図1に断面で示すアセンブルされた電気化学セルは、本発明のセルに有用な内部構造を有している。セルの構成要素は、セルの外側から内側に向かって、容器10、容器10の内面に接して位置決めされ、内部に空洞を限定している第1の電極50、第1の電極によって限定されている空洞内に位置し、第1の電極50の内面56と接触しているセパレータ20と、セパレータ20によって限定されている空洞内に位置する第2の電極60、及び容器10に確保されている閉止アセンブリ70である。容器10は、開いた端12と、閉じた端14と、それらの間の側壁16とを有している。閉じた端14、側壁16及び閉止アセンブリ70は、セルの電極を収容するための囲まれた容積を限定する。
以下に陰極とも称する第1の電極50は、二酸化マンガンと、黒鉛と、水酸化カリウムを含む水溶液との混合物である。この電極は、開いた端付きの容器内にある量の混合物を導入し、次いでラムを使用して混合物を硬い管の形状にモールドすることによって形成する。これにより、この管の形状は容器の側壁と同心の空洞を限定する。第1の電極50は、棚52と、内面56とを有している。代替として、陰極は、二酸化マンガンを含む混合物から複数のリングを予備形成し、次いでこれらのリングを容器内に挿入することによって管状の第1の電極を形成することができる。図1に示すセルは、典型的に3つまたは4つのリングを含むことになろう。
以下に陽極とも称する普通のセルの第2の電極60は、水性アルカリ電解質と、亜鉛粉末と、橋架け結合(クロスリンク)されたポリアクリル酸のようなゲル化剤との均質な混合物である。水性アルカリ電解質は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、またはそれらの混合物のようなアルカリ金属水酸化物からなる。水酸化カリウムが好まれる。本発明のセルに使用するのに適するゲル化剤は、米国オハイオ州クリーブランドのNoveon社製のCarbopol 940(登録商標)のような橋架け結合されたポリアクリル酸であることができる。カルボキシルメチルセルロース、ポリアクリルアミド、及びポリアクリル酸ナトリウムが、アルカリ電解質溶液に使用するのに適する他のゲル化剤である。亜鉛粉末は、純亜鉛であることも、または合金であることもできる。更に、亜鉛粉末は、不規則な形状及び粒子サイズ、並びに亜鉛フレークを有する粒状亜鉛を含むことができる。上述した成分に、ガス発生防止剤(有機または無機防食剤)、結合剤、または表面活性剤のようなオプションとしての要素を添加することができる。ガス発生防止剤または防食剤の例は、インジウム塩(水酸化インジウムのような)、ペルフルオロアルキルアンモニウム塩、アルカリ金属硫化物等を含むことができる。表面活性剤の例は、酸化ポリエチレン、ポリエチレンアルキルエーテル、ペルフルオロアルキル化合物等々を含むことができる。第2の電極は、上述した成分をリボンブレンダーまたはドラムミキサー内で混合し、その混合物を湿潤スラリにすることによって製造することができる。
陽極製造プロセス中にゲル化剤によって吸収された水性アルカリ電解質の他に、ある付加的な量の水酸化カリウムの水溶液(“自由電解質”とも称する)を、製造プロセス中にセルに添加することもできる。自由電解質は、それを第1の電極によって限定されている空洞内に注入することによってセル内に混合させることができる。自由電解質をセル内に混合させるのに使用する方法は、それが第1の電極50、第2の電極60、及びセパレータ20に接触している限り、臨界的ではない。図1に示すセルに使用することができる自由電解質は、36.5重量%のKOHを含む水溶液である。
図1に示されているボビン型亜鉛/二酸化マンガンアルカリセルにおいては、一般に層にされたイオン透過性不織繊維布としてのセパレータ20が設けられ、陰極(第1の電極)を陽極(第2の電極)から分離している。適当なセパレータが、WO 03/043103に記載されている。セパレータは、正電極材料(二酸化マンガン)と負電極材料(亜鉛)との物理的誘電分離を維持し、両電極材料の間でイオンの輸送を可能にする。更にセパレータは、電解質のための毛管輸送(ウィッキング)媒体として、及び陽極ゲルが陰極のトップと接触するのを防ぐカラーとして働く。典型的なセパレータは、通常は2つまたはそれ以上の紙の層を含む。普通のセパレータは、通常はセパレータ材料をカップ状のバスケットに予備形成し、後にそれを第1の電極によって限定されている空洞内に挿入するか、またはセルのアセンブリ中に、互いに角度的に90°回転させた2枚の矩形セパレータ材料のシートを空洞内に挿入することによってバスケットを形成するの何れかを遂行することによって形成する。普通の予備形成されたセパレータは、典型的に不織布で作られており、第1の電極の内壁に順応する円筒形状にロールされ、且つ閉じた底端を有している。
