JP2007507224A - 遺伝子の機能を定義するための方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
挿入変異型細胞クローンを作製する方法および分析する方法が提供される。挿入変異を組み込んだ細胞が提供される。さらに挿入変異型細胞クローンの集合物が提供される。
Description
本出願は、目的に応じて参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第60/507,437号(出願日2003年9月30日)に基づく優先権を主張するものである。
1.0. 分野
細胞中の挿入変異を作製する方法および特徴付ける方法が提供される。また、挿入変異を安定的に組み入れた細胞も提供される。
細胞中の挿入変異を作製する方法および特徴付ける方法が提供される。また、挿入変異を安定的に組み入れた細胞も提供される。
2.0. 背景
ヒトの治療法の多くは(特定の例外があるが、例えば、病原体を直接的に標的化する抗生物質を含む)、有限集合であるゲノム配列情報によってコードされた産物または要素と直接的にまたは間接的に相互作用する。したがって、科学的な検査は、医学的診療行為に明確な方針を提供し得る、コード配列情報の一部分を定義することに向けられてきた。多くの治療薬は生理機能を調節することによって作用する。何千もの生化学的におよび構造的に関連した産物がヒトゲノム内にコードされており、科学界が明確に定義してきたこれらの産物の生理学的役割はごく一部に過ぎない。様々な理由のため、場合により、ヒトの生物学的配列の生理学的重要性を代理して特徴付けるためのモデル生物としてマウスが浮上する。哺乳動物として、マウスはヒトの主要な組織系の多くを共有し、しばしばオーソロガスな産物を用いてこれらの組織系の機能を調節する。さらに場合により、マウスはそのゲノムの遺伝子操作をも可能にする。
ヒトの治療法の多くは(特定の例外があるが、例えば、病原体を直接的に標的化する抗生物質を含む)、有限集合であるゲノム配列情報によってコードされた産物または要素と直接的にまたは間接的に相互作用する。したがって、科学的な検査は、医学的診療行為に明確な方針を提供し得る、コード配列情報の一部分を定義することに向けられてきた。多くの治療薬は生理機能を調節することによって作用する。何千もの生化学的におよび構造的に関連した産物がヒトゲノム内にコードされており、科学界が明確に定義してきたこれらの産物の生理学的役割はごく一部に過ぎない。様々な理由のため、場合により、ヒトの生物学的配列の生理学的重要性を代理して特徴付けるためのモデル生物としてマウスが浮上する。哺乳動物として、マウスはヒトの主要な組織系の多くを共有し、しばしばオーソロガスな産物を用いてこれらの組織系の機能を調節する。さらに場合により、マウスはそのゲノムの遺伝子操作をも可能にする。
場合により、マウスの胚幹(ES)細胞技術は、染色体操作のためのアプローチを提供し、その結果、ゲノム仮説の直接試験を提供する。
3.0. 概要
特定の実施形態では、個々に特徴付けされた挿入変異型哺乳動物細胞クローンの集合物を作製する方法が提供される。特定の実施形態では、この方法は、哺乳動物細胞にレトロウイルス遺伝子捕捉構築物を感染させることを含む。特定の実施形態では、この方法は、組み込まれたプロウイルス形態の前記レトロウイルス遺伝子捕捉構築物を安定的に組み入れた哺乳動物細胞クローンを選別することをさらに含む。特定の実施形態では、この方法は、組み込まれたプロウイルス形態の前記レトロウイルス遺伝子捕捉構築物に隣接するゲノムDNAの領域をin vitroで同定することを含む。
特定の実施形態では、個々に特徴付けされた挿入変異型哺乳動物細胞クローンの集合物を作製する方法が提供される。特定の実施形態では、この方法は、哺乳動物細胞にレトロウイルス遺伝子捕捉構築物を感染させることを含む。特定の実施形態では、この方法は、組み込まれたプロウイルス形態の前記レトロウイルス遺伝子捕捉構築物を安定的に組み入れた哺乳動物細胞クローンを選別することをさらに含む。特定の実施形態では、この方法は、組み込まれたプロウイルス形態の前記レトロウイルス遺伝子捕捉構築物に隣接するゲノムDNAの領域をin vitroで同定することを含む。
特定の実施形態では、哺乳動物細胞にレトロウイルス遺伝子捕捉構築物が5未満の感染多重度(M.O.I.)で感染される。特定の実施形態では、感染多重度は1未満である。特定の実施形態では、感染多重度は0.5未満である。
特定の実施形態では、同定に逆ポリメラーゼ連鎖反応(IPCR)が含まれる。特定の実施形態では、逆ポリメラーゼ連鎖反応に、Pfu、Taq、Isis、Vent、Pwo、PhusionおよびTthから選択された少なくとも1つのポリメラーゼが含まれる。特定の実施形態では、同定は、組み込まれたプロウイルス形態の前記レトロウイルス遺伝子捕捉構築物に隣接するゲノムDNAの少なくとも50塩基を配列決定することによる。特定の実施形態では、同定は逆転写酵素反応を含まない。
特定の実施形態では、少なくとも10,000種の異なる哺乳動物細胞クローンの集合物が選別される。特定の実施形態では、少なくとも10,000種の異なる哺乳動物細胞クローンの前記集合物は、それぞれが組み込まれたプロウイルス形態の前記レトロウイルス遺伝子捕捉構築物を異なる遺伝子中に含むように選別された、少なくとも10,000種の異なる哺乳動物細胞クローンを含む。
特定の実施形態では、個々に特徴付けされた挿入変異型哺乳動物細胞クローンの集合物が提供される。
4.0. 図面の簡単な説明
図1は、逆ポリメラーゼ連鎖反応(IPCR)の略図を示す。
図1は、逆ポリメラーゼ連鎖反応(IPCR)の略図を示す。
図2は、VICTR48の略図を示す。「LTR」はレトロウイルスの長い末端反復である。「SA」はスプライス受容部位である。「NEO」はネオマイシン耐性遺伝子である。「pA」はポリアデニル化部位である。「SV40tpA」はSV40三重ポリアデニル化配列である。「PGK」はPGKプロモーターである。「BTK」および「SD」は、マウスBTK遺伝子の第1エクソンおよびスプライス供与部位である。スプライス供与部位にBTK遺伝子の第1イントロンの一部分が続く。制限酵素認識部位が示される。制限酵素認識部位の名称の後の星印(*)は、これがこの構築物上の特異部位であることを示している。
図3は、実施例6.2で議論されている、遺伝子捕捉した数種のES細胞クローンのIPCR分析からの例示的産物を示す。
図4は、エンハンサー領域の少なくとも一部分を欠いている、モロニーマウス白血病ウイルスの長い末端反復(LTR)の配列を示す(配列番号5)。
図5は、エンハンサー領域の少なくとも一部分を欠き、かつLTR内の隠れたスプライス供与部位をさらに欠く、改変型LTRを示す(配列番号6)。
図6A-Cは、VICTR48の配列を示す(配列番号7)。
5.0. 詳細な説明
本明細書で使用される項目の見出しは、組織化を目的としているに過ぎず、記載される対象を限定するものとして解釈されるべきものではない。本出願で引用される全ての参考文献は、目的に応じて参照により本明細書に明確に組み入れる。
本明細書で使用される項目の見出しは、組織化を目的としているに過ぎず、記載される対象を限定するものとして解釈されるべきものではない。本出願で引用される全ての参考文献は、目的に応じて参照により本明細書に明確に組み入れる。
