JP2007523319A - リポソーム組成物中の二重層−薬物相互作用の評価のためのスクリーニング方法 - Google Patents

リポソーム組成物中の二重層−薬物相互作用の評価のためのスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

治療因子の存在下でのリポソームキャリアの少なくとも1つの熱特性と上記リポソームキャリア中の上記治療因子についての薬物動態学的特性との間に相関を生成するための方法、およびその相関を、リポソームキャリア中の任意の治療因子の存在下で、そのリポソームキャリアの薬物動態学的特性を予測するのに使用するための方法を提供する。また、上記薬物動態学的特性が、インビボでの半減期である方法も提供する。また、分析技術を用いて上記熱特性を決定する工程を包含する上記方法も提供する。

Description

(発明の分野)
本発明は、例えば、示差走査熱量計(DSC)を用いた熱測定を使用して薬物−脂質相互作用を評価するためのスクリーニング技術に関する。この技術は、STEALTH(登録商標)リポソームにロードされた種々の薬物の生物物理学的データに対する熱測定を、それぞれの薬物動態学的データと相関させる。脂質送達系での可能性のある薬物をスクリーニングするために、STEALTH(登録商標)すなわち、長く循環するリポソームにロードされた薬物のインビボでの薬物動態学的挙動を予測するモデルを構築し、このモデルは、リポソームのプラットフォームから投与された場合の所定の薬物のインビボでの挙動を予測するための貴重なツールを提供する。
(発明の背景)
リポソームは、種々の目的のために使用される閉じた脂質ベシクルであり、特にリポソームの全身投与によって治療因子を標的領域または標的細胞に運ぶために使用される脂質ベシクルである。リポソームは、薬物毒性を緩衝させ、治療化合物の薬物動態学的パラメータを変化させるのに特に貴重であることが立証されている。しかし、従来のリポソームは、主に肝臓および脾臓では、免疫系のマクロファージ細胞による迅速な取り込みに起因して有効性が限定されている。
従来のリポソームのインビボでの短い半減期に関して、多数の会社が、非反応性(立体的に安定)または多型(カチオン性または融合性)であるリポソームを設計することによってこの障害を克服してきた。例えば、Stealth(登録商標)リポソーム(Alza Corporation,Mountain View,CA)は、脂質ポリマー部分、代表的にリン脂質−ポリエチレングリコール(PEG)部分のために立体的に安定であり、この脂質ポリマー部分は、リポソーム二重層に含まれて、リポソームが互いに、および血球または血管壁に固着することを防止する。これらのリポソームは、免疫系に、認識されないようであり、このことは、癌治療における有望な結果を示した(非特許文献1)。固形腫瘍におけるリポソームの薬物蓄積の量とリポソームの血液循環半減期との間には正の相関があることが示されている。しかし、これらのリポソームを用いる課題は、異なる薬物が、インビボでの静脈内投与の際に、非常に異なる薬物放出プロファイルを示すことである。異なる薬物は、同じ被包方法によって同じ型のリポソームの内側に被包される場合でさえ、異なる薬物動態学的挙動を示し得る。脂質および薬物の両方の特性は、薬物保持および血液循環が薬物保持の予測を困難にすることの一因となる。しかし、薬物がどのように脂質膜と相互作用するかについて、さらに、相互作用の性質がどのように薬物の漏出に影響するかについては現在ほとんど分かっていない。
従って、リポソーム処方物の長い血液循環を達成することは、循環半減期は、直接的にその製品の効能に関連し得るので、処方物実行可能性研究における主要な焦点である。処方物実行可能性研究は、とじこめた治療因子を有するリポソームの調製およびそのリポソームに対する薬物動態学的(PK)データの評価を含む。薬物動態学的研究は、薬物の吸収、分布、代謝および排出の内の一種以上を同定し、記載するように設計される。遊離薬物の薬物動態学的挙動は、リポソームにとじこめられた同一の薬物とは、非常に異なるので、PK情報を評価することは、直接的ではない。この評価は、長いプロセスであって、通常完了するまで6〜12ヶ月要する。この研究が完了するまで、PKの結果は、予測され得ない。
適切なキャリア系を同定し、これらの系の性能を予測するためのモデルは、非特許文献2に記載された。しかし、このシステムは、パラメータを測定するための複数の仕事に起因してほとんど用途を有さず、これらのパラメータの値を知っていてもリポソーム処方物の薬物動態学的性能の明らかかつ直接的な予測を提供しない。
さらに、Hrynykらは、用量依存的リポソーム分布および時間依存的リポソーム分布を記載する数学モデル、ならびに限られたセットのパラメータを導入するための削除を提唱し、これらは、リポソームに被包された薬物のインビボでの結末を評価する一助となり得る(非特許文献3)。
Haumann、Inform、6:793〜802、1995 BarenholtzおよびCohen、J Liposome Res.、5(4):905〜932、1995 Hrynykら、Cell Mol Biol Lett、7(2):285、2002
