JP2007531505A - 癌(muc1)の診断および治療のための技術および組成物 - Google Patents

癌(muc1)の診断および治療のための技術および組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は細胞増殖、特に癌の診断および/または治療に基本的に関与する一連の組成物、方法、キット、物品および種を提供する。MUC1の異常な発現に関与する細胞増殖に特に焦点が当てられる。MUC1細胞増殖に関与する機構が議論される。
【選択図】図1

Description

関連出願
本非仮出願は、ともに係属する2003年8月26日付け出願の米国仮出願番号60/498,260号(本明細書中に参考として導入される)の米国特許法119(e)条における恩恵を請求する。
本発明は薬剤スクリーニング分析法、癌診断および癌治療評価のための産物に関し、癌薬物療法のための分子標的として細胞上に残存する受容体の一部分を利用し、このような受容体開裂産物に対する抗体またはその抗原結合断片などの結合性ペプチド、受容体開裂産物を含むポリペプチド、およびこれらをコードする核酸分子に関する。
発明の背景
細胞成長およびアポトーシスと称するプログラム化された細胞死の分子根拠は、一般的に製薬企業および癌研究者にとって大変興味深いものである。癌ではこれらのプロセスの1つまたは両方が姿を消しているようである。癌のための薬剤発見は細胞成長およびプログラム化された細胞死の過程で、臨界的な段階を干渉する薬物療法の開発に大きく集中している。成長因子受容体を干渉する物質に特に興味がもたれている。通常、成長因子受容体は細胞の内側へ増殖シグナルを伝達する同族リガンドに、高度に特異的な方法で相互作用する細胞外領域を有する。相互作用および細胞内のシグナル伝達経路は保存される傾向にあり、細胞特異的でない。特異性は通常、細胞外相互作用を経て達成される。細胞内過程を干渉する物質は、健康細胞ならびに患部細胞において広範な効果を示すであろうから、薬物療法からみて望ましくない。反対に、成長因子受容体の細胞外部分を標的とする薬物療法は、特にこれらの部分が癌細胞中でいくらか変化されるなら、これらは癌細胞を特異的に標的とするから、大いに望ましい。
したがって、癌に関連している細胞表面受容体は、治療標的の重要な部門を構成する。多くの製薬企業はこれらの細胞表面受容体に結合し、かつ、封鎖する化合物の薬剤ライブラリーをスクリーニングすることに積極的に関与している。例えば、乳房腫瘍を治療するために使用される重要な薬剤は、ハーセプチン(Herceptin)(Pegram M, Lipton A, Hayes D, Webber B, Baselga J, Tripathy D, Baly D, Baughman S, Twaddell T, Glaspy J, Slamon D:「化学治療に対して不応性であるHer−2/neu−過剰発現代謝系乳房腫瘍の患者における組換えヒト化抗−p185Her2/neuモノクローナル抗体とシスプラチンを使用する受容体増強化学受容性の第二相研究」、J. Clin. Oncol. 1998, 16(8):2659-2671)である。この薬剤はHer2/neu(Ross J, Fletcher J:「考察、乳房腫瘍におけるHer2/neu癌遺伝子:予知因子、予測因子、および治療のための標的」、Stem Cells, 1998, 16(6):413-428)に結合し、封鎖する。これは乳房腫瘍の30%に過剰発現する細胞表面受容体である。
他の細胞表面受容体はMUC1(Treon S, Mollick J, Urashima M, Teoh G, Chauhan D, Ogata A, Raje N, Hilgers J, Nadler L, Belch A, Pilarski LおよびAnderson K:「MUC1核タンパクは多発性骨髄腫細胞上に発現し、デキサメサゾンによって誘発される」、Blood, 1999, 93(4):1287-1298)と呼ばれる。MUC1受容体は、多くのヒトの癌に関係しているムチンファミリーから得たI型膜貫通糖タンパクである。固形腫瘍の約75%は、MUC1受容体を異常に発現すると推定される。MUC1癌群は、90%以上の乳房腫瘍腫、47%の前立腺腫瘍および高い割合の卵巣癌、結腸直腸癌、肺癌および膵臓癌を含む。MUC1は通常、腺分泌性上皮細胞ならびに気道を裏付ける上皮上に発現される。MUC1受容体の通常の機能の中には、細胞接着、繁殖力および免疫応答における役割があるとの証拠が存在する。癌におけるMUC1受容体の役割は、文献中ではまだ確定されていない。しかしながら、細胞表面発現における大きな差異および癌における受容体パターンは十分に実証されている。健康な細胞におけるMUC1発現と癌細胞における発現とのもっとも著しい差異は、健康な細胞では受容体は尖端境界でクラスター形成されるが、癌細胞では受容体は細胞の全表面上に均一に分布している。さらに、受容体は異常なパターン化に加えて、腫瘍細胞上に過剰発現するとの証拠が存在する。
MUC1の通常の機能ならびに癌との関連はまだ、明確に決定されていない。知られていることは、MUC1の細胞外領域の一部分は分断されるか、あるいは開裂され、乳房腫瘍患者の血清中に検出できることである。乳房腫瘍患者では血清中の分断されたMUC1の濃度は、ときには治療に対する患者の応答をモニターするために測定される。MUC1の細胞質末尾は種々のシグナル伝達タンパクのモチーフ中に多い。一般的なシグナル伝達タンパクであるGrb2およびSOSはMUC1の細胞質末尾に会合していることが文献中に報告されている。癌細胞では、細胞外領域は十分にグリコシル化されていないと科学文献中に記載されている。MUC1受容体は1990年にクローン化されたけれども、癌への関連性はわかりにくいままである。
本発明はMUC1が細胞増殖および腫瘍形成を誘因する機構の重大な態様を解明する発見を記載する。これらの発見は、本発明者らがMUC1−依存性腫瘍形成を阻害する化合物および結合性ペプチドを同定するために使用した薬剤スクリーニング分析法の新規な分子標的を提供する。これらの発見はまた、早期診断分析法および治療を受けている癌患者の進行を追跡する正確な方法を可能とする。
発明の要約
本発明者らはMUC1受容体(細胞表面に対して近位、すなわち、外側)の一部分は成長因子受容体として機能するメカニズムを支持する証拠を本明細書中に提供する。MUC1受容体のPSMGFR部分に結合する化合物の添加が、おそらく受容体のMGFR部分の二量体化を阻止することによって、細胞成長を阻害するように本明細書中に示されている。本発明者らはまた、MUC1受容体のMGFR部分に対して生じた1価抗体も同族リガンドと受容体のMGFR部分との会合に結合および阻止することによって、細胞成長を阻害することを本明細書中に証明する。
本発明はある態様ではMUC1受容体のより短い形態、PSMGFRTCの自然配列(すなわち、nat−PSMGFRTC−下記の配列番号37)から本質的になるタンパク質分解断片か、あるいはMUC1−Yなどの別のスプライスアイソフォーム(配列番号40)のいずれかは、成長因子受容体として機能することを記載する。本明細書中では、nat−PSMGFRTC(配列番号37)から本質的になるMUC1受容体のより短い形態(すなわち、切断型)の二量体化は、細胞の内側へシグナルを伝達し、次いで、細胞成長シグナル伝達カスケードを活性化するという仮説を支持する証拠を提供する。本発明はまた、受容体の二量体化を阻害し、したがって、MUC1癌のための癌治療として利用され得る、細胞表面(例えば、MGFR)に近接するMUC1受容体の一部分を標的とする抗体の1価断片および1価単鎖抗体を記載する。薬剤発見のための研究用ツールとして使用するMUC1癌細胞を模倣する細胞株が記載される。本発明はまた、乳房腫瘍の主要なMUC1種がnat−PSMGFRTC(配列番号37)から本質的になる開裂産物であるとの実験的証拠を提供する。癌診断および画像処理目的で標識化された抗PSMGFR抗体、またはその抗原結合断片を使用する方法も提供される。このような実施態様では、MUC1癌を除去する手術中に外科医によって可視化され得るこのような標識化抗体は、癌組織を選択的に染色する操作中に使用され、その結果、外科医は全てのこのような癌組織が患者から切除されるときを確認することがより可能である。
本発明は種々のキット、方法、組成物、ペプチド種、ペプチド種に特異的に結合する抗体またはその断片、このようなペプチド種をコードする核酸分子、および細胞増殖、特に癌に関与する物品を提供する。本発明は基本的に、癌の診断および治療に関する技術および構成要素に関与する。
1つの態様では、本発明は一連のキットを提供する。
1つのキットは、本発明が提供する抗体またはその抗原結合断片を含む。
1つのキットは、表面を有する第1物品、およびその表面に対して固定化された、あるいは固定化されるように適用されたペプチド配列を含む。ペプチド配列は細胞増殖を促進する、成長因子または変性酵素などの活性リガンドと相互作用する細胞表面受容体の一部分を含む。キット中には、活性リガンドの存在下に他の同じペプチド配列に直接または間接に結合するペプチド配列の能力に影響を与える候補薬剤も含まれる。前記一部分は活性リガンドと相互作用する細胞表面受容体を十分に含む。
本発明の他のキットは、分断された細胞表面受容体の鎖間結合領域に対して固定化されることが可能である種および該種に対して固定化されるか、あるいは固定化されるように適用されたシグナル伝達物質を含む。
本発明の他のキットは、細胞表面受容体の鎖間結合領域の分断後、細胞表面に付着して残存する細胞表面受容体の一部分に結合することが可能である種および該種に対して固定化されるか、あるいは固定化されるように適用されたシグナル伝達物質を含む。
本発明の他のキットは、鎖間結合領域を含む細胞表面受容体の一部分に結合することが可能である種および該種に対して固定化されるか、あるいは固定化されるように適用されたシグナル伝達物質を含む。
本発明の他のキットは、物品(粒子である)および少なくとも、細胞増殖を促進する成長因子または変性酵素などの活性リガンドと相互作用する細胞表面受容体の一部分に対応する配列の断片であって、いかなる細胞からも検出され、前記物品に固定されるか、あるいは固定されるように適用される断片を含む。
他の態様では、本発明は一連の方法を提供する。
1つの方法は細胞増殖を促進する成長因子などの活性リガンドと相互作用する細胞表面受容体の一部分であって、活性リガンドおよび該部分と相互作用する細胞表面受容体を十分に含む断片を含むペプチドを準備し、そして、該ペプチドに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を生成することを含む。上記方法により産生する抗体またはその抗原結合断片も記載される。
他の実施態様では、癌を寛解するために有効な量の抗体またはその抗原結合断片を被検者に投与することを含む、MUC1の異常な発現を特徴とする癌を患う患者を治療する方法が記載される。
なおも他の実施態様では、細胞増殖を促進する成長因子などの活性リガンドと相互作用する細胞表面受容体の一部分であって、活性リガンドと相互作用する細胞表面受容体を十分に有する一部分を含むペプチドに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を、被験者に投与することを含む、癌を患うかまたは癌を発症する危険性を有する被検者を治療する方法が記載される。
他の実施態様では、癌を患うかあるいは癌を有すると推定される被検者から得た試料を、細胞表面に発現されたペプチドに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片、または同様な認識物質と接触させ、そして、試料に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片または同族リガンドの量を測定することを含む、癌の病原力および/または転移性可能性を決定する方法が記載される。
なおも他の実施態様では、細胞表面受容体の一部分であって、成長因子または変性酵素などの活性リガンドと相互作用し、細胞増殖を促進する細胞表面受容体を十分に有する一部分を含み、該部分間の自発的結合を阻止するために必要な範囲に細胞表面受容体の鎖間結合領域を有しない細胞表面ペプチドを含むアミノ酸配列をコードする発現ベクターで、宿主細胞を形質移入または形質転換し、そして、該細胞によりペプチドの発現を促進して、その結果、細胞がその表面にペプチドを表示することを含む方法が記載される。
他の実施態様では、細胞表面受容体の部分であって、成長因子または変性酵素などの活性リガンドと相互作用し、細胞増殖を促進する細胞表面受容体を十分に有する一部分を含み、該部分間の自発的結合を阻止するために必要な範囲に細胞表面受容体の鎖間結合領域を有していないペプチドを準備し、そして、該ペプチドをコードする核酸分子を含む発現ベクターを発現させることを含む方法が記載される。上記方法により産生する発現ベクターもまた記載される。
なおも他の実施態様では、細胞表面受容体の一部分であって、成長因子などの活性リガンドと相互作用し、細胞増殖を促進する細胞表面受容体を十分に有する一部分を含み、該部分間の自発的結合を阻止するために必要な範囲に細胞表面受容体の鎖間結合領域を有していないペプチドをその表面に発現する細胞を準備し、該ペプチドと相互作用する活性リガンドの能力に影響を与える候補薬剤および活性リガンドを細胞と接触させ、そして、活性化リガンドとペプチドの相互作用時にリン酸化される細胞内タンパクがリン酸化されるか否かを決定することを含む方法が記載される。
他の実施態様では、MGFRを含むペプチドをその表面に発現する細胞を準備し、MGFRと相互作用する活性リガンドの能力に影響を与える候補薬剤および活性リガンドを細胞と接触させ、そして、細胞内のERK−2がリン酸化されるか否かを決定することを含む方法が記載される。
なおも他の実施態様では、細胞表面受容体への活性リガンドの結合を干渉する能力を有すると推定される薬剤候補が、細胞表面受容体への活性リガンドの結合を干渉するか、および薬剤候補が細胞表面受容体またはリガンドと相互作用するか否かを同時に決定する方法が記載される。
他の実施態様では、生物学的分子が生物学的分子に近接して、第2変性状態にあるときよりも異なった範囲に生物学的分子が第1変性状態にあるとき、生物学的分子に対して固定化されるように配置されているコロイド粒子を準備し、生物学的分子に対するコロイド粒子の固定化を検出することを含む、生物学的分子の変性状態を決定する方法が記載される。
本発明の他の方法は、癌を患うか、あるいは癌を発症する危険性を有する被検者を治療する方法に関し、この方法は被検者に細胞表面受容体の開裂を減少させる物質を投与することを含む。
癌を患うか、あるいは癌を発症する危険性を有する被検者を治療する本発明の他の方法は、細胞表面から細胞表面受容体の鎖間結合領域の開裂を減少させる物質を投与することを含む。
本発明の他の方法は細胞表面からの細胞表面受容体の鎖間結合領域の開裂量を測定し、そして測定工程に基づいて、癌の徴候または癌の可能性を評価することを含む。
本発明の他の方法は被検者から得た試料中の細胞表面受容体の開裂部位を測定し、そして測定工程に基づいて、癌の徴候または癌の可能性を評価することを含む。
本発明の他の方法は細胞表面の開裂部位を測定することに関与する。この方法は細胞を、1つの潜在的な細胞表面受容体の開裂部位に特異的に結合する物質および他の潜在的な細胞表面受容体の開裂部位に特異的に結合する他の物質と接触させることを含む。細胞表面への2つの物質の結合割合は、この方法で比較される。
本発明の他の方法は被検者から得た試料の細胞表面から細胞表面受容体の鎖間結合領域の開裂の第1量を測定することを含む。被検者から得た試料の細胞表面から細胞表面受容体の鎖間結合領域の開裂の第2量もまた測定され、第1量は第2量と比較される。
他の組成物は本発明により提供される抗体またはその抗原結合断片を含む。
他の組成物はMGFRに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。
本発明はまたペプチド種も提供する。本発明の1つのペプチド種は細胞増殖を促進する成長因子などの活性リガンドと相互作用する細胞表面受容体の一部分であって、いかなる細胞からも脱着される部分に対応する配列の断片と親和性タグを少なくとも含む。
他の実施態様では、MGFRに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が記載される。
なおも他の実施態様では、N−末端にPSMGFRを含む単離タンパクまたはペプチドであって、配列番号1、2、3、6、または7に記載されるアミノ酸配列のいずれかも含まない単離タンパクまたはペプチドが記載される。
他の実施態様では、N−末端に配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチドが記載される。
他の実施態様では、N−末端に配列番号64に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチドが記載される。
他の実施態様では、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチドが記載される。
他の実施態様では、配列番号60に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチドが記載される。
他の実施態様では、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチドが記載される。
他の実施態様では、配列番号64に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチドが記載される。
他の実施態様では、配列番号8に記載されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が記載される。
他の実施態様では、配列番号65に記載されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が記載される。
他の実施態様では、配列番号39に記載されるアミノ酸配列の固有領域に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が記載される。
他の実施態様では、配列番号39に記載されるアミノ酸配列のN−末端と第104番のアミノ酸を架橋する領域に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が記載される。
他の一連の実施態様では、試料に本明細書中に記載される抗体またはその抗原結合断片を適用し、試料と抗原結合断片の相互作用を観察し、そして、観察行為中に観察された情報の少なく一部に基づき、癌の存否または癌の病原力を診断することを含む方法が記載される。
他の実施態様では、His−PSMGFRを含む単離タンパクまたはペプチドであって、配列番号1、2、または3に記載されるアミノ酸配列のいずれも含まない単離タンパクまたはペプチドが記載される。
なおも別な実施態様では、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチドが記載される。
本発明はまた、一連の単離核酸分子、該核酸分子を含む発現ベクター、および該発現ベクターまたは核酸分子で形質転換された細胞を提供する。1つの実施態様では、PSMGFRTCをコードする単離核酸分子および機能的変異体およびその断片が記載される。
他の実施態様では、配列番号37に記載されるアミノ酸配列をコードする単離核酸分子および機能的変異体およびその断片が記載される。
なおも他の実施態様では、プロモーターに実施可能的に連結された上記した単離核酸分子のいずれかを含む発現ベクターが記載される。
他の実施態様では、上記した単離核酸分子のいずれかを含む発現ベクターにより形質移入または形質転換した宿主細胞が記載される。
なおも他の実施態様では、高ストリンジェントな条件下で配列番号37に記載される核酸配列にハイブリダイズする単離核酸分子およびその相補体が記載される。
他の実施態様では、プロモーターに実施可能的に連結された上記した単離核酸分子またはその相補体を含む発現ベクターが記載される。
なおも他の実施態様では、上記した単離核酸分子またはその相補体を含む発現ベクターにより形質移入または形質転換された宿主細胞が記載される。
発明の詳細な説明
定義:
「MUC1成長因子受容体」(MGFR)との用語は、細胞増殖を促進する、成長因子などの活性リガンドまたは開裂酵素などの変性酵素と相互作用するMUC1受容体の一部分を意味する機能的定義である。MUC1のMGFR領域は、以下に定義するように、細胞表面に最も近接していて、PSMGFRのほとんどあるいは全てとして定義される細胞外部分である。MGFRは未変性ペプチドおよび例えばリン酸化、グリコシル化などの酵素変性を受けたペプチドの両者を含む。本発明の効果は、細胞からIBRの部分または全ての放出を引き起こす腫瘍形成に関与する部位で、この部分がMUC1開裂時にリガンドに近づけられるというメカニズムと矛盾しない。
「鎖間結合領域」(IBR)との用語は、それぞれの受容体のIBRを経て他のMUC1受容体を凝集(すなわち、自己凝集)する能力をMUC1に与える他のMUC1分子の同じ領域に強く結合するMUC1受容体の部分を意味する機能的定義である。この自己凝集は健康な細胞中に観察されるMUC1受容体のクラスター形成に寄与するであろう。
好ましい実施態様では、IBRはMUC1受容体(配列番号10)の細胞外配列のアミノ酸507〜549、特にこのましくはアミノ酸525〜540および525〜549を含むとして定義される完全長ヒトMUC1受容体の領域内の少なくとも12〜18個のアミノ酸配列または以下により詳細に定義されるその断片、機能的変異体またはその保存的置換体のストレッチとしてほぼ定義されるであろう(番号は、Andrew Spicerら、 J. Biol. Chem. Vol.266, No.23. 1991, 15099-15109頁を参照する;これらのアミノ酸番号はGenbank受託番号P15941の番号1067、1109、1085、1100、1085、1109に対応する;PID G547937、配列番号10)。
「開裂IBR」との用語は、細胞表面に付着して残存する受容体分子セグメントから放出されたIBR(またはその部分)を意味する。放出は酵素によるか、あるいはIBRの他の開裂による。本明細書中に使用されるように、IBRが「細胞の表面に」あるとき、これはIBRが分断あるいは開裂されていない細胞表面受容体の一部分に付着していることを意味する。関心ある開裂されたIBRとは、「疾患関与開裂」、すなわち癌に帰着する開裂型である。
「定常領域」(CR)との用語は、IBRと比率1:1にて存在し、健康細胞および腫瘍形成細胞中の開裂時に分断されるMUC1の部分の一部を形成するMUC1の非繰り返し配列である。
「繰り返し」との用語は、当該分野での通常の意味を有する。
「MUC1成長因子受容体の一次配列」(PSMGFR)との用語は、いくつかの事例ではMGFRのほとんどあるいは全てと定義するペプチド配列、および以下に定義する機能的変異体および該ペプチド配列の断片である。PSMGFRは下記配列番号36として定義され、機能的変異体およびその断片の全ては20個までの整数(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20)のアミノ酸の置換および/またはN−末端および/またはC−末端に20個までの整数のアミノ酸の付加または欠失を有する。上記文中、「機能的変異体または断片」とは、配列番号36のペプチドに特異的に結合、またはそうでなくても特異的に相互作用するリガンドに特異的に結合、またはそうでなくても特異的に相互作用する能力を有し、一方、これらの同じ他のペプチド分子の同じ領域に強く結合しない結果、ペプチド分子が他の同じペプチド分子と凝集(すなわち自己凝集)する能力を有する変異体または断片をよぶ。配列番号36(nat−PSMGFR、「天然」という。)のPSMGFRペプチドの機能的変異体であるPSMGFRの1つの例は、配列番号7(var−PSMGFR、天然の−SRY−(配列表の太字を参照)の代わりに−SPY−配列を含むことによって、nat−PSMGFRと異なる。)である。var−PSMGFRは天然体に比べて、抗体産生などの特定用途で重要である構造安定性を増強するであろう。PSMGFRは未変性ペプチドおよび例えばリン酸化、グリコシル化などの酵素変性を受けたペプチドの両者を含む。ヒスチジン結合PSMGFR(例えば、配列番号2参照)は本明細書中ではHis−PSMGFRと略称する。His−結合ペプチド配列は通常、C−末端に結合される。ある実施態様では、本発明は例えばタンパクまたはペプチドのN−末端にPSMGFRを含むか、あるいはPSMGFRからなる単離タンパクまたはペプチドであって、下記配列番号1、2、3、6または7に記載されるアミノ酸配列のいずれも含まない単離タンパクまたはペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は例えばタンパクまたはペプチドのN−末端にHis−PSMGFRを含むか、あるいはHis−PSMGFRからなる単離タンパクまたはペプチドであって、下記配列番号1,2または3に記載されるアミノ酸配列のいずれも含まない単離タンパクまたはペプチドを提供する。
「MUC1成長因子受容体の伸長配列」(ESMGFR)との用語は、His−var−PSMGFRの全てプラスPSIBRの近位末端の9個のアミノ酸と定義する下記ペプチド配列(配列番号3参照)である。
「MUC1成長因子受容体の腫瘍−特異的伸長配列」(TSEMGFR)との用語は、細胞表面に付着して残存する腫瘍細胞に見出され、PSMGFRと同様な方法で活性リガンドと相互作用することが可能であるMUC1開裂産物を定義するペプチド配列(例えば、実施例として、配列番号66参照)である。
PSIBRはIBRのほとんどあるいは全てを定義する下記ペプチド配列(配列番号8参照)である。
「切断された鎖間結合領域」(TPSIBR)はいくつかの腫瘍細胞の受容体開裂後に細胞表面から放出されるIBRのより小さな部分と定義する下記ペプチド配列(配列番号65参照)である。
PSMGFRTCはN−末端の30個あるいは約30個まで(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個)のアミノ酸を含み、完全長のMUC1受容体の膜貫通および細胞質内配列を含む切断されたMUC1受容体アイソフォームである。本明細書中で使用されるように、ポリペプチドまたは受容体などのより大きな分子内の記載する配列の位置をいう「N−末端に」との用語は、分子のN−末端アミノ酸から30個以下のアミノ酸であるこのような配列をいう。所望により、以下に議論するようにPSMGFRTCならびに他の切断されたMUC1受容体アイソフォームは、通常、長さが20から30個であるアミノ酸のMUC1のN−末端シグナル伝達配列(配列番号47、58または59)、または機能的断片またはその変異体を含むことができる。このような配列は通常、切断されたMUC1受容体アイソフォームをコードする核酸構築物によってコードされ、翻訳され、通常、細胞の細胞膜にて受容体の挿入前あるいは挿入時に開裂される。このようなPSMGFRTC、すなわち、所望のシグナル伝達配列を含む配列は、上記定義による「N−末端に」「PSMGFR配列を有する」ペプチドまたはタンパクであろう。一例はN−末端に(すなわち、もっともN−末端またはその30個のアミノ酸範囲内に)nat−PSMGFR(配列番号36)を有するnat−PSMGFRTC(配列番号37、もっともN−末端に配列番号47、58または59のシグナル伝達ペプチドを有するかあるいは有しない)である。
「分離」との用語は、細胞からの物理的分離、すなわち細胞に対して固定化されたMUC1の一部分がその細胞に対してもはや固定化されていない状況を意味する。例えば、MUC1の一部分の開裂の場合、もしも細胞から自由に遊走し、その後、体液中で検出されるなら、開裂された部分は「分離」されているか、あるいはそれが開裂された細胞から離れた位置に、他の細胞、リンパ節などの位置に固定化されている。
「結合」との用語は、相互親和性または結合能力、通常、特異的または非特異的結合または生物学的、生理学的および/または薬学的相互作用を含む相互作用を示す対応する分子対間の相互作用をいう。生物学的結合はタンパク、核酸、糖タンパク、炭水化物、ホルモンなどを含む分子対間に生じる相互作用のタイプと定義する。具体的な例としては、抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、酵素/阻害剤、酵素/補助因子、結合タンパク/基質、担体タンパク/基質、レクチン/炭水化物、受容体/ホルモン、受容体/作動体、核酸の相補鎖、タンパク/核酸リプレッサー/誘導物質、リガンド/細胞表面受容体、ウイルス/リガンドなどが挙げられる。
「結合パートナー」との用語は、特定分子と結合することができる分子を呼ぶ。生物学的結合パートナーがその例である。例えば、タンパクAは生物学的分子IgGの結合パートナーであり、その逆でもある。
「凝集体(aggregate)」(名詞)との用語は、宿主系に対して補助的な媒介物を有するかあるいは有しないで互いに固定される複数の細胞表面受容体またはその断片(例えば、MUC1)を意味する。これは細胞表面での健康な受容体の自己凝集;互いに結合した開裂受容体または断片の自己凝集;細胞表面に付着した受容体または断片に結合した開裂された受容体または断片;細胞に付着されるかあるいは開裂されるかにかかわらず、宿主に対して補助的な媒介物を介して互いに固定化された受容体または断片を含む。「宿主系に対して補助的な媒介物」とはポリマー、デンドリマーなどの合成種、または天然に存在する種、例えばIgM抗体を含み、宿主系では単に天然に存在しないが、宿主系の外部源から宿主系に添加されるものがある。これは疾患関与凝集(誘導的多量体化」)を引き起こすことができる成長因子などの宿主系に天然に存在する媒介物の結果である凝集を除外する。「凝集する(aggregate)」(動詞)または「凝集(aggregation)」は凝集(aggregate)(名詞)を形成する過程を意味する。
「誘導的多量体化」とは、形成された凝集体が細胞を誘導して成長または増殖させることができる凝集をいう。誘導的多量体化は例えば成長因子または他の活性リガンドによる細胞表面受容体の二量体化または四量体化を通常、含むが、多量体化の程度が特定細胞型で天然受容体クラスター形成を模倣するために非常に大きくない限り、より高い次元の多量体化も含む。これは受容体が細胞にシグナル伝達して成長または増殖させることを阻止する。
「予防的クラスター形成」とは、特定細胞型の天然受容体クラスター形成を模倣する十分な数の受容体に関与する凝集を形成するための受容体の多量体化をいう。これは例えば宿主系に対して補助的な媒介物により、受容体が細胞にシグナル伝達して成長または増殖することを阻止する。
細胞表面受容体への「リガンド」とは、一時的または恒久的にその構造および/または機能を変化させるために、受容体と相互作用することができる物質をいう。その例としては、受容体の結合パートナー(例えば、抗体またはその抗原結合断片)、および受容体の化学的構造を変化させることができる物質(例えば、変性酵素)が挙げられるが、これらに限定されない。
「活性リガンド」とは、細胞にシグナルを伝達する受容体と相互作用することができるリガンドをいう。活性リガンドとしては、受容体に結合可能な1つ以上の活性部位をもつ1つの分子種などの細胞表面受容体の誘導的多量体化を行う種;二量体化、四量体化、より大きい多量体、2価抗体またはその2価抗原結合断片、または複数の分子種を含む複合体が挙げられるが、これらに限定されない。活性リガンドはまた、受容体がシグナルを伝達するような受容体を変性する種を含むことができる。酵素はまた、活性リガンドが受容体を変性して他の活性リガンドに対する新規な認識部位を作るとき、リガンドを活性化している。例えば、グリコシラーゼは炭水化物の添加が受容体に対するリガンドの親和性を増強するとき、リガンドを活性化している。開裂酵素は、例えばリガンドの認識部位をより感受性とすることによって、開裂産物が受容体のより活性な形態であるとき、活性リガンドである。MUC1腫瘍細胞の中で、活性リガンドはMUC1を開裂し、受容体を化学的に変性する種であるか、増殖を刺激する細胞にシグナルを伝達するために、MUC1腫瘍細胞の表面上でMGFRと相互作用する種、例えば誘導的多量体化を行う種である。
「成長因子」は既に同定された成長因子のクラスに入るか、あるいは入らない種であるが、これは活性リガンドとして作用する成長因子として作用する。
「MUC1表示細胞」とは、表面にMUC1および/またはMGFRを発現する非癌細胞および癌細胞の両方をいう。「MUC1腫瘍細胞」または「MUC1癌細胞」または「癌性MUC1細胞」はその表面にMUC1および/またはMGFRを異常に発現する癌性腫瘍細胞をいう。
本明細書中に使用される「コロイド」とは、ナノ粒子、すなわち非常に小さな自己懸濁可能または液体懸濁可能な粒子を意味し、例えば無機または有機、ポリマー、セラミック、半導体、金属(例えば金)、非金属、結晶性、非晶性、またはそれらの組合せである材料から作られたものを含む。一般的には、本発明で使用されるコロイド粒子は、いずれの次元でも250nm以下の断面、より一般的には、100nm以下の断面、ほとんどの場合、約2〜30nmの断面を有する。本発明で使用するのに適したコロイドの1つのクラスは、10〜30nmの断面を有し、他のものは約2〜10nmの断面を有する。本明細書中に使用されるように、この用語は生化学の分野で共通して使用される定義を含む。
本明細書中に使用されるように、別の成分「に対して固定化される」成分は、例えば、他の成分も結合される第3成分に結合されることによって、他の成分に結合されるか、あるいは他の成分に間接的に結合されか、あるいは他の成分に遷移して会合される。例えば、もしもシグナル伝達物質が結合種に結合されるか、結合種が結合されるコロイド粒子に結合されるか、結合種が結合するデンドリマーまたはポリマーに結合されるなら、シグナル伝達物質は結合種に対して固定化されている。もしも第1コロイド粒子の表面に結合された種がある物質に付着し、第2コロイド粒子の表面の種が同じ物質に付着し、この物質が1つの物質、複数の物質の混合物、細胞、別の粒子などであるなら、コロイド粒子は別のコロイド粒子に固定化されている。
「シグナル伝達物質」とは、特定の試料中または特定の位置でその存在を示すことが可能である物質を意味する。本発明のシグナル伝達物質はヒトの肉眼で確認可能であるもの、遊離しては目に見えないが、もしも十分な量(例えば、コロイド粒子)であるならヒトの肉眼で検出可能であるもの、ある濃度またはある波長範囲内で電磁気放射線を吸収または放射する物質であり、その結果、これらは可視的に(肉眼あるいは電子顕微鏡などを含む顕微鏡を使用して)またはスペクトル分析にて容易に検出可能であり、適当な活性化エネルギー(「電子シグナル伝達物質」)に露呈されたとき特徴的な酸化/還元パターンを示すレドックス活性分子などの電気的または電気化学的に検出される物質である。その例としては、染料、顔料、レドックス活性分子などの電気活性物質、蛍光性分子(定義では、リン光分子を含む)、上流制御リン、化学発光物質、電気化学発光物質、または西洋ワサビパーオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む酵素連結シグナル伝達物質が挙げられる。「シグナル伝達物質の前駆物質」はそれ自身でシグナル伝達能力を有していないが、他の種と化学的、電気化学的、電気的、磁気的、または物理的相互作用により、シグナル伝達物質となる。その例としては、別な分子との化学的相互作用時にのみ特定の検出可能な波長範囲内で放射線を放射する能力を有する色原体が挙げられる。シグナル伝達物質の前駆体は本明細書中に使用される「シグナル伝達物質」と区別されるが、この定義に含まれる。
本明細書中に使用されるように、別の種または物品の表面に対する種における「結合されるか、あるいは結合されるように適用される」とは、共有結合による付着、特異的な生物学的結合による付着(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン)、キレート/金属結合などの配位結合などにより、種が化学的または生化学的に結合することを意味する。この内容では、例えば、「結合される」は複数の化学的結合、複数の化学的/生化学的結合などを含み、ポリスチレンビーズ上に合成されたペプチドなどの結合種、ビーズに付着されたタンパクAなどのタンパクに結合された抗体に特異的に生物学的に結合される結合種、GSTまたはファージなどの分子の一部(遺伝子工学により)を形成する結合種、表面に共有結合により結合される結合パートナーに特異的に生物学的に次々に結合されるもの(例えば、GSTの場合、グルタチオン)などが挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、チオールは金に共有結合するから、チオールに共有結合される分子は金表面に結合するように適用される。同様に、金属結合タグをもつ種は、その表面に共有結合された分子をもつ表面に結合されるように適用される(チオール/金結合など)。その分子はまた、金に配位するキレートを示す。もしも表面が特定のヌクレオチド配列をもつなら、種はまた表面に結合されるように適用され、その種は相補的なヌクレオチド配列を含む。
「共有結合により固定化される」とは、1つまたはそれ以上の共有結合以外のなにものでもないものによって固定化されることを意味する。例えば、金表面に順に固定化されるアルキルチオール表示炭水化物に、EDC/NHS化学により共有結合される種は、その表面に共有結合により固定化されている。
「特異的に固定化される」または「特異的に固定化されるように適用される」とは、「固定化されるまたは固定化されるように適用される」との定義に関して上記したように、種が他の種または表面に化学的または生化学的に結合するが、全ての非特異的結合を排除することを意味する。
本発明のある実施態様は、コロイド粒子の表面などの表面上の自己集合単層(SAM)およびSAMで被覆された表面を有するコロイド粒子などの物品を利用する。1組の好ましい実施態様では、合成分子で完全に形成されたSAMは、表面または表面のある領域を完全に覆い、例えば、コロイド粒子の表面を完全に覆う。本文中、「合成分子」とは天然に存在しない分子であって、むしろ、ヒトの指導またはヒトが創造あるいはヒトが関与するコントロールの下に合成されたものを意味する。本文中、「完全に覆う」とはタンパク、抗体またはSAMによる完全で直接的な被覆を阻止する他の種に直接に接触する表面や領域の部分が存在しないことを意味する。すなわち、好ましい実施態様では、とりわけ表面または領域が完全に非天然分子(例えば、合成分子)からなるSAMを含む。SAMは表面で近接して充填されたSAMを形成するSAM−形成種、または分子ワイヤと組み合わせたこれらの種、またはSAM中の電子的情報伝達を促進することができる他の種(SAM中に関与することができる欠損促進種を含む)、あるいはSAM中に関与することが可能な他の種、およびこれらの組合せから完全に作成され得る。好ましくは、SAMに関与する種の全ては金表面に共有結合にて結合されるチオールなど、表面に所望により共有結合により結合する機能性を含む。本発明では、表面上の自己集合単層はいかなる化学的または生化学的機能性をも本質的に表示(露呈)することができる種(例えば、金が表面である場合のチオール種)の混合物からなる。非特異的吸着に抵抗するためには、例えば、トリエチレングリコール末端種(例えば、トリエチレングリコール末端チオール)、および親和性タグの結合パートナーで終結する他の種(例えば、チオール)、例えば、ニッケル原子との複合体では、ヒスチジンタグ結合種などの金属結合タグ種を捕捉するニトリロトリ酢酸などの金属を配位することができるキレートで終結する種が挙げられる。本発明はコロイド表面または他の表面上に提示された化学的または生化学的種の濃度を厳密に制御する方法を提供する。各コロイド粒子上のペプチド密度を厳密に制御しないで、共固定化されたペプチドは互いに容易に凝集して試料中に存在する凝集体形成種がなくても、コロイド−コロイド凝集を触媒するミクロ−疎水性ドメインを形成する。これは既存のコロイド凝集分析を越えた発明の利点である。本発明の多くの実施態様では、自己集合単層は金コロイド粒子上に形成される。
