JP2019219272A - プラズモン共鳴構造体、それを用いたプラズモン共鳴センサおよびプラズモン共鳴測定システム、ならびに、プラズモン共鳴構造体の製造方法 - Google Patents

プラズモン共鳴構造体、それを用いたプラズモン共鳴センサおよびプラズモン共鳴測定システム、ならびに、プラズモン共鳴構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1つの偏光の照射により異なる2波長のプラズモン共鳴を励起可能なプラズモン共鳴構造体を提供する。【解決手段】プラズモン共鳴構造体10は、基板11と、金属層14を備える。金属層14は、ナノ構造体21と、ナノ構造体21よりもサイズが大きいナノ構造体22と、ナノ構造体21,22を取り囲むように配置され、ナノ構造体21とナノ構造体22とを電気的に接続するフレーム25とを含む。ナノ構造体21は尖部T1を有し、ナノ構造体22は尖部T2を有する。ナノ構造体21のナノ構造体22とは、尖部T1,T2同士が対向するように配置されている。【選択図】図3

Description

本開示は、プラズモン共鳴構造体、それを用いたプラズモン共鳴センサおよびプラズモン共鳴測定システム、ならびに、プラズモン共鳴構造体の製造方法に関し、より特定的には、局在表面プラズモン共鳴現象を起こす金属ナノ構造体および、それに関連する技術に関する。
金属表面に光が照射されると、その照射光により生成されるエバネッセント波に共鳴して金属表面の自由電子の粗密波(プラズモン)が励起される。この現象は表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)として知られている。金属を光の波長以下のスケール(ナノスケール)まで微細化した金属ナノ粒子または金属ナノ構造体では、光照射により励起されたプラズモンが、その表面に局在化する。この現象は局在表面プラズモン共鳴(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)と呼ばれる。
局在表面プラズモン共鳴では、プラズモンが局在化されていることで金属ナノ粒子等の表面近傍に強い電場が発生し、2つの金属ナノ粒子等が近接した領域では特に強い電場が誘起される(電場増強効果)。また、局在表面プラズモン共鳴は、金属の種類、金属ナノ粒子等の形状およびサイズなどに応じた特定の波長領域で生じる(波長依存性)。このような性質により、局在表面プラズモン共鳴現象は、バイオセンシング等の計測技術などの分野への応用が期待されている(たとえば非特許文献1参照)。
高橋幸奈, 井出奈都子, 山田淳, 「金ナノロッドの特徴と分析化学への応用展開」, BUNSEKI KAGAKU, Vol.63, No.7, pp.551-561 (2014)
様々な形状の金属ナノ粒子が提案されている。たとえば非特許文献1には、棒状(ロッド状)の金属ナノ粒子である金属ナノロッド(非特許文献1では金ナノロッド)の光学特性が記載されている。
一般に、金属ナノロッドでは、2波長のプラズモン共鳴を励起可能である。このことを「金属ナノロッドが2つの共鳴モードを有する」とも言う。2つの共鳴モードのうちの一方は金属ナノロッドの短軸に由来するモードであり、他方は金属ナノロッドの長軸に由来するモードである。
非特許文献1によれば、金ナノロッドの短軸由来の共鳴モードを励起可能な波長(共鳴波長)は、長軸長さと短軸長さとの比であるアスペクト比に依存せず、520nm付近である。これに対し、金ナノロッドの長軸由来の共鳴波長は、アスペクト比が2.5のときには660nm付近であるが、アスペクト比が8.5のときには1,300nm付近である。このように、金属ナノロッドでは、アスペクト比を適宜変更することで長軸由来の共鳴波長を調整することができる。
金属ナノロッドの長軸由来の共鳴モードの励起には、金属ナノロッドの長軸方向に振動する波長の偏光を金属ナノロッドに照射することを要する。金属ナノロッドの短軸由来の共鳴モードの励起には、金属ナノロッドの短軸方向に振動する波長の偏光を金属ナノロッドに照射することを要する。つまり、2つの共鳴モードを同時に励起するためには、互いに直交する2つの偏光を照射しなければならない。局在表面プラズモン共鳴現象の応用分野を広げたり装置構成を簡略化したりする観点からは、1つの偏光の照射(偏光方向が揃った光の照射)によって2つの共鳴モードを励起可能であることが望ましい。
さらに、局在表面プラズモン共鳴を起こす金属ナノ構造体(プラズモン共鳴構造体)においても、金属ナノロッドのような金属ナノ粒子に同様に、1つの偏光の照射により2つの共鳴モードを励起可能であることが望ましい。
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、1つの偏光の照射により異なる2波長のプラズモン共鳴を励起可能なプラズモン共鳴構造体を提供することである。また、本開示の他の目的は、上記プラズモン共鳴構造体を用いたプラズモン共鳴センサ、そのプラズモン共鳴センサを設置可能なプラズモン共鳴測定システム、および、上記プラズモン共鳴構造体の製造方法を提供することである。
(1)本開示のある局面に従うプラズモン共鳴構造体は、基板と、基板上に配置され、金属ナノ構造体を含んで構成された金属層とを備える。金属ナノ構造体は、第1の構造体と、第1の構造体よりもサイズが大きい第2の構造体と、枠体とを含む。枠体は、第1および第2の構造体を取り囲むように配置され、第1の構造体と第2の構造体とを電気的に接続する。第1および第2の構造体の各々は、共通の対称軸に関して線対称であり、かつ、その対称軸に配置された尖部を有する。第1の構造体と第2の構造体とは、尖部同士が対向するように配置されている。
(2)好ましくは、プラズモン共鳴構造体は、基板上に配置され、金属からなる金属薄膜と、金属薄膜上に配置され、絶縁材料からなる絶縁層とをさらに備える。金属層は、絶縁層上に配置されている。
(3)好ましくは、金属ナノ構造体は、第2の構造体よりもサイズが小さい第3の構造体と、第3の構造体と合同の形状を有する第4の構造体とをさらに含む。第1〜第4の構造体は、枠体により互いに電気的に接続されている。第3および第4の構造体の各々は、上記対称軸と直交する共通の他の対称軸に関して線対称であり、かつ、当該他の対称軸上に配置された尖部を有する。第3の構造体と第4の構造体とは、尖部同士が対向するように配置されている。
(4)好ましくは、第1および第2の構造体の各々は、金属層の主面を平面視した場合に二等辺三角形形状を有する。第1の構造体の高さと底辺の長さとの比は、第1の構造体に由来する局在表面プラズモンの共鳴波長が可視領域内に位置するように定められる。第2の構造体の高さと底辺の長さとの比は、第2の構造体に由来する局在表面プラズモンの共鳴波長が赤外領域内に位置するように定められる。
(5)好ましくは、金属層の材料は、第1の構造体に由来する局在表面プラズモンの共鳴波長が可視領域内に位置し、かつ、第2の構造体に由来する局在表面プラズモンの共鳴波長が赤外領域内に位置するように定められる。
