JP2008004586A - 導電回路パターンの形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度で導電性に優れた導電回路を形成することができ、耐変形性や加工性にも優れ、低コストで導電回路パターンを形成することができる導電回路パターンの形成方法を提供する。
【解決手段】基材表面の光触媒層に配線パターンマスクを通して励起光を照射し、配線パターンに対応した光触媒を活性化させて親水性とした後、光触媒層の全面に導電性材料含有液を接触させることにより、親水性の光触媒部分に導電性材料含有液を付着させ、次いで、導電性材料含有液を乾燥硬化して導電部を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電回路パターンの形成方法に関し、詳しくは、ビルドアップ配線板,プラスチック配線板,プリント配線板,セラミック配線板等の多層配線板や、ガラス板、プラスチックシート等の配線・線路系素子・記憶素子等、及び、ディスプレイ基板の微細な電気回路パターンを光触媒を使用して形成する方法に関する。
基板上に導体回路を形成する方法として、スクリーン印刷法が広く採用されている。このスクリーン印刷法は、所定の回路パターン用開口を形成したスクリーンマスクを基板上に載せ、スクリーンマスク上の導電性ペーストを印刷用スキージで前記開口を通して基板上に押し付けた後、加熱して導電性ペーストを焼成することにより、基板上に所定の導体回路を形成する方法である(例えば、特許文献1参照。)。
一方、印刷法の一つとして、疎水性の光触媒を有する像担持体の表面に光を照射し、この光触媒を親水性に変化させて潜像を形成し、この潜像に親水性インクを供給して親水性となっている部分に保持させ、それを印刷用紙等に転写する印刷法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2003−251784号公報 特開2002−36489号公報
しかし、前記スクリーン印刷法では、スクリーン上に導電性ペーストの一部が残るために導電性材料のロスが生じる問題がある。また、光触媒を用いた印刷法では、潜像に保持したインクを用紙等に転写するため、印刷精度が低く、細かな導体回路の形成は困難である。
そこで本発明は、高精度で導電性に優れた導電回路を形成することができ、耐変形性や加工性にも優れ、低コストで導電回路パターンを形成することができる導電回路パターンの形成方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の導電回路パターンの形成方法は、基材の表面に設けた光触媒層に配線パターンマスクを通して光触媒の励起光を照射し、配線パターンに対応した部分の光触媒を活性化させて親水性とした後、前記光触媒層の全面に導電性材料含有液を接触させることにより、親水性となっている光触媒の部分に導電性材料含有液が付着した状態とし、この状態で前記導電性材料含有液を乾燥硬化することを特徴としている。このときの前記導電性材料含有液は、表面張力が30dyne/cm以上の水溶液、水分散液又は親水性溶液を用いることが好ましい。
また、本発明の導電回路パターンの形成方法は、別の構成として、基材の表面に設けた光触媒層に配線パターンマスクを通して光触媒の励起光を照射し、配線パターンに対応した部分を除く光触媒を活性化させて親水性とした後、前記光触媒層の全面に導電性材料含有液を接触させることにより、親水性となっていない光触媒の部分に導電性材料含有液が付着した状態とし、この状態で前記導電性材料含有液を乾燥硬化することもできる。このときの前記導電性材料含有液は、表面張力が40dyne/cm未満の疎水性溶液又は分散液を用いることが好ましい。
さらに、本発明では、前記導電性材料含有液は、粘度が回転型粘度計により測定した粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、前記光触媒層の触媒活性成分が酸化チタンであること、前記基材がプラスチックフィルムであることが好ましい。また、前記配線パターンマスクの配線パターンの幅は5μm以上であることが好ましく、前記励起光の光源には、紫外線ランプ、可視光域を含む紫外線ランプ、ブラックライト又は白色灯を用いることができる。さらに、前記光触媒層全面への導電性材料含有液の接触は浸漬法により行うことが望ましく、前記乾燥硬化は、50℃以上、200℃以下で行うことが好ましい。
