JP2008002059A - アースアンカー工法並びに上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座 - Google Patents
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Abstract
【課題】縦穴の上開口形成領域を必要最小限に狭く、土工量やブラケット数を少なくして工事の負担を小さくし、突出部分による作業の妨げがほとんどなく、作業スペースを広く確保して作業を能率的に行えて、完成後の地下空間を広くする。
【解決手段】親杭47と土留矢板48からなる縦穴46の周囲土留壁の隣接する親杭47の間に設けた線状体挿入削孔50の入口の上下近傍に設置し、その削孔50の左右にある各親杭47に固定したブラケット53で水平方向に支えた上下腹起し52の縦穴中心部側壁と縦穴周囲土留壁間の空間を利用し、その空間内に線状体緊張保持台座54の大部分と線状体外端部66の全体又はその大部分を収容して設置する。そして、線状体緊張保持台座54と線状体外端部66を上下腹起し52の縦穴中心部側壁より縦穴中心部側にほとんど突出しなくする。
【選択図】 図1
【解決手段】親杭47と土留矢板48からなる縦穴46の周囲土留壁の隣接する親杭47の間に設けた線状体挿入削孔50の入口の上下近傍に設置し、その削孔50の左右にある各親杭47に固定したブラケット53で水平方向に支えた上下腹起し52の縦穴中心部側壁と縦穴周囲土留壁間の空間を利用し、その空間内に線状体緊張保持台座54の大部分と線状体外端部66の全体又はその大部分を収容して設置する。そして、線状体緊張保持台座54と線状体外端部66を上下腹起し52の縦穴中心部側壁より縦穴中心部側にほとんど突出しなくする。
【選択図】 図1
Description
本発明は地表から土地を掘削し、掘り下げて縦穴を形成する際に、縦穴の周囲土砂等の崩落を防止するための建設工事に使用する山留工法の一種であるアースアンカー工法に関する。
一般に建物の地下室、廃棄物処分場等の大規模建設工事をする場合、地下に必要な広さと深さの空間部を確保するため、施工時には先ず地表から土地を掘削し、掘り下げて大きな縦穴を形成しなければならない。その際、土地の境界や土砂除去の負担等の問題もあり、縦穴の周囲壁を垂直にする必要がある。しかし、縦穴が広く深くなる程、背面土圧が大きくなるため周囲壁を構成する土砂等の崩落を防止しなければならない。そこで、鋼製ワイヤー等の強固な線状体を地中の岩盤又は強固な地盤等に固定し、山留壁(土留壁)を保持するアースアンカー工法が採用されている。
このアースアンカー工法では土留壁が親杭、土留矢板工法による標準施工方法の場合、図7、8に示すように、先ず地表1に臨む縦穴2の上開口形成領域の周囲近傍の土地に、その周囲に沿って親杭としてH型鋼3を多数用い、その各H型鋼3を垂直方向に夫々打ち込んで分散配設する。そして、地表1を掘り下げながらできる縦穴2の周囲の隣接するH型鋼3(3a、3b)の間に、土留矢板4を多数横にして積み上げて設置し、その周囲土留壁の隣接するH型鋼3間の必要箇所に、地中に伸びる削孔6を設け、その削孔6の内部に線状体5を1本又は複数本挿入した後、セメントミルク(軟らかな水を含むセメント)を先端側部分に圧入し、硬化させて線状体5を地中に固定する。
次に、線状体挿入削孔6の入口の上下近傍に1本ずつ腹起しとしてH型鋼7(7a、7b)を配置し、その両H型鋼7を線状体挿入削孔6の左右にある各H型鋼3に2個ずつ溶接等により固定したブラケット8(8a、…8d)で支えて水平方向に設置する。そこで、線状体緊張保持台座9を用い、上下H型鋼7に掛け渡して設置し、引張力を加えた線状体5の外端部を固定して、線状体5の緊張状態を保持する。
