JP2007523048A - 分泌促進物質の使用 - Google Patents

分泌促進物質の使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2007523048A
JP2007523048A JP2006522237A JP2006522237A JP2007523048A JP 2007523048 A JP2007523048 A JP 2007523048A JP 2006522237 A JP2006522237 A JP 2006522237A JP 2006522237 A JP2006522237 A JP 2006522237A JP 2007523048 A JP2007523048 A JP 2007523048A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ghrelin
compound
cancer
use according
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006522237A
Other languages
English (en)
Inventor
ビルギッテ・ホルスト・ランゲ
クリスティアン・ハンセン
ヘンリク・ニルソン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Gastrotech Pharma AS
Original Assignee
Gastrotech Pharma AS
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Gastrotech Pharma AS filed Critical Gastrotech Pharma AS
Publication of JP2007523048A publication Critical patent/JP2007523048A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/22Hormones
    • A61K38/25Growth hormone-releasing factor [GH-RF], i.e. somatoliberin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • A61P1/14Prodigestives, e.g. acids, enzymes, appetite stimulants, antidyspeptics, tonics, antiflatulents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/18Antipsychotics, i.e. neuroleptics; Drugs for mania or schizophrenia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/435Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
    • G01N2333/46Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans from vertebrates
    • G01N2333/47Assays involving proteins of known structure or function as defined in the subgroups
    • G01N2333/4701Details
    • G01N2333/4745Insulin-like growth factor binding protein
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/435Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
    • G01N2333/475Assays involving growth factors
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/435Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
    • G01N2333/575Hormones
    • G01N2333/65Insulin-like growth factors (Somatomedins), e.g. IGF-1, IGF-2

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Psychiatry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

本発明は、1態様において、処置が必要な個体における癌性悪液質の予防または治療のための薬剤の製造における、分泌促進物質化合物の使用を提供する。別の態様において、本発明は、個体に該薬剤の皮下用量を投与することによって、悪液質の予防または治療のための薬剤の製造における、グレリン−様化合物の使用を提供する。更なる態様において、本発明は、個体に該薬剤の皮下用量を投与することによって、個体における食欲の刺激のための薬剤の製造における、グレリン−様化合物またはその医薬的に許容し得る塩の使用を提供する。更に、本発明は、多数の新規なグレリン−様化合物、およびそれらの使用、並びに該新規なグレリン−様化合物を含有する医薬組成物および医学的なパッケージングを提供する。