また、前記導電性材料含有液として、平均粒径が1〜100nmである金属微粒子の表面を、該金属微粒子に含まれる金属元素と配位可能な有機化合物で被覆して液体中に分散させた分散液を使用することにより、乾燥硬化の過程で活性化された光触媒により有機化合物を分解除去して金属微粒子同士を焼結させることができる。
本発明の導電回路パターンの形成方法によれば、光触媒が活性化した部分あるいは活性化していない部分にのみ導電性材料含有液を付着させるので、回路パターンの状態に応じて最適な導電性材料含有液を選択することにより、高精度で導電性に優れた導電回路を簡単に低コストで形成することができる。
まず、表面に光触媒層を設けた基材は、特に制約はなく、例えば、ガラス、金属、プラスチック板、プラスチックフイルムを利用でき、厚さも特に制約なく選択できる。特にプラスチックフィルムは、連続加工性、ハンドリング性、配線材としての軽量性等の面から好適である。
光触媒層を構成する光触媒も特に制約はなく、例えば、酸化チタン,ヘマタイト(α−Fe)、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)の一種、又は複数種を混合したものを使用できる。特に、光触媒活性や濡れ性、光を照射した部位と照射されなかった部位との濡れ性の差の大きさ、コスト等の面から酸化チタンが好適である。この酸化チタンは、アルコキシチタンからのゾルゲル反応で生成してもよく、ナノ酸化チタン粒子を分散したコーティングによってもよい。基材界面との接着性や光触媒活性による劣化防止としては公知の方法を応用すればよく、例えば、シリコーン等の耐光触媒劣化性が低く、プラスチックとの接着性が得られやすいバインダーをプライマーとして層間に形成する方法を採用することができる(例えば、特開2003−62922号公報参照)。
配線パターンマスク(版下)は、汎用のものを使用可能であり、例えば、一般に流通しているリスフィルム等を利用できる。この配線パターンマスクは、セルローストリアセテート等の光学的に透明なプラスチックフィルムに、配線パターンに応じて銀インキ等の光遮蔽性の高いインキを塗り、塗って光を通すところと通さないところとを形成すればよい。配線パターンマスクに形成する配線パターンの配線幅、配線間幅は、特に制約はなく、5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲が可能であり有用となる。
光触媒に照射する励起光としては、光触媒の励起に必要な帯域の光を含むものであればよく、各種光源を使用可能である。照射時間効率、コスト、安全性等を考慮すると、例えば、紫外線(UV)、可視光域の紫外線ランプ、ブラックライト、白色灯を選定できる。励起光の照度も特に制約はなく、概ね10〜1000mJ/cmでよい。このような励起光を配線パターンマスクを通して基材表面の光触媒層に照射すると、励起光が照射された部分の光触媒の触媒活性が誘起されて親水性化される。このとき、配線パターンマスクの配線パターンに対応した部分を光透過性としておくことによって配線パターンに対応した配線部が親水性となり、その他の非配線部が疎水性のままの状態となる。逆に、配線パターンマスクの配線パターンに対応した部分を不透明としておくことによって配線パターンに対応した配線部が疎水性のままとなり、その他の非配線部が親水性の状態となる。
導電性材料含有液は、導電性材料を分散又は溶解した液であって、基本的には導電性材料と分散媒(溶媒)とからなり、必要に応じてバインダー、分散剤、界面活性剤、可塑剤、金属イオン補足剤等が加えられ、均一に分散又は溶解した液状のものである。導電性材料は、配線材としての導電性のレベルを高精細な寸法レベルで達成するため、その組成、寸法が制御され、概ね体積抵抗率で10Ω・cm以下、分散液の場合の平均粒子系として1μm以下、特に1〜100nmの範囲が望ましい。導電性材料は、金,銀,銅,白金,パラジウム,ロジウム,オスミウム,ルテニウム,イリジウム,鉄,錫,亜鉛,コバルト,ニッケル,クロム,チタン,タンタル,タングステン,インジウム,ケイ素等の中の少なくとも1種類の金属の微粒子、あるいは、2種類以上の金属からなる合金の微粒子、1種類の金属酸化物の微粒子、あるいは、2種類以上の金属又は金属酸化物からなる合金の微粒子、ケッチェンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、フラーレン等の中の少なくとも1種類の導電性カーボン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン等の中の少なくとも1種類の導電ポリマー、ペンタセン、テトラセン、フタロシアニン等の中の少なくとも1種類の有機低分子導電体等から選択できる。バインダーとしては、エポキシ系、シリコーン系、ポリイミド系樹脂等が、分散剤としては、特に金属・金属酸化物の微粒子の場合には、アルコール系、アミン系、チオール系有機化合物等が、水、アルコール、テトラヒドロフラン、トルエン、エチルセロソルブ、テルピネオール等が要求に合わせ特に制約なく利用できる。