本出願において、単数形の使用は別段の具体的な記述がない限り複数形も含む。本出願において、「または」の使用は、別段の記述がない限り「および/または」を意味する。さらに、「含んでなる」、ならびにその他の形態(「含む」および「含まれる」等)の使用は非限定的である。様々な実施形態において、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養、形質転換およびトランスフェクションに標準技術を使用し得る。様々な実施形態において、酵素反応および精製技術は、製品使用書に従って、または当該技術分野で一般的に達成されるようにもしくは本明細書に記載されるように実施し得る。様々な実施形態において、技術および手順は、一般的には、当該技術分野で公知の慣用方法に従って、ならびに本願明細書全体にわたって引用されかつ議論されている、および/または当業者に知られる、様々な一般的かつより具体的な参考文献中に記載されているように実施し得る。例えば、Sambrookら. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))を参照されたい。
特定の実施形態において、哺乳類の生物学の枠内で、遺伝的にコードされた生物学的配列(限定されるものではないが、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸配列、ポリヌクレオチドおよびヌクレオチド配列を含む)の生理学的役割を定義する方法が提供される。特定の実施形態において、規定のゲノム挿入/変異を有する遺伝子操作された真核細胞クローンが生じるように真核細胞を培養および処理する方法が提供される。様々な実施形態において、この方法における使用のための真核細胞には、限定されるものではないが、昆虫細胞(非限定的にキイロショウジョウバエ細胞を含む)、線虫細胞、齧歯類細胞(非限定的にマウス細胞、ラット細胞およびハムスター細胞を含む)、ニワトリ細胞、霊長類細胞(非限定的にサル細胞およびヒト細胞を含む)が含まれる。特定の実施形態では、細胞は非特異的な挿入変異によって遺伝子操作される。特定の実施形態では、規定のゲノム挿入/変異を有する遺伝子操作されたES細胞クローンが生じるように、マウスES細胞を培養および処理する方法が提供される。
特定の実施形態において、この方法は特定の高価なおよび/または時間のかかる処理工程を含まない。特定の実施形態において、この方法は、変異型真核細胞(非限定的に変異型マウスES細胞を含む)の商業規模の生産に適切であり得る。
特定の実施形態は、変異型真核細胞(非限定的にマウスES細胞を含む)を培養する方法、作製する方法および特徴付ける方法に関する。特定の実施形態において、変異型真核細胞は、挿入変異型対立遺伝子の生殖細胞系伝達が可能な生物を作製することに用いることができる。特定の実施形態において、変異型マウスES細胞は、挿入変異型対立遺伝子の生殖細胞系伝達が可能なマウスを作製することに使用される。
特定の実施形態において、遺伝子捕捉法は、DNAを突然変異原として用いる無作為な挿入突然変異誘発方法である。特定の実施形態において、DNAが最初にレトロウイルスとして導入され、これが細胞中で逆転写されてDNAプロウイルスを産生し、該DNAプロウイルスが突然変異原として作用する。特定の実施形態において、DNAの一部分は選択可能なマーカーをコードする。特定の実施形態において、遺伝子捕捉構築物は、遺伝子のイントロンまたはエクソンに組み入れられる。特定の実施形態において、遺伝子捕捉構築物は、イントロンおよび/またはエクソンに優先的に組み入れるように設計される。様々な実施形態では、イントロンまたはエクソンへの組込みの後、細胞のスプライシング機構が、構築物にコードされる配列を同一のmRNA上で同時に転写される1以上の内因的配列と継ぎ合わせる。特定の実施形態において、遺伝子捕捉構築物は選択可能なマーカーをコードする配列を含む。特定の実施形態において、選択可能なマーカーをコードする配列はスプライス受容配列に先行される。特定の実施形態において、選択可能なマーカーをコードする配列はプロモーターに先行されない。特定の実施形態において、細胞のスプライシング機構は、捕捉した遺伝子由来の内因的配列を、選択可能なマーカーをコードする配列の5'末端と継ぎ合わせる。特定の実施形態において、選択可能なマーカーは、選択可能なマーカーをコードする遺伝子捕捉構築物がイントロンに組み入れられている場合にのみ発現される。特定の実施形態において、選択可能なマーカーは、選択可能なマーカーをコードする遺伝子捕捉構築物がエクソンに組み入れられている場合にのみ発現される。特定の実施形態において、例えば、選択可能なマーカー遺伝子が抗生物質耐性をコードする場合、選択可能なマーカーが発現可能であるようにそのゲノム中に遺伝子捕捉構築物が組み込まれている細胞は、培養下で選別することができる。
真核細胞の例示的な挿入突然変異誘発は、例えばFriedrichおよびSoriano, 1991, Genes Dev. 5(9):1513-23; FriedrichおよびSoriano, 1993, Methods Enzymol. 1993;225:681-701; PCT公報第WO 98/14614;WO 99/07389;WO 99/50426;およびWO 00/31236;ならびに米国特許第5,364,783号;6,303,327号;6,080,567号;6,136,566号;6,207,371号;6,228,639号;6,436,707号;6,776,988号;WO 00/31236;および6,139,833に記載されている(それぞれ目的に応じてその全体を参照により本明細書に組み入れる)。引用した刊行物および特許に記載される特定の構築物は、本明細書に記載される方法の特定の実施形態の実施に適切であり得る。特定の実施形態では、PCT公報第WO 98/14614;WO 99/07389;WO 99/50426;およびWO 00/31236;ならびに米国特許第5,364,783号;6,303,327号;6,080,567号;6,136,566号;6,207,371号;6,228,639号;6,436,707号;6,776,988号;WO 00/31236;および6,139,833に記載される1以上の構築物が本明細書に記載の方法で使用される。
場合により、本明細書に記載の特定の方法に使用される前に構築物は改変され得る。したがって、特定の実施形態では、構築物の1以上の構造的特徴が、本明細書に記載される方法の特定の実施形態で使用される前に削除または改変され得る。特定の実施形態では、当業者は、本明細書に記載の特定の方法における使用のために、特定の構築物を改変することができる。
遺伝子操作された対立遺伝子の生殖細胞系伝達が可能なキメラマウスを作製するために、遺伝子操作型マウスES細胞を使用する特定の方法が知られる(例えば前掲,米国特許第6,204,061号;5,789,215号;および6,087,555号を参照; それぞれ目的に応じてその全体を参照により本明細書に組み入れる)。特定の実施形態において、マウスES細胞は白血球阻害因子(LIF)を発現するように操作されている支持細胞と共に共培養される。特定の実施形態において、かかる支持細胞との共培養によって、培養物に添加されるべき外因性LIFを作製するおよび/または購入する更なる費用の負担を回避し得る。
特定の実施形態では、遺伝子捕捉構築物の選択可能なマーカーの上流に機能的に位置する内部リボソーム侵入部位(IRES)配列の存在により、遺伝子のコード領域に遺伝子捕捉構築物が組み込まれていない変異型細胞クローンを選別する可能性を増加する。特定の実施形態では、遺伝子のコード領域への組込み(すなわち、開始コドンの下流かつ終止コドンの上流に位置するイントロンまたはエクソンへの組込み)は、遺伝子の機能を改変または破壊する遺伝子捕捉事象の特徴である。したがって、特定の実施形態では、遺伝子捕捉構築物にコードされた選択可能なマーカーの上流に機能的に位置するIRESエレメントの存在は望ましくない。
