JP2007528422A - 自己免疫疾患に関与する自己抗原および非自己抗原の同定 - Google Patents

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Abstract

本発明は、自己免疫疾患である尋常性天疱瘡に関係する単離されたペプチドを提供する。尋常性天疱瘡に関係するペプチドは、該疾患の病因論および寛解に関係するヒト病原体に由来する自己エピトープである。個体の耐性化および/または免疫化のための医薬製剤、ならびにそれに関連する方法が提供される。方法は、ヒト自己免疫疾患に関係する他の自己エピトープおよび非自己エピトープを同定するために提供され、同様の医薬製剤およびかかるエピトープの使用方法がまた提供される。

Description

(関連出願に対する相互参照)
本出願は、「自己免疫疾患に関与する自己抗原および非自己抗原の同定」(IDENTIFICATION OF SELF AND NON-SELF ANTIGENS IMPLICATED IN AUTOIMMUNE DISEASES)と題された、2004年3月11日に出願された米国出願第10/799005号の出願日の利益を主張する。引用された出願の全教示は、本明細書中に参照によって援用される。
(発明の分野)
本発明は免疫学の分野に、特にヒト自己免疫反応に関与する自己抗原および非自己抗原の同定に関する。本発明は、かかる自己抗原を同定する方法に関し、尋常性天疱瘡に関するかかる抗原の例を提供する。本発明はまた、インビトロアッセイ、動物モデル、治療剤、およびワクチンのためのかかる抗原の使用に関する。
(発明の背景)
ヒト自己免疫疾患は、主要組織適合遺伝子複合体(「MHC」)クラスI遺伝子またはクラスII遺伝子の特定の対立遺伝子と顕著な遺伝的関連を有する。該分野は、強直性脊椎炎、慢性炎症性関節疾患に対するHLA-B27に関連した罹病性の重大な発見(Brewerton (ら, 1973; Schlosstein ら, 1973)により確立された。MHC関連罹病性は、少数挙げるだけであるが、インスリン依存性真性糖尿病(IDDM)、慢性関節リウマチ(RA)、尋常性天疱瘡(PV)、多発性硬化症(MS)、および重症筋無力症(MG)を含む、種々のヒト自己免疫疾患についてこれまで立証されてきた(Todd ら, 1987; Ahmed ら, 1990; Ahmed ら1991; Lanchbury および Panayi, 1991; Spielman および Nathenson, 1982; Protti ら, 1993)。
自己免疫疾患と最も一般的に関連するMHC遺伝子座は、50個を越える公知の対立遺伝子を有する高度の多型座であるHLA-DRB遺伝子座(DRB1としても公知)である。例えば、多数の疫学的研究が、慢性関節リウマチとDR4(DRB1*0401、DRB1*0404)対立遺伝子およびDR1(DRB1*0101)対立遺伝子との関連を立証し、DR4対立遺伝子はDR1と比べて高い危険性を与えている(LanchburyおよびPanayi, 1991)。危険性は、被験体がDRB1*0401および/またはDRB1*0404についてホモ接合であるか、またはヘテロ接合である場合、劇的に増大する。関節炎が構造的に類似している3つのDR対立遺伝子と関連しているという観察結果は、DRB1*0401、DRB1*0404およびDRB1*0101がDRβ67-71クラスターにおける重大な多形残基を共有するような「共有エピトープ」仮説の発展をもたらした(Gregersenら 1987; LanchburyおよびPanayi, 1991)。かかる残基(特にDRβ71)は、疾患関連分子に対するペプチドの結合の選択性を明らかにするうえで重大なようである。
尋常性天疱瘡(PV)は、表皮の細胞接着分子(デスモグレイン3)に対する高力価の自己抗体の産生がケラチノサイトの接着の喪失(棘細胞離開)およびひどい水疱形成をもたらす、皮膚の自己免疫疾患である(Amagaiら, 1991)。種々の人種集団において、該疾患は、DR4対立遺伝子(DRB1*0402)または希少なDQ1対立遺伝子(DQB1*05032)のいずれかと関連しており、ごく一部分のPV患者だけがいずれの罹病性遺伝子も有さない(Ahmedら, 1991; Ahmedら, 1990; Scharfら, 1988)。天疱瘡と関連しているDR4亜型は、RAと関連しているDR4亜型と、DRβ67〜71クラスターにおける3つの位置だけで異なる。PV関連分子は、重大な位置(DRβ71)に負電荷(Glu)を有し、隣接位置(DRβ70)もまた負に帯電している。PVと関連しているDR4亜型は、DRβ71に負電荷をもつ唯一のものであり、正電荷(Arg)はRA関連DR4分子におけるDRβ71に見出される。
そのため、自己免疫、ならびに種々の細菌性病原体およびウイルス性病原体に関係し得る自己ペプチドエピトープの間の配列相同性を同定する努力がなされてきた。かかる相同性の捜索は、配列(sequence)の同一性を有する配列構造(alignments)に焦点を当ててきた。かかる配列を用いて、自己免疫疾患を有するヒト患者からのおそらく病原性のT細胞系と交差反応し得る病原体からのエピトープを同定することにおいて、成功は報告されてこなかった(Oldstone, 1990)。糖尿病における自己抗原であることが疑われているコクサッキーウイルスタンパク質およびGAD65におけるエピトープの間で、最近、配列同一性が見出された。相互に、かかるペプチドは、他方のペプチドと交差反応する、マウス由来の多クローン性T細胞系を生じ得る(Tianら, 1994)。しかし、かかるペプチドが糖尿病のマウス(またはヒト)からのクローンを刺激し得るという証拠は提供されなかった。
該分野における最近の発展、特に対立遺伝子特異性ペプチド結合モチーフの同定は、該分野を変容させた(Maddenら, 1991; RotschkeおよびFalk, 1991)。かかる知識に基づき、自己免疫疾患に対するMHCに関連する罹病性の構造的基礎は、該分野における長年の問題を解決するために十分詳細な水準で再評価し得る。いくつかのMHCクラスI分子およびMHCクラスII分子に対するペプチドの結合のためのモチーフは、自然のままで処理されたペプチドの配列の分析により、および公知のエピトープの変異分析により明らかにされた。MHCクラスIに結合したペプチドは短く(一般に8〜10アミノ酸長)、2つの主要なMHCアンカー(anchor)残基を有することが見出され、MHCクラスIIに結合したペプチドは、より長く、大きさがより不均一であることが見出された(Maddenら, 1991; RotschkeおよびFalk, 1991; Jardetzkyら 1991, Chiczら 1993)。しかし、大きさの不均一性のために、配列アラインメントに基づき、MHCクラスIIの結合モチーフを明らかにすることはより困難であることが判明した。もっと最近になって、HLA-DR1の結晶構造は、ペプチドのN末端の近くに主要な疎水性アンカー残基があり、いくつかの他のペプチドの位置に第二のアンカー残基が見出されることを示した(Brownら, 1993)。しかし、この研究さえ、HLA-DRタンパク質の結合ポケット(pockets)の詳細な記載、構造上の必要条件の、かかるポケットの形成に関係する特定の残基、またはMHC結合のための抗原を提供し得なかった。
本開示において、HLA-DRの抗原結合ポケットの詳細な記載が提供される(Sternら, 1994)。この情報と、MHC結合およびTCR接触に必要とされる自己抗原および非自己抗原のアミノ酸を明らかにする機能上の情報(例えばWucherpfennigら 1994a,)とで、種々のHLA-DRアロタイプの結合モチーフが明らかにされ得、自己免疫疾患に関係する自己エピトープが同定され得、ヒト自己免疫反応を開始させ得る細菌性およびウイルス性エピトープを同定する方法が提供される。
(発明の概要)
本発明は、一つの側面において、ヒトのデスモグレイン3タンパク質に由来し、自己免疫疾患である尋常性天疱瘡(PV)において自己エピトープとして関与している、単離されたポリペプチドを提供する。かかるポリペプチドは、本質的に本明細書中に開示されるアミノ酸配列からなり、配列番号:1と称されている。かかるポリペプチドは、配列番号:1からなる。特に、本発明は、かかる配列、かかる配列のコアMHC結合残基、またはかかる配列の内部コアMHC結合残基からなる単離されたポリペプチドを提供する。
本発明の組成物は、薬学的に許容され得る担体、および配列番号:1のポリペプチドを含む。組成物はまた、ポリペプチドの薬学的に許容され得る塩を含み得る。好ましい薬学的に許容され得る塩は酢酸塩である。
本発明の組成物は、糖、または界面活性剤などの薬学的に許容され得る添加物をさらに含み得る(can further comprising)。許容され得る糖は、デキストロースおよびマンニトールなどの糖である。一つの態様において、組成物は約5%の糖を用いて製剤化される。組成物はさらにクエン酸ナトリウム二水和物およびクエン酸一水和物などの緩衝剤、ならびにマンニトールなどの充填剤(bulking agents)をさらに含み得る。さらなる態様において、ポリソルベート20(polysorbate 20)またはポリソルベート80(polysorbate 80)などの(such as can be)界面活性剤を約0.01%〜約5%の量で組成物に加え得る。本発明の一つの態様は、ポリペプチドの免疫原性組成物を含む。
一態様において、組成物は配列番号:1の凍結乾燥されたポリペプチドを含む。一態様において、凍結乾燥されたポリペプチドは、15分未満の復元時間を有し、より好ましくは復元時間は10分未満であり、より好ましくは復元時間は5分未満であり、より好ましくは復元時間は3分未満である。
一態様において、ペプチドの純度は90%よりも大きく、より好ましくは純度は93%よりも大きく、より好ましくは純度は95%よりも大きく、より好ましくは純度は96%よりも大きい。
一態様において、組成物は約5 EU/mL未満の細菌内毒素汚染物を有し、より好ましくは細菌内毒素汚染物は約3 EU/mL未満であり、より好ましくは細菌内毒素汚染物は約2 EU/mL未満であり、より好ましくは細菌内毒素汚染物は約1.25 EU/mL未満である。
より好ましくは本発明の組成物は、表3に示したような配合を有する。
別の一組の態様において、本発明は個体を自己抗原に対して耐性化することにおいて使用するための医薬製剤を提供する。製剤は薬学的に許容され得る担体、およびヒト自己免疫疾患と関連するHLA-DRタンパク質の配列モチーフに対応するアミノ酸配列を含む単離されたヒトポリペプチドを含有する。かかるポリペプチドはHLA-DRタンパク質に結合し、自己免疫疾患を有する被験体において自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成し得る。ペプチドは、ヒトコラーゲン、またはヒトミエリン塩基性タンパク質に由来しない。
特定の態様において、HLA-DRタンパク質がHLA-DR4タンパク質であり、自己免疫疾患が尋常性天疱瘡である、医薬製剤が提供される。また、特定の配列モチーフが尋常性天疱瘡のために提供され、このモチーフを有するペプチドを有する医薬が提供される。医薬の特定の態様は、尋常性天疱瘡に関する上に記載のポリペプチドの各々を含む。したがって、個体を尋常性天疱瘡の自己抗原に対して耐性化する方法がまた提供される。
本発明の別の局面において、医薬は自己免疫疾患の病因論に関係するヒト病原体に対するワクチン接種のために提供される。かかる医薬製剤は、薬学的に許容され得る担体、およびヒト病原体に対して免疫性を与えるのに効果的な免疫原性製剤を含む。ヒト病原体は、その天然型において、自己免疫疾患と関連するHLA-DRタンパク質の配列モチーフに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む病原体である。かかるポリペプチドはHLA-DRタンパク質に結合し、自己反応性になり、自己免疫疾患を開始させる、T細胞を活性化する複合体を形成し得る。本発明の製剤は、具体的にはかかるポリペプチドを含むのではなく、むしろ病原体からの他の抗原を含む。
特定の態様において、HLA-DRタンパク質がHLA-DR4タンパク質であり、自己免疫疾患が尋常性天疱瘡である医薬製剤が提供される。また、特定の配列モチーフが尋常性天疱瘡のために提供され、このモチーフを有するペプチドを欠いている医薬が提供される。医薬の特定の態様は、尋常性天疱瘡に関する上に記載のポリペプチドの各々を欠いている製剤を含む。したがって、尋常性天疱瘡を引き起こし得る病原体に対して個体を免疫化する方法がまた提供される。
本発明はまた、自己免疫反応を誘発する能力についてペプチドを評価する一般的な方法を提供する。かかる方法は自己免疫反応と関連するMHC HLA-DR分子を選択すること、HLA-DR分子の少なくとも2つの主要なMHC結合ポケットを選択すること、選択されたポケットの各々の中で結合するアミノ酸残基の組を同定すること、アミノ酸の組がその中でモチーフの対応する位置で許容されるアミノ酸を定める、HLA-DR分子の配列モチーフを明らかにすること(developing)、および次いでペプチドのアミノ酸配列と配列モチーフとを比較することを含む。モチーフに適合するペプチドは、自己免疫疾患を誘発するずっと大きな可能性を有する。また、該疾患に関係する公知のエピトープがある場合、方法はエピトープの少なくとも一つのTCR接触残基を選択すること、TCR接触物として役立ち得るアミノ酸残基の組を同定すること、および適切な位置でモチーフ中にこの組を含むことをさらに含み得る。好ましい態様では、モチーフは、少なくともP1 MHC結合ポケットならびにP4およびP6ポケットの少なくとも一つに対応する位置の残基に関する制限を含む。
本発明の別の態様において、ヒト自己免疫反応に関係する外来抗原を同定するために、方法が具体的に提供される。かかる方法は先に記載した方法と同じ工程を含むが、ヒト病原体の組に対して得られた配列モチーフの比較をさらに含む。好ましい態様において、標準的なヒト腸内細菌叢の一つ以上の種からのペプチド配列は考慮から除外される。別の好ましい態様において、疾患の発生と逆の相関関係がある病原体の一つ以上の種からの配列は除外される。最も好ましい態様において、ヒト病原体のペプチドは、検索基準としてモチーフを用いてコンピュータデータベースにて検索され、評価される。
本発明は、一つの局面において、ヒトデスモグレイン3(Dsg3)タンパク質に由来する単離されたペプチドおよびその使用を提供する。例えば、かかるペプチドは、本質的に配列番号1からなり、HLA-DR4タンパク質に結合し、尋常性天疱瘡を有する被験体において自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成する。
本発明のある方法は、HLA-DRタンパク質に結合し、自己免疫疾患を有する被験体において自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成する、薬学的に有効な量のDsg3ペプチドまたはペプチド模倣物を被験体に投与することを含む。ペプチド模倣物の投与は被験体の耐性化(tolerization)をもたらすか、またはワクチンとして用いられ得る。
さらなる局面において、本発明はHLA-DR分子に結合するDsg3ペプチドのコード配列を含む核酸を提供する。ある態様において、かかる核酸は用いられ、例えば融合タンパク質を含む、Dsg3ペプチドを生成させ得る。他の態様において、かかる核酸はインビボのDsg3ペプチドの生成を引き起こすように被験体に投与され得る。
ある局面において、Dsg3の治療用物質は、第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドを含む融合タンパク質を含み、ここで第一のポリペプチドはDsg3ペプチド/ペプチド模倣物から本質的になり、かつ第二のポリペプチドは担体タンパク質、産生物のタンパク質(production proteins)、または安定化タンパク質を含む。
ある態様において、本発明の化合物は、次のモチーフにより表される。
(発明の詳細な説明)
I.概略
A.MHCクラスII HLA-DR分子模倣モチーフ
HLA-DR結合部位は、抗原のアミノ酸側鎖と結合し得る5つの主要なポケットにより特徴づけられる(Sternら, 1994、その全開示内容は本明細書中に参照によって援用される)。図1参照。第一の主要なポケットにおいて結合する抗原のアミノ酸残基はP1と称される。次いで残りの残基は、それらのP1に相関する位置により番号がつけられ得る(カルボキシ末端の方へ増大する正の数、およびアミノ末端の方へ増大する負の数で)。
したがって、HLA-DR分子の第一の主要なポケットは、定義により、抗原の残基P1の側鎖を結合する。残りの主要なポケットは残基P4、P6、P7、およびP9を結合する。かかる残基は主要MHC接触残基と定義される。
残基P-1、P2、P3、P5、P8、およびP11のアミノ酸側鎖は、HLA-DR結合部位から離れる方に配向しており、したがってT細胞受容体(TCR)の接触残基として利用し得る。すべてのかかる残基はTCR接触残基と定義される。
B.MHC接触残基
