JP2007513631A - 核酸およびポリペプチドを選択する系ならびに方法 - Google Patents

核酸およびポリペプチドを選択する系ならびに方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、一般に、配列が知られているもしくは未知であるmRNAをその翻訳されたタンパク質と連結して同族対を形成することによる、所望のタンパク質または核酸分子を同定かつ選択するための系および方法に関する。同族対は、タンパク質または核酸の所望の特性に基づいて選択される。また、この方法には、選択された同族対の核酸部分を増幅すること、核酸に変異を導入すること、核酸を翻訳すること、核酸をそのタンパク質に結合させて第2の同族対を形成すること、および所望の特性に基づいてこの同族対を再選択することによる、所望のタンパク質または核酸分子の進化が含まれる。tRNAに架橋結合する働きをする修飾されたmRNAも提供する。ソラレンモノ付加体または架橋結合の生成方法も提供する。mRNAライブラリおよびワクチンの産生方法も提供する。

Description

発明の分野
本発明は、一般に核酸およびポリペプチドを同定かつ選択するための組成物ならびに方法に関する。
発明の背景
リガンド−受容体の相互作用は、基本的な生物学的な部位認識機構の解明から薬物スクリーニングおよび合理的な薬物設計までの数々の理由で興味がもたれている。長年の間、選択された標的に選択的に結合する分子を大集団から選択し、その後それらを増幅および突然変異させて後に再選択することによって核酸のin vitro進化を駆動することが可能であった(本明細書中に参考として組み込まれているTuerkおよびGold、Science、249:505(1990))。
タンパク質を用いてこのような選択過程を行うことができる能力は、非常に有用となる。これにより、選択されたリガンドに特異的に結合するタンパク質のin vitro設計および産生が可能となる。タンパク質中の20種の多様なアミノ酸側鎖は、核酸側中の4種の類似の鎖よりも結合可能性がはるかに高いので、核酸と比較してタンパク質の使用は特に有利である。さらに、多くの生物学的および医学的に関係するリガンドはタンパク質に結合する。
核酸およびタンパク質の進化方法はどちらも、試験分子の多様性の高い大集団に接近する手段、所望の特性を示す集団メンバーを選択する方法、および突然変異させた変異を有する選択された分子を複製して後の選択のための別の大集団を得る能力、を必要とする。
したがって、必ずしも核酸配列または核酸の反復化学修飾の知識を最初に必要としない、mRNAをそのタンパク質に正確に連結することができる、in vitroの核酸に基づいたタンパク質の進化系の必要性が存在する。
発明の概要
本発明の実施形態は、タンパク質および核酸の所望の特性(properties)を選択かつ進化させる組成物ならびに方法を提供する。様々な実施形態では、本発明は、修飾されたtRNAおよびtRNA類似体を提供する。他の実施形態には、ポリペプチドの産生方法、所望の特徴(characteristics)を有するポリペプチドの集団の個々のメンバーの選択を可能にするアッセイ、このような選択されたポリペプチドをコードしている核酸の増幅方法、および増強された特性のスクリーニングを行うための新しい変異体の生成方法が含まれる。
いくつかの実施形態では、本発明は、天然のmRNAの修飾を必要とせずにタンパク質がそのメッセージに結合することを可能とするが、修飾されたmRNAも依然として使用し得る。本発明の様々な態様で具体化した方法の特異性は、コドン−アンチコドンの相互作用の特異性によって決定される。
好ましい実施形態では、本発明は、核酸がコードしているタンパク質を選択することによって、その核酸の選択を可能にする。これは、翻訳の最後にタンパク質をその同族mRNAに結合することによって成してもよく、立ち代ってこれは、タンパク質およびmRNAをどちらもtRNAまたはtRNA類似体に結合させることによって行う。
本発明の好ましい実施形態は、ポリペプチドをコードしている核酸およびポリペプチドをtRNAに共有結合することができるtRNA分子であって、核酸の結合がポリペプチドとの結合以外のtRNAの一部分上で起こり、tRNAはtRNAのアンチコドンと会合した連結分子を含む、tRNA分子を含む。このtRNAのアンチコドンは、所要の波長の光の照射下でmRNAと架橋結合を形成する能力を有し、好ましくは、UVA、好ましくは約300〜450nmの範囲、より好ましくは約320〜400nmの範囲、最も好ましくは約365nmのUVAで照射することでアンチコドン上にフラン側鎖のソラレンモノ付加体を形成する能力を有する。好ましくは、アミノ酸またはアミノ酸類似体は、安定した結合によってtRNA分子の3’末端に結合して、安定したアミノアシルtRNA類似体(SATA、stable aminoacyl tRNA analog)を生じる。
他の実施形態には、好ましくは読み枠の3’領域中に位置し、より好ましくは読み枠の最も3’側のコドン、最も好ましくは読み枠の3’ストップコドンにソラレンを含むmRNAが含まれる。好ましい実施形態では、tRNAとmRNAとの連結は架橋結合したソラレン分子、より好ましくはフラン側鎖のソラレンモノ付加体である。
本発明のさらなる実施形態は、モノ付加体の形成方法を提供する。この方法によれば、少なくとも1つのウリジンおよび少なくとも1つの修飾されたウリジンを有する標的オリゴヌクレオチドをソラレンと接触させ、標的オリゴヌクレオチドおよびソラレンがカップリングされてモノ付加体を形成する。本実施形態による修飾されたウリジンは、ソラレンとのカップリングを回避するために修飾されていてもよく、好ましくは、修飾されたウリジンは疑似ウリジン(pseudouridine)である。この実施形態によれば、標的オリゴヌクレオチドは、tRNA、修飾されたtRNAおよびtRNA類似体などのtRNA分子、またはmRNA、修飾されたmRNAおよびmRNA類似体などのmRNA分子であってよい。さらなる実施形態では、ソラレンは1つまたは複数の架橋結合によって標的オリゴヌクレオチドにカップリングされている。この実施形態によれば、標的オリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第2のオリゴヌクレオチドが存在していてもよい。この第2のオリゴヌクレオチドは、ウリジンを含まないか、または標的オリゴヌクレオチドとの架橋結合を回避するために修飾されたウリジン残基を含んでもよい。好ましくは、修飾されたウリジンは疑似ドウリジンである。
本発明のいくつかの実施形態は、核酸、tRNA、および核酸によってコードされているポリペプチドを一緒に安定に連結して、連結したヌクレオチド−ポリペプチド複合体を形成する方法を含む。好ましい実施形態では、核酸はmRNAであり、連結したヌクレオチド−ポリペプチド複合体はmRNA−ポリペプチド複合体である。この方法は、複数の相異なる核酸−ポリペプチド複合体を提供すること、所望の結合特徴を有するリガンドを提供すること、複合体をリガンドと接触させること、結合していない複合体を取り除くこと、および、リガンドに結合した複合体を回収することをさらに含むことができる。
本発明のいくつかの方法は、核酸分子および/またはタンパク質の進化を含む。一実施形態では、本発明は、回収した複合体の核酸成分を増幅することおよび変異を核酸の配列に導入することを含む。他の実施形態では、この方法は、増幅して変化した核酸からポリペプチドを翻訳すること、tRNAを用いてそれらを一緒に連結すること、および、結合した複合体の別の新しい集団を選択するためにそれらをリガンドと接触させることをさらに含む。本発明のいくつかの実施形態では、in vitro進化の過程、特に選択されたmRNAが変異を持って複製され、翻訳され、選択のために再度同族タンパク質に結合される反復過程において、選択されたタンパク質−mRNA複合体を用いる。
一実施形態では、選択するための戦略を提供する。一実施形態では、この戦略はmRNAライブラリの作製を含む。一実施形態では、RNAライゲーションを用いる。一実施形態では、T4 RNAリガーゼを使用したRNAライゲーションを用いる。一実施形態では、重症急性呼吸器症候群(SARS)の診断試験を提供する。
本発明のいくつかの実施形態は、効率的かつ迅速な、核酸およびポリペプチドを同定かつ選択する組成物ならびに方法を提供する。特定の実施形態は、本発明の一実施形態による核酸およびタンパク質の同定、選択、ならびに/または進化が、試験分子の多様性の高い大集団に接近する手段、所望の特性を示す集団メンバーを選択する方法、および突然変異させた変異を有する選択された分子を複製して後の選択のための別の大集団を得る能力、に適応しているので、特に有利である。
本発明のいくつかの実施形態は、いくつかの疾患の予防および治療において用いられる遺伝子およびタンパク質の同定および選択に有用である。たとえば、疾患に関連する核酸配列が知られている場合は、本発明のいくつかの実施形態は、対応するタンパク質を急速かつ正確に同定および選択するために用いることができる。その後、このタンパク質を大量生産し、診断剤または治療剤として用いることができる。さらに、疾患に関連するタンパク質が知られている場合は、本発明のいくつかの実施形態は、対応する核酸の迅速な同定を可能にすることができる。その後、核酸を診断剤または治療剤として用いることができる。
本発明のいくつかの実施形態の別の利点は、タンパク質が自己複製できないこと、およびポリペプチドをコードしているmRNAを翻訳産物に連結できないこと、を克服できることにある。さらに、大きなペプチドライブラリの作製およびスクリーニング方法は、最近まで、過程にin vivo発現ステップが含まれることが必要であった。例には、酵母の二重または三重ハイブリッド、酵母ディスプレイおよびファージディスプレイ方法が含まれる(FieldsおよびSong、Nature、340:245(1989);LicitraおよびLiu、PNAS、93:12817(1996);BoderおよびWittrup、Nat Biotechnol、15:553(1997);ならびにScottおよびSmith、Science、249:386(1990))。場合によっては、in vivo方法には、ライブラリのサイズの制限および厄介なスクリーニングステップを含めた不利点がある。さらに、宿主の細胞による制約によって変異体の生成に望ましくない選択的圧力がかかる可能性がある。このようなことにもかかわらず、当業者は、これらのin vivo方法を使用して本発明の一実施形態を用いることができることを理解するであろう。
より最近では、リボソームディスプレイなどの原核および真核のin vitro翻訳系を用いたin vitro方法が開発されている(すべて本明細書中に参考として組み込まれているMattheakis他、PNAS、91:9022(1994);HanesおよびPluckthun、PNAS、94:4937(1997);Jermutus他、Current Opinion in Biotechnology、9:534(1998))。これらの方法では、タンパク質とそれをコードしているmRNAとをリボソームで連結し、選択されたリガンドに対して複合体全体のスクリーニングを行う。この方法の潜在的な不利点には、リボソームが大きいことが含まれ、これは、結合した比較的小さなタンパク質のスクリーニングを妨害する可能性がある。当業者は、これらのin vitro方法を使用して本発明の一実施形態を用いることができることを理解するであろう。
1997年に、2つの研究グループが、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼをリンカーDNAに結合したピューロマイシンと共に用いることによって翻訳中にタンパク質をそのコード配列に結合させるin vitro方法を開発した(すべて本明細書中に参考として組み込まれているSzostak他、国際公開公報WO98/31700号;RobertsおよびSzostak、PNAS、94:12297(1997);Nemoto他、FEBS Letters、414:405(1997))。コード配列とペプチドとが連結されたあと、ペプチドを選択されたリガンドに曝す。リガンドによるペプチドの選択または結合により結合したコード配列の選択も行われ、その後、これを標準の手段によって複製することができる。RobertsおよびSzostakならびにNemoto他はどちらも、DNAリンカーまたは他の翻訳不可能な鎖によってピューロマイシン分子をコード配列の3’末端に結合する技術を用いていた。ピューロマイシンは、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼの作用下で新生ペプチド鎖を受容し、それに安定かつ不可逆的に結合して翻訳を中断させる、tRNAアクセプター基部(acceptor stem)類似体である。
本発明のいくつかの実施形態は、以下の制限のうちの1つまたは複数を克服するので、特に有用である:(1)それぞれのペプチドをコードしているコード配列が知られており、かつ最初およびそれぞれの選択操作間のどちらにおいても修飾されていなければならない;(2)、天然で未知のmRNAの選択のみである;(3)コード配列の修飾により過程のステップが数ステップ増える;ならびに(4)リンカー分子上に結合したピューロマイシンが、翻訳反応において、そのコード配列を読んでいるリボソームまたは近隣のリボソーム上のA部位に関して、天然tRNAと競合し得、したがって、翻訳反応溶液中の結合していないピューロマイシンがそうするように、翻訳過程に「毒が入れられる」可能性がある。ピューロマイシンとリボソームとの間の意図的でない相互作用は2種類の反応非特異性、すなわち成熟前に短縮されたタンパク質および誤ったメッセージに結合したタンパク質をもたらす可能性がある。従来技術には、ピューロマイシンに対するA部位およびペプチジルトランスフェラーゼの結合力がMg++の濃度によって変調され得ることを示す報告が存在する(本明細書中に参考として組み込まれているRoberts、Curr.Opin.Chem.Biol.、3:268(1999))。第1種の非特異性(たとえば翻訳の成熟前停止)を制御するためにMg++の濃度を滴定し得るが、第2種(たとえば、不正確なmRNA−タンパク質の連結)には影響しない。
本発明の一部の実施形態の他の利点には、架橋結合を高収率で生じる能力、アミノ酸の完全な相補体を使用する能力、およびストップコドンを使用する能力が含まれる。
したがって、一部の実施形態において、必ずしも核酸配列または核酸の反復化学修飾の知識を最初に必要とせず、mRNAをそのタンパク質に正確に連結可能な、in vitroの核酸に基づいたタンパク質の進化系の必要性が存在する。ストップコドンの存在下においてアミノ酸の完全な相補体を良好な効率で用いることができる系の必要性も依然として存在する。
本発明のいくつかの実施形態は、タンパク質および核酸の所望の特性を同定、選択、かつ進化させる組成物ならびに方法を提供する。多くの実施形態では、本発明は、修飾されたtRNAおよびtRNA類似体を含めたtRNA分子を提供する。他の実施形態では、tRNA分子には、天然または修飾されていないtRNAが含まれる。他の実施形態には、ポリペプチドの産生方法、所望の特徴を有するポリペプチドの集団の個々のメンバーの選択を可能にするアッセイ、このような選択されたポリペプチドをコードしている核酸の増幅方法、および増強された特性のスクリーニングを行うための新しい変異体の生成方法が含まれる。
いくつかの実施形態では、本発明は、天然のmRNAの修飾を必要とせずに、タンパク質がそのそれぞれのmRNAに結合することを可能にする。別の実施形態では、SARS用のワクチンおよびその産生方法を提供する。最小限の修飾のみが必要とされる。さらに別の実施形態では、広範囲に修飾されたmRNAを用いることができる。一部の実施形態で具体化した方法の特異性は、コドン−アンチコドンの相互作用の特異性によって決定される。
好ましい実施形態では、本発明は、核酸がコードしているタンパク質を選択することによって、その核酸の選択を可能にする。これは、一実施形態では、これは翻訳の最後にタンパク質をその同族mRNAに結合することによって成し、立ち代ってこれは、タンパク質およびmRNAをどちらもtRNA分子に結合させることによって行う。
一実施形態では、所望のタンパク質または核酸分子の同定方法を提供する。一実施形態では、少なくとも2つのmRNA分子を提供する。mRNA分子のうちの少なくとも1つは、ストップコドンおよび/または疑似ストップコドン(pseudo stop codon)を含む。mRNA分子は翻訳されて、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質が生じる。mRNA分子はtRNA分子を用いてその対応する翻訳されたタンパク質に連結、カップリングまたは会合されており、少なくとも1つの同族の対を形成している。mRNA分子のうちの少なくとも1つは、架橋剤によってtRNA分子に結合している。一実施形態では、同族対は翻訳されたタンパク質またはmRNA分子の特性を用いて同定する。選択された同族対のmRNA分子、mRNA分子に相補的な核酸分子および/またはmRNA分子に相同的な核酸分子が同定され、これにより所望のタンパク質または所望の核酸分子が同定される。
一実施形態では、tRNA分子は安定したアミノアシルtRNA類似体(SATA)である。本明細書中で使用するSATAとは、好ましくは同族コドンがリボソームの読み位置にある場合であって、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼの作用によってペプチド鎖を受容することができるように、選択されたコドンを認識することができる実体である。
一実施形態では、SATAは、どちらもSATA上に位置するピューロマイシンおよび架橋剤を含む。本明細書中で使用する用語「それ上に位置する」とは、その通常の意味を有し、さらに、それ上に配置されている、組み込まれている、結合している(attach to)、カップリングしている、結合している(bound to)、またはその一部であるという意味も与えられる。一実施形態では、SATAはピューロマイシンを含むが、架橋剤はmRNA分子上に位置する。一実施形態では、架橋剤はmRNA上にのみ位置し、tRNA上には位置しない。
一実施形態では、tRNA分子は連結tRNA類似体である。一実施形態では、架橋剤は連結tRNA類似体上に位置し、ピューロマイシンは存在しない。
一実施形態では、tRNA分子はナンセンスサプレッサーtRNAである。一実施形態では、架橋剤はtRNA上には位置せず、mRNA上に位置し、ピューロマイシンは存在しない。一実施形態では、架橋剤はmRNA上にのみ位置し、tRNA上には位置しない。一実施形態では、ナンセンスサプレッサーtRNAは、実質的に修飾されていない、天然のtRNAである。
本発明の一実施形態では、架橋剤は、2つの分子を化学的または力学的に一緒に連結する作用物質である。一実施形態では、架橋剤は、活性化されてtRNAおよび/またはmRNAと1つまたは複数の共有結合を形成することができる作用物質である。一実施形態では、架橋剤は硫黄で置換したヌクレオチドである。別の実施形態では、架橋剤はハロゲンで置換したヌクレオチドである。架橋剤の例には、それだけには限定されないが、2−チオシトシン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−ヨードシトシン、5−ヨードウリジン、5−ブロモウリジンおよび2−クロロアデノシン、アリールアジド、ならびにそれらの修飾体または類似体が含まれる。一実施形態では、架橋剤はソラレンまたはソラレン類似体である。1つまたは複数の架橋剤を用いることができ、これら架橋剤の位置は変化することができる。
一実施形態では、架橋剤はmRNA上に位置する。別の実施形態では、架橋剤はtRNA分子上に位置する。一実施形態では、架橋剤はコドン上またはその近隣に位置する。別の実施形態では、架橋剤はストップコドンもしくは疑似ストップコドン上またはその近隣に位置する。一実施形態では、架橋剤はRNA分子のアンチコドン上またはその近隣に位置する。一実施形態では、架橋剤はRNA分子のストップアンチコドンもしくは疑似ストップアンチコドン上またはその近隣に位置する。
本発明の一実施形態では、架橋剤はtRNA分子とmRNA分子との間に単一の結合もしくはカップリングを形成する。一実施形態では、tRNA分子はリボソームのペプチジルトランスフェラーゼによってその翻訳されたタンパク質に結合されている。別の実施形態では、tRNA分子は、紫外線に誘導されるtRNA分子のアンチコドンとmRNAのコドンとの間での架橋結合によって、mRNAに結合されている。
一実施形態では、tRNA分子は安定したペプチドアクセプターを有する。一実施形態では、安定したペプチドアクセプターはピューロマイシンまたはピューロマイシン類似体である。一実施形態では、tRNA分子は、ペプチド鎖を受容して、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼによって脱離が行われないような安定した様式で鎖を保持するように作用可能である。一実施形態では、tRNA分子は、リボソームに結合し、ペプチド鎖を受容し、次のペプチド転移においてドナーとして役割を果たさない部分を含む。この部分はtRNA上に位置することができる。一実施形態では、この部分には、それだけには限定されないが、3’デオキシアデノシン上の2’エステル、アミノアシルtRNAox−redおよびピューロマイシンが含まれる。1つまたは複数の部分がtRNA分子上に位置していてもよい。
一実施形態では、mRNA分子は連結コドンより先の翻訳が不可能である。一実施形態では、tRNA分子は、後のコドン中のメッセージが翻訳不可能であるので、ペプチド鎖を受容し、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼによって脱離が行われないような様式で鎖を保持する。別の実施形態では、tRNA分子は、メッセージが翻訳不可能であるので、ペプチド鎖を受容し、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼによって脱離が行われないような様式で鎖を保持する。メッセージは、メッセージの最後にあるか、または適切なコドンを認識するtRNAが欠失していることが原因で、翻訳不可能となることができる。mRNAを翻訳不可能にする他の技術も用いることができる。
本発明の一実施形態では、翻訳はin vitroで行われる。別の実施形態では、翻訳はin situで行われる。さらに別の実施形態では、in vivo翻訳が提供される。
本発明の別の実施形態では、この方法は複数の同族対を提供すること、これらの同族対のうちの少なくとも1つを1つまたは複数の結合因子と結合させること、および、結合因子に対する反応に基づいて所望のタンパク質または核酸分子を選択することによって、所望の核酸またはタンパク質を選択することをさらに含む。結合因子に対する反応を欠くことに基づいてもセクションを行うことができる。
一実施形態では、複数の同族対を提供するステップは、マトリックス、溶液中、ビーズ上、およびアレイ上のうちの1つもしくは複数からなる群から選択された媒体上または媒体中に、1つまたは複数の同族対を提供することを含む。当業者は、さらなる結合または選択に適した任意の媒体中に同族対を置くことができることを理解するであろう。一実施形態では、同族対はリガンド結合に基づいて選択される。リガンドには、それだけには限定されないが、タンパク質、核酸、化学化合物、ポリマーおよび金属が含まれる。別の実施形態では、反応は、リガンド結合、免疫沈降、および酵素反応のうちの1つまたは複数からなる群から選択される。当業者は、標的分子を識別するために役立つ任意の反応を用いることができることを理解するであろう。このような反応には、それだけには限定されないが、化学反応、力学的反応、および生物学的反応が含まれる。
本発明の別の実施形態では、本方法は、所望の核酸分子を選択することをさらに含む。一実施形態では、この方法は、核酸が事前に決定された位置に配置された核酸アレイを提供すること、同族対のうちの少なくとも1つをアレイ上にハイブリダイズさせること、同族対を1つまたは複数の結合因子と反応させること、および、結合因子に対する反応または反応を欠くことに基づいて所望の核酸分子を選択することを含む。結合因子には、それだけには限定されないが、上述のリガンドが含まれる。当業者は、所望の核酸分子を識別するために役立つ任意の反応を用いることができることを理解するであろう。このような反応には、それだけには限定されないが、化学反応、力学的反応、および生物学的反応が含まれる。
さらに別の実施形態では、この方法は、翻訳されたタンパク質のDNA配列を決定することをさらに含む。一実施形態では、この方法は、DNA配列が事前に決定された位置に配置された、2つ以上のDNA配列のアレイを提供すること、アレイを、1つまたは複数の、mRNA部分およびタンパク質部分を含む同族対に曝すこと、同族対のmRNA部分をアレイ上にハイブリダイズさせること、1つまたは複数の同族対のタンパク質部分を結合因子に曝すことで反応を生じさせるまたは生じさせないこと、ならびに、リガンドなどの結合因子に対する反応、または反応がないことに基づいて所望のタンパク質を選択することで翻訳されたタンパク質のDNA配列を決定することを含む。
本発明の一実施形態では、tRNA分子に架橋結合するよう作用可能に修飾されたmRNA分子を提供する。一実施形態では、修飾されたmRNA分子は、ストップコドン上またはその近隣に位置する架橋剤を含む。一実施形態では、修飾されたmRNA分子は、疑似ストップコドン上またはその近隣に位置する架橋剤を含む。
一実施形態では、架橋剤は、活性化されてtRNAと1つまたは複数の共有結合を形成することができる作用物質である。一実施形態では、架橋剤は、光を用いて活性化されてtRNAと1つまたは複数の共有結合を形成することができる作用物質である。別の実施形態では、架橋剤は、mRNA内に直接組み込まれている修飾された塩基である。一実施形態では、架橋剤は、2−チオシトシン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−ヨードシトシン、5−ヨードウリジン、5−ブロモウリジンおよび2−クロロアデノシン、アリールアジド、ならびにそれらの修飾体または類似体のうちの1つまたは複数からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、架橋剤はソラレンである。
本発明の一実施形態では、同族対を生成するキットを提供する。一実施形態では、キットは、付加していない安定したアミノアシルtRNA類似体に結合した少なくとも1つのソラレンモノ付加体を含む、品目のコンピレーション、コレクション、系または群である。別の実施形態では、キットは、オリゴヌクレオチドに結合した少なくとも1つのソラレンモノ付加体を含む。いくつかの実施形態では、キットは、同族対の生成に関する指示書を含む。さらに別の実施形態では、キットは、同族対の生成に有用となる追加の化学薬品、作用物質、または装置を含む。
本発明の一実施形態では、所望の配列を進化させる方法を提供する。一実施形態では、この方法は、ストップコドンおよび/または疑似ストップコドンを含む、少なくとも2つの候補mRNA分子を提供すること;mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成すること;mRNA分子のうちの少なくとも1つを、tRNA分子を介してその対応する翻訳されたタンパク質と連結して、少なくとも1つの同族対を形成することであり、候補mRNA分子のうちの少なくとも1つが架橋剤によってtRNA分子に結合していること;翻訳されたタンパク質またはmRNA分子の特性に基づいて同族対のうちの1つまたは複数を同定すること;選択された同族対のmRNA分子、mRNA分子に相補的な核酸分子、およびmRNA分子に相同的な核酸分子、のうちの1つまたは複数からなる群から選択された分子を同定することで所望のタンパク質または所望の核酸分子を同定すること、を含む。
一部の実施形態では、この方法は、複数の同族対を提供すること、複数の同族対のうちの少なくとも1つを1つまたは複数の結合因子と結合させること、1つもしくは複数の結合因子に対する反応または反応を欠くことに基づいて所望のまたはタンパク質核酸分子を選択することで第1の所望の同族対を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、第1の所望の同族対を回収して、回収した同族対を生成すること、回収した同族対の第1の核酸成分を増幅すること、1つまたは複数の変異を有する前記第1の核酸成分を含む第2の核酸成分を生成すること、第2の核酸成分を翻訳することによって第2のタンパク質を生成すること、第2のタンパク質を第2の核酸成分に連結させて第2の所望の同族対を生成すること、および、少なくとも1つの所望の特性に基づいて第2の所望の同族対を再選択することによって所望のタンパク質配列を得ることを、さらに含む。好ましい実施形態では、所望の配列は、SARSウイルスの1つまたは複数の配列の配列である。
一実施形態では、所望の特性は、結合特性、酵素反応および化学修飾のうちの1つまたは複数からなる群から選択される。一実施形態では、所望の特性は反応を欠く(または結合、酵素反応または化学修飾に抵抗する能力を有する)。一実施形態では、第1の所望の同族対を選択するステップは、所望の結合特徴を有する第1のリガンドを提供すること、第1の同族対のうちの1つまたは複数を第1のリガンドと接触させて結合していない複合体および結合した複合体を生成すること、結合した複合体または結合していない複合体のどちらかを回収すること、回収した複合体の少なくとも1つの核酸成分を増幅すること、回収した複合体の核酸成分の配列に変異を導入すること、1つまたは複数の第2のタンパク質を核酸成分から翻訳すること、第2のタンパク質のうちの少なくとも1つを第2の核酸成分のうちの少なくとも1つと連結させて1つまたは複数の第2の同族対を生成すること、ならびに、第2の同族対のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの第2のリガンドと接触させることによって所望のタンパク質配列を得て、第2の同族対のうちの1つまたは複数を選択することであり、第2のリガンドは第1のリガンドと同じまたは異なること、を含む。
本発明の一実施形態は、少なくとも1つのウリジンおよび少なくとも1つの修飾されたウリジンを含んだ標的オリゴヌクレオチドを提供するステップと、前記標的オリゴヌクレオチドをソラレンと接触させるステップと、前記ソラレンを前記標的オリゴヌクレオチドとカップリングさせてモノ付加体を形成するステップと、を含むモノ付加体の形成方法に向けられている。