この線状体緊張保持台座9は製作時に、最長辺の中央付近を少し長方形状に突出させて位置決め用突部10にし、その位置決め用突部10の両側にある面11(11a、11b)を、両H型鋼7の縦穴2の中心部側にある前フランジ12(12a、12b)の前面との上下接触用後面とする細長い変形五角形状の2枚の板体13(13a、13b)を側板として用いる。そして、その両側板体13を左右に離し相対して配置し、その各側板体13の最長辺と相対する山形状2辺の頂点寄り上辺間に、線状体挿通穴14を有し、その穴内を挿通する線状体5の外端部を固定するアンカーヘッドを受ける正方形状のアンカープレート15を固着し、更に山形状2辺の下辺間と上下接触用後面11間に長方形状のつなぎ板16(16a、16b、16c)を配置し固着して組み立てる。それ故、上下H型鋼7に線状体緊張保持台座9を設置することにより、H型鋼3と土留矢板4からなる土留壁を保持でき、縦穴2の周囲土砂等の崩落を防止できる。なお、17(17a、17b)は充填材、18は鋼製アンカーヘッド、19は線状体5の外端部、20はアンカーヘッド18等を錆びないように収容するアンカーキャップである。
このアースアンカー工法によると、上下腹起しに用いた両H型鋼7の前フランジ12の前面より、縦穴2の中心部側に線状体緊張保持台座9、線状体外端部19等の大部分が20〜30cm程突出する。それ故、線状体緊張保持台座9、線状体外端部19等の突出長さだけ縦穴2の上開口形成領域を広げて土地を掘削する必要があり、土工量が多くなって工事の負担が大きくなる。しかも、それ等が突出していると作業の邪魔となって、作業スペースが狭くなる。又、土地の境界等による制限を受けて、建設する地下室等の空間部を狭くしなければならなくなる。
そこで、本出願人は先に図9、10に示すように線状体挿入削孔21の入口の上下近傍に配設する上下腹起したるH型鋼22 (22a、22b)の前フランジ23(23a、23b)の前面、即ち上下H型鋼22の縦穴24の中心部側壁と縦穴24の周囲土留壁間を利用し、その空間内に線状体緊張保持台座25と線状体外端部26の全体又はその大部分を収容して設置し、その線状体緊張保持台座25と線状体外端部26を上下H型鋼22の縦穴中心部側壁より縦穴中心部側に全く又はほとんど突出しないものを提示した。
このアースアンカー工法では線状体緊張保持台座25として、ウェーブ接触用上下面を有する本体部27(27a、27b)と、その本体部27から上下に突出するウェーブ係合用上下突部28(28a、28b)を有する2枚の板体29(29a、29b)を用い、その両板体29を側板にして左右に離し相対して配置し、その各側板体29の本体部27を、両本体部27の相対する内面間に、線状体挿通穴30を有し、その穴内を挿通する線状体31の外端部26を固定するアンカーヘッド32を受けるアンカープレート33を介在して結合した用具を用いる。すると、そのウェーブ係合用上下突部28を上下H型鋼22へ各ウェーブ34(34a、34b)に設けた受け穴35(35a、35b)に夫々嵌めることにより、従来のアースアンカー工法による問題点を改善でき、更に上下H型鋼22を水平方向に支えるブラケット36(36a、36b)の数を少なくすることができ、その上H型鋼22aを左右に離れた両側板体29により支えて、上H型鋼22aを良好に支持できる。なお、37は地表、38(38a、38b)は親杭たるH型鋼、39(39a、39b)はその前フランジ、40は後フランジ、41は土留矢板、42は充填材、43(43a、43b)は上下H型鋼の後フランジ、44はヘッドキャップである。
特願2005−377406