本明細書中に記載されるキットは、上記した種、シグナル伝達物質、生物分子および/または粒子などの化合物を含むことができる1つ以上の容器を含む。キットはまた、化合物を混合、希釈および/または投与するための指示書を含んでいてもよい。キットはまた、1つまたはそれ以上の溶媒、界面活性剤、保存剤および/または希釈剤(例えば、通常の生理食塩水(0.9%NaCl、または5%デキストロース)を入れた他の容器、ならびにこのような治療の必要性から、試料へその成分を混合、希釈するため、または患者へ投与するための容器も含む。
キット中の化合物は液体溶液または乾燥粉末として提供されてもよい。提供される化合物が乾燥粉末である場合、その粉末は適当な溶媒の添加によって再構築されてもよい。これもまた提供される。液体の化合物は濃縮されるか、または即座に使用される。溶媒は化合物および使用または投与モードに従う。適当な溶媒は薬剤化合物において周知であり、文献から入手可能である。
本明細書中に使用される「癌」との用語としては、胆道癌;膀胱癌;膠芽細胞腫および髄芽細胞腫を含む脳癌;乳房腫瘍;子宮頚癌;絨毛癌;大腸癌;子宮体癌;食道癌;胃癌;急性リンパ性白血病、骨髄性白血病を含む血液学的新生物;多発性骨髄腫;AIDS関連白血病および成人T−細胞白血病リンパ腫;ボウエン病およびベージェット病を含む上皮内新生物;肝臓癌;肺癌;ホジキン病およびリンパ球リンパ腫を含むリンパ腫;神経芽細胞腫;扁平上皮細胞腫瘍を含む口腔癌;上皮細胞、間質細胞、胚細胞および間葉細胞から生じたものを含む卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫および骨肉腫を含む肉腫;黒色腫、カポジ肉腫、好塩基性細胞癌、および扁平細胞癌を含む皮膚癌;精上皮腫、非精上皮腫(奇形腫、絨毛癌)、間質性腫瘍および胚細胞腫瘍などの胚の腫瘍を含む精巣癌;甲状腺腺癌および髄様癌を含む甲状腺癌;および腺癌およびウイルムス腫瘍を含む直腸癌が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい癌としては乳房腫瘍、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、および脳癌がある。
本明細書中に記載される「癌治療」との用語は、化学療法、放射線療法、補助剤療法、またはこれらの方法の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。変動してもよい治療態様としては、投与量、投与タイミング、または持続時間または療法が挙げられるが、これらに限定されず、また他の治療と組み合わせても、あるいは組合せなくてもよい。これらはまた、投与量、タイミング、または持続時間において変化してもよい。癌のための他の治療としては外科手術があり、これは単独であるいは前記治療方法のいずれかと組み合わせて使用することができる。医療分野の当業者は適当な治療を決定する。
「癌または腫瘍形成を阻止する物質」とは、本明細書中に記載される癌または腫瘍形成に関与するいずれの方法も妨げる物質を意味する。例えば、MGFRと相互作用する(例えば、結合する)物質は、MGFRとの相互作用によって腫瘍形成を促進する物質のMGFRとの相互作用を低下または阻止する。
本明細書中に使用する「細胞表面受容体の鎖間結合領域の開裂を低下させる物質」とは、その物質の不存在下に生じるMGFRとIBRのN−末端間のMUC1受容体の開裂を阻止または低下させる組成物である。MGFRとIBRのN−末端間の受容体の開裂は、膜関連性あるいは可溶性である酵素、例えば、マトリックスメタロプテアーゼ(MMPおよびMT−MMP)の活性によって生じ得る。これらの酵素のいくつかは開裂に対して直接に反応する。他の酵素は開裂に関連する認識エピトープを遮蔽する糖基またはリン酸塩によりMUC1を変性して、開裂に影響を与える(例えば、特定の位置で開裂を阻止する)。他の酵素は特定位置で開裂の認識モチーフを作り出す糖基またはリン酸塩によりMUC1を変性して、その位置で開裂を促進することができる。他の酵素は他の開裂酵素を活性化して、受容体の開裂を促進することができる。細胞表面受容体IBRの開裂を低下させる物質を選択する1つの方法は、まず、上記したように開裂に影響を与える酵素を同定し、これらの酵素の活性を変化させる能力に関する物質およびその類似体をスクリーニングすることである。他の方法はMUC1の開裂部位を変化させる能力に関する同様な酵素(例えば同じファミリー由来)の活性に影響を与えることが知られている物質を試験し、これらの物質の類似体を同様に試験することである。または、酵素とMUC1受容体を含む無細胞分析で物質をスクリーニングし、開裂の速度または位置を抗体プロービング、ポリメラーゼチェインリアクション(PCR)などによって測定する。または、MUC1に影響を与える酵素を最初に同定しないで、MUC1の開裂部位または開裂速度を変化させる物質の能力に関して、MUC1を表示する細胞に対して該物質をスクリーニングする。例えば、MUC1を表示する全細胞を含む分析で物質をスクリーニングすることができ、細胞上清の凝集能力、MUC1の開裂部分に付着して残存するIBRの量の指標、すなわち、MGFRとIBR間の開裂の程度を測定する。他の技術では、MUC1を表示する全細胞を含む分析で物質をスクリーニングする。上清を除去して残存する細胞を例えばMGFRに対する標識抗体を使用して、MGFR部分の接触性について試験する。物質は分子ライブラリーなどの市販のソースから同定され得るか、または同じ機能的能力を有する公知物質に基づいて合理的に設計され、そして、スクリーニング分析を使用して活性を試験する。
「MUC1受容体の開裂を低下させる物質」とは、いかなる位置でもMUC1受容体の開裂を阻止または低下させる組成物である。このような物質は癌を患うか、あるいは癌を発症する危険性を有する被検者を治療するために使用され得る。もしも開裂が阻止されるなら、そのとき癌に関連する機能的受容体、MGFRの接触性は低下されるか、あるいは阻止される。このような物質は候補薬剤に細胞を露呈し、コントロールに対して、上清中の開裂したMUC1受容体の量を測定することによって選択される。
本明細書中に使用される被検者とは、いかなる哺乳動物(好ましくは、ヒト)、および好ましくは、MUC1の異常な発現に関連する腫瘍形成または癌に対して感受性を有する哺乳動物である。例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、牛、馬、豚、羊、山羊、犬、または猫が挙げられる。一般に本発明はヒトへの使用に向けられている。
本明細書中に使用される試料は、被検者から得た体組織または体液試料である。好ましくは、体液、例えば、リンパ液、唾液、血液、尿、乳および乳房分泌物などである。血液がもっとも好ましい。本明細書中に記載される種々の方法で使用する組織および/または細胞の試料は、パンチバイオプシーおよび細胞擦過を含む組織生検、針生検、および吸引または他の方法による血液または他の体液の収集を含む標準的な方法により得られるが、これらに限定されない。
本発明を実施するために有用である組成物、物品および方法を記載する、以下の特許出願および公開公報;米国特許出願公開番号2003/0036199、国際公開番号02/056022A2、国際特許出願番号PCT/US00/01997(2000年1月25日出願、発明の名称「神経変性疾患における異常タンパク凝集の迅速ならびに高感度検出」、WO00/43791として公表)、国際特許出願番号PCT/US00/01504(2000年1月21日出願、発明の名称「コロイドおよび非コロイド構造を含む分析」、国際公開番号WO00/34783として2000年7月27日に公表)、米国特許出願番号09/631,818(出願日2000年8月3日、発明の名称「タンパク凝集の迅速および高感度検出」)、Bamdatらによる米国仮特許出願番号60/248,865(出願日2000年11月15日、発明の名称「エンドスタチン様脈管形成阻害」)、および米国特許出願(出願日2001年11月15日、同じ発明の名称の出願)は参考として本明細書中に導入される。上記した特許、公開公報および出願のそれぞれは参考として本明細書中に導入される。
本発明はある態様では、薬剤スクリーニングの新規な分子標的、および鎖間結合領域を特徴とするあるクラスの細胞表面受容体の異常な発現を特徴とする癌に関する治療および診断に関与する。癌のうちの1つのセットは、MUC1の異常な発現を特徴とするものである。本発明の説明の多くは、MUC1を異常に発現する細胞に関与する。これらの例では、説明は例として検討されるべきであり、本発明の原理は同様な機構により機能する他の細胞表面受容体にも適用する。本明細書中の記載により、当業者はこの機構または同様な機構により機能する他の細胞表面受容体を容易に同定することができ、そして受容体の異常な発現を特徴とするこれらの癌に本発明を適用することが可能である。本発明はMUC1に代表される自己凝集する領域を有する細胞表面受容体に関与する新規な機構に基づく。これは本発明者らにより実証された。MUC1は本明細書中、以下のように記載されるいくつかの領域を含む。これらの領域は順に細胞表面に最も近い領域から始まり、細胞から離れて進行する。米国特許出願公開番号2003/0036199、国際公開番号02/056022A2、同じ発明者により出願された「先の出願」には、MUC1のある領域が異なって定義された。本発明の定義が取って代わることを理解すべきである。上記した先の出願では、「PSMGFR」との用語は、配列番号7の模範的ペプチド配列に関連している(目下、「var−PSMGFR」と呼ぶ)。上記したPSMGFRの拡大した定義は、本願に適用されるように意図される。MUC1受容体の基本構造は図1に示されている。示された受容体は、1)細胞質末尾、2)膜透過断面、3)MGFR、4)IBR、5)固有領域、6)繰り返し、およびシグナルペプチドを含むN−末端領域を含む。
健康な細胞では、MUC1受容体は細胞表面の1つの部分でクラスター形成する。反対に、MUC1−陽性腫瘍細胞はこの「健康な」クラスター形成を失っていることを特徴とする。本発明は癌以外の状況でMUC1受容体の異常な発現を検出および治療するための使用を予測する。例えば、MUC1受容体は免疫反応および受精には重要な要素である。受精の場合、細胞外ドメインの一部分が開裂して胚移植を誘発することが有益であろう。本発明の方法は受容体開裂を促進または阻害する非癌性状態において使用してもよい。さらに、本発明の方法は受精状態を診断するために使用してもよい。腫瘍細胞では、MUC1受容体はもはやクラスター形成しないが、代わって、全細胞表面上にあるいはいくつかの癌のタイプに通常、分布し、受容体は細胞表面のかなりな部分上に発現する一連のクラスター形成された島を形成する。MUC1受容体のクラスター形成の損失は、腫瘍病原力、転移可能性および患者の最終的結果に関連している。本発明者らは本明細書中でMGFRと呼ばれ、細胞表面に付着して残存するMUC1受容体の開裂産物が成長因子受容体として機能することを示した。受容体のこの部分がリガンドの活性に利用されるとき、細胞増殖が刺激される。受容体のMGFR部分が種々の方法で活性リガンドに接近され得る。例えば、IBRのいくつかあるいは全てを放出する受容体の開裂はMGFRを活性リガンドにより接近させる。完全MUC1受容体の細胞表面発現を低下させる物質は、受容体をクラスターから非常に離れさせ、従って、細胞へシグナルを伝達して増殖させる活性リガンドへのPSMGFRおよびESMGFRの有効性を増加させる。MUC1受容体の発現を本質的に完全に阻止する物質は、良好な治療薬候補であり、本発明の1つの態様により提供される。このような阻害物質の例としては、アンチセンスオリゴおよびRNAまたは阻害RNAが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの事例では、MUC1受容体は開裂して細胞表面からIBRまたはTPSIBRを放出する。または、開裂はMUC1受容体の自己凝集能力を損なうことの原因となるIBRの十分な部分の放出となり得る。MUC1の凝集の損失はいくつかの事態のなりゆきとなるであろう。IBRまたは細胞表面からのIBRの十分な部分の放出は、受容体が細胞表面上に最終的に分布し、細胞質末尾を自由に細胞内シグナル伝達タンパクに結びつける。変性酵素および/または活性リガンドなどの外部物質は、次いで、受容体の残りの細胞外部分に結合することができ、多量体化状態、すなわち誘導性多量体化における変化を経て、あるいは誘導性高次構造変化として疾患関連シグナルを誘導する。当業者に認められるように、成長因子またはホルモンなどのリガンドはしばしば、順に細胞内シグナル伝達カスケードを引き起こす受容体二量体化を誘導する。この機構のさらなる支持は、MUC1腫瘍細胞株およびIBRを欠くMUC1受容体の切断型アイソフォームを発現する形質移入細胞、MGFRに対する2価抗体などの2価リガンドはシグナル伝達を引き起こし、ERK2キナーゼのリン酸化の検出によって示されるように、周知MAP(分裂促進因子活性化タンパク)キナーゼシグナル伝達カスケードにより細胞増殖となることを示すデータに示される。有意にも、このようなリン酸化および増殖は、1本鎖抗体または抗体の1価抗原結合断片などのMGFRへの1価リガンドで処理された同様な細胞では存在しないか、あるいは明白でなかった。
細胞増殖はMGFR部分と相互作用することができる活性リガンドへのMGFR部分の接近となるであろう。例えば、MUC1受容体の自己凝集IBRは成長因子などのリガンドが受容体のMGFR部分と相互作用することを立体的に阻止する高密度な細網を形成する。癌性または腫瘍細胞では、この細網が失われ、リガンドのMGFRとの相互作用を可能とする。
上記機構のモデルは、IBR領域またはTPSIBRの分断後、細胞表面に付着して残存するMUC1受容体の一部分、すなわちMGFRが細胞増殖を引き起こすリガンドにおける受容体として機能する機構と一致している。(a)リガンドと受容体を二量体化するMUC1受容体の一部分(MGFR)間の相互作用は細胞増殖を引き起こし、そして、(b)リガンドによるMUC1受容体のこの部分(MGFR)の相互作用の遮断は細胞増殖を遮断することを証明する証拠もまた本明細書中に示されている。MUC1受容体が全細胞表面にわたって均質に発現する腫瘍細胞株がMUC1受容体のMGFR部分(例えば、PSMGFR)に対する本発明のIgG抗体で処理するとき、細胞増殖の速度は大きく増大する。未処理IgG抗体が2価であるから、すなわち1つの抗体は細胞表面上の2つの隣接するMGFR部分に同時に結合し、これらの結果は、抗体が活性リガンドとして作用し、MGFR部分を二量体化する成長因子の効果を模倣し、そして受容体の細胞質末尾を経てシグナル伝達することと一致する細胞増殖シグナル伝達を引き起こすことを証明する。これはさらに、細胞表面上の2つの隣接するMGFR部分の二量体化がMAPキナーゼ細胞増殖シグナル伝達を示すERK−2リン酸化を誘導することを示す以下の実験によって支持されている(例えば、図15参照)。この発見は2つの結論につながる。まず、MUC1受容体のMGFR部分に結合する活性リガンドは、受容体の誘導的多量体化を生じる。第2に、効果的な治療戦略は、したがって単量体の組成物で受容体のMGFR部分を遮断することであり、誘導的多量体化および続いてのシグナル伝達カスケードを阻止する。例えば、MUC1受容体のMGFR部分に対して生じた(例えば、PSMGFRに対して、あるいはN−末端にPSMGFR配列を含むペプチドに対して生じた)1本鎖、または1価抗体、または未処理2価抗体の1価断片は、効果的な抗癌治療剤として機能するであろう(以下の抗体およびその抗原結合断片についての議論を参照)。この議論を支持するデータおよび例は、以下に示される。他の治療戦略はあるリガンド結合において必要とされる受容体を変性する酵素活性を遮断することである。
本発明者らは、MUC1受容体の二量体化がT47D乳房腫瘍細胞の細胞成長を引き起こした証拠を示す。二量体化はMGFRへのIgG抗体を生じることによって達成され、IgG抗体が2価であり、従って、細胞表面に対して近位にあるMUC1受容体の一部分を二量体化できることを思い出させる。使用されたMUC1受容体の一部分はMGFRであり、抗体を生成するために使用したペプチド配列は配列番号7(var−PSMGFR)であった。本明細書中には、MUC1受容体の二量体化が多くのMUC1腫瘍細胞株の細胞増殖を引き起こすとの前提を支持するが、MUC1受容体を発現しないか、あるいは最小に発現する細胞上では実質的には効果を示さない、さらなる実験結果が示されている。MUC1乳房腫瘍細胞、T47D、1500、1504およびBT−474が下記実施例5に記載するように、ATCCから入手した。コントロールとして、MUC1−乳房腫瘍細胞、MD−MB453、HEK(ヒト胚性腎臓)細胞株K293およびHeLaもまた、下記実施例5に記載するようにATCCから入手した。下記実施例5に記載するようにウェスタンブロット分析は、T47D、1500および1504細胞の全てが高濃度の開裂ならびに未開裂MUC1を発現し、コントロール細胞は発現しなかったことを確認した。我々の分析は細胞株BT−474が検出可能な濃度の未開裂MUC1を発現しなかったが、中間的な量の開裂MUC1を発現したことを示した。
下記実施例8に記載されるように、市販の抗体製造会社(Zymed、CA)のPSMGFR(var−PSMGFR−配列番号7)から誘導された配列をもつ合成ペプチドに対してウサギポリクローナル抗体を産生した。ウサギを免疫するために使用した同じペプチドで誘導体化したカラム上で親和性クロマトグラフィーにより、得られた抗体を精製した。得られた抗体がMUC1受容体のMGFRを認識したことを確認するために、その抗体をウェスタンブロットの同族プローブとして使用した。実施例5参照。ここで、MUC1陽性およびMUC1陰性細胞株から得た免疫ペプチドおよびタンパク調製物の試料を15%ポリアクリルアミドゲル上に流した。(二量体化できる)2価抗体を、MUC1受容体を発現する乳房腫瘍細胞株のパネルに発現しなかったコントロール細胞株とともに添加した。抗体の添加はMUC1受容体を発現した細胞でのみ細胞増殖を刺激した。2価抗−PSMGFR抗体で5日あるいは6日間処理した1504乳房腫瘍細胞は細胞成長の400%〜600%の増強を起こした。図6および実施例11参照。なおも、図6を参照すると、コントロール細胞K293とHelaは同じ用量の同じ抗体、抗−PSMGFRによって影響されなかった。増殖増強曲線は抗体が受容体を二量体化することを論じる。2つの受容体に結合された1つの2価抗体よりもむしろ単一の抗体に受容体それぞれが結合するから、非常に高い抗体濃度で細胞成長の速度が減少する。図7は乳房腫瘍細胞株1500から得た細胞が3日間の2価抗−PSMGFRによる処理後、細胞増殖の200%増強を起こしたことを示す。2価抗−PSMGFR処理が4日に延びたとき、細胞増殖の増強パーセントは300%にまで増加した。図8参照。T47D細胞株から得た乳房腫瘍細胞について細胞増殖を引き起こす2価抗−PSMGFR抗体の能力を試験した。図9は1500および1504細胞株と同様に、これらの細胞もまた、細胞成長の約125%増強を起こしたことを示す。この反応は抗体濃度に依存していた。乳房腫瘍細胞株BT−474は2価抗−PSMGFRへの反応において細胞成長の同様な刺激(150〜200%)を示した。図10参照。MUC1−細胞株MDA−MB−453はいかなる濃度でも抗−PSMGFRを添加しても影響されなかった(データは示されず)。
1価型の抗−PSMGFR断片はMUC1陽性腫瘍細胞において細胞成長を阻止する。既に記載したように、MUC1腫瘍細胞はMUC1受容体が二量体化されたとき、増殖することを誘導される。特に、増殖するシグナルは細胞表面に近いMUC1受容体の一部分が二量体化されるとき発生する。上記したように、受容体が二量体化される1つの道は、MUC1受容体に対して産生された2価抗体を経ている。好ましい実施態様では、抗体はMGFRに対して産生され、なおも好ましい態様では、PSMGFRの少なくとも一部分に対して産生される。上記ならびに下記に示すように、二量体よりもむしろ単量体型のMUC1受容体のMGFR部分に結合する物質は、受容体の二量体化を阻止することができ、そのようにして細胞増殖を阻害する。以下の議論でMUC1受容体のMGFR部分への結合によってMUC1腫瘍細胞の成長を阻害する数種の化合物を述べる。
上記したように、MUC1受容体の二量体化を阻止する物質を提供する他の方法は、MUC1受容体に対して産生された1価抗体または抗体の1価抗原結合断片を生成することである。MUC1受容体に対して産生された1価抗体/断片はMUC1陽性癌における優れた治療剤となるであろう。細胞表面に近い受容体の部分を標的とする1価抗体/断片が好ましい。繰り返し部分の始まりのC−末端であるMUC1受容体の一部分に結合する1価抗体/断片が特に好ましい。MUC1受容体の固有領域への受容体C−末端の一部分を標的とする1価抗体/断片がなおもより好ましく、PSMGFR配列に対して産生された1価抗体/断片がさらにより好ましい。
抗体産生に使用されたペプチドは動物を免疫する前にグリコシル化されていてもよく、あるいはされていなくてもよい。これらのペプチドの配列はそれが一般的な固体群中に存在するようにMUC1受容体の配列を正確に反映する必要はない。例えば、本発明者らは「−SPY−」モチーフを有するPSMGFRペプチド変異体、var−PSMGFR(配列番号7)に対して産生された抗体が、「−SRY−」モチーフを有する現実の未変性配列(すなわち、nat−PSMGFR、配列番号36)に対して産生された抗体よりもMUC1タンパクに対してより高い親和性と大きな特異性を有することを観察した。また、ある実施態様ではPSMGFRペプチド配列中に変異を導入して、抗体産生を増強するより強固なペプチドを産生する。例えば、配列番号7のvar−PMGFRにおいてRからPへの変異が現実にはより強固なペプチドを与え、したがって免疫原性であった。IBRまたはTPSIBRなどの特に免疫原性でないペプチドの領域に対する抗体を産生する他の方法は、アミノ酸がD−体である無関係な配列を特定ペプチド配列につけて、宿主動物の免疫反応を刺激するように作用することである。抗体産生において動物を免疫するために使用されるペプチド配列もまた、グリコシル化されていてもよい。薬剤スクリーニングに使用され、かつ、同族抗体を生成したMUC1ペプチド配列はヒト種のMUC1から誘導された。PSMGFRおよびIBRおよびURのいくつかの部分において種を越えてかなりの保存が存在するから、その配列が他の種から誘導されるMUC1ペプチドも薬剤スクリーニングおよびこれらの同じ目的の抗体を生成するために使用され得ることが予測される。本発明はまた、ある実施態様では、二重特異性抗体の生成およびこれによって形成された二重特異性抗体に関する。当業者は2価抗体の各認識断片が異なっているが、本質的に同じ抗原の近接部位に結合する抗体を生成する方法に精通している。
以下により詳細に記載するように、癌治療薬剤として使用される上記MUC1の1価抗体/断片は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であり、多くの異なった動物種、すなわち兎、山羊などを免疫して得られる。さらに、ハイブリドーマ細胞を生成する技術が当業者にとって公知であり、これは、次いで成長させ収集されて、繰り返し動物を免疫する必要がなく抗体の供給をもたらす。あるいは、以下により詳細に記載するようにMUC1受容体のこれらの部分を標的とするヒト化1価抗体/断片は、患者の免疫反応をあまり利用しそうにない効果的な抗癌剤として使用してもよい。本発明の方法もまた、動物免疫に関与しない抗体およびFab産生における組換え方法を包含する。
以下に説明するように、1価抗体および抗体の1価抗原結合断片を生成する方法は当業者には公知である。標準的方法は2価抗体の制御されたタンパク分解である。本発明者らは本発明の2価抗−PSMGFRをタンパク分解によって1価PSMGFR−特異性抗体断片を生成した。1価抗−PSMGFRはMUC1受容体のMGFR部分内の同じ結合部位に対する2価抗−PSMGFR抗体と競合する。
本発明は、ある実施態様では細胞表面に近いMUC1受容体の一部分に対する1価抗体/断片がいかにしてMUC1腫瘍細胞の成長を阻害するかを詳しく述べる。MUC1受容体のPSMGFR部分を標的とした1価抗体/断片は2価抗−PSMGFR抗体をタンパク分解して産生された。これはおそらくMUC1受容体を二量体化して、細胞成長を誘導するようであった。したがって、この抗体の1価型はMGFR部分に結合して細胞増殖を遮断し、同族リガンドの結合および/または二量体化を阻止するであろう。
本明細書中に、我々はPSMGFRを標的とする1価抗体断片が、実際にMUC1陽性腫瘍細胞の成長を阻害し、実質的にはコントロール細胞株への影響がないことを実証する実験結果を提供する。図6を参照して、2価抗−PSMGFRの添加が細胞成長の600%増強を誘導したことに注目したい。実施例11に記載される方法では、図11がMUC1陽性乳房腫瘍細胞1504へ同じ抗−PSMGFRの1価型を添加すると、約150%まで阻害された細胞成長と誘導された細胞死を示すという反対の効果を示した。1価抗−PSMGFRの添加は、MUC1でもある乳房腫瘍細胞株1500において同様の効果を示した。図12参照
1価抗−PSMGFRはインビトロ薬剤スクリーニングを確証する。以下に詳細に記載するように、これはナノ粒子へ腫瘍細胞可溶化物を添加して生じるPSMGFR−免疫ナノ粒子の色変化を阻害する。1価抗体/断片もまた、インビトロでPSMGFRペプチドの二量体化を阻害することができることに注目すべきである。MUC1受容体のMGFR部分の二量体化を阻害する化合物を同定するナノ粒子型薬剤スクリーニング分析は、本明細書中に、およびともに所有する米国特許公開公報2003/0036199、および国際公開公報02/056022A2に記載されている。これらの分析では、ヒスチジン付加PSMGFRペプチド(例えば、配列番号2)をNTA−Ni++−SAM−被覆金ナノ粒子上に固定化した。おそらくMUC1受容体の同族リガンドを含むMUC1陽性腫瘍細胞から得た可溶化物および上清をナオ粒子に添加した。可溶化物/上清混合物の添加時に、おそらく同族リガンドが2つの異なったナノ粒子上でMUC1受容体ペプチドを二量体化するとき、ナノ粒子溶液の色は特徴的なピンクから青に変わる。2価抗体も異なったナオ粒子上で2つのPSMGFRペプチドを二量体化するから、可溶化物/上清溶液に代えて、2価抗−PSMGFR抗体を添加すると、ナノ粒子溶液をピンクから青へ変化させる。しかしながら、可溶化物/上清も添加する薬剤スクリーニング分析への1価抗−PSMGFRの添加は、おそらくPSMGFRペプチドへ結合する天然同族リガンドと競合して、色変化を阻害する。図13は、2価抗−PSMGFRの添加時に生じる特徴的なナノ粒子の色変化は1価抗−PSMGFRの添加時に阻害されたことを示す。
本発明の結果はまた、MUC1受容体がアポトーシスに関与していることを示唆する。1価抗−PSMGFRの添加は細胞成長を阻害するのみならず、細胞死をも誘導する。これはMUC1受容体もまた、アポトーシスとして公知であるプログラム化された細胞死の過程に関与するシグナル伝達経路を仲介することを示す。
現在の癌研究文献は、細胞により産生されたMUC1受容体の全量が転移可能性または腫瘍病原力に関連しているか否かについて混乱した状況を呈している。本明細書中に記載される結果は、MUC1陽性癌における細胞成長の重要な機構は、発現されたMUC1受容体の全量よりもむしろ生じるMUC1開裂の量により依存しているとの考えを支持する。約20〜30kDのみかけ分子量(いくらかがグリコシル化されている)を有するアクリルアミドゲル上を移動する低分子量の種は、MUC1−陽性腫瘍細胞中に存在するが、非腫瘍MUC1細胞では検出されるべき十分な数にて存在していない。本発明者らは腫瘍細胞中にMUC1受容体の2つの開裂部位を確認した。第1の開裂部位はIBRの中間に生じ、我々の証拠がより腫瘍形態であると示す第2の開裂部位はIBRのC−末端に生じる。第1の開裂部位はTPSIBR(配列番号8)のN−末端に位置し、第2の開裂部位は配列番号60を有するnat−PSMGFRのN−末端に位置する。開裂が第1部位で生じるとき、細胞表面に付着して残存する受容体の一部分はTSESMGFR(配列番号66を参照。天然SRY配列を有する。)に類似している。第2部位で開裂が生じるとき、残存部分は配列番号63に示されるようにPSMGFRである。この低分子量の腫瘍特異性である種は、本質的に天然PSMGFR配列からなり、ある事例ではTSESMGFR配列からなり、同族リガンドとして有用であり、すなわち細胞によって発現されたMUC1受容体の全量よりも自己凝集しない。この結論を支持して、本明細書の本文中では増殖する腫瘍細胞の感受性はMUC1受容体のより短い形態の量の関数であると判断された。
試験された各細胞型によって産生された低分子量のMUC1種の量を定量化する、ウェスタンブロット分析により得られた本発明の結果と上記した細胞増殖データとの比較は、抗体−誘導細胞成長に対する乳房腫瘍細胞の感受性が、細胞が産生する低分子量MUC1種(25〜30Kdグリコシル化、19〜20Kd非グリコシル化)の量に比例することを示す。図14を参照すると、乳房腫瘍細胞株1500および1504はBT−474BT細胞またはコントロールK293およびHeLa細胞よりも19〜20Kdで走行する、かなり多量のMUC1開裂産物を産生する。対応して、細胞株1500および1504の増殖中に増加を誘導した抗−PSMGFRは、それぞれ約400%以下(図8)および約600%以下(図6)であった。一方、コントロール細胞(図6)では細胞成長の割合において検出される増加はなく、BT−474細胞の成長はたった約200%以下に増加した。図10参照。
MUC1受容体の開裂産物が腫瘍細胞中で成長因子受容体として機能するとの結論をさらに支持するために、PSMGFR(配列番号7)の後ろか、あるいは全体的鎖間結合領域(PSIBR)(配列番号38)の後ろで終結するMUC1変異体をHEK細胞に形質移入した。PSIBRを含む受容体を形質移入された細胞は、PSMGFR(例えば、配列番号37)の後ろで終結するMUC1変異体を形質移入された細胞よりもゆっくりと、速度4〜6倍で成長した。これらの結果は、成長因子受容体として作用するMUC1受容体の一部分が、多くまたは全てのIBRが細胞表面から放出される開裂産物であるとの結論を支持する。さらに、これらの結果は多くの割合のMUC1受容体が開裂されてTPSIBR(配列番号65)を放出する腫瘍が特に攻撃性癌であり、細胞表面に付着したPSMGFR(配列番号63)を残して全体IBRを放出するように開裂されたものは、さらにより攻撃的であるとの結論を支持する。したがって、MUC1受容体のTPSIBR(配列番号65)部分に対して生じた抗体は、MUC1−陽性である癌の病原力を評価するために使用され得る。
これらの知見と一致して、細胞(組織)上に接近するMGFRの量は腫瘍の病原力と転移可能性を予想する。したがって、受容体のMGFR部分を認識する抗体は癌または癌を発症する性向を診断するか、癌の病原力および転移可能性を予測し、治療プロトコールを示唆し、そして治療プロトコールの進行を追跡するために使用され得る。
その結果、腫瘍細胞の病原力または転移可能性は細胞が産生する低分子量MUC1種の量を測定することによって評価され得る。これは例えば、受容体のMGFR部分に対して生じる抗体またはその抗原結合断片を使用するSDS−PAGE分析またはウェスタンブロット分析によって測定することができる。ある実施態様では、ナノ粒子またはコロイドである担体に抗体/断片が付着される、本明細書に記載される本発明のコロイド分析技術が使用される。好ましい実施態様では、患者細胞がMGFRに対して産生された抗体またはその抗原結合断片を使用して探索される。この方法は重要なことには、同族リガンドに接近するか否かにかかわらず、細胞表面に付着されて残存するMGFR−含有MUC1の量を明らかにする。なおも好ましい実施態様では、患者の細胞がPSMGFRに対して産生された抗体またはその抗原結合断片を使用して探索される。実際には、PSMGFRまたはその一部分を認識する抗体またはその抗原結合断片と反応する高度のMUC1受容体を呈示する細胞は、これらの細胞上に存在するMUC1受容体が大きな程度の開裂を受けて、細胞成長経路を活性化する同族リガンドにPSMGFR部分を接近させる徴候である。このような特徴的細胞からなる腫瘍はより高い転移可能性を有し、および/またはより攻撃的である。したがって、PSMGFRまたはその部分を認識する抗体またはその抗原結合断片を使用することは、患者腫瘍の転移可能性または病原力を診断するために使用され得る。
ある態様では、本発明は抗体またはその抗原結合断片を提供する。1つの実施態様では、本発明はMGFRに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。ある実施態様では、このような抗体またはその抗原結合断片は2価であり、他の実施態様では、1価である。ある実施態様では、上記した抗体またはその抗原結合断片はPSMGFRに特異的に結合する。このような実施態様では、抗体またはその抗原結合断片は配列番号36に記載されるアミノ酸配列またはN−末端に15個以下のアミノ酸の付加または欠失を有するか、あるいは20個以下のアミノ酸の置換を有する機能的変異体またはその断片に特異的に結合する。他の実施態様では、これは配列番号36に記載されるアミノ酸配列または10個以下のアミノ酸の置換を有する機能的変異体またはその断片に特異的に結合する。他の実施態様では、抗体またはその抗原結合断片は配列番号36に記載されるアミノ酸配列または5個以下のアミノ酸の置換を有する機能的変異体またはその断片に特異的に結合する。なおも他の実施態様では、抗体またはその抗原結合断片は配列番号36に記載されるアミノ酸配列に特異的に結合する。ある実施態様では、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、ヒト、ヒト化、異種間またはキメラヒト−非ヒト抗体またはその抗原結合断片である。ある実施態様では、本発明の抗体またはその抗原結合断片は未処理抗体または未処理1本鎖抗体を含む。ある実施態様では、1価である抗体またはその抗原結合断片では、それらは1本鎖Fv断片、Fab'断片、Fab断片またはFd断片を含む。2価である本発明の抗体またはその抗原結合断片では、ある実施態様はF(ab')である抗原結合断片を含む。
本発明はまた、ある実施態様では1成分として本発明の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物を提供する。ある実施態様では、このような組成物は薬学的組成物を含み、さらに薬学的に許容される担体を含む。このような組成物では、抗体またはその抗原結合断片はポリクローナル抗体であり、他の実施態様では、モノクローナル抗体である。
本発明はまた、ある実施態様では上記した本発明の抗体またはその抗原結合断片のいずれかを含む種々のキットを提供する。ある実施態様では、このようなキットはまた表面を有する物品を提供する。このような実施態様では、抗体またはその抗原結合断片は物品の表面に固定化されるか、あるいは固定化されるように適用され得る。ある実施態様では、物品は粒子を含む。このような実施態様では、キットはさらに第2粒子と、細胞表面受容体の鎖間結合領域の分断後、細胞表面に付着して残存する細胞表面受容体の一部分を含むペプチド配列を含む。このペプチド配列は細胞から脱着されて、第2粒子に固定化されるか、あるいは固定化されるように適用される。ある実施態様では、キットはさらに、抗体またはその抗原結合断片の存在下に、他の同じペプチド配列および/または抗体またはその抗原結合断片に結合するペプチド配列の能力に影響を与える候補薬剤を含む。提供されるペプチド配列はある実施態様ではMGFRを含むことができる。粒子を含む上記したキットのうちのいくつかでは、キットはさらに細胞表面受容体の鎖間結合領域の分断後、細胞表面に付着して残存する細胞表面受容体の一部分を含み、このようなペプチド配列はいかなる細胞からも脱着し、粒子に固定化されるか、あるいは固定化されるように適用される。上記キットは、ある実施態様ではさらに第2粒子を含み、第2粒子に固定化されるか、あるいは固定化されるように適用される上記したペプチド配列を有する。上記キットは、本発明の内容では、種々の診断、薬剤スクリーニングおよび他の分析を実施するために有用である。これらは本明細書中に詳細に記載されるように、コロイド−コロイド相互作用および/または凝集に関与する。
本発明はまた、ある実施態様では、あるペプチド、例えば、本明細書中に記載される本発明のペプチドに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を産生または生成する方法に関与する。1つの特定実施態様では、抗体またはその抗原結合断片が細胞増殖を促進する成長因子などの活性リガンドと相互作用する細胞表面受容体の一部分を含むペプチドに対して生成される。このような部分は活性リガンドと相互作用する細胞表面受容体を十分に含み、このような部分間の自発的な結合を阻止するために必要な範囲に、鎖間結合領域を含まない。このような方法では、細胞表面受容体はMUC1を含み、他の実施態様ではMGFRを含み、なおも他の実施態様ではペプチドはそのN−末端にPSMGFRを含み、なおも他の実施態様ではペプチドはそのN−末端に配列番号36に記載されるアミノ酸配列またはそのN−末端に15個以下のアミノ酸の付加または欠失および20個以下のアミノ酸の置換を含む機能的誘導体またはその断片を含む。本発明の抗体またはその抗原結合断片を産生するある実施態様では、抗体またはその抗原結合断片はPSMGFRに対して生成される。このような実施態様では、抗体またはその抗原結合断片を生成するために使用されるこのようなペプチドは配列番号36または37に記載されるアミノ酸配列またはN−末端に15個以下のアミノ酸の付加または欠失を含み、かつ、20個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片からなる。
なおも他の実施態様では、本発明は癌または治療を要する他の症状を示す被検者を本発明の1つまたはそれ以上の抗体またはその抗原結合断片で治療する方法を提供する1つのこのような実施態様では、本発明はMUC1の異常な発現を特徴とする癌を患う被検者を治療する方法を提供する。この方法は癌を寛解するために有効な量の抗体またはその抗原結合断片を被験者に投与することを含む。このような実施態様では腫瘍成長を低下させるために有効な量の抗体またはその抗原結合断片を投与する。ある実施態様では、上記抗体またはその抗原結合断片のいずれか、特にMGFR、PSMGFRなどに特異的に結合するものが使用され得る。ある好ましい実施態様では、MUC1受容体の鎖間結合領域の分断後、細胞に付着して残存するMUC1受容体の一部分、例えばMGFRと天然リガンドの相互作用を遮断するために有効な量の抗体またはその抗原結合断片を投与する。他の実施態様では、この方法はMUC1受容体の鎖間結合領域の分断を低下させるために有効である抗体またはその抗原結合断片を投与することに関与する。この方法の多くのこのような実施態様、特に抗体またはその抗原結合断片がMGFRに特異的に結合するものでは、このような治療方法は異常に開裂したMUC1などの癌関連成長因子受容体の誘導的二量体化を阻止するために有効な量の抗体またはその抗原結合断片を被検者に投与することに関与する。
