本発明は、ハードディスク装置又はこの類似物内において電流を計測する方法及び装置に関するものである。更に詳しくは、本発明は、磁気記録ヘッドと記録媒体間における電流の計測に関するものである。
ハードディスク装置は、一般的な情報記憶装置であり、基本的に、磁気読み取り及び書き込み要素によってアクセスされる一連の回転可能なディスクから構成されている。これらのデータ転送要素は、一般に、トランスデューサとして知られているが、通常、読み取り又は書き込み動作の実行を可能にするべく、ディスク上に形成された個別のデータトラック上の近接した相対位置に保持されているスライダ本体によって保持され、且つ、この内部に埋め込まれている。スライダ本体上に形成されたエアベアリング表面(ABS)には、ディスク表面に対してトランスデューサを適切に配置するべく、ディスクのデータトラックの上方においてスライダとトランスデューサを「浮上」させるのに十分な揚力を与える流動気流が作用する。磁気ディスクの高速回転は、ディスクの接線速度に対して実質的に平行な方向に、その表面に沿って気流の流れ又は風を生成する。この気流が、回転するディスクの上方におけるスライダの浮上を可能にするスライダ本体のABSと協働する。この結果、吊り下げられたスライダは、この自己駆動型のエアベアリングにより、ディスクの表面から物理的に離隔している。
ABSの設計における主要な目的のいくつかは、回転するディスクの表面に可能な限り近接してスライダ、及びこれに付いているトランスデューサを浮上させると共に、可変浮上条件とは無関係に、その一定の近接した距離を均一に維持するということにある。エアベアリングスライダと回転する磁気ディスク間の高さ又は離隔ギャップは、一般に、浮上高さと定義されている。一般に、取り付けられたトランスデューサ又は読み取り/書き込み要素は、回転するディスクの表面上のわずかに約1マイクロインチ未満のところを浮上している。スライダの浮上高さは、取り付けられた読み取り/書き込み要素の磁気ディスク読み取り及び記録能力に影響を与える最も重要なパラメータの1つであると見なされている。浮上高さが相対的に小さければ、トランスデューサは、ディスク表面上の異なるデータビット位置の間の相対的に大きな分解能を実現可能であり、この結果、データ密度及び記憶容量が改善される。相対的に小さいが強力なディスク装置を利用している軽量で小型のノートブックタイプのコンピュータが人気を博していることから、益々低い浮上高さに対するニーズが継続的に拡大している。
図1に示されているように、一般的なカタマランスライダ5として知られているABSの設計は、ディスクに対向するスライダ表面の外部エッジに沿って延びる平行なレール2及び4のペアによって形成可能である。様々な表面部分及び形状を有する3本以上の追加レールを含むその他のABS構造も開発されている。2本のレール2及び4は、通常、前方端6から後方端8にかけて、スライダ本体の長さの少なくとも一部に沿って延長している。前方端6とは、回転するディスクが、後方端8に向かってスライダ5の長さを移動する前に通過するスライダの端部として定義されている。図示のように、前方端6は、テーパーを有するように加工可能である(但し、この機械加工プロセスには、通常、大きな望ましくない公差が関係している)。トランスデューサ又は磁気要素7は、通常、図1に示されているように、スライダの後方端8に沿った位置に取り付けられている。レール2及び4は、スライダが浮上するエアベアリング表面を形成すると共に、回転するディスクによって生成される気流と遭遇した際に必要な揚力を与える。ディスクの回転に伴って、生成された風又は気流は、カタマランスライダレール2及び4の下に沿って、且つ、この間を通過する。気流がレール2及び4の下を通過するに伴って、レールとディスク間の気圧が増大し、これにより、正の加圧と揚力が与えられる。カタマランスライダは、一般に、回転するディスクの上方の適切な高さにおいてスライダを浮上させるのに十分な量の揚力又は正の荷重力を生成する。レール2及び4が存在しない場合には、スライダ本体5の大きな表面部分により、過大なエアベアリング表面部分が生成されることになろう。一般に、エアベアリングの表面部分が増大すると、生成される揚力の量も増大する。従って、レールが存在しないと、スライダは、回転するディスクから過剰に離れて浮上することになり、この結果、低い浮上高さを備えることに伴う前述のすべての利益が得られなくなる。
