JP2007516724A - 固相材料を用いて核酸を単離する方法およびキット - Google Patents

固相材料を用いて核酸を単離する方法およびキット Download PDF

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Abstract

本発明は、マイクロ流体装置および沈殿試薬を用いて、サンプル、好ましくは生物学的サンプルから核酸を単離するための方法およびキットを提供する。

Description

血液サンプル、組織サンプル、細菌細胞培養培地、および法医学サンプルなどの複雑なマトリックスから核酸(例えば、DNAおよびRNA)の単離および精製は、遺伝子研究、核酸プローブ診断、法医学DNA試験、および核酸の増幅を必要とする他の領域において重要な過程である。増幅法に関して核酸を調製する種々の方法が、当業界に公知であるが、その各々には限界がある。
全血からDNAを単離するための最も一般的な方法は、密度勾配を用いた末梢血単核細胞(PBMC)類の単離を含む。この方法は、研究適用に有効であるが、従来の統合的ハイスループットマイクロ流体装置の使用には一般に適切ではない。
非イオン性界面活性剤を含有する低張性緩衝液は、核を非損傷状態(例えば、未破壊)のまま赤血球(RBC)類ならびに白血球(WBC)類を溶解するのに用いることができる。別の方法では、全血が凍結と解凍に供される場合、RBCだけが溶解される。非損傷状態のWBC類またはそれらの核は、遠心分離により回収できる。WBC類を破壊しないRBC類の溶解に関する方法として、水希釈も使用できる。RBC類の選択的溶解に関する他の方法としては、塩化アンモニウムまたは四級アンモニウム塩類の使用、ならびに低張性緩衝液の存在下、RBC類を低張性ショックに供することが挙げられる。しかしながら、これらのアプローチのうちの1つを用いる従来の方法においては、PCR(例えば、酵素類の阻害剤)を阻害する物質を、核および/または核酸と共に共沈殿させる。これらの阻害剤は、従来のハイスループットマイクロ流体装置における分析前に除去しなければならない。
煮沸、プロテイナーゼによる加水分解、超音波への曝露などの処理、または強塩基類がDNA抽出に使用されているが、これらの方法の中でアルカリ抽出が最も簡便である。例えば、米国特許第5,620,852号明細書(リン(Lin)ら)は、1分という短い時間枠内で室温、アルカリ(例えば、NaOH)処理により実施された全血からのDNAの効率的な抽出を記載している。しかしながら、純粋なDNAを得るためには、ヘモグロビンならびに血漿蛋白質の除去が必要となる。これは、短時間の洗浄ステップの使用により、例えば、水中に血液を懸濁させ、次いで遠心分離し、上澄液を廃棄してからNaOHによるペレットの抽出により達成されている(例えば、Biotechniques、第25巻、第4号(1998年)588頁を参照)。細胞を溶解するために大容量の水が用いられるため、この方法は、標準的なマイクロ流体装置における使用によって不適切となる。
米国特許第5,010,183号明細書(ケロッグ(Kellogg)ら)は、血液からのDNA抽出のためにアルカリ性溶解を用いる遠心分離マイクロ流体ベースのプラットフォームを記載している。この方法は、生サンプル(例えば、5マイクロリットル(μL)の全血または大腸菌(E.Coli)懸濁液)を、5μLの10ミリモル(mM)NaOHと混合すること、95℃で1〜2分間加熱して細胞を溶解すること、DNAを放出させて、PCRを抑制する蛋白質類を変性させること、5μLの16mM トリス−HCl(pH7.5)と混合することにより溶解産物を中和すること、該中和溶解産物と、8〜10μLの液体PCR試薬およびプライマー類とを混合すること、次いで熱サイクリングを含む。あいにく、試薬容量が少なく、マイクロ流体装置に適してはいるが、マイクロ流体装置におけるDNAの下流処理が困難である。
別の従来の方法では、フェノールクロロホルム抽出が用いられる。しかしながら、これは、毒性で腐食性の試薬の使用を必要とし、自動化するのは容易ではない。
固相抽出は、核酸単離にも用いられている。例えば、核酸源から核酸を単離する一方法は、シリカ粒子の懸濁液と、反応容器内でグアニジニウムチオシアネートなどの緩衝カオトロピック剤との混合、次いでサンプルの添加を含む。カオトロープの存在下、核酸類をシリカ上に吸着させ、遠心分離により液相から分離し、アルコール水混液で洗浄し、最後に希釈水性緩衝液を用いて溶出する。シリカ固相抽出は、核酸を溶出することなく残留カオトロープを除去するためにはアルコール洗浄ステップの使用を必要とするが;引き続くステップにおける核酸を増幅、または修飾するために用いられる感応性酵素の阻害を防止するために、微量アルコールの全てを除去する(加熱蒸発または別の極めて揮発性で可燃性の溶媒を用いる洗浄によって)ために大いに注意を払わなければならない。次に核酸を、水または溶出緩衝液で溶出する。この結合、すすぎ、および溶出操作は、Qiagen(バレンシア、カリフォルニア州)などの多くの市販キットの基本である;しかしながら、この操作は極めてやっかいで、複数の洗浄ステップを含むため、マイクロ流体設定への適合が困難である。
イオン交換法により、高品質の核酸類が製造される。しかしながら、イオン交換法によって、該核酸類をさらに利用し得る前に典型的に除去しなければならない高濃度の塩類が存在することとなる。
国際公開第01/37291A1号パンフレット(マグナピュア(MagNA Pure))は、磁気ガラス粒子の使用、およびサンプルを、カオトロピック塩およびプロテイナーゼKを含有する特定の緩衝液とインキュベートすることにより溶解する単離方法を記載している。ガラス磁気粒子を添加し、サンプル中に含まれた全核酸類を、それらの表面に結合させる。未結合物質は、幾つかの洗浄ステップにより除去される。最後に純粋な全核酸を、高温で低塩緩衝液により溶出する。
さらに別の従来法は、生物学的サンプルを疎水性有機ポリマー固相に適用して、選択的に核酸を捕捉し、引き続き非イオン性界面活性剤により捕捉された核酸を取り出すことを含む。別の方法は、疎水性有機ポリマーを非イオン性界面活性剤により処理し、表面を洗浄し、引き続き処理された固相ポリマー材料を生物学的サンプルと接触させて、有機ポリマー固相に結合する核酸量を減少させることを含む。これらの固相法は、生物学的サンプルから核酸を単離する目的の有効な方法であるが、他の方法、特にマイクロ流体装置の使用に適した方法が必要とされている。
先行刊行物および他の先行知識を検討したが、このような材料が、公表され、公知であり、通常の一般的知識の一部であったということは認めているわけではない。
本発明は、核酸類を単離する方法、好ましくは精製および回収する方法を提供する。
本発明により単離された核酸類は、例えば、サンプル中に特定される核酸の存在の検出に関するアッセイにおいて有用となろう。このようなアッセイは、疾患の予測および診断、法医学、疫学、および公衆衛生学において重要である。例えば、単離されたDNAを、ハイブリダイゼーションおよび/または増幅に供して、個体における感染性ウィルスまたは突然変異遺伝子の存在を検出でき、該個体が、感染源または遺伝子源の疾患を患う確率の判定を可能にする。スクリーンされる数百または数千のサンプルの中で一サンプルにおける感染性ウィルスまたは突然変異遺伝子を検出する能力は、疾患の危険状態にある集団の早期検出または疫学、例えば、HIV感染、癌または癌に対する感受性の早期検出において、または新生児疾患のスクリーニングにおいて、実質的に重要なものであり、早期検出は診断および治療に役立ち得る。さらに、本発明の方法は、培養細胞または生化学的反応物から核酸を単離するための、基礎研究の実験室においても使用できる。核酸は、制限酵素消化などの酵素修飾、配列決定、および増幅に使用できる。
本発明は、核含有細胞(例えば、白血球細胞)中に含まれていても、含まれていなくてもよい核酸(例えば、DNA、RNA、PNA)を含むサンプルから核酸を単離する方法およびキットを提供する。これらの方法は、増幅反応(例えば、PCR反応に使用される)を阻害し得ることから望ましくないヘムおよびその分解産物(例えば、鉄イオン類またはそれらの塩類)などの阻害物質から核酸を最終的に分離することを含む。
本発明のある一定の実施形態は、有意な量の核酸を保持することなく固相材料内または上に阻害物質を保持すること(すなわち、該材料に対する阻害物質の付着)を含む。一般に好適な固相材料は、典型的に固相マトリックスに結合した捕捉部位(例えば、キレート性官能基)を有する任意の形態(例えば、粒子、フィブリル、膜)における固相マトリックス、固相材料上を被覆しているコーティング試薬(好ましくは、界面活性剤)または双方を含む。
一実施形態において、本発明は、サンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法は、核酸含有材料と阻害物質(一般的には、細胞に含有され;このような核酸含有材料および阻害物質含有細胞は同じものであってもよいし、異なっていてもよい)とを含むサンプルを提供することを含み;該サンプルが、阻害物質含有細胞を含む場合、該方法は、細胞膜を破壊し、阻害物質を放出し、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該サンプルと第1の溶解試薬とを任意に接触させること;該サンプル(一般的には、溶解サンプル)の濃縮領域については、核酸含有材料および阻害物質を含む前記サンプル(一般的には、溶解サンプル)の濃縮領域を形成すること;該サンプル(一般的には、溶解サンプル)の濃縮度の低い領域から該濃縮領域を実質的に分離すること;ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス中にからませた収着性粒子、および該固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含む固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料に、該サンプル(一般的には、溶解サンプル)の分離された濃縮領域を接触させ、該阻害物質(すなわち、少なくとも1種の阻害物質の少なくとも一部)の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させること;該サンプルの分離された濃縮領域を、該固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、を含む。
別の実施形態において、本発明は、サンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法は、阻害物質含有細胞と核含有細胞(このような阻害物質含有細胞と核含有細胞は同じものであってもよいし、異なっていてもよい)とを含むサンプルを提供すること;細胞膜を破壊し、核と阻害物質を放出し、溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該生物学的サンプルと非イオン性界面活性剤とを接触させること;該溶解サンプルの濃縮領域については、核および阻害物質を含む該溶解サンプルの濃縮領域を形成すること;該溶解サンプルの濃縮度の低い領域から該溶解サンプルの濃縮領域を実質的に分離すること;ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、該マトリックス中にからませた収着性粒子、および該固相材料上に被覆されたコーティング試薬を含む固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料に、該溶解サンプルの分離された濃縮領域を接触させ、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させること;該サンプルの分離された濃縮領域を、該固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、を含む。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法は、装填用チャンバ、バルブ付処理用チャンバおよび固相材料を含む分離用チャンバを含むマイクロ流体装置を提供すること;核酸含有材料と阻害物質(一般的には、細胞に含有され;このような核酸含有材料と阻害物質含有細胞とは同じものであってもよいし、異なっていてもよい)を含むサンプルを提供すること;装填用チャンバに前記サンプルを導入すること;細胞膜を破壊し、阻害物質を放出し、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該サンプルと第1の溶解試薬とを任意に接触させること;バルブ付処理用チャンバに該サンプル(一般的には、溶解サンプル)を移すこと;該サンプル(一般的には、溶解サンプル)の濃縮領域については、バルブ付処理用チャンバに核酸含有材料および阻害物質を含む該サンプル(一般的には、溶解サンプル)の濃縮領域を形成すること;該サンプル(一般的には、溶解サンプル)の濃縮度の低い領域から該濃縮領域を実質的に分離すること;捕捉部位(例えば、キレート化官能基)、該固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含む固相材料であって、該コーティング試薬を、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料に接触させ、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させるために、該サンプルの分離された濃縮領域を分離用チャンバに移すこと;該サンプルの分離された濃縮領域を、該固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、を含む。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法は、装填用チャンバ、バルブ付処理用チャンバおよび固相材料を含む分離用チャンバを含むマイクロ流体装置を提供すること;阻害物質含有細胞と核含有細胞(このような阻害物質含有細胞と核含有細胞とは同じものであってもよいし、異なっていてもよい)を含むサンプルを提供すること;装填用チャンバに該サンプルを導入すること;細胞膜を破壊し、阻害物質を放出し、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該サンプルと非イオン性界面活性剤とを接触させること;バルブ付処理用チャンバに該溶解サンプルを移すこと;該バルブ付処理用チャンバ内の該溶解サンプルの濃縮領域については、核および阻害物質を含む該溶解サンプルの濃縮領域を形成すること;該溶解サンプルの濃縮度の低い領域から該濃縮領域を実質的に分離すること;捕捉部位(例えば、キレート性官能基)、該固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含む固相材料であって、該コーティング試薬を、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料と接触させ、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させるために、該溶解サンプルの分離された濃縮領域を分離用チャンバに移すこと;該サンプルの分離された濃縮領域を、該固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、を含む。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法は、核酸と阻害物質とを含むサンプルを提供すること;ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、該マトリックス内にからませた収着性粒子、および該固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含む固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料に、該サンプルを接触させて、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させること;核酸含有材料が存在する場合、該溶解サンプルを、該固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意に溶解すること;および溶出試薬が、非イオン性界面活性剤でないという条件で、溶出試薬によって溶出することにより、核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、を含む。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法は、核酸含有材料(例えば、核)および阻害物質(一般的には、細胞に含有され;このような核酸含有材料と阻害物質含有細胞とは同じものであっても、または異なっていてもよい)を含有する細胞を含むサンプルを提供すること;サンプルが阻害物質を含有する細胞を含む場合、細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該サンプルと第1の溶解試薬とを任意に接触させること;ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、該マトリックス内にからませた収着性粒子、および該固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含む固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せ(好ましくは、界面活性剤)からなる群から選択される固相材料に、該サンプル(一般的には、溶解サンプル)を接触させて、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させること;該サンプルを、該固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および溶出試薬が、非イオン性界面活性剤でないという条件で、溶出試薬によって溶出することにより、核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、を含む。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法は、核酸含有材料および阻害物質含有細胞(同じものであってもよいし、異なっていてもよい)を含むサンプルを提供すること;細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、前記サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、該マトリックス内にからませた収着性粒子、および該固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含む固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せ(好ましくは、界面活性剤)からなる群から選択される固相材料に、該溶解サンプルを接触させ、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させること;核酸含有材料の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した固相材料から分離すること;および該核酸含有材料の分離後、核酸を放出するために核酸含有材料をさらに溶解すること、を含む。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法は、装填用チャンバおよび固相材料を含む分離用チャンバを含むマイクロ流体装置を提供すること;核酸含有材料と阻害物質とを含有するサンプル(一般的には、細胞に含有され;このような核酸含有材料と阻害物質を含有する細胞とは同じものであってもよし、異なっていてもよい)を提供すること;装填用チャンバに前記サンプルを導入すること;サンプルが阻害剤を含有する細胞を含む場合、細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、前記サンプルと第1の溶解試薬とを任意に接触させること;該固相材料に接触させ、阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させるために、該サンプル(一般的には、溶解サンプル)を分離用チャンバに移すこと;捕捉部位(例えば、キレート性官能基)、該固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含む固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料に、該サンプルを接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および溶出試薬が、非イオン性界面活性剤でないという条件で、溶出試薬によって溶出することにより、核酸含有材料および/または核酸を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、を含む。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法は、装填用チャンバおよび固相材料を含む分離用チャンバを含むマイクロ流体装置を提供すること;核酸含有材料と阻害物質を含有する細胞(同じものであってもよいし、異なっていてもよい)を含むサンプルを提供すること;装填用チャンバに前記サンプルを導入すること;細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含んでなる溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;該固相材料が、捕捉部位(例えば、キレート性官能基)、該固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含む固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料を接触させ、阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させるために、該溶解サンプルを分離用チャンバに移すこと;核酸含有材料の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した固相材料から分離すること;および該核酸含有材料の分離後、核酸を放出するために核酸含有材料をさらに溶解すること、を含む。
本発明は、本発明の種々の方法を実施するためのキットもまた提供する。
定義
