JP2007511720A - 自己装着型（ｓｅｌｆ−ｒｉｖｅｔｉｎｇ）雄ファスナとパネルのアセンブリ - Google Patents

Abstract

軸部（２２）と、放射状フランジ（２６）と、その外径の６０％かそれ以下の軸長を有するチューブ状円筒部（２８）と、を備える熱処理された炭素鋼から成る雄ファスナ（２０）と、円筒部の末端開口部（４０）がＬ字型に変形され、パネル（７０）が放射状フランジによって、放射状フランジと、外側に変形された円筒部の末端（７４）との間に、内側に突き出た部分（７８）を有するＬ字型に変形される、ファスナとパネルのアセンブリ。

Description

本発明は、より高い強度と構造的な一体性を要する高性能用途向けの自己装着型、または自己取付型雄ファスナ、および、雄ファスナとパネルのアセンブリに関し、雄ファスナ（スタッドやボルトなど）は、パネルの開口によって受け入れられ、パネルへと装着（リベット留め）される、一体化されたチューブ状の円筒部分を備える。

本願関連分野における先行者の譲受人に譲渡された、米国特許第４，４５９，０７３号では、本発明で開示する自己貫通型、自己装着型の一般的な雄ファスナに関する初期の実施例、およびパネルに雄ファスナを取り付ける方法を開示している。この特許に示されているように、雄ファスナはねじ山の切られた軸部と、軸部と一体の放射状のフランジ部と、フランジ部と一体で、かつ軸部と同軸上に配置されたチューブ状の円筒部分を備える。雄ファスナはパネルに金型部または“金型ボタン”上でパネルを支持し、チューブ状の円筒部分の末端をパネルに打ち付け、パネルから金属片を打ち抜き、チューブ状の円筒部分の末端を放射状に外側に変形し、そして、放射状フランジ部と円筒部のＬ字型部分との間の、貫通されたパネル開口部の周辺のパネルを変形することで、パネルに取り付けられる。この自己貫通型雄ファスナ、およびパネルへの取り付け方法に関する実施例は商用的には失敗に終わった。ファスナとパネルのアセンブリの一体性が（引き抜きの強さに関しても）、不十分であり、パネル内のスタッドの回転を防止する手段も提供されていなかったためである。本願関連分野における先行者の譲受人に譲渡された、米国特許第４，９１５，５５８号および米国特許第５，０９２，７２４号は、商用的に成功した自己貫通型雄ファスナとその取り付け方法を開示している。そのファスナは軸部、放射状フランジ部、そしてチューブ状の円筒部を上述のように備えるが、チューブ状の円筒部分はその外径とほぼ同じ軸長を有しており、雄ファスナは、截頭円錐形の開口部と、環状の状放射状唇で截頭円錐形の面へと繋がる環状底面とを備える凹型の面を有したダイ部内で取り付けられる。チューブ状の軸部分の末端はダイ部上に支持されたパネルに打ち付けられ、パネルから金属片を打ち抜き、チューブ状の円筒部分の末端は、環状の凹型案内面にてＵ字型に変形される。このとき、貫通されたパネル開口部の周辺のパネルは金型部の環状の放射状唇によって内側に打ち付けられ、放射状フランジ部とＵ型の軸部との間にパネルが堅く圧縮される。この雄ファスナとその取り付け方法は商用的に成功したものの、雄ファスナとアセンブリの方法は、雄ファスナ要素が強度の高いスチールで構成される必要のある、乗用車のシートベルトを維持するスタッドへの適用など、高性能を要する用途や、２ミリ以上の厚みのパネルへの適用には適していなかった。米国特許第４，９１５，５５８号に開示されるように、Ｕ字型に変形される際に、円筒部分に、ひび割れが生じ、雄ファスナとパネルのアセンブリに関する一体性が貧弱となることが発見された。

