JP2007523944A - RhoGTPアーゼ群アクチベーターからなる免疫アジュバント化合物を含むワクチン組成物 - Google Patents

RhoGTPアーゼ群アクチベーターからなる免疫アジュバント化合物を含むワクチン組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、Rho GTPアーゼのアクチベーター、即ち、細胞毒性壊死性因子1 (CNF1)およびDNTが、経口投与したオボアルブミンに対する全身応答に対して免疫刺激特性を担持するという実験上の知見に基づく。本発明は、免疫アジュバント化合物を含み、該免疫アジュバント化合物がRho GTPアーゼアクチベーターからなることを特徴とするワクチン組成物に関する。

Description

本発明は、免疫アジュバント化合物を含み、該免疫アジュバント化合物がRho GTPアーゼ(GTP結合タンパク質)群アクチベーターからなることを特徴とするワクチン組成物に関する。
ワクチン類は、感染病の予防において成功裏に大きく受容れられている方法であることが判明している。費用効果的であり、ターゲット病原体に対して抗生物質耐性を誘発させず或いは宿主中に存在する正常細菌叢に影響を及ぼさない。抗-ウイルス免疫を誘発させるときのような多くの場合において、ワクチンは、生存可能な治癒的または軽減的治療を利用できない疾病を予防し得る。
ワクチン類は、典型的には体内に非感染形または非病原形で導入された感染性生物体またその1部内の因子即ち抗原に対する応答を誘発するように免疫系を刺激することによって機能する。
一旦免疫系が上記生物体に対し“始動”即ち感作すると、免疫系のこの生物体に対する後での暴露は、病原体が宿主生物体内で十分に増殖または感染して疾患症状を発症させる前に、病原体を破壊する急速且つ強力な免疫応答をもたらす。
免疫系を始動させるに使用する因子即ち抗原は、弱毒生物体として知られているあまり感染性でない状態の生物体全体、或いは、ある場合には、その生物体の各種構造的成分を代表する炭水化物タンパク質またはペプチドのようなその生物体の成分であり得る。
多くの場合、ワクチン中に存在する抗原に対する免疫応答を増強させて、ワクチンを有効にするのに十分な程度に免疫系を刺激すること、即ち、免疫を授与させることが必要である。単独で投与した多くのタンパク質類並びに殆どのペプチドおよび炭水化物抗原類は、免疫を授与させるほどの十分な抗体応答を誘発しない。そのような抗原は、免疫系に対して、これら抗原が外来物として認識され且つ免疫応答を誘発するような形で存在させる必要がある。
この目的のために、抗原を固定し、免疫応答を刺激するアジュバントのような添加剤が考え出されている。
組換えタンパク質は、高収率および高純度で産生させ且つ望ましい活性を最大限にし望ましくない活性を最小限にするように操作し得るので、有望なワクチンまたは免疫原性組成物の候補である。
しかしながら、組換えタンパク質は免疫原性に乏しいので、組換えタンパク質に対する免疫応答を増強させる方法がワクチン即ち免疫原性組成物の開発にとって重要である。そのような抗原は、とりわけ組換え的に産生させた場合、アジュバントと一緒に投与したときに、より強力な応答を誘発し得る。
最良の既知のアジュバント、即ち、フロイント完全アジュバントは、油/水エマルジョン中のミコバクテリアの混合物からなる。
フロイントアジュバントは、二通りの形で、即ち、第1は細胞および体液介在性免疫を増強することにより、第2は“貯留効果”とも称する抗原攻撃の急速な分散を遮断することにより機能する。しかしながら、この物質に対する頻繁な毒性を有する生理学的および免疫学的反応により、フロイントアジュバントは、ヒトにおいては使用できない。
刺激性またはアジュバント活性を有することが証明されているもう1つの分子は、リポ多糖類(LPS)としても知られているエンドトキシンである。
LPSは、免疫系を、直接の免疫応答(生物体が、生物体が以前に暴露されている必要なしに、エンドトキシンおよび侵襲細菌(その成分)を認識し得るように展開する応答)を誘発させることによって刺激する。しかしながら、LPSは、そうであるにしても、利用可能なアジュバントであるには毒性であり過ぎる。
従って、当該技術においては、抗原と一緒に投与して免疫系を刺激し且つ抗原を単独で注入した場合に観察されるよりも強力な抗原に対する抗体応答を発生させる新たな化合物に対する認識された永久的な要求が存在する。
さらに、ワクチンの抗原の非経口、即ち、筋肉内または皮下投与が最も好都合な投与方法と通常みなされていることにも留意すべきである。
しかしながら、上記の注射は、一連の欠点を示す。上記注射は、滅菌シリンジの使用を必要とし、とりわけ繰返しの注射の場合、疼痛および刺激を生じ、感染のリスクを含む。より有意には、筋肉内注射は、多くの場合、耐量性に乏しい。多くの場合、注射部位において、硬結(組織の硬化)、出血および/または壊死(組織の局所的死滅)も存在するようである。しかも、未熟者は、注射を施し得ない。
これらの観察に基づき、粘膜免疫がワクチン開発において著しい重要性を有することに注目すべきである;何故ならば、腸管、呼吸管および生殖管の疾病を発症させるほぼ全てのウイルス、細菌および寄生虫因子は、粘膜バリアを通って侵入するからである。さらにまた、粘膜および全身免疫応答は、多くの場合、個別に誘発され、調節されており、最も頻繁な侵入部位での防御免疫の誘発は、最も有効であろう。さらに、幼若小児および高齢者個々人は、粘膜免疫系が全身コンパートメントよりも早期に発生し且つより長く機能を維持するようであるので、粘膜ワクチンに対しての方が良好に応答し得る。粘膜ワクチン接種は、全身ワクチン接種よりも容易であり、安価である。例えば、経口ポリオワクチンの存在は、ポリオを世界的に早期に根絶させ得るというワクチン接種キャンペーンを可能にしている。
従って、本発明の目的は、粘膜経路により投与し得る免疫アジュバント化合物を含むワクチン組成物を提供することでもある。これらおよび他の目的は、当業者にとっては明白であろう。
本発明は、Rho GTPアーゼのアクチベーター、即ち、細胞毒性壊死性因子1 (cnf1)が、経口投与したオボアルブミン、即ち、プロトタイプ可溶性タンパク質抗原に対する全身および粘膜応答に対して免疫刺激特性を担持するという実験上の知見に基づく。CNF1は、毒素の結合およびエンドソーム浸透を可能にする注入ドメイン(SEQ ID NO.1のアミノ酸残基1〜719)、およびその後のRho GTPアーゼタンパク質群活性化に関与するその触媒ドメイン(SEQ ID NO.1のアミノ酸残基720〜1014)の細胞質内注入物からなる。
本発明の第1の目的は、免疫アジュバント化合物を含み、該免疫アジュバント化合物がRho GTPアーゼアクチベーターからなることを特徴とするワクチン組成物からなる。
もう1つの局面においては、本発明は、上記免疫アジュバント化合物が下記からなる群から選ばれる、ワクチン組成物に関する:
‐配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐配列SEQ ID NO.2のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐配列SEQ ID NO.3のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐配列SEQ ID NO.4のアミノ酸残基1146で開始しアミノ酸残基1451で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID
NO.5を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID NO.6を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID
NO.7を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID NO.8を含むポリペプチド;および、
