JP2007500243A - 成長ホルモンの増進された経粘膜送達のための組成物および方法 - Google Patents

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Abstract

成長ホルモンの増進された経鼻粘膜送達のために、一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤を含んでなる、医薬製剤が記載されている。一つの側面において、鼻腔内送達製剤及び方法は、例えば、皮下注射による対象への同一の濃度又は用量の成長ホルモンを、対象へ投与した後、対象の肝門脈又は血漿中の成長ホルモンのピーク濃度(Cmax)と比較して20%又はそれ以上である、対象の肝門脈又は血漿中の成長ホルモンのピーク濃度を生じることにより、血漿への成長ホルモンの増進された送達を提供する。本発明内の例示的製剤および方法は、ホルモンとしてヒト成長ホルモンを利用する。

Description

成長ホルモン欠乏症は、米国において3,489人に1人の小児が発症していると推定されている。成長ホルモン欠乏症の小児は、成長ホルモン(GH)補充療法で処置されてきた。GH補充はまた、GH欠乏成人を処置するためにも使用されており、そして腎不全の小児を処置するためにも有益である。
ヒト成長ホルモン、ソマトトロピン又はソマトロピン;組換えヒト成長ホルモン(r−hGH)又は組換えメチオニルヒト成長ホルモン(met−hGH)。メチオニルヒト成長ホルモン(met−hGH)は大腸菌で産生される。Goeddelら,Nature,282:544(1979)。met−hGH(Protropin(登録商標);Genentech,Inc.)は、N末端メチオニン残基の存在を除いて、天然のポリペプチドと同一である。組換えhGH(r−hGH)はメチオニン残基が欠失しており、天然のヒト成長ホルモンのアミノ酸配列と同一の配列を有している(Nutropin(登録商標);Genentech,Inc.)。met−hGH及びr−hGHの両方とも均等な効力及び薬物動態学的値を有している。Grayら,Biotechnology:161,1984。
組換えヒト成長ホルモン(hGH)はほとんど普遍的に、皮下に投与されており、慣用的筋肉内注射と比較して、より有効でありそして都合がよいことが示されている。
成長ホルモン(GH)欠乏症を罹患した小児のための現在の療法は最適化されておらず、そして正常な身長のゴールに到達することにおける一つのアプローチは、GHの生理学的分泌パターンを模倣することであろう。こうしたGHのより頻繁な投与の計画は、注射によること以外の経路の発見を必要としている。GHの経鼻投与システムは、複数回での日用量の投与計画を可能にするであろう。さらに、こうしたシステムは、注射よりも患者にとってより都合のよい投与の形を提供するであろう。
下記のものを含んでなる、成長ホルモンを鼻腔内へ投与するためのキット及び方法も特許請求される:容器中の成長ホルモン及び賦形剤の水溶液そして;該容器へ取り付けられて、そして容器中の成長ホルモン溶液と流動的に連結されている小滴(droplet)発生アクチュエーター(acruator);
ここにおいて、該アクチュエーターが働く時、該アクチュエーターは、該アクチュエーターの先端部を通して成長ホルモン溶液のスプレーを生成し、ここにおいて、成長ホルモン溶液の該スプレーは、該アクチュエーター先端部から3.0cmの高さで測定した場合、約1.0から約1.4の霧パターン楕円率比を有している。好ましい態様において、スプレーは成長ホルモン溶液の小滴を含んでなり、ここにおいて小滴の5%未満は10μm未満のサイズであり;スプレーは40及び25mmの長軸及び短軸のスプレーパターンを有している。より好ましくは、成長ホルモンのスプレーは、50%未満の小滴が26.9μm又はそれ未満のサイズであり、90%の小滴が55.3μm又はそれ未満のサイズである成長ホルモン溶液の小滴を含んでなり、そしてスプレーは溶液の小滴を生み出し、そしてここにおいて、小滴の10%未満は12.5μm又はそれ未満のサイズである。
最適に持続されたレベルにおける、鼻腔内輸送を経由する成長ホルモンの送達のための方法及び製剤の向上、そして許容しえない副作用を起こすことなく、投与計画を最適化するための措置を提供するための要求が存在している。
発明の説明
本発明は前述の要求を満たし、且つ、薬物動態学的及び薬力学的結果の改良を生じる、成長ホルモンの鼻腔内送達のための新規で有効な方法及び組成物を提供することにより、さらなる目的及び利点を満足させる。本発明の特定の側面においては、成長ホルモンを同一の鼻腔内部位へ単独で、又は以前に開示された報告に従って処方されて投与する場合と比較して、成長ホルモンの実質的に増加した吸収及び/又は生物学的利用能を、そして対象の組織中成長ホルモンの最大濃度に到達する時間の実質的な減少を得るため、一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤と一緒に成長ホルモンを鼻腔内粘膜へ送達する。
本発明の方法及び組成物に従った成長ホルモンの鼻腔内送達の向上により、哺乳動物対象における多様な疾患及び状態を処置するための、これらの剤の有効な医薬的使用を可能にする。
本明細書に提供された方法及び組成物は、薬剤作用の新規標的部位へ到達するため、鼻粘膜障壁(barrier)を横切った成長ホルモンの増進された送達を提供し、増進された、治療的に有効な送達の量又は濃度を得ている。特定の側面において、一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤の使用は、標的化された細胞外又は細胞区画、例えば全身循環、選択された細胞集団、組織または器官への成長ホルモンの有効な送達を容易にする。このことに関連する増進された送達の標的例は、標的生理学的区画、組織、器官及び体液(例えば、血清中の)、肝臓又は中枢神経系(CNS)又は脳脊髄液(CSF)、又は肝臓、骨、筋肉、軟骨、下垂体、視床下部、腎臓、肺臓、心臓、精巣、皮膚又は末梢神経系の選択された組織である。
本発明の増進された送達法及び組成物は、哺乳動物対象における多様な疾患及び状態を処置するために、治療的に有効な成長ホルモンの経粘膜送達を提供する。成長ホルモンは多様な粘膜経路を経て、例えば、鼻粘膜上皮、気管支又は肺粘膜上皮、口腔、胃、腸又は直腸粘膜上皮、又は膣粘膜上皮と成長ホルモンを接触させることにより、投与することが可能である。典型的には、本方法及び組成物は鼻腔内送達(例えば、経鼻粘膜送達又は鼻腔内経粘膜送達)が指示され、そのために処方されている。
本発明の一つの側面において、治療的に有効量の成長ホルモン及び本明細書に記載したような一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤を含んでなる、鼻腔内投与に適した医薬製剤が提供され、その製剤は、哺乳動物対象における成長ホルモン欠乏症の発症又は進行を防止するための、又は哺乳動物対象における成長ホルモン欠乏症の一つ又はそれより多くの臨床的によく認識された症状を軽減するための、本発明の経鼻粘膜送達法に有効である。
本発明の別の側面において、治療的に有効量の成長ホルモン及び本明細書に記載したような一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤を含んでなる、鼻腔内投与に適した医薬製剤が提供され、その製剤は、例えば、小児における成長ホルモン欠乏症、成人における成長ホルモン欠乏症、慢性腎不全あるいは末期腎疾患に付随した特発性低身長;ターナー症候群に付随した特発性低身長;地中海貧血による低身長;ラッセル−シルバー症候群(異形顔立を伴う子宮内成長遅延);非異形性子宮内成長遅延;先端巨大症及び巨人症;HIV患者における萎縮(栄養不良);慢性うっ血性心不全;急性心筋梗塞;骨粗鬆症;異化疾患に付随した代謝障害;自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症又は代謝症候群)、の症状を軽減する、または発症を防止する、又は発病率又は重症度を低下させるための本発明の経鼻粘膜送達法において有効である。