この種の高性能用途向けファスナは改善されたトルク抵抗をも要する。本願の譲受人に譲渡された米国特許第６，１２２，８１６号は、本願が開示する種の雄ファスナを開示しており、円筒部の外面が截頭円錐形で、複数の弓状かつ放射状に内側に凹型の外面を周囲に有する放射状フランジ部を有している。これにより、パネルに取り付けられた際にトルク抵抗が改善される。この特許に開示される取り付け法では、放射状フランジ部がパネルに打ち付けられ、次いでパネルが弓状かつ放射状に内側に凹型の面に向かって変形されることで、トルク抵抗を提供する。本願譲受人に譲渡された同時継続中の米国特許出願第１０／２７１，４８０号（２００２年１０月１６日出願）では、本願で開示される種の雄ファスナ要素が開示されており、その放射状フランジ部の外面は、取り付け時にパネルに打ち付けられる、複数の放射状の突起、または歯を周囲に広がって備えており、より大きなトルク抵抗を提供する。

しかしながら、特に高性能用途向けに、上述の種の自己装着型雄ファスナ、またはスタッド、が依然必要とされている（この場合スタッドは強度の高いスチールから構成される）。本発明の自己装着型雄ファスナおよびその取り付け方法は、特に高性能用途向けであり、このときスタッドは、取り付け時に円筒部のひび割れを防ぐ強度の高いスチールから構成されている。これにより、安全性関連の用途への適用においては、より厚みのある金属製のパネルにも必要に応じて取り付けることができる。

本発明の自己取付型、または自己装着型の雄ファスナは、例えば、乗用車の座席を留めるスタッドなどの高性能用途への適用や、座席やシートベルトの維持および静的な抑制などの安全を考慮した用途への適用のため、強度の高い炭素鋼から成る。好ましい実施例では、自己装着型雄ファスナは、１０３８炭素鋼や少なくともＣスケールにて３０ロックウェルまたはロックウェルＣの硬度まで熱処理された、強度の高いスチールから成る。典型的な適用例では、スタッドはクラス１０．９を満たし、これは３２から３９ロックウェルＣの硬度を有する。用途に応じて、雄ファスナはスタッドでもボルトファスナでもよく、その軸部はねじ山を有していても、いなくてもよい。本発明の雄ファスナ要素の実施例の一つでは、軸部と一体化された放射状フランジ部と、放射状フランジ部と一体化され、軸部と同軸上に配置され、上述のように開口した末端部を有する、チューブ状の円筒部とを備えている。しかしながら、本発明の雄ファスナの円筒部は、チューブ状の円筒部の外径６０％かそれ以下の軸長を有している。好ましい実施例では、チューブ状の円筒部は滑らかな円筒状の外面と、滑らかな円筒状の内面を備えているため、円筒部は実質上一定の内径と外径を有するが、この種のファスナに精通する当業者に知られているように、内面は面取りされており、外面はチューブ状の円筒部の末端部と隣接して、弓状である。

多くの高性能用途への適用では十分なトルク抵抗も必要とされる。即ち、取り付け後、雄ファスナがパネル内で回転することを防ぐ必要がある。様々な回転防止手段を利用することが可能であるが、開示された実施例では、放射状フランジ部の外面は、放射状に突き出た、円周上に配置された放射状の複数の突起、あるいは歯を有する。各歯は、円筒状の外面と、放射状フランジ部の外面の円周と垂直な平面を備える。雄ファスナ要素の用途に応じて、雄ファスナ要素はいずれの方向への回転に対してもトルク抵抗を提供する。例えば、軸部はねじ山を備えていてもよい。このねじ山を有する軸部にナットを取り付けるときに、ナットは、軸部上にねじ付けられるか、相互にねじ付けられる（cross threaded))際に、ナットの回転方向にトルク抵抗を要する。しかし、修理や整備のために、ナットを軸部から抜く必要がある場合、逆の方向にトルク抵抗が必要となる。よって、開示された実施例では、円周上に配置された放射状の歯のそれぞれは、放射状の突起の両側に平面を備える。