しかしながら、本出願人が先に提示した上記のアースアンカー工法では、上下H型鋼22の各ウェーブ34の線状体挿入削孔21の入口近傍に配置する部分に受け穴35を夫々設けなければならなので、その穴開け加工に要する負担が大きく問題がある。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、上下腹起しに設置する線状体緊張保持台座の構造を改善することによって、上下腹起しに対する穴開け加工を必要とせず、縦穴の上開口形成領域を必要最小限に狭く、土工量やブラケット数を少なくして工事の負担を小さくし、突出部分による作業の妨げがほとんどなく、作業スペースを広く確保して作業を能率的に行えて、完成後の地下空間を広くすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によるアースアンカー工法では、地表から土地を掘削し、掘り下げて縦穴を形成する際に、その地表に臨む縦穴の上開口形成領域の周囲近傍の土地に、その周囲に沿って多数の親杭を垂直方向に夫々打ち込んで分散配設し、掘り下げながらできる縦穴の周囲の隣接する親杭の間に土留矢板を積み上げて設置し、その親杭と土留矢板からなる周囲土留壁の隣接する親杭間の必要箇所に、地中に伸びる削孔を設け、その削孔の内部に線状体を1本又は複数本挿入した後、その線状体を地中に固定する。又、その線状体挿入削孔の入口の上下近傍に腹起しを1本ずつ配置し、その上下腹起しを線状体挿入削孔の左右にある各親杭に固定したブラケットで支えて水平方向に設置し、その上下腹起しに掛け渡して用い、引張力を加えた線状体の外端部を固定して線状体の緊張状態を保持する線状体緊張保持台座を設置する。
そして、上記線状体緊張保持台座として、線状体を挿通する線状体挿通穴を有し、その穴内を挿通する線状体の外端部を固定するアンカーヘッドを受けるアンカープレートの上下縁に、上腹起しの下部を受ける上受部と、下腹起しの上部を受ける下受部とを夫々設けた上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座を用い、その線状体緊張保持台座の大部分と線状体外端部の全体又はその大部分を、上下腹起しの縦穴中心部側壁と縦穴周囲土留壁間の空間内に収容して設置する。
又、本発明による上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座は、線状体を挿通する線状体挿通穴を有し、その穴内を挿通する線状体の外端部を固定するアンカーヘッドを受けるアンカープレートの上下縁に、上腹起しの下部を受ける長短前後壁と底壁とを有する上受部と、下腹起しの上部を受ける長短前後壁と上壁とを有する下受部とを夫々設ける。又、そのアンカープレートの上縁を上腹起し受け上受部の底壁の下面後部に結合し、更にアンカープレートの下縁を下腹起し受け下受部の上壁の上面中央部に結合する。
そして、上腹起し受け上受部の底壁の前部と下腹起し受け下受部の上壁の前部とを補強部材を介して結合すると好ましくなる。
本発明のアースアンカー工法では線状体緊張保持台座として、線状体を挿通する線状体挿通穴を有し、その穴内を挿通する線状体の外端部を固定するアンカーヘッドを受けるアンカープレートの上下縁に、上腹起しの下部を受ける上受部と下腹起しの上部を受ける下受部とを夫々設けた上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座を用い、その線状体緊張保持台座の下受部で下腹起しの上部を受け、更に上受部で上腹起しの下部を受けることにより、縦穴の周囲土留壁の垂直方向に打ち込んだ隣接する親杭間に設けた線状体挿入削孔の入口の左右にある各親杭に夫々固定したブラケット上に下腹起しを載置し、その下腹起し上に線状体緊張保持台座を介在して簡単に上腹起しを載置でき、ブラケット数を少なくできる。
そして、線状体挿入削孔の入口の上下近傍に設置して水平方向に支えた上下腹起しの縦穴中心部側壁と縦穴周囲土留壁間の空間を利用し、その空間内に線状体緊張保持台座の大部分と線状体外端部の全体又はその大部分を収容して設置することにより、線状体緊張保持台座と線状体外端部が上下腹起しの縦穴中心部側壁より縦穴中心部側にほとんど突出しなくなる。それ故、上下腹起しからの突出部分をほとんど考慮しなくてもよく、縦穴の上開口形成領域を必要最小限に狭くし、土工量を少なくして工事の負担を小さくできる。又、突出部分がほとんど作業の妨げとならないため作業スパースを広く確保できて、作業を能率的に行える。そして、土地の境界等による制限があっても、建設する地下空間を広くすることができる。
