JP2008007126A - 緩衝材及びそれを利用した包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 強度と形状安定性を有し、紙製であって易廃棄性に優れ、生産効率に優れ、組立不要の緩衝材を用いた包装体を得る。
【解決手段】 被包装体に緩衝材を嵌合させ、さらに包装箱に収納して包装する包装体で使用する緩衝材で、下記の(1)〜(4)の4つの条件を満足する基材紙をプレス成形して得られた緩衝材。
(1)引張強度(JIS−P8113)が2.0kN/m以上。
(2)破断伸び(JIS−P8113)が1.5%以上。
(3)下記式により定義される限界圧縮応力が1〜10MPaの範囲。
限界圧縮応力=A/B
但し、AはJIS−P8126による圧縮強度、
Bは圧縮強度測定時における試験片の荷重部分面積を各々示す。
(4)厚さ方向に20kgf/cmの圧縮応力を加えたときの圧縮変形量が10%以上。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被包装体、例えばトナーカートリッジ等に緩衝材を嵌合させて、さらに包装箱に収納して包装する包装体に関する。
従来、各種被包装体に緩衝材を嵌合させて、さらに包装箱に収納して包装する包装体は広く用いられていた。このような緩衝材としては、軽量で形状の自由度が高く、生産性に優れて安価な発泡スチロール素材が広く使用されていた。
しかし、近年は、環境保護に対する配慮から、合成樹脂素材に替わって、廃棄性に優れて環境に対する負荷が小さな紙素材・パルプ素材の緩衝材を使用することが求められていた。
このような緩衝材としては、段ボールシートを被包装体の形状に合わせた形状に適宜組み立て成形した構造体が用いられていた(特許文献1)。このような段ボールシート製の構造体は、紙である段ボールシートを素材とするため、易廃棄性という点に優れている。しかし、平面である段ボールシートを立体構造とするためには、シートを複雑な構造に打ち抜いて、所定形状に組み立てる必要があるが、この組立は殆どの場合手作業で行わなくてはならない。また、形状の自由度が低く、複雑な形状を有する被包装物の形状に適応した形状にすることが難しい。特に曲面に対応することは困難である。
また、このような緩衝材として、パルプモウルド製のものが使用されていた(特許文献2)。パルプモウルドは、立体的な抄網を用いて抄紙して製造するので、ある程度形状に自由度があり、曲面への対応も可能である。しかし、湿式抄紙であるため乾燥工程を必要とし、その分、時間及び熱エネルギーが必要となり、生産性に劣るという問題があった。
特開平10−139070号公報 実公平6−35975号公報 特開2002−201598号公報
本発明は、強度と形状安定性を有し、紙製であって易廃棄性に優れ、生産効率に優れ、かつ組立が不要の緩衝材を用いた包装体を得ることを課題とする。
本発明の第1は、被包装体に緩衝材を嵌合させ、さらに包装箱に収納して包装する包装体で使用する緩衝材において、
前記緩衝材が、下記の(1)〜(4)の4つの条件を満足する基材紙をプレス成形して得られた緩衝材である。
(1)引張強度(JIS−P8113)が2.0kN/m以上。
(2)破断伸び(JIS−P8113)が1.5%以上。
(3)下記式により定義される限界圧縮応力が1〜10MPaの範囲。
限界圧縮応力=A/B
但し、AはJIS−P8126による圧縮強度、
Bは圧縮強度測定時における試験片の荷重部分面積を各々示す。
(4)厚さ方向に20kgf/cmの圧縮応力を加えたときの圧縮変形量が10%以上。
本発明の第2は、被包装体に緩衝材を嵌合させ、さらに包装箱に収納して包装する包装体で使用する緩衝材において、