雄ファスナ要素は、パネルに、チューブ状の円筒部の外径とほぼ同じ直径の開口を貫通することで、または成形することで、そして、金型プレスのダイ部、あるいは“金型ボタン”（当業者に知られているように、これは通常下部のダイプラテンである）上にパネルを支持して、パネルに取り付けられる。しかし、雄ファスナの円筒部は、従来のこの種の雄ファスナのものより短いため、金型の開口部はこの種の取り付けに利用される従来の金型ボタンに比べて、浅い。金型ボタンには、パネル支持面へと伸びる凹型の環状面と、中央の平らな鼻部分とが、備えられていることが好ましい。雄ファスナは、金型プレスの上ダイ部に装着された従来の取り付けヘッドによって受け入れられ、これによってチューブ状の円筒部がパネルの開口と並べて配置され、パネルの開口は中央の鼻部分と同軸上に配置される。取り付けヘッドは往復運動するプランジャを備え、放射状フランジ部の環状面に接触し、金型プレスが閉じる際、雄ファスナをパネルへと打ち付ける。次いで、円筒部の末端部の開口部は、プランジャによってパネル開口部を通じて、金型ボタンの凹型の環状金型面へと打ち付けられ、パネルを放射状に外向きに変形される。放射状フランジ部はパネルに打ち付けられ、パネル開口を取り囲む、パネルにＬ字型の部分を形成する。この部分は、平らなパネルと垂直に突き出した、放射状フランジ部の外面にぶつかって変形された内面を有する部分と、放射状に外向きに突き出た円筒部の末端部の間にほぼ放射状に内向きに付き出ている部分と、を有する。これにより、雄ファスナ要素がしっかりとパネルに取り付けられる。上述のように、放射状フランジ部の外面の円周上に配置された放射状の歯を有する箇所では、パネルが歯の間で変形され、優れたトルク抵抗が提供される。

本発明の雄ファスナとパネルのアセンブリは、よって前述のように強度の高いスチールから成り、軸部と、軸部と一体化され、軸部より大きな直径を有する放射状フランジ部と、軸部と同軸状に配置されたチューブ状の円筒部とを備える。チューブ状円筒部は、フランジ部と一体化されたチューブ状部分と、フランジ部から離間する、ほぼ放射状に外向きに、チューブ状部分と垂直に突き出た末端部とを備える。金属パネルはフランジ部の外面を取り囲む平らな部分と、この平らな部分にほぼ垂直に突き出た部分を有しているＬ字型部分を有している。このＬ字型部分は、放射状フランジ部の外面にぶつかって変形している内面と（面同士が全面的に密着していることが好ましい）、放射状フランジ部と、ほぼ放射状に外向きに伸びている円筒部の末端部との間で変形している、放射状に内側に向いた部分を備える。放射状フランジ部の外面が円周上に配置された複数の放射状の歯を前述のように備えている部分では、Ｌ字型のパネル部の内面は、歯の間で放射状に内向きに変形され、歯の間の空間が埋ることで抵抗に対する改善が提供される。実際、試験により、スタッドがパネルに対して回転する前に軸部が破損することが実証された。

開示された実施例では、放射状外向きに伸びている円筒部の末端部と、フランジ部と、の間で受け入れられる放射状に内向きに広がるパネル部は、ほぼ長方形の形状を有しており、その幅は、放射状フランジ部を取り囲むパネル平坦部の幅のほぼ半分である。凹型の環状金型面によって生成されたチューブ状の円筒部の内面は、弓状であり、Ｌ字型パネル部に滑らかに融合する。よって、放射状フランジ部の底面から、ほぼ放射状外向きに広がる円筒部の末端部の外側端部まで、滑らかに続く弓状の面が提供される。

上述したように、本発明の自己装着型雄ファスナは、安全性関連の用途を含む、高性能用途への適用のため、好ましくは３０ロックウェルＣ以上の、あるいは３０から４０ロックウェルＣの硬度を有する、強度の高い炭素鋼から構成される。しかし、雄ファスナ要素の円筒部の軸長が、円筒部の外径の６０％以上であり、円筒部が引用文献の米国特許第５，０９２，７２４号に示すようにＵ字型に変形されると、円筒部が、３０ロックウェルＣ以上の強度の高い炭素鋼から生成されている場合、円筒部はひび割れる。好ましい実施例では、円筒部の軸長は外径の約５５％であり、これに対して、上記で参照している米国特許第５，０９２，７２４号によって開示された雄ファスナの軸長は、外径の８０％かそれ以上である。