導電性材料含有液は、基材表面の光触媒層の金面に一括コーティングされる。なお、明らかに導電性材料をコーティングする位置が偏在している場合は、それに応じて省略・効率化することも可能である。また、導電性材料含有液や光触媒層を配した基材を、変性・変形しない範囲で適宜加温して密着性や濡れ性を制御することも可能である。コーティングする方法としては、特に制約はなく、グラビアコーティング、ロールコーティング、スクリーンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティシグ等を利用できるが、簡便性、低コスト、精度の面から、ディップコーティング(浸漬法)が特に好適である。ディップコーティングの条件としては、特に制約はなく、導電性材料含有液中に光触媒層を配した基材の全体を潜らせて持ち上げ、過剰の液切りを適宜行った後、コーティング面を上に向けて静置し、濡れ及びはじきの移動進展や濡れ位置への液の安定化を行う。液中へ潜らせる時間及び安定化の時間は、導電性材料含有液の粘度、分散媒の組成・量等によって異なるが、通常は、1〜30秒程度で十分である。液中へ潜らせるときに裏面への回り込み・付着を防ぐため、あらかじめ基材の反光触媒層側の面に保護フィルムをラミネートしておくことや、導電性材料含有液に潜らせるときに光触媒層の表面だけが濡れるように精密に制御することによって効率化することも可能である。
導電性材料含有液の基板の配線パターンへの濡れは、導電性材料含有液の表面張力、粘度により制御でき、表面張力により方向性、粘度により進展性が制御できる。回転型粘度計により測定した粘度は1000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・sを超えると濡れ及びはじきの進展性が乏しくなり、実質的な進展がなくなって配線化できなくなることがある。この粘度は、分散媒の種類、濃度、配合比率、界面活性剤、チクソ性調整剤等の添加により適宜調整できる。また、導電性材料含有液の表面張力は、触媒層の親水性部分を濡らす場合は、30dyne/cm以上の水溶液、水分散液又は親水性溶液が好ましく、疎水性部分を濡らす場合は、40dyne/cm未満の疎水性溶液又は分散液が好ましい。表面張力が30dyne/cm未満の水溶液、水分散液又は親水性溶液を使用すると、励起光で触媒活性化された部分を選択的に濡らすことができなくなって精度が低下することがある。また、表面張力が40dyne/cm以上の疎水性溶液又は分散液を使用した場合も、励起光が遮蔽されて触媒活性化されていない部分を選択的に濡らすことができなくなって精度が低下することがある。
なお、上述の表面張力は、各種の表面張力が既知の溶媒を用いて、20℃での各表面張力と、20℃での基材表面の光触媒層での接触角をそれぞれ測定したものとを図にプロットして関係曲線を作成し、導電性材料含有液の20℃での接触角を測定して前記関係曲線から推定した値を表面張力とした。
親水性の液としては、アルコール、アミン、エーテル、ケトン類等の水溶性有機溶媒や、これらの混合物及び水との混合物を用いることができ、疎水性の液としては、脂肪族・芳香族炭化水索、エステル、エーテル、ケトン等の非水溶性有機溶媒や、これらの混合物を用いることができる。
導電性材料含有液の乾燥硬化は、導電性材料含有液の種類に応じて選択することができ、特に制約はないが、50℃未満では、乾燥硬化に時間が掛かり、200℃を超える高温に加熱すると変形することがあるので、50℃以上、200℃以下に加熱して乾燥硬化させることが望ましい。例えば、平均粒径が1〜100nmである金属微粒子の表面を、該金属微粒子に含まれる金属元素と配位可能な有機化合物で被覆して液体中に分散させた分散液を使用したときには、この乾燥硬化の過程で活性化された光触媒により、前記有機化合物を分解除去して前記金属微粒子同士を焼結させることができる。すなわち、光触媒層の経時的な触媒効果による導電性材料中の有機成分(分散媒残さ、バインダー、その他)の揮散・架橋・分解劣化に伴う導電性成分同士の緊密化や基材との密着性向上といった暗反応的効果が得られ、乾燥硬化に手間及び負荷がかからず、目的の導電性能が得られる。
