JP2007527419A - 化学的にプログラム可能な免疫 - Google Patents

化学的にプログラム可能な免疫 Download PDF

Info

Publication number
JP2007527419A
JP2007527419A JP2006549430A JP2006549430A JP2007527419A JP 2007527419 A JP2007527419 A JP 2007527419A JP 2006549430 A JP2006549430 A JP 2006549430A JP 2006549430 A JP2006549430 A JP 2006549430A JP 2007527419 A JP2007527419 A JP 2007527419A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
immune response
binding site
individual
immunity
target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006549430A
Other languages
English (en)
Inventor
キャリー ビー. マリス、
Original Assignee
キャリー ビー. マリス、
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by キャリー ビー. マリス、 filed Critical キャリー ビー. マリス、
Publication of JP2007527419A publication Critical patent/JP2007527419A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/02Bacterial antigens
    • A61K39/07Bacillus
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/385Haptens or antigens, bound to carriers
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/04Immunostimulants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/12Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from bacteria
    • C07K16/1203Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from bacteria from Gram-negative bacteria
    • C07K16/1242Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from bacteria from Gram-negative bacteria from Pasteurellaceae (F), e.g. Haemophilus influenza
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/54Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the route of administration
    • A61K2039/541Mucosal route
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/60Medicinal preparations containing antigens or antibodies characteristics by the carrier linked to the antigen
    • A61K2039/6025Nucleotides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/62Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the link between antigen and carrier
    • A61K2039/627Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the link between antigen and carrier characterised by the linker
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/55Fab or Fab'
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

任意の分子または化合物に対し、個体を即時に免疫化するための方法および組成物。本発明は、少なくとも2つの部位、すなわち(1)ユニバーサル免疫原により予め免疫化された個体における免疫応答成分と結合する少なくとも1つの第一結合部位、および(2)望ましい化合物または分子、すなわち標的と特異的に結合する少なくとも1つの第二結合部位、を持つ免疫リンカーを含む。

