JP2007509613A - 遺伝子発現プロファイリングのためのqRT−PCRアッセイシステム - Google Patents

遺伝子発現プロファイリングのためのqRT−PCRアッセイシステム Download PDF

Info

Publication number
JP2007509613A
JP2007509613A JP2006535576A JP2006535576A JP2007509613A JP 2007509613 A JP2007509613 A JP 2007509613A JP 2006535576 A JP2006535576 A JP 2006535576A JP 2006535576 A JP2006535576 A JP 2006535576A JP 2007509613 A JP2007509613 A JP 2007509613A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rna
cancer
gene
tissue
pcr
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2006535576A
Other languages
English (en)
Inventor
ジョッフリ ビー. ベイカー,
マウリーン ティー. クロニン,
マイケル シー. キーファー,
シトン リー,
キム クラーク,
Original Assignee
ジェノミック ヘルス, インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ジェノミック ヘルス, インコーポレイテッド filed Critical ジェノミック ヘルス, インコーポレイテッド
Publication of JP2007509613A publication Critical patent/JP2007509613A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6806Preparing nucleic acids for analysis, e.g. for polymerase chain reaction [PCR] assay

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

本発明は、生物学的サンプルのRNA発現プロファイルを分析し報告するための、統合したqRT−PCRに基づくシステムに関する。特に、本発明は、生物学的サンプル(固定した、パラフィン包埋組織サンプルを含む)における、RNAの発現プロファイリングのための、完全に最適化されかつ統合した複数分析物の多重測定法に関する。得られた遺伝子発現プロファイルは、種々の病的状態(癌を含む)の臨床診断、分類、および予後のために、使用され得る。