Description

発明の詳細な説明
出願または本出願中に引用する全ての特許および非特許文献はまた、本発明の一部を構成する。
(技術分野)
第1の態様において、本発明は、悪液質の治療もしくは予防、食欲、食物摂取および/または体重の増加の刺激のための薬剤の製造方法;並びに、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)を投与することによって処置が必要な個体における、悪液質を治療もしくは予防し、食欲、食物摂取および/または体重の増加を刺激する方法、における、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)の使用に関する。
別の態様において、本発明は、癌性悪液質(cancer cachexia)の治療もしくは予防のための薬剤の製造;並びに、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)を投与することによって処置が必要な個体における癌性悪液質を治療もしくは予防する方法、における、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)の使用に関する。
別の態様において、本発明は、リポジストロフィーの治療もしくは予防のための薬剤の製造;並びに、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)を投与することによって処置が必要な個体におけるリポジストロフィーを治療もしくは予防する方法、における、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)の使用に関する。
別の態様において、本発明は、グレリン−様化合物、グレリン−様化合物を含有する医薬組成物、および該医薬組成物を含有する医学的なパッケージングに関する。
(背景技術)
グレリンは、当初GH分泌の制御に関与すると記載されていたが、しかしその後に食欲、食物摂取、およびエネルギーホメオスタシス(1;2)の主要な調節物質であると発見された生理活性ペプチドである。多数の他の生理活性ペプチドと同様に、グレリンはおそらく、ホルモン、パラクリン物質、および神経伝達物質の両方として作用する。
グレリン、その受容体、およびこの受容体を通じて作用する合成化合物の所説では、特異な「逆」順序(order)で標識化されない。80個中、オピオイド−様ペプチドの群由来の合成ヘキサ−ペプチドが、単離された下垂体細胞から成長ホルモン(GH)を放出することができることが分かっている(3)。この作用は成長ホルモン放出ホルモン(GFRH)受容体とは無関係であるので、いくつかの製薬会社は、ヘキサ−ペプチドGH分泌促進物質(GHS)およびその推定受容体に基づく薬剤発見プロジェクトに投資している。いくつかの強力で且つ有効なペプチドの群、並びに非−ペプチドGH分泌促進物質が、90年代半ばに続けて記載されている(4〜6)。しかしながら、これらの人工的なGH分泌促進物質が作用する際の受容体がついにクローニングされ、そして7TM Gタンパク質共役受容体ファミリーの要素であることが分かったのは、わずかに数年後であった(7;8)。1999年には、この受容体についての内因的なリガンド、ホルモングレリンが遂に発見された(9)。グレリン産生についての主要な部位は胃であって、該ペプチドは胃粘膜中の典型的な内分泌細胞中に存在する。
ここから、グレリンは食前の状況で分泌され、これにより、食前に血漿中グレリンレベルの鋭く短命なサージを生じ、このものは食事の開始の1〜2時間前に始まり、そして食事の開始後短時間続く。グレリンは末梢的にだけ産生される食欲増進(食欲促進)物質であるので、血漿中グレリンレベルの増大は食事の開始が重要であると考えられる。
食欲の重要なイニシエータとしてのその役割において、消化菅の粘膜中の内分泌細胞から放出されるグレリンは、パラクリン物質として局所的におよびホルモンとして中枢的にの両方で作用することができる(これは、癌性悪液質に関する項目で後述する)。
従来、グレリンは270分間、連続的な注入によって投与されており、これにより、食物摂取の増大は、グレリンの静脈内投与によって得ることができることが分かっている。該用量は、5pmol/kg/分である(Wrenらによる, JCEM 2001; 86 (12) 5992-5995)。最近、グレリンの90分間の注入により、癌性悪液質患者において30%だけ食物摂取を増大させることができることが分かっている(Abstract P09 Digestive Hormones, Appetite and Energy Balance, Baylis and Starling meeting, London, June 2003)。
これらの研究は、グレリンの非経口投与により、正常な被験者および食欲が低下している患者の両方において食欲を増進することができることを示す。しかしながら、長時間の注入投与は、実際上の理由および生理学的な理由の両方で最適な投与形態ではないことは明らかである。
(発明の概要)
本発明者は、皮下投与する場合(特に、食前に皮下投与する場合)、グレリンの十分な効果を得ることができることを発見し、その結果、自然の食前の状況に近い模倣を保障することを確認した。
従って、本発明は、個体に薬剤の皮下用量を投与することによって、個体における、
a)悪液質の予防もしくは治療;および/または、
b)食欲の刺激
のための薬剤の製造における、グレリン−様化合物の使用に関する。ここで、該グレリン−様化合物は、式I:
−(X)−(X)−(X)−Z
によって定義される構造を含み、式中、
は、場合により現存する保護基であり;
各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、ここで該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
は天然または合成アミノ酸から選ばれるいずれかのアミノ酸であり、該アミノ酸はかさ高い疎水性基(アシル基または脂肪酸が好ましい)で修飾され;
各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
ここで、1つ以上のXおよびXは場合により、かさ高い疎水性基(アシル基または脂肪酸が好ましい)で修飾され得て;
は場合により現存する保護基であり;
mは1〜10の範囲の整数であり;
nは0または1〜35の範囲の整数である。
別の態様において、本発明は、食前または食間に該薬剤のある用量を投与することによって、個体における、
a)悪液質の予防もしくは治療;および/または、
b)リポジストロフィーの予防もしくは治療;および/または、
c)食欲の刺激;および/または、
d)食物摂取の刺激;および/または、
e)体重の増加の刺激;および/または、
f)体脂肪量の増大;
(これは、上記のいずれかの組み合わせを含む)
のための薬剤の製造における、分泌促進物質の化合物の使用に関する。ここで、該用量は、グレリンの0.3μg〜600mgと当量の分泌促進物質またはその塩を含有する。該分泌促進物質は、上記の式Iによって定義される構造を含むグレリン−様化合物であることが好ましい。
好ましい組み合わせは、以下の通りである:a);b);c);d);e);およびf)の単独;並びに、a)+b);a)+c);a)+d);a)+e);a)+f);b)+c);b)+d);b)+e);b)+f);a)+c)+d);a)+c)+e);a)+c)+f);a)+d)+e);a)+d)+f);a)+e)+f);a)+c)+d)+e);a)+c)+d)+f);a)+d)+e)+f);a)+c)+d)+e)+f);b)+c)+d);b)+c)+e);b)+c)+f);b)+d)+e);b)+d)+f);b)+c)+e)+f);b)+c)+d)+e);b)+c)+d)+f);b)+d)+e)+f);および、b)+c)+d)+e)+f)が挙げられる。
本発明は更に、分泌促進物質を含有する薬剤の有効な量を個体に皮下投与することによって、個体における、
a)悪液質の予防もしくは治療;および/または、
b)食欲の刺激
のための方法に関するものであって、該分泌促進物質はグレリン−様化合物であることが好ましく、上記の式Iによって定義される構造を含有するグレリン−様化合物であることがより好ましい。
更に別の態様において、本発明は、分泌促進物質を含有する薬剤の有効な量を食前に個体に投与することによって、個体における、
a)悪液質の予防もしくは治療、および/または、
b)食欲の刺激
のための方法に関するものであって、ここで、該分泌促進物質はグレリン−様化合物であることが好ましく、上記の式Iによって定義される構造を含むグレリン−様化合物であることがより好ましい。
別の態様において、本発明は更に、癌性悪液質(特に、REE(例えば、肺癌および膵臓癌)の増大を伴う、高い程度の悪液質を誘発する癌のサブタイプによって生じるもの)の治療または予防における、分泌促進物質(特に、グレリン−様化合物(例えば、ヒトグレリンを含む))の使用に関する。好ましい実施態様において、本発明は、癌性悪液質の治療または予防のための薬剤の製造における、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物(例えば、上記の式Iによって定義される構造を含有するグレリン−様化合物))の使用に関する。
本発明は、癌性悪液質の原因とは無関係な(例えば、癌性悪液質の特定の治療学的な原因とは無関係な)癌性悪液質を発症する危険率、または該癌性悪液質に寄与する治療学的な因子を有意に低下する。
別の態様において、本発明は、本発明に従ってグレリン−様化合物の使用の効果を追跡するためのマーカーの使用に関する。従って、好ましい実施態様において、本発明は、本発明のグレリン−様化合物の投与の効果を追跡するための方法に関するものであって、該方法は、1個以上のマーカー(特に、IGF−I、IGFBP−3、ALS(酸性の標識化)、甲状腺ホルモン、性ホルモン、およびアルブミンから選ばれるマーカーであり、IGF−I、IGFBP−3、ALS(酸性の標識化)から選ばれることが好ましく、IGF−1がより好ましい)を測定することを含む。これらのマーカーは、悪液質患者において全て低く、そしてグレリンを用いる処置後に増大することが予想される。
別の態様において、本発明は更に、リポジストロフィー(後天性または先天性の局所または全身性のどちらでも)の治療または予防における、分泌促進物質(特に、グレリン−様化合物(例えば、ヒトグレリンを含む))の使用に関する。好ましい実施態様において、本発明は、リポジストロフィーの治療または予防のための薬剤の製造における、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物(例えば、式I(上記)によって定義される構造を含有するグレリン−様化合物))の使用に関する。本発明は、リポジストロフィーの原因とは無関係な(特に、リポジストロフィーの特定の治療学的な原因とは無関係な)リポジストロフィー、またはリポジストロフィーに寄与する治療学的な因子、を発症する危険を有意に低下する。従って、本発明はまた、抗レトロウイルス剤の手段によって、HIV/AIDSを有する患者の処置にも拡張する。便宜のため、本明細書中で使用する用語「抗レトロウイルス療法」とは、抗レトロウイルス剤(通常、典型的には該症例の場合と同様に、該薬剤の組み合わせを含む)の手段による、患者におけるHIV/AIDSの処置を意味する。
本発明の更なる態様において、本発明は、本明細書中の治療学的なおよび予防学的な指標に関連する新規な化合物に関する。従って、別の態様において、本発明はグレリン−様化合物に関するものであって、ここで、グレリン−様化合物は式I:
−(X)−(X)−(X)−Z
によって定義され、式中、
は、場合により現存する保護基であり;
各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
は天然または合成アミノ酸から選ばれるいずれかのアミノ酸であり、該アミノ酸はアシル基でで修飾され、該アシル基は、C7アシル基、C9アシル基、およびC11アシル基の群(例えば、C9アシル基およびC11アシル基の群)から選ばれ;
各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
は場合により現存する保護基であり;
ここで、1つ以上のXおよびXは場合により、かさ高い疎水性基(アシル基または脂肪酸が好ましい)で修飾され得て;
mは0または1〜10の範囲の整数であり;
nは0または1〜35の範囲の整数である。
その上、本発明は、上で定義するグレリン−様化合物またはその医薬的に許容し得る塩、および医薬的に許容し得る担体、ビヒクルおよび/または賦形剤を含有する医薬組成物、並びに特に、
a)悪液質の予防もしくは治療;および/または、
b)リポジストロフィーの予防もしくは治療;および/または、
c)食欲の刺激;および/または、
d)食物摂取の刺激;および/または、
e)体重の増加の刺激;および/または、
f)体脂肪量の増大;
(これは、上記のいずれかの組み合わせを含む)
のための薬剤の製造における、該化合物の使用に関する。
ここで、好ましい組み合わせは、以下の通りである:a);b);c);d);e);およびf)の単独;並びに、a)+b);a)+c);a)+d);a)+e);a)+f);b)+c);b)+d);b)+e);b)+f);a)+c)+d);a)+c)+e);a)+c)+f);a)+d)+e);a)+d)+f);a)+e)+f);a)+c)+d)+e);a)+c)+d)+f);a)+d)+e)+f);a)+c)+d)+e)+f);b)+c)+d);b)+c)+e);b)+c)+f);b)+d)+e);b)+d)+f);b)+c)+e)+f);b)+c)+d)+e);b)+c)+d)+f);b)+d)+e)+f);および、b)+c)+d)+e)+f)が挙げられる。
本発明の好ましい態様において、グレリン−様化合物は、例えば該グレリン−様化合物をリポソーム、ミセル、イスコム(iscoms)および/またはミクロスフェア、あるいは他の輸送分子中に含有することによって該グレリン−様化合物の半減期を増加することができる物質と一緒に投与して、特に修飾アミノ酸が脱アシル化するのを防止する。従って、本発明は更に、上で定義する化合物またはその医薬的に許容し得る塩、および医薬的に許容し得る担体、ビヒクルおよび/または賦形剤を含有する医薬組成物に関するものであって、該組成物は更に、輸送分子(例えば、リポソーム、ミセル、および/またはミクロスフェア)を含有する。
より更なる態様において、本発明は、上で定義する化合物またはその医薬的に許容し得る塩、並びに医薬的に許容し得る担体、ビヒクルおよび/または賦形剤を含有する、1個以上の用量単位の医薬組成物を含有する、医学的なパッケージングに関する。
好ましい実施態様において、該医学的なパッケージングは、予め決めた量の用量単位を有する上で定義する医薬組成物を含む。
1態様において、本発明は、上で定義する化合物またはその医薬的に許容し得る塩、および医薬的に許容し得る担体、ビヒクルおよび/または賦形剤を含有する医薬組成物を含む医学的なパッケージングに関するものであって、該パッケージングは1〜3個の用量単位を有する。
別の態様において、本発明は、上で定義する化合物またはその医薬的に許容し得る塩、および医薬的に許容し得る担体、ビヒクルおよび/または賦形剤を含有する医薬組成物を含む医学的なパッケージングに関するものであって、該パッケージングは7〜28個の用量単位を有する。
本発明の全ての実施態様において、該薬剤は、ボーラス注射または速流注入として投与することができる。すなわち、該注入は、120分以下、例えば90分以下、60分以下、45分以下、30以下、25分以下、20分以下、15分以下、12分以下、10分以下、8分以下、6分以下、5分以下、4分以下、3分以下、2分以下、1分以下、持続することが好ましい。
Y型カテーテルを、即時注入のために使用することができる。グレリン−様化合物の溶液を、一方のカテーテル導入口から注射し、そして所望する場合には、場合により生理食塩水を他方のカテーテル導入口から注射することができる。
該ボーラス注射または速流注入は、本明細書中に以下でより詳細に記載する通り、食前または食間に投与することができる。1つの好ましい実施態様において、該薬剤はボーラスとして投与する。該ボーラスは、皮下投与することが好ましい。
(発明の詳細な記載)
(定義)
アフィニティ:
受容体とそれらのリガンド(例えば、抗体とその抗原)の間の結合の強さである。
アミノ酸残基:
そのペプチド結合上でのポリペプチドの化学的な消化(加水分解)の際に生成するアミノ酸である。本明細書中に記載するアミノ酸残基は、「L」異性体形態であることが好ましい。しかしながら、該アミノ酸は、所望する機能的な性質がポリペプチドによって保持される限り、あらゆるアミノ酸(L−アミノ酸、D−アミノ酸、アルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸、ガンマ−アミノ酸、天然アミノ酸、および合成アミノ酸など)を包含する。NHは、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基を意味する。COOHは、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する遊離カルボキシ基を意味する。標準的なポリペプチドを保持する場合には、アミノ酸残基の略号は、以下の対応表で示される。
対応表
記号
Figure 2007523048
式によって本明細書中に示される全てのアミノ酸残基配列は、アミノ末端からカルボキシ末端への通常の方向での左から右への配向を有することに注意すべきである。加えて、用語「アミノ酸残基」は、対応表中に例示するアミノ酸、並びに修飾および非天然のアミノ酸を含むと広義に定義する。その上、アミノ酸残基配列の開始または終止におけるダッシュは、1個以上のアミノ酸残基の更なる配列とのペプチド結合、またはアミノ末端基(例えば、NH)もしくはカルボキシ末端基(例えば、COOH)との共有結合を示すことに注意すべきである。
抗新生物処置:
個体における異常な組織の増殖(例えば、新生物)を停止または低下させることを目的とする処置である。それらの処置の例としては、癌療法(例えば、放射線療法または化学療法)を含む。
食欲:
個体における食欲は、摂食した食物の量を測定しそして個体の食べることへの要求を評価することによって、評価する。食欲(すなわち、空腹)は典型的に、1週間に数回、無作為な基準で個体に課せられる簡単な質問表を用いて評価する。典型的には、被験者は、1(全部ではない)から極端には5までの範囲の類似のスケールを用いた質問に答えることによって、彼らの空腹感、食物への専心、並びにより大量におよび異なる種類の食物を食べたいという所望を評価(rate)する。
BMIは、身長/体重の比率を測定する。そのものは、体重(キログラム単位)を身長(メートル単位)の三乗で割ることにより算出することによって、測定する。BMIの「正常」の範囲は、19〜22である。
体脂肪量:
体脂肪量は、例えば脂肪比率方法(fat fold technique)によって測定することができる。この方法において、ハサミタイプのノギスを用いて、身体上の代表的な部位での皮膚厚(skin fold thickness)を測定することによって皮下脂肪を測定する。次いで、様々な測定からのスコアを加えそして個体間の肥満の相対的な大きさの指標としてこの値を使用するか、あるいは体脂肪率を予想するために開発された数式において測定値を用いるかのいずれかによって、これらの皮膚比率の測定値を用いて、体脂肪をコンピュータで算出する。
等価な濃度:
等価な濃度は、インビトロおよび/またはインビボで同じ応答を有するグレリン−様化合物の用量として定義される等価な用量である(これは、野生型グレリンの用量−応答曲線から算出する)。
解離定数、Kd:
受容体とそれらのリガンド(例えば、抗体とその抗原)との間の結合を強さ(または、アフィニティもしくはアビディティー)を記載するための基準である。Kdがより小さければ、結合はより強い。
融合ポリペプチド:
少なくとも2個のポリペプチドおよび該2個のポリペプチドと1個の連続的なポリペプチドとを機能的に連結する連結配列から構成されるポリペプチドである。融合ポリペプチド中で連結した2個のポリペプチドは典型的に、2個の独立した供給源から誘導され、従って、融合ポリペプチドは、天然において通常は連結しない2個の連結したポリペプチドを含む。
グレリン:
Kojima M, Hosoda H, Date Y, Nakazato M, Matsuo H, Kangawa Kによる, 1999, Ghrelin is a growth hormone-releasing acylated peptide from stomach. Nature 402: 656-660中に記載されたポリプチドである。ヒト28aaグレリンは、配列番号1のアミノ酸を有する。
グレリン−様化合物:
本明細書中で使用する用語「グレリン−様化合物」は、野生型グレリン(特に、野生型ヒトグレリン)の機能(特に、本明細書中に記載する所望する治療学的な効果(例えば、食欲の刺激、および/または悪液質の治療および/または予防を与えるグレリンの機能の観点で))を模倣する、いずれかの化合物を意味する。該化合物は、式I:
−(X)−(X)−(X)−Z
によって定義され、式中、
は、場合により現存する保護基であり;
各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、ここで該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
は天然または合成アミノ酸から選ばれるいずれかのアミノ酸であり、該アミノ酸はかさ高い疎水性基(アシル基または脂肪酸が好ましい)で修飾され;
各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
ここで、1つ以上のXおよびXは場合により、かさ高い疎水性基(アシル基または脂肪酸が好ましい)で修飾され得て;
は場合により現存する保護基であり;
mは1〜10の範囲の整数であり;
nは0または1〜35の範囲の整数である。
GHS:
成長ホルモン分泌促進物質である。GHS−R 1a:GFSに対する受容体。GHS−R 1aはまた、GHS 1aとも記される。
免疫学的な特徴:
用語:免疫学的な特徴とは、ポリペプチドの一方と特異的に結合し、そして他方のポリペプチドとは特異的に結合しない能力において、2個のポリペプチド間を区別する能力を意味する。
HAART:
非常に活性な抗レトロウイルス療法である。
個体:
疾患(特に、本明細書中に定義する悪液質疾患)を患い易い、生存している動物またはヒト。好ましい実施態様において、被験者は、哺乳動物(例えば、ヒト)および非ヒト哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラット、およびマウス)である。最も好ましい実施態様において、被験者はヒトである。
単離:
このものは、本明細書中に開示する様々なグレリン−様化合物、ポリペプチド、およびヌクレオチド(これらは、その天然環境の成分から同定され、分離されおよび/または回収される)を記載するのに使用する。その天然環境の混入成分は、典型的にポリペプチドの診断学的なまたは治療学的な使用を妨害するであろう物質であり、このものは酵素、ホルモン、および他のタンパク質性もしくは非タンパク質性の溶質を含み得る。好ましい実施態様において、ポリペプチドは精製する。
修飾アミノ酸:
その任意の基が化学的に修飾されたアミノ酸。特に、アルファ−アミノ酸におけるアルファ−炭素原子上で化学的に修飾された修飾アミノ酸が好ましい。
モノクローナル抗体:
様々な文法上の形態での用語モノクローナル抗体は、特定の抗原と免疫反応することができる1種類だけの抗体結合部位を含む、抗体の個体群を意味する。
非−アシル化グレリン−様化合物:
その構成アミノ酸のいずれかと結合するアシル基を含まない、本明細書中に定義するグレリン−様化合物。
対症療法:
治癒に影響を与えることなく、疾患または障害の症状を軽減しまたは和らげる処置。
ポリクローナル抗体:
ポリクローナル抗体は、具体的に示す抗原を認識する抗体分子の混合物であり、従って、ポリクローナル抗体は該抗原内にある異なるエピトープを認識し得る。
ポリペプチド:
用語:ポリペプチドとは、隣接アミノ酸残基の間のアミド結合以外の結合を含まないアミノ酸残基を含有する分子を意味する。
受容体:
受容体は、別の分子と特異的に(非ランダムに)結合することができる分子(例えば、タンパク質、糖タンパク質など)である。
REE:
安静時エネルギー消費である。
分泌促進物質:
成長ホルモン分泌促進物質、すなわち、成長ホルモン放出を刺激する物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)である。本発明に記載する分泌促進物質は、例えば、以下の群:
L-692-429, L-692-585(ベンゾエラクタム(Benzoelactam)化合物);
MK677(スピロインダンサー(Spiroindaner));
G-7203, G-7039, G-7502(イソニペコチン酸ペプチド模倣体)
NN703(イパモレリン(ipamorelin))
から選ばれ得る。特に、分泌促進物質は、グレリン−様化合物(例えば、28aaヒトグレリンを含む)である。該分泌促進物質は1実施態様において、非アシル化され得て、例えば非アシル化形態のグレリンまたは非アシル化グレリン−様化合物であり得る。
界面活性分子:
疎水性部分および親水性部分を含有する分子(すなわち、親油性相および疎水性相の間の界面中に存在することができる分子)である。
指標
本発明は、疾患(例えば、病理学的な体重または脂肪の低下に関連する疾患)の治療または予防、例えば、
a)悪液質の予防もしくは治療;および/または、
b)リポジストロフィーの予防もしくは治療;および/または、
c)食欲の刺激;および/または、
d)食物摂取の刺激;および/または、
e)体重の増加の刺激;および/または、
f)体脂肪量の増大;
を含む)における、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)の使用に関する。
特に、本発明は、悪液質の治療もしくは予防および/または食欲の刺激(悪液質の予防または治療が最も好ましい)に関する。
悪液質
用語:悪液質は、ギリシア語で「悪い(bad)」に対するカコス(kakos)、および「疾患(condition)」に対するヘキス(hexis)に由来する。悪液質は、いくつかの重度の疾患の最も苦しみそしてひどい症状(例えば、癌;エネルギー、幸福感、生活の質を奪われた人々;および他者への彼らの依存度の増大)の1つである。悪液質は、膵臓、胃、食道、肺、および腸の悪性病変を伴うことが多い。
悪液質の第1の徴候は、脂肪組織だけではなく、筋肉組織および骨さえもの体重の低下である。この非脂肪組織はまた、「除脂肪体重」としても知られる。加えて、食欲(摂食障害)、脱力感(無力症)、およびヘモグロビンレベルの低下(貧血症)が存在する。
悪液質の処置は、単により多くを摂食するという問題ではない。ヒトが食べることを欲する場合でさえも、彼もしくは彼女が食べることを試みる場合でさえも、人々が胃管によってもしくは静脈内で栄養素を与えられる場合でさえも、該疾患は通常は軽減されない。
最近の研究は、病気は現在、支配をうけている疾患の存在に対する身体の反応の部分とみなすと示している。最近の研究はまた、ある場合には、腫瘍そのものが悪液質を誘発する物質を産生するとも示す。
悪液質または消耗疾患(このように呼ばれることもあり得る)は、いくつかの疾患(例えば、AIDS、癌、大腿骨頚部骨折後(post hip fracture)、慢性心臓疾患、慢性肺疾患(例えば、COLD、COPD)、肝硬変、腎不全、および自己免疫疾患(例えば、関節リウマチおよび全身ループス、敗血症および重度の感染症))の場合に観察される。その上、消耗疾患はまた、老人においても観察される。
悪液質は、多数の異なる臨床的な疾患または慢性疾患(例えば、癌、感染症、AIDS、うっ血性心臓疾患、関節リウマチ、結核、大腿骨頚部骨折、嚢胞性線維症、およびクローン病)の末期状態として観察される。そのものはまた、疾患のいずれかの明らかな症状を有しない老人においてまた生じ得る。悪液質は、それらの患者において観察される複雑な代謝的な症候群であるが、そのものは宿主の脂肪組織および骨格筋肉の蓄えの枯渇を伴う、進行性の体重の低下として通常認識される。
癌性悪液質:
癌性悪液質症候群の核心は、進行性の腫瘍増殖、および通常の抗新生物治療の異化副作用の問題に関する。これらの2個の現象は、神経内分泌システムにおける変化、様々な炎症誘発性サイトカインの産生、および癌特異的な悪液質因子の放出を生じる。言い換えれば、これらのメディエータは、食物摂取の低下、代謝の異常、またはこれら2つの組み合わせの低下のいずれかを生じる。
癌性悪液質は、全ての癌患者の約半数において生じ、そして癌死亡率の20%以上に関係すると報告されている(Tisdale M. J.による, Nat Rev Cancer 2002, 2: 862871)。該疾患は、特に転移性腫瘍が体内に存在する場合には、進行癌の間に生じることが多い。悪液質はまた、子供および老人の患者においてより一般的である。
癌性悪液質の頻度が特に高い特有の癌もまた、一貫して同定されている:
上部消化管の癌(例えば、膵臓、胃、食道、および肝臓を含む)(Bruera E.による, BMJ 1997; 315: 1219-1222 (11月8日));(Palesty J. A.らによる, Dig Dis 2003; 21: 198-213);
肺癌(www. oxandrin. com)(特に、小細胞肺癌);
頭頸部癌(www. oxandrin. com);
直腸結腸癌;
他の固形癌(Bruera E.による, BMJ 1997; 315: 1219-1222 (11月8日))。
例えば、オキサンドリン(Oxandrin)ウェブサイト(www. oxandrin. com)は、進行癌における体重の低下の影響に取り組んだ東部腫瘍学共同研究グループ(ECOG)の研究において、IWL(不随意性の体重の低下)が、生存率の約50%の低下および癌治療の許容の低下に関係すると記載されている。体重の低下についての最大の危険に関係する癌部位は、消化(aerodigestive)菅(肺、頭頸部、および食道)、および胃腸管系(特に、膵臓、胃、および肝臓)に影響を及ぼす部位である。
その上、診断の時点において、上部消化管の癌を有する全患者の80%および肺癌を有する全患者の60%は既に、実質的な体重の低下を経験している(Brueraによる, 1219-22)。平均すれば、悪液質の罹患率は、死亡前に50%〜80%以上にまで増大し、そして患者の20%以上において、悪液質は死亡の主な原因である(Brueraによる, 1219-22)。
癌性悪液質:
栄養状態は、臨床的な評価、人体計測的(antropometric)試験(体重、皮膚の厚さ、および上腕周囲長)および画像処理法(DEXAスキャン、MRスキャン、CTスキャン、生体電気インピーダンス)の組み合わせを用いて評価する。発病前体重の5%以上の不随意性の体重の低下が6ヶ月以内に観察される場合には(特に、筋肉の消耗を併発する場合)、悪液質が通常予想される。
最も通常用いられる実験室パラメータは、血清中アルブミンである。しかしながら、そのものは非特異的なパラメータである。他のマーカーは短い半減期のトランスフェリンを有するタンパク質であり、そしてトランスチレチンもまた使用される。
悪液質の他のマーカーは、IGF−1、IGFBP−3、ALP(アルカリ性ホスファターゼ)、およびテストステロンである。
癌と癌性悪液質との間の関連
癌は、様々な機構(例えば、摂食障害の誘発、および/または以下に記載する代謝の増大または変化を含む)によって悪液質を生じ得る。
摂食障害:
エネルギー摂取は、体重が低下している癌患者において実質的に低下することが分かっている。癌患者は、消化管の物理的な閉塞、うつ病、便秘、吸収障害、衰弱、または処置(例えば、オピエート、放射線療法、または化学療法)の副作用を患い得ることが多い。ここでは、全ての場合が食物摂取を低下し得る(Barber, Ross, およびFearonによる, 133-41)。癌に関係する高カルシウム血症はまた、悪心、嘔吐および食欲の低下を誘発し得る。しかしながら、食物摂取の低下の明らかな臨床的な原因がない、多数の癌患者がなお存在する。
癌誘発性の摂食障害および悪液質の中心的な機構は複雑であり、そして多数の異なるサイトカイン、ホルモン、および癌細胞によって産出される他の因子を含む。
レプチン:
正常な生理学的な状況では、体重の低下はレプチンレベルを体脂肪の低下に比例して低下させるという理由で、レプチンは飢餓に対する適応応答をトリガーする際に重要な役割を果たしている。しかしながら、癌患者において、癌細胞によって産生されるサイトカイン(IL−1、IL−6、TNF−α、INF−γ)のレベルの増大は、レプチンの発現および/または放出を刺激し得る。サイトカインの別のあり得る機構は、それらがレプチンからの過剰な負のフィードバックシグナル伝達の視床下部効果を模倣し、それにより、食物摂取および体重に関する正常な代償の機構という防止になるというものである。
NPY(ニューロペプチドY):
視床下部NPYシステムは、IL−1または他のサイトカインによって誘発される摂食障害において混乱される重要な神経経路の1つである。該サイトカインは、NPYに対する感受性を低下する。
メラノコルチン:
異常なメラノコルチンシグナル伝達は、摂食障害および悪液質の両方における寄与因子であり得る。エネルギー貯蔵を保存する様式として食欲増進メラノコルチンシグナル伝達システムを下方調節すると通常予想される体重の著しい低下にもかかわらず、該メラノコルチンシステムは、癌誘発性の悪液質の間では活性なままである。AgRPまたは他の拮抗薬による中心的なメラノコルチン遮断は、動物モデルにおける摂食障害および悪液質を示し、これはこのシステムの病理学的な役割を示唆する(Wisse、Schwartz、およびCummingsによる, 275-81)。
代謝:
異化亢進は安静時エネルギー消費量(REE)の上昇と定義され、そしてこれは、悪液質の主要な特徴である。全エネルギー消費は、REE(約70%)、随意的なエネルギー消費(約25%)、および消化におけるエネルギー消費(5%)を含む。随意的なエネルギー消費は悪液質の場合に減少し得て、これは例えば感情鈍麻、疲労およびうつ病を臨床的に顕在化し得る。
食欲増進および食欲抑制のシグナルは、それぞれ交感神経の(sympatheic)神経活性を低下しそして増大することが知られ、これらは、ミトコンドリア脱共役タンパク質(UCP)の誘発によって、げっ歯類における褐色脂肪組織、および可能ならばヒトにおける筋肉において熱産生を活性化することによって、REEを調節する。サイトカインによる筋肉および白色脂肪組織におけるUCPの活性化は、熱産生および筋肉消耗の増大を支配する分子機構の1つであり得ると予想されている(Inuiによる, 72-91; FearonおよびMosesによる, 73-81)。
栄養代謝の改変はまた、癌患者において記載されている。固形腫瘍は大量の乳酸を産生し、このものは大量のATPを使用するプロセスによってグルコースに変換し直され、そして非常にエネルギー不足となり、その結果、更にエネルギー消費を増大する。その上、腫瘍誘発性の脂質動員因子(lipid mobilizing factor)(LMF)は、肥満細胞上で直接的に示され、脂肪分解の増大を引き起こし、そのことにより、遊離の脂肪酸およびグリセリンの放出を生じる(引用文献:Islam-Aliらによる, Br J Cancer. 2001 Sep 1; 85(5): 758-63)。サイトカインのレベルの増大は、筋肉修復プロセスに影響を及ぼすことによって間接的に、筋肉タンパク質の異化作用を誘発し得るとも予想されている。
癌性悪液質の処置において分泌促進物質を使用することについての理論的根拠
理論によって縛られるわけでないが、分泌促進物質(特に、グレリン−様化合物)を用いる処置についての理論的根拠は、以下のものに基づく。
消化管の粘膜における内分泌細胞から放出されるグレリンは、パラクリン物質として局所的に、およびホルモンとして中枢的に両方で作用し得る。局所的には、グレリンは、例えば求心性迷走神経ニューロンにおける求心性活性のイニシエータとして作用し得る。該ニューロンは、グレリン刺激をCNS(例えば、孤束核(nucleus tractus solitarirus)(NTS))中の中心にまでリレーし、このものは更に食欲およびエネルギーホメオスタシスの調節中心(例えば、視床下部中の室傍核および弓状核)を通信する。ホルモンと同様に、グレリンは、食欲調節性のPOMCおよびNPY/AGRPニューロン(このものは、グレリン受容体を発現する)に作用すると考えられている。弓状核そのものの中のこれらのニューロンのほとんどは血液脳関門の内部に存在し、そして結果的には血液由来メッセンジャー(blood born messenger)(例えば、グレリン)に接近することができない。しかしながら、いくつかのPOMCおよびNPY/AGRPニューロンは、ほぼ正中隆起、室周囲の(cicumventricular)臓器中において見出され、このものは明らかに血液脳関門の外部であり、従って、該消化管からのホルモン的に伝達されるグレリンシグナル伝達についての標的となる。しかしながら、最近、グレリンが血液脳関門を横切って運搬されることが記載されている(Banksらによる, 822-827)。中枢的な食欲調節中心(例えば、NPY/AGRPニューロン)(すなわち、食欲コントロールの刺激性ブランチにおける第1レベルのニューロン)において、刺激性グレリン受容体によって作用するグレリンは、末梢由来の公知の唯一の刺激性インプットである、との言及は重要である。全ての他のホルモンおよび神経伝達物質:レプチン、インスリン、PYY3−36、a−MSHなどは、この重要な「食欲ゲート−キーピング(gate-keeping)」中心におけるNPY/AGRPニューロン上のインヒビターとして作用する。NPYシステムは癌誘発性悪液質の間に下方調節されるという理由で、このシステムのグレリン刺激は、該疾患を正常とすることができ得る。同様に、癌誘発性悪液質の間に活性であるメラノコルチンは、AgRPの刺激によりグレリンによって阻害され得る。
グレリンの増大はまたACTHを増大することが知られ、結果コルチゾールレベルの増大を伴う。コルチゾールはサイトカイン(IL−1β、IL−6、TNF−α、IFN−α)のレベルを低下するので、この作用は、悪液質の処置のための重要な有益な意味を有し得る。糖質コルチコイドの投与は、癌に関連する症状のための対症療法において既に広く使用されている(Inuiによる, 72-91)。
その上、グレリンのICV注射は、げっ歯類における核芯温(core body temperature)を低下させ、このことはREEの低下を示す、ことが知られる(Lawrence CBによる, Endocrinology. 2002, Jan; 143(1): 155-62)。再び理論によって縛られるわけではないが、グレリンはREEの増大に逆戻りさせる(これは、上記の通り悪液質の重要な特徴である)ことが予想される。
分泌促進物質(特に、グレリン−様化合物)は、予想される癌の進行、並びに抗新生物療法レジメの知識を考慮して、いずれかの適当なレジメを用いて投与することができる。
1実施態様において、本発明によれば、病因学に関わらず、分泌促進物質はいずれかの癌のタイプを患っているいずれかの個体に投与して、癌性悪液質を十分に治療し、軽減し、または予防することができると、構想する。従って、本発明の1つの好ましい実施態様において、分泌促進物質(グレリン、またはグレリン−様化合物)を用いる個体の処置は、1つ以上の以下の癌のタイプによって引き起こされる癌性悪液質の治療または予防のためのものである。
急性リンパ球性白血病;
急性骨髄性白血病;
副腎皮質癌;
AIDS−関連癌;
AIDS−関連リンパ腫;
肛門癌;
星細胞腫、幼児期小脳;
星細胞腫、幼児期大脳;
基底細胞腫;
肝外胆管癌;
膀胱癌;
骨癌、骨肉腫/悪性線維性組織球腫;
脳幹グリオーマ;
脳腫瘍;
乳癌;
乳癌、男性;
気管支腺腫/カルチノイド;
バーキットリンパ腫;
カルチノイド腫瘍;
原発不明の癌腫;
中枢神経系リンパ腫、原発性;
大脳星細胞腫/悪性グリア細胞腫;
子宮頸癌;
小児癌;
慢性リンパ性白血病;
慢性骨髄性白血病;
慢性骨髄増殖性疾患;
大腸癌;
皮膚性T−細胞リンパ腫;
子宮体癌;
上衣細胞腫、幼児期;
食道癌;
ユーイング家族の腫瘍(Ewing's Family of Tumors);
頭蓋外の胚細胞性腫瘍、幼児期;
性腺外胚細胞腫瘍;
眼の癌、眼内メラノーマ;
眼の癌、網膜芽細胞腫;
胆嚢癌;
胃癌;
胃腸管カルチノイド腫瘍;
妊娠性栄養膜(Gestational Trophoblastic)腫瘍;
グリオーマ;
有毛細胞白血病;
頭頸部癌;
肝細胞(肝臓)癌;
ホジキンリンパ腫;
下咽頭癌;
視床下部および視覚路のグリオーマ、幼児期;
眼内メラノーマ;
島−細胞癌腫(内分泌膵臓);
カポジ肉腫;
腎臓(腎細胞)癌;
喉頭癌;
唇および口腔の癌;
肺癌、非小細胞;
肺癌、小細胞;
リンパ腫、AIDS−関連;
バーキットリンパ腫;
リンパ腫、皮膚性T−細胞;
リンパ腫、非ホジキン;
ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;
骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫;
髄芽腫、幼児期;
メラノーマ;
メルケル細胞癌腫;
中皮腫、成人の悪性;
中皮腫、幼児期;
潜在性の原発性(Occult Primary)である、転移性の扁平上皮頸部癌;
多重内分泌異常増殖症候群、幼児期;
多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;
菌状息肉腫;
骨髄異形成症候群;
骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;
多発性骨髄腫;
慢性骨髄増殖性疾患;
鼻腔および副鼻腔の癌;
上咽頭癌;
上咽頭癌、幼児期;
神経芽細胞腫;
中咽頭癌;
骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;
卵巣癌、幼児期;
卵巣上皮癌;
卵巣胚細胞性腫瘍;
卵巣低悪性度腫瘍;
膵臓癌;
膵臓癌;
副鼻腔および鼻腔の癌;
副甲状腺癌;
陰茎癌;
クロム親和細胞腫;
松果体芽腫および原始神経外胚葉性腫瘍、幼児期;
下垂体腫瘍;
胸膜肺芽腫(Pleuropulmonary Blastoma);
前立腺癌;
腎盂および輸尿管の移行細胞癌;
網膜芽細胞腫;
横紋筋肉腫、幼児期;
唾液腺癌;
成人−発症軟部組織肉腫;
軟部組織肉腫;幼児期;
子宮肉腫;
セザリー症候群;
皮膚癌(非メラノーマ);
皮膚癌腫、メルケル細胞;
小腸癌;
原始神経外胚葉性腫瘍、幼児期;
皮膚性T−細胞リンパ腫;
精巣癌;
胸腺腫および胸腺癌腫;
甲状腺癌;
腎盂および輸尿管の移行細胞癌;
栄養膜腫瘍、妊娠性;
輸尿管および腎盂、移行細胞癌;
尿道癌;
子宮内膜の子宮癌;
子宮肉腫;
膣癌;
視覚路および視床下部のグリオーマ、幼児期;
ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;
ウイルムス腫瘍。
上記の通り、癌性悪液質は、進行性腫瘍の増殖または抗癌治療の異化副作用のいずれかから生じる異化作用障害(すなわち、上記の異化亢進)が原因であり得る。しかしながら、癌性悪液質はまた、摂食障害(例えば、癌を患っている個体は食欲が全くないか、あるいは腫瘍の位置が食物摂取を低下させている場合)が原因であり得る。
従って、本発明の1実施態様において、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)を用いる処置は、異化作用障害によって生じる癌性悪液質の治療または予防のためのものである。このことは、癌が消化管癌(特に、上部消化管癌)(本明細書中において、用語「上部消化管癌」はまた、膵臓癌を包含すると理解すべきである)、肺癌(特に、小細胞肺癌)、肝臓癌(本明細書中において、用語「肝臓癌」はまた、肝臓における転移性癌のプロセスをも包含すると理解すべきである)である場合には、特に適当である。
本発明の別の実施態様において、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)を用いる処置は、摂食障害によって生じる癌性悪液質の治療または予防のためのものである。
更に別の実施態様において、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)を用いる処置は、いかに癌が悪液質を誘発するとは無関係な癌性悪液質の、並びに異化作用障害および摂食障害の組み合わせによって生じる悪液質のための、治療または予防である。
本発明の別の好ましい実施態様において、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)を用いる処置は、固形腫瘍によって生じる癌性悪液質の治療または予防のためのものである。
癌の別のサブグループは、視床下部における中心的な食欲調節中心の調節不全によって生じる摂食障害を有するグループ(ここでは、食べるのが少ないことの他の可能な理由は排除される)である。特に、末期癌状態(ここでは、更なる癌処置は不可能である)の個体は、対症療法としてのグレリン処置からは有利であって、食物摂取を増加し、消化および代謝を改善する。
従って、本発明の第3の態様は、該処置が必要な個体(例えば、該個体は進行期の癌(末期癌であることが好ましい)を患っている)における末期癌状態の対症療法に関する。
上記によれば、本発明は、以下:
膵臓癌;
上部消化管の癌(例えば、胃癌および/または食道癌);
頭頸部癌(特に、甲状腺の癌または唾液腺の癌);
肺癌(特に、小肺細胞癌)
の気道消化管(aerodigestive tract)の癌形態を患っている個体における悪液質を治療しまたは予防するのに特に適当である。
本発明の別の好ましい実施態様において、分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を用いる処置は、下部消化管癌(例えば、直腸結腸癌(特に、大腸癌))によって生じる癌性悪液質の治療または予防のためのものである。
本発明の別の好ましい実施態様において、分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を用いる処置は、内分泌癌(すなわち、個体の身体の内分泌臓器における癌)によって生じる癌性悪液質の治療または予防のためのものである。
本発明はまた、以下の癌形態:
卵巣癌;
乳癌
を患っている個体を処置するのに有用でもある。
本発明の更に好ましい実施態様において、分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を用いる処置は、抗癌処置(例えば、化学療法もしくは放射線療法、またはそれらの組み合わせ)によって全部または一部が生じる、癌性悪液質の治療または予防のためのものである。
本発明の1つの好ましい実施態様において、癌性悪液質を処置するための個体は、老人(例えば、60〜120歳、70〜120歳、80〜120歳、90〜120歳がより好ましい)である。該個体は、子供(例えば、0〜20歳、0〜15歳、0〜10歳、0〜5歳、0〜1歳、2ヶ月以下の新生児)であることが同じくらい好ましい。
