JP2007514957A - 子宮頚の検体における癌生物マーカーの検出のための新規方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、悪性または前癌状態を検出するために、組織、細胞、または液体の試料中の生物学的マーカーの評価のための方法を提供する。本発明の局面は、特にこのようなマーカーを検出するために、女性からの子宮頸部スミアなどの試料をスクリーニングする際に有用である。悪性または前癌状態の同定は、適切な治療を伴っていてもよい。

Description

発明の背景
癌は、米国において、および世界全体にわたって、女性集団の有意な健康問題の原因である。特に、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、および外陰癌を含む婦人科の癌は、毎年米国において5,000件以上の死因となっている。近年では、これらの癌の発見および治療において進歩が見られているが、死亡率はかなり高いままである。
3番目に一般的な婦人科癌であるにもかかわらず、卵巣癌は、婦人科癌にかかったものの中の主要な死因である。卵巣癌の不相応な死亡率は、初期卵巣癌にかかったものの中には、実質的に症候がないこと、および初期の卵巣癌を診断するのが困難であることに起因する。卵巣癌にかかっている患者は、多くの場合、異常な膣出血、胃腸症状、尿路症候、下腹痛、および全身性腹部膨満などの非特異的病訴と共に存在する。これらの患者では、腫瘍随伴症候と共に、または彼らが明らかに苦痛を示す症候と共に存在することはまれである。現在、卵巣癌でかかった患者の約40%未満が、段階Iまたは段階IIを示す。卵巣癌への対応は、疾患を、治療がより一般に効果的であるより初期の段階で検出することができる場合に、有意に増強されると考えられる。
子宮腫瘍は、婦人科の癌で最も一般的な群である。子宮癌の35,000以上の症例が、毎年米国で診断される。早期に発見された場合、この癌の遅生育形態が、子宮に限定される可能性が高いが、しかし、有用なスクリーニング試験はなく、ルーチンの骨盤の試験では、本症を検出するのはまれである。子宮癌は、月経のサイクルの間または閉経期後の膣の出血により、初期に検出することができる。段階Iまたは段階II子宮癌のいずれかで診断した患者の5年生存率は、それぞれ90%および75%である。子宮癌への対応は、治療がより一般に効果的であるより初期の段階で疾患を検出することができる場合に、有意に増強されると考えられる。大部分の子宮体癌の場合は、閉経後出血と共に存在し、典型的にはPipelle装置によって収集される生検材料の組織構造によって確認される。外科的介入(すなわち、子宮摘出)は、これらの患者において治療的である。しかし、一部の場合では、子宮摘出が現実的な選択肢ではないときに、閉経前の女性にも存在する可能性もある。閉経前の場合には、早期発見により、不妊症を生じるであろう根治的子宮摘出を必要とせずに、より限局化された治療の選択肢が可能となる。子宮体癌およびその前駆体の検出のための生物マーカーのもう一つの利点は、これが、費用のかかる、かつ時間のかかる生検手順が行われる比率を減少させることである。たとえば、生物マーカーが存在する場合にだけ、確認のために生検材料が得られる。
子宮内膜症は、子宮内膜の組織が子宮(その正常な解剖的位置)の外側で見いだされる女性の疾患であり、これは、生殖可能年齢の女性に影響を及ぼし、状態の重症度によって実質的虚弱および不妊または不妊症の可能性を生じさせる。子宮内膜組織は、腹腔、腎臓、およびより多くの場合は卵巣などのその他の解剖学的部位における移植に適切さない。Taylor, et al., Brit. J. Ob & Gyn., 98:680-684 (1991);および Vigano, et al., Fertility and Sterility, 56:894 (1991); Badaway, et al., Fertility and Sterility, 53:930(1990)を参照されたい。子宮体癌は、1年あたりに約44,500人の新たな症例の割合で生じ、1年あたりに約10,000人の死を伴う。癌が子宮内膜にまだ限定されている早期に診断され、および治療された場合、約95%の症例において、子宮摘出によって治癒を達成することができる。Papスメア試験は、子宮体癌を示すことができるが、症例の50%のみにおいて有効である。
臨床的徴候および症候は、通常、重篤な月経困難症、性交疼痛症、並びに骨盤内出血および周囲子宮の接着による骨盤疼痛からなる。赤-青から黄褐色の外見をもつ小結節は、関与部位の表面上に、または真下に見いだされる。卵巣などの生殖構造内に広範な線維性癒着を見つけることができる。疾患は、以下の3つの特徴のうちの2つが子宮腔の外側で同定されるかどうかを組織学的に診断する:子宮内膜腺、間質、およびヘモシデリン色素。Robbins, Pathologic Basis of Disease 5th Edition, W. B. Saunders Company, Philadelphia (1994)を参照されたい。
現在、腹腔鏡検査は、これにより外科医がおそらく疾患の範囲を評価することができるために、子宮内膜症の診断のための選択の手順である。疑わしい子宮内膜症の評価のためのその他の方法は、血清癌抗原125(CA 125)の測定並びに超音波および磁気共鳴映像法などのイメージング研究を含む。しかし、これらの診断手段は、これらが良性の骨盤または卵巣状態などのその他の生理学的状況症状と比較して子宮内膜症を区別することができないために、これらは限界を有する。婦人科癌の対応は、現在、早期診断と積極的治療との組み合わせに依存しており、これは、外科手術、放射線療法、化学療法、およびホルモン療法などの1つまたは複数の種々の治療を含んでいてもよい。特定の癌に関する治療経過は、特異的腫瘍生物マーカーの解析を含む、種々の予後のパラメータに基づいて選択されることが多い。しかし、確立された生物マーカーの使用は、解釈が困難である結果を生じることが多く、高い死亡率が多くの癌患者で観察され続けている。
本発明は、悪性または前癌の状態を検出することを意図した、組織、細胞、または液体の試料中の生物学的マーカーの評価に関する。本発明の側面は、特にこのようなマーカーを検出するために女性からの子宮頸部スミアなどの試料をスクリーニングする際に有用である。悪性または前癌の状態の同定は、適切な治療、続くより広範な診断法によって行われてもよい。
本技術分野において、卵巣性および子宮体癌などの癌を検出および治療するための改善された方法の要求がある。本発明は、これらの要求を果たし、さらにその他の関連した利点を提供する。
発明の概要
本発明により、生体試料中のマーカーの検出をでき、子宮頚のpap標本を得る工程および、試料中のマーカーの存在を検出する工程を含み、マーカーの存在は、非子宮頚の癌の存在指し示す。
本発明の1つの態様において、該癌は、卵巣性または子宮体癌である。本発明のもう一つの態様において、マーカーは、溶けやすいか、または膜結合している。本発明のもう一つの態様において、マーカーは、タンパク質、核酸、炭水化物、脂肪酸、糖タンパク質、および脂質からなる群より選択される。本発明のもう一つの態様において、収集される試料は、液体に基づいた細胞学のために収集した子宮頸部擦過に由来する。
好ましい態様において、本発明により、papスミアにおける卵巣癌マーカーを検出することができ、子宮頚のpap標本を得る工程および、マーカーの存在を検出する工程を含み、マーカーの存在は、卵巣癌を指し示す。
好ましい態様において、本発明により、papスミアにおける子宮体癌マーカーを検出することができ、子宮頚のpap標本を得る工程および、マーカーの存在を検出する工程を含み、マーカーの存在は、子宮体癌を指し示す。
本発明のその他のおよびさらなる局面、特徴、および利点は、本発明の現在の好ましい態様の記述に従って明らかであろう。これらの態様は、開示のために与えられる。
定義
本明細書に使用される、「薬剤」という用語は、腫瘍細胞を含む癌細胞が、治療的プロトコルにおいて曝露され得る任意のものをいう。本発明の状況において、このような薬剤は、抗代謝薬、たとえばAra Ac、5-FU、およびメトトレキセート、有糸分裂阻害剤、たとえばTAXOL、インブラスチン(inblastine)、およびビンクリスチン、アルキル化剤、たとえばメルファンラン(melphanlan)、BCNU、およびナイトロジェンマスタード、トポイソメラーゼII阻害剤、たとえば、VW-26、トポテカン、およびブレオマイシン、鎖破壊薬、たとえば、ドキソルビシンおよびDHAD、架橋剤、たとえばシスプラチンおよびCBDCAなどの化学療法薬、放射線並びに紫外線を含むが、これらに限定されるわけではない。好ましい態様において、薬剤は、タキサン化合物(たとえば、TAXOL)および/または白金化合物(たとえば、シスプラチン)である。