本明細書で使用される選択可能なマーカーは、そのマーカーをコードする遺伝子を含む細胞を同定する手段を提供するマーカーである。選択可能なマーカーには、これに限定されるものではないが、抗生物質耐性マーカー、発光マーカーおよび蛍光マーカーが含まれる。特定の実施形態においては、この構築物は選択可能なマーカーの上流に機能的に位置するIRESを欠くであろう。
場合により、レトロウイルスの長い末端反復(LTR)内に逆配向で存在する隠れたスプライス供与(SD)部位が、遺伝子のタンパク質コード領域の外側にプロウイルス遺伝子捕捉構築物が組み込まれた変異型細胞クローンを選別する可能性を増加し得る。場合により、モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)由来の特定のベクターが、遺伝子のタンパク質コード領域の外側にプロウイルス遺伝子捕捉構築物が組み込まれた変異型細胞クローンを選別する可能性を増加し得る。場合により、逆配向のSD部位は、細胞スプライシング機構により、遺伝子捕捉構築物中の選択可能なマーカーの上流に機能的に位置するスプライス受容(SA)部位と継ぎ合わされ得る。したがって、特定の実施形態では、遺伝子捕捉構築物は、選択可能なマーカーの上流に機能的に位置するSA部位の上流に機能的に位置するSD部位を欠くように操作される。
場合により、遺伝子捕捉されたES細胞クローンは、cDNAの3'または5'末端迅速増幅(RACE)のいずれかに由来する産物を用いて、同定およびカタログ化される。場合により、ポリアデニル化mRNAはES細胞サンプル(場合により、96ウェルマイクロタイタープレート由来の「コンフルエント」ウェルに存在するES細胞数)から単離され、逆転写され、そしてネステッドプライマーセットがポリメラーゼ連鎖反応で用いられて、その後配列決定される鋳型が作製される。場合により、RNAの小サンプルを用いた研究に内在する困難性に鑑み、かかる操作は実用的レベルの検出またはほぼ該レベルの検出に影響し得る。したがって、場合により、RACE型の手順が無人の(robotic)「高スループット」処理に適応される場合に、さらにより高い感度がより高いスループットに換えられる。
特定の実施形態では、遺伝子捕捉構築物によって挿入変異された遺伝子を同定する方法が提供される。特定の実施形態では、遺伝子は操作されたレトロウイルスを用いて挿入変異される。特定の実施形態では、遺伝子はDNA遺伝子捕捉構築物を用いて挿入変異される。特定の実施形態では、ゲノムDNAを逆PCR増幅のための鋳型として用いることにより、RNA「捕捉」(例えば、RNAの富化または単離)および/または逆転写が用いられない。例えば、3'RACE反応の自動化は、オリゴdT部分を用いて(ポリA RNAを「捕捉」するために)誘導体化された96ウェルマイクロタイタープレートを使用する、固相RNA捕捉法を含み得る。かかる「特注の」マイクロタイタープレートは高価でかつ損傷し易いものであり得る。さらに、場合により、逆転写酵素も高価でかつ損傷し易いものであるため、高スループットアッセイに望ましくないものであり得る。したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載される方法には、遺伝子捕捉型真核細胞クローン(非限定的に、遺伝子捕捉型ES細胞クローンを含む)の集合物およびライブラリーの高スループット分析のための方法が含まれる。特定の実施形態では、この方法は(例えばポリアデニル化mRNAへ結合するオリゴdTの使用等のRNA富化法を含む、RNAの「単離」を用いた)真核細胞クローン由来のRNAの選択的富化または「捕捉」を含まない。特定の実施形態では、この方法は、組み込まれた遺伝子捕捉構築物に隣接する内因的エクソン配列を配列決定および/または同定するための鋳型を調製するための逆転写酵素の使用を含まない。
特定の実施形態では、遺伝子捕捉型細胞の高スループット分析に逆PCR(IPCR)が使用される。例示的なIPCRは、例えばOchmanら, Genetics 120: 621-623 (1988); Huiら, Methods Mol. Biol. 192: 249-274 (2002); Huiら, Cell Mol. Life Sci. 54: 1403-1411 (1998); Benkelら. Genet. Anal. 13: 123-127 (1996); Offringaら. Methods Mol. Biol. 49: 181-195 (1995);およびGarcesら. Methods Mol. Biol. 161: 3-8 (2001);ならびにこれらの中で引用された参考文献(それぞれに目的に応じて参照により本明細書に組み入れる)に記載される。
例示的なIPCRの略図が図1に示される。遺伝子捕捉型細胞由来のゲノムDNAが単離され、制限酵素Xで消化される。消化後、分子内環を形成させるためにゲノムDNAが連結される。連結されたゲノムDNAは、その後、2種類のプライマーAおよびBの存在下でPCR反応に供される。プライマーAおよびBは、PCR反応が細胞内環上のプライマーAおよびBに対するアニーリング部位間に位置するゲノム配列を増幅するように、遺伝子捕捉構築物配列とアニールする。PCR反応の結果物は、プライマーAおよびBとアニールする構築物配列に挟まれた、細胞のゲノムDNA中の遺伝子捕捉構築物に隣接したゲノム配列を含む線状DNAである。次いで、プライマーAおよびBの一方または双方は、ゲノムDNAの配列決定に用いることができる。あるいは、1以上の異なるプライマーを、プライマーAおよびBに加えてまたはこれに代えて、増幅したDNA中のゲノム配列を配列決定するために用いることができる。その後、ゲノムDNAの配列は、遺伝子捕捉型細胞における遺伝子捕捉の対象を組み込んだ遺伝子を同定するためにBLAST検索に使用することができる。
特定の実施形態では、IPCR反応は少なくとも1種のポリメラーゼを含む。特定の実施形態では、IPCR反応は少なくとも2種のポリメラーゼを含む。特定の実施形態では、IPCR反応は少なくとも3種のポリメラーゼを含む。特定の実施形態では、IPCR反応に存在する少なくとも1種のポリメラーゼは耐熱性ポリメラーゼである。種々の実施形態において、IPCR反応に使用できるポリメラーゼには、これに限定されるものではないが、Pfu、Taq、Isis、Vent、Pwo、PhusionおよびTthが含まれる。特定の実施形態では、1μl当たり0.005〜1ユニットのポリメラーゼがIPCR反応に使用される。特定の実施形態では、1μl当たり0.01〜0.5ユニットのポリメラーゼがIPCR反応に使用される。特定の実施形態では、1μl当たり0.01〜0.1ユニットのポリメラーゼがIPCR反応に使用される。特定の実施形態では、ユニットはポリメラーゼの製造業者の規定に従って定義される。
特定の実施形態では、遺伝子捕捉構築物配列にアニールするプライマーがIPCR用に選択される。特定の実施形態では、一つのプライマーが、選択された制限酵素切断部位に隣接する遺伝子捕捉構築物とアニールするよう選択される。特定の実施形態では、第2のプライマーが遺伝子捕捉構築物の末端にアニールするよう選択され、その結果、遺伝子捕捉構築物を組み込んだ隣接のゲノムDNAにアニールすることが予想される。特定の実施形態では、プライマーが、制限酵素消化後に同一のDNA連続片と双方がアニールするように選択される。さらに、特定の実施形態では、2つのプライマーが、消化DNAを分子内環に連結した後に、この環の周りを反対方向に伸長するように選択される。
