JP2007504193A - 血管性頭痛の予防のためのテルミサルタンの使用 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はさらに、テルミサルタン及び偏頭痛予防に用いられている少なくとも1種の他の薬剤を含む好適な医薬組成物であって、前記疾病の予防における同時、分離又は逐次使用のための組み合せ製剤としての医薬組成物に関する。本発明はさらに、血管性頭痛の予防のための医薬組成物の製造のための、テルミサルタンと、任意成分としての前記他の抗偏頭痛薬との組み合せ使用に関する。
偏頭痛の正確な病原はまだ知られていない。近年、偏頭痛には血管性及び神経性要素の両方が関連しており、おそらく相互に関係しているだろうという合意が持ち上がっている。
現在、偏頭痛及び血管性頭痛の他形態の治療に用いられている一般的な薬剤は、例えば、エルゴタミン、アスピリン及びNSAIDである。急性偏頭痛治療の金基準は、“トリプタン”、例えばスマトリプタン及びゾルミトリプタンである。これらのトリプタンは、それらの血管収縮性特性及びおそらくはそれらの神経ペプチドカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)放出の阻害によって、抗偏頭痛効果を誘発する。
最近では、WO 01/97807号明細書において、アンギオテンシンII(ATII)タイプI受容体拮抗薬が、血管性頭痛症状及び特に偏頭痛に苦しんでいる患者の予防及び/又は治療上の処置のために開示されている。これらの化合物は、レニン-アンギオテンシン系(RAS)を妨げることが知られており、長い間、一般的な血管性疾病、特に動脈性高血圧症及び鬱血性心不全を治療するのに用いられている。
Hanssonらは、軽度/中度の高血圧症を有する患者のイルベサルタンに関する二重盲式、プラセボ対照試験から得られた結果を発表した。このATIIタイプI受容体拮抗薬の使用は、高血圧症患者に一般に見られる頭痛の発生率における有意な減少と関連しているように思われる(Arch. Intern. Med. 160, 2000, pp. 1654-1658)。
Etminanらは、高血圧症の治療をされた12,110人の患者に関する27の試験のメタ分析データを発表した。その著者らは、頭痛の危険性が、ATII受容体拮抗薬を服用した患者の方が、プラセボを服用した患者よりも約1/3低いという結論に達した(Am. J. Med. 112, 2002, pp. 642-646)。
本発明の第二の特徴は、治療上有効量のテルミサルタンを含む、高血圧症に起因しない血管性頭痛の状態を予防するための医薬組成物に関する。さらにそれは、テルミサルタンと治療上有効量の偏頭痛予防に好適な少なくとも1種の他の薬剤との組み合せ医薬組成物であって、同時又は逐次投薬のための組み合せ製剤としての医薬組成物に関する。
本発明の別の実施態様は、高血圧症に起因しない血管性頭痛、好ましくは偏頭痛の予防のための医薬組成物の製造のための、好ましくは単独であるが、偏頭痛予防に好適な少なくとも1種の他の薬剤と組み合せてもよい、テルミサルタンの使用である。
“偏頭痛”という用語は、The Headache Classification Committee of the International Headache Society, Classification and Diagnostic Criteria for Headache Disorders, Cranial Neuralgias and Facial Pain, Cephalalgia 1988, 8 SUPPL 7, pp.1-96:によって解釈される。それは、しばしば家族性症候群である血管性頭痛の周期的発作であり、通常発症すると側頭性且つ片側性であり、一般に被刺激性、吐き気、嘔吐、便秘又は下痢を、及びしばしば羞明を伴う。発作は、頭蓋動脈の収縮と、通常その結果生じるアウラと呼ばれる前駆感覚性(特に眼球の)症状に先行され、その後に伴う血管拡張によって開始する。
偏頭痛は、腹性、無頭痛性、急性錯乱、脳底動脈、古典的、普通、複雑、電撃性、ハリス、片麻痺性、眼、眼性及び眼筋麻痺性を含む種々の特定のタイプに分割することができる。
“群発性頭痛”という用語は、通常2週間〜3ヶ月続き、少なくとも14日であるが通常は数ヶ月の間欠期によって分離される期間における時間的群発性の発作として最も典型的に定義される。このタイプの群発性頭痛は、“偶発性群発性頭痛”としても知られている。“慢性群発性頭痛”という用語は、1年以上の間に少なくとも14日の間欠期がないことによって特徴づけられる(Textbook of Pain, 3rd ed., p. 504,1994)。