‐アミノ酸配列SEQ ID NO.9を含むポリペプチド。
また、本発明は、上記免疫アジュバント化合物が、N-末端からC-末端において、それぞれ、下記からなるポリペプチドを含むタンパク質である、ワクチン組成物にも関する:
a) Rho GTPアーゼアクチベーターの注入ドメイン;および、
b) Rho GTPアーゼアクチベーターの触媒ドメイン。
本発明者等は、本発明に従い、Rho GTPアーゼアクチベーターが、オボアルブミンのような抗原と一緒に同時投与したとき、生体内で免疫アジュバント特性を担持することを見出した。
Rhoタンパク質は、細胞極性、活動、分化および食作用のような種々の機能を達成するアクチン細胞骨格組織化および動力学を制御する不可欠の調節分子である(Takai等、2001年;Etienne-Manneville等、2002年;ChiminiおよびChavrier、2000年)。生理学におけるRhoタンパク質の重要性は、ヒト遺伝子疾患において変異して見出されるシグナル分子の1部として並びに多くの細菌病原性因子および毒素のターゲットとしてのその直接的または間接的関与によっても明らかにされている(BoettnerおよびVanAelst、2002年;BoquetおよびLemichez、2003年)。
Rhoタンパク質は、遺伝子転写を制御する多種多様のシグナル経路を干渉する(Bishop等、2000年)。それのうちで、最近の報告は、トル(Toll)様レセプター2、即ち、グラム陽性病原体分子パターン認識レセプター(PAMP)下流のRacおよびCdc42の活性化を明らかにしている(Arbibe等、2000年;Medzhitov等、2002年)。
また、Rhoタンパク質と宿主防御の相互関係の例証は、超分子活性化複合体(リンパ球活性化において不可欠なSMACまたは“免疫学的シナプス”)のRac、Cdc42、VAVおよびWASP形成である(Krawczyk等、2001年)。
多くの種々の病原性細菌は、真核細胞中で特異的レギュレーター、即ち、GEF (グアニンヌクレオチド交換因子のための)を介して自然産生するRho GTPアーゼタンパク質群の活性化を擬態するのを目標とした毒性因子および毒素を進化させている。これらの細胞GEFは、Dblについて最良に説明されているような大タンパク質に含まれたドメインからなっている(Olson等、1996年;SchmidtおよびHall、2002年)。それらの配列相同性の欠如にもかかわらず、病原性細菌の毒性因子、例えば、サルモネラ由来のSopEおよびSopE2は、GEF様活性を有する(Galan等、2000年)。病原性細菌の幾つかの他の既知の因子、即ち、シゲラ由来のIpaCおよびヘリコバクター由来のCagAは、まだ特性決定されていない分子メカニズムによってRho GTPアーゼを活性化する(Tran Van
Nhieu等、2000年;BoquetおよびLemichez、2003年)。最後に、CNF1を含む1群の細菌毒素も、翻訳後修飾によりRhoタンパク質を活性化する(BoquetおよびLemichez、2003年)。
本発明によれば、本発明者等は、今回、驚くべきことに、細胞毒性壊死性因子(CNF1)が免疫アジュバント特性を有することを見出した。さらに正確には、本発明者等は、CNF1がマウスにおける経口投与オボアルブミンに対する全身および粘膜応答に対して免疫刺激特性を担持していることを見出した。
さらに、本発明者等は、CNF1の変異体、即ち、GTPアーゼに対するCNF1の触媒不活性変異体であるCNF1-C866Sが、野生タイプ毒素とは対照的に、オボアルブミンに対する全身および粘膜応答を刺激しないことも見出した。この結果は、Rho GTPアーゼタンパク質活性化がCNF1の免疫刺激作用に直接関与していることを指摘している。
この点を裏付けるために、本発明者等は、本発明に従い、CNF1の触媒ドメインおよび
もう1つのRho GTPアーゼアクチベーターであるDNTの触媒ドメインも、オボアルブミンのような抗原と一緒に同時投与したとき、生体内で免疫アジュバント特性を担持していることを見出した。
まとめると、これらの結果は、構造的に異なる種々のRho GTPアーゼアクチベーターが免疫アジュバント特性を有することを明らかに実証している。
さらにまた、本発明者等は、中和していない抗-CNF1抗体がヒトにおいて自然に見出されること、およびCNF1がRho GTPアーゼタンパク質をほんの一時的に活性化することも見出した。まとめると、これらの結果は、CNF1を、LPSまたはコレラ毒素Bにおいて説明されている毒作用のような有害作用に値する免疫アジュバント化合物として使用し得ることを実証している。
従って、本発明の第1の目的は、免疫アジュバント化合物を含み、該免疫アジュバント化合物がRho GTPアーゼアクチベーターからなることを特徴とする、ワクチン組成物からなる。
“免疫アジュバント”とは、本明細書においては、抗原の免疫原性を増強する物質を意図する。“Rho GTPアーゼアクチベーター”とは、本明細書においては、Rho GTPアーゼをGTPに結合した形に維持する化合物を意図する。“Rho
GTPアーゼ”とは、当業者であれば、RhoA、RhoB、RhoC、Rac1、Rac2およびCdc42を包含するRho GTPアーゼ群に属するタンパク質と理解されたい(BurridgeおよびWennerberg、2004年)。
GTPに結合したRho GTPアーゼ量は、当業者によってGST-プルダウンアッセイと称され、RhoA、BおよびCについてはRen等(1999年)により、Rac1、Rac2およびCdc42についてはManser等(1998年)により説明されている方法によって容易に測定し得る。これらの方法は、下記の材料および方法の項において説明する。
また、本発明は、上記免疫アジュバントが下記からなる群から選ばれる、下記で説明するようなワクチン組成物にも関する:
‐配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐配列SEQ ID NO.2のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐配列SEQ ID NO.3のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐配列SEQ ID NO.4のアミノ酸残基1146で開始しアミノ酸残基1451で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID
NO.5を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID NO.6を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID
NO.7を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID NO.8を含むポリペプチド;および、
‐アミノ酸配列SEQ ID NO.9を含むポリペプチド。
Rho GTPアーゼアクチベーターは、上述した配列SEQ
ID NO.1のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端する興味あるアミノ酸配列を含み且つ配列SEQ ID NO.1の残基720のアミノ基に結合したN-末端アミノ酸配列を含むペプチド類を包含する。
好ましくは、上記N-末端アミノ酸配列は、800個のアミノ酸残基までの長さを有する。
好ましくは、上記N-末端アミノ酸配列は、SEQ ID
NO.1のアミノ酸残基1で開始しアミノ酸残基719で終端するアミノ酸配列の部分長または全長と相同性である。
そのような場合、上記N-末端アミノ酸配列は、SEQ ID
NO.1のCNF1のアミノ酸残基1で開始しアミノ酸残基719で終端する配列中に含ませた非不可欠アミノ酸の置換物を含み得る。
