JP2007522352A - 半硬質の保護用ヘルメット - Google Patents

Abstract

保護用ヘルメット（１）は、変形可能なフォームライナー（７）と、複数のシェル断片（９）と、シェル断片（９）間の接合を実現する可撓性材料から作られた接合手段とを備えている。シェル断片（９）は、少なくとも一つの頭頂部断片（９ａ）、少なくとも一つの後頭部断片及び複数の横側部断片（９ｃ）を形成するようにフォームライナー（７）上に配列されている。シェル断片（９）と、可撓性材料から作られた接合手段とは、フォームライナー（７）とシェル断片（９）の少なくとも一部との間で僅かな滑動を許容するような態様で、フォームライナー（７）に接合されている。ヘルメット（１）は、好ましくは、ヘルメット（１）の寸法を調節するとともに使用者の快適さを最適化するように設計されたヘッドバンド調節手段（１４）を備えている。

Description

本発明の背景
本発明は、変形可能な内部フォームライナーと、少なくとも一つの頭頂部断片、少なくとも一つの後頭部断片及び複数の横側部断片を形成するようにフォームライナー上にスケール（うろこ）の形態で配列された複数の硬質の外部シェル断片と、断片間の接合を実現する可撓性材料から作られた接合手段とを備えた保護用ヘルメットに関する。

技術分野の現状
多くのスポーツ又はレジャー活動において、保護用ヘルメットの使用が必要とされている。一般的に言って、ヘルメットは、比較的重く、かさばるものであり、美的外観や使用者によって求められる快適さを損なうことに対する保護及び安全性を保証する一体構造の外部シェルを備えている。

このような目的のため、文献ＷＯ−Ａ１−９８０６２８５（国際公開第９８／０６２８５号パンフレット）には、保護、安全性及び快適さの全てを保証するために使用者の頭部の形態に合わせて調節することが可能な保護用ヘルメットが記載されている。図１及び図２において、ヘルメット１は、内部層３を備えており、この内部層３は、緩衝要素２と、緩衝要素２上に固定されるとともに幾つかの規則的な部品に分割された複数の構造体３ａ〜３ｇとによって形成されている。ヘルメット１は、また、外部層４を備えており、この外部層４は、実質的に同一の形状を持つとともに構造体３ａ〜３ｇの間にはまるように経度的に離間した複数の縦パネル４ａ〜４ｇによって形成されている。パネル４ａ〜４ｇは全て、それらの上部縁で上部頭頂部５に接合されている。構造体３ａ〜３ｇは、可撓性弾性材料から作られた可撓性接合手段６によりパネル４ａ〜４ｇに接合されている（図２）。

これらの可撓性手段６は、ヘルメット１が使用者の頭部にはめられたときに、構造体３ａ〜３ｇが互いから離れるように移動して、ヘルメット１の寸法を変化させることを可能にする。ヘルメット１のこのような構成は、従って、使用者が、ヘルメット１の寸法を、使用者の頭部の形態に合わせて調節することを可能にする。

保護及び安全性は、比較的硬質の材料から作られた構造体３ａ〜３ｇ及びパネル４ａ〜４ｇにより確保される。使用者の頭部の形態に合わせた調節は、構造体３ａ〜３ｇをパネル４ａ〜４ｇに接合させるための可撓性弾性編織材料の断片により形成された可撓性接合手段６により実現される。

しかしながら、ヘルメット１の変形は最適なものではない。パネル４ａ〜４ｇは、実際には、全て縦方向に延びるものである（図１）。その変形は、このため、ヘルメット１の全周囲に亘って規則的なものとなる。このような変形は、可撓性接合手段６によって応力が加えられることとなり、構造体３ａ〜３ｇ上へのパネル４ａ〜４ｇの弾性復原現象を生じさせる。可撓性接合手段６は、パネル４ａ〜４ｇをそれらの静止位置へ戻るように促し、且つ、頭部のレベルで圧縮効果を引き起こす。使用者は、このため、ヘルメット１を長時間使用した後では、頭痛に悩みがちとなる。頭部の形態に合わせた調節は、このため、最適なものではない。緩衝要素２が構造体３ａ〜３ｇによりパネル４ａ〜４ｇに接合されているので、快適さについてもまた問題がある。パネル４ａ〜４ｇ及び構造体３ａ〜３ｇの相対的な変形は、このため、互いに依存したものとなる。

