JP2007524573A - イディオタイプワクチン - Google Patents

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Abstract

本発明は、p53に対する免疫の誘導に使用するためのイディオタイプワクチン組成物に関する。好ましくは本発明は、薬学的に許容される担体、及び少なくとも1つのペプチドを含むワクチン組成物に関し、該少なくとも1つのペプチドは、X−LLQALKH−Y、X−FIRSKAYGAATAYAASKKG−Y、及びX−MQGLQTPYT−Y(式中、X、X、X、Y、Y及びYは独立して、不在であるか、又は特定のペプチドのためのフレームワークをもたらす好ましくは10アミノ酸未満のアミノ酸配列である)からなる群より選択されるものである。

Description

本発明は、p53に対する免疫の誘導に使用するためのイディオタイプワクチン組成物に関する。
p53腫瘍抑制遺伝子の変異は、ほぼ50%のヒトの癌において起こっており、それには結腸癌(65%)、肺癌(70%)、胃癌(45%)、乳癌(30%)、及び頭頸部癌(60%)が含まれる。p53は、3つの機能的ドメインを有する。すなわち転写因子に特徴的な酸性N末端ドメイン、調節C末端ドメイン、及び中央DNA結合ドメインである。変異したp53タンパク質は、細胞周期及びアポトーシスの調節におけるその正常な機能を失っている。変異したp53は、適切に分解されず、従って細胞質及び核に蓄積する。
p53は、能動免疫療法のための優れた腫瘍関連抗原であるとみなされており、なぜなら、(1)p53の過剰発現は、ヒトHLAクラスI分子と会合した、腫瘍細胞表面でのp53ペプチドの高レベルでの提示をもたらす;(2)p53は最もよく特性が調べられた抗原の1つであり、その遺伝子配列は公知であり、且つ該タンパク質の主要領域の多くについての3次元構造が決定されており、それによりp53上の、問題とされる独特な抗原部位の構造特定及びマッピングが可能になり、このことが、体液性及び細胞性免疫のための有用な標的を提供するものである、ためである。該分子を標的とすることの別の適当な理由は、1)p53ペプチドは正常細胞表面には提示されていないこと;2)p53特異的T細胞がヒトに存在することである。都合の悪いことに、多くの研究が、p53が特に有望な免疫原ではないことを示しており、それはおそらく該分子が自己タンパク質であるためである。p53に対する寛容を崩壊させうるならば、ワクチン接種が腫瘍の進行を遅らせるのに有効な強い自己免疫応答を引き起こすことが理論上可能になる。p53断片の使用に代わる選択肢は、抗原性擬態物(antigenic mimics)を用いることであり、この擬態物は免疫学的寛容を引き起こすようないかなる望ましくない性質も持たず、しかもなおp53特異的免疫応答を誘発する能力を保持するものである。
本発明においては、本発明者らはp53に対するヒト抗体のCDRを含むイディオタイプワクチンを提供する。
イディオタイプネットワーク仮説は、Lindemannにより1973年に初めて提唱され、Jerneは1974年に、免疫系を、抗体とリンパ球の相互作用のネットワークとして記述した。この仮説においては、抗体Ab1を、Ab1に対する一連の抗イディオタイプ抗体(Ab2と呼ぶ)を作り出すのに用いることができる。これらAb2分子のうちの一部(Ab2βと呼ぶ)は、Ab1のパラトープに適合し、Ab1により識別される腫瘍関連抗原(TAA)の3次元構造の機能的擬態物として機能しうる。Ab2βは次に、特異的抗−抗イディオタイプ抗体(Ab3)及びT細胞(T3)を誘導し、これらはAb1により識別される元の腫瘍関連抗原を認識する。
ワクチン接種戦略としての抗イディオタイプ抗体(Ab2β)の使用は、いくつかの主要な利点を有する。(1)抗腫瘍免疫を誘導するのに腫瘍由来の物質の使用を含まないため、使用するのが比較的安全である;(2)エピトープ構造が、イディオタイプ決定基へと変わり、異なる分子環境において発現されるので、自己腫瘍抗原に対する寛容を崩壊させる効果的な方法を示しうる;(3)抗イディオタイプ抗体は、元来の抗原よりも高い親和性でHLAクラスI分子に結合することがある。このことは、抗イディオタイプをプロセシングする抗原提示細胞(APC)上での発現を助け、且つT細胞活性化を助ける;(5)ヒト抗イディオタイプ抗体を用いたときには、それらはヒトの免疫エフェクター細胞及び特にT細胞をより効率よく刺激するという利点を有しうる。最近、いくつかの臨床試験が、抗イディオタイプ抗体が非常によく寛容されることを示した。
国際特許出願第WO 00/56770号において、本発明者らはp53に対するヒト抗体を数多く開示した。さらにこれらの抗体のアミノ酸配列を、これらの抗体をコードするDNA配列とともに提供した。この出願の開示は、参照により本明細書に含められる。
発明の概要
第1の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該ワクチン組成物は、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのペプチドを含み、該少なくとも1つのペプチドは、X−LLQALKH−Y、X−FIRSKAYGAATAYAASMKG−Y及びX−MQGLQTPYT−Y(式中、X、X、X、Y、Y及びYは独立して、不在であるか、又は特定のペプチドのためのフレームワークをもたらす好ましくは10アミノ酸未満のアミノ酸配列である)からなる群より選択されるものである。
第2の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該組成物は、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのペプチドを含み、該少なくとも1つのペプチドは、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択されるペプチドとp53への結合について競合することを特徴とするものである。
第3の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該組成物は、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのペプチドを含み、該少なくとも1つのペプチドは、該ペプチドに対して生起された抗体がAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドと反応することを特徴とするものである。
第4の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該ワクチンは、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのDNA分子を含み、該DNA分子は少なくとも1つのペプチドをコードする配列を含み、該少なくとも1つのペプチドは、X−LLQALKH−Y、X−FIRSKAYGAATAYAASMKG−Y、及びX−MQGLQTPYT−Y(式中、X、X、X、Y、Y及びYは独立して、不在であるか、又は特定のペプチドのためのフレームワークをもたらす好ましくは10アミノ酸未満のアミノ酸配列である)からなる群より選択されるものである。
第5の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該組成物は、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのDNA分子を含み、該DNA分子は少なくとも1つのペプチドをコードする配列を含み、該少なくとも1つのペプチドは、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択されるペプチドとp53への結合について競合することを特徴とするものである。
第6の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該組成物は、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのDNA分子を含み、該DNA分子は少なくとも1つのペプチドをコードする配列を含み、該少なくとも1つのペプチドは、該ペプチドに対して生起された抗体がAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドと反応することを特徴とするものである。
第7の態様において、本発明は、被験体において抗p53イディオタイプ応答を誘導する方法であり、該方法は本発明の第1の、第2の、第3の、第4の、第5の、又は第6の態様のいずれか1つに記載の組成物を被験体に投与することを含む。
第8の態様において、本発明は変異型p53の発現により引き起こされる疾患に対する免疫を誘導する方法を提供し、該方法は本発明の第1の、第2の、第3の、第4の、第5の、又は第6の態様のいずれか1つに記載の組成物を被験体に投与することを含む。
図面の簡単な説明
図1は、ワクチン接種スケジュールの日程にわたる、ELISAにより測定された個々のワクチンペプチドに対する体液性応答である。個々のグラフは、1人の被験者についての結果を表している(被験者012−A、G及びI;被験者014−B;被験者015−C、E及びH;及び被験者016−D、F及びJ)。ペプチド2に対する血清反応性は図A−D及びIに、ペプチド5については図E、F及びJに、ペプチド8については図G及びHに表されている。個々のビオチン化ワクチンペプチド(5μg/ml)をストレプトアビジン被覆プレート(5μg/ml)に結合させ、血清結合抗体はヤギ抗ヒトIgG、IgA及びIgM特異的二次アルカリホスファターゼ複合体(0.12μg/ml)(A−H)、又はマウス抗ヒトIgA、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4、IgM特異的抗体パネル(0.25μg/ml)と引き続くヤギ抗マウスIgGアルカリホスファターゼ複合体(0.12μg/ml)(I及びJ)のいずれかを用いて検出した。血清希釈は、A、1:100;G、1:25;H、1:25を除いて、1:50とした。通院1−基準(ベースライン);通院2−ワクチン接種1の1ヵ月後;通院3−ワクチン接種2の1ヵ月後;通院4−ワクチン接種3の1ヵ月後;通院5−ワクチン接種4の1ヵ月後;通院6−ワクチン接種4の2ヵ月後。三重検体の平均値±1標準偏差を示してある。