(6)本開示の他の局面に従うプラズモン共鳴センサは、試料に含まれる可能性がある被検出物質を検出する。プラズモン共鳴センサは、上記プラズモン共鳴構造体を備える。第1の構造体の尖部は、被検出物質を特異的に付着可能なホスト物質により修飾されている。
(7)本開示の他の局面に従うプラズモン共鳴システムは、試料に含まれる可能性がある被検出物質を検出する。プラズモン共鳴システムは、上記プラズモン共鳴構造体を設置可能に構成された保持部材と、所定広さの波長領域の偏光をプラズモン共鳴構造体に照射するように構成された光源と、プラズモン共鳴構造体からの光を検出するように構成された光検出器と、光検出器による検出結果を解析する解析装置とを備える。第1の構造体の尖部は、被検出物質を特異的に付着可能なホスト物質により修飾されている。
(8)本開示の他の局面に従うプラズモン共鳴構造体の製造方法は、第1〜第4のステップを含む。第1のステップは、金属ナノ構造体を含んで構成される金属層を形成するための鋳型を準備するステップである。第2のステップは、樹脂に鋳型を転写することにより樹脂層を形成するステップである。第3のステップは、樹脂層上に金属を堆積させることにより、金属層を形成するステップである。第4のステップは、樹脂層を除去するステップである。金属ナノ構造体は、第1の構造体と、第1の構造体よりもサイズが大きい第2の構造体と、枠体とを含む。枠体は、第1および第2の構造体を取り囲むように配置され、第1の構造体と第2の構造体とを電気的に接続する。第1および第2の構造体の各々は、尖部を有する。第1の構造体と第2の構造体とは、尖部同士が対向するように配置されている。
本開示によれば、プラズモン共鳴構造体において、1つの偏光の照射により異なる2波長のプラズモン共鳴を励起することができる。また、本開示によれば、そのようなプラズモン共鳴構造体を用いたプラズモン共鳴センサ、そのプラズモン共鳴センサを設置可能なプラズモン共鳴測定システム、および、上記プラズモン共鳴構造体の製造方法を提供することができる。
本実施の形態に係る抗原検出システムの全体構成を概略的に示す図である。 プラズモン共鳴センサの構成を示す図である。 各プラズモン共鳴構造体の構成を、より詳細に示す図である。 図3のIV−IV線に沿うプラズモン共鳴体の断面図である。 プラズモン共鳴構造体のサイズの一例を示す図である。 プラズモン共鳴構造体の吸収スペクトルの一例を示す図である。 プラズモン共鳴構造体の吸収スペクトルのナノ構造体の形状(縦横比)への依存性を示す図である。 第1および第2の金属ナノ構造体の両側に設けられた第3および第4の金属ナノ構造体の有無がプラズモン共鳴構造体の吸収スペクトルに及ぼす影響を説明するための図である。 第1および第2の金属ナノ構造体の両側に設けられた第3および第4の金属ナノ構造体の位置がプラズモン共鳴構造体の吸収スペクトルに及ぼす影響を説明するための図である。 プラズモン共鳴構造体の吸収スペクトルの材料依存性を示す図である。 プラズモン共鳴構造体の電界強度分布を示す図である。 プラズモン共鳴構造体の断面方向における電界強度分布を示す図である。 プラズモン共鳴構造体の完成に至るまでの検討過程を説明するための図である。 第1および第2の金属ナノ構造体の他の形状例を説明するための図である。 プラズモン共鳴センサの製造方法を説明するためのフローチャートである。 プラズモン共鳴センサの製造方法の概略工程図である。
本開示およびその実施の形態において、「金属ナノ粒子」とは、ナノメートルオーダーのサイズを有する金属粒子である。金属粒子の形状は、たとえば球形、楕円球形、ロッド状等である。金属粒子が楕円球形の場合、楕円球の短軸方向および長軸方向の長さの少なくとも一方がナノメートルオーダーであればよい。金属粒子がロッド状の場合、ロッドの幅および長さの少なくとも一方がナノメートルオーダーであればよい。
本開示およびその実施の形態において、「金属ナノ構造体」とは、ナノメートルオーダーのサイズを有する金属からなる構造体である。複数の金属ナノ構造体により形成された構造体も金属ナノ構造体に含まれ得る。
「ナノメートルオーダー」とは、1nmから1,000nm(=1μm)までの範囲を意味する。ナノメートルオーダーは、典型的には数nm〜数百nmの範囲を示し、好ましくは20nm〜200nmの範囲を示し、より好ましくは50nm〜150nmの範囲を示し得る。
本開示およびその実施の形態において、「可視光」または「可視領域」の光とは、360nm〜830nmの波長領域の光を意味する。「赤外光」または「赤外領域」の光とは、830nm〜2,500nmの波長領域の光を意味する。「白色光」とは、可視領域のうちの少なくとも一部と赤外領域のうちの少なくとも一部とに亘る波長領域を有する連続光またはパルス光を意味する。また、「偏光」との用語は、光電磁波の伝播方向に垂直な電場ベクトルを意味する。
本開示およびその実施の形態において、「試料」とは被検出物質を含む物質または被検出物質を含む可能性がある物質を意味する。試料は、たとえば動物(たとえばヒト、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ニワトリ、ラット、マウスなど)からの生体試料でありうる。生体試料は、たとえば、血液、組織、細胞、分泌液、体液等を含みうる。なお、「試料」はそれらの希釈物を含んでもよい。「被検出物質」は、プラズモン共鳴センサを用いて検出される物質を意味する。被検出物質は、生体分子でもよく、生体分子に限定されない有機分子であってもよい。また、被検出物質は、重金属イオンであってもよい。
本開示およびその実施の形態において、「ホスト分子」とは、被検出物質を特異的に付着させることができる分子である。被検出物質を特異的に付着させることのできるホスト分子と被検出物質との組み合わせについては、たとえば、抗原と抗体、糖鎖とタンパク質、脂質とタンパク質、低分子化合物(リガンド)とタンパク質、タンパク質とタンパク質、一本鎖DNAと一本鎖DNAなどが挙げられる。これらの特異的親和性を有する両者のうちいずれか一方が被検出物質である場合に、他方をホスト分子として用いることができる。すなわち、抗原が被検出物質である場合は、ホスト分子として抗体を用いることができる。逆に抗体が被検出物質である場合には、ホスト分子として抗原を用いることができる。また、DNAのハイブリダイゼーションにおいては、被検出物質がターゲットDNAであり、ホスト分子がプローブDNAである。また、抗原は、アレルゲン、ウイルスを含み得る。また、本開示およびその実施の形態によれば、抗体の種類を変えることによって、検出可能なアレルゲンあるいはウイルスの種類を変えることもできる。したがって、本開示およびその実施の形態により検出可能なアレルゲンあるいはウイルスの種類は特に限定されるものではない。また、被検出物質が重金属である場合には、重金属イオンを捕集可能な分子をホスト分子に利用することができる。
以下の実施の形態では、本開示に係る「プラズモン共鳴測定システム」の一例として、被験者の血液(または血清)中に含まれる抗原を検出するための抗原検出システムの構成について説明する。