本発明の一実施形態は、少なくとも2つの候補mRNA分子を提供するステップであって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つが、ストップコドンまたは疑似ストップコドンである少なくとも1つのコドンを含むステップと;前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成するステップと;前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つを、tRNA分子を介してその対応する翻訳されたタンパク質と連結して、少なくとも1つの同族対を形成するステップであって、前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つが架橋剤によって前記tRNA分子に結合しているステップと;前記翻訳されたタンパク質または前記mRNA分子の特性に基づいて前記同族対のうちの1つもしくは複数を同定するステップと;前記選択された同族対のmRNA分子、前記mRNA分子に相補的な核酸分子および前記mRNA分子に相同的な核酸分子のうちの1つまたは複数である分子を同定することで前記所望のタンパク質または前記所望の核酸分子を同定するステップと;複数の同族対を提供するステップと、1つまたは複数の結合因子を用いて前記複数の同族対と結合するステップと;前記1つまたは複数の結合因子に対する反応または反応を欠くことに基づいて前記所望のタンパク質または核酸分子を選択するステップと、を含む、所望のタンパク質または核酸分子の同定および選択方法に向けられている。
本発明の一実施形態では、本発明は、核酸上にソラレンモノ付加体を形成する方法を含む。一実施形態では、この方法は、第1の核酸および第2の核酸を提供することを含み、第1の核酸および第2の核酸は実質的に互いに相補的であり、第1の核酸は1つまたは複数のウリジンモノ付加体標的物を含み、第2の核酸は少なくとも1つの疑似ウリジンを含む。この方法は、第1の核酸および第2の核酸の少なくとも一部分をソラレンの存在下でハイブリダイズさせてハイブリッドを形成すること、ハイブリッドに紫外光を照射することによって第1の核酸上にソラレンモノ付加体を形成することをさらに含む。一実施形態では、1つまたは複数のウリジンモノ付加体標的物は、アデノシンに隣接して位置する、好ましくはアデノシンの3’側に位置するウリジンを含む。
本発明の一実施形態では、ソラレンモノ付加体または架橋結合の生成方法を提供する。一実施形態では、この方法は、第1の核酸および第2の核酸を提供することを含み、第1の核酸および第2の核酸は実質的に互いに相補的であり、第1の核酸は1つもしくは複数のウリジンモノ付加体標的物または架橋結合標的物および1つもしくは複数のウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物を含み、ウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物は1つもしくは複数の疑似ウリジンで置き換えられるように作用可能である。この方法は、ウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物のうちの1つもしくは複数を疑似ウリジンで置き換えること、第1の核酸および第2の核酸の少なくとも一部分をソラレンの存在下でハイブリダイズさせてハイブリッドを形成すること;ならびに、ハイブリッドを照射することによって、標的上の第1の核酸上にソラレンモノ付加体または架橋結合を形成させながら非標的物を保護することをさらに含む。一実施形態では、可視光を用いて付加体または架橋結合を形成する。別の実施形態では、紫外光を用いる。
本発明の一実施形態は、少なくとも2つの候補mRNA分子を提供するステップであって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つが、ストップコドンまたは疑似ストップコドンである少なくとも1つのコドンを含むステップ;前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成するステップと;前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つを、tRNA分子を介してその対応する翻訳されたタンパク質と連結して、少なくとも1つの同族対を形成するステップであって、前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つが架橋剤によって前記tRNA分子に結合しているステップと;前記翻訳されたタンパク質または前記mRNA分子の特性に基づいて前記同族対のうちの1つもしくは複数を同定するステップと;前記選択された同族対のmRNA分子、前記mRNA分子に相補的な核酸分子および前記mRNA分子に相同的な核酸分子のうちの1つまたは複数から選択された分子を同定することによって、前記所望のタンパク質または前記所望の核酸分子を同定するステップと;複数の同族対を提供するステップと、前記複数の同族対のうちの少なくとも1つを1つまたは複数の結合因子と結合させるステップと;前記1つまたは複数の結合因子に対する反応または反応を欠くことに基づいて前記所望のまたはタンパク質核酸分子を選択することで第1の所望の同族対を選択するステップと、前記第1の所望の同族対を回収して、回収した同族対を生成するステップと;前記回収した同族対の第1の核酸成分を増幅するステップと;第2の核酸成分を生成するステップであって、前記第2の核酸成分が、1つまたは複数の変異を有する前記第1の核酸成分を含むステップと;前記第2の核酸成分を翻訳することによって第2のタンパク質を生成するステップと;前記第2のタンパク質を前記第2の核酸成分と連結させて第2の所望の同族対を生成するステップと;少なくとも1つの所望の特性に基づいて前記第2の所望の同族対を再選択することによって所望のタンパク質配列を得るステップと、を含む、所望のタンパク質配列を進化させる方法に向けられている。
好ましい実施形態では、前記第1の所望の同族対を選択するステップには、所望の結合特徴を有する第1のリガンドを提供するステップと;前記第1の同族対のうちの1つまたは複数を前記第1のリガンドと接触させて、結合していない複合体および結合した複合体を生成するステップと;結合した複合体または結合していない複合体のどちらかを回収するステップと;回収した複合体の少なくとも1つの核酸成分を増幅するステップと;前記回収した複合体の前記核酸成分の配列に変異を導入するステップと;前記核酸成分から1つまたは複数の第2のタンパク質を翻訳するステップと、前記第2のタンパク質のうちの少なくとも1つを前記第2の核酸成分のうちの少なくとも1つと連結させて、1つまたは複数の第2の同族対を生成するステップと;前記第2の同族対のうちの前記少なくとも1つを少なくとも1つの第2のリガンドと接触させることによって所望のタンパク質配列を得て、前記第2の同族対のうちの1つまたは複数を選択するステップであって、前記第2のリガンドは前記第1のリガンドと同じまたは異なるステップと、が含まれる。
一部の実施形態は、第1の核酸および第2の核酸を提供するステップであって、前記第1の核酸および前記第2の核酸は実質的に互いに相補的であり、前記第1の核酸は1つまたは複数のウリジンモノ付加体標的物を含み、前記第2の核酸はソラレンの存在下で前記第1の核酸と前記第2の核酸とをハイブリダイズさせてハイブリッドを形成する少なくとも1つの疑似ウリジンを含むステップと;前記ハイブリッドを紫外光で照射して前記第1の核酸上に前記ソラレンモノ付加体を形成するステップと、を含む、核酸上にソラレンモノ付加体を形成する方法に向けられている。
一部の実施形態は、第1の核酸および第2の核酸を提供するステップであって;前記第1の核酸および前記第2の核酸は実質的に互いに相補的であり;前記第1の核酸は1つもしくは複数のウリジンモノ付加体標的物または架橋結合標的物、ならびに1つもしくは複数のウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物を含み;前記ウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物は、1つまたは複数の疑似ウリジンで置き換えられるように作用可能であるステップと;前記ウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物のうちの1つもしくを複数を疑似ウリジンで置き換えるステップと;ソラレンの存在下で前記第1の核酸と前記第2の核酸とをハイブリダイズさせてハイブリッドを形成し;前記非標的物を保護しながら、前記ハイブリッドを照射することによって、前記標的上の前記第1の核酸上に前記ソラレンモノ付加体または前記架橋結合を形成させるステップと、を含む、ソラレンモノ付加体または架橋結合の生成方法に向けられている。
本発明のいくつかの実施形態は、ワクチンの産生に向けられている。一実施形態では、所定の分布内で最も高い結合親和性を有する数種のタンパク質を選択するよりも、多くの異なる配列を得るためにストリンジェンシーがより低い選択を用い、高い結合親和性を有するタンパク質の大集団を進化させるためにストリンジェンシーを徐々に増して複数回の突然変異を用いる。このようなタンパク質はワクチンの産生において貴重である。その論理は、ただ1つの表面エピトープのみが免疫系と反応することができること以外は抗イディオタイプワクチンと同じである。タンパク質ファミリーによって免疫系に提示される所望のタンパク質の凝集濃度は、T細胞およびB細胞応答を刺激するのに必要な閾値レベルに達するほど十分に高い。しかし、ファミリー内の任意の単一のタンパク質の濃度は、そのタンパク質に対する応答を刺激するのに必要な閾値よりも低くなる。したがって、ワクチンは所望のエピトープに対する抗体産生のみを刺激し、タンパク質ファミリー上に存在する他のエピトープのどれに対する抗体産生も刺激しない。これにより、ワクチンを失活させる可能性のある抗体の産生が防がれる。別の実施形態では、ワクチンは、所望のエピトープおよび所望のエピトープの活性と中立的もしくは相乗的効果を有する1つまたは複数の他のエピトープに対する抗体産生を刺激するように合成される。
図面の簡単な説明
図1は、修飾されたtRNAまたは類似体によって連結された場合における、mRNAおよびそのタンパク質産物によって形成された複合体の一例を示す模式図である。図のように、mRNAのコドンは修飾されたtRNAのアンチコドンと対を成し、UV照射によってソラレンモノ付加体、または非ソラレン架橋剤もしくはアリールアジドと共有結合的に架橋結合する。翻訳されたポリペプチドは、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼを介して修飾されたtRNAに連結される。いずれの連結も、mRNAおよび新生タンパク質がリボソームによって適所に保持されている間に起こる。
図2は、in vitroでの選択および進化過程の一例を示す模式図であり、開始核酸およびそのタンパク質産物は連結されており(たとえば図1参照)、タンパク質によって示される特定の特徴によって選択される。特定の特徴を示さないタンパク質は廃棄され、特徴を有するタンパク質は、変異を有して増幅する、好ましくは変異を有するmRNAの増幅を介して増幅して、新しい集団を形成する。様々な実施形態では、結合していないタンパク質が選択される。新しい集団は翻訳され、修飾されたtRNAまたは類似体を介して連結され、選択過程が繰り返される。タンパク質産物を最適化するために、所望するだけの回数の選択および増幅/突然変異を行うことができる。
図3は、本発明のtRNA分子を構築する一方法を例示する図である。この実施形態では、tRNAの5’末端と、アンチコドンループをコードしており、mRNAに安定して連結することができる分子(本例で用いるソラレンなど)を有する核酸と、末端ピューロマイシン分子で修飾されたtRNAの3’末端とをライゲーションして、本発明のin vitro進化方法で用いる完全な修飾されたtRNAを形成する。他の実施形態にはピューロマイシンは含まれない。
図4は、本発明の方法において、mRNAをtRNAに連結することができるように架橋結合分子であるソラレンを配置することができる、2つの代替実施形態について記載した図である。第1の実施形態には架橋剤(たとえばソラレンモノ付加体)をmRNAに連結させることが含まれ、第2の実施形態には架橋剤をtRNA分子のアンチコドンに連結させることが含まれる。架橋剤は、知られているもしくは部分的に知られているメッセージの読み枠のアンチコドンまたは3’末端コドンのどちらかとのモノ付加体とすることができる。これは、翻訳とは別の手順、たとえば翻訳が起こる前に行うことができる。
図5は、ウリジンおよび疑似ウリジンの化学構造を示す図である。疑似ウリジンは、ウリジンと同じように水素結合を形成するが、ソラレンの標的である5−6二重結合を欠く、tRNA中に見つかる天然に生じる塩基である。
図6は、本発明の一部の実施形態を示す図である。特定の実施形態におけるSATA、連結tRNA類似体およびナンセンスサプレッサー類似体を示す。
図7は、所定の長さのヌクレオチドが得られる確率を示す図である。
図8は、128個のアミノ酸のタンパク質のmRNAを生成する反応スキームを示す図である。
図9は、濃度pT=6とlog kとの関係を示す図である。
図10は、濃度とlog kとの関係を示す図である。
図11は、同じ平均値を用いたLancetの経験分布とポアソンとの関係を示す図である。
図12は、様々な[T]値によって結合される曲線のファミリーを示す図である。
図13は、[T]=10-12を用いた4回の生成を示す図である。
図14は、通常のタンパク質合成と非限定的な実施形態でのタンパク質合成方法との比較を示す図である。通常の翻訳:リボソーム内での翻訳の後、mRNAおよび生じたタンパク質が分離される。好ましい実施形態(A)は、好ましいリンカーはSATA連結試薬上にあり、in vitro翻訳の後、mRNAおよびタンパク質がSATAリンカーによって連結されることを示している。好ましい実施形態(B)は、好ましいリンカーはmRNA上にあり、in vitro翻訳の後、mRNAおよびタンパク質がmRNA上に位置するリンカーによって結合されることを示している。
図15は、リンカー技術の非限定的な一実施形態を、開始mRNAライブラリを作製するその独自の方法の一実施形態、及びその独自の選択手順の一実施形態と合わせることによって、mRNAを目的タンパク質から迅速に単離し、その後、そのタンパク質を製品スケールの量で生成するまたは生成を加速させるためにそれを用い、増強された特性を有するタンパク質の選択を行うことが可能になる様子を示す図である。
図16は、タンパク質ライブラリの結合定数の分布を作成するために、SARS「S」タンパク質または他の標的「T」タンパク質(以降「ST」)タンパク質でコーティングした表面プラズモン共鳴(SPR)膜と連結させたランダムライブラリを示す図である。
図17は、捕捉タンパク質(Ptrap)で飽和させたPtrap結合ドメインすべてを示し、異なるドメインに結合したシグナル伝達タンパク質(Psig)を示す、SPR膜上の「S」または「T」タンパク質を示す図である。
図18は、捕捉プローブでコーティングしたポリアクリルアミド磁気ビーズを示す図である。
図19は、psigタンパク質およびバーコードオリゴヌクレオチドでコーティングした金粒子を示す図である。
図20は、SARSウイルスのアッセイを示す図である。
図21は、抗S抗体によってSPR膜上に捕捉されたタンパク質−SATA−mRNAライブラリを示す図である。
図22は、癌の治療を示す図である。
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の様々な態様は、メッセンジャーRNA(mRNA)をその翻訳されたタンパク質産物に連結させて「同族対」を形成するtRNA機構を用いる。いくつかの実施形態では、配列が知られていないmRNAを発現させることができ、所望のまたは選択された特性を有するリガンドに対する選択過程によって特徴づけられたタンパク質および、タンパク質の進化をもたらす核酸の進化をin vitroで行って、増強された特性を有する分子に達することができる。同族対は、tRNA分子を介して結合していることが好ましい。
本明細書中で使用する用語「tRNA分子」とは、その通常の意味を有し、さらに、すべて本明細書中に記載されている安定したアミノアシルtRNA類似体(SATA)、連結tRNA類似体、およびナンセンスサプレッサー類似体の意味も与えられる。tRNA分子には、天然tRNA、合成tRNA、天然および合成tRNAの組合せ、ならびにその任意の修飾体が含まれる。好ましい実施形態では、tRNAは、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼによって新生ペプチドに結合しており、また、tRNA分子のアンチコドンとRNAメッセージのコドンとの間で紫外線に誘導される架橋結合によってmRNAに結合している。これは、たとえばチオウラシルによって行うことができる。好ましい一実施形態では、リンカーは、mRNAの翻訳可能な最終のコドン上、または好ましくは選択したtRNAアンチコドン上のどちらかに事前に配置した、ソラレンモノ付加体、非ソラレン架橋剤、またはそれらの類似体もしくは修飾体から作成されたソラレン架橋結合である。好ましくは、tRNAストップアンチコドンが選択される。ストップコドン/アンチコドンの対は、完全長の転写物を選択する。当業者は、ストップコドンを有さないmRNAを用いてもよく、さらに、本発明のいくつかの実施形態にしたがって任意のコドンまたは核酸トリプレットを用いてもよいことを理解するであろう。天然に存在しないアンチコドンを有するtRNAは、当分野で公知の方法にしたがって合成することができる(たとえば図3)。
一実施形態では、tRNAのアンチコドンはmRNAと架橋結合を形成することができ、架橋結合は、2−チオシトシン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−ヨードシトシン、5−ヨードウリジン、5−ブロモウリジンおよび2−クロロアデノシン、アリールアジド、ならびにそれらの修飾体または類似体のうちの1つまたは複数からなる群から選択される。これらの架橋剤は、Ambion,Inc.(Austin,TX)、Dharmacon,Inc.(Lafayette,CO)、および他の周知の科学材料の製造者から購入可能である。
本明細書中で定義する用語「タンパク質」、「ペプチド」、および「ポリペプチド」とは、任意の型のアミノ酸(たとえばペプチド結合を介して重合することができるDもしくはLアミノ酸、合成または修飾されたアミノ酸など)を含む2つ以上の単位の高分子を意味し、これらの用語は本明細書中で互換性があるように使用してもよい。
本明細書中で定義する用語「疑似ストップコドン」とは、自然にはナンセンスコドンではないが、メッセージがさらに翻訳されることを防ぐコドンを意味する。疑似ストップコドンは、下述の「安定したアミノアシルtRNA類似体」またはSATAを用いて作製してもよい。このように、疑似ストップコドンとは、SATAによって認識され、それに結合するコドンである。疑似ストップコドンを作製する別の方法は、疑似コドンに相補的なアンチコドンを有する必要なtRNAが実質的に欠失している人工系を作製することである。したがって、存在しないtRNAが必要となった際に、たとえば疑似ストップコドンで、翻訳が停止する。
別の実施形態では、選択されたコドンは、以下の方法のうちの1つまたは複数によって、翻訳可能な読み枠の最後に位置する、またはそこに配置される:(1)それを3’末端とすること;(2)連結コドンの3’側の部分に修飾を与えるか、または修飾を有することによって、それを翻訳不可能にして放出因子の活性化ができないようにすること;および(3)連結コドンの3’側に、対応するtRNAが欠失したコドンをおくこと。
当業者は、本発明のいくつかの実施形態に従って用いることができる、疑似ストップコドンの作製方法が複数存在することを理解するであろう。
mRNAとそのタンパク質産物との間の結合の形成は、一般にtRNA、tRNA類似体、または特定の特徴を有するmRNAを必要とする。本発明のいくつかの実施形態では、tRNAまたはtRNA類似体は安定したペプチドアクセプターを有するであろう。この修飾により、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼの作用によって新生ペプチド鎖が受容された後、ペプチジルトランスフェラーゼによって脱離が行われないような安定した様式で鎖を保持するように、tRNAまたはtRNA類似体が変化する。これは、3’デオキシアデノシン上の2’エステルなどの単結合、または、リボソームに結合することができ、ペプチド鎖を受容することができ、次のペプチド転移においてドナーとして役割を果たさないアミノ「アシルtRNAox-red」を用いて成し得る(すべて本明細書中に参考として組み込まれているChinali他、Biochem.、13:3001(1974);KrayevskyおよびKukhanova、Prog.Nuc.Acid Res、23:1(1979)ならびにSprinzlおよびCramer、Prog.Nuc.Acid Res、22:1(1979))。
さらなる実施形態では、選択されたコドンは、それを翻訳不可能にして放出因子の認識ができないようにするために、それを3’末端とすることによって、またはより3’側の部分に修飾を有することで、翻訳可能な読み枠の最後に位置する、またはそこに配置される。
一実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸類似体は安定した結合によってtRNAまたはtRNA類似体の3’末端に結合している。この安定した結合は、天然の構造においてこれら2つを結合する不安定な高エネルギーのエステル結合と対照的である。安定した結合は、結合をペプチジルトランスフェラーゼの作用から保護するだけでなく、後のステップにおいて構造の保存も行う。利便上、この修飾されたtRNAまたはtRNA類似体を「安定したアミノアシルtRNA類似体」またはSATAと呼ぶ。本明細書中で使用するSATAとは、好ましくは同族コドンがリボソームの読み位置にある場合に、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼの作用によってペプチド鎖を受容することができるように、選択されたコドンを認識することができる実体である。ペプチド鎖は、ペプチドが安定して結合され、ペプチジルトランスフェラーゼによって脱離が行われないように結合される。好ましくは、選択されたコドンは水素結合によって認識される。
安定した修飾されたtRNAを作製する一方法が1973年に発表されている(本明細書中に参考として組み込まれているFraserおよびRich、PNAS、70:2671(1973))。この方法は、tRNAまたはtRNA類似体を3’−アミノ−3’−デオキシtRNAへと変換することを含む。これは、ヘビ毒ホスホジエステラーゼを用いて3’−アミノ−3’−デオキシアデノシンから、天然のアデノシンを取り除いたあと、tRNAヌクレオチジルトランスフェラーゼを用いてそれを、天然tRNAの末端に付加することによって成される。その後、この修飾されたtRNAに、それぞれのアミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)によってアミノ酸を荷担する。FraserおよびRichは、tRNAの2’ヒドロキシルではなく3’ヒドロキシルに荷担されるaaRSを用いた。アミノ酸は、通常の不安定な高エネルギーのエステル結合ではなく安定したアミド結合によってtRNAに結合している。したがって、これがリボソームのペプチジルトランスフェラーゼからペプチドを受容した際、ペプチドは安定して保持され、別のアクセプターに供与することができなくなる。
好ましい方法では、SATAは、コドンとアンチコドンとの間でソラレン架橋結合によって翻訳されたメッセージに結合される。ソラレン架橋結合は、相補的5’ピリミジン−プリン3’配列、特にUAまたはTA配列、を含む配列間で優先的に生じる(本明細書中に参考として組み込まれているCimino他、Ann.Rev.Biochem.、54:1151(1985))。SATAをコードするコドン、または連結コドンは、連結コドンにいくつかのコドンが用いられてもよいために、PYR−PUR−XまたはX−PYR−PURであることができる。便利なことに、ストップコドンまたはナンセンスコドンがこの立体配置を有する。アミノ酸をコードするコドンを用いることは遺伝暗号の微調整を必要とするかもしれず、これは一部の用途を複雑にする可能性がある。したがって、好ましい実施形態では、ストップコドンを連結コドンとして用い、SATAは、連結コドンを認識するという意味でナンセンスサプレッサーとして機能する。しかし、当業者は、系に適切な調整を加えることによって任意のコドンを用いることができることを理解するであろう。
FraserおよびRichは大腸菌でその研究を行ったが、最も効率的なin vitro翻訳系は真核細胞である。真核生物の翻訳系中で原核生物のサプレッサーを用いることは実行可能と考えられる(すべて本明細書中に参考として組み込まれているGellerおよびRich、Nature、283:41(1980);Edwards他、PNAS、88:1153(1991);HouおよびSchimmel、Biochem、28:6800(1989))。それらは主に常在するaaRSによって制限される。tRNAまたは類似体を原核生物系中で荷担し、その後確立された方法に従って精製することができるので(本明細書中に参考として組み込まれているLucas−LenardおよびHaenni、PNAS、63:93(1969))、この制限は本発明の様々な実施形態によって克服される。
本発明のいくつかの実施形態では、tRNAおよび類似体での使用に適したアクセプター基部の修飾は、当分野で公知の様々な方法によって生じさせることができる。このような方法は、たとえば、本明細書中に参考として組み込まれているSprinzlおよびCramer、Prog.Nuc.Acid Res.、22:1(1979)に見つかる。代替実施形態では、「転写tRNA」、すなわち転写後プロセッシング後の配列ではなく転写されるtRNAの配列は、tRNAに共通する非定型かつ修飾された塩基をもたらす。これら転写tRNAはtRNAとして機能することができる(どちらも本明細書中に参考として組み込まれているDabrowski他、EMBO J.、14:4872、1995;およびHarrington他、Biochem.、32:7617、1993)。転写tRNAは、転写によって生成することができ、または市販のRNA配列を図3に記載のように一片ずつ連結して一緒にするか、もしくは確立された方法をいくつか併用することにより、作製することができる。たとえば、5’リン酸および3’ピューロマイシンは、オリゴリボヌクレオチドと結合したものが市販されている。市販のRNA配列はDharmacon Research Inc.、LaFayette,COから入手可能である。この企業は、ウリシルおよび疑似ウリジンでチミンが置換されている配列などの、修飾された、天然tRNAも提供することができる)。これらの断片は、当分野で周知のようにT4 DNAリガーゼを用いて一緒に連結することができる(本明細書中に参考として組み込まれているMooreおよびSharp、Science、256:992、1992)。あるいは、好ましい実施形態では、T4 RNAリガーゼを用いる(本明細書中に参考として組み込まれているRomaniukおよびUhlenbeck、Methods in Enzymology、100:52(1983))。
本発明のいくつかの実施形態では、ソラレンで連結されたオリゴヌクレオチドを含めた断片からのtRNAの構築によって(図3)、または、天然もしくは修飾されたtRNAもしくは類似体へのモノ付加(monoadduction)することによって(図4)、ソラレンをSATAのモノ付加体とする。好ましい実施形態では、ソラレンをまず下述のようにアンチコドンループの一部を含むオリゴヌクレオチドへのモノ付加体とし、次いでこの生成物をSATAの残りの断片とライゲーションさせる。
いくつかの実施形態では、ペプチジルトランスフェラーゼによって新生タンパク質がSATAに結合された際に翻訳が停止する。多数のリボソームがこの位置にあるとき、SATAおよびmRNAはUV光によって連結される。好ましい方法では、これはソラレン架橋結合を形成することによって成す。ソラレンはフラン側鎖およびピロン側鎖を有し、これらは二本鎖DNA、RNA、およびDNA−RNAハイブリッドの相補的塩基対の間に容易に介入する(本明細書中に参考として組み込まれているCimino他、Ann.Rev.Biochem.、54:1151(1985))。UV、好ましくは320nm〜400nmの範囲のUVで照射したあと、架橋結合が起こり、互い違いのピリミジンが共有結合された状態を維持する。架橋結合を形成してそれらを光逆反応(photo reverse)させること、または選択された波長を用いることのどちらかによって、以下により詳細に記述するモノ付加体を形成することが可能である。これらは、ピロン側鎖またはフラン側鎖のモノ付加体となる。さらに照射すると、フラン側鎖のモノ付加体を相補的塩基対に共有的に架橋結合することができる。ピロン側鎖のモノ付加体はさらに架橋結合することができない。フラン側鎖のソラレンモノ付加体(MAf)の形成も確立された方法に従って行う。好ましい方法では、ソラレンはSATAのアンチコドンに結合している。しかし、ソラレンは、図4に示すようにメッセージの読み枠の最後に結合することもできる。
精製したオリゴヌクレオチドのMAfの大量生成方法は文献に記載されており(たとえば、本明細書中に参考として組み込まれているSpeilmann他、PNAS、89:4514、1992)、また、より少ない資源しか必要としないが架橋結合不可能なピロン側鎖のソラレンモノ付加体の汚染を一部含む方法も記載されている(たとえば、いずれも本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第4,599,303号;Gamper他、J.Mol.Biol.、197:349(1987);Gamper他、Photochem.Photobiol.、40:29(1984))。本発明のいくつかの実施形態では、どちらかの方法を用いてソラレンの標識化を行う。好ましい実施形態では、どちらも本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,462,733号およびGasparro他、Photochem.Photobiol.、57:1007(1993)に記載の方法に従って、可視光、好ましくは約400nm〜420nmの範囲の可視光を用いてフラン側鎖のモノ付加体を作製する。本発明の一態様では、mRNAの3’末端に配置するための、フラン側鎖モノ付加体を有するSATA、またはモノ付加体化したオリゴヌクレオチド、および付加していないSATAを、キットの主成分として提供する。
一実施形態では、本明細書中に参考として組み込まれているBachellerie他(Nuc Acids Res、9:2207(1981))の方法に従って、モノ付加体および架橋結合の形成および逆転を行う。好ましい実施形態では、どちらも本明細書中に参考として組み込まれているKobertzおよびEssigmann、J.A.Chem.Soc.、1997、119、5960〜5961ならびにKobertzおよびEssigmann、J.Org.Chem.、1997、62、2630〜2632の方法を用いることによって、モノ付加体が効率的に生成されて最終生成物が高収率でもたらされる。
