JP2007528173A - 光変調変換器及び光変調変換法 - Google Patents

光変調変換器及び光変調変換法 Download PDF

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Abstract

光入力信号の変調形式を変換するための光変調変換器(10)であって、偏波保持ファイバーなどの、複屈折媒質(14)を備え、複屈折媒質は、2つの対称となる主軸の間であらかじめ選択された差分群遅延を有し、複屈折媒質へ入力された光入力信号は2つの光成分に分離され、それぞれが複屈折媒質の主軸の1つに沿って異なる群速度をもって伝播し、それによって光入力信号の変調形式が変換されることを特徴とする。光入力信号のビット速度に基づいて、複屈折媒質によって与えられる差分群遅延を適当に選択し、複屈折媒質の主軸に対して光入力信号を適切に印加することにより、変調形式間の変換が達成できる。これらの変換は光DPSK(差動位相シフト・キーイング)からPOLSK(偏波シフト・キーイング)への直接変換、PLOSKへの変換を介したDPSKからIM(強度変調)への変換、POLSKからIMDD(強度変調直接検波)への変換、およびIMからPOLSKへの変換を含んでいる。

Description

本発明は光変調変換器と光信号の変調形式を変換する方法に関するものである。本発明はまた上記の変調変換器を用いる受信器と変調された光信号を受信し検出する方法に関する。
現在の光伝送システムでは、通信トラフィックは光搬送波(光キャリア)によって運ばれ、その光強度は通信トラフィックに応じて変調される。すなわち光キャリアは振幅変調(AM)されている。光キャリアを変調するために用いられる通信トラフィックは、時にはリターン・ツー・ゼロ(RZ)形式であることもあるが、一般には非リターン・ツー・ゼロ(NRZ)形式である。
強度変調(IM)は対応する光受信器/検出器が簡単であるという理由で好まれる。光受信器/検出器は単純な振幅閾値検出器として動作する光検出器、例えばフォトダイオードに基づくものである。まも登場する40Gbit/sの光通信システムにおけるような特別な応用では、非線形伝播効果に対する大きな耐性を持ち、偏波モード分散(PMD)や波長分散(CD)に対する余裕度の大きな他の変調形式を用いることが提案されてきた。このような特性は例えば高い伝送力と中継器の不要な長い伝送区間をもった光伝送システムの新しいデザインへの道を切り開いた。
このような代替の変調形式は、通常、通信理論における特定の研究により開発されるが、実際の光通信に直接応用することは困難であるのことがしばしばである。
そのような代替変調形式の典型例は信号の光の位相を一連の差動符号化によってデジタルに変調する差動位相シフト・キーイング(DPSK)である。この場合、変調は良く知られたニオブ酸リシウム(LiNbO3)技術によって単純に実施できるが、位相変調光信号は直接的には検出できないので受信器を実現するのが難しい。
変調されたDPSK信号を検出するために、既存技術の中で、主に2つの方法が提案されている。第1はコヒーレント通信技術から直接採用された公知の仕組みに基づくものである。それは偏波状態(SOP)と信号キャリア周波数(波長)とが信号と一致する局部発信器(光システムの場合はレーザ)を必要とする[”Modulation and demodulation techniques in optical heterodyne PSK transmission”T.Chikawa et al, J.Lightwave Technol.8,3 pgs 309−322 (1990)]。この所要特性は受信器の設計を複雑で高価なものにする。第2の仕組みは時間遅延干渉計に基づくものである。干渉計(典型的にはマッハーツェンダ干渉計)はPDSK信号を強度変調(IM)信号に変換するときに用いられる光部品であり、それにより、通常のIM受信器によって受信することができるようになる。