JP2008000422A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】縫い品質の向上を図る。
【解決手段】 ミシンモータ12の駆動により針棒18を上下動させる針上下動機構と、針振りモータ20により針振りを行う針振り機構と、ミシンフレーム30に着脱可能であって、被縫製物Cを布送り方向Fに沿って前後移動させる布動作ユニット50とを備え、布動作ユニットは、布押さえ棒22の下端部で布送り方向に沿って移動可能に支持される布保持枠54と、布保持枠を布送り方向に沿って前後に送る布移動モータ56とを備え留と共に、布移動モータをミシンモータと同期制御するコネクタ62,71を設けている。
【選択図】図1

Description

本発明は、針振りと布の正逆方向の送りとによりパターン縫いを行うミシンに関する。
針振りと布の正逆方向の送りとによりパターン縫いを行うミシンにおいて、例えば、ボタン穴かがり縫いを行う場合には、通常の布押さえ足を外して布保持を行う布保持枠に交換し、布保持が行われた状態で縫製が行われる。この布保持枠は布送り方向に沿って正逆方向に移動可能な状態で布押さえ棒に支持され、当該布保持枠に保持された布地は針板下方から出没する送り歯により正逆方向の送りが行われる(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−166078号公報
しかしながら、上記従来のミシンにあっては、布保持枠に保持された布地に送り歯を当てて前後移動させる構造のため、送り歯と布地の間で滑りを生じる等の原因により、送り量に誤差を生じ、或いは前方と後方の送り量に差を生じて、縫い品質の低下を生じるおそれがあった。
本発明は、縫い品質の向上を図ることを、その目的とする。
請求項1記載の発明は、ミシンモータの駆動により縫い針を保持する針棒を上下動させる針上下動機構と、針振りモータにより布送り方向に対して直交する方向に針振りを行う針振り機構と、ミシンフレームに着脱可能であって、被縫製物を布送り方向に沿って前後移動させる布動作ユニットとを備え、前記布動作ユニットは、前記布押さえ棒の下端部で前記布送り方向に沿って移動可能に支持される布保持枠と、前記布保持枠を布送り方向に沿って前後に送る駆動手段とを備え、前記ミシンフレームと前記布動作ユニットとの間に、当該布動作ユニットの駆動手段を前記ミシンモータと同期制御するためのコネクタを設けた、という構成を採っている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、各種の縫製パターンに従って運針の制御を行うための複数の縫製パターンデータを記憶するデータ記憶手段と、前記各縫製パターンデータを選択する選択手段と、前記選択された縫製パターンデータに従って縫いの制御を行う動作制御手段とを備え、前記動作制御手段は、前記コネクタから前記布動作ユニットの装着の有無を判定すると共に前記選択手段により選択された縫製パターンデータに含まれるパターン種別情報が前記布動作ユニットを用いたパターン種別であるかを判定し、相互の判定が整合しない場合に報知の実行又は縫製の開始を拒否する、という構成を採っている。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記布動作ユニットの非装着時に、針板に載置された被縫製物を送り歯により搬送する布送り手段と、前記布動作ユニットの装着時に、前記布保持枠を前記針板から離間するように上方に退避させる接触回避手段とを備える、という構成を採っている。
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記布動作ユニットの非装着時に、針板に載置された被縫製物を送り歯により搬送する布送り手段と、前記布動作ユニットの装着時に、前記送り歯を前記針板上面よりも下方に維持する送り歯待避機構とを備える、という構成を採っている。
請求項1記載の発明は、着脱可能な布動作ユニットをミシンフレームに装着し、コネクタを接続すると、布動作ユニットに設けられた駆動手段はミシンモータと同期して駆動が行われる。そして、駆動手段から布保持枠に対しては、連続的且つ直接的に動力が付与されるので、間欠的に接触する送り歯と異なり、前後方向への送りに変動を生じることなく正確な送り量で布移動を行うことが可能となる。