加えて、ヘルメット１の構造は、上部頭頂部５に接合されたパネル４ａ〜４ｇが硬質であり且つほとんど折り畳むことができないので、（特に収納時の態様での）空間占有の問題を生じさせる。

さらに、文献ＤＥ１９９３６３６８（独国特許発明第１９９３６３６８号明細書）及びＵＳ３２０８０８０（米国特許第３２０８０８０号明細書）には、それぞれ、ヘルメットの全外部層に亘って配列された多数の小さなシェル断片を有する保護用ヘルメットが記載されている。さらにまた、文献ＤＥ１９９３６３６８においては、ヘルメットが、使用者の頭部の寸法に応じてヘルメットの寸法を調節するための、その内部層に挿入されたコードシステムを備えている。

しかしながら、これらのヘルメットの構造は、比較的不快感を伴うものであることが分かっており、且つ、文献ＤＥ１９９３６３６８に記載された調節システムは効率的ではなく、且つ、実施するのにあまりにも複雑である。
国際公開第９８／０６２８５号パンフレット 独国特許発明第１９９３６３６８号明細書 米国特許第３２０８０８０号明細書

本発明の目的
本発明の目的は、これらの短所を改善すること、及び、異なった頭部の形態に合わせて調節することが可能で、且つ、使用者の快適さ及び保護が最適化されることを可能にする保護用ヘルメットを提供することにある。

本発明によれば、この目的は、従属請求項によるヘルメットにより、より特定的には、シェル断片及び可撓性接合手段が、フォームライナーとシェル断片の少なくとも一部との間で僅かな滑動を可能にするような態様で、フォームライナーに接合されることにより、達成される。

他の利点及び特徴は、非限定的な例としてのみ与えられ且つ添付図面に図示された、本発明の特定の実施形態についての以下の説明から、よりはっきりと明らかになるであろう。

発明を実施するための形態

特定の実施形態の説明
図３及び図４において、ヘルメット１は、変形可能なフォームライナー７により形成された内部層と、例えばキャップ体８により形成された可撓性接合手段と、複数の硬質のシェル断片９により形成された外部層とを備えている。シェル断片９は、キャップ体８に固定的に取り付けられ、且つ、キャップ体８により互いに関して関節状に連結されている。好ましくは編織材料又はエラストマーの特質を持つ可撓性材料から作られたキャップ体８は、フォームライナー７を覆い、且つ、シェル断片９の間での関節状の連結を確実にする。シェル断片９は、頭頂部断片９ａ、後頭部断片９ｂ、四つの横側部断片９ｃ及び前部断片９ｄを形成するような態様で、キャップ体８上に固定及び配列されている。図３に図示されたヘルメット１の特定の実施形態において、異なったシェル断片９は接合されておらず、且つ、互いに対して間隙１０により分離されている。これらの分離間隙１０は、ヘルメット１が使用者の頭部にはめられたときに、シェル断片９の非常に撓みやすい関節状の連結を確保する。

キャップ体８は、ヘルメット１が使用者の頭部にぴったり合うようにされたときに、フォームライナー７とシェル断片９の一部との間で僅かな滑動を許容するような態様で、フォームライナー７に接合されている。フォームライナー７とキャップ体８との間の接合は、例えば、ヘルメット１の縁部の全体に沿ってフォームライナー７を包み込む、キャップ体８の縫い目により達成される。このような構成は、従って、フォームライナー７とキャップ体８（シェル断片９を支持し且つ関節状に連結するもの）との間の僅かな滑動を許容するものである。ヘルメット１の全体の可撓性が維持され、且つ、この僅かな滑動が、ヘルメット１が使用者の頭部にはめられたときに、ヘルメット１が容易に変形することを可能にする。