[“Return to zero modulator using a single NRZ drive signal and optical delay interferometer”P.J.Winzer and J.Leuthold,Photon. Technol. Lett.13,12 pgs 1298−1300 (2001)]。しかしながら干渉計構造は維持管理するのが難しく(雰囲気の変化の影響を感応に受けやすい。)、またバイアス安定性に強く依存する[“Principles of Optics: Electromagnetic Theory of Propagation,Interference and Diffraction of Light (7th Edition)” M Born and E Wolf (1999)]。さらに、それらはまだ市場では入手できず、研究段階のプロトタイプが知られているだけである。
本発明の一般的な目的は光信号変調形式の変換が容易にできる方法とその変調変換器を入手可能にすることによって上記課題を改善することである。例えば変調されたDPSK光信号を受信して、それを電気−光検出ができる(RZまたはNRZの)IM信号に変換することを可能とする。
本発明の第1の側面によれば、光入力信号の変調形式を変換するための変調変換器であって、選択された差分群遅延(DGD)が2つの対称となる主軸(主対称軸)間で生じる複屈折媒質を備え、複屈折媒質に入力された光入力信号が複屈折媒質を通過する際に2つの信号成分に分離され、分離されてなる各信号成分は2つの主軸の何れか1つに沿ってそれぞれ異なった群速度で伝播することを特徴とする変調変換器が提供される。
複屈折媒質の差分群遅延は光入力信号のビット速度に基づいて、複屈折媒質によって導入される差分群遅延が実質的に入力信号のビット周期と等しくなるように決定されると有利である。そのような設定により、位相変調光入力信号を対応する偏波変調出力信号へ変換することができる。
変換器は、複屈折媒質へ入力される前の光入力信号に存在するランダム偏波揺らぎを除去するように動作する偏波制御器をさらに備えるのが好適である。
製造の容易性からみて、複屈折媒質は、正しい変調変換器動作を保障するためにあらかじめ選択された差分群遅延を提供するように選定された長さを持つ偏波保持ファイバーからなるのが有利である。
入力信号が複屈折媒質に加えられる前に光アイソレータを通過させるのが有利である。光アイソレータは複屈折媒質の入力側に存在する余分な反射を低減させるので、変換器の安定性を向上させることができる。
変換されるべき光入力信号が位相変調されているときは、複屈折媒質は複屈折媒質からの光出力信号が、対応する偏波変調された光信号となるように群遅延が選択される。さらに、光入力信号が直線偏波有する位相変調された信号である場合には、光入力信号は複屈折媒質の主軸に対して45°となるように結合されると有利である(光入力信号の偏波方向が複屈性媒質における主軸に対して45°を成す)。入力信号の結合は変換器の入力側に置かれた偏波制御器を用いて達成することができる。
位相変調された光入力信号を偏波変調された光信号に変換する場合、変換器は、複屈折媒質の出力側で偏波変調された光信号を対応する強度変調された光信号に変換する偏波感応デバイスを備えた第2の変換ステージをさらに備えるのが有利である。偏波変調された光信号から強度変調された光信号への変換は偏波変調された光信号の偏波状態のうち何れか1つを選択することによって都合よく達成される。
偏波感応デバイスは偏光器、または2つの光信号成分へ分離するための偏波ビーム分岐素子であるのが好都合である。
偏波感応デバイスに加えられる前の光信号が有するランダム偏波揺らぎを除去するためには、変換器は第2の偏波制御器をさらに備えるのが有利である。
変換器は強度変調された光信号を検出するために、第2のステージの出力側に光検出器をさらに備えるのが好適である。
入力信号が位相変調されているときには、複屈折媒質の差分群遅延が入力信号のビット周期に大略等しくなるように選択され、それによって光入力信号を、対応する強度変調されたNRZ(IM−NRZ)形式の光信号に変換するのが有利である。或いは、複屈折媒質の差分群遅延が光入力信号のビット周期よりも十分に小さく選択され、それによって位相変調された光入力信号を強度変調されたRZ(IM−RZ)形式の光信号に変換するという別の方法もある。