好ましい実施形態では、標的以外のすべてのウリジンが疑似ウリジンで置き換えられたSATA断片および相補的RNAまたはDNAを用いる。図5は、ウリジンおよび疑似ウリジンの化学構造を比較している。疑似ウリジンは、ウリジンと同じように水素結合を形成する、tRNA中に見つかる天然に存在する塩基である。疑似ウリジンは、天然のウリジンと同じワトソン−クリック水素結合を形成するが、ソラレン分子のフランまたはピロン側鎖のどちらかに相互作用するための標的である5−6二重結合を欠くので、この実施形態は特に有利である。これにより、ウリジンと同じオリゴヌクレオチドとしての塩基対特徴が可能となるが、ソラレンに対して1つの標的しか提供しない。通常はフラン側鎖が反応したあとにピロン側鎖の結合が形成されるので、この互い違いの標的を取り除くことによって、高効率照射でのモノ付加体の形成が、架橋結合が形成されることなく、かつピロン側鎖のモノ付加体(MaP)の最小限の形成で可能となる。照射は、好ましくは約300〜450nmの範囲、より好ましくは約320〜400nmの範囲、最も好ましくは約365nmである。より詳細には、SATA上の疑似ウリジンにより、以下のことが可能となる:1)ソラレンの潜在的な標的であるウリジンを含むSATA配列を使用すること、および2)cRNAまたはcDNAにおいて架橋結合の形成を排除し、可視光よりもはるかに効率的なUVA波長を用いた場合に、フラン側鎖のモノ付加体(MaF)の形成で過程を停止させること。
本明細書中に記載のように、非ソラレン架橋剤またはその修飾体および類似体をいくつかの実施形態で用いる。非ソラレン架橋剤の1つの利点は、これらは市販されている手段によってtRNAまたはmRNA内に組み込むことができるので、場合によっては作業が容易となることである。たとえば、アリールアジドの使用が、本明細書中に参考として組み込まれているDemeshkina,N他、RNA、6:1727〜1736、2000中に実証されている。
本発明のいくつかの実施形態におけるSATAおよびモノ付加体の使用は、in vitro翻訳系において特に有利である。しかし、当業者は、in situ系も用いることができることを理解するであろう。本発明の様々な実施形態が、それだけには限定されないが、ウサギ網状赤血球溶解物(RLL)、コムギ胚芽、大腸菌、および酵母溶解物系を含めた任意のin vitro翻訳系に適用可能である。本発明の多くの実施形態は、様々な系の成分を組み合わせるハイブリッド系での使用にもよく適している。
3’アミド結合がアミノアシル化されたtRNAは、A部位への結合を補助する伸長因子EF−TUと結合しないことが報告されている(本明細書中に参考として組み込まれているSprinzlおよびCramer、Prog.Nuc.Acid Res.、22:1(1979))。しかし、このような修飾されたtRNAはA部位に結合する。この3’修飾されたtRNAの結合は、Mg++濃度を変えることによって増加させることができる(本明細書中に参考として組み込まれているChinali他、Biochem.、13:3001(1974))。SATAおよびMg++の適切な濃度ならびに/またはモル比は経験的に決定することができる。SATAの濃度またはA部位結合力が高すぎる場合は、SATAは非同族コドンに関して、天然のtRNAと競合する可能性がある、すなわち、SATAはピューロマイシンと酷似した機能で翻訳を引き止める可能性がある。SATAの濃度またはA部位結合力が低すぎる場合は、SATAは放出因子と有効に競合しないかもしれない、すなわち、有効なナンセンスサプレッサーtRNAとして作用しない。これらのバランスは経験的に決定することができる。
また、伸長因子がコドン−アンチコドンの認識のプルーフリーディングを補助すると考えられている。伸長因子および関連するGTP加水分解が存在しない場合における誤り率は、ヌクレオチド1つ離れたコドンの認識について100回に1回であると推定される(本明細書中に参考として組み込まれているVoetおよびVoet、Biochemistry、第2版、ページ1000〜1002(1995)、John Wiley and Sons)。好ましい実施形態では、UAAが連結コドンとして用いられる。UAAが連結コドンである場合、差異がアミノ酸1個である非ストップコドンが7個存在する。これは、非ストップコドンの7/61個、すなわち約11.5%である。所定のコドンのミスコードの確率は、コドン1個あたり(0.01)(0.115)=1.15×10−3個のミスコードであると推定することができる。したがって、約870個のコドン毎に1つのミスコードが推定され、これは本発明の様々な方法の性能を実質的に損なわない頻度である。代替実施形態では、UAGまたはUGAを連結コドンとして用いる。
一実施形態では、たとえば、それを3’末端とするか、もしくはより3’側の部分に修飾を有することによってそれを翻訳不可能にして放出因子の認識ができないようにするか、または連結コドンの3’側にある、あらゆるコドンに同族のtRNAを欠失させることによって、翻訳可能な読み枠の最後に選択されたコドンを有するmRNAを使用することで、この問題が取り除かれる。代替実施形態では、UAGまたはUGAを連結コドンとして用いる。
いくつかの実施形態では、適切な濃度のSATAおよびMg++が、in vitro翻訳系、たとえばRRLで、そのプール中にmRNA分子を存在させて、用いられる。これにより、リボゾームが、SATAに前記ペプチド鎖(上述の連結コドン)を受容させるコドンに達した際に、翻訳が停止される。短時間内に、連結コドンのほとんどがリボソーム内のSATAによって占有される。好ましい実施形態では、その後、系にUV光、好ましくは約320nm〜400nmのUV光を照射する。核酸は通常この波長範囲対して透明である、すなわちこれを吸収しない。照射後、ソラレンモノ付加体は、安定した共有結合によってアンチコドンおよびコドンを結合する架橋結合に変換される。
好ましい実施形態では、標的mRNAは事前に選択される。別の実施形態では、標的mRNAを人工的に生成する。代替実施形態では、標的は検査する系に由来するメッセージからなり、これは未知かつ/または未同定であってもよい。未知かつ/または未同定のmRNAが用いられることは、本発明のいくつかの実施形態の特定の利点である。
ランダムまたは疑似ランダムmRNAライブラリの作製方法。
ヌクレオチドのランダム重合によってメッセンジャーRNAを組み立てることの難点の1つは、ランダムに起こるコドンの3/64個、すなわち0.047がストップコドンとなることである。ストップコドンとならない確率は1−0.047、すなわち0.953であるからである。これは、長さN個のヌクレオチドのメッセージとなる確率が(.0953)Nであることを意味する。これは、図7に示すように、このような生成方法によるメッセージの長さを制限する可能性がある。
したがって、100個の長さのヌクレオチドメッセージの収率は0.008である。これらのライブラリを作製する通常の方法は、まずそのcDNAを生成し、次いでそれらを転写する方法である。本発明の一実施形態では、RNAライゲーションを用いる。一実施形態では、T4 RNAリガーゼを使用したRNAライゲーションを用いる。RNAライゲーションを用いる利点の1つは高収率であり、これは、二次構造が干渉する場合に低下し得る。
一実施形態では、この方法ではまずコドンライブラリを取得する、すなわち、61個のセンスコドンに対応するが3個のナンセンスコドンは含まれない高純度のトリプレットを組み立てる。これらは、ヌクレオチド1個あたり0.99の精度で生成される。61個のコドンのうち18個のみが、1つ突然変異によってストップコドンとなる可能性がある。これらのうち、5個が1つの突然変異でストップコドンとなる確率0.22を有し、13個が1つの突然変異でストップコドンとなる確率0.11を有する。すなわち、5/61個のコドンが0.01の頻度でストップコドンとなる確率0.22を有し、13/61個のコドンが.01の頻度でストップコドンとなる確率0.11を有し、5/61×0.22×0.01=1.80×10-4および13/61×0.11×0.01=2.34×10-4が得られ、ストップコドンに突然変異する和4.15×10-4が得られる。結合したこのようなコドンを100個得ることは、(4.15×10-4100=0.96の収率である。欠失または挿入に対して保護するために、長さの識別を高純度で得るために有効な手段である陰イオン交換HPLCによってそれぞれのトリプレットを精製する。これにより、長さの純度は少なくとも0.999となるはずである。ここでも、100個のコドンの収率は(0.999)100=0.90の収率となる。
一実施形態では、これら異なる61種の高度に精製したトリプレットを用いて、以下の手順を実施する:
NNNpトリプレットで開始する
Figure 2007513631
一実施形態では、アクセプターは5’または3’リン酸を有さず、ドナーは、5’および3’リン酸をどちらも有するように処理する。アクセプターは、3’ホスファターゼ活性に好都合な緩衝液を用いて、T4ポリヌクレオチドキナーゼで3’リン酸を取り除かせる。ドナーは、3’ホスファターゼ活性を欠く突然変異T4ポリヌクレオチドキナーゼおよび適切な緩衝液を用いることによって5’リン酸を付加させる。
一実施形態では、61種のアクセプターおよび61種のドナーをすべて混合して、T4 RNAリガーゼの基質を形成する。生じるRNA構築体の偏りを変化させるために、それぞれの比率を変動させることができる。
一実施形態では、T4 RNAリガーゼの作用の下で、アクセプターの3’末端はドナーの5’末端に結合する。その結果、リン酸化された3’末端を有する6量体が生じる。ドナー上に3’リン酸化を持たせる理由の1つは、ドナーおよびアクセプターの両方になることができる種を存在させないことである。これは、存在する場合、様々な大きさの自発的な環が生じることができるからである。6量体は、ここでも陰イオン交換HPLCを用いて大きさによって精製することができる。当業者は、3’リン酸化が本発明のいくつかの実施形態に従って他の場所に位置することができることを理解するであろう。
これらの6量体を2つの試料に分け、一方を脱リン酸化してアクセプターを形成し、他方を二重リン酸化してドナーを形成する。上記ライゲーションステップを繰り返し、生じた12量体を大きさによって精製する。これを計4または5サイクル繰り返すことができる。この時点で、陰イオン交換HPLCは大きさによって識別するその能力を失い、長さの精製ステップは省略する。ドナーおよびアクセプターの形成ならびにライゲーションのステップの合計数は7となり、平均27、すなわち128個のコドンを有する読み枠が得られる。各回で80%の収率を予測することが妥当であり、0.87、すなわち.2%収率が得られる。トリプレットはマイクロモル量で市販されているので、これにより、おおよそ1017種の異なるランダム構築体が得られる。その後、これらをリボソーム結合配列およびAUG開始コドンを有する5’アクセプターに結合させる。その後、この構築体を、本発明のSATAに同族のストップコドンを有する、または通常ポリAテールを含むPhylosまたはNemotoの方法に矛盾しないリンカーを有する、3’ドナーに結合させる。これにより、128個のアミノ酸を有するペプチドをコードする、mRNAまたは他のRNAディスプレイ技法用の構築体が得られる。米国特許第6,312,927号および第5,658,754号、ならびに以下の参考文献が本明細書中に参考として組み込まれている:(1)Basic Methods in Molecular Biology、第2版、Davis、Kuehl Battey;Appleton and Lange出版、1994;および(2)Romaniuk,P.J.、Uhlenbeck O.C.、Methods in Enzymology、100:52〜59(1983)、Appleton and Lange出版、1994。
本発明の一実施形態では、SATAは3’末端にピューロマイシンを有し、アンチコドンループ上に架橋剤(ソラレンなど)を有する。別の実施形態では、SATAは3’末端にピューロマイシンを有し、架橋剤はmRNA上に位置する。一部の実施形態では、架橋剤がmRNA上にある場合、架橋剤はmRNA上のストップコドンに位置する。他の実施形態では、架橋剤はストップコドンの近隣に、好ましくは約1〜20個のヌクレオチド離れて、より好ましくは1〜10個のヌクレオチド離れて、最も好ましくは1〜3個のヌクレオチド離れて位置する。当業者は、架橋剤がストップコドンから20個を超えるヌクレオチド離れて位置するように設計することもできることを理解するであろう。本明細書中に記載のように、ソラレンは架橋剤の一例である。他の架橋剤は本明細書中に記載されている。
さらに別の実施形態では、mRNAをその同族ペプチドに連結させるために連結tRNA類似体を用いる。一実施形態では、連結tRNA類似体は、アンチコドンループ上に位置する架橋剤を有する、天然もしくは合成tRNA(または、天然−合成ハイブリッドの組合せ)である。好ましくは、架橋剤は共有結合によってアンチコドンループに結合している。一実施形態では、連結tRNA類似体は、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼの作用によって新生ペプチドをその3’アミノアシル部分上に受容する。3’アミノアシル部分は、tRNAに由来するか、または合成によって導入することができる。一実施形態では、tRNAによって結合されたコドン(連結コドン)より先のメッセージは翻訳不可能であるので、ペプチドとtRNAとの間のエステル結合はリボソームのペプチジルトランスフェラーゼから保護されている。したがって、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼは、tRNAからペプチドを放出させることができない。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、tRNAとペプチド鎖との間のエステル結合は、ピューロマイシンの必要性が取り除かれるほど凹凸がある。エステル結合によって連結された場合、連結tRNA類似体とペプチドとの間の結合は、翻訳されたメッセージを連結コドンより先で「翻訳不可能」にすることによって、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼによる分解から保護されている。有利なことに、メッセージはその後、そのペプチドに安定に結合し、さらに同定され、選択され、進化する。別の利点は、連結tRNA類似体を用いた一部の実施形態において合成または修飾されたtRNAを使用する必要がないことである。特定の一実施形態では、tRNAは3’末端が修飾されていないという意味で修飾されておらず、アンチコドンループに軽微な修飾を有していても有していなくてもよい。多くの実施形態では、修飾されていない、天然tRNA(特に3’末端が修飾されていないもの)を用いることができ、したがって、この系は、とりわけ、対費用効果のより高い、効率的な、より速い、誤りの少ない、及びはるかに高い収率を生じることができる、系となる。以下の理論に束縛されることを望まずに、本発明者らは、ピューロマイシン(または類似のリンカー)が存在しないことにより、場合によってはピューロマイシンが伸長因子とtRNAとの相互作用を妨害することで低収率がもたらされので、収率に影響が与えられると考える。さらに、伸長因子は、ピューロマイシン(または類似のリンカー)に妨害されない場合は動的なプルーフリーディングを行って誤り率を低下させることができる。
さらなる実施形態では、ナンセンスサプレッサーtRNAを用いる。ナンセンスサプレッサーtRNAはストップコドンまたは疑似ストップコドンを認識する。ナンセンスサプレッサーtRNAはmRNAをその同族のペプチドに連結させるために用いる。一実施形態では、ナンセンスサプレッサーtRNAは、天然もしくは合成tRNA(または、天然−合成ハイブリッドの組合せ)である。一実施形態では、ナンセンスサプレッサーtRNAはストップコドンまたは疑似ストップコドンと水素結合するアンチコドントリプレットを有する。一実施形態では、ナンセンスサプレッサーtRNAはYarusの延長アンチコドン則に沿った3’修飾および配列を有する(本明細書中に参考として組み込まれているYarus、Science、218:646〜652、1982)。一実施形態では、ナンセンスサプレッサーtRNA類似体は、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼの作用によって新生ペプチドをその3’アミノアシル部分上に受容する。3’アミノアシル部分は、tRNAに由来するか、または合成によって導入することができる。一実施形態では、tRNAによって結合されたコドン(連結コドン)より先のメッセージは翻訳不可能であるので、ペプチドとtRNAとの間のエステル結合はリボソームのペプチジルトランスフェラーゼから保護されている。したがって、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼは、tRNAからペプチドを放出させることができない。好ましい実施形態では、ナンセンスサプレッサーtRNAはどのような種類の架橋剤も有さない。その代わりに、架橋剤はmRNA上に位置する。一部の実施形態では、架橋剤がmRNA上にある場合、架橋剤はmRNA上のストップコドンにまたはその近隣に位置する。したがって、本発明のいくつかの実施形態はいくつかの利点を提供する。たとえば、ナンセンスサプレッサーtRNAとの間のエステル結合が驚くほど凹凸を有することは、ピューロマイシン、ピューロマイシン類似体、または他のアミドリンカーの必要がないことを意味する。別の利点は、エステル結合によって連結された場合、ナンセンスサプレッサーtRNAとペプチドとの間の結合は、翻訳されたメッセージを連結コドンより先で「翻訳不可能」にすることによって、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼによる分解から保護されていることである。有利なことに、メッセージはその後、そのペプチドに安定に結合し、さらに同定され、選択され、進化する。したがって、いくつかの実施形態では、ナンセンスサプレッサーtRNAは、tRNA自体の上にピューロマイシンまたは架橋剤が位置している必要がない。さらに別の利点は、合成または修飾されたtRNAを使用する必要がないことである。特定の一実施形態では、tRNAは3’末端が修飾されていないという意味で修飾されておらず、アンチコドンループに軽微な修飾を有していても有していなくてもよい。多くの実施形態では、修飾されていない、天然tRNA(特に3’末端が修飾されていないもの)を用いることができ、したがって、この系は、とりわけ、対費用効果のより高い、効率的な、より速い、誤りの少ない、高収率を提供することができる系となる。以下の理論に束縛されることを望まずに、本発明者らは、ピューロマイシン(または類似のリンカー)が存在しないことにより、場合によってはピューロマイシンが伸長因子とtRNAとの相互作用を妨害することで低収率がもたらされので、収率に影響が与えられると考える。さらに、伸長因子は、ピューロマイシン(または類似のリンカー)に妨害されない場合は動的なプルーフリーディングを行って誤り率を低下させることができる。
本発明の好ましい実施形態は、ポリペプチドをコードしている核酸およびポリペプチドをtRNAに共有結合することができるtRNA分子を含む。一実施形態では、核酸の結合がポリペプチドとの結合以外のtRNAの一部分上で起こり、tRNAはtRNAのアンチコドンと会合した連結分子を含む。このtRNAアンチコドンは、所要の波長の光の照射下でmRNAと架橋結合を形成する、好ましくはアンチコドン上にフラン側鎖のソラレンモノ付加体を、UVA、好ましくは約300〜450nmの範囲、より好ましくは約320〜400nmの範囲、最も好ましくは約365nmのUVAの照射下で形成する、能力を有する。一実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸類似体は安定した結合によってtRNA分子の3’末端に結合してSATAを生じる。本発明の一部の実施形態の利点の1つは、この時点で翻訳過程が引き止められることを確実にし、後の用途において結合を安定させることである。
一実施形態では、tRNAのアンチコドンはmRNAと架橋結合を形成する能力を有し、架橋結合は非ソラレンの架橋結合分子または部分である。本明細書中で使用する用語「非ソラレン架橋剤」とはその通常の意味を有し、さらに、以下の化合物、すなわち2−チオシトシン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−ヨードシトシン、5−ヨードウリジン、5−ブロモウリジン、2−クロロアデノシン、アリールアジド、ならびにその修飾体または類似体のうちの1つまたは複数が含まれる。
他の実施形態には、好ましくは読み枠の3’領域中に、より好ましくは読み枠の最も3’側のコドンに、最も好ましくは読み枠の3’ストップコドンに、位置するソラレンまたは非ソラレン架橋剤を含むmRNAが含まれる。好ましい実施形態では、tRNAとmRNAとの間の連結は架橋結合したソラレン、または非ソラレンの架橋結合分子である。一実施形態では、tRNAとmRNAとの間の連結はフラン側鎖のソラレンモノ付加体である。
いくつかの実施形態では、本発明は、天然tRNAのいかなる修飾もしくは実質的な修飾を必要とせずに、タンパク質がそのそれぞれのmRNAに結合することを可能にする。一実施形態では、修飾されたtRNAを用いる。
本発明の一実施形態は、mRNAにコードされているポリペプチドに共有結合しているtRNAと共有結合することができるmRNA分子を含み、tRNAはmRNAのコドンと会合する連結分子を含む。このmRNAのコドンは、所要の波長の光の照射下でtRNAと架橋結合を形成する能力を有する。架橋結合させられるこの部分は、好ましくは、フラン側鎖のソラレンモノ付加体、またはコドン上の非ソラレン架橋剤であって、それらはUVA、好ましくは約300〜450nmの範囲、より好ましくは約320〜400nmの範囲、最も好ましくは約365nmのUVA、が照射されるコドン上にある。好ましくは、このコドンは、読み枠の最後(最も3’側)の翻訳可能なコドンであり、したがって翻訳を停止させる、および、ストップコドンまたは疑似ストップコドンである。mRNAをこの時点より先で翻訳不可能にすることによって、tRNAもしくはtRNA類似体とコードされたペプチドとの間の、ぺプチジルトランスフェラーゼに対して安定している単結合を使用することが、翻訳を引きとめるために不要となる。多くの用途において、天然のエステル結合は十分に安定している。一実施形態では、メッセージは、以下の技法のうちの1つまたは複数によって翻訳不可能にする:(1)コドンを物理的な終端とすること;(2)修飾されたヌクレオチドを用いること;(3)リボソームによってプロセッシングされることができない部分を用いること;および(4)選択されたコドンより先のメッセージを認識するtRNAを欠失させること。当業者は、メッセージを翻訳不可能にさせる他の方法も、本発明のいくつかの実施形態に従って用いることができることを理解するであろう。
当業者は、本発明の一部の実施形態に従って、リボソームの内部にある間にmRNAを翻訳されているtRNAに架橋結合させる他の方法も用いることができることを理解するであろう。このような方法には、それだけには限定されないが、リボソーム中で効率的なmRNA−tRNA光架橋結合をもたらす、ウラシルやグアニン残基上のアリールアジドなどの修飾されたヌクレオチドの使用が含まれる(本明細書中に参考として組み込まれているDemeshkina,N他、RNA、6:1727〜1736、2000)。
本発明のさらなる実施形態は、モノ付加体の形成方法を提供する。一実施形態によれば、少なくとも1つのウリジンおよび少なくとも1つの修飾されたウリジンを有する標的オリゴヌクレオチドをソラレンと接触させ、標的オリゴヌクレオチドおよびソラレンをカップリングさせてモノ付加体を形成する。本実施形態による修飾されたウリジンは、ソラレンとのカップリングを回避するために修飾されていてもよい。一実施形態では、修飾されたウリジンは疑似ウリジンである。この実施形態によれば、標的オリゴヌクレオチドは、tRNA、修飾されたtRNAおよびtRNA類似体などのtRNA分子、またはmRNA、修飾されたmRNAおよびmRNA類似体などのmRNA分子であってもよい。さらなる実施形態では、ソラレンは1つまたは複数の架橋結合によって標的オリゴヌクレオチドにカップリングされている。この実施形態によれば、標的オリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第2のオリゴヌクレオチドが存在していてもよい。この第2のオリゴヌクレオチドは、ウリジンを含まなくとも、または標的オリゴヌクレオチドとの架橋結合を回避するために修飾されたウリジン残基を含んでもよい。好ましくは、修飾されたウリジンは疑似ウリジンである。
本発明の一実施形態では、本発明は核酸上にソラレンモノ付加体を形成する方法を含む。この方法は、一部の実施形態では、少なくとも実質的に互いに相補的である第1の核酸および第2の核酸を提供することを含む。第1の核酸は1つまたは複数のウリジンモノ付加体標的物を含み、第2の核酸は少なくとも1つの疑似ウリジンを含む。この方法は、第1の核酸および第2の核酸の少なくとも一部分をソラレンまたはソラレン様の作用物質の存在下でハイブリダイズさせてハイブリッドを形成すること、ハイブリッドに紫外光を照射することによって第1の核酸上にソラレンモノ付加体を形成することをさらに含む。一実施形態では、1つまたは複数のウリジンモノ付加体標的物は、アデノシンに隣接して位置する、好ましくはアデノシンの3’側に位置するウリジンを含む。
別の実施形態では、ソラレンモノ付加体または架橋結合の生成方法は、少なくとも実質的に互いに相補的である第1の核酸および第2の核酸を提供することを含む。第1の核酸は1つまたは複数のウリジンモノ付加体標的物または架橋結合標的物および1つまたは複数のウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物を含む。ウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物は、1つまたは複数の疑似ウリジンで交換される(replaced)または置換される(substituted)ように作用可能である。この方法は、ウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物のうちの1つもしくは複数を疑似ウリジンで置き換えること、第1および第2の核酸の少なくとも一部分をソラレンの存在下でハイブリダイズさせて少なくとも部分的なハイブリッドを形成すること;ならびにハイブリッドを照射することによって、または他の方法によって活性化させて、標的上の第1の核酸上にソラレンモノ付加体もしくは架橋結合を形成させながら非標的物を保護することをさらに含む。一実施形態では、可視光を用いて付加体または架橋結合を形成する。別の実施形態では、紫外光を用いる。
本発明のいくつかの実施形態は、核酸、tRNA、および核酸によってコードされているポリペプチドを一緒に安定に連結して、連結したヌクレオチド−ポリペプチド複合体を形成する方法を含む。好ましい実施形態では、核酸はmRNAであり、連結したヌクレオチド−ポリペプチド複合体はmRNA−ポリペプチド複合体である。この方法は、たとえばアレイ上に複数の相異なる核酸−ポリペプチド複合体を提供すること、所望の結合特徴を有するリガンドを提供すること、複合体をリガンドと接触させること、結合していない複合体を取り除くこと、およびリガンドに結合した複合体を回収することをさらに含むことができる。
本発明のいくつかの方法は、核酸分子ならびに/またはタンパク質の同定、選択および/もしくは進化を含む。一実施形態では、本発明は、回収した複合体の核酸成分を増幅することおよび変異を核酸の配列に導入することを含む。他の実施形態では、この方法は、増幅して変化した核酸からポリペプチドを翻訳すること、tRNAを用いてそれらを連結すること、および結合した複合体から別の新しい集団を選択するためにそれらをリガンドと接触させることをさらに含む。本発明のいくつかの実施形態では、in vitro進化の過程において、特に選択されたmRNAが変異を持って複製され、翻訳され、選択のために再度同族タンパク質に結合される反復過程において、選択されたタンパク質−mRNAの複合体を用いる。
本発明の一実施形態では、選択されたコドンは、それを3’末端とするか、またはより3’側の部分を修飾し、それを翻訳不可能にして放出因子の認識ができないようにすることによって、翻訳可能な読み枠の最後に位置する、またはそこに配置される。この実施形態の利点の1つは、tRNAの3’末端にアミド結合したアミノ酸類似体が、翻訳を引き止めるために必要ないことである。さらに、これにより、ペプチドtRNA複合体の効率的な産生が可能となる。このような複合体は、そのエステル結合のエネルギー含有量が高いにもかかわらず相当に頑強である(図6)。
好ましい方法では、SATAまたはペプチジル−tRNAは、ソラレン、または2−チオシトシン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−ヨードシトシン、5−ヨードウリジン、5−ブロモウリジン、2−クロロアデノシン、もしくはアリールアジドによるコドンとアンチコドン間の架橋結合の群のうちの1つによって、翻訳されたメッセージに結合される。
一部の実施形態では、ソラレン架橋結合は、相補的5’ピリミジン−プリン3’配列、特にUAまたはTA配列を含む配列間で優先的に生じられる(本明細書中に参考として組み込まれているCimino他、Ann.Rev.Biochem.、54:1151(1985))。一部の実施形態では、非ソラレン架橋剤またはアリールアジドが用いられ、特定の実施形態では、その要件においてストリンジェンシーがより低く、可能なコドン−アンチコドン対が増加するので特に有利である。
SATAまたは連結tRNA類似体をコードするコドンは連結コドンと呼んでもよい。ソラレンを架橋結合部分として用いる場合、連結コドンは、連結コドンにいくつかのコドンが用いられるように、PYR−PUR−XまたはX−PYR−PURであることができる。この場合、「X」は任意のヌクレオチドであってよい。便利なことに、ストップコドンまたはナンセンスコドンがこの立体配置を有する。アミノ酸をコードするコドンを用いることは遺伝暗号の微調整を必要とするかもしれず、これは一部の用途を複雑にする可能性がある。したがって、好ましい実施形態では、ストップコドンを連結コドンとして用い、SATAまたは連結tRNAが、連結コドンを認識するという意味でナンセンスサプレッサーとして機能する。しかし、当業者は、系に適切な調整を加えることによって任意のコドンを用いることができることを理解するであろう。
いくつかの実施形態では、新生タンパク質がすべてその同族mRNAに結合したあと、リボソームを放出または変性させる。好ましくは、これは透析、単純希釈、またはキレート化によるMg++の除去によって行う。当業者は、それだけには限定されないが、イオン強度、pH、または溶媒系を変えることによる変性を含めた他の方法も用いることができることを理解するであろう。
本発明のいくつかの実施形態では、同族対の選択は、それだけには限定されないが、アレイ、親和性カラム、免疫沈降、および数々のハイスループットスクリーニング手法を含めた様々な確立された方法のうち任意のものに従ったタンパク質の親和性結合に基づく。それだけには限定されないが、タンパク質、核酸、化学物質、ポリマーおよび金属を含めた様々なリガンドも用いてもよい。さらに、細胞膜もしくは受容体、またはさらには細胞全体を、同族対を結合するために用いてもよい。選択は陽性または陰性であることができる。すなわち、選択された同族対は、リガンドに良好に結合するものか、または結合しないものであることができる。たとえば、タンパク質が熱力学的に有利な反応を加速するためには、たとえばその反応の酵素として作用するためには、基質および遷移状態の類似体のどちらにも結合するべきである。しかし、遷移状態の類似体が基質よりもはるかに密に結合しているべきである。これは、以下の式によって説明される。
