(詳細な説明)
エンドセリアーゼは、新規な血管新生の間の細胞外マトリックス成分のタンパク質分解性プロセシングにおけるこれらの酵素の役割に起因する望ましくない血管新生によって特徴付けられる疾患の処置のための魅力的な標的である。エンドセリアーゼ−2(ET2)は、内皮細胞の表面上で発現される膜貫通セリンプロテアーゼである。2つの型のヒトET2、ET−2SおよびET−2L(それぞれ、短型および長型)の例示的な核酸配列およびアミノ酸配列が図1および2に提供される。WO 01/36604を参照されたい。
この開示は、とりわけ、高い親和性および選択性でET2を阻害する、ET2に結合するリガンド(例えば、免疫グロブリン)を提供する。この開示はまた、ET2に結合するタンパク質(例えば、抗体)を同定するための方法を提供する。多くの場合において、同定されたタンパク質は、少なくとも部分的に特異的である。
ET2は、II型膜型セリンプロテアーゼであり血管新生関連プロテアーゼのエンドセリアーゼクラスのメンバーである。ET2 RNAは、内皮細胞およびある腫瘍細胞株において発現される(WO 01/36604)。ET2 RNAはまた、他の組織においても検出されてきた。ET2タンパク質は、N末端に膜貫通領域、続いて単一の低密度リポタンパク質−A(LDR−A)レセプタードメインおよび単一のスカベンジャー−レセプターシステインリッチドメインを有する(WO 01/36604)。このC末端は、プロテアーゼドメインの3つの保存性領域において、触媒性3成分残基ヒスチジン、アスパラギン酸、およびセリンの存在によって特徴付けられるトリプシン様セリンプロテアーゼドメインを含む。ASPAGTPPGRASP配列を有するこれらの反復性配列は、膜貫通性ドメインの近傍に存在し、Nミリストイル化のための配列モチーフを含む(WO 01/36604)。
(ディスプレイライブラリー)
1つの実施形態において、ディスプレイライブラリーが、ET2に結合するタンパク質を同定するために使用され得る。ディスプレイライブラリーは、実体のコレクションであり;各実体は、アクセス可能なポリペプチド成分およびポリペプチド成分をコードまたは同定する回収可能成分を含む。ポリペプチド成分は、任意の長さ、例えば、3アミノ酸〜300アミノ酸超までであり得る。選択において、ライブラリーの各メンバーのポリペプチド成分はET2でプローブされ、このポリペプチド成分がET2に結合する場合、ディスプレイライブラリーメンバーが、典型的には支持体上での保持によって同定される。
保持されたディスプレイライブラリーメンバーは、支持体から回収され分析される。この分析は、類似のまたは類似でない条件下での、増幅および引き続く選択を含み得る。例えば、ポジティブ選択およびネガティブ選択が交互に行われ得る。この分析はまた、ポリペプチド成分のアミノ酸配列を決定すること、および詳細な特徴付けのためのポリペプチド成分の精製を含み得る。
種々の形式がディスプレイライブラリーのために使用され得る。例は以下を含む。
(ファージディスプレイ)。1つの形式はウイルス、特にバクテリオファージを利用する。この形式は、「ファージディスプレイ」と呼ばれる。ポリペプチド成分は、典型的には、バクテリオファージコートされたタンパク質に共有結合される。連鎖は、コートタンパク質に融合されたポリペプチド成分をコードする核酸の翻訳から生じる。この連鎖は、フレキシブルペプチドリンカー、プロテアーゼ部位、または終止コドンの抑制の結果として取り込まれたアミノ酸を含み得る。ファージディスプレイは、例えば、以下において記載されている:Ladnerら、米国特許第5,223,409号;Smith(1985)Science 228:1315−1317;WO 92/18619;WO 91/17271;WO 92/20791;WO 92/15679;WO 93/01288;WO 92/01047;WO 92/09690;WO 90/02809;de Haardら(1999)J.Biol.Chem 274:18218−30;Hoogenboomら(1998)Immunotechnology 4:1−20;Hoogenboomら(2000)Immunol Today 2:371−8;Fuchsら(1991)Bio/Technology 9:1370−1372;Hayら(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81−85;Huseら(1989)Science 246:1275−1281;Griffithsら(1993)EMBO J 12:725−734;Hawkinsら(1992)J Mol Biol 226:889−896;Clacksonら(1991)Nature 352:624−628;Gramら(1992) PNAS 89:3576−3580;Garrardら(1991)Bio/Technology 9:1373−1377;Rebarら(1996) Methods Enzymol.267:129−49;Hoogenboomら(1991)Nuc Acid Res 19:4133−4137;およびBarbasら(1991)PNAS 88 :7978−7982。
ファージディスプレイ系は、糸状ファージ(ファージf1、fd、およびM13)ならびに他のバクテリオファージ(例えば、T7バクテリオファージおよびλ型ファージ;例えば、Santini(1998)J.Mol.Biol.282:125−135;Rosenbergら(1996)Innovations 6:1−6;Houshmetら(1999)Anal Biochem 268:363−370を参照のこと)のために開発されてきた。糸状ファージディスプレイ系は、典型的には、マイナーなコートタンパク質(例えば、遺伝子IIIタンパク質)、および主要なコートタンパク質である遺伝子VIIIタンパク質への融合を使用するが、遺伝子VIタンパク質、遺伝子VIIタンパク質、遺伝子IXタンパク質などの他のコートタンパク質、またはそれらのドメインへの融合もまた使用され得る(例えば、WO 00/71694を参照のこと)。1つの実施形態において、この融合は、遺伝子IIIタンパク質、例えば、アンカータンパク質または「基部(stump)」のドメインに対してである(例えば、遺伝子IIIタンパク質アンカードメインの記載については米国特許第5,658,727号を参照されたい)。非ペプチド結合、例えば、非共有結合または非ペプチド共有結合を使用してコートすることが示されるタンパク質を物理的に結合することもまた可能である。例えば、ジスルフィド結合および/またはc−fosおよびc−junコイルドコイルが、物理的結合のために使用され得る(例えば、Crameriら(1993)Gene 137:69およびWO01/05950を参照のこと)。
ポリペプチド成分の結合価もまた制御され得る。例えば、ポリペプチド成分をコードする配列の、完全なファージゲノムへのクローニングは、多価ディスプレイを生じる。なぜなら、遺伝子IIIタンパク質のすべての複製がこのポリペプチド成分に融合されるからである。この系において、遺伝子IIIに融合されたポリペプチド成分をコードする核酸は、典型的には7000ヌクレオチド未満の長さのプラスミド上で提供される。このプラスミドはファージの複製基点を含み、その結果、このプラスミドは、このプラスミドを有する細菌細胞がヘルパーファージ(例えば、M13K01)で感染されるときに、バクテリオファージ粒子に取り込まれる。このヘルパーファージは、遺伝子IIIおよびファージの複製およびアセンブリーのために必要である他のファージ遺伝子のインタクトなコピーを提供する。このヘルパーファージは欠損性基点を有し、その結果、ヘルパーファージゲノムは、野生型基点を有するプラスミドと比較して、ファージ粒子には効率的に取り込まれない。
ポリペプチド成分を表示するバクテリオファージは、増殖され得、そして標準的なファージ調製方法、例えば、増殖培地からのPEG沈殿を使用して収集され得る。
個々のディスプレイファージの選択後、選択されたペプチド成分をコードする核酸は、選択されたファージを使用して細胞を感染させることによって増幅される。個々のコロニーまたはプラークは拾い上げられ得、対応する核酸は単離および配列決定され得る。
(細胞ベースのディスプレイ)。なおべつの形式において、ライブラリーは細胞ディスプレイライブラリーである。タンパク質は、細胞、例えば、真核生物細胞または原核生物細胞の表面上でディスプレイされる。例示的な原核生物細胞には、E.coli細胞、B.subtilis細胞、胞子(例えば、Luら(1995)Biotechnology 13:366を参照のこと)。例示的な真核生物細胞には、酵母(例えば、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Hanseula、またはPichia pastors)が含まれる。酵母表面ディスプレイは、例えば、BoderおよびWittrup(1997)Nat.Biotechnol 15:553−557ならびにWO03/029,456において記載されている。この出願は、Fabフラグメントなどの免疫グロブリンタンパク質をディスプレイするために使用され得る酵母ディスプレイ系、ならびに重鎖および軽鎖の組み合わせを生成するための接合の使用を記載する。
1つの実施形態において、変化に富んだ核酸配列が、酵母ディスプレイのためにベクターにクローニングされる。クローニングは、変化に富んだ配列を、ドメイン(または全体)の酵母細胞表面タンパク質、例えば、Aga2、Aga1、Flo1、またはGas1と結合する。これらのタンパク質のドメインは、変化に富んだ核酸配列によってコードされるポリペプチドを、膜貫通ドメインによって(例えば、Flo1)またはリン脂質二重層への共有結合によって(例えば、Gas1)固着し得る。ベクターは、細胞表面上に2つのポリペプチド鎖を発現するように配置され得、その結果、鎖の一方が酵母細胞表面タンパク質に連結される。例えば、2つの鎖は免疫グロブリン鎖であり得る。
(リボソームディスプレイ)。RNAおよびRNAによってコードされるポリペプチドは、RNAを翻訳しているリボソームを安定化することによって物理的に結合され得なお結合される新生ポリペプチドを有する。典型的には、高い二価Mg2+濃度および低温が使用される。例えば、Mattheakisら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:9022およびHanesら(2000)Nat Biotechnol.18:1287−92;Hanesら(2000)Methods Enzymol.328:404−30ならびにSchaffitzelら(1999)J Immunol Methods.231(1−2):119−35を参照のこと。
(ペプチド−核酸融合物)。別の形式はペプチド−核酸融合物を利用する。ペプチド−核酸融合物は、例えば、RobertsおよびSzostak(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:12297−12302、ならびに米国特許第6,207,446号に記載されるような共有結合したピューロマイシン基を含むmRNAのインビトロ翻訳によって生成され得る。次いで、mRNAは、DNAに逆転写され得、そしてポリペプチドに架橋され得る。
(他のディスプレイ形式)。なお別のディスプレイ形式は非生物学的ディスプレイであり、ここでは、ポリペプチド成分がポリペプチドを同定する非核酸タグに結合される。例えば、このタグは、ポリペプチドまたは高周波タグをディスプレイするビーズに結合された化学タグであり得る(例えば、米国特許第5,874,214号を参照のこと)。
(骨格)。ディスプレイのための骨格には、抗体(例えば、Fabフラグメント、単鎖Fv分子(scFV)、単一ドメイン抗体、ラクダ抗体、およびラクダ化抗体);T細胞レセプター;MHCタンパク質;細胞外ドメイン(例えば、フィブロネクチンIII型反復、EGF反復);プロテアーゼインヒビター(例えば、Kunitzドメイン、エコチン、BPTIなど);TPR反復;トリホイル構造;ジンクフィンガードメイン;DNA結合タンパク質;特にモノマー性DNA結合タンパク質;RNA結合タンパク質;酵素、例えば、プロテアーゼ(特に不活性化プロテアーゼ)、RNase;シャペロン、例えば、チオレドキシン、および熱ショックタンパク質;ならびに細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、SH2ドメインおよびSH3ドメインなど)が含まれ得る。
骨格ドメインを評価するための適切な判断基準には以下が含まれ得る:(1)アミノ酸配列、(2)いくつかの相同ドメインの配列、(3)三次元構造、および/または(4)一定の範囲のpH、温度、塩分、有機溶媒、オキシダント濃度に対する安定性データ。1つの実施形態において、骨格ドメインは小さく、安定なタンパク質ドメインであり、例えば、100アミノ酸、70アミノ酸、50アミノ酸、40アミノ酸、または30アミノ酸未満のタンパク質である。このドメインは、1つ以上のジスルフィド結合を含んでもよく、または金属(例えば、亜鉛)をキレートしてもよい。
小さな骨格ドメインの例には以下が含まれる:Kunitzドメイン(58アミノ酸、3ジスルフィド結合)、Cucurbida maximaトリプシンインヒビタードメイン(31アミノ酸、3ジスルフィド結合)、グアニリンに関連するドメイン(14アミノ酸、2ジスルフィド結合)、グラム陰性細菌からの熱安定性エンテロトキシンIAに関連するドメイン(18アミノ酸、3ジスルフィド結合)、EGFドメイン(50アミノ酸、3ジスルフィド結合)、クリングルドメイン(60アミノ酸、3ジスルフィド結合)、真菌の炭水化物結合ドメイン(35アミノ酸、2ジスルフィド結合)、エンドセリンドメイン(18アミノ酸、2ジスルフィド結合)、および連鎖球菌G IgG結合ドメイン(35アミノ酸、ジスルフィド結合なし)。
小さな細胞内骨格ドメインの例には、SH2ドメイン、SH3ドメイン、およびEVHドメインが含まれる。一般的には、任意のモジュラードメイン(細胞内または細胞外)が使用され得る。
別の有用な型の骨格ドメインは、免疫グロブリン(Ig)ドメインである。ディスプレイのために免疫グロブリンドメインを使用する方法は以下に記載される(例えば、「抗体ディスプレイライブラリー」を参照のこと)。
ディスプレイ技術はまた、標的の特定のエピトープに結合するリガンド(例えば、抗体リガンド)を得るために使用され得る。これは、例えば、特定のエピトープを欠くか、またはエピトープ内で、例えば、アラニンで置換されている非標的分子を競合させることを使用することによって行われ得る。このような非標的分子は、標的にディスプレイライブラリーを結合するときの競合分子として、または例えば、洗浄溶液中で、標的に特異的でない解離しているディスプレイライブラリーメンバーを捕捉するためのプレ溶出剤として、以下に記載されるようなネガティブ選択手順において使用され得る。
(反復選択)。1つの好ましい実施形態において、ディスプレイライブラリー技術は、反復様式で使用される。第1のディスプレイライブラリーは、標的について1つ以上のリガンドを同定するために使用される。次いで、これらの同定されたリガンドは、第2のディスプレイライブラリーを形成するために変異誘発方法を使用して変化される。次いで、高い親和性リガンドが、例えば、より高いストリンジェンシーまたはより反復性の結合および洗浄条件を使用することによって、第2のライブラリーから選択される。
ある実行においては、変異誘発は、知られているか、またはおそらく結合界面にある領域に標的化される。例えば、同定されたリガンドが抗体であるならば、変異誘発は、本明細書に記載されたような重鎖または軽鎖のCDR領域に指向され得る。さらに、変異誘発は、CDRの近傍にあるか、またはCDRに隣接するフレームワーク領域に指向され得る。抗体の場合において、変異誘発はまた、例えば、正確な段階的改善を作製するために、1つまたは数個のCDRに限定され得る。同様に、同定されるリガンドが酵素である場合、変異誘発は活性部位および近傍に指向され得る。
いくつかの例示的な変異誘発技術には以下が含まれる:誤りがちのPCR(Leungら(1989)Technique 1:11−15)、組換え、ランダム切断を使用するDNAシャッフリング(Stemmer (1994)Nature 389−391;「核酸シャッフリング」と呼ばれる)、RACHITT(商標)(Cocoら(2001)Nature Biotech.19:354)、部位特異的変異誘発(Zollerら(1987)NuclAcids Res 10:6487−6504)、カセット変異誘発(Reidhaar−Olson(1991)Methods Enzymol.208:564−586)および縮重オリゴヌクレオチドの組み込み(Griffithsら(1994)EMBO J 13:3245)。
反復選択の1つの例において、本明細書に記載される方法は、少なくとも標的についての最小結合特異性または最小活性、例えば、1nM、10nM、または100nM未満の結合のための平衡解離定数でET2を結語usルウディスプレイライブラリーからのタンパク質リガンドを最初に同定するために使用される。初期の同定されたタンパク質リガンドをコードする核酸配列は、例えば、初期のタンパク質リガンドと比較して増強された特性(例えば、結合親和性、反応速度論、または安定性)を有する第2のタンパク質リガンドを同定するために、バリエーションの導入のための鋳型核酸として使用される。
(オフレート選択)。遅い解離速度は、特にポリペプチドとそれらの標的との間の相互作用に関して高い親和性を予測し得るので、本明細書に記載される方法は、標的に対する結合相互作用について、所望される反応速度論的解離速度(すなわち、減少されている)を用いてリガンドを単離するために使用され得る。
遅く解離するリガンドをディスプレイライブラリーから選択するために、ライブラリーは、固定化された標的に接触される。次いで、固定化された標的は、非特異的にまたは弱く結合した生体分子を除去する第1の溶液で洗浄される。次いで、結合したリガンドは、飽和量の遊離の標的(すなわち、粒子に結合されない標的の複製)を含む第2の溶液で溶出される。この遊離の標的は、標的から解離する生体分子に結合する。再結合は、はるかに低濃度の固定化標的と比較して、飽和量の遊離の標的によって効果的に妨害される。
第2の溶液は、実質的に生理学的であるか、またはストリンジェントである溶液条件を有し得る。典型的には、第2の溶液の溶液条件は、第1の溶液の溶液条件と同一である。第2の溶液の画分は、後期の画分から初期の画分を区別するために時間的な順番で収集される。後期の画分は、初期の画分中の生体分子よりも、標的からより遅い速度で解離する生体分子を含む。
さらに、延長されたインキュベーション後でさえ、標的に結合したままであるディスプレイライブラリーメンバーを回収することもまた可能である。これらは、カオトロピック条件を使用して解離され得るか、または標的に結合したままで増幅され得るかのいずれかである。例えば、標的に結合したファージは、細菌細胞に接触され得る。