前記緩衝材が、密度0.7〜0.9g/cm3の高密度層、及び密度0.7g/cm3未満の低密度層を有し、米坪が100〜500g/m、全体の密度が0.4〜0.7g/cm3、かつ低密度層が機械パルプ、カールドファイバー、及びマーセル化パルプの少なくとも一つから選ばれるパルプを主体として構成された基材紙をプレス成形して得られた緩衝材である。
本発明の第3は、前記基材紙の原料パルプとして機械パルプを含む本発明第1〜2のいずれかに記載の緩衝材である。
本発明の第4は、被包装体に本発明の第1〜3のいずれかに記載の緩衝材を嵌合させ、さらに包装箱に収納して包装する包装体である。
本発明によって、強度と形状安定性を有し、紙製であって易廃棄性に優れ、生産効率に優れ、かつ組立が不要の緩衝材を用いた包装体の提供が可能となる。
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
本発明における緩衝材の基材紙を構成するパルプについて以下に述べる。
天然パルプ繊維としては、木材繊維(化学パルプ、機械パルプ)、非木材繊維、古紙パルプなどが必要に応じて任意に使用される。木材繊維のうち化学パルプとしては、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ等が挙げられる。これらのパルプは未晒品でも、漂白処理を施したものでもよい。また、機械パルプとしては、グラウンドウッドパルプ(GP)、リファイナーグラウンドウッドパルプ(RGP)、木材チップを加熱、リファイニング処理して得られるサーモメカニカルパルプ(TMP)などが挙げられる。
これらの機械パルプのうち、シートの嵩高さ、及び強度の点からTMPが最適である。なおTMPとしては、木材チップを化学処理した後に加圧下でリファイニングするC−TMP、さらに漂白処理を施したBC−TMP等も含むものとする。また、こうした木材繊維パルプのうち、針葉樹から得られる繊維長の長いパルプが原紙の延伸性、強度を向上させるために好適に使用される。
また、非木材繊維としては、コウゾ、ケナフ、ジュート等の靱皮繊維類や、木綿、コットンリンターなどの種毛繊維類や、マニラ麻、サイザル麻等の葉繊維類や、竹、バガス等の茎繊維類などが必要に応じて任意に使用可能である。特にコウゾ、ミツマタ、ケナフ、マニラ麻、サイザル麻、木綿、コットンリンター等は、繊維長も長く、本発明原紙の延伸性、強度を向上させることができるため好適に用いられる。
なお、本発明では、必要に応じて、各種古紙パルプを使用することも可能である。
上記の各種パルプ繊維は、単独、あるいは2種類以上を併用して使用することができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて合成樹脂繊維を混合することができる。
上記パルプ繊維から構成される本発明の緩衝材の基材紙は、引張強度(JIS−P8113)が2.0kN/m以上で、かつ破断伸び(JIS−P8113)が1.5%以上であることが好ましい。
基材紙の引張強度が2.0kN/mより低い、あるいは破断伸びが1.5%より低いと延伸性が低く、プレス成形時に破断してしまい不適である。
なお、引張強度及び破断伸びを上記範囲に制御するためには、単層の場合、パルプの1部にNBKPを使用するか、または、紙力増強剤の配合量を調整する方法、あるいは、紙層を多層とし、その少なくとも一層にNBKPを用いるか、紙力増強剤を配合する方法等、公知の方法で制御できる。
平面の原紙をプレス成形するときに、成形体が歪みの大きい曲面部を有する場合、曲面部分に折りシワを形成させて歪みを吸収させる必要がある。このとき折りシワ部分は平面方向にアコーディオンのように折り込まれて凹凸を形成し、その後、プレスによりこの凹凸が厚さ方向に圧縮される。
このため、良好なプレス成形性を得るためには、基材紙の限界圧縮応力が1〜10MPaの範囲、厚さ方向の圧縮率が10%以上の範囲にあることが好ましい。