本発明によるなおも他の方法では、上記抗体またはその抗原結合断片を癌の病原力および/または転移可能性を決定する方法に使用することができる。1つのこのような方法では、癌を患うか、あるいは癌が疑われる被検者から得た試料を細胞表面に発現された癌に関連するペプチドに特異的に結合する本発明の抗体またはその抗原結合断片と接触させる。この方法は試料に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の量を測定することに関与する。このような量は癌の病原力および/または転移可能性の徴候である。このような実施態様では、使用される試料は被検者の細胞および/またはその可溶化された可溶化物を含む。このような実施態様では、細胞表面に発現したペプチドは細胞増殖を促進する成長因子などの活性リガンドと相互作用する細胞表面受容体の一部分を含むことができる。ここで、一部分とは活性リガンドと相互作用する細胞表面受容体を十分に含み、部分間の自発的結合を阻止するために必要な範囲にいかなる鎖間結合領域をも含んでいない。このような実施態様では、細胞表面受容体はMUC1であり、ペプチドはMGFRまたはN−末端にPSMGFRを含むペプチドである。このような方法のある好ましい実施態様では、抗体またはその抗原結合断片は、先に記載したシグナル伝達物質のいずれかなど、シグナル伝達物質に対して固定化されているか、あるいは固定化されるように適用され得る。このような実施態様では、シグナル伝達物質はコロイド粒子などの1つまたはそれ以上の粒子を含むことができる。
従って、本発明は例えばPSMGFRおよび/またはMGFRに選択的に結合する能力を有する抗体または抗体の断片であるペプチド結合物質を包含する。抗体は従来の方法により調製されるポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む。
有意にも、当該技術分野で周知であるように、抗体分子の小さな部分、パラトープのみがそのエピトープへの抗体の結合に関与している(一般的に、Clark, W.R.(1986) The experimental Foundation of Modern Immunology Wiley & Sons, Inc. New York; Roitt, I. (1991) Essential Immunology, 7th Ed. Blackwell Scientific Publications, Oxford)。例えば、pFc'およびFc領域は補体カスケードの作動体であるが、抗原結合に関与していない。pFc'領域が酵素により開裂されるか、またはF(ab')断片と命名されるpFc'領域がなくても産生されている抗体は、未処理抗体の抗原結合部位の両者を保持する。同様に、Fc領域が酵素により開裂されるか、あるいはFab断片と命名されるFc領域なしで産生される抗体は、未処理抗体分子の抗原結合部位の1つを保持し、本発明の1価抗体断片の1つを含む。さらに進んで、Fab断片とは、共有結合された抗体軽鎖とFdを意味する抗体重鎖の一部分からなる。Fd断片は抗体特異性の主要な決定基であり(1本のFd断片は抗体特異性を変化させないで、10以下の異なった軽鎖と会合してもよく)、そして、Fd断片は分離してもエピトープ−結合能力を保持している。したがって、本発明のある実施態様では1価抗体断片はFd断片であってもよい。
当該技術分野で周知であるように、抗体の抗原結合部分内には、抗原のエピトープと直接に相互作用する相補性決定領域(CDR)と、パラトープの三次元構造を維持する枠組み領域(FR)が存在する(一般に、Clark, 1986; Roitt, 1991参照)。IgG免疫グロブリンの重鎖Fd断片と軽鎖の両方に、3つの相補性決定領域(CDR1〜CDR3)によってそれぞれ分離された4つの枠組み領域(FR1〜FR4)が存在する。CDR、特にCDR3領域、さらに特に重鎖CDR3が大いに抗体特異性の原因となる。
当該技術分野で今や周知であるように、哺乳動物抗体の非CDR領域は本来の抗体のエピトープ特異性を残存したまま、同種または異種の特異性抗体の同様な領域で置換してもよい。これは非ヒトCDRが機能的な抗体を産生するためにヒトFRおよび/またはFc/pFc'領域に共有結合される「ヒト化」抗体の開発と使用に最も明白に示されている。例えば、米国特許第4,816,567、5,225,539、5,585,089、5,693,762および5,859,205参照。このような抗体またはその断片は本発明の範囲内にある。
ある実施態様では、完全なヒトモノクローナル抗体もまた、ヒト免疫グロブリンの重鎖部位と軽鎖部位の大部分を遺伝子組み換えしたマウスを免疫して調製することが可能である。これらのマウス(例えばXenoMouse(Abgenix)、HuMAbマウス(Medarex/GenPharm))の免疫に続いて、モノクローナル抗体は標準的なハイブリドーマ技術によって調製され得る。これらのモノクローナル抗体はヒト免疫グロブリンアミノ酸配列を有し、従って、ヒトに投与されたとき、ヒト抗−マウス抗体(HAMA)を引き起こさないであろう。
ある実施態様では、本発明はキメラ抗体、ヒト化抗体、1本鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、二重特異性抗体、融合抗体、標識抗体またはこれらのいずれかの類似体を産生する工程のいずれかを含む、本発明の抗体またはその抗原結合断片を産生する方法を含む。対応する方法は当業者には公知であり、例えば、Harlow および Lane 「抗体、研究室マニュアル」、CSH Press, Cold Spring Harbor, 1988に記載される。キメラ抗体の産生は例えば、WO89/09622に記載される。ヒト化抗体の産生方法は例えば、EP−A10239400およびWO90/07861に記載される。本発明において使用されるべき抗体のさらなる起源は、いわゆる異種間抗体である。マウスにおけるヒト抗体などの異種間抗体の産生に関する一般的な原則は、例えば、WO91/10741,WO96/34096およびWO96/33735に記載される。以下に記載するように、本発明の抗体は種々の形態で存在する(未処理抗体のほかに、例えば、Fv、FabおよびF(ab')などの抗原結合断片、ならびに1本鎖(すなわち、1本鎖抗体)を含む)。WO88/09344参照。
すなわち、当業者には明白であるように、本発明はまた、ある実施態様ではF(ab')、Fab、FvおよびFd断片;Fcおよび/またはFRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同性ヒトまたは非ヒト配列によって置換されたキメラ抗体;FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同性ヒトまたは非ヒト配列によって置換されたキメラF(ab')断片抗体;FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同性ヒトまたは非ヒト配列によって置換されたキメラFab断片抗体;FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2領域が相同性ヒトまたは非ヒト配列によって置換されたキメラFd断片抗体を提供する。本発明はまた、いわゆる1本鎖抗体も含む。
さらに、本発明はある実施態様では、上記した抗体または本発明の抗原結合断片またはその化学的誘導体を含む組成物に関する。本発明の組成物はさらに、薬学的に許容される担体を含んでいてもよい。「化学的誘導体」との用語は、通常、基礎分子の一部分でない付加的な化学的部分を含む分子をいう。このような部分は基礎分子の溶解性、半減期、吸収などを改良するか、またはこの部分は基礎分子の望ましくない副作用を弱毒化させるか、あるいは基礎分子の毒性を減少させる。このような部分の例として、Remington's Pharmaceuticals Scienceなどの種々のテキストに記載されている。好適な薬学的担体は当該分野で周知であり、リン酸塩緩衝化生理食塩水、水、油/水乳化液などの乳化液、種々の湿潤剤、無菌水などが挙げられる。このような担体を含む組成物は周知の従来方法によって調製することができる。これらの薬学的組成物は適当な用量で被検者に投与され得る。好適な組成物の投与は、種々の方法で、例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所的または内皮投与によって行う。スプレー式点鼻薬などのエアロゾル薬は、保存剤や等張剤とともに活性薬剤の精製水溶液または他の溶液を含む。このような製剤は例えば、鼻内投与には、好ましくは鼻粘膜と適合するpHおよび等張状態に調整される。直腸または膣内投与製剤は好適な担体とともに坐薬として提供される。
治療的に有効な用量とは、癌または他の治療される疾患の症状または状態を寛解する本発明の抗体および/または抗原結合断片の量をいう。このような組成物の治療的効果および毒性は細胞培養または実験動物における標準的薬学的手法、例えば、ED50(集団の50%において治療的効果がある用量)およびLD(集団の50%の致死量)によって決定され得る。治療効果と毒性効果の用量比は治療指標であり、それはLD50/ED50の比として表わされ得る。
本発明の抗体および/またはその抗原結合断片の生物学的活性は、それらが適当な表面構造、例えばMGFRを発現する細胞への薬剤局在化における候補とするに十分な親和性を有することを示す。したがって、本発明の抗体および/またはその抗原結合断片の細胞への標的化および結合が治療的または診断的に活性な薬剤(標的医薬、DNA配列、RNA配列、脂質、タンパクおよび遺伝子治療/遺伝子送達などを含む)の送達において有用である。したがって、本発明の抗体および/またはその抗原結合断片は標識され(例えば、蛍光、放射能、酵素、核磁気、コロイド、他のシグナル伝達物質など)、インビトロの「免疫化学」様分析を含むインビボまたはインビトロで特定標的を検出するために使用される。インビボでは、これらは組織、細胞、またはMGFRを発現する他の物質を検出するために、核薬剤画像技術と同様な方法に使用され得る。他の方法としては、患者へ治療的活性薬剤を送達することを含む。この方法は少なくとも1つの抗体またはその抗原結合断片および治療活性物質を患者に投与することを含む。好ましくは、治療的活性物質は医薬、DNA配列、RNA配列、タンパク、脂質、およびこれらの組合せから選択される。
ある実施態様では、本発明はまた、細胞内シグナル伝達経路にその関与を示す方法で、細胞内タンパクが化学的に変性されるか否かを決定することを含む薬剤スクリーニング分析法、治療プロトコールスクリーニング分析法、診断分析法などを提供する。このような方法の1つは、MUC1などの成長因子受容体として作用することできるペプチドをその表面に発現する細胞を提供することを含む。分析法は活性リガンドの存在下にペプチドと相互作用する細胞表面ペプチドの活性リガンドの能力に影響を与える候補薬剤をこのような細胞に接触させ、もしも活性リガンドが細胞表面ペプチドと相互作用するなら、リン酸化される細胞内タンパクが実際にリン酸化されるか否かを決定することを含む。このような方法は、MGFR、またはPSMGFRTCなどのN−末端にPSMGFRを含むペプチドを発現する細胞において本発明では特に有用である。
以下に記載するように、MUC1−発現細胞に関与する実施態様では、細胞内細胞増殖シグナル伝達は、MAPキナーゼ経路およびそのリガンドと細胞表面受容体との相互作用、および付随する誘導的多量体化を経て生じ、ERK−2を含む細胞内タンパクのリン酸化に関与する。このような事例では、本発明のスクリーニング法は候補薬剤と活性化リガンドに露呈された後、ある実施態様では可溶化されるか、あるいは透過化処理されていてもよい複数の細胞を含む試料を使用する。ある実施態様では、候補薬剤と活性リガンドに露呈し、続いて、細胞可溶化または透過化処理した後、この方法は例えば、ウェスタンブロット技術を使用して、ゲル上で細胞の細胞内内容物中に含まれるタンパクを分離し、分離されたタンパクを可視化するか、さもなければ検出することを含む。このような検出は、検出される細胞内タンパクに特異的に結合する抗体または他の分子を使用する当業者に充分に理解されるようにして実施され得る。ある実施態様では、このような分子は好ましくは、既に記載したものの1つなど、検出または可視化を可能とする補助的シグナル伝達物質を含む抗体またはその抗原結合断片である。ある実施態様では、ゲル分離後の細胞内タンパクのリン酸化を検出することは、細胞内タンパクのリン酸化体(例えば、ホス−ERK−2、しかし、リン酸化されていない場合、細胞内タンパクに限られない)に特異的に結合する上記抗体などの生物学的分子にゲル分離されたタンパクを接触させることを含む。上記方法を達成するために有用なウェスタンブロット技術は当業者に周知であり、下記実施例5により詳細に記載されている。
ある実施態様では、本発明の分析法の内容内で細胞内タンパクのリン酸化を決定するために、上記ゲルに基づく方法を使用することに代えて、他のところおよび本明細書中で記載された方法に類似したコロイドに基づく凝集分析法が、細胞内タンパクのリン酸化体の存在を検出するために使用され得る。このような実施態様では活性化リガンドと候補薬剤に露呈された細胞を可溶化または透過化処理する上記工程の後に、細胞内内容物を複数のコロイド粒子に接触させる。複数のコロイド粒子は、好ましくは細胞内タンパクのリン酸化体に特異的に結合するが、リン酸化されていないとき、細胞内タンパクに結合しない抗体またはその抗原結合断片などの第1生物学的分子に対して固定化されている第1サブセット、および第1生物学的分子が特異的に結合するエピトープと異なっているエピトープで、細胞内タンパクに特異的に結合する他の生物学的分子、例えば抗体またはその抗原結合断片に対して固定化されるコロイド粒子の第2サブセットを含む。もしも試料が細胞内タンパクのリン酸化体を含むなら、コロイドは凝集し、色変化が観察されるであろう。しかしながら、もしも細胞内タンパクがリン酸化されていないなら、コロイド粒子の互いの架橋を示す凝集が観察されないであろう。
上記したこのような方法は、活性リガンドの細胞表面受容体への結合を干渉する能力を有すると推定される薬剤候補が、細胞表面受容体への活性リガンドの結合を干渉するか否か、および薬剤候補が細胞表面受容体またはリガンドと相互作用して作用するか否かを、これらの方法が同時に決定することを容易する。つまり、本発明が過剰リガンド濃度の条件下に(薬剤候補濃度に比べて)達成されるとき、もっとも有利に細胞内タンパクのリン酸化の検出、または他の変法に基づく薬剤スクリーニングに関する上記方法は、候補薬剤がリガンドと結合するか、さもなければ相互作用する作用モードを経て作用するのとは対照的に、候補薬剤が例えば、細胞表面受容体に直接に相互作用して、例えば固定化されるようにして作用するときのみ、ポジティブな試験結果を示す傾向にある。このワンステップ挙動は、十分過度に細胞表面受容体リガンドを利用して、スクリーニング分析法が達成されるときに、最もよく観察されるであろう。その結果、リガンドの受容体への結合を阻止する、候補薬剤によるリガンドへのいかなる結合も受容体結合および分析系内の誘導的多量体化において使用するリガンドを減少させない。
さらに、直前に記載したように、このようなコロイドに基づく分析法は細胞内タンパクのリン酸化を経由する細胞内シグナル伝達を検出する分析法および分析系に限定されない。上記したコロイドに基づく分析法はより一般的に応用可能である。例えば、このような分析法は本質的にいかなる生物学的分子の変性状態をも決定するためのスクリーニング試験を含むことができる。このようなスクリーニング法はある実施態様では、生物学的分子に対するコロイド粒子の固定化の検出に関与する分析を含む。ここで、コロイド粒子は生物学的分子が異なった変性状態にあるときよりも異なった程度の第1変性状態にあるとき、生物学的分子に対して固定化されるように構成される。
このような方法を使用して決定される変性状態としては、特定生物学的分子がリン酸化、グリコシル化、アセチル化されるか否かなどを含む。さらに、より好ましい実施態様では、このようなコロイドに基づく分析法が検出のためのコロイド−コロイド凝集に関与するが、一方、他の実施態様では、使用されるコロイドは、評価される生物学的分子がウェスタンブロットまたは他のゲルに基づく分析法などを使用して、変性されるか否かを検出するために単にシグナル伝達物質として使用される。例えば、このような分析法の1つでは、変性状態が検出されるべき生物学的分子は、第1変性状態にあるとき、生物学的分子に特異的に結合するが、第2変性状態にあるとき、結合しない物質、例えば抗体に接触させることができる。このような物質はある実施態様では、例えば、ゲル中で検出可能なシグナル伝達物質を提供するコロイド粒子に対して固定化されるか、あるいはコロイドはその変性状態が決定される生物学的分子に結合する物質に対して特異性を有する第2次抗体などの他の結合物質に対して固定される。
生物学的分子の変性状態を決定するためのコロイド凝集検出分析法を使用するこのような方法のある実施態様では、生物学的分子を含む試料を少なくとも第1および第2型の複数のコロイド粒子に接触させる。第1サブセット(型)のコロイド粒子は変性の第1状態にあるとき、生物学的分子に特異的に結合し、変性の第2状態にあるとき、生物学的分子に結合しない第1物質に対して固定化され、第2セット(型)のコロイド粒子は第1物質が特異的に結合するエピトープと異なるエピトープで生物学的分子に特異的に結合する第2物質に対して固定化される。上記したように、このような試験では、もしも生物学的分子またはそのサブセットが変性の第1状態にあるなら、上記した複数のコロイド粒子は変性の第1状態の生物学的分子の濃度に比例して凝集する傾向にあるであろう。それによって、分析試料に色変化を生じる。しかしながら、もしも生物学的分子が活性の第2状態にのみ存在するなら、第1型のコロイドはそれに結合されず、コロイド架橋または凝集またはそれに由来する色変化が生じないであろう。上記したこのような分析法のある実施態様では、第1サブセットのコロイド粒子上の第1物質は、変性の第1状態にあるとき、生物学的分子に特異的に結合する抗体または他の結合物質であり、そして、第2サブセットのコロイド粒子上の第2物質は変性の第1状態あるいは変性の第2状態のいずれかにある生物学的分子に結合する物質であろう。
直前に記載したように、このようなコロイド凝集分析法は、例えば、複数の細胞内シグナル伝達経路のいずれは活性リガンドが細胞表面受容体に結合するとき活性化されるかを決定するために有利に使用され得る。このような分析法では、それらに固定化された物質を有する複数の異なった第1および第2コロイド型を含む、複数の異なった型のコロイド粒子が使用され得る。これにより、1つの分析法のある実施態様では、決定されるべき細胞内の種々の細胞シグナル伝達経路の活性を決定することが可能であり、複数の異なった細胞内シグナル伝達タンパクの複数の異なった変性状態を検出することが可能となる。
上記したように、本発明の一態様はMUC1受容体の細胞外部分の二量体化が細胞増殖を誘導する公知シグナル伝達カスケードである細胞内のMAPキナーゼ経路を活性化する発見に関与する。本発明はまた、ある実施態様ではMUC受容体の二量体化がMAP(分裂促進因子活性化タンパク)キナーゼ細胞増殖シグナル伝達経路を経て細胞増殖を引き起こすという本発明者らによる発見に関する、種々の診断分析法、薬剤および治療スクリーニングプロトコールなどを含む。より具体的には、受容体のMGFR部分の二量体化はMAPキナーゼ経路を活性化し、細胞増殖を誘導するには必要かつ十分である。MAPキナーゼシグナル伝達カスケードはかなり十分に理解されている細胞内シグナル伝達経路の1つである。要約すれば、分裂促進因子は膜貫通受容体の細胞外部分に結合し、次いで、シグナルが細胞内部へ伝達されるようにその構造を変化する。上記したように、このカスケードの下流工程はERK2のリン酸化である。ERK2が一度リン酸化されると、細胞増殖が進行することは当該技術分野で公知である。本発明者らはMGFRを認識する二価抗体の添加がMUC1受容体を二量体化し、何らかの方法でMUC1受容体の細胞質末尾に結合するシグナル伝達タンパクの結合部位を生成するかまたは示すことを実証する。図15〜17はそれぞれ、乳房腫瘍細胞T47D、1504および1500で二価抗−PSMGFRを経てMUC1受容体の二量体化がERK2のリン酸化となることを示す。実施例12参照。この効果は用量依存性であり、かつ、時間依存性である。さらに、本発明者らが既に示した合成化合物はMUC1受容体のMGFR部分に結合し、MUC1受容体のこの領域への結合性において、二価抗−PSMGFRと競合する。競合阻害分析では、この化合物も(用量依存性にて)MGFRへの二価抗体の結合を有効に阻止して、受容体の二量体化を減少およびERK2のリン酸化の減少を生じる。図18および実施例12参照。
さらに、抗−PSMGFRの一価体は二価抗体と競合し、有効にERK2リン酸化を阻害した。過剰量の一価抗−PSMGFRがERK2リン酸化を刺激するのに十分であると示された量の二価抗−PSMGFRとともに乳房腫瘍細胞に添加されたとき、おそらく、一価抗体がMUC1受容体の二量体化を遮断するから、そのリン酸化は遮断された。図19は一価抗−PSMGFRが二価抗体と競合して細胞株1500中のERK2のリン酸化を阻止することを示す。
したがって、本発明のある実施態様では。ERK2のリン酸化状態がMUC1陽性癌の治療薬を同定する方法としてモニターされ得る。一価化合物とMGFRに結合した一価抗−PSMGFRがその結合部位に関して二価抗体と競合して、MAPキナーゼシグナル伝達経路の活性化を阻害し、ERK2リン酸化が生じなかったことは上記されている。これはMUC1受容体によるシグナル伝達に影響を与える物質を同定する薬剤スクリーニングを示唆する。この薬剤スクリーニングで、二価抗−PSMGFRはMUC1陽性腫瘍細胞に添加される。薬剤候補も添加され、既に記載したようにERK2のリン酸化状態が測定される。ERK2リン酸化が阻害される細胞は、薬剤候補がMGFRへの結合において二価抗体と首尾よく競合し、その二量体化および続いてのMAPキナーゼシグナル伝達経路の活性化を阻害したことを示す。この薬剤スクリーニング法もまた、MAPキナーゼシグナル伝達経路のERK2アームに影響を与える細胞内タンパク上で作用する化合物を同定することができる。
二価抗−PSMGFRを添加して誘導されたERK2リン酸化の程度をモニターすることはまた、MUC1細胞増殖を阻害することが可能であるとして同定されたいずれの化合物が、リガンドなどの関連因子よりもむしろMGFRに直接に結合することによって、そのように阻害するかを決定する方法を提供する。
さらに、より有効なMUC1癌治療プロトコールは、MUC1受容体、MAPキナーゼ/ERK2経路内のシグナル伝達要素を標的とする薬剤、および/またはMGFRへのリガンドを標的とする薬剤で患者を同時に治療することから生まれ得る。
本発明の他の態様は、受容体の予防的クラスター形成を行う疾患関与開裂に続くMUC1のMGFR部分をともに結合する物質を提供する。この物質はそれぞれMGFR部分に結合することができる多重部位を含むいかなる種であってもよく、互いに関して固定化されていてもよい。例えば、ポリマーまたはデンドリマーまたは他の連続物質がそれぞれMGFR部分に結合することができる多重部位を含むことができ、これらの部分または細胞増殖を促進する因子との会合を阻害する他の構造的制限のクラスター形成を生じる。または、MGFRまたはPSMGFRに対して生じたIgM−型モノクローナ抗体またはポリクローナル抗体が使用され得る。各抗−MGFR IgM抗体は予防的クラスターを形成するために細胞表面上に10のMGFRを凝集することができた。
さらに、MUC1受容体のMGFR部分に特異的に結合する上記した抗体またはその抗原結合断片は、リガンドが固定化されている細胞を選択的に殺すことができる細胞質薬剤または他の物質(例えば、放射性物質)を付着することによって、抗体またはその抗原結合断片を標的送達物質として作用できるように変性することができる。このようにして、このような治療薬が腫瘍細胞へ向けられ得る。例えば、MUC1受容体のMGFR部分に結合する物質は放射性物質で変性されて、MUC1受容体を異常に発現する腫瘍細胞を破壊することができる。リシンなどの他の毒性物質、ならびに他の治療薬はMGFRに結合する物質に付着することができる。または、MGFRに結合する抗体またはその抗原決定断片は変性されて、MUC1腫瘍および転移の診断画像に使用する画像剤を呈することができる。このような抗体またはその抗原結合断片はまた、変性されて、癌の予防および/または治療に有用である薬剤として作用することができる。1つの実施態様では、未変性体で誘導的多量体化を生じる多重MGFRに結合する抗体またはその抗原結合断片は、変性されて、MGFRの活性結合部位の1つを除く全てを除去または不活性化される。その結果、各変性抗体または抗原結合断片は、たった1つの受容体に結合することができる。この特別な例は、例えば酵素的また他の開裂方法を経て抗−MGFR IgGの1価断片の産生となるであろう。他の実施態様では、個々の抗体または抗原結合断片は、例えば、共有結合、非共有結合、基質に対する共固定化などを経て、MGFRに結合可能である別なリガンド分子/ペプチドに対して固定化されるように変性される。その結果、変性多単位リガンドは、それが結合する受容体の予防的クラスター形成を行うことができる。
開裂後、細胞に結合されて残存するMUC1の一部分に対するリガンドの同定は、この相互作用を中断させる薬剤をスクリーニングする強力な分析法の開発を可能とする。開裂後に残存するMUC1の細胞外部分との潜在的結合パートナーの相互作用は、従来技術(ウェスタンブロッティング、ELISA、MALDIなど)により、および我々のコロイド−コロイド色変化分析法またはコロイドビーズ呈色分析法を使用して、両者を研究することができる。MUC1の残りの細胞外部分のペプチド配列は、ヒスチジン付加を経てビーズまたはコロイドに付着され得る。潜在的結合パートナーはヒスチジン付加され、第2セットのコロイドに付着され、MUC1のコロイド固定化部分への結合について分析され得る。または、潜在的結合パートナーはEDC/NHS結合によってビーズまたはコロイドに付着されるか、あるいは分析のためのビーズに非特異的に吸着され得る。MUC1ペプチドと潜在的結合パートナーの相互作用は、溶液の色変化(コロイド−コロイド分析における)またはビーズを赤色とするビーズ上のコロイドの凝塊形成のいずれかによって検出され得る。全cDNAライブラリーは、残りの細胞外MUC1の天然リガンドを同定する短い時間で、この技術を用いてスクリーニングされ得る。(PCT/US00/01997、WO00/34783、および2000年11月15日出願の09/631818、「コロイド状および非コロイド状構造を有する結合種の検出」、上記に挿入)
本発明のある実施態様では、腫瘍形成または腫瘍形成の可能性を決定するために、共通した操作で生検種が研究されるか、あるいは組織が研究され(例えば、外科手術部位の組織が被検者から組織を除去せずに研究され得る)。これらの研究のいずれでも、腫瘍形成または腫瘍形成の可能性の第1指標は、成長因子などの外部物質との相互作用を受けやすい細胞表面のMGFRの量である。この決定は、例えば標準的抗体結合研究技術を使用するか、または試料をMGFR領域に特異的な抗体が固定化されたコロイドに露呈することのいずれかによって、そして、上記参照される国際特許公開番号WO00/34788およびWO00/43791に記載される技術を使用して、試料に対するコロイドの結合を測定し、試料に結合するMGFR領域に対する抗体の量を測定することによってなされ得る。他の技術(おそらく、切除された試料により適した)では、MGFR領域およびIBRに対する抗体を試料に露呈し、試料に対するそれぞれの結合比率を測定する。健康な試料はMGFR領域に対して抗体結合をほとんどあるいは全く示さないであろう。腫瘍形成または腫瘍形成の可能性を示す試料は、IBR結合性に対するMGFR抗体結合性の比がゼロでないことを示すであろう。
本発明の1つの態様は、MUC1受容体のMGFR部分に直接結合する抗体またはその抗原結合断片の同定である。したがって、感度の高い早期腫瘍診断方法は、コントラストまたは画像剤で誘導されているPSMGFRに結合する抗体またはその抗原結合断片を患者に投与することである。これらの抗体またはその抗原結合断片はMUC1受容体のこの部分が接近する腫瘍上に凝集するであろう。MGFR領域に結合する本明細書中に記載される抗体またはその抗原結合断片ならびに本発明の方法を使用して同定され得る他の化合物は、画像剤を担うように容易に変性され得る。このような画像剤としては、画像技術に一般的に使用されるテクネチウム、123Iおよび他の対照薬剤または放射性物質が挙げられるが、これらに限定されない。画像技術としては、単一光子コンピュータ断層撮影法(SPECT)、MRI、顕微鏡などが挙げられるが、これらに限定されない。ある応用では、付属コロイドが画像剤として作用することができる。画像剤の担体はまた治療剤であり得るから、この技術は直接的な治療とともに早期診断を組合せることができる。
本発明の他の態様によると、一連の単離タンパクまたはペプチドが提供される。本発明のペプチドとしては、PSMGFRおよびPSMGFRTCとして上記規定されたもの、および配列番号1、2、3、4、5、6、36、7、8、9、37、38、39、40、41、47、60〜66および14〜35に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明は以下に記載する本発明の単離核酸分子のいずれかによってコードされる、上記特定して記載されていない全てのタンパクまたはペプチドを包含する。本発明はまた、上記タンパクまたはペプチドの固有断片を包含する。
タンパクは組織または細胞ホモジネートを含む生物学的試料から単離され、かつ、種々の原核および真核発現系中で組換え技術により発現され得る。組換え技術では発現系に適した発現ベクターを構築し、発現系に発現ベクターを導入し、そして組換え技術によって発現されたタンパクを単離する。抗原ペプチドを含む短いポリペプチド(免疫認識における細胞の表面上のMHC分子によって表示されるものなど)はまた、十分に確定されたペプチド合成方法を使用して化学的に合成され得る。
すなわち、タンパクに関して本明細書中に使用されるように、「単離」とは、自然環境から分離され、その同定または使用を可能とするに十分な量にて存在することを意味する。タンパクまたはポリペプチドを参照するとき、単離とは、例えば、(i)組換え核酸の発現によって選択的に産生されるか、あるいは(ii)クロマトグラフィーまたは電気泳動によって精製されることを意味する。単離タンパクまたはポリペプチドは実質的に純粋であるが、必ずしもその必要はない。「実質的に純粋」との用語は、タンパクまたはポリペプチドが他の物質を含まないことを意味する。他の物質とともに、それらは本質的に自然にまたはインビボ系でその意図される用途において実際的かつ適当な範囲で見出されるであろう。実質的に純粋なタンパクは当該技術分野で周知の技術によって産生されるであろう。単離されたタンパクは薬学的に許容される薬剤調製担体とともに薬剤調製物中で混合されるから、タンパクはごく少量の調製物を含むであろう。けれども、タンパクはこれが生物系で会合する物質から分離されているように、例えば他のタンパクから単離されている。
本発明はまた、本発明のタンパクまたはペプチドの固有断片を包含する。本発明のタンパクまたはペプチドのいずれか1つの断片は、例えば、一般的には核酸分子と関連して、本明細書中に記載される固有の断片を含む断片の態様と特徴を有する。当業者が認識するように、固有である断片の大きさは、断片が保存タンパク領域の一部分を構成するか否かなど、因子に依存するであろう。すなわち、本発明のタンパクまたはペプチドのある領域は、固有であるより長いセグメントを要し、一方、他のものは、通常、5〜12個のアミノ酸(例えば、5、6、7、8、9、10、11および12個のアミノ酸長)である短いセグメントのみを必要とするであろう。
タンパクの固有断片は好ましくは、タンパクの明確な機能的能力を保持するこれらの断片である。タンパクの断片に保持され得る機能的能力は、抗体との相互作用、他のタンパクまたはその断片との相互作用、核酸分子の選択的結合、および酵素活性を含む。1つの重要な活性は、ポリペプチドを同定するためのサインとして作用する能力である。
当業者は、非ファミリーメンバーから目的の配列を選択的に区別する断片の能力を基にして、通常、固有アミノ酸配列を選択する方法に十分に精通している。通常、公知データベースのものと断片の配列を対比することは、必要なことである。
本発明は本明細書中に記載されるタンパクまたはペプチドの変異体を包含する。本明細書中に使用されるように、タンパクの「変異体」はこのようなタンパクの一次アミノ酸配列の1つまたはそれ以上の修飾を含む。タンパク変異体を作る修飾とは、このようなタンパクに、1)タンパクの活性を生成、増加、減少または削除させる;2)発現系におけるタンパクの安定性またはタンパク−タンパク結合の安定性など、タンパクの性質を増大させる;3)抗原エピトープの付加または検出可能な成分の付加など、タンパクに新規な活性や性質を提供する;および/または4)リガンド分子に対する均等またはよりよい結合を提供することである。タンパクへの修飾は、タンパクをコードする核酸分子への修飾を経てなされ得る。そして欠失、点変異、切断、アミノ酸置換、およびアミノ酸または非アミノ酸部分の付加を含むことができる。または、修飾は開裂、化学合成中に1つまたはそれ以上のアミノ酸の置換、リンカー分子の付加、ビオチンなどの検出可能な成分の付加、脂肪酸の付加などによって、タンパクに直接になされ得る。変性もまた、本発明のアミノ酸配列の全てまたは一部分を含む融合タンパクを包含する。当業者はアミノ酸配列の変更がタンパク構造へおよぼす影響を予測する方法に精通しているであろう。したがって、公知方法によって変異体ポリペプチドを「設計する」ことができる。このような方法の1つの例は、タンパクが新規に設計され得る、DahiyatおよびMayo, Science 278:82-87, 1997に記載される方法である。この方法はタンパク配列の一部分のみを変異するために公知タンパクに応用され得る。DahiyatおよびMayoの計算方法を使用して、DOSタンパクの特定変異体が提案され、変異体が所望の構造を保持するか否かを決定するために試験され得る。
ある実施態様では、変異体は所望の生理学的活性に無関係のタンパクの態様を変化するように特異的に変性されたタンパクを含む。例えば、システイン残基は望まれないジスルフィド結合を阻止するために置換または削除され得る。同様に、あるアミノ酸を発現系にてプロテアーゼによるタンパク分解を除去して、タンパクの発現を増強するように変化させ得る(例えば、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母発現系の二塩基性アミノ酸残基)。
本発明のタンパクまたはペプチドをコードする核酸分子の変性は、好ましくはコード配列のアミノ酸読み取り枠を保存し、かつ、好ましくは種々のタンパクの発現に対して有害であるヘアピンまたはループなどの二次構造を形成するようにハイブリダイズするようである核酸中の領域を作り出さない。
変性はアミノ酸置換を選択して、またはタンパクをコードする核酸中の選択された部位のランダム突然変異誘発によってなされ得る。種々のタンパクは次いで発現され、所望性質を有する変異体タンパクをどの変性がもたらすかを決定するために、1つまたはそれ以上の活性について試験される。さらに、変性はタンパクのアミノ酸配列に関して無症状の変異体(または非変異体タンパク)に対してなされ得る。しかし、これは当業者に周知である、特定宿主中での翻訳における好ましいコドンを提供する。なおも他の変性はタンパクの発現を増強するタンパクを発現する遺伝子またはcDNAクローンの非コード配列に対してなされ得る。特定タンパクの変異体活性は、細菌または哺乳動物発現ベクター中に変異体タンパクをコードする遺伝子をクローニングし、そのベクターを適当な宿主細胞中へ導入し、変異体タンパクを発現させ、そしてタンパクの機能的能力、例えば特定リガンドと結合するか、あるいは相互作用する能力、または受容体などの特定生体分子に対してリガンドとして作用する能力について試験することによって、試験され得る。他の変異体タンパクの調製は、当業者に周知であるように、他の活性試験を助ける。
当業者はまた、あるアミノ酸置換、例えば保存的アミノ酸置換などが先のタンパクまたはペプチドの「機能的変異体」、すなわち対応する本発明のタンパクまたはペプチドの機能的能力を保持する変異体を提供するために、本発明のタンパクまたはペプチド中にてなされることを明確に理解するであろう。本明細書中に使用される「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸置換がなされるタンパクの相対的電荷または大きさの特徴を変化させないアミノ酸置換をいう。アミノ酸の保存的置換としては、次のグループ:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D内のアミノ酸の間でなされる置換が挙げられる。
例えば、1つの実施態様では、アミノ酸置換、例えば、本発明のタンパクまたはペプチドのアミノ酸配列に対して保存的アミノ酸置換を行うことができる。置換されたペプチドは、次いでインビボおよび/またはインビトロで非置換ペプチドの所望機能のうちの1つまたはそれ以上について試験され得る。これらの変異体は例えば、改良された安定性または他の所望する性質について試験され得る。これらは例えば、薬学的組成物においてそれらをとりわけより有用とする。
本発明のタンパクまたはペプチドの機能的変異体、すなわちもとのタンパクまたはペプチドの機能性を保持するタンパクまたはペプチドの変異体は、例えばこのような方法を集める文献、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrook, et al., eds., Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbar, New York, 1989, またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel, et al., eds., John Wiley & Sons, Inc., New York中に見出されるものなど、当業者にとって公知であるポリペプチド配列を変化させる方法に従って調製され得る。保存的アミノ酸置換は、通常、タンパクまたはペプチドをコードする核酸分子の変化によってなされる。このような置換は当業者に公知である種々の方法によってなされ得る。例えば、アミノ酸置換は、Kunkelの方法(Kunkel, Pro. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 82:488-492, 1985) に従うPCR−特異的変異または部位特異的突然変異誘発よって、またはタンパクをコードする遺伝子の化学合成によって行ってもよい。アミノ酸置換が本発明のタンパクまたはペプチドの小さな固有断片に対して行われる場合、置換は直接にペプチドを合成して行うことができる。本発明のタンパクまたはペプチドの機能的変異体または断片の活性は、細菌または哺乳動物発現ベクター中に変化されたタンパクをコードする遺伝子をクローニングし、このベクターを適当な宿主細胞中へ導入し、変化されたタンパクを発現させ、そして本明細書中に記載されるタンパクの機能的能力について試験することによって、試験することができる。