HLA-DR分子の第一の主要なポケットは、強い疎水性である。そのポケットは、β鎖の約85、約86、約89、および約90の位置のひと続きの残基、α鎖の約31、約32、および約34の位置のひと続きの残基、ならびにα鎖の約7および約43の位置の残基の側鎖により形成される。例えば、HLA-DR1(DRA、DRB1*0101)において、第一のポケットは、残基β85(Val)、β86(Gly)、β89(Phe)、β90(Thr)、α31(Ile)、α32(Phe)、α34(Phe)、α7(Ile)、およびα43(Trp)により形成される。他のHLA-DR対立遺伝子の対応する残基は、当該技術分野において公知であり(例えば本明細書中に参照によって援用されるMarshおよびBodmer, 1992を参照)、遺伝子データベースにより入手できる。
P1ポケットを形成するほとんどの残基は高度に保存されたDRα鎖からのものであるが、このポケットの大きさおよび性質は、ポケットに関与するβ鎖残基の多型性により変化する。DRB1*0101 タンパク質については、ポケットは大きく、疎水性であり、任意の脂肪族残基または芳香族残基を収容し得る。しかし、β残基における多型性は、P1ポケットの結合能力を変え得る。例えば、β86残基は多型性であることが知られている。最も一般的には、この部位はGlyまたはValのいずれかにより占められる。一般に、Glyがβ86に存在する場合(DRB1*0101におけるように)、任意の脂肪族残基または芳香族残基がポケットの中で結合し得る。しかし、Valが存在する場合、ポケットはより小さく、TyrおよびTrpは収容され得ない。したがって、β86がGlyである場合、分子模倣モチーフのP1位置は、V、L、I、A、M、F、Y、Wから選択される残基からなり得、β86がValである場合、モチーフの位置P1はV、L、I、A、M、Fから選択される残基からなり得る。同様の考察がP1ポケットの他のβ残基にあてはまる。
HLA-DR分子のP4ポケットもまた、抗原結合部位から離れる方に配向した、比較的大きく、浅く、疎水性のポケットである。かかるポケットは、ポケットの側面および底部に沿った疎水性相互作用を維持し得る種々の大きな脂肪族側鎖を結合し得る。ポケットはβ鎖の約70、約71、約74、および約78の位置のひと続きの残基、ならびにβ鎖の約13の位置およびα鎖の約9の位置の残基からの側鎖により形成される。例えばHLA-DR1(DRA、DRB1*0101)において、P4ポケットは残基β70(Gln)、β71(Arg)、β74(Ala)、β78(Tyr)、βl3(Phe)、およびα9(Gln)によって形成される。他のHLA-DR対立遺伝子の対応する残基は、当該技術分野において公知であり(例えばMarshおよびBodmer, 1992を参照)、遺伝子データベースにより入手できる。
P1ポケットと同様に、P4ポケットは、大部分は疎水性であるが、その結合能力は、ポケットの中に含まれるβ残基での多型性により影響される。例えば、異なるDR対立遺伝子は、β71の位置にて異なって帯電した残基を有する。DRB1*0404において、β71は正に帯電したArg残基により占められているが、DRB1*0402において、β71は負に帯電したGlu残基である。したがって、このポケットは、種々の脂肪族側鎖または芳香族側鎖(例えばV、L、I、A、M、F、Y、W)を一般に結合し得るが、β71が正に帯電している場合、正に帯電したP4抗原残基は疎外され(disfavored)、同様にまたβ71が負に帯電している場合、負に帯電したP4残基は疎外される。同様の考察がP4ポケットの他のβ残基に対してあてはまる。二つの近接するポケットの各々の形成に関係する残基もあり得(例えばP4ポケットおよびP6ポケットにおけるβ13)、したがって特定のアミノ酸によるかかるポケットの一つの占有は、他方の占有に影響を及ぼし得ることに注意されたい。
HLA-DR分子のP6ポケットは、より小さな(例えばA、G)P6抗原残基に対する選好性を有する比較的浅いポケットである。該ポケットは、高度に保存されたα11、α62、α65、およびα66残基、ならびにHLA-DRタンパク質の高度に多型性のβ11およびβ13残基により形成される。例えば、HLA-DR1(DRA、DRB1*0101)において、P6ポケットは、残基α11(Glu)、α62(Asn)、α65(Val)、α66(Asp)、β11(Leu)、およびβ13(Phe)により形成される。他のHLA-DR対立遺伝子の対応する残基は当該技術分野において公知であり(例えばMarshおよびBodmer, 1992参照)、遺伝子データベースにより入手できる。
P6ポケットには2つのβ鎖残基だけがあるが、それらはDR対立遺伝子の間で大きく変化する。β13での大きなPhe残基のために(DRB1*0101におけるように)、P6残基は好ましくは小さな残基(例えばA、G)の一つである。しかし他のDR対立遺伝子においては、β13はより小さな残基、またはDRB1*0401のβ13(His)などのより極性の残基により占められている。かかる対立遺伝子については、P6モチーフはやや大きく、かつ極性の残基(例えばS、T、V)を含み得るが、最も大きく、かつ芳香族の残基をそれでもやはり避けるはずである。最後に、いくつかの対立遺伝子において、β11およびβ13は両方ともセリン残基であり(例えばDRB1*1101)、かかる場合にはより親水性の残基または水素結合残基がモチーフに含まれ得る。
HLA-DR分子のP7ポケットはまた、比較的浅いポケットである。該ポケットはβ鎖:β8、β47、β61、β67、およびβ71の5つの残基により形成される。例えば、HLA-DR1(DRA、DRB*0101)において、P7ポケットは残基β28(Glu)、β47(Tyr)、β61(Trp)、β67(Leu)、およびβ71(Arg)によって形成される。他のHLA-DR対立遺伝子の対応する残基は、当該技術分野において公知であり(例えばMarshおよびBodmer, 1992参照)、遺伝子データベースにより入手できる。このポケットは、HLA-DR1の特異性に大きく寄与しないようであるが、他の対立遺伝子において重要であり得る。
HLA-DR分子のP9ポケットは、一般に小さい、疎水性のポケットであり、そのため、該抗原のP9の位置において、小さな疎水性残基が好適である。このポケットは、保存されたα鎖残基α69、α72、α73、およびα76によって、ならびに多型性β鎖残基β9およびβ57によって形成される。例えば、HLA-DR1(DRA、DRB1*0101)において、P9ポケットはα69(Asn)、α72(Ile)、α73(Met)、α76(Arg)、β9(Trp)、およびβ57(Asp)により形成される。他のHLA-DR対立遺伝子の対応する残基は、当該技術分野において公知であり(例えばMarshおよびBodmer, 1992参照)、遺伝子データベースにより入手できる。
P6、P7、およびP9ポケットは、P1およびP4ポケットよりも、DR分子に対する結合において、重要ではないようであるが、他のイソタイプに対する結合において、より重要であり得る(例えばDQのP9ポケットは重要であり得る)。
C.TCR接触残基
自己免疫反応に関係する公知の抗原または推測される抗原がない場合、TCR接触残基に対応する配列モチーフの位置は非制限にされ得る。すなわち、公知の抗原または推測される抗原がなければ、モチーフのTCR接触位置は、好ましくはすべてのアミノ酸の間で変化し得る。
これに対して、自己免疫反応に関係する公知の抗原または推測される抗原がある場合、TCR接触残基に対応する少なくともいくつかのモチーフの位置が抗原の配列に応じて制限され得る。したがって、例えばモチーフのP2および/またはP3および/またはP5の位置は、抗原の対応する位置に見られる残基のみに制限され得る。あるいは、モチーフの少なくともいくつかのTCR接触残基は、抗原の対応する残基のみに制限され得るが、同様に帯電した残基、および/または構造的に同様の残基(例えばKおよびR)の間で変化し得る。しかし、モチーフのTCR接触残基に関するより大きな保守性は、MHC結合の公知の無差別性(promiscuity)に対して、TCR結合のおそらくより大きな特異性により正当化されることに注意するべきである。
D.HLA-DR配列モチーフを明らかにすること(Developing)
P1、P4、P6、P7、およびP9 MHC結合ポケットの形成に関係するHLA-DR残基の本開示が与えられ、ならびに任意の特定のHLA-DR対立遺伝子のヌクレオチドまたは対応するアミノ酸配列が与えられると、そのMHCタンパク質に結合するペプチドの能力の評価または予測において有用な配列モチーフを明らかにすることが今可能となる。特定の抗原がMHCタンパク質に結合することが知られている(かまたは推測される)場合、その抗原のTCR接触残基もまた、モチーフ内であるとみなされ得る(may also be considered in the motif)。
該方法は、モチーフの対応する位置でのペプチド残基の選択がそのために制限され得る、二つ以上のMHC結合ポケットの選択を最初に必要とする。5つの主要結合ポケットすべてを選択し、モチーフの対応する5つの位置がその中で制限されるモチーフを明らかにしてもよく、またはより少数を選択し、より制限の少ないモチーフを明らかにしてもよい。当業者に明らかであり得るように、より制限されたモチーフは、データベース検索においてより少数のペプチドを同定し、より制限の少ないモチーフは、多数のペプチドを同定するであろう。すべての場合において、少なくとも二つの主要な結合ポケットが選択されるべきである。5つすべてのMHC結合ポケットよりも少数のものが選択される場合、少なくとも一つがP1であり、第二のものがP4、P6、およびP9から選択されることが好ましい。
モチーフにより制限されるポケットが選択される前または後のどちらかに、それらのポケットの各々の中で結合し得るアミノ酸側鎖の組が決定されなければならず、したがってモチーフの対応する位置を定め得るアミノ酸残基の組が決定されなければならない。これはポケットを形成するアミノ酸残基を熟考することにより、当業者により成し遂げられ得る。上記A節において特定されたかかる残基は、ポケットの大きさおよび性質(すなわち疎水性、親水性、正電荷、負電荷、非帯電)、したがってポケットの中で結合し得る側鎖を決定し得る。参照がかかる考察の間に図1に対してなされ得るが、ポケットの変化に関する精通を発展させるにつれてますます不要になるであろう。
一般的なこととして、本明細書中に開示されるHLA-DRタンパク質のMHC結合ポケットを形成する残基の同定の観点から、当業者は、二つ以上の結合ポケットについてかかる残基が知られている任意のHLA-DRタンパク質の配列結合モチーフを容易に明らかにし得る。主要な考慮すべきことは、大きさ、疎水性、および電荷である。本開示内容に照らして、かかる考慮すべきことの各々は、周知の原理に従って扱われ得る(may be addressed)。DRB1*0101対立遺伝子に対する各ポケット、およびこのHLA-DRタンパク質に関連する各ポケットについて、基準線が本明細書中に開示されており、当業者は他のHLA-DR対立遺伝子に対するモチーフを明らかにすることが可能である。したがって、より大きな/より小さなポケットをもたらす置換は、対応するモチーフの位置が、より小さな/より大きな残基を許容するように制限されるはずであることを示唆する。同様に、より大きい/より小さい疎水性のポケットは、対応するモチーフの位置が、より大きい/より小さい疎水性の残基に制限されるはずであることを示唆する。最後に、正に/負に帯電したポケットは、対応するモチーフの位置で、正に/負に帯電した残基が排除されるはずであり、負に/正に帯電した残基が含まれ得ることを示唆する。上に示したように、本開示内容は、当業者がかかる確立した原理に基づき、モチーフを明らかにすることを可能にする。
例えば、限定によらないが、HLA-DRタンパク質のP1ポケットを考えられたい。DRB1*0101においてこのポケットを形成する残基は上に記載した。DRB1*0101については、P1ポケットは大きく、疎水性であり、任意の脂肪族残基または芳香族残基(例えばV、L、I、A、M、F、Y、W)を収容し得る。DRB1*1602タンパク質について同じことがあてはまる。これに対して、DRB1*1501タンパク質において、β86位置は、DRB1*0101およびDRB1*16O2において見られるGlyの代わりにValによって占められている。この置換は、このMHCタンパク質におけるP1ポケットの大きさを減少させ、結果としてポケットはTyrまたはTrp側鎖を容易に収容し得ない。したがって、DRB1*1501について、位置P1での配列モチーフは、V、L、I、A、M、およびFから選択される残基に制限され得る。
同様に、本開示内容に照らして、当業者はMHC結合ポケットの各々、または選択されたポケットのみを考察し、ポケットの形成に関係する残基が公知である、任意のHLA-DRタンパク質の配列モチーフを明らかにし得る。かかる残基はポケットの大きさおよび性質の双方を決定し得、それによりポケットの中に結合し得る残基の大きさおよび性質を決定し得る。ポケットが比較的小さい場合、最も大きいアミノ酸残基(例えばY、W)は、モチーフの対応する位置から排除され得、あるいはポケットが帯電している場合、同じ電荷のアミノ酸残基は排除され得る。
免疫反応に関係する自己エピトープまたは外来エピトープが公知であるか、または推測される場合、特にそのTCR接触残基が反応性T細胞クローンの使用により明らかにされ得る場合、エピトープのTCR接触残基もまた配列モチーフを明らかにすることにおいて熟考され得る。MHC接触残基の場合と同様に、すべてのTCR接触残基、またはいくつかのTCR接触残基だけが、モチーフにおいて制限され得る。そして、MHC位置の場合と同様に、より多くの位置の制限(または任意の一つの位置のより大きな制限)は、データベース検索において、より少ないペプチドの同定をもたらし得る。そのために少なくとも2つの位置がモチーフにおいて制限されるはずである、MHC接触残基とは異なり、モチーフにおけるTCR接触残基の任意の制限を省略することが許容され得る。
任意のTCR接触残基の位置が配列モチーフにおいて制限される場合、位置P2、P3、およびP5から選択される位置が選択されることが好ましい。MHC結合ポケットの相対的な無差別性と対照的に、TCR接触残基はより大きな特異性を有するようであるため、モチーフにおいて制限される任意のTCR接触残基の位置がかなり狭く制限されることが好ましい。すなわち、かかる位置が、公知の抗原の対応する位置に見出される残基だけに制限されるか、または構造および電荷において非常に類似している残基だけに制限されることが好ましい。
明らかであるが、制限のために選択されていないMHC位置およびTCR位置は、この開示の表記法において、Xにより表され得る。同様に、以下の実施例において示されるように、いくつかのモチーフはさまざまな程度に制限されたさまざまな数の位置に関して明らかにされ得る。
II.定義
解釈の明快さのために、および特許請求がされた発明の対象物をはっきりと、かつ明瞭に指し示すために、本明細書に添付された特許請求の範囲において用いられるいくつかの用語のために、以下の定義が与えられる。
本明細書中で用いられる場合、「活性化する」または「活性化」は、主題のDsg3ペプチドがHLA-DRタンパク質に結合して、自己免疫疾患を有する被験体において自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成することを示すものとする。
用語「アミノ酸残基」および「ペプチド残基」により意味されるのは、そのカルボキシル基の-OHがないアミノ酸分子またはペプチド分子である。一般に、アミノ酸および保護基を示すために本明細書中で用いられる略語は、生化学命名法に関するIUPAC-IUB委員会(IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature)(Biochemistry (1972) 11: 1726〜1732参照)の推薦に基づいている。例えば、Met、Ile、Leu、Ala、およびGlyは、それぞれメチオニン、イソロイシン、ロイシン、アラニン、およびグリシンの「残基」を表す。残基により意味されるのは、カルボキシル基のOH部分およびα-アミノ基のH部分を除去することにより、対応するα-アミノ酸から誘導される遊離基である。用語「アミノ酸側鎖」は、K.D. Kopple, 「Peptides and Amino Acids」, W.A. Benjamin Inc., New YorkおよびAmsterdam, 1996, 2および33ページにより定義されるように、-CH-(NH2)COOH部分を除くアミノ酸のその部分であり、一般的なアミノ酸のかかる側鎖の例は、-CH2CH2SCH3(メチオニンの側鎖)、-CH2(CH3)-CH2CH3(イソロイシンの側鎖)、-CH2CH(CH3)2(ロイシンの側鎖)、またはH-(グリシンの側鎖)である。
大部分は、本出願で使用されるアミノ酸は、タンパク質に見られる天然由来アミノ酸物か、またはアミノ基およびカルボキシル基を含有するかかるアミノ酸の天然由来の同化産物もしくは異化産物である。特に、好適なアミノ酸側鎖としては、以下のアミノ酸:グリシン、アラニン、バリン、システイン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン、ならびにペプチドグリカン細菌の細胞壁の成分として同定されるアミノ酸およびアミノ酸類似体から選択される側鎖が挙げられる。