(特異性についての選択またはスクリーニング)。本明細書に記載されるディスプレイライブラリースクリーニング方法は、非標的分子に結合するディスプレイライブラリーメンバーを廃棄する選択またはスクリーニングのプロセスを含み得る。非標的分子の例には、例えば、抗ET2抗体のFcドメインが含まれる。
1つの実行において、いわゆる「ネガティブ選択」工程が、標的および関連する非標的分子と、関連するが別個の非標的分子との間を区別するために使用される。ディスプレイライブラリーまたはそのプールは、非標的分子と接触される。非標的に結合しないサンプルのメンバーが収集され、標的分子への結合のための引き続く選択において、または引き続くネガティブ選択のためでさえ、使用される。このネガティブ選択工程は、標的分子に結合するライブラリーメンバーを選択する前、またはその後であり得る。
別の実行において、スクリーニング工程が使用される。ディスプレイライブラリーメンバーが、標的分子への結合について単離され、各単離されたライブラリーメンバーは非標的分子(例えば、上記に列挙された非標的)に結合するその能力について試験される。例えば、高スループットELISAスクリーニングが、このデータを得るために使用され得る。ELISAスクリーニングはまた、標的への各ライブラリーメンバーの結合についての定量的データを得るために使用され得る。非標的および標的の結合データが、標的に特異的に結合するライブラリーメンバーを同定するために比較される(例えば、コンピュータおよびソフトウェアを使用して)。
(他の発現ライブラリー)
他の型のタンパク質のコレクション(例えば、発現ライブラリー)が、特定の特性(例えば、ET2を結合する能力および/またはET2を阻害する能力)を有するタンパク質を同定するために使用され得、これには、例えば、抗体のタンパク質アレイ(例えば、De Wildtら(2000)Nat.Biotechyaol.18:989−994を参照のこと)、λgt11ライブラリー、ツーハイブリッドライブラリーなどが含まれる。
(タンパク質アレイ)。異なるタンパク質が固体支持体上に、例えば、ビーズまたはアレイ上に固定化され得る。タンパク質アレイについては、各々のタンパク質が支持体上の独自のアドレスに固定化される。典型的には、このアドレスは二次元アドレスである。
ある実行において、タンパク質を発現する細胞またはファージは、アレイとして使用されるフィルター上で直接的に増殖され得る。他の実行において、組換えタンパク質産生が、タンパク質の少なくとも部分精製されたサンプルを産生するために使用される。部分精製されたサンプルまたは純粋なサンプルはアレイ上に配置される。
タンパク質アレイを産生する方法は、例えば、以下において記載されている:De Wildtら(2000)Nat.Biotechnol.18:989−994;Luekingら(1999)Anal.Biochem.270:103−111;Ge(2000)Nucleic Acids Res.28,e3,I−VII;MacBeathおよびSchreiber(2000)Science 289:1760−1763;WO 01/40803およびWO99/51773A1。アレイのためのタンパク質は、高速で、タンパク質、市販のロボット装置(例えば、Genetic MicroSystemsまたはBioRoboticsからのもの)を使用してスポットされ得る。アレイ基材は、例えば、ニトロセルロース、プラスチック、ガラス、例えば、表面修飾されたガラスであり得る。例えば、このアレイは、例えば、De Wildt、前出において記載されるような抗体のアレイであり得る。
(多様性)
ディスプレイライブラリーは、ディスプレイされたポリペプチド中の1つ以上の位置でバリエーションを含む。所定の位置におけるバリエーションは合成または天然のものであり得る。あるライブラリーについては、合成と天然の両方の多様性が含まれる。
(合成的多様性)。ライブラリーは、人工的に合成された配列から生じる多様な核酸配列の領域を含み得る。典型的には、これらは、各所定の位置におけるヌクレオチドの分布を含む縮重オリゴヌクレオチド集団から形成される。所定の配列の包含は、分布に関してはランダムである。合成的多様性の縮重供給源の1つの例は、NNNを含むオリゴヌクレオチドであり、ここでNは等しい割合の4つのヌクレオチドのいずれかである。
合成的多様性はまた、例えば、NNNよりも小さな分布に所定のトリヌクレオチドにおける核酸配列中のコドンの数を制限するために、より制約され得る。例えば、このような分布は、コドンのある位置において、4ヌクレオチド未満を使用して構築され得る。さらに、トリヌクレオチド付加技術は、分布をさらに制約するために使用され得る。
いわゆる「トリヌクレオチド付加技術」は、例えば、Wellsら(1985)Gene 34:315−323、米国特許第4,760,025号および同第5,869,644号に記載されている。オリゴヌクレオチドは、1度に1コドン(すなわち、トリヌクレオチド)、固体支持体上で合成される。この支持体は、合成のための多くの官能基を含み、その結果、多くのオリゴヌクレオチドが並行して合成される。この支持体は、最初に、第1の位置についてのコドンのセットの混合物を含む溶液に露出される。この単位は保護され、それゆえにさらなる単位が付加されない。第1の混合物を含む溶液は洗い流され、そして固体支持体が脱保護され、それゆえに第2の位置についてのコドンのセットを含む第2の混合物が、結合した第1の単位に付加され得る。このプロセスは、複数のコドンを連続的にアセンブルするために反復される。トリヌクレオチド付加技術は、所定の位置において多数のアミノ酸をコードし得る核酸の合成を可能にする。これらのアミノ酸の頻度は、混合物中のコドンの割合によって調節され得る。所定の位置におけるアミノ酸のさらなる選択は、単一のヌクレオチドの混合物が合成の間に付加される場合と同様に、コドン表の象限に制限されない。
(天然の多様性)。ライブラリーは、異なる天然に存在する配列から生じる(またはそれに基づいて合成される)多様な核酸配列の領域を含み得る。ディスプレイライブラリーに含まれ得る天然の多様性の例は、免疫細胞中に存在する配列の多様性である(以下もまた参照のこと)。核酸はこれらの免疫細胞から調製され、ポリペプチドディスプレイについての形式に操作される。天然に存在する多様性の別の例は、異なる種の生物間の配列の多様性である。例えば、多様な核酸配列が、環境サンプル、例えば、土壌などから増幅され得、そしてディスプレイライブラリーを構築するために使用され得る。
(抗体ディスプレイライブラリー)
1つの実施形態において、ディスプレイライブラリーは、多様なポリペプチドのプールを提示し、これらの各々は、免疫グロブリンドメイン、例えば、免疫グロブリン可変ドメインを含む。ディスプレイライブラリーは、例えば、ヒト抗原を認識するヒト抗体または「ヒト化」抗体を同定するために特に有用である。このような抗体は、癌などのヒト障害を処置するための処置として使用され得る。抗体の定常領域およびフレームワーク領域はヒトであるので、これらの処置用抗体は、それら自体が、抗原として認識されかつ標的化されることを回避する可能性がある。定常領域はまた、ヒト免疫系のエフェクター機能を補充するために最適化されてもよい。インビトロディスプレイ選択プロセスは、自己抗原に対する抗体を生成することの通常のヒト免疫系の不可能性を克服する。他の型の抗体発現ライブラリーが使用され得、これには、例えば、抗体のタンパク質アレイ(例えば、De Wildtら(2000)Nat.Biotechnol.18:989−994を参照のこと)、λgt11ライブラリーなどが含まれる。
代表的な抗体ディスプレイライブラリーは、VHドメインおよびVLドメインを含むポリペプチドを提示する。「免疫グロブリンドメイン」とは、免疫グロブリン分子の可変ドメインまたは定常ドメインからのドメインをいう。免疫グロブリンドメインは、典型的には、約7個のβ鎖から形成される2つのβシート、および保存性ジスルフィド結合を含む(例えば、A.F.WilliamsおよびA.N.Barclay 1988 Ann.Rev Immunol.6:381−405を参照のこと)。ディスプレイライブラリーは、Fabフラグメントとして(例えば、2つのポリペプチド鎖を使用して)、または単鎖Fvとして(例えば、単一のポリペプチド鎖を使用して)抗体をディスプレイし得る。他の形式もまた使用され得る。
Fabおよび他の形式の場合と同様に、ディスプレイされた抗体は、軽鎖および/または重鎖の一部として、1つ以上の定常領域を含み得る。1つの実施形態において、各鎖は、例えば、Fabの場合と同様に、1つの定常領域を含む。他の実施形態において、さらなる定常領域がディスプレイされる。
抗体ライブラリーは、多数のプロセスによって構築され得る(例えば、de Haardら(1999)J.Biol.Chem 274:18218−30;Hoogenboomら(1998)Immunotechnology 4:1−20およびHoogenboomら(2000)Immunol Today 21:371−8を参照のこと)。さらに、各プロセスの要素は、他のプロセスの要素と組み合わせられ得る。これらのプロセスは、バリエーションが単一の免疫グロブリンドメイン(例えば、VHまたはVL)、または複数の免疫グロブリンドメイン(例えば、VHおよびVL)に導入される。このバリエーションは、免疫グロブリン可変ドメインに、例えば、CDR1、CDR2、CDR3、FR1、FR2、FR3、およびFR4の1つ以上の領域中に、重鎖および軽鎖の可変ドメインのいずれかおよびその両方のこのような領域を参照して、導入され得る。1つの実施形態において、バリエーションは、所定の可変ドメインの3つすべてのCDRに導入される。別の好ましい実施形態において、このバリエーションは、例えば、重鎖可変ドメインのCDR1およびCDR2に導入される。任意の組み合わせが実行可能である。1つのプロセスにおいて、抗体ライブラリーは、核酸の対応する領域にCDRをコードする多様なオリゴヌクレオチドを挿入することによって構築される。これらのオリゴヌクレオチドは、モノマー性ヌクレオチドまたはトリヌクレオチドを使用して合成され得る。例えば、Knappikら(2000)J.Mol.Biol.296:57−86は、トリヌクレオチド合成およびオリゴヌクレオチドを受容する操作された制限部位を有する鋳型を使用して、オリゴヌクレオチドをコードするCDRを構築するための方法を記載している。
別のプロセスにおいて、動物、例えば、齧歯類がET2で免疫される。この動物は、必要に応じて、応答をさらに刺激するために抗原でブーストされる。次いで、脾臓細胞が動物から単離され、VHドメインおよび/またはVLドメインをコードする核酸が、ディスプレイライブラリー中での発現のために増幅およびクローニングされる。
なお別のプロセスにおいて、抗体ライブラリーは、未処置の生殖系列免疫グロブリン遺伝子から増幅された核酸から構築される。増幅された核酸は、VHドメインおよび/またはVLドメインをコードする核酸を含む。免疫グロブリンをコードする核酸の供給源は以下に記載される。増幅は、例えば、保存性定常領域にアニーリングされるプライマーを用いるPCR、または別の増幅方法を含み得る。
免疫グロブリンドメインをコードする核酸は、例えば、ヒト、霊長類、マウス、ウサギ、ラクダ、または齧歯類の免疫細胞から得られ得る。1つの例において、細胞は、特定の特性について選択される。成熟の種々の段階のB細胞が選択され得る。別の例において、B細胞は未処置である。
1つの実施形態において、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)が、表面結合したIgM、IgD、またはIgG分子を発現するB細胞を分別するために使用される。さらに、IgGの異なるアイソタイプを発現するB細胞が単離され得る。別の好ましい実施形態において、B細胞またはT細胞がインビトロで培養される。これらの細胞は、例えば、フィーダー細胞と用いる培養によって、またはマイトジェンもしくは他の調節試薬、例えば、CD40に対する抗体、CD40リガンドもしくはCD20、ホルボールミリストレート酢酸塩、細菌リポポリサッカリド、コンカナバリンA、フィトヘマグルチニンまたはヤマゴボウマイトジェンなどを加えることによってインビトロで刺激され得る。
なお別の実施形態において、細胞は、免疫学的障害、例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、脈管炎、シェーグレン病、全身性硬化症、または抗リン脂質症候群を有する被験体から単離される。この被験体はヒト、または動物(例えば、ヒト疾患の動物モデル、もしくは類似の障害を有する動物)であり得る。なお別の実施形態において、細胞は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニック非ヒト動物から単離される。
1つの好ましい実施形態において、細胞は、体細胞超変異のプログラムを活性化している。細胞は、例えば、抗免疫グロブリン抗体、抗CD40抗体、および抗CD38抗体を用いる処理によって、免疫グロブリン遺伝子の体細胞変異誘発を受けるように刺激され得る(例えば、Bergthorsdottirら(2001)J Immunol.166:2228を参照のこと)。別の実施形態において、細胞は未処置である。
免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸は、以下の実験方法によって天然のレパートリーから単離され得る。第1に、RNAが免疫細胞から単離される。全長(すなわち、キャップされている)mRNAが単離される(例えば、仔ウシ腸ホスファターゼを用いる未キャップRNAの分解によって)。次いで、キャップが、タバコ酸性ホスファターゼを用いて除去され、そして逆転写が使用されてcDNAを産生する。
第1(アンチセンス)鎖の逆転写は、任意の適切なプライマーを用いて任意の様式で行われ得る。例えば、de Haardら(1999)J.Biol.Chem 274:18218−30を参照のこと。プライマー結合領域は、例えば、免疫グロブリンの異なるアイソタイプを逆転写するために、異なる免疫グロブリン間で一定であり得る。プライマー結合領域はまた、免疫グロブリンの特定のアイソタイプに特異的であり得る。典型的には、プライマーは、少なくとも1つのCDRをコードする配列に対して3’である領域について特異的である。別の実施形態において、ポリ−dTプライマーが使用されてもよい(および重鎖遺伝子について好ましいかもしれない)。
合成配列は、逆転写された鎖の3’末端にライゲーションされ得る。合成配列は、逆転写後のPCR増幅の間にフォワードプライマーの結合のためのプライマー結合部位として使用され得る。合成配列の使用は、利用可能な多様性を十分に捕捉するために、異なるフォワードプライマーのプールを使用する必要性を取り除き得る。
次いで、可変ドメインコード遺伝子が、例えば、1回以上のラウンドを使用して増幅される。複数のラウンドが使用される場合、ネスト化プライマーが、忠実度を増加させるために使用され得る。次いで、増幅された核酸が、ディスプレイライブラリーベクターにクローニングされる。
核酸配列を増幅するための方法が、増幅のために使用されてもよい。多様性を最大化しこれを偏向しない方法が好ましい。種々の技術が核酸増幅のために使用され得る。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号、Saikiら(1985)Science 230,1350−1354)は、核酸合成のラウンドを駆動するために温度を変化させるサイクルを利用する。転写に基づく方法は、核酸を増幅するためにRNAポリメラーゼによるRNA合成を利用する(米国特許第6,066,457号;同第6,132,997号;同第5,716,785号;Sarkarら、Science(1989)244:331−34;Stoflerら、Science(1988)239:491)。NASBA(米国特許第5,130,238号;同第5,409,818号;および同第5,554,517号)は、DNAサンプルを増幅するために、転写、逆転写、およびRnaseHに基づく分解を利用する。なお他の増幅方法には、ローリングサークル増幅(RCA;米国特許第5,854,033号および同第6,143,495号)ならびに鎖置換増幅(SDA;米国特許第5,455,166号および同第5,624,825号)が含まれる。
(二次スクリーニング法)
標的に結合する候補ディスプレイライブラリーメンバーを選択する後で、各候補ディスプレイメンバーは、例えば、標的についてのその結合特性をさらに特徴付けするためにさらに分析され得る。各候補ディスプレイライブラリーメンバーは、1回以上の二次スクリーニングアッセイに供せられ得る。このアッセイは、結合特性、触媒特性、阻害特性、生理学的特性(例えば、細胞傷害性、腎臓クリアランス、免疫原性)、構造的特性(例えば、細胞傷害性、オリゴマー化状態)、または別の機能的特性についてであり得る。同じアッセイが、例えば、pH、イオン、または熱の感受性を決定するために、種々の条件を用いて反復して使用され得る。
適切な場合、アッセイは、ディスプレイライブラリーメンバーを直接的に使用し得、ディスプレイされたポリペプチドをコードする核酸から産生された組換えポリペプチドを使用し得、またはディスプレイされたペプチドの配列に基づいて合成された合成ペプチドを使用し得る。結合特性についての例示的アッセイには以下が含まれる:
(ELISA)。ディスプレイライブラリーによってコードされるポリペプチドはまた、ELISAアッセイを使用する結合特性についてスクリーニングされ得る。例えば、各ポリペプチドは、マイクロタイタープレートに接触され、その底面は標的(例えば、限定量の標的)でコートされている。このプレートは、非特異的に結合したポリペプチドを除去するために緩衝液で洗浄される。次いで、プレートに結合したポリペプチドの量が、ポリペプチド(例えば、ポリペプチドのタグまたは一定の部分)を認識し得る抗体を用いてプレートをプローブすることによって決定される。この抗体は、アルカリホスファターゼなどの酵素に連結され、これは、適切な基質が供給される場合に、比色分析用生成物を産生する。このポリペプチドは、細胞から精製され得、またはディスプレイライブラリー形式において、例えば、糸状バクテリオファージコートへの融合物として、アッセイされ得る。別のバージョンのELISAアッセイにおいて、多様な鎖ライブラリーの各ポリペプチドは、マイクロタイタープレートの異なるウェルをコートするために使用される。次いで、ELISAが、各ウェルを照会するための一定の標的分子を使用して進行する。