従って、リポソーム薬物処方物に対する薬物動態学を予測することが望ましい。本発明は、例えば、示差走査熱量計のような分析技術に基づいた経験的な予測モデルを示す。この予測モデルは、リポソーム処方物中での長い循環に対して高い可能性を有する薬物を選択するため、および潜在的に問題のある薬物候補を同定するための薬物スクリーニングに有用である。このモデルの別の使用は、最大限の血液循環時間に適切な脂質処方物を設計することにおける使用である。
(発明の詳細な説明)
(I.定義)
以下の用語は、他に示さない限り以下の意味を有する。
「リポソーム」は、閉じ込めた水の容積を含む、一以上の同心の脂質二重層からなるベシクルである。この二重層は、疎水性「尾部」領域および親水性「頭部」領域を有する二つの脂質単分子層からなり、疎水性領域は、二重層の中央に向き、親水性領域は、内側の水相または外側の水相に向いている。
「ベシクル形成脂質」とは、疎水性かつ極性の頭部基部分を有する両親媒性の脂質であって、リン脂質に例示されるように水中で自然に二重層ベシクルを形成し得るか、または、内側で接触する疎水性部分、二重層膜の疎水性領域、および外側に向いた極性の頭部基部分、膜の極性表面を有する脂質二重層に安定に組み込まれる脂質をいう。この型のベシクル形成脂質は、代表的に、一つまたは二つの疎水性アシル炭化水素鎖またはステロイド基を含み、その極性頭部基に、アミン、酸、エステル、アルデヒドまたはアルコールなどの化学反応基を含み得る。ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)およびスフィンゴミエリン(SM)などのリン脂質は、このクラスに含まれ、ここで、二つの炭化水素鎖は、代表的に約14〜22個の間の炭素原子長であり、種々の程度の不飽和度を有する。セレブロシドおよびガングリオシドなどの糖脂質もまた用語「ベシクル形成脂質」の範囲内に含まれる。
本明細書中で使用される場合、「親水性ポリマー」とは、水に可溶性の部分を有するポリマーをいい、この部分は、ポリマーを室温である程度水溶性に適合させる。例示的な親水性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピル−メタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチル−アクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアスパルトアミド、上に列挙したポリマーのコポリマーおよびポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドコポリマーが挙げられる。これらのポリマーの多くの特性および反応は、米国特許第5,395,619号、同第5,631,018号に記載される。
略語:DSC:示差走査熱量測定法;PK:薬物動態学的;T1/2:血液循環半減期;FTIR:フーリエ変換赤外分光法;Cp:熱容量;Tm:相転移温度;ΔHvH:ファントホッフのエンタルピー;CU:協同性または協同的単位;PC:ホスファチジルコリン;PG:ホスファチジルグリセロール;PS:ホスファチジルセリン;PA:ホスファチジン酸;POPC:パルミトイルオレイルホスファチジルコリン;HSPC:十分に水素化された大豆PC;PHEPC:部分的に水素化された卵PC−IV40;EPC:卵ホスファチジルコリン;DOPC:ジオレオイルホスファチジルコリン;SOPC:ステアリオイルオレオイルホスファチジルコリン;OPPC:オレオイルパルミトイルホスファチジルコリン;OSPC:オレオイルステアロイルホスファチジルコリン;DOPG:ジオレオイルホスファチジルグリセロール;DSPC:ジステアロイルホスファチジルコリン;PEG:ポリエチレングリコール。
(II.スクリーニング方法)
(A.熱特性の測定)
熱特性を測定または決定するための多くの分析方法およびデバイスが、公知であり、当該分野で日常的に使用されている。代表的な方法は、以下にさらに議論するが、組成物の熱データを提供する任意の分析技術が、ここで使用され得ることが理解される。
(1.示差走査熱量測定法)
示差走査熱量測定法(DSC)は、サンプルを加熱、冷却または定常温度で維持したときにサンプルによって吸収される(加熱した場合)か放出されるかしたエネルギーの量を測定するために使用される当該分野で公知の方法である。本明細書中で使用される場合、用語「DSC測定」はさらに、サンプルの測定した特徴を使用した計算を包含する。DSCを測定する例示的な方法は、示差走査熱量計を利用する。熱量計の温度範囲が、サンプル測定に適している限り、任意の熱量計が適している。例示的な熱量計は、MicroCal(Northampton、MA、USA)から入手可能なVP−DSC示差走査熱量計である。示差走査熱量計を使用する代表的な適用としては、融点および/または融解熱の決定、ガラス転移温度の測定、硬化および結晶化研究、ならびに相変換の同定が挙げられる。