Description

(発明の分野)
本発明は、任意の望ましい抗原に対する即時型免疫を提供するための組成物および方法に関する。本明細書で使用する「免疫」は、特異的標的との免疫成分の機能的結合を意味する。特定の標的は、第一の場所で免疫を発生させた物質と同じでなく、構造的にも関係なく、実際、本明細書に開示の方法により、標的の性質は、免疫原単独によってだけではなく、「リンカー」と呼ばれる薬学的実体によっても決定される。「リンカー」は、リンカー上の2つの構造認識部位によって、1つの実体、すなわちユニバーサル免疫原によって誘発される免疫応答を、別の実体、すなわち標的に結び付ける。これらの部位の1番目は、免疫応答の認識成分と結合する。これらの部位の2番目は、標的と結合する。したがって、用語「免疫」は、本明細書でオルターミューン(altermune)法と呼ばれ、免疫学においてこれまで知られていないプロセスが含まれるように使用される。オルターミューン法によって提供される免疫は、古典的免疫に依存し、古典的免疫の拡張または再指示と見なすことができる。
(発明の背景)
免疫化は、ヒトおよび動物を疾患から守るために100年以上にわたって使用されている。従来の免疫の前提は、抗原、または抗原を含有する病原体に対する最も有効な免疫応答が、個体が同じ抗原への曝露を2回以上受けた後に生じることである。この現象は、免疫記憶または二次免疫応答と呼ばれる。免疫化が成功した場合、個体は、抗原が由来した病原体の影響から守られる。
例えば、個体が細菌性生物に由来する抗原によって首尾よく免疫化されると、その個体における免疫系は初回刺激を受け、その細菌に遭遇した場合、すぐに応答できる。免疫化の成功には、個体の免疫系に接近しやすい細菌の領域に抗原が位置していることが必要である。成功した場合、免疫系が応答し、細菌は殺され、封じ込められ、中和され、さもなければ身体から一掃され、細菌性生物による感染によって疾患はほとんど生じない、または生じない。この防御の鍵は、抗原による免疫化が、抗原が由来する細菌性生物への曝露に先立って生じなければならないことである。
したがって、一般的に、従来の免疫化プロセスには、個体に抗原を注射すること、適切な時間待つこと、および個体に免疫応答を起こさせることが含まれる。免疫応答を起こすのに必要な時間は、大部分の抗原で約2週間から数ヶ月の間である。ほとんどの場合、免疫応答を維持するために抗原のブースター投与が必要とされる。通常、このブースターは、抗原の最初の投与から数週間または数ヶ月後に行われる。
したがって、従来の免疫化は、抗原または病原体への曝露に先立って数ヶ月あれば、防御の提供に大きな成功を収めるが、個体がこれまで曝露されたことのない新たな抗原に該個体が曝露された場合、従来の免疫化はほとんど役に立たず、即時型の有効な免疫応答が必要とされる。このような状況の好例は、生物テロ因子からの防御を必要とする軍隊である。物質への任意の潜在的曝露に先立ち、生物テロ因子に対して個体の集団にワクチン接種することができるとはいえ、従来のワクチン接種は、単純な解決策ではない。従来の集団ワクチン接種は、一部の人々に有害な反応を生じ、集団が物質に曝露されていないにもかかわらず、リスクを負う可能性がある。さらに、政府は、可能なすべての生物テロ因子用のワクチンを兵站的に開発、製造し、必須要員にワクチン接種することができない。したがって必要とされるのは、病原体との個体の接触、または疑わしい接触の直前かまたは直後に投与することができ、その投与が、個体における即時型の防御的または有効な免疫応答の発生を可能にする組成物である。
上記について暗示されているように、従来の免疫化手順の別の欠点は、感染性病原体、または感染性病原体の一部を個体に投与する必要性である。ワクチン接種は、それらが病原体または病原体の一部を含むため、それ自体で病気、さらには死をさえもたらす頻度が高い。したがって必要とされるのは、免疫化のために個体へ投与することができ、それに対して個体を免疫化する病原体の一部を含まない組成物である。
従来の免疫化手順のさらに別の欠点は、場合によって単一手順にいくつかの抗原が含まれているが、各抗原に対して別々の免疫化手順を使用する必要があることである。これらの別々の免疫化手順が必要とされるのは、自然記憶すなわち二次免疫応答が、一次免疫応答が対象とする抗原に対して特異的なためである。したがって必要とされるのは、個体に投与することができ、免疫応答のために個体の免疫系を初回刺激する「ユニバーサル免疫原」および必要が生じた場合に、この免疫応答を新たな標的に向ける手段である。あるいは、既存の免疫応答を新たな標的に向けて再指示させるための手段が必要である。このような「ユニバーサル免疫原」、または既存の免疫応答を再指示させる手段は、個体について現在推奨されている免疫化回数を低減するであろう。
(発明の概要)
本発明は、病原体または他の望ましくない物質などの標的に対し、個体によって実質的に即時型の免疫応答を提供することができる、プログラム可能な免疫のための組成物および方法を提供する。即時型の有効な免疫応答が得られることから、これらの組成物は、個体の病原体との接触に先立って、または個体の病原体との接触直後でさえいつでも個体に投与することができる。本発明は、一実施形態において、生物テロ因子からの要員の保護に関して軍隊が直面する多くの問題を解決する。
また、本発明の組成物および方法が従来の免疫化技法を上回る利点を提供するのは、この方法が、病原体に対する有効な免疫化のために修飾病原体または病原体の一部を個体に投与することを必要としないためである。したがって、本発明は、これまでのところ従来のワクチンに対して致命的な有害反応を有する人々の命を救うはずである。
一実施形態において、本発明の組成物は、免疫応答成分と結合する少なくとも1つの第一結合部位を含み、標的と結合する少なくとも1つの第二結合部位を含む免疫リンカーを含む。これらのリンカー組成物は、個体における既存の免疫応答を利用し、免疫リンカーによって提供される2つの間の結び付き以外は既存の免疫応答とは無関係である異なる標的にこの既存の免疫応答を連結する。既存の免疫応答は、免疫リンカーの第一結合部位を含む抗原を対象としており、第一結合部位を含むユニバーサル免疫原の投与により個体において誘発することができる。免疫応答を標的に連結することは、標的に対する一次免疫応答の必要性なしに即時型の連結型免疫応答を可能にする。
免疫リンカーは、微生物、バクテリオファージ、タンパク質、核酸、多糖、合成材料またはそれらの組合せを含む任意のタイプの化学的または生物学的材料でありうる。一実施形態において、少なくとも1つの第一結合部位は、少なくとも1つの第二結合部位を含む分子と物理的または化学的に連結または抱合される。この実施形態において、スペーサー分子が、第一結合部位と第二結合部位の間に存在しうる。別の実施形態において、免疫リンカーは、少なくとも1つの第一結合部位および少なくとも1つの第二結合部位を含む単一分子である。
ユニバーサル免疫原は、個体に投与され、免疫リンカーの第一結合部位に相当するか、あるいはそれを含む。このような投与は、免疫原および投与経路に応じて、個体に細胞性および/または体液性免疫応答を起こさせる。必要ならば、アジュバントまたは他の免疫応答増強材料と一緒にユニバーサル免疫原を投与することができる。さらに、適切な時間に、個体に対しユニバーサル免疫原の1回または複数回のブースター投与を行うことができる。個体を免疫化するこれらの方法は、当業者にはよく知られている。あるいは、既存の免疫応答は、本明細書に記載のヒトに共通のα−Gal応答などであるがこれに限定されない、ユニバーサル免疫原の投与を必要としない免疫応答でありうる。
既存の免疫応答の開始または発生後、個体が、即時型免疫が望ましい新規化合物または病原体に曝露されるか、曝露された疑いがある場合には、ユニバーサル免疫原に相当する第一結合部位および新規化合物または病原体に結合する第二結合部位を含む本明細書に記載の免疫リンカーを、個体に投与する。免疫リンカーは、1つの第一結合部位において既存の免疫応答の間に産生される免疫応答成分と結合し、また少なくとも1つの第二結合部位において新規化合物または病原体と結合し、それによって、新規化合物または病原体とも結合している免疫リンカーと結合している免疫応答成分の免疫複合体を提供する。個体の免疫系は、これらの免疫リンカー複合体を認識し、それらを身体から除去または一掃する。
したがって、本明細書に記載の免疫リンカーを含む組成物を投与することにより、個体の既存の免疫応答は、ユニバーサル免疫原から新規化合物または病原体に向けて再指示される。上述のように、本発明の別の利点は、その後の抗原特異的免疫応答のために個体の免疫系を初回刺激するために、1つの初期免疫化分子またはユニバーサル免疫原のみを必要とすることである。したがって本発明は、個体にとって現在推奨または必要とされるワクチン接種の回数(および、おそらく製剤の複雑さ)を低減することができる。本発明の他の利点は、免疫リンカーおよびユニバーサル免疫原の調製の容易さである。汎発性感染、生物テロリストの脅威、または特定の病原体の局地的発生のような、公衆衛生の要求に速やかに対応するため、本発明の免疫リンカーを容易に構築し、保健医療の専門家に提供することができる。本発明のさらなる他の利点は、個体を免疫化することができる化合物の幅である。抗原、病原体、化学物質などの任意の化合物もしくは異物、またはウイルス感染もしくは癌で見出される変異細胞などの内因性材料と結合する免疫リンカーを作製することができる。
前述のように、当然のことながら、本発明は、個体における既存の免疫応答を利用することができる。したがって、ある個体が特定の抗原に対して既に免疫がある場合、個体が免疫のある抗原を含むか、あるいは相当する第一結合部位を有する免疫リンカー分子を作製することができ、第二結合部位は、望ましくない病原体、化学物質または病原体を対象とすることができる。
また、これも当然のことながら、本発明は、免疫同調を可能にし、換言すればユニバーサル免疫原および/または免疫リンカーによって発生する免疫応答のタイプの選択を可能にし、これにより、任意の特定の標的を対象とする免疫応答のタイプの選択を可能にする。したがって、ユニバーサル免疫原および/または免疫リンカーの第一結合部位は、第一結合部位が、体液性免疫応答、細胞性免疫応答および/または先天性免疫応答を誘発するかどうかに基づいて選択することができる。
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、開示された実施形態の以下の詳細な説明の再検討後に明らかになるはずである。
(発明の詳細な説明)
本発明は、本明細書で標的と呼ぶ任意の分子または生物に対してヒトまたは動物を即時に免疫化する方法および組成物に関する。これは、化学的にプログラム可能な免疫またはプログラム可能な免疫と呼ばれる。プログラム可能な免疫は、プログラム可能な免疫が、1つの抗原を対象とする既存の免疫応答の標的へ向けた再指示を可能にするという点で古典的免疫と異なる。免疫応答は、本発明の免疫リンカーを用いて再指示される。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「ある(a,an)」および「該(the)」には、文脈が明らかに他の意味を示す場合を除き、複数指示が含まれる。したがって、例えばある「化合物」への言及は、1つまたは複数のそのような化合物への言及であり、当業者に知られているそれらの等価体などが含まれる。
本発明の免疫リンカーは、少なくとも2つの部位、すなわち(1)個体の少なくとも1つの免疫応答成分と結合する第一結合部位、および(2)標的と結合する第二結合部位を含む。免疫応答成分は、個体への免疫リンカーの投与に先立って個体に存在する成分である。例えば、免疫応答成分は、第一結合部位、または第一結合部位を含む分子、もしくは分子の大きな集合、もしくは微生物に対する以前の免疫応答の一部であった抗体でありうる。したがって、本明細書で使用する用語「既存の免疫応答」は、第一結合部位または第一結合部位と免疫学的に類似しているエピトープを対象とする免疫応答を指す。換言すれば、「既存の免疫応答」は、第一結合部位と結合する免疫応答成分が生成されるか、あるいは存在する免疫応答である。既存の免疫応答は、第一結合部位に相当するユニバーサル免疫原の個体への事前投与によって発生させることができるか、あるいはそのような投与なしで個体に存在することがある。
したがって本発明には、個体における既存の免疫応答を第一の抗原から標的へと方向転換させる方法であって、1つまたは複数の免疫リンカーを含む組成物を、個体に有効量投与することを含み、リンカーは、少なくとも1つの第一結合部位および少なくとも1つの第二結合部位を含み、第二結合部位は標的と結合し、第一の抗原は第一結合部位またはその免疫学的等価体を含む方法が含まれる。また本発明は、標的に対する免疫応答を増大させる方法であって、1つまたは複数の免疫リンカーを含む組成物を、個体に有効量投与することを含み、リンカーは少なくとも1つの第一結合部位および少なくとも1つの第二結合部位を含み、第二結合部位は標的と結合し、個体は第一結合部位またはその免疫学的等価体に対する既存の免疫応答を有する方法を包含する。
(ユニバーサル免疫原)
第一結合部位に「相当する」ユニバーサル免疫原は、第一結合部位と同一であってよく、第一結合部位全体を含むことができ、第一結合部位の一部を含むことができ、または第一結合部位の免疫学的等価体でありうる。2つ以上の分子に言及する場合、本明細書における用語「免疫学的等価体」は、同一免疫応答成分が結合する分子を指す。本発明は、ユニバーサル免疫原によって生じる免疫応答成分が第一結合部位にも結合することを必要とするに過ぎない。一実施形態において、ユニバーサル免疫原は、免疫応答を開始させるか、あるいは免疫応答に関与することができる複合体の産生をもたらすのに十分な親和性を持つ免疫応答成分と結合する。好ましい実施形態において、ユニバーサル免疫原および第一結合部位以外の分子に対する免疫応答成分の交差反応性は極めてわずかである。
ユニバーサル免疫原は、個体が免疫応答を起こし、任意の経路を介して投与することができる任意の分子、生物または化合物でありうる。ユニバーサル免疫原は、分子、微生物、または毒素、もしくはそれに由来するトキソイド;タンパク質もしくはポリペプチド;ポリヌクレオチド;多糖;合成材料またはそれらの組合せでありうるが、これらに限定されるものではない。ユニバーサル免疫原は、持続性の免疫記憶を提供する免疫応答を個体で引き起こし、ブースター投与で個体に再投与することができ、個体で疾患、症状または長期の病気を引き起こさないことが好ましい。病原体の一部または病原体の修飾部分を含む免疫源は、ユニバーサル免疫原たり得るが、ユニバーサル免疫原は、それが誘発する相補的免疫応答以外のものといかなる関係も持つ必要はない。例えば、ヒトは、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、破傷風トキソイド、およびポリオウイルス由来の免疫原性抗原によって決まって免疫化される。ネコおよびイヌなどの動物は、狂犬病ウイルス由来の免疫原性抗原によって決まって免疫化される。これらおよび他の従来の免疫源は、ユニバーサル免疫原として使用できるが、これは必要性よりも利便性によることであろう。
あるいは、非従来型免疫原をユニバーサル免疫原として使用することができる。非従来型免疫源は、病原体の一部または修飾部分を含まないことが好ましい。一実施形態において、ユニバーサル免疫原は、ハプテンが結合しているタンパク質またはタンパク質の一部である。本明細書において、「ハプテン」は、特定の抗体と反応するが、担体タンパク質または他の大きな抗原性分子と結合しないと追加の抗体の生成または発生を誘発することができない分子と定義される。大部分のハプテンは、小分子であるが、一部の巨大分子もハプテンとして機能することができる。実証目的として実施され実施例1に記載の一実施形態において、ハプテンは、フェニルアルソネートであり、ユニバーサル免疫原は、フェニルアルソニル化(phenylarsonylated)タンパク質である。
別の実施形態において、ユニバーサル免疫原は、バクテリオファージまたはバクテリオファージのエピトープを含む。免疫応答成分は、バクテリオファージの任意の部分と結合することができ、一実施形態においては、バクテリオファージの表面上に発現されるペプチドと結合する。バクテリオファージユニバーサル免疫原は、任意の経路を介して個体に投与することができ、一部の実施形態において、バクテリオファージは、都合の良い投与手段としての細菌の中に含めることができる。
(免疫リンカーの第一および第二結合部位ならびにスペーサー)