1実施態様において、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)は悪液質状態を防止するために予防学的に投与することが好ましい。この実施態様において、該処置はいずれかの抗新生物処置を始める前に開始することができる。そのものは、抗新生物処置の間、連続的に投与することができ、あるいはそのものは、間隔をおいて(例えば、抗新生物療法を用いる期間の間)投与することができる。抗新生物療法の期間中(特に、その期間の間)投与することによって、処置する個体が感染症および他の合併症を獲得する危険は、より良い健康状態にまでより低下することができる。
分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を用いる癌性悪液質の処置は、当該分野において知られるいずれかの投与方法を用いて達成することができる。好ましくは、そのものは、本明細書中に記載するいずれかの投与方法(静脈内または皮下の投与を用いることがより好ましく、皮下投与方法を用いることが最も好ましい)を用いて達成することができる。
リポジストロフィー
別の態様において、本発明は、脂肪異栄養症候群の処置のためのまたは脂肪異栄養症候群の処置のための薬剤の製造における、分泌促進物質(例えば、グレリンまたは上で定義するグレリン−様化合物)の使用に関する。脂肪異栄養症候群は、脂肪組織蓄積の一部または全体の損失を特徴とする、珍しい障害の異種起源の群を包含する[Am J Med 2000 108, 143-152]。いくつかの異なる種類の脂肪異栄養が存在し、そして脂肪損失の程度は非常に小さい陥没(depressed)領域から脂肪組織がほとんど全く存在しない領域にまで多様であり得る。何人かの患者は美容の問題だけを有し得るが、一方で他の者はまた重度の代謝的な合併症(例えば、異脂肪血症、脂肪肝)、および重度のインスリン耐性を有し得る[Trend Endo Meta 200011: 410-416]。これらの疾患は、遺伝性(家族性または遺伝性の脂肪異栄養)であり得て、あるいは様々な種類の病気または薬剤にとって二次的に起こり得るもの(後天性の脂肪異栄養)のいずれかであり得る。
遺伝性脂肪異栄養は、遺伝子における変異(変化またはブリップ(blips))によって生じる。異なる種類の遺伝性脂肪異栄養に関与するいくつかの遺伝子が、同定されている。これらは例えば、AGPAT2(1−アシルグリセロール−3−ホスフェート−O−アシルトランスフェターゼ2)、先天性全身性リポジストロフィー(CGL)におけるBSCL2(ベラルジネリ−セイプ(Berardinelli-Seip)先天性リポジストロフィー2)、家族性の部分的なリポジストロフィー・ヂュニガン体(Dunnigan variety)(家族性部分的リポジストロフィー)におけるラミンA/C(LMNA)遺伝子、および家族性部分的リポジストロフィーにおけるPPARG(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ)遺伝子を含む。いくつかの他の候補遺伝子は、遺伝性脂肪異栄養の他の種類について現在研究中である。
後天性脂肪異栄養としては、HIV−感染患者におけるHAART−HIV誘発性リリポジストロフィー(LD−HIV)、後天性全身性リポジストロフィー(AGL)、後天性部分的リポジストロフィー(APL)、および局所的リポジストロフィーが挙げられる。後天性脂肪異栄養は、直接的な遺伝的なベースを有しない。むしろ、多数の機構が関与し得る。1つのそれらの機構は、正常な脂肪細胞を破壊する自己免疫応答であり得る。
HAART/HIV−誘発性リポジストロフィーは、全身性リポジストロフィーの最も一般的な後天性の形態である。これらの身体上の異常の全発症率は、プロテアーゼインヒビターを用いる療法の約12〜18ヵ月後には約50%である。本発明の報告との間の相違は、交絡因子(confounding factor)(例えば、タイプ)およびレトロウイルス療法の期間により、18%〜83%の範囲に及ぶ。プロテアーゼインヒビターに関係するリポジストロフィー症候群は、脂質および脂肪細胞調節タンパク質と、プロテアーゼインヒビターが結合するHIV−1プロテアーゼの触媒部位との間のいくらかの類似性に起因し得ることが示唆される。
局部的な脂肪異栄養は、小領域または肢の部分に由来する皮下脂肪の局部的な減少として定義される。単一のまたは複数の病変が存在し得る。そのものは、皮下脂肪の減少に相当する陥没領域を特徴とする。ある場合には、そのものは、皮膚における圧痛のある有痛性の小結節に関係し得る。通常、そのものはインスリン注射の部位で糖尿病患者において生じる。ある患者において、脂肪の低下は、圧がかけられることが多い領域から生じる。例えば、メークアップテーブルに対する大腿の圧が挙げられる。
リポジストロフィーの病因は、主として不明である。しかしながら、蓄積されている証拠は、脂肪細胞におけるアポトーシスの誘発を増大するための中心としてのミトコンドリアの欠損を指摘している。いくつかのタンパク質は、該ミトコンドリア膜の透過処理を誘発することによるHIV−1トリガーアポトーシスによってコードされる。HIV−1の処置において臨床的に使用されるいくつかのヌクレオシドアナログは、ミトコンドリアのDNA(mtDNA)の複製を阻害し、および/またはmtDNA変異の頻度を増大する。これらの因子の両方は、重度のミトコンドリア病(mitochondriopathy)を引き起こし得て、そしてこのものはリポジストロフィーに寄与する。脂肪細胞のアポトーシスを阻害することができる処置は、リポジストロフィー(特に、HIV/HAARDから誘発されるもの)の発生の非常に有用な治療および特に予防であり得る。
リポジストロフィーの代謝学的な結果は、通常の健康および生存にとって非常に重要である。インスリン耐性およびその結果の糖尿病への進行は肥満症またはリポジストロフィーのいずれかから生じ得るという事実は、炭水化物および脂質の代謝における脂肪組織の重要な役割に影響を及ぼす。適当な脂肪細胞能力がない場合には、過剰量のカロリーをそれらの通常の保存貯蔵物にまで運搬することはできず;その代わりに、それらは、肝臓、骨格および心筋、並びに膵臓β細胞におけるトリグリセリドの貯蔵の増大として蓄積する。未だ不明な手段によるこの余分な脂肪脂質の蓄積は、インスリン作用の障害(糖尿病が多い)と関連する。
保存貯蔵物としてのそれらの受動的な役割に加えて、正常な脂肪細胞は、インスリン感受性および/またはエネルギーバランスに影響を及ぼし得る多数のペプチド(「脂肪動態」)を分泌する(Kahnによる, JCIおよびTEM, 2002)。これらは例えば、強力なインスリン感作物質(例えば、レプチンおよびAcrp30(これはまた、アディポネクチンとしても知られる)およびインスリン拮抗薬(例えば、TNF−α、IL−6、および可能ならばレジスチンを含む)を含む。従って、リポジストロフィーの該インスリン耐性は、脂質流動の妨害および/または脂肪動態の分泌の異常の結果であり得る。
rhGHを用いる療法は、少数の患者における「野牛肩」および躯幹の脂肪の大きさの減少を生じることが報告されている。しかしながら、脂肪の低下および脂質異常症は改善されず、そして血中グルコースのコントロールは悪化する。
分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を用いるリポジストロフィーの処置は、当該分野において知られるいずれかの投与方法を用いて達成し得る。好ましくは、そのものは、本明細書中に記載するいずれかの投与方法(静脈内または皮下の投与がより好ましく、皮下投与方法が最も好ましい)を用いて達成し得る。
生活の質
本発明の全ての実施態様において、本発明の処置方法、および/または医薬組成物、および/または化合物を、そうして生活の質(QOL)の改善(例えば、食欲および/または体重および/または栄養状態の改善によって生じる)を処置された個体に与えることができる。従って、1態様において、本発明は、分泌促進物質(例えば、上で定義するグレリンまたはグレリン−様化合物)を用いる、生活の質の改善に関する。別の実施態様において、個体の生活の質の改善は、当該分野における当業者にとって知られる「生活の質」の質問表を用いて評価する。
本発明の化合物の投与によって引き起こされる生活の質の改善を評価する際に使用するのに好ましい、2個の確証された生活の質の調査は、以下の通りである:
(i)医学的な結果の研究−短い様式の健康調査(SF−36)
該SF−36は、患者の「QOL」の8個の面:身体機能(PF)、役割−身体機能(RP)、身体の痛み(BP)、全体的健康感(GH)、活力度(VT)、社会生活機能(SF)、役割情動機能(RE)、およびメンタルヘルス(MH)を評価する36個の質問を含む。マニュアルおよび解説ガイドに従って、スケール内での質問に対する応答を合計し、そして0(これは、乏しい健康状態を示す)から100(これは、最適な健康状態を示す)に及ぶスケールスコアに直線的に変換する。スウェーデンバージョン(Swedish version)が確立されており、そして規範的なデータが通常のスウェーデン人の個体群について提示されている(Sullivan MKJ, Ware J. Halsoenkatによる: svensk manual och tolkningsguide (SF-36 Health Survey. Swedish manual and interpretation guide). Goteborg: Sahlgrenska University Hospital; 1994)。
(ii)EORTC QLQ−C30(+3)質問表
該EORTC QLQ−C30(バージョン1.0)は、患者間のQOLの評価のために意図する30個の項目のコアの質問表であり、装置はEORTC Quality of Life Study groupによって開発されている。第1のバージョンは癌患者において確立されており、そして通常の個体群からの基準データが公開されている。該質問表は、5つの機能的なスケール:身体機能(5つの質問)、役割機能(2つの質問)、情動機能(4つの質問)、認知機能(2つの機能)、および社会生活機能(2つの質問)を含む。3つの症状スケール:疲労(3つ質問)、悪心および嘔吐(2つの質問)、および痛み(2つの質問)が存在し、そして呼吸困難、不眠症、食欲の低下、便秘、下痢、および経済的な困難に関する6個の1項目が存在する。2つの総括的な質問は、患者の健康状態およびQOL全体について尋ねるものである。全てのスケールおよび1つの項目の基準は、0から100までのスコアの範囲に及ぶ。該機能スケールおよび総括的な健康状態についての高いスコア、並びにQOLは、高レベルの機能/健康状態、並びにQOLを示す。該症状/項目スケールについての高いスコアは、高レベルの症状/問題を示す。該QOLスコアは、EORTC QLQ−C 30スコアのマニュアルに従って算出することができる。
1個以上の分泌促進物質化合物を用いて処置後の患者の生活の質の改善を評価するための好ましい質問表を、実施例8A、8Bおよび8Cに示す。
本発明の好ましい実施態様において、記載する条件を用いる患者の処置により、患者の生活の質における有意な改善を生じる。該処置により、生活の質の有意な増大が得られることが好ましい。これは、生活の質を調べるためのいずれかの方法(例えば、上記の質問表(例えば、生活の質のスコアの増大)、複合的な生活の質のスコア(個々の測定ツールとして適当である)、あるいは症状および/または問題に関連するスコアの減少を含むが、これらに限定されない)を用いて測定する。それぞれのこの増大または減少は、処置の開始前に得られるスコアを1%超えることが好ましく、2%超えることがより好ましく、5%超えることがより好ましく(例えば、10%)、処置前スコアを20%、50%または75%超えることがより一層好ましい。別の実施態様において、該処置は、生活の質の測定可能な増大を生じ、その結果、処置後のスコアは、匹敵する健康な被験者プールにおいて見られるスコアの平均と等しいかまたはそれらの「正常」スコアに近く、すなわち、該スコアの50%以上であり、該スコアの60%がより好ましく、該スコアの75%がより一層好ましい。更に、別の実施態様において、該処置により、該症状および/または問題に関連するスコアの、少なくとも1%(処置の開始前のスコアの3%がより好ましく、5%がより一層好ましく、10%、20%、30%または50%が更に一層好ましい)の減少を生じる。それぞれのこれらの増大または減少は、個々の生活の質の測定ツールまたは適宜複合スコアの、1つ、いくつか、または全ての面を意味し得る。
食欲の刺激、食物の摂取、体重の増加、体脂肪量の増大
上記の通り、体重の増加の促進または体重の維持の促進(特に、病理学的な体重の低下を患っている個体における)は、食欲および/または食物の摂取を刺激するという事項だけでなく、エネルギー摂取およびエネルギー消費の間の不均衡(すなわち、総合的な身体の代謝)を正す事項でもある。
しかしながら、ある個体はなお食欲の刺激から利益を得ており、特に病理学的なプロセスを有する個体は食欲の低下を生じ、これにより、自然に不健康な体重の低下を生じる。従って、1態様において、本発明は、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)を投与することによる、食欲の刺激に関する。該食欲の刺激は、例えば実施例8Cに記載する通り、食欲、空腹または満腹のレベルの感情を測定するための視覚的なアナログスケールを用いて測定することができる。本発明の好ましい実施態様において、該刺激は、処置前と比較して少なくとも5%(例えば10%以上であり、20%以上がより好ましく、または30%、40%もしくは50%以上が一層より好ましい)である。
食欲の刺激は必ずしも食物の摂取の増大を生じるわけではなく、従って、本発明は更に、別の態様:分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)を投与することによる食物摂取の刺激に関する。該食物摂取は、自己報告を含む多数の技術(例えば、日誌、質問表、ブッフェ食事からのカロリー摂取の測定を含む)を用いて、経口摂取前の食物の重量、または食物の対応量(paired quantity)の重量および分析を用いることによって、測定することができる。該食物摂取は、食事基準で、1日基準で、週基準で、または月基準で測定することができる。本発明の好ましい実施態様において、該処置は、処置の開始前の標準的な食物摂取の1%の増大(例えば2%の増大であり、3%、5%または7%が好ましく、そして10%を超えることがより一層好ましい)を与える。別の実施態様において、経口摂取する食物の量は、様々な食物品目(例えば、脂肪、炭水化物、およびタンパク質)として経口摂取するカロリー摂取に直接的には関連し得ず、食物の量当たりの異なる量のカロリーを含むために、該処置は食物摂取の変化に無関係のカロリー摂取の増大を生じる。本発明の好ましい実施態様において、該処置により、カロリー摂取の1%の増大(例えばカロリー摂取の2%の増大であり、3%、5%または7%がより好ましく、10%がより一層好ましい)を生じる。
第3の態様において、本発明は、グレリン−様化合物を投与することによる、体重の増加の刺激、または安定な体重の維持に関する。
該分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)は、食物の摂取および体重の増大を刺激するのに有用であることが好ましく、該分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)は、体重の増加を刺激しまたは安定な体重を維持するのに有用であることがより好ましい。
以下に記載する通り、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)は、食前(例えば、食事の180分前以内、食事の150分前以内、食事の120分前以内、食事の100分前以内、食事の80分前以内、食事の60分前以内、食事の45分前以内、食事の30分前以内、食事の15分前以内)に投与する。その上、該グレリン−様化合物は皮下投与することが好ましい。
その上、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)は、例えば大きな手術(例えば、臀部プロステーシス(prosthesis)の挿入、切断術、および骨折)から回復中の個体において、身体機能の維持を促進しおよび/または身体機能の回復を促進するために、投与し得る。
特に、本発明は、低体重被験者の治療、または低体重段階への体重の低下の防止のために有用である。低体重被験者は、「正常な」体重の範囲の下限または肥満度指数(「BMI」)よりも約3%、5%以下、10%以下、20%以下、または30%以下の体重を有する被験者を含む。「正常な」体重の範囲は当該分野においてよく知られおり、そして患者の年齢、身長、および体型などの因子を考慮する。その上、本発明は、処置の開始前の不随意性の体重の低下(例えば、1月当たり1%、1月当たり2%以下、または6ヶ月当たり5%以下)を経験している患者を処置するのに適当である。
体重の増大または食欲は、疾患を有するか、体重または食欲に影響を及ぼす処置を受けている患者にとって有用であり得る。加えて、例えば、家畜(例えば、ブタ、ウシ、および鶏)を処置して、体重を増大することができる。
個体の体脂肪量の増大は、多数の当該分野の技術状態を用いて当業者によって容易に評価することができる。1実施態様において、本発明は、個体の全体重を増大することなく、体脂肪量の増大に関する。本発明の好ましい実施態様により、処置の開始前と比較して2%の体脂肪の増大(前処置の値の4%以上(例えば、5%、8%および10%)が好ましく、20%または40%がより好ましい)を生じる。
本発明に従って処置することができる個体の更なる疾患は、神経性過食症、摂食障害、男性の勃起障害、女性性機能障害、虚血性神経または筋肉の損傷の寛解、並びに全身性エリテマトーデスを挙げられる。
皮下投与
グレリン受容体はGH産生細胞上および食欲などの制御のための視床下部中心中に加えて、臓器中の多数の場所に見出される。CNSにおいて、これらの受容体は調整されて、局部的なグレリン含有ニューロンからのシグナルを受けとる。末梢的に分泌されるかまたは人為的に投与されるグレリンは、血液脳関門によりそれらの部位にまで達しないが、しかしながら、現在入手入手可能ないわゆるGH分泌促進物質(これは、小有機化合物(例えば、MK−0677)である)は血液脳関門を通過し、そしてまたこれらの部位に達し、そして結果的に望まない副作用を生じるという危険を有する。従って、例えば経口的に活性である利点を有しないそれらの化合物は、それらは基本的に身体内の全てのグレリン受容体に達するので、自然の前食事、グレリンの食欲誘発性のサージを模倣するのに最適ではない。それに対比して、天然のペプチドであるグレリンそれ自身またはそのホモログを使用し、そしてそのものを末梢的に投与することによって(本発明の好ましい実施態様において)、関連する食欲調節性のグレリン受容体だけが達成されそして刺激されることを保証する。
いずれかの非経口的な投与形態は、グレリン受容体(これは、通常、食前の状況において末梢的に産生されるグレリンにとっての標的である)が、該システムの脱感作を生じることなく、強く且つ適当な食欲の刺激を確かなものとするのに十分なレベルのグレリンの生理活性形態に曝露させることが本発明の一部であり得ることを保証する。しかしながら、おそらく処置する個体が長期間(例えば、数週間または数ヶ月間)、処置を受けなければいけないことを考えると、投与形態は本明細書に十分に適合することが好ましい。
従って、分泌促進物質(例えば、本発明に記載するグレリン−様化合物)を、グレリンの生理活性形態(例えば、アシル化形態)の十分なレベルを可能となるような量で皮下投与して、間に合って(例えば、来たる食事の前)達することが好ましい。
本発明は、食物の摂取を増大するのが必要な患者において供するのとできるだけ近似して生理学的に食事前の状況を模倣する様式で、例えば脆弱な老人、術後の患者、例えば癌、循環器病などによって早まった(precipitated)悪液質の場合と同じく食欲が低下している患者に、それらの食欲調節性のグレリン受容体に十分な余分な刺激性の投与量(imput)で(これは、食事前の状況下でグレリンによって通常に達成される)、分泌促進物質(例えば、グレリン)を投与する方法を扱う。
ボーラス投与
その上、分子薬理学的な観点から、グレリン受容体は通常、天然の作動性リガンドであるグレリンの濃縮物中で短時間のサージに曝露されることを見出したことは重要である。該GHS−R 1aは、ある受容体のクラス、いわゆるGタンパク質共役受容体または7TM受容体(これは、作動薬への連続的な曝露時に、脱感作し、内部移行し、そして下方調節されるであろう)に属する。これらの機構(これは、総シグナル形質導入システムに固有である)は、阻害性タンパク質(例えば、アレスチン)(これは、シグナル形質導入分子(例えば、Gタンパク質)の結合を立体的に遮断する)の受容体リン酸化(これはそれ自身、該作動薬に対する受容体の結合力を低下する)結合などのプロセスに関与する。脱感作プロセスを媒介する作動薬の別の部は、受容体内部移行(すなわち、作動薬と結合することができる細胞表面からの受容体の生理学的な除去)、並びに受容体の下方調節(すなわち、受容体の産生/発現の低下)である。受容体内部移行は、受容体の作動薬への短時間の曝露後に再感作プロセスによって起こり得て、ここで、該受容体は脱リン酸化され、そして再び使用する細胞表面にリサイクルされる。理論に縛られるわけではないが、長時間の刺激の場合には(これは、例えば該作動薬の長時間の連続的な注入の間に起こるであろう)、受容体下方調節プロセスは、標的細胞をそのシグナル形質導入システムにおいてこの状況に調節することを保証すると考えられている。
本発明は、最大の応答を得てそして例えば脱感作の機構を避けるために、患者へのグレリンの最適な投与のための方法を提供する。
従って、本発明は1態様において、ボーラス(各主食前のボーラスが好ましい)での分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)の投与に関する。当該分野における長時間の投与プロセスに対比して、ボーラス投与は、食欲の刺激だけではなく、食物の摂取の投与を、より重要なことには体重の増加の刺激を、生じることが分かった。
理論に縛られるわけではないが、分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)の適当な用量の食前の皮下注射、静脈内注射、または短時間の注入は、食欲の強い刺激を誘発するグレリン受容体が、該患者の移動度などに最小限に束縛されて得られるであろうことを保証すると考えられる。従って、例えば、臀部骨折を有する患者は、術後の状況下で、食前期間および必要ならば食間に処置することができるが、しかし、自由に動きまわることができ、そして重要な術後の理学療法レジメに参加することができる。
本発明の1つの好ましい実施態様において、分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を、体重kg当たり10μgに等しい量でボーラスとして投与する。
グレリン−様化合物
いずれかの分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)は、本発明において使用することができる。本明細書中に記載する本発明のグレリン−様化合物の1つの好ましい種類は、式I:
−(X)−(X)−(X)−Z
によって定義される構造式を含有する化合物である。式中、
は、場合により現存する保護基であり;
各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、ここで該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
は天然または合成アミノ酸から選ばれるいずれかのアミノ酸であり、該アミノ酸はかさ高い疎水性基(アシル基または脂肪酸が好ましい)で修飾され;
各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
ここで、1つ以上のXおよびXは場合により、かさ高い疎水性基(アシル基または脂肪酸が好ましい)で修飾され得て;
は場合により現存する保護基であり;
mは1〜10の範囲の整数であり;
nは0または1〜35の範囲の整数である。
従って、用語「分泌促進物質」としては、天然の28aaヒトグレリン(配列番号1において示されるアミノ酸)、並びに天然の27aaヒトグレリン(配列番号2において示されるアミノ酸)を含む。従って、本発明は、グレリンまたはそれと相同であるペプチドの使用に関する。グレリンは、Nature (1999), 402巻, 656-660中にコジマ(Kojima)によって記載されている。
本発明は、ジアステレオマー、並びにラセミのおよび分割したエナンチオマー的に純粋な形態を含む。分泌促進物質は、D−アミノ酸、L−アミノ酸、アルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸、ガンマ−アミノ酸、天然アミノ酸、合成アミノ酸など、またはそれらの組み合わせを含む。グレリン−様化合物中に存在するアミノ酸は、L−エナンチオマーであることが好ましい。
該グレリン−様化合物は、かさ高い疎水性基で修飾されたアミノ酸を含むことが好ましい。修飾アミノ酸に対するN−末端のアミノ酸の数は、1〜9の範囲内であることが好ましい。従って、mは、1〜9の範囲(例えば、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2)の整数であることが好ましい。
修飾アミノ酸に対するN−末端のアミノ酸の数は少なく、例えば1〜3、1〜2であることがより好ましい。2−アミノ酸が修飾アミノ酸に対してN−末端に位置する事が最も好ましい。
好ましい実施態様において、(X)は、配列のN−末端部においてGly残基を有する。従って、好ましい実施態様において、(X)は、以下の配列:
Gly、Gly−Ser、Gly−Cys、Gly−Lys、Gly−Asp、Gly−Glu、Gly−Arg、Gly−His、Gly−Asn、Gly−Gln、Gly−Thr、およびGly−Tyr
から選ばれる。
(X)は、Gly−SerおよびGly−Cysから選ばれることがより好ましく、Gly−Serから選ばれることが最も好ましい。
言い換えれば、好ましい実施態様において、グレリン−様化合物は、以下:
式II:Z−Gly−(X)m−1−(X)−(X)−Z
式III:Z−Gly−Ser−(X)−(X)−Z;および、
式IV:Z−Gly−(X)−(X)−Z
の化合物から選ばれる。
該グレリン−様化合物は、式IIIを有することがより好ましい。
上記の通り、Xは、かさ高い疎水性基で修飾されたいずれかのアミノ酸であり得る。特に、Xは、修飾されたSer、Cys、Asp、Lys、Trp、Phe、Ile、およびLeuの群から選ばれる。Xは、修飾Ser、修飾Cys、および修飾Lysの群から選ばれることがより好ましく、Xは修飾Serであることが最も好ましい。
その上、(X)−(X)はGly−Xaa−SerまたはGly−Xaa−Cys(式中、Xaaはいずれかのアミノ酸である)であることが好ましく、(X)−(X)はGly−Ser−SerまたはGly−Ser−Cys(式中、は、アミノ酸残基がかさ高い疎水性基で修飾されていることを示す)であることがより好ましい。
(X)は、グレリン(例えば、ヒトグレリン)のフラグメントである配列を含む。従って、(X)は、以下に示す配列の1つ以上から選ばれる配列を含むことが好ましい。
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His
Phe Leu Ser Pro Glu
Phe Leu Ser Pro
Phe Leu Ser
Phe Leu
Phe。
好ましい実施態様において、該グレリン−様化合物の長さは、ヒトグレリンの長さ、すなわち、27または28アミノ酸と実質的に同じである。従って、nは1〜25、例えば1〜24、1〜15、1〜10、10〜25、10〜24、15〜25、15〜24の範囲内にある整数であることが好ましい。
グレリン−様化合物は、アミノ酸が配列番号1で示される天然の28aaヒトグレリン、並びにアミノ酸が配列番号2で示される天然の27aaヒトグレリンを含む。
(X)は、グレリン(例えば、ヒトグレリン)のいずれかのフラグメントから選ばれ得て、従って、(X)は、以下で示される配列またはその相同体の1つ以上から選ばれ得る。
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln Pro Arg
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys Glu
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln Arg
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Val
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His
Phe Leu Ser Pro Glu
Phe Leu Ser Pro
Phe Leu Ser
Phe Leu
Phe;
あるいは、
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln Pro Arg
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu Ser
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys Glu
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln Arg
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Val
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys;
あるいは、
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln Pro Arg
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys Glu
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln Arg
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Arg Ala;
あるいは、
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln Pro Arg
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys Leu
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Ala
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys Pro
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu Ser
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys Glu
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg Lys
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln Arg
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln Lys Ala
から選ばれる。
別の実施態様において、(X)は、以下の配列から選ばれる配列を含むかあるいはそれから構成される。
Phe Leu Ser Pro Glu His Gln
Phe Leu Ser Pro Glu His
Phe Leu Ser Pro Glu
Phe Leu Ser Pro
Phe Leu Ser
Phe Leu
Phe。
機能性
本明細書中に記載する分泌促進物質は、上記のGHSに対する受容体、すなわち受容体GHS−R 1a上で活性である。該化合物は受容体と結合することができ、受容体活性を刺激することができることが好ましい。
該受容体活性は、異なる技術(例えば、該受容体の細胞内コンホメーション、G−タンパク質共役活性、および/または細胞内メッセンジャー内における変化の検出)を用いて測定することができる。
グレリン−様化合物がグレリン受容体を活性化する能力の1つの簡単な測定は、そのEC50、すなわち、該化合物が該化合物の最大効果の半分にまで該受容体のシグナル伝達を活性化することができるときの用量を測定することである。該受容体は、原発性細胞の培養物(例えば、下垂体細胞)上で内因的に発現し得て、あるいはグレリン受容体を形質移入した細胞上で非相同的に発現することができる。これらの細胞種類のいずれかから調製した膜を用いるホールセルアッセイは、アッセイの種類に応じて使用することができる。
受容体は通常、Gqシグナル伝達経路と主に共役すると考えられるので、Gq/G11シグナル伝達経路内での活性を追跡するいずれかの適当なアッセイは、例えば以下のものを使用することができる:
1)Gq/G11の活性化を測定するアッセイ(これは、例えばGTPgS結合の測定によって実施し、ノイズ比に対するシグナルを増大するために、抗−G−アルファ−qまたは−11抗体の沈降と組み合わせる。このアッセイはまた、Gq/11以外のG−タンパク質とのカップリングを検出することもできる);
2)該経路における第1の下流エフェクター分子の1つあるホスホリパーゼ(phopholipase)C(PLC)の活性を測定するアッセイ(これは、例えばPLCの産物の1つであるイノシトールリン酸の蓄積を測定することによる);
3)該シグナル伝達カスケードにおけるより下流は、細胞内貯蔵物からのカルシウム動員である;
4)更により下流シグナル伝達分子(例えば、異なる種類のMAPキナーゼ(p38、junなど)、NF−κ−Bトランスロケーション、およびGRE駆動(driven)遺伝子転写)もまた測定することができる;
5)蛍光でタグしたアレスチンの活性化グレリン受容体との結合。
分泌促進物質の機能を測定する際に使用する適当なプロトコールの例を、実施例5中に示す。
1実施態様において、化合物のGHS−R 1Aとの結合は、上記の本明細書中に記載するアッセイの使用によって測定することができる。
本発明の記載するグレリン−様化合物は、28aaヒトグレリンと比べて機能活性を少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも90%(これは、本明細書中に上記するアッセイを用いて測定する)、および/または約1,000よりも大きい、約100よりも大きい、約50よりも大きい、もしくは約10よりも大きいEC50を有することが好ましい。より大きいとは効力に対して意味し、従って、このことは、より少ない量が結合阻害を達成するのに必要とされることを示す。
本発明の1実施態様において、該化合物は、GHS−R 1Aにおける効力(EC50)が500nMよりも低い。別の実施態様において、該化合物は、GHS−R 1Aにおける効力(EC50)が100nMよりも低い、80nMよりも低い、60nMよりも低い、40nMよりも低い、20nMよりも低い、10nMよりも低い、5nMよりも低い、1nMよりも低い、0.5nMよりも低い、0.1nMよりも低い、0.05nMよりも低い、0.01nMよりも低い。
更なる実施態様において、化合物の解離定数(Kd)は、500nM以下である。更に別の実施態様において、リガンドの解離定数(Kd)は、100nM以下、80nM以下、60nM以下、40nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.1nM以下、0.05nM以下、0.01nM以下である。
結合アッセイは、異なる環境に存在する組み換え産生した受容体ポリペプチドを用いて実施することができる。該環境としては例えば、組み換え核酸もしくは天然核酸から発現する受容体ポリペプチドを含有する細胞エキス、または精製した細胞エキスを含み;そして、このものはまた例えば、組み換え方法によってまたは天然核酸(このものは、異なる環境中に導入される)から産生される、精製したGHS受容体ポリペプチドの使用を含む。
組み換え発現したGHS受容体の使用は、いくつかの利点(例えば、一定の細胞システム中で該受容体を発現し、その結果、該受容体上で化合物に対する応答が他の受容体での応答とより容易に区別することができる能力)を与える。例えば、該受容体は、セルライン(例えば、HEK 293、COS 7、およびCHO)(このものは、発現ベクターによっては該受容体を通常は発現しない)中で発現することができる。ここで、該発現ベクターなしで該同じセルラインは、コントロールとして作用することができる。
同一性および相同性
用語「同一性」または「相同性」とは、対応する配列の残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントを意味する。そのものは、配列をアラインしそしてギャップを導入した後に、必要ならば、完全な配列に対する最大パーセント同一性を得るために、そして配列同一性の一部としていずれの保存置換をも考慮せずに、該対応する配列の残基と比較する。N−またはC−末端のいずれの拡張または挿入もまた、同一性または相同性を低下するものと解釈しない。アラインメントのための方法およびコンピュータプログラムは、当該分野においてよく知られる。配列同一性は、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package, Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Ave., Madison, Wis. 53705)を用いて測定することができる。このソフトウェアは、様々な置換、欠損、および他の改変に相同性の大きさを割り当てることによって同様な配列と一致させる。
本明細書中に具現化される1つ以上の配列のグレリンホモログは、定義される配列と比較して1個以上のアミノ酸において変わり得るが、しかし同じ機能を発揮することができ、すなわち、ホモログは、予め決めた配列の機能的な均等物として認識され得る。
グレリンホモログは、上記のグレリン−様化合物であることが好ましい。
上記の通り、本明細書中の予め決めた配列のホモログのいずれかは、以下の通り定義され得る:
i)抗体によって認識することができるアミノ酸配列を含有するホモログ(該抗体はまた、28aaヒトグレリン(アシル化28aaヒトグレリンが好ましい)を認識することができる);および/または、
ii)GHS−R 1aと選択的に結合することができるアミノ酸配列を含有するホモログ;および/または、
iii)28aaヒトグレリン(アシル化28aaヒトグレリンが好ましい)よりもGHS−R 1aと実質的に同じかまたはより高い結合アフィニティを有するホモログ。
上記の実施例において、28aaヒトグレリンは、配列番号1に示す配列を有し、アシル化する場合には、3位でアシル化される。
本明細書中で使用する抗体は、グレリンのN−末端部分またはグレリンのC−末端部分(グレリンのN−末端が好ましい)と結合する抗体であり得る。該抗体は、Ariyasuらによる, 「Delayed short-term secretory regulation of ghrelin in obese animals: Evidensed by a specific RIA for the active form of ghrelin, Endocrinology 143(9): 3341-3350, 2002」中に記載する抗体であり得る。
ホモログは例えば、1個以上の保存アミノ酸置換(例えば、予め決めたアミノ酸の同じ基内の1個以上の保存アミノ酸置換を含む)、または多数の保存アミノ酸置換を含み、ここで、各保存置換は、予め決めたアミノ酸の異なる基内での置換によって得られる。
従って、ホモログは互いに独立した保存置換を含み得て、ここで、該ホモログの少なくとも1つのグリシン(Gly)がAla、Val、Leu、およびIleからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該アラニン(Ala)の少なくとも1つが、Gly、Val、LeuおよびIleからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該バリン(Val)の少なくとも1つが、Gly、Ala、LeuおよびIleからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該ロイシン(Leu)の少なくとも1つが、Gly、Ala、ValおよびIleからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該イソロイシン(Ile)の少なくとも1つが、Gly、Ala、ValおよびLeuからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該アスパラギン酸(Asp)の少なくとも1つが、Glu、Asn、およびGlnからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該フェニルアラニン(Phe)の少なくとも1つが、Tyr、Trp、His、およびProからなるアミノ酸の群から選ばれる(TyrおよびTrpからなるアミノ酸の群から選ばれることが好ましい)アミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該チロシン(Tyr)の少なくとも1つが、Phe、Trp、His、およびProからなるアミノ酸の群から選ばれる(PheおよびTrpからなるアミノ酸の群から選ばれることが好ましい)アミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該フラグメントの該アルギニン(Arg)の少なくとも1つが、LysおよびHisからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該リシン(Lys)の少なくとも1つが、ArgおよびHisからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該アスパラギン(Asn)の少なくとも1つが、Asp、Glu、およびGlnからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該グルタミン(Gln)の少なくとも1つが、Asp、Glu、およびAsnからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該プロリン(Pro)の少なくとも1つが、Phe、Tyr、Trp、およびHisからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換され;それとは独立してホモログは、該ホモログの該システイン(Cys)の少なくとも1つが、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Asn、Gln、Ser、Thr、およびTyrからなるアミノ酸の群から選ばれるアミノ酸で置換される。
保存的置換は、好ましい予め決めた配列のいずれかの位置に導入することができる。しかしながらまた、特に非保存的な置換を導入することも望まれ得るが、いずれかの1個以上の位置での非保存的な置換には限られない。
本明細書中の配列の機能的に等価なホモログの生成を与える非保存的な置換は、例えば、
i)極性(例えば、極性の側鎖を有する残基(例えば、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、もしくはGln)もしくは荷電アミノ酸(例えば、Asp、Glu、Arg、もしくはLys、もしくは非極性残基を極性残基で置換したもの)を置換した非極性の側鎖を有する残基(Ala、Leu、Pro、Trp、Val、Ile、Leu、Phe、またはMet)を有する残基(Ala、Leu、Pro、Trp、Val、Ile、Leu、Phe、またはMet))が実質的に異なり;および/または、
ii)別の残基によるポリペプチド骨格の配向に及ぼすその影響(例えば、ProまたはGlyによる置換またはそれらの置換)が実質的に異なり;および/または、
iii)電荷(例えば、正に荷電した残基(例えば、Lys、His、もしくはArg)の負に荷電した残基(例えば、Glu、Asp)による置換)(逆もまた真なり)が実質的に異なり;および/または、
iv)立体的な容積(例えば、小さい側鎖を有する残基(例えば、Ala、Gly、またはSer)のかさ高い残基(例えば、His、Trp、Phe、もしくはTyr)による置換)(逆もまた真なり)が実質的に異なる。
アミノ酸の置換は、1実施態様において、それらの疎水性および親水性の値、並びにアミノ酸側鎖の置換基の相対的な類似度(例えば、電荷、サイズなど)に基づいて行なうことができる。様々な上記の性質を考慮した典型的なアミノ酸置換が当該分野においてよく知られており、例えば、アルギニンおよびリシン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびトレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;並びに、バリン、ロイシンおよびイソロイシンを含む。
好ましい実施態様において、結合ドメインは、配列番号1と少なくとも60%相同であるアミノ酸配列を有するホモログを含む。
該相同性は、配列番号1と少なくとも65%相同、例えば少なくとも70%相同、少なくとも75%相同、少なくとも80%相同、少なくとも85%相同、少なくとも90%相同、少なくとも95%相同、少なくとも98%相同であることがより好ましい。
より好ましい実施態様において、上記のパーセントは、配列番号1と比較したホモログの配列の同一性に関する。
配列番号1とのホモログは、27aaヒトグレリン配列番号2、ラットグレリン配列番号3であり得る。別の好ましい配列は、EP 1 197 496(Kanagawa)中に例示される。
他のホモログは、EP 1197496(Kanagawa)(これは、本明細書の一部を構成する)中に記載された変異体である。
かさ高い疎水性基
本発明に記載する分泌促進物質のかさ高い疎水性基は、脱アシル化28aaヒトグレリン、またはGHS−R 1aに対する結合アフィニティを有するそのアナログを供することができる、いずれかのかさ高い疎水性基である。いずれかの適当なアミノ酸は、いずれかの適当なかさ高い疎水性基で修飾され得て;好ましい実施態様においては、Ser残基(アミノ酸鎖におけるアミノ酸番号3が好ましい)は、かさ高い疎水性基で修飾される。
修飾されたアミノ酸がその側鎖の置換基として、例えば−OH、−SH、−NHまたは−NHを含む場合には、アシル化によって生成する基(例えば、置換基)が好ましい。従って、連結の様式は、エステル、エーテル、チオエステル、チオエーテル、アミド、およびカルバミドからなる群から選ばれ得る。
例えば、修飾アミノ酸がセリン、トレオニン、チロシン、またはオキシプロリンである場合には、該アミノ酸は、側鎖にヒドロキシル基を有する。該修飾アミン酸がシステインである場合には、該アミノ酸は、側鎖にメルカプト基を有する。修飾アミノ酸がリシン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、またはオキシプロリンである場合には、そのものは側鎖にアミノ基またはイミノ基を有する。
