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Description
本発明は、請求項1の公知部に記載されているようなガスケットおよび少なくとも1つのガスケットを含む請求項12の公知部に記載されているようなバイポーラ電池に関する。また本発明は、請求項28の公知部に記載されているようなバイポーラ電池の製造方法に関する。
バイポーラ電池は、その電池内の隣接するセル間の電気相互接続を行うバイプレートと呼ばれる導電性バイポーラ層と、セル間のパーティションとを含む構造を有する。バイポーラ電池を有効に利用するためにはバイプレートは、セルからセルへ電流を送るための充分な導電性を有し、セルが使用される環境において化学的に安定し、電極と良好に接触し、かつ、その接触状態を維持し、電気的に絶縁することが可能であり、セル内の電解質を収容するためにセルの境界の周囲で密閉性を有さなければならない。
これらの必要事項は、電池の内側にガスを発生させる充電電位(chargingpotential)によって充電式電池では、そして電解質のクリープ性によってアルカリ電池では達成するのが特に困難である。そしてこれらの特性を上手く組み合わせることは非常に困難であると証明されている。充電式電池をメインテナンスフリーで作動させるためには電池を密閉した状態で作動させる必要がある。しかしながら、密閉式に設計されたバイポーラ電池は、電池の作動中に発生するガスによる汚染に対して構造的に弱い平坦な電極とセルを積み重ねた構造を利用している。安定した作動のためには、このような密閉構造では充電中に発生するガスをセル内で化学的に再結合させる必要がある。このガスによる圧力−汚染要件は、安定したバイポーラ電池を設計する上での新たな課題となっている。
交通、通信、医療および電動工具の分野における要求によって、既存の電池では満たすことのできない仕様が必要とされている。これらの要求は、長いサイクル寿命および迅速且つ効率的な充電である。
NiMHシステムは、ライフサイクルの要件を満たす選択肢として注目されているが、既存の組み立て方法ではコストが非常に高くなる。
下記特許文献1にはバイプレート(導電性サポート/セパレーター)に開口部を設けることによって形成された共通のガスチャンバーを有するバイポーラ電池が開示されている。またこの開口部には電解質が開口部を通過するのを防ぐための疎水性バリアーが設けられている。これによりセル間の差圧の問題は、解決されるが、上述の電池の不利な点は、まだ解決されずに残っている。各バイプレートの縁部の外周囲は、流体密封されなければならないが、これを行うのは非常に困難である。外周囲が流体密封されていないと、電極間のセパレーターおよび電極に含まれる電解質が1つのセルから別のセルへと移動してしまう。
米国特許第5,344,723号
本願出願人による下記特許文献2では、疎水性バリアーをバイプレートの開口部の周囲ではなく電極の周囲に設けるという上記特許文献1とは異なる解決策を提案している。またケースの内側で圧力が増加し過ぎるのを防ぐために圧力逃しバルブが設けられている。しかしながら、この種のバイポーラ電池の製造は、コストがかかり、したがって、構成部材の数が少なく、複雑な製造工程を必要としないで製造可能なバイポーラ電池が望まれている。
国際公開第WO03/026042A1号
本発明の目的は、バイポーラ電池の製造を簡単にするガスケットを提供することである。
この目的は、請求項1の特徴部に記載された特徴を有するガスケットによって達成される。
さらに本発明は、簡単に製造できるバイポーラ電池を提供することを目的としている。
この目的は、請求項12の特徴部に記載された特徴を有するバイポーラ電池によって達成される。
さらに本発明は、上記ガスケットを使用して従来の方法と比較してより簡単なバイポーラ電池の製造方法を提供することを目的としている。
この目的は、請求項28の特徴部に記載された特徴を有する方法によって達成される。
本発明は、上記ガスケットが疎水性バリアーおよび耐圧シールとして作用し、電池内で共通のガス空間を形成する手段を提供するので、従来の電池と比較してより多くのエネルギーを電池内に蓄えることが可能であるという利点を有する。この利点によって利用可能なスペースを効率よく利用することが可能になり、従来の電池と比較してより大きな電極を使用することができる。
さらに本発明には従来の装置と比較してコストおよび組み立てにおいてさらなる利点を供する。
本発明のさらなる目的および利点は、添付図面を参照した以下のバイポーラ電気化学電池およびバイプレート集合体の具体的な説明によって当業者に自明となる。
添付図面に示した異なる態様は、必ずしも縮尺または比率は合っていなく、異なる重要な特徴を示すために誇張されているものもある。
本発明のバイポーラ電池の重要な利点は、構造が簡単で、抵抗損失(resistancelosses)が小さいということである。また部材の数も少なく、エンドプレートと電極、セパレーター、電解質の好適な集合体と密封部材を有するバイプレートとだけから構成される。所望の電圧の電池は、必要な数のバイプレートを積層させることによって得ることができる。セルは、各バイプレートが導電性であり、電解質に対して不浸透性であるので、電池を重ねれば電気的に接続される。
各端部にあるターミナルによって電流はプレートに対して垂直に流れ、これにより均一な電流および電圧の配分が可能になる。電流の経路は、非常に短いので、電圧降下を著しく減じることができる。
バイポーラ電池は、部材の削減および製造工程により重量、容積および製造コストを著しく減少させることができる。
バイポーラ電池の重要な問題点は、バイポーラ電池内のセル間を確実に密封するということである。上記特許文献2と下記特許文献3−6は、この問題の解決策を開示しており、これら特許文献は、本願出願人によるものであり、その内容を本願明細書に引用したものとする。
