JP2007537438A - ミコバクテリア感染の検出方法 - Google Patents

ミコバクテリア感染の検出方法 Download PDF

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Abstract

活動性結核を持つことが疑われる被検者から、第1、第2および第3試料を得ること、第1試料を希釈すること、ならびに、その一部を試験容器中の固定化されたミコール酸抗原におよびその一部を対照容器中の固定化されたミコール酸抗原に曝露することを含む、活動性結核のための代用マーカーを検出する方法。第2試料はミコール酸抗原含有リポソームに曝し、第3試料はミコール酸抗原を含まないリポソームに曝露する。第2試料を試験容器に加え、第3試料を対照容器に加え、試験および対照容器両方の中のミコール酸および抗原に対する抗体の結合を検出する。試験容器と対照容器の間の結合の程度を比較して、試験容器中での結合の減少がミコール酸抗原に対する抗体の存在の指標である。

Description

本発明は活動性結核の検出方法に関する。特に本発明は、ヒト結核菌由来の脂質抗原に対する哺乳動物対象中の抗体の有症率に基づく結核の血清学的診断に関する。TB患者血清中でのヒト結核菌の種々の抗原に対する抗体の研究において多くの進歩が報告されているという事実にも拘らず、結核のような疾患に対して、これまで満足な血清学的診断測定がなかった(Panら、1999年;Julianら、2002年;Schleicherら、2002年;Lopez-Marinら、2003年;Pottunarthyら、2000年)。
ミコバクテリア疾患はヒトおよび他の哺乳動物における高致死率の原因である。これは主として病原のミコバクテリアの復元力によるのである。これらの根絶困難な細菌は、増殖速度が低く、而も宿主のマクロファージ細胞内に潜伏する。ミコバクテリア疾患の治療は、多くの月数にわたる併用化学療法を含む。このことは服薬不履行の頻度を増加させて、その結果ミコバクテリアの多剤耐性株の出現を助長し得る(Heym、Honoreら、1994年)。
ミコバクテリア疾患の診断および治療における現在の問題は、例として結核を挙げて考察できる。結核(TB)はヒト結核菌(M.tuberculosis)での感染によって引き起こされる慢性の肺または肺外の疾患である。ヒト結核菌は主として、肺TBに罹っている個体の咳およびくしゃみから発生するエアロゾル化した感染性の粒子によって散布される(FentonおよびVermeulen、1996年)。吸入された後この桿菌は終着の、未感染の個々人の肺気道および肺胞に達することができる(Lawnら、2002年)。結核は、医科学における進歩および先般来この疾患が制圧されたという印象をもたらしている広範囲の有効な薬剤にも拘らず、依然として地球規模の健康問題である。世界人口の三分の一がヒト結核菌に感染していると推定される。さらに、800万人を超える人々が毎年TBに罹り、200万を超える死亡という結果になっていると推定される。地球規模の結核発生は100,000人に61人の新患である(Johnson、2000年)。
世界保健機関は1993年にTBは地球規模の緊急事態と宣言した(WHO、1993年)。開発途上国におけるTB発生率は常に高かったが、工業国でさえ、昨今主として地球規模のHIV流行および人口移動増加の結果として生ずるこの疾患の再浮上を経験しつつある。ヒト結核菌に感染した人々の約10%が生涯の間に結核を発症すると予測されるが、HIVによる重感染により事態が悪化するのは、これが30のファクターでTBを発症するリスクを増加させるからである。地球規模で、HIV陽性の人々の死亡の原因として、敗血症による11%、脳トキソプラズマ症による10%、肺炎による8%、悪性腫瘍による6%、髄膜炎による5%および他の感染による10%に比較して、TBは32%の原因になっていると推定されている(Narainら、1992年)。TB患者の約8%およびTBで死亡する人々の四分の一は既にHIVに重感染していたのであって、多分この比率は将来増加するであろう(KaufmannおよびHess、2000年)。
地球規模の健康への脅威としてのTBの再浮上は、次のことに帰せられる。
1.世界規模のBCGワクチン接種プログラムによる成人の保護の不十分さ
2.TB診断に関連する問題
3.長期のTB治療に対する患者の協力に関連する問題およびヒト結核菌の多剤耐性株の出現
4.HIV感染と結核の重感染
5.社会経済的側面
(結核の検出)
患者の効果的治療および治癒に対する根拠は、実験室試験と組合せた臨床症状の評価に基礎をおく、疾患およびその病原因子の迅速な診断である。(Reischl、1996年)。基本的に、結核の実験室的診断には5つの異なった可能性がある:
1.ミコバクテリア抗原に対する過敏性の測定(例えばツベルクリン皮膚試験)
2.病原体の直接検出(例えば顕微鏡および/または培養)
3.特異的抗体を活用する病原体のタンパク質成分の検出
4.病原体に対して向けられた抗体の特異的検出およびそれらに対応する力価の変化
5.病原体の核酸の特異的検出(そのためには通常試料採取後に病原体の培養が必要になる)。