閉止アセンブリ70は、閉止部材72及び電流コレクタ76からなる。閉止部材72は、セルの内圧が過大になった場合に閉止部材72を破裂可能にする通気口82を含むようにモールドされる。閉止部材72は、ナイロン6,6、または電流コレクタ76が、第1の電極のための電流コレクタとして働く容器から電気的に絶縁されている限り、金属のような別の材料で作ることができる。電流コレクタ76は、黄銅製の細長い釘状の要素である。コレクタ76は、閉止部材72の中心に位置する孔を通して挿入される。
以下の表1に示されているのは、本発明のセルに使用するのに適する第2の電極の組成である。レオロジー変性剤を除いて、量は、セパレータによって裏打ちされた空洞内に第2の電極を位置決めする前の第2の電極の合計重量を基準とする重量%で表されている。
陽極を準備するプロセスは、以下の諸ステップを含む。ZnO及びケイ酸ナトリウムを含む32重量%KOH溶液と、ゲル化剤とを混合する。溶液をゲル化剤に吸収させ、それによってゲル化電解質を形成させる。部分真空の下で亜鉛粉末及びレオロジー変性剤と、ゲル化電解質とを混合する。亜鉛粒子が混合物全体に均一に分布するように、亜鉛粉末、ゲル化電解質、及びレオロジー変性剤で均質な混合物を形成させる。
アルカリ電解質を有する一次(再充電不能)電池に使用するのに適する陽極は、典型的には、粒状亜鉛と、ゲル化剤、アルカリ水溶液、及び上述したオプションとしての添加物とを混合することによって製造される。陽極内の亜鉛の量は、少なくとも60重量%にすべきである。より好ましくは、少なくとも65重量%である。ゲル化剤の量は、陽極の量を基準として少なくとも0.30重量%にすべきである。何れか1つの成分の、1つまたはそれ以上の他の成分に対する比は、処理設備、粒子と粒子との接触を維持するために必要とされるようなセル設計基準、及びコスト制約によって課せられる種々の制限に従うように若干の制限内で調整することができる。無水銀電池(ここでは、陽極内に含まれる水銀が50ppmより少ないものと定義する)における粒子と粒子との接触を維持することに関して、亜鉛粒子間の粒子と粒子との接触を維持するために、多くのセル設計者は少なくとも28体積%の亜鉛粉末を使用するように指定している。しかしながら、粒状亜鉛の一部分の代わりに、亜鉛粉末内に亜鉛フレーク及び/または亜鉛“微粒子”を含ませることによって、28体積%より少ない亜鉛を有するセルを生産することができる。
本発明のセルに有用な亜鉛粉末は、少なくとも1重量%の亜鉛フレークを含むことができる。2重量%及び5重量%の亜鉛フレークを含ませることも可能である。亜鉛フレークは、同じ重量の粒状亜鉛と置換することができる。亜鉛粉末は、200メッシュの網目を通過する亜鉛粒子を10重量%またはそれ以上有することができる。更に亜鉛粉末は、粒子サイズのバイモード分布を呈する亜鉛粒子を含むことができる。
本発明のセルに有用な粒状亜鉛は、Big River Zinc社(米国イリノイ州ソーゲット)、Noranda社(カナダ、オンタリオ州トロント)、N.V. UMICORE社(ベルギー、ブリュッセル)から入手することができる。好ましい亜鉛は、UMICORE社からBIA 115という商品名で購入することができる。亜鉛は、2000年8月17日に公開されたWO 00/48260に記載されている遠心微粒化プロセスで製造される。この特許は、亜鉛合金の組成、及びこの亜鉛粉末を生産するために使用される製造プロセスを記述している。しかしながら、亜鉛粒子の多くの物理的特性に関しては説明されていない。好ましい実施の形態においては、本発明のセル内の亜鉛粉末は、以下の物理的及び化学的特性の多くを有している。第1に、亜鉛粉末の粒子サイズは、130ミクロンより小さい、より好ましくは100乃至130ミクロンの、そして最も好ましくは110乃至120ミクロンのD50中間値を有していることを特徴とする。