本発明の第2の側面によれば、光信号の変調形式を光学的に変換する方法が提供される。本方法は、2つの対称となる主軸の間であらかじめ選択された差分群遅延を持った複屈折媒質を通過させて2つの光信号成分に分離し、各光信号成分を異なる群速度で複屈折媒質における何れかの主軸に沿って伝播させるステップを有することを特徴とする方法である。
変換されるべき光入力信号が位相変調されている場合、複屈折媒質の差分群遅延は、複屈折媒質から出力される光信号が、対応する偏波変調された光信号となるように選択されると有利である。
上記の方法は、偏波変調された光信号を偏波感応デバイスに印加して、それを強度変調された光信号に変換するステップをさらに備えるのが好適である。
上記の方法は、複屈折媒質の差分群遅延が、光入力信号の信号ビット周期に大略等しくなるように、ビット速度に基づいて差分群遅延を選択するステップをさらに備えるのが有利である。
本発明のさらに他の側面によれば、位相変調された光入力信号を検出するための光信号受信器であって、光信号を2つの成分に分離し、それぞれ異なる群速度で複屈折媒質の何れかの主軸に沿って伝播させることで、対応する偏波変調された光信号を取得するために、2つの対称となる主軸の間であらかじめ選択された差分群遅延をもつ複屈折媒質を備えた第1の光信号変調形式変換ステージと、偏波変調された光信号を対応する強度変調された光信号に変換するための偏波感応デバイス、および強度変調された光信号を検出するための光検出器とを備えた第2の変換ステージとを有することを特徴とする受信器が提供される。
先行技術と比べて本発明とその利点をよりよく理解するために、添付図面を参照しつつ、その可能な実施例を非制限的例示法で以下に記述する。
簡単であり柔軟性があるという利点を享受している新しい変調変換の概念を、ここで図を参照しつつ記述する。
図1において、本発明に係る光変調変換器の全体の概略を参照番号10として示す。光変調変換器10は、光入力端11で受けた光信号の変調形式を、光出力端12から出力され、異なる変調形式をもつ対応する光信号へ光変換するためのものである。変換器は、光入力端11と光出力端12の間に直列に接続された、良く知られた偏波制御器13と複屈折媒質14を備えている。複屈折媒質はあらかじめ選択された長さの偏波保持ファイバー(PMF)からなるのが好都合である。
ここで記述するように、本発明の斬新な原理に従って複屈折媒質を用いることにより、変調形式変換のために光干渉計を必要とするという条件を取り除いている。複屈折媒質は、光入力信号を2つの直交偏波成分に分離し、分離された各成分が複屈折媒質の主軸の何れか1つに沿ってそれぞれ伝播するために用いられる。2つの主軸(それぞれ高速軸、低速軸と称する。)は、それぞれ異なる位相速度を持っている。その結果、複屈折は、2つの対称となる主軸の間で差分群遅延(DGD)を導入することになり、2つの成分は媒質中を別々の群速度と位相速度を持って伝播することとなる。それ故に、複屈折媒質の入力端で光信号が明確な偏波状態(例えば直線偏波)を有し、かつ、偏波方向が、媒質の主軸に対して適当な角度(例えば45°)で結合した場合には、両方の信号成分は同じパワーを持つことになる。図1に示された実施例では、偏波制御器を用いることによって光入力信号が媒質の主軸に対して既知の偏波状態で複屈折媒質に入力することを保障している。複屈折媒質を伝播した後、2つの成分は出力端でかなりの相対遅延および光位相差(ともに媒質の複屈折によるものである)をもって出射する。これらの信号成分は複屈折媒質の後端で結合される。最終的な出力光信号は入力信号と、媒質によって導入された遅延と光位相差に複雑に依存する。以下に説明されるように、第1の変調形式を持った光信号が複屈折媒質を通過することにより、別の変調形式への変換を行う少なくとも第1ステージが実現される。
複屈折媒質の入力側での一般的な信号は次のように表すことができる。