幾つかの研究で、皮膚試験は以前のウシ結核菌BCGワクチン接種、環境ミコバクテリアへの曝露、またはヒト結核菌による感染の間を信頼性をもって区別できないことが立証された(CharnaceとDelacourt、2001年;Chanら、2000年)。HIVに重感染した患者では、偽陰性が生ずることも知られている。伝統的な顕微鏡検出法(抗酸菌喀痰スメア試験)には、感度が十分でない、桿菌の生菌と死菌との間、またはミコバクテリアの病原性種と非病原性種と間の区別ができない、およびHIV重感染患者での適中率が良くないなどの大きな不利点がある(Palmieriら、2002年)。細菌の培養は診断および疾患の経過観察における参照標準であるが、ヒト結核菌を成長させて同定するためには6〜8週間もかかることがあり(Raqibら、2003年)、而も胸部X線は正常で且つ喀痰スメア測定は陰性のHIV血清陽性患者が見逃されることがある(Palmieriら、2002年)。抗体検出に基づく試験には、大部分の人々で出やすいBCGワクチン接種に起因する偽陽性が高率である、または免疫を麻痺させて抗体形成を妨げるHIVウィルスで重感染したなどの免疫機能低下に起因する偽陰性の悩みがある(Boggianら、1996年)。TB診断への分子的取扱いの使用は迅速且つ鋭敏な検出手段を提供したが、これらの取扱いは費用がかかり而も特別に訓練した人材が必要になる(Kivihya-Nduggaら、2004年)。これらの理由で、それらは、この疾患の制御のコストで既に過度な負担のかかっている、資源に乏しいTB流行地域におけるTB検出には適当でない(O’Brien、1995年;Voelker、1995年)。
本発明の第1の態様に従って、活動性結核の代用のマーカーを検出する方法が提供され、その方法は、
単離したミコール酸抗原またはその合成類似体をリポソーム担体に導入してミコール酸抗原含有リポソームを製造する工程と、
ミコバクテリア起源の単離したミコール酸抗原を固定化して固定化抗原を製造する工程と、
活動性結核に罹っている疑いのあるヒトまたは動物から第1、第2および第3の試料を得る工程であって、各試料は、抗原に対する抗体を含むことができ、第1試料の濃度を希釈により第2および第3試料よりも低くする工程と、
第1試料の一部を試験容器中の固定化ミコール酸抗原に曝露する工程と、
第1試料の一部を対照容器中の固定化ミコール酸抗原に曝露する工程と、
第2試料を、ミコール酸抗原含有リポソームに曝露する工程と、
第3試料を、ミコール酸抗原を含有しないリポソームに曝露する工程と、
第2試料を、ミコール酸抗原含有リポソームへの曝露の後で試験容器に加える工程と、
第3試料を、ミコール酸抗原を含有しないリポソームへの曝露の後で対照容器に加える工程と、
試験および対照容器両方の中のミコール酸抗原に対する抗体の結合をリアルタイムで検出する工程と、
試験容器における結合の方が少しでも少ないことが認められれば、それは試料の出所であるヒトまたは動物中の活動性結核に関係する、試料中のミコール酸抗原に対する抗体の存在の指標であるとして、試験容器と対照容器との間で結合の程度または度合いを比較する工程とを含む。
ミコバクテリア感染は、肺および肺外結核から選択された疾患の原因になるタイプのものであり得る。
ミコール酸抗原は、有毒且つ病原性のミコバクテリアから選択されたミコバクテリアに由来するものとすることができる。特に、ミコール酸抗原はヒト結核菌に由来するものとすることができる。
ミコール酸抗原は、均一なおよび不均一な化合物の混合物から選択された形態であってよい。本発明の好ましい実施形態においては、ミコール酸抗原は最初ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合し、リポソームリン脂質表面層に合体させたミコール酸抗原を有するリポソームを製造する。典型的には、リポソームの製造にリン脂質混合物の超音波処理が含まれるであろう。
第1試料を曝露した試験および対照容器中のミコール酸抗原含有リポソームは固定化されたミコール酸抗原であり得る。固定化方法には、当業者に知られている方法を含めることができる。好ましくは、ミコール酸抗原含有リポソームは活性化された表面に固定化することができる。本発明の好ましい実施形態において、活性化された表面は、疎水性炭化水素と連結した表面結合剤で事前インキュベーションにより活性化して、それから適当な緩衝液で洗浄した、親水性で誘導体化していないバイオセンサーキュベット表面であってよい。前記表面結合剤は塩化セチルピリジニウム(CPC)などのカチオン性洗剤でよい。
本発明の方法において、ミコール酸抗原に対する抗体は活動性結核の代用マーカーとして役立つ。
活動性結核に罹っている疑いのあるヒトまたは動物からの試料は、血液試料、髄液試料およびもともと抗体を含む試料から選択することができる。活動性ミコバクテリア疾患のヒトまたは動物の場合に、試料は該ミコバクテリア病原体に対する抗体を含むであろう。
試料はHIV陽性のヒトからのものであってよい。
前記抗体はヒト結核菌に対する抗体、またはその一部分に対する抗体であってよい。前記抗体はコレステロールなどのステロールに対して交差反応性を示すタイプのものであってよい。前記抗体は低親和性の抗体であってよい。
活動性結核に罹っている疑いのあるヒトまたは動物からの試料は、試料中に存在する如何なる抗体も濃縮されて沈殿しまたは部分的に精製されて、且つ複合していない形態で存在するように、さらに下処理することができる。そのような下処理方法は当業者に知られている。
活動性結核に罹っている疑いのあるヒトまたは動物からの第1、第2および第3試料は、好ましくは、元の試料を希釈前に少なくとも第1、第2および第3試料に分割することにより、元の試料に由来するものであろう。
ヒトまたは動物起源の第2試料のミコール酸抗原への曝露には、第2試料とミコール酸抗原含有リポソームとのプレインキュベーションを含めることができる。典型的には、このプレインキュベーションのための対照に、第3試料と空リポソーム即ちリン脂質のみを含有するリポソームとのプレインキュベーションが含まれるであろう。
ヒトまたは動物起源の第1試料の試験または対照容器中のミコール酸抗原への曝露には、表面をミコール酸抗原および適当なブロッキング試薬で前もってコートすることにより下処理した表面にヒトまたは動物起源の試料を曝露することが含まれる。典型的には、そのようなブロッキング試薬はサポニンまたはカゼインである。
抗体および/または他の物質のミコール酸抗原への結合の検出は、自動化された装置で実施できる。好ましくは、その方法は共鳴ミラーまたは表面プラスモン共鳴バイオセンサー、または圧電信号をモニターすることに基づくセンサーで実施されるであろう。