“外傷後頭痛”という用語は、いくらかの頭部外傷によって引き起こされる頭痛であり、“緊張性頭痛”及び“筋性頭痛”は、“筋収縮性”、“心因性”、“緊張性”又は“本態性”として前述されている頭痛の群に属する(Textbook of Pain, 3rd ed., p. 504,1994)。
テルミサルタンは、経口的、口腔的、非経口的、経鼻的、直腸的又は局所的に投薬されてもよいが、経口投薬が好ましい。非経口投薬は、皮下、静脈内、筋肉内及び胸骨内注射及び注入技術を含んでもよい。
テルミサルタンは、1日当たり1、2又は3度、経口的に10mg(70kgの人を基準にしたもので、0.143mg/kg体重)〜500mg(70kgの人を基準にしたもので、7.143mg/kg体重)及び非経口的に約20mg(70kgの人を基準にしたもので、0.286mg/kg体重)、好ましくは経口的に20mg(70kgの人を基準にしたもので、0.286mg/kg体重)〜100mg(70kgの人を基準にしたもので、1.429mg/kg体重)の1日量で投薬されてもよい。特に好ましいのは、40mg(70kgの人を基準にしたもので、0.571mg/kg体重)〜80mg(70kgの人を基準にしたもので、1.143mg/kg体重)又は特に約80mg(70kgの人を基準にしたもので、1.143mg/kg体重)の経口的な1日量である。
粉末吸入に好適なBIBN4096BSの製剤が、独国特許出願第10,207,026A1号明細書に開示されており、同じく粉末吸入に好適な塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、炭酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、カプロン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩及びヒドロキシコハク酸塩などのその塩が、独国特許出願第10,206,770A1号明細書に開示されている。
単独で、又は1種以上の上記薬剤と組み合せて投薬されるテルミサルタンは、経口的、口腔的、非経口的、経鼻的、直腸的又は局所的に投薬することができるが、経口投薬が好ましい。非経口投薬は、皮下、静脈内、筋肉内及び胸骨内注射及び注入技術を含んでもよい。
テルミサルタンをトリプタン又はその生理学的に許容される塩と組み合せて投薬する場合は、トリプタンを静脈内又は皮下経路によって0.0001〜1.0mg/kg体重の投薬量、又は経口、直腸、経鼻又は吸入経路によって0.0005〜10mg/kg体重の投薬量で、1日当たり1、2又は3度投薬することができる。
テルミサルタンをスマトリプタン又はその生理学的に許容される塩と共に投薬する場合は、スマトリプタンを経口経路によって0.03〜1.43mg/kg体重の投薬量を1日当たり1、2又は3度、又は静脈内又は皮下経路によって0.002〜0.09mg/kg体重の投薬量を1日当たり1又は2度、又は直腸経路によって0.007〜0.36mg/kg体重の投薬量を1日当たり1又は2度、又は経鼻経路によって0.006〜0.29mg/kg体重の投薬量を1日当たり1又は2度投薬してもよい。
テルミサルタンを、ゾルミトリプタン又はその生理学的に許容される塩と共に同時投薬する場合は、後者を、経口経路によって0.0007〜0.036mg/kg体重の投薬量を1日当たり1又は2度投薬してもよい。
テルミサルタンを、偏頭痛の予防及び/又は急性期治療に好適な他の薬剤と組み合せて用いる場合は、組み合せ偏頭痛薬の投薬量は、経口的、口腔的、非経口的、経鼻的、直腸的又は局所的経路によって通常推奨される最も低い投薬量の約1/100から通常推奨される投薬量の1/1まで、好ましくは1/50〜1/6及びさらに好ましくは1/20〜1/10である。組み合せ偏頭痛薬の通常推奨される投薬量は、Rote Liste(登録商標)2003, Editio Cantor Verlag, Aulendorf又はPhysicians′Desk Reference 2003, 57. Ed.に開示されている投薬量であると理解されるべきである。
本発明の医薬組成物は、経口投薬される場合、3〜500mg、好ましくは6〜100mg、さらに好ましくは10〜80mgのテルミサルタンの単回投薬単位を含んでいてもよい。特に好ましいのは、経口投薬のための40〜80mgのテルミサルタンの単回投薬単位である。非経口投薬では、医薬組成物が、6〜20mgの単回投薬単位を含んでいてもよい。