前記方法は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のアミノ酸置換を有する機能的変異体を得るために、例えば配列反復によって達成される。同様に、上記または他の機能的変異体はそのC−および/またはN−末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30またはそれ以上のアミノ酸を付加または欠失して調製され得る。前記方法によって調製されたタンパクまたはペプチドの変異体は、所望によりアミノ酸配列を決定して、それによりこのような変異体をコードするヌクレオチド配列を演繹するために、配列決定され得る。
本発明は他の態様では、種々の切断型MUC1受容体タンパクをコードする核酸配列、または機能的変異体またはその断片、および高ストリンジェントな条件下で上記核酸配列とハイブリダイズする他の核酸配列を提供する。本発明のある核酸分子の配列は、下記配列番号42〜46として示される。そして、切断型MUC1受容体タンパクのアイソフォームを含む、これらの遺伝子のタンパク製品の予想されるアミノ酸配列はそれぞれ、下記に示される。したがって、1つの態様では、本発明はMUC1受容体の切断型アイソフォームを示すペプチド配列、これらのペプチド配列をコードする遺伝子および機能的修飾および前記変異体、前記有用な断片ならびに治療および診断用製品およびこれらに関連する方法に関与する。切断型MUC1受容体タンパクとして本明細書中に参照されるペプチドは全長MUC1受容体の断片を含むが、全長MUC1受容体タンパクを含まない(すなわち、配列番号10)。同様に、本明細書中に記載されるMUC1受容体の種々の切断型アイソフォームをコードする核酸分子は、MUC1遺伝子コード領域の断片を含むが、全長MUC1コード領域を含まない。
本発明の1つの実施態様では、単離された核酸分子が提供される。単離された核酸分子は次のグループから選択される。
(a)配列番号37、38、39、40および41に記載されるMUC1切断型受容体アイソフォームをコードする核酸分子、または例えば、ヌクレオチド配列:配列番号42、43、44、45および46をそれぞれ含む、それらの機能的変異体またはその断片、および
(b)(a)の核酸分子に高ストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸分子、
(c)(a)または(b)の核酸分子の欠失体、付加体または置換体、
(d)遺伝子コードの縮重によりコドン配列中において、(a)、(b)または(c)の核酸分子と異なった核酸分子、および
(e)(a)、(b)、(c)または(d)の相補体。
本発明のある単離された核酸はMUC1受容体の切断型アイソフォーム、またはその機能的断片または変異体、またはその機能的均等物(例えば、核酸配列の1つ、例えば下記に記載される配列番号42によってコードされる同じタンパクをコードする核酸分子)をコードする核酸分子である。ただし、機能的断片および均等物はこのような配列によってコードされるMUC1受容体の切断型アイソフォームの機能的活性を示すタンパクをコードする。本明細書中に使用されるように、MUC1受容体の切断型アイソフォームの機能的活性とは、MGFRのリガンドと特異的に相互作用し、このような相互作用の応答として細胞成長または細胞増殖を調節するMUC1受容体ペプチド配列の切断型アイソフォームの能力をいう。ある実施態様では、単離された核酸分子は配列番号42である。
本発明は配列番号42〜46に記載されるヌクレオチド配列からなる核酸分子に、高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子を提供する。このような核酸は混合したデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドからなるDNA、RNAであってもよく、または合成非天然ヌクレオチドを組み込んでいてもよい。正常または腫瘍細胞中の核酸の発現および/またはポリペプチドを測定する種々の方法は当業者には公知である。
本明細書中に使用する「高ストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー条件」との用語は、当業者が精通しているパラメーターをいう。核酸ハイブリダイゼーションパラメーターはこのような方法をまとめた文献、例えば、Molecular Cloning; A Laboratory Manual, J. Sambrookら編集、 Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989, またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubelら編集、John Wiley & Sons, Inc. New York中に見出される。より具体的には、本明細書中に使用されるストリンジェントな条件は、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02%フィコール、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%牛血清アルブミン、2.5mM NaH2PO4(pH7)、0.5%SDS、2mM EDTA)中、65℃でのハイブリダイゼーションをいう。SSCは0.15M塩化ナトリウム/0.15Mクエン酸ナトリウム、pH7であり;SDSはドデシル硫酸ナトリウムであり、かつ、EDTAはエチレンジアミンテトラ酢酸である。ハイブリダイゼーション後、DNAが移行された膜は、室温で2×SSCで洗浄され、次いで、68℃までの温度で0.1×SSC/0.1×SDSで洗浄される。
ハイブリダイゼーション条件の前記セットは、当業者に公知である高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の1つの例にすぎない。高ストリンジェントなハイブリダイゼーションを生じる、使用可能な他の条件や試薬などが存在する。熟練した専門家はこのような条件に精通しているであろうから、ここに記載していない。しかしながら、熟練した専門家は本発明の核酸分子の同族体および対立遺伝子の明白な同定を可能とする方法で、その条件を操作することが可能であろうことが理解される。熟練した専門家はまた、規定通りに単離されるこのような分子の発現のための細胞およびライブラリーをスクリーニングし、関連核酸分子を単離し、配列決定する方法論に精通している。
一般的に、本明細書に列挙される特定配列番号の同族体および対立遺伝子は、通常、このようなヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に対してそれぞれ、少なくとも40%ヌクレオチド同一性および/または少なくとも50%のアミノ酸同一性を共有するであろう。ある例では、少なくとも50%のヌクレオチド同一性および/または少なくも65%のアミノ酸同一性を共有し、他の例では、少なくとも60%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも75%のアミノ酸同一性を共有するであろう。好ましい同族体および対立遺伝子は、それぞれ配列番号42と配列番号37;またはそれぞれ配列番号43と配列番号38;またはそれぞれ配列番号44と配列番号39;またはそれぞれ配列番号45と配列番号40;またはそれぞれ配列番号46と配列番号41のヌクレオチドおよびアミノ酸同一性を共有し、そして、80%以上、より好ましくは90%以上、なおもより好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するポリペプチドをコードする。同一性の割合は種々の公に入手可能なソフトウェアツールを使用して計算され得る。このツールはNCBI(Bethesda, Maryland)が開発し、インターネットから入手可能である(ftp:/ncbi.nlm.nih.gov/pub/)。ツールの例としては、Altschul et al. (Nucleic Acids Res. 25:3389-3402, 1997) が開発したアルゴリズムを使用するhttp://www.ncbi.nlm.nih.govから入手可能であるBLASTシステムが挙げられる。ペアワイズ(Pairwise)およびクラスタル(Clustal)Wアラインメント(BLOSUM30マトリックスセッティング)ならびにKyte-Doolittleヒドロパシー分析は、Mac Vector配列分析ソフトウェア(Oxford Molecular Group)を使用して得ることができる。前記核酸分子のWatson-Crick相補体もまた、本発明に包含される。
本発明はまた、天然材料中に存在するものに対して別なコドンを含む縮重核酸分子を含む。例えば、セリン残基はコドン、TCA、AGT、TCC、TCG、TCTおよびAGCによってコードされている。6つのコドンのそれぞれは、セリン残基をコードする目的において均等である。したがって、本発明の伸長するペプチド配列中にセリン残基を導入するために、インビトロまたはインビボでセリン−コードヌクレオチドトリプレットのいずれもタンパク合成装置で使用されるであろうことは当業者には自明であろう。同様に、他のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列トリプレットとしては、CCA、CCC、CCGおよびCCT(プロリンコドン);CGA、CGC、CGG、CGT、AGAおよびAGG(アルギニンコドン);ACA、ACC、ACGおよびACT(スレオニンコドン);AACおよびAAT(アスパラギンコドン);およびATA、ATCおよびATT(イソロイシンコドン)が挙げられるが、これらに限定されない。他のアミノ酸残基は同様に多重ヌクレオチド配列によってコードされる。したがって、本発明は遺伝子コードの縮重によりコドン配列において生物学的に単離された核酸と異なる縮重核酸を包含する。
本発明はまた、配列番号42〜46の単離された固有断片および/または配列番号42〜46の相補体を提供する。固有断片はより大きな核酸の「サイン」であるものである。これは、例えば十分に長いと、その正確な配列が上記規定された本発明の核酸分子の分子外側に正確に見出されない。当業者は断片がヒトまたはマウス染色体内に固有であるかどうかを決定する常套方法しか使用しないであろう。
固有断片はこのような核酸分子を同定するためのサザンブロット分析法でプローブとして使用されるか、あるいはPCRを使用する分析法などの増幅分析法に使用され得る。固有断片はまた、抗体を生じるための融合タンパクを産生するために、あるいはポリペプチド断片の結合性を決定するために、または免疫分析成分を生成するために使用され得る。同様に、固有断片は、例えば、免疫分析法において抗体の調製に有用である本発明のあるポリペプチドの非融合された断片を産生するために使用され得る。固有断片はさらに、特に治療目的において、核酸の発現およびポリペプチドを阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドとして使用され得る。本発明はまた、本発明の上記した核酸分子のアンチセンスオリゴヌクレオチドを包含する。
一般的に、本明細書中に使用したように、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「アンチセンス」との用語は、生理学的条件下に特定遺伝子を含むDNA、またはその遺伝子のmRNA転写物にハイブリダイズし、それによって、その遺伝子の転写および/またはそのmRNAの翻訳を阻害する、オリゴヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、または修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドをいう。当業者はアンチセンスオリゴヌクレオチドの正確な長さおよびその標的との相補性の程度は、標的の配列およびその配列を含む特定塩基を含む選択された特定標識に依存するであろう。アンチセンスオリゴヌクレオチドは生理学的条件下に標的と選択的に結合するために、すなわち、生理学的条件下に標的細胞中で他の配列よりも標的配列により実質的にハイブリダイズするように構築および配置されていることが好ましい。当業者は本発明において使用する多くの適当なアンチセンス分子のうちのいずれかを容易に選択および合成することができる。阻害において十分に選択的、かつ強力であるためには、ある事例では長さ7塩基の短い修飾オリゴヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドとして首尾よく使用されるけれども(Wagnerら、Nature Biotechnology 14: 840-844, 1996)、このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的に対して相補的である少なくとも10、より好ましくは少なくとも15の保存塩基を含むべきである。ある実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは「修飾」オリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。すなわち、オリゴヌクレオチドは、これらがその標的にハイブリダイズすることを阻止しないが、その安定性または標的化を増強させるか、あるいはその治療効果を増強させる当該技術分野で公知である多くの方法で修飾してもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドは薬学的組成物の一部として投与してもよい。このような薬学的組成物は標準的生理学的および/または当該技術分野で公知である薬学的に許容されるいかなる担体とともにアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。この組成物は無菌状態であり、かつ、患者への投与に適した重量または容量の単位である治療上有効な量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むべきである。
当業者が認めるように、上記固有断片の大きさは遺伝子コードの保存に依存するであろう。したがって、配列番号42〜46のいくつかの領域およびその相補体は、固有であるより長いセグメントを要求するであろうが、他のものは通常、12〜32ヌクレオチドまたはそれ以上の長さ(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、112、113、114、115、またはそれ以上)であって、記載した配列の全長以下の短いセグメントを要求するであろう。長さが18またはそれ以上のヌクレオチドであるポリヌクレオチドコード領域またはその相補体の多くのセグメントは、固有であろう。当業者は、通常、他の無関係な核酸分子から目的の配列を選択的に区別するために固有配列の能力に基づき、このような配列を選択する方法に十分に精通している。公知データベースのものと断片の配列を比較することは、たとえインビトロでの確証的ハイブリダイゼーションおよび配列決定分析が達成されていても、通常、必要なことである。
固有断片は機能的断片である。本発明の核酸分子の機能的断片は、機能的ポリペプチドをコードし、タンパクを結合し、実施可能に連結された核酸分子の転写を制御するなど、より大きな核酸分子のいくつかの機能的性質を保持する断片である。当業者は、常套の実験以外の何も使用しないで、断片が核酸分子の機能的断片であるか否かを決定するために、本明細書中に記載された分析法および当該技術分野で周知な方法を使用して容易に決定することができる。
核酸分子について本明細書中に使用される「単離された」との用語は、(i)例えば、ポリメラーゼチェインリアクション(PCR)によってインビトロで増幅され;(ii)クローニングによって組換え技術により産生され;(iii)開裂およびゲル分離によってなど、精製され;または(iv)例えば、化学合成によって合成されることを意味する。単離された核酸分子は、当該技術分野で周知である組換えDNA技術によって容易に操作可能なものである。したがって、5'および3'制限分解酵素部位が公知であるか、あるいはポリメラーゼチェインリアクション(PCR)のプライマー配列が記載されているベクター中に含まれるヌクレオチド配列は単離されたと考えられるが、その天然宿主中に天然の状態で存在する核酸配列は単離されていない。単離された核酸分子は実質的に純粋であるが、精製される必要がない。例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター内に単離された核酸分子は、それが残存する細胞内の極僅かな割合の物質のみを含むので純粋でない。このような核酸分子は、その用語が明細書中に使用されるように、当業者に公知である標準的技術によって容易に操作可能であるから、単離され得る。本明細書中に使用される単離された核酸分子は天然に存在する染色体ではない。
本発明の他の態様では、本発明は本発明のペプチドまたはその断片または変異体をコードする直前に記載した配列などの配列の発現ベクター中での使用、ならびに原核細胞(例えば、大腸菌)または真核細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、酵母発現系および昆虫細胞中の組換えバキュロウイルス発現系)である宿主細胞および細胞株に形質移入するためのその使用を包含する。特にヒト、マウス、ハムスター、豚、山羊、霊長類などの哺乳動物細胞が有用である。これらは広範な組織型を有し、そして、これらは一次細胞または細胞株であってもよい。発現ベクターとしては、関連配列、すなわち、実施可能にプロモーターに連結された上記本発明のペプチドをコードする本発明の核酸を含む。
ある実施態様では、好ましくは実施可能にプロモーターに連結された、本発明の単離された核酸分子のいずれかを含む発現ベクターが提供される。関連する態様では、このような発現ベクターで形質転換されるか、あるいは形質移入された宿主細胞もまた提供される。発現に必要な要素を全て含む発現ベクターは市販のものがあり、当業者には公知である。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989を参照。細胞は、本発明のタンパクをコードする異質DNA(RNA)、その断片または変異体を細胞中に導入して、遺伝子工学により操作される。異質DNA(RNA)は宿主細胞中で異質DNAの発現を可能とする転写要素の実施可能な制御のもとにおかれる。
本明細書中に使用されるように、「ベクター」は、異なった遺伝子環境の間を送達するか、あるいは宿主細胞中で発現するために、所望配列が制限分解または連結により挿入される多くの核酸分子のいずれかである。RNAベクターもまた入手可能であるが、ベクターは通常、DNAからなる。ベクターとしては、プラスミド、ファージミドおよびウイルスゲノムが挙げられるが、これらに限定されない。クローニングベクターは、宿主細胞中で複製できるものであり、さらに、ベクターが決められた方法で切断される1つまたはそれ以上のエンドヌクレアーゼ制限分解酵素部位を特徴とし、その中に所望のDNA配列が連結されて、その結果、新しい組換えベクターが宿主細胞中で複製する能力を保持する。プラスミドの場合、プラスミドは宿主細菌内でコピー数を増加するか、あるいは宿主が有糸分裂により再生産される前に宿主当たりたった1度だけ増加するから、所望配列の複製は多数回生じる。ファージの場合、複製は溶解性相中で積極的に生じるか、あるいは溶原性相中で消極的に生じる。
「発現ベクター」はその中に所望DNA配列が制限分解または連結によって挿入され、その結果、制御配列に実施可能に結合され、そして、RNA転写物として発現されるものである。ベクターはさらにベクターで形質転換または形質移入されたか、あるいはされていない細胞の同定に使用するのに適した1つまたはそれ以上のマーカー配列を含む。マーカーは、例えば抗生物質または他の化合物に対して抵抗性または感受性のいずれかを増加または減少するタンパクをコードする遺伝子、その活性が当該技術分野で公知である標準的分析法によって検出可能である酵素(例えば、β−ガラクトシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)をコードする遺伝子、および形質転換または形質移入された細胞、宿主、コロニーまたはプラークの表現型に可視的に影響を及ぼす遺伝子(例えば、緑色蛍光タンパク)が挙げられる。好ましいベクターは自律性複製と実施可能に結合されるDNAセグメント中に存在する構造遺伝子産物の発現を可能とするものである。
本明細書中に使用されるように、コード配列および制御配列は、それらがコード配列の発現または転写を制御配列の影響またはコントロールのもとに付すような方法で共有結合されるとき、「実施可能に」結合されているという。もしもコード配列が機能的タンパク中に翻訳されることが望まれるなら、2つのDNA配列が、もしも5'制御配列中のプロモーターの誘導がコード配列の転写となり、そして、もしも2つのDNA配列の間の結合の性質が、(1)フレームシフト変異の導入にならない、(2)コード配列の転写を方向づけるプロモーター領域の能力を干渉しない、または(3)タンパクへ翻訳されるべき対応するRNA転写物の能力を干渉しないなら、実施可能に結合されているという。したがって、もしもプロモーター領域がDNA配列の転写に影響を及ぼすことができ、その結果、生成する転写物が所望タンパクまたはポリペプチドに翻訳されるなら、プロモーター領域はコード配列に実施可能に結合されているであろう。
遺伝子発現に必要である制御配列の正確な性質は、種または細胞型の間で変化するが、一般的にはTATAボックス、キャップ形成配列、CAAT配列など、転写および翻訳それぞれの開始に関与する5'非転写および5'−翻訳配列を含むべきである。特に、このような5'−非転写制御配列は実施可能に結合された遺伝子の転写コントロールのためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含むであろう。制御配列はまた、所望により、エンハンサー配列または上流活性化因子配列を含む。本発明のベクターは任意に5'リーダーまたはシグナル配列を含む。適当なベクターの選択および設計は当業者の能力と自由裁量の範囲内にある。
真核宿主細胞中の発現可能とする制御要素は、例えば、大腸菌中のPL、lac、trpまたはtacプロモーターを含み、原核宿主細胞中の発現を可能とする制御要素の例は、酵母中のAOX1またはGAL1プロモーターまたは哺乳動物または他の動物細胞中のCMV−プロモーター、SV40−プロモーター、RSV−プロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMV−エンハンサー、SV40−エンハンサーまたはグロビンイントロンである。
転写の開始において重要である要素のほかに、このような制御要素もまた、ポリヌクレオチドの下流にSV40−ポリ−A部位またはtk−ポリ−A部位などの転写終結シグナルを含む。さらに、使用する発現系によっては、ポリペプチドを細胞区画、例えば細胞原形質膜へ導き、媒体中にそれを分泌することが可能であるリーダー配列を本発明のポリヌクレオチドのコード配列に添加してもよく、これは当該技術分野で周知である。リーダー配列は翻訳、開始および終結配列とともに適当な相中で組立てられ、ある実施態様では、ポリペプチドを細胞区画へ導くことができるか、あるいは翻訳タンパクまたはその一部の細胞膜周辺腔または細胞外媒体中への分泌を導くリーダー配列である。この内容では、適当な発現ベクターは当該技術分野では、Okayama-BergcDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(Invitrogen)、またはpSPORT1(GIBCO BRL)などが公知である。
本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターで形質転換された宿主細胞に関する。このような宿主細胞は原核細胞または真核細胞であってもよい。宿主細胞中に存在する本発明のポリヌクレオチドまたはベクターは宿主細胞のゲノム中に組み込まれていても、または染色体外に保持されていてもよい。宿主細胞は細菌、昆虫、真菌、植物、動物またはヒト細胞などの原核細胞または真核細胞である。ある真菌細胞は、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)属のもの、特にS.セレビシエ(serevisiae)種のものである。「原核生物」との用語は、本発明のペプチド配列の発現のためのDNAまたはRNA分子で形質転換または形質移入され得る全ての細菌を含むことを意味する。原核宿主は、例えば大腸菌、S.チフィムリウム(typhimurium)、セラチア マルセセンス(Serratia marcescens)およびバチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)などのグラム陰性菌ならびにグラム陽性菌を含む。「真核生物」との用語は、酵母、高級植物、昆虫および好ましくは哺乳動物細胞、例えばNSOおよびCHO細胞を含むことを意味する。組換え生産技術に使用される宿主によって、本発明のポリヌクレオチドがコードするペプチド配列はグリコシル化されるか、あるいはグリコシル化されない。本発明のポリヌクレオチドは当業者にとって共通して公知であるいずれかの技術を使用して宿主に形質転換または形質移入するために使用され得る。さらに、融合され、実施可能に連結された遺伝子を調製し、例えば哺乳動物細胞および細菌中でそれらを発現させる方法は、当該技術分野で周知である(Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 1989)。そこに記載される遺伝子構築物および方法、またはその率直な修飾は真核または原核宿主中で本発明のポリペプチドを発現するために使用され得る。ある実施態様では、挿入されたポリヌクレオチドの効率的な転写を促進するプロモーター配列を含む発現ベクターは、宿主と関連して使用される。発現ベクターは、通常、複製開始点、プロモーターおよびターミネーター、ならびに形質転換細胞の表現型の選択をもたらすことができる特定遺伝子を含む。ポリペプチド発現のためのDNA配列および宿主細胞の好適な起源細胞は、American Type Culture Collection (「細胞株とハイブリドーマのカタログ」、Fifth edition (1985) Rockville, Maryland, U.S.A.これは本明細書中に参考として導入する。)などの多くの起源から得られ得る。
ある実施態様では、本発明のペプチド配列をコードする核酸分子を送達するためのウイルスベクターは、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルスおよび弱毒ポックスウイルスを含むポックスウイルス、セムリキフォレスト(Semliki Forest)ウイルス、ベネゼラ ウマ脳炎(Venezuelan equine encephalitis)ウイルス、レトロウイスル(retrovirus)、シンビス(Sindbis)ウイルスおよびTyウイルス様粒子からなる群から選択される。外来性核酸を送達するために使用されているウイルスおよびウイルス様粒子の例としては、複製欠陥アデノウイルス(例えば、Xiangら、Virology 219:220-227, 1997; Eloitら、J. Virol. 7:5375-5381, 1997; Chengalvaraら、Vaccine 15:335-339, 1997)、修飾レトロウイルス(Townsendら、J. Virol. 71:3365-3374, 1997)、非複製レトロウイルス(Irwinら、J. Virol. 68:5036-5044, 1994)、複製欠陥セムリキフォレストウイルス(Zhaoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:3009-3013, 1995)、キャナリーポックスウイルスおよび高度弱毒化ワクシニアウイルス誘導体(Paoletti, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:11349-11353, 1996)、非複製ワクシニアウイルス(Moss, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:11341-11348, 1996)、複製ワクシニアウイルス(Moss, Dev. Biol. Stand. 82:55-63, 1994)、ベネゼラ ウマ脳炎ウイルス(Davisら、J. Virol. 70:3781-3787, 1996)、シンドビスウイルス(Pugachevら、Virology 212:587-594, 1995)、およびTyウイルス様粒子(Allsoppら、Eur. J. Immunol. 26:1951-1959, 1996)が挙げられる。ある実施態様では、ウイルスベクターはアデノウイルスである。
ある用途において潜在的に使用される他のウイルスはアデノ関連ウイルス、二本鎖DNAウイルスである。アデノ関連ウイルスは広範囲の細胞型や種に感染することができ、複製欠乏性であるように操作され得る。さらに、これは熱および脂質溶媒安定性、造血細胞を含む種々の系列の細胞中での高い形質導入頻度および多重連続形質導入を可能とする重複感染抑制の欠乏などの利点を有する。アデノ関連ウイルスは部位特異的な方法でヒト細胞DNA中に組み込まれ、それによって、挿入性突然変異誘発の可能性および挿入遺伝子発現の可変性を最小限とする。さらに、野生型アデノ関連ウイルス感染は、選択的圧力がない場合、100継代以上の組織培養が続き、アデノ関連ウイルスゲノム組込みは相対的に安定な事象であることを暗示する。アデノ関連ウイルスはまた、染色体外手法で機能することができる。
他のウイルスベクターは非本質的遺伝子が目的の遺伝子で置換される非細胞変性真核生物ウイルスに基づく。非細胞変性ウイルスはレトロウイルスを含み、そのライフサイクルは宿主細胞DNA中へのプロウイルス取り込むが続く、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写に関与する。アデノウイルスおよびレトロウイルスはヒト遺伝子治療において認可されている。一般的に、レトロウイルスは複製欠損(すなわち、所望タンパクの合成を指示することができるが、感染粒子を製造することができない)である。このような遺伝的に変化されたレトロウイルス発現ベクターは、インビボでの遺伝子の高効率の形質導入における一般的な有用性を有することができる。複製欠損レトロウイルスを産生する標準的プロトコール(プラスミド中への外来性遺伝子材料の組み込み、プラスミドによるパッケージング細胞株の形質移入、パッケージング細胞株による組換えレトロウイルスの産生、組織培養媒体からのウイルス粒子の収集、およびウイルス粒子による標的細胞の感染の工程を含む)は、Kriegler, M. Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, W.H. Freeman Co., New York (1990)およびMurry, E.J. 編、「Methods in Molecular Biology」, vol. 7, Humana Press, Inc., Cliffton, New Jersey (1991)に記載される。
ある実施態様では、前記核酸送達ベクターは、(1)哺乳動物中で転写および翻訳され、細胞の細胞質膜中に局在化され、かつ、配向され、その結果、ペプチド配列(例えば、PSMGFR)の細胞外受容体部分が細胞の細胞質膜の外部表面上に発現される、本発明のペプチド配列を産生することができる外来性遺伝子材料を含み、そして(2)哺乳動物細胞などの標的細胞の表面上に受容体を選択的に結合するリガンドを表面上に含み、そして、それによって標的細胞へ入り込む。
種々の技術は、核酸分子がインビトロまたはインビボで宿主中に導入されるかによって、本発明の核酸分子を細胞中に導入するために使用してもよい。このような技術は核酸分子−リン酸カルシウム沈殿物の形質移入、EDTA会合核酸分子の形質移入、目的の核酸分子を含む前記ウイルスによる形質移入または感染、リポソーム仲介形質移入などを含む。
ある用途では、特定細胞に対して核酸分子を標的とすることが好ましい。このような例では、本発明の核酸分子を細胞(例えば、レトロウイルスまたは他のウイルス;リポソーム)中に送達するために使用する媒体は、それに結合された標的分子を有することができる。例えば、標的細胞上の表面膜タンパクに特異的な抗体などの分子または標的細胞上の受容体に対するリガンドは、核酸分子送達媒体内に結合されるか、あるいは導入され得る。特に、モノクローナル抗体が好ましい。リポソームを本発明の核酸分子を送達するために使用する場合、エンドサイトーシスに関与する表面膜タンパクに結合するタンパクを標的化および/または取り込みのためのリポソーム調製物中に導入してもよい。このようなタンパクとしては、特定細胞型のためのキャプシドタンパクまたはその断片、サイクリング中に内部移行を生じるタンパクに対する抗体、細胞内局在化を標的とし、かつ細胞内半減期を増大させるタンパクなどが挙げられる。重合性送達システムもまた、当業者には公知であるように、核酸分子を細胞中に送達するために使用されている。このようなシステムは核酸分子の経口送達を可能とする。
ベクターの使用による送達のほかに、本発明の核酸を当業者に公知である方法を使用して、例えば、「裸の」核酸送達として、ベクターなしで細胞へ送達してもよい・
本発明の他の態様では、本発明の発現ベクターを含む遺伝子組み換え非ヒト動物が提供される。本明細書中に使用されるように、「遺伝子組み換え非ヒト動物」とは、生殖系列細胞および/または体細胞に導入された1つまたはそれ以上の外来性核酸分子を有する非ヒト動物を含む。したがって、遺伝子組み換え動物はエピソームまたは染色体に導入された発現ベクターなどを有する動物を含む。一般的に、このような発現ベクターは所望遺伝子発現パターン(例えば、時間的または空間的)を与える種々のプロモーターを使用することができる。条件的なプロモーターもまた、本発明の核酸分子に実施可能に連結されて、制御された方法または条件的な方法でコードされたポリペプチド分子の発現を増加または減少させる。ポリペプチド活性または発現のトランス−作用陽性または陰性制御因子もまた、上記した条件的プロモーターに実施可能に連結され得る。このようなトランス−作用制御因子としてはアンチセンス核酸分子、優性陰性分子をコードする核酸分子、転写因子、核酸分子に特異的なリボザイム分子などが挙げられる。遺伝子組み換え非ヒト動物は、例えば、MUC1の異常な発現を特徴とする癌のための診断または治療の生物学的または生理学的効果を試験することに向けられた実験において有用である。他の用途は当業者には明らかであろう。
本発明はまた、専門家が所望の発現ベクターまたはベクターを準備できる、いわゆる発現キットを包含する。このような発現キットとしては本発明のペプチド配列をコードする先に述べた本発明のヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つを含む。他の成分は、上記配列が含まれる限り、所望により添加してもよい。
本明細書中に示される効果は、本発明の内容の中で、MUC1形質移入体(すなわち細胞表面にMUC1受容体のアイソフォームをコードする核酸分子を形質移入された細胞)が未変性MUC1乳房腫瘍細胞と同様に挙動することを証明する。
本発明の内容の中で示される結果はまた、PSMGFRが細胞成長を仲介するMUC1受容体の機能的に必要かつ十分な部分であることを示唆する。ここに示される証拠は、全てのヒト固形腫瘍の約75%で異常に発現されるMUC1受容体が、腫瘍細胞の成長を仲介する主要な受容体であることを示唆する。ここで示され、かつ、上記され、かつ実施例中の結果は、開裂後、細胞表面に付着して残存するMUC1受容体の一部分が、MUC1−依存性細胞増殖において十分かつ必要であるMUC1細胞外ドメインの一部分である証拠を提供する。先に示し、かつ議論したように、MUC1受容体のMGFR部分の二量体化は細胞増殖を誘導した。受容体開裂の正確な部位はいまだ決定されていないけれども、本発明は細胞増殖を刺激する必要があるMUC1受容体の必要かつ十分な部分は未変性PSMGFR(nat−PSMGFR、配列番号36)の全てを本質的に含む受容体の一部であることを示唆する実験結果を示す。
MUC1乳房腫瘍細胞、T47D、1500、1504、およびBT−474はATCCから入手した(実施例5参照)。コントロールとして、MUC1−乳房腫瘍細胞、MDA−MB−453、HEK(ヒトH胚性腎臓)細胞株K293およびHeLa細胞もまた、ATCCから入手した(実施例5参照)。ウェスタンブロット分析は各細胞型のMUC1の発現濃度を決定するために実施した(実施例5参照)。高濃度(15%)ならびに低濃度(6%)のポリアクリルアミドゲルを未開裂ならびに開裂MUC1受容体を可視化するために使用した。分子量範囲が50kDa〜350kDaであるタンパクを可視化することができる低濃度ゲルは、細胞外ドメインの末端繰り返し部分に存在するADDTR配列を認識した抗体、VU4H5(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)でもって探索した。6.5〜50kDaのタンパクを可視化するために使用した高濃度ゲルは、上記したPSMGFRを標的とするウサギポリクローナル抗体でもって探索した。実施例5に記載した製法の図20は、細胞株1504が高濃度の未開裂のMUC1を発現したことを示すウェスタンブロットであり、続いて、T47D、1500細胞、BT−474が示され、K293およびHeLa細胞では検出不能な量の未開裂MUC1が示される。実施例5に記載される製法の図14は、3つの乳房腫瘍細胞株1504、1500およびT47Dの全てが見かけ分子量20〜30kDaを示すタンパク分解MUC1が同様な量を発現したことを示す他のウェスタンブロットである。WreschnerらはこのMUC1開裂産物が正常な健康乳房細胞で発現されないことを示したデータを公表した。BT−474は、かなり低濃度の開裂MUC1を発現した。さらに、BT−474のタンパクバンドは約15kDaに低強度存在を示し、20kDaに集中している(図14参照)。K293細胞は予期されるようにMUC1発現を示さなかったが、HeLa細胞は文献に既に報告されたように、20〜30kDa極小のMUC1を示した。MDA−MB−453もまた、検出可能な濃度の開裂または未開裂MUC1を発現しなかった(データは示されず)。
細胞性タンパクは、開裂、グリコシル化およびリン酸化などの翻訳後の変性をしばしば受ける。特に、ある状況では、MUC1受容体の細胞外ドメインは開裂されて(未知の箇所で)、血流中に流される。受容体の細胞外部分はまた、腫瘍細胞中でそれはしばしばグリコシル化されないと報告されているけれども、グリコシル化され得る。MUC1受容体がこれらの未知変性を経験するとの事実は、長さの点において開裂後、細胞表面に残存する受容体の一部分を特性化することが難しい。グリコシル化の程度は例えば、ウェスタンブロットにより分析されるとき、受容体の分子量を変化させることに注意すべきである。したがって、種々の細胞型中でMUC1の発現濃度を比較し、その真の分子量のよりよい測定を得るために、ウェスタンゲル分析の前にタンパク試料を脱グリコシル化することが有利である。実施例5に記載される製法である図21では、脱グリコシル化後、MUC1タンパクバンドが集まり、約20kDaの見かけ分子量を有する突出したバンドを形成する。これらの結果は試験した乳房腫瘍細胞株の全てがほぼ同じ長さであるが、異なったグリコシル化を有するMUC1開裂産物を産生したことを示唆する。非脱グリコシル化1504、1500およびT47D試料は3つの明白なMUC1タンパクバンドを示したことに注意すべきである。PSMGFR配列は、グリコシル化された3つのアルギニン残基を含む。さらなる分析は、MUC1タンパク分解物は事実、N−グリコシル化されていたが、O−グリコシル化されていなかったことを示唆する。図21(レーン3対4)参照。