「核酸」は、当業界に公知の意味を有し、DNA(例えば、ゲノムDNA、cDNA、またはプラスミドDNA)、RNA(例えば、mRNA、tRNA、またはrRNA)、およびPNAを称す。核酸は、限定はしないが、二本鎖または一本鎖構造、環状形態、プラスミド類、比較的短いオリゴヌクレオチド類、PNA類とも呼ばれるペプチド核酸類(ニールセン(Nielsen)など、Chem.Soc.Rev.、26、73−78頁(1997年))など、多種多様の形態であり得る。核酸は、全染色体または染色体の一部を含むことができるゲノムDNAであり得る。DNAとしては、コード化(例えば、mRNA、tRNA、および/またはrRNAのコード化に関して)および/または非コード化配列(例えば、セントロメア類、テロマー類、遺伝子間領域、イントロン類、トランスポゾン類、および/またはマイクロサテライト配列)を挙げることができる。核酸としては、任意の天然ヌクレオチド類ならびに人工または化学修飾のヌクレオチド類、突然変異ヌクレオチド類などを挙げることができる。核酸には、非核酸成分、例えば、ペプチド類(PNA類におけるものとして)、標識(放射性同位元素または蛍光マーカー類)などを挙げることができる。
「核酸含有材料」とは、細胞(例えば、白血球細胞、除核赤血球細胞)、核、またはウィルス、あるいは核酸を含む構造(例えば、プラスミド、コスミド、またはウィロイド、原始細菌)などの核酸源を称す。細胞は、原核生物(例えば、グラム陽性またはグラム陰性細菌)または真核細胞(例えば、血液細胞または組織細胞)であり得る。核酸含有材料がウィルスである場合、それは、RNAまたはDNAゲノムを含み得;毒性、弱毒性、または非感染性であり得;原核細胞または真核細胞を感染させることができる。核酸含有材料は、天然、人工修飾、または人工創製したものであり得る。
「単離された」とは、サンプル中の阻害物質の一部(例えば、少なくとも一種の阻害物質の少なくとも一部)から分離された核酸(または核酸含有材料)を称す。これには、他の材料、例えば、蛋白質類、脂質類、塩類、および他の阻害剤などの細胞成分から所望の核酸を分離することが含まれる。単離された核酸は、実質的に純粋であることがより好ましい。「実質的に純粋である」とは、元のサンプルから少なくとも20%まで、好ましくは少なくとも80%まで、より好ましくは少なくとも99%まで阻害物質量を減じる一方、1マイクロリットル当り少なくとも3ピコグラム(pg/μL)、好ましくは2ナノグラム/マイクロリットル(ng/μL)、より好ましくは少なくとも15ng/μLの核酸を単離することを称す。不純物は、典型的に細胞成分ならびにヘムおよび関連産物(ヘミン、ヘマチン)などの核成分、および金属イオン類、蛋白質類、脂質類、塩類など、サンプル中の溶媒以外の他の成分である。したがって、用語の「実質的に純粋である」とは、単離された核酸の引き続く使用を妨害し得る化合物が、少なくとも部分的に除去されるように、サンプルから大部分の阻害物質(例えば、ヘムおよびその分解産物)を分離することを一般に称す。
「に付着する」または「付着」または「結合」とは、ファンデルワールス相互作用、静電的相互作用、アフィニティー結合、または物理的捕捉などの弱い力など、多種多様の機構を介する可逆的保持を称す。この用語の使用には作用機序は関係せず、吸着機構および吸収機構を含む。
「固相材料」とは、無機および/または有機材料、好ましくは、同じであっても、または異なっていてもよい繰り返し単位、天然起源および/または合成起源の有機および/または無機化合物から作製されたポリマーを称す。これには、ホモポリマー類およびヘテロポリマー類(例えば、ランダムであっても、またはブロックであってもよく、例えば、コポリマー類、ターポリマー類、テトラポリマー類など)が挙げられる。このような材料は、一般的に多孔性マトリックスを形成するが、ある一定の実施形態では、固相はまた、ポリマー材料の非多孔性シートなどの固体表面を称す。
該固相材料としては、捕捉部位を挙げることができる。「捕捉部位」とは、材料が付着する固相材料上の部位を称す。一般に、捕捉部位としては、固相材料に共有結合または別の結合(例えば、疎水的結合)している官能基または分子が挙げられる。
語句の「固相材料上を被覆しているコーティング試薬」とは、固相材料の少なくとも一部、例えば、フィブリルマトリックスおよび/または収着性粒子上を被覆している材料を称す。
「界面活性剤」とは、溶解される媒体の表面張力または界面張力を低下させる物質を称す。
「強塩基」とは、水中で完全に解離されている塩基、例えばNaOHを称す。
「高分子電解質」とは、一般的には比較的高分子量の荷電ポリマー、例えば、ポリスチレンスルホン酸を称す。
「選択的透過性ポリマーバリヤー」とは、サイズおよび荷電に基づいて流体の選択的輸送を可能にするポリマーバリヤーを称す。
「濃縮領域」とは、ペレット形態であり得、濃縮度の低い領域に比して核酸含有材料、核、および/または核酸のより高い濃度を有するサンプルの領域を称す。
本明細書、特にサンプルの濃縮度の低い領域からサンプルの濃縮領域を分離する文脈で用いられる「実質的分離」とは、サンプルの全容量の25%未満において、核酸の全量(核内、または他の核酸含有材料内で遊離状態であろうとなかろうと)の少なくとも40%を除去することを意味する。好ましくは、サンプルの全容量の10%未満において、核酸の全量の少なくとも75%が、サンプルの残部から分離される。より好ましくは、サンプルの全容量の5%未満において、核酸の全量の少なくとも95%が、サンプルの残部から分離される。
「阻害物質」とは、例えば、増幅反応に用いられる酵素の阻害物質を称す。このような阻害物質の例としては、一般的に鉄イオン類またはそれらの塩類(例えば、Fe2+またはその塩類)および他の金属塩類(例えば、アルカリ金属イオン類、遷移金属イオン類)が挙げられる。他の阻害物質としては、蛋白質類、ペプチド類、脂質類、炭水化物類、ヘムおよびその分解産物、尿素、胆汁酸、フミン酸、多糖類、細胞膜、および細胞基質成分を挙げることができる。PCRに関してヒト血液の主要阻害物質は、それぞれ赤血球、白血球、および血漿に存在するヘモグロビン、ラクトフェリン、およびIgGである。本発明の方法では、核酸含有材料から阻害物質の少なくとも一部(すなわち、少なくとも1種の阻害物質の少なくとも一部)が分離される。本明細書に考察されたように、阻害物質を含有する細胞は、核または他の核酸含有材料を含有する細胞と同じものであり得る。阻害物質は、細胞内に含まれ得るか、または細胞外にあり得る。細胞外阻害物質としては、例えば、血清またはウィルスに存在するこれらの阻害物質を含む、細胞内に含有されない全ての阻害物質が挙げられる。
「阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着する」とは、一般的には、核酸含有材料および/または核の実質的な部分を前記固相材料に付着させることなく、1種以上の阻害物質が核酸含有材料(例えば、核)および/または核酸よりも高い程度で前記固相材料に付着することを意味する。
「マイクロ流体」とは、1つ以上の流体流路、チャンバ、または少なくとも1つの内部横断面寸法、例えば、深さ、幅、長さ、500μm未満、一般的には0.1μmと500μmとの間にある直径などを有する導管を備えた装置を称す。本発明に用いられる装置において、マイクロスケールチャネルまたはチャンバは、好ましくは0.1μmと200μmとの間、より好ましくは0.1μmと100μmとの間、しばしば1μmと20μmとの間にある少なくとも1つの横断面寸法を有する。一般的には、例えば、マイクロ流体装置は、複数のチャンバ類(処理用チャンバ、分離用チャンバ、混合用チャンバ、廃棄用チャンバ、希釈剤用チャンバ、増幅反応用チャンバ、装填用チャンバなど)を含み、各々のチャンバは、サンプルを含有する容量を規定しており;および、少なくとも1つの分配チャネルが複数のチャンバを接続しており、配列内のチャンバのうちの少なくとも1つが、固相材料を含むことができ(そのことからしばしば分離チャンバと言われる)および/または配列内のチャンバのうちの少なくとも1つが、溶解試薬を含むことができる(そのことからしばしば混合チャンバと言われる)。
用語の「含んでなる」およびその変形用語は、これらの用語が説明および特許請求の範囲に現れる場合、限定的意味を有するものではない。
本明細書に用いられる「1つの」、「該」、「少なくとも1つ」、および「1つ以上」は、交換可能に用いられ、1つ以上を意味する。
また本明細書において、終点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含された全ての数を含む(例えば、1から5までは、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
本発明の上記の概要は、本発明の開示された各々の実施形態または本発明の各実施を説明することを意図していない。以下の説明は、より具体的に例証となる実施形態を例示している。本出願を通して幾つかの箇所において、実施例のリストを通して手引きが提供され、それらの実施例は種々の組合せで使用できる。各々の場合、列挙されたリストは、代表的な群としてのみ役立つものであって、排他的なリストとして解釈すべきでない。さらにたとえ具体的に記載されていなくても、各実施形態の種々の要素が、他の実施形態に利用できる種々の実施形態が記載されている。
本発明は、種々の方法を提供し、サンプル、一般的には生物学的サンプル、好ましくは実質的には純粋な形態で核酸を単離するキットを提供する。本発明は、核含有細胞(例えば、白血球細胞)内に含んでいても、含んでいなくてもよい核酸(例えば、DNA、RNA、PNA)を含むサンプルから核酸を単離する方法およびキットを提供する。
該方法は、サンプルから核酸を単離することに関するが、該方法は、核酸含有材料(例えば、核)から必ずしも核酸を除去するものではないことを理解すべきである。すなわち、核から核酸をさらに分離するために、例えばさらなるステップを必要とし得る。
本発明の方法は、阻害物質が増幅反応(例えば、PCR反応に用いられる)を阻害する恐れがあることから、望ましくないヘムおよびその分解産物(例えば、鉄イオン類)などの阻害産物から核酸を最終的に分離することを含む。より具体的には、本発明の方法は、少なくとも1種の阻害物質の少なくとも1部からサンプルにおける、核酸の少なくとも一部を分離することを含む。好ましい方法は、核酸が実質的に純粋であるように、核酸含有サンプル中の全ての阻害物質を実質的に除去することを含む。例えば、鉄含有阻害物質の最終濃度は、従来のPCRシステムにおいて認容される当座の濃度である約0.8マイクロモル(μM)以下である。
全血から純粋なDNAを得るために、ヘモグロビンならびに血漿蛋白質の除去が、一般的に望ましい。赤血球が溶解すると、Taqポリメラーゼを阻害するヘムおよび関連化合物を放出する。全血中の通常のヘモグロビン濃度は、溶血した全血中のヘムの濃度が約10ミリモル(mM)を基準にして、100ミリリットル(mL)当り15グラム(g)である。PCRが満足できる働きを示すために、ヘムの濃度は、マイクロモル(μM)レベルに減じるべきである。これは、例えば、希釈または阻害物質に結合する材料を用いた阻害物質の除去によって達成できる。
典型的に、核酸含有サンプルは、流動受け器内で処理されるが、この受け器は、本発明の必要な要件ではない。本発明のある一定の方法では、処理装置はマイクロ流体様式であることが好ましい。
サンプル
本発明の方法は、多種多様のサンプル、体液(例えば、全血、血清、尿、唾液、脳脊髄液、精液、または関節リンパ液)、種々の組織(例えば、皮膚、毛髪、毛皮、大便、腫瘍、あるいは肝臓または脾臓などの臓器)、細胞培養物または細胞培養上澄液などの生物学的サンプルから核酸を単離するために使用できる。該サンプルは、食物サンプル、飲料サンプル、発酵ブロス、診断、治療、モニター、または疾患または障害を治療するために用いられる臨床サンプル、法医学サンプル、農学サンプル(例えば、植物または動物からの)、または環境サンプル(例えば、土壌、汚物または生ごみ)であり得る。
生物学的サンプルは、生物学的または生化学的起源のものである。本発明の方法を使用するために好適なものは、哺乳動物源、植物源、細菌源、または酵母源から由来し得る。生物学的サンプルは、単一細胞の形態、または組織の形態であり得る。細胞または組織は、インビトロ培養物に由来し得る。意義深いことには、本発明のある実施形態では、対象のサンプルとしていずれの前処理(例えば、溶解、ろ過など)もなく全血を使用する。
ある実施形態では、全血などのサンプルは、遠心分離により前処理して白血球細胞(すなわち、白血球層)を血液から分離し、本発明の方法にサンプルとして使用できる。
ある実施形態では、サンプルが本発明の方法に供される前に、該サンプルを濃縮するために超遠心分離に供することができる。
該サンプルは、水または有機媒体に溶解または分散させる固体サンプル(例えば、固体組織)であり得、それから核酸を、水または有機媒体に抽出する。例えば、該サンプルは、臓器ホモジネート(例えば、肝臓、脾臓)であり得る。したがって、該サンプル(特に固体サンプルである場合)は、予め抽出された核酸を含むことができる。
この種のサンプルは、本発明を限定するものではない。しかしながら、該サンプルは、一般に核酸含有材料および阻害物質を含み、それらから核酸を分離する必要がある。この文脈において、核酸含有材料は、細胞(例えば、白血球細胞、細菌細胞)、核、ウィルス、または核酸を含む構造を収容する任意の他の組成物(例えば、プラスミド、コスミド、またはウィロイド、原始細菌)を言う。このような方法のある好ましい実施形態において、核酸含有材料は、核を含む。ある実施形態において、このような核は、本明細書に記載された固相材料に接触させる際に非損傷状態である(すなわち、実質的に溶解されない)。
ある実施形態において、該サンプルは、本発明の方法において溶解が必要とされる場合、部分的に溶解できるか(例えば、阻害物質を放出させるために予め溶解する)、または完全に溶解できる。したがって、サンプルは、遊離(例えば、細胞内にはない)核酸と遊離(例えば、細胞内にはない)阻害物質とを含むことができる。
単離された(すなわち、阻害物質から分離された)核酸は、多種多様の適用のために(例えば、増幅、配列決定、標識化、アニーリング、制限消化、連結、逆転写酵素、ハイブリダイゼーション、サザンブロット、ノーザンブロットなど)、好ましくはさらなる精製または洗浄せずに使用できる。特に、それは、対象のゲノムを決定するために使用できる。それは、サンプル中の微生物(例えば、細菌、ウィルス)の存在診断のために使用でき、引き続きサンプル源に対し、微生物により引き起こされた損傷のモニタリングおよび/または治療のために使用できる。本発明の方法、材料、システム、およびキットは、ハイスループットまたは自動化法、特にマイクロ流体システムに用いられる増幅法(例えば、PCR、LCR、MASBA、SDA、およびbDNA)に使用するための核酸抽出の調製に特によく適合する。したがって、本発明のある一定の実施形態では、単離された核酸は、増幅反応チャンバ(マイクロ流体装置内のPCRサンプルチャンバなど)に移される。
核酸類は、不純サンプル、部分的純粋サンプル、または純粋サンプルから本発明に従って単離(すなわち、阻害物質から分離)できる。核酸は、極めて不純なサンプルからも単離できるので、元のサンプルの純度は重要ではない。例えば、核酸は、血液、唾液、または組織などの生物学的体液の不純サンプルから得ることができる。より高い純度の元のサンプルが望ましい場合、該サンプルは、本発明の方法が供される前に、当業者に公知の任意の従来手段に従って処理できる。例えば、該サンプルを本発明の方法に供する前に、不溶性材料などのある一定の不純物を除去するために該サンプルを処理できる。
本明細書に記載されたように単離された核酸は、一本鎖形態、二本鎖形態、円形、プラスミドなどで任意の分子量であり得る。種々のタイプの核酸は、互いに(例えば、DNAからRNA、二本鎖DNAから一本鎖DNA)分離できる。例えば、小型のオリゴヌクレオチド類または長さが約10塩基から約50塩基の核酸分子、長さが約1000塩基から約10,000塩基の大いにより長い分子、約50kbから約500kbの高分子量核酸でさえも、本発明の方法を用いて単離できる。幾つかの態様において、本発明により単離された核酸は、約10塩基から約100キロベースの範囲にあり得ることが好ましい。
核酸含有サンプルは、多種多様の容量であり得る。例えば、適用された容量は、1リットルもの大量、または1μLほどの少量またはそれ以下であり得る。サンプルサイズは、一般的に方法を実施するために用いられる装置に依って変わる。マイクロ流体様式では、一般的に極めて少量、例えば、10μL(好ましくは100μL以下)が好ましい。より大量のサンプルは、前処理される場合、濃縮などによって使用できることを理解すべきである。
低コピー数の遺伝子では、関心対象の配列がサンプルに存在することを確認するために、より大きなサンプルサイズを一般に必要となろう。しかしながら、より大きなサンプルサイズは、より大きな阻害物質量を有し、一般的にそれらはマイクロ流体様式に適さない。したがって、低コピー数の状況では、再現性のある結果を得るためには100μL以上の容量を使用する必要があると思われる;しかし、マイクロ流体装置1台当りで処理されるサンプル数は、より高いサンプル容量のために減少させてもよい。
本発明の方法において、核酸含有材料を濃縮する遠心分離ステップは、低コピー数のサンプルにとって有用である。しかしながら、核酸濃度は、処理用チャンバの底部において実質的に増加するが、依然として阻害物質の濃度は高い。大部分の阻害物質、すなわち血清中の蛋白質および破壊RBC類(例えば、ヘムおよびヘム関連産物)は、上澄液中に除かれるが、サンプルの核酸含有濃縮領域は、依然として有意な量の阻害物質が存在する;しかし、核酸対阻害物質の比率が極めて高く、核酸に富んだサンプルとなる。次にサンプルのこの濃縮領域を、本明細書に記載されたとおり、固相材料と接触させて残留阻害物質を除去できる。
高コピー数の遺伝子では、2μLほどの少量サイズを使用できるが、再現性は、より大きな容量(例えば、20μL)がより良好である。より少量の場合、よりハイスループット(すなわち、マイクロ流体装置1台当りに処理されるサンプル数)を得ることができる。より大きな容量(例えば、20μL)の場合、核酸含有細胞の濃縮のための前スピンステップを通す必要はないと考えられる。
ある一定の実施形態では、固相材料に適用された核酸含有サンプルは任意の量であってもよく、その量は、固相材料の量によって決定される。固相材料に適用されたサンプル中の核酸量は、固相材料の乾燥重量未満であることが好ましく、一般に約1/10,000から約1/100(核酸/固相重量)までである。固相材料に適用されたサンプル中の核酸量は、例えば、100グラムという大量または1ピコグラムほどの少量であり得る。
本発明の方法から単離された所望の核酸は、元来適用されたサンプル中の全核酸量のうち、好ましくは少なくとも20%の量、より好ましくは少なくとも30%の量、より好ましくは少なくとも70%の量、最も好ましくは少なくとも90%の量である。したがって、本発明のある一定の好ましい方法は、サンプルから高回収の所望の核酸を提供する。さらに、極めて少量の核酸分子は、本発明により定量的に回収できる。回収または収率は、方法それ自体よりもサンプルの性質に主として依存する。本発明のある一定の実施形態は、大容量からの濃度を必要としない核酸調製を提供することから、本発明により、核酸損失の危険性が避けられる。
PCRサンプルにおいて過多のDNAを有することは、誤ってプライムされた部位が多く存在するのでDNAの増幅に対して不利益となる恐れがある。これにより、多数の直線的または指数関数的に増幅された非標的配列が生じる。非標的DNA量が増加すると増幅の特異性が失われることから、対象の標的配列の指数関数的蓄積は、有意な程度まで生じない。したがって、各PCRサンプルに入っているDNA量をコントロールすることが望ましい。DNA量は、一般的に1マイクログラム/反応以下であり、また一般的に少なくとも1ピコグラム/反応である。PCR混合物中の典型的な最終DNA濃度は、0.15ナノグラム/マイクロリットルから1.5ナノグラム/マイクロリットルまでの範囲である。マイクロ流体装置の場合、各サンプルが適切なDNA量を有するように、サンプルをクリーンアップ後、PCR前に分割することができる。あるいは、適切な量のDNAが各PCR混合物に存在するように、下記により詳細に説明されている可変性バルブ付処理用チャンバを含むサンプル処理装置(特にマイクロ流体装置)内で十分にサンプルを希釈することができる。診断設定において、白血球細胞量は、かなり変わり得ることから、単離されるDNA量を経験的に予測することは困難である。しかしながら、有用な範囲は、血液200μL当り3マイクログラム(μg)から12μgのDNAである。白血球層については、白血球層200μL当り25μgから50μgが有用な範囲である。
溶解試薬および条件
本発明のある一定の実施形態では、処理中のある時点で、サンプル内の細胞、特に核酸含有細胞(例えば、白血球細胞、細菌細胞、ウィルス細胞)を溶解し、細胞の内容物を放出させてサンプル(すなわち、溶解物)を形成する。ここでの細胞溶解は、外細胞膜と称される細胞膜、および存在する場合は、角膜の物理的破壊である。これは、プロテイナーゼによる加水分解、次いでプロテイナーゼの加熱不活化、界面活性剤(例えば、非イオン界面活性剤またはドデシル硫酸ナトリウム)、グアニジニウム塩類、または強塩基類(例えば、NaOH)による処理、物理的破壊(例えば、超音波による)、煮沸、または凍結/解凍過程を含み得る、加熱/冷却(例えば、少なくとも55℃(一般的に95℃まで)までの加熱および室温以下(一般的には8℃まで)の冷却)などの標準的方法を用いて行うことができる。溶解試薬が用いられる場合、所望ならば有機溶媒を使用できるが、一般的には水性媒体中である。
全血中の白血球細胞(WBC)類を破壊しないで赤血球(RBC)類の溶解を起こし、溶解剤(すなわち、溶解試薬)として水の使用(すなわち、水希釈)により阻害物質を放出することができる。あるいは、塩化アンモニウムまたは第四級アンモニウム塩類もまた、RBC類を破壊するために使用することができる。RBC類は、低張緩衝液の使用により低張ショックにより溶解することもできる。非損傷WBC類またはそれらの核は、例えば遠心分離により回収できる。
一般に、RBC類ならびに核酸含有細胞(例えば、白血球細胞(WBC)類、細菌細胞、ウィルス細胞)を溶解するために界面活性剤などのより強力な溶解試薬を用いて、阻害物質、核および/または核酸を放出することができる。例えば、非イオン界面活性剤は、核を非損傷状態のままRBC類ならびにWBC類を溶解するために使用できる。非イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤を、細胞を溶解するために使用できる。非イオン界面活性剤は特に有用である。所望ならば、界面活性剤の組合せを使用できる。トリトン(TRITON)X−100などの非イオン界面活性剤を、核の単離のためにショ糖およびマグネシウム塩類を含有するトリス緩衝液に添加できる。
溶解に用いられる界面活性剤の量は、例えば、サンプルを有効に溶解するほど十分に多く、さらに沈殿を避けるほど十分に少ない。溶解操作に用いられる界面活性剤の濃度は一般に、サンプルの全量を基準にして少なくとも0.1重量%である。溶解方法に用いられる界面活性剤の濃度は一般に、サンプルの全量を基準にして少なくとも4.0重量%以下であり、好ましくは1.0重量%である。できるだけ最短時間で完全細胞溶解を得、生じた混合物をPCRに適合性であるようにこの濃度を通常最適化する。実際、PCRカクテルに添加された製剤中の核酸は、リアルタイムのPCRの阻害が殆どないか、または全くないことを可能にするべきである。
