JP2008006575A - 金属構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】局在プラズモンの共鳴波長が長波長側、例えば赤外領域にある金属構造体であって、マルチモードに基づく吸収を示さない金属構造体を提供する。
【解決手段】固体基板および前記固体基板上に配置された複数の金属体を含み、プラズモン共鳴吸収を有する金属構造体であって、前記金属体が、特定のネック幅のボトルネックを介して互いに連結されている2以上の金属ナノ粒子(直方体状の粒子が好ましい)からなる金属構造体を提供する。この金属構造体は、半導体微細加工技術を用いて製造されうる。
【選択図】図4

Description

本発明は、プラズモン共鳴吸収を有する金属構造体に関する。
微細な金属体(例えばナノメートルサイズの金属微粒子)は、その形状やサイズに応じて、可視から赤外の幅広い波長領域のうち、特定の波長領域に「局在(表面)プラズモン共鳴吸収」と称される光学応答を示しうる。局在プラズモン共鳴吸収を示す金属の例には、金、銀および白金などの貴金属類が含まれるが、金属の種類が同じでも、サイズや形状が異なれば、局在プラズモン共鳴吸収波長も異なる。このような、微細な金属体のサイズや形状の違いによって吸収波長が変化する性質を、各種光学デバイスに応用することが試みられている。
基板に、複数の微細な金属体を配置した金属構造体は、局在(表面)プラズモンの原理に基づいて、可視領域から赤外領域まで幅広い領域にプラズモン共鳴吸収を有しうる。このような金属構造体を、光学デバイスやセンサに応用しようとする場合には、そのプラズモン共鳴吸収の波長領域を調整することが重要である。
また、金属構造体の表面におけるプラズモンを介した光電場増強現象により、赤外吸収が増強される現象が見いだされている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、これらのメカニズムは明らかにされているとは言えず、増強された吸収の定量的な計測方法なども確立されていない。したがって、所望の赤外領域にプラズモン共鳴周波数を有する金属構造体を作製することができれば、前述の現象を利用する光学デバイスや計測システムが構築されうる。
前述の金属構造体が有するプラズモン共鳴吸収の波長領域は、基板上に配置された微細な金属体の「細長さ(微細な金属体がロッド状である場合は、そのアスペクト比)」に影響される。つまり、基板上に細長い(アスペクト比の高い)微細金属を配置すれば、プラズモン共鳴吸収の波長領域は長波長側にシフトし;基板上に短い(アスペクト比の低い)微細金属を配置すれば、プラズモン共鳴吸収の波長領域は短波長側にシフトする。
一方、複数のロッド状のナノ金属(金:Au)体を、化学的に結合させて連結させる技術が知られている(例えば、非特許文献2、3参照)。化学結合(例えばストレプトアビジン−ビオチン相互作用)により連結されたナノ金属体は、あくまでも金属ではない化学物質を介して結合しているのであって、厳密にはナノ金属体同士が直接連結していない。また、直線上にナノ金属体を連結させることは困難である。
Applied Physics A, vol. 29, pp. 71-75 (1982) J. Phys. Chem. B, 108, 13066 (2004) JACS, 125, 13915 (2003)
前述の通り、長波長側(例えば赤外領域)にプラズモン共鳴吸収を有する金属構造体を得るには、基板上に細長い微細金属体(例えば、アスペクト比の高いロッド状微細金属体)を配置する必要があるが、この細長い微細金属体を化学的に合成する(例えば微細金属体を析出させる)ことは困難である。
そこで本発明は、局在プラズモンの共鳴波長が長波長側にある金属構造体であって、さらにマルチモードに基づく吸収を示さない(つまり、波長選択性が高い)金属構造体を提供することを課題とする。
