿材として使用するまでの全工程を乾燥環境下で行うことによって解決し得るが、このための設備にかかるコストが膨大となり、実用的ではない。
この問題に鑑みて、物品収容空間を汚染させずに、高吸湿率で物品を防湿できる吸湿膜を形成するための塗料が検討されている(例えば、特願2005−329312、出願日:平成17年11月14日、出願人:本願の出願人と同一)。この塗料は、吸湿性の高い酸化カルシウムを樹脂溶液中に分散させたものであり、高い吸湿率を有するものである。
しかし、この塗料に乾燥剤として含まれている酸化カルシウムは、水分を吸収すると、水分と化学的に反応して水酸化カルシウムとなり、酸化カルシウムの全量が水酸化カルシウムになると、その体積は約2倍に膨張する。すなわち、酸化カルシウムは高い吸湿率を有するが、吸湿により酸化カルシウムが水酸化カルシウム変化し、その体積が膨張し、吸湿膜を破壊して、物品収容空間を汚染するという問題がある。
特開2000−188367号公報 特開2000−202011号公報 特開2001−185349号公報 特開2001−23507号公報 特開平10−34791号公報 特開平10−272168号公報 特開2004−55365号公報 有機ELディスプレイ、ナノエレクトロニクス、今後の課題と展望、http//www.nanoelectronics.jp/kaitai/oel/7.htm
したがって、本発明の目的は、物品収容空間を汚染させずに、高吸湿率で物品を防湿できる吸湿膜を形成するための吸湿塗料を提供することである。
上記目的を達成する吸湿塗料は、樹脂溶液、及びこの樹脂溶液中に分散される乾燥剤から構成される。
乾燥剤として、炭酸カルシウムとゼオライトからなる混合粒子が含まれる。
本発明では、乾燥剤にゼオライト(沸石ともいう)が含まれている。本発明の吸湿塗料の乾燥時(吸湿膜の形成時)に、ゼオライトに吸着した樹脂溶液中の溶剤が気泡となって揮発し、この気泡により、吸湿層の表面から吸湿層の下層部分に位置する乾燥剤へと達する通気孔が形成され、これにより、吸湿層の下層部分に位置する乾燥剤を有効に利用できる。
樹脂溶液中に含まれる樹脂の溶剤として、メチルエチルケトンが含まれる。ゼオライトの150℃におけるメチルエチルケトンの吸着量は、好適に、ゼオライトの全量を100重量%として11.8重量%以下の範囲にある。
合成樹脂として、ポリウレタン系樹脂が含まれ、ポリオレフィン系樹脂がさらに含まれる。
樹脂溶液には、架橋剤が含まれ、この架橋剤として、ブロックタイプのイソシアネートが含まれる。
本発明が以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
本発明の吸湿塗料は、密閉容器内で容易に製造でき、さらに、製造後、外気に晒されることなく別の密閉容器に入れて、気密に保管できるものなので、本発明の吸湿塗料を使用する現場へ容易に運ぶことができるだけでなく、本発明の吸湿塗料の使用時まで、その品質を維持できる。
そして、物品収容空間を封止する封止材の製造ラインで、本発明の吸湿塗料を封止材に塗布し乾燥させて封止材に吸湿膜を形成することができ、封止材の製造直後に物品収容空間を封止できるので、物品収容空間内の物品を高吸湿率で防湿できる。
また、吸湿材の原反を製造してから、カット工程を経て、吸湿材として使用するまでの全工程を乾燥環境下で行わずに、吸湿材の形状と略同形状の基材に本発明の吸湿塗料を塗布し乾燥させるだけで所定の形状の吸湿材を製造でき、吸湿材の製造直後に、この吸湿材を物品収容空間内に位置させることができるので、物品収容空間内の物品を高吸湿率で防湿できる。また、この吸湿材は、吸湿材の製造直後に密閉容器内に入れて気密に保管でき、吸湿材の使用時まで、その吸湿率を維持できるので、物品収容空間内の物品を高吸湿率で防湿できる。
<吸湿塗料> 本発明の吸湿塗料は、樹脂溶液、及びこの樹脂溶液中に分散される乾燥剤から構成される。