実施例1
基材となる厚さ100μmのPETフィルムの一面に、シリコーン系プライマー0.2μm、酸化チタンゾル0.2μmの順に積層して基材表面に光触媒層を形成した。この光触媒層に、セルローストリアセテートシートに銀インキで線幅10μmの線200本を線間幅10μm幅で印刷し、配線パターン(導電部)に相当する部分を光透過性とした配線パターンマスクを介してメタルハライド紫外線ランプにより150mJ/cmの照度で紫外線を照射して導電部側の触媒活性を誘起して親水性とした。この基板を、平均粒径10nmでエタノールアミンにより分散したAg5質量%水分散溶液(粘度800mPa・s、表面張力42dyne/cm)からなる導電性材料含有液の液面に光触媒層側を向けて光触媒層のみが漬かるように5秒ディッピングコートし、取り出してすぐ鉛直にして液切りしてから光触媒層側を上に向けて5秒静置させた。続いて熱風オーブン中にて150℃で10分、続いて別の熱風オーブン中にて200℃で10分、乾燥・硬化させて基材上に導電部を形成した。
得られた導電部に関する精度、導電性、変形性、加工性について以下の評価・判定を行った。
<精度>
形成された導電部の寸法精度、抜けやはみ出し等の不良の有無を、光学顕微鏡(撮影倍率100倍、写真倍率5倍)で5箇所撮影して評価した。
○:配線幅の寸法が9.5〜10.5μmで、かつ、抜けやはみ出し等の不良が2箇所以下で良好。
△:配線幅の寸法が9.5〜10.5μmを外れるところがあり、抜けやはみ出し等の不良が2箇所以上ある。
×:配線幅の寸法が9〜11μmを外れるところがあり、抜けやはみ出し等の不良が5箇所以上あり不良。
<導電性>
導電部の長さ50mmの間の比抵抗を10箇所測定し、100Ω・cm以上の箇所の数で評価した。
○:0箇所
△:1箇所
×:2箇所以上
<変形性>
導電部を形成した基材のカール、波打ち、伸縮等の変形状況を評価した。
○:カール、波打ち、伸縮等の変形がない。
△:軽度にカール、波打ち、伸縮等いずれかの変形がある。
×:カール、波打ち、伸縮等の変形がある。
<加工性>
加工時間、加工工程数、導電性材料のロスを実施例1を基準にして比較した。
○:加工時間、加工工程数、導電性材料のロスが実施例1と同等。
△:加工時間、加工工程数、導電性材料のロスの何れか一つが実施例1と比較して2倍未満の程度で劣る。
×:加工時間、加工工程数、導電性材料のロスの何れか二つ以上が実施例1と比較して2倍以上の程度で劣る。
<総合判定>
精度、導電性、変形性、加工性の鑑定結果から総合的に評価を行い、良好○、良△、不良×の三段階で評価した。
実施例1で得た導電部の評価、判定の結果は、精度、導電性、及び変形性のいずれも○と良好であり、総合判定も○と良好であった。
実施例2
配線パターンマスクとして、セルローストリアセテートシートに銀インキで線幅10μmの線200本を線間幅10μm幅で印刷し、配線パターンに相当する部分を光が透過しないようにして非回路部を光透過性としたものを使用し、導電性材料含有液として、平均粒径10nmでドデシルチオールにより分散したAg5質量%、エポキシ樹脂0.5質量%の2−ブタノン分散液(粘度550mPa・s、表面張力35dyne/cm)を使用し、乾燥・硬化を100℃で30分とした他は、実施例1と同様にして導電部を形成した。この導電部に関して前述の評価・判定を行ったところ、結果は、精度、導電性、及び変形性のいずれも○と良好であり、総合判定も○と良好であった。
実施例3
導電性材料含有液として、導電性材料が平均粒径140nmのポリアニリン2質量%、ポリスチレンスルフォン酸0.2質量%、Tg20℃で水酸基化50mg/KOHの水酸基変性アクリル樹脂0.2質量%の水分散液(粘度10mPa・s、表面張力31dyne/cm)を使用し、乾燥・硬化を100℃で10分とした他は、実施例1と同様にして導電部を形成した。この導電部に関して前述の評価・判定を行ったところ、結果は、精度、導電性、及び変形性のいずれも○と良好であり、総合判定も○と良好であった。
実施例4