図2に示されているように、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)40は、多くの場合に、スライダの浮上高さを表す垂直間隔又はピッチ角及びロール角などの複数の自由度をスライダに与えている。図2に示されているように、サスペンション74は、矢印80によって示されている方向に移動する(エッジ70を具備する)可動ディスク76上においてHGA40を保持している。図2に示されているディスク装置の動作の際には、アクチュエータ72が、円弧78にわたって、ディスク76の様々な直径(例えば、内部直径(ID)、中間直径(MD)、及び外部直径OD))においてHGAを移動させる。
スライダの浮上高さが減少するに伴って、スライダのABSとディスクの表面間の干渉の頻度が増大する。この干渉は、しばしば、ヘッド/ディスク干渉(HDI)と呼ばれている。これには、スライダとディスク間の直接的な接触と、ディスク表面上の破片や潤滑剤などを通じた間接的な接触の両方が含まれる。HDIが大きいほど、スライダ及びそのABSの損耗と損傷も増大する。HDIによれば、読み取り/書き込みヘッドが直接的に損傷可能であり、或いは、エアベアリングが無効になることにより、重大な障害も発生し得る。
HDIと関連した問題を克服するべく、スライダの浮上高さには、許容値が設定されている。即ち、スライダの計測浮上高さが低過ぎると、ハードディスク装置の動作に悪影響を与える過剰なHDIが存在することになると仮定されている。しかしながら、前述のように、スライダの浮上高さが低いほど、装置のデータ容量は増大する。
浮上高さの許容値を使用してHDIを制御する際に観察される1つの問題点は、従来のスライダの浮上高さが低減されるに伴って、許容値が相対的に厳しいものになるという点にある。スライダの代表的な浮上高さは、数ナノメートルである。ディスク及びスライダの表面トポロジーにおける変動、両方の表面における振動、及び両方の表面に蓄積、移動、及び滴下される破片/潤滑剤により、特定の時点における浮上高さの計測が複雑化している。
スライダが益々小さくなるに伴って、容量プローブやフォトニックプローブなどの従来のスペーシングトランスデューサの収容が更に困難になっている。又、当技術分野において周知の透明ディスク上におけるスライダの浮上高さ試験が更なる問題を引き起こす。透明なディスクと、装置内において使用される磁気ディスクは、取り付け状態、ディスクの粗度、及び「摩擦帯電」によって生じる静電吸着が異なっているため、透明なディスク上における浮上高さの尺度を磁気ディスク上における浮上高さに相関させることはできない。又、このような低い浮上高さにおける浮上高さの計測分解能は、非常に乏しいものになり、且つ、透明なディスク上における浮上高さの計測により、スライダの汚染又は静電放電(ESD)損傷が発生する可能性もある。
浮上高さは、スライダの個々の領域において変化するため、エアベリング表面の非常に小さな領域上において浮上高さを測定することが提案されている。例えば、「磁気空間」とは、読み取り/書き込みヘッドの直下の空間のことであり、読み取り/書き込みヘッドからのリードバック信号を分析することにより、計測可能である。磁気空間の測定の際には、スライダ/ディスクインターフェイス内のディスク速度、気圧、ガスの組成を制御することにより、スライダの浮上高さを低減させる。又、浮上高さは、スライダ/ディスクインターフェイスにDC電圧を印加することによって低減することも可能である。磁気空間の変化は、例えば、Wallaceの式を使用して算出可能である。従って、磁気空間を大幅に低減可能なスライダは、十分な浮上高さのマージンを具備しているものと推定される。磁気空間を計測するこの方法を実装するためには、相対的に高価な装置が必要であり、且つ、これは、スライダのその他の部分がディスクに衝突していないことを保証するものではない。
当技術分野において知られているいくつかの方法は、スライダの浮上高さを推定するのではなく、HDIを直接的に検出するべく試みている。例えば、スライダとディスク間の摩擦は、歪計又はモーターの電力消費量によって計測可能である。スライダ/ディスクの衝突は、スライダからの音響放射から、又は圧電センサによって計測可能である。ディスクに対するスライダ位置の変動は、リードバック信号の振幅、周波数、又は位相変調を通じて検出可能である。これらのパラメータを計測するのに必要な装置は、高価であり、わずかなヘッド/ディスク干渉を検出することができないであろう。HDI検出用のもう1つの方法は、読み取り/書き込みヘッド内における温度の変化を検出するものである。前述の磁気空間の計測と同様に、監視対象である唯一の領域は、読み取り/書き込みヘッドであり、スライダ上のその他の領域がディスクに衝突する可能性を有している。