(均質結合アッセイ)。候補ポリペプチドの標的との結合相互作用は、均質アッセイを使用して分析され得、すなわち、アッセイのすべての成分が加えられた後で、さらなる液体操作は必要とされない。例えば、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が均質アッセイとして使用され得る(例えば、Lakowiczら、米国特許第5,631,169号;Stavrianopoulosら、米国特許第4,868,103号を参照のこと)。第1の分子(例えば、画分中で同定された分子)上のフルオロフォア標識は、その発光蛍光エネルギーが、第2の分子が第1の分子に対して近接している場合に、その第2の分子(例えば、標的)上の蛍光標識によって吸収され得るように選択される。第2の分子上の蛍光標識は、それが移動したエネルギーに吸収される場合に、蛍光を発する。標識間のエネルギー移動の効率は分子の間隔をあける距離に関連するので、分子間の空間的な関連性が評価され得る。結合が分子間で起こる状況において、アッセイにおける「アクセプター」分子の蛍光発光は最大であるべきである。FRETによってモニターされるために構成される結合事象は、当該分野において周知である標準的な蛍光検出手段を通して(例えば、蛍光測定装置を使用して)首尾よく測定され得る。第1および第2の結合分子の量を滴定することによって結合曲線が、平衡結合定数を見積もるために生成され得る。
均質アッセイの別の例は、Alpha Screen(Packard Bioscience,Meriden CT)である。Alpha Screenは、2つの標識されたビーズを使用する。1つのビーズは、レーザーによって励起されたときにシングレット酸素を生成する。他方のビーズは、シングレット酸素が第1のビーズから発散し、それと衝突するときに光シグナルを生成する。この四Guanルシフェラーゼは、2つのビーズが近接しているときのみに生成する。1つのビーズは、ディスプレイライブラリーメンバーに結合し得、他方は標的に結合し得る。シグナルは、結合の程度を決定するために測定される。
均質アッセイは、候補ポリペプチドがディスプレイライブラリービヒクル、例えば、バクテリオファージに結合される間に実行され得る。
(表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)(SPR))。ディスプレイライブラリーから単離された分子および標的の結合相互作用はSPRを使用して分析され得る。SPRまたは生体分子相互作用分析(Biomolecular Interaction Analysis)(BIA)は、いずれの反応体を標識することもなく、リアルタイムで二特異性相互作用を検出する。BIAチップの結合表面における質量の変化(結合事象の指標である)は、表面の近傍の光の屈折率の変化を生じる(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学的現象)。屈折度の変化は検出可能なシグナルを生成し、これは、生物学的分子間のリアルタイム反応の指標として測定される。SPRを使用するための方法は、例えば、米国特許第5,641,640号;Raether(1988)Surface Plasmon Springer Verlag;SjolanderおよびUrbaniczky(1991)Anal.Chem.63:2338−2345 Szaboら(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705ならびにBIAcore International AB(Uppsala,Sweden)によって供給されているオンライン情報源に記載されている。
SPRからの情報は、標的への生体分子の結合についての平衡解離定数(Kd)および反応速度論的パラメーター(KonおよびKoffを含む)の正確かつ定量的な測定を提供するために使用され得る。このようなデータは、異なる生体分子を比較するために使用され得る。例えば、多様な鎖のライブラリーから選択される核酸によってコードされるタンパク質は、標的に対して高い親和性を有する、または遅いKoffを有する個体を同定するために比較され得る。この情報はまた、構造−活性相関(SAR)を構築するために使用され得る。例えば、成熟バージョンの親のタンパク質の反応速度論的パラメーターおよび平衡結合パラメーターは、親のタンパク質のパラメーターと比較され得る。特定の結合パラメーター(例えば、高い親和性および遅いKoff)と相関する、所定の位置におけるバリアントアミノ酸が同定され得る。この情報は、構造的モデリングと組み合わせ得る(例えば、相同性モデリング、エネルギー最小化、またはx線結晶学もしくはNMRによる構造決定を使用する)。結果として、タンパク質とその標的との間の物理的相互作用の理解は、他の設計プロセスを導くために、考案および使用され得る。
(タンパク質アレイ)。ディスプレイライブラリーから同定されたポリペプチドは、固体支持体上に、例えば、ビーズまたはアレイ上に固定化され得る。タンパク質アレイについては、ポリペプチドの各々が、支持体上の独特のアドレスに固定化される。典型的には、このアドレスは二次元アドレスである。タンパク質アレイは以下に記載される(例えば、診断を参照のこと)。
(細胞アッセイ)。候補ポリペプチドのライブラリー(ディスプレイライブラリーまたは他のライブラリーによって以前に同定されたもの)が、宿主細胞にライブラリーを形質転換することによってスクリーニングされ得る。例えば、このライブラリーは、ポリペプチドをコードし発現を指向し、例えば、その結果、ポリペプチドが細胞内で産生され、細胞から分泌され、または細胞表面に結合される、ベクター核酸配列を含み得る。細胞は、ET2に結合するポリペプチドについて、例えば、細胞表現型または細胞媒介活性の変化によって検出されるように、スクリーニングされ得る。例えば、ET2に結合する抗体の場合において、活性は、細胞または補体媒介細胞傷害性であってもよい。
(自動化)
1つの実施形態において、スクリーニング方法の少なくともいくつかの態様が自動化される。自動化方法は、例えば、結合相互作用または酵素相互作用(例えば、ET2活性の阻害)などの、ET2との相互作用を検出するために、抗スループットスクリーニングのために使用され得る。例えば、一次スクリーニングから単離され候補リガンドをコードしているクローンは、アレイ化形式で保存される(例えば、マイクロタイタープレート)。ロボットデバイスは、種々の形式で、例えば、ELISA(精製されたリガンドまたはリガンドをファージディスプレイすることを使用する)、酵素アッセイ、細胞ベースのアッセイなどで、候補リガンドの各々についてのアッセイを設定するために自動的に制御され得る。酵素活性は、例えば、分光学的に、比色分析的に、質量スペクトル分析法を使用して、などを含む種々の方法のいずれかによって検出され得る。
特定のアッセイ、例えば、結合アッセイ、活性アッセイ、または細胞ベースのアッセイについて各クローンの実行を示すデータは、データベース中に保存され得る。ソフトウェアは、データベースにアクセスするため、および特定の判断基準に合致する、例えば、アッセイについての閾値を超過するクローンを選択するために使用され得る。次いで、ソフトウェアは、保存されたアレイから選択されたクローンを拾い上げ、リガンドをコードする核酸を調製し、リガンドそれ自体を調製し、ならびに/または、それらのメンバーが最初に拾い上げたリガンドの変異されたバリアントである二次ライブラリーを産生およびスクリーニングするようにロボットアームに指示し得る。
オートメーションプロセスにおいて利用され得る種々のロボットデバイスには、μうちウェルプレート運搬システム、磁気ビーズ粒子プロセッサ、液体取り扱いユニット、コロニー拾い上げユニットが含まれる。これらのデバイスは、商業的な供給源、例えば、Autogen(Framingham MA)、Beckman Coulter(USA)、Biorobotics(Woburn MA)、Genetix(New Milton,Hampshire UK)、Hamilton (Reno NV)、Hudson(Springfield NJ)、Labsystems(Helsinki,Finland)、Perkin Elmer Lifesciences(Wellseley MA)、Packard Bioscience(Meriden CT)、およびTecan(Mannedorf, Switzerland)から、特別仕様で構築されるか、または購入され得る。
(ET2結合抗体を得るための方法)
ディスプレイライブラリーの使用に加えて、他の方法が、ET2結合抗体を得るために使用され得る。例えば、ET2タンパク質またはその領域は、非ヒト動物、例えば、齧歯類において抗原として使用され得る。
1つの実施形態において、この非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン遺伝子の少なくとも一部を含む。例えば、マウス抗体産生において欠損しているマウス株を、ヒトIg遺伝子座の大きなフラグメントを用いて操作ことが可能である。ハイブリドーマ技術を使用して、所望の特異性を有する遺伝子に由来する抗原特異的Mabが、産生および選択され得る。例えば、XenoMouse(商標)、Greenら、Nature Genetics 7:13−21(1994)、U.S.2003−0070185、WO 96/34096(1996年10月31日公開)、およびPCT公開番号PCT/US96/05928(1996年4月29日出願)を参照のこと。
別の実施形態において、モノクローナル抗体が非ヒト動物から得られ、次いで修飾される(例えば、ヒト化または脱免疫される)。Winterは、本明細書のヒト化抗体を調製するために使用されてもよいCDR移植法を記載している(1987年3月26日に出願されたUK特許出願GB 2188638A;米国特許第5,225,539号)。特定のヒト抗体のCDRのすべてが非ヒトCDRの少なくとも一部で置き換えられてもよく、またはCDRのいくつかのみが非ヒトCDRで置き換えられてもよい。所定の抗原へのヒト化抗体の結合のために必要とされる数のCDRを置き換えることのみが必要である。
ヒト化抗体は、ヒトFv可変領域からの等価な配列との抗原結合には直接的には関与しないFv可変領域の配列を置き換えることによって生成され得る。ヒト化抗体を生成するための一般的な方法は、Morrison,S.L.1985,Science 229:1202−1207によって、Oiら、1986,BioTechniques 4:214によって、およびQueenら、米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号、および同第5,693,762号によって提供される。これらの方法は、重鎖または軽鎖の少なくとも1つから、免疫グロブリンFv可変領域のすべてまたは一部をコードする核酸配列を単離、操作、および発現する工程を包含する。このような核酸の供給源は当業者に周知であり、例えば、上記に記載されるように、所定の標的に対する抗体を産生するハイブリドーマから得られてもよい。次いで、ヒト化抗体またはそのフラグメントをコードする組換えDNAは、適切な発現ベクターにクローニングされ得る。
ET2結合抗体はまた、WO 98/52976およびWO 00/34317(これらの内容は参照として本明細書に具体的に援用される)において開示される方法によって、ヒトT細胞エピトープの特異的欠失によって修飾されてもよく、または「脱免疫」されてもよい。手短に述べると、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域は、MHCクラスIIに結合するペプチドについて分析され得る;これらのペプチドは、潜在的なT細胞エピトープを提示する(WO 98/52976およびWO 00/34317に定義される通りである)。潜在的なT細胞エピトープの検出のために、「ペプチドスレッディング」と呼ばれるコンピュータモデリングアプローチが適用され得、さらに、ヒトMHCクラスII結合ペプチドのデータベースが、WO 98/52976およびWO 00/34317に記載されるように、VHおよびVLの配列中に存在するモチーフについて検索され得る。これらのモチーフは、18個の主要なMHCクラスII DRアロタイプのいずれかに結合し、従って、潜在的なT細胞エピトープを構成する。検出された潜在的なT細胞エピトープは、可変領域中の少数のアミノ酸残基を置換することによって、または好ましくは単一アミノ酸置換によって、除去され得る。可能な保存性置換が作製される限り、しばしば、しかし独占的ではなく、ヒト生殖系列抗体配列におけるこの位置で共通のアミノ酸が使用されてもよい。ヒト生殖系列配列は、Tomlinson,I.A.ら(1992)J.Mol.Biol.227:776−798;Cook,G.P.ら(1995)Immunol.Today 第16巻(5):237−242;Chothia,D.ら(1992)J.Mol.Bio.227:799−817に開示されている。V BASEディレクトリは、ヒト免疫グロブリン可変領域配列の包括的なディレクトリを提供する(Tomlinson,I.A.ら、MRC Centre for Protein Engineering,Cambridge,UKによって編集されている)。脱免疫変化が同定された後、VHおよびVLをコードする核酸は、変異誘発または他の合成方法(例えば、デノボ合成、カセット置換など)によって構築され得る。変異誘発された可変配列は、必要に応じて、ヒト定常領域、例えば、ヒトIgG1またはκ定常領域に融合され得る。
ある場合において、潜在的なT細胞エピトープは、抗体機能のために重要であることが知られているか、またはそのことが予測されている残基を含む。例えば、潜在的なT細胞エピトープは、CDRに向けて通常偏向している。さらに、潜在的なT細胞エピトープは、抗体の構造および結合のために重要なフレームワーク残基において存在し得る。これらの潜在的なエピトープを除外するための変化は、ある場合において、例えば、変化を有するかまたは有さない鎖を作製および試験することによって、より多くの精査を必要とする。可能である場合、CDRと重複するT細胞エピトープは、CDRの外側の置換によって除外された。ある場合において、CDR内の変化は任意選択のみであり、従って、この置換を有し、および有さないバリアントが試験されるべきである。他の場合において、潜在的なT細胞エピトープを除外するために必要とされる置換は、抗体結合のために決定的であるかもしれないフレームワーク中の残基位置においてである。これらの場合において、この置換を有するバリアント、およびこの置換を有さないバリアントが試験されるべきである。従って、ある場合において、いくつかのバリアントの脱免疫された重鎖および軽鎖の可変領域が設計され、そして種々の重鎖/軽鎖の組み合わせが、最適な脱免疫化抗体を同定するために試験された。次いで、最終的な脱免疫された抗体の選択は、脱免疫化の程度、すなわち、可変領域に残存する潜在的なT細胞エピトープの数とともに、異なるバリアントの結合親和性を考慮することによってなされ得る。脱免疫化は、任意の抗体、例えば、ヒト配列を含む抗体、例えば、合成抗体、マウス抗体、他の非ヒトモノクローナル抗体、またはディスプレイライブラリーから単離された抗体を修飾するために使用され得る。
(生殖系列抗体)
1つ以上の生殖系列配列により類似する抗体の可変領域を作製するために、ET2を結合する抗体、例えば、本明細書に記載される抗体を修飾することが可能である。例えば、抗体は、例えば、フレームワークまたはCDR領域において、それを参照生殖系列配列により類似させるために、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のアミノ酸置換を含み得る。1つの例示的な生殖系列法は、単離された抗体の配列に類似する(例えば、特定のデータベースにおいて最も類似する)1つ以上の生殖系列配列を同定する工程を包含し得る。次いで、変異(アミノ酸レベルにおける)が、単離された抗体において、増加的に、組み合わせて、またはその両方のいずれかで作製され得る。例えば、いくつかのまたはすべての可能な生殖系列変異をコードする配列を含む核酸ライブラリーが作製される。次いで、変異した抗体は、例えば、単離された抗体と比較して1つ以上のさらなる生殖系列残基を有しなお有用である(例えば、機能的活性を有する)抗体を同定するために評価される。1つの実施形態において、可能な限り、多くの生殖系列残基が、単離された抗体に導入される。
1つの実施形態において、変異誘発は、CDR領域に1つ以上の生殖系列残基を置換または挿入するために使用される。例えば、生殖系列CDR残基は、修飾される可変領域に類似する(例えば、最も類似する)生殖系列配列からであり得る。変異誘発後、抗体の活性(例えば、結合活性または他の機能的活性)が、生殖系列残基が許容されるか否かを決定するために評価され得る。類似の変異誘発がフレームワーク領域において実行され得る。
生殖系列配列を選択することは、異なる方法で実行され得る。例えば、生殖系列配列は、これが選択性または類似性についての所定の判断基準(例えば、少なくとも特定の同一性パーセント、例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%の同一性)に合致する場合に、選択され得る。選択は、少なくとも2個、3個、5個、または10個の生殖系列配列を使用して実行され得る。CDR1およびCDR2の場合において、類似の生殖系列配列を同定することは、1つのこのような配列を選択することを含み得るが、別々にアミノ末端部分およびカルボキシ末端部分に寄与する2つの生殖系列配列を使用することを含んでもよい。他の実行において、1つまたは2つより多くの生殖系列配列が、例えば、コンセンサス配列を形成するために使用される。
1つの実施形態において、特定の参照可変ドメイン配列、例えば、本明細書に記載される配列に関して、関連する可変ドメイン配列は、参照CDR配列の残基、ヒト生殖系列配列における対応する位置の残基と同一である残基(すなわち、ヒト生殖系列核酸によってコードされるアミノ酸配列)とは同一ではない、CDRアミノ酸位置の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%を有する。
1つの実施形態において、特定の参照可変ドメイン配列、例えば、本明細書に記載される配列に関して、関連する可変ドメイン配列は、ヒト生殖系列配列からのFR配列、例えば、参照可変ドメイン配列に関連する生殖系列配列の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%を有する。
従って、目的の所定の抗体に対して類似の活性を有するが、1つ以上の生殖系列配列(特に、1つ以上のヒト生殖系列配列)により類似する抗体を単離することが可能である。例えば、抗体は、CDR(例えば、フレームワーク領域)の外側の領域において、生殖系列配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%の同一性であり得る。さらに、抗体は、CDR領域中の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの生殖系列残基を含み得、この生殖系列残基は、修飾される可変領域に対して類似する(例えば、最も類似する)生殖系列配列からである。第1の目的の生殖系列配列は、ヒト生殖系列配列である、抗体の活性(例えば、結合活性)は、もともとの抗体の100、10、5、2、0.5、0.1、および0.001の因数内であり得る。
