発明の詳細な説明
1.概要
本発明は、炎症誘発性サイトカインおよびサイトカイン受容体に対する抗体を提供することによってこれらの必要性に取り組む。特に、本発明は、IL-20(交換可能にZcyto10とも呼ばれる)に対する抗体、およびその受容体の1つ、IL-20RA/IL-20RB(交換可能にZcytoR7/pDIRS1とも呼ばれる)に対する抗体に向けられ、これには、中和抗体である、抗IL-20抗体、抗IL-20RA抗体、抗IL-20RB抗体、および抗IL-20RA/IL-20RB抗体が含まれ、ならびにそれゆえに炎症疾患における使用、ならびに関連する組成物および方法が含まれる。
他の発明の中でも、本発明は、IL-20、ならびにその受容体サブユニットIL-20RAおよびIL-20RB、ならびに受容体ヘテロ二量体IL-20RA/IL-20RBに対する中和抗体の新たな用途を提供する。詳細には、これらの抗体は、ヒトの炎症疾患および自己免疫疾患の治療において有用である。本発明はまた、これもヒトの炎症疾患および自己免疫疾患の治療における使用のためである、その抗体断片を提供する。本発明の、中和抗体である抗IL-20抗体、抗IL-20RA抗体、抗IL-20RB抗体、および抗IL-20RA/IL-20RBヘテロ二量体抗体が、乾癬、乾癬性関節炎、関節炎、内毒素血症、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、および本明細書において開示される他の炎症状態のような特定のヒト疾患の治療においてIL-20の活性を拮抗するために用いることができる。
ヒトIL-20をコードする例としてのヌクレオチド配列を配列番号:1に提供する。対応するコードされるポリペプチドを配列番号:2に示す。IL-20(配列番号:1)をコードするヒトcDNAクローンの分析から、配列番号:1および配列番号:2に示されるような最初のMetを有する、176アミノ酸をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号:2)が明らかとなった。アミノ酸残基1〜24はシグナル配列であり、成熟配列は、配列番号:3によってもまた定義される残基25のロイシンから残基176のグルタミン酸までから構成されるアミノ酸配列によって表される。本発明の別の態様は、配列番号:4および配列番号:5の配列によって定義される。配列番号:5のポリペプチドは、151アミノ酸から構成され、ここで、アミノ酸1〜24はシグナル配列を含み、成熟配列は、配列番号:6によってもまた定義されるアミノ酸残基25のロイシンからアミノ酸151のグルタミン酸までから構成される。別の活性変種はまた、配列番号:2のアミノ残基33のシステインからアミノ酸残基176までから構成される。この変種はまた、配列番号:7によって定義される。マウスIL-20は配列番号:8〜12によってコードされる。IL-20は、共有される米国特許第6,576,743号、共有されるWIPO出願国際公開公報98/25228号に開示されており、これらの両方は参照により本明細書に組み入れられる。
IL-20のための1つの受容体は、2つの鎖、α鎖およびβ鎖から構成される。以下IL-20RAと呼ばれるα鎖は、正式にはZcytoR7と呼ばれた。以下IL-20RBと呼ばれるβ鎖は、正式にはDIRS1と呼ばれた。IL-20RAについての例としてのヌクレオチド配列は配列番号:13である。コードされるポリペプチドは配列番号:14に示される。IL-20RA(配列番号:13)をコードするヒトcDNAクローンの分析から、アミノ酸残基約221個(配列番号:14の残基30〜250位;および配列番号:15)の細胞外リガンド結合ドメイン、アミノ酸残基約24個(配列番号:14の残基251〜274位)の膜貫通ドメイン、およびアミノ酸残基約279個(配列番号:14の残基275〜553位)の細胞内ドメインを含むアミノ酸553個をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号:14)が明らかとなった。このように、ヒトIL-20RAの細胞外ドメインは、配列番号:16、17、18および19からなる群より選択されるポリペプチドから構成され、全長受容体サブユニットは配列番号:14から構成される。IL-20RAは、共有される米国特許第5,945,511号および共有されるWIPO出願国際公開公報98/03029号に開示されており、これらの両方は参照により本明細書に組み入れられる。
ヒトIL-20RB(pDIRS1)をコードする例としてのヌクレオチド配列は配列番号:20によって提供される。コードされるポリペプチドは配列番号:21に示される。変種IL-20RBは配列番号:22および23によって提供される。IL-20RBの細胞外ドメインは、配列番号:24、25、26、27、28、29および30からなる群より選択されるポリペプチドから構成される。IL-20RBは、米国特許第6,586,228号に開示されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
下記のように、本発明は、単離ポリペプチドが、配列番号:2、3、14、15、21または23のアミノ酸配列からなるポリペプチドと特異的に結合する抗体に特異的に結合する、配列番号:2、3、14、15、21または23と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または96%、97%、98%、のような95%より大きい、または99%を超えてまたはそれ以上同一であるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを提供する。その上、本発明はまた、IL-20(例えば、配列番号:2または3に示されるヒトIL-20ポリペプチド配列)、IL-20RA(例えば、配列番号:14または15に示されるヒトIL-20RAポリペプチド配列)、およびIL-20RB(例えば、配列番号:21または23に示されるヒトIL-20RBポリペプチド配列)に結合される上記に開示されるような単離ポリペプチドを提供する。ヒトIL-20ポリペプチド配列を配列番号:1に示す。マウスIL-20ポリヌクレオチド配列を配列番号:10に示し、対応するポリペプチドを配列番号:11に示す。
本発明はまた、配列番号:2、3、14、15、21、または23のアミノ酸配列の少なくとも15連続アミノ酸残基を含む単離ポリペプチドおよびエピトープを提供する。例としてのポリペプチドには、配列番号:2、3、14、15、21、または23、その抗原性エピトープ、またはその機能的IL-20結合断片を含む、またはそれらからなるポリペプチドが含まれる。その上、本発明はまた、IL-20に結合する、その活性を拮抗または中和する、先に開示した単離ポリペプチドを提供する。
本発明にはまた、変種ポリペプチドのアミノ酸配列が、IL-20については配列番号:2または3、IL-20RAについては配列番号:14または15、IL-20RBについては配列番号:21または23のアミノ酸残基と、少なくとも70%同一性、少なくとも80%同一性、少なくとも90%同一性、少なくとも95%同一性、または96%、97%、98%のような95%より大きい同一性、または99%より大きいまたはそれ以上の同一性からなる群より選択される、同一性を共有し、変種ポリペプチドと対応するアミノ酸配列との如何なる差も一つまたはそれ以上の保存的アミノ酸置換によって起こる、変種IL-20、IL-20RA、およびIL-20RBポリペプチドが含まれる。そのような保存的アミノ酸置換は本明細書に開示される。その上、本発明はまた、IL-20に結合する、その活性を拮抗または中和する上記のような単離ポリペプチドを提供する。
本発明はさらに、そのようなポリペプチドと特異的に結合する抗体および抗体断片をさらに提供する。例としての抗体には、中和抗体、ポリクローナル抗体、マウスモノクローナル抗体、マウスモノクローナル抗体に由来するヒト化抗体、およびヒトモノクローナル抗体が含まれる。例としての抗体断片には、F(ab')2、F(ab)2、Fab'、Fab、Fv、scFv、および最小の認識単位が含まれる。中和抗体は好ましくは、IL-20のその受容体との相互作用が中和されるようにIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBに結合する。本発明にはさらに、担体と、本明細書に記述のペプチド、ポリペプチド、または抗体とを含む組成物が含まれる。
さらに、本発明は、薬学的に許容される担体と、発現ベクターまたはそのような発現ベクターを含む組換え型ウイルスの少なくとも一つとを含む薬学的組成物を提供する。本発明にはさらに、薬学的に許容される担体および本明細書に記述のポリペプチドまたは抗体を含む薬学的組成物が含まれる。
本発明はまた、配列番号:2、3、5、6、7、14〜19、21、23〜30のアミノ酸配列またはその断片を含む、ポリペプチドに特異的に結合する抗体または抗体断片に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体、または抗イディオタイプ抗体断片を企図する。例としての抗イディオタイプ抗体は、配列番号:3からなるポリペプチドに特異的に結合する抗体に結合する。
本発明はまた、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドのいずれかと、免疫グロブリン部分とを含む融合タンパク質を提供する。そのような融合タンパク質において、免疫グロブリン部分は、ヒトFc断片のように免疫グロブリン重鎖定常領域であってもよい。本発明にはさらに、そのような融合タンパク質をコードする単離核酸分子が含まれる。
本発明はまた、可溶性受容体を含む、単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、および多量体受容体のような、IL-20ポリペプチド断片、IL-20RA細胞外ドメイン、またはIL-20RB細胞外ドメインのいずれかを含むポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を提供する。その上、そのような抗体は、IL-20の、その受容体に対する結合に拮抗するために用いることができる。
その上、IL-20の過剰発現がヒト乾癬病変において示されており、IL-20がヒト乾癬にも関与していることを示唆している。その上、本明細書に記述するように、トランスジェニックマウスにおけるIL-20の過剰発現は、乾癬表現型を示す上皮の肥厚および免疫細胞の関与を示した。そのため、IL-20RA可溶性受容体、ならびに抗ヒトIL-20、抗ヒトIL-20RA、または抗ヒトIL-20RBモノクローナル抗体および本発明の中和抗体を含むそれに対する抗体のような、IL-20活性に対するアンタゴニストは、炎症疾患の治療において、特に乾癬の治療において、IL-20に対するアンタゴニストとして有用である。その上、IL-20RA可溶性受容体、ならびに抗ヒトIL-20RAモノクローナル抗体および本発明の中和抗体を含むそれに対する抗体のようなIL-20活性に対するアンタゴニストは、他の炎症疾患の治療において、例えばアトピー性皮膚炎、IBD、大腸炎、内毒素血症、関節炎、リウマチ性関節炎、および乾癬性関節炎、成人呼吸器疾患(ARD)、敗血症ショック、多臓器不全、喘息または気管支炎のような炎症性肺損傷、細菌性肺炎、乾癬、湿疹、アトピー性および接触性皮膚炎、ならびに炎症性大腸炎およびクローン病のような炎症性腸疾患の治療において、IL-20に対するアンタゴニストとして有用である。
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明を参照してより明らかとなるであろう。さらに、様々な参考文献を下記に示し、その全内容物が参照として本明細書に組み入れられる。
2.定義
以下の説明において、多くの用語が広く用いられている。以下の定義は、本発明の理解を促進するために提供される。
本明細書において用いられるように、「核酸」または「核酸分子」とは、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)のようなポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって産生された断片、およびライゲーション、切断、エンドヌクレアーゼ作用、およびエキソヌクレアーゼ作用によって産生された断片を指す。核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド(DNAおよびRNAのような)である単量体、または天然に存在するヌクレオチド(例えば、天然に存在するヌクレオチドのαエナンチオマー型)の類似体、または双方の組み合わせからなりうる。改変ヌクレオチドは、糖部分および/またはピリミジンまたはプリン塩基部分において改変を有しうる。糖改変には、例えば一つまたはそれ以上のヒドロキシル基をハロゲン、アルキル基、アミン、およびアジド基に置換することが含まれ、または糖はエーテルもしくはエステルとして官能基化することができる。その上、糖部分全体を、アザ糖および炭素環糖類似体のような、立体的および電子的に類似の構造に置換することができる。塩基部分における改変の例には、アルキル化プリンおよびピリミジン、アセチル化プリンもしくはピリミジン、または他の周知の複素環置換体が含まれる。核酸単量体は、ホスホジエステル結合またはそのような結合の類似体によって結合することができる。ホスホジエステル結合の類似体には、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニリデート、ホスホロアミデート等が含まれる。「核酸分子」という用語にはまた、ポリアミド骨格に結合した天然に存在する、または改変核酸塩基を含む、いわゆる「ペプチド核酸」が含まれる。核酸は、一本鎖または二本鎖のいずれかとなりうる。
「核酸分子の相補体」という用語は、参照ヌクレオチド配列と比較して逆方向の相補的ヌクレオチド配列を有する核酸分子を指す。
「縮重ヌクレオチド配列」という用語は、ポリペプチドをコードする参照核酸分子と比較して一つまたはそれ以上の縮重コドンを含むヌクレオチドの配列を指す。縮重コドンは、異なるヌクレオチドトリプレットを含むが、同じアミノ酸残基(すなわち、GAUおよびGACトリプレットはそれぞれAspをコードする)をコードする。
「構造遺伝子」という用語は、メッセンジャーRNA(mRNA)に転写され、その後特定のポリペプチドに特徴的なアミノ酸の配列に翻訳される核酸分子を指す。
「単離核酸分子」は、生物のゲノムDNAに組み入れられていない核酸分子である。例えば、細胞のゲノムDNAから分離されている増殖因子をコードするDNA分子は、単離DNA分子である。単離核酸分子のもう一つの例は、生物のゲノムに組み入れられていない化学合成された核酸分子である。特定の種から単離されている核酸分子は、その種からの染色体の完全なDNA分子より小さい。
「核酸分子構築物」は、ヒトの介入を通して、天然に存在しない配置で組み合わせて並置した核酸のセグメントを含むように改変されている一本鎖または二本鎖核酸分子である。
「直線状DNA」は、遊離の5'および3'末端を有する非環状のDNA分子を指す。直線状DNAは、プラスミドのような閉環DNA分子から、酵素消化または物理的破壊によって調製することができる。
「相補的DNA(cDNA)」は、逆転写酵素によってmRNA鋳型から形成された一本鎖DNA分子である。典型的に、逆転写を開始するために、mRNAの一部と相補的なプライマーが用いられる。当業者はまた、そのような一本鎖DNA分子とその相補的DNA鎖からなる二本鎖DNA分子を指すために、「cDNA」という用語を用いる。「cDNA」という用語はまた、RNA鋳型から合成したcDNA分子のクローンを指す。
「プロモーター」は、構造遺伝子の転写を指示するヌクレオチド配列である。典型的に、プロモーターは、構造遺伝子の転写開始部位に近位の遺伝子の5'非コード領域に存在する。プロモーター内で転写の開始において機能する配列要素はしばしば、コンセンサスヌクレオチド配列を特徴とする。これらのプロモーター要素には、RNAポリメラーゼ結合部位、TATA配列、CAAT配列、分化特異的要素(DSEs;McGeheeら、Mol. Endocrinol. 7:551(1993))、環状AMP反応要素(CREs)、血清反応要素(SREs;Treisman、Seminars in Cancer Biol. 1:47(1990))、グルココルチコイド反応要素(GREs)、およびCRE/ATF(O'Reillyら、J. Biol. Chem. 267:19938(1992))、AP2(Yeら、J. Biol. Chem. 269:25728(1994))、SP1、cAMP反応要素結合タンパク質(CREB;Loeken、Gene Expr. 3:253(1993))、および八量体因子(一般的に、Watsonら編、「Molecular Biology of the Gene」、第四版、(Benjamin/Cummings Publishing Company、1987)、およびLemaigre and Rousseau、Biochem. J. 303:1(1994))のような他の転写因子の結合部位が含まれる。プロモーターが誘導型プロモーターである場合、転写速度は誘導物質に反応して増加する。対照的に、プロモーターが構成的プロモーターである場合、転写速度は誘導物質によって調節されない。抑制性プロモーターも同様に既知である。
「コアプロモーター」は、TATAボックスおよび転写開始を含むプロモーター機能にとって本質的なヌクレオチド配列を含む。この定義により、コアプロモーターは、活性を増加させる、または組織特異的活性を付与する可能性がある特異的配列の非存在下で検出可能な活性を有してもよく、有しなくてもよい。
「調節要素」は、コアプロモーターの活性を調節するヌクレオチド配列である。例えば、調節要素は、特定の細胞、組織、またはオルガネラにおいて独占的または選択的に転写を可能にする細胞要素に結合するヌクレオチド配列を含んでもよい。これらのタイプの調節要素は通常、「細胞特異的」、「組織特異的」、または「オルガネラ特異的」に発現される遺伝子に関連する。
「エンハンサー」は、転写開始部位に対するエンハンサーの距離または方向にかかわらず、転写効率を増加させることができるタイプの調節要素である。
「異種DNA」は、所定の宿主細胞において天然に存在しないDNA分子またはDNA分子の集団を指す。特定の宿主細胞に対して異種であるDNA分子は、宿主DNAを非宿主DNA(すなわち、外因性のDNA)と組み合わせる限り、宿主細胞種に由来するDNA(すなわち、内因性のDNA)を含んでもよい。例えば、転写プロモーターを含む宿主DNAセグメントに機能的に結合したポリペプチドをコードする非宿主DNAセグメントを含むDNA分子は、異種DNA分子であると見なされる。逆に、異種DNA分子は、外因性のプロモーターに機能的に結合した内因性の遺伝子を含みうる。もう一つの例として、野生型細胞に由来する遺伝子を含むDNA分子は、そのDNA分子が野生型遺伝子を欠損する変異体細胞に導入されている場合、異種DNAであると見なされる。
「ポリペプチド」は、天然または合成的に産生されるか否かによらず、ペプチド結合によって結合されたアミノ酸残基のポリマーである。アミノ酸残基約10個未満のポリペプチドは、一般的に「ペプチド」と呼ばれる。
「タンパク質」は、一つまたはそれ以上のポリペプチド鎖を含む高分子である。タンパク質はまた、炭化水素基のような非ペプチド成分を含んでもよい。炭化水素および他の非ペプチド置換基を、タンパク質が産生される細胞によってタンパク質に加えてもよく、これは細胞のタイプによって変化するであろう。タンパク質は、本明細書においてアミノ酸骨格構造に関して定義される;炭化水素基のような置換基は一般的に明記されないが、存在してもよい。
非宿主DNAによってコードされるペプチドまたはポリペプチドは、「異種」ペプチドまたはポリペプチドである。
「クローニングベクター」は、宿主細胞において自律複製能を有するプラスミド、コスミド、またはバクテリオファージのような核酸分子である。クローニングベクターは典型的に、ベクターの本質的な生物機能を喪失することなく、決定可能な方法で核酸分子の挿入を可能にする一つまたは小数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位と共に、クローニングベクターによって形質転換された細胞の同定および選択において用いるために適したマーカー遺伝子を含む。マーカー遺伝子には典型的にテトラサイクリン抵抗性またはアンピシリン抵抗性を提供する遺伝子が含まれる。
「発現ベクター」は、宿主細胞において発現される遺伝子をコードする核酸分子である。典型的に、発現ベクターは、転写プロモーター、遺伝子、および転写ターミネータを含む。遺伝子発現は通常、プロモーターの制御下に置かれ、そのような遺伝子は、プロモーターに「機能的に結合」していると言われる。同様に、調節要素およびコアプロモーターは、調節要素がコアプロモーターの活性を調節する場合に、機能的に結合している。
「組換え型宿主」は、クローニングベクターまたは発現ベクターのような異種核酸分子を含む細胞である。本発明の状況において、組換え型宿主の例は、発現ベクターからIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBを産生する細胞である。対照的に、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBは、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBの「天然起源」であって、発現ベクターを欠損する細胞によって産生されうる。
「組み込み形質転換体」は、その中で異種DNAが細胞のゲノムDNAに組み入れられるようになる組換え型宿主細胞である。
「融合タンパク質」は、少なくとも二つの遺伝子のヌクレオチド配列を含む核酸分子によって発現されるハイブリッドタンパク質である。例えば、融合タンパク質は、アフィニティマトリクスに結合するポリペプチドと融合したIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドの少なくとも一部を含みうる。そのような融合タンパク質は、アフィニティクロマトグラフィーを用いてこれらのポリペプチドを大量に単離する手段を提供する。
本明細書において用いられるように、「抗体融合タンパク質」という用語は、抗体成分と治療薬剤とを含む組換え型分子を指す。このような融合タンパク質のための適切である治療薬剤の例には、免疫調節物質(「抗体-免疫調節物質融合タンパク質」)および毒素(「抗体-毒素融合タンパク質」)が含まれる。
「受容体」という用語は、「リガンド」と命名される生物活性分子に結合する細胞会合タンパク質を指す。この相互作用は、細胞上のリガンドの作用を媒介する。受容体は、膜結合型、細胞質、または核受容体型;単量体(例えば、甲状腺刺激ホルモン受容体、アドレナリンβ受容体)または多量体(例えば、PDGF受容体、成長ホルモン受容体、IL-3受容体、GM-CSF受容体、G-CSF受容体、エリスロポエチン受容体およびIL-6受容体)型となりうる。膜結合型受容体は、細胞外リガンド結合ドメインと、典型的にシグナル伝達に関与する細胞内エフェクタードメインとを含む多ドメイン構造を特徴とする。特定の膜結合型受容体において、細胞外リガンド結合ドメインと細胞内エフェクタードメインとは、完全な機能的受容体を含む異なるポリペプチドに存在する。
一般的に、リガンドが受容体に結合すると、受容体の立体配座の変化が起こり、それによってエフェクタードメインと他の分子との相互作用が起こり、その結果細胞の代謝の変化が起こる。受容体-リガンド相互作用にしばしば関連する代謝事象には、遺伝子の転写、リン酸化、脱リン酸化、環状AMP産生の増加、細胞内カルシウムの動員、膜脂質の動員、細胞接着、イノシトール脂質の加水分解、およびリン脂質の加水分解が含まれる。
「可溶性受容体」は、細胞膜に結合していない受容体ポリペプチドである。可溶性受容体は、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメイン、ならびに糖ホスホイノシトール(gpi)のような細胞膜との他の結合を欠損する最も一般的なリガンド-結合受容体ポリペプチドである。可溶性受容体は、ポリペプチドの精製を提供する、または基質もしくは免疫グロブリン定常領域配列に対するポリペプチドの結合部位を提供するアフィニティタグのようなさらなるアミノ酸残基を含みうる。多くの細胞表面受容体は、タンパク質分解によって産生された、または選択的にスプライシングされたmRNAから翻訳された天然に存在する可溶性の相対物を有する。可溶性受容体は、単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、または多量体となりえて、多量体受容体は一般的に9個より多くのサブユニットを含まず、好ましくは6個より多くのサブユニットを含まず、最も好ましくは3個より多いサブユニットを含まない。受容体ポリペプチドは、それらが、膜の結合またはシグナル伝達を提供するためにこれらのセグメントの十分な部分を欠損する場合にそれぞれ、膜貫通および細胞内ポリペプチドセグメントを実質的に含まないと言われる。クラスIおよびクラスIIサイトカイン受容体の可溶性受容体は、一般的に膜貫通ドメインを含まない細胞外サイトカイン結合ドメインと細胞内ドメインとを含む。既知のクラスIまたはクラスIIサイトカイン配列のどの配列が、膜貫通ドメインを含まない細胞外サイトカイン結合ドメインと細胞内ドメインとを含むかを明確に示すことは、当業者の範囲内である。その上、当業者は、遺伝子コードを用いて、そのような可溶性受容体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを容易に決定することができる。
「分泌シグナル配列」という用語は、より大きいポリペプチドの成分として、より大きいポリペプチドを、それが合成される細胞の分泌経路に向けるペプチド(「分泌ペプチド」)をコードするDNA配列を指す。より大きいポリペプチドは、一般的に切断されて、分泌経路を通して移動する際に分泌ペプチドが除去される。
「単離ポリペプチド」は、本来ポリペプチドに関連する炭化水素、脂質、または他のタンパク質様不純物のような混入細胞成分を本質的に含まないポリペプチドである。典型的に、単離ポリペプチドの調製物は、高度精製型のポリペプチド、すなわち少なくとも約80%純粋、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、96%、97%、98%、またはそれ以上純粋のような95%より多く純粋、または99%より多く純粋であるポリペプチドを含む。特定のタンパク質調製物が単離ポリペプチドを含むことを示す一つの方法は、タンパク質調製物のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびゲルのクーマシーブリリアントブルー染色を行った後に単一のバンドが出現することによる。しかし、「単離された」という用語は、二量体または選択的グリコシル化もしくは誘導体型のような、同じポリペプチドがもう一つの物理的な型で存在する場合を除外しない。
「アミノ末端」および「カルボキシル末端」という用語は、本明細書においてポリペプチド内の位置を指すために用いられる。状況によって、これらの用語は、ポリペプチドの特定の配列または一部を参照して近位性または相対的位置を指すために用いられる。例えば、ポリペプチドにおける参照配列に対してカルボキシ末端に存在する特定の配列は、参照配列のカルボキシル末端に対して近位に存在するが、必ずしも完全なポリペプチドのカルボキシル末端に存在するわけではない。
「発現」という用語は、遺伝子産物の生合成を指す。例えば、構造遺伝子の場合、発現は、構造遺伝子のmRNAへの転写、およびmRNAの一つまたはそれ以上のポリペプチドへの翻訳を含む。
「スプライス変種」という用語は、本明細書において遺伝子から転写されたRNAのもう一つの型を指すために用いられる。スプライス変種は、転写されたRNA分子内のまたはあまり一般的ではないが転写されたRNA分子間の選択的スプライシング部位を用いることによって天然に発生し、それによって同じ遺伝子から転写されたいくつかのmRNAが得られる可能性がある。スプライス変種は変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする可能性がある。スプライス変種という用語はまた、本明細書において、遺伝子から転写されたmRNAのスプライス変種によってコードされるポリペプチドを指すために用いられる。
本明細書において用いられるように、「免疫調節因子」という用語には、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンフォカイン、共刺激因子、造血因子等、およびこれらの分子の合成類似体が含まれる。
「相補体/抗相補体対」という用語は、適当な条件で非共有結合によって会合した安定な対を形成する非同一部分を指す。例えば、ビオチンおよびアビジン(またはストレプトアビジン)は、プロトタイプメンバーである。他の例としての相補体/抗相補体対には、受容体/リガンド対、抗体/抗原(またはハプテンもしくはエピトープ)対、センス/アンチセンスポリヌクレオチド対等が含まれる。相補体/抗相補体対がその後解離することが望ましい場合、相補体/抗相補体対は好ましくは109 M-1未満の結合親和性を有する。
「抗イディオタイプ抗体」は、免疫グロブリンの可変領域ドメインに結合する抗体である。本発明の状況において、抗イディオタイプ抗体は抗IL-20抗体の可変領域に結合し、このように抗イディオタイプ抗体はIL-20のエピトープを模倣する。さらなる例として、抗イディオタイプ抗体は抗IL-20RA抗体の可変領域に結合し、このように抗イディオタイプ抗体はIL-20RAのエピトープを模倣する。なお別の例として、抗イディオタイプ抗体は抗IL-20RB抗体の可変領域に結合し、このように抗イディオタイプ抗体はIL-20RBのエピトープを模倣する。
「抗体断片」は、F(ab')2、F(ab)2、Fab'、Fab等のような抗体の一部である。構造にかかわらず、抗体断片は、無傷の抗体によって認識される同じ抗原に結合する。例えば、抗IL-20モノクローナル抗体断片はIL-20のエピトープに結合する。さらなる例として、抗IL-20RAモノクローナル抗体断片はIL-20RAのエピトープに結合する。なお別の例として、抗IL-20RBモノクローナル抗体断片はIL-20RBのエピトープに結合する。
「抗体断片」という用語にはまた、軽鎖可変領域からなるポリペプチド、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーによって結合されている組換え型一本鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質」)、および高度可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位のような、特異的抗原に結合する合成または遺伝子操作ポリペプチドが含まれる。
「キメラ抗体」は、可変ドメインおよび齧歯類抗体に由来する相補性決定領域を含むが、抗体分子の残りの部分はヒト抗体に由来する組換え型蛋白質である。
「ヒト化抗体」は、モノクローナル抗体のマウス相補性決定領域が、マウス免疫グロブリンの重鎖および軽鎖可変領域からヒト可変ドメインに転移されている組換え型蛋白質である。ヒトタンパク質に結合するまたは中和する抗体のような、マウス抗体に由来するヒトにおいて治療的に用いるためのヒト化抗体の構築は、当業者の範囲内である。
本明細書において用いられるように、「治療物質」は、治療にとって有用である結合体を産生するために抗体部分に結合される分子または原子である。治療物質の例には、薬物、毒素、免疫調節物質、キレート剤、ホウ素化合物、光活性物質、または色素、および放射性同位元素が含まれる。
「検出可能な標識」は、診断にとって有用な分子を産生するために抗体部分に結合することができる分子または原子である。検出可能な標識の例には、キレート剤、光活性物質、放射性同位元素、蛍光物質、常磁性イオン、または他のマーカー部分が含まれる。
「アフィニティタグ」という用語は、本明細書において、第二のポリペプチドの精製または検出を提供するために、または基質に対する第二のポリペプチドの結合部位を提供するために、第二のポリペプチドに結合させることができるポリペプチド部分を指すために用いられる。原則的に、抗体または他の特異的結合物質が利用可能である如何なるペプチドまたはタンパク質もアフィニティタグとして用いることができる。アフィニティタグには、ポリヒスチジン路、プロテインA(Nilssonら、EMBO J. 4:1075(1985);Nilssonら、Methods Enzymol. 198:3(1991))、グルタチオンSトランスフェラーゼ(Smith and Johnson、Gene 67:31(1988))、Glu-Gluアフィニティタグ(Grussenmeyerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:7952(1985))、サブスタンスP、FLAGペプチド(Hoppら、Biotechnology 6:1204(1988))、ストレプトアビジン結合ペプチド、または他の抗原性エピトープもしくは結合ドメインが含まれる。一般的に、Fordら、Protein Expression and Purification 2:95(1991)を参照されたい。アフィニティタグをコードするDNA分子は、市販されている(例えば、Pharmacia Biotech、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)。
「裸の抗体」は、治療物質に結合していない、抗体断片に対して抗体全体である。裸の抗体には、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の双方と共に、キメラおよびヒト化抗体のような特定の組換え型抗体が含まれる。
本明細書において用いられるように、「抗体成分」という用語には、抗体全体と抗体断片の双方が含まれる。
「免疫結合体」には、治療物質または検出可能な標識との抗体成分の結合体である。
本明細書において用いられるように、「抗体融合タンパク質」という用語は、抗体成分とIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチド成分とを含む組換え型分子を指す。抗体融合タンパク質の例には、IL-20のポリペプチドドメイン、IL-20RA細胞外ドメイン、またはIL-20RB細胞外ドメインと、Fcドメインまたは抗原結合領域のいずれかとを含むタンパク質が含まれる。
「標的ポリペプチド」または「標的ペプチド」は、少なくとも一つのエピトープを含み、腫瘍細胞または感染因子抗原を有する細胞のような標的細胞上に発現されるアミノ酸配列である。T細胞は、標的ポリペプチドまたは標的ペプチドに対して主要組織適合性抗原複合体分子によって提示されるペプチドエピトープを認識して、典型的に標的細胞を溶解するか、または標的細胞部位に他の免疫細胞を動員させて標的細胞を殺す。
「抗原性ペプチド」は、主要組織適合性抗原複合体分子に結合して、T細胞によって認識されるMHC-ペプチド複合体を形成し、それによってT細胞に提示されると細胞障害性リンパ球反応を誘導するペプチドである。このように、抗原性ペプチドは、適当な主要組織適合性抗原分子に結合することができ、細胞溶解または抗原に結合するまたは抗原に結合するもしくは抗原を発現する標的細胞に対する特異的サイトカイン放出のような、細胞障害性T細胞反応を誘導することができる。抗原性ペプチドは、抗原提示細胞または標的細胞において、クラスIまたはクラスII主要組織適合性抗原複合体分子の状況において結合することができる。
真核細胞において、RNAポリメラーゼIIは、構造遺伝子の転写を触媒してmRNAを産生する。核酸分子は、RNA転写物が特異的mRNAのそれと相補的である配列を有するRNAポリメラーゼII鋳型を含むように設計することができる。RNA転写物は、「アンチセンスRNA」と呼ばれ、アンチセンスRNAをコードする核酸分子は、「アンチセンス遺伝子」と呼ばれる。アンチセンスRNA分子は、mRNA分子に結合することができ、それによってmRNA翻訳の阻害が起こる。
「IL-20に対して特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド」、または「IL-20アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、(a)IL-20遺伝子の一部と安定な三本鎖を形成することができる、または(b)IL-20遺伝子のmRNA転写物の一部と安定な二本鎖を形成することができる配列を有するオリゴヌクレオチドである。「IL-20RAに対して特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド」または「IL-20RAアンチセンスオリゴヌクレオチド」は、(a)IL-20RA遺伝子の一部と安定な三本鎖を形成することができる、またはIL-20RA遺伝子のmRNA転写物の一部と安定な二本鎖を形成することができる配列を有するオリゴヌクレオチドである。「IL-20RBに対して特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド」または「IL-20RBアンチセンスオリゴヌクレオチド」は、(a)IL-20RB遺伝子の一部と安定な三本鎖を形成することができる、またはIL-20RB遺伝子のmRNA転写物の一部と安定な二本鎖を形成することができる配列を有するオリゴヌクレオチドである。
「リボザイム」は、触媒中心を含む核酸分子である。この用語には、RNA酵素、自己スプライシングRNA、自己切断RNA、およびこれらの触媒機能を行う核酸分子が含まれる。リボザイムをコードする核酸分子は、「リボザイム遺伝子」と呼ばれる。
「外部誘導配列」は、内因性のリボザイムであるRNase Pを、細胞内mRNAの特定の種に向けて、それによってRNase PによるmRNAの切断が起こる核酸分子である。外部誘導配列をコードする核酸分子は、「外部誘導配列遺伝子」と呼ばれる。
「変種IL-20遺伝子」という用語は、配列番号:2の改変であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子を指す。そのような変種には、IL-20遺伝子の天然に存在する多型と共に、配列番号:2のアミノ酸配列の保存的アミノ酸置換を含む合成遺伝子が含まれる。IL-20遺伝子のさらなる変種型は、本明細書に記述のヌクレオチド配列の挿入または欠失を含む核酸分子である。変種IL-20遺伝子は、例えば遺伝子がストリンジェントな条件で配列番号:1またはその相補体のヌクレオチド配列を有する核酸分子とハイブリダイズするか否かを決定することによって、同定することができる。
「変種IL-20RA遺伝子」という用語は、配列番号:11の改変であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子を指す。そのような変種には、IL-20RA遺伝子の天然に存在する多型と共に、配列番号:11のアミノ酸配列の保存的アミノ酸置換を含む合成遺伝子が含まれる。IL-20RA遺伝子のさらなる変種型は、本明細書に記述のヌクレオチド配列の挿入または欠失を含む核酸分子である。変種IL-20RA遺伝子は、例えば遺伝子がストリンジェントな条件で配列番号:10またはその相補体のヌクレオチド配列を有する核酸分子とハイブリダイズするか否かを決定することによって、同定することができる。
「変種IL-20RB遺伝子」という用語は、配列番号:13の改変であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子を指す。そのような変種には、IL-20RB遺伝子の天然に存在する多型と共に、配列番号:13のアミノ酸配列の保存的アミノ酸置換を含む合成遺伝子が含まれる。IL-20RB遺伝子のさらなる変種型は、本明細書に記述のヌクレオチド配列の挿入または欠失を含む核酸分子である。変種IL-20RB遺伝子は、例えば遺伝子がストリンジェントな条件で配列番号:12またはその相補体のヌクレオチド配列を有する核酸分子とハイブリダイズするか否かを決定することによって、同定することができる。
または、変種IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB遺伝子は、配列比較によって同定することができる。二つのアミノ酸配列は、二つのアミノ酸配列のアミノ酸残基が、最大に対応するように配置した場合に同一であれば、「100%アミノ酸配列同一性」を有する。同様に、二つのヌクレオチド配列は、二つのヌクレオチド配列のヌクレオチド残基を最大に対応するように配置した場合に同一であれば、「100%ヌクレオチド配列同一性」を有する。配列比較は、DNASTAR(マディソン、ウィスコンシン州)が製造するLASERGENEバイオインフォーマティクス計算スートに含まれるような標準的なソフトウェアプログラムを用いて行うことができる。最適なアラインメントを決定することによって二つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列を比較する他の方法は、当業者に周知である(例えば、Peruski and Peruski、「The Internet and the New Biology:Tools for Genomics and Molecular Research」(ASM Press Inc.、1997)、Wuら(編)、「Information Superhighway and Computer Databases of Nucleic Acids and Proteins」、Methods in Gene Biotechnology、123〜151頁(CRC Press、1997)、およびBishop(編)、「Guide to Human Genome Computing」、第二版(Academic Press Inc.、1998)を参照されたい)。配列の同一性を決定する特定の方法を下記に示す。
上記変種遺伝子または変種ポリペプチドの任意のものを同定するために用いられる特定の方法にもかかわらず、変種遺伝子または変種遺伝子によってコードされるポリペプチドは、抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体に対する特異的結合能を機能的に特徴とする。変種IL-20RAもしくはIL-20RB遺伝子または変種ポリペプチドも同様に、本明細書に記述の生物または生化学アッセイを用いて、そのリガンドIL-20に対する結合能を機能的に特徴としてもよい。
「対立遺伝子変種」という用語は、本明細書において、同じ染色体座を占める遺伝子の二つまたはそれ以上のもう一つの形を指すために用いられる。対立遺伝子変種は、変異から本来発生し、集団内で表現型多型が起こる可能性がある。遺伝子変異は、サイレントとなりうる(コードされるポリペプチドに変化なし)、または変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする可能性がある。対立遺伝子変種という用語はまた、本明細書において、遺伝子の対立遺伝子変種によってコードされるタンパク質を指すために用いられる。
「オルトログ」という用語は、異なる種からのポリペプチドまたはタンパク質の機能的相対物である一つの種から得られたポリペプチドまたはタンパク質を指す。オルトログ間の配列の差が種分化の結果である。
「パラログ」は、生物によって産生される異なるが構造的に関連するタンパク質である。パラログは、遺伝子複製を通して生じると考えられている。例えば、α-グロビン、β-グロビン、およびミオグロビンは互いにパラログである。
本発明には、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB遺伝子の機能的断片が含まれる。例えば、本発明の状況において、IL-20RA遺伝子の「機能的断片」は、本明細書に記述のドメインである、または抗IL-20RA抗体に少なくとも特異的に結合するIL-20RAポリペプチドの一部をコードする核酸分子を指す。
標準的な分析法が不正確であるために、ポリマーの分子量および長さは概算値であると理解される。そのような値が「約」Xまたは「およそ」Xとして表記される場合、記載のXの値は±10%まで正確であると理解されるであろう。
3.IL-20、IL-20RA、およびIL-20RBポリヌクレオチドまたは遺伝子の産生
ヒトIL-20、IL-20RA、またはIL-20RB遺伝子をコードする核酸分子は、それぞれ配列番号:1、配列番号:13、または配列番号:20に基づくポリヌクレオチドプローブを用いて、ヒトcDNAまたはゲノムライブラリをスクリーニングすることによって得ることができる。これらの技術は標準的であって十分に確立され、市販のクローニングキットを用いて行ってもよい。例えば、Ausubelら(編)、「Short Protocols in Molecular Biology」、第三版、John Wiley&Sons、1995;Wuら、Methods in Gene Biotechnology、CRC出版 Inc.、1997;Aviv and Leder、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:1408(1972);Huynhら、表題「Constructing and Screening cDNA Libraries in λgt10 and λgt11」、書籍名「DNA Cloning:A Practical Approach」第I巻、Glover(編)、49頁(IRL Press、1985);Wu(1997)、47〜52頁を参照されたい。
ヒトIL-20、IL-20RA、またはIL-20RB遺伝子をコードする核酸分子はまた、任意の前記遺伝子またはcDNAのヌクレオチド配列に基づいているヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて得ることができる。PCRによってライブラリをスクリーニングする一般的な方法は、例えば、Yuら、「Use of the Polymerase Chain Reaction to Screen Phage Libraries」、Methods in Molecular Biology、15巻;PCR Protocols :Current Methods and Applications、White(編)、Humana Press Inc.、1993によって提供される。その上、関連する遺伝子を単離するためにPCRを用いる技術は、例えばPreston、「Use of Degenerate Oligonucleotide Primers and the Polymerase Chain Reaction to Clone Gene Family Members」、Methods in Molecular Biology、15巻;PCR Protocols :Current Methods and Applications、White(編)、Humana Press Inc.、1993に記述されている。代用法として、IL-20RA遺伝子は、相互プライミングする長いオリゴヌクレオチドと本明細書に記述のヌクレオチド配列とを用いて、核酸分子を合成することによって得ることができる(例えば、Ausubel(1995)を参照されたい)。ポリメラーゼ連鎖反応を用いる確立された技術は、長さが少なくとも2キロベースのDNA分子の合成能を提供する(Adangら、Plant Molec. Biol. 21:1131(1993)、Bambotら、PCR Methods and Applications 2:266(1993)、Dillonら、「Use of the Polymerase Chain Reaction for the Rapid Construction of Synthetic Genes」、Methods in Molecular Biology、15巻;PCR Protocols :Current Methods and Applications、White(編)、263〜268頁、(Humana Press Inc.、1993)、およびHolowachukら、PCR Methods Appl. 4:299(1995))。ポリヌクレオチド合成に関する論評に関しては、Glick and Pasternak、「Molecular Biotechnology, Principles and Applications of Recombinant DNA.」(ASM Press、1994)、Itakuraら、Innu. Rev. Biochem, 53:323(1984)、およびClimieら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:633(1990)を参照されたい。
4.IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB遺伝子変種の作製
本発明は、本明細書に開示のIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドをコードするDNAおよびRNA分子を含む、多様な核酸分子を提供する。当業者は、遺伝子コードの縮重を考慮して、これらのポリヌクレオチド分子においてかなりの配列の変動が起こりうることを容易に認識するであろう。その上、本発明はまた、それぞれ配列番号:11または配列番号:13の受容体ポリペプチドと実質的に相同である少なくとも1つのIL-20RAまたはIL-20RB受容体サブユニットを含む単離された可溶性単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、および多量体受容体ポリペプチドを提供する。
表1は、縮重ヌクレオチド部分を指す一文字コードを示す。「変換」はコード文字によって示されるヌクレオチドである。「補体」は、相補的ヌクレオチドのコードを指す。例えば、コードYは、CまたはTのいずれかを指し、その相補体RはAまたはGを指し、AはTと相補的であって、GはCと相補的である。
所定のアミノ酸について起こりうる全てのコドンを含む縮重コドンを、表2に記載する。
当業者は、アミノ酸をコードする起こりうる全てのコドンを表す縮重コドンを決定するために何らかの曖昧さが導入されることを認識するであろう。例えば、セリン(WSN)の縮重コドンは、場合によってアルギニン(AGR)をコードし、アルギニン(MGN)の縮重コドンは、場合によってはセリン(AGY)をコードしうる。類似の関係は、フェニルアラニンとロイシンをコードするコドンのあいだにも存在する。このように、縮重配列によって含まれるいくつかのポリヌクレオチドは、変種アミノ酸配列をコードする可能性があるが、当業者はIL-20(配列番号:2)、IL-20RA(配列番号:11)、およびIL-20RB(配列番号:13)のアミノ酸配列を参照することによってそのような変種配列を容易に同定することができる。変種配列は、本明細書に記述されるように機能性に関して容易に試験することができる。
異なる種が「選択的コドン使用」を示しうる。一般的に、Granthamら、Nucl. Acids Res. 8:1893(1980)、Haasら、Curr. Biol. 6:315(1996)、Wain-Hobsonら、Gene 13:355(1981)、Grosjean and Fiers、Gene 18:199(1982)、Holm、Nuc. Acids. Res. 14:3075(1986)、Ikemura、J. Mol. Biol. 158:573(1982)、Sharp and Matassi、Curr. Opin. Genet. Dev. 4:851(1994)、Kane、Curr. Opin. Biotechnol. 6:494(1995)、およびMakrides、Microbiol. Rev. 60:512(1996)を参照されたい。本明細書において用いられるように、「選択的コドン使用」または「選択的コドン」は、当技術分野において、特定の種の細胞において最も頻繁に用いられ、このようにそれぞれのアミノ酸をコードする起こりうるコドンの一つまたは少数の代表に都合がよいタンパク質翻訳コドンを指す用語である(表2を参照されたい)。例えば、アミノ酸トレオニン(Thr)は、ACA、ACC、ACG、またはACTによってコードされる可能性があるが、哺乳類細胞において、ACCは最も一般的に用いられるコドンである;他の種において、例えば昆虫細胞、酵母、ウイルス、または細菌において、異なるThrコドンは選択的であってもよい。特定の種に関する選択的コドンを当技術分野で既知の多様な方法によって、本発明のポリヌクレオチドに導入することができる。選択的コドン配列の組換え型DNAへの導入は、例えばタンパク質翻訳を特定の細胞タイプまたは種においてより効率的にすることによってタンパク質の産生を増強することができる。したがって、本明細書において開示される縮重コドン配列は、当技術分野において一般的に用いられる、および本明細書において開示される様々な細胞タイプおよび種におけるポリヌクレオチドの発現を最適にするための鋳型として役立つ。選択的コドンを含む配列を、様々な種において発現に関して試験して、最適にすることができ、本明細書に開示の機能性に関して試験することができる。
IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBをコードするcDNAはいずれも、完全もしくは部分的ヒトcDNAによって、または開示の配列に基づく一つもしくはそれ以上の組の縮重プローブによってプロービングすることによるような、多様な方法によって単離することができる。cDNAはまた、本明細書に開示の代表的なヒト配列から設計したプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応を用いてクローニングすることができる。さらに、cDNAライブラリを用いて、宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることができ、対象cDNAの発現をIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドのいずれかに対する抗体によって検出することができる。
当業者は、配列番号:1、10、および12に開示の配列がヒトIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBの単一の対立遺伝子を表し、対立遺伝子変種および選択的スプライシングが起こると予想されることを認識するであろう。これら配列の対立遺伝子変種は、標準的な技法に従って異なる人からのcDNAまたはゲノムライブラリをプロービングすることによってクローニングすることができる。サイレント変異を含む変種および変異によってアミノ酸配列の変化が起こる変種を含む、本明細書に開示のヌクレオチド配列の対立遺伝子変種は、本明細書に開示のアミノ酸配列の対立遺伝子変種であるタンパク質と同様に、本発明の範囲内である。任意の上記ポリペプチドの特性を保持する選択的スプライシングmRNAから生成されたcDNA分子は、そのようなcDNAおよびmRNAによってコードされるポリペプチドと同様に本発明の範囲内に含まれる。これらの配列の対立遺伝子変種およびスプライス変種は、当業者に既知の標準的な技法に従って異なる個体または組織からcDNAまたはゲノムライブラリをプロービングすることによってクローニングすることができる。
上記の方法を用いて、当業者は、配列番号:1と実質的に相同である、IL-20またはその断片を含む多様なポリペプチドを調製することができる。当業者はまた、配列番号:10と実質的に相同であるいずれかの可溶性IL-20RA受容体サブユニットを含み、または配列番号:11のアミノ酸配列もしくは配列番号:12と実質的に相同である可溶性IL-20RB受容体サブユニットをコードし、または配列番号:13のアミノ酸、またはその対立遺伝子変種をコードして、これらのすべてが野生型IL-20RA受容体またはIL-20RBサブユニットのリガンド結合特性を保持する、多様なポリペプチドを調製することができる。このようなポリペプチドにはまた、本明細書において一般的に開示されるさらなるポリペプチドセグメントが含まれてもよい。
本発明の特定の態様において、単離核酸分子は、本明細書に開示のヌクレオチド配列を含む核酸分子とストリンジェントな条件でハイブリダイズすることができる。例えば、そのような核酸分子は、配列番号:1、配列番号:13、または配列番号:20のいずれかのヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはこれら配列と相補的なヌクレオチド配列を含む核酸分子もしくはその断片とストリンジェントな条件でハイブリダイズすることができる。
一般的に、ストリンジェントな条件は、既定のイオン強度およびpHで特定の配列に関する熱融解点(Tm)より約5℃低いように選択される。Tmは、標的配列の50%が完全にマッチしたプローブとハイブリダイズする温度(既定のイオン強度およびpHで)である。ハイブリダイゼーション後、核酸分子を、ストリンジェントな条件または高ストリンジェント条件で洗浄して、ハイブリダイズしていない核酸分子を除去することができる。例えばSambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manucal」、第二版(コールドスプリングハーバー出版、1989);Ausubelら(編)、「Current Protocols in Molecular Biology」(John Wiley&Sons Inc.、1987);Berger and Kimmel(編)、「Guide to Molecular Cloning Techniques」(Academic Press Inc.、1987);およびWetmur、Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 26:227(1990)を参照されたい。OLIGO 6.0(LSR;ロングレーク、カリフォルニア州)およびプライマープレミア4.0(プレミアバイオソフトインターナショナル(Premier Biosoft International)、パロアルト、カリフォルニア州)のような配列分析ソフトウェアと共にインターネットのサイトは、ユーザー定義基準に基づいて所定の配列を分析してTmを計算するための利用可能なツールである。特定のポリヌクレオチドハイブリッドについて用いるためにハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を適合させることは、十分に当業者の能力範囲内である。