[実施の形態]
<システムの全体構成>
図1は、本実施の形態に係る抗原検出システムの全体構成を概略的に示す図である。以下の説明では、X方向およびY方向は水平方向を表す。X方向とY方向とは互いに直交する。Z方向は鉛直方向を表す。重力の向きはZ方向下方である。また、Z方向上方を「上方」と略し、Z方向下方を「下方」と略す場合がある。
図1を参照して、抗原検出システム100は、光源2と、偏光子3と、XYZ軸ステージ4と、光検出器5と、制御装置6とを備える。XYZ軸ステージ4上にはプラズモン共鳴センサ1が載置されている。プラズモン共鳴センサ1上には、測定対象とする液体試料SP(被験者の血液)が滴下されている。プラズモン共鳴センサ1の詳細な構成については後述する。
光源2は、制御装置6からの指令に応じて、プラズモン共鳴センサ1上の液体試料SPを照射するための光を発する。光源2から発せられる光は、プラズモン共鳴構造体10(図2参照)が局在表面プラズモン共鳴を起こす2つの波長領域を含む光である。本実施の形態において、光源2は白色光を発する。1つの実施例として、タングステンハロゲンランプを光源2として用いることができる。ただし、光源2の種類はこれに限定されず、たとえばキセノンランプであってもよいし、白色レーザであってもよい。なお、局在表面プラズモン共鳴を起こす波長領域とは、たとえば、金属ナノ構造体の局在表面プラズモン共鳴のピークの半値全幅に対応する波長領域である。
偏光子3は、光源2から発せられた無偏光の白色光をプラズモン共鳴構造体10の主面に平行な方向(プラズモン共鳴構造体10の各層に平行な方向)に偏光させる。この偏光後の光が液体試料SPに照射される。偏光後の光を照射光L1と呼ぶ。
XYZ軸ステージ4は、プラズモン共鳴センサ1を設置可能に構成されている。XYZ軸ステージ4には、図示しない調整機構が設けられている。調整機構は、たとえばサーボモータまたは焦準ハンドルなどの駆動機構であり、制御装置6からの指令に応じて、照射光L1の照射位置とXYZ軸ステージ4との相対的な位置関係を調整する。なお、XYZ軸ステージ4は本開示に係る「保持部材」に相当するが、本開示に係る「保持部」は、その位置を調整可能に構成されていなくてもよい。
照射光L1が液体試料SPに照射されると、照射光L1のうちの一部が液体試料SPにより吸収され、吸収されなかった光のうちの一部がプラズモン共鳴センサ1から反射される。この反射光L2が光検出器5に入射される。
光検出器5は、プラズモン共鳴構造体10が局在表面プラズモン共鳴を起こす波長領域(本実施の形態では可視領域)の光を検出可能な光電変換素子がアレイ状に配列された検出器であり、たとえばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサを含んで構成されている。光検出器5は、可視領域の光に加えて赤外領域の光を検出可能であってもよい。光検出器5は、制御装置6からの指令に応じて、プラズモン共鳴センサ1からの反射光L2を検出し、その検出結果を制御装置6に出力する。
制御装置6は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、入出力ポート(いずれも図示せず)とを含んで構成されるマイクロコンピュータである。制御装置6は、抗原検出システム100内の各機器(光源2、調整機構および光検出器5)を制御する。また、制御装置6は、光検出器5による検出結果に基づいて液体試料SPの吸収スペクトルを作成する。制御装置6は、本開示に係る「解析装置」に相当する。
なお、抗原検出システム100の光学系は、光源2からの照射光L1をプラズモン共鳴センサ1に照射することが可能であり、かつ、プラズモン共鳴センサ1からの反射光L2を光検出器5に取り込むことが可能であれば、図1に示した構成に限定されない。たとえば、抗原検出システム100の光学系は、ミラー、ダイクロイックミラー、レンズ、プリズム、光ファイバ等の光学部品(図示せず)をさらに含んで構成されていてもよい。
<プラズモン共鳴センサの構成>
図2は、プラズモン共鳴センサ1の構成を示す図である。図2を参照して、プラズモン共鳴センサ1は、XY平面上に配列された複数のプラズモン共鳴構造体10を含む。
図1では、複数のプラズモン共鳴構造体10が同一方向に並ぶように配置されている。このように配列方向を揃えることで、隣接するプラズモン共鳴構造体10間の相互作用を強めることができ、鋭いピークを得る(あるいはピークの光強度を高める)ことができる。これにより、プラズモン共鳴センサ1の検出感度を向上させることができる。
また、各プラズモン共鳴構造体10の外形形状は、主面を平面視(上面視)した場合に長方形である。このように外形形状を長方形とすることで、定められた面積内に多数のプラズモン共鳴構造体10を配置することが可能になる。よって、プラズモン共鳴センサ1を小型化することができる。
ただし、プラズモン共鳴構造体10の配置は特に限定されるものではなく、複数のプラズモン共鳴構造体10が様々な方向を向くように配置されていてもよい。図示しないが、たとえば複数のプラズモン共鳴構造体10をランダムに配置してもよい。この場合、無偏光の光源であっても、一部のプラズモン共鳴構造体10がある方向の偏光によりプラズモン共鳴を起こし、他の一部のプラズモン共鳴構造体10が別の方向の偏光によりプラズモン共鳴を起こす。これにより、複数のプラズモン共鳴構造体10全体として、偏光方向によらずに局在表面プラズモン共鳴を起こすことができる。
なお、図2には12個のプラズモン共鳴構造体10が示されているが、プラズモン共鳴構造体10の数は、特に限定されるものではない。プラズモン共鳴センサ1は、より多くのプラズモン共鳴構造体10を含んで構成されてもよい。また、各プラズモン共鳴センサ1の外形形状は、長方形以外の形状であってもよい。
図3は、各プラズモン共鳴構造体10の構成を、より詳細に示す図である。図4は、図3のIV−IV線に沿うプラズモン共鳴構造体10の断面図(YZ断面図)である。プラズモン共鳴構造体10の主面はXY平面である。照射光L1の伝搬方向はZ方向下方であり、照射光L1の偏光方向はY方向である。
図3および図4を参照して、プラズモン共鳴構造体10は、基板11と、金属薄膜12と、絶縁層13と、金属層14とを備える。金属層14は、金属ナノ構造体140を含んで構成されている。
基板11は、プラズモン共鳴センサ1に機械的強度を与えるために設けられる。基板11の材料は、特に限定されるものではなく、たとえばガラス、石英、シリコン、樹脂などである。本実施の形態では、厚さ数mmのガラス基板が基板11として用いられる。
金属薄膜12は、金属からなり、基板11上に配置された薄膜である。金属薄膜12の厚さ(膜厚)は、ナノメートルオーダーであり、たとえば数十ナノメートル〜数百ナノメートル程度である。本実施の形態では、膜厚150nmの金薄膜が金属薄膜12として形成されている。