本発明の雄ファスナ、そして雄ファスナとパネルのアセンブリに関するその他の有利かつ優れた特徴は、後述の好ましい実施例、添付の請求項と図によって、より完全に理解される。

当業者には解されるように、そして以下に更に記述するように、図は例示目的として、本発明の自己装着型雄ファスナおよび、雄ファスナとパネルとの取り付けに関する好ましい実施例のうち、一つのみを示している。図１−４に図示される自己装着型雄ファスナ２０の実施例では、２４に示すように外側にねじ山を持つことのできる軸部２２、軸部２２よりも大きな直径を有する、軸部２２と一体の放射状フランジ部２６、そして放射状フランジ部２６と一体のチューブ状の円筒部２８を備える。図２に示すように、チューブ状円筒部２８は、自己装着型雄ファスナ２０の長手方向の軸“Ａ”に対して、放射状フランジ部２６、および軸部２２と、同軸上に配置される。

チューブ状円筒部２８は好ましくは円筒状の外面３０、底壁３２そして円筒状の内面３４を備えており、チューブ状の円筒部分は、底壁３２から、底壁３２と隣接した末端の開口した部分４０まで、実質上一定した断面を有する。開示された実施例では、円筒部２８の末端部４０は弓状の外面３６と面取りされた内面３８を備える。チューブ状円筒部は、チューブ状の円筒部２８と隣接した放射状フランジ部２６の環状面４２から計測して、軸長“Ｌ”を有し、円筒状の外面３０は外径“Ｄ”を有する。前述に示すように、チューブ状の円筒部２８の長さ“Ｌ”と外径“Ｄ”の寸法上の関係は、高性能用途への適用には、パネルへの取り付け時に円筒部のひび割れを防止するために重大な意味を持つ。高性能用途で必要とされている要求が満たされるよう、ファスナ要素２０は、強度の高い硬化炭素鋼から構成される。好ましい実施例では、チューブ状の円筒部の軸長“Ｌ”は、外形“Ｄ”の６０％以下か、あるいは、さらに好ましくは５５％程度である。自己装着型雄ファスナ２０はさらに後述するように３０ロックウェルＣよりも硬度の高い鋼強度炭素鋼から構成されることが好ましい。

このような高性能用途においては、ファスナ要素２０がパネルに取り付けられた後に、ファスナ要素２０がパネルに対して回転しないように、回転防止手段、または十分なトルク抵抗を提供することが望ましい。図１および４にて最もよく表されているように、自己装着型雄ファスナ２０の開示された実施例では、放射状フランジ部２６の外面は、等間隔で円周上に配置された複数の放射状の歯４４を有し、歯４４のそれぞれは、ほぼ放射状に突き出た平らな側面４８、円筒状の端面５０、そして放射状歯の間に存在する平面５２を有する。好ましい実施例では、ほぼ放射状に突き出た平らな側面４８は、ほぼ円筒状の放射状フランジ部２６の円周“Ｃ”に対してほぼ垂直に広がり、下記に示すように放射状フランジ部２６がパネルに打ち付けられたとき、最も高いトルク抵抗を提供する。開示された実施例では、放射状歯４４に隣接するほぼ放射状に突き出た平らな側面４８は製造を容易にするために、平行である。しかし、後述するように、放射状歯はその他の構成を有してもよく、また、その他の回転防止手段を備えてもよい。

上述のとおり、自己装着型雄ファスナ２０は金型プレス（図示せず）内でパネルに取り付けられる。ここで、図５および６に示すように、下ダイ部またはダイプラテンは、ダイ部または金型ボタン５４を有しており、図７から９に基づいて下記に示すように、上ダイ部は往復運動を行うプランジャを有する取り付けヘッド（図示せず）を備える。図５および６に示す金型ボタン５４は、図６にて最もよく表されるように金型穴５８を取り囲む平らなパネル支持面５６を有する。金型穴５８は、隣接する平らな環状外面５６まで広がる環状かつ弓状の凹型金型面６０と、中央のダイポスト６２を備える。図７から９に示すようにダイポストは、平端面６４と、自己装着型雄ファスナ２０の取り付け時に金型穴５８から空気を通気する軸開口６６と、を有していることが望ましい。環状かつ弓状の凹型面６０は、図示するように、平らなパネル支持面と少ない半径で融合することが好ましい。