Description

(発明の分野)
本発明は、生物学的サンプルのRNA発現プロファイルを分析し報告するための、統合したqRT−PCRに基づくシステムに関する。特に、本発明は、生物学的サンプル(固定した、パラフィン包埋組織サンプルを含む)における、RNAの発現プロファイリングのための、十分に最適化されかつ統合した複数分析物の多重測定法(multiplex,multi−analyte method)に関する。得られた遺伝子発現プロファイルは、種々の病的状態(癌を含む)の臨床診断、分類、および予後のために、使用され得る。
(発明の背景)
(関連技術の説明)
この数年間に、いくつかのグループが、マイクロアレイ遺伝子発現分析による種々の癌のタイプの分類に関する研究を発表している(例えば、非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4を参照のこと)。遺伝子発現パターンに基づくヒトの乳癌のある分類もまた、報告されている(非特許文献5;非特許文献6)。これらの研究の大部分は、種々のタイプの癌(乳癌を含む)のすでに確立された分類を、改善および洗練することに焦点を合わせている。いくつかの研究が、予後となり得る遺伝子発現パターンを同定している(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9)が、スクリーニングされた患者の数が不十分であることに起因して、これらの研究は、臨床的に広く用いられるほど十分には、未だ確証されていない。
生検標本を取り扱うための標準的なプロセスは、組織を固定するためにホルマリンにおいてであったのであり、そして今もなおホルマリンにおいてであり、その後、パラフィン中にそれら生検標本は包埋される。従って、臨床記録と関連付けられた固体組織標本の断然、豊富にある供給物は、固定された、パラフィン包埋組織(FPET)である。この十年の間に、いくつかの研究所が、RNA供給源としてFPETを使用してmRNAレベル(すなわち、遺伝子発現)を測定することが可能であることを実証している(例えば、非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;および非特許文献17を参照のこと)。しかしながら、DNAアレイが効果的にFPE組織のRNA分析に適用され得るという証拠が、これまでにほとんど存在しない(非特許文献18)。
Golubら、Science 286:531−537(1999) Bhattacharjaeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:13790−13795(2001) Chen−Hsiangら、Bioinformatics 17(Suppl.1):S316−S322(2001) Ramaswamyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:15149−15154(2001) Martinら、Cancer Res.60:2232−2238(2000) Westら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:11462−11467(2001) Sorlieら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:10869−10874(2001) Yanら、Cancer Res.61:8375−8380(2001) Van De Vivjerら、New England Journal of Medicine 347:1999−2009(2002) RuppおよびLocker、Biotechniques 6:56−60(1998) Finkeら、Biotechniques 14:448−453(1993) Reichmuthら、J.Pathol.180:50−57(1996) StantaおよびBonin、Biotechniques 24:271−276(1998) SheileおよびSweeny、J.Pathol.188:87−92(1999) Godfreyら、J.Mol.Diagn.2:84−91(2000) Spechtら、Am.J.Pathol.158:419−429(2001) Abrahamsenら、J.Mol.Diagn.5:66−71(2002) Karstenら、Nucleic Acids Res.30:E4(2002)
種々の疾患(例えば、癌)の臨床診断および予後における遺伝子発現分析の使用をさらに前へ進めるために、少量の生物学的サンプルを使用して多数の遺伝子を同時に分析することを可能にする高感度の遺伝子発現プロファイリングのアプローチが、大いに必要とされている。癌の診断および予後の分野においては特に、このような方法には、1回の遺伝子発現プロファイリング実験で、FPETサンプルにおける広範囲の遺伝子発現レベルまたは遺伝子の任意の組合せを分析する能力を有することが必須である。
(発明の要旨)
本発明は、複数分析物の性能を有し、そして、年数を経た組織サンプル、保存組織サンプル、または処理した組織サンプル(例えば、固定した、パラフィン包埋(FPE)組織サンプル)における遺伝子発現の測定に適した、高感度かつ高精度の方法を提供する。
1つの局面において、本発明は、複数のRNA種を含む組織サンプルにおけるRNA発現プロファイルを決定する方法に関する。この方法は、以下の工程:
(a)この組織サンプル中に存在する転写されたすべてのRNA種のうちの最大の代表(maximum representation)を提供する条件下で、このサンプルからRNAを抽出する工程;
(b)このRNAを相補DNA(cDNA)へと転写させる条件下で、得られたこのRNAを、このRNA種の少なくとも1つのサブセットに対応する複数の遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、dNTP、および逆転写酵素を含む逆転写用混合物で、処理する工程;
(c)各cDNA転写物を定量的に検出する工程、
を包含し、ここで、工程(a)と工程(b)とは、別々の反応において実施される。
必要に応じて、工程(b)において得られた上記転写されたcDNAは、工程(c)を実施する前に、増幅される。増幅は、アンプリコンを生成するための順方向プライマーおよび逆方向プライマーのセット、ならびに各cDNA転写物についてのプローブの存在下において、種々の方法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)含む)で実施され得る。
組織は、ヒトの組織(凍結または固定された、蝋包埋組織を含む)であり得る。
工程(a)における逆転写用混合物は、少なくとも約10のRNA種、または少なくとも約15のRNA種、または少なくとも約90のRNA種、または少なくとも400のRNA種、または少なくとも約800のRNA種、または少なくとも約1600のRNA種についての遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを含み得る。
逆転写用混合物は、代表的には、6ヌクレオチド長〜10ヌクレオチド長である複数のランダムオリゴヌクレオチドをさらに含み得る。
特定の実施形態において、逆転写酵素工程(b)およびqPCR増幅工程のうちの少なくとも1工程において、セルフプライミングまたはクロスプライミング可能なオリゴヌクレオチドの数は、例えば、コンピューターアルゴリズムによって最小化される。
別の実施形態において、逆転写用混合物は、少なくとも1つの正規化用参照配列のRNAを含み、そして、このRNAは、通常、約5〜約10の正規化用参照配列のRNAを含む。さらなる実施形態において、各qRT−PCR反応物は、少なくとも1つの内部較正用参照配列を含む。好ましくは、内部較正用参照配列の1つ以上は、ヒトゲノム中のあらゆる配列に対して、有意な相同性を有さない配列を含む。
組織サンプルは、例えば、腫瘍(例えば、癌)由来の、凍結または固定された、このようなホルマリン固定されたパラフィン包埋(FPE)生検サンプルであり得る。組織サンプルの他の形態としては、限定することなく、エタノール固定組織、ならびに伝統的なホルマリン固定方法および/またはエタノール固定方法のバリエーションによって固定された組織、急速凍結サンプル、OCT(最適切削温度化合物)凍結サンプル、ならびに新鮮なサンプルなどが挙げられる。代表的な癌としては、限定することなく、乳癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌、肝細胞癌、胃癌、膵癌、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿路癌、甲状腺癌、腎臓癌、癌腫、黒色腫、および脳癌が挙げられる。
特定の実施形態において、癌組織は、断片化されたRNAを含む。ここで、遺伝子標的のアンプリコンは、約100ヌクレオチド長未満、または約90ヌクレオチド長未満、または約80ヌクレオチド長未満であり得る。
別の実施形態において、標的遺伝子のアンプリコンの長さと、参照遺伝子のアンプリコン長さとの間の差は、約15%以下、または約10%未満である。
遺伝子発現レベルは、正規化用参照配列に対して正規化され得る。ここで、適切な正規化用参照遺伝子としては、例えば、β−ACTIN、CYP1、GUS、RPLPO、TBP、GAPDH、およびTFRCが挙げられる。
さらなる実施形態において、遺伝子発現レベルは、1つ以上の普遍的な内部較正用参照配列に対して補正される。
本発明の方法は、1つ以上の遺伝子を同定する工程であって、この遺伝子の発現が、癌の存在または再発可能性、あるいは化学療法薬物または化学療法薬物セットへの反応可能性と相関付けられている工程、および必要に応じて、この遺伝子発現プロファイルを統計分析に供するさらなる工程をさらに包含し得る。
さらなる実施形態において、上記方法は、癌組織が分析される被験体に関する報告書を作成する工程をさらに包含する。この報告は、癌の再発なしでの生存可能性について、あるいは特定の化学療法薬物または化学療法薬物セットに反応する可能性についての記載を含み得る。
別の局面において、本発明は、以下の構成要素:
抽出用緩衝液/抽出用試薬および抽出用プロトコル;
逆転写用緩衝液/逆転写用試薬(事前に設計されたプライマーを含む)および逆転写用プロトコル;
qPCR用緩衝液/qPCR用試薬(事前に設計されたプライマーおよびプローブを含む)およびqPCR用プロトコル;
データ検索およびデータ分析のソフトウェア
のうちの1つ以上を備えるキットに関する。
個々の工程についての更なる詳細は、以下に議論される。
(好ましい実施形態の詳細な説明)
(A.定義)
他に定義されない限り、本明細書中で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 第2版、J.Wiley & Sons(New York,NY 1994)、およびMarch,Adavanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 第4版、John Wiley & Sons(New York,NY 1992)は、当業者に、本願において使用される用語の多くについての一般的な指針を提供する。
当業者は、本明細書中に記載される方法および材料と類似しているかまたは等価である多くの方法および材料が、本発明の実施形態において用いられることを認識する。実際は、本発明は、記載された方法および材料に決して限定はされない。本発明の目的のために、次に続く用語が、以下に定義される。
用語「遺伝子発現プロファイリング」とは、最も広い意味で使用され、そして、生物学的サンプルにおけるmRNAレベルおよび/またはタンパク質レベルの定量方法を含む。
用語「マイクロアレイ」とは、ハイブリダイズし得るアレイ要素(好ましくは、ポリヌクレオチドプローブ)の基材上での規則正しい配列をいう。
用語「ポリヌクレオチド」とは、単数または複数で使用される場合、一般に、改変されていないRNAもしくはDNA、または改変されたRNAもしくはDNAであり得る、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチド(polydeoxribonucleotide)をいう。従って、例えば、本明細書中に定義されるポリヌクレオチドとしては、限定することなく、一本鎖DNAおよび二本鎖DNA、一本鎖領域および二本鎖領域を含むDNA、一本鎖RNAおよび二本鎖RNA、ならびに一本鎖領域および二本鎖領域を含むRNA、一本鎖またはより代表的には二本鎖であり得るかあるいは一本鎖領域および二本鎖領域を含み得る、DNAおよびRNAを含むハイブリッド分子が挙げられる。加えて、本明細書中に使用される用語「ポリヌクレオチド」とは、RNAまたはDNA、あるいはRNAとDNAとの両方を含む、三本鎖領域をいう。このような領域の鎖は、同じ分子からか、または異なる分子からの鎖であり得る。この領域は、1つ以上の分子の全てを含み得るが、より代表的には、いくつかの分子の一領域のみを含む。三重螺旋領域の分子の1つは、多くの場合、オリゴヌクレオチドである。用語「ポリヌクレオチド」とは、特に、cDNAを含む。この用語は、改変された塩基を1つ以上含む、DNA(cDNAを含む)およびRNAを含む。従って、安定性または他の理由のために改変された骨格を有するDNAまたはRNAは、「ポリヌクレオチド」(この用語は、本明細書中でこのように意図される)である。さらに、異常な塩基(例えば、イノシン、または改変された塩基(例えば、トリチウム化された塩基))を含む、DNAまたはRNAは、本明細書中に定義される用語「ポリヌクレオチド」内に含まれる。一般に、用語「ポリヌクレオチド」は、未改変のポリヌクレオチドの化学的に改変された形態、酵素的に改変された形態、および/または代謝的に改変された形態の全て、ならびに、ウイルスおよび細胞(単純細胞および複雑細胞を含む)に特有のDNAおよびRNAの化学的形態を包含する。
用語「オリゴヌクレオチド」とは、比較的短いポリヌクレオチドをいう。このオリゴヌクレオチドとしては、限定することなく、一本鎖デオキシリボヌクレオチド、一本鎖リボヌクレオチドまたは二本鎖リボヌクレオチド、RNA:DNAハイブリッド、および二本鎖DNAが挙げられる。オリゴヌクレオチド(例えば、一本鎖DNAプローブオリゴヌクレオチド)は、多くの場合、例えば、市販の自動オリゴヌクレオチド合成機を使用するような化学的方法によって、合成される。しかしながら、オリゴヌクレオチドは、種々の他の方法(インビトロ組換えDNA媒介技術を含む)によって、ならびに細胞および生物体におけるDNAの発現によって、作製され得る。
用語「差次的に発現した遺伝子」、「差次的な遺伝子発現」、およびそれらの同義語(これらは、交換可能に使用される)とは、その遺伝子の発現が、疾患(特に、癌(例えば、乳癌))に罹患している被験体において、正常な被験体またはコントロールの被験体のその遺伝子発現と比較してより高いレベルまたはより低いレベルへと活性化される遺伝子をいう。この用語はまた、この遺伝子の発現が、同じ疾患の異なる段階でより高いレベルまたはより低いレベルにある遺伝子を含む。上記用語はまた、特定の治療薬に対して顕著に敏感であるかまたは耐性がある患者において、この遺伝子の発現がより高いかまたはより低い、遺伝子を含む。差次的に発現した遺伝子が、核酸レベルまたはタンパク質レベルで、活性化または阻害され得るか、あるいは選択的スプライシングを受けて異なるポリペプチド産物を生じ得ることもまた理解される。このような差異は、例えば、mRNAレベル、ポリペプチドの表面発現、分泌、またはポリペプチドの他の分配における変化によって証明され得る。差次的な遺伝子発現としては、2つ以上の遺伝子もしくはそれらの遺伝子産物間での発現の比較、または2つ以上の遺伝子もしくはそれらの遺伝子産物間での発現の比率の比較、または、同じ遺伝子の異なってプロセシングされた2つの産物の比較(この比較は、正常な被験体と疾患(特に、癌)に罹患している被験体との間、もしくは同じ疾患の種々の段階の間で異なる)さえもが挙げられ得る。差次的な発現としては、例えば、正常な細胞と罹患した細胞との間で、あるいは、異なる疾患事象もしくは疾患段階を経験した細胞間または特定の治療薬に対して顕著に敏感であるかもしくは耐性がある細胞間での、遺伝子またはその発現産物における時間パターンまたは細胞発現パターンにおける定量的な差異および定性的な差異の両方が挙げられる。本発明の目的のために、「差次的な遺伝子発現」は、正常な被験体と罹患した被験体とにおいてか、または罹患した被験体における疾患の進行の種々の段階においてか、または特定の治療薬に対して差次的に敏感である患者において、所定の遺伝子の発現の間で、少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約4倍、より好ましくは少なくとも約6倍、最も好ましくは少なくとも約10倍の差異が存在する場合に、存在すると考えられる。
語句「遺伝子増幅」とは、遺伝子または遺伝子断片の複数のコピーが、特有の細胞または細胞株中で形成されるプロセスをいう。重複した領域(一続きの増幅されたDNA)は、たいてい、「アンプリコン」と称される。頻繁に、生成されるメッセンジャーRNA(mRNA)の量(すなわち、遺伝子発現のレベル)はまた、特有の遺伝子から作製されたコピー数に比例して増加する。
用語「予後」とは、腫瘍性疾患(例えば、乳癌)の再発、転移性拡散、および薬物耐性を含む、癌に起因し得る死または進行の可能性の予測をいうために、本明細書中で使用される。