本発明の別の側面において、成長ホルモンを含んでなる本発明の医薬製剤及び方法は、筋肉硬化症の処置のため、インターフェロン−β及びステロイド又は酢酸グラチラマー注射と併用して投与することができる。筋肉硬化症のための標準処置には、多発性硬化症に関連する炎症の症状を処置するための、ステロイド又は酢酸グラチラマーと組み合わせたインターフェロン−βが含まれている。多発性硬化症処置の間の慢性的ステロイド使用は、筋萎縮症を起こすであろう。成長ホルモンは、例えば、多発性硬化症処置の間の慢性的ステロイド使用から生じる筋萎縮症の症状を軽減するため又は発症を防止するため、又は発生率又は重症度を低下させるために投与することができる。
本発明のより詳細な側面において、成長ホルモンの鼻腔内送達のための方法及び組成物は、治療的に有効量の成長ホルモンと一緒に医薬製剤に組み合わされた、又は前記成長ホルモンとの協調経鼻粘膜送達プロトコルで投与された、一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤を組み入れている。これらの方法及び組成物は、成長ホルモンの増進された経鼻粘膜送達を提供し、血清又は疾患の処置のために選択された別の生理学的区画又は標的組織又は器官中の、成長ホルモンのより一貫した(規格化された)又は上昇した治療的レベルを得るための成長ホルモンの連続した放出を維持するため、しばしばパルス状送達様式を提供する。例えば、成長ホルモンの上昇した治療的レベルは、肝臓へ通じる肝門脈中で、又は全身血清中で測定することができる。成長ホルモンは下垂体前葉で産生され、そして血清を経て肝臓へ輸送され、そこでインシュリン様成長因子1(IGF−1)の産生を誘導する。IGF−1は、成長ホルモンの生理学的効果の多くの原因である。成長ホルモンの規格化されそして上昇した治療的レベルは、本発明の方法及び組成物を使用する増進された経鼻粘膜送達により成長ホルモンを受けている哺乳動物対象の肝門脈で測定することができる。成長ホルモンの規格化されそして上昇した治療的レベルは、例えば、生物学的利用能(例えば、最大濃度(Cmax)又は成長ホルモンの鼻腔内有効量に対する濃度vs.時間曲線下面積(AUC)により測定されるような)の増加、及び/又は送達速度(例えば、最大濃度までの時間(tmax)、Cmax及び/又はAUCにより測定されるような)の増加により決定する。成長ホルモンの、血清又は肝門脈における規格化されそして上昇した高い治療的レベルは、一部、選択された投与期間、例えば、8、12又は24時間の投与期間内の、対象への反復鼻腔内投与により達成することができる。
別の態様において、成長ホルモンの規格化されそして上昇した治療的レベルは、例えば、中枢神経系(CNS)又は脳脊髄液(CSF)において測定されるような、生物学的利用能の増加及び/又は送達速度の増加により決定する(例えば、CNS又はCSFにおける成長ホルモンの鼻腔内有効量に対するtmax、Cmax又はAUCにより測定されるように)。
成長ホルモンのより一貫した又は規格化された治療的レベルを維持するため、本発明の医薬製剤はしばしば反復して、例えば、24時間以内に1、2又はそれより多くの回数で、24時間以内に4又はそれより多くの回数で、24時間以内に6又はそれより多くの回数で、24時間以内に8又はそれより多くの回数で、対象の鼻粘膜へ投与する。本発明の方法及び組成物は、成長ホルモンの規格化された及び/又は上昇した治療的レベルを維持するための(例えば、血清における)、改良されたパルス状送達をもたらす。本発明の方法及び組成物は、単独で、又は以前に記載されている送達法、例えば、以前に記載されている経粘膜送達、筋肉内送達、皮下送達、静脈内送達及び/又は非経口送達法を使用して投与された成長ホルモンの送達の効率と比較して、少なくとも2から5倍の増加、より典型的には5から10倍の増加、そして普通には10から25倍から50倍までの増加で(例えば、肝門脈、血清、又は送達のために選択された別の生理学的区画又は標的組織又は器官において、tmax、Cmax及び/又はAUCにより測定されるように)、選択された標的組織又は区画への成長ホルモンの経鼻粘膜送達を増進する。
本発明のより詳細な側面において、本発明の方法及び組成物は、血清又は肝門脈への成長ホルモンの改良された及び/又は持続された送達を提供する。一つの例示の態様において、成長ホルモンの鼻腔内有効量及び一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤を、対象の鼻粘膜表面と接触させ、例えば、成長ホルモン欠乏症を有効に処置するため、対象の肝臓及び肝臓外部位への成長ホルモンの増進された経粘膜送達を得る。特定の態様において、本発明の方法及び組成物は、対象の中枢神経系(CNS)又は脳脊髄液(CSF)を含む、成長ホルモン作用の肝臓への及び肝臓外部位への、成長ホルモンの改良されたそして持続的な送達を提供し、そして慣用的成長ホルモン療法が不十分な結果又は許容しえない有害副作用を生じる場合を含み、成長ホルモン欠乏症の一つ又はそれより多くの症状を有効に処置するであろう。
しばしば本発明の製剤は対象の鼻粘膜表面へ投与する。特定の態様において、成長ホルモンはヒト成長ホルモン、例えば、組換えヒト成長ホルモン(r−hGH;Saizen(登録商標),Sorono,Inc.,マサチューセッツ州ロックランド)、メチオニル化ヒト成長ホルモン(met−hGH;Protropin(登録商標),Genentech,Inc.,カリフォルニア州サンフランシスコ)又はメチオニン残基を欠きそして天然のヒト成長ホルモンと同一のアミノ酸配列を有する組換えhGH(r−hGH;Nutropin(登録商標),Genentech,Inc.,カリフォルニア州サンフランシスコ)又はその医薬として受容可能な塩又は誘導体である。本発明の医薬製剤内の粘膜的に有効な用量には、例えば、体重kg当たり約0.05から0.2IUの間のヒト成長ホルモンが含まれる(約15から60μgの間のr−hGH/kg体重)。本発明の医薬製剤は、1週から96週の間、毎日、又は週3回又は週1回、投与することができる。特定の態様において、本発明の医薬製剤は毎日1回またはそれ以上、毎日2回、毎日4回、毎日6回又は毎日8回投与する。関連する態様において、反復投与計画により投与された、成長ホルモン及び一つ又はそれより多くの送達増進剤を含んでなる粘膜製剤は、成長ホルモンの同一又は匹敵する量の1回又はそれ以上の皮下注射後の、血漿又はCNS中の成長ホルモンの濃度曲線下面積(AUC)と比較して、反復投与後の血漿又はCNS中に、約25%又はそれ以上である成長ホルモンの濃度曲線下面積(AUC)を生じる。別の態様において、反復投与計画により投与された本発明の粘膜製剤は、成長ホルモンの同一又は匹敵する量の1回又はそれ以上の皮下注射後の、肝門脈又は血漿中の成長ホルモンの濃度曲線下面積(AUC)と比較して、反復投与後の肝門脈又は血漿中に、約25%又はそれ以上、又は40%、80%、100%、150%又はそれ以上である成長ホルモンの濃度曲線下面積(AUC)を生じる。
本発明の特定の詳細な側面において、成長ホルモン及び一つ又はそれより多くの送達増進剤を含んでなる安定な医薬製剤を提供し、ここにおいて、製剤は哺乳動物対象へ鼻腔内に投与し、本発明の方法及び組成物により対象へ鼻腔内投与された後の肝門脈又は血漿中の成長ホルモンのピーク濃度(Cmax)は、哺乳動物対象への皮下注射後の肝門脈又は血漿中の成長ホルモンのピーク濃度と比較して約25%又はそれ以上である。