又、本発明の上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座は、線状体を挿通する線状体挿通穴を有し、その穴内を挿通する線状体の外端部を固定するアンカーヘッドを受けるアンカープレートの上下縁に、上腹起しの下部が嵌まる長短前後壁と底壁とを有する上受部と、下腹起しの上部が嵌まる長短前後壁と上壁とを有する下受部とを夫々設けることにより、下腹起し上に線状体緊張保持台座を介在して上腹起しを正確に位置決めし、良好に保持できる。
そして、アンカープレートの上縁を上腹起し受け上受部の底壁の下面後部に結合し、更にアンカープレートの下縁を下腹起し受け下受部の上壁の上面中央部に結合することにより、線状体挿入削孔の入口の上下近傍に設置した上下腹起しの縦穴中心部側壁と縦穴周囲土留壁間の空間内に、線状体外端部の全体又はその大部分を簡単に収容できる。又、その上下腹起しの縦穴中心部側壁と縦穴周囲土留壁間の空間内に、線状体緊張保持台座の大部分を収容でき、その台座に設けた上下受部の両前壁付近のみを上下腹起しの縦穴中心部側壁から縦穴の中心部側に少し突出させるだけでよくなる。
又、上腹起し受け上受部の底壁の前部と下腹起し受け下受部の上壁の前部とを補強部材を介して結合することにより、アンカープレートと補強部材とを介して上下受部の結合強度を大きくし、上受部に載置する上腹起しを良好に保持できる。
以下、添付の図1〜6を参照して、本発明の実施の最良形態を説明する。
図1は本発明を適用したアースアンカー工法の要部を示す縦断面図(図2のZ−Z断面図)、図2はその正面図である。
アースアンカー工法により、地表45から土地を掘削し、掘り下げて縦穴46を形成するに際し、先ず従来とほぼ同様にして、地表45に臨む縦穴46の上開口形成領域の周囲近傍の土地に、その周囲に沿って親杭としてH型鋼47を多数用い、その各H型鋼47を例えば1.5m毎に垂直方向に夫々打ち込んで分散配設する。そして、地表45を掘り下げながらできる縦穴46の周囲に設置してある夫々の隣接するH型鋼47(47a、47b)の間毎に、土留矢板48を横にして多数積み上げて夫々設置する。その際、両H型鋼47の縦穴46の中心部側に配置した前フランジ49(49a、49b)によって各土留矢板48の両端部を夫々支持する。
図1は本発明を適用したアースアンカー工法の要部を示す縦断面図(図2のZ−Z断面図)、図2はその正面図である。
アースアンカー工法により、地表45から土地を掘削し、掘り下げて縦穴46を形成するに際し、先ず従来とほぼ同様にして、地表45に臨む縦穴46の上開口形成領域の周囲近傍の土地に、その周囲に沿って親杭としてH型鋼47を多数用い、その各H型鋼47を例えば1.5m毎に垂直方向に夫々打ち込んで分散配設する。そして、地表45を掘り下げながらできる縦穴46の周囲に設置してある夫々の隣接するH型鋼47(47a、47b)の間毎に、土留矢板48を横にして多数積み上げて夫々設置する。その際、両H型鋼47の縦穴46の中心部側に配置した前フランジ49(49a、49b)によって各土留矢板48の両端部を夫々支持する。
次に、多数のH型鋼47と土留矢板48とからなる周囲土留壁の夫々隣接するH型鋼47の間の必要箇所、例えば掘り下げる深さ1.5m毎に左右のH型鋼47間の中央を入口にしてドリルを用い、地中に伸びる長さが8m、傾斜が25度の削孔50を設ける。なお、縦穴46の深さ方向に決定する削孔50の入口位置等は土地が崩れ易い土質か否か等によって選択する。又、削孔50を隣接する他人の土地に設ける場合には当然事前に承諾を得ておく。