国際公開第WO03/009413号
国際公開第WO03/026055号
未公開米国出願第10/434167号
未公開米国出願第10/434168号
セルの密封は、あらゆる種類の電池にとって極めて重要であり、バイポーラ電池も例外ではない。個々のセルは、活材(NiMH電池の場合、活材は、水酸化ニッケル陽極および金属水素化物水素貯蔵合金負極)と、セパレーターと、電解質とを含む。セパレーター中の電解質は、電極間のイオン輸送に必要であり、セパレーターは、電極間の電流フローの伝導に対する絶縁を供する。電池の寿命、重量および容積の点で最適な設計を行うにはガスの再結合を必要とする。
電池は、充電されると常にガスを発生する。電池の充電が完全に近くなるにつれてガスの量も増加し、完全に充電されると、ガスの量も最大になる。このように発生するガスは、主に酸素と水素である。
NiMHおよびNiCdなどのニッケル系のバイポーラ電池の場合、酸素は、陰極の可能な活材と比較的速く再結合する。通常、電池は、セルが過充電された際に発生する最初のガスが酸素になるように設計されている。これは次のような2つの作用を必要とする。
1)充電時に発生する最初のガスが確実に酸素になるように陰極活材を陽極活材より通常30%大きくする。
2)液スターブ電池(starved electrolyte battery)において、酸素が再結合する陽極から陰極へのガスの経路を設ける。このガス経路は、電極の孔内の電解質の量およびセパレーターを介して通過する電解質の量を調整することによって得られる。電極の全ての面は、イオン輸送のために電解質の薄膜で覆わなければならないが、この膜は、ガスがこの膜を介して拡散できるように充分薄くなければならず、活材層およびセパレーターを介してガスを通過させなければならない。
陰極は、過充電されると、水素を発生させる。ガス状の水素は、速く再結合しないので、セル内に圧力が溜まってしまう。酸素の再結合は、効果的に陰極が充電されるのと同じ速度で陰極を放電するので、陰極の過充電を防ぐことができる。
均一な圧力配分できるように設計されたバイポーラ電池とこのような活材の表面領域を組み合わせることによって迅速な再結合を行うことができる。説明を簡単にするために液スターブ(starvedelectrolyte)電池は、自動車の鉛酸蓄電池のような液式電池に対して実施的には湿っているが、ウェット構造ではないものとして定義する。
バイポーラ構造では活材に亘る電圧降下を確実に全ての面において均一にすることができ、したがって電極全体が同時に完全に充電される。これにより電極のある部分が過充電され、ガスを発生し、その他の領域(過充電される部分と離れた)が完全に充電されないという従来の電池の重要な問題を克服することができる。
通常の電池のセルは、セルを適正に機能させる、および電解質の通過、即ち隣接するセル間の連続的なイオン伝導を防ぐために電解質を密閉状態で収容する。セル間に電解質の経路が存在することによって電解質を介して接続したセルがその経路の抵抗(経路の長さおよび断面積)によって決まる速度で放電する。バイポーラ電池の密封は、電解質経路が電位的に短くなるのでより重要である。本発明の重要な特徴は、あらゆる可能性のあるイオン伝導経路の伝導性を最小限にする、または除去するために電解質バリアーと一体化されたガスケットを使用することである。またセルの作動によって発生する熱の量も考慮する。発生する熱の量に応じて熱を除去し、安全な作動温度を維持するように設計しなければならない。
電解質経路がセル間に発生した場合、セル間の小さな漏れは、電池の周期的なフル充電によって克服することができる。電池は、一定の量を低速で過充電してもよい。このように低速で過充電することによりフル充電されたセルは、圧力を発生させずにガスを再結合させ、再結合/過充電からの熱を分散させる。セル間の小さな漏れ経路を有するセルは、バランスが取れるようになる。
電池は、その有用な機能を達成するためにフル充電される必要は殆どない。電池は、通常、いくぶん過剰な仕様に設定され、大きめに設計される。作動に50AH(アンペア時)を必要とする場合、電池は、通常、少なくともそれより10%高い能力を供するように仕様が決められる。電池は、その寿命に亘り能力を失うので、新しい電池のキャパシティーは、その損失を見込んで増加され、この例では新しい電池では70AHとなっている。製造者は、製造工程の種々の変化に対応できるように75AHを中間の設計目標にする場合もある。このように大きめに設計するのは、殆ど過充電によって生じる寿命によるキャパシティーの低下を補うためのものである。
この新規なバイポーラ電池の基本的な特徴は、電池内に共通のガス用のスペースを供することである。バイポーラ電池の全てのセルに共通なこのようなガススペースを形成するための手段は、所定の形状を有するガスケットから構成される。このガスケットは、後述するように隣接するバイプレートおよび/またはバイプレートとエンドプレートとの間に配される。好ましくはガスケットは、圧力を受けてバイプレートと共に密封する熱可塑性エラストマー化合物で製せられる。1つ以上のガスチャネルがガスの漏れ経路を確保するためにフレーム内にモールドされる。図7を参照して後述するように、いくつかのガスケットを積み重ねる場合、共通のガススペースが形成され、バイポーラ電池のセル間の差圧を除去することができる。
図1は、本発明によるガスケット10の第1の態様を示す。ガスケット10は、シール部材としても機能するようにエラストマーまたはその他の変形した際に連続的に密封する材料などの変形可能な疎水性材料で製せられている。このガスケットは、弾性を有するのが好ましく、好適な材料は、熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーは、いくつかの製造会社から入手可能であり、例えばデュポンダウエラストマー社(DupontDow Elastomers)から入手可能なエンゲージ(Engage、登録商標)8407、ジーエルエス社(GLSCorp.)から入手可能なダイナフレックス(DYNAFLEX、登録商標)G2780−001またはクラトンポリマー社(KratonPolymers)より入手可能なクラトン(KRATON、登録商標)G−7705などが挙げられる。ガスケットは、所望の大きさおよび形状に射出成形されたものであることが好ましい。