本発明の別の詳細な態様において、成長ホルモン及び一つ又はそれより多くの送達増進剤の鼻腔内製剤は、対象への成長ホルモンの匹敵する用量の皮下注射後の、肝門脈又は血漿中の成長ホルモンのピーク濃度(Cmax)と比較して40%又はそれ以上である、対象への鼻腔内投与後の肝門脈又は血漿中の成長ホルモンのピーク濃度を生じる。あるいは、本発明の鼻腔内製剤は、哺乳動物対象への皮下注射後の、肝門脈又は血漿中の成長ホルモンのピーク濃度(Cmax)と比較して約80%、100%又は150%、又はそれ以上である、肝門脈又は血漿中の成長ホルモンのピーク濃度を生じることができる。
本発明の方法及び組成物は、しばしば成長ホルモン投与スケジュールを改良するために働くことができるであろうし、そしてそれにより、対象中の成長ホルモンの規格化され及び/又は上昇した治療レベルを維持する。特定の態様において、本発明は成長ホルモンの鼻腔内送達のための組成物及び方法を提供し、ここにおいて、より一貫した、そしてある場合には上昇した治療レベルを維持するため、反復した、典型的にはパルス状送達により、成長ホルモン薬用量は規格化されそして持続されている。例示の態様において、血清又は肝門脈中の成長ホルモンの最大濃度までの時間(tmax)は、約0.1から4.0時間、あるいは約0.4から1.5時間、そして別の態様においては約0.7から1.5時間、あるいは約1.0から1.3時間であろう。それ故、約0.1から2.0時間までの範囲の投与間スケジュールで、本発明の製剤を用いる反復鼻腔内投与は、過剰な暴露の危険性及び副作用を最小化すると同時に臨床的利益を最大にするため、成長ホルモンの規格化された、持続性の治療レベルを維持するであろう。
本発明の他の詳細な態様内において、鼻腔内有効量の成長ホルモン、及び一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤及び一つ又はそれより多くの持続性放出増進剤を含んでなる製剤を投与することにより、成長ホルモンの増進された肝門脈、血漿レベル又はその他の組織レベルを生じるように、前述の方法及び製剤を哺乳動物対象へ投与する。持続性放出増進剤は、例えば、ポリマーの送達媒体を含んでなることができる。例示の態様において、持続性放出増進剤は、成長ホルモン及び一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤と共処方される、又は同調して送達されるポリエチレングリコール(PEG)を含んでなることができる。PEGは成長ホルモンへ共有結合で結合することができる。本発明の持続性放出増進法及び製剤は、投与部位での成長ホルモンの常在時間(RT)を増加させ、そして哺乳動物対象中の肝門脈、血漿又はその他の組織において、長期間に渡って成長ホルモンの基礎レベルを維持するであろう。
本発明の他の詳細な態様内において、長期間に渡って成長ホルモンの基礎レベルを維持するため、成長ホルモンの増進された肝門脈、血漿レベル、又は他の組織レベルを生じるように、哺乳動物対象へ前述の方法及び組成物を投与する。方法及び組成物の例は、成長ホルモンを含んでなる第二の医薬製剤の筋肉内又は皮下投与と組み合わされた、対象の粘膜表面への、鼻腔内有効量の及び一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤を含んでなる医薬製剤を投与することを含んでいる。成長ホルモンの基礎レベルの維持は疾患、例えば、慢性腎不全、急性心筋梗塞、うっ血性心不全及び自己免疫疾患の処置及び予防に特に有用である。
前述の粘膜薬剤送達製剤及び本発明の製造及び送達法は、哺乳動物対象への成長ホルモンの改良された経粘膜送達を提供する。これらの組成物及び方法は、一つ又はそれより多くの成長ホルモンと一つ又はそれより多くの粘膜(例えば、鼻腔内)送達増進剤との、組み合わせ(combinatorial)製剤又は協調的(coordinate)投与を含むことが可能である。これらの製剤及び方法を達成するために経粘膜送達増進剤の中で選択されるべきものは、(a)凝集阻害剤;(b)電荷修飾剤;(c)pH制御剤;(d)分解酵素阻害剤;(e)粘液溶解又は洗浄剤;(f)繊毛抑制剤;(g)膜浸透増進剤(例えば、(i)界面活性物質(surfactant)、(ii)胆汁酸塩、(ii)リン脂質又は脂肪酸添加、混合ミセル、リポソーム又は坦体、(iii)アルコール、(iv)エナミン、(v)NO供与化合物、(vi)長鎖両親和性分子、(vii)小疎水性浸透増進剤、(viii)ナトリウム又はサリチル酸誘導体、(ix)アセト酢酸のグリセロールエステル、(x)シクロデキストリン又はベータ−シクロデキストリン誘導体、(xi)中鎖脂肪酸、(xii)キレート剤、(xiii)アミノ酸又はその塩、(xiv)N−アセチルアミノ酸又はその塩、(xv)選択された膜成分に対する分解性酵素、(ix)脂肪酸合成の阻害剤、(x)コレステロール合成の阻害剤;又は(xi)(i)−(x)の膜浸透増進剤の任意の組み合わせ);(h)一酸化窒素(NO)刺激剤、キトサン及びキトサン誘導体のごとき、上皮接合生理学の変調剤;(i)血管拡張剤;(j)選択的輸送増進剤;及び(k)増進された経鼻粘膜送達のために活性剤が安定化するように、成長ホルモンが有効に化合され、会合され、含有され、被包され又は結合される、安定化送達媒体、坦体、支持体又は複合体形成種、である。
本発明の多様な態様において、成長ホルモンを、上記(a)−(k)に列挙した一つ、二つ、三つ、四つ又はそれより多くの粘膜(例えば、鼻腔内)送達増進剤と併用する。これらの経粘膜送達増進剤は、単独で又は一緒に、成長ホルモンと混合することができ、又はさもなければ、医薬として受容可能な製剤又は送達媒体とそれらを併用することができる。本明細書の教示に従った一つ又はそれより多くの経粘膜送達増進剤(所望により上記(a)−(k)から選択される二つまたはそれより多くの経粘膜送達増進剤の、任意の組み合わせを含んで)を含む成長ホルモン製剤は、哺乳動物対象の粘膜(例えば、鼻粘膜)へのその送達後、増加した成長ホルモンの生物学的利用能を提供する。
鼻粘膜表面内への又は横切った成長ホルモンの送達を増進する、鼻腔内送達増進剤を用いる。受動的吸収薬剤に対しては、薬剤輸送を導く傍細胞及び経細胞経路の相対的寄与は、薬剤のpKa、分配係数、分子半径及び電荷、薬剤が送達される管腔環境のpH、そして吸収表面の領域に依存する。本発明の鼻腔内送達増進剤はpH制御剤であることができる。本発明の医薬製剤のpHは、薬剤輸送を導く傍細胞及び経細胞経路を経る成長ホルモンの吸収に影響している因子である。一つの態様において、本発明の医薬製剤は約3.0から6.0の間のpHへ調整されている。さらなる態様において、本発明の医薬製剤は約3.0から5.0の間のpHへ調整されている。さらなる態様において、本発明の医薬製剤は約4.0から5.0の間のpHへ調整されている。さらなる態様において、本発明の医薬製剤は約4.0から4.5の間のpHへ調整されている。
本発明のさらに別の態様において、本明細書に記載した一つ又はそれより多くの成長ホルモン化合物又は製剤が、一つ又はそれより多くのステロイド又は副腎皮質ステロイド化合物と協調して又は組み合わせ製剤で投与される、医薬組成物及び方法を提供する。いくつかの製剤におけるこれらの組成物は、許容しえない副作用を伴わず、炎症、鼻過敏、鼻炎又はアレルギーの一つ又はそれより多くの症状を軽減するため、粘膜投与後に有効である。
本発明の範囲内での使用のための、他の組み合わせ製剤は、インターフェロン−β及び一つ又はそれより多くのステロイド又は副腎皮質ステロイド化合物と組み合わされ、哺乳動物対象への経粘膜送達のために製剤された、一つ又はそれより多くの成長ホルモンの有効量を含んでなる安定な医薬組成物を含んでなり、ここにおいて前記製剤は、ステロイド誘発筋萎縮症のごとき受容不可能な有害副作用なしで、自己免疫疾患の一つ又はそれより多くの症状(例えば、多発性硬化症)を軽減するために、粘膜投与後に有効である。