Figure 2007528173
ここで、xとyは複屈折媒質の2つの直交する偏波方向を示し、Φ(t)は位相変調,Tbitは入力信号のビット周期(時間)であり、Eo,xとEo,yは信号の偏波状態(SOP)を決定する複素振幅である(例えば、ともに実数の場合には光は直線偏波となる。)。もしα=π/2で光が直線偏波の場合はEo,x=Eo,yである。
複屈折媒質を伝播した後の電界は式(1)となる。
Figure 2007528173
ここでTは平均群遅延であり、ΔTとΨはそれぞれ差分群遅延と位相遅延である。
変換器は、既知で固定の偏波状態(SOP)を持つ光入力信号が必要である。入力信号の中のランダム偏波揺らぎは、通常、光ファイバーを伝送中に導入されるが、そのランダム偏波揺らぎをキャンセル(除去する)ために、偏波制御器13(適当なソフトウェアやハードウェア制御器によって実現可能)が変調変換器の入力側に備えられる。偏波制御器は当業者には良く知られているので、これ以上は記述も表示も省略する。
偏波制御器に加えて、複屈折媒質の入力端に存在するであろう余分な反射を低減するために、光アイソレータが変換器の入力側に備えられると有利である。光アイソレータを用いると、以下に説明するように、変換器の安定性が改善できる。
複屈折媒質がどのようにして光信号の変調形式を変換するために用いることができるかを示す原理を、対応するPOLSK信号へDPSK信号を変換する場合を参照して、ここでさらに説明する。図2を参照すると、これはDPSK(差動位相シフト・キーイング)信号が複屈折媒質(特にPMFファイバー)に沿って進む様子を模式的に示している。ファイバーの左端にはファイバーへの光入力信号を模式的に示し、一方、出力端で得られる結果は右側に模式的に示される。
この例で、入力信号は、直線偏波状態を持ち、10Gbit/sでDPSK変調されている。入力信号は、複屈折媒質の主軸xとyに対してα=45°で結合している。入力信号の位相変調は次式で与えられる。
Figure 2007528173
このようなDPSK信号が複屈折媒質の入力として印加され、差分群遅延ΔTが入力信号のビット周期Tbitと同程度であるとすると、媒質からの出力は偏波変調された光信号となる。その変調に使用される信号は元の信号であり、また差動復号される。
出力信号の2つの偏波状態はDPSKの位相と複屈折媒質の特性に依存することは理解できよう。これは複屈折媒質によって導入される光位相遅延、シフト、Ψがπであり、差分群遅延ΔTがビット周期Tbitに実質的に等しい場合には出力信号において2つの直交偏波が形成され、すなわち2値POLSK(偏波シフト・キーイング)となるということを意味する。さらに、このPOLSK信号はその後、第2の変換ステージを用いて、対応する強度変調(IM)信号に変換でき、その後、閾値検出器として動作する光検出器(フォトダイオード)を用いてIM信号は容易に検出できる。
第2の変換ステージ(POLSKからIMへ)は、例えば、偏光子や偏波分岐器のような偏波感応デバイス(PSD)を備えていて、それによって2つの偏波状態のうちの1つだけを選んで、対応するIM信号を生成する。POLSK信号の偏波状態(SOP)をPSDの軸に一致させるためには複屈折媒質とPSDの間に偏波制御器をさらに設けるのが有利である。このように、位相変調(DPSKまたはPSK)された光信号に対する受信器を実現することが望まれる場合には、PSK光信号をまず複屈折媒質を用いてPOLSK信号に変換して、次にIM信号に変換して、それを適当な通過帯域を備えた通常のフォトダイオードによって検出すればよい。
本発明の変調変換器は差動またはコヒーレント受信器系を必要とすることはなくなり、容易に入手可能な光部品を用いて実現することができる。
複屈折媒質は入力信号のビット速度に基づいて、媒質によって導入された差分群遅延ΔTが、入力信号のビット周期(時間)Tbitと同程度か、または実質的に等しいように選択される(Tbit=1/ビット速度)。例えばビット速度10Gbit/sの入力信号に対してはビット周期Tbit=100psであり、線遅延0.2ps/mを持つ複屈折媒質として偏波保持ファイバー(PMF)を用いる場合には2つの成分はPMFを50メートル伝播した後で1ビット周期分だけ遅れることになる。