Figure 2007513631
[式中、酵素を用いた場合の反応速度(k酵素)の、酵素を用いない場合の速度(kψ遷移状態)に対する比は、酵素と遷移状態との結合(K遷移状態)の、基質と酵素との結合(K基質)に対する比に等しい(本明細書中に参考として組み込まれているVoetおよびVoet、Biochemistry、第2版、ページ380、(1995)、John Wiley and Sons)]。
好ましい実施形態では、基質との結合に関して競合が不良であるが遷移状態の類似体との結合に関して良好に競合するタンパク質を選択する。操作上では、これはマトリックスに基質または基質類似体が結合している場合にマトリックスから容易に溶出され、マトリックスに遷移状態の類似体が結合している場合にマトリックスから除去が最も困難であるタンパク質を採ることによって達成してもよい。この選択を逐次的に繰り返し、同族対の核酸の複製および翻訳によりタンパク質を再生産することにより、改良された酵素が進化するはずである。本発明のいくつかの実施形態では、同一選択過程において、1つの部分に対する親和性、および別の部分に対する親和性の欠如を用いる。多くの実施形態では、選択はRNAによっても行うことができる。
選択によって同族対の集団が同定されたあと、mRNA鎖をtRNA分子から脱離させて複製することが好都合であり得る。これは必ずしも必要ではないが、特定の実施形態において所望される場合は、連結フォトリンカーとしてソラレンを用い、前記対をUV、好ましくは約313nmまたはそれより少し低いUVで照射することによって達成することができる。これは、MAfへのソラレン架橋結合を光逆反応させ、核酸への損傷を最小限にする波長であると同定されている。光逆反応対核酸損傷の比は、光逆反応1つに対して600個中1個の塩基の損傷であると推定されている(本明細書中に参考として組み込まれているCimino他、Biochem、25:3013(1986))。
当業者は、それだけには限定されないが、RNA依存性RNAポリメラーゼによる方法または逆転写およびPCRによる方法を含めた数々の方法によってmRNAを複製することができることを理解するであろう。これは、同族対から分離したmRNAを使用して、たとえばポリTもしくはポリUを用いてたとえば天然で未知のメッセージのポリAテールにハイブリダイズさせることを使用して、または同族対を無処置のままにして、知られているメッセージの読み枠内に部分的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを用いることによって、行うことができる。あるいは、cDNA末端を迅速に増幅する市販のキットを用いてもよい。いくつかの実施形態では、光活性化が可能な部分をオリゴヌクレオチド上に配置する上述の方法を用いて修飾されたオリゴリボヌクレオチドを作製することができ、その後T4 RNAリガーゼを用いてこれをメッセージの3’末端に結合させることができる。結合させたオリゴヌクレオチドはその光活性化が可能な部分を有する連結コドンを含む。
本明細書中に記載のように、本発明のいくつかの実施形態に従ってメッセージをtRNAに連結させる方法はいくつか存在する。たとえば、以下の表は本発明の一部の実施形態の概要を示す。
Figure 2007513631
一実施形態では、タンパク質中のそれぞれの位置において少なくとも1つのアミノ酸置換をサンプリングする。これは、タンパク質の進化に特に有利である。
複製の閾値
効率的な進化のための複製の公称最小回数は、以下の式を用いて推定してもよい。長さがn配列であり、選択的改善が突然変異r離れており、突然変異率pである配列がある場合、複製において選択的改善が生じる確率は以下のように決定してもよい:
r=1では、正しい点で突然変異が起こる確率(p)×開始点とは異なる、3個のヌクレオチドのうち正しいものへと突然変異する確率(1/3)×他のn−1箇所の部位が突然変異されないままである確率((1−p)(n-r))、または
Figure 2007513631
[式中、Pは、突然変異r離れて所定の変化を達成する確率である]。より一般的には、すべてのr値において:
Figure 2007513631
突然変異1つ離れた場所で利点を見つける確率と、突然変異3つ離れた場合の確率とを比較することが有益である。これは、トリプレットの遺伝暗号を考慮すると、任意の1種のコドンは1つの突然変異において9種の他のコドンにしか変化できないからである。実際に、1つの突然変異で9種の他のアミノ酸コードに実際に変化できるコドンは存在しないことが判る。1つの突然変異でアクセスすることができるアミノ酸の最大数は7種のアミノ酸であり、これを行うことができるのは64個のコドンのうち8個のみである。ほとんどのコドンでは、1つの突然変異で19種の他のアミノ酸のうち5または6種となる。開始アミノ酸とは異なる19種のアミノ酸すべてに達するためには、一般に3つの突然変異が必要である。間に入る2つの変異は一般に選択的に有利とならないので、これら3つの突然変異は逐次的であることはできない。したがって、20種のアミノ酸すべてを用いるためには、大きさが少なくとも3つの突然変異(r=3)であるステップを用いる必要がある。
「変異性PCR」に関して報告されている突然変異率である0.0067では、100個のアミノ酸の短いタンパク質を与える300個のヌクレオチドのメッセージを用いると:
3=1.51×10-9
したがって、有利である次のアミノ酸に合理的に達するために予測するためには、その突然変異率において:
Figure 2007513631
回の複製の閾値が必要であると予測される。二項展開により、1/3回を超える試験(実際には約1/e)でも選択的利点を有する所定の配列が含まれないことが示されるのでこれは用いるべき複製ではない。
所定のμについて大きなnおよび小さなpポアソン近似の計算することができる。これにより、nがたとえば109の桁数であり、pが10-9の桁数の場合の一般項を算出することができる。近似の一般項は以下のとおりである:
Figure 2007513631
約6/Pを超える増幅係数により、すべてのアミノ酸の使用を伴って進化が進行することが保証される。これは、新規タンパク質の産生が既に存在するタンパク質の「シャッフリング」の使用を妨げる場合に有用である。
精製に対する制限
BおよびCがAに対して競合する可逆的結合において:
AB←→A+B AC←→A+C
Figure 2007513631
全濃度は以下のように表すことができる:
[B]T=[B]+[AB] (3)
[C]T=[C]+[AC] (4)
(3)を(4)で割り算し:
Figure 2007513631
(1)および(2)を[B]および[C]に代入し:
Figure 2007513631
方程式を再度整理し、以下の結果が得られる:
Figure 2007513631
分子および分母の[A]を約分し、方程式から以下の結果が得られる:
Figure 2007513631
最後に方程式を再度整理し、以下の方程式が得られる:
Figure 2007513631
上記係数は「濃縮係数」と呼ばれる。結合した成分の比、またはCに対するBの濃縮を計算するために、全成分の比にこの係数を掛け算する。最大濃縮係数は、[A]がkCまたはkBよりも有意に小さい場合にkc/kBである。[A]がkCまたはkBよりも有意に大きな場合は、濃縮は1である、すなわち、他方に対して一方の濃縮は存在しない。
濃縮は結合定数の比によって制限される。その競合相手よりも100倍強力に結合している乏しいタンパク質を濃縮するためには、3回の濃縮でその競合相手に対するタンパク質の比が百万に上昇する。その競合相手よりも2倍強力にしか結合していないタンパク質を濃縮するためには、10回の濃縮サイクルでも〜1000の濃縮しか得られない。
まったく同様の方法によって、結合が不良である選択タンパク質の濃縮係数を示すことができる:
以下の方程式において:
Figure 2007513631
ここでの濃縮は、[A]>kAまたはkBで最大である。
Figure 2007513631
選択するための戦略
分子の集団を扱う場合は、選択基準はしばしば、標的リガンドへの親和性または結合強度である。この選択における制限は何であろうか。標的リガンドTへの結合に関して競合する分子集団、Ai(iは様々な結合親和性に対応する)を検討されたい。
反応は
Figure 2007513631
と表すことができる。解離定数(kd)値は以下の方程式から導く:
Figure 2007513631
解離定数は便利なことに濃度と同じ単位を有するので、これを結合定数の代わりに用いた。
存在するAiの全量を結合しているおよび結合していないAiの和として表すと、方程式を以下のように表すことができる:
[Aitot=[Ai]+[AiT]
[Ai]=[Aitot−[AiT]
代入および再度整理すると、結合しているAiの合計の分率を以下のように表すことができる:
Figure 2007513631
遊離したまたは結合していないTの濃度([T])が解離定数よりも高い場合、結合した分率が1となることに注目されたい(図9および10参照)。すなわち、そのk値を有するすべてのAiが結合されている。たとえば、集合内のすべての結合タンパク質が1〜1012のすべてのK値において等濃度であれば、データは図10に示すような平らな曲線を生じる。
しかし、より密に結合するタンパク質を、結合していない標的の濃度[T]10-6に達するまで標的リガンドと平衡にすることによって濃縮する場合は、結合しているタンパク質の分布は上に示したようなS字型曲線を生じるであろう。
結合による回収は平衡時における結合していないTに依存するので、所定の結合していないまたは遊離のTを得るためにどの程度の全標的を加えるべきかを知ることができれば、便利である。全Tは、以下の方程式に示す結合しているおよび結合していないTの和に等しい:
[T]total=[T]+Σ[TAi
[T]は、試験者が選択する遊離のTであり、Σ[TAi]は上述のように最初の分布を知ることによって算出される曲線下の量である。多くの場合、曲線より下の面積は選択された[T]よりも小さく、全Tは、遊離のまたは結合していないTによって近い近似を得ることができる。
ここで、より現実的な分布を検討されたい。配列が多かれ少なかれランダムであるmRNAを翻訳することによって配列が多かれ少なかれランダムであるタンパク質を産生し、その後、生じたタンパク質をリガンドに曝した場合、そのリガンドに対するタンパク質集団の親和性分布はどのように見えるだろうか。言い換えれば、濃度対会合定数をプロットした場合、どのような種類の曲線が生じるであろうか。1963年のBurnet(16)の説明、「...ほとんどの分子は最小限の吸着親和性を示し、一方、偶発的な結合部位のパターンのみが高い親和性を示す」に従うと予測するであろう。これは、この分布が会合定数の対数二項式であると予測することができると提案している、Lancet他(17)によって洗練されている。彼らは、リガンドに由来する免疫グロブリンの集団を用いて、このような分布のパラメータの値を経験的に導いた。彼らは、パラメータの多くの範囲においてこの二項式手法が図11に示したポアソン分布に近づくことを示した。
図12に実証するように、この分布を用いて様々な[T]値によって結合される曲線のファミリーを見ることができる。
十分にストリンジェントなまたは高いp[T]値によって、[T]よりも有意に小さい結合曲線より下の面積が得られ、これにより[T]を[T]totの近似として用いることができる。
最後に、必要なストリンジェンシーを検討しなければならない。解離定数kiおよびkj(ki<kj)を有する2つのタンパク質集団AiおよびAjを含む混合物を考える場合、これらはどれだけ良好に分離することができるであろうか。これは、以下の方程式に示すように上記方程式1を両方のタンパク質にあてはめることによって決定することができる:
Figure 2007513631
2つの式の比をとると:
Figure 2007513631
簡約化して、
Figure 2007513631
これにより、開始比および「濃縮係数」と呼ばれる係数に関して、濃縮後の2つの種の比が得られる:
Figure 2007513631
[T]がk値よりも小さく、その最大がkj/kiである場合に濃縮係数が最大となるが、[T]がk値よりも高い場合、濃縮は行われずに係数は1であることに注目されたい。これは、濃縮する能力はk値の比よりも大きくなり得ないことを意味する。
ここで、親和性結合による分離または精製の実際の例を検討されたい。Xu他(18)は、腫瘍壊死因子αに密に結合したタンパク質の単離に14回の生成をかけた。それらのタンパク質のk値は〜100pMまたは10-10Mであった。最初の分布をLancet(17)によるポアソン分布によって表した場合、問題は、選択ストリンジェンシーをもっと効率的にできたかどうかということになる。その答えは、できた、である。目標k値よりも小さい[T]値を用いることによって、図13に示したように、14回ではなく4回の選択で、密に結合したタンパク質の高い精製度を成すことができる。
上記の比較のために、本発明者らは、彼らの公表データから最初の分布を再構築した(不図示)。この例では、少数の高親和性タンパク質をより迅速に単離する方法が与えられている。しかし、多くの用途では結合が高い多数のタンパク質を進化させることが有利である。このような場合、ストリンジェンシーがより低い[T]値を突然変異ステップと組み合わせて用いる。たとえば、最も高い結合定数を有するタンパク質を選択するのではなく、結合定数が低いタンパク質集団、たとえば示したように赤線の間の結合定数を有するタンパク質を除外することができる。
所定の分布内で最も高い結合親和性を有する数種のタンパク質を選択するよりも、異なる配列をより多くするためにストリンジェンシーがより低い選択を用い、また、高い結合親和性を有するタンパク質の大集団を進化させるためにストリンジェンシーを徐々に増して複数回の突然変異を用いることができる。
以下の実施例は本発明の様々な実施形態を例示し、いかなる様式でも本発明を限定することを意図しない。
実施例1:ウリジンを用いたSATAの生成
当業者は、いくつかの異なる方法でSATAを生成することができること理解するであろう。以下の実施例中に記載したプロトコルは、tRNA上にピューロマイシンおよび架橋剤をどちらも有するSATA、またはtRNA上にピューロマイシンを有しmRNA上に架橋剤を有するSATAに用いることができる。架橋剤がmRNA上にあるものは、以下の実施例4に指針が提供されている。また、以下のプロトコルは、連結tRNA類似体も好ましい実施形態ではtRNA上に架橋剤を有するという意味で、連結tRNA類似体についても指示する。
たとえば、好ましい実施形態では、3つの断片(図1)を市販源(たとえばDharmacon Research Inc.、Boulder,CO)から購入した。すべて市販されている、修飾された塩基、及びそれぞれその3’末端にピューロマイシンおよびPO4を事前に結合させた断片3、が含まれる。3つの断片は、モノ付加体の形成において断片2の操作を容易にするために用いた。
酵母tRNA Alaまたは酵母tRNA Pheを用いた。しかし、配列は、広く知られているtRNAから、またはtRNA様の構造を形成する配列を選択することによって選択することができる。好ましくは、断片2に対応する部分中に限定数のU’しか有さない配列を用いる。ソラレンは優先的に5’UA3’配列に結合するので、わずかなU’しか有さない配列を用いることは必須ではない(本明細書中に参考として組み込まれているThompson J.F.他、Biochemistry、21:1363)。しかし、そのような配列を用れば、精製して除去する二重に付加した生成物を減らすことになるだろう。
断片2は、好ましくは、ソラレンの挿入を誘導するためにら旋構造で用いた。したがって、相補鎖が必要であった。RNAまたはDNAを用い、モノ付加体の形成が成されたあとの分離および除去を容易にするために、配列、たとえば一方または両方の末端へのポリCなど、を付加した。
断片2およびcRNAを50mMの緩衝NaCl溶液中で混合した。Tmは濃色変化によって測定した。2つの分子を再度アニーリングさせ、選択されたソラレンと共に、Tmよりも約10℃低い温度で1時間インキュベーションした。ソラレンは用いた配列に基づいて選択した。より高い配列ストリンジェンシーを有するが補充する必要があるかもしれない、8MOPなどの比較的不溶性のソラレンが選択される可能性がある。AMTなどのより可溶性のあるソラレンは、ストリンジェンシーが低いが、ほとんどの部位を埋める。好ましくは、HMTを用いる。より多くの非標的物U’を含む断片2を選択した場合は、より高いストリンジェンシーが所望される。温度の低下、またはMg++を加えることによるイオン強度の上昇も、ストリンジェンシーを高めるために用いた。好ましい実施形態では、MG++を除き、〜400mMのNaCl溶液を用いた。
インキュベーションの後、ソラレンに約400nmよりも高い波長を照射した。照射は選択した波長および用いたソラレンに依存する。たとえば、HMTでは、好ましくは約419nm、20〜150J/cm2を用いた。この過程は、ほぼ全部がフラン側鎖のモノ付加体をもたらす。
モノ付加体の精製
その後、本明細書中に参考として組み込まれているSastry他、J.Photochem.Photobiol.B Biol.、14:65〜79に記載のHPLCによってモノ付加体を精製した。一般に25量体以上のモノ付加体の精製は困難であるので、断片2が断片3から分離されることにより精製ステップが容易となった(本明細書中に参考として組み込まれているSpielmann他、PNAS、89:4514〜4518)。
断片2および3のライゲーション
T4 RNAリガーゼを用いて断片2を断片3にライゲーションさせた。3’末端のピューロマイシンは保護基として役割を果たした。これは、本明細書中に参考として組み込まれているRomaniukおよびUhlenbeck、Methods in Enzymology、100:52〜59(1983)のように行う。断片2+3と断片1の3’末端との結合は、本明細書中に参考として組み込まれているUhlenbeck、Biochemistry、24:2705〜2712(1985)に記載の方法に従って行った。断片2+3をポリヌクレオチドキナーゼによって5’リン酸化し、2つの半分子のアニーリングを行った。
代替方法では、フラン側鎖のモノ付加体としたUの有意量は、ポリUAをそれ自体にハイブリダイズさせて上述のように照射することによって形成した。その後、ポリUAを酵素消化して保護されているフラン側鎖のUを得、ヌクレオシドホスホラミダイト方法によってtRNA類似体内に組み込んだ。ソラレンモノ付加体を形成する他の方法には、すべて本明細書中に参考として組み込まれているGamper他、J.Mol.Biol.、197:349(1987);Gamper他、Photochem.Photobiol.、40:29、1984;Sastry他、J.Photochem.Photobiol.B Biol.、14:65〜79;Spielmann他、PNAS、89:4514〜4518、米国特許第4,599,303号に記載の方法が含まれる。
上述の方法によって生成したSATAはUAG(アンチコドンCUA)を読み取る。さらに、UAAまたはUGAも用いた。様々な実施形態では、「連結コドン」として選択されたストップコドンを有する任意のメッセージを用いた。
ソラレン化したフラン側鎖のモノ付加体の生成
RNA:DNAハイブリッドのUV露光
いずれも50mMのNaClを含む、等体積の3ng/mlのRNA:cRNAハイブリッドセグメントおよび10μg/mlのHMTを新しい1.5mlのキャップ付ポリプロピレンマイクロ遠心チューブに移し、37℃で30分間、暗所でインキュベーションした。その後、これを新しい清浄な培養皿に移した。これを、照射量が〜6.5mW/cm2であるように約12.5cmの距離で光化学反応器(419nmのピーク、Southern New England Ultraviolet Co.)内に配置し、60〜120分間照射した。
低分子量の原産物(Protoproduct)の除去
100μlのクロロホルム−イソアミルアルコール(24:1)をピペットで入れ、渦攪拌によって混合した。混合物をマイクロ遠心チューブ中で、5分間、15000×gで遠心分離した。クロロホルム−イソアミルアルコール層をマイクロピペットで除去した。クロロホルム−イソアミルアルコールによる抽出を再度繰り返した。清浄なRNAが溶液から沈殿した。
アルコール沈殿
2倍体積(〜1000μl)氷冷無水エタノールを混合物に加えた。チューブを15分間、15,000×gで、マイクロ遠心機内で遠心分離した。上清をデカンテーションして廃棄し、沈殿したRNAを再度100μlのDEPCで処理した水に溶かし、その後、再度RNA+8−MOPに曝した。
HPLCを用いたソラレン化したRNA断片の単離
すべての成分、ガラス器具および試薬は、RNAaseを含まないように調製した。HPLCはDionex DNA PA−100パッケージカラムを用いてセットアップした。ソラレン化したRNA:DNAハイブリッドを4℃まで暖めた。ソラレン化したRNAをHPLCにかけ、次いで「HPLCによるオリゴヌクレオチド解析」という表題の以下のセクションに記載のように、オリゴヌクレオチド解析を行った。採取された画分は以下を表した:
・5’CUAGAΨCUGGAGG3’(ここで、Ψは疑似ウリジンである)(配列番号1)
・フラン側鎖の5’CUソラレンAGAΨCUGGAGG3’モノ付加体(配列番号2)
・5’XXXXXCCUCCAGAUCUAGXXXXX3’(配列番号3)
・5’XXXXXCCUCCAGAUCUソラレンAGXXXXX3’(配列番号4)
画分を新しい、RNAaseを含まないスナップ付マイクロ遠心チューブ中に4℃で貯蔵し、4週間を超える貯蔵が必要な場合は−20℃で貯蔵した。
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いた、HPLCによって採取された各ピーク画分に表されるRNA断片の同定
電気泳動ユニットを4℃の冷蔵庫内にセットアップした。2mmのスペーサーを有するゲルを選択した。各HPLC画分の5μlをローディングバッファーで10μlまで希釈した。10μlの各希釈した画分を適切に標識した試料ウェルに載せた。追跡用色素を別のレーンに載せ、「ソラレン化したRNA断片のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)」という表題の以下のセクションに記載のように電気泳動を行った。電気泳動の実行が完了したあと、追跡用色素がゲルの端に達したら電気泳動を停止した。装置を解体した。ゲル−ガラスパネルのユニットをUV光ボックス上に置いた。UV光を点けた。RNAのバンドを同定した。バンドはUV光条件下でより濃い影として現れた。
ゲルからのRNAの抽出
各バンドを殺菌され、RNAaseを含まない新しいメスの刃を用いて切り出し、新しい1.5mlのスナップキャップ付マイクロ遠心チューブに移した。メスの刃の側面を用いて、各ゲルをマイクロ遠心チューブの壁でつぶした。各試料に新しい刃を用いた。1.0mlの0.3M酢酸ナトリウムを各チューブに加え、少なくとも24時間、4℃で溶出させた。マイクロピペットを用いて溶出液を新しい0.5mlのスナップキャップ付ポリプロピレンマイクロ遠心チューブに移した。各チューブに新しいRNAaseを含まないピペットチップを用い、RNAをエタノールで沈殿させた。
エタノール沈殿
2倍体積の氷冷エタノールを各溶出液に加え、マイクロ遠心機内で、15,000×gで15分間遠心分離した。上清を排出し、沈殿したRNAを再度100μlのDEPCで処理した脱イオン水に溶かした。RNAは必要時まで4℃でマイクロ遠心チューブに貯蔵した。貯蔵が2週間を超える場合、チューブは2−0℃で貯蔵した。以下が、各断片の移動速度の順(速いものから遅いものの順)であった:
・5’CUAGAΨCUGGAGG3’(配列番号1)
・フラン側鎖の5’CUソラレンAGAΨCUGGAGG3’モノ付加体(配列番号2)
・5’XXXXXCCUCCAGAUCUAGXXXXX3’(配列番号3)
・5’XXXXXCCUCCAGAUCUソラレンAGXXXXX3’(配列番号4)
各画分の残りを含むチューブを標識し、−20℃で貯蔵した。
エタノール沈殿
RNAオリゴヌクレオチド断片を沈殿させ、RNaseの痕跡をすべて取り除くために、すべてのガラス器具を「装置上、消耗品上、および液剤中のRNaseの不活性化」という表題の以下のセクションに記載のように清浄にした。すべての溶液はRNAaseを含まないガラス器具中で貯蔵し、ヌクレアーゼの導入が防がれた。無水エタノールは使用時まで0℃で貯蔵した。マイクロピペットを用いて、2倍体積の氷冷エタノールをマイクロ遠心チューブ内で沈殿させる核酸に加えた。キャップ付マイクロ遠心チューブをマイクロ遠心器内に入れ、15,000×gで15分間遠心した。上清を廃棄し、沈殿したRNAを再度DEPCで処理した脱イオン水に溶かした。RNAは使用の準備ができるまでマイクロ遠心チューブ中に4℃で貯蔵した。
RNA断片2および3のライゲーション
RNaseの痕跡をすべて取り除くために、すべてのガラス器具を「装置上、消耗品上、および液剤中のRNaseの不活性化」という表題の以下のセクションに記載のように清浄にした。100〜1000μlのピペットを用いて以下を新しい1.5mlのポリプロピレンスナップキャップ付マイクロ遠心チューブに加え、各溶液に新しい殺菌されたピペットチップを用いた:
断片2(3.0nM) 125.0μl
断片3(3.0nM) 125.0μl
反応バッファー 250.0μl
RNA T4リガーゼ(9〜12U/ml) 42μl
反応バッファー
RNaseを含まない脱イオン水 90.00ml
トリス−HCl(50mM) 0.79g
MgCl2(10mM) 0.20g
DTT(5mM) 0.078g
ATP(1mM) 0.55g
HCLを用いて、pHは7.8
RNaseを含まない脱イオン水 QSは100.00ml
混合物を穏やかに混合し、混合物を温度制御した冷蔵チャンバ内で、16℃で1時間インキュベートすることによってRNAを融解させた。インキュベーション完了後、RNAをすぐに溶液から沈殿させた。
アルコール沈殿
2倍体積(〜1000μl)の氷冷無水エタノールを反応混合物に加えた。マイクロ遠心チューブを15,000×gで15分間マイクロ遠心機内に置いた。上清をデカンテーションして廃棄し、沈殿したRNAを再度100μlのDEPCで処理した水に溶かした。混合物を「ソラレン化したRNA断片のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)」という表題の以下のセクションに記載のように電気泳動した。以下が、各断片の移動速度の順(速いものから遅いものの順)であった:
a)断片2
5’CUAGAΨCUGGAGG3’−OHソラレン(配列番号5)
b)断片3
5’UCCUGUGTΨCGAUCCACAGAAUUCGCACC−ピューロマイシン(配列番号6)
c)断片2+3
ソラレン75’CUソラレンAGAYCUGGAGGUCCUGUGTΨCGAUCCACAGAAUUCGCACCピューロマイシン(配列番号7)
各画分をUVシャドーイングによって単離し、バンドを切り出し、RNAをゲルから溶出させ、RNA溶出液を「ソラレン化したRNA断片のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)」という表題の以下のセクションに記載のように沈殿させた。残留のライゲーションしていない断片2および3の画分すべてを用いてライゲーション手順を繰り返した。ライゲーションした画分2および3をプールし、少ない体積のRNaseを含まない脱イオン水に4℃で貯蔵した。
RNA断片1と断片2+3とのライゲーション
RNaseの痕跡をすべて取り除くために、すべてのガラス器具を「装置上、消耗品上、および液剤中のRNaseの不活性化」という表題の以下のセクションに記載のように清浄にした。以下を新しい1.5mlのポリプロピレンスナップキャップ付マイクロ遠心チューブに加えた。各溶液に100〜1000μlのピペットおよび新しいチップを用いた:
断片2+3(3.0nM) 125.0μl
反応バッファー 250.0μl
T4ポリヌクレオチドキナーゼ(5〜10U/ml) 1.7μl
反応バッファー
RNaseを含まない脱イオン水 90.00ml
トリス−HCl(40mM) 0.63g
MgCl2(10mM) 0.20g
DTT(5mM) 0.08g
ATP(1mM) 0.006g
HCLを用いて、pHは7.8
RNaseを含まない脱イオン水 QSは100.00ml
RNAを穏やかに混合し、その後、加熱ブロック内で、混合物を70℃まで5分間加熱し、融解した。混合物を2時間かけて室温まで冷却し、RNAをtRNAの立体配置でアニーリングさせた。RNAを溶液から沈殿させた。
アルコール沈殿
2倍体積(〜1000μl)の氷冷無水エタノールを反応混合物に加えた。マイクロ遠心チューブを15,000×gで15分間マイクロ遠心機内に置いた。上清をデカンテーションして廃棄し、沈殿したRNAを再度100μlのDEPCで処理した水に溶かした。混合物を「ソラレン化したRNA断片のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)」という表題の以下のセクションに記載のように電気泳動した。以下が、各断片の移動速度の順(速いものから遅いものの順)であった:
a)断片1
5’GCGGAUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGACU3’(配列番号8)
b)断片2+3
ソラレン
5’CUソラレンAGAYCUGGAGGUCCUGUGTΨCGAUCCACAGAAUUCGCACCピューロマイシン(配列番号6)
c)断片1+2+3
ソラレン
5’GCGGAUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGACUCUソラレンAGAΨCUGGAGGUCCUGUGTΨCGAUCCACAGAAUUCGCACCピューロマイシン(配列番号9)
各画分をUVシャドーイングによって単離し、バンドを切り出し、RNAをゲルから溶出させ、RNA溶出液を「ソラレン化したRNA断片のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)」という表題の以下のセクションに記載のように沈殿させた。ライゲーションしていない断片1および2+3画分を用いてライゲーション手順を繰り返した。ライゲーションした画分2+3をプールし、少ない体積のRNaseを含まない脱イオン水に4℃で貯蔵した。
最終RNAライゲーション
以下を新しい1.5mlのポリプロピレンスナップキャップ付マイクロ遠心チューブに加えた。各溶液に100〜1000μlのピペットおよび新しいチップを用いた:
断片1+2+3(3.0nM) 250μl
反応バッファー 250μl
RNA T4リガーゼ(44μg/ml) 22μg