特定の実施形態では、アニールする際にプライマーの3'末端が選択された制限酵素切断部位の100塩基内であるようにプライマーが選択される。特定の実施形態では、アニールする際に、プライマーの3'末端が選択された制限酵素切断部位の50塩基内であるようにプライマーが選択される。特定の実施形態では、アニールする際にプライマーの3'末端が選択された制限酵素切断部位の20塩基内であるようにプライマーが選択される。特定の実施形態では、アニールする際にプライマーの3'末端が選択された制限酵素切断部位の10塩基内であるようにプライマーが選択される。特定の実施形態では、アニールする際にプライマーの3'末端が選択された制限酵素切断部位から100塩基以上であるようにプライマーが選択される。当業者は、PCRに適切なプライマーの長さおよび配列を選択することができる。
特定の実施形態では、アニールする際にプライマーの3'末端が細胞ゲノムに組み込まれた遺伝子捕捉構築物の末端の100塩基内であるようにプライマーが選択される。特定の実施形態では、アニールする際にプライマーの3'末端が細胞ゲノムに組み込まれた遺伝子捕捉構築物の末端の50塩基内であるようにプライマーが選択される。特定の実施形態では、アニールする際にプライマーの3'末端が細胞ゲノムに組み込まれた遺伝子捕捉構築物の末端の20塩基内であるようにプライマーが選択される。特定の実施形態では、アニールする際にプライマーの3'末端が細胞ゲノムに組み込まれた遺伝子捕捉構築物の末端の10塩基内であるようにプライマーが選択される。特定の実施形態では、アニールする際にプライマーの3'末端が細胞ゲノムに組み込まれた遺伝子捕捉構築物の末端から100塩基以上であるようにプライマーが選択される。当業者はPCRに適切なプライマーの長さおよび配列を選択することができる。
特定の実施形態では、遺伝子捕捉構築物の組み込み部位に隣接するゲノム配列を分析するために逆PCR(IPCR)を用いることにより、十分な感度が提供され、その結果、この手順は1以上の隣接するエクソンを同定するRACEベースの方法よりも少量の出発物質を必要とする。例えば、特定の実施形態では、96ウェルマイクロタイタープレートのコンフルエントウェル中に存在するクローン細胞の2%未満が、ゲノムDNAの1以上の隣接領域を同定するための鋳型を作製することに使用される。特定の実施形態では、96ウェルマイクロタイタープレートのコンフルエントウェル中に存在するクローン細胞の5%未満が使用される。特定の実施形態では、96ウェルマイクロタイタープレートのコンフルエントウェル中に存在するクローン細胞の10%未満が使用される。特定の実施形態では、96ウェルマイクロタイタープレートのコンフルエントウェル中に存在するクローン細胞の20%未満が使用される。特定の実施形態では、96ウェルマイクロタイタープレートのコンフルエントウェル中に存在するクローン細胞の30%未満が使用される。特定の実施形態では、96ウェルマイクロタイタープレートのコンフルエントウェル中に存在するクローン細胞の40%未満が使用される。特定の実施形態では、96ウェルマイクロタイタープレートのコンフルエントウェル中に存在するクローン細胞の50%未満が使用される。特定の実施形態では、96ウェルマイクロタイタープレートのコンフルエントウェル中に存在するクローン細胞の60%未満が使用される。特定の実施形態では、96ウェルマイクロタイタープレートのコンフルエントウェル中に存在するクローン細胞の70%未満が使用される。特定の実施形態では、96ウェルマイクロタイタープレートのコンフルエントウェル中に存在するクローン細胞の80%未満が使用される。特定の実施形態では、96ウェルマイクロタイタープレートのコンフルエントウェル中に存在するクローン細胞の90%未満が使用される。特定の実施形態では、ゲノムDNAの1以上の隣接領域の同定は、鋳型を配列決定すること、およびその配列と既知のゲノム配列データとを比較することを含む。
特定の実施形態では、遺伝子捕捉構築物の組み込み部位の同定を容易にするために、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約35塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約40塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約45塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約50塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約70塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約85塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約100塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約150塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約200塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約250塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約350塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約450塩基のゲノムDNAが配列決定される。特定の実施形態では、組込み部位に隣接する領域から少なくとも約500塩基以上のゲノムDNAが配列決定される。
場合により、RACEベースの方法は、継ぎ合わされたエクソン配列を、遺伝子捕捉構築物の挿入部位から上流(5'RACEについて)または下流(3'RACEについて)方向で富化する。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法を用いることにより、特定のRACEベースの方法に比べて上流方向または下流方向のエクソン配列は富化されない。
特定の実施形態では、隣接するゲノムDNAのIPCR仲介配列決定は、増強した配列決定感度を提供する。したがって、特定の実施形態では、より少ない細胞を用いてIPCRに十分なゲノムDNAを産生することができ、細胞を他の用途および/または1以上の更なるIPCR反応に使用可能なものとする。特定の実施形態では、96ウェルプレートの単一のウェルは、IPCRおよび少なくとも1つの他の用途(1以上の更なるIPCR反応を含み得る)に十分な細胞を含む。特定の実施形態では、96ウェルプレート中のわずか1/3の細胞がIPCR用のゲノムDNAを作製することに用いられ、2/3の細胞は少なくとも1つの他の用途のために残される。特定の実施形態では、96ウェルプレート中のわずか1/4の細胞がIPCR用のゲノムDNAを作製することに用いられ、3/4の細胞は少なくとも1つの他の用途のために残される。特定の実施形態では、96ウェルプレート中のわずか1/5の細胞がIPCR用のゲノムDNAを作製することに用いられ、4/5の細胞は少なくとも1つの他の用途のために残される。特定の実施形態では、96ウェルプレート中のわずか1/10の細胞がIPCR用のゲノムDNAを作製することに用いられ、9/10の細胞は少なくとも1つの他の用途のために残される。