従って、上記のヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基およびイミノ基は、化学的に修飾し得る。すなわち、ヒドロキシル基またはメルカプト基は、エーテル化、エステル化、チオエーテル化、またはチオエステル化することができる。該イミノ基は、イミノエーテル化、イミノチオエーテル化、またはアルキル化することができる。該アミノ基は、アミド化、チオアミド化、またはカルバミド化することができる。
更に、該メルカプト基はジスルフィデート化(disulfidated)することができ、該イミノ基はアミド化またはチオアミド化することができ、そして該アミノ基はアルキル化またはチオカルバミド化することができる。
好ましい実施態様において、修飾アミノ酸は、疎水性基とエステル結合によって結合したSerである。
該疎水性基は、1個以上の炭素原子を含有する飽和または不飽和のアルキル基またはアシル基を有するいずれか基であり得る。1実施態様において、かさ高い疎水性基はアシル基(例えば、有機カルボン酸、有機スルホン酸、または有機リン酸からヒドロキル基を除去することによって得られる基を含む)である。有機カルボン酸としては、例えば脂肪酸を含み、そしてその炭素原子の数は1〜35であることが好ましい。有機スルホン酸または有機リン酸において、炭素原子の数は1〜35であることが好ましい。
従って、該アシル基は、C1〜C35アシル基(例えば、C1〜C20アシル基、C1〜C15アシル基、C6〜C15アシル基、C6〜C12アシル基、C8〜C12アシル基)から選ばれることが好ましい。
該アシル基は、C7アシル基、C8アシル基、C9アシル基、C10アシル基、C11アシル基、およびC12アシル基の群から選ばれることがより好ましい。該アシル基は、オクタン酸(カプリル酸が好ましい)、デカン酸(カプリン酸が好ましい)、またはドデカン酸(ラウリル酸が好ましい)、並びにそれらのモノエンまたはポリエンの脂肪酸から生成し得る。
1実施態様において、該アシル基は、C8アシル基およびC10アシル基の群から選ばれる。該アシル基は、オクタン酸(カプリル酸が好ましい)またはデカン酸(カプリン酸が好ましい)から得ることができる。
別の実施態様において、該アシル基は、C7アシル基、C9アシル基、およびC11アシル基の群(例えば、C9アシル基およびC11アシル基の群)から選ばれる。
その上、修飾アミノ酸は、基がEP 1 197 496(Kanagawa)(これは、本明細書の一部を構成する)中に記載する通り修飾された、いずれかのアミノ酸であり得る。
保護基
本発明に記載するグレリン−様化合物は、N−末端もしくはC−末端、またはその両方で保護基を含み得る。
N−末端アミノ基と共有結合する保護基は、インビボ条件下でアミノ末端の反応性を低下する。アミノ保護基としては、−C1〜10アルキル、−C1〜10置換アルキル、−C2〜10アルケニル、−C2〜10置換アルケニル、アリール、−C1〜6アルキルアリール、−C(O)−(CH)1〜6−COOH、−C(O)−C1〜6アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−O−C1〜6アルキル、または−C(O)−O−アリールを含む。該アミノ末端保護基は、アセチル、プロピル、スクシニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、またはt−ブチルオキシカルボニルであることが好ましい。
C−末端カルボキシ基と共有結合する保護基は、インビボ下でカルボキシ末端の反応性を低下する。該カルボキシ末端保護基は、最後のアミノ酸のカルボキシ基と結合することが好ましい。カルボキシ末端保護基としては、アミド、メチルアミド、およびエチルアミドを含む。
接合体
本発明で使用する該分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)は、分泌促進物質接合体(すなわち、別の実体と接合した分泌促進物質を含有する分子)の形態で供することができる。
他の実体は、分泌促進物質に対する改善された性質(例えば、安定性および半減期の改善などの観点で)を与えることができるいずれかの物質であり得る。適当な実体の例は、以下に記載する。
例えば、該分泌促進物質は、ペプチド(例えば、ノシセプチン受容体ORL1に影響を有するペプチド)に接合することができる。1実施態様において、該接合体は、グレリンの接合体、またはその誘導体もしくはホモログ、およびORL1に影響を有するペプチド(例えば、ペプチドAc−RYY(RK)(WI)RK)−NH)(ここで、該ブランケットは、アミノ酸残基の許容し得る可変を示す)である。他の適当なペプチドの例は、米国特許出願番号2003040472号、2002004483号、および米国特許第5869046号中で知られる。
本発明の別の実施態様において、分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)は、高分子と接合する。該高分子は、典型的には分子量が約1〜100kDa(例えば、約3〜20kDa(例えば、5〜10kDa))の範囲内である、いずれかの適当な高分子(例えば、天然または合成の高分子)であり得る。該高分子は、該分泌促進物質上に存在する反応性の基(例えば、アミン基またはチオール基)と結合する。
適当な高分子の例としては、ポリアルキレンオキシド(PAO)(例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)(例えば、直鎖または分枝のポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)を含む)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ−カルボキシレート、ポリ−(ビニルピロリドン)、ポリエチレン−共−マレイン酸無水物、ポリスチレン−共−マレイン酸無水物、デキストラン(例えば、カルボキシメチル−デキストランを含有する)を含む。該高分子はPEG分子、特に単官能PEG(例えば、メトキシポリエチレングリコール(mPEG))であることが好ましい。適当に活性化されたPEG分子は、Nektar Therapeutics Inc.(Huntsville Alabama, US)またはValentis, Inc.(Burlingame, CA U.S.A.)から入手可能である。あるいは、該高分子は、当該分野において知られる通常の方法(例えば、WO 90/13540中に開示する方法)によって活性化することができる。活性化PEG高分子の具体例は、以下の直鎖のPEGを含む;NHS−PEG(例えば、SPA−PEG、SSPA−PEG、SBA−PEG、SS−PEG、SSA−PEG、SC−PEG、SG−PEG、およびSCM−PEG)、およびNOR−PEG、BTC−PEG、EPOX−PEG、NCO−PEG、NPC−PEG、CDI−PEG、ALD−PEG、TRES−PEG、VS−PEG、IODO−PEG、MAL−PEG、および分枝PEG(例えば、PEG2−NHS)、並びに米国特許第5,932,462号および第5,643,575号(これらは共に、本明細書の一部を構成する)中に開示されるもの。
該PEG化(PEGylation)(すなわち、該分泌促進物質ポリペプチドと該活性化高分子との接合化)は、確立された方法、例えば以下の文献(これはまた、高分子の活性化に適当な方法を記載する)中に記載する方法に従って行なう。R. F. Taylorによる, (1991), 「Protein immobilisation. Fundamental and applications」, Marcel Dekker, N.Y.; S. S. Wongによる, (1992), 「Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking」, CRC Press, Boca Raton; G. T. Hermansonらによる, (1993), 「Immobilized Affinity Ligand Techniques」, Academic Press, N.Y.。
本発明によれば、該高分子を該分泌促進物質と連結基によって結合することをも企図する。適当な連結基は、当業者によってよく知られる。好ましい例は、塩化シアヌル酸である(Abuchowskiらによる, (1977), J. Biol. Chem., 252, 3578-3581;米国特許第4,179,337号;Shaferらによる, (1986), J. Polym. Sci. Polym. Chem. Ed., 24, 375-378)。
更に別の実施態様において、該分泌促進物質は、オリゴ糖類分子(例えば、デキストラン、グリカン、トランスフェリンなど)と接合する。該接合は、確立された技術(例えば、Neose Technologies, Inc.(Horsham, PA.)から入手可能な技術)に従って達成することができる。
更に別の実施態様において、該分泌促進物質は、IgG分子のFc領域(典型的には、融合タンパク質の形態)と接合する。例えば、IgGのFc領域のエピトープと結合するためのサルベージ(salvage)受容体(すなわち、イソタイプIgGの免疫グロブリンのFc部)は、その循環性半減期を増大するために(その生物学的な活性を失うためではなく)、該分泌促進物質中に導入する。このことは、いずれかの方法(例えば、Fc領域を模倣するために該分泌促進物質中の適当な領域の突然変異によるか;該エピトープをペプチドタグ中へ導入し、次いで該分泌促進物質のいずれかの端もしくは中間で融合することによるか;あるいは、DNAまたはペプチドの合成による)によって起こり得る。
該サルベージ受容体結合性エピトープは、当該分野における当業者によって知られるいずれかの適当な該エピトープであって、そしてその性質は、例えば修飾される分泌促進物質の種類に依存する。該エピトープを該分泌促進物質中に導入し、その結果、該分泌促進物質の生物学的な活性を維持し、すなわちエピトープは該分泌促進物質の配座に有害な影響を与えず、またはその生物学的な活性を与えるリガンドとの結合に有害な影響を与えない。
あるいは、接合体の形態で該分泌促進物質を供するために、該分泌促進物質は、適当な反応性基を含むように修飾することができ、それによって結果修飾される分泌促進物質は、インビボで(個体に投与後に)、血液成分上の利用可能な反応性の官能基との共有結合によって、接合体を生成することができる。本発明はまた、該修飾された分泌促進物質、それらの使用方法にも関する。また、本発明は、上記の修飾された分泌促進物質と血液成分との間でインビボで生成する接合体に関する。本実施態様に従って得られる接合体は、対応する非修飾分泌促進物質と比較してインビボ半減期を増大すると企図される。
この実施態様に従って、該分泌促進物質は、化学的な反応性基(反応性の実体)で修飾する。該反応性の実体は、例えば様々な活性カルボキシル基(特に、エステル)(ここで、該ヒドロキシル部分は生理学的に許容し得る)から選ばれ得る。該基は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N−ヒドロキシ−スクシンイミド(スルホ−NHS)、マレイミド−ベンゾイル−スクシンイミド(MBS)、ガンマ−マレイミド−ブチリルオキシスクシンイミドエステル(GMBS)およびマレイミドプロピオン酸(MPA)からなる群から選ばれ得る。この実体の基にとっての実際の標的は、血液成分上の1級アミンである。活性実体の別の基は、マレイミド含有基(例えば、MPA)およびガンマ−マレイミド−ブチリルアミド(GMBA)によって構築される。該基は、血液成分上に存在するチオール基と反応する。
該修飾分泌促進物質が反応するように設計された血液成分は、利用可能な標的基(例えば、アミン基またはチオール基)を有するいずれかの血液成分であり得て、このものは、インビボで該修飾分泌促進物質と結合するための担体として適当であり、その結果、その循環性の半減期を延長する。該血液成分の例としては、血清アルブミンおよびIgGである。
上記の通り、修飾された分泌促進物質と血液成分との共有結合は、該修飾された分泌促進物質を患者に直接的に投与することによってインビボで達成し得る。該投与は、いずれかの適当な形態(例えば、ボーラスの形態)で行なうことができ、あるいはメータード(metered)フローなどを用いる注入によってオーバータイムでゆっくりと導入することができる。別法として、該分泌促進物質/血液成分の接合体はまた、該修飾された分泌促進物質と血液とを組み合わせ、該修飾された分泌促進物質を血液成分上の反応性官能基と共有結合させ、次いで該接合した血液を個体に戻すかもしくは投与することによって、生体外で調製することもできる。その上、上記のことはまた、第1に個体の血液成分または限られた数の成分(例えば、赤血球、免疫グロブリン、血清アルブミンなど)を精製し、そして該成分を生体外で化学反応性の分泌促進物質と組み合わせることによっても達成することができる。
製造方法
グレリン−様化合物は、当該分野においてよく知られる技術を用いて製造することができる。例えば、グレリン−様化合物のポリペプチド領域は、化学的にまたは生化学的に合成しまたは修飾することができる。ポリペプチドの化学的な合成の技術は、当該分野においてよく知られる(例えば、Vincent in Peptide and Protein Drug Delivery, New York, N. Y., Dekker, 1990を参照)。細胞中への核酸の導入および核酸の発現に関与する生化学合成についての技術は例えば、Ausubelによる, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley, 1987-1998、およびSambrookらによる, in Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2 d Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989中に提示されている。
医薬組成物
本発明の化合物または塩は未処理の化学品として投与することが可能であるが、医薬組成物の形態で供することが好ましい。従って、1態様において、本発明は式Iで定義されるグレリン−様化合物を含有する医薬組成物に関する。
1つの好ましい実施態様において、かさ高い疎水性基は、C7アシル基、C9アシル基、およびC11アシル基の群(例えば、C9アシル基およびC11アシル基の群)から選ばれるアシル基である。
別の実施態様において、本発明は、少なくとも2個の異なるグレリン−様化合物の混合物(例えば、C8アシルでアシル化されたグレリン−様化合物とC10アシルでアシル化されたグレリン−様化合物の混合物)を含有する医薬組成物に関する。理論に縛られるわけではないが、該混合物は血漿中のより長い半減期を有するであろうと考えられている。
更に別の実施態様において、医薬組成物は、アシル化されたグレリン−様化合物、場合により異なるアシル鎖長(C7アシル基、C9アシル基、およびC11アシル基の群(例えば、C9アシル基およびC11アシル基の群)から選ばれることが好ましい)を有する化合物、更に場合により脱アシル化グレリン−様化合物との組み合わせを含む。
別の態様は、本発明は、いずれかの分泌促進物質(例えば、上で定義するいずれかのグレリン−様化合物)またはその医薬的に許容し得る塩、および医薬的に許容し得る担体、ビヒクル、および/または賦形剤を含有する医薬組成物に関し、該組成物は更に輸送分子を含有する。本発明は、該アシル化化合物の半減期を増大するために主に加えられ、これにより、脱アシル化グレリンはGHS−R 1aとして活性ではないので、未熟な脱アシル化を防止する。
輸送分子は、そのものを本発明に記載する化合物中に導入しまたは固定化する(anchor)ことによって作用する。
当該分野の当業者にとって知られるいずれかの適当な輸送分子を使用することができる。輸送分子の例は、接合体の項目中に記載されている例が挙げられる。他の好ましい例は、リポソーム、ミセル、および/またはミクロスフェアが挙げられる。
通常のリポソームは典型的に、リン脂質(天然または負に荷電)および/またはコレステロールから構成される。該リポソームは、水性コンパートメントで囲まれた脂質二重層に基づく小胞構造である。それらは、それらの生理化学的な性質(例えば、サイズ、脂質構成成分、界面電荷、並びにリン脂質二重層の数および流動度)が変わり得る。リポソーム生成のために最もよく用いられる脂質は、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート(モノナトリウム塩)(DMPA)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート(モノナトリウム塩)(DPPA)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート(モノナトリウム塩)(DOPA)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩)(DMPG)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩)(DPPG)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩)(DOPG)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−L−セリン](ナトリウム塩)(DMPS)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−L−セリン)(ナトリウム塩)(DPPS)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−L−セリン](ナトリウム塩)(DOPS)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(グルタリル)(ナトリウム塩)、並びに1,1,2,2−テトラミリストイルカルジオリピン(アンモニウム塩)が挙げられる。リポソームの他の脂質またはモディファイヤーと組み合わせてDPPCから構成される製剤は、例えばコレステロールおよび/またはホスファチジルコリンと組み合わせることが好ましい。
長時間循環するリポソームは、血管壁の浸透度が増大する身体部位で血管外遊出するそれらの能力を特徴とする。長時間循環するリポソームを製造する最も一般的な方法は、親水性の高分子ポリエチレングリコール(PEG)を該リポソームの外側の表面に共有結合させることである。好ましい脂質のいくつかは、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](アンモニウム塩)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−5000](アンモニウム塩)、1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(クロリド塩)(DOTAP)を挙げられる。
リポソームに利用可能な脂質は、Avanti, Polar lipids, Inc, Alabaster, ALによって供される。加えて、該リポソーム懸濁液は、保存時に遊離ラジカルおよび脂質−過酸化の損傷から脂質を保護する脂質−保護剤を含み得る。親油性の遊離ラジカルクエンチャー(例えば、アルファ−トコフェロールおよび水溶性の鉄特異的キレート因子)(例えば、フェリオオキシラン(ferrioxianine))が好ましい。
リポソームを製造するための様々な方法が入手可能であり、例えば、Szokaらによる, Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9: 467 (1980)、米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、および第4,837,028号(これらは全て本明細書の一部を構成する)中に記載されている。1つの方法を、実施例9中に記載する。別の方法は、不均一なサイズの多重膜ビヒクルを与える。この方法において、該ビヒクル生成の脂質は、適当な有機溶媒または溶媒系中に溶解し、そして真空下もしくは不活性ガス下で乾燥して、薄い脂質フィルムを得る。所望する場合には、該フィルムは適当な溶媒(例えば、第3級ブタノール)中に再溶解し、次いでこのものを凍結乾燥して、より均一な脂質混合物(このものは、より容易に水和する粉末似の形態である)を得る。このフィルムを、標的薬剤および標的成分の水溶液で覆い、そして典型的には、撹拌しながら15〜60分間水和する。得られた多重膜ビヒクルのサイズ分布は、該脂質をより激しい撹拌条件下で水和するかまたは可溶化洗浄剤(例えば、デオキシコール酸)を加えることによって、より小さいサイズにシフトさせることができる。加えて、該リポソーム懸濁液としては、脂質保護剤(これは、保存時の遊離ラジカルおよび脂質−過酸化の損傷から脂質を防止する)を含み得る。親油性の遊離ラジカルのクエンチャー(例えば、アルファ−トコフェロール)および水溶性の鉄特異的なキレート因子(例えば、フェリオオキシアニン(ferrioxianine))が好ましい。
ミセルは、水溶液中で界面活性剤(疎水性部分および1個以上のイオン性またはそれ以外の強い親水性基を含む分子)によって生成する。固体の界面の濃度が増大するにつれて、空気/水またはガラス/水の界面に吸着されるその単層は、密に(tightly)充填され、その結果、更なる占有には、該2個の単層中にすでに存在する界面分子の過剰な圧力を必要とする。濃縮を超える溶解した界面活性剤の量の更なる増大は、ミセル中で凝縮するのに当量の新規な分子を生じる。このプロセスは、「臨界ミセル濃度」と呼ばれる特徴的な濃度で開始する。
希釈した界面溶液中で生成するミセルの形は、ほぼ球状である。該界面活性分子の極性のヘッド基は外側の球状のシェル中に配置され、一方でそれらの炭化水素鎖は中心方向を向いて配向し、該ミセルの球状の核を形成する。該炭化水素鎖はランダムにコイルし、もつれ、そして該ミセルの内部は、非極性の液体似の性質を有する。ポリオキシエチル化の非イオン性洗浄剤のミセル中では、該ポリオキシエチレン部分は外側に配向し、そして水によって浸透される。該親水性の頭部基は水と接触し、そして該炭化水素部分は水性媒質から除かれ、そして該極性のヘッド基による水との接触から部分的に遮蔽されるために、この配置はエネルギー的に有利である。該ミセルの内部に存在する該界面分子の炭化水素末端は、弱いファンデルワールス力によって互いに相互作用する。
ミセルの大きさまたはその凝集数は、幾何学的な因子によって大きく支配される。該炭化水素の核の半径は、該界面活性分子の伸長した炭化水素鎖の長さを超えることはあり得ない。従って、該鎖の長さを増大させるかまたは類似の群を上向かせることにより、球状ミセルの凝集数を増大する。該界面濃度が数パーセントを超えて増大し、そして電解質を加えたり(イオン性界面活性剤の場合)、あるいは温度が上昇する(非イオン性界面活性剤の場合)場合には、該ミセルはサイズが増大する。これらの条件下では、該ミセルは大き過ぎて球状を保つことができず、そして楕円状、円筒状または遂には層状の形となる。
当該分野の当業者にとってよく知られる通常の界面活性剤は、本発明のミセルにおいて使用することができる。適当な界面活性剤としては、ラウリン酸(laureate)ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクタオキシエチレングリコールモノデシルエーテル、オクトキシノール9、およびプルロニック(PLURONIC)F-127(Wyandotte Chemicals Corp.製)を含む。好ましい界面活性剤は、静脈内注射に適合し得る、非イオン性のポリオキシエチレン、およびポリオキシプロピレンの洗浄剤(例えば、ツウィーン(TWEEN)-80、プルロニック F-68、n−オクチル−ベータ、−D−グルコピラノシド)などが挙げられる。加えて、リン脂質(例えば、リポソームの産生における使用のために記載されているもの)はまた、ミセルの生成のために使用し得る。
別の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、投与経路について刊行物中に記載されている通り製剤化する。該投与経路は、頬側運搬、舌下運搬、経皮運搬、吸入および無針注射(例えば、Powderjetによって開発された方法を使用するもの)から選ばれる。
吸入の場合には、本発明の化合物は、当該分野の当業者にとって知られる方法を用いて製剤化することができ、例えば、エアロゾル剤、乾燥散剤、例えば飛沫剤(該運搬について意図するデバイス(例えば、Aradigm, AlkermeまたはNektarから商業的に入手可能なもの)が好ましい)中に溶解(solubolize)する。
投与
本発明の様々な化合物および方法のための適当な投与レジメは、当該分野においてよく知られる因子を考慮して決定することが好ましく、該因子としては投与される被験者の種類、年齢、性別、および該被験者の医学的な病気;投与の経路;該被験者の腎臓および肝臓の機能;所望する効果;並びに、使用する化合物を含む。
毒性なしで効力を与える範囲内に薬剤の濃度を達成する際の最適な正確さは、標的部位への薬剤の可能性の動力学に基づくレジメを必要とする。このことは、薬剤の分布、平衡、および排出の考察に関与する。
上記の通り、本発明の1態様において、該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を皮下投与する。
別の態様において、該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を食前ボーラスとして投与し、ここで、該投与形態はいずれかの適当な非経口形態であり得る。
好ましい実施態様において、該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)は、食前ボーラスで皮下投与する。
該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)はまた、ボーラスとして食事の間に投与し得る。食事の間の投与の様式は、皮下投与(例えば、皮下投与されるボーラス)を含む。
非経口投与のための医薬組成物としては、減菌の水性および非水性の注射可能な液剤、分散剤、懸濁剤または乳剤、並びに使用前に減菌注射可能な液剤もしくは分散剤中で再構築する減菌散剤を含む。
他の適当な投与形態は、坐剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、吸入剤、経皮パッチ、インプラント剤、丸剤、錠剤、トローチ剤、およびカプセル剤を含む。
本発明に従って使用する化合物の典型的な投与量は、体重kg当たりのグレリンの10ng〜10mgと等価な濃度である。本明細書中の濃度および量は、グレリン(該グレリンは28aaヒトグレリンである)の量の当量で与える。当量は、上記の「機能性」の標題の項目中に記載する通り試験することができる。
好ましい実施態様において、該薬剤は、体重kg当たり0.1μg〜1mgのグレリン(例えば、体重kg当たり0.5μg〜0.5mgのグレリン、体重kg当たり1.0μg〜0.1mgのグレリン、体重kg当たり1.0μg〜50μgのグレリン、体重kg当たり1.0μg〜10μgのグレリン)と等価な濃度で投与する。
上記の通り、該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)は、ボーラスとして投与することが好ましい。従って、1実施態様において、該薬剤は食前にボーラスとして投与し、ここで、該ボーラスは、0.3μg〜600mgのグレリンと等価なの量の該分泌促進物質またはその塩を含有する。該薬剤は、食前にボーラスとして投与することがより好ましく、ここで、該ボーラスは、2.0μg〜200mgのグレリン(例えば、5.0μg〜100mgのグレリン、10μg〜50mgのグレリン、10μg〜5mgのグレリン、10μg〜5mgのグレリン、10μg〜1.0mgのグレリン)と等価な量の分泌促進物質またはその塩を含有する。
正常なグレリン応答(これは、食前に起こる)は血漿中のグレリン濃度が短時間のサージであり、そして該ペプチドの相対的に短期の半減期により、グレリンの静脈内注射は、グレリン濃度における同様な短期のピークを得ることができることを保証することは注目すべきことである。該投与経路は、該ペプチドの非分解性の生理活性形態が該循環中での優位な形態であって、これにより、グレリン受容体に到達しそしてこれらを刺激するであろうことを保証しなければいけない。従って、該薬剤の最大の効果を得るために、1日に1〜3回投与することが好ましく、各投与は、食事の45分以内(例えば、食事の30分以内、食事の25分以内、食事の20分以内、食事の15分以内、食事の10分以内、食事の5分以内)である。該薬剤は、各主な食事の前に投与することがより好ましく、例えば、1日に3回投与する。
本発明の化合物は、鼻腔投与のために製剤化し得る。該液剤または懸濁剤は、通常の手法(例えば、ドロッパー、ピペット、またはスプレーを使用する)によって鼻腔に直接的に適用する。該組成物は、1回または多数回投与の形態で供し得る。ドロッパーまたはピペットの後者の場合には、このものは、適当な予め決めた容量の該液剤または懸濁剤を投与する患者によって達成し得る。スプレーの場合には、このものは、噴霧用(atomizing)スプレーポンプを計量することによって達成し得る。
本発明の化合物は、エアロゾル投与(特に、気道へのもの;鼻腔投与を含む)のために製剤化し得る。該化合物は通常、小さい粒子サイズ(例えば、5ミクロン以下の次数)を有する。該粒子サイズは、当該分野において知られる方法(例えば、微粒子化)によって得ることができる。該活性成分は、適当なプロペラント(例えば、クロロフルオロカーボン(CFC)(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適当なガス)を用いて加圧したパック中で供する。該エアロゾルはまた通常、界面活性剤(例えば、レシチン)を含み得る。該薬剤の用量は、計量バルブによって制御し得る。別法として、該活性成分は、乾燥散剤の形態(例えば、適当な粉末基剤(例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドン(PVP))中の該化合物の粉末混合物)で供することができる。該粉末担体は、鼻腔中でゲルを生成する。該粉末組成物は、1回用量形態(例えば、カプセル剤または薬包(例えば、ゼラチンまたはブリスター包装)(このものから、該粉末は吸入器によって投与し得る))で供し得る。
エアロゾルによって投与する組成物は、例えば生理食塩水中の液剤として製造することができ、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを増大するための吸収促進剤を使用して、フルオロカーボンを使用して、および/または他の可溶化剤もしくは分散剤を使用して製造することができる。
経口投与のための組成物
経口投与後の個体において生物学的に活性なままであることができるこれらの分泌促進物質の種類(例えば、小分子および短鎖ペプチド)は、広範囲な経口投与の剤形で製剤化し得る。該医薬組成物および剤形は、活性成分として本発明の化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩、またはそれらの結晶形態を含み得る。該医薬的に許容し得る担体は、個体または液体のいずれかであり得る。固体形態の製剤は、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散可能な顆粒剤を含む。固体の担体は、希釈剤、芳香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、湿潤剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化物質として作用し得る1個以上の物質であり得る。
該組成物は、本発明の化合物の重量比が約0.5%〜約75%であって、残りは適当な医薬的な賦形剤から構成されることが好ましい。経口投与の場合には、該賦形剤は、医薬的なグレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなどを含む。
散剤の場合には、該担体は、細かく分割された固体(このものは、細かく分割された活性成分との混合物である)である。錠剤の場合には、該活性成分は、必要な結合能力を有する担体と適当な比率で混合し、そして所望する型およびサイズに成型する。該散剤および錠剤は、1〜約70%の活性化合物を含有することが好ましい。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、ラクトース、ペクチン、デキストリン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどを挙げられる。用語「製造」とは、カプセル剤を供するための担体としてのカプセル化物質と合わせた該活性化合物の組成物を含むことを意図する。ここでは、担体があってもなくても、該活性成分は担体によって取り囲まれ、そしてそのものと一緒になる。同様に、カシェ剤およびトローチ剤を含む。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびトローチ剤は、経口投与に適当な固体形態であり得る。
本発明に記載の滴剤は、減菌または非減菌の水性または油性の液剤または懸濁剤を含み得て、そしてこのものは、該活性成分を適当な水溶液中に溶解することによって製造することができる。このものは、場合により殺菌剤および/または殺真菌剤、および/またはいずれかの他の適当な保存剤を含み、そして場合により界面活性剤を含む。次いで、得られる溶液をろ過によって清浄化し、適当な容器に移し、次いでこのものを封し、そして98〜100℃で30分間、オートクレーブするかまたは保つことによって減菌することができる。別法として、該溶液をろ過によって減菌し、そして無菌的に該容器に移すことができる。該滴剤中での含有に適当な殺菌剤および殺真菌剤の例は、硝酸または酢酸のフェニル水銀(phenylmercuric)(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)、および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)を挙げられる。油状液剤の製造に適当な溶媒は、グリセロール、希アルコール、およびプロピレングリコールを含む。
使用する直前に経口投与用の液体形態の製剤に変換することを意図する、固体形態の製剤もまた含む。該液体形態は、液剤、懸濁剤、および乳剤を含む。これらの製剤は、活性成分に加えて、着色剤、芳香剤、安定化剤、緩衝化剤、人工および天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
経口投与に適当な他の形態は、液体形態の製剤を含み、例えば、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤、練り歯みがき剤(toothpaste)、ゲル歯みがき剤(gel dentrifrice)、チューインガム、または固体形態の製剤を含み、これらは、使用する直前に液体形態の製剤に変換することを意図する。乳剤は、水性プロピレングリコール溶液中の液剤として製造することができ、あるいは乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアカシア)を含み得る。水性液剤は、活性成分を水中に溶解し、そして適当な着色剤、芳香剤、安定化剤および増粘剤を加えることによって製造することができる。水性懸濁剤は、細かく分割した活性成分を、水中で、粘性物質(例えば、天然または合成のガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム)および他のよく知られる懸濁化剤と一緒に分散することによって、製造することができる。固体形態の製剤は、液剤、懸濁剤、および乳剤を含み、そしてこのものは、活性成分に加えて、着色剤、芳香剤、安定化剤、緩衝剤、人工および天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
非経口投与のための組成物
本発明の組成物は、非経口投与(例えば、注射(例えば、ボーラス注射または連続注入))のために製剤化することができ、そしてアンプル、予め充填したシリンジ、小容量の注入剤、または多数回投与の容器(保存剤を加える)中の1回投与形態で供することができる。該組成物は、油性または水性のビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤などの形態(例えば、水性ポリエチレングリコール中の液剤)をとることができる。油性または非水性の担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、および注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)を含み、そして処方(formulatory)剤(例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、または懸濁化剤、および/または分散剤)を含み得る。別法として、該活性成分は、減菌固体の無菌的な単離、または使用前に構築するための溶液からの適当なビヒクル(例えば、減菌性の発熱物質なしの水)を用いた凍結乾燥、によって得る粉末形態であり得る。水性液剤は必要ならば適当に緩衝化すべきであり、そして液体の希釈物は、最初に十分な量の生理食塩水またはグルコースを用いて等張性とする。該水性の液剤は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内の投与に特に適当である。使用する該減菌水性媒質は全て、当該分野における当業者にとって知られる標準的な技術によって容易に入手可能である。
グレリンもしくはグレリン−様化合物、またはそれらの医薬的に許容し得る塩(並びに、例えば抗原エピトープおよびプロテアーゼインヒビター)は、水または生理食塩水中で製造することができ、場合により非毒性の界面活性剤と混合することができる。静脈内または動脈内の投与のための組成物は、減菌水性液剤(これはまた、緩衝剤、リポソーム、希釈剤、および他の適当な添加物をも含み得る)を含み得る。
非経口的な組成物において有用な油は、石油性、動物性、植物性、または合成の油を含む。それらの組成物において有用な油の具体例は、ピーナッツ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、ワセリン油、および鉱油を含む。非経口組成物において使用するのに適当な脂肪酸は、オレイン酸、ステアリン酸、およびイソステアリン酸を含む。オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルは、適当な脂肪酸エステルの例である。
非経口組成物において使用するのに適当なせっけんは、脂肪アルカリ金属、アンモニウム、およびトリエタノールアミンの塩を含み;そして、適当な崩壊剤は(a)カチオン性崩壊剤(例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、およびアルキルピリジニウムハライド);(b)アニオン性崩壊剤(例えば、アルキル、アリール、およびオレフィンのスルホネート;アルキル、オレフィン、エーテル、およびモノグリセリドのスルフェートおよびスルホスクシネート);(c)非イオン性崩壊剤(例えば、脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリオキシエチレンポリプロピレン共重合体);(d)両性崩壊剤(例えば、アルキル−、ベータ−、アミノプロピオネート、および2−アルキル−イミダゾリン第4級アンモニウム塩);および(e)それらの混合物を含む。
該非経口組成物は、典型的に溶液中の活性成分の重量比が約0.5〜約25%を含む。保存剤および緩衝化剤を使用することができる。注射の部位での刺激作用を最小としまたは排除するために、それらの組成物は、親水性−親油性のバランス(HLB)が約12〜約17を有する1個以上の非イオン性界面活性剤を含み得る。それらの組成物中での界面活性剤の量は典型的には、約5〜約15重量%の範囲である。適当な界面活性剤は、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)、およびエチレンオキシドと疎水性塩基との高分子量の付加物(このものは、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって得られる)を含む。該非経口組成物は、1回投与または複数回投与の封した容器(例えば、アンプルおよびバイアル)中で供することができ、そして、使用する直前に減菌液体賦形剤(例えば、注射用の水)の添加だけを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件下で保存することができる。即座の注射液剤および懸濁剤は、上記の種類の減菌散剤、顆粒剤および錠剤から製造することができる。
注射または注入に適当な医薬的な剤形は、リポソーム中でのカプセル化によって投与するのに適合した活性成分を含有する、減菌水性の液剤または分散剤を含み得る。すべての場合に、最終的な剤形は、製造および保存の条件下で減菌であり、液体であり、且つ安定でなければいけない。
減菌注射可能な液剤は、グレリンもしくはグレリン−様化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を適当な溶媒中の必要な量で、上で列挙した様々な他の成分と一緒に含有させ、必要に応じてろ過減菌することによって製造する。
局所投与のための組成物
本発明の化合物はまた、局所的に運搬することができる。局所投与のための領域は皮膚表面を含み、そしてまた、直腸、鼻、口、および咽頭の粘膜組織をも含む。皮膚および粘膜組織による局所投与のための組成物は、刺激作用の徴候(例えば、膨潤または発赤)を生じてはいけない。
該局所組成物は、局所投与に適合した医薬的に許容し得る担体を含み得る。従って、該組成物は、例えば懸濁剤、液剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、発泡剤、エアロゾル剤、スプレー剤、坐剤、インプラント剤、吸入剤、錠剤、カプセル剤、乾燥散剤、シロップ剤、バーム剤(balm)、またはトローチ剤の形態をとり得る。それらの組成物を製造するための方法は、製薬業界においてよく知られる。
本発明の化合物は、表皮への局所投与のために、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、または経皮パッチとして製剤化することができる。軟膏剤およびクリーム剤は例えば、水性または油性の基材を用いて、適当な増粘剤および/またはゲル化剤を加えて、製剤化することができる。ローション剤は、水性または油性の基材を用いて製剤化することができ、そしてこのものはまた通常、1個以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤または着色剤を含有する。口腔中での局所投与に適当な組成物は、芳香基材(通常、スクロース、およびアカシアまたはトラガカント)中に活性薬剤を含有するトローチ剤;不活性基材(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア)中に活性成分を含有する香錠;および、適当な液体担体中に活性成分を含有する洗口剤を含む。
本発明に記載するクリーム剤、軟膏剤またはペースト剤は、外部塗布のための該活性成分の半固体の組成物である。それらは、細かく分割しまたは粉末とした形態での該活性成分を、単独でまたは水性もしくは非水性の液体中の溶液もしくは懸濁液で、適当な機械の助けをかりて、混合することによって製造することができ、脂肪性の(greasy)または非脂肪性の基材と一緒に製造することができる。該基剤は、炭化水素(例えば、硬、軟、または液体のパラフィン、グリセロール、ミツロウ、金属石けん;粘液、天然起源の油(例えば、アーモンド油、コーン油、ピーナッツ油、トウゴマ油、またはオリーブ油);羊脂もしくはその誘導体または脂肪酸(または、ステアリン(steric)酸またはオレイン酸)を、アルコール(例えば、プロピレングリコールまたはマクロゲル(macrogel))と合わせて含み得る。該組成物は、いずれかの適当な界面活性剤(例えば、アニオン性、カチオン性、または非−イオン性の界面活性剤(例えば、ソルビタンエステルまたはそのポリオキシエチレン誘導体))を含有し得る。懸濁化剤(例えば、天然ガム、セルロース誘導体、または無機物質(例えば、ケイ素シリカ(silicaceous silicas))、および他の成分(例えば、ラノリン)もまた含み得る。
本発明に記載するローション剤は、皮膚または眼への適用に適当なものを含む。眼ローション剤は、減菌水性液剤(これは場合により、殺菌剤を含有する)を含み得て、そして滴剤の製造の場合と同様な方法によって製造し得る。皮膚への適用のためのローション剤またはリニメント剤はまた、乾燥を促進しそして皮膚を冷却する剤(例えば、アルコールまたはアセトン)、および/またはモイスチャライザー(moisturizer)(例えば、グリセロール)、または油(例えば、トウゴマ油またはピーナッツ油)をまた含み得る。
本明細書中に記載する医薬的な薬剤−化学モディファイヤー複合体は、経皮的に投与し得る。経皮投与は典型的に、該薬剤の患者の全身循環中への経皮的な通過のための医薬的な薬剤の運搬に関与する。該皮膚部位は、該薬剤を経皮的に投与するための解剖学的な領域を含み、例えば、前腕、腹部、胸部、背中、臀部、乳様突起(mastoidal)領域などを含む。
経皮運搬は、該複合体の供給源を患者の皮膚に長時間、曝露することによって達成される。経皮パッチは、医薬的な薬剤−化学的なモディファイヤーの複合体の身体への制御された運搬を与えるという付加的な利点を有する。Transdermal Drug Delivery: Developmental Issues and Research Initiatives, HadgraftおよびGuy(編), Marcel Dekker, Inc., (1989); Controlled Drug Delivery: Fundamentals and Applications, RobinsonおよびLee(編), Marcel Dekker Inc., (1987);および、Transdermal Delivery of Drugs, 1-3巻, KydonieusおよびBerner(編), CRC Press, (1987)を参照。該剤形は、該医薬的な薬剤−化学的なモディファイヤーの複合体を適当な媒質(例えば、エラストマーのマトリックス物質)中に溶解し、分散し、またはそれ以外には含有することによって製造し得る。吸収エンハンサーをも用いて、皮膚を横切る該化合物の流動を増大し得る。該流動の速度は、速度−制御膜を供するかあるいは該化合物を高分子マトリックスまたはゲル中に分散するかのいずれかによって、制御し得る。
様々な種類の経皮パッチが、本明細書中に記載する方法における使用を知られる。例えば、1回接着パッチ(simple adhesive patch)は、バッキング(backing)物質およびアクリル酸接着剤から製造し得る。該医薬的な薬剤−化学的なモディファイヤーの複合体およびいずれかのエンハンサーは、該接着鋳造(casting)溶液中で製剤化し、そして十分に混合する。該溶液は、該バッキング物質上に直接的に鋳造し、そして該鋳造溶媒をオーブン中で蒸発させると、接着フィルムが残る。該放出ライナー(liner)を結合させて、該システムを完全とすることができる。