なお、本発明における圧縮率とは、荷重20kgf/cmの圧縮応力を加えたときの厚さ方向の圧縮率を示す。限界圧縮応力が10MPaを越えると、折りシワ部分が十分に折り込まれず、また圧縮率が10%より低いと折りシワ部分の圧縮成形が不十分となり、良好な成形性が得られなくなる。
限界圧縮応力、厚さ方向の圧縮率が上記範囲とするためには基材紙密度を低くする必要があるが、そのためには剛直なパルプ繊維を用いるとよい。一般に、均一な地合の紙シートを得るのにパルプ繊維を叩解して(パルプ繊維に機械的外力を加えて繊維の細胞壁の一部をフィブリル化する)使用するが、本発明では、繊維の剛直性を保持するために叩解を軽度に留める必要がある。
叩解の程度としては、例えば化学パルプの場合、フリーネス(Tappi T−227カナダ標準型)が500mlcsf以上、機械パルプの場合180mlcsf以上、麻パルプ、ケナフパルプの場合500mlcsf以上、段ボール古紙パルプの場合500mlcsf以上のものが好ましい。なおパルプ繊維の叩解には、従来使用される各種リファイナーが適宜使用可能である。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、基材紙の抄造時に発泡剤を添加して密度を下げることもできる。発泡剤としては、マイクロカプセル内に低沸点溶剤を封入した熱膨張性マイクロカプセル等がある。また、シラスバルーンのような軽量無機顔料を添加して密度を下げることもできる。
本発明の基材紙を抄造するために紙料に添加する製紙用薬品としては、通常の抄紙で用いられるのと同様のサイズ剤、紙力剤、歩留向上剤等を必要に応じて使用することができる。また、これら製紙用薬品は抄造工程中に紙層間にスプレーしたり、抄造中、もしくは抄造後に原紙表面に塗工する方法で添加することも可能である。
また、抄造時に通常の抄紙で用いられるのと同様の填料を必要に応じて任意の組み合わせで添加することができる。
さらに、染料、pH調整剤、スライムコントロール剤、消泡剤、粘剤等の抄紙用添加助剤も用途に応じて適宜使用できる。
本発明の抄紙時pHは酸性抄紙である4.5付近から中性抄紙の6〜8程度の間で必要に応じて任意に選択することが可能である。
上記材料からなる紙料を常法により抄紙する。使用する抄紙機は、従来用いられている任意の形式の抄紙機を適宜選択可能であり、特に限定されない。また、乾燥においても、従来用いられている任意の形式のドライヤーを適宜選択可能であり、特に限定されない。
また、本発明において、上記抄紙工程から得られる基材紙は、単層でも良く、2層以上の抄合わせ紙でもよい。
このようにして得られる基材紙の坪量は、100〜500g/mの範囲が好ましく、200〜400g/mの範囲が更に好ましい。坪量が100g/mより低いとプレス成形後に得られる成形体に十分な強度が発現せず、500g/mを越えると折りシワ部分の成形性が低下して好ましくない。
前記した方法により、本発明の(1)〜(4)の要件を満たす紙が製造できるが、強度と伸びと剛性と圧縮率形成のバランスをとるためには、クラフトパルプ、または上質古紙を主体とする密度0.7〜0.9g/cm3の両外層の間に、機械パルプを主体とする密度0.7g/cm3未満の中層を有する、密度0.4〜0.7g/cm3の多層紙を用いることが最も好ましい。
本発明における緩衝材の基材紙としては、密度が0.7g/cm3未満の低密度層と、密度0.7〜0.9g/cm3の高密度層を含む2層以上の多層抄き紙であり、かつ、全体の密度が0.4〜0.7g/cm3の紙を使用することが好ましい。低密度層は好ましくは密度0.2〜0.65g/cm3である。
上記多層抄き紙は、低密度層と高密度層を各々1層有すればよいが、さらに望ましくは表裏の外層を共に高密度層とし、低密度層である中層が挟まれた構造とすることがより嵩高で剛度の高い原紙を得る上でさらに効果的である。