本明細書に使用される、「生体試料」という用語は、たとえば、末梢血もしくは骨髄、血漿、血清、子宮頚スワブ試料、生検組織(リンパ節、呼吸組織、もしくは浸出物を含む)、胃腸組織、尿、大便、精液、またはその他の体液、組織、もしくは材料を含むマーカーを含み得る、生きているヒトまたは死亡したヒトに由来する任意の組織または材料をいう。生体試料を処置して、組織もしくは細胞構造を物理的または機械的に破壊し、こうして、解析のために標準的な方法を使用して生体試料を調製するために使用される酵素、緩衝液、塩、洗浄剤等を含み得る溶液に細胞内成分を放出させてもよい。好ましい態様において、生体試料は、液体に基づいた細胞学のために収集された子宮頸部擦過である。
本明細書に使用される、腫瘍細胞を含む「癌細胞」という用語は、異常な(増大された)速度で分裂する細胞をいう。癌細胞は、以下を含むが、これらに限定されるわけではない:扁平上皮癌、基底細胞癌、汗腺癌、皮脂腺癌腫、腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、未分化癌、気管支癌、黒色腫、腎細胞癌、肝癌-肝細胞癌、胆管癌(bile duct carcinoma)、胆管癌(cholangiocarcinoma)、乳頭状癌、移行上皮癌、絨毛癌、セモノーマ(semonoma)、胚性癌腫、乳癌、胃腸癌腫、結腸癌腫、膀胱癌腫、前立腺癌腫、並びに頚部および頭部領域の扁平上皮癌などの癌腫;線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、滑膜肉腫、および中皮肉腫などの肉腫;顆粒球性白血病、単球性白血病、リンパ性白血病、悪性リンパ腫、形質細胞腫、小神経膠腫症、またはホジキン疾患などの白血病およびリンパ腫;並びに神経膠腫、髄膜腫、髄芽腫、シュワン腫、または上衣腫(epidymoma)を含む神経系の腫瘍。
本明細書に使用される、「マーカー」または「生物マーカー」いう用語は、限定されるわけではないが、脂質、リポ多糖、脂肪酸、炭水化物、糖、タンパク質、糖タンパク質、キナーゼなどの内因性酵素、細胞膜構造、細胞質内、ヌクレオチド、および核酸(すなわち、DNA、RNA)からなる有機並びに無機質をいう。マーカーは、特にエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、もしくはアンドロゲン受容体などのホルモン受容体;細胞骨格化合物;血液学的マーカー;p53などの発癌遺伝子産物;細胞膜成分;核結合受容体;遺伝子増幅、遺伝子欠失、点突然変異、および転位置などの染色体異常;並びに感染因子などの診断対象および特に増殖マーカーのうちの任意のマーカーを含む。
本明細書に使用される、「卵巣癌」という用語は、卵巣腫瘍、癌腫(たとえば、上皮内癌、侵食癌、転移性癌)、および前癌状態をいうが、これらに限定されるわけではない。「卵巣腫瘍」は、卵巣胚細胞腫瘍、たとえば奇形腫、未分化胚細胞腫、内胚葉洞腫瘍、および胚性癌腫、並びに卵巣間質性腫瘍、たとえば顆粒膜、卵胞膜、セルトリ、ライディッヒ、およびコラーゲン産生間質性細胞などの良性並びに悪性の腫瘍の両方を意味する。また、本明細書に使用される卵巣癌は、たとえば、漿液、膠様類、子宮内膜、および明細胞腫瘍を含む当技術分野で認識される組織学的腫瘍型を含む。本明細書に使用される卵巣癌という用語は、当技術分野で認識される等級および段階スケール:等級I、II、およびIII、並びに段階I(段階IA、IB、およびICを含む)、II(段階IIA、IIB、およびIICを含む)、III(段階IIIA、IIIB、およびIIICを含む)、およびIVをさらに含む。
本明細書に使用される、「子宮体癌」という用語は、子宮内膜癌および子宮内膜の腺癌に限定されるわけではない。また、本明細書に使用される子宮体癌は、乳頭漿液癌腫、明細胞癌、乳頭子宮内膜性腫瘍、および粘液性癌腫などのその他の周知の細胞型を含む。
本発明は、以下の実施例によってさらに例証されるが、これは、限定するものとして解釈されるべきではない。本出願の全体を通じて引用した全ての参照、特許、および公開された特許出願の内容は、参照として本明細書に組み入れられる。
本明細書に使用される、分子および細胞生物学、並びにDNA組換の分野において使用されるその他の用語は、一般に適用できる技術における当業者によって十分に理解されているはずである。
発明の詳細な説明
女性の生殖路の裏打ちは、ファロピー管および子宮を経て子宮頚と卵巣との間で近接する。したがって、成熟卵母細胞を子宮の裏打ちへ輸送するのと全く同じ方法で、可溶性または非膜結合マーカーをムチン・コーティングおよび作動した繊毛によって子宮頚管へ輸送することができる。生殖路で増殖する異常な細胞(すなわち、癌)が存在すると、ムチン裏打ちに存在するマーカーの組成および/または量が変化する。
したがって、本発明は、(a)子宮頚のpap標本を得る工程および、(b)該試料中のマーカーの存在を検出する工程を含む生体試料中のマーカーを検出するための方法であって、該マーカーの存在は、癌を指し示す方法を記載する。好ましい態様において、癌は、卵巣性または子宮体癌である。もう一つの好ましい態様において、マーカーは、タンパク質、核酸、炭水化物、脂肪酸、糖タンパク質、および脂質からなる群より選択される。さらにもう一つの態様において、マーカーは、可溶性タンパク質である。
本発明は、(a)子宮頚のpapスミアを得る工程と、(b)該試料における該マーカーの存在を検出する工程とを含む、papスミアにおける卵巣癌マーカーを検出するための方法であって、該マーカーの存在は、卵巣癌を指し示す方法を提供する。好ましい態様において、マーカーは、タンパク質、核酸、炭水化物、脂肪酸、糖タンパク質、および脂質からなる群より選択される。もう一つの態様において、マーカーは、可溶性タンパク質である。
本発明は、(a)子宮頚のpapスミアを得る工程と、(b)該試料における該マーカーの存在を検出する工程とを含む、papスミアにおける子宮体癌マーカーを検出するための方法であって、該マーカーの存在は、子宮体癌を指し示す方法を提供する。好ましい態様において、マーカーは、タンパク質、核酸、炭水化物、脂肪酸、糖タンパク質、および脂質からなる群より選択される。もう一つの態様において、マーカーは、可溶性タンパク質である。
生体試料におけるマーカーの存在は、以下のために使用してもよい:1)婦人科癌の有無を検出するため;2)婦人科癌が薬剤もしくは薬剤の組み合わせによって首尾よく治療することができるか、または治療される可能性があるかどうかを決定するため;2)婦人科癌が薬剤または薬剤の組み合わせでの治療に反応するかどうかを決定するため;3)婦人科癌を治療するための適切な薬剤または薬剤の組み合わせを選択するため;4)進行中の治療の有効性をモニターするため;および5)新たな治療(単剤または薬剤の組み合わせのいずれか)を同定するため。特に、生物マーカーは、適切な療法を決定するための、有効性について試験される薬物の臨床療法およびヒト試行をモニターするための、並びに新たな薬剤および治療的組み合わせを開発するためのマーカー(代理のおよび/または直接の)として利用してもよい。
生物マーカーは、当技術分野において公知の任意の手段によって検出することができる。非限定の例として、生物マーカーは、免疫蛍光および/または免疫酵素を使用する、免疫組織学的、免疫細胞学的ハイブリダイゼーション技術、並びに液体比重測定法、旋光分析法、分光光度法(たとえば、質量およびNMR)、およびクロマトグラフィー(たとえば、ガス液体、高速液体、および薄層)を使用することによって検出してもよい。
本発明の生物マーカーは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー(たとえば、本明細書で言及した任意のタギング系を使用する)、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを含む当技術分野において周知の任意の多数の方法によって、生物学的試料から任意に回収され、および精製される。
一般に、2つ以上の生物マーカー、より好ましくは、3つ以上の生物マーカー、最も好ましくは生物マーカーのセットの存在を決定することが好ましい。したがって、生物マーカーのパネルの存在を評価することが好ましい。
核酸生物マーカー
本発明の一つの局面は、生物マーカーに対応する核酸分子に属する。本発明の生物マーカーは、本発明の生物マーカーまたはこのようなポリペプチドの部分に対応するポリペプチドをコードする核酸を含む。また、本発明の生物マーカーは、生物マーカーに対応するポリペプチドをコードする核酸、およびこのような核酸分子の断片、たとえば核酸分子の増幅または突然変異のためのPCRプライマーとしての使用のために適したものを含む、生物マーカーに対応する核酸分子を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに十分な核酸分子を含む。本明細書に使用される、「核酸分子」という用語は、DNA分子(たとえば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(たとえば、mRNA)並びにヌクレオチド類似体を使用して作製されたDNAまたはRNAの類似体を含むことが企図される。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であることができるが、好ましくは二本鎖DNAである。