抗体および/または他の物質のミコール酸抗原への結合の検出はリアルタイムで実施できる。
本出願人らは、ヒトまたは動物起源の試料中のミコール酸に対する抗体の固定化ミコバクテリア抗原へ結合の度合いを単に測定することが、試料中の他の成分との干渉または競合のために、固定化抗原に対する抗体を検出するための信頼できる診断方法ではないということを発見した。本出願人らの発見は、試験容器中のミコール酸に結合する抗体を検出する前に、抗原に対する遊離抗体の量を選択的に減少させるために、予め試料の一部を遊離抗原に曝露することが本発明の鍵となる態様であるということである。この減少は、試験および対照容器中における結合の程度または度合いの比較で検出され、且つ元の試料中における抗原に対する抗体の存在の明確な指標である。
本出願人らは、ヒトまたは動物起源の試料中のミコール酸に対する抗体の固定化ミコバクテリア抗原への結合の度合いを、結合しなかった過剰の抗体を洗い去った後で単に測定することは、大部分の個体におけるミコール酸に対する抗体の低親和性の故に、固定化抗原に対する抗体を検出するための信頼できる方法ではないことも見出した。
本発明のさらに他の特徴は、ここで次の限定するものではない実施例を参照におよび実施例に付随する図を参照に用いる下記の説明で、明らかになるであろう。
図1において、比較は、ウェル毎に抗原として3.75μgのコレステロールを添加したある濃度範囲のミコール酸を含む、ミコール酸およびコレステロールでコートしたウェル上での、患者および健常対照血清についてのものである。全ての血清は1:60の希釈で試験した。陰性対照の試料識別情報はDRで、陽性対照の識別情報は患者1799から1994である。図2において、表面はCPCで活性して且つ(A)、コレステロールリポソームのミコール酸でコート(B)サポニンでブロック(C)、血清の高希釈で較正(D)、それより低希釈で阻害された血清の結合および解離の測定に適用(E)、およびKOHとエタノールとで再生した(F)。図3において、最初の10分間、PBS/AE中1:1000希釈の血清(試料識別情報P69)を両方のセル中でインキュベートした。阻害の検討では、1:500の希釈でプレインキュベートした血清をそれから加えた。(A)ミコール酸またはホスファチジルコリンでの阻害および(B)コレステロールまたはホスファチジルコリンでの阻害および(B)コレステロールおよびホスファチジルコリンでの阻害。図4においては、最初の10分間、PB/AE中1:1000希釈の血清(試料識別情報P22)を両方のセル中でインキュベートした。阻害の検討では、1:500の希釈でプレインキュベートした血清をそれから加えた。(A)ミコール酸またはホスファチジルコリンでの阻害および(B)コレステロールまたはホスファチジルコリンでの阻害。図5において、HP+HN/TPはHIV陽性ならびにHIV陰性患者を含むTB感受性母集団(n=31)を表わす。HN/TNはHIVも陰性であったTB陰性母集団(n=11)を表わし、一方HP/TNはHIV陽性であったTB母集団(n=18)を表わす。長方形は各群においてデータの75%が集まる範囲を表わす。長方形内の十字は各群の中央値を示す。
(発明の説明)
ミコール酸(MA)は高分子量のα−アルキル,β−ヒドロキシ脂肪酸であって、ミコバクテリアおよび幾つかの他の細菌属の細胞外被の特徴的成分である。ミコバクテリア細胞外被において、MAはジミコール酸トレハロース(TDM)即ちコード因子およびモノミコール酸トレハロース(TMM)などの遊離の脂質として存在するが、大方は、ペプチドグリカンに連結した多糖であるアラビノガラクタンの末端ペンタ−アラビノフラノシル基にエステル化されている(BrennanおよびNikaido、1995年)。そのような長鎖脂肪酸の存在は、ミコバクテリア外被の高い疎水性および非常に低い透過性の大きな原因である(Leeら、1996年)。MAを構成する炭素原子の数は、コルネバクテリウム属におけるC20からC30からミコバクテリウム属におけるC80からC90まで変化する。ノカルジアおよびロドコッカスの種のMAは、C36からC66の範囲の長さを有する(Butlerら、1991年)。ミコバクテリアのMAはその細菌の細胞壁の乾燥重量の約40〜60%を構成する(BrennanおよびNikaido、1995年;Leeら、1996年)。ミコール酸の構造は病原性結核菌に独特なので、結核の血清学的診断のための理想的な抗原を提供するであろう。
国際特許出願PCT/GB95/00856号(VerschoorおよびBye、1995年)は、マウスで特異的抗体産生を誘発したミコール酸の免疫源結合体への組込みに関する。ミコバクテリアのミコール酸の抽出および精製のための操作の最適化は、国際特許出願PCT/GB96/00416号(Verschoor、1996年およびGoodrumら、2001年)に開示された。ミコール酸の免疫学的性質は、結核に関して特許化された原理および製品のより広い応用を探索するために、TB感染動物でおよびヒト細胞のin vitro培養で試験した。この研究は国際特許出願PCT/GB98/00681(Verschoorら、1998年)にまとめられており、また出版されている(Korfら、2005年)。米国においては、これから4件の分割出願がなされ、その分割米国特許出願129709号は2002年に米国において、TB感染のための代用マーカーとしてヒト患者での抗ミコール酸抗体の使用に関連して、条件付きで許可された。しかしながら、ヒトまたは動物起源の血清試料において抗ミコール酸抗体の有症率を適切な正確さで立証する方法が当時は知られていなかったので、前記請求を実験データで実証できなかった。