代替的な実施形態は、フォームライナー７とキャップ体８との接合を、フォームライナー７及びキャップ体８を頭頂部断片９ａの下で付着させることにより実現するものである。頭頂部断片９ａは、このため、フォームライナー７上に固定され、一方、前部断片９ｄ、後頭部断片９ｂ及び横側部断片９ｃは、ヘルメット１の「ヘッドバンド」を形成し、且つ、ヘルメット１が使用者の頭部にはめられたときに、フォームライナー７に関して僅かな滑動を果たすように設計されている。

シェル断片９は、硬質であり、且つ、好ましくはショックに強い材料から作られている。選択された材料は、好ましくは、ショックの衝撃をフォームライナー７の全体に亘って分散するように十分に硬質でなければならない。材料は、例えば、ポリカーボネート（ＰＣ）、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン（ＡＢＳとして知られる）から作られる共重合体、長繊維熱可塑性又は熱硬化性マトリクス複合材料、又はアルミニウム（でさえも）から選ばれる。シェル断片９の厚さは、好ましくは、約１ｍｍ〜３ｍｍである。

シェル断片９は、工業的に知られた方法、特に射出、熱成形、圧縮又は延伸により製造される。例えば、頭頂部断片９ａをキャップ体８上に直接射出し、且つ、他の断片９をキャップ体８上に付着又は溶接することが可能である。同様の態様で、全てのシェル断片９又はシェル断片９の一部を溶接、縫付け又は付着（でさえも）することも可能である。

図５及び図６に図示されている代替的な実施形態において、保護用ヘルメット１は、シェル断片９の形状の点で、先に述べた実施形態と異なっている。これらのシェル断片は、シェル断片９の厚さよりも小さいかそれと等しい厚さを備えた縁部１９であって、尖った物体のどんな貫入をも防止し且つ使用者の安全性を高めるために、シェル断片９間の分離間隙１０を封鎖するように設計された縁部１９を備えるとよい。例えば、縁部１９は、隣接したシェル断片９（使用者の安全性を最適化するようにこれらとともに協働する）の上方及び下方に重ね合わされている。図５及び図６において、横側部断片９ｃは、頭頂部断片９ａ及び後頭部断片９ｂと協働するように設計された縁部１９ｃを備えており、前部断片９ｄは、頭頂部断片９ａ及び横側部断片９ｃの一部と協働するように設計された縁部１９ｄを備えており、且つ、後頭部断片９ｂは、頭頂部断片９ａと協働するように設計された縁部１９ｂを備えている。

図示されていない他の代替的な実施形態において、シェル断片９は、フォームライナー７を完全に覆う単一のシェル（シェル断片９を構成する肉厚の領域、及びシェル断片９を接合させる小さな材料架橋部品を構成する肉薄の領域を備えたもの）を形成するように、単一のプレート状に熱成形される。より薄い領域は、シェル断片９の関節状の連結のためのヒンジを形成し、且つ、異なった安全性の基準（特に、とりわけ標準ＥＮ１０７７により課されたコーン貫入試験に関するもの）に従ったものとなることを可能にする。

図３から図６までの特定の実施形態において、キャップ体８は、編織材料又はエラストマーから作られている。キャップ体８は、好ましくは、通気性を高めるために穴があけられているとよい。キャップ体８は、好ましくは、通気性を改良した穿孔防止織物（高い靭性を持つポリエステルタイプのもの）から作られるとよい。

可撓性があり且つ弾性のあるキャップ体８における特定の場合には、その弾性は、シェル断片９があまりにも遠く離れてしまうこと、及び、シェル断片９及びキャップ体８が互いに緩くなってしまうかもしれないことを避けるように、制限されなければならない。この特徴は、スキー用ヘルメットのための標準ＥＮ１０７７に従って使用者を保護するための、特に尖った物体から衝撃を受けるヘルメットの場合に、重要である。