混合物を温度制御した冷蔵庫内で、17℃で4.7時間インキュベーションした。インキュベーションの直後、上記ステップ6.2に記載のようにtRNAを沈殿させ、「ソラレン化したRNA断片のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)」という表題の以下のセクションに記載したように電気泳動によってtRNAを単離した。tRNAを少ない体積のRNaseを含まない水にプールし、2週間までは4℃で、または2週間より長い期間は−20℃で貯蔵した。
ソラレン化したRNA断片のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)
アクリルアミドゲルの調製
すべての試薬およびガラス器具は、「装置上、消耗品上、および液剤中のRNaseの不活性化」という表題の以下のセクションに記載のようにRNAaseを含まないようにした。ゲル装置を組み立てて厚さ4mmの20cm×42cmの四角いゲルを生成した。RNAaseを含まない厚肉エルレンマイヤーフラスコ内で、29部のアクリルアミドおよび1部のアンモニウム架橋剤と適切な量のアクリルアミド溶液とを室温で混合した。
アクリルアミド溶液
尿素(7M) 420.42g
TBE(1×) 1LまでQS
5×TBE
0.455M トリス−HCl 53.9g
10mM EDTA 0.5Mを20ml
RNAaseを含まない脱イオン水 900ml
pHはホウ酸を用いて pH9
QSはRNAaseを含まない脱イオン水で 1L
混合物を真空圧で1分間脱気した。適切な量のTEMEDを加え、穏やかに混合し、その後、ゲル混合物をガラスプレートの間に上部から0.5cm以内まで注いだ。すぐにガラスシートの間のゲル混合物内に櫛を挿入した。RNAaseを含まないゲル用櫛を用いた。櫛により、5mm幅の色素レーンおよび135mmの試料レーン用のウェルが生じた。ゲルを約30〜40分間重合させ、その後、注意しながら櫛を取り外した。新しいピペットチップを備えたマイクロピペットを用いて試料ウェルをランニングバッファーですすいだ。その後、ウェルにランニングバッファーを満たした。
試料の調製
試料のアリコートをスナップキャップ付マイクロ遠心チューブ中のローディングバッファーに懸濁させ、ボルテックスした。指示色素は試料に加えなかった。
ローディングバッファー
尿素(7M) 420.42g
トリスHCl(50mM) 7.85g
QSはRNAaseを含まないD−H2Oで 1L
電気泳動の実行
最大体積のRNA/ローディングバッファー溶液を135mmの試料ウェルに載せ、適切な体積の追跡用色素を5mmの追跡用レーンに載せた。試料は5℃の冷蔵庫で電気泳動した。追跡用色素がゲルの端に達したら電気泳動を停止した。その後、装置を解体した。ガラスパネルはゲルから外さなかった。ゲル−ガラスパネルのユニットをUV光ボックス上に置いた。UVフィルタリングゴーグルを装着してUV光を点けた。RNAのバンドを同定した。バンドはUV光条件下でより濃い影として現れた。RNAをゲルから抽出した。各バンドを新しい無菌的かつRNAaseを含まないメスの刃を用いて切り出し、各バンドを新しい1.5mlのスナップキャップ付マイクロ遠心チューブに移した。メスの刃の側面を用いて、各ゲルをマイクロ遠心チューブの壁でつぶした。各試料に新しい刃を用いた。1.0mlの0.3M酢酸ナトリウムを各チューブに加え、少なくとも24時間、4℃で溶出させた。各チューブに新しいRNAaseを含まないピペットチップを備えたマイクロピペットを用いて、溶出液を新しい0.5mlのスナップキャップ付ポリプロピレンマイクロ遠心チューブに移した。2倍体積の氷冷エタノールを各溶出液に加え、マイクロ遠心分離器内で、15,000×gで15分間遠心分離した。上清を廃棄し、沈殿したRNAを再度100μlのDEPCで処理した脱イオン水に溶かした。RNAは必要時までマイクロ遠心チューブに4℃で貯蔵した。
HPLCによるオリゴヌクレオチド解析
RNAオリゴヌクレオチドのHPLC精製は陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて行った。2’−保護または2’−脱保護の型のクロマトグラフィーのいずれも行い得る。2’−保護の型により、二次構造効果を最小限にし、ヌクレアーゼ耐性をもたらすという利点が提供された。RNAが完全に脱保護されていた場合は、精製中に無菌的な条件が必要であった。
当業者は、RNAオリゴヌクレオチドを精製するために実施例2のHPLC精製方法を改変し得ることを理解するであろう。HPLC勾配、温度、および他のパラメータを含めた実施例2のHPLC精製方法の改変が必要であり得る。当業者はまた、1ステップのHPLC精製方法も本発明のいくつかの実施形態に従って用い得ることを理解するであろう。
装置上、消耗品上、および液剤中のRNaseの不活性化
ガラス器具は、180℃で少なくとも8時間ベーキングすることによって処理した。プラスチック器具は、クロロホルムですすぐことによって処理した。あるいは、すべてのものを0.1%のDEPCに浸した。
0.1%のDEPCを用いた処理
0.1%のDEPCを調製した。脱イオン水を0.2μMの膜フィルターで濾過した。水を15psiで15分間、液体サイクルでオートクレーブした。1.0g(wt/v)のDEPC/1リットルの無菌的な濾過水を加えた。
ガラス器具およびプラスチック器具
すべてのガラス器具およびプラスチック器具は、2時間、37℃で0.1%のDEPCに浸した。ガラス器具を無菌的な脱イオン水で少なくとも5回すすいだ。ガラス器具を100℃まで15分間加熱するか、または15分間15psiで、液体サイクルでオートクレーブした。
RNAの電気泳動に用いる電気泳動タンク
タンクを洗剤で洗浄し、水、次いでエタノールですすぎ、空気乾燥させた。タンクに3%(v/v)の過酸化水素(30ml/L)を満たし、10分間室温で静置した。タンクをDEPCで処理した水で少なくとも5回すすいだ。
溶液
すべての溶液は、Rnaseを含まないガラス器具、プラスチック器具、オートクレーブした水、RNAとの作業のために確保されている化学薬品、およびRNaseを含まないヘラを用いて作製した。使い捨ての手袋を用いた。可能な場合は、溶液を0.1%のDEPCで少なくとも12時間、37℃で処理し、その後、100℃まで15分間加熱するか、または15分間15psiで、液体サイクルでオートクレーブした。
RNAの翻訳
20μl/mlの濃度の腸阻害ペプチド(GIP)mRNA、2μlを、250μlのスナップキャップポリプロピレンマイクロ遠心チューブに入れた。35μlのウサギ網状赤血球溶解物(Promegaから購入可能)を加えた。メチオニンを含まないアミノ酸混合物(Promegaから購入可能)を1μl加えた。35Sメチオニンまたは非標識のメチオニンを1μl加えた。32P GIPのmRNAまたは非標識のGIPのmRNAを2μl加えた。任意選択で、対照として役割を果たすために2mlのルシフェラーゼを一部のチューブに加えてもよい。好ましい実施形態では、GIPのmRNAの代わりにルシフェラーゼを用いた。当業者は、実際、適切な配列を含む任意のmRNA断片を用い得ることを理解するであろう。
SATAを実験チューブに加えた。SATAを含まない対照チューブも調製した。用いたSATAの量は、約0.1μg〜500μg、好ましくは0.5μg〜50μgであった。40単位/mlのRnasinを1μl加えた。ヌクレアーゼを含まない水を加えて全体積を50μlとした。
約150個を超えるアミノ酸のタンパク質では、tRNAの量を補充する必要があり得る。たとえば、約10〜200μgのtRNAを加えてもよい。一般に、SATAの量は、ストップコドンまたは疑似ストップコドンを有効に抑制するのに十分高くあるべきである。天然tRNAの量は、伸長因子の作用下で動的なプルーフリーディングを受けないSATAとの競合に勝つのに十分高くなければならない。
各チューブは、すぐにキャップを締め、パラフィルム処理し、翻訳反応のために30℃で90分間インキュベーションした。各反応チューブの内容物を毛細作用によって50μlの石英の毛細管に移した。Gasparro他(Photochem.Photobiol.、57:1007(1993)、本明細書中に参考として組み込まれている)に記載のように、各チューブの内容物に2〜10J/cm2、〜350nmの波長の光を照射することによって、SATAをmRNAと架橋結合させた。光架橋結合ののち、各チューブの内容物を新しいスナップキャップマイクロ遠心チューブに移した。2μlの10mMのEDTAを各チューブに加えることによってカルシウム陽イオンをキレート化することによって、リボソームを解離させた。各ステップの間に、各成分を加えた際にピペットチップで攪拌することによって各チューブを穏やかに混合した。
最終的な実験を行う前に翻訳に最適なRNAを決定した。mRNAの最適濃度を見つけるためには、5〜20μg/mlの段階希釈を要してもよい。
Figure 2007513631
上述のように、各試料でSDS−Page電気泳動を行った。本明細書中に参考として組み込まれているSambrook他、Molecular Cloning,A Laboratory Manual、第2版、Coldspring Harbor Press(1989)に記載のように、ゲルのオートラジオグラフィーを行った。
上記実施例は、SATA(たとえばtRNA上のピューロマイシン+tRNA上の架橋剤)の生成および使用、ならびに連結tRNA類似体(たとえばピューロマイシンを有さないがtRNA上に架橋剤を有する)の生成および使用を教示している。
別の実施例では、ウリジンを疑似ウリジンで置き換えた以外は上記方法と同様の方法によってSATAを生成した。疑似ウリジンによる置き換えは、架橋剤モノ付加体の形成の形成(ソラレンモノ付加体の形成など)を容易にするので、連結tRNA類似体でも用いることができる。この技術は以下の実施例2に記載する。
実施例2:疑似ウリジンを用いたSATAの生成
上述のように、当業者は、SATA、連結tRNA類似体およびナンセンスサプレッサーtRNAを多くの異なる方法によって生成することができることを理解するであろう。図5はウリジンおよび疑似ウリジンの化学構造を示す。疑似ウリジンは、ウリジンと同じように水素結合を形成するが、ソラレンの標的である5−6二重結合を欠く、tRNA中に見つかる天然に存在する塩基である。本明細書中で用いる疑似ウリジンには、天然に存在する塩基および任意の合成類似体または修飾体が含まれる。好ましい実施形態では、疑似ウリジンを用いてSATAを生成した。連結tRNA類似体も疑似ウリジンを用いて生成することができる。具体的には、好ましい実施形態では、3つの断片(図1)を市販源(Dharmacon Research Inc.、Boulder,CO)から購入した。それぞれの3’末端にピューロマイシンおよびPO4を事前に結合させた、修飾された塩基および断片3(「断片3」)が含まれ、これらはすべて市販されている。3つの断片は、モノ付加体の形成において断片2(「断片2」)の操作を容易にするために用いた。一部の実施形態によれば、3つの断片の配列は以下のとおりである(各断片に2つずつの配列例を提供する):
断片1
5’PO4GCGGAUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGACOH3’(配列番号10)
5’PO4GCGGAUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGACOH3’(配列番号16)
断片2
5’OHΨCUAACΨCOH3’(配列番号11)
5’OHΨCUAAAΨCOH3’(配列番号17)
断片3
5’PO4UGGAGGUCCUGUGTΨCGAUCCACAGAAUUCGCACCピューロマイシン3’(配列番号12)
5’PO4UGGAGGUCCUGUGTΨCGAUCCACAGAAUUCGCACCピューロマイシン3’(配列番号18)
断片3に記載した上記配列はSATAに適用可能である。連結tRNA類似体では、ピューロマイシンがアデノシンで置き換えられる以外は配列は類似している。
修飾された酵母tRNA Alaまたは酵母tRNA Pheを本発明の一実施形態に従って用いた。しかし、当業者は、配列は、知られているtRNAから、またはtRNA様の構造を形成する配列を選択することによって、広く選択することができることを理解するであろう。一部の実施形態において疑似ウリジンを用いる利点の1つは、断片2中に疑似ウリジンがあることで、非標的物U’のソラレンの標識化が回避されることである。ウリジンの代わりに疑似ウリジンを用いることにより、tRNA類似体に対するリボソームのA部位の結合力が減少するが、末端ウリジンとソラレンとの相互作用が排除される。Yarusの「延長アンチコドン」の指針を用いることによりA部位の結合が増加する(本明細書中に参考として組み込まれているYarus、Science、218:646〜652、1982)。
一実施形態では、ソラレンの挿入を誘導するために断片2をヘリックスコンホメーションで用いる。当業者は、本発明のいくつかの実施形態に従って他のコンホメーションも用いることができることを理解するであろう。相補鎖も用いた。RNAまたはDNAを用い、また、モノ付加体の形成が成されたあとの分離および除去を容易にするために、Cがソラレンと相互作用する場合にポリCまたはポリGなどの配列を一方または両方の末端に付加した。相補体中でウリジンの代わりに疑似ウリジンを用いることにより、生成物の架橋結合を懸念せずに約365nmなどの高効率の波長を用いることが可能となった。照射は好ましくは約300〜450nmの範囲、より好ましくは約320〜400nmの範囲、最も好ましくは約365nmであった。さらに、Mafが架橋結合形成の主な第1のステップであるので、疑似ウリジンを使用することによりフラン側鎖のモノ付加体が断片2上の適所に配置された。
疑似ウリジンを有する以下のcRNA配列を本発明の好ましい実施形態に従って用いた。当業者は、これらの配列および本明細書中に記載の他の配列の置換体ならびに修飾体も、本発明のいくつかの実施形態に従って用いることができることを理解するであろう。たとえば以下に記載の配列番号19では、配列は以下のものであることもできる。
5’XXXXXXGAΨΨΨAGAXXXXXXX3’(配列番号30):
CCCΨCCAGAGΨΨAGACCC(配列番号13)
5’CCCCCCGAΨΨΨAGACCCCCCC3’(配列番号19)
ステップ1:断片2へのソラレンのフラン側鎖のモノ付加体
断片2の標的ウリジンを用いたフラン側鎖のソラレンモノ付加体の形成を以下のように行った。
反応バッファーを以下のように調製した:
トリスHCL 25mM
NaCl 100mM
EDTA 0.32mM
pH 7.0
その後、4’ヒドロキシメチル−4,5’,8’−トリエチルソラレン(HMT)を最終濃度0.32mMまで加え、等モル量の断片2およびcRNAを断片2:cRNA:ソラレンの最終モル比=1:1:1000まで加えた。合計100μlの体積を一度に照射した。
相補的オリゴ、HMT、ソラレンの混合物を以下のように処理した:
1)PCRサーモサイクラーを用いて、85℃まで60秒間加熱し、次いで4℃まで15分間かけて冷却した。
2)エッペンドルフUVetteプラスチックキュベット内で20分間、4℃で照射し、上部をパラフィルムで覆い、UVランプの上に置いた(1mW/cm2多波長UVランプ(λ>300nm)(UV L21モデルλ365nm)。
HMTを再挿入および照射するために上記ステップ1および2を4回繰り返した。第2の照射後、さらに10μlの1.6mMのHMTを加えて、合計100μlの反応体積とした。4サイクルの照射後、遊離ソラレンをクロロホルムで抽出し、すべてのオリゴ(標識したものおよび未標識のもの)をエタノールで終夜沈殿させた(沈殿ステップを参照)。少量のアリコートをゲルの同定用に保存した。
ステップ2:HPLCによるHMTとコンジュゲートした断片2(2MA)オリゴの精製
1)反応混合物を高速真空(speed vacuum)で10分間乾燥させ、その後、2μlの0.1MのTEAA、pH7.0の緩衝液に溶かした。
0.1M TEAA、pH7.0の緩衝液
酢酸 5.6ml
トリエチルアミン 13.86ml
2O(RNAaseを含まない) 950ml
酢酸でpH7.0に調製
1Lまで水を加えた
2)試料を、バッファーA(0.1MのTEAA、pH7.0中5%wt/wtのアセトニトリル)で事前に平衡化したWaters Xterra MS C18、2.5μm、4.5×50mmの逆相カラムに載せた。試料は、バッファーAに対して0〜55%のバッファーB(0.1MのTEAA、pH7.0中15%wt/wtのアセトニトリル)の勾配で、35分間の時間フレームをかけて、1ml/分の流速で溶出させた。カラム温度は60℃であり、狭帯域フィルターによって設定した検出波長は340nmであった。フラン側鎖のソラレンモノ付加体は340nmで吸収するが、RNAおよび任意のピロン側鎖のモノ付加体は吸収しない。緩衝溶液は使用前に濾過および脱気した。
2MAは約25〜28分で、バッファーBの濃度40%により溶出された。後の採取した画分のゲル電気泳動分析に基づくと、ソラレン化していない断片2は8分間より前に溶出された。
カラムを100%のアセトニトリルで5分間洗浄し、バッファーAで15分間、再度平衡化した。すべての画分を高速真空で終夜乾燥させた。
2MAを含む画分は、260nm(RNA)および330nm(フラン側鎖のソラレンモノ付加体としたRNA)での吸光レベルによって同定した。これは、乾燥した画分を再度120μlのRnaseを含まない蒸留水に溶かし、分光光度計を用いて260nmおよび330nmの吸光度を測定することによって行った。両方の波長で吸光度の高い画分をプールし、その後、高速真空で乾燥させた。各画分からの少量のアリコートをゲル分析用に保存した。
架橋結合した生成物を変性20%TBE−尿素ゲルで分析し、ゲルの銀染色によって可視化した。
ステップ3:HPLCによるHMTとコンジュゲートした、cRNAからの断片2オリゴの精製
乾燥した試料をプールし、その後、0.5×TE緩衝液に溶かした。約0.4吸光単位の試料を、バッファーC(25mMのトリス−HCl、pH8.0)で事前に平衡化したDionex DNAPac PA−100(4×250mm)カラムに載せ、カラム温度は85℃であった(陰イオン交換HPLC)。
オリゴを1ml/分の流速で、4%〜55%のバッファーDの凹型(concave)勾配で15分間、次いで次の15分間は55%〜80%のバッファーDの凸型(convex)勾配で溶出させた。オリゴを100%のバッファーDで5分間および100%のバッファーCでさらに5分間、1.5ml/分の流速で洗浄した。260nmの光を吸収した画分を採取した。2MAの保持時間(RT)は16.2分であり、57%のバッファーDによって溶出され、遊離断片2のRTは16.6分未満であり、55%のバッファーDによって溶出され、遊離cRNAのRTは19.2分を超えていた。254または260nmで吸光した画分を採取した。採取した画分を高速真空で終夜乾燥させた。すべての溶液は使用前に濾過および脱気した。
用いた溶液は以下を含んでいた:
C:25mMのトリス−HCl、pH8.0;
D:25mMのトリス、pH8.0の緩衝液中250mMのNaClO4。
TE:10mMのトリス−HCl、pH8.0および1mMのEDTA
ステップ4:精製した2MAオリゴの脱塩、沈殿および採取
乾燥した画分を再度100μlのRnaseを含まない蒸留水に溶かした。0.5Mの(NH4)2CO3を含む500μlの100%冷エタノールを加え、混合物を手短にボルテックスした。その後、混合物を60分間ドライアイス上で凍結させるか、または−20℃で終夜貯蔵した。
その後、試料を4℃にし、マイクロ遠心機内で、最大速度で15分間遠心分離した。ペレットの位置に注意し、上清をデカンテーションするか、またはピペットで取り除いた。ペレットを乱さないように注意した。ペレットが依然として塩を含んでいた場合は、このステップを繰り返した。その後、ペレットを70%の事前に冷やしたエタノールを用いて2回で洗浄した。濡れたペレットを高速真空で15分間乾燥させた。尿素PAGEゲルにより、次のステップ用の正しい画分を同定した。
ステップ5:2MAオリゴの断片3オリゴへのライゲーション
以下のステップを行った。
A.以下の試薬および器具を用いた:
ヌクレアーゼを含まない水(Promega)
ポリエチレングリコール(PEG8000、Sigma)40%(水中のwt/wt)
RNasin(登録商標)リボヌクレアーゼ阻害剤(Promega)
フェノール:クロロホルム
無菌的な1.5mlマイクロ遠心チューブ
100%のエタノール
70%のエタノール
ドライアイスまたは−20℃の冷凍庫
室温および+4℃のマイクロ遠心機
PCRサーモサイクラーまたは水浴
B.以下の反応条件を用いた:
50mMのトリス−HCl(pH7.8)
10mMのMgCl2、
10mMのDTT
1mMのATP
18〜20%のPEG
C.以下の反応混合物を無菌的なマイクロ遠心チューブ内で構築した:
断片3(ドナー)1μl(6μg)(必要な場合は、ドナーとして用いる前に精製した)2MA(アクセプター)1μl(1.5μg)。
8μlのRnaseを含まないdH2Oを8μl加えたあと、オリゴ二次構造を緩めるために反応物を85℃で1分間インキュベーションし、その後、PCR機械サーモサイクラーを用いて4℃までゆっくりと冷やした。冷蔵するために事前に加熱したチューブを氷上に置き、手短に遠心分離し、その後、以下のものを加えた:
10×リガーゼ緩衝液 4μl
10mMのATP 4μl
Rnase OutまたはRnasin(40単位/μl)Promega
0.5μl
PEG、40%(Sigma) 20μl
T4 RNAリガーゼ(10単位/μl)(NEB) 1μl
ヌクレアーゼを含まない水を最終体積40μlまで加えた。混合物を16℃で終夜(16時間)インキュベートした。混合物を手短に遠心分離し、その後、氷上に置いた。
D.オリゴヌクレオチドの沈殿:
60μlのDEPC RNaseを含まない蒸留水を混合物に加え、その後、150μlのフェノール/クロロホルムを加えた。混合物を30秒間激しくボルテックスした。その後、沈殿物をマイクロ遠心分離機内で、最大速度で5分間、室温で遠心分離して除去した。水相を新しいマイクロ遠心チューブに移した(>95μl)。
これに、3μlの5mg/mlのグリコーゲン、および0.5Mの(NH4)2CO3を含む500μlの事前に冷やした100%のエタノールを加え、混合物を手短にボルテックスし、その後、60分間ドライアイス上で凍結させた。この時点で、これを終夜−20℃で貯蔵してもよい。乾燥した画分を再度100μlのRnaseを含まない蒸留水に溶かし、0.5Mの(NH4)2CO3を含む500μlの100%冷エタノールを加え、手短にボルテックスした。その後、これを60分間ドライアイス上で凍結させるか、または−20Cで終夜貯蔵した。その後、試料を4℃にし、マイクロ遠心機内で、最大速度で15分間遠心分離し、上清をピペットで取り除いた。ペレットを乱さないように注意した。ペレットが依然として塩を含んでいた場合は、このステップを1回繰り返した。その後、ペレットを70%の事前に冷やしたエタノールで数回洗浄した。その後、これをマイクロ遠心機内で、最大速度で5分間、4Cで遠心分離した。ピペットを用いてエタノールを丁寧に取り除いた。残ったエタノールを採取するために遠心分離を再度繰り返し、丁寧に取り除いた。濡れたペレットを高速真空で10分間乾燥させた。少量のアリコートをゲル分析用に採取した。長期間の貯蔵には、RNAをエタノール中に−20Cで貯蔵した。RNAをDEPC水中で貯蔵しないように注意した。
ステップ6:ライゲーションした断片3オリゴ複合体の精製
乾燥した試料を再度0.5×TE緩衝液に溶かし、バッファーCで平衡化したDNAPac PA−100カラムに載せた。カラム温度は85℃であり、検出器は、RNAを有する画分の同定には254nmで作動させ、2MaFを有する画分の同定には340nmで作動させた。オリゴは、最初の20分間は30%〜70%のバッファーDの凸型勾配で、0.8ml/分の流速で溶出させ、次いでさらに20分間、70%の〜98%のDの直線勾配で、同じ流速で溶出させた。溶出は、100%のDで7分間および100%のCでさらに10分間、1.0ml/分の流速で洗浄することによって完了した。画分は254または260nmの波長の光を用いて検出した。ライゲーションしたオリゴ(2MA−断片3)は34分より後に、90%を超えるバッファーBで溶出された。254nmでの吸光度を有する画分(A254nm>0.01)を採取し、高速真空で終夜乾燥させた。
ステップ7:精製した2MA−断片3の脱塩および沈殿
乾燥した画分を再度100μlのRnaseを含まない蒸留水に溶かし、0.5Mの(NH4)2CO3を含む500μlの100%冷エタノールを加え、混合物を手短に渦攪拌した。その後、混合物を60分間ドライアイス上で凍結させるか、−20Cで終夜貯蔵した。
試料を4℃にし、マイクロ遠心機内で、最大速度で15分間遠心分離した。ペレットの位置に注意し、上清を傾瀉するか、またはピペットで取り除いた。ペレットを乱さないように注意した。依然として塩を含んでいる場合は、このステップを繰り返した。その後、ペレットを70%の事前に冷やしたエタノールを用いて2回で洗浄した。濡れたペレットを高速真空で15分間乾燥させた。
断片1を2MA−断片−3オリゴにライゲーションさせてSATAリンカーを完成させる次のステップで用いる、ライゲーションした2MA−断片−3を同定するために、尿素PAGEを行った。
ステップ8:SATA(または他のtRNA分子)の調製
A.RNAオリゴの5’リン酸化
1.試薬および器具:
・ヌクレアーゼを含まない水(カタログ番号P1193、Promega)
・RNasin(登録商標)リボヌクレアーゼ阻害剤(カタログ番号N2511、Promega)
・フェノール:クロロホルム
・無菌的なマイクロ遠心チューブ
・100%のエタノール
・70%のエタノール
・室温および4℃のマイクロ遠心機
・PCRサーマルサイクラーまたは水浴
2.以下の反応混合物を無菌的なマイクロ遠心チューブ内で構築する:
成分 体積
・アクセプターRNA <200ng
・T4リガーゼ10×反応バッファー* 4μl
・RNasin(登録商標)リボヌクレアーゼ阻害剤(40単位/μl)
20単位
・T4キナーゼ(9〜12単位/μl) 2μl
・10mMのATP 4μl
・ヌクレアーゼを含まない水 最終体積40μlまで
37℃で30分間、PCRサーモサイクラーまたは水浴中でインキュベートする。非放射性のリン酸化には、1×T4ポリヌクレオチドキナーゼ反応バッファー、1mMのATPおよび10〜20単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼを含む30〜40μlの反応で、300pmolまでの5’末端を用いる。37℃で30分間インキュベートする。1×T4 DNAリガーゼ反応バッファーは1mMのATPを含み、非放射性のリン酸化において置き換えることができる。T4ポリヌクレオチドキナーゼはこの緩衝液中で100%の活性を示す)。最適な活性には新しい緩衝液が必要である(古い緩衝液では、酸化によるDTTの減少が活性を低下させる。
B.アニーリング断片1および2MA−断片3オリゴの複合体:
1.試薬および器具:
・PCRサーモサイクラー装置または水浴
・100μg/mlのヌクレアーゼを含まないアルブミン
・100mMのMgCl2
2.以下の反応混合物を無菌的なマイクロ遠心チューブ内で構築する:
・アクセプターRNAオリゴ(1E) <200ng
・ドナーRNAオリゴ(3G−2Gのライゲーションしたオリゴ) <200ng
・(ステップAからの5’リン酸化されたオリゴ)
適切な比は、断片1の自己ライゲーションを回避するために、アクセプターオリゴ:ドナーオリゴ(断片1:2MA−断片3)のモル比が1:1.1であるべきである。MgCl2を最終濃度20mMまで、T4リガーゼ緩衝液(50mMのトリス−HCl、(pH7.8)、10mMのMgCl2、10mMのDTTおよび1mMのATP)に加えた。Rnaseを含まないアルブミンを最終5μg/mlまで加える。最終体積は100μlを超えないべきである。溶液を70℃まで5分間加熱し、その後、70℃から26℃まで2時間かけて冷却し、26℃から0℃まで40分間かけて冷却した。PCR装置を用いて16℃で16〜17時間インキュベートする。
C.アニーリングしたオリゴのライゲーション
・アニーリングしたオリゴ <15μl
・10mMのATP 2μl
・40%のPEG 18μl
・T4リガーゼ10×緩衝液 2μl
・RNasin(登録商標)リボヌクレアーゼ阻害剤(40単位/μl)
0.5μl
・T4リガーゼ(9〜12単位/μl)(NEB) 1μl
・ヌクレアーゼを含まない水 最終体積40μlまで
D.tRNA断片の沈殿
ライゲーションの後、50μlのDEPC水および150μlのフェノール:クロロホルムを加え、30秒間激しくボルテックスした。その後、これをマイクロ遠心機内で、最大速度で5分間、室温で遠心分離した。水相を新しいマイクロ遠心チューブ(〜100μl)に移した。これに、2μlの10mg/mlのイガイ(mussel)グリコーゲン、10μlの3Mの酢酸ナトリウム、pH5.2を加えた。これをよく混合した。その後、220μlの95%のエタノールを加え、手短にボルテックスした。その後、混合物を30分間ドライアイス上で凍結させた。この時点で、混合物を終夜−20℃で貯蔵してもよいし、または先に進んでもよい。一実施形態では、RNAは好ましくはDEPC水中に貯蔵すべきでなく、エタノール中に−20℃で貯蔵すべきである。
その後、試料を4℃にし、マイクロ遠心機内で、最大速度で15分間遠心分離した。ペレットの位置に注意し、上清をデカンテーションするか、またはピペットで取り除いた。ペレットを乱さないように注意した。その後、ペレットを70%の事前に冷やしたエタノールを用いて2回で洗浄した。エタノールを取り除いたあと、濡れたペレットを高速真空で15分間乾燥させた。乾燥したペレットは、次のステップまで−20℃で貯蔵した。
RNAの翻訳
SATAのアンチコドンによって認識されるものに対応するストップコドン(今回の場合UAG)を有するように修飾されたルシフェラーゼmRNAが、1μlの濃度1μg/μlを推奨する標準のPromega in vitro翻訳キットで用いられた。当業者は、実際、適切な配列を含む任意のmRNA断片を用いてもよいことを理解するであろう。
SATAを実験チューブに加えた。SATAを含まない対照チューブも調製した。用いたSATAの量は約0.1μg〜500μg、好ましくは0.5μg〜50μgであった。40単位/mlのRnasinを1μl加えた。ヌクレアーゼを含まない水を加えて全体積を50μlとした。
約150個を超えるアミノ酸のタンパク質では、tRNA量の補充を要してもよい。たとえば、約10〜200μgのtRNAを加えてもよい。一般に、SATAの量は、ストップコドンまたは疑似ストップコドンを有効に抑制するのに十分高いべきである。天然tRNAの量は、伸長因子の作用下で動的なプルーフリーディングを受けないSATAとの競合に勝つのに十分高くなければならない。
各チューブは、すぐにキャップを締め、パラフィルム処理し、翻訳反応のために30℃で90分間インキュベーションした。各反応チューブの内容物を毛細管作用によって50μlの石英の毛細管に移した。Gasparro他(Photochem.Photobiol.57:1007(1993)、本明細書中に参考として組み込まれている)に記載のように、各チューブの内容物に2〜10J/cm2、〜350nmの波長の光を照射することによって、SATAをmRNAと架橋結合させた。光架橋結合ののち、各チューブの内容物を新しいスナップキャップマイクロ遠心チューブに移した。2μlの10mMのEDTAを各チューブに加えることによってカルシウム陽イオンをキレート化することによって、リボソームを解離させた。各ステップの間に、各成分を加えた際にピペットチップで攪拌することによって各チューブを穏やかに混合した。