いずれのアミノ酸がグリコシル化されていたかを決定するために、1500個の細胞株をO−またはN−連結グリコール単位を特異的に除去する酵素を使用して脱グリコシル化した。図21は、分子量中の変化がN−特異的脱グリコシラーゼで処理した後のみ生じることを示す。これはMUC1受容体のPSMGFR領域が唯一、N−グリコシル化されていることを示唆する。
他の実施態様のセットでは、長さが違うMUC1アイソフォーム構成物は、HEK細胞中に形質移入されて、抗−PSMGFRを使用して、ウェスタンブロットによって分析され、種々のMUC1構築物の開裂パターンを決定した。MUC1受容体の細胞外ドメインのいずれの部分が本明細書中に記載される成長因子様機能に必要かつ十分であるか、あるいは関与するかを調査するために、また、腫瘍細胞中の開裂後、細胞表面上に残存する受容体のタンパクの配列を調査するために、HEK(ヒト胚性腎臓)細胞に異なった長さを有するMUC1受容体変異体を生成するように設計されたプラスミドを形質導入した。図22は生成されたMUC1構築物を示す図である。実施例6〜7参照。要するに、構築物は、完全MUC1受容体(配列番号10)、繰り返しセクションの1.3キロベースのみを有するMUC1受容体変異体(「Repアイソフォーム」、配列番号41)、IBR(鎖間結合ドメイン)後に終結するMUC1受容体変異体(「CMアイソフォーム」、配列番号38)、PSMGFR後に終結するMUC1受容体変異体(「nat−PSMGFRTCアイソフォーム」、配列番号37)および完全MUC1−Y代替スプライス変異体(「Yアイソフォーム」、配列番号40)を産生するように生成された。図23はnat−PSMGFRTCアイソフォームとCMアイソフォーム構築物を除いて、MUC1変異体の全てが明らかに開裂を受けることを示す。文献には、IBR末端へのC−末端配列が受容体の酵素開裂に必要である証拠が存在する。
nat−PSMGFRTCアイソフォームを形質移入された細胞が親細胞株よりも早く、全長または繰り返し(Repアイソフォーム)構築物よりもかなり早く(約2倍)成長した。さらに、本発明者らは、nat−PSMGFRTCアイソフォームを形質移入したHEK細胞は、足場依存性細胞成長が可能であることを観察した。足場依存性細胞成長は、いまだ理解されていない現象であるが、真の腫瘍細胞の顕著な特徴である。完全長または繰り返し(Repアイソフォーム)構築物により一時的に細胞に形質移入しようとする試みは難しく、かつたびたび失敗した。著しく対照的に、nat−PSMGFRTCアイソフォーム構築物は容易にそれぞれに、かつ、それが試みられた毎に形質移入した。これらの結果はこれが成長因子受容体として作用する受容体のPSMGFR部分であるとの前提を支持する。
MUC1切断型受容体がHEK細胞において腫瘍細胞におけるのと同様に挙動するか否かを決定するために、一連の細胞増殖刺激と阻害を行った。特に、2価抗体および1価抗原結合断片をこれらの細胞に添加し、細胞成長とERK2のリン酸化状態への影響を測定した。図24はnat−PSMGFRTCアイソフォーム構築物を形質移入した細胞への2価抗−PSMGFRの添加(灰色のバー)が細胞増殖の80%増強を引き起こし、一方、1価抗−PSMGFRの添加が未形質移入細胞の成長を50%まで阻害することを示す。この図面はまた1価抗体が2価抗体と競合して細胞成長の増強の程度を減少させることを示す。図25は2価抗体の添加がERK2リン酸化を誘発することを示し、一方、図26は1価抗体が2価のものと競合し、ERK2のリン酸化を阻止することを示す。従って、nat−PSMGFRTCアイソフォーム形質移入細胞株は、MUC1癌についての薬剤の発見のための優れた研究ツールを構成する。なぜなら、それらは腫瘍細胞に対して同様に挙動し、この型の受容体は本質的に活性であるようだからである。
要約すると、本発明で生じる形質移入細胞中に提示される細胞外ドメインは以下のものを含む:1)PSMGFRのみ(nat−PSMGFRTCアイソフォーム−配列番号37);2)PSMGFRとPSIBR(CMアイソフォーム−配列番号38);3)PSMGFR、PSIBRおよび繰り返し領域の直前で終結した固有配列(URアイソフォーム−配列番号39);4)PSMGFR、PSIBR、固有配列および1kbの繰り返し配列(Repアイソフォーム−配列番号41);5)完全MUC1細胞外ドメイン(完全長MUC1受容体−配列番号10);および6)Yアイソフォームの完全細胞外ドメイン(配列番号40)。細胞を成長させ、SDS−PAGEと、その後のウェスタンブロットによる特異的タンパクの分子量分析の標準的なプロトコールに従って処理した(実施例5参照)。分析のウェスタンブロット段階で用いられる本発明の抗体は、MUC1受容体のPSMGFR配列を特異的に認識する。様々な形質移入体がその後、ウェスタンブロットにより分析された。
前述したように、MUC1癌細胞株で本質的に発現する構築物は、その細胞株内ではMUC1受容体がPSMGFRのN−末端でもしくはその近傍で終結すると考えられているが、グリコシル化時で20から30Kdの間に一連のタンパクバンドを生成した(図21参照)。脱グリコシル化の後、バンドは分子量約20Kdへと変化した(図21)。有意なことに、nat−PSMGFRTCアイソフォーム形質移入構築物の算出分子量が19Kdである。
「Yアイソフォーム」と呼ばれるMUC1構築物は、35〜45Kdの範囲の見かけ分子量を有するSDS−PAGEゲルを通って移動した、ウェスタンロブロットで抗−PSMGFRと反応した一連のタンパクバンドを生成した(図23参照)。脱グリコシル化の後、タンパクの運動性は、29〜41Kdの範囲の見かけ分子量に変化した。形質移入MUC1−Yアイソフォームの算出分子量は29Kdである。20Kdにかすかなタンパクバンドが見られたが、これはYアイソフォームの何らかの最小開裂が起こり、分子量がnat−PSMGFRTCアイソフォームのものに一致するタンパク分解された断片が生じたという考えに合致する。図23のグリコシル化タンパクレーンの比較は、乳癌患者由来のMUC1タンパク(1500細胞株)とHK細胞に形質移入されたYアイソフォーム(「Y」レーン)との間の明確な相違を示す。図23をさらに参照すると、乳房腫瘍細胞試料を負荷されたレーンは35から45Kdの間にタンパクバンドを示さない;しかし、グリコシル化されたYアイソフォームのタンパクバンドは35と45Kdの間にはっきりと見え、かつ濃いものである。これらの結果は、患者由来の乳房腫瘍細胞がMUC1に加えて、Yアイソフォームなどの別のスプライスされたアイソフォームを産生する可能性を除外しない。なぜなら、それは低濃度であり、ウェスタンブロット分析では見えないかもしれないからである。しかし、これらの結果は、これらの乳房腫瘍細胞株により産生される優性MUC1種がYアイソフォームでないことを明確に示す。
CMアイソフォーム構築物は約28Kdで流れる二重線を産生した。脱グリコシル化の後、バンドは約25Kdの低い分子量へと変化した。nat−PSMGFRTCアイソフォーム構築物に見られた低20Kdバンドが存在しないことから、この構築物が開裂に抵抗性があることを比較は示す。
CMアイソフォーム構築物と同様に、URアイソフォーム構築物は29〜30Kdで流れるMUC1タンパクバンドを産生した。脱グリコシル化の後、バンドは約24Kdの分子量へ変化した。20Kdのかすかなバンドは見えるが、これは構築物の何らかの開裂が生じることを示している。
「完全長」の構築物とRepアイソフォーム構築物は同じように挙動するように見え、脱グリコシル化の後、約23Kdへ変化する25〜30KdでのPsMGFR特異なバンドを産生する。ウェスタンブロットにより、患者由来の乳房腫瘍細胞により産生されるものから、これらの種を区別することは不可能である。
細胞質末尾、膜貫通ドメインおよびPSMGFR(非グリコシル化)を含むMUC1受容体の一部分の(算出された)分子量は約19Kdである(すなわち、nat−PSMGFRTCアイソフォーム−配列番号37参照)。また、本発明で発見されたように、正常乳房細胞が発現せず、かつ約20Kd(脱グリコシル化)でSDS−PAGEゲル上を流れる短い型のMUC1受容体を乳房腫瘍細胞が発現しており、この腫瘍特異的な型の細胞外ドメインがPSMGFRから本質的になることを示唆する。
実際の乳癌患者由来の乳房腫瘍細胞が上述の形質移入構築物に類似するMUC1開裂産物を産生するか否かを確認するために、我々は上述および実施例5に記載の同じウェスタンブロット法を用いて、数種の乳房腫瘍細胞株からのMUC1タンパクを分析した。乳房腫瘍細胞株1500、1504、T47D、BT−474およびMDA−MB−453を試験した。MUC1受容体断片の分子量はその後、上述した通り、PSMGFRに対して発生した抗体を用いて、再度標準的なウェスタンブロット分析を行うことにより決定した。ウェスタンブロットは、乳房腫瘍細胞株が25と30Kdの間で流れる数個のMUC1タンパクバンドを生成することを示した。nat−PSMGFRTCアイソフォーム構築物を用いたように、乳房腫瘍由来試料の脱グリコシル化が、一連のMUC1タンパクバンド(25〜30Kd)を生じ、およそ分子量20Kdを有するバンドへ変化した、図27参照。これらのウェスタンブロットは、乳房腫瘍細胞が産生する低分子量のMUC1種が、PSMGFRの後ろで受容体が切断される上述したMUC1構築物に似ていることを示す。これらの結果は、開裂後に細胞表面に付着して残存するMUC1受容体の一部分が、一時的にはPSMGFR配列からなることを示す。1500とT47D細胞が2つの開裂産物、約19〜20Kdのバンドと約22Kdaでのもう1つのバンドを有するゲル上で二重線として流れるものを産生するようであることに留意すべきである。22KdaバンドはCMアイソフォームにより産生されたバンドに対応しているように見え、それはそのN−末端にPSIBRを含む。有意にも、(1)19〜20Kdaのバンドのないことが、CMアイソフォーム構築物について明らかであり、および(2)22Kdバンドもまた、「健康」型(すなわち、完全長受容体およびRepアイソフォーム−図28参照)を発現する形質移入細胞により産生されたMUC1開裂産物中で明らかであった。これらの結果は、22Kdバンド産物が正常で、異常ではない開裂産物を表しており、異常な開裂(すなわち、19〜25Kdバンドの生成)がIBRの存在により阻止されるかもしれないという議論を支持する。SDS−PAGE分析による分子量の識別能は、約1Kdまでしか正確でなく、それは約9個のアミノ酸であり、腫瘍細胞の表面上に残存しているMUC1受容体の実際の部分は、PSMGFRの末端まで+/−9〜15個のアミノ酸のN−末端であり、場合によっては+/−20個のアミノ酸ほどの可能性もある。しかしながら、ゲルはタンパクがほぼ同じ分子量で流れることを示す。これらのバンドは同じゲルが受容体の繰り返し領域を認識する抗体によってもプローブされるから、開裂産物であると考えられている。繰り返し部分について陽性に染色されるタンパクバンドは250と300Kdの間の分子量で流れ、これは受容体の長いものが発現後に開裂されたことを示す。PSMGFRについて陽性に染色された受容体の部分は、細胞質末尾、膜貫通領域、およびPSMGFRの算出分子量に一致する分子量で流れる。さらに、本発明者らが本明細書で示したデータは、Yアイソフォーム構築物が産生する固有タンパクバンドが患者由来、または天然に生じる乳房腫瘍細胞により産生されたMUC1断片と同一でないことを示唆する。
先に言及したように、本発明の一態様は、MUC1の異常発現を特徴とする癌もしくは腫瘍と診断された、またはそれらを発症する危険性があると診断された被検者を治療する方法を対象とする。本発明の治療は、本明細書で記載されるような薬剤または「物質」の使用を含む。すなわち、一態様はMUC1の異常発現に特徴付けられる癌もしくは腫瘍の治療に有用な一連の組成物を含み、このような症状の治療のためのこの組成物の使用についての説明書を含むキットに入れられた、これらの組成物を含む。すなわち、このキットは癌もしくは腫瘍に関連する本明細書に開示される生物学的もしくは化学的メカニズムに関与する組成物の使用の説明を含む。このキットはまた、本発明のいくつかの実施態様の2もしくはそれ以上の組成物を組み合わせた使用についての説明書を含む。説明書は、薬剤を経口、静脈内、もしくは薬剤送達の他の既知の経路で投与するために提供され得る。本発明のこれらおよび他の実施態様はまた、本明細書に記載される技術および組成物や組成物の組み合わせのいずれかによる癌もしくは腫瘍の治療促進を含み得る。
1セットの実施態様において、細胞増殖に関係の無い症状、または細胞増殖、癌もしくは腫瘍に伴いうる症状を含む、癌もしくは腫瘍とは異なる症状における本発明の組成物の1つによる治療の兆候を患者が示したとしても、患者は本発明の組成物で治療され得る。すなわち、本発明の組成物が異なる症状の治療について知られているなら、本発明のいくつかの実施態様はまた、兆候を示す細胞増殖、癌もしくは腫瘍の疾病を伴う治療のためのその組成物の使用も含む。本発明のこれらおよび他の実施態様は、用量、送達技術、もしくはビヒクル、他の医薬組成物との組み合わせもしくは他の医薬組成物との組み合わせの欠如、投与速度、投与時期、または他の要因が、細胞増殖、癌、もしくは腫瘍とは異なる症状の治療のための組成物の使用とは異なるような治療を含み得る。他のセットの実施態様において、本発明の組成物による細胞増殖、癌、もしくは腫瘍の治療は、違う症状の治療のための本発明の組成物の使用に似ているか、もしくはそれと重複している症状の下で起こるかもしれない。しかし、本発明の組成物は細胞増殖、癌、もしくは腫瘍を伴う治療のために推進されるか、または上述の細胞増殖、癌もしくは腫瘍を伴う治療のための説明書を含む。本明細書中で使用されるように、「推進される」とは、細胞増殖、癌、もしくは腫瘍を伴う治療に関連する本発明の組成物に関与する、教育方法、病院および他の臨床的説明書、および文書、口頭、電子通信のすべての形式を含むいかなる広告もしくは他の販売促進活動の方法を含む、医薬品販売を含む医薬産業活動を含む取引を行う全ての方法を含む。「説明書」は、販売促進の1要素と定義することができ、かつ定義することが多く、典型的には本発明の組成物の包装上のもしくはそれに関連した文書の説明書を含む。説明書はまた、あらゆる様式で提供される、いかなる口頭説明書もしくは電子説明書を含むことができる。「キット」は、典型的には、そして好ましくは、本発明の組成物のいずれか1つもしくはその組み合わせと説明書の両方を含む包装物と定義するが、本発明の組成物およびその説明書が特定の組成物に関与すべきであると臨床専門家が明確に認識することができるような様式で、この組成物に関連して提供されるあらゆる形式の説明書を含むことができる。
本発明のある治療方法(細胞増殖、癌、もしくは腫瘍を対象とする特定の組成物による)を意図されていない被検者とは、この特定組成物による治療を既に必要とする症状により診断されている人々である。従って、本発明の一態様は、その目的のために本明細書に開示される特定組成物による細胞増殖、癌、もしくは腫瘍の治療を含み、細胞増殖、癌もしくは腫瘍自体の治療での使用について既に教示されている他の物質との組み合わせではない治療を含む。他の実施態様は、この特定組成物のみであって、他のいかなる活性物質との組み合わせでもない細胞増殖、癌、もしくは腫瘍の治療を含む。他の実施態様は、治療における組成物の使用が細胞増殖、癌、もしくは腫瘍の治療のために具体的に説明される(たとえば、組成物を伴いうる書面説明書による)、この特定組成物による細胞増殖、癌、もしくは腫瘍の治療に関与する。この態様の好ましい実施態様において、本発明は治療における組成物の使用が、本明細書で開示される細胞増殖、癌、もしくは腫瘍に関与するメカニズムに影響することが具体的に説明される特定組成物による細胞増殖、癌もしくは腫瘍の治療を含む。さらに他のセットの実施態様において、本発明の薬剤および物質は疾患予防の目的のために使用され得る。これに関連して、本発明は本発明の一定の方法により有用である薬剤によって、治療をかつて受けていない患者集団を特に対象とし、それら患者は、細胞増殖、癌もしくは腫瘍を患っていない患者、および細胞増殖、癌もしくは腫瘍の疑いを示すかまたは現在は示さない患者を含む。換言すると、予防的治療は好ましくは本発明により有用であると本明細書に記載される薬剤のいずれかにより、積極的治療を必要とする疾患症状がない患者集団を対象とする。
一実施態様において、本発明はMGFRに特異的親和性を有する、特定の抗体およびその抗原結合断片、特に1価抗体もしくは抗体の1価抗原結合断片(例えば、nat−PSMGFR(配列番号36)もしくはvar−PSMGFR(配列番号7)などのPSMGFRに対して生じたもの)が、MGFRおよびMGFRに結合して腫瘍形成を促進するそのリガンドの相互作用を遮断することができる。この態様において、本発明はこれらの物質もしくは組み合わせによるMUC1の異常発現に関与する腫瘍もしくは癌に関連する被検者の治療を含む。
本方法は、上述の抗体由来もしくは抗体型の薬剤(例えば1価抗−MGFR抗体もしくは抗−MGFR抗体の1価MGFR−結合部分)のいずれかを医学上望ましい結果を与えるのに有効な量で被検者に投与することを含む。一実施態様において、本方法は上述の抗体由来もしくは抗体型の薬剤(例えば、1価抗−MGFR抗体もしくは抗−MGFR抗体の1価MGFR結合部分)のうちのいずれか1つを、MUC1の異常発現に関与する腫瘍もしくは癌の危険性を低減する/これらを予防する/これらを減少させる/これらを阻害するのに有効な量で、被検者に投与することを含む。
有効な量は、治療される特定の症状、治療される被検者の年齢および身体的症状、症状の深刻さ、治療の継続期間、(あるとしたら)併用療法の性質、特定の投与経路、および治療実施者の知識および力量の要因などにより様々であろう。例えば、MUC1の異常発現に関与する腫瘍もしくは癌に関連すると、有効量は、MGFRと細胞増殖を促進するリガンドとの相互作用を阻止する量である(そのメカニズムに従って作用する物質であって、上述の抗体由来もしくは抗体型の薬剤(例えば1価抗−MGFR抗体もしくは抗−MGFR抗体の1価MGFR−結合部分)を含む物質に関する)。
薬剤活性の別のメカニズムによると、有効量はMUC1受容体の自己凝集を維持する量である(そのメカニズムに従って作用するポリマーもしくはデンドリマーのような物質に関する)。あるいは、有効量は開裂MUC1IBRの濃度を減少させるか、もしくは開裂MUC1IBRの低濃度を維持するものである(そのメカニズムに従って作用する物質に関する)。同様に、MUC1の異常発現に関与する腫瘍もしくは癌の発症もしくは進行を遅くするかまたは停止させるために、治療の有効量は開裂MUC1IBRの濃度を低下させるか、もしくは完全に阻害するのに十分な量である(そのメカニズムに従って作用する物質に関する)。同様に、MUC1の異常発現に関与する腫瘍もしくは癌の発生もしくは進行を遅くするか、または停止させるために、治療の有効量は開裂MUC1IBRの濃度を低下させるか、もしくは完全に阻害するのに十分な量である(そのメカニズムに従って作用する物質に関する)。最大用量、つまり信頼性のある医学的判断よる最大安全用量が用いられることが一般的には好ましい。
治療に用いられる場合、本発明の物質は治療に有効な量で投与される。一般的に治療に有効な量とは、治療される特定の症状の発症を遅らせる、進展を阻害する、もしくは全体的に停止させるのに必要な量を意味する。一般的に治療に有効な量は、被検者の年齢、症状、性別ならびに被検者における疾患の性質および程度により様々であり、それらの全ては当業者によって決定されうる。用量は個々の内科医もしくは獣医師によって、特に合併症の場合に調整される。治療に有効な量は、典型的には0.01mg/kgから約1000mg/kgまで様々である。1〜500mg/kgの範囲の用量、および好ましくは1〜50mg/kgの範囲の用量が好適であろうと予測される。他の実施態様では、物質は1μg/kg/日から10mg/kg/日の範囲の用量で、さらに好ましくは1〜200μg/kg/日、1〜100μg/kg/日、1〜50μg/kg/日もしくは1〜25μg/kg/日の範囲の用量で投与される。他の実施態様では、用量は約0.1mg/kgから約200mg/kg、そして最も好ましくは約0.2mg/kgから約20mg/kgの範囲であってもよい。これらの投与には、毎日、1日もしくはそれ以上の日数毎に、1回もしくはそれ以上の投薬が適用され得る。
本発明の物質は、治療的もしくは予防的のいずれか、または両方の利益を被検者に与えるのに十分な長さの期間で投与されるべきである。一般的には、物質は少なくとも1日間投与される。ある例においては、物質は被検者の人生の残りの間、投与されても良い。物質が投与される速度は、被検者の必要性、投与の形態によって様々である。例えば、ある例では、より高い用量およびより高い頻度の被検者への物質の投与が、医学的に望ましい結果をなおも達成しているならば、例えば腫瘍もしくは癌に関連した事象中、もしくはその直後にその投与が必要かもしれない。一方、いったん達成した医学的な望ましい結果を維持するために、より低い用量の投与が望まれうる。さらなる他の実施態様において、同じ用量の物質が、本明細書で記載されるように被検者の生存期間中に及ぶ治療期間中に投与され得る。投与頻度は被検者の特性に応じて様々である。物質は毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、1週間ごと、10日ごと、2週間ごと、1ヵ月ごと、もしくはそれ以上、あるいは、本明細書で明白に記載されるような期間のいずれかに投与されうる。
一実施態様において、活性化合物の1日の用量は約0.01mg/kg/日から1000mg/kg/日である。1日当たり、1回もしくは数回の投与において、50から500mg/kgの範囲での経口投与が所望の結果を生むと予測される。用量は、投与の形態に応じて、局部もしくは全身で所望の薬剤濃度を達成するよう適切に調整されうる。被検者における応答がそのような用量では不十分である場合において、さらに高い用量(もしくは異なる、さらに局部に送達する経路により有効な高用量)が患者の耐性が許す程度まで用いられる。1日当たり複数の投薬が化合物の適切な全身的濃度を達成するように予定される。
好ましくは、このような物質は物質の活性を有利にし、かつ、たとえあるとしても正常な細胞機能に著しい衝撃を与えない用量、処方および投与スケジュールに使用される。
一実施態様において、薬剤の活性の程度は少なくとも10%である。他の実施態様において、薬剤の活性の程度は少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である。
治療目的のために被検者に投与される場合、本発明の製剤は薬学的に許容される量で、かつ薬学的に許容される組成物で適用される。このような医薬組成物はいかなる標準的な生理学的および/または薬学的に許容される当該技術分野で既知の担体と組み合わせて、本発明の物質を含み得る。この組成物は滅菌され、かつ治療に有効な量の物質を患者に投与するのに適した重量もしくは容量の単位で含むべきである。本明細書で用いられる「薬学的に許容される担体」との用語は、1つもしくはそれ以上の適合性ある固体もしくは液体の賦形剤、希釈剤、またはカプセル化材料を意味し、これはヒトもしくは他の動物に投与されるのに適している。「担体」との用語は、有機もしくは無機成分、天然もしくは合成成分、それによって活性成分が組み合わされて適用が容易にされるものを示す。医薬組成物の構成成分はまた、所望の医薬効果を実質的に損なう相互作用のないような様式で、本発明の分子とともに、かつ相互に混合されることができる。薬学的に許容されるとは、さらに細胞、細胞培養物、組織、または器官などの生物学的システムに適合可能な非毒性材料を意味する。担体の特性は、投与の経路に依存する。生理学的かつ薬学的に許容される担体は希釈剤、賦形剤、塩、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、および当該技術で周知の他の材料を含む。
このような調合薬は、塩、緩衝剤、保存料、適合性担体、および所望により他の治療成分を、通常、含み得る。医薬に用いる場合、塩は薬学的に許容されるべきだが、薬学的に許容されない塩は、その薬学的に許容される塩の調製に便利に用いられ得、本発明の範囲から除外されない。このような薬理学的かつ薬学的に許容される塩は、以下の酸から調製されるものを含むが、これらに限定されない:塩酸、臭酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸。また、薬学的に許容される塩は、カルボン酸基のナトリウム、カリウム、カルシウム塩などのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩としても調製され得る。
好適な緩衝剤としては以下のものを含む:酢酸と塩(1〜2%W/V);クエン酸と塩(1〜3%W/V);ホウ酸と塩(0.5〜2.5%W/V);およびリン酸と塩(0.8〜2%W/V)。
好適な保存料としては、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%W/V);クロロブタノール(0.3〜0.9%W/V);パラベン(0.01〜0.25%W/V)およびチメロサール(0.004〜0.02%W/V)を含む。
種々の投与経路が利用可能である。選択される特定形態は、もちろん、選択される薬剤の特定の組み合わせ、治療される癌の症状の深刻さ、患者の状態、治療効果に必要な用量に依存する。本発明の方法は、一般的に言うように医学上許容できるいかなる形態の投与法を用いても実施することができ、臨床的に許容されない副作用を引き起こすことのない、有効濃度の活性化合物を産生するいかなる形態をも意味する。このような投与の形態は、経口、直腸、局所、経鼻、他の粘膜型、直接注射、経皮、舌下もしくは他の経路を含む。「非経口」経路は、皮下、静脈内、筋内、もしくは輸液を含む。直接注射は癌の部位への局所的な到達において好ましい。経口投与は患者ならびに投与スケジュールに便利であるので、例えば癌の発症の危険性のある被検者における予防治療において好ましい。
化学的/物理的ベクターを使用して、本発明の物質を標的(例えば細胞)に送達し、これにより吸収を容易にすることもできる。本明細書で使用される「化学的/物理的ベクター」は、細菌もしくはウイルス原料由来のもの以外に、天然または合成の分子であり、本発明の物質を標的(例えば細胞)まで送達することができるものを示す。
本発明の好ましい化学的/物理的ベクターとしては、コロイド分散系である。コロイド分散系としては、水中油型乳化剤、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質型系が挙げられる。本発明の好ましいコロイド系はリポソームである。リポソームは、インビボもしくはインビトロで送達ベクターとして有用である人工膜ベッセルである。大きな一枚膜ベッセル(LUV)は、0.2〜4.0mμの大きさの範囲であり、これは大きな高分子を封入することが可能であることが示されている。RNA、DNA、および無傷のウイルスが、水性内部に封入され、生物学的に活性な形態で細胞に送達され得る(Fraleyら、Trends Biochem. Sci., v. 6, p. 77 (1981))。リポソームが効果的な遺伝子輸送ベクターであるためには、以下の特性の1もしくはそれ以上が存在しなければならない:(1)生物学的活性を保持しながら高い有効性で対象遺伝子を封入する;(2)非標的細胞に比較して標的細胞に好ましくかつ実質的に結合する;(3)高い有効性で標的細胞の細胞質に小胞の水性内容物を送達する;および(4)遺伝情報を正確で有効に発現する。
リポソームは、モノクローナル抗体、糖、糖脂質もしくはタンパクのような特異的リガンドにリポソームを結合させることによって、特定(例えば組織)のもの(例えば血管細胞壁など)に目標付けられうる。
リポソームはGibco BRLから、例えば、LIPOFECTINTM、およびLIPOFECTACETMとして市販されており、これらはN−[1−(2,3ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)などのカチオン性脂質から形成される。リポソームの製造方法は、当該技術分野で周知であり、多数の文献に記載されている。リポソームはまた、Gregoriadis, G. Trends in Biotechnology, V. 3, p. 235-241 (1985) でも概説されている。
1つの特定実施態様において、好ましいビヒクルは、生物適合性の微小粒子もしくは哺乳動物レシピエントに移植するのに好適な移植片である。本方法により有用な具体的な生物分解性移植片は、PCT国際出願番号PCT/US/03307(公開番号WO95/24929、名称「重合性遺伝子送達システム」、米国特許出願番号213,668、1994年3月15日優先権主張)に記載されている。PCT/US/03307は、適切なプロモーターの制御下での外因性遺伝子を含むための生物適合性で、好ましくは生物分解性の高分子マトリックスを記載する。高分子マトリックスは、患者において外因性遺伝子の持続放出を達成するのに用いられる。本発明に従って、本発明の物質はPCT/US/03307に開示される生物適合性、好ましくは生物分解性の高分子マトリックス内に封入または分散される。高分子マトリックスは好ましくは、微小球(物質は固体高分子マトリックス中に分散されている)もしくは微小カプセル(物質は高分子殻のコア内に貯蔵されている)などの微小粒子の形態である。本発明の物質を含む高分子マトリックスの他の形態は、フィルム、コーティング、ゲル、移植片およびステントを含む。高分子マトリックスデバイスの大きさおよび組成は、マトリックスデバイスが埋め込まれた組織中において好ましい放出動態を生じるよう選択される。高分子マトリックスデバイスの大きさはさらに用いられる送達方法、典型的には、組織への注射または鼻および/もしくは肺領域へのエアロゾルによる懸濁液の投与によって選択される。高分子マトリックス組成物は、両方の望ましい分解速度を有するように、また生体接着性の材料から形成され、デバイスが血管表面に投与されたとき輸送効率をさらに増加させるように選択されうる。マトリックス組成物はまた、分解されないように、しかしむしろ、長時間にわたる拡散により放出されるように選択されうる。
非生物分解性および生物分解性の両方の高分子マトリックスは、被検者への本発明の物質の送達に用いられ得る。生物分解性マトリックスが好ましい。このような高分子は、天然もしくは合成の高分子であってよい。合成高分子が好ましい。高分子は、放出の望ましい期間に基づいて選択され、一般的に2、3時間から1年もしくはそれ以上のオーダーである。典型的には、2、3時間および3〜12ヶ月の間の範囲の期間の放出が最も望ましい。高分子は所望により、水中で約90%の重量まで吸収することのできるヒドロゲルの形態であり、さらに所望により多価イオンもしくは他の高分子と架橋している。
一般的に、本発明の物質は拡散により、もしくはさらに好ましくは高分子マトリックスの分解により、生物分解性の移植片を用いて送達される。生物分解性送達システムを形成するのに用いられる具体的な合成高分子としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリグリコライド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびこれらのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸エステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシルエチルセルロース、セルローストリアセテート、セルロースサルフェートナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリラレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロライド、ポリスチレンおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。
非生物分解性高分子の例は、エチレンビニルアセテート、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、それらのコポリマーおよび混合物を含む。
生物分解性高分子の例としては、乳酸およびグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(ブト酸)、ポリ(吉草酸)、およびポリ(ラクチド−コカプロラクトン)などの合成高分子、およびアルギン酸塩およびデキストランおよびセルロースを含む他の多糖類、コラーゲン、それらの化学誘導体(例えば、アルキル、アルキレンなどの化学基の置換、付加、水酸化、酸化および当業者によって通常なされる他の修飾)、アルブミンおよび他の親水性タンパク、ゼインおよび他のプロラミンおよび疎水性タンパク、コポリマー、およびそれらの混合物などの天然高分子が挙げられる。一般的に、これらの物質は酵素的加水分解もしくはインビボでの水への露呈による表面もしくはバルク侵食によって分解する。
特に対象となる生物接着性高分子としては、教示内容が参照により本明細書に組み込まれるH.S. Sawhney, C.P. Pathak および J.A. Hubell, Macromolecules, 1993,26, 581-587に記載された生物分解性ヒドロゲルである、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、およびポリ(オクタデシルアクリレート)が挙げられる。従って、本発明は医薬としての用途のための上述の物質の組成物、医薬の調製方法、インビボでの医薬の徐放方法を提供する。
組成物は、単位用量形態で便利に提供され、薬学の分野において周知の方法のいずれかによって調製され得る。全ての方法は、治療物質を1つもしくはそれ以上の補足成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般的には組成物は、治療物質を液体担体、微細に分割された固体担体、もしくはその両者に均一かつ緊密に会合させ、そして必要により、製品を成形することにより調製する。
非経口投与に適した組成物は、治療物質の滅菌水性調合薬を都合よく含み、それは好ましくは、レシピエントの血液と等張である。この水性調合薬は、好適な分散もしくは湿潤剤、および懸濁化剤を用いる既知の方法により製剤化され得る。滅菌した注射可能な調合薬もまた、非毒性の非経口に許容される希釈剤もしくは溶媒、例えば1,3−ブタンジオールの溶液などの滅菌注射可能な溶液もしくは懸濁液である。用いられ得る許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル溶液、および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌した不揮発性油が溶媒もしくは懸濁媒体として便利に用いられる。この目的のために、すべての無菌性不揮発性油が合成モノもしくはジ−グリセリドを含めて用いられる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射可能物の調製への用途が見られる。経口、皮下、静脈内、筋内などに適した担体調合薬はRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA.に見ることができる。
経口投与に適した組成物はカプセル、封入剤、錠剤、もしくはトローチ剤などの別個の単位として提供されてもよく、各々は予め定められた量の治療物質を含む。他の組成物は、水溶性液体もしくはシロップ、エリキシル、もしくはエマルジョンなどの非水溶性液体中の懸濁液を含む。
他の送達システムは、徐放、遅延放出、持続放出の送達システムを含むことができる。このようなシステムは、本発明の治療物質の繰り返しの投与を防ぎ、被検者および医師にとっての便宜性を向上する。多くのタイプの放出送達システムが利用可能であり、当業者に知られている。それらは、高分子型のシステム、例えばポリ乳酸およびポリグリコール酸、ポリ(ラクチド−グリコライド)、コポリオキサレート、ポリ無水物、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、およびポリカプロラクトンを含む。薬剤を含む前述の高分子微小カプセルは、例えば米国特許第5,075,109号に記載されている。コレステロール、コレステロールエステル、および脂肪酸などのステロール、またはモノ−、ジ−およびトリ−グリセリドなどの中性脂肪を含む脂質;リポソーム;リン脂質;ヒドロゲル放出システム;シラスティックシステム;ペプチド型システム;ワックス被覆、通常の結合剤および賦形剤を用いる圧縮錠である非高分子システムは、部分的に移植片などに融合される。具体的な例は、(a)米国特許第4,452,775号、第4,675,189号および第5,736,152号に見られるマトリックス内の形態に多糖が含まれる侵食システム、および(b)米国特許第3,854,480号、第5,133,974号および第5,407,686号に記載されるような高分子から制御された速度で活性成分が浸透する拡散システムが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、ポンプ型のハードウェア送達システムが用いられ、それらには移植に適合したものもある。
長期間の持続放出の移植片の使用は、確定した癌症状ならびに癌進行の危険性のある被検者の治療に特に好適である。本明細書で用いられる「長期間」の放出は、移植片が構築されて、そして少なくとも7日間、好ましくは30〜60日間、治療レベルの活性成分を送達するよう調整されることを意味する。この移植片は腫瘍の部位に配置されうる。長期間の持続放出移植片は、当業者には周知であり、上述の放出システムをいくつか含む。
治療物質は、単独にもしくは抗癌剤と組み合わせて投与されうる。治療物質が組み合わせて投与される場合、該化合物は、例えば、静脈内、経口等の同じ方法で投与されうるか、もしくは、治療物質が経口で投与され、抗癌剤が静脈内に投与される等、異なる形態によって、別個に投与され得る。本発明の1つの実施態様において、治療物質および抗癌剤は、静脈内に共に投与される。他の実施態様においては、治療物質と抗癌剤は別個に投与される。