ガスケット10には上側の縁部にリム11が設けられており、反対側にこれに対応する窪み12が設けられている。リム11と窪み12は、図7に示すようにガスケットが電池内で互いに積み重ねられた際にガスケットを整列させる役割りを果たす。さらにリムは、バイプレートをガスケットに対して整列させる役割りを果たす。またガスケットには貫通孔13と、バイプレートがガスケット10に取り付けられた際にガスケットの内側のスペースにこの貫通孔13を接続するための溝14が設けられている。この貫通孔13と溝14は、電池の隣接するセル間のガスチャネルを提供し、ガスケットの疎水特性によって電解質が隣接するセル間のイオン伝導経路を形成するのを防ぐことができる。したがって、ガスケットをもうけることには、次の4つの目的がある。
1)電解質がバイポーラ電池内の隣接するセル間のイオン伝導経路(漏れ)を形成するのを防ぐ、
2)バイポーラ電池内に共通のガススペースを形成するために隣接するセル間にガスチャネルを提供する、
3)バイポーラ電池内のセルのために外方耐圧密封を提供する、
4)バイプレート間およびバイプレートとエンドプレート間で電気的な絶縁支持構造体を提供する。
1)電解質がバイポーラ電池内の隣接するセル間のイオン伝導経路(漏れ)を形成するのを防ぐ、
2)バイポーラ電池内に共通のガススペースを形成するために隣接するセル間にガスチャネルを提供する、
3)バイポーラ電池内のセルのために外方耐圧密封を提供する、
4)バイプレート間およびバイプレートとエンドプレート間で電気的な絶縁支持構造体を提供する。
図2aは、図1のガスケットのA−A線に沿った断面図であり、図2bは、図1のガスケットのB−B線に沿った断面図である。第2ガスケット10’を示すことによってリム11が電池に取り付けられる際にどのように窪み12に受けられるかを例示している。
組み立てられたバイポーラ電池におけるバイプレート15の位置を示すためにバイプレート15を図1、2aおよび2bに破線で示した。バイプレートは、共通のガススペースを供するために貫通孔13を塞がないようにしなければならないが、溝14の一部をセル間の電解質の漏れを防ぐためにバイプレート15によって覆わなければならない。ガスケットの孔に整列した孔を有するバイプレートをここで挙げた目的を達成するために採用してもよい。
図3は、本発明によるガスケット20の第2の態様を部分的に示している。ガスケット20には上述のようにリム11とそれに対応する窪み12が設けられている。またガスケット20には2つのやや小さめの貫通孔21が設けられており、これら貫通孔は、図1を参照して説明したようにガスケットの内側のスペースに貫通孔21を接続するための溝22を有している。またここでも組み立てられたバイポーラ電池におけるバイプレート15の位置を示すためにバイプレート15を破線で示した。電池の組み立ての際にバイプレート同士がずれないように突起状の案内手段23がガスケット20上に設けられている。この突起状案内手段は、各セルのバイプレートの近傍の2つの貫通孔の間に通路が形成されるように設計されると有利である。
この態様では突起状案内手段は、バイプレートからリムへと伸びないように形成されている。
図4aは、図3のA−A線に沿った断面図であり、図4bは、図3のB−B線に沿った断面図である。第2ガスケット20’を示すことによってリム11が電池に取り付けられる際にどのように窪み12に受けられるかを例示している。
図5は、本発明によるガスケット30の第3の態様を部分的に示している。ガスケット30には上述のようにリム11とそれに対応する窪み12が設けられている。またガスケット30には5つのやや小さめの貫通孔31が設けられており、これら貫通孔は、図1を参照して説明したようにガスケットの内側のスペースに貫通孔31を接続するための溝32を有している。またここでも組み立てられたバイポーラ電池におけるバイプレート15の位置を示すためにバイプレート15を破線で示した。電池の組み立ての際にバイプレート同士がずれないように突起状の案内手段33がガスケット30上に設けられている。この突起状案内手段は、各セルのバイプレートの近傍の5つの貫通孔の間に通路が形成されるように設計されると有利である。この態様では突起状案内手段は、バイプレートの厚さより小さい厚みを有する。
図6aは、図5のA−A線に沿った断面図であり、図6bは、図5のB−B線に沿った断面図である。第2ガスケット30’を示すことによってリム11が電池に取り付けられる際にどのように窪み12に受けられるかを例示している。
エンドプレートを良好に密封するためにエンドプレートと接触するガスケットの設計を変更すると有利であるが、必ずしもそうする必要はない。エンドプレートは、バイプレートと異なる大きさを有する場合があり、ガスケットはその異なる大きさに一致させる必要がある。
図7は、5つのセルを有するバイポーラ電池40の断面を示している。この電池は、陰極を有する陰極エンドプレート41と、陽極を有する陽極エンドプレート42とを含んでいる。陰極43と、バイプレート15と陽極44とを含む4つのバイプレート集合体は、2つの端部ターミナルの間に挟まれた状態で順次積層されている。セパレーター45がセルを構成する各隣接する陰極と陽極との間に配されており、さらにこのセパレーター45は、電解質を含み、所定の割合のガス経路、約5%のガス経路が液スターブ電池では典型的な値である、を含む。