より詳細な態様において、成長ホルモン、サイトカイン又は増殖因子及びステロイドを含んでいる、組み合わせ製剤及び協調的投与法は、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、フルチカゾン、ベタメサゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、フルニゾリド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、アムシノニド、クロベタゾール、デソキシメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン及びモメタゾンから選択される一つ又はそれより多くのステロイド又は副腎皮質ステロイド化合物を用いる。
本発明の方法及び組成物に従った成長ホルモンの経鼻粘膜送達は、しばしば連続的投与法により達成される投薬に近い、有効な送達及び生物学的利用能を達成するであろう。他の側面において、本発明は、より少ない全身投与量の使用を可能にし、そして成長ホルモン−関連副作用の発生を有意に減少させる、増進された経鼻粘膜送達を提供する。病院据え付け外での成長ホルモンの連続的注入は別の状況では実際的ではないので、本明細書において提供されるような成長ホルモンの経粘膜送達は、例えば、改良された患者ごとの投与量可変性という結果として生じる利点を有した、成長ホルモンの持続的送達を可能にする予期しない利点を生じる。
前に言及したように、本発明は、多様な疾患及び状態の処置及び予防のため、哺乳動物対象への成長ホルモンの経鼻粘膜送達のための改良された方法及び組成物を提供する。本発明の方法に従った処置及び予防に適した哺乳動物対象の例には、制限されるわけではないが、ヒト及び非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、ヒツジ及びヤギのごとき家畜種、及びイヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット及びウサギを含む研究及び飼い慣らされた動物種が含まれる。
本発明のよりよい理解を提供するため、以下の定義を提供する。
成長ホルモン
本明細書において、「成長ホルモン」又は「GH」とは、天然−配列又は変異体形の、そして天然、合成又は組換えであろうとなかろうと任意の起源からの成長ホルモンを指している。例には、天然又はヒト天然配列を有する組換えGH(ソマトトロピン又はソマトロピン)であるヒト成長ホルモン(hGH)、そしてソマトレム、ソマトトロピン及びソマトロピンを含む、組換えDNA技術により産生された任意のGH又は変異体を指している組換え成長ホルモン(rGH)が含まれる。本明細書における使用のためには、hGHはそのN末端にメチオニンを有するあるいは有していない、組換えヒト天然−配列、成熟GHである。メチオニルヒト成長ホルモン(met−hGH)は、例えば、1988年7月5日に発行された米国特許第4,755,465号及びGoeddelら,Nature,282:544(1979)に記載されているプロセスにより、大腸菌で産生する。プロトロピンの登録商標で販売されているmet−hGH(Genentech,Inc.,カリフォルニア州サンフランシスコ)は、N末端メチオニン残基の存在を除いて天然のポリペプチドと同一である。この付加されたアミノ酸は、細菌タンパク質合成プロセスの結果である。組換えhGHもまた、ヌトロピンの登録商標で入手可能である(Genentech,Inc.,カリフォルニア州サンフランシスコ)。この後者のhGHはこのメチオニン残基を欠いており、そして天然のホルモンのアミノ酸配列と同一の配列を有している。メチオニルhGH及びhGHの両者とも、均等な効力及び薬物動態学的値を有している。Grayら,Biotechnology,2:161(1984);Mooreら,Endocrinology,122:2920−2926(1988)を参照されたい。別の適したhGH候補は、1987年6月2日に発行された米国特許第4,670,393号に記載されているように、純粋な体細胞起源性を有しそして乳腺刺激活性を有しないGHの胎盤形であるhGH変異体である。1990年5月3日に公開されたWO 90/04788及び1992年6月11日に公開されたWO 92/09690に記載されているようなGH変異体もまた含まれる。
本明細書において、用語「成長ホルモン」は、組換え又は天然ヒト成長ホルモンを含むことが意図される。hGH遊離物質とは、hGHの体内産生及び/又は放出を刺激する化合物であり、そして、限定されるわけではないが、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、クロニジン、フェニルアラニン、L−DOPA、アルギニン、オルニチン、デプレニル及びソマトスタチン阻害剤が含まれる。hGHは、それが外因的に供給されようが、又はこうした放出剤により下垂体から放出されようが有効であろう。従って、成長ホルモン遊離物質の使用は、こうした剤に応答して適切な成長ホルモンを放出することが可能な患者において、成長ホルモンそれ自身の使用の受容可能な変法である。かなりのしかし十分ではないhGHを放出することが可能な患者には、hGH遊離物質よりも高価であることが予測される外来性hGHの使用を最少にしつつ、胸腺再生のために必要とされるhGHレベルを達成するため、放出剤及び外来性hGHの両方を与えることができる。さらに、hGH作用のために、全hGH分子が必要というわけではない。それ故、より安価であるか又はより少ない副作用を有するが、hGHの生物学的活性を保持しているhGHの遺伝子工学処理変異体あるいは断片のごとき、均等類似体もまた受容可能な変法である。任意のこれらhGH代替物の投与量は、体内でhGHと同一の所望レベル又は効果を得るであろう「hGH均等用量」である。hGH「模倣物」の例は、ソマトメジンCであろう。プロセスはまた、hGHの他の副作用を阻止する薬剤の投与と両立する(例えば、男性における女性化乳房を阻止するためのパーロデル)。
本明細書において、用語、ヒト成長ホルモン(hGH)とは、胎盤性ラクトゲン、プロラクチン及び成長ホルモンの他の遺伝子及び種変異体を含む、相同的ホルモンのファミリーを含むことが意図されている。hGHは、広範な種特異性を示し、そしてクローン化体細胞起源又はプロラクチンレセプターの両方に結合することで、これらの間では普通ではない。Nicholら,Endocrine Reviews,7:169(1986);Leungら,Nature,330:537(1987);Boutinら,Cell,53:69(1988)。hGHのクローン化遺伝子は、大腸菌において分泌形で発現されており、そしてそのDNA及びアミノ酸配列が報告されている。Changら,Gene,55:189(1987);Goeddelら,Nature,281:544(1979);Grayら,Gene,39:247(1985)。hGHのレセプター及び抗体エピトープは、相同体−スキャニング突然変異誘発及びアラニン−スキャニング突然変異誘発により同定されている。Cunninghamら,Science,243:1330−1336,1989;Cunningham及びWells,Science,244:1081−1085(1989)。
付加的な開示は、成長ホルモンの効果的な治療的使用を明確にしている具体的な構造的及び機能的特性を示している詳細な方法及び手段を教えており、そしてさらに、本発明内で有用であるこれらの剤の多様な、付加的アレイを開示している。成長ホルモン(GH)は下垂体前葉ホルモンである。その分泌は、視床下部により分泌される成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)により刺激され、そしてその作用は、視床下部ソマトスタチンにより阻害される。これらの視床下部ホルモンは、下垂体成長ホルモン分泌細胞へ結合し、そしてGH分泌を調節している。GHは肝臓へ結合し、そしてインシュリン様成長因子1(IGF−1)を誘導し、それは結合タンパク質へ結合されて血中を循環する。IGH−1は、GHの成長促進効果のほとんどを仲介する。IGF−1は軟骨形成、骨格成長及び軟部組織成長に直接関与している。ほとんどの組織において、成長ホルモンは細胞数を増加させることにより働いている(IGF−1を通して間接的に)。