本発明の化合物と共に投与されることのできる抗癌剤としては以下を含むが、これらに限定されるものではない:アシビシン;アクラルビシン;アコダゾールヒドロクロライド;アクロニン;アドリアマイシン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレトアミン;アンボマイシン;アメタントロンアセテート;アミノグルテトイミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタト;ベンゾデパ;ビカルトアミド;ビサントレンヒドロクロライド;ビスナフィドジメシレート;ビゼレシン;ブレオマイシンサルフェート;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシンヒドロクロライド;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスフアミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;ダウノルビシンヒドロクロライド;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシレート;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシンヒドロクロライド;ドロロキシフェン;ドロロキシフェンシトレート;ドロモスタノロンプロピオネート;ズアゾマイシン;エダトレキサート;エフロルニチンヒドロクロライド;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;エピルビシンヒドロクロライド;エルブロゾール;エソルビシンヒドロクロライド;エストラムスチン;エストラムスチンホスフェートナトリウム;エタニダゾール; エトポシド;エトポシドホスフェート;エトプリン;ファドロゾールヒドロクロライド;ファザラビン;フェンレチニド;フロキスリジン;フルダラビンホスフェート;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビンヒドロクロライド;ヒドロキシ尿素;イダルビシンヒドロクロライド;イホスフアミド;イルモホシン;インターフェロンアルファ−2a;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−nl;インターフェロンアルファ−n3;インターフェロンベータ−Ia;インターフェロンガンマ−Ib;イプロプラチン;イリノテカンヒドロクロライド;ランレオチドアセテート;レトロゾール;ロイプロリドアセテート;リアロゾールヒドロクロライド;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロンヒドロクロライド;マソプロコール;マイタンシン;メクロレタミンヒドロクロライド;メゲストロールアセテート;メレンゲストロールアセテート;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;ミトキサントロンヒドロクロライド;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;ペプロマイシンサルフェート;ペルホスフアミド;ピポブロマン;ピポスルファン;ピロキサントロンヒドロクロライド;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジンヒドロクロライド;ピュロマイシン;ピュロマイシンヒドロクロライド;ピラゾフリン;リボプリン;ログレトイミド;サフィンゴール;サフィンゴールヒドロクロライド;セムスチン;シムトラゼン;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;スピロゲルマニウムヒドロクロライド;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;タキソール;テコガランナトリウム;テガフル;テロキサントロンヒドロクロライド;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トポテカンヒドロクロライド;トレミフェンシトレート;トレストロンアセテート;トリシリビンホスフェート;トリメトレキサート;トリメトレキサートグルクロネート;トリプトレリン;ツブロゾールヒドロクロライド;ウラシルムスタルド;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;ビンブラスチンサルフェート;ビンクリスチンサルフェート;ビンデシン;ビンデシンサルフェート;ビネピジンサルフェート;ビングリシナートサルフェート;ビンロイロシンサルフェート;ビノレルビンタルトレート;ビンロシジンサルフェート;ビンゾリジンサルフェート;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;ゾルビシンヒドロクロライド。更なる抗新生物物質としては、Antineoplastic Agents (Paul Calabresi およびBruce A. Chabner)の52章およびGoodman およびGilman's 「治療薬の薬理学的基礎」、Eighth Edition, 1990, McGraw-Hill, Inc. (Health Professions Division), 1202-1263の序文に開示されたものが挙げられる。
ぺプチド配列(N−末端からC−末端へと記載される):
ヒスチジン付加切断型受容体(His−TR)(var−PSMGFRの「SPY」配列を有する):
GTINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVSHHHHHH(配列番号1)
MUC1成長因子受容体のヒスチジン付加一次配列の例(His−var−PSMGFR) (var−PSMGFRの「SPY」配列を有する):
GTINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGAHHHHHH(配列番号2)
配列番号2のC−末端に単一のアミノ酸欠失を有するMUC1成長因子受容体のヒスチジンタグ一次配列の例(His−var−PSMGFR)(var−PSMGFRの「SPY」配列を有する):
TINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGAHHHHHH(配列番号60)
MUC1成長因子受容体のヒスチジン付加伸長配列(ESMGFR)(var−PSMGFRの「SPY」配列を有する):
VQLTLAFREGTINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVSDVPFPFHHHHHH(配列番号3)
MUC1成長因子受容体のヒスチジンタグ腫瘍特異的伸長配列(TSESMGFR)(var−PSMGFRの「SPY」配列を有する):
SVVVQLTLAFREGTINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGAHHHHHH(配列番号61)
鎖間結合領域のヒスチジンタグ一次配列(His−PSIBR):
HHHHHHGFLGLSNIKFRPGSVVVQLTLAFRE(配列番号4)
ヒスチジンタグ切断型鎖間結合領域(His−TPSIBR):
HHHHHHSVVVQLTLAFREG(配列番号62)
ヒスチジンタグ繰り返しモチーフ2(His−RM2):
PDTRPAPGSTAPPAHGVTSAPDTRPAPGSTAPPAHGVTSAHHHHH(配列番号5)
切断型PSMGFR受容体(TR)(var−PSMGFRの「SPY」配列を有する):
GTINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVS(配列番号6)
MUC1成長因子受容体の野生型一次配列(nat−PSMGFR−「PSMGFR」の例):
GTINVHDVETQFNQYKTEAASRYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGA(配列番号36)
配列番号36のC−末端に単一のアミノ酸欠失を有するMUC1成長因子受容体の野生型一次配列(nat−PSMGFR−「PSMGFR」の例):
TINVHDVETQFNQYKTEAASRYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGA(配列番号63)
増強した安定性を有するMUC1成長因子受容体の野生型一次配列の「SPY」機能変異体(var−PSMGFR−「PSMGFR」の例):
GTINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGA(配列番号7)
配列番号7のC−末端に単一のアミノ酸欠失を有する増強した安定性を有するMUC1成長因子受容体の野生型一次配列の「SPY」機能変異体(var−PSMGFR−「PSMGFR」の例):
TINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGA(配列番号64)
鎖間結合領域の一次配列(PSIBR):
GFLGLSNIKFRPGSVVVQLTLAFRE(配列番号8)
切断型鎖間結合領域(TPSIBR):
SVVVQLTLAFREG(配列番号65)
繰り返しモチーフ2(RM2):
PDTRPAPGSTAPPAHGVTSAPDTRPAPGSTAPPAHGVTSA(配列番号9)
MUC1成長因子受容体の腫瘍特異的伸長配列(TSESMGFR)(var−PSMGFRの「SPY」配列を有する):
SVVVQLTLAFREGTINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGA(配列番号66)
完全長MUC1受容体
ムチン1前駆体、Genbank寄託番号:P15941(下記表1)
Figure 2007531505
N−末端にnat−PSMGFRを有し、完全長MUC1受容体の膜貫通および細胞質配列を含む切断型MUC1受容体アイソフォーム(「nat−PSMGFRTCアイソフォーム」−「PSMGFRTC」の例−任意のN−末端のシグナル配列を除いて示される−翻訳後で、細胞表面上の受容体の発現前に開裂される配列番号47、58もしくは59):
G TINVHDVETQ FNQYKTEAAS RYNLTISDVS VSDVPFPFSA QSGAGVPGWG IALLVLVCVL VALAIVYLIALAVCQCRRKN YGQLDIFPARDTYHPMSEYP TYHTHGRYVP PSSTDRSPYE KVSAGNGGSS LSYTNPAVAA ASANL
(配列番号37)
N−末端にnat−PSMGFRとPSIBRを有し、かつ完全長MUC1受容体の膜貫通および細胞質配列を含む切断型MUC1受容体アイソフォーム(「CMアイソフォーム」−任意のN−末端のシグナル配列を除いて示される−翻訳後で、細胞表面上の受容体の発現前に開裂される配列番号47、58、もしくは59):
GFLGLSNIKFRPGSVV VQLTLAFREG TINVHDVETQ FNQYKTEAAS RYNLTISDVS VSDVPFPFSA QSGAGVPGWG IALLVLVCVL VALAIVYLIA LAVCQCRRKN YGQLDIFPARDTYHPMSEYP TYHTHGRYVP PSSTDRSPYEKVSAGNGGSS LSYTNPAVAA ASANL
(配列番号38)
N−末端にnat−PSMGFR+PSIBR+固有領域を有し、かつ完全長MUC1受容体の膜貫通および細胞質配列を含む切断型MUC1受容体アイソフォーム(「URアイソフォーム」−配列番号47、58、もしくは59の任意のN−末端のシグナル配列を除いて示される):
ATTTPASKSTPFSIPSHHSDTPTTLASHSTKTDASSTHHSTVPPLTSSNHSTSPQLSTGVSFFFLSFHISNLQFNSSLEDPSTDYYQELQRDISEMFLQIYKQGGFLGLSNIKFRPGSVVVQLTLAFREGTINVHDVETQFNQYKTEAASRYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGAGVPGWGIALLVLVCVLVALAIVYLIALAVCQCRRKNYGQLDIFPARDTYHPMSEYP TYHTHGRYVPPSSTDRSPYEKVSAGNGGSSLSYTNPAVAAASANL
(配列番号39)
完全長MUSC1受容体の膜貫通および細胞質配列を含む切断型MUC1受容体アイソフォーム(「Yアイソフォーム」−任意のN−末端のシグナル配列を除いて示される−翻訳後で、細胞表面上の受容体の発現前に開裂される配列番号47、58、もしくは59):
GSGHASSTPGGEKETSATQRSSVPSSTEKNAFNSSLEDPSTDYYQELQRDISEMFLQI YKQGGFLGLSNIKFRPGSVVVQLTLAFREGTINVHDMETQFNQYKTEAASRYNLTI SDVSVSDVPFPFSAQSGAGVPGWGIALLVLVCVLVALAIVYLIALAVCQCRRKNYG QLDIFPARDTYHPMSEYPTYHTHGRYVPPSSTDRSPYEKVSAGNGGSSLSYTNPAV AATSANL
(配列番号40)
N−末端にnat−PSMGFR+PSIBR+固有領域+繰り返し部分を有し、かつ完全長MUC1受容体の膜貫通および細胞質配列を含む切断型MUC1受容体アイソフォーム(「Repアイソフォーム」−任意のN−末端のシグナル配列を除いて示される−翻訳後で、細胞表面上の受容体の発現前に開裂される配列番号47、58、もしくは59):
LDPRVRTSAPDTRPAPGSTAPQAHGVTS (APDTRPAPGSTAPPAHGVTS) 25APDTRP APGSTAPPAHGVTSAPDNRPALGSTAPPVHNVTSASGSASGSASTLVHNGTSARAT TTPASKSTPFSIPSHHSDTPTTLASHSTKTDASSTHHSSVPPLTSSNHSTSPQLSTGVSFFFLSFHISNLQFNSSLEDPSTDYYQELQRDISEMFLQIYKQGGFLGLSNIKFRPGSVVVQLTLAFREGTINVHDVETQFNQYKTEAASRYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGAGVPGWGIALLVLVCVLVALAIVYLIALAVCQCRRKNYGQLDIFPARDTYHPMSEYPTYH THGRYVPPSSTDRSPYEKVSAGNGGSSLSYTNPAVAAASANL
(配列番号41)
MUC1受容体および切断型アイソフォームを細胞膜表面に向けるためのN−末端MUC−1シグナル配列(所望により、全体もしくは部分に存在し−例えば、上記に挙げたMUC1切断型受容体アイソフォームのN末端に配列番号47、58および59の変異体によって示されるように、3個までのアミノ酸をC−末端に欠いている):
MTPGTQSPFFLLLLLTVLT (配列番号47)
MTPGTQSPFFLLLLLTVLT VVTA (配列番号58)
MTPGTQSPFFLLLLLTVLT VVTG (配列番号59)
プロオピオメラノコルチン(アドレノコルチコトロピン/ベータ−リポトロピン/アルファ−メラニン細胞刺激ホルモン/ベータメラニン細胞刺激ホルモン/ベータエンドルフィン)[Homo sapiens]
寄託番号:XP_002485
Figure 2007531505
RGD
HHHHHHSSSSGSSSSGSSSSGGRGDSGRGDS (配列番号12)
MUC1受容体の切断型アイソフォームをコードする核酸配列(5'−末端から3'−末端で挙げられる):
配列番号37のnat−PSMGFRTCをコードする核酸分子の例:
acgggcacgg ccggtaccat caatgtccac gacgtggaga cacagttcaa tcagtataaa acggaagcag cctctcgata taacctgacg atctcagacg tcagcgtgag tgatgtgcca tttcctttct ctgcccagtc tggggctggg gtgccaggct ggggcatcgc gctgctggtg ctggtctgtg ttctggttgc gctggccatt gtctatctca ttgccttggc tgtctgtcag tgccgccgaa agaactacgg gcagctggac atctttccag cccgggatac ctaccatcct atgagcgagt accccaccta ccacacccat gggcgctatg tgccccctag cagtaccgat cgtagcccct atgagaaggt ttctgcaggt aacggtggca gcagcctctc ttacacaaac ccagcagtgg cagccgcttc tgccaacttg tagggcacgt cgccgctgag ctgagtggcc agccagtgcc attccactcc actcaggttc ttcaggccag agcccctgca ccctgtttgg gctggtgagc tgggagttca ggtgggctgc tcacagcctc cttcagaggc cccaccaatt tctcggacac ttctcagtgt gtggaagctc atgtgggccc ctgaggctca tgcctgggaa gtgttgtggg ggctcccagg aggactggcc cagagagccc tgagatagcg gggatcctga actggactga ataaaacgtg gtctcccact g
(配列番号42)
配列番号38のCMアイソフォームをコードする核酸分子の例:
acggccggtt ttctgggcct ctccaatatt aagttcaggc caggatctgt ggtggtacaa ttgactctgg ccttccgaga aggtaccatc aatgtccacg acgtggagac acagttcaat cagtataaaa cggaagcagc ctctcgatat aacctgacga tctcagacgt cagcgtgagt gatgtgccat ttcctttctc tgcccagtct ggggctgggg tgccaggctg gggcatcgcg ctgctggtgc tggtctgtgt tctggttgcg ctggccattg tctatctcat tgccttggct gtctgtcagt gccgccgaaa gaactacggg cagctggaca tctttccagc ccgggatacc taccatccta tgagcgagta ccccacctac cacacccatg ggcgctatgt gccccctagc agtaccgatc gtagccccta tgagaaggtt tctgcaggta acggtggcag cagcctctct tacacaaacc cagcagtggc agccgcttct gccaacttgt agggcacgtc gccgctgagc tgagtggcca gccagtgcca ttccactcca ctcaggttct tcaggccaga gcccctgcac cctgtttggg ctggtgagct gggagttcag gtgggctgct cacagcctcc ttcagaggcc ccaccaattt ctcggacact tctcagtgtg tggaagctca tgtgggcccc tgaggctcat gcctgggaag tgttgtgggg gctcccagga ggactggccc agagagccct gagatagcgg ggatcctgaa ctggactgaa taaaacgtgg tctcccactg
(配列番号43)
配列番号39のURアイソフォームをコードする核酸分子の例:
acggccgcta ccacaacccc agccagcaag agcactccat tctcaattcc cagccaccac tctgatactc ctaccaccct tgccagccat agcaccaaga ctgatgccag tagcactcac catagctcgg tacctcctct cacctcctcc aatcacagca cttctcccca gttgtctact ggggtctctt tctttttcct gtcttttcac atttcaaacc tccagtttaa ttcctctctg gaagatccca gcaccgacta ctaccaagag ctgcagagag acatttctga aatgtttttg cagatttata aacaaggggg ttttctgggc ctctccaata ttaagttcag gccaggatct gtggtggtac aattgactct ggccttccga gaaggtacca tcaatgtcca cgacgtggag acacagttca atcagtataa aacggaagca gcctctcgat ataacctgac gatctcagac gtcagcgtga gtgatgtgcc atttcctttc tctgcccagt ctggggctgg ggtgccaggc tggggcatcg cgctgctggt gctggtctgt gttctggttg cgctggccat tgtctatctc attgccttgg ctgtctgtca gtgccgccga aagaactacg ggcagctgga catctttcca gcccgggata cctaccatcc tatgagcgag taccccacct accacaccca tgggcgctat gtgcccccta gcagtaccga tcgtagcccc tatgagaagg tttctgcagg taacggtggc agcagcctct cttacacaaa cccagcagtg gcagccgctt ctgccaactt gtagggcacg tcgccgctga gctgagtggc cagccagtgc cattccactc cactcaggtt cttcaggcca gagcccctgc accctgtttg ggctggtgag ctgggagttc aggtgggctg ctcacagcct ccttcagagg ccccaccaat ttctcggaca cttctcagtg tgtggaagct catgtgggcc cctgaggctc atgcctggga agtgttgtgg gggctcccag gaggactggc ccagagagcc ctgagatagc ggggatcctg aactggactg aataaaacgt ggtctcccac tg
(配列番号44)
配列番号40のYアイソフォームをコードする核酸分子の例:
acaggttctg gtcatgcaag ctctacccca ggtggagaaa aggagacttc ggctacccag agaagttcag tgcccagctc tactgagaag aatgctttta attcctctct ggaagatccc agcaccgact actaccaaga gctgcagaga gacatttctg aaatgttttt gcagatttat aaacaagggg gttttctggg cctctccaat attaagttca ggccaggatc tgtggtggta caattgactc tggccttccg agaaggtacc atcaatgtcc acgacgtgga gacacagttc aatcagtata aaacggaagc agcctctcga tataacctga cgatctcaga cgtcagcgtg agtgatgtgc catttccttt ctctgcccag tctggggctg gggtgccagg ctggggcatc gcgctgctgg tgctggtctg tgttctggtt gcgctggcca ttgtctatct cattgccttg gctgtctgtc agtgccgccg aaagaactac gggcagctgg acatctttcc agcccgggat acctaccatc ctatgagcga gtaccccacc taccacaccc atgggcgcta tgtgccccct agcagtaccg atcgtagccc ctatgagaag gtttctgcag gtaatggtgg cagcagcctc tcttacacaa acccagcagt ggcagccact tctgccaact tgtaggggca cgtcgcc
(配列番号45)
配列番号41のRepアイソフォームをコードする核酸分子の例:
ctcgacccac gcgtccgctc gacccacgcg tccgcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccacg gtgtcacctc ggccccggac accaggccgg ccccgggctc caccgccccc ccagcccatg gtgtcacctc ggccccggac aacaggcccg ccttgggctc caccgcccct ccagtccaca atgtcacctc ggcctcaggc tctgcatcag gctcagcttc tactctggtg cacaacggca cctctgccag ggctaccaca accccagcca gcaagagcac tccattctca attcccagcc accactctga tactcctacc acccttgcca gccatagcac caagactgat gccagtagca ctcaccatag ctcggtacct cctctcacct cctccaatca cagcacttct ccccagttgt ctactggggt ctctttcttt ttcctgtctt ttcacatttc aaacctccag tttaattcct ctctggaaga tcccagcacc gactactacc aagagctgca gagagacatt tctgaaatgt ttttgcagat ttataaacaa gggggttttc tgggcctctc caatattaag ttcaggccag gatctgtggt ggtacaattg actctggcct tccgagaagg taccatcaat gtccacgacg tggagacaca gttcaatcag tataaaacgg aagcagcctc tcgatataac ctgacgatct cagacgtcag cgtgagtgat gtgccatttc ctttctctgc ccagtctggg gctggggtgc caggctgggg catcgcgctg ctggtgctgg tctgtgttct ggttgcgctg gccattgtct atctcattgc cttggctgtc tgtcagtgcc gccgaaagaa ctacgggcag ctggacatct ttccagcccg ggatacctac catcctatga gcgagtaccc cacctaccac acccatgggc gctatgtgcc ccctagcagt accgatcgta gcccctatga gaaggtttct gcaggtaacg gtggcagcag cctctcttac acaaacccag cagtggcagc cgcttctgcc aacttgtagg gcacgtcgcc gctgagctga gtggccagcc agtgccattc cactccactc aggttcttca ggccagagcc cctgcaccct gtttgggctg gtgagctggg agttcaggtg ggctgctcac agcctccttc agaggcccca ccaatttctc ggacacttct cagtgtgtgg aagctcatgt gggcccctga ggctcatgcc tgggaagtgt tgtgggggct cccaggagga ctggcccaga gagccctgag atagcgggga tcctgaactg gactgaataa aacgtggtct cccactg
(配列番号46)
配列番号10の完全長MUC1受容体をコードする核酸分子の例:
acaggttctg gtcatgcaag ctctacccca ggtggagaaa aggagacttc ggctacccag agaagttcag tgcccagctc tactgagaag aatgctgtga gtatgaccag cagcgtactc tccagccaca gccccggttc aggctcctcc accactcagg gacaggatgt cactctggcc ccggccacgg aaccagcttc aggttcagct gccacctggg gacaggatgt cacctcggtc ccagtcacca ggccagccct gggctccacc accccgccag cccacgatgt cacctcagcc ccggacaaca agccagcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccacggtgt cacctcggcc ccggacacca ggccggcccc gggctccacc gcccccccag cccatggtgt cacctcggcc ccggacaaca ggcccgcctt gggctccacc gcccctccag tccacaatgt cacctcggcc tcaggctctg catcaggctc agcttctact ctggtgcaca acggcacctc tgccagggct accacaaccc cagccagcaa gagcactcca ttctcaattc ccagccacca ctctgatact cctaccaccc ttgccagcca tagcaccaag actgatgcca gtagcactca ccatagctcg gtacctcctc tcacctcctc caatcacagc acttctcccc agttgtctac tggggtctct ttctttttcc tgtcttttca catttcaaac ctccagttta attcctctct ggaagatccc agcaccgact actaccaaga gctgcagaga gacatttctg aaatgttttt gcagatttat aaacaagggg gttttctggg cctctccaat attaagttca ggccaggatc tgtggtggta caattgactc tggccttccg agaaggtacc atcaatgtcc acgacgtgga gacacagttc aatcagtata aaacggaagc agcctctcga tataacctga cgatctcaga cgtcagcgtg agtgatgtgc catttccttt ctctgcccag tctggggctg gggtgccagg ctggggcatc gcgctgctgg tgctggtctg tgttctggtt gcgctggcca ttgtctatct cattgccttg gctgtctgtc agtgccgccg aaagaactac gggcagctgg acatctttcc agcccgggat acctaccatc ctatgagcga gtaccccacc taccacaccc atgggcgcta tgtgccccct agcagtaccg atcgtagccc ctatgagaag gtttctgcag gtaacggtgg cagcagcctc tcttacacaa acccagcagt ggcagccgct tctgccaact tgtagggcac gtcgccgctg agctgagtgg ccagccagtg ccattccact ccactcaggt tcttcaggcc agagcccctg caccctgttt gggctggtga gctgggagtt caggtgggct gctcacagcc tccttcagag gccccaccaa tttctcggac acttctcagt gtgtggaagc tcatgtgggc ccctgaggct catgcctggg aagtgttgtg ggggctccca ggaggactgg cccagagagc cctgagatag cggggatcct gaactggact gaataaaacg tggtctccca ctg
(配列番号48)
以下の実施例は本発明の利点を説明することを意図するが、本発明の全範囲を具体化するものではない。
実施例
コロイド調製/実施例にて用いる薬物スクリーニング方法
本発明の特定の実施例および実施態様において、コロイド粒子の表面に自己組織化単分子層(SAM)を作製して使用する。コロイドはSAMで誘導体化されており、国際公開公報番号WO00/43791、2000年7月27日公開、表題「神経変性疾患における異常タンパク凝集の迅速かつ高感受性検出」、(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている方法と同様の方法で、薬物スクリーニングのために調製された。
典型的な実施例において、1.5mlの市販の金コロイド(Auro Dye、Amercham社)を、10分間高速で微量遠心管中で遠心分離によりペレット化した。ペレットを、100μLの貯蔵緩衝液(クエン酸ナトリウムおよびtween−20)、チオールを含む100μLジメチルホルムアミド溶液(DMF)で再懸濁した。チオール溶液中で3時間インキュベーションした後、コロイドをペレット化し、上清を廃棄した。その後、それらをDMF中の400μMトリ−エチレングリコール終結チオール100μLで、55℃で2分間、37℃で2分間、55℃で1分間、37℃で2分間、そして室温で10分間の熱サイクルにかけた。熱サイクルは最低エネルギー確認にない全種の排除となり、安定で、緊密に封入された自己組織化単分子層を生じる。熱サイクルは、幅広い自己組織化単分子層を形成する種のいずれかにより実施され得る。次いで、コロイドをペレット化し、100μLの100mM NaClリン酸緩衝液を添加した。その後、コロイドをコロイド貯蔵緩衝液中の180μM NiSO で1:1に希釈した。
被覆コロイドに用いられたチオールは典型的には、約40μMニトリロトリ酢酸(NTA)−チオールおよびメチル終結チオール(HS−(CH2)15CH3)、40%トリ−エチレングリコール終結チオール、HS(CH2)11(CH2CH2)3OH、(化学式)および50%ポリ(エチニルフェニル)チオール(Cl6H10S)などの他のチオールを含む溶液から誘導した。種々のチオールが最適の非特異結合を選択的に阻害するために用いられた。
コロイド凝集は、懸濁液中に最初に分散するコロイド粒子の色変化をモニタリングすることによって、感度よく検出された。凝集は青色への色変化をもたらす。補助的なシグナル伝達物質は必要でない。薬剤スクリーニングにおいて、凝集(もしくはその欠失)は、候補薬剤の存在下に観察される。
実施例1:MUC1受容体のMGFR部分の二量体化が、MUC1腫瘍細胞に提示されたメカニズムに一致する増強した細胞増殖を誘発する。
本実施例は、MUC1受容体への二量体化の影響を示す。本実施例において、MUC1受容体のMGFR領域に対して生成された本発明の2価抗体への細胞の暴露は、様々な濃度において、MUC1腫瘍細胞に提示されたメカニズムに一致する増強した細胞増殖(もしくはその欠失)をもたらすことが示されている。2価抗体は配列表に示されるvar−PSMGFRもしくはnat−PSMGFRのいずれかに対して生じた(すなわち、2つのMGFRに同時に結合する能力を有する1つの抗体が産生された)。MUC1腫瘍細胞(T47D)は本抗体に露呈され、細胞増殖は抗体の濃度の関数として研究された。成長因子/受容体−抗体応答の典型的な成長/応答曲線が観察された。特に、細胞のほんの一部分のみが抗体に露呈されるのに十分に低い濃度では、細胞増殖は低かった。1つの抗体が隣接したMGFRに結合することのできる十分に高い抗体濃度では、細胞増殖が最大であった。高過剰の抗体において、各抗体は隣接したMGFRを二量体化するよりも、むしろ1つのMGFRにしか結合せず、増殖が減少した。
T47D(HTB−133)細胞、MUC1を過剰発現するヒト乳癌細胞株は、30%のコンフルエントまで培養された。MUC1受容体のPSMGFR部分に対して生じた本発明の抗体、すなわち、MFGRへの抗体(Zymed, San Francisco, California, USAにより、本発明者により供給されたnat−PSMGFRもしくはvar−PSMGFRから、本発明者らとの契約下で産生された)を種々の濃度でマルチウェル細胞培養プレートにおいて細胞に添加した。ネガティブコントロールとして、第2セットのT47D細胞を、無関係の抗体(抗−ストレプトアビジン)で処理した。抗体を添加する前に、細胞を計数した(時間ゼロ)。全ての実験を3回実施した。細胞を通常の条件下、CO2インキュベータで成長させた。細胞を24時間、再度48時間で血球計を用いて計数した(1ウェルにつき3回計数)。結果は濃度依存の方法で、コントロール抗体により処理された同じ細胞の増殖に比較して、抗体の添加が細胞増殖の増強を引き起こしたことを示す。図2参照。図2は抗−MGFR濃度の関数として、24時間と48時間で測定した細胞成長をプロットしたグラフである。最適な抗体濃度において、推定上1つの抗体が、MUC1受容体の2つのMGFR部分に2価に結合する場合、すなわち、受容体を二量体化するとき、細胞増殖が最大である。
同様の実験において、細胞増殖を最大化すると特定された濃度の抗−MGFR抗体を上述の通り成長させたT47D腫瘍細胞の第1群に添加した。同量の抗−MGFR抗体を1セットのコントロール細胞、K293細胞に添加した。図3は抗−MGFR抗体のMUC1腫瘍細胞(T47D)への添加が24時間で180%まで増殖を増強したが、コントロール細胞には何ら影響を与えなかったことを示す。T47D細胞の成長は飽和で頭打ちになり、抗体添加した細胞では48時間であった。コントロール細胞は実験の時間枠内では飽和に到達せず、48時間では70%のコンフルエントであった。
実施例2:MUC1受容体のMGFR部分に結合するリガンドの同定
MUC1受容体へのリガンドを同定する試みにおいて、合成のHis−var−PSMGFRペプチド、GTINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGAHHHHHH(配列番号2)、MUC1受容体の一部分の代表であり、鎖間結合領域の開裂後、細胞表面に付着したまま残存するものであるが、これをNTA−Niビーズ(カタログ番号1000630;Qiagen GmbH, Germanyより市販)に負荷し、プロテアーゼ阻害剤PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオライド)の存在下(図4)もしくは非存在下(図5)で細胞可溶化液とともにインキュベートした。T47D細胞から得た可溶化液を用いたが、これはこの乳房腫瘍細胞株が、MUC1とMUC1リガンドを過剰発現することが知られているからである。T47D細胞を培養し、その後1分間超音波処理して細胞を可溶化した。可溶化液をPSMGFRペプチド提示ビーズと混合し、1時間、断続的に混合しながら氷上でインキュベートした。ネガティブコントロールとして、無関係のペプチドHHHHHHRGEFTGTYITAVT(配列番号13)をNTA−Niビーズに付着させ、同じように処理した。両セットのビーズを、pH7.4のリン酸緩衝液で2回洗浄した。結合タンパク種は、250mMイミダゾールも含む100μLリン酸緩衝液を3回添加することにより溶出した。両方のペプチドについて、最初の溶出液の一部分を除去して、別個の試料として流すために貯蔵し、一方、残部をさらなる2回の溶出液と組み合わせて、TCA(トリクロロ酢酸)−滴定で濃縮した(Chen, L.ら、 Anal. Biochem. Vol 269; pgs 179-188; 1999)。溶出液を、12%SDSゲルに流した、図4参照。その後、ゲルを銀染色した(Schevchenko, Aら、Anal. Chem., Vol. 68; pg 850-858; 1996)。レーンに次のように負荷した:(左から右へ)(1)Benchmarkプレ染色タンパクラダー(Gibco);(2)MUC1ペプチドからの第1溶出液;(3)TCA濃縮試料の1/10;(4)ブランク;(5)TCA濃縮試料の9/10;(6)第1溶出液のネガティブコントロールペプチド;(7)ネガティブコントロールペプチドから得たTCA濃縮試料の1/10;(8)0.5ピコモルBSA(標準として);(9)ネガティブコントロールペプチドから得たTCA濃縮試料の9/10;(10)銀染色SDSページ標準(BioRadカタログ番号1610314)。図4を参照して、レーン2と6(コントロール)を比較すると、MUC1のPSMGFRペプチドが、3つのペプチドに別々に結合したことを見ることができる:見かけ分子量が17kDで流れる第1固有ペプチド;見かけ分子量23kDで流れる第2ペプチド(より濃いバンド)。試料が最も濃縮されているレーン5において、第3の固有バンドが約35kDに見られることは注目すべきである。