特定の実施形態では、隣接するゲノム配列を増幅するためにIPCRを使用することは、配列決定に適切な産物を提供する。場合により、RACE反応から生じた鋳型は、配列決定前に鋳型をサイズ排除クロマトグラフィーカラムに通過させることを含む、「浄化(clean-up)」が必要である。対照的に、特定の実施形態において、IPCRによって生じた鋳型は、配列決定反応の開始前のクロマトグラフィーを必要としない。
特定の実施形態では、IPCR法はより高密度のプレート形式(非限定的に、384ウェルプレートおよび他の高密度プレート形式が含まれる)の使用を可能にする。本明細書で用いられる「高密度プレート形式」には、プレート面積当たりのウェルを96ウェルプレートよりも多く有するプレートが含まれる。特定の実施形態では、高密度プレート形式を用いることによって、要する反応量をより小さくする。特定の実施形態では、高密度プレート形式を用いることで、例えば、スループット率を増加させることによっておよび/または分析されるサンプル当たりに使用される試薬の量を減少させることによって、自動化能を増強する。様々な実施形態において、遺伝子捕捉型細胞の一部(分裂中)の、例えば384ウェル形式への転換は、培養物の量が低減されること、各反応に必要な試薬の量が減少されること、および/または細胞クローン内の遺伝子捕捉構築物のゲノム挿入部位を定義するために処理され、そして加工されるプレート数が減少されることによって、効率性が付与される。
特定の実施形態では、ゲノムDNAは96ウェル形式で増殖された遺伝子捕捉型細胞クローンから取得される。特定の実施形態では、より大量のゲノムDNAが所望である場合に96ウェル形式で増殖した細胞を用いることができる。特定の実施形態では、特定の後続反応(非限定的に、制限消化、連結反応、PCR増幅および配列決定を含む)の1以上を高密度プレート形式(例えば、384ウェルプレートまたは他の高密度形式)で実施することができる。特定の実施形態では、標準的なプレート形式を採用し、その結果、特定の標準的な自動化/無人プレートおよび流動処理装置(非限定的に、Beckman Coulter Biomek FX、Packardミニトラック等,およびその最新のまたは関連の改変型を含む装置)を処理中に使用することができるだろう。
特定の実施形態では、特定の制限酵素および/または制限酵素の特定の組み合わせにより、IPCR増幅された鋳型の産出が増強される。特定の実施形態では、同一ペアの構築物特異的プライマーを2以上の異なる構築物に使用することができる。したがって、特定の実施形態では、同一ペアの構築物特異的プライマーは、第1の構築物で遺伝子捕捉された第1細胞由来の環状鋳型のIPCR反応をプライミング(prime)し、かつ第2構築物で遺伝子捕捉された第2細胞由来の環状鋳型のIPCR反応をプライミングすることに使用することができる。特定の実施形態では、同一ペアの構築物特異的プライマーは、第1の制限酵素または制限酵素の組合せを用いて作製された環状鋳型のIPCR反応をプライミングすることに使用することができ、かつ第2の制限酵素または制限酵素の組合せを用いて作製された環状鋳型のIPCR反応をプライミングすることにさらに使用することができる。
特定の実施形態では、遺伝子捕捉型細胞由来のゲノムDNAは1種の制限酵素で消化される。特定の実施形態では、遺伝子捕捉型細胞由来のゲノムDNAは同一の反応において少なくとも2種類の異なる制限酵素で消化される。特定の実施形態では、遺伝子捕捉型細胞由来のゲノムDNAは同一の反応において少なくとも3種類の異なる制限酵素で消化される。特定の実施形態において、遺伝子捕捉型細胞由来のゲノムDNAは同一の反応において少なくとも4種の異なる制限酵素で消化される。特定の実施形態において、遺伝子捕捉型細胞由来のゲノムDNAは同一の反応において少なくとも5種の異なる制限酵素で消化される。特定の実施形態において、遺伝子捕捉型細胞由来のゲノムDNAは同一の反応において少なくとも6種の異なる制限酵素で消化される。
特定の実施形態では、ゲノムDNAに組み込まれる遺伝子捕捉構築物は、消化反応で切断されない。特定の実施形態では、ゲノムDNAに組み込まれる遺伝子捕捉構築物は消化反応において1箇所で切断される。特定の実施形態では、ゲノムDNAに組み込まれる遺伝子捕捉構築物は消化反応において2箇所で切断される。特定の実施形態では、ゲノムDNAに組み込まれる遺伝子捕捉構築物は消化反応において3箇所で切断される。特定の実施形態では、ゲノムDNAに組み込まれる遺伝子捕捉構築物は消化反応において4以上の箇所で切断される。
特定の実施形態では、遺伝子捕捉型細胞由来のゲノムDNAは、少なくとも2つの別個の反応に供され、その際、制限酵素の同一の組み合わせを含む2つの反応はない。特定の実施形態では、遺伝子捕捉型細胞由来のゲノムDNAは少なくとも3つの別個の反応に供され、その際、制限酵素の同一の組合せを含む2つの反応はない。特定の実施形態では、遺伝子捕捉型細胞由来のゲノムDNAは少なくとも4つの別個の反応に供され、その際、制限酵素の同一の組合せを含む2つの反応はない。
特定の実施形態では、多重クローニング部位(MCS)が遺伝子捕捉構築物に組み込まれる。特定の実施形態では、特定の制限酵素は構築物を1以上の位置で切断するだろう。特定の実施形態では、特定の制限酵素はMCS内でおよびMCSの外側の少なくとも一箇所で構築物を切断するだろう。特定の実施形態では、消化後にIPCR用のオリゴによるプライミングを可能にするために十分な遺伝子捕捉構築物の配列が維持される。特定の実施形態では、2以上の制限酵素が互いに近接した位置で遺伝子捕捉構築物を切断し得る。特定の実施形態では、同一ペアの構築物特異的プライマーを、異なる酵素で消化されたゲノムDNA由来の環状鋳型のIPCR反応をプライミングすることに使用することができる。
特定の実施形態では、遺伝子捕捉構築物は、遺伝子捕捉構築物を1以上の箇所で切断する第2の制限酵素によって残った「粘着」末端と適合する粘着末端を残す、第1制限酵素に対する1以上の部位を含む。特定の実施形態では、3以上の制限酵素が同一の適合性粘着末端を残す。本明細書で用いられる粘着末端は、制限酵素によるDNAの切断後に残った少なくとも1個のヌクレオチドの突出部を指す。突出部は5'突出部または3'突出部のいずれかであり得る。特定の実施形態では、2ヌクレオチドの突出部が切断後に残される。特定の実施形態では、3ヌクレオチドの突出部が切断後に残される。特定の実施形態では、4ヌクレオチドの突出部が切断後に残される。特定の実施形態では、5以上のヌクレオチドを有する突出部が切断後に残される。適合性粘着末端を残す特定の制限酵素群の例は当技術分野で公知である(例えばNew England Biolabs 2003カタログ, Beverly, MAを参照されたい)。適合性粘着末端を残す制限酵素の例示的な群には、これに限定されるものではないが、BglII、BamHI、BclIおよびBstYI; EcoRI、MfeIおよびApoI; PstI、NsiIおよびSbfI; ApaLIおよびSfcI; NcoI、BspHI、RcaIおよびPciI; SpeI、NheI、XbaIおよびAvrII; Acc65I、BsiWIおよびBsrGI; AclI、ClaI、BstBI、HinP1I、HpaIIおよびNarI; AgeI、XmaI、BsaWIおよびBspEI; MluI、AscIおよびBssHI; AscI、NdeI、MseIおよびBfaI; PvuI、PacIおよびAsiSI; EaeI、EagIおよびNotI; XhoI、PspXIおよびSalIが含まれる。当業者は、適合性粘着末端を残す制限酵素の例示的な群および/または追加の群の更なるメンバーを同定することができる。特定の実施形態では、一群の全メンバー未満のメンバーが一反応で使用される。