本発明者は、前述の金属構造体において、基板上に配置された金属体を「複数の金属ナノ粒子が、ボトルネックを介して互いに連結された金属体」とすることにより、ロッド状の金属体(ナノ金属体)のアスペクト比を高めた場合と同様に、金属構造体のプラズモン共鳴吸収波長を長波長側にシフトさせることができるという、驚くべき知見を見出して本発明を完成させた。さらに前記金属体を、複数の金属ナノ粒子がボトルネックを介して互いに連結された金属体とすることにより、マルチモードに基づく吸収が除去され、波長選択性が高い金属構造体が得られることを見出して、本発明を完成させた。
さらに半導体微細加工技術を用いることにより、複数の金属ナノ粒子がボトルネックを介して互いに連結された金属体を、基板上に配置することができることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下に示す金属構造体に関する。
[1] 固体基板および前記固体基板上に配置された複数の金属体を含み、プラズモン共鳴吸収を有する金属構造体であって、前記金属体が、ボトルネックを介して互いに連結されている2以上の金属ナノ粒子からなる金属構造体。
[2] 前記金属ナノ粒子は直方体状である、[1]に記載の金属構造体。
[3] 前記連結されている金属ナノ粒子の数は2〜50である、[1]に記載の金属構造体。
[4] 前記ボトルネックのネック幅が4〜20nmである、[1]に記載の金属構造体。
[5] 前記金属体が複数のボトルネックを含み、かつ前記複数のボトルネックは直線上に配置される、[1]に記載の金属構造体。
[6] 前記複数のボトルネックを結ぶ直線における、前記金属体の長さは0.2μm〜4μmである、[5]に記載の金属構造体。
[7] 前記固体基板は透明基板である、[1]に記載の金属構造体。
本発明の金属構造体は、その局在プラズモン共鳴吸収波長が、長波長領域、例えば赤外領域にありうるため、これまでにない新たな光デバイスに応用されうる。例えば、テラヘルツ光を検出することも可能になりうる。また本発明の金属構造体は、波長選択性が高いため、高感度デバイスになりうる。
さらに本発明の金属構造体は、半導体微細加工技術を用いて作製されうるため、基板上の金属体の配置様式を任意に変更することができ、プラズモン共鳴吸収の波長のみならず、他の特性(例えば励起効率、波長選択性、変更選択性など)も自在に調整されうる。
本発明の金属構造体は、固体基板;および固体基板上に配置された1または2以上の金属体を含み、かつ前記金属体が、ボトルネックを介して互いに連結されている2以上の金属ナノ粒子からなることを特徴とする。
[固体基板について]
本発明の金属構造体に含まれる固体基板は、金属体が配置されうる基板であればよいが、少なくとも金属体が配置される面が絶縁体である固体基板であることが好ましい。さらに本発明の金属構造体は光学応答デバイスとして利用されうるので、外部から入射される光(例えば、可視領域から近赤外領域の光)を吸収しない材質からなる基板であることが好ましく、例えば透明基板であることが好ましい。さらに本発明の金属構造体は、後述の通り半導体微細加工技術(例えば、電子線描画やスパッタリングなど)を用いて製造されうるので、その加工に耐えうる基板であることが好ましい。
したがって、好ましい固体基板の例には、ガラス基板、石英基板、サファイア基板などが含まれる。
[固体基板上に配置される金属体について]
本発明の金属構造体に含まれる金属体は、固体基板上に配置されている。金属体の材質は、ナノ粒子とされることによって表面プラズモン吸収を生じる金属であればよく、その例には金、銀、白金などの貴金属類が含まれる。また金属体は、これらの金属によって被覆された、他の材料からなるナノ物体であってもよい。