加えて、成長ホルモンは、脂質及び炭水化物代謝に直接的効果を有しており、インシュリンの代謝的効果とは反対である代謝的効果を導いている:増加した肝臓グルコース排出量、減少したグルコース利用及び増加した脂肪分解。成長ホルモンの直接効果は、例えば、肝臓及び他の組織におけるIGF産生の刺激、脂肪組織におけるトリグリセリド加水分解の刺激、及び肝臓グルコース排出の刺激である。
ヒト成長ホルモン(hGH)は、正常ヒト成長及び発育の調節の多くに関与している。この22,000ダルトン下垂体ホルモンは、中でも、線状成長(体細胞発生)、乳汁分泌、マクロファージの活性化、及びインシュリン様及び糖尿病誘発性効果を含む、多数の生物学的効果を示す。これらの生物学的効果は、hGHと特異的細胞性レセプター間の相互作用に由来している。小児における成長ホルモン欠乏は小人症を導き、それはhGHの外来性投与により10年以上、成功裡に処置されてきた。
成長ホルモン組成物及びステロイド又は副腎皮質ステロイド組成物と組み合わせた、サイトカイン(例えば、インターフェロン−β)の鼻腔内投与による多発性硬化症の処置及び予防
本発明の経粘膜送達製剤の範囲内で、多発性硬化症を有する患者へのインターフェロン−βの鼻粘膜投与は、哺乳動物対象における多発性硬化症(MS)の再発性形を予防及び処置するために有効であり、続いての有意な薬剤関連副作用を低下させる。さらに本発明の経粘膜送達製剤の範囲内で、多発性硬化症を有する患者への、成長ホルモン組成物及びステロイド又は副腎皮質ステロイド組成物と組み合わせた(即ち、組み合わせ製剤又は協調的送達プロトコル)インターフェロン−βの鼻粘膜投与は、MS疾患に付随した炎症のごとき症状をさらに軽減する。
本発明の経粘膜送達製剤の範囲内で、単独又はインシュリン様成長因子(IGF)−1と組み合わせた成長ホルモンの鼻粘膜投与は、インターフェロン−β及び/又はステロイドと鼻腔内製剤として組み合わせた場合、多発性硬化症の処置を改良する。慢性ステロイド使用は、ステロイドミオパシーと名付けられた、近位筋衰弱及び萎縮症を引き起こすことができる。単独又はIGF−1と組み合わせた成長ホルモンは、慢性ステロイド使用により引き起こされるステロイドミオパシーに対して防止効果を示す。
一つの態様において、インターフェロン−β、成長ホルモン及び本明細書に記載したような高用量副腎皮質ステロイドを含んでなる鼻腔内投与に適した医薬製剤は、約7から約14日の間、1日1回又は2回送達する。ステロイド又は副腎皮質ステロイド組成物、フルニゾリド(Nasalide(登録商標))の投与量送達の例は、1日2回鼻に2パフ(puff)であり、3の相対効力を有している。ステロイド又は副腎皮質ステロイド組成物、フルチカゾン(Flonase(登録商標))の投与量送達の例は、1週間の間毎日、鼻に2パフ、次ぎに毎日1パフであり、3の相対効力を有している。ステロイド又は副腎皮質ステロイド組成物、ジプロピオン酸トリアムシノロン(Nasacort(登録商標))の投与量送達の例は、1週間の間毎日、鼻に2パフ、次ぎに1日1パフであり、1の相対効力を有している。ステロイド又は副腎皮質ステロイド組成物、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(Beconase(登録商標)、Vancenase(登録商標))のさらなる投与量送達の例は、1日2回2パフ(2倍の強度のものに対しては毎日2パフ)であり、5の相対効力を有している。ステロイド又は副腎皮質ステロイド組成物、ブデゾニド(Rhinocort(登録商標))のさらなる投与量送達の例は、1週間の間毎日、4パフ、次ぎに毎日2パフであり、10の相対効力を有している。
一つの態様において、成長ホルモン及び高効力ステロイド又は副腎皮質ステロイド組成物と組み合わせたインターフェロン−βの鼻腔内製剤は、典型的には約0.5mgから約0.8mgの投与量範囲で、あるいは典型的には約0.6mgから約0.75mgの投与量範囲で、限定されるわけではないが、ベタメタゾン(0.6から0.75mgの投与量)又はデキサメタゾン(0.75mgの投与量)を含んでいる。さらなる態様において、成長ホルモン及び中効力ステロイド又は副腎皮質ステロイド組成物と組み合わせたインターフェロン−βの鼻腔内製剤は、典型的には約3mgから約6mgの投与量範囲で、あるいは典型的には約4mgから約5mgの投与量範囲で、限定されるわけではないが、メチルプレドニゾロン(4mgの投与量)、トリアムシノロン(4mgの投与量)又はプレドニゾロン(5mgの投与量)を含んでいる。さらなる態様において、成長ホルモン及び低効力ステロイド又は副腎皮質ステロイド組成物と組み合わせたインターフェロン−βの鼻腔内製剤は、典型的には約15mgから約30mgの投与量範囲で、あるいは典型的には約20mgから約25mgの投与量範囲で、限定されるわけではないが、ヒドロコルチゾン(20mgの投与量)又はコルチゾン(25mgの投与量)を含んでいる。
ステロイド組成物と組み合わせた成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン)の鼻腔内投与による、疾患及び鼻粘膜炎症の軽減の処置及び予防
疾患、例えば、小児及び成人対象における成長ホルモン欠乏症、慢性腎不全あるいは末期腎臓疾患に付随した突発性低身長、HIV患者における衰弱あるいは栄養不良、慢性うっ血性心不全、心筋梗塞、先端肥大症、巨人症あるいは自己免疫疾患の、本明細書に記載したような、成長ホルモン及び副腎皮質ステロイドの鼻腔内組成物を用いる治療による処置及び予防は、薬剤送達の副作用を回避すると同時に、疾患徴候の軽減を生じる。成長ホルモン及び副腎皮質ステロイドの鼻腔内組成物は、鼻粘膜組織そしてCNS組織及び液への直接送達により、軽減された鼻刺激、軽減された鼻炎そして軽減された鼻粘膜アレルギー反応しか生じない。CNS組織及び液への、組成物の直接鼻腔内送達は、CNS以外の身体部位への送達を回避し、そして血清及び器官、例えば、副腎及び腎臓への副腎皮質ステロイドの全身性送達に付随する、副腎抑制及び体重増加のごとき全身性副作用を回避する。
対象への、7から14日間に渡る、1日1回又は2回の成長ホルモン及び副腎皮質ステロイド組成物の粘膜投与は、成長ホルモン及び副腎皮質ステロイド組成物の拡張された送達が得られる。組成物の送達は、成長ホルモン、副腎皮質ステロイドあるいは成長ホルモンの薬物動態学的マーカー、例えば、インシュリン様成長因子−I(IGF−I)に対する濃度曲線下面積(AUC)により測定する。対象への成長ホルモン及びステロイド組成物の粘膜投与は、対象への成長ホルモンの均等濃度あるいは用量の皮下注射に続く中枢神経系(CNS)組織あるいは液中の、副腎皮質ステロイド、成長ホルモン又はIGF−IのAUCと比較して、典型的には約50%、約75%あるいは約100%あるいはそれ以上である、対象のCNS組織あるいは液中の、副腎皮質ステロイド、成長ホルモン又はIGF−IのAUCを得る。
成長ホルモン及び、本明細書に記載したような、炎症の処置のための副腎皮質ステロイド化合物を含んでなる、鼻腔内投与に適した医薬製剤は、血清及び器官、例えば、副腎及び腎臓への送達を回避すると同時に、CNSへの治療的送達を提供する。医薬組成物は、血漿及び他の標的組織(副腎あるいは腎臓)中の組成物の濃度曲線下面積(AUC)と比較した場合、典型的には約2倍、約3倍、約5倍あるいは約10倍又はそれ以上である、CNS中の副腎皮質ステロイド組成物のAUCを得る。本明細書に記載したような医薬製剤は、副腎皮質ステロイドがCNS組織あるいは液を標的にするようにさせ、それ故、延長されたステロイド処置により引き起こされる副腎抑制及び体重増加のごとき、有害なステロイド副作用を回避している。