所望ならば、緩衝液を界面活性剤と混合して使用することができる。一般的には、このような緩衝液は、少なくとも7、典型的には9以下のpHのサンプルを提供する。
一般に、核酸含有細胞(白血球細胞における)に含まれる核を溶解するために強塩基などのさらに強力な溶解試薬を使用して核酸を放出させる。例えば、米国特許第5,620,852号明細書(リン(Lin)ら)に記載されている方法は、1分間の短い時間枠内の室温で、アルカリ処理(例えば、NaOH)による全血からのDNA抽出を含んでおり、本発明のある一定の方法に適合させることができる。一般に、多種多様の強塩基は、アルカリ性細胞溶解方法における有効なpH(例えば、8〜13、好ましくは13)を作出するために使用できる。強塩基は、一般にNaOH、LiOH、KOHなどの水酸化物;第四級窒素含有カチオン類との水酸化物(例えば、第四級アンモニウム)ならびに第三級、第二級または第一級アミン類である。一般に強塩基の濃度は、少なくとも0.01規定(N)、一般に1N以下である。次いで一般に、特に核酸がPCRに供される場合、混合物を中和できる。別の方法において、さらに蛋白質を変性させるために塩基との溶解後に加熱を用い、次いでサンプルを中和できる。
また、加熱によるプロテイナーゼKに次いで、核またはWBCから核酸類単離のために、より高い温度でプロテイナーゼKの加熱不活化を用いることができる。
また、マイクロ流体装置用にスケールダウンされたSigmaのExtract−N−Amp Blood PCRキットなどの市販の溶解剤および中和剤を使用できる。ブドウ球菌(Staphylococcus)、連鎖球菌(Streptococcus)などの種々の細菌を溶解するためにGenPoint(オスロ、ノルウェー国)からのPOWERLYSEなどのより強力な溶解溶液を、本発明のある一定の方法を利するために使用できる。
別の方法において、煮沸法は、細胞および核を溶解し、DNAを放出し、同時にヘモグロビンを沈殿させるために使用できる。上澄液中のDNAは、濃縮ステップなしでPCRに直接使用できるため、低コピー数のサンプルにとってこの方法は有用になる。
感染性疾患では、全血から細菌またはウィルス類を分析する必要があると考えられる。例えば、細菌の場合、白血球細胞は、細菌細胞と関連して存在し得る。マイクロ流体装置を使用する方法において、赤血球細胞を溶解して阻害物質を放出させてから、さらなる溶解前に例えば、遠心分離により細菌細胞および白血球細胞を分離することが可能になると考えられる。核酸含有細胞(細菌および白血球細胞/核)のこの濃厚スラッグを、阻害物質の除去のために固相材料を含有するチャンバ内にさらに移動することができる。次に例えば、細菌細胞を溶解することができる。
種類に依っては細菌細胞の溶解は、加熱を用いて達成できる。あるいは、細菌細胞溶解は、酵素法(例えば、リゾチーム、ミュータノリジン(mutanolysin))または化学法を用いて生じ得る。細菌細胞は、アルカリ性細胞溶解により溶解することが好ましい。
プラスミド類の増殖のために細菌の使用は、ゲノム解析、分析的分子生物学、予備的分子生物学の研究に一般的である。プラスミドを含有する細菌の場合、細菌およびプラスミド双方からの遺伝子材料が存在する。細胞蛋白質およびゲノムDNAからの細胞断片を分離するためのクリーンアップ法を、本発明の方法を用いて実施できる。このようにして得られたプラスミドDNAを含む上澄液は、「クリアな溶解物」と呼ばれる。このクリアな溶解物を、アニオン交換クロマトグラフィ、ゲルろ過、またはアルコールによる沈殿などの種々の手段を用いてさらに精製できる。
マイクロ流体装置に組み込むことのできる細菌培養に関するプロトコルの具体例において、大腸菌(E.Coli)培養物を遠心分離し、TE緩衝液(10mM トリス、1mM EDTA、pH7.5)に再懸濁し、0.1M NaOH/1% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の添加により溶解した。細胞溶解は、1容量の3M(3モル)酢酸カリウム(pH4.8)の添加により中止し、上澄液を遠心分離する。細胞溶解物をさらに精製して純粋なプラスミドDNAを得る。
血漿および血清は、ウィルス類を含む分子試験に供される標本の大部分となっている。全血の分画後、血漿または血清サンプルを、ウィルス類(すなわち、ウィルス粒子)の抽出のために使用できる。例えば、ウィルス類からDNAを単離するために、血液をスピニングすることにより最初に血清を分離することが、マイクロ流体の場合に可能である。下記により詳細に説明されている可変バルブの使用により、血清だけを、別のチャンバ内に空けることができる。次いで血清を遠心分離して、ウィルスを濃縮できるか、または本明細書に記載されているように、例えば、固相材料を用いて阻害物質の除去後、引き続く細胞溶解ステップに血清を直接使用できる。該固相材料は、ウィルス粒子が該材料を通過しないように、溶液を吸収し得る。次にウィルス粒子を、少量の溶出液で溶出できる。ウィルスを、加熱または酵素的または化学的手段、例えば、界面活性剤の使用により溶解でき、PCRまたはリアルタイムPCRなどの下流適用に使用できる。ウィルスRNAを必要とする場合、RNAの分解を防ぐためにRNAse阻害剤を溶液に添加する必要があり得る。
固相材料
本発明のある一定の実施形態について、阻害物質は、好ましくは固相材料に付着した捕捉部位(例えば、キレート性官能基)、固相材料(すなわち、その少なくとも一部)上を被覆しているコーティング試薬(好ましくは、界面活性剤)、または双方により、任意の形態(例えば、粒子、フィブリル、膜)で固相マトリックスを含む固相(好ましくは、ポリマー)材料に付着することが判明している。該コーティング試薬は、カチオン性、アニオン性、非イオン、または両性イオン界面活性剤であり得る。あるいは、該コーティング試薬は、高分子電解質、強塩基、または選択的透過性ポリマーバリヤーであり得る。所望ならば、コーティング試薬の種々の組合せを使用できる。
本発明の方法に有用な固相材料は、例えば、ヘムおよびヘム分解産物、特に鉄イオン類などの阻害物質を保持する多種多様の有機および/または無機材料を含むことができる。このような材料は、捕捉部位(好ましくは、キレート基)で機能化されるか、1つ以上のコーティング試薬(例えば、界面活性剤、高分子電解質、または強塩基類)で被覆されるか、または双方である。一般に、固相材料は、有機ポリマーマトリックスを含む。
一般に好適な材料は、化学的に不活性であり、物理化学的に安定であり、種々の生物学的サンプルに適合する。固相材料の例としては、シリカ、ジルコニア、アルミナビーズ、金などの金属コロイド、例えば、捕捉部位を生成するためにメルカプト化学を介して機能化された金被覆シートが挙げられる。好適なポリマー類の例としては、例えば、ポリオレフィン類およびフッ素化ポリマー類が挙げられる。固相材料は、一般に洗浄して使用前に塩類および他の不純物を除去する。それは、ドライ貯蔵できるか、または即時使用のために水性懸濁液で貯蔵できる。固相材料は、例えば、ピペット、シリンジ、またはより大きなカラム、マイクロタイタープレート、またはマイクロ流体装置など、流動受け器内で使用されることが好ましいが、このような受け器を含まない懸濁方法もまた使用し得る。
本発明の方法に有用な固相材料は、多種多様の形態における多種多様の材料を含むことができる。例えば、それは、緩いか、または固定された粒子またはビーズ、繊維、フォーム、フリット、微孔質フィルム、膜、またはマイクロ反復表面(1つまたは複数)を有する基材の形態であり得る。固相材料が粒子を含む場合、良好な液体流動特性を確保するために、粒子は、均一、球状で硬質であることが好ましい。
本発明の流動適用では、このような材料は、一般に緩い多孔性ネットワークの形態であり、大型分子の均一で障害のない流入および流出を可能にし、広い表面積を提供する。このような適用では、固相材料は、例えば、1グラム当たり1平方メートル(m2/g)以上など、比較的高い表面積を有することが好ましい。流動装置の使用を含まない適用では、固相材料は、多孔性マトリックスであってもよいし、そうでなくてもよい。したがって、膜は、本発明のある一定の方法においても有用となり得る。
粒子またはビーズを用いる適用では、それらを、サンプルに導入するか、またはサンプルを粒子/ビーズ床に導入でき、例えば、遠心分離することによりそれらから除去できる。あるいは、粒子/ビーズを、不活性基材(例えば、ポリカーボネートまたはポリエチレン)上に被覆(例えば、模様塗り)でき、種々の方法(例えば、スプレー乾燥)により接着剤で任意に被覆できる。所望ならば、基材は、表面積を増加させ、クリーンアップを増強させるためにマイクロ反復することができる。また、それは、酸素プラズマ法、電子ビーム法または紫外線照射法、加熱法、またはコロナ放電処理法により前処理することができる。この基材は、例えば、マイクロ流体装置内のリザーバ上にカバーフィルムとして使用するか、またはカバーフィルムに積層させることができる。
一実施形態において、固相材料は、フィブリルマトリックス内にからませた粒子を有しても、または有さなくてもよいフィブリルマトリックスを含む。フィブリルマトリックスとしては、任意の多種多様の繊維を挙げることができる。一般に、繊維は水性環境に不溶性である。例としては、ガラス繊維、ポリオレフィン繊維、特にポリプロピレンおよびポリエチレンマイクロ繊維、アラミド繊維、フッ素化ポリマー、特にポリテトラフルオロエチレン繊維、および天然セルロース繊維が挙げられる。核酸の結合に対して活性であっても、不活性であってもよい繊維の混合物を使用できる。好ましくは、フィブリルマトリックスは、少なくとも約15ミクロン、1ミリメートル以下、より好ましくは、約500ミクロン以下の厚さであるウェブを形成する。
粒子を使用する場合、粒子は一般に水性環境に不溶性である。粒子は、1種の材料または被覆された粒子におけるような材料の組合せから作製できる。粒子は、膨潤性であっても非膨潤性であってもよいが、水および有機液体中で非膨潤性であることが好ましい。粒子は付着を行う場合、非膨潤の疎水性材料から作製されることが好ましい。粒子は、核酸に対するアフィニティーに関して選択できる。幾つかの水膨潤性粒子の例は、米国特許第4,565,663号明細書(エレード(Errede)ら)、米国特許第4,460,642号明細書(エレード(Errede)ら)、および米国特許第4,373,519号明細書(エレード(Errede)ら)に記載されている。水に非膨潤性である粒子は、米国特許第4,810,381号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)、米国特許第4,906,378号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)、米国特許第4,971,736号明細書(ハーゲン(Hagen)ら);および米国特許第5,279,742号明細書(マーケル(Markell)ら)に記載されている。好ましい粒子は、ポリプロピレン粒子などのポリオレフィン粒子(例えば、粉末)である。核酸の結合に対して活性であっても、不活性であってもよい粒子の混合物を使用できる。
被覆された粒子を用いる場合、コーティング試薬は、水性または有機体に不溶性の非膨潤性材料であることが好ましい。コーティング試薬は、核酸が付着するものであっても、なくてもよい。したがって、被覆されるベース粒子は、無機または有機であり得る。ベース粒子としては、有機基と共有結合するシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの無機酸化物を挙げることができる。例えば、鎖長を変えた脂肪族基(C2、C4、C8、またはC18基)などの共有結合された有機基を使用できる。
フィブリルマトリックスを含む好適な固相材料の例は、米国特許第5,279,742号明細書(マーケル(Markell)ら)、米国特許第4,906,378号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)、米国特許第4,153,661号明細書(リー(Ree)ら)、米国特許第5,071,610号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)、米国特許第5,147,539号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)、米国特許第5,207,915号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)、および米国特許第5,238,621号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)に記載されている。このような材料は、登録商標SDB−RPS(スチレン−ジビニルベンゼン逆相スルホネート、3Mパート番号2241)、カチオン−SR膜(3Mパート番号2251)、C−8膜(3Mパート番号2241)、およびアニオン−SR膜(3Mパート番号2252)で3M社(セントポール、ミネソタ州)から市販されている。
ポリテトラフルオロエチレンマトリックス(PTFE)を含むものが特に好ましい。例えば、米国特許第4,810,381号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)は、ポリテトラフルオロエチレンフィブリルマトリックス、および該マトリックスにからませた非膨潤性の収着性粒子を含む固相材料を開示しており、非膨潤性の収着性粒子対ポリテトラフルオロエチレンの比は、重量で19:1から4:1の範囲であり、さらに該複合固相材料は、1メートル当たり20から300ミリニュートンの範囲のネット表面エネルギーを有する。米国再発行特許発明第36,811号明細書(マーケル(Markell)ら)は、PTFEフィブリルマトリックス、該マトリックスにからませた収着性粒子を含む固相抽出媒体を開示しており、該粒子は、多孔性有機粒子の30重量パーセント以上100重量パーセントまでを含み、70重量パーセント未満から0重量パーセントの多孔性(有機体被覆または非被覆)無機粒子を含み、収着性粒子対PTFE比は、重量で40:1から1:4の範囲にある。
特に好ましい固相材料は、ミネソタ州セントポール所在の3M社から登録商標EMPOREで入手できる。EMPOREテクノロジーの重要な基礎は、任意の収着性粒子を用いて粒子装填膜、またはディスクを創製する能力である。該粒子は、ポリテトラフルオロエチレンの不活性マトリックス(90重量%収着剤:10重量%PTFE)内で共に密接に保持されている。PTFEフィブリルは、いずれの方法においても粒子の活性を妨害しない。EMPORE膜製作法によって、同一サイズの粒子で作製された伝統的な固相抽出(SPE)カラムまたはカートリッジで達成し得るものよりも高密度で、より均一な抽出媒体が生じる。
他の好ましい実施形態において、固相(例えば、微孔性の熱可塑性ポリマー支持体)は、フィブリルによって接続された熱可塑性ポリマーの空隙性の無作為分散、非均一形状、等軸粒子の複合性を特徴とする微孔性構造を有する。粒子は互いに離れていて、それらの間に微細孔のネットワークを提供する。粒子は、各粒子から隣接粒子へと放射状にあるフィブリルにより互いに接続している。粒子またはフィブリルのいずれか、または双方が疎水性であり得る。このような好ましい材料の例としては、Hg表面積法により測定して、しばしば40m2/グラムという高さの高い表面積を有し、約5ミクロンまでの粒径を有する。
このタイプの繊維材料は、誘導相分離の使用を含む好ましい技法により作製できる。この方法は、均質混合物を形成するのに十分な温度で熱可塑性ポリマーと不混和性液体とを溶融混合すること、溶液から製品を所望の形状に形成すること、液体およびポリマーの相分離を誘導するために、形状品を冷却すること、およびポリマーを最終的に固化させ、液体の大部分を除いて微孔性ポリマーマトリックスを残すことを含む。この方法および好ましい材料は、米国特許第4,726,989号明細書(ムロジンスキイ(Mrozinski)、米国特許第4,957,943号明細書(マクアリスター(McAllister)ら)、および米国特許第4,539,256号明細書(シップマン(Shipman))に詳細に開示されている。このような材料は、熱的誘導相分離膜(TIPS膜)と称され、特に好ましい。
他の好適な固相材料としては、米国特許第5,328,758号明細書(マーケル(Markell)ら)に記載されている不織布が挙げられる。この材料は、高収着効率クロマトグラフィグレード用粒子を含む圧縮または融合微粒子含有不織布ウェブ(好ましくは、ブローされたマイクロ繊維)を含む。
他の好適な固相材料としては、例えば、米国特許公開第2003/0011092号明細書(タン(Tan)ら)に記載されているHIPEフォームとして公知のものが挙げられる。「HIPE」または「高内部相乳剤」とは、連続反応相、一般的には油相、および油相、一般的には水相と不混合性の不連続相または共連続相を含む乳剤を意味し、該不混和性相は、少なくとも74容量パーセントの乳剤を含む。HIPE類から作製された多くのポリマーフォームは、一般に比較的オープンセル化されている。これは、セルの大部分または全てが、隣接セルと妨害なく連絡していることを意味する。このようなオープンセル化されたフォーム構造内のセルは、一般にフォーム構造内で1つのセルから別のセルへの流体移動を可能にするほど十分に大きいセル間ウィンドウを有している。
固相材料は、阻害物質のための捕捉部位を含むことができる。本明細書における「捕捉部位」とは、固相材料に共有結合している基(例えば、官能基)または非共有的(例えば、疎水的)に結合している分子を称す。
固相材料は、阻害物質を捕捉する官能基を含むことが好ましい。例えば、固相材料は、キレート基を含むことができる。この文脈において、「キレート基」は、多座であり、金属原子またはイオンとキレート化複合体を形成できるものである(阻害物質が、キレート化機構を介して固相材料上に保持されてもよく、または保持されていなくてもよいが)。キレート基の組み込みは、種々の技法により達成できる。例えば、不織布材料は、キレート基で官能化されたビーズを保持できる。あるいは、不織布材料の繊維は、キレート基で直接官能化できる。
キレート基の例としては、例えば、−(CH2−C(O)OH)2、トリス(2−アミノエチル)アミン基、イミノジ酢酸基、ニトリロトリ酢酸基が挙げられる。キレート基は、種々の技法により固相材料に組み込むことができる。それらは、該材料を化学的に合成することにより組み込むことができる。あるいは、所望のキレート基を含有するポリマーは、不活性基材(例えば、ポリカーボネートまたはポリエチレン)上に被覆(例えば、模様塗り)できる。所望ならば、基材は、表面積を増加させ、クリーンアップを高めるためにマイクロ反復できる。また、それは、酸素プラズマ法、電子ビーム法または紫外線照射法、加熱法、またはコロナ放電処理法により前処理することができる。この基材は、例えば、マイクロ流体装置内のリザーバ上にカバーフィルムとして使用するか、またはカバーフィルムに積層させることができる。
キレート化固相材料は商品として入手でき、本発明における固相材料として使用し得る。例えば、本発明のある一定の実施形態では、イミノジ酢酸(例えば、ナトリウム塩の形態で)などのキレート基を含むEMPORE膜が好ましい。このような膜の例は、米国特許第5,147,539号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)に記載されており、3M社からEMPORE抽出ディスク類(47mm、第2271号、または90mm、第2371号)として市販されている。本発明のある一定の実施形態では、キレート基を含むアンモニウム誘導EMPORE膜が好ましい。このディスクをアンモニウム形態にするために、pH5.3で50mLの0.1M酢酸アンモニウム、次いで数種の試薬水の洗浄剤で洗浄できる。
他のキレート材料の例としては、限定はしないが、Bio−Rad Laboratories社(ヘルクレス、カリフォルニア州)から登録商標CHELEXで入手できる架橋ポリスチレンビーズ、トリス(2−アミノエチル)アミンによる架橋アガロースビーズ、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、ポリアミン類およびポリイミン類ならびにRohm and Haas(フィラデルフィア、ペンシルバニア州)の登録商標DUOLITE C−467およびDUOLITE GT73で市販されているキレートイオン交換樹脂、AMBERLITE IRC−748、DIAION CR11、DUOLITE C647が挙げられる。
CHELEX 100キレート樹脂、イミノジアセテート基(−N−(CH2−C(O)OH)2)を含有するスチレンジビニルベンゼンコポリマーは、多価金属イオンに対し高アフィニティーを有し、本発明のある一定の方法で使用できるが、マイクロ流体装置で実施される方法においてあまり望ましくない。
一般に、固相材料上のキレート基の所望の濃縮密度は、1平方ミリメートル当り約0.02ナノモルであるが、濃縮密度のより広い範囲が可能であると考えられる。
他のタイプの捕捉材料としては、アニオン交換材料、カチオン交換材料、活性炭、逆相、順相、スチレン−ジビニルベンゼン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、金属コロイドが挙げられる。好適なアニオン交換材料の例としては、通常塩素化形態での第四級アンモニウム、ジメチルエタノールアミン、第四級アルキルアミン、トリメチルベンジルアンモニウム、およびジメチルエタノールベンジルアンモニウムなどの強いアニオン交換体、およびポリアミンなどの弱いアニオン交換体が挙げられる。好適なカチオン交換材料の例としては、通常ナトリウム形態でのスルホン酸などの強いカチオン交換体、および通常水素形態でのカルボン酸などの弱いカチオン交換体が挙げられる。好適な炭素ベース材料の例としては、EMPORE炭素材料、炭素ビーズが挙げられる。好適な逆相C8およびC18材料の例としては、オクタデシル基またはオクチル基で端末キャップ化されているシリカビーズ、ならびにC8およびC18シリカビーズを有するEMPORE材料(EMPORE材料は、ミネソタ州セントポール所在の3M社から入手できる)が挙げられる。順相材料の例としては、ヒドロキシ基およびジヒドロキシ基が挙げられる。
商品として入手できる材料はまた、本発明の方法、特にマイクロ流体装置において修飾または直接使用できる。例えば、登録商標LYSE AND GO(Pierce、ロックフォード、イリノイ州)、RELEASE−IT(CPG、ニュージャージー州)、GENE FIZZ(Eurobio、仏国)、GENE RELEASER(Bioventures社、Murfreesboro、テネシー州)、およびBUGS N BEADS(GenPoint、オスロ、ノルウェー国)ならびにZymoのビーズ(Zymo Research、カリフォルニア州オレンジ)およびDynalのビーズ(Dynal、オスロ、ノルウェー国)で入手できる固相材料を、本発明の方法、特に固相捕捉材料としてのマイクロ流体装置に組み込むことができる。