用語「予測」とは、患者が、薬物または薬物セットに対して、好ましく応答するかまたは好ましくなく応答するかのいずれかである可能性を、そしてまた、それらの応答の程度を、あるいは、患者が、原発腫瘍の外科的除去、および/または化学療法の後、癌の再発なしに特定の期間、生存する可能性をいうために本明細書中で使用される。本発明の予測方法は、患者が、処置レジメン(例えば、外科的処置、所与の薬物でもしくは所与の薬物の組み合わせでの化学療法、および/または放射線治療)に対して好ましく応答するようであるかどうか、あるいは、手術後、および/または化学療法もしくは他の処置様式の終了後、この患者が長期間生存しそうかどうかを予測することにおいて、有益なツールである。
用語「長期間」の生存とは、手術後または他の処置後の、少なくとも5年間、より好ましくは少なくとも8年間、最も好ましくは少なくとも10年間にわたる、生存をいうために、本明細書中で使用される。
本明細書中に使用される用語「腫瘍」とは、悪性または良性であろうと、全ての腫瘍性の細胞成長および細胞増殖、ならびに全ての前癌性細胞および前癌性組織、ならびに癌性細胞および癌性組織をいう。
用語「癌」および「癌性」とは、無秩序な細胞成長によって、代表的に特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態をいうか、または記述する。癌の例としては、乳癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌、肝細胞癌、胃癌、膵癌、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿路癌、甲状腺癌、腎臓癌、癌腫、黒色腫、および脳癌が挙げられるが、これに限定されない。
「病態」は、患者の健康を含むすべての現象を含む。癌(腫瘍)の場合は、この病態としては、限定することなく、異常または制御不可能な細胞成長、転移、隣接する細胞の正常な機能の妨害、異常なレベルでのサイトカインまたは他の分泌産物の放出、炎症応答または免疫応答の抑制または悪化、新形成、前悪性腫瘍、悪性腫瘍、周囲の組織または器官あるいは離れた組織または器官(例えば、リンパ節など)の侵襲が挙げられる。
用語「正規化用参照配列」とは、異なる個体、異なる組織、および異なる組織環境内で、比較的一定なレベルで転写されるゲノムDNA配列をいうために、本明細書中で使用される。そして、この配列は、異なる標本中のRNAの量および質における可変性についてのコントロールとして使用され得、それによって、異なる患者および異なる標本サンプルの間での遺伝子発現プロファイルの比較を可能にする。
用語「内部較正用参照配列」とは、オリゴヌクレオチド配列が、ヒトゲノム中で発現される配列を表すわけではないので、不活性内部アッセイ性能較正用コントロールとして使用され得るオリゴヌクレオチド配列をいう。これらの普遍的な「不活性」アッセイは、これらの構成要素が合成物であり、そして、結果として生じるqRT−PCR反応が、一貫したアッセイの性能ベースライン(このベースラインに対して、付属的な生物学的に情報価値のあるアッセイが比較され得る)をモニターするという目的を提供するという事実により、プロセスの較正のための内部コントロールとして作用し得る。これらのキャリブレーター配列ならびにそれらのプライマーおよびプローブは、標準的なアッセイ条件下で、一貫して予測可能なアッセイの結果を得るために、構築され得そして合わされ得る。推測によるこのベースラインの性能は、同じ反応体積または同じ反応ウェルにおいて、同じ条件下で実行されるアッセイに対して、外挿され得る。期待値からの偏差は、生物学的に情報価値のあるアッセイにおいて生じる並行する偏差(parallel deviation)の尺度を提供する。すなわち、理想的には、テンプレート濃度が既知で、これらの反応の1つが、標準的なプライマー濃度およびプローブ濃度で加えられる場合、反応Cは、100%の場合に予測可能であるはずである。期待された結果から偏差が生じる場合は、反応の阻害または試薬の不調が起こっているとみなされ得る。
(B.詳細な説明)
他に指示されない限り、本発明の実施は、当該技術分野内の分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、および生化学の従来技術を利用する。このような技術は、例えば、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」,第2版、(Sambrookら、1989;「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait編、1984);「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney編、1987);「Methods in Enzymology」(Academic Press,Inc.);「Handbook of Experimental Immunology」,第4版、(D.M.Weir & C.C.Blackwell編、Blackwell Science Inc.,1987);「Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells」(J.M.Miller & M.P.Calos編、1987);「Current Protocols in Molecular Biology」(F.M.Ausubelら編、1987);および「PCR:The Polymerase Chain Reaction」,(Mullisら編、1994)のような文献において、十分に説明される。
本発明は、患者の生物学的サンプルにおけるRNA発現プロファイルを分析し報告するための、最適化され品質管理されたハイスループットシステムを提供する。本発明の方法は、質の低いRNA、断片化されたRNAまたは化学的に修飾されたRNAを含む生物学的サンプル(例えば、固定されたパラフィン包埋(FPE)組織のサンプル、法医学的サンプル、および病理学的サンプルのような、年数を経たサンプル、保存サンプル、および/または処理したサンプルを含む)の分析に、特に適している。この分析方法による発現プロファイリングは、標的遺伝子の配列では限定されない。そして、このプロファイリングは、生物学的サンプル(例えば、FPE組織サンプルのような、質の低いRNA、断片化されたRNAまたは化学的に修飾されたRNAを含む生物学的サンプルを含む)において、発現した任意の遺伝子または遺伝子の組合せを詳細に分析するために適用され得る。実際、一つの固定されたパラフィン包埋サンプルの発現プロファイル分析に含まれ得る非常に多数の遺伝子標的についての上限は存在しない。
本発明の定量的RT−PCR(qRT−PCR)遺伝子発現プロファイリングシステムは、質、効率、種々の遺伝子への拡張性(gene scalability)、および生物学的サンプルの保存を改善する、RNA抽出、逆転写、cDNA増幅、データ処理、および分析工程におけるいくつかのストラテジーを含む。これらの工程のいくつかは、以下に詳述される。
(1)RNA抽出には、組織の破壊、ヌクレアーゼの不活性化、ゲノムDNAの加水分解、およびRNAの選択的な回収が必要である。本発明は、FPE組織からのRNA抽出のための非常に効果的なプロトコル(新しい組織溶解用緩衝液の使用、および溶解後に残存するタンパク質を沈殿する方法の改善を含むプロトコル)を含む。
(2)逆転写(RT)は、後のcDNA増幅工程のための逆方向プライマーとしてもまた機能を果たす遺伝子特異的プライマーで実施される。代表的には、逆転写は、オリゴ−dTプライミングを使用して実施される。しかしながら、抽出したFPEのRNAは、非常に断片化され得るので、このような供給源から得られた大部分のmRNA配列は、ポリA尾部から分離され得、そしてそれ故に、オリゴ−dTプライミングを介する逆転写に利用可能でなくなり得る。RNA断片化に関連する問題を克服するために、ランダム六量体が、cDNA合成のプライミングに一般に使用される。本発明は、遺伝子に特異的なプライミングが可能であって、これは、ランダム六量体のプライミングよりもより効率的であり、そして、FPETのRNAの広範囲にわたる断片化にもかかわらず、効率的に使用され得る。
(3)本発明のプロセスにおいて、RT工程において使用される遺伝子特異的プライマーはまた、cDNA増幅工程のための逆方向プライマーとしても機能を果たす。これは、本発明者らが知る限り、FPE組織のRNAについて最も効率的なプライミングストラテジーである。RT工程に使用されるプライマーが、cDNA増幅工程において使用される逆方向プライマーと同一ではない場合、(i)RNAの限定された長さ、および(ii)ホルマリンで改変された塩基の存在に起因して、作製されたcDNA配列がアンプリコンの配列を経て完全には伸長しない可能性が高まると結果、アッセイの感度が減少する。
(4)RT工程およびcDNA増幅工程は、2段階プロセスとして実施される。これは、各々の酵素反応(逆転写酵素、およびTaqポリメラーゼ(TaqMan(登録商標)PCRの場合))が、各酵素の最適条件(例えば、酵素濃度、dNTP濃度、およびプライマー濃度、温度、緩衝液、およびpH)で、実施されることを可能にする。この特徴はさらに、アッセイの感度を高める。
(5)RT工程は、特に、多数の逆方向プライマー(代表的には、最大96個までか、またはさらに最大768個まで)を1つの反応において併用することによって、多重化される。このことは、複数分析物のアッセイのための実用的な方法を提供する。1遺伝子あたり1つの反応でRT反応を実施する代替方法は、非常に(prohibitively)少ない液体体積の測定、または、より多い量の高価なRT酵素の使用および貴重な患者の生検標本の使用を必要とする。従って、本発明のプロセスにおけるこの多重化されたRT工程は、遺伝子発現の複数分析物アッセイについての最大分析感度を依然として維持しながらも、最適なサンプル保存を提供する。プロトコルは、プロファイルされる遺伝子のための、多重化された遺伝子特異的プライマーのプールの使用を含み、このプールはまた、ランダムオリゴヌクレオチドのプライミング(ほとんどの場合、六量体〜十量体)と組み合わされ得る。
(6)qPCR工程はまた、1反応あたり1つより多く(代表的には3つまで、しかし、より大きい数もまた可能である)のmRNA種のアッセイを可能にするために、必要に応じて多重化される。RT工程中と同様に、多重化は、患者の生検標本を保存し、そして、より多数のmRNA種の同時アッセイを可能にし、それによって、プロセス全体についてのスクリーニング能力の効率を上げる。
(7)多重化工程(すなわち、上記工程(5)および上記工程(6))の構成要素とは、オリゴヌクレオチドのクロスプライミングおよびセルフプライミングをチェックするためのプログラムを、プライマー設計およびプローブ設計に組み入れることである。3’領域のオリゴヌクレオチドが別のオリゴヌクレオチドまたはそのオリゴヌクレオチド自体と相補的であり、かつ、この3’領域のオリゴヌクオチドが別のオリゴヌクレオチドまたはそのオリゴヌクレオチド自体と塩基対合する場合に、クロスプライミングまたはセルフプライミングが生じる。5塩基にわたって完全にマッチする状態では、クロスプライミングまたはセルフプライミングは、比較的生じそうであり、この可能性は、マッチする長さが増すほど高まる。本発明のプロセスにおいては、複数の異なるオリゴヌクレオチドプライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブは、同じ反応体積で存在するので、クロスプライミングまたはセルフプライミングさえもが生じ得、望まれない重合を引き起こし、反応のバックグラウンドノイズを増加させ、そして、標的シグナルが減少する。本発明のプロセスに組み込まれたプログラムは、クロスプライミングおよびセルフプライミングに関連した人工産物の除去に役立つ。
(8)最後に、本発明の方法は、特有の正規化ストラテジーを利用し、そして、普遍的な参照遺伝子のプライマー/プローブの使用で、感度、信頼性、およびサンプル対サンプルの比較性を最大化することを可能にする。
本発明の遺伝子発現プロファイリング方法中に含まれる特有の工程の結果として、本明細書中の方法は、最小化される量の分析されたRNAサンプルを使用しながらも、改善された感度および効率を提供する。代表的には、5μl程度の少ない反応体積(0.8〜1.0ngのFPE組織のRNA/qPCR反応ウェルを使用)が、本発明の方法による分析のために使用され得る。さらなる実験は、2.5μl程度のさらに少ない反応物が、うまく使用され得ることを示している。この反応物は、反応ウェルあたり0.25〜1.0ngのFPEのRNA相当物(cDNA)を含む。この特有の一連の工程は、内部で一貫した性能を有し、かつ低い分析「ノイズ」を有する、複数分析物のアッセイパネルをもたらし、そしてこれらを、臨床診断用のパネルとして役立つようにするというさらなる利点も有する。
(RNAの抽出および精製)
本発明の遺伝子発現プロファイリング方法の第一の分析工程は、生物学的サンプルからの、分析されるRNAの抽出および精製である。出発材料は、例えば、ヒトの腫瘍またはヒトの腫瘍細胞株、および、それぞれに対応する正常な組織または細胞株から単離された全RNAであり得る。従って、RNAは、種々の原発腫瘍(乳房、肺、経腸、前立腺、脳、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、精巣、卵巣、子宮、頭部、および頚部などの腫瘍または腫瘍細胞株を含む)から単離され得る。mRNAの供給源が原発腫瘍である場合、mRNAは、例えば、凍結または保管されたパラフィン包埋固定(例えば、ホルマリン固定)組織サンプル(FPET)から抽出され得る。RNA供給源がFPETである場合、この方法は、パラフィンの除去を包含する。FPE組織の脱パラフィン処理は、溶媒としてキシレンを利用するプロトコルによって達成され得ることが周知である。あるいは、RNAは、いずれの有機溶媒も使用せずに脱蝋処理が実施されるプロトコルを使用して、抽出および精製され得、それによって、有機溶媒の除去に関連し複数の操作の必要性を排除し、プロトコルの総時間を実質的に縮める。この代替プロトコルに従って、蝋(例えば、パラフィン)は、組織を可溶化しタンパク質を加水分解する溶解緩衝液中で、65〜75℃でインキュベーションし、その後、冷却して蝋を凝固させることにより、蝋包埋組織サンプルから除去される。さらなる詳細については、例えば、2002年3月12日に出願された同時係属中の出願番号第10/388,360号、および2003年3月12日に出願された国際特許出願PCT/US 03/07713を参照のこと。これらの出願の全ての開示は、これによって明白に参考として援用される。FPE組織からのRNA抽出のための完全なプロトコルは、実施例3に示される。プロセス中の重要な工程は、組織からの効果的なRNA抽出である。本発明者らは、FPE組織にとって非常に効果的な抽出緩衝液を見出した。この緩衝液は、330μg/mlのプロテアーゼK、4Mの尿素、10mMのTrisCl、pH7.5、および0.5%のラウロイルサルコシンナトリウムから構成される。抽出後、次にRNAは、DNAを除去するために、標準的な方法によってDNase 1とともにインキュベートされる。実施例3に記載される方法(特に、記載された抽出緩衝液およびプロトコルの使用)は、60塩基長未満のオリゴヌクレオチドサイズまでの、組織中に存在する代表的な転写されたRNA種の回収をもたらす。上記方法としては、特定のサイズ分布のリボ核酸の定量的な回収、ならびに特異的な親和力またはハイブリダイゼーション捕捉技術に基づく、特定された最小長よりも長い選択された特異的なRNA配列の定量的な回収が挙げられるが、これらに限定はされない。
精製されたすべての核酸の定量的な回収を達成する1つの方法は、精製された材料のキャリア媒介沈殿を使用することである。あるいは、クロマトグラフィー的または親和性の捕捉および放出に基づく方法が、精製された核酸の選択的なフラクションの回収のために使用され得る。これらの方法は、サイズ排除特性を有する種々の膜もしくはマトリックス、または、ハプテンもしくは「捕捉ヌクレオチド配列」を使った精製された核酸の事前の修飾を必要とする親和性の膜もしくはマトリックスを含み得る。これらのタイプの精製は、組織サンプルからの定量的なリボ核酸の回収を可能にする包括的な方法で、サンプル中の全てのリボ核酸を包括的に改変する前処理修飾工程に依存する。
本発明の方法は、RNA特異的アッセイ(イントロンまで及ぶ設計)に限定されないので、精製されたRNA中のDNAのコンタミネーションが、閾値未満で保たれることを保証する工程を包含することが望ましい。この閾値を越えると、ゲノムDNAの存在が、パネルにおけるmRNA種の正確なqRT−PCR測定を損なう。特定の閾値を越えるゲノムDNAを依然として有するRNA抽出物は、qRT−PCRアッセイがRNAのシグナルのみを報告しDNAのシグナルは報告しないようにするために、DNaseで再度処理される必要がある。
(2.残存ゲノムDNAについての定量的PCRの一般的な説明)