小児におけるhGH欠乏症の処置及び予防
上に記述したように、本発明はGH欠乏哺乳動物対象における成長遅延を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。本明細書において、成長遅延の予防及び処置とは、GH欠乏小児における成長遅延の発症の予防あるいは発生率又は重度を低下させることを意味している。特定の側面において、本発明の医薬製剤及び方法は、GH欠乏小児における成長遅延を予防するあるいは軽減する。
本発明はまた、未成熟哺乳動物対象及び小児におけるターナー症候群に付随した特発性低身長を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物も提供する。本発明はまた、未成熟哺乳動物対象及び小児における地中海貧血による低身長を予防する及び処置するために有用な方法及び組成物も提供する。本発明はまた、未成熟哺乳動物対象及び小児におけるラッセル−シルバー症候群(異形顔立を伴う子宮内成長遅延)を予防する及び処置するために有用な方法及び組成物も提供する。本発明はまた、未成熟哺乳動物対象及び小児における非異形性子宮内成長遅延を予防する及び処置するために有用な方法及び組成物も提供する。本発明はまた、未成熟哺乳動物対象及び小児において小人症を生じる、軟骨形成不全症、軟骨の正常発育の不全、を予防する及び処置するために有用な方法及び組成物も提供する。
慢性腎不全あるいは末期腎疾患に付随した特発性低身長の処置及び予防
上に記述したように、本発明は、哺乳動物対象における慢性腎疾患を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物も提供する。本明細書において、慢性腎不全の予防及び処置とは、哺乳動物対象における慢性腎不全の発症の予防及び発生率又は重度を低下させることを意味する。特定の側面において、本発明の医薬製剤及び方法は慢性腎疾患を予防するあるいは軽減する。腎不全には、成長ホルモン/インシュリン様成長因子(GH/IGF)軸の劇的な変化が付随する。小児において、慢性腎不全は成長遅延を生じ、それは一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤と共に粘膜に送達された組換えヒトGH(rhGH)で処置する。rhGHは、早期の年齢で始めた場合、最も有効である。成長応答は、腎機能障害の程度により影響を受ける。長期rhGH処置は、持続的巻き返し(catch−up)成長を誘導し、そして、慢性腎不全による成長不全の小児における最終成人身長を著しく改良する。
腎不全において、成長のための安全性及び効力間の至適平衡は、動物研究が相乗的成長応答を示したように、rhGH及び組換えヒトインシュリン様成長因子−I(rhIGF−I)の併用使用により達成することができる。しかしながら、GHアンタゴニストの使用によるGH軸の阻害は、腎疾患の動物モデルにおける腎機能に対するGHアンタゴニスト(GHのペプチド及びタンパク質類似体あるいは模倣体を含んで)の有益な効果を仮定すると、臨床的に試験されるようである。rhGH及びrhIGF−1の両方とも、特異的成長障害を矯正するために調整された成長促進ホルモンカクテル中に含ませることができる。
一つ又はそれより多くの鼻孔内送達増進剤を加えたヒト成長ホルモンの経鼻粘膜送達のための有効な方法及び組成物は、改良された薬物動態学的及び薬動力学的結果をもたらす。例えば、ヒト成長ホルモンの全身的送達又は皮下送達と組み合わせた鼻孔内経粘膜送達は、慢性腎不全の患者へ送達されたhGHの一貫した基礎レベルを結果として得た。
成人におけるhGH欠乏症の処置及び予防
上に記述したように、本発明は、成人哺乳動物対象における成長ホルモン(GH)欠乏症を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。GH欠乏成人は、増加した体脂肪そして減少した筋肉量、そしてその結果として、減少した筋力及び運動負荷を有している。加えて、彼らは骨減少性であり、好ましくない心臓危険因子及び損なわれた生活の質(quality of life)を有している。これらの個体において、hGHを置換することは、減少したインシュリン感度は変化させないであろうが、これらの異常を逆戻りさせる。hGH欠乏症の成人の一部は、hGH置換療法後、満足いく状態、エネルギーレベル及び気分に劇的な改良を認知する。hGHは、タンパク質及び骨同化性、脂肪分解性及びナトリウム利尿性特質を有している。
本発明は、成人哺乳動物対象における骨粗鬆症を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。一つ又はそれより多くの鼻孔内送達増進剤を加えたヒト成長ホルモンの経鼻粘膜送達のための有効な方法及び組成物は、骨粗鬆症の成人において、骨ミネラル密度の増加及び減少した骨折比率をもたらす。
本発明は、成人哺乳動物対象における肥満を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。一つ又はそれより多くの鼻孔内送達増進剤を加えたヒト成長ホルモンの経鼻粘膜送達のための有効な方法及び組成物は、肥満成人において、脂肪分解、その結果としての脂質プロフィール、高血圧及びインシュリン抵抗性における改良を生じる。
本発明は、哺乳動物対象における重症熱傷を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。一つ又はそれより多くの鼻孔内送達増進剤を加えたヒト成長ホルモンの経鼻粘膜送達のための有効な方法及び組成物は、重症熱傷の患者において、減少した移植片治癒時間、入院患者の滞在の長さ及び死亡率をもたらす。
本発明は、哺乳動物対象における手術からの回復及び異化を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。一つ又はそれより多くの鼻孔内送達増進剤を加えたヒト成長ホルモンの経鼻粘膜送達のための有効な方法及び組成物は、手術から回復している及び異化の患者において、増加した傷治癒速度及び手術後異化反応の減弱をもたらす。
本発明は、哺乳動物対象における慢性閉塞性肺疾患(COPD)を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。一つ又はそれより多くの鼻孔内送達増進剤を加えたヒト成長ホルモンの経鼻粘膜送達のための有効な方法及び組成物は、COPDを患っている患者において、COPD関連悪液質を予防しそして呼吸筋機能を改良する。
本発明は、健康高齢成人哺乳動物対象における生活の質を改良するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。一つ又はそれより多くの鼻孔内送達増進剤を加えたヒト成長ホルモンの経鼻粘膜送達のための有効な方法及び組成物は、健康高齢成人において、筋肉量、強度及び運動負荷の保持;改良された生活の質;そして骨粗鬆症及び骨折の予防をもたらす。本発明はさらに、異化疾患に付随する代謝攪乱を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。
HIV患者における萎縮(栄養不良)の処置及び予防