核酸生物マーカーは、鋳型としてcDNA、mRNA、またはゲノムDNAと適切なオリゴヌクレオチドプライマーとを使用して、標準的なPCR増幅技術に従って増幅することができる。こうして増幅される核酸は、適切なベクターにクローン化することができ、DNA配列解析によって特徴づけることができる。さらに、核酸生物マーカーの全てまたは一部に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成技術によって、たとえば自動化されたDNA合成装置を使用して調製することができる。
もう一つの好ましい態様において、核酸生物マーカーは、生物マーカーに対応する核酸のヌクレオチド配列に対して、または生物マーカーに対応するタンパク質をコードする核酸のヌクレオチド配列に対して相補的なヌクレオチド配列を有する核酸分子を含む。所与のヌクレオチド配列に対して相補である核酸分子は、それが所与のヌクレオチド配列に対してハイブリダイズすることができ、これにより安定な二重鎖を形成する所与のヌクレオチド配列に対して十分に相補的であるものである。
そのうえ、核酸生物マーカーは、全長核酸配列が生物マーカーを含むか、または生物マーカーに対応するポリペプチドをコードする核酸配列の一部のみを含むことができる。このような核酸は、たとえば、プローブまたはプライマーとして使用することができる。プローブ/プライマーは、典型的には1つまたは複数の実質的に精製されたオリゴヌクレオチドとして使用される。オリゴヌクレオチドは、典型的には、ストリンジェント状態下で本発明の核酸の少なくとも約7、好ましくは約15、より好ましくは、約25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、または400以上の連続したヌクレオチドに対してハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。
核酸生物マーカーの配列に基づいたプローブは、本発明の1つもしくは複数の生物マーカーに対応する転写物またはゲノム配列を検出するために使用することができる。プローブは、それに対して付着する標識基、たとえば放射性同位元素、蛍光性化合物、酵素、または酵素補因子を含む。このようなプローブにより、被検者由来の細胞の試料中のタンパク質をコードする核酸分子のレベルを測定することなど、たとえばmRNAレベルを検出すること、またはタンパク質をコードする遺伝子が変異されたか、もしくは欠失したかどうかを決定することすることによって、タンパク質を誤って発現する細胞または組織などの生体試料を同定するための診断試験キットの一部として使用することができる。
本発明は、遺伝暗号の縮重のために、生物マーカーに対応するタンパク質をコードする核酸のヌクレオチド配列とは異なり、およびしたがって、同じタンパク質をコードする核酸生物マーカーをさらに包含する。
種々の態様において、核酸生物マーカーは、塩基部分、糖残基、またはリン酸塩バックボーンを修飾して、たとえば安定性、ハイブリダイゼーション、または分子の溶解度を改善することができる。たとえば、核酸のデオキシリボースリン酸バックボーンを修飾してペプチド核酸を作製することができる(Hyrup et al., 1996, Bioorganic & Medicinal Chemistry 4 (1): 5-23を参照されたい)。本明細書に使用される「ペプチド核酸」または「PNA」という用語は、核酸擬態、たとえばデオキシリボースリン酸バックボーンが、偽ペプチドバックボーンによって置換されており、かつ4つの天然の核酸塩基だけが保持されているDNA擬態いう。PNAの中性バックボーンは、低イオン強度条件下でDNAおよびRNAに対して特異的にハイブリダイゼーションできることが示された。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup et al. (1996)、前記; Perry-O'Keefe et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:14670-675に記載されているように、標準的固相ペプチド合成プロトコルを使用して行うことができる。
PNAは、治療的および診断的適用に使用することができる。たとえば、PNAは、たとえば転写もしくは翻訳停止を誘導するか、または複製を阻害することによって、遺伝子発現の配列特異的調整のためのアンチセンスまたは抗遺伝子薬として使用することができる。また、PNAは、たとえばPNA定方向PCR制限(PNA directed PCR clamping)による、たとえば遺伝子の単一の塩基対突然変異の解析において、その他の酵素、たとえばSIヌクレアーゼと組み合わせて使用しやときに人工制限酵素として(Hyrup(1996)前記);またはDNAシーケンスおよびハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして(Hyrup, 1996,前記;Perry-O'Keefe et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:14670-675)使用することができる。
また、本発明は、核酸生物マーカーに対して相補である少なくとも1つの領域を有する分子ビーコン核酸を含み、その結果、分子ビーコンは、試料中の核酸生物マーカーの存在を定量化するために有用である。「分子ビーコン」核酸は、一対の相補領域を含み、かつフルオロフォアと、これと結合する蛍光消光剤とを有する核酸である。フルオロフォアと消光剤は、相補領域が互いにアニールされたときに、フルオロフォアの蛍光が消光剤によってクエンチされるような向きで核酸の異なる部分と結合する。核酸の相補領域が互いにアニールされないときは、フルオロフォアの蛍光がより少ない程度でクエンチされる。分子ビーコン核酸は、たとえば米国特許第5,876,930号に記載されている。
タンパク質生物マーカーおよび抗体
本発明の一つの局面は、生物マーカーに対応するポリペプチドに対して向けられる抗体を生じさせるための免疫原として使用するために適した、タンパク質生物マーカー、およびこれらの生物学的に活性な部分、並びにポリペプチド断片に属する。一つの態様において、生物マーカーに対応する天然のポリペプチドは、標準的タンパク質精製技術を使用して適切な精製スキームによって生体試料から単離することができる。もう一つの態様において、タンパク質生物マーカーに対応するポリペプチドは、組換えDNA技術によって産生される。組換え発現の代わりに、タンパク質生物マーカーに対応するポリペプチドは、標準的ペプチド合成技術を使用して化学的に合成することができる。
タンパク質生物マーカーに対応するポリペプチドの生物学的に活性な部分は、全長タンパク質よりも短いアミノ酸を含み、かつ対応する全長タンパク質の少なくとも1つの活性を示す、生物マーカーに対応するタンパク質のアミノ酸配列と十分に同一か、またはこれに由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。典型的には、生物学的に活性な部分は、対応するタンパク質の少なくとも1つの活性をもつドメインまたはモチーフを含む。タンパク質生物マーカーの生物学的に活性な部分は、たとえば10、25、50、100以上のアミノ酸の長さのポリペプチドであることができる。さらに、タンパク質のその他の領域が欠失させたその他の生物学的に活性な部分は、組換え技術によって調製して、ポリペプチドの天然の形態の機能的な活性の1つまたは複数について評価することができる。
好ましいポリペプチドは、本明細書に記載されているGenBankおよびNUCデータベース記録の一方に一覧表に記載されたアミノ酸配列を有する。その他の有用なタンパク質生物マーカーは、これらの配列のうちの1つに対して実質的に同一であり(たとえば、少なくとも約40%、好ましくは50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%)、対応する天然に存在するタンパク質のタンパク質の機能的活性を保持するが、天然の対立形質の変異または突然変異誘発のためにアミノ酸配列が異なる。