脂質懸濁液の熱力学的特性を測定するために、示差走査熱量計を使用する実施形態において、サンプル中への熱流量は、通常サンプルセルに含まれ、差次的に(すなわち、サンプルの熱流量を、等体積の水またはサンプルの水性成分を含む参照セルへの熱流量と比較することによって)測定される。この熱流量は、時間(t)単位あたりに供給された熱(q)の量、すなわちq/tとみなされ得る。代表的に、両方のセルとも既知の(較正した)耐熱性(K)を有する金属ジャケットの内部に設置する。熱量計の温度は、時間とともに直線的に上昇し(走査した)、ここで、そのセルの加熱速度(β=dT/dt)は、定常を保っており、互いに一致している。任意の加熱速度が使用され得るが、サンプルおよび参照セルの加熱速度は、同じであるか、または類似していなければならない。その温度は、手動、または自動で制御され得る。好ましい実施形態において、その温度制御は、自動であるか、コンピュータ化されている。熱は、ラジエーターなどの熱源から伝導することによって二つのセル中へ流動する。サンプルセル中への熱流量は、相転移の過程の間のサンプルのさらなる熱容量(Cp)に起因してより大きい。熱容量とは、加熱速度で割った熱流量、すなわちCp=q/ΔTをいい、ここで、qは熱であり、ΔTは、温度上昇である。熱流量における差(dq/dt)は、サンプルと参照セルとの間の温度の差(dT)を生じる。この温度の差は、任意の適切なセンサー(例えば、熱電対)を使用して測定され、シグナルは、生じた差の代表値を表す。
図3は、薬物をとじこめていないDSPC脂質ベシクルの温度(℃)に対する熱流のサーモグラムを描き、これは、ゲルから液晶への転移を示し、これは主相転移とも呼ばれる。この加熱スキャニングの図において、吸熱事象は、ベースラインからの正の(上への)ずれを生じる。主要なピーク(Tm=54.4℃)は、主相転移(すなわち、ゲルから液晶への相転移)と関連している。より小さなピーク(Tpと同定される)は、前転移である。融解温度は、相転移が完了するまで熱がサンプルによって吸収されたピークとして、熱流プロット上に見られる。当業者に理解されるように、主相転移は、ある温度範囲を越えて延びているが、このピークは代表的に、ほとんどのベシクル形成脂質(例えば、DSPC)については非常に鋭く、Tmは、転移の開始として、転移の中間点として、ピーク温度として、またはパラメータが規定される限り任意の適した点として報告され得る。Tmは、代表的に、転移の最大ピーク高さまたは一定割合の相転移が生じた点、例えば、40%、50%または60%の相転移が生じた点のいずれかとして報告される。相転移の正確なパーセントは、規定される限り重要ではないことが理解される。割合が使用される場合、サンプル間の比較を助けるために、各サンプルに対する同じ割合を使用することが望ましい。本明細書中で報告された研究において、Tmは、転移範囲の最大ピークとして報告されている。
図3をさらに参照すると、Tmより上では、脂質炭化水素鎖がゲル様の状態から液体状態に変化しているので、サンプルの分子は、融解する。
リポソームの最大熱容量(Cpmax)は、ピーク温度、Tmでの熱容量関数に関連する。
融解の潜熱、すなわち熱量測定の相転移エンタルピー(ΔHcal)は、以下の式:
A=(熱量(カロリー))(温度(K)(時間(秒)(質量(モル))
に従って、ピークより下の領域(A)を最初に決定することによって決定され得る。
次いで、融解の潜熱、すなわち熱量測定のエンタルピーは、以下:
ΔHcal=(A/(q/t))mによって決定され得、ここで、mはサンプルの質量(モル)である。
すなわち、ΔHcalは、ベースラインを引き、スキャン速度を正規化し、濃度を正規化した後のピークより下の面積として定義される。
DSCにより得られた測定値は、さらに、サンプルの有用な熱力学的パラメータ(ファントホッフのエンタルピー(ΔHvH)および協同性単位(CU)を含む)を決定または計算するために使用され得る。ファントホッフのエンタルピーは、以下の式:
ΔHvH=(4R・T ・Cpmax)/ΔHcal
から計算され、ここで、Cpmax(kcal mol−1−1)は、ベースラインを引いて濃度を正規化した後の相転移ピークでの熱容量関数であり、Tm(K)は、ピーク温度であり、ΔHcalは、ベースラインを引いた後の熱容量関数の積分値として定義される熱量測定エンタルピーであり、Rは気体定数(1.987cal mol−1−1)である(Biocalorimetery:Applications of Calorimetry in the Biological Sciences、LadburyおよびChowdhry編、John Wiley & Sons)。
協同性または協同単位(CU)は、以下の式で計算される:
CU=ΔHvH/ΔHcal
以下に例示されるように、CUおよびΔHvHの両方は、脂質二重層の熱力学的特性によるリポソーム中に薬物を閉じ込める効果を比較するために有用である。上述のように、脂質二重層は、多数の同様の分子(脂質)から構成される自己組織化するマクロ構造である。その脂質二重層の加熱または冷却の際の相転移は、脂質分子の間で協同的な事象である。CUは、脂質二重層の脂質分子の間の連絡の自由度の指標と考えられ得る。