図３、図４、図７及び図８に図示されているように、ヘルメット１は、有利には、キャップ体８にしっかりと固定された取付けストラップ１２を備えている。ヘルメット１は、あごストラップ１２ａと、ハーネスストラップ１２ｂとを備えている。図６において、ハーネスストラップ１２ｂは、良好な安全性及び良好な緩み防止性を確保するために、上部及び後部を介してフォームライナー７を取り囲んでいる。あごストラップ１２ａ及びハーネスストラップ１２ｂは、キャップ体８上にて例えば縫い込まれ又はリベットで止められている。

図７及び図８に図示されたフォームライナー７は、圧縮ショックのエネルギーを吸収する、半硬質の蜂の巣状の材料から作られており、且つ、ヘルメット１をかぶったときに使用者の頭部の形状に最大限はまり合うようにその材料及びその幾何学形状により屈曲変形が可能である。ヘルメット１は、従って、本物の変形可能な保護用シェルとして振る舞うことになる。

フォームライナー７は、例えばフラットカット法により、シート状のポリマーフォーム（例えば発泡ポリプロピレン）から製造される。フォームは、その厚さが約１５ｍｍ〜３０ｍｍで較正され、且つ、その密度が約６０ｇ／ｌ〜１００ｇ／ｌで較正されている。この種類のフォームの緩衝特性は、ショックの後にそれがその初期の形状に戻ることを可能にする記憶効果を呈するものである。フォームライナー７は、ヘルメット１への衝撃の後にその初期の形状に戻る。

フォームライナー７は、有利には、フォームライナー７の壁部の厚さに亘る複数の切抜き部１１を備えている。切抜き部１１は、好ましくは、シェル断片９を分離する間隙１０からずれており、これはとりわけ、安全性の理由及び尖った物体のどんな貫入をも防止するためである。切抜き部１１の主な機能は、ヘルメット１が使用者の頭部にはめられたときにフォームライナー７の変形を助長することである。切抜き部１１は、頭頂部断片９ａに設けられた空気通気口１５により集められた空気が良好に循環することを可能にするものである（図３及び図７）。通気口１５は、実際には、フォームライナー７の切抜き部１１に対向するように位置付けられることが好ましい（図７）。

図４、図７、図９及び図１０に図示されているように、ヘルメット１は、有利には、使用者の快適さを最適化するためにヘルメット１の寸法を調節し且つ使用者のヘッドバンドのレベルでの締付けを良好に分散するように設計されたヘッドバンド調節手段１４を備えている。調節手段１４は、好ましくは、後頭部断片９ｂに挿入され、且つ、ヘルメット１のヘッドバンドを構成する全てのシェル断片９（すなわち、後頭部断片９ｂ、前部断片９ｄ及び横側部断片９ｃの一部）が互いに対して移動することを可能にする。例えば、図４及び図７に図示されているように、調節手段１４は、後頭部断片９ｂと二つの横側部断片９ｃとを接合させる迅速取付けストリップ又は自己把持ストリップにより形成される。

図９に図示されている調節手段１４の代替的な実施形態においては、多方向ひも締結システムにより調節が実行される。調節手段１４は、好ましくは後頭部断片９ｂ上に固定された刻み付きノブ２１の周りに巻き付けられたひも２０を備えている。ひも２０は、好ましくはシェル断片９の縁部上に配列された締付け点２２を介して通されることにより、ヘルメット１のヘッドバンドを形成するシェル断片９を互いに連結する。調節手段１４の操作は、刻み付きノブ２１を、例えば、ヘルメット１を締め付けるために時計回りに動作させ、且つ、ヘルメット１を緩めるために反時計方向に動作させるというものである。この種類の締付けは、ヘッドバンド及びヘルメット１の深さが同時に調節されることを可能にする。

図１０に図示されている他の代替的な実施形態においては、ラックアンドピニオン式システムにより調節が実行される。調節手段１４は、ラックを形成する複数の歯２４が備え付けられたタブ２３であって、好ましくは後頭部断片９ｂに固定されたピニオン２５と協働するように設計されたタブ２３を備えている。タブ２３は、例えば側部断片９ｃの延長部として形成され、且つ、ヘルメット１のヘッドバンドを形成する断片９を互いに向かって移動させるために後頭部断片９ｂのピニオン２５に挿入される。調節手段１４の操作は、ヘルメット１を締め付けるために歯２４をピニオン２５内へ滑り込ませ、且つ、タブ２３を解放してヘルメット１を緩めるためにピニオン２５の二つのボタン２６を押すことにある。