最終的な実験を行う前に翻訳に最適なRNAを決定した。mRNAの最適濃度を見つけるためには、5〜20μg/mlの段階希釈を要してもよい。
上述のように、各試料でSDS−Page電気泳動を行った。本明細書中に参考として組み込まれているSambrook他、Molecular Cloning,A Laboratory Manual、第2版、Coldspring Harbor Press(1989)に記載のように、ゲルのオートラジオグラフィーを行った。
上記実施例は、SATA(tRNA上のピューロマイシンおよびtRNA上の架橋剤)の生成および使用、ならびに連結tRNA類似体(ピューロマイシンを有さず、tRNA上に架橋剤を有する)の生成および使用を教示している。
実施例3:架橋剤を形成するよう修飾したリボヌクレオチドを用いた連結tRNA類似体の生成:ソラレンおよび非ソラレン架橋剤の使用
上述のように、所望しないモノ付加体および架橋結合の形成を最小限にするために、疑似ウリジンを一部の実施形態で用いることができる。一実施形態では、架橋剤で修飾されたモノヌクレオチドを形成して用いる。架橋剤で修飾されたモノヌクレオチドの1つの利点は、これが望ましくないモノ付加体および架橋結合の形成を最小限にすることである。
上述のように、当業者は、SATA、連結tRNA類似体、およびナンセンスサプレッサー類似体を多くの異なる方法によって生成することができることを理解するであろう。好ましい実施形態では、ソラレン化したウリジン5’モノヌクレオチド、2−チオシトシン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−ヨードシトシン、5−ヨードウリジン、5−ブロモウリジンもしくは2−クロロアデノシンを生成または購入し、tRNA類似体内に組み込むオリゴヌクレオチドと酵素的にライゲーションさせることができる。アリールアジドおよびアリールアジドの類似体、ならびにその任意の修飾体も、いくつかの実施形態において連結部分または作用物質として用いることができる。以下のプロトコルをtRNA上に位置する架橋剤に用いることができる。当業者は、このプロトコルはmRNA上に位置する架橋剤にも用いることができることを理解するであろう。したがって、以下の実施例は、SATA、連結tRNA類似体、およびナンセンスサプレッサー類似体の生成ならびに使用を教示している。
修飾されたヌクレオチドの生成
ピューロマイシンを有するまたは有さない4−チオU、5−ヨードおよび5−ブロモUが80塩基対までの長さのカスタムヌクレオチド内に既に組み込まれた状態で、購入することができる(Dharmacon,Inc)。したがって、SATA、およびこれらの架橋剤が既に適所に存在する連結tRNA類似体、ならびに類似の架橋剤を、Dharmacon,Incから直接購入することができる。ナンセンスサプレッサー類似体もDharmacon,Incから購入することができる。
2−チオシトシン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−ヨードシトシン、5−ヨードウリジン、5−ブロモウリジンまたは2−クロロアデノシンはすべて架橋結合用に、RNA内に組み込むためのAmbion MODIscriptキットで使用するために、Ambion,Inc.から購入することができる。したがって、SATAおよび連結tRNA類似体は、これらの架橋剤および類似の架橋剤と共に、Ambion,Incから直接購入することができる。
PO4Uソラレンは以下のように生成することができる:
AUAUAUAUAUAUAUAUAUAUGGGGGG(配列A1)(配列番号20)(Dharmacon,Inc.から入手可能)
CCCCCCATATATATATATATATATAT(配列A2)(配列番号21)(南カリフォルニア大学のサービスから入手可能)。
標的ウリジンを用いたフラン側鎖のソラレンモノ付加体の形成は、以下のように行う:
反応バッファーを調製する。pH7.0を有する反応バッファーは、25mMのトリスHCL、100mMのNaCl、および0.32mMのEDTAを含む。
その後、4’ヒドロキシメチル−4,5’,8’−トリエチルソラレン(HMT)を最終濃度0.32mMまで加え、等モル量の配列A1および配列A2を配列A1:配列A2:ソラレンの最終モル比=1:1:1000まで加える。合計100μlの体積を一度に照射する。
相補的オリゴ、HMT、トリメチルソラレンの混合物を以下のように処理する:1)PCRサーモサイクラーを用いて、85℃まで60秒間加熱し、次いで4℃まで15分間かけて冷却する;ならびに2)冷却ファンおよび419nmの波長を備えたRPR−200Rayonetチャンバ反応器内で、上部をパラフィルムで覆ったエッペンドルフUVetteプラスチックキュベット内で20〜60分間4℃で照射する。これを、氷水浴上または−20℃の冷凍庫内のどちらかに置く。
HMTを再挿入および照射するために上記ステップ1および2を4回繰り返す。4サイクルの照射後、遊離ソラレンをクロロホルムで抽出し、すべてのオリゴ(標識したものおよび未標識のもの)をエタノールで終夜沈殿させる(沈殿ステップを参照)。少量のアリコートをゲルの同定用に保存する。
非ソラレン架橋剤のAmbion,Incのキットを用いて匹敵する配列を生成することができる。
DNA/RNA二重鎖中のRNAのRNase H消化
以下のステップを行う:(1)高速真空内でオリゴを乾燥させる;(2)ペレットを10μLの1×ハイブリッド混合物に再懸濁させる;(3)68℃で10分間加熱する;(4)ゆっくりと30℃まで冷却する。律動的に遠心沈殿させる;(5)10μLの2×RNase H緩衝液を加える。混合する。(6)30℃で60分間インキュベートする;(7)130μLの停止混合液を加える。
フェノール/クロロホルム抽出には、(1)1倍体積のフェノール/クロロホルムを加える;(2)よくボルテックスする;(3)2分間室温のマイクロ遠心機で遠心沈殿させる;(4)上層を新しいチューブに取り出す。
クロロホルム抽出には、(1)1倍体積のクロロホルムを加える;(2)よくボルテックスする;(3)2分間室温のマイクロ遠心機で遠心沈殿させる;(4)上層を新しいチューブに取り出す。
その後、(1)375μLの100%のエタノールを加える;(2)−80℃で凍結させる;(3)10分間室温のマイクロ遠心機で遠心沈殿させる;(4)ペレットを70%のエタノールで洗浄する;(5)10μLのローディング色素に再懸濁させる;(6)載せる直前に100℃で3分間加熱する。
より長いcDNAから、およびより長いRNA断片からのモノリボヌクレオチドヌクレオチドの精製は、陰イオン交換HPLCを用いて成す。その後、ソラレンモノ付加体としたモノヌクレオチド(PO4Uソラレン)を、逆相HPLCによってモノ付加体化されなかったモノヌクレオチド(PO4UおよびPO4A)から分離する。
下述する類似の消化技法およびヌクレオチドの組み込みも、Ambion,Incのキットを用いた非ソラレン架橋剤に用いることができる。
tRNA成分オリゴリボヌクレオチド内への光感受性ヌクレオチドの組み込み
pU架橋剤をCUAストップアンチコドン内に組み込むために以下のプロトコルを用いることができる。しかし、当業者は、本明細書中に記載の方法に従って、他のストップアンチコドンおよび疑似ストップアンチコドンを生成するために他のヌクレオチドも用いることができることを理解するであろう。
一般に、T4 RNAリガーゼのプロトコルから適用させた方法を用いるが、一部の修飾では、修飾されたヌクレオチドの3’OHの保護が欠けているために用いる。
5’OH CUC OH3’オリゴリボヌクレオチド(配列B1)はDharmacon,Inc.から購入することができ、ライゲーションにおいてアクセプターとすることができる。B1対ソラレン化したモノヌクレオチドのモル比は、CUC(U架橋剤)Nの形成が防がれるように、修飾されるU’の数が大きく下回るようになるために、好ましくは、10:1〜50:1を保つ。これにより、好ましい反応の1つが行われる:
CUC+pUソラレン→CUCUソラレン
一実施形態では、ソラレン化したUおよびより長いソラレン化した7量体を確実に分離するために、逐次的な陰イオン交換および逆相HPLCによって生成物を精製する。その後、pApとライゲーションすることによって7量体を3’保護してCUCU架橋剤Ap(断片2B)を得る。
これを再度陰イオン交換HPLCFまたは次のライゲーションで精製する。
断片2Bと1Bもしくは1B1との第1のライゲーション
この2B断片は、安定したアクセプターを有するtRNA類似体または、天然のエステル化されたアクセプターを有するtRNA類似体において用いることができる。一実施形態では、天然のAA−tRNA合成酵素によって、天然の3’末端をアミノアシル化できることを保証するために、その類似体のバージョンにおいてアクセプター基部を修飾する。SATAのバージョンでは、一実施形態では、3’断片は市販の調製されたピューロマイシンをアクセプターとして維持する。したがって、一実施形態では、異なる2つの5’末端において以下を用いる:
5’OHGCGGAUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGA3’配列1B(配列番号22)(安定したピューロマイシンアクセプターを有するtRNA類似体と共に用いる)および
5’OHGGGGCUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGA3’配列1B1(配列番号23)(、天然のエステル化されたアクセプターと共に用いる)。
T4 RNAリガーゼを用いて再度ライゲーションを行い、長さによって精製する。配列1Bの式は以下のとおりである:
5’OHGCGGAUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGA3’+CUCU架橋給合剤APO43’(配列番号22)→
5’OHGCGGAUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGACUCU架橋給合剤APO4 3’(配列番号24)
配列1B1については:
5’OHGGGGCUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGA+CUCU架橋給合剤APO43’(配列番号23)→
5’OHGGGGCUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGACUCU架橋給合剤APO43’(配列番号25)
tRNA類似体の2つの半分子のライゲーション
3’リン酸を除去して5’リン酸を付加するために、上記生成物を、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて2つの個別のステップで処理する。
その後、新しく調製した5’および3’の半分子末端を、一般に従前のプロトコルに従ってライゲーションした。それぞれの5’配列に対応する3’配列は以下のとおりである:
配列1B:(Ψ=疑似ウリジン)
5’PO4GCGGAUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGACUCU架橋剤A3’(配列番号24)、3’の半分に対応:
5’PO4UGGAGGUCCUGUGTΨCGAUCCACAGAAUUCGCACCPur3’(配列番号31)、3B
および配列1B1、
5’OHGGGGCUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGACUCU架橋給合剤AP04(配列番号25)
3’の半分に対応
5’PO4UGGAGGUCCUGUGTΨCGAUCCACAGAAUCUCCACCA3’(配列番号32)。
後者は、大腸菌のアラニンのアミノアシルtRNA合成酵素によって認識可能である。
上述の実施例は、SATA、連結tRNA、およびナンセンスサプレッサーtRNAを作製および使用するために用いることができる。
実施例4:SATAおよびナンセンスサプレッサーtRNAのためのmRNA上への架橋剤の配置
いくつかの実施形態では、架橋剤(ソラレンまたは非ソラレン架橋剤など)はtRNA上に配置されず、mRNA上に位置する。たとえば、一実施形態では、SATAはtRNA上に位置するピューロマイシンを含み、一方で架橋剤はmRNA上にある。さらに別の実施形態では、ナンセンスサプレッサーtRNAを用い、これはピューロマイシンを有さないtRNAを含み、架橋剤はmRNA上にある。架橋剤のメッセージ(mRNA)上への配置は、以下に示すように成すことができる。関連する配列は以下のとおりである:
GGGUUAACUUUAGAAGGAGGUCGCCACCAUG GUU AAA AUG AAA AUG AAA AUG AAA AUG U架橋給合剤AG(配列番号26)
利便上だけを考えると、一実施形態では、多数の35S標識のためのメチオニンコドンを有する、コザック配列およびシャインダルガノ配列をどちらも有するメッセージを用いる。
4−チオウリジン、5−ブロモウリジンおよび5−ヨードウリジンには、メッセージを完全に作製された状態でDharmacon,Incから購入することができる。アリールアジドには、本明細書中に参考として組み込まれているDemeshkina,N他、RNA、6:1727〜1736、2000に記載の方法を用いることができる。
2−チオシトシン、2−チオウリジン、5−ヨードシトシン、または2−クロロアデノシンには、修飾された塩基を5’モノリン酸ヌクレオチドとしてAmbion,Inc.から購入することができる。ソラレンを架橋剤として用いる場合は、修飾された5’モノリン酸ヌクレオチドは上述のように作製する。
精製を容易にするために、修飾された5’モノリン酸ヌクレオチドをまず六量体内に組み込む。架橋剤を含むウリジンの構築を示すが、いくつかの実施形態では、類似の技法を用いて他の塩基をストップコドンおよび疑似ストップコドンのどちらにも組み込むことができる:
AUG+pU架橋剤→AUGU架橋剤は、pN架橋剤の3’保護が存在しないことによるAUGの優位点を用いたこと以外は上述したプロトコルと同様のプロトコルを用いて達成した。生成物を陰イオン交換HPLCによって過剰のAUGから精製した。その後、T4 RNAリガーゼを用いて5’pAGビオチン3’を付加した。3’ビオチンは、単にDharmaconから入手可能であった便利な3’ブロッキング基である。生じたAUGU架橋剤AGヒ゛オチンを再度精製し、次いで5’リン酸化し、
GGGUUAACUUUAGAAGGAGGUCGCCACCAUGGUUAAAAUGAAAAUGAAAAUGAAA(配列 MI)(配列番号27)
にライゲーションして以下を得た:
GGGUUAACUUUAGAAGGAGGUCGCCACCAUGGNNAAAAUGAAAAUGAAAAUGAAAAUGU架橋剤AGヒ゛オチン*(配列番号28)
収率は精製が不要となるほど十分に高い。したがって、上述のプロトコルを用いて、本発明のいくつかの実施形態に従ってSATAおよびナンセンスサプレッサーtRNAを作製および使用することができる。
実施例5:ピューロマイシンを必要としないtRNA系の使用
本発明のいくつかの実施形態は、ピューロマイシン、ピューロマイシン類似体、または他のアミドリンカーを必要としない系および方法を提供する。一実施形態では、連結tRNA類似体およびナンセンスサプレッサーtRNAはピューロマイシンを必要とせず、以下の例に従って作製および使用することができる。
ピューロマイシンを用いない系では、tRNAをアミノアシル化するための翻訳系を用いることができる。他の実施形態では、化学的にアミノアシル化を成すことができる。当業者は、どのようにtRNAを化学的にアミノアシル化するかを理解するであろう。翻訳系を用いる場合は、in vitro、in vivoおよびin situなどのアミノアシル化する任意の種類の翻訳系を用いることができる。一実施形態では、大腸菌の翻訳系を用いる。大腸菌翻訳系は、aaRSAlaによって認識されるように修飾したtRNAを用いる系で使用する。一実施形態では、これは安定したアクセプター(たとえばピューロマイシン)を含まない系に好ましい。
以下のmRNAのそれぞれ3mcgをそれぞれ40マイクロリットルのPromega S30大腸菌翻訳混合物中で翻訳する:
a)GGGUUAACUUUAGAAGGAGGUCGCCACCAUG GUU AAA AUG AAA AUG AAA AUG AAA AUGU架橋給合剤AGヒ゛オチン(配列番号28)および
b)GGGUUAACUUUAGAAGGAGGUCGCCACCAUG GUU AAA AUG AAA AUG AAA AUG AAA AUGUAG(配列番号29)
上述のように生成した3mcgのアンバーサプレッサーtRNAを第1配列に加える。3mcgの、アンチコドン上に架橋剤を有するサプレッサーを第2配列に加える。35S−メチオニンを両方に加え、その後、混合物を37℃で30分間インキュベーションする。その後、反応液を氷浴に入れることによって迅速に冷却し、平らなペトリ皿に移し、混合物が〜350nm光源から1.5cmだけ下方にあるように氷浴中に浮かべる。これらを〜20J/cm15分間露光させる。
照射後、混合物をフェノール抽出し、エタノール沈殿する。このようにして、連結tRNA類似体およびナンセンスサプレッサーtRNAなどの系をアミノアシル化し、本発明のいくつかの実施形態に従ってメッセージ(mRNA)をそのコードされたペプチドに結合させるために用いる。
実施例6:代替配列
好ましい実施形態では、上述の実施例1に記載した断片1、2および3は、以下の代替配列を有する:
断片1(配列番号13):
5’PO4GCGGAUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGAN3−メチル−U3’
断片2(配列番号14):
5’UCUAAGΨCΨGGAGG3’
断片3−上に記載した配列から変化なし(配列番号6):
5’PO4UCCUGUGTΨCGAUCCACAGAAUUCGCACCピューロマイシン3’
上述の方法を用いると、代替断片1+2+3の配列は(配列番号15)であった。
実施例7:SARSへの応用
SARSウイルスの診断試験
一実施形態では、SARSウイルスの診断試験を提供する。SARSゲノムの配列は知られており、ゲノム上の関連する構造タンパク質であるスパイク(S)、膜(M)、ヌクレオカプシド(N)およびエンベロープ(E)の位置が知られている(すべて本明細書中に参考として組み込まれているMarra他、Sciencexpress/www..sciencexpress.org/1May2003/Page1/10.1126/science.1085953およびRota他、Sciencexpress/www..sciencexpress.org/1May2003/Page1/10.1126/science.1085952))。
「S」タンパク質は標的細胞への結合に関連しており、これは、コロナウイルス株のうちSARS−CoVに特有である(Rota他、Sciencexpress/www..sciencexpress.org/1May2003/Page1/10.1126/science.1085952)、本明細書中に参考として組み込まれている。現在のR−PCR、EM、およびFEIAアッセイは、実施に時間がかかりすぎるか、または感度が低く、したがって疾患の初期段階において価値が限られているので不十分である(Tsi他、Emerg.Infect.Dis.、9:9(2003)およびTsang他、Emerg.Infect.Dis.、9:11(2003))、すべて本明細書中に参考として組み込まれている。このウイルスは痰から容易に入手可能である(Hsueh他、Emerg.Infect.Dis.、9:9(2003))、本明細書中に参考として組み込まれている。「S」タンパク質はSARS−CoV株のすべてに存在する(tor2、Urbani、TW−1、HKU−39849、およびCUHK−W1)。
現在利用可能な診断試験の1つは、ナノ粒子に基づいたバイオ−バーコード技術である(Nam他、Science、301:1884〜1886(2003))、本明細書中に参考として組み込まれている。この方法は極度の感度を有すると考えられ、SARS病の初期段階の痰に見つかる低いレベルのウイルス粒子の検出が可能となるはずである。リアルタイムで行うことができる実施がより速い他の方法が存在するが、これらは感度がより低い場合がある。本発明のいくつかの実施形態は、数週間または数カ月ではなく数日間のうちにアッセイに必要な試薬を開発することを容易にする。
十分な量の純粋な「S」タンパク質を生成した後、本発明のいくつかの実施形態を用いて少なくとも2つの追加の試薬を作製することができる:「S」タンパク質上の異なる2つのタンパク質ドメインに結合する2つの特異性の高い結合タンパク質であり、一方は捕捉プローブとして用い、他方はシグナル伝達プローブとして用いる。
一実施形態では、以下のようにプロトコルを行う。
試験試薬の調製
一実施形態では、以下のように試薬を調製する:
A.精製した「S」タンパク質の調製
1.SARS−CoVゲノム配列はGenebank(寄託番号AY274119−3)から得られ、ここから「S」タンパク質をコードする配列の一部分が得られる。
5’PO4GCGGAUUUAGCUCAGUUGGGAGAGCGCCAGA(N3−メチルU)UCUソラレンAAGΨCΨGGAGGUCCUGUGTYCGAUCCACAGAAUUCGピューロマイシン3’(配列番号33)のcDNAのプライマー
連結tRNA類似体およびナンセンスサプレッサーtRNAには、上記配列が類似しているが、アデノシンを用いてピューロマイシンを置き換える。
本発明の多くの好ましい実施形態およびその変形を詳述したが、当業者には他の改変および使用方法が容易に明らかであろう。上述のすべての実施形態において、方法のステップを逐次的に行う必要はない。したがって、本発明の精神または特許請求の範囲から逸脱せずに様々な応用、改変および置換を行い得ることが理解するであろう。
さらなる応用
現在まで、タンパク質のmRNA配列の解読は、タンパク質のmRNA配列の最良の推測を行うためのN末端解析を実施するために時間、労力、およびお金の非常に顕著な投資を伴うので、プロテオミクス業界において大きなボトルネックとなっていた。N末端解析は、タンパク質を化学的解離して、そのアミノ酸およびタンパク質中でのその順序を決定することを含む。一実施形態では、本発明は、翻訳過程中に正確なmRNAメッセージをその同族タンパク質と連結させ、これによりユーザにそのタンパク質をさらに生成するためのすぐに利用可能な設計図を提供し、N末端解析の必要性を不要とすることによって、このボトルネックの問題を解決する。たとえば、「S」タンパク質のプローブとして結合タンパク質を用いる一方法は、以下のように行うことができる:
1.最初のmRNAライブラリはコドンの反復によって作製する。
a)ストップコドンを含まないランダムコドンから、読み枠を作製するために用いる1組のメッセージを構築する、独自の方法。
b)適切なストップコドンを付加する。3’および5’非翻訳領域も各オリゴに付加する。
c)これにより、それぞれが平均128個のコドン以上の、>1014の桁数の異なるメッセージが作製される。
2.タンパク質がin vivoで必要な場合、その特定のタンパク質をコードしている遺伝子が活性化されてそのタンパク質をコードするmRNA配列が産生される。その後、mRNAがメッセージを核から細胞のリボソームまで運び、ここでアミノ酸がmRNAのコードに指示される順で所定のタンパク質へと組み立てられる。完了後、タンパク質およびmRNAはリボソームから、ならびに互いから酵素的に解離される。「S」タンパク質配列に関心が持たれている場合は、それが産生される。
3.それのcDNAコピーおよびそれをさらに生成する要請、または配列を修飾する要望を行う。
4.PCRを用いて大腸菌へ挿入するのに十分なcDNAを調製する。
確立された方法(本明細書中に参考として組み込まれているDoonan編、第59巻、New Jersy:Humana Press(1996)を用いて新しく産生された「S」タンパク質を大腸菌から収穫する。望ましい特性を増強するまたは望ましくない特性を排除するためには、タンパク質のmRNAコードが最初に知られていなければならない。
本発明のさらなる実施形態は、「リンカー系」、すなわち科学者が急速かつ容易に、タンパク質とそれをコードしているmRNAとを化学的に連結させることを可能にする革命的な新規化合物および方法の系を含む(図14を参照)。
新規タンパク質
一実施形態では、特定の目的のための新規タンパク質は、連結系の実施形態を用いて上記図14(B)示したようにmRNAライブラリの実施形態をin vitroで翻訳することによって迅速に作製することができる。生じたタンパク質−リンカー−mRNA複合体のライブラリの数は兆の桁数(1014)のタンパク質変異体となり、ここから所望の特性を有するものを選択することができる。一実施形態では、その後、選択されたタンパク質−リンカー−mRNA複合体のmRNAを複合体から化学的に切断し、バイオリアクター培養によってまたは大量in vitro翻訳によって大量のタンパク質を生成するために用いることができる。別の実施形態では、タンパク質のより優れた変異型が所望される場合は、mRNAを確立された高速タンパク質進化技法に供することができ、その後、生じたmRNAライブラリをリンカー系で再度翻訳してタンパク質変異体の巨大なライブラリを迅速に進化させることができる。その後、増強された特徴を有するタンパク質を残りから選択してもよい。別の実施形態では、最良の候補タンパク質に対するmRNAはすべてその対応するタンパク質に結合しており、したがって、繰り返しサイクルのために容易に収穫することができるので(図15)、その後、所望の特性を強化する、または追加の特性をタンパク質に加えるためにこの過程を複数回繰り返すことができる。したがって、好ましい実施形態は、好ましくは、まず目的のタンパク質をコードしている正確なmRNA配列を同定する、現在当業界で用いられている高価かつ時間のかかる従来の手順を不要にする。
天然タンパク質
一実施形態では、天然タンパク質もその同族mRNAに連結させ、上述の新規タンパク質と同じ方法で容易に選択することができる。一実施形態では、任意の生物または未知の由来元から採取したmRNAを、上記図14(A)に示したように、SATA試薬および連結系を用いてin vitroで翻訳する。その後、目的のタンパク質を生じたタンパク質−リンカー−mRNA複合体のライブラリから選択する。
特定のタンパク質のmRNAメッセージはそのタンパク質のmRNAコードを産生した遺伝子を反映するので、一実施形態では、この手法は、特定のタンパク質を司る遺伝子の同定に特に有用である。したがって、mRNAメッセージは、その特定のmRNAをコードしている、したがってその特定のタンパク質をコードしている正確な遺伝子または遺伝子配列(およびゲノム上のそれらの位置)に戻ってそれを同定するための、プローブとして用いることができる。
マイクロアレイに適応した別の実施形態では、これは、特定の病状に特徴的な遺伝子活性プロファイルを素早く導くことを可能にする。遺伝子活性プロファイルは、特定種類の癌の正確な診断を確立するために用いることが既に成功している。本発明のいくつかの実施形態は、このようなプロファイルを現在当業界で用いられている技法よりもはるかに速くかつより効率的に確立することを可能にする。さらに、好ましい実施形態ではタンパク質産物およびそれをコードしている遺伝子がいずれも同定されるので、これらの実施形態は、好ましくは、疾患に関連するタンパク質産物またはその疾患関連タンパク質を発現している遺伝子のどちらかを標的とするタンパク質を迅速に進化させるために用いることができる。
本発明の一部の実施形態の利点を以下に要約する。
新しいタンパク質の開発を速める能力:一実施形態では、タンパク質をそのmRNAに連結させる能力により、各タンパク質の正確なmRNA配列を決定するために現在用いられている時間、価格、および労力集約型のN末端解析方法が不要となるので、タンパク質系の生成物の開発が非常に簡単になる。同定した後、本発明のいくつかの実施形態を利用して、mRNAは、タンパク質を素早くさらに生成するために用いることができ、または、in vitroで突然変異を導入することによって修飾して所望のタンパク質変異体を生成することができる。したがって、好ましい実施形態では、現在の方法によって必要とされる数カ月または数年ではなく、数週間で新規タンパク質を作製することができる。
新しいタンパク質の開発を最適化する能力:一実施形態では、本発明は、巨大なmRNAライブラリを作製し、それからin vitro翻訳を用いてそのmRNAと連結した稀なタンパク質を選択することができることによって、所望の特性を有するタンパク質の開発を迅速に最適化することを可能にする。
製造費用を大きく削減する能力:一実施形態では、in vitro翻訳手順および翻訳配合物を用いてタンパク質に基づいたヒトの治療剤ならびにワクチンを製造することは動物由来の試薬を含まず、したがって全体的な製造価格が大きく低下する。ヒトの治療剤の製造は、現在生成に血清などの動物性製品を必要とする。これは高価であり、また、用いた動物性製品がプリオン、ウイルス、または他の動物伝染汚染物質で治療剤製品を汚染しないように保証するためにさらなる費用が生じる。
本発明の一部の実施形態の応用は、タンパク質が関与するすべての分野に事実上広がる。以下の分野は、このような分野および可能性のある製品の非限定的なさらなる例を提供する。
ヒトの治療剤
一実施形態では、結合すると細胞死を誘発させる悪性細胞などの疾患細胞上に見つかるものを含めた任意の信頼性のある細胞表面マーカーに結合する結合タンパク質を素早くかつ容易に作製することができる。別の実施形態では、タンパク質結合によって失活するとI型糖尿病の発症を防ぐマクロファージ遊走阻害因子などの主要な生化学的標的対して結合タンパク質を作製することもできる。さらに、好ましい結合タンパク質は治療的細胞成長因子として用いることができ、たとえば潰瘍性大腸炎は、腸上皮の再増殖および治癒を刺激する表皮成長因子様タンパク質を用いて有効に治療することができる。
一実施形態では、疾患を引き起こす生物上の確立された表面マーカーに結合して、それらを有効に失活させる結合タンパク質も、容易に作製することができる。さらに、好ましい結合タンパク質は、これらの生物を検出する診断試験で用いることができる。このような結合タンパク質の標的には、それだけには限定されないが、HIV、肝炎、ヘルペス、天然痘、ウエストナイルウイルス、SARS、ウイルス性肺炎、生殖器疣を引き起こすウイルスおよび任意の他のよく特徴づけられたウイルスが含まれる。また、好ましい結合タンパク質は、炭疽、腺ペスト、ボツリヌス中毒、薬剤耐性ブドウ球菌、コレラ、細菌性肺炎を引き起こす細菌および任意の他の細菌を標的とすることができる。病原性酵母などの真菌も、うまく好ましい結合タンパク質の標的にすることによって失活させることができる。別の実施形態では、感染生物が標的とする、またはその毒性のある代謝産物が標的とする宿主の細胞上の結合部位をブロッキングするタンパク質も、容易に選択することができる。このようにして、宿主が病原体およびその毒素から保護される。