本発明が、ユニバーサル免疫原を対象とする既存の免疫応答を異なる抗原に向けて再指示することができるのは、1つには、ユニバーサル免疫原が、免疫リンカーの第一結合部位に相当するからである。第一結合部位は、ユニバーサル免疫原と免疫リンカー分子双方の一部であるため、既存の免疫応答、すなわちユニバーサル免疫原を対象とする既存の免疫系成分は、免疫リンカーも認識する。免疫リンカーの第一結合部位は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、多糖、有機化学物質、バクテリオファージ、細菌、ウイルスもしくはウイルス粒子、または原生動物などの微生物、上記の任意の断片もしくは一部、上記の任意の組合せ、または個体の免疫系によって認識されるか、あるいは個体における免疫応答成分が結合するその他の組成物を含むことができる。
一実施形態において、第一結合部位は、α−Galエピトープ、すなわち、ガラクトシル−α−1,3−ガラクトシル−β−1,4−N−アセチルグルコサミンである。別の実施形態において、第一結合部位は、バクテリオファージの一部、より好ましくは、バクテリオファージの表面上で発現されるポリペプチドを含む。
第二結合部位は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、多糖、有機化学物質、バクテリオファージ、細菌、ウイルス、原生動物などの微生物、上記の任意の断片もしくは一部、上記の任意の組合せ、または標的と結合するその他の組成物を含むことができる。ある特定の実施形態において、第一結合部位および第二結合部位は、同じ微生物上に含まれる。本明細書で使用するポリヌクレオチドまたは核酸は、任意の鎖状立体構造、例えば一本鎖、二本鎖、三本鎖のDNAかまたはRNA、およびそれらの任意の化学修飾物を意味し、核酸に付随するタンパク質の存在または非存在を企図している。化学修飾物は、核酸の増幅または合成に先立つ個々のヌクレオチド中にあるか、多量体への組み込み後にヌクレオチドに付加することができる。このような修飾物には、シトシンにおける修飾物、環外アミン、5−ブロモウラシルの置換、骨格修飾物、メチル化、普通でない塩基対形成の組合せおよび当業者に知られている他の修飾物が含まれるが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、第二結合部位は、抗体または抗体断片、好ましくは、抗体可変領域を含む抗体断片、より好ましくはFab断片を含む。別の実施形態において、第二結合部位は、バクテリオファージによって発現されるポリペプチド、より好ましくは、バクテリオファージの表面上で発現されるポリペプチドを含む。
上述のように、免疫リンカーは、免疫応答成分と結合することができる第一結合部位を含み、標的と結合することができる第二結合部位を含む任意のタイプの分子または生物を含む。当然のことながら、免疫リンカーは、2つ以上の第一結合部位および/または2つ以上の第二結合部位を含むことができる。複数の第一結合部位は、同一であるかまたは異なりうる。複数の第二結合部位も、同一であるかまたは異なりうる。結合部位は、異なる分子に対するそれらの特異性または同一分子に対するそれらの親和性の点で異なることがある。また、免疫リンカーを修飾し、それ自体の免疫原性を低減することができる。
第一および第二結合部位によるそれぞれ免疫応答成分および標的との結合は、多糖または核酸などの他の分子によって提供される結合を介することを含む任意の相互作用によって行うことができる。好ましい実施形態において、第一結合部位は、免疫応答分子に対して特異的であり、第二結合部位は、標的に対して特異的である。上述のように、分子は、2つの分子が免疫系の目的のために機能複合体の産生をもたらすのに十分な親和性で結合する場合に、別の分子に「対して特異的」である。他の好ましい実施形態において、1つの第二結合部位の標的以外の分子との交差反応性は極めてわずかである。別の好ましい実施形態において、1つの第一結合部位の免疫応答成分以外の分子との交差反応性は極めてわずかである。
個体への免疫リンカーの投与後に、免疫応答成分、免疫リンカー、および標的を含む免疫リンカー複合体が形成される。免疫リンカーは、免疫リンカーの免疫系成分との結合に先立って、あるいはその後に標的と結合することができる。免疫リンカー複合体の形成後、標的は、免疫系経路を介して一掃される。本明細書において、抗原を「一掃すること」は、身体にとってもはや有害でなくなるような抗原の除去、不活性化または修飾を指す。
別の実施形態において、免疫リンカーは、Galili,U.およびAvila,J.L.,α−Galと抗Gal(Alpha-Gal and Anti-Gal)、Subcellular Biochemistry,Vol.32,1999年に記載のように、α−ガラクトシル、すなわちα−Galエピトープに相当する第一結合部位を含む。異種移植研究から、ヒトは、ヒトでは通常見出されないが他の動物および多くの微生物で見出されるα−ガラクトシルエピトープに対して免疫応答を起こすことが解明された。本発明のある特定の実施形態において、α−ガラクトシルエピトープは、抗体のFab断片を含む第二結合部位に抱合する。
さらに別の実施形態において、免疫リンカーは、バクテリオファージを含む。第一結合部位は、バクテリオファージの任意の部分に相当しうるが、バクテリオファージによって発現される第一のポリペプチドに相当することが好ましい。バクテリオファージ上の第二結合部位は、標的と結合する第二の異なるバクテリオファージが発現するポリペプチドに相当する。第一と第二のポリペプチドは共に、バクテリオファージの表面上で発現される。
以下の実施例3は、バクテリオファージユニバーサル免疫原と一緒に使用することができるバクテリオファージ免疫リンカーの一例を提供している。一部の実施形態において、免疫リンカーは、ファージパニングの方法による野生型バクテリオファージに由来する組換えバクテリオファージを含む。第一結合部位は、野生型バクテリオファージへの対象の最初の曝露で免疫原生的に機能し、リンカーとして使用される組換えバクテリオファージにより依然として保持されている野生型バクテリオファージのすべての部分からなる。リンカーとして使用される組換えバクテリオファージ上の第二結合部位は、標的と結合するという理由で選択される組換えバクテリオファージが発現するペプチドに相当する。
別の実施形態において、免疫リンカーは、第一結合部位の役割を果たすα−Galエピトープとペプチドの配列がバクテリオファージパニング実験から得られ、第二結合部位の役割を果たす合成ペプチドとの抱合体であり、ペプチドは、固体支持体に接続された企図される抗原により、組換えバクテリオファージのコレクション上に提示されるランダムペプチドライブラリーから選び出される。
他の実施形態において、第一および/または第二結合部位は、アプタマー核酸、より好ましくはSELEXプロセスによって製造されたアプタマーを含む。SELEXは、指数関数的増強によるリガンドの系統的進化(Systemic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)の略語である。SELEX法は、当技術分野で知られており、少なくとも以下の発行済み米国特許、米国特許第5,475,096号、第6,261,774号、第6,395,888号、第6,387,635号、第6,387,620号、第6,376,474号、第6,346,611号、第6,344,321号、第6,344,318号、第6,331,398号、第6,331,394号、第6,329,145号、第6,300,074号、第6,280,943号、第6,280,943号、第6,280,932号、第6,261,783号、および第6,232,071号に記載されている。
一般に、SELEX法は、三次元標的と特異的に結合する核酸を同定することに関する。核酸は、様々な二次元および三次元構造を形成する十分な能力ならびにそれらの単量体内で利用可能な十分な化学的汎用性を有するため、事実上すべての化学的化合物と特異的に結合する一部の配列を見出すことができる。体液における安定性の目的のために、好ましいアプタマーは、2’−フルオロ−または2’−アミノ−2’−デオキシピリミジンなどの1つまたは複数の修飾ヌクレオチドを含む。これらの塩基を使用する核酸は、天然に存在する核酸に比べ、in vivoではるかに安定である。M.FamulokおよびG.Mayer,Cur.Top.Micro.Immunobiol.243:123−146,1999年を参照されたい。類似の方法によって得られるスピーゲルマー(Spiegelmers)(Vater,A.およびKlussmann,S.Current Opin.Drug Discov.Devel.2003年3月;6(2):253−61参照)も、血清におけるそれらの固有安定性のために用いることができる。
本明細書に記載の免疫リンカーの第一および第二結合部位は、当業者に知られている任意の手段により、連結または抱合することができる。本明細書で定義される用語「抱合された」および「抱合」は、2つ以上の分子を連結する共有結合または他の形態を指す。抱合は、化学的手段、遺伝工学的手段を含むがこれらに限定されない任意の手段、または生物学的手段によってin vivoで行うことができる。第一および第二結合部位は、二本鎖核酸、ポリペプチド、化学構造、またはその他の適切な構造によって連結するか、あるいは、簡単な化学結合によって連結することができる。
ある特定の実施形態において、第二結合部位が標的と結合した後に第一結合部位が免疫応答成分とのみ相互作用するように、リンカーの第一および第二結合部位をin vitro進化させる。そのような挙動につながるアロステリック相互作用は、タンパク質および他の巨大分子においてよく知られており、リンカーのin vitro進化における選択プロセスの構成要素かもしれない。また、リンカーは、ナノファブリケーション法によって製造することができる。
(免疫応答成分)
上述のように、免疫リンカーの1つまたは複数の第一結合部位は、免疫応答成分と結合する。本明細書で使用する用語「免疫応答成分」は、個体の免疫応答に関与する任意の分子または細胞を指す。用語「個体」は、動物とヒト双方を包含する。免疫応答成分の非限定的例は、抗体;T細胞、B細胞およびナチュラルキラー細胞を含むがこれらに限定されないリンパ球;マクロファージ;好中球、好塩基球および好酸球を含むがこれらに限定されない顆粒球;ならびにT細胞受容体およびB細胞受容体を含むがこれらに限定されない上記細胞のいずれかの上の受容体である。体液性免疫応答成分には、抗体が含まれる。用語抗体には、すべてのクラスおよびサブクラスの抗体、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEなど、分泌型および排泄型の抗体、可変、超可変および定常領域、重鎖および軽鎖を含む抗体の断片、断片の組合せならびに断片および全抗体の混合物が含まれる。そのような抗体は、ヒト化、ポリクローナルもしくはモノクローナル、天然由来もしくは合成抗体でありうる。
一実施形態において、少なくとも1つの第一結合部位は、免疫応答成分の活性結合部位に結合する。例えば、免疫応答成分がIgG分子などの抗体である場合、免疫リンカーの第一活性部位は、IgG分子の可変領域の活性結合部位が通常結合する抗原性エピトープである。
(標的)
免疫リンカーの1つまたは複数の第二活性部位は、標的と結合し、第二活性部位は、標的に対して特異的であることが好ましい。本明細書において用語「標的」は、個体において免疫応答の増加が望ましい任意の組成物を指す。
一実施形態において、抗原は、対象個体が曝露されたことがない化合物または生物である。しかしながら、抗原は、対象個体が曝露されたが、最適な免疫応答が起きなかった化合物または生物であってもよい。
標的には、抗原、微生物、病原体、ウイルス、ウイルス粒子、細菌、ポリペプチド、毒性化学物質、非自己分子、およびそれらの任意の断片、部分または組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用する標的には、自己として同一視することができる分子、免疫系によって応答されるには小さすぎる分子、非免疫原性の化合物または化学物質、および免疫系の免疫原性成分から隔絶された分子または材料などの、個体において通常は免疫応答の標的とされない分子または組成物が含まれる。一実施形態において、標的は、自己免疫障害を低減するために個体が排除したいと思う免疫系の抗体または細胞成分である。
(免疫リンカー集団)
上述のように、本発明の免疫リンカーは、2つ以上の第一結合部位および/または2つ以上の第二結合部位を有することができる。また、本発明は、免疫リンカーの1つまたは複数の集団の使用を包含し、各集団は、異なる第一結合部位および/または第二結合部位を有する。複数の結合部位は、異なる分子もしくはエピトープに対するそれらの特異性かまたは同一分子もしくはエピトープに対するそれらの親和性の点で異なることがある。本発明の一実施形態において、免疫リンカーは、2つ以上の第二結合部位を含み、各々は、異なる標的に対して特異的である。別の実施形態において、免疫リンカーは、2つ以上の第二結合部位を含み、同一標的上の異なるエピトープに対して特異的である。さらに別の実施形態において、免疫リンカーは、2つ以上の第二結合部位を含み、各々は、標的上の同一エピトープに対して特異的であるが、標的に対して異なる親和性を有する。
さらに他のまたはさらなる実施形態において、免疫リンカーは、2つ以上の第一結合部位を含み、各々は、異なる免疫応答成分と結合することができる。さらに別の実施形態において、免疫リンカーは、2つ以上の第一結合部位を含み、各々は、同一免疫応答成分の異なる部分構造と結合することができる。別の実施形態において、免疫リンカーは、2つ以上の第一結合部位を含み、各々は、免疫応答成分の同一部分構造と結合することができるが、免疫応答成分に対して異なる親和性を有する。
本発明の免疫リンカーは、上述の複数の第一結合部位と第二結合部位の任意の組合せを有することができる。また、本発明は、免疫リンカーの異なる集団の投与を包含し、各集団は、上述の複数の第一結合部位と第二結合部位の任意の組合せを有する。
一実施形態において、免疫リンカーの集団は、個体に投与され、各リンカーは、同一の第一結合部位を有し、第二結合部位はすべて、同一標的と結合するが標的に対して異なる親和性を持つアプタマーである。別の実施形態において、免疫リンカーの集団は、個体に投与され、各リンカーは、同一の第一結合部位を有し、第二結合部位はすべて、異なる標的と結合する抗体、または抗体の一部である。さらに他の実施形態において、集団の免疫リンカーはすべて、同一の第一結合部位および異なるタイプの第二結合部位、すなわち抗体結合部位、アプタマー結合部位などを有し、各第二結合部位は、同一標的または異なる標的に対して特異的である。
本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つの第一結合部位を含む免疫リンカーの集団を企図している。そのような集団は、すべてが、同一の結合特異性または結合特異性の組合せを有する第一結合部位を有する免疫リンカーを有することができる。さらに、結合は、すべてが核酸分子であるか、あるいはすべてがタンパク質であるような同一タイプの第一結合部位によって行うことができ、同一または異なる結合特異性を有することがある。結合は、1つの免疫リンカーまたは異なる第一結合部位を持つ異なる免疫リンカーの集団上で、異なるタイプの第一結合部位によって行うことができる。異なるタイプの第一結合部位は、1つまたは複数の免疫応答成分に対して同一または異なる結合特異性を有することができる。
さらに、本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つの第二結合部位を含む免疫リンカーの集団を企図している。そのような組成物は、すべてが、同一の結合特異性または結合特異性の組合せを有する第二結合部位を有する免疫リンカーを含む。さらに結合は、すべてが核酸分子であるか、あるいはすべてがタンパク質であるような同一タイプの第二結合部位によって行うことができ、同一または異なる結合特異性を有することがある。結合は、1つの免疫リンカーまたは異なる第二結合部位を持つ異なる免疫リンカーの集団上で、異なるタイプの第二結合部位によって行うことができる。異なるタイプの第二結合部位は、1つまたは複数の標的に対して同一または異なる結合特異性を有することができる。
したがって、組成物は、少なくとも1つの第一結合部位の結合特異性および少なくとも1つの第二結合部位の結合特異性がすべて一様である、すなわち、各第一結合部位がその結合相手に対して同一の結合特異性を有し、各第二結合部位がその結合相手に対して同一の結合特異性を有する免疫リンカーを含む。あるいは組成物は、各集団が、異なる結合特異性を持つ第一結合部位、そしてまた異なる結合特異性を持つ第二結合部位を有する、複数の免疫リンカー集団を含むことができる。