多くのqRT−PCRアッセイは、イントロンスプライス接合部を含むようには設計されず、かなりの量のゲノムDNAがサンプル抽出物中に存在する場合は、定量エラーが生じ得るので、この影響を測定または推定するために、qRT−PCR反応と並行でコントロール反応を実行することは、一般的な方法である。コントロールを構築する一般的方法の1つは、逆転写が行われていない並行する反応を、qRT−PCR反応に含むことである。その仮定は、この反応の何らかのポジティブな結果は、ゲノムDNAのテンプレートに起因するということである。残念なことに、逆転写される特異的テンプレートがない場合、RTネガティブコントロールまたは「RTなし」コントロールは、散発生の人工産物を受け得る。この人工産物は、ポジティブな反応のように見えるが、実際は、反応溶液中における、プライマーとプローブとの互いの人為的相互作用、ならびに、プライマーおよびプローブとRNAとの人為的相互作用を示す。サンプル抽出物中の重大な残存ゲノムDNAの存在を制御する好ましいアプローチは、任意のqRT−PCRアッセイにおいて測定可能な干渉が生じない程度まで「ゲノムDNAを含まない」ようにRNA抽出物を事前に調整(pre−qualify)することである。このようなアプローチは、ゲノムDNAに特異的な感度の高いqPCRアッセイを設計することによって、充たされる。理想的なアッセイの特性は、以下を含む:
発現されないゲノム中(好ましくは、複数の染色体上)で重複するアンプリコン(アッセイの標的のテンプレート)の設計;
重複度は、アッセイの感度が、癌においてよく生じる染色体の欠失および複製によって本質的に影響されないほど、十分に高い多重度であるべきであること;
qPCRアッセイの設計は、非常に低濃度のインプットゲノムDNAに対して、非常に高い効率および感度を有すべきであること
を含む。このアッセイは、精製されたRNAをスクリーニングしてqPCRに適するものにする(qualify)ために使用され、かつ、以下の利点を提供する:
(1)発現スクリーニングにおいては各遺伝子について並行するコントロール(parallel control)が必要とされないので、このアッセイは、RNAサンプルを保存すること;
(2)厳密に規定された閾値を用いる単一のアッセイが、ゲノムDNAの感度については試験されない「RTなし」コントロールによってもたらされる可変かつ散発的な結果を解釈する必要を排除するので、このアッセイは、結果の解釈を単純化すること;および
(3)このアッセイは、qRT−PCRが解釈され得ない場合の、多量の残存ゲノムDNAを有するサンプルの潜在的な無駄使いを排除するサンプルの調整(qualification)を、qPT−PCRを行う前に、提供すること
感度の良いゲノムDNAのqPCRアッセイの例としては、少なくとも7本の染色体上に、ほぼ完全な同一性で存在する標的テンプレートのアンプリコンによって規定されるβアクチン(NM_001101)のアッセイ、および、5本の染色体上に、ほぼ完全な同一性で存在する標的テンプレートのアンプリコンによって規定されるRPLPO(NM_001002)のアッセイが挙げられる。
(3.逆転写酵素PCRの一般的な説明)
逆転写PCR(qRT−PCR)は、おそらく最も感度が高くかつ柔軟な遺伝子発現プロファイリング方法であり、遺伝子発現のパターンを特徴付けるため、密接に関連したmRNA間で識別するため、および、RNAの構造を分析するために、薬物処置を有するかまたは有さない、異なるサンプル(例えば、正常な腫瘍または組織、および罹患した腫瘍または組織)の集団におけるmRNAレベルを比較するために使用され得る。
RNAはPCRのためのテンプレートとしては機能を果たし得ないので、qRT−PCRによる遺伝子発現プロファイリングにおける第一の工程は、RNAテンプレートのcDNAへの逆転写およびその後のPCR反応におけるcDNAの指数関数的な増幅である。最も一般的に使用される2つの逆転写酵素は、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV−RT)、およびモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV−RT)である。逆転写工程は、発現プロファイリングの環境および目標に依存して、代表的には、遺伝子特異的プライマー、ランダム六量体、またはオリゴ−dTプライマーを使用してプライムされる。例えば、抽出されたRNAは、製造元の説明書に従って、GeneAmp(登録商標)RNA PCRキット(Perkin Elmer,CA,USA)を使用して、逆転写され得る。その後、生成されたcDNAは、次のPCR反応においてテンプレートとして使用され得る。
PCR工程は、種々の熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼを使用し得るが、代表的には、Taq DNAポリメラーゼ(これは、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を有するが、3’−5’校正エンドヌクレアーゼ活性を欠く)を利用する。従って、TaqMan(登録商標)PCRは、代表的には、蛍光標識されたハイブリダイゼーション用プローブの標的アンプリコンに結合したこのプローブを加水分解するために、TaqポリメラーゼまたはTthポリメラーゼの5’エキソヌクレアーゼ活性を利用するが、等価の5’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素ならどれでも使用され得る。2つのオリゴヌクレオチドプライマーが、PCR反応の代表であるアンプリコンを生成するために使用される。第三のオリゴヌクレオチドまたはプローブは、2つのPCRプライマー間に位置するヌクレオチド配列にハイブリダイズするように設計される。プローブは、Taq DNAポリメラーゼ酵素では伸張可能でなく、そして、このプローブは、レポーター蛍光色素で5’を標識され、かつ蛍光消光色素で3’を標識される。レポーター色素からの任意のレーザー誘起発光は、(それらがプローブ上で位置するように)2つの色素が近接して一緒に位置するときは、消光色素によって消光される。増幅反応の間、Taq DNAポリメラーゼ酵素は、テンプレートに依存した様式で、プローブを切断する。結果として生じるプローブの断片は、溶液中で解離し、そして、放出されたレポーター色素からのシグナルは、第二の発色団の消光効果に影響されない。レポーター色素の1分子は、新たな分子が合成されるごとに遊離され、そして、消光されなかったレポーター色素の検出は、データの定量的な解釈の根拠を提供する。
qRT−PCRは、例えば、ABI PRISM 7900TM Sequence Detection SystemTM(Perkin−Elmer−Applied Biosystems,Foster City,CA,USA)、またはLightCycler(登録商標)(Roche Molecular Biochemicals, Mannheime,Germany)のような市販の機器を使用して、実施され得る。好ましい実施形態において、5’エキソヌクレアーゼ活性処理は、リアルタイム定量的PCRデバイス(例えば、ABI PRISM 7900TM Sequence Detection SystemTM、またはこのファミリーの機器における類似するシステムのうちの1つ)で行われる。このシステムは、サーモサイクラー(thermocycler)、レーザー、電荷結合素子(CCD)、カメラ、およびコンピューターから構成される。このシステムは、サーモサイクラーにおいて96ウェルフォーマットまたは384ウェルフォーマットでサンプルを増幅する。増幅の間、レーザー誘起蛍光シグナルは、すべての反応ウェルについて光ファイバーケーブルを介してリアルタイムで収集され、そして、CCDで検出される。このシステムは、機器を作動させるため、およびデータを分析するためのソフトウェアを備える。
エキソヌクレアーゼアッセイのデータは、最初は、C(または閾値サイクル)値として表される。上で議論したように、すべてのPCRサイクルの間中、蛍光値が記録され、そして、放出された蛍光プローブの量(この量は、増幅反応中のその時点で増幅された産物に直接的に比例する)を示す。蛍光シグナルが統計的に有意なものとして最初に記録される時点が、閾値サイクル(C)である。
エラーならびにサンプル対サンプルのバリエーションおよびプロセスの可変性の影響を最小化するために、qRT−PCRは、通常、内部参照標準を使用して、実施される。理想的な内部標準は、異なる患者または被験体の間で、比較的一定したレベルで発現され、かつ、実験的処理に影響されない転写された配列のセット(「正規化用参照配列」)である。遺伝子発現のパターンを正規化するために頻繁に使用されるRNAとしては、とりわけ、グリセロアルデヒド−3−リン酸−脱水素酵素(GAPDH)についてのmRNAおよびβアクチンについてのmRNAが挙げられる。
qRT−PCRは、各標的配列について内部競合物(competitor)が正規化のために使用される定量的競合PCRアッセイと、qRT−PCRの正規化の参照のための遺伝子としてサンプル中に含まれる正規化遺伝子を使用する定量的比較PCRアッセイとの両方で、適合性である。さらなる詳細については、例えば、Heldら、Genome Research 6:986−994(1996)を参照のこと。
RNAの供給源として固定されたパラフィン包埋組織を使用する、遺伝子発現のプロファイリングのための代表的なプロトコルの工程(RNAの単離、残存ゲノムDNAの除去、およびPCR増幅を含む)は、種々の公開された学術論文(例えば:Godfreyら(前述)およびSpechtら(前述))において掲載される。手短に言えば、代表的なプロセスは、パラフィン包埋された腫瘍組織サンプルから厚さ10μmの約3つの切片を切り出すことから始める。その後、RNAは抽出され、そして、タンパク質およびDNAが除去される。RNA濃度の分析の後、RNAの修復および/または増幅の工程が、必要に応じて含まれ得、そして、RNAは、遺伝子特異的プライマーを使用して逆転写され、その後PCRされる。
(4.qRT−PCRプロトコルにおける改善)
上で議論したように、本発明の方法は、標準的なqRT−PCRプロトコルのいくつかの工程のおける重要な改善を包含する。この改善は、多重RT工程で遺伝子特異的プライマーをランダムオリゴマープライマーと組み合わせて使用すること、次のcDNA増幅工程における逆方向プライマーとしてRT工程で使用される遺伝子特異的プライマーを使用すること、RT工程とcDNA増幅工程とを分離すること、プライマーおよびプローブの設計を含む。この設計は、多重化、新たな正規化ストラテジー、および得られたデータの分析を、同様に実施する(それらの値がサンプル間で比較されることを可能にする)ために最適化された設計を選択することを含む。これらの改善は、上にまとめられており、そして、より詳細には以下に議論される。
(a)複数の遺伝子の同時分析
前に述べたように、本発明のRT工程およびPCR工程の両方は、多重化され得る(すなわち、同じ反応において複数の遺伝子を分析することにより実施され得る)。従って、逆転写用混合物は、多数の遺伝子についてのプライマーを含み得る。計測機器の適合性のために、96個の遺伝子についてのプライマーがRT工程において頻繁に反応混合物中に含まれるが、この方法は、そのようには限定されない。RT工程の多重化は、1つの反応混合物中で、最大400個まで、または最大800個まで、またはさらに最大1600個までの異なる遺伝子についてのプライマーを使用して成功し得る。
同様に、PCR工程が多重化され得る(すなわち、増幅のために、同じ反応中に複数の遺伝子を含み得る)。
本発明の方法の特定の実施形態において、最適化されたPCRプライマーと検出用プローブとのセットは、各反応が複数のPCRプライマーおよび検出用プローブ(最大5つまでの異なるcDNA、またはcDNAと内部キャリブレーターとの組合せについて特異的)を含む場合、併用される。
このモジュールにおけるすべてのプライマーおよびプローブは、全体的に最適化されており、部分的には、セルフプライミングおよびクロスプライミングチェック用ソフトウェアプログラム(図5に示されるフローチャートで描かれる)の適用により最適化される。最適化されたプライマーおよびプローブは、非特異的PCR産物またはプライマーダイマー種を形成する非特異的相互作用がない単一セットの均質アッセイ条件下で、および、パネル中の各遺伝子について逆方向PCRプライマーが、前の逆転写工程においてcDNAを生成するために使用される逆転写用プライマーと実質的に同じである場合に、同様に挙動する。残存ゲノムDNAの含有量が、本発明のqRT−PCRアッセイに許容され得る閾値レベル未満で保たれることもまた重要である。PCRの間の各遺伝子産物の検出は、蛍光、質量分析などを使用する分子アッセイにおける標準形態のシグナル検出のうちのいずれかを使用することにより実施され得る。
(b)プライマーおよびプローブの設計
逆転写反応および次のPCR増幅は、追加のランダムオリゴマー(代表的には、ランダム六量体〜ランダム十量体)(これは、アッセイの感度を徐々に上げ得る)有りまたは無しで、遺伝子特異的プライマーのプールを用いて実施される。
FPE組織サンプル、または他の年数を経たサンプル、保存サンプル、もしくは処理したサンプルが分析される場合、抽出されたRNAは、断片化される傾向にあり、そして、アンプリコンのサイズは、好ましくは約100塩基未満、より好ましくは約90塩基未満、よりさらに好ましくは約80塩基未満の長さに限定される。
プライマーおよびプローブは、代表的には、周知の原理に従って設計される。従って、例えば、イントロン−エキソンスプライス接合部にまたがるプライマーまたはプローブが好ましい。一般に、一連のホモポリマーまたはタンデムリピートのヌクレオチド配列(例えば、TTT(配列番号13)、CACACA(配列番号14)、GTGTGT(配列番号15))を有する3’末端を有するプライマーは、他に高品質なプライマー候補またはプローブ候補が全くないのでない限り、避けるべきである。プローブの5’末端は、同じテンプレート鎖を共有するプライマーの3’末端から少なくとも1ヌクレオチド離れるべきである。5’Gを有するプローブは、避けるべきである。CよりもGをより多く含むプローブの逆方向相補鎖は、それらが5’Gを有するのでない限り、使用されるべきである。後者の場合は、順方向鎖は、プローブとして使用されるべきであり、5’Gを含む鎖は、決して使用されるべきではない。これらのルールは、配列組成の考慮よりもTmおよびプライミング効率により重点をおいて、階層的であるべきである。プライマー設計およびプローブ設計についての有用な方法の参考文献の例は、Rosen,S.およびSkaletsky H.J.、Primer3 on the WWW for general users and for biologist programmers.、Krawetz,S.,Misener,S.(編)、Bioinformatics Methods and protocols:Methods in Molecular Biology,365−386.2000.Totowa,N.J.Humana Pressである。
FPETのRNAに使用するプローブ/プライマーセットを選択するためのプロトコルの重大な部分は、実証的試験である。目的の各遺伝子に関して、好ましくは3つの異なるプローブ/プライマーセットが、SYBR Green Assay(Applied Biosystems,Inc.)を使用して、プライマーダイマーについて、設計、合成、および試験される。プライマーダイマーを有するセットは、除外される。次に、プローブプライマーセットが、完全長で高品質なRNAおよびFPEで断片化されたRNAテンプレートを使用して、試験される。プローブ/プライマー選択のための基準は、感度(低いC)、シグナル対ノイズ(最大ΔRn)、再現性(反復反応の間の最低標準偏差)、およびインプットする標的濃度への応答の直線性を含む。
(c)オリゴヌクレオチドのセルフプライミングおよびクロスプライミングの制御
前に議論したように、本発明の遺伝子発現プロファイリング方法の処理能力および効率を改善するために、好ましくは、複数のオリゴヌクレオチドが、1つの反応において使用される(多重化)。従って、例えば、多重化されたqPCR反応は、通常、オリゴのいくつかのセット(各セットは、2つのPCRプライマーおよびプローブから構成される)を含む。同様に、プロセスのRT工程は、代表的には、遺伝子特異的プライマーのプールを利用する。両方の工程において、偏らない結果をもたらすために、存在するオリゴヌクレオチド間でのセルフプライミング活性およびクロスプライミング活性を妨げることが重要である。本明細書中の改善された遺伝子発現プロファイリングシステムの一部として、アルゴリズムが、多重化反応においてオリゴヌクレオチドプライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブのクロスプライミングおよびセルフプライミングを最小化するためのPerlプログラムとして開発され、そして実行されている。これのためのアルゴリズムは、図5に図示される。手短に言えば、インプットからの各オリゴヌクレオチドについての3’領域は、逆相補的プール中に存在するすべてのオリゴヌクレオチドに対して検査され、マッチが同定される。マッチが存在する場合は、セルフプライミングオリゴヌクレオチドまたはクロスプライミングオリゴヌクレオチドをアウトプットする(プライミングおよび標識オリゴの両方)。従って、マッチが存在しない場合は、インプットは、セルフプライミングまたはクロスプライミングのチェックを通過する。
(d)正規化のストラテジー
異なる組織標本からのqRT−PCRデータを比較することを可能にするため、インプットするRNA量およびRNAの質における相対的な差異を補正する必要がある。このような差異は、外科用組織標本の処理における固有の可変性(組織の相対質量、手術とホルマリン固定との間の時間、および固定後の貯蔵期間を含む)から主に生じる。更なる可変性が、組織固定に使用される方法および/または試薬ならびに固定後の貯蔵期間における差異から生じ得る。更なる考慮事項は、定量化に介するRNA抽出、cDNAへの逆転写、およびPCRからの各サンプルを処理する間に生じた、累積する可変性である。この補正は、異なる組織標本(「正規化用参照遺伝子」)間で中央発現(median expression)がほとんど変化しない遺伝子のセットに対して生の発現値を正規化することにより達成される。本発明のプロセス(使用される正規化ストラテジーを含む)に従って、種々の供給源から抽出されるRNAは、種々の固定用プロトコルおよび試薬を使用してうまく分析され得ることが示されている。