図2は、ELISAにより測定された、プールされたワクチンを用いて免疫したヒツジ2頭のうち1頭における個々のワクチンペプチド(A)及びp53(B)に対する血清抗体応答である。A.個々のビオチン化ワクチンペプチド(5μg/ml)をストレプトアビジン被覆プレート(5μg/ml)に結合させ、追加免疫の10日後に存在した血清結合抗体は、アルカリホスファターゼ結合ロバ抗ヒツジIgG特異的二次抗体(0.12g/ml)を用いて検出した。B.精製組換えp53(10μg/ml)をプレートに結合させ、免疫前(免疫前血清)及び後(免疫後血清)に存在した血清結合抗体を上記のように検出した。三重検体の平均値±1標準偏差を示してある。
図3は、ELISAによりワクチン接種スケジュールの日程にわたって測定された被験者012におけるp53に対する体液性応答である。精製組換えp53(10μg/ml)をプレートに結合させ、血清結合抗体はヤギ抗ヒトIgG、IgA及びIgM特異的二次アルカリホスファターゼ複合体(0.12μg/ml)(A)、又はマウス抗ヒトアイソタイプ特異的抗体パネル(0.25μg/ml)と引き続くヤギ抗マウスIgGアルカリホスファターゼ複合体(0.12μg/ml)(B)のいずれかを用いて検出した。示したデータは1:100に希釈した血清を用いたものであるが、1:400希釈においてもなお反応性は検出された。相対血清濃度は、試験試料に対する410nmにおける当量吸光度として与えられる2つの陽性対照血清のプールの濃度を、試験試料の濃度で除算することにより算出した。通院1−基準;通院2−ワクチン接種1の1ヵ月後;通院3−ワクチン接種2の1ヵ月後;通院4−ワクチン接種3の1ヵ月後;通院5−ワクチン接種4の1ヵ月後;通院6−ワクチン接種4の2ヵ月後。三重検体の平均値±1標準偏差を示してある。
図4は、ワクチン接種スケジュールの日程にわたって測定された被験者016におけるペプチド5に対する細胞媒介性応答である。患者PBMCを10μg/mlのペプチド5を用いて刺激し、in vitroにおいて6日間インキュベートし、H−チミジンで18時間パルス標識した後、増殖をH−チミジン取り込みによって評価した。通院1−基準;通院2−ワクチン接種1の1ヵ月後;通院3−ワクチン接種2の1ヵ月後;通院4−ワクチン接種3の1ヵ月後;通院5−ワクチン接種4の1ヵ月後;通院6−ワクチン接種4の2ヵ月後。
図5は、基準時点(A及びC)及びワクチン接種3(B)若しくは4(D)の1ヵ月後に測定された2人の被験者016(A及びB)及び017(C及びD)におけるワクチンに対する細胞媒介性応答である。CFSE−FITCで染色した被験者PBMCを50μg/mlのプールされたワクチンを用いて刺激し、in vitroにおいて6日間インキュベートした。CD8、CD71及びCD3マーカーを、フルオレセイン結合抗体を用いて検出した。ワクチンを用いたin vitro刺激に応答して特異的に増殖したCD3、CD4及びCD71陽性細胞のパーセンテージを示してある。
詳細な説明
本発明者らは、ヒト抗p53抗体のCDRに由来する特定のペプチドを用いた免疫がAb2の産生をもたらすことを明らかにした。イディオタイプカスケードの一部として、Ab2はAb3、すなわちp53に対する抗体の産生を引き起こしうる。同定され、選択された当該CDRは、Ab2(p53構造擬態を表す抗体)の産生をもたらし、該Ab2の産生が次に、腫瘍細胞の殺傷及び本発明の実施において有益なp53の3次元構造上の領域に対する免疫応答(体液性及び細胞媒介性)を引き起こす点で独特である。ヒトモノクローナル抗体(Ab1)に由来する他のCDRによる認識によって規定されるp53上の領域も存在し、それは免疫原性であるが、免疫応答(Ab2)を引き起こしうるものの腫瘍殺傷活性をもたらすことができないと予想される。p53は、体内でのそのクリアランスの間の分子プロセシング(processing)によって多くのエピトープが露呈されるので、ヒトモノクローナル抗体(Ab1)はp53のほとんどいかなる領域についても作製することができるが、それらのエピトープはワクチンの形で免疫を標的化するためには免疫学的に適切ではない可能性がある。本発明の重要な点は、Ab1(ヒトモノクローナル抗体)に関連したp53配列領域の同定であり、これは、有意な抗イディオタイプカスケードがそれを標的としうるような部位を提供する。従って、本発明の重要な態様は、Ab1上のCDR(それらが結合する特定のp53配列によって規定される)の選択であり、これは次にCTLによって認識されるように露呈された変異型p53分子の領域に対して、抗イディオタイプカスケードを介して、免疫を引き起こす。
容易に理解されるように、本明細書に記載された結果は特定の配列のペプチドを用いて達成されたものであるが、同様の結果が異なる配列のペプチドを用いて達成されうる。本発明はまた、本発明のペプチドの類似物にも適用範囲を広げるものである。重要な要素は、ペプチド抗原が少なくとも1つの特定されたペプチドと同様のAb2応答を実質的に引き起こすことである。よって、該ペプチド抗原の必須の特性は、それが、特定されたペプチド抗原の少なくとも1つと反応する抗体を生起することである。
従って、第1の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該ワクチン組成物は、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのペプチドを含み、該少なくとも1つのペプチドは、X−LLQALKH−Y、X−FIRSKAYGAATAYAASMKG−Y及びX−MQGLQTPYT−Y(式中、X、X、X、Y、Y及びYは独立して、不在であるか、又は特定のペプチドのためのフレームワークをもたらす好ましくは10アミノ酸未満のアミノ酸配列である)からなる群より選択されるものである。
本発明の好ましい実施形態においては、
は不在であるか、又はAVYYCであり、
は不在であるか、又はLEWVGであり、
は不在であるか、又はGVYYCであり、
は不在であるか、又はWGQGTであり、
は不在であるか、又はRVTIであり、
は不在であるか、又はFGEGTである。
さらなる好ましい実施形態においては、該組成物はAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドを含む。
さらなる好ましい実施形態においては、該組成物はペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てを含む。
別の好ましい実施形態においては、該組成物はLEWMGIINPSGGSANYAPKFKGRLTMS、KLLIHWASTRESGVPDR、AGLFCQQYYTTPLTFGGGT、YFCSRVKAGGPDYWGQGT、及びLLIYLGSTRASGVPDRからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドをさらに含む。
第2の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該組成物は、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのペプチドを含み、該少なくとも1つのペプチドは、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択されるペプチドとp53への結合について競合することを特徴とするものである。
「競合する」とは、同濃度での該ペプチドの存在下において、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、又はGVYYCMQGLQTPYTFGEGTのp53に対する結合が少なくとも50%減少することを意味する。該ペプチドはp53に対して、同等に、より強く、又は最高で2桁弱い親和性で結合する。
競合は当業者に周知の多くの方法のいずれかを用いて測定しうる。好ましくは競合のレベルは、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、又はGVYYCMQGLQTPYTFGEGTを標識し、試験ペプチドの存在下若しくは非存在下におけるp53に対する結合のレベルを測定することにより測られる。
第3の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該組成物は、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのペプチドを含み、該少なくとも1つのペプチドは、該ペプチドに対して生起された抗体がAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドと反応することを特徴とするものである。
「反応する」とは、該ペプチドに対して生起された抗体がAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTより選択される少なくとも1つのペプチドに結合することを意味する。
本発明の第2及び第3の態様の好ましい実施形態においては、該ペプチドはX−LLQALKH−Y、X−FIRSKAYGAATAYAASMKG−Y、及びX−MQGLQTPYT−Y(式中、X、X、X、Y、Y及びYは独立して、不在であるか、又は特定のペプチドのためのフレームワークをもたらす好ましくは10アミノ酸未満のアミノ酸配列である)からなる群より選択されるものである。
本発明の第2及び第3の態様のさらなる好ましい実施形態においては、
は不在であるか、又はAVYYCであり、
は不在であるか、又はLEWVGであり、
は不在であるか、又はGVYYCであり、
は不在であるか、又はWGQGTであり、
は不在であるか、又はRVTIであり、
は不在であるか、又はFGEGTである。