診断学
本発明の一実施形態は、高度に正確かつ安定した診断試験の作製に理想的に適している。好ましい実施形態は、病状または任意の目的条件を反映する最良の標的を同定するために用いることができ、後に、捕捉および/またはシグナル伝達試薬として用いる新規結合タンパク質を生成するために用いることができる。好ましい結合タンパク質は、この目的のために生成するモノクローナル抗体に関連する費用、時間および労力なしに、モノクローナル抗体よりも優れた感度、特異性および/または安定性の特性を有するように選択することができる。
一実施形態では、好ましいタンパク質は、よく特徴づけられた癌標的、流体癌にはCD−22または固形腫瘍にはCD−33に結合する。また、免疫原性および/またはこれらの抗原に対するmAbに関連する製造上の問題が実質的にないが、好ましくはそれでも市場で市販されているmAb製品と同じまたはさらに良好な結合、特異性ならびに/または感度の特性を保持している好ましい結合タンパク質も作製し得る。
食品薬品局(FDA)
全般的に、FDAはmAbに基づいた保健医療製品の認可過程を早める試みを行っている。しかし、mAbおよびその標的の特徴づけが不十分であること、拡大した産生中にmAbが変化すること、ならびにmAbに免疫原性があることなど、mAbに問題があることが見つかる。免疫原性反応は、ネズミmAbよりも低いが、キメラmAbでは約8%に留まる。また、植物中で産生させたmAb由来の植物グリカンは免疫反応を引き起こすことができ、組織培養物で用いる動物血清および他の動物性製品は、狂牛病(プリオン)および口蹄病などに関連する汚染が原因でFDAにとって特に重大な懸案事項である。その結果、安全性を実証する非常に高価な監視がFDAによって必要とされる。これは、欧州の畜牛に関連する狂牛「プリオン」問題が原因で、mAb製品のFDA認可を取得しようとしている欧州企業にとって特に重大な問題である。一実施形態では、この問題の解決法は、動物性製品を含まない合成によって配合した翻訳混合物を使用するin vitro翻訳系を用いて生産量の好ましい結合タンパク質を生成する、好ましい方法を用いることである。これにより、FDAは、このような抗体代用物の認可過程はmAb製品よりも速くなる可能性が高いことを指摘している(私信、2003年4月13日)。このように、一実施形態では、結合タンパク質は、同じ標的に対する認可されたmAbと比較した場合に安全かつ効果的でさえあればよい。
同等の治療的価値を有するが、mAbに係る製造価格、高い費用、困難なFDAのハードル、および副作用の問題、を有さない結合タンパク質の実施形態を生成することによって、mAb代用製品の好ましい実施形態は、現在のmAb使用者および製造者から強い関心を受けるかもしれない。
別の実施形態では、表面プラズモン共鳴技術を、稀なタンパク質を選択された特性を示すmRNAライブラリから単離および濃縮する好ましい方法と組み合わせて用いてもよい。
一実施形態では、人工翻訳混合物を用いて、現在使用されている動物性網状赤血球に基づいた翻訳混合物を置き換える。好ましい実施形態を、大量の好ましいタンパク質産物を生成する大量翻訳系に適用させてもよい。
別の実施形態では、CHO細胞をバイオリアクター内で培養してもよい。好ましくは、選択されたタンパク質のmRNAがCHO細胞のゲノム内に組み込まれている。別の実施形態では、挿入したmRNAによってコードされるタンパク質を発現する、バイオリアクター培養で増殖させたCHO細胞を選択する。さらなる実施形態では、好ましい標的タンパク質をCHO細胞または培地から単離してさらに精製してもよい。
別の実施形態では、好ましい方法は、CD−22またはCD−33などのよく特徴づけられた癌標的に結合する最初の結合タンパク質を生成する。好ましくはこれらの結合部位を標的とする現在市販されているモノクローナル抗体製品に関連するものと同じ負の副作用を有さないタンパク質を選択してもよい。
セルラーゼ酵素
別の実施形態では、好ましい方法は、セルロースを十分にグルコースへと分解する酵素を生成する。食品および飲料の生産者らは、酵素アミラーゼを用いてトウモロコシの穀粒由来の食用コーンスターチをグルコースへと変換する。グルコースは食品およびソフトドリンクにおいて甘味料として用いられ、また、アルコール飲料またはガソリン添加剤として用いるエチルアルコールを生成するために発酵過程において用いられる。
植物の食用でない部分は主にセルロースを含み、現在グルコースの生成に使用されていない。化学的には、セルロースはグルコース分子の長い鎖である。したがって、一実施形態では、植物のセルロース部分をグルコースへと消化するセルラーゼ酵素により、コーンスターチ成分のみだけでなく、実質的に植物全体をグルコースの生成に用いることが可能となる。このような好ましい酵素を用いれば、同じ量のバイオマスから相当に多い量のグルコースを生成することができる。さらに、これらの好ましい酵素を用いれば、事実上任意の植物材料を用いてグルコースを生成することができる。これは、より費用高価の高い最終製品へと変わり、したがって、これらの好ましい酵素は食品およびアルコール生産者らにとって非常に興味深いものとなるであろう。
最新技術
セルラーゼは、現在デンマークの企業であるNovozyme Corporationによって研究目的で生成されている。彼らは2種の微生物、すなわちAspergillus nigerおよびTrichoderma reeseiから、液中発酵と呼ばれるバイオリアクター過程で酵素を単離している。Novozymeは、植物の食用でない部分を大規模に有効に分解する、これら生物由来のセルラーゼの単離を試みているが、成功していない。好ましい実施形態では、本発明を用いて、任意のセルロースをグルコースへと消化するセルラーゼのファミリーを迅速に作製し得る。別の実施形態では、その後、好ましい酵素の遺伝子配列を任意の好都合の生物内に挿入して大量生成することができる。
mRNAライブラリ
一実施形態では、本発明を完全にin vitroで実施することができ、また、巨大なmRNAライブラリを提供し得る。好ましい実施形態ではタンパク質アクセプターとして作用するリンカーを用い、連結はタンパク質が完全に合成されたあとにのみ起こる。したがって、好ましい実施形態では、正しいmRNAメッセージは正しいタンパク質に結合され、mRNAメッセージ全体が翻訳されたあとにのみ合成が停止するので、正常よりも短いタンパク質または誤ったタンパク質上のメッセージが得られることは事実上不可能である。一実施形態では、本発明、好ましくは競合相手の技術の有用性を制限するものと同じ問題に苦労することはなく、したがって、はるかに高いかつ広範囲の応用性を有する。好ましい実施形態は、市販するため、ならびにマイクロアレイにおけるその潜在的な使用のためのタンパク質を作製および選択するはるかにより強力な技術である。
一実施形態では、結合タンパク質の手法は従来のmAbを越える顕著な利点を提供する。別の実施形態では、本発明はワクチンをより安全および/またはより有効にすることができ、その結果、好ましくは製造物責任にさらされることが少なくなる。別の実施形態では、好ましい方法は、たとえば、癌などの病状を反映する血清タンパク質プロファイルを確立するため、または治療行為のために遺伝子もしくは生化学的標的を同定するためにマイクロアレイを用いる企業で用いる、mRNAライブラリを生成する。また、それだけには限定されないが、治療的価値を有する結合タンパク質を与えるmRNAのために市販されているmRNAライブラリを開発する企業も含まれる。また、それだけには限定されないが、診断試験を製造する主要な企業も含まれる。本発明の好ましい実施形態は、好ましくは、それだけには限定されないが、癌マーカー、肝炎、AIDS、SARS、ピロリ菌、および陰部ヘルペスなどの感染症、ならびに大腸炎および自己免疫障害などの他の障害を含めた様々なものに対してより高い感度、特異性および/または精度を有する診断的アッセイをもたらす結合タンパク質を作製するためにも用いることができる。
好ましい生物戦争の実施形態は、新興企業から確立された大企業にわたる広範囲の領域の企業や連邦政府に機会を与える。このような施設は、好ましい実施形態で用いることができる診断試験、抗毒素治療剤、中和剤およびワクチンの開発者である。
農業分野では、好ましい実施形態には、それだけには限定されないが、動物の治療剤および診断学、ならびに植物病原体の治療が含まれる。
本発明の好ましい実施形態の産業的使用者には、それだけには限定されないが、産業用に用いる酵素を設計および/または製造する企業、食品および石油添加剤の事業において製造費用を低減させるために酵素を適用させる最近の傾向に従っている企業、ならびにその環境廃棄物を管理および制御するために製紙、木材および石油産業が含まれる。
実施例8−診断学の手法
標的の同定
最も広い意味で、好ましい実施形態は、単一の患者で、またはより広くは特定の疾患に罹患している患者のすべてもしくはほとんどによって過剰発現されている標的を同定するために用いることができる。好ましい実施形態は、好ましくは、mRNAとそれがコードしているタンパク質とを連結させる能力を活用する。たとえば、標的を同定するためには、特定の癌に罹患している患者または複数の患者の血清から単離したすべてのmRNAを、標準の真核または原核in vitro翻訳系およびSATAリンカー系を用いて、in vitroで翻訳することができる。生じたmRNA−SATA−タンパク質の複合体のタンパク質プロファイルによって、正常な患者と比較して過剰発現されているタンパク質を同定することができる。このようなタンパク質プロファイルの確立は、現在治療的プロテオミクスで用いられているよく確立された技法である。この好ましい実施形態の手法の利点の1つは、mRNAがタンパク質に結合しており、したがって、アッセイをさらに開発するために、これらを選択されたタンパク質から外して収穫できることである。拡大量の選択されたmRNAは、mRNAの逆転写および生じたcDNAのPCRによって生成することができる。cDNAを宿主生物(たとえば大腸菌、酵母、CHO細胞など)内に形質転換させることができ、ここからタンパク質が収穫される。これらのタンパク質は標的であり、これから、疾患を最も良好に同定するものを経験的に選択し、アッセイの標準物質として用いる。
捕捉結合タンパク質およびシグナル伝達結合タンパク質
一実施形態では、課題は、標的タンパク質(T)上にあって他の血清タンパク質上にはない2つの異なる結合部位に特異性の高く、また試験系の条件下で高度に安定している、2種の結合タンパク質を同定することである。
以下のプロトコルは、これらの結合タンパク質をどのように生成することができるかを示すいくつかの実施形態を例示する:
1.最初のmRNAライブラリは、2つの方法のうち1つによって構築することができる。
A.第1の方法
開始配列
・AUG開始コドンにつながる5’UTR領域を含むRNAオリゴは、市販の手段によって構築することができる。これは、RNAトリプレットのランダムな組立てから構築したmRNAライブラリと後にライゲーションさせる試薬として用いる。このオリゴ配列は翻訳の開始に必要である。
ランダムmRNAライブラリ
・すべてのセンスコドンを構成する61種までの一連のRNAトリプレットは、企業用に商業的に合成することができる。合成物は、すべてのトリプレットの5’および3’末端の両方にOH基を含む。
・すべてのオリゴを高度に精製して、潜在的な読み枠のシフトを排除する。
・これらのトリプレットオリゴの一部分を、市販されている3’保護基のうち任意のもので3’保護する。
・保護したオリゴの一部分を、ランダムな様式で保護していないオリゴの一部分と、T4 RNAリガーゼを用いてライゲーションさせる。
○この第1のライゲーションにより、最初の2つのコドン配列を含むオリゴが形成される。その後、この材料の半量を5’リン酸化し、残りの半量を3’脱保護する。その後、前述のようにT4 RNAリガーゼを用いて2つのプールを互いにライゲーションさせる。
○この第2のライゲーションにより、4つのコドン配列を含むオリゴが形成される。この手順を7回繰り返した結果、128個までのランダムコドンを含むmRNAライブラリが生じる。
その後、ランダムな128個のコドンのオリゴを5’UTR開始配列上にライゲーションさせることができる。この時点で、ストップコドンおよび3’UTRも結合させることができる。
B.第2の方法
ランダムDNAライブラリ
・この方法は、ランダムなDNAライブラリを構築するために高度に精製したホスホロアミダイト三量体を用いることを含む。
・利用可能な三量体は以下のとおりである:AAA、AAC、ACT、ATC、ATG、CAG、CAT、CCG、CGT、CTG、GAA、GAC、GCT、GGT、GTT、TAC、TCT、TGC、TGG、TTC。
・高度に精製したホスホロアミダイト三量体は、Glen Research Corporation、バージニア州Sterlingなどの企業から購入することができる。
・ランダムなライブラリは上述と同じ原理を用いて構築することができ、読み枠も上述のようにT4 DNAリガーゼを用いて5’および3’UTRの間に挿入することができる。
2.SATAリンカーを用いたmRNAとその同族タンパク質との連結。
a)ライブラリは、市販されている原核または真核翻訳系を用いてin vitroで翻訳する。
b)mRNAは、SATAリンカー技法および約320〜400nmのUV照射の系を用いてそのペプチド配列と結合させる。
3.ライブラリにコードされるタンパク質の親和性定数の分布を決定するために、上記で産生したSARS「S」タンパク質を、「S」タンパク質に結合させたビオチンリンカーによって、または膜に結合させた抗「S」抗体によって、または他の何らかの好都合な手段によって、アビジンでコーティングした膜に結合させる。
ランダムライブラリからのタンパク質−SATA−mRNAの複合体を「S」タンパク質でコーティングした表面プラズモン共鳴(SPR)膜と反応させる。タンパク質の組の親和性定数の分布は、図16に示したように、様々な量の固定した標的をタンパク質集団に対して滴定することによって確立される。これにより、タンパク質ライブラリ−1の結合定数の分布が生じる。
より高い結合定数を有するタンパク質を進化させるために、上記の分布を用いて、アッセイの捕捉(Ptrap)およびシグナル伝達(Psig)プローブとして用いるために必要な最も高い親和性を有するタンパク質を選択するために必要な「ST」タンパク質の合計量、ならびに所要の親和性を得るために必要な選択の回数を計算する(詳細は付録2を参照)。上記によって決定された「ST」タンパク質の量は、前述のように固相として膜に結合し、タンパク質−SATA−mRNAのライブラリと反応させる。生じた「ST」−タンパク質−SATA−mRNAの複合体を回収し、313nmの光で手短に照射してmRNAを複合体から解離させる。その後、mRNAを逆転写し、変異性PCRを用いて増幅させる。最適な結合特性を有するタンパク質が進化されるまでこの過程を繰り返す。
trapおよびpsigプローブの調製。固有の感度は「ST」タンパク質に対する高い親和性に依存し、特異性は「ST」タンパク質以外のタンパク質に対する低い親和性に依存する。
a)選択された高親和性結合タンパク質からのmRNAを逆転写し、PCRで増幅し、各タンパク質の大量生産のために大腸菌内に挿入する。本明細書中に参考として組み込まれている確立された方法(Doonan編、第59巻、New Jersy:Humana Press(1996))を用いてタンパク質を収穫する。
b)SPRを用いて、タンパク質を他のコロナウイルス株、正常な患者由来の血清、同じ組織の良性疾患などからの「ST」タンパク質との交差反応性について試験する。アッセイ用の捕捉タンパク質およびシグナル伝達タンパク質を、実質的に交差反応しないタンパク質の集団から選択する。
c)SPR膜上の「ST」または「T」タンパク質を、高親和性タンパク質(P1)のうち1つと、「ST」タンパク質上のP1の結合部位すべてを飽和させる濃度で反応させる。その後、最大の結合を示すものが同定されるまで、反応させた膜を他のタンパク質(P2、P3、Px)の滴定により逐次的に反応させる。したがって、このタンパク質は、P1ドメイン以外の「ST」タンパク質上のドメインに結合する。これらのタンパク質は、図17に示したようにPtrapおよびPsigプローブとなる。
d)捕捉タンパク質を磁気酸化鉄の核を有する1μmのポリアミン微粒子に塗布することによってptrapプローブを官能化する(本明細書中に参考として組み込まれているNam他、Science、301:1884〜1886(2003)、たとえば図18)。一実施形態では、その後、試薬を、試薬のすべてまたは任意の組合せを用いるように構成した任意の試験様式および試験装置に適用させることができる。
e)psigプローブは、図19示したように、シグナル伝達タンパク質およびバーコードオリゴヌクレオチドを30nmの金ビーズに塗布することによって機能化することができる。
アッセイ
A.一実施形態では、アッセイは以下のステップを含む:
・捕捉プローブ、患者の試料、およびシグナル伝達プローブをすべて一緒に反応ウェル内で反応させる。
・SARSウイルスが存在する場合は、捕捉プローブとシグナル伝達プローブとの間にSARSウイルスが、曝された「S」タンパク質を介して挟まれたものからなる複合体が形成される。
・複合体を結合していない成分から磁気的に単離する。結合していない成分を0.1Mのリン酸緩衝生理食塩水で洗い流す。
・一本鎖DNAバーコード配列を遊離するためにNANOpure水を用いて、ハイブリダイズしたDNAオリゴヌクレオチドのハイブリダイズを外す。
・バーコード配列の濃度は、スキャンを用いたDNA読取り機を使用して測定する。
・ウイルス力価は、「S」タンパク質の検量線からの外挿によって定量する。
・アッセイは、磁気ビーズを中心として設計した自動試験装置を用いた大量試験に適応させる。
・この試験系は、他者によって10μlの試験体積中300fM〜3aMほど低い濃度のPSAを検出するために用いられている。このアッセイに関連する極度の感度および特異性により、疾患の初期段階にあるSARSに感染した患者の痰に見つかる低いウイルスレベルを検出することを可能にする。
B.アッセイの反応を図20に示す。
C.診断が成功したかどうかを決定する試験。
1.付加価値および有効性を確立するために、SATAに基づいたアッセイを同じ試料のR−PCRアッセイと比較する。
2.臨床的設定における特異性を決定するために、A型およびB型インフルエンザ、アデノウイルス呼吸器系合胞体ウイルスならびに1、2、および3型パラインフルエンザウイルスなどの一般的な呼吸器系ウイルスの感染症に罹患している患者由来の痰について試験を用いる。
3.その後、アッセイの感度、特異性、精度の値を確立するため、ならびに「現実の世界」の臨床的設定における初期検出および管理でのその有用性を決定するために、SARS患者由来の痰についてアッセイを用いる。
SARSウイルス用のワクチン
一実施形態では、SARSウイルスに対するワクチンを提供する。本明細書中に記載するワクチンの産生方法は予言的である。一実施形態では、所定の分布内で最も高い結合親和性を有する数種のタンパク質を選択するよりも、異なる配列をより多くするためにストリンジェンシーがより低い選択を用い、また、高い結合親和性を有するタンパク質の大集団を進化させるためにストリンジェンシーを徐々に増して複数回の突然変異を用いることができる。このようなタンパク質はワクチンの作製において貴重である。その論理は、ただ1つの表面エピトープのみが免疫系と反応することができること以外は抗イディオタイプワクチンと類似している。タンパク質ファミリーによって免疫系に提示される「S」タンパク質の凝集濃度は、T細胞およびB細胞応答を刺激するのに必要な閾値レベルに達するほど十分に高い。しかし、ファミリー内の任意の単一のタンパク質の濃度は、そのタンパク質に対する応答を刺激するのに必要な閾値よりも低くなる。したがって、ワクチンは「S」エピトープに対する抗体産生のみを刺激し、タンパク質ファミリー上に存在する他のエピトープのどれに対する抗体産生も刺激しない。これにより、ワクチンを失活させる可能性のある抗体の産生が防がれる。別の実施形態では、ワクチンは、「S」エピトープおよび「S」エピトープの活性と中性または相乗の効果のどちらかを有する1つまたは複数の他のエピトープに対する抗体産生を刺激するように合成される。
一実施形態では、このようにタンパク質を排除選択することを用いてSARSウイルスに対するワクチンを生成する一方法は、以下のように行うことができる:
1.準備
a)主要組織適合複合体クラスII(MHC−II)の配列をランダムmRNAライブラリのすべてのcDNAに付加する。MHC II結合配列は、適切なT細胞、および最終的にはB細胞の応答を可能にする。
b)原核または真核翻訳系、ならびにタンパク質とその同族mRNAとを連結させるためのSATAリンカーを用いて、ライブラリをin vitroで転写および翻訳する。
c)「S」エピトープに特異的なプローブを用いてタンパク質をライブラリから選択する。プローブはSPR膜に化学的に連結している。
i.プローブが抗体である場合、図21に示したように、除外するためにランダムイディオタイプをブランクとして用いて、抗体を使用する。
ii.プローブが別の種類のアプタマーである場合、アプタマーをSで飽和させる。
d)抗S抗体に対して高い親和性を有するタンパク質を選択する。313nmのUV光を用いてmRNAを複合体から解離させ、逆転写し、変異性PCRを用いてcDNA内に突然変異を挿入する。突然変異させたcDNAライブラリを上記1.bに記載のように転写および翻訳し、最も高い親和性を有するタンパク質を前述のように選択する。抗S抗体に対する最大の親和性を有するタンパク質の集団が得られるまでこの過程を繰り返す。
e)313nmのUV光を用いてmRNAを複合体から解離させる。その後、各mRNAについてmRNAを逆転写する。
f)バイオリアクター培養用に大腸菌内または酵母内のどちらかに挿入するため、あるいは拡大したin vitro翻訳系で直接翻訳するため、あるいはヤギ乳由来の生成物を選択するためのヤギなどの動物ゲノム内に挿入するためのベクターに、配列を挿入するのに十分なcRNAをPCRを用いて生成する。
2.タンパク質ライブラリのワクチンに対する予測される免疫応答
図22に示したスキームは、タンパク質上のMHC−IIによって活性化される「S」受容体を有するB細胞を例示し、一実施形態では、それぞれの試薬の生産量のロットをバイオリアクター培養または任意の選択した宿主生物で生産することができる。関与する反応の迅速性により、好ましい試薬を数カ月または数年ではなく数週間で、またモノクローナル抗体のハイブリドーマの生成に必要であるよりも相当に低い費用で生産することができる。上記実施例ではSARSについて述べているが、当業者は、上述の方法に従って他のワクチンも生成することができることを理解するであろう。
別の実施形態では、現在使用されている腫瘍マーカーのいずれかのように、標的が既に知られている場合にアッセイを開発する課題は、課題が捕捉試薬およびシグナル伝達試薬として使用する最良の結合タンパク質の選択のみを含むので、はるかに容易かつ速いと予測される。
所望の結合特徴を有するタンパク質の大集団対小集団の増殖の選択戦略
一実施形態では、in vitroでのタンパク質進化を用いて新規タンパク質を開発する。いくつかの実施形態では、用いる方法は結合親和性による選択に基づく。一部の実施形態では、これは、標的リガンドとの結合に対するタンパク質分子間の競合に依存し、最も密に結合しているタンパク質が選択および複製される。このin vitro選択のストリンジェンシーは、結合していない標的リガンドの濃度によって決定される:
Figure 2007513631
式中、Tは標的リガンドであり、kiは任意の所定のタンパク質分子iであるAiの解離定数であり、[AiT]は標的に結合しているそのタンパク質の濃度であり、[Ai]totは結合しているおよび結合していない、すなわち全タンパク質Aiの濃度の和である。これにより、
Figure 2007513631
は、結合定数kiを有する全タンパク質のうち、結合しているものの合計の分数となる。同様に、任意の2つのタンパク質間の、リガンドに結合することによる濃縮の量は[T]に依存し、それらの親和性の比は以下のとおりである:
Figure 2007513631
結合しているタンパク質の比は、開始または全タンパク質の比とは係数*によって異なることに注目されたい。これは、標的への結合によって成すことができる濃縮の量であるので、濃縮係数と呼ぶことができる。この係数の値は、遊離標的リガンドの濃度[T]とk値との関係によって決定される。k値が[T]]よりもはるかに小さい場合は、係数は1であり、濃縮は起こらない。k値が[T]よりもはるかに大きい場合は、濃縮はk値の比で最大となる。
[T]の規模を制御する方法が2つあることに注目されたい。1つは、すべてのタンパク質が結合した場合も全タンパク質濃度が[T]に影響を与えないほど十分に小さくなるように、十分な体積を用いることである:
[T]tot=[T]+Σ[AiT]
合計のTがタンパク質濃度よりも十分に大きい場合は、これは結合していないTと本質的に等価である。もう1つは、タンパク質のk値の分布を知ること、所望の[T]値を仮定すること、および上記式(1)を用いて必要な[T]totを見出すことである。用いる[T]値の選択は、所望する最終結果に依存する。一部の目的には、突然変異を有するまたは有さない非常にストリンジェントな選択(低い[T]値)が最も有用であり得る。これにより、少数の密に結合したタンパク質が所望される場合に希少な数のタンパク質が見つかる。別の極限は、突然変異と結びついたストリンジェンシーがはるかに低い選択を反復様式で用いることである。これにより、高親和性タンパク質の集団全体が増殖される。もちろん、実際にはおそらく組合せが用いられる。
Lancet他と矛盾がない仮定のk分布を想定されたい:
ここで、10-9対10-12の[T]値の効果を用いて、
Figure 2007513631
その同族mRNAに結合している結合タンパク質を収穫し、その後、mRNAのリバースPCRを行って最初のものに等しい濃度を得、転写および翻訳を行うことを検討されたい:
Figure 2007513631
開始集団が1011種の異なるタンパク質を含む場合は、[T]=10-9の選択により、これらのうち百万種より少し低い数が回収され、[T]=10-12の選択により、数百種のみが回収される。親和性がより低い標的では、これはさらに少なくなる。赤色曲線を突然変異させ、次いでわずかに高い値のpT値で収穫することにより、非常に大きな数の、安定してより高い結合親和性を有するタンパク質が生じる。
このより時間のかかる戦略はどのような場合に好ましいのであろうか。その一例は、単に一つにとどまらない選択基準を用いてタンパク質を作製することを望む場合である。たとえば、酵素を作製するためには、触媒させる反応の遷移状態の類似体と密に結合するが、基質とははるかに緩く結合するタンパク質の選択を望むであろう(VoetおよびVoet)。これは、各基準において順々に多数の分子から選択されるようにステップを準備することによって、容易になる。
これを用いるさらに別の方法は、ただ1つの共通する表面的特徴を有する多数のタンパク質を作製することである。
Figure 2007513631
Figure 2007513631
これは、一次抗体応答の誘発および後の二次応答が濃度依存的であるので有意である:
Figure 2007513631
他の共通表面エピトープが存在しないだけでなく、T細胞の認識に用いることができる共通のペプチド断片も存在しない。これにより、単一の共通表面エピトープに対する免疫化がさらに予防される。これは、血清病様の反応を生じさせずにSCEPPをブロッキングタンパク質として直接用いることができることを意味する:
Figure 2007513631
必要な場合は、結合した毒素をその生理的な受容体に曝し、再度SCEPPを曝す。結合したSCEPPを廃棄し、結合していないものを収穫する。これにより、受容体をブロッキングしないタンパク質が除外される。明らかに、他の競合形態を用いることができる。これは、上述した結合の複数の基準の一例である。
Figure 2007513631
SCEPPと表面エピトープを変化させないMHC II結合ペプチドとの組合せを用いて、唯一の表面エピトープを標的としたワクチンを作製することができる。一例として、以下を検討されたい:
Figure 2007513631
Figure 2007513631
SCEPPを別の生物由来の保護抗体の抗原結合領域に相補的であるように増殖した場合、その結果は、ワクチン接種した生物内において類似した抗体を再生産するワクチンとなる。これの論理は抗イディオタイプワクチンの論理に酷似している。SCEPPを細胞性ウイルス受容体を補完するように増殖した場合、産生された抗体は受容体に類似する。一部の実施形態では、この技法によって得られる一利点は、これにより、抗体が結合する、タンパク質上の特定のエピトープの選択が可能となることである。リポソーム内に、天然タンパク質は必要でないが、それを用いることにより親和性の成熟が可能となる。タンパク質の内部に維持されるが、APCの酸プロテアーゼによって消化されると遊離してMHC IIに結合する配列を用いることなど、MHC結合ペプチドを含める他の方法が存在する。
生物戦争
一実施形態では、生物戦争の薬剤として用いられる毒素(感染性生物によって生成されたもの、または兵器化した生物戦争の薬剤として生成されたもののどちらに対しても)を中和する結合タンパク質も作製することができる。このような薬剤には、それだけには限定されないが、ボツリヌス毒素、リシン、および炭疽毒素が含まれてもよい。別の実施形態では、それだけには限定されないが、ソマン、VX、およびセリンを含めた神経ガスを中和する酵素タンパク質も作製することができる。好ましい中和タンパク質は、薬剤が身体と接触する前にそれを失活させるために衣類などの物品に組み込むことができ、また、表面上の薬剤および/または薬剤がまだ空気中にある間にそれを失活させるためにエアロゾルとして用いることができる。
農業
別の実施形態では、ヒトの治療剤と同様、食用作物および家畜において疾患を引き起こす生物上の確立された表面マーカーに結合するタンパク質を作製することができる。好ましい実施形態は、たとえば、それだけには限定されないが、炭疽、畜牛の口蹄病および狂牛病、ならびに家禽のニューカッスル病を含めた疾患に対する安価な診断試験、治療的処置ならびにワクチンを作製するために用いることができる。さらに、口蹄病を引き起こすものなどの感染性の高い生物の別の実施形態では、納屋、畜舎、飼葉入れ、飼養場および輸送装置などの様々な表面を汚染除去して、好ましくは疾患の発症または他の動物もしくは部位への拡大を予防する、広範囲の用途において使用するために、好ましいタンパク質産物を安価に作製することができる。
産業
別の実施形態では、好ましくは特定の産業反応に最適な温度、圧力および/または化学的条件で機能することによって最大の生産効率を提供する酵素タンパク質を作製することもできる。現在、より良好な酵素の選択肢の欠如により、産業は多くの場合最適未満の生産条件で機能する酵素を用いることを強いられている。たとえば、Novozymeはすべての形態のセルロースを消化する酵素を開発しようと試みている。しかし、彼らが販売している酵素は限定されたセルロース活性しか有さない。
モノクローナル抗体の結合タンパク質代用物