請求項2記載の発明は、布保持枠が特定の縫製パターンに対応する場合、選択された縫製パターンデータのパターン種別情報が示す縫製パターンの種別を読み出し、且つ布動作ユニットの装着の有無をコネクタから識別し、これらが整合しない場合に報知や縫製の開始拒否を行うため、布保持枠に対して誤った縫いが行われて各部の破損などの発生を防止することが可能となる。
なお、「整合しない場合」とは、布動作ユニットを使用する種別の縫製パターンデータが選択されたにもかかわらず布動作ユニットが接続されていない場合や、布動作ユニットを使用しない種別の縫製パターンデータが選択されたにもかかわらず布動作ユニットが接続されている場合が挙げられる。
また、「縫製の開始の拒否」とは、拒否状態を積極的に示す場合に限らず、実行の指示入力が行われているにもかかわらず動作を行わない場合も含まれる。
請求項3記載の発明は、送り歯により搬送する布送り手段を備えるので、布動作ユニットを分離した場合でも、布送りを行うことができる。
そして、布動作ユニットの装着時には接触回避手段により布保持枠が針板から離間されるので、送り歯に布保持枠や被縫製物が接触することによる送り量の変動や送り不良を効果的に抑制することが可能となる。
請求項4記載の発明は、送り歯により搬送する布送り手段を備えるので、布動作ユニットを分離した場合でも、布送りを行うことができる。
そして、布動作ユニットの装着時には送り歯待避機構により送り歯が針板よりも下方に維持されるので、送り歯に布保持枠や被縫製物が接触することによる送り量の変動や送り不良を効果的に抑制することが可能となる。
(ミシンの全体構成)
本発明の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態たるミシン100のブロック構成図、図2はミシン100の一部の構成を示す概略図、図3が後述する布動作ユニット50の拡大斜視図である。本実施形態におけるミシン100は、いわゆる家庭用ミシンであり、耐久性、大量生産性などの面で工業用ミシンと異なっている。
かかるミシン100は、ミシンモータ12により回転駆動される上軸14からクランク機構を介して縫い針16を保持する針棒18を上下動させる針上下動機構(図示略)と、針振りモータ20により布送り方向Fに対して直交する方向Eに針振りを行う針振り機構(図示略)と、ミシンベッド部31の上部に設けられた針板に載置された被縫製物としての布地Cを送り歯により搬送する布送り手段(図示略)と、上記各構成を格納保持するミシンフレーム30と、ミシンフレーム30に着脱可能であって、その装着時に布送り手段に替わり布地Cを布送り方向に沿って前後移動させる布動作ユニット50と、布動作ユニット50の装着時に当該布動作ユニット50の布保持枠54を針板から離間するように上方に退避させる接触回避手段65と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段としての制御装置70とを主に備えている。
ミシンフレーム30は、下部に位置するミシンベッド部31と、ミシンベッド部31の一端部から立設された縦胴部32と、縦胴部32の上端部からミシンベッド部31と同方向に延設されたミシンアーム部33とを備え、全体的には略コ字状に形成されている。
針上下動機構は、主に、ミシンモータ12と、ミシンアーム部33のほぼ全長に渡って配設された上軸14と、上軸14の先端部に設けられた回転錘と、ミシンアーム部33の先端部側において支持台により上下動可能に支持された針棒18と、針棒18の中間位置に固定装備された針棒抱きと、回転錘の外周近傍と針棒抱きとを連結するクランクロッドとを備える周知の構成である。
ミシンモータ12により上軸14が回転駆動し、回転運動がクランクロッドにより上下動に変換されて針棒18に伝達され、ミシンモータ12の回転数と同期して針棒18は上下動を行うようになっている。
針振り機構は、主として、針棒を上下動可能に支持する支持台と、ステッピングモータである針振りモータ20と、針振りモータ20の出力軸に基端部が固定連結された回動アームと、回動アームと支持台とを連結するリンク部材とを備える周知の構成である。
針振りモータ20による正逆切り替えの回転により回動アームが往復回動を行い、リンク部材を介して支持台を針振り方向Eに沿って往復移動させ、その結果、針棒18が針振り方向Eに針振りを行うようになっている。
布送り手段は、ミシンベッド部31内に設けられ、上軸14からベルト機構によりトルク伝達されて回転を行う下軸と、下軸の回転駆動力から分力して往復回動を行う上下送り軸及び水平送り軸と、各送り軸から上下方向と水平方向の往復移動の動力を付与されてこれらを組み合わせて長円運動として送り歯に伝達する送り台と、長円運動の軌跡の一部において針板に設けられた開口により歯部を上方に出没させて布送りを行う送り歯とを備えている。