特定の実施形態において、遺伝子捕捉構築物は平滑末端を残す制限酵素(すなわち、突出部を残さない制限酵素)に対する1以上の部位を含む。特定の実施形態において、遺伝子捕捉構築物は、平滑末端を残す少なくとも2種類の異なる制限酵素のそれぞれに対する少なくとも1つの部位を含む。特定の実施形態において、平滑末端を残す1以上の異なる制限酵素が一反応に使用される。平滑末端を残す例示的な制限酵素には、これに限定されるものではないが、FspI、HincII、EcoRV、HpaI、MscI、NaeI、NruI、PvuII、ScaI、SfoI、SmaI、SnaBiおよびStuIが含まれる。
特定の実施形態において、単一コピーの遺伝子捕捉構築物が細胞のゲノムに組み込まれる。このように、特定の実施形態において、遺伝子捕捉構築物の挿入によって引き起こされた変異が優性阻害効果を発揮する場合には、観察される表現型は遺伝子捕捉された対立遺伝子と関連し得る。同様に、特定の実施形態では、遺伝子捕捉構築物の挿入によって引き起こされた変異が同型接合状態で存在する(例えば、遺伝子捕捉された対立遺伝子について同型の細胞を作製するために、性染色体が変異されているおよび/または細胞がさらに操作されている)場合には、観察された表現型は遺伝子捕捉された対立遺伝子と関連し得る。特定の実施形態では、ゲノム内に組み込まれた遺伝子捕捉構築物をちょうど1つ有する遺伝子捕捉型細胞クローンの数を富化するために、感染多重度(m.o.i.)が低減される。特定の実施形態では、0.3のm.o.i.(ウイルス:細胞)が、ゲノム内に組み込まれた少なくとも1つの遺伝子捕捉構築物を有する細胞についての選別後に、一回の遺伝子捕捉事象を含む細胞を(約95%の確実性で)約95%産出することが予測される。特定の実施形態では、レトロウイルス遺伝子捕捉構築物のパッケージ化調製物が、構築物にコードされた選択可能なマーカーのES細胞への発現に寄与するその能力について試験され、ウイルス力価が測定される。特定の実施形態では、ウイルス力価は、パッケージ化ウイルスの所与の調製物によって産生されるであろう安定的に形質導入されたES細胞数を推定することに使用される。特定の実施形態では、培養物中の支持細胞集団もウイルスによって感染される。
特定の実施形態では、感染多重度(m.o.i.)は約100未満である。特定の実施形態では、m.o.i.は約50未満である。特定の実施形態では、m.o.i.は約25未満である。特定の実施形態では、m.o.i.は約10未満である。特定の実施形態では、m.o.i.は約5未満である。特定の実施形態では、m.o.i.は約1未満である。特定の実施形態では、m.o.i.は約0.5未満である。特定の実施形態では、m.o.i.は約0.3未満である。特定の実施形態では、m.o.i.は約0.2未満である。特定の実施形態では、m.o.i.は約0.1未満である。特定の実施形態では、m.o.i.は約0.05未満である。
レトロウイルス生成細胞系を用いた、遺伝子構築物を収容するレトロウイルスを作製する特定の方法は当技術分野で公知である。例えば、Coneら(1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6349-6353;およびMillerら(1986) Mol. Cell. Biol., 6: 2895-2902を参照されたい。特定の実施形態では、約3ヶ月未満の間活発に培養されたレトロウイルス生成細胞系が、遺伝子捕捉構築物を収容するレトロウイルスを作製するために使用される。特定の実施形態では、約3ヶ月以上の間活発に培養されたレトロウイルス生成細胞が遺伝子捕捉構築物を収容するレトロウイルスの作製に使用される際には、隣接するゲノム配列が取得される(そのレトロウイルスによる感染によって作製された)変異型細胞クローンの収量は減少する。場合により、レトロウイルス遺伝子捕捉構築物は、マウスゲノム内に存在する内因的レトロウイルス配列と組み換えられる。したがって、場合により、組み換え事象が長期の培養および継代の間に蓄積し得る。特定の実施形態では、かかる組み換え事象は、マウスパッケージング細胞系GP+Eを用いる際に生じる。特定の実施形態では、かかる組み換え事象は、所望のレトロウイルスベクターによって変異された遺伝子捕捉型細胞クローンの十分な生成を妨げる程度に生じる。
特定の実施形態では、操作されたレトロウイルスのストックは、約6ヶ月未満の間活発な培養が維持されているレトロウイルス生成細胞から取得される。特定の実施形態では、使用されるレトロウイルス生成細胞は、約4ヶ月未満の間活発な培養が維持されている。特定の実施形態では、使用されるレトロウイルス生成細胞は約3ヶ月未満の間活発な培養が維持されている。特定の実施形態では、使用されるレトロウイルス生成細胞は約2ヶ月未満の間活発な培養が維持されている。特定の実施形態では、使用されるレトロウイルス生成細胞は約1.5ヶ月未満の間活発な培養が維持されている。特定の実施形態では、使用されるレトロウイルス生成細胞は約1ヶ月未満の間活発な培養が維持されている。特定の実施形態では、使用されるレトロウイルス生成細胞は約21日未満の間活発な培養が維持されている。特定の実施形態では、使用されるレトロウイルス生成細胞は約14日未満の間活発な培養が維持されている。特定の実施形態では、使用されるレトロウイルス生成細胞は約10日未満の間活発な培養が維持されている。特定の実施形態では、使用されるレトロウイルス生成細胞は約5日未満の間活発な培養が維持されている。特定の実施形態では、使用されるレトロウイルス生成細胞は約3日未満の間活発な培養が維持されている。特定の実施形態では、使用されるレトロウイルス生成細胞は約2日未満の間活発な培養が維持されている。レトロウイルス生成細胞の活発な培養が維持される時間の長さは、レトロウイルス生成細胞が単離されるかまたはレトロウイルス生成細胞が冷凍ストックから解凍されかつ培養された時間から測定される。
特定の実施形態では、遺伝子捕捉用のレトロウイルスストックは、レトロウイルス生成細胞がコンフルエンスまで増殖された後に回収される。特定の実施形態では、レトロウイルス生成細胞をコンフルエンスまで増殖させた後、培地が取り替えられ、約4〜約48時間後にレトロウイルスストックが回収される。特定の実施形態では、レトロウイルスストックは、培地が取り替えられた後、約8〜約36時間後に回収される。特定の実施形態では、レトロウイルスストックは、培地が取り替えられた後、約12〜約24時間後に回収される。
特定の実施形態では、レトロウイルス生成細胞は、遺伝子操作されたレトロウイルスゲノムで安定的にまたは一過的にトランスフェクトされ得る。特定の実施形態では、一過的にトランスフェクトされたレトロウイルス生成細胞は、少なくとも部分的にエピソームに存在する、遺伝子操作されたウイルスゲノムを含む。
特定の実施形態では、この方法は、ゲノム全体に変異を有する遺伝子捕捉型細胞クローンの集合物の十分な生成を可能にする。特定の実施形態では、変異型細胞クローンの集合物は、少なくとも約5,000個の異なる遺伝子中の変異が遺伝子捕捉構築物の組み込み部位に隣接するゲノムDNA配列の1以上の領域を同定することにより特徴付けられているものから提供される。特定の実施形態では、変異型細胞クローンの集合物は、少なくとも約7,000個の異なる遺伝子中の変異が特徴付けられているものから提供される。特定の実施形態では、変異型細胞クローンの集合物は、少なくとも約10,000個の異なる遺伝子中の変異が特徴付けられているものから提供される。特定の実施形態では、変異型細胞クローンの集合物は、少なくとも約15,000個の異なる遺伝子中の変異が特徴付けられているものから提供される。特定の実施形態では、変異型細胞クローンの集合物は、少なくとも約20,000個の異なる遺伝子中の変異が特徴付けられているものから提供される。特定の実施形態では、変異型細胞クローンの集合物は、少なくとも約25,000個の異なる遺伝子中の変異が特徴付けられているものから提供される。特定の実施形態では、変異型細胞クローンの集合物は、少なくとも約30,000個の異なる遺伝子中の変異が特徴付けられているものから提供される。特定の実施形態では、変異型細胞クローンの集合物は変異型ES細胞クローンである。