このような方法のある一定の実施形態において、固相材料としては、コーティング試薬が挙げられる。コーティング試薬は、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択されるのが好ましい。このような方法のある一定の実施形態において、固相材料としては、ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、該マトリックス内にからませた収着性粒子、および該固相材料上に被覆されたコーティング試薬が挙げられ、該コーティング試薬は、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
好適な界面活性剤の例は、下記に列挙される。
好適な強塩基の例としては、NaOH、KOH、LiOH、NH4OH、ならびに一級、二級、または三級アミン類が挙げられる。
好適な高分子電解質の例としては、ポリスチレンスルホン酸(例えば、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)またはPSSA)、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルホウ酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリスチレンホスホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、リグノスルホネート、カラゲナン、ヘパリン、硫酸コンドリチン、およびそれらの塩類または他の誘導体が挙げられる。
好適な選択的透過性ポリマーバリヤーの例としては、アクリレート類、アクリルアミド類、アズラクトン類、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、多糖類などのポリマー類が挙げられる。このようなポリマー類は、種々の形態であり得る。それらは、水溶性、水膨潤性、水不溶性、ヒドロゲル類などであり得る。例えば、白血球細胞、核、ウィルス類、細菌類、ならびにヒトゲノムDNAなどの核酸類および蛋白質類などのより大きな粒子用のフィルタとして働くようにポリマーバリヤーを調製できる。これらの表面は、サイズおよび/または架橋などによる官能基の適切な選択による荷電に基づいて分離するために、当業者により製造できるであろう。このような材料は、当業者により容易に利用されるか、または調製されるであろう。
該固相材料は、過剰な界面活性剤の洗い出しをすることなく界面活性剤により被覆されることが好ましいが、所望ならば、他のコーティング試薬はすすぐことができる。一般に、コーティングは、浸漬、ロール塗り、スプレーなどの種々の方法を用いて実施できる。次に一般に、コーティング試薬−装填固相材料を、例えば、使用前に風乾する。
界面活性剤、好ましくは、非イオン界面活性剤で被覆される固相材料が特に望ましい。これは、実施例の節に記載された方法に従って達成できる。理論によって限定される意図はないが、界面活性剤の添加により、固相材料の湿潤性が増加し、阻害物質を固相材料に浸漬し、それに結合させることが可能になると考えられる。
固相材料用のコーティング試薬は、水性ベースの溶液であることが好ましいが、所望ならば、有機溶媒類(アルコール類など)を使用できる。サンプルが、固相材料を湿潤化できるようにコーティング試薬の装填は十分に高くするべきである。しかしながら、コーティング試薬それ自体のかなりの溶出があるほど高くすべきではない。コーティング試薬を核酸で溶出する場合、溶出サンプル中のコーティング試薬が約2重量%以下であることが好ましい。一般に、コーティング溶液濃度は、溶液中のコーティング試薬が0.1重量%の低さから、溶液中のコーティング試薬が10重量%もの高さであり得る。
界面活性剤
非イオン界面活性剤。溶解試薬(上記に検討された)、溶出試薬(下記に検討される)、および/または固相材料のコーティング試薬として使用できる多種多様の好適な非イオン界面活性剤が公知である。それらには、例えば、ポリオキシエチレン界面活性剤、カルボン酸エステル界面活性剤、カルボン酸アミド界面活性剤などが挙げられる。市販の非イオン界面活性剤としては、n−ドデカノイルスクロース、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−オクチル−β−D−マルトピラノシド、n−オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、n−デカノイルスクロース、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−デシル−β−D−チオマルトピラノシド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコピラノシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、n−ノニル−β−D−グルコピラノシド、n−オクタノイルスクロース、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、シクロヘキシル−n−ヘキシル−β−D−マルトシド、シクロヘキシル−n−メチル−β−D−マルトシド、ジギトニン、登録商標PLURONIC、TRITON、TWEENで入手できるもの、ならびにKirk Othmer Technical Encyclopediaに掲げられ、市販されている他の多くのものが挙げられる。例は、下表1に掲げられている。好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレン界面活性剤である。より好ましい界面活性剤としては、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールが挙げられる。
Figure 2007516724
米国特許出願公開第2003/0139550号明細書(サブ(Savu)ら)および米国特許出願公開第2003/0139549号明細書(サブ(Savu)ら)に開示されているタイプのフッ素化非イオン界面活性剤もまた好適である。他の非イオンフッ素化界面活性剤としては、DuPont(ウィルミントン、デラウェア州)の登録商標ZONYLで入手できるものが挙げられる。
両性イオン性界面活性剤。溶解試薬、溶出試薬、および/または固相材料のコーティング試薬として使用できる多種多様の好適な両性イオン性界面活性剤が公知である。それらには、例えば、アルキルアミドベタイン類およびそれらのアミンオキシド類、アルキルベタイン類およびそれらのアミンオキシド類、スルホベタイン類、ヒドロキシスルホベタイン類、アンホグリシネート類、アンホプロピオネート類、平衡アンホポリカルボキシグリシネート類、およびアルキルポリアミノグリシネート類が挙げられる。蛋白質類は、pHに依って荷電または非荷電される能力を有し;したがって、修飾ウシ血清アルブミンまたはキモトリプシノーゲンなどの蛋白質は、適切なpH、好ましくは約8〜9までのpIで両性イオン性界面活性剤として機能し得る。両性イオン性界面活性剤の具体例は、Sigmaの登録商標CHAPSで入手できるコールアミドプロピルジメチルアンモニウムプロパンスルホネートである。より好ましい界面活性剤としては、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニア−1−プロパンスルホネートが挙げられる。
カチオン性界面活性剤。溶解試薬、溶出試薬、および/または固相材料のコーティング試薬として使用できる多種多様の好適なカチオン性界面活性剤が公知である。それらには、例えば、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、およびアルキルアミンオキシド類が挙げられる。一般に、好適な第四級アンモニウム塩類としては、少なくとも1つの高級分子量基が挙げられ、2つまたは3つの低級分子量基が、共通の窒素原子に結合してカチオンを生成し、ここでの電気的平衡アニオンは、ハロゲン化物(臭化物、塩化物など)、酢酸塩、亜硝酸塩、および低級アルコスルフェート(メトスルフェートなど)からなる群から選択される。窒素上の高級分子量置換基(1つまたは複数)は、しばしば約10個から約20個の炭素原子を含有する高級アルキル基(1つまたは複数)であり、幾つかの場合において、低級分子量基は、ヒドロキシで置換され得るメチル、エチルなどの約1個から約4個までの炭素原子の低級アルキルであり得る。1つ以上の置換基が、アリール部分を含み得るか、またはベンジルまたはフェニルなどのアリールにより置換され得る。また可能な低級分子量置換基の中には、ヒドロキシ末端基を有し、一般式:
R(CH2CH2O)(n-1)CH2CH2OH
に分類され、
(式中、Rは、窒素に結合している(C1〜C4)二価アルキル基であり、nは、約1から約15までの整数を表す)ポリオキシエチレン部分などの低級ポリアルコキシ部分により置換されているメチルおよびエチルなどの約1個から約4個までの炭素原子の低級アルキル類がある。あるいは、末端ヒドロキシルを有する1つまたは2つのこのような低級ポリアルコキシ部分は、前述の低級アルキルを介して結合される代わりに第四級窒素に直接結合できる。本発明の使用に有用な第四級アンモニウムハロゲン化界面活性剤の例としては、限定はしないが、Akzo Chemical社のメチル−ビス(2−ヒドロキシエチル)ココ−アンモニウムクロリドまたはオレイル−アンモニウムクロリド(それぞれETHOQUAD C/12およびO/12)およびメチルポリオキシエチレン(15)オクタデシルアンモニウムクロリド(ETHOQUAD 18/25)が挙げられる。
アニオン性界面活性剤。溶解試薬、溶出試薬、および/または固相材料のコーティング試薬として使用できる多種多様の好適なアニオン性界面活性剤が公知である。有用なアニオン性タイプの界面活性剤としては、アルキルスルフェート類、アルキルエーテルスルフェート類、アルキルスルホネート類、アルキルエーテルスルホネート類、アルキルベンゼンスルホネート類、アルキルベンゼンエーテルスルフェート類、アルキルスルホアセテート類、第二級アルカンスルホネート類、第二級アルキルスルフェート類などのスルホネート類およびスルフェート類が挙げられる。これらの多くは、ポリアルコキシレート基(例えば、無作為配置、連続配置、またはブロック配置であり得るエチレンオキシド基および/またはプロピレンオキシド基)および/またはNa、K、Li、アンモニウムなどのカチオン性対イオン、トリエタノールアミンまたは第四級アンモニウム基などのプロトン化第三級アミンを含むことができる。例としては、イリノイ州ノースフィールド所在のStepan社の登録商標POLYSTEP B12およびB22で入手できるラウリルエーテルスルフェート類、日本国東京所在のNikko Chemicalsの登録商標NIKKOL CMT30で入手できるナトリウムメチルタウレート;ノースカロライナ州チャーロッテ所在のClariant社の、ナトリウム(C14〜C17)第二級アルカンスルホネート類(アルファ−オレフィンスルホネート類)である登録商標HOSTAPUR SASのもとで入手できる第二級アルカンスルホネート類;登録商標ALPHASTE PC−48でStepan社から入手できるナトリウムメチル−2−スルホ(C12〜C16)エステルおよびジナトリウム2−スルホ(C12〜C16)脂肪酸などのメチル−2−スルホアルキルエステル類;双方Stepan社のナトリウムラウリルスルホアセテート(登録商標LANTHANOL LAL)およびジナトリウムラウレチスルホスクシネート(登録商標STEPANMILD SL3)として入手できるアルキルスルホアセテート類およびアルキルスルホスクシネート類;およびStepan社の登録商標STEPANOL AMで商品として入手できるアンモニウムラウリルスルフェートなどのアルキルスルフェート類が挙げられる。
有用なアニオン性界面活性剤の別のクラスとしては、アルキルホスフェート類、アルキルエーテルホスフェート類、アラルキルホスフェート類、およびアラルキルエーテルホスフェート類などのホスフェート類が挙げられる。これらの多くは、ポリアルコキシレート基(例えば、無作為配置、連続配置、またはブロック配置であり得るエチレンオキシド基および/またはプロピレンオキシド基)を含むことができる。例としては、Clariant社の登録商標HOSTAPHAT 340KLで商品として入手できるトリラウレチ−4−ホスフェートと一般に称されるモノ−、ジ−およびトリ−(アルキルテトラグリコールエーテル)−o−リン酸エステル類の混合物、およびニュージャージー州Parsipanny所在のCroda社の登録商標CRODAPHOS SGで入手できるPPG−5セテチ10ホスフェートならびにアルキルおよびアルキルアミドアルキルジアルキルアミンオキシドが挙げられる。アミンオキシド界面活性剤の例としては、全てStepan社のラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、およびセチルアミンオキシドである登録商標AMMONYX LO、LMDO、およびCOで商品として入手できるものが挙げられる。
溶出法
阻害物質を保持する固相材料を使用する実施形態では、核酸含有材料(例えば、核)および/または放出核酸を含むサンプルのより濃縮された領域を、種々の溶出試薬を用いて溶出できる。このような溶出試薬としては、水(好ましくはRNAseのない滅菌水)、緩衝液、カチオン性、アニオン性、非イオン性、または両性イオン性であり得る界面活性剤、または強塩基が挙げられる。
溶出試薬は、塩基性(すなわち、7以上)であることが好ましい。ある一定の実施形態について、溶出試薬のpHは少なくとも8である。ある一定の実施形態について、溶出試薬のpHは10までである。ある一定の実施形態について、溶出試薬のpHは13までである。溶出された核酸が、PCRなどの増幅過程で直接用いられる場合、成分濃度が酵素(例えば、Taqポリメラーゼ)を阻害しないか、あるいは他に増幅反応を妨げないように、溶出試薬を製剤化すべきである。
好適な界面活性剤の例としては、上記に掲げたもの、特にSDS、TRITON X−100、TWEEN、フッ素化界面活性剤、およびPLURONICSが挙げられる。一般に、界面活性剤は、水性ベース溶液で提供されるが、所望ならば、有機溶媒(アルコール類など)を使用できる。溶出試薬中の界面活性剤の濃度は、溶出試薬の全重量を基準にして少なくとも0.1重量/容量パーセント(w/v%)であることが好ましい。溶出試薬中の界面活性剤の濃度は、溶出試薬の全重量を基準にして少なくとも1w/v%以下であることが好ましい。ポリエチレングリコールなどの安定化剤を、任意に界面活性剤と共に使用できる。
好適な溶出緩衝液の例としては、トリス−HCl、N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸](HEPES)、3−[N−モルホリノ]プロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン−N,N’−ビス[2−エタンスルホン酸](PIPES)、2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸(MES)、トリス−EDTA(TE)緩衝液、クエン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、炭酸塩類、および重炭酸塩類などが挙げられる。
溶出試薬中の溶出緩衝液の濃度は、少なくとも10ミリモル(mM)であることが好ましい。溶出試薬中の界面活性剤の濃度は、2重量パーセント(重量%)以下であることが好ましい。
一般に、核酸含有材料および/または放出核酸の溶出は、アルカリ性溶液を用いて達成されることが好ましい。理論に拘束される意図はないが、アルカリ性溶液は、水による溶出と比較して、阻害物質の結合を改善させると考えられる。アルカリ性溶液はまた、核酸含有材料の溶解を促進する。アルカリ性溶液は、好ましくはpH8から13、より好ましくは13を有する。高いpH源の例としては、NaOH、KOH、LiOH、水酸化第四級窒素塩基、第三級、第二級または第一級アミン類などの水溶液が挙げられる。アルカリ性溶液が溶出に用いられる場合、PCRに備えたサンプルを形成するために、例えば、トリス緩衝液により、一般に引き続くステップにおいて中和される。
アルカリ性溶液の使用により、RNAを選択的に破壊でき、DNAの分析が可能になる。さもなければ、RNAseを製剤に加えてRNAを不活化し、次いでRNAseを加熱不活化できる。同様にDNAseを加えて選択的に破壊でき、DNAの分析が可能になるが;RNAを破壊しない他の溶解用緩衝液(例えば、TE)も、このような方法に使用されることが考えられる。RNAsinなどのRNAse阻害剤の添加はまた、リアルタイムのPCRに供されるRNA調製用製剤にも使用できる。
一般に溶出は、室温で実施されるが、より高い温度により、より高い収率を生じ得る。例えば、溶出試薬の温度は、所望ならば95℃までであり得る。一般に溶出は、10分以内で実施されるが、1〜3分の溶出時間が好ましい。
装置およびキット
本発明の方法を使用する装置の例としては、Millipore社(ベッドフォード、マサチューセッツ州)、Bio−Rad社(ヘルクレス、カリフォルニア州)、Osmonics社(ウェストボロー、マサチューセッツ州)、およびWhatman社(クリフトン、ニュージャージー州)などの会社により供給される標準的実験室用フィルタホルダーが挙げられる。本発明の方法は、遠心分離、吸引、加圧などの手段により固相材料を通して溶液の移動を促進するろ過装置(流動装置と称される)において実施できる。他の装置としては、マイクロタイタープレートおよびマイクロ流体装置が挙げられる。
本発明はまた、ホルダー(例えば、シリンジフィルタホルダーまたはスピンフィルタホルダーなどのフィルタホルダー、または微粒子材料を保持するための各末端でフリットを保持するカラム)を有するか、または有さない固相材料、溶解試薬(特にニートまたは溶液中の非イオン界面活性剤などの界面活性剤)、および阻害物質の結合および核酸を溶出する使用説明書を含むキットを提供する。本発明は、キット中に固相(好ましくは、ポリマー)材料を有する流動体受け器(より好ましくは、マイクロ流体装置)および好ましくは非イオン性界面活性剤を含むキットを提供することが好ましい。
本発明のキット内に含まれ得る他の構成要素としては、洗浄用溶液、カップリング用緩衝液、クエンチング用緩衝液、ブロッキング用緩衝液、溶出用緩衝液など、従来の試薬が挙げられる。本発明のキット内に含まれ得る他の構成要素としては、スピンカラム、カートリッジ、96ウェルフィルタプレート、シリンジフィルタ、採取用ユニット、シリンジなど、従来の装置が挙げられる。
一般にキットは、キットの内容物を入れるために用いられる1つ以上の物理的構造に適用されるパッケージング材料を含む。パッケージング材料は、好ましくは、無菌の不純物のない環境を提供するために周知の方法により構築できる。パッケージング材料は、キットの内容物を示すラベルを有することができる。さらに、キットは、キット内の材料の使用法を示す使用説明書を含んでいる。本明細書に用いられる用語の「パッケージ」は、ガラス、プラスチック、紙、フォイルなどの固体マトリックスまたは材料を称す。
一般に「使用説明書」は、溶解条件(例えば、溶解試薬のタイプおよび濃度)、混合される試薬とサンプルとの相対量、試薬/サンプル混合物の維持時間、温度、緩衝液条件など、本発明の種々の方法を説明する有形の表現を含む。
種々の装置において該方法が使用できるが、好ましい装置の種々の例証となる実施形態は、米国特許出願公開第2002/0047003号明細書(2003年4月25日に公開、ベディングハム(Bedingham)ら)に記載されている。
本発明の方法に有用な好ましい装置としては、マイクロ流体装置が挙げられる。一般にこれらは、その中で処理された統合的マイクロ流体チャネルネットワークを有するボディ構造を使用する。好ましい態様において、マイクロ流体装置のボディ構造は、適切に組み合わされるか、または一緒に接合された場合に、例えば、本明細書に記載されたチャネルおよび/またはチャンバを含有する本発明のマイクロ流体装置を形成する、2つ以上の分離層の集合を含む。一般に、有用なマイクロ流体装置は、上部、底部、および内部を含み、該内部は、装置のチャネルおよびチャンバを実質的に規定している。一般に、チャンバはバルブ(例えば、バルブセプタム)を含み、バルブ付チャンバと称される。
本明細書のある一定の実施形態に特に好ましい装置は、可変バルブ付装置と称され、Variable Valve Apparatus and Methodの標題で、2003年12月12日に出願され、出願者の譲受人の同時係属米国特許出願第10/734,717号明細書に開示されている。この可変バルブ付装置において、バルブ構造は、処理用チャンバ(すなわち、可変バルブ付処理用チャンバ)内に配置されたサンプル材料の選択部分の除去を可能にしている。選択部分の除去は、所望の位置でバルブセプタムにおける開口を形成することにより達成される。
バルブセプタムは、処理用チャンバ内のサンプル材料の特性に基づいて開口部の位置の調整を可能にする上で十分に大きいことが好ましい。サンプル処理装置が、開口部が形成された後に回転される場合、回転軸により近接して配置されている材料の選択部分が、開口部を通って処理用チャンバを抜け出る。サンプル材料の残りは、開口部よりも回転軸から離れて配置されているため、開口部を通って抜け出ることができない。
バルブセプタムにおける開口部は、処理用チャンバ内で検出されるサンプル材料の1つ以上の特性に基づいた位置で形成できる。処理用チャンバは、処理用チャンバ内に、および/または外に光を透過させる検出ウィンドウを含むことが好ましいと考えられる。サンプル材料の検出特性としては、例えば、サンプル材料の遊離表面(処理チャンバ内のチャンバ材料の容量を示している)を挙げることができる。バルブセプタムにおける開口部を、該遊離表面の外向き放射状に選択された距離で形成することにより、処理用チャンバからサンプル材料の選択された容量を取り出す能力を提供することができる。
種々の成分に分離できるサンプル材料、例えば、全血では、サンプル処理装置の回転により、血漿および赤血球細胞の成分分離を生じさせることができ、したがって、例えば、種々の処理用チャンバへ成分の選択的取出しを可能にしている。
幾つかの実施形態において、1つ以上のバルブセプタムにおける選択された位置で開口部を形成することにより、サンプル材料の選択された分割量を取り出すことが可能であると考えられる。選択された分割容量は、開口部(回転軸に対して測定された)と、開口部間の処理用チャンバの断面積との間の放射状距離に基づいて決めることができる。
バルブセプタムにおける開口部は、物理的接触のない状態で、例えば、レーザーアブレーション、集束光加熱によって形成されることが好ましい。その結果、開口部は、サンプル処理装置の最外層を貫通することなく好ましく形成でき、したがってサンプル処理装置からのサンプル材料漏出の可能性が制限される。
一態様において、本発明は、サンプル処理装置(例えば、マイクロ流体装置)内のバルブ付処理用チャンバを用い、該バルブ付処理(例えば、加熱、混合、溶解、流体の組合せ)用チャンバは、サンプル処理装置の対向する第1と第2の主要側面間に配置される処理用チャンバ容積を有する処理用チャンバを含み、該処理用チャンバは、サンプル処理装置内の処理用チャンバ領域を占有しており、該処理用チャンバ領域は、長さと長さに横行する幅を有しており、さらに長さは幅よりも大きい。可変バルブ付処理用チャンバとしてはまた、処理用チャンバ領域内に配置されたバルブ付チャンバ、処理用チャンバ容積とサンプル処理装置の第2の主要側面間に配置されるバルブ付チャンバが挙げられ、該バルブ付処理用チャンバは、バルブ付処理用チャンバと処置用チャンバとを分離するバルブセプタムにより処理用チャンバから隔離されており、処理用チャンバ領域の一部は、バルブセプタムとサンプル処理装置の第1の主要側面との間にある。検出ウィンドウは、処理用チャンバ領域内に配置されており、該検出ウィンドウは、処理用チャンバ容積内におよび/または外に向けられる選択された電磁気エネルギーを透過させる。