一実施形態では、好ましい方法は、好ましくは現在臨床医学で用いられている既存のモノクローナル抗体よりも優れた、癌の治療剤として有用な新規の結合タンパク質をもたらす。これらのタンパク質の実施形態は、好ましくは従来の抗体を超える優れた結合および/または特異性の特性を実証し、好ましくは現在用いられているヒト化マウスモノクローナル抗体に関連するアレルギー性および/または毒性の特性を有さない。
モノクローナル抗体に基づいた製品の理論的根拠
モノクローナル抗体(mAb)を特効薬として用いることは、初期のmAbは完全にネズミ由来であり、したがってヒトに注射した場合に問題を引き起こしたので(高熱、アレルギー反応、肝臓および腎臓毒性)、約10年前に支持が下がった。また、これらはレシピエントによって産生される抗mAb抗体によって急速に失活し、その結果、半減期が許容できないほど短かった。最近の技術的進歩により、マウス−ヒトキメラmAbおよび数種の完全にヒト由来のmAbの作製が可能となった。これらの進歩により初期のネズミ由来mAbに関連する問題が顕著に低減されており、それは現在、病状を治療する真の特効薬であるという最初の期待を実現し始めるまでになっている。したがって、臨床社会は現在、mAbに基づいた治療を用いることに非常に意欲的であるが、依然として副作用に悩まされてもいる。したがって、風潮は、好ましくはmAbが標的とするものと同じ確立された癌エピトープに結合するが、好ましくは負の副作用を有さない、1つまたは複数の実施形態を用いて作製した好ましい結合タンパク質の許容に好都合である。
癌の治療には、研究者らは、悪性細胞の表面上で発現されるエピトープに焦点を置いてきた。流体腫瘍上で最も標的とされるよく特徴づけられたエピトープが少なくとも8種存在する。安定した細胞表面抗原エピトープ(たとえばCD−20、22)には、一般に好まれる現在のよく研究されている戦略は、裸のmAbまたは同位体(たとえば90イットリウム、131ヨウ素または213ビスマス)で標識したmAbを用いることである。裸のmAbはアポトーシスを始動することができ、同位体は標的細胞および周辺の細胞を死滅させる。あるいは、固形腫瘍では、表面エピトープ(たとえばCD−19、33)が、タンパク質ライブラリ上の「S」タンパク質ドメインと結合した際に内部に取り入れられる。ウイルス上の「S」タンパク質に対する抗体を産生および放出してitmAbを失活させるB細胞のクローンが形成する。これらに関しては、mAbを毒素で標識することが一般に好まれる戦略である。このエピトープのクラスはmAbと結合した際に内部に取り入れられ、したがって、毒素も細胞内に引き込まれて細胞を死滅させる一方で周辺の細胞は免れる。ワクチンは、免疫原性を誘発させるために尿酸結晶または何らかの類似のアジュバントと共に注射する。
本発明のいくつかの好ましい実施形態およびその変形を詳述したが、当業者には他の改変および使用方法が容易に明らかであろう。したがって、本発明の精神または特許請求の範囲から逸脱せずに様々な応用、改変および置換を行ってもよいことを理解するであろう。
mRNAおよびそのタンパク質産物によって形成された複合体の一例を示す模式図である。 in vitroでの選択および進化過程の一例を示す模式図である。 本発明のtRNA分子を構築する一方法を例示する図である。 mRNAをtRNAに連結することができるように架橋結合分子であるソラレンを配置することができる、2つの代替実施形態について記載した図である。 ウリジンおよび疑似ウリジンの化学構造を示す図である。 本発明の一部の実施形態を示す図である。 所定の長さのヌクレオチドが得られる確率を示す図である。 128個のアミノ酸のタンパク質のmRNAを生成する反応スキームを示す図である。 濃度pT=6とlog kとの関係を示す図である。 濃度とlog kとの関係を示す図である。 同じ平均値を用いたLancetの経験分布とポアソンとの関係を示す図である。 様々な[T]値によって結合される曲線のファミリーを示す図である。 [T]=10-12を用いた4回の生成を示す図である。 通常のタンパク質合成と非限定的な実施形態でのタンパク質合成方法との比較を示す図である。 リンカー技術の非限定的な一実施形態を、開始mRNAライブラリを作製するその独自の方法の一実施形態、及びその独自の選択手順の一実施形態と合わせる態様を示す図である。 SARS「S」タンパク質または他の標的「T」タンパク質(以降「ST」)でコーティングした表面プラズモン共鳴(SPR)膜と連結させたランダムライブラリを示す図である。 SPR膜上の「S」または「T」タンパク質を示す図である。 捕捉プローブでコーティングしたポリアクリルアミド磁気ビーズを示す図である。 psigタンパク質およびバーコードオリゴヌクレオチドでコーティングした金粒子を示す図である。 SARSウイルスのアッセイを示す図である。 SARSウイルスのアッセイを示す図である。 SARSウイルスのアッセイを示す図である。 抗S抗体によってSPR膜上に捕捉されたタンパク質−SATA−mRNAライブラリを示す図である。 癌の治療を示す図である。

Claims (38)

  1. ストップコドン上またはその近隣に位置する架橋剤を含み、tRNA分子に架橋結合することができる、修飾されたmRNA分子。
  2. 前記架橋剤が、活性化されることにより前記tRNAと1つまたは複数の共有結合を形成することができる作用物質である、請求項1に記載の修飾されたmRNA分子。
  3. 前記架橋剤が、光を用いて活性化されることにより前記tRNAと1つまたは複数の共有結合を形成する作用物質である、請求項1に記載の修飾されたmRNA分子。
  4. 前記架橋剤が、前記mRNA内に直接組み込まれている修飾された塩基である、請求項1に記載の修飾されたmRNA分子。
  5. 前記架橋剤が、2−チオシトシン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−ヨードシトシン、5−ヨードウリジン、5−ブロモウリジンおよび2−クロロアデノシン、アリールアジド、ならびにそれらの修飾体または類似体のうちの1つまたは複数からなる群から選択される、請求項1に記載の修飾されたmRNA分子。
  6. 前記架橋剤がソラレンである、請求項1に記載の修飾されたmRNA分子。
  7. 疑似ストップコドン上またはその近隣に位置する架橋剤を含み、tRNA分子に架橋結合することができる、修飾されたmRNA分子。
  8. 前記架橋剤が、活性化されることにより前記tRNAと1つまたは複数の共有結合を形成することができる作用物質である、請求項7に記載の修飾されたmRNA分子。
  9. 前記架橋剤が、光を用いて活性化されることにより前記tRNAと1つまたは複数の共有結合を形成する作用物質である、請求項7に記載の修飾されたmRNA分子。
  10. 前記架橋剤が、前記mRNA内に直接組み込まれている修飾された塩基である、請求項7に記載の修飾されたmRNA分子。
  11. 前記架橋剤が、2−チオシトシン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−ヨードシトシン、5−ヨードウリジン、5−ブロモウリジンおよび2−クロロアデノシン、アリールアジド、ならびにそれらの修飾体または類似体のうちの1つまたは複数からなる群から選択される、請求項7に記載の修飾されたmRNA分子。
  12. 前記架橋剤がソラレンである、請求項7に記載の修飾されたmRNA分子。
  13. 付加のない安定したアミノアシルtRNA類似体に結合した少なくとも1つのソラレンモノ付加体、またはオリゴヌクレオチドに結合した少なくとも1つのソラレンモノ付加体、を含む同族対を生成するキット。
  14. 少なくとも2つの候補mRNA分子であって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つがストップコドンおよび疑似ストップコドンからなる群から選択された少なくとも1つのコドンを含むもの、を提供する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つであって、前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つが架橋剤によってtRNA分子に結合しているものを、前記tRNA分子を介してその対応する翻訳されたタンパク質と連結して、少なくとも1つの同族対を形成する事と;
    前記翻訳されたタンパク質または前記mRNA分子の特性に基づいて前記同族対のうちの1つもしくは複数を同定する事と;
    前記選択された同族対のmRNA分子、前記mRNA分子に相補的な核酸分子および前記mRNA分子に相同的な核酸分子のうちの1つまたは複数からなる群から選択された分子を同定することによって、前記所望のタンパク質または前記所望の核酸分子を同定する事と;
    複数の同族対を提供し、前記複数の同族対のうちの少なくとも1つを1つまたは複数の結合因子と結合させる事と;
    前記1つまたは複数の結合因子に対する反応または反応を欠くことに基づいて前記所望のタンパク質または核酸分子を選択することで第1の所望の同族対を選択する事と;
    前記第1の所望の同族対を回収して、回収した同族対を生成する事と;
    前記回収した同族対の第1の核酸成分を増幅する事と;
    1つまたは複数の変異を有する前記第1の核酸成分を含む、第2の核酸成分を生成する事と;
    前記第2の核酸成分を翻訳することによって第2のタンパク質を生成する事と;
    前記第2のタンパク質を前記第2の核酸成分と連結させて第2の所望の同族対を生成する事と;
    少なくとも1つの所望の特性に基づいて前記第2の所望の同族対を再選択することによって前記所望のタンパク質配列を得る事と、
    を含む所望のタンパク質配列を進化させる方法。
  15. 前記所望の特性が、結合特性、酵素反応および化学修飾のうちの1つまたは複数からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記所望の特性が結合、酵素反応または化学修飾、に抵抗する能力である、請求項14に記載の方法。
  17. 前記第1の所望の同族対を選択するステップが、
    所望の結合特徴を有する第1のリガンドを提供する事と;
    前記第1の同族対のうちの1つまたは複数を前記第1のリガンドと接触させて、結合していない複合体および結合した複合体を生成する事と;
    前記結合した複合体または前記結合していない複合体のどちらかを回収する事と;
    前記回収した複合体の少なくとも1つの核酸成分を増幅する事と;
    前記回収した複合体の前記核酸成分の配列に変異を導入する事と;
    前記核酸成分から1つまたは複数の第2のタンパク質を翻訳する事と、
    前記第2のタンパク質のうちの少なくとも1つを前記第2の核酸成分のうちの少なくとも1つと連結させて、1つまたは複数の第2の同族対を生成する事と;
    前記第2の同族対のうちの前記少なくとも1つを、少なくとも1つの第2のリガンドであって、前記第2のリガンドは前記第1のリガンドと同じまたは異なるもの、と接触させて、前記第2の同族対のうちの1つまたは複数を選択することにより所望のタンパク質配列を得る事と、
    を含む、請求項14に記載の方法。
  18. 第1の核酸および第2の核酸であって、前記第1の核酸および前記第2の核酸は実質的に互いに相補的であり、前記第1の核酸は1つまたは複数のウリジンモノ付加体標的物を含み、前記第2の核酸が少なくとも1つの疑似ウリジンを含むもの、を提供する事と、
    ソラレンの存在下で前記第1の核酸と前記第2の核酸とをハイブリダイズさせてハイブリッドを形成する事と;
    前記ハイブリッドを紫外光で照射して前記第1の核酸上に前記ソラレンモノ付加体を形成する事と、
    を含む、核酸上にソラレンモノ付加体を形成する方法。
  19. 前記1つまたは複数のウリジンモノ付加体標的物がアデノシンに隣接して位置するウリジンを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記1つまたは複数のウリジンモノ付加体標的物がアデノシンに隣接してその3’側に位置するウリジンを含む、請求項18に記載の方法。
  21. 第1の核酸および第2の核酸であって、前記第1の核酸および前記第2の核酸は実質的に互いに相補的であり;前記第1の核酸は1つもしくは複数のウリジンモノ付加体標的物または架橋結合標的物ならびに1つもしくは複数のウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物を含み;前記ウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物は1つまたは複数の疑似ウリジンで置き換えることができるもの、を提供する事と;
    前記ウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物のうちの1つもしくは複数を疑似ウリジンで置き換える事と;
    ソラレンの存在下で前記第1の核酸と前記第2の核酸とをハイブリダイズさせてハイブリッドを形成する事と;
    前記ハイブリッドを照射することによって、前記非標的物を保護しながら、前記第1の核酸上の前記標的物上に前記ソラレンモノ付加体または前記架橋結合を形成する事と、
    を含む、ソラレンモノ付加体または架橋結合の生成方法。
  22. 前記所望のタンパク質がSARSウイルスの1つまたは複数のタンパク質である、請求項14に記載の方法。
  23. 少なくとも2つの候補mRNA分子であって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つがストップコドンおよび疑似ストップコドンからなる群から選択された少なくとも1つのコドンを含むもの、を提供する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つをその対応する翻訳されたタンパク質に連結させて少なくとも1つの同族対を形成する事と;
    前記翻訳されたタンパク質または前記mRNA分子の特性に基づいて前記同族対のうちの1つまたは複数を選択する事と;
    前記選択された同族対のmRNA分子、前記mRNA分子に相補的な核酸分子および前記mRNA分子に相同的な核酸分子からなる群から選択された分子を同定する事を含む、前記翻訳されたタンパク質または前記所望の核酸分子を選択する事と、
    を含む、所望のタンパク質または核酸分子の選択方法。
  24. 少なくとも2つの候補mRNA分子であって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つがストップコドンおよび疑似ストップコドンからなる群から選択された少なくとも1つのコドンを含むもの、を提供する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して少なくとも1つの翻訳された第1のタンパク質を生成する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つをその対応する翻訳された第1のタンパク質と連結させて少なくとも1つの第1の同族対を形成する事と;
    前記翻訳された第1のタンパク質または前記mRNAの少なくとも1つの所望の特徴に基づいて前記第1の同族対のうちの少なくとも1つを選択する事と;
    前記所望の特徴を有する前記第1の同族対のうちの少なくとも1つを回収して少なくとも1つの回収した同族対を生成する事と;
    前記回収した同族対のうちの1つまたは複数の第1の核酸成分を増幅する事と;
    1つまたは複数の変異を有する前記第1の核酸成分のうちの少なくとも1つを含む、少なくとも1つの第2の核酸成分を生成する事と;
    前記第2の核酸成分のうちの少なくとも1つを翻訳することによって少なくとも1つの第2のタンパク質を生成する事と;
    前記第2のタンパク質のうちの少なくとも1つを前記第2の核酸成分のうちの少なくとも1つと連結させて、1つまたは複数の第2の同族対を生成する事と;
    少なくとも1つの所望の特性であって前記所望の特徴と同じかまたは異なるもの、に基づいて前記第2の同族対のうちの1つまたは複数を再選択することによって前記所望のタンパク質配列を得る事と、
    を含む、所望のタンパク質配列を進化させる方法。
  25. 少なくとも1つのウリジンおよび少なくとも1つの修飾されたウリジンを含む標的オリゴヌクレオチドを提供する事と、
    前記標的オリゴヌクレオチドをソラレンと接触させる事と、
    前記ソラレンを前記標的オリゴヌクレオチドとカップリングさせてモノ付加体を形成する事と、
    を含む、モノ付加体の形成方法。
  26. 少なくとも2つの候補mRNA分子であって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つがストップコドンおよび疑似ストップコドンからなる群から選択された少なくとも1つのコドンを含むもの、を提供する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つであって、架橋剤によってtRNA分子に結合しているものを、前記tRNA分子を介してその対応する翻訳されたタンパク質と連結して、少なくとも1つの同族対を形成する事と;
    前記翻訳されたタンパク質または前記mRNA分子の特性に基づいて前記同族対のうちの1つもしくは複数を同定する事と;
    前記選択された同族対のmRNA分子、前記mRNA分子に相補的な核酸分子および前記mRNA分子に相同的な核酸分子のうちの1つまたは複数からなる群から選択された分子を同定することによって、前記所望のタンパク質または前記所望の核酸分子を同定する事と;
    複数の同族対を提供し、前記複数の同族対を1つまたは複数の結合因子と結合する事と;
    前記1つまたは複数の結合因子に対する反応または反応を欠くことに基づいて前記所望のタンパク質または核酸分子を選択する事と、
    を含む、所望のタンパク質または核酸分子の同定および選択方法。
  27. 2つ以上のDNA配列のアレイであって、前記2つ以上のDNA配列が事前に決定された位置に配置されるもの、を提供する事と;
    前記1つまたは複数の同族対であって、mRNA部分およびタンパク質部分を含むもの、に前記アレイを曝す事と;
    前記1つまたは複数の同族対の前記mRNA部分を前記アレイ上にハイブリダイズさせる事と;
    前記1つまたは複数の同族対の前記タンパク質部分を結合因子に曝すことで反応を生じさせるまたは生じさせない事と;
    前記結合因子に対する前記反応が存在するまたは存在しないことに基づいて前記所望のタンパク質を選択することで前記翻訳されたタンパク質のDNA配列を決定する事と、
    を含む前記翻訳されたタンパク質のDNA配列を決定する事をさらに含む、請求項26に記載の方法。
  28. 少なくとも2つの候補mRNA分子であって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つがストップコドンおよび疑似ストップコドンからなる群から選択された少なくとも1つのコドンを含むもの、を提供する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つであって、架橋剤によってtRNA分子に結合しており、前記tRNA分子は実質的に修飾されていない天然tRNAであり、前記架橋剤は少なくとも1つのmRNA分子上のみに位置するもの、をtRNA分子を介してその対応する翻訳されたタンパク質と連結して、少なくとも1つの同族対を形成する事と;
    前記翻訳されたタンパク質または前記mRNA分子の特性に基づいて前記同族対のうちの1つもしくは複数を同定する事と;
    前記選択された同族対のmRNA分子、前記mRNA分子に相補的な核酸分子および前記mRNA分子に相同的な核酸分子のうちの1つまたは複数からなる群から選択された分子を同定することによって、前記所望のタンパク質または前記所望の核酸分子を同定する事と、
    を含む、所望のタンパク質または核酸分子の同定方法。
  29. 少なくとも2つの候補mRNA分子であって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つがストップコドンおよび疑似ストップコドンからなる群から選択された少なくとも1つのコドンを含むもの、を提供する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つであって、架橋剤によってtRNA分子に結合しているもの、を前記tRNA分子を介してその対応する翻訳されたタンパク質と連結して、少なくとも1つの同族対を形成する事と;
    前記翻訳されたタンパク質または前記mRNA分子の特性に基づいて前記同族対のうちの1つもしくは複数を同定する事と;
    前記選択された同族対のmRNA分子、前記mRNA分子に相補的な核酸分子および前記mRNA分子に相同的な核酸分子のうちの1つまたは複数からなる群から選択された分子を同定することによって、前記所望のタンパク質または前記所望の核酸分子を同定する事と;
    核酸が事前に決定された位置に配置された核酸アレイを提供する事と;
    前記同族対のうちの少なくとも1つを前記アレイ上にハイブリダイズさせる事と;
    前記同族対のうちの前記少なくとも1つを1つまたは複数の結合因子と反応させる事と;
    前記1つまたは複数の結合因子に対する反応または反応を欠くことに基づいて前記所望の核酸分子を選択する事と、
    を含む、所望のタンパク質または核酸分子の同定および選択方法。
  30. 少なくとも2つの候補mRNA分子であって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つがストップコドンおよび疑似ストップコドンからなる群から選択された少なくとも1つのコドンを含むもの、を提供する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つであって、tRNA分子と結合しており、前記tRNA分子はリボソームと結合し、ペプチド鎖を受容し、かつ、次のペプチド転移においてドナーとして働かない部分を含み、前記部分が3’デオキシアデノシン上の2’エステル、アミノアシルtRNAox-redおよびピューロマイシンのうちの1つまたは複数からなる群から選択されるもの、をtRNA分子を介してその対応する翻訳されたタンパク質と連結して、少なくとも1つの同族対を形成する事と;
    前記翻訳されたタンパク質または前記mRNA分子の特性に基づいて前記同族対のうちの1つもしくは複数を同定する事と;
    前記選択された同族対のmRNA分子、前記mRNA分子に相補的な核酸分子および前記mRNA分子に相同的な核酸分子のうちの1つまたは複数からなる群から選択された分子を同定することによって、前記所望のタンパク質または前記所望の核酸分子を同定する事と、
    を含む、所望のタンパク質または核酸分子の同定方法。
  31. 少なくとも2つの候補mRNA分子あって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つがストップコドンおよび疑似ストップコドンからなる群から選択された少なくとも1つのコドンを含むもの、を提供する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳することであって、前記翻訳がin situで行われること、により少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つであって、tRNA分子と結合しているものを、前記tRNA分子を介してその対応する翻訳されたタンパク質と連結して、少なくとも1つの同族対を形成する事と;
    前記翻訳されたタンパク質または前記mRNA分子の特性に基づいて前記同族対のうちの1つもしくは複数を同定する事と;
    前記選択された同族対のmRNA分子、前記mRNA分子に相補的な核酸分子および前記mRNA分子に相同的な核酸分子のうちの1つまたは複数からなる群から選択された分子を同定することによって、前記所望のタンパク質または前記所望の核酸分子を同定する事と、
    を含む、所望のタンパク質または核酸分子の同定方法。
  32. 少なくとも2つの候補mRNA分子であって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つがストップコドンおよび疑似ストップコドンからなる群から選択された少なくとも1つのコドンを含むもの、を提供する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つであって、架橋剤によってtRNA分子と結合しているもの、を前記tRNA分子を介してその対応する翻訳されたタンパク質と連結して、少なくとも1つの同族対を形成する事と;
    前記翻訳されたタンパク質または前記mRNA分子の特性に基づいて前記同族対のうちの1つもしくは複数を同定する事と;
    前記選択された同族対のmRNA分子、前記mRNA分子に相補的な核酸分子および前記mRNA分子に相同的な核酸分子のうちの1つまたは複数からなる群から選択された分子を同定することによって、前記所望のタンパク質または前記所望の核酸分子を同定する事と;
    複数の同族対を提供し、前記複数の同族対のうちの少なくとも1つを1つまたは複数の結合因子と結合させる事と;
    前記1つまたは複数の結合因子に対する反応または反応を欠くことに基づいて前記所望のまたはタンパク質核酸分子を選択することで第1の所望の同族対を選択する事と;
    前記第1の所望の同族対を回収して、回収した同族対を生成する事と;
    前記回収した同族対の第1の核酸成分を増幅する事と;
    1つまたは複数の変異を有する前記第1の核酸成分を含む、第2の核酸成分を生成する事と;
    前記第2の核酸成分を翻訳することによって第2のタンパク質を生成する事と;
    前記第2のタンパク質を前記第2の核酸成分と連結させて第2の所望の同族対を生成する事と;
    少なくとも1つの所望の特性に基づいて前記第2の所望の同族対を再選択することによって前記所望のタンパク質配列を得る事と、
    を含む、所望のタンパク質配列を進化させる方法。
  33. 前記第1の所望の同族対を選択するステップが、
    所望の結合特徴を有する第1のリガンドを提供する事と;
    前記第1の同族対のうちの1つまたは複数を前記第1のリガンドと接触させて、結合していない複合体および結合した複合体を生成する事と;
    前記結合した複合体または前記結合していない複合体のどちらかを回収する事と;
    前記回収した複合体の少なくとも1つの核酸成分を増幅する事と;
    前記回収した複合体の前記核酸成分の配列に変異を導入する事と;
    前記核酸成分から1つまたは複数の第2のタンパク質を翻訳する事と、:
    前記第2のタンパク質のうちの少なくとも1つを前記第2の核酸成分のうちの少なくとも1つと連結させて、1つまたは複数の第2の同族対を生成する事と;
    前記第2の同族対のうちの前記少なくとも1つを、少なくとも1つの第2のリガンドであって、前記第1のリガンドと同じまたは異なるもの、と接触させて、前記第2の同族対のうちの1つまたは複数を選択することにより前記所望のタンパク質配列を得る事と、
    を含む、請求項32に記載の方法。
  34. 第1の核酸および第2の核酸であって、前記第1の核酸および前記第2の核酸は実質的に互いに相補的であり、前記第1の核酸は1つまたは複数のウリジンモノ付加体標的物を含み、前記第2の核酸が少なくとも1つの疑似ウリジンを含むもの、を提供する事と、
    ソラレンの存在下で前記第1の核酸と前記第2の核酸とをハイブリダイズさせてハイブリッドを形成する事と;
    前記ハイブリッドを紫外光で照射して前記第1の核酸上に前記ソラレンモノ付加体を形成する事と、
    を含む、核酸上にソラレンモノ付加体を形成する方法。
  35. 第1の核酸および第2の核酸であって、前記第1の核酸および前記第2の核酸は実質的に互いに相補的であり、前記第1の核酸は1つもしくは複数のウリジンモノ付加体標的物または架橋結合標的物ならびに1つもしくは複数のウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物を含み、前記ウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物は1つまたは複数の疑似ウリジンで置き換えることができるもの、を提供する事と;
    前記ウリジンモノ付加体非標的物または架橋結合非標的物のうちの1つもしくは複数を疑似ウリジンで置き換える事と;
    ソラレンの存在下で前記第1の核酸と前記第2の核酸とをハイブリダイズさせてハイブリッドを形成する事と;
    前記ハイブリッドを照射することによって、前記非標的物を保護しながら、前記第1の核酸上の前記標的上に前記ソラレンモノ付加体または前記架橋結合を形成する事と、
    を含む、ソラレンモノ付加体または架橋結合の生成方法。
  36. 少なくとも2つの候補mRNA分子であって、前記mRNA分子のうちの少なくとも1つがストップコドンおよび疑似ストップコドンからなる群から選択された少なくとも1つのコドンを含むもの、を提供する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも2つを翻訳して、少なくとも1つの翻訳されたタンパク質を生成する事と;
    前記候補mRNA分子のうちの少なくとも1つであって、架橋剤によってtRNA分子に結合しているもの、を前記tRNA分子を介してその対応する翻訳されたタンパク質と連結して、少なくとも1つの同族対を形成する事と;
    前記翻訳されたタンパク質または前記mRNA分子の特性に基づいて前記同族対のうちの1つもしくは複数を同定する事と;
    前記選択された同族対のmRNA分子、前記mRNA分子に相補的な核酸分子および前記mRNA分子に相同的な核酸分子のうちの1つまたは複数からなる群から選択された分子を同定することによって、前記所望のタンパク質または前記所望の核酸分子を同定する事と;
    複数の同族対を提供し、前記複数の同族対を1つまたは複数の結合因子と結合する事と;
    前記1つまたは複数の結合因子に対する反応または反応を欠くことに基づいて前記所望のタンパク質または核酸分子を選択する事と、
    を含む、所望のタンパク質または核酸分子の同定および選択方法。
  37. 請求項14に記載の方法によって産生したワクチン。
  38. 主要組織適合複合体クラスII(MHC−II)の配列をランダムmRNAライブラリのcDNAに付加させることにより、適切なT細胞の応答および最終的にはB細胞の応答を可能にする、MHC−II結合配列とする事と、
    前記ライブラリを転写および翻訳することによって、その同族mRNAに対応するタンパク質を生成する事と;
    前記タンパク質を前記同族mRNAと連結させる事と;
    「S」エピトープに特異的なプローブであって、SPR膜に化学的に連結されているもの、を用いて前記ライブラリから1つまたは複数の所望のタンパク質を選択する事と;
    抗S抗体に対して高い親和性を有するタンパク質を選択する事と、
    を含む、SARSワクチンの産生方法。
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