当技術分野において知られているように、スライダの浮上高さの低下に伴って、磁気媒体の記録トラック密度及び全体的なデータ容量が増大する。現在の装置においては、スライダの浮上高さは、10nm(ナノメートル)未満のレベルにある。ヘッドスライダとディスク間のこの小さな離隔距離に起因し、ヘッド/ディスクの接触が不可避である。ヘッド/ディスクが接触すると、読み取り/書き込みエラー、ヘッドスライダの損傷、ディスクの損傷、及び全体的なディスク装置の障害に結びつく可能性がある。
正常なディスク装置の動作においてヘッド/ディスクの接触を極小化するには、浮上高さ、スライダ及び媒体の表面粗度、及び粒子状の汚染物質の量を制御することが必須である。磁気ディスクの場合には、グライド試験を実行することにより、過剰な表面の突出や粒子を有するディスクをスクリーニングして除去している。圧電(PE)センサ又は音響放射(AE)センサを滑空ヘッド上に取り付けることにより、ディスク上に堆積された粒子に滑空ヘッドがヒットした際に、ヘッド/ディスクの接触を検出している。この技法において重要な要素は、試験装置の較正である。これを実行するには、通常、既知のトポロジーを具備したディスク媒体上において滑空ヘッドを使用することが必要となる。滑空ヘッドによって生成される信号は、突出(又は、凹凸)の高さと機器の利得に基づいている。
従来技術の滑空ヘッドの使用には、いくつかの問題が存在している。第1に、磁気ディスク上の実際の粒子及び突出の形状は、較正ディスクの既知のトポロジーとは異なる傾向を有している(例えば、磁気ディスク上の凹凸は、較正ディスク上の凹凸と比べた場合に、同一の高さを具備している場合にも、相対的に大きな横方向の寸法を具備可能である)。これが、実際の装置内の実際のヘッド/ディスク接触によるエネルギーを過小評価し得る較正信号に結びつくことになる(ヘッド/ディスク接触事象を見逃したり、相対的に高い滑空量に結びつくことになる)。第2に、PE又はAEセンサは、しばしば、スライダ内のエアベアリング共振によって励起可能である。この結果、このような状況においては、ヘッド/ディスク接触イベントが発生していない場合にも、ヘッド/ディスクの接触が検出される可能性がある。
エアベアリングスライダの表面粗度を制御してヘッド/ディスクの接触を極小化することは重要であるが、この特徴についてスライダを試験することはできない。これは、試験の際にスライダを損傷する静電ショック放電(ESD)の可能性に部分的に起因している。このような場合には、その他の装置のサンプルとして少数のスライダのみを使用し、それらの特徴を試験することになる。一方、磁気及び電気性能については、(例えば、動的電気試験(DET)によって)すべての磁気ヘッドを試験している。しかしながら、スライダヘッド上における表面の突出又は粒子の存在に起因し、DET試験を使用してヘッド/ディスクの接触を容易に検出することはできない。
ヘッド/ディスクの接触は、磁気ヘッドの電気性能又は磁気ヘッドの音響放射を監視することによっても計測可能である。ヘッドの電気性能に関しては、電気信号の計測に必要な装置は、ディスク装置に外付けされる。音響放射の場合には、前述のように、エアベアリング共振によって計測精度が阻害される可能性がある。
以上の内容に鑑み、ヘッド/ディスクの接触を検出する改善された方法及び装置に対するニーズが存在している。
本発明の一実施例によれば、磁気ヘッドスライダと磁気媒体間のインターフェイスにおいて電流を計測している。媒体(例えば、磁気記録ディスク)とヘッドスライダ間の電流の存在は、スライダ及びディスク上の電荷の存在に起因するものであり、これら2つの間の接触の際に放電が発生する。このような電流は、ヘッド/ディスクの接触に起因した摩擦電気帯電及び放電にも起因している。この放電電流は、非常に小さく、マイクロアンペア又はナノアンペアのレベルである。媒体とスライダ/ヘッド間の電流を計測することにより、スライダ/ディスクの接触の正確な評価が提供され、これにより、ディスクの真のグライド又はグライドなだれ点を判定し、汚染され(例えば、エアベアリング表面上の破片)、且つ、有効な動作のために低すぎる浮上高さを具備した磁気ヘッドスライダを識別可能である。