他の態様において、本発明は、可変バルブ付処理用チャンバからサンプルの一部の選択的取り出しを可能にする方法を提供する。この方法は、上記のサンプル処理装置(例えば、マイクロ流体装置)を提供すること、処理用チャンバにサンプル材料を提供すること;検出ウィンドウを介して処理チャンバ内でサンプル材料の特性を検出すること;選択された位置が、処理用チャンバの長さに沿ってサンプル材料の検出特性に関連する選択された位置でバルブセプタムにおける開口部を形成すること、を含む。この方法はまた、サンプル材料の一部だけを、処理用チャンバからバルブセプタムに形成された開口部を通ってバルブ付チャンバ内に移動させることを含む。
例証法1
一実施形態において、本発明は、サンプルから核酸を単離する方法を提供する。この例証的な方法において、阻害物質は細胞内に含まれるが、これは、必ずしもそうであるとは限らない場合もあることが解され、本発明の方法は、このようなサンプルにも使用できる。
該方法は、核酸含有材料と阻害物質(このような核酸含有材料および阻害物質含有細胞は同じものであってもよいし、異なっていてもよい)とを含むサンプルを提供すること;細胞膜を破壊し、阻害物質を放出し、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;該溶解サンプルの濃縮領域については、核酸含有材料および阻害物質を含む該溶解サンプルの濃縮領域を形成すること;該溶解サンプルの濃縮度の低い領域から該濃縮領域を実質的に分離すること;ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、該マトリックス中にからませた収着性粒子、および該固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含んでなる固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料に、該溶解サンプルの分離された濃縮領域を固相材料を接触させ、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させること;該サンプルの分離された濃縮領域を、該固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、を含む。
核酸含有材料および阻害物質を含有する細胞は、同じものであってもよいし、異なっていてもよいが、一般には異なる。すなわち、核酸含有材料および阻害物質含有細胞は、潜在的には同じであり得るであろう。例えば、サンプルが白血球層である場合、核酸含有材料は、核および阻害物質の双方を含有する白血球細胞であり得る。白血球細胞に含まれる核ではなくて白血球細胞の細胞膜を溶解する溶解試薬(例えば、非イオン界面活性剤)が用いられると、次にはまた、本明細書に定義される核酸含有材料であると考えられる、核が非損傷状態の阻害物質が放出される。
別の実施形態において、本発明は、サンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法は、阻害物質含有細胞と核含有細胞(このような阻害物質含有細胞と核含有細胞は同じものであってもよいし、異なっていてもよい)とを含むサンプルを提供すること;細胞膜を破壊し、核と阻害物質を放出し、溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該生物学的サンプルと非イオン性界面活性剤とを接触させること;該溶解サンプルの濃縮領域については、核および阻害物質を含む該溶解サンプルの濃縮領域を形成すること;該サンプルの濃縮度の低い領域から該溶解サンプルの濃縮領域を実質的に分離すること;ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、該マトリックス中にからませた収着性粒子、および該固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含む固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料に、該溶解サンプルの分離された濃縮領域を接触させ、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させること;該サンプルの分離された濃縮領域を、該固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、を含む。
阻害物質を含有する細胞および核を含有する材料は、同じものであってもよいし、異なっていてもよいが、一般には異なる細胞である。すなわち、核含有細胞および阻害物質含有細胞は、可能性として同じであり得るであろう。例えば、阻害物質としては、核蛋白質ならびに細胞蛋白質が挙げられると考えられる。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法は、装填用チャンバ、バルブ付処理用チャンバおよび固相材料を含む分離用チャンバを含むマイクロ流体装置を提供すること;核酸含有材料と阻害物質含有細胞(このような核酸含有材料と阻害物質含有細胞とは同じものであってもよいし、異なっていてもよい)を含むサンプルを提供すること;装填用チャンバに前記サンプルを導入すること;細胞膜を破壊し、阻害物質を放出し、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該サンプルと第1の溶解試薬とを任意に接触させること;バルブ付処理用チャンバに該溶解サンプルを移すこと;バルブ付処理用チャンバ中の該溶解サンプルの濃縮領域については、核酸含有材料および阻害物質を含む該溶解サンプルの濃縮領域を形成すること;該溶解サンプルの濃縮度の低い領域から該濃縮領域を実質的に分離すること;捕捉部位(例えば、キレート性官能基)、該固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含む固相材料であって、該コーティング試薬を、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料に接触させ、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させるために、該溶解サンプルの分離された濃縮領域を分離用チャンバに移すこと;該サンプルの分離された濃縮領域を、該固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、が挙げられる。上記に検討されたように、核酸含有材料と阻害物質含有細胞は、同じものであってもよいし、異なっていてもよいが、一般には異なる。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法としては、装填用チャンバ、バルブ付処理用チャンバおよび固相材料を含む分離用チャンバを含むマイクロ流体装置を提供すること;阻害物質含有細胞と核含有細胞(このような阻害物質含有細胞と核含有細胞とは同じものであってもよいし、異なっていてもよい)を含むサンプルを提供すること;装填用チャンバに該サンプルを導入すること;細胞膜を破壊し、阻害物質を放出し、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該サンプルと非イオン性界面活性剤とを接触させること;バルブ付処理用チャンバに該溶解サンプルを移すこと;該バルブ付処理用チャンバ中の該溶解サンプルの濃縮領域については、核および阻害物質を含む該溶解サンプルの濃縮領域を形成すること;該溶解サンプルの濃縮度の低い領域から該濃縮領域を実質的に分離すること;捕捉部位(例えば、キレート性官能基)、該固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含む固相材料であって、該コーティング試薬を、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料と接触させ、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させるために、該溶解サンプルの分離された濃縮領域を分離用チャンバに移すこと;該サンプルの分離された濃縮領域を、該固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、が挙げられる。上記に検討されたように、核酸含有材料と阻害物質含有細胞は、同じものであってもよいし、異なっていてもよいが、一般には異なる細胞である。
このような方法のある一定の実施形態において、核酸含有材料は核を含み、該方法は、固相材料から核の少なくとも一部を分離することを含む。すなわち、非損傷状態の核が、固相材料に接触する。
このような方法のある一定の実施形態において、核酸含有材料(例えば、核)および/または核酸の少なくとも一部の固相材料からの分離としては、核酸含有材料(例えば、核)および/または核酸を増幅反応チャンバ(例えば、PCR用サンプルチャンバ)に移すことが挙げられる。
このような方法のある一定の実施形態において、固相材料上のコーティング試薬としては、界面活性剤が挙げられる。該界面活性剤は、非イオンまたは両性イオン性界面活性剤であることが好ましく、非イオン界面活性剤がより好ましい。
このような方法のある一定の実施形態において、核酸含有材料(例えば、核)および/または核酸の少なくとも一部の分離としては、核酸含有材料(例えば、核)および/または核酸の少なくとも一部を、溶出試薬により固相材料から溶出することが挙げられる。
本発明のこのような方法のある一定の実施形態において、所望ならば、該方法としては、第2の溶解試薬を用いて核酸含有材料(例えば、核)を溶解することがさらに挙げられる。
あるいはこのような方法のある一定の実施形態において、溶出試薬はまた、溶解試薬である。同時に溶出と溶解とを行うために、NaOHなどの強塩基が好ましい。溶解なしの溶出には、水またはTE緩衝液が好ましい。予め溶解したサンプルの溶出には、任意の溶出用試薬(すなわち、溶出試薬)を使用できる。
図1を参照すると、これらの実施形態による使用に好適なマイクロ流体装置の好ましい実施形態としては、装填用チャンバ10、任意の混合用チャンバ12、バルブ付処理用チャンバ14、固相材料を含む分離用チャンバ16、溶出試薬用チャンバ18、廃棄用チャンバ20および任意の増幅反応用チャンバ22が挙げられる。このようなバルブ付処理用チャンバを含むマイクロ流体装置は、例えば、標題がVariable Valve Apparatus and Methodで、2003年12月12日に出願され、出願者の譲受人の同時係属米国特許出願第10/734,717号明細書に開示されている。これらのチャンバは、サンプルを装填用チャンバ10に装填でき、次いで混合用チャンバ12に移すか、またはそれが存在しない場合、バルブ付処理用チャンバ14に直接移すことができるように、互いに流体で連絡している。サンプルが溶解試薬と予め混合される(すなわち、予め溶解される)場合、したがって例えば、混合用チャンバ12を必要としない。あるいは、混合用チャンバ12は、例えば、予め堆積された(一般に乾燥された)形態で溶解試薬を含むことができるであろう。サンプルは、種々の手段により、一般に遠心分離により濃縮できる。サンプルの濃縮領域(標的核酸含有材料および/または核酸ならびに阻害物質を含む)が、サンプルの濃縮度の低い領域(また、阻害物質およびより少ない量の標的核酸含有材料および/または核酸を含むことができる)から実質的に分離できるように、バルブ付処理用チャンバ14のバルブを一般に配置する。サンプルの濃縮度の低い領域を、一般に廃棄用チャンバ20に移す。サンプルのより濃厚な領域は、固相材料との接触のため分離用チャンバ16に移して阻害物質の少なくとも一部を固相材料に優先的に付着させる。次に溶出試薬用チャンバ18中の溶出試薬を分離用チャンバ16に移して、標的核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を取り出す。幾つかの場合において、後で消耗使用される核を保管することは有用と考えられる。ある一定の実施形態において、ある一定の実施形態において、この材料を、例えば、PCR処理を実施するために、増幅反応チャンバ22に直接移すことができる。増幅反応チャンバ22は、増幅反応(例えば、PCR)のため予め堆積された(一般に乾燥された)反応物を任意に含むことができる。
例証法2
別の実施形態において、本発明は、サンプルから核酸を単離する方法を提供する。この例証となる方法において、阻害物質は細胞内に含まれるが、これは、必ずしもそうであるとは限らない場合もあることが解され、本発明の方法は、このようなサンプルにも使用できる。
該方法としては、核酸含有材料および阻害物質含有細胞(同じものであってもよいし、異なっていてもよい)を含むサンプルを提供すること;細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、該マトリックス内にからませた収着性粒子、および該固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含む固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料に、該溶解サンプルを接触させて、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させること;該溶解サンプルを、該固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および溶出試薬が、非イオン性界面活性剤でないという条件で、溶出試薬により溶出することにより、核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、が挙げられる。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法としては、核酸含有材料および阻害物質含有細胞(同じものであってもよいし、異なっていてもよい)を含むサンプルを提供すること;細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、前記サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、該マトリックス内にからませた収着性粒子、および該固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含む固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せ(好ましくは、界面活性剤)からなる群から選択される固相材料に、該溶解サンプルを接触させ、該阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させること;核酸含有材料の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した固相材料から分離すること;および該核酸含有材料の分離後、核酸を放出するために核酸含有材料をさらに溶解すること、が挙げられる。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法としては、装填用チャンバおよび固相材料を含む分離用チャンバを含むマイクロ流体装置を提供すること;核酸含有材料と阻害物質含有細胞(同じものであってもよいし、異なっていてもよい)を含むサンプルを提供すること;装填用チャンバに前記サンプルを導入すること;細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;該固相材料に接触させ、阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させるために、該溶解サンプルを分離用チャンバに移すこと;捕捉部位(例えば、キレート性官能基)、該固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含んでなる固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料に、該サンプルを接触させる前に、同時に、または後に、核酸を放出させるために核酸含有材料を任意にさらに溶解すること;および溶出試薬が、非イオン性界面活性剤でないという条件で、溶出試薬により溶出することにより、核酸含有材料および/または核酸を、阻害物質の少なくとも一部が付着した該固相材料から分離すること、が挙げられる。
別の実施形態において、本発明はサンプルから核酸を単離する方法を提供するものであり、該方法としては、装填用チャンバおよび固相材料を含む分離用チャンバを含むマイクロ流体装置を提供すること;核酸含有材料と阻害物質含有細胞(同じものであってもよいし、異なっていてもよい)を含むサンプルを提供すること;装填用チャンバに前記サンプルを導入すること;細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、該サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;該固相材料が、捕捉部位(例えば、キレート性官能基)、該固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含む固相材料であって、該コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される固相材料を接触させ、阻害物質の少なくとも一部を該固相材料に優先的に付着させるために、該溶解サンプルを分離用チャンバに移すこと;核酸含有材料の少なくとも一部を、阻害物質の少なくとも一部が付着した固相材料から分離すること;および該核酸含有材料の分離後、核酸を放出するために核酸含有材料をさらに溶解すること、が挙げられる。
例証法1に関して上記に検討されたように、例証法2の実施形態の核酸含有材料と阻害物質含有細胞は、同じものであってもよいし、異なっていてもよいが、一般には異なる細胞である。すなわち、核酸含有材料と阻害物質含有細胞は、可能性としては同じであり得る。また例証法2において、サンプルは、遊離核酸および遊離阻害物質を含むことができる。
このような方法のある一定の実施形態において、核酸含有材料(例えば、核)(および/または核酸含有材料から既に単離された場合の核酸)の固相材料からの分離としては、核酸含有材料(例えば、核)(および/または核酸)を増幅反応チャンバ(例えば、PCR用サンプルチャンバ)に移すことが挙げられる。
このような方法のある一定の実施形態において、該固相材料は、ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、該マトリックス内にからませた収着性粒子、および該固相材料上に被覆されたコーティング試薬を含み、該コーティング試薬は、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
このような方法のある一定の実施形態において、分離は、溶出試薬を用いて固相材料から核酸含有材料(例えば、核)(および/または核酸)の少なくとも一部を溶出することを含む。
図2を参照すると、これらの実施形態による使用に好適なマイクロ流体装置の好ましい実施形態としては、装填用チャンバ30、任意の混合用チャンバ32、固相材料を含む分離用チャンバ36、溶出試薬用チャンバ38、および任意の増幅反応用チャンバ42が挙げられる。これらのチャンバは、サンプルを装填用チャンバ30に装填でき、次いで混合用チャンバ32に移すか、またはそれが存在しない場合、分離用チャンバ36に直接移すことができるように、互いに流体で連絡している。サンプルが溶解試薬と予め混合される(すなわち、予め溶解される)場合、したがって例えば、混合用チャンバ32を必要としない。あるいは、混合用チャンバ32は、例えば、予め堆積された(一般に乾燥された)形態で溶解試薬を含むことができるであろう。溶解サンプルを固相材料との接触のため分離用チャンバ36に移して、阻害物質の少なくとも一部を固相材料に優先的に付着させる。次に溶出試薬用チャンバ38中の溶出試薬を分離用チャンバ36に移して、標的核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を取り出す。さらに溶解させるために、強塩基を用いてサンプルを溶出することができる。幾つかの場合において、強塩基を用いて溶解後、サンプルを2、3分高温(95℃)に加熱して、トリス緩衝液などの試薬を用いて中和してPCR前のサンプルのpHを調整する。あるいは、溶出されたサンプルを、他の方法(例えば、加熱、プロテイナーゼK)を用いてさらなる溶解のためにチャンバに移すことができる。あるいは、所望ならば、これらの試薬は、予め堆積(および乾燥された)し得る。ある一定の実施形態において、この材料は、例えば、PCR処理を実施するために増幅反応用チャンバ42に直接移すことができる。増幅反応用チャンバ42は、増幅反応(例えば、PCR)のために予め堆積された反応物を任意に含むことができる。
追加の実施形態
マイクロ流体装置の使用に関係するような方法のある一定の実施形態において、サンプルの装填チャンバへの導入は、サンプルを第1の溶解試薬と接触させる前に生じる。あるいは、サンプルの装填チャンバへの導入は、サンプルを第1の溶解試薬と接触させた後に生じる。第1の溶解試薬は、例えば水または非イオン界面活性剤であり得る。
さらなる溶解が、核酸含有材料(例えば、核)から核酸を放出させるために必要な場合、他の溶解条件を使用できる。例えば、これは、核酸含有材料を任意の加熱と共に強塩基に供することを含む。強塩基は、一般にNaOHであるが、KOH、LiOH、NH4OH、ならびに第一級、第二級、または第三級アミンであり得る。一般に、温度は室温である。塩基が用いられる場合、放出された核酸を含有するサンプルは、特に核酸が、引き続く増幅処理に供されるような場合、そのpHを調整する必要がある場合もある。したがって、本発明のある一定の実施形態は、一般にサンプルのpHを、少なくとも7.5、一般に9以下に調整することを含む。
マイクロ流体装置の使用に関係するような方法のある一定の実施形態において、第1の溶解試薬は、非イオン界面活性剤である。このような方法のある一定の実施形態において、装填チャンバは、第1の溶解試薬(例えば、予め堆積された(および一般に乾燥された)非イオン界面活性剤)を含み、サンプルと第1の溶解試薬との接触は、サンプルを装填チャンバに導入する際に生じる。
あるいは、サンプルを、第1の溶解試薬(好ましくは、非イオン界面活性剤)と共に引き続く処理チャンバ内に移すことができるであろう。例えば、細胞膜を破壊し、核および阻害物質を放出して、溶解サンプルを形成するために、サンプルと第1の溶解試薬(好ましくは、非イオン界面活性剤)との接触を混合用チャンバ内で十分に混合する。「第1の」溶解試薬を用いる場合、該方法は、「第2の」溶解試薬の使用を必ずしも必要とせず;むしろ、用語の「第1の溶解試薬」は、使用される場合の任意の追加の溶解試薬と区別するために本明細書に用いられることを解すべきである。