図5は、プロテアーゼ阻害剤PMSFが添加されなかった場合を例外として、図4に示されるのと同様の実験の結果を示す。PMSFはプロテアーゼなどの数種の酵素に結合してその作用を阻止する。この実験はPMSFの存在しない場合に、可溶化液中にある酵素がMUC1受容体のリガンドであったか否かを決定するために行われた。図5を参照して、レーン3(コントロール)と7を比較すると、MUC1、PSMGFRペプチドが見かけの分子量35kDを有する1つのペプチドに区別可能に結合したことを見ることができる。このバンドが図4(PMSFあり)に見られるが、非常にうすく、そして最も濃縮された試料からしか溶出されなかったことは注目すべきである。これらの結果は、MUC1受容体のPFMGFR部分が約35kDの見かけ分子量のリガンドの基質であり、それが酵素であるという考えに一致する。本明細書の別の箇所で述べたように、PSMGFRとこのリガンドもしくは粗細胞可溶化液中のリガンドとの結合阻害に基づく薬剤スクリーニングは、この酵素の作用を阻害する化合物を同定することができる。
細胞株は、ATCC(American Type Culture Collection, Manasses, VA)から購入し、全て乳房腺腫細胞株である。いくつかの株は、腫瘍マーカー受容体MUC1、Her2/neuもしくは発癌酵素カテプシンKの発現もしくは過剰発現が知られている。
Figure 2007531505
Figure 2007531505
実施例3:MUC1癌細胞と相互作用するリガンドがマルチマーであるとの証明
本実施例において、MUC1癌細胞での細胞増殖を引き起こすMUC1癌細胞により産生されたリガンドがマルチマーであることを証明した。
17kD、23kDおよび35kDでのタンパクバンドが実施例2において上述したゲルから切り出し、ペプチド分析にかけた。これらのゲルバンドは、MUC1受容体のMGFR領域へのリガンドを意図的に含んでいた。17kDと23kDの種がプロテアーゼ阻害剤PMSFの存在下でMGFRペプチドに結合したこと、一方、35kDの種はPMSFが細胞可溶化混合液に添加されていないときに結合したことを想起されたい。
以下のペプチド分析を行った。ゲル片由来の試料をタンパク分解により分解した。その後、断片をマイクロキャピラリーHPLCにより分離し、これはイオントラップ質量分析計のナノエレクトロスプレーイオン化源に直接結合されていた。MS/MSスペクトルをオンラインで得た。その後、SEQUEST(登録商標)アルゴリズムを他のアルゴリズムと結合させて用いて、これらの断片化スペクトルを既知の配列に関連付けた。次いで、結果を既知のタンパクの配列とのコンセンサスを確認するために手動で再検討した。
17kDと23kDの両方のバンド(可溶化液に添加したPMSF)に含まれるペプチド配列は、転移阻害因子NM23として知られるタンパクに相当し、これはヒト癌の転移の促進と阻害の両方にかかわっている。NM23の役割が腫瘍サプレッサーであるかプロモーターであるかは、癌の種類による。卵巣、結腸、神経芽細胞の腫瘍において、NM23過剰発現が悪性の表現型に結び付けられている(Schneider J, Romero H, Ruiz R, Centeno MM, Rodriguez-Escudero FJ, 「進行型および境界型卵巣癌におけるNM23の発現」、Anticancer Res, 1996; 16 (3A): 1197-202)。しかしながら、乳癌研究は、NM23の発現減少が不良な予後と関連することを示している(Mao H, Liu H, Fu X, Fang Z, Abrams J, Worsham MJ, 「NM23発現の減少は乳癌の末端転移および低生存率を予想する」、Int. J. Oncol. 2001 Mar; 18 (3):587-91)。
図4と5に示されるタンパクゲルバンドから同定され、かつ転移阻害因子NM23と呼ばれる、多数の癌に関連しているタンパクに由来する配列を、以下の表5において示す。NM23はヘキサマーとして存在し、MUC1受容体のMGFR部分の未変性体を認識しうる。
35kDゲルバンド(可溶化液にPMSFが添加されていない)から同定されたペプチド配列は、多数の癌に関連しているシグナル伝達タンパクである14−3−3、およびプロテアーゼであり、腫瘍進行に関連しているカテプシンDを含む1つ以上のタンパク種に相当していた。14−3−3はダイマーとして存在し、同時に2つの同じホスホ−セリンペプチドに結合することができる。これは、細胞増殖を引き起こすMUC1受容体のMGFR部分を二量体化し、それは本明細書に示されるメカニズムに一致する。カテプシンDはプロテアーゼであり、MUC1受容体の開裂に必要であろう。
これらのリガンドの同一性は、本明細書に開示されるMUC1−依存細胞増殖メカニズムに一致しており、すなわち、MUC1受容体のMGFR部分を二量体化するリガンドは細胞増殖を誘発し、MUC1細胞外ドメインの一部分のみの開裂は、配列表に記載のnat−PSMGFR配列(配列番号36)のほとんどもしくは全てによって特定される受容体の機能的部分を表面に出す。
本発明の方法と一致して、治療戦略はMUC1受容体のMGFR部分と1つのリガンドとの相互作用を阻止する化合物を特定するか、もしくはリガンドに結合して作用を遮断する化合物を特定することである。
Figure 2007531505
予言的実施例4:MUC1開裂状態に影響する薬剤のスクリーニングに関連する
MUC1IBRの放出が癌の進行に関連し得る。以下は、これらの受容体の開裂状態に影響する薬剤候補物を同定する細胞分析の全体の記載である。スクリーニングはまた、酵素開裂、受容体産生、発現、安定性、輸送もしくは分泌を含むが、これらに限定されない、結果として細胞から分断され、かつ放出される受容体の自己凝集部分の減少をもたらす全工程を直接もしくは間接に調節する薬剤候補物を同定する。
上述の種類の細胞表面受容体を発現する腫瘍由来細胞は培養され、薬剤候補物で処理される。いくらかのインキュベーション期間の後、ペプチド凝集分析が細胞周辺溶液にて実施される。例えば受容体の定常領域に対する抗体などの結合ペプチドを持つコロイドは、酵素開裂部位から離れており(MUC1のアミノ酸425〜479;番号はAndrew Spicer ら、J. Biol. Chem Vol 266 No. 23, 1991 pgs. 15099-15109;を参照;これらのアミノ酸の番号は、Genbank寄託番号P15941;PID G547937の番号985〜1039に対応している)、溶液に添加される。受容体の分断された部分が自己凝集部分を含んでいる場合、溶液中の受容体は凝集し、そして付着したコロイドの凝集を引き起こし、溶液中で目に見えて検出可能な変化、例えば:色変化または目に見える凝集形成を引き起こす。この可視的変化の阻害は病態を治療するのに有効な物質を示す。
配列表は、ある特定の例において全長ペプチドの全体配列内に見られるまたは断片もしくはその変異体である配列断片の代表である。たとえば、配列表の配列断片のいずれかのうちの、少なくとも10個の連続アミノ酸のいかなるセットも、同族結合モチーフを同定するのに十分でありうる。配列表は、それぞれの1つの配列を包含することを意味し、断片サイズを言う場合は、範囲が最小断片から全長配列を包含することを意図し(1つより少ないアミノ酸は、それが断片である)、ありとあらゆる断片の長さが具体的に列挙できるように意図されている。従って、断片の長さが10と15の間である場合、これは明確には10,11,12,13,14もしくは15の長さであることを意味する。
配列表に関して、受容体は多数の異なった部位で開裂されて、代わりの開始および終結部位を有するペプチド断片を生成する。配列表の配列のこれらの断片にとって、例えば8から10個の連続アミノ酸のいかなるストレッチも、上流または下流のいずれかで、本明細書に言及される結合物である特定断片を同定するのに十分である。
実施例5.ウェスタンブロット分析のプロトコール
細胞培養:
全ての細胞株はATCC(American Type Culture Collection)から入手し、細胞株に添付のATCC推奨法に従って培養した。用いた細胞は以下のものを含む[出願人による名称(ATCC番号)]:T−47D(HTB−133),1500(CRL−1500),1504(CRL−1504),HeLa(CCL−2),HEK−293(CRL−1705),BT−474(HTB−20),MDA−MB−453(HTB−131)。
可溶化液調製:
細胞可溶化液の調製において健康な細胞を100mm培養処理皿上に播種し、細胞が約80〜90%コンフルエントになるまでインキュベートした。その後、培地を除去し、単層を5mLの冷PBSで2回洗浄した。全ての残っているPBSを完全に除去した。冷たい高塩RIPA可溶化緩衝液1ml[400mM NaCl、50mM Tris pH8.0,1%NP−40、0.1%SDS,0.5%デオキシコール酸ナトリウム、1×プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Applied Sciences; Indianapolis, IN)]を単層へ添加し、時折、攪拌しながら、5分間氷上でインキュベートすることにより細胞を可溶化した。細胞をこすり落として、1.5mLエッペンドルフチューブに可溶化液を回収した。可溶化液を10,000rpmで遠心分離し、透明の上清を除去し、新しいチューブ中に入れ、使用するまで−20℃で貯蔵した。
タンパクの濃縮:
タンパク濃縮物は、Pierce BCA Protein Assay(Rockford, L)を用いて得た。製造者のプロトコールに従った。吸光度をHitachi(Randolph, MA)のU−2010 UV/Vis−吸光度計を用いて読んだ。データをプロットし、Microsoft Excelにより曲線を適合した。
脱グリコシル化:
試料をSigma(St. Louis, MO)のEnzymatic Protein Deglycosylation Kitを用いて脱グリコシル化した。キットには、反応緩衝液と変性緩衝液と共に、O−グリコシダーゼ、PNGase−Fおよびα−ノイラミニダーゼ酵素が含まれている。各脱グリコシル化は、可溶化液から総タンパク100μgを用いて行い、酵素と緩衝液をキットに添付の製造者のプロトコール通りに添加した。
SDS−PAGE:
可溶化液タンパクを分離するために、SDS−PAGE電気泳動を用いた。細胞可溶化液を融解し、50μgの総タンパク量で適切なSDS負荷緩衝液に希釈して、最終容量60μlに調製して試料とした。15%ポリアクリルアミドゲルを開裂MUC1部分の低分子量バンドを分離するために用いた。ゲルをBioRad Mini−Protean3(Hercules, CA)で電気泳動した。
PVDF転写:
電気泳動が終了した後、ゲルをMillipore(Bedford, MA)のImmobilon−P PVDF膜に、BioRad(Hercules, CA)のTrans−Blot SD Semi−Dry Transfer Cellを用いて半乾燥転写のために調製した。ゲル、PVDF膜、ブロッティング紙(BioRad;Hercules, CA)を、Tris/グリシン転写緩衝液(25mM Tris,192mMグリシン,20%メタノール)中で、15分間平衡化させた。サンドイッチを製造者の記載どおりに装置上に調製した。電気泳動転写を15Vで45分間行った。
ウェスタンブロット:
膜を除去し、25mlブロット(PBS,0.05%Tween−20,5%ミルク)中に即座に置き、2時間緩やかに攪拌しながらインキュベートした。ブロットを除去し、25mlの一次抗体溶液[ブロット中、本発明のα−PSMGFR抗体の1:1000希釈液もしくはVU−4H5抗体(Santa Cruz Biotechnologies; Santa Cruz, CA)の1:200の希釈液]に置き換え、4℃で一晩インキュベートした。その後、溶液を廃棄し、膜を各10分間5回、PBS−T(PBS,0.05%Tween−20)で洗浄した。次いで、膜を二次抗体溶液[ブロット中、HRP(西洋ワサビパーオキシダーゼ)−結合ヤギ−α−ウサギIgG抗体もしくはHRP−結合ウサギ−α−マウスIgG抗体(Jackson Immunoresearch; West Grove, PA)の1:20000希釈液]で、1時間室温でインキュベートした。溶液を廃棄し、膜を5回、各10分間、PBS−T中で洗浄した。その後、膜をBioRad Laboratories(Hercules, CA)のImmun−Star HRP Luminol/Enhancerおよびパーオキシダーゼ緩衝液の1:1混合液中に5分間おいた。基質を除去し、膜をサランラップ上に置き、フィルムに露出し、Kodak X−OMATで現像した。
実施例6−形質移入体:6つの異なる長さのMuc1受容体をコードする6つの哺乳動物発現プラスミドの構築
完全長MUC1受容体をコードするpMucl−Full
pMucl−Full構築物はMUC1の完全DNAを含み、完全長Muc1タンパク(図22および配列番号10)をコードする。pMucl−Fullプラスミドは、MUC1のcDNAの異なる部分を含む2つの別個のプラスミドから結合された。MUC1のアミノ−末端を韓国生命科学および生物科学研究機関(太田、韓国)のGenome Research Center and the Center for Functional Analysis of Human Genome(GRC/CFAHG)、から入手したEST0039670より得た。EST0039670はMUC1オープンリーディングフレームのアミノ−末端からMUC1のタンデム繰り返しセグメント中に約800塩基対までのcDNAを含んでいた。MUC1のcDNAのカルボキシ−末端は、American Type Culture Collection (ATCC)から得たIntegrated Molecular Analysis of Genomes and their Expression(IMAGE)のクローン番号2428103から得た。このプラスミドは、MUC1のカルボキシ−末端を通ってタンデム繰り返しの残りの1300塩基対を含む。SalIによりIMAGE2428103を含むプラスミドを制限酵素分解して、XhoI分解したEST0039670にサブクローニングすることにより、完全長Muc1構築物(Mucl−Full)を生成した。生じたサブクローン、pESTMucIを制限酵素分解とアガロースゲル電気泳動により確認し、正しく構築されたプラスミドについて予測される大きさのバンドを有することが見られた。pESTMuclプラスミドを哺乳動物発現ベクターpIRES2−GFPにサブクローニングするために用いた。
MUC1構築物の全てに用いた発現ベクターはBecton Dickinson Clontech(Palo Alto, CA)から入手したpIRES2−EGFPであった。このベクターは、サイトメガロウィルス(CMV)初期プロモーターからMUC1を発現する。このベクターはまた、MUC1と同じメッセージからの緑色蛍光タンパク(GFP)の発現における内部リボソームエントリ部位(IRES)を含む。
プラスミドpESTMuclを含む完全長MuclをEcoRIとXhoIで分解し、MUC1を含むDNA断片をゲル精製した。発現ベクター、pIRES2−GFPをEcoRIとSalIで分解し、ゲル精製した。DNAの2つの部分を哺乳動物発現ベクターpIRES2−EGFPにコードされる完全長MUC1タンパクを含むpMucl−Fullを生成するために連結した。正しい挿入をもつ哺乳動物発現ベクターのサブクローンを配列決定のために選択した。所望のプラスミドの適切な構築物を配列決定により確認した。
全ての配列決定は、GeneWiz社(North Brunswick, NJ)により行われた。配列決定をPCR配列決定により行った。全ての結果をNational Center for Biotechnology(NCBI)データベースと配列比較することにより確認した。
RepアイソフォームをコードするpMucl−Rep
pMucl−Rep(配列番号46)構築物はアミノ末端が欠失したMuclタンパクをコードする(図1;配列番号41)。Repアイソフォームは、アミノ末端を失っており、そしてMUC1の末端繰り返しの約半分しか含まない。ESTプラスミド(IMAGE2428103)にMUC1のPCR増幅シグナルペプチドをサブクローニングすることにより、最初のpSP−Repを生成した。MUC1のシグナルペプチドをアミノ末端でサブクローニングし、原形質膜中のタンパクの発現を確実にした。IMAGEクローン番号4695020から得た正常なMUC1シグナルペプチドのPCR増幅を表6のプライマーを用いて行った。PCR産物をEcoRIとXhoIで分解して、EcoRIおよびSalI分解ESTプラスミド(IMAGE2428103)にサブクローニングした。生じたサブクローンの適切な構築物、pSP−Repを分解とアガロースゲル電気泳動により確認した。次いで、pSP−RepプラスミドとpIRES2−GFPをEcoRIとBamHIにより分解し、ともに連結した。pMucl−Repの適切な構築物を、制限酵素分解および引き続いてゲル電気泳動により確認した。配列決定もまた、pMucl−Repプラスミドが正しく作られたことを示した。
URアイソフォームをコードするpMucl−UR:CMアイソフォームをコードするpMucl−CM:およびnat−PSMGFRTCアイソフォームをコードするpMucl−PSMGFRTC:
これらの3つ構築物はMUC1の種々のアミノ末端欠失アイソフォーム、タンデム繰り返し部までのカルボキシ末端をコードする(図1参照。pMucl−UR(配列番号44)は配列番号39をコードし;pMucl−CM(配列番号43)は配列番号38をコードし;そして、pMucl−PMMGFRTC(配列番号42)は配列番号37をコードする)。pMucl−URはMUC1のアミノ酸981から1255を含むアイソフォームをコードする。pMucl−CMはMUC1のアミノ酸1085から1255を含むアイソフォームをコードし、168個のアミノ酸のペプチドをコードする。pMucl−PSMGFRTCはMUC1のアミノ酸1110からアミノ酸1255のペプチドをコードし、長さが143個のアミノ酸になる。これらのプラスミドの3つ全ては以下の同じ手順により構築された。まず、IMAGEクローン番号4695020から、各々がEcoRIまたはEagIのいずれかの制限酵素部位を含むプライマーを用いて、MUC1のシグナルペプチドをPCRにより増幅した。その後、EagIまたはBamHI部位を含んだプライマーにより構築物のカルボキシ末端部分をPCRにより増幅した。PCRに用いたプライマーを表6に記載する。PCR産物をEagIで分解し、その後、連結した。連結は先に用いたEcoRIおよびBamHIを含むプライマーを用いてPCRにより再度、増幅した。これは、連結したPCR産物を増幅した。生じたDNA断片をEcoRIとBamHIで分解し、同様に分解したpIRES2−EGFPにサブクローニングした。所望のPCR産物とプラスミドの大きさをアガロースゲル電気泳動により確認した。配列決定により、正しいプラスミドが作られたことを確認した。
YアイソフォームをコードするpMucl−Y:
pMucl−YプラスミドはMUC1の選択的にスプライスされた型をコードする(図1参照。pMucl−UR(配列番号45)は配列番号40をコードする)。Mucl−YのcDNAはIMAGEクローン番号4695020から得た。このクローンを配列決定すると、余分な9個のアミノ酸を含むことがわかった。これらはPCRによって削除された。Mucl−YのcDNAの前部分は制限酵素部位EcoRIを含むプライマーおよびAlwNI制限酵素部位を含むプライマーにより増幅した。Mucl−Yの末端部分を、AlwNI制限酵素部位を含むプライマーおよび制限酵素部位BamHIを含むプライマーにより増幅した。両方のPCR産物をAlwNIで分解後、2つの断片を連結した。連結は先に用いたEcoRIおよびBamHIを含むプライマーを用いてPCRにより再度、増幅した。これは連結したPCR産物を増幅した。生じたDNA断片をEcoRIとBamHIで分解し、同様に分解したpIRES2−EGFPにサブクローニングした。所望のPCR産物とプラスミドの大きさをアガロースゲル電気泳動により確認した。配列決定により、9個のアミノ酸が欠失した正しいプラスミドが作られたことを確認した。
PCRのプライマー
Figure 2007531505
方法−DNA操作:
ポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)をMJ Research(Watertown, MA)のMiniCylcerを用いて行った。PCRに以下の工程を用いた。第1工程:94℃、2分間、第2変性工程:94℃、30秒間、第3アニーリング工程:55℃、30秒間、第4伸長工程:68℃、1分間、第5工程:第2工程から第4工程を34回、第6工程:68℃、5分間、そして4℃で維持。Invitrogen(Carlsbad, CA)のPlatinum Pfx DNA Polymeraseを増幅に用いた。PCR反応は、全50μlの反応容量中、2ngプラスミドDNA、1×Pfx増幅緩衝液、1mM MgSO4、0.3μlの各プライマー、1.25単位のPfxポリメラーゼ、および0.3μMの各dNTPを含んでいた。PCR産物をQiagenのQiaquick PCR除去キットを用いて、プライマーと緩衝液を取り除いて精製した。PCR産物を制限酵素分解前にこの方法で処理した。
全てのDNA制限酵素は、New England BioLabs(Beverly, MA)から購入した。制限酵素分解は、供給された反応緩衝液中、37℃で製造者の推奨どおり行った。DNA断片を精製するために、アガロースゲル上のバンドを、エチジウムブロマイドで可視化し、ゲルを切り出した。その後、Qiagen(Valencia, CA)のQiaquickゲル精製カラムを用いて、製造者の推奨プロトコールに従って断片を精製した。
少量のプラスミドDNAは、Ausubel(ref)に概説される通り、アルカリ可溶化により調製した。多量のDNAは、Qiagen Maxi Prepカラムを用いて調製した。DNAを単離した後に追加工程のフェノールクロロホルム抽出を追加した以外は、プロトコールを会社により推奨されている説明書どおりに行った。DNA濃度は、Hitachi3000吸光度計にて260nmで希釈試料の吸光度を測定することにより決定した。DNA断片はRoche(Indianapolis, IN)により提供されるRapid DNA Ligation Kitを用いて連結した。連結したDNAを熱ショックにより、化学的にコンピーテントな大腸菌株JM101に形質転換した。DNA配列決定はPCR配列決定により行い、GeneWiz社(North Brunswick, NJ)で行われた。
実施例7:細胞表面にMUC1アイソフォーム発現が可能であるHEK293細胞の形質移入:
目的は、MUC1タンパクの種々のアイソフォームによるHEK293細胞の形質移入であり、細胞表面に発現したタンパクを有することである。HEK293細胞にMUC1アイソフォームを形質移入し、形質移入された細胞の表面上はMUC1アイソフォームの発現を示した。
形質移入手順:
ヒト胚性腎臓(HEK)293細胞を播種して、90%コンフルエンシーを生成した。Invitrogen (Carlsbad, CA)のリポフェクトアミン2000を用いて細胞に形質移入した。製造者のプロトコールに従った。DNAとリポフェクトアミンの両方を血清と抗生物質を含まない培地中に希釈した。5分後、DNAとリポフェクトアミンを混合し、室温で30分間インキュベートした。細胞を滅菌1×PBSで1回洗浄し、その後形質移入混合液を細胞に添加した。細胞をDNA:リポフェクトアミン複合体と共に、10%血清を含む培地に変更する前に、培地を4〜6時間インキュベートした。これらの細胞を24時間もしくは48時間後に、MUC1アイソフォームの発現について分析した。安定した細胞株を10日間、Invitrogenの600μg/mlのGenetimicin(G418)により、形質移入の48時間後に、選択した。
実施例8:ポリクローナル抗−PSMGFR抗体産生
免疫化に用いたペプチド配列は、GTINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGA(var−PSMGFR 配列番号7)であった。2匹のウサギをメーカー独自の市販技術であるPolyquickTM法を用いて免疫した。4週間後、血液をPSMGFR特異的抗体について評価した。ウサギは、抗体を回収する2週間前に、抗原の追加免疫を受けた。抗体をカラム支持体に結合したペプチドを用いて親和性精製した。
実施例9:1価抗体断片の産生
実施例8にて産生したポリクローナル抗体の抗体断片化を、Maine Biotechnology Servises Inc.(Portand, ME)によるパパイン分解を用いて行った。断片化した抗体を未開裂の抗体およびFc断片から精製した。開裂反応および精製はSDS PAGEで評価した。
実施例10:MUC1アイソフォーム発現における形質移入体の評価:
MUC1アイソフォーム形質移入体が細胞の表面にタンパクを発現したことを立証するために、フローサイトメトリーを形質移入細胞に行った。細胞の間接染色プロトコールを以下のように簡単に続ける。1億個の細胞を1mgの一次抗−PSMGFR抗体により染色した。その後、細胞を1×PBSで洗浄した。その後、細胞をJackson Laboratoriesのフィコエリトリン(PE)−標識−Fab−断片、抗−ウサギ二次抗体で染色した。細胞を洗浄し、PIで染色した。フローサイトメトリーをBeckton Dickinson(Palo Alto, CA)のFACS Calibur設備で行った。前方散乱光および側方散乱光とプロピジウムイオジン(PI)ネガティブ染色により、細胞集団を生細胞について探索した。形質移入体を示すGFPのレベルおよびMUC1染色を示すPEについて細胞を評価した。形質移入体はベクターコントロールのレベルより高くPSMGFRを染色していた(データは示されず)。MUC1−PSMGFRTCとMUC1−Yの構築物が他の形質移入体に比べて高いレベルまで染色されていることが観察された。大部分の他の形質移入体はGFPが低く、これは低形質移入レベルを示す可能性がある。
我々は蛍光顕微鏡を用いて、形質移入細胞の表面でのMUC1アイソフォームの局在を観察した。細胞染色の手順は以下の通りである。細胞を滅菌カバー片上で成長させた。細胞を1×PBSで洗浄した。細胞を1×PBS中の4%パラホルムアルデヒドで固定した。その後、カバー片を1×PBSで洗浄した。抗−PSMGFR抗体をカバー片に2μg/mlで添加した。カバー片を1×PBSで再度、洗浄した。Zymedの抗ウサギテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)標識二次抗体をカバー片に添加し、その後1×PBSで洗浄した。核をSigma(St. Louis, MO)の4',6−ジアミジノ−2−フェニルインドールジヒドロクロライド水和物(DAPI)で染色した。カバー片を、取り付け媒体を用いてスライド上に置いた。カバー片をマニキュア液で密封した。スライドをApplied Precision (Issaquah, WA)のDeltaVision(登録商標)顕微鏡システムを装着したOlympus IX70顕微鏡の60×対物を用いて観察した。写真をApplied PrecisionのSoftwoRx(登録商標)ソフトウェアを用いて撮影した。抗−PSMGFR抗体により見られる染色パターンは、細胞の表面に局在するタンパクに特有のものであった。
実施例11−2価対1価の抗−PSMGFR抗体による細胞増殖の刺激性/阻害効果
試薬:
* 血清不含RPMI培地中で実施例8と9に記載の通り産生されたANTI−PSMGFR抗体の連続希釈液(1×、1×の1/10、1/50、1/250、1/1000)
* 所望の細胞の入った60〜70%コンフルエントフラスコ
* 10%および0.1%細胞特異的培地
* トリプシン
* 96ウェルプレート
方法:
1. 96ウェルプレートの周辺ウェルに100μlの培地を置く。1ウェルあたり6000個の細胞を内側のウェル中に置く(10%血清を含む成長培地100μl容量中)。
2. 翌日、培地を0.1%血清成長培地に変更し、2.5%血清を含む培地に変更したBT474細胞を除いて、一晩インキュベートする(12〜24時間)。
3. 翌日、所望のウェルに抗体(1ウェルあたり1μl)を添加し、緩やかに混合し、インキュベータにもどす。抗体を24時間ごとに添加する。腫瘍細胞株1500、1504、およびBT474については、抗体を5回添加し、最後の抗体の添加後、24時間後に細胞を計数した。腫瘍細胞株T47Dについて、抗体を2もしくは3回添加した。実施例7において上述の通り産生されたK293細胞安定形質移入体について、抗体を2回添加した。1価抗体断片と2価抗体の間での競合実験において、1価抗体断片を2価抗体の添加の前に10〜15分の間に添加した。
4. 所望の分析(BrdU,個々の細胞の計数)を行って、細胞を計数した。
5. 成長百分率を以下の式を用いて算出した:
成長%=100{最終細胞数−開始細胞数}/開始細胞数
6. 正常化成長を以下のように算出した:
正常化成長%=100{抗体の有無に係わらない最終細胞数}/抗体なしの最終細胞数
ヒト乳房腺腫CRL−1500細胞をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から取得した。細胞を10%ウシ胎児血清、Pen/Sterp、1mMピルビン酸ナトリウム、0.5%グルコース、および0.15%重炭酸ナトリウムを含むRPMI1604を入れたT75通気式フラスコ中に播種した。さらに、細胞を実験前に10回継代した。準備ができたら、10%ウシ胎児血清、Pen/Sterp、1mMピルビン酸ナトリウム、0.5%グルコースおよび0.15%重炭酸ナトリウムを含むRPMI1640を入れた96ウェルプレートに細胞を播種し(100μl培地中1ウェルあたり6000細胞)、24時間、5%CO2および37℃でインキュベートした。翌日、成長培地を0.1%ウシ胎児血清、Pen/Sterp、1mMピルビン酸ナトリウム、0.5%グルコースおよび0.15%重炭酸ナトリウムを含むRPMI培地に、一晩5%CO2および37℃で置き換えた。MUC1受容体二量体化の1500細胞成長への影響を試験するために、様々な濃度の親和性精製した2価抗−PSMFGRポリクローナル抗体、様々な濃度の親和性精製した1価抗−PSMFGRポリクローナル抗体断片のいずれか、もしくは両方一緒に細胞をインキュベートした。抗体/断片を24時間毎に5回、細胞に添加した。抗−PSMFGR抗体の特異性を示すために、コントロール実験を無関係の抗体(抗−ストレプトアビジンポリクローナル抗体)を用いて行った。細胞を50μlトリプシンと共に最後の抗体添加の24時間後に回収し、1ウェルあたりの細胞数を、血球計を用いて測定した(1条件あたり3ウェルを計数した)。
CRL−1500細胞について上述した同じプロトコールをCRL−1504細胞に対して用いた。BT474(HTB−20)細胞について、用いたプロトコールは2つの例外以外はCRL−1500細胞のものと同じであった:(1)10%ウシ胎児血清およびペニシリン/ストレプトマイシンを補充したATCC Hybricare(カタログ番号46−X)培地で細胞を培養したこと、および(2)実験中、細胞を個々の実験にて特定されるような2.5%血清もしくは5.0%血清を含む培地の存在下で培養したこと。
T47−D(HTB−133)細胞について、用いた培地は10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、ペニシリン/ストレプトマイシン、1.25gグルコース/500ml培地、0.2単位/mlのウシインシュリンおよび1.5g/l重炭酸ナトリウムを補充したRPMI1640培地であった。抗体刺激/阻害実験について、インシュリンを一切添加せず、実験は0.1%ウシ胎児血清を含む培地で実施した。
HeLa(CCL−2)細胞を、ペニシリン/ストレプトアビジンと10%ウシ胎児血清を補充したMEM Earle's BSS培地(ATCC番号30−2003)中で培養した。抗体実験をCRL−1500細胞について記載の通りに行った。
HEK293(CRL−1705)細胞を、ペニシリン/ストレプトマイシンと10%ウシ胎児血清を補充したDMEM(BioWhittaker番号BW12−640F)培地中で培養した。抗体実験をCRL−1500細胞について記載の通りに行った。
HEK293(CRL−1705)細胞形質移入体を、ペニシリン/ストレプトアビジン、10%ウシ胎児血清と600μg/mlのジェネティシン(GibcoBRL番号11101−011)を補充したDMEM(BioWhittaker番号BW12−640F)培地中で培養した。選択薬剤ジェネティシンは実験中、培地に添加しなかった。抗体刺激/阻害実験を0.1%血清含有培地の存在下で行い、1種の抗体/複数種の抗体を24時間間隔で2回添加した。
細胞成長百分率を、下記式を用いて算出した:
成長%=100×{最終細胞数−開始細胞数}/開始細胞数
正常化成長百分率を以下のように算出した:
正常化成長%=100×{抗体の有無に係わらない最終細胞数}/抗体なしの最終細胞数
実施例12−MGFR二量体化の決定因子としての乳房腫瘍細胞中のERK2リン酸化状態の測定
ヒト乳房腺腫CRL−1500細胞をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から取得した。細胞を10%ウシ胎児血清、Pen/Sterp、1mMピルビン酸ナトリウム、0.5%グルコースおよび0.15%重炭酸ナトリウムを含むRPMI1604を入れたT75通気式フラスコ中に播種した。さらに、細胞を実験前に10回継代した。準備ができたら、10%ウシ胎児血清、Pen/Sterp、1mMピルビン酸ナトリウム、0.5%グルコースおよび0.15%重炭酸ナトリウムおよびインシュリン(10μg/ml)を含むRPMI1640中に60mmプレートあたり、細胞1×106個を播種した。翌日、70%コンフルエントの細胞を乱さないように注意深く、(1回、)血清不含RPMI培地で洗浄し、一晩、5%CO2および37℃で、2ml血清不含RPMI培地中でインキュベートした。翌日、細胞を5μlの親和性精製2価抗−PSMGFRポリクローナル抗体、1価抗−PSMFGRのみ(10μl)のいずれか、もしくは両方一緒に刺激した。未処理細胞をコントロールとして用いた。活性化後、細胞を即座に2回、氷冷PBSで洗浄し、緩衝液(1%Triton X−100、10%グリセロール、20mM HEPES、pH7.2、100mM NaCl、1mMフェニルメチルスルホニルフルオライド、10μg/mlアプロチニン、10μg/mlロイペプチンおよび1mM Na3VO4)を用いて可溶化した。細胞可溶化液を15分間回転プレート上でインキュベートし、次いで10分間(10g)、遠心分離して、界面活性剤不溶物質を除去した。等量のタンパク(1レーンあたり100μg)をSDS−PAGE試料緩衝液と混合し、5分間煮沸し、10%SDS−ポリアクリルアミドゲルにて分離し、その後、ポリビニリデンジフルオライド膜に転写した。次いで、5%無脂肪乾燥乳を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、室温にて1時間、膜をブロッキングした。膜を一晩、4℃で抗−ERK2もしくは抗−ppERK1/2抗体(Cell Signaling Technology Inc., Beverly, MA, USA)(0.5%ミルクを含むPBS中で1:1000に希釈)でインキュベートした。イムノブロットを20分間1回、5分間2回、PBSで洗浄し、西洋ワサビパーオキシダーゼを結合した二次抗体で(1:20000に希釈)1時間、インキュベートし、20分間1回、5分間2回、PBSで洗浄し、増強した化学蛍光試薬(BioRad)を用いた化学発光により可視化した。
実施例13−1価−2価抗体の競合を試験するためのコロイド分析:
コロイドを25μM NTAチオールで上述の通りに調製した。次に、ヒスチジンタグPSMGFRペプチド(例えばHis−var−PSMGFR 配列番号2)もしくはコントロールRGDペプチドをコロイドに結合させた。
マイクロタイタープレートのウェルに55μlのリン酸緩衝液を添加し、続いて5μlの100μM BSA(ウシ胎児血清アルブミン)を添加した。
次いで、1種の抗体/複数種の抗体(未希釈の貯蔵液の最小10μl、概ね1μg/μl)をウェルに添加して、中身をピペッティングにより混合した。
30μlのコントロールRGDコロイドもしくはHis−PSMGFRコロイドのいずれかを添加し、次に続いて混合した。抗体−ペプチド相互作用を3〜4時間進行させた。
ウェルを650nmで吸光度を測定することによりスコア化した。
本発明の診断とスクリーニング分析に加えて、本発明は癌の治療および予防の治療的方法および関連した生成物に関与する。例えば、一態様において、本発明は被検者に細胞表面受容体から細胞表面受容体のIBRの開裂を減少させる物質を投与することにより、癌を患う被検者、または癌の発症の危険性を有する被検者の治療の方法に関連する。
当業者は、本明細書に列挙した全てのパラメータが典型的なものであることを意味し、実際のパラメータは本発明の方法および装置が用いられる具体的な応用に依存することを、簡単に予測できるであろう。したがって、前述の実施態様が例示のみによって提示され、添付の請求項およびその等価物の範囲内であり、本発明は具体的に記載された以外にも実行可能であることが理解されよう。特に、当業者は通常程度の実験を用いて、本明細書に記載の本発明の特定の実施態様と均等である多くのものを認識し、あるいは確認することができる。このような等価物は、以下の請求項によって包含されることが意図される。
特定の症状の予防もしくは治療のために化合物を被検者に投与するいくつかの方法が、本明細書に開示されている。本発明の個々のこのような態様において、本発明がまた、特定の症状の治療もしくは予防における使用のための化合物、ならびに特定の症状の治療もしくは予防のための医薬の製造における化合物の使用を含むことが理解されよう。
請求項において、全ての「含む」、「含有する」、「有する」、「包含する」、「関与する」などのすべての移行句は、開放的意味、すなわちそれを含むが限定されないことを意味すると理解されよう。「からなる」と「から実質的になる」の移行句だけが、それぞれ閉鎖的または半閉鎖的な移行句である。
