JP2008002824A - 岩石抽水装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧条件までの抽水、具体的には有効間隙率が小さい中硬岩の間隙水の抽水を可能とする。
【解決手段】試料岩石を収容するシリンダと、該シリンダ内に装入され試料岩石を挟む加圧板と、少なくとも一方の加圧板を押圧して加圧板間に挟まれた岩石を圧搾するピストンとを備え、ピストン並びに加圧板に穿孔されている採水用の孔を通して岩石中から圧搾された水を抽出する岩石抽水装置において、加圧板4と岩石1との間に介在される集水板14を備え、かつ該集水板14は少なくとも加圧板4側の面に放射状に形成された溝15を有すると共にこの溝15内に当該集水板14を貫通し集水板14の両面を連通させると共に加圧板4の採水用孔6に対してずれた位置に配置される通水孔16を備えるようにしている。
【選択図】図5

Description

本発明は、堆積岩に含まれる間隙水を採取する岩石抽水装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、ピストンとシリンダーからなる容器中に試料を入れ、圧密して間隙水を絞り出す岩石抽水装置に関する。
近年、地下深部の堆積岩を利用した地下施設の研究が進められている。特に、堆積岩は、放射性廃棄物の地層処分の母岩として遮蔽性や自己シール機能などの優れた天然バリア特性を持つことから、地下深部の放射性廃棄物処分施設へ適用することの研究が各国で進められている。
この堆積岩の地層処分への利用には、地盤内での水の動きを正確に把握しておくため、地盤の三次元水理地質構造モデルを構築する必要がある。そして、堆積岩地盤の詳細な水理地質構造モデルを構築するには、対象となる地盤の地質、水理、地化学特性を正確に評価する必要がある。このうち地化学特性については、対象となる地盤に賦存する地下水を原位置で採取し、分析することにより地下水の水質を正確に把握することが重要となる。
しかしながら、堆積性軟岩における大深度掘削は泥水掘削が一般的であり、地下水が泥水によって化学的に汚染され、原位置地下水を採取することが困難であると予想される。例えば、地盤に高透水層が何層も存在する場合、各地層ごとの間隙水圧の差によって上部層から下部層もしくは下部層から上部層に向かって孔内に地下水流が生じ、初期状態の地下水を採取することが困難となる。また、地盤が低透水の場合、原位置採水装置の能力では地下水の採取が困難であるか、長時間を要する。さらに、特定の深度の原位置地下水を採取するためにはパッカーシステムを併用する等の特殊な採水装置が必要であり、かつ費用も膨大となり採水深度が限られる。
一方、堆積岩軟岩地盤の地下水は主として岩石の空隙に賦存しており、地盤が低透水の場合には、原位置で採取された地下水とコア岩石間隙中から抽出された間隙水は化学的には同一であることが期待でき、原位置地下水採取の補完的手段として位置付けることができる。また、地盤に高透水層が何層も存在する場合には原位置採水装置により採取されたサンプルが原位置の地下水を反映しているかどうかの判断基準として用いることができる。したがって、地下水の地化学的な特性評価をするためには原位置からの地下水採取・分析もさることながら、岩石の間隙水の採取・分析が地下深部の地化学情報を得るうえで有効な手法であると注目されている。
堆積岩の間隙水を抽水する技術としては、岩石を破砕し懸濁水により抽出する方法、遠心分離法及び圧密法が挙げられる。しかしながら、岩石を破砕し懸濁水により抽出する方法では、間隙水の抽出は簡便ではあるが、岩石に含まれる可溶性成分なども同時に溶解させる問題がある。また、遠心分離法は、土壌や未固結堆積物のように含水率が大きく間隙水を分離しやすいものに対しては有効であるが、より大きな抽出力が必要とされる岩石に対しては不向きである。これに対し、圧密法は、岩石から直接的に間隙水を抽出することができるので、堆積岩の間隙水の抽出に関して優れた手法と考えられる。