本発明はまた、配列番号:2、配列番号:11、および配列番号:13のポリペプチド、またはそのオルトログと実質的に類似の配列同一性を有する単離IL-20、IL-20RA、およびIL-20RBポリペプチドを提供する。「実質的に類似の配列同一性」という用語は、本明細書において、配列番号:2、配列番号:11、および配列番号:13に示される配列またはそのオルトログと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、96%、97%、98%のような少なくとも95%、または95%より大きい配列同一性を有するポリペプチドを指すために用いられる。例えば、変種およびオルトログIL-20RA受容体は、免疫応答を産生するために、およびヒトIL-20RAに対する交叉反応抗体を産生するために用いることができる。そのような抗体は、ヒト化することができ、本明細書に記述されるように改変することができ、乾癬、乾癬性関節炎、IBD、大腸炎、内毒素血症を治療するために、また、本明細書において記述される他の治療的応用において用いることができる。
本発明はまた、二つの基準を用いて同定することができるIL-20、IL-20RA、およびIL-20RB変種核酸分子を企図する:配列番号:2、配列番号:11、および配列番号:13のアミノ酸配列を有するコードされるポリペプチド間の類似性の決定、およびハイブリダイゼーションアッセイ。そのような変種には、(1)洗浄のストリンジェンシーが0.1%SDSを含む0.5×〜2×SSCで55〜65℃と同等である、ストリンジェントな洗浄条件で、配列番号:1、配列番号:10、および配列番号:12のヌクレオチド配列(またはそれらの相補体)を有する核酸分子とハイブリダイズしたままである、および(2)配列番号:3のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または96%、97%、98%のような95%より大きい、または99%配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子が含まれる。または、これら変種は、(1)洗浄のストリンジェンシーが0.1%SDSを含む0.1×〜0.2×SSCで50〜65℃と同等である、高ストリンジェント洗浄条件で、配列番号:1、配列番号:10、および配列番号:12(またはそれらの相補体)のヌクレオチド配列を有する核酸分子とハイブリダイズしたままである、および(2)配列番号:2、配列番号:11、および配列番号:13のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または96%、97%、98%のような95%より大きい、または99%もしくはそれより大きい配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を特徴とすることができる。
%配列同一性は、通常の方法によって決定される。例えば、Altschulら、Bull Math. Bio. 48:603(1986)、およびHenikoff and Henikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915(1992)を参照されたい。簡単に説明すると、二つのアミノ酸配列を、表3に示すように、ギャップオープンペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ1、およびHenikoff and Henikoffの「BLOCUM 62」スコア行列を用いて、アラインメントスコアを最適にするように配置する(アミノ酸は、標準的な一文字コードで示す)。%同一性は以下のように計算される:([同一マッチの総数]/[より長い配列の長さプラス二つの配列を配置するためにより長い配列に導入されたギャップの数])(100)。
当業者は、二つのアミノ酸配列を配置するために利用できる多くの確立されたアルゴリズムがあることを認識するであろう。Pearson and Lipmanの「FASTA」類似性検索アルゴリズムは、本明細書に開示のアミノ酸配列と、推定IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB変種のアミノ酸配列とによって共有される同一性のレベルを調べるための適したタンパク質アラインメント法である。FASTAアルゴリズムは、Pearson and Lipman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444(1988)およびPearson、Meth. Enzymol. 183:63(1990)に記述される。簡単に説明すると、FASTAは、保存的アミノ酸置換、挿入、または欠失を考慮することなく、問い合わせ配列と、同一性の最高密度を有する(ktup変数が1の場合)または同一性の対(ktup=2の場合)を有する試験配列とによって共有される領域を同定することによって、配列類似性の特徴を示す。次に、最高の同一性密度を有する領域10個を、アミノ酸置換行列を用いて全ての対のアミノ酸の類似性を比較することによって再スコアし、領域の末端部を、最高のスコアに貢献する残基のみを含めるように「整える」。「カットオフ」値より大きいスコアを有するいくつかの領域が存在する場合(配列の長さおよびktup値に基づいて既定の式によって計算される)、整えた最初の領域を、領域を結合させてギャップのおおよそのアラインメントを形成することができるか否かを決定するために調べる。最後に、二つのアミノ酸配列の最高のスコア領域を、アミノ酸の挿入および欠失を認めるNeedleman-Wunsch-Sellersアルゴリズム(Needleman and Wunsch-、J. Mol. Biol. 48:444(1970);Sellers、SIAM J. Appl. Math. 26:787(1974))の改変を用いて整列させる。FASTA分析の例としてのパラメータは、ktup=1、ギャップオープンペナルティ=10、ギャップ伸長ペナルティ=1、および置換行列=BLOSUM 62である。これらのパラメータは、Pearson、Meth. Enxymol. 183:63(1990)の付録2において説明されるように、スコア行列ファイル(「SMATRIX」)を改変することによってFASTAプログラムに導入することができる。
FASTAはまた、上記のような比を用いて核酸分子の配列同一性を決定するために用いることができる。ヌクレオチド配列比較の場合、ktup値は、他のパラメータを上記のように設定した場合、1〜6の範囲となりえて、好ましくは3〜6、最も好ましくは3となりうる。
本発明には、本明細書に開示のアミノ酸配列と比較して、保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドをコードする核酸分子が含まれる。例えば、アルキルアミノ酸がアルキルアミノ酸の代わりに置換されている、芳香族アミノ酸が芳香族アミノ酸の代わりに置換されている、硫黄含有アミノ酸が硫黄含有アミノ酸の代わりに置換されている、ヒドロキシ含有アミノ酸がヒドロキシ含有アミノ酸の代わりに置換されている、酸性アミノ酸が酸性アミノ酸の代わりに置換されている、塩基性アミノ酸が塩基性アミノ酸の代わりに置換されている、または二塩基性モノカルボン酸アミノ酸が二塩基性モノカルボン酸アミノ酸の代わりに置換されている、本明細書に開示される配列のいずれかの一つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含む変種を得ることができる。一般的なアミノ酸の中で、例えば「保存的アミノ酸置換」は、以下の群のそれぞれにおけるアミノ酸の置換によって示される:(1)グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン、(2)フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン、(3)セリンおよびトレオニン、(4)アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩、(5)アスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに(6)リジン、アルギニン、およびヒスチジン。BLOSUM 62表は、関連するタンパク質の500基より多い高度保存領域を表す、タンパク質配列セグメントの約2,000の局所多重アラインメントに由来するアミノ酸置換行列である(Henikoff and Henikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915(1992))。したがって、BLOSUM 62置換頻度を用いて、本発明のアミノ酸配列に導入してもよい保存的アミノ酸置換を定義することができる。化学的特性(上記のように)のみに基づいてアミノ酸置換を設計することは可能であるが、「保存的アミノ酸置換」という用語は、好ましくは-1より大きいBLOSUM 62値によって表される置換を指す。例えば、アミノ酸置換は、置換がBLOSUM 62値0、1、2、または3を特徴とする場合、保存的である。このシステムに従って、好ましい保存的アミノ酸置換は、BLOSUM 62値が少なくとも1(例えば、1、2、または3)であることを特徴とするが、より好ましい保存的アミノ酸置換は少なくとも2(例えば、2または3)のBLOSUM 62を特徴とする。
IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBのいずれかの特定の変種は、アミノ酸配列における変動が一つまたはそれ以上の保存的アミノ酸置換による、対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号:2、配列番号:14、および配列番号:21)と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または96%、97%、98%のような95%より大きい、または99%もしくはそれより大きい配列同一性を有することを特徴とする。
IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB遺伝子のいずれかにおける保存的アミノ酸変化は、例えば配列番号:1、配列番号:13、および配列番号:20のいずれかにおいて引用したヌクレオチドの代わりにヌクレオチドを置換することによって導入することができる。そのような「保存的アミノ酸」変種は、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発、リンカースキャニング変異誘発、ポリメラーゼ連鎖反応を用いた変異誘発等によって得ることができる(Ausubel(1995);およびMcPherson(編)、「Directed Mutagenesis:A Practical Approach」(IRL Press、1991))。変種IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドは、それぞれの抗体との特異的結合能によって同定することができる。
本発明のタンパク質はまた、天然に存在しないアミノ酸残基を含みうる。天然に存在しないアミノ酸には、トランス-3-メチルプロリン、2,4-メタノプロリン、シス-4-ヒドロキシプロリン、トランス-4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、アロ-トレオニン、メチルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコール酸、チアゾリジンカルボン酸、デヒドロプロリン、3-および4-メチルプロリン、3,3'-ジメチルプロリン、tert-ロイシン、ノルバリン、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、および4-フルオロフェニルアラニンが含まれるがこれらに限定されない。天然に存在しないアミノ酸残基をタンパク質に組み入れるためのいくつかの方法が当技術分野において既知である。例えば、化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを用いてナンセンス変異が抑制されるインビトロシステムを用いることができる。アミノ酸およびアミノアシル化tRNAを合成する方法は当技術分野で既知である。ナンセンス変異を含むプラスミドの転写および翻訳は典型的に、大腸菌S30抽出物および市販の酵素および他の試薬を含む無細胞系において行われる。タンパク質はクロマトグラフィーによって精製する。例えば、Robertsonら、J. Am. Chem. Soc. 113:2722(1991)、Ellmanら、Methods Enzymol. 202:301(1991)、Chungら、Science 259:806(1993)、およびChungら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10415(1993)を参照されたい。
第二の方法において、変異mRNAおよび化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAのマイクロインジェクションによって、翻訳をアフリカツメガエルにおいて行う(Turcattiら、J. Biol. Chem. 271:19991(1996))。第三の方法において、置換される(例えば、フェニルアラニン)天然のアミノ酸の非存在下で、望ましい天然に存在しないアミノ酸(例えば、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、または4-フルオロフェニルアラニン)の存在下で、大腸菌細胞を培養する。天然に存在しないアミノ酸を、その天然の相対物の代わりにタンパク質に組み入れる。Koideら、Biochem. 33:7470(1994)を参照されたい。天然に存在するアミノ酸残基をインビトロ化学改変によって天然に存在しない種に変換することができる。化学改変を部位特異的変異誘発と併用して、置換の範囲をさらに広げることができる(Wynn and Richards、Protein Sci. 2:395(1993))。
限られた数の非保存的アミノ酸、遺伝子コードによってコードされないアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、および非天然アミノ酸をIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBアミノ酸残基の代わりに置換してもよい。
本発明のポリペプチドにおける必須アミノ酸は、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング変異誘発のような当技術分野で既知の技法に従って同定することができる(Cunningham and Wells、Science 244:1081(1989)、Bassら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:4498(1991)、Coombs and Corey、「Site-Directed Mutagenesis and Protein Engineering」、書籍名「Proteins:Analysis and Design」、Angeletti(編)、259〜311頁(Academic Press Inc.、1989))。後者の技術において、単アラニン変異を、分子のあらゆる残基に導入して、得られた変異体分子を分子の活性にとって肝要であるアミノ酸残基を同定するために生物活性に関して試験する。同様に、Hiltonら、J. Biol. Chem. 271:4699(1996)を参照されたい。
配列分析を用いてIL-20結合ドメイン、IL-20RAリガンド結合領域、またはIL-20RBリガンド結合領域をさらに定義することができるが、IL-20、IL-20RA、およびIL-20RB結合活性において役割を有するアミノ酸(リガンドIL-20、抗IL-20RA抗体、または抗IL-20RB抗体に対する結合)は同様に、推定の接触部位アミノ酸の変異と共に、核磁気共鳴、結晶学、電子回折、光親和性標識のような技術によって決定されるように、物理的構造分析によって決定することができる。例えば、de Vosら、Science 255:306(1992)、Smithら、J. Mol. Biol. 224:899(1992)、およびWlodaverら、FEBS Lett. 309:59(1992)。
Reidhaar-Olson and Sauer(Science 241:53(1988))またはBowie and Sauer(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2152(1989))によって開示されるような、既知の変異誘発およびスクリーニング法を用いて、多数のアミノ酸置換を行って試験することができる。簡単に説明すると、これらの著者らは、ポリペプチドにおける二つまたはそれ以上の位置を同時に無作為化する、機能的ポリペプチドを選択する、および変異誘発ポリペプチドをシークエンシングして、各位置での許容可能な置換のスペクトルを決定する方法を開示する。用いることができる他の方法には、ファージディスプレイ(例えば、Lowmanら、Biochem. 30:10832(1991)、Ladnerら、米国特許第5,223,409号、Huse、国際公開公報第92/06204号)および領域特異的変異誘発(Derbyshireら、Gene 46:145(1986)、およびNerら、DNA 7:127(1988))が含まれる。その上、ビオチンまたはFITCによって標識されたIL-20RAは、IL-20RAリガンドの発現クローニングのために用いることができる。
開示のIL-20、IL-20RA、およびIL-20RBヌクレオチド、ならびにポリペプチド配列の変種も同様に、Stemmer、Nature 370:389(1994)、Stemmer、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10747(1994)、および国際公開公報第97/20078号によって開示されるようにDNAシャッフリングを通して作製することができる。簡単に説明すると、変種DNA分子を親DNAの無作為断片化の後にPCRを用いて再構築することによるインビトロ相同的組換えによって産生し、それによって点突然変異が無作為に導入された変種が得られた。この技術は、異なる種からの対立遺伝子変種またはDNA分子のような親DNA分子のファミリーを用いて、プロセスにさらなる多様性を導入するように改変することができる。所望の活性の選択またはスクリーニングの後にさらなる変異誘発およびアッセイの繰り返しによって、有害な変化に対して同時に選択しながら所望の変異を選択することによって配列の急速な「進化」が提供される。
本明細書に開示の変異誘発法は、宿主細胞におけるクローニングした変異誘発ポリペプチドの活性を検出するために高スループットの自動スクリーニング法と組み合わせることができる。生物活性ポリペプチド、または抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体に結合するポリペプチドをコードする変異誘発DNA分子を、宿主細胞から回収して、近代的な設備を用いて迅速にシークエンシングすることができる。これらの方法によって、対象ポリペプチドにおける個々のアミノ酸残基の重要性を迅速に決定することができ、構造不明のポリペプチドに適用することができる。
本発明にはまた、IL-20、IL-20RA、およびIL-20RBポリペプチドの「機能的断片」およびそのような機能的断片をコードする核酸分子が含まれる。核酸分子の通常の欠失分析を行って、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドをコードする核酸分子の機能的断片を得ることができる。一例として、配列番号:1(IL-20)のヌクレオチド配列を有するDNA分子を、一連の重なり合う欠失を得るために、Bal31ヌクレアーゼによって消化することができる。次に、断片を発現ベクターに適当な読み取り枠で挿入して、発現されたポリペプチドを単離して抗IL-20抗体との結合能に関して試験する。エキソヌクレアーゼ消化に対する一つの代用法は、欠失もしくは終止コドンを導入するため、または所望の断片の産生を指定するために、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を用いることである。または、IL-20遺伝子の特定の断片は、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて合成することができる。
この全般的アプローチは、Horisberger and DiMarco、Pharmac. Ther. 66:507(1995)によって概要される、インターフェロンの片方または双方の末端での切断に関する試験によって例示される。その上、タンパク質の機能的分析に関する標準的な技術は、例えばTreuterら、Molec. Gen. Genet. 240:113(1993)、Contentら、「Expression and preliminary deletion analysis of the 42 kDa 2-5 A synthetase induced by human interferon.」、「Biological Interferon Systems」、インターフェロンシステムに関するISIR-TNO会議抄録、Cantell(編)、65〜72頁(Nijhoff、1987)、Herschman、「The EGF Receptor」、「Control of Animal Cell Proliferation.」第1巻、Boyntonら(編)、169〜199頁(Academic Press、1985)、Coumailleauら、J. Biol. Chem. 270:29270(1995);Fukunagaら、J. Biol. Chem. 270:25291(1995);Yamaguchiら、Biochem. Pharmacol. 50:1295(1995)、およびMeiselら、Plant Molec. Biol. 30:1(1996)に記述される。
本発明はまた、本明細書に開示のアミノ酸配列と比較して、アミノ酸変化を有するIL-20遺伝子、IL-20RA遺伝子、またはIL-20RB遺伝子の機能的断片を企図する。変種遺伝子は、上記のように開示のヌクレオチドおよびアミノ酸配列との同一性のレベルを決定することによって構造に基づいて同定することができる。構造に基づいて変種遺伝子を同定するためのもう一つのアプローチは、可能性がある変種IL-20遺伝子、IL-20RA遺伝子、またはIL-20RB遺伝子をコードする核酸分子が、それぞれ配列番号:1、配列番号:13、または配列番号:20のようなヌクレオチド配列を含む核酸分子とハイブリダイズすることができるか否かを決定することである。
本発明にはまた、IL-20ポリペプチド、IL-20RAポリペプチド、またはIL-20RBポリペプチド、抗原性エピトープ、IL-20ポリペプチド、IL-20RAポリペプチド、またはIL-20RBポリペプチドのエピトープ含有部分、およびIL-20ポリペプチド、IL-20RAポリペプチド、またはIL-20RBポリペプチドのそのような機能的断片、抗原性エピトープ、エピトープ含有部分をコードする核酸分子を用いることが含まれる。そのような断片を用いて、IL-20の活性を遮断、阻害、減少、拮抗、または中和する抗体および結合パートナーを作製するために用いられるポリペプチドを作製することができる。本明細書において定義される「機能的」IL-20ポリペプチドまたはその断片は、IL-20の炎症活性、増殖活性、もしくは分化活性の拮抗能、特殊な細胞機能の誘導もしくは阻害能、または抗IL-20抗体、細胞、IL-20受容体との特異的結合能を特徴とする。本明細書において定義される「機能的」IL-20RAポリペプチドまたはその断片は、IL-20の炎症活性、増殖活性、もしくは分化活性の拮抗能、特殊な細胞機能の誘導もしくは阻害能、または抗IL-20RA抗体、細胞、IL-20との特異的結合能を特徴とする。本明細書において定義される「機能的」IL-20RBポリペプチドまたはその断片は、IL-20の炎症活性、増殖活性、もしくは分化活性の拮抗能、特殊な細胞機能の誘導もしくは阻害能、または抗IL-20RB抗体、細胞、IL-20との特異的結合能を特徴とする。本明細書において既に記述されているように、IL-20はクラスIIサイトカインであり、IL-20RAおよびIL-20RBは本明細書に記述のクラスIIサイトカイン受容体構造およびドメインを特徴とする。このように、本発明は、以下を含む融合タンパク質を用いることをさらに企図する:(a)上記のドメインの一つまたはそれ以上を含むポリペプチド分子;および(b)これらのドメインの一つまたはそれ以上を含む機能的断片。融合タンパク質の他のポリペプチド部分は、IL-10R、IL-13R、IL-20RA、Crf2-4、IL-20RA2のようなもう一つのクラスIIサイトカイン受容体によって、または融合タンパク質の分泌を促進する非天然および/または無関係な分泌シグナルペプチドによって与えられる可能性がある。
本発明はまた、本明細書に記述のIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドのエピトープ含有部分を含むポリペプチド断片またはペプチドを提供する。そのような断片またはペプチドは、タンパク質全体を免疫原として用いる場合に、抗体反応を誘発するタンパク質の一部である「免疫原性エピトープ」を含んでもよい。免疫原性エピトープ含有ペプチドは、標準的な方法を用いて同定することができる(例えば、Geysenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998(1983))。
対照的に、ポリペプチド断片またはペプチドは、それに対して抗体が特異的に結合することができるタンパク質分子の領域である「抗原性エピトープ」を含んでもよい。特定のエピトープは、アミノ酸の直線または連続的な鎖からなり、そのようなエピトープの抗原性は、変性物質によって破壊されない。タンパク質のエピトープを模倣することができる比較的短い合成ペプチドを用いて、タンパク質に対する抗体の産生を刺激することができることは当技術分野で既知である(例えば、Sutcliffeら、Science 219:660(1983)を参照されたい)。したがって、本発明の抗原性エピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドは、本明細書に記述のポリペプチドに結合する抗体を作製するために有用である。Hopp/Woods疎水性プロフィールを用いて、配列番号:2、配列番号:11、および配列番号:13において最も抗原性が高い領域を決定することができる(Hoppら、Proc. Natl. Acad. Sci. 78:3824〜3828、1981;Hopp、J. Immun. Meth. 88:1〜18、1986およびTriquierら、Protein Engineering 11:153〜169、1998)。プロフィールは、スライディング6残基のウィンドウに基づく。埋もれているG、S、およびT残基および露出したH、Y、およびW残基を無視した。IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBにおいて、これらの領域は、当業者によって決定することができる。
その上、例えばDNASTAR Proteanプログラム(DNASTAR Inc.、マディソン、ウィスコンシン州)を用いてJameson-Wolfプロットによって予想されるように、配列番号:2におけるIL-20抗原性エピトープは、好ましい抗原性エピトープとして役立ち、当業者によって決定することができる。そのような抗原性エピトープには以下が含まれる:配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜102(Asp);配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜60(Ile);配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜69(Glu);配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜81(Cys);配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜96(Lys);配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜102(Asp);配列番号:2のアミノ酸残基60(Ile)〜69(Glu);配列番号:2のアミノ酸残基60(Ile)〜81(Cys);配列番号:2のアミノ酸残基60(Ile)〜96(Lys);配列番号:2のアミノ酸残基60(Ile)〜102(Asp);配列番号:2のアミノ酸残基69(Glu)〜81(Cys);配列番号:2のアミノ酸残基69(Glu)〜96(Lys);配列番号:2のアミノ酸残基69(Glu)〜102(Asp);配列番号:2のアミノ酸残基81(Cys)〜96(Lys);配列番号:2のアミノ酸残基81(Cys)〜102(Asp);配列番号:2のアミノ酸残基96(Lys)〜102(Asp)。
IL-20RA抗原性エピトープには以下が含まれる:配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜9(Leu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜36(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜41(Ala);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜58(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜63(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜80(Lys);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜104(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜120(Cys);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜161(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜187(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜224(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜316(Ile);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜323(Ile);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜335(Asp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜371(Cys);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜384(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜412(Ala);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜462(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜483(Asp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜496(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜523(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜63(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜63(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基483(Asp)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基483(Asp)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基483(Asp)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基496(Ser)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基496(Ser)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基523(Glu)〜536(Thr)。
配列番号:21中のIL-20RB抗原性エピトープには以下が含まれる:配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜74(Tyr);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜101(Asp);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜135(Ser);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜101(Asp);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜135(Ser);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基130(Pro)〜135(Ser);配列番号:21のアミノ酸残基130(Pro)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基130(Pro)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基171(Arg)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基171(Arg)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基279(Asn)〜283(Lys)。
抗原性エピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドは、本明細書に開示のアミノ酸配列のアミノ酸を少なくとも4個〜10個、アミノ酸少なくとも10〜15個、またはアミノ酸約15〜約30個を含みうる。そのようなエピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドは、本明細書において記述されるように、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドの断片化によって、またはペプチドの化学合成によって産生することができる。その上、エピトープは、ランダムペプチドライブラリのファージディスプレイによって選択することができる(例えば、Lane and Stephen、Curr. Opin. Immunol. 5:268(1993)、およびCorteseら、Curr. Opin. Biotechnol. 7:616(1996)を参照されたい)。エピトープを同定して、エピトープを含む小さいペプチドから抗体を産生する標準的な方法は、例えば、Mole、「Epitope Mapping」、Methods in Molecular Biology、第10巻、Manson(編)、105〜116頁(Humana Press Inc.、1992)、Price、「Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies」、Monoclonal Antibodies:Production, Engineering, and Clinical Application.、Ritter and Ladyman(編)60〜84頁(Cambridge University Press、1995)、およびColiganら(編)、「Current Protocols in Immunology」、9.3.1〜9.3.5頁および9.4.1〜9.4.11頁(John Wiley&Sons、1997)によって記述されている。
変種および融合タンパク質を含む任意のIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドに関して、当業者は、上記の表1および2に記載の情報を用いてその変種をコードする完全な縮重ポリヌクレオチド配列を容易に産生することができる。その上、当業者は、本明細書に記述のヌクレオチドおよびアミノ酸配列に基づいてIL-20、IL-20RA、およびIL-20RB変種を考案するために標準的なソフトウェアを利用することができる。
5.IL-20、IL-20RA、およびIL-20RBポリペプチドの産生
完全長のポリペプチド;可溶性の単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、および多量体受容体;完全長の受容体;受容体断片(例えば、リガンド結合断片および抗原性エピトープ)、機能的断片、および融合タンパク質を含む本発明のポリペプチドは、通常の技術に従って組換え型宿主細胞において産生することができる。IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB遺伝子を発現するために、ポリペプチドをコードする核酸分子を、発現ベクターにおける転写発現を制御する調節配列に機能的に結合させて、次に宿主細胞に導入しなければならない。プロモーターおよびエンハンサーのような転写調節配列の他に、発現ベクターには、翻訳調節配列および発現ベクターを有する細胞の選択にとって適したマーカー遺伝子が含まれうる。
真核細胞において外来タンパク質を産生するために適した発現ベクターは典型的に、(1)細菌宿主における発現ベクターの増殖および選択を提供するための、細菌の複製開始点および抗生物質抵抗性マーカーをコードする原核細胞DNA要素、(2)プロモーターのような、転写の開始を制御する真核細胞DNA要素、および(3)転写終了/ポリアデニル化配列のような転写物のプロセシングを制御するDNA要素を含む。先に考察したように、発現ベクターにはまた、異種ポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に向ける分泌配列をコードするヌクレオチド配列が含まれる。例えば、IL-20RA発現ベクターは、IL-20RA遺伝子と任意の分泌された遺伝子に由来する分泌配列とを含んでもよい。
本発明のIL-20、IL-20RA、およびIL-20RBタンパク質は哺乳類細胞において発現されてもよい。適した哺乳類宿主細胞の例には、アフリカミドリザル腎細胞(Vero;ATCC CRL 1587)、ヒト胎児腎細胞(293-HEK;ATCC CRL 1573)、ベビーハムスター腎細胞(BHK-21、BHK-570;ATCC CRL 8544、ATCC CRL 10314)、イヌ腎細胞(MDCK;ATCC CCL 34)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO-K1;ATCC CCL61;CHO DG44(Chasinら、Som. Cell Molec. Genet. 12:555、1986))、ラット下垂体細胞(GH1;ATCC CCL82)、HeLa S3細胞(ATCC CCL2.2)、ラット肝腫細胞(H-4-II-E;ATCC CRL 1548)、SV40形質転換サル腎細胞(COS-1;ATCC CRL 1650)、およびマウス胚細胞(NIH-3T3;ATCC CRL 1658)が含まれる。
哺乳類宿主の場合、転写および翻訳調節シグナルは、調節シグナルが高レベル発現を有する特定の遺伝子に関連している、哺乳類のウイルス起源、例えばアデノウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、シミアンウイルス等に由来してもよい。適した転写および翻訳調節配列はまた、例えばアクチン、コラーゲン、ミオシン、およびメタロチオネイン遺伝子から得ることができる。
転写調節配列には、RNA合成の阻害を指示するために十分なプロモーター領域が含まれる。適した真核細胞プロモーターには、マウスメタロチオネイン1遺伝子のプロモーター(Hamerら、J. Molec. Appl. Genet. 1:273(1982))、ヘルペスウイルスのTKプロモーター(McKnight、Cell 31:355(1982))、SV40初期プロモーター(Benoistら、Nature 290:304(1981))、ラウス肉腫ウイルスプロモーター(Gormanら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:6777(1982))、サイトメガロウイルスプロモーター(Foeckingら、Gene 45:101(1980))、およびマウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター(一般的に、Etcheverry、「Expression of Engineered Proteins in Mammalian Cell Culture.」、Protein Engineering:Principles and Practice、Clelandら(編)、163〜181頁(John Wiley&Sons Inc.、1996))が含まれる。
または、原核細胞プロモーターが真核細胞プロモーターによって調節される場合、バクテリオファージT3 RNAポリメラーゼプロモーターのような原核細胞プロモーターを用いて、哺乳類細胞におけるIL-20RA遺伝子発現を制御することができる(Zhouら、Mol. Cell Biol. 10:4529(1990)、およびKaufmanら、Nucle. Acids. Res. 19:4485(1991))。
特定の態様において、IL-20、またはIL-20RAもしくはIL-20RB可溶性受容体ポリペプチドをコードするDNA配列、あるいはIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドの断片は、発現ベクターにおいて、一般的に転写プロモーターおよびターミネーターを含むその発現にとって必要な他の遺伝子要素に機能的に結合する。ベクターはまた、一つまたはそれ以上の選択マーカーおよび一つまたはそれ以上の複製開始点を共通に含むが、当業者は特定のシステムにおいて選択マーカーが異なるベクターにおいて提供されてもよく、外因性DNAの複製は宿主細胞ゲノムに組み入れることによって提供してもよいと認識するであろう。プロモーター、ターミネーター、選択マーカー、ベクターおよび他の要素の選択は、当業者のレベル内での普通の設計の問題である。そのような多くの要素が文献に記述されており、市販されている。可溶性受容体複合体の多数の成分を個々の発現ベクターに同時トランスフェクトさせる、または単一の発現ベクターに含めることができる。タンパク質複合体の多数の成分を発現させるそのような技術は当技術分野で周知である。
発現ベクターは、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、微小弾丸媒介輸送、電気穿孔等を含む多様な標準的な技法を用いて宿主細胞に導入することができる。トランスフェクトされた細胞は、宿主細胞ゲノムに安定に組み入れられた発現ベクターを含む組換え型宿主細胞を提供するために選択および増殖させることができる。ベクターを真核細胞に導入する技術、およびそのような安定な形質転換体を選択する技術は、例えばAusubel(1995)およびMurray(編)「Gene Transfer and Expression Protocols」(Humana Press、1991)に記述されている。
例えば、一つの適した選択マーカーは、抗生物質ネオマイシンに対する抵抗性を提供する遺伝子である。この場合、選択は、G418等のようなネオマイシン型の薬剤の存在下で行われる。選択システムはまた、「増幅」と呼ばれるプロセスである対象遺伝子の発現レベルを増加させるために用いることができる。増幅は、低レベルの選択物質の存在下でトランスフェクタントを培養して、その後導入された遺伝子の産物を高レベルで産生する細胞を選択するために選択物質の量を増加させることによって行われる。適した増幅可能な選択マーカーは、メソトレキセートに対する抵抗性を付与するジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)である。他の薬剤抵抗性遺伝子(例えば、ヒグロマイシン抵抗性、多剤抵抗性、ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ)も同様に用いることができる。または、緑色蛍光タンパク質のような変化した表現型を導入するマーカー、またはCD4、CD8、クラスI MHC、胎盤アルカリホスファターゼのような細胞表面タンパク質を用いて、FACSソーティングまたは磁気ビーズ分離技術のような手段によって、トランスフェクトした細胞を非トランスフェクト細胞からソーティングしてもよい。
IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドはまた、ウイルス輸送系を用いて培養哺乳類細胞によって産生することができる。この目的の例としてのウイルスには、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)が含まれる。二本鎖DNAウイルスであるアデノウイルスは、異種核酸を輸送するために現在最もよく研究されている遺伝子移入ベクターである(論評に関しては、Beckerら、Meth. Cell Biol. 43:161(1994)、およびDouglas and Curiel、Science & Medicine 4:44(1997)を参照されたい)。アデノウイルス系の長所には、比較的大きいDNAインサートに適合できること、高い力価での増殖能、広範囲の哺乳類細胞タイプへの感染能、および異なるプロモーターを含む利用可能な多数のベクターと共に用いることができる柔軟性が含まれる。
アデノウイルスゲノムの一部を欠失させることによって、異種DNAのより大きいインサート(7 kbまで)を適合させることができる。これらのインサートは、直接ライゲーションまたは同時トランスフェクトしたプラスミドとの相同的組換えによって、ウイルスDNAに組み入れることができる。選択肢は、ウイルスベクターからの本質的なE1遺伝子を欠失させることであり、それによってE1遺伝子が宿主細胞によって提供されなければ複製することができない。アデノウイルスベクター感染ヒト293細胞(ATCC CRL-1573、45504、45505)は、例えば、接着細胞としてまたは比較的高い細胞密度で浮遊培養として増殖させて、有意な量のタンパク質を産生することができる(Garnierら、Cytotechnol. 15:145(1994)を参照されたい)。
IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBはまた、トリ、真菌、昆虫、酵母、または植物細胞のような他のより高等真核細胞において発現させることができる。バキュロウイルスシステムは、クローニングした遺伝子を昆虫細胞に導入するための効率的な手段を提供する。適した発現ベクターは、オートグラファ核多角体ウイルス(AcMNPV)に基づき、ショウジョウバエ熱ショックタンパク質(hsp)70プロモーター、オートグラファ核多角体ウイルス前初期遺伝子プロモーター(ie-1)、および遅延型初期39Kプロモーター、バキュロウイルスp10プロモーター、およびショウジョウバエメタロチオネインプロモーターのような周知のプロモーターを含む。組換え型バキュロウイルスを作製する第二の方法は、Luckow(Luckowら、J. Virol. 67:4566(1993))によって記述されるトランスポゾンに基づく系を利用する。転移ベクターを利用するこの系は、BAC-to-BACキット(Life Technologies(Life Technologies)、ロックビル、メリーランド州)において販売されている。この系は、「バクミド」と呼ばれる大きいプラスミドとして大腸菌において維持されたバキュロウイルスゲノムにポリペプチドをコードするDNAを移動させるために、Tn7トランスポゾンを含む転移ベクターPFASTBAC(Life Technologies)を利用する。Hill-Perkins and Possee、J. Gen. Virol. 71:971(1990);Bonningら、J. Gen. Virol. 75:1551(1994)、およびChazenbalk and Rapoport、J. Biol. Chem. 270:1543(1995)を参照されたい。さらに、転移ベクターには、発現されたポリペプチドのC-またはN末端でエピトープタグ、例えばGlu-Gluエピトープタグ(Grussenmeyerら、Proc. Natl. Acad. Sci. 82:7952(1985))をコードするDNAとのインフレーム融合体が含まれうる。当技術分野で既知の技術を用いて、遺伝子を含む転移ベクターを、大腸菌において形質転換して、組換え型バキュロウイルスを示す中断されたlacZ遺伝子を含むバクミドに関してスクリーニングする。次に、組換え型バキュロウイルス遺伝子を含むバクミドDNAを一般的な技術を用いて単離する。
例としてのPFASTBACベクターはかなりの程度まで改変することができる。例えば、ポリヘドリンプロモーターを除去して、バキュロウイルス感染の初期に発現され、分泌型蛋白質を発現するために都合がよいことが示されているバキュロウイルス塩基性タンパク質プロモーター(Pcor、p6.9、またはMPプロモーターとしても知られる)に置換することができる(例えば、Hill-Perkins and Possee、J. Gen. Virol. 71:971(1990);Bonningら、J. Gen. Virol. 75:1551(1994)、およびChazenbalk and Rapoport、J. Biol. Chem. 270:1543(1995)を参照されたい)。そのような転移ベクター構築物において、短いまたは長いバージョンの塩基性タンパク質プロモーターを用いることができる。その上、本来のIL-20RA分泌シグナル配列を昆虫タンパク質に由来する分泌シグナル配列に置換する転移ベクターを構築することができる。例えば、エクジステロイドグルコシルトランスフェラーゼ(EGT)、ミツバチのメリチン(Invitrogenコーポレーション(Invitrogen Corporation)、カールスバッド、カリフォルニア州)、またはバキュロウイルスgp67(ファーミンゲン(PharMingen)、サンディエゴ、カリフォルニア州)からの分泌シグナル配列を、天然の分泌性シグナル配列の代わりに置換するために構築物において用いることができる。
組換え型ウイルスまたはバクミドは宿主細胞をトランスフェクトするために用いられる。適した昆虫宿主細胞には、IPLB-sf-21、Sf9(ATCC CRL 1711)、Sf21AE、およびSf21(Invitrogen Corporation、サンディエゴ、カリフォルニア州)のようなスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)サナギ卵巣細胞株と共に、ショウジョウバエSchneider-2細胞、およびトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)に由来するHIGH FIVEO細胞株(Invitrogen)(米国特許第5,300,435号)が含まれる。市販の無血清培地を用いて細胞を増殖および維持することができる。適した培地は、Sf9細胞に関してSf900 II(商標)(Life Technologies)またはESF 921(商標)(Expression systems)であり、およびT. ni細胞に関してはEx-Cell O405(商標)(JRH Biosciences、レネキサ、カンザス州)またはExpress FiveO(商標)(Life Technologies)である。組換え型ウイルスを用いる場合、細胞は典型的に約2〜5×105個の接種密度から1〜2×106個までの密度で増殖させて、この時点で組換え型ウイルス保存液を感染多重度(MOI)0.1〜10、より典型的にほぼ3で加える。
バキュロウイルス系において組換え型蛋白質を産生するために確立された技術は、Baileyら、「Manipulation of Baculovirus Vectors」、Methods in Molecular Biology、第7巻:Gene Transfer and Expression Protocols 、Murray(編)、147〜168頁(Humana Press Inc.、1991)、Patelら、「The baculovirus expression system」、DNA Cloning 2:Expression systems、第二版、Gloverら(編)、205〜244頁(Oxford University Press、1995)、Ausubel(1995)、16〜37頁から16〜57頁、Richardson(編)Baculovirus Expression Protocols(Humana Press Inc.、1995)およびLucknow、「Insect Cell Expression Technology」、Protein Engineering:Principles and Practice、Clelandら(編)、183〜218頁(John Wiley&Sons Inc.、1996)によって提供される。
酵母細胞を含む真菌細胞も同様に、本明細書に記述の遺伝子を発現させるために用いることができる。この点において特に重要である酵母種には、出芽酵母菌(Saccharomyces cerevisiae)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)およびピチア・メタノリカ(Pichia metanolica)が含まれる。酵母における発現に適したプロモーターには、GAL1(ガラクトース)、PGK(ホスホグリセレートキナーゼ)、ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)、AOX1(アルコールオキシダーゼ)、HIS4(ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ)等が含まれる。多くの酵母クローニングベクターが設計されて、容易に入手できる。これらのベクターには、YIp5のようなYIpに基づくベクター、YRp17のようなYRpベクター、YEp13のようなYEpベクター、およびYCp19のようなYCpベクターが含まれる。外因性のDNAによって出芽酵母細胞を形質転換して、そこから組換え型ポリペプチドを産生する方法は、例えば、Kawasaki、米国特許第4,599,311号、Kawasakiら、米国特許第4,931,373号、Brake、米国特許第4,870,008号、Welchら、米国特許第5,037,743号、およびMurrayら、米国特許第4,845,075号に開示されている。形質転換細胞は、選択マーカーによって決定された表現型、一般的に薬剤抵抗性、または特定の栄養素(例えば、ロイシン)の非存在下での増殖能によって選択される。出芽酵母において用いるために適したベクター系は、Kawasakiら(米国特許第4,931,373号)によって開示される、グルコース含有培地における増殖によって形質転換細胞を選択することができるPOT1ベクター系である。酵母において用いるためにさらに適したプロモーターおよびターミネーターには、糖分解酵素遺伝子(例えば、Kawasaki、米国特許第4,599,311号、Kingsmanら、米国特許第4,615,974号、およびBitter、米国特許第4,977,092号)、およびアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子からのプロモーターおよびターミネーターが含まれる。同様に、米国特許第4,990,446号、第5,063,154号、第5,139,936号、および第4,661,454号を参照されたい。
ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、シゾサッカロミセス・ポム(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis)、ピチア・パストリス、ピチア・メタノリカ、ピチア・ギラーモンディ(Pichia guillermondii)およびカンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)を含む他の酵母の形質転換系が当技術分野で既知である。例えば、Gleesonら、J. Gen. Microbiol. 132:3459(1986)、およびCregg、米国特許第4,882,279号を参照されたい。McKnightらの米国特許第4,935,349号の方法に従って、アスペスギルス(Aspergillus)細胞を利用してもよい。アクレモニウム・クリソゲヌム(Acremonium chrysogenum)を形質転換する方法は、Suminoらの米国特許第5,162,228号によって開示される。ニューロスポラ(Neurospora)を形質転換する方法は、Lambowitz、米国特許第4,486,533号に開示されている。
例えば、組換え型蛋白質を産生するための宿主としてピチア・メタノリカを用いることは、Raymondの米国特許第5,716,808号、Raymondの米国特許第5,736,383号、Raymondら、Yeast 14:11〜23(1998)、および国際公開公報第97/17450号、国際公開公報第97/17451号、国際公開公報第98/02536号、および国際公開公報第98/02565号に開示されている。P.メタノリカを形質転換するために用いられるDNA分子は、一般的に二本鎖の環状プラスミドとして調製され、これを好ましくは形質転換の前に直線状にする。P.メタノリカにおけるポリペプチド産生に関して、プラスミドにおけるプロモーターおよびターミネーターは、P.メタノリカアルコール利用遺伝子(AUG1またはAUG2)のような、P.メタノリカ遺伝子のプロモーターおよびターミネーターとなりうる。他の有用なプロモーターには、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DHAS)、蟻酸デヒドロゲナーゼ(FMD)、およびカタラーゼ(CAT)遺伝子のプロモーターが含まれる。宿主染色体へのDNAの組み込みを促進するために、両端に宿主DNA配列が隣接するプラスミドの完全な発現セグメントを有することが好ましい。ピチア・メタノリカにおいて用いるために適した選択マーカーは、ホスホリボシル-5-アミノイミダゾールカルボキシラーゼ(AIRC;EC 4.1.1.21)をコードして、ade2細胞をアデニンの非存在下で増殖させるP.メタノリカADE2遺伝子である。メタノールの使用を最小限にすることが望ましい大規模工業的プロセスの場合、メタノール利用遺伝子(ATG1およびAUG2)がいずれも欠失した宿主細胞を用いることができる。分泌型タンパク質を産生する場合、宿主細胞は、液胞プロテアーゼ遺伝子(PEP4およびPRB1)が欠損となりうる。対象ポリペプチドをコードするDNAを含むプラスミドのP.メタノリカ細胞への導入を促進するために、電気穿孔を用いることができる。P.メタノリカ細胞は、電場強度2.5〜4.5 kV/cm、好ましくは約3.75 kV/cm、および時定数(t)1〜40ミリ秒、最も好ましくは約20ミリ秒の指数的に減衰するパルス電場を用いる電気穿孔によって形質転換することができる。
発現ベクターはまた、植物プロトプラスト、無傷の植物組織、または単離植物細胞に導入することができる。発現ベクターを植物組織に導入する方法には、植物組織をアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の直接感染または同時培養すること、微小弾丸媒介輸送、DNA注入、電気穿孔等が含まれる。例えば、Horschら、Science 227:1229(1985)、Kleinら、Biotechnology 10:268(1992)、およびMikiら、「Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants」、Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology、Glickら(編)、67〜88頁(CRC出版、1993)を参照されたい。
または、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB遺伝子は原核宿主細胞において発現させることができる。原核細胞宿主においてIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドを発現させるために用いることができる適したプロモーターは、当業者に周知であり、T4、T3、Sp6、およびT7ポリメラーゼを認識することができるプロモーター、バクテリオファージλのPRおよびPLプロモーター、大腸菌のtrp、recA、熱ショック、lacUV5、tac、lpp-lacSpr、phoA、およびlacZプロモーター、枯草菌(B. subtilis)のプロモーター、バチルス(Bacillus)のバクテリオファージプロモーター、ストレプトミセス(Streptomyces)プロモーター、バクテリオファージλのintプロモーター、pBR32のblaプロモーター、およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のCATプロモーターが含まれる。原核細胞プロモーターは、Glick、J. Ind. Microbiol. 1:277(1987)、Watsonら、Molecular Biology of the Gene、第4版(Benjamin/Cummins、1987)、およびAusubelら(1995)によって論評されている。
適した原核細胞宿主には、大腸菌および枯草菌(Bacillus. subtilis)が含まれる。適した大腸菌の株には、BL21(DE3)、BL21(DE3)pLysS、BL21(DE3)pLysE、DH1、DH4I、DH5、DH5I、DH5IF'、DH5IMCR、DH10B、DH10B/p3、DH11S、C600、HB101、JM101、JM105、JM109、JM110、K38、RR1、Y1088、Y1089、CSH18、ER1451、およびER1647が含まれる(例えば、Brown(編)、「Molecular Biology Labfax」(Academic Press、1991)を参照されたい)。適した枯草菌の株には、BR151、YB886、MI119、MI120、およびB170(例えば、Hardy、「Bacillus Cloning Methods」、DNA Cloning:A Practical Approach、Glover(編)(IRL Press、1985)を参照されたい)。
大腸菌のような細菌においてIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドを発現する場合、ポリペプチドは、典型的に不溶性の顆粒として細胞質に留まるか、または細菌分泌配列によってペリプラスム間隙に向けられる可能性がある。前者の場合、細胞を溶解して顆粒を回収し、例えばグアニジンイソチオシアネートまたは尿素を用いて変性させる。次に、変性されたポリペプチドを再生して尿素溶液ならびに還元および酸化グルタチオンの混合物に対して透析した後に、緩衝生理食塩液に対して透析するような、変性剤を希釈することによって二量体形成させる。後者の場合、ポリペプチドは、細胞を破壊して、ペリプラスム腔の内容物を放出させることによって可溶性の機能的な型でペリプラスム腔から回収して、タンパク質を回収することができ、それによって変性および再生の必要がなくなる。
原核細胞宿主においてタンパク質を発現させる方法は当業者に周知である(例えば、Williamsら、「Expression of foreign protein in E. coli. using plasmid vectors and purification of specific polyclonal antibodies.」、「DNA Cloning 2:Expression Systems」、第二版、Gloverら(編)、15頁(Oxford University Press、1995)、Wardら「Genetic Manipulation and Expression of Antibodies」、Monoclonal Antibodies:Principles and Applications、137(Wiley-Liss Inc.、1995)、およびGeorgiou、「Expression of Proteins in Bacteria.」、Protein Engineering:Principles and Practice、Clelandら(編)、101頁(John Wiley&Sons Inc.、1996)を参照されたい)。
発現ベクターを細菌、酵母、昆虫、および植物細胞に導入する標準的な方法は、例えば、Ausubel(1995)によって提供される。
哺乳類細胞系によって産生された外来タンパク質を発現および回収する一般的な方法は、例えば、Etcheverry、「Expression of Engineered Proteins in Mammalian Cell Culture.」、Protein Engineering:Principles and Practice、Clelandら(編)163頁(Wiley-Liss Inc.、1996)によって提供される。細菌系において産生されたタンパク質を回収する標準的な技術は、例えばGrisshammerら、「Purification of over-produced proteins from E. coli cells.」、DNA Cloning 2:Expression Systems、第二版、Gloverら(編)、59〜92頁(Oxford University Press、1995)によって提供される。バキュロウイルス系から組換え型蛋白質を単離する確立された方法は、Richardson(編)、「Baculovirus Expression Protocols」(The Humana Press Inc.、1995)に記述される。
もう一つの方法として、本発明のポリペプチドは、固相合成のみ、部分的固相合成法、断片の縮合または古典的な溶液合成によって合成することができる。これらの合成法は当業者に周知である(例えば、Merrifield、J. Am. Chem. Soc. 85:2149(1963)、Stewartら「Solid Phase Peptide Synthesis」、第二版(Pierce Chemical、1984)、Bayer and Rapp、Chem. Pept. Prot. 3:3(1986)、Athertonら、Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach(IRL Press、1989)、Fields and Colowick、「Solid-Phase Peptide Synthesis」、Methods in Enzymology 第289巻(Academic Press、1997)、およびLloyd-Williamsら、「Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins.」(CRC Press Inc.、1997)を参照されたい)。「天然の化学物質ライゲーション」および「発現タンパク質ライゲーション」のような全化学合成戦略の変法も同様に標準である(例えば、Dawsonら、Science 266:776(1994)、Hackengら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:7845(1997)、Dawson、Methods Enzymol. 287:34(1997)、Muirら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6705(1998)、およびSeverinov and Muir、J. Biol. Chem. 273:16205(1998)を参照されたい)。
本発明のペプチドおよびポリペプチドは、配列番号:2、配列番号:11、または配列番号:13の少なくとも6、少なくとも9、または少なくとも15連続アミノ酸残基を含む。説明として、ポリペプチドは、配列番号:2、配列番号:11、または配列番号:13の少なくとも6、少なくとも9、または少なくとも15連続アミノ酸残基を含みうる。本発明の特定の態様において、ポリペプチドは、これらのアミノ酸配列の20、30、40、50、100またはそれ以上の連続残基を含む。そのようなペプチドおよびポリペプチドをコードする核酸分子は、ポリメラーゼ連鎖反応のプライマーおよびプローブとして有用である。
その上、IL-20、IL-20RA、およびIL-20RBポリペプチド、ならびにそれらの断片は、高等真核細胞において、単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、または多量体として発現されうる。そのような細胞を用いて、少なくとも一つのIL-20RAポリペプチドを含むIL-20、またはIL-20RAおよびIL-20RB単量体、ホモニ量体、ヘテロ二量体および多量体受容体ポリペプチド(「IL-20RAを含む受容体」、もしくは「IL-20RAを含む受容体ポリペプチド」)、または少なくとも一つのIL-20RBポリペプチドを含むもの(「IL-20RBを含む受容体」、もしくは「IL-20RBを含む受容体ポリペプチド」)を産生することができる、あるいはスクリーニング系におけるアッセイ細胞として用いることができる。本発明の一つの局面において、IL-20RAもしくはIL-20RB細胞外ドメインのいずれかまたは両方を含む本発明のポリペプチドは、培養細胞によって産生され、細胞を用いて、天然のリガンドIL-20と共に天然のリガンドのアゴニストおよびアンタゴニストを含む、受容体のリガンドに関してスクリーニングする。このアプローチを要約するために、受容体をコードするcDNAまたは遺伝子を、その発現を必要とする他の遺伝子要素(例えば、転写プロモーター)と組み合わせて、得られた発現ベクターを宿主細胞に挿入する。DNAを発現して、機能的受容体を産生する細胞を選択して、これを多様なスクリーニング系において用いる。単量体、ホモニ量体、ヘテロニ量体および多量体受容体複合体のそれぞれの成分を、同じ細胞において発現させることができる。その上、単量体、ホモニ量体、ヘテロニ量体および多量体受容体複合体の成分はまた、膜貫通ドメインまたは他の膜融合部分と融合させて、上記のように複合体を構築させ、およびトランスフェクタントをスクリーニングすることができる。
本発明のIL-20アンタゴニストポリペプチドおよび抗体をアッセイするために、IL-20またはIL-20受容体(例えば、IL-20RA、IL-20RB、またはIL-20RA/IL-20RBを発現する細胞)、および受容体媒介シグナルを伝達するために用いるために適した哺乳類細胞には、IL-20RAまたはIL-20RBと機能的複合体を形成する可能性がある他の受容体サブユニットを発現する細胞が含まれる。これらのサブユニットには、インターフェロン受容体ファミリーのサブユニット、または他のクラスIIもしくはクラスIサイトカイン受容体、例えばCRF2-4(Genbankアクセッション番号Z17227)、IL-10R(Genbankアクセッション番号U00672およびNM_001558)、IL-20RA(共有される米国特許第5,965,704号)、zcytor7(IL-20RA)(共有される米国特許第5,945,511号)、IL-20RA/IL-20RB(WIPO国際公開公報第01/46232号)およびIL-9Rのサブユニットが含まれてもよい。同様に、発現される受容体と同じ種からの細胞を用いることが好ましい。好ましい態様において、細胞は、その増殖のために外から供給された造血増殖因子に依存する。このタイプの好ましい細胞株は、GM-CSF依存的ヒト白血病細胞株であるヒトTF-1細胞株(ATCC番号CRL-2003)およびAML-193細胞株(ATCC番号CRL-9589)、ならびにIL-3依存的マウスプレB細胞株であるBaF3(Palacios and Steinmetz、Cell 41:727〜734(1985))である。他の細胞株には、BHK、COS-1、およびCHO細胞が含まれる。適した宿主細胞は、所望の細胞反応にとって必要な受容体サブユニットまたは他の細胞成分を産生するように操作することができる。このアプローチは、細胞株を如何なる種からの受容体サブユニットも発現するように操作することができ、それによって種特異性のために生じる可能性がある制限を克服することから都合がよい。ヒト受容体cDNAの種オルトログをクローニングして、BaF3細胞株におけるマウスcDNAのように、同じ種からの細胞株において用いることができる。GM-CSFまたはIL-3のような一つの造血増殖因子に依存する細胞株は、このように、IL-20のような、IL-20RA受容体を通して作用するもう一つのサイトカインに依存するようになるように操作することができる。
機能的受容体を発現する細胞は、スクリーニングアッセイにおいて用いられる。多様な適したアッセイが当技術分野で既知である。これらのアッセイは、標的細胞における生物反応の検出に基づく。そのような一つのアッセイは細胞増殖アッセイである。細胞を試験化合物の存在下または非存在下で培養して、細胞増殖を例えば、トリチウムチミジンの取り込みの測定によって、または3-(4,5-ジメチルチアゾル-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)の代謝的分解に基づく比色アッセイによって検出する(Mosman、J. Immunol. Meth. 65:55〜63(1983))。もう一つのアッセイフォーマットは、レポーター遺伝子を発現するようにさらに操作された細胞を利用する。レポーター遺伝子を受容体媒介経路に対して反応するプロモーター要素に結合させて、アッセイはレポーター遺伝子の転写の活性化を検出する。この点において好ましいプロモーター要素は、血清反応要素またはSREである。例えばShawら、Cell 56:563〜572(1989)を参照されたい。そのような好ましいレポーター遺伝子はルシフェラーゼ遺伝子である(de Wetら、Mol. Cell Biol. 7:725(1987))。ルシフェラーゼ遺伝子の発現は、当技術分野で既知の方法を用いて発光によって検出する(例えば、Baumgartnerら、J. Biol. Chem. 269:29094〜29101(1994);Schenborn and Goiffin、Promega Notes 41:11、1993)。ルシフェラーゼ活性アッセイキットは、例えばウィスコンシン州マディソンのPromega社から販売されている。このタイプの標的細胞株は、化学物質のライブラリ、細胞培養後の条件培地、真菌ブロス、土壌試料、水試料等をスクリーニングするために用いることができる。例えば、一連の細胞条件培地試料を標的細胞において、リガンドを産生する細胞を同定するためにアッセイすることができる。次に、陽性細胞を用いて、哺乳類発現ベクターにおけるcDNAライブラリを作製して、これをプールに分けて、宿主細胞にトランスフェクトして、発現させる。次に、トランスフェクトした細胞からの培地試料をアッセイして、その後プールに分割して、再度トランスフェクションして、サブ培養し、陽性細胞に関して再度アッセイして、リガンドをコードするクローニングしたcDNAを単離する。
いくつかのIL-20反応性細胞株が当技術分野で既知であるか、または例えばBaf3/cytoR11/DIRS1もしくはBaf3/cytoR7/DIRS1(WIPO公開番号国際公開公報第02/072607号)を構築することができる。その上、いくつかのIL-20反応性細胞株(Dumontierら、J. Immunol. 164:1814〜1819、2000;Dumoutier, L.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. 97:10144〜10149、2000;Xie MHら、J. Biol. Chem. 275:31335〜31339、2000;Kotenko SVら、J. Biol. Chem. 276:2725〜2732、2001)と共にIL-20受容体サブユニットIL-20RAおよびIL-20RBを発現する細胞株が既知である。例えば、以下の細胞はIL-20に対して反応性である:腸上皮細胞HT-29(Dumoutierら、J. Immunol. 167: 3545-3549, 2001)およびColo205、肺癌細胞A549および内皮細胞HUVEC(ヒト臍静脈内皮細胞)(Rameshら、Cancer Research 63: 5105-5113)、およびケラチノサイト細胞株HaCaT(Blumbergら、Cell 104: 9-19)。これらの細胞は、抗IL-20RAまたはIL-20RB mAbの機能性を評価するためのアッセイにおいて、IL-20アンタゴニストまたは抗炎症性因子として用いることができる。
6.IL-20RAおよびIL-20RB融合タンパク質および共役体の産生
IL-20RAおよびIL-20RB類似体の一つの一般的なクラスは、本明細書に開示のアミノ酸配列の変異であるアミノ酸配列を有する変種である。もう一つの一般的なクラスのIL-20RAおよびIL-20RB類似体は、下記のように、抗イディオタイプ抗体、およびその断片によって提供される(例えば、Monfardiniら、Proc. Assoc. Am. Physicians 108:420(1996)を参照されたい)。抗イディオタイプIL-20RAおよびIL-20RB抗体の可変ドメインは、IL-20RAおよびIL-20RBを模倣することから、これらのドメインはIL-20RAおよびIL-20RB結合活性を提供することができる。抗イディオタイプ触媒抗体を産生する方法は当業者に既知である(例えば、Joronら、Ann. N.Y. Acad. Sci. 672:216(1992)、Fribouletら、Appl. Biochem. Biotechnol. 47:229(1994)およびAvalleら、Ann. N.Y.Acad. Sci. 864:118(1998)を参照されたい)。
IL-20RAおよびIL-20RB類似体を同定するもう一つのアプローチは、組み合わせライブラリを用いることによって提供される。ファージディスプレイおよび他の組み合わせライブラリを構築してスクリーニングする方法は、例えば、Kayら、Phage Display of Peptides and Proteins」(Academic Press、1996)、Verdine、米国特許第5,783,384号、Kayら、米国特許第5,747,334号、およびKaufmannら、米国特許第5,723,323号によって提供される。
IL-20RAおよびIL-20RBポリペプチドはインビボおよびインビトロの双方での用途を有する。一例として、可溶性型のIL-20RAまたはIL-20RBを細胞培養培地に加えて、培養細胞によって産生されたIL-20の作用を阻害することができる。
IL-20RAおよびIL-20RBの融合タンパク質を用いて、組換え型宿主においてIL-20RAおよびIL-20RBを発現させ、産生されたIL-20RAまたはIL-20RBを単離することができる。下記のように、特定のIL-20RAまたはIL-20RB融合タンパク質も同様に診断および治療において用いられる。一つのタイプの融合タンパク質は、組換え型宿主細胞から、例えばIL-20RAポリペプチドを誘導するペプチドを含む。IL-20RAポリペプチドを真核宿主細胞の分泌経路に向けるために、分泌シグナル配列(シグナルペプチド、リーダー配列、プレプロ配列またはプレ配列としても知られる)をIL-20RA発現ベクターに提供する。分泌シグナル配列はIL-20RAに由来してもよいが、適したシグナル配列はまた、別の分泌タンパク質に由来してもよく、またはデノボで合成してもよい。分泌シグナル配列は、二つの配列が正確な読み取り枠において結合して、新しく合成されたポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に向けるように配置されるように、IL-20RAコード配列に機能的に結合する。分泌シグナル配列は一般的に、対象ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に対して5'に存在するが、特定の分泌シグナル配列は、対象ヌクレオチド配列に対して何処に存在してもよい(例えば、Welchら、米国特許第5,037,743号;Hollandら、米国特許第5,143,830号を参照されたい)。
IL-20RAもしくはIL-20RB、または哺乳類細胞によって産生された別のタンパク質(例えば、米国特許第5,641,655号に記述されるように、例えば組織型プラスミノーゲン活性化因子シグナル配列)の分泌シグナル配列は、組換え型哺乳類宿主においてIL-20RAまたはIL-20RBの発現にとって有用であるが、酵母シグナル配列は、酵母細胞における発現にとって好ましい。適した酵母シグナル配列の例は、酵母接合フェロモンα-因子(MFα1遺伝子)、インベルターゼ(SUC2遺伝子によってコードされる)または酸ホスファターゼ(PHO5遺伝子によってコードされる)に由来する配列である。例えばRomanosら、「Expression of Cloned Genes in Yeast」、DNA Cloning 2:A Practical Approach、第二版、Glover and Hames(編)、123〜167頁(Oxford University Press、1995)を参照されたい。
IL-20RAまたはIL-20RB可溶性受容体ポリペプチドは、細胞外ドメイン、例えば配列番号:11または配列番号:13を含むポリペプチド、またはヒト以外の受容体の対応する領域をコードする切断型DNAを発現させることによって調製することができる。細胞外ドメインポリペプチドは、実質的に膜貫通セグメントおよび細胞内ポリペプチドセグメントを含まない形で調製されることが好ましい。宿主細胞から受容体ドメインの輸出を指示するために、受容体DNAを、t-PA分泌ペプチドのような分泌ペプチドをコードする第二のDNAセグメントに結合させる。分泌された受容体ドメインの精製を容易にするために、ポリヒスチジンタグ、サブスタンスP、Flag(商標)ペプチド(Hoppeら、Biotechnology 6:1204〜1210(1988);コネチカット州ニューヘブンのEastman Kodak. Co.から販売)のようなC-末端伸長物、またはそれに対する抗体もしくは他の特異的結合物質が利用できる他のポリペプチドもしくはタンパク質を、受容体ポリペプチドに融合させることができる。その上、細胞外サイトカイン結合ドメインからのIL-20RA抗原性エピトープも同様に上記のように調製される。
もう一つのアプローチにおいて、IL-20RA、IL-20RB、または他のクラスIもしくはIIサイトカイン受容体成分の受容体細胞外ドメインは、免疫グロブリン重鎖定常領域、典型的に二つの定常領域ドメインとヒンジ領域を含むが可変領域を欠損する(Sledziewski, AZら、米国特許第6,018,026号および第5,750,375号を参照されたい)Fc断片との融合体として発現させることができる。本発明の可溶性IL-20RAまたはIL-20RBポリペプチドにはそのような融合体が含まれる。そのような融合体は典型的に、Fc部分が互いにジスルフィド結合して、二つの受容体ポリペプチドが互いに非常に近位に整列する、多量体分子として分泌される。このタイプの融合体は、溶液から同源のリガンドをアフィニティ精製するために、インビトロアッセイツールとして、リガンドを特異的に滴定することによってインビトロでのシグナルを遮断するために、およびそれらを非経口投与によって投与して循環中のリガンドに結合させ、それを循環中から排泄させることによって、インビボでアンタゴニストとして用いることができる。例えば、リガンドを精製するために、IL-20RA-Igキメラを、リガンド(例えば、細胞条件培地、または組織抽出物)を含む試料に受容体-リガンド結合を促進する条件(典型的に、生理的温度、pH、およびイオン強度に近い)で加える。次に、キメラ-リガンド複合体を、固相支持体(例えば、不溶性の樹脂ビーズ)に固定したプロテインAを用いて混合することによって分離する。次に、リガンドを、塩またはpH勾配のような通常の化学的技術を用いて溶出する。もう一つの方法において、キメラ自身を固相支持体に結合させて、上記のように結合および溶出を行うことができる。キメラはインビボで、血清アミロイドA(SAA)、C-反応性タンパク質(CRP)等のような急性期反応を含む炎症反応を調節するために用いてもよい。結合親和性が高いキメラを非経口投与する(例えば、筋肉内、皮下、または静脈内注射)。循環中の分子はリガンドに結合して、正常な生理的プロセスによって循環中から排泄される。アッセイにおいて用いるために、キメラをFc領域によって支持体に結合させて、ELISAフォーマットで用いる。
本発明の抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RBおよび結合パートナーの単離を補助するために、リガンド結合受容体(または抗体、相補体/抗相補体対の一つのメンバー)、またはその結合断片、および市販のバイオセンサー機器(BIA Core、Pharmacia Biosensor、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)を利用するアッセイ系を用いると都合がよいかも知れない。そのような受容体、抗体、相補体/抗相補体対のメンバーまたは断片を受容体チップ表面に固定する。この機器を用いることはKarlsson、J. Immunol. Methods 145:229〜40、1991およびCunningham and Wells、J. Mol. Biol. 234:554〜63、1993によって開示されている。受容体、抗体、メンバー、または断片は、アミンまたはスルフヒドリル化学を用いて、フローセル内で金フィルムに結合しているデキストラン繊維に共有結合する。試験試料をセルの中に通過させる。リガンド、エピトープ、または相補体/抗相補体対の反対のメンバーが試料中に存在する場合、固定された受容体、抗体、またはメンバーにそれぞれ結合して、培地の屈折指数の変化を引き起こし、これを金フィルムの表面プラズモン共鳴の変化として検出する。この系は、オンおよびオフ率の決定を可能にし、そこから結合親和性を計算することができ、結合の化学量論を評価することができる。または、SELDI(TM)技術(Ciphergen Inc.、パロアルト、カリフォルニア州)を用いてリガンド/受容体結合を分析することができる。その上、上記のBIACORE技術は、異なるモノクローナル抗体がIL-20、IL-20RA、およびIL-20RBポリペプチド上で同じまたは異なるエピトープに結合するか否かを決定するために、競合実験において用いることができ、そのため、IL-20に結合または拮抗する本発明の中和抗体のエピトープマッピングにおいて役立つように用いることができる。
リガンド結合受容体ポリペプチドも同様に、当技術分野で既知の他のアッセイ系において用いることができる。そのようなシステムには、結合親和性を決定するためのスキャッチャード分析(Scatchard、Ann. NY. Acad. Sci. 51:660〜72、1949)および熱量アッセイ(Cunninghamら、Science 253:545〜48、1991:Cunninghamら、Science 245:821〜25、1991)が含まれる。
本発明はさらに、多様な他のポリペプチド融合体および一つまたはそれ以上のポリペプチド融合体を含む関連する多量体タンパク質を提供する。例えば、可溶性IL-20RAまたはIL-20RB受容体は、米国特許第5,155,027号および第5,567,584号に開示される二量体形成タンパク質との融合体として調製することができる。この点において好ましい二量体形成タンパク質には、免疫グロブリン定常領域ドメイン、例えばIgGγ1、およびヒトκ軽鎖が含まれる。免疫グロブリン溶解性IL-20RAまたはIL-20RB融合体を、遺伝子操作細胞において発現させて、多様な多量体IL-20RAまたはIL-20RB受容体類似体を産生することができる。補助ドメインを可溶性IL-20RAまたはIL-20RB受容体に融合させて、それらを特定の細胞、組織、または高分子(例えば、コラーゲン、またはIL-20RAおよびIL-20RBリガンド、またはIL-20を発現する細胞)にターゲティングすることができる。IL-20RAまたはIL-20RBポリペプチドは、精製のためのアフィニティタグとターゲティングドメインのような、二つまたはそれ以上の部分に融合させることができる。ポリペプチド融合体はまた、特にドメイン間に一つまたはそれ以上の切断部位を含みうる。Tuanら、Connective Tissue Research 34:1〜9、1996を参照されたい。
細菌細胞において、毒性を減少させるため、安定性を増加させるため、および発現されたタンパク質の回収を増強するために、融合タンパク質として異種タンパク質を発現させることがしばしば望ましい。例えば、ペプチドIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBはいずれも、グルタチオンS-トランスフェラーゼポリペプチドを含む融合タンパク質として発現させることができる。グルタチオンS-トランスフェラーゼ融合タンパク質は典型的に可溶性であり、グルタチオンカラムに固定した大腸菌溶解物から容易に精製可能である。類似のアプローチにおいて、マルトース結合タンパク質ポリペプチドを含む融合タンパク質は、アミロース樹脂カラムによって単離することができるが、切断型プロテインA遺伝子のC-末端を含む融合タンパク質は、IgG-セファロースを用いて精製することができる。細菌細胞において融合タンパク質として異種ポリペプチドを発現するための確立された技術は、例えば、Williamsら、「Expression of Foreign Proteins in E. coli. Using Plasmid Vectors and Purification of Specific Polyclonal Antibodies.」、DNA Cloning 2:A Practical Approach、第二版、Glover and Hames(編)、15〜58頁(Oxford University Press、1995)によって記述される。さらに、市販の発現系が利用可能である。例えば、PINPOINT Xaタンパク質精製システム(プロメガコーポレーション;マディソン、ウィスコンシン州)は、発現の際にビオチン化されるようになるポリペプチドと、アビジンを含む樹脂とを含む融合タンパク質を単離する方法を提供する。
原核細胞または真核細胞のいずれかによって発現される異種ポリペプチドを単離するために有用であるペプチドタグには、ポリヒスチジンタグ(ニッケルキレート樹脂に対して親和性を有する)、c-mycタグ、カルモジュリン結合タンパク質(カルモジュリンアフィニティクロマトグラフィーによって単離される)、サブスタンスP、RYIRSタグ(抗RYIRS抗体に結合する)、Glu-Gluタグ、およびFLAGタグ(抗FLAG抗体に結合する)が含まれる。例えば、Luoら、Arch. Biochem. Biophys. 329:215(1996)、Morgantiら、Biotechnol. Appl. Biochem. 23:67(1996)、およびZhengら、Gene 186:55(1997)を参照されたい。そのようなペプチドタグをコードする核酸分子は、例えばSigma-Aldrich Corporation(セントルイス、ミズーリ州)から利用可能である。
もう一つの型の融合タンパク質は、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドのいずれか、および免疫グロブリン重鎖定常領域、典型的に二つまたは三つの定常領域ドメインおよびヒンジ領域を含むが可変領域を欠損するFc断片を含む。一例として、Changらの米国特許第5,723,125号はヒトインターフェロンとヒト免疫グロブリンFc断片とを含む融合タンパク質を記述する。インターフェロンのC-末端を、ペプチドリンカー部分によって、Fc断片のN末端に結合させる。ペプチドリンカーの例は、免疫学的に不活性である主にT細胞不活性配列を含むペプチドである。例としてのペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGSGG SGGGG SGGGG S(配列番号:14)を有する。
もう一つの変種において、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB融合タンパク質は、IgG配列、IgG配列のアミノ末端に共有結合させたIL-20、IL-20RA、またはIL-20RB部分、およびIL-20、IL-20RA、またはIL-20RB部分のアミノ末端に共有結合させたシグナルペプチドを含み、IgG配列は以下の要素が以下の順からなる:ヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン。したがって、IgG配列はCH1ドメインを欠損する。IL-20、IL-20RA、およびIL-20RB部分は、IL-20との結合能(IL-20RAおよびIL-20RB)またはそのそれぞれの受容体との結合能(IL-20)のような、本明細書に記述のそのそれぞれの活性を示す。抗体と非抗体部分の双方を含む融合タンパク質を産生するためのこの一般的なアプローチは、LaRochelleら、欧州特許第742830号(国際公開公報第95/21258号)に記述されている。
IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB部分とFc部分とを含む融合タンパク質は、例えば、インビトロアッセイツールとして用いることができる。例えば、生物試料におけるIL-20RAリガンド(すなわちIL-20)の存在はIL-20RA免疫グロブリン融合タンパク質を用いて検出することができるが、このタンパク質では、IL-20RA部分がリガンドを結合させるために用いられ、および固相支持体に対して融合タンパク質を結合させるために、プロテインAまたは抗Fc抗体のような高分子が用いられる。そのようなシステムは、アゴニスト、およびIL-20RAリガンド、例えばIL-20のその受容体に対する結合を妨害するアンタゴニストを同定するために用いることができる。
抗体融合タンパク質の他の例には、抗原結合ドメインと細胞外ドメインを含むIL-20RAまたはIL-20RB断片とを含むポリペプチドが含まれる。そのような分子は、結合活性の利益が得られるように特定の組織にターゲティングするために用いることができる。
本発明はさらに、多様な他のポリペプチド融合体を提供する。例えば、生物機能を付与するドメインの一部または全てを、もう一つのサイトカイン受容体ファミリーメンバーからの機能的に同等なドメインを有するIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBのあいだで交換することができる。ポリペプチド融合体は、多様なIL-20、IL-20RA、またはIL-20RB融合類似体を産生するために、組換え型宿主細胞において発現させることができる。IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドは、精製のためのアフィニティタグおよびターゲティングドメインのような、二つまたはそれ以上の部分またはドメインに融合させることができる。ポリペプチド融合体はまた、特にドメイン間に一つまたはそれ以上の切断部位を含みうる。例えばTuanら、Connective Tissue Research 34:1(1996)を参照されたい。
融合タンパク質は、融合タンパク質のそれぞれの成分を調製して、それらを化学的に結合させることによって、当業者に既知の方法によって調製することができる。または、融合タンパク質の双方の成分を適切な読み取り枠においてコードするポリヌクレオチドを、既知の技術を用いて産生させて、本明細書に記述の方法によって発現させることができる。融合タンパク質の酵素および化学的切断の一般的な方法は、例えばAusubel(1995)の16〜19頁から16〜25頁によって記述される。
IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB結合ドメインはさらに、IL-20RAリガンドアゴニストの推定の接触部位アミノ酸の変異と共に、核磁気共鳴、結晶学、電子回折、または光親和性標識のような技術によって決定されるように、物理的な構造分析によって特徴を調べることができる。例えば、de Vosら、Science 255:306(1992)、Smithら、J. Mol. Biol. 224:899(1992)、およびWlodaverら、FEBS Lett. 309:59(1992)を参照されたい。
本発明はまた、IL-20、IL-20RA、もしくはIL-20RBポリペプチドがポリマーに結合している化学改変IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB組成物あるいは結合体を企図する。典型的に、ポリマーは結合体が、生理的環境のような水性環境において沈殿しないように水溶性である。適したポリマーの例は、アシル化のための活性なエスエル、またはアルキル化のためのアルデヒドのような、単一の反応基を有するように改変されているポリマーである。このようにして、重合化の程度を制御することができる。反応性アルデヒドの例は、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、またはモノ-(C1-C10)アルコキシ、またはそのアリールオキシ誘導体(例えば、Harrisら、米国特許第5,252,714号を参照されたい)である。ポリマーは、分岐または非分岐であってもよい。その上、ポリマー混合物を用いて結合体を産生することができる。
治療に用いられるIL-20、IL-20RA、またはIL-20RB結合体は、薬学的に許容される水溶性のポリマー部分を含みうる。適した水溶性ポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ-PEG、モノ(C1-C10)アルコキシ-PEG、アリールオキシ-PEG、ポリ-(N-ビニルピロリドン)PEG、トレシルモノメトキシPEG、PEGプロピオンアルデヒド、ビススクシニミジルカーボネートPEG、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、デキストラン、セルロース、または他の炭化水素骨格のポリマーが含まれる。適したPEGは、例えば分子量5,000、12,000、20,000、および25,000を含む分子量約600〜約60,000を有してもよい。IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB結合体はまた、そのような水溶性ポリマーの混合物を含みうる。
IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB結合体の一つの例は、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB部分と、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB部分のN末端に結合させたポリアルキルオキシド部分とを含む。PEGは一つの適したポリアルキルオキシドである。例として、IL-20RAは、「PEG化」として知られるプロセスであるPEGによって改変することができる。IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBのPEG化は、当技術分野で既知の任意のPEG化反応によって行うことができる(例えば、欧州特許第0 154 316号、Delgadoら、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 9:249(1992)、Duncan and Spreafico、Clin. Pharmacokinet. 27:290(1994)、およびFrancisら、Int. J. Hematol. 68:1(1998)を参照されたい)。例えば、PEG化は、アシル化反応によって、または反応性ポリエチレングリコール分子とのアルキル化反応によって行うことができる。もう一つのアプローチにおいて、IL-20RA結合体は、PEGの末端のヒドロキシまたはアミノ基が活性化リンカーによって置換されている活性化PEGを縮合することによって形成される(例えば、Karasiewiczら、米国特許第5,382,657号を参照されたい)。
アシル化によるPEG化は、典型的に、PEGの活性エステル誘導体をIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドと反応させる必要がある。活性化PEGエステルの例は、N-ヒドロキシスクシニミドにエステル化されたPEGである。本明細書において用いられるように、「アシル化」という用語には、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBと水溶性ポリマーとのあいだに以下のタイプの結合が含まれる:アミド、カルバメート、ウレタン等。アシル化によってPEG化IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBを調製する方法は、典型的に(a)IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドを、それによって一つまたはそれ以上のPEG基がIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBに結合する条件でPEG(PEGのアルデヒド誘導体の反応性エステルのような)に反応させる段階、および(b)反応産物を得る段階を含むであろう。一般的に、アシル化反応のための最適な反応条件は、既知のパラメータおよび所望の結果に基づいて決定されるであろう。例えば、PEG:IL-20RAの比がより大きければ、ポリPEG化IL-20RA産物の割合はより大きくなる。
アシル化によるPEG化産物は典型的に、リジンε-アミノ基がアシル結合基によってPEG化されるポリPEG化IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB産物である。連結する結合の例はアミドである。典型的に、得られたIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBは少なくとも95%モノ-、ジ-、トリPEG化されるが、より高い程度のPEG化を有する何らかの種が反応条件によって形成される可能性がある。PEG化種は、透析、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等のような、標準的な精製法を用いて非結合IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドから分離することができる。
アルキル化によるPEG化は一般的に、還元剤の存在下でPEGの末端アルデヒド誘導体をIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBと反応させることを含む。PEG基は、-CH2-NH基を通してポリペプチドに結合させることができる。
モノPEG化産物を産生するための還元的アルキル化による誘導体形成は、誘導体形成に利用できる異なるタイプの一級アミノ基の異なる反応性を利用する。典型的に、反応はリジン残基のεアミノ基とタンパク質のN末端残基のαアミノ基とのpKa値の差を利用することができるpHで行われる。そのような選択的誘導体形成によって、アルデヒドのような反応基を含む水溶性のポリマーのタンパク質への結合が制御される。ポリマーの結合は、リジン側鎖アミノ基のような他の反応基を有意に改変することなく、タンパク質の主にN末端で起こる。本発明は、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBモノポリマー結合体の実質的に均一な調製物を提供する。
モノポリマーIL-20、IL-20RA、またはIL-20RB結合体の実質的に均一な集団を生じる還元的アルキル化は、以下の段階を含みうる:(a)IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBのアミノ末端でα-アミノ基の選択的改変を可能にするために適したpHで、還元的アルキル化条件で反応性PEGとIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドとを反応させる段階;および(b)反応産物を得る段階。還元的アルキル化に用いられる還元剤は、水溶液において安定であって、還元的アルキル化の最初のプロセスにおいて形成されたシッフ塩基のみを還元させることができなければならない。例としての還元剤には、水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、およびピリジンボランが含まれる。
モノポリマーIL-20、IL-20RA、またはIL-20RB結合体の実質的に均一な集団に関して、還元的アルキル化反応条件は、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBのN末端に水溶性ポリマー部分を選択的に結合させる条件である。そのような反応条件は一般的に、リジンアミノ基とN末端でのαアミノ基とのpKaの差を提供する。pHはまた、用いられるポリマー対タンパク質の比にも影響を及ぼす、一般的に、N末端α基の反応性が低くなればなるほど最適な条件を得るために必要なポリマーの量は多くなることから、pHが低い場合、大過剰量のポリマー対タンパク質が望ましいであろう。pHが高ければ、より多くの反応基が利用できることから、ポリマー:IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBは大きい必要はない。典型的に、pHは3〜9、または3〜6の範囲内であろう。この方法は、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB含有ホモ二量体、ヘテロ二量体、または多量体可溶性受容体結合体を作製するために用いることができる。
検討すべきもう一つの要因は、水溶性ポリマーの分子量である。一般的に、ポリマーの分子量がより高ければ、タンパク質に結合されるポリマー分子はより少なくなる。PEG化反応の場合、典型的な分子量は約2 kDa〜約100 kDa、約5 kDa〜約50 kDa、または約12 kDa〜約25 kDaである。水溶性ポリマー対IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBのモル比は一般的に、1:1〜100:1の範囲であろう。典型的に、水溶性ポリマー対IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBのモル比は、ポリPEG化に関して1:1〜20:1であり、モノPEG化に関して1:1〜5:1であろう。
ポリペプチドおよび水溶性ポリマー部分を含む結合体を産生する一般的な方法は当技術分野で既知である。例えば、Karasiewiczら、米国特許第5,382,657号、Greenwaldら、米国特許第5,738,846号、Nieforthら、Clin. Pharmacol. Ther. 59:636(1996)、Monkarshら、Anal. Biochem. 247:434(1997)を参照されたい。この方法は、IL-20RAもしくはIL-20RB含有ホモ二量体、ヘテロ二量体、または多量体可溶性受容体結合物を作製するために用いることができる。
本発明は、本明細書に記載のペプチドまたはポリペプチドを含む組成物を企図する。そのような組成物はさらに、担体を含みうる。担体は、通常の有機または無機担体となりうる。担体の例には、水、緩衝液、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油等が含まれる。
7.IL-20、IL-20RA、およびIL-20RBポリペプチドの単離
本発明のポリペプチドは、混入高分子、特に他のタンパク質および核酸に関して純度少なくとも約80%、純度少なくとも約90%、純度少なくとも約95%、または96%、97%、98%のような95%より高い、または純度99%より高くなるように精製することができ、感染因子および発熱性物質を含まない。本発明のポリペプチドはまた、薬学的に純粋な状態、すなわち純度99.9%より高くなるまで精製してもよい。特定の調製物において、精製ポリペプチドは、他のポリペプチド、特に動物起源の他のポリペプチドを実質的に含まない。
分画および/または通常の精製法を用いて、合成の、または組換え型宿主細胞から精製された組換え型および融合型のIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBの調製物、あるいは天然起源(例えば、ヒト組織起源)から精製された調製物を得ることができる。一般的に、硫酸アンモニウム沈殿または酸もしくはカオトロピック抽出を試料の分画のために用いてもよい。例としての精製段階には、ヒドロキシアパタイト、サイズ排除、FPLC、および逆相高速液体クロマトグラフィーが含まれてもよい。適したクロマトグラフィー媒体には、誘導体化デキストラン、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特殊シリカ等が含まれる。PEI、DEAE、QAE、およびQ誘導体が適している。例としてのクロマトグラフィー媒体には、フェニル-セファロースFF(Pharmacia)、Toyoperalブチル650(Toso Haas、モンゴメリービル、ペンシルバニア州)、オクチル-セファロース(Pharmacia)等のようなフェニル、ブチル、またはオクチル基によって誘導体化した媒体;またはAmberchrom CG 71(Toso Haas)のようなポリアクリル樹脂等が含まれる。適した固相支持体には、それらが用いられる条件で不溶性であるガラスビーズ、シリカ骨格の樹脂、セルロース樹脂、アガロースビーズ、クロスリンクしたアガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、クロスリンクしたポリアクリルアミド樹脂等が含まれる。これらの支持体は、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基および/または炭化水素部分によってタンパク質の結合を可能にする反応基によって改変してもよい。
共役化学の例には、臭化シアンの活性化、N-ヒドロキシスクシニミド活性化、エポキシド活性化、スルフヒドリル活性化、ヒドラジド活性化、ならびにカルボジイミド共役化学のカルボキシルおよびアミノ酸誘導体が含まれる。これらおよび他の固相媒体は周知であり、当技術分野において広く用いられ、市販されている。ポリペプチドを単離および精製する特定の方法の選択は、普通の設計の問題であり、選択した支持体の特性によって部分的に決定される。例えば、Affinity Chromatography:Principles and Methods(Pharmacia LKB Biotechnology、1988)、およびDoonan、Protein Purification Protocols(The Humana Press、1996)を参照されたい。
本発明のポリペプチドの単離および精製におけるさらなる変種は、当業者によって考案されうる。例えば、下記のように得られる抗IL-20、IL-20RA、およびIL-20RB抗体は、免疫アフィニティ精製によって大量のタンパク質を単離するために用いることができる。
本発明のポリペプチドはまた、特定の特性を利用することによって単離することができる。例えば、固定された金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィーを用いて、ポリヒスチジンタグを含むタンパク質を含む、ヒスチジンに富むタンパク質を精製することができる。簡単に説明すると、ゲルにまず、二価金属イオンを満たしてキレートを形成させる(Sulkowski、Trends in Biochem 3:1(1985))。ヒスチジンに富むタンパク質をこのマトリクスに、用いる金属イオンに応じて異なる親和性で吸着させて、pHを低下させて、または強いキレート剤を用いて、競合的溶出によって溶出させる。他の精製法には、レクチンアフィニティクロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーによるグリコシル化タンパク質の精製が含まれる(M. Deutscher(編)、Meth. Enzymol. 182:529(1990))。本発明のさらなる態様において、精製を容易にするために、対象ポリペプチドとアフィニティタグ(例えば、マルトース結合タンパク質、免疫グロブリンドメイン)との融合体を構築してもよい。その上、IL-20RAまたはIL-20RB細胞外ドメインのリガンド-結合特性を、例えばIL-20リガンドがカラムに結合してIL-20RAを含む受容体が結合し、その後標準的なクロマトグラフィー法を用いて溶出させるアフィニティクロマトグラフィーを用いることによって、例えばIL-20RAを含む可溶性受容体を精製するために利用することができる。
本発明のポリペプチドまたはその断片も同様に、上記のように化学合成によって調製してもよい。これらポリペプチドは、単量体または多量体:グリコシル化または非グリコシル化;PEG化または非PEG化であってもよく;および最初のメチオニンアミノ酸残基を含んでも含まなくてもよい。
9.IL-20、IL-20RA、およびIL-20RBタンパク質に対する抗体の産生
