JP2007529357A - 自動車用の乗員保護システム - Google Patents

Abstract

本発明は、座面部分と背もたれとの側部領域にエアバッグ（３）が組み込まれた車両シート（２）を有する自動車用の乗員保護システムに関する。このエアバッグの空気圧は圧縮空気調節装置（４）によって設定することができる。本発明によれば、運転操作に対する安全性に関連するデータを評価する制御ユニットが設けられ、予期される事故が起こる前に車両シートの少なくとも１つのエアバッグを膨張させるように、圧縮空気調節装置が時間的に制御される。

Description

本発明は、請求項１の前段に記載の自動車用の乗員保護システムであって、座面部分と背もたれとの側部領域にエアバッグが組み込まれた車両シートを有する自動車用の乗員保護システムに関する。

特許文献１は、車両のシートに着座している乗員の側方支持を、車両の動力学に関して適応させるための適応システムを有する車両シートを開示している。この適応システムは、座面部分と背もたれとの側部領域に組み込まれるエアバッグと、エアバッグの空気圧を調節する圧縮空気調節装置とを有している。制御ユニットが、圧縮空気調節装置に接続され、それに送られる横方向の加速度値から、圧縮空気調節装置によって膨張圧力を調節する制御信号を発生する。現時点のカーブにおいて予期され得る横方向加速度を予測する予測装置が設けられる。予測された横方向加速度を、膨張圧力によって変化する適応システムの膨張時間を考慮しつつ、制御ユニットにおいて利用することができる。

特許文献２は、ヘッドレストと、背もたれのクッション要素と、着座者の背中の支持要素とを含む車両シート用の背もたれについて記載している。追突された場合に、支持要素が、背もたれの上部領域において、着座者の背中がヘッドレストに対して後方に動き得るように変形することができる。この支持要素は、背もたれの上部領域の背もたれのクッション要素の中に組み込まれる成形クッションによって形成され、この成形クッションは気体状の媒体によって膨らまされており、追突されると突然空になる。

さらに、特許文献３は、運転状態のデータを感知するセンサシステムを備えた自動車におけるリバーシブルな乗員保護手段の作動方法を開示している。監視される運転状態データには、自動車の非常ブレーキ操作、オーバステア及びアンダステア状況が含まれる。乗員保護手段はこのような状態に応じて起動される。さらに、最大の危険を予想し得る方向が運転状態データから判定される。乗員保護手段は、保護効果が最大危険の方向に従って発揮されるように操作される。

さらに、特許文献４は、シート上の乗員の安全を確保するシートベルト及びシートベルトプリテンショナを備えた車両におけるシート用の拘束ベルトシステムについて記載している。対象物からの距離と対応する相対速度とを装置によって測定することができ、これから、車両及び対象物間の生起し得る衝突までの予期時間が決定される。制御ユニットが、シートベルトプリテンショナの力を、生起し得る衝突以前の適時に増大させる制御信号を発生する。衝突を回避し得た場合はシートベルトプリテンショナの力は再度低減される。制御可能なシートベルトプリテンショナは、衝突前に所定のプリテンションに達するまでの間にのみ作動し得るプリテンション装置として具現化され、衝突が実際に検知されると、シートベルトが一層緊張して張られるように別のシートベルトプリテンショナが起動される。

独国特許出願公開第１００ ２２ ４３４ Ａ１号明細書 独国特許出願公開第１９９ ２７ ４０３ Ａ１号明細書 独国特許発明第１０１ ２１ ３８６Ｃ１号明細書 独国特許発明第４４ １１ １８４Ｃ２号明細書

本発明は、座面部分と背もたれとの側部領域にエアバッグが組み込まれた車両シートを有する自動車用の乗員保護システムであって、先行技術に比べてより的確な乗員保護効果を確実に発揮する乗員保護システムを規定するという目的に基づいている。

この目的は、座面部分と背もたれとの側部領域にエアバッグが組み込まれた車両シートを有する自動車用の乗員保護システムであって、請求項１の特徴を有する乗員保護システムによって達成される。