(布動作ユニット)
図4は布送り方向下流側から見た布動作ユニット50の正面図である。
布動作ユニット50は、ボタン穴かがり縫いに適しており、通常の縫製で用いられる布押さえ足(図示略)と交換して装備が行われる。
通常用いられる布押さえ足は、ミシンアーム部33の先端下部において上下動可能に支持された布押さえ棒22の下端部に固定支持されるものである。この布押さえ棒22は布押さえ足を針板上面に押圧接触させる押圧バネ24により常時下方に押圧されている。つまり、この布押さえ足は、針板上に載置された布地Cを送り歯側に常時押圧するように押さえつける機能を有している。
一方、布動作ユニット50は、布押さえ足を取り外した状態において布押さえ棒22の下端部に止めネジ52により固定装備されるユニット筐体51と、ユニット筐体51の下端部に設けられたスライダ53と、スライダ53を介してユニット筐体51に対して布送り方向Fに沿って前後移動可能に支持された布保持枠54と、布保持枠54の下面側に設けられ当該布保持枠54と共に布地を挟んで保持する保持プレート55と、布保持枠54の布送り方向Fの前後移動の駆動手段である布移動モータ56と、布移動モータに接続された減速器57と、減速器57を介して回転されるピニオン歯車58と、布保持枠54の側面に設けられてピニオン歯車58と噛合するラック歯車59とを備えている。
上記ユニット筐体51は、布押さえ棒22の下端部を挿入可能な筒状部51aと、布移動モータ56及び減速器57を格納する格納部51bと、筒状部51aの下端部でスライダ53を保持する保持部51cとからなる。
上記筒状部51aには内側に挿通された布押さえ棒22を固定する止めネジ52が設けられており、この止めネジ52を締結し或いは弛めることにより、布動作ユニット50全体を布押さえ棒22から着脱可能としている。
スライダ53は、略平板状に形成され、その両側端部が布保持枠54の内部のスリット部54aに介挿されることでスライダ53と布保持枠54の相互のスライド移動を可能としている。また、スライダ53には、針振りを行う縫い針16を挿通可能な長穴53aが形成されている。
布保持枠54は、その長手方向を布送り方向に向けてスライダ53に支持されており、その内側両側端部には前述したようにスライダ53の両側端部を介挿させるスリット部54aを有している。これにより、布保持枠54は、ユニット筐体51及び布押さえ棒22に対して布送り方向に沿って前後移動を可能としている。また、布保持枠54の下部は広く開口しており、縫い針16の針落ちを遮らないようにしている。
なお、布保持枠54の全長は、少なくともボタン穴かがり縫いに必要な布送り量を移動可能な長さに設定されている。例えば、使用されうる範囲の大型のボタンの直径程度の長さ分だけ移動可能な長さが選択される。
さらに、布保持枠54にはその一側端部の外部において、その長手方向に沿ってラック歯車59が形成されている。このラック歯車59により、布保持枠54に対して布送り方向に沿って前後に移動する移動力が入力されるようになっている。
ユニット筐体51の格納部51bに格納された布移動モータ56には、図5に示すように、布移動モータ駆動回路60が併設されており、さらにこの布移動モータ駆動回路60には格納部51bの外部に延ばされたケーブル61を介してユニット側コネクタ62が接続されている。
このユニット側コネクタ62は、布動作ユニット50の装着時において、ミシンフレーム30の内部に設けられた制御装置70に接続されたミシン側コネクタ71と連結される。
そして、ミシン側コネクタ71からは、モータ駆動電源の供給やドライバ用クロック信号、モータの回転方向指令信号、布動作ユニット50の接続確認信号を受けるようになっている。これにより、布移動モータ駆動回路60は、回転方向を決定し、ミシンモータ12や針振りモータ20と調時しながらを布移動モータ56を駆動させる。
また、ユニット側コネクタ62は、コネクタ接続時にミシン側コネクタ71から接続確認信号を受信する接続端子をアース接続しており、制御装置70は、インターフェイス72に対する接続確認信号がアース接続されて途絶えることでコネクタ同士の接続(布動作ユニット50の装着)を認識することを可能としている。
減速器57は布移動モータ56から入力を受け、所定の減速比でピニオン歯車58にトルクを伝達する。