本発明のポリペプチドに対する抗体は、例えばIL-20、IL-20RA、またはIL-20RB発現ベクターの産物、または天然起源から抗原として単離されたこれらポリペプチドのいずれかを用いて得ることができる。特に有用な抗IL-20抗体は、IL-20に「特異的に結合する」;特に有用な抗IL-20RA抗体は、IL-20RAに「特異的に結合する」;特に有用な抗IL-20RB抗体は、IL-20RBに「特異的に結合する」。抗体は、抗体が以下の二つの特性の少なくとも一つを示す場合、特異的に結合すると見なされる:(1)抗体が結合活性の閾値レベルでそれらの特異的標的に結合する(すなわち抗IL-20はIL-20に結合する);および(2)抗体がそれらの特異的標的に近縁のポリペプチドと有意に交叉反応しない(すなわち抗IL-20はIL-22に結合しない)。
第一の特徴に関して、抗体は、それらが本発明のポリペプチド、またはそのペプチドもしくはエピトープに106 M-1またはそれより大きい、好ましくは107 M-1またはそれより大きい、より好ましくは108 M-1またはそれより大きい、および最も好ましくは109 M-1またはそれより大きい結合親和性(Ka)で結合する場合に、特異的に結合する。抗体の結合親和性は、例えばスキャッチャード分析(Scatchard、Ann. NY. Acad. Sci. 51:660(1949))によって当業者によって容易に決定することができる。第二の特徴に関して、抗体は、例えばそれらが、標準的なウェスタンブロット分析を用いてIL-20RAを検出するが現在既知のポリペプチドを検出しない場合、近縁のポリペプチド分子と有意に交叉反応しない。既知の近縁のポリペプチドの例には、既知のサイトカイン受容体が含まれる。
抗IL-20RA抗体は、抗原性IL-20エピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドを用いて産生することができる。本発明の抗原性エピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドは、配列番号:2もしくは3または本明細書に開示のもう一つのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸少なくとも9個、または15〜約30個を含む。しかし、アミノ酸30〜50個または本発明のポリペプチドのアミノ酸配列全体を含む任意の長さを含む、本発明のアミノ酸配列のより大きい部分を含むペプチドまたはポリペプチドも同様に、IL-20に結合する抗体を誘導するために有用である。抗IL-20RA抗体は、抗原性IL-20RAエピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドを用いて産生することができる。本発明の抗原性エピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドは、配列番号:14または15または本明細書に開示のもう一つのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸を少なくとも9個、または15〜約30個含む。しかし、アミノ酸30〜50個または本発明のポリペプチドのアミノ酸配列全体を含む任意の長さを含む、本発明のアミノ酸配列のより大きい部分を含むペプチドまたはポリペプチドも同様に、IL-20に結合する抗体を誘導するために有用である。抗IL-20RB抗体は、抗原性IL-20RBエピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドを用いて産生することができる。本発明の抗原性エピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドは、配列番号:21または23または本明細書に開示のもう一つのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸を少なくとも9個、または15〜約30個含む。しかし、アミノ酸30〜50個または本発明のポリペプチドのアミノ酸配列全体を含む任意の長さを含む、本発明のアミノ酸配列のより大きい部分を含むペプチドまたはポリペプチドも同様に、IL-20RBに結合する抗体を誘導するために有用である。エピトープ含有ペプチドのアミノ酸配列は、水性溶媒において実質的な溶解度(すなわち、配列には、比較的親水性の残基が含まれるが、疎水性の残基は典型的に回避される)を提供するように選択されることが望ましい。その上、プロリン残基を含むアミノ酸配列も同様に抗体産生のために望ましい可能性がある。
例として、IL-20、IL-20RA、およびIL-20RBにおける可能性がある抗原性部位を、LASERGENE(DNASTAR;マディソン、ウィスコンシン州)のPROTEANプログラム(バージョン3.14)によって実行されるJameson-Wolf法、Jameson and Wolf、CABIOS 4:181(1988)を用いて同定した。この分析においてデフォルトパラメータを用いた。
Jameson-Wolf法は、タンパク質構造予測に関する六つの主要なサブルーチンを組み合わせることによって可能性がある抗原性決定因子を予測する。簡単に説明すると、Hopp-Woods法、Hoppら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:3824(1981)を最初に用いて最大の局所親水性領域を表すアミノ酸配列を同定した(パラメータ:7残基の平均)。第二段階において、Emini法、Eminiら、J. Virology 55:836(1985)を用いて表面確率を計算した(パラメータ:表面決定閾値(0.6)=1)。第三に、Karplus-Schultz法、Karplus and Schultz、Naturwissenschaften 72:212(1985)を用いて、骨格鎖の柔軟性を予測した(パラメータ:柔軟性閾値(0.2)=1)。分析の第四および第五段階において、Chou-Fasman、Chou、「Prediction of Protein Structural Classes from Amino Acid Composition」、Prediction of Protein Structure and the Principles of Protein Conformation、Fasman(編)、549〜586頁(Plenum Press、1990)およびGarnier-Robson、Garnierら、J. Mol. Biol. 120:97(1978)(Chou-Fasmanパラメータ:コンフォメーション表=64タンパク質;α領域閾値=103;β領域閾値=105;Garnier-Robsonパラメータ:αおよびβ決定定数=0)の方法を用いて、データに二次構造予測を適用した。第六のサブルーチンにおいて、柔軟性パラメータおよびハイドロパシー/溶媒到達因子を組み合わせて、「抗原指数」と呼ばれる表面輪郭値を決定した。最後に、ピーク広域化関数を抗原指数に適用して、これは、下位の領域と比較して表面領域の運動性に由来するさらなる自由エネルギーを説明するためにそれぞれのピーク値の20、40、60、または80%を加えることによって主要な表面ピークを広くする。しかし、ヘリックス領域はより柔軟性が低い傾向があることから、この計算は、ヘリックス領域に存在する如何なる主要なピークにも適用しなかった。
この分析の結果から、配列番号:2の以下のアミノ酸配列が適した抗原性ペプチドを提供するであろうことが示された:Hopp/Woods親水性プロフィールを用いて、配列番号:2内の最も抗原性が高い領域を決定することができる(Hoppら、Proc. Natl. Acad. Sci. 78:3824〜3828、1981;Hopp、J. Immun. Meth. 88:1〜18、1986、およびTriquierら、Protein Engineering 11:153〜169、1998)。プロフィールはスライディング6残基ウィンドウに基づく。隠れたG、SおよびT残基および露出したH、Y、およびW残基を無視した。その上、例えば、DNASTAR Proteanプログラム(DNASTAR Inc.、マディソン、ウィスコンシン州)を用いてJameson-Wolfプロットによって予測されるように、配列番号:2内のIL-20抗原性エピトープは、好ましい抗原性エピトープとして役立ち、当業者によって決定することができる。例えば、IL-20に対する中和抗体には、IL-20抗原性エピトープを結合することができる中和モノクローナル抗体のような抗体が含まれる。従って、IL-20のペプチドおよびポリペプチドを有する抗原性エピトープは、本明細書に記載のIL-20ポリペプチドを結合する抗体を惹起するため、ならびにIL-20の活性を中和し、およびこの活性を拮抗、減少、阻害、または遮断する可能性がある抗IL-20モノクローナル抗体を同定およびスクリーニングするために役立つ。本発明のこのような中和抗体はIL-20抗原性エピトープに結合することができる。例えばDNASTAR Proteanプログラム(DNASTAR Inc.、マディソン、ウィスコンシン州)を用いてJameson-Wolfプロットによって予想されるように、配列番号:8におけるこのようなエピトープは、好ましい抗原性エピトープとして役立ち、当業者によって決定することができる。そのような抗原性エピトープには以下が含まれる:配列番号:8のアミノ酸残基42(Ile)〜102(Asp);配列番号:8のアミノ酸残基42(Ile)〜60(Ile);配列番号:8のアミノ酸残基42(Ile)〜69(Glu);配列番号:8のアミノ酸残基42(Ile)〜81(Cys);配列番号:8のアミノ酸残基42(Ile)〜96(Lys);配列番号:8のアミノ酸残基42(Ile)〜102(Asp);配列番号:8のアミノ酸残基60(Ile)〜69(Glu);配列番号:8のアミノ酸残基60(Ile)〜81(Cys);配列番号:8のアミノ酸残基60(Ile)〜96(Lys);配列番号:8のアミノ酸残基60(Ile)〜102(Asp);配列番号:8のアミノ酸残基69(Glu)〜81(Cys);配列番号:8のアミノ酸残基69(Glu)〜96(Lys);配列番号:8のアミノ酸残基69(Glu)〜102(Asp);配列番号:8のアミノ酸残基81(Cys)〜96(Lys);配列番号:8のアミノ酸残基81(Cys)〜102(Asp);および配列番号:8のアミノ酸残基96(Lys)〜102(Asp)。
この分析の結果は、配列番号14の以下のアミノ酸配列が適切な抗原性ペプチドを提供するであろうことを示した:配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜9(Leu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜36(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜41(Ala);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜58(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜63(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜80(Lys);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜104(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜120(Cys);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜161(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜187(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜224(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜316(Ile);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜323(Ile);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜335(Asp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜371(Cys);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜384(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜412(Ala);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜462(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜483(Asp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜496(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜523(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜63(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜63(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基483(Asp)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基483(Asp)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基483(Asp)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基496(Ser)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基496(Ser)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基523(Glu)〜536(Thr)。
この分析の結果は、配列番号:14の以下のアミノ酸配列が適切な抗原性ペプチドを提供するであろうことを示した:以下を含む配列番号:21中のL-20RB抗原性エピトープ:配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜74(Tyr);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜101(Asp);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜135(Ser);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜101(Asp);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜135(Ser);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基130(Pro)〜135(Ser);配列番号:21のアミノ酸残基130(Pro)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基130(Pro)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基171(Arg)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基171(Arg)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基279(Asn)〜283(Lys)。その上、適切な抗原は同様に、可溶性IL-20RAおよび/またはIL-20RBのヘテロ二量体ポリペプチドまたはマルチマーポリペプチドを形成するもののような、もう一つのクラスIまたはIIサイトカイン細胞外ドメインと組み合わせた、上記に開示されたIL-20RAまたはIL-20RBのサイトカイン結合、または細胞外ドメインを含むIL-20RAまたはIL-20RBを含む。
本発明の組換え型ポリペプチド、または天然起源から単離した本発明のポリペプチドに対するポリクローナル抗体は、当業者に周知の方法を用いて調製することができる。例えば、Greenら、「Production of Polyclonal Antisera」、Immunochemical Protocols(Manson編)、1〜5頁(Humana Press、1992)およびWilliamsら、「Expression of foreign proteins in E. coli using plasmid vectors and purification of specific polyclonal antibodies」、DNA Cloning 2:Expression Systems、第二版、Gloverら(編)、15頁(Oxford University Press、1995)を参照されたい。本発明のポリペプチドの免疫原性は、ミョウバン(水酸化アルミニウム)またはフロイントの完全もしくは不完全アジュバントのようなアジュバントを用いて増加させることができる。免疫にとって有用なポリペプチドにはまた、IL-20RAもしくはIL-20RBまたはその一部と免疫グロブリンポリペプチドもしくはマルトース結合タンパク質との融合体のような、融合ポリペプチドが含まれる。ポリペプチド免疫原は、完全長の分子またはその一部であってもよい。ポリペプチド部分が「ハプテン様」である場合、そのような部分は、免疫のために高分子担体(キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、または破傷風トキソイドのような)に結合または連結させることが都合がよいかも知れない。
ポリクローナル抗体は典型的にウマ、ウシ、イヌ、ニワトリ、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ヤギ、またはヒツジのような動物において産生されるが、本発明の抗体は、ヒト下霊長類抗体に由来してもよい。ヒヒにおいて診断的および治療的に有用な抗体を産生する一般的な技術は、例えば、Goldenbergら、国際特許公開番号国際公開公報第91/11465号およびLosmanら、Int. J. Cancer 46:310(1990)に認められるであろう。
または、モノクローナル抗IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB抗体を産生することができる。特定の抗原に対する齧歯類のモノクローナル抗体は、当業者に既知の方法によって得てもよい(例えば、Kohlerら、Nature 256:495(1975)、Coliganら(編)、Current Protocols in Immunology、第1巻、2.5.1〜2.6.7頁(John Wiley&Sons、1991)[Coligan]、Picksleyら、「Production of monoclonal antibodies against proteins expressed in E. coli.」、DNA Cloning 2:Expression Systems、第二版、Glover(編)、93頁(Oxford University Press、1995)を参照されたい)。
簡単に説明すると、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB遺伝子産物を含む組成物をマウスに注射すること、血清試料を採取することによって抗体産生の有無を確認すること、脾臓を摘出してB-リンパ球を得ること、B-リンパ球を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを産生すること、ハイブリフドーマをクローニングすること、抗原に対する抗体を産生する陽性クローンを選択すること、抗原に対する抗体を産生するクローンを培養すること、およびハイブリドーマ培養物から抗体を単離することによって、モノクローナル抗体を得ることができる。
さらに、本発明の抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体は、ヒトモノクローナル抗体に由来してもよい。ヒトモノクローナル抗体は、抗原チャレンジに反応して特異的ヒト抗体を産生するように操作されているトランスジェニックマウスから得られる。この技術において、ヒト重鎖および軽鎖座の要素を、内因性の重鎖および軽鎖座の標的化破壊を含む胚幹細胞に由来するマウスの系統に導入する。トランスジェニックマウスは、ヒト抗原に対して特異的なヒト抗体を合成することができ、マウスを用いてヒト抗体分泌ハイブリドーマを産生することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得る方法は、例えばGreenら、Nature Genet. 7:13(1994)、Lonbergら、Nature 368:856(1994)、およびTaylorら、Int. Immun. 6:579(1994)によって記述されている。
モノクローナル抗体は、多様な十分に確立された技術によってハイブリドーマ培養物から単離および精製することができる。そのような単離技術には、プロテイン-Aセファロースによるアフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーが含まれる(例えば、Coligan、2.7.1〜2.7.12頁、および2.9.1および2.9.3頁;Bainesら、「Purification of Immunoglobulin G(IgG)」、Methods in Molecular Biology、10巻、79〜104頁(The Humana Press Inc.、1992)を参照されたい)。
特定の用途に関して、抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体の断片を調製することが望ましいかも知れない。そのような抗体断片は、例えば抗体のタンパク質分解加水分解によって得ることができる。抗体断片は、通常の方法によって抗体全体のペプシンまたはパパイン消化によって得ることができる。例として、抗体断片は、抗体をペプシンによって酵素的に切断してF(ab')2と命名される5S断片を提供することができる。この断片をさらにチオール還元剤によって切断すると、3.5SのFab'一価断片を得ることができる。選択的に、切断反応は、ジスルフィド結合の切断に起因するスルフヒドリル基のブロッキング基を用いて行うことができる。例として、ペプシンを用いた酵素的切断は、二つの一価Fab断片およびFc断片を直接産生する。これらの方法は、例えばGoldenberg、米国特許第4,331,647号、Nisonoffら、Arch. Biochem. Biophys. 89:230(1960)、Porter、Biochem. J. 73:119(1959)、Edelmanら、Methods in Enzymology 1巻、422頁(Academic Press、1967)およびColigan、2.8.1〜2.8.10および2.10〜2.10.4に記述される。
重鎖を分離して一価の軽重鎖断片の形成、断片のさらなる切断、または他の酵素的、化学的、もしくは遺伝子技法のような、抗体を切断する他の方法も同様に、無傷の抗体によって認識される抗原に断片が結合する限り、用いてもよい。
例えば、Fv断片は、VHおよびVL鎖の会合を含む。この会合は、Inbarら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:2659(1972)によって記述されるように非共有結合となりうる。または、可変鎖を分子間ジスルフィド結合によって結合するか、またはグルタルアルデヒドのような化学物質によってクロスリンクすることができる(例えば、Sandhu、Crit. Rev. Biotech. 12:437(1992)を参照されたい)。
Fv断片は、ペプチドリンカーによって結合されたVHおよびVL鎖を含んでもよい。これらの一本鎖抗原結合タンパク質(scFv)は、オリゴヌクレオチドによって結合されるVHおよびVLドメインをコードするDNA配列を含む構造遺伝子を構築することによって調製される。構造遺伝子を発現ベクターに挿入して、これを大腸菌のような宿主細胞に導入する。組換え型宿主細胞は、二つのVドメインを架橋するリンカーペプチドによって一本鎖ポリペプチドを合成する。scFvsを産生する方法は、例えば、Whitlowら、Methods:A Companion to Methods in Enzymology 2:97(1991)(同様に、Birdら、Science 242:423(1988)、Ladnerら、米国特許第4,946,778号、Packら、Bio/Technology 11:1271(1993)、およびSandhu、上記を参照されたい)。
例として、scFVは、リンパ球をインビトロで本発明のポリペプチドに曝露すること、ファージまたは類似のベクターにおける抗体ディスプレイライブラリを選択すること(例えば、固定または標識IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBタンパク質またはペプチドを用いることによって)によって得ることができる。可能性があるIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチド結合ドメインを有するポリペプチドをコードする遺伝子は、ファージ(ファージディスプレイ)または大腸菌のような細菌上で示されるランダムペプチドライブラリをスクリーニングすることによって得ることができる。ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、ランダム変異誘発およびランダムポリヌクレオチド合成のような多くの方法によって得ることができる。これらのランダムペプチドディスプレイライブラリを用いて、リガンドまたは受容体のようなタンパク質もしくはポリペプチド、生物学的もしくは合成高分子、または有機もしくは無機物質となりうる既知の標的と相互作用するペプチドに関してスクリーニングすることができる。そのようなランダムペプチドディスプレイライブラリを作製およびスクリーニングする技術は当技術分野で既知である(Ladnerら、米国特許第5,223,409号、Ladnerら、米国特許第4,946,778号、Ladnerら、米国特許第5,403,484号、Ladnerら、米国特許第5,571,698号、およびKayら、Phage Display of Peptides and Proteins(Academic Press Inc.、1996)、およびランダムペプチドディスプレイライブラリおよびそのようなライブラリをスクリーニングするためのキットは、例えば、CLONTECH Laboratories Inc.(パロアルト、カリフォルニア州)、Invitrogen Inc.(サンディエゴ、カリフォルニア州)、New England Biolabs, Inc.(ビバリー、マサチューセッツ州)、およびPharmacia LKB Biotechnology Inc.(ピスカタウェイ、ニュージャージー州)から市販されている。ランダムペプチドディスプレイライブラリは、IL-20に結合するタンパク質を同定するために本明細書に開示のIL-20、IL-20RA、およびIL-20RB配列を用いてスクリーニングすることができる。
抗体断片のもう一つの型は、一つの相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRペプチド(「最小認識単位」)は、対象抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することによって得ることができる。そのような遺伝子は、例えば抗体産生細胞のRNAから可変領域を合成するために、ポリメラーゼ連鎖反応を用いることによって調製される(例えば、Larrickら、Methods:A Companion to Methods in Enzymology 2:106(1991)、Courtenay-Luck、「Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies.」、Monoclonal Antibodies:Production, Engineering and Clinical Application、Ritterら(編)、166頁(Cambridge University Press、1995)、およびWardら、「Genetic Manipulation and Expression of Antibodies」、Monoclonal Antibodies:Principles and Applications、Birchら(編)、137頁(Wiley-Liss, Inc.、1995)を参照されたい)。
または、抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体は、「ヒト化」モノクローナル抗体に由来してもよい。ヒト化モノクローナル抗体は、マウス免疫グロブリンの重鎖および軽鎖可変ドメインからのマウス相補性決定領域をヒト可変ドメインに転移することによって産生される。次に、ヒト抗体の典型的な残基をマウス相対物のフレームワーク領域において置換する。ヒト化モノクローナル抗体に由来する抗体成分を用いることによって、マウス定常領域の免疫原性に関連して起こりうる問題が回避される。マウス免疫グロブリン可変領域をクローニングする一般的な技術は、例えば、Orlandiら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:3833(1989)に記述されている。ヒト化モノクローナル抗体を産生する技術は、例えばJonesら、Nature 321:522(1986)、Carterら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4285(1992)、Sandhu、Crit. Rev. Biotech. 12:437(1992)、Singerら、J. Immun. 150:2844(1993)、Sudhir(編)、「Antibody Engineering Protocols」(Humana Press Inc.、1995)、Kelly、「Engineering Therapeutic Antibodies.」、Protein Engineering:Principles and Practice、Clelandら(編)、399〜434頁(John Wiley&Sons Inc.、1996)、およびQueenら、米国特許第5,693,762号(1997)に記述されている。
ポリクローナル抗イディオタイプ抗体は、標準的な技術を用いて、抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体によって動物を免疫することによって調製することができる。例えば、Greenら、「Production of Polyclonal Antisera」、Methods In Molecular Biology:Immunochemical Protocols 、Manson(編)1〜12頁(Humana Press、1992)を参照されたい。同様に、Coligan、2.4.1〜2.4.7頁を参照されたい。または、モノクローナル抗イディオタイプ抗体を、上記のような技術によって免疫原として抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体または抗体断片を用いて調製することができる。もう一つの方法として、ヒト化抗イディオタイプ抗体またはヒト下霊長類抗イディオタイプ抗体は、上記の技術を用いて調製することができる。抗イディオタイプ抗体を産生する方法は、例えばIrie、米国特許第5,208,146号、Greeneら、米国特許第5,637,677号、およびVarthakavi and Minocha、J. Gen. Virol. 77:1875(1996)によって記述される。
抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体を検出可能な標識と結合させて、抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB免疫結合体を形成することができる。適した検出可能な標識には、例えば放射性同位元素、蛍光標識、化学発光標識、酵素標識、生物発光標識、または金コロイドが含まれる。そのような検出可能に標識された免疫結合体を作製および検出する方法は当業者に周知であり、下記により詳細に記述する。
検出可能な標識は、オートラジオグラフィーによって検出される放射性同位元素となりうる。本発明の目的にとって特に有用な同位元素は3H、125I、131I、35S、および14Cである。
抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB免疫結合体はまた、蛍光化合物によって標識することができる。蛍光標識抗体の存在は、免疫結合体を適当な波長の光に曝露すること、得られた蛍光を検出することによって決定される。蛍光標識化合物には、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、およびフルオレスカミンが含まれる。
または、抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB免疫結合体は、抗体成分を化学発光化合物に共役させることによって検出可能に標識することができる。化学発光タグ免疫結合体の存在は、化学反応の過程において発生する発光の存在を検出することによって決定される。化学発光標識化合物の例には、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルが含まれる。
同様に、生物発光化合物を用いて、本発明の抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB免疫結合体を標識することができる。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効率を増加させる生物系において認められるタイプの化学発光である。生物発光タンパク質の存在は発光の存在を検出することによって決定される。標識にとって有用な生物発光化合物には、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびアエコリンが含まれる。
または、抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB免疫結合体は、抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体成分を酵素に結合させることによって検出可能に標識することができる。抗体-酵素結合体を適当な基質の存在下でインキュベートすると、酵素部分が基質と反応して化学部分を産生し、これを例えば、分光光度法、蛍光測定、または肉眼的手段によって検出することができる。多特異的免疫結合体を検出可能に標識するために用いることができる酵素の例には、β-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、およびアルカリホスファターゼが含まれる。
当業者は、本発明に従って用いることができる他の適した標的を知っているであろう。マーカー部分を抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体に結合させることは、当技術分野で既知の標準的な技術を用いて行うことができる。この点において典型的な方法論は、Kennedyら、Clin, Chim. Acta. 70:1(1976)、Schursら、Clin. Chim. Acta. 81:1(1977)、Shihら、Int'l J. Cancer 46:1101(1990)、Steinら、Cancer Res. 50:1330(1990)、およびColigan、上記によって記述される。
その上、免疫化学的検出の便利性および多用途性は、アビジン、ストレプトアビジン、およびビオチンに結合させた抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体を用いることによって増強することができる(例えば、Wilchekら(編)、「Avidin-Biotin Technology」、Methods in Enzymology、184巻(Academic Press、1990)、およびBayerら、「Immunochemical Applications of Avidin-Biotin Technology」、Methods in Molecular Biology、10巻、Manson(編)、149〜162頁(Humana Press Inc.、1992)を参照されたい)。
イムノアッセイを行う方法は十分に確立されている。例えば、Cook and Self、「Monoclonal Antibodies in Diagnostic Immunoassays.」、Monoclonal Antibodies:Production, Engineering, and Clinical Application、Ritter and Ladyman(編)、180〜208頁(Cambridge University Press、1995)、Perry、「The Role of Monoclonal Antibodies in the Advancement of Immunoassay Technology.」、Monoclonal Antibodies:Principles and Applications、Birch and Lennox(編)、107〜120頁(Wiley-Liss Inc.、1995)、およびDimandis、Immunoassay(Academic Press Inc.、1996)を参照されたい。
本発明はまた、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB遺伝子発現に関する免疫診断アッセイを行うためのキットを企図する。そのようなキットは、抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体、または抗体断片を含む少なくとも一つの容器を含む。キットはまた、IL-20、IL-20RA、もしくはIL-20RB抗体、または抗体断片の存在を示すことができる一つまたはそれ以上の試薬を含む第二の容器を含んでもよい。そのような指標試薬の例には、放射活性標識、蛍光標識、化学発光標識、酵素標識、生物発光標識、金コロイド等が含まれる。キットはまた、IL-20、IL-20RA、もしくはIL-20RB抗体、または抗体断片を用いて、対応するタンパク質を検出することをユーザーに伝える手段を含んでもよい。例えば、書面での説明書は、同封の抗体または抗体断片を用いてIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBを検出できることを示してもよい。書面での材料は、容器に直接適用してもよく、または書面での材料は添付文書の形で提供されうる。
8.IL-20に対するIL-20RAおよびIL-20RB結合に拮抗するための抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体の利用
本明細書において有用な抗体を産生または選択するためのもう一つの技術には、リンパ球を、可溶性のIL-20RAまたはIL-20RB受容体ポリペプチドまたは抗原性エピトープのようなその断片にインビトロで曝露すること、ファージまたは類似のベクターにおける抗体ディスプレイライブラリを選択すること(例えば、固定または標識された可溶性のIL-20RAまたはIL-20RB受容体ポリペプチドまたは抗原性エピトープのようなその抗体断片を用いることによって)が含まれる。可溶性IL-20RAまたはIL-20RB受容体ポリペプチドまたは抗原性エピトープのようなその断片のような、可能性がある結合ドメインを有するポリペプチドをコードする遺伝子は、ファージ(ファージディスプレイ)または大腸菌のような細菌上で示されるランダムペプチドライブラリをスクリーニングすることによって得ることができる。ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、ランダム変異誘発およびランダムポリヌクレオチド合成のような多様な方法で得ることができる。これらのランダムペプチドディスプレイライブラリを用いてリガンドまたは受容体のようなタンパク質またはポリペプチド、生体または合成高分子、または有機もしくは無機物質となりうる既知の標的と相互作用するペプチドに関してスクリーニングすることができる。そのようなランダムペプチドディスプレイライブラリを作製およびスクリーニングする技術は当技術分野で既知であり(Ladnerら、米国特許第5,223,409号;Ladnerら、米国特許第4,946,778号;Ladnerら、米国特許第5,403,484号およびLadnerら、米国特許第5,571,698号)、ランダムペプチドディスプレイライブラリおよびそのようなライブラリをスクリーニングするためのキットは、例えば、Clontech(パロアルト、カリフォルニア州)、Invitrogen Inc.(サンディエゴ、カリフォルニア州)、New England Biolabs Inc.(ビバリー、マサチューセッツ州)、およびPharmacia LKB Biotechnology Inc.(ピスカタウェイ、ニュージャージー州)から市販されている。ランダムペプチドディスプレイライブラリは、IL-20RAまたはIL-20RBを含む受容体ポリペプチドに結合するタンパク質を同定するために本明細書に開示の抗原性エピトープポリペプチド配列のような、可溶性IL-20RAおよび/またはIL-20RB受容体ポリペプチドまたはその断片を用いてスクリーニングすることができる。可溶性のIL-20RAおよび/またはIL-20RBを含む受容体ポリペプチドと相互作用するこれらの「結合ポリペプチド」は、細胞をタグ付けするために;アフィニティ精製によって相同体ポリペプチドを単離するために用いることができる;それらは薬物、毒素、放射性核種等に直接または間接的に結合させることができる。これらの結合ポリペプチドも同様に、例えばIL-20リガンドと受容体との相互作用、または受容体に対するウイルスの結合を遮断することに関して、発現ライブラリおよび中和抗体をスクリーニングするためのような分析法において用いることができる。結合ポリペプチドも同様に、可溶性IL-20RAおよび/またはIL-20RBを含む受容体ポリペプチドの循環中のレベルを決定するために;基礎となる病態または疾患のマーカーとして可溶性または非可溶性IL-20RA含有受容体を検出または定量するために、診断アッセイにおいて用いることができる。これらの結合ポリペプチドはまた、可溶性もしくは膜結合型IL-20RAまたはIL-20RB単量体受容体、またはIL-20RA/IL-20RBホモ二量体、ヘテロ二量体、または多量体ポリペプチド結合(例えばリガンドに対する)、ならびにインビトロおよびインビボでのシグナル伝達を遮断するために「アンタゴニスト」として作用することができる。この場合も、これらの結合ポリペプチドは抗IL-20RAもしくは抗IL-20RB単量体受容体または抗IL-20RAおよび/または抗IL-20RBホモ二量体、ヘテロ二量体、または多量体ポリペプチドとして作用し、IL-20活性のみならず、受容体活性またはタンパク質結合を阻害するために有用である。本発明の天然の受容体複合体に対する抗体、IL-20、IL-20RA、およびIL-20RBエピトープ結合抗体、および抗IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB中和性モノクローナル抗体は、より特異的に作用する可能性があり、IL-20を阻害することができることから、好ましい態様であるかも知れない。その上、本発明の抗体のアンタゴニストおよび結合活性は、IL-20、ならびにIL-20RAおよび/またはIL-20RB含有可溶性受容体の存在下でIL-20増殖、シグナルトラップ、ルシフェラーゼ、または結合アッセイ、および本明細書に記載の他の生物学的または生化学的アッセイにおいてアッセイすることができる。
可溶性IL-20RA、IL-20RB、およびIL-20RB/IL-20RB受容体ポリペプチドに対する抗体または抗原性エピトープのようなその断片は、インビボでIL-20の炎症作用を阻害するために、乾癬、内毒素血症、関節炎、喘息、IBD、大腸炎、乾癬性関節炎、リウマチ性関節炎、または他のIL-20による炎症病態に対して治療的に用いるために、IL-20RA、IL-20RB、およびIL-20RB/IL-20RB受容体を発現する細胞にタグを付けるために、アフィニティ精製によって可溶性のIL-20RAおよび/またはIL-20RB含有受容体ポリペプチドを単離するために;可溶性のIL-20RAおよび/またはIL-20RB含有受容体ポリペプチドの循環中のレベルを決定する診断アッセイのために;基礎病態または疾患のマーカーとして可溶性IL-20RAおよび/またはIL-20RB含有受容体を検出または定量するために;FACSを用いる分析法において;発現ライブラリをスクリーニングするために;IL-20アゴニストとして作用することができる抗イディオタイプ抗体を産生するために;ならびにIL-20RAおよび/またはIL-20RB受容体の機能を遮断するため、またはインビトロおよびインビボでIL-20の活性を遮断するための中和抗体もしくはアンタゴニストとして用いてもよい。適した直接タグまたは標識には、放射性核種、酵素、基質、共因子、ビオチン、阻害剤、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子等が含まれる;間接的なタグまたは標識は、中間体としてビオチン-アビジンまたは他の補体/抗補体対を用いることを特徴としてもよい。本明細書において用いられる抗体は、薬物、毒素、放射性核種等に直接または間接的に結合させてもよく、これらの結合体は、インビボで診断的または治療的応用のために用いてもよい。その上、可溶性IL-20RAおよび/またはIL-20RB含有受容体ポリペプチドに対する抗体またはその断片は、インビトロで、アッセイ、例えばウェスタンブロットまたは当技術分野で既知の他のアッセイにおいて、変性または非変性IL-20RAおよび/またはIL-20RB含有受容体ポリペプチドまたはその断片を検出するために用いてもよい。
可溶性IL-20RAおよび/もしくはIL-20RB受容体または可溶性IL-20RAもしくはIL-20RBホモ二量体、ヘテロ二量体、もしくは多量体受容体ポリペプチドに対する抗体は、対応する受容体を発現する細胞にタグを付けて、その発現レベルをアッセイするために、アフィニティ精製のために、受容体ポリペプチドの循環中のレベルを決定するための診断アッセイにおいて、蛍光活性化細胞ソーティングを用いる分析法において、有用である。その上、二価抗体および抗イディオタイプ抗体は、IL-20の作用を模倣するアゴニストとして用いてもよい。
本明細書における抗体はまた、薬物、毒素、放射性核種等に直接または間接的に結合することができ、これらの結合体はインビボ診断または治療的応用のために用いられる。例えば、可溶性のIL-20RAおよび/もしくはIL-20RB受容体または可溶性のIL-20RAもしくはIL-20RBホモ二量体、ヘテロ二量体、多量体受容体ポリペプチドを認識する抗体または結合ポリペプチドを用いて、対応する抗相補体分子(例えば、IL-20RA含有可溶性または膜結合型受容体)を発現する組織または臓器を同定または処置することができる。より具体的には、可溶性のIL-20RAおよび/またはIL-20RB含有受容体ポリペプチド、その生物活性断片もしくは一部に対する抗体を、検出可能な、または細胞障害性分子に結合させて、IL-20RAおよび/またはIL-20RB発現癌のようなIL-20RA、IL-20RB、またはIL-20RA/IL-20RB含有受容体を発現する細胞、組織、または臓器を有する哺乳類に輸送することができる。
適した検出可能な分子を、「結合ポリペプチド」(先に開示した結合ペプチドを含む)、抗体、またはその生物活性断片もしくは一部のようなIL-20RAおよび/またはIL-20RB含有受容体ポリペプチドに結合するポリペプチドに直接または間接的に結合させてもよい。適した検出可能な分子には、放射性核種、酵素、基質、共因子、阻害剤、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子等が含まれる。適した細胞障害性分子は、ポリペプチドまたは抗体に直接または間接的に結合させてもよく、これには細菌または植物毒素(例えば、ジフテリア毒素、シュードモナスエンドトキシン、リシン、アブリン等)と共にヨウ素-131、レニウム-188、またはイットリウム-90のような治療的放射性核種(ポリペプチドもしくは抗体に直接結合させる、または例えばキレート部分によって間接的に結合させる)が含まれてもよい。結合ポリペプチドまたは抗体はまた、アドリアマイシンのような細胞障害薬に結合させてもよい。検出可能なまたは細胞障害性の分子に間接的に結合させるために、検出可能なまたは細胞障害性の分子を、他のメンバーが結合ポリペプチドまたは抗体部分に結合している相補体/抗相補体対のメンバーに結合させることができる。これらの目的に関して、ビオチン/ストレプトアビジンは、例としての相補体/抗相補体対である。
もう一つの態様において、結合ポリペプチド-毒素融合タンパク質または抗体-毒素融合タンパク質を、ターゲティングされる細胞または組織の阻害または除去のために用いることができる(例えば、癌細胞または組織を処置するため)。または、結合ポリペプチドが多機能ドメインを有する場合(すなわち、活性化ドメインまたはリガンド結合ドメイン、プラスターゲティングドメイン)、ターゲティングドメインのみを含む融合タンパク質は、検出可能な分子、細胞障害性分子、または相補的分子を対象細胞または組織タイプに向けるために適している可能性がある。単一のドメインのみを含む融合タンパク質に相補的分子が含まれる場合、抗相補的分子を検出可能または細胞障害性分子に結合させることができる。このように、そのようなドメイン-相補的分子融合タンパク質は、一般的な抗相補体検出可能/細胞障害性分子結合体の細胞/組織特異的輸送のための一般的なターゲティング媒体となる。
もう一つの態様において、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB結合ポリペプチド-サイトカインまたは抗体-サイトカイン融合タンパク質は、結合ポリペプチド-サイトカインまたは抗IL-20、IL-20RA、もしくはIL-20RB受容体抗体が過増殖細胞を標的とする場合、標的組織(例えば、脾臓、膵臓、血液、類リンパ、結腸、および骨髄癌)のインビボ殺細胞を増強するために用いることができる(一般的に、Hornickら、Blood 89:4437〜47、1997を参照されたい)。記述の融合タンパク質は、所望の作用部位へのサイトカインのターゲティングを可能にして、それによってサイトカインの局所濃度の上昇を提供する。適した抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、または多量体抗体が、望ましくない細胞または組織(すなわち、腫瘍または白血病)を標的として、融合サイトカインがエフェクター細胞による標的細胞の溶解を改善した。この目的にとって適したサイトカインには、例えば、インターロイキン2および顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれる。
または、本明細書に記述のIL-20、IL-20RA、またはIL-20RB受容体結合ポリペプチドまたは抗体融合タンパク質は、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB受容体調節アポトーシス経路を直接刺激して、それによってIL-20受容体を発現する過増殖細胞の細胞死が起こることによって、標的組織のインビボ殺細胞を増強するために用いることができる。
9.IL-20、IL-20RA、またはIL-20RB活性を有するポリペプチド、またはそれに対する抗体の治療的使用
可溶性IL-20RA活性および/またはIL-20RB活性を有するアミノ酸配列を用いて、IL-20に結合して、このように内因性のIL-20RA/IL-20RBとIL-20との結合を防止することによって、免疫系を調節することができる。抗IL-20抗体、抗IL-20RA抗体、および抗IL-20RBのようなIL-20アンタゴニストも同様に、内因性の受容体とIL-20との結合を阻害することによって免疫系を調節することができる。したがって、本発明には、抗IL-20活性を有するタンパク質、ポリペプチド、およびペプチド(可溶性のIL-20RA、IL-20RB、またはIL-20RA/IL-20RBのポリペプチド、ポリペプチド断片、類似体、および融合タンパク質)を、このポリペプチドの適当量を欠損する、またはIL-20の過剰量を産生する被験者に用いることが含まれる。IL-20RAアンタゴニストおよびIL-20RBアンタゴニスト(例えば、抗IL-20RA抗体およびIL-20RB抗体)も同様に、IL-20またはIL-20RAおよび/もしくはIL-20RBのいずれかの過剰量を産生する被験体を治療するために用いることができる。適切な被験体には、ヒトのような哺乳動物が含まれる。そのようなポリペプチドおよび抗体は、乾癬、乾癬性関節炎、関節炎、内毒素血症、喘息、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、および本明細書に開示の他の炎症病態の治療において、IL-20に拮抗するために有用である。
IL-20およびその受容体の役割が乾癬に関係していることは、二つの証拠によって示されている。この複遺伝子性皮膚疾患は、ケラチノサイト増殖の増加、ケラチノサイト分化の変化、および免疫細胞の皮膚への浸潤を特徴とする。乾癬におけるIL-20の役割に関する最初の証拠は、トランスジェニックマウスにおいて認められた過角化症および肥厚した上皮が、ヒトの乾癬による異常に類似することである。角質化の欠損に関連すると考えられている張フィラメント数の減少は、ヒト乾癬の顕著な特徴である。ミトコンドリア内封入体は、マウスにおける化学誘導および天然に存在する過形成皮膚疾患の双方において認められる。封入体の原因およびそのミトコンドリアに及ぼす機能は不明である。IL-20トランスジェニックマウスは、ヒト乾癬において認められる特徴の多くを示すと結論される。
乾癬におけるIL-20受容体を示す第2の証拠は、IL-20RAおよびIL-20RB mRNAが、正常な皮膚と比較してヒト乾癬皮膚において顕著にアップレギュレートされていることである。いずれのIL-20受容体サブユニットも、表皮全体を通してケラチノサイトにおいて発現され、同様に免疫および内皮細胞のサブセットにおいても発現される。本発明者らは、活性化IL-20受容体の発現の増加が、内皮細胞、免疫細胞、およびケラチノサイトの相互作用を変化させる可能性があり、それによってケラチノサイトの増殖および分化の調節障害が起こることを提唱している。
その上、IL-20はヒトケラチノサイトHaCaT細胞株においてシグナル伝達を刺激し、皮膚におけるこの新規リガンドの直接作用を支持する。さらに、ケラチノサイトにおいて活性であって、皮膚における増殖性および炎症誘発性シグナルに関与することが知られているタンパク質であるIL-1β、EGF、およびTNF-αは、IL-20に対する反応を増強する。IL-20受容体を発現するHaCaTおよびBHK細胞の双方において、IL-20は、STAT3を通してシグナルを伝達する。
先の考察および下記の実施例において示されるように、IL-20は乾癬の病理に関与している。本発明は、特にIL-20に対するアンタゴニストを投与することによって、乾癬を治療する方法である。IL-20に対するアンタゴニストは、可溶性のIL-20RA、IL-20RB、またはIL-20RA/IL-20RBのようなIL-20に結合する可溶性受容体、あるいはIL-20、またはIL-20RAもしくはIL-20RBなどのサブユニット、またはIL-20受容体全体のいずれかに結合する抗体、一本鎖抗体、あるいは抗体断片のいずれかとなりうる。このように、アンタゴニストは、IL-20受容体の活性化を防止するであろう。
乾癬は、世界の人口の1〜2%までに罹患する最も一般的な皮膚科疾患の一つである。これは、紅斑、輪郭のはっきりした丘疹、および銀色の雲母状鱗片に覆われた丸い斑を特徴とする慢性炎症性皮膚障害である。乾癬の皮膚病変は、変わりやすく痒みを有する。外傷領域はしばしば、乾癬の病変を発症する。さらに、感染症、ストレス、および投薬、例えばリチウム、β遮断剤、および抗マラリア剤を含む他の外的要因は、乾癬を悪化させる可能性がある。
乾癬の最も一般的な型は斑状と呼ばれる。斑状乾癬を有する患者は、安定な徐々に増殖する斑を有するが、これは長期間基本的に変化しないままである。斑状乾癬が起こる最も一般的な領域は、肘、膝、臀裂、および頭皮である。発症は対称的となる傾向がある。逆位乾癬は、液化、鼠径、乳腺下領域、および臍を含む間擦領域に影響を及ぼし、同様に頭皮、手のひら、および足底にも影響を及ぼす傾向がある。個々の病変は、輪郭の明確な斑であるが、その位置により湿潤することがある。斑状乾癬は一般的に、徐々に発症し、無痛性の経過をたどる。自然寛解することはまれである。
発疹性の乾癬(滴状乾癬)は、子供および若い成人に最も一般的である。これは乾癬を有しない人、または慢性の斑状乾癬を有する人に急性に発症する。患者は、しばしばβ型溶血連鎖球菌による上呼吸器感染症の後に、多くの小さい紅斑、剥がれ落ちる丘疹を示す。乾癬患者はまた、膿疱性病変を発症することがある。これらは、手のひらおよび足底に存在することがあり、または全身に広がって、発熱、倦怠感、下痢、および関節痛に関連する。