絶縁層13は、絶縁材料からなり、金属薄膜12上に配置された薄膜である。絶縁層13の厚さは、ナノメートルオーダーであり、たとえば金属薄膜12と同様に数十ナノメートル〜数百ナノメートル程度である。本実施の形態では、厚さ60nmのシリコン酸化膜(SiO)が絶縁層13として形成されている。このシリコン酸化膜の表面には、金属との接着性を向上させるためのシラン化処理(シランカップリング処理)が施されている。
金属層14は、金属からなり、絶縁層13に配置された層である。金属層14の厚さも、ナノメートルオーダーである。金属層14の材料には、光源2からの照射光L1により局在表面プラズモン共鳴を起こす材料が用いられる。本実施の形態では、厚さ50nmの金層が金属層14として形成されている。
金属層14が開口した領域の絶縁層13は、被検出物質である血液中の抗原を抗原抗体反応により特異的に付着(結合)可能な抗体15により修飾されている。
プラズモン共鳴構造体10では、基板11上に金属薄膜12と絶縁層13と金属層14とが、この順に積層されることにより、MIM(Metal-Insulator-Metal)構造が形成されている。金属薄膜12の材料には、照射光L1(本実施の形態では白色光)のうち金属層14および絶縁層13を透過して金属薄膜12に至った光の反射率が高い材料(この例では金)が用いられている。金属薄膜12における鏡面反射により照射光L1の利用効率が高まり、反射光L2の強度が高くなる。具体的には、金属薄膜12を設けることにより、金属薄膜12が設けられない場合と比べて、吸収スペクトルのピーク強度(ピーク波長における光吸収強度)を約1.4倍〜1.7倍に高めることができる。その結果、プラズモン共鳴センサ1の検出感度を向上させることが可能になる。しかし、金属薄膜12と絶縁層13とは、プラズモン共鳴の2波長励起に必須ではない。
金属層14は、絶縁層13上に配置されているものの、絶縁層13を完全には覆わない(切り欠き、あるいはホールを設ける)ように形成されている。絶縁層13を覆わない金属層14の領域により、プラズモン共鳴構造体10を上面視したときに蝶のような形状となる「バタフライホール」が形成されている。
より詳細には、金属層14に形成された金属ナノ構造体140は、ナノ構造体(第1〜第4の構造体)21〜24と、フレーム(枠体)25とを含む。
ナノ構造体21は、鋭角に尖った尖部(先端)T1を有する。また、ナノ構造体21は、金属層14の主面(XY平面)に平行な対称軸AX1に関して線対称の形状を有する。図2に示す例では、ナノ構造体21の形状は、二等辺三角形である。
ナノ構造体22も、その尖部T2が鋭角形状を有する。ナノ構造体22は、ナノ構造体21と共通の対称軸AX1に関して線対称の形状を有する。図2に示す例では、ナノ構造体22の形状も二等辺三角形である。
ナノ構造体21のサイズとナノ構造体22のサイズとは異なる。本実施の形態では、ナノ構造体22のサイズの方がナノ構造体21のサイズよりも大きい。ナノ構造体22とナノ構造体22とは、尖部T1と尖部T2とが互いに対向するように配置されている。
なお、ナノ構造体21のサイズとナノ構造体22のサイズとは異なるとは、最も広くは、両者の間で主面上の面積が互いに異なることと定義される。より狭義には、ナノ構造体21,22が類似の形状を有する場合(たとえば両者とも二等辺三角形である場合)に、両者の面積が2倍以上異なるときに「サイズが異なる」と言える。
ナノ構造体23とナノ構造体24とは、互いに合同である。ナノ構造体23の尖部T3と、ナノ構造体24の尖部T4とは、いずれも鋭角形状を有する。また、ナノ構造体23およびナノ構造体24の各々は、対称軸AX1に直交する対称軸AX2に関して線対称の形状を有する。ナノ構造体23とナノ構造体24とは、尖部T3と尖部T4とが互いに対向するように配置されている。図2に示す例では、ナノ構造体23,24の各々も二等辺三角形である。
フレーム25は、ナノ構造体21およびナノ構造体22を取り囲むように配置された構造である。フレーム25により、すべてのナノ構造体21〜24が電気的に接続されている。
図5は、プラズモン共鳴構造体10のサイズの一例を示す図である。図5に示すように、プラズモン共鳴構造体10の外形の長辺の長さ(Y方向の長さ)は200nmであり、プラズモン共鳴構造体10の外形の短辺の長さ(X方向の長さ)は150nmである。ナノ構造体21の底辺とナノ構造体22の底辺との間の距離(バタフライホールの長さ)は、150nmである。ナノ構造体23の底辺とナノ構造体24の底辺との間の距離(バラフライホールの幅)は、100nmである。以下では、二等辺三角形の高さと底辺の長さとの比(=高さ/底辺の長さ)を「縦横比」と記載する。
ナノ構造体21の高さH1は35nmであり、ナノ構造体21の底辺の長さD1は約35nmである。よって、ナノ構造体21の縦横比R1(=H1/D1)は、1である。
ナノ構造体22の高さH2は95nmであり、ナノ構造体22の底辺の長さD2は68nmである。よって、ナノ構造体21の縦横比R2(=H2/D2)は、7/5である。なお、ナノ構造体21に対するナノ構造体22の面積比は、約5.3倍である。
ナノ構造体23の高さH3は35nmであり、ナノ構造体22の底辺の長さD3は25nmである。よって、ナノ構造体23の縦横比R3(=H3/D3)は、7/5である。ナノ構造体24はナノ構造体23と合同である。なお、この例では、ナノ構造体23,24の縦横比R3,R4がナノ構造体22の縦横比R2と等しいが、これは必須の条件ではない。
<吸収スペクトルのシミュレーション結果>
以上のように構成されたプラズモン共鳴構造体10の吸収スペクトルのシミュレーション結果について、図6〜図10を参照しながら説明する。
図6は、プラズモン共鳴構造体10の吸収スペクトルの一例を示す図である。図6ならびに後述する図7、図8および図10には、横軸に波長が表され、縦軸に光吸収強度(消光度)が表されている。
図6に示すように、プラズモン共鳴構造体10の吸収スペクトルは、2つのピークを有する。短波長側のピーク波長(共鳴波長)λ1は800nm付近に位置し、長波長側のピーク波長λ2は1,200nm付近に位置する。このように、プラズモン共鳴構造体10が可視領域および赤外領域の各々にピークを有することから、照射光L1の照射により2波長のプラズモン共鳴が同時に励起されていることが分かる。この理由は以下のように説明される。
金属ナノ構造体の局在表面プラズモン共鳴の共鳴波長は、金属ナノ構造体のサイズに大きく依存する。金属ナノ構造体のサイズが大きいほど、共鳴波長が長波長側に位置するようになる。この効果は「サイズ効果」と呼ばれる。このサイズ効果を考慮して、本実施の形態に係るプラズモン共鳴構造体10では、互いにサイズが異なる2つのナノ構造体21,22が設けられている。そして、所望の波長領域において局在表面プラズモン共鳴が励起されるように各ナノ構造体21,22のサイズが定められている。すなわち、相対的にサイズが小さいナノ構造体21が短波長側の可視領域において局在表面プラズモン共鳴を励起する一方で、相対的にサイズが大きいナノ構造体22が長波長側の赤外領域において局在表面プラズモン共鳴を励起するように、各ナノ構造体21,22のサイズが定められている。