圧密法は、ピストンとシリンダーからなる容器中に加圧板で挟んだ試料(堆積岩)を入れ、加圧板を介して試料を圧密して間隙水を絞り出すものである。従来の圧密型岩石抽水装置は、一軸圧縮の機構を用いており、シリンダー内に試料と共に装入される加圧板を油圧ジャッキによって駆動されるピストンによって押し、加圧板の間に挟んだ試料を加圧するようにしている。加圧板の中央には採水用の直径1mmの孔が開けられている。そして、上側の加圧板と密着するピストン並びにシリンダと下側の加圧板を支える底盤には、それぞれ加圧板の採水孔と同軸に間隙水を排出する採水チューブを通すための孔を開け、採水チューブを介してシリンダの外の間隙水回収容器に間隙水が集められるように設けられている。間隙水は、加圧板を介して伝えられるピストンの加圧力で採水孔並びにそれと同軸の採水チューブに押送される。この岩石抽水装置においては、圧搾時に砕けた岩石の一部が加圧板やピストンの採水孔に漏れ出て孔を塞がないようにするために、ガラスフィルターやステンレス製焼結金属のフィルターを使い、主に有効間隙率が30〜60vol%の堆積性軟岩に適用されてきた(非特許文献1)。
木方建造・大山隆弘・馬原保典:圧密型岩石抽水装置の製作と深部堆積岩への適用、応用地質、第40巻、第5号、260〜269頁、1999年
しかしながら、非特許文献1記載の岩石抽水装置においては、圧力を高めて使用すると、フィルターが破損して岩石が加圧板の採水孔からチューブに流出することがあった。例えば、非特許文献1の装置によると、シリンダーやピストン、加圧板などの装置構成が高圧条件(500〜600Mpa)に耐えられる十分な強度が得られるように設計されていても、ガラスフィルターを使えば、約160Mpa(1600kgf/cm)でガラスフィルターが破れて水と共に泥がパイプに出てきた。また、フィルターの耐圧性を挙げるには、焼結金属製フィルター(メタルフィルター)を採用することが有効であるが、岩石から抽出された間隙水が焼結金属製フィルターを通過する間に焼結金属のポア内に補足されてしまう問題がある。このため、元来少量の間隙水しか抽出できない中硬岩における抽水のような場合においては、せっかく岩石から抽出された間隙水の一部が焼結金属のポア内に捕捉されたままとなるので抽水効率が著しく悪いものとなる。例えば、数mlの抽出水しか得られないケースにおいて、1ml余りの抽出水が焼結金属製フィルター内に残留する恐れがある。このため、非特許文献1記載の岩石抽水装置においても、間隙水の少ない岩石、例えば有効間隙率が10〜20%の中硬岩から間隙水を抽出することは困難であった。
そこで本発明は、高圧条件までの抽水を可能とし、中硬岩の間隙水の抽水が可能となる岩石抽水装置を提供することを目的とする。具体的には、圧縮抽水技術の汎用性を高めるために、有効間隙率が10〜20%の中硬岩への適用も可能な岩石抽水装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明は、試料岩石を収容するシリンダと、該シリンダ内に装入され試料岩石を挟む加圧板と、少なくとも一方の加圧板を押圧して加圧板間に挟まれた岩石を圧搾するピストンとを備え、ピストン並びに加圧板に穿孔されている採水用の孔を通して岩石中から圧搾された水を抽出する岩石抽水装置において、加圧板と岩石との間に介在される集水板を備え、かつ該集水板は加圧板側の面に放射状に形成された溝を有すると共にこの溝内に当該集水板を貫通し集水板の両面を連通させると共に加圧板の採水用孔に対してずれた位置に配置される通水孔を備えるようにしている。
したがって、試料岩石に加圧板を介して圧力が掛けられても、水の流れが直線的ではなく、必ず一旦横向き(集水板の径方向)に折れてから加圧板更にはピストンの採水孔に流れるので、セル内部の圧力が採水用の孔に直接かからずに、間隙水だけがシリンダーの外に取り出される。しかも、試料岩石から圧搾された間隙水は、集水板の周囲から溝内に流入して、あるいは通水孔を通って加圧板側へ流れ込み、放射状の溝を通って加圧板の採水孔へ導かれる。
また、本発明において、放射状に配置された溝は直線的な溝であることが好ましい。この場合には、横に抽出水が動き易く、採水用孔に抽出水が集まり易くなる。