ピニオン歯車58は、ユニット筐体51の格納部51bから垂下状態で支持され、布保持枠54の一側端部に形成されたラック歯車59に噛合する。つまり、布移動モータ56の正逆回転駆動力は、ピニオン歯車58とラック歯車59の間で布保持枠54の前後方向の移動力に変換されて付与されるようになっている。
保持プレート55は、布保持枠54の下側に配設され、その一端部から上方に折り曲げられて形成された切片55aが布保持枠54の一端部形成された位置合わせスリット部54bに挿入されることで保持プレート55は布保持枠54の真下で丁度重なる配置となり且つ布保持枠54の前後移動に伴って保持プレート55が追従して移動を行うようになる。
前述したように、保持プレート55は布保持枠54と共に上下に布地Cを挟み込むことで保持を行う構造となっており、布保持枠54の下面には布地Cの滑りを防止するように布保持用の針54cが形成されている。なお、滑らないように布保持可能であれば針に限らず、突起を設けたり、ローレット加工を施したり、摩擦の大きな素材(例えばゴムなど)を貼っても良い。またそれらは保持プレート55の上面に設けても良い。
また、保持プレート55の中央部は布送り方向Fに沿って広く開口しており、縫い針16の針落ちを遮らないようにしている。
(接触回避手段)
接触回避手段65は、布押さえ棒22の上部近傍に固定装備された棒抱き部材66と、棒抱き部材66に下方から当接して布押さえ棒22を押し上げる偏心カム67と、偏心カム67を回転させる昇降モータ68とを主に備えている。
偏心カム67は、回転角度に応じて棒抱き部材66側への突出量が異なり、布押さえ棒22に布動作ユニット50を装着した状態において、所定の回転角度区間で棒抱き部材66側に届くようにその突出量(カム形状)が設定されており、これにより所定の回転角度区間で、布保持枠54を針板から昇降させることができる。縫製時には、保持プレート55が針板から出没する送り歯に押圧接触しない範囲まで布保持枠54を持ち上げ、その状態を維持することとなる。
また、布押さえ棒22に布送り足を装着した状態において、前述の角度区間と異なる所定の回転角度区間で棒抱き部材66側に届かないようにその突出量(カム形状)が設定されており、これにより当該回転角度区間で、布押さえ足により針板上の布地Cを押圧することを可能としている。
(ミシンの制御系)
ミシン100は、図1に示すように、上述した各部、各部材の動作を制御するための制御装置70を備えている。そして、制御装置70は、第一縫製プログラム74a,第二縫製プログラム74b,昇降制御グラム74c,ユニット確認プログラム74dが格納されたプログラムメモリ74と、各種の縫製パターンデータ75a及び各種の設定情報(図示略)を記憶したデータ記憶手段としてのデータメモリ75と、プログラムメモリ71内の各プログラム74a〜74dを実行するCPU73とを備えている。
また、CPU73は、インターフェイス76a,77aを介して操作パネル78の表示器76及びタッチパネル77に接続されている。かかる操作パネル78は、各種画面や入力ボタンを表示する表示器76と当該表示器76の表面に設けられその接触位置を検知するタッチパネル77とを有しており、各種情報の入出力手段として機能する。操作パネル78で用いられる入力ボタンや入力スイッチはいずれも、表示器76で表示され、タッチパネル77で入力が検知されることで押下式のボタンやスイッチと同等に機能するものである。
また、操作パネル78は、表示器76により所定のデータ選択画面を表示し、データメモリ75内の各縫製パターンデータ75aの中から縫製対象とするものをタッチパネル77により選択可能とする。つまり、かかる操作パネル78は、各縫製パターンデータを選択する選択手段として機能する。
また、CPU73は、インターフェイス79を介して、主軸モータ12を駆動する主軸モータ駆動回路12aに接続され、主軸モータ12の回転を制御する。なお、主軸モータ12により回転駆動される上軸14には、複数のフォトインタラプタ80が装備され(図1では一つのみ図示)、CPU73はインターフェイス80aを介して各フォトインタラプタ80とも接続されている。
フォトインタラプタ80は、上軸14に装備された扇形の遮蔽板と当該遮光板に遮光される受光素子とを有し、上軸14が回転すると遮蔽板の扇形の角度に応じて一回転の内の所定の角度範囲について遮光され、当該遮光状態の光強度の変化を検出することにより、上軸14の回転角度が遮蔽板の端部の角度であることを認識させるセンサである。遮蔽板の端部は上軸14と同期して動作を行う制御対象物の動作開始角度又は終了角度と一致するように上軸14に装備される。