乾燥剤として、炭酸カルシウムとゼオライトとの混合粒子が含まれる。乾燥剤(混合粒子)の平均粒径は0.01μm以上、5μm以下の範囲にある。
乾燥剤と合成樹脂(固形分)の重量比(乾燥剤:合成樹脂)は、40重量%:60重量%〜90重量%:10重量%の範囲にある。
合成樹脂として、ポリウレタン系樹脂が含まれ、ポリオレフィン系樹脂がさらに含まれ得る。
このように、合成樹脂として、性質の異なる樹脂(ポリウレタン系樹脂とポリオレフィン系樹脂)を含めることで、本発明の吸湿塗料からなる吸湿膜中の樹脂に微細な亀裂が生じ、吸湿膜の内部に固定されている乾燥剤が外部に晒され、その結果、吸湿率が高くなる。
樹脂溶液には、架橋剤が含まれ、架橋剤として、吸湿塗料中の乾燥剤が触媒となって過度に架橋反応が進むことなく、一定の温度以上になってから架橋反応が開始されるものが含まれ、このような架橋材として、好適に、ブロックタイプのイソシアネートが含まれる。
<製造方法> 本発明の吸湿塗料は、合成樹脂を含む樹脂溶液中に乾燥剤を分散させることによって製造される。この分散は、密閉容器内で行われ、本発明の吸湿塗料は、製造後、外気に晒さずに、別の密閉容器内に入れて、気密に保管される。このことから、本発明の吸湿塗料は、その使用時まで、その品質を維持できる。
樹脂溶液は、アセトン、メチエチルケトンなどの溶剤で合成樹脂(固形分)を溶かしたものであり、後述のように本発明の吸湿塗料を乾燥させると、本発明の吸湿塗料中の溶剤は蒸発し、乾燥剤が合成樹脂により固定される。
架橋剤は、樹脂溶液中に含まれていてもよいし、また本発明の吸湿塗料の使用直前に添加してもよい。
<使用方法1> 本発明の吸湿塗料は、吸湿塗料が、防湿されるべき物品を収容している物品収容空間内を吸湿してこの物品を防湿するための吸湿膜を、物品収容空間を封止する封止材に形成するために使用される。
すなわち、本発明の吸湿塗料は、封止材に吸湿塗料を塗布し、封止材に塗布した吸湿塗料を乾燥させて、封止材に、乾燥剤を合成樹脂で固定した吸湿膜を形成するために使用される。吸湿膜の厚さは、特に限定されないが、有機EL素子の防湿のように、非常に狭い物品収容空間を吸湿するときは、10μm以上、200μm以下の範囲にある。
好適に、物品は、有機EL素子であり、封止材は、この有機EL素子を収容している物品収容空間を封止する封止キャップである。
図1に示すように、有機ELディスプレイ10の部品である有機EL素子12は、ガラス基板11上に形成され、図示のように、有機EL素子12を形成したガラス基板11は、接着剤13により封止キャップ14と貼り合わされて、有機EL素子12は、ガラス基板11と封止キャップ14との間の空間内に収容され、この空間は、封止キャップ14に形成した本発明の吸湿塗料からなる吸湿膜15によって吸湿され、有機EL素子12が防湿される。
このような封止キャップ14は、ライン生産できるものであり、封止キャップ(封止材)14に本発明の吸湿塗料を塗布し、この封止キャップ14に塗布した本発明の吸湿塗料を乾燥させて、封止キャップ14に、乾燥剤を合成樹脂で固定した吸湿膜15を形成することによって製造され、封止キャップ14の製造直後に、有機EL素子12を形成したガラス基板11と貼り合わされ、ガラス基板11と封止キャップ14との間の空間(物品収容空間)内に収容されている有機EL素子12が、本発明の吸湿塗料からなる吸湿膜15によって防湿される。
<使用方法2> 本発明の吸湿塗料は、吸湿塗料が、防湿されるべき物品を収容する物品収容空間内に位置させて物品収容空間内を吸湿してこの物品を防湿するための所定の形状の吸湿材を製造するために使用される。
すなわち、所定の形状の基材に吸湿塗料を塗布し、基材に塗布した吸湿塗料を乾燥させ、基材に吸湿膜を形成して、吸湿材を製造する。