さらに、本発明の請求項1または2記載の岩石抽水装置は、加圧板と集水板並びに集水板と試料岩石との間にそれぞれフィルタを配置するようにしている。この場合には、抽出水に含まれている泥などをフィルターが捕集して抽出水から分離する。同時に、加圧板と集水板との間に介在されるフィルターは、溝内空間において抽出水の移動を補助し、さらに集水板と試料岩石との間に介在されるフィルターでは集水板と試料岩石の表面の凹凸との間に生じる空間を繋いで抽出水の移動を補助する。
本発明にかかる岩石抽水装置によると、セル内部の圧力が直接採水用の孔にかからずに、間隙水だけがシリンダーの外に取り出されるので、フィルターが破損したり、岩石が加圧板の採水孔に流れ出たり、詰まったりすることがない。このため、高圧条件での抽水が可能となり、中硬岩の間隙水の抽水が可能となる。本発明者等の実験によると、有効間隙率が10〜20%の中硬岩からの間隙水の抽出が可能になった。しかも、試料岩石から圧搾された間隙水は、高圧で押されて集水板の通水孔あるいは周囲の間隙を通って加圧板側へ流れ込み、かつ放射状の溝を介して動き易い状態とされており、溝の容積は小さいので、経路上に残る水は少なく、抽水効率が良い。
また、本発明の岩石抽水装置において、放射状に配置された溝を直線的な溝とした場合には、横に抽出水が動き易く、採水用孔に抽出水が集まり易くなることから、さらに抽水効率が良くなる。
さらに、本発明の岩石抽水装置において、加圧板と集水板並びに集水板と試料岩石との間にそれぞれフィルタを配置する場合には、セル内部の圧力が直接加圧板の採水孔並びにフィルターにかからないので、高圧条件で抽水してもフィルターが破れることがなく、抽出水に含まれている泥などをフィルターで捕集して抽出水から分離することができる。同時に、加圧板と集水板との間に介在されるフィルターは、溝内空間において抽出水の移動を補助し、さらに集水板と試料岩石との間に介在されるフィルターでは集水板と試料岩石の表面の凹凸との間に生じる空間を繋いで抽出水の移動を補助するので、間隙水の流れを良くして抽水効率をさらに良くする。
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図5に本発明の岩石抽水装置の一実施形態を示す。この岩石抽水装置は、試料岩石1を収容するシリンダ2と、該シリンダ2内に装入され試料岩石(以下、単に試料あるいは岩石と呼ぶ)1を挟む加圧板3,4と、少なくとも一方の加圧板(本実施形態の場合には上側の加圧板4)を押圧して加圧板3,4間に挟まれた岩石1を圧搾するピストン5とを備え、ピストン5並びに加圧板3,4に穿孔されている採水用の孔6を通して岩石1中から圧搾された水を抽出するようにしたものである。
本実施形態の岩石抽水装置の場合、加圧力を上げるため、シリンダ2に試料1を加圧板3,4で挟んで収容した状態でシリンダ2の両端が底盤7と上盤8とで閉塞され、油圧ジャッキ12で駆動されるピストン5のみが出入り可能な構造とされ、加圧板4を油圧ジャッキ12によって駆動されるピストン5によって押し、加圧板3,4の間に挟んだ試料1を加圧する一軸圧縮の機構を構成している。本実施形態の場合、一方の加圧板4をピストン5で押すことにより、底盤7で支えられている下側の加圧板3との間で相対的に試料1を圧搾するようにしているが、場合によっては2本のピストンで加圧板3,4を同時に押圧することで圧搾するようにしても良い。
加圧板3,4には採水用の孔6が開けられている。本実施形態の場合、直径1mm程度の孔6が加圧板3,4の中央にそれぞれ設けられている。孔の大きさ並びに穿孔位置については、特に限定されるものではないが、集水板14の放射状の溝15によって微量の間隙水が集水板14の中心に集められることから、加圧板3,4の中心近傍に間隙水が通過し得る程度のできるだけ細い孔を配置することが好ましい。そして、上側の加圧板4と密着するピストン5並びに下側の加圧板3を支える底盤7には、それぞれ加圧板3,4の採水孔6と同軸に間隙水を排出する採水チューブ10を通すための孔が開けられ、採水チューブ10を引き込んで各加圧板3,4の採水孔6と連通するように接続されている。これにより、間隙水は、加圧板3,4を介して伝えられるピストン5の加圧力で採水孔6並びにそれと同軸の採水チューブ10に押送され、シリンダ2の外の間隙水回収容器18に間隙水が集められる。なお、加圧板3,4とシリンダ2との間はOリング9でシールされ、圧搾された試料1中の間隙水が漏れ出ずに、加圧板3,4の採水孔6からシリンダ2の外に取り出されるように設けられている。