図3を参照すれば、ヘッド/ディスクインターフェイスにおいて電流を計測する装置が示されている。従来のディスク装置と同様に、スピンドル301によって回転する磁気記録媒体(例えば、磁気記録ディスク303)が設けられている。この例においては、ディスク303は、スピンドル301にクランプされており、且つ、電気的に接地されている。ディスクの移動する表面の上方をヘッドが浮上するように、エアベアリング表面を有するヘッド(例えば、磁気記録ヘッド305)が設けられている。ピコアンメータ(例えば、オハイオ州クリーブランドにあるKeithley Instruments, Inc.が製造した6487型ピコアンメータ/電圧源)などの電流計測装置が設けられている。
本発明の第1実施例においては、(ヘッド305及びその支持湾曲部を含む)ヘッドジンバルアセンブリ(HDA)は、グランドから電気的に絶縁されている。アンメータ309は、サスペンション307上において磁気記録ヘッドに電気的に接続されている接点313に接続されることであろう。図3からわかるように、HGAがグランドから電気的に絶縁されていれば、アンメータ309は、接触の際に起こるであろうなどのように、ディスクとヘッド間に流れる電流を検出するであろう。
第2実施例においては、アンメータ309は、サスペンション307とは別個のワイヤ(図3には具体的に示されてはいない)を通じてスライダ305に結合されている。この場合にも、記録ヘッド/スライダは、グランドから電気的に絶縁されており、アンメータ309は、ヘッド305と記録媒体303間の電流を計測することになろう。この実施例は、小さな容量を与え、従って、電流計測に大きな感度を与えるであろう。
前述の実施例においては、6487型ピコアンメータ/電圧源は、それぞれの回転ごとに複数のヘッド/ディスクの接触が起こる場合に観察可能なものなどのように、いくぶん安定した低レベルの電流を計測するのに適用できる。同一製造者による428型電流増幅器は、電流が(ヘッドとディスク上の粒子間の接触に起因して)相対的に過渡的である状況に適しているであろう。
ヘッド/スライダとディスク間の電流計測において、バイアス電圧を使用するかどうかは、前述のように、浮上高さとヘッド/ディスク接触の特性によって左右される。例えば、ディスクのそれぞれの回転ごとに複数のヘッド/ディスクの接触が発生する環境においては、6487型ピコアンメータが使用され、この時は、ヘッド/スライダとディスク間の間隔に応じて、0〜2ボルトの外部電圧を印加する。図4を参照すれば、代表的なヘッド/ディスクインターフェイスの電流計測結果が示されている。図4において、下部のライン401は、グラフの左側のY軸指標に示されているヘッド/ディスクインターフェイスを介した電流(単位:ナノアンペア)を表している。X軸は、計測されたHDIに対する印加電圧(単位:ボルト)を示している。印加電圧が増大するに伴って、HDI電流は、略指数的(Expon.)に上昇している。上部のライン403は、グラフの右側のY軸指標に示されているように、計測された音響エネルギーの二乗平均(RMS)(単位:ミリボルト)を表している。AE計測は、いくぶん散乱した状態にあり、ヘッド/ディスクの接触に対する感度が低いことを示していることを容易に観察可能である。印加電圧の増大に伴って、スライダの浮上高さが減少すると共に、ヘッド/ディスクの接触数が増大し、結果的にHDI電流が増大することに留意されたい。
図5を参照すれば、印加電圧とHDI電流の関係を示すグラフが示されている。第1ラインであるライン501により、HDI電流(単位:ナノアンペア)が印加電圧(単位:ボルト)に対してプロットされている。第2ラインであるライン503は、印加電圧に対するスライダヘッドからの読み取り信号の強度を示している。この例においては、読み取り信号強度は、マイクロインチ(μ”)を単位として表されており、50%のピーク高さにおけるパルス幅(PW50)に関係付けられている。PW50信号は、印加電圧の増大と共に減少している。この例においては、PW50信号は、略4.5ボルトにおいて水平状態に到達していることに留意されたい。又、この地点においてHDI電流が急激に増大していることにも留意されたい。これは、この地点においてヘッドスライダがディスクと接触状態にあるということの指標である。
ヘッドスライダとディスク間の相互作用は、擬似平行コンデンサとしてモデル化可能である。ディスクとヘッドスライダの間の吸着力fは、次のように表現可能である。
f=kV2/d2 (式1)