図１１においては、三つの層（すなわち、フォームライナー７、キャップ体８及びシェル断片９）の配列が図示されている。キャップ体８は、フォームライナー７を完全に覆っており、且つ、フォームライナー７の切抜き部１１は、シェル断片９を分離する間隙１０からずれている。キャップ体８は、シェル断片９間の関節状の連結を確実にする撓みやすい連結をなしている。このような構成は、このため、ヘルメット１の最適な変形を得るためにフォームライナー７とシェル断片９との間で求められる滑動を助長する。図７に誇張した態様で図示されている、フォームライナー７とキャップ体８との間の僅かな隙間は、フォームライナー７とシェル断片９との間の滑動の可能性を図示したものである。

図１２に係る代替的な実施形態は、フォームライナー７の形状の点で、先に述べた実施形態と異なっている。フォームライナー７は、フォームライナー７の変形を助長するように、フォームライナー７の壁部の厚さ方向に関して薄肉領域１６を備えている。薄肉領域１６は、好ましくは、シェル断片９間の間隙１０からずれている。薄肉領域１６を備えたフォームライナー７のこのような構成は、尖った物体がヘルメット１を貫通するというどんな危険性をも防止することを可能にし、実質的に使用者の安全性を改善するものである。

図１３に図示されている代替的な実施形態は、多層構造を呈するフォームライナー７を提供することにある。フォームライナー７は、シート２７を重ね合わせることにより形成されており、使用者の快適さ及び安全性のために、フォームライナー７の全体のより大きな変形能力を確実にするための、良好な圧縮吸収及び屈曲弾性特性を呈するものである。好ましくはフォームから作られたシート２７は、快適さ及び緩衝を助長するためにフォームライナー７の密度の段階的な変化を達成するように、種々の特質を持つことが可能である。

図１４に模式的に図示された、ヘルメット１の代替的な実施形態は、キャップ体８の形状の点で、先に述べた実施形態と異なっている。その内部にシェル断片９が収容される仕切室１３が、この場合、キャップ体８上に形成されている。シェル断片９は、キャップ体８にしっかりと固定された仕切室１３内で自由になっている。仕切室１３は、その内部面に関しては、キャップ体８の材料と同一の材料で製造され、且つ、その外部面は、よりいっそう装飾的な材料で製造される。ヘルメット１は、シェル断片９とキャップ体８との間の僅かな滑動を許容するものである。ヘルメット１の変形は、このため、フォームライナー７とシェル断片９との間、及びキャップ体８とシェル断片９との間の両方における僅かな滑動に関して最適となっている。

例えば、この代替的な実施形態は、シェル断片９を覆う仕切室１３のために種々の織物が選択されることを可能にし、且つ、例えば、粗く仕上げられた状態を呈するシェル断片９が使用されることを可能にする。溶接及び付着と比較した場合の、このような解決手段の利点は、また、キャップ体８の全面に亘って編織材料の可能な弾性特性を使用することにある。

図１５において、ヘルメット１の代替的な実施形態は、シェル断片９を関節状に連結する可撓性接合手段の点で、先に述べた実施形態と異なっている。フォームライナー７は、頭頂部断片９ａに固定的に取り付けられ、且つ、シェル断片９間の分離間隙１０からずれた切抜き部１１を備えている。頭頂部断片９ａ及び横側部断片９ｃは、例えば可撓性材料から作られたストリップ１７により、互いに関節状に連結されている。ストリップ１７は、例えば、先に述べた実施形態のキャップ体８として使用されているものと同一の織物から作られている。

図１６に図示されている代替的な実施形態によれば、ストリップ１７は、エラストマーから作られているとよい。シェル断片９は接合されておらず、且つ、シェル断片９間の分離間隙１０は、ストリップ１７を形成するエラストマーにより満たされており、これが、物体のどんな貫入をも防止して使用者の安全性を高めることとなる。