導電性材料含有液として、平均粒径10nmでエタノールアミンにより分散したAg8質量%水分散溶液(粘度2000mPa・s、表面張力42dyne/cm)を使用した他は、実施例1と同様にして導電部を形成した。この導電部に関して前述の評価・判定を行ったところ、結果は、精度△、導電性△、変形性○、加工性○で、総合判定は良好○だった。導電性材料含有液の高粘度化によって濡れ性が若干低下したことにより、精度が若干悪化し、精度の影響を受けて導電性も僅かに悪化した。
実施例5
導電性材料含有液として、平均粒径10nmでエタノールアミンにより分散したAg5質量%、ポリオキシエチレンアルキルエステル系界面活性剤0.05質量%の水分散溶液(粘度800mPa・s、表面張力22dyne/cm)を使用した他は、実施例1と同様にして導電部を形成した。この導電部に関して前述の評価・判定を行ったところ、結果は、精度△、導電性△、変形性○、加工性○で、総合判定は良好○だった。導電性材料含有液の表面張力が低いために導電部/非導電部のぬれ性コントラストが低下したことによって精度が若干悪化し、精度の影響を受けて導電性も僅かに悪化した。
実施例6
基材として厚さ4mmの無アルカリガラス板を使用し、この表面に酸化チタンゾルを0.2μmで積層した他は、実施例1と同様にして導電部を形成した。この導電部に関して前述の評価・判定を行ったところ、結果は、精度○、導電性○、変形性○、加工性△で、総合判定は良好○だった。基材の重量が増したことから、ハンドリングの悪化と枚葉加工によるロスで加工性の判定が悪化した。
実施例7
導電性材料含有液をロールコート法でコートした他は、実施例1と同様にして導電部を形成した。この導電部に関して前述の評価・判定を行ったところ、結果は、精度○、導電性○、変形性○、加工性△で、総合判定は良好○だった。ロールコート法によって導電性材料含有液のロスが生じたため、加工性の判定が悪化した。
実施例8
乾燥・硬化を150℃で10分、続いて別の熱風オーブン中にて250℃で10分とした他は、実施例1と同様にして導電部を形成した。この導電部に関して前述の評価・判定を行ったところ、結果は、精度○、導電性○、変形性△、加工性○で、総合判定は良好○だった。250℃の高温に加熱したことによって変形性の判定が悪化した。
比較例1
光触媒を利用した印刷法に基づいて同様な導電部を形成した。まず、アセトンで洗浄したアルミニウム製導電性基板を用意し、酸化チタンを含むゾルゲル原料をディッピング法により塗布し、400℃のオーブン中で30分焼成して酸化チタンの膜厚が2.4μmの光触媒加工印刷用原版を得た。この基板に、セルローストリアセテートシートに銀インキで線幅10μmの線200本を線間幅10μm幅で印刷し、導電部相当側を光透過性とした配線パターンマスクを介してメタルハライド紫外線ランプにより150mJ/cmの照度で紫外線を照射して導電部側の触媒活性を誘起して親水性とした。続いて、この基板を、平均粒径10nmでエタノールアミンにより分散したAg5質量%水分散溶液(粘度800mPa・s、表面張力42dyne/cm)からなる導電性材料含有液の液面に光触媒層側を向けて光触媒層のみが浸かるように5秒ディッピングコートし、取り出してすぐ鉛直にして液切りしてから5秒静置させた。この基板の導電性材料含有液がコートされた面に厚さ100μmのPETフィルムをゴム硬度100のゴムロールを用い、線圧2N/cm、速度0.5m/minでラミネートし、直後に剥離したところ、目視上は完全にPETフィルム側に導電性材料が転写された状態になった。続いて熱風オーブン中にて150℃で10分、続いて別の熱風オーブン中にて250℃で10分、乾燥・硬化させてPETフィルム上に導電部を形成した。なお、各実施例と異なり、乾燥・硬化中における光触媒層による暗反応が実施できないため、導電性材料の所定の硬化処方に基づいて250℃に加熱した。この導電部に関して前述の評価・判定を行ったところ、結果は、精度×、導電性△、変形性△、加工性△で、総合判定は不良×だった。精度は転写方式によるところであり、導電性の悪化は転写方式の影響、変形性は250℃の熱負荷で、加工性は転写1回分のロスで、それぞれ判定が悪化した。
比較例2