上記で参照している米国特許第４，９１５，５５８号にてさらに開示されているように、金型プレス（図示せず）の上ダイ部、またはダイプラテンは、雄ファスナ２０を受け入れる、取り付けヘッド（図示せず）と、各金型プレスの動作で雄ファスナをパネルに取り付ける、上下に運動するプランジャ６８とを備える。図７に示されるように、プランジャ６８は、雄ファスナ要素２０の軸部２２を受け入れる、軸開口７１と、放射状フランジ部２６に打ち付けられる環状端面７４とを備える。パネル７０は、下案内部（図示せず）内の環状のパネル支持面５６上に支えられる。下案内部は、チューブ状の円筒部２８の円筒状面３４の外部の直径と同じかそれより少し大きい内径を有する、パネル成形開口７２を備える。プランジャ６８はチューブ状の円筒部２８をパネル開口７２と並べて配置し、面取りされた末端部の面３８が、環状かつ弓状の凹型金型面６０の内面と同軸に配置されるように、パネル開口７２は金型穴５８と同軸上に配置される。プランジャ６８の環状端面７４は次いで、図７に示すように、チューブ状の円筒部２８の末端部４０を、パネル開口７２を通じて打ち込む。続いて、プランジャ６８は、チューブ状の円筒部２８の末端部４０を環状かつ弓状の凹型金型面６０に打ち込み、チューブ状の円筒部の末端部４０を、図８に示すように環状かつ弓状の凹型金型面６０に、放射状外向きに変形する。

図９は自己装着型雄ファスナとパネルのアセンブリを実現する最終手順を示し、図１０は雄ファスナとパネルのアセンブリの拡大した図を示す。図９に示すように、チューブ状の円筒部の末端部４０はＬ字型に放射状外向きに変形される。変形された部分には、放射状フランジ部２６から離間したほぼ放射状に外向きに突き出た部分７４とチューブ状の円筒部２８Ａを有しており、チューブ状の円筒部２８Ａは、末端部４０から円筒部２８の底壁３２まで伸びており、Ｌ字型のパネル部に滑らかに融合する、弓状の面７６を備える。放射状フランジ部２６の環状面４２が形成開口部７２を取り囲むパネル部７０に打ち込まれる際に、パネルの一部が金型穴５８（図６を参照）内にＬ字型に変形される。変形部分には、平らなパネルと垂直に伸びている部分と、放射状フランジ部７６の、ほぼ放射状に外側を向いている円筒部７４と、環状面４２との間で変形されている、放射状に内側を向いている部分７８が含まれる。Ｌ字型部分７８は、さらに内面８０を有しており、内面８０は、放射状歯の円筒状外面５０にぶつかって、また、歯間の平面５２にぶつかって、放射状に内向きに変形される。これにより、自己装着型ファスナ要素２０とパネル７０の回転が防がれる。図１０に最もよく表されるように、放射状に内側に向いたパネル部７８は、放射状フランジ部２６の環状面４２と放射状に外向きに突き出た末端部７４との間で変形される。このとき、放射状フランジ部７８の厚みは元のパネル７０の厚みのほぼ半分であり、内側パネル面８０は実質上放射状フランジ部２６の外面と全面的に密着している。