図1を参照して説明したようにガスケット10は、隣接するバイプレートおよび/またはバイプレートとエンドプレートとの間に設けられている。図中、矢印46で示すようにガスは、1つのセルから別のセルへと流れ、これにより全てのセルがガスケットのガス通路を介して共通のガススペースを共有する。セル内の1つの電極がその他の電極より前にガスを発生させた場合、その圧力は、共通のガススペース全体を介して配分される。ガスは、セルから溝14を介して、さらに第1ガスケットの貫通孔13を介して第2ガスケットの溝14へと移動し、次のセル内へと流れる。
共通のスペース内の圧力が所定の値を超えた場合、圧力逃しバルブ47が開き、共通のガススペースを外部と接続する。圧力逃しバルブ47は、エンドプレートの1つを介して、この例では陰極エンドプレート41に配され、貫通接続部48を含む。別の態様では貫通接続部48をエンドプレート41に一体に形成してもよい。圧力逃しバルブおよび貫通接続部の好ましい態様は、図14、15a、bおよび16を参照して説明する。
さらにセルの内側の実際の圧力を測定するために圧力センサー(図示せず)をエンドプレートの1つに設けてもよい。ケース49は、絶縁性材料で形成されるのが好ましいが、導電性材料で形成してもよい。各フレームは、絶縁性材料で形成されるのが好ましく、各バイプレート15と導電性ケースとの間を確実に絶縁するように設計される。ガスケット10には凹部50が設けられており、そこでバイプレートと陽極エンドプレート42が製造時に配置され、矢印51で示すように圧力を加えることによって作動中、保持される。凹部50は、ガスケットの窪み12とリム11が組み合わさった際に形成される2つのガスケットの間のスペースである。
圧力は、ネジなどのなんらかの締結手段によって蓋52をケース49に固定することによって維持され、この圧力によって各セルがガスケットの圧縮された際の高さにほぼ等しい所定の幅を有する。
これとは別に蓋52を電池のケースの構造および電池の用途に応じてクリンピング、締まりばめ、エポキシ、ヒートシールまたは溶媒などの他の標準的な手段によって所定の位置に固定してもよい。
ガスケット自体は、電池を耐圧密封するので、ガスケット10の外側とケース49の内側との間にスペースがあってもよい。蓋52を有するケース49は、ガスケットとバイプレートそして陽極エンドプレートと陰極エンドプレートとの間を耐圧密封するために必要な圧力を発生させるという実践的な解決策を提供する。
圧力逃しバルブおよび圧力センサーは、当業者に容易に入手可能であるので、ここでは詳しく説明しない。
各エンドプレートにはターミナルコネクターが設けられている。ターミナルコネクターは、ターミナル貫通接続部54を含み、この貫通接続部は、プレス嵌めによってケース49に固定されるのが好ましい。各ターミナル貫通接続部54は、良好な電気接続を得るために各エンドプレート41、42にはんだ付け、のりづけ、溶接などによって取り付けられる。この態様ではターミナル貫通接続部の内部にはねじ山が設けられている。ネジ55を用いて電池にあらゆるタイプのターミナルコネクターを取り付けてもよい。
図7の例では陰極エンドプレート41がバイポーラ電池の下方位置に配されているが、これは必須の要件ではない。この電池の陰極および陽極端部位置は、電池内の全ての陰極および陽極を入れ替えることによって逆にすることも可能である。それでも電池の機能は、同じである。
図8は、調節自在なターミナルコネクター60が設けられた本発明による電池40の斜視図を示している。ターミナルコネクター60は、ネジ55を用いてターミナル貫通接続部54を介して電池の各エンドプレートに取り付けられる。各ターミナルコネクターは、電池の短辺側または長辺側のどちらに向けてもよい。「P」(陽極ターミナル)と印が付せられたターミナルコネクターは、電池の短辺側に向けられ、このコネクター60は、その遠端61がネジ55によってターミナル貫通接続部54に固定される際に電池のケース49に配された溝62内に挿入されるように曲げられている。これによりターミナルコネクターは、ケースに固定される。
「N」(陰極ターミナル)と印が付せられた第2ターミナルコネクターは、この図では電池の長辺側に向けられ、同じようにケース49に固定されている。各ターミナルコネクターは、矢印63で示すように別の位置へ回転させてもよい。
さらにターミナルコネクターを短絡させずに電池をより接近して積み重ねられるように破線64で示したようにケースに窪みを設けることによってケース内にターミナルコネクターを埋め込むことも可能である。またターミナルコネクターに例えば陽極ターミナルコネクターには赤色の、そして陰極ターミナルコネクターに黒色の絶縁材料を塗布して設けてもよい。ケースの各側の溝62の位置は、バスバー接続を容易に使用できるようにオフセットされているのが好ましい。
図9a−9cは、バイポーラ電池を真空充填するための3つの異なる装置を示している。通常、Ni−MH電池がバイポーラ電池の組み立ての際に充填され、したがって、当然この種の電池でも行われるが、完成した電池内に電解質を導入するための真空充填技術を使用することも可能である。
図9aは、第1の充填装置70を示し、この装置ではバイポーラ電池40が電解質(例えば、6MKOH)の入ったビーカー72と共に真空チャンバー内に入れられている。好ましくは可撓性の管73が圧力逃しバルブ47の貫通接続部48に取り付けられている。真空パイプ74が真空チャンバー71に接続され、そこから2つに枝分かれし、その一方には真空ポンプPと直列した第1バルブV1が設けられ、もう一方には第2バルブV2が設けられている。
電池の真空充填は、次の工程からなる。
1)バルブV1を開放し、ポンプPによって真空チャンバー71内の空気を抜く。電池40の内側の空気も管73を介して抜かれ、これは電解質の泡で確認することができる。
2)真空チャンバー71内で所望の減圧が得られたらバルブV1を閉じる。