本発明の金属構造体に含まれる金属体は、複数の金属ナノ粒子がボトルネックを介して互いに連結された形状を有することを特徴とする。ここでボトルネックとは、金属ナノ粒子の一部が重なり合って形成される部位を意味する。つまり、一のナノ粒子と隣接するナノ粒子とがわずかに重なり合うことによって、一のナノ粒子に含まれる自由電子が、隣接するナノ粒子に移動することをある程度許容することができる。
金属ナノ粒子を連結するボトルネックのネック幅は、通常は4nm以上であり、好ましくは10nm以上である。一方、ネック幅は、通常は20nm以下であり、好ましくは15nm以下である。ボトルネックのネック幅とは、金属ナノ粒子の連結部位において最も狭まっている箇所の距離を意味する。ネック幅が小さいほど、金属構造体のマルチモードに基づく吸収が除去されて、波長選択性が向上する。一方、ネック幅が小さすぎると、ボトルネック近傍におけるプラズモン電子の散乱が大きくなることがある。したがって、ボトルネックのネック幅は、10〜15nm程度であることがより好ましい。
連結される金属ナノ粒子の形状は、特に制限されないが、例えば直方体状である。金属ナノ粒子の形状が直方体状である場合は、その稜線同士で金属ナノ粒子が連結されることによって、ボトルネックが形成されることが好ましい。それにより、ボトルネックのネック幅を容易に小さくすることができる。
さらに、連結される金属ナノ粒子の形状は、正方形と長方形からなる面で構成される直方体であることが好ましく、正方形の面が基板面と水平となるように配置されていることが好ましい。つまり、基板に対して垂直上から見たときに、金属ナノ粒子は正方形にみえることが好ましい。
連結される金属ナノ粒子の体積は10万nm〜100万nm程度であることが好ましい。さらに、金属ナノ粒子の、基板上面からみたときの面積は5千nm〜2万nm程度であることが好ましい。また、金属ナノ粒子の基板からの高さは10〜100nm程度であることが好ましい。
基板に配置される金属体に、複数のボトルネックがある(つまり、3以上の金属ナノ粒子が連結されている)場合は、それぞれのボトルネックは直線上に配置されることが好ましい(図1参照:4の金属ナノ粒子が連結されている)。それぞれのボトルネックを通じて、自由電子が微粒子間を移動することができるからである。
連結される金属ナノ粒子の数は2以上であればよく、2〜50程度であることが好ましく、2〜25程度であることがより好ましく、2〜15程度であることがさらに好ましい。過剰に多数の金属ナノ粒子を連結させても、金属構造体の吸収波長が長波長側にシフトするという効果が高まらなくなる。連結される金属ナノ粒子の数は、目的とする金属体の長さ(ボトルネックを通じる金属体の長さ)によって適宜選択すればよい。図2(a)または(b)には、7または10の金属ナノ粒子を連結させた金属体の電子顕微鏡写真が示される。
連結される金属ナノ粒子は、それぞれ同一の大きさ、および形状を有していることが好ましいが、本発明の効果を損なわない限り、その大きさや形状が異なっていてもかまわない。
前述の通り、金属体に含まれる複数のボトルネックは、直線上に配置されていることが好ましいが、この直線上における金属体の長さは、0.2μm〜4μm程度であればよく、0.2μm〜2.0μm程度であることが好ましい。当該金属体の長さは、連結される金属ナノ粒子のサイズ、および連結される金属ナノ粒子の数などによって調整される。当該金属体の長さを長くすると、金属構造体のプラズモン共鳴吸収波長が長波長側にシフトしうる。
本発明の金属構造体は、固体基板に1または2以上の複数の金属体が配置されていることが好ましい。基板に配置される金属体の個数密度は、その金属体の形状によって異なる。つまり、多数の金属ナノ粒子がボトルネックを介して互いに連結されている金属体の場合には、基板に配置される金属体の個数は少なくてよく;少数の金属ナノ粒子がボトルネックを介して互いに連結されている金属体の場合には、基板に配置される金属体の個数は多くすることが好ましい。例えば、20の金属ナノ粒子がボトルネックを介して互いに連結されている金属体の場合は、30μm×30μmの基板エリアに50以上の金属体が配置されていればよい。一方、2の金属ナノ粒子がボトルネックを介して互いに連結されている金属体の場合は、30μm×30μmの基板エリアに数千の金属体が配置されていることが好ましい。