D50中間値は、アメリカ材料試験協会(ASTM)標準B214−92の「粒状金属粉末のふるい分析の標準試験方法」に記載されているふるい分析手順、及びASTM D1366−86(1991年に再承認)の「ピグメントの粒子サイズ特性をリポートする標準実施」に記載されているリポート手順を使用することによって決定される。本明細書は、ASTM標準B214−92及びD1366−86(1991年に再承認)を参照している。本明細書に使用している亜鉛粉末のD50中間値は、USTM D1366−86に示されているように累積重量パーセンテージ対上側クラスサイズ限度データをプロットし、次いで50%累積重量値に対応する直径(即ち、D50)を見出すことによって決定される。第2に、亜鉛粉末のBET比表面積は、少なくとも400cm2/gである。BET比表面積は、亜鉛サンプルを1時間にわたって150°Cで脱ガスした後にMicromeritics社のモデルTriStar 3000 BET比表面積アナライザを使用し、多重点較正を用いて測定される。第3に、亜鉛粉末のタップ密度は、2.80g/ccより大きく、3.65g/ccより小さい。より好ましくは、タップ密度は、2.90g/ccより大きいが3.55g/ccよりは小さい。最も好ましくは、亜鉛粉末のタップ密度は、3.00g/ccより大きく、3.45g/ccより小さい。タップ密度は、以下の手順を使用して測定される。50グラムの亜鉛粉末を50ccのメスシリンダ内に入れる。亜鉛粉末を容れたメスシリンダを、米国フロリダ州ボイントンビーチのQuanta Chrome社製のモデルAT−2“オートタップ”タップ密度アナライザのようなタップ密度アナライザ上に確保する。タップ密度アナライザを、520回タップするように設定する。タップ密度アナライザを動作させてメスシリンダを垂直方向に520回急速に変位させることによって、メスシリンダをタップする。メスシリンダ内の亜鉛粉末の最終体積を読む。亜鉛粉末の重量を、タップした後の亜鉛粉末が占める体積で除すことによって亜鉛粉末のタップ密度を決定する。第4に、亜鉛粉末は、少なくとも14%のKOH吸収値を有している。より好ましくは、KOH吸収値は15%またはそれ以上である。亜鉛のKOH吸収値を決定するために以下のプロセスを使用した。第1に、5ccのシリンジとセパレータ片とを準備する。このセパレータ片は32重量%のKOHに浸してあったもので、セパレータをシリンジの大きい開放端内に挿入し易くするような適切なサイズであり、シリンジを通して押し込むことによってシリンジの反対端内の小さい孔を塞ぐことができる。第2に、シリンジ及び吸収された電解質を含むセパレータの重量を計量する。第3に、32重量%のKOH水溶液の2ミリリットルをシリンジの大きい開放端から注入する。この時、電解質がシリンジの反対端の小さい孔を通って流出しないように塞いでおく。第4に、5グラムのような既知の量の粒状亜鉛を注意深く計量し、シリンジの大きい開放端から導入する。全ての亜鉛粒子が完全にKOH水溶液の表面下に浸るように、容器の形状、溶液の体積、及び亜鉛の体積を調和させなければならない。第5に、付加的に32重量%のKOH水溶液の1.5ccを容器内に注入し、亜鉛が完全に溶液でカバーされるようにする。第6に、シリンジを垂直位置に配向し、小さい孔を塞いでいた物体を除去して、120分間にわたってKOH溶液がシリンジの一方の端の小さい孔から排出されるようにする。吸収されなかった32重量%のKOH水溶液の小滴が亜鉛の粒子の間に捕捉されないようにするために、紙タオル上でシリンジを数回軽くタップする。このタッピングは、付加的なKOH溶液が紙タオル上に滴下しなくなるまで続ける。第7に、溶液を吸収した亜鉛と、シリンジと、セパレータとの組合せ重量を決定する。電解質を吸収した亜鉛及び湿ったセパレータを含むシリンジの組合せ重量から、乾亜鉛粒子、湿セパレータ、及びシリンジの重量を減算することによって、亜鉛の表面に吸収された電解質溶液の量が決定される。KOH吸収値は、亜鉛に吸収されたKOHの重量を、溶液内に導入する前の亜鉛粒子の重量で除すことによって決定される。