用語アミノ酸残基は、本明細書中で言及される任意の特定アミノ酸の類似体、誘導体および同種、ならびにC−末端またはN−末端保護化アミノ酸誘導体(例えば、N−末端またはC−末端保護基で修飾される)をさらに含む。例えば本発明は、側鎖がより長いかまたはより短いが、なお環化のカルボキシル基、アミノ基または他の反応性前駆官能基(precursor functional group)を提供するアミノ酸類似体、および適切な官能基を持つ変異型側鎖を有するアミノ酸類似体の使用を意図する。
「アミノ酸モチーフ」は、特定の機能的活性に関連するアミノ酸の配列であり、任意に保存アミノ酸の一般的なセットである。
用語「結合」とは生理的条件の下、例えば共有結合、静電結合、疎水結合、イオン結合および/または水素結合の相互作用による、2分子間の直接的な結合を言い、塩橋および水橋等の相互作用を含む。
「細胞」、「宿主細胞」または「組み換え宿主細胞」は、本明細書中で互換的に使用される用語である。かかる用語は特定の主題の細胞をいうだけでなく、かかる細胞の子孫、または可能性のある子孫もいうことを理解されたい。ある修飾は、突然変異かまたは環境的影響のいずれかのために次の世代に起こり得るので、かかる子孫は実際親細胞と同一でないかもしれないが、本明細書中に使用されるように、用語の範囲内にまだ含まれている。主題のDsg3治療用物質と接触される細胞としては、培養中の細胞、器官あるいは組織等の組織化された集合部分である細胞)、または生体部分である細胞が挙げられる。
「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」とは、ポリペプチドをコードする第1のアミノ酸配列と、第1のアミノ酸配列のいかなるドメインに対して外来であり、実質的に相同性でないドメインを規定する第2のアミノ酸配列との融合である。キメラタンパク質は、第1のタンパク質も発現する生体中に見出される(異なるタンパク質中にも関わらず)異種ドメインを提示し得るか、または異なる種類の生体によって発現されるタンパク質構造の「種間」、「遺伝子間」等の融合であり得る。
用語「化合物」、「試験化合物」および「分子」は、本明細書中で互換的に使用され、限定されないが、ペプチド、核酸、炭水化物、小有機分子、天然物抽出ライブラリー、および任意の他の分子(限定されないが化学物質、金属および有機金属化合物を含む)が挙げられる。
語句「保存的アミノ酸置換」とは、ある共通の特性に基づいたアミノ酸の群をいう。個々のアミノ酸間の共通特性を規定する機能的方法は、相同性生体の対応するタンパク質間でのアミノ酸変化の標準化された頻度を分析することである(Schulz, G.E.およびR.H. Schirmer, Principles of Protein Structure, Springer-Verlag)。かかる分析にしたがってアミノ酸の群が規定され得、ここで群内のアミノ酸は選択的に相互交換があり、その結果全般的なタンパク質構造に対するそれらの影響において最もお互いが似ている(Schulz, G.E.およびR.H. Schirmer, Principles of Protein Structure, Springer-Verlag)。このようにして規定されるアミノ酸群の例としては:
(i) GluおよびAsp、Lys、ArgならびにHisからなる、帯電した群、
(ii) Lys、ArgおよびHisからなる、正に帯電した群、
(iii) GluおよびAspからなる、負に帯電した群、
(iv) Phe、TyrおよびTrpからなる芳香族群、
(v) HisおよびTrpからなる窒素環群、
(vi) Val、Leu、およびIleからなる、大きな脂肪族無極性群、
(vii) MetおよびCysからなるわずかに極性のある群、
(viii)Ser、Thr、Asp、Asn、Gly、Ala、Glu、GlnおよびProからなる小残基群、
(ix) Val、Leu、Ile、MetおよびCysからなる脂肪族群、ならびに
(x) SerおよびThrからなる小ヒドロキシル群
が挙げられる。
上に提示された群に加えて、各アミノ酸残基はそれ自体の群を形成し、個々のアミノ酸で形成される群は、当該分野で一般に使用されるアミノ酸に対する1文字および/または3文字の略語によって簡単に表され得る。
「保存残基」とは、類似したタンパク質の範囲にわたって相対的に一定なアミノ酸である。しばしば保存残基は、上の「保存的アミノ酸置換」で記載したように、類似したアミノ酸で置換されることによってのみ変化するであろう。
用語「本質的に含む」とは、1つ以上の指定されたアミノ酸配列を含むペプチドに関して使用される場合、20〜30のアミノ酸のみが指定されたアミノ酸配列(単数か複数)に加えられること、およびこれらのさらなるアミノ酸は、指定されたアミノ酸配列(単数か複数)の機能を本質的に改変しないことをさらに示す。ペプチド模倣物に関して使用される場合、用語「本質的に含む」とは、20〜30のアミノ酸模倣剤単位のみが指定された配列に加えられること、およびこれらの加えられた単位は、指定された配列の機能を本質的に改変しないことを示す。
主題の処置方法に関する、例えばDsg3ペプチドまたはペプチド模倣物の「有効量」とは、もたらされる所望の投薬養成法の一部として適用される場合、例えばHLA-DR4タンパク質に結合する調製物中の活性成分の量を言い、尋常天疱瘡を有する被験体の自己反応的T細胞を活性化する複合体を形成する。
「相同性」または「同一性」または「類似性」とは、2つのペプチド間もしくは2つの核酸分子間の配列類似性をいう。相同性および同一性はそれぞれ、比較目的のために整列され得る各配列の位置を比較することによって決定され得る。比較配列の等位置が、同一塩基またはアミノ酸によって占められる場合、分子はその位置で同一であり、等部位が同一または類似のアミノ酸残基(例えば立体的性質および/または電子的性質において類似した)によって占められる場合、分子はその位置で相同的(類似的)と呼ばれ得る。相同性/類似性または同一性の割合としての表現は、比較配列により共有される位置での同一的または類似的アミノ酸の数の関数をいう。「関連性のない」または「非相同性」である配列は、好ましくは25%未満の同一性であるが、本発明の配列と40%未満の同一性を共有する。2つの配列を比較して、残基(アミノ酸もしくは核酸)の非存在、または余分な残基の存在はまた、同一性および相同性/類似性を減少させる。
用語「相同性」とは、類似した機能もしくはモチーフを有する遺伝子またはタンパク質を同定するために使用される配列類似性の、数学に基づいた比較を示す。本発明の核酸およびタンパク質配列は、例えば他のファミリーメンバー、関連のある配列または相同体を同定するための公共データベースに対する検索を行うために、「クエリ(query)配列」として使用され得る。かかる検索は、Altschul,ら (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行され得る。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実行され得、本発明の核酸分子に対するヌクレオチド配列相同性を得る。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実行され得、本発明のタンパク質分子に対するアミノ酸配列相同性を得る。比較目的のためのギャップアラインメント(gapped alignment)を得るために、Altschulら, (1997) Nucleic. Acids Res. 25(17):3389-3402に記載されるようにGapped BLASTを利用し得る。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例えばXBLASTおよびBLAST)のデフォルトパラメータが使用され得る(www.ncbi.nlm.nih.govを参照)。
本明細書中で使用する場合、「同一性」とは、配列の一致を最大にするために配列を並べる、すなわちギャップおよび挿入を考慮する場合、2つ以上の配列の対応する位置にて同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の割合を意味する。同一性は公知の方法で容易に計算し得、限定されないが、(Computational Molecular Biology, Lesk, A. M.編, Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W.編, Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A. M.,およびGriffin, H. G.編, Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; ならびにSequence Analysis Primer, Gribskov, M.およびDevereux, J.編, M Stockton Press, New York, 1991; ならびにCarillo, H.,およびLipman, D., SIAM J. Applied Math., 48:1073(1988)に記載されるものが挙げられる。同一性を決定する方法は、試験される配列間に最大な一致を与えるように設計される。さらに、同一性を決定する方法は、公に入手可能なコンピュータプログラムで分類(codify)される。2つの配列間の同一性を決定するコンピュータプログラム方法は、限定されないが、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J.ら, Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul, S. F.ら, J. Molec. Biol. 215:403-410(1990) および Altschulら Nuc. Acids Res. 25:3389-3402(1997))を含む。BLAST Xプログラムは、NCBIおよび他の供給源(Blast Manual, Altschul, S.,ら, NCBI NLM NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul, S.,ら, J. Mol. Biol. 215: 403-410(1990))から公に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用され得る。
「単離された」(「実質的に純粋な」と互換的に使用される)とは、ポリペプチドに適用される場合、ポリペプチドまたはその一部分を意味し、その起源または操作(manipulation)によって、(i)発現ベクターの一部分の発現産物として宿主細胞中に存在するか;(ii)天然状態では結合しているもの以外の、タンパク質もしくは他の化学的部分と結合するか;または(iii)自然界では生じないものであり、例えば、少なくとも1つの疎水部分をタンパク質に付加もしくは添加することで化学的に取り扱われ、その結果自然界では見出せない形態であるタンパク質である。「単離された」によって、それはさらに(i)化学的に合成されるか、または(ii)宿主細胞中で発現し、かつ会合したタンパク質および夾雑(contaminating)タンパク質から精製されるタンパク質を意味する。該用語は一般にポリペプチドを意味し、他のタンパク質およびそれが天然に生じる核酸から分離されている。好ましくは、ポリペプチドはまた、それを精製するために使用される抗体またはゲルマトリクス(ポリアクリルアミド)等の物質から分離される。
主題の方法で処置される「患者」または「被験者」とは、ヒトかまたは非ヒト動物のいずれかを意味し得る。患者は、ヒト、霊長類(例えばチンパンジー、ゴリラ、サル)、家畜化動物(例えばイヌ、ウマ、ネコ、ブタ、ウシ)、げっ歯類(例えばマウスまたはラット)等の哺乳動物であり得る。
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中で互換的に使用される。これらの用語は非修飾アミノ酸鎖をいい、リン酸化、グリコシル化および脂質修飾等の小さな修飾も含む。用語「ペプチド」および「ペプチド模倣物」は相互排除的でなく、実質的な重複を含む。「Dsg3ペプチド」は、本質的に配列番号1のアミノ酸モチーフからなるペプチドである。
「ペプチド模倣物」としては、リン酸化、キャッピング(capping)、脂肪酸修飾等アミノ酸鎖の任意の修飾形態を含み、非天然主鎖および/または側鎖構造を含む。以下に記載するように、ペプチド模倣物はアミノ酸鎖と非ペプチド小分子との構造連続体からなる。ペプチド模倣物は一般に、認識可能なペプチド様ポリマー単位構造を維持する。「Dsg3ペプチド模倣物」は、Dsg3ペプチドを模倣するために設計されたペプチド模倣物であり、Dsg3ペプチドのある構造的要素を維持し、かつHLA-DR4タンパク質に結合する機能を維持することで、尋常天疱瘡を有する患者の自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成する。
語句「保護基」とは、本明細書で使用される場合、反応性官能基を望ましくない化学反応から保護する置換基を意味する。かかる保護基の例としては、カルボン酸およびホウ酸のエステル、アルコールのエーテルならびにアルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールが挙げられる。例えば、語句「N-末端保護基」または「アミノ保護基」とは、本明細書で使用される場合、合成手順の際の望ましくない反応に対し、アミノ酸またはペプチドのN-末端を保護するために使用され得る種々のアミノ保護基をいう。適切な基の例としては、例示するために、ホルミル、ダンシル、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、スクシニルおよびメトキシスクシニル等のアシル保護基;例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)等の芳香族ウレタン保護基;ならびにt-ブトキシカルボニル(Boc)または9-フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)等の脂肪族ウレタン保護基が挙げられる。
「薬学的に許容され得る担体」とは、投与された患者に生理的に許容され得、投与されるペプチドの治療的特性を維持する担体として本明細書中で規定される。薬学的に許容され得る担体およびその製剤は周知であり、一般に、例えばRemington’s pharmaceutical Sciences(第18版, A. Gennaro編, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990)に記載される。典型的な(on exemplary)薬学的に許容され得る担体は、生理食塩水である。本明細書中で使用される場合、語句「薬学的に許容され得る担体」とは、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤またはカプセル化材料等の薬学的に許容され得る物質、組成物またはビヒクルを意味し、身体の一器官もしくは一部分の投与部位から身体の別器官もしくは別部分へ主題のペプチドを運ぶことまたは輸送することに関係がある。各担体は、製剤の他の成分と適合性があるという意味では「許容され得る」でなければならず、患者に対して有害であってはならない。薬学的に許容され得る担体はまた、主題のペプチドの特異的活性を変えるべきではない。薬学的に許容され得る担体として機能を果たし得る物質のいくつかの例としては:(1)ラクトース、グルコースおよびショ糖等の糖;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン等のデンプン;(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース等のセルロースおよびその誘導体;(4)粉末化トラガカント;(5)モルト;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバターおよび坐剤ワックス(suppository wax)等の賦形剤;(9)落下生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油等の油;(10)プロピレングリコール等のグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール等のポリオール;(12)エチルオレアートおよびエチルラウレート等のエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質不含水;(17)等張性食塩水;(18)リンガー液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;ならびに(21)医薬製剤に使用される他の非毒性適合性物質、が挙げられる。本明細書で使用される場合、「小分子」とは組成物をいうことが意図され、約5kD未満の分子量、最も好ましくは約2.5 kD未満の分子量を有する。小分子は核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、炭水化物、脂質または他の有機(炭素含有)もしくは無機分子であり得る。多くの製薬会社は、本発明の任意のアッセイでスクリーニングし得る小分子、しばしば菌類、細菌類、もしくは藻類の抽出物の配列を含む化学的および/または生物的混合物の広範囲なライブラリーを有する。