乾癬を有する約半数の患者が、爪への関与を有し、点状のへこみ、爪の肥厚、または爪下の過角化症として出現する。乾癬患者の約5〜10%が関節の愁訴に関連し、これらは爪の関与を有する患者に最もしばしば認められる。人によっては、古典的なリウマチ性関節炎と同時発生するが、多くは、乾癬に関連した五つのタイプの一つに入る関節疾患を有する:(1)単一または少数の関節に限定される疾患(症例の70%);(2)血清陰性リウマチ性関節炎様疾患;(3)遠位指節間関節の関与;(4)「破壊性関節炎」の発症を伴う重度の破壊性関節炎;および(5)脊柱に限定される疾患。
乾癬は、IL-20に対するアンタゴニストを投与することによって治療することができる。好ましいアンタゴニストは、IL-20に対する可溶性受容体、あるいはIL-20、IL-20RA、もしくはIL-20RBに結合する抗体、抗体断片、または一本鎖抗体のいずれかである。そのようなアンタゴニストは、単独で、または潤滑剤、角質溶解剤、局所コルチコステロイド、局所ビタミンD誘導体、アントラリン、メソトレキセートのような抗代謝剤の全身投与、ソラレン紫外光治療(PUVA)、エトレチネート、イソトレチノイン、シクロスポリン、および局所ビタミンD3誘導体カルシポトリオールのような他の確立された治療と併用して投与することができる。その上、そのようなアンタゴニストは、個体に皮下、静脈内、またはアンタゴニストを含むクリームもしくは経皮パッチを用いて経皮投与することができる。皮下投与する場合、アンタゴニストは、一つまたはそれ以上の乾癬斑に注射することができる。経皮投与する場合、アンタゴニストは、アンタゴニストを含むクリーム、軟膏、軟膏(salve)、または溶液を用いて斑に直接投与することができる。
IL-20に対するアンタゴニストは、喘息、気管支炎、嚢胞性線維症、または他の炎症性肺疾患を有する患者に、疾患を治療するために投与することができる。アンタゴニストは、静脈内、皮下、気管支洗浄、およびアンタゴニストを含む吸入剤の使用を含む任意の適した方法によって投与することができる。本発明の特定の態様は、乾癬、乾癬性関節炎、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、憩室症、喘息、膵炎、I型糖尿病(IDDM)、膵臓癌、膵炎、グレーヴス病、結腸および腸管癌、自己免疫疾患、敗血症、臓器または骨髄移植;内毒素血症、外傷、手術、または感染症による炎症;アミロイドーシス;脾腫;移植片対宿主病;および炎症の阻害、免疫抑制、造血、免疫、炎症、もしくはリンパ様細胞、マクロファージ、T細胞(Th1およびTh2細胞を含む)の増殖の減少、病原体または抗原に対する免疫応答の抑制、またはIL-20サイトカインの阻害が望ましい他の場合のような、炎症および免疫疾患または病態においてアンタゴニストとして可溶性IL-20RAおよび/またはIL-20RBならびに抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体を用いることに向けられる。
その上、本明細書に記述のIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBポリペプチドに結合する抗体または結合ポリペプチドは、以下のために有用である。
1)外傷、組織損傷、手術、敗血症、または感染症の結果としての炎症である急性炎症の治療において、喘息、炎症性腸疾患(IBD)、慢性大腸炎、脾腫、リウマチ性関節炎、再発性急性炎症性事例(例えば、結核)のような慢性炎症疾患の治療において、ならびにアミロイドーシスおよびアテローム性動脈硬化症、カストルマン病、喘息、および急性期反応の誘導に関連した他の疾患の治療において、IL-20受容体によるシグナル伝達を拮抗または遮断すること。
2)免疫細胞(例えば、リンパ球、単球、白血球)におけるシグナル伝達を防止または阻害するために、IDDM、多発性硬化症(MS)、全身性狼瘡性紅斑(SLE)、重症筋無力症、リウマチ性関節炎、およびIBDのような自己免疫疾患の治療においてIL-20受容体によるシグナル伝達を拮抗または遮断すること。または、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBを含む受容体に対するモノクローナル抗体(MAb)のような抗体も同様に、自己免疫疾患を治療するために、望ましくない免疫細胞を枯渇するためのアンタゴニストとして用いることができる。喘息、アレルギー、および他のアトピー性疾患を、免疫応答を阻害するため、または攻撃的な細胞を枯渇するために、例えばIL-20に対するMAbによって処置してもよい。本発明のポリペプチドおよび抗体を用いて、IL-20、IL-20RA、またはIL-20RBによるシグナル伝達を遮断または阻害することも同様に、膵臓、腎臓、下垂体、および神経細胞の疾患に対して利益を有する可能性がある。IDDM、NIDDM、膵炎、および膵臓癌も利益を受ける可能性がある。本発明のポリペプチドは、拮抗性MAbが癌の増殖を阻害して免疫媒介殺細胞を標的とする、癌のMAb治療の標的として役立つ可能性がある(Holliger, P. and Hoogenboom, H.:Nature Biotech. 16:1015〜1016、1998)。可溶性IL-20RAに対するMAbも同様に、糸球体硬化症、膜性腎症、アミロイドーシス(同様に他の組織の中でも腎臓に影響を及ぼす)、腎動脈硬化症、様々な原因の糸球体腎炎、腎臓の線維増殖疾患のような腎症と共に、SLE、IDDM、II型糖尿病(NIDDM)、腎腫瘍、および他の疾患に関連した腎機能障害を治療するために有用となる可能性がある。
3)IDDM、MS、SLE、重症筋無力症、リウマチ性関節炎、およびIBDのような自己免疫疾患の治療において、IL-20受容体によるシグナル伝達に拮抗または開始すること。抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB中和性モノクローナル抗体は、リンパ球または他の免疫細胞に、分化する、増殖を変化させる、自己免疫を改善するサイトカインまたは細胞表面タンパク質の産生を変化させるようにシグナルを送る可能性がある。特に、T-ヘルパー細胞反応を、交互のサイトカイン分泌パターンへと調節すると、自己免疫反応を疾患を改善するように偏らせる可能性がある(Smith, JAら、J. Immunol. 160:4841〜4849、1998)。
本明細書に記述の可溶性ポリペプチドは、上記のように自己免疫疾患、アトピー疾患、NIDDM、膵炎、および腎機能障害の治療において、単独または共に、IL-20またはIL-20活性を中和/遮断するために用いることができる。IL-20RA、IL-20RB、および/またはIL-20RA/IL-20RBの可溶性型は、Th細胞によって媒介される抗体反応を促進する、および/またはリンパ球または他の免疫細胞によってIL-4または他のサイトカインの産生を促進するために用いてもよい。
本発明の可溶性IL-20RA、IL-20RB、および/またはIL-20RA/IL-20RB含有受容体は、IL-20サイトカインのアンタゴニストとして有用である。そのようなアンタゴニスト効果は、直接中和またはIL-20の結合によって行うことができる。アンタゴニストとしての用途の他に、本発明の可溶性受容体は、体内の異なる組織、臓器、および細胞にリガンドを輸送するために、IL-20に結合して、IL-20の担体タンパク質として作用することができる。そのため、本発明の可溶性受容体は、組織、特異的免疫細胞、または腫瘍のような特定の部位に可溶性受容体-リガンド複合体を向ける分子、ポリペプチド、または化学物質に融合または結合させることができる。例えば、急性反応またはいくつかの癌において、IL-20の作用による炎症および局所急性期反応タンパク質の誘導から利益が得られる可能性がある。このように、本発明の可溶性受容体は、IL-20の作用を特異的に向けるために用いることができる。Cosman, D.、Cytokine 5:95〜106、1993;およびFernandez-Botran, R.、Exp. Opin. Invest. Drugs 9:497〜513、2000を参照されたい。
その上、本発明の可溶性受容体を用いて、リガンドを分解もしくは排泄から安定化することによって、または体内での作用部位にリガンドをターゲティングすることによって、IL-20を安定化するために、リガンドの生物学的利用率、治療の長さ、および/または有効性を増加させることができる。例えば、天然に存在するIL-6/可溶性IL-6複合体は、IL-6を安定化させて、gp130受容体を通してシグナルを伝達することができる。Cosman, D.、上記およびFernandez-Botran, R、上記を参照されたい。さらに、複合体は、半減期、用量/反応および臓器または組織特異性に影響を及ぼすような、異なる薬物動態特性を有する可能性がある。このように、IL-20RA/IL-20またはIL-20RB/IL-20複合体は、免疫応答を増強する、メサンギウム細胞を刺激する、または肝細胞を刺激するアゴニスト活性を有する可能性がある。または、シグナル伝達サブユニットを発現する組織のみが複合体とヘテロ二量体を形成することは、IL6/IL6R複合体に対する反応と同様に影響を受ける可能性がある(Hirota, H.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. 92:4862〜4866、1995;Hirano, T.、Thomason, A.(編)、「The Cytokine Handbook」、第三版、208〜209頁)。IL12およびCNTFに関する可溶性受容体/サイトカイン複合体は、類似の活性を示す。
その上、炎症は、浸潤物質をかわすために生物による保護反応である。炎症は、多くの細胞および液性メディエータを含むカスケード事象である。一方、炎症反応を抑制すると、宿主を免疫無防備状態にしうる;しかし、チェックされないままにすると、炎症によって、慢性炎症疾患(例えば、乾癬、関節炎、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、炎症性腸疾患等)、敗血症ショックおよび多臓器不全を含む重篤な合併症が起こりうる。重要なことは、これらの多様な疾患状態は、共通の炎症メディエータを共有する。炎症の特徴を示す集合的疾患は、ヒトの罹患率および死亡率に大きい影響を及ぼす。したがって、IL-20、IL-20RA、およびIL-20RB、ならびに抗IL-20、抗IL-20RA、および抗IL-20RB抗体のような抗炎症タンパク質は、喘息およびアレルギーから自己免疫および敗血症ショックに至る多数のヒトおよび動物疾患にとって非常に重要な治療可能性を有しうるであろうことは明白である。
1.関節炎
変形性関節炎、リウマチ性関節炎、損傷の結果としての関節炎関節等を含む関節炎は、本発明のポリペプチドのような抗炎症タンパク質の治療的使用によって利益が得られるであろう一般的な炎症疾患である。例えば、リウマチ性関節炎(RA)は、全身に罹患する全身性の疾患であり、関節炎の最も一般的な型の一つである。これは、疼痛、こわばり、暖かさ、発赤、および腫脹を引き起こす関節の内側の膜の炎症を特徴とする。炎症細胞は、骨および軟骨を消化する酵素を放出する。リウマチ性関節炎の結果として、炎症を起こした関節の内層、すなわち滑膜が、骨および軟骨に浸潤して損傷を与え、関節の悪化および他の生理的作用の中でも重度の疼痛が起こる。罹患した関節はその形状および配置を失い、疼痛および運動不能が起こる。
リウマチ性関節炎(RA)は、重度の無能力および死亡率の増加に至る炎症およびその後の組織損傷を特に特徴とする免疫媒介疾患である。リウマチ関節において多様なサイトカインが局所産生される。多くの研究から、二つの原型的炎症誘発性サイトカインであるIL-1およびTNF-αが、滑膜の炎症および進行性の関節破壊に関与するメカニズムにおいて重要な役割を果たすことが証明された。実際に、RA患者におけるTNF-αおよびIL-1阻害剤の投与によって、炎症の臨床および生物学的兆候の劇的な改善が起こり、骨侵食および軟骨破壊の放射線による兆候が減少する。しかし、これらの勇気づけられる結果にもかかわらず、患者の有意な割合はこれらの物質に対して反応せず、他のメディエータも同様に関節炎の病理生理学に関与していることを示唆している(Gabay、Expert. Opin. Biol. Ther. 2(2):135〜149、2002)。それらのメディエータの一つは、IL-20となりえて、IL-20RAもしくはIL-20RBポリペプチド、または抗IL-20抗体もしくは結合パートナーのような、IL-20活性に結合またはその活性を阻害するそのような分子は、リウマチ性関節炎および他の関節炎疾患における炎症を減少させるために重要な治療物質として役立ちうる。
当技術分野で既知のリウマチ性関節炎のいくつかの動物モデルが存在する。例えば、コラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルにおいて、マウスはヒトのリウマチ性関節炎に非常に類似の慢性炎症性関節炎を発症する。CIAはRAと類似の免疫学的および病理学的特徴を共有することから、これは可能性があるヒトの抗炎症化合物をスクリーニングするための理想的なモデルとなる。CIAモデルは、その発生が免疫応答および炎症反応の双方に依存する、マウスにおける周知のモデルである。免疫応答は、抗原として投与されるコラーゲンに反応したB-細胞およびCD4+ T細胞の相互作用を含み、抗コラーゲン抗体の産生に至る。炎症相は、これらの抗体のいくつかがマウスの本来のコラーゲンと相互作用して、補体カスケードを活性化させた結果として、炎症のメディエータからの組織反応の結果である。CIAモデルを用いる長所は、発病の基礎メカニズムが既知である点である。II型コラーゲン上での関連するT-細胞およびB-細胞エピトープが同定されており、免疫媒介関節炎に関する様々な免疫学的(例えば、遅延型過敏症および抗コラーゲン抗体)、および炎症性(例えば、サイトカイン、ケモカイン、およびマトリクス分解酵素)パラメータが決定されており、このように、CIAモデルにおける試験化合物の有効性を評価するために用いることができる(Wooley、Curr. Opin. Rheum. 3:407〜20、1999;Williamsら、Immunol. 89:9784〜788、1992;Myersら、Life Sci. 61:1861〜78、1997;およびWangら、Immunol. 92:8955〜959、1995)。
2.内毒素血症
内毒素血症は、細菌および他の感染性疾患物質のような感染因子、敗血症、毒性ショック症候群に一般的に起因する、または日和見感染を受ける免疫無防備患者において起こる重度の病態である。本発明のポリペプチドおよび抗体のような治療的に有用な抗炎症性タンパク質は、ヒトおよび動物において内毒素血症を予防および治療するために役立ちうる。IL-20、IL-20RA、もしくはIL-20RBポリペプチド、抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体は、内毒素血症において炎症および病理作用を減少させるために貴重な治療物質として役立ちうる。
リポ多糖類(LPS)誘導内毒素血症は、感染疾患において病的作用を生じる多くの炎症誘発性メディエータに関与して、齧歯類におけるLPS誘導内毒素血症は、可能性がある炎症誘発性または免疫調節物質の薬理学的作用を研究するために広く用いられている許容されるモデルである。グラム陰性菌によって産生されるLPSは、敗血症ショックの発病における主な原因物質である(Glausnerら、Lancet 338:732、1991)。ショック様の状態は実際に、LPSを動物に1回注射することによって実験的に誘導することができる。LPSに反応性の細胞によって産生された分子は、病原体を直接または間接的に標的とすることができる。これらの生物反応は、浸潤病原体に対して宿主を保護するが、それらはまた害を引き起こす可能性がある。このように、重度のグラム陰性菌感染症の結果として起こる生得の免疫の大量の刺激により、サイトカインおよび他の分子の過剰な産生が起こり、発熱、血圧低下、播種性血管内凝固、および多臓器不全を特徴とする、致死性の症候群である敗血症症候群が起こる(Dumitruら、Cell 103:1071〜1083、2000)。
LPSのこれらの毒性作用は、ほとんどが多数の炎症性メディエータの放出に至るマクロファージ活性化に関連している。これらのメディエータの中で、TNFは中和性抗TNF抗体の投与によってLPS毒性の予防によって示されるように、重要な役割を果たすように思われる(Beutlerら、Science 229:869、1985)。大腸菌LPS 1 μgをC57Bl/6マウスに注射すると、注射後約2時間で循環中のIL-6、TNF-α、IL-1、および急性期タンパク質(例えば、SAA)が有意に増加するであろうことは十分に確立されている。LPSの毒性は、これらのメディエータに対する受動免疫によって死亡率が減少しうることから(Beutlerら、Science 229:869、1985)、これらのサイトカインによって媒介されるように思われる。敗血症ショックの予防および/または治療に関して可能性がある免疫介入戦略には、抗TNF mAb、IL-1受容体アンタゴニスト、LIF、IL-10、およびG-CSFが含まれる。
3.炎症性腸疾患、(IBD)
米国において、約500,000人の人が、結腸および直腸(潰瘍性大腸炎)またはその双方、小腸および大腸(クローン病)に影響を及ぼしうる炎症性腸疾患(IBD)を有する。これらの疾患の発病は不明であるが、それらは罹患組織の慢性の炎症を伴う。IL-20、IL-20RA、もしくはIL-20RBポリペプチド、抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体、または結合パートナーは、IBDおよび関連疾患における炎症および病理作用を減少させるために重要な治療物質として役立ちうるであろう。
潰瘍性大腸炎(UC)は、結腸の粘膜または最も内側の内層の炎症および潰瘍化を特徴とする、一般的に結腸と呼ばれる大腸の炎症疾患である。この炎症は、結腸をしばしば空にして、下痢を引き起こす。症状には軟便および関連する腹部こむらがえり、発熱、および体重減少が含まれる。UCの正確な原因は不明であるが、最近の研究から、体が異物であると考える体内のタンパク質に対して体の天然の防御が作用する(「自己免疫」)ことが示唆されている。おそらく、それらは腸管における細菌タンパク質に類似することから、これらのタンパク質は、結腸の内層を破壊し始める炎症プロセスを煽動または刺激する可能性がある。結腸の内層が破壊されると、粘液、膿、および血液を放出する潰瘍が形成される。疾患は最終的に直腸領域で始まり、最終的に大腸全体に広がることもある。繰り返し炎症が起こると、腸壁が肥厚して、直腸に瘢痕組織が残る。結腸組織の死または敗血症は、重度の疾患と共に起こる可能性がある。潰瘍性大腸炎の症状は、重症度およびその発病が多様であり、徐々に、または突然始まることがある。発症は、呼吸器感染症またはストレスを含む多くの要因によって誘発される可能性がある。
利用できるUCの治癒法は現在のところないが、治療は、結腸内層における異常な炎症プロセスの抑制に重点が置かれている。コルチコステロイド、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、メルカプトプリン、およびメソトレキセート)およびアミノサリチレートを含む治療が、疾患を治療するために利用できる。コルチコステロイドおよびアザチオプリンのような免疫抑制剤の長期使用によって、骨の薄化、白内障、感染症、ならびに肝臓および骨髄作用を含む重篤な副作用が起こりうる。現在の治療が成功していない患者では、手術も選択肢である。手術は、結腸全体および直腸の摘出を含む。
慢性の潰瘍性大腸炎を部分的に模倣することができるいくつかの動物モデルがある。最も広く用いられているモデルは、2,4,6-トリニトロベンスルホン酸/エタノール(TNBS)誘導大腸炎モデルであり、これは結腸の慢性炎症および潰瘍化を誘導する。TNBSが直腸内点滴によって感受性があるマウスの結腸に導入されると、TNBSは結腸粘膜においてT-細胞媒介免疫応答を誘導し、この場合、大腸の壁全体を通してのT細胞およびマクロファージの密な浸潤を特徴とする大量の粘膜炎症が起こる。その上、この組織病理学的所見は、進行性の体重減少(衰弱)、血便、直腸脱、および大腸壁肥厚の臨床所見を伴う(Neurathら、Intern. Rev. Immunol. 19:51〜62、2000)。
もう一つの大腸炎モデルは、血便、体重減少、結腸の短縮、および好中球の浸潤を伴う粘膜潰瘍化を症状とする急性大腸炎を誘導する硫酸デキストランナトリウム(DSS)を用いる。DSS誘導大腸炎は、リンパ様過形成、巣状陰窩損傷、および上皮潰瘍化を伴う固有層への炎症細胞の浸潤を組織学的に特徴とする。これらの変化は、上皮におけるDSSの毒性作用、固有層の細胞の貪食、およびTNF-αおよびIFN-γの産生のために発症するように思われる。その一般的な使用にもかかわらず、ヒト疾患に関連するDSSのメカニズムに関するいくつかの問題は解決されないままである。DSSは、SCIDマウスのようなT-細胞欠損動物において認められることから、T細胞非依存的であると見なされる。
4.乾癬
乾癬は、700万人より多いアメリカ人が罹患する慢性皮膚疾患である。乾癬は、新しい皮膚細胞が異常に増殖する際に起こり、皮膚の炎症、腫脹、および鱗片様小片が起こり、乾癬部位では古い皮膚が速やかに剥がれ落ちない。最も一般的な型である斑状乾癬は、銀白色の鱗片が上部に存在する皮膚の炎症小片(「病変」)を特徴とする。乾癬は、少数の斑に限定される、または中等度から広汎な領域の皮膚に罹患する可能性があり、頭皮、膝、肘、および躯幹において最も一般的に認められる。乾癬は非常によく目につくが、感染性の疾患ではない。疾患の発病は、罹患組織の慢性炎症を伴う。IL-20、IL-20RA、もしくはIL-20RBポリペプチド、抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体、または結合パートナーは、乾癬、他の炎症性皮膚疾患、皮膚および粘膜アレルギー、ならびに関連疾患における炎症および病理作用を減少させるために重要な治療物質として役立つであろう。
乾癬は、かなりの不快感を引き起こしうる皮膚のT細胞媒介炎症障害である。これは、治癒することはなく、全ての年齢の人に罹患する疾患である。乾癬は、ヨーロッパおよび北アメリカの人口の約2%に罹患する。軽度の乾癬を有する人は、しばしばその疾患を外用薬によって制御できるが、世界中で100万人を超える人が紫外線または全身性の免疫抑制剤治療を必要としうる。残念なことに、紫外線照射の不便さおよびリスクならびに多くの治療の毒性のために、長期間の使用が制限される。その上、患者は通常、乾癬の再発を有して、場合によっては、免疫抑制剤療法を中止した直後にリバウンドが起こる。
IL-20は、IL-20トランスジェニックマウスにおいて異常な上皮分化を含む皮膚異常を有する新生児致死を引き起こすことが示されている新規IL-10相同体である(Blumberg, H.ら、Cell 104:9〜19,2001)。IL-20受容体は、乾癬皮膚において劇的にアップレギュレートされている。その上、IL-20の過剰発現は、ヒト乾癬病変において示され、IL-20がヒト乾癬において関与していることを示唆している。その上、本明細書に記述するように、トランスジェニックマウスにおけるIL-20の過剰発現は、乾癬の表現型を示す上皮の肥厚および免疫細胞の関与を示している。そのため、IL-20RA、IL-20RB、および/またはIL-20RA/IL-20RB可溶性受容体、ならびに本発明の抗ヒトIL-20、抗ヒトIL-20RA、および抗ヒトIL-20RBモノクローナル抗体および中和抗体を含むそれに対する抗体のような、IL-20活性に対するアンタゴニストは、炎症疾患の治療において有用であり、特にIL-20に対するアンタゴニストとして乾癬の治療において有用である。その上、IL-20RA、IL-20RB、および/またはIL-20RA/IL-20RB可溶性受容体、ならびに本発明の抗ヒトIL-20、抗ヒトIL-20RA、および抗ヒトIL-20RBモノクローナル抗体および中和抗体を含むそれに対する抗体のような、IL-20活性に対するアンタゴニストは、他の炎症疾患の治療において、例えばアトピー性皮膚炎、IBD、大腸炎、内毒素血症、関節炎、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、成人呼吸器疾患(ARD)、敗血症ショック、多臓器不全、喘息または気管支炎のような炎症性肺損傷、細菌性肺炎、乾癬、湿疹、アトピー性および接触性皮膚炎、ならびに潰瘍性大腸炎およびクローン病のような炎症性腸疾患の治療において、IL-20に対するアンタゴニストとして有用である。
その上、本発明の抗体および可溶性受容体は、本明細書に記述の多くの炎症疾患に関連した体重減少に対する予防および治療と共に、癌(例えば、化学療法およびカヘキシア)ならびに感染疾患のために用いることができる。例えば、重度の体重減少は、敗血症モデル、MS、RA、および腫瘍のモデルに関連した重要なマーカーである。さらに、体重減少は、癌、感染疾患、および炎症疾患を含む多くのヒト疾患に関する重要なパラメータである。体重減少は、本明細書に記述のIL-22アデノウイルスを注射したマウスにおいて示された。抗IL-20抗体、ならびに本発明の可溶性受容体および抗体のようなIL-20アンタゴニストは、本明細書に記述のIL-20アデノウイルスを注射したマウスにおいて体重減少を予防および治療することができるか否かに関して調べることができる。そのようなIL-20アンタゴニストの予防的または治療的レジメを決定する方法は、当技術分野において既知であり、本明細書に記述の方法を用いて決定することができる。
本発明の可溶性受容体および抗体はまた、循環中のIL-20レベルを検出する診断システムにおいて、および急性期炎症反応に関連したIL-20を検出するために用いてもよい。関連する態様において、本発明のポリペプチドおよび可溶性受容体に特異的に結合する抗体または他の物質を用いて、循環中の受容体ポリペプチドを検出することができる;逆に、IL-20RA、IL-20RB、またはIL-20RA/IL-20RB可溶性受容体そのものを用いて、循環中または局所作用型IL-20ポリペプチドを検出することができる。リガンドまたは受容体ポリペプチドのレベルの上昇または低下は、炎症または癌を含む病態を示す可能性がある。IL-20は、関連する急性期炎症反応を誘導することが知られている。その上、IL-20のような急性期タンパク質または分子の検出は、特定の疾患状態(例えば、乾癬、リウマチ性関節炎、大腸炎、IBD)における慢性炎症状態を示しうる。そのような状態の検出は、疾患の診断において役立つと共に医師が適切な治療を選択する場合に役立つ。
中和性抗IL-20抗体の子宮内投与を用いて、IL-20を過剰発現するIL-20トランスジェニック仔において認められた皮膚表現型を減少または消失させることによって、疾患モデルにおいてインビボで有効性を示すことができる。当技術分野には、中和性モノクローナル抗体(mAb)による子宮内治療に関する先例が存在する。一つの例において、B細胞のB-1サブセットの発生は、B-細胞特異的分子であるCD19に対して特異的なmAbによって妊娠雌性マウスを処置すると、劇的に影響を受けた(例えば、Krop, I.ら、Eur. J. Immunol. 26(1):238〜42、1996)。Kropらは、ラット抗マウスCD19mAb(またはラットアイソタイプマッチ対照Ab)500 μgのPBS溶液を計画妊娠マウスの妊娠9日目から腹腔内注射して、その後出産まで1日おきに注射した。仔にもこれらの抗体500 μgを10日齢の際に1回注射した。もう一つの場合において、Tanakaらは、IL-2受容体β鎖に対するモノクローナル抗体による子宮内処置がThy-1+樹状表皮細胞の発達を完全に消失させることを発見した。IL-2受容体の二つの異なるサブユニット、すなわちα鎖(IL-2Rα)とβ鎖(IL-2Rβ)は、胎児胸腺個体発生を通してほぼ相互に排他的に発現される。IL-2Rβに対する中和性mAbを投与することによって、IL-2Rのシグナル伝達成分であるIL-2Rβを遮断すると、Thy-1+皮膚樹状表皮細胞の完全かつ選択的な消失が起こった。他の任意のT細胞サブセットの発達は影響を受けなかった。このことは、IL-2、が胎児Vγ5+細胞およびその子孫の発達において重要な役割を有することを示した(Tanaka, T.ら、Int. Immunol. 4(4):487〜9、1992を参照されたい)。さらに、Schattemann GCらは、子宮内系を用いて正常なマウス心血管発達にとってPDGF-Aが必要であることを示した。いくつかの系統の証拠から、血小板由来増殖因子A鎖(PDGF-A)が、胎児心血管発達に必要であることが示唆されている。子宮内でマウス脱落膜に抗PDGF-A中和抗体を導入すると、インビボでPDGF-Aリガンド受容体相互作用が18〜24時間選択的に破壊され、PDGF-Aが心血管発達にとって必要であるか否か、および必要とされる時期はいつかを評価することができた(Schattemann, GCら、Dev. Biol. 176(1):133〜42、1996)。これらの結果は、当技術分野に記載の他の結果と共に、中和性mAbが子宮内で強い作用を誘発できる証拠を提供する。同様に、IL-20をそれぞれ過剰発現するIL-20トランスジェニック仔において認められる皮膚表現型を減少または消失させるための疾患モデルにおいて、インビボでモノクローナル抗体によってIL-20を中和する有効性を示すデータを示すことができる。これらのトランスジェニックマウスは、少なくとも部分的に、本明細書に記述の表皮の肥厚のために「光る」皮膚外観を持って生まれた。かなり低レベルのトランスジェニックサイトカインを発現するIL-20 TG仔は、回復して生存し交配させることができる。
本明細書に記述の他の疾患モデルの他に、ヒト乾癬病変に由来する炎症組織に及ぼす抗IL-20、抗IL-20RA、および抗IL-20RB抗体の活性を、重度の複合免疫欠損(SCID)マウスモデルを用いてインビボで測定することができる。ヒト細胞を免疫欠損マウスに移植した(集合的に異種移植片モデルと呼ばれる)いくつかのマウスモデルが開発されている;例えばCattan AR, Douglas E.、Leuk.Res. 18:513〜22、1994およびFlavell, DJ.、Hematological Oncology 14:67〜82、1996を参照されたい。乾癬のインビボ異種移植片モデルとして、ヒト乾癬皮膚組織をSCIDマウスモデルに移植して、適当なアンタゴニストをチャレンジした。IL-20の活性を遮断する抗IL-20、抗IL-20RA、および抗IL-20RB抗体は、好ましいアンタゴニストであるが、可溶性IL-20RAと共に他のIL-20遮断アンタゴニストもこのモデルにおいて用いることができる。同様に、ヒト大腸炎、IBD、関節炎、または他の炎症病変に由来する組織または細胞をSCIDモデルにおいて用いて、本明細書に記述のIL-20アンタゴニストの抗炎症性特性を評価することができる。
抗IL-20、抗IL-20RA、および抗IL-20RB抗体、またはその誘導体、アゴニスト、結合体、もしくは変種を用いて炎症を消失、遅延、または減少させるように計画された治療は、ヒト炎症組織(例えば、乾癬病変等)を有するSCIDマウスに、これら抗体または可溶性IL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB化合物を投与することによって調べることができる。治療の有効性は、当技術分野で周知の方法を用いて処置集団における抗炎症作用の経時的な増加として測定して統計学的に評価した。いくつかの例としての方法には、例えば、乾癬モデルにおいて、表皮の肥厚、上部表皮における炎症細胞数、および過角化症の等級の測定が含まれるがこれらに限定されない。そのような方法は当技術分野で既知であり、本明細書に記述される。例えば、Zeigler, M.ら、Lab. Invest. 81:1253、2001;Zollner, T.M.ら、J. Clin. Invest. 109:671、2002;Yamanaka, N.ら、Microbiol. Immunol. 45:507、2001;Raychaudhuri, S.P.ら、Br. J. Dermatol. 144:931、2001;Boehncke, W.H.ら、Arch. Dermatol. Res. 291:104、1999;Boehncke, W.H.ら、J. Invest. Dermatol. 116:596、2001;Nickoloff, B.J.ら、Am. J. Pathol. 146:580、1995;Boehncke, W.H.ら、J. Cutan. Pathol. 24:1、1997;Sugai, J.M.ら、J. Dermatol. Sci. 17:85、1998;およびVilladsen, L.S.ら、J. Clin. Invest. 112:1571、2003を参照されたい。炎症はまた、試料中に存在する炎症または病変細胞数、IBDのスコア(体重減少、下痢、直腸出血、結腸の長さ)、足疾患スコア、およびCIA RAモデルの炎症スコアを定量するために、フローサイトメトリー(またはPCR)のような周知の方法を用いて経時的にモニターしてもよい。例えば、そのようなモデルにおいて試験するために適切な治療戦略には、抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RB抗体とIL-20との相互作用の破壊に基づいて、抗IL-20、抗IL-20RA、および抗IL-20RB抗体、他のIL-20アンタゴニスト、または関連する結合体もしくはアンタゴニストを用いる直接治療、あるいは抗IL-20、抗IL-20RA、および抗IL-20RB抗体、またはその誘導体、アゴニスト、結合体、もしくは変種を利用した細胞に基づく治療が含まれる。
その上、乾癬は、過形成表皮ケラチノサイトおよびCD4+メモリーT細胞、好中球、およびマクロファージを含む浸潤性単核球に関連する慢性炎症皮膚疾患である(Christophers、Int. Arch. Allergy Immunol. 110:199、1996)。現在、環境抗原が疾患の開始および病理への関与において重要な役割を果たすと考えられている。しかし、乾癬の病理を媒介すると考えられているのは自己抗原の寛容の喪失である。樹状細胞およびCD4+ T細胞は、発病に至る免疫応答を媒介する抗原提示および認識において重要な役割を果たすと考えられている。本発明者らは、最近、CD4+CD45RB移入モデルに基づく乾癬モデルを開発した(Davenportら、Internat. Immunopharmacol. 2:653〜672)。抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体、または可溶性IL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RBをマウスに投与する。疾患のスコア(皮膚病変、炎症性サイトカイン)が阻害されれば、乾癬におけるIL-20アンタゴニスト、例えば抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体、またはIL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB可溶性受容体、あるいはIL-20もしくはその受容体に対する抗体のような他のアンタゴニストの有効性が示される。
薬学的に用いるために、本発明の可溶性ポリペプチドおよび抗体は、通常の方法に従って非経口、特に静脈内、または皮下輸送のために調製される。静脈内投与は、ボーラス注射、例えばミニポンプまたは他の適当な技術を用いる徐放性投与、または1〜数時間かけての点滴注入によって行われるであろう。一般的に、薬学的製剤には、生理食塩液、緩衝生理食塩液、5%デキストロース水等のような薬学的に許容される担体と共に造血タンパク質が含まれるであろう。製剤にはさらに、バイアル表面等の上でのタンパク質損失を防止するために、一つまたはそれ以上の賦形剤、保存剤、溶解剤、緩衝剤、アルブミンが含まれてもよい。そのような併用治療を利用する場合、サイトカインを単一の製剤で併用してもよく、または異なる製剤で投与してもよい。調製法は当技術分野で周知であり、例えば参照として本明細書に組み入れられる、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Gennaro編、Mack Publishing Co.、イーストン、ペンシルバニア州、1990において開示される。治療用量は一般的に、0.1〜100 mg/kg体重/日、好ましくは0.5〜20 mg/kg/日であり、正確な用量は、治療される病態の性質および重症度、患者の形質等を考慮して、容認される標準に従って臨床医によって決定される。用量の決定は当業者の範囲内である。タンパク質は一般的に、化学療法もしくは骨髄移植後28日までの期間において、または血小板数>20,000個/mm3、好ましくは>50,000個/mm3が得られるまで投与されるであろう。より一般的に、タンパク質は、しばしば1〜3日間の間隔で1週間またはそれ未満投与されるであろう。一般的に、可溶性IL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB、または抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体の治療的有効量は、リンパ様または骨髄前駆細胞の増殖および/または分化の臨床的に有意な増加を生じるために十分な量であり、循環中の成熟細胞(例えば、血小板または好中球)のレベルの増加として現れるであろう。血小板障害の治療は、血小板数が少なくとも20,000個/mm3、好ましくは50,000個/mm3に達するまで継続されるであろう。本発明の可溶性IL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB、または抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体はまた、IL-3、-6、および-11;幹細胞因子;エリスロポエチン;G-CSFおよびGM-CSFのような他のサイトカインと併用して投与することができる。併用療法のレジメにおいて、他のサイトカインの1日量は一般的に:EPO、150 U/kg;GM-CSF、5〜15 lg/kg;IL-3、1〜5 lg/kg;およびG-CSF、1〜25 lg/kgであろう。例えば、EPOとの併用療法は、EPOレベルが低い貧血患者において適応される。
一般的に、投与される可溶性IL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB、または抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体の用量は、患者の年齢、体重、身長、性別、全身健康状態、および既往のような要因に依存して変化するであろう。典型的に、約1 pg/kg〜10 mg/kg(物質の量/患者の体重)の用量範囲の可溶性のIL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB、または抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体をレシピエントに提供することが望ましいが、これより低いまたは高い用量も同様に状況に応じて投与してもよい。
可溶性IL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB、または抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体の被験者への投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、胸膜内、髄腔内、限局カテーテルによる環流、または直接病変内注射となりうる。治療タンパク質を注射によって投与する場合、投与は連続注入または1回もしくは複数回ボーラス投与によって行ってもよい。
さらなる投与経路には、経口、粘膜、肺内、および経皮投与が含まれる。経口輸送は、ポリエステルミクロスフェア、ゼインミクロスフェア、プロテイノイドミクロスフェア、ポリシアノアクリレートミクロスフェア、および脂質に基づく系にとって適している(例えば、DiBase and Morrel、「Oral Delivery of Microencapsulated Proteins」、Protein Delivery:Physical Systems、Sanders and Hendren(編)、255〜288頁(Plenum Press、1997)を参照されたい)。鼻腔内輸送の実現可能性は、インスリン投与様式によって示される(例えば、Hinchcliffe and Illum、Adv. Drug Deliv. Rev. 35:199(1999)を参照されたい)。IL-20RAを含む乾燥または液体粒子を調製して、乾燥粉末分散剤、液体エアロゾル生成器、またはネブライザーの助けを借りて吸入することができる(例えば、Pettit and Gombotz、TIBTECH 16:343(1998);Pattonら、Adv Drug. Deliv. Rev. 35:235(1999))。このアプローチは、エアロゾル化インスリンを肺に輸送する携帯式の電子吸入器であるAERX糖尿病管理システムによって例示される。この研究から、低周波超音波の助けを借りて48,000 kDaもの大きいタンパク質が皮膚を超えて治療的濃度で輸送されることが示され、これは経皮投与の実現可能性の例となる(Mitragotriら、Science 269:850(1995))。電気穿孔を用いる経皮輸送は、本発明のポリペプチドを投与するためのもう一つの手段を提供する。
可溶性IL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB、または抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体を含む薬学的組成物は、薬学的に有用な組成物を調製するために既知の方法に従って調製することができ、それによって治療化合物を薬学的に許容される担体と混合することができる。組成物は、その投与がレシピエント患者によって認容されることができれば、「薬学的に許容される担体」であると言われる。滅菌リン酸緩衝生理食塩液は、薬学的に許容される担体の一例である。他の適した担体は当業者に周知である。例えば、Gennaro(編)、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)を参照されたい。
治療目的のために、可溶性IL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB、または抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体分子と、薬学的に許容される担体とを、治療的に有効量で患者に投与する。本発明の治療分子と薬学的に許容される担体との配合物は、投与される量が生理的に有意であれば、「治療的有効量」で投与されると言われる。物質は、その存在によってレシピエント患者の生理学に検出可能な変化が起こる場合に生理的に有意である。例えば、炎症を治療するために用いられる物質は、その存在が炎症反応を緩和する場合、生理的に有意である。
本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物は、液体、エアロゾルまたは固体の形で供給することができる。液体型は、注射用溶液および経口懸濁液として示される。例としての固体剤形には、カプセル剤、錠剤、および徐放性剤形が含まれる。後者はミニ浸透圧ポンプおよびインプラントによって例示される(Bremerら、Pharm Biotechnol. 10:239(1997);Ranade、「Implants in Drug Delivery.」、Drug Delivery Systems、Ranade and Hollinger(編)、95〜123頁(CRC Press、1995);Bremerら、「Protein Delivery with Infusion Pupms」、Protein Delivery:Physical Systems、Sanders and Hendren(編)、239〜254頁(Plenum Press、1997);Yeweyら、「Delivery of Proteins from a Controlled Release Injectable Implant.」、Protein Delivery:Physical Systems、Sanders and Hendren(編)、93〜117頁(Plenum Press 1997)。
リポソームは、被験者に治療ポリペプチドを静脈内、腹腔内、髄腔内、筋肉内、皮下、または経口投与、吸入、もしくは鼻腔内投与によって提供する一つの手段を提供する。リポソームは、水性区画を取り巻く一つまたはそれ以上の脂質二重層からなる顕微鏡的小胞である(一般的に、Bakker-Woudenbergら、Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis. 12(補則1):S61(1993)、Kim、Drugs 46:618(1993)、およびRanade、「Site-Specific Drug Delivery Using Liposomes as Carriers」、Drug Delivery Systems、Ranade and Hollinger(編)、3〜24頁(CRC Press、1995))。リポソームは、細胞膜の組成と類似であり、その結果、リポソームは安全に投与されて生体分解性となりうる。調製法に応じて、リポソームは一枚膜または多重膜リポソームとなる可能性があり、リポソームは直径が0.02 μm〜10 μmより大きい、多様な大きさとなりうる。多様な物質をリポソームに封入することができる;疎水性物質は二重層に分配され、親水性物質は内部水溶性腔に分配される(例えば、Machyら、Liposomes In Cell Biology And Pharmacology(John Libbey、1987)、およびOstroら、American J. Hosp. Pharm. 46:1576(1989)を参照されたい)。その上、リポソームの大きさ、二重層の数、脂質組成と共にリポソームの電荷および表面特徴を変化させることによって、封入された物質の治療的利用率を制御することが可能である。
リポソームは、実質的に如何なるタイプの細胞にも吸着して、その後封入された物質を徐々に放出する。または、吸収されたリポソームは、貪食性の細胞によるエンドサイトーシスを受ける。エンドサイトーシスの後に、リポソーム脂質のライソゾーム内分解が起こり、封入された物質が放出される(Scherphofら、Ann. N.Y. Acad. Sci. 446:368(1985))。静脈内投与後、小さいリポソーム(0.1〜1.0 μm)は、典型的に、肝臓および脾臓に主に存在する細網内皮系の細胞によって取り込まれるが、3.0 μmより大きいリポソームは、肺に沈着する。細網内皮系の細胞によるより小さいリポソームのこの選択的取り込みは、マクロファージおよび肝臓の腫瘍に化学療法剤を輸送するために用いられている。
細網内皮系は、大量のリポソーム粒子による飽和、または薬理学的手段による選択的マクロファージ不活化を含む、いくつかの方法によって回避することができる(Claassenら、Biochim. Biophys. Acta. 802:428(1984))。さらに、糖脂質、またはポリエチレングリコール誘導体リン脂質をリポソーム膜に取り込むと、細網内皮系による取り込みの有意な減少が起こることが示されている(Allenら、Biochim. Biophys. Acta. 1068:133(1991);Allenら、Biochim. Biophys. Acta. 1150:9(1993))。
リポソームはまた、リン脂質組成物を変化させることによって、または受容体もしくはリガンドをリポソームに挿入することによって、特定の細胞または臓器を標的とするように調製することができる。例えば、高い含有量の非イオン性界面活性剤によって調製されたリポソームは、肝臓を標的とするために用いられている(Hayakawaら、日本国特許第04-244,018号;Katoら、Biol. Pharm. Bull. 16:960(1993))。これらの製剤は、大豆ホスファチジルコリン、α-トコフェロール、およびエトキシル化硬化ヒマシ油(HCO-60)をメタノール中で混合して、混合物を真空下で濃縮し、混合物を水に溶解することによって調製した。大豆由来ステリルグルコシド混合物(SG)およびコレステロール(Ch)を有するジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)のリポソーム製剤も同様に、肝臓を標的とすることが示されている(Shimizuら、Biol. Pharm. Bull. 20:881(1997))。
または、抗体、抗体断片、炭化水素、ビタミン、および輸送タンパク質のような様々なターゲティングリガンドをリポソームの表面に結合させることができる。例えば、リポソームは、肝細胞の表面上のみに発現されるアシアロ糖タンパク質(ガラクトース)受容体を標的とする分岐型ガラクトシル脂質誘導体によって改変することができる(Kato and Sugiyama、Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst.14:287(1997);Murahashiら、Biol. Pharm. Bull. 20:259(1997))。同様に、Wuら、Hepatology 27:772(1998)は、アシアロフェツインによるリポソームの標識によって、リポソームの血漿中半減期が短縮され、アシアロフェツイン標識リポソームの肝細胞による取り込みが大きく増強されることを示した。一方、分岐型ガラクトシル脂質誘導体を含むリポソームの肝臓への蓄積は、アシアロフェツインを予め注射することによって阻害することができる(Murahashiら、Biol. Pharm. Bull. 20:259(1997))。ポリアコニチル化ヒト血清アルブミンリポソームは、リポソームを肝臓にターゲティングするためのもう一つのアプローチを提供する(Kampsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:11681(1997))。その上、Gehoら、米国特許第4,603,044号は、肝臓の特殊な代謝細胞に関連する肝胆管受容体に対して特異性を有する肝細胞指向性リポソーム小胞輸送系を記述している。
組織ターゲティングのためのより一般的なアプローチにおいて、標的細胞を、標的細胞によって発現されるリガンドに対して特異的なビオチン化抗体によって予め標識する(Harasymら、Adv. Drug Deliv. Rev. 32:99(1998))。遊離の抗体の血漿からの消失後、ストレプトアビジン-結合リポソームを投与する。もう一つのアプローチにおいて、ターゲティング抗体をリポソームに直接結合させる(Harasymら、Adv. Drug. Deliv. Rev. 32:99(1998))。
ポリペプチドおよび抗体は、タンパク質微小封入に関する標準的な技術を用いてリポソーム内に封入することができる(例えば、Andersonら、Infect. Immun. 31:1099(1981)、Andersonら、Cancer Res. 50:1853(1990)、およびCohenら、Biochim. Biophys. Acta. 1063:95(1991)、Alvingら、「Preparation and Use of Liposomes in Immunological Studies.」、Liposome Technology、第二版、第III巻、Gregoriadis(編)、317頁(CRC Press、1993)、Wassefら、Meth. Enzymol. 149:124(1987)を参照されたい)。先に記述したように、治療的に有用なリポソームは、多様な成分を含んでもよい。例えば、リポソームはポリ(エチレングリコール)の脂質誘導体を含んでもよい(Allenら、Biochim. Biophys. Acta. 1150:9(1993))。
分解性のポリマーミクロスフェアは、治療タンパク質の高い全身レベルを維持するように設計されている。ミクロスフェアは、その中にタンパク質がポリマーに封入されているポリ(ラクチド-コグリコリド)(PLG)、ポリアンヒドリド、ポリ(オルトエステル)、非生体分解性酢酸エチルビニルポリマーのような分解性のポリマーから調製される(Gombotz and Pettit、Bioconjugate Chem. 6:332(1995);Ranade、「Role of Polymers in Drug Delivery」、Drug Delivery Systems、Ranade and Hollinger(編)、51〜93頁(CRC Press、1995);Roskos and Maskiewicz、「Degradable Controlled Release Systems Useful for Protein Delivery.」、Protein Delivery:Physical Systems、Sanders and Hendren(編)、45〜92頁(Plenum Press、1997);Bartusら、Science 281:1161(1998);Putney and Burke、Nature Biotechnology 16:153(1998);Putney、Curr. Opin. Chem. Biol. 2:548(1988))。ポリエチレングリコール(PEG)コーティングナノスフェアも同様に、治療タンパク質の静脈内投与のための担体を提供する(例えば、Grefら、Pharm. Biotechnol. 10:167(1997)を参照されたい)。
他の投与剤形は例えば、Ansel and Popovich、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第5版(Lea & Febiger、1990)、Gennaro(編)、Reminton's Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company、1995)、およびRanade and Hollinger、Drug Delivery Systems(CRC Press、1996)によって示されるように当業者によって考案することができる。
一例として、薬学的組成物は、IL-20RAまたはIL-20RB細胞外ドメインを有するポリペプチド、例えばIL-20RAまたはIL-20RB単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、または多量体可溶性受容体、あるいはIL-20またはIL-20RAまたはIL-20RBアンタゴニスト(例えば、、IL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RBポリペプチドに結合する抗体もしく抗体断片、または中和性抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体)を含む容器を含むキットとして提供してもよい。治療ポリペプチドは、1回もしくは複数回投与のための注射用溶液の形で提供することができる、または注射前に溶解する滅菌粉末として提供することができる。または、そのようなキットには、治療ポリペプチドを投与するための乾燥粉末ディスペンサー、液体エアロゾル発生装置、またはネブライザーが含まれうる。そのようなキットはさらに、薬学的組成物の適応および用途に関する書面での情報を含んでもよい。その上、そのような情報には、IL-20RA、IL-20RB、またはIL-20RA/IL-20RB組成物がIL-20RA、IL-20RB、またはIL-20RA/IL-20RBに対する既知の過敏症を有する患者において禁忌であるという声明が含まれてもよい。
抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体、あるいは結合パートナー(または抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB抗体断片、抗体融合体、ヒト化抗体等)、あるいはIL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB可溶性受容体を含む薬学的組成物を、液体型、エアロゾル型、または固体型で提供することができる。液体型は注射用溶液、エアロゾル、滴剤、トポロジー溶液および経口懸濁剤によって示される。例としての固体剤形には、カプセル剤、錠剤、および徐放性剤形が含まれる。後者は、ミニ浸透圧ポンプおよびインプラントによって例示される(Bremerら、Pharm Biotechnol. 10:239(1997);Ranade、「Implants in Drug Delivery.」、Drug Delivery Systems、Ranade and Hollinger(編)、95〜123頁(CRC Press、1995);Bremerら、「Protein Delivery with Infusion Pumps」、Protein Delivery:Physical Systems、Sanders and Hendren(編)、239〜254頁(Plenum Press、1997);Yeweyら、「Delivery of Proteins from a Controlled Release Injectable Implant.」、Protein Delivery:Physical Systems、Sanders and Hendren(編)、93〜117頁(Plenum Press 1997)。他の固体剤形には、クリーム、ペースト、他のトポロジー適用等が含まれる。