プラズモン共鳴構造体10上には被験者の血液で滴下されている。この血液中に含まれる被検出物質である抗原は、抗体15との抗原抗体反応が起こると、可視領域においてプラズモン共鳴構造体10の吸収スペクトルが変化するものである。そのため、可視領域におけるスペクトル変化を監視することによって、抗原の存在を検出することができる。なお、吸収スペクトルの変化とは、ピークシフトであってもよいし、ピーク強度の増大であってもよいし、ピーク幅の増大であってもよい。また、これらのうちの2つまたは3つの組合せであってもよい。
血液中に含まれる抗原が極微量であり、その濃度が非常に低い場合には、抗原と抗体との接触確率(衝突確率)が低いため、抗原抗体反応が起こりにくい。そうすると、抗原が血液中に含まれているにも拘らずスペクトル変化が検出されなかったり、スペクトル変化の検出に長時間を要したりする可能性がある。
本実施の形態に係るプラズモン共鳴構造体10においては、可視領域に加えて赤外領域の光が増強されることで熱が発生する。より詳細に説明すると、金属層14の表面の自由電子が表面プラズモンを形成し、照射光L1に含まれる赤外光によって振動する。これにより分極が生じる。この分極のエネルギーは、自由電子と原子核との間のクーロン相互作用により格子振動のエネルギーに変換される。よって、金属層14は熱を発生させる。このように、赤外光の光エネルギーが熱エネルギーに変換されることで血液が加熱されて血液中に温度勾配が生じると、熱対流が発生する(ソレー効果)。このソレー効果により血液が撹拌されることで抗原と抗体との接触確率が高まり、抗原抗体反応が促進される。その結果、血液中の極微量の抗原を検出可能になったり、抗原の検出時間を短縮したりすることが可能になる。
以上のように、プラズモン共鳴センサ1においては、可視領域におけるプラズモン共鳴は、ピークシフト等のスペクトル変化により、液体試料SP中の抗原の有無を判定(センシング)するために用いられる。すなわち、局在表面プラズモン共鳴の波長依存性が利用される。一方、赤外領域におけるプラズモン共鳴は、赤外光を増強して液体試料SP中に熱対流を生じさせることにより、抗原検出の迅速化を図るために用いられる。すなわち、局在表面プラズモン共鳴の電場増強効果が利用される。
なお、赤外領域における電場増強効果の用途は、熱的な効果(ソレー効果)に限定されず、電気的な効果であってもよい。具体的には、電場増強効果は局所的に生じるので、液体試料SP中には電場勾配が生じる(後述する図11参照)。この電場勾配によって被検出物質を誘電泳動させることが可能である。つまり、被検出物質が液体試料SP中で正または負に帯電している場合、電場勾配を利用して、電場が増強された領域に近付く方向(あるいは当該領域から遠ざかる方向)に被検出物質を誘導し、目標の領域に被検出物質を集積することができる。また、電場増強による熱的な効果と電気的な効果とを組み合わせて利用してもよい。
<吸収スペクトルの縦横比依存性>
本実施の形態に係るプラズモン共鳴構造体10では、ナノ構造体21,22の形状(縦横比)を変更することで共鳴波長の調整をすることができる。
図7は、プラズモン共鳴構造体10の吸収スペクトルのナノ構造体の形状(縦横比)への依存性を示す図である。図7(A)〜図7(E)には、ナノ構造体21の縦横比R1を7/3,7/4,7/5,7/6,7/7にそれぞれ設定した場合(つまり、二等辺三角形の高さH1を固定し、底辺の長さD1を順に長くした場合)について、プラズモン共鳴構造体10の吸収スペクトルのシミュレーション結果が示されている。他のナノ構造体22〜24の縦横比R2〜R4は、いずれも7/5で共通である。
図7(A)〜図7(E)を参照して、ナノ構造体21の縦横比R1が小さくなるに従って800nm付近のピーク波長λ1が短波長側にシフト(ブルーシフト)することが分かる。一方、長波長側(1,200nm付近)のピーク波長λ2は、ナノ構造体21の縦横比R1に拘らず、ほぼ等しい。
このシミュレーション結果から理解されるように、2つのピーク波長λ1,λ2のうちの短波長側のピーク波長λ1(図7の例では可視領域のピーク波長)は、ナノ構造体21,22のうちの小さい方のナノ構造体21の形状(この例では縦横比R1)に依存する。ナノ構造体21の縦横比R1を変更することにより、ピーク波長λ1の位置を調整することができる。一方、図示しないが、2つのピーク波長λ1,λ2のうちの長波長側のピーク波長λ2(赤外領域のピーク波長)は、相対的に大きいナノ構造体22の形状(縦横比R2)に依存する。ナノ構造体22の縦横比R2を変更することにより、ピーク波長λ2の位置を調整することも可能である。また、ナノ構造体21に対応する可視領域のピーク波長λ1と、ナノ構造体22に対応する赤外領域のピーク波長λ2とは、独立に調整することができる。
<両側のナノ構造体の影響>
図8は、ナノ構造体21,22の両側に設けられたナノ構造体23,24の有無がプラズモン共鳴構造体10の吸収スペクトルに及ぼす影響を説明するための図である。
図8に示すように、ナノ構造体23,24が設けられていないと、ナノ構造体23,24が設けられている場合と比べて、短波長側のピーク波長λ1におけるピーク強度が約20%低くなる。別の見方をすると、ナノ構造体23,24は、ピーク波長λ1におけるピーク強度を増大させる効果を奏する点において、ナノ構造体21により生じる局在表面プラズモン共鳴を、いわばアシストする機能を果たすと言える。
このアシスト機能は以下のように説明される。すなわち、ナノ構造体21の尖部T1の近傍には、図示しないが、ナノ構造体21により発生する電場が他の構造体と相互作用し得る空間領域(以下、「相互作用領域」と記載する)が存在する。同様に、ナノ構造体22の尖部T2の近傍にも、ナノ構造体22により発生する電場の相互作用領域が存在する。尖部T1近傍の相互作用領域内の電場と、尖部T2近傍の相互作用領域内の電場との相互作用により、2波長で局在表面プラズモン共鳴が励起される。ここで、ナノ構造体21はナノ構造体22よりも小さいので、尖部T1近傍の相互作用領域も相対的に小さい。そのため、ナノ構造体21と同程度のサイズを有するナノ構造体23,24が尖部T1の近傍に設けられる。ナノ構造体23,24を設けることで、尖部T1近傍の相互作用領域が広くなり、かつ、その相互作用領域内の電場が強くなる。その結果、ナノ構造体21とナノ構造体22との相互作用が強くなり、ピーク波長λ1におけるピーク強度が増大する。
このように、ナノ構造体23,24はアシスト機能を果たす一方で、ナノ構造体23,24が設けられていない場合であっても2つのピーク波長λ1,λ2が存在する。このことから、照射光L1の照射により2波長のプラズモン共鳴を同時に励起するのにナノ構造体23,24が必須の構成ではないことが分かる。