本発明によれば、制御ユニットが、運転操作の安全性に関連するデータを評価し、予期される事故が起こる前に車両シートの少なくとも１つのエアバッグを膨張させるように、圧縮空気調節装置を適時に作動させる。車両シートを有する自動車用のこの乗員保護システムは、座面部分と背もたれとの側部領域に組み込まれたエアバッグを含んでおり、このエアバッグの空気圧を圧縮空気調節装置によって調節することができる。車両シートのエアクッションは、乗員保護システムによって、安全上危険な運転状況において乗員を保護するために用いられる。エアバッグによって、乗員には、車両シートの安定しかつ安全な所定位置が提供されることになる。予期される事故が起こる前にエアバッグが既に膨張していれば有利である。実際の事故が起きる時には、乗員は既に最適の着座位置を占めている。従って、事故直前の時間が、乗員の安全を向上させる予防手段を発動させるために既に利用されている。このため、予防的に作動する乗員保護システムは乗員の予防的な保護を保証する。着座位置が最適化されているため、さらに幅広い保護手段をより効果的に用いることもできる。例えば、事故が生起した時に、エアバッグを、所定着座位置に直接合わせて作動させることができる。乗員が、この所定着座位置から外れた着座位置を占めることはないからである。

本発明の１つの改良形態においては、自動車のすべてのエアバッグを、あるいは特定の事故に対する安全機器に関連する車両シートのエアクッションのみを、予期される事故の前に適時に膨張させる。事故によっては、例えば、異なる方向から自動車に加えられる外力の作用によっては、車両シートに配置される特定のエアバッグのみを作動させることで既に十分な場合がある。しかし、装備されている車両シートの全エアバッグを作動させることも可能である。これによって、制御ユニットにおける安全に関連するデータの評価プロセスを簡素化することができる。

背もたれ及び／又はヘッドレストにおける少なくとも１つの支持要素に、対応する形状のエアバッグを備えると有利である。このエアバッグも、予期される事故の前に適時に膨張させる。車両シートには、異なる寸法のさらに別のエアバッグを装備することが可能であり、これによって、乗員保護がさらに改善される。

特に、圧縮空気調節装置によるエアバッグの空気圧の調節を、乗員の分類及び／又は特定個人に応じて行うことができる。乗員の分類は、例えば、乗員の体重又は身長によって行うことができる。個人の特定は、例えば、キー又はキーレスゴーカードなどの個人関係の利用認定手段によって、あるいは、目による個人認識、声紋認識及び指紋認識によって行うことができる。又、自動車に関係する変数を評価することもできる。例えば、背が高くて体重の重い乗員をエアクッションによって効果的に拘束するためには、低身長の軽い乗員用とは異なるエアクッションの空気圧が必要となるので、それぞれの乗員の安全に最も適した空気圧を、シート最適化のために、乗員分類手段及び／又は個人特定化手段によって設定することができる。

別の改良形態においては、運転操作の安全性に関連するデータが、運転状態変数、周囲環境データ、及び／又は自動車運転者の動作を含む。運転状態変数は、車両速度、ヨー加速度、縦加速度及び横加速度、ブレーキペダルの位置、アクセルペダルの位置、かじ取り角などの変数、点滅指示灯及び点滅ウォーニング灯などの操作要素の状態、並びに自動車に関連するセンサ及び制御ユニットの状態として理解される。周囲環境データは、周囲環境センサ、テレマティクスシステムによって利用し得るデータ、及び、自動車と他の自動車及び定置式通信装置との間の通信によって利用し得るデータを指す。周囲環境データの例としては、当該地点に関する情報、道路の種類及び運転者自身の車両が走行している車線に関する情報がある。さらに、周囲環境データは、特に、道路の状態、温度、天候条件、照明条件、及び、前方走行車両、隣接車両、後方車両又は接近車両並びに他の道路使用車両の速度、距離、種類及び大きさを含む。運転者動作の感知には、例えば運転者の目の動き、運転者の視線の方向の検知が含まれ、さらに又、例えばハンドル、ギヤ選択レバー及びブレーキペダルなどの操作要素の操作過程の検知も含まれる。安全性に関連する多くのデータ項目を評価することによって、必要な場合には、エアバッグを起動する正しい時間を確実に決定することが可能になる。

本発明の別の有利な改良形態が従属請求項に示される。

次に、本発明を、単一の図面に示した例示的実施形態によって詳細に説明する。この図面は、車両シートを有する自動車用の乗員保護システムの詳細をブロック回路図の形で表している。

図によれば、車両シート２を有する自動車用の乗員保護システム１は、車両シート２に配置されるエアバッグ３を含んでいる。エアバッグ３の空気圧は圧縮空気調節装置４によって調節される。