3)真空チャンバー内に周囲空気を流入させることによって真空チャンバー71の圧力を増加させるためにバルブV2を開放する。チャンバー内の圧力が増加することによって電解質を電池内に押し込み、徐々に電池内のセパレーターおよび空隙を電解質で満たす。電解質は、毛管力によって電池内に吸い込まれる。
1)バルブV1を開放し、ポンプPによって真空チャンバー71内の空気を抜く。電池40の内側の空気も管73を介して抜かれ、これは電解質の泡で確認することができる。
2)真空チャンバー71内で所望の減圧が得られたらバルブV1を閉じる。
3)真空チャンバー内に周囲空気を流入させることによって真空チャンバー71の圧力を増加させるためにバルブV2を開放する。チャンバー内の圧力が増加することによって電解質を電池内に押し込み、徐々に電池内のセパレーターおよび空隙を電解質で満たす。電解質は、毛管力によって電池内に吸い込まれる。
図9bは、第2の充填装置80を示し、この装置でもバイポーラ電池40が電解質(例えば、6MKOH)の入ったビーカー72と共に真空チャンバー71内に入れられている。好ましくは可撓性の管73が圧力逃しバルブ47の貫通接続部48に取り付けられている。共通のガススペースへの第2開口部81が電池のケースに設けられている。この開口部は、電解質が電池内に導入された後、圧力センサーを取り付けるために使用することも可能である。真空パイプ74が真空チャンバー71に接続されており、バルブV1が減圧ポンプPと直列に配されている。
バルブV1が開放され、減圧ポンプPが真空チャンバー71内の圧力を減少させている間、空気は、開口部81を介して電池40から抜き取られる。空気が電池から抜き取られると、電解質がビーカーから管73および圧力逃しバルブ47の貫通接続部48を介して導入される。バルブV1は、電池に充分な電解質が導入されると閉じられる。真空チャンバー71は通気され、電解質で満たされた電池を取り除くことができる。
図9cは、真空チャンバーを含まない第3の充填装置90を示している。いくつかの電池40の圧力逃しバルブ47の貫通接続部48が共通のマニフォルド91に接続される。マニフォルド91は、減圧ポンプPに直列に配された第1バルブV1に接続されている。管92(またはパイプ)は、電解質で満たされた容器93に浸されている。管92は、第2バルブV2を介してマニフォルドに接続されている。この装置は、次のように作動する。バルブV1が開放されると、ポンプが全ての電池40内の空気を抜き取る。充分低い圧力が得られるとバルブV1は閉じられる。その後バルブV2が開放され、電解質がマニフォルドを介して全ての電池40に分配される。電解質は、毛管力によって各電池内に分配される。
バイポーラ電池を製造するための方法を図10、11、12および13を参照して説明する。
図10に示す第1のフローチャートは、図7を参照して説明したバイポーラ電池に電解質が入れられるまでの製造工程を示している。このフローは、ステップ101で開始し、ステップ102と103で同時に進行する。ステップ102では圧力逃しバルブ47の貫通接続部48が第1エンドプレート41に取り付けられ、ステップ103ではターミナル貫通接続部54が非導電性ケース49に取り付けられる。
圧力逃しバルブの貫通接続部48が取り付けられた第1エンドプレート41は、ステップ104でターミナル貫通接続部54が設けられたケース49に取り付けられる。その後ターミナル貫通接続部54は、上述のいずれかの方法を用いて、ステップ105で第1のエンドプレート41に取り付けられる。
必要な数の電池セルMがステップ106で選択され、カウンターがゼロにセットされる、K=0。ステップ107でカウンターは、1つずつ増加し、k=k+1、フローは、ステップ108へと進み、そこで「k」個のセルが組み立てられる、即ち図1−6を参照して説明したようにガスケット10、20、30がエンドプレート41の縁部でケース49の内側に取り付けられ、第1電極43がその第1のエンドプレート41の上でガスケット内に配置され、その後1つ以上のセパレーター45が第1電極43の上に配され、そして第2電極44がセパレーターの上に配置される。これとは別にガスケットを電極およびセパレーターがケース49内に取り付けられた後、取り付けてもよい。
フローは、ステップ109へと進み、そこで選択された数Mのセルが製造されたかどうかを判断する。もし答えが「No」であれば、フローは、バイプレートがガスケットの上に取り付けられるステップ110を介して111のポイントに戻る。フローは、選択された数のセルが製せられるまでステップ108および109を繰り返す。
k=Mになると、フローは、ステップ112へと進み、そこでケース49の蓋52にターミナル貫通接続部54が設けられ、第2エンドプレート42が蓋52に取り付けられる。ターミナル貫通接続部54は、上述の方法のいずれかを使用してステップ113で第2エンドプレート42に取り付けられる。
蓋52は、ステップ114でケースに取り付けられ、図7を参照して説明したようにステップ115で圧力が蓋52に51の方向から加えられる。これにより電解質の入っていない所謂ドライバイポーラ電池がステップ116で完成する。
選択された数の電池セルを形成するために電池を構成する部材を積み重ねていく方法は、当然のことながら、種々の方法で行うことが可能である。例えば、バイプレートの第1の面に取り付けられた第1電極と、バイプレートの第1の面の裏になる第2の面に取り付けられた第2電極とを含むバイプレート集合体を製し、そこでセパレーター材料が図10に開示したバイプレートの代わりにフィードバックループ(feedback loop)で加えられる。また各セルの材料を予め製造し、各セルを電池の組立工程時に積層させることも可能である。
図11は、図10のステップ116で得られた電解質の入っていない、ドライ電池から機能性を有する電池を製する工程を説明するフローチャートである。フローは、ステップ116から始まり、ステップ117へと進み、そこで電池に電解質が充填される。充填方法については図12を参照して具体的に説明する。