上記のように、緩衝液(特に、トリス緩衝液)中のショ糖の添加は、核の単離に役立ち得る。また、該緩衝液は、マグネシウム塩類およびTRITON X−100などの界面活性剤を含み得る。これはまた、白血球細胞の溶解に良好な媒体を提供できる。さらに、ある一定の場合、特にマイクロ流体装置内で核を保管する必要がある場合、核保存用緩衝液を用いることは有用であり得る。核貯蔵用緩衝液は、例えば、緩衝液(例えば、トリス緩衝液)中、ショ糖、マグネシウム塩類、EDTA、ジチオトリエトール、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド(AEBSF)、および/またはグリセロールを含むことができ、核の安定貯蔵が可能であろう。
マイクロ流体装置の使用に関係するような方法のある一定の実施形態において、バルブ付チャンバ内でサンプルの濃縮領域の形成は、処理用チャンバ内でサンプルの遠心分離を含む。一般に、濃縮度の低いサンプルからの濃縮領域の分離は、濃縮領域の少ないサンプルを、バルブを通して廃棄箱に移すことを含む。2分間の400rcfなどのスピニング速度が、一般にマイクロ流体装置を用いる場合に望ましいが、より高速のスピニング速度および/またはより長時間のスピニング時間を用いることができる。
TRITON X−100などの非イオン界面活性剤は、例えば、サンプル(例えば、全血)が、界面活性剤と2、3分間混合される場合に溶解が生じるように、マイクロ流体装置の混合用チャンバ内に予め堆積(所望ならば、均一に乾燥された)させることができる。他の場合において、界面活性剤の希釈溶液を、混合用チャンバへの導入前にサンプル(例えば、血液)と予め混合することができる。
他の場合において、非イオン界面活性剤が使用されない場合、水または塩化アンモニウムを、赤血球細胞の溶解のために使用できる。溶解が混合用チャンバ内で生じた後、白血球細胞を、比較的低速度下で遠心分離できる。
本明細書に記載された方法のある一定の実施形態において、サンプルは、全血であり得る。次に全血は、一般に成分のパーツに分離され、白血球細胞を含有する部分(一般に白血球層と称される)が分離され、溶解されて核および/または核酸を放出する。例えば、ある一定の実施形態において、該方法は、全血を遠心分離すること(例えば、バルブ付チャンバ内で)を含み、血漿層(上層であることが多く)、赤血球細胞層(下層であることが多く)、および白血球細胞を含む界面層を形成でき、界面層の実質的な部分(すなわち、白血球層)が取り出される。次いで白血球層を、さらなる処理に供することができる。
ある一定の実施形態において、白血球層は、従来の方法を用いて全血から分離し得る。次に白血球層は、本明細書に記載された方法におけるサンプルとして使用し得る。
本明細書に考察された固相材料に加えて、他のタイプの固相材料、特にビーズを、本発明の種々の実施形態でマイクロ流体装置に導入できる。例えば、ビーズは、適切な基で官能化して、特定の細胞、ウィルス、細菌、蛋白質、核酸などを単離できる。ビーズは、遠心分離、引き続く分離によりサンプルから分離できる。ビーズは、分離のために適切な密度とサイズ(ナノメートルからミクロンまで)を有するようにデザインし得る。例えば、ウィルス捕捉の場合、ウィルスの蛋白質コートを認識するビーズを、血清サンプルから少量が残存している阻害物質の除去前または除去後に捕捉および濃縮するために使用できる。
阻害物質は、ビーズ上のウィルス粒子の捕捉前または捕捉後に、本明細書に記載されている固相材料を用いて除去できる。これに加えて、阻害物質量は、例えば、標題METHODS FOR NUCLEIC ACID ISOLATION AND KITS USING A MICROFLUIDIC DEVICE AND CONCENTRATION STEP(代理人整理番号59801US002)で、___に出願された米国特許出願第___号明細書に開示される濃縮/分離/任意の希釈ステップを用いて減少させることができる。このような濃縮/分離/任意の希釈ステップは、種々の方法および本明細書に記載されたサンプルにより使用できる。
核酸は、分離されたウィルス粒子から溶解により抽出できる。したがって、ビーズは、マイクロ流体装置内の特定の領域で関連材料を濃縮する方法を提供でき、また、捕捉粒子からの関連材料の洗浄および関連材料の溶出が可能である。
このようなビーズの例としては、限定はしないが、Bio−Rad Laboratories社(ヘルクレス、カリフォルニア州)の登録商標CHELEXで入手できる架橋ポリスチレンビーズ、Rohm and Haas(フィラデルフィア、ペンシルバニア州)の登録商標DUOLITE C−467およびDUOLITE GT73、AMBERLITE IRC−748、DIAION CR11、DUOLITE C647で商品として入手できる、トリス(2−アミノエチル)アミン、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、ポリアミン類およびポリイミン類による架橋アガロースビーズならびにキレート化イオン交換樹脂が挙げられる。これらのビーズは、上記に検討された固相材料としての使用にも好適である。
ビーズの他の例としては、登録商標GENE FIZZ(Eurobio、仏国)、GENE RELEASER(Bioventures社、Murfreesboro、テネシー州)、およびBUGS N BEADS(GenPoint、オスロ、ノルウェー国)ならびにZymoのビーズ(Zymo Research、オレンジ、カリフォルニア州)およびDynalのビーズ(Dynal、オスロ、ノルウェー国)で入手できるものが挙げられる。
他の材料は、病原体捕捉(例えば、ウィルス粒子、細菌)のためにも利用できる。例えば、ポリマーコーティング試薬は、本発明のある一定の実施形態において、特定の細胞、ウィルス、細菌、蛋白質、核酸などを単離するためにも使用できる。これらのポリマーコーティング試薬は、例えば、マイクロ流体装置のカバーフィルム上に直接スプレー噴射し得る。
ビーズ表面上に抗体を共有結合することによりウィルス粒子をビーズ上に捕捉できる。ウィルスコート蛋白質に対する抗体を生じさせることができる。例えば、DYNALビーズが、抗体を共有結合するために使用できる。あるいは、合成ポリマー類、例えば、アニオン交換ポリマー類がウィルス粒子を濃縮するために使用できる。ビラフィニティー(viraffinity)(Biotech Support Group、イーストブランズウィック、ニュージャージー州)などの商品として入手できる樹脂は、ビーズを被覆するために使用できるか、またはウィルス粒子を濃縮するために、マイクロ流体装置内の選択位置をポリマーコーティング試薬として適用できる。BUGS N BEADS(GenPoint、オスロ、ノルウェー国)は、例えば、細菌の抽出のために使用できる。ここでこれらのビーズは、ブドウ球菌(Staphylococcus)、連鎖球菌(Streptococcus)、大腸菌(E coli)、サルモネラ菌(Salmonella)、およびクラミジア(Clamydia)基本小体などの細菌を捕捉するために使用できる。
したがって、サンプルがウィルス粒子または他の病原体(例えば、細菌)を含む場合の本発明の一実施形態において、マイクロ流体装置は、ウィルス捕捉ビーズの形態または他の病原体捕捉材料の形態での固相材料を含むことができる。より具体的には、ある場合において、ビーズは、ウィルスまたは細菌の濃縮にのみ使用でき、次いで例えば、別のチャンバでビーズを分離し、ウィルスまたは細菌の溶解により終了する。別の場合において、ビーズは、ウィルスまたは細菌の濃縮に使用でき、次いで溶解および同じビーズ上での核酸の捕捉、ビーズの希釈、ビーズの濃縮、ビーズの分離、捕捉された核酸の溶出前に複数回この処理を繰り返しが行われる。
核酸の下流適用が、PCRなどの増幅処理に供される場合、該方法に用いられる全ての試薬は、このような処理と適合する(例えば、PCR適合性)ことが好ましい。さらに、PCR促進剤の添加は、診断目的用に特に有用であり得る。また、増幅前に増幅を受ける材料の加熱は、有利であり得る。
阻害物質が完全に除去されない実施形態においては、阻害物質存在下での増幅処理に役立ち得、緩衝液、酵素、およびPCR促進剤の使用を加えることができる。例えば、阻害物質により抵抗性のあるrTthなどのTaqポリメラーゼ以外の酵素を使用でき、それによってPCR増幅にとって大きな利益が提供される。ウシ血清アルブミン、ベタイン、プロテイナーゼ阻害物質、ウシトランスフェリンなど、さらに増幅処理においても役立つことが知られているため使用できる。あるいは、大規模な精製を必要としない全血から直接的増幅のために、Novagenの血液直接のPCR緩衝液用キット(EMD Biosciences、ダルムスタット、独国)などの市販品を使用できる。
本発明の目的および利点は、以下の実施例によりさらに説明されるが、これらの実施例に列挙された特定の材料およびそれらの量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を過度に限定するものとして解釈してはならない。
実施例1A:固相材料の調製:TRITON X−100なしのアンモニア形態
3M番号2271EMPORE抽出用キレート化ディスク(3M、セントポール、ミネソタ州)を、ガラスフィルタホルダーに入れた。抽出用ディスクを、添付文書に印刷された方法に従ってアンモニア形態に変換した。
実施例1B:固相材料の調製:TRITON X−100によるアンモニア形態
3M番号2271EMPORE抽出用キレート化ディスクを、ガラスフィルタホルダーに入れた。抽出用ディスクを、添付文書に印刷された方法に従ってアンモニア形態に変換した。このディスクをバイアルに入れ、1%TRITON X−100(Sigma−Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)溶液(10mLの水中、0.1グラム(g)のTRITON X−100)に浸し、Thermolyne Vari−Mix Model M48725 Rocker(Barnstead/Thermolyne、Dubuque、アイオワ州)上で約6〜8時間混合した。ディスクを、約20分間減圧乾燥したガラスフィルタホルダーに入れ、次いで、ディスクの洗浄またはすすぎをしないように注意して、室温(約21℃)で一晩乾燥した。
実施例1C:固相材料の調製:TRITON X−100によるアニオン−SR EMPOREキレート化膜
3M番号2252 EMPORE抽出用キレート化ディスクを、バイアルに入れ、1%TRITON X−100溶液(10ミリリットル(mL)の水中、0.1gのTRITON X−100)に浸し、Thermolyne Vari−Mix Model M48725 Rocker上で約6〜8時間混合した。ディスクを、約20分間減圧乾燥したガラスフィルタホルダーに入れ、次いで、ディスクの洗浄またはすすぎをしないように注意して、室温(約21℃)で一晩乾燥した。
実施例1D:固相材料の調製:TRITON X−100によるC8キレート化膜
3M番号2214 EMPORE抽出用キレート化ディスクを、バイアルに入れ、1%TRITON X−100溶液(10ミリリットル(mL)の水中、0.1gのTRITON X−100)に浸し、Thermolyne Vari−Mix Model M48725 Rocker上で約6〜8時間混合した。ディスクを、約20分間減圧乾燥したガラスフィルタホルダーに入れ、次いで、ディスクの洗浄またはすすぎをしないように注意して、室温(約21℃)で一晩乾燥した。
実施例1E:固相材料の調製:TRITON X−100およびFR−2025によるキレート化膜
3M番号2271 EMPORE抽出用キレート化ディスクを、バイアルに入れ、1%TRITON X−100(10ミリリットル(mL)の水中、0.1gのTRITON X−100)および0.1% FR−2025(3M、セントポール、ミネソタ州)の50/50混液に浸し、Thermolyne Vari−Mix Model M48725 Rocker上で約6〜8時間混合した。ディスクを、約20分間減圧乾燥したガラスフィルタホルダーに入れ、次いで、ディスクの洗浄またはすすぎをしないように注意して、室温(約21℃)で一晩乾燥した。
実施例1F:固相材料の調製:TRITON X−100およびFC−4430によるキレート化膜
3M番号2271 EMPORE抽出用キレート化ディスクを、バイアルに入れ、1%TRITON X−100(10ミリリットル(mL)の水中、0.1gのTRITON X−100)および0.1% FC−4430(3M、セントポール、ミネソタ州)の50/50混液に浸し、Thermolyne Vari−Mix Model M48725 Rocker上で約6〜8時間混合した。ディスクを、約20分間減圧乾燥したガラスフィルタホルダーに入れ、次いで、ディスクの洗浄またはすすぎをしないように注意して、室温(約21℃)で一晩乾燥した。
実施例1G:固相材料の調製:TRITON X−100およびPSSAによるキレート化膜
3M番号2271 EMPORE抽出用キレート化ディスクを、ガラスフィルタホルダーに入れた。抽出用ディスクを、添付文書に印刷された方法に従ってアンモニア形態に変換した。このディスクをバイアルに入れ、1%TRITON X−100(10ミリリットル(mL)の水中、0.1gのTRITON X−100)および1% PSSA(ポリ(ナトリウム4−スチレン−スルホネート)(Sigma−Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)(20重量% PSSA保存溶液を、RNAseのない滅菌水中、1重量%に希釈した)の50/50混液に浸し、Thermolyne Vari−Mix Model M48725 Rocker上で約6〜8時間混合した。ディスクを、約20分間減圧乾燥したガラスフィルタホルダーに入れ、次いで、ディスクの洗浄またはすすぎをしないように注意して、室温(約21℃)で一晩乾燥した。
実施例1H:固相材料の調製:TRITON X−100によるカチオン−SR EMPOREキレート化膜
3M番号2251EMPORE抽出用キレート化ディスクをバイアルに入れ、1%TRITON X−100溶液(10mLの水中、0.1gのTRITON X−100)に浸し、Thermolyne Vari−Mix Model M48725 Rocker上で約6〜8時間混合した。ディスクを、約20分間減圧乾燥したガラスフィルタホルダーに入れ、次いで、ディスクの洗浄またはすすぎをしないように注意して、室温(約21℃)で一晩乾燥した。
実施例1J:固相材料の調製:TRITON X−100によるEMPOREキレート化膜
3M番号2241EMPORE抽出用キレート化ディスクをバイアルに入れ、1%TRITON X−100溶液(10mLの水中、0.1gのTRITON X−100)に浸し、Thermolyne Vari−Mix Model M48725 Rocker上で約6〜8時間混合した。ディスクを、約20分間減圧乾燥したガラスフィルタホルダーに入れ、次いで、ディスクの洗浄またはすすぎをしないように注意して、室温(約21℃)で一晩乾燥した。
実施例2:キレート化固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液は、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べ透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機(Brinkmann、ウェストベリー、ニューヨーク州)において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると、遠心管の底に約2μLの濃縮された物質が残った。この物質を、3M番号2271EMPORE抽出用キレート化ディスクに移し、物質がディスク表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間ディスク上で乾燥させた。12マイクロリットル(12μL)の0.083モル(M)NaOHを、抽出ディスクに加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られたのは12μl未満であったが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40ミリモル(mM)トリス−HCl(Sigma−Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)(pH7.4)に加えた。
実施例3:アンモニアキレート性固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液は、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると、遠心管の底に約2μLの濃縮された物質が残った。この物質を、実施例1Aで調製された抽出用膜に移し、物質が膜表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間膜上で乾燥させた。12マイクロリットル(μL)の0.083モル(M)NaOHを、抽出用膜に加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例4:TRITON X−100と共にアンモニアキレート性固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると、遠心管の底に約2μLの濃縮された物質が残った。この物質を、実施例1Bで調製された抽出用膜に移し、物質が膜表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間膜上で乾燥させた。12マイクロリットル(μL)の0.083モル(M)NaOHを、抽出用膜に加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例5A:固相材料による処理前に全血を回転させることによるゲノムDNAの濃縮:管の上部からのサンプル単離
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。約2μLの分割量を遠心管の上部から取り出し、この物質を、実施例1Bで調製された抽出用膜に移し、物質が膜表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間膜上で乾燥させた。12マイクロリットル(μL)の0.083モル(M)NaOHを、抽出用膜に加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例5B:固相材料による処理前に全血を回転させることによるゲノムDNAの濃縮:管の底部からのサンプル単離
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液は、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。約2μLの分割量を遠心管の底部から取り出し、この物質を、実施例1Bで調製された抽出用膜に移し、物質が膜表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間膜上で乾燥させた。12マイクロリットル(μL)の0.083モル(M)NaOHを、抽出用膜に加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例5C:固相材料による処理によるゲノムDNAの精製:管の上部からのサンプル単離−濃縮ステップなし
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。約2μLの分割量を遠心管の上部から取り出し、この物質を、実施例1Bで調製された抽出用膜に移し、物質が膜表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間膜上で乾燥させた。12マイクロリットル(μL)の0.083モル(M)NaOHを、抽出用膜に加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例6A:全血の回転、次いでQIAampクリーンアップによるゲノムDNAの濃縮:管の上部からのサンプル単離
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。約2μLの分割量を遠心管の上部から取り出し、198μLの1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に加えた。72μLの水で溶出する、QIAamp DNA Blood Mini Kit Handbook 27頁(Qiagen、バレンシア、カリフォルニア州)に記載された「Blood and Body Fluid Spin Protocol」に従って、クリーンなDNAが得られた。
実施例6B:全血の回転、次いでQIAampクリーンアップによるゲノムDNAの濃縮:管の底部からのサンプル単離
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液は、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。約2μLの分割量を遠心管の底部から取り出し、198μLの1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に加えた。72μLの水で溶出する、QIAamp DNA Blood Mini Kit Handbook 27頁に記載された「Blood and Body Fluid Spin Protocol」に従って、クリーンなDNAが得られた。
実施例6C:QIAampクリーンアップによるゲノムDNAの採取:管の上部からのサンプル単離−遠心分離なし
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。約2μLの分割量を遠心管の上部から取り出し、198μLの1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Sigma−Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)に加えた。72μLの水で溶出する、QIAamp DNA Blood Mini Kit Handbook 27頁に記載された「Blood and Body Fluid Spin Protocol」に従って、クリーンなDNAが得られた。
実施例7A:PCRに及ぼす阻害物質/DNAの影響:DNA濃度を固定しての阻害物質濃度の変動
PCRに及ぼす阻害物質の影響を調べるために、一連の希釈阻害物質を、クリーンなヒトゲノムDNAによるスパイキング前に作製した。10μLの1マイクロリットル当り15ナノグラム(ng/μL)のヒトゲノムDNAに、1μLの種々の混合液I(ニートまたはその希釈液)を加えて(サンプル7−阻害物質の添加なし、7D−ニート、7E−1:10、7F−1:30、7G−1:100、7H−1:300)、ボルテックスした。各サンプルの2μL分割量を、20μL PCR用に採取した。この結果は表2に示している。