また、本発明は、生物マーカーに対応するキメラまたは融合タンパク質を提供する。本明細書に使用される「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、異種ポリペプチド(すなわち、生物マーカーに対応するポリペプチド以外のポリペプチド)に作動可能に連結された生物マーカーに対応するポリペプチドの全部または一部(好ましくは、生物学的に活性な部分)を含む。融合タンパク質の範囲内では、「作動可能に連結された」という用語は、ポリペプチドおよび異種ポリペプチドが互いにインフレームで融合されることを示すことが企図される。異種ポリペプチドは、ポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端に融合することができる。
1つの有用な融合タンパク質は、タンパク質生物マーカーに対応するポリペプチドがGST配列のカルボキシ末端に融合されたGST融合タンパク質である。このような融合タンパク質により、本発明の組換えポリペプチドの精製を容易にすることができる。
もう一つの態様において、融合タンパク質は、そのアミノ末端に異種シグナル配列を含む。たとえば、本発明の生物マーカーに対応するポリペプチドの天然のシグナル配列を除去して、別のタンパク質由来のシグナル配列と置換することができる。たとえば、バキュロウイルス外膜タンパクのgp67分泌配列を異種シグナル配列として使用することができる(Ausubel et al., ed., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY, 1992)。真核生物の異種シグナル配列のその他の例は、メリチンおよびヒト胎盤アルカリホスファターゼの分泌配列を含む(Stratagene; La Jolla, Calif.)。さらにもう一つの例において、有用な原核生物異種シグナル配列は、phoA分泌シグナル(Sambrook et al.,前記)およびタンパク質A分泌シグナル(Pharmacia Biotech; Piscataway, N.J.)を含む。
もう一つの態様において、融合タンパク質は、本発明の生物マーカーに対応するポリペプチドの全てまたは一部が、免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列に融合された免疫グロブリン融合タンパク質である。
本発明のキメラおよび融合タンパク質は、標準的組換えDNA技術によって産生することができる。もう一つの態様において、融合遺伝子は、自動化されたDNA合成装置を含む従来技術によって合成することができる。または、遺伝子断片のPCR増幅は、2つの連続した遺伝子断片間の相補的オーバーハングを生じ、その後にアニールして、再び増幅してキメラ遺伝子配列を作製することができるアンカー・プライマーを使用して実施することができる(たとえばAusubel et al.,前記を参照されたい)。そのうえ、すでに融合部分(たとえば、GSTポリペプチド)をコードする多くの発現ベクターが市販されている。タンパク質生物マーカーをコードする核酸は、融合部分がポリペプチドにインフレームで連結されるように、このような発現ベクター内にクローン化することができる。
また、本発明は、本発明の個々の生物マーカーに対応するポリペプチドの変異体に属する。変更されたアミノ酸配列を有するこのような変異体は、抗体産生のためのプローブまたは免疫原として役立ち得る。変異体は、突然変異誘発、たとえば別々の点突然変異または切断によって作製することができる。アゴニストは、タンパク質の天然に存在する形態の生物活性と実質的に同じか、またはサブセットを保持することができる。
本発明の生物マーカーに対応するポリペプチド、またはこれらの断片は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の調製のための標準的技術を使用して抗体を作製するための免疫原として使用される。全長ポリペプチドまたはタンパク質を使用することができ、または代わりに、本発明は、免疫原として使用するための抗原性ペプチド断片を提供する。本発明のタンパク質の抗原性ペプチドは、ポリペプチドの1つのアミノ酸配列の少なくとも8つ(好ましくは10、15、20、または30以上)のアミノ酸残基を含み、かつペプチドに対して生じた抗体が、タンパク質が対応する本発明の生物マーカーと特異的に免疫複合体を形成するタンパク質のエピトープを包含する。抗原性ペプチドによって包含される好ましいエピトープは、タンパク質の表面上に位置する領域、たとえば親水性領域である。疎水性配列分析、親水性配列分析、または同様の解析を親水性領域を同定するために使用することができる。
免疫原は、典型的には、適切な(すなわち免疫適格)ウサギ、ヤギ、マウス、またはその他の哺乳類もしくは脊椎動物などの被検者を免疫することによって抗体を調製するために使用される。適切な免疫原性標品は、たとえば組換えで発現されたか、または化学的に合成されたポリペプチドを含むことができる。標品は、フロイント完全もしくは不完全なアジュバントなどのアジュバント、または同様の免疫賦活性薬をさらに含むことができる。
したがって、本発明のもう一つの局面は、タンパク質生物マーカーに向けられる抗体に属する。本明細書において交換可能に使用される「抗体」および「抗体物質」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわちタンパク質生物マーカー、たとえばエピトープなどの特異的に抗原を結合する抗原結合部位を含む分子をいう。所与のタンパク質生物マーカーと特異的に結合する分子は、ポリペプチドに結合するが、実質的に試料、たとえば天然にポリペプチドを含む生体試料中のその他の分子に結合しない分子である。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例は、ペプシンなどの酵素で抗体を治療することによって作製することができるF(ab)およびF(ab').sub.2断片を含む。本発明は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を提供する。本明細書に使用される「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、特定のエピトープと免疫反応することができる1種の抗原結合部位のみを含む抗体分子の集団をいう。
ポリクローナル抗体は、適切な被検者を免疫原としてタンパク質生物マーカーで免疫することによって上記のとおりに調製することができる。好ましいポリクローナル抗体組成物は、本発明のタンパク質生物マーカーに対して向けられる抗体に対して選択されたものである。特に好ましいポリクローナル抗体試薬は、タンパク質生物マーカーに向けられる抗体のみを含むものである。特に好ましい免疫原組成物は、たとえば本発明のポリペプチドの組換え発現のための非ヒト宿主細胞を使用して作製される免疫原組成物などの他のいかなるヒト・タンパク質も含まないものである。このような様式において、この免疫原に対して生じる抗体組成物によって認識される唯一のヒトエピトープは、タンパク質生物マーカーの一部として存在する。
免疫された被検者の抗体価は、固定されたポリペプチドを使用する酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)などでの標準的技術によって時間とともにモニターすることができる。必要に応じて、抗体分子は、被検者から(たとえば、被検者の血液または血清から)収集し、または単離し、プロテインAクロマトグラフィーなどの周知の技術によってさらに精製して、IgG画分を得ることができる。または、タンパク質生物マーカーに特異的な抗体は、たとえばアフィニティークロマトグラフィーによって選択し、または(たとえば、部分的に精製し)、または精製することができる。たとえば組換えで発現されて精製された(または部分的に精製された)タンパク質生物マーカーは、本明細書に記載されているとおりに産生され、たとえばクロマトグラフィーカラムなど固体支持体に対して共有結合でまたは非共有結合で結合される。次いで、カラムを使用して、多数の異なるエピトープに対して向けられた抗体を含む試料からタンパク質生物マーカーに対して特異的な抗体を精製し、これにより実質的に精製された抗体を、すなわち実質的に混入する抗体がないものを作製する。実質的に精製された抗体組成物は、この状況において、抗体試料が、多くても30%だけ(乾燥重量によって)、所望のタンパク質生物マーカー以外のエピトープに対して向けられた混入抗体を含み、好ましくは、試料中に多くても多くても20%、より好ましくは多くても10%、最も好ましくは多くても5%(乾燥重量によって)抗体が混入していることを意味する。精製された抗体組成物は、組成物中の抗体の少なくとも99%が所望のタンパク質生物マーカーに向けられていることを意味する。