DSC測定から他のデータ(相転移の半分の高さにおける幅(ΔTm1/2)、完全相転移幅(ΔTm)、前転移の転移温度およびエンタルピー(TpおよびΔH)などが挙げられるが、これらに限定されない)が決定され得ることが理解される。
好ましい実施形態において、高感度DSC機器が使用される。なぜなら、その高感度DSC機器は、脂質の、より感度が高くかつ正確な相転移プロファイルを提供し得るからである。このことは、薬物と脂質との相互作用が弱く、低感度DSC機器ではその相転移プロファイルの小さな変化を解像するには十分でない場合、重要であり得る。
(2.フーリエ変換赤外分光法)
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)は、有機無機物質を同定するために代表的に使用される分析技術である。この技術は、目的の物質による種々の赤外光波長の吸収を測定する。この技術は、目的の物質についての熱情報(例えば、主相転移温度および相転移幅)を同定するために使用される。
(3.化学分析のための電子分光法)
化学分析のための電子分光法(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis(ESCA))(x線光電子分光法またはXPSとしても公知)は、固体物質の表面についての化学的情報を得るために使用される、表面分析技術である。この方法は、x線ビームを使用して、サンプルを励起して光電子の放出を生じさせる。これらの光電子のエネルギー分析は、サンプルについての熱データを提供する(http://www.innovatechlabs.com)。
熱特性を測定または決定するために、かなり多くの他の分析技術またはデバイス(同時熱分析計(STA)、熱機械分析計(TMA)、膨張計、熱重量分析(TGまたはTGA)、電子常磁性共鳴(EPR)、および動的熱機械分析計(DMA)が挙げられるが、これらに限定されない)が適切であることが理解される。
(B.熱測定の相関)
1つの実施形態では、本発明の方法は、治療因子の存在下でのリポソームのキャリアの少なくとも1つの熱特性と薬物動態学的(PK)特性との間に相関を生成させるために有用である。好ましい実施形態では、上記方法は、治療因子の存在下でのリポソームキャリアの少なくとも1つの熱特性とインビボでの半減期との間に相関を生成させるために有用である。別の実施形態では、上記方法は、治療因子の存在下でのリポソームキャリアのインビボでの半減期と、ファントホッフのエンタルピー(協同的単位)および/または主相転移温度ピーク幅との間に相関を生成させるために有用である。当業者は、薬物動態学の研究による薬物動態学的特性の決定を周知していることが理解される。薬物動態学の研究は、以下に簡単に記載される。
薬物動態学の研究は、以下の基本的薬物動態学的概念の1つ以上を同定および評価するように設計される:吸収(血管外投与のため)、分布、代謝および排泄。薬物が血液に直接投与され、従って、血流には吸収されない場合、血管内投与法(静脈内投与を含む)による薬物の吸収特性は、決定されないことが理解される。さらに、用量、血漿濃度、および治療効果または毒性効果の間の相関が研究され得る。薬物動態学的研究は、治療因子の効力および毒性を評価し、かつ用量、投与経路、および処置のスケジューリングを決定するために使用される。吸収の速度、分布、代謝および排泄の薬物動態学の研究は、一般的に、投与後の時間データにわたる血漿/血液濃度から決定され得る。
理論に関して限定されることなく、脂質との相互作用の増大を示す治療因子は、リポソーム組成物のインビボでの半減期に影響を与えることが考えられる。STEALTH(登録商標)リポソームからの薬物放出の機構は、拡散のフィックの法則:
J=−D*DC/Dx(ここで、Jは薬物流出であり、Dは拡散係数である)
を使用して理解され得る。
血液循環を延長するために(すなわち、薬物流出(J)を減少するために)、1つの選択肢は、拡散係数(D)の値を減少することであり、これは、しっかりした二重層を形成する脂質を使用することによって達成され得る。所定の脂質組成物およびリポソーム内部状態について、薬物拡散係数は、薬物−脂質相互作用の固有の性質によって決定される。血液循環を延長させる他の選択肢は、リポソームの内部の遊離薬物の濃度を最小にすることであり、これは、強沈殿試薬を使用して薬物沈殿物を形成することによって達成され得る。
実施例2に詳述されるように、種々の薬物(ドキソルビシン、CKD602、ビンクリスチン、シプロフロキサシン、またはパクリタキセル)を含むDSPCリポソームは、VP−DSCによって測定された。図1A〜1Dに示されるように、相転移に対する、ドキソルビシン、CKD602、ビンクリスチン、シプロフロキサシン、またはパクリタキセルの各々をDSPCリポソーム(実線)中に閉じ込める効果は、コントロールとしての空のDSPCリポソーム(点線)についてのサーモグラムと比較された。本発明に従って調製されたリポソームは、さらなる構成要素からの干渉を減少するために純粋な脂質を使用して処方されることに注意されたい。全てのSTEALTH(登録商標)リポソームは、主な二重層形成脂質としてDSPCまたはHSPCのいずれかを用いて調製されるので、DSPCをこの研究に使用した(パクリタキセル以外)。HSPC(完全に加水分解されたダイズPC)は、その物理的特性および化学的特性に関してDSPCと非常に類似している。HSPCが使用される場合、DSPCの例に基づいて同様の結果が出され得る。コレステロールもまた、この研究では除外される。なぜなら、コレステロールはリン脂質の相転移ピークを顕著に広げ、その結果、薬物の存在の効果が全体的に失われることが公知であるからである。しかし、これらの純粋な脂質処方物の使用は、コレステロールのようなステロールを含む代表的な処方物、および親水性ポリマーを用いて誘導体化された脂質を含む処方物を予測する。