以下の実施例は、例示のみを目的として提供され、いかなる場合も本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
6.0. 実施例
6.1. 特定の遺伝子捕捉型ES細胞の作製
胚幹細胞(マウス株A129-Sv/Ev由来のLex-1細胞)を、レトロウイルス遺伝子捕捉構築物VICTR48を、Zambrowiczら(1998) Nature, 392: 608-11に記載される方法に従って約0.3のm.o.i.で感染させることによって変異させた。VICTR48の略図は図2に示される。VICTR48の配列は図6A〜C(配列番号7)に示される。プロウイルス形態の前記構築物を安定的に組み込む約95%のESクローンは、一回の組込み事象を含むことが予想された。G418選別を用いた安定的に構築物を組み込んだESクローンの選別後、選別した細胞を放射線照射した支持細胞(LIFを安定的に発現するSNL細胞)に蒔き、コンフルエンスまで培養した。コンフルエントウェルをその後、3つの96ウェルプレートに1〜3分割し、再度コンフルエンスまで増殖させた。生じた2つのプレートは低温保存され、第3のプレートは以下のように処理される。
6.1. 特定の遺伝子捕捉型ES細胞の作製
胚幹細胞(マウス株A129-Sv/Ev由来のLex-1細胞)を、レトロウイルス遺伝子捕捉構築物VICTR48を、Zambrowiczら(1998) Nature, 392: 608-11に記載される方法に従って約0.3のm.o.i.で感染させることによって変異させた。VICTR48の略図は図2に示される。VICTR48の配列は図6A〜C(配列番号7)に示される。プロウイルス形態の前記構築物を安定的に組み込む約95%のESクローンは、一回の組込み事象を含むことが予想された。G418選別を用いた安定的に構築物を組み込んだESクローンの選別後、選別した細胞を放射線照射した支持細胞(LIFを安定的に発現するSNL細胞)に蒔き、コンフルエンスまで培養した。コンフルエントウェルをその後、3つの96ウェルプレートに1〜3分割し、再度コンフルエンスまで増殖させた。生じた2つのプレートは低温保存され、第3のプレートは以下のように処理される。
6.2. 遺伝子捕捉型ES細胞の分析
培地を除き、100μlのPBSで細胞を2回洗浄する。50μlの溶菌液(50mM Tris pH 7.5、50mM EDTA pH 8.0、100mM NaCl、1% SDSおよび2mg/mlプロテイナーゼK)を各ウェルに添加し、プレートを密封し、65℃で一晩プレートをインキュベートする。150μlの95%エタノールを各ウェルに添加し、2時間室温で放置する。上清を吸引し、150μlの70%エタノールで洗浄する。70%エタノール洗浄液を吸引し、ウェルを約2時間室温で乾燥させる。200μlのTE(10mM Tris pH 8.0、1mM EDTA)を各ウェルに添加し、室温で一晩放置してゲノムDNAを穏やかに再水和させる。10μlの各ゲノムDNAを、エンドヌクレアーゼ消化のために、6個の新しい96ウェルプレートにそれぞれ移す。
培地を除き、100μlのPBSで細胞を2回洗浄する。50μlの溶菌液(50mM Tris pH 7.5、50mM EDTA pH 8.0、100mM NaCl、1% SDSおよび2mg/mlプロテイナーゼK)を各ウェルに添加し、プレートを密封し、65℃で一晩プレートをインキュベートする。150μlの95%エタノールを各ウェルに添加し、2時間室温で放置する。上清を吸引し、150μlの70%エタノールで洗浄する。70%エタノール洗浄液を吸引し、ウェルを約2時間室温で乾燥させる。200μlのTE(10mM Tris pH 8.0、1mM EDTA)を各ウェルに添加し、室温で一晩放置してゲノムDNAを穏やかに再水和させる。10μlの各ゲノムDNAを、エンドヌクレアーゼ消化のために、6個の新しい96ウェルプレートにそれぞれ移す。
それぞれ6種の異なる制限酵素または制限酵素の組合せ(BamHI、EcoRI、HindIII、NcoI、BamHI/BglII、およびEcoRI/MfeI)である、6個の消化混合液を調製する。各消化混合液は、製造業者に推奨される1X 反応バッファー中に、1X BSAと共に0.125ユニット/μlの制限酵素を含む。各消化混合液につき、30μlの消化混合液を消化プレートの各ウェルに添加する。消化プレートを密閉し、これらを4時間から一晩の間37℃でインキュベートする。熱不活性化しない制限酵素を含む消化反応液を一晩インキュベートする。次いで、消化プレートを65℃で20分間インキュベートする。
110μlのライゲーションミックス(製造業者が推奨する1X 反応バッファー中2.7ユニット/μl(各反応における終濃度)のT4 DNAリガーゼ)を各消化プレートの各ウェルに添加する。プレートを密閉し、これらを15℃で一晩インキュベートする。次いで、約10μlの各ライゲーション産物を、PCRの鋳型として使用するために、新しい96ウェルプレートのウェルに添加する。
配列決定鋳型は、40μlの第1ラウンドPCR混合液を各ウェルに加えることによって作製する。第1ラウンドPCR混合液は、製造業者が推奨する1X PCRバッファー中に0.05ユニット/μl(各反応における終濃度)のTaq DNAポリメラーゼ、1.5mM MgCl2、200nMの各dNTP、1M ベタインおよび0.1pmol/μlの各第1ラウンドプライマーを含む。第1ラウンドプライマーは:
正方向: 5’ TGAGTCAAAACTAGAGCCTGGACC 3’(配列番号1)
逆方向: 5’ AGTTCGCTTCTCGCTTCTGTTCG 3’(配列番号2)
である。
正方向: 5’ TGAGTCAAAACTAGAGCCTGGACC 3’(配列番号1)
逆方向: 5’ AGTTCGCTTCTCGCTTCTGTTCG 3’(配列番号2)
である。
プレートを密封し、MJサーモサイクラー上で周期反応させる。第1ラウンドPCRは以下の通りである。DNAは95℃で2分間変性され、80℃で3分間プレアニールされる。次いでプレートを、15サイクルの、94℃で30秒に続く3分間のアニーリングに供する。第1サイクルにおけるアニーリング温度は70℃であり、その後、アニーリング温度はそれ以降のサイクル毎に0.5℃ずつ下げられる。次いでプレートを、20サイクルの、94℃で30秒に続く62℃でのアニーリングに供される。第1サイクルのアニーリング時間は3分であり、その後、アニーリング時間はサイクル毎に1秒ずつ増加される。
第1ラウンドPCR反応からの約2μlの産物を新しいプレートに移し、第2ラウンドPCRの鋳型として用いる。第2ラウンドについては、23μlの第2ラウンドPCR混合液を各ウェルに添加する。第2ラウンドPCR混合液は、製造業者が推奨する1X PCRバッファー中に0.05ユニット/μl(各反応における終濃度)のTaq DNAポリメラーゼ、1.5 mM MgCl2、200 nMの各dNTP、1M ベタインおよび0.1 pmol/μlの各第2ラウンドプライマーを含む。第2ラウンドプライマーは:
正方向: 5’ AAATTGGACTAATCGATACCGTCG 3’ (配列番号3)