遺伝子発現プロファイリングのためのFPE組織由来のRNAの使用は、更なる可変性の要素をqRT−PCRアッセイに導入する。FPE組織標本から抽出されたRNAは、しばしば、約300塩基未満の長さの断片として存在することが周知である。FPE組織が最も広範に利用可能な臨床サンプルであるので、任意のqRT−PCRに基づいた診断方法または予後方法は、質の低さとFPEのRNAの可変性に関連する特有の問題に取り組まなければならない。
本発明者らは、FPE組織標本中のRNAが、貯蔵期間が長くなるほど分解し続けること、および、この分解が、mRNAアッセイのシグナル強度の著しい低下を生じることを観察した(図2および図4を参照のこと)。RNA鎖の切断率がアンプリコンの長さに比例することを示すこの観察および関連する実験データ(図4A)に基づき、正規化に使用される正規化用参照遺伝子アンプリコンの長さが、遺伝子発現データの正確さおよび信頼性にとって重大であることが見出されている。貯蔵の間のFPE組織サンプル中のRNA鎖の分解は、ランダムである。参照遺伝子アンプリコンが、アッセイパネル中の試験遺伝子に対して短過ぎる場合、標的遺伝子のレベルが過小評価される。
同様に、参照遺伝子アンプリコンが、アッセイパネル中の試験遺伝子の長さに対して長過ぎる場合、標的遺伝子のレベルが過大評価される。従って、長期間貯蔵されたFPE組織のRNAの増幅に関して、特に約7年間よりも長い貯蔵の場合、標的遺伝子についてのアンプリコンの長さと参照遺伝子についてのアンプリコンの長さ(約100塩基未満、好ましくは約90塩基未満、より好ましくは約80塩基未満)とが、比較的同じ(homogeneous)であることが重要である。アンプリコンのサイズの下限は、少なくとも約45塩基、より好ましくは少なくとも約60塩基である。
本発明者らは、広範に異なる期間(多くの場合、何年も離れている)で保管されたFPE組織標本中に存在する特定のRNA種の相対レベルが、図4Bに示されるように、異なる標本中で生じている異なる量のRNA分解を保証する参照遺伝子正規化用ストラテジーを使用して横断比較(cross−compared)され得ること見出していた。
保管されたFPE組織中のRNAの断片化率が、RNAの長さに比例すると決定されているので、保管貯蔵期間の影響についての最適な補正は、試験遺伝子のアンプリコンの長さおよび参照遺伝子のアンプリコンの長さが、狭い範囲(約15%以下、およびより好ましくは約10%未満の逸脱する範囲)内に入ることを必要とする。
(e)普遍的な正規化用参照遺伝子
異なる個々の被験体と異なる組織との間において、可変性がほとんどない発現された遺伝子を見出すことは、やりがいのあることである。この問題は、遺伝子および染色体の両方の重複および/または欠失のため異数性が普通である、癌組織においてさらに度合いを増す。本発明は、普遍的に有用な、このような問題を避ける正規化用参照遺伝子を同定する方法を提供する。
本発明の普遍的に適用可能な正規化用参照遺伝子の1つのクラスは、ゲノム(例えば、ヒトゲノム)全体にわたるオープンリーディングフレームにおける重複性が理由で、大量に発現される配列を有する。理想的には、この発現の量は、ゲノム全体にわたる複数の位置からの同時転写を示す。このような特性を有する発現した配列は、1つもしくは数個の発現部位の増幅または欠失に対して、比較的、非感受性である。なぜなら、このような増幅または欠失は、測定された全体の構成的な発現値のほんの少数の構成要素を表す。同様に、この測定された発現は、多くの部位からの発現の平均を表し、そしてそれ故にまた、発現の全体の可変性を平均化しかつ最小化する。
この普遍的な参照スキームのための候補配列は、構造遺伝子である必要はないが、必須の発現パターン(複数の部位から構成的に発現されるパターン)を有するオープンリーディングフレームである必要がある。発現の検出が、qRT−PCRによるものなので、ゲノム中に保存され(高度に多様でなくてよい)かつ高度に発現される任意の配列は、この目的のために潜在的に有用である。このような配列は、発現された配列のデータベースのバイオインフォマティックス分析によって容易に同定され得、その後、マッピングの位置および組織の発現パターンについてフィルタリングされ得る。このようにして同定された候補アンプリコンは、発現における相対可変性を決定するために、qRT−PCRによって機能的に試験され得、組織サンプルおよび個々のサンプルの代表的なセットにおいて機能的にスクリーニングされ得る。
(f)アッセイ用較正配列
不活性内部アッセイ性能校正用コントロールとして使用され得るオリゴヌクオチド配列は、ヒトゲノムにおいて発現されない配列である。このような参照配列(内部キャリブレーターと本明細書中で称される)の同定は、実施例2において記載される。手短に言えば、全体のストラテジーは、およそ80〜100ヌクレオチド塩基のランダムに生成されたオリゴヌクレオチド配列の初期バッチの生成に基づいている。その後、これらのオリゴヌクレオチドは、有意な相同性を示さない配列を同定するための公衆利用可能なソフトウェア(例えば、BLAST)を使用して、ヒトゲノム中に存在する配列と比較される。あるいは、より短いオリゴヌクレオチドのランダム配列は、生成され得、ヒトゲノム中に存在する配列と比較され得、その結果、有意な配列同一性を有さない配列が同定され得る。次いで、ヒトゲノムにおいて有意なヒットを有さない短いランダムオリゴヌクレオチド配列は、統合されて、より長い(80〜100塩基長)オリゴヌクレオチド配列となり、この配列は、以下に記載されるように、内部アッセイ較正用ポジティブコントロールとして、および多くの他の目的のために使用され得る。
後者(「ボトム−アップ」)ストラテジーについての利点が少なくとも2つ存在する:
(1)アンプリコン内の一部(sub−string)が、ヒトゲノムに対するBLASTのヒットを有する機会を改善する、および
(2)各々のより短いオリゴヌクレオチド配列(例えば、21マー)はまた、多重化されたPCRフォーマットに使用され得る候補PCRプライマーとして機能を果たし得る。
本発明の内部キャリブレーターは、複数の潜在的な適用を有する。例えば、
(i)PCR試薬が、各反応(ウェル)において作用しているかどうかを決定するためのqRT−PCR反応の内部ポジティブコントロール、
(ii)複数の構成要素として標準的なqRT−PCR反応に加えられる場合、これらの普遍的な「不活性」アッセイは、プロセス較正のための内部コントロールとして作用し得る。すなわち、テンプレート濃度が既知で、これらの反応のうちの1つが、標準的なプライマー濃度およびプローブ濃度で加えられる場合、反応Cは、100%の場合に予測可能であるはずである。期待された結果からの偏差が存在する場合は、反応の阻害または試薬の不調が起こっているとみなされ得、そして、推測の結果としてまた、同一程度に多重化された反応に影響するとみなされ得る。
(iii)多重化されたqRT−PCRが実施される場合、1つの色素標識をコントロールとして割り当てることが望まれる。この内部キャリブレーターは、この目的のために役立ち得る。
(iv)分析されるRNAサンプルが、キャリブレーターの相補的RNAとともに加えられる場合、内部キャリブレーターは、qRT−PCRアッセイ、および、遺伝子発現分析のためのハイブリダイゼーションアレイを使用する場合の両方において、ポジティブコントロールとして機能を果たし得る。
(v)RNAサンプルが、相補RNAとともに加えられない場合、内部キャリブレーターは、非特異的ハイブリダイゼーションの推定値を提供することによって、遺伝子発現分析のためのアレイ上のネガティブコントロールとしての機能を果たし得る。
(5.遺伝子発現プロファイリングの結果の適用)
本発明の重要な局面は、臨床情報および予後情報を提供するために、罹患した組織(例えば、癌組織)中の特定の遺伝子について測定された発現を使用することである。前に議論したように、この目的のためには、アッセイされたRNAの絶対量における差異、および、使用されたRNAの質における可変性の両方について補正する(正規化して差異を取り除く)ことが必要である。従って、アッセイは、代表的には、特定の正規化する遺伝子または参照遺伝子の発現を測定し、そして取り込む。あるいは、正規化は、アッセイされたすべての遺伝子またはそれらの大きなサブセットの平均または中央値のシグナル(C)に基づき得る(全体的な正規化アプローチ)。
処置の決定について、または癌の分類もしくは種々のタイプの癌についての価値のある情報を提供するために、遺伝子発現プロファイリングによって得られたデータは、代表的には、統計分析に供される。発現データの有意性を理解するために、代表的には、判別分析が順方向段階的アプローチを使用して実施される。この分析は、遺伝子発現プロファイルを評価するためのモデルの生成を含み、このモデルは、1つの遺伝子だけで得られたものよりもより良い予後情報を提供する。
別のアプローチ(事象までの時間(time−to−event)のアプローチ)に従って、各遺伝子についての1Cox比例ハザードモデル(例えば、Cox,D.R.およびOakes,D.(1984)、Analysis of Survival Data,Chapman and Hall,London,New Yorkを参照のこと)は、従属変数として再発または死までの時間で規定され、そして独立変数として遺伝子の発現レベルで規定される。例えば、Coxモデルにおいてp値<0.10を有する遺伝子が同定される。各遺伝子について、Coxモデルは、遺伝子発現における単位変化についての再発または死の相対危険度(RR)を提供する。(Ct尺度上で)測定された発現の任意の閾値で、患者をサブグループに分配することを選択し得る。ここで、閾値より高い発現値を有するすべての患者は、より高いリスクを有し、そして、閾値未満の発現値を有するすべての患者は、より低いリスクを有するか、または逆も同じであり、その遺伝子が、悪い(RR>1.01)予後の指標であるか、または良い(RR<1.01)予後の指標であるかどうかに依存する。従って、任意の閾値は、比較的増加したリスクまたは減少したリスクで、患者のサブグループを規定する。
本発明の実行は、キットの提供によって容易にされ得る。このキットは、本発明の方法の実施に適切な以下の構成要素:
(1)抽出用緩衝液/抽出用試薬および抽出用プロトコル;
(2)逆転写用緩衝液/逆転写用試薬および逆転写用プロトコル;ならびに
(3)qPCR用緩衝液/qPCR用試薬およびqPCR用プロトコル
のうちの1つ以上を備える。適切な抽出用緩衝液/抽出用試薬および抽出用プロトコルは、例えば、以下の実施例3において記載される。適切な逆転写用緩衝液/逆転写用試薬および逆転写用プロトコルならびにqPCR用緩衝液/qPCR用試薬およびqPCR用プロトコルは、前述の開示において、および実施例1において記載される。この前述の開示はまた、RTプライマーおよびPCRプライマーおよびプローブの設計に関する情報および指示を提供する。関連ソフトウェアは、議論されており、そして、任意の特有の必要性に容易に適合し得る。試薬は、例えば、封をされたバイアル中に便利に保存され、そして、指示は、バイアルに(例えば、ラベルとして)取り付けられ得るか、またはバイアルと一緒に(例えば、添付文書として)包装化され得る。
本発明のさらなる詳細は、以下の非限定的な実施例において提供される。
(実施例1.保存パラフィン包埋組織における遺伝子発現の測定および正規化の影響)
(材料および方法)
(組織標本)保存乳房腫瘍FPEブロック、およびマッチする凍結腫瘍切片は、Providence St.Joseph Medical Center,Burbank CAより提供された。切除された組織を、標準的な免疫組織学の手順に従って、10%の中性緩衝化したホルマリン中で、5〜10時間、インキュベートした後、アルコールで脱水して、パラフィン中に包埋した。
(RNA抽出の手順)RNAを、各患者の症例ごとに、3つの10μm FPE切片から抽出した。パラフィンを、キシレン抽出によって除去し、続いてエタノールで洗浄した。RNAを、MasterPureTM Purification キット(Epicentre,Madison,WI)を、RNA抽出に使用したことを除いて、実施例3に記載されるプロトコルを使用して、切片化した組織ブロックから単離した。凍結組織標本の場合は、RNAを、業者の使用説明書(Invitrogen Life Technologies,Carlsbad,CA)に従い、Trizol試薬を使用して抽出した。残存ゲノムDNAのコンタミネーションを、TaqMan(登録商標)定量的PCRアッセイ(RTコントロール無し)によって、βアクチンのDNAについてアッセイした。測定可能な残存ゲノムDNAを有するサンプルを、再度、DNaseI処理に供し、そして、DNAのコンタミネーションについて、再度アッセイした。
(FPE組織のRNA分析)RNAを、RiboGreen(登録商標)蛍光方法(Molecular Probes,Eugene,OR)を使用して定量し、そして、RNAのサイズを、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies,Palo Alto,CA)を使用し、マイクロキャピラリー電気泳動によって分析した。
(TaqManのプライマーおよびプローブの設計)各遺伝子について、適切なmRNA参照配列(REFSEQ)登録番号を同定し、そして、NCBI Entrezヌクレオチドデータベースを介してコンセンサス配列にアクセスした。qRT−PCRプライマーおよびプローブを、Primer Express(登録商標)(Applied Biosystems,Foster City,CA)およびPrimer3プログラム(RosenおよびSkaletsky,Methods Mol.Biol.132:365−386(2000))を使用して設計した。オリゴヌクレオチドは、Biosearch Technologies Inc.(Novato,CA)およびIntegrated DNA Technologies(Coralville,IA)から供給された。アンプリコンのサイズは、好ましくは、100塩基未満の長さに限定された(結果を参照のこと)。発蛍光性プローブを、レポーターとして5’−FAMで、そして、非蛍光発生性消光剤として3’−BHQ−1で二重に標識した。
(逆転写)逆転写(RT)を、qRT−PCR用(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)SuperScript First−Strand Synthesis Kitを使用して行った。FPEの全RNAおよびプールされた遺伝子特異的プライマーは、それぞれ、10〜50ng/μlおよび(各)100nMで存在した。
(TaqMan遺伝子発現プロファイリング)TaqMan反応を、Applied Biosystems Prism(登録商標)7900HT TaqMan器機を使用して、製造業者の使用説明書に従い、384ウェルプレート中で行った。各遺伝子の発現を、反応ウェルごとに1ngの全RNAから合成されたcDNAを使用する二連の5μlの反応においてか、または、示されるように、2ngの全RNAから合成されたcDNAを使用する1つの反応のいずれかにおいて、測定した。プライマーおよびプローブの最終濃度は、それぞれ、0.9μM(各プライマー)および0.2μMであった。PCRサイクリングを、以下のように実施した:95℃で10分間を1サイクル、95℃で20秒間、そして60℃で45秒間を40サイクル。qRT−PCRのシグナルが、ゲノムDNAではなくRNAから生じたこと確認するために、試験された各遺伝子に関して、試験アッセイと同じであるが、RT反応(RTコントロール無し)を省略するコントロールを含めた。qRT−PCRの間の所定の増幅曲線についての閾値サイクルは、プローブの切断からの蛍光シグナルが特定の指定の蛍光閾値設定を超えて増加する時点で生じる。より大きい初期テンプレートを有する試験サンプルは、より少ない初期テンプレート量を有するサンプルよりも、増幅サイクル数がより小さい段階で閾値を越える。
(正規化およびデータ分析)標本間で発現プロファイルを比較するために、6個の参照遺伝子に基づく正規化を、RNAの質および各アッセイ中のRNAの総量における可変性から生じる差異について補正するために使用した。各々の試験された標本についての参照C(閾値サイクル)は、6個の参照遺伝子の測定されたCの平均として規定された。試験遺伝子の正規化されたmRNAレベルは、ΔC+10として規定される(ここで、ΔC=C(6個の参照遺伝子の平均値)−C(試験遺伝子))。
(統計分析)遺伝子発現分析の補正を、ピアソン線形補正を使用して行った。クラスター分析を、1−ピアソンR(距離メートルとして)、および最近隣法階層的クラスタリング(single linkage hierarchical clustering)を使用して行った。
(結果)
(FPE組織のRNAの断片化は、保管貯蔵期間とともに増加する)