加圧板3,4と岩石1との間には、集水板14が介在されている。集水板14は、稠密(非ポーラス)な金属例えばステンレススティールなどの板であり、図2〜図5に示すように、加圧板3,4と接触する側の面に放射状に形成された溝15を有すると共にこの溝15内に当該集水板14を貫通し集水板14の両面を連通させると共に加圧板14の採水用6孔とはずれた位置に配置される多数の通水孔16を備える。即ち、加圧板3,4に穿孔された採水用の孔6と集水板14に設けられた通水孔16とは、同じ軸線上に配置されることがない。また、この通水孔16は加圧板3,4の採水孔6と同様に間隙水が通過し得る程度のできるだけ細い孔を配置することが好ましい。また、通水孔16の配置間隔や数は特に限定されるものではないが、孔は数多く設けるとデッドスペースとなり回収率に影響するためそのバランスを考慮して決定される。
溝15は、集水板14の周囲と各通水孔16を繋いで抽出された間隙水を中心に集めるためのものであり、デッドスペースを最小にすると共に抽出された間隙水の流れを良くする上で直線的な放射状の溝であることが好ましいが、このような実施形態には特に限られず、例えば場合によっては螺旋状(サイコロイド曲線のような)の溝であっても良い。しかし、溝15はその外側の端部が集水板14の周縁まで達するものであることが望まれる。これによって、集水板14の周囲からの間隙水の溝15内への流入を可能とする。勿論、全ての溝15の端部が集水板14の周縁まで達する必要はないし、溝同士を集水板14の中央以外の場所で繋ぐ横溝を設けたり、溝に代わる凹部を設けることも可能であるが、デッドスペースを最小にして未回収となる圧搾後の間隙水の量を減少させるためには、最小本数で径方向の抽出水のスムーズな流れを確保できる放射状の直線溝の採用が好ましい。望ましい
溝15は、集水板14を介して加圧板3,4で試料1を圧搾する際に、集水板14と加圧板3,4との間に配置されたフィルター17が押し潰されても、フィルター17が潰れない領域を存在させて、横方向への水の流れを可能とする。したがって、この溝15は集水板14の両面に設けても良いが、岩石1に接する面では溝15が無くとも岩石の内部の間隙を水が流れるので、必ずしもなくとも良い。また、この溝15に設けられる通水孔16の数は特に限定されるものではないが、小孔とはいえ、デットスペースとなることには変わりないので、あまり多数となることは好ましくない。本実施形態では、放射状に配置された8本の溝に各々4本ずつの通水孔16を各々形成しているが、もっと少なくともあるいは多くても良いし、溝15毎に孔数を異ならせても良い。抽出水に含まれている泥などを捕捉するフィルター17としては、不織布、メンブランフィルター、ガラスフィルターなどが必要に応じて適宜選択される。
上述のシリンダ2並びにピストン5などを支える荷重枠11は、例えば4本の鋼製支柱と上下の架台とで構成され、上架台に油圧ジャッキ12を設置している。油圧ジャッキ12とピストン5との間には図示していないが球座が介在されている。また、加圧源13としては、例えば電導油圧ポンプが採用され、圧力調整可能とされている。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態では加圧板3,4の中心に採水孔6を設けて、集水板14の溝15の内側の端部を中心に集める放射状に形成しているがこれに特に限定されず、場合によっては、加圧板3,4の中心から外れた位置に採水孔6を設けてそこに溝の内側の端部を集めるようにしても良い。
図1に示す構造を有する岩石抽水装置を用いて、オパリナスクレイからの抽水実験を行った。
1)試験装置