逆方向: 5’ GAGTGATTGACTACCCGTCAGCG 3’ (配列番号4)
である。
正方向: 5’ AAATTGGACTAATCGATACCGTCG 3’ (配列番号3)
逆方向: 5’ GAGTGATTGACTACCCGTCAGCG 3’ (配列番号4)
である。
プレートを密閉し、その後、第1ラウンドに関して上述されるようにMJサーモサイクラー上で周期反応させる。図3は、上記6種の制限酵素を用いた5個の遺伝子捕捉型ES細胞クローンについての典型的なIPCR産物を示す。この実験では、BamH IおよびBgl IIの組合せが、5個のクローンのうちの4個についてPCR産物を生じた。
約1μlの第2ラウンドPCR産物を、新しい96ウェルプレートに移し、9μlの配列決定混合液(1/8の標準的なApplied Biosystems Big Dye Version 1.1 reaction)を各ウェルに添加する。鋳型は、1μMの第2ラウンド逆方向プライマー(配列番号4)を用いて配列決定する。配列決定のために、プレートを25サイクル(94℃で45秒、52℃で15秒、および60℃で2分)のPCRに供する。
完成した配列決定反応液は、電気泳動前に、調製した96ウェルセファデックスプレート(AmershamBiosciencesの水和したSephadex G-50 Fineを含むMillipore MultiScreen 96ウェルプレート)を用いて不純物を除き、2000rpmで5分間遠心分離する。溶出した反応物を乾燥し、その後8μlの水で再懸濁する。次いで、再懸濁液をRunModule「MGCore」を備えたABI Prism(登録商標)3700 DNA Analyzer (Applied Biosystems)に充填する。
得られる配列は、BLAST検索に利用可能なローカルデータベースにFASTA形式で登録する。さらに、クローンの配列データをBLASTによってアラインメントさせ、マウスゲノムに各変異をマッピングすることに使用し得る単一のコンセンサス配列を取得する。
6.3. BglII/BamHIおよびIPCRを用いた分析結果
例示的な結果は、単一の酵素ペア(BglII/BamHI)を採用することにより、この方法を用いてスクリーニングされるES細胞クローンの約60%中の配列(約250塩基対以上の平均長)が産出されることを示している。例示的な結果では、他の酵素は以下の配列を産生する:NcoIはスクリーニングされるES細胞クローンの20%中の配列を産出する;HinIIIは、スクリーニングされるES細胞クローンの23%中の配列を産出する;そしてEcoRIはスクリーニングされるES細胞クローンの14%中の配列を産出する。例示的な結果において配列を取得するためのES細胞クローンの純利回りは約85%である(一部のES細胞クローンは、2以上の酵素および/または酵素の組合せに対する配列を産出する)。
例示的な結果は、単一の酵素ペア(BglII/BamHI)を採用することにより、この方法を用いてスクリーニングされるES細胞クローンの約60%中の配列(約250塩基対以上の平均長)が産出されることを示している。例示的な結果では、他の酵素は以下の配列を産生する:NcoIはスクリーニングされるES細胞クローンの20%中の配列を産出する;HinIIIは、スクリーニングされるES細胞クローンの23%中の配列を産出する;そしてEcoRIはスクリーニングされるES細胞クローンの14%中の配列を産出する。例示的な結果において配列を取得するためのES細胞クローンの純利回りは約85%である(一部のES細胞クローンは、2以上の酵素および/または酵素の組合せに対する配列を産出する)。
6.4. LTRの隠れたスプライス供与部位の除去
モロニーマウス白血病ウイルスの長い末端反復(LTR)は、エンハンサー領域の少なくとも一部を削除することにより改変し得る(図4、配列番号5)。モロニーマウス白血病ウイルスのLTRは、エンハンサー領域の少なくとも一部分に加えて、LTR内の隠れたスプライス供与部位を削除することによってさらに改変し得る(図5、配列番号6)。場合により、エンハンサーおよび/または隠れたスプライス供与部位は、逆方向の正常なレトロウイルス転写で機能し得る。特定の実施形態では、隠れた逆配向スプライス供与部位を削除することにより、遺伝子内の遺伝子捕捉事象を取得する忠実性が高められる。
モロニーマウス白血病ウイルスの長い末端反復(LTR)は、エンハンサー領域の少なくとも一部を削除することにより改変し得る(図4、配列番号5)。モロニーマウス白血病ウイルスのLTRは、エンハンサー領域の少なくとも一部分に加えて、LTR内の隠れたスプライス供与部位を削除することによってさらに改変し得る(図5、配列番号6)。場合により、エンハンサーおよび/または隠れたスプライス供与部位は、逆方向の正常なレトロウイルス転写で機能し得る。特定の実施形態では、隠れた逆配向スプライス供与部位を削除することにより、遺伝子内の遺伝子捕捉事象を取得する忠実性が高められる。
本発明は、本発明の特定の実施形態における特定の態様の説明として意図されるに過ぎない本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではないし、機能的に同等な方法および成分は本発明の範囲内である。実際に、本明細書に示され、記載されるものに加えて、様々な改変が上記記載から当業者に明らかであろう。かかる改変も添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。引用された全ての刊行物、特許および特許出願は、目的に応じてその全体を参照により本明細書に組み入れる。
Claims (10)
- 個々に特徴付けられた挿入変異型哺乳動物細胞クローンの集合物を作製する方法であって、
a)哺乳動物細胞にレトロウイルス遺伝子捕捉構築物を5未満の感染多重度で感染させること;
b)組み込まれたプロウイルス形態の前記レトロウイルス遺伝子捕捉構築物を安定的に組み入れた哺乳動物細胞クローンを選別すること;および
c)組み込まれたプロウイルス形態の前記レトロウイルス遺伝子捕捉構築物に隣接するゲノムDNAの領域をin vitroで同定することを含み、その際、該同定に逆転写酵素反応が含まれない、前記方法。 - 前記感染多重度が1未満である、請求項1に記載の方法。
- 前記感染多重度が0.5未満である、請求項2に記載の方法。
- 前記同定が、組み込まれたプロウイルス形態の前記レトロウイルス遺伝子捕捉構築物に隣接するゲノムDNAの少なくとも50塩基を配列決定することによる、請求項3に記載の方法。
- 少なくとも10,000個の異なる哺乳動物細胞クローンの集合物が選別される、請求項3に記載の方法。
- 少なくとも10,000個の異なる哺乳動物細胞クローンの前記集合物は、各動物細胞クローンが組み込まれたプロウイルス形態の前記レトロウイルス遺伝子捕捉構築物を異なる遺伝子中に有する、少なくとも10,000個の異なる哺乳動物細胞クローンを含む、請求項5に記載の方法。
- 前記同定が逆ポリメラーゼ連鎖反応(IPCR)を含む、請求項1に記載の方法。
- 逆ポリメラーゼ連鎖反応が、Pfu、Taq、Isis、Vent、Pwo、PhusionおよびTthから選択された少なくとも1つのポリメラーゼを含む、請求項7に記載の方法。
- 請求項1記載の方法によって作製された、個々に特徴付けられた挿入変異型哺乳動物細胞クローンの集合物。
- 逆ポリメラーゼ連鎖反応がPhusionポリメラーゼを含まない、請求項7に記載の方法。
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