Panら(1999年)はTB患者中の抗ミコール酸抗体が特異的にミコール酸構造を、特にメトキシミコール酸を認識することを示した。ミコール酸は抗原提示細胞(APC)によって、MHCクラスIまたはMHCクラスII分子の関与しない機序を通じて提示される。ミコール酸は、T細胞系の増殖を誘起する能力を有するCD1制限的抗原である(Beckmanら、1994年)。ヒトCD1タンパク質は少なくとも3クラスのミコバクテリア脂質、即ち遊離ミコレート、グリコシル化ミコレートおよびリポアラビノマンナンなどのジアシルグリセロール系糖リン脂質を提示することによりT細胞応答を媒介することが知られている(Beckmanら、1994年;Moodyら、1997年)。ミコール酸抗原のアルキル鎖は、CD1の疎水性溝状部内に直接結合して、T細胞の抗原受容体に疎水性キャップの提示をもたらすという説が出されている(Moodyら、1999年;Porcelliら、1996年)。CD1制限的脂質抗原提示経路は、ミコール酸提示により刺激されるT細胞がCD4表面タンパク質を発現する必要はないので(Schleicherら、2002年)、おそらく、何故ミコール酸への抗体反応が、CD4Tリンパ球数の減少にも拘らず、HIV血清陽性患者に保存されるかの理由になり得るであろう。
(実施例1:結核患者血清中の抗体検出のためのELISA測定)
1.1 材料)
1.1.1 ミコール酸
ミコバクテリアのミコール酸を、Goodrumら(Goodrumら、2001年)が記述したようにして、ヒト結核菌H37Rv(American Type Culture Collection 27294)の培養物から分離した。
1.1.2 ELISA試薬
PBS緩衝液: 1lの蒸留水につきNaCl8.0g、KCl0.2g、KHPO(無水)0.2gおよびNaHPO(無水)1.05g、pH7.4に調節。
希釈緩衝液:pH7.4に調節したPBS中に、0.5%(m/v)の炭水化物および脂肪酸を含まない遊離カゼイン(Calbiochem、カリフォルニア州La Jolla)を含むPBS緩衝液を、血清および免疫試薬を希釈するために使用した。
ブロッキング緩衝液:希釈緩衝液と同じで、ELISAプレートのブロッキングに使用した。
洗浄緩衝液:希釈緩衝液と同じで、ELISAプレートの洗浄に使用した。
コーティング抗原:上記のようにして分離した、ヒト結核菌を起源とするミコール酸およびコレステロール(Sigma、ミズーリ州St.Louis;カタログ番号C−8667)をそれぞれ60μg/mlおよび75μg/mlの最終濃度で使用した。コーティング溶液を調製するために、抗原をPBS中85℃で20分間加熱した。前記熱溶液を20%負荷サイクルおよび最適出力レベルで1分間超音波処理した。前記溶液は85℃に保ち、ELISAプレートに充填した。
結合体:ペルオキシダーゼに結合したヤギ抗ヒトIgG(H+L鎖)抗体をSigmaから得た(カタログ番号A−8667)。
基質:o−フェニレンジアミン(Sigma;カタログ番号P−1526)および過酸化水素(Merck、ドイツ、Darmstadt;カタログ番号BDR10366)。
基質緩衝液:0.1Mクエン酸緩衝液(0.1Mクエン酸および0.1Mクエン酸三ナトリウム、pH4.5に調整)。
1.1.3 ヒト血清
ヒト血清は、結核を罹患したことがない人々からの陰性対照血清および結核と診断されたことのある患者から得た血清である。
1.1.4 プラスチック製品
次のプラスチック製品を使用した:
ELISA:平底96ウェルのプレート(Serowell; Bibby Sterilin Ltd、英国Stone)
滅菌、使い捨て50ml遠心チューブ(Bibby Sterilin)
使い捨てピペット(Bibby Sterilin)
使い捨てピペットのチップ(Bibby Sterilin)。
1.2 方法
1.2.1 ELISAプレートの抗原コーティング
上記のように、それぞれの抗原を熱PBSに溶解してから、超音波処理した。平底ELISAプレートのウェルを50μl/ウェルの抗原溶液を用いて4℃で1夜かけてコートした。最終的な抗原負荷は最大でミコール酸は3.1μg/ウェルおよびコレステロールは3.75μg/ウェルであった。
1.2.2 ELISAプレートのブロッキング
コーティング溶液を軽く叩いて落とし、ウェル当り400μlのブロッキング緩衝液で置換した。ブロッキングは室温で2時間かけて行った。
1.2.3 ヒト抗体の結合
血清または血清沈殿試料を負荷する前に、ブロッキング溶液をウェルから吸い出した。血清は希釈緩衝液で20倍に希釈した。4つ1組で50μlずつウェルに入れた。プレートは室温で1時間インキュベートした。血清試料をウェルから除き、Anthos Autowash自動ELISAプレート洗浄機を使用して、ウェルを3回洗浄してから、吸引により空にした。
1.2.4 結合した抗体の検出
希釈緩衝液で1:1000に希釈したペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgGをウェル当り50μlずつ導入して、プレートを室温で30分間インキュベートした。前記結合体を除去した後、ウェルを洗浄緩衝液で3回洗浄してから、吸引により空にした。
pH4.5の0.1Mクエン酸緩衝液10mlに、10.0mgのo−フェニレンジアミンおよび8.0mgの過酸化水素を含む基質溶液を、使用直前に調製し、ウェル当り50μlずつ導入した。プレートは室温でインキュベートし、基質を加えた後5、30および60分に、SLT340ATC光度計を使用して450nmの波長で発色をモニターした。
1.3 結果および考察
活動性(スメアおよび培養で陽性)肺TBに罹っている患者は、TBの証拠がないヒトに比較して、ヒト結核菌ミコール酸に対する特異的抗体のレベルが上昇している。これらの抗体を酵素結合免疫測定法(ELISA)によって検出した。結果は、図1に表わしたように、TB患者血清は、ミコール酸をコートしたプレートへのより高い抗体結合を示すことにより陰性対照と区別できることを示した。前記陽性TB血清(試料識別情報:患者1799)は200人を超えるTB患者の血清試料から選択された最も強い抗MA抗体結合シグナルを生ずる血清であった。結果はまたミコール酸とコレステロールの抗体への結合の交差反応性を示した。コロレステロールまたはミコール酸のいずれか単独でコートしたウェルで、殆ど同一のシグナルが生じた。コートにおいてミコール酸とコレステロールとの混合物はシグナルに何ら有意な程度には影響しないことも示された。この結果は、ミコール酸とコレステロールの間でのTB患者の抗体の結合の交差反応性を示唆し、ミコバクテリアのミコール酸とコレステロールの間の分子的擬態の仮説を支持した(Siko、2002年)。