本発明の第2及び第3の態様のさらなる好ましい実施形態においては、該組成物は、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドを含む。
本発明の第2及び第3の態様のさらなる好ましい実施形態においては、該組成物は、ペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てを含む。
本発明の第2及び第3の態様の別の好ましい実施形態においては、該組成物は、LEWMGIINPSGGSANYAPKFKGRLTMS、KLLIHWASTRESGVPDR、AGLFCQQYYTTPLTFGGGT、YFCSRVKAGGPDYWGQGT、及びLLIYLGSTRASGVPDRからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドをさらに含む。
本発明の第1、第2及び第3の態様のさらなる好ましい実施形態においては、該組成物はアジュバントをさらに含む。
癌に対する理想的な免疫応答は、一般的には、細胞傷害性T細胞及びTh1ヘルパー応答の誘導を含むと考えられている。免疫応答をこの結果に向かわせることを促す薬剤の入手可能性は別として、癌ワクチンのためのアジュバントの選択は、適当なアジュバントの選択における通常の実験操作のレベルを要するのみである。
アジュバントに加えて、小ペプチド(一般的には30アミノ酸未満)を、その免疫原性を改善させるためにより大きな分子(担体)に連結する場合が多い。好適な担体及びアジュバントの選択は、ヒトでの使用のための安全で許容できるワクチンの調製にとって重要な点である。
以下に述べられている試験においては、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)をアジュバントとして用いている。このサイトカインは、抗原提示細胞を動員するその能力、そしてMHCクラスI及びII分子のアップレギュレーションという点から有用であると考えられる。ペプチドワクチンに関しては、GM−CSFは混合型Th1/Th2応答を誘導する傾向にある。IL−2及びIL−12のような他のサイトカインアジュバントも利用されうるが、これらは過度の副作用をも伴い、日常的な臨床用途でも用いられるワクチンには好適でない可能性がある。
他の一般的に利用されるアジュバントは、作用機構の大部分が不明であり、抗原提示の長期化や抗原局在化の増強のような物理的手段によって、純粋にその効果を発揮しているようである。これらは、種々の油エマルジョン技術、ISCOMS、ミョウバン(水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウム)、及びリポソーム送達系を含む。いくつかのアジュバントは、病原体認識受容体(PRR)を介して作用し、免疫応答に必要な種々の共刺激事象を誘発するようである。これらとしては、CpGオリゴヌクレオチド、リポ多糖(LPS)、ムラミルジペプチド(例えばN−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチルノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11637、nor−MDPと呼ばれる))及びコレラ毒素のような細菌性毒素が挙げられる。最後の場合において、ペプチドを細菌性毒素に結合させることができ、この技術はG17−DT、すなわちガストリンとジフテリア毒素の複合体を用いてヒトの胃腸悪性腫瘍において試験されたものである。これら全ての薬剤は、免疫応答の極性にある程度影響を及ぼす。
ジフテリア毒素及びコレラ毒素と同様に、ペプチドは、破傷風トキソイドのような他の細菌性毒素、又はKLH(Keyhole Limpet Haemocyanin:キーホールリンペットヘモシアニン)のようなタンパク質と結合させることができる。
効果的でありうるアジュバントの別の例としては、これに限定されるものではないが、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP 19835A、MTP−PEと呼ばれる)、及びRIBI(これは細菌から抽出した3つの成分、モノホスホリル脂質A、トレハロースジミコレート、及び細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を2%スクアレン/Tween80エマルジョン中に含むものである)が挙げられる。
アジュバント及びその他の薬剤のさらなる例としては、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸ベリリウム、シリカ、カオリン、炭素、油中水エマルジョン、水中油エマルジョン、コリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)(プロピオノバクテリウム・アクネス(Propionobacterium acnes))、ボルデテラ・ペルタシス(Bordetella pertussis)、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミゾール、DEAE−デキストラン、ブロックコポリマー又は他の合成アジュバントが挙げられる。そのようなアジュバントは、様々な供給元から市販されており、例えばメルクアジュバント65(Merck and Company, Inc.、Rahway、N.J.)又はフロイント不完全アジュバント及び完全アジュバント(Difco Laboratories、Detroit、Michigan)がある。ジフテリア毒素、百日咳毒素及び破傷風毒素、並びにオボアルブミンのような、ヘルパーT細胞応答を促進するアジュバントを含むことが特に好ましい。他の好ましいアジュバントには、免疫刺激複合体(ISCOM)が含まれ、これはQuilAのような界面活性剤の小ミセルである。本発明の免疫原は、該免疫原が細胞質に進入できるように、抗原提示細胞と融合しうるミセル中に存在していてもよい。
本発明のポリペプチド、特にペプチドは、例えばWO93/02706号に記載されているように、脂肪酸との結合によって自己アジュバント性(self-adjuvanting)ペプチドとして調製されてもよい。
しかしながら現時点では、アジュバントがGM−CSFであることが好ましい。
第4の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該ワクチンは、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのDNA分子を含み、該DNA分子は少なくとも1つのペプチドをコードする配列を含み、該少なくとも1つのペプチドは、X−LLQALKH−Y、X−FIRSKAYGAATAYAASMKG−Y、及びX−MQGLQTPYT−Y(式中、X、X、X、Y、Y及びYは独立して、不在であるか、又は特定のペプチドのためのフレームワークをもたらす好ましくは10アミノ酸未満のアミノ酸配列である)からなる群より選択されるものである。
本発明の第4の態様の好ましい実施形態においては、
は不在であるか、又はAVYYCであり、
は不在であるか、又はLEWVGであり、
は不在であるか、又はGVYYCであり、
は不在であるか、又はWGQGTであり、
は不在であるか、又はRVTIであり、
は不在であるか、又はFGEGTである。
本発明の第4の態様のさらなる好ましい実施形態においては、該組成物は、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドをコードするDNA分子を含む。
本発明の第4の態様のさらなる好ましい実施形態においては、該DNA分子は、ペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの少なくとも2つ、さらに好ましくは3つ全てをコードするものである。
本発明の第4の態様のさらなる好ましい実施形態においては、該DNA分子はGM−CSFをコードするさらなる配列を含むものである。
本発明の第4の態様の別の好ましい実施形態においては、該DNA分子は、LEWMGIINPSGGSANYAPKFKGRLTMS、KLLIHWASTRESGVPDR、AGLFCQQYYTTPLTFGGGT、YFCSRVKAGGPDYWGQGT、及びLLIYLGSTRASGVPDRからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドをコードするさらなる配列を含むものである。
第5の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該組成物は、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのDNA分子を含み、該DNA分子は少なくとも1つのペプチドをコードする配列を含み、該少なくとも1つのペプチドは、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択されるペプチドとp53への結合について競合することを特徴とするものである。
第6の態様において、本発明はイディオタイプワクチン組成物を提供し、該組成物は、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのDNA分子を含み、該DNA分子は少なくとも1つのペプチドをコードする配列を含み、該少なくとも1つのペプチドは、該ペプチドに対して生起された抗体がAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドと反応することを特徴とするものである。
本発明の第5及び第6の態様の好ましい実施形態においては、該DNA分子によりコードされるペプチドは、X−LLQALKH−Y、X−FIRSKAYGAATAYAASMKG−Y、及びX−MQGLQTPYT−Y(式中、X、X、X、Y、Y及びYは独立して、不在であるか、又は特定のペプチドのためのフレームワークをもたらす好ましくは10アミノ酸未満のアミノ酸配列である)からなる群より選択されるものである。