別法として、ポリウレタンマトリックスパッチを用いて、該医薬的な薬剤−化学的なモディファイヤーの複合体を運搬し得る。このパッチの層は、バッキング剤、ポリウレタン薬剤/エンハンサーマトリックス、膜、接着剤および放出ライナーを含む。該ポリウレタンマトリックスは、室温硬化形(curing)ポリウレタンプレポリマー(prepolymer)を用いて製造する。水、アルコール、および複合体を該プレポリマーに加えることにより、粘着性の堅いエラストマー(このものは、バッキング用物質だけを直接的に鋳造し得る)の生成を得る。
本発明の更なる実施態様は、ハイドロゲルマトリックスパッチを使用する。典型的には、該ハイドロゲルマトリックスは、アルコール、水、薬剤、およびいくつかの親水性高分子を含む。このハイドロゲルマトリックスは、該バッキング剤および接着層の間の経皮パッチ中に含有し得る。
該液体の貯蔵(reservoir)パッチはまた、本明細書中に記載する方法における使用が知られる。このパッチは、不浸透性または半浸透性の、熱封のバッキング用物質、熱封膜、アクリル酸ベースの圧感受性(pressure sensitive)皮膚接着剤、およびシリコン処理の放出ライナーを含む。該バッキング剤は該膜に熱封して貯蔵物を得て、次いでこのものを該複合体、エンハンサー、ゲル化剤および他の賦形剤の溶液で充填し得る。
発泡(foam)マトリックスパッチは、該ゲル化した医薬的な薬剤−化学的なモディファイヤー溶液が薄い発泡膜(典型的には、ポリウレタン)中に束縛されることを除いては、デザインおよび組成の点で該液体貯蔵システムと同じである。この発泡層は該バッキング剤および該膜の間に位置し、これは該パッチの末梢で熱封する。
受動運搬システムの場合には、該放出の速度は典型的に、該貯蔵物および皮膚の間に位置する膜、一体化したデバイスからの拡散、または運搬システム中の速度−制御バリヤーとして作用する皮膚自身によって制御される。米国特許第4,816,258号;第4,927,408号;第4,904,475号;第4,588,580号;第4,788,062号などを参照。薬剤運搬の速度は、膜の性質にいくらか依存する。例えば、身体内の膜を横切る薬剤運搬の速度は通常、皮膚バリヤーを横切る場合よりも速い。該複合体が該デバイスから該膜へ運搬される速度は、速度制限膜(これは、貯蔵物および皮膚の間に位置する)の使用によって最も有効に制御される。該皮膚が該複合体に十分に浸透する(すなわち、皮膚を通過する吸収は、膜を通過する速度よりもより大きい)と仮定する場合には、該膜は患者によって経験される投与速度を制御するのに役立つ。
適当な浸透性膜物質は、所望する大きさの浸透性、該複合体の性質、および該デバイスを構築するのに関連する機構的な考察に基づいて選択することができる。典型的な浸透性の膜物質は、広範囲の天然および合成の高分子(例えば、ポリジメチルシロキサン(シリコンラバー)、エチレンビニル酢酸共重合体(EVA)、ポリウレタン、ポリウレタン−ポリエーテル共重合体、ポリエチレン、ポリアミド、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、セルロース物質(例えば、三酢酸セルロース、および硝酸/酢酸セルロース)、およびハイドロゲル(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA))を含む。
他のアイテムは、所望するデバイスの性質に応じて、該デバイス(例えば、治療学的な製品の他の通常の構成成分)に縛られ得る。例えば、本発明に記載する組成物はまた、1個以上の保存剤または静菌剤(例えば、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、クロロクレゾール、塩化ベンザルコニウム)などを含み得る。これらの医薬組成物はまた、他の活性成分(例えば、抗菌剤、特に抗生物質、麻酔薬、鎮痛薬、および鎮痒薬)を含み得る。
坐剤としての投与のための組成物
本発明の化合物は、坐剤としての投与のために製剤化し得る。低融点ワックス(例えば、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物)を最初に融解し、そして該活性成分を、例えば撹拌によって均一に分散する。次いで、該溶融した均一な混合物を、通常のサイズの型中にそそぎ、冷却し、そして固化する。
該活性化合物は、坐剤(例えば、本発明の化合物の約0.5%〜約50%を含有する)中に製剤化し、ポリエチレングリコール(PEG)担体(PEG 1000[96%]およびPEG 4000[4%])中に配分(dispose)する。
製剤
好ましい態様において、本発明は、本明細書中に記載する治療学的な方法を実施するのに有用な医薬組成物を企図する。本発明の医薬組成物は、生理学的に許容し得る担体を、活性成分としてそれらの中に溶解しまたは分散する、少なくとも1種類の分泌促進物質(例えば、グレリンもしくは本明細書中に記載するグレリン−様化合物)と一緒に含む。好ましい実施態様において、該医薬組成物は、治療学的な目的が免疫応答を誘発することでない場合には、治療学的な目的でヒト個体に投与する場合には免疫原性ではない。
1態様において、本発明は、少なくとも1つの分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン様化合物)を含有する医薬組成物に関する。好ましい実施態様において、該医薬組成物は、該処置の効果を増大するために、式Iについて上で定義する少なくとも2個の異なるグレリン−様化合物を含む。該相違は、例えば上で記載する異なるアシル化を有する化合物であり得る。
本明細書中で使用する用語「医薬的に許容し得る」、「生理学的に許容し得る」およびそれらの文法上の改変は、それらが組成物、担体、希釈物および試薬を意味する場合には、相互交換可能に使用し、そして該物質が所望しない生理学的な効果(例えば、悪心、めまい、胃不調(gastric upset)など)を生じることなく、ヒトに投与することができる。
それらの中に溶解しまたは分散される活性成分を含む薬理学的な組成物の製造は、当該分野においてよく理解されている。典型的には、それらの組成物は、減菌注射物として、液体溶液もしくは懸濁液、水性もしくは非水性のいずれかとして製造する。しかしながら、使用する前の液体として、溶液または懸濁液として適当な固体の形態をも製造することができる。該製剤はまた乳化し得る。
該活性成分は、賦形剤(これは、医薬的に許容し得てそして活性成分と適合し得る)と一緒に、本明細書中に記載する治療学的な方法における使用に適当な量で混合し得る。適当な賦形剤とは例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、またはそれらの組み合わせである。加えて、所望する場合には、該組成物は、微量の補助的な物質(例えば、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝化剤、および該活性成分の有効性を増大するその他の剤)を含み得る。該製剤は、pHが3.5〜8の範囲内(例えば、4.5〜7.5の範囲内、5.5〜7の範囲内、6〜7.5の範囲内であり、約7.3が好ましい)であることが好ましい。しかしながら、当該分野の当業者によって理解されている通り、該pHの範囲は、処置する個体および投与方法に従って調節し得る。例えば、特定の分泌促進物質(例えば、グレリンおよびグレリンホモログ)は、より低いpHで容易に安定化することができ、従って本発明の別の好ましい実施態様においては、該製剤は、pHが3.5〜7の範囲内(例えば、4〜6、5〜6、5.3〜5.7、5.5)を有する。
本発明の医薬組成物は、それらの化合物の医薬的に許容し得る塩を含み得る。これらの塩は、それらの医薬的な使用への利用に許容し得る塩である。該塩は親化合物の生物学的な活性を保持するということを意味することによって、該塩は、疾患を処置する際の利用法および使用法における望まない効果または有害な効果を有さないであろう。
医薬的に許容し得る塩は、標準的な様式で製造する。親化合物が塩基である場合には、適当な溶媒中で過剰量の有機または無機の酸を用いて処理する。親化合物が酸である場合には、適当な溶媒中で無機または有機の塩基を用いて処理する。
本発明の化合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩の形態で、医薬的に許容し得る担体または希釈物と、同時発生的に(concurrently)、同時に、または一緒に(その医薬組成物の形態であることが特に好ましい)、例えば経口、直腸、または非経口(皮下を含む)経路によって、有効な量で投与し得る。
本発明の医薬組成物における使用のための医薬的に許容し得る酸付加塩の例としては、鉱酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸)、および有機酸(例えば、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、およびアリールスルホン酸)から誘導される塩を含む。
他の適当な医薬的に許容し得る塩としては、酸付加塩(これは、ポリペプチドの遊離アミノ基を用いて得られる)を含む。塩の他の例としては、医薬的に許容し得る酸付加塩、医薬的に許容し得る金属塩、アンモニウム塩、およびアルキル化アンモニウム塩を含む。酸付加塩は、無機酸並びに有機酸の塩を含む。適当な無機酸の代表的な例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、および硝酸などを含む。適当な有機酸の代表的な例としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸(pamoic)酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸などを含む。医薬的に許容し得る無機または有機の酸付加塩の更なる例は、J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2(これは、本明細書の一部を構成する)中に例示する医薬的に許容し得る塩を含む。金属塩の例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、およびマグネシウム塩などを含む。
アンモニウム塩およびアルキル化アンモニウム塩の例は、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、およびテトラメチルアンモニウムの塩などを含む。
遊離カルボキシル基を用いて生成する塩はまた、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または鉄(III)の水和物)、および有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)から誘導し得る。
本発明における化合物またはその医薬的に許容し得る酸付加塩の範囲内には、そのいずれかの水和物(水和形態)もまた含む。
非経口的な投与の場合には、減菌水溶液、水性プロピレングリコール、またはゴマ油もしくはピーナッツ油中の本発明の化合物の溶液が使用することができる。それらの水溶液は必要な場合には適当に緩衝化すべきであり、そして液体希釈物は最初に、十分な生理食塩水またはグルコースを用いて等張とする。該水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内の投与に特に適当である。使用する該減菌の水性媒質は全て、当該分野の当業者にとって知られる標準的な技術によって容易に入手することができる。
液体組成物はまた、水の排除に加えて、液相をも含み得る。それらの更なる液相の例としては、グリセリン、植物油(例えば、綿実油)、有機エステル(例えば、オレイン酸エステル)および水−油状物の乳液を挙げられる。適当な医薬的な担体としては、不活性な固体の希釈物または充填剤、減菌水溶液および様々な有機溶媒を含む。固体の担体の例としては、ラクトース、テラアルバ、スクロース、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはセルロースの低級アルキルエーテルを挙げられる。液体担体の例としては、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン、または水を挙げられる。鼻腔エアロゾルまたは吸入製剤による投与は例えば、ベンジルアルコールもしくは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを増大するための吸収促進剤を使用することによって、フルオロカーボンを使用することによって、および/または可溶化剤もしくは分散剤を使用することによって、生理食塩水中の溶液として調製することができる。
次いで、本発明化合物と医薬的に許容し得る担体とを組み合わせることによって製造する医薬組成物は、開示する投与の経路に適当な様々な剤形で容易に投与される。該製剤は、製薬の分野において知られる方法によって1回投与形態で供することができる。
本発明の好ましい実施態様において、該製剤は、凍結乾燥物として分泌促進物質またはその塩を含み、そして該製剤は更に溶媒を含み、該凍結乾燥物および該溶媒は投与するまで別々のコンパートメントとする。
別の実施態様において、該製剤は、分泌促進物質またはその塩の溶液である。
両方の実施態様において、該溶媒はいずれかの適当な溶媒(例えば、本明細書中に記載する溶媒)であり得て、該溶媒は生理食塩水であることが好ましい。
本発明はまた、本発明の化合物を含有する薬剤または医薬組成物の製造方法に関し、該方法は、式Iにおいて上で定義する少なくとも1つのグレリン−様化合物を生理学的に許容し得る担体と混合することを含む。
更に別の態様において、本発明は、活性成分として、式Iにおいて上で定義する化合物またはその医薬的に許容し得る塩を、医薬的に許容し得る担体と一緒に含有する医薬組成物に関する。
従って、該製剤は更に、上記の輸送分子を含み得る。
組み合わせ処置
本発明の更なる態様において、本発明の化合物は、更なる生理学的に活性な物質、治療学的な方法、または生理学的に活性な物質と組み合わせて投与することができる。用語:別の物質および/または治療学的な方法との「組み合わせ」とは、本明細書中、該別の物質および/または治療学的な方法をそうして処置する個体に、分泌促進物質を用いる個体の処置の前、その間(同時を含む)、および/またはその後に、投与することを意味する。本明細書中に記載する組み合わせ処置の全ての場合に、該組み合わせは、キット−イン−パートシステム(kit-in-part systems)の形態であり得て、ここで、該組み合わせる活性物質は、同時の、連続的な、または別個の投与のために使用し得る。全ての場合に、本明細書中に記載する薬剤のいずれかが、医薬的に有効な量で投与(すなわち、該薬剤もしくは医薬組成物の各活性成分の総量を伴う投与、または意義ある患者の利益を示すのに十分である方法)されることが好ましい。
以下の項目において、本発明の好ましい実施態様における組み合わせ治療は、以下の通りに分類される:
1)全ての活性成分が食欲−調節薬剤であるかまたは悪液質を処置するのに有用な他の方法である組み合わせ;
2)分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を用いて処置する疾患または病気の原因となるかまたは関連する疾患に対して活性な成分または治療法と、分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)との組み合わせ;
3)分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を用いて処置する疾患または病気に関連する症状に対する活性成分または治療法と、分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)との組み合わせ。
当然に、上記の群の組み合わせもまた、本発明の範囲である。
全ての活性成分が、食欲−制御薬剤であるか、あるいは他の方法では悪液質および/またはリポジストロフィーを処置するのに有用である、組み合わせ
本発明の分泌促進物質は、他の食欲−制御薬剤(例えば、1種類以上の成長ホルモン分泌促進物質(例えば、別のグレリン−様化合物(例えば、本明細書中に定義する式Iによって定義される構造を含有するグレリン−化合物)を含む)と組み合わせて投与し得る。別の分泌促進物質化合物との組み合わせ投与に適当な他の分泌促進物質は、本明細書中に記載する分泌促進物質のいずれかである。本発明の1つの好ましい実施態様において、野生型グレリン(ヒト野生型グレリンが最も好ましい)は、異なるグレリン−様化合物と組み合わせて投与する:この組み合わせは、該分泌促進物質がグレリン受容体に及ぼす効果を増大しおよび/または延長すると認識される。本発明の別の好ましい実施態様において、野生型グレリンでないグレリン−様化合物は、野生型でないグレリンである異なるグレリン−様化合物と組み合わせて投与する:再び、この組み合わせは、該分泌促進物質がグレリン受容体に及ぼす影響を増大しおよび/または延長すると認識される。同様な様式で、いくつかの異なる分泌促進物質を個体に投与し得て、グレリン受容体に及ぼす効力を増大し得る(例えば、異なる種類の分泌促進物質の2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上)。本発明に記載する分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)はまた、医薬的に有効な量の成長ホルモン(例えば、hGHを含む)と組み合わせて投与し得る。
本発明の1つの好ましい実施態様において、該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)は、IGF−1、IGFBP−3、またはALS(IGF−1が好ましい)と組み合わせて投与し得る。この組み合わせ処置における理論的根拠は、悪液質個体において低いことが知られる、IGF−1、IGFBP−3、および/またはALSのレベルを増大することである。
本発明の更なる実施態様において、該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)は、食欲を刺激することが知られる化合物(例えば、メラノコルチン受容体拮抗薬)、ニューロペプチドY受容体作動薬(例えば、ニューロペプチドY受容体の個々のサブタイプにとって選択的な作動薬を含む)、レプチンもしくはレプチン受容体作動薬、カンナビノイド(例えば、マリファナおよびマリファナ誘導体を含む)、抗精神病薬(特に、非定型抗精神病薬(例えば、セルチンドール(sertindole)、スルピリド、クロザピン、リスペリドン、クエチアピン、アミスルプリド(Amisulpride)、ジプラシドン、およびオランザピン)と組み合わせて投与し得る。
該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)と、該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を用いて処置する疾患または病気の原因となるかまたは関連する疾患に対して活性である成分または療法、との組み合わせ
特に癌性悪液質に関して、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)の投与は、いずれかの抗癌治療(例えば、抗悪性腫瘍薬の化学療法、放射線療法、および外科的な処置を含む)と組み合わせて使用し得る。特に、そのものは、化学療法および放射線療法と組み合わせて使用する。従って、1実施態様において、本発明は癌の処置方法に関し、該方法は、有効な量の放射線療法および有効な量の分泌促進物質(例えば、本発明に記載するグレリン−様化合物)を投与することを含む。分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)を用いる処置は、放射線療法処置の開始前に開始し得る。そのものは、放射線療法の間に連続的に投与し得て、あるいはそのものは一定の間隔で(例えば、放射線療法を用いる期間の間)投与し得る。
別の実施態様において、本発明は癌の処置方法に関し、有効な量の抗悪性腫瘍薬化学療法および有効な量の分泌促進物質(例えば、本発明に記載するグレリン−様化合物)を投与することを含む。該分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)を用いる処置は、化学療法の処置の開始前に開始し得る。そのものは、化学療法の間に連続的に投与し得て、あるいはそのものは、一定の間隔で(例えば、化学療法を用いる期間の間)投与し得る。
更に、該組み合わせ処置は、分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)と抗悪性腫瘍薬化学療法との共製剤(co-formulation)であり得る。
本発明に記載する分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)はまた、医薬的に有効な量の糖質コルチコイドステロイドおよび運動促進性処置、並びに癌治療において使用される他の処置と組み合わせても投与し得る。従って、別の好ましい実施態様において、本発明に記載する該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)は、医薬的に有効な量の以下のもののうちの1つと組み合わせて投与する:
プロゲステロン薬剤(例えば、メガストロール(megastrol))、および/または、
シプロヘプタジン(および/または、他の5−HT受容体拮抗薬)、および/または、
分枝アミノ酸、および/または、
オキサンドラリン(oxandralin)、および/または、
抗−TNF−アルファ剤(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブ)、および/または、
テストステロン、および/または、
「カクテル」(免疫栄養、抗酸化剤およびCOX−2インヒビターを含有する)、および/または、
カンナビノイド、および/または、
エイコサペンタエン酸、および/または、
メラトニン、および/または、
サリドマイド、および/または、
βアドレナリン作動性薬剤(悪液質(例えば、癌性悪液質)の処置において最も好ましい)。
更に別の実施態様において、該分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)は、抗炎症性化合物(NSAID(例えば、インドメタンシン、COX1インヒビターもしくはCOX2インヒビター)が好ましい)、および/または抗−TNF−アルファ化合物(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブ)と組み合わせて投与する。別の組み合わせは、エリスロポエチン/EPOと一緒であり得る。別の組み合わせは、アンジオテンシンII降下剤(ビトル(Vitor))と一緒であり得る。別の組み合わせは、選択的なアンドロゲン受容体モジュレーターと一緒であり得る。別の組み合わせは、レニン−アンジオテンシン系の作動薬、オピオイド受容体作動薬、またはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ作動薬の1つ以上と一緒であり得る。
リポジストロフィーの処置に関して、本発明は別の実施態様において、分泌促進物質(例えばグレリンであって、グレリン−様化合物がより好ましい)を、リポジストロフィー処置(例えば、脂肪異栄養症候群を処置するのに適当な本明細書中に記載する処置または化合物の1つ以上)と組み合わせて投与する、処置に関する。
従って、本発明の方法において、該分泌促進物質(例えば、グレリン−様化合物)と組み合わせて投与し得る他の生理学的に活性な物質は、以下のものを含む:
a)レプチン(レプチンは、リポジストロフィーに関係する代謝異常における正の効果を有することが分かった。この処置は、レプチンの低血漿中レベルを患っている患者および正常なレベルを有する患者の両方に利点を有することが分かった);
b)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR−γ)作動薬(PPAR−γはいくつかの研究において、脂肪細胞代謝および代謝異常症候群にとって重要であることが実証されており、そしてPPAR−γ作動薬はリポジストロフィーの症状を低下するであろうと提案されている);
c)レニン−アンジオテンシン系の作動薬(HAARTを用いる処置は、T−細胞中のACEの活性を増大することが分かり、このことは、該レニン−アンジオテンシン系がHARRT誘発性リポジストロフィーを改善し得ることを意味する);
d)オピオイド受容体拮抗薬(オピオイド受容体拮抗薬(例えば、ナロキソンおよびナルトレキソン)は、プロテアーゼインヒビター処置からリポジストロフィーの最初の症状の発生までの時間を延長することが分かった);
e)デス−アシルグレリン(デス−アシルグレリンと組み合わせたグレリンは、インスリン耐性を低下することが分かり、このことは、リポジストロフィー症候群の重要な特徴である);
f)アディポネクチン、並びにインスリン耐性およびインスリン耐性が病態生理学的な機構である疾患の治療および/または予防のための他の化合物を含有する抗糖尿病処置;
g)rhGHを用いる処置は、「野牛肩」、躯幹の脂肪の大きさの低下を引き起こし、そして少数の患者における除脂肪体重を増大することが報告されている。しかしながら、脂肪の減少および脂質異常症は改善されず、そして血中グルコースのコントロールが悪化した。hGHを用いて処置する症候群の例は、HIV、AIDS、および癌を含む。理論に縛られるわけではないが、グレリンまたはそのアナログを用いる処置は、hGHを用いて処置する患者における体脂肪を維持しおよび/または増大し、その結果、hGHによって引き起こされるリポジストロフィーを有効に相殺し、または少なくとも低下する、と考えられる。従って、1つの好ましい実施態様において、本発明は、グレリンまたはそのアナログを成長ホルモンと組み合わせた使用(HIV、AIDS、および/または癌性悪液質を患っている個体が好ましい)に関する。グレリンまたはそのアナログを用いる該処置は、個体が成長ホルモンを用いる処置を受ける前、および/またはその間、および/またはその後であり得る。該成長ホルモンは、hGHであることが好ましい;
h)上記の1)で記載する異なる分泌促進物質の組み合わせを用いる処置。
該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)と、該分泌促進物質(例えば、グレリンまたはグレリン−様化合物)を用いて処置される疾患または病気と関連する症状に対する活性成分または治療、との組み合わせ。
本発明は更に、該組み合わせにおける1つの成分を悪液質を患っている個体において経験し得る症状または病気を処置するために使用する、組み合わせ処置に関する。従って、分泌促進物質(例えば、グレリンまたは本発明に記載するグレリン−様化合物)の投与に関する使用および組み合わせ処置はまた、1つ以上の以下のものの組み合わせにおける処置に関与し得る。
a)臨床的なうつ病の予防、および/または軽減、および/または治療(ここで、該組み合わせ処置は更に、該抗うつ薬、もしくはその該プロドラッグ、またはそれらの該抗うつ薬もしくは該プロドラッグの医薬的に許容し得る塩を投与することを含む)。上記の組み合わせ処置の場合には、該抗うつ薬は、ノルエピネフリン再取り込みインヒビター(NERI)、選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)、モノアミン酸化酵素インヒビター(MAO)、NERI/SSRIの組み合わせ、または非定型抗うつ薬、該抗うつ薬のプロドラッグ、またはその抗うつ薬もしくは該プロドラッグの医薬的に許容し得る塩であることが好ましい。
1つの好ましい抗うつ薬は、選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)、もしくはそのプロドラッグ、または該SSRIもしくは該プロドラッグの医薬的に許容し得る塩である。該SSRIは、シタロプラム、エスシタロプラム、フェモキセチン(femoxetine)、フルオキセチン、フルボキサミン、インダルピン(indalpine)、インデロキサジン、ミルナシプラン、パロキセチン、セルトラリン、シブトラミン、ジメルジン、もしくは該SSRIのプロドラッグ、または該SSRIもしくは該プロドラッグの医薬的に許容し得る塩であることが好ましい。上記のうち、シタロプラムおよびエスシタロプラム、それらのプロドラッグもしくは医薬的に許容し得る塩は、本発明に記載する組み合わせ処置の実施態様において好ましい。
b)嘔吐疾患(例えば、悪心および嘔吐を含む)の予防、および/または軽減、および/または治療(ここで、組み合わせ処置は更に、抗嘔吐薬、そのプロドラッグ、または該抗嘔吐薬もしくは該プロドラッグの医薬的に許容し得る塩を投与することを含む)。本発明に記載する組み合わせ処置において使用する好ましい抗嘔吐薬は、塩酸メクリジン、プロクロルペラジン、プロメタジン、塩酸トリメトベンザミド(trimethobenzamide)、および塩酸オンダンセトロンを含む。
特に、嘔吐は、抗癌処置または癌疾患そのもののいずれかに起因して、癌によって生じ得る。
c)精神病疾患の予防、および/または軽減、および/または治療(ここで、組み合わせ処置は更に、抗精神病薬、そのプロドラッグ、または該抗精神病薬もしくは該プロドラッグの医薬的に許容し得る塩を投与することを含む)。本発明に従って組み合わせ処置において使用する好ましい抗精神病薬は、クロルプロマジン、ハロペリドール、クロザピン、ロキサピン、塩酸モリンドン、チオチキセン、オランザピン、ジプラシドン、塩酸ジプラシドン、プロクロルペラジン、ペルフェナジン、塩酸トリフロペラジン、およびリスペリドンを含む。
d)不安症の予防、および/または軽減、および/または治療(ここで、組み合わせ処置は更に、抗不安症薬、そのプロドラッグ、または該抗不安症薬もしくは該プロドラッグの医薬的に許容し得る塩を投与することを含む)。本発明に記載する組み合わせ処置において使用する好ましい抗不安症薬は、アルプラゾラム、クロナゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、塩酸クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、塩酸ブスピロン、塩酸ドキセピン、パモ酸ヒドロキシジン、およびクロナゼパムを含む。
医学的なパッケージング
本発明の化合物は、単独でまたは医薬的に許容し得る担体もしくは賦形剤と組み合わせて、1回投与または複数回投与のいずれかで、投与し得る。該製剤は容易に、当該分野の当業者にとって知られる方法によって1回投与剤形で供し得る。
本発明に記載する化合物はキット中で供することが好ましい。該キットは典型的に、投与のための剤形中に活性化合物を含む。剤形は十分な量の活性化合物を含み、その結果、所望する効果が、被験者に投与する場合に(1日以上の期間にわたって、1日少なくとも1回の食事の前であることが好ましく、各主な食事の前(例えば、1日に3回)であることがより好ましい)得られ得る。
従って、該医学的なパッケージングは、関連する投与レジメに対応する用量単位の量を含むことが好ましい。従って、1実施態様において、該医学的なパッケージングは、上で定義する化合物またはその医薬的に許容し得る塩、および医薬的に許容し得る担体、ビヒクル、および/または賦形剤を含有する医薬組成物を含み、ここで、該パッケージングは7〜21個の用量単位またはその倍数(multipla)を有し、その結果、投与の1週間または投与の数週間の間、用量単位を有する。
1実施態様において、該医学的なパッケージングは、1週間内に1日に1回投与するためのものであり、そして7個の用量単位を含み、別の実施態様においては、該医学的なパッケージングは、1日に2回投与するためのものであり、そして14個の用量単位を含む。更に別のより好ましい実施態様において、該医学的なパッケージングは、1日に3回投与するためのものであり、そして21個の用量単位を含む。
該用量単位は上で定義するとおりであり、すなわち、用量単位は、グレリン−様化合物またはその塩を、0.3μg〜600mgのグレリン、例えば2.0μg〜200mgのグレリン、5.0μg〜100mgのグレリン、10μg〜50mgのグレリン、10μg〜5mgのグレリン、10μg〜1.0mgのグレリンと等価な量で含むことが好ましい。
該医学的なパッケージングは、非経口(特に、皮下投与)に適当ないずれかの形態であり得る。好ましい実施態様において、該パッケージングは、薬包(例えば、注射用ペン(injection pen)のための薬包)の形態であり、該注射用ペンは例えば、インスリン処置から知られる注射用ペンである。
該医学的なパッケージングが1つ以上の用量単位を含む場合には、該医学的なパッケージングは、各投与を1用量単位にのみ調節する機構で供する。
キットは、所望する効果を達成するための用量単位、および具体的な期間にわたって採取される剤形の量の使用を示す指示を含むことが好ましい。従って、1実施態様において、該医学的なパッケージングは、該医薬組成物を投与するための指示を含む。特に、該装置は、食間、または好ましくは食事のほぼ45分前(例えば、食事のほぼ30分前、食事のほぼ25分前、食事のほぼ20分前、食事のほぼ15分前、食事のほぼ10分前、食事のほぼ5分前)のいずれかでの該医薬組成物の投与に言及する指示を含み得る。
グレリンおよび/またはグレリン−様化合物を用いる処置の効果を追跡するための方法
別の態様において、本発明は、分泌促進物質(例えば、本発明のグレリン−様化合物)の本発明の方法における投与の効果を追跡するための方法に関し、ここで、該方法は、1つ以上のマーカー(特に、IGF−I、IGFBP−3、ALS(酸性、標識)、甲状腺ホルモン、性ホルモン、およびアルブミン(IGF−I、IGFBP−3、ALS(酸性、標識)が好ましく、IGF−Iがより好ましい)から選ばれるマーカーを測定することを含む。これらのマーカーは全て悪液質患者において低く、そしてグレリンを用いる処置後に増大することが期待される。従って、本発明は、本明細書中に記載する分泌促進物質を用いる、個体の処置のいずれかの効果を追跡する方法に関し、ここで、該方法は、以下の1つ以上の個体の血中レベルを測定することを含む:
(i)IGF−1、および/または;
(ii)IGFBP−3、および/または;
(iii)ALS、および/または;
(iv)1つ以上の甲状腺ホルモン、および/または;
(v)1つ以上の性ホルモン、および/または;
(vi)アルブミン
あるいは、以下:
(i)IGF−1、および/または;
(ii)IGFBP−3、および/または;
(iii)ALS
の1つ以上であることがより好ましい。
個体の血中レベルにおける物質を測定する方法は、当該分野においてよく知られる。例えば、単離した血液標本を、例えばウエスタンブロットまたは酵素結合測定法(ELISA)などの方法によって試験することができる。
(実施例)
実施例1
競合的な結合アッセイ
トランスフェクトしたCOS−7細胞を、放射性リガンドの5〜8%の結合を目的として、密度が1×10細胞でトランスフェクトした1日後に、培養プレートに移した。トランスフェクトの2日後に、競合的な結合実験を、125I−グレリン(Amersham, Little Chalfont, UK)の25pMを用いて4℃で3時間行なった。結合アッセイを、50mM ヘペス(Hepes)緩衝液(0.5mL、pH 7.4、1mM CaCl、5mM MgClおよび0.1%(w/v)ウシ血清アルブミン、40ミクログラム/mL バシトラシンを用いて補足する)中で行なった。非特異的な結合は、非標識化グレリンの1マイクロモルの存在下で、該結合として測定した。細胞を氷−冷緩衝液(0.5mL)中、および溶解緩衝液(8M 尿素、3M 酢酸中の2% NP40)(0.5〜1mL)中で2回洗浄し、そして該結合放射能を計数した。測定は、2組で行なった。初期の実験は、定常状態の結合はこれらの条件下で放射性リガンドを用いて達成されることを示した。
実施例2
グレリン−様化合物の合成的な製造
アミノ酸誘導体および合成試薬は、商業的な供給源から得ることができる。ペプチド鎖伸長は、Applied Biosystem 433Aシンセサイザー(Perkin Elmer製)を用いて行なうことができ、そして保護されたペプチド誘導体−樹脂は、BocまたはFmocの方法によって構築し得る。該Boc方法によって得られる該保護されたペプチド樹脂は、p−クレゾールの存在下で無水フッ化水素(HF)を用いて脱保護し、その結果、該ペプチドを遊離し、次いでこのものを精製する。該Fmoc方法によって得られる保護ペプチドは、トリフルオロ酢酸(TFA)または希釈TFA(これは、様々なスカベンジャーを含有する)を用いて脱保護し、そして該遊離したペプチドを精製する。精製は、C4またはC18カラムを用いる逆相HPLC中に行なう。該精製した産物の純度は逆相HPLCによって確認することができ、そしてその構造は、アミノ酸組成分析および質量分析法によって確認することができる。
本発明のペプチドは、通常のペプチド合成方法によって製造し得る。具体的には、アシル化またはアルキル化したペプチドの合成を、以下に例示する。更に、ヒト由来グレリン(これは、本明細書中で以下、hグレリン(hGrelin)と略し得る)またはラット由来グレリン(これは、本明細書中で以下、rグレリン(rGrelin)と略し得る)を、トリプシンもしくはキモトリプシンまたはその両方の酵素と連続して反応させ、以下のグレリン画分を得る:19.グレリン(16−28)、20.hグレリン(1−15)、21.rグレリン(1−15)、23.hグレリン(1−11)、24.rグレリン(1−11)、25.グレリン(1−10)、26.グレリン(1−9)、27.グレリン(1−8)、および30.グレリン(1−4)。次いで、これらの画分を分析用HPLCによって単離し、そしてそれらの活性を測定する。41.[N−アセチル]−グレリン(1−10)は、グレリン(1−10)をN−アセチルスクシンイミドを用いて処理することによって通常の様式で製造し得る。ヒトおよびラットのグレリンはまた、天然物質の使用によっても製造し得る。
略号:
HMP樹脂:4−ヒドロキシメチル−フェノキシメチル樹脂;
Fmocアミド樹脂;4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)フェノキシアセトアミド−エチル樹脂;
PAM樹脂:フェニルアセトアミドメチル樹脂;
HBTU:2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムへキサフルオロホスフェート;
TBTU:2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート;
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド;
DIPCI:ジイソプロピルカルボジイミド;
TFA:トリフルオロ酢酸;
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;
TIPS:トリイソプロピルシラン;
Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル;
Boc:t−ブチルオキシカルボニル;
Trt:トリチル;
Bu:t−ブチル;
Pmc:2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル;
Prl:プロピオニル;
PhPrl:フェニルプロピオニル;
Bzl:ベンジル;
Bom:ベンジルオキシメチル;
Tos:トルエンスルホニル;
Cl−Z:2−クロロ−ベンジルオキシカルボニル;
Pis:2−フェニルイソプロピル;
Mtt:4−メチルトリチル;
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;
NMP:N−メチルピロリドン;
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;
HOSu:N−ヒドロキシスクシンイミド;
Adod:2−アミノドデカン酸;
Aib:2−アミノイソ酪酸;
Ape:5−アミノペンタン酸;
Cha:シクロヘキシルアラニン;
Dap:2,3−ジアミノプロピオン酸;
Nal:ナフチルアラニン;
Nle:ノルロイシン。
合成に使用することができる保護アミノ酸
Fmoc方法:
Boc−Gly、Fmoc−Gly、Fmoc−Ser(Bu)、Fmoc−Ser(Trt)、Fmoc−Glu(OBu)、Fmoc−His(Boc)、Fmoc−Gln(Trt)、Fmoc−Arg(Pmc)、Fmoc−Lys(Boc)、Fmoc−Pro、Fmoc−Leu、Fmoc−Ala、Fmoc−Val、Fmoc−Phe、Fmoc−Phe、Fmoc−Ser(n−C8H17)、Fmoc−Ser(n−C8H17)、Fmoc−Cys(n−C8H17)、Fmoc−Asp(OPis)、Fmoc−Ser(Bzl)、Fmoc−Cys(Trt)、Fmoc−Dap(オクタノイル)、Fmoc−2−NaI、Fmoc−2−Nal、Fmoc−Nle、Fmoc−Lys(Mtt)、Fmoc−Aib−OH、Fmoc−Asp(O−C7H15);
Boc方法:
Boc−Gly、Boc−Ser(Bzl)、Boc−Ser(Ac)、Boc−Ser(Prl)、Boc−Glu(OBzl)、Boc−His(Bom)、Boc−Gln、Boc−Arg(Tos)、Boc−Lys(Cl−Z)、Boc−Pro、Boc−Leu、Boc−Ala、Boc−Val、Boc−Phe、Boc−Cys(n−C8H17)、Boc−Ape、Boc−Ser(n−C8H17)。
使用するユニット
(a)分析用HPLCシステム
ユニット:シマズ(Shimadzu)LC-10Aシステム;
カラム:YMC PROTEIN-RP(4.6 mm phi × 150 mm);
カラム温度:40℃;
溶出液:0.1%トリフルオロ酢酸中の0〜50%直線勾配のアセトニトリルを20分間;
流速:1 mL/分;
検出:UV(210 nm);
注入用量:10〜100 mu l。
(b)プレパラティブHPLCシステム
ユニット:Waters 600マルチソルベント・デリバリーシステム(Multisolvent Delivery System);
カラム:
YMC-Pack-ODS-A(5 mu m, 20 mm × 250 mm);
YMC-Pack-PROTEIN-RP(5 mu m, C4, 10 mm × 250 mm);
YMC-Pack PROTEIN-RP(5 mu m, C4, 20 mm × 250 mm);
YMC PROTEIN-RP(4.6 mm phi × 150 mm);
溶出液:0.1%トリフロオロ酢酸中の適当な直線勾配の濃度のアセトニトリル;
流速:10 mL/分(内径が20mmのカラムの場合)、3 mL/分(内径が10mmのカラムの場合)、1 mL/分(内径が4.6mmのカラムの場合);
検出:210 nm, 260 nm;
注入:10〜2000 mu l(2000 mu l以上は、ポンプによって注入する)。
(c)質量分析器
ユニット:フィニガン(Finigan)MAT TSQ700;
イオン源:ESI;
検出イオンモード:正;
スプレー電圧(Spray voltage):4.5 kV;
キャピラリー温度:250℃;
移動相:0.2%酢酸およびメタノール(1:1)の混合物;
流速:0.2 mL/分;
スキャン範囲:m/z 300〜1,500。
(d)アミノ酸配列の分析
ユニット:アプライド・バイオシステム(Applied Biosystem)477A, 492モデルシークエンサー(Perkin Elmer製)。
(e)アミノ酸組成の分析
ユニット:L-8500モデルアミノ酸分析器(Hitachi,Co., Ltd製);
試料:特に断らなければ、該試料は、封菅中、100℃で6M HClを用いて24時間加水分解する。
アシルセリンを有する誘導体の合成の例(Fmoc方法、カルボキシル−末端アミド誘導体)
hグレリン:GSS(CO-C7H15)FLSPEHQRVQQRKESKKPPAKLQPR
Fmoc-Arg(Pmc)-HMP-樹脂(403mg、0.25mmol、ABI Co., Ltd製)を20%のピペラジンを用いて20分間処理し、そしてこのものをHBTU/HOBtによるFmoc−アミノ酸の導入、およびピペラジンによるFmocの除去を連続的に繰り返して、Fmoc-Ser(Bu)-Ser(Trt)-Phe-Leu-Ser(tBu)-Pro-Glu(OBu)-His(Boc)-Gln(Trt)-Arg(Pmc)-Val-Gln(Trt)-Gln(Trt)-Arg(Pmc)-Lys(Boc)-Glu(OBu)-Ser(Bu)-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Pro-Pro-Ala-Lys(Boc)-Leu-Gln(Trt)-Pro-Arg(Pmc)-樹脂を構築する。Boc−Glyを最後にDCC/HOBtによって導入後に、得られる保護ペプチド樹脂(1.3g)を、1%TFA−5%TIPS−塩化メチレン溶液(15mL)を用いて30分間処理する。該ペプチド樹脂をろ過し、塩化メチレン(30mL)を用いて数回洗浄し、そして5%DIEA(10mL)、次いで塩化メチレン(30mL)を用いて洗浄した。得られる脱−Trtペプチド樹脂(約1.3g)をNMP(10mL)を用いて膨張させ、そしてオクタン酸(144.2mg、1.0mmol)およびDIPCI(126.2mg、1.0mmol)をDMAP(61.1mg、0.5mmol)の存在下でそのものに加え、そして8時間反応させた。該樹脂をろ過によって回収し、そしてNMP、次いで塩化メチレンを用いて洗浄し、続いて真空下で乾燥して、第3番目のセリンの側鎖がオクタノイル化された保護ペプチド樹脂(約1.2g)を得た。この生成物に、88%TFA−5%フェノール−2%TIPS−5%HOから構成される脱−保護試薬(10mL)を加え、そして該混合物を室温で2時間撹拌する。該樹脂をろ過によって除去し、そして該ろ液を濃縮し、続いて得られる残渣にエーテルを加えて沈降物を得る。該沈降物をろ過によって回収し、そして約550mgの粗ペプチドを得る。この生成物(200mg)を水(10mL)中に溶解し、そしてこのものをYMC-Pack PROTEIN-RP(C4, 20 mm × 250 mm)に適用し、そして0.1%トリフルオロ酢酸中の0〜54%の直線勾配のアセトニトリル(流速:10mL/分)を用いて60分間溶出する。所望する画分を集めて、そして凍結乾燥して所望する生成物(約120mg)を得る。
アシルセリンを有する誘導体の合成の例(Fmoc方法、カルボキシル−末端アミド化合物)
グレリン(1−9)−NH;GSS(CO-C7H15)FLSPEH-NH2