次に、その削孔50の内部に線状体例えばPCより線等の鋼製ワイヤー51を1本又は複数本用いた組立体を挿入し、その後削孔内の先端側の例えば3m程の部分にセメントミルクを圧入し、硬化させて鋼製ワイヤー51を地中に固定する。そして、鋼製ワイヤー51の基端部側を削孔50の外部、即ち縦穴46の内部に必要な長さ突出させておく。なお、図1では削孔内に3本の鋼製ワイヤー51を挿入する場合を示している。
次に、線状体挿入削孔50の入口の上下近傍に1本ずつ腹起しを配置し、その上下腹起しとしてH型鋼52(52a、52b)を水平方向に設置する。その際、左右の各H型鋼47の縦穴46の中心部側にある前フランジ49の前面に1個ずつアングルを補強した鋼製ブラケット53(53a、53b)を夫々固着し、その上に下H型鋼52b、鋼製の上下腹起し受け付きの線状体緊張保持台座54、上H型鋼52aを順次乗せ、その下H型鋼52bで上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座54を支持し、その台座54で上H型鋼52aを支持すると、上H型鋼52aを直接ブラケットにて支持する必要がなくなる。それ故、ブラケットを2個のみ用いればよい。
そこで、このような上下H型鋼52の間に設置する上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座54の中央部材として、図3、4に示すような少し下寄り中央部に線状体挿通穴55を有し、その穴内を挿通する線状体51の外端部を固定するアンカーヘッドを受ける長方形状のアンカープレート56を用いる。そして、そのアンカープレート56の上下縁に、上H型鋼52aの下部を受ける上受部57aと、下H型鋼52bの上部を受ける下受部57bとを夫々設ける。その際、上下の各受部57を形成するため、いずれも主要部材としてL字状に屈曲した板状部材を用い、その所定箇所に細長い板体を夫々固着して、その上受部57aを長短前後壁58a、59aと底壁60aを有する枠状体にし、その前壁58aの上縁寄り内面に支持用突条61aを設置する。
又、下受部57bを長短前後壁58b、59bと上壁60bを有する枠状体とし、その前壁58bの下縁寄り内面に支持用突条61bを設置する。すると、アンカープレート56の上縁に、上H型鋼52aの下部受け上受部57aの底壁60aの下面後部を固着し、更にその下縁に下H型鋼52bの上部受け下受部57bの上壁60bの上面中央部を固着して、アンカープレート56を傾斜させ、その上下受部57の底上壁60をいずれも水平に保って、その底上壁60に対し、前後壁58、59を上下方向に垂直に突設し、前壁58の内面に水平にして支持用突条61を突設でき、上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座54が完成する。なお、前壁58の上下方向への突出長さを長くし、後壁59の上下方向への突出長さを大幅に短く例えば5分の1程にする。
このような線状体緊張保持台座54を設置する際、左右のブラケット53上に乗る下H型鋼52bに対し、先ずその下受部57bを線状体挿入削孔50の入口近傍にある前後フランジ62(62a、62b)の上側部分に被せて嵌める。すると、線状体緊張保持台座54の下受部57bを下H型鋼52bにより良好に支持し、そのアンカープレート56の挿通穴55に線状体51の外端側を挿通して縦穴46の内部に突出できる。なお、前壁58の内面に設ける支持用突条61bを、下H型鋼52bのウェーブ63bの前端の直近外側に配置し、その突条61bの先端面を前フランジ62aの前面対応位置に接触させる。