30μm×30μmの基板エリアに、20の金属ナノ粒子が連結された金属構造体を49配置した場合;15の金属ナノ粒子が連結された金属体を100配置した場合;10の金属ナノ粒子が連結された金属体を225配置した場合;5の金属ナノ粒子が連結された金属体を900配置した場合;2の金属ナノ粒子が連結された金属体を5625配置した場合、とをそれぞれ比較すると、光吸収効率は大きくは異ならないことがわかった。つまり、連結される金属ナノ粒子の数が増えると、光吸収効率が顕著に向上することがわかった。これは、4重極子や多重極子に分裂することなく、双極子の共鳴ピークのピーク高さが鋭く増大していることを示す。
基板に配置された金属体は、それぞれ同一の大きさおよび形状を有していることが好ましい。同一の大きさおよび形状とすることにより、金属構造体の波長選択性および偏向選択性が向上しうるからである。
また、基板に配置された複数の金属体同士の距離(最短の間隔)は、100nm以上であることが好ましい。金属体同士の距離が近すぎると、金属体同士の相互作用が生じることがあり、金属体の吸収スペクトルが複雑になる。また、金属体同士の距離はそれぞれ一定であることが好ましい。それぞれの距離を一定にすることにより、金属構造体の波長選択性が向上されるので、光学デバイスとしての機能が高まる。
さらに基板に配置された複数の金属体は、互いに同一の方向に配置されていることが好ましい。「同一の方向に配置される」とは、例えば、金属構造体のもっとも長い直線部が、同一の方向を向いていることを意味する。また、基板に配置された金属体が、直線上に配置された2以上のボトルネックを含む金属体である場合は、当該直線が同一の方向を向いている(好ましくは、平行である)ことが好ましい。金属体が互いに同一の方向に配置されることで、金属構造体の偏向選択性が向上するからである。
[本発明の金属構造体の製造方法]
本発明の金属構造体は、好ましくは半導体微細加工技術を用いて製造される(図3を参照)。例えば、1)固体基板1を用意し(図3(a)参照)、2)固体基板1の表面にレジスト2をコートして(図3(b)参照)、3)レジスト2に、所望のナノ金属体の形状を電子線で描画し、4)描画を現像してナノ金属体の形状に合わせて基板を露出させ(図3(c)参照)、5)現像面上から金属をスパッタリングして金属膜3を形成して(図3(d)参照)、6)リフトオフによりレジストとともに不要な金属膜を除去する(図3(e)参照)、ことにより製造されうる。
本発明の金属構造体の製造方法は、例えば特願2005−080579または特願2005−258364に記載された金属構造体の製造方法と同様にして行われうる。
重要な製造条件の一つは、基板にコートするレジストの膜厚である。当該膜厚は200nm以下とすることが好ましい。また、膜厚を薄くするためにはコートするレジスト溶液の濃度を下げることが好ましい。
重要な製造条件の別の一つは、レジストに、所望のナノ金属体の形状を電子線で描画するステップにおける電子線の露光条件である。すなわち、電子線の加速電圧を大きくして、同時に露光のドーズレートを小さくすることが好ましく;より具体的には、電子線の加速電圧を100kV〜200kVとして、かつ露光のドーズレートを2マイクロC/cm以下とすることが好ましい。
重要な製造条件の別の一つは、描画されたレジストを除去する現像の条件、特に現像時間である。露光のドーズレートが小さいため、現像時間を長くすること、例えば30分程度行うことが好ましい。
[本発明の金属構造体の用途]