本発明により産生されるMUC1受容体(トップ)および種々の切断型MUC1受容体アイソフォームの模式図である。 細胞表面、すなわち細胞外に近接していて受容体を二量体化するMUC1受容体のエピトープに対する本発明の抗体が、成長因子/受容体−抗体相互作用の典型的な方法における細胞増殖を増強することを示す細胞増殖率のグラフである。 細胞表面に近接して、該受容体を二量体化するMUC1受容体のエピトープに対する本発明の抗体が、細胞増殖を飛躍的に増強することを示す細胞増殖率のグラフである。 プロテアーゼ阻害剤PMSFの存在下に特定PSMGFRペプチドを使用する細胞溶解物から取り出されたリガンドを示す銀染色ゲルである。 プロテアーゼ阻害剤PMSFの存在下に図4のPSMGFRペプチドを使用する細胞溶解物から取り出されたリガンドを示す銀染色ゲルである。 2価抗−PSMGFR抗体がMUC1乳房腫瘍細胞株1504の細胞成長を刺激することを示すグラフである。 2価抗−PSMGFR抗体がMUC1乳房腫瘍細胞株1500の細胞成長を刺激することを示すグラフである。 2価抗−PSMGFR抗体がMUC1乳房腫瘍細胞株1500の細胞成長を刺激することを示す他のグラフである。 2価抗−PSMGFR抗体がMUC1乳房腫瘍細胞株T47Dの細胞成長を刺激することを示すグラフである。 2価抗−PSMGFR抗体がMUC1乳房腫瘍細胞株BT−474の細胞成長を刺激することを示すグラフである。 1価抗−PSMGFRがMUC1乳房腫瘍細胞株1504の細胞成長を阻害することを示すグラフである。 1価抗−PSMGFRがMUC1乳房腫瘍細胞株1500の細胞成長を阻害することを示すグラフである。 1価抗−PSMGFRが2価抗−PSMGFRと競合し、ナノ粒子分析における色変化を阻止することを示す棒グラフである。 乳房腫瘍細胞が見かけ分子量20〜30kDaのMUC1開裂産物を産生することを示すウェスタンブロットである。 2価抗−PSMGFRがT47D細胞中のMUC1を二量体化し、細胞内MAPキナーゼ細胞増殖経路を活性化することを示すウェスタンブロットである。 2価抗−PSMGFRが1504乳房腫瘍細胞の細胞内MAPキナーゼ細胞増殖経路を活性化することを示すウェスタンブロットである。 2価抗−PSMGFRは1500乳房腫瘍細胞の細胞内MAPキナーゼ細胞増殖経路を活性化することを示すウェスタンブロットである。 薬剤化合物が2価抗−PSMGFRと競合し、細胞内MAPキナーゼ細胞増殖経路の活性化を阻止することを示すウェスタンブロットである。 1価抗−PSMGFRが2価抗−PSMGFRと競合し、細胞内MAPキナーゼ細胞増殖経路の活性化を阻止することを示すウェスタンブロットである。 乳房腫瘍細胞が全長ならびに開裂したMUC1を表示することを示すウェスタンブロットである。 MUC1開裂産物がN−グリコシル化されていることを示すウェスタンブロットである。 HKE細胞中に形質移入されたMUC1受容体変異体の模式図である。 MUC1腫瘍−特異的開裂産物が約20kDaバンドとして流れることを示すウェスタンブロットである。 1価抗−PSMGFRがnat−PSMGFRTC形質移入体の細胞成長を阻害することを示す棒グラフである。 2価抗−PSMGFR抗体がnat−PSMGFRTCアイソフォームを形質移入したHEK細胞のERK2リン酸化を誘導することを示すウェスタンブロットである。 nat−PSMGFRTC形質移入体内で、2価抗−PSMGFR抗体がERK2リン酸化を誘導し、1価抗−PSMGFR抗体がERK2リン酸化を阻害することを示すウェスタンブロットである。 MUC1腫瘍細胞および形質移入体の受容体開裂産物を示すウェスタンブロットである。 乳房腫瘍細胞が2つのMUC1開裂産物を産生することを示すウェウタンブロットである。

Claims (195)

  1. MGFRに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片。
  2. 前記抗体またはその抗原結合断片が2価である、請求項1に記載される抗体またはその抗原断片。
  3. 前記抗体またはその抗原結合断片が1価である、請求項1に記載される抗体またはその抗原結合断片。
  4. 前記抗体またはその抗原結合断片がPSMGFRに特異的に結合する、請求項1に記載される抗体またはその抗原断片。
  5. 前記抗体またはその抗原結合断片が配列番号36に記載されるアミノ酸配列あるいはN−末端に15個以下のアミノ酸の付加または欠失を含み、かつ、20個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片に特異的に結合する、請求項4に記載される抗体またはその抗原結合断片。
  6. 前記抗体またはその抗原結合断片が配列番号36に記載されるアミノ酸配列あるいは10個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片に特異的に結合する、請求項5に記載される抗体またはその抗原結合断片。
  7. 前記抗体またはその抗原結合断片が配列番号36に記載されるアミノ酸配列あるいは5個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片に特異的に結合する、請求項6に記載される抗体またはその抗原結合断片。
  8. 前記抗体またはその抗原結合断片が配列番号36に記載されるアミノ酸配列に特異的に結合する、請求項7に記載される抗体またはその抗原結合断片。
  9. 前記抗体またはその抗原結合断片がヒト、ヒト化、異種間、またはキメラヒト−非ヒト抗体またはその抗原結合断片である、請求項1に記載される抗体またはその抗原結合断片。
  10. 前記抗体またはその抗原結合断片が未処理抗体である、先の請求項のいずれか1つに記載される抗体またはその抗原結合断片。
  11. 前記抗原結合断片が1本鎖Fv断片、Fab'断片、Fab断片、またはFd断片を含む、請求項3に記載される抗原結合断片。
  12. 前記抗原結合断片がF(ab')断片を含む、請求項2記載に記載される抗原結合断片。
  13. 先の請求項のいずれか1つに記載される抗体またはその抗原結合断片を含む組成物。
  14. 薬学的組成物であって、さらに、薬学的に許容される担体を含む、請求項13に記載される組成物。
  15. 前記抗体またはその抗原結合断片がポリクローナル抗体である、請求項1に記載される抗体またはその抗原結合断片。
  16. 前記抗体またはその抗原結合断片がモノクローナル抗体である、請求項1に記載される抗体またはその抗原結合断片。
  17. 請求項1〜12のいずれか1つに記載される抗体またはその抗原結合断片を含むキット。
  18. さらに、表面を有する物品を含む、請求項17に記載されるキット。
  19. 前記抗体またはその抗原結合断片が物品の表面に固定されるか、あるいは固定されるように適用される、請求項18に記載されるキット。
  20. 前記物品が粒子を含む、請求項19に記載されるキット。
  21. 前記物品が粒子を含む、請求項18に記載されるキット。
  22. さらに、第2粒子、および細胞表面受容体の鎖間結合領域の分断後、細胞表面に付着して残存する細胞表面受容体の一部分を含むペプチド配列であって、細胞から脱着されるか、第2粒子に固定されるかあるいは固定されるように適用されるペプチド配列を含む、請求項20に記載されるキット。
  23. さらに、受容体開裂後に細胞表面に付着して残存する細胞表面受容体の一部分を含み、細胞から脱着されるか、粒子に固定されるかあるいは固定されるように適用されるペプチド配列を含む、請求項21に記載されるキット。
  24. さらに、前記第2粒子、および受容体開裂後に細胞表面に付着して残存する細胞表面受容体の一部分を含み、細胞から脱着されるか、粒子に固定されるかあるいは固定されるように適用されるペプチド配列を含む、請求項23に記載されるキット。
  25. さらに、前記抗体またはその抗原結合断片の存在下に、ペプチド配列が他の同一ペプチド配列および/または前記抗体またはその抗原結合断片に結合する能力に影響を与える候補薬剤を含む、請求項22または24に記載されるキット。
  26. 前記ペプチド配列がMGFRを含む、請求項25に記載されるキット。
  27. 成長因子などの活性化リガンドと相互作用して、細胞増殖を促進する細胞表面受容体の一部分であって、活性化リガンドと該一部分に相互作用する細胞表面受容体を十分に有する一部分を含むペプチドを準備し、そして、該ペプチドに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を生成することを含む方法。
  28. 前記抗体またはその抗原結合断片は2価である、請求項27に記載される方法。
  29. 前記抗体またはその抗原結合断片が1価である、請求項27に記載される方法。
  30. 請求項27に記載される方法によって産生された抗体またはその抗原結合断片。
  31. 前記抗体またはその抗原結合断片が未処理抗体である、請求項30に記載される抗体またはその抗原結合断片。
  32. 前記細胞表面受容体がMUC1を含む、請求項27に記載される方法。
  33. 前記ペプチドがMGFRを含む、請求項32に記載される方法。
  34. 前記ペプチドが配列番号36に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項27に記載される方法。
  35. 前記ペプチド配列が配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項27に記載される方法。
  36. 癌を寛解するのに有効な量の抗体またはその抗原結合断片を被検者に投与することを含む、MUC1の異常な発現を特徴とする癌を患う患者を治療する方法。
  37. 前記抗体またはその抗原結合断片が1価である、請求項36に記載される方法。
  38. 前記抗体またはその抗原結合断片が未処理の1本鎖抗体である、請求項37に記載される方法。
  39. 前記投与工程で前記抗体またはその抗原結合断片が腫瘍の成長を低下させるのに有効な量で投与される、請求項36に記載される方法。
  40. 前記抗体またはその抗原結合断片がMGFRに特異的に結合する、請求項36に記載される方法。
  41. 前記方法は、MUC1受容体の開裂後に細胞表面に付着して残存するMUC1受容体の一部分と天然リガンドとの相互作用を遮断するのに有効な量の前記抗体またはその抗原結合断片を被検者に投与することを含む、請求項37に記載される方法。
  42. MUC1受容体の鎖間結合領域の分断を低下させるに有効な量の前記抗体またはその抗原結合断片を被検者に投与することを含む、請求項36に記載される方法。
  43. 前記癌は乳癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、膵臓癌および脳癌のうちの少なくとも1つを含む、請求項36に記載される方法。
  44. 成長因子などの活性化リガンドと相互作用して、細胞増殖を促進する細胞表面受容体の一部分であって、活性化リガンドと相互作用する細胞表面受容体を十分に含む一部分を含むペプチドと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を被検者を投与することを含む、癌を患うか、あるいは癌を発症する危険性を有する被検者を治療する方法。
  45. 前記抗体またはその抗原結合断片が1価である、請求項44に記載される方法。
  46. 前記抗体またはその抗原結合断片が未処理1本鎖抗体である、請求項45に記載される方法。
  47. 前記細胞表面受容体がMUC1である、請求項44に記載される方法。
  48. 前記ペプチドがMGFRである、請求項47に記載される方法。
  49. 前記ペプチドがそのN−末端にPSMGFRを含む、請求項48に記載される方法。
  50. 前記ペプチドはN−末端に配列番号36に記載されるアミノ酸配列あるいはN−末端に15個以下のアミノ酸の付加または欠失を含み、かつ、20個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片を含む、請求項48に記載される方法。
  51. 前記ペプチドはPSMGFRからなる、請求項49に記載される方法。
  52. 前記ペプチドは配列番号36に記載されるアミノ酸配列あるいはN−末端に15個以下のアミノ酸の付加または欠失を含み、かつ、20個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片からなる、請求項51に記載される方法。
  53. 前記ペプチドは配列番号36に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項52に記載される方法。
  54. 前記抗体またはその抗原結合断片は配列番号7に記載されるアミノ酸配列に特異的に結合する、請求項52に記載される方法。
  55. 前記癌は乳癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、膵臓癌および脳癌のうちの少なくとも1つを含む、請求項44に記載される方法。
  56. 前記癌はMUC1の異常な発現を特徴とする、請求項47に記載される方法。
  57. 癌を患うか、あるいは癌を疑う被検者から得た試料を細胞表面に発現したペプチドに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片と接触させ、そして、試料に特異的に結合した抗体またはその抗原結合断片の量を測定することを含む癌の病原力および/または転移可能性を決定する方法。
  58. 前記試料は被検者の細胞および/またはその可溶化液を含む、請求項57に記載される方法。
  59. 前記ペプチドは成長因子などの活性化リガンドと相互作用して、細胞増殖を促進する細胞表面受容体の一部分であって、活性化リガンドと相互作用する細胞表面受容体を十分に有する部分を含む、請求項57に記載される方法。
  60. 前記抗体またはその抗原結合断片はシグナル伝達物質に対して固定化されているか、あるいは固定化されるように適用される、請求項57に記載される方法。
  61. 前記抗体またはその抗原結合断片は2価である、請求項60に記載される方法。
  62. 前記細胞表面受容体がMUC1である、請求項59に記載の方法。
  63. 前記ペプチドがMGFRを含む、請求項52に記載される方法。
  64. 前記ペプチドがそのN−末端にPMSGFRを含む、請求項53に記載される方法。
  65. 前記癌は乳癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、膵臓癌および脳癌のうちの少なくとも1つを含む、請求項57に記載される方法。
  66. 前記癌はMUC1の異常な発現を特徴とする、請求項62に記載される方法。
  67. PSMGFRTCをコードする単離核酸分子、およびその縮重体、相補体、および固有断片。
  68. 配列番号37に記載されるアミノ酸配列をコードする単離核酸分子、およびその縮重体、相補体、および固有断片。
  69. プロモーターと実施可能に連結した請求項67または68に記載される単離核酸を含む発現ベクター。
  70. 請求項67または68に記載される核酸分子を含む発現ベクターで形質移入または形質転換された宿主細胞。
  71. 高ストリンジェントな条件下に配列番号42に記載される核酸配列、その縮重体、相補体、および固有断片とハイブリダイズする単離核酸分子。
  72. プロモーターと実施可能に連結した配列番号66に記載される単離核酸分子、その縮重体、または相補体を含む発現ベクター。
  73. 請求項66に記載される核酸分子またはその縮重体または相補体を含む発現ベクターで形質移入または形質転換された縮主細胞。
  74. 細胞表面受容体の一部分であって、成長因子などの活性化リガンドと相互作用し、細胞増殖を促進する細胞表面受容体を十分に有する一部分を含み、該部分間の自発的結合を阻止するために必要な範囲まで、細胞表面受容体の鎖間結合領域を有していない細胞表面ペプチドを含むアミノ酸配列をコードする発現ベクターで宿主細胞を形質移入または形質転換し、該細胞によってペプチドの発現を促進して、細胞がその表面にペプチドを表示することを含む方法。
  75. 前記細胞表面受容体がMUC1を含む、請求項74に記載される方法。
  76. 前記細胞表面ペプチドがMGFRを含む、請求項75に記載される方法。
  77. 前記細胞表面ペプチドがそのN−末端にPSMGFRを含む、請求項76に記載される方法。
  78. さらに、その表面にペプチドを表示する細胞を、該ペプチドと相互作用する活性化リガンドの能力に影響を与えるための候補薬剤、および活性リガンドと接触させ、そして、ペプチドと活性化リガンドの相互作用を阻止する候補薬剤の能力を測定することを含む、請求項75に記載される方法。
  79. その表面にペプチドを表示する複数の細胞を、該ペプチドと相互作用する活性化リガンドの能力に影響を与えるための候補薬剤および活性化リガンドと接触工程で接触させることを含む、請求項78に記載される方法。
  80. 測定工程で細胞増殖速度および/または細胞の生存度を測定することを含む、請求項79に記載される方法。
  81. 前記活性化リガンドとペプチドとの相互作用中にリン酸化される細胞内タンパクがリン酸化されるか否かを測定することを含む、請求項78に記載される方法。
  82. 前記細胞内タンパクがERK−2である、請求項81に記載される方法。
  83. 前記活性化リガンドと候補薬剤の少なくとも1つは補助シグナル伝達物質に対して固定化されている、請求項78に記載される方法。
  84. 前記補助シグナル伝達物質がコロイド粒子である、請求項83に記載される方法。
  85. 前記補助シグナル伝達物質がコロイド粒子でない、請求項83に記載される方法。
  86. 前記活性化リガンドと候補薬剤の少なくとも1つはコロイド粒子に付着されている補助シグナル伝達物質に対して固定化されている、請求項83に記載される方法。
  87. 前記活性化リガンドは2価であり、前記細胞表面ペプチドのうちの2つに特異的に結合することが可能である、請求項75に記載される方法。
  88. 前記活性化リガンドはMGFRに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項87に記載される方法。
  89. 細胞表面受容体の一部分であって、成長因子などの活性化リガンドと相互作用し、細胞増殖を促進する細胞表面受容体を十分に有する一部分を含み、該一部分間の自発的結合を阻止するために必要な範囲まで、細胞表面受容体の鎖間結合領域を有していないペプチドを準備し、そして、該ペプチドをコードする核酸分子を含む発現ベクターを発現させることを含む方法。
  90. 請求項89に記載される方法によって産生される発現ベクター。
  91. 前記細胞表面受容体はMUC1を含む、請求項89に記載される方法。
  92. 前記ペプチドがMGFRを含む、請求項91に記載される方法。
  93. 前記ペプチドがそのN−末端にPSMGFRを含む、請求項92に記載される方法。
  94. 細胞表面受容体の一部分であって、成長因子などの活性リガンドと相互作用し、細胞増殖を促進する細胞表面受容体を十分に有する一部分を含み、該一部分間の自発的結合を阻止するために必要な範囲まで、細胞表面受容体の鎖間結合領域を有していない部分を含むペプチドをその表面に発現する細胞を準備し、該細胞を該ペプチドと相互作用する活性リガンドの能力に影響を与えるための候補薬剤および活性リガンドと接触させ、そして、ペプチドと活性化リガンドの相互作用時にリン酸化される細胞内タンパクがリン酸化されるか否かを測定することを含む方法。
  95. 前記細胞表面受容体がMUC1である、請求項94に記載される方法。
  96. 前記細胞がMUC1陽性腫瘍細胞である、請求項95に記載される方法。
  97. 前記ペプチドがMGFRを含む、請求項95に記載される方法。
  98. 前記ペプチドがそのN−末端にPSMGFRを含む、請求項97に記載される方法。
  99. 前記細胞内タンパクがERK−2を含む、請求項94に記載される方法。
  100. その表面にペプチドを表示する複数の細胞を、ペプチドと相互作用する活性化リガンドの能力に影響を与えるための候補薬剤および活性化リガンドと接触工程で接触させることを含む、請求項94に記載される方法。
  101. さらに、接触工程後に細胞を可溶化するか、あるいは透過させることを含む、請求項100に記載される方法。
  102. さらに、ゲルを使用する分子サイズに基づく可溶化または透過工程で得られる細胞内物質に含まれるタンパクを分離することを含む、請求項101に記載される方法。
  103. 分離工程で分離されたタンパクを、細胞内タンパクのリン酸化体と特異的に結合するが、リン酸化されないとき、細胞内タンパクと結合しない生物学的分子と接触させることを含む、請求項102に記載される方法。
  104. 前記生物学的分子が抗体またはその抗原結合断片である、請求項103に記載される方法。
  105. 前記抗体またはその抗原結合断片は少なくとも1つの補助的シグナル伝達物質に対して固定化されている、請求項104に記載される方法。
  106. 前記補助的シグナル伝達物質はコロイド粒子を含む、請求項105に記載される方法。
  107. 前記補助的シグナル伝達物質は染料、顔料、電気的活性分子、化学発光分子、電気化学発光分子、蛍光性分子、上流制御リン、および西洋ワサビパーオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む酵素連結シグナル伝達分子のうち、少なくとも1つを含む、請求項105に記載される方法。
  108. さらに、分離工程で分離されたタンパクを、分子内タンパクのリン酸化体に特異的に結合するが、リン酸化されていないとき、細胞内分子に結合しない第1生物学的分子に接触させ、そして、第1生物学的分子に特異的に結合する第2生物学的分子に接触させることを含む、請求項103に記載される方法。
  109. 前記第2生物学的分子が抗体またはその抗原結合断片である、請求項108に記載される方法。
  110. 前記抗体またはその抗原結合断片が少なくとも1つの補助的シグナル伝達物質に対して固定化されている、請求項109に記載される方法。
  111. 前記補助的シグナル伝達物質がコロイド粒子を含む、請求項110に記載される方法。
  112. 前記補助的シグナル伝達物質は染料、顔料、電気的活性分子、化学発光分子、電気化学発光分子、蛍光性分子、上流制御リン、および西洋ワサビパーオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む酵素連結シグナル伝達分子のうち、少なくとも1つを含む、請求項110に記載される方法。
  113. さらに、可溶化あるいは透過化工程において得られる細胞内物質に含まれるタンパクを複数のコロイド粒子に接触させることを含む、請求項101に記載される方法。
  114. 前記コロイド粒子の第1サブセットは細胞内タンパクのリン酸化体に特異的に結合するが、リン酸化されていないとき、細胞内タンパクに結合しない第1生物学的分子に対して固定化され、そして前記コロイド粒子の第2サブセットは第1生物学的分子が特異的に結合するエピトープとは異なるエピトープにて、細胞内タンパクのリン酸化体に特異的に結合する第2生物学的分子に対して固定化されている、請求項113に記載される方法。
  115. 前記測定工程は細胞内タンパクのリン酸化体の存在を示すコロイド粒子の凝集を表示する色変化が生じたか否かを検出することを含む、請求項114に記載される方法。
  116. 前記第1生物学的分子は抗体またはその抗原結合断片であり、かつ、第2生物学的分子は細胞内タンパクのリン酸化体、およびリン酸化されていないとき、細胞内タンパクの両方に結合する抗体またはその抗原結合断片である、請求項114に記載される方法。
  117. 前記細胞内タンパクはERK−2である、請求項116に記載される方法。
  118. その表面上にMGFRを含むペプチドを発現する細胞を用意し、該細胞を、MGFRと相互作用する活性化リガンドの能力に影響を与える候補薬剤および活性化リガンドと接触させ、そして、細胞内でERK−2タンパクがリン酸化されるか否かを測定することを含む方法。
  119. 前記細胞がMUC1陽性腫瘍細胞である、請求項118に記載される方法。
  120. 前記ペプチドはそのN−末端にPSMGFRを含む、請求項118に記載される方法。
  121. その表面上にペプチドを表示する複数の細胞を、MGFRと相互作用する活性化リガンドの能力に影響を与える候補薬剤および活性リガンドと接触工程で接触させることを含む、請求項118に記載される方法。
  122. さらに、接触工程後に細胞を可溶化または透過化することを含む、請求項121に記載される方法。
  123. さらに、ゲルを使用する分子サイズに基づく可溶化または透過化工程で得られる細胞内物質に含まれるタンパクを分離することを含む、請求項122に記載される方法。
  124. 分離工程で分離されるタンパクを、ERK−2のリン酸化体に特異的に結合するが、リン酸化されていないとき、ERK−2に結合しない生物学的分子に接触させることを含む、請求項123に記載される方法。
  125. 前記生物学的分子が抗体またはその抗原結合断片である、請求項124に記載される方法。
  126. 前記抗体またはその抗原結合断片は少なくとも1つの補助的シグナル伝達物質に対して固定化されている、請求項125に記載される方法。
  127. 前記補助的シグナル伝達物質はコロイド粒子を含む、請求項126に記載される方法。
  128. 補助的シグナル伝達物質は染料、顔料、電気的活性分子、化学発光分子、電気化学発光分子、蛍光性分子、上流制御リン、および西洋ワサビパーオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む酵素連結シグナル伝達分子のうち、少なくとも1つを含む、請求項126に記載される方法。
  129. さらに、分離工程で分離されるタンパクを、細胞内タンパクのリン酸化体に特異的に結合するが、リン酸化されていないとき、細胞内タンパクに結合しない第1生物学的分子および第1生物学的分子に特異的に結合する第2生物学的分子に接触させることを含む、請求項123に記載される方法。
  130. 前記第2生物学的分子は抗体またはその抗原結合断片である、請求項129に記載される方法。
  131. 前記抗体またはその抗原結合断片は少なくとも1つのシグナル伝達物質に対して固定化されている、請求項130に記載される方法。
  132. 前記補助的シグナル伝達物質はコロイド粒子を含む、請求項131に記載される方法。
  133. 前記補助的シグナル伝達物質は染料、顔料、電気的活性分子、化学発光分子、電気化学発光分子、蛍光性分子、上流制御リン、および西洋ワサビパーオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む酵素連結シグナル伝達分子のうち、少なくとも1つを含む、請求項131に記載される方法。
  134. さらに、可溶化または透過化工程で得られる細胞内物質に含まれるタンパクを複数のコロイド粒子に接触させることを含む、請求項122に記載される方法。
  135. 前記コロイド粒子の第1サブセットは、ERK−2のリン酸化体に特異的に結合するが、リン酸化されていないとき、ERK−2に特異的に結合しない第1生物学的分子に対して固定化されていて、そして、コロイド粒子の第2サブセットは、第1生物学的分子が特異的に結合するエピトープと異なるエピトープでERK−2のリン酸化体に特異的に結合する第2生物学的分子に対して固定化されている、請求項134に記載される方法。
  136. 前記測定工程はERK−2リン酸化体の存在を示すコロイド粒子の凝集を表示する色変化が生じたか否かを検出することを含む、請求項135に記載される方法。
  137. 前記第1生物学的分子は抗体またはその抗原結合断片であり、かつ、第2生物学的分子はERK−2リン酸化体、およびリン酸化されていないとき、ERK−2の両方に結合する抗体またはその抗原結合断片である、請求項135に記載される方法。
  138. 細胞表面受容体と活性リガンドの結合を干渉する能力を有すると推測される候補薬剤が細胞表面受容体と活性リガンドの結合を干渉し、かつ、該薬剤候補が細胞表面受容体またはリガンドと相互作用するか否かを同時に測定することを含む方法。
  139. 生物学的分子は第2変性状態にあるときよりも第1変性状態にて異なった範囲で生物学的分子に近接するとき、生物学的分子に対して固定化されるように作られたコロイド粒子を準備し、そして、生物学的分子に対するコロイド粒子の固定化を検出することを含む生物学的分子の変性状態を測定する方法。
  140. 前記生物学的分子がタンパクである、請求項139に記載される方法。
  141. 前記生物学的分子がERK−2である、請求項140に記載される方法。
  142. 前記第2変性状態が未変性状態を含む、請求項139に記載される方法。
  143. 前記第1変性状態で生物学的分子はリン酸化、グリコシル化またはアセチル化されている、請求項139に記載される方法。
  144. 生物学的分子は準備工程および測定工程の少なくとも1つの工程中にゲル中または膜上に存在する、請求項139に記載される方法。
  145. 複数の生物学的分子を、変性の第1状態にあるとき生物学的分子に特異的に結合するが、変性の第2状態にあるとき生物学的分子に結合しない物質に接触させることを含む、請求項139に記載される方法。
  146. 前記物質が抗体またはその抗原結合断片である、請求項145に記載される方法。
  147. 前記抗体またはその抗原結合断片が少なくとも1つの補助的シグナル伝達物質に対して固定化されている、請求項146に記載される方法。
  148. 前記補助的シグナル伝達物質がコロイド粒子を含む、請求項147に記載される方法。
  149. 前記補助的シグナル伝達物質がさらに染料、顔料、電気的活性分子、化学発光分子、電気化学発光分子、蛍光性分子、上流制御リン、および西洋ワサビパーオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む酵素連結シグナル伝達分子のうち、少なくとも1つを含む、請求項148に記載される方法。
  150. さらに、複数の生物学的分子を、変性の第1状態にあるとき、生物学的分子に特異的に結合するが、変性の第2状態にあるとき、生物学的分子に結合しない第1物質、および第1物質に特異的に結合する第2物質に接触させることを含む、請求項145に記載される方法。
  151. 前記第2物質が抗体またはその抗原結合断片である、請求項150に記載される方法。
  152. 抗体またはその抗原結合断片が少なくとも1つの補助的シグナル伝達物質に対して固定化されている、請求項151に記載される方法。
  153. 前記補助的シグナル伝達物質がコロイド粒子を含む、請求項152に記載される方法。
  154. 前記補助的シグナル伝達物質がさらに染料、顔料、電気的活性分子、化学発光分子、電気化学発光分子、蛍光性分子、上流制御リン、および西洋ワサビパーオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む酵素連結シグナル伝達分子のうち、少なくとも1つを含む、請求項153に記載される方法。
  155. さらに、複数の生物学的分子を複数のコロイド粒子に接触させる、請求項139に記載される方法。
  156. 前記コロイド粒子の第1サブセットは変性の第1状態にあるとき、生物学的分子に特異的に結合し、変性の第2状態にあるとき、生物的分子に特異的に結合しない第1物質に対して固定化されていて、そしてコロイド粒子の第2サブセットは第1物質が特異的に結合するエピトープと異なったエピトープで変性の第1状態にあるとき、生物学的分子に特異的に結合する第2物質に対して固定化されている、請求項155に記載される方法。
  157. 前記検出工程は変性の第1状態にあるとき、生物学的分子の存在を表示するコロイド粒子の凝集の表示である色変化が生じたか否かを検出することを含む、請求項156に記載される方法。
  158. 前記第1物質は抗体またはその抗原結合断片であり、そして、第2物質は変性の第1状態および変性の第2状態にあるとき、生物学的分子に結合する抗体またはその抗原結合断片である、請求項156に記載される方法。
  159. さらに、検出工程で得られた情報から、細胞表面受容体への活性リガンドの結合時に、複数の細胞内シグナル伝達経路のいずれが活性化されるかを決定することを含む、請求項139に記載される方法。
  160. 配列番号1、2、3、6または7に記載されるアミノ酸配列のいずれかを含まない、N−末端にPSMGFRを含む単離タンパクまたはペプチド。
  161. N−末端に配列番号36に記載されるアミノ酸配列あるいはN−末端に15個以下のアミノ酸の付加または欠失を含み、かつ、20個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片を含む、請求項160に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  162. N−末端に配列番号36または配列番号63に記載されるアミノ酸配列あるいは10個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片を含む、請求項160に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  163. N−末端に配列番号36または配列番号63に記載されるアミノ酸配列あるいは5個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片を含む、請求項162に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  164. N−末端に配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項163に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  165. N−末端に配列番号63に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項163に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  166. 配列番号36に記載されるアミノ酸配列あるいはN−末端に15個以下のアミノ酸の付加または欠失を含み、かつ、20個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片からなる、請求項160に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  167. 配列番号36または配列番号63に記載されるアミノ酸配列あるいは10個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片からなる、請求項166に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  168. 配列番号36または配列番号63に記載されるアミノ酸配列あるいは5個以下のアミノ酸の置換を含む機能的変異体またはその断片からなる、請求項167に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  169. 配列番号36に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項168に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  170. 配列番号63に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項168に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  171. N−末端に配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチド。
  172. 配列番号7に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項171に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  173. N−末端に配列番号64に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチド。
  174. 配列番号64に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項173に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  175. 配列番号1、2または3に記載されるアミノ酸配列のいずれも含まないHis−PSMGFRを含む単離タンパクまたはペプチド。
  176. 前記PSMGFRがタンパクまたはペプチドのN−末端にあり、ポリヒスチジンがタンパクまたはペプチドのC−末端にある、請求項175に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  177. 配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチド。
  178. 配列番号60に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチド。
  179. 配列番号2に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項177に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  180. 配列番号60に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項178に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  181. 配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチド。
  182. 配列番号7に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項181に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  183. 配列番号64に記載されるアミノ酸配列を含む単離タンパクまたはペプチド。
  184. 配列番号64に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項183に記載される単離タンパクまたはペプチド。
  185. 配列番号8に記載されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片。
  186. 配列番号65に記載されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片。
  187. 配列番号39に記載される配列の固有領域に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片。
  188. 配列番号39に記載されるアミノ酸配列のN−末端とアミノ酸番号104を架橋する領域に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片。
  189. 請求項1〜16および185〜188のいずれか1つに記載される抗体またはその抗原結合断片を試料に作用させ、抗体またはその抗原結合断片と試料との相互作用を観察し、そして、観察行為中に観察された情報の少なくとも一部に基づいて癌の存否または癌の病原力を診断する行為を含む方法。
  190. 患者から得た組織検体、体液または細胞を含む試料を接触させ、そして、試料中に存在するMUC1受容体またはその一部分の量を測定することを含む、請求項189に記載される方法。
  191. 患者から得た組織検体、体液または細胞を接触させ、そして、MUC1受容体またはその一部分のクラスターパターンの損失を測定することを含む、請求項189に記載される方法。
  192. 患者から得た組織検体、体液または細胞を含む試料を接触させ、そして、試料中に存在するPSMGFRの量を測定することを含む、請求項189に記載される方法。
  193. 患者から得た組織検体、体液または細胞を含む試料を接触させ、そして、試料中に存在するPSIBRの量を測定する、請求項189に記載される方法。
  194. 患者から得た組織検体、体液または細胞を含む試料を接触させ、そして、試料中に存在するTPSIBRの量を測定する、請求項189に記載される方法。
  195. さらに、観察行為中に観察された情報の少なくとも一部に基づいて癌治療のプロトコールを設計することを含む、請求項189〜194に記載される方法。
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