Vκについての例示的な生殖系列参照配列には以下が含まれる:012/02、018/08、A20、A30、L14、LI、L15、L4/18a、L5/L19、L8、L23、L9、L24、L11、L12、011/01、A17、Al、A18、A2、A19/A3、A23、A27、All、L2/L16、L6、L20、L25、B3、B2、A26/A10、およびA14。例えば、Tomlinsonら(1995)EMBO J.14(18):4628−3を参照のこと。
HC可変ドメインについての生殖系列参照配列は、H1およびH2超可変ループにおける特定の標準的構造、例えば、1−3構造を有する配列に基づき得る。免疫グロブリン可変ドメインの超可変ループの標準的構造は、Chothiaら(1992)J.Mol.Biol.227:799−817;Tomlinsonら(1992)J.Mol.Biol.227:776−798);およびTomlinsonら(1995)EMBO J.14(18):4628−38に記載されるように、その配列から推測され得る。1−3構造を有する例示的な配列は、DP−1、DP−8、DP−12、DP−2、DP−25、DP−15、DP−7、DP−4、DP−31、DP−32、DP−33、DP−35、DP−40、7−2、hv3005、hv3005f3、DP−46、DP−47、DP−58、DP−49、DP−50、DP−51、DP−53、およびDP−54を含む。
(リガンド産生)
標準的な組換え核酸方法が、ET2に結合するタンパク質リガンドを発現するために使用され得る。一般的に、タンパク質リガンドをコードする核酸配列は、核酸発現ベクターにクローニングされる。当然、タンパク質が複数のポリペプチド鎖を含む場合、各鎖は、発現ベクター、例えば、同じ細胞または異なる細胞において発現される同じまたは異なるベクターにクローニングされなければならない。
(抗体産生)。ある抗体(例えば、Fab)は、細菌細胞(例えば、E.coli細胞)中で産生され得る。例えば、Fabが、ディスプレイ実体およびバクテリオファージタンパク質(またはそのフラグメント)の間で抑制可能な終止コドンを含むファージディスプレイベクター中の配列によってコードされる場合、ベクター核酸は、終止コドンを抑制可能でない細菌細胞に移動され得る。この場合において、Fabは遺伝子IIIタンパク質に融合されず、ペリプラズムおよび/または培地に分泌される。
抗体はまた、真核生物細胞中で産生され得る。1つの実施形態において、抗体(例えば、scFv)は、Pichia (例えば、Powersら(2001)J lmmunol Methods.251:123−35を参照のこと)、Hanseula、またはSaccharomycesなどの酵母細胞中で発現される。
1つの好ましい実施形態において、抗体は、哺乳動物細胞中で産生される。クローン抗体またはその抗原結合フラグメントを発現するための好ましい哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(described in UrlaubおよびChasin(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216−4220によって記載されているdhfr−CHO細胞を含み、DHFR選択マーカーとともに、例えば、KaufmanおよびSharp(1982)Mol.Biol.159:601−621において記載されるように使用される)、リンパ細胞株、例えば、NS0ミエローマ細胞およびSP2細胞、COS細胞、およびトランスジェニック動物(例えば、トランスジェニック哺乳動物)からの細胞が含まれる。例えば、この細胞は哺乳動物上皮細胞である。
多様化された免疫グロブリンドメインをコードする核酸配列に加えて、組換え発現ベクターは、さらなる配列、例えば、宿主細胞中でベクターの複製を調節する配列(例えば、複製の起点)および選択マーカー遺伝子などを有してもよい。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、および5,179,017号を参照のこと)。例えば、典型的には、選択マーカーは、ベクターが導入された宿主細胞に、薬物(例えば、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートなど)に対する耐性を付与する。好ましい選択マーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅を用いるdhfr宿主細胞における使用のため)およびneo遺伝子(G418選択のため)を含む。
本発明の抗体、またはその抗原結合部分の組換え発現のための例示的な系において、抗体の重鎖と抗体の軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターが、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションによって、dhfr−CHO細胞に導入される。組換え発現ベクターにおいて、抗体の重鎖および軽鎖の遺伝子は、各々、エンハンサー/プロモーター調節エレメント(例えば、SV40、CMV、アデノウイルスなどに由来、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントまたはSV40エンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントなど)に作動可能に連結され、高いレベルの遺伝子の転写を駆動する。組換え発現ベクターはまた、メトトレキサート選択/増幅を使用して、ベクターでトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能にする、DHFR遺伝子を有する。選択された形質転換体宿主細胞は、抗体の重鎖および軽鎖の発現を可能にするために培養され、インタクトな抗体が培養培地から回収される。標準的な分子生物学的技術が使用されて、組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞をトランスフェクトし、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、そして培養培地から抗体を回収する。例えば、ある抗体は、プロテインAまたはプロテインGがカップリングされた担体を用いるアフィニティークロマトグラフィーによって単離され得る。
Fcドメインを含む抗体について、抗体産生系は、好ましくは、Fc領域がグリコシル化されている抗体を合成する。例えば、IgG分子のFcドメインは、CH2ドメインのアスパラギン297でグリコシル化されている。このアスパラギンは、二アンテナ(biantennary)型オリゴサッカリドを用いる修飾のための部位である。このグリコシル化は、Fcγレセプターおよび補体C1qによって媒介されるエフェクター機能のために必要とされることが実証されてきた(BurtonおよびWoof(1992)Adv.Immunol.51:1−84;Jefferisら(1998)Immunol.Rev.163:59−76)。1つの実施形態において、Fcドメインは、アスパラギン297に対応する残基を適切にグリコシル化する哺乳動物発現系において産生される。Fcドメインはまた、他の真核生物の翻訳後修飾を含み得る。
抗体はまた、トランスジェニック動物によって産生され得る。例えば、米国特許第5,849,992号は、トランスジェニック動物の乳腺において抗体を発現する方法を記載している。乳特異的プロモーターおよび目的の抗体をコードする核酸および分泌のためのシグナル配列を含む導入遺伝子が構築される。このようなトランスジェニック哺乳動物の雌によって産生される乳は、そこに分泌された目的の抗体を含む。この抗体は、乳から精製され得るか、またはある応用のためには、直接的に使用される。
トランスジェニック動物の生成は当該分野において周知である。トランスジェニックマウスを作製するための1つの方法は以下の通りである。手短に述べると、抗体をコードする標的化構築物は、受精した卵母細胞の雄性前核にマイクロインジェクションされる。この卵母細胞は、生存可能な仔に、発生のために、偽妊娠したフォスターマザーの子宮に注入する。いくつかの子孫は導入遺伝子を組み込んでいた。
(ET2リガンドについてのアッセイ系)
潜在的なET2リガンドは、ET2またはそのフラグメントに向けたそれらの調節活性を測定するアッセイにおいてインビボおよびインビトロでさらに特徴付けされ得る。例えば、ET2は、基質とのET2の反応を可能にするアッセイ条件下で、基質と組み合わせられ得る。このアッセイは、潜在的なET2リガンドの非存在下で、および潜在的なET2リガンドの濃度の増加の存在下で実行される。ET2活性の50%が試験化合物によって阻害されるリガンドの濃度は、この化合物についてのIC50値(阻害濃度)およびEC50(有効濃度)値である。一連の試験リガンドまたはその群の中において、より低いIC50値またはEC50値を有するものは、より高いIC50値またはEC50値を有する化合物よりも、より強力なET2のインヒビターと見なされる。好ましいリガンドは、ET2活性の阻害についてのインビトロアッセイにおいて測定される場合に、100nM未満のIC50値を有する。
これらのリガンドはまた、ET2に向けた選択性について評価され得る。例えば、潜在的なET2リガンドは、ET2およびセリンプロテアーゼおよび他の酵素のパネルに向けたその効力についてアッセイされ得、そしてIC50値またはEC50値が各酵素標的についえ決定され得る。1つの実施形態において、ET2についての低いIC50値またはEC50値、および試験パネル中の他の酵素(例えば、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、トロンビン、第Xa因子)についてより高いIC50値またはEC50値を実証する化合物は、ET2に向けて選択性であると見なされる。1つの実施形態において、ET2について低いIC50値またはEC50値、およびET2よりもET1についてより高いIC50値またはEC50値を実証する化合物は、ET2に向けて選択性であると見なされる。
潜在的なET2リガンドはまた、インビボでそれらの活性について評価され得る。例えば、エンドセリアーゼの阻害を通して腫瘍増殖を減少するリガンドの能力を評価するために、PAI−1を評価するためにJankunら、Cane.Res.,57:559−563(1997)によって記載される手順が利用され得る。手短に述べると、ATCC細胞株DU145およびLnCaPがSCIDマウスに注入される。腫瘍が樹立された後、マウスは試験リガンドを投与される。腫瘍体積測定が約5週間にわたって2回行われる。適切なコントロール化合物(例えば、非特異的抗体分子)を受容する動物と比較して、リガンドが投与された動物が腫瘍体積の減少を示した場合に、このアッセイにおいて活性であると見なされ得る。
転移の出現を減少する、または転移を阻害するリガンドの能力を評価するために、Kobayashiら、Int.J.Canc.,57:727−733d(1994)によって記載される手順が利用され得る。手短に述べると、マウス異種移植片は、C57B1/6マウスに静脈内に(実験的転移)または腹壁(自発的転移)に皮下的に注射された高度な肺コロニー形成潜在能力について選択される。試験される種々の濃度の化合物が、注射の前にMatrigel中で腫瘍細胞と混合され得る。試験化合物の日々の腹腔内注射が、腫瘍接種の1〜6日後または7〜13日後のいずれかで行われる。動物は、腫瘍接種の約3または4週間後に屠殺され、肺腫瘍コロニーが計数される。得られるデータの評価は、試験化合物の効力、最適用量、および投与の経路に関する決定を可能にする。
腫瘍体積および転移の減少に向けてのリガンドの活性は、Rabbaniら、Int.J.Cancer 63:840−845(1995)において記載されるモデルにおいて評価され得る。Xingら、Canc.Res., 57:3585−3593(1997)もまた参照のこと。ここでは、Mat LyLu腫瘍細胞がコペンハーゲンラットの脇腹に注射された。これらの動物は、種々の用量の試験化合物を、3週間まで、継続して投与するために、浸透ポンプが移植された。実験動物およびコントロール動物の腫瘍の質量および体積は、転移の増殖と同様に、実験の間に評価された。得られるデータの評価は、試験化合物の効力、最適用量、および投与の経路に関する決定を可能にする。これらの著者の何人かは、Xingら、Canc.Res.,57:3585−3593(1997)において関連するプロトコールを記載した。
新血管新生に向けたリガンドの阻害活性を評価するために、ウサギ角膜新血管新生モデルが利用され得る。例えば、Averyら、Arch.Ophthalmol.,108:1474−1475(1990)を参照のこと。このモデルにおいて、ニュージーランドアルビノウサギが麻酔される。中心角膜切開が行われ、放射状核膜ポケットを形成する。遅延放出プロスタグランジンペレットが、新血管新生を誘導するためにポケット中に配置される。試験リガンドが5日間腹腔内投与され、次いで動物が屠殺される。試験リガンドの効果が、角膜輪部の定期的に撮影された写真の再調査によって評価される。角膜輪部は、新生血管応答の領域、それゆえに縁部の新生血管新生を計算するために使用され得る。適切なコントロールと比較した場合の新生血管新生の領域の減少は、新生血管新生を減少または阻害する際に試験リガンドが有効であったことを示す。
血管新生を阻害する際に試験化合物の効果を評価するために使用される例示的な血管新生モデルは、Minら、Canc.Res.,56:2428−2433(1996)によって記載されている。このモデルにおいて、C57BL6マウスは、試験化合物ありおよびなしで、血管新生誘導剤として、bFGFを含むMatrigel混合物の皮下注射を受容する。5日後、動物を屠殺し、新血管新生が可視化され得るMatrigelプラグが写真撮影される。Matrigelおよび有効用量の試験リガンドを受容する実験動物は、コントロール動物またはより少ないかもしくは有効でない用量のリガンドを受容する実験動物よりも、より少ない血管新生を示す。
原発性腫瘍の伝播を制限するそれらの能力について化合物を試験するために設計されるインビボ系は、Crowleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.,90:5021−5025(1993)によって記載されている。ヌードマウスは、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)を発現するように操作された腫瘍細胞(PC3)を注射される。腫瘍サイズおよび/または転移を減少するそれらの能力について試験される化合物が動物に投与され、腫瘍サイズおよび/または転移性増殖の引き続く測定が行われる。さらに、種々の器官において検出されたCATのレベルは、転移を阻害する試験化合物の能力の指標を提供し;コントロール動物に対して、処置された動物の組織中でのより少ないCATの検出は、その組織に移動したより少ないCAT発現細胞を示す。
腫瘍細胞株F311を使用する、試験セリンプロテアーゼインヒビターの阻害ポテンシャルを評価するために設計されたインビボ実験様式は、Alonsoら、Breast Canc.Res.Treat.,40:209−223(1996)によって記載されている。このグループは、毒性の決定、腫瘍増殖、侵襲性、自発的転移、実験的肺転移、および血管新生アッセイについてのインビボ研究を記載している。
最初にOssowski(J.Cell.Biol.,107:2437−2445(1988)によって記載されたCAMモデル(ニワトリ胚絨毛尿膜モデル)は、試験化合物のプロテアーゼ阻害活性を評価するための別の方法を提供する。CAMモデルにおいて、腫瘍細胞はCAMを含む絨毛尿膜を通して浸潤し、いくつかのセリンプロテアーゼインヒビターの存在下での腫瘍細胞は、膜を通しての腫瘍細胞の浸潤がより少ないか、または浸潤がないことを生じる。従って、CAMアッセイは、種々の濃度の試験化合物の存在下および非存在下でCAMおよび腫瘍細胞を用いて実行される。腫瘍細胞の侵襲性は、化合物の阻害活性の指標を提供するために、このような条件下で測定される。阻害活性を有する化合物は、より少ない腫瘍浸潤と相関する。
CAMモデルはまた、血管新生をアッセイするために使用され得る(新規な血管の形成に対する効果(Brooksら、Methods in Molecular Biology,129:257−269(1999))。このモデルに従うと、血管新生インデューサー(例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFDG)など)を含むフィルターディスクがCAMの上に配置される。CAMへのサイトカインの拡散が局所的血管新生を誘導し、これは、いくつかの方法において、例えば、フィルターディスクのすぐ下のCAM中の血管分岐点の数を計数することによって測定されてもよい。サイトカイン誘導された血管新生を阻害する、同定された化合物の能力は、このモデルを使用して試験され得る。試験化合物は、血管新生インデューサーを含むフィルターディスクに加えられるか、膜に直接的に配置されるか、または全身的に投与されるかのいずれかであり得る。試験化合物の存在下および/または非存在下での新規な血管新生の程度が、このモデルを使用して比較され得る。試験化合物の存在下でのより少ない新規な血管の形成は、抗血管新生活性の指標である。
内皮細胞増殖。候補ET2結合リガンドは、生物学的アッセイ(例えば、ウシ毛細血管内皮細胞増殖アッセイ、ニワトリCAMアッセイ、マウス核膜アッセイ、および移植された腫瘍上のリガンドの効果を評価することなど)を使用して、内皮増殖阻害活性について試験され得る。ニワトリCAMアッセイは、例えば、O’Reillyら「Angiogenic Regulation of Metastatic Growth」Cell,第79巻(2),1994年10月21日,315−328頁によって記載されている。手短に述べると、インタクトな卵黄を有する3日齢ニワトリ胚が卵から単離され、ペトリ皿に配置される。3日間のインキュベーション後、試験されるタンパク質を含むメチルセルロースディスクが、個々の肺のCAMに適用される。48時間のインキュベーション後、内皮増殖が阻害されたか否かを決定するために、胚およびCAMが観察される。マウス核膜アッセイは、疑いのある内皮増殖インヒビターを含む別のペレットとともに、増殖因子含有ペレットをマウスの核膜に移植する工程、および核膜において構成される毛細血管のパターンを観察する工程を包含する。