本発明の金属構造体は光学応答デバイスとして用いられうる。すなわち、本発明の金属構造体に外部から光を照射して、照射された光の吸収を観察する。本発明の金属構造体は、長波長の光をも吸収しうるので、例えばこれまで検出することが困難であったテラヘルツ光などをも検出することができる。さらに本発明の金属構造体は、それに付着した物質を検出するためのセンサとして用いられうる。
以下、実施例を参照して本発明をさらに具体的に説明するが、これらにより本発明の技術的範囲が限定されることはない。
以下の実施例または比較例において、サファイア基板上に金属体を形成して金属構造体を製造したが、その手順は以下の通りである。
サファイア基板(10mm×10mm)の表面を、アセトン、メタノール、超純水の順に、それぞれ3分間の超音波洗浄をした。洗浄された基板表面に、ポジ型電子リソグラフィ用レジスト(Zep-520a;日本ゼオン株式会社社製)をスピンコート(4000rpm)して、レジスト薄膜(厚さ:200nm)を形成した。
加速電圧100kVの電子ビーム露光装置を用いて、1.2μC/cmのドーズレートで、所望の金属体のパターンを描画した。現像を30分間行い、リンスして、乾燥させた。
次に基板上に金(Au)をスパッタリングして金属膜(40nm)を形成した。金属膜を形成された基板を、レジストリムーバー溶液中に浸漬して、超音波洗浄を行って、レジストの除去、およびリフトオフをした。
[実施例1]
サファイア基板上に、1から25の直方体状の金属ナノ粒子を連結させた形状を有する金属体をそれぞれ形成して、金属構造体を得た。金属体の成分は金(Au)とした。各ナノブロック状の金属体の各金属ナノ粒子は、基板上面からみたときに100nm×100nmの正方形であって、基板からの高さが40nmである直方体状とした。直方体の稜線で連結するボトルネックを形成し、そのボトルネックのネック幅を4.4nmとした。基板に形成された各金属体の方向をそれぞれ同一として、各金属体の間隔を1000nmで一定とした。
[比較例1]
一方、サファイア基板上にロッド状の金属体を形成して、金属構造体を得た。金属体の成分は金(Au)とした。ロッド状の金属体は、基板上面からみたときに、40nm×Xnm(X=141〜990)の長方形であって、基板からの高さが40nmである直方体とした。
実施例1で得られたそれぞれの金属構造体に、顕微FT-IR測定装置を用いて、その上面から波長660nm〜7142nm(波数15000cm−1〜1400cm−1)の光を照射し、その吸収度を測定した。得られた結果が、図4(a)および(b)に示される。図4(a)には連結された金属ナノ粒子の数nが1〜7の金属体が配置された金属構造体のデータが、図4(b)には連結された金属ナノ粒子の数nが6〜25の金属体が配置された金属構造体のデータが示される。金属ナノ粒子の数nが1である金属体が配置された金属構造体のスペクトルデータは、ピークが示されていないが、これは表示範囲外(より高エネルギー側)に存在しているためである。金属ナノ粒子の数nと、金属体の長さxとの関係は、以下の通りである。
比較例1で得られたそれぞれの金属構造体にも、同様に光を照射し、その吸光度を測定した。得られた結果が、図5に示される。
図4(a)および(b)、ならびに図5に示されるように、連結された金属ナノ粒子の数nを増やして金属体の長さxを長くするか、またはロッド状の金属体の長さxを長くするほど、スペクトルの半値幅が減少し、光子エネルギーの小さい領域の光(波長の長い光)を吸収することがわかる。これは、共鳴波長が長波長側にシフトすることによって、プラズモンの位相緩和時間が長くなるためであると考えられる。
さらに図5に示されるように、ロッド状の金属体を配置した金属構造体は、ロッド状の金属体の短軸方向のプラズモンに起因する吸収が観測されたが(2.0eV付近)、図4に示されるように、金属ナノ粒子を連結させた金属体を配置した金属構造体は、長軸方向のプラズモンに起因する吸収だけが観測された。