“非不可欠”アミノ酸残基は、Rho GTPアーゼの活性化特性を変えることなく、CNF1の野生タイプ配列から変化させ得るアミノ酸残基であり、一方、“不可欠”アミノ酸残基は、生物学的活性のために必須である。
また、Rho GTPアーゼアクチベーターは、興味ある配列720〜1014の2個以上の繰返しモチーフを含むペプチド類も包含する。そのような場合、上記ペプチドは、上述したようなN-末端配列も含み得る。
また、Rho GTPアーゼアクチベーターは、配列SEQ
ID NO.2のCNF2の触媒ドメイン、配列SEQ ID
NO.3のCNFYの触媒ドメインおよび配列SEQ ID NO.4のDNTの触媒ドメインに由来する、上述のペプチド類と構造的に類似するペプチド類も包含する。
Rho GTPアーゼアクチベーターの触媒ドメインの使用は、上述したように、とりわけ興味を有する。事実、実施例6において実証しているように、CNF1およびDNTの場合には、これらタンパク質の触媒ドメインの使用は、タンパク質全体よりも細胞に対して低い毒性であるが、免疫アジュバント性を授与するには十分である。
また、Rho GTPアーゼアクチベーターは、下記を含むペプチド類も包含する:
‐SOPEに相応するアミノ酸配列SEQ ID NO.5;または、
‐SOPE2に相応するアミノ酸配列SEQ ID
NO.6;または、
‐IPaCに相応するアミノ酸配列SEQ ID NO.7;または、
‐CagAに相応するアミノ酸配列SEQ ID
NO.8;または、
‐DbIのGEF配列に相応するアミノ酸配列SEQ ID NO.9;
これらのペプチドは、さらなるアミノ酸を含み、Rho GTPアーゼ活性化に対して少なくとも同じ活性を示す。
また、本発明に従う免疫アジュバントは、下記からなる群から選択する:
‐アミノ酸配列SEQ ID
NO.1を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID NO.2を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID
NO.3を含むポリペプチド;および、
‐アミノ酸配列SEQ ID NO.4を含むポリペプチド。
本発明のもう1つの目的は、上記免疫アジュバント化合物が、N-末端からC-末端において、それぞれ、下記からなるポリペプチドを含むタンパク質であることを特徴とするワクチン組成物からなる:
a) Rho GTPアーゼアクチベーターの注入ドメイン;および、
b) Rho GTPアーゼアクチベーターの触媒ドメイン。
“Rho GTPアーゼアクチベーターの注入ドメイン”とは、本明細書においては、Rho GTPアーゼアクチベーターの触媒ドメインの結合および細胞内浸透を可能にするアミノ酸配列を意図する。
“Rho GTPアーゼアクチベーターの触媒ドメイン”とは、本明細書においては、Rho GTPアーゼを活性化し得るアミノ酸配列を意図する。
融合タンパク質を生成させるための上述の触媒ドメインへの注入ドメインの結合は、上記2つの構成成分間に、使用する条件に耐えるように十分に安定であり且ついずれの構成成分の機能も変化させない結合を生成させる任意の手段によって実施し得る。
好ましくは、上記2つのドメイン間の結合は、共有的である。
多くの化学架橋方法が、知られており、上記融合タンパク質の生成において潜在的に応用可能である。例えば、非特異的化学架橋法、好ましくは、官能基への直接化学カップリング方法は、架橋すべきポリペプチドの1つまたは双方において僅かに1回または数回見出されている。
また、2つの構成成分のカップリングは、カップリング剤または接合剤によっても達成し得る。使用し得る数種の分子間架橋試薬が存在する(例えば、Means, G.E.等(1974年)参照)。これらの試薬の中には、例えば、N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)またはN,N’-(1,3-フェニレン)ビスマレイミドがある。
架橋試薬は、ホモ二官能性、即ち、ビスマレイミドヘキサン(“BMH”)のように同じ反応を受ける2個の官能基を有する。
また、化学接合中のタンパク質の変性および汚染問題を解決するためには、組換え技術を使用し、興味あるポリペプチドをコードする核酸を、毒性因子をコードする核酸配列と結合させ、得られた遺伝子構築物を、接合体を発現し得る細胞中に導入することによるようにして、興味あるポリペプチドを毒性因子に共有結合させ得る。
所望のタンパク質をコード化するDNAを産生させることを必要とする組換え方法は、周知であり、当該技術において一般的に実施されている。実験室手引書、例えば、MOLECULAR CLONING : A LABORATORY MANUAL.
Cold Spring Harbor Press: Cold Spring Harbor, N. Y. (1989)は、所定のDNA操作を実施するのに必要な方法を詳細に説明している。
融合タンパク質は、それによって形質転換した組換え微生物中で産生させ得る。この方法においては、各タンパク質成分を、好ましくは、1:1のモル比(注入ドメイン:触媒ドメイン)で結合させる。各タンパク質分子の適切な折畳み(folding)を可能にするための適切なリンカーの助けは、有用であり得る。リンカーとしては、0〜20個のアミノ酸からなるペプチドであるがグリシン、(グリシン)4セリンまたは[(グリシン)4セリン]2のような適切な数のアミノ酸からなるペプチドを使用して各タンパク質成分の活性を維持するのが好ましい。
好ましいベクターとしては、任意の周知の原核生物発現ベクター組換えバキュロウイルス、COS細胞特異性ベクターまたは酵母特異性発現構築物がある。
また、公知の方法を使用して、上記2つの別々のヌクレオチド配列を細胞中で発現させてもよく或いは化学的に合成してその後結合させてもよい。また、融合タンパク質は、単一のアミノ酸配列(即ち、両構成成分が存在するアミノ酸配列)として化学的に合成することもでき、従って、結合操作は必要でない。
好ましくは、Rho GTPアーゼアクチベーターの注入ドメインは、下記からなる群から選ばれるポリペプチドである:
‐配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基1で開始しアミノ酸残基719で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐配列SEQ ID NO.2のアミノ酸残基1で開始しアミノ酸残基719で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐配列SEQ ID NO.3のアミノ酸残基1で開始しアミノ酸残基719で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;および、
‐配列SEQ ID NO.4のアミノ酸残基1で開始しアミノ酸残基1145で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド。
好ましくは、Rho GTPアーゼアクチベーターの触媒ドメインは、下記からなる群から選ばれるポリペプチドである:
‐配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐配列SEQ ID NO.2のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐配列SEQ ID NO.3のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐配列SEQ ID NO.4のアミノ酸残基1146で開始しアミノ酸残基1451で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID
NO.5を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID NO.6を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID
NO.7を含むポリペプチド;
‐アミノ酸配列SEQ ID NO.8を含むポリペプチド;および、
‐アミノ酸配列SEQ ID NO.9を含むポリペプチド。
また、本発明は、さらに抗原を含む上述したようなワクチン組成物にも関する。
好ましくは、抗原は、ホルモン;タンパク質;薬物;酵素;細菌、ウイルス、真菌、プリオンまたは寄生虫感染に対するワクチン組成物;微生物によって産生される成分;コレラ毒素、大腸菌由来のSTおよびLT、破傷風菌由来の破傷風毒素のような不活化細菌毒素;およびHIVウイルス由来のタンパク質からなる群から選択する。
本発明に従うワクチン組成物中の抗原および免疫アジュバント化合物の量、投与量は、製薬技術における熟練者であれば、特定の抗原、年齢、性別、体重、人種および特定の動物または患者の症状、並びに投与経路のような要因を考慮に入れて、決定し得ることである。
好ましい実施態様においては、本発明に従うワクチン組成物は、界面活性剤、吸収促進剤、水分吸収性ポリマー、酵素分解を抑制する物質、アルコール類、有機溶媒、油類、pH調整剤、防腐剤、浸透圧調節剤、推進剤、水およびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上の成分をさらに含む。
本発明に従うワクチン組成物は、製薬上許容し得る担体をさらに含み得る。担体の量は、他の成分に対して選択する量、所望の抗原濃度、投与経路の選択(経口または非経口)等に依存する。担体は、任意の都合の良い時点でワクチンに添加し得る。凍結乾燥ワクチンの場合、担体は、例えば、投与直前に添加し得る。また、最終製品を担体と一緒に製造してもよい。
適切な担体の例としては、限定するものではないが、滅菌水、塩水、緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、緩衝塩化ナトリウム溶液、植物油、最少必須培地(MEM)、HEPES緩衝液を含むMEM等がある。
必要に応じて、本発明のワクチン組成物は、通常の二次アジュバントを、そのアジュバントおよび所望する結果によるが、種々の量で含有し得る。慣用的な量は、他の成分および所望する結果にもよるが、約0.02質量%〜約20質量%の範囲である。
適切な二次アジュバントの例としては、限定するものではないが、安定剤;乳化剤;水酸化アルミニウム;リン酸アルミニウム;水酸化ナトリウム、塩酸等のようなpH調整剤;Tween.RTM. 80
(ポリソルベート80、ミズーリ州セントルイスのSigma
Chemical社から商業的に入手し得る)のような界面活性剤;リポソーム類;免疫刺激複合体(iscom)アジュバント;ムラミルジペプチドのような合成グリコペプチド類;デキストランまたは、例えば、リン酸アルミニウムとデキストランの組合せのような増量剤;カルボキシポリメチレン;ミコバクテリア細胞壁抽出物のような細菌細胞壁;挫瘡菌Corynebacterium parvum)のようなそれらの誘導体;挫瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acne);ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、例えば、ウシカルメットゲラン菌(Bovine
Calmette Guerin) (BCG);ワクチニアまたは動物ポックスウイルスタンパク質;オルビウイルスのような小ウイルス粒子アジュバント;コレラ毒素;N,N-ジオクタデシル-N’,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)-プロパンジアミン (アブリジン(avridine));モノホスホリルリピッドA;ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド(DDA、ニューヨーク州ロチェスターのKodak社から商業的に入手可能);合成物;およびこれらの混合物がある。望ましくは、水酸化アルミニウムを他の二次アジュバントまたはQuil Aのような免疫アジュバントと混合する。
適切な安定剤の例としては、限定するものではないが、スクロース、ゼラチン、ペプトン、NZ-AmineまたはNZ-Amine ASのような消化タンパク質抽出物がある。乳化剤の例としては、限定するものではないが、鉱油、植物油、ピーナツ油、および注射可能なまたは鼻内ワクチン組成物用に有用な他の標準の代謝性無毒オイル類がある。
本発明の目的において、これらのアジュバントは、本明細書においては、Rho GTPアーゼアクチベーターからなる上述の免疫アジュバント化合物と対比させるために、単に“二次”として識別しており、上述の免疫アジュバント化合物は、抗原性物質と組合せての抗原性物質に対する体液免疫応答を有意に増強させるその効果故に、本発明のワクチン組成物における不可欠の成分である。二次アジュバントは、主として、ワクチン調合物中に加工助剤として含ませるが、ある種のアジュバントは、ある程度免疫学的増強特性を有し、二重の目的を有する。
通常の防腐剤を、ワクチン組成物に、約0.0001質量%〜約0.1質量%の範囲の有効量で添加し得る。調合物において使用する防腐剤次第では、この範囲よりも多いまたは少ない量も有用であり得る。典型的な防腐剤としては、例えば、ソルビン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、フェノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、チメロサール等がある。
ワクチン組成物の不活化、変性または他のタイプ並びに本発明の改良されたワクチン組成物製剤の調製方法の選択は、既知であり、当業者であれば、容易に決定し得ることである。
薬理学的有効量の本発明に従う免疫アジュバント化合物は、例えば、経口、非経口または他の形により、抗原性物質の投与と同時に、連続してまたは投与直後に投与して、抗原の免疫原性を増強し、増進させまたは延長し得る。
ワクチン組成物の投与量は抗原、種、被ワクチン接種またはワクチン接種すべき宿主の体重等に依存するが、ワクチン組成物の薬理学的に有効な投与量は、マウスモデルにおいて、通常、体重キログラム当り、1回投与当りで約50μg〜約500μgの範囲である。
組合せる特定の抗原性物質の量は、免疫応答を改善するのに必要な本発明に従う免疫アジュバント化合物の量に影響するものの、医師であれば、当該免疫アジュバント化合物の有効投与量は、一般的な検査によって容易に調整して特定の状況に合せ得るものと期待している。
一般的には、本発明のワクチン組成物は、経口、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内または腹腔内)、口内、鼻内または経皮によって都合良く投与する。本発明が意図する投与経路は、抗原性物質および共調合剤に依存する。例えば、ワクチン組成物がサポニン類を含有する場合、経口または鼻内的には無毒性であるものの、サポニングルコシド類(強力な溶血性物質として作用するので)を血流中に注入しないように注意を払わなければならない。また、多くの抗原類は、経口投与した場合、有効ではないであろう。好ましくは、上記ワクチン組成物は、皮下、筋肉内または鼻内で投与する。
ワクチン組成物の投与量は、選択した抗原、投与経路、種、体重および他の標準的要因に依存する。当業者であれば、各抗原に対する免疫応答のための適切な投与量を容易に且つ速やかに判定して有効な免疫化量および投与方法を達成し得るものと期待している。
また、本発明者等は、実施例1において、CNF1が、抗原と経口により同時投与したときに、免疫アジュバント特性を有することを証明している。
また、本発明者等は、この同時投与がマウスにおける総IgA抗体力価を増強していることも証明している。この最近の結果は、免疫化に対する粘膜応答の典型である。
従って、本発明のさらなる目的は、粘膜表面に対する投与用の本発明に従うワクチン組成物である。