Fmoc−アミド−樹脂(403mg、0.25mmol、ABI Co., Ltd製)を20%ピペラジンを用いて20分間処理し、そしてHBTU/HOBtによるFmoc−アミノ酸の導入およびピペラジンによるFmocの除去を連続的に繰り返して、Fmoc-Ser(Bu)-Ser(Trt)-Phe-Leu-Ser(Bu)-Pro-Glu(OBu)-His(Boc)-樹脂を構築する。Boc−GlyをDCC/HOBtによって導入後に、得られる保護ペプチド樹脂(約550mg)を1%TFA−5%TIPS−塩化メチレン溶液(10mL)を用いて30分間処理する。該ペプチド樹脂をろ過によって回収し、塩化メチレン(30mL)を用いて数回洗浄し、そして5%DIEA(10mL)、次いで塩化メチレン(30mL)を用いて洗浄する。得られた脱−Trtペプチド樹脂(約750mg)をDMP(10mL)を用いて膨張させ、そしてオクタン酸(144.2mg、1.0mmol)およびDIPCI(126.2mg、1mmol)をDMAP(61.1mg、0.5mmol)の存在下でそのものに加え、そして4時間反応する。該樹脂をろ過によって回収し、NMP、次いで塩化メチレンを用いて洗浄し、続いて真空下で乾燥して、第3番目のセリンの側鎖がオクタノイル化された保護ペプチド樹脂(約800mg)を得る。TFA(10mL)をこの生成物に加え、そして室温で30分間撹拌する。該樹脂をろ過によって除去し、次いで該ろ液を濃縮し、続いて得られた残渣にエーテルを加えて沈降物を得る。該沈降物をろ過によって回収し、そして乾燥して粗ペプチド(約250mg)を得る。この生成物(約200mg)を30%酢酸(10mL)中に溶解し、そしてこのものをYMC-Pack PROTEIN-RP(C4, 20 mm × 250 mm)に適用し、そして0.1%トリフルオロ酢酸中の0〜54%の直線勾配のアセトニトリル(流速:10mL/分)を用いて60分間溶出する。所望する画分を集めて、次いでこのものを凍結乾燥して、所望する生成物(約150mg)を得る。
アシルセリンを有する誘導体の合成例(Boc方法)
[Ser3(プロピオニル)]-rグレリン(1−28);
GSS(CO-CH2CH3)FLSPEHQKAQQRKESKKPPAKLQPR
保護したラットのグレリン樹脂(4−28)をBoc-Arg(Tos)-Pam樹脂(0.75g、0.5mmol)からBoc化学によって構築し、そしてBoc-Ser(CO-CH2CH3)-OH、Boc-Ser (Bzl)-OH、およびBoc-Gly-OHを該樹脂の半分(1.4g)と縮合する。次いで、得られた樹脂(1.5g)を、HFおよびp−クレゾール(8.5mL:1.5mL)の混合物を用いて0℃で1時間処理し、そしてHFを蒸発させる。エーテルを該樹脂に加え、これによって、粗ペプチド(671mg)を得る。次いで、この試料を50%酢酸(AcOH)中に溶解し、そしてこのものをプレパラティブカラムYMC-Pack-ODS-A(5 mu m, 20 mm × 250 mm)に適用し、そして0.1%TFA中の0〜95%の勾配のアセトニトリルによって流速10mL/分で75分間溶出する。所望する生成物を含有するそれらの画分を凍結乾燥して、粗ペプチド(約135.8mg)を得る。この生成物の一部(0.5mg)をYMC-A-302カラム(C18, 4.6 mm × 150 mm)に適用し、そして15〜19%の勾配の濃度のアセトニトリルによって、流速が1mL/分で溶出する。次いで、この精製方法を繰り返し、そして所望する画分を合わせて所望する生成物(約0.41mg)を得る。
本発明に記載する他の化合物は、同様に製造し得る。
実施例3
健康な被験者における3個の異なる1回用量での、静脈内投与のグレリンおよび皮下投与のグレリンの絶対的バイオアベイラビリティを調べるための、ランダム・シングルセントレ・フォーピリオド・クロスオーバートリアル(A randomised, single centre, four-period cross-over trial)
目的:
第1:単独静脈内投与および皮下投与として投与する、3つの異なる用量のグレリンの絶対的バイオアベイラビリティを調べるため。
第2:1)用量の増大の用量直線性(用量相関性(dose proportionality))を調べるため;2)処置の間の薬力学的なプロフィルを調べ、そして比較するため;3)安全性および局所的な許容性を評価するため。
治験のデザイン:
健康な被験者における3個の異なる1回用量での、静脈内投与のグレリンおよび皮下投与のグレリンの間での絶対的バイオアベイラビリティを調べるためのランダム・シングルセントレ・アンバランスドブロックデザイン・フォーピリオド・クロスオーバートリアル(A randomised, single centre, unbalanced block design, four-period cross-over trial)
3個の用量(低い、中程度、および高い)を、投与の各様式について使用する。各個体への投与の回数を減少し、従って、治験の長さを減少するために、各被験者は、全部で6回の用量のうちの4回の用量だけ、すなわち、それぞれ静脈内および皮下として投与する2個の用量レベルを受ける。該アンバランスドブロックデザインは、全ての被験者が全ての用量レベルを受けるわけではないが、3つの用量レベル全てをこの様式でカバーすることを保証する。十分な洗浄期間を、個々の投与期間の間に設ける。
終点:
グレリンの薬剤動態学:
AUC0−t、AUC、C最大値、t最大値、t1/2、Cl/f、Vz/f、Cl、Vz、t1/2、MRT。
薬力学:
GH:AUC、C最大値、およびt最大値
心拍出量、空腹感の評価、食物/エネルギー摂取、食物摂取に関連する満足の大きさ、体重、エネルギー消費、DEXA。
安全性:
安全性および局所的な許容度は、臨床的な評価(理学的検査およびバイタルサイン)、心電図検査、および臨床検査(血液学および臨床化学)による研究を通じて評価する。
治験個体群およびパワー計算(power calculation):
肥満度指数(BMI)19〜26kg/m(両端を含む)を有する、年齢18〜45歳の健康な男性被験者
この研究な第1の目的は、静脈内および皮下として投与するグレリンの絶対的バイオアベイラビリティを調査することである。アンバランスドブロックデザインを用いて、臨床期間を減少し、そして被験者当たりの用量数を減少する。用量レベル当たりの絶対的バイオアベイラビリティの統計学的な分析、並びに用量間の用量直線性の分析を行なうのに必要とされる被験者の数は、存在する文献データに基づいて算出する。
治験用製品(Trial products):
静脈内および皮下の投与のためのグレリン。
実施例4
癌性悪液質が確立しそして食欲が低下した1患者(この者は、グレリンの毎週の静脈内注射に十分に応答する)は、皮下グレリンを用いて処置した。中皮腫を患っている患者は、静脈内グレリン処置に対して不利に応答するようではなかった。
処置
患者は、4週間にわたって1日に2回、0.8〜1.5ミクログラム/kgのグレリンの皮下注射を用いて処置した。該注射は食前に行なった。
評価
薬剤動態学的なおよび薬力学的な評価は、各注射の前および後に血液をサンプリングし、そして成長ホルモン並びに活性グレリンおよび全グレリンの血漿中レベルを測定することによって、1日目および2日目に行なった。
患者は、標準的な臨床検査によって、悪液質/摂食障害、および生活の質、質問表、体重、体組成分析(DEXA−スキャン)、並びに胸部(chest)X線および胸郭(thorax)−CTおよびその他を毎週追跡した。
結果
患者は、安定な体重および体組成を有した。患者は、増感された空腹感をより大きくは感じないが、しかし、食事の全皿を食べそしてこれらを平らげることができ、このことは、処置前には不可能であった。
該腫瘍は皮下グレリン処置の間には進行せず、このことは、CT−スキャンによって実証された。Lab値は、それら病気の患者に内在する可変性(variability)を超える実質的な差違を示さなかった。
2つの皮下注射の前後の血漿中成長ホルモンの測定は、成長ホルモンレベルの5倍以上の明らかな増大を示し(図11を参照)、従ってこのことは、該注射したグレリンが活性であって、そして患者においてその効果を発揮することを実証する。
結論
グレリンの毎日の皮下注射は、悪液質を有しそして食欲が低下した患者の処置において有意な利点を示す。該処置は4週間にわたって安定な体重を与え、そして目的の空腹感および食事を食べる能力を増大した。その上、該処置は有意な副作用が全くなく、そして該腫瘍は該処置の間には進行しなかった。
実施例5
グレリン受容体における機能的な試験
トランスフェクトおよび組織培養
COS−7細胞は、ダルベッコ改変イーグル培地1885(これは、10%ウシ胎児血清、2mM グルタミン、および0.01mg/mL ゲンタマイシンを用いて補足する)中で増殖した。細胞を、上記の通り(Holstらによる, Mol. Pharm (1998); 53; 1; p166-175, 「Steric hindrance mutagenesis versus alanine scan in mapping of ligand binding sites in the tachykinin NK1 receptor」)、クロロキン添加を伴うリン酸カルシウム沈降方法を用いてトランスフェクトした。遺伝子投与実験の場合には、可変量のDNAを使用した。最大のシグナル伝達を与える量のcDNA(20μg/75cm)は、用量応答曲線のために使用した。HEK−293細胞をD−MEM、ダルベッコ改変イーグル培地31966(これは、高いグルコースを有し、10% ウシ胎児血清、2mM グルタミン、および0.01mg/mL ゲンタマイシンを用いて補足する)中で増殖した。細胞を、リポフェクタミン2000(Life Technologies製)を用いてトランスフェクトした。
ホスファチジルイノシトールのターンオーバー
トランスフェクトの1日後に、COS−7細胞を、ウェル当たり、培地(1mL)(これは、10% ウシ胎児血清、2mM グルタミン、および0.01mg/mL ゲンタマイシンを用いて補足する)中で、5μCiの[H]−ミオ−イノシトール(Amersham, PT6-271)と一緒に24時間インキュベートした。細胞を、緩衝液、20mM HEPES、pH 7.4(これは、140mM NaCl、5mM KCl、1mM MgSO、1mM CaCl、10mM グルコース、0.05%(w/v) ウシ血清を用いて補足する)中で2回洗浄し、そして、緩衝液(0.05mL)(これは、10mM LiClを用いて補足する)中、37℃で30分間インキュベートした。様々な濃度のペプチドを用いて37℃で45分間刺激した後に、細胞を10%氷冷過塩素酸を用いて抽出し、続いて氷上で30分間インキュベートした。得られる懸濁液をHEPES緩衝液中、KOHを用いて中和し、そして生成した[H]−イノシトールホスフェートを、上記のBio-Rad AG 1-X8アニオン−交換樹脂を用いて精製した。測定は2回行なった。
CRE、SRE、およびNF−κ−Bリポーターアッセイ
96−ウェルプレート中に播種したHEK293細胞を、一時的にトランスフェクトした。CREリポーターアッセイの場合には、該細胞を、pFA2−CREBおよびpFR−Lucリポータープラスミド(PathDetect CREB trans-Reporting System, Stratagene)またはSRE−Luc(PathDetect SRE Cis-Reporting System, Stratagene)、並びに示す量のリポーターDNAの混合物を用いてトランスフェクトした。トランスフェクト後に、細胞を実験中、低い血清(2.5%)中に保ち、そして細胞間シグナル伝達経路の個々のインヒビターを用いて処置した。トランスフェクトの1日後に、細胞をアッセイ容量が100μLの培地中、個々のリガンドを用いて5時間処理した。該アッセイは、該細胞をPBSを用いて2回洗浄し、そしてルシフェラーゼアッセイ試薬(LucLite, Packard)を添加することによって終止させた。発光は、トップカウンター(TopCounter)(Top Count NXT(登録商標), Packard)中、5秒間測定した。発光は、相対発光ユニット(RLU)として示す。
MAPキナーゼアッセイ:
COS7細胞(播種密度は、150,000細胞/ウェル)を、アッセイプレート中でトランスフェクトした。トランスフェクトの2日後に、該示した濃度のリガンドを該アッセイ培地に、いずれの血清なしで加え、そして37℃で10分間インキュベートした。該反応は、該培地を除去しそして氷冷PBSを用いて2洗浄工程で洗浄することによって終止した。細胞を標本緩衝液中に溶解し、そしてラエムリ(Laemmli)(「Cleavage of structural proteins during the assembly of the head of bacteriophage T4], Nature, 227巻, p680-685)に従って、SDS/10%PAGE上で分離した。タンパク質をニトロセルロース上に移し、そしてウェスタンブロット分析を、1:5000希釈のマウスモノクローナル・アンチホスホ(antiphopho)−ERK1/2抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)を用いて行なった。全ERKタンパク質を、1:10000希釈の抗−ERK抗体(Santa Cruz Biotechnology)を用いて測定した。ブロットを、抗マウス西洋わさびペルオキシダーゼ−接合の二次抗体でプローブし、化学ルミネッセンス増強試薬(Amersham Bioscience, New Jersey, US)を用いて視覚化し、そして濃度測定(densiometric)分析によって定量化した。ERK1/2リン酸化は、タンパク質の負荷量(loading)に従って、全ERK1/2に対するホスホ−ERK1/2の比率としてデータを表すことによって、正規化した。結果は、非刺激ニセトランスフェクト細胞中で得られる値のパーセントとして表した。
実施例6
グレリンの皮下投与の有効性
6+6マウスは、頸部に皮下ボーラス注射によってグレリンの12または24nmol(これは、それぞれ400および800nmol kg−1に相当する)を与えた。血液を、注射の前(時間0)、並びに注射の15、60、120、240、および300分後に、サンプリングした。免疫活性グレリンは、ラジオイムノアッセイ(RIA)(これは、アシル化ヒトグレリンに対して産生する抗血清(Phoenix Pharmaceuticals製)を使用する)を用いて、血漿(20μL)中で測定し;125I−標識化グレリン−28を、基準物質としてラットのグレリン−28をトレーサーとして使用した。この抗血清は、オクタノイル化および脱−オクタノイル化のグレリン−28の両方を認識するが、しかし、脱−Gln14グレリンを認識しない。血漿中濃度は、リットル当たりのラットのグレリン−28のpmol当量として表した。活性な(オクタノイル化)グレリンは、酵素結合免疫測定法(ELISA)キット(LINCO Research, St. Charles, MO, USA)を用いて、血漿(50μL)中で測定した。この抗血清は、脱−オクタノイル化グレリンを認識しない。
結果:
(平均値は、+/−平均値の標準偏差(S.E.M)を示す)
12および24nmolのグレリンのマウス(各群につき、n=6)への皮下注射(→)は血漿中グレリンの濃度を増大させ(図1Aを参照);血漿中グレリンは、12nmolのグレリンの注射の6時間でさえもなお上昇した(図1Bを参照)。マウス(n=4)中の活性(オクタノイル化)グレリンの血漿中濃度は、12nmolのグレリンに応答する際に大きく上昇し(図1Cを参照);再び、これらのレベルは、注射の6時間後に高いままであった(図1Dを参照)。
実施例7
胃切除(gastrectomised)個体を処置するための、グレリンの皮下投与の有効性
マウスに、胃切除または偽手術を行なった。胃切除は、腺性胃(洞(antrum)および胃底(fundus))を摘除し、続いて十二指腸および反芻胃を端から端まで(end-to-end)、吻合(anastomozing)することによって行なった。胃切除に関連する死亡率は、10%であった。該胃切除および偽手術のマウスのいくつかは、グレリン(12nmol)の皮下用量を毎日、8週間にわたって与えた。コントロールは、生理食塩水を与えた。最初の14日目では、該注射を朝(8〜9時)に与え、皮下注射は午後(17〜18時;体重の増加に関する結果としての応答は差違がなく、従って、注射のタイミングは変え得る)に行なった。8週間後に、マウスを断頭によって殺した(最後の注射の16〜18時間後)。血液を集め、そして血漿をグレリンの測定のために−20℃で保存した(以下を参照)。痩せた組織を、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)(PIXImus, Lunar Corporation, Madison, MI, USA)によって分析した。白色脂肪組織(WAT)(腸間膜、後腹膜−腎臓、性腺、および鼠径部)、および遊走肩甲骨内(Wand intrascapular)褐色脂肪組織(BAT)を切開し、そして秤量した。
循環性グレリンの測定:
特に断らない限り、循環性グレリンの測定は、犠牲にした動物からの血漿中で行なった(終点分析)。免疫活性グレリンは、ラジオイムノアッセイ(RIA)(これは、アシル化ヒトグレリンに対して産生する抗血清(Phoenix Pharmaceuticals社製)を使用する)を用いて、血漿(20μL)中で測定し;125I−標識化グレリン−28は、基準物質としてラットのグレリン−28をトレーサーとして使用した。この抗血清は、オクタノイル化および脱−オクタノイル化のグレリン−28の両方を認識するが、しかし、脱−Gln14グレリンを認識しない。血漿中濃度は、リットル当たりのラットグレリン−28のpmol当量として表した。活性な(オクタノイル化)グレリンは、酵素結合免疫測定法(ELISA)キット(LINCO Research, St. Charles, MO, USA)を用いて、血漿(50μL)中で測定した。この抗血清は、脱−オクタノイル化グレリンを認識しない。
統計学的な分析
値は、平均値+/−平均値の標準偏差として表す。差違は、スチューデントt−検定、またはボンフェローニによる多重比較検定を用いる一元配置分散分析(ANOVA)によって分析した。0.05以下のp値は、十分に有意であるとみなした。
結果:
i)グレリンレベル:
グレリンの血漿中レベルは、偽手術または胃切除の8週間後に、グレリン(12nmol皮下)の毎日の皮下投与のあるなしで、マウスについて測定した(図2を参照)。胃切除は、血漿中のグレリン濃度を低下した。該血漿中グレリン濃度は、グレリンの注射の16〜18時間後に上昇した。
ii)体重の増加:
マウスの体重は、胃切除によって減少した(−15%)(図3を参照)。グレリン(12nmol皮下)の毎日の皮下注射は、胃切除のマウスにおける体重を増大する(8%)が、しかし、偽手術マウスにおいては増大しなかった。
iii)体組成:
脂肪の貯蔵:胃切除は、マウスにおける脂肪の量を減少した(−30%)。グレリン(12nmol皮下)の毎日の投与は、胃切除マウスにおける脂肪の量を正常とし、そして偽手術動物においてはそれを増大させた(21%)(図4を参照)。
除脂肪体重:
胃切除は、マウスにおける痩せた組織の量を減少させた(−11%)。グレリン(12nmol皮下)の毎日の皮下投与は、胃切除マウスにおける痩せた組織の量を正常とした(図5を参照)。
実施例8
患者の生活の質を評価するための質問表の例:
A)EORTC QLQ−C30:
我々は、貴方および貴方の健康に関する情報に関心があります。貴方にとって最もよく当てはまる番号を的確に述べる(ticking off)ことによって、以下の質問に答えて下さい。「正しい」または「間違っている」答えはありません。この情報は、極秘に処理されます。
Figure 2007523048
Figure 2007523048
最後の半週間:
Figure 2007523048
Figure 2007523048
以下の質問に関して、貴方にとって最もよく当てはまる1〜7の番号を的確に述べて下さい。
29. 最後の半週間、自分の健康をどの程度だと評価しますか?
Figure 2007523048
30. 最後の半週間、自分の生活の質をどの程度だと評価しますか?
Figure 2007523048
更なる質問
患者は、以下の訴えを報告することが時々ある。これらの訴えが、最後の半週間においてどの程度起こったかを示してください。
Figure 2007523048
B)味覚の質問表
Figure 2007523048
1. ちょうど今は(at the moment)、味覚はどの程度妨害されましたか?
Figure 2007523048
2. 最も適当な答えを的確に述べてください。
病気の前と今とで、味覚を比較する場合:
Figure 2007523048
3. 最も適当な答えを的確に述べてください。
口の中に絶えず悪い味覚がある。
Figure 2007523048
4. 味覚の変化がどの程度妨害されていると考えますか?
Figure 2007523048
5. 味覚の変化のために、より多くまたはより少なく食べていますか?
Figure 2007523048
6. ちょうど今は、味覚は、以下の通りです:
Figure 2007523048
C)空腹感−食欲−過飽和の感情−悪心−不安症−疲労感−視覚的アナログスケール
Figure 2007523048
1. 今、食欲はどの程度だと評価しますか?
Figure 2007523048
2. 今、空腹はどの程度だと評価しますか?
Figure 2007523048
3. 今、過飽和の感情はどの程度だと評価しますか?
Figure 2007523048
4. 今、悪心はどの程度だと評価しますか?
Figure 2007523048
5. 今、不安症はどの程度だと評価しますか?
Figure 2007523048
6. 今、疲労感(tiredness)(疲労(fatigue)、失神型めまい(faintness))はどの程度だと評価しますか?
Figure 2007523048
実施例9
本発明において使用するための医薬組成物の製造における、適当な製剤の例
ジパルミトイルDL−α−ホスファチジルコリン(DPPC)、並びにホスファチジルコリンおよびコレステロール(PC/Chol)の混合物を含有する、それぞれ2つの異なるタイプのリポソームを製造した。該リポソームは、該脂質をクロロホルム中に溶解しそして混合するすることによって製造した。クロロホルムを回転蒸発によって終夜除去し、そして得られた脂質フィルムを最初にエタノール(99.9%)を用いてストリップし、次いで回転エバポレーター中で終夜放置した。該多重膜リポソームは、HEPES−緩衝液(10mM HEPES、50mM KCl、1mM NaN、pH=5.5)中で少なくとも1時間水和することによって得た。該水和温度は51℃(リン脂質のTよりも10℃高い)であった。引き続いて、該リポソームを、チップ超音波処理器を用いて1時間中、10分間毎に30秒間音波処理した。100ナノメーターの単層リポソームは、100nmのポリカーボネートフィルターを用いて押し出す(extrusion)ことによって、多重膜リポソームから製造した。サイズの測定は、ゼタサイザー(Zetasizer)4(Malvern, UK)を用いて、動的光散乱測定装置(DLS)によって行なった。Tは、示差走査型カロリメータ(DSC;MicroCal(登録商標)Incorporated社製)によって測定した。該製剤を動物に投与する約2時間前に、グレリンを500μL当たり60μgの用量で加えた。
キャラクタリゼーション:
DPPCリポソームの大きさ(Z平均値):106.3nm;
DPPCリポソームの多分散度:0.29;
DPPCの濃度:2mM;
PC/Cholリポソームの大きさ(Z平均値):108.4nm;
PC/Cholリポソームの多分散度:0.20;
コレステロールの濃度:0.6mM;
ホスファチジルコリンの濃度:1.4mM。
脂質内30%は、コペンハーゲン大学病院(the Danish University Hospital Copenhagen)(Rigshospitalet)における地方医院(local Pharmacy)から購入した。1000mLは、ダイズ油(300g)、精製卵リン脂質(12g)、無水グリセロール(16.7g)、注射用水(1000mLとなるように適宜)を含む。pHは、水酸化ナトリウムを用いて、pHが約7.5に調節する。
実施例10
実施例9に記載するグレリン製剤の薬剤動態学を調べるための動物研究。研究の概要は、図10を参照。
動物:
30の雄性スプラーグドーリーラット(6〜7週齢;約300g;Charles River, Germany)を使用した:動物設備に到着後に、それらをゲージ毎に3匹、1週間収容し、そして引き続いて食物および水に自由にアクセスできる個々のゲージに移した。到着日から、ラットを、0600での12/12 L/D周期の光の下で、温度および湿度をコントロールした部屋内に保った。
処置群および無作為化
単独での収容の1週間後に、ラットは実験の準備に入り、そして5匹の体重−マッチド群(6pr.群)中に無作為化した。
Figure 2007523048
全ての化合物は、皮下投与(0.5mL/ラットの300g)によって投与した。
実験方法
実験開始の3日前に、該ラットに毎日、NaCl(0.9%)のニセ皮下注射を与えて、該実験方法にそれらを慣れさせて、注射関連のストレスを減らした。
実験日には(0800−0930)、被験用量を与える15分前に、200μLの血液標本を、尾の静脈から抜いた。時間0で、第2の血液標本を抜き、その直後に、ラットに上記の群に従って被験化合物を皮下注射で与えた。研究概要に従って、注射の15、30、45、60、90、120、および240分後の時点に、7以上の標本を抜いた(容量200μL)。抜いた全血液容量は1800μLであった(全血液容量の約10%)。
血液標本は、血漿分離を実施することができるまで、氷上で保存した。遠心分離(4000rpmで10分間)後に、血漿を、1N HCl(5μL)またはイソプロパノール中の2mg/mLのフェニルメチルスルホニル溶液(5μL)を含有するバイアル/チューブに移した。
該血漿標本中の活性な(アシル化)グレリンを、製造プロトコールに従ってRIAアッセイ(Linco Research, Inc)の使用によって測定した。
結果:
薬剤動態学研究の場合には、緩衝液中のグレリン(200mg/kg)の皮下投与後に、活性グレリンは約10倍に増大した。グレリンの最大の血漿中濃度は15分後に観察され、そしてその15分(30分の時点)後には約30%、更にその15分後には60%減少した。活性グレリンの血漿中レベルは120分後にわずかに増大するが、しかしながら、240分後には基底レベルに戻った。
脂質乳液中に製剤化したグレリンの投与は、グレリンの最大到達レベルを変化しなかった。脂質乳液中に製剤化したグレリンの投与は、グレリンの最大到達レベルを変化しなかったが、しかしながら、活性グレリンの末端半減期の増大(これは、貯蔵効果の指標である)の傾向があった(図9)。グレリンはまた、ジパルミトイルDL−α−ホスファチジルコリン(DPPC)、またはホスファチジルコリンおよびコレステロール(PC/Chol)の混合物をそれぞれ含有する2つの異なるリポソーム製剤で投与した。該PC/Cholリポソームは、活性グレリンの最大到達血漿中レベルを増大しないが、45分後の血漿中濃度は、緩衝液中のグレリンの場合と比較して、PC/Cholリポソーム製剤化グレリンの投与後により高かった(図9B)。DPPCリポソーム中に製剤化したグレリンの投与は、15分の時点でグレリンの最大到達レベルをほとんど2倍増大させた。興味深いことに、該グレリンの血漿中レベルは、30分後および45分後に2倍以上増大した(図9C)。
結論:
グレリンの皮下注射は、循環性の血漿中レベルにおける有意な増大を生じた(これは、製剤化とは無関係である)。脂質中での製剤化は、わずかな貯蔵効果を生じていると考えられる。その理由は、生理食塩水中で製剤化した場合よりもグレリン濃度がより遅い割合で低下するからである。DPPCリポソーム中での製剤化は、半減期に及ぼすいずれの明確な効果をも伴わずに、活性グレリンレベルの2倍の増大を与えた。
実施例11
癌性悪液質患者に対するグレリンの投与(図6および7を参照)
グレリンを癌性悪性質を有する患者に投与して、8週間にわたってそれらの食物摂取および栄養状態を改善する。治験において使用する化合物は、承認されたGMP−製造施設によって製造する。対イオンとしての酢酸塩と合わせたWtヒトグレリン(GMPグレード)は、Polypeptide Laboratories, Inc.社(CAS番号:SARA313)から購入した。HPLCによって評価した該ペプチドの純度は、それぞれ98.41〜99.63%の間であった。この実験において使用する基質のペプチド含有量は84.3%であり、残りは対イオンとしての酢酸塩である。該基質を、注射の日に生理学的な食塩水(0.9%)中に溶解する。
1つの治験セットアップにおいて、患者を、グレリン(用量は、100pmol/kg〜1mol/kgの範囲である)または生理食塩水のいずれかの単独注入を用いて処理する。患者は、投与の16時間前に絶食させた。注入の間、患者は図9において示す表に従って30分毎に追跡する。注入の30分後に、患者は食物の選択および摂取のためのブッフェを与えられる。これは、活性化合物の十分な活性を保証するためのコントロールとして機能する。グレリンの急性効果は、プラセボ処置と比較して、該自由なブッフェから経口摂取する食物の量によって評価する。8週間続く第2の実験ラウンドにおいて、患者は高用量のグレリン(1μg/kg〜80μg/kgの皮下グレリン)または低用量のグレリン(0.1μg/kg〜1.0μg/kgの皮下グレリン)のいずれかを用いて処置する。該処置は、腹部上での毎日の皮下注射としてのスウェーデンホームケアシステム(Swedish home care system)によって、腹部上での注射として午前中、約10時に与える。4週間の処置後に、該患者は、食物摂取のためのコントロールされた日誌および血液のサンプリングによって、客観的に評価する。その上、該患者は、治験期間の開始および終点のそれぞれで、食物摂取のためのコントロールされた日誌、血液のサンプリング、運動レベル、安静時エネルギー消費量、体組成、十分な理学的検査、記載されている標準的な血液−生化学、および健康に関連する生活の質などによって評価する。個々の来診時の評価は、図9に示す通り得る。
患者:
証明された癌性悪液質−先行期間内での有意な体重の低下および食欲の低下を伴う証明された癌性悪液質を有する患者
該悪液質は、いずれかのタイプの癌(例えば、食道癌、肺癌、乳癌、胃癌、膵臓癌、神経学的なおよび泌尿器系の癌、骨癌、血液学的な癌、生殖器系癌、外分泌腺癌、内分泌腺癌、多重内分泌学的な新生物(multiple endocrinological neoplasms)、精巣癌、前立腺癌、腎臓学的な(nephrological)癌、皮膚癌、甲状腺癌、肝臓癌、および大腸癌を含む)によって生じ得る。グレリン作用の有効性は、図9に従って評価する。
臨床的な評価:
急性の食物摂取:注入およびその後の21/2時間の栄養士が評価した食物摂取;
慢性の食物摂取:1日に消費する食物の量の毎日の報告、および食物摂取に関連する喜びの評価。これは、4日の食事日誌に基づいて尿素中窒素排泄量によって確証される;
体重:標準および較正スケールは、診療所で使用する;
安静時エネルギー消費量(REE)は、疾患の状態および体のサイズの両方によって影響を受けるので、非常に重要な基準である;
運動試験;
アクティグラフは:ホームページ(www. mtiactigraph. com)上に記載されている標準的なプロトコールに従って使用する;
他所で記載する標準的な形態を用いる、健康に関連するQoL。
臨床に付属した評価:
尿中の窒素排泄量:24時間の尿の収集物は、報告される食物摂取の確証として使用する;
血漿中グルコース、血漿中FFA、血漿中トリグリセリド、血漿中グリセロール、および血漿中アミノ酸:報告される食物摂取を保証するために測定する血漿中基質は、食物摂取の吸収量に関連する;
体組成の基準としてのTSF皮厚および上腕周囲長によって評価する、除脂肪体重および脂肪量;
全体脂肪(および、除脂肪量)は、ルナー(lunar)DPX-L(Scanexport Medical, Helsingborg, Sweden)についてのソフトウェア1.31を用いてDEXAスキャンを評価する;
血漿中レプチン:レプチンは、脂肪細胞によって産生されそしてそのものから分泌される。レプチンの血漿中レベルは、全脂肪細胞負担(burden)の見積もりを与える;
血漿中グレリン:基底グレリンレベルは、悪液質患者において増大する傾向がある;
血漿中GH;従来の研究において、GHは、グレリン投与の効果のためのコントロールとして測定されてきた(Enomotoらによる, 2003);
IGF−I:IGF−Iの単独測定は、GF分泌の24時間をまとめる。これは、循環性IGF−Iのレベルが自発的なGH分泌と相関する健常者において実証されている(Rose Nによる, Engl J Med 1988; 319: 201-207)。IGF−Iはまた、栄養状態の改善によるGHの増大とは無関係に増大し得る;
IGFBP−3:IGF−Iについての担体タンパク質の1つ。そのものは、IGF−Iに比例するが、しかしより遅い応答速度で増大する;
アルブミン:栄養状態の指示物質;
プレアルブミン:アルブミンよりも変化に対してより速く応答する、栄養状態の指示物質;
コルチゾール:グレリン投与は、血清中コルチゾールレベルを増大することが分かっている(Broglioらによる, 2003a)。コルチコステロイドは、有意な抗悪心効果を有し、そして無力症および疼痛コントロールを改善し、これは、悪液質癌患者にとって有利であることが分かった。しかしながら、コルチゾールは少しも、悪液質癌患者において体重を増大することは分かっていない;
CRPおよびESR:急性相反応タンパク(Acute phase proteins)およびESRは、癌プロセスに関連する全身性炎症の良好な指示物質であることが多い(Inuiによる, 2002)。
実施例12
癌関連の摂食障害/悪液質を有する患者の処置
摂食障害/悪液質症候群(ACS)を患っている進行癌を有する患者(例えば、いずれかのタイプの進行性の不治の癌)は、生活の質の改善、食欲の増大、食物摂取の増大、体重の維持もしくは増大、食物摂取の喜び(food pleasantness)、および/または脂肪の貯蔵の観点で、本発明から有利であると考えられる。
患者は、通常の生理食塩水(250mL)中に溶解したグレリンを、用量が10pmol/kg/分(これは、0.0336mcg/kg/分と等量である)を用いて60分間処置する。
治験処置:
グレリンは、調製バイアル中のGMP−品質が88mcgで、Calbiochem-Novabiochem AG, CLINALFA, Merck Biosciences, Switzerlandから入手可能である。プラセボは、空の通常の生理食塩水注入物(250mL)(これは、病院薬学(hospital pharmacy)によって供される)から構成する。グレリンを生理食塩水中に溶解し、そして用量が0.0336mcg/kg/分のグレリンを患者に投与する。
有効性の評価:
摂食関連の症状:これは、「食欲および悪液質の療法(FAACT)の質問表;EORTC−QLQ−30摂食障害/悪液質の質問表;NCCTG−摂食障害/悪液質の質問表、およびエドモントン・シンプトン(Edmonton Sympton)評価スケールの適合バージョンを用いて評価する;
生活の質:これは、該EORTC−QLQ−C30質問表(実施例8を参照)を用いて評価する;
栄養摂取および食物の優先度(preferences):食物摂取の測定は、患者によって各食事において消費される食品の循環パーセントにより行ない、臨床栄養士はそれらのルーチンの評価の一部として食物の優先度を評価する;
食物摂取の喜び:これは、視覚的なアナログスケール、続いて確立された係留(anchors)を用いて昼食後に評価する;
認知された食欲、空腹感、悪心および安全性:これらは、朝、注入前、並びに昼食の前後に、視覚的なアナログスケール、続いて確立された係留を用いて評価する。我々はまた、短い臨時目的の味覚質問表をも使用する;
成長ホルモン(GH);GHは、グレリン注射後にGHの速い増大を伴って、グレリンの生物学的な機能に直接的に影響を及ぼすという理由で、我々はまた、グレリンと同じ時点でGHレベルをも追跡する。標準的なグレリンアッセイを使用する;
体組成:体組成は、BMI、生体インピーダンス分析、二重光子吸収法/二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)、アルブミンおよびトランスフェリンのレベルは、栄誉状態についてのパラメータとして測定する;
循環器系の自律神経性機能:自律神経障害のスクリーニングのために、20分のホルター(holter)ekgを行ない、そしてSDNN値を測定する;
一次的な摂食障害/悪液質症状のメディエーター;炎症誘発性反応のメディエーター(CRP、IL−6、TNF−アルファ)、活性化された代謝(遊離脂肪酸、トリグリセリド、インスリン、グルコース、レプチン)、脳腸軸(gut-brain axis)(グレリン)、および成長ホルモン軸(IGF−1、遊離テストステロン)は、最初の週にベースラインとして測定する。尿標本は、タンパク質分解誘発性因子(PIF)、腫瘍随伴の摂食障害/悪液質症状のメディエーターの評価のために、評価(asserved)する。
引用文献リスト
1. Kojima M, Hosoda H, Matsuo H, Kangawa Kによる, 2001 Ghrelin: discovery of the natural endogenous ligand for the growth hormone secretagogue receptor. TrendsEndocrine) Metab 12: 118-122;
2. Nakazato M, Murakami N, Date Y, Kojima M, Matsuo H, Kangawa K, Matsukuraによる, S2001 A role forghrelin in the central regulation of feeding. Nature 409: 194-198;
3. Bowers CY, Momany F, Reynolds GA, Chang D, Hong A, Chang Kによる, 1980 Structure-activity relationships of a synthetic pentapeptide that specifically releases growth hormone in vitro. Endocrinology 106: 663-667;
4. Bowers CY, Momany FA, Reynolds GA, Hong Aによる, 1984 On the in vitro and in vivo activity of a new synthetic hexapeptide that acts on the pituitary to specifically release growthhormone; Endocrinology 114: 1537-1545;
5. Patchett AA, Nargund RP, Tata JR, Chen MH, Barakat KJ, Johnston DB, Cheng K, Chan WW, Butler B, Hickey G,による, 1995 Design and biologicalactivities of L-163,191 (MK-0677): a potent, orally active growth hormone secretagogue. Proc Natl Acad Sci U S A 92: 7001-7005;
6. Smith RG, Cheng K, Schoen WR, Pong SS, Hickey G, Jacks T, ButlerB, Chan WW, Chaung LY, Judith Fによる, 1993 A nonpeptidyl growth hormone secretagogue. Science 260: 1640-1643;
7. Howard AD, Feighner SD, Cully DF, Arena JP, Liberator PA, Rosenblum Cl, Hamelin M, Hreniuk DL, Palyha OC, Anderson J, Paress PS, Diaz C, Chou M, Liu KK, McKee KK, Pong SS, Chaung LY, Elbrecht A, Dashkevicz M, Heavens R, Rigby M, Sirinathsinghji DJ, Dean DC, Melillo DG, Van DerPloegLHによる, 1996 A receptor in pituitary and hypothalamus that functions in growth hormone release. Science 273: 974-977;
8. Smith RG, Van Der Ploeg LH, Howard AD, Feighner SD, Cheng K, Hickey GJ, Wyvratt MJ, Jr. , Fisher MH, Nargund RP, Patchett AAによる, 1997 Peptidomimetic regulation of growth hormone secretion. Endocr Rev 18: 621-645;
9. Kojima M, Hosoda H, Date Y, Nakazato M, Matsuo H, Kangawa Kによる, 1999 Ghrelin is a growth-hormone-releasing acylated peptide from stomach. Nature 402: 656-660;
10. Banks WA, Tschop M, Robinson SM, Heiman MLによる, 2002 Extent and direction of ghrelin transport across the blood-brain barrier is determined by its unique primary structure. J Pharmacol Exp Ther 302: 822-827;
11. Barber, M. D., J. A. Ross, およびK. C. Fearonによる, ''Cancer cachexia.'' Surg. Oncol. 8.3 (1999): 133-41;
12. Bruera, E.による, ''ABC of palliative care. Anorexia, cachexia, and nutrition.'', BMJ 315.7117 (1997): 1219-22;
13. Fearon, K. C.およびA. G. Mosesによる, ''Cancer cachexia.'', Int. J. Cardio. 85.1 (2002): 73-81;
14. Inui, A.による, ''Cancer anorexia-cachexia syndrome: current issues in research and management.'', CA Cancer J. Clin. 52.2 (2002): 72-91;
15. Kojima, M.らによる, ''Ghrelin: discovery of the natural endogenous ligand for the growth hormone secretagogue receptor.'', Trends Endocrinol. Metab 12.3 (2001): 118-22;
16. Nakazato, M.らによる, ''A role for ghrelin in the central regulation of feeding.'', Nature 409.6817 (2001): 194-98;
17. Smith, R. G.らによる, ''Peptidomimetic regulation of growth hormone secretion.'', Endocr. Rev. 18.5 (1997): 621-45;
18. Wisse, B. E., M. W. Schwartz, およびD. E. Cummingsによる, ''Melanocortin signaling and anorexia in chronic disease states.'', Ann. N. Y. Acad. Sci. 994 (2003): 275-81;
19. Wren, A. M.らによる, ''Ghrelin enhances appetite and increases food intake in humans.'', J. Clin. Endocrinol Metab 86.12 (2001): 5992。
図1A)は、グレリンの12および24nmolのマウスへの皮下注射(→)により、血漿中グレリン濃度が上昇することを示す図面である(各群において、n=6)。B)は、血漿中グレリンがグレリンの12nmolの注射6時間後もなお上昇することを示す図面である。C)は、活性な(オクタノイル化)グレリンの血漿中濃度がグレリンの12nmolに応答して大きく上昇することを示す図面である。そして、D)は、注射の6時間後でも高いままであることを示す図面である。平均値+/−平均値の標準偏差(n=4)。 図2は、グレリンの毎日の投与(12nmolの皮下)のあるなしでの、偽手術または胃切除の8週間後の、マウスにおけるグレリンの血漿中濃度を示す図面である。胃切除は、血漿中グレリン濃度を低下する。該血漿中グレリン濃度は、グレリンの注射の16〜18時間後に上昇する。平均値+/−平均値の標準偏差(n=10)。 図3は、グレリンの毎日の投与(12nmolの皮下)のあるなしでの、偽手術または胃切除の8週間後の、マウスにおけるグレリンの血漿中濃度を示す図面である。胃切除は、血漿中グレリン濃度を低下する。該血漿中グレリン濃度は、グレリンの注射の16〜18時間後に上昇する。平均値+/−平均値の標準偏差(n=10)。 図4は、胃切除および/またはグレリン(12nmolの皮下)の毎日の投与がマウスにおける脂肪貯蔵物に及ぼす影響を示す図面である。調査期間は8週間とした。胃切除は脂肪の量を減少し、そしてグレリンの投与は脂肪貯蔵物を正常とした。グレリンの投与は、偽手術したラットにおける脂肪の量を増大する。平均値+/−平均値の標準偏差(n=10−12)。 図5は、グレリン(12nmolの皮下)の毎日の投与のあるなしでの、偽手術または胃切除を受けたマウスにおける除脂肪体重を示す図面である。胃切除は除脂肪体重を減少し、そして、グレリンの投与は該効果を後退させる。生理食塩水またはグレリンのいずれかを与えた偽手術マウスの2群の間での除脂肪体重の差違はなかった。*p<0.05、**p<0.01。平均値+/−平均値の標準偏差(n=10−12)。 図6は、4人の健常者および4人の癌性悪液質患者におけるグレリン投与の急性効果を評価するための、臨床治験の図示的な概要を示す図面である。V0aおよびV0bは、患者が関連試験またはコントロール化合物を用いて処置される期間内の来診を示す。 図7は、癌性悪液質を患っている患者における、低用量または高用量のグレリンの投与の長期間の効果を評価するための、臨床治験の図示的な概要を示す図面である。 図8は、実施例11に記載する臨床治験における患者の病状を評価する際に使用するための、患者の評価表を示す図面である。 図9(9A〜C)は、ラットにおける異なるグレリン製剤の薬物動態学を示す図面である(実施例9および10における記載を参照)。 図10は、グレリン製剤の薬物動態学を調べるための、動物研究の概要を示す図面である(更に、実施例9および10における記載を参照)。 図11は、グレリンの皮下投与が成長ホルモンレベルに及ぼす効果を示す図面である。結果は、成長ホルモンレベルの5倍以上の明らかな増大を示す。