STEALTH(登録商標)リポソーム中に閉じ込められた薬物の各々についての、静脈内注射の際のラットにおけるインビボでの血液循環半減期(T1/2)は、既知であり、脂質組成物とともに以下の表1に提示される。薬物−DSPC水性混合物についてのサーモグラムデータは、表2aおよび表2bに提示される。
(表1:種々の薬物をロードしたSTEALTH(登録商標)リポソーム、および放射標識として111Inを含むプラセボリポソームについての血液循環半減期)
Figure 2007523319
(表2a:pH3.6における、STEALTH(登録商標)リポソーム処方物の血液循環半減期、ならびに種々の薬物を含むDSPCおよび放射標識111Inを含むプラセボリポソームについての熱力学的パラメータ)
Figure 2007523319
(表2b:pH7.0における、STEALTH(登録商標)リポソーム処方物の血液循環半減期、ならびに種々の薬物を含むDSPCおよび放射標識111Inを含むプラセボリポソームについての熱力学的パラメータ)
Figure 2007523319
図1Aに示されるように、サーモグラムの比較は、DSPC/ドキソルビシン混合物(実線)およびコントロールリポソーム(点線)について、同様の相転移曲線を示すが、このことは、ドキソルビシンは二重層との弱い相互作用を維持することを示す。このデータは、約26.5±4.6時間(少なくとも4回の別々の研究から得られた平均)という、ドキソルビシンがロードされたSTEALTH(登録商標)処方物についてのインビボでの半減期と一致する(表1を参照のこと)。同様に、図1Dに示されるように、DSPC/パクリタキセル混合物についての相転移曲線(実線)は、コントロールDSPC(点線)からの顕著なずれを示し、これは、パクリタキセルと脂質二重層との顕著な相互作用を示している。このずれは、0.2時間という、より小さいインビボ半減期によって反映される。従って、コントロールからのサンプル曲線のずれは、薬物と脂質二重層とのより強力な相互作用を示す。図1Bおよび1Cに示されるように、CKD602またはビンクリスチンを含むDSPC混合物(実線)についてのサーモグラムデータは、ドキソルビシンがロードされたリポソームよりも程度が変動した、DSPCコントロール(点線)からのずれ(パクリタキセルがロードされたリポソームよりもさらに小さなずれ)を示す。このデータは、CKD602およびビンクリスチンの各々は、脂質二重層とのいくらかの相互作用を示すことを示す。この中間のずれは、ドキソルビシンがロードされたリポソームについて既知のインビボでの半減期とパクリタキセルがロードされたリポソームとについて既知のインビボでの半減期との間のインビボでの半減期に反映される。多くの場合、コントロールからのより大きなずれは、薬物と二重層とのより大きな相互作用を示すことが予測される。
ここから後に、DSCデータとインビボでの半減期との相関を考察する。しかし、DSCデータと別の薬物動態学的パラメータ(例えば、AUC(曲線下の面積)、クリアランスまたは分散の見かけ体積)との相関は、本方法の範囲内であり、当業者の範囲内であることが理解される。
1つの実施形態では、上記方法は、治療因子の存在下でのリポソームキャリアの少なくとも1つの熱特性と治療因子の存在下でのリポソームキャリアのインビボでの血液循環半減期との間に相関を生成させる工程を包含する。この実施形態では、上記方法は、少なくとも2種の治療因子の存在下での同様のリポソームキャリアの少なくとも1つの熱特性を、別々に測定する工程を包含する。インビボでの血液循環の範囲と少なくとも1つの熱特性とが相関する、少なくとも1つの参照が生じる。好ましい実施形態では、熱特性は、示差走査熱量測定によって測定される。1つのリポソームキャリアについて生成した相関は、リポソームキャリアが構造および特性に関して類似である場合の、種々のリポソームキャリアの薬物動態学的特性を予測するために使用され得ることが理解される。
実施例3に記載されるように、DSPCリポソーム処方物は、パクリタキセル、ビンクリスチン、CKD602、シプロフロキサシンまたはドキソルビシンを含んで処方された。DSC測定を使用して、主相転移温度(Tm)、エンタルピー(ΔHcal)、熱容量(Cp)および半分の高さにおける転移ピーク幅(ΔTm1/2)を決定した。ファントホッフのエンタルピー(ΔHvH)および協同単位(CU)は、DSC測定から計算された。このDSC測定は、各リポソーム組成物について、1:5という薬物 対 脂質の同じモル比を使用して、2つの緩衝条件(pH3.6およびpH7.0)で行われた。このDSC測定は、30〜65℃の範囲の温度で、20℃/時間の走査速度で行われた。これらの結果を表2aおよび表2bに示す。