文字「x」は、本明細書中のアミノ酸配列で使用される場合、任意の20個の基準アミノ酸がこの位置で配置され得ることを示すためのものである。ペプチド模倣物設計の目的のために、アミノ酸配列中の「x」は、標的配列に存在するアミノ酸の模倣物によって置き換えられるか、またはアミノ酸は、ペプチド模倣物の活性を干渉しない、実質的に任意の形態のスペーサーによって置き換えられ得る。
いくつかの局面において、本発明は、配列番号:1のアミノ酸モチーフを含むDsg3ペプチドの模倣物またはおとり(decoy)として作用するように設計されたDsg3治療用物質に関する。機構に束縛されることを望まないが、かかるペプチドはHLA-DRタンパク質に結合して、自己免疫疾患を有する被験体の自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成し得ることが期待される。かかる治療法は、例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、Dsg3のアミノ酸配列に基づく小分子を含み得る。
「塩」とは、本明細書で使用される場合、薬学的に許容され得る塩、エステル、水和物、溶媒和物、もしくは他の誘導体、または(of)任意のかかる塩、エステルおよび他の誘導体を含み(include)かかる誘導体化のための公知の方法を使用して当業者によって調製され得、実質的な毒性効果なしで動物もしくはヒトに投与され得る化合物を生成し、薬学的に活性であるか、またはプロドラッグのいずれかである化合物を含む。限定されないが、薬学的に許容され得る塩としては、限定されないがナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩を含むアルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩;亜鉛塩、銅塩およびアルミニウム塩等の遷移金属塩;限定されないが、アンモニウムおよび置換アンモニウム塩等のポリカチオン性カウンターイオン塩、ならびにヒドロキシアルキルアミンおよびアルキルアミン等の有機アミン塩;限定されないが塩酸塩および硫酸塩等の無機酸の塩、限定されないが酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩およびフマル酸塩等の有機酸の塩、が挙げられる。本明細書中では、対応するエステルも考慮される。
用語「薬学的に許容され得る塩」とは、Dsg3およびMSペプチドの比較的非毒性で、無機付加塩および有機付加塩をいう。これらの塩は、最終のペプチドの単離および精製の際に、または塩基不含形態の精製ペプチドと適切な有機酸または無機酸とを反応させ分離する(separating reacting)際に、およびかくして形成された塩を単離する際にインサイチュで調製され得る。代表的な塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩(hydrobromic)、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、トシラート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩(furmarate)、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩(napthylate)、メシレート、グルコヘプトネート、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩(laurlysulphonate)等が挙げられる(例えば、Bergeら (1977) ‘‘Pharmaceutical Salts’’, J. Pharm. Sci. 66:1〜19を参照)。
本明細書中に提供される説明に従って、用語「配列モチーフ」とは、アミノ酸配列のある相対的位置を占め得る残基に対する一連の制限(restriction)を意味する。配列モチーフは、アミノ酸配列の少なくとも3つの位置、および好ましくは4つの位置または5つの位置で制限されなければならない。第一(N-末端)および最終(C-末端)の制限アミノ酸位置の相対的位置は、少なくとも2個だが、12個を超えないアミノ酸残基により分離されているものとする(shall)。例えば、P1およびP4は第一および最終の制限残基であり得、これらの残基は2個の残基により分離されている。別の例として、P1およびP11は第一および最終の制限残基であり得、これらは10個の残基により分離されている。
第一および最終の制限位置間の位置は、モチーフの合計の少なくとも3つの位置が制限されなければならないことを除き、制限され得るかまたは制限され得ない。制限されなければならない3つの位置のうち、少なくとも2つは主要MHC結合ポケットに対応する残基でなければならない。制限残基の2つのみがMHC結合残基に対応する場合、第3番目はTCR接触残基に対応しなければならない。さらに、制限された位置の少なくとも1つは、P1またはP4結合位置のいずれかに対応しなければならない。「制限される」ことで、少なくとも1個、好ましくは10個のアミノ酸残基がある位置から除外されるものとする。
配列モチーフの位置によってアミノ酸配列が整列され得る場合、アミノ酸配列は配列モチーフに「対応し」、したがってモチーフの各制限位置にて、アミノ酸配列はモチーフを規定する制限によってその位置から除外されない残基を含む。モチーフを規定する制限がHLA-DRタンパク質のMHC結合ポケット、および任意に、公知のエピトープのTCR接触残基の大きさおよび性質から得られる場合、結合モチーフの制限位置もまた、MHC結合ポケットおよびTCR接触残基に対応するといわれ得る。
タンパク質またはポリペプチドに関して、用語「単離された」とは、その本来の、または天然の化学的環境から分離されたことを意味する。かくして、細菌から単離されたポリペプチドは、実質的に大部分の他の細菌ペプチドを含まない調製物であるものとし;同様に、単離されたウイルス性ポリペプチド調製物は、ウイルスを構成する他のポリペプチドを実質的に含まないものであるとする。
用語「関連する」とは、特定のHLA-DRタンパク質および自己免疫疾患または自己免疫反応に関連して使用される場合、タンパク質および疾患/反応が、疾患/反応の発症する見込みがタンパク質の存在によって増大したことが示されたという臨床的または疫学的研究によって明確に相互関係があったことを意味するものとする。
用語「HLA-DRタンパク質」とは、MHCクラスII HLA-DR遺伝子の特定対立遺伝子の特定タンパク質生成物をいう。HLA-DRタンパク質と関連する疾患は、かかる特定タンパク質と関連するものであり、HLA-DR遺伝子座だけで関連するものではない。
用語「ヒト病原体」とは、ヒトに感染して免疫反応を生じることが可能な細菌、ウイルスまたは原生動物をいう。用語「具体的に」とは、通常のヒト腸内細菌叢の一部を形成する細菌を除外することを意図する。この用語により、「通常のヒト腸内細菌叢」とは、大腸菌等、通常ヒトの腸に宿るが通常疾患を引き起こさない細菌を意味する。
用語「自己反応」をT細胞にあてはめる場合、それはヒト自己エピトープによって活性化されるヒト由来のT細胞をいう。T細胞の「活性化」によって、リンフォカイン(サイトカイン)の増殖、分泌、および/またはエフェクター活性(例えば細胞毒性)の始まりが誘導される。
用語「自己抗原」とは、「自己エピトープ」を含む自己タンパク質またはポリペプチドを意味する。「自己エピトープ」によって、MHC分子に結合しかつそれによって示されたとき、T細胞に認識される自己抗原の一部が意味される。
抗原に対する個体の耐性化に関して、用語「有効量」とは、MHC分子に結合しかつそれによって示されたとき、別の場合は抗原に特異的であるT細胞を抗原に対して非反応性とするのに十分な抗原の量である。無反応なT細胞は、それらが特異的である抗原が提示されたとき、活性化できない。抗原に対して個体を免疫化することに関して、用語「有効量」とは、抗原に対して特異性なT細胞を生じる自己反応を誘導するのに十分な量である。用量の典型的な範囲は、1ナノグラム/キログラム〜100ミリグラム/キログラム、またはさらに500ミリグラム/キログラムである。有効量は年齢、性別および抗原に対する感受性等の要因に従って変化するであろう。
用語「コアMHC結合残基」とは、HLA-DR分子に結合したペプチドのP1〜P9位に対応するエピトープの残基をいう。用語「内部コアMHC結合残基」とは、HLA-DR分子に結合したペプチドのP1〜P6位に対応するエピトープのそれらの残基をいう。
III 本発明の態様
A. ペプチド/組成物/ペプチド模倣物
本発明は、ヒトデスモグレイン3(Dsg3)ペプチドおよびペプチド模倣物を提供する。Dsg3ペプチドは、モチーフ#1またはモチーフ#2のいずれかを有する配列番号:1の構造モチーフを含むホースペプチド(hose peptide)を含む。任意に、該ペプチドはHLA-DRタンパク質に結合するために作用し、自己免疫疾患を有する被験体の自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成する。より具体的には、配列番号:1のペプチドはHLA-DR4タンパク質に結合し、それにより尋常天疱瘡を有する被験体/患者の自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成する。
1つの態様において、ポリペプチドは本質的に、配列番号:1で表されるアミノ酸配列からなる。あるいは、ポリペプチドは配列番号:1からなる。
さらなる発明において、組成物中のペプチドの安定性を向上させるために、および/または組成物の放出速度を調節するために、本発明の組成物はさらに薬学的に許容され得る添加剤を含む。本発明の薬学的に許容され得る添加剤は、主題のペプチドの特異的な活性を改変しない。好ましい薬学的に許容され得る添加剤は、マンニトール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、トレハロース、ソルボース、スクロース、ガラクトース、デキストラン、デキストロース、フルクトース、ラクトース等の糖およびそれらの混合物である。好ましくは、本発明の糖はデキストロースである。本発明の薬学的に許容され得る添加剤は、薬学的に許容され得る担体および/またはデキストロース等の賦形剤と組み合わされ得る。より好ましくは、本発明の組成物は投与のために5%デキストロースで調剤される。あるいは、好ましい薬学的に許容され得る添加剤は、ペプチドの安定性を増大させ、かつ医薬水溶液のゲル化を低減させるためのポリソルベート20またはポリソルベート80等の界面活性剤である。より好ましくは、界面活性剤は水溶液の0.01%〜5%の量で組成物に添加される。かかる薬学的に許容され得る添加剤の添加によって、貯蔵中の組成物の安定性および半減期が増大する。
ある態様において、主題のDsg3治療用物質は、Dsg3ペプチドのペプチド模倣物(Dsg3ペプチド模倣物)を含む。ペプチド模倣物は、ペプチドおよびタンパク質に基づくか、またはそれら由来の化合物である。本発明のDsg3ペプチド模倣物は、1つ以上の非天然アミノ酸、立体配座の制限、等電子置換等を用いて、公知のDsg3ペプチド配列の構造的な修飾により典型的に得られうる。主題のペプチド模倣物は、ペプチドの総合構造と非ペプチドの総合構造との間の連続の構造的空間を構成し;したがってDsg3ペプチド模倣物は、ファーマコフォア(pharmacophore)を明確に描写(delineate)するのに有利であり、親Dsg3ペプチドの活性を有する非ペプチド化合物にペプチドが転換されるのを促進するのに有用であり得る。
Dsg3ペプチド模倣物は、加水分解され得ないこと(例えば、プロテアーゼもしくは対応するペプチドを分解する他の生理学的条件に対する増大した安定性)であるか、またはHLA-DRタンパク質に結合して自己免疫疾患を有する被験体の自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成するための特異性および/もしくは潜在力を増大させるような特性を有し得る。例示の目的のために、本発明のペプチド類似体は、例えばベンゾジアゼピン(例えば、Peptides: Chemistry and Biology, G.R. Marshall編, ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988におけるFreidingerらを参照)、置換γラクタム環(Peptides: Chemistry and Biology, G.R. Marshall編, ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, 123ページにおけるGarveyら)、C-7模倣体(Peptides: Chemistry and Biology, G.R. Marshall編, ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, 105ページにおけるHuffmanら)、ケト-メチレン擬ペプチド(Ewensonら (1986) J Med Chem 29:295; およびPeptides: Structure and Function (第9回米国ペプチドシンポジウム要旨集 Pierce Chemical Co. Rockland, IL, 1985におけるEwensonら)、b-ターンジペプチドコア(Nagaiら (1985) Tetrahedron letters 26:647; およびSatoら (1986) J. Chem. Soc. Perkin. Trans. 1:1231)、b-アミノアルコール(Gordonら (1985) Biochem. Biophys. Res. Commun. 126:419; およびDannら (1986) Biochem. Biophys. Res. Commun. 134:71)、ジアミノケトン(Natarajanら (1984) Biochem. Biophys. Res. Commun. 124:141)、メチレンアミノ修飾(modifed)(Peptides: Chemistry and Biology, G.R. Marshall編, ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, 134ページにおけるRoarkら)、ビニル性ポリペプチド(Hagiharaら (1992) J. Am. Chem. Soc. 114:6568-70)、オリゴアントラニルアミド(Hamuroら (1996) J. Am. Chem. Soc. 118:7529-41)、ビニル性スルホンアミノペプチド(Genarriら (1996) Chem. Eur. J. 2:644-55)、エデマー(aedemer)(Lokeyら (1995) Nature 375:303-5)、および糖を原料とするペプチド模倣物(Horvatら (1998) J. Chem. Soc. Perkins Trans. 1:1789-95)を用いて生成させ得る。また一般的に、Peptides: Chemistry and Biology, G.R. Marshall編, ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988における講座(Session)III:分析法および合成法)を参照。さらに、米国特許第5,422,426号はペプチドおよびペプチド模倣物を生成するための高いスループットおよび組み合わせ方法を記載する。
さらなる態様において、本発明はペプチド二次構造の立体配座的に制限された模倣体の使用を特に意図する。ペプチドのアミド結合の多数の代替物が開発されてきた。頻繁に利用されるアミド結合の代替物としては、次の群、(i)トランスオレフィン、(ii)フルオロアルケン、(iii)メチレンアミノ、(iv)ホスホンアミド(phosphonamides)、および(v)スルホンアミドが挙げられる。
さらに、Dsg3ペプチドの主鎖のより本質的な修飾に基づくペプチド模倣物が使用され得る。このカテゴリーに分類されるペプチド模倣物としては、(i)後方逆転(retro-inverso)類似体、ならびに(ii)N-アルキルグリシン類似体(いわゆるペプトイド、例えばSimonら (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:9367-71を参照)および上記した他のものが挙げられる。