保管FPE乳癌標本から抽出されたRNAのキャピラリー電気泳動分析は、RNAが大部分は300塩基未満の長さの断片として存在することを示す。これは、他者の知見(Godfreyら、前述;Goldsworthyら、前述)と一致する。図2は、かなり異なる持続期間にわたって保管された標本からRNAのサイズ分けの結果を表す。示されるように、約1年間保管された乳癌組織のRNAは、約6年間または約17年間保管されたRNAよりも大きい平均分子量を有する(1年経った標本における約2000塩基の検出可能な18S RNAに注目)。これらの標本の全ては、1つの供給源(Providence Hospital,Burbank,CA)由来であり、そして、この17年間の期間の間中、全ての標本を同じホルマリン固定化プロトコルを使用して固定した(詳細については材料および方法を参照のこと)。従って、このことは、FPE組織の断片化が、標本を脱水し蝋中に包埋した後も、起こり続けることを示唆する。
(92個の遺伝子のアッセイからの結果:正規化に対するアンプリコンの長さの影響)
92個の異なる遺伝子の発現を、1年間〜17年間保管されていた62個の異なるFPE乳癌標本にわたってプロファイリングした(遺伝子あたり1つの反応/ウェル)。全ての標本は、分析に適切な量のRNAを生じた。全ての患者および遺伝子についての平均および中央値の生Cは、それぞれ33.2および32.5であった。生C値は、24〜40の範囲(後者の値は、製造業者によって設定されたようにシグナル検出の失敗を規定する、PCRサイクル数のデフォルトの上限)に及んだ。
異なる組織標本からのqRT−PCRのデータを比較することを可能にするために、インプットRNAの量および質の相対差異を補正することが必要である。これらの差異は、外科用組織標本の処理における固有の可変性(組織の相対量および手術間の期間、ならびに、ホルマリン固定の質および持続期間を含む)から、主に生じる。二次的考慮事項は、定量化、cDNAへの逆転写、およびPCRを介するRNA抽出からの各サンプルを処理する間に生じた累積する可変性である。この補正は、異なる組織標本間での発現中央値がほとんど変化しない遺伝子(「参照遺伝子」)のセットに対して、生の発現値を正規化することによって慣用的に達成される。
保管貯蔵が長引くにつれRNAが分解し続けることの観察(図2、上記)は、qRT−PCRシグナルが保管貯蔵が長引くにつれ減衰する傾向にあるのかどうか、そして、もうしそうである場合は、参照遺伝子への正規化は、この傾向を補正し得るかどうかという疑問をもたらした。図3は、92個すべての遺伝子についての6個の参照遺伝子に対する発現の平均値(±SD)を示す。
92個の遺伝子の研究のために使用した62個の標本のそれぞれを、3つの時間範囲(具体的には、2001年、約1996年、および約1985年)のうちの1つの範囲内で補正した。図4A中の各記号は、62個の試験された患者標本のそれぞれについての試験された遺伝子のすべてにわたる平均Cを示す。示されるように、最も古い標本からのC値は、より新しい標本からのC値(平均値31.0)よりも、実質的に、高い(平均値35.3)。なぜなら、C尺度はlogであり、2001年と1985年との間の5単位のC単位の損失は、qRT−PCRシグナルの平均の90%より高い低下を表すからである。
正規化(6個の遺伝子の参照セットを使用)は、パネル4Aに見られる曲線の傾きを平坦化し、そして、FPE標本の長期間の保存の結果生じたqRT−PCRシグナルの損失を保証して、このバイアスを効果的に補正する(図4B)。図4Bに示される分析に類似する分析はまた、遺伝子毎のベースで行われた(データは示さず)。一般に、生データを生じた個々の遺伝子は、正規化前の図4A中の曲線に、および正規化後の図4Bに、おおよそ対応した。しかしながら、12個の遺伝子について、ブロックの年齢は、正規化された発現の平均値の上昇に相関付けした。これらの12個の遺伝子について、平均アンプリコンサイズは、パネル中の他の遺伝子の平均アンプリコンサイズ(78±11塩基)よりも、大きかった(104±15塩基)。
従って、可能な場合、プローブセットおよびプライマーセットは、70〜85塩基の比較的に狭い範囲内で適合するように、再設計された。再設計されたプローブセットおよびプライマーセットを用いて、正規化は、保管貯蔵関連バイアスを保証したことが見出された。従って、最適には、アンプリコンサイズは、長さで限定されなければならないだけでなく、試験遺伝子および参照遺伝子のアンプリコンの長さでも、効果的に同じでなければならない。
qRT−PCRは、頻繁に、例えば、DNAアレイ方法(Chuaquiら、Nature Genetics 32:509−514(2002);Rajeevanら、Methods 25:443−451(2001))のような他の遺伝子発現の測定方法を試験するための標準として使用される。同様に、本発明者らは、FPE組織のRNAからのqRT−PCRベースの遺伝子発現プロファイルと、未固定の組織のRNAからのプロファイルとを比べるために努力した。この目的のために、本発明者らは、1995年に同じ乳房腫瘍から調製されたFPEサンプルおよび凍結サンプルを同定した。凍結組織からのRNAは、検出可能な28Sおよび18SのリボソームRNAのバンドによって示されたように、比較的インタクトなままであった。対照的に、FPE組織由来のRNAの多くは、200塩基未満の長さであった。対のFPEサンプルと凍結サンプルとからのRNAを、42個の試験遺伝子および6個の参照遺伝子で構成された48の遺伝子のアッセイでプロファイリングした。正規化されたプロファイルは、ほとんどの遺伝子について、2つのサンプル間において似ているだけでなく、本質的に同一であった(データは示さず)。試験した全ての遺伝子についてのFPE組織と凍結組織との間で調整されたピアソン補正(R)は、91%であった。
エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、およびHER2のmRNAについての測定されたレベルは、独立の臨床参考研究所でIHCによって測定したときのそれぞれのタンパク質のレベルと一致した。ERおよびPRについてのqRT−PCR発現の結果が、ポジティブな値とネガティブな値とに二分され、そして、ERおよびPRの、IHCに基づいたポジティブおよびネガティブな割り当てと比較される場合に、およそ90%の一致が得られた(データは示さず)。
現在、IHCは、その多数の弱点(これは、現場ごとの感度におけるバリエーション、固定条件への依存性、較正された定量化の欠如を含む)にもかかわらず、診断上の臨床適用に広範に用いられる標準的な遺伝子発現アッセイであり続ける(Paikら、J.Natl.Cancer Inst.94:852−854(2002))。しかしながら、再現性、定量、ダイナミックレンジ、および複数分析物の可能性についてのqRT−PCRの利点は、これを近い将来の適用のための有望な診断技術にする。
(実施例2.内部キャリブレーターの生成)
個々の反応の性能をモニターするため、ならびに、遺伝子プロファイリングのための定量的qRT−PCR(qRT−PCR)アッセイの間および後の品質管理およびデータの正規化プロセスを改善するために、内部校正の制御が、多重化されたPCRアッセイの1つの構成要素として実行されることが望ましい。内部校正の制御の目的は、アッセイの構成要素における可変性かまたはサンプル抽出物中の混入物のキャリーオーバーのようなものに起因した、アッセイの性能における可変性をモニターすることである。この目的のために使用される内部キャリブレーターは、以下の基準を満たす必要がある:
(1)同じ長さ、同じプライマー組成およびプローブ組成、ならびに融解温度の設計必要条件(代表的には、qRT−PCRアッセイのパネルの他のメンバーのために使用される条件)を満たすアンプリコンであるべきである:
(2)そのプライマーおよびプローブが、ヒトのサンプルでの任意のqRT−PCRアッセイを配列の相互作用によって干渉しないべきである:
(3)そのプライマーおよびプローブの配列が、合成アンプリコンに特異的であるためにヒトゲノム中に存在しないべきである:ならびに
(4)アッセイ性能において、qRT−PCRアッセイの残りの複数のパネルメンバーと、同じ効率、精度、および正確さを提示すべきである
という基準を満たす必要がある。
上の必要条件を考慮にいれ、一連の内部キャリブレーターを、ポジティブアッセイの校正コントロールとして使用するために開発した。このキャリブレーターは、ランダム配列の合成アンプリコン(84ヌクレオチド長)であった。これらアンプリコンは、それらが、アッセイの設計必要条件を満たし、そして、ヒトゲノム中のあらゆる配列に対して有意な配列同一性を有さなかったので、選択された。
このような内部キャリブレーターを生成するための全体的なストラテジーは、ランダム配列のオリゴヌクレオチド(それぞれ、21ヌクレオチド長)の一群を生成することから始まった。その後、これらの構成要素のオリゴヌクレオチドを、ランダムな84マーのオリゴヌクレオチドへと組み立てた。このオリゴヌクレオチドを、ヒトゲノムと(例えば、BLASTソフトウェアを使用して)比較し、そして有意なヒットがない配列を選択した。
1.21のオリゴヌクレオチドの1000のランダム配列を生成した。
2.この1000のオリゴヌクレオチドを、BLASTソフトウェアを使用してヒトゲノムと比較し、そして、有意なヒットがないオリゴヌクレオチドを選択した。
3.工程2で得られたオリゴヌクレオチドを、4グループに分け、そして、84のヌクレオチドのオリゴへと鎖状につないだ。その後、プライマー設計およびプローブ設計、そしてさらにスクリーニングが続いた。
4.結果として生じる84塩基のオリゴヌクレオチドを、BLASTによって再度ヒトゲノムと比較し、スクリーニングして完全一致の最も短い一部(string)を有する上位16個の配列を選択した。
5.プローブおよびプライマーを、16のオリゴのPCR増幅のために設計し、プライマーダイマーの存在を試験した。上の基準に合格した最終的な12個の84マーのオリゴを、内部較正用コントロール配列として選択した。
選択された12個の普遍的な参照配列を、以下の表2に示す。
Figure 2007509613
84マーの内部キャリブレーターを組み立てるために使用した種々の21マーのオリゴヌクレオチド構成要素の配列を、PCRのプライミング配列の潜在的な代替ペアとして選択した。これらを、セット間でプライマーのクロスハイブリダイゼーションが存在しなかったことを保証するために再チェックした。各84マーのキャリブレーター配列内で利用可能な代替PCRプライマーペアの配列を有することが、84のヌクレオチドよりも短いアンプリコンの任意のさらなる設計作業または配列相互作用スクリーニングなしでの使用を許容するという更なる利点を提供する。
(実施例3.FPE組織からのRNA抽出)
RNAを、以下のプロトコルによってFPE組織から抽出する:
1)パラフィンブロックから3個〜6個の10μmの切片を切リ出す;
2)1mlのキシレンを加え、3分間揺り動かす;
3)2分間遠心分離し、キシレンを除去する;
4)新鮮なキシレンを1ml加え、上のようにもう2回繰り返す;
5)最後のインキュベーションによって残存するすべてのキシレンを除去する。
6)100%エタノールを1ml加え、3分間揺り動かす;
7)14,000rpmで30秒間遠心分離し、アルコールを除去する;
8)新鮮な100%エタノールを1ml加え、もう2回繰り返す;
9)残存する全てのアルコールを除去し、消化緩衝液中に300μlのプロテイナーゼKを加える;
消化緩衝液の処方:
4Mの尿素、10mMのTrisCl、pH7.5、0.5〜1.0%のラウロイルサルコシンナトリウム、および330μg/mlのプロテイナーゼK;
あるいは、1Mのエタノールアミンまたは1Mのグアニジンイソチオシアネートは、尿素と置き換えられて、類似する質および量のRNAを生じ得る;
9)組織切片をプロテイナーゼK溶液中で、(Eppendorf Thermomixerを使って)65℃で90分間、850rpmで一定に振盪しながらインキュベートする;
10)7.5MのNHOAcを150μl加え、10秒間ボルテックスする。14K rpmで10分間遠心分離する。上清を、底にある白いペレットおよび時々透明なペレットを避けながらピペットで新たなチューブへ移す。これは、細胞溶解の間に溶解したプロイナーゼKおよび他のタンパク質を除去する;
11)収集した上清と等容量のイソプロピルアルコールを加え、遠心分離の前に4℃で5分間揺り動かす;
12)白いRNAペレットは、チューブの下方の側面で可視であるはずである;
13)1mlの80%エタノールでペレットを洗浄し、迅速に遠心分離し、エタノールを除去し、繰り返す;
14)ペレットを風乾し、ヌクレアーゼを含まない水中に再懸濁する;
本発明は、特定の実施形態と考えられているものを参照として記載されてきたが、本発明がこのような実施形態に限定されないことが理解されるべきである。反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる種々の改変および均等物を網羅することを意図している。例えば、本開示は、癌(特に、FPETサンプル)から得られた組織サンプルの遺伝子発現プロファイリングに焦点を合わせるが、本発明の方法は、任意の生物学的サンプル(正常サンプルまたは罹患したサンプルであろうと)の遺伝子発現プロファイルの決定に同等に適している。特に、本発明の方法は、断片化され、そして/または化学的に処理された(修飾された)RNAを含む全ての生物学的サンプル(例えば、法医学的サンプルおよび病理学的サンプルのような、年数を経たサンプル、保存サンプル、および処理したサンプルを含む)の発現プロファイリングに適している。
本発明の方法は、2つのPCRプライマーおよび1つの介在する二重に標識されたレポータープローブを必要とする、TaqMan(登録商標)フォーマットのqRT−PCRによって例示されているが、本発明は、そのようには限定されない。代替アッセイのフォーマットは、本発明の最適化された分析アッセイに適合可能である。このフォーマットとしては、限定することなく、LightCycler qRT−PCR機器に適合したプローブおよびプライマーのフォーマット、qRT−PCR用ScorpionTMプローブ、qRT−PCR用MGB(登録商標)改変プローブ、qRT−PCR用SNPdragonTMプローブ、Molecular Beaconプローブ、MALDI−TOF質量分析による検出用に設計された伸張プライマー、およびqRT−PCRアッセイのフォーマットの他の同様の改変が挙げられる。本発明のqRT−PCRベースのアッセイを促進、カスタマイズまたは改変するために役立つ、このような改変および類似する改変の全ては、当業者にとって明らかであり、具体的に本発明の範囲内である。
本開示全体にわたって引用された全ての参考文献は、これによって明白に参考として援用される。
本発明は、特定の実施形態を参照して例示されているが、本発明は、そのようには限定されない。当業者は、特定の改変および変更が可能であることを理解し、そして、本質的に同じ方法で本質的に同じ結果を提供することを理解する。このような改変および変更の全ては、本明細書中で主張した本発明の範囲内にある。
本発明の遺伝子発現プロファイリング方法のフローチャートである。 12個の腫瘍標本由来のFPE組織のRNAのサイズ分布。全RNAを、実施例1に記載されるように、乳癌の標本から抽出した。各RNA抽出物からの1μl(サンプルの30分の1)を、Agilent 2100 Bioanalyzer,RNA 6000 Nanochipを使用して分析した。レーン1〜4、レーン5〜8、およびレーン9〜12は、それぞれ、約1年間、約6年間、および約17年間保管されたサンプル由来のRNAを含む。レーンM1およびレーンM2は、2つの異なるセットの分子量マーカーのRNAを含む(サイズは、塩基で示される)。 62個の乳癌標本中の92個の遺伝子についての発現の範囲。TaqMan qRT−PCRを使用して、実施例1に記載されるようにmRNAレベルを測定し、そして6個の参照遺伝子と比較して発現を測定した。試験した全ての患者にわたる発現値の平均値および平均値の標準偏差を、各遺伝子について示す。各ボックスは、試験した全ての腫瘍標本についてのmRNAレベルの平均値を表し、そしてエラーバーは、その遺伝子についての全ての測定値の標準偏差を示す。発現値(Y軸)は、底が2の対数(log)値として表される参照遺伝子に対して正規化されている。試験遺伝子の正規化されたmRNAレベルは、2ΔCT+10.0(ここで、ΔC=C(6個の参照遺伝子の平均値)−C(試験遺伝子))として定義される。 パラフィンブロックの保管貯蔵期間の関数としての、62個の患者サンプル中の92個の遺伝子についてのC(周期閾値)の平均値。X軸は、各標本が保管された年数を示す。Y軸は、試験された全ての遺伝子についての発現の平均値を示す。各記号は、別々の患者を表す(パネル4A:全ての標本についてのC発現の生の平均値)。正規化されたmRNAレベルは、上記の図3の説明文中に定義されたとおりである。参照遺伝子は、β−ACTIN、CYP1、GUS、RPLPO、TBP、およびTFRCであった(実線:最適の直線回帰)。 パラフィンブロックの保管貯蔵期間の関数としての、62個の患者サンプル中の92個の遺伝子についてのC(周期閾値)の平均値。X軸は、各標本が保管された年数を示す。Y軸は、試験された全ての遺伝子についての発現の平均値を示す。各記号は、別々の患者を表す(パネル4B:6個の参照遺伝子に対して正規化した後の発現値)。正規化されたmRNAレベルは、上記の図3の説明文中に規定されたとおりである。参照遺伝子は、β−ACTIN、CYP1、GUS、RPLPO、TBP、およびTFRCであった(実線:最適の直線回帰)。 セルフプライミングまたはクロスプライミングする可能性のあるオリゴヌクレオチド配列を同定するためのプログラムについてのフローチャート。