(使用方法)
本発明は、個体における既存の免疫応答を第一の標的から第二の標的に向けて方向転換させるための方法および組成物を含む。一部の実施形態において、第一の標的と第二の標的は共に、異なる標的である。第一の抗原、または第一の抗原の免疫学的等価体がリンカー分子中に存在することから、免疫応答の「方向転換」は、第一の抗原に対する免疫応答の停止を必要としない。さらに、本発明は、個体において標的に対する免疫応答を増大させるための方法および組成物を提供する。標的に対する以前の免疫応答が個体において既に存在していても存在していなくてもよい。また、本発明は、病原体または他の望ましくない物質に対して個体の即時型および特異的免疫化を提供する個体のための化学的にプログラム可能な免疫を提供する。
本発明によれば、個体は、まずユニバーサル免疫原によって免疫化される。次いで、単に、免疫応答成分と結合する少なくとも1つの第一結合部位および標的と結合する第二結合部位を持つ免疫リンカーを含む組成物を個体に投与することにより、選ばれた標的に対して個体を即時に免疫化することができる。本明細書に記載のユニバーサル免疫原と免疫リンカーの任意の組合せは、ユニバーサル免疫原による接種の結果として産生される免疫応答成分が免疫リンカーの第一結合部位と結合するという唯一の必要条件と共に使用することができる。ユニバーサル免疫原に対する免疫は、意図的接種の結果として、またはα−Galエピトープおよびそれに付随する抗Gal免疫の場合のように自然プロセスによって発生することがある。
本発明は、部隊が、病原体、毒素、または毒性の化学物質に思いがけなく曝露される可能性のある軍隊において、特に有用である可能性がある。軍事要員は、免疫リンカーの第一結合部位に相当するユニバーサル免疫原で予め免疫化される。軍事要員が、病原体、毒素、または化学薬品に思いがけず曝露されるか、曝露されると考えられる場合、病原体、毒素、または化学薬品と結合する第二結合部位を有する免疫リンカーを軍事要員に投与することにより、病原体から軍事要員を即時に守る。
本発明を用い、炭疽菌、デング熱ウイルス、およびマールブルグウイルスを含むがこれらに限定されない、生物による疾患、または感染を予防および/または治療することができる。例えば、戦闘地域で炭疽菌が検出されたら、前もってユニバーサル免疫原で免疫化された部隊および市民に、炭疽菌に対して特異的な免疫リンカーを経口投与し、炭疽菌からの防御を提供する。免疫は、要員が免疫リンカーの十分なin vivo濃度を維持する限りは持続する。一実施形態において、免疫リンカーは、免疫リンカーの十分なin vivo濃度を維持するため個体に継続して投与される。免疫リンカーは、毎時、毎日、毎週、または毎月の間隔を含むがこれらに限定されない任意の間隔で、投与することができる。必ず長期間投与しなければならない免疫リンカーの場合、第二結合部位それ自体が免疫原性ではないリンカーが求められる。脅威が去ったら、免疫リンカーの投与を停止する。したがって、本発明の考え得る副作用は、免疫化されたヒトまたは動物において持続性の副作用または合併症を発生することが多い従来の免疫化と違って一時的である。
より一般的な集団に関して、薬局は、様々な異なる病原体および毒性物質に使用できる異なる免疫リンカーのライブラリーを有することができる。個体がユニバーサル免疫原によって予め免疫化されると、これらの異なる免疫リンカーのうち1つまたは複数の投与の結果、様々な異なる病原体および毒性物質に対する防御免疫応答が発生する。
本発明によって治療可能な感染症の一例は、インフルエンザウイルスによる流感または感染症である。本発明の免疫リンカーを使用することにより、その年のインフルエンザの新株に対応するために毎年ワクチンの新株を開発する必要はない。インフルエンザウイルスがその抗原マーカーを変えるため、免疫リンカーのほんの一部を変える必要がある。少なくとも1つの第二結合部位は、年毎に変化させるか、必要に応じ、出現した新たなインフルエンザウイルスと結合する第二結合部位に変化させることができる。少なくとも1つの第二結合部位は、修飾ヌクレオチドから作られるDNAアプタマーであることが好ましい。そのようなDNA分子は、代謝酵素に対して極めて安定である。例えば、個体は、インフルエンザウイルスによる付着および感染症を予防するのに適切な第一および第二結合部位を有する免疫リンカーの組成物を吸入することができる。この吸入療法は、必要な限り続き、インフルエンザシーズンが過ぎた場合に停止される。
当然のことながら、本発明は、免疫同調も可能にし、換言すれば、ユニバーサル免疫原および/または免疫リンカーによって発生される免疫応答のタイプの選択を可能にし、任意の特定の標的を対象とする免疫応答のタイプの選択を可能にする。ユニバーサル免疫原および/または免疫リンカーの第一結合部位は、第一結合部位が体液性免疫応答、細胞性免疫応答および/または先天性免疫応答を誘発するかどうかに基づいて選択することができる。本明細書において、体液性免疫応答は、主に抗体によって仲介される免疫応答と定義される。細胞性免疫応答には、主にT細胞によって仲介される免疫応答が含まれる。また、第一結合部位は、第一結合部位が、CD4T細胞応答またはCD8T細胞応答を誘発するかどうかに基づいて選択することができる。本明細書で使用するCD4T細胞応答は、CD8T細胞と比べてCD4T細胞によって主に仲介される免疫応答であり、本明細書においてCD8T細胞応答は、CD4T細胞と比べてCD8T細胞によって主に仲介される免疫応答を指す。先天性免疫応答には、マクロファージおよび/またはNK細胞によって主に仲介される免疫応答が含まれる。したがって、本発明には、体液性免疫応答、細胞性免疫応答、先天性免疫応答、CD4T細胞免疫応答および/またはCD8T細胞免疫応答を誘発する第一結合部位を含む免疫リンカーおよびユニバーサル免疫原が含まれる。
ユニバーサル免疫原および/または免疫リンカーによって発生される、免疫応答を調整する能力は重要である。一部の疾患、例えば眼のクラミジア感染症では、免疫応答が病状の原因であると一部の人々により考えられている。病原体の性質とは無関係に免疫応答の性質を制御することは、治療において重要な役割を有することがある。例えば、失明につながるクラミジアに対する免疫応答の細胞成分である可能性があり、そうだとすると、クラミジアに対する本発明のオルターミューン療法は、細胞性免疫成分を呼び出さずにT細胞非依存性機構によって細菌を殺す免疫に基づいている可能性がある。したがって、自然の免疫系とは異なり、かつ初めて、免疫応答のプロファイルは、病原体自体の性質によって予め決定されるのではなく、本発明を用いる医師によって調整することができる。
したがって、本発明には、ユニバーサル免疫原および/または免疫リンカーを投与された個体において体液性免疫応答、細胞性免疫応答、CD4T細胞免疫応答、および/またはCD8T細胞免疫応答を増大させる方法が含まれる。これらの免疫応答は、特定の標的に応答して個体において自然に発生するタイプの免疫応答であっても、そうでなくてもよい。一部の実施形態において、免疫応答は、特定の標的に応答して個体において自然に発生する免疫応答と異なる。一実施形態において、体液性免疫応答を誘発する第一結合部位を含むユニバーサル免疫原および免疫リンカーが個体に投与され、免疫リンカーの第二結合部位は、その個体または他の個体において通常は細胞性免疫応答を誘発する標的と結合する。
さらに、本発明は、免疫リンカーを含む組成物を投与することによるヒトまたは動物の身体から他の好ましくない材料を除去するための方法を含む。免疫リンカーを用い、タンパク質、脂肪、核酸ポリマー、ホルモン、細胞因子、神経化学物質、毒性細胞因子、アポトーシス因子、細胞シグナル分子、抗体もしくは望ましくない細胞、カルシウムまたはマグネシウムなどの無機質、ならびにこれらおよび他の分子の組合せもしくは混合物を含む化合物を含むがこれらに限定されない身体によって合成されるか、あるいは身体中に見出される過剰または望ましくない分子または化学物質を除去することができる。場合によっては、免疫リンカー結合を受けやすくするようにマークするなどの複雑な方法を用い、望ましくない細胞を除去することが企図されている。免疫リンカーを用い、望ましくない材料と結合する第二結合部位を提供し、身体の自然のクリアランス機構の協力を得て望ましくない材料が除去されるように、第一結合部位の免疫応答成分との結合を用いることによって任意の望ましくない材料を身体から除去することができる。第二結合部位が結合することができる任意の材料は、本発明の方法によって影響を与えるか、あるいは除去することができ、したがって、影響を与えるか、あるいは除去することができる材料のリストは、望ましくない材料の結合相手を提供する能力のみによって制限される。望ましくない材料に結合相手を提供することは、十分に当業者の範囲内にあり、本明細書に記載の方法と当業者によって使用される他の方法が含まれる。
化学的にプログラム可能な免疫の方法および組成物により、免疫応答を用い、あたかも望ましくない材料によって免疫応答が直接誘発されたかのようにこれらの望ましくない材料を一掃するか、あるいは封じ込めることができる。例えば、一方の部位で抗体と結合し別の部位で望ましくない材料と結合している免疫リンカーを含む抗体複合体は、身体の免疫クリアランス機構によって除去される。標的の封じ込めは、結核病原体を壁で仕切るために使用される細胞応答と同様に、望ましくない材料と結合している免疫リンカーの周りを細胞が壁で仕切るか、あるいは障壁を形成するなどの機構を含むことがある。一部の方法において、血液または他の流体を身体の外部に濾過する血漿分離法などの人為的機構を用い、免疫リンカーにより形成された免疫複合体または細胞複合体を捕らえることができる。結合した免疫リンカーの特異的除去は、例えば、免疫リンカー自体に対する抗体を用いるカラムまたは分離システムを用いることによって使用することができる。
したがって、本発明は、複数の感染、疾患および状態の治療に使用することができる。本明細書において、用語「治療」、「治療すること」、「治療する」などは、一般的に、望ましい薬理学的および/または生理学的効果を得ることを指すのに使用される。効果は、1つの抗原から別の抗原に免疫を完全にまたは部分的に移す点から見て予防的、かつ/または疾患および/またはその疾患に起因する有害作用に対しての部分的もしくは完全な安定化または治癒という点から見て治療的でありうる。本明細書で使用する「治療」は、別の抗原の制御のために1つの抗原を対象とする免疫応答を用いること、または対象、特にヒトにおいて疾患の任意の治療などのその効果を包含し、(a)疾患または症状に罹患しやすい可能性があるが、これまでに罹患していると診断されたことがない対象において疾患または症状が発生するのを予防すること、(b)疾患症状を抑制すること、すなわち、その進行を停止させること、または(c)疾患症状を低減すること、すなわち、疾患または症状の退縮を引き起こすことが含まれる。また、用語「治療」、「治療すること」、「治療する」などには、個体における抗原を含む望ましくない物質の減少、制御または封じ込めが含まれる。物質の減少量は、任意の方法によって測定することができる。
表現「治療有効量」は、疾患または状態の発症を予防、低減、治療または遅延するのに有効な、例えば本明細書に開示の組成物の量を指す。「予防有効量」は、疾患または状態を予防するのに有効な、例えば本明細書に開示の組成物の量を指す。
(投与方法)
本発明によれば、ユニバーサル免疫原は、対応する免疫リンカーの投与に先立って個体に投与される。ユニバーサル免疫原は、対応する免疫リンカーの投与に先立っていつでも投与することができ、対応する免疫リンカーの投与に先立って複数回投与しうる。これらの複数回投与は、「ブースター」投与と呼ばれることがある。本発明によって企図されている一方法は、異なるユニバーサル免疫原の複数回投与を含む。異なるユニバーサル免疫原の投与により、可能な免疫リンカーのレパートリーが増加する。
本発明には、免疫リンカーの複数回投与も含まれる。方法には、1つのユニバーサル免疫原と、続く同一または異なる免疫リンカーの1回または複数回の投与を用いる個体の免疫化が含まれる。また、方法には、いくつかの異なるユニバーサル免疫原と、続く同一または異なる免疫リンカーの1回または複数回の投与を用いる個体の免疫化が含まれる。
免疫リンカーは、感染もしくは疾患を治療するため、または個体から十分な量の望ましくない材料を除去するために免疫リンカーの十分なin vivo濃度を維持するために、必要なだけ長く、かつ適切な間隔で個体に投与されることが好ましい。免疫リンカーは、毎時、毎日、毎週、もしくは毎月の間隔、またはそれらの任意の区分を含むがこれらに限定されない任意の間隔で投与することができる。適切な投与間隔は、当業者が決定することができ、標的または病原体の正体、個体において検出される標的または病原体の量、曝露期間、免疫リンカーの薬物動態、年齢、体重、性別などの個体の特徴、およびその他の関連要因に基づく。免疫リンカーの投与時間は、経験的に決定する必要があり、特定の病原体、毒素、曝露期間、リンカーの薬物動態などによって異なる可能性がある。
本発明のユニバーサル免疫原および免疫リンカーは、任意の適切な経路を用いて個体に投与される。適切な投与経路には、経口、吸入、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、眼内、腹腔内(intraabdominal)、嚢内、軟骨内、腔内(intracavitary)、腔内(intracelial)、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内(intraperitoneal)、皮下、胸膜内、前立腺内、肺臓内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸、口腔、舌下、経粘膜、鼻腔内、イオントフォレーシス手段、および経皮手段が含まれるが、これらに限定されるものではない。抗原の異なる投与経路によって異なるタイプの免疫応答が誘発されることがあり、特定の免疫応答にとって好ましい経路は、当業者に知られている。本発明は、ユニバーサル免疫原または免疫リンカーの投与経路によって限定されない。
バクテリオファージリンカー分子およびバクテリオファージユニバーサル免疫原に関しては、双方とも、精製ファージまたは精製ファージを含む細菌クローンとして投与することができる。好ましい実施形態において、溶解性バクテリオファージは、細菌の一部として個体に投与されるか、あるいは細菌の中に含まれる。バクテリオファージは、標的に対する最適な応答を可能にすると思われる既知の投与方法によって送達することができる。
また、本明細書に記載の組成物には、免疫リンカーまたはユニバーサル免疫原および希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝液、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどであるがこれらに限定されない任意の適当な助剤のうち少なくとも1つを含む医薬組成物が含まれることが企図されている。薬学的に許容できる助剤が好ましい。そのような滅菌溶液を調製する例および方法は、当技術分野においてよく知られており、レミントン薬学(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES)(Gennaro編、第18版、Mack Publishing Co.(1990年))などであるがこれに限定されないよく知られている教科書中に見出すことができる。化合物の投与様式、溶解性および/または安定性に適している薬学的に許容できる担体は、規定どおりに選択することができる。本発明において有用な医薬品賦形剤および添加剤には、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、および炭水化物が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の化合物を含む医薬組成物は、緩衝液またはpH調整剤を含みうる。さらに、本発明の医薬組成物は、ポリマー賦形剤/添加剤を含みうる。
本明細書で使用する用語「アジュバント」は、ユニバーサル免疫原との混合物が、それによって発生される免疫応答を高めるか、さもなければ修飾する任意の物質である。本発明の組成物では、当技術分野において知られている任意のアジュバントシステムを使用することができる。そのようなアジュバントには、フロイント不完全アジュバント、フロイント完全アジュバント、多分散型β(1,4)結合アセチル化マンナン(「エースマンナン」)、タイターマックス(登録商標)(CytRx Corporation製のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーアジュバント)、Chiron Corporation製の修飾脂質アジュバント、Cambridge Biotech製のサポニン誘導体アジュバント、Bordatella pertussis(百日咳菌?)の死菌、グラム陰性細菌のリポ多糖(LPS)、デキストラン硫酸などの大きなポリマーアニオン、およびミョウバン、水酸化アルミニウム、またはリン酸アルミニウムなどの無機ゲルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