抗コレステロール抗体はヒト血清中に普通に見出され、種々の疾患によって誘起され得る(HorvathおよびBiro、2003年、Horvathら、2001年、AlvingおよびWassef、1999年、Dijkstraら、1996年)。これは、抗ミコール酸抗体の有症率を根拠とする血清学的診断測定にとって問題となり得るもので、入院したTBおよびTB患者におけるそのような抗体を定量するELISA技法で登録された多数の偽陽性血清の原因であるかもしれない(Schleicherら、2002年)。
そういうわけで、コレステロールおよびミコール酸に対する結合の特異性を、実施例2に示したように、アフィニティーバイオセンサーで確認した(Cushら、1993年、Myszka、1999年)。
(実施例2:結核患者の血清中の抗体認識のバイオセンサー測定)
2.1 材料
2.1.1 共鳴ミラーバイオセンサー装置
IAsys共鳴ミラーバイオセンサーシステム(Buckleら、1993年)および双子セル非誘導体化キュベットはAffinity Sensors(Cambridge、英国)のものである。
2.1.2 ヒト血清
血清試料は102人の患者(年齢は18歳と65歳の間)から選択したが、患者の半数は活動性肺結核であった。研究母集団は結核陽性(TB)群および対照の結核陰性(TB)群からなるものであった。TB群は新たに診断されたスメア陽性肺結核の患者で構成され、その約50%はHIV血清陽性であった。TB患者は、その約50%がHIV血清陽性であるが、TB以外の医学的疾患を有し、一般病棟から採用した。TB患者の誰も、血清採集時には抗TB化学療法を受けていなかった。
2.1.3 ミコール酸
ミコバクテリアのミコール酸はヒト結核菌H37Rvの培養物(American Type Culture Collection 27294)から、Goodrumら(2001年)の記述のようにして分離した。
2.1.4 バイオセンサー試薬
PBS/EA緩衝液:1lの超純粋蒸留水当り8.0gのNaCl、0.2gのKCI、0.2gのKHPOおよび1.05gのNaHPOを溶解し、1mMのEDTAおよび0.025%(m/v)のアジ化ナトリウムを添加し、pH7.4に調節した
塩化セチルピリジニウム(CPC;Sigma、ミズーリ州St.Louis;カタログ番号C−9002)PBS/EA緩衝液1mlにつき0.02mg
コレステロール(5−コレステン−3β−オール)(Sigma、カタログ番号C−8667):貯蔵溶液 クロホルム(Merck、ドイツ、Darmstadt)1mlにつき100mg
ホスファチジルコリン(純品)(PC−99;Sigma、カタログ番号P−3556):貯蔵溶液 クロホルム1mlにつき100mg
HCl 0.1M
NaOH 10mM
エタノール(Saarchem、南アフリカ) 96%(v/v)脱塩水中
サポニン(Sigma、カタログ番号S−1252) PBS/EA緩衝液中1mg/ml。
2.2 方法
2.2.1 リポソームの調製
コレステロールおよびホスファチジルコリン(100mg/ml)の貯蔵溶液は、秤量した量をクロロホルムに溶解して調製した。コレステロ−ル含有リポソームは30μlのコレステロールおよび60μlのホスファチジルコリン(Sigma、ミズーリ州St.Louis)の貯蔵溶液を合わせることにより調製した。ミコール酸含有リポソームは、90μlのホスファチジルコリン貯蔵溶液を1mgの乾燥ミコール酸に加えることにより調製した。空の、即ちコレステロ−ルおよびミコール酸を含まないリポソームは、90μlのホスファチジルコリン貯蔵溶液を採取することにより調製した。ピペット採取する間、全てのものはクロロホルムの蒸発を避けるために氷上に置いた。リポソームの原料はヒートブロック中85℃で約10分間窒素ガスを通して乾燥した。リポソーム形成は2mlの食塩水(0.9%)の添加および5分毎にボルテックスをかけながらヒートブロック中85℃に20分間置くことにより誘起した。それから、形式B−30のBranson超音波処理装置(Sonifer Power Company、米国)を用いて30%負荷サイクル出力3%でリポソームを2分間超音波処理した。超音波処理装置のチップは、使用前にクロロホルムで徹底的に洗浄し、蒸留水ですすいだ。前記リポソーム(200μl)を10本のチューブに分注し、凍結乾燥前に−20℃に1夜保った。凍結乾燥後、リポソームを含む各チューブに2mlのPBS/AEを加えた。これらのチューブをヒートブロックに20分間置いて、前と同じように超音波処理した。
2.2.2 IAsysアフィニティーバイオセンサー上におけるヒト血清中の抗ミコール酸の検出
IAsysアフィニティーバイオセンサー上の全ての実験のために、IAsysソフトウェアを使用して、装置をデータ採取間隔0.4s、温度25℃および撹拌速度75%にセットした。セルは使用前にエタノール(98%)で3回洗浄し、次にPBS/AEで十分に洗浄した。PBS/AEの容量60μlをキュベットの各セルにピペットで分注し、1分間安定な基線を得た。その次にPBS/AEを吸引して、50μlの塩化セチルピリジニウム(CPC)で10分間表面を活性化した。それに続いて60μlのPBS/AEで5回洗浄してから、新しい基線のために25μlのPBS/AEで置換し、その後でミコール酸含有リポソームを前記表面に20分かけて固定した。それから固定化したリポソームを60μlのPBS/AEで最終的に5回洗浄し、50μlのサポニンで置換して、10分間インキュベートした。この後者の工程は、それに続く結合事象の間にキュベットの表面に他の分子が非特異的に結合するのを避けるために行った。