Claims (44)

  1. 定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)によって、複数のRNA種を含む組織サンプルにおいてRNA発現プロファイルを決定する方法であって、該方法は、以下の工程:
    (a)該組織サンプル中に存在する転写されたすべてのRNA種のうちの最大の代表を提供する条件下で、該サンプルからRNAを抽出する工程;
    (b)該RNAを相補DNA(cDNA)へと転写させる条件下で、得られた該RNAを、該RNA種の少なくとも1つのサブセットに対応する複数の遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、dNTP、および逆転写酵素を含む逆転写反応用混合物で処理する工程;
    (c)各cDNA転写物を定量的に検出する工程、
    を包含し、ここで、工程(b)と工程(c)とは、別々の反応において実施される、方法。
  2. 工程(b)において得られた前記cDNAが、工程(c)を実施する前に、増幅される、請求項1に記載の方法。
  3. 増幅が、各cDNA転写物についてのアンプリコンが生成される順方向プライマーおよび逆方向プライマーのセットの存在下でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって実施されている、請求項2に記載の方法。
  4. 工程(b)において使用される前記遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの少なくとも一部分が、前記PCR増幅工程において、逆方向プライマーとしての機能を果たす、請求項3に記載の方法。
  5. 前記組織が、断片化されたRNAまたは化学修飾されたRNAを含む、年数を経た組織、保存組織、または処理した組織である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記組織が、ヒトの組織である、請求項4に記載の方法。
  7. 前記組織が、凍結または固定された、蝋包埋組織である、請求項6に記載の方法。
  8. 工程(b)において、前記逆転写用混合物が、少なくとも約10のRNA種についての遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 工程(b)において、前記逆転写用混合物が、少なくとも約15のRNA種についての遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを含む、請求項7に記載の方法。
  10. 工程(b)において、前記逆転写用混合物が、少なくとも約90のRNA種についての遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを含む、請求項7に記載の方法。
  11. 工程(b)において、前記逆転写用混合物が、少なくとも約400のRNA種についての遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを含む、請求項7に記載の方法。
  12. 工程(b)において、前記逆転写用混合物が、少なくとも約800のRNA種についての遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを含む、請求項7に記載の方法。
  13. 工程(b)において、前記逆転写用混合物が、少なくとも約1600のRNA種についての遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを含む、請求項7に記載の方法。
  14. 前記逆転写用混合物が、複数のランダムオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項7に記載の方法。
  15. 前記ランダムオリゴヌクレオチドが、6ヌクレオチド長〜10ヌクレオチド長である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記ランダムオリゴヌクレオチドが、6ヌクレオチド長である、請求項14に記載の方法。
  17. 前記ランダムオリゴヌクレオチドが、8ヌクレオチド長である、請求項14に記載の方法。
  18. 前記ランダムオリゴヌクレオチドが、9ヌクレオチド長である、請求項14に記載の方法。
  19. 前記逆転写酵素工程(b)または前記PCR増幅工程、あるいは両工程において、セルフプライミングまたはクロスプライミング可能なオリゴヌクレオチドの数が、最小化される、請求項7に記載の方法。
  20. セルフプライミングまたはクロスプライミングが、コンピューターアルゴリズムによって、最小化される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記逆転写用混合物が、少なくとも1つの正規化用参照配列のRNAを含む、請求項7に記載の方法。
  22. 工程(b)における前記逆転写用混合物が、約5〜10の正規化用参照配列のRNAを含む、請求項21に記載の方法。
  23. 各qRT−PCR反応物が、少なくとも1つの内部較正用参照配列を含む、請求項7に記載の方法。
  24. 前記内部較正用参照配列の1つ以上が、ヒトゲノム中のあらゆる配列に対して、有意な相同性を有さない配列を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記組織サンプルが、腫瘍由来の、凍結またはホルマリン固定された、パラフィン包埋(FPE)生検サンプルである、請求項7に記載の方法。
  26. 前記腫瘍が、癌である、請求項25に記載の方法。
  27. 前記癌が、乳癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌、肝細胞癌、胃癌、膵癌、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿路癌、甲状腺癌、腎臓癌、癌腫、黒色腫、および脳癌からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
  28. 前記癌組織が、断片化されたRNAを含む、請求項25に記載の方法。
  29. 遺伝子標的のアンプリコンが、約100ヌクレオチド長未満である、請求項28に記載の方法。
  30. 遺伝子標的のアンプリコンが、約90ヌクレオチド長未満である、請求項28に記載の方法。
  31. 遺伝子標的のアンプリコンが、約80ヌクレオチド長未満である、請求項28に記載の方法。
  32. 標的遺伝子のアンプリコンの長さと、正規化用参照遺伝子のアンプリコンの長さとの間の差が、約15%以下である、請求項28に記載の方法。
  33. 標的遺伝子のアンプリコンの長さと、正規化用参照遺伝子のアンプリコンの長さとの間の差が、約10%未満である、請求項28に記載の方法。
  34. 遺伝子発現レベルが、前記正規化用参照配列に対して正規化される、請求項21に記載の方法。
  35. 前記遺伝子発現レベルが、β−ACTIN、CYP1、GUS、RPLPO、TBP、GAPDH、およびTFRCからなる群より選択される、1つ以上の正規化用参照遺伝子に対して正規化される、請求項34に記載の方法。
  36. 前記遺伝子発現レベルが、1つ以上の普遍的な内部較正用参照配列と比較して補正される、請求項35に記載の方法。
  37. 1つ以上の遺伝子を同定する工程をさらに包含する方法であって、該遺伝子の発現が、前記癌の存在または再発可能性と相関付けられている、請求項26に記載の方法。
  38. 前記遺伝子発現プロファイルを統計分析に供する工程をさらに包含する、請求項26に記載の方法。
  39. 癌組織が分析される患者に関する報告書を作成する工程をさらに包含する、請求項38に記載の方法。
  40. 前記報告書が、癌の再発なしでの生存可能性について、あるいは特定の化学療法薬物または化学療法薬物セットに対する反応可能性についての記載を含む、請求項39に記載の方法。
  41. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法を実施するために適切なキットであって、
    (1)抽出用緩衝液/抽出用試薬および抽出用プロトコル;
    (2)逆転写用緩衝液/逆転写用試薬および逆転写用プロトコル;ならびに
    (3)qPCR用緩衝液/qPCR用試薬およびqPCR用プロトコル
    のうちの1つ以上を備える、キット。
  42. データ検索およびデータ分析のソフトウェアをさらに備える、請求項41に記載のキット。
  43. 構成要素(2)が、予め設計されたプライマーを含む、請求項41に記載のキット。
  44. 構成要素(3)が、予め設計されたPCRプローブおよびプライマーを含む、請求項41に記載のキット。
JP2006535576A 2003-10-16 2004-10-11 遺伝子発現プロファイリングのためのqRT−PCRアッセイシステム Withdrawn JP2007509613A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US51255603P 2003-10-16 2003-10-16
PCT/US2004/033464 WO2005040396A2 (en) 2003-10-16 2004-10-11 qRT-PCR ASSAY SYSTEM FOR GENE EXPRESSION PROFILING