経口投与の場合、医薬組成物は、各々が所定量の免疫リンカーを含有するカプセル剤、カシェ剤または錠剤などの別個の単位などの錠剤またはカプセルの形態;粉末もしくは顆粒剤;水性液体または非水性液体の溶液もしくは懸濁液;または水中油型液体乳剤もしくは油中水型乳剤およびボーラスなどでありうる。錠剤は、場合により1つまたは複数の副成分と一緒に圧縮または成形によって製造することができる。錠剤は、コーティングされているか、あるいは切り目がつけられていてよく、その中の活性成分の持続放出または制御放出を提供するように製剤化することができる。一実施形態において、免疫リンカーまたはユニバーサル免疫原は、バクテリオファージ免疫リンカーまたはバクテリオファージユニバーサル免疫原に感染した大腸菌(E.coli)を経口投与することによって提供される。
さらに、本発明の組成物は、免疫リンカーの持続放出を可能にする生分解性ポリマー、例えば、免疫リンカーの持続放出のために埋め込まれているポリマーに組み入れることができる。生分解性ポリマーおよびそれらの使用は、例えば、Brem他、74 J.NEUROSURG.441−46(1991年)に詳細に記載されている。
非経口投与に適している製剤は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤および対象とするレシピエントの血液と等張な製剤を提供する溶質を含有することができる水性および非水性の滅菌注射液;ならびに懸濁化剤および粘稠剤を含みうる、水性および非水性の滅菌懸濁剤を含む。製剤は、ユニットドーズまたはマルチドーズ容器、例えば、密封アンプルおよびバイアル中に含まれてよく、使用直前に、滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥(freeze−dried)(凍結乾燥(lyophilized))条件で保存することができる。即席の注射液および懸濁剤は、前に記載した種類の滅菌散剤、顆粒剤および錠剤から調製することができる。
口内の局所投与に適している製剤には、味のついた主成分、通常はショ糖およびアカシア(アラビアゴム)またはトラガカント中に成分を含むトローチ剤;ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアなどの不活性主成分中に活性成分を含む香錠;適当な液体担体中で投与される免疫リンカーまたはユニバーサル免疫原を含む含漱剤が含まれる。液体剤形は、合成および天然ガム、例えば、トラガカント、アカシア、メチルセルロースなどの適当に味のついた懸濁化剤または分散剤を含みうる。直腸投与のための製剤は、例えば、カカオ脂またはサリチラートを含む適当な基剤による坐剤として提供することができる。膣内投与に適している製剤は、活性成分の他に当技術分野において適切であることが知られているような担体を含有する膣坐剤、tamport、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー製剤として提供することができる。
また、本発明の組成物は、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョンにおいて、例えば、コアセルベーション技法または界面重合によって調製されるマイクロカプセル、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに封入することができる。レミントン薬学(A.Osol編、第16版(1980年))。
本発明は、薬学的に許容できる製剤中に本明細書に開示の免疫リンカー組成物を含む安定な製剤ならびに保存剤を含有する保存液剤および製剤ならびに薬学的および獣医学的使用に適している多目的保存製剤を提供する。
一般に、本明細書に開示の組成物は、任意の潜在的毒性を最小限に抑えながら最適な有効性を得るため、規定どおりの試験によって規定される適切な用量で単独または治療薬と併せて使用することができる。本発明の組成物を利用する投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性、病状;治療すべき状態の重症度;投与経路;患者の腎および肝機能;ならびに用いられる特定の組成物または治療薬を含む様々な因子に従って選択することができる。通常の技量の医師または獣医師は、状態の進行を予防、対抗、または阻止するために必要な免疫リンカーおよび/またはユニバーサル免疫原の有効量を容易に決定および処方することができる。
望ましい効果を得るために併用する場合、本明細書に開示の組成物の用量を調整することができる。開示の医薬組成物について治療目的および予防目的に有効な投与量を決定するための方法は、当技術分野において知られている。より具体的に、医薬組成物は、単回投与、または1日1回投与で投与するか、あるいは、1日当たりの総用量を、1日2回、3回、または4回の分割投与量で投与することができる。組成物の用量は、個体当たり約0.0001〜約1,000mgの広範囲にわたるか、あるいは有効な応答が得られるまで変化することがある。より詳細に、範囲は、体重1kg当たり約0.001mg〜10mg、成人(約60kg)の場合に約0.1〜100mg、約1.0〜50mgまたは約1.0〜20mgである。組成物は、1日または複数日の間、1日当たり約1〜約10回、または週に1回もしくは月に1回の投薬計画で、または有効な効果が得られるまで投与することができる。本発明の医薬組成物は、数週間または数ヶ月を通じて少なくとも週に1回投与することができる。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータは、ヒトにおいて使用するための用量範囲を策定する際に使用することができる。
さらに、本発明の組成物と他の治療薬の同時投与または連続投与が望ましいことがある。本明細書に記載の組成物は、その他の治療薬の投与中、投与前または投与後に投与することができる。
(作製方法)
免疫リンカーは多くの方法によって作製することができ、そのうちのいくつかは、本明細書に記載されているが、免疫リンカーを作製する方法を限定していると見なされるべきではない。ユニバーサル免疫原、または第一結合部位は、知られている化学的抱合方法また分子などにより、標的と結合する少なくとも1つの第二結合部位を持つ分子または生物と物理的に連結または抱合することができる。別の実施形態において、免疫リンカーは、第一および第二結合部位を含む単一分子として作製または製造することができる。また、免疫リンカーは、生物を含んでよい。さらに別の実施形態において、免疫リンカーは、RNAまたはDNAの二重ラセン領域などの柔軟性のないか、あるいは柔軟性のあるスペーサーによって結び付けられている2つの活性結合部位からなる。スペーサーの機能は、相互作用することを防ぎながらリンカーの2つの末端をつなぎ合わせることである。
本発明の第一および第二結合部位は、任意の方法によって同定および単離することができる。標的または免疫応答成分の結合部分を単離するための方法は、Mario Geysenの方法などの方法を用いて決定することができる。Geysen、他、PNAS 1984年、81(13):3998−4002およびGeysen他、J.Immunol.Methods,1987年,102(2)259−74は、Geysenのピン装置を用いるペプチド合成およびスクリーニングの初期の方法について記載している。元の方法の改良および方法の応用例は、Geysen他、Chem.Biol.1996年、3(8):679−88;Schultz他、Biotechnol.Prog.、1996年、12(6):729−43;Carter,JM、Methods Mol.Biol.1994年、36:207−23(Geysen PEPSCAN手順);Int.J.Pept.Protein Res.1993年、42(1):1−9;Wagner他、Comb.Chem.High Throughput Screen 1998年、1(3):143−153;Edmundson他、Proteins,1993年、16(3):246−67;Alexander他、PNAS 1992年、89(8):3352−6;Edmundson他、Ciba Found.Sump 1991年、158:213−25;Rodda他、Australas Biotechnol.1993年、3(6)346−7;Tribbeck他、J.Immunol.Methods 1991年、139(2):155−66;Smith,G.P.、Curr.Opin.Biotechnol.1991年、668−73などの刊行物を含むがこれらに限定されない多くの刊行物中に教示されている。
これらのコンビナトリアル合成方法を使用し、標的と結合する際に第二結合部位としての機能を果たす結合ペプチドを速やかに判定することができる。また、ランダムに作製されたペプチドを、標的との結合について速やかに試験し、標的と結合する第二結合部位を提供することができる。これらのペプチド、タンパク質断片またはペプチドを第一結合部位と抱合させ、免疫リンカーを生成することができる。
本発明のいくつかの実施形態において、ユニバーサル免疫原は、第一のポリペプチドを発現する第一のバクテリオファージを含み、免疫リンカーは、第一のポリペプチドと第二のポリペプチド双方を発現する第二のバクテリオファージを含む。一部の実施形態において、第一のバクテリオファージは、野生型のバクテリオファージであり、第二のバクテリオファージは、同じバクテリオファージの突然変異型または組換え体である。ファージディスプレイ技法を用い、第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドのどちらかまたは双方を発現するバクテリオファージを選択することができる。より具体的に、ファージディスプレイは、ペプチドまたはタンパク質が、バクテリオファージのコートタンパク質との融合物として発現され、その結果、ファージビリオンの外部表面上に融合タンパク質が提示される選択技法である。ファージディスプレイは、標的と結合するバクテリオファージの外側に提示されるペプチドの選択を可能にする。このペプチド、またはそのある部分は、第二結合部位として機能する。
第一および/または第二結合部位の一実施形態を形成する核酸アプタマーを作製するための方法は、当技術分野において知られており、上記で参照したいくつかの特許中に少なくとも教示されている。一般に、方法は、任意の望ましい標的について核酸リガンドを作製することを含む。方法は、結合親和性および選択性について事実上すべての望ましい基準を得るため、核酸候補物の混合物からの選択および同じ一般的選択テーマを用いる構造改良の段階的反復を含む。例えば、SELEX法は、少なくとも1014個の配列変異体を含む混合物において単一配列変異体の単離を可能にする。次いで、SELEX法もしくは改良または他の方法を用いて作製されるアプタマーは、免疫リンカーの第二結合部位として使用される。任意の標的に対するアプタマーを数時間または数日中に作製し、リンカー部分および免疫リンカーの第一結合部位と連結し、集団の防御を提供することができる。
本明細書に記載の刊行物および特許は、例えば記載および開示する目的のために参照により本明細書に組み込まれるものとし、刊行物に記載の構築物および方法は、目下記載されている発明に関連して使用される可能性がある。上記および本文を通じて議論された刊行物は、本出願の出願日に先立って、それらの開示のためのみに提供される。本明細書では、先願発明のために、本発明者にはそのような開示に先行する資格がないと認めていると見なされることはない。
当然のことながら、上記は、本発明の好ましい実施形態のみに関し、本開示に記載の本発明の精神および範囲を逸脱することなく多くの修正形態または変更形態を実施できることは言うまでもない。
(実施例1)
B型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)免疫リンカーの新生児ラットへの投与
B型インフルエンザ菌(Hib)は、特に幼児および免疫不全者において重度の侵襲性疾患を引き起こす被包性細菌病原体である。Hibに対する防御免疫応答は、莢膜多糖(PS)のエピトープを対象としている。感染に先立って10〜100個のHib生物を腹腔内に接種されたラットへの抗莢膜多糖抗体の受動的投与は、ラットを菌血症/敗血症から守るはずである。Hibに対する一次エフェクターの防御様式は、抗PS抗体の補体依存性殺菌活性による。
本発明の目的のため、Hib莢膜多糖(PS)に対して特異的なヒトFab断片をクローニングした。このFab断片は、「自然」抗体の同じ重鎖および軽鎖可変領域を使用しているが、IgG重鎖のCH2およびCH3ドメインを欠く。したがって、このFab断片単独では、補体と結合し、殺菌/防御活性を示すことはできない。Fab断片(Fab41)は、免疫リンカーの第二結合部位としての機能を果たす。このFab断片を、免疫リンカーの第一結合部位としての機能を果たすフェニルアルソネートハプテンに連結させた。得られた免疫リンカーをFab41−ARSと呼んだ。
新生児ラットは、成体ラットにフェニルアルソニル化(phenylarsonated)キーホールリンペットタンパク質を注射し、フェニルアルソネートカラム上で産生抗体を親和性精製することによって作製された抗フェニルアルソネート抗体の皮下注射を受けた。18時間後、新生児ラットにHib生物を腹腔内投与した。2時間後、Fab41−ARS、リンカーを新生児ラットに腹腔内注射した。18〜24時間後、新生児ラットの血液をチョコレート寒天上にプレートし、Hibコロニーをカウントした。結果を下表1に示す。
Figure 2007527419
(実施例2)
α−ガラクトシルエピトープ免疫リンカー
α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼを欠き、結果としてその産物であるα−1,3−ガラクトシル−ガラクトース結合すなわちα−ガラクトシルエピトープに対するBおよびT細胞免疫応答を有する組換えノックアウトマウスに、α−ガラクトシルエピトープを含む免疫リンカーを投与する。α−ガラクトシルエピトープは、Galili,U.およびAvila,J.L.、α−Galと抗Gal、Subcellular Biochemistry、Vol.32、1999年に記載されている。免疫リンカーは、Gal(α 1,3)Gal(β 1,4)−GlcNAc−Rを含み、ここでRは、B型インフルエンザ菌(Hib)の莢膜多糖に対して特異的なヒトFab断片を表す。10分後、有意な用量のHibの生菌を腹腔内投与する。24時間後、チョコレート寒天上にマウスの血液をプレートすることにより、実験マウスの血液中のcfu数を、病原体を投与されたが免疫リンカーによる前処置を受けていないマウスの同じ尺度と比較する。α−ガラクトシルエピトープに連結されたFab断片による処置は、リンカーを投与されなかったマウスに比べて菌血症を抑制する。リンカーの一部の量において、抑制は用量依存的である。
(実施例3)
炭疽菌に特異的なファージディスプレイ免疫リンカーの開発
1.New England BioLabsにより販売されているような標準的なファージディスプレイ技法を用い、多数のランダムペプチドをコードするランダムオリゴヌクレオチドにより、炭疽菌(B.anthracis)胞子、または炭疽菌の他の毒素、毒素成分(PAなど)もしくは抗原に対して特異的なペプチドを提示する組換えバクテリオファージを単離する。
2.1)バクテリオファージの非組換え体および組換えバクテリオファージへの抗体の結合、および2)炭疽菌胞子に対する組換えバクテリオファージの結合により、組換えバクテリオファージが免疫リンカーとしての機能を果たすことをin vitroで立証する。
3.非組換えバクテリオファージにより対象を免疫化する。この免疫化は、注射または吸入によって起きる。
4.炭疽菌胞子結合ペプチドを発現する組換えバクテリオファージを含む組成物に対象を曝露する。吸入投与経路を用い、対象の肺において炭疽菌感染を予防するのに有効な十分量の組成物を提供する。
5.吸入手段によって対象を炭疽菌に曝露すると、対象は、吸入型炭疽菌による感染から守られる。
また、このような手順を用い、皮下または胃腸の炭疽菌曝露を阻止または抑制することができる。