例えば式(1)から出発して位相変調(DPSK)信号が偏波変調(POLSK)信号に変換できることを示すことができる。DPSK位相シフトが正確にπであり、ΔT=Tbitの場合は2つの直交するSOP信号が生成される。出力は式(E)で与えられる。
Figure 2007528173
見て判るように、もしΔT=Tbitならば、出力SOPは式(G)で与えられる2つの連続するビット間の位相シフトで決まる。
Figure 2007528173
それ故、差動光復号が達成される。これら2つの可能な出力SOPはΦ(t´−ΔT)−Φ(t´)に依存するが、複屈折媒質の軸(この例では軸からそれぞれ±45°傾いている。)とは一致してはいない。このようにしてDPSKからPOLSKへの変換が得られる。
このことは図3においてさらに明らかとなる。図3では、図の上部は複屈折媒質の2つの軸上で比較した信号の位相を示し、図の下部は複屈折媒質の出力端でのJonesベクトルを示す。DPSK信号がPOLSK信号に変換されるのは複屈折媒質によるDPSK信号の分岐と遅延によるものであることが明らかである。図3に例として考えた2値ビット列は周期信号00110011であり、線形差分遅延はビット周期Tbit(100ps)に正確に等しく設定されている。
当然のことであるが、光部品の相反性により複屈折媒質(PMF)は逆に変換、すなわちPOLSK信号をDPSK信号へ変換するために用いることができる。
変調形式をDPSKからIM(または振幅シフト・キーイングASK)に変換するためには、まず、上記のPOLSKへの変換を用いて、その後、偏波選択デバイス(PSD)を用いて出力偏波状態の中から1つだけを選び、IM信号を得ればよい。DPSK変調入力信号を、対応するIM出力信号に変換するための変換器/受信器を具体的に実現する方法を図4に示す。変換器/受信器10は、光入力11と出力12の間に直列接続された、第1の光アイソレータ15、第1の偏波制御器14、選択された長さを持つ偏波保持ファイバー(複屈折媒質)14、第2の光アイソレータ16、光分岐器17、第2の偏波制御器18、偏波ビーム分岐素子(PBS)19(偏波感応デバイス)、及びIM信号を検出するための光検出器21を備えている。第2の光検出器20は、光分岐器17の第2の出力に接続されていて、POLSKに変換された信号をモニターするために用いられる。DPSK入力信号は前記したように浮遊反射を回避し安定性を増大させるために光アイソレータ15を通して偏波制御器13に加えられる。第1の偏波制御器13は入力信号の偏波状態が複屈折媒質の主軸と略一致するのを確実にするために配置され、DPSK入力信号が対応するPOLSKに正しく変換されるのを保障している。第2の光アイソレータ16は浮遊反射の影響を低減するために備えられている。複屈折媒質14と偏波選択デバイス19の間に設けられる第2の偏波制御器デバイス18はPOLSK信号の2つのSOPを偏波ビーム分岐素子PBSの軸と一致させるように動作する。偏波ビーム分岐素子(偏波選択デバイス)19はPOLSK信号の2つの偏波状態を分離して、そのうちの1つのSOPが光検出器21へと伝わり光検出され、他は外に出て捨てられる。上述したように偏波選択デバイスは、例えば、偏光フィルターまたは偏光分離器である。PBSから出力された強度変調された光信号はフォトダイオード21のような光検出器を用いて容易に光検出される。このようにして簡単にDPSK信号受信機が実現される。