ここで、物品は、家電製品などの機器やその部品、楽器、医薬品、食品、衣類、靴などであり、物品収容空間は、袋、ビン、缶、箱、包装紙などの物品収容体によって形成される空間である。
本発明に従った吸湿材は、所定の形状の基材、及びこの基材の表面に形成した吸湿膜から構成され、吸湿膜は、乾燥剤、及びこの乾燥剤を固定する合成樹脂から構成される。
基材として、プラスチック、金属、ガラス、紙、布、木材などからなる任意の形状のものが使用される。基材は、予め所定の形状(例えば、円形又は矩形の板状、網目状、球状、棒状など)に加工されている。
本発明に従った吸湿材は、所定の形状の基材の全面又は一部に本発明の吸湿塗料を塗布し乾燥させることによって製造される。
吸湿材は、製造直後、この吸湿材を物品収容空間内に位置させてもよいし、また容器内に入れて気密に保管してもよい。
吸湿材は、通気性を有する袋内に入れて物品収容空間内に位置させてもよいし、物品収容体に粘着剤で貼り付けて物品収容空間内に位置させてもよい。
<実施例1> 炭酸カルシウム(100重量部)と、ゼオライト(10重量部)と、ポリウレタン系樹脂の30重量%濃度の溶液(54重量部)と、ポリオレフィン系樹脂の40重量%濃度の溶液(9重量部)と、ポリエステルポリオール(1.7重量部)と、メチルエチルケトン(140重量部)とをポットミルに入れて48時間攪拌した後、ブロックタイプのイソシアネートの50重量%濃度の溶液(12重量部)を加えてさらに攪拌して実施例1の吸湿塗料を製造した。
実施例1の吸湿塗料の組成を下記の表1に示す。
この実施例1の吸湿塗料を厚さ2mmのガラス板にスピンコータで塗布し、熱風乾燥機(150℃)で3分間乾燥して、ガラス板の表面に厚さ80μmの吸湿膜を形成した。
ここで、炭酸カルシウムとゼオライトとの混合粒子の平均粒径は0.15μmであった。
また、ゼオライトとして、150℃におけるメチルエチルケトンの吸着量が11.8重量%の市販のゼオライト(製品名:モレキュラーシーブス13X、Afla Aesar社)を使用した。
ゼオライトのメチルエチルケトンの吸着量の測定は、ゼオライトを300℃で1時間乾燥させた後、冷却し、精秤する。次に、これをメチルエチルケトンに浸し、80℃〜100℃の範囲で乾燥させ、さらに150℃で10分間乾燥させた後、冷却し、精秤し、ゼオライトの重量の変化から吸着量を算出する。
<実施例2> 実施例2の吸湿塗料は、ゼオライトとして、150℃におけるメチルエチルケトンの吸着量が3.8重量%の市販のゼオライト(製品名:モレキュラーシーブス4A、Afla Aesar社)を使用した以外は、上記の実施例1と同じである。
実施例2の吸湿塗料の組成を下記の表1に示す。
この実施例2の吸湿塗料を厚さ2mmのガラス板にスピンコータで塗布し、熱風乾燥機(150℃)で3分間乾燥して、ガラス板の表面に厚さ80μmの吸湿膜を形成した。
<比較例1> 比較例1の吸湿塗料は、乾燥剤として、炭酸カルシウム(110重量部)のみを使用した以外は、上記の実施例1と同じである。
比較例1の吸湿塗料の組成を下記の表1に示す。
この比較例1の吸湿塗料を厚さ2mmのガラス板にスピンコータで塗布し、熱風乾燥機(150℃)で3分間乾燥して、ガラス板の表面に厚さ80μmの吸湿膜を形成した。
<比較例2> 比較例2の吸湿塗料は、乾燥剤として、炭酸カルシウム(100重量部)のみを使用した以外は、上記の実施例1と同じである。
比較例2の吸湿塗料の組成を下記の表1に示す。
この比較例2の吸湿塗料を厚さ2mmのガラス板にスピンコータで塗布し、熱風乾燥機(150℃)で3分間乾燥して、ガラス板の表面に厚さ80μmの吸湿膜を形成した。
<比較例3> 比較例3の吸湿塗料は、乾燥剤として、ゼオライト(150℃におけるメチルエチルケトンの吸着量が3.8重量%の市販のゼオライト(製品名:モレキュラーシーブス4A、Afla Aesar社))(110重量部)のみを使用した以外は、上記の実施例1と同じである。