本実施例の岩石注水装置は、直径50mm、高さ70〜100mm程度に整形した試料を収納できるセル空間(シリンダ2と集水板14並びに加圧板3,4で囲繞される空間)を構成して、100〜512MPaの範囲で加圧できるように設計した。また、抽出水の変質や、金属の腐食を防ぐと共に少なくとも500MPa程度の耐圧性をシリンダ2に持たせるため、シリンダ2を外径150mmの円筒形で2重構造とし、外筒には、強度の大きいニッケルクロムモリブデン鋼8種(SNCM8)を使用し、試料と接する内筒には、耐食性の大きいKモネルメタルを使用した。また、内筒は、直径40、45、50mmの大きさの試料に対応できるように、交換可能とした。さらに、ピストンと下盤、上盤には、SNCM8を使用した。上盤がピストンとあたる部分には砲金性のガイドブッシュを付けた。試料の上下に接する加圧板にはKモネルメタルを使用した。加圧板とシリンダーとの間はOリングでシールした。採水のために、試料の上下の加圧板の中央に1mmの孔を開け、1.7mmのテフロン(登録商標)チューブを接続した。ピストンと底盤には、それぞれ上下に採水チューブを通すための孔を開け、外部にチューブを取り出した。
そして、集水板14は、厚さ4mm、直径50mmのKモネルメタル板の一面に図2〜図5に示す放射状の浅い溝15を8本切った円盤で、溝15の位置に直径1mmの貫通する通水孔16を32個開けたものを用いた。
なお、荷重枠11は、直径55mmの4本の鋼製支柱で支えられており、上部に油圧ジャッキ12を設置した。油圧ジャッキ(理研精機製、D10-150)12は、容量100tで最大ストローク150mmである。油圧ジャッキ12とピストン5との間には、球座を挟んだ。装置の組み立て分解を安全に行うために、荷重枠の背後に支柱を立ててチェーンブロックで圧力容器を懸垂することができるようにした。加圧には、電動油圧ポンプ(理研精機製、MP-4C)13を用いた。圧力制御は、ポンプの調節ネジを手動で調整することにより行った。
2) 試験試料
試料としてスイスのオパリナスクレイ(ベンケン地域とモンテリ地下実験場の2地域の試料)を用いた。
a) ベンケン地域
ベンケン地域(チューリッヒバインランド)は、スイスの高レベル放射性廃棄物の処分候補地として検討されている地域であり、1本の鉛直ボーリングにより地下540-650m付近に分布するオパリナスクレイが採取された。この地域のオパリナスクレイの有効間隙率は約11vol%で、最大抽水圧力100MPa程度までの従前の抽水装置では抽水が不可能であった。試料は、B-1(深度645.80m)、B-2(深度563.74m)の2深度の試料を用いた(表1)。それぞれ、オパリオナスクレイの下部の頁岩と、上部の砂質頁岩に相当する。
b) モンテリ地下実験場
モンテリ地下実験場のオパリナスクレイは間隙率が16vol%程度であり、ベンケンのコアよりも間隙率が大きく、従前の抽出装置でも抽水が可能であった。この岩石についても抽水を行い、それぞれの抽水結果を比較した。特に低圧条件と高圧条件での圧縮抽水の水質変化に関して検討した。試料は、モンテリ地下実験場のボーリング孔(BWS-A6)の頁岩を用いた(表1)。
Figure 2008002824
3) 試験方法
抽水用に切削された円柱状試料から賦存する水を抽水装置を用いて以下の要領で抽出した。まず、柱状試料をシリンダー内にセットする。次に、圧縮用のピストンをセットする。そして、ポンプにより油圧ジャッキを駆動し、試料を圧縮する。集水板14と試料1の間並びに集水板14と加圧板3,4との間には、岩石試料が混入してチューブが詰まらないように、不織布(安積濾紙製、品番550(75φ))およびメンブランフィルター(3μm)を各々2枚ずつ挟んだ。上盤および底盤から取り出した採水チューブを採水容器18にセットしてから、油圧ジャッキ12の圧力を徐々に上昇させ、水が出てくるのを確かめる。その後、数十kgf/cm2ずつ加圧し採水する。
ベンケンの試料については、間隙率の小さい岩石から抽水するために、装置の最大圧力(512MPa)で1試料について3〜4日間の抽水を実施した(表1)。モンテリの岩石については、圧力条件は、100-512MPaまでの範囲で100MPaずつ段階的に昇圧した、各段階での抽出水を分別して採取した。
4) 試験結果
(i)抽出水量
B-1(頁岩)、B-2(砂質頁岩)の有効間隙率は約11vol%で含水率は約4wt%であったが、間隙水を得ることができた。抽出率を比較するとB-2では7.7wt%と、B-1やMT(20-30wt%)に比較して小さかった。この違いは、岩石が砂質であったために石英粒子などが相互に接してフレームを構成し、外部からの応力をささえて、間隙や粒子間のマトリックスが圧密されにくかったのに対し、頁岩ではマトリックスの粘土鉱物が連続的に圧密されたためと考えられる。