その後、電池の通常の作動のための初期設定を行う形成工程(formation procedure)がステップ118で行われる。この形成工程については図13を参照して具体的に説明する。
形成工程が終了すると、蓋52がステップ119でケース49に固定され、蓋に加えられていた圧力が解除される。当然のことながら最初に圧力を解除し、その後蓋52をケース49に再度押圧し、圧力を解除することも可能である。これとは別にドライ電池の組み立て工程のステップ115および116の間で蓋を固定してもよい。
圧力逃しバルブの取り付けは、ステップ120で完成し、必要に応じてステップ122の出荷工程前にステップ121でサイクル(cycled)してもよい。
電解質の充填は、ステップ108の各セルの組み立て時に行ってもよいが、製造の観点から図12に開示した充填工程の方がより簡単である。
ステップ117の電池の充填工程は、電解質容器72、93を電池40の注入口48、例えば圧力逃しバルブ47の貫通接続部48に接続する工程を含む(ステップ130参照)。
電池内の空気は、ステップ131で空気が抜かれる減圧チャンバー71に電池を置くことによって直接的または間接的に電池から抜き取られる。空気用のセパレーター出口81を利用することも可能であるが、電解質用の注入口48を抜き取り工程中の空気出口として使用してもよい。
図9a−9cに示した装置の形状に応じて空気が電池から抜かれた後、または空気を抜いている間にステップ132で電解質が電池40内に導入される。電解質は、毛管力を利用して電池40内部のセパレーター45に配分される。
ステップ133で電解質が充填された電池が得られる。
ステップ118の形成工程は、2つの段階からなり、最初の段階は、「ウェット」状態で電池の充電および放電サイクル(chargingand discharging cycles)である。ウェット状態は、ステップ140で電池の注入口48に液体供給部を取り付けることによって得られる。供給される液体は、水または電解質のいずれであってもよい。
その後少なくとも2回の充電/放電サイクルが「n」回、ステップ141で行われる。
次の段階は、ステップ142で注入口48から液体供給部を取り除き、その後ステップ143で過剰な電解質を電池40から抜くために所定の数の充電/放電サイクルを繰り返すことによって多少「ドライ」な状態で行われる。
これにより液スターブ電池が製せられる。
電池を充填する前に蓋を固定することも可能である。電池の形成を形成サイクル間で任意の第2充填によって行ってもよく、電気的なサイクリングの間、電池に液体を連続的に供給する必要はない。
電池を電解質で充填すると、電解質は、セパレーター、多孔性電極およびガスケットの周囲へと移動し、各電池セルが電解質で満たされる。
図14は、図7を参照して説明した電池に類似のバイポーラ電池149の部分断面図である。図7で説明した部材と同じものには同じ符号を付してある。エンドプレート41に最も近い電池セルの一部のみを示し、エンドプレート41とバイプレート15との間に配された端部ガスケット150は、圧力逃しバルブ156の一部である可撓性の貫通接続部151がこの端部ガスケット150の一体部材であるということを除いて上記のガスケットと同じように設計されている。
エンドプレート41には好ましくは可撓性の貫通接続部151の外寸より小さい開口部152が設けられており、これにより可撓性の貫通接続部151がこの開口部152内に導入された際、エンドプレート41と貫通接続部151間が封止される。ケース49には可撓性の貫通接続部151の外寸より大きい開口部153が設けられており、この開口部は、完成した圧力逃しバルブ156の好適な機能を維持するために必要となる。
バイポーラ電池内の共通のガススペースを外気に接続するチャネル154が可撓性貫通接続部の内側に存在し、このチャネル154の断面より大きい断面を有するピン155がこのチャネルに導入されると、共通のガススペースが外気から密閉される。スターワッシャー157のような固定手段をチャネル154にピン155を固定するのに使用するのが好ましい。
ピン155の断面積とチャネル154の断面積の比は、これらが特定の圧力で開く圧力逃しバルブとなるように選択される。圧力逃しバルブは、可撓性の貫通接続部151の壁を強制的にこの接続部とケース49の開口部153との間のスペース内に歪ませることによって共通のガススペース内の圧力が所定の圧力の閾値を超えた際に開放される。ギャップがチャネル154の内側とピン155の間に導入される。チャネルとピンの寸法を適宜選択して5psi未満から100psi超の範囲の圧力で作動する圧力逃しバルブを形成することも可能である。
図15aおよび15bは、圧力逃しバルブ160の第2の態様の部分断面図であり、図15aは、分解図であり、図15bは、同じ圧力逃しバルブ160の組み立てられた状態を示す。
エンドプレート41には好ましくは環状の開口部が設けられており、この開口部内にガスケット167の一体部材であってもよい可撓性貫通接続部151が挿入される。O−リングなどのシール部材161が可撓性貫通接続部の周囲に配され、これにより圧力逃しバルブが開いたときにケースとエンドプレートとの間の領域内に不要な電解質がクリープするのを防ぐためにケース49とエンドプレート41との間およびエンドプレート41とバイポーラ電池の内側との間を良好に密封する。凹部162がシール部材161を保持するためにケース49内で開口部の周囲に設けられており、この開口部163は、上述したように可撓性貫通接続部151の外側より大きい。少なくとも2本の可撓性延長部165が設けられたピン164は、可撓性貫通接続部151のチャネル154内に挿入されるように設計されており、可撓性の延長部165は、ピンが取り付けられたときに図15bに示すようにリム166に対してピン164を所定の位置に保持するように設計されている。