Claims (44)

  1. 処置の必要な個体における癌性悪液質の予防または治療のための薬剤の製造における、グレリン−様化合物またはその医薬的に許容し得る塩の使用であって、ここで、
    該グレリン−様化合物は、式I:
    −(X)−(X)−(X)−Z
    によって定義される構造を含み、式中、
    は、場合により現存する保護基であり;
    各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、ここで該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
    は天然または合成アミノ酸から選ばれるいずれかのアミノ酸であり、該アミノ酸はかさ高い疎水性基(アシル基または脂肪酸が好ましい)で修飾され;
    各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
    ここで、1つ以上のXおよびXは場合により、かさ高い疎水性基(アシル基または脂肪酸が好ましい)で修飾され得て;
    は場合により現存する保護基であり;
    mは1〜10の範囲の整数であり;
    nは0または1〜35の範囲の整数であり;そして、
    (a)該グレイン様−化合物は配列番号1と少なくとも80%相同である(例えば、配列番号1と少なくとも85%相同である)という条件で、該グレイン様−化合物またはその医薬的に許容し得る塩は長さが27〜28個のアミノ酸であり;および/または、
    (b)該グレイン様−化合物は配列番号1と少なくとも90%相同である、
    該使用。
  2. グレイン様−化合物は配列番号1と少なくとも95%相同である、請求項1記載の使用。
  3. グレイン様−化合物は配列番号1と少なくとも98%相同である、請求項1記載の使用。
  4. mは1〜9の範囲の整数であり、例えば1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の使用。
  5. は修飾Ser、修飾Cys、および修飾Lysの群から選ばれ、例えばXは修飾Serである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の使用。
  6. グレイン様−化合物は、
    式II:Z−Gly−(X)m−1−(X)−(X)−Z
    式III:Z−Gly−Ser−(X)−(X)−Z;および、
    式IV:Z−Gly−(X)−(X)−Z
    の化合物から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の使用。
  7. グレイン様−化合物は式IIIを有する、請求項6記載の使用。
  8. nは1〜25の範囲の整数であり、例えば1〜24、1〜15、1〜10、10〜25、10〜24、15〜25、15〜24である、請求項1〜7のいずれか1つに記載の使用。
  9. アシル基は、C1〜C35アシル基から選ばれ、例えばC1〜20アシル基、C1〜C15アシル基、C6〜C15アシル基、C6〜C12アシル基、C8〜C12アシル基から選ばれる、請求項1〜8のいずれか1つに記載の使用。
  10. アシル基は、C7アシル基、C8アシル基、C9アシル基、C10アシル基、C11アシル基、およびC12アシル基の群から選ばれる、請求項1〜9のいずれか1つに記載の使用。
  11. アシル基は、C8アシル基およびC10アシル基の群から選ばれる、請求項1〜10のいずれか1つに記載の使用。
  12. アシル基は、C7アシル基、C9アシル基、およびC11アシル基の群(例えば、C9アシル基およびC11アシル基の群)から選ばれる、請求項1〜11のいずれか1つに記載の使用。
  13. グレリン様−化合物は、グレリンまたはその医薬的に許容し得る塩である、請求項1記載の使用。
  14. グレイン様−化合物は、配列番号1、配列番号2、または配列番号3を有する、請求項1記載の使用。
  15. 薬剤は皮下投与用の製剤である、請求項1〜14のいずれか1つに記載の使用。
  16. 製剤は、凍結乾燥物としてグレリン様−化合物またはその塩を含み、そして該製剤はさらに溶媒を含み、該凍結乾燥物および該溶媒は、投与するまで別々のコンパートメント内とする、請求項1〜15のいずれか1つに記載の使用。
  17. 該製剤はグレリン様−化合物またはその塩の溶液である、請求項1〜16のいずれか1つに記載の使用。
  18. 溶媒は生理食塩水である、請求項16または17のいずれかに記載の使用。
  19. 薬剤は食前または食間に投与する、請求項1〜18のいずれか1つに記載の使用。
  20. 薬剤は体重kg当たり10ng〜10mgのグレリンと当量の濃度で投与する、請求項1〜19のいずれか1つに記載の使用。
  21. 薬剤は、体重kg当たり0.1μg〜1mgのグレリン、例えば体重kg当たり0.5μg〜0.5mgのグレリン、体重kg当たり1.0μg〜0.1mgのグレリン、体重kg当たりの1.0μg〜50μgのグレリン、体重kg当たり1.0μg〜10μgのグレリンと当量の濃度で投与する、請求項20記載の使用。
  22. 薬剤は、体重kg当たり0.1μg〜1mgのグレリン、例えば体重kg当たり0.5μg〜0.5mgのグレリン、体重kg当たりの1.0μg〜0.1mgのグレリン、体重kg当たり1.0μg〜50μgのグレリン、体重kg当たりの1.0μg〜10μgのグレリンと当量の濃度で投与する、請求項21記載の使用。
  23. 薬剤は食前または食間にボーラスで投与し、該ボーラスは0.3μg〜600mgのグレリンと当量のグレリン様−化合物またはその塩を含有する、請求項1〜22のいずれか1つに記載の使用。
  24. 薬剤は食前または食間にボーラスで投与し、該ボーラスは2.0μg〜200mgのグレリン、例えば5.0μg〜100mgのグレリン、10μg〜50mgのグレリン、10μg〜5mgのグレリン、10μg〜1.0mgのグレリンと当量のグレリン様−化合物またはその塩を含有する、請求項23記載の使用。
  25. 薬剤は1日に1〜3回投与し、各投与は、食間または食事のほぼ180分前、例えば食事のほぼ90分前、食事のほぼ45分前、食事のほぼ30分前、食事のほぼ25分前、食事のほぼ20分前、食事のほぼ15分前、食事のほぼ10分前、食事のほぼ5分前に行なう、請求項1〜24のいずれか1つに記載の使用。
  26. 薬剤は1日に3回投与する、請求項25記載の使用。
  27. 癌性悪液質は異化作用障害によって生じる、請求項1〜26のいずれか1つに記載の使用。
  28. 癌性悪液質は摂食障害によって生じる、請求項1〜26のいずれか1つに記載の使用。
  29. 個体は肺癌、膵臓癌、肝臓癌、または消化管癌から選ばれる癌を患っている、請求項1〜27のいずれか1つに記載の使用。
  30. 薬剤は化学療法薬剤と併用して投与する、請求項1〜29のいずれか1つに記載の使用。
  31. 癌性悪液質の治療または予防は、食欲の刺激、食物摂取の刺激、体重の増加もしくは体重の維持の刺激、および/または体脂肪量の増大を生じる、請求項1〜30のいずれか1つに記載の使用。
  32. 癌性悪液質を予防しまたは治療するための方法であって、処置が必要な個体に有効な量の請求項1〜14のいずれか1つに記載するグレリン−様化合物を投与することを含む、該方法。
  33. 癌を予防しまたは治療するための方法であって、処置が必要な個体に有効な量の請求項1〜14のいずれか1つに記載する分泌促進物質を抗新生物処置と併用して投与することを含む、該方法。
  34. 抗新生物処置は放射線療法である、請求項33記載の方法。
  35. 抗新生物処置は化学療法である、請求項33記載の方法。
  36. 癌性悪液質の治療または予防は、食欲の刺激、食物摂取の刺激、体重の増加もしくは体重の維持の刺激、および/または体脂肪量の増大を生じる、請求項33〜35のいずれか1つに記載の方法。
  37. 悪液質を予防しまたは治療する方法であって、処置が必要な個体に有効な量のグレリン−様化合物および有効な量のNSAID薬剤を投与することを含む、該方法。
  38. グレリン−用化合物は請求項1〜14のいずれか1つにおいて記載する、請求項37記載の方法。
  39. 皮下投与用製剤における薬剤の製造、個体に皮下用量の薬剤を投与することによる個体における食欲の刺激のための、グレリン−用化合物またはその医薬的に許容し得る塩の使用であって、ここで、
    グレリン−様化合物は、式I:
    −(X)−(X)−(X)−Z
    によって定義される構造を含み、式中、
    は、場合により現存する保護基であり;
    各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、ここで該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
    は天然または合成アミノ酸から選ばれるいずれかのアミノ酸であり、該アミノ酸はかさ高い疎水性基(アシル基または脂肪酸が好ましい)で修飾され;
    各Xは独立してアミノ酸から選ばれ、該アミノ酸は天然または合成アミノ酸から選ばれ;
    ここで、1つ以上のXおよびXは場合により、かさ高い疎水性基(アシル基または脂肪酸が好ましい)で修飾され得て;
    は場合により現存する保護基であり;
    mは1〜10の範囲の整数であり;
    nは0または1〜35の範囲の整数である、
    該使用。
  40. グレリン−様化合物は請求項1〜14のいずれか1つに記載する、請求項39記載の使用。
  41. 製剤は請求項15〜19のいずれか1つに記載する、請求項40記載の使用。
  42. 溶媒は生理食塩水である、請求項41記載の使用。
  43. 薬剤は請求項19〜26のいずれか1つに記載する通り投与する、請求項39〜42のいずれか1つに記載の使用。
  44. 個体はリポジストロフィーを患っている、請求項39〜43のいずれか1つに記載の使用。