本発明の第5及び第6の態様の好ましい実施形態においては、
は不在であるか、又はAVYYCであり、
は不在であるか、又はLEWVGであり、
は不在であるか、又はGVYYCであり、
は不在であるか、又はWGQGTであり、
は不在であるか、又はRVTIであり、
は不在であるか、又はFGEGTである。
本発明の第5及び第6の態様のさらなる好ましい実施形態においては、該組成物は、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドをコードするDNA分子を含む。
本発明の第5及び第6の態様のさらなる好ましい実施形態においては、該DNA分子は、ペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの少なくとも2つ、さらに好ましくは3つ全てをコードするものである。
本発明の第5及び第6の態様のさらなる好ましい実施形態においては、該DNA分子はGM−CSFをコードするさらなる配列を含むものである。
本発明の第5及び第6の態様のさらなる好ましい実施形態においては、該DNA分子はLEWMGIINPSGGSANYAPKFKGRLTMS、KLLIHWASTRESGVPDR、AGLFCQQYYTTPLTFGGGT、YFCSRVKAGGPDYWGQGT、及びLLIYLGSTRASGVPDRからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドをコードするさらなる配列を含むものである。
本発明の第4、第5及び第6の態様の組成物は、DNAワクチン接種における使用のためのものであることが理解されよう。
実験モデル及び前臨床モデルにおいて、ウイルスタンパク質をコードする非複製性プラスミドDNAを直接注入して防御性免疫応答を生起することが可能であるため、DNA免疫付与に対する関心が増大している。DNAワクチン接種に関する有用な総説は、Donnellyら(1)の中で提供されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
DNAワクチン接種は、被験体組織の細胞における抗原の発現を目的とした、被験体組織への、抗原をコードするDNAのin vivo直接導入を含む。DNAワクチンは、米国特許第5,939,400号、同第6,110,898号、WO 95/20660号、及びWO 93/19183号中に記載されており、その開示は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。直接注入された、抗原をコードするDNAの防御性免疫応答を生起する能力は、多数の実験系において実証されてきた(例えば、Conryら(2)、Cardosoら(3)、Coxら(4)、Davisら(5)、Sedegahら(6)、Montgomeryら(7)、Ulmerら(8)、Wangら(9)、Xiangら(10)、Yangら(11)、Ulmerら(12)、Wolffら(13)参照)。
今までのところ、哺乳動物系におけるほとんどのDNAワクチンは、サイトメガロウイルス(CMV)に由来するウイルスプロモーターに依存している。これらは、多くの哺乳動物種において、筋及び皮膚接種の両者で良好な効率を示している。DNA免疫付与により引き起こされる免疫応答に影響を及ぼすことが知られている要因はDNA送達の方法であり、例えば非経口経路は低い割合での遺伝子導入しかもたらすことができず、遺伝子発現の顕著な多様性を引き起こす(14)。遺伝子銃を用いたプラスミドの高速接種は、マウスの免疫応答を増強し(15、16)、それはおそらく、より高い効率でのDNAトランスフェクション、及び樹状細胞によるより効果的な抗原提示によるものである。本発明の、核酸に基づくワクチンを含むベクターは、当該技術分野において公知の他の方法によって所望の宿主に導入することもでき、そのような方法としては例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、微小注入、形質導入(transduction)、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、又はDNAベクタートランスポーターがある。
他の実施形態においては、DNAは人工ウイルス粒子(virosome)又はリポソームによって皮膚又は粘膜に送達されてもよい。複製欠損アデノウイルスのようなウイルスベクターを用いてもよく、且つ露出した皮膚に直接、非侵襲的(注射針を用いない)ワクチン接種によりそれらを送達してもよい(17)。
DNAワクチンの利点の1つは、ベクターそれ自身が免疫学的アジュバントとして作用しうることである。第1に、抗原の細胞内発現は、主要組織適合性クラスI経路による提示、及びCD8陽性細胞傷害性Tリンパ球応答の誘導をもたらす。第2に、非メチル化CpGモチーフ(例えばGTCGTT)を高含有率で含む細菌性DNAの使用により、Th1応答傾向が増強される(18)。
第7の態様において、本発明は、被験体において抗p53イディオタイプ応答を誘導する方法であり、該方法は本発明の第1の、第2の、第3の、第4の、第5の、又は第6の態様のいずれか1つの組成物を被験体に投与することを含む。
第8の態様において、本発明は変異型p53の発現により引き起こされる疾患に対する免疫を誘導する方法を提供し、該方法は本発明の第1の、第2の、第3の、第4の、第5の、又は第6の態様のいずれか1つの組成物を被験体に投与することを含む。
本明細書の全体にわたって、「含む(comprise)」という語、又はその変形、例えば「含む(comprises)」又は「含んでいる(comprising)」は、示されている要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の包含を意味するが、他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の排除を意味するものではないと理解されるものである。
本明細書中に記載された全ての刊行物は、参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書に包含されている文書、行為、物質、装置、物品等についてのいかなる議論も、専ら本発明の説明を与えるためのものである。これらの事項のいずれか、若しくは全てが、本出願の各請求項についての優先日以前にオーストラリアにおいて存在したとして、先行技術を成すか又は本発明に関連する技術分野における共通一般知識であったと理解されることが是認されるものではない。
本発明の本質がより明確に理解されるように、その好ましい形態を、以下の非制限的な実施例に述べる。
材料及び方法
ペントリックス(Pentrix)の調製
ペプチド製造
非GMP等級ペプチド(表1)の製造は、Multiple Peptide Systems(MPS)、San Diego、USAにより行われた。MPSは日常業務として多数の臨床試験のためにペプチドを製造している専門的団体である。
Figure 2007524573
表1:ペントリックス(PentrixTM)のペプチド配列。これらの配列は、アミノドメイン(N)及び中央ドメイン(C)特異性を有する2種類のヒト抗p53抗体の抗原結合領域に対応する。CDR配列には下線を付している。それぞれのペプチドは、CDRの両側に位置するフレームワーク領域に由来する追加のアミノ酸を有している。CDR=相補性決定領域。
ペプチドは検出可能な量の内毒素を含まず(<0.1U/mg)無菌であり、RP−HPLC及びアミノ酸配列解析により検討した限りでは純粋であった。ワクチンはペプチド(それぞれ500μg)とGM−CSF(100μg;Schering-Plough、Baulkham Hills、Australia)を31.25%DMSO/31.25%生理食塩水/37.5%dHO(800μl)中にて混合することにより調製した。
被験者及び臨床プロトコル
転移性悪性腫瘍を有する10人の被験者(乳腺癌1、結腸直腸癌5、非小細胞肺癌1、血管周囲細胞腫1、腎細胞癌1、前立腺癌1)、局所再発を有する1人の被験者(頭頸部扁平上皮細胞癌)、及び試験登録時において無病の完全に治療された進行悪性腫瘍を有する3人の被験者(食道癌1、腎癌1、及び非小細胞肺癌1)が試験に参加した(年齢中央値=52.5歳、年齢範囲39〜70歳、男性7人、女性7人)。聖ビンセント病院ヒト研究倫理委員会に従い、全ての患者から詳細なインフォームド・コンセントを得た。
適格な被験者は、米国東部癌治療共同研究グループ(ECOG)の一般状態0(11被験者)又は1(3被験者)、少なくとも6ヶ月の推定余命、原発腫瘍又は転移腫瘍いずれかにおけるp53の過剰発現(DO7抗p53抗体(Dako、Botany、NSW)による、腫瘍細胞のうち少なくとも20%の中程度〜強い染色によって示される)、及びリコール抗原に対する陽性反応(CMIマルチテスト(Pasteur Merieux、Lyon、France)により測定した場合)を有することが必要とされる。被験者は、化学療法、放射線療法若しくは手術を受けたか、又は6週間以内に免疫抑制療法を受けた場合には除外された。
被験者の第1群は、200μlずつ4ヶ所の注射として行われる単回皮内ワクチン接種を受けた。被験者の第2群のCMI試験の前に、破傷風追加免疫を行った。第2群はその後、第1群に対するものと同じ送達法により、1ヶ月間隔で4回のワクチン接種を受けた。免疫学的アッセイのための血液は、それぞれの免疫付与の前、並びに4回目のワクチン接種の1ヵ月後及び2ヵ月後に採取した。体温、血圧、心拍数、及び呼吸数を含む臨床所見を、注射時、並びに24時間後及び48時間後に記録した。NCI共通毒性基準第2版に従い有害事象を類別した(19)。4回全てのワクチン接種を完了した被験者を、ワクチン特異的免疫応答について評価した。全ての患者を、安全性及び毒性について評価した。腫瘍応答は本研究の一環としては行わなかった。
遅延型過敏反応(DTH)試験は、最後のワクチン接種の1ヶ月後に行った。個々のワクチンペプチド(100μg)、ヒトHIV gp41特異的抗体の軽鎖CDR2配列に由来する陰性対照ペプチド(H−PKLLIYKASSLESGVPSR−OH)、及びビヒクルのみを、肩甲骨間領域に皮内注射した。注射48時間後における10mm以上の硬結を陽性とみなした。