さらに図5に示されるように、ロッド状の金属体を配置した金属構造体は、双極子モードのプラズモン共鳴吸収だけでなく、4重極子モードのプラズモン共鳴吸収やマルチモードのプラズモン共鳴吸収が観測されたが(例えばX=566の場合の1.15eV付近;X=707の場合の1.0eV付近)、図4に示されるように、金属ナノ粒子を連結させた金属体を配置した金属構造体は、双極子モードのプラズモン共鳴吸収だけが観測された。これは、ボトルネックのナノコンタクトを行き来する自由電子に基づくプラズモン共鳴バンドだけが観測されるためであると推察される。
実施例1の結果について、連結された金属ナノ粒子の数と、プラズモンバンドのピークエネルギーとの関係を図6に示した。図6に示されたように、連結された金属ナノ粒子の数が増えると(金属体の長さが長くなると)ピークエネルギーが低下するが、連結された金属ナノ粒子の数が約10〜15以上(金属体の長さが1.4〜2.0μm)以上では、ピークエネルギーは一定となり、ピークエネルギーの変化の収束が観察される。この変化の収束は、局在プラズモンのコヒーレント長に対応するもの推察される。つまり、金属の欠陥により電子密度波は散乱されるため、コヒーレント長が制限されていると思われる。
[実施例2]
サファイア基板上に、1〜15の金属(金:Au)ナノ粒子を連結させた金属体を配置した金属構造体について、その金属ナノ粒子を、80nm×80nm×40nm;100nm×100nm×40nm;120nm×120nm×40nmの直方体状とした金属構造体をそれぞれ作製した。各金属ナノ粒子を連結するボトルネックのネック幅は4.4nmとした。
得られた金属構造体について、実施例1と同様にして吸光度を測定した。それらの結果が図7(a)および(b)に示される。図7(a)は、連結させた金属ナノ粒子の数とプラズモンバンドのピークエネルギーとの関係を示し;図7(b)は、金属体の長さxとピークエネルギーの関係を示す。
図7(a)に示されるように、金属ナノ粒子のサイズが大きいほど、低エネルギー側にピークエネルギーが観測されるが、これは金属ナノ粒子のサイズが大きいほど、金属体の長さが長くなるためであると考えられる。また、連結される金属ナノ粒子の数が10程度以上となると、金属ナノ粒子のサイズに関わらず、ピークエネルギーに差があまりないことがわかる。
さらに図7(b)に示されるように、ピークエネルギーは、金属体の長さxに依存しているのであって、連結された各金属ナノ粒子のサイズ自体には依存していないことがわかる。
[実施例3]
サファイア基板上に、1〜15の金属(金:Au)ナノ粒子を連結させた金属体を配置した金属構造体について、各金属ナノ粒子を連結するボトルネックのネック幅を、4.4nm;8.8nm;13.1nmとした構造体をそれぞれ作製した。金属ナノ粒子のサイズは、100nm×100nm×40nmとした。
得られた金属構造体について、実施例1と同様にして吸光度を測定した。それらの結果が図8および図9に示される。図8は、金属体の長さと、プラズモンバンドのピークエネルギーとの関係を示し、図9は金属体の長さと「共鳴のQ値」との関係を示す。「共鳴のQ値」は下記式で求められ、共鳴の鋭さを示す値であり、また光の閉じこめ効果の高さを示す。ここで、ω0,ω1,ω2はそれぞれ、共振ピークでの共振周波数、共振ピークの低エネルギー側において振動エネルギーがピークの半値となる周波数、共振ピークの高エネルギー側において振動エネルギーがピークの半値となる周波数を示す(つまり、ω2−ω1は、半値幅のことである)。
図8に示されるように、金属体のボトルネックのネック幅が小さいと、ピークエネルギーが低くなることがわかる。また、ネック幅によるピークエネルギーの変化は、金属体の長さが短いときに顕著に観察される。これは、金属体の長さが十分に長い場合には、コヒーレント長のため、ボトルネックの幅にピークエネルギーは影響されにくいが;一方で、金属体の長さが短い場合には、ボトルネックの幅が小さくなることによって、金属体のアスペクト比が増加した場合と同様の効果が奏されて、低エネルギーシフトしたものと考えられる。