この投与方式は、多大な興味を提供する。事実、粘膜は、無数の樹枝状細胞およびランゲルハンス細胞を含有し、これらの細胞は、優れた抗原検出および抗原提示細胞である。また、粘膜は、リンパ器官、いわゆる粘膜関連リンパ系組織に連結しており、免疫応答を他の粘膜領域に向わせ得る。そのような上皮の例は鼻上皮膜であり、この上皮膜は上皮細胞の単一層(多列上皮)から実際になっており、上部呼吸管内の粘膜は2つのリンパ系組織、即ち、咽頭扁桃腺および扁桃腺に連結している。鼻粘膜の高密度のBおよびT細胞下の血液毛管の広範囲のネットワークは、抗原の迅速な認識を得るのにとりわけ適しており、速やかな免疫学的応答を示す。
好ましくは、粘膜表面は、鼻、肺、口、目、耳、胃腸管、生殖管、腟、直腸および皮膚の粘膜表面からなる群から選択する。
本発明のもう1つの目的は、経口投与用のワクチン組成物である。
また、本発明は、N-末端からC-末端において、それぞれ、下記からなるポリペプチドを含むタンパク質にも関する:
a) 上述したようなRho GTPアーゼアクチベーターの注入ドメイン;および、
b) 上述したようなRho GTPアーゼアクチベーターの触媒ドメイン。
さらに、本発明は、興味あるポリペプチドの、ワクチン組成物の製造における使用にも関する。
また、本発明は、上述したような融合タンパク質の、ワクチン組成物の製造における使用にも関する。
本発明のさらなる詳細を、以下の非限定的な実施例において具体的に説明する。
材料および方法
細胞および試薬
ヒト臍静脈上皮細胞(HUVEC)を、PromoCell社(ドイツ国ハイデルベルグ)から入手した。細胞を、限定増殖因子を加えたヒト内皮SFM培地(Invitrogen社、スコットランドのベイズリー) (d-SFM) (10 ng/mlのEGFおよび20 ng/mlのbFGE (Invitrogen社)、1μg/mlのヘパリン(Sigma-Aldrich社)、およびペニシリンおよびストレプトマイシン(Invitrogen社)を一緒に含む20%のウシ胎仔血清(Invitrogen社)または1%(質量/容量)のウシ血清アルブミン(ELISA級、Sigma-Aldrich社)のいずれか)中で増殖させた。細胞は、0.2%ゼラチンコーティーング皿(Sigma-Aldrich社)上で増殖させた。HUVECの移入は、Mettouchi等(2001年)により開示されているようにして実施した。使用した抗体は、モノクローナル抗-βアクチン抗体[クローンAC-74] (Sigma-Aldrich社);抗-RhoA、抗-Cdc42、抗-Rac1および抗-Ras抗体 (Transduction Laboratories社);抗-HA [クローン11] (BabCO社);抗-E-セレクチン [クローンCTB202] (Santa Cruz Biotechnology社)およびウサギポリクローナル抗-ホスホ-p44/42 MAPキナーゼ
(Thr202/Tyr204)、抗ホスホ-p38 MAPキナーゼ(Thr180/Tyr182)およびホスホ-c-Jun
(Ser73) (Cell Signaling Technology社);抗-ヒトIkBα (Upstate
Biotechnology社);抗-TRAF1 (H-186、Santa Cruz Biotechnology社)であった。一次抗体は、ヤギ抗-マウスまたは抗-ウサギホースラディシュペルオキシダーゼ接合二次抗体(DAKO社、デンマーク国グロストラップ)を使用して可視化した。TRAF1ウサギ抗体は、ビオチン-XXヤギ抗-ウサギIgG、次いで、ストレプタビジンホースラディシュペルオキシダーゼ接合体(Molecular Probes社)を使用して可視化した。pcDNA3RhoQ63L、RacQ61LおよびCdc42Q61Lに相応するDNAベクターは、Manor, D. (Lin等、1999年)から提供された。
毒素
精製CTは、List Biologicals社(カリフォルニア州シャンベル)から入手した。CNF1およびCNF1-C866S毒素の産生および精製は、以前に開示されているようにして実施した(Munro等、2004年)。要するに、pCR2cnf1またはpCR2cnf1C866Sを担持する大腸菌1夜培養物のワンショットを、フレンチプレスを使用してPBS中に溶解した。次いで、硫酸アンモニウム沈降およびTris-NaCl緩衝液に対する透析後に、可溶性画分を1連のカラム精製に供した。タンパク質精製の後、SDS-PAGEを行なった。CNF1毒素の種々のバッチの活性を、Lemichez等(1997年)により以前に開示さているようにして、多核細胞化アッセイにより評価した。この試験において使用した精製CNF1毒素は、10〜12Mにおいて、48時間の暴露後、HEp-2細胞の50%多核細胞化を生じていた。CNF1触媒ドメイン(アミノ酸720〜1014)およびDNT触媒ドメイン(アミノ酸1154〜1451)を同じ方法を使用して産生させ、活性をCNF1について早期に説明されているようにして評価した。全てのタンパク質調製物がFDA参照標準の0.12 EU/mlよりも低いエンドトキシン投与量を含有していることが、Multi-Test Limulus Amebocyte Lysate Pyrogen PlusR (Biowhittaker社、メリーランド州ウォーカズビル)を使用して判明した。Racの活性化および分解を、以前に開示されているようにして(Doye等、2002年)、GSTタンパク質プルダウン試験を使用して評価した。
免疫化
雌BALB/cマウスは、Charles River
Laboratories (フランス国ラルブレール)から購入した。マウスは、ヨーロッパ連合およびフランス保健省の規定に従って維持し、取扱った。すべてに試験において、4〜8週齢の雌マウスを使用した。マウスに、CNF1、CNF1-C866S (触媒不活性毒素)、CNF1 (CNF-CD)およびDNT (DNT-CD)の触媒ドメインまたはCTのいずれかを、3%NaHCO3の500μl溶液中に溶解した5mgのオボアルブミン(OVA) (等級V、Sigma-Aldrich社、ミズーリ州セントルイス)の存在下または不存在下に給与した。動物は、10〜12日間隔で、図面の簡単な説明において詳述しているように、2回または3回いずれかの連続時機で給与した。
血清抗体応答の測定
OVAに対する血清抗体レベルは、以前に開示されているようにして(Anjuere等、2003年)、固相ELISAにより測定した。要するに、試験および対照血清の連続3倍希釈液を、OVAコーティーングポリスチレンマイクロタイターウェル(Nunc-Immuno TM Plates、MaxiSorp TM Surface、Nunc社、デンマーク)中で室温にて2時間インキュベートした。0.05%のTweenを含有するPBSで洗浄後、ウェルを、適切に希釈したHRP接合ヤギ抗-マウスIgG、IgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgAを含有するPBS-Tween (Southen Biotech社、アラバマ州バーミンガム)の0.1mlに暴露させた。各プレートをBMブルー、POD発色性基質(Roche Applied Science社、インディアナ州インディアナポリス)で現像し、分光光度測定によりモニターした。力価は、免疫前血清に相当する対照よりも2倍高い吸光値を示す血清の最高希釈の逆数として定義した。
粘膜抗体応答の測定