IM信号を得るために、図4の光通信システムは次の理由付けに基づいている。すなわち、DPSKの位相が維持されていると、カットオフ偏波状態(+π/2;‘0’ビットが検出される。)となり、一方、位相が変化すると許容偏波状態(−π/2;‘1’ビットが検出される。)となる。それ故に、IM信号出力は強度変調となり、複屈折媒質によって導入されたDGD(差分群遅延)に依存してRZ形式またはNRZ形式をもつことになる。特に、DGD≒Tbit(ビット周期)では、変換された信号がIM−NRZとなり、一方、DGD<Tbitでは、変換された信号がIM−RZとなる。例えば、図5と6には、Tbit=100psを持つDPSK信号が図4の光変換器/受信器装置を用いて変換されたアイ・ダイアグラム(振幅/強度対時間)の測定例が示されている。入力信号は擬似ランダム2値符号列(PRBS)である。図5には複屈折媒質のDGDがビット周期以下であるところのDGD=60psに選択されており、その結果、光検出器21によって測定された出力信号はIM−RZ信号となることが明らかとなる。反対に、図6は同じDPSK信号であるが、媒質のDGDが入力信号のビット周期と実質的に等しい値であるDGD=95psの場合のアイ・ダイアグラムを示す。この図は出力信号が今度はIM−NRZ信号になる様子を示している。
図7を参照すると、本発明による第2の変換器/受信器の配置が示されている。この例で、変換器は10Gbit/sのPOLSK入力信号を対応するIM信号に変換するためのものである。矛盾が生じないように、同じ部品には図4に示したのと同じ参照番号を用いて示している。POLSK入力信号は2つの直交直線偏波状態の何れかで、1つは2値状態“0”を、他は2値状態“1”を示す。偏波制御器13は、複屈折媒質14への入力信号の2つの直線偏波状態(それぞれが“0”と“1”ビットに対応している。)が複屈折媒質の主軸(高速軸と低速軸)のそれぞれと一致して(平行になって)導入されるように配置される。この例で、複屈折媒質14は50メートルの長さの偏波保持ファイバーで、それは約100psの全DGDを導入することになる。PMFの高速軸と低速軸に関係する、異なる位相速度によって、“0”ビットは“1”ビットよりも早く複屈折媒質を伝播することは理解できるであろう。それ故に、出力信号は10GHz以上の帯域幅を持つ3つの強度レベルの信号になり、これは変調信号の1次微分と同様になる。入力ビットストリームが論理レベル“0”から“1”へと遷移するときは、|E|が2つの可能な偏波状態の重ね合わせによりピーク値を持つ。反対に、入力ビットストリームが論理レベル“1”から“0”へと遷移するときは、|E|は可能な偏波状態が存在しないので最小値を持つ。論理遷移が“0”から“0”へ、または“1”から“1”へのとき、すなわち入力信号の連続するビット間に2値状態の変化がないときには、可能な偏波状態のうちの1つだけが存在するので、|E|は中間値となる(中間値は最大値と最小値の中間点にある。)線形遅延が正確にビット周期に等しいときには(すなわちDGDΔT=Tbit=100psの場合には、)最小値はゼロになる。
前記の最後の例(POLSKの多水準IMへの変換)は複屈折媒質が符号器として用いることができることを例示している。符号化された信号を10GHz以下のバンド幅を持つ(図7に図式的に示してある)光検出器(フォトダイオード)20と、例えば符号化された信号の半値全幅(FWHM)と7GHzのバンド幅に等しい、略閾値バイアスをもつ増幅器22によって検出することによって、もとの一連のPOLSK信号を復号できる。
本発明によれば、光入力信号の変調形式の変換を達成するためには、複屈折媒質を用いることができるということを示してきた。そのような構成は変調変換器を実現する簡単で経済的な方法を提供するものである。当業者には容易に理解されることであるが、複屈折媒質を適当に選択することにより、特に、その差分群遅延、及び入力信号の偏波状態と媒質の主軸との軸合わせを適当に選択することによって、多くの異なる変調変換器が達成できる。例えば、本発明を用いればDPSKまたはMSK(最小シフト・キーイング)を直接POLSKへ変換すること、DPSKまたはMSKからPOLSKへの変換を中間に介してIM(媒質の差分群遅延と入力信号のビット速度との関係に依存して、IM信号はIM−RZまたはIM−NRZとすることができる。)へ変換すること、POLSKからIMDD(強度変調直接検出)またはIMからPOLSKへ変換することができる。DPSKは初期の差動符号化がないPSKと非常に似ているので、これらDPSKに対する変換はPSKに対しても得ることができる。