血管新生。血管新生は、例えば、種々のヒト内皮細胞系、例えば、臍静脈、冠状動脈、または真皮細胞などを使用してアッセイされてもよい。適切なアッセイには、増殖を測定するためのAlamar Blueアッセイ(Biosource Internationalより利用可能);蛍光分子を使用する移動アッセイ、例えば、血管新生エンハンサーおよびサプレッサーの存在下または非存在下で膜を通しての細胞の移動を測定するためのBecton Dickinson Falcon HTS FluoroBlock細胞培養挿入物の使用など;およびMatrigel(商標)(Becton Dickinson)上での内皮細胞による管状構造の形成に基づく管形成アッセイが含まれる。
細胞接着。細胞接着アッセイは、候補ET2結合リガンドの存在下または非存在下で、精製接着タンパク質への細胞の接着、または互いへの細胞の接着を測定する。細胞−タンパク質アッセイは、精製タンパク質への細胞の接着を調節する薬剤の能力を測定する。例えば、組換えタンパク質が産生され、PBS中で2.5g/mLに希釈され、そしてマイクロタイタープレートのウェルをコートするために使用される。ネガティブコントロールのために使用されるウェルはコートされない。次いで、コートされたウェルは洗浄され、1%BSAでブロックされ、そして再度洗浄される。化合物は、最終的な試験濃度の2倍まで希釈され、そしてブロックされ、コートされたウェルに加えられる。次いで、細胞がウェルに加えられ、未結合の細胞が洗い流される。保持された細胞は、膜透過性の蛍光色素(例えば、カルセイン−AM)を加えることによってプレート上で直接的に標識され、そしてシグナルが蛍光マイクロプレートリーダー中で定量される。
細胞−細胞接着アッセイは、互いへの細胞の結合を調節する、候補ET2結合リガンドの能力を測定するために使用され得る。これらのアッセイは、選択の接着タンパク質を天然にまたは組換え的に発現する細胞を使用し得る。例示的なアッセイにおいて、細胞接着タンパク質を発現する細胞は、他の細胞(より多くの同じ細胞型、またはその細胞が接着する別の型の細胞)と一緒にマルチウェルプレートのウェル中にプレートされる。接着し得る細胞は、膜透過性の蛍光色素(例えば、BCECF)で標識され、候補リガンドの存在下で単層に接着することが可能にされる。未結合細胞は洗い流され、結合した細胞は、蛍光プレートリーダーを使用して検出される。高スループット細胞接着アッセイもまた記載されている。例えば、Falsey J Rら、BioconjugChers.2001年5月−6月;12(3):346−53を参照のこと。
細管形成。細管形成アッセイは、培養細胞、一般的には内皮細胞の、細胞外マトリックスの環境を一般的にシミュレートする、マトリックス基材上の細管構造を形成する能力をモニターするために使用され得る。例示的な基材には、Matrigel(商標)(Becton Dickinson)、ラミニンを含む基底膜タンパク質の抽出物、IV型コラーゲン、および4℃では液体であり、37℃では固体ゲルを形成するヘパリン硫酸プロテオグリカンが含まれる。他の適切なマトリックスには、コラーゲン、フィブロネクチン、および/またはフィブリンなどの細胞外成分が含まれる。細胞は、プロ血管新生刺激剤を用いて刺激され、細管を形成するそれらの能力は画像処理によって検出される。細管は、一般的には、刺激との一晩のインキュベーション後に検出され得るが、より長いかまたはより短い時間フレームもまた、使用されてもよい。細管形成アッセイは、当該分野において周知である(例えば、Jones M Kら、1999, Nature Medicine 5:1418−1423)。これらのアッセイは、伝統的に、血清を用いる、または増殖因子FGFもしくはVEGFを用いる刺激を含んでいる。1つの実施形態において、このアッセイは、1種以上のプロ血管新生剤、例えば、炎症性血管新生因子(例えば、TNF−α、FGF、VEGF、ホルボールミリストレート酢酸塩(PMA)、TNF−アルファ、エフリンなど)の存在下で実行される。
細胞移動。内皮細胞移動についての例示的なアッセイは、ヒト微小血管内皮(HMVEC)移動アッセイである。例えば、Tolsmaら、(1993)J.Cell Biol 122,497−511を参照のこと。移動アッセイは当該分野において公知である(例えば、Paik J Hら、2001,J Biol Chem 276:11830−11837)。1つの例において、培養された内皮細胞は、代表的な細胞サイズよりも一般的に小さなポアサイズを有する、マトリックスコートされた多孔性薄膜に播種される。この薄膜は、典型的には、トランスウェルポリカーボネートメンブレン(Corning Costar Corporation,Cambridge,Mass.)などのメンブレンであり一般的には、プロ血管新生性刺激を含むより低いチャンバーと接触している液体中にあるより高いチャンバーの一部である。移動は、一般的には、刺激との一晩のインキュベーション後にアッセイされ得るが、より長いかまたはより短い時間フレームもまた、使用されてもよい。移動は、薄膜を横切った細胞の数として評価され、そしてヘモトキシリン溶液(VWR Scientific.)で細胞を染色することによって、または細胞数を決定するためのいずれかの他の方法によって検出されてもよい。別の例示的な設定において、細胞は蛍光標識され、移動は、蛍光の読み取りを使用して、例えば、Falcon HTS FluoroBlok (Becton Dickinson)を使用して検出される。刺激の非存在下である程度の移動が観察されるのに対して、移動は、プロ血管新生因子に応答して、非常に増大する。このアッセイは、内皮細胞移動に対するET2結合リガンドの効果を試験するために使用され得る。
出芽アッセイ。例示的な出芽アッセイは、コラーゲンゲルベースのマトリックス中に包埋された内皮細胞の、細胞数で規定された球状体凝集を使用する、三次元インビトロ血管新生アッセイである。この球状体は、細胞外マトリックスへの侵入によって、毛細管様構造の出芽のため(「細胞出芽」と呼ばれる)、およびネットワークを吻合する複合体の引き続く形成の開始点として働き得る(KorffおよびAugustin,1999,J Cell Sci 112:3249−58)。1つの例示的な実験設定において、球状体は、400個の臍静脈内皮細胞(HUMVEC)を、非接着性96ウェルプレートの個々のウェルにピペッティングし、一晩の球状体凝集を可能にすることによって調製する(KorffおよびAugustin,J Cell Biol 143:1341−52,1998)。球状体は収集され、900μlのメトセル−コラーゲン溶液中に播種され、そして24ウェルプレートの個々のウェルにピペッティングされ、コラーゲンゲル重合を可能にする。試験薬剤は、ゲルの上端に試験物質の10倍ワーキング希釈100μlをピペッティングすることによって、30分後に加えられる。プレートは37℃で24時間インキュベートされる。ディッシュは、パラホルムアルデヒドの添加により、実験のインキュベーション時間の終わりに固定される。内皮細胞の出芽強度は、自動画像分析システムによって定量され得、球状体あたりの累積的な出芽の長さを決定する。
ある実施形態において、ET2結合リガンドは、本明細書に記載されるアッセイ、例えば、本明細書に記載される細胞アッセイにおいて統計学液に有意な効果を有する。
(薬学的組成物)
別の態様において、本発明は、ET2リガンド、例えば、ET2に結合するとして同定されたか、または本明細書に記載される、抗体分子、他のポリペプチド、またはペプチドを含み、薬学的に受容されるキャリアとともに製剤化される組成物(例えば、薬学的組成物)を提供する。本明細書において使用される場合、「薬学的組成物」とは、インビボ加増処理のための標識されたリガンド、ならびに治療用組成物を含む。
本明細書において使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」には、任意のおよびすべての、溶媒、分散媒体、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれ、これらは生理学的に適合可能である。好ましくは、このキャリアは、静脈内、筋肉内、皮下、非経口的、脊髄、または表皮の投与(例えば、注射または注入によって)のために適切である。投与の経路に依存して、活性化合物、すなわち、タンパク質リガンドは、酸の作用、およびその化合物を不活性化するかもしれない他の天然の条件からその化合物を保護するための物質中でコートされてもよい。
「薬学的に受容可能な塩」とは、親の化合物の所望の生物学的活性を保持しいかなる望ましくない毒性効果をも付与しない塩をいう(例えば、Berge,S.M.ら(1977)J.Pharm.Sci.66:1−19を参照のこと)。このような塩の例には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。酸付加塩には、非毒性無機酸由来のもの、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸など、ならびに非毒性有機酸由来のもの、例えば、脂肪族モノ−およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などが含まれる。塩基付加塩には、アルカリ土類金属由来のもの、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、ならびに非毒性有機アミン由来のもの、例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカミン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどが含まれる。
本発明の組成物は種々の形態であってもよい。これらには、例えば、液体、半固体、および固体投薬型、例えば、液体溶液(例えば、注射可能溶液および注入可能溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸薬、散剤、リポソーム、および坐剤が含まれる。好ましい形態は、意図される投与の様式および治療的適用に依存する。代表的な好ましい組成物は、注射可能または注入可能な溶液の形態であり、例えば、抗体を用いるヒト投与のために使用されるものと類似の組成物である。投与の好ましい様式は非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。1つの実施形態において、ET2リガンドは、静脈内注入または静脈内注射によって投与される。別の好ましい実施形態において、ET2リガンドは、筋肉内注射または皮下注射によって投与される。
語句「非経口投与」および「非経口的に投与される」は、本明細書において使用される場合、経腸投与および局所的投与以外の投与の様式を意味し、通常は注射により非限定的に、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、および胸骨内の注射および注入を含む。
薬学的組成物は、典型的には、製造および保存の条件下で無菌および安定でなくてはならない。薬学的組成物はまた、それが投与のための規制および業界規準に合致することを保証するために試験され得る。例えば、調製物のエンドトキシンレベルは、Limulusアメーバ様細胞溶解物アッセイを使用して(BioWhittakerロット#7L3790、感度0.125EU/mL)、USP 24/NF 19方法に従って試験され得る。薬学的組成物の無菌性は、USP 24/NF 19方法に従ってチオグリコレート媒体を使用して決定され得る。例えば、調製物は、チオグリコレート媒体を摂取するために使用され、14日間以上、35℃でインキュベートされる。この媒体は、微生物の増殖を検出するために定期的に検査される。
この組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高い薬物濃度のために適切である他の次元の構造として製剤化され得る。滅菌注射溶液は、必要に応じて、上記に列挙された成分の1つまたは組み合わせを有する適切な溶媒中で必要とされる量の活性化合物(すなわち、リガンド)を組み込むことによって、続いて濾過滅菌によって調製され得る。一般的に、分散剤は、塩基性分散媒体および上記に列挙されたものからの必要とされる他の成分を含む滅菌菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合において、好ましい調製の方法は、活性成分の粉末および前に濾過滅菌したその溶液からの任意のさらなる所望の成分を生じる、真空乾燥および凍結乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散剤の場合においては必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。注射用組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンをその組成物中に含めることによってもたらされ得る。
本発明の抗ET2リガンドは、当該分野で公知の種々の方法によって投与され得るが、多くの適用のためには、投与の好ましい経路/様式は、静脈内注射または静脈内注入である。例えば、治療的適用のためには、ET2リガンドは、約1〜100mg/m2または7〜25mg/m2の用量に到達するために、30、20、10、5、または1mg/分未満の速度で静脈内注入によって投与され得る。投与の経路および/または様式は、所望の結果に依存して変化する。特定の実施形態において、活性化合物は、急速な放出に対して化合物を保護するキャリア(例えば、移植物を含む制御放出処方物など)、およびマイクロカプセル化送達系を用いて調製されてもよい。生物分解可能な、生体適合性ポリマーが使用され得、これは例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸である。このような製剤の調製のための多くの方法が特許になり、一般的に知られている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson編、Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照のこと。
特定の実施形態において、リガンドは、例えば、不活性希釈剤または吸収可能な可食性キャリアとともに経口投与されてもよい。化合物(および所望される場合、他の成分)もまた、ハードシェルまたはソフトシェルのゼラチンカプセル中に封入され、錠剤に圧縮され、または被験体の食餌に直接組み込まれてもよい。経口治療剤投与のために、化合物は賦形剤とともに組み込まれてもよく、そして消化可能な錠剤、バッカル錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェファースなどの形態で使用されてもよい。非経口的投与以外によって本発明の化合物を投与するために、その不活性化を妨害するための物質で化合物をコートする、またはその物質とともに化合物を同時投与することが必要であるかもしれない。
薬学的組成物は、当該分野で公知の医学用デバイスを用いて投与され得る。例えば、1つの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、米国特許第5,399,163号、同第5,383,851号、同第5,312,335号、同第5,064,413号、同第4,941,880号、同第4,790,824号、または同第4,596,556号において開示されるデバイスなどの、針のない皮下注射デバイスを用いて投与され得る。本発明において有用である周知の移植物およびモジュールの例には以下が含まれる:米国特許第4,487,603号、これは、制御された速度で医薬を分配するための移植可能な微小注入ポンプを開示する;米国特許第4,486,194号、これは、皮膚を通して医薬を投与するための治療用デバイスを開示する;米国特許第4,447,224号、これは、連続的薬物送達のための変動流移植可能注入装置を開示する;米国特許第4,439,196号、これは、マルチチャンバー区画を有する浸透圧薬物送達システムを開示する;および米国特許第4,475,196号、これは、浸透圧薬物送達システムを開示する。当然、多くの他のこのような移植物、送達システム、およびモジュールもまた公知である。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、インビボでの適切な分布を保証するように製剤化され得る。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高度に親水性の化合物を排除する。本発明の治療用化合物がBBBを通過することを保証するために(所望される場合)、これらは、例えば、リポソーム中で製剤化され得る。リポソームを製造する方法については、例えば、米国特許第4,522,811号;同第5,374,548号;同第5,399,331号を参照のこと。リポソームは、特異的な細胞または器官、に選択的に輸送される1つ以上の部分を含んでもよく、従って、標的化された薬物送達を増強してもよい(V.V.Ranade(1989)J.Clin.Pharmacol.29:685)。
投薬レジメンは、最適な所望される応答(例えば、治療的応答)を提供するように調整される。例えば、単回のボーラスが投与されてもよく、数回に分けた用量が時間をかけて投与されてもよく、または用量は治療状況の緊急性によって示されるように比例的に減少または増加されてもよい。投与の容易さおよび投薬量の均一性のために投薬単位形態で非経口組成物を製剤化することがとりわけ有利である。投薬単位形態は、本明細書において使用される場合、処置される被験体のための単位用量として適切な物理的に別々の単位をいい;各単位は、必要とされる薬学的キャリアと共同して、所望の治療効果を産生するように計算された活性化合物の所定の量を含む。本発明の投薬単位形態のための詳細は、(a)活性化合物の独特な特徴および達成される特定の治療的効果、ならびに(b)個体における感受性の処理のためにこのような活性化合物を化合物作製する技術分野における固有の制限によって決定され、ならびにこれらに直接的に依存する。
本発明の抗体の、治療的または予防的に有効な量のための例示的な、非限定的な範囲は、0.1〜20mg/kg、より好ましくは1〜10mg/kgである。抗ET2抗体は、約1〜100mg/m2または約5〜30mg/m2の用量に到達するために、30、20、10、5、または1mg/分未満の速度の静脈内注入によって投与され得る。抗体よりも分子量が小さいリガンドについては、適切な量は比例的に少なくあり得る。投薬量の値は、緩和される状態の型および重篤度に伴って変化するかもしれないことが注目されるべきである。任意の特定の被験体については、特定の投薬レジメンが、個体の必要性および組成物を投与する人または組成物の投与を監督する人の専門的判断に従って、時間をかけて調製されるべきであること、ならびに本明細書に記載される投薬量範囲は例示のみであって、特許請求される組成物の範囲および実施を制限することを意図するものではないことがさらに理解されるべきである。