上記フォトインタラプタ80の一つは、毎針ごとに針棒18の上昇時に動作を行う針振りモータ20及び布移動モータ56の動作開始角度(例えば針棒上死点を0度として約290度)を検出可能に設定されている。
また、CPU73は、インターフェイス81及びインターフェイス82を介して、針振りモータ20及び昇降モータ68をそれぞれ駆動する針振りモータ駆動回路20a及び昇降モータ駆動回路68aが接続され、各々の動作を制御する。
また、CPU73は、布動作ユニット50の装着時において、インターフェイス72及び各コネクタ71,62を介して、布移動モータ56を駆動する布移動モータ駆動回路60が接続され、布移動モータ56の動作を制御する。
上記データメモリ75に記憶された縫製パターンデータ75aは、所定の縫製パターンに従って縫製を行うために、各種モータの動作量のデータと縫製パターンの種別を示すパターン種別情報とが記憶されている。
例えば、縫製パターンの種別が千鳥縫いの場合には、布動作ユニット50は装着されず各針ごとの針振りモータ20の動作量が記憶されており、縫製パターンの種別がボタン穴かがり縫いの場合には、布動作ユニット50が装着され、一つのボタンホールの穴かがりに要する前針数ごとの針振りモータ20の動作量と布移動モータ56の動作量が記憶されている。
(縫製プログラムによる縫製処理)
プログラムメモリ70に格納された第一縫製プログラム74aは、千鳥縫いの実行のための各部の動作制御を行うためのプログラムであり、当該プログラム74aを実行することによりCPU73は、選択された縫製パターンデータ75aの縫製パターンの種別が千鳥縫いの場合に、ミシンモータ12の駆動に際し、フォトインタラプタ80により上軸14が針振り実行角度であることを検出すると、針振りモータ20の動作量を読み出して駆動し、各針ごとに順次これを繰り返す動作制御を行う。
プログラムメモリ70に格納された第二縫製プログラム74bは、ボタン穴かがり縫いの実行のための各部の動作制御を行うためのプログラムであり、当該プログラム74bを実行することによりCPU73は、選択された縫製パターンデータ75aの縫製パターンの種別がボタン穴かがり縫いの場合に、ミシンモータ12の駆動に際し、フォトインタラプタ80により上軸14が針振り及び布移動の実行角度であることを検出すると、針振りモータ20の動作量と布移動の正逆移動量を読み出して各々を駆動し、各針ごとに順次これを繰り返す動作制御を行う。
(ユニット確認プログラムによる縫製処理)
プログラムメモリ70に格納されたユニット確認プログラム74dを実行することによりCPU73は、選択された縫製パターンデータ75aが示す縫いの種別がボタン穴かがり縫いである場合に、ユニット側コネクタ62とミシン側コネクタ71の接続の有無をインターフェイス72を介して検出し、布動作ユニット50が接続されていない場合に、操作パネル78の表示器76により布動作ユニット50の装着を要求する報知表示を行わせる。
(昇降制御プログラムによる縫製処理)
プログラムメモリ70に格納された昇降制御プログラム74cを実行することによりCPU73は、ユニット側コネクタ62とミシン側コネクタ71の接続をインターフェイス72を介して検出すると、布動作ユニット50の保持プレート54が針板から出没する送り歯に圧接しない所定高さまで布動作ユニット50を上昇させるように昇降モータ68の動作制御を実行する。
なお、上記昇降制御プログラム74cの場合は、布動作ユニット50の装着を検出した後、縫製の開始の指示入力が行われてから昇降モータ68の動作制御を実行するようになっている。
(ミシンの動作説明)
上記構成からなるミシン100の動作説明を図に示すフローチャートにより行う。図6は縫製パターンデータ75aの選択が行われてから縫製の終了まで全体的な処理の流れについて示すフローチャートであり、図7はボタン穴かがり縫いの動作の開始から完了までの処理をより詳細に示したフローチャートである。
まず、縫製パターンデータ75aの選択が操作パネル78から行われると、CPU73は、縫製パターンデータ75aの縫い種別情報を読み取り、ボタン穴かがり縫いであるか判定する(ステップS1)。
これにより、選択された縫製パターンデータ75aの示す縫い種別が、ボタン穴かがり縫い以外、例えば、千鳥縫いである場合には、第一縫製プログラム74aが実行され、千鳥縫いの動作制御が行われた後に処理が終了する(ステップS2)。