図１７において、シェル断片９は、ヘルメット１の穿孔防止の特徴を保証するために、特に、標準ＥＮ１０７７の要求に合致するために、僅かな重なり合いを持っているとよい。この特定の実施形態において、シェル断片９は、可撓性材料又はエラストマーのストリップ１７により関節状に連結されており、且つ、シェル断片９の重なり合いは、ヘルメット１が使用者の頭部にはめられたときに、フォームライナー７とシェル断片９との間の僅かな滑動を損なわない。

同様に、図１８において、ヘルメット１は、フォームライナー７に固定的に取り付けられ、且つ、シェル断片９間の分離間隙１０に対向するように配列された複数の追加的なシェル断片１８を備えているとよい。シェル断片９は、追加的なシェル断片１８に対向するように配列された、可撓性材料又はエラストマーのストリップ１７により、関節状に連結されている。ヘルメット１の穿孔防止の特徴は、それにより確保される。

他の代替的な実施形態（図示せず）によれば、ヘルメット１は、有利には、シェル断片９を覆う編織物材料の外部包囲体を備えているとよい。この外部包囲体は、よりいっそうの美的外観を備えたヘルメット１が得られることを可能にする。例えば、外部包囲体は、シェル断片９の一部のみを覆っているとよい。例えば、頭頂部断片９ａを見えるように残しつつ、他の断片９ｂ，９ｃ，９ｄを外部包囲体で覆う、ということも可能である。このような非常に有利な構成は、外部包囲体及び頭頂部断片９ａの材料及び色の組み合わせを変化させることにより、ヘルメット１について多数の可能なものが予想されることを可能にする。

その上、ヘルメット１の折り畳み型のものを達成することも可能である。横側部断片９ｃ、後頭部断片９ｂ及び前部断片９ｄは、ヘルメット１の内側へ向かって折り畳まれ、これにより、その全体の寸法をかなり減少させる。ヘルメット１は、従って、例えばリュックサックに詰め込んで運搬することがより容易になる。

ヘルメット１により作り出される利点は、非常に多い。この変形可能なヘルメット構造は、構造の可撓性、層間の滑動の可能性及びヘッドバンド調節手段１４のために、幾つかのヘルメットサイズ（２〜３サイズ）がカバーされることを可能にする。

このヘルメットは、ある限定された数の基準的なもので、ある範囲のサイズ（例えばサイズ５０〜サイズ６０）をカバーすることが可能である。その上、二つのサイズの基準的なものの間で、あるシェル断片９（例えば頭頂部断片９ａ）を維持しながら、他のシェル断片９の寸法のみを修正することも予想可能なものである。ヘルメット１を製造するのに必要とされる工具類の数は、従って、減少される。

ヘルメット１の重量は、フォームライナー７の厚さ及び体積の最適化のために、非常に減少される。フォームライナー７のフォームの有用な厚さは、頭部の形状に合うように最適化される。快適さを調節するのに通常必要とされる無用な体積を減らすことは、フォームライナー７が頭部の非常に近くに位置付けられることを可能にする。主な効果は、頭部からずっと離れた表面でのショックにより作られるレバレッジ効果の減少にある。ヘルメット１は、使用者の頭部により形成される緩衝止めに近づく前に加速されない。衝撃表面は、より良好に分散されたものとなり、改良された快適さ及び安全性をもたらすことになる。

シェル断片９を備えたヘルメット１の構成は、個々のシェル断片９の相対的な移動性のために、頭部の形状に対しての優れた調節性を持ち、ヘルメット１の真の適合に寄与するものである。特に、使用者の頭部をしっかりと押圧する後頭部断片９ｂは、ヘルメット１の良好な保持及び安全性の高められた感覚をもたらす。シェル断片９及び間隙１０の位置及び特有の形状は、最適な変形をもたらすものである。その上、シェル断片９の数が多くなると、使用者の快適さがより改良されることとなる。