制御ユニット５が、運転操作の安全性に関連するデータ６を、すぐにも起こる可能性がある事故に関して評価する。運転操作の安全性に関連するデータ６は、運転状態変数、周囲環境データ、及び／又は評価された運転者の動作とすることができる。事故は衝突を含むだけでなく、例えば凍結道路上における過度の横滑りなどの運転上危険な他の状況をも含む。安全性に関連するデータ６の評価によって安全の点で危険であるという結果が出ると、予期される事故が実際に起こる前に車両シート２のエアバッグ３を膨張させるように、エアバッグ３を膨らませるための圧縮空気調節装置４が適時に操作される。

エアバッグ３は、車両シート２の座面部分と背もたれとの側部領域に組み込まれる。さらに、背もたれ及び／又はヘッドレストにおける支持要素にも対応する形状のエアバッグ３を備えることができ、このエアバッグ３も、予期される事故が起こる前に、圧縮空気調節装置４によって起動され、適時に膨らまされる。

乗員保護システム１を運転する際、車両シート２のすべてのエアバッグ３を同時に膨張させることができる。乗員保護システム１の別の運転モードにおいては、特定の事故に対する安全機器に関連する車両シート２のエアバッグ３のみを膨張させることができる。乗員に対する危険の可能性が低ければ、ただ１つ又は２つのエアバッグ３を膨張させるだけで十分な場合もある。又、各エアバッグ３の空気圧も、特定の事故に応じて、圧縮空気調節装置４によって調節することができる。

追加的に、あるいは代替方式として、空気圧を、圧縮空気調節装置４によって、乗員の分類７及び／又は特定個人８に応じて調節することができる。これによって、個人に特定した個別の空気圧調節が確保され、乗員に対する安全性も改善される。事故が生起しなければ、車両シート２のエアクッション３の空気が抜かれる。

さらに、制御ユニット５は、リバーシブルシートベルトプリテンショナ９を、予期される事故の前に適時に操作して作動させることができる。リバーシブルシートベルトプリテンショナ９は、状況によってはエアバッグ３によって変えられた乗員の着座位置に適応して調整される。

本発明による自動車用の乗員保護システム１は、先行技術に比べて大幅に改善された乗員保護を保証する予防的な乗員保護を乗員に対して提供する。乗員は、エアバッグ３によって、安全機器に関して最適の着座位置に安定的に固定され、車両シート２から好ましくない形で滑り動くのが防止される。自動車に既に装備されている保護システムは、この予防的な安全手段を用いることによって補完される。

車両シートを有する自動車用の乗員保護システムの詳細を示すブロック回路図である。

Claims (9)

1. 座面部分と背もたれとの側部領域にエアバッグ（３）が組み込まれた車両シート（２）を有する自動車用の乗員保護システム（１）であり、該エアバッグ（３）の空気圧が圧縮空気調節装置（４）によって調節される乗員保護システム（１）であって、
   制御ユニット（５）が設けられ、該制御ユニット（５）が、運転操作の安全性に関連するデータ（６）を評価して、予期される事故が起こる前に該車両シート（２）の少なくとも１つのエアバッグ（３）を膨張させるように、前記圧縮空気調節装置（４）を適時に作動させることを特徴とする乗員保護システム（１）。
2. 予期される事故が起こる前に車両シートのすべての前記エアバッグ（３）を膨張させることを特徴とする請求項１に記載の乗員保護システム（１）。
3. 特定の事故に対する安全機器に関連する車両シートの前記エアバッグ（３）のみを膨張させることを特徴とする請求項１に記載の乗員保護システム（１）。
4. 前記背もたれ及び／又はヘッドレストにおける少なくとも１つの支持要素が、前記圧縮空気調節装置（４）によって操作されるエアバッグ（３）を備えることを特徴とする請求項１に記載の乗員保護システム（１）。
5. 前記エアバッグ（３）の空気圧が、前記圧縮空気調節装置（４）によって、乗員の分類手段（７）及び／又は個人の特定手段（８）に応じて設定されることを特徴とする請求項１に記載の乗員保護システム（１）。
6. 前記エアバッグ（３）の空気圧が、前記圧縮空気調節装置（４）によって、特定の事故に応じて設定されることを特徴とする請求項１に記載の乗員保護システム（１）。
7. 前記運転操作の安全性に関連するデータ（６）が、車両の状態変数、周囲環境データ、及び／又は運転者の動作を含むことを特徴とする請求項１に記載の乗員保護システム（１）。
8. 事故が生起しなければ前記エアバッグ（３）の空気が抜かれることを特徴とする請求項１に記載の乗員保護システム（１）。
9. 前記制御ユニット（５）が、リバーシブルシートベルトプリテンショナ（９）をも操作し、予期される事故の前に適時に作動させることを特徴とする請求項１に記載の乗員保護システム（１）。

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