そこで、線状体緊張保持台座54の上受部57a上に上H型鋼52aを乗せ、その上受部57aの内部に上H型鋼52aの線状体挿入削孔50の入口近傍にある前後フランジ62の下側部分が嵌まるようにする。そして、やはり前壁58aの内面に設ける支持用突条61aを、上H型鋼52aのウェーブ63aの前端の直近外側に配置し、その突条61aの先端面を前フランジ62aの前面対応位置に接触させる。すると、左右のブラケット53上に下H型鋼52bを乗せ、その下H型鋼52bで線状体緊張保持台座54の下受部57bを良好に支持でき、その下受部57bとアンカープレート56を介して結合する上受部57aで、上H型鋼52aを良好に支持できる。それ故、下H型鋼52b上に、線状体緊張保持台座54を介在して上H型鋼53aを正確に位置決めし、良好に保持できて、ブラケット数を少なくできる。
このようにして、下H型鋼52b上に線状体緊張保持台座54、上H型鋼52aを順次設置した後、アンカープレート56の挿通穴54から突出する線状体51の外端側に引張力を加え、その線状体51の外端側を固定するアンカーヘッド64をアンカープレート56で受け、線状体51を緊張状態に保持する。なお、65(65a、65b)は左右のH型鋼47と上下のH型鋼52の交差箇所において、それ等のH型鋼47、52間に夫々介在する充填材である。
そこで、アンカーヘッド64から突出する線状体51の外端側を短く切断し、そのアンカーヘッド64と線状体51の外端部66とを錆びさせないようにプラスチック製のヘッドキャップ67を装着する。すると、アンカープレート56の上縁を上H型鋼受け上受部57aの底壁60aの下面後部に結合し、更にアンカープレート56の下縁を下H型鋼受け下受部57bの上壁60bの上面中央部に結合することにより、線状体挿入削孔50の入口の上下近傍に設置した上下H型鋼52の縦穴中心部側壁即ち上下前フランジ62aの前面と、縦穴周囲土留壁即ち積み上げた土留矢板48の前面間の空間内に、線状体外端部66の全体又は大部分を簡単に収容できる。又、その上下H型鋼52の縦穴中心部側壁と縦穴周囲土留壁間の空間内に、線状体緊張保持台座54の大部分を収容でき、その台座54に設けた上下受部57の両前壁58付近のみを上下H型鋼52の縦穴中心部側壁から縦穴46の中心部側に少し例えば1.5〜3cm程突出させるだけでよくなる。
それ故、上下前フランジ62aの前面からの突出部分をあまり考慮しなくてもよく、縦穴46の上開口形成領域を必要最小限に狭くし、土工量を少なくして工事の負担を小さくできる。又、突出部分が少なくフラットで、ほとんど作業の妨げとならないため、作業スペースを広く確保できて、作業を能率的に行える。そして、土地の境界等による制限があっても、完成後の地下空間を広くすることができる。
従って、廃棄物処分場の建設工事を行う場合には、従来の一般工法では存在した線状体緊張保持台座9等の大きな突出部分がほとんどなくなることにより、その後に行なう遮水シート張り工事の施工性が格段に向上し、廃棄物を埋設する過程では埋める量が増え、その埋設過程におけるシート破損事故の可能性が減って、施工性も向上する。なお、廃棄物処分場の場合、親杭として設置したH型鋼47、腹起しとして設置したH型鋼52、線状体緊張保持台座54等の上に遮水シートを張ってそのままの状態で使用するが、建物の地下室を施工する場合には地下室を完成した後に、線状体51等を所定箇所で切断し、設置したH型鋼47、52、線状体緊張保持台座54等を取り除く。
上記実施の形態による上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座54に対し、図5、6に示すように上受部57aの底壁60aの前部と下受部57bの底壁60bの前部とを2本のアンカープレート55の左右両側に配置した細長い板状の補強部材68(68a、68b)を介在して結合し、上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座69を形成すると、上下受部57の結合強度をアンカープレート55と2本の補強部材68を介在することにより大きくできる。それ故、線状体緊張保持台座69の上受部57aに載置する上H型鋼52aを一層良好に保持できる。