(ii) 抽出水の水質
(a) ベンケン地域
抽出水の水質については、その詳細なデータは割愛するが、圧縮抽水により得られた抽出水の塩素イオン濃度は、オパリナスクレイの下部のB-1に比較して上部のB-2は高濃度であった。この試験結果に対し、モンテリの試験結果で得られた、高圧抽水による抽出水の希釈効果による補正を考慮して間隙水の水質を求めた。その結果、この塩素イオン濃度は、他のリーチング試験で得られた塩素イオン濃度と同様の傾向を示し、これらから、ベンケン地域の塩素イオン濃度の鉛直プロファイルが得られた。酸素水素同位体についても他の試験結果とよい相関が認められた。これらの主要成分、酸素水素同位体比のプロファイルから、ベンケン地域のオパリナスクレイの間隙水の移動は拡散支配であり、上下の帯水層からオパリナスクレイ中への元素の拡散モデルを使った解析結果から、現在の水質プロファイルの形成には、数十万年を要することが推定され、オパリナスクレイ中の地下水の安定性と、オパリナスクレイの遮蔽性が示された。
(b) モンテリ地下実験場
段階加圧を行なった結果、1本の試料から合計8-9mlの間隙水が得られた。各段階の水量は1−3mlであった。水質分析の結果、Cl、Na、SO4イオン濃度などの圧力上昇に伴う減少が認められた。Clイオン濃度は、100MPaまでの抽出水に対して、512MPaでは、約75%程度まで低下した。Naイオンなども同様の挙動を示した。一方、抽出水のCa、Mgは、これらのイオンと異なり、減少は認められなかった。
従前の70、100MPaの条件での抽出水の水質と、本実験の200MPaでの抽出水の水質は近い値を示した。このことは、70〜200MPa程度の低圧では、ほぼ均質な水質が得られることを示しており、300MPa以上では高圧になるにつれて、水質が変化することを示している。
水質変化の原因として、Cl濃度が小さくなる原因なるのは、抽出の圧力上昇に伴い、岩石の間隙の中でより動きにくい粘土の層間水などが排出が生じていることが考えられ、Caイオンなどが変化しないのは、炭酸塩の溶解反応が生じている可能性が考えられる。
(iii) 考察
圧縮抽水技術を従来採水が困難であった中硬岩(スイスのオパリナスクレイ)に適用し、間隙水を採取することができることが確認された(表2)。しかも、採水が可能となった結果、段階加圧による抽水実験により、300MPaを超えるような高圧条件では抽水に伴う水質変化を考慮することが必要であることがわかった。この現象には、岩石に含まれる粘土鉱物の層間水の脱水等の影響などが推定された。
Figure 2008002824
本発明の岩石抽出装置の概略構造を示す説明図である。 集水板の一実施形態を示す平面図である。 集水板の正面図である。 集水板の拡大平面図である。 集水板の拡大縦断面図である。
符号の説明
1 岩石試料
2 シリンダ
3 加圧板
4 加圧板
5 ピストン
6 採水孔
10 採水チューブ
12 油圧ジャッキ
14 集水板
15 溝
16 通水孔
17 フィルター

Claims (3)

  1. 試料岩石を収容するシリンダと、該シリンダ内に装入され前記試料岩石を挟む加圧板と、少なくとも一方の前記加圧板を押圧して前記加圧板間に挟まれた前記岩石を圧搾するピストンとを備え、前記ピストン並びに加圧板に穿孔されている採水用の孔を通して前記岩石中から圧搾された水を抽出する岩石抽水装置において、前記加圧板と前記岩石との間に介在される集水板を備え、かつ該集水板は少なくとも前記加圧板側の面に放射状に形成された溝を有すると共にこの溝内に当該集水板を貫通し集水板の両面を連通させると共に前記加圧板の採水用孔に対してずれた位置に配置される通水孔を備えることを特徴とする岩石抽水装置。
  2. 前記放射状に配置された溝は直線的な溝である請求項1記載の岩石抽水装置。
  3. 前記加圧板と前記集水板並びに前記集水板と前記試料岩石との間にそれぞれフィルタが配置されている請求項1または2記載の岩石抽水装置。
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