例えば、本発明の医薬組成物は、
40〜80mgのテルミサルタンの単回投薬単位、及び
0.1〜10mgのBIBN4096BSの単回投薬単位、又は
0.1〜10mgのBIBN4107BSの単回投薬単位、又は
1〜100mgのスマトリプタンの単回投薬単位、又は
0.1〜2.5mgのゾルミトリプタンの単回投薬単位、
を含んでいてもよい。
上記及び下記の活性化合物の生理学的に許容される塩の全ての投与又は投薬単位は、その活性化合物自体の投与量又は投薬量として理解されるべきである。
(a)治療上有効量のテルミサルタン又はその生理学的に許容される塩を含む医薬組成物及び1種以上の医薬的に許容される希釈剤及び/又はキャリアを含む第一の包含;及び
(b)偏頭痛の予防に用いられている別の薬剤又はその生理学的に許容される塩及び1種以上の医薬的に許容される希釈剤及び/又はキャリアを含む第二の包含、
を含むキットの部分キットでもよい。
好ましい部分キットは、第二の包含に、アルモトリプタン、アビトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、又はCGRP拮抗薬を含む。
さらに好ましくは、部分キットが、第二の包含に、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、BIBN4096BS又はBIBN4107BSを含む。
すでに述べたように、テルミサルタンは、カルボン酸としてのその中立の形態、又はそのその多形性形態の1種、又は限定はしないがナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩を含む医薬的に許容される塩又はその溶媒和物、水和物、又は半水化物の形態で用いることができる。さらに、テルミサルタンを、プロドラッグ、例えば、生体内で薬理学的活性化合物に加水分解されるエステルとして投薬することができる。
テルミサルタンは、例えば商品名ミカルディス(登録商標)で販売されている医薬製剤又は例えば欧州特許第0,502,314B1号明細書、又はWO 03/037876号明細書に開示されているような製剤を用いるか又は、例えば、以下の医薬製剤の1種:
20、40又は80mgの有効成分を含む錠剤、
20、40又は80mgの有効成分を含むカプセル、
を用いて投薬することができる。
上記の偏頭痛の治療又は予防に用いられているいくつかの薬剤は、すでに市場に出ているもの、例えば、商品名アスピリン(登録商標)で販売されているアセチルサリチル酸、商品名イミグラン(登録商標)で販売されているスマトリプタン、商品名アスコトップ(ascotop)(登録商標)で販売されているゾルミトリプタン、商品名アプロベル(登録商標)のイルベサルタン、商品名アタカンド(登録商標)のカンデサルタンシレキセチル、商品名ディオバン(登録商標)のバルサルタン、商品名ディバスカン(Divascan)(登録商標)のイプラゾクロム(iprazochrom)、商品名トパマックス(登録商標)のトピラメート及び商品名ジヒタミン(Dihytamin)(登録商標)のジヒドロエルゴタミン及びその医薬的に許容される塩である。アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン及びカフェインの組み合せは、商品名ソマピリン(Thomapyrin)(登録商標)で販売されている。
Claims (26)
- 高血圧症に起因しない血管性頭痛の予防方法であって、そのような治療を必要としている患者への治療上有効量のテルミサルタンの投薬を含む、方法。
- 治療上有効量のテルミサルタン及び治療上有効量の偏頭痛の予防に好適な少なくとも1種の他の薬剤を、そのような治療を必要としている人に同時投薬することを含む、請求項1記載の方法。
- 他の薬剤が、CGRP拮抗薬又はその生理学的に許容される塩である、請求項2記載の方法。
- CGRP拮抗薬又はその生理学的に許容される塩が、静脈内又は皮下経路によって0.0001〜3mg/kg体重の投薬量、又は経口、経鼻又は吸入経路によって0.1〜20mg/kg体重の投薬量で、1日当たり1、2又は3度投薬される、請求項3記載の方法。
- CGRP拮抗薬が、BIBN4096BS又はBIBN4107BS又はその生理学的に許容される塩である、請求項3又は4記載の方法。