混合液I:100μLの全血を1μLのニートTRITON X−100に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。遠心管の上部から約80μLを取り出し、混合液Iと名付けた。
実施例7B:PCRに及ぼす阻害物質/DNAの影響:阻害物質濃度を固定してのDNA濃度の変動
10μLのヒトゲノムDNAに、1μLの1:3希釈混合液I(上記)を加えた。調べられたDNA濃度は、以下のとおりであった:サンプル7J−15ng/μL、7K−7.5ng/μL、7L−3.75ng/μL、7M−1.5ng/μL。各サンプルの2μL分割量を、20μL PCR用に採取した。この結果は表2に示している。
実施例7C:PCRに及ぼす阻害物質/DNAの影響:阻害物質を添加しないDNA
以下のサンプルは、阻害物質の代わりに各DNAサンプルに1μLの水を添加して調製された:サンプル7N−15ng/μL、7P−7.5ng/μL、7Q−3.75ng/μL、7R−1.5ng/μL。各サンプルの2μL分割量を、20μL PCR用に採取した。この結果は表2に示している。
Figure 2007516724
実施例8A:固相材料からの核の回収
1μLのニートTRITON X−100を、2μLの白血球細胞(PBMC)類に加えた。溶液を短時間ボルテックスし、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約1分間回転させた。3μLを実施例1Bで調製されたキレート性膜に乗せた。この物質を約2〜5分間膜上で乾燥させた。13μLの0.077M NaOHを、抽出用膜に加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは13μl未満であるが)。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例8B:固相材料なしでの核の回収
1μLのニートTRITON X−100を、2μLの白血球細胞(PBMC)類に加えた。溶液を短時間ボルテックスし、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約1分間回転させた。10μLの0.1M NaOHをこの溶液に加え、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例8C:核によるスパイク後のサンプル
1μLのニートTRITON X−100を、2μLの水に加えた。溶液を短時間ボルテックスし、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約1分間回転させた。3μLを実施例1Bで調製されたキレート性膜に乗せた。この物質を約2〜5分間膜上で乾燥させた。13μLの0.077M NaOHを、抽出用膜に加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは13μl未満であるが)。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの白血球細胞(PBMC)類を、該溶液の10μLの分割量に加え、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例9A:固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法:NaOHによる固相材料からの抽出
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液は、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液は、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると約2μLの濃縮された物質が遠心管の底部に残った。この物質を、実施例1Bで調製された抽出用膜に移し、物質が膜表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間膜上で乾燥させた。12μLの0.083M NaOHを、抽出用膜に加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。50μLの1×TE緩衝液(Sigma−Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)を、該溶液の10μL分割量に加えた。300μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)をこの溶液に加えた。
実施例9B:固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法:水による固相材料からの抽出
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液は、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると約2μLの濃縮された物質が遠心管の底部に残った。この物質を、実施例1Bで調製された抽出用膜に移し、物質が膜表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間膜上で乾燥させた。12μLの水を、抽出用膜に加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。50μLの0.1M NaOHを、該溶液の10μL分割量に加え、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。300μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)をこの溶液に加えた。
実施例10:TRITON X−100で処理されたアンモニアキレート性固相材料上の全血から単離されたゲノムDNA
1μLの3%TRITON X−100を、2μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。この物質を、実施例1Bで調製された抽出用膜に移し、物質が膜表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間膜上で乾燥させた。13μLの0.083M NaOHを、抽出用膜に加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例11:アニオン−SRキレート性固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液は、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液は、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると約2μLの濃縮された物質が遠心管の底部に残った。この物質を、実施例1Cに記載されたとおり調製された3M番号2252 EMPOREアニオン−SR抽出用キレート性ディスクに移し、物質がディスク表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間ディスク上で乾燥させた。12μLの0.083M NaOHを、抽出用ディスクに加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例12:C8キレート性固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると約2μLの濃縮された物質が遠心管の底部に残った。この物質を、実施例1Dに記載されたとおり調製された3M番号2214 EMPORE C−8抽出用キレート性ディスクに移し、物質がディスク表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間ディスク上で乾燥させた。12μLの0.083M NaOHを、抽出用ディスクに加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例13:キレート性固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると約2μLの濃縮された物質が遠心管の底部に残った。この物質を、実施例1Eに記載されたとおり調製された3M番号2271 EMPORE 抽出用キレート性ディスクに移し、物質がディスク表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間ディスク上で乾燥させた。12μLの0.083M NaOHを、抽出用ディスクに加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例14:キレート性固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると約2μLの濃縮された物質が遠心管の底部に残った。この物質を、実施例1Fに記載されたとおり調製された3M番号2271 EMPORE 抽出用キレート性ディスクに移し、物質がディスク表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間ディスク上で乾燥させた。12μLの0.083M NaOHを、抽出用ディスクに加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例15:キレート性固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると約2μLの濃縮された物質が遠心管の底部に残った。この物質を、実施例1Gに記載されたとおり調製された3M番号2271 EMPORE 抽出用キレート性ディスクに移し、物質がディスク表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間ディスク上で乾燥させた。12μLの0.083M NaOHを、抽出用ディスクに加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例16:キレート性固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると約2μLの濃縮された物質が遠心管の底部に残った。この物質を、実施例1Hに記載されたとおり調製された3M番号2271 EMPORE 抽出用キレート性ディスクに移し、物質がディスク表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間ディスク上で乾燥させた。12μLの0.083M NaOHを、抽出用ディスクに加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例17:キレート性固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法
1μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約10分間回転させた。上澄液を分離し、廃棄すると約2μLの濃縮された物質が遠心管の底部に残った。この物質を、実施例1Jに記載されたとおり調製された3M番号2271 EMPORE 抽出用キレート性ディスクに移し、物質がディスク表面に均等に分布していることを確かめた。強烈な赤色が、より暗色になるまでこの物質を約2〜5分間ディスク上で乾燥させた。12μLの0.083M NaOHを、抽出用ディスクに加えた。溶液をピペットチップで2〜3回上下に混合し、混合後取り出した(得られるのは12μl未満であるが)。膜から除かれたサンプルの色は、無色からかすかに緑色に変わった。この溶液が泡立った場合は、これを1分当たり4,000回転(rpm)で1分間回転させた。2μLの分割量を取り出し、10μLの40mM トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例18:マイクロ流体装置上に装填されたTRITON X−100によるアンモニアキレート性固相材料を用いて全血からゲノムDNAの単離方法
2μLのニートTRITON X−100を、100μLの全血に加えた。溶液を、断続的(20秒ごとに約5秒間)にボルテックスしながら、室温(約21℃)で約5分間インキュベートした。次のステップに進む前にこの溶液を調べて透明であることを確かめた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約2分間回転させた。上部からの溶液を廃棄すると4μLが管の底部に残った。4μLの濃縮された物質に、4μLのRNAse水を加え、このサンプルを完全に混合した。次いでサンプルを、2003年12月12日に出願され、出願者の譲受人の同時係属米国特許出願第10/734,682号明細書に記載されるマイクロ流体装置上の注入ポートに入れた(図1)。装填溶液として1% TRITON X−100の代わりに10% TRITON X−100を用いて実施例1Bに記載されたとおり調製された3M番号2271 EMPORE抽出キレート性ディスクを含有するクリーンアップチャンバにおいて500rpmで5分間回転させた。0.1M NaOHの5μL分割量を、異なる注入ポートに添加し、上記のクリーンアップチャンバにおいて1000rpmで5分間回転させた。0.1M NaOHの10μL分割量を、同じ注入ポートに添加し、溶液を、2500rpmで10分間回転させた。5μLの分割量を取り出し、1.5μLの1M トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例19:キレート性固相材料の使用により全血からゲノムDNAの単離方法
100μLの全血は、100μL 2% TRITON X−100に加えた。この溶液を完全に混合してから、次のステップに進む前に透明であることを確かめるために調べた。該溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで約2分間回転させた。上部からの溶液の95μL分割量を取り出し、廃棄した。濃縮された物質を含有する最後の5μLを、装填溶液として1% TRITON X−100の代わりに10% TRITON X−100を用いて実施例1Bに記載されたように調製された3M番号2271 EMPORE抽出キレート性ディスク上に乗せた。溶液をディスク中にすすいだ後、サンプルを、0.1M NaOHの20μL分割量により抽出した。溶液を、Eppendorf Model 5415D遠心分離機において400rcfで短時間回転させた。サンプルの11μL分割量を、95℃で3分間加熱してから、3μLの1M トリス−HCl(pH7.4)に加えた。
実施例20:全血からゲノムDNAの単離方法
5μLの全血を、10μLの10mM NaOHに加えた。1分のインキュベート後、サンプルを95℃で3分間加熱した。5μL分割量の16mM トリス−HCl(pH7.4)を10μLのサンプルに加えた。
結果
表3は、実施例1〜17、19および20に関して10μLのPCRサンプルの調製(10μL SYBER Green Master Mix中2μLのサンプル、4μLのβ−アクチン、4μLの水)のためにQuantiTech SYBR Green PCR Handbookの10−12頁の使用説明書に従って、ABI 7700 QPCR Machine(Applera、フォスターシティー、カリフォルニア州)で得られた結果を報告しており;実施例18に関する結果は、10μLのPCRサンプルの調製(5.5μLのRNAseのない滅菌水中、2.5μLのサンプル、1μLの10× Facter V Leiden Reaction Mixおよび1μLの10× Facter V Leiden Mutation Detection Mix)のためにLightCycler Facter V Leiden Mutation Kitの添付文書の2−3頁の使用説明書に従ってLightCycler 2.0(Roche Applied Science、インディアナポリス、インディアナ州)で得られた結果を報告している。1%アガロースゲル(バンドの輝度−+不鮮明、+++明るい)は、Horizon 11−14 Electrophoresis Machine (Gibco BRL、ガイセルスバーグ、メリーランド州)で操作した。スペクトル測定は、405nmでSpectraMax Plus384分光光度計(Molecular Devices社、サニイベール、カリフォルニア州)で操作した。各サンプルにつき2つ、3つまたは4つの値は、二重反復試験、三重反復試験、または四重反復試験を表している。
Figure 2007516724
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本発明の範囲から逸脱することない本発明に対する種々の修飾および変更は、当業者にとって明白となろう。本発明は、例証的実施例および本明細書に記載された実施例によって過度に限定される意図がないこと、このような実施例および実施形態は単に例として提供されており、本発明の範囲は、本明細書に記載された以下の特許請求の範囲によってのみ限定される意図があることを理解するべきである。
本発明のある一定の方法に用いられる代表的なマイクロ流体装置を示す。 本発明のある一定の方法に用いられる代表的なマイクロ流体装置を示す。

Claims (47)

  1. サンプルから核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    核酸含有材料と阻害物質とを含んでなるサンプルを提供すること;
    核酸含有材料と阻害物質とを含んでなる、前記サンプルの濃縮領域を形成すること;
    前記サンプルの濃縮度の低い領域から前記濃縮領域を実質的に分離すること;
    ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス内にからませた収着性粒子、および前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される前記固相材料に、前記サンプルの分離された濃縮領域を接触させて、前記阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着させること;
    前記サンプルの分離された濃縮領域を前記固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、前記核酸含有材料を任意に溶解して、核酸を放出させること;および
    前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、前記阻害物質の少なくとも一部が付着した前記固相材料から分離すること、
    を含んでなる、前記方法。
  2. サンプルから核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    核酸含有材料および阻害物質含有細胞を含んでなるサンプルを提供すること;
    細胞膜を破壊し、阻害物質を放出し、核酸含有材料および阻害物質を含んでなる溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、前記サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;
    核酸含有材料および阻害物質を含んでなる、前記溶解サンプルの濃縮領域を形成すること;
    前記溶解サンプルの濃縮度の低い領域から前記濃縮領域を実質的に分離すること;
    ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス中にからませた収着性粒子、および前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される前記固相材料に、前記溶解サンプルの分離された濃縮領域を接触させて、前記阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着させること;
    前記サンプルの分離された濃縮領域を前記固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、前記核酸含有材料を任意にさらに溶解して、核酸を放出させること;および
    前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、前記阻害物質の少なくとも一部が付着した前記固相材料から分離すること、
    を含んでなる、前記方法。
  3. サンプルから核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    阻害物質含有細胞および核含有細胞を含んでなるサンプルを提供すること;
    細胞膜を破壊し、核と阻害物質を放出し、溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、生物学的サンプルと非イオン性界面活性剤とを接触させること;
    核と阻害物質とを含んでなる、前記溶解サンプルの濃縮領域を形成すること;
    前記溶解サンプルの濃縮度の低い領域から前記サンプルの濃縮領域を実質的に分離すること;
    ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス中にからませた収着性粒子、および前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される前記固相材料に、前記溶解サンプルの分離された濃縮領域を接触させて、前記阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着させること;
    前記サンプルの分離された濃縮領域を前記固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、前記核を任意にさらに溶解して、核酸を放出させること;および
    前記核および/または核酸の少なくとも一部を、前記阻害物質の少なくとも一部が付着した前記固相材料から分離すること、
    を含んでなる、前記方法。
  4. サンプルから核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    装填用チャンバ、バルブ付処理用チャンバおよび固相材料を含む分離用チャンバを含んでなるマイクロ流体装置を提供すること;
    核酸含有材料と阻害物質を含んでなるサンプルを提供すること;
    前記装填用チャンバに前記サンプルを導入すること;
    バルブ付処理用チャンバに前記サンプルを移すこと;
    前記バルブ付処理用チャンバ内に、核酸含有材料および阻害物質を含んでなる、前記サンプルの濃縮領域を形成すること;
    前記サンプルの濃縮度の低い領域から前記濃縮領域を実質的に分離すること;