ワクチンによるヒツジ及びウサギの免疫付与
ペプチドのそれぞれに特異的なポリクローナル血清は、ヒツジ2頭及びウサギ2羽を免疫することにより作製した。ヒツジを200μgのペプチド混合物(CpG DNAアジュバント(ImmunEasy Adjuvant、Quiagen)中)で初回免疫し、6週間後に追加免疫し、初回免疫の日、及び追加免疫の10日後に採血した。ペプチド3及び7に反応性のポリクローナル血清はヒツジでは生起されず、そのためウサギをペプチド3及び7の混合物(それぞれ375μg;QuilA/DEAEデキストラン/モンタニド(Montanide)ISA 50Vアジュバント混合物(Bioquest、Sydney、Australia)中)で初回免疫し、6週間後に追加免疫した。
ワクチン及びp53に対する体液性免疫応答
個々のワクチンペプチド、又は組換えp53のいずれかに特異的な血清抗体を検出するためにELISAを用いた。それぞれのビオチン化ペプチド(5μg/ml;Auspep、Melbourne、Australia)を、5μg/mlのストレプトアビジン(Sigma、St. Louis、MO)で被覆したプレート上に別々に捕捉し、精製組換えp53(10μg/ml)は既述のように直接プレートに被覆した(20)。血清は3回ずつ試験し、且つ一定の範囲(1:25〜1:800)の希釈について試験した。結合している抗体は、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ヒトIgA+IgG+IgM(H+L)抗体(0.12μg/ml;Jackson Immunoresearch、West Grove、PA)を用いて検出した。Abs410nmの平均変化(ペプチド存在下でのAbs410nm−ペプチド不在下でのAbs410nm)が0.3より大きいサンプルを陽性とみなした。陽性応答は、マウス抗ヒトIgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、及びIgM特異的抗体パネル(0.25μg/ml;Zymed、San Francisco、CA)と引き続くヤギ抗マウスIgGアルカリホスファターゼ複合体(0.12μg/ml;Jackson Immunoresearch、West Grove、PA)を用いた結合抗体の検出によりアイソタイプ分類した。ウサギ及びヒツジにおける抗ペプチド応答及び抗p53応答の検出は、上記のようにELISAを用いて行ったが、血清結合抗体はアルカリホスファターゼ結合ロバ抗ヒツジ又は抗ウサギIgG抗体(0.12μg/ml;Jackson Immunoresearch、West Grove、PA)を用いて検出した。54人の癌対照(年齢中央値=66.3歳、年齢範囲=40.9〜84.0歳、男性36人、女性18人)及び30人の正常対照(年齢中央値=34.5歳、年齢範囲=22.7〜61.6歳、男性14人、女性16人)から採取した血清も試験した。
ワクチン及びp53に対する細胞媒介性応答
ワクチン(個々のペプチド若しくはワクチンプール)又はp53による刺激に応答した増殖は、(H)−チミジン及びカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)増殖アッセイを用いて測定し、IFN−γの分泌をIFN−γ ELISPOTアッセイにより測定した。末梢血単核細胞(PBMC)をチミジン増殖アッセイ及びELISpotアッセイのために1×10細胞/ウェルの濃度で播種し、CFSE増殖アッセイのために1×10細胞/ウェル(24穴プレート)で播種した。ELISpotプレートは、マウス抗ヒトIFN−γ抗体(Diaclone、France)で被覆し、CFSEアッセイ用の細胞は5μM CFSE−FITC(Molecular Probes、Eugene、OR)で染色した。全てのPBMCは、2mM L−グルタミン、10mM HEPES、100U/mLペニシリン/ストレプトマイシン、及び10%ヒトAB血清(Australian Red Cross Blood Service)を添加したRPMI中で用いた。
細胞を、プールしたワクチン(50μg/ml)、個々のワクチンペプチド(10μg/ml)、組換えp53(5又は10μg/ml)、陽性対照(フィトヘマグルチニン(0.5μg/ml;Murex、Dartford、UK)及びインターロイキン−2(10U/ml;Roche Diagnostics、Mannheim、Germany)を含む)、及びスタフィロコッカスエンテロトキシンB(1μg/ml;Sigma-Aldrich、St Louis、Missouri)を用いて刺激し、陰性対照ウェルは、培地のみ及び細胞のみを含有するものとした。リコール抗原CMV溶解物(1/2000希釈;BioWhittaker、Walkersville、MD)及び破傷風トキソイド(2.5Lfu/ml;CSL)についても試験した。PBMCは37℃、5%CO雰囲気下で20時間(ELISpot)又は6日間(増殖アッセイ)インキュベートした。
その後、ダイアクローンのプロトコル(Diaclone、France)に従ってIFN−γ分泌を検出し、スポットを自動化ELISpotプレート計数機(Autoimmun Diagnostika、Strassberg、Germany)を用いて計数した。抗原特異的T細胞の存在頻度は、抗原存在下において得られたスポットの平均数から、抗原非存在下において得られたスポットの平均数を減算することにより算出した。平均スポット数が50/10PBMC以上の場合、サンプルを陽性とみなした。
CFSE増殖アッセイにおいては、CD3、CD71(BD Biosciences、San Jose、CA)及びCD8(Beckman Coulter、Miami、Florida)に特異的なフルオレセイン結合モノクローナル抗体を用いて細胞を染色し、EPICS−XLフローサイトメーターを用いて解析した(21)。CD71陽性であり、且つ分裂していない集団から移動した細胞のパーセンテージが、刺激非存在下において観察されるものの少なくとも2倍であるときには、染色を陽性とみなした。
チミジン増殖アッセイにおいては、細胞を0.5μCi/ウェルの[メチル−H]−チミジン(Amersham、Buckinghamshire、UK)を用いてパルス標識し、18時間後に回収した。[H]−チミジン取り込みは、液体シンチレーション計数により測定した。4連のサンプルにおける各ウェルの刺激指数(22)が、未刺激細胞の平均値を少なくとも標準偏差の3倍分上回っているとき、サンプルを陽性であるとみなした。
結果
臨床結果
合計102個体をこの研究への参加についてスクリーニングし、42個体を病状に基づいて除外し、別の26個体を、その腫瘍がp53を過剰発現していないために除外した。21人の被験者はCMI試験を受け、そのうち7人は破傷風トキソイドを含む共通リコール抗原に対する明らかなCMI応答がみられなかったため、除外した。4人の被験者は本研究の単回用量フェーズに参加し(被験者002、004、006、及び007)、10人の被験者は複数用量フェーズに参加した(009、010、011、012、014、015、016、017、018、及び019)。複数用量フェーズに参加した4人の被験者(009、010、011、019)は、別の治療を必要とする疾患の進行により、全4回のワクチン接種を完了する前に試験を中断した。
49回のワクチン接種にわたって、ワクチンはよく許容され、記録された有害事象のうち主要なものは基礎疾患に起因するものであると考えられた。予想されたように、局所応答が最も一般的な有害事象であった。200μlの皮内浸潤は、被験者の全てに小さな水疱を引き起こし、初期の被験者の多くは24〜48時間後に水膨れ及び潰瘍を形成した。この局所応答は、GM−CSF及びペプチド混合物の急速な析出に起因するものであり、希釈剤を生理食塩水から水に換えること、及び各注射の合間に注射器を振とうすることにより改善した。複数回のワクチン接種を受けた被験者は、それぞれの接種の後に、後ワクチン接種硬結の面積が拡大し、これは局所DTH応答を示唆するものである。
おそらくは、又はもしかするとワクチンに起因すると考えられる毒性は、重症度段階1若しくは2に限られ、関節痛(10件)、吐き気(4件)及び発熱反応(16件)を含むものであった。これらの影響は、全てGM−CSF単独の場合にも記載されているものである(23)。段階3若しくは4の毒性は、黄疸(1件)、運動神経障害(2件)、嘔吐(1件)、腫瘍痛(3件)、神経因性疼痛(1件)及び非好中球減少性敗血症(1件)、並びに2つの重症有害事象(脊髄圧迫、及び肺炎による死亡)を含み、これらは疾患の進行によるものと考えられた。
ワクチンに対する体液性応答
6人の評価可能な被験者のうち4人(012、014、015、及び016)の血清は、ペプチド2に反応性であることが見出され、2人の被験者(012及び015)はペプチド8に反応性であり、2人の被験者(015及び016)はペプチド5に反応性であった(図1A−H)。しかしながら、これらの応答の1つは基準時点において観察され(患者015、通院1)、ワクチン接種によって増大しなかった(図1E)。どの患者も、ペプチド1、3、4、6、又は7に対する応答を示さなかったが、ポリクローナルヒツジ血清(図2A)又はウサギ血清(データ未掲載)を用いると、これらのペプチドそれぞれに対する陽性反応が観察された。ヒトにおいて見られるワクチン特異的体液性応答は、少なくとも2回のワクチン接種が行われた後でのみ観察された。ペプチド特異的血清抗体の力価は、ワクチン接種4の1ヶ月後に最大レベルに上昇し、次の月には再び下降した。ワクチンペプチドに対する体液性応答は、アイソタイプ特異的抗体を使用してさらに特徴が調べられた。それぞれ全ての被験者のワクチン特異的血清抗体は、IgGクラスのものが顕著であり、抗原刺激性二次免疫応答を示唆するものであった。IgG抗体の血清力価は、IgA、IgG及びIgM応答を合計した場合と同様に、ワクチン接種の期間にわたって増大した。ペプチド2特異的血清抗体は、被験者012においてはIgG1サブクラスのものであり(図1I)、被験者014及び015においてはIgG1及びIgG3であり、被験者016においてはIgG4であった(データ未掲載)。ペプチド5特異的血清抗体は、被験者015(内在性応答)及び被験者016(図1J)においてはIgG3サブクラスのものであった。ペプチド8特異的血清抗原は、被験者012及び015(図1G及びH)において1:25という比較的高い血清希釈でのみ検出され、アイソタイプ特異的抗体を用いたときには検出されなかった(データ未掲載)。