図１０に示す雄ファスナとパネルのアセンブリに関する試験では、確実な取り付けが実現され、自己装着型雄ファスナ要素２０は３０ロックウェルＣかそれ以上の硬度に熱処理された高い硬度の炭素鋼から構成されているにも関わらず、円筒部２８のひび割れを防ぐ。よってこの取り付けは、例えば、乗用車座席を制止するためのスタッドのような高性能用途への適用や、座席やシートベルトの維持、および静的な抑制などの安全性に関連する用途への適用、にも適している。用途に適している高硬度炭素鋼はＳＡＥ１０３８炭素鋼であり、これはクラス１０．９まで熱処理される。結果、３０から４０ロックウェルＣの硬度が得られる。従来の１０ミリ自己装着型スタッドは、米国特許第５，０９２，７２４号円筒部に示されるように、１１ミリの軸長、１４ミリの外径、１０．３ミリの内径を有し、その壁の厚みは１．８５ミリであった。このとき円筒部の容積は１，５６４．９立方ミリである。しかし、米国特許第５，０９２，７２４号に示される自己装着型スタッドが３０ロックウェルＣまで熱処理されると、本願に開示されるように取り付けられた場合、円筒部がひび割れる。これに対して、本願で開示されるように１０ミリのスタッドの円筒部は６．８ミリの軸長、１２．５５ミリの外径、そして８．８５ミリの内径を有する。結果、容積は８３４．８立方ミリとなり、図１０に示すように取り付けられた際にも円筒部がひび割れない。試験は、スタッドがパネル内で回転するか、取り付け後にパネルから引き出されるかする前に、軸部２２が破損することを示している。雄ファスナ２０は、３．５ミリの厚みを持つスチールパネルなど、比較的厚みのあるパネルに取り付けることも可能である。よって、本発明の自己装着型雄ファスナおよびパネルアセンブリは高性能用途にも用いることができ、そのような用途に用いられていた以前のファスナシステムに関連する問題を解決する。

当業者によって解されるように、自己装着型雄ファスナ２０および図１０に示すファスナとパネルアセンブリに対しては、添付の請求項の範囲内において、様々な改良を加えることが可能である。例えば、軸部２２は、ねじ山を切る雌型ファスナを受け入れるために、ねじ山を有さなくてもよい。ねじ山を切る雌型ファスナは、例えば、ナットあるいは、球継手として利用される一体型の球を含むその他の構成を有してもよい。さらに、米国特許出願第６，１２２，８１６号に示されるような波形構造やその他の回転防止手段を用いてもよい。また、この分野で知られているように、フランジ部の面４２上にポケットや突起を提供してもよい。しかしながら、ほぼ放射状に突き出る平らな側面を有する、円周上に等間隔に配置された放射状歯４４は優れたトルク抵抗を提供する。本発明の自己装着型雄ファスナ、および雄ファスナとパネルアセンブリに関する好ましい実施例の記述を基に、発明は以下のように請求される。

本開示における自己装着雄ファスナの実施例を上部側面から示した図である。 図１に示した雄ファスナの側面断面図である。 図１に示した雄ファスナの側面図である。 図１に示した雄ファスナの端部の図である。 図１から４に示した雄ファスナをパネルに取り付ける際に利用することのできる金型ボタンの側面図である。 図５の参照番号６で示した、金型ボタンの部分的な側面断面図である。 図１から４に示した雄ファスナを取り付けるための、取り付け装置（図５および６に示した金型ボタンを含む）の部分的な側面断面図である。 自己装着型雄ファスナを取り付ける際の、図７に示す取り付け装置の部分的な側面断面図である。 雄ファスナをパネルに取り付けた後の、図７および８に示す雄ファスナと取り付け装置の部分的な断面図である。 取り付け終了後における本発明の雄ファスナとパネルのアセンブリの部分的断面図である。

Claims (21)