一方、選択された縫製パターンデータ75aの縫い種別がボタン穴かがり縫いである場合には(ステップS1:YES)、ユニット確認プログラム75dの処理が実行され、布動作ユニット50の装着の有無が判定される(ステップS3)。
そして、布動作ユニット50が装着されていないと判定されると(ステップS3:NO)、操作パネル78の表示器76により、ユニット装着を要求する報知表示が行われる(ステップS4)。
一方、布動作ユニット50が装着されていると判定されると(ステップS3:YES)、布動作ユニット50の布移動モータ56に併設された原点センサ(図示略)により布移動モータ56の原点検索が実行される(ステップS5)。
原点検索後は、操作パネル78にスタートスイッチが表示され、当該スタートスイッチの入力待ちとなる(ステップS6)。
そして、スタートスイッチの入力がタッチパネル77により検出されると(ステップS6:YES)、選択縫製パターンデータ75に従い第二縫製プログラム74bによるボタン穴かがり縫いの動作制御が実行される(ステップS7)。
そして、縫製パターンデータ75aに設定された針数の運針が全て完了したか判定が行われ(ステップS8)、設定針数に達すると縫製処理が終了される。
続いて、第二縫製プログラム74bによるボタン穴かがり縫いの縫製における処理について図7により説明する。
スタートスイッチの入力が確認されると、昇降モータ68が駆動され、ボタン穴かがり縫いの設定高さに布動作ユニット50が上昇される(ステップS11)。
次いで、ミシンモータ12の駆動が開始され、縫製パターンデータ75aにおける各針ごとの針振りモータ動作量及び布移動モータの正逆動作量が一針分読み出される(ステップS12)。
フォトインタラプタ80の検出が監視され、上軸14における動作開始角度が検出されると、読み出された動作量に従い針振りモータ20及び布移動モータ60が駆動される。これにより、設定された針落ち位置に運針が行われる(ステップS13)。
そして、縫製パターンデータ75aに設定されている針数の運針が全て完了したか判定され、完了していない場合には処理がステップS12に戻される。
一方、縫製パターンデータ75aに設定されている針数の運針が全て完了した場合には、再び昇降モータ68が駆動され、布動作ユニット50が下降され(ステップS15)、縫製が完了する。
(発明の実施形態の効果)
上記構成からなるミシン100では、着脱可能な布動作ユニット50をミシンフレーム30に装着し、ユニット側コネクタ62とミシン側コネクタ71とを接続することで布移動モータ56がミシンモータ12と同期して動作してボタン穴かがり縫いの縫製が行われる。そして、布地Cの前後移動は、布地Cを保持する布保持枠54に対して歯車58,59を介して布移動モータ56により行われるため、布移動のための動力伝達が連続的且つ直接的に行われるので、間欠的に接触する送り歯と異なり、前後方向への送りに変動を生じることなく正確な送り量で布移動を行うことが可能となる。
また、ユニット確認プログラム74dにより、選択された縫製パターンデータ75aのパターン種別と布動作ユニット50の装着又は非装着との適合性判断が行われるので、布保持枠の選択或いは縫製パターンデータの選択を誤って縫いが行われることが回避され、各部の破損などの発生を防止することが可能となる。
さらに、ミシン100では、接触回避手段65を備えるので、布動作ユニット50の装着時には保持プレート54と送り歯との押圧接触を回避することができ、送り量の変動や送り不良を効果的に抑制することが可能となる。
(その他)
なお、布移動モータから保持枠への移動力の伝達は、歯車に限らずいかなる手段を用いても良い。
また、布動作ユニットの駆動源は回転系の駆動源に限らず、直動系の駆動源(移動量の制御可能なソレノイド、ボイスコイルモータ、リニアモータ等)を用いても良い。その場合、駆動源の出力部に直接保持枠を連結することで、より正確な移動位置決めを行うことが可能となる。
また、接触回避手段65に替えて、下軸から送り歯に上下動の動作を伝達する上下送り軸までの間に設けられた複数リンクからなる動力伝達機構と二軸間の動力伝達が行われないように所定のリンクの揺動支点位置を所定位置へ移動させるアクチュエータとからなる送り歯待避手段を設け、送り歯が針板よりも下方にある位相において、アクチュエータの作動により下軸から上下送り軸への動力伝達を行われないように制御する構成としても良い。