紙、板紙等のシートの剛度Sは、該シートを片持ち梁と考えたとき、S=E・I/B・W=E・T/12・W、(E:ヤング率MPa、I:断面二次モーメントN・cm、B:試料巾mm、W:試料質量kg、T:試料厚さmm)で示される。即ち、剛度Sはヤング率とシート厚さの3乗に比例すると考えることができる。
さらに、板紙のような多層構造のシートの剛度は、Tappi Nov、1963、Vol.46、No.11のA.T.Lueyによると、同様に前述の式を用い、各層のヤング率と断面二次モーメントから各層の剛度値を求め、それら各層の剛度値の和でシート全体の剛度値が求められるとされる。
この考え方に基づけば、紙の厚さ中心からの距離が遠い、即ち、紙厚が厚いほど剛度が得られるので、中層は嵩高にすればよい。また、剛度は厚さの3乗とヤング率の積で示されるので、ヤング率は外層ほど高い方が剛度向上に効果的である。
このことから、中層の密度は0.7g/cm未満、さらには0.2〜0.65g/cmが好ましい。さらに好ましくは0.3〜0.6g/cmである。
中層の密度を0.2g/cm未満にすると層間強度の低下が激しく、また、0.7g/cmを越えると、原紙全体の密度を0.4〜0.7g/cmとすることができない。
また、外層の密度は、0.7〜0.9g/cmであることが好ましい。0.7g/cm未満だと外層のヤング率が低下し、本発明の剛度の向上が期待できない。また、密度0.9g/cmを越えた場合は原紙の外層表面が緊密になりすぎることによって、抄紙段階でこれ以上の高密度層を得ることは実質的には困難であるばかりか、プレス成形適性が伴わなくなる。
高密度層に用いるパルプの種類には特段の制約はないが、NUKP、NBKP等のN材(針葉樹)パルプの叩解度を高くして剛度を失わないようにしたものが特に望ましい。なお、本発明を効果的なものとするためには、高密度層とした外層の坪量は15〜100g/mであることが好ましい。即ち15g/m未満では高ヤング率の層を得ることは困難であり、また抄紙自体も困難である。一方、前記外層が100g/mを越えると、相対的に低密度層の坪量が減るために原紙全体の密度が上がり、0.4〜0.7g/cmの範囲とすることが困難である。
本発明の基材紙となる多層抄き紙の製造は、一般的な板紙を製造するのと同様に多層抄き合わせフォーマを用いて行う。
本発明において、低密度層として用いるパルプは、JIS−P8121のカナダ標準形に準じたフリーネスが再離解状態で200〜650mlの範囲となるものを用いることが好適である。フリーネスが200ml未満の場合、パルプ繊維の水切れが悪いため、搾水されたシートが緻密な構造になりやすく、低密度な紙層構造を得にくくなる。反対にフリーネスが650mlを越えると、シートが低密度になりすぎて抄紙時にプレス工程で層間剥離を発生してバルーン状の膨れが発生しやすくなる。なお、再離解状態で200〜650mlのフリーネスを示す紙料は、用いられたパルプ原料の如何に関わらず、カナダ標準型フリーネスで250〜700mlとすることができる。
また、使用されたパルプのフリーネスを、原紙を再離解して測定することは、良好な操業性を示した製品から必要なパルプ特性を単時間で把握するのに有効である。
また、低密度層に用いるパルプ原料としては、任意に選択が可能であるが、低密度な紙層を得やすいパルプ原料を主体とすることが好ましい。具体的にはこのようなパルプとしては機械パルプが挙げられる。機械パルプには、GP、TMP、RGP等があるが、TMP、RGPが特に好ましい。その中でもラジアータパインやサザンパイン、ダグラスファー等を原料とするものが、繊維が剛直で変形しにくいという特徴のため、低密度な紙層を得ることができ、またプレス成形時の密度低下も少ないので特に好ましい。