免疫化後の相当の時期に、たとえば特異的な抗体価が最高のときに、抗体産生細胞を被検者から得て、最初にKohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495-497によって記載されているハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al., 1983, Immunol. Today 4:72を参照されたい)、EBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al., pp. 77-96 In Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., 1985を参照されたい)またはトリオーマ技法などの標準的技術によってモノクローナル抗体を調製するために使用することができる。ハイブリドーマを産生するための技術は、周知である(一般にCurrent Protocols in Immunology, Coligan et al. ed., John Wiley & Sons, New York, 1994参照されたい)。たとえば、本発明のモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞は、標準的なELISAアッセイ法を使用して、関心対象のポリペプチドに結合する抗体についてハイブリドーマ培養液上清をスクリーニングすることによって検出される。
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代わりに、関心対象のポリペプチドで組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(たとえば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をスクリーニングすることによって、タンパク質生物マーカーに対して向けられたモノクローナル抗体を同定し、単離することができる。ファージディスプレイライブラリーを作製し、およびスクリーニングするためのキットは、市販されている(たとえば、the Pharmacia Recombinant Phage Antibody System、カタログ番号27-9400-01;およびthe Stratagene SurfZAP Phage Display Kit、カタログ番号240612)。加えて、たとえば、抗体ディスプレイライブラリーを作製し、およびスクリーニングするために使用するために特に受け入れられる方法および試薬の例は、米国特許第5,223,409号;PCT公開番号国際公開公報第92/18619号;PCT公開番号国際公開公報第91/17271号;PCT公開番号国際公開公報第92/20791号;PCT公開番号国際公開公報第92/15679号;PCT公開番号国際公開公報第93/01288号;PCT公開番号国際公開公報第92/01047号;PCT公開番号国際公開公報第92/09690号;PCT公開番号国際公開公報第90/02809号;Fuchs et al.(1991)Bio/Technology 9:1370-1372;Hay et al. (1992) Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85; Huse et al. (1989) Science 246:1275-1281; Griffiths et al. (1993) EMBO J. 12:725-734において見いだすことができる
さらに、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含み、標準的組換えDNA技術を使用して作製することができるキメラおよびヒト化モノクローナル抗体などの組換え抗体も、本発明の範囲内である。キメラ抗体は、マウスmAbおよびヒト免疫グロブリン定常領域に由来する可変領域を有するものなどの異なる部分が異なる動物種に由来する分子である(たとえばCabilly et al., 米国特許第4,816,567号;およびBoss et al.,米国特許第4,816,397号を参照されたい、これらの全体が参照として本明細書に組み込まれる)。ヒト化された抗体は、非ヒト種由来の1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)と、ヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する非ヒト種由来の抗体分子である(たとえば、Queen、米国特許第5,585,089号を参照されたい、その全体が参照として本明細書に組み入れられる)。このようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の組換えDNA技術によって、たとえば以下に記載されている方法を使用して産生することができる:PCT公開番号国際公開公報第87/02671号;欧州特許出願第184,187号;欧州特許出願第171,496号;欧州特許出願第173,494号;PCT公開番号国際公開公報第86/01533号;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願第125,023号;Better et al. (1988) Science 240:1041-1043; Liu et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-3443; Liu et al.(1987) J. Immunol. 139:3521-3526; Sun et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214-218; Nishimura et al. (1987) Cancer Res. 47:999-1005; Wood et al. (1985) Nature 314:446-449;および Shaw et al. (1988) J. Natl. Cancer Inst. 80:1553-1559); Morrison (1985) Science 229:1202-1207; Oi et al. (1986) Bio/Techniques 4:214; 米国特許第5,225,539号; Jones et al. (1986) Nature 321:552-525; Verhoeyan et al. (1988) Science 239:1534;および Beidler et al. (1988) J. Immunol. 141:4053-4060。
タンパク質生物マーカーに対応するポリペプチドに対して向けられた抗体(たとえば、モノクローナル抗体)は、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降などの標準的技術によってポリペプチドを単離するために使用することができる。そのうえ、このような抗体は、生物マーカーの発現のレベルおよびパターンを評価するために、生体試料中の生物マーカーを検出するために使用することができる。また、抗体は、生体試料(たとえば、組織または体液)中のタンパク質レベルをモニターするために、診断上で使用することができる。検出は、検出可能な物質に抗体に結合することによって容易にすることができる。検出可能な物質の例は、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光材料、生物発光材料、および放射性物質を含む。適切な酵素の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含み;適切な補欠分子族複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含み;適切な蛍光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオレッセイン、フルオレッセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレッセイン、ダンシルクロリド、またはフィコエリトリンを含み;発光材料の例は、ルミノールを含み;生物発光の材料の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンを含み、並びに適切な放射性物質の例は、.sup.125I, .sup.131I, .sup.35S または.sup.3Hを含む。
前述の抗体のいずれも、治療的な部分に対して、または検出可能な物質に対して抱合することができる。本発明の抗体に抱合することができる検出可能な物質の非限定の例は、酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光材料、生物発光材料、および放射性物質である。
また、本発明は、生体試料中の生物マーカーの有無の検出のためのアッセイ法およびキット、並びに使用説明書を提供する。