Claims (20)

  1. 個体において、標的に対する免疫応答を増大させる方法であって、1つまたは複数の免疫リンカーを含む組成物を、個体に有効量投与することを含み、リンカー分子は少なくとも1つの第一結合部位および少なくとも1つの第二結合部位を含み、第二結合部位は標的と結合し、個体は第一結合部位またはその免疫学的等価体に対する既存の免疫応答を有し、免疫応答は細胞性免疫応答および体液性免疫応答から選択される方法。
  2. 既存の免疫応答は、第一結合部位を含むユニバーサル免疫原を個体に投与することによって誘発される請求項1に記載の方法。
  3. 既存の免疫応答は、第一結合部位の免疫学的等価体であるユニバーサル免疫原を個体に投与することによって誘発される請求項1に記載の方法。
  4. 既存の免疫応答は、ユニバーサル免疫原の投与なしに個体に存在する請求項1に記載の方法。
  5. 第二結合部位は、抗体またはその断片を含む請求項1に記載の方法。
  6. 第二結合部位は、Fab抗体断片を含む請求項1に記載の方法。
  7. 標的は、病原体である請求項1に記載の方法。
  8. 免疫リンカーは、第一のバクテリオファージを含む請求項1に記載の方法。
  9. 第一結合部位は、バクテリオファージによって発現される第一のポリペプチドを含み、第二結合部位は、バクテリオファージによって発現される第二のポリペプチドを含む請求項8に記載の方法。
  10. 既存の免疫応答は、第一のポリペプチドを発現する第二のバクテリオファージを含むユニバーサル免疫原を個体に投与することによって誘発される請求項9に記載の方法。
  11. 第一のバクテリオファージおよび/または第二のバクテリオファージは各々、1つまたは複数の細菌の中に含まれる請求項10に記載の方法。
  12. 個体はヒトであり、第一結合部位はα−ガラクトシルエピトープを含む請求項1に記載の方法。
  13. 個体は、免疫リンカーの投与に先立って、標的に対する有効な免疫応答を起こすことができない請求項1に記載の方法。
  14. 免疫応答は、細胞性免疫応答である請求項1に記載の方法。
  15. 免疫応答は、体液性免疫応答である請求項1に記載の方法。
  16. 組成物は、異なる免疫リンカーの集団を含み、第一結合部位は、
    a)免疫応答成分上の異なるエピトープに対するそれらの特異性、または
    b)免疫応答成分上の同一エピトープに対するそれらの親和性
    の点で異なる請求項1に記載の方法。
  17. 免疫応答成分は、抗体を含む請求項16に記載の方法。
  18. 組成物は、
    a)標的上の異なるエピトープに対するそれらの特異性、または
    b)標的上の同一エピトープに対するそれらの親和性
    の点で異なる第二結合部位を含む異なる免疫リンカーの集団を含む請求項1に記載の方法。
  19. 第二結合部位は各々、抗体またはその断片を含む請求項18に記載の方法。
  20. 個体において、標的に対する体液性免疫応答を増大させる方法であって、1つまたは複数の免疫リンカーを含む組成物を、個体に有効量投与することを含み、リンカーは少なくとも1つの第一結合部位および少なくとも1つの第二結合部位を含み、第一結合部位は体液性免疫応答成分またはその免疫学的等価体と結合し、第二結合部位は標的と結合し、標的は通常、その個体または別の個体において、細胞性免疫応答を誘発する方法。
JP2006549430A 2004-01-09 2005-01-07 化学的にプログラム可能な免疫 Pending JP2007527419A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US10/754,456 US7645743B2 (en) 1999-12-22 2004-01-09 Chemically programmable immunity
PCT/US2005/000490 WO2005079423A2 (en) 2004-01-09 2005-01-07 Chemically programmable immunity