次に前記表面をPBS/AEで5回洗浄し、各セルの内容物を25μlのPBS/AEで置換して、平衡になるように約5〜10分間放置すると安定な基線に達した。阻害の検討は、最初室温に置き完全に解凍した患者血清を使用して実施した。安定な基線を得た後、血清抗体のPBS/AE中1:1000希釈液(10μl)を加え、10分かけて2つのセルの応答を比較した。ミコール酸もしくはコレステロールのいずれかを含有するリポソームまたは空のリポソーム(ホスファチジルコリンのみ)と血清抗体の1:500希釈液とのプレインキュベーションを20分間放置して行った。次に阻害の検討のために、これら(10μl)を異なったセル、一方はミコール酸またはコレステロール入り、他方は対照としてのホスファチジルコリン入りのセルに加え、10分間放置して結合させた。最後に、3回のPBS/AE洗浄で抗体を解離させて、5分間反応の測定を行った。
2.2.3 非誘導体化キュベットの再生
再生は、最初96%エタノールで1分間の洗浄を3回、次に70μlのPBS/AEで1分間の洗浄を7回行うことにより実施した。それから前記表面を最終的に50μlの水酸化カリウム(12.5M)で2分間処理し、続いて70μlのPBS/AEで1分間の洗浄を7回行った。
2.3 結果および考察
リアルタイムでリポソーム中の脂質抗原への特異的抗体の結合を測定するために包含される主要な6段階は:(A)前記表面のCPCによる活性化、(B)コレステロールまたはミコール酸を含有するリポソームの前記表面への固定化、(C)非特異的タンパク質結合を防止するためのサポニンによるブロッキング、(D)前記キュベットの2つのセルのシグナルを較正するための、血清の高希釈液からの抗体の結合(会合)、(E)より低希釈度での阻害された患者血清の結合および解離、および最後に(F)表面再生である(図2)。
2.3.1 ヒト血清中の抗ミコール酸抗体の検出
光学IAsysバイオセンサー上でのミコール酸またはコレステロールに対する抗体を検出するために、Schleicherら(2002年)の収集から選択した患者血清を使用した。ELISA実験は、Schleicherら(2002年)に記載されているようにして、実施した。コレステロールおよびミコール酸の構造(実施例1参照)の間には擬態があり得るという説が提出されているので、前記バイオセンサー測定においてミコール酸を指向する抗体がコレステロールにも結合するであろうか否かを決定するために、結合の特異性を試験することは重要であった。このことは、ミコール酸またはコレステロールのいずれかを含有するリポソームで試験血清をプレインキュベートすることおよびこれらをミコール酸でコートしたバイオセンサーキュベット上に適用することによって決定された。対照実験において、血清はミコール酸もコレステロールも含有しない空のリポソーム(ホスファチジルコリンのみ)でプレインキュベートした。喀痰陽性TB患者の血清のミコール酸リポソームとのプレインキュベーションの結果は、ホスファチジルコリンリポソームでプレインキュベートした同じ血清により生ずるシグナルの比較したとき、ミコール酸でコートしたキュベット表面への抗体結合の阻害であった(図3A)。このことにより、喀痰陽性のTB患者血清におけるミコール酸への抗体の結合の特異性が確認された。同じ患者血清をコレステロールリポソームとプレインキュベートしたときには、抗体結合の明確な阻害はなかった(図3B)。この結果は結核患者における抗ミコール酸抗体はコレステロールに対してよりもミコール酸に対して高い親和性を有することを示唆する。
喀痰陰性の対照血清(HIVTB)をミコール酸(図4A)またはコレステロール(図4B)のいずれかを含有するリポソームとプレインキュベートして、ミコール酸への抗体の結合を決定するためにバイオセンサー上で試験したとき、結合の阻害は観察されなかった。このことは、血清とミコール酸とのプレインキュベーション後には、特異的抗ミコール酸抗体はTB患者においてのみ明示されて、TB対照においては明示されないことを示す。
102人のTB患者および対照血清のバイオセンサー分析から得た生データを、測定の正確さおよび解釈について評価して、次の基準を適用した:
・1キュベットの2セルにおける高希釈血清のキュベットセル較正曲線は、相対的応答振幅に関して同一性90〜100%以内に収まらなければならないとした。
・較正曲線概観は視認により同様のものでなければないとした。
・較正曲線の結合の振幅は少なくとも分析した102試料全部の平均マイナス1標準偏差でなければならないとした。これを言い換えると、較正曲線に求められる最小の応答振幅として480−145=335角度秒になった。
・試料を繰り返して試験したときに、結果に再現性がなければならないとした。
分析した102の血清の内、61が上の基準に合った。これらを32のTB陽性(HPTP+HNTP)、11のHNTN=HIV陰性、TB陰性および18のHPTN試料に分割した(図5)。
18のHPTN血清は、痰のミコバクテリア成長の参照標準がこの母集団では正確に測定できないことが知られているので、61のデータ点に基づく試験の性能パラメータの計算では除外した。したがって測定の正確度は35/43=81%になり、感度は25/32=78%、特異性は10/11=82%、陽性合計/臨床陽性=26/32=81%になった。TB母集団に対する平均阻害百分率は40±30およびTB母集団は11±16であった。HPTPのみをHPTN患者と比較したとき、測定の正確度は25/41=61%、感度は18/23=78%、特異性は7/18=39%、陽性合計/臨床陽性=29/23=126%になった。後者はバイオセンサー血清学的診断試験のHIV患者におけるTBを検出するより良い能力を反映しているかもしれない。ここでの正確度および特異性は多分計算されたものよりよいが、しかしそれらはHP母集団では不正確である(Palmieriら、2002年)と知られている結核に対する血液以外に基づく診断方法の標準に対して測定されたので低いように思われる。我々は、我々の試験はHP母集団において特に正確であり得るという意見である。それ故、この母集団におけるTBを診断するために、現在の痰ミコバクテリア成長試験を賢明にも我々の試験で置き換えることができる。
