JPH1151832A - 圧密試験方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、これまで試験室でしかできなか
った土質試験のうち、圧密状態を現場で簡便に試験でき
るようにするための圧密試験方法とその装置に関する。 【解決手段】 この発明の圧密試験方法および装置で
は、ケーシングの上部に螺合して昇降可能なスラストス
クリュと、上記スラストスクリュを旋回させるトルクレ
ンチと、上記スラストスクリュの下降で押下げ可能なピ
ストンと土質試料を充填してなり、上記ピストンで上面
から試料を加圧可能な開口を有するサンプルモールド
と、サンプルモールドの下面を塞ぐと共に土質試料から
排出される水を濾過する濾過器と、上記濾過された水を
貯める貯水部とからなる圧密試験装置を用い、上記ピス
トンにかかる荷重（圧縮応力）と、スラストスクリュが
下降した寸法変化と、前記排出された水の量を測定し
て、これらの関係から土質の圧密性質を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】この発明は、土質試料を加圧
して水分を排出し圧密程度をテストする圧密試験方法ま
たはその装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】軟弱地盤や液状化地盤を安定化するため
に注入技術や圧密技術などを利用した地盤改良工事が行
われているが、地盤改良工法の設計を行うためには土質
試験や不撹乱試料のサンプリングを行って土質の性状を
把握しなければならない。現場で行う土質試験の方法と
しては、ロータリサウンディング試験や標準貫入試験、
あるいは透水試験などが従来より知られている。しか
し、それらの方法で得られる貫入値だけでは地盤改良の
設計に不十分であることが多く、不撹乱試料を採取して
土質試験を行わなければならないが、土質試験は試験室
へ試料を運び込んで行っているので一定の時間を要し、
試料運搬に際しても試料の取り扱いに注意が必要となり
大変面倒であって、経費もかかるという問題点があっ
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この発明は上記事情に
鑑みて創案されたものであって、その主たる課題は、こ
れまで試験室でしかできなかった土質試験のうち、圧密
状態を現場で簡便に試験できるようにするための圧密試
験方法とその装置を提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項１の圧密試験方法の発明では、ケーシングの
上部に螺合して昇降可能なスラストスクリュと、上記ス
ラストスクリュを旋回させるトルクレンチと、上記スラ
ストスクリュの下降で押下げ可能なピストンと土質試料
を充填してなり、上記ピストンで上面から試料を加圧可
能な開口を有するサンプルモールドと、サンプルモール
ドの下面を塞ぐと共に土質試料から排出される水を濾過
する濾過器と、上記濾過された水を貯める貯水部とから
なる圧密試験装置を用い、上記ピストンにかかる荷重
（圧縮応力）と、スラストスクリュが下降した寸法変化
と、前記排出された水の量を測定して、これらの関係か
ら土質の圧密性質を測定してなる、という技術的手段を
講じている。

【０００５】また、請求項２の圧密試験装置の発明で
は、ケーシングの上部に螺合して昇降可能なスラストス
クリュと、上記スラストスクリュを旋回させるトルクレ
ンチと、上記スラストスクリュの下降で押下げ可能なピ
ストンと土質試料を充填してなり、上記ピストンで上面
から試料を加圧可能な開口を有するサンプルモールドと
サンプルモールドの下面を塞ぐと共に土質試料から排出
される水を濾過する濾過器と、上記濾過された水を貯め
る貯水部とからなって、上記ピストンにかかる荷重（圧
縮応力）と、スラストスクリュが下降した寸法変化と、
前記排出された水の量を測定して、これらの関係から土
質の圧密性質を測定してなる、という技術的手段を講じ
ている。

【０００６】上記構成において、請求項３の発明では、
ピストンとスラストスクリュとの間に応力センサをはさ
み、トルクレンチを操作してピストンにかかる荷重を計
測する、という技術的手段を講じている。更に、請求項
４の発明では、貯水部がメスシリンダからなって、該メ
スシリンダが応力センサの上に載置されて重量変化を計
測する、という技術的手段を講じている。また、請求項
５の発明では、スラストスクリュが下降した寸法変化を
測定するためにポテンショメータまたは磁歪センサが設
けられている、という技術的手段を講じている。