生体試料中の本発明の生物マーカーに対応するポリペプチドまたは核酸の有無を検出するための例示的な方法は、試験被検者から生体試料(たとえば、子宮頚papスメア)を得る工程と、ポリペプチドまたは核酸(たとえば、mRNA、ゲノムDNA、またはcDNA)を検出することができる化合物または薬剤と生体試料を接触させる工程とを含む。したがって、本発明の検査法は、たとえばインビトロで、並びにインビボの生体試料中で、mRNA、タンパク質、cDNA、またはゲノムDNAを検出するために使用することができる。たとえば、mRNAの検出のためのインビトロでの技術は、ノーザンブロット法およびインサイチューハイブリダイゼーションを含む。生物マーカーに対応するポリペプチドの検出のためのインビトロでの技術は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降法、および免疫蛍光法を含む。ゲノムDNAの検出のためのインビトロでの技術は、サザンブロット法を含む。さらに、生物マーカーに対応するポリペプチドの検出のためのインビボの技術は、ポリペプチドに対して向けられた標識された抗体を被検者に導入することを含む。たとえば、抗体は、被検者における存在および位置を標準的イメージング技術によって検出することができる放射性生物マーカーで標識することができる。
このような診断および予後のアッセイ法の一般的な原理は、生物マーカーとプローブとを含む可能性のある試料または反応混合物を、適切な状態下で、および生物マーカーとプローブとを相互作用させて結合させるのに十分な時間調製し、こうして、反応混合物中で除去することができ、および/または検出することができる複合体を形成する工程を含む。これらのアッセイ法は、さまざまな方法で行うことができる。
たとえば、このようなアッセイ法を行うための1つの方法は、固相支持体、基体とも称される、上に生物マーカーまたはプローブをアンカーする工程と、反応終了後に固相上にアンカーされた標的生物マーカー/プローブ複合体を検出する工程とを含む。このような方法の一つの態様において、生物マーカーの存在および/または濃度についてアッセイされる被検者由来の試料をキャリアまたは固相支持体上へアンカーすることができる。もう一つの態様において、プローブを固相にアンカーすることができ、被検者由来の試料をアッセイのアンカーされていない成分と反応させることができる、逆の状況が可能である。
アッセイ成分を固相にアンカリングするための多くの確立された方法がある。これらは、ビオチンおよびストレプトアビジンの抱合を介して固定された生物マーカーまたはプローブ分子を含むが、限定されるわけではない。このようなビオチン化されたアッセイ成分は、当技術分野において公知の技術を使用して、ビオチン-NHS(N-ヒドロキシ-琥珀酸イミド)から調製し(たとえば、ビオチン標識キット、Pierce Chemicals, Rockford, Ill.)、ストレプトアビジン・コーティングされた96ウェル・プレート(Pierce Chemical)のウェルに固定することができる。ある態様において、固定されたアッセイ成分をもつ表面は、前もって調製して、貯蔵することができる。
このようなアッセイ法のためのその他の適切なキャリアまたは固相支持体は、生物マーカーまたはプローブが属する分子種を結合することができる任意の材料を含む。周知の支持体またはキャリアは、ガラス、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、デキストラン、アミラーゼ、天然および修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩、並びに磁鉄鉱を含むが、これらに限定されるわけではない。
上述したアプローチでアッセイを行うためには、固定されていない成分を、第二の成分がアンカーされている固相に添加する。反応完了後、形成されたいずれの複合体も固相に固定されたままであるような条件下で、複合体を形成していない成分を除去してもよい(たとえば、洗浄による)。固相にアンカーされた生物マーカー/プローブ複合体の検出は、本明細書に概説した多数の方法で達成することができる。
たとえば、プローブがアッセイ成分にアンカーされていないときは、アッセイ法の検出および読み出しの目的で、これを本明細書において論議され、かつ当業者に周知の検出可能な標識で直接または間接的に標識することができる。
また、たとえば蛍光エネルギー移動の技術を利用することによって、さらなる操作またはいずれの成分(生物マーカまたはプローブ)の標識化もすることなく、生物マーカー/プローブ複合体形成を直接検出することもできる(たとえば、Lakowicz et al.,米国特許第5,631,169号; Stavrianopoulos、et al.,米国特許第4,868,103号を参照されたい)。最初に、「ドナー」分子上のフルオロフォア標識を、適切な波長の投射光で励起することによってその放射された蛍光エネルギーが第2の「アクセプター」分子上の蛍光標識によって吸収され、これが次に、吸収エネルギーにより蛍光を発することができるように選択する。または、「ドナー」タンパク質分子には、単にトリプロファン残基の天然の蛍光エネルギーを利用してもよい。「アクセプター」分子標識を「ドナー」のものと区別し得るように、異なる光の波長を放射する標識を選択する。標識間のエネルギー移動の効率は、分子を隔てる距離に相関があるので、分子の空間的関係を評価することができる。結合が分子間で生じる状況では、アッセイ法における「アクセプター」分子標識の蛍光発光が、最大であるはずである。FET結合イベントは、都合よくは、当技術分野において周知の標準的蛍光定量的検出手段を介して(たとえば、蛍光計を使用して)測定することができる。
たとえば、プローブが生物マーカーを認識する能力の決定は、リアルタイム生体分子相互作用解析(Biomolecular Interaction Analysis:BIA)などの技術を利用することによって、いずれのアッセイ成分(プローブまたは生物マーカー)も標識化することなく達成することができる(たとえば、Sjolander, S. and Urbaniczky, C., 1991, Anal. Chem. 63:2338-2345 および Szabo et al., 1995, Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699-705を参照されたい)。本明細書に使用される「BIA」または「表面プラズモン共鳴」は、いずれの反応体も標識化することなくリアルタイムに生物特異的相互作用を研究するための技術である(たとえばBIAcore)。結合表面の質量の変化(結合イベントを指し示す)により、表面近くで光の屈折率の変化を生じ(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象)、生体分子間のリアルタイム反応の指標として使用することができる検出可能なシグナルを生じる。
好ましい態様において、類似の診断および予後アッセイ法を、溶質として生物マーカーおよびのプローブで液相中において行うことができる。このようなアッセイ法では、以下を含むがこれらに限定されるわけではない任意の多数の標準的技術によって、複合体を形成した生物マーカーとプローブとを、複合体を形成していない成分から分離する:分画遠心分離法、クロマトグラフィー、電気泳動法、および免疫沈降。分画遠心分離法では、生物マーカー/プローブ複合体が、これらの異なるサイズおよび密度に基づく複合体の異なる沈降平衡により、一連の遠心工程を介して複合を形成していないアッセイ成分から分離され得る(たとえば、Rivas, G., and Minton, A. P., 1993, Trends Biochem Sci. 18(8):284-7を参照されたい)。また、標準的クロマトグラフィー技術を利用して、複合体を形成した分子を、複合体を形成していないものから分離してもよい。たとえば、ゲル濾過クロマトグラフィーは、サイズに基づいて、およびカラム形式で適切なゲル濾過樹脂を利用することによって分子を分離し、たとえば、比較的大きな複合体を、比較的小さな複合体を形成していない成分から分離し得る。同様に、生物マーカー/プローブ複合体の比較的異なった電荷特質を利用して、たとえばイオン交換クロマトグラフィー樹脂を利用することにより、複合体を形成していない成分と比較して、複合体を形成していない成分と複合体を区別してもよい。このような樹脂およびクロマトグラフィーの技術は、当業者にとって周知である(たとえば、Heegaard, N. H., 1998, J. Mol. Recognit. Winter 11 (1-6):141-8; Hage, D. S., and Tweed, S. A. J Chromatogr B Biomed Sci Appl Oct. 10, 1997;699 (1-2):499-525を参照されたい)。また、ゲル電気泳動を使用して、複合体を形成したアッセイ成分を、結合していない成分から分離してもよい(たとえば、Ausubel et al., ed., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1987-1999を参照されたい)。この技術では、タンパク質または核酸複合体が、たとえばサイズまたは荷電に基づいて分離される。電気泳動プロセスの間に結合相互作用を維持するためには、典型的には還元剤の非存在下で、非変性ゲルマトリックス材料および条件が好ましい。特定のアッセイ法およびこれらの成分に適した条件は、当業者に周知であろう。