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007527419A true JP2007527419A (ja) 2007-09-27

Family

ID=34886495

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006549430A Pending JP2007527419A (ja) 2004-01-09 2005-01-07 化学的にプログラム可能な免疫

Country Status (6)

Country Link
US (3) US7645743B2 (ja)
EP (1) EP1729799A4 (ja)
JP (1) JP2007527419A (ja)
AU (2) AU2005213962B2 (ja)
CA (1) CA2555210C (ja)
WO (1) WO2005079423A2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018531287A (ja) * 2015-10-08 2018-10-25 センタウリ セラピューティクス リミテッド 化合物及びそれらの治療用途
JP2019526614A (ja) * 2016-09-13 2019-09-19 センタウリ セラピューティクス リミテッド 新規化合物及びその治療上の使用
CN110753558A (zh) * 2017-04-07 2020-02-04 森陶里治疗有限公司 新化合物及其治疗用途

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2328356A1 (en) * 1999-12-22 2001-06-22 Itty Atcravi Recreational vehicles
US7645743B2 (en) * 1999-12-22 2010-01-12 Altermune, Llc Chemically programmable immunity
KR20050099536A (ko) 2003-02-06 2005-10-13 트리펩 아베 글리코실화된 특이성 교환체
WO2007056525A2 (en) * 2005-11-10 2007-05-18 James Paulson High affinity siglec ligands
EP1790358A1 (en) 2005-11-23 2007-05-30 Université de Reims Champagne-Ardennes Protein constructs designed for targeting and lysis of cells
WO2010129666A1 (en) * 2009-05-05 2010-11-11 Altermune Technologies, Llc Chemically programmable immunity
GB201411150D0 (en) 2014-06-23 2014-08-06 Altermune Technologies Llc Novel aptamers and therapeutic uses thereof
GB201707076D0 (en) * 2017-05-04 2017-06-21 Centauri Therapeutics Ltd Novel compounds and therapeutic uses thereof
GB201705684D0 (en) * 2017-04-07 2017-05-24 Centauri Therapeutics Ltd Novel compounds and therapeutic uses thereof
GB201816554D0 (en) 2018-10-10 2018-11-28 Centauri Therapeutics Ltd Novel compounds and therapeutic uses thereof
GB201816553D0 (en) 2018-10-10 2018-11-28 Centauri Therapeutics Ltd Novel compounds and therapeutic uses thereof

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001045734A1 (en) * 1999-12-22 2001-06-28 Mullis Kary B Chemically-programmable immunity
JP2001512438A (ja) * 1997-02-11 2001-08-21 イムノメディクス,インコーポレイテッド αガラクトシルエピトープで標識された抗体による免疫応答の刺激