使用者は、頭痛を引き起こしかねない弾性的な復原を感じることがなく、且つ、ヘルメット１は、着用が簡単で快適でありながら、その総体積が減少したものとなる。

ヘルメット１は、その一般的な外観がキャップ体のそれよりもずっとよいので、より美的であり且つあまり突き出たものとはならない。ヘルメット１は、また、それが頭部により近づくので、使用者の視野が改良されることを可能にする。

頭頂部断片９ａ、他のシェル断片９、及びシェル断片９を覆う外部包囲体（適用可能であれば）の材料及び色の全ての可能な組み合わせのために、ヘルメット１のあらゆるものを提供することが容易である。ヘルメット１のこのようなコンセプトは、個々の活動分野（水上競技、自転車競技、サイクリング、スケート、ローラースケート、洞穴探検、登山、登坂、スキー、スノーボード等）に適したスタイル及び機能のバージョンを提供するのに適用することが可能である。

本発明は、上述した種々の実施形態に限定されるものではない。全ての種類のヘルメットのように、頭部とフォームライナー７との間の接触の快適さを改良するために、ヘルメット１の内側に、排水用、通気用及び抗菌用の織物の裏を付けることも可能である。

フォームライナー７を、キャップ体８に個々に接合される小さな断片に分けることが可能である。フォームライナー７内に、発泡ボールで満たされた仕切室を作ることも可能である。このようにして形成されたフォームライナー７は、従って、その粒状の振る舞いのために、変形に対して非常に大きな適性を持つ。

シェル断片９は、一つのプレートから一度の作業で熱成形され、それから、ウォータージェット又はデジタル的に制御された機械加工により切り出され、そしてそれから、キャップ体８又はストリップ１７上に固定されることが可能である。

ヘルメット１の通気を助長するため、頭頂部断片９ａの通気口１５に加えて、種々のシェル断片９に小さな穴を穿孔し、且つ、それを大きな開口のあるメッシュタイプの織物又は通気膜で覆うことが可能である。通気は、また、非常に通気性のある編織物材料を選択することにより、キャップ体８又はストリップ１７のレベルで実行されることが可能である。

シェル断片９、キャップ体８及びストリップ１７に対して他の形状を使用することが可能であるが、ヘルメット１の構造は、使用者の快適さを最適化するために、ヘルメット１が使用者の頭部にはめられたときに、少なくともシェル断片９の一部とフォームライナー７との間での僅かな滑動を許容しなければならない。

従来技術に係る保護用ヘルメットを図示する。 図１に係るヘルメットの断面図を図示する。 本発明に係る保護用ヘルメットの一実施形態の斜視図を図示する。 本発明に係る保護用ヘルメットの一実施形態の斜視図を図示する。 本発明に係る保護用ヘルメットの代替的な実施形態の分解斜視図を模式的に図示する。 本発明に係る保護用ヘルメットの代替的な実施形態の分解斜視図を模式的に図示する。 図３及び図４に係るキャップ体のないヘルメットの斜視図を図示する。 図３、図４及び図７に係るヘルメットのフォームライナーの斜視図を図示する。 本発明に係る保護用ヘルメットの代替的な実施形態のヘッドバンド調節手段の一実施形態を模式的に図示する。 本発明に係る保護用ヘルメットの代替的な実施形態のヘッドバンド調節手段の一実施形態を模式的に図示する。 図３、図４、図７及び図１０に係るヘルメットの構造の一部の断面図を模式的に図示する。 本発明に係るヘルメットの代替的な実施形態の構造の一部の断面図を模式的に図示する。 本発明に係る保護用ヘルメットの代替的な実施形態の構造の一部の断面図を模式的に図示する。 本発明に係るヘルメットの代替的な実施形態のキャップ体の一部の断面図を模式的に図示する。 本発明に係る保護用ヘルメットの代替的な実施形態の構造の一部を模式的に図示する。 本発明に係る保護用ヘルメットの代替的な実施形態の構造の一部を模式的に図示する。 本発明に係る保護用ヘルメットの代替的な実施形態の構造の一部を模式的に図示する。 本発明に係る保護用ヘルメットの代替的な実施形態の構造の一部を模式的に図示する。

Claims (17)