本発明によれば強度変調された光信号への変換を導入すれば、強度変調された光信号を検出する光検出器を含むことによって受信器を容易に実現することができるようになる。
将来のネットワークでは、異なった変調形式が共存し、或るネットワーク・ノードでは或る変調形式から他の変調形式へと光学的に変換するのが好都合となるようなことが期待される。本発明はこの変調変換を行うことを可能とし、データとバンド幅の損失なく、伝送された信号形式を変換するためにこれを用いるのが有益である。
本発明の革新的原理を適用するための実施例に関するこれまでの記述は非制限的例示として行ってきた。本発明の技術範囲を逸脱すること無しに色々な変形が可能である。例えば、正しい変換動作のためには、複屈折媒質の中で2つに分岐された信号は複屈折媒質の全体に沿って一定の群遅延と位相差を維持すべきであることが理解されよう。特に、位相遅延は熱的、機械的またはその他の効果で、ある時間周期で変化することがあるので、複屈折媒質の特性によってはこの条件は大変重要となる。それ故、この条件を満足するために、変換器を、特に複屈折媒質を適当な囲い部材で囲って、複屈折媒質を外部環境の影響から隔離することが好適である。別の方法として、変換器は例えばペルチエ加熱冷却装置のような温度制御機構を含んで、複屈折媒質を一定温度に保持するのもよい。さらには、変換器はこのような変化を制御下に置く(変動のうちの或る部分は複屈折媒質通過後に補償する)ように設計するのも良い。偏波保持ファイバーの場合にはファイバーの伝送特性を保持するために、よくある小さな合成カバーを用いるのも有益である。
本発明による、光入力信号の変調形式を光変換するための光変換器のブロック図である。 本発明による光変換器の1部である複屈折媒質に沿っての差動位相シフト・キーイング(DPSK)光信号の展開を示す図である。 本発明による、DPSK信号を偏波シフト・キーイング(POLSK)へ変換する様子を示す図である。 本発明の第1の実施例による、DPSK変調入力信号のIM出力信号への変換のための光変換器/受信器のブロック図である。 図4の光変換器/受信器配置を用いて変換されたDPSK入力信号のアイ・ダイアグラム(振幅/強度対時間)測定例を示す図である。 本発明の第2の実施例による光変換器/受信器のブロック図である。

Claims (18)

  1. 光入力信号の変調形式を変換する光変調変換器(10)であって、
    複屈折媒質(14)を備え、
    前記複屈折媒質は、該複屈折媒質の2つの対称となる主軸の間であらかじめ選択された差分群遅延を有し、該複屈折媒質へ入力された光入力信号は該複屈折媒質を通過する際に2つの光成分に分離され、分離されてなる該2つの光成分のそれぞれが該複屈折媒質の主軸の1つに沿って異なる群速度をもって伝播することを特徴とする光変調変換器。
  2. 前記複屈折媒質は、
    前記複屈折媒質によって導入される差分群遅延が前記光入力信号のビット周期と実質的に等しくなるよう、該光入力信号のビット速度に基づいて選択された媒質であることを特徴とする請求項1に記載の光変調変換器。
  3. 前記複屈折媒質に入力される前に、前記光入力信号に含まれるランダムな偏波変動を除去するように動作する偏波制御器(13)をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光変調変換器。
  4. 前記複屈折媒質は偏波面保持ファイバであることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の光変調変換器。
  5. 前記複屈折媒質(14)の前段に、光アイソレータ(15)をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光変調変換器。
  6. 変換対象となる前記光入力信号が位相変調されているときは、前記複屈折媒質から出力される光信号が対応する偏波変調された光信号となるよう、前記複屈折媒質の前記差分群遅延が選択さていることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の光変調変換器。