本発明の薬学的組成物は、本発明のET2リガンドの「治療有効量」または「予防有効量」を含んでもよい。「治療有効量」とは、所望の治療的結果を達成するために、必要な投薬量および時間の間で、有効である量をいう。組成物の治療有効量は、疾患の状態、年齢、性別、および個体の体重、ならびに個体において所望の応答を誘発するタンパク質リガンドの能力などの要因に従って変動する可能性がある。治療有効量はまた、組成物のいかなる毒性または有害な効果も、治療的に有益な効果の方が上回るものである。「治療有効投薬量」は、好ましくは、測定可能なパラメーターを阻害し、例えば、未処置の被験体と比較して、少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、なおより好ましくは少なくとも約60%、およびさらにより好ましくは少なくとも約80%、腫瘍増殖を阻害する。測定可能なパラメーター(例えば、癌)を阻害する化合物の能力は、ヒト腫瘍における効力を予測する動物モデル系において評価され得る。代替的には、組成物のこの特性は、熟練した実施者に公知のアッセイによってインビトロでこのような阻害を阻害する化合物の能力を試験することによって評価され得る。
「予防有効量」とは、所望の予防的効果を達成するために、必要な投薬量および時間の間で、有効である量をいう。典型的には、予防用量は、疾患の初期段階の前またはその段階にある被験体において使用されるので、予防有効量は治療有効量よりも少ない。
ET2に結合するタンパク質リガンド、および使用、例えば、治療的、予防的、または診断的な使用のための指示書を含むキットもまた、本発明の範囲内にある。1つの実施形態において、診断的適用のための指示書は、インビトロで、例えば、サンプル、例えば、癌または新生物障害を有する患者からの生検または細胞において、あるいはインビボで、ET2を検出するためのET2リガンド(例えば、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または他のポリペプチドもしくはペプチド)の使用を含む。別の実施形態において、治療的適用のための指示書は、癌または新生物障害を有する患者における、示唆される投薬量および/または投与の様式を含む。このキットはさらに、1つ以上の別個の薬学的調製物中に、適切に製剤化された、少なくとも1種のさらなる試薬、例えば、診断剤もしくは治療剤(例えば、本明細書に記載される診断剤もしくは治療剤)、および/または1種以上のさらなるET2リガンドを含み得る。
(安定化および保持)
1つの実施形態において、ET2リガンドは、その安定性および/または循環中(例えば、血液、血清、リンパ、もしくは他の組織中)での保持を、少なくとも1.5、2、5、10、または50倍改善する部分と物理的に結合される。
例えば、ET2リガンドは、ポリマー、例えば、ポリアルキレンオキサイドまたはポリエチレンオキサイドなどの実質的に非抗原性ポリマーと結合され得る。適切なポリマーは、実質的に重量によって変動する。約200〜約35,000(または約1,000〜約15,000、および2,000〜約12,500)の範囲の数平均分子量を有するポリマーが使用され得る。
例えば、ET2リガンドは、水溶性ポリマー、例えば、親水性ポリビニルポリマー、例えば、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンに結合体化され得る。このようなポリマーの非限定的なリストは、ポリアルキレンオキサイドホモポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、そのコポリマーおよびそのブロックコポリマー(ブロックコポリマーの水溶性が維持されるという条件で)を含む。さらなる有用なポリマーには、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンなどのポリオキシアルキレン、ならびにポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのブロックコポリマー(Pluronics);ポリメタクリレート;カルボマー;分枝または分枝でないポリサッカリド、これはサッカリドモノマーD−マンノース、D−およびL−ガラクトース、フコース、フルクトース、D−キシロース、L−アラビノース、D−グルクロン酸、シアル酸、D−ガラクツロン酸、D−マンヌロン酸(例えば、ポリマンヌロン酸またはアルギン酸)、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、D−グルコース、およびノイラミン酸が含まれ、ホモポリサッカリドおよびヘテロポリサッカリド、例えば、ラクトース、アミロペクチン、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、アミロース、硫酸デキストラン、デキストラン、デキストリン、グリコーゲン、または酸ムコポリサッカリドのポリサッカリドサブユニット、例えば、ヒアルロン酸;糖アルコールのポリマー、例えば、ポリソルビトールおよびポリマンニトール;ヘパリンまたはヘパロンが含まれる。
他の化合物、例えば、サイトトキシン、標識、または別の標的化薬剤、例えば、別のET2リガンドまたは関連のないリガンドもまた、同じポリマーに結合される。モノ活性化されたアルコキシ末端を有するポリアルキレンオキサイド(PAO)、例えば、モノメトキシ末端を有するポリエチレングリコール(mPEG);C1−4アルキル末端を有するポリマー;およびビス活性化ポリエチレンオキサイド(グリコール)は、架橋のために使用され得る。例えば、米国特許第5,951,974号を参照のこと。
1つの実施形態において、リガンドへの架橋の前のポリマーは、水溶性である必要はないが、好ましくは水溶性である。一般的に、架橋後、生成物は水溶性であり、例えば、少なくとも約0.01mg/ml、およびより好ましくは、少なくとも約0.1mg/ml、およびなおより好ましくは少なくとも約1mg/mlの水溶性を示す。さらに、このポリマーは、結合体型で高度に免疫原性であるべきではなく、また、これは、結合体が静脈内経路によって投与されることが意図されるならば、静脈内注入または静脈内注射と適合可能でない粘性を有するべきではない。
1つの実施形態において、ポリマーは、反応性である単一の基のみを含む。このことは、互いに対してのリガンド分子の架橋を回避するように補助する。しかし、リガンド分子間の架橋を減少するように反応条件を最大化すること、または実質的に均質な誘導体を回収するために、ゲル濾過またはイオン交換クロマトグラフィーを通して反応生成物を精製することは、本発明の範囲内にある。他の実施形態において、ポリマーは、ポリマーバックボーンに複数のリガンドを連結することの目的のために、2つ以上の反応基を含む。再度、実質的に均質な型の所望の誘導体を回収するために、ゲル濾過またはイオン交換クロマトグラフィーが使用され得る。
ポリマーの分子量は、約500,000Dまでの範囲であり得、および好ましくは少なくとも約20,000D、または少なくとも約30,000D、または少なくとも約40,000Dである。選択された分子量は、達成される結合体の有効サイズ、ポリマーの性質(例えば、直鎖状または分枝状などの構造)、および誘導体化の程度に依存し得る。
共有結合は、ポリマーにET2リガンドを結合するために使用され得、例えば、リガンドのN末端アミノ基、およびリガンドのリジン残基上のεアミノ基、ならびに他のアミノ基、イミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、または他の親水性基に架橋する。ポリマーは、多官能性(通常、二官能性)架橋剤の使用を伴うことなく、ET2リガンドに直接的に共有結合されてもよい。アミノ基への共有結合は、塩化シアヌル、カルボニルジイミダゾール、アルデヒド反応基(PEGアルコキシドおよびブロモアセトアルデヒドのジエチルアセタール;PEGおよびDMSOおよび無水酢酸、またはPEGクロライドおよび4−ヒドロキシベンズアルデヒドのフェノキシド、活性化スクシミジルエステル、活性化ジチオカルボネートPEG、2,4,5−トリクロロフェニルクロロホルメートまたはP−ニトロフェニルクロロホルメート活性化PEG)に基づく既知の化学物質によって達成される。カルボキシル基は、カルボジイミドを使用してPEG−アミンをカップリングすることによって誘導体化され得る。スルフヒドリル基は、マレイミド置換PEGにカップリングすることによって誘導体化され得る(例えば、アルコキシ−PEGアミンおよびスルホスクシニミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート)WO 97/10847またはShearwater Polymers,Inc.,Huntsville,Ala.から市販されているPEG−マレイミド)。代替的には、リガンド上の遊離のアミノ基(例えば、リジン残基上のεアミノ基)が、2−イミノ−チオレン(Traut試薬)を用いてチオール化され得、次いで、例えば、Pedleyら、Br.J.Cancer,70:1126−1130(1994)において記載されるように、PEGのマレイミド含有誘導体にカップリングされ得る。
ET2リガンドに結合され得る、官能基化されたPEGポリマーは、例えば、Shearwater Polymers,Inc.(Huntsville,Ala.)から入手可能である。このような市販のPEG誘導体には例えば以下が含まれる:アミノ−PEG、PEGアミノ酸エステル、PEG−ヒドラジド、PEG−チオール、PEG−スクシネート、カルボキシメチル化PEG、PEG−プロピオン酸、PEGアミノ酸、PEGスクシニミジルスクシネート、PEGスクシニミジルプロピオネート、カルボキシメチル化PEGのスクシニミジルエステル、PEGのスクシニミジルカ−ボネート、アミノ酸PEGのスクシニミジルエステル、PEG−オキシカルボニルイミダゾール、PEG−ニトロフェニルカ−ボネート、PEGトレシレート、PEG−グリシジルエーテル、PEG−アルデヒド、PEGビニルスルホン、PEG−マレイミド、PEG−オルトピリジル−ジスルフィド、ヘテロ官能性PEG、PEGビニル誘導体、PEGシラン、およびPEGホスホリド。これらのPEG誘導体をカップリングするための反応条件は、ET2リガンド、PEG化の所望される程度、および利用されるPEG誘導体に依存して変動する可能性がある。PEG誘導体の選択に関連するいくつかの因子には以下が含まれる:結合の所望される点(例えば、リジンまたはシステインのR基)、誘導体の加水分解安定性および反応性、安定性、連結の毒性および抗原性、分析のための適合性など。任意の特定の誘導体の使用のための詳細な指示書は、製造業者から利用可能である。
ET2リガンドおよびポリマーの結合体は、例えば、ゲル濾過またはイオン交換クロマトグラフィー、例えば、HPLCによって、未反応の出発物質から単離され得る。異種の結合体は、同じ様式で互いから精製される。異なる種の分解能(例えば、1つまたは2つのPEG残基を含む)もまた、未反応のアミノ酸のイオン特性の違いに起因して可能である。例えば、WO 96/34015を参照のこと。
(キット)
本明細書に記載されるET2リガンドは、キットにおいて、例えば、キットの成分として提供され得る。例えば、このキットは、(a)ET2リガンド、例えば、ET2リガンドを含む組成物、および必要に応じて(b)情報用資料を含む。この情報用資料は、本明細書に記載される方法および/または本明細書に記載される方法のためのET2リガンドの使用に関する、説明的、指示的、営業的、または他の資料であり得る。
このキットの情報用資料は、その形態が制限されない。1つの実施形態において、この情報用資料は、化合物の製造、化合物の分子量、濃度、使用期限の日付、バッチまたは製造場所の情報などに関する情報を含み得る。1つの実施形態において、この情報用資料は、本明細書に記載される障害(例えば、血管新生または内皮細胞関連障害)を処置、予防、または診断するためにリガンドを使用することに関する。
1つの実施形態において、情報用資料は、本明細書に記載される方法を実行するために適切な様式で、例えば、適切な用量、投薬形態、または投与の様式(例えば、本明細書に記載される用量、投薬形態、または投与の様式)で、ET2リガンドを投与するための指示書を含み得る。別の実施形態において、この情報用資料は、適切な被験体、例えば、ヒト、例えば、血管新生の増加(例えば、癌または転移性癌)を有する、またはそのリスクがあるヒトにET2リガンドを投与するための指示書を含み得る。例えば、この資料は、癌患者、炎症性障害を有する患者、または過度の内皮細胞活性を有する患者にET2リガンドを投与するための指示書を含み得る。
このキットの情報用資料は、その形態が制限されない。多くの場合において、情報用資料、例えば、指示書は、印刷物、例えば、印刷された文章、図面、および/または写真で、例えば、ラベルまたは印刷シートで提供される。しかし、情報用資料はまた、他の形式、例えば、コンピュータ読み取り可能な資料、ビデオ録画、または音声録音で提供され得る。別の実施形態において、このキットの情報用資料は、連絡先、例えば、実際の住所、Eメールアドレス、ウェブサイト、または電話番号であり、ここでこのキットのユーザは、本明細書に記載のET2リガンドおよび/または方法におけるその使用に関する実質的な情報を入手し得る。当然、この情報用資料はまた、任意の形式の組み合わせで提供され得る。
ET2リガンドに加えて、このキットの組成物は、他の構成成分、例えば、溶媒または緩衝液、安定剤、保存剤、香料(例えば、苦いアンタゴニストおよび甘味料)、芳香剤もしく他の化粧品成分、および/または本明細書に記載される状態または障害(例えば、癌または炎症)を処置するための第2の薬剤を含み得る。代替的には、他の構成成分はキットに含まれ得るが、ET2リガンドとは異なる組成物または容器に含まれ得る。このような実施形態において、このキットは、ET2リガンドおよび他の構成成分を混合するため、または他の構成成分と一緒にET2リガンドを使用するための指示書を含み得る。
ET2リガンドは、任意の型、例えば、液体、乾燥型、または凍結乾燥型で提供され得る。ET2リガンドは、実質的に純粋であり、および/または滅菌されていることが好ましい。ET2リガンドが液体溶液で提供される場合、この液体溶液は、好ましくは、水溶液であり、滅菌水溶液が好ましい。ET2リガンドが乾燥型で提供される場合、再構築は、一般的には、適切な溶媒の付加によってである。この溶媒、例えば、滅菌水または緩衝液は、必要に応じてキット中で提供され得る。
このキットは、ET2リガンドを含む組成物のための1つ以上の容器を含み得る。ある実施形態において、このキットは、組成物および情報用資料のための、別個の容器、仕切り、または区画を含む。例えば、この組成物は、ボトル、バイアル、またはシリンジ中に含まれ得、そして情報用資料は、プラスチックスリーブまたはパケット中に含まれ得る。他の実施形態において、キットの別々の要素は、単一の、分割されていない容器内に含まれる。例えば、組成物はボトル、バイアル、またはシリンジ中に含まれ、これは、そこにラベルの形で付けられた情報用資料を有する。ある実施形態において、このキットは、複数の(例えば、パックの)個別の容器を含み、各々がET2リガンドの1つ以上の単位投薬形態(例えば、本明細書に記載される投薬形態)を含む。例えば、このキットは、複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケット、またはブリスターパックを含み、各々がET2リガンドの単回の単位用量を含む。キットの容器は、気密性、防水性(例えば、湿度または蒸発の変化に対して透過性でない)、および/または遮光性であり得る。
このキットは、必要に応じて、組成物の投与のために適切なデバイス、例えば、シリンジ、吸入デバイス、ピペット、ピンセット、計量スプーン、滴下デバイス(例えば、点眼デバイス)、綿棒(例えば、綿棒または木製綿棒)、または任意のこのような送達デバイスを含む。好ましい実施形態において、このデバイスは、計量した用量のリガンドを分配する移植可能なデバイスである。
(処置)
ET2リガンドに結合し本明細書に記載の方法によって同定され、および/または本明細書に詳述されるタンパク質リガンドは、治療的および予防的な有用性を有する。例えば、これらのリガンドは、種々の障害(例えば、望ましくない血管新生によって特徴付けられる疾患(例えば、癌)など)を処置、予防、および/または診断するために、培養中の細胞に(例えば、インビトロもしくはエキソビボで)、または被験体中の細胞に(例えば、インビボ)で投与され得る。
本明細書において使用される場合、用語「処置(処理)する」または「処置(処理)」は、障害、障害の徴候、または障害に向けた素因を治療し、治癒し、緩和し、軽減し、変化させ、修復し、寛解し、改善し、または影響を与える目的で、単独、または第2の薬剤と組み合わせた、被験体(例えば、患者)への抗ET2抗体の適用または投与として、あるいは、障害(例えば、本明細書に記載されるような障害)、障害の徴候、または障害に向けた素因を有する被験体(例えば、患者)から単離された組織または細胞(例えば、細胞株)の薬剤の適用または投与として定義される。細胞を処理するとは、インビトロおよびインビボでの、細胞の阻害、除去、もしくは死滅、またはそれ以外の場合は、異常な細胞)が障害、例えば、本明細書に記載されるような障害(例えば、癌性の障害)を媒介する能力を減少させることをいう。1つの実施形態において、「細胞を処理する」とは、細胞(例えば、過剰増殖性細胞)の活性および/または増殖の減少をいう。このような減少は、細胞の全体的な除去を必ずしも意味しないが、細胞の活性または増殖速度の減少(例えば、統計学的に有意な減少)を意味する。
本明細書において使用される場合、障害を治療するために有効なET2リガンドの量、または「治療有効量」とは、細胞、例えば、癌細胞(例えば、ET2発現癌細胞)を治療するときに、またはこのような治療の非存在下で予測されるものよりも、本明細書に記載されるような障害を有する被験体の寿命を延長し、被験体の状態を治癒し、緩和し、回復し、もしくは改善するときに、被験体への単回または複数回の用量の投与の際に有効であるリガンドの量をいう。本明細書において使用される場合、新生物の「増殖を阻害する」とは、その増殖および転移を遅延、中断、静止、または停止することをいい、新生物増殖の全体的な除去を必ずしも示すものではない。
本明細書において使用される場合、障害を予防するために有効なET2リガンドの量、またはリガンドの「予防有効量」とは、障害(例えば、癌)の発症または再発の発生を予防または遅延するときの、被験体における単回または複数回の用量投与の際に有効である、ET2リガンド(例えば、本明細書に記載される抗ET2抗体)の量をいう。