従来から行われている通常のスクリーン印刷法によって導電部を形成した。シルクスクリーン上に光工学的方法で線幅10μmの線200本を線間幅10μm幅に加工した版膜を用意した。スクリーン下に厚さ100μmのPETフィルム、スクリーン上に平均粒径10nmでドデシルチオールにより分散したAg20質量%、エポキシ樹脂2質量%の2−ブタノン分散液(粘度20000mPa・s、表面張力35dyne/cm)からなる導電性材料を置き、ゴム製スキージで印刷を行った。ちなみに、スクリーン印刷性のために導電性材料の粘度は大きくなる。印刷後、熱風オーブン中にて150℃で10分、続いて別の熱風オーブン中にて250℃で10分、乾燥・硬化させて導電分を形成した。この場合も、光触媒層による暗反応が実施できないため、比較例1と同様に、導電性材料の所定の硬化処方に基づいて250℃に加熱した。得られた導電部に関して前述の評価・判定を行ったところ、結果は、精度○、導電性○、変形性△、加工性×で、総合判定は不良×だった。変形性は250℃の熱負荷で、加工性は導電性材料のスクリーン上の残さ及び濃度の高さによるロスで判定が悪化した。導電性は、乾燥・硬化温度が高いにも拘わらず実施例1、2と大きく変わらず、光触媒の暗反応効果の寄与と相殺されたものと推察された。

Claims (12)

  1. 基材の表面に設けた光触媒層に配線パターンマスクを通して光触媒の励起光を照射し、配線パターンに対応した部分の光触媒を活性化させて親水性とした後、前記光触媒層の全面に導電性材料含有液を接触させることにより、親水性となっている光触媒の部分に導電性材料含有液が付着した状態とし、この状態で前記導電性材料含有液を乾燥硬化することを特徴とする導電回路パターンの形成方法。
  2. 前記導電性材料含有液は、表面張力が30dyne/cm以上の水溶液、水分散液又は親水性溶液であることを特徴とする請求項1記載の導電回路パターンの形成方法。
  3. 基材の表面に設けた光触媒層に配線パターンマスクを通して光触媒の励起光を照射し、配線パターンに対応した部分を除く光触媒を活性化させて親水性とした後、前記光触媒層の全面に導電性材料含有液を接触させることにより、親水性となっていない光触媒の部分に導電性材料含有液が付着した状態とし、この状態で前記導電性材料含有液を乾燥硬化することを特徴とする導電回路パターンの形成方法。
  4. 前記導電性材料含有液は、表面張力が40dyne/cm未満の疎水性溶液又は分散液であることを特徴とする請求項3記載の導電回路パターンの形成方法。
  5. 前記導電性材料含有液は、回転型粘度計により測定した粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の導電回路パターンの形成方法。
  6. 前記光触媒層は、触媒活性成分が酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の導電回路パターンの形成方法。
  7. 前記基材は、プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の導電回路パターンの形成方法。
  8. 前記配線パターンマスクは、配線パターンの幅が5μm以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の導電回路パターンの形成方法。
  9. 前記励起光は、紫外線ランプ、可視光域を含む紫外線ランプ、ブラックライト又は白色灯を光源とすることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の導電回路パターンの形成方法。
  10. 前記光触媒層全面への導電性材料含有液の接触は、浸漬法により行うことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の導電回路パターンの形成方法。
  11. 前記乾燥硬化は、50℃以上、200℃以下で行うことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の導電回路パターンの形成方法。
  12. 前記導電性材料含有液は、平均粒径が1〜100nmである金属微粒子の表面を、該金属微粒子に含まれる金属元素と配位可能な有機化合物で被覆して液体中に分散させた分散液であって、前記乾燥硬化の過程で、活性化された光触媒により前記有機化合物を分解除去して前記金属微粒子同士を焼結させることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載の導電回路パターンの形成方法。

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