  7. 変換対象となる前記光入力信号が位相変調されており、かつ、直線偏波を有しているときは、前記光入力信号の偏波方向が前記複屈性媒質における前記主軸に対して45°を成すことを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の光変調変換器。
  8. 偏波変調された光信号を対応する強度変調された光信号へ変換する偏波感応デバイス(19)を備える第2変換ステージを前記複屈折媒質の出力端に設けたことを特徴とする請求項6に記載の光変調変換器。
  9. 前記偏波感応デバイスは、偏光器又は偏波分離器であることを特徴とする請求項7又は8に記載の光変調変換器。
  10. 前記偏波感応デバイスへ入力される前に、前記光入力信号に含まれるランダムな偏波変動を除去するように動作する第2偏波制御器(18)をさらに含むことを特徴とする請求項7ないし9の何れか1項に記載の光変調変換器。
  11. 前記強度変調された光信号を検出するための光検出器を前記第2変換ステージの前段に設けたことを特徴とする請求項7ないし10の何れか1項に記載の光変調変換器。
  12. 前記位相変調された光入力信号を強度変調されたノン・リターン・ツー・ゼロ(NRZ)形式の光信号へと変換するために、前記複屈折媒質の前記差分群遅延が、前記光入力信号のビット周期と実質的に一致するように選択されていることを特徴とする請求項6に記載の光変調変換器。
  13. 前記位相変調された光入力信号を強度変調されたリターン・ツー・ゼロ(RZ)形式の光信号へと変換するために、前記複屈折媒質の前記差分群遅延が、前記光入力信号のビット周期に対して十分小さく選択されていることを特徴とする請求項6に記載の光変調変換器。
  14. 光信号の変調形式を光学的に変換する光変調変換方法であって、
    分離されてなる各光信号成分が複屈折媒質における何れか1つの主軸に沿って異なる群速度でもってそれぞれ伝播するよう光入力信号を2つの該光信号性成分に分離するために、2つの対称となる前記主軸の間であらかじめ選択された差分群遅延を有する前記複屈折媒質へ前記光入力信号を通過させることを特徴とする光変調変換方法。
  15. 変換対象となる前記光入力信号が位相変調されているときに、前記複屈折媒質から出力される光信号が、対応する偏波変調された光信号となるよう、前記複屈折媒質の前記差分群遅延を選択することを特徴とする請求項14に記載の光変調変換方法。
  16. 偏波変調された光信号を対応する強度変調された光信号へ変換するために、偏波感応デバイス(19)へ前記偏波変調された光信号を適用することを特徴とする請求項15に記載の光変調変換方法。
  17. 前記複屈折媒質によって導入される差分群遅延が前記光入力信号のビット周期と実質的に等しくなるよう、該光入力信号のビット速度に基づいて前記差分群遅延を選択することを特徴とする請求項14ないし16の何れか1項に記載の光変調変換方法。
  18. 位相変調された光入力信号を検出するための光信号受信機であって、
    第1変換ステージと、
    第2変換ステージと
    を含み、
    前記第1変換ステージは、
    複屈折媒質を備え、
    前記複屈折媒質は、偏波変調された光信号を取得するために、該複屈折媒質の2つの対称となる主軸の間であらかじめ選択された差分群遅延を有し、該複屈折媒質へ入力された光入力信号は該複屈折媒質を通過する際に2つの光成分に分離され、分離されてなる該2つの光成分のそれぞれが該複屈折媒質の主軸の1つに沿って異なる群速度をもって伝播するものであり、
    前記第2変換ステージは、
    前記偏波変調された光信号を、対応する強度変調された光信号に変換するための偏波感応デバイスと、
    前記強度変調された光信号を検出するための光検出器と
    を備えることを特徴とする光信号受信機。
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