又、上記実施の形態では、親杭たるH型鋼47と多数の土留矢板48からなる縦穴周囲土留壁を施工後、線状体挿入削孔50を形成し、その削孔50の内部に線状体51を挿入して、次の工程でその削孔50の内部にセメントミルクを圧入し、硬化させる場合について説明したが、線状体挿入削孔50を形成し、その削孔50の内部に線状体51を挿入した後に、左右のH型鋼47にブラケット53を固着し、下H型鋼52b、線状体緊張保持台座54、上H型鋼52a等を設置し、次の工程でその削孔50の内部にセメントミルクを圧入し、硬化させる等、適宜施工工程を変更することができる。
45…地表 46…縦穴 47…H型鋼(親杭) 48…土留矢板 49、62a…前フランジ 50…線状体挿入削孔 51…線状体 52…H型鋼(腹起し) 53…ブラケット 54、69…線状体緊張保持台座 55…線状体挿通穴 56…アンカープレート 57…上下受部 58、59…前後壁 60…底上壁 61…支持用突条 62b…後フランジ 63…上下ウェーブ 64…アンカーヘッド 65…充填材 66…線状体外端部 67…ヘッドキャップ 68…補強部材
Claims (3)
- 地表から土地を掘削し、掘り下げて縦穴を形成する際に、その地表に臨む縦穴の上開口形成領域の周囲近傍の土地に、その周囲に沿って多数の親杭を垂直方向に夫々打ち込んで分散配設し、掘り下げながらできる縦穴の周囲の隣接する親杭の間に、土留矢板を積み上げて設置し、その親杭と土留矢板からなる周囲土留壁の隣接する親杭間の必要箇所に、地中に伸びる削孔を設け、その削孔の内部に線状体を1本又は複数本挿入した後、その線状体を地中に固定し、その線状体挿入削孔の入口の上下近傍に腹起しを1本ずつ配置し、その上下腹起しを線状体挿入削孔の左右にある各親杭に固定したブラケットで支えて水平方向に設置し、その上下腹起しに掛け渡して用い、引張力を加えた線状体の外端部を固定して線状体の緊張状態を保持する線状体緊張保持台座を設置するアースアンカー工法であって、上記線状体緊張保持台座として、線状体を挿通する線状体挿通穴を有し、その穴内を挿通する線状体の外端部を固定するアンカーヘッドを受けるアンカープレートの上下縁に、上腹起しの下部を受ける上受部と、下腹起しの上部を受ける下受部とを夫々設けた上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座を用い、その線状体緊張保持台座の大部分と線状体外端部の全体又はその大部分を、上下腹起しの縦穴中心部側壁と縦穴周囲土留壁間の空間内に収容して設置することを特徴とするアースアンカー工法。
- 線状体を挿通する線状体挿通穴を有し、その穴内を挿通する線状体の外端部を固定するアンカーヘッドを受けるアンカープレートの上下縁に、上腹起しの下部が嵌まる長短前後壁と底壁とを有する上受部と、下腹起しの上部が嵌まる長短前後壁と上壁とを有する下受部とを夫々設け、そのアンカープレートの上縁を上腹起し受け上受部の底壁の下面後部に結合し、更にアンカープレートの下縁を下腹起し受け下受部の上壁の上面中央部に結合することを特徴とする上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座。
- 上腹起し受け上受部の底壁の前部と下腹起し受け下受部の上壁の前部とを補強部材を介して結合することを特徴とする請求項2記載の上下腹起し受け付き線状体緊張保持台座。
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- 2006-06-20 JP JP2006169525A patent/JP2008002059A/ja active Pending
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