比較例3の吸湿塗料の組成を下記の表1に示す。
この比較例3の吸湿塗料を厚さ2mmのガラス板にスピンコータで塗布し、熱風乾燥機(150℃)で3分間乾燥して、ガラス板の表面に厚さ80μmの吸湿膜を形成した。
Figure 2008007695
<比較試験> 上記の各実施例及び比較例の吸湿膜を形成したガラス板を20℃、60%相対湿度の恒温恒湿槽中に放置し、これらの重量変化から各実施例、比較例の吸湿膜の吸湿量を算出した。その結果を下記の表2及び表3に示す。また、各実施例、比較例の吸湿率と重量変化の経時変化を図2、3に示す。
Figure 2008007695
Figure 2008007695
<試験結果> 上記の表2、3及び図2、3に示すように、実施例1、2では、時間の経過とともに、吸湿量(吸湿率及び重量変化)が増加している。一方、比較例1では、実施例1、2と同様に、時間の経過とともに、吸湿量が増加しているが、後述するように、吸湿膜が破壊し、乾燥剤が脱落する。比較例2では、実施例1、2と比較して、吸湿量が少ない。また、比較例3では、時間の経過とともに、吸湿量が一時的に増加しているが、60分を経過した後は、重量変化はなく、吸湿効果がなくなった。
吸湿後の吸湿膜の状態について、実施例1、2では、膜の周辺部分がやや浮き気味であったが、乾燥剤の脱落はなかった。
比較例1(炭酸カルシウムのみを110重量部含有)では、吸湿膜がガラス板から剥離し、吸湿膜自体が脱落し、細片化した。これは、炭酸カルシウムの量が多過ぎたため、炭酸カルシウムの吸湿による粒子の膨張によって、乾燥剤を固定している合成樹脂が破壊されたからである。一方、比較例2(炭酸カルシウムのみを100重量部含有)では、実施例1、2と同様に、膜の周辺部分が浮き気味であったが、乾燥剤の脱落はなかった。この比較例2の結果から、炭酸カルシウムの含有量の上限が100重量部であることがわかった。また、比較例3(ゼオライトのみを110重量部)では、膜の周辺部分が浮き気味になることもなく、乾燥剤の脱落もなかった。
図1は、本発明に従った有機ELディスプレイの部分拡大側面図である。 図2は、各実施例、比較例の吸湿率の経時変化を示す。 図3は、各実施例、比較例の重量変化の経時変化を示す。
符号の説明
10・・・有機ELディスプレイ
11・・・ガラス基板
12・・・有機EL素子
13・・・接着剤
14・・・封止キャップ
15・・・吸湿膜

Claims (6)

  1. 吸湿塗料であって、
    合成樹脂と溶剤とを含む樹脂溶液、及び
    前記樹脂溶液中に分散される乾燥剤、
    から成り、
    前記乾燥剤として、炭酸カルシウムとゼオライトとの混合粒子が含まれる、
    ところの吸湿塗料。
  2. 請求項1の吸湿塗料であって、
    前記樹脂溶液中に含まれる溶剤として、メチルエチルケトンが含まれる、
    ところの吸湿塗料。
  3. 請求項2の吸湿塗料であって、
    前記ゼオライトの150℃におけるメチルエチルケトンの吸着量が、ゼオライトの全量を100重量%として11.8重量%以下の範囲にある、
    ところの吸湿塗料。
  4. 請求項1の吸湿塗料であって、
    前記合成樹脂として、ポリウレタン系樹脂が含まれる、
    ところの吸湿塗料。
  5. 請求項1の吸湿塗料であって、
    前記合成樹脂として、ポリウレタン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とが含まれる、
    ところの吸湿塗料。
  6. 請求項1の吸湿塗料であって、
    前記樹脂溶液には、架橋剤が含まれ、この架橋剤として、ブロックタイプのイソシアネートが含まれる、
    ところの吸湿塗料。
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