表2aおよび表2bからのDSCデータについて、二変量相関は、既知のT1/2およびTm、ΔHcal、Cpmax、ΔTm1/2、ΔHvHおよびCUについて作製された。これらの結果をそれぞれ、表3および表4に示す。多変量相関は、任意の薬物動態学的特性を用いて得られた熱データのいずれかについて作製され得ることが理解される。
(表3.JMP5.0.1aソフトウエア(SAS)を使用して分析された、pH3.6における二変量相関)
Figure 2007523319
(表4.JMP5.0.1aソフトウエア(SAS)を使用して分析された、pH7.0における二変量相関)
Figure 2007523319
上の表からわかるように、ΔHvH、CU、ΔTm1/2およびCpmaxは各々、pH3.6における既知のインビボでの半減期との顕著な相関を示した。理論に関して限定されることなく、これは、リポソームからの薬物漏出の律速工程は、リポソームの内部水性コアから二重層膜への薬物分子の分配であることを示し得る。図4A〜5Bに示されるように、二変量散乱プロットは、pH3.6またはpH7.0それぞれにおいて、T1/2対ΔHvHおよびCUについて作製された。これらの結果は、T1/2は低pHにおいてΔHvHと良好な相関を有することを示す。この相関は、STEALTH(登録商標)リポソーム中にロードされる場合、閉じ込められた薬剤を含むDSPCリポソーム(インビボでの半減期が既知である)について生じたΔHvHデータに基づいて、未知の治療因子のインビボでの半減期を予測するために使用され得る。1つ以上の熱特性は、本発明の目的のために、PKデータと相関され得ることが理解される。上に示されるように、実施例3で調製されたリポソームについて、CUとT1/2との間の優れた相関もまた存在する。熱特性とpKデータとの間に相関を生成させるための他の方法は、当業者の範囲内であることがさらに理解される。図6Aおよび6Bに示されるように、多変量拡散プロットは、実施例3で調製されたリポソームの各々についてのT1/2対DSCデータについて作製された。
図4A〜5B、または実施例3の結果により明確に示されるように、PKインビボ半減期(時間)対ΔHvHまたはCUのいずれかのプロットは、直線状の相関を生じる。
1/2=−16.43+0.056ΔHvH
1/2=−8.054+0.429CU
生じた任意の相関のスロープの計算は、式y=mx+b(ここで、xおよびyは、線上の点の座標であり、bは、y切片である)を使用して、y切片に基づいて、当業者の範囲内で十分であることが理解される。1つの実施形態では、本発明は、直線のスロープに基づく範囲の発生を企図する。1つの実施形態では、この範囲は、直線のスロープから約(+および/または−)10%ずれる。他の実施形態では、この範囲は、直線の実際のスロープから約(+および/または−)15%、20%、25%またはそれ以上、ずれ得る。
図面から観察できるように、ΔHvHまたはCUの値が高くなるにつれて、観察される半減期は大きくなる。この曲線(直線状またはその他)は、治療因子の存在下での潜在的なリポソームキャリアについてのインビボでの半減期を予測するために使用され得る。脂質二重層転移は、広い転移ピークを引き起こす単量体で転移が起こるタンパク質転移とは異なって、実質的に一斉に起こることが十分に確立された。二重層転移の場合、ゲルから液晶への脂質分子転移は、集団で起こり、転移におけるいずれのずれは、系内の二重層と「外部物質」との強力な相互作用の存在を示すことが考えられる。
図5Aおよび5Bに示されるように、pH7.0についてのデータは、pH3.6についてのデータと比較して顕著さが少ない相関を示したが、脂質二重層と薬物との相互作用に関する洞察は、上記データおよび薬物動態学的特性の予測のための直線状の相関からさらに得られ得る。理論に関して限定されることなく、リポソームの外表面からの薬物の解離は、薬物漏出または薬物保持に関して、あまり大きく、またはあまり強く役割を果たし得ない。
別の実施形態では、本発明は、治療因子の存在下でのリポソームキャリアのインビボ血液循環半減期を予測するための方法を企図する。この実施形態では、あるリポソームキャリアが選択され、治療因子の存在下でのそのリポソームキャリアの少なくとも1つの熱特性が示差走査熱量測定によって決定される。そのリポソームキャリアについて相関が生成する。その後、治療因子の存在下でのその後のリポソームキャリアについてのDSC測定は、上記生成した相関と比較されて、その相関に基づいてインビボでの半減期を予測し得る。相関は、上記の通り生成し得るか、または任意の適切な手段によって生成し得ることが理解される。
(III.実施例)
以下の実施例は、本発明を例示するが、決して本発明を限定することを意図しない。
(材料および方法)
DSPCを、Avanti Polar Lipids、(Birmingham、AL)から入手した。
(実施例1:リポソームの調製)