1. 軸部と、
   チューブ状の円筒部と、を備え、
   前記チューブ状の円筒部は、ほぼ一定の断面を有し、ほぼ円筒上の外面、円筒上の内面、そして前記軸部と同軸上に配置された開口した末端部を備え、
   前記チューブ状の円筒部は、前記チューブ状の円筒部の前記ほぼ円筒状の外面の外径の約６０％かそれ以下の軸長を有している、
   ことを特徴とする、自己装着型雄ファスナ要素。
2. 前記ファスナ要素は、Ｃスケール上で３０ロックウェル以上の硬度を有する、高い強度の炭素鋼から構成されている、ことを特徴とする請求項１に記載の自己装着型雄ファスナ要素。
3. 前記自己装着型雄ファスナ要素は、前記チューブ状円筒部と一体化された放射状フランジ部を備えており、前記フランジ部は、前記チューブ状円筒部の外径よりも大きな直径を有し、円周上に等間隔で配置された放射状の歯を含むほぼ円筒状の外面を有する、ことを特徴とする請求項１に記載の自己装着型雄ファスナ要素。
4. 前記等間隔に円周上に配置された放射状の歯は、前記放射状フランジ部の、前記外面における円周とほぼ垂直に突き出た、ほぼ平坦な面を有する、ことを特徴とする請求項３に記載の自己装着型雄ファスナ要素。
5. 軸部と、
   前記軸部よりも大きな直径を有し、外面を備える、一体化した放射状フランジ部と、
   前記放射状フランジと一体化されており、前記軸部と同軸上に配置されるチューブ状円筒部と、
   を備える自己装着型雄ファスナ要素であって、
   前記チューブ状円筒部は前記チューブ状円筒部の前記外面の外径の６０％かそれ以下の軸長を備え、前記雄ファスナ要素はＣスケール上で３０ロックウェル以上の硬度を有する炭素鋼から構成されている、
   ことを特徴とする、自己装着型雄ファスナ要素。
6. 前記放射状フランジ部の前記外面は、円周上に配置された複数の放射状の歯を有する、ことを特徴とする請求項５に記載の自己装着型雄ファスナ要素。
7. 前記円周上に配置された放射状の歯は、ほぼ放射状外向きに突き出た平坦な面を有し、前記面は前記放射状フランジ部の前記外面の円周とほぼ垂直に広がる、ことを特徴とする請求項６に記載の自己装着型雄ファスナ要素。
8. 自己装着型雄ファスナと金属パネルとのアセンブリであって、
   前記自己装着型雄ファスナは、
   Ｃスケール上で少なくとも３０ロックウェルの硬度を有する炭素鋼から成り、
   軸部と、
   前記軸部よりも大きな直径と、外面とを有する、前記軸部と一体化した放射状フランジ部と、
   前記軸部と同軸上に配置された円筒部と、を備え、
   前記円筒部は前記フランジ部と一体化されたチューブ状円筒部と、前記フランジ部から離間されたほぼ放射状外向きに広がる末端部を備えていることを特徴し、
   前記金属パネルは、
   前記フランジ部の前記外面を取り囲む平坦部と、
   前記平坦部と一体のＬ字型部分とを有し、
   前記Ｌ字型部分は、前記平坦部分と一体化した部分（前記平坦部に対してほぼ垂直に広がり、前記フランジ部の前記外面に、面同士がぶつかって変形されている）と放射状内側に向いた部分（前記フランジ部と、前記ほぼ放射状に外向きに突き出た前記円筒部の末端部との間で変形している）を有する、
   ことを特徴とする、自己装着型ファスナと金属パネルとのアセンブリ。
9. 前記チューブ状の部分とほぼ放射状外向きに広がる末端部を含む前記円筒部の全長が、前記円筒部のチューブ状部分の外径の６０％かそれ以下である、ことを特徴とする、請求項８に記載の自己装着型雄ファスナと金属パネルとのアセンブリ。
10. 前記円筒部の前記ほぼ放射状外向きに広がる末端部の幅は、前記パネルの平坦部の幅の半分かそれ以下である、ことを特徴とする、請求項８に記載の自己装着型雄ファスナと金属パネルとのアセンブリ。
11. 前記円筒部の前記ほぼ放射状外向きに広がる末端部は、前記金属パネルの平坦部とほぼ平行に伸び、その断面はほぼ長方形である、ことを特徴とする、請求項８に記載の自己装着型雄ファスナと金属パネルとのアセンブリ。