かかる後方逆転類似体は、Sistoら 米国特許第4,522,752号によって記載されるような、当該分野で公知の方法に従って生成され得る。例えば、後方逆転類似体は以下のように生成され得る。第1工程はアミノ酸のジェミナルジアミン類似体を形成することである。N-末端アミノ酸、例えばN-末端プロリンに対応するジェミナルジアミンは、HOBT-DCC結合条件下でN-保護プロリン類似体をアンモニアによって処理することで合成されて非置換アミドが生成され、次いでRadhakrishnaら (1979) J. Org. Chem. 44:1746に記載されるように、I,I-ビス-(トリフルオロアセトキシ)ヨードベンゼン(TIB)によってホフマン型転移を行い、非置換アミドからカルボニル部分を効果的に取り除く。次いで生成物アミンは、標準的な条件下にてN-Fmoc D-Thr残基等の側鎖保護された(例えばベンジルエステルのような)第2のアミノ酸に結合し、擬ジペプチドが生成される。Fmoc(フルオレニルメトキシカルボニル)基はジメチルホルムアミド中のピペリジンで除去され、得られるアミンは、米国特許第5,061,811(Pinoriら)に記載されるようなメルドラム酸の適切にアルキル化された側鎖保護誘導体によって縮合される前に、ビストリメチルシリルアセトアミド(BSA)でトリメチルシリル化され、後方逆転トリペプチドが生成される。メルドラム酸は環式マロネート類似体であり、ここで第5番目の炭素(カルボニル基間の炭素)上のR置換基は、添加されるアミノ酸部分を決定する。例えば、メルドラム酸のR基がメチル基である場合、アラニン部分が添加され後方逆転トリペプチドは式PTAを有する。標準的な条件下で、メルドラム酸との開環反応からの残存エステル基はさらにアミノ酸類似体と結合し、保護テトラペプチド類似体を与える。保護基が取り除かれると生成物が放出され、テトラペプチドを全長ペプチド模倣物に延長するために該工程が繰り返される。例えば、いくつかの典型的なペプチド結合を含む混合ペプチドは、この過程によって生じるであろうことが一般的に理解されよう。一般的な指針として、最もタンパク質分解を受けやすい部位が典型的に変化させられ、より受けにくいアミド結合は、模倣体の変換(mimetic switching)に対して任意である。最終生成物、またはその中間体はHPLCで精製され得る。別の態様は、類似した保護化学技術を使用してC-末端から後方逆転トリペプチドを構築する(building)ことを伴う。
このような後方エナンチオ(retro-enantio)類似体は、市販されるD-アミノ酸(またはその類似体)、および標準的な固相または溶液相ペプチド合成技術で合成され得る。例えば、好ましい固相合成方法において、適切なアミノ保護(t-ブチルオキシカルボニル, Boc)残基(例えばD-プロリン)は、クロロメチル樹脂等の固相支持体に共有結合される。該樹脂をジクロロメタン(DCM)で洗浄し、BOC保護基はDCM中のTFAによる処理によって除去される。該樹脂を洗浄して、かつ中和し、隣接するBoc-保護D-アミノ酸(例えばD-Thr)がジイソプロピルカルボジイミドと結合することによって導入される。樹脂を再び洗浄し、該サイクルを各残りのアミノ酸(D-Ala、D-Pro等)に対し順番に繰り返す。保護化後方エナンチオペプチドの合成が完了した場合、保護基は除去され、ペプチドはフッ化水素酸/アニソール/硫化ジメチル/チオアニソールで処理することにより固相支持体から開裂される。最終生成物はHPLCで精製され、純粋な後方エナンチオ類似体が生成される。
Dsg3ペプチドのトランスオレフィン類似体は、Y. K. Shueら (1987) Tetrahedron Letters 28:3225の方法に従って合成され得る。他の擬ジペプチドは、適切な開始Bocアミノ酸の置換およびヴィティヒ試薬によってのみ上記される方法で生成され得る。手順の変化は、使用される試薬の性質に従って必要であり得るが、任意のかかる変化は単に常套的であり、当業者にとって明白であろう。
上記の方法で合成された擬ジペプチドの他の擬ジペプチドに結合させ、アミド官能性の代わりにいくつかのオレフィン官能性を有するペプチド類似体を生成することがさらに可能である。例えば、Pro−ProまたはGlu−Tyr等に対応する擬ジペプチドが生成され、次いで標準的な技術により一緒に結合させ、残基間に交互のオレフィン結合を有するDsg3ペプチドの類似体が生成され得る。
ホスホネート誘導体の合成は、公知の合成スキームから適応され得る。例えば、Peptides: Chemistry and Biology, (Escom Science Publishers, Leiden, 1988, 118ページ)におけるLootsら;PetrilloらPeptides: Structure and Function (第9回米国ペプチドシンポジウム要旨集, Pierce Chemical Co. Rockland, IL, 1985)を参照。
多くの他のペプチド模倣体構造が当該分野で公知であり、主題のDsg3ペプチド模倣物の使用のために容易に適応される。例示するために、Dsg3ペプチド模倣物は1-アザビシクロ[4.3.0]ノナン(nonane)代替物(Kimら (1997) J. Org. Chem. 62:2847参照)、またはN-アシルピペラジン酸(Xiら (1998) J. Am. Chem. Soc. 120:80参照)、または抑制(constrained)アミノ酸類似体としての2-置換ピペラジン部分(Williamsら (1996) J. Med. Chem. 39:1345-1348参照)を組み込み得る。さらに他の態様において、あるアミノ酸残基はアリールまたはビアリール部分、例えば単環式、もしくは二環式芳香核またはヘテロ芳香核、または重芳香(bi-aromatic)核、芳香−ヘテロ芳香核、または重ヘテロ芳香核(biheteroaromatic)で置換され得る。
ある態様において、主題のDsg3ペプチドまたはペプチド模倣物は、N-末端(もしくはカルボニル等の通常N-末端での他の末端構造)、C-末端(もしくはアミン等の通常C-末端での他の末端構造)、または双方のいずれかにてキャップ(cap)される。例えばDsg3治療用物質は、1つ以上のDsg3配列を有するポリペプチドを含み得、ここで該ポリペプチドはN-末端にアセチルキャップ、C-末端にアミドキャップ、または双方のいずれかを有する。キャップ化ペプチドの合成方法は、例えば米国特許第5,994,309号で開示される。
主題のDsg3ペプチド模倣物は、例えば、本明細書に記載のかかるハイスループットスクリーニングと組み合わせたコンビナトリアル合成技術により最適化され得る。
さらに、ペプチド模倣物の他の例としては、限定されないが、タンパク質系化合物、炭水化物系化合物、脂質系化合物、核酸系化合物、天然有機化合物、合成由来有機化合物、抗イデオタイプ抗体および/または触媒性抗体またはその断片が挙げられる。ペプチド模倣物は、例えば、天然および合成化合物のライブラリーを、HLA-DRタンパク質に結合して、例えば、尋常性天疱瘡を有する被験体において自己反応性T細胞を活性化する複合体形成することができる化合物に関してスクリーニングすることによって得られ得る。ペプチド模倣物はまた、例えば、天然および合成化合物のライブラリー、特に、化合物ライブラリーまたはコンビナトリアルライブラリー(すなわち、配列または大きさは異なるが、同じ基本要素を有する化合物のライブラリー)から得られ得る。
ある局面では、ペプチド模倣物および低分子など主題のDsg3治療用分子は、合理的設計によって得られ得る。例示的な合理的設計手順では、本発明の標的ペプチドの三次元構造は、例えば、核磁気共鳴(NMR)またはx線結晶学によって解析され得る。三次元構造は、次いで、例えば、コンピュータモデリングによって潜在的Dsg3治療剤の構造を推定するために使用され得る。推定されたDsg3治療剤構造は、次いで、例えば、化学合成、組換えDNA技術によって、または分子を天然供給源(例えば、植物、動物、細菌および真菌)から単離することにより作製され得る。したがって、Dsg3治療剤は、前記配列の1つの拘束を受けていないポリペプチド鎖においてモデリングされ(modeled)得る。標的ペプチドが拘束を受けていない所望の構造は、NMRまたはX線結晶学に頼ることなくモデリングされ得、いくつかの短ペプチド鎖のモデリング用プログラムのいずれかが使用され得る。
ある態様では、Dsg3ペプチド、ペプチド模倣物および低分子は、HLA-DRタンパク質に結合して、自己免疫疾患を有する被験体において自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成することができる。例示的な態様では、配列番号:1に基づく部分を含むDsg3ペプチド、ペプチド模倣物または低分子は、HLA-DR4タンパク質に結合し、尋常性天疱瘡を有する被験体において自己反応性T細胞を活性化して複合体を形成する。任意に、ペプチド、ペプチド模倣物および低分子は、これらの母体であるDsg3ペプチドのKDより最大(no more than)10倍大きいKDを有し、任意で、おおよそ同等なKDまたは10倍以下のKDを有する。
さらなる発明では、本発明の組成物は、組成物中のペプチドの安定性を改善するため、および/または組成物の放出速度を制御するために、薬学的に許容され得る添加剤をさらに含む。本発明の薬学的に許容され得る添加剤は、主題のペプチドの特異的活性を改変しない。好ましい薬学的に許容され得る添加剤は、糖、例えばマンニトール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、トレハロース、ソルボース、スクロース、ガラクトース、デキストラン、デキストロース、フルクトース、ラクトースおよびその混合物などである。好ましくは、本発明の糖はデキストロースである。本発明の薬学的に許容され得る添加剤は、生理食塩水などの薬学的に許容され得る担体および/または賦形剤と組合せ得る。
B. 融合タンパク質
Dsg3ペプチドおよびペプチド模倣物は、融合タンパク質内に組み込まれ得る。一般に、融合タンパク質は、第2の機能性部分、例えば、担体タンパク質、産生(production)タンパク質または安定化タンパク質などを提供する。
有用な担体タンパク質としては、例えば、細菌溶血素またはアラメチシンまたはスルフヒドリル活性化溶解素などの「ブレンド(blending)剤」が挙げられる。使用され得る他の担体部分としては、細菌毒素、例えば、シュードモナス外毒素、破傷風毒素、リシン毒素およびジフテリア毒素などの細胞侵入成分が挙げられる。ハチ毒液由来のメリチンもまた有用である。
安定タンパク質としては、Dsg3ペプチド、ペプチド模倣物または抗体の安定性を増加させるタンパク質が挙げられる。産生タンパク質としては、Dsg3ペプチドの産生を補助するタンパク質が挙げられる。融合タンパク質はタンパク質の発現を容易にし得ることから、本発明のDsg3ペプチドの発現において使用され得ることは広く受け入れられる。例示的な産生ペプチドとしては、GST、ポリヒスチジン、セルロース結合性タンパク質、キチン結合性タンパク質などが挙げられる。例えば、Dsg3ペプチドは、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST-融合)タンパク質として作製され得る。かかるGST-融合タンパク質は、グルタチオン誘導体化マトリックス(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら編 (N.Y.:John Wiley & Sons, 1991)を参照)の使用によるもののように、Dsg3ペプチドの容易な精製を可能にし得る。別の態様では、精製リーダー配列、例えばポリ-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などをコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を用いるアフィニティクロマトグラフィーによるポリ(His)-Dsg3ペプチドタンパク質の精製を可能にするため、Dsg3ペプチドのN末端に配置され得る。精製リーダー配列を、所望により、その後、エンテロキナーゼでの処理によって除去し得る(例えば、Hochuliら (1987) J. Chromatography 411:177;およびJanknechtら PNAS 88:8972を参照)。
融合遺伝子作製の技術は、当業者に公知である。本質的には、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNA断片の連結を、従来の技術にしたがって、ライゲーションのための平滑または突出(stagger)末端、制限酵素消化を用いて適切な末端を提供し、適宜接着端を埋め、アルカリホスファターゼ処理して望ましくない連結を回避し、酵素的ライゲーションを行なう。別の態様では、融合遺伝子を、自動DNA合成装置などの従来の技術によって合成し得る。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅を、後に、アニーリングしてキメラ遺伝子配列を生成し得る2つの連続する遺伝子断片間の相補的な突出部をもたらすアンカープライマーを用いて行ない得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら編 John Wiley & Sons: 1992)を参照)。
従来の組換えDNA手法を用い、融合タンパク質をコードする核酸を、調節配列に作動可能なように連結し、適切な発現系内に導入し得る。
C. 核酸の導入
別の局面では、本発明は、例えば、例示的な方法において、ウイルス感染細胞内への導入および該細胞中での発現のための少なくとも1つの転写調節配列に作動可能に連結された本発明のDsg3ペプチドをコードする核酸を含有する構築物に関する。本発明の遺伝子構築物は、例えば、主題の治療用タンパク質を、処置される動物に送達するための遺伝子療法プロトコルの一部として使用するために製剤化される。
ベクター内へのDNA断片の挿入のための当該技術分野で知られた任意の方法が、適切な転写/翻訳制御シグナルおよび所望の核酸配列、例えば、Dsg3ペプチドコードヌクレオチド配列またはHLA-DRタンパク質に結合して、自己免疫疾患を有する被験体において自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成するペプチドをコードする核酸などからなる発現ベクターを構築するために使用され得る。(例えば、Maniatis T., Fritsch E.F.および Sambrook J. (1989): Molecular Cloning (A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York; ならびに Ausubel F.M., Brent R., Kingston R.E., Moore, D.D., Seidman J.G., Smith J.A.およびStruhl K. (1992): Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New Yorkを参照のこと)。これらの方法には、インビトロDNA組換え技術および合成技術ならびにインビボ遺伝子組換えが含まれ得る。主題の核酸の発現は、第2の核酸配列によって、コードされたポリペプチドが、組換えDNA分子で感染またはトランスフェクトされた宿主内で発現されるように調節され得る。例えば、Dsg3ペプチドの発現は、当該技術分野で知られた任意のプロモーター/エンハンサーエレメントによって制御され得る。プロモーター活性化は、組織特異的、または代謝産物または投与された物質によって誘導性であり得る。
Dsg3ペプチドの発現をインビボで制御するために使用され得るプロモーター/エンハンサーとしては、限定されないが、標的ウイルスによって使用されるプロモーターである、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター/エンハンサー (Karasuyamaら, 1989, J. Exp. Med., 169: 13)、ヒトb-アクチンプロモーター (Gunningら (1987) PNAS 84:4831-4835)、マウス乳腺癌ウイルス末端反復配列(long terminal repeat)(MMTV LTR)内に存在するグルココルチコイド誘導性プロモーター (Klessigら (1984) Mol. Cell Biol. 4:1354-1362)、モロニーマウス白血病ウイルス(MuLV LTR)の末端反復配列(Weissら (1985) RNA Tumor Viruses, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York)、SV40初期またはまたは後期領域プロモーター (Bernoistら (1981) Nature 290:304-310; Templetonら (1984) Mol. Cell Biol, 4:817; および Spragueら (1983) J. Virol, 45:773)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)の3'末端反復配列に含有されるプロモーター (Yamamotoら, 1980, Cell, 22:787-797)、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼプロモーター/エンハンサー (Wagnerら (1981) PNAS 82:3567-71)、および単純ヘルペスウイルスLATプロモーター (Wolfeら (1992) Nature Genetics, 1:379-384)、ならびにケラチン遺伝子プロモーター、例えばケラチン14などが挙げられる。