Family Cites Families (49)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4169137A (en) 1974-12-20 1979-09-25 Block Engineering, Inc. Antigen detecting reagents
IL51667A (en) 1977-03-16 1979-10-31 Miles Yeda Ltd Immunoassay for the determination of a hapten
US5017558A (en) 1980-01-14 1991-05-21 The Regents Of The University Of California Synthetic vaccine peptide epitomes of hepatitis B surface antigen
US4711955A (en) 1981-04-17 1987-12-08 Yale University Modified nucleotides and methods of preparing and using same
US4737453A (en) 1984-12-12 1988-04-12 Immunomedics, Inc. Sandwich immunoassay utilizing a separation specific binding substance
US4637459A (en) * 1985-06-28 1987-01-20 Roussel Louis J Anti rotational device for down hole hydraulic pumping unit
US4940670A (en) * 1986-01-24 1990-07-10 Rhodes Buck A Method for compounding and testing patient specific monoclonal antibodies and monoclonal antibody fragments for in vivo use
DK8189A (da) 1988-01-12 1989-07-13 Bunge Australia Antigen-antistof-konjugater, deres fremstilling og anvendelse
US5378815A (en) * 1989-10-20 1995-01-03 National Research Council Canada Process for indirect targeted immunocytolysis
GB8924438D0 (en) 1989-10-31 1989-12-20 Hoffmann La Roche Vaccine composition
US5218088A (en) 1989-11-02 1993-06-08 Purdue Research Foundation Process for preparing dithiophosphate oligonucleotide analogs via nucleoside thiophosphoramidite intermediates
US6344321B1 (en) 1990-06-11 2002-02-05 Gilead Sciences, Inc. Nucleic acid ligands which bind to hepatocyte growth factor/scatter factor (HGF/SF) or its receptor c-met
US6280932B1 (en) 1990-06-11 2001-08-28 Gilead Sciences, Inc. High affinity nucleic acid ligands to lectins
US5683867A (en) * 1990-06-11 1997-11-04 Nexstar Pharmaceuticals, Inc. Systematic evolution of ligands by exponential enrichment: blended SELEX
US6261774B1 (en) 1990-06-11 2001-07-17 Gilead Sciences, Inc. Truncation selex method
US6346611B1 (en) 1990-06-11 2002-02-12 Gilead Sciences, Inc. High affinity TGfβ nucleic acid ligands and inhibitors
US6331394B1 (en) 1991-06-10 2001-12-18 Gilead Sciences, Inc. Nucleic acid ligands to integrins
US5637459A (en) 1990-06-11 1997-06-10 Nexstar Pharmaceuticals, Inc. Systematic evolution of ligands by exponential enrichment: chimeric selex
US5962219A (en) 1990-06-11 1999-10-05 Nexstar Pharmaceuticals, Inc. Systematic evolution of ligands by exponential enrichment: chemi-selex
US6232071B1 (en) 1990-06-11 2001-05-15 Gilead Sciences, Inc. Tenascin-C nucleic acid ligands
EP1695978A1 (en) 1990-06-11 2006-08-30 Gilead Sciences, Inc. Nucleic acid ligands
US6395888B1 (en) 1996-02-01 2002-05-28 Gilead Sciences, Inc. High affinity nucleic acid ligands of complement system proteins
US5496938A (en) 1990-06-11 1996-03-05 Nexstar Pharmaceuticals, Inc. Nucleic acid ligands to HIV-RT and HIV-1 rev
US6248332B1 (en) 1990-10-05 2001-06-19 Medarex, Inc. Targeted immunostimulation with bispecific reagents
AU9053991A (en) 1990-11-20 1992-06-11 Tanox Biosystems, Inc. Conjugates of anti-idiotype antibodies and carriers and their use in epitope-directed immunization
WO1995005454A1 (en) 1992-02-22 1995-02-23 Cambridge Bacteriophage Technologies Ltd. Engineered bacteriophages and vaccines containing them
US6579696B1 (en) * 1992-12-21 2003-06-17 Promega Corporation Polymyxin B conjugates
US6040137A (en) 1995-04-27 2000-03-21 Tripep Ab Antigen/antibody specification exchanger
US6933366B2 (en) 1996-12-27 2005-08-23 Tripep Ab Specificity exchangers that redirect antibodies to bacterial adhesion receptors
SE9401460D0 (sv) * 1994-04-28 1994-04-28 Ferring Ab Antigen/antibody specificity exhanger
US6660842B1 (en) 1994-04-28 2003-12-09 Tripep Ab Ligand/receptor specificity exchangers that redirect antibodies to receptors on a pathogen
US6013443A (en) 1995-05-03 2000-01-11 Nexstar Pharmaceuticals, Inc. Systematic evolution of ligands by exponential enrichment: tissue SELEX
WO1997037690A2 (en) * 1996-04-10 1997-10-16 Sangstat Medical Corporation Cytomodulating conjugates of members of specific binding pairs
US6054312A (en) * 1997-08-29 2000-04-25 Selective Genetics, Inc. Receptor-mediated gene delivery using bacteriophage vectors
WO1999031276A1 (en) 1997-12-15 1999-06-24 Nexstar Pharmaceuticals, Inc. Homogeneous detection of a target through nucleic acid ligand-ligand beacon interaction
US7112328B2 (en) * 1998-07-16 2006-09-26 Vincent Marinkovich Composition for targeted cell treatment
EP1031131B1 (en) * 1998-09-18 2010-10-27 Panasonic Corporation Colour display apparatus
US6867289B1 (en) 1998-10-26 2005-03-15 Board Of Regents, The University Of Texas Systems Thio-modified aptamer synthetic methods and compositions
WO2001032207A1 (en) * 1998-10-30 2001-05-10 United States Army Medical Research And Materiel Command Methods for conferring active/passive immunotherapy
US6329145B1 (en) 1999-02-09 2001-12-11 Gilead Science, Inc. Determining non-nucleic acid molecule binding to target by competition with nucleic acid ligand
US6280943B1 (en) 1999-06-17 2001-08-28 Gilead Sciences, Inc. 2′-fluoropyrimidine anti-calf intestinal phosphatase nucleic acid ligands
US6387620B1 (en) 1999-07-28 2002-05-14 Gilead Sciences, Inc. Transcription-free selex
EP1088889A1 (en) 1999-10-01 2001-04-04 University Of Cambridge Recombinant double hybrid filamentous bacteriophage
WO2001036448A2 (en) * 1999-10-27 2001-05-25 Cel-Sci Corporation Preparation and composition of peptides useful for treatment of autoimmune and transplant related graft versus host conditions
US7645743B2 (en) * 1999-12-22 2010-01-12 Altermune, Llc Chemically programmable immunity
NZ521898A (en) * 2000-03-31 2004-11-26 Purdue Research Foundation Use of a ligand-immunogen conjugate such as folate-FITC for enhancing an endogenous immune response
US20030017134A1 (en) * 2001-06-19 2003-01-23 Technion Research And Development Foundation Ltd. Methods and pharmaceutical compositions for immune deception, particularly useful in the treatment of cancer
US10100316B2 (en) * 2002-11-21 2018-10-16 Archemix Llc Aptamers comprising CPG motifs
KR20050099536A (ko) * 2003-02-06 2005-10-13 트리펩 아베 글리코실화된 특이성 교환체

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001512438A (ja) * 1997-02-11 2001-08-21 イムノメディクス,インコーポレイテッド αガラクトシルエピトープで標識された抗体による免疫応答の刺激
WO2001045734A1 (en) * 1999-12-22 2001-06-28 Mullis Kary B Chemically-programmable immunity

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018531287A (ja) * 2015-10-08 2018-10-25 センタウリ セラピューティクス リミテッド 化合物及びそれらの治療用途
JP7065775B2 (ja) 2015-10-08 2022-05-12 センタウリ セラピューティクス リミテッド 化合物及びそれらの治療用途
JP2019526614A (ja) * 2016-09-13 2019-09-19 センタウリ セラピューティクス リミテッド 新規化合物及びその治療上の使用
JP7185622B2 (ja) 2016-09-13 2022-12-07 センタウリ セラピューティクス リミテッド 新規化合物及びその治療上の使用
CN110753558A (zh) * 2017-04-07 2020-02-04 森陶里治疗有限公司 新化合物及其治疗用途
JP2020516613A (ja) * 2017-04-07 2020-06-11 センタウリ セラピューティクス リミテッド 新規化合物及びそれらの治療上の使用
CN110753558B (zh) * 2017-04-07 2023-10-24 森陶里治疗有限公司 新化合物及其治疗用途

Also Published As

Publication number Publication date
US20040185054A1 (en) 2004-09-23
AU2005213962A1 (en) 2005-09-01
CA2555210A1 (en) 2005-09-01
EP1729799A2 (en) 2006-12-13
AU2010200609B2 (en) 2013-05-16
US20120301466A1 (en) 2012-11-29
WO2005079423A3 (en) 2006-12-28
EP1729799A4 (en) 2008-11-05
US7645743B2 (en) 2010-01-12
US8263082B2 (en) 2012-09-11
AU2005213962B2 (en) 2009-11-05
AU2010200609A1 (en) 2010-03-11
CA2555210C (en) 2014-05-06
WO2005079423A2 (en) 2005-09-01
US20100247535A1 (en) 2010-09-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2555210C (en) Chemically programmable immunity
US8604184B2 (en) Chemically programmable immunity
US7422746B2 (en) Chemically programmable immunity
JP4743928B2 (ja) 処方物
US20230218748A1 (en) Artificial promiscuous t helper cell epitopes as immune stimulators for synthetic peptide immunogens
US20210251899A1 (en) Polymersomes comprising a soluble encapsulated antigen as well as methods of making and uses thereof
JP2013520482A (ja) 癌ワクチン
CN111978409B (zh) 自组装合成蛋白
WO2014110092A1 (en) Methods of generating robust passive and active immune responses
AU2021204628A1 (en) Methods and compositions related to accelerated humoral affinity
WO2008107641A1 (en) Liposome preparation
US20170035878A1 (en) Multi-Functional Mucosal Vaccine Platform
KR19990007858A (ko) 박테리아의 리포프로테인으로 폴리사카라이드에 대한 면역반응의 유도및 강화
AU785022B2 (en) Peptide mimics of conserved gonococcal epitopes and methods and compositions using them
WO2018085488A1 (en) Universal mammalian influenza vaccine
JP2023542141A (ja) 繊維状バクテリオファージを標的化する組成物および方法
Moureau et al. Characterization of humoral and cellular immune responses in mice induced by immunization with HIV-1 Nef regulatory protein encapsulated in poly (DL-lactide-co-glycolide) microparticles
CA3214934A1 (en) Polymersomes comprising a soluble encapsulated polynucleotide and an ionizable lipid as well as methods of making and uses thereof
WO2013027063A1 (en) Chemically programmable immunity

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110324

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110823

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111122

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120221

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120321