特定の態様において、生物マーカーに対応するmRNAのレベルは、当技術分野において公知の方法を使用して、生体試料中でインサイチューにより、およびインビトロ形式の両方によって決定することができる。「生体試料」という用語は、被検者から単離された組織、細胞、体液、およびこれらの単離物、並びに被検者内に存在する組織、細胞、および液体を含むことが企図される。多くの発現検出方法では、単離されたRNAを使用する。インビトロでの方法のためには、mRNAの単離に逆らった選択はしない、任意のRNA単離技術を、卵巣細胞からのRNAの精製のために利用することができる(たとえば、Ausubel et al, ed., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York 1987-1999を参照されたい)。加えて、多数の組織試料を、たとえばChomczynskiの単一工程RNA単離過程(1989, 米国特許第4,843,155号)などの当業者にとって周知の技術を使用して容易に処理することができる。
単離されたmRNAは、サザンもしくはノーザン解析、ポリメラーゼ連鎖反応法、およびプローブアレイを含むが、これらに限定されるわけではないハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイ法に使用することができる。mRNAレベルの検出のための一つの好ましい診断法は、単離したmRNAを、検出される遺伝子によってコードされるmRNAにハイブリダイズすることができる核酸分子(プローブ)と接触させる工程を含む。核酸プローブは、たとえば少なくとも7、15、30、50、100、250、もしくは500ヌクレオチドの長さで、かつストリンジェント状態下で本発明の生物マーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNAに対して特異的にハイブリダイズするために十分なオリゴヌクレオチドなど、全長cDNA、またはこれらの一部であることができる。プローブとmRNAのハイブリダイゼーションは、問題の生物マーカーが発現されていることを示す。
一つの形式において、たとえばアガロースゲル上で単離されたmRNAを泳動し、mRNAをゲルからニトロセルロースなどの膜に移すことによって、mRNAを固体表面上に固定し、プローブと接触させる。代わりの形式において、プローブは、たとえば、Affymetrix遺伝子チップ・アレイにおいて、固体表面上に固定してmRNAがプローブと接触させる。当業者であれば、本発明の生物マーカーによってコードされるmRNAのレベルを検出する際に使用するために、公知のmRNA検出法を容易に適応させることができる。
試料中の生物マーカーに対応するmRNAのレベルを決定するための代替法は、たとえばrtPCR(実験的態様は、Mullis, 1987, 米国特許第4,683,202号に記載されている)、リガーゼ連鎖反応(Barany、1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189-193)、自己持続配列複製(self sustained sequence replication)(Guatelli et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅系(Kwoh et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardi et al., 1988, Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardi et al., 米国特許第5,854,033号)、または任意のその他の核酸増幅法による核酸増幅過程、続く当業者に周知の技術を使用する増幅された分子の検出を含む。これらの検出スキームは、このような分子が非常に少ない数で存在する場合に、特に核酸分子の検出のために有用である。本明細書で使用される、増幅プライマーは、遺伝子の5'または3'領域にアニールすることができ(それぞれプラスおよびマイナス鎖、またはその逆も同じ)、かつ中間に短い領域を含む一対の核酸分子であると定義される。一般に、増幅プライマーは、約10〜30ヌクレオチドの長さであり、約50〜200ヌクレオチドの長さの領域に隣接する。適切な状態下で、および適切な試薬と共に、このようなプライマーにより、プライマーに隣接するヌクレオチド配列を含む核酸分子を増幅することができる。
インサイチュー法のためには、検出の前にmRNAを卵巣細胞から単離する必要はない。このような方法では、細胞または組織試料を公知の組織学的な方法を使用して調製/処理する。次いで、試料を支持体、典型的にはガラススライド上に固定し、次いで、生物マーカーをコードするmRNAに対してハイブリダイズすることができるプローブと接触させる。
生物マーカーの絶対発現レベルに基づいて決定を行うための代わりものとして、決定は、生物マーカーの規準化された発現レベルに基づいてもよい。発現レベルを、生物マーカーではない遺伝子、たとえば構成的に発現されるハウスキーピング遺伝子の発現とその発現を比較することによって、生物マーカーの絶対発現レベルを補正して規準化する。規準化のための適切な遺伝子は、アクチン遺伝子、または上皮細胞特異的遺伝子などのハウスキーピング遺伝子を含む。この規準化により、1つの試料、たとえば患者試料の発現レベルを、もう一つの試料、たとえば非卵巣癌試料と、または異なる供与源からの試料の間で比較することができる。
または、発現レベルは、相対的発現レベルとして提供することができる。生物マーカーの相対的発現レベルを決定するためには、問題の試料についての発現レベルの決定の前に、生物マーカーの発現レベルを10以上の正常、対、癌細胞単離体の試料について、好ましくは50以上の試料について決定する。より多くの試料でアッセイした遺伝子のそれぞれの平均発現レベルを決定し、これを生物マーカーのためのベースライン発現レベルとして使用する。次いで、試験試料について決定した生物マーカーの発現レベル(絶対発現レベル)を、その生物マーカーについて得られた平均発現値によって分ける。これにより、相対的発現レベルを提供する。
本発明のもう一つの態様において、生物マーカーに対応するポリペプチドが検出される。本発明のポリペプチドを検出するための好ましい薬剤は、本発明の生物マーカーに対応するポリペプチドと結合することができる抗体、好ましくは検出可能な標識をもつ抗体である。抗体は、ポリクローナルか、またはより好ましくはモノクローナルであることができる。無処置の抗体、またはこれらの断片(たとえば、FabまたはF(ab').sub.2)を使用することができる。「標識された」という用語は、プローブまたは抗体に関して、検出可能な物質をプローブまたは抗体に結合する(すなわち、物理的に連結する)ことによるプローブまたは抗体の直接の標識化、並びに直接標識されているもう一つの試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識化を包含することが企図される。間接的標識化の例は、蛍光標識された二次抗体を使用して一次抗体を検出すること、およびこれを蛍光標識されたストレプトアビジンで検出することができるように、ビオチンによるDNAプローブの末端標識化を含む。
試料が所与の抗体と結合するタンパク質を含むかどうか決定するために、種々の形式を使用することができる。このような形式の例は、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫アッセイ法(RIA)、ウエスタンブロット分析法、および酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を含むが、これらに限定されるわけではない。当業者であれば、卵巣細胞が本発明の生物マーカーを発現するかどうかを決定する際に使用するために、公知のタンパク質/抗体検出方法を容易に適応することができる。
一つの形式において、発現タンパク質を検出するためのウエスタンブロット法または免疫蛍光技術などの方法に、抗体または抗体断片が使用される。このような使用では、一般に固体支持体上に抗体またはタンパク質を固定することが好ましい。適切な固相支持体またはキャリアは、抗原または抗体を結合することができる任意の支持体を含む。周知の支持体またはキャリアは、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩、並びに磁鉄鉱を含む。