主題のDsg3 治療用ポリペプチドの発現構築物は、任意の生物学的に有効な担体、例えば、組換え遺伝子を細胞にインビボで有効に送達することができる任意の製剤または組成物において投与され得る。アプローチとしては、ウイルス系ベクター、例えば組換えレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよび単純ヘルペスウイルス1、または組換え真核生物プラスミド内へのDsg3ペプチドコード配列の挿入が挙げられる。ウイルスベクターは細胞を直接トランスフェクトし、プラスミドDNAは例えば、カチオン系リポソーム(リポフェクチン)または誘導体化(例えば、抗体とコンジュゲートした)、ポリリシンコンジュゲート、グラミシジンS、人工ウイルス系エンベロープもしくは他のかかる細胞内担体の補助により、およびインビボで行なわれる遺伝子構築物の直接注射またはCaPO4沈降により送達され得る。適切な標的細胞の形質導入は、遺伝子療法の重要な最初の工程に相当し、具体的な遺伝子送達系の選択は目的の標的の表現型および投与経路、例えば、局所または全身などの因子に依存することが認識されよう。
細胞内への核酸のインビボ導入のための好ましいアプローチは、所望の具体的なDsg3ペプチドをコードする核酸を含有するウイルス系ベクターの使用によるものである。ウイルス系ベクターでの細胞の感染は、標的化される細胞の大部分が核酸を受容できるという利点を有する。さらに、ウイルス系ベクター内にコードされる分子、例えば、組換えDsg3ペプチドは、ウイルス系ベクター核酸を取り込んだ細胞内で効率的に発現される。
上記に例示したものなどのウイルス系導入方法に加え、非ウイルス系方法もまた、動物の組織内でDsg3ペプチドの発現を引き起こすために使用され得る。遺伝子導入の非ウイルス系方法のほとんどは、哺乳動物細胞が、巨大分子の取り込みおよび細胞内輸送のために使用する標準的な機構に依存する。好ましい態様では、本発明の非ウイルス系遺伝子送達系は、標的化された細胞によるDsg3ペプチドコード遺伝子の取り込みのためのエンドサイトーシス経路に依存する。この種の例示的な遺伝子送達系としては、リポソーム送達系、ポリリシンコンジュゲート、および人工ウイルス系エンベロープが挙げられる。
臨床場面では、治療用Dsg3ペプチドコード配列のための遺伝子送達系は、患者内に、各々が当該技術分野でよく知られているいくつかの方法のいずれかによって導入され得る。例えば、遺伝子送達系の医薬用調製物は、全身に、例えば、
静脈内注射によって導入され得、標的細胞内でタンパク質の特異的形質導入は、主に、転写調節配列が受容体遺伝子の発現を制御するために遺伝子送達ビヒクル、細胞型または組織型発現によって、またはその組合せによって提供されるトランスフェクションの特異性から生じる。他の態様では、組換え遺伝子の初期送達は、かなり局所的な動物内への導入に、より限定される。例えば、遺伝子送達ビヒクルは、カテーテル(米国特許第5,328,470号)または「遺伝子銃」技術によって導入され得る。好ましい態様では、本発明の遺伝子療法構築物は、局所的に、皮膚または粘膜組織の感染細胞または形質転換細胞に適用される。Dsg3ペプチド遺伝子構築物は、1つの態様において、例えば、Devら ((1994) Cancer Treat. Rev. 20: 105- 115)に記載された技術を用いるエレクトロポレーションによって遺伝子療法構築物で送達され得る。
遺伝子療法構築物の医薬調製物は本質的に、許容され得る希釈剤中に含まれる遺伝子送達系からなり得、または遺伝子送達ビヒクルが包埋された低速放出マトリックスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達系が組換え細胞からそのまま作製され得る場合、例えばレトロウイルス系ベクターの場合、医薬用調製物は、遺伝子送達系を生じる1つ以上の細胞を含み得る。
D. 塩
スルホンアミドの薬学的に許容され得る誘導体、例えば、塩、エステル、酸および塩基、溶媒和物、水和物ならびにプロドラッグの製剤が目的物である。特に、対応する中性化合物を含有する製剤よりも安定性が高い製剤が得られる中性スルホンアミド化合物の誘導体が提供される。好ましいのは塩であり、特にアルカリ金属塩、より好ましくはナトリウム塩、例えば、ナトリウム化合物から調製される塩であり、限定されないが、得られる生成物がナトリウム塩である重炭酸ナトリウム、および得られる化合物がリン酸水素ナトリウム塩であるリン酸一水素二ナトリウムが挙げられる。各化合物のナトリウム塩が最も好ましい。
誘導体、特に塩、好ましくはナトリウム塩が調製されるスルホンアミドは式I:

を有する。
塩誘導体としては、限定されないが、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩が挙げられ、限定されないが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩; 亜鉛塩、銅塩、金塩および銀塩などの遷移金属塩、ならびにアルミニウム塩などの他の金属塩; 限定されないが、アンモニウムおよび置換アンモニウム塩などのカチオン系およびポリカチオン系対イオン塩ならびにヒドロキシアルキルアミンおよびアルキルアミンなどの有機系アミン塩;限定されないが、塩酸塩および硫酸塩などの無機酸の塩;限定されないが、酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩およびフマル酸塩などの有機酸の塩が挙げられる。任意の酸の対応するエステルもまた本明細書中で想定される。
中でも、好ましい塩は、酢酸塩、例えばトリフルオロ酢酸、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミンおよび他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、プロカイン、N- ベンジルフェネチルアミン、1-パラ-クロロベンジル-2-ピロリジン-1'-イルメチルベンズイミダゾール、ジエチルアミンおよび他のアルキルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二ナトリウム、ナトリウム、亜鉛、バリウム、金、銀およびビスマスの塩である。アルカリ金属、特にナトリウム塩が本明細書において好ましい。
製剤は、任意の所望の経路による投与に適した組成物であり、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、分散性錠剤、ピル、カプセル、粉末、吸入器用乾燥粉末、徐放性製剤、経鼻および呼吸器送達用エーロゾル、経皮送達用貼付剤および任意の他の適当な経路が挙げられる。組成物は、経口投与、注射用水性または油性溶液またはエマルジョンとして皮下、筋肉内または静脈内を含む注射による非経口投与、経皮投与および他の選択した経路に適したものであるべきである。
スルホンアミド誘導体の凍結乾燥粉末、その調製方法、および復元された形態の凍結乾燥粉末を含有する製剤もまた提供される。該粉末を含有するバイアルおよびアンプルおよびシリンジならびに他の適当な容器もまた提供される。
かかるスルホンアミドは、米国特許第5,464,853号、同第5,594,021号、同第5,591,761号、同第5,571,821号、同第5,514,691号、同第5,464,853号、同第5,962,490号; および国際公開公報PCT特許出願WO 96/31492 および WO 97/27979に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に援用される。
本明細書において提供される製剤は、選択した経路による投与のためのものであり、有効な濃度の前記化合物の薬学的に許容され得る塩を含有する。尋常性天疱瘡などの自己免疫疾患の処置に有効な量を送達する製剤もまた提供される。
スルホンアミドのナトリウム塩を含有するカプセルおよび錠剤もまた好ましい。特に好ましい製剤は、尋常性天疱瘡の処置に有効な量を送達するものである。有効な量および濃度は、該障害のいずれかの症状のいずれかを改善するのに有効である。
他の態様では、製剤は、固体投薬形態またはゲル、好ましくはカプセルまたは錠剤である。好ましい態様では、製剤は、有効量、典型的には約10〜100重量%、好ましくは約50〜95重量%、より好ましくは約75〜85重量%、最も好ましくは約80〜85重量%の1種以上のリン酸水素ナトリウムまたはナトリウム、好ましくはナトリウム、1種以上の式Iのスルホンアミド化合物の塩;約0〜25%、好ましくは8〜15%のラクトースまたは微晶質セルロースなどの希釈剤または結合剤;約0〜10%、好ましくは約3〜7%の加工されたデンプンまたはセルロースポリマー、特に架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、カルメロースナトリウムの架橋重合物(Crosscarmellose sodium NFは、FMC Corporation, Philadelphia, Pa.のAC-DI-SOLの名称で市販されている)またはグリコール酸ナトリウムデンプンなどの崩壊剤; ならびに0〜2%, 好ましくは0.1〜2%のステアリン酸マグネシウム、タルクおよびステアリン酸カルシウムなどの潤滑剤を含有するカプセルである。カルメロースナトリウムの架橋重合物またはナトリウムデンプングリコーレートなどの崩壊剤は、コーティングポリマーの溶解後の活性剤の即時放出のためにセルロース誘導体マトリックスの急速な崩壊を提供する。すべての態様において、活性成分および補助成分の正確な量は、経験的に決定され得、投与経路、障害ならびに処置される患者の年齢、性別および健康の作用するもの(function)である。
例示的な態様では、製剤は、約80〜90%、好ましくは約83%の式Iの1種以上のスルホンアミド化合物の1種以上のナトリウム塩;約10〜15%、好ましくは約11%のラクトースまたは微晶質セルロースなどの希釈剤または結合剤;約1〜10%、好ましくは約5%のカルメロースナトリウムの架橋重合物またはナトリウムデンプングリコーレートなどの崩壊剤;ならびに約0.1〜5%、好ましくは約1%のステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤を含有するカプセルである。
本明細書に詳細に記載する別の態様では、製剤は、選択した化合物および適応症に応じて80〜90%、好ましくは約80〜85%の式Iの1種以上のスルホンアミド化合物の1種以上のナトリウム塩; 約10〜15%、好ましくは11%の微晶質セルロース; 約1〜10%、好ましくは約5%のカルメロースナトリウムの架橋重合物またはナトリウムデンプングリコーレートなどの崩壊剤;ならびに約0.1〜5%、好ましくは1%のステアリン酸マグネシウムを含有するカプセルである。錠剤としての投与の固体形態もまた、本発明において想定される。
好ましい製剤は、スルホンアミドのナトリウム塩を含有する滅菌凍結乾燥粉末から調製される。凍結乾燥粉末および該粉末の調製方法もまた本明細書に提供される。1つの態様において、組成物は、1種以上のリン酸水素ナトリウムまたはナトリウム、好ましくはナトリウム、式Iの1種以上のスルホンアミド化合物の塩を含有する凍結乾燥固体の形態で提供され、以下:
(a) ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩またはクエン酸塩などのバッファー;
(b) LABRASOL (Gattefosse SA, Franceによって販売されているポリエチレングリコール-8カプリリックカプリン酸グリセリド(caprylic capric glyceride))、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ビス(トリメチルシリル)アセタミド、エタノール、プロピレングリコール(PG)、またはポリビニルピロリジン(DSG3P)などの可溶化剤; および
(c) 糖または他のかかる炭水化物、例えば、ソルビトールもしくはデキストロース(典型的には約l%〜20%、好ましくは約5%〜15%、より好ましくは約5%〜10%の範囲)
の1種以上もまた含む。
投与では、凍結乾燥粉末は、リン酸緩衝生理食塩水などの適当な薬学的に許容され得る担体と混合される(典型的には、単回数投薬または複数回投薬製剤、約100〜500 mg、好ましくは250 mgをもたらす)。
製剤が非経口投与のために設計される他の好ましい態様では、組成物は、1種以上のリン酸水素ナトリウムまたはナトリウム、好ましくはナトリウム、式Iの1種以上のスルホンアミド化合物の塩; ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩またはクエン酸塩などのバッファー; およびソルビトールまたはデキストロースなどの糖を含む。本明細書に詳細に記載される好ましい態様では、製剤は、式Iのスルホンアミド化合物の1種以上のナトリウム塩;リン酸ナトリウムバッファー; およびデキストロースを含む。デキストロースは、当業者に知られた供給業者から容易に入手され得る滅菌デキストロース溶液の形態で添加され得る。
E. ペプチドの同定方法
本発明は、自己免疫応答を誘導する、または自己免疫疾患を引き起こす能力についてのペプチドの同定および評価方法に関する。特に、本発明は、(1)自己エピトープまたは自己抗原が未知の場合の自己免疫疾患におけるその潜在的関与について、自己ペプチドを評価する方法、および(2)自己免疫疾患の病因において起こり得る関与について、外来ペプチドを評価する方法に関する。本発明はまた、本発明の方法によって同定され、尋常性天疱瘡に関与する自己抗原を提示する特定のペプチドに関する。
該方法は、潜在的自己エピトープと比較され得るアミノ酸配列モチーフを明らかにすること(development)に依存する。各モチーフは、各(相対)位置の残基が、(a)単一の残基に限定され得る、(b) 限られた組の残基間で異なることが可能である、または(c)すべての可能な残基間で異なることが可能である限定されたアミノ酸配列の組を示す。この開示の一貫性のためであって、本発明を限定するのではないが、これらの配列モチーフは、(a) 単一の残基に限定される位置が残基の一文字略号で表される、(b) 一組の残基間で変化し得る位置が、これらの残基の一文字略号の列(column)で表される、および(c)すべてのアミノ酸残基間で変化し得る位置が「X」で表されるという一連の特徴を象徴する。単に例示として、モチーフは、第1の位置の残基が残基バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、またはフェニルアラニンのいずれか1つであり得る; 第2の位置の残基がヒスチジンでなければならない;第3の位置の残基が任意のアミノ酸残基であり得る; 第4の位置の残基が残基バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンのいずれか1つであり得る; および第5の位置の残基がリシンでなければならないことを特定し得る。
本発明の1つの局面では、 配列モチーフは、主要組織適合性複合体HLA-DRタンパク質の結合ドメインまたは結合ポケットおよび/またはMHC分子と結合したエピトープのT細胞受容体(「TCR」)接触点の解析によって明らかにされる(developed)。MHC結合ポケットの形成に関与するHLA-DR残基の詳細な構造的解析を提供することにより、任意のHLA-DRタンパク質に結合するための配列モチーフの予測を行なうことが可能になる。
本発明の別の局面では、本明細書に開示された方法により明らかにされる(developed)配列モチーフを用いて、自己抗原が既知または疑われる自己免疫応答に関与する自己ペプチドエピトープを同定し得る。
本発明の別の局面では、自己免疫疾患に関与する外来ペプチドエピトープの同定方法が提供される。これらの方法は、ヒト自己免疫応答を起こし得る特定の分類の生物または病原体由来のペプチドを同定するために、MHCおよび/またはTCR結合モチーフの使用を伴う。この局面では、モチーフは、本発明の方法または当該技術分野で知られた他の手段に従って、明らかにされ得る。
これらの配列モチーフを研究、評価または基準設計として用い、T細胞および/または自己免疫応答を誘導するための特定のMHC分子への結合およびT細胞受容体との相互作用の妥当な見込みを有するクラスのペプチドを同定することができる。これらのモチーフの使用は、純粋な配列相同性(これは、抗原性は類似するが配列は全く異なる多くのペプチドを排除する)または無限の「保存的」置換を有する配列相同性(これは、重要な高度に保存された部位が異なる多くのペプチドを許容する)とは反対に、当業者が特定のペプチドを自己免疫疾患における潜在的関与について評価する、およびペプチド配列のコンピュータデータベースを検索して自己免疫応答に関与し得る自己ペプチドを同定する能力において相当な進展を示す。また、自己免疫疾患の病因に関与し得る自己ペプチドに関する限定されたデータベースを検索するためのMHCおよび/またはTCR結合モチーフの使用は、結合モチーフの概念の新規の適用である。