JP2006522237A 2003-08-06 2004-08-06 分泌促進物質の使用 Pending JP2007523048A (ja)

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DKPA200301139 2003-08-06
DKPA200301140 2003-08-06
US49481503P 2003-08-14 2003-08-14
US49481603P 2003-08-14 2003-08-14
DKPA200301283 2003-09-05
DKPA200301569 2003-10-24
DKPA200301570 2003-10-24
DKPA200400570 2004-04-07
PCT/DK2004/000529 WO2005014032A2 (en) 2003-08-06 2004-08-06 Use of secretagogues like ghrelin in cancer cachexia and for stimulating appetite

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007523048A true JP2007523048A (ja) 2007-08-16

Family

ID=34139992

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006522237A Pending JP2007523048A (ja) 2003-08-06 2004-08-06 分泌促進物質の使用

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP1660117A2 (ja)
JP (1) JP2007523048A (ja)
WO (1) WO2005014032A2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008510706A (ja) * 2004-08-18 2008-04-10 エリクシアー ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド 成長ホルモン分泌促進物質
WO2011087102A1 (ja) * 2010-01-15 2011-07-21 国立大学法人宮崎大学 加療中動物の回復促進治療剤
WO2014054798A1 (ja) * 2012-10-04 2014-04-10 独立行政法人国立循環器病研究センター 悪性腫瘍転移抑制用医薬
JP2017526695A (ja) * 2014-09-04 2017-09-14 ヘルシン ヘルスケア ソシエテ アノニム アナモレリンに基づく医療

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1742655A2 (en) * 2004-04-07 2007-01-17 Gastrotech Pharma A/S Use of ghrelin for the treatment of hyperthyroidism
WO2005097174A2 (en) * 2004-04-07 2005-10-20 Gastrotech Pharma A/S Uses of a combination of ghrelin and somatotropin for the treatment of cachexia
JP2007537276A (ja) * 2004-05-11 2007-12-20 ザ ガバメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ, ナショナル イ グレリンを用いて炎症誘発性のサイトカイン発現を阻害する方法
WO2006045313A2 (en) * 2004-10-27 2006-05-04 Gastrotech Pharma A/S Uses of secretagogues for treatment of organ transplant patients
WO2006045319A2 (en) * 2004-10-27 2006-05-04 Gastrotech Pharma A/S Uses of growth hormone secretagogues in the treatment of individuals suffering from renal and/or liver failure
WO2006045314A2 (en) * 2004-10-27 2006-05-04 Gastrotech Pharma A/S Use of a growth hormone secretatogue for increasing or maintaining lean body mass and/or for treatment of chronic obstructive pulmonary disease
CN101443358B (zh) * 2006-03-13 2016-05-11 利亚特·明茨 生长素释放肽剪接变体在治疗恶病质和/或压食和/或厌食-恶病质和/或营养不良和/或脂肪营养障碍和/或肌肉消耗和/或刺激食欲中的用途
US7763707B2 (en) * 2006-03-13 2010-07-27 Liat Mintz Use of ghrelin splice variant for treating cachexia and/or anorexia and/or anorexia-cachexia and/or malnutrition and/or lipodystrophy and/or muscle wasting and/or appetite-stimulation

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04177224A (ja) * 1990-11-09 1992-06-24 Sharp Corp 液晶表示装置
WO2001056592A1 (en) * 2000-02-01 2001-08-09 Novo Nordisk A/S Use of compounds for the regulation of food intake
WO2001092292A2 (en) * 2000-05-30 2001-12-06 Merck & Co., Inc. Ghrelin analogs

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5798337A (en) * 1994-11-16 1998-08-25 Genentech, Inc. Low molecular weight peptidomimetic growth hormone secretagogues
IL145106A0 (en) * 2000-08-30 2002-06-30 Pfizer Prod Inc Intermittent administration of a geowth hormone secretagogue

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04177224A (ja) * 1990-11-09 1992-06-24 Sharp Corp 液晶表示装置
WO2001056592A1 (en) * 2000-02-01 2001-08-09 Novo Nordisk A/S Use of compounds for the regulation of food intake
WO2001092292A2 (en) * 2000-05-30 2001-12-06 Merck & Co., Inc. Ghrelin analogs

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008510706A (ja) * 2004-08-18 2008-04-10 エリクシアー ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド 成長ホルモン分泌促進物質
WO2011087102A1 (ja) * 2010-01-15 2011-07-21 国立大学法人宮崎大学 加療中動物の回復促進治療剤
US9078868B2 (en) 2010-01-15 2015-07-14 University Of Miyazaki Therapeutic agent for accelerating recovery of animal under medical treatment
WO2014054798A1 (ja) * 2012-10-04 2014-04-10 独立行政法人国立循環器病研究センター 悪性腫瘍転移抑制用医薬
JPWO2014054798A1 (ja) * 2012-10-04 2016-08-25 国立研究開発法人国立循環器病研究センター 悪性腫瘍転移抑制用医薬
US9486503B2 (en) 2012-10-04 2016-11-08 Shionogi & Co., Ltd. Medicinal agent for suppressing malignant tumor metastasis
US9987333B2 (en) 2012-10-04 2018-06-05 Shionogi & Co., Ltd. Method for suppressing malignant tumor metastasis
JP2017526695A (ja) * 2014-09-04 2017-09-14 ヘルシン ヘルスケア ソシエテ アノニム アナモレリンに基づく医療
JP2018154655A (ja) * 2014-09-04 2018-10-04 ヘルシン ヘルスケア ソシエテ アノニム アナモレリンに基づく医療
JP2021080281A (ja) * 2014-09-04 2021-05-27 ヘルシン ヘルスケア ソシエテ アノニム アナモレリンに基づく医療
JP7044918B2 (ja) 2014-09-04 2022-03-30 ヘルシン ヘルスケア ソシエテ アノニム アナモレリンに基づく医療

Also Published As

Publication number Publication date
WO2005014032A3 (en) 2005-03-17
EP1660117A2 (en) 2006-05-31
WO2005014032B1 (en) 2005-04-28
WO2005014032A2 (en) 2005-02-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2470940C2 (ru) Применение варианта сплайсинга грелина для лечения кахексии, и/или анорексии, и/или анорексии-кахексии, и/или нарушения питания, и/или липодистрофии, и/или мышечного истощения, и/или стимуляции аппетита
US20080300180A1 (en) Growth Hormone Secretagogue Receptor 1A Ligands
JP4177224B2 (ja) 胃切除術を受けた個体の低体重及び低体脂肪量を治療するためのグレリンの使用
JP2009507050A (ja) 胆道ジスキネジーおよび/または胆道痛/不快の治療のためのglp−1分子の使用
EP1812044A2 (en) Uses of growth hormone secretagogues in the treatment of individuals suffering from renal and/or liver failure
US10526383B2 (en) Ghrelin splice variant for treating neuronal damage, neurodegenerative disease, parkinsons disease, alzheimers disease, and/or depression
WO2006045314A2 (en) Use of a growth hormone secretatogue for increasing or maintaining lean body mass and/or for treatment of chronic obstructive pulmonary disease
JP2007523048A (ja) 分泌促進物質の使用
US20070037751A1 (en) Uses of secretagogues like ghrelin in cancer cachexia and for stimulating appetite
US7763707B2 (en) Use of ghrelin splice variant for treating cachexia and/or anorexia and/or anorexia-cachexia and/or malnutrition and/or lipodystrophy and/or muscle wasting and/or appetite-stimulation
WO2006045313A2 (en) Uses of secretagogues for treatment of organ transplant patients
WO2005097174A2 (en) Uses of a combination of ghrelin and somatotropin for the treatment of cachexia

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070620

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070620

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20090917

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100706

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110118