12. 前記放射状フランジ部の前記外面は、円周上に配置された、複数のほぼ放射状の歯を有しており、各歯はほぼ円筒状の外面を備え、前記パネルの前記Ｌ字型部分の前記内面は前記ほぼ円筒形の外面にぶつかって、そして前記円周上に配置されたほぼ放射状の歯の間で変形され、前記金属パネル内で前記雄ファスナが回転することを防ぐ、ことを特徴とする、請求項８に記載の自己装着型雄ファスナと金属パネルとのアセンブリ。
13. 前記円周上に配置された複数の放射状の歯のそれぞれは、前記放射状フランジの前記外面の円周とほぼ垂直に広がる、平坦で、ほぼ放射状の面を有する、ことを特徴とする、請求項１２に記載の自己装着型雄ファスナと金属パネルとのアセンブリ。
14. 前記円筒部は、放射状フランジ部の位置に存在する底壁と、前記底壁から、前記ほぼ放射状に広がる末端部の末端へと伸びる、ほぼ凹型で弓状の連続した面を備える、ことを特徴とする、請求項８に記載の自己装着型雄ファスナと金属パネルとのアセンブリ。
15. 炭素鋼製の雄ファスナと、金属パネルとを備える、雄ファスナと金属パネルとのアセンブリであって、
    前記炭素鋼製の雄ファスナは、
    軸部と、
    前記軸部よりも大きな直径を有し、ほぼ円筒状の外面を有する、前記軸部と一体化した放射状フランジ部と、
    前記軸部と同軸上に配置された円筒部とを備え、
    前記円筒部は前記フランジ部と一体化されたチューブ状円筒部と、前記フランジ部から離間されたほぼ放射状外向きに広がる末端部を備え、
    前記円筒部は、前記チューブ状部分と、ほぼ放射状外向きに突き出た末端部とを合わせて、前記チューブ状部分の外径の６０％かそれ以下の全長を有していることを特徴とし、
    前記金属パネルは、
    前記フランジ部の前記外面を取り囲む平端部とＬ字型部分とを備えており、
    前記Ｌ字型部分は、前記平坦部と一体化された第一の部分（前記平坦部分に対してほぼ垂直に広がり、前記フランジ部の外面に、全面的にぶつかって変形された内面を有する）と、第二のほぼ放射状内向きに広がる末端部（開口部を有し、その開口部を通じて、前記円筒部の前記チューブ状の部分を受け入れ、前記フランジ部と、前記ほぼ放射状に外向きに広がる前記円筒部の前記末端部の間で変形される）とを有する、
    ことを特徴とする、雄ファスナと金属パネルとのアセンブリ。
16. Ｃスケール上で少なくとも３０ロックウェルの硬度を有する炭素鋼から構成されている、ことを特徴とする請求項１５に記載の雄ファスナとパネルとのアセンブリ。
17. 前記パネルの第二のほぼ放射状内向きに広がる末端部は、前記パネルの前記片端部の幅の半分かそれ以下の幅を有する、ことを特徴とする請求項１５に記載の雄ファスナとパネルとのアセンブリ。
18. 前記パネルの第二のほぼ放射状内向きに広がる末端部は、前記平坦部とほぼ平行であり、ほぼ長方形の断面を有する、ことを特徴とする請求項１５に記載の雄ファスナと金属パネルとのアセンブリ。
19. 前記フランジ部の前記外面は、円周上に配置された複数の放射状の歯を備え、前記パネルの前記内面は、円周上に配置された歯の間で変形され、前記パネルに対して、前記雄ファスナが回転することを防ぐ、ことを特徴とする請求項１５に記載の雄ファスナと金属パネルとのアセンブリ。
20. 前記放射状の歯のそれぞれは、前記フランジ部の前記外面の円周とほぼ垂直で、平坦なほぼ放射状に突き出た面を有する、ことを特徴とする請求項１８記載の雄ファスナと金属パネルとのアセンブリ。
21. 前記円筒部は、放射状フランジ部の位置に存在する底壁と、前記底壁から、前記ほぼ放射状に外向きに広がる末端部の末端へと伸びる、ほぼ凹型で弓状の連続した面を備える、ことを特徴とする請求項１５に記載の雄ファスナと金属パネルとのアセンブリ。

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