【０００７】

【発明の実施の態様】以下に、この発明の圧密試験装置
について図面を参照して説明する。図１および図２に示
す圧密試験装置１は、ケーシング２と、ケーシングの上
部に螺合して昇降可能なスラストスクリュ３と、上記ス
ラストスクリュ３を旋回させるトルクレンチ４と、上記
スラストスクリュ３の下降で押下げ可能なピストン５
と、土質試料を充填してなり、上記ピストン５で上面か
ら試料を加圧可能な開口を有するサンプルモールド７
と、このサンプルモールド７の下面を塞ぐと共に土質試
料から排出される水を濾過するストレーナ８と、上記濾
過された水を貯めるメスシリンダ９とからなっている。

【０００８】ケーシング２は、断面矩形のボックス型か
らなっており、中途位置に仕切壁２１が横架されて上下
に区分されている。この仕切壁２１には、後述のモール
ドホルダを位置決めするための凹部２２が形成されてお
り、中央には平面Ｕ字状の貫通孔２３が形成されている
（図３参照）。このケーシング２の上部にはスラストス
クリュ３を螺合するネジが内周面に刻設されたネジ孔部
２４が形成されている。

【０００９】スラストスクリュ３は、先端が半球面状に
形成された円柱状の棒材からなっており、外周壁にはネ
ジが刻設されて前記ネジ孔部２４に螺着している。ま
た、スラストスクリュ３の上部にはトルクレンチ４が連
結されており、トルクレンチ４を回転することによって
スラストスクリュ３をネジ溝に沿って旋回させ、上下に
進退させることができる。このスラストスクリュ３の先
端はピストン５上の応力センサＳ１に衝合可能となって
いる。

【００１０】またケーシング２の上壁の内側には上記ネ
ジ孔部２４と同心状で下向きに突出する環状壁部２５が
設けられており、この環状壁部２５の外周面にはネジが
刻設されている。この環状壁部２５には、固定ナット１
０が螺着されている。この固定ナット１０は、先端の平
板部１１の中央に前記スラストスクリュ３を嵌挿させる
孔部１２を穿設しており、平板部１１の外周に沿って環
状の周壁部１３が上向きに突設して、この周壁部１３の
内周面にネジが刻設されている。従って、環状壁部２５
に螺合した固定ナット１０を回すことによって、上記平
板部１１を上下に昇降させることができる。

【００１１】次に、ピストン５は、略円盤状のブロック
からなっており、底面に外縁近傍で外端に向かって漸次
隆起する環状の爪部５ａが形成されている。このピスト
ン５は筒状のピストンガイド６内に略隙間無く嵌合し、
上下に摺動しうるようになっている。また、上記ピスト
ンガイド６の周壁は肉厚が厚く形成されており下端には
内周面側で環状に係合段部６ａが形成されている。

【００１２】サンプルモールド７は、筒体からなってお
り、その中空部分は上記ピストンガイド６の中空部分と
隙間無く整合する大きさに設定されている。また、図示
例では、サンプルモールド７の周壁の厚みは、前記ピス
トンガイド６の係合段部６ａに隙間無く係合する大きさ
に設定されている。このサンプルモールド７は、筒状と
なっているので、そのまま現場の土中に差し込む等して
サンプル用の土を中空部内へ詰め込んで使用に供する。

【００１３】このサンプルモールド７は、底面の開口部
がストレーナ８によって覆われている。図示例では、目
の粗いストレーナ８とサンプルモールド７の間にパッキ
ン１８でシールされてストレーナ８上を覆う目の細かい
濾布１９が設けられて、上記サンプルモード７から排出
される間隙水を濾過するようになっている。

【００１４】このサンプルモールド７およびストレーナ
８は、モールドホルダ１５によって拘束されている。こ
こで、モールドホルダ１５は、排出用の小孔を有するノ
ズル部１６ａを中央に垂下した底板１６と、該底板１６
の外周に沿って起立する周壁部１７とからなっている。
このモールドホルダ１５は、前述のように、仕切壁２１
の凹部２２に嵌合係止されており（図３参照）、上記ノ
ズル部１６ａが貫通孔２３の略中央となるように配置さ
れている。そして、モールドホルダー１５の周壁部１７
内に、前述のようにサンプルモールド７とストレーナ８
が上下に重なり直径方向で隙間無く嵌合して拘束されて
いる。

【００１５】次に、前記仕切壁２１で仕切られた下方部
分には、上記ノズル部１６ａから排出される水を収納す
るメスシリンダ９が配置されている。そして、このメス
シリンダ９の下には応力センサＳ２が設けられている。