なお、本発明においては、機械破砕する際に化学薬品を添加して得たパルプや、漂白工程を経たパルプ等、一部化学処理したパルプも機械パルプとして扱うものとする。さらに、マーセル化パルプやカールドファイバー等、化学処理によってパルプに低密度化特性を付与したものも好適に使用できる。
本発明においては、低密度層を構成するためには前述のパルプを主体として使用するが、その他、通常用いられる木材を原料とした化学パルプ、又は、各種非木材を原料とした化学パルプ等を適宜配合して使用することも可能である。
いずれにせよ、本発明においては、低密度層の密度が0.2g/cm以上、0.7g/cm未満となるように各種のパルプを選択し、必要に応じて複数の種類を配合して使用することが望ましい。
なお、本発明においては、機械パルプ、マーセル化パルプ、カールドファイバーの少なくともいずれかが、基材紙の全パルプ中の50%以上含まれることがさらに望ましい。
次に該基材紙のプレス成形、及び成形された緩衝材について述べる。
<成形方法について>
(1)原紙水分調整
本発明の緩衝材の製造方法としては、緩衝材用原紙をブランクシートに打ち抜き、必要箇所に罫線を入れ、雄型と雌型よりなるプレス型に該ブランクシートを挟み、加熱、加圧して成形する、プレス成形(絞り成形)という製造方法をとる。
このとき、緩衝材用原紙は、予め調湿して原紙水分を調節することが好ましい。原紙水分は10〜20%の範囲が好ましく、好ましくは11〜17%、さらに好ましくは12〜15%、最も好適には12.5〜14.5%である。なお、原紙水分とは、原紙中の全パルプ分の絶乾質量に対する、水分の質量%をいう。原紙水分をこの好適範囲とすると、緩衝材用原紙の可塑化が起こって成形性が向上し、成形時の紙層の破壊を低減する。この結果、より深さがあり、外観が滑らかで美しく、しかも高い剛性を有した緩衝材を得ることができる。原紙水分が10%未満であると成形体に十分な剛性が得られず、20%を越えると、基材紙にブリスターが発生して原紙の紙層が剥離する、水分量が多くなるため乾燥に時間がかかり生産性が落ちる、等の問題が発生する恐れがあり好ましくない。
(2)成形方法
次に、ブランクシートから緩衝材を製造する工程について説明する。
本発明でプレス成形は一対のプレス用金型により行う。一対の加熱プレス用金型とは、凸状で成形品の内容積部に対応する形状の凸型と、凹状で成形品の外形に対応する形状の凹型である。前記一対のプレス用金型は前後または上下方向に少なくとも片方の型が動くことにより緩衝材をプレス可能である。
本発明においては、プレス時には、ブランクシート、もしくはプレス用金型のいずれかもしくは両方を加熱しておくことが好ましい。ブランクシートの加熱方法としては、高周波加熱、熱風加熱、赤外線加熱等、任意の手段が用いられる。
また、金型加熱手段としては、該プレス用金型に電熱加熱装置を設け加熱することが一般的であるが、高周波発振機を設けて高周波印加により加熱することが出来る。また両者を併用することもできる。
また、成形時の加熱温度は加工原紙が100〜150℃となるような範囲が好ましく、さらに好ましくは110〜140℃である。100℃未満であると、成形に時間がかかり生産性が落ちる。また150℃を越えると、特に原紙水分が高い場合にブリスターが発生しやすくなるので好ましくない。
プレス成形を完了した緩衝材は、金型から取り出し空冷してもよいが、寸法安定性を高めるために、高温の緩衝材を冷却用の金型に一定時間だけ固定冷却することも好ましい。
前記加熱プレス用金型の材質としては、アルミニウム、アルミニウム系合金等、公知のものを適宜選択して使用可能である。