ELISAの57%(Schleicherら、2002年)という正確度に比較して、約80%というバイオセンサーの改良された正確度は2つの機序によって生れる。
第1に、コレステロールの交差反応性がバイオセンサーでは排除できて、偽陽性の数を減少する。第2にELISAにおける抗体付加後の洗浄工程がバイオセンサーでは必要なくて、後者の低親和性の抗体の検出に対する感度が良くなり、それにより偽陰性の数が減少する。
バイオセンサー測定で残る偽陰性スコアは、強い免疫抑制治療下にあるかまたは糖尿病もしくは癌などの疾患に基づく免疫抑制に苦しむ患者由来の可能性がある。
バイオセンサーはミコール酸に対する低親和性抗体の結合を検出できたが、これは従来の方法が為し得なかったことである。その理由は、洗浄工程が取り入れられればミコール酸コート表面に結合した抗体が洗い去られることを示すことによりバイオセンサーで実証することができる(データは示さない)。ELISA測定においては、最終の発色の前の洗浄工程が必須であって、それ故に多くの患者がこの標準的技法の試験で偽陰性とされた。それ故、バイオセンサーの成功は、ミコール酸に低親和性の抗体でさえも信頼できる検出および関連抗原への結合間の判別能力にある。これらの必要条件に適合する如何なる他の技法も、結核のための代用マーカーとしての抗ミコール酸抗体の検出に基づいて結核感染を診断するために使用できる。
本明細書で提示した新規な血清学的診断方法は、AIDSおよびHIV感染の広く蔓延している環境における結核感染の診断の特に適用できると思われる。これが、結核の血清学的診断への発表された最先端を行く最高の技術の取組みにおいて、抗原としてミコバクテリア細胞からの脂質を使用するときでさえも、主な障碍であったようである(Boggianら、1996年)。
本出願人らは、種々の抗原を使用する、TB患者血清中のヒト結核菌に対する抗体の研究において報告された進歩(Lyashchenkoら、1998年;Panら、1999年;Julianら、2002年;Schleicherら、2002年;Lopez-Marinら、2003年;Pottunarthyら、2000年;Samanichら、2000年;Moranら、2001年)にも拘らず、結核の血清学的診断測定で現在受け入れられているものはないと信ずる。Antunesら(2002年)は、リポアラビノマンナン(LAM)抗原に対する特異的IgG抗体の検出に基づく結核のためのMycoDot血清学的測定を述べたが、その観察された感度の値は、HIVに関連したTBの場合に決定的に低くて、それがHIVの広く流行している地域におけるこの試験の有用性に異議を唱えることになった。LAMは抗原として、HIVが母集団に蔓延していない限りTBの血清学的診断においてのみ満足できるもののように思われる。
本発明の利点は、ヒトおよび動物被検者における病原性ミコバクテリア感染のための代用マーカーとして、血液試料からミコール酸に対する抗体を検出する、高度に予測的、簡単、正確および迅速な方法を、本発明が提供することである。したがって、この方法は次のことに使用することができる。
1.病原性ミコバクテリア感染により引き起こされた肺結核および他の疾患の迅速即ち試料採取から3ないし8時間以内の診断。
2.肺以外の器官における結核の迅速診断即ち腎臓、皮膚、胸膜または脊髄の結核など肺痰試料の分析によっては達成できない診断。
3.HIV重感染患者の結核感染の診断。
4.疾患の軽快の迅速な検出による、治療プログラムのある結核患者の治療計画の順守、または薬剤耐性誘起のモニタリング。
5.結核を診断するコストおよび複雑性の低下。
なおその上に、実験的証拠は、病気が重症化して入院したヒト結核菌感染者から得た血液試料の大部分(78%)においてミコール酸に対する抗体が生ずることおよび病気が重症化して入院したヒト結核菌に感染していなかった同数の人々の血液試料でそのような抗体は概して(82%)見出されなかったことを示す。
コレステロールが抗体結合においてミコール酸と交差反応性の抗原であることおよびコレステロールが抗ミコール酸抗体との結合に対してミコール酸よりも弱い抗原であることを示す実験的証拠も、本発明は考慮にいれている。それ故、抗ミコール酸抗体の結合の特異性は前記方法に明示されている。血液試料とミコール酸とのプレインキュベーションは抗ミコール酸抗体と固定化されたミコール酸との相互作用を阻害するが、同モル濃度のコレステロールは阻害しない。それ故前記方法は抗体のミコール酸への結合および血液試料とミコール酸とをプレインキュベートすることによる結合阻害の両方を測定する。それ故前記の方法は、測定の終点が血清と可溶化ミコール酸とのプレインキュベーション後の血清免疫グロブリンのミコール酸への結合阻害の程度であるという利点を有する。さらにその上、前記の方法の終点は、低親和性の抗体の結合を、および血液試料がミコール酸とプレインキュベートされるときは結合阻害を許容するエバネッセント場バイオセンサー(導波管または表面プラスモン共鳴)で一貫して決定できる。前記終点は、もっと高い親和性に片寄った、ミコール酸またはコレステロールに対する抗体結合間を確実には区別できないELISAなどの標準的免疫測定では一貫して決定できない。