ここで、kは定数であり、Vは印加電圧であり、dはディスクに対するヘッド/スライダの間隔である。式1から、印加電圧が増大すると、結果的にヘッド/スライダとディスク間の吸着力が大きくなり、これを補正するべく距離dが小さくなる。前述のように、ヘッド/スライダ及び/又はディスク上の凹凸に起因し、ヘッド/ディスクの接触が発生する。接触が発生すると、放電電流が生じ、この電流が増大すると共に、接触面積及び/又は接触回数も増大する。
前述のように、断続的なヘッド/ディスクの接触の場合には、電流増幅器(例えば、Keithly428電流増幅器)を使用して過渡電流を計測可能である。図6においては、上部のライン601は、ヘッドスライダが磁気ディスク上の粒子の上方を浮上した際の過渡電流を表している。下部のライン603は、同一の時間ウィンドウにおける音響放射を表している。図6からわかるように、過渡電流は、粒子の存在を通知するスパイクを示している。この例においては、時間ウィンドウは、10Φsであり、電流振幅は、29ΦAである。
本発明のHDI電流計測を有効に使用可能なアプリケーションとしては、様々なものが存在している。例えば、磁気性能の計測に使用される動的電気試験(DET)においては、HDIの電流計測により、低過ぎる浮上高さを備えるスライダ/ヘッドとみなす判定が可能である。このような場合には、過剰なHDI電流は、スライダ/ヘッドのエアベアリング表面の設計が十分に高い浮上高さを与えないということの指標となりうるであろう。
前述のように、グライド試験を使用することにより、表面の突出又は粒子を計測する。所定の磁気ディスクの回転においていくつかの「ヒット」が存在する場合には、HDIにおける平均電流を使用することにより、グライドなだれ点を判定可能である。図6に示されているように、HDI電流計測システムは、グライド試験における標準的な音響放射計測よりも高感度を有している。
又、HDI電流の計測を使用することにより、組み立て後のディスク装置を試験することも可能である。HDIを使用し、ディスク装置の様々な動作環境においてヘッド/ディスクの接触を計測可能である(例えば、正常な周辺圧力におけるものと高高度周辺圧力におけるもの)。又、HDI電流計測を使用することにより、スライド/ヘッドが(例えば、傾斜保持板を使用して)ディスクにロード/アンロードされる際のヘッド/ディスクの接触を検出することも可能である。又、HDI電流計測を介してヘッド/ディスクの接触を監視することにより、機械的なショックの際の装置の性能を試験することも可能である。
以上、前述のアプリケーションを参照し、本発明について説明したが、好適な実施例に関するこの説明は、制限を意図するものと解釈されてはならない。本発明のあらゆる態様は、本明細書に記述されている特定の描写、構成、又は寸法に限定されてはおらず、これは、様々な原理及び変数によって左右されることを理解されたい。当業者には、本開示内容を参照することにより、開示されている装置の形態及び詳細における様々な変更、並びに、本発明のその他の変形が明らかとなろう。従って、添付の請求項は、本発明の真の精神と範囲に属する前述の実施例のこのようなあらゆる変更又は変形を包含することを意図している。
例えば、図3と関連し、スライダ用の電気接続は、ディスク装置の既存のプリント回路基板(PCB)上に提供可能である。図5に示されているように、印加電流の増大により、ヘッド/スライダの浮上高さは減少する。フィードバック信号としてのHDI電流の計測値により、印加電流、並びに、従って、スライダの浮上高さを適宜調節可能である。印加電流量を確認した後に、正常な動作において、この印加電流量を(例えば、ディスク装置のPCBを介して)スライダに印加することになろう。これを考慮した場合に、ディスク装置を使用する環境に応じて印加電流は異なるものであってよい。
テーパを有する従来のカタマランエアベアリングスライダ構造を備えた読み取り及び書き込み要素アセンブリを有する浮上中のスライダの透視図である。
可動磁気記憶媒体上における取り付けられたエアベアリングスライダの平面図である。
本発明の一実施例による磁気ヘッドと磁気記録媒体間の電流を計測するシステムのブロックダイアグラムである。
本発明の一実施例によるHDI電流計測を従来技術の音響エネルギー計測と比較したグラフである。
本発明の一実施例によるスライダ/ヘッドからのPW50信号とスライダ/ヘッドのHDI電流計測を比較したグラフである。
本発明の一実施例によるHDI電流計測を従来技術による音響エネルギー計測と比較したグラフである。