用語「誘導する」、「阻害する」、「増強する」、「上昇させる」、「増加させる」、「減少させる」などは、例えば、これらが2つの状態の間の定量的な違いを示し、2つの状態の間の違い、例えば、統計学的に有意な違いをいう。例えば、「ET2発現過剰増殖性細胞の増殖を阻害するために有効な量」は、細胞の増殖の速度が、未処理の細胞とは異なる、(例えば、統計学的に有意に異なる)ことを意味する。
本明細書において使用される場合、用語「被験体」は、ヒトおよび非ヒト動物を含むことを意図する。好ましいヒト動物は、異常な細胞増殖または細胞分化によって特徴付けられる障害を有するヒト患者を含む。用語本発明の「非ヒト動物」は、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト哺乳動物(例えば、ニワトリ、両生類、爬虫類)および哺乳動物、例えば、非ヒト類人猿、ヒツジ、イヌ、ウシ、ブタなどを含む。
1つの実施形態において、被験体はヒト被験体である。代替的には、被験体は、本発明の抗体が交差反応するET2様抗原を発現する哺乳動物であり得る。本発明のタンパク質リガンドは、治療目的のためにヒト被験体に投与され得る(以下でさらに議論される)。さらに、ET2リガンドは、獣医学的目的のため、またはヒト疾患の動物モデルとして、このリガンドが結合するET2様抗原を発現する非ヒト哺乳動物に投与され得る。、後者に関して、このような動物モデルは、リガンドの治療的効力(例えば、投薬量の試験および投与の経時変化)を評価するために有用であるかもしれない。
1つの実施形態において、本発明は、細胞(例えば、非癌性細胞、例えば、正常、良性、もしくは過形成細胞、または癌性細胞、例えば、悪性相棒、例えば、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、または転移性病巣において見出される細胞(例えば、腎臓、尿路上皮、結腸、直腸、肺、乳房、または肝臓の癌および/または転移において見出される細胞))を治療する(例えば、細胞を除去する、細胞を死滅する、細胞の増殖または細胞分裂を減少する)方法を提供する。本発明の方法は、細胞を治療する(例えば、細胞の増殖または分裂を阻害する、または細胞を除去する、または細胞を死滅する)ために十分な量で、ET2リガンド(例えば、本明細書に記載される抗ET2抗体)と細胞を接触させる工程を包含する。
対象の方法は、培養中の細胞に対して、例えば、インビトロまたはエキソビボで使用され得る。例えば、癌性細胞または転移性細胞(例えば、腎臓、尿路上皮、結腸、直腸、肺、乳房、卵巣、前立腺、または肝臓の癌性細胞または転移性細胞)が、インビトロで培養培地中で培養され得、そして接触工程は、培養培地にET2リガンドを加えることによってもたらされ得る。この方法は、インビトロ(例えば、治療的または予防的)プロトコールの一部として、被験体中に存在する細胞(例えば、癌性細胞または転移性細胞)に対して実行され得る。インビボの実施形態のために、接触工程は、被験体中でもたらされ細胞へのリガンドの結合および治療(例えば、増殖もしくは分裂の阻害、または細胞の死滅もしくは除去)の両方を可能にするために有効な条件下で、被験体にET2リガンドを投与する工程を包含する。
ET2のインヒビターは、血管新生(例えば、制御されないかまたは望ましくない血管新生)−例えば、血管新生異常および心臓血管障害と関連する血管新生(例えば、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、および動静脈奇形)、慢性炎症性疾患(例えば、糖尿病、炎症性腸疾患、乾癬、および関節リウマチ)、異常な創傷修復(例えば、エキシマレーザー眼手術後に観察されるもの)、循環障害(例えば、Raynaud現象)、クレスト症候群(例えば、石灰沈着症、食道運動障害)、皮膚科学的障害(例えば、ポートワイン母斑、動脈潰瘍、全身性脈管炎)、または眼の障害(例えば、新生血管疾患によって引き起こされる失明、新生血管緑内障、角膜新血管新生、トラコーマ、糖尿病性網膜症、および近視性変性)などを減少し得る。例えば、CarmelietおよびJain,Nature,407:249−257,2000を参照のこと。
この方法は、癌を治療するために使用され得る、本明細書において使用される場合、用語「癌」、「過剰増殖性」、「悪性」、および「新生物」は交換可能に使用され、急速な増殖または新生物によって特徴付けられる異常な状態または症状にある細胞をいう。これらの用語は、侵襲性の組織病理学的な型または段階とは無関係な、すべての型の癌性増殖または発癌プロセス、転位組織または悪性に形質転換した細胞、組織、または器官を含む。「病理学的な過剰増殖」細胞は、悪性腫瘍増殖によって特徴付けられる疾患状態において起こる。
用語「新生物」の一般的な医学的意味は、正常な増殖制御に対する応答性の喪失として生じる「新規な細胞増殖」、例えば、新生物細胞増殖をいう。「過形成」とは、非常に高速の増殖を受ける細胞をいう。しかし、本明細書において使用される場合、用語新生物および過形成は、それらの状況が示す場合には、交換可能に使用され得、異常な細胞増殖速度を受ける細胞を一般的にいう。新生物および過形成は、「腫瘍」を含み、これは、良性、前悪性、または悪性である可能性がある。
癌性障害の例には、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、および転移病巣が含まれるがこれらに限定されない。固形腫瘍の例には、種々の器官系、例えば、肺、乳房、リンパ、胃腸(例えば、結腸)、および尿生殖路(例えば、腎臓細胞、尿路上皮細胞)、咽頭、前立腺、卵巣に影響を与えるものの悪性腫瘍、例えば、肉腫、腺癌、および癌腫、ならびに悪性腫瘍を含む腺癌、例えば、大部分の結腸癌、直腸癌、腎臓細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、小腸の癌などが含まれる。上述の癌の転移病巣はまた、本発明の方法および組成物を使用して治療および予防され得る。
対象の方法は、種々の器官系、例えば、肺、乳房、リンパ、胃腸(例えば、結腸)、および尿生殖路、前立腺、卵巣、咽頭、に影響を与えるものの悪性腫瘍、ならびに悪性腫瘍を含む腺癌、例えば、大部分の結腸癌、腎臓細胞癌、前立腺癌および/または精巣腫瘍、肺の非小細胞癌、小腸の癌、および食道の癌などを治療する際に有用であり得る。治療され得る例示的な固形腫瘍には以下が含まれる:線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜肉腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、睾丸癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、および網膜芽細胞腫。
用語「癌腫」は、当業者によって認識され、呼吸系癌腫、胃腸系癌腫、尿生殖器頚癌種、精巣癌腫、乳房癌腫、前立腺癌腫、内分泌系癌腫、および黒色腫を含む、上皮または内分泌組織の悪性腫瘍をいう。例示的な癌腫には、子宮頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、結腸、および卵巣の組織から掲載されるものが含まれる。この用語はまた癌肉腫を含み、例えば、これは、癌腫組織および肉腫組織から構成される悪性腫瘍を含む。「腺癌」とは、腺組織に由来する癌腫、またはそこで腫瘍組織が認識可能な腺状構造を形成する癌腫をいう。
用語「肉腫」は、当業者に認識され、間葉油対の悪性腫瘍をいう。
対象の方法はまた、造血起源の、例えば、脊髄、リンパ、または赤血球系統、またはその前駆細胞から生じる、過形成/新生物細胞の増殖を阻害するために使用され得る。例えば、本発明は、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性骨髄性白血病(CML)(Vaickus,L.(1991)Crit Rev.in Oncol./Hemotol.11:267−97において概説されている)の治療を意図する。対照の方法によって治療され得るリンパの悪性腫瘍には、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(これはB系統ALLおよびT系統ALLを含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ヘアリー細胞白血病(HLL)およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)が含まれるがこれらに限定されない。本発明の治療方法によって意図される悪性リンパ腫のさらなる型は、非ホジキンリンパ腫およびそのバリアント、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T 細胞性リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球白血病(LGF)、およびホジキン病が含まれるがこれらに限定されない。
アゴニストであるET2リガンドが、血管新生を刺激するため、例えば、創傷治癒、熱傷、および血管新生の増加を必要とする他の障害を補助するために使用され得る。
ET2リガンドを投与する方法は、「薬学的組成物」において記載されている、使用される分子の適切な投薬量は、被験体の年齢および体重、ならびに使用される特定の薬物に依存する。これらのリガンドは、例えば、天然のまたは病理学的薬剤とET2との間の望ましくない相互作用を阻害、減少するための競合剤として使用され得る。
1つの実施形態において、ET2リガンドは、インビボで、癌性細胞ならびに正常細胞、良性の過形成細胞、および癌性細胞を死滅し、除去し、またはこれらの細胞の増殖を阻害するために使用される。これらのリガンドは、これらだけで使用され得るか、または薬剤、例えば、細胞傷害性薬物、放射性同位元素に結合体化され得る。この方法は:リガンド単独、または細胞傷害性薬物と結合したリガンドを、このような治療を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
用語「細胞傷害性薬剤」および「細胞増殖抑制剤」および「抗腫瘍剤」は、本明細書において交換可能に使用され、過剰増殖細胞、例えば、異常な癌細胞の成長もしくは増殖を阻害し(例えば、細胞増殖抑制剤)、またはこれらの細胞の死滅を誘導する特性を有する薬剤をいう。癌治療の実施形態において、用語「細胞傷害性薬剤」は、新生物(特に、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、または転移病巣)の発生または進行を阻害する薬剤を意味するために、「抗癌」または「抗腫瘍」を交換可能に使用される。
抗癌剤の非限定的な例には、例えば、微小管阻害剤、トポイソメラーゼインヒビター、代謝拮抗物質、分裂抑制剤、アルキル化剤、インターカレート剤、シグナル伝達経路を妨害可能な薬剤、アポトーシスを促進する薬剤、放射線、および他の腫瘍関連抗原に対する抗体(裸の抗体、イムノトキシン、および放射性結合体を含む)が含まれる。特定のクラスの抗癌剤の例は以下に詳細に提供される:抗チューブリン/抗微小管、例えば、パクリタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、タキソテレ;トポイソメラーゼI阻害剤、例えば、トポテカン、カンプトテシン、ドキソルビシン、エトポシド、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、テノポシド、アムサクリン、エピルビシン、メルバロン、ピロキサントロン塩酸塩;代謝拮抗物質、例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、シタラビン/Ara−C、トリメトトレキサート、ゲムシタビン、アクチビン、アラノシン、ピラゾフリン、N−ホスホルアセチル−L−アスパレート=PALA、ペントスタチン、5−アザシチジン、5−アザ2’−デオキシシチジン、ara−A、クラドリビン、5−フルオロウリジン、FUDR、チアゾフリン、N−[5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキアゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−セノイル]−L−グルタミン酸;アルキル化剤、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシンC、BCNU=カルムスチン、メルファラン、チオテパ、ブスルファン、クロラムブシル、プリカマイシン、デカルバジン、硫酸イフォスファミド、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、ウラシルマスタード、ピポブロマン、4−イポメアノール;他の作用のメカニズムを介して作用する薬剤、例えば、ジヒドロレンペロン、スピロムスチン、およびデシペプチド;生物学的応答モディファイアー、例えば、抗腫瘍応答を増強するために、インターフェロンなど;アポトーシス剤、アクチノマイシンDなど;および抗ホルモン、例えば、タモキシフェンなどの抗エストロゲン、または4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリドなどの抗アンドロゲン。
ET2リガンドは、通常の内皮細胞を認識する。これらのリガンドはまた、癌性細胞の近傍の細胞に結合し得る。これらのリガンドは、これらの細胞の増殖を阻害し得、および/またはこれらの細胞を死滅し得る。この様式において、リガンドは、栄養、増殖シグナルなどのために周囲の細胞に頼るかもしれない癌性細胞を間接的に攻撃するかもしれない。このように、ET2リガンド(例えば、細胞毒で修飾されている)は、癌性組織(癌性細胞それ自体を含む)中の細胞を選択的に標的とし得る。
これらのリガンドは、治療薬物、放射線を放射する化合物、植物、真菌、または細菌起源の生物学的タンパク質、およびこれらの混合物を含む種々の細胞傷害性薬物を送達するために使用されてもよい。細胞傷害性薬物は、例えば、本明細書に記載されるような短距離の高エネルギーα放射体を含む、短距離放射線放射体などの細胞内で作用する細胞傷害性薬物であり得る。
酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントは、ジフテリア毒素Aフラグメント、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α−サクリン、特定のAleurites fordiiタンパク質、特定のDianthinタンパク質、Phytolacca americanaタンパク質(PAP、PAPII、およびPAP−S)、Morodica charantiaインヒビター、クルシン、クロチン、Saponaria officinalisインヒビター、ゲロニン、ミトグリン、レストリクトシン、フェノマイシン、およびエノマイシンによって例示される。イムノトキシンの酵素的に活性なポリペプチドを調製するための手順は、W084/03508およびW085/03508に記載されている。抗体に結合体化され得る細胞傷害性部分の例には、アドリアマイシン、クロラムブシル、ダウノマイシン、メトトレキサート、ネオカルジノスタチン、および白金が含まれる。
ポリペプチド毒素の場合において、組換え核酸技術が、翻訳融合物として、リガンド(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)をコードする核酸を構築するために使用され得る。次いで、組換え核酸が、例えば、細胞中で発現され、コードされた融合ポリペプチドが単離される。
細胞傷害性薬剤とのタンパク質リガンド(例えば、抗体)の結合体化のための手順は以前に記載されている。クロラムブシルを抗体と結合体化するための手順は、Flechner(1973)European Journal of Cancer,9:741−745;Ghoseら(1972)British Medical Journal,3:495−499;およびSzekerkeら(1972)Neoplasma,19: 211−215によって記載されている。ダウノルビシンおよびアドリアマイシンを抗体に結合体化するための手順は、Hurwitz,E.ら(1975)Cancer Research,35:1175−1181およびArnonら(1982)Cancer Surveys,1:429−449によって記載されている。抗体−リシン結合体を調製するための手順は、米国特許第4,414,148号において、およびOsawa,T.,ら(1982)Cancer Surveys,1:373−388、およびそこに引用される参考文献によって記載されている。カップリング手順はまた、EP 86309516.2に記載されている。
正常細胞、良性の過形成細胞、または癌性細胞を死滅または除去するために、第1のタンパク質リガンドが、プロドラッグアクチベーターと密接に近接した場合にのみ活性化されるプロドラッグと結合体化される。プロドラッグアクチベーターは、第2のタンパク質リガンド、好ましくは、標的分子上の非競合部位に結合するものと結合体化される。2つのタンパク質リガンドが競合結合部位または非競合結合部位に結合するか否かは、首尾よい競合結合アッセイによって決定され得る。本発明の実施における使用のために適切な薬物−プロドラッグ対は、Blakeyら(1996)Cancer Research,56:3287−3292において記載されている。
代替的には、ET2リガンドは、高エネルギー放射線放射体、例えば、腫瘍部位に配置されたときに、いくつかの細胞直径の死滅を生じる、γ放射体である131Iなどの放射性同位元素にカップリングされ得る。例えば、S.E.Order,「Analysis,Results,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy」,Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy,R.W.Baldwinら(編),303−316頁(Academic Press 1985)を参照のこと。他の適切な放射性同位元素は、212Bi、213Bi、および211Atなどのα放射体、ならびに186Reおよび90Yなどのβ放射体が含まれる。さらに、Lu117もまた、画像化薬剤および細胞傷害性薬剤の療法として使用されてもよい。
131I、90Y、および177Luで標識された抗体を使用する放射免疫療法(RIT)は、強烈な臨床研究が行われている。これらの3種の核種の物理的特徴には顕著な違いが存在し、結果として、放射性核種の選択は、腫瘍に対して最大放射線量を送達するために非常に決定的である。より高いベータエネルギー粒子の90Yは、かさ高い腫瘍のために良好である可能性がある。比較的低エネルギーのベータ粒子の131Iは理想的であるが、放射性ヨード化分子のインビボ脱ハロゲン化が、内部移行抗体についての主要な欠点である。対照的に、177Luは、0.2〜0.3mmのみの範囲の低エネルギーベータ粒子を有し、90Yと比較して骨髄にはるかに低い放射線量を送達する。さらに、より長い物理的半減期(90Yと比較して)に起因して、腫瘍への存在時間がより長い。結果として、177Lu標識された薬剤のより高い活性(より多いmCi量)が、骨髄への比較的少ない放射線量を伴って、投与され得る。種々の癌の治療における177Lu標識抗体の使用を調べているいくつかの臨床研究が既存の(Mulligan Tら(1995) Clin Cancer Res.1:1447−1454;Meredith RFら(1996)J Nucl Med 37:1491−1496;Alvarez RDら(1997)Gynecologic Oncology 65:94−101)。