リポソームは、被験者に治療ポリペプチドを静脈内、腹腔内、髄腔内、筋肉内、皮下、または経口投与、吸入、もしくは鼻腔内投与によって輸送する一つの手段を提供する。リポソームは、水性区画を取り巻く一つまたはそれ以上の脂質二重層からなる顕微鏡的小胞である(一般的に、Bakker-Woudenbergら、Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis. 12(補則1):S61(1993)、Kim、Drugs 46:618(1993)、およびRanade、「Site-Specific Drug Delivery Using Liposomes as Carriers」、Drug Delivery Systems、Ranade and Hollinger(編)、3〜24頁(CRC Press、1995))。リポソームは、細胞膜の組成と類似であり、その結果、リポソームは安全に投与されて生体分解性となりうる。調製法に応じて、リポソームは一枚膜または多重膜リポソームとなる可能性があり、リポソームは直径が0.02 μm〜10 μmより大きい、多様な大きさとなりうる。多様な物質をリポソームに封入することができる;疎水性物質は二重層に分配され、親水性物質は内部水溶性腔に分配される(例えば、Machyら、Liposomes in Cell Biology And Pharmacology(John Libbey、1987)、およびOstroら、American J. Hosp. Pharm. 46:1576(1989)を参照されたい)。その上、リポソームの大きさ、二重層の数、脂質組成と共にリポソームの電荷および表面特徴を変化させることによって、封入された物質の治療的利用率を制御することが可能である。
リポソームは、実質的に如何なるタイプの細胞にも吸着して、その後封入された物質を徐々に放出する。または、吸収されたリポソームは、貪食性の細胞によるエンドサイトーシスを受ける。エンドサイトーシスの後に、リポソーム脂質のライソゾーム内分解が起こり、封入された物質が放出される(Scherphofら、Ann. N.Y. Acad. Sci. 446:368(1985))。静脈内投与後、小さいリポソーム(0.1〜1.0 μm)は、典型的に、肝臓および脾臓に主に存在する細網内皮系の細胞によって取り込まれるが、3.0 μmより大きいリポソームは、肺に沈着する。細網内皮系の細胞によるより小さいリポソームのこの選択的取り込みは、マクロファージおよび肝臓の腫瘍に化学療法剤を輸送するために用いられている。
細網内皮系は、大量のリポソーム粒子による飽和、または薬理学的手段による選択的マクロファージ不活化を含む、いくつかの方法によって回避することができる(Claassenら、Biochim. Biophys. Acta. 802:428(1984))。さらに、糖脂質、またはポリエチレングリコール誘導体リン脂質をリポソーム膜に取り込むと、細網内皮系による取り込みの有意な減少が起こることが示されている(Allenら、Biochim. Biophys. Acta. 1068:133(1991);Allenら、Biochim. Biophys. Acta. 1150:9(1993))。
リポソームはまた、リン脂質組成を変化させることによって、または受容体もしくはリガンドをリポソームに挿入することによって、特定の細胞または臓器を標的とするように調製することができる。例えば、高い含有量の非イオン性界面活性剤によって調製されたリポソームは、肝臓を標的とするために用いられている(Hayakawaら、日本国特許第04-244,018号;Katoら、Biol. Pharm. Bull. 16:960(1993))。これらの製剤は、大豆ホスファチジルコリン、α-トコフェロール、およびエトキシル化硬化ヒマシ油(HCO-60)をメタノール中で混合して、混合物を真空下で濃縮し、混合物を水に溶解することによって調製した。大豆由来ステリルグルコシド混合物(SG)およびコレステロール(Ch)を含むジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)のリポソーム製剤は、肝臓を標的とすることが示されている(Shimizuら、Biol. Pharm. Bull. 20:881(1997))。
または、抗体、抗体断片、炭化水素、ビタミン、および輸送タンパク質のような様々なターゲティングリガンドをリポソームの表面に結合させることができる。例えば、リポソームは、肝細胞の表面上のみに発現されるアシアロ糖タンパク質(ガラクトース)を標的とする分岐型ガラクトシル脂質誘導体によって改変することができる(Kato and Sugiyama、Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst.14:287(1997);Murahashiら、Biol. Pharm. Bull. 20:259(1997))。同様に、Wuら、Hepatology 27:772(1998)は、アシアロフェツインによるリポソームの標識によって、リポソームの血漿中半減期が短縮され、アシアロフェツイン標識リポソームの肝細胞による取り込みが大きく増強されることを示した。一方、分岐型ガラクトシル脂質誘導体を含むリポソームの肝臓への蓄積は、アシアロフェツインを予め注射することによって阻害することができる(Murahashiら、Biol. Pharm. Bull. 20:259(1997))。ポリアコニチル化ヒト血清アルブミンリポソームは、リポソームを肝臓にターゲティングするためのもう一つのアプローチを提供する(Kampsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:11681(1997))。その上、Gehoら、米国特許第4,603,044号は、肝臓の特殊な代謝細胞に関連する肝胆管受容体に対して特異性を有する肝細胞指向性リポソーム小胞輸送系を記述している。
組織ターゲティングのためのより一般的なアプローチにおいて、標的細胞を、標的細胞によって発現されるリガンドに対して特異的なビオチン化抗体によって予め標識する(Harasymら、Adv. Drug Deliv. Rev. 32:99(1998))。遊離の抗体の血漿からの消失後、ストレプトアビジン-結合リポソームを投与する。もう一つのアプローチにおいて、ターゲティング抗体をリポソームに直接結合させる(Harasymら、Adv. Drug. Deliv. Rev. 32:99(1998))。
IL-20結合活性を有する抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RB中和抗体および結合パートナー、またはIL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB可溶性受容体は、タンパク質微小封入に関する標準的な技術を用いてリポソーム内に封入することができる(例えば、Andersonら、Infect. Immun. 31:1099(1981)、Andersonら、Cancer Res. 50:1853(1990)、およびCohenら、Biochim. Biophys. Acta. 1063:95(1991)、Alvingら、「Preparation and Use of Liposomes in Immunological Studies.」、Liposome Technology、第2版、第3巻、Gregoriadis(編)、317頁(CRC Press、1993)、Wassefら、Meth. Enzymol. 149:124(1987)を参照されたい)。先に記述したように、治療的に有用なリポソームは、多様な成分を含んでもよい。例えば、リポソームは、ポリ(エチレングリコール)の脂質誘導体を含んでもよい(Allenら、Biochim. Biophys. Acta. 1150:9(1993))。
分解性のポリマーミクロスフェアは治療タンパク質の高い全身レベルを維持するように設計されている。ミクロスフェアは、その中にタンパク質がポリマーに封入されているポリ(ラクチド-コグリコリド)(PLG)、ポリアンヒドリド、ポリ(オルトエステル)、非生体分解性酢酸エチルビニルポリマーのような分解性のポリマーから調製される(Gombotz and Pettit、Bioconjugate Chem. 6:332(1995);Ranade、「Role of Polymers in Drug Delivery」、Drug Delivery Systems、Ranade and Hollinger(編)、51〜93頁(CRC Press、1995);Roskos and Maskiewicz、「Degradable Controlled Release Systems Useful for Protein Delivery.」、Protein Delivery:Physical Systems、Sanders and Hendren(編)、45〜92頁(Plenum Press、1997);Bartusら、Science 281:1161(1998);Putney and Burke、Nature Biotechnology 16:153(1998);Putney、Curr. Opin. Chem. Biol. 2:548(1988))。ポリエチレングリコール(PEG)コーティングナノスフェアも同様に、治療タンパク質の静脈内投与のための担体を提供しうる(例えば、Grefら、Pharm. Biotechnol. 10:167(1997)を参照されたい)。
他の投与剤形は例えば、Ansel and Popovich、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第5版(Lea and Febiger、1990)、Gennaro(編)、Reminton's Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company、1995)、およびRanade and Hollinger、Drug Delivery Systems(CRC Press、1996)によって示されるように当業者によって考案することができる。
本発明は、可溶性IL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB、または抗IL-20、抗IL-20RA、もしくは抗IL-20RBの組成物、ならびに本明細書に記述の抗体、ペプチド、またはポリペプチドを含む方法および治療的用途を企図する。そのような組成物はさらに担体を含みうる。担体は通常の有機または無機担体となりうる。担体の例には、水、緩衝液、アルコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油等が含まれる。
10.トランスジェニックマウスの作製
IL-20の過剰発現がヒト乾癬病変において示されており、IL-20がヒト乾癬に関与していることを示唆している。その上、本明細書に記述するように、トランスジェニックマウスにおけるIL-20の過剰発現は、乾癬表現型を示す表皮の肥厚および免疫細胞の関与を示した。そのため、本発明の抗ヒトIL-20、抗ヒトIL-20RA、ならびに抗ヒトIL-20RB中和およびモノクローナル抗体のようなIL-20活性に対するアンタゴニストと共に、可溶性のIL-20RA、IL-20RB、またはIL-20RA/IL-20RB受容体は、炎症疾患、特にIL-20に対するアンタゴニストとして乾癬の治療において有用である。その上、本発明の抗ヒトIL-20、抗ヒトIL-20RA、および抗ヒトIL-20RB中和およびモノクローナル抗体などのIL-20活性に対するアンタゴニストは、可溶性IL-20RA、IL-20RB、およびIL-20RA/IL-20RB受容体と共に、他の炎症疾患の治療において、例えばアトピー性皮膚炎、IBD、大腸炎、内毒素血症、関節炎、リウマチ性関節炎、および乾癬性関節炎、成人呼吸器疾患(ARD)、敗血症ショック、多臓器不全、喘息または気管支炎のような炎症性肺損傷、細菌性肺炎、湿疹、アトピー性および接触性皮膚炎、ならびに潰瘍性大腸炎およびクローン病のような炎症性腸疾患等の治療において、IL-20に対するアンタゴニストとして有用である。
一つの局面において、本発明は、以下のポリペプチドに対する抗体を産生する方法を提供する:以下からなる群より選択される、動物において免疫応答を誘発して抗体を産生するポリペプチドを動物に接種する段階:(a)配列番号:3のアミノ酸番号1(Pro)〜アミノ酸番号6(Asp)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(b)配列番号:3のアミノ酸番号26(Ser)〜アミノ酸番号32(Pro)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(c)配列番号:3のアミノ酸番号41(Lys)〜アミノ酸番号47(Asp)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(d)配列番号:2のアミノ酸番号49(Val)〜アミノ酸番号62(Cys)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(e)配列番号:3のアミノ酸番号41(Lys)〜アミノ酸番号62(Cys)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(f)配列番号:3のアミノ酸番号84(Ala)〜アミノ酸番号97(Ser)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(g)配列番号:3のアミノ酸番号103(Thr)〜アミノ酸番号108(Asp)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(h)配列番号:3のアミノ酸番号130(Arg)〜アミノ酸番号135(His)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(i)配列番号:3のアミノ酸番号164(Gly)〜アミノ酸番号166(Lys)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(j)配列番号:3のアミノ酸番号175(Tyr)〜アミノ酸番号179(Glu)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(k)配列番号:3のアミノ酸番号193(Lys)〜アミノ酸番号196(Ala)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(l)配列番号:3のアミノ酸番号203(Lys)〜アミノ酸番号209(Thr)のアミノ酸配列からなるポリペプチド;および(m)配列番号:3のアミノ酸配列からなるポリペプチド;および(n)配列番号:4のアミノ酸配列からなるポリペプチド;ここで、ポリペプチドは動物において免疫反応を誘導して抗体を生産させ;動物から抗体を単離し;抗体はIL-20RAポリペプチド(配列番号:2または配列番号:3)に特異的に結合し;かつIL-20(配列番号:8)またはIL-22(配列番号:6)の炎症誘発活性を阻害する。
一つの態様において、産生される抗体がIL-20の炎症誘発活性を阻害する、上記の方法が提供される。
第二の局面において、本発明は、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:21、または配列番号:23のポリペプチドに結合する、先に開示した方法によって産生される抗体を提供する。一つの態様において、(a)ポリクローナル抗体、(b)マウスモノクローナル抗体、(c)(b)に由来するヒト化抗体、(d)抗体断片、および(e)ヒト化モノクローナル抗体からなる群より選択される、上記の抗体が提供される。
第三の局面において、本発明は、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:21、または配列番号:23に示すアミノ酸残基の配列を含むポリペプチドに結合して、IL-20の炎症誘発活性を阻害する抗体または抗体断片を提供する。一つの態様において、放射性核種、酵素、基質、共因子、蛍光マーカー、化学発光マーカー、ペプチドタグ、磁気粒子、または毒素を含む、上記の抗体がさらに提供される。
もう一つの局面において、本発明は、可溶性サイトカイン受容体の非存在下で培養した骨髄または末梢血細胞と比較して、骨髄または末梢血細胞における造血細胞の増殖または分化を減少させるために十分な量の上記に開示された抗体を含む組成物と共に骨髄または末梢血細胞を培養する段階を含む、造血細胞および造血細胞前駆体のIL-20誘導性増殖または分化を阻害するための方法を提供する。一つの態様において、造血細胞および造血前駆細胞がリンパ細胞である上記の方法が提供される。
もう一つの態様において、リンパ様細胞がマクロファージまたはT細胞である、上記の方法が提供される。
もう一つの局面において、本発明は、本発明は、炎症を減少させるために十分な量の上記に開示された抗体組成物を、炎症を有する哺乳動物に投与する段階を含む、IL-20誘導性の炎症を減少させる方法を提供する。
もう一つの局面において、本発明は、以下を含む、炎症を有する哺乳動物における炎症反応を抑制する方法を提供する:(1)血清アミロイドAタンパク質レベルを決定する段階;(2)許容される薬学的媒体において、上記に開示された抗体を含む組成物を投与する段階;(3)血清アミロイドAタンパク質の投与後のレベルを決定する段階;(4)段階(1)における血清アミロイドAタンパク質レベルを段階(3)における血清アミロイドAタンパク質レベルと比較する段階;ここで、血清アミロイドAタンパク質レベルが増加しないか、または減少すれば、炎症反応を抑制することが示される。
一つの態様において、放射性核種、酵素、基質、共因子、蛍光マーカー、化学発光マーカー、ペプチドタグ、磁気粒子、または毒素を含む、上記の抗体が提供される。
もう一つの局面において、本発明は、可溶性サイトカイン受容体の非存在下で培養した骨髄または末梢血細胞と比較して、骨髄または末梢血細胞における造血細胞の増殖または分化を減少させるために十分な量の上記に開示された抗体を含む組成物と共に骨髄または末梢血細胞を培養する段階を含む、造血細胞および造血細胞前駆体のIL-20誘導性増殖または分化を阻害するための方法を提供する。一つの態様において、造血細胞および造血前駆細胞がリンパ細胞である上記の方法が提供される。
もう一つの態様において、リンパ様細胞がマクロファージまたはT細胞である、上記の方法が提供される。
もう一つの局面において、本発明は、本発明は、炎症を減少させるために十分な量の上記に開示された抗体の組成物を、炎症を有する哺乳動物に投与する段階を含む、IL-20誘導性の炎症を減少させる方法を提供する。
もう一つの局面において、本発明は、以下を含む、炎症を有する哺乳動物における炎症反応を抑制する方法を提供する:(1)血清アミロイドAタンパク質レベルを決定する段階;(2)許容される薬学的媒体において、上記に開示された抗体を含む組成物を投与する段階;(3)血清アミロイドAタンパク質の投与後のレベルを決定する段階;(4)段階(1)における血清アミロイドAタンパク質レベルを段階(3)における血清アミロイドAタンパク質レベルと比較する段階;ここで、血清アミロイドAタンパク質レベルが増加しないか、または減少すれば、炎症反応を抑制することが示される。もう一つの局面において、本発明は、IL-20のアンタゴニストを、炎症が減少するように哺乳動物に投与する段階を含む、IL-20が役割を果たす炎症疾患に罹患した哺乳動物を治療する方法を提供し、ここで、アンタゴニストは、IL-20、IL-20RA、もしくはIL-20RBのポリペプチドまたはポリペプチド断片に特異的に結合する抗体、抗体断片、もしくは結合ポリペプチドを含むか、あるいはIL-20、IL-20RA、もしくはIL-20RBのポリペプチドまたはポリペプチド断片であり;かつここで、IL-20の炎症活性は減少する。一つの態様において、疾患が慢性炎症疾患である上記の方法を提供する。
もう一つの態様において、疾患が炎症性腸疾患;潰瘍性大腸炎;クローン病;関節炎;および乾癬から選択される、上記の方法を提供する。
もう一つの態様において、疾患が急性炎症疾患である、上記の方法が提供される。もう一つの態様において、疾患が内毒素血症;敗血症;毒性ショック症候群;および感染疾患から選択される急性炎症疾患である、上記の方法を提供する。
もう一つの態様において、抗体がさらに放射性核種、酵素、基質、共因子、蛍光マーカー、化学発光マーカー、ペプチドタグ、磁気粒子、薬物、または毒素を含む、上記の方法を提供する。
もう一つの局面において、本発明は、以下からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、ヒトIL-20(配列番号:2)のエピトープに結合するモノクローナル抗体を含む抗体を提供し、ここでこの抗体はヒトIL-20(配列番号:2)の炎症誘発活性を減少または中和する:配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜102(Asp);配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜60(Ile);配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜69(Glu);配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜81(Cys);配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜96(Lys);配列番号:2のアミノ酸残基42(Ile)〜102(Asp);配列番号:2のアミノ酸残基60(Ile)〜69(Glu);配列番号:2のアミノ酸残基60(Ile)〜81(Cys);配列番号:2のアミノ酸残基60(Ile)〜96(Lys);配列番号:2のアミノ酸残基60(Ile)〜102(Asp);配列番号:2のアミノ酸残基69(Glu)〜81(Cys);配列番号:2のアミノ酸残基69(Glu)〜96(Lys);配列番号:2のアミノ酸残基69(Glu)〜102(Asp);配列番号:2のアミノ酸残基81(Cys)〜96(Lys);配列番号:2のアミノ酸残基81(Cys)〜102(Asp);配列番号:2のアミノ酸残基96(Lys)〜102(Asp)。一つの態様において、さらに放射性核種、酵素、基質、共因子、蛍光マーカー、化学発光マーカー、ペプチドタグ、磁気粒子、薬物、または毒素を含む、上記の抗体を提供する。
もう一つの態様において、(a)マウスモノクローナル抗体、(b)(a)に由来するヒト化抗体、(c)抗体断片、および(d)ヒトモノクローナル抗体からなる群より選択される抗体を提供する。
もう一つの局面において、本発明は、以下からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、ヒトIL-20RA(配列番号:14)のエピトープに結合するモノクローナル抗体を含む抗体を提供し、ここでこの抗体はヒトIL-20(配列番号:2)の炎症誘発活性を減少または中和する:配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜9(Leu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜36(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜41(Ala);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜58(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜63(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜80(Lys);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜104(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜120(Cys);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜161(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜187(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜224(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜316(Ile);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜323(Ile);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜335(Asp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜371(Cys);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜384(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜412(Ala);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜462(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜483(Asp);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜496(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜523(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基1(Met)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜63(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基36(Gly)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜63(Gln);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基58(Pro)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜94(Tyr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基80(Lys)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜128(Arg);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基120(Cys)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜169(Pro);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基161(Trp)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜194(Trp);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基187(Asn)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜233(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基224(Gly)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜323(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基316(Ile)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜340(Asn);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜354(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基335(Asp)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜381(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基371(Cys)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜397(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基384(Gln)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜418(Glu);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基412(Ala)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜476(Ser);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基462(Gln)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基483(Asp)〜486(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基483(Asp)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基483(Asp)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基496(Ser)〜511(Gly);配列番号:14のアミノ酸残基496(Ser)〜536(Thr);配列番号:14のアミノ酸残基523(Glu)〜536(Thr)。一つの態様において、さらに放射性核種、酵素、基質、共因子、蛍光マーカー、化学発光マーカー、ペプチドタグ、磁気粒子、薬物、または毒素をさらに含む上記の抗体を提供する。
もう一つの態様において、(a)マウスモノクローナル抗体、(b)(a)に由来するヒト化抗体、(c)抗体断片、および(d)ヒトモノクローナル抗体からなる群より選択される上記の抗体を提供する。
もう一つの局面において、本発明は、以下からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、ヒトIL-20RB(配列番号:21)のエピトープに結合するモノクローナル抗体を含む抗体を提供し、ここでこの抗体はヒトIL-20(配列番号:2)の炎症誘発活性を減少または中和する:配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜74(Tyr);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜101(Asp);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜135(Ser);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基70(Tyr)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜101(Asp);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜135(Ser);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基92(Thr)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基130(Pro)〜135(Ser);配列番号:21のアミノ酸残基130(Pro)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基130(Pro)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基171(Arg)〜178(Glu);配列番号:21のアミノ酸残基171(Arg)〜283(Lys);配列番号:21のアミノ酸残基279(Asn)〜283(Lys)。一つの態様において、さらに放射性核種、酵素、基質、共因子、蛍光マーカー、化学発光マーカー、ペプチドタグ、磁気粒子、薬物、または毒素をさらに含む上記の抗体を提供する。
もう一つの態様において、(a)マウスモノクローナル抗体、(b)(a)に由来するヒト化抗体、(c)抗体断片、および(d)ヒトモノクローナル抗体からなる群より選択される上記の抗体を提供する。
もう一つの局面において、本発明は、上記に開示された抗体の有効量を投与して、それによって病態を治療する段階を含む、IL-20活性に関連した被験体における病態を治療する方法を提供する。一つの態様において、病態が慢性炎症病態である上記の方法を提供する。
もう一つの態様において、慢性炎症病態は、炎症性腸疾患;潰瘍性大腸炎;クローン病;関節炎、および乾癬から選択される、上記の方法を提供する。もう一つの態様において、病態が急性炎症病態である、上記の方法を提供する。
もう一つの態様において、急性炎症病態が内毒素血症;敗血症;毒性ショック症候群;および感染疾患から選択される、上記の方法を提供する。
本発明は、以下の非制限的な実施例によってさらに説明される。
実施例1
IL-20のクローニング
ヒトIL-20のクローニング
IL-20x1(より長い型-配列番号:1)およびIL-20x2(より短い型-配列番号:4)の全長配列を、3'RACE(登録商標)を用いること、および2つの生成した断片を配列決定に供し(配列番号:30および配列番号:31)、次いで配列番号:32に示されるest配列を2つの3'race断片からの重複配列と、コンピュータによって一緒に人工的にスプライシングすることによって解明した。
オリゴzc15907(配列番号:33)を、IL-20のための推定のメチオニンのすぐ上流(5')の領域に設計した。さらに上流に、もう一つのオリゴzc15906(配列番号:34)を、シグナル配列切断部位のすぐ上流の領域に設計した。これらのオリゴは、ヒト気管marathon cDMAに対する3'RACEにおいて使用した。ZC15907を、初回3'race反応において使用し、zc15906をネスト化3'race反応において使用した。MARATHON cDNAを、Marathon cDNA増幅キット(Clontech、パロアルト、カリフォルニア州)を用いて、製造元の説明書に従って、Clontechから購入したヒト気管mRNAを用いて開始して作製した。
PCR反応を、Marathon cDNA増幅キット中の製造元の説明書に従って、熱サイクリングパラメーターにおけるいくつかの改変を伴って実行した。初回PCR反応において使用したサイクリングパラメーターは以下であった:
94℃1分30秒、1回
94℃15秒、68℃1分、30回
72℃7分、1回。
ネスト化PCR反応において使用したサイクリングパラメーターは、94℃1分30秒1回、94℃15秒68℃1分20秒30回、72℃7分1回であった。
得られる産物を、1.2%アガロースゲル(Gibcoアガロース)上で泳動し、2つのバンドがほぼ80bp離れて見られた。2つのバンドを切断し、製造元の説明書に従ってQIAEX(商標)レジン(Qiagen)を用いてゲル精製した。次いで、これらの断片を配列決定に供し、IL-20の全長配列が識別されることを可能にした。
マウスIL-20のクローニング
PCRプライマー、AP2 MARATHON(商標)アダプターに結合した配列番号:36でネスト化したMARATHON(商標)AP1アダプターに結合した5'MARATHON RACE(商標)(Clontech、パロアルト、カリフォルニア州)プライマーセット配列番号:35を、PCRプライマー、MARATHON RACE(商標)AP2アダプターに結合した配列番号:38でネスト化したMARATHON RACE(商標)AP1アダプターに結合した3'MARATHON RACE(商標)プライマーセット配列番号:37と共に用いて、5'および3'raceをマウス皮膚MARATHON RACE(商標)cDNA上で実行した。これらの反応からのいくつかの断片をゲル精製および配列決定し、マウスIL-20ならびにいくつかの5'および3'UTR配列の全長コード配列の解明を可能にした。2つのマウスIL-20変種、すなわち、配列番号:39および40ならびに配列番号:41および42を発見した。これらのクローンを、プライマー配列番号:43および44を用いるPCRによって増幅した。
実施例2
IL-20RAのクローニング
ヒトIL-20RAのクローニング
発現配列タグ(EST)277139(配列番号:45)を同定した。cDNAクローン(ID番号50416)を、Genome Systems, Inc.を通したIMAGEコンソーシアムLawrence Livermore National Laboratoryから入手した。cDNAを、関心対象のcDNAを有するプラスミドでトランスフェクトした大腸菌(E.coli)を含む寒天スタブとして供給した。大腸菌を寒天プレート上にストリークした。プラスミドをpSL7139と命名した。プラスミドpSL7139中のcDNAインサートを配列決定した。このインサートを、1231bp長であるが全長配列ではないと決定した。
供給業者の指示書に従ってMARATHON(商標)cDNA増幅キット(Clontech Laboratories, Inc.、パロアルト、カリフォルニア州)を用いて、ヒト精巣cDNA鋳型を作製した。5’RACE反応を用いて全長cDNAを得た。RACE反応を2セットのプライマーを利用する2つの反応において実行した。プライマーZC11,107(配列番号:46)およびAP-1(配列番号:47)(Clontech Laboratories)を用いる反応I(外側ネスト)を、98℃20秒間、45℃20秒間;68℃4分間の35サイクル、および68℃で10分間の最終伸長時間で実行した。反応産物の1:100希釈物の1μlを反応II(内部ネスト)における鋳型として使用した。プライマーはZC11,108(配列番号:48)およびAP-2(配列番号:49)(Clontech Laboratories)であった。反応を、98℃30秒間、ならびに各サイクルが98℃28秒間;43℃20秒間;および68℃3.5分間から構成される30サイクルで、68℃10分間の最終伸長とともに実行した。
内部ネストRACE反応の産物を、PCR-SCRIPT(商標)キット(Stratagene Cloning Systems、ラホーヤ、カリフォルニア州)を用いてサブクローニングして、プラスミドpSLR7-1を調製した。このプラスミドの配列分析は、5’RACEで生成した配列がpSL7139の配列を555bp伸長したことを示した。
PCRプライマーZC11,526(配列番号:50)およびZC11,108(配列番号:48)によって生成したプローブ、および鋳型としてpSLR-1を用いてλZAP(登録商標)IIヒト精巣cDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、次いで再増幅することによって全長cDNAを得た。得られたプローブを、低融点アガロースゲル電気泳動からの回収を通して精製し、MEGAPRIME(商標)標識キット(Amersham Corp.、アーリントン、ハイツ、イリノイ州)を用いる32P-α-dCTPで標識した。標識したプローブを、プッシュカラム(NUCTRAP(登録商標)プローブ精製カラム;Stratagene Cloning Systems)上で精製した。
第1鎖cDNA反応は、2回ポリd(T)選択した1.0μg/μlの濃度の15μgヒト精巣ポリ(A)+ mRNA(Clontech Laboratories)、およびXhoI制限部位を含む3μlの20pmole/μl第1鎖プライマーZC6091(配列番号:51)を含んだ。この混合物を70℃で4分間加熱し、氷上で冷却することによって冷却した。RNA-プライマー混合物への、12μlの第1鎖緩衝液(5×SUPERSCRIPT(商標)緩衝液;Life Technologies、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)、6μlの100mM ジチオスレイトール、10mMの各dTTP、dATP、dGTP、および5-メチルdCTPを含む3μlのデオキシヌクレオチド三リン酸溶液(Pharmacia LKB Biotechnology、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)の付加によって、第1鎖cDNA合成を開始した。反応混液を37℃で2分間インキュベートし、続いて15μlの200U/μl RNase H-逆転写酵素(SUPERSCRIPT II<<;Life Technologies)の付加を行った。分析のために反応を標識するために反応混合物の1つから5μlアリコートへの5μCiの32P-αdCTPの付加による並行反応において、第1鎖合成の効率を分析した。反応を37℃で10分間、45℃で1時間インキュベートし、次いで50℃で10分間インキュベートした。標識反応において取り込まれていない32P-αdCTP、ならびに非標識第1鎖反応において取り込まれなかったヌクレオチドおよびプライマーを、400ポアサイズのゲル濾過カラム(Clontech Laboratories)上のクロマトグラフィーによって除去した。標識した第1鎖cDNAの長さを、アガロースゲル電気泳動によって決定した。
第2鎖反応は、120μlの非標識第1鎖cDNA、36μlの5×ポリメラーゼI緩衝液(125mM Tris: HCl、pH 7.5, 500mM KCl、25mM MgCl2、50mM (NH4)2SO4)、2.4μlの100mM ジチオスレイトール、3.6μlの10mMの各デオキシヌクレオチド三リン酸を含む溶液、6μlの5mM β-NAD、3.6μlの3U/μl大腸菌DNAリガーゼ(New England Biolabs)、9μlの10U/μl大腸菌DNAポリメラーゼI(New England Biolabs)、および1.8μlの2U/μl RNase H(life Technologies)を含んだ。第2鎖合成反応の1つからの10μlアリコートを、10μCi32P-αdCTPの付加によって標識し、第2鎖合成の効率をモニターした。反応を16℃で2時間インキュベートし、続いて15μl T4 DNAポリメラーゼ(10U/μl、Boerhinger Mannheim、インディアナポリス、インディアナ州)の付加を行い、さらに5分間16℃でインキュベートした。標識反応中で取り込まれなかった32P-αdCTPを、400ポアサイズのゲル濾過(Clontech Laboratories)を通すクロマトグラフィーによって除去し、その後アガロースゲル電気泳動を行った。非標識第2鎖反応を、20μl 0.5M EDTAの添加、ならびにフェノール/クロロホルムおよびクロロホルムでの抽出、続いて2.5M酢酸アンモニウムおよび4μgのグリコゲンキャリアの存在下でのエタノール沈殿によって停止した。cDNAの収量は、15μgの出発mRNA鋳型から約3μgであると見積もった。
EcoRIアダプターを、上記のcDNAの5’末端にライゲーションして、発現ベクターへのクローニングを可能にした。10μlアリコートのcDNA(約1.5μg)および5μlの65pmole/μlのEcoRIアダプター(Pharmacia LKB Biotechnology Inc.)を、2μl 10×リガーゼ緩衝液(660mM Tris-HCl pH 7.5、100mM MgCl2)、2μlの10mM ATPおよび1μlの15U/μl T4 DNAリガーゼ(Promega Corp.、マディソン、ウィスコンシン州)と混合した。反応を、2時間5℃で、2時間7.5℃で、2時間10℃で、および10時間12.5℃でインキュベートした。反応を、70℃20分間のインキュベーションによって終結させた。
発現ベクター中へのcDNAの指向性のクローニングを容易にするために、cDNAをXhoIで消化して、5’EcoRI付着末端および3’Xho付着末端を有するcDNAを生じた。このcDNAにおける3’末端におけるXhoI制限部位は、事前にZC6091プライマー(配列番号:51)を用いて導入した。制限酵素消化を、上記の20μlのcDNA、10μlの10×H緩衝液XhoI(Boehringer Mannheim)、69μl H2O、および1.0μlの40U/μl XhoI(Boehringer Mannheim)を含む反応混液中で実行した。消化を37℃で40分間実行した。反応を、70℃で10分間のインキュベーション、および400ポアサイズゲル濾過カラム(Clontech Laboratories)を通してのクロマトグラフィーによって終結させた。
cDNAをエタノール沈殿させ、70%エタノールで洗浄し、風乾し、14μl水、2μlのリガーゼ緩衝液(Promega Corp.、マディソン、ウィスコンシン州)、2μl T4ポリヌクレオチドキナーゼ(10U/μl、Life Technologies)中に再懸濁した。37℃で30分間のインキュベーション後、cDNAを65℃で5分間加熱し、氷上で冷却し、および0.8%低融点アガロースゲル上で電気泳動した。夾雑しているアダプターおよび0.6kb長よりも下のcDNAをゲルから切除した。電極を逆にし、レーンの起点の近くで濃縮されるまで、cDNAを電気泳動した。濃縮したcDNAを含むゲルの領域を切除し、微量遠心チューブ中に配置し、および適切な量のゲルスライスを決定した。ゲルスライスの量の約3倍の水のアリコート(300μl)および35μl 10×β-アガロースI緩衝液(New England Biolabs)をチューブに加え、65℃まで15分間加熱することによってアガロースを融解した。45℃での試料の平衡化後、3μlの1U/μl β-アガロースI(New England Biolabs)を加え、この混合物を60分間45℃でインキュベートして、アガロースを消化した。インキュベーション後、40μlの3M 酢酸Naを試料に加え、この混合物を氷上で15分間インキュベートした。試料を14,000×gで15分間室温にて遠心分離して、未消化のアガロースを除去した。cDNAをエタノール沈殿し、70%エタノール中で洗浄し、風乾し、10μl水中に再懸濁した。
得られたcDNAを、EcoRIおよびXhoIで前消化しかつ脱リン酸化したλファージベクターλZap<<II(Stratagene Cloning Systems)にクローニングした。λZap<<IIベクターへのcDNAのライゲーションを、1.0μlの調製ベクター、1.0μlのヒト精巣cDNA、1.0μl 10×リガーゼ緩衝液(Promega Corp.)、1.0μlの10mM ATP、5μl水、および1.0μlの15ユニット/mlのT4 DNAリガーゼ(Promega Corp.)を含む反応混液中で実行した。ライゲーション混合物を、5〜15℃で一晩の温度勾配中でインキュベートした。インキュベーション後、インビトロパッケージング抽出物(Gigapack<<III Goldパッケージング抽出物;Stratagene Cloning Systems)を用いてライゲーション混合物をファージにパッケージングし、得られたライブラリーを、製造元の仕様書に従って力価測定した。
ヒト精巣λZAP<<IIライブラリーを用いて、大腸菌宿主細胞(XL1-Blue MRF’株(Stratagene Cloning Systems))に感染させ、1.5×106プラーク形成単位(pfu)を、約50,000pfu/プレートの密度で150mm NZYプレートにプレーティングした。接種したプレートを一晩37℃でインキュベートした。フィルタープラークリフトを、製造元によって提供された手順に従って、ナイロンメンブレン(Hybond(商標)-N;Amersham Corp.、アーリントンハイツ、イリノイ州)を用いて作製した。フィルターを、1.5M NaClおよび0.5M NaOHを含む溶液中で、6分間室温にて変性によって処理した。フィルターを短時間、濾紙上にブロットして、過剰の変性溶液を除去し、1M Tris-HCl、pH 7.5および1.5M NaCl中で6分間の変性を行った。ファージDNAを、UVクロスリンカー(Stratalinker<<;Stratagene Cloning Systems)中にて、1,200μジュールのUVエネルギーでフィルター上に固定した。固定後、フィルターを、0.25×標準クエン酸ナトリウム(SSC)、0.25%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および1mM EDTAを含む水溶液中で前洗浄して細胞細片を除去し、次いでハイブリダイゼーション溶液(5×SSC、5×デンハルト溶液、0.2% SDSおよび1mM DTA)中でプレハイブリダイズした。100μg/mlの熱変性した変性サケ精子DNAを加えた。フィルターを65℃で一晩プレハイブリダイズした。
プローブを、ヒトIL-20RAコード領域を増幅するために設計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いることによってPCR産物として調製した。2μlのZC11526(配列番号:50)、2μlのZC11,108(配列番号:48)、1μlのpSLR7-1の一晩細菌培養物、1μlの10mM dNTP、10μlの10×KlenTaq緩衝液(Clontech Laboratories)、82μl水、および2μl KlenTaq DNAポリメラーゼ(Clontech Laboratories)を含むPCR反応混液を調製した。PCR反応を以下のように実行した:94℃1分間;95℃20秒間、43℃20秒間、68℃1分間の30サイクル;次いで68℃で10分間保持した。PCR産物を再増幅し、0.8%低融点アガロースゲル上でゲル精製した。
50ナノグラムのPCR産物を、32P-α-dCTPで、製造元の仕様書に従って、MEGAPRIME<<DNA標識システム(Amersham)を用いるランダムプライミングによって放射標識した。プレハイブリダイゼーション溶液を、1.4×106cpm/ml標識プローブを含む新鮮なハイブリダイゼーション溶液で置き換え、64時間60℃でハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイゼーション溶液を除去し、フィルターを、0.25×SSC、0.25%SDSおよび1mM EDTAを含む洗浄溶液中で、65℃にてすすいだ。フィルターをオートラジオグラフフィルム上に配置し、増感スクリーンと共に72時間、-70℃で露出した。
オートラジオグラフの試験は、標識プローブでハイブリダイズされた複数の領域を示した。寒天プレートを、精製のために12の領域から拾い上げた。各寒天プラグを、25ml 4M NaCl、10ml 1M MgSO4、25ml 2M Tris HCl、5ml 2%ゼラチンおよび935ml H2Oならびに10%(v/v)クロロホルムを含む0.5ml SM溶液中に2時間浸漬した(Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州、1989)。インキュベーション後、各プラグからのファージをSM中で1:1000に希釈した。50μlのアリコートを、300μlの大腸菌XL-1 Blue MRF’細胞を含む100mmプレート上にプレーティングした。これらのプレートを37℃で一晩インキュベートし、フィルターリフトを調製し、一晩プレハイブリダイズし、1.1×106cpm/mlの標識したプローブを含むハイブリダイゼーション溶液で一晩ハイブリダイズし、洗浄し、オートラジオグラフを行った。得られたオートラジオグラフの試験は、10個の陽性シグナルを示した。陽性プラークをさらなる精製のラウンドに供した。
製造元の仕様書に従って、ExASSIST/SOLR<<システム(Stratagene Cloning Systems)を用いてプラスミドを切除した。これらのプラスミドインサートを、サイズ決定のためにPCRによって増幅した。pSLR7-2と名付けられたクローンを配列決定し、3,532bpのサイズのインサートを有することを決定した。
マウスIL-20RAのクローニング
ヒトIL-20RAをコードする全長cDNA断片を含んだ中間種ハイブリダイゼーションプローブを生成した。マウスゲノムDNAのサザンブロットおよびマウスRNAのノーザンブロットを実行して、ヒトIL-20RA cDNAがマウス配列に特異的にハイブリダイズできることを実証した。ノーザンブロットの結果は、マウスIL-20RA RNAが、15日および17日のマウス胚、ならびに心臓、脳、肺、肝臓、腎臓、精巣、脾臓、胸腺、肝臓、胃、および小腸において存在することを示した。
ヒトIL-20RA全長DNAハイブリダイゼーションプローブを用いて、マウスゲノムライブラリーをスクリーニングした。Clontech(パロアルト、カリフォルニア州)から入手したライブラリーを、マウスゲノムDNAのMboI部分消化物から生成し、λバクテリオファージEMBL3 SP6/T7のBamHI部位にクローニングした。陽性バクテリオファージをプラーク精製し、バクテリオファージDNAを、PromegaのWizard Lambda Preps DNA精製システムを用いて調製した。2つのゲノム制限酵素断片、5.7kb EcoRI断片および8.0kb SacI断片を陽性バクテリオファージから生成し、pBluescriptにサブクローニングした。DNA配列分析は、マウスオルトログからヒトIL-20RAまでの3エキソンの存在を明らかにした。
5'UTR(配列番号:52)および3'UTR(配列番号:53)からのPCRプライマーを、PCR増幅によって全長マウスIL-20RA配列を生成するために設計した。15日および17日のマウス胚cDNAを、PCR増幅のための鋳型として用いた。PCR産物をサブクローニングし、確認のために配列決定した。マウス配列は配列番号:54および55である。成熟細胞外ドメインは配列番号:56から構成される。
実施例3
ヒトIL-20RBのクローニング
2つのPCRプライマーを、1999年3月8日に出願された国際特許出願PCT/US99/03735に基づいて設計した。配列番号:57はEcoRI制限部位とともにATG(Met1)コドンを含み、配列番号:58はXhoI制限部位とともに終止コドン(TAG)を含む。PCR増幅を、鋳型としてヒトケラチノサイト(HaCaT)cDNAライブラリーをDNA、ならびにプライマーとして配列番号:59および配列番号:58を用いて実行した。PCR反応を以下のように実行した:94℃で1分間のインキュベーション、続いて94℃30秒間および68℃2分間の30サイクル、さらに68℃4分間、その後反応物を4℃で保存した。PCR産物を1%アガロースゲル上で泳動すると、1kb DNAバンドが観察された。PCR産物をゲルから切断し、DNAをQIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いて精製した。精製したDNAをEcoRIおよびXhoIで消化し、pZPベクターにクローニングし、これをpZP7Nと称した。pZPプラスミドは、マウスメタロチオネイン-1プロモーター、ヒトtPAリーダーペプチド、コード配列の挿入のためのマルチプルクローニングサイト、Glu-Gluタグ、およびヒト成長ホルモンターミネーターを有する発現カセットを含む哺乳動物発現ベクターである。このプラスミドはまた、大腸菌の複製起点、SV40のプロモーター、エンハンサーおよび複製起点を有する哺乳動物選択マーカー発現ユニット、ならびにDHFR遺伝子、ならびにSV40ターミネーターを有する。いくつかのIL-20RB-pZP7Nクローンを配列決定した。これらは、PCT/US99/03735におけるIL-20RBの配列と比較して、3つの非保存性変異を含む:(配列IL-20RB-pZP7N)、146 Pro(CCC)--Thr(ACC)、148 His(CAT)--Asp(GAT)、および171 Thr(ACG)--Arg(AGG)。
IL-20RB-pZP7Nクローンにおける3つの置換を確認するために、鋳型として3つの異なるcDNAクローン--胎児皮膚marathon cDNA、HaCaT cDNAライブラリーDNA、および前立腺平滑筋cDNAライブラリーDNA--を用いてPCR増幅を実行した。PCR産物をゲル精製し、配列決定した。3つのPCR産物各々の配列は、IL-20RB-pZP7Nクローンの配列と一致していた。IL-20RBは配列番号:20および21であり、成熟細胞外ドメインは配列番号:59である。
実施例4
IL-20RA/RB受容体-Ig融合ヘテロ四量体
発現ベクターpEZE3を用いて、組換えIL-20受容体-Ig融合タンパク質を発現した。プラスミドpEZE3はpDC312由来である。pDC312は、Immunex Corporationからライセンスを通して入手した。プラスミドpDC312およびpEZE3は、WO 97/25420に記載されるようなEASEセグメントを含む。発現ベクター中でのEASEセグメントの存在は、安定な細胞プール中で組換えタンパク質の発現を2から8倍改善することができる