- 他の薬剤が、アルモトリプタン、アビトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン又はその生理学的に許容される塩からなる群から選択されるトリプタンである、請求項2記載の方法。
- トリプタンが、静脈内又は皮下経路によって0.0001〜1.0mg/kg体重の投薬量、又は経口、直腸、経鼻又は吸入経路によって0.0005〜10mg/kg体重の投薬量で、1日当たり1、2又は3度投薬される、請求項6記載の方法。
- テルミサルタンが、経口経路によって0.143〜7.143mg/kg体重の投薬量、好ましくは0.286〜1.429mg/kg体重の投薬量、最も好ましくは0.571〜1.142mg/kg体重の投薬量、又は非経口経路によって約0.286mg/kg体重の投薬量で、1日当たり1、2又は3度投薬される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 血管性頭痛が、偏頭痛である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 血管性頭痛の予防のための医薬組成物であって、当該医薬組成物が、治療上有効量のテルミサルタン及び偏頭痛の治療及び/又は予防に用いられている少なくとも1種の他の薬剤を、同時又は逐次投薬のための組み合せ製剤として含む、医薬組成物。
- 他の薬剤が、CGRP拮抗薬又はその生理学的に許容される塩である、請求項10記載の医薬組成物。
- CGRP拮抗薬が、BIBN4096BS又はBIBN4107BS又はその生理学的に許容される塩である、請求項11記載の医薬組成物。
- 他の薬剤が、アルモトリプタン、アビトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン又はその生理学的に許容される塩からなる群から選択されるトリプタンである、請求項10記載の医薬組成物。
- テルミサルタンの10〜500mg、好ましくは20〜100mg、最も好ましくは40〜80mgの経口単回投薬単位を含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 血管性頭痛の予防のための部分キットであって、
(a)治療上有効量のテルミサルタンを含む医薬組成物及び1種以上の医薬的に許容される希釈剤及び/又はキャリアを含む第一の包含;及び
(b)偏頭痛の治療及び/又は予防に用いられている少なくとも1種の他の薬剤又はその生理学的に許容される塩を含む医薬組成物及び1種以上の医薬的に許容される希釈剤及び/又はキャリアを含む第二の包含、
を含む、部分キット。 - 第二の包含に含まれる薬剤が、CGRP拮抗薬又はその生理学的に許容される塩である、請求項15記載の部分キット。
- CGRP拮抗薬が、BIBN4096BS又はBIBN4107BS又はその生理学的に許容される塩である、請求項16記載の部分キット。
- 第二の包含に含まれる薬剤が、アルモトリプタン、アビトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン又はその生理学的に許容される塩からなる群から選択されるトリプタンである、請求項15記載の部分キット。
- 高血圧症に起因しない血管性頭痛の予防のための医薬組成物の製造のための、テルミサルタンの使用。
- 血管性頭痛が、偏頭痛である、請求項19記載の使用。
- 高血圧症に起因しない血管性頭痛の予防のための医薬組成物の製造のための、テルミサルタンと、偏頭痛の治療及び/又は予防に好適な少なくとも1種の他の薬剤又はその生理学的に許容される塩との、組み合せ使用。
- 他の薬剤が、CGRP拮抗薬又はその生理学的に許容される塩である、請求項21記載の使用。
- CGRP拮抗薬が、BIBN4096BS又はBIBN4107BS又はその生理学的に許容される塩である、請求項22記載の使用。
- 他の薬剤が、アルモトリプタン、アビトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン又はその生理学的に許容される塩からなる群から選択されるトリプタンである、請求項21記載の使用。
- 血管性頭痛が、偏頭痛である、請求項19〜24のいずれか1項に記載の使用。
- 請求項10〜18のいずれか1項に記載の医薬組成物又は部分キットの製造のための、テルミサルタンの使用。
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