被験者の1人(012)はまた、血清抗p53抗体についても上昇した力価を示した(図3A)。これらの抗体が基準時点において存在している限りは、それらがワクチンによるものなのか、又は疾患の進行に伴って抗原レベルが増加した結果なのかは明らかではない。p53特異的IgG1血清抗体のレベルはワクチン接種の増加に伴って上昇したが、IgM抗体のレベルはワクチン接種スケジュールの日程にわたって定常レベルに留まっていたことが、アイソタイプ特異的抗体により明らかになった(図3B)。
30人の正常対照、及び54人の癌対照に由来する血清のごく一部はワクチン中のペプチドに対する弱い反応性を示したが、いずれの場合も吸光度は被験患者に見られるよりも低かった(表2)。ペプチド1(3人の被験者)、ペプチド3(1人の被験者)、及びペプチド5(2人の被験者)に対する血清反応性は正常対照群においても検出され、一方でペプチド2(1人の被験者)、ペプチド5(3人の被験者)、及びペプチド7(1人の被験者)に対する応答は非被験癌対照群においても見られた(表2)。54人の癌対照のうち6人、及び30人の正常対照のうち1人は、p53に対する血清抗体を有していた(表2)。癌対照のp53変異状態は不明である。
Figure 2007524573
表2:ワクチンペプチド及びp53に対して体液性応答を示した個体数。癌対照及び被験者由来の血清は1:25希釈で試験した。被験者は、本明細書及び図1で示した濃度範囲で調べた。略号:e−ペプチド5に対する内在性応答(被験者015)、en−p53に対する内在性応答(被験者012)。*被験者群中、いずれかの時点における検出可能な応答は陽性とみなした。
ペプチド2、4、5、6、及び8に対する反応性を有するポリクローナル血清は両方のヒツジから得たが、一方の動物はペプチド1に応答せず、どちらの動物もペプチド3及び7に応答しなかった(図2A)。血清抗体力価はペプチド5及び8について同等であったが、ペプチド2、4、及び6に対する反応は、初めに免疫したヒツジにおいて平均して50%高かった。免疫方法を考慮すれば、ヒツジにおける血清抗ペプチド力価が被験患者において観察されたものよりも有意に高いことは驚くべきことではない。例えば、ペプチド5に対するヒツジ血清反応は、血清希釈1:3200においても検出可能であったが、被験者における最高血清力価は、ペプチド2に対する1:200である(図2A及び1A)。興味深いことには、抗ペプチド抗体の最高力価を示したヒツジはまた、上昇した検出可能なレベルのワクチン誘導p53特異的抗体を有していた。p53特異的抗体は血清希釈1:50及び1:100において測定可能であったが、それより高い希釈においてはバックグラウンドレベルに低下した(図2B)。ペプチド3及び7に対するポリクローナル血清は、免疫したウサギから単離することに成功したが、いずれのウサギも抗p53抗体を産生しなかった。
ワクチンに対する細胞媒介性応答
in vivo DTH試験を行った6人の被験患者全てが、それぞれのワクチンペプチドに対して応答することが示された(表3)。患者はそれぞれペプチドのうち2種、3種、又は4種に対して応答し、少なくとも1個体においてペプチド3及び6を除く全てのペプチドに対する応答が観察された。ペプチド5及び2は、ペプチド5特異的DTH応答を有する6患者全て、及びペプチド2に反応した5人の患者において、T細胞に対する免疫原性が最も強かった。ペプチド8に対しては3人の患者が応答し、ペプチド1及び7に対しては2人の患者、ペプチド4に対しては1人の患者が応答した。
Figure 2007524573
表3:4回のワクチン接種全てを完了させた評価対象の6人の患者についての、DTH試験において見られた皮膚硬結の程度。硬結面積(mm)は、それぞれのワクチンペプチド(10g)、HIV−L2ペプチド(10g)、及びビヒクルのみ(31.25%ジメチルスルホキシド(v/v)、0.05M NaCl)の注射後48時間において測定した。「Neg」は、硬結が(例えあったとしても)10mm未満であったことを示している。
評価対象の6人の被験患者のうち2人(016及び017)は、増殖アッセイで測定した限りでは、ワクチンに対して特異的なT細胞を有していることが明らかになった。患者016はペプチド1(通院5;刺激指数=10.4;データ未掲載)及びペプチド5(通院3、4及び5;刺激指数=それぞれ8.88、64.6及び22.2;図4)に対して、チミジン増殖アッセイにおいて応答を示した。この患者はまた、ペプチド5特異的増殖応答を示し、この応答は通院3(ワクチン接種2の1ヵ月後)において初めて現れ、3回のワクチン接種が行われた後に最高レベルにまで増大した。
ワクチンプールに対する増殖応答は、被験者016においてCFSE増殖アッセイによって確認され(通院4;循環CD3及びCD4陽性細胞の8.9%;図5B)、ペプチド5に対する応答も同様に確認された(通院5;循環CD3及びCD4陽性細胞の5.5%;データ未掲載)。他のペプチドは、細胞数が限られていたため、個々に試験は行わなかった。被験者017もまた、CFSE増殖アッセイにより測定されたワクチンペプチドプールに対する特異的増殖応答を有していた(通院5;循環CD3及びCD4陽性細胞の3.9%;図5D)。これらのワクチン特異的増殖アッセイの結果は両者とも、基準時点においては存在しないものであったから、ワクチン接種の経過によるものであると考えられる(図4、図5A及び図5C)。また、患者016及び017由来のPBMCは、ワクチンプール若しくはペプチド5による刺激が行われない場合には増殖しなかった(データ未掲載)。細胞数が限られていたために、他の2人の患者についてのみCFSE増殖アッセイによる試験を行い(012及び015)、両者ともワクチン特異的増殖応答を示さなかった。
増殖アッセイとは対照的に、被験患者のいずれも、ELISpotアッセイにより測定可能なワクチン特異的IFN−γ分泌T細胞を有することが示されなかった(データ未掲載)。患者のうち5人は、CMV溶解物に対する応答について試験を行い、5人のうち4人はCMV溶解物に対する再現性のある特異的応答を表し、このことは、該細胞が、MHCクラスI又はII経路によってタンパク質抗原全体がプロセシングを受け、提示されるのに十分な時間にわたり37℃においてインキュベートされたことを裏付けるものである。チミジン増殖アッセイ、CFSE増殖アッセイ(被験者012、015、016及び017のみが試験を受けた)、又はIFN−γELISpotアッセイにより評価する限りにおいては、どの被験体においても、p53に対する測定可能な細胞媒介性応答は示されなかった。
癌対照のいずれも、チミジン増殖アッセイ(9人の被験者)、CFSE増殖アッセイ(4人の被験者)、又はIFN−γELISpotアッセイ(9人の被験者)によりアッセイされる、ワクチンペプチドに対する測定可能な細胞媒介性応答を示さなかった。同様に、正常対照のいずれも、チミジン増殖アッセイ(3人の被験者)、又はCFSE増殖アッセイ(2人の被験者)によりアッセイされる、p53に対する測定可能な応答を示さなかった。
考察
本研究において、本発明者らは、ヒト抗p53抗体のCDR領域は、動物及び進行悪性腫瘍を有する個体において体液性、及び細胞性免疫を生起する能力があることを実証した。さらに、抗p53抗体がヒツジ及び1個体において観察され、このことは、ワクチン接種によってイディオタイプ免疫カスケードが誘起された可能性があることを示唆している。
自己タンパク質であるp53に対する臨床的に有効な免疫応答は、特異的な細胞傷害性T細胞の産生を要する。本発明者らは、Ab1(抗p53抗体に由来するCDR領域)を用いた免疫を行い、それにより、p53の免疫学的擬態物である抗イディオタイプ抗体(抗ペプチド抗体、又はAb2)の産生を誘導することで、そのような応答を生起しようと試みた。動物モデルにおいては、これら抗イディオタイプ抗体(Ab2)がp53抗原の代わりとなって、抗p53細胞傷害性T細胞のin vivo産生につながりうることが示されている(24、25)。本発明者らの戦略は、免疫した動物から単離された抗イディオタイプ抗体(Ab2)ではなく、Ab1を用いて被験体にワクチン接種を行っている点で、先行するヒトイディオタイプ試験とは異なっている(22、26−29)。
有効性を発揮するためには、ペプチドワクチンはまずMHCクラスII経路によってCD4陽性T細胞に対して提示されなければならない。T細胞の助けを借りて、その後ペプチド特異的B細胞はアイソタイプスイッチングを経て、抗イディオタイプ(Ab2)抗体パネルを産生する必要がある(30)。明らかに、本研究の評価対象の6人の被験者のうち4人においてはこの過程が起こり、推測するにヘルパーT細胞応答はTh2サブタイプのもののようである。この主張を支持する事実は、IgG1及びIgG3抗ペプチド抗体が顕著に見られたこと、そしてIFN−γを分泌することができないワクチン特異的T細胞の同定である。興味深いことに、8種のペプチドのうち3種(2、5及び8)のみが、観察された体液性、及び細胞媒介性免疫応答に寄与した。残りのペプチドが免疫原性を持たないことの可能な説明は多数あり、ワクチン接種の方法及び時期、並びに本研究の被験者におけるそれらペプチドのHLA適合性が含まれる(31−33)。最も可能性の高い理由の1つは、ペプチドが完全にヒト免疫グロブリン配列に由来するものであるために、これらの自己配列の認識に寄与する特定のT細胞及びB細胞が、クローン選択において排除されたかもしれないことである(34)。確かに、Ruizらは、マウス抗p53 CDRの一部のサブセットのみがマウスモデルにおいて免疫原性であることを証明している(24、25)。