最後の免疫化後の6日目に、マウスをエントバルビタールで麻酔し、100単位のヘパリンを含有する無発熱物質等張生理食塩水を注入した。頚静脈を切断し、動物に、心臓内注入により投与した100単位/mlのヘパリンを含むPBSの25mlをその場で潅流させて血液による汚染を最小限にした。小腸を切除し、長さ方向に切開し、PBSで洗浄した。切片を小片に切断し、PBS-ヘパリンを4℃で4時間さらに潅流させた。組織小片を秤量し、その後、連続潅流および清浄剤抽出に基づくPERFEXT法(Villavedra等、1997年)に従い操作した。要するに、小片を均質化し、組織mg当り2mlの抽出緩衝液中に懸濁させ、4℃で1夜インキュベートした。抽出緩衝液は、2%サポニン(Sigma社)およびプロテアーゼインヒビター(Complate、Boehringer社)を加えたPBSからなっていた。その後、サンプルを、アッセイするまで−80℃に凍結して保存した。使用前の30分に、試験標本を室温に解凍せしめ、16,000×gで10分間回転させた。上清を、IgAおよびIgG抗-OVA抗体力価について、前述したようにしてアッセイした。
組織学
マウスにCNF1またはCNF1-C866Sを給与した。48時間後、マウスを死亡させ、小腸を採集し、ホルマリン中で固定し、パラフィンワックス中に埋込んだ。結果の5μmパラフィン切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。
DNAアレー分析
HUVECを、BSAを含有するd-SFM中で、8 106 細胞/150mmゼラチンコーティーング皿にて種付けした。細胞を、並行して、10-9M CNF1を加えたd-SFM/BSA中で3時間〜24時間中毒させた。細胞を、全RNA抽出用のRTL緩衝液中に、製造業者に従い溶解した(RNeasy MinKit、Qiagen社)。CNF1調節遺伝子は、Aros Applied Biotechnology ApS社 (www.arosab.com)によるAffymetrixR Human GeneChip U133AおよびU133Bを製造業者 (www.Affymetrix.com)が推奨するようにして使用して分析した。
ELISA
HUVECを、毒素添加の前に、血清を含有するd-SFM中で、2 105 細胞/22.5mmまたは5 105 細胞/35mmウェルにて種付けした。細胞の中毒化を、CNF1を含有する新鮮培地の添加により、種々の時間で実施した。中毒化終了の1時間前に、培地を、ELISA用のBSAを含有するd-SFMと交換した。IL-8、MCP-1、IL-6、MIP3-α、TNF-αおよびRANTES産生は、製造業者(R & D
Systems社、英国アビンドン)が推奨するようにして、ヒトQuantikineR イムノアッセイを使用して評価した。
活性化Rho GTPアーゼのプルダウンおよびイムノブロッティング検出
活性化-RhoA、-RhoB、-RhoC、-Rac1、-Rac2、-Cdc42レベルは、Manser等(1998年)およびRen等(1999年)により開発された古典的なRhoエフェクタープルダウンアッセイを使用して測定した。抗体の説明については、細胞および試薬の項を参照されたい。
要するに、活性化-RhoA、-Bおよび-Cレベルの測定は、次のようにして実施した。細胞を、50mM Tris、pH7、2,500mM NaCI、10mM MgCl2、1% Triton X-100、0.5% デオキシコール酸塩、0.1% SDSおよびプロテアーゼインヒビター中に溶解した。細胞溶解物を、4℃で10分間の13000gでの遠心分離により分別し、等容量の溶解物を、30マイクログラムのGST-RBD
(GSTに融合させたローテキン(Rhotekin)のRho結合ドメイン;Ren等、1999年に記載されている)ビーズと一緒に4℃で45分間インキュベートした。ビーズを、緩衝液B
(50mM Tris、pH7.2、500mM NaCI、10mM MgCl2、1% Triton X-100およびプロテアーゼインヒビター)で4回洗浄した。結合Rhoタンパク質をSDS-PAGEにより溶解し、PVDF膜上に移行させた。各活性化Rhoタンパク質を、RhoAおよびRhoCまたはRhoBのいずれかに対するモノクローナル抗体および抗-マウスホースラディッシュペルオキシダーゼ接合二次抗体を使用するイムノブロッティング、およびその後の化学発光検出法によって検出した。
活性化-Rac1、Rac2およびCdc42レベルの測定は、次のようにして測定した。細胞をLB緩衝液(25 mM Tris、pH 7.5、150mM NaCl、5mM MgCl2、0.5% Triton X-100、4%グリセリンおよびプロテアーゼインヒビター)中に溶解した。細胞溶解物を、4℃で10分間の13000gでの遠心分離により分別し、等容量の溶解物を、30マイクログラムのGST-PAK70-106 (GSTに融合させたp21PAKのRac/Cdc42結合ドメイン;Manser等、1998年に記載されている) ビーズと一緒に4℃で45分間インキュベートした。ビーズをLBで4回洗浄した。結合RacおよびCdc42タンパク質をSDS-PAGEにより溶解し、PVDF膜上に移行させた。活性化Rac1、2または活性化Cdc42タンパク質を、Rac1、2またはCdc42のいずれかに対するモノクローナル抗体および抗-マウスホースラディッシュペルオキシダーゼ接合二次抗体を使用するイムノブロッティング、およびその後の化学発光検出法によって検出した。
活性化Ras測定においては、Raf1のGST-RBD1-149を、著者らが説明しているようにして使用した(de
RooijおよびBos、1997年)。
細胞シグナル経路に対するCNF1効果
CNF1誘発Rac1、Cdc42およびRhoA活性化の動力学を試験した。これらの動力学は、Ras GTPアーゼと比較したとき、Rhoタンパク質活性化の特異性を示している(図1A、1B)。明らかに、これらの測定値は、CNF1によって活性化されるRhoタンパク質、CNF1認識/修飾のための標準配列を担持する他のRho
(Lerm等、1999年)の完全な目録を示していない。むしろ、これらの測定値は、上記3種のRhoタンパク質の全てが10-9M CNF1で中毒させたHUVECにおいておよそ2時間で最高の活性化を示すことを示唆していた(図1B)。また、遺伝子調節をもたらす古典的シグナル経路へのCNF1干渉も証明されている。測定したRas活性化の不存在と一致して、CNF1は、ERK1/2ホスホリル化を生じていなかった(図1A、1C)。CNF1は、むしろ、p38MAP-キナーゼによって解明されたSAP-キナーゼシグナル経路およびcjunホスホリル化の双方を干渉しているようであった。また、CNF1は、IkB欠損によって示されるように、NF-kappaB経路も干渉している(図1C)。宿主細胞は細胞表面レセプターを進化させ、PAMPの存在が不安視されている(MedzhitovおよびJaneway、2002)。PAMPレセプターは、NFkB活性化のためのIkB欠損により、生来の免疫応答を開始させる(BartonおよびMedzhitov、2003年)。触媒不活性CNF1-C866S毒素によるこの細胞処理は、試験した全てのシグナル経路、とりわけNfkBを干渉しておらず、PAMPとしてのCNF1の細胞認識の不存在を強力に示唆していた(図1C)。
CNF1同時給与の粘膜免疫化後の血清抗-OVA応答
マウスモデルを使用して、CNF1に対する宿主体液応答の特徴を試験した。CNF1
(10
μg)と同時投与したOVA、即ち、プロトタイプ可溶性抗原で経口免疫化した動物は、コレラ毒素によって誘発された応答(幾何学平均力価6450)に匹敵する血清IgG抗-OVA抗体応答(幾何学平均力価7768.7)を示した(図2)。これらの試験条件下においては、血清抗-CNF1応答は、検出されなかった(図示していない)。また、CNF1もCTも単独では血清抗-OVA IgG抗体の産生を誘発してないことも検証した(図示していない)。低投与量のCNF1 (1μg)による免疫化は、対照動物と比較したとき、血清抗-OVA応答に対して無視し得る効果しか有していなかった(それぞれ、幾何学平均力価868.7および787.5) (図2)。最後に、10μgの触媒不活性CNF1変異体(CNF1-C866S)による免疫化は、同時給与OVA動物において血清抗-OVA応答を増強し得てなかった(図2)。この結果は、CNF1とCNF1-C866Sの双方を同一の条件を使用して精製したという事実と相俟って、CNF1と一緒に同時精製した因子によるIgG抗-OVA抗体応答刺激の可能性を否定している。まとめると、これらの結果は、CNF1によって誘発された抗-OVA応答が投与量依存性であり、その触媒活性を必要としていることを示している。CNF1について説明されているように(Doye等、2002年)、密接に関連する毒素DNT