矢印168は、バイポーラ電池内の圧力が高くなって、圧力逃しバルブ160が開くときに可撓性貫通接続部がどのように撓むかを例示している。
図16は、組み立てられた圧力逃しバルブ170の第3の態様を示す。ケース49には凹部162に配された密閉部材161を有する図15aおよび15bに示したものと似た形状の開口部が設けられている。この例ではエンドプレート41には延伸された縁部(drawnedges)171を有する開口部が設けられている。この開口部は、最初にエンドプレートを打ち抜き、所望の3次元形状の開口部が得られるように縁部を延伸して形成してもよい。可撓性貫通接続部172の形状は、エンドプレート41の延伸開口部の形状にあうような形状であり、これにより電池内部とケース49との間で良好な密封特性が得られる。可撓性貫通接続部172の内側のチャネル154は、ピン164を保持するように設けられ、延長部165は、作動時にピンをリム166に対して所定の位置に保持するように構成されている。
圧力逃しバルブは、バイポーラ電池内に設けられた端部ガスケットと一体に形成されてもよいが、他の種類の電池に使用される別個の圧力逃しバルブとしてもよい。
圧力逃しバルブの可撓性貫通接続部を製するために選択される材料の種類およびチャネルの内方断面寸法とピンの断面寸法との比は、組み立てられた圧力逃しバルブの圧力閾値に影響を与える。
本明細書は、NiMHバイポーラ電池についてのみ開示しているが、ニッケルカドミウム(NiCd)バイポーラ電池またはニッケル亜鉛(NiZn)バイポーラ電池などのあらゆる種類のニッケル系バイポーラ電池を製する際に同じ技術が利用可能である。
添付の請求項に記載したガスケットは、NiMHバイポーラ電池だけに使用されるとは限らず、液スターブ構造のあらゆる種類のバイポーラ電池にも使用することが可能である。
Claims (39)
- 液スターブニッケル系バイポーラ電池(40、149)に使用され、電池に取り付けられた際に隣接するセル間に電解質の経路が形成されるのを防ぐ疎水性材料から形成され、少なくともバイプレート(15)を部分的に囲むように設計されたフレームと、ガスを通過させる手段(13、14、21、22、31、32)とを含むガスケット(10、20、30、150)において、バイポーラ電池に取り付けられた際にバイプレートを密閉するために変形可能な材料で形成され、電池の外方を耐圧密閉することができ、且つ、前記ガスを通過させる手段は、バイポーラ電池に取り付けられると、全てのセルに共通のガススペースを形成するよう構成され、バイポーラ電池のセル間の差圧を除去することができることを特徴とするガスケット。
- 電池に取り付けられた際に前記ガスを通過させる手段が隣接したセルを相互に接続する少なくとも1つのチャネルを含むことを特徴とする請求項1記載のガスケット。
- 各チャネルがガスケットの孔(13、21、31)を含み、この孔は、各セルの外方耐圧密閉された内側と連通していることを特徴とする請求項2記載のガスケット。
- バイポーラ電池の組み立て時にバイプレート(15)の位置を調整するための案内手段(11、23、33)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のガスケット。
- 前記案内手段が少なくとも1つの突起を含むことを特徴とする請求項4記載のガスケット。
- バイプレート(15)をガスケットに対して整列させる役割りを果たすリム(11)を含むことを特徴とする請求項4または5記載のガスケット。
- 電池に取り付けられた際に圧力逃しバルブ(156、160、170)の一部として機能する可撓性貫通接続部(151、172)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載のガスケット。
- 前記可撓性貫通接続部(151、172)が電池内のガススペースを外気と接続するチャネルを有していることを特徴とする請求項7記載のガスケット。
- 前記変形可能な材料が弾性を有することを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載のガスケット。
- 前記変形可能な材料が熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載のガスケット。
- 射出成形によって製せられることを特徴とする請求項10記載のガスケット。
- ケース(49)と、
陰極(43)と接触する陰極エンドプレート(41)と、
陽極(44)と接触する陽極エンドプレート(42)と、
前記陰極エンドプレート(41)と陽極エンドプレート(42)との間に挟まれるように配置された陰極(43)、バイプレート(15)および陽極(44)から構成される少なくとも1組の集合体と、
電池セルを形成する各陰極(43)と陽極(44)との間に配され、電解質を含む少なくとも1つのセパレーター(45)とを含む、少なくとも2つの電気化学セルを有する液スターブニッケル系バイポーラ電池(40、149)において、
1つのセルから他のセルへの電解質が移動するのを防ぐために疎水性材料から形成されたフレーム状のガスケット(10、20、30、150)が各バイプレート(15)の間および/またはバイプレート(15)とエンドプレート(41、42)との間に配され、
前記ガスケット(10、20、30、150)が各バイプレート(15)および各エンドプレート(41、42)を密閉するために変形可能な材料で形成され、これによりケース(49)内で電池を外方耐圧密封し、
さらに前記ガスケット(10、20、30、150)にはガスケットを介して隣接するセル間でガスを移動させるための手段(13、14、21、22、31、32)が設けられており、これにより電池の全てのセルのための共通のガススペースが形成され、バイポーラ電池のセル間の差圧を除去することを特徴とする電池。 - 前記ガスケットを介して前記ガスを通過させる手段が隣接したセルを相互に接続する少なくとも1つのチャネルを含むことを特徴とする請求項12記載の電池。