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007509613A true JP2007509613A (ja) 2007-04-19

Family

ID=34520054

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006535576A Withdrawn JP2007509613A (ja) 2003-10-16 2004-10-11 遺伝子発現プロファイリングのためのqRT−PCRアッセイシステム

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20050095634A1 (ja)
EP (1) EP1678327A4 (ja)
JP (1) JP2007509613A (ja)
AU (1) AU2004284434A1 (ja)
CA (1) CA2542656A1 (ja)
WO (1) WO2005040396A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014136870A1 (ja) * 2013-03-08 2014-09-12 国立大学法人熊本大学 Rna修飾の簡易検出法、及び該検出法を用いた2型糖尿病の検査方法
JP2014527825A (ja) * 2011-09-21 2014-10-23 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーF. Hoffmann−La Roche Aktiengesellschaft TaqManプローブと組み合わせたマルチプレックスPCRにより単一の抗体産生細胞からFab断片を得るための方法

Families Citing this family (33)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1883705A4 (en) 2005-05-25 2009-02-25 Expression Pathology Inc MULTIPLEX PROCESS FOR INCREASING PROTEOMIC COVERAGE FROM HISTOPATHOLOGICALLY TREATED BIOLOGICAL SAMPLES USING LIQUID TISSUE PREPARATIONS
US20090137415A1 (en) * 2005-08-05 2009-05-28 Euclid Diagnostics Llc SUBTRACTIVE SEPARATION AND AMPLIFICATION OF NON-RIBOSOMAL TRANSCRIBED RNA (nrRNA)
DE102006032394B4 (de) * 2006-03-17 2011-07-07 Technische Universität Dresden, 01069 Verfahren zur Diagnose und Differenzierung von Prostatakrebs
US8338109B2 (en) 2006-11-02 2012-12-25 Mayo Foundation For Medical Education And Research Predicting cancer outcome
JP2010538658A (ja) * 2007-09-14 2010-12-16 ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド 前立腺癌バイオマーカー
EP2294215B1 (en) 2008-05-12 2013-01-16 Genomic Health, Inc. Tests to predict responsiveness of cancer patients to chemotherapy treatment options
AU2009253675A1 (en) 2008-05-28 2009-12-03 Genomedx Biosciences, Inc. Systems and methods for expression-based discrimination of distinct clinical disease states in prostate cancer
US10407731B2 (en) 2008-05-30 2019-09-10 Mayo Foundation For Medical Education And Research Biomarker panels for predicting prostate cancer outcomes
EP2326732A4 (en) * 2008-08-26 2012-11-14 Fluidigm Corp TEST METHODS FOR INCREASED SURPLUS OF SAMPLES AND / OR TARGETS
CA2751669C (en) 2009-02-20 2017-11-21 F. Hoffmann-La Roche Ag Method for obtaining immunoglobulin encoding nucleic acid
KR101829182B1 (ko) * 2009-04-02 2018-03-29 플루이다임 코포레이션 표적 핵산의 바코딩을 위한 멀티 프라이머 증폭 방법
CN102439176B (zh) * 2009-05-12 2018-11-23 皇家飞利浦电子股份有限公司 用作恶性的、激素-敏感的前列腺癌的标志物的磷酸二酯酶4d7
US20120214830A1 (en) 2011-02-22 2012-08-23 OSI Pharmaceuticals, LLC Biological markers predictive of anti-cancer response to insulin-like growth factor-1 receptor kinase inhibitors in hepatocellular carcinoma
US9896730B2 (en) 2011-04-25 2018-02-20 OSI Pharmaceuticals, LLC Use of EMT gene signatures in cancer drug discovery, diagnostics, and treatment
EP2710172B1 (en) 2011-05-20 2017-03-29 Fluidigm Corporation Nucleic acid encoding reactions
EP2744916A4 (en) 2011-07-13 2015-06-17 Primeradx Inc MULTIMODAL METHODS FOR SIMULTANEOUS DETECTION AND QUANTIFICATION OF MULTIPLE NUCLEIC ACIDS IN A SAMPLE
CA2851314A1 (en) 2011-10-06 2013-04-11 Aveo Pharmaceuticals, Inc. Predicting tumor response to anti-erbb3 antibodies
WO2013090613A1 (en) * 2011-12-13 2013-06-20 Rutgers, The State University Of New Jersey Compositions and methods for functional quality control for human blood-based gene expression products
CA2858581A1 (en) 2011-12-13 2013-06-20 Genomedx Biosciences, Inc. Cancer diagnostics using non-coding transcripts
US20130165337A1 (en) 2011-12-22 2013-06-27 Aveo Pharmaceuticals, Inc. Identification of multigene biomarkers
EP2852682B1 (en) 2012-05-21 2017-10-04 Fluidigm Corporation Single-particle analysis of particle populations
EP2885640B1 (en) 2012-08-16 2018-07-18 Genomedx Biosciences, Inc. Prostate cancer prognostics using biomarkers
WO2014063051A2 (en) * 2012-10-18 2014-04-24 Idexx Laboratories, Inc. Nucleic acid amplification controls and kits and methods of use thereof
WO2014089055A1 (en) 2012-12-03 2014-06-12 Aveo Pharmaceuticals, Inc. Tivozanib response prediction
CN106233143B (zh) 2014-04-24 2020-01-21 辉瑞公司 癌症治疗
US11104942B2 (en) 2015-10-30 2021-08-31 Guangdong Maijinjia Biotechnologies, Co. Ltd. Method for identification of the most abundant oligonucleotide species in a library of oligonucleotides
CA3006994A1 (en) 2015-12-16 2017-06-22 Fluidigm Corporation High-level multiplex amplification
US11414708B2 (en) 2016-08-24 2022-08-16 Decipher Biosciences, Inc. Use of genomic signatures to predict responsiveness of patients with prostate cancer to post-operative radiation therapy
CA3050984A1 (en) 2017-01-20 2018-07-26 Decipher Biosciences, Inc. Molecular subtyping, prognosis, and treatment of bladder cancer
US11873532B2 (en) 2017-03-09 2024-01-16 Decipher Biosciences, Inc. Subtyping prostate cancer to predict response to hormone therapy
AU2018266733A1 (en) 2017-05-12 2020-01-16 Veracyte, Inc. Genetic signatures to predict prostate cancer metastasis and identify tumor aggressiveness
CN113683699B (zh) 2017-06-22 2023-04-18 北海康成(北京)医药科技有限公司 预测食管癌对抗erbb3抗体治疗的应答的方法和试剂盒
US20210340628A1 (en) 2018-08-23 2021-11-04 Daiichi Sankyo Company, Limited Sensitivity marker for antibody-drug conjugate

Family Cites Families (44)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5202429A (en) * 1986-07-09 1993-04-13 The Wistar Institute DNA molecules having human BCL-2 gene sequences
US4968603A (en) * 1986-12-31 1990-11-06 The Regents Of The University Of California Determination of status in neoplastic disease
US5830753A (en) * 1994-09-30 1998-11-03 Ludwig Institute For Cancer Research Isolated nucleic acid molecules coding for tumor rejection antigen precursor dage and uses thereof.
US6716575B2 (en) * 1995-12-18 2004-04-06 Sugen, Inc. Diagnosis and treatment of AUR1 and/or AUR2 related disorders
ATE315654T1 (de) * 1995-12-18 2006-02-15 Sugen Inc Diagnose und behandlung von mit aur-1 und/oder aur-2 assoziierten erkrankungen
US5670325A (en) * 1996-08-14 1997-09-23 Exact Laboratories, Inc. Method for the detection of clonal populations of transformed cells in a genomically heterogeneous cellular sample
US5741650A (en) * 1996-01-30 1998-04-21 Exact Laboratories, Inc. Methods for detecting colon cancer from stool samples
US5821082A (en) * 1996-05-23 1998-10-13 St. Louis University Health Sciences Center Anti-proliferation domain of a human Bcl-2 and DNA encoding the same
US6020137A (en) * 1996-08-14 2000-02-01 Exact Laboratories, Inc. Methods for the detection of loss of heterozygosity
US6146828A (en) * 1996-08-14 2000-11-14 Exact Laboratories, Inc. Methods for detecting differences in RNA expression levels and uses therefor
US5928870A (en) * 1997-06-16 1999-07-27 Exact Laboratories, Inc. Methods for the detection of loss of heterozygosity
US5952178A (en) * 1996-08-14 1999-09-14 Exact Laboratories Methods for disease diagnosis from stool samples
US6143529A (en) * 1996-08-14 2000-11-07 Exact Laboratories, Inc. Methods for improving sensitivity and specificity of screening assays
US6100029A (en) * 1996-08-14 2000-08-08 Exact Laboratories, Inc. Methods for the detection of chromosomal aberrations
US6203993B1 (en) * 1996-08-14 2001-03-20 Exact Science Corp. Methods for the detection of nucleic acids
US5861278A (en) * 1996-11-01 1999-01-19 Genetics Institute, Inc. HNF3δ compositions
KR100645448B1 (ko) * 1996-11-20 2006-11-13 예일 유니버시티 세포 아폽토시스를 저해하는 설바이빈 단백질 및 이를 조절하는 방법
US5830665A (en) * 1997-03-03 1998-11-03 Exact Laboratories, Inc. Contiguous genomic sequence scanning
US6033893A (en) * 1997-06-26 2000-03-07 Incyte Pharmaceuticals, Inc. Human cathepsin
US6020135A (en) * 1998-03-27 2000-02-01 Affymetrix, Inc. P53-regulated genes
CA2330929A1 (en) * 1998-06-06 1999-12-16 Genostic Pharma Limited Probes used for genetic profiling
US6696558B2 (en) * 1998-09-09 2004-02-24 The Burnham Institute Bag proteins and nucleic acid molecules encoding them
US20050123938A1 (en) * 1999-01-06 2005-06-09 Chondrogene Limited Method for the detection of osteoarthritis related gene transcripts in blood
US20020039764A1 (en) * 1999-03-12 2002-04-04 Rosen Craig A. Nucleic, acids, proteins, and antibodies
US6960439B2 (en) * 1999-06-28 2005-11-01 Source Precision Medicine, Inc. Identification, monitoring and treatment of disease and characterization of biological condition using gene expression profiles
US6692916B2 (en) * 1999-06-28 2004-02-17 Source Precision Medicine, Inc. Systems and methods for characterizing a biological condition or agent using precision gene expression profiles
US6710170B2 (en) * 1999-09-10 2004-03-23 Corixa Corporation Compositions and methods for the therapy and diagnosis of ovarian cancer
US6750013B2 (en) * 1999-12-02 2004-06-15 Protein Design Labs, Inc. Methods for detection and diagnosing of breast cancer
US6248535B1 (en) * 1999-12-20 2001-06-19 University Of Southern California Method for isolation of RNA from formalin-fixed paraffin-embedded tissue specimens
WO2001051661A2 (en) * 2000-01-13 2001-07-19 Amsterdam Support Diagnostics B.V. A universal nucleic acid amplification system for nucleic acids in a sample
CA2398107C (en) * 2000-01-28 2013-11-19 Althea Technologies, Inc. Methods for analysis of gene expression
AU2001251086A1 (en) * 2000-03-31 2001-10-15 Sir Mortimer B. Davis Jewish General Hospital Microchip arrays of regulatory genes
PL362977A1 (en) * 2000-07-21 2004-11-02 Global Genomics Ab Methods for analysis and identification of transcribed genes, and fingerprinting
EP1350114A2 (en) * 2001-01-12 2003-10-08 Yale University Detection of survivin in the biological fluids of cancer patients
US7776518B2 (en) * 2001-01-12 2010-08-17 Yale University Detection of survivin in the biological fluids of cancer patients
CN100523216C (zh) * 2001-03-02 2009-08-05 匹兹堡大学 Pcr方法
US20030199685A1 (en) * 2001-03-12 2003-10-23 Monogen, Inc. Cell-based detection and differentiation of disease states
EP1444361A4 (en) * 2001-09-28 2006-12-27 Whitehead Biomedical Inst CLASSIFICATION OF LUNG CARCINOMAS BY GENE EXPRESSION ANALYSIS
KR20040047971A (ko) * 2001-10-26 2004-06-05 이뮤니베스트 코포레이션 동일 샘플상에서의 광범위 핵산 및 이의 형태학적 특질에대한 다중 매개변수 분석법
CN1612936A (zh) * 2001-11-09 2005-05-04 苏尔斯精细医药公司 利用基因表达分布图识别、监控和治疗疾病以及鉴定生物学状态
US20030198972A1 (en) * 2001-12-21 2003-10-23 Erlander Mark G. Grading of breast cancer
WO2004021986A2 (en) * 2002-09-03 2004-03-18 Quanta Biosciences, Inc. Improved compositions and methods for cdna synthesis
US8323897B2 (en) * 2002-12-04 2012-12-04 Applied Biosystems, Llc Multiplex amplification of polynucleotides
WO2004065628A1 (en) * 2003-01-21 2004-08-05 Guoliang Fu Quantitative multiplex detection of nucleic acids

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014527825A (ja) * 2011-09-21 2014-10-23 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーF. Hoffmann−La Roche Aktiengesellschaft TaqManプローブと組み合わせたマルチプレックスPCRにより単一の抗体産生細胞からFab断片を得るための方法
WO2014136870A1 (ja) * 2013-03-08 2014-09-12 国立大学法人熊本大学 Rna修飾の簡易検出法、及び該検出法を用いた2型糖尿病の検査方法
JPWO2014136870A1 (ja) * 2013-03-08 2017-02-16 国立大学法人 熊本大学 Rna修飾の簡易検出法、及び該検出法を用いた2型糖尿病の検査方法
US10526654B2 (en) 2013-03-08 2020-01-07 National University Corporation Kumamoto University Simple detection method for RNA modification, and method for detecting type-II diabetes using said detection method

Also Published As

Publication number Publication date
EP1678327A2 (en) 2006-07-12
EP1678327A4 (en) 2007-10-10
WO2005040396A3 (en) 2005-07-28
AU2004284434A1 (en) 2005-05-06
WO2005040396A2 (en) 2005-05-06
CA2542656A1 (en) 2005-05-06
US20050095634A1 (en) 2005-05-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007509613A (ja) 遺伝子発現プロファイリングのためのqRT−PCRアッセイシステム
US11214798B2 (en) Methods and compositions for rapid nucleic acid library preparation
EP2504451B1 (en) Methods to predict clinical outcome of cancer
EP2714938B1 (en) Methods of amplifying whole genome of a single cell
CN105917008B (zh) 用于前列腺癌复发的预后的基因表达面板
JP4680898B2 (ja) 癌再発の可能性の予測
EP1836629B1 (en) Predicting response to chemotherapy using gene expression markers
US20080318801A1 (en) Method and kit for evaluating rna quality
US20230366034A1 (en) Compositions and methods for diagnosing lung cancers using gene expression profiles
JP2006506093A (ja) Egfr陽性癌の遺伝子発現プロファイリング
US8535914B2 (en) Probe, probe set and information acquisition method using the same
KR20070085817A (ko) 혈액 내 숙주 유전자 표현 바이오마커를 사용한 전염성질병 임상 표현형 및 기타 생리상태의 진단 및 예측방법
JP2006506093A5 (ja)
US20210238695A1 (en) Methods of mast cell tumor prognosis and uses thereof
EP2982986A1 (en) Method for manufacturing gastric cancer prognosis prediction model
US20120004127A1 (en) Gene expression markers for colorectal cancer prognosis
KR20070000438A (ko) 단편화 rna의 범용적 증폭
WO2023287876A1 (en) Efficient duplex sequencing using high fidelity next generation sequencing reads
CN213652526U (zh) 用于分析乳腺癌患者中的基因表达的盒

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080108