当業者であれば、抗体または抗原を結合するための多くのその他の適切なキャリアを知っており、本発明の用途にこのような支持体を適応することができるであろう。たとえば、卵巣細胞から単離されたタンパク質をポリアクリルアミドゲル電気泳動上で泳動して、ニトロセルロースなどの固相支持体上に固定することができる。次いで、支持体を適切な緩衝液で洗浄し、続いて検出可能に標識された抗体で処置することができる。次いで、固相支持体を緩衝液で二回洗浄して、結合していない抗体を除去することができる。次いで、固体支持体に結合した標識の量を従来の手段によって検出することができる。
また、本発明は、生体試料(たとえば、尿試料などの卵巣に関連した体液)中の本発明の生物マーカーに対応するポリペプチドまたは核酸の存在を検出するためのキットを包含する。このようなキットは、被検者が卵巣癌に罹患しているか、または発病するリスクが高いかどうかを決定するために使用することができる。たとえば、キットは、生体試料中の本発明の生物マーカーに対応するポリペプチドもしくはポリペプチドをコードするmRNAを検出することができる標識化合物または薬剤と、試料中のポリペプチドまたはmRNAの量を決定するための手段(たとえば、ポリペプチドに結合する抗体またはポリペプチドをコードするDNAもしくはmRNAと結合するオリゴヌクレオチドプローブ)とを含むことができる。また、キットは、キットを使用して得られた結果を解釈するための説明書を含むこともできる。
抗体に基づいたキットのためには、キットは、たとえば:(1)本発明の生物マーカーに対応するポリペプチドと結合する第一の抗体(たとえば、固体支持体に付着されている);および任意に、(2)ポリペプチドまたは第一の抗体のいずれかに結合し、かつ検出可能な標識に抱合されている、第二の異なる抗体を含むことができる。
オリゴヌクレオチドに基づいたキットのためには、キットは、たとえば:(1)本発明の生物マーカーに対応するポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、たとえば検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド、または(2)本発明の生物マーカーに対応する核酸分子を増幅するために有用な一対のプライマーを含むことができる。また、キットは、たとえば緩衝剤、保存剤、またはタンパク質安定化薬を含むことができる。キットは、検出可能な標識を検出するために必要な成分(たとえば、酵素または基質)をさらに含むことができる。また、キットは、アッセイして試験試料と比較することができる、対照試料または一連の対照試料を含むことができる。キットのそれぞれの成分は、個々の容器内に密閉することができ、種々の容器の全てが、キットを使用して行われるアッセイの結果を解釈するための説明書と共に単一のパッケージ内にあることができる。
科学文献では、生物マーカーとして翻訳後修飾されたタンパク質と交換される。最も顕著であるのは、糖タンパク質、糖脂質、およびガングリオシドとして公知の生物学的化合物種を含む(しかし、これらに限定されるわけではない)細胞表面アスパラギン-N-連結された複合糖質のグリコシル化パターンである。複合糖質の別の、しかし関連した種には、当技術分野の当業者によって、一般にムチン型糖タンパク質といわれ、0連結されたオリゴ糖構造によって特徴づけられるものを含む。前癌性および癌性の状態における複合糖質のオリゴ糖構造の変異は、科学文献において十分に証明されてきた(例;ルイスX抗原、CA125、CA 15-3、およびCA 19-9決定因子)。抗体は、これらの種の開発された生物マーカー・アッセイ法のために産生され、またELISAキットは、血清、血漿、およびその他の体液中で定量化するために製造されてきた。癌に関連した複合糖質は、一般に、糖タンパク質のN連結された種の最後から2番目のガラクトース残基に対する、典型的には6-Oグリコシド結合に連結された末端シアル酸(N-アセチルノイラミン酸(N-acetyl neurominic acid)残基において、これらの正常な対応物とは異なる。
また、異常なレベルの新規生理活性脂質の存在は、新生物発生前および悪性状態と関連する。この種の生物マーカーの一例として注目されるのは、卵巣癌の初期指標としての、リゾホスファチジン酸(LPA)の存在が実証されたことである(Gordon Mills and Michael Skinner)。独立した研究(JAMA 1998)では、脂質に基づいたアプローチを利用して、段階I卵巣癌を検出する際の90%の正確さを証明し、並びに血液から段階II、III、およびIV卵巣癌を検出する際に100%正確であった。これらの種の生理活性脂質は、卵巣癌の指標であることが示されたので、これらが、Pap試験のプロセスの間に収集され、およびその後に液体培地中で収集される細胞外環境において提示され、検出することができるであろうことが示唆され得る。
生物マーカーとして証明された翻訳後修飾タンパク質およびペプチドに加えて、DNAの特定のグアノシン含有領域の高メチル化が、悪性状態の早期指標であることが証明された(JHUのJames Herman)。また、高メチル化されたDNAは、卵巣癌および/または子宮体癌の早期指標としてPap検体から収集してもよい。高メチル化されたDNAは、典型的には免疫学的に検出されないが、高メチル化されたCpGが、亜硫酸水素塩処置、続く特異的にデザインされたプライマーを使用するPCRによってウラシル含有領域に変換される、メチル化特異的PCRによって検出することができる。
脂質、糖脂質(gycolipids)、糖タンパク質、他の非限定の複合糖質(glcoconjugates)、高メチル化およびアセチル化されたDNAは、本出願において早期卵巣性癌および子宮体癌検出の潜在的生物マーカーとして、明確に含まれるはずである。
同等物
当業者であれば、本明細書に記載されている本発明の特定の態様に対する多くの同等物を認識するか、またはルーチン試験だけを使用して確認することができるであろう。このような同等物は、特許請求の範囲に包含されることが企図される。

Claims (16)

  1. (a)子宮頚のpap標本を得る工程および、
    (b)試料中の生物マーカーの存在を検出する工程;
    を含む、生体試料中の生物マーカーを検出するための方法であって、
    該生物マーカーの存在は、非子宮頚癌の存在を指し示す方法。
  2. 癌が卵巣癌または子宮体癌である、請求項1記載の方法。
  3. 生物マーカーが溶けやすいタンパク質である、請求項1記載の方法。
  4. 生物マーカーが膜結合している、請求項1記載の方法。
  5. 生物マーカーがタンパク質、核酸、炭水化物、脂肪酸、糖タンパク質、および脂質からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  6. 生物学的試料が、液体に基づいた細胞学のために収集した子宮頸部擦過に由来する、請求項1記載の方法。
  7. (a)子宮頚のpap標本を得る工程および、
    (b)試料中の生物マーカーの存在を検出する工程;
    を含む、papスミアにおける卵巣癌生物マーカーを検出するための方法であって、
    該生物マーカーの存在は、卵巣癌を指し示す方法。
  8. 生物マーカーが溶けやすいタンパク質である、請求項7記載の方法。
  9. 生物マーカーが膜結合している、請求項7記載の方法。
  10. 生物マーカーがタンパク質、核酸、炭水化物、脂肪酸、糖タンパク質、および脂質からなる群より選択される、請求項7記載の方法。
  11. 該生物学的試料が、液体に基づいた細胞学のために収集した子宮頸部擦過に由来する、請求項7記載の方法。
  12. (a)子宮頚のpap標本を得る工程および、
    (b)試料における該生物マーカーの存在を検出する工程;
    を含む、papスミアにおける子宮体癌生物マーカーを検出するための方法であって、
    該生物マーカーの存在は、子宮体癌を指し示す方法。
  13. 生物マーカーが溶けやすいタンパク質である、請求項12記載の方法。
  14. 生物マーカーが膜結合している、請求項12記載の方法。
  15. 生物マーカーがタンパク質、核酸、炭水化物、脂肪酸、糖タンパク質、および脂質からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
  16. 生物学的試料が、液体に基づいた細胞学のために収集した子宮頸部擦過に由来する、請求項1記載の方法。
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