金型を動作させる方法としては、油圧、エアー圧、カム機構等、従来使用される公知の機構のものが適宜採用可能である。プレス成形時に上型と下型のクリアランスを制御する方法としては、油圧あるいはエアー圧による場合、成形品厚さに応じて、コンピューター制御により各圧力を制御することができる。また、ストッパーの位置を制御することができる。カム機構による場合、予め設計されたカム形状と型の下降速度により制御可能である。
プレス成形時の圧力は、10〜100kgf/cmの範囲が好ましい。圧力が10kgf/cmより低いと罫線部分の圧縮変形が不十分となるおそれがあり、また100kgf/cmを越えると、折りシワ部分の紙層が破壊されるおそれがあり好ましくない。
プレス成形時のプレス時間については、成形性、作業性の点から2〜30秒の範囲が好ましい。
<高温・高湿下での原紙特性>
プレス成形時のような、高温・高湿条件下において、緩衝材用原紙の破断強度(引張強度)は弱くなり、小さな力で破断するようになる。さらに、高湿条件においては、温度が高い程破断伸びも小さくなり、即ち、破断しやすくなる傾向がある。そのため、高温・高湿下における原紙の引張特性が、絞り成形適性において重要な要件となるが、実際の成形時における紙の温度、水分を測定することは困難である。また、高温・高湿下における紙の引張特性を測定することは容易でない。
しかし、本発明者らは研究の結果、温度23℃、紙中水分量14質量%の条件下において、下記の及びの条件を満たす緩衝材用原紙は、高温・高湿下での絞り成形に適していることを見出した。
(1)縦方向の破断伸び(JIS−P8113)が2%、さらに好ましくは3%以上。
(2)縦方向の引張弾性率が1000〜2000MPa、さらに好ましくは1200〜1800MPaの範囲。
なお、上記の紙中水分量とは、伸びや弾性率測定時点において、紙中の水分質量を紙の全質量(パルプ+添加剤+水分)で除した値を指す。
なお上記測定は、塗工層が存在しない基材紙の状態での測定である。
上記の温度23℃、紙中水分量14質量%での縦方向の破断伸びが2.0%未満の場合、プレス成形加工時、延伸性が低いため破断してしまうという問題が発生する可能性がある。
また、温度23℃、紙中水分量14質量%での引張弾性率を2500MPa以下の範囲にすると、基材紙のパルプ繊維の流動性が高まり、成形時の折りシワ部分の紙層破壊を低減することができ、この結果、強度の高い成形体を得ることができる。前記引張弾性率が1000MPa未満の場合、緩衝材の剛性が不足するという問題が発生する恐れがある。
<緩衝材の形状について>
本発明が対象とする緩衝材は、1枚の紙を一対の凸型と凹型のプレス金型で絞り成形(プレス成形)して得られる緩衝材である。
緩衝材の形状は、側面部、平面部、及び平面部に設けられた嵌合凹部を有する。緩衝材は、平面部側を被包装体側とし、嵌合凹部に被包装物を嵌合させて包装箱に収納するものである。前記嵌合凹部は、被包装体の形状に合わせ、嵌合可能な形状とすればよい。緩衝材全体の形状も、被包装体及び包装箱の形状に合わせて任意な形状とすることが可能である。
緩衝材の平面部と側面部がなす角度は、プレス成形で成形するため、90°以上である。当然、平面部よりも側面部の端縁がなす外形(平面外形)が大となる。
上記平面外形は、正方形、長方形、円形等、その他、収納する包装箱の内部形状に合わせて任意形状とすることが可能である。なお、多角形の形状の場合も、角部分は通常丸みを帯びている。また、角を落とした形状にすることも可能である。
また、平面外形は、該緩衝材を収納する包装箱の緩衝材に接する部分の内部形状より若干大きいことが望ましい。平面外形が大きくても、前記平面部が包装箱の内部形状より小さければ、側面部の弾性により、緩衝材を包装箱内に収納可能であり、また、緩衝材の弾性による反発力によって緩衝材が包装箱内部で固定可能となる。