【００１６】上記構成からなる圧密試験装置１の使用方
法について次に説明する。まず、清掃して乾燥させた各
コンポーネントを組み立てる。即ち、モールドホルダ１
５を仕切壁２１の凹部２２に位置決めし、このモールド
ホルダ１５の中空内にストレーナ８、濾布１９、パッキ
ン１８の順で嵌め込む。次に、地盤改良工事等を行う作
業現場にて採取した不撹乱試料をサンプルモールド７の
中に満たす。

【００１７】そしてピストンガイド６にピストン５を納
め、サンプルモールド７に被せるように乗せて両者を係
合する。この状態（モールドアッセンブリと呼ぶ）で別
に設けた秤（図示せず）で重量を測定する。次いで、上
記モールドアッセンブリをケーシング２にセットする。
この際に、ケーシング２内の固定ナット１０は予め上昇
させておき、上端がぶつからないようにしてサンプルモ
ールド７の下端をモールドホルダー１５に嵌め込む。

【００１８】そして、固定ナット１０を回して下降さ
せ、その平板部１１でピストンガイド６を押し下げ、サ
ンプルモールド７をケーシング２にしっかりと固定す
る。次に、ケーシングの下の空間にメスシリンダ９を置
くが、メスシリンダ９の下に応力センサＳ２を置いて重
量変化を測れるようにする。また、ピストン５とスラス
トスクリュ３との間に応力センサＳ１を挟み、トルクレ
ンチ４を操作してピストン５にかかる荷重を計測する。

【００１９】予め設定されたトルクに達するまでトルク
レンチ４を操作して土質試料を圧縮する。即ち、トルク
レンチ４の回転操作に応じて下降するスラストスクリュ
３がピストン５を押し下げる。このピストン５は、ピス
トンガイド６からサンプルモールド７の中に移動し、上
記サンプルモールド７の中に収納されている土質試料が
ピストン５により圧縮されて間隙水を排出する。この間
隙水は、ストレーナ８に支持されるとともにパッキン１
８でシールされた濾布１９で濾過され、水だけがモール
ドホルダ１５の中央のノズル部１６ａの小孔から下に落
ちてメスシリンダ９に溜まる。

【００２０】また、トルクレンチ４の最大トルク設定値
を上げて、再度トルクレンチ４を操作し、土質試料を圧
縮する。そして、ピストン６の下降により土質試科が圧
縮され、間隙水が濾布１９を通って絞り出され、下のメ
スシリンダ９に貯まる。計画最大トルクまで繰り返した
ら測定作業を終了し、スラストスクリュ３を元に戻して
固定ナット１０を反転し、モールドアッセンブリをケー
シング２から取り出すことができる。

【００２１】モールドホルダ１５から排出される間隙水
が止まったらスラストスクリュ３の上下の変化量（Ａ寸
法）を測定する。間隙水を排出した土質試科は容積が縮
小して圧密状態となり、Ａ寸法が変化するからである。
前記ピストン５に加えられた力はトルクレンチ４の最大
トルクとスクリュのネジ推力から計算され、Ａ寸法すな
わち変位量（容積変化量）と排出した間隙水の量との関
係から直接的な土質の圧密性質を知ることができる。上
記測定は、マニュアルで行ってもよいが、本実施例では
作業者による誤差を少なくするために自動的に計測する
手段を用いている。即ち、前述のように、スラストスク
リュ３やメスシリンダ９に荷重計としての応力センサＳ
１、Ｓ２が取り付けられ、Ａ寸法測定のためにがポテン
ショメータＳ３が設けられており、ポテンショメータに
代えて磁歪センサを利用してもよい。

【００２２】上記ピストン６の負荷はトルクレンチ４の
トルク調整、または応力センサＳ１により読みとられ、
それに応じたＡ寸法変化を測ることによって土質試料の
圧密特性が把握できる。同時にメスシリンダ９に排出さ
れた間隙水の排出量を参照することによって地盤改良の
ために注入または置換する材料の容積を計算するための
情報が入手できるようになる。また、メスシリンダ９を
使用して間隙水の排出量を測らなくても、モールドアッ
センブリの試験前の重量と試験後の重量を秤で測定し、
両者を比較することによって圧密による間隙水排出の量
を大まかに把握することもできる。このようにして得ら
れたピストンにかかる荷重を徐々に高めた場合の試験結
果に基づく圧縮応力・変位量・排水量の相関関係を図４
（ａ）（ｂ）に示す。なお、ここで圧縮応力とはピスト
ンにかかる荷重をピストンの断面積で除した値である。