プラスミドpEZE3は、哺乳動物細胞、好ましくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中で3種までの異なるタンパク質を発現するために用いられてもよい。pEZE3発現ユニットは、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー/プロモーター、アデノウイルス3成分リーダー配列、第1の組換えタンパク質についてのコード領域の挿入のためのマルチプルクローニング部位、2型ポリオウイルス内部リボソームエントリー部位、第2の組換えタンパク質についてのコード領域の挿入のための第2のマルチプルクローニング部位、マウスジヒドロ葉酸還元酵素についてのコード領域、およびSV40転写ターミネーターを含む。さらに、pEZEは、大腸菌複製起点および細菌βラクタマーゼ遺伝子を含む。
IL-20受容体-Ig融合タンパク質は、野生型ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域に融合されたヒトIL-20RBの細胞外ドメインの2つの鎖および変異したヒト免疫グロブリンγ1定常領域に融合されたヒトIL-20RAタンパク質細胞外ドメインの2つの鎖からなるジスルフィド結合ヘテロ四量体である。ヒト免疫グロブリンγ1定常領域は、FcγRI結合およびC1q補体結合を減少するためのアミノ酸置換を含む。
ヒトIL-20RB細胞外ドメイン免疫グロブリンκ軽鎖定常領域融合構築物を、重複PCRによって生成した。IL-20RBコードセグメントは配列番号:20のアミノ酸1〜230までからなる。IL-20RセグメントのPCR増幅のために用いた鋳型は、以下のような生成されたIL-20RBヒトκ軽鎖定常領域発現構築物であった。オリゴヌクレオチドプライマー配列番号:60および配列番号:61を用いて、IL-20RBセグメントを増幅した。全体の野生型ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域を使用した。野生型ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域セグメントのPCR増幅のために使用した鋳型は、実施例12に記載の生成されたIL-20RBヒトκ軽鎖定常領域発現構築物であった。オリゴヌクレオチドプライマー配列番号:62および配列番号:63を用いて、野生型ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域を増幅した。2つのタンパク質コードドメインを、オリゴヌクレオチド配列番号:60および配列番号:63を用いる重複PCRによって連結した。(Gly4Ser)3(配列番号:64)ペプチドリンカーを、2つのタンパク質ドメイン間に挿入した。この(Gly4Ser)3リンカーは、PCRプライマー配列番号:61および配列番号:62にコードされていた。得られたIL-20RB細胞外ドメイン/κ軽鎖定常領域融合構築物を、配列番号:65および66によって示す。シグナル配列を有さない、推定成熟ポリペプチドは配列番号:67である。実際に使用したIL-20RBの細胞外ドメインの部分は、配列番号:26のアミノ酸配列から構成された。N末端配列決定は推定アミノ酸配列を生じた。
ヒトIL-20RA細胞外ドメインヒト免疫グロブリンγ1重鎖定常領域融合構築物を、各々が別々のPCR増幅反応によって生成された4つの別々のDNA断片を重複することによって生成した。第1の断片は、tPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)シグナル配列を含んだ。tPAシグナル配列を、プライマー配列番号:68および配列番号:69を用いて、以前に施設内で生成した発現ベクターを鋳型として用いて増幅した。第2の断片は、配列番号:14のアミノ酸30〜243からなるIL-20RA細胞外ドメインコード領域を含んだ。オリゴヌクレオチドプライマー配列番号:70および配列番号:71を用いて、以前に生成したIL-20RAを鋳型として用い、このIL-20RAセグメントを増幅した。
ヒトγ1重鎖定常領域を2つのセグメントから生成した。CH1ドメインを含む第1のセグメントを、オリゴヌクレオチドプライマー配列番号:72および配列番号:73を用いて、野生型ヒトγ1重鎖定常領域のクローンを鋳型として用いて増幅した。ヒト免疫グロブリンγ1重鎖定常領域の残りのヒンジ、CH2、およびCH3ドメインを含む第2のセグメントを、オリゴヌクレオチドプライマー配列番号:74および配列番号:75を用いるPCR増幅によって生成した。このPCR増幅のために使用した鋳型は、FcγRI結合およびC1q補体結合を減少するためのアミノ酸置換を含んだ、事前に生成したヒトγ1Fc構築物からであった。
4つのタンパク質コードドメインを、オリゴヌクレオチド配列番号:68および配列番号:75を用いる重複PCRによって連結した。(Gly4Ser)3ペプチドリンカーを、IL-20RAドメインとCH1タンパク質ドメインの間に挿入した。この(Gly4Ser)3ペプチドリンカーは、PCRプライマー配列番号:71および配列番号:72にコードされていた。IL-20RA細胞外ドメイン/ドメインヒト免疫グロブリンγ1重鎖定常領域融合構築物およびDNA配列を、配列番号:76および77において示す。シグナル配列を有さない、推定成熟ポリペプチドは配列番号:78である。実際に使用したIL-20RAの細胞外ドメインの部分は、配列番号:79のアミノ酸配列から構成された。
IL-20RB細胞外ドメインヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域融合コードセグメントを第2のMCSにクローニングし、一方ヒトIL-20RA細胞外ドメインヒト免疫グロブリンγ1重鎖定常融合コードセグメントを、pEZE3の第1のMCSにクローニングした。プラスミドを用いてCHO細胞をトランスフェクトした。細胞を、ヒポキサンチンまたはチミジンを含まない培地中で選択し、メトトレキサートを用いてトランスジーンを増幅した。タンパク質の存在を、抗ヒトγ1重鎖定常領域抗体および抗ヒトκ軽鎖抗体を用いるウェスタンブロッティングによってアッセイした。N末端配列決定は、最適化したtPAリーダーが完全には切断されなかったことを示した。観察されたものは、最初の残基がピログルタミン酸であり、N末端配列ポリペプチドはpyroEEIHAELRRFRRVPCVSGG(配列番号:80)であるようである(下線部はtPAリーダーの残余である)ことを示した。
実施例5
IL-20受容体ヘテロ二量体の構築
分泌されるヒトIL-20RA/hIL-20Bヘテロ二量体を発現するベクターを構築した。この構築物において、ヒトIL-20RAの細胞外ドメインはIgGガンマ1(IgGγ1)の重鎖に融合したのに対し、IL-20RBの細胞外部分はヒトカッパ軽鎖(ヒトκ軽鎖)に融合した。
IgGガンマ1およびヒトκ軽鎖融合ベクターの構築
5'EcoRIおよび3'NheI部位を有する受容体の任意の細胞外部分がクローニングされ、N末端細胞外ドメイン-C末端IgGγ1融合物を生じることができるように、IgGγ1の重鎖をZem229R哺乳動物発現ベクター(ATCC寄託番号69447)にクローニングした。この構築物において使用するIgGγ1断片を、鋳型としてClontech hFetal Liver cDNAライブラリーからIgGγ1配列を単離するためにPCRを用いることにより作製した。オリゴ(配列番号:61)ZC11,450および(配列番号:62)ZC11,443を用いるPCR反応を以下のように実行した:94℃60秒間、53℃60秒間、および72℃120秒間の40サイクル;ならびに72℃7分間。PCR産物をアガロースゲル電気泳動によって分離し、QiaQuick(商標)(Qiagen)ゲル抽出キットを用いて精製した。単離した990bpDNA断片をMluIおよびEcoRI(Boerhinger-Mannheim)で消化し、エタノール沈殿し、MluI/EcoRIリンカーを含むオリゴ(配列番号:63)ZC11,440および(配列番号:68)ZC11,441とともに、本明細書に開示した標準的な分子生物学技術を用いてMluIおよびEcoRIで事前に消化したZem229Rにライゲーションした。この一般的なクローニングベクターを、ベクター#76 hIgGガンマ1 w/ Ch1 #786 Zem229R(ベクター#76)と称した。IgGガンマ1の重鎖に融合したhIL-20RAの細胞外ドメインのポリヌクレオチド配列を配列番号:69に示し、対応するポリペプチド配列を配列番号:70に示し、その成熟配列を配列番号:81に示す。
5'EcoRIおよび3'KpnI部位を有する受容体の任意の細胞外部分がクローニングされ、N末端細胞外ドメイン-C末端ヒトκ軽鎖融合物を生じることができるように、ヒトκ軽鎖をZem228R哺乳動物発現ベクター(ATCC寄託番号69446)にクローニングした。この構築物において使用するヒトκ軽鎖断片を、上記で用いたClontech hFetal Liver cDNAライブラリーからヒトκ軽鎖配列を単離するためにPCRを用いることにより作製した。オリゴ(配列番号:71)ZC11,501および(配列番号:72)ZC11,451を用いるPCR反応を上記の条件下で実行した。PCR産物をアガロースゲル電気泳動によって分離し、QiaQuick(商標)(Qiagen)ゲル抽出キットを用いて精製した。単離した315bpDNA断片をMluIおよびEcoRI(Boerhinger-Mannheim)で消化し、エタノール沈殿し、上記のMluI/EcoRIリンカーとともに、本明細書に開示した標準的な分子生物学技術を用いてMluIおよびEcoRIで事前に消化したZem228Rにライゲーションした。この一般的なクローニングベクターを、ベクター#77 hκlight #774 Zem228R(ベクター#77)と称した。ヒトカッパ軽鎖に融合したIL-20RBの細胞外ドメインのポリヌクレオチド配列を配列番号:73に示し、対応するポリペプチド配列を配列番号:74に示し、その成熟配列を配列番号:82に示す。
融合ベクター構築物へのIL-20RAおよびIL-20RB細胞外ドメインの挿入
上記の構築ベクターを用いて、IgGγ1に融合したヒトIL-20RAを有する構築物を作製した。この構築物を、オリゴ(配列番号:75)ZC12,909および(配列番号:83)ZC26,564を用いて、以下に記載する条件:94℃で60秒間、57℃で60秒間、および72℃で120秒間の30サイクル;72℃で7分間の下で、hIL-20RA/IgGベクター#102からヒトIL-20RA受容体をPCRすることによって作製した。得られたPCR産物を、本明細書に記載するようにEcoRIおよびNheIで消化し、ゲル精製し、事前にEcoRIおよびNheIで消化し、かつバンド精製したベクター#76(上記)に連結した。得られたベクターを配列決定して、ヒトIL-20Rα/IgGガンマ1融合物(hIL-20RA/Ch1 IgG)が正しいことを確認した。hIL-20RA/Ch1 IgGガンマ1 #1825 Zem229Rベクターをベクター#195と称した。
κ軽鎖に融合されたIL-20RBを有する別々の構築物もまた構築した。IL-20RB/ヒトκ軽鎖構築を、オリゴ(配列番号:84)ZC26,602および(配列番号:85)ZC26,599を用いてDR1/7N-4からPCRすること、得られたバンドをEcoRIおよびKpnIで消化すること、次いで事前にEcoRIおよびKpnIで消化し、かつバンド精製したVec#77(上記)によってこの生成物をライゲーションすることによって上記のように実行した。得られたベクターを配列決定して、ヒトIL-20RB/ヒトκ軽鎖融合物(IL-20RB/κlight)が正しいことを確認した。IL-20RB/κlight #1833 Zem228Rベクターをベクター#194と称した。
ヒトIL-20RA受容体およびヒトIL-20RB受容体の同時発現
上記のベクター#194および#195の各々の約16μgを、製造元の説明書に従って、LipofectaminePlus(商標)試薬(Gibco/BRL)を用いてBHK-570細胞(ATCC番号CRL-10314)に同時トランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、1μMのメトトレキサート(MTX)(Sigma、セントルイス、ミズーリ州)および0.5mg/ml G418(Gibco/BRL)を含むDMEM+5% FBS(Gibco/BRL)中で10日間選択した。形質転換体の得られたプールを、10μM MTXおよび0.5mg/ml G418中で10日間、再度選択した。
二重選択した細胞の得られたプールを用いてタンパク質を生成した。3つの工場(Nunc、デンマーク)のこのプールを用いて、8Lの無血清馴化培地を生成した。この馴化培地を、1mlのプロテインAカラムに対して継代し、(10)750マイクロリットル画分中に溶解した。最大濃度を有することが見い出されたこれらの画分の4つをプールし、PBSに対して透析した(10kD MWカットオフ)。最後に、透析した物質をBCA(Pierce)によって分析し、317μg/mlの濃度を有することが見い出された。総計951μgをこの8L精製から得た。
実施例6
IL-20RB/IL-20RAヘテロ二量体へのIL-20の結合
細胞に基づくアッセイを用いて、IL-20RB/IL-20RAヘテロ二量体へのIL-20の結合を確認した。公知のorphanクラスIIサイトカイン受容体(IL-20RAおよびIL-20RBを含む)を含む発現ベクターを、種々の組み合わせでCOS細胞に一過性にトランスフェクトし、次いで、ビオチン標識IL-20タンパク質へのそれらの結合する能力についてアッセイした。結果は、IL-20RB-IL-20RAヘテロ二量体がIL-20についての受容体であることを示す。使用した手順を以下に記載する。
COS細胞トランスフェクションを、以下のように12ウェル組織培養プレート中で実行した:0.5μg DNAを、92μlの無血清ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(500ml DMEM中、55mgピルビン酸ナトリウム、146mg L-グルタミン、5mgトランスフェリン、2.5mgインスリン、1μgセレニウムおよび5mgフェツイン)中に5μlリポフェクタミンを含む培地と混合し、室温で30分間インキュベートし、次いで400μl無血清DMEM培地に加えた。次いで、この500μl混合物を1.5×105COS細胞/ウェルで加え、37℃で5時間インキュベートした。500μl 20%胎仔ウシ血清(FBS)DMEM培地を加え、一晩インキュベートした。
「分泌トラップ」(Davis, S.ら、Cell 87: 1161-1169 (1996))の改変であるアッセイを以下のように実行した:細胞をPBS/1%ウシ血清アルブミン(BSA)ですすぎ、TNB(水中、0.1M Tris-HCl、0.15M NaClおよび0.5%ブロッキング試薬(NEN Renaissance TSA-Directキットカタログ番号NEL701))で1時間ブロックした。これに続いて、TNB中の3μg/mlビオチン化IL-20タンパク質との1時間のインキュベーションを行った。細胞をPBS/1% BSAで洗浄し、さらに1時間、TNB中の1:300希釈ストレプトアビジン-HRP(NENキット)でインキュベートした。もう一度の洗浄後、細胞を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中の1.8%ホルムアルデヒドで15分間固定した。次いで、細胞をTNT(水中、0.1M Tris-HCl、0.15M NaCl、および0.05% Tween-20)で洗浄した。陽性結合シグナルを、希釈緩衝液(NENキット)中で1:50に希釈したフルオロセインチラミド試薬との5分間のインキュベーション後に検出した。細胞をTNTで洗浄し、TNT中で1:5に希釈したVectashield Mounting Media(Vector Labs)とともに保存し、倒立蛍光顕微鏡上のFITCフィルターを用いて可視化した。
実施例7
IL-20RA/RB受容体-Ig融合ヘテロ四量体
発現ベクターpEZE3を用いて、組換えIL-20受容体-Ig融合タンパク質を発現した。プラスミドpEZE3はpDC312に由来する。pDC312は、Immunex Corporationからライセンスを通して入手した。プラスミドpDC312およびpEZE3は、WO 97/25420に記載されるようなEASEを含む。発現ベクター中でのEASEセグメントの存在は、安定な細胞プール中での組換えタンパク質の発現を2〜8倍改善することができる。
プラスミドpEZE3は、哺乳動物細胞、好ましくは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中で3種までの異なるタンパク質を発現するために用いられてもよい3シストロン性発現ベクターである。pEZE3発現ユニットは、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー/プロモーター、アデノウイルス3成分リーダー配列、第1の組換えタンパク質についてのコード領域の挿入のためのマルチプルクローニング部位、2型ポリオウイルス内部リボソームエントリー部位、第2の組換えタンパク質についてのコード領域の挿入のための第2のマルチプルクローニング部位、マウスジヒドロ葉酸還元酵素についてのコード領域、およびSV40転写ターミネーターを含む。さらに、pEZE3は、大腸菌複製起点および細菌βラクタマーゼ遺伝子を含む。
IL-20受容体-Ig融合タンパク質は、野生型ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域に融合されたヒトIL-20RBの細胞外ドメインの2つの鎖および変異したヒト免疫グロブリンγ1定常領域に融合されたヒトIL-20RAタンパク質細胞外ドメインの2つの鎖からなるジスルフィド結合ヘテロ四量体である。ヒト免疫グロブリンγ1定常領域は、FcγRI結合およびC1q補体結合を減少するためのアミノ酸置換を含む。
ヒトIL-20RB細胞外ドメイン免疫グロブリンκ軽鎖定常領域融合構築物を、重複PCRによって生成した。IL-20RBコードセグメントは配列番号:20のアミノ酸1〜230までからなる。IL-20RセグメントのPCR増幅のために用いた鋳型は、本明細書に記載されるような生成されたIL-20RBヒトκ軽鎖定常領域発現構築物であった。オリゴヌクレオチドプライマー配列番号:60および配列番号:61を用いて、IL-20RBセグメントを増幅した。全体の野生型ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域を使用した。野生型ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域セグメントのPCR増幅のために使用した鋳型は、実施例12に記載の生成されたIL-20RBヒトκ軽鎖定常領域発現構築物であった。オリゴヌクレオチドプライマー配列番号:62および配列番号:63を用いて、野生型ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域を増幅した。2つのタンパク質コードドメインを、オリゴヌクレオチド配列番号:60および配列番号:63を用いる重複PCRによって連結した。(Gly4Ser)3(配列番号:64)ペプチドリンカーを、2つのタンパク質ドメイン間に挿入した。この(Gly4Ser)3リンカーは、PCRプライマー配列番号:61および配列番号:62にコードされていた。得られたIL-20RB細胞外ドメイン/κ軽鎖定常領域融合構築物を、配列番号:65および66によって示す。シグナル配列を有さない、推定成熟ポリペプチドは配列番号:67である。実際に使用したIL-20RBの細胞外ドメインの部分は、配列番号:86のアミノ酸配列から構成された。N末端配列決定は推定アミノ酸配列を生じた。
ヒトIL-20RA細胞外ドメインヒト免疫グロブリンγ1重鎖定常領域融合構築物を、各々が別々のPCR増幅反応によって生成された4つの別々のDNA断片を重複することによって生成した。第1の断片は、tPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)シグナル配列を含んだ。tPAシグナル配列を、プライマー配列番号:68および配列番号:69を用いて、以前に施設内で生成した発現ベクターを鋳型として用いて増幅した。第2の断片は、配列番号:14のアミノ酸30〜243からなるIL-20RA細胞外ドメインコード領域を含んだ。オリゴヌクレオチドプライマー配列番号:70および配列番号:71を用いて、以前に生成したIL-20RAを鋳型として用い、このIL-20RAセグメントを増幅した。
ヒトγ1重鎖定常領域を2つのセグメントから生成した。CH1ドメインを含む第1のセグメントを、オリゴヌクレオチドプライマー配列番号:72および配列番号:73を用いて、野生型ヒトγ1重鎖定常領域のクローンを鋳型として用いて増幅した。ヒト免疫グロブリンγ1重鎖定常領域の残りのヒンジ、CH2、およびCH3ドメインを含む第2のセグメントを、オリゴヌクレオチドプライマー配列番号:74および配列番号:75を用いるPCR増幅によって生成した。このPCR増幅のために使用した鋳型は、本明細書に記載されるように、FcγRI結合およびC1q補体結合を減少するためのアミノ酸置換を含んだ、事前に生成したヒトγ1Fc構築物からであった。
4つのタンパク質コードドメインを、オリゴヌクレオチド配列番号:68および配列番号:75を用いる重複PCRによって連結した。(Gly4Ser)3ペプチドリンカーを、IL-20RAドメインとCH1ドメインの間に挿入した。この(Gly4Ser)3ペプチドリンカーは、PCRプライマー配列番号:71および配列番号:72にコードされていた。IL-20RA細胞外ドメイン/ドメインヒト免疫グロブリンγ1重鎖定常領域融合構築物およびDNA配列を、配列番号:76および77において示す。シグナル配列を有さない、推定成熟ポリペプチドは配列番号:78である。実際に使用したIL-20RAの細胞外ドメインの部分は、配列番号:79のアミノ酸配列から構成された。
IL-20RB細胞外ドメインヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域融合コードセグメントを第2のMCSにクローニングし、一方ヒトIL-20RA細胞外ドメインヒト免疫グロブリンγ1重鎖定常融合コードセグメントを、pEZE3の第1のMCSにクローニングした。プラスミドを用いてCHO細胞をトランスフェクトした。細胞を、ヒポキサンチンまたはチミジンを含まない培地中で選択し、メトトレキサートを用いてトランスジーンを増幅した。タンパク質の存在を、抗ヒトγ1重鎖定常領域抗体および抗ヒトκ軽鎖抗体を用いるウェスタンブロッティングによってアッセイした。N末端配列決定は、最適化したtPAリーダーが完全には切断されなかったことを示した。観察されたものは、最初の残基がピログルタミン酸であり、N末端配列ポリペプチドはpyroEEIHAELRRFRRVPCVSGG(配列番号:80)であるようである(下線部はtPAリーダーの残余である)ことを示す。
実施例8
バキュロウイルス発現IL-20RB-TbX-Fc4融合タンパク質の精製およびpDIRS1断片の回収
バキュロウイルス昆虫細胞馴化培地からのIL-20RB-TbX-Fc4ポリペプチドの精製
他に注記されない限り、すべての操作は4℃で行い、すべての液体クロマトグラフィー手順はApplied Biosystems BioCadワークステーション(Framingham、マサチューセッツ州)を通して行った。IL-20RB-TbX-Fc4融合ポリペプチドを、Applied Biosystemsより利用可能である結合体化プロテインAレジンを通して、馴化培地から直接的に捕捉した。遠心分離し、滅菌濾過した馴化培地を、0.02% w/vアジ化ナトリウムに調整し、4℃に冷却し、次いで、製造元の説明書に従って、適切なサイズとしかつPBS(Gibco/BRL)で平衡化したPOROS 50 Aカラムに直接負荷した。次いで、捕捉されたタンパク質を、0.1MグリシンpH 3.0の段階勾配を用いてカラムから溶出させた。収集した画分を、収集チューブに加えた所定量の2M Tris pH 8.0を通してすぐにpHを中性にし、関心対象の画分を、SDS-PAGE(Invitrogen、カールスバッド、カリフォルニア州)銀染色分析(Geno Tech. Inc.、セントルイス、ミズーリ州)を通して決定した。プールした画分を滅菌濾過し、タンパク質濃度を、280nmのUV吸収の読み取りによって見積もった。最終的な物質を、さらなる処理が開始されるまで、-80℃にて保存した。
任意の高分子量凝集物またはより小さなポリペプチド夾雑物を除去するために、サイズ排除クロマトグラフィーを、プロテインA捕捉物質上で実行した。プロテインA捕捉プールを融解し、YM30 30kD MWCO攪拌細胞濃縮メンブレン(Millipore、ベッドフォード、マサチューセッツ州)に対して、わずかの体積まで濃縮し、次いで製造元の説明書に従って、適切なサイズのPharmacia sephacryl 200サイズ排除カラム(ピスカタウェイ、ニュージャージー州)に負荷した。関心対象の画分をSDS-PAGEを通して決定し、プールし、滅菌濾過した。タンパク質濃度を、BCA分析(Pierce、ロックフォード、イリノイ州)を通して決定した。
pDIRS-TbX-Fc4ポリペプチドのトロンビン活性化酵素消化
全長分子のFc4部分からIL-20RBを分離するために、トロンビンを用いて、IL-20RBドメインおよびFc4ドメインの間の操作したトロンビン切断部位リンカーにおける配列特異的切断を促進した。さらに、Fc4からのIL-20RBの精製を提供するためのトロンビン活性化切断の前に、全長ポリペプチドをプロテインAレジン上に固定化した。既知量の精製全長ポリペプチドを、適切なスラリー量のPBS pH 7.2で洗浄しかつ平衡化したPOROS 50 Aレジンに加え、適切な混合を伴って、一晩バッチ吸収させた。バッチ吸収バイアルを室温まで温め、次いで、適切な量(1:100 w/w、酵素対標的)のrhトロンビン(rhthrombin)(ZymoGenetics, Inc)を反応に加えた。酵素的プロセスを10分間の所定の時間、室温にて攪拌しながら継続し、次いで、スラリーをガラス重力カラム(Bio-Rad、ハーキュリーズ、カリフォルニア州)に収集した。
トロンビンで遊離されたIL-20RBポリペプチドフラグメントの精製
トロンビンからIL-20RBを分離するために、ABAレジンを用いて、溶液からトロンビンを選択的に結合した。酵素反応後スラリーからの溶離液および3回のカラム容量洗浄を氷上に収集し、次いで0.5M NaClおよび20mM tris pH 8.0に平衡化した。適切なサイズのTosohass TSK-GEL ABA-5PWガードゲル重力カラム(モントゴメリービル、ペンシルベニア州)を、製造元の仕様書に従って、洗浄し、0.5M NaClおよび20mM tris pH 8.0に平衡化した。緩衝液調整した酵素後画分の適用を、ABAカラム上でゆっくりと行い、カラムの溶離液および洗浄液もまた、氷上で収集した。
任意の高分子量凝集物またはより小さなポリペプチド夾雑物からのIL-20RBの最終的な分離を提供するために、サイズ排除クロマトグラフィーを実行した。この方法はまた、選択した処方緩衝液への緩衝液の交換を提供した。収集した画分をプールし、次いで、わずかな体積まで、Millipore 5kD MWCO遠心濃縮器に対して濃縮した。次いで、濃縮物を、PBS pH 7.2で平衡化したPharmacia superdex 75サイズ排除カラムに適用した。関心対象の画分を、SDS-PAGE分析を通して決定し、プールし、滅菌濾過し、バイアルに入れ、適切な確立された条件で保存した。
IL-20RBの特徴付け
最終生成物を以下の方法によって特徴付けした:SDS-PAGE分析(クーマシー染色およびウェスタン分析を含む)、BCA、AAA、およびN末端配列決定。SDS PAGE分析は、約25kDポリペプチドのゲル移動度を有する二重バンドを示した。AAAとN末端配列決定の両方は、高純度の試料および単一のN末端の証拠を提供した。
実施例9
IL-20による炎症性サイトカインのアップレギュレーション
細胞処理
ヒトケラチノサイト細胞株HaCaTを、T-75組織培養フラスコにおいてコンフルエンス後37℃で数日間増殖させた。この時点で正常増殖培地(DMEM+10%FBS)を除去して無血清培地に交換した。次に、細胞を37℃で2日間インキュベートした。次に、DMEMを除去して処置あたり4本のフラスコを以下の条件のそれぞれの一つによって37℃で処置した:5 ng/ml組換え型ヒト(rh)IL-1α、20 ng/ml rhIL-1α、5 ng/ml rhIL-1α+1 μg/ml IL-20、1 μg/ml IL-20、または10 ng/ml rhIL-10。
RNA単離
サイトカイン処置後、培地を除去して、グアニジニウムチオシアネート溶液を用いて細胞を溶解した。塩化セシウム勾配において一晩遠心することによって、細胞溶解物から全RNAを単離した。翌日、RNA沈降物をTE/SDS溶液に浮遊させて、エタノール沈殿させた。次に、分光光度計を用いてRNAを定量した後、ClontechのAtlas(商標)cDNA発現アレイユーザーマニュアル(バージョンPT3140-1/PR9X390、1999年11月5日公表)のV.B.の章に従ってDNase処置を行った。RNA試料の品質は、分光光度計の測定値に基づく純度の計算によって、およびアガロースゲル上での可視化により確認した。RNA試料のゲノムの混入は、β-アクチン遺伝子のPCR分析によって除外した。
プローブ合成
ポリA+濃縮、プローブ合成およびAtlas(商標)アレイとのハイブリダイゼーションに関してはClontechのプロトコールに従った(上記の他に99年6月22日に公表されたAtlas(商標)純粋全RNA標識システムユーザーマニュアル、PT3231-1/PR96157を参照されたい)。簡単に説明すると、ストレプトアビジンコーティング磁気ビーズ(Clontech、パロアルト、カリフォルニア州)および磁気粒子分離器を用いて、ポリA+RNAを全RNA 50 mgから単離した。次に、ポリA+RNAをRT-PCRによってα32P-dATPによって標識した。Atlas(商標)ヒトサイトカイン/受容体アレイ(カタログ番号#7744-1)において268遺伝子に対して特異的なClontechのCDSプライマーを反応において用いた。標識したプローブを、カラムクロマトグラフィーを用いて単離して、シンチレーション液において計数した。
アレイメンブレンハイブリダイゼーション
Atlas(商標)アレイをClontech ExpressHybプラス100 mg/ml熱変性サケ精子DNAと、絶えず攪拌しながら68℃で少なくとも30分間予めハイブリダイズした。次に、メンブレンを1.9×106 CPM/ml(全体で1.14×107 CPM)と絶えず攪拌しながら68℃で一晩ハイブリダイズさせた。翌日、メンブレンを2×SSC、1%SDSにおいて68℃で30分間を4回、プラス0.1×SSC、0.5%SDSにおいて68℃で30分間を1回の後、最後に室温で2×SSCにおいて5分間洗浄した。アレイメンブレンをコダックプラスチック袋に入れて密封し、室温でホスホイメージャースクリーンに一晩露出した。翌日ホスホスクリーンをホスホイメージャーによって走査してClontechのAtlasImage(商標)1.0ソフトウェアを用いて分析した。
IL-20によってアップレギュレートされる遺伝子
1.腫瘍壊死因子(TNF)はIL-20によって1.9〜2.4倍アップレギュレートされた。
2.胎盤増殖因子1&2(PLGF)はIL-20によって1.9〜2.0倍アップレギュレートされた。
3.凝固因子II受容体は、IL-20によって2.0〜2.5倍アップレギュレートされた。
4.カルシトニン受容体は、IL-20によって2.2〜2.3倍アップレギュレートされた。
5.TNF誘導型ヒアルロネート結合タンパク質TSG-6は、IL-20によって2.1〜2.2倍アップレギュレートされた。
6.血管内皮増殖因子(VEGF)受容体-1前駆体、チロシン-タンパク質キナーゼ受容体(FLT-1)(SFLT)は、IL-20によって2.1〜2.7倍アップレギュレートされた。
7.MRP-8(マクロファージにおけるカルシウム結合タンパク質、MIF関連)は、IL-20によって2.9〜4.1倍アップレギュレートされた。
8.MRP-14(マクロファージにおけるカルシウム結合タンパク質、MIF関連)は、IL-20によって3.0〜3.8倍アップレギュレートされた。
9.リラキシンH2は、IL-20によって3.14倍アップレギュレートされた。
10.トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)受容体III 300 kDaは、IL-20によって2.4〜3.6倍アップレギュレートされた。
IL-20+IL-1処置によって相乗作用を示す遺伝子
1.骨形態形成タンパク質2aは、IL-20処置単独によって1.8倍、IL-1処置単独によって2.5倍、およびIL-20とIL-1の併用処置によって8.2倍アップレギュレートされた。
2.MRP-8は、IL-20処置単独によって2.9倍、IL-1処置単独によって10.7倍、およびIL-20とIL-1の併用処置によって18.0倍アップレギュレートされた。
3.赤血球分化タンパク質(EDF)は、IL-20処置単独によって1.9倍、IL-1処置単独によって9.7倍、およびIL-20とIL-1の併用処置によって19.0倍アップレギュレートされた。
4.MRP-14(マクロファージにおけるカルシウム結合タンパク質、MIF関連)は、IL-20処置単独によって3.0倍、IL-1処置単独によって12.2倍、およびIL-20とIL-1の併用処置によって20.3倍アップレギュレートされた。
5.ヘパリン結合EGF様増殖因子は、IL-20処置単独によって2.0倍、IL-1処置単独によって14倍、およびIL-20とIL-1の併用処置によって25.0倍アップレギュレートされた。
6.β-トロンボグロブリン様タンパク質は、IL-20処置単独によって1.5倍、IL-1処置単独によって15倍、およびIL-20とIL-1の併用処置によって27倍アップレギュレートされた。
7.脳由来神経栄養因子(BDNF)は、IL-20処置単独によって1.7倍、IL-1処置単独によって25倍、およびIL-20とIL-1の併用処置によって48倍アップレギュレートされた。
8.単球化学走性および活性化因子MCAFは、IL-20処置単独によって1.3倍、IL-1処置単独によって32倍、およびIL-20とIL-1の併用処置によって56倍アップレギュレートされた。
実施例10
IL-20のその受容体に対する特異性および親和性
IL-20のその受容体に対する特異性および親和性を、IL-20RA、IL-20RBまたは両方のサブユニットで安定にトランスフェクトされたBHK細胞を用いて決定した。放射標識したリガンドを用いる結合アッセイは、IL-20が、IL-20RAとIL-20RBの両方を発現するBHK形質転換体に結合するが、形質転換されていない細胞にも、いずれかの受容体サブユニット単独を発現する形質転換体にも結合しないことを実証した。125I標識IL-20の結合は、100倍過剰の標識されていないIL-20の存在下で除外されたが、100倍過剰の無関係なサイトカイン、IL-21では除外されなかった。IL-20RA/IL-20RBヘテロ二量体性受容体へのIL-20の結合親和性(KD)は、約1.5nMと決定された。
実施例11
IL-20受容体活性化
IL-20結合が受容体活性化をもたらすか否かを決定するために、因子依存性前B細胞株BaF3を、IL-20RAおよびIL-20RBと共に同時トランスフェクトし、様々な濃度でIL-20で処理した。IL-20は用量依存性の様式で増殖を刺激し、1.1pMで検出可能なシグナルを与え、3.4pMの最大半量応答(half maximal response)を有した。本発明者らは、BaF3細胞中の最大半量増殖応答についてのIL-20濃度が、BHK細胞における最大半量親和性よりも1000倍低いことに注目する。この大きな違いについての可能性のある説明には、異なる細胞株、異なる受容体発現レベル、および異なるアッセイ出力の使用が挙げられる。IL-20はまた、生物学的に関連するヒトケラチノサイト細胞株HaCaTにおけるシグナル伝達を刺激し、これは、天然にIL-20RAおよびIL-20RBを発現する。それゆえに、IL-20は、サイトカインについて予測される濃度で、ヘテロ二量体性IL-20RA/IL-20RB受容体を結合しかつ活性化する。一方陰性対照はトランスフェクトされていないBaF3を含んだ。
実施例12
IL-20RAおよびIL-20RBの発現分析
RT-PCR分析を、様々なヒト組織上で、IL-20RAおよびIL-20RBの発現パターンを決定するために実行した。両方の受容体サブユニットは、皮膚および精巣において最も高く発現される。顕著な結果は、IL-20RAおよびIL-20RBが両方とも皮膚において発現され、ここでこれらはIL-20誘導性応答を媒介することが示されていることである。IL-20RAとIL-20RBは両方とも、単球、肺、卵巣、筋肉、精巣、副腎、心臓、唾液腺、および胎盤において発現される。IL-20RAはまた、脳、腎臓、肝臓、結腸、小腸、胃、甲状腺、膵臓、子宮、および前立腺で発現されるが、IL-20RBは発現されない。
実施例13
IL-20はヒト乾癬皮膚試料中でアップレギュレートされる
RNA試料
正常皮膚試料ならびに乾癬患者からの皮膚を入手した。後者は、乾癬の罹患皮膚と、隣接する非罹患皮膚とを含んだ。RNAを、従来的な方法を用いて皮膚試料から単離した。RNA試料の完全性および質を、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies、ウォルドブロン、ドイツ)上で試験した。
定量的RT-PCRのためのプライマーおよびプローブ
ABI PRISM 7700配列検出システム(PE Applied Biosystems, Inc.、フォスターシティー、カリフォルニア州)を用いるリアルタイム定量的RT-PCRは、以前に記載されている(Heid, C.A.ら、Genome Research 6:986-994, 1996; Gibson, U.E.M.ら、Genome Research 6: 995-1001, 1996; Sundaresan, S.ら、Endocrinology 139:4756-4764, 1998)。この方法は、レポーターとクエンチャーの両方の蛍光色素を含む遺伝子特異的プローブの使用を組み込む。プローブがインタクトである場合、レポーター色素発光は、クエンチャー色素の密接な近接性に起因して無効にされる。さらなる遺伝子特異的なフォワードおよびリバースプライマーを用いるPCR伸長の間に、プローブは、rTth DNAポリメラーゼの5'から3'のヌクレオチド分解活性によって切断され、これは、蛍光発光の増加を生じるプローブからレポーター色素を放出する。
IL-20発現のリアルタイム定量的RT-PCR分析のために使用されるプライマーおよびプローブを、プライマー設計ソフトウェアPrimer Express(商標)(PE Applied Biosystems、フォスターシティー、カリフォルニア州)を用いて設計した。フォワードプライマー、ZC40541(配列番号:87)およびリバースプライマー、ZC 40542(配列番号:88)を、71bp断片を合成するために、800nMで、PCR反応(下記)において用いた。対応するIL-20 TaqMan(登録商標)プローブ、ZC 40544(配列番号:89)を合成し、PE Applied Biosystemsによって標識した。IL-20プローブを、5'末端にてレポーター蛍光色素(6-カルボキシ-フルオレセイン)(FAM)(PE Applied Biosystems)を用いて、および3'末端にてクエンチャー蛍光色素(6-カルボキシ-テトラメチル-ローダミン)(TAMRA)(PE Applied Biosystems)を用いて標識した。
リアルタイム定量的RT-PCR
IL-20 mRNAの相対的レベルを、TaqMan EZ RT-PCRコア試薬キット(PE Applied Biosystems)を用いて全RNA試料を分析することによって決定した。ランオフ(runoff)IL-20転写物を作製し、定量のために使用する標準曲線を生成した。この曲線は、3連で分析した各標準曲線の点を有する、IL-20についての全体のメッセンジャーの1e8〜1e3総コピーの範囲にわたる10倍段階希釈からなった。皮膚からの全RNA試料はまた、内部標準として、ヒトIL-20転写レベルについて、およびhGUSのレベルについて3連で分析した。25μlの全容量において、各RNA試料をTaqMan EZ RT-PCR反応(PE Applied Biosystems)に供した。これは以下を含んだ:DEPC処理水中の約25ngの全RNA(DNase/RNaseなし);適切なプライマー(約800nM ZC40541)(配列番号:87)およびZC40542(配列番号:88);適切なプローブ(約100nM ZC40544(配列番号:89));1×TaqMan EZ緩衝液;3mM 酢酸マンガン;300μM 各d-CTP、d-ATP、およびd-GTPならびに600μMのd-UTP;rTth DNAポリメラーゼ(0.1U/μl);ならびにAmpErase UNG(0.01U/μl)。PCR熱サイクリング条件は以下の通りであった:1サイクルの50℃2分間の最初のUNG処理工程;続いて1サイクルの60℃30分間の逆転写(RT)工程;続いて1サイクルの95℃5分間のUNGの不活性化工程;続いて40サイクルの94℃20秒間および60℃1分間の増幅。
相対的なIL-20RNAレベルを、製造元PE Biosystemsによって記載されるような標準曲線法(User Bulletin #2:ABI Prism 7700配列検出システム、遺伝子発現の相対的定量(Relative Quantitation of Gene Expression)、1997年12月11日)を用いることによって決定した。hGUS測定を用いて、IL-20レベルを規準化した。データを以下の表4に示す。
IL-20 mRNAは、正常患者または関与がない領域からの皮膚試料において検出可能であった。対照的に、乾癬患者からの関与がある皮膚において、IL-20メッセンジャーのアップレギュレーションが存在した。IL-20RAおよびIL-20RBは、ヒトの正常皮膚および疾患を有する皮膚において発現される。これらのデータは、ヒトの乾癬に対する、IL-20の強力な疾患との関連を支持する。
IL-20の過剰発現がヒト乾癬病巣において示され、このことは、IL-20がヒト乾癬に関与することを示唆した。その上、本明細書に記載されるように、トランスジェニックマウスにおけるIL-20の過剰発現は、乾癬表現型を示す、上皮の肥厚および免疫細胞の介入を示した。このようなインビボデータは、IL-20が乾癬に関与することをさらに示唆する。このようなものとして、本発明の抗ヒトIL-20モノクローナル抗体、抗ヒトIL-20RAモノクローナル抗体、および抗ヒトIL-20RBモノクローナル抗体などのIL-20活性に対するアンタゴニスト、ならびに可溶性受容体およびそれに対する抗体は、乾癬ならびに本明細書に開示される他の徴候のような炎症性疾患の治療において、IL-20に対するアンタゴニストとして治療的に有用である。
実施例14
IL-20RAおよびIL-20RBのmRNAは乾癬においてアップレギュレートされる
インサイチューハイブリダイゼーションを用いて、IL-20受容体発現が乾癬において変化するか否かを決定した。4名の乾癬患者および3名の罹患していない患者からの皮膚試料を、2つの受容体サブユニットmRNAについて特異的なプローブを用いてアッセイした。4つすべての乾癬皮膚試料は、ケラチノサイトにおいて高レベルのIL-20RAおよびIL-20RBのmRNAを有したのに対して、正常皮膚試料はいずれの受容体サブユニットmRNAの検出可能なレベルも有さなかった。乾癬皮膚中の陽性シグナルをまた、単球免疫細胞および血管のサブセット中の内皮細胞において観察した。それゆえに、IL-20RAとIL-20RBの両方は、乾癬において相互作用すると考えられている主要な細胞型である、ケラチノサイト、免疫細胞、および内皮細胞において発現される。
実施例15
IL-20結合はHaCaTケラチノサイト細胞株においてSTAT3を活性化する
IL-20は、その受容体の両方のサブユニット(すなわち、IL-20RAおよびIL-20RB)でトランスフェクトされた細胞株に結合する。しかし、これらの細胞株は、その正常レベルと比較して、IL-20受容体を過剰発現し、そしてIL-20の生理学的役割に対するそれらの関連は明確ではない。IL-20RAおよびIL-20RBを発現するヒトHaCaTケラチノサイト細胞株を用いて、生物学的に関連する細胞型におけるIL-20シグナル伝達を試験した。HaCaT細胞は、レポーター構築物を含む組換えアデノウイルスで感染させて、細胞内シグナル伝達の検出を可能にした。この構築物は、血清応答エレメント(SRE)およびシグナルトランスデューサーおよび導入エレメントのアクチベーター(STAT)から構成されるプロモーター/エンハンサー配列によって駆動されるホタルルシフェラーゼ遺伝子からなる。このアッセイ系は、生産的なリガンド-受容体相互作用を検出し、受容体活性化に関与する可能性のある下流のシグナル伝達成分を示す。IL-20単独での処理は、約2.3nMで起こる最大半量応答を有する、ルシフェラーゼ活性の用量依存性の増加を生じた。SREエレメントのみまたはSTATエレメントのみを含むアデノウイルスベクターを用いる引き続くルシフェラーゼレポーターアッセイは、STATを通してのみの検出可能なレポーター活性化を生じた。
他のサイトカインがIL-20と協調して作用するか否かを決定するために、HaCaT細胞を、IL-20単独で、またはEGF、IL-1β、またはTNFαの単独の最大下用量と組み合わせて処理した。これらの3種のタンパク質の各々の存在下で、IL-20処理は、ルシフェラーゼ活性の用量依存的な増加を生じた。IL-1βと組み合わせたIL-20は、IL-20単独よりも約5倍低い、約0.5nMの最大半量応答を生じる。さらに、レポーター遺伝子の活性化は、0.1nM IL-20で検出可能であり、これは、単独で必要とされるIL-20用量よりも少なくとも10倍低い用量である。
IL-20RA、IL-20RB、または両方の受容体サブユニットでトランスフェクトしたBHK細胞を用いて、受容体対合がSTAT-ルシフェラーゼのIL-20刺激のために必要とされるか否かを決定した。結合アッセイを用いる場合と同様に、両方の受容体サブユニットでトランスフェクトした細胞のみがIL-20に応答し、5.7pMの最大半量応答でそのように応答した。本発明者らは、BHK細胞における最大半量応答のIL-20濃度がHaCaT細胞における最大半量応答よりも400倍低いこと注目する。より低い濃度のIL-20が、BHK IL-20受容体形質転換体におけるより高い受容体レベルに起因して、HaCaT細胞と比較した場合、BHK細胞における最大半量応答のために必要である可能性が高い。
核移行アッセイを用いて、IL-20作用に関与するSTATタンパク質を同定した。内因性IL-20受容体を有するHaCaT細胞、ならびにIL-20RAおよびIL-20RBでトランスフェクトしたBHK細胞の両方をIL-20タンパク質で処理し、細胞質から核までのSTAT3およびSTAT1転写因子の移行を、免疫蛍光によってアッセイした。
刺激していないHaCaT細胞において、STAT3染色は細胞質ゾルにおいて優勢であった。IL-20でのHaCaT細胞の処理は、核におけるSTAT3の識別可能な蓄積を生じた。増加濃度のIL-20に応答したSTAT3の核移行は、7nMのIL-20最大半量濃度で起こった。STAT3移行と対照的に、IL-20で処理したHaCaT細胞は、いかなる検出可能なSTAT1の核蓄積も示さなかった。
IL-20RAおよびIL-20RBでトランスフェクトしたBHK細胞を用いて、IL-20受容体がSTAT3核移行のIL-20刺激のために必要であることを確認した。IL-20受容体を欠くBHK細胞において、STAT3は、IL-20での処理後に細胞質に残存した。対照的に、IL-20受容体でトランスフェクトしたBHK細胞において、STAT3は、IL-20に応答して核に移行した。やはり、STAT1は、IL-20処理またはIL-20受容体発現に関わらず、細胞質に残存した。このように、IL-20受容体は、IL-20媒介性STAT3活性化のために必要である。
実施例16
IL-20トランスジェニック表現型
ヒトおよびマウスIL-20はいずれも、多様なプロモーターを用いてトランスジェニックマウスにおいて過剰発現された。最初にタンパク質の循環中のレベルを得る試みで、ヒトIL-20の発現を指示する肝臓特異的マウスアルブミンプロモーターを用いた。その後の研究は、主に表皮および他の層状扁平上皮に対する発現を標的とするケラチン14(K14)プロモーター;広い発現パターンを生じるマウスメタロチオネイン-1プロモーター;および類リンパ系列の細胞における発現を促進するEμLCKプロモーターを用いて行った。おそらくこれらのプロモーターは全て循環中IL-20レベルを増加させることから、類似の結果が四つ全ての場合において得られた。
全ての場合において、IL-20トランスジーンを発現するトランスジェニック仔マウスは、非トランスジェニック同腹子より小さく、光る外観を伴う硬くしわのある皮膚を有し、生後最初の数日間のあいだに死亡した。仔の胃の中には乳汁があり、仔が哺乳できることを示している。これらのマウスは、腫脹した四肢、尾、鼻孔、および口領域を有し、動作が困難であった。さらに、マウスは弱く、目に見える脂肪組織がなく、耳および足指の発達が遅れていた。肝臓における低い発現レベル(mRNA分子100個未満/細胞)は、新生児死亡率および皮膚の異常の双方にとって十分であった。目に見える表現型を有しないトランスジェニックマウスは、トランスジーンを発現していないか、または検出可能なレベルで発現していないか、またはモザイクであった。
IL-20トランスジェニックマウスの皮膚の組織学分析は、非トランスジェニック同腹子と比較して肥厚した表皮、過角化症、および密な角質層を示した。漿膜細胞カ皮(カ皮)が時に認められた。トランスジェニックマウスの皮膚の電子顕微鏡(EM)分析から、ヒト乾癬皮膚およびマウス皮膚疾患モデルにおいて認められる知見と類似の、ミトコンドリア内リポイド封入体、まだら状のケラトヒアリン顆粒、および比較的少数の張フィラメントが示された。さらに、トランスジェニックマウスの多くがアポトーシス胸腺リンパ球を示した。その他の異常は組織病理学分析において検出されなかった。これらの組織学およびEMの結果は、認められた肉眼的な皮膚の変化を支持し拡大する。
実施例17
抗ヒトIL-20ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、ペプチド、ヒトIL-20X1-2(cgeeamkkyeqilshfeklepqaavvkalgeldillqw)(配列番号:90)またはBHK細胞によって産生される精製成熟組換え型ヒトポリペプチド(配列番号:3)(ヒトIL-20-BHK)によって雌性ニュージーランドホワイトウサギ2羽を免疫することによって調製した。ペプチドは、製造元の説明書に従って、Applied Biosystemsモデル431Aペプチドシンセサイザー(Applied Biosystems, Inc.、フォスターシティー、カリフォルニア州)を用いて合成した。次いで、合成ペプチドヒトIL-20X1-2を、末端システイン残基を通して、キャリアタンパク質マレイミド活性化キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合体化した(Pierce、ロックフォード、イリノイ州)。ウサギにそれぞれ、最初に、フロイントの完全アジュバント中の結合体化合成ペプチドヒトIL-20X1-2または精製成熟組換えポリペプチドヒトIL-20-BHK 200 μgを腹腔内(ip)注射した後、3週間毎にフロイントの不完全アジュバント中の結合体化ペプチドまたは成熟ポリペプチド 100 μgの腹腔内注射によって追加免疫した。2回目の追加免疫注射(全体で3回の注射)の投与後7〜10日目に、動物から採血して血清を収集した。次いで動物を追加免疫して、3週間毎に採血した。
ヒトIL-20X1-2ペプチド特異的およびヒトIL-20-BHKポリペプチド特異的ウサギ血清を、特異的抗体標的として、1μg/mlのペプチドヒトIL-20X1-2または500ng/mlのポリペプチドヒトIL-20-BHKを用いて、ELISAによって特徴付けした。4つのウサギ血清試料は、1:5E6(1:5,000,000)の希釈で、それらの特異的抗体標的への力価を有した。
ヒトIL-20X1-2ペプチド特異的ポリクローナル抗体は、EPOXY-SEPHAROSE 6Bのグラムあたり10mgの合成ペプチドヒトIL-20X1-2を用いて調製した、EPOXY-SEPHAROSE 6Bペプチドカラム(Pharmacia LKB)を用いて、適切にプールした免疫ウサギ血清からアフィニティー精製した。ヒトIL-20ポリペプチド特異的ポリクローナル抗体は、大腸菌中で産生した精製成熟組換えヒトタンパク質ヒトIL-20-E.coliを、CNBr-SEPHAROSEのグラムあたり10mgを用いて調製した、CNBr-SEPHAROSE 4Bタンパク質カラム(Pharmacia LKB)を用いて、適切にプールした免疫ウサギ血清からアフィニティー精製した。精製後、得られたポリクローナル抗体を、少なくとも8時間の間にわたって、抗体の20倍容量のPBSで4回の交換で透析した。
ヒトIL-20X1-2ペプチド特異的ポリクローナル抗体およびヒトIL-20ポリペプチド特異的ポリクローナル抗体を、抗体標的として、1μg/mlの合成ペプチドヒトIL-20X1-2または500ng/mlの精製組換えポリペプチド、ヒトIL-20-BHK、ヒトIL-20-Bv、またはヒトIL-20-E.coliを用いて、ELISAによって特徴付けした。ヒトIL-20X1-2ペプチド特異的ポリクローナル抗体は、その特異的抗原ヒトIL-20X1-2およびポリペプチドヒトIL-20-BHKに対して、それぞれ100pg/mlおよび500pg/mlのより低い検出限界(LLD)を示した。ヒトIL-20ポリペプチド特異的ポリクローナル抗体は、抗原標的、ヒトIL-20-BHK、ヒトIL-20-Bv、およびヒトIL-20-E.coliに対して、100pg/mlのLLDを示した。
ヒトIL-20ポリペプチド特異的アフィニティー精製ポリクローナル抗体を、BaF3/IL-20RA/IL-20RB細胞に対する精製組換えヒトIL-20の細胞増殖活性の遮断能に関してさらに特徴を調べた(「中和アッセイ」)。ヒトIL-20ポリペプチド特異的ポリクローナル抗体の100倍モル過剰量は、細胞の増殖を阻害するために十分であった。
ヒトIL-20ポリペプチド特異的アフィニティー精製ポリクローナル抗体を、マウスまたはヒトの血清試料中での組換え成熟ポリペプチド、ヒトIL-20-BHK、ヒトIL-20-Bv、またはヒトIL-20-E.coliの定量的測定のために、ELISAにおけるそれらの有用性について特徴を調べた。得られたELISAは、3つすべての型の成熟ポリペプチドヒトIL-20について、100%正常マウス血清中で1ng/ml、および100%ヒト血清中で5ng/mlのより低い検出限界を示した。
実施例18
KZ134プラスミドならびにIL-20RAおよびIL-20RBサブユニットを発現するBaF3細胞の構築
KZ134プラスミドを発現するBaF3細胞を下記のように構築し、これをBaF3/KZ134と称した。これらの細胞を対照として使用し、下記のように全長IL-20RB(配列番号:20)でさらにトランスフェクトした。IL-20RBを発現するBaF3/KZ134細胞を、BaF3/KZ134/IL-20RBと称した。これらの細胞を対照として使用して、下記のように全長IL-20RA(配列番号:13)でさらにトランスフェクトした。IL-20RAを発現するBaF3/KZ134/IL-20RB細胞を、BaF3/KZ134/IL-20RA/IL-20RBと称した。
KZ134プラスミドを発現するBaF3細胞の構築
マウス骨髄から誘導されたインターロイキン-3(IL-3)依存性前リンパ様細胞株であるBaF3(PalaciosおよびSteinmetz、Cell 41: 727-734, 1985;Mathey-Prevotら、Mol. Cell Biol. 6: 4133-4135, 1986)を、完全培地(10%熱不活化胎仔ウシ血清、1ng/mlマウスIL-3(mIL-3)(R & D、ミネアポリス、ミネソタ州)、2mM L-グルタミン(Gibco BRL)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL)、およびPSN抗生物質(Gibco BRL)を補充したRPMI 1640培地(JRH Bioscience Inc.、レネキサ、カンザス州))中で維持した。KZ134プラスミドを、4つの遺伝子からのSTAT転写因子結合エレメントを含む、相補的オリゴヌクレオチドZC12,749(gtaccttcccgtaaatccctccccttcccggaattacacccgcgtatttcccagaaaaggaactgtagatttctaggaattcaatccttggccacgcgtc)およびZC12,748(tcgagacgcgtggccaaggattgaattcctagaaatctacagttccttttctgggaaatacgcgggtgta attccgggaaggggagggatttacgggaag)を用いて構築する。改変c-fos Sis誘導性エレメント(m67SIEまたはhSIE)(Sadowski,H.ら、Science 261: 1739-1744, 1993)、p21 SIE1型p21 WAF1遺伝子(Chin, Y.ら、Science 272: 719-722, 1996)、β-カゼイン遺伝子の乳腺応答エレメント(Schmitt-Ney, M.ら、Mol. Cell. Biol. 11:3745-3755, 1991)、およびFcg RI遺伝子のSTAT誘導性エレメント(Seidel, H.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. 92:3041-3045, 1995)。これらのオリゴヌクレオチドは、Asp718-XhoI適合性末端を含み、標準的な方法を用いて、同じ酵素で消化され、かつネオマイシン選択マーカーを含むc-fosプロモーター(Poulsen, L.K.ら、J. Biol. Chem. 273:6229-6232, 1998)と共に、レシピエントホタルルシフェラーゼレポーターベクターにライゲーションされる。BaF3/KZ134細胞株を作製するために、500μg/mlネオマイシンと共に標準的なトランスフェクション方法および選択方法(下記)を用いて、KZ134プラスミドを用いてBaF3細胞を安定にトランスフェクトする。