リポソームは、種々の技術(例えば、Szoka,F.,Jr.ら(Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980))に詳述された技術)によって調製され得る。代表的に、上記リポソームは、多層状ベシクル(MLV)であり、これは、簡単な脂質膜水和技術によって形成され得る。この手順において、リポソーム形成脂質(所望の親水性ポリマーを用いて誘導されるベシクル形成脂質を含む)の混合物を、適切な有機溶媒中に溶解し、これを容器中で蒸発させ、乾燥薄膜を形成する。次いで、この膜を水性媒体で覆い、代表的には約0.1〜10ミクロンの間のサイズを有するMLVを形成する。誘導された脂質を調製する例示的な方法、およびポリマーでコーティングされたリポソームを形成する例示的な方法は、共同所有の米国特許第5,013,556号、同第5,631,018号および同第5,395,619号に記載されており、これらの各々は、本明細書中に参考として援用される。
上記治療因子は、標準的な方法によってリポソーム中に組み込まれ得る。その方法は、(i)薬剤を含む脂質膜を水和することによる、親油性化合物の受動的な取り込み工程、(ii)イオン化可能薬物を内側/外側リポソームイオン勾配に対してロードする工程(米国特許第5,192,549号および同第6,355,268号(これらの両方は、本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、リモートローディングと呼ばれる)、ならびに(iii)薬物を内側/外側pH勾配に対してロードする工程を包含する。薬物ローディングが遊離薬物の外部媒体を実質的に枯渇するのに効果的でない場合、上記リポソーム懸濁液を、薬物ローディングの後に、封入されていない薬物を除去するように処置し得る。
(実施例2:DSPCリポソームの調製)
飽和リン脂質DSPCからなるリポソームを、実施例1に記載されるような薄膜水和法によって調製した。簡単に言うと、6.3mMの脂質をフラスコ中に秤量し、そしてクロロホルム:メタノール(9:1v/v)混合物中に溶解し、そして溶媒混合物を約70℃、減圧下でロータリーエバポレーターを使用して蒸発させ、脂質の均一な薄膜を形成した。この脂質膜を、一晩、高減圧下で維持し、溶媒の痕跡量の完全な除去を確実にした。この脂質膜を、60℃で、20mMのリン酸塩緩衝液を使用して水和し、コントロールのリポソームを得た。
ドキソルビシン、CKD602、ビンクリスチンおよびシプロフロキサシン(水溶性薬物)をロードしたリポソームの調製のために、この薬物を、水和緩衝液中に溶解し、その結果、生じたリポソームは、1:5の脂質:薬物比(mol/mol)を有した。パクリタキセル(水不溶性)がロードされたリポソームの調製のために、脂質および薬物を溶媒混合物に共溶解し、その結果、生じたリポソームは、1:5の脂質:薬物比(mol/mol)を有した。上記生じたリポソームは、1:5の薬物:脂質モル比を有した。遊離薬物は、その懸濁液から除去しなかった。
(実施例3:示差走査熱量測定および統計学的分析)
DSPCのみからなるリポソームを、実施例2で記載したように、CKD602、ドキソルビシン、ビンクリスチン、シプロフロキサシンまたはパクリタキセルを組み込んで調製した。
DSC測定値を、MicroCal(Northampton,MA)から市販されているVP−DSCを用いて、20℃/時間の加熱速度で得た。このデータを、オリジンソフトウエアおよび統計学ソフトウエアJMP5.0.1を使用して分析した。測定を、遊離薬物を除去することなく、薬物会合リポソームから行った。DSC測定およびサーモグラムは、リポソームの内部状態および外部状態を刺激するために、酸性pH条件および中性pH条件、すなわち、pH3.6およびpH7.0で記録した。
主相転移温度(Tm)、エンタルピー(ΔH)、熱容量(Cp1/2)、相転移温度ピーク幅(Tm1/2)、および相転移温度ピーク温度(Tp)を測定し、そしてファントホッフのエンタルピー(ΔHvH)および協同性(coop)を計算した。これらの結果を、表4および表5それぞれに詳述する。
(表4:pH3.6における、種々の薬物を含むDSPC MLVのDSCパラメータ)
Figure 2007523319
(表5:pH7.0における、種々の薬物を含むDSPC MLVのDSCパラメータ)
Figure 2007523319
ΔHvHおよびCUの統計学的分析を行い、JMP5.0.1プログラムを使用して、上記データとT1/2とを相関させた。この結果を、表4A〜5Bに示す。pH3.6におけるΔHvHの結果のまとめを、以下の表6a〜6cに提示する。pH7.0におけるΔHvHの結果のまとめを、以下の表7a〜7cに提示する。
pH3.6およびpH7.0における薬物が組み込まれたリポソームについてのΔHvHまたはCU 対 循環半減期(T1/2)の相関の二変量散乱プロットマトリクスを作製し、それぞれ、図4A〜4Bおよび図5A〜5Bに提示する。
pH3.6およびpH7.0における薬物が組み込まれたリポソームについてのDSCパラメータと循環半減期(T1/2)との相関の多変量散乱プロットマトリクスを作製し、それぞれ、図6A〜6Bに提示する。
Figure 2007523319
Figure 2007523319