ワクチン接種された被験者が抗原特異的Ab2を産生することができたことを考えると、これらAb2分子の一部は抗p53(Ab3)応答を引き起こしうると仮定される。実際、p53特異的抗体の力価の上昇により示されるように、2頭のワクチン接種されたヒツジのうちの1頭、及び患者の1人においては、このような状況であった。ヒツジに関しては、p53特異的応答は、免疫前血清においては検出されなかったものであるから、明らかにワクチンにより誘導されたものであり、ワクチン特異的抗体の高力価とよく相関する。他方、被験者における抗p53応答の重要性は不明である。この個体は基準において内在性のp53特異的免疫応答を有しており、抗p53抗体の力価はワクチン接種の日程にわたって上昇したものの、この期間、全身腫瘍組織量も増加していた。
これらの知見に基づいて、現行のワクチン接種の戦略は、少なくともヒトにおいては、検出可能な抗p53免疫応答を誘発するには適当でないと結論付けるのが妥当であるように思われる。さらなる熟考に値するこの知見についての説明はいくつもある。まず、本研究で用いたin vitroアッセイが、p53に対する体液性及びCD8+T細胞応答を検出できなかったという可能性を考慮することは重要である。このことはありそうもないが、組換えp53上の立体構造的エピトープに対する反応性が、ELISAにおいて検出されなかったことは事実である。さらに、交差初回免疫を行わない場合においては、p53が外因的に加えられ、抗原提示細胞によりMHCクラスIIと共に提示されるので、T細胞アッセイはCD4+応答のみを同定している可能性がある。p53に対するCD8陽性応答の検出は、p53の長さにわたる短い重複ペプチド(9〜13アミノ酸長)のin vitro使用を要するのかもしれない(35)。
これらの技術的な問題は別にして、抗p53抗体(Ab3)を産生しうるAb2の特性を確認することは重要である。これに関して、抗原提示に利用可能なAb2の絶対量が、免疫原としてのその潜在的な役割に強く影響することが示唆される。Ab2の最高力価は、ヒツジにおいて、抗p53抗体反応と共に観察された。2頭目のヒツジはより低いワクチン特異的抗体力価を有し、対応して検出可能なp53特異的体液性免疫を示さなかった。被験患者のAb2力価はどちらのヒツジのものよりも何倍も低かったが、最高のAb2応答を示した患者は、検出可能な抗p53反応性を有していた個体であったことは注目に値すべきほど興味深い。
Ab3の産生に影響を与えうる別の要因は、抗ペプチド若しくはAb2応答を形成するのに要した時間であり、これは言い換えるとワクチン接種の継続時間に依存しうる要因である。評価対象の患者は3回目若しくは4回目のワクチン接種後までペプチド免疫を発生せず、ワクチン接種が中断されると抗体力価が下がった。従って、抗p53抗体は、長期間にわたる頻回ワクチン接種に引き続いてのみ生成されうる可能性がある。他のワクチン試験との比較は、ペプチドが週1回、4週間投与され、続いて何ヶ月にもわたって定期的な追加免疫が行われることが最良であることを示唆する(36−38)。実際、p53は自己タンパク質であるので、免疫応答がよい記憶力を有するとは考えにくく、従ってワクチン接種が無限に続けられる必要があるかもしれない。
抗p53抗体の誘導の失敗を説明しうる最後の可能性は、Ab2上のエピトープが、免疫系によって認識されないp53の領域を擬態している可能性があることである。イディオタイプネットワークは抗原エピトープの局所化学的(topochemical)コピーを作り出すために設計されたものであり(39)、ワクチンは特異的ヒト抗p53抗体を有する個体に由来するので、この説明はあまりありそうにない。
関与する機構に関わりなく、ワクチン特異的抗体を十分なレベル産生させることにおいて遭遇する困難を避けるための他の選択肢は、ワクチン特異的抗体(Ab2)を単離し、それを用いて免疫することであり、これによりイディオタイプカスケードの1つのステップが除かれる。この手法の別の利点は、抗p53抗体、より重要にはCD8+T細胞の産生を即座に生起することができるワクチンの設計がこれにより可能になることである(40、41)。イディオタイプカスケードの全てのステップが完了するのに要しうる時間を考慮すると、Ab1を用いたさらなる免疫付与は賢明ではないかも知れず、特に手術のすぐ後に続く抗腫瘍免疫の誘導が重要であるようなアジュバント設定においてはそうである。
最後に、本研究は、ヒト抗体CDR領域を用いたワクチン接種が、ヒトAb2を誘導する新規の方法に相当するものであり、次に、特にアジュバント設定においては、これらの抗体の単離が有用な免疫原をもたらしうることを示している。
広く記載している本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、具体的な実施形態に示された本発明に対して多くの変更及び/又は修正が加えられうることは、当業者であれば理解できるであろう。本実施形態は、従って、あらゆる点で例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
参照文献
Figure 2007524573
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ワクチン接種スケジュールの日程にわたる、ELISAにより測定された個々のワクチンペプチドに対する体液性応答である。 ELISAにより測定された、プールされたワクチンを用いて免疫したヒツジ2頭のうち1頭における個々のワクチンペプチド(A)及びp53(B)に対する血清抗体応答である。 ELISAによりワクチン接種スケジュールの日程にわたって測定された被験者012におけるp53に対する体液性応答である。 ワクチン接種スケジュールの日程にわたって測定された被験者016におけるペプチド5に対する細胞媒介性応答である。 基準時点(A及びC)及びワクチン接種3(B)又は4(D)の1ヵ月後に測定された2人の被験者016(A及びB)及び017(C及びD)におけるワクチンに対する細胞媒介性応答である。

Claims (44)

  1. 薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのペプチドを含むイディオタイプワクチン組成物であって、該少なくとも1つのペプチドは、X−LLQALKH−Y、X−FIRSKAYGAATAYAASKKG−Y、及びX−MQGLQTPYT−Y(式中、X、X、X、Y、Y及びYは独立して、不在であるか、又は特定のペプチドのためのフレームワークをもたらす好ましくは10アミノ酸未満のアミノ酸配列である)からなる群より選択される、上記組成物。
  2. が不在であるか又はAVYYCであり、Xが不在であるか又はLEWVGであり、Xが不在であるか又はGVYYCであり、Yが不在であるか又はWGQGTであり、Yが不在であるか又はRVTIであり、Yが不在であるか又はFGEGTである、請求項1記載の組成物。
  3. 少なくとも1つのペプチドが、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される、請求項1又は2記載の組成物。
  4. ペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの少なくとも2つを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. ペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの3つ全てを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. LEWMGIINPSGGSANYAPKFKGRLTMS、KLLIHWASTRESGVPDR、AGLFCQQYYTTPLTFGGGT、YFCSRVKAGGPDYWGQGT、及びLLIYLGSTRASGVPDRからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. ペプチドが、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択されるペプチドの類似体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. アジュバントをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. アジュバントが、サイトカイン、免疫刺激複合体(ISCOMS)、CpGオリゴヌクレオチド、リポ多糖、ムラミルジペプチド、細菌毒素(ジフテリア毒素、百日咳毒素、及び破傷風毒素など)、オボアルブミン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン、RIBI、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸ベリリウム、シリカ、カオリン、炭素、油中水エマルジョン、水中油エマルジョン、コリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)、ボルデテラ・ペルタシス(Bordetella pertussis)、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミゾール、DEAE−デキストラン、ブロックコポリマー、若しくはメルクアジュバント65を含む他の合成アジュバント、又はフロイント不完全アジュバント及び完全アジュバントからなる群より選択される、請求項8記載の組成物。
  10. アジュバントが顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である、請求項9記載の組成物。
  11. 薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのペプチドを含むイディオタイプワクチン組成物であって、該少なくとも1つのペプチドが、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択されるペプチドとp53への結合について競合することを特徴とする、上記組成物。