なお緩衝材の平面部と側面部がなす角度は、95°〜135°がさらに望ましい。角度が95°未満の場合には、緩衝材側面の弾性による反発力が十分でないため、緩衝材が包装箱内部で固定される効果が十分に得られないおそれがある。また、135°を越えた場合は、緩衝材の強度、及び形状安定性が十分に得られないおそれがある。
なお、図1、図2に本発明の緩衝材の一例を、斜視図及び断面図として記載する。また、図3に本発明実施例の使用説明図を記載する。
なお、上記した紙基材をプレス成形して得た緩衝材は、通常の紙・板紙などの原紙等を使用したものと比較して、表面が滑らかで、より形状の自由度が高く、かつ剛度と形状安定性に優れた緩衝材を得ることが可能である。
本発明に使用する包装箱は、任意の素材及び形状のものが使用可能であるが、リサイクルが可能で強度に優れた段ボール製箱が、特に好適に用いられる。
以下、実施例によって、本発明を更に具体的に述べる。
<実施例1>
ディスクリファイナーを用い、市販NBKPを550mlcsf(TappiT−227カナダ標準型)に、ラジアータパインTMPを300mlcsfに、市販NUKPを550mlcsfに叩解した。
これらを紙料とし、多層抄合わせ抄紙機を用いて第1層NBKP40g/m2、第2層TMP260g/m2、第3層NUKP50g/m2の3層構成からなる350g/mの板紙を抄造して基材紙を得た。この基材紙を後述の測定方法により、引張強度、破断伸び、限界圧縮応力、厚さ方向の圧縮変形量を測定した。
上記基材紙を水蒸気で調湿して紙中水分12.5%とし、さらに打ち抜くと同時に刻印を設けて所定形状のブランクシートとした後、該ブランクシートをテストプレス成型機(第一工機製)により、雄雌の凹凸形状の成形金型で130℃、35kg/cm2で加熱加圧処理してプレス成形して緩衝材を得た。
なお、緩衝材の形状は図1とし、サイズは平面部が8.5cm×8.5cm略正方形、平面外形が9.0cm×9.0cm略正方形で、側面部の高さが1.5cm、嵌合凹部が直径約7.0cmの円形で、深さ1.0cmとした。
<実施例2>
第1層NBKP40g/m2、第2層TMP200g/m2、第3層NUKP40g/m2の3層構成からなる280g/mの板紙を抄造して基材紙を得た以外は、実施例1と同様にして、本発明の緩衝材を得た。
<実施例3>
第1層NBKP40g/m2、第2層TMP240g/m2、第3層NUKP50g/m2の3層構成からなる330g/mの板紙を抄造して基材紙を得た以外は、実施例1と同様にして、本発明の緩衝材を得た。
[評価方法]
上記実施例、比較例で得た緩衝材用原紙、及び緩衝材を以下の方法で評価した。その結果を表1に示す。
(1)各紙層の密度
実施例、比較例で得た基材紙を、JIS−P8139の板紙の抄き合わせ層の剥離強さ試験法記載された層間剥離方法で各層の層間を剥離し、各層の厚さ(mm)、坪量(g/m2)を求める。なお、剥離した各層の厚さは剥離によって毛羽立っており、実際の厚さより厚くなってしまうため、以下の方法で補正ファクター値を算出して、剥離後の各層の厚さ値を補正し、各層の密度を算出する。
補正ファクター値=剥離前の全層厚さ/剥離後の各層厚さの合計値
各層の剥離が上記のJIS−P8139の板紙の抄き合わせ層の剥離強さ試験法記載の層間剥離方法で困難な場合は、多層抄合わせシート試料を60℃の温水に1時間含漬した上で表層と中層、裏層にそれぞれ剥ぎ分ける。剥ぎ取ったそれぞれの層を乾燥して厚さ(mm)、坪量(g/m2)を求める。その後、上記の補正ファクター値を同様に算出して剥離した各層の厚さを補正して、各層の密度を算出する。
(2)引張強度
実施例、比較例で得た基材紙を、流れ方向、幅方向それぞれに幅15mm、長さ250mmに裁断した試験片を23℃、50%RHの条件で24時間以上調湿した後、ストログラフM2型試験機(東洋精機製作所製)を用いて、JIS−P8113に従って引張速度20mm/minで測定した。
(3)破断伸び