【００２３】この発明では、土質試験のうち、圧密状態
を現場で簡便に試験できるものであればよく、Ａ寸法の
測定や、ピストンの荷重、間隙水の量の測定は、上記実
施例に限定されず、各種公知のセンサを用いることがで
きる。また、測定結果の表示方法は、マニュアルによる
ものでも良いし、デジタル表示あるいはプリンタ等で表
またはグラフとして外部表示されるものでもよい。ま
た、貯水部としてメスシリンダを用いた場合を例示した
が、モールドアッセンブリから導出させてケーシングの
外に貯水し、これを計測するものでもよい。その他、要
するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更
しうること勿論である。

【００２４】

【発明の効果】以上のようにこの発明では、これまで試
験室でしかできなかった土質試験のうち、圧密状態を作
業現場で簡便に試験できるものであり、更に、従来行わ
れている土質試験に較べて次のような効果がある。 (1).現場から土質試験室まで試料の運搬が不要となる。 (2).誰でも簡単に現場で試験ができ、高度な技術を必要
としない。 (3).現場において地盤の圧密程度が直接読みとれ、複雑
な計算がいらない。 (4).装置は軽量コンパクトでどこにでも持ち運びができ
ると共に、経済的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の圧密試験装置の実施例を示す断面図で
ある。

【図２】仕切壁の平面図である。

【図３】図１の平面図である。

【図４】圧縮応力・変位量・排水量の関係を示す図で
（ａ）は表、（ｂ）はそのグラフである。

【符号の説明】

１…圧密試験装置 ２…ケーシング ３…スラストスクリュ ４…トルクレンチ ５…ピストン ６…ピストンガイド ７…サンプルモールド ８…ストレーナ ９…メスシリンダ １０…固定ナット １５…モールドホルダ １８…パッキン １９…濾布 Ｓ１，Ｓ２…応力センサ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシングの上部に螺合して昇降可能な
   スラストスクリュと、上記スラストスクリュを旋回させ
   るトルクレンチと、上記スラストスクリュの下降で押下
   げ可能なピストンと土質試料を充填してなり、上記ピス
   トンで上面から試料を加圧可能な開口を有するサンプル
   モールドと、サンプルモールドの下面を塞ぐと共に土質
   試料から排出される水を濾過する濾過器と、上記濾過さ
   れた水を貯める貯水部とからなる圧密試験装置を用い、 上記ピストンにかかる荷重（圧縮応力）と、スラストス
   クリュが下降した寸法変化と、前記排出された水の量を
   測定して、これらの関係から土質の圧密性質を測定して
   なることを特徴とする圧密試験方法。
2. 【請求項２】 ケーシングの上部に螺合して昇降可能な
   スラストスクリュと、 上記スラストスクリュを旋回させるトルクレンチと、 上記スラストスクリュの下降で押下げ可能なピストンと
   土質試料を充填してなり、上記ピストンで上面から試料
   を加圧可能な開口を有するサンプルモールドとサンプル
   モールドの下面を塞ぐと共に土質試料から排出される水
   を濾過する濾過器と、 上記濾過された水を貯める貯水部とからなって、 上記ピストンにかかる荷重（圧縮応力）と、スラストス
   クリュが下降した寸法変化と、前記排出された水の量を
   測定して、これらの関係から土質の圧密性質を測定して
   なることを特徴とする圧密試験装置。
3. 【請求項３】 ピストンとスラストスクリュとの間に応
   力センサをはさみ、トルクレンチを操作してピストンに
   かかる荷重を計測することを特徴とする請求項２に記載
   の圧密試験装置。
4. 【請求項４】 貯水部がメスシリンダからなって、該メ
   スシリンダが応力センサの上に載置されて重量変化を計
   測することを特徴とする請求項２または３に記載の圧密
   試験装置。
5. 【請求項５】 スラストスクリュが下降した寸法変化を
   測定するためにポテンショメータまたは磁歪センサが設
   けられていることを特徴とする請求項２、３または４に
   記載の圧密試験装置。