1. 保護用ヘルメット（１）であって、変形可能な内部フォームライナー（７）と、少なくとも一つの頭頂部断片（９ａ）、少なくとも一つの後頭部断片（９ｂ）及び複数の横側部断片（９ｃ）を形成するように前記フォームライナー（７）上に配列された複数の硬質の外部シェル断片（９）と、前記シェル断片（９）間の接合を実現する可撓性材料から作られた接合手段とを備え、前記シェル断片（９）と、可撓性材料（８，１７）から作られた前記接合手段とが、前記フォームライナー（７）と前記シェル断片（９）の少なくとも一部との間で僅かな滑動を可能にするような態様で、前記フォームライナー（７）に接合されることを特徴とする保護用ヘルメット。
2. 少なくとも一つの前部断片（９ｄ）を備えることを特徴とする、請求項１に記載のヘルメット。
3. 少なくとも四つの横側部断片（９ｃ）を備えることを特徴とする、請求項１又は請求項２に記載のヘルメット。
4. 少なくとも前記後頭部断片（９ｂ）に固定的に取り付けられるヘッドバンド調節手段（１４）を備えることを特徴とする、請求項１から請求項３までのいずれか一項に記載のヘルメット。
5. 前記調節手段（１４）が、前記シェル断片（９）を互いに接合させるひも（２０）であって、前記ヘルメット（１）の締付け及び弛緩を生じさせる刻み付きノブ（２１）と協働するひも（２０）を備えることを特徴とする、請求項４に記載のヘルメット。
6. 前記調節手段（１４）が、ラックを形成する複数の歯（２４）が備え付けられたタブ（２３）であって、後頭部断片（９ｂ）に固定的に取り付けられたピニオン（２５）と協働するように設計されたタブ（２３）を備えることを特徴とする、請求項４に記載のヘルメット。
7. 前記シェル断片（９）を覆う編織材料表面を備えることを特徴とする、請求項１から請求項６までのいずれか一項に記載のヘルメット。
8. 可撓性材料から作られた前記接合手段が、前記フォームライナー（７）を完全に覆うキャップ体（８）により形成されることを特徴とする、請求項１から請求項７までのいずれか一項に記載のヘルメット。
9. 前記キャップ体（８）が、その内部にシェル断片（９）が収容される仕切室（１３）を備えることを特徴とする、請求項８に記載のヘルメット。
10. 可撓性材料から作られた前記接合手段が、前記シェル断片（９）を互いに接合させるストリップ（１７）により形成されることを特徴とする、請求項１から請求項７までのいずれか一項に記載のヘルメット。
11. 前記ストリップ（１７）がエラストマーから作られることを特徴とする、請求項１０に記載のヘルメット。
12. 前記可撓性接合材料が、通気性を改良した穿孔防止織物から作られることを特徴とする、請求項１から請求項１０までのいずれか一項に記載のヘルメット。
13. 前記フォームライナー（７）が、前記シェル断片（９）間の分離間隙（１０）からずれた複数の切抜き部（１１）を備えることを特徴とする、請求項１から請求項１２までのいずれか一項に記載のヘルメット。
14. 前記フォームライナー（７）が、前記シェル断片（９）間の分離間隙（１０）からずれた複数の薄肉領域（１６）を備えることを特徴とする、請求項１から請求項１３までのいずれか一項に記載のヘルメット。
15. 前記フォームライナー（７）が、多層構造を形成する複数の重ね合わされたシート（２７）を備えることを特徴とする、請求項１から請求項１４までのいずれか一項に記載のヘルメット。
16. 前記フォームライナー（１７）が、良好な圧縮緩衝及び屈曲弾性特性を呈する発泡ポリプロピレンタイプのポリマーフォームから作られることを特徴とする、請求項１から請求項１５までのいずれか一項に記載のヘルメット。
17. 前記フォームライナー（７）に接合される複数の追加的なシェル断片（１８）であって、前記シェル断片（９）間の分離間隙（１０）に対向するように配列されたシェル断片（１８）を備えることを特徴とする、請求項１から請求項１６までのいずれか一項に記載のヘルメット。

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