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図1は、天然のミコール酸およびコレステロールをコートしたウェル上での患者および健常対照血清のELISA比較を示す図である。 図2は、ミコール酸またはリポソームでコートしたIAsysバイオセンサーキュベット表面上における抗体結合またはコレステロールもしくはミコール酸およびホスファチジルコリンのリポソームによる結合阻害を測定するプロセスをまとめてある典型的な図である。 図3は、IAsysキュベットのミコール酸固定化表面上におけるヒトTB患者(HIV)血清抗体結合の阻害を示す図である。 図4は、IAsysキュベットのミコール酸固定化表面上におけるヒトTB患者血清抗体結合の阻害を示す図である。 図5は、ミコール酸コートしたキュベット上における血清とミコール酸およびホスファチジルコリンのリポソームとのプレインキュベーション後のTB患者およびTB対照におけるバイオセンサーシグナルの結合阻害百分率を示す図である。

Claims (17)

  1. 活動性結核の代用マーカーを検出する方法であって、
    単離したミコール酸抗原またはその合成類似体をリポソーム担体に導入してミコール酸抗原含有リポソームを製造する工程と、
    ミコバクテリア起源の単離したミコール酸抗原を固定化して固定化抗原を製造する工程と、
    活動性結核を持つ疑いのあるヒトまたは動物から、第1、第2および第3の試料を得る工程であって、各試料は、抗原に対する代用マーカー抗体を含むことができ、第1試料の濃度を希釈により第2および第3の試料よりも低くする工程と、
    第1試料の一部を試験容器中の固定化ミコール酸抗原に曝露する工程と、
    第1試料の一部を対照容器中の固定化ミコール酸抗原に曝露する工程と、
    第2試料を、ミコール酸抗原含有リポソームに曝露する工程と、
    第3試料を、ミコール酸抗原を含有しないリポソームに曝露する工程と、
    第2試料を、ミコール酸抗原含有リポソームへの曝露の後で試験容器に加える工程と、
    第3試料を、ミコール酸抗原を含有しないリポソームへの曝露の後で対照容器に加える工程と、
    試験および対照容器両方の中のミコール酸抗原に対する抗体の結合をリアルタイムで検出する工程と、
    試験容器における結合の方が少しでも少ないことが認められれば、それは試料の出所であるヒトまたは動物中の活動性結核に関係する、試料中のミコール酸抗原に対する抗体の存在の指標であるとして、試験容器と対照容器との間で結合の程度または度合いを比較する工程と
    を含む方法。
  2. 前記ミコバクテリア感染が、肺および肺外結核から選択された疾患を引き起こすタイプのものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ミコール酸抗原が、有毒且つ病原性のミコバクテリアから選択されたミコバクテリアに由来する、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記ミコール酸抗原がヒト結核菌に由来する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記ミコール酸抗原が、均一および不均一化合物混合物から選択された形態である、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ミコール酸抗原含有リポソームが活性化された表面に固定化される、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記活性化された表面が、疎水性炭化水素と連結した表面結合剤で事前インキュベーションにより活性化した、親水性で誘導体化していないバイオセンサーキュベット表面である請求項6に記載の方法。
  8. 前記ヒトまたは動物起源の試料が、血液試料、髄液試料およびもともと抗体を含む試料から選択される、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記試料がHIV陽性のヒトからのものである、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記抗体が、ヒト結核菌に対する抗体またはヒト結核菌の一部に対する抗体である、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記抗体がステロールに対する交差反応性を示すタイプのものである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記抗体が低親和性の抗体である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記ヒトまたは動物起源の第1、第2および第3の試料が、元の試料を希釈前に少なくとも第1、第2および第3の試料に分割することにより元の試料に由来する、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記ヒトまたは動物起源の第2試料のミコール酸抗原への曝露が第2試料とミコール酸抗原含有リポソームとのプレインキュベーションを含む、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記第3試料と空リポソーム即ちリン脂質のみを含有するリポソームとのプレインキュベーションを含む、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記ヒトまたは動物起源の第1試料の試験および対照容器中のミコール酸抗原への曝露が、表面をミコール酸抗原および適当なブロッキング試薬で前もってコートすることにより下処理した表面にヒトまたは動物起源の試料を曝露することを含む、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
  17. 共鳴ミラーまたは表面プラスモン共鳴バイオセンサーまたは圧電信号をモニターすることに基づくセンサーで実施する、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
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