ET2リガンドは、天然の補体依存性細胞傷害性(CDC)または抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を介して、抗原発現細胞を除去するためにインビボで直接的に使用され得る。本発明のタンパク質リガンドは、IgG1、−2、もしくは−3からのFc部分、または補体を結合するIgMの対応する部分などの補体結合エフェクタードメインを含み得る。1つの実施形態において、標的細胞の集団は、本発明の結合剤および適切なエフェクター細胞でエキソビボ処理される。この処理は、補体および補体を含む血清の添加によって補充され得る。さらに、本発明のタンパク質リガンドでコートされた標的細胞の食作用は、補体タンパク質の結合によって改善され得る。別の実施形態において、補体結合エフェクタードメインを含むタンパク質リガンドでコートされた細胞は、補体によって溶解される。
予防のためにET2リガンドを使用する工程を含む、死滅または除去のための方法もまた、本発明に含まれる。例えば、これらの物質は、癌の発症または進行を妨害または遅延させるために使用され得る。
癌を治療するための本発明の治療方法の使用は、多数の利点を有する。タンパク質リガンドはET2を特異的に認識するので、他の組織は傷つけられず、高レベルの薬剤が、治療が必要とされる部位に直接的に送達される。本発明に従う治療は、臨床的パラメーターを用いて効果的にモニターされ得る。代替的には、これらのパラメーターは、このような治療がいつ利用されるべきであるかを示すために使用され得る。
本発明のET2リガンドは、癌を治療するための既存の様式(外科手術;放射線治療、および化学療法)の1つ以上と組み合わせて投与され得る。
(診断的使用)
ET2に結合し、および本明細書に記載の方法によって同定され、および/または本明細書に詳述されるタンパク質リガンドは、インビトロおよびインビボで、診断的、治療的、および予防的な有用性を有する。
1つの態様において、本発明は、インビトロで(例えば、組織、生検などの生物学的サンプル(例えば、癌性組織))またはインビボで(例えば、被験体中でのインビボ画像処理)ET2の存在を検出するための診断方法を提供する。
この方法は以下の工程を包含する:(i)サンプルをET2リガンドと接触させる工程;および(ii)ET2リガンドとサンプルとの間の複合体の形成を検出する工程。この方法はまた、参照サンプル(例えば、コントロールサンプル)をリガンドと接触させる工程、およびリガンドとサンプルとの間の複合体の形成の程度を、参照サンプルについてのそれに対して比較して、決定する工程。コントロールサンプルまたは被験体と比較した、サンプルまたは被験体における複合体の形成の変化(例えば、統計学的に有意な変化)が、サンプル中のET2の存在の指標であり得る。
別の方法は以下の工程を包含する:(i)被験体にET2リガンドを投与する工程;および(iii)ET2リガンドと被験体との間の複合体の形成を検出する工程。この検出する工程は、複合体の形成の位置または時間を決定することを含み得る。
ET2リガンドは、結合した抗体または未結合の抗体の検出を容易にするために、検出可能な物質で直接的または間接的に標識され得る。適切な検出可能な物質には、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、および放射活性物質が含まれる。
ET2リガンドとET2の間の複合体形成は、ET2に結合したリガンドまたは未結合リガンドのいずれかを測定または可視化することによって検出され得る。従来的な検出アッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または組織免疫組織化学)が使用され得る。ET2を標識化することに加えて、ET2の存在が、サンプル中で、検出可能な基質で標識した標準、および未標識のET2リガンドを利用する競合イムノアッセイによってアッセイされ得る。このアッセイの1つの例において、生物学的試料、標識された標準、およびET2結合剤は合わせられ、未標識リガンドに結合した標識された標準の量が決定される。サンプル中のET2の量は、ET2結合剤に結合した標識された標準の量に逆比例する。
フルオロフォアおよびクロモフォア標識されたタンパク質リガンドが調製され得る。抗体および他のタンパク質は約310nmまでの波長を有する光を吸収するので、蛍光部分は、約310nmより上の波長、および好ましくは400nmより上の波長で実質的な吸収を有するように選択されるべきである。種々の適切な蛍光体およびクロモフォアが、Stryer(1968)Science,162:526およびBrandら(1972)Annual Review of Biochemistry,41:843−868によって記載されている。タンパク質リガンドは、米国特許第3,940,475号、同第4,289,747号、および同第4,376,110号において開示されているものなどの従来的な手順によって、蛍光クロモフォアで標識され得る。上記の所望の特性の多くを有する蛍光体の1つの群はキサンテン色素であり、これはフルオレセインおよびローダミンを含む。別の群の蛍光化合物はナフチルアミンである。一旦フルオロフォアまたはクロモフォアで標識されると、タンパク質リガンドは、例えば、蛍光顕微鏡(例えば、共焦点顕微鏡または逆重畳積分顕微鏡)を使用して、サンプル中のET2の存在または局在を検出するために使用され得る。
(組織学的分析)。免疫組織化学が、本明細書に記載されるタンパク質リガンドを使用して実行され得る。例えば、抗体の場合においては、抗体は、標識を伴って合成され得(例えば、精製またはエピトープタグ)、または、例えば、標識もしくは標識結合基によって検出可能に標識され得る。例えば、キレート剤が抗体に結合され得る。次いで、抗体は、組織学的調製物、例えば、顕微鏡スライド上にある、組織の固定化切片に接触される。結合のためのインキュベーション後、この調製物は、未結合の抗体を除去するために洗浄される。次いで、この調製物は、抗体がこの調製物に結合したか否かを同定するために、例えば、顕微鏡を使用して分析される。
当然、抗体(または他のポリペプチドもしくはペプチド)は結合の時点で未標識であり得る。結合および洗浄の後、抗体は、それを検出可能にするために、標識される。
(タンパク質アレイ)。ET2リガンドはまた、タンパク質アレイ上に固定化され得る。このタンパク質アレイは、例えば、医学的サンプル(例えば、単離された細胞、血液、血清、生検など)をスクリーニングするための診断用ツールとして使用され得る。当然、タンパク質アレイは、例えば、ET2または他の標的分子に結合する他のリガンドを含み得る。
ポリペプチドを産生する方法は、例えば、De Wildtら(2000)Nat.Biotechnol.18:989−994;Luekingら(1999)Anal.Biochem.270:103−111;Ge(2000)Nucleic Acids Res.28,e3,I−VII;MacBeathおよびSchreiber(2000)Science 289:1760−1763;WO01/40803およびWO99/51773A1において記載されている。アレイのためのポリペプチドは、例えば、Genetic MicroSystemsまたはBioRoboticsからの、例えば、市販のロボット装置を使用して、高速でスポットされ得る。このアレイ基材は、例えば、ニトロセルロース、プラスチック、ガラス、例えば、表面修飾ガラスであり得る。このアレイはまた、多孔性マトリックス、例えば、アクリルアミド、アガロース、または別のポリマーに含まれ得る。
例えば、アレイは、例えば、De Wildt、前出によって記載されるような抗体のアレイであり得る。タンパク質リガンドを産生する細胞は、アレイ化形式でフィルター上で増殖され得る。ポリペプチド産生が誘導され、発現したポリペプチドは、細胞の位置でフィルターに固定化される。
タンパク質アレイは、多様な鎖ライブラリーからの各々の固定化ポリペプチドへの標的の結合の程度を決定するために、標識した標的と接触され得る。標的が未標識の場合、未標識標的の結合を検出するために、例えば、標識したプローブを使用するサンドイッチ法が使用され得る。
アレイの各アドレスにおける結合の程度に関する情報は、プロフィールとして、例えば、コンピュータデータベースに保存され得る。タンパク質アレイは、複製中で産生され得、そして結合プロフィールを、例えば、標的および非標的のプロフィールと比較するために使用され得る。従って、タンパク質アレイは、1つ以上の分子に関して所望の結合特性を有する多様な鎖ライブラリーの個々のメンバーを同定するために使用され得る。
(FACS(蛍光活性化細胞ソーティング))。ET2リガンドは、細胞、例えば、サンプル(例えば、親のサンプル)中の細胞を標識するために使用され得る。このリガンドはまた、蛍光化合物に結合される(または結合可能である)。次いで、これらの細胞は、蛍光活性化細胞ソーティングを使用して分別され得る(例えば、Becton Dickinson Immunocytometry Systems, San Jose CAから入手可能なソーターを使用する;米国特許第5,627,037号;同第5,030,002号;および同第5,137,809号もまた参照のこと)。細胞がソーターを通過するときに、レーザービームが蛍光化合物を励起し、そのときに検出器が通過する細胞を計数し、蛍光を検出することによって、蛍光化合物が細胞に結合しているか否かを決定する。各細胞に結合した標識の量が、定量および分析されて、サンプルを特徴付けし得る。
ソーターは、細胞を偏光させ、リガンドによって結合されていない細胞から、リガンドによって結合された細胞を単離し得る。単離された細胞は、培養および/または特徴付けされ得る。
(インビボ画像化)。なお別の実施形態において、本発明は、インビボでET2発現癌性組織の存在を検出するための方法を提供する。この方法は以下の工程を包含する:(i)被験体(例えば、癌または新生物障害を有する患者)に、検出可能なマーカーに結合体化された抗ET2抗体を投与する工程;(ii)ET2発現組織または細胞へのこの検出可能なマーカーを検出するための手段に、被験体を曝露する工程。例えば、被験体は、例えば、NMRまたは他の断層撮影手段によって画像化される。
本発明に従う診断的画像化のために有用である標識の例には、131I、111In、123I、99mTc、32P、125I、3H、14C、および188Rhなどの放射性標識、フルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識、核磁気共鳴活性標識、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャナによって検出可能なポジトロン放出アイソトープ、ルシフェリンなどの化学発光剤、およびペルオキシダーゼまたはホスファターゼなどの酵素的マーカーが含まれる。短距離検出器プローブによって検出可能なアイソトープなどの短距離放射線放射体もまた、利用され得る。タンパク質リガンドは、このような試薬を用いて、既知の技術を使用して標識され得る。例えば、WenselおよびMeares(1983)Radioimmunoimaging and Radioimmunotherapy,Elsevier,NewYork for techniques relating to the radiolabeling of antibodiesならびにD. Colcherら(1986)Meth.Enzymol.121:802−816を参照のこと。
放射性標識された本発明のリガンドはまた、インビトロ診断試験のために使用され得る。アイソトープ標識されたリガンドの比活性は、半減期、放射活性標識のアイソトープ純度、および標識がどのようにして抗体に組み込まれたかに依存する。
放射活性アイソトープ(例えば、14C、3H、35S、125I、32P、131I)を有するポリペプチドを標識するための手順は一般的に知られている。例えば、トリチウム標識手順は、米国特許第4,302,438号に記載されている。ヨウ素化、トリチウム標識、および35S標識手順は、例えば、マウスモノクローナル抗体について適合されるように、例えば、Goding,J.W.(Monoclonal antibodies:principles and practice:production and application of monoclonal antibodies in cell biology,biochemistsy,and immunology 第2版 London;Orlando:Academic Press,1986.124−126頁およびそこに引用される参考文献によって記載されている。ヨウ素化ポリペプチド(例えば、抗体など)についての他の手順は、HunterおよびGreenwood(1962)Nature 144:945,Davidら(1974)Biochemistry 13:1014−1021、ならびに米国特許第3,867,517号および同第4,376,110号によって記載されている。画像化において有用である放射性標識元素は、例えば、123I、131I、111In、および99mTcを含む。抗体をヨウ素化するための手順は、Greenwood,F.ら(1963)Biochem.J.89:114−123;Marchalonis,J.(1969)Biochem.J.113:299−305;およびMorrison,M.ら(1971)Ifnfnunochemistry 289−297によって記載されている。99mTc標識のための手順は、Rhodes,B.ら Burchiel,S.ら(編)Tumor Imaging:The Radioimmunochemical Detection of Cancer,New York:Masson 111−123(1982)およびそこに引用される参考文献によって記載されている。111In標識抗体のために適切な手順は、Hnatowich,D.J.ら(1983)J.Immun.Methods,65:147−157、Hnatowich,D.ら(1984)J Applied Radiation,35: 554−557、およびBuckley,R.G.ら(1984)F.E.B.S.166:202−204によって記載されている。
放射性標識リガンドの場合において、リガンドは患者に投与され、リガンドが反応する抗原を有する腫瘍に局在化され、そして例えば、ガンマカメラまたは放出断層撮影法を使用する放射核スキャニングなどの公知の技術を使用して、インビトロで検出されるかまたは「画像化」される。例えば、A.R.Bradwellら「Developments in Antibody Imaging」、Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy,R.W.Baldwinら(編),65−85頁(Academic Press 1985)を参照のこと。代替的には、ポジトロン放出軸横断断層撮影スキャナ、例えば、Brookhaven National Laboratoryに配置されているPet VIと呼ばれるものが使用され得、ここでは、放射性標識がポジトロンを放出する(例えば、11C、18F、15O、および13N)。
(MRI造影剤)。磁気共鳴映像法(MRI)は、生きている被験体の内部の特徴を可視化するためにNMRを使用し、予後診断、診断、治療、および外科手術のために有用である。MRIは、明白な利点のために放射活性トレーサー化合物なしで使用され得る。いくつかのMRI技術が、EP−A−0 502 814に要約されている。一般的には、異なる環境における水プロトンの緩和時間定数T1およびT2に関する差異が画像を生成するために使用される。しかし、これらの違いは、鋭敏な高解像度画像を提供するには不十分であり得る。
これらの緩和時間定数における差異は、造影剤によって増強され得る。このような造影剤の例には、多数の磁性体、常磁性体(これは主としてT1を変化させる)、および強磁性体または超磁性体(これは主としてT2応答を変化させる)が含まれる。キレート剤(例えば、キレート剤EDTA、DTPA、およびNTA)は、いくつかの常磁性物質(例えば、Fe+3、Mn+2、Gd+3)に結合するために(および毒性を減少するために)使用され得る。他の薬剤は、例えば、10μm未満〜約10mMの直径の粒子の形態であり得る。粒子は、強磁性、反強磁性、または超磁性特性を有し得る。粒子は、例えば、マグネタイト(Fe3O4)、γ−Fe2O3、フェライト、および他の遷移元素の磁性鉱物性化合物を含み得る。磁気粒子は、非磁気物質を有するかまたは有さない、1つ以上の磁気結晶を含んでもよい。非磁気物質は、合成または天然のポリマー(例えば、セファロース、デキストラン、デキストリン、デンプンなど)を含み得る。
ET2リガンドはまた、NMR活性19F原子または複数のこのような原子を含む表示基で標識され得、このような原子は、以下と同程度である:(i)実質的にすべての天然に豊富なフッ素原子は19Fアイソトープであり、従って、実質的にすべてのフッ素含有化合物はNMR活性である;(ii)多くの化学的に活性なポリフッ化化合物(例えば、トリフルオロ酢酸無水物)は比較的低いコストで市販されており、および(iii)多くのフッ化化合物はヒトにおける使用のために医学的に受容可能であることが見出されており、例えば、ペルフルオロポリエーテルは、ヘモグロビン置換物として酸素を運ぶために利用される。インキュベーションのためのこのような時間の許容後、癌性組織を位置決めおよび画像化するために、全身MRIが、Pykett(1982)Scientific American,246:78−88によって記載されたもののうちの1つなどの装置を使用して実行される。
ET2に結合するタンパク質リガンドおよび診断的使用のための指示書を含むキットもまた、本発明の範囲内にあり、この使用は、例えば、インビトロで、例えばサンプル(例えば、癌または新生物障害を有する患者からの生検または細胞)中で、あるいはインビボで、例えば、被験体を画像化することによって、ET2を検出するための使用である。このキットはさらに、少なくとも1種の試薬、例えば、標識またはさらなる診断剤を含み得る。インビボ使用のために、リガンドは、薬学的組成物として製剤化され得る。
以下の本発明は、さらなる限定とは見なされるべきではない以下の実施例によってさらに例証される。本願を通して引用される、すべての参考文献、係属中の特許出願、および公開された特許は、参照として明白に本明細書に援用される。