実施例、比較例で得た基材紙を、流れ方向、幅方向それぞれに幅15mm、長さ250mmに裁断した試験片を23℃、50%RHの条件で24時間以上調湿した後、ストログラフM2型試験機(東洋精機製作所製)を用いて、JIS−P8113に従って引張速度20mm/minで測定した。
(4)限界圧縮応力
実施例、比較例で得た基材紙を、流れ方向、幅方向それぞれに幅12.7mm、長さ152.4mmに裁断した試験片を23℃、50%RHの条件で24時間以上調湿した後、デジタル式リングクラッシュテスターX−1104(オリエンテック製)を用いて、JIS−P−8126に従って圧縮強度Aを測定、さらに圧縮強度測定時における試験片の荷重部分面積Bを求め、下記式から算出した。
限界圧縮応力=A/B
ここで
限界圧縮応力単位:MPa
圧縮強度単位 :N
試験片の荷重部分の面積=試験片の厚さ(mm)×152.4mm
(試験片の厚さは23℃、50%RHの条件で24時間以上調湿したサンプルをJIS−P8118に従って測定した値)
(5)圧縮変形量
実施例、比較例で得た基材紙を、50mm×50mmに裁断した試験片を23℃、50%RHの条件で24時間以上調湿した後、ストログラフM2型試験機(東洋精機製作所製)を用いて、圧縮速度1.0mm/minで試験片1枚を厚さ方向に圧縮して応力−歪み曲線を描き、圧縮応力20kgf/cmにおける圧縮量(歪み量)を測定した。
(6)成形性
プレス成形された緩衝材のコーナー部分の紙層表面の割れの有無の評価を行った。紙層の割れがなく、フランジ部分が平滑につぶれた状態に仕上がるものを○、コーナー部分のいずれか1箇所に紙層の割れが発生したものを△、2箇所以上に紙層の割れが発生、もしくはフランジが平滑になっていないものを×とした。
Figure 2008007126
本発明の実施例の斜視図である。 本発明の実施例の断面図である。 本発明の実施例の使用説明図である。
符号の説明
1:平面部、2:側面部、3:嵌合凹部、A:緩衝材、B:被包装物、C:包装箱



Claims (4)

  1. 被包装体に緩衝材を嵌合させ、さらに包装箱に収納して包装する包装体で使用する緩衝材において、
    前記緩衝材が、下記の(1)〜(4)の4つの条件を満足する基材紙をプレス成形して得られたことを特徴とする緩衝材。
    (1)引張強度(JIS−P8113)が2.0kN/m以上。
    (2)破断伸び(JIS−P8113)が1.5%以上。
    (3)下記式により定義される限界圧縮応力が1〜10MPaの範囲。
    限界圧縮応力=A/B
    但し、AはJIS−P8126による圧縮強度、
    Bは圧縮強度測定時における試験片の荷重部分面積を各々示す。
    (4)厚さ方向に20kgf/cmの圧縮応力を加えたときの圧縮変形量が10%以上。
  2. 被包装体に緩衝材を嵌合させ、さらに包装箱に収納して包装する包装体で使用する緩衝材において、
    前記緩衝材が、密度0.7〜0.9g/cm3の高密度層、及び密度0.7g/cm3未満の低密度層を有し、米坪が100〜500g/m、全体の密度が0.4〜0.7g/cm3、かつ低密度層が機械パルプ、カールドファイバー、及びマーセル化パルプの少なくとも一つから選ばれるパルプを主体として構成された基材紙をプレス成形して得られたことを特徴とする緩衝材。
  3. 前記基材紙の原料パルプとして機械パルプを含むことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の緩衝材。
  4. 被包装体に請求項1〜3のいずれかに記載の緩衝材を嵌合させ、さらに包装箱に収納して包装することを特徴とする包装体。




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