本発明の実施の詳細な例を以下に示す。本発明の方法は、ここでは、自己免疫疾患である尋常性天疱瘡に関与するこれまで未知の自己ペプチドエピトープを同定するために使用した。
したがって、別の態様では、本発明は、これらのペプチドを単離された形態で提供し、これは、以下に暗に示される(allude)種々の診断方法および治療方法ならびに生成物において使用され得る。
1. 配列モチーフを用いた自己エピトープの同定
さて、これまで数が増加している自己免疫疾患は、MHCクラスII HLA-DR遺伝子座の特定の対立遺伝子と関連している。これらの自己免疫疾患のほとんどでは、自己エピトープは未知のままである。しかしながら、いくつかでは、自己免疫応答に関与する自己タンパク質が知られているか、または疑われている。
本発明の1つの局面では、HLA-DR対立遺伝子と関連する自己免疫疾患に関与する自己エピトープを同定するための方法が提供される。すなわち、ヒトペプチド配列を本発明の配列モチーフと比較することにより、疾患に関与する自己エピトープである最も高い可能性を有するペプチドを同定することができる。
該方法は、特定のHLA-DR 対立遺伝子との関連が知られており、その対立遺伝子に対するMHC結合ポケット(または少なくとも2つの主要ポケット)を形成するアミノ酸残基が知られている任意の自己免疫疾患に適用され得る。本明細書において論じた方法に従えば、疾患と関連するHLA-DRタンパク質の1種以上の配列モチーフが明らかにされ得る。当然、疾患が2つ以上の対立遺伝子と関連する場合は、モチーフは、2つ以上のHLA-DRタンパク質について明らかにされ得、特に、コンセンサスモチーフは、これらのモチーフの各位置で共有される残基を用いて明らかにされ得る。
このようにして明らかにされた配列モチーフまたはモチーフを、次いで、適切な組のヒトペプチド配列と比較する。ヒトペプチド配列は、すべての既知のヒト配列を含み得るか、または当業者に自明の様式に限定され得る。例えば、疾患が特定の組織に限定される場合、検索は、これらの組織に見られるペプチドに限定され得る。逆に、非罹患組織にも見られるペプチドは、検索プールから排除され得る。最も極端な場合では、自己抗原が知られているか疑われているが、特定のエピトープが未知のとき、検索は、自己抗原内の配列に限定され得る(実施例1参照)。
この方法は、モチーフが適合し、最も自己エピトープでありそうな一組のペプチドを同定するために使用され得る。モチーフに制限される位置の数、および/または各位置の制限の程度、および/または検索プールの大きさを変えることにより、その組のペプチドの数もまた、おそらく変わる。上記のように、少なくとも2つのMHC接触位置(例えば、P1およびP4)が制限されるはずである。得られる組のペプチドの数に応じて、その組を縮小または拡大するために、より多くの、またはより少ない制限的モチーフを用い得る。得られる組の所望の大きさは、当然、この方法の実行者のその後の意図に依存する。
いったん一組のペプチドが同定されると、これらのペプチドは、任意で活性についてスクリーニングされ得る。かかるスクリーニングの選択は、実行者の自由裁量であり、本発明の範囲外である。しかしながら、好ましいスクリーニングとしては、自己反応性T細胞の増殖を誘導する、またはこれらのT細胞からのリンホカイン(サイトカイン)の分泌を誘導する、または他のエフェクター機能、細胞傷害性を誘導する能力に関するインビトロ試験が挙げられる。ある状況では、ヒトインビボ試験が適切であり得、他の状況では、ヒト疾患の動物モデルが利用可能であり得る。
2. ヒト自己免疫疾患に関与する外来エピトープの同定
背景技術の項で言及したように、疫学的証拠は、種々の細菌系およびウイルス系病原体がヒト自己免疫疾患に関与し得、分子模倣(mimicry)の概念が文献で普及していることを示唆する(Oldstone, 1990に概説)。しかしながら、ヒト自己免疫疾患に関与する特定の外来エピトープを同定する以前の試みは、既知のヒトエピトープとの直接的配列類似性に依存していた。結果は、期待はずれであり、これまでに、ヒト自己免疫疾患の主な原因であることが示された病原体または病原体由来のペプチドはない。
したがって、本発明の別の局面において、ヒト自己免疫疾患に関与する外来エピトープの同定方法が提供される。すなわち、初めて、ヒト自己免疫疾患の病因に関与している最も高い可能性を有する外来ペプチドを同定するための配列モチーフを用いる、かかる外来エピトープの同定方法が提供される。
該方法は、特定のMHCタンパク質との関与が知られており、(1)配列モチーフが従来技術法によって明らかにされたか、または(2)配列モチーフが本発明の方法によって明らかにされ得るかのいずれかである自己免疫疾患のいずれにも適用され得る。自己エピトープが知られているか、または疑われる場合、TCR接触残基は、モチーフ内に含まれ得る。既に述べたように、コンセンサスモチーフを明らかにするために1種以上のモチーフが使用され得、異なる由来のモチーフを組合せ得る。
このようにして明らかにされた配列の1つのモチーフまたは複数のモチーフは、次いで、ヒト病原体由来の適切な組のペプチド配列と比較され得る。これは、当業者に広く入手可能な遺伝子データベースを用いて最も簡便になされ得る。最も好ましい態様では、検索プールは、以下の様式: (1)ヒト細菌系またはウイルス系病原体由来の配列のみが含まれる; (2)正常なヒト腸内細菌叢(例えば、大腸菌または他の腸内細菌科)由来の配列が排除される;および(3) 病原体由来の配列が、病原体の地理学的または疫学的発生が、問題の自己免疫疾患の発症と正/負に相関するか否かに応じて含まれる/排除される、の1種以上に限定される。
この方法は、モチーフが適合し、ヒト疾患にもっとも関与していそうな一組の外来ペプチドを同定するために使用され得る。既に述べたように、組内のペプチドの数は、より多く、またはより少ない制限的モチーフを用いることにより、および/または検索プールを変えることにより変更し得る。そして、既に述べたように、得られる組のペプチドを、続いて、活性に関する多様な既知のスクリーニングのいずれかに供し得る。
3. 本発明の方法によって同定された自己および外来エピトープ
以下の実施例に詳述するように、本発明の方法を、尋常性天疱瘡に関与するデスモグレイン3タンパク質の自己エピトープを同定するために用いた。
各ペプチドは、一部、用いたコンピュータデータベースサーチプログラム(Genetics Computer Groupプログラム「Findpatterns」)の結果として15残基長であるが、MHCクラスII分子の裂溝の大きさにも相当する。各々の5番目の位置は、抗原のP1残基に対応する。したがって、MHCクラスII結合裂溝の範囲にまたがるP2〜P11残基は、これらの配列の3番目〜15番目の残基に対応する。MHCおよびTCR結合に重要なP1〜P9残基は、4番目〜13番目の位置に対応する。MHCおよびTCR結合に最も重要な残基であるP1〜P6は、これらの配列の4番目〜10番目の位置に対応する。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するDsg3ペプチドは、ヒトデスモグレイン3タンパク質の残基186〜204に対応する。このペプチドは、尋常性天疱瘡において自己エピトープとして関与している。
これらのタンパク質の各々は、多様な有用性を有し、したがって、別の局面では、本発明は、単離された形態のこれらのペプチドの各々を提供する。配列表および表に示した配列に加え、本発明はまた、MHC結合ドメインに対応するこれらのペプチドの断片も包含する。しかしながら、当業者に自明のように、少なくともP1およびP4または少なくともP1およびP6または少なくともP4およびP6残基を含むこのペプチドのいずれかの任意の断片が有用性を有し得、特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれることを意図する。特に、これらのペプチドを含むより長いペプチドまたは少なくとも前記のMHC結合性でTCR接触残基を含むペプチドは、均等物であると考える。
これらのペプチドの作製の様式は重要でないが、これらは、その天然供給源から単離、精製されてもよく、合成されてもよい。これらが相対的に短鎖であることから、合成によって作製されるべきであることが、目下、考慮される。かかるペプチドの単離、精製および合成の方法は当該技術分野でよく知られており、本明細書で述べる必要はない。
インビトロアッセイに本発明のペプチドを用いて、尋常性天疱瘡の診断および分類を補助し得る。例えば、PVを有する患者由来の自己反応性T細胞を、下記実施例のように、または他の公知のアッセイにより、これらのペプチドとの反応性について試験し得る。天疱瘡の場合に、これらのペプチドがT細胞の増殖を生じるかまたは生じない能力により、特定のデスモグレイン3エピトープを用いた診断の改善を可能にする。自己抗原性の反応を誘導しないように注意を払うべきではあるが、疾患の開始以前のこれらのペプチドに対する免疫反応は罹病性または素因の指標としても用い得る。
F. 本発明で同定されたペプチドを用いた産物および方法
本発明はまた、本発明の方法で同定され得る他のペプチドを用いた産物および方法も提供する。上記のものと同様に、これらのペプチドを以下の態様のそれぞれに用い得る。
これらのペプチドで免疫した動物(例えば、マウス、ウサギ、人ではない霊長類)による動物モデルの開発に、本発明のペプチドを用い得る。該ペプチドに対する反応を発生させたのみならず、ヒトの病状に相当する自己免疫疾患も発生させる動物は、ヒトの疾患に対するモデルとして明らかな有用性を有する。自己免疫疾患に相当するいかなるものも発生させることなく、該ペプチドに対する反応を発生させる動物は、T細胞の選択的な減少、または脱感作もしくは耐性化の別の形態を含む実験のための被験体としての有用性を有する。
重要なことに、これらのペプチドおよびこれらのペプチドのアミノ酸類似体は、治療剤および診断剤として有用性を有する。これらが由来する病原体、ウイルスまたは細菌はワクチン剤(vaccinating agent)としての有用性を有する。これらの物質の有用性のいくつかの例としては、以下のものが挙げられる。
大用量耐性(high dose tolerance)を生み出すためにペプチドを大用量で投与し得る。耐性化のこの過程は、例えばPCT特許出願PCT/US93/08456(国際公開公報WO94/06828)に記載される。従って態様の一組において、本発明は個体を自己抗原に対して耐性化することに使用するための医薬製剤を提供する。製剤としては、薬学的に許容され得る担体、およびヒト自己免疫疾患に関連のあるHLA-DRタンパク質の配列モチーフに対応するアミノ酸配列を含む単離されたヒトポリペプチドが挙げられる。これらのポリペプチドは、HLA-DRタンパク質に結合して、自己免疫疾患を有する被験体の自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成し得る。本明細書中に開示されるかまたは本発明の方法により同定されるペプチドを用いることで、かかる医薬が自己免疫反応に対抗するために用いられ得る。ヒト自己免疫疾患に対するかかる耐性化の使用は、当該分野に公知であり、ここで詳しく述べる必要はない。耐性化する量の慢性関節リウマチについてのコラーゲン、および多発性硬化症についてのミエリン塩基性タンパク質が用いられている。従って、本発明は特にこれらのタンパク質を含まない。しかしながら、他のペプチドが本方法により現在同定され得、自己免疫疾患の処置に同様に用いられ得る。
具体的な態様において、かかる医薬製剤が、HLA-DRタンパク質がHLA-DR4タンパク質であり、自己免疫疾患が尋常性天疱瘡である態様に提供される。さらに、Dsg3モチーフ#1またはモチーフ#2を用いて、このモチーフを含むペプチドを有する医薬を提供する。最も好ましい態様において、医薬は配列番号1のポリペプチドを含む。従って、尋常性天疱瘡自己抗原について個体を耐性化する方法も提供される。
態様の同様の組において、本発明は、ヒト自己免疫疾患に関係するヒト病原体の抗原についての個体の耐性化に用いる医薬製剤を提供する。製剤としては、薬学的に許容され得る担体、およびヒト自己免疫疾患に関連のあるHLA-DRタンパク質の配列モチーフに対応するアミノ酸配列を含む単離されたヒト病原体ポリペプチドが挙げられる。これらのポリペプチドは、HLA-DRタンパク質に結合して、自己免疫疾患を有する被験体の自己反応性T細胞を活性化する複合体を形成し得る。従って、これらの抗原について固体を耐性化することで、自己抗原に交差反応性を有するT細胞は感受性が鈍くなるかまたはアネルギー化され、疾患からの防御が与えられる。
態様の別の組において、自己免疫疾患の病因に関係するヒト病原体の予防接種のための医薬が提供される。これらの医薬製剤としては、薬学的に許容され得る担体およびヒト病原体を免疫するのに効果的な免疫原製剤が挙げられる。ヒト病原体は、その天然の形状中に、自己免疫疾患に関連のあるHLA-DRタンパク質の配列モチーフに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むものである。これらのポリペプチドはHLA-DRタンパク質に結合して、自己反応性となり、自己免疫疾患を開始するT細胞を活性化する複合体を形成し得る。本発明の製剤は特に、かかるポリペプチドを含まないが、むしろ該病原体由来の他の抗原を含む。すなわち、HLA-DRタンパク質および、公知であるならば、自己エピトープのTCR接触部の配列モチーフに対応するポリペプチドを具体的には含まないワクチンを生成する。病原体が幅の広い抗原性決定基を提示するために、関連のある配列モチーフに相当する抗原決定基を排除し、病原体に効果的であるが、自己免疫反応に関係するペプチドは含まないワクチンを生成し得る。
本発明の配列モチーフに相当するペプチドを欠くかかるワクチンは、当業者によって任意の都合のよい様式で作られ得る。例えば、インフルエンザワクチンを生成する場合、インフルエンザウイルスのペプチド配列を本発明により明らかにされた配列モチーフと比較し得る。次いで、ワクチンはモチーフ配列を有するタンパク質を除外するように作られる(例えば、ウイルスのフラグメントを用いて)か、または組換え技術を用いてモチーフに相当する配列をモチーフに適合しないように改変したウイルスを産生し得る。好ましい態様において、改変した残基はTCR接触残基であり、特にTCR接触残基の電荷を変化させる置換が好ましい。例えばヒト自己免疫疾患に関連するモチーフを欠く細菌の一部(例えば、細菌の表面タンパク質または膜関連タンパク質)のみを用いてか、または残基を変化させるためにワクチン細菌を再び遺伝的に変化させることによって、細菌性の病原体について同様のワクチンを開発し得る。
かかるワクチンの作製において考慮に入れられる該モチーフは、任意のいくつかの理由で選択され得る。ワクチンが向けられる病原体が自己免疫疾患に関連する場合、本明細書に記載される方法によって該疾患に関連するHLA-DRタンパク質についてのモチーフが明らかにされ得る。また、公知であるかまたは予期される自己抗原が存在する場合、モチーフは自己エピトープのTCR接触残基を含み得る。次いで病原体のタンパク質補体(complements)は、モチーフと比較され得、モチーフに相当するペプチドはワクチンから除外され得るか、またはかかるペプチドを有さないワクチンを作成するために組換え手法により変化され得る。あるいは、ワクチンは関心の特定の集団について開発され得る。特定の自己免疫疾患に苦しむかまたはそれを発症するリスクを有する個体に対して特別なワクチンを開発し得る。この場合、モチーフは再び、自己免疫疾患に関連するHLA-DRタンパク質、および公知の場合、自己エピトープのTCR接触残基に基づいて選択される。
特定の態様において、かかるワクチン製剤は、HLA-DRタンパク質がHLA-DR4タンパク質であり、自己免疫疾患が尋常性天疱瘡である場合に提供される。および、特にワクチンが本明細書中に開示されるDsg3モチーフ#1またはモチーフ#2に相当するペプチドを欠いて提供される。ワクチンの具体的な態様としては、配列番号:1として開示されるペプチドの少なくとも一つを欠くワクチンが挙げられる。従って、尋常性天疱瘡を生じ得る病原体について個体を免疫する方法も提供される。
また、これらのペプチドは、特定の患者に重要である一つの病原体(または複数)の評価に有用である。たとえば、ある患者由来のT細胞が一つまたはいくつかのこれらのペプチドに反応して増殖し得るが、別の患者由来のT細胞は、異なるペプチドまたはペプチドの組に反応して増殖し得る。T細胞受容体接触残基の一つを置換して、ペプチドの類似体を合成し得る。しかしながらかかる類似体は、Ala等の特定のアミノ酸による置換のこれら主要なT細胞受容体接触残基の置換に限定されない。これらのペプチド類似体を用いて、自己免疫患者への投与において自己反応性T細胞(例えば、Sloan-Lancasterら, 1993および1994参照)をアネルギーに(不活性化)し得る。ウイルスまたは細菌性病原体は、模倣エピトープを有さないウイルス性または細菌性系統の選択による予防接種に有用であり得る。模倣エピトープを有する病原体以外のかかる病原体由来のタンパク質も予防接種のために選択され得る。この治療は、再感染の予防およびそれにより疾患の鎮静、または特に感染しやすい集団(最も明白な例は疾患を有さない一卵性双生児の患者である)における初期感染の予防に有用であり得る。