- 各チャネルがガスケットの孔(13、21、31)を含み、この孔は、各セルの外方耐圧密閉された内部と連通していることを特徴とする請求項13記載の電池。
- バイポーラ電池の組み立て時にバイプレート(15)の位置を調整するための案内手段(11、23、33)が設けられていることを特徴とする請求項12乃至14いずれか1項記載の電池。
- 前記案内手段が少なくとも1つの突起を含むことを特徴とする請求項15記載の電池。
- 前記ガスケットがリム(11)を含み、バイプレート(15)をガスケットに対して整列させる役割りを果たすことを特徴とする請求項15または16記載の電池。
- 圧力逃しバルブ(156、160、170)が少なくとも1つのエンドプレート(41)とケース(49)を介して設けられ、前記圧力逃しバルブは、これに設けられた開口部(153、163)の大きさより小さい可撓性貫通接続部(151、172)と、この貫通接続部のチャネルの大きさより大きいピン(155、164)とを含むことを特徴とする請求項12乃至17いずれか1項記載の電池。
- 前記可撓性貫通接続部(151、172)がエンドプレート(41)に隣接して配されたガスケット(150)と一体であることを特徴とする請求項18記載の電池。
- 前記ピン(155、164)が電池の作動中、固定手段(157、166)によって所定の位置に保持されることを特徴とする請求項18または19記載の電池。
- 前記固定手段がスターワッシャー(157)であることを特徴とする請求項20記載の電池。
- 前記ピン(164)に少なくとも1つの延長部(165)が設けられており、固定手段がリム(166)として形成されていることを特徴とする請求項20記載の電池。
- シール部材(161)がケース(49)の開口部(163)の周囲に設けられていることを特徴とする請求項18乃至22記載の電池。
- 前記変形可能な材料が弾性を有することを特徴とする請求項12乃至23いずれか1項記載の電池。
- 前記変形可能な材料が熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項12乃至23いずれか1項記載の電池。
- 射出成形によって製せられることを特徴とする請求項25記載の電池。
- NiMH、NiCdおよびNiZnからなる群から選択される種類の電池であることを特徴とする請求項12乃至26いずれか1項記載の電池。
- ケースの内側で陽極エンドプレートと陰極エンドプレートとの間に所望の数の電池セルを構成するために陽極と、セパレーターと、陰極と、バイプレートとを供する工程と、
陽極エンドプレートへのターミナル貫通接続部および陰極エンドプレートへのターミナル貫通接続部を供する工程と、
電池内に共通のガススペースを形成し、バイポーラ電池のセル間の差圧を除去するために各バイプレートの間および/またはバイプレートと各エンドプレートとの間に請求項1乃至9いずれか1項に記載のガスケットを供する工程と、
電池の外側から共通のガススペースへの経路を供する工程と、
電池を外方耐圧密閉し、隣接するセル間での電解質の移動を妨げるために陽極エンドプレートと陰極エンドプレートとの間に配された全てのガスケットを押圧する工程と、
セパレーターに電解質を充填する工程とを含むニッケル系液スターブバイポーラ電池の製造方法。 - さらにセパレーターが充填された後に少なくとも2回の充電および放電サイクルを含む形成工程を含むことを特徴とする請求項28記載の方法。
- 前記形成工程が
前記経路に取り付けられた液体供給部を使用して電池を充電および放電する工程と、
電気から過剰な液体を取り除くために前記経路に取り付けられた液体供給部を使用せずに電池を充電および放電する工程とを含むことを特徴とする請求項29記載の方法。 - 前記液体が水および/または電解質であることを特徴とする請求項30記載の方法。
- セパレーターを電解質で満たす前記工程が
電解質が入った容器を前記共通のガススペースへの経路に接続する工程と、
前記共通のガススペースから空気を排出する工程と、
前記共通のガススペース内に電解質を充填する工程と、
電解質を前記共通のガススペースから各セルへと移動させる工程とを含むことを特徴とする請求項28乃至31いずれか1項記載の方法。 - 電解質が前記共通のガススペース内に充填される前に空気が前記経路を介して共通のガススペースから抜き取られることを特徴とする請求項32記載の方法。
- 前記共通のガススペース内の空気が前記経路とは別の開口部によって排出され、電解質が排出中に共通のガススペース内に導入されることを特徴とする請求項32記載の方法。
- 陽極エンドプレートと陰極エンドプレートとそれぞれ接触した陽極ターミナルコネクターおよび陰極ターミナルコネクターが設けられていることを特徴とする請求項12乃至27いずれか1項記載の電池。
- 前記ターミナルコネクターが調節自在にケースに配されていることを特徴とする請求項35記載の電池。
- 各ターミナルコネクターの第1端部が各エンドプレートに取り付けられるように配され、この第1端部から離れた第2端部が電池のケースに固定されるように配されていることを特徴とする請求項36記載の電池。
- 各ターミナルコネクターがケースに固定された貫通接続部を介して各エンドプレートに取り付けられていることを特徴とする請求項37記載の電池。
- 各ターミナルコネクターの第2端部が曲げられ、その曲げられた部分をケースに設けられた1つ以上の溝の1つに挿入することによってケースに固定されることを特徴とする請求項37記載の電池。
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