以下に、本発明のセルに有用な陽極について説明する。本発明のセルの陽極は、亜鉛粉末、ゲル化剤、電解質、及び上述したオプションとしての添加物の他に、レオロジー特性変性剤を含む。この変性剤は、変性剤を含まないこと以外は全く同一の陽極混合物の同じ特性に関連して、陽極混合物の臨界レオロジー特性の1つまたはそれ以上を変化させる能力によって特定的に選択される。本発明のセルに有用なレオロジー変性剤によって変えられる陽極混合物の2つのレオロジー特性は、降伏応力及び粘度である。これらのレオロジー特性の値は陽極混合物が製造された後に、且つ陽極混合物が混合用容器から輸送される前に決定しなければならない。従って、本明細書に用いている“プリアセンブリ”という用語は、“プリアセンブリ粘度”または“プリアセンブリ降伏応力”のようなフレーズ内に使用された場合、第2の電極を製造してから最短で24時間であるが36時間以上にはならない時間にわたって乱されない状態を維持した時の第2の電極のそれぞれのレオロジーパラメータの値を表している。陽極のレオロジーパラメータは、配管を通して陽極を分配したり、可動容器内に分配したり、またはそれ以外に上述したレオロジー特性を変更し得る物理的応力または環境状態の変化を受ける前に決定しなければならない。
陽極混合物の降伏応力は、V40ベーンスピンドルを用い、Brookfield SSTによって制御された応力レオメータを使用して決定される。ベーンスピンドルは、テフロン(登録商標)で被覆されている。陽極混合物の降伏応力は、以下の手順を使用して決定される。第1に、直径110mm、高さ125mmの600ミリリットルのカップ内に1000グラムの陽極混合物を入れる。陽極混合物は、それをカップ内に入れる前に振とう、攪拌、またはかき混ぜしてはならない。陽極混合物のトップは、ベーンスピンドルのトップより数mm上に位置していなければならない。第2に、10分間にわたって陽極混合物を乱されない状態に維持する。第3に、レオメータのスイッチを“オン”にし、レオメータによって加えられる応力を、5分間で0 N/m2から1,700 N/m2まで徐々に増加させる。陽極の降伏応力は、剪断速度またはパーセントひずみ対剪断応力をプロットし、曲線の勾配が大きく増加する剪断応力の値を識別することによって決定される。陽極混合物の降伏応力を、陽極混合物が電池製造設備内に使用されている陽極分配システムの水平配管を通して流れ始めさせるのに必要な圧力の量に相関させる。陽極混合物の降伏応力が増加するにつれて、配管を通して陽極混合物を移動させるのに要する圧力の量も増加する。もし陽極の降伏応力が高過ぎれば、普通の設備では配管を通して陽極をポンプすることはできなくなる。好ましくは、本発明のセルに有用な陽極混合物は、350N/m2より小さい降伏応力を有する。より好ましくは陽極混合物は、300N/m2より小さく、100 N/m2より大きい降伏応力を有する。
以下の表2は、A、B、C、D、E、F、及びGで表されている8つの陽極混合物を作るのに使用した処方である。量は、ロットAによって表されているように、第2の電極をセパレータで裏打ちされた空洞内に導入する前の第2の電極の合計重量を基準として重量パーセントで表されている。ロットB、C、D、E、F、及びGにおいては、各混合物内のレオロジー変性剤の量が亜鉛の重量を基準としてppmで表されている。ロットAは、レオロジー変性剤を含まない唯一のロットである。ロットB乃至Gは、表2に示されているレオロジー変性剤の量が各ロットに添加されていることを除いて、ロットAと正確に同一に製造された。
表 2
* UMICORE社から商品名BIA 115を購入
表2にリストされ、図2に示されている降伏応力を調べれば、陽極混合物にレオロジー変性剤が混合されている陽極の降伏応力が、変性剤が添加されていないこと以外は同一の陽極混合物の降伏応力に対して低下していることが分かる。陽極混合物の降伏応力を、少なくとも20%低下させる変性剤が好ましい。陽極混合物の降伏応力を、少なくとも40%、60%、80%低下させる変性剤がより好ましい。