(実施例)
実施例1:尋常性天疱瘡の自己エピトープの同定
上述のように、尋常性天疱瘡(PV)は種々の民族集団においてDR4対立遺伝子(DRB1*0402)または希少なDQ1対立遺伝子(DQBl*05032)のいずれかに関連があり、PV患者の小部分だけはいずれの罹患性遺伝子も含まない(Ahmedら, 1991; Ahmedら, 1990; Scharfら, 1988)。PV関連分子は、重要な位置β71に負の電荷(Glu)を有し、隣接する位置(β70)もまた負に帯電している。PVに関連するDR4サブタイプはDRβ71で負の電荷を有するもののみである(正の電荷(Arg)はRA関連DR4分子のDRβ71に見られる)。多型にかかわらず、P7ポケット残基DRβ67(Leu/Ile)はペプチド結合には関係しないようであるが、おそらくはTCR接触残基として作用する(Sternら, 1994)。
DRβ71における多型残基の電荷は、従って、構造的に同様であるDR4サブタイプに関連する二つの異なる自己免疫症候群についての罹患性を説明し得る:慢性関節リウマチについての罹患性に関係のあるDR4対立遺伝子はDRβ71(Arg)で正の電荷を有するが、尋常性天疱瘡に関連するDR4対立遺伝子はDRβ71(Glu)で負の電荷を有する。従ってどちらの(either)DR4分子についても選択的なペプチドがP4でのその電荷において有意に異なり得る:P4で負の電荷を有するペプチドは、天疱瘡関連DR4分子ではなくRA関連分子に結合するように思われ、対照的に、位置4での正の電荷は一つの天疱瘡ペプチド(または複数)に対してであると思われる。これらの分子の保存された性質のために、他のペプチドアンカー残基(P1およびP6)は、これらのDR4サブタイプについて異なるとは予想されない。
HLA-DR DRB1*0402タンパク質に対する選択的な結合についての配列モチーフは、本明細書中に開示される方法により明らかにされた。
この対立遺伝子についてのP1ポケットの形成に関係するβ鎖残基はβ85(Val)、β86(Val)、β89(Phe)およびβ90(Thr)である。従って、β86におけるVal(DRB1*0101におけるようなGlyの代わりの)の存在により、モチーフのP1位置はV、L、I、MおよびFに限定されることが示唆される。また、アラニンも含まれ得るが、この実施例にはなかった。P6ポケットは、DRB1*0402タンパク質のβ11(Val)およびβ13(His)により部分的に形成される。DRB1*0101対立遺伝子と比較して、そこでこれらの残基がLeuおよびPheそれぞれである場合、DRB1*0402タンパク質のP6ポケットはややより大きく、より極性が大きい。従って、モチーフのP6位置について、S、T、NおよびVが許容された。最終的に、このDRタンパク質のP4ポケットは残基β13(His)、β70(Asp)、β71(Glu)、β74(Ala)およびβ78(Tyr)により部分的に形成される。上述のように、β70およびβ71のような二つの負の電荷を有する残基は正の電荷を有する抗原残基についての選好性を作り、それによりP4位置のモチーフは、KおよびRに限定された。
従って、尋常性天疱瘡の自己抗原の配列モチーフは:

として定められた。
尋常性天疱瘡についての自己抗原は公知であるにもかかわらず、自己抗原内の正確なエピトープは以前から未知である。しかしながら、本発明の方法を用いて、自己抗原性決定基としてはたらき得る小さなペプチドの組を同定することは可能である。尋常性天疱瘡の標的抗原はカドヘリンファミリーの上皮性接着分子、デスモグレイン3(Amagaiら, 1991)である。デスモグレイン3はケラチノサイト間のCa++依存性接着を媒介し、自己抗体は細胞接着を阻害し、水疱形成を生じる(Takeichi, 1990)。母性免疫グロブリンの胎児への転移のために一過的な水疱を生じる疾患も、罹患した母親の新生児に見られるので、自己抗体は病原性を有すると考えられる。血清またはデスモグレイン3特異的抗体のマウスへの移入によっても棘細胞離開が生じる(Amagaiら, 1992)。
HLA-DRタンパク質に関係する本発明のモチーフは、さらに一段階進められ得る。異なる民族集団において、DQβ鎖の位置57のみで、PVは一般的なDQ1サブタイプとは異なる希少なDQ1サブタイプ(DQB1*05032)に関連する(Sinhaら, 1988)。該PV関連分子においてDQβ57は負の電荷(Asp)を有するが、一般的なDQ1サブタイプにおいては有さない。DQβ鎖上の同一の位置はまた、糖尿病の罹患性に関係がある。しかしながら、糖尿病において逆のことが真実である:糖尿病の罹患性に関連があるDQ2およびDQ8分子はDQβ57において負の電荷を有さない(Toddら, 1987)。
これらの観察に基づいて、MHCクラスIIβ鎖における二つの多型の位置(DRβの位置71およびDQβの位置57)が選択的なペプチド結合および自己免疫の発生に重要であることが明らかとなる。上述の基準に基づいて、かかるペプチドがDQβ57では同じ電荷を有さないDQ分子と結合するだけなので、糖尿病関連ペプチドはP9で負の電荷を有すると予想される。対照的に、DQ1に関連のある天疱瘡の場合について、P9で正の電荷を有するペプチドは、DQβ57で負の電荷を有する疾患関連分子に関して選択的であり得る。DR4関連自己免疫の場合、ペプチド位置4での電荷は疾患関連DR4分子に選択性を与える:RAペプチドはP4で負の電荷を有し、PVペプチドはP4で正の電荷を有する。従って、選択的ペプチド結合のモチーフは、ヒト自己免疫疾患を開始させる重要なエピトープの同定にはなはだしく有用であると判明し得る。ペプチド結合に重要な残基が罹患性に関連がある場合、このアプローチはPV、RAまたは糖尿病のペプチドの同定のみでなく、他の自己免疫疾患においても有用であると思われる。
IV. 均等物
当業者は、常套的な実験のみを用いて本明細書に記載される本発明の具体的な態様についての多くの均等物を理解し、または確認し得る。かかる均等物が以下の特許請求の範囲に包含されよう。
本明細書に引用される全ての参考文献および刊行物が、これによってそのすべてにおいて参照により援用される。
以下の実施例は本発明の特定の態様をさらに例示することを意図し、本発明の範囲が限定されることを意図しない。
実施例I
配列番号:1のペプチドのセグメント1の調製
セグメント1、Ac-Glu(OtBu)-Pro-Asn(Trt)-His(Trt)-Leu-Asn(Trt)-Ser(tBu)- Lys(Boc)-Ile- Ala-OH、(アミノ酸1〜10)は、Fmoc-方法を用いた固相ペプチド合成(SPPS)アプローチにより調製される。SPPSは、適切な側鎖保護を有するFmoc-アミノ酸誘導体の不溶性のポリマー支持体への連続的な添加に基づく。基底不安定(base labile)Fmoc基をN-α-保護に用いる。セグメント1の合成に用いたポリマー支持体は超酸不安定性HMPB樹脂であり、それはカルボキシ基を介して樹脂にカップリングしたFmoc-Alaにより調製される。ピペリジンによるFmoc基の除去の後、カップリング試薬として2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を用いて次のFmoc-アミノ酸を添加する。インプロセス制御(in-process control)トリニトロベンゼンスルホン酸試験(TNBS)により反応を観察する。Fmoc-アミノ酸のカップリングが完了する際に、過剰のアミノ酸誘導体およびカップリング試薬を濾過により除去する。最終的に、N-メチルピロリドン(methypyrrolidone)(NMP)および2-プロパノールを用いて樹脂を完全に洗浄する。それぞれの所望のアミノ酸誘導体がカップリングするまで、この過程を連続して繰り返す。最終的に、無水酢酸およびピリジンを用いてペプチドをアセチル化する。得られたペプチドを希釈トリフルオロ酢酸(TFA)で樹脂から分離し、粗製のセグメント1を生成する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製の後、セグメント1を純度について評価する。
実施例II
配列番号:1のペプチドのセグメント2の調製
セグメント2、H-Phe-Lys(Boc)-Ile-Val-Ser(tBu)-Gln(Trt)-Glu(tBu)-Pro-Ala- OtBu、(アミノ酸11〜19)は、Fmoc-方法を用いた固相ペプチド合成(SPPS)アプローチにより調製される。SPPSは、適切な側鎖保護を有するFmoc-アミノ酸誘導体の不溶性のポリマー支持体への連続的な添加に基づく。基底不安定Fmoc基をN-α-保護に用いる。セグメント2の合成に用いたポリマー支持体は超酸不安定性HMPB樹脂であり、それはカルボキシ基を介して樹脂にカップリングしたFmoc-Alaにより調製される。ピペリジンによるFmoc基の除去の後、カップリング試薬としてTBTUを用いて次のFmoc-アミノ酸を添加する。インプロセス制御TNBS試験により反応を観察する。Fmoc-アミノ酸のカップリングが完了する際に、過剰のアミノ酸誘導体およびカップリング試薬を濾過により除去する。最終的に、NMPおよび2-プロパノールを用いて樹脂を完全に洗浄する。それぞれの所望のアミノ酸誘導体がカップリングするまで、この工程を連続して繰り返す。得られたペプチドを希釈TFAで樹脂から分離し、保護されたFmoc-11〜19-)Hフラグメントを生成する。このペプチドをt-ブチル-2,2,2-トリクロロアセトイミダート(trichloracetimidate)(TBTA)で処理して、t-ブチル-エステル(-OtBu)としてC末端カルボキシ基を保護する。次いで、エステル化されたペプチドをジクロロメタン/メタノールからの結晶化により精製する。フラッシュクロマトグラフィーおよび乾燥による精製の後、Fmoc保護基を分離する。アミノ-脱保護化ペプチドを水で結晶化し、d-イソプロピルエーテルで再結晶化し、乾燥してセグメント2を生成する。セグメント2を純度について評価する。
実施例III
セグメント1およびセグメント2由来のPI-0824酢酸塩の製造
セグメント1および2由来の薬物PI-0824酢酸塩の製造には三つの基本的な工程がある。これらの工程は、(1)二つのセグメントのカップリング、(2)脱保護および精製、ならびに(3)酢酸塩の生成のためのイオン交換クロマトグラフィー、その後最終ペプチドの濾過および乾燥である。これらの工程は以下に要約される。
1. Ac-1-19-OtBuを生成するための二つのセグメントのカップリング
カップリング試薬として1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)および1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)を用いて、二つのセグメントをN-メチルピロリドン(NMP)溶液中でカップリングさせる。反応の完結を、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いた観察により調整する。攪拌しながら水に添加して生成ペプチドを沈殿させる。沈殿物を濾過し、水およびアセトニトリルで洗浄し、乾燥する。HPLCで純度を確認する。
2. 脱保護および精製
TFA/H2Oで保護基を除去する。ジイソプロピルエーテル中での沈殿の後、ペプチドを濾過して、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、乾燥して粗製のペプチドx2TFAとする。
粗製のペプチドx2TFAを分取HPLCにより所望の純度にする。インプロセス制御におけるように、HPLCで画分を純度について確認し、溜めて凍結乾燥し、精製ペプチドTFA塩を得る。凍結乾燥された精製ペプチドTFA塩を純度についてHPLCで確認する。
3. ペプチド酢酸塩
OHの形態の強塩基性イオン交換樹脂(Merckイオン交換体III)を用いた酢酸塩によるトリフルオロアセテート対イオンの置換の後、ペプチドを濾過し(0.2μm)、クリーンルーム環境下で凍結乾燥する。最終薬物、ペプチド酢酸塩を梱包して、品質管理による放出試験(release tested)を行なう。
実施例IV
本発明のペプチドはヒトデスモグレイン3分子の一部(残基186〜204)である。ペプチドのN末端をアセチル化してペプチドを酢酸塩として単離する。ペプチド酢酸塩の分子量は2,163ダルトンである。
10および9個のアミノ酸の二つのペプチドフラグメント(セグメント1およびセグメント2)の液相カップリングによりペプチドを調製する。9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)方法を用いて標準Merrifield固相ペプチド合成法により、これらのフラグメントを合成する。二つのフラグメントのカップリングおよび脱保護の後、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により粗製のペプチドを精製する。放出試験には外観、同一性、ペプチド含量および純度、溶解度、酢酸含量、含水率、残余有機溶媒、ならびにトリフルオロ酢酸含量が含まれる。
3%マンニトールおよび20mMクエン酸ナトリウム/クエン酸の添加により、0.5%の総ペプチド含量を有する溶液を得るように、薬物産物を製剤化する。製剤化されたペプチドを濾過滅菌し、無菌的に充填して凍結乾燥する。各バイアルに50mgのペプチド酢酸塩が含まれる。凍結乾燥された産物を、水または5%デキストロースおよび/または(and or)0.01〜5%界面活性剤で復元し、注入のために最終ペプチド濃度5mg/mL、pH6.3±0.5とする。患者に投与するための組成物の分析には、復元の前後の外観、含水率、酸素ヘッドスペース(oxygen headspace)、ペプチド含量および純度、浸透圧重量モル濃度、pH、バクテリア内毒素ならびに滅菌度が含まれる。
実施例V
本発明の好ましい態様は、増加された安定性を有するポリペプチドの製剤である。安定性のデータは2〜8℃(表1)および30℃(表2)で報告される。
実施例VI
本発明のポリペプチドは好ましい態様を含む。ある態様において、該組成物は薬学的に許容され得るポリペプチドの塩をさらに含む。より好ましくは、薬学的に許容され得る塩は酢酸塩である。さらなる態様において、組成物は、デキストロースまたはマンニトール等の糖をさらに含む。さらなる態様において、組成物はクエン酸ナトリウム無水物、またはクエン酸一水和物等の緩衝液をさらに含む。さらなる態様において、組成物は、マンニトール等の安定化剤および/または膨張剤をさらに含む。
ある態様において、組成物は配列番号:1の凍結乾燥されたポリペプチドを含む。ある態様において、凍結乾燥されたポリペプチドは15分より短い復元時間を有し、より好ましくは、復元時間は10分より短く、より好ましくは、復元時間は5分より短く、かつさらに好ましくは復元時間は3分より短い。
ある態様において、ペプチドの純度は90%よりも高く、より好ましくは、純度は93%よりも高く、より好ましくは、純度は95%よりも高く、かつより好ましくは、純度は96%よりも高い。
ある態様において、組成物は約5EU/mLよりも低い細菌性内毒素汚染を有し、より好ましくは、細菌性内毒素汚染は約3EU/mLよりも低く、より好ましくは、細菌性内毒素汚染は約2EU/mLよりも低く、かつより好ましくは、細菌性内毒素汚染は約1.25EU/mLよりも低い。
より好ましくは、本発明の組成物は表3に示されるような配合を有する。





Claims (13)

  1. 配列番号:1により表されるアミノ酸配列から本質的になる単離されたポリペプチド。
  2. 薬学的に許容され得る担体、および請求項1記載のポリペプチドを含む、組成物。
  3. 該ポリペプチドの薬学的に許容され得る塩を含む、請求項2記載の組成物。
  4. 薬学的に許容され得る塩が酢酸塩である、請求項3記載の組成物。
  5. 糖、および界面活性剤からなる群より選択される薬学的に許容され得る添加物をさらに含む、請求項2記載の組成物。
  6. 緩衝剤および充填剤をさらに含む、請求項2記載の組成物。
  7. 糖がデキストロースまたはマンニトールである、請求項5記載の組成物。
  8. 約5%のデキストロースとの投与のために製剤化される、請求項7記載の組成物。
  9. 界面活性剤がポリソルベート20およびポリソルベート80からなる群より選択される、請求項5記載の組成物。
  10. 約0.01%〜約5%の界面活性剤とともに製剤化される、請求項9記載の組成物。
  11. 免疫原性組成物である、請求項2〜10いずれか記載の組成物。
  12. そのN末端にアセチルキャップ(cap)、そのC末端にアミドキャップ、または双方を有する、請求項1記載の単離されたポリペプチド。
  13. ポリペプチドがそのN末端にアセチルキャップ、そのC末端にアミドキャップ、または双方を有する、請求項2記載の組成物。
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