(DNT-CD)の触媒ドメインは、このGTPアーゼ細胞欠損に基づき、Racの一時的活性化を生じていた(図3A)。古典的なHEp-2細胞アッセイを使用してDNT-DCの効果を定量したところ、10〜12M CNF1において細胞の50%多核細胞化をもたらしていた(Lemichez等、1997年)。10〜9Mにおいて50%の効果を示したDNT-CDとは対照的に、CNF1触媒ドメインCNF-CDは、無視し得る効果しか有してなかった(図3B)。触媒ドメインCNF-CDとDNT-CD双方の免疫刺激効果を比較した場合、100μgのDNT-CDで免疫化したマウスのみが有意のレベルの血清IgG抗-OVA抗体を産生させていた(60日で7015のDNT-CD幾何学平均力価) (図3C)。
血清抗体イソタイプ応答
その後、10μgのCNF1、CNF1-C866SまたはCTと一緒のOVAで免疫化したマウス由来の血清を抗-OVA IgAおよびIgGサブクラスの存在について試験した。CNF1で免疫化した動物におけるIg抗-OVA抗体応答のイソタイプ分布は、CTで免疫化した動物において観察される分布と同様であり、IgG1およびIgG2bによって主として占められていた。同様に、OVAとCNF1-C866Sの混合物を給与したマウスは、いずれのイソタイプにおいても検出し得る抗-OVA抗体応答を有していなかった(図4)。
まとめると、これらの結果は、CNF1が、OVAと一緒に経口投与したとき、コレラ毒素によって誘発されるプロフィールと同様なIgGサブクラスのプロフィールを有して、全身抗-OVA応答を促進させることを示唆している。
粘膜IgA抗体応答
その後、PERFEXT法を使用して、OVAで経口免疫化した動物における粘膜抗体応答を増強させるCNF1の能力を評価した。CNF1またはCNF1-C866Sと一緒に投与したOVAで経口免疫化した各マウス群から採集した小腸切片を、3回免疫化の最後の2週間後のIgA含有量について分析した。図5に示すように、OVAとCNF1の経口同時投与は、抗原特異性粘膜IgA応答を誘発していた。単独でまたは触媒不活性CNF1-C866Sと混合して投与したOVAによる経口免疫化マウスは、OVAに対して検出し得る腸IgA抗体応答を有していなかった(図5)。
小腸に対するCNF1効果の組織学的分析
CNF1またはCNF1-C866Sで免疫化したマウスから調製した小腸切片の組織学分析は、対照(重炭酸塩給与)動物からの小腸切片の分析と有意差を示していなかった(図6)。
DNTの触媒ドメインは、細胞に対して活性のままであり、アジュバント特性を授与するに十分である
CNF1は、毒素のうちでも、同様な触媒活性を有する毒素DNTの群に属する(BoquetおよびLemichez、2003年)。図3Aにおいては、DNTの触媒ドメイン(DTN-CTER)が細胞に対して活性のままであるが、CNF1と比較したとき低い中毒特性しか示さないことを証明している。細胞を中毒させるその不能力(図7A)にもかかわらず、細胞への機械的注入時のCNF1 (CNF1-CTER)の触媒ドメインは、真正の毒性フェノタイプを産生させる(Lemichez等、1997年)。上記の観察を利用して両毒素の触媒ドメインのアジュバント活性を試験した。マウスに、CNF1と比較して、10倍高い量の両方の毒素触媒ドメインを給与した。これらの条件において、DNT-CTERは、抗-OVA IgG応答を有意に刺激していることが観察された(図7B)。また、CNF1-CTERも抗-OVA IgG応答の刺激をもたらしていたが、低いレベルにおいてであった(図7B)。まとめると、これらの結果は、この群の毒素のアジュバント活性がそれの触媒ドメイン中に含まれていることを示している。にもかかわらず、その触媒ドメインと一緒のCNF1毒素の注入ドメインは、低投与量を使用して有意に高い生物学的効果を誘発させるのを可能にしている。
参考文献
Figure 2007523944
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細胞シグナル経路に対するCNF1効果 1A:HUVEC中での、Rasと対比したRho、RacおよびCdc42のCNF1誘発活性の動力学を示すイムノブロット。細胞を10-9M CNF1で種々の時間において処理した。細胞溶融物をGST−融合タンパク質プルダウンアッセイに供した(GTPアーゼ-GTPと記している)。並行して、2%の各細胞溶融物をイムノブロッティングのために処理してその細胞欠損をモニターした(総GTPアーゼと記している)。 1B:CNF1誘発Rhoタンパク質活性化の定量を示す。イムノブロットをスキャンし、N.I.H像1.6を使用して定量した。活性化Rhoタンパク質レベルを2%の対照細胞溶融物中に存在する総RhoGTPアーゼレベルと比較した(3回の個々の試験の平均値±SD)。 1C:細胞シグナル化に対する野生型CNF1と触媒不活性CNF1-C866Sの干渉を示すイムノブロットを示す。HUVECを、イムノブロッティング分析前に、記している時間の間“10-9M”CNF1またはCNF1-C866Sで処理した。MAPシグナル化を、抗-ホスホp44/42 MAPキナーゼ(P-p44/42と記している)および抗-ホスホp38 MAPキナーゼ(P-p38と記している)抗体を使用して試験した。Junキナーゼ活性は、抗-ホスホ-c-jun (P-c-junと記している)イムノブロッティングにより試験した。NF-kappaBシグナル経路活性化、次いで、イムノブロット上でのIkBα細胞欠損を試験した。 触媒活性CNF1は、経口投与オボアルブミン(OVA)に対する血清IgG応答を刺激する 5群のマウスにOVA単独(対照)を給与し、或いはCNF1 (1または10μg)、CNF1-C866S (10μg)またはCT (10μg)のいずれかと一緒に同時投与した。8匹のマウス群は、CNF1またはCNF1-C866Sで免疫し、一方、4匹のマウス群は、OVA単独またはOVA+CTで免疫した。各マウス群を1回目の免疫化後2週間で1回攻撃し、血清を1回目の免疫化後30日に採取した。血清抗-OVA IgG力価レベルは、総IgG力価の幾何学平均(ヒストグラムおよび平均値)として表している。これらの結果は、2回の個々の試験を代表する。個々の動物からの抗-OVA IgG力価を示している(・)。
DNT触媒ドメインは、経口投与オボアルブミン(OVA)に対する血清IgG応答を刺激する 3A:DNT-CD誘発活性化およびRacの細胞欠損の動力学を示すイムノブロット。804G細胞を100μgのDNT-CDで処理し、GST-Pakプルダウンによる活性化Rac測定のために加工した(RacGTPと記している)。10μgの全溶融物のイムノブロッティングを行なってDNT-CD誘発Rac欠損(Racと記している)およびGSTプルダウンにおいて関与した等量のタンパク質(アクチン)を可視化した。 3B:CNF-CDおよびDNT-CDの細胞活性の比較。グラフは、CNF-CDまたはDNT-CDいずれかの種々の濃度による中毒後48時間で測定したHEp-2多核細胞のパーセントを示している。 3C:血清IgGは、経口投与オボアルブミン(OVA)に応答している。3群の4匹のマウスにOVA単独(対照)を給与し、またはCNF-CD (100μg)またはDNT-CD (100μg)のいずれと一緒に同時投与した。各マウス群を1回目の免疫化後2週間および5週間で2回攻撃し、血清を1回目の免疫化後30日および60日に採取した。血清抗-OVA IgG力価レベルは、総IgG力価の幾何学平均として表している。 抗-OVA IgサブクラスのCNF1、CNF1-C866SおよびCT誘発 3群の3匹のマウスを1回目の免疫化後2回攻撃し、血清を1回目免疫化後45日で採取した。抗-OVA Igサブクラスレベルを幾何学平均(ヒストグラム)として表している。