なお、通常は連結された複数のリンクの一端部から他端部に動力伝達が行われ、いずれかの連結点を所定位置に合わせるとその動力伝達が行われなくなるようなリンク伝達機構については、一般に周知の構成の物を使用すれば良い。
また、各種プログラム74a〜74dによる各種の処理、機能は、ソフトウェアに限らずアナログ回路などのハードウェアにより実現させても良い。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
本発明の実施形態にかかるミシンのブロック図である。 ミシンの一部の構成を示す概略図である。 布動作ユニットの拡大斜視図である。 布送り方向下流側から見た布動作ユニットの正面図である。 布動作ユニットの接続部分の詳細説明図である。 縫製パターンデータの選択が行われてから縫製の終了まで全体的な処理の流れについて示すフローチャートである。 ボタン穴かがり縫いの動作の開始から完了までの処理をより詳細に示したフローチャートである。
符号の説明
12 ミシンモータ
14 上軸
16 縫い針
18 針棒
20 針振りモータ
22 布押さえ棒
30 ミシンフレーム
31 ミシンベッド部
32 縦胴部
33 ミシンアーム部
50 布動作ユニット
51 ユニット筐体
54 布保持枠
55 保持プレート
56 布移動モータ(駆動手段)
58 ピニオン歯車
59 ラック歯車
62 ユニット側コネクタ
65 接触回避手段
68 昇降モータ
70 動作制御手段
71 ミシン側コネクタ
73 CPU
74 プログラムメモリ
74a 第一縫製プログラム
74b 第二縫製プログラム
74c 昇降制御プログラム
74d ユニット確認プログラム
75 データメモリ(データ記憶手段)
75a 縫製パターンデータ
76 表示器
77 タッチパネル
78 操作パネル(選択手段)
100 ミシン
C 布地(被縫製物)
E 針振り方向
F 布送り方向

Claims (4)

  1. ミシンモータの駆動により縫い針を保持する針棒を上下動させる針上下動機構と、
    針振りモータにより布送り方向に対して直交する方向に針振りを行う針振り機構と、
    ミシンフレームに着脱可能であって、被縫製物を布送り方向に沿って前後移動させる布動作ユニットとを備え、
    前記布動作ユニットは、前記布押さえ棒の下端部で前記布送り方向に沿って移動可能に支持される布保持枠と、前記布保持枠を布送り方向に沿って前後に送る駆動手段とを備え、
    前記ミシンフレームと前記布動作ユニットとの間に、当該布動作ユニットの駆動手段を前記ミシンモータと同期制御するためのコネクタを設けたことを特徴とするミシン。
  2. 各種の縫製パターンに従って運針の制御を行うための複数の縫製パターンデータを記憶するデータ記憶手段と、
    前記各縫製パターンデータを選択する選択手段と、
    前記選択された縫製パターンデータに従って縫いの制御を行う動作制御手段とを備え、
    前記動作制御手段は、前記コネクタから前記布動作ユニットの装着の有無を判定すると共に前記選択手段により選択された縫製パターンデータに含まれるパターン種別情報が前記布動作ユニットを用いたパターン種別であるかを判定し、相互の判定が整合しない場合に報知の実行又は縫製の開始を拒否することを特徴とする請求項1記載のミシン。
  3. 前記布動作ユニットの非装着時に、針板に載置された被縫製物を送り歯により搬送する布送り手段と、
    前記布動作ユニットの装着時に、前記布保持枠を前記針板から離間するように上方に退避させる接触回避手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載のミシン。
  4. 前記布動作ユニットの非装着時に、針板に載置された被縫製物を送り歯により搬送する布送り手段と、
    前記布動作ユニットの装着時に、前記送り歯を前記針板上面よりも下方に維持する送り歯待避機構とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載のミシン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015036119A (ja) * 2013-08-16 2015-02-23 啓翔股▲ふん▼有限公司 ボタン孔かがり機のボタン孔カット装置のハンマー調節機構
CN106436045A (zh) * 2016-11-01 2017-02-22 闫瑞东 一种圆头锁眼机用送布机构

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