陽極混合物の粘度は、陽極混合物の別のキーレオロジーパラメータであり、Brookfield SSTレオメータ及びV40ベーン付きスピンドルを使用して測定される。陽極混合物は、粘度を測定する前に振とう、攪拌、またはかき混ぜしてはならない。粘度は、2分間にわたって陽極に2sec-1の剪断速度を印加し、次いで粘度値を記録することによって測定された。粘度を測定する剪断速度は、粘度測定の臨界的パラメータである。陽極混合物の粘度は、水平配管内の流れに対する混合物の抵抗を表している。粘度が高い程、流れに対する抵抗が大きくなる。もし粘度が高過ぎれば、陽極混合物は、混合物に過大な圧力を加えない限り、水平配管を通して分配することができなくなる。過大な圧力を使用すると電解質がゲル化剤から搾り出され、配管内に“節”を形成するような問題をもたらす可能性がある。これらの節は配管をつまらせ、それによって配管を通る陽極混合物の流れを停止させるようになる。
図3に示す粘度データは、陽極処方内にレオロジー変性剤が含まれていると、陽極混合物の粘度が、2sec-1の剪断速度における14 N・s/m2以上から2sec-1の剪断速度における12 N・s/m2以下まで低下することを示している。好ましくは、本発明のセルに有用な変性材は、陽極混合物の粘度を少なくとも15%低下させ、より好ましくは30%低下させ、最も好ましくは40%低下させる。陽極混合物の粘度は、好ましくは2sec-1の剪断速度において11 N・s/m2より小さく、より好ましくは2sec-1の剪断速度において10 N・s/m2より小さく、最も好ましくは2sec-1の剪断速度において9 N・s/m2以より小さく、そして2sec-1の剪断速度において6.5 N・s/m2より大きい。
本発明のセルに有用なレオロジー変性剤は、45重量%の水酸化カリウムを含む水溶液のようなアルカリ電解質内において安定で、またセルのシールを破って電解質の漏洩をもたらすような過大なガスをセル内に発生させることができないものでなければならない。
本発明のセルに有用なレオロジー変性剤の例は、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Chemicalsから入手可能なStepfac 8173(登録商標:Polystep P33としても知られている)、及びStepfac 8170(登録商標)を含む。これらの変性剤は、エトキシル酸燐酸ノニルフェノールである。約60%のモノエステル、30%のジエステル、及び3%の燐酸からなるStepfac 8173(登録商標)を、表2に示す陽極混合物に使用した。Stepfac 8170(登録商標)は、約50%のモノエステル、45%のジエステル、及び3%の燐酸からなる。他の適当なレオロジー変性剤は、ドイツのBYK ChemieからDisperbyk 190(登録商標)及びDisperbyk 102(登録商標)として販売されている表面活性剤である。別の適当なレオロジー変性剤は、ミシガン州ミッドランドのDOW Chemicalから市販されているQS−44(登録商標)である。
本発明の電気化学セルの製造プロセスは、以下の諸ステップを含む。1つのステップにおいて、容器が準備される。容器は、内部に空洞を限定している第1の電極を収容する。適当な容器はニッケルめっき鋼缶であり、その一方の端は閉じられ、他方の端は開いている。好ましくは、容器の中心に空洞が位置している。別のステップにおいて、第1の電極によって限定された空洞内にセパレータが挿入される。セパレータは、容器の閉じた端付近に位置する閉じた端と、容器の開いた端付近に位置する開いた端とを有する細長いバスケットを形成する。別のステップにおいて、第2の電極が、セパレータによって裏打ちされた空洞内に位置決めされる。第2の電極を、セパレータによって裏打ちされた空洞内に位置決めする前に、亜鉛粉末、レオロジー変性剤、ゲル化剤、及びゲル化剤に吸収された電解質を含む均質な混合物を形成することによって第2の電極を製造する。キーレオロジー特性を変える恐れのある力または環境状態を受ける前の混合物は、350 N/m2より小さいプリアセンブリ降伏応力と、2sec-1の剪断速度において12 N・s/m2より小さいプリアセンブリ粘度とを有している。降伏応力は、レオロジー変性剤を含まないこと以外は同一の第2の電極のプリアセンブリ降伏応力よりも少なくとも20%小さい。第2の電極を挿入した後に、閉止アセンブリを容器に確保することができる。
以上の説明は、好ましい実施の形態に関してのみなされている。当業者ならば、本発明に多くの変更を考案することができよう。従って、添付図面に示し、以上に説明した実施の形態は単なる例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。