IL-20RBを発現するBaF3/KZ134細胞の構築
IL-20RBの全長cDNA配列(配列番号:20)をcDNAライブラリーから単離し、次いで発現ベクターpZP7Pにクローニングした。電気穿孔の前に、IL-20RB/pZP7Pを、製造元の説明書に従って、Qiagen Maxi Prepキット(Qiagen)を用いて調製および精製した。電気穿孔のために、BaF3/KZ134細胞を無血清RPMI培地中で1回洗浄し、次いで無血清RPMI中に、107細胞/mlの細胞密度で再懸濁した。1mlの再懸濁したBaF3/KZ134細胞を、30μgのIL-20RB/pZP7PプラスミドDNAと混合し、別個の使い捨て電気穿孔チャンバー(GIBCO BRL)に移した。室温で15分間のインキュベーション後、細胞に、電気穿孔装置(CELL-PORATOR(商標);GIBCO BRL)によって与えられる2連続ショック(800 1Fad/300 V.;1180 1Fad/300 V.)を与えた。5分間回復させた後、電気穿孔した細胞を完全培地50 mlに移してインキュベーター(37℃、5%CO2)に15〜24時間入れた。細胞を遠心沈降させて、T-162フラスコに500μg/mlネオマイシンおよび2 μg/mlピューロマイシンを含む完全培地50 mlに再浮遊させて、ピューロマイシン抵抗性のプールを単離した。以降BaF3/KZ134/IL-20RB細胞と呼ぶトランスフェクトしたBaF3/KZ134細胞のプールを、下記のようにシグナル伝達能に関してアッセイした。その上、これらの細胞に、下記のようにIL-20RAをさらにトランスフェクトした。BaF3/KZ134/IL-20RAもまた、上記と同様に作製した。
IL-20RAを発現するBaF3/KZ134/IL-20RB細胞の構築
全長IL-20RA(配列番号:14)を発現するBaF3/KZ134/IL-20RB細胞を、上記に従って、30μgのIL-20RA/pZP7Z発現ベクターを用いて構築した。回収後、形質転換体を、500μg/mlネオマイシン、2μg/mlピューロマイシン、および200μg/mlゼオシンを用いて選択して、ゼオシン耐性プールを単離した。形質転換したBaF3/KZ134/IL-20RBのプールを、標準的な技術を用いて希釈しプレートした。個々のクローンを、U.S.S.N. 09/745,792、実施例13(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されるルシフェラーゼアッセイによって、インデューサーとして精製組換えヒトIL-20x1-Bvを用いてスクリーニングした。最大ルシフェラーゼ応答(STATルシフェラーゼを介して)および最低のバックグラウンドを有するクローンを選択した。以降このトランスフェクト細胞株をBaF3/KZ134/IL-20RA/IL-20RBと呼ぶ。
同様に、BHK細胞株もまた、本明細書に記載の方法を用いて構築し、上記のルシフェラーゼアッセイにおいて用いることができる。この細胞株を、BHK/KZ134/IL-20RA/IL-20RBと呼ぶ。
実施例19
BaF3/KZ134/IL-20RA/IL-20RB増殖アッセイを用いるIL-20活性についてのスクリーニング
精製組換えヒトIL-20x1-Bvを用いて、下記のような増殖活性の存在について試験した。BaF3/KZ134/IL-20RA/IL-20RB細胞を遠心沈降させて、10%熱不活化ウシ胎仔血清、2mM L-グルタミン(Gibco BRL)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL)、およびPSN抗生物質(Gibco BRL)が添加されているが、mIL-3、ネオマイシン、ピューロマイシン、およびゼオシン選択を含まないBaF3アッセイ培地(RPMI 1640培地(JRH Bioscience Inc.、レネキサ、カンザス州)(以降、BaF3アッセイ培地と呼ぶ)で洗浄した。細胞を遠心沈降させて、BaF3アッセイ培地中で3回洗浄し、mIL-3を確実に除去した。次いで、BaF3/KZ134/IL-20RA/IL-20RB細胞を計数し、100μlのBaF3アッセイ培地中で、ウェルあたり5000細胞で、96ウェル形式でプレートした。1pM〜1nMまでの範囲のIL-20の段階希釈を、100μlのBaF3アッセイ培地中のBaF3/KZ134/IL-20RA/IL-20RB細胞に加えた。全体のアッセイ容量はウェルあたり200μlである。アッセイプレートを、37℃および5% CO2で72時間インキュベートし、その時点でAlamar Blue(Accumed、シカゴ、イリノイ州)を、ウェルあたり20μlで加えた。再度、プレートを37℃および5% CO2で24時間インキュベートした。Alamar Blueは、生細胞の数に基づいてフルオロメトリーの読み取りを与え、従って、これは、陰性対照(BaF3アッセイ培地単独)と比較した、細胞増殖の直接測定である。SoftMax(商標)Proプログラムを用いて、fmax(商標)プレートリーダー(Molecular Devices、サニーベール、カリフォルニア州)において、波長544 nm(励起)および590 nm(放出)でプレートを読み取った。結果から、BaF3/KZ134/IL-20RA/IL-20RB細胞のIL-20に対する用量依存的な増殖反応が確認された。測定された反応は、最高濃度の1 nMでのバックグラウンドに対して約30倍から最低濃度の1 pMでの2倍であった。親のBaF3/KZ134細胞、BaF3/KZ134/IL-20RAのみの細胞、およびBaF3/KZ134/IL-20RBのみの細胞はIL-20に反応して増殖せず、IL-20がIL-20RA/IL-20RBヘテロ二量体受容体特異的であることを示している。BaF3/KZ134/IL-20RA/IL-20RB alamer blue増殖アッセイもまた、アンタゴニストと組み合わせて実行した場合に、IL-20の細胞増殖反応の離脱を測定することによって(「中和アッセイ」)、IL-20に対する探索するために用いることができる。
実施例20
抗ヒトIL-20モノクローナル抗体
ラットモノクローナル抗体は、雌性Sprague-Dawleyラット(Charles River Laboratories、ウィルミントン、マサチューセッツ州)4匹を、バキュロウイルスにおいて産生された精製成熟組換えポリペプチド(配列番号:3)、ヒトIL-20-Bvによって免疫することによって調製した。ラットに精製組換えポリペプチド25 μgをフロイントの完全アジュバント(Pierce、ロックフォード、イリノイ州)と共に最初に腹腔内(IP)注射した後、2週間毎にフロイントの不完全アジュバントと共に精製組換えポリペプチド10 μgの腹腔内注射による追加免疫を行った。2回目の追加免疫の注射後7日目に、動物から採血して血清を採取した。
ヒトIL-20特異的ラット血清試料を、特異的抗体標的として1μg/mlの精製成熟組換えポリペプチドヒトIL-20-Bvを用いてELISAによって特徴を調べた。3つのラット血清試料は、1:1E6の希釈で特異的抗体標的に対する力価を有した。1つのラット血清試料は、1:1E4の希釈で特異的抗体標的に対する力価を有した。
脾細胞を高力価ラット1匹から収集して、単回融合技法において(4:1融合比、脾細胞対骨髄腫細胞、「Antibodies: A Laboratory Manual」、E. Harlow and D. Lane、Cold Spring Harbor Press)、PEG 1500を用いてSP2/0(マウス)骨髄腫細胞と融合した。融合後9日間増殖させた後、特異的抗体産生ハイブリドーマプールを、特異的抗体標的としてヨウ素125標識組換えポリペプチドヒトIL-20-Bvを用いる放射免疫沈降(RIP)によって、および特異的抗体標的として500ng/mlの組換えポリペプチドヒトIL-20-Bvを用いるELISAによって同定した。いずれかのアッセイプロトコールにおいて陽性であるハイブリドーマプールを、Baf3/IL-20RA/IL-20RB細胞に対する精製組換えポリペプチドヒトIL-20-Bvの細胞増殖活性の遮断能に関してさらに分析した(「中和アッセイ」)。
RIPのみによって、またはRIPおよび「中和アッセイ」によって陽性の結果を生じたハイブリドーマプールを、限界希釈によって少なくとも2回クローニングした。
組織培養培地から精製したモノクローナル抗体を、ヒトIL-20RAとヒトIL-20RBの両方の受容体配列を発現するBaf3細胞に対する精製組換えヒトIL-20の細胞増殖活性の遮断能に関して特徴を調べた(「中和アッセイ」)。3個の「中和」モノクローナル抗体をこのようにして同定した。
上記のヒトIL-20に対する中和モノクローナル抗体を発現するハイブリドーマを、アメリカンタイプティシューカルチャーコレクション(ATCC;マナッサス、バージニア州)特許寄託所に、ブダペスト条約に基づく原寄託物として寄託し、以下のATCCアクセッション番号を与えられた:262.4.1.2.2.1(ATCC [PTA-5350]); 262.5.1.6.4.4 (ATCC [PTA-5351]); 262.7.1.3.2.4 (ATCC [PTA-5352])。
実施例21
BaF3/KZ134/IL-20RA/IL-20RB増殖アッセイを用いるIL-20アンタゴニスト活性についてのスクリーニング
ラット抗ヒトIL-20モノクローナル抗体が、組換えヒトIL-20x1-Bvと拮抗可能であるか否かを決定するために、RIPアッセイにおいて陽性であるハイブリドーマプールを、BaF3/KZ134/IL-20RA/IL-20RB細胞に対するIL-20の細胞増殖活性の遮断能についてさらに分析した(「中和アッセイ」)(実施例18)。
組織培養培地から精製したモノクローナル抗体を、BaF3/KZ134/IL-20RA/IL-20RB細胞に対する精製組換えヒトIL-20x1-E.coliの細胞増殖活性の遮断能について特徴を調べた(「中和アッセイ」)。結果を、以下の表5において、EC50およびEC100の値として得る。
EC
50(50パーセントにおける有効濃度)
EC
100(100パーセントにおける有効濃度)
実施例22
IL-20に対するラット抗ヒトIL-20モノクローナル抗体についての結合親和性(Kd)の決定
125I-IL-20の調製
放射標識精製組換えヒトIL-20x1-E.coliを、製造元の説明書に従って、Iodo-Beads(登録商標)ヨウ素化試薬(Pierce)を用いて調製した。20μgのIL-20を、ナノグラムあたり1分間あたり45,000〜137,000カウントの比活性で放射標識し、放射活性の95〜100%は10% TCAで沈殿する。125I-IL-20の各調製物の生物活性を、BHK/KZ134/IL-20RA/IL-20RB細胞を用いて、ルシフェラーゼ応答(STATルシフェラーゼを介して)について測定した(U.S.S.N. 09/745,792)。125I標識したIL-20および未標識IL-20の生物活性には有意な差はなかった。
ラット抗ヒトIL-20モノクローナル抗体への125I-IL-20の結合(実施例?)。BreakApart Module 96ウェルマイクロタイタープレート(NUNC Brand Products、ロスキルド、デンマーク)を、ELISA A(0.1M 炭酸ナトリウム緩衝液、pH 9.6)のウェルあたり100μl中2nM濃度にて、ラット抗ヒトIL-20モノクローナル抗体で、4℃で一晩コートした。抗体2nMのコート濃度は、アッセイ条件のために最適化した。プレートを自動プレート洗浄機(SLT 96PW)を用いて2回、ウェルあたり300μl、ELISA C(0.05% Tween 20/1×リン酸緩衝化生理食塩水)で洗浄した。プレートを、ウェルあたり200μlのSuperBlock(登録商標)ブロッキング緩衝液(Pierce)で5分間ブロックし、反復した。プレートを、上記のように自動プレート洗浄機を用いて洗浄した。結合を、ELISA B(1% ウシ血清アルブミンフラクションIV/0.05% Tween 20/1×リン酸緩衝化生理食塩水)のウェルあたり100μl中3.3pM〜2nM濃度の範囲の125I-IL-20の段階希釈を用いて、37℃にて、振盪しながら3.0時間実行した。特異的結合を、2μM濃度の未標識IL-20の存在下(非特異的結合)および非存在下(全結合)で決定した。3時間の時点で、125I-IL-20の段階希釈、および2μM未標識IL-20濃度を、アッセイ条件のためにすべて最適化した。結合反応を、結合媒体を除去し、ウェルあたり200μlのELISA Cで手動でプレートを4回洗浄することによって終結させた。次いで、プレートを崩し、個々のウェルをガンマカウンター(Packard、メリデン、コネチカット州)上で、1分間あたりに取り込まれたカウントについて読み取った。
3種すべてのラット抗ヒトIL-20モノクローナル抗体について、特異的結合曲線を、GraphPad Prism(登録商標)(GraphPad Software Inc.、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いて生成した。特異的結合データを、非線形回帰を用いて直接的にフィットさせ、以下の表6に示されるように、ラット抗ヒトIL-20モノクローナル抗体の各々に対する125I-IL-20のKdを評価した。
実施例23
ヒトIL-20RAモノクローナル抗体
マウスモノクローナル抗体は、雌性Balb Cマウス(Charles River Laboratories、ウィルミントン、マサチューセッツ州)5匹を、精製組換えタンパク質、IL-20RA-BHKによって免疫することによって調製した。マウスに精製組換えポリペプチド20 μgをフロイントの完全アジュバント(Pierce、ロックフォード、イリノイ州)と共に最初に腹腔内(IP)注射した後、2週間毎にフロイントの不完全アジュバントと共に精製組換えタンパク質10 μgの腹腔内注射による追加免疫を行った。2回目の追加免疫の注射の投与後5日目に、動物から採血して血清を採取した。
IL-20RA特異的マウス血清試料を、特異的抗体標的として500ng/mlの精製組換えタンパク質IL-20-RA/RB受容体-Ig融合ヘテロ二量体を用いてELISAによって特徴を調べた。5つすべてのマウス血清試料は、ELISAにより、1:1E6の希釈で特異的抗体標的に対する力価を有した。
脾細胞およびリンパ節を高力価ラット2匹から収集して、単回融合技法において(2.3:1融合比、Hope Heart Institute Contract Antibody Development, Journal of Immunological Methods 81, 223-228)、P3-X63-Ag8.653マウス骨髄腫細胞株と融合した。
融合後9または10日間増殖させた後、特異的抗体産生ハイブリドーマプールを、特異的抗体標的として1μg/mlの精製組換えタンパク質IL-20RA受容体-Ig融合ヘテロ二量体を用いるELISAによって同定した。IL-20RA特異的ハイブリドーマプールを、1μg/mlの精製組換えタンパク質IL-20RA/IL-20RB受容体-Ig融合ヘテロ二量体を用いるELISAによって、およびBaf3/KZ55/IL-20RA/IL-20RB細胞へのそれらの結合能についてのFACSによって、さらに分析した。
ELISAおよびFACSアッセイによって陽性の結果を生じたハイブリドーマプールを、Baf3/KZ55/IL-20RA/IL-20RB細胞に対する、精製組換えタンパク質ヒトIL-20-Bvの細胞増殖活性の遮断能について分析した(「中和アッセイ」)。1つの「中和」ハイブリドーマプールをこのようにして同定した。
ELISAおよびFACSアッセイによって陽性の結果を生じたハイブリドーマプールを、限界希釈によって少なくとも2回クローニングした。
組織培養培地から精製したモノクローナル抗体を、ヒト単球細胞株THP-1 ATCC# TIB-202、HL-60、およびU937、ならびに血液中のヒト単球へのそれらの結合能についてFACSによって特徴を調べた。1つの陽性結合モノクローナル抗体を同定および単離した。
実施例24
ヒトIL-20RBポリクローナル抗体
抗IL-20RBポリクローナル抗体は、精製成熟組換えヒトIL-20RB受容体-Ig融合ホモ二量体によって雌性ニュージーランドホワイトウサギ2羽を免疫することによって調製した。ウサギにそれぞれ、最初に、フロイントの完全アジュバント中の精製タンパク質200 μgを腹腔内(ip)注射した後、3週間毎にフロイントの不完全アジュバント中の100 μgペプチドの腹腔内注射によって追加免疫した。2回目の追加免疫注射(全体で3回の注射)の投与後7〜10日目に、動物から採血して血清を収集した。次いで動物を追加免疫して、3週間毎に採血した。
ヒトIL-20RA特異的ポリクローナル抗体は、CNBr-SEPHAROSEのグラムあたり10mgの特異的抗原トロンビン切断されかつ精製された組換えヒトIL-20RB受容体-Ig融合ホモ二量体用いて調製した、CNBr-SEPHAROSE 4Bプロテインカラム(Pharmacia LKB)を用いて、免疫ウサギ血清からアフィニティー精製した。精製後、ポリクローナル抗体を、少なくとも8時間の間にわたって、抗体の20倍容量のPBSで4回の交換で透析した。ヒトIL-20RB特異的抗体を、抗体標的として、500ng/mlの精製組換えタンパク質ヒトIL-20RB受容体-Ig融合ヘテロ四量体を用いて、ELISAによって特徴付けした。ウサギ抗ヒトIL-20RBアフィニティー精製抗体のより低い検出限界(LLD)は、その特異的抗原に対して500pg/mlであった。
ヒトIL-20特異的ポリクローナル抗体を、BaF3/IL-20RA/IL-20RB細胞に対する精製組換えヒトIL-20-BHKの細胞増殖アッセイの遮断能(「中和アッセイ」)についてさらに特徴を調べた(本明細書に記載される)。ヒトIL-20特異的ポリクローナル抗体の100倍モル過剰量は、細胞の増殖を阻害するために十分であった。ヒトIL-20RB特異的ポリクローナル抗体を、SCIDマウス血清試料中での精製組換えヒトIL-20RA/IL-20RB受容体-Ig融合ヘテロ四量体の定量的測定のために、ELISAにおけるそれらの有用性についてさらに特徴を調べた。得られたELISAは、100% SCIDマウス血清中で20.6ng/mlのより低い検出限界を示した。
実施例25
ヒトIL-20RBモノクローナル抗体
ラットモノクローナル抗体は、雌性Sprague-Dawleyラット(Charles River Laboratories、ウィルミントン、マサチューセッツ州)4匹を、トロンビン切断し、かつ精製した組換えタンパク質、ヒトIL-20RB受容体-Ig融合ホモ二量体によって免疫することによって調製した。ラットに精製組換えタンパク質100μgをフロイントの完全アジュバント(Pierce、ロックフォード、イリノイ州)と共に最初に腹腔内(IP)注射した後、2週間毎にフロイントの不完全アジュバントと共に精製組換えタンパク質50 μgの腹腔内注射による追加免疫を行った。2回目の追加免疫注射の投与後7日目に、動物から採血して血清を採取した。
ヒトIL-20RB特異的ラット血清試料を、特異的抗体標的として500ng/mlの切断精製組換えタンパク質ヒトIL-20RB受容体-Ig融合ホモ二量体またはBaf3/KZ55/IL-20RA/IL-20RB細胞を用いてELISAおよびFACSによって特徴を調べた。4つすべてのラット血清試料は、ELISAにより、1:1E6の希釈で特異的抗体標的に対する力価を有した。2つのラット血清試料は、FACSにより、1:1E3の希釈でBaf3/KZ55/IL-20RA/IL-20RB細胞に対する力価を有した。
脾細胞を単一の高力価ラットから収集して、単回融合技法において(4:1融合比、脾細胞対骨髄腫細胞、「Antibodies: A Laboratory Manual」、E. Harlow and D. Lane、Cold Spring Harbor Press)、PEG 1500を用いてSP2/0(マウス)骨髄腫細胞と融合した。融合後10日間増殖させた後、特異的抗体産生ハイブリドーマプールを、特異的抗体標的として1μg/mlの精製組換えタンパク質ヒトIL-20-RA/RB受容体-Ig融合ヘテロ二量体を、および非特異的標的として1μg/mlの関連性のない精製組換えヒト受容体-Ig融合タンパク質を用いるELISAによって同定した。IL-20RB特異的ハイブリドーマプールは、Baf3/KZ55/IL-20RA/IL-20RB細胞への結合能について、FACSによってさらに分析した。
ELISAまたはFACSアッセイのいずれかによって陽性の結果を生じたハイブリドーマプールを、Baf3/KZ55/IL-20RA/IL-20RB細胞に対する、精製組換えタンパク質ヒトIL-20-Bvの細胞増殖性活性の遮断能(「中和アッセイ」)について分析した。7個の「中和」ハイブリドーマプールをこのようにして同定した。
ELISAおよびFACSアッセイによって陽性の結果を生じたハイブリドーマプールを、限界希釈によって少なくとも3回クローニングした。
組織培養培地から精製したモノクローナル抗体を、ヒト急性単球性白血病細胞株THP-1 ATCC# TIB-202へのそれらの結合能について、FACSによって特徴を調べた。2つの陽性結合モノクローナル抗体を同定した。
実施例26
CD4 + CD45RB hi (CD25 - )大腸炎および乾癬モデルにおけるIL-20アンタゴニスト
CD4+CD45RBhiまたはCD4+CD25-T細胞を同系SCIDマウスに移入すると、マウスに大腸炎が起こる。調節性T細胞(CD4+CD25+またはCD4+CD45RBlo)を同時移入すると、大腸炎を阻害する。CD4+CD25-T細胞をマウスに移入した後、マウスにブドウ球菌のエンドトキシンB(SEB)をさらに注射すると、マウスは大腸炎を発症するのみならず、乾癬を発症する。IL-20、IL-20RA、および/またはIL-20RBに対する抗体、あるいは可溶性IL-20RA、IL-20RBまたはIL-20RA/IL-20RB受容体を、細胞移入後0〜21日目に投与して、大腸炎および乾癬の症状をモニターする。乾癬スコアまたは大腸炎(組織学)が阻害されれば、IL-20、IL-20RA、および/もしくはIL-20RBに対する抗体、あるいは可溶性IL-20RA、IL-20RBまたはIL-20RA/IL-20RB受容体がこれらの自己免疫疾患を阻害できることを示している。
試験デザイン
脾臓および鼠径リンパ節をB10.D2マウスから単離する。単細胞浮遊液を作製して計数する。Miltenyi Beadシステムを用いて、CD25+細胞を陽性選択によってソーティングする。細胞をCD25-PE(BD Pharmingen)の1:100倍希釈液によって染色し、15分間インキュベートする。過剰量の抗体を洗浄して、細胞を10μlの抗PEビーズ/細胞106個と共に20分間インキュベートする。細胞をPBSによって洗浄し、LSカラムに通過させる(Miltenyi Biotech)。カラムを通過する細胞(CD25-)をさらなる分析のために保持する。CD4濃縮カクテル(Stem Cell technologies)をこれらのCD25-細胞に加え(1:100)、15分間インキュベートする。細胞をPBSによって洗浄する。抗ビオチン四量体の1:10倍希釈液を細胞に15分間加えた後、磁気コロイド(60 μl/106細胞)を15分間加える(全て、Stem Cell Technologies)。細胞を負の選択カラム(0.5"、Stem cell Technologies)に通過させる。通過した細胞はCD4+CD25-細胞である。純度はフローサイトメトリーを用いて分析する。未投薬のCB-17 SCIDマウスに細胞0.4×106個を合計容量200 μlでi.v.注射する。マウスにSEB 10 μgを翌日(d1)にi.p.注射する。乾癬および大腸炎の症状を2週目から5週目まで追跡する。マウスを以下の基準で乾癬疾患に関して採点する。0−病変なし、1−頚部の軽度の病変、2−頚部および背部(体躯)での重度の病変、3−マウスの頚部、背部、および腹部における非常に重度の病変。耳の肥厚も同様に疾患の重症度の測定として測定する。マウスの群に、PBS、対照抗体100 μg、またはIL-20、IL-20RA、および/もしくはIL-20RBに対する抗体、または可溶性IL-20RA、IL-20RB、もしくはIL-20RA/IL-20RB 10〜100 μgを異なる投与レジメで1〜30日間i.p.注射する(3回/週、または2回/週)。
結果および結論
抗体処置マウスにおいて乾癬および大腸炎の症状が阻害されたことは、IL-20機能を阻害すると、乾癬および大腸炎のこのモデルにおける自己免疫症状を阻害できることを示している。
実施例27
Alamar Blue増殖アッセイにおけるIL-20アンタゴニスト活性のスクリーニング
因子依存的プレB細胞株であるBaF3に、IL-20RAおよびIL-20RBを同時トランスフェクトして、これを様々な濃度のIL-20で処理した。増殖は、Alamar Blueアッセイを用いて評価した。IL-20はサイトカインに関して予測される濃度で用量依存的に増殖を刺激し、IL-20がサイトカインに関して予測される濃度でヘテロ二量体IL-20RA/IL-20RB受容体に結合して活性化することを実証した。非トランスフェクトBaF3細胞を含む陰性対照は増殖しなかった。
抗IL-20RA抗体がIL-20活性に拮抗できるか否かを決定するために、IL-20活性に対するアンタゴニストとして抗IL-20抗体、抗IL-20RA抗体または抗IL-20RB抗体を用いて上記のアッセイを行う。IL-20をそのようなアンタゴニストと併用する場合、すべての濃度におけるIL-20に対する反応はバックグラウンドレベルまで減少する。IL-20の増殖作用を消失または減少させるアンタゴニストが存在することは、これがIL-20リガンドのアンタゴニストであることを示している。このアッセイを用いて、可溶性IL-20RA、IL-20RBまたははIL-20RA/IL-20RB受容体のような、本明細書に記述のIL-20活性の他のアンタゴニストを試験することができる。
実施例28
抗IL-20 mAb、抗IL-20RA mAbまたは抗IL-20RB mAbは、マウスCIAモデルにおいて疾患の重症度を阻害する
コラーゲン誘発性関節炎(CIA)モデルは、ヒトにおいて認められる疾患の大部分を反映するリウマチ性関節炎のマウスモデルである(Moore、Methods Mol. Biol. 225:175〜179、2003;Waksman、Scand. J. Immunol. 56:12〜34、2002)。マウスをCFAにおいて乳化したコラーゲン2用量によって尾根部で免疫した。これによって、経時的に増加する足の腫脹が起こり、キャリパーを用いてこれを肉眼的に採点および測定することができる。さらに、血清抗コラーゲン抗体は疾患の重症度によく相関する。IL-20およびIL-22が炎症を誘導するデータに基づいて、抗IL-20 mAb、抗IL-20RA mAbおよび抗IL-20RB mAbを、別々にまたはその任意の組み合わせで(すなわち、抗IL-20 mAbの、抗IL-20RA mAbおよび/もしくは抗IL-20RB mAbとの組み合わせ;または抗IL-20RA mAbの抗IL-20RBとの組み合わせ)、コラーゲン免疫マウスの群に投与して、疾患のスコアに及ぼす作用を評価する。これらのmAbのいずれかの投与後の足のスコアおよび足の厚さの減少は、IL-20が自己免疫のためのモデルにおいて進行する免疫応答を促進すること、およびIL-20の機能を遮断することは、自己免疫障害を阻害する可能性があることを示唆している。血清TNFαおよび抗コラーゲン抗体の阻害も同様に、IL-20、IL-20RA、および/またはIL-20RBを遮断することが自己免疫疾患において有益である可能性があることを示唆している。
このように、抗IL-20 mAb、抗IL-20RA mAbおよび抗IL-20RB mAbが自己免疫に対して効果を有するか否かを決定するために、それらを、マウスリウマチ性関節炎-コラーゲン関節炎(CIA)モデルにおいて調べた。具体的には、DBA1Jマウスにコラーゲン注射を行ってリウマチ様関節炎を誘導する。0日目での接種は、フロイントの完全アジュバント(CFA)およびII型コラーゲン(50〜100 μl、2 mg/mlコラーゲンとして調製)からなるホモジネートの皮下注射である。注射は尾根部近傍に行う。21日目、2回目の接種を行うが、唯一の違いは、ホモジネートをCFAの代わりにフロイントの不完全アジュバント(IFA)を用いて調製する点である。足のスコアおよび厚みを毎日測定する。マウスの群に、PBS、アイソタイプをマッチさせた対照モノクローナル抗体20〜200 μg、または抗IL-20 mAb、抗IL-20RA mAbおよび抗IL-20RB mAb 20〜200 μgを、2回目のコラーゲンの注射時から開始して週に2回または3回、1〜4週間腹腔内投与した。マウスを30日まで毎日モニターする。マウスを30日目に屠殺して、抗コラーゲン抗体分析および血清サイトカイン分析(TNFα)のために血清を採取する。
抗IL-20 mAb、抗IL-20RA mAbおよび抗IL-20RB mAbの投与による足のスコア、足の厚さ、血清TNFα、および血清抗コラーゲン抗体の阻害は、IL-20、IL-20RAおよび/またはIL-20RBの遮断が、自己免疫モデルにおいて進行しつつある免疫応答を阻害することができること、および自己免疫障害を阻害する可能性があることを示唆している。
実施例29
IL-20はヒトアトピー性皮膚炎皮膚試料においてアップレギュレートされる
RNA試料
正常皮膚試料と共にヒトアトピー性皮膚炎患者からの皮膚を得た。RNAを、通常の方法を用いてヒト皮膚試料から単離した。RNA試料の完全性および品質をAgilent 2100バイオアナライザー(Agilent Technologies、ワルドブロン、ドイツ)において試験した。
定量的RT-PCRのためのプライマーおよびプローブ
ABI PRISM 7700配列検出システム(PE Applied Biosystems, Inc.、フォスターシティ、カリフォルニア州)を用いるリアルタイム定量的RT-PCRは、既に記述されている(Heid, C.A.ら、Genome Research 6:986〜994、1996;Gibson, U.E.M.ら、Genome Research 6:995〜1001、1996;Sundaresan, S.ら、Endocrinology 139:4756〜4764、1998を参照されたい)。この方法は、レポーターおよびクエンチャー蛍光色素の双方を含む遺伝子特異的プローブを用いることを取り入れている。プローブが無傷の場合、レポーター色素の放出は、クエンチャー色素が近位に存在することにより打ち消される。さらなる遺伝子特異的フォワードおよびリバースプライマーを用いるPCR伸長の際に、プローブは、rTth DNAポリメラーゼの5'から3'ヌクレオチド分解活性によって切断され、これによってプローブからレポーター色素が放出されて、蛍光の放出が増加する。
IL-20発現のリアルタイム定量的RT-PCR分析のために用いられるプローブおよびプライマーは、プライマーデザインソフトウェアPrimer Express(商標)(PE Applied Biosystems、フォスターシティ、カリフォルニア州)を用いて設計した。フォワードプライマー、ZC40541(配列番号:25)およびリバースプライマーZC40542(配列番号:26)を濃度800 nMでPCR反応(下記)において用いて、71 bpの産物を合成した。対応するIL-20 TaqMan(登録商標)プローブZC40544(配列番号:27)はPE Applied Biosystemsによって合成および標識された。IL-20プローブは、5'末端でレポーター蛍光色素(6-カルボキシ-フルオレセイン)(FAM)(PE Applied Biosystems)によっておよび3'末端でクエンチャー蛍光色素(6-カルボキシ-テトラメチル-ローダミン)(TAMRA)(PE Applied Biosystems)によって標識した。
リアルタイム定量的RT-PCR
IL-20 mRNAの相対的レベルを、TaqMan EZ RT-PCRコア試薬キット(PE Applied Biosystems)を用いて全RNA試料を分析することによって決定した。ランオフ(runoff)IL-20転写物を作製し、定量のために使用する標準曲線を生成した。この曲線は、3連で分析した各標準曲線の点を有する、IL-20についての全体のメッセンジャーの1e8〜1e3の総コピー範囲にわたる10倍段階希釈からなった。皮膚からの全RNA試料はまた、内部標準として、ヒトIL-20転写レベルについて、およびhGUSのレベルについて3連で分析した。25μlの合計容量において、各RNA試料をTaqMan EZ RT-PCR反応(PE Applied Biosystems)に供した。これは以下を含んだ:DEPC処理水中、約25ngの全RNA(DNase/RNaseなし);適切なプライマー(約800nM ZC40541)(配列番号:25)およびZC40542(配列番号:26);適切なプローブ(約100nM ZC40544(配列番号:27));1×TaqMan EZ緩衝液;3mM 酢酸マンガン;300μM 各d-CTP、d-ATP、およびd-GTPならびに600μMのd-UTP;rTth DNAポリメラーゼ(0.1U/μl);ならびにAmpErase UNG(0.01U/μl)。PCR熱サイクリング条件は以下の通りであった:1サイクルの50℃2分間の最初のUNG処理工程;続いて1サイクルの60℃30分間の逆転写(RT)工程;続いて1サイクルの95℃5分間のUNGの不活性化工程;続いて40サイクルの94℃20秒間および60℃1分間の増幅。
相対的なIL-20RNAレベルを、製造元PE Biosystemsによって記載されるような標準曲線法(User Bulletin #2:ABI Prism 7700配列検出システム、遺伝子発現の相対的定量(Relative Quantitation of Gene Expression)、1997年12月11日)を用いることによって決定した。hGUS測定を用いて、IL-20レベルを規準化した。
IL-20 mRNAは、皮膚試料において低レベルで(796コピー)検出可能であった。対照的に、アトピー性皮膚炎患者からの皮膚においては、IL-20メッセンジャーのアップレギュレーションが存在した(8598コピー)。IL-20の受容体サブユニット(IL-20RAを含む)、IL-20RA、およびIL-20RBは、ヒトの正常皮膚および疾患を有する皮膚において発現される。これらのデータは、ヒトのアトピー性皮膚炎に対する、IL-20の強力な疾患との関連を支持する。
IL-20の過剰発現がヒトアトピー性皮膚炎病巣において示され、このことは、IL-20がヒトアトピー性皮膚炎に関与することを示唆した。その上、本明細書に記載されるように、トランスジェニックマウスにおけるIL-20の過剰発現は、アトピー性皮膚炎表現型を示す、上皮の肥厚および免疫細胞の介入を示した。このようなインビボデータは、IL-20がアトピー性皮膚炎に関与することをさらに示唆する。このようなものとして、本発明の抗ヒトIL-20RAモノクローナル抗体などのIL-20活性に対するアンタゴニスト、ならびに可溶性受容体およびそれに対する抗体は、アトピー性皮膚炎ならびに本明細書に開示される他の徴候のような炎症性疾患の治療において、IL-20に対するアンタゴニストとして治療的に有用である。
実施例30
抗ヒトIL-20モノクローナル抗体の薬物動態
試験モノクローナル抗体、抗ヒトIL-20 mAb(クローン#262.7.1.3.2.4; kd = 0.133nM)を濃度1.08 mg/ml(280 nmでのUV吸光度によって決定)で3×3 mlに分けて、使用するまで-80℃で保存した。溶媒は1×PBS(50 mM NaPO4、109 mM NaCl)、pH 7.3であった。mAbを使用前に室温で融解して少量1および2をそれぞれ100 μg IVおよびSC投与群のために用いた。少量3の半分を1×PBSによって1:2倍希釈して50 μg SC投与群とし、少量3のもう半分を1×PBSによって1:10倍希釈して10 μg SC投与群とした。雌性SCIDマウス(n=96)はCharles River Labsから得た。到着時に動物の健康状態をチェックして群毎に収容した(動物3匹/ケージ)。マウスは試験開始時12週齢であり、平均体重は22 gであった。
投与プロトコール
雌性SCIDマウス(n=24/用量群)を四つの投与群に無作為に割付した(表7)。群1には、抗ヒトIL-20 mAb約93 μlを尾静脈からIV注射によって投与し、群2、3および4には、首筋にmAb約93 μlをSC注射によって投与した。
試料の採取
採血の前に、マウスをハロタンまたはイソフルオランによって十分に麻酔した。血液試料を168時間の時点(眼窩採血によって採取し、同じ動物を504時間では心穿刺によって採血した)を除く全ての時点で心穿刺によって採取した。血液を血清分離用試験管に採取して15分間凝固させた。その後試料を14,000 rpmで3分間遠心した。遠心後、125〜150 μlの少量を、ラベルを付けたエッペンドルフチューブに分配して、分析するまで−80℃で直ちに保存した(表7)。
*同じ動物を168および504時間の時点で用いた。
ELISAによる血清中の抗-huIL-20 mAb濃度の定量
酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)を開発して、薬物動態研究においてラット抗IL-20 mAb 267.7.1.3.2.4を投与した動物からのマウス血清試料を分析するために適合させた。このアッセイは、市販の二次抗体およびTMBを用いる比色検出を利用するようにデザインされた。標準曲線のために用いられる希釈液は、標準曲線の直線部分の定義を改善するように改変された。100 ng/ml〜0.231 ng/mlの範囲の2倍希釈の標準曲線によってマウス血清試料を定量することが可能であった。QC試料を、10%SCIDマウス血清において1:100、1:1000および1:10000倍希釈して、標準曲線から逆計算した。
薬物動態分析
血清濃度対時間データを、薬物動態分析のためにWinNonlinプロフェッショナル4.0ソフトウェア(Pharsight, Inc.、キャリー、ノースカロライナ州)にダウンロードした。ノンコンパートメント分析を用いて、各時点での平均データに基づく薬物動態パラメータを決定した。
結果
100 μg IV、ならびに100、50、および10 μg SC投与後の血清中抗ヒトIL-20 mAb濃度の平均値を表8に示す:
IV投与後、mAb濃度対時間プロフィールは双指数的減少を示した。SC投与後、mAbは遅い吸収相を有し、吸収速度によって限定される排泄を示すように思われた。各時点でのデータの平均値に基づく血清中の薬物動態パラメータを、表9に示す。
ND:濃度対時間プロフィールの最終消失相のデータがないために決定不能
IV投与後、mAbは非常に低いクリアランス(Cl=0.002 ml/時間)および長い消失半減期(t1/2,λz=約21日)を示した。mAbは、マウスの血液量(=約1.7 ml)より少ない定常状態分布容積(Vss=1.3 ml)を示し、mAbが実質的に血管区画から外れて分布しなかったことを示唆している。逆計算した最高濃度(C0)は、注射した用量およびマウスの血液量に基づいて予想されるより高かった。このことは、小さいVssと共にmAbが血液の血清分画に大部分が限定されている可能性があることを示唆している。
SC投与後、Cmax値は用量と共に直線的に増加した。100 μg SC用量では、mAbは、約25日のt1/2,λzを有し、クリアランスおよび見かけの分布容積はIV投与後と類似であった。生物学的利用率は86%であった。より低い二つのSC用量では、試料を504時間まで保持しても、測定可能な最終消失相がないために、ほとんどの薬物動態パラメータを推定することができなかった。SC投与後のmAbの吸収は、試験期間を通して消失しながら定常状態に達するように思われる。
実施例31
SCID-hu移植乾癬モデルにおけるIL-20アンタゴニスト
SCIDマウスに移植したヒト乾癬皮膚は、その臨床的、光学顕微鏡、および免疫組織化学的乾癬特徴を数週間維持することができる。このモデルは病変組織を正常な表現型まで回復させることを意図する治療を評価するための系を提供する。ヒト皮膚の移植に成功した後、IL-20、IL-20RA、IL-20RB、および/もしくはIL-20RA/IL-20RBヘテロダイマーに対する抗体、または可溶性IL-20受容体を数週間投与することができ、表皮の厚さを分析して乾癬に対するこれらのアンタゴニストの作用を評価することができる。
試験デザイン
表皮全体および数mmの真皮からなる6 mmの完全な厚みの穿孔生検を、健康な成人ボランティアおよび乾癬病変皮膚から得る。生検4〜6個を各ドナーから得る。各ドナーからの穿孔生検1個をレシピエントSCIDマウスの背側表面に移植する(CB-17、Taconic)。動物を病原体を含まない環境において維持する。処置は、以下のように移植の成功後(移植後2〜3週間)開始する:陰性対照のために生検1個(PBSまたはアイソタイプmAb)、陽性対照のために生検1個(シクロスポリンA)、および抗ヒトIL-20、抗ヒトIL-20RA、抗ヒトIL-20RB、または抗ヒトIL-20RA/IL-20RBヘテロダイマーmAb、あるいはIL-20に対する可溶性受容体による処置のために生検2〜3個(腹腔内注射、M-W-Fスケジュールで週に3回を2〜4週間)。
定量的分析
臨床観察および評価は実験を通して定期的に行い、記録されるであろう。乾癬病変の重症度を、鱗屑、硬化、および紅斑に関して盲検的に評価する。パラメータは3点尺度を用いて採点することができる:0=皮膚の罹患が完全にないこと;1=わずかな罹患;2=中等度の罹患;3=重度の罹患。投与期間終了時、各動物を安楽死させて、組織学およびIHCのために組織を採取する。(1)組織の一部を10%ホルマリンにおいて固定して、ヘマトキシリン-エオジンによって染色する。表皮領域を、NIH画像ソフトウェアを用いて単位長さあたりの表皮の厚さの変化の関数として測定する。各移植体からの多数の領域を定量して高いn値および表皮面積の平均値を提供する。(2)上部真皮において高倍率(0.103×0.135 mm)での炎症性単核球数;(3)錯角化症の等級を0〜3までの任意の尺度で採点し、0は錯角化症なし、1は、切片の3分の1未満における錯角化症、2は切片の3分の1を超えるが3分の2未満における錯角化症、および3は切片の3分の2を超える錯角化症である。(4)組織の残りをKi67(増殖しつつあるケラチノサイトのマーカー)に関して染色して、切片のKi67循環中ケラチノサイト数/長さmmを評価する。表皮の厚さによって測定した乾癬の重症度の減少は、IL-20機能の中和がこの乾癬モデルにおいて有効となりうることを示している。乾癬の重症度の減少を定量するために、本発明者らは、上部真皮における炎症細胞数、Ki67循環中ケラチノサイト数、および錯角化症の等級を測定する。対照マウスと比較して治療群に関する四つ全てのパラメータが有意に減少すれば、IL-20アンタゴニストの治療的利用の可能性を示している。
実施例32
臓器培養乾癬モデルにおけるIL-20アンタゴニスト
ヒト乾癬斑の皮膚を臓器培養において維持して、異常な組織学特徴を有する病変皮膚を外因性の増殖因子の非存在下で維持する。IL-20、IL-20RA、IL-20RB、および/もしくはIL-20RA/IL-20RBヘテロダイマーに対する抗体、または可溶性IL-20受容体を投与することができ、乾癬病変皮膚の組織学特徴を改善することができる。
試験デザイン
完全な表皮および数mmの真皮からなる完全な厚みの2-mm穿孔生検を、健康な成人ボランティアまたは乾癬病変皮膚のいずれかから得る。生検直後、組織を、ケラチノサイト基本培地(KBM)(Clonetics Inc.、ウォーカースビル、メリーランド州)からなる培養培地に沈める。培養培地にCaCl2を補充して、最終的なCa2+濃度を1.4 mMにする(Varaniら、1993、1994)。次に、生検を、IL-20、IL-20RA、IL-20RB、および/もしくはIL-20RA/IL-20RBヘテロダイマーに対する抗体、または可溶性IL-20受容体によるさらなる処置を行うか、または行わずに、Ca2+添加KBM 200 μlを含む96ウェルディッシュのウェルにおいてインキュベートする。培養物を95%空気および5%CO2の大気中で37℃で8日間インキュベートする。
定量的分析
インキュベーション期間の終了時、組織を10%緩衝化ホルマリン中で固定し、ヘマトキシリンおよびエオジンによる染色後、組織学的に調べた。抗体または可溶性受容体に曝露した乾癬組織の外観は、以下の観察を含む正常組織の外観に非常によく類似している:最初の無秩序な不規則的形状の基底上皮細胞は、極性を回復してより柱状の外観を示した;上皮網の隆起は退縮して、上皮細胞が真皮空間に侵入している領域はより少ない;および上部上皮層の全体的な変性はより少なかった。臓器培養モデルは、特定の化合物が抗過増殖物質としての可能性を有するか否かを決定するための迅速かつ感度のよい手段を提供する。異常な組織学特徴は、IL-20アンタゴニストの存在下で改善される可能性があり、乾癬の治療におけるそのような剤の有効性を示唆している。
実施例33
中和性抗IL-20、抗IL-20RA、または抗IL-20RBモノクローナル抗体による妊娠IL-20トランスジェニックマウスの処置
インビボで中和抗体に関するラット抗マウスIL-20、IL-20RA、またはIL-20RBモノクローナル抗体(mAb)を調べるために、妊娠IL-20トランスジェニック(Tg)マウスに上記のmAbの一つを腹腔内注射する。新生児マウスをこれらの系統のマウスの通常の特徴である「光沢のある」皮膚表現型の有無を評価する。
特に、雄性IL-20 Tg(ケラチン-14またはEulckプロモーターを用いて産生される)マウスを、発情期のC57BL/6N雌性動物と交配させて、交配した雌性動物を、翌日に膣栓の存在によって同定する。各妊娠雌性動物を異なるケージに入れて毎日モニターする。治療群には、妊娠雌性動物少なくとも各4匹が含まれ、Tgおよび非Tg仔の双方の統計学的に有意な分析が可能となる。これらのTgマウスに関するこれまでの経験に基づき、同腹子は通常、同腹子あたり仔約6〜8匹の範囲であり、その中で2〜3匹がTg+である。
マウスを交配した7〜9日後(胚日齢7〜9;e7〜9)、雌性マウスにmAb(ラットIgG2aアイソタイプ)250〜500 μgをPBS 200〜250 μlの容量で腹腔内注射する。子宮に直接注射しないように、短い針を浅い注射角度で用いる。発達途中の胚に首尾よく近づくために、妊娠雌性動物に、週に3回このようにして2週間(出生まで)注射する。対照群(各妊娠雌性マウス4匹以上)には以下が含まれる:アイソタイプ対照ラットIgG2a mAb、抗ヒト/マウスIL-20 mAb(ラットIgG1アイソタイプ)、およびアイソタイプ対照ラットIgG1 mAb。
生後1〜5日まで、仔マウスを光沢のある皮膚表現型の出現に関して密にモニターする。5日目、仔マウスを安楽死させて、DNA単離のために尾の一部を採取して各仔マウスの遺伝子型(Tgまたは非Tg)を決定する。仔マウスが、これらのTgマウスの通常の特徴である肥厚した表皮細胞層を示すか否かを評価するために、皮膚試料を組織学分析のために採取する。体躯血液も同様に仔から採取して(および生後1日目の母親からの眼窩採血)、ELISAによって、各マウスの血清中のmAbレベルを定量する。これらのmAbはインビボでIL-20の強力な阻害剤であることから、Tg仔マウスは正常な皮膚を有する(すなわち、表皮の肥厚または「光沢のある」外観を示さない)。
実施例34
乾癬皮膚試料におけるIL-20、IL-20RA、およびIL-20RBのレベルの評価
5つの皮膚試料、2つの対照群のマウス(CD4+対照/CD25+)および3つの乾癬群のマウス(CD4+乾癬/CD25-)を評価した。各組織標本をZnTRIS中に固定し、そしてマウス抗ヒトIL-20モノクローナル抗体(クローン240.8.4.7.16.5)、マウス抗ヒトIL-20RAモノクローナル抗体(クローンHH7.34.1F11.1G2)、ラット抗ヒトIL-20RBモノクローナル抗体(クローン264.13.1.3.2.3)およびラット抗ヒトIL-22モノクローナル抗体(クローン266.19.1.10.5.2)で、それぞれ免疫組織化学によって染色した。細胞のために使用した固定液(10% NBF)は組織(ZnTRIS)とは異なるため、この研究においては陽性対照および陰性対照を適用しなかった。試薬の陰性対照は、一次抗体と置き換えるためのマウスアイソタイプIgGおよびラットアイソタイプIgGを含んだ。皮膚試料における各抗体の染色強度を表10に概説した。
±、+、++、+++&++++:弱い方から強い方への染色強度;-:染色なし;b:バックグラウンド染色。
ヒトIL-20モノクローナル抗体(クローン240.8.4.7.16.5)
IL-20は対照試料または乾癬皮膚試料のいずれにおいても検出されなかった。
マウス抗ヒトIL-20RAモノクローナル抗体(クローンHH7.34.1F11.1G2)
IL-20RAの高発現を、対照(群1)と比較して、乾癬皮膚試料(群2)において観察した。対照群において、表皮およびわずかな真皮中に分散した単球細胞が陽性染色を示した。乾癬群においては、組織は、同じ様式であるがより高いレベルで染色された。例えば、強力な陽性染色は表皮中で、および真皮中の多数の浸潤した単球細胞で観察された。皮膚は乾癬様皮膚炎を示し、表皮におけるIL-20RA染色は主として外層(顆粒層および角質層)に局在した。基底層(stratum basale)、表皮の基底層(germinal layer)は染色を示さず、有棘層、表皮の有棘層は弱くかつ拡散した染色を示した。抗体はまた、結合組織におけるある程度の非特異的染色を示した。マウスアイソタイプで染色したIgG皮膚試料は陰性染色を示した。
ラット抗ヒトIL-20RBモノクローナル抗体(クローン264.13.1.3.2.3)
このラット抗ヒトIL-20RBモノクローナル抗体は、マウス抗ヒトIL-20RAモノクローナル抗体と同様の染色を示したが、わずかに陽性の真皮中の単核細胞を有した。この抗体はまた、骨格筋への非特異的な染色を示した。ラットアイソタイプIgGで染色した皮膚試料は陰性染色を示した。
ラット抗ヒトIL-22モノクローナル抗体(クローン266.19.1.10.5.2)
IL-22は対照試料または乾癬皮膚試料のいずれにおいても検出されなかった。
結論
IL-20RAおよびIL-20RB発現を、免疫組織化学によって乾癬皮膚試料(CD4+ 乾癬/CD25-)において観察し、そして顕微鏡的には、これらの組織は、異常に肥厚した表皮および重篤な皮膚炎を示した。IL-20RAおよびIL-20RBの発現の大部分は、主として、角質化のプロセスに寄与する細胞内顆粒によって特徴付けられる顆粒層中に、および平板化された融合細胞残余(ケラチン)中に基底細胞層および有棘細胞層の上のケラチノサイト中にあるらしい表皮において見い出された。さらに、IL-20RA発現もまた、皮膚炎を有する領域中の単球細胞上で観察した。対照組織(CD4+/対照/CD25+)は、乾癬組織と比較して、比較的低レベルのIL-20RAおよびIL-20RB発現を実証した。IL-20およびIL-22リガンドは、ヒトIL-20モノクローナル抗体およびラット抗ヒトIL-22モノクローナル抗体を用いて、対照試料または乾癬皮膚試料のいずれかにおいても検出されなかった。マウスアイソタイプIgGまたはラットアイソタイプIgGで染色したすべての皮膚試料は陰性染色を示した。
実施例35
IL-20TG/IL-20RAノックアウトマウスからの皮膚試料中のIL-20RA発現
各遺伝子型群:TG/0 HOM、TG/0 Het、0/0 HOM、および0/0 Hetにおける2匹の新生仔を含む、K14 IL-20m (TG)/IL-20RA (KO)からの8匹の新生仔を研究した。各動物からの尾側胸部を、10%中性緩衝化ホルマリン(NBF)中に固定し、免疫組織化学(IL-20RA-IHC#15、ARK IHCプロトコール)によって、マウス抗ヒトIL-20RAモノクローナル抗体(クローンHH7.34.1F11.1G2)で染色した。Baf3細胞をヒトまたはマウスのIL-20RA/RBのいずれかでトランスフェクトし、そしてIL-20RA発現を有する既知のヒト肺を陽性対照として使用した。陰性対照は、一次抗体を置き換えるためのマウスアイソタイプIgGを含んだ。
IHCの結果
A. 陽性対照細胞および組織
ヒト肺中に散乱している単球細胞は弱い染色を示したが、しかし、マウスIL-20RA/RBでトランスフェクトしたBaf3細胞は、陰性染色を示した。ヒトIL-20RA/RBでトランスフェクトしたBaf3細胞はスライド上で見つからなかったが、これは、乏しい試料調製、またはIHC手順の間の反復する緩衝液洗浄による細胞の損失に起因する可能性がある。野生型Baf3は明確に染色がなかった。
B. K14 IL20m (TG)/IL-20RA (KO)新生仔皮膚
IL-20RAの弱い発現を、2つのTG/0 Het新生仔皮膚のうちの1つ、および2つの0/0 Het新生仔皮膚のうちの1つで見い出した。例えば、皮膚中の基底層の上の上皮細胞は、モノクローナル抗体で、分散した細胞質染色を示した。TG/0 HOM(n=2)新生仔および0/0 HOM(n=2)新生仔からの皮膚はIL-20RA発現を示さなかった。マウスアイソタイプIgGで染色したすべての新生仔の皮膚(TG/0 HOM、TG/0 Het、0/0 HOM、および0/0 Het)は、陰性染色を示した。IL-20RAの染色強度を表11にまとめた。
±、+、++、+++&++++:弱い方から強い方への染色強度;-:染色なし。
結論
IL-20RA発現を、TG/0 Het(IL-20TG x IL-20RA KO)新生仔における表皮細胞中で、上記のように免疫組織化学によって観察した。フィジオスクリーン研究は、これらの新生仔が、光る皮膚の表現型を著しく示し、顕微鏡的には、異常に肥厚した表皮を示すことを明らかにした。さらに、IL-20RA mAb染色は、表皮肥厚と関連していた。IHC結果は、TG/0 Hetおよび0/0 Hetにおける2つの新生仔皮膚のうちの1つがIL-20RAの陽性染色をそれぞれ示すことを明らかにした。表皮における大部分のIL-20RA発現細胞は、基底層の上(基底層上)のケラチノサイト中にあるようであるが、染色は、IL-20 TG x IL-20RA KO研究からのTG/0 Hetの皮膚試料と比較して、比較的弱かった。IL-20RA発現は、TG/0 HOMまたは0/0 HOMのいずれにおいても表皮では観察されなかった。要するに、IL-20RA mAb染色はHetにおいて陽性であるが、HOMにおいては陽性ではなかった。
実施例36
IL-20TG/IL-20RAノックアウトマウスからの皮膚試料中のIL-20RA発現
各遺伝子型群:TG/- HOM、TG/- Het、-/- HOM、および-/- Hetにおける2匹の新生仔を含む、K14 IL-20m (TG)/IL-22RA (KO)からの8匹の新生仔を研究した。各動物からの尾側胸部を、10%中性緩衝化ホルマリン(NBF)中に固定し、ヒトに対して惹起したマウス抗ヒトIL-20RAモノクローナル抗体(クローンHH7.34.1F11.1G2)で染色した。cos細胞をヒトIL-20RAでトランスフェクトし、そしてIL-20RA発現を有する既知のヒト肺を陽性対照として使用した。しかし、IL-20RA TGマウスは誕生前に死亡したので、マウスIL-20RAを発現する細胞および組織は利用不可能であった。試薬陰性対照は、一次抗体を置き換えるためのマウスアイソタイプIgGを含んだ。
IHCの結果
A. 陽性対照組織(ヒト肺)
ヒト肺中に散乱している単球細胞は陽性染色を示した。
B. マウス組織(IL-20TG/IL-22RA KO新生仔皮膚)
抗IL-20RA MAbは、IHCにおいてマウスIL-20RAを認識した。IL-20RAの発現を、IL-20TG/IL-20RA KO Het新生仔皮膚(n=2)において、IHCを用いて見い出した。例えば、皮膚中の表皮細胞は、抗体による分散した細胞質染色を示した。TG/- HOM(n=2)、-/-HOM(n=2)、および-/- Het(n=2)新生仔からの皮膚は、IL-20RA発現を示さなかった。マウスアイソタイプIgGで染色したTG/Het新生仔皮膚は陰性染色を示した。
結論
IL-20RA発現を、TG/- Het新生仔における表皮細胞中で観察し、そして以前のフィジオスクリーン研究は、これらの新生仔が、光る皮膚の表現型を著しく示し、顕微鏡的には、異常に肥厚した表皮を示すことを明らかにした。表皮における大部分のIL-20RA発現細胞は、基底層の上(基底層上)のケラチノサイト中にあるようであり、染色は、断片中の他の組織においては観察されなかった。IL-20RA発現は、光る表現型を示さないTG/- HOM新生仔または非IL-20 TG新生仔(-/- HOMおよび-/-Het)のいずれにおいても表皮では観察されなかった。さらに、マウスアイソタイプIgGで染色したすべての皮膚試料は陰性染色を示さなかった。
前述から、本発明の特定の態様を説明する目的で本明細書において記述してきたが、様々な改変を行ってもよく、それらも本発明の趣旨および範囲から逸脱しないことは認識されるであろう。したがって、本発明は添付の請求の範囲による以外は制限されない。