本発明は特定の実施形態に関して記載されているが、種々の変更および改変が本発明を逸脱することなくなされ得ることが、当業者に明らかである。
図1A〜1Dは、pH3.6でのDSPCコントロールと比較した場合の、ドキソルビシンを含有するDSPCリポソーム(図1A)、CKD602を含有するDSPCリポソーム(図1B)、ビンクリスチンを含有するDSPCリポソーム(図1C)およびパクリタキセルを含有するDSPCリポソーム(図1D)のサーモグラムのグラフである。 図2A〜2Dは、pH7.0でのDSPCコントロールと比較した場合の、ドキソルビシンを含有するDSPCリポソーム(図2A)、CKD602を含有するDSPCリポソーム(図2B)、ビンクリスチンを含有するDSPCリポソーム(図2C)およびパクリタキセルを含有するDSPCリポソーム(図2D)のサーモグラムのグラフである。 図3は、DSPCについてのDSCサーモグラフのグラフである。 図4A〜4Bは、pH3.6での薬物を閉じ込めたリポソームの、ラットにおける血液循環半減期(T1/2)に対するΔHVHおよびCUの相関の散布図マトリクスである。 図5A〜5Bは、pH7.0での薬物を閉じ込めたリポソームの、循環半減期(T1/2)に対するΔHvHの相関の二変量の散布図マトリクスである。 図6A〜6Bは、pH3.6およびpH7.0それぞれでの薬物を閉じ込めたリポソームに対する相関の多変量の散布図マトリクスである。 図6A〜6Bは、pH3.6およびpH7.0それぞれでの薬物を閉じ込めたリポソームに対する相関の多変量の散布図マトリクスである。

Claims (12)

  1. 治療因子の存在下でのリポソームキャリアの少なくとも1つの熱特性と該治療因子の存在下での該リポソームキャリアに対する薬物動態学的特性との間に相関を作成するための方法であって、以下:
    第1の治療因子の存在下で該リポソームキャリアの少なくとも1つの熱特性を測定する工程;
    第2の治療因子の存在下で該リポソームキャリアの少なくとも1つの熱特性を測定する工程;
    該薬物動態学的特性に対する値の範囲を、該少なくとも1つの熱特性と相関させる少なくとも1つの参照を生成する工程
    を包含する、方法。
  2. 前記薬物動態学的特性が、インビボでの半減期である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記測定する工程が、分析技術を用いて前記熱特性を決定する工程を包含する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記分析技術が、示差走査熱量計である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記熱特性が、相転移温度である、請求項3または4に記載の方法。
  6. 前記相転移温度(T)が、ピーク高さで測定される、請求項5に記載の方法。
  7. 約pH3.6、および約20℃/時間のDSCスキャン速度で、約1:5のモル比でモデル脂質と混合した前記治療因子に対する、前記相転移についてのピーク以下の積分、および(2)式[(4 2*Cpmax)]/ΔHcal]からΔHvHを計算する工程であって、Rは、普遍気体定数(1.9872cal/molK)であって、エンタルピーは、該積分に対応する、請求項6に記載の方法。
  8. 治療因子の存在下で、リポソームキャリアの薬物動態学的特性を予測するための方法であって、以下:
    該リポソームキャリアを選択する工程;
    分析技術によって、該治療因子の存在下で、該リポソームキャリアの少なくとも1つの熱特性を決定する工程;
    該少なくとも1つの熱特性を、該リポソームキャリアに対して生成された相関と比較する工程;および
    該治療因子の存在下で、該リポソームキャリアの薬物動態学的特性を決定する工程
    を包含する、方法。
  9. 前記薬物動態学的特性が、インビボでの血液循環の半減期である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記分析技術が、示差走査熱量計である、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記少なくとも1つの熱特性が、計算されたファントホッフのエンタルピー値(ΔHVH)である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記ΔHVHが、式[(4 2*Cpmax)]/ΔHcal]から計算され、Rは、普遍気体定数(1.9872cal/molK)であり、Tは、前記脂質の存在下における前記治療因子の相転移であり、Cpmaxは、該転移のピークでの熱容量であり、熱量測定のエンタルピーΔHcalは、該相転移についてのピークの下の積分であり、T、CpmaxおよびΔHcalは、該治療因子および前記リポソームキャリアの混合物に対する、pH3.6かつ20℃/時間のスキャン速度での示差走査熱量計トレースから決定される、請求項11に記載の方法。
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