粘膜抗-OVA IgA応答のCNF1誘発 2群の3匹のマウスを、1回目の免疫化後、10μgのCNF1またはCNF1-C866Sのいずれを加えたOVAで2回攻撃した。マウスをPERFEXT法に従って処理した(材料および方法の項参照)。抗-OVA IgA応答レベルを幾何学平均(ヒストグラム)として表している。 対照未処理マウスと比較したときのCNF1またはCNF1-C866Sを給与したマウスの小腸組織学 ヘマトキシリンおよびエオシンで染色したパラフィン切片を示している。 CNF1およびDNTの免疫アジュバント特性および毒素活性の測定 7A:以前に開示されているような(Lemichez等、1997年)、HEp-2多核細胞化アッセイにより推定したCNF1、CNF1-CTER (720〜1014)、DNT-CTER (1154〜1451)の毒素活性の測定。以前に報告されているように、CNF1-CTERは、サイトゾル中に浸透するその不能力故に、細胞に対して活性に乏しい(Lemichez等、1997年)。DNT-CTERは、CNF1と比較したとき、1000倍低い活性を示している。 7B:同時投した与オボアルブミン(OVA)とDNTまたはCNF1毒素触媒ドメインに対する血清IgG抗体応答。各群4匹のマウスにOVA単独を給与し、またはCNF1-CTER(720〜1014) (100μg)またはDNT-CTER (1154〜1451) (100μg)のいずれかと一緒に同時投与した。CNF1においては、1群の高地(height)マウスにOVAとCNF1 (10μg)を給与した。マウスを1回目の免疫化後2週間で1回攻撃し、血清を1回目の免疫化後30日で採取した。データは、幾何学平均血清IgG抗-OVA Ab力価として表している。

Claims (13)

  1. 免疫アジュバント化合物を含み、該免疫アジュバント化合物がRho GTPアーゼアクチベーターからなることを特徴とするワクチン組成物。
  2. 前記免疫アジュバント化合物が、下記からなる群から選ばれる、請求項1記載のワクチン組成物:
    ‐配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ‐配列SEQ ID NO.2のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ‐配列SEQ ID NO.3のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ‐配列SEQ ID NO.4のアミノ酸残基1146で開始しアミノ酸残基1451で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ‐アミノ酸配列SEQ ID
    NO.5を含むポリペプチド;
    ‐アミノ酸配列SEQ ID NO.6を含むポリペプチド;
    ‐アミノ酸配列SEQ ID
    NO.7を含むポリペプチド;
    ‐アミノ酸配列SEQ ID NO.8を含むポリペプチド;および、
    ‐アミノ酸配列SEQ ID NO.9を含むポリペプチド。
  3. 前記免疫アジュバント化合物が、下記からなる群から選ばれる、請求項1記載のワクチン組成物:
    ‐アミノ酸配列SEQ ID
    NO.1を含むポリペプチド;
    ‐アミノ酸配列SEQ ID NO.2を含むポリペプチド;
    ‐アミノ酸配列SEQ ID
    NO.3を含むポリペプチド;および、
    ‐アミノ酸配列SEQ ID NO.4を含むポリペプチド。
  4. 前記免疫アジュバント化合物が、N-末端からC-末端において、それぞれ、下記からなるポリペプチドを含むタンパク質である、請求項1記載のワクチン組成物:
    a) Rho GTPアーゼアクチベーターの注入ドメイン;および、
    b) Rho GTPアーゼアクチベーターの触媒ドメイン。
  5. 前記Rho GTPアーゼアクチベーターの注入ドメインが、下記からなる群から選ばれるポリペプチドである、請求項4記載のワクチン組成物:
    ‐配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基1で開始しアミノ酸残基719で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ‐配列SEQ ID NO.2のアミノ酸残基1で開始しアミノ酸残基719で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ‐配列SEQ ID NO.3のアミノ酸残基1で開始しアミノ酸残基719で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;および、
    ‐配列SEQ ID NO.4のアミノ酸残基1で開始しアミノ酸残基1145で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  6. 前記Rho GTPアーゼアクチベーターの触媒ドメインが、下記からなる群から選ばれるポリペプチドである、請求項4および5のいずれか1項記載のワクチン組成物:
    ‐配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ‐配列SEQ ID NO.2のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ‐配列SEQ ID NO.3のアミノ酸残基720で開始しアミノ酸残基1014で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ‐配列SEQ ID NO.4のアミノ酸残基1146で開始しアミノ酸残基1451で終端するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ‐アミノ酸配列SEQ ID
    NO.5を含むポリペプチド;
    ‐アミノ酸配列SEQ ID NO.6を含むポリペプチド;
    ‐アミノ酸配列SEQ ID
    NO.7を含むポリペプチド;
    ‐アミノ酸配列SEQ ID NO.8を含むポリペプチド;および、
    ‐アミノ酸配列SEQ ID NO.9を含むポリペプチド。
  7. さらに抗原を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載のワクチン組成物。
  8. 抗原が、ホルモン;タンパク質;薬物;酵素;細菌、ウイルス、真菌、プリオンまたは寄生虫感染に対するワクチン組成物;微生物によって産生される成分;コレラ毒素、大腸菌由来のSTおよびLT、破傷風菌由来の破傷風毒素のような不活化細菌毒素;およびHIVウイルス由来のタンパク質からなる群から選ばれる、請求項7記載のワクチン組成物。
  9. 粘膜表面に対する投与用の、請求項1〜8のいずれか1項記載のワクチン組成物。
  10. 経口投与用の、請求項1〜9のいずれか1項記載のワクチン組成物。
  11. N-末端からC-末端において、それぞれ、下記からなるポリペプチドを含むタンパク質:
    a) 請求項4および5のいずれか1項記載のRho
    GTPアーゼアクチベーターの注入ドメイン;および、
    b) 請求項4および6のいずれか1項記載のRho
    GTPアーゼアクチベーターの触媒ドメイン。
  12. ワクチン組成物の製造における、請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチドの使用。
  13. ワクチン組成物の製造における、請求項11記載のタンパク質の使用。
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