  12. 薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのペプチドを含むイディオタイプワクチン組成物であって、該少なくとも1つのペプチドは、該ペプチドに対して生起された抗体がAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドと反応することを特徴とする、上記組成物。
  13. ペプチドがヒト抗p53抗体の相補性決定領域に由来する、請求項11又は12記載の組成物。
  14. 少なくとも1つのペプチドが、X−LLQALKH−Y、X−FIRSKAYGAATAYAASKKG−Y及びX−MQGLQTPYT−Y(式中、X、X、X、Y、Y及びYは独立して、不在であるか、又は特定のペプチドのためのフレームワークをもたらす好ましくは10アミノ酸未満のアミノ酸配列である)からなる群より選択される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の組成物。
  15. が不在であるか又はAVYYCであり、Xが不在であるか又はLEWVGであり、Xが不在であるか又はGVYYCであり、Yが不在であるか又はWGQGTであり、Yが不在であるか又はRVTIであり、Yが不在であるか又はFGEGTである、請求項14記載の組成物。
  16. 少なくとも1つのペプチドが、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される、請求項11〜15のいずれか1項に記載の組成物。
  17. ペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの少なくとも2つを含む、請求項11〜16のいずれか1項に記載の組成物。
  18. ペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの3つ全てを含む、請求項11〜17のいずれか1項に記載の組成物。
  19. LEWMGIINPSGGSANYAPKFKGRLTMS、KLLIHWASTRESGVPDR、AGLFCQQYYTTPLTFGGGT、YFCSRVKAGGPDYWGQGT、及びLLIYLGSTRASGVPDRからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドをさらに含む、請求項11〜18のいずれか1項に記載の組成物。
  20. ペプチドが、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択されるペプチドの類似体である、請求項11〜19のいずれか1項に記載の組成物。
  21. アジュバントをさらに含む、請求項11〜20のいずれか1項に記載の組成物。
  22. アジュバントが、サイトカイン、免疫刺激複合体(ISCOMS)、CpGオリゴヌクレオチド、リポ多糖、ムラミルジペプチド、細菌毒素(ジフテリア毒素、百日咳毒素、及び破傷風毒素など)、オボアルブミン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン、RIBI、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸ベリリウム、シリカ、カオリン、炭素、油中水エマルジョン、水中油エマルジョン、コリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)、ボルデテラ・ペルタシス(Bordetella pertussis)、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミゾール、DEAE−デキストラン、ブロックコポリマー、若しくはメルクアジュバント65を含む他の合成アジュバント、又はフロイント不完全アジュバント及び完全アジュバントからなる群より選択される、請求項21記載の組成物。
  23. アジュバントが顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である、請求項22記載の組成物
  24. 薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのDNA分子を含むイディオタイプワクチン組成物であって、該DNA分子は少なくとも1つのペプチドをコードする配列を含み、該少なくとも1つのペプチドは、X−LLQALKH−Y、X−FIRSKAYGAATAYAASKKG−Y、及びX−MQGLQTPYT−Y(式中、X、X、X、Y、Y及びYは独立して、不在であるか、又は特定のペプチドのためのフレームワークをもたらす好ましくは10アミノ酸未満のアミノ酸配列である)からなる群より選択される、上記組成物。
  25. が不在であるか又はAVYYCであり、Xが不在であるか又はLEWVGであり、Xが不在であるか又はGVYYCであり、Yが不在であるか又はWGQGTであり、Yが不在であるか又はRVTIであり、Yが不在であるか又はFGEGTである、請求項24記載の組成物。
  26. AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドをコードするDNA分子を含む、請求項24又は25記載の組成物。
  27. ペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの少なくとも2つを含む、請求項24〜26のいずれか1項に記載の組成物。
  28. ペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの3つ全てを含む、請求項24〜27のいずれか1項に記載の組成物。
  29. DNA分子がGM−CSFをコードするさらなる配列を含む、請求項24〜28のいずれか1項に記載の組成物。
  30. DNA分子がLEWMGIINPSGGSANYAPKFKGRLTMS、KLLIHWASTRESGVPDR、AGLFCQQYYTTPLTFGGGT、YFCSRVKAGGPDYWGQGT、及びLLIYLGSTRASGVPDRをコードするさらなる配列を含む、請求項24〜29のいずれか1項に記載の組成物。
  31. DNAワクチン接種に使用するための請求項24〜30のいずれか1項に記載の組成物。
  32. 薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのDNA分子を含むイディオタイプワクチン組成物であって、該DNA分子が少なくとも1つのペプチドをコードする配列を含み、該少なくとも1つのペプチドは、AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択されるペプチドとp53への結合について競合することを特徴とする、上記組成物。
  33. 薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのDNA分子を含むイディオタイプワクチン組成物であって、該DNA分子は少なくとも1つのペプチドをコードする配列を含み、該少なくとも1つのペプチドは、該ペプチドに対して生起された抗体がAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドと反応することを特徴とする、上記組成物。
  34. DNA分子によりコードされるペプチドがヒト抗p53抗体の相補性決定領域に由来する、請求項32又は33記載の組成物。
  35. DNA分子によりコードされるペプチドが、X−LLQALKH−Y、X−FIRSKAYGAATAYAASKKG−Y、及びX−MQGLQTPYT−Y(式中、X、X、X、Y、Y及びYは独立して、不在であるか、又は特定のペプチドのためのフレームワークをもたらす好ましくは10アミノ酸未満のアミノ酸配列である)からなる群より選択される、請求項32〜34のいずれか1項に記載の組成物。
  36. が不在であるか又はAVYYCであり、Xが不在であるか又はLEWVGであり、Xが不在であるか又はGVYYCであり、Yが不在であるか又はWGQGTであり、Yが不在であるか又はRVTIであり、Yが不在であるか又はFGEGTである、請求項35記載の組成物。
  37. AVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTからなる群より選択される少なくとも1つのペプチドをコードするDNA分子を含む、請求項32〜36のいずれか1項に記載の組成物。
  38. ペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの少なくとも2つを含む、請求項32〜37のいずれか1項に記載の組成物。
  39. ペプチドAVYYCLLQALKHWGQGT、LEWVGFIRSKAYGAATAYAASMKGRVTI、及びGVYYCMQGLQTPYTFGEGTの3つ全てを含む、請求項32〜38のいずれか1項に記載の組成物。
  40. DNA分子がGM−CSFをコードするさらなる配列を含む、請求項32〜39のいずれか1項に記載の組成物。
  41. DNA分子が、LEWMGIINPSGGSANYAPKFKGRLTMS、KLLIHWASTRESGVPDR、AGLFCQQYYTTPLTFGGGT、YFCSRVKAGGPDYWGQGT、及びLLIYLGSTRASGVPDRをコードするさらなる配列を含む、請求項32〜40のいずれか1項に記載の組成物。
  42. DNAワクチン接種に使用するための請求項32〜41のいずれか1項に記載の組成物。
  43. 請求項1〜42のいずれか1項に記載の組成物を被験体に投与することを含む、被験体において抗p53イディオタイプ応答を誘導する方法。
  44. 請求項1〜42のいずれか1項に記載の組成物を被験体に投与することを含む、変異型p53の発現によって引き起こされる疾患に対する免疫を誘導する方法。
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