図9は、ナノ構造体21,22の両側に設けられたナノ構造体23,24の位置がプラズモン共鳴構造体10の吸収スペクトルに及ぼす影響を説明するための図である。図9を参照して、ナノ構造体23,24の共通の対称軸AX2と、ナノ構造体21の尖部T1(詳細には二等辺三角形の頂点)との間の間隔をG1と記載する。また、ナノ構造体23,24の対称軸AX2と、ナノ構造体22の尖部T2(頂点)との間の間隔をG2と記載する。
間隔G1が小さく、ナノ構造体23,24がナノ構造体21に近いほど、ナノ構造体21に対応する短波長側のピーク波長λ1が長波長側にシフト(レッドシフト)する。逆に、間隔G2が小さく、ナノ構造体23,24がナノ構造体22に近いほど、ナノ構造体22に対応する長波長側のピーク波長λ2が長波長側にシフト(レッドシフト)する。このように、ナノ構造体23,24によるアシスト機能は、図8にて説明したようなピーク強度の増大に留まらず、ピーク波長λ1,λ2のシフト(微調整)にも及ぶ。
たとえば図5に示した例では、ナノ構造体23,24の対称軸AX2の位置と、ナノ構造体22の尖部T2の位置とが一致している(間隔G2=0)。つまり、間隔G1が最大になっており、ナノ構造体23,24がナノ構造体21の尖部T1から最大限遠くに配置されている。ナノ構造体21に対応する短波長側のピーク波長λ1は約800nmであり、可視領域の上限波長(本開示では830nm)に近い(図6参照)。被検出物質の光学特性によっては、より短波長側にピーク波長λ1が位置する方が望ましい場合がある。そのため、図5の例では、ピーク波長λ1のレッドシフトを抑制して、ピーク波長λ1ができるだけ短波長側に位置するように、ナノ構造体23,24の位置が設計されている。
<吸収スペクトルの材料依存性>
図10は、プラズモン共鳴構造体10の吸収スペクトルの材料依存性を示す図である。図10には、プラズモン共鳴構造体10の形状を図5に示した形状に統一した上で、金属層14の材料を各種材料に変更した場合の吸収スペクトルのシミュレーション結果が示されている。
図10(A)は、金属層14が厚さ50nmの金の単層構造である場合の対照としての吸収スペクトルを示す(図6と同じもの)。この場合のピーク波長λ1は800nmであるが、ピーク波長λ1の短波長側へのシフトには、たとえば銀を用いることができる。
図10(B)は、銀が金属層14に含まれている場合の吸収スペクトルを示す。具体的には、図10(B)には、(1)金属層14が厚さ25nmの金層と厚さ25nmの銀層との積層構造(銀層の上に金層が配置された構造)である場合、(2)金属層14が厚さ10nmの金層と厚さ40nmの銀層との積層構造である場合、および、(3)金属層14が厚さ50nmの銀の単層構造である場合の3通りについて、プラズモン共鳴構造体10の吸収スペクトルが示されている。図10(A)および図10(B)に吸収スペクトルが示される4種類の材料の間では、金属層14全体の厚さは50nmで等しく、金属層14における銀層の割合(全体厚さに対する銀層の厚さの割合)が0%、20%、50%、100%と異なっている。
図10(A)および図10(B)を参照して、金属層14における銀層の割合が高いほど、ピーク波長λ1が短波長側にシフトすることが分かる。また、金属層14における銀層の割合が高いほど、長波長側のピーク波長λ2も短波長側にシフトすることが分かる。
このように、金属層14に用いられる材料(材料の組合せ、または組成であってもよい)を変更することによってもピーク波長λ1,λ2を調整することができる。図示しないが、金と銀との合金層を金属層14として用いることも可能である。さらに、金属層14の材料として、たとえばアルミニウムを用いてもよい。アルミニウムを用いると、金を用いる場合と比べて、プラズモン共鳴構造体10のMIM構造において、照射光L1が金属層14内で減衰するため反射光L2の強度が低くなり易いものの、可視領域の中央波長よりも短波長側(たとえば500nm)までピーク波長λ1をシフトさせることができる。なお、金、銀およびアルミニウムのうちの2種類または3種類の材料を適宜組み合わせて用いてもよい。
<電場増強効果>
続いて、プラズモン共鳴構造体10の電場増強効果を確認するために行なった電界強度分布のシミュレーション結果について説明する。このシミュレーションでは、時間領域差分法(FDTD:Finite-Difference Time-Domain method)を用いた。
図11は、プラズモン共鳴構造体10の電界強度分布を示す図である。図11(A)のようにプラズモン共鳴構造体10を上面視した場合について、ナノ構造体21における電界強度分布が図11(B)に示され、ナノ構造体22における電界強度分布が図11(C)に示されている。
なお、図11(A)〜図11(C)では、ナノ構造体21とナノ構造体22との配置(Y方向の配置)が図3等に示された配置とは逆である点に留意する。図11(B)および図11(C)の各図の右側には、電界強度の高さ[単位:V/m]を表すスケールバーが示されている。
図11(B)および図11(C)を参照して、照射光L1の電界強度が1V/mであった場合に、ナノ構造体21の尖部T1における最大電界強度は約280V/mであり、ナノ構造体22の尖部T2における最大電界強度は約240V/mであった。この結果は、ナノ構造体21では約280倍の電波増強が起こり、ナノ構造体22では約240倍の電場増強が起こったことを示している。
図12は、プラズモン共鳴構造体10の断面方向における電界強度分布を示す図である。図12(B)には、図12(A)の断面方向における電界強度分布が示されている。
図12(B)によってもナノ構造体21の尖部T1の近傍において強い電場増強が起こっていることが分かる。特に、ナノ構造体21の尖部T1のうち、金属層14の表面領域における電界強度が高く、絶縁層13の表面領域における電界強度が最も高い(絶縁層13表面では約490V/m)。これらの領域を抗体15(図4参照)により修飾することで、抗原が抗体15に付着(結合)したときのプラズモン共鳴構造体10の吸収スペクトルの変化量が大きくなる。よって、プラズモン共鳴センサ1の感度を向上させることができる。
<プラズモン共鳴構造体の検討過程>
図13は、プラズモン共鳴構造体10の完成に至るまでの検討過程を説明するための図である。図13(A)を参照して、前述のサイズ効果に鑑み、まず、可視領域用の小さいナノ構造体(金属ナノ構造体)31と、赤外領域用の大きいナノ構造体32とを対向させたプラズモン共鳴構造体30を設計した。しかし、プラズモン共鳴構造体30では、図13(B)に示すように、可視領域と赤外領域とに明確に分離(区別)された2つのピークを得ることはできなかった。
この理由は以下のように考えられる。すなわち、互いにサイズが異なる2つのナノ構造体31,32が配置されており、両者が電気的に独立している場合、ナノ構造体31,32間の相互作用により、プラズモン振動が複雑化する。そうすると、その相互作用に起因するプラズモン振動により生じたスペクトル成分の寄与により、2つのピークの各々が広帯化(ブロード化)する。その結果、2つのピークの分離が弱くなってしまう。