    前記サンプルの分離された濃縮領域を前記分離用チャンバに移して、捕捉部位、前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される前記固相材料に接触させて、前記阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着させること;
    前記サンプルの分離された濃縮領域を前記固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、前記核酸含有材料を任意にさらに溶解して、核酸を放出させること;および
    核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、前記阻害物質の少なくとも一部が付着した前記固相材料から分離すること、
    を含んでなる、前記方法。
  5. サンプルから核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    装填用チャンバ、バルブ付処理用チャンバ、および固相材料を含む分離用チャンバを含んでなるマイクロ流体装置を提供すること;
    核酸含有材料と阻害物質含有細胞を含んでなるサンプルを提供すること;
    前記装填用チャンバに前記サンプルを導入すること;
    細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含む溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、前記サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;
    バルブ付処理用チャンバに前記溶解サンプルを移すこと;
    前記バルブ付処理用チャンバ内に、核酸含有材料と阻害物質を含んでなる、前記溶解サンプルの濃縮領域を形成すること;
    前記溶解サンプルの濃縮度の低い領域から前記濃縮領域を実質的に分離すること;
    前記溶解サンプルの分離された濃縮領域を前記分離用チャンバに移して、捕捉部位、前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される前記固相材料に接触させて、前記阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着させること;
    前記サンプルの分離された濃縮領域を前記固相材料に接触させる前、同時に、または後に、前記核酸含有材料を任意にさらに溶解して、核酸を放出させること;および
    核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、前記阻害物質の少なくとも一部が付着した前記固相材料から分離すること、を含んでなる、前記方法。
  6. 前記核酸含有材料が核を含んでなり、前記方法が前記固相材料から前記核の少なくとも一部を分離することを含んでなる請求項5に記載の方法。
  7. 前記固相材料からの前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部の分離が、前記核酸含有材料および/または核酸を増幅反応用チャンバに移すことを含んでなる請求項5に記載の方法。
  8. 前記核および/または核酸を増幅反応に供することをさらに含んでなる請求項7に記載の方法。
  9. 前記固相材料からの前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部の分離が、溶出試薬により前記固相材料から前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、任意に前記核酸含有材料および/または核を加熱しながら、および任意にpHを調整しながら、溶出することを含んでなる請求項5に記載の方法。
  10. サンプルから核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    装填用チャンバ、バルブ付処理用チャンバ、および固相材料を含む分離用チャンバを含んでなるマイクロ流体装置を提供すること;
    阻害物質含有細胞と核含有細胞とを含んでなるサンプルを提供すること;
    前記装填用チャンバに前記サンプルを導入すること;
    細胞膜を破壊し、核と阻害物質を放出して溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、前記サンプルと非イオン性界面活性剤とを接触させること;
    バルブ付処理用チャンバに前記溶解サンプルを移すこと;
    前記バルブ付処理用チャンバ内に、核と阻害物質を含んでなる、前記溶解サンプルの濃縮領域を形成すること;
    前記溶解サンプルの濃縮度の低い領域から前記濃縮領域を実質的に分離すること;
    前記溶解サンプルの分離された濃縮領域を分離用チャンバに移して、捕捉部位、前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される前記固相材料に接触させて、前記阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着させること;
    前記サンプルの分離された濃縮領域を前記固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、前記核を任意にさらに溶解して、核酸を放出させること;および
    前記核および/または核酸の少なくとも一部を、前記阻害物質の少なくとも一部が付着した前記固相材料から分離すること、
    を含んでなる、前記方法。
  11. 前記固相材料からの前記核および/または核酸の少なくとも一部の分離が、前記核および/または核酸を増幅反応チャンバへ移すことを含んでなる請求項10に記載の方法。
  12. 任意に前記核および/または核酸を加熱すること、任意にpHを調整すること、並びに前記核および/または核酸を増幅反応に供すること、をさらに含んでなる請求項11に記載の方法。
  13. 前記装填用チャンバへの前記サンプルの導入が、前記サンプルと非イオン性界面活性剤との接触前に生じる請求項10に記載の方法。
  14. 前記装填用チャンバが、予め沈殿させた非イオン性界面活性剤を含んでなり、前記サンプルと非イオン性界面活性剤との接触が、前記サンプルを前記装填用チャンバに導入する際に生じる請求項10に記載の方法。
  15. 前記装填用チャンバへの前記サンプルの導入が、前記サンプルと非イオン性界面活性剤との接触後に生じる請求項10に記載の方法。
  16. 前記サンプルと非イオン性界面活性剤との接触を混合チャンバ内で生じさせて、細胞膜を破壊し、核と阻害物質を放出させて溶解サンプルを形成するように十分混合させる請求項10に記載の方法。
  17. 前記バルブ付処理用チャンバ内での前記サンプルの濃縮領域の形成が、前記バルブ付処理用チャンバ内で前記サンプルを遠心分離することを含んでなる請求項10に記載の方法。
  18. 前記サンプルの濃縮度の低い領域からの前記濃縮領域の分離が、前記バルブを通して前記サンプルの濃縮度の低い領域を廃棄箱に移すことを含んでなる請求項17に記載の方法。
  19. 前記コーティング試薬が界面活性剤を含んでなる請求項10に記載の方法。
  20. 前記固相材料からの前記核および/または核酸の少なくとも一部の分離が、溶出試薬により前記固相材料から前記核および/または核酸の少なくとも一部を溶出することを含んでなる請求項10に記載の方法。
  21. 前記溶出試薬が、溶解試薬である請求項20に記載の方法。
  22. さらなる溶解ステップが、第2の溶解試薬により実施される請求項10に記載の方法。
  23. サンプルから核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    核酸と阻害物質とを含んでなるサンプルを提供すること;
    ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス内にからませた収着性粒子、および前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される前記固相材料に、前記サンプルを接触させて、前記阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着させること;
    核酸含有材料が存在する場合、前記溶解サンプルを前記固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、核酸含有材料を任意に溶解して、核酸を放出させること;および
    溶出試薬が非イオン性界面活性剤でないという条件で、前記溶出試薬により溶出することにより、核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、前記阻害物質の少なくとも一部が付着した前記固相材料から分離すること、
    を含んでなる、前記方法。
  24. サンプルから核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    核酸含有材料および阻害物質含有細胞を含んでなるサンプルを提供すること;
    細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含んでなる溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、前記サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;
    ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス内にからませた収着性粒子、および前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される前記固相材料に、前記溶解サンプルを接触させて、前記阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着させること;
    前記溶解サンプルを、前記固相材料に接触させる前に、同時に、または後に、前記核酸含有材料を任意にさらに溶解して、核酸を放出させること;および
    溶出試薬が非イオン性界面活性剤でないという条件で、前記溶出試薬により溶出することにより、前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、前記阻害物質の少なくとも一部が付着した前記固相材料から分離すること、
    を含んでなる、前記方法。
  25. サンプルから核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    核酸含有材料および阻害物質含有細胞を含んでなるサンプルを提供すること;
    細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含んでなる溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、前記サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;
    ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス内にからませた収着性粒子、および前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される前記固相材料に、前記溶解サンプルを接触させて、前記阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着させること;
    前記核酸含有材料の少なくとも一部を、前記阻害物質の少なくとも一部が付着した前記固相材料から分離すること;および
    前記核酸含有材料の分離後、前記核酸含有材料をさらに溶解して、核酸を放出させること、
    を含んでなる、前記方法。
  26. 前記核酸含有材料が、核を含んでなる請求項25に記載の方法。
  27. 前記コーティング試薬が、界面活性剤を含んでなる請求項25に記載の方法。
  28. サンプルから核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    装填用チャンバおよび固相材料を含む分離用チャンバを含んでなるマイクロ流体装置を提供すること;
    核酸含有材料と阻害物質含有細胞を含んでなるサンプルを提供すること;
    前記装填用チャンバに前記サンプルを導入すること;
    細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含んでなる溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、前記サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;
    前記溶解サンプルを前記分離用チャンバに移して、前記固相材料に接触させ、前記阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着させること;
    捕捉部位、前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される前記固相材料に、前記サンプルを接触させる前に、同時に、または後に、前記核酸含有材料を任意にさらに溶解して、核酸を放出させること;および
    溶出試薬が非イオン性界面活性剤でないという条件で、前記溶出試薬により溶出することにより、前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を、前記阻害物質の少なくとも一部が付着した前記固相材料から分離すること、
    を含んでなる、前記方法。
  29. サンプルから核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    装填用チャンバおよび固相材料を含む分離用チャンバを含んでなるマイクロ流体装置を提供すること;
    核酸含有材料と阻害物質含有細胞を含んでなるサンプルを提供すること;
    前記装填用チャンバに前記サンプルを導入すること;
    細胞膜を破壊し、阻害物質を放出して、核酸含有材料および阻害物質を含んでなる溶解サンプルを形成するのに有効な条件下で、前記サンプルと第1の溶解試薬とを接触させること;
    前記溶解サンプルを前記分離用チャンバに移して、捕捉部位、前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される前記固相材料と接触させ、前記阻害物質の少なくとも一部を前記固相材料に優先的に付着させること;
    前記核酸含有材料の少なくとも一部を、前記阻害物質の少なくとも一部が付着した前記固相材料から分離すること;および
    前記核酸含有材料の分離後、前記核酸含有材料をさらに溶解して、核酸を放出させること、
    を含んでなる、前記方法。
  30. 前記核酸含有材料が、核を含んでなる請求項29に記載の方法。
  31. 前記固相材料からの前記核酸含有材料および/または核酸の分離が、前記核酸含有材料および/または核酸を増幅反応用チャンバへ移すことを含んでなる請求項29に記載の方法。
  32. 前記核酸含有材料および/または核酸を増幅反応に供することをさらに含んでなる請求項31に記載の方法。
  33. 前記装填用チャンバへの前記サンプルの導入が、前記サンプルと第1の溶解試薬との接触前に生じる請求項29に記載の方法。
  34. 前記装填用チャンバが前記第1の溶解試薬を含んでなり、前記サンプルと第1の溶解試薬との接触が、前記サンプルを前記装填用チャンバに導入する際に生じる請求項29に記載の方法。
  35. 前記装填用チャンバへの前記サンプルの導入が、前記サンプルと第1の溶解試薬との接触後に生じる請求項29に記載の方法。
  36. 前記バルブ付処理用チャンバ内での前記サンプルの濃縮領域の形成が、前記処理用チャンバ内で前記サンプルを遠心分離することを含んでなる請求項29に記載の方法。
  37. 前記固相材料が、ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス内にからませた収着性粒子、および前記固相材料上に被覆されたコーティング試薬を含んでなり、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項29に記載の方法。
  38. 前記第1の溶解試薬が、非イオン性界面活性剤である請求項29に記載の方法。
  39. 分離が、溶出試薬により前記固相材料から前記核酸含有材料の少なくとも一部を、溶出することを含んでなる請求項29に記載の方法。
  40. サンプルから核酸を単離するためのキットであって、以下の:
    第1の溶解試薬;
    ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス内にからませた収着性粒子、および前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、前記固相材料;および
    請求項2に記載の方法に従って、サンプルを溶解し、前記固相材料から前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を分離するための使用説明書、
    を含んでなる、前記キット。
  41. サンプルから核酸を単離するためのキットであって、以下の:
    第1の溶解試薬;
    ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス内にからませた収着性粒子、および前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、前記固相材料;および
    請求項24に記載の方法に従って、サンプルを溶解し、前記固相材料から前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を分離するための使用説明書、
    を含んでなる、前記キット。
  42. サンプルから核酸を単離するためのキットであって、以下の:
    非イオン性界面活性剤;
    ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス内にからませた収着性粒子、および前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、前記固相材料;および
    請求項3に記載の方法に従って、サンプルを溶解し、前記固相材料から前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を分離するための使用説明書、
    を含んでなる、前記キット。
  43. サンプルから核酸を単離するためのキットであって、以下の:
    非イオン性界面活性剤;
    ポリテトラフルオロエチレンフィブリル・マトリックス、前記マトリックス内にからませた収着性粒子、および前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬を含んでなる固相材料であって、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、前記固相材料;および
    請求項25に記載の方法に従って、サンプルを溶解し、前記固相材料から前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を分離するための使用説明書、
    を含んでなる、前記キット。
  44. サンプルから核酸を単離するためのキットであって、以下の:
    第1の溶解試薬;
    装填用チャンバ、バルブ付処理用チャンバおよび固相材料を含んでなる分離用チャンバを含んでなるマイクロ流体装置であって、前記固相材料が、捕捉部位、前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含んでなり、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、前記マイクロ流体装置;および
    請求項5に記載の方法に従って、サンプルを溶解し、前記固相材料から前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を分離するための使用説明書、
    を含んでなる、前記キット。
  45. サンプルから核酸を単離するためのキットであって、以下の:
    第1の溶解試薬;
    装填用チャンバ、バルブ付処理用チャンバおよび固相材料を含んでなる分離用チャンバを含んでなるマイクロ流体装置であって、前記固相材料が、捕捉部位、前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含んでなり、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、前記マイクロ流体装置;および
    請求項28に記載の方法に従って、サンプルを溶解し、前記固相材料から前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を分離するための使用説明書、
    を含んでなる、前記キット。
  46. サンプルから核酸を単離するためのキットであって、以下の:
    非イオン性界面活性剤;
    装填用チャンバ、バルブ付処理用チャンバおよび固相材料を含んでなる分離用チャンバを含んでなるマイクロ流体装置であって、前記固相材料が、捕捉部位、前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含んでなり、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、前記マイクロ流体装置;および
    請求項10に記載の方法に従って、サンプルを溶解し、前記固相材料から前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を分離するための使用説明書、
    を含んでなる、前記キット。
  47. サンプルから核酸を単離するためのキットであって、以下の:
    非イオン性界面活性剤;
    装填用チャンバ、バルブ付処理用チャンバおよび固相材料を含んでなる分離用チャンバを含んでなるマイクロ流体装置であって、前記固相材料が、捕捉部位、前記固相材料上を被覆しているコーティング試薬、または双方を含んでなり、前記コーティング試薬が、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的透過性ポリマーバリヤー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、前記マイクロ流体装置;および
    請求項29に記載の方法に従って、サンプルを溶解し、前記固相材料から前記核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部を分離するための使用説明書、
    を含んでなる、前記キット。
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