さらに図9に示されるように、ボトルネックのネック幅が大きいほど、共鳴のQ値が高いことがわかる。共鳴のQ値は、局在表面プラズモン共鳴に基づく振動の状態を表す無次元数である。言い換えると、弾性波の伝播において、媒質の吸収によるエネルギーの損失に関係する値である。ある周波数帯の電磁波を金属ナノ構造に照射すると、プラズモン共鳴に基づき金属ナノ構造表面において電子振動が誘起される。しかしながら、この電子振動は電子同士の衝突や電子とフォノンの散乱等により減衰していく(ダンピング)。この減衰項を変化させることによりQ値が変化する。一般的に一旦振動が開始されると振動が長く続くことをQ値が高いと言う。減衰項は、赤外領域になると小さくなるため共鳴スペクトルは鋭くなる。ただし、共鳴周波数も小さくなるため大幅なQ値の増大は起こらないと考えられる。
実施例1〜3および比較例1の結果から、本発明の金属構造体のプラズモン吸収バンドのピークエネルギーは、主に金属ナノ粒子を連結させた金属体のボトルネックの構造、および金属体の長さによって決定され、金属体を構成する金属ナノ粒子のサイズには影響を受けにくいことがわかる。
本発明の金属構造体は、局在プラズモン共鳴吸収波長を有し、かつその波長領域が長波長領域、例えば赤外領域にありうるため、これまでにない新たな光デバイスに応用されうる。例えば、テラヘルツ光自体の検出、またはテラヘルツ光を用いた光学センサとしても利用されうる。
本発明の金属構造体に含まれる金属体の例を示す模式図である。 本発明の金属構造体に含まれる金属体の電子顕微鏡写真である。 本発明の金属構造体の製造プロセスの例を示す図である。 本発明の金属構造体の局在プラズモンバンドを示すグラフである。横軸が光子エネルギー、縦軸が吸光度である。金属体を構成する金属ナノ粒子の数によって、エネルギーピークがシフトしていることを示している。 ロッド状のナノ金属体を含む金属構造体の局在プラズモンバンドを示すグラフである。横軸が光子エネルギー、縦軸が吸光度である。 本発明の金属構造体に含まれる金属体を構成する金属ナノ粒子の数と、金属構造体の局在プラズモンバンドのエネルギーピークとの関係を示すグラフである。 本発明の金属構造体に含まれる金属体を構成する金属ナノ粒子の大きさと、金属構造体の局在プラズモンバンドのエネルギーピークとの関係を示すグラフである。 本発明の金属構造体に含まれる金属体のボトルネックのネック幅と、金属構造体の局在プラズモンバンドのエネルギーピークとの関係を示すグラフである。 本発明の金属構造体に含まれる金属体のボトルネックのネック幅と、共鳴のQ値との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 固体基板
2 レジスト
3 金属膜

Claims (7)

  1. 固体基板および前記固体基板上に配置された複数の金属体を含み、プラズモン共鳴吸収を有する金属構造体であって、
    前記金属体が、ボトルネックを介して互いに連結されている2以上の金属ナノ粒子からなる金属構造体。
  2. 前記金属ナノ粒子は直方体状である、請求項1に記載の金属構造体。
  3. 前記連結されている金属ナノ粒子の数は2〜50である、請求項1に記載の金属構造体。
  4. 前記ボトルネックのネック幅が4〜20nmである、請求項1に記載の金属構造体。
  5. 前記金属体が複数のボトルネックを含み、かつ前記複数のボトルネックは直線上に配置される、請求項1に記載の金属構造体。
  6. 前記複数のボトルネックを結ぶ直線における、前記金属体の長さは0.2μm〜4μmである、請求項5に記載の金属構造体。
  7. 前記固体基板は透明基板である、請求項1に記載の金属構造体。
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