次に、従来検討していた、四角形のフレームから、その内部に向けて突出する構造体が設けられた構造の活用を考えた(図13(C)参照)。この構造は、従来の検討段階では、絶縁層からの金属層の剥離を防止すべく、フレームを設けることで絶縁層と金属層との接着面積を増大させることを目的としたものであった。
このような経緯に基づき、図13(D)に示すようなプラズモン共鳴構造体40を作製した。プラズモン共鳴構造体40は、図13(C)の構造から着想を得た長方形のフレーム45と、各々がフレーム45の内部に向けて突出する互いにサイズが異なるナノ構造体41,42とを備える。このような構造とすることで、図13(E)に示すように、2波長でのプラズモン励起が起こることが確認された。
これは以下の2つの理由によるものと考えられる。第1に、2つのナノ構造体41,42がフレーム45により電気的に接続されるためである。これにより、ナノ構造体41,42が互いに電気的に独立している場合と比べて、ナノ構造体41,42間の相互作用が相対的に弱まり、プラズモン振動の複雑化が抑えられる。そうすると、各ピークの広帯化が抑制され、2つのピークが分離され易くなると考えられる。第2に、ナノ構造体41とナノ構造体42とを互いに隔てる構造(ホール構造)によって自由電子の振動挙動が制限されるためである。
しかし、図13(D)に示す構造では、増強後の電界強度および光吸収強度が期待した値よりも低かったため、これらの効果を向上させることを検討した。そして、図13(F)に示すように、ナノ構造体21,22間の相互作用のアシスト機能を有するナノ構造体23,24を追加した。これにより、電界強度および光吸収強度の両方が向上すること、および、上記2つのピーク間の分離が強まることが確認された(図13(G)参照)。これは、ナノ構造体23,24の追加により、ナノ構造体21,22間の距離(尖部T1と尖部T2との間の距離)に対するナノ構造体(ナノ構造体21〜24)全体としてのサイズが大きくなったためと考えられる。
なお、図3では、上面視した場合の各ナノ構造体21,22の形状が二等辺三角形であると説明した。しかし、ナノ構造体21,22の形状は、共通の対称軸AX1に関して線対称であり、かつ、尖部T1,T2同士が対向する形状であれば、二等辺三角形に限定されない。
図14は、ナノ構造体の他の形状例を説明するための図である。図14に示すように、ナノ構造体21Aは、その内側に凹の曲線形状(対称軸AX1に向けて凹む曲線形状)を有する。別の説明をすると、ナノ構造体21Aは、底辺s0と、側辺s1,s2とを有する。そして、底辺s0から尖部T1に向かうに従って側辺s1と側辺s2との間の距離dが減少し、かつ、その距離dの減少幅が底辺s0から尖部T1に向かうに従って次第に小さくなる。
図示しないが、ナノ構造体が、その外側に凸の形状(側辺s1,s2が対称軸AX1から遠ざかる方向に膨らむ形状)を有する場合には、光照射により励起されたプラズモンが尖部T1に集中しにくくなり、尖部T1における電場増強が弱くなり得る。これに対し、図14に示すナノ構造体21Aは、その尖部T1において強い電場増強が起こるので好適に採用することができる。さらに、ナノ構造体21Aは、直線と曲線との両方を含む外形形状(図示せず)を有してもよい。なお、もう一方のナノ構造体22Aもナノ構造体21Aと同様の形状を有しているため、ナノ構造体22Aについての説明は繰り返さない。
<プラズモン共鳴センサの製造フロー>
図15は、プラズモン共鳴センサ1の製造方法を説明するためのフローチャートである。図16は、プラズモン共鳴センサ1の製造方法の概略工程図である。図面が煩雑になるのを防ぐため、図16では、プラズモン共鳴センサ1に含まれる複数のプラズモン共鳴構造体10のうちの2つのみが模式的に示されている。本実施の形態では、プラズモン共鳴センサ1の製造にインプリント(転写)技術が使用される。
図15および図16(A)を参照して、ステップ(以下、ステップを「S」と略す)1において、インプリント技術に使用する鋳型8が準備される。鋳型8には、金属層14にバタフライホール構造を形成するための凹凸構造(バタフライホール型)が設けられている。鋳型8は、たとえば、電子ビーム描画またはドライエッチングによりシリコンを加工することにより作製することができる。
S2において、基板11上に金属薄膜12が形成され、金属薄膜12上に絶縁層13がさらに形成される(図16(B)参照)。より詳細には、まず、基板11が洗浄される。たとえば、超純水で満たしたビーカー(図示せず)の中に基板11を沈め、超音波洗浄機(図示せず)を用いて超音波を所定時間照射することで基板11を洗浄することができる。この洗浄後に、たとえばイオンスパッタリング法により基板11上に金属薄膜12が形成される。金属薄膜12の膜厚は、たとえば数十nm〜数百nm(この例では膜厚150nm)である。なお、金属薄膜12の形成手法は、イオンスパッタリング法に限られず、他の物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、無電解メッキ法などを用いてもよい。また、この例では厚さ60nmのシリコン酸化膜が絶縁層13として形成される。シリコン酸化膜の形成には、たとえば熱CVD装置またはスパッタ装置を使用する成膜手法を用いることができる。
S3において、バタフライホール構造の形成のために一時的に設けられるポリマー層9が鋳型8を使用して絶縁層13上に形成される。具体的には、鋳型8に設けられたバタフライホール型にポリマーを充填し、そのポリマーを絶縁層13上へと転写することでポリマー層9を形成することができる(図16(C)参照)。
バタフライホール構造の転写後に鋳型8を取り外すと、ポリマー層9には、バタフライホール構造からはみ出した領域に不要なポリマーが残り得る。そのため、S4において、ポリマー層9のうち不要な領域が除去される(図16(D)参照)。たとえば、ポリマー層9を短時間溶解することにより、不要な領域に残ったポリマーを除去することができる(図16(E)参照)。
S5において、絶縁層13およびポリマー層9上に金属を堆積させることにより、金属層14が形成される(図16(F)参照)。この例では、厚さ50nmの金薄膜が形成される。金属層14の形成には、金属薄膜12の形成と同様に、イオンスパッタリング法、物理気相成長法または化学気相成長法などを用いることができる。
S6において、たとえば酸素プラズマアッシングによりポリマー層9を除去すると、金属層14にバタフライホール構造が完成する(図16(F)参照)。プラズマアッシング技術に代えて、ウェットエッチングによりポリマー層9を除去してもよい。これにより、一連の処理が終了する。
以上のように、本実施の形態に係るプラズモン共鳴構造体10の金属層14には、互いにサイズが異なるナノ構造体21とナノ構造体22が設けられている。ナノ構造体21,22の各々は、共通の対称軸AX1に関して線対称の形状を有し、かつ、ナノ構造体21とナノ構造体22とは互いに対向するように配置されている。このような構造により、サイズ効果を利用して2波長のプラズモン共鳴を励起することができ、2つのピークを生じさせることができる。しかしながら、上記構造だけでは、ナノ構造体21とナノ構造体22との間の相互作用によりプラズモン振動が複雑化して各ピークがブロードになるため、2つのピークの分離が弱くなってしまう。そこで、ナノ構造体21,22の周囲を取り囲むように配置されたフレーム25により、ナノ構造体21とナノ構造体22とを電気的に接続する。これにより、ナノ構造体21,22間の相互作用が弱まり、プラズモン振動の複雑化が抑制される。その結果、2つのピークを明確に区別して、一方を可視領域内に位置させ、他方を赤外領域内に位置させることが可能になる。