上に記述したように、本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)−感染哺乳動物対象における萎縮(栄養不良)を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。萎縮(栄養不良)及び脂肪異栄養症は、HIV−感染個体における二つの主な栄養的変化である。萎縮及び脂肪異栄養症は両方とも、体脂肪含量の減少を含むことができ、一方、萎縮はまた除脂肪体重の喪失も含んでいる(脂肪異栄養症では起こらない)。患者管理は、失われた体細胞量及び体重を回復するように設計された、同時的、包括的アプローチを含んでいる。HIV−付随萎縮のための具体的治療は、テストステロン正常あるいはテストステロン欠乏であるHIV−感染男性患者における又はHIV−感染女性患者における、ヒト成長ホルモン(hGH)を用いる処置である。進行抵抗性運動及びサイトカイン変調のごとき他の付属的処置もまた利用される。積極的栄養支援を組み合わせたhGHによる処置は、進行型HIV疾患及び活動性日和見感染の患者において体重獲得を促進する。hGHを受けている患者は、改良された作業能力及び改良された総合的生活の質を報告している。hGHの短い過程もまた、急性日和見感染の患者において除脂肪体重を保つことが示されている。有効な処置の結果には、体細胞量の回復、生活の質の改良、そして減少した入院率が含まれる。
慢性うっ血性心不全の処置及び予防
上に記述したように、本発明は、哺乳動物対象における慢性うっ血性心不全を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。うっ血性心不全を罹患している成人(成長ホルモン欠乏症ではない)は、ヒト成長ホルモン(hGH)単独あるいはアンジオテンシン−変換酵素阻害剤を併用して処置する。hGHの投与は、うっ血性心不全において心室収縮力を増加し、そして末梢血管抵抗を減少させることにより心臓血行動態を改善する。一つ又はそれより多くの鼻孔内送達増進剤を加えたヒト成長ホルモンの経鼻粘膜送達のための有効な方法及び組成物は、うっ血性心不全の症状を制御するため、患者へ送達されたhGHの一貫した基礎レベルを提供する。
急性心筋梗塞の処置及び予防
上に記述したように、本発明は、哺乳動物対象における急性心筋梗塞を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。本明細書において、急性心筋梗塞の予防及び処置とは、哺乳動物対象における急性心筋梗塞の発症の予防及び発生率又は重度を低下させることを意味する。急性心筋梗塞(AMI)を罹患した患者は、AMIの直後又は10時間以内にヒト成長ホルモン(hGH)で処置する。もしくは、急性心筋梗塞(AMI)を罹患した患者は、2から3週間、アンジオテンシンIIレセプター阻害剤、続いて2週間から約3ヶ月の期間、hGHで続けて処置する。hGHの、全身的送達と組み合わせた鼻腔内経粘膜送達は、AMIの患者へ送達されたhGHの一貫した基礎レベルを提供する。10週の間のアンジオテンシンIIレセプター遮断により誘導された良好な左心室組織修復後、2週間のhGH単独投与は、(1)改良された一回排出量及び心臓指標、(2)減少した全身血管抵抗、(3)増加したLV分割短縮、(4)LV心筋収縮性の中程度の強化、(5)壁厚に対するLV拡張期に寄与する、LVに対する肥厚性効果、そして(6)改良されたLV弛緩(タウ)及び早期拡張期充填比、に関係することをデータは示している。
先端肥大症及び巨人症の処置及び予防
上に記述したように、本発明は、哺乳動物対象における先端肥大症及び巨人症を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。本明細書において、先端肥大症及び巨人症の予防及び処置とは、哺乳動物対象における先端肥大症及び巨人症の発症の予防及び発生率又は重度を低下させることを意味する。特定の態様において、本発明の医薬製剤及び方法は、先端肥大症及び巨人症を予防及び軽減する。血清中でのヒト成長ホルモンの過剰分泌の結果として先端肥大症及び巨人症を罹患している患者は、ヒト成長ホルモンのペプチド及びタンパク質類似体及び突然変異タンパク質(mutein)で処置する。ヒト成長ホルモン突然変異タンパク質の経鼻粘膜送達のための有効な方法及び組成物は、成長ホルモンレセプターに対する増進された親和性を有しており、同時に、それらはより低下したあるいは不活性な成長ホルモン活性を保持している。hGH突然変異タンパク質は、先端肥大症及び巨人症の処置のために有用である。
自己免疫疾患の処置及び予防
上に記述したように、本発明は、哺乳動物対象における自己免疫疾患を予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。糖尿病のごとき自己免疫疾患を罹患している患者は、自己免疫攻撃の標的を代表している、患者の内旋胸腺内へ内在性物質を注射し;続いてのヒト成長ホルモン(hGH)、hGH類似体、hGH前駆体又はhGH代謝産物による処置;続いてのジヒドロエピアンドロステロンによる処置、により処置する。ヒト成長ホルモン(hGH)の、全身的送達と組み合わせた鼻腔内経粘膜送達は、自己免疫疾患の患者へ送達されたhGHの一貫した基礎レベルを提供する。
メタボリックシンドロームの処置及び予防
上に記述したように、本発明は、哺乳動物対象におけるメタボリックシンドロームを予防する及び処置するための、成長ホルモンの経鼻粘膜送達のために改良された及び有用な方法及び組成物を提供する。メタボリックシンドロームに関係する状態には、II型糖尿病(IDDM)、非インシュリン依存型糖尿病(NIDDM)、心筋梗塞、脳卒中及び他の動脈硬化疾患ならびにこれらの疾患に対する危険因子、一般にインシュリン抵抗性、腹部内脂肪の蓄積により引き起こされる腹部肥満、上昇した血清脂質、そして高まった拡張期及び/又は収縮期血圧が含まれる。メタボリックシンドロームを患った患者は、シンドロームに付随する内臓脂肪量を減少させるため、コルチゾール合成阻害剤及びヒト成長ホルモン(hGH)を併用して処置する。
中毒あるいは局所潰瘍の処置及び予防
毒性物質で中毒を起こした個体の処置におけるヒト成長ホルモン(hGH)の投与のためのガイダンスは、米国特許第5,140,008及び4,816,439号に見ることができ;局所潰瘍の処置におけるhGHの投与のためのガイダンスは、米国特許第5,006,509号に見ることができる。
送達の方法及び組成物
哺乳動物対象への、成長ホルモンの粘膜投与のための改良された方法及び組成物は、成長ホルモン投与計画を最適化する。本発明は、一つ又はそれより多くの経粘膜送達増進剤と処方された成長ホルモンの経粘膜送達を提供し、ここにおいて、成長ホルモン投与量放出は、粘膜投与後、約0.1から2.0時間;0.4から1.5時間;0.7から1.5時間;又は0.8から1.0時間の範囲の、成長ホルモン放出の有効送達期間のために、実質的に規格化され及び/又は持続されている。成長ホルモンの持続性放出は、本発明の方法及び組成物を利用する、外来性成長ホルモンの反復投与により容易にすることができる。
持続性放出の組成物及び方法
哺乳動物対象への、成長ホルモンの粘膜投与のための改良された方法及び組成物は、成長ホルモン投与計画を最適化する。本発明は、一つ又はそれより多くの経粘膜送達増進剤及び最適持続性放出増進剤(類)と組み合わせた成長ホルモンを含んでなる製剤の、改良された粘膜(例えば、鼻)送達を提供する。本発明の経粘膜送達増進剤は、送達においての効果的な増加、例えば、粘膜投与された成長ホルモンの治療活性を増進するための、最大血漿濃度(Cmax)の増加をもたらす。血漿及びCNSにおける成長ホルモンの治療活性に影響する第二の因子は、常在時間(RT)である。鼻腔内送達増進剤と組み合わせた持続性放出増進剤は、成長ホルモンのCmaxを増加させ、そして常在時間(RT)を増加させる。持続性放出増進製剤をもたらす本発明のポリマー送達媒体あるいは他の剤及び方法(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))が、本明細書に開示されている。本発明は、哺乳動物対象における成長ホルモン欠乏症に関連する症状の処置のための、改良された成長ホルモン送達法及び剤形を提供する。