また、プラズモン共鳴構造体10は、金属薄膜12と絶縁層13と金属層14とが積層されたMIM構造を有する。MIM構造とすることで、照射光L1が金属薄膜12により鏡面反射され、反射光L2の強度が高くなる。これにより、吸収スペクトルのピーク強度が高まるので、プラズモン共鳴センサ1の検出感度を向上させることができる。
さらに、プラズモン共鳴構造体10では、ナノ構造体21,22の両側に、互いに合同なナノ構造体23,24が互いに対向するように配置されている。ナノ構造体23,24を設けることにより、ナノ構造体21,22における局在表面プラズモン共鳴のピーク強度を高くすることができる(アシスト機能)。また、ナノ構造体23,24とナノ構造体21の尖部T1との間の間隔G1に応じてピーク波長λ1がレッドシフトするとの性質を利用して、ナノ構造体23,24の位置調整によってピーク波長λ1を微調整することができる。同様にピーク波長λ2を微調整することも可能である。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 プラズモン共鳴センサ、2 光源、3 偏光子、4 XYZ軸ステージ、5 光検出器、6 制御装置、10,10A,30,40 プラズモン共鳴構造体、11 基板、12 金属薄膜、13 絶縁層、14 金属層、15 抗体、21 第1の金属ナノ構造体、22 第2の金属ナノ構造体、23 第3の金属ナノ構造体、24 第2の金属ナノ構造体、21〜24,21A,22A,31,32,41,42 ナノ構造体、25 フレーム、45 フレーム、8 鋳型、9 ポリマー層、100 抗原検出システム。

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板上に配置され、金属ナノ構造体を含んで構成された金属層とを備え、
    前記金属ナノ構造体は、
    第1の構造体と、
    前記第1の構造体よりもサイズが大きい第2の構造体と、
    前記第1および第2の構造体を取り囲むように配置され、前記第1の構造体と前記第2の構造体とを電気的に接続する枠体とを含み、
    前記第1および第2の構造体の各々は、共通の対称軸に関して線対称であり、かつ、前記対称軸上に配置された尖部を有し、
    前記第1の構造体と前記第2の構造体とは、前記尖部同士が対向するように配置されている、プラズモン共鳴構造体。
  2. 前記基板上に配置され、金属からなる金属薄膜と、
    前記金属薄膜上に配置され、絶縁材料からなる絶縁層とをさらに備え、
    前記金属層は、前記絶縁層上に配置されている、請求項1に記載のプラズモン共鳴構造体。
  3. 前記金属ナノ構造体は、
    前記第2の構造体よりもサイズが小さい第3の構造体と、
    前記第3の構造体と合同の形状を有する第4の構造体とをさらに含み、
    前記第1〜第4の構造体は、前記枠体により互いに電気的に接続されており、
    前記第3および第4の構造体の各々は、前記対称軸と直交する共通の他の対称軸に関して線対称であり、かつ、前記他の対称軸上に配置された尖部を有し、
    前記第3の構造体と前記第4の構造体とは、前記尖部同士が対向するように配置されている、請求項1または2に記載のプラズモン共鳴構造体。
  4. 前記第1および第2の構造体の各々は、前記金属層の主面を平面視した場合に二等辺三角形形状を有し、
    前記第1の構造体の高さと底辺の長さとの比は、前記第1の構造体に由来する局在表面プラズモンの共鳴波長が可視領域内に位置するように定められ、
    前記第2の構造体の高さと底辺の長さとの比は、前記第2の構造体に由来する局在表面プラズモンの共鳴波長が赤外領域内に位置するように定められる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズモン共鳴構造体。
  5. 前記金属層の材料は、前記第1の構造体に由来する局在表面プラズモンの共鳴波長が可視領域内に位置し、かつ、前記第2の構造体に由来する局在表面プラズモンの共鳴波長が赤外領域内に位置するように定められる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズモン共鳴構造体。
  6. 試料に含まれる可能性がある被検出物質を検出するためのプラズモン共鳴センサであって、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズモン共鳴構造体を備え、
    前記第1の構造体の前記尖部は、前記被検出物質を特異的に付着可能なホスト物質により修飾されている、プラズモン共鳴センサ。
  7. 試料に含まれる可能性がある被検出物質を検出するためのプラズモン共鳴システムであって、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズモン共鳴構造体を設置可能に構成された保持部材と、
    所定広さの波長領域の偏光を前記プラズモン共鳴構造体に照射するように構成された光源と、
    前記プラズモン共鳴構造体からの光を検出するように構成された光検出器と、
    前記光検出器による検出結果を解析する解析装置とを備え、
    前記第1の構造体の前記尖部は、前記被検出物質を特異的に付着可能なホスト物質により修飾されている、プラズモン共鳴測定システム。
  8. プラズモン共鳴構造体の製造方法であって、
    金属ナノ構造体を含んで構成される金属層を形成するための鋳型を準備するステップと、
    樹脂に前記鋳型を転写することにより樹脂層を形成するステップと、
    前記樹脂層上に金属を堆積させることにより、前記金属層を形成するステップと、
    前記樹脂層を除去するステップとを含み、
    前記金属ナノ構造体は、
    第1の構造体と、
    前記第1の構造体よりもサイズが大きい第2の構造体と、
    前記第1および第2の構造体を取り囲むように配置され、前記第1の構造体と前記第2の構造体とを電気的に接続する枠体とを含み、
    前記第1および第2の構造体の各々は、共通の対称軸に関して線対称であり、かつ、前記対称軸上に配置された尖部を有し、
    前記第1の構造体と前記第2の構造体とは、前記尖部同士が対向するように配置されている、プラズモン共鳴構造体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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