成長ホルモンの基礎レベルの維持
哺乳動物対象への、成長ホルモンの粘膜投与のための改良された方法及び組成物は、成長ホルモン投与計画を最適化する。本発明は、成長ホルモンの筋肉内あるいは皮下投与と組み合わせた、成長ホルモン及び鼻腔内送達増進剤を含んでなる製剤の、改良された経鼻粘膜送達を提供する。本発明の製剤及び方法は、相対的に一貫した成長ホルモンの基礎レベルを、例えば、単一用量投与あるいは2−6連続投与の多投薬計画を伴った後、2から24時間、4−16時間、あるいは8−12時間の期間を通して維持する。成長ホルモンの基礎レベルの維持は、許容しえない有害な副作用を伴わずに、疾患、例えば、多発性硬化症の処置及び予防に特に有用である。
本発明の経粘膜送達製剤の範囲内で、成長ホルモンはしばしば、経粘膜送達に適した坦体又は媒体と併用して又は協調的に投与される。本明細書において、用語「坦体(carrier)」とは、医薬として受容可能な固体又は液体の充填剤、希釈剤又はカプセル化材料を意味する。水−含有液体坦体は、酸化剤、アルカリ化剤、抗菌保存剤、抗酸化剤、緩衝化剤、キレート化剤、複合体形成剤、可溶化剤、湿潤剤(humectant)、溶媒、懸濁及び/又は粘性増加剤、張度剤、加湿剤(wetting agent)又は他の生物適合性材料を含むことが可能である。前記範疇によりリストされた成分の作表は、本明細書において援用される、U.S.Pharmacopeia National Formulary,1857−1859,1990、に見ることが可能である。医薬として受容可能な坦体として働くことが可能である材料のいくつかの例は、ラクトース、グルコース及びスクロースのごとき糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンのごときデンプン;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースのごときセルロース誘導体;粉末化トラガカントゴム;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター及び坐薬のろうのごとき賦形剤;落花生油、綿実油、サフラワー油、胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油のごとき油;プロピレングリコールのごときグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールのごときポリオール; オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのごときエステル;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのごとき緩衝化剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル液、エチルアルコール及びリン酸緩衝液、ならびに医薬製剤に使用される他の無毒で適合性の物質である。配合者の所望に従って、加湿剤、乳化剤、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのごとき潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、着香及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤もまた組成物中に存在することが可能である。医薬として受容可能な抗酸化剤の例には、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのごとき水溶性抗酸化剤;アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなどのごとき油−溶性抗酸化物;そしてクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などのごとき金属−キレート化剤が含まれる。単一剤形を作製するため、坦体材料と併用可能である活性成分の量は、投与の特定の様式に依存して変化するであろう。
本発明の粘膜製剤は、一般に無菌で、粒子を含まない、そして医薬使用のために安定である。本明細書において、用語「粒子を含まない」とは、少用量非経口溶液のUSP規格の要求に合致する製剤を意味している。用語「安定」とは、適切な政府の規制団体により示されているように、優良医薬品製造基準(Good Manufacturing Practice)の原則に従って確立されている、同一性、強度、質及び純度に関するすべての化学的及び物理的規格を満たしている製剤を意味している。
本発明の経粘膜送達製剤の範囲内で、粘膜表面内へ又は横切って成長ホルモンの送達を増進する、多様な送達増進剤を用いる。このことについて、粘膜上皮を横切る成長ホルモンの送達は、「経細胞的に」あるいは「傍細胞的に」起こることが可能である。成長ホルモンの全流入及び生物学的利用能に寄与するこれらの経路の程度は、粘膜の環境、活性剤の物理的−化学的特性、そして粘膜上皮の特性に依存している。経細胞輸送は受動拡散のみを含んでいるが、一方、傍細胞輸送は、受動、促進又は能動過程により起こることが可能である。一般に、親水性、受動輸送、極性溶質は傍細胞経路により拡散し、一方、より親油性の溶質は経細胞経路を使用する。多様な、受動的に及び能動的に吸収された溶質に対する、吸収及び生物学的利用能(例えば、透過係数あるいは生理学的アッセイにより反映されるような)は、本発明内の任意の選択された成長ホルモンについて、経細胞及び傍細胞送達成分の両方に関して、容易に評価することが可能である。これらの値は、インビトロ上皮細胞培養透過アッセイのごとき、周知の方法に従って決定及び区別することが可能である。Hilgersら,Pharm.Res.,:902−910,1990;Wilsonら,J.Controlled Release11:25−40,1990;Artursson.I.,Pharm.Sci.,79:476−482,1990;Cogburnら,Pharm.Res.,:210−216,1991;Padeら,Pharmaceutical Research14:1210−1215,1997,各々が本明細書において援用される。
受動的に吸収される薬剤に対し、薬剤輸送への経細胞及び傍細胞経路の相対的寄与は、薬剤のpKa、分配係数、分子半径及び電荷、薬剤が送達される管腔の環境、そして吸収している表面積に依存する。傍細胞経路は、鼻粘膜上皮の到達可能表面積では比較的小さな画分を示している。一般条件において、粘膜表面積を占有している細胞膜は、傍細胞空間により占有されている面積よりも千倍以上広いことが報告されている。それ故、より小さな到達可能面積、及びサイズ及び電荷に基づいた巨大分子透過に対する識別は、傍細胞経路が薬剤輸送のための経細胞送達よりも一般により好ましくない経路であろうことを示唆するであろう。驚くことに、本発明の方法及び組成物は、傍細胞経路を経た粘膜上皮内への及び横切った、生物治療剤の著しく増進された輸送を提供する。それ故、本発明の方法及び組成物は、単一の方法及び組成物の二者択一的にあるいは内で、うまく傍細胞及び経細胞経路の両方を標的としている。
本明細書において、「経粘膜送達増進剤」は、成長ホルモン又は他の生物学的に活性な化合物の、放出又は溶解度(例えば、製剤送達媒体からの)、拡散速度、浸透能力及びタイミング、常在時間、安定性、有効半減期、ピーク又は持続濃度レベル、クリアランス及び他の所望の経粘膜送達特性(例えば、送達部位で、あるいは血流又は中枢神経系のごとき選択された活動の標的部位で測定されるような)を増進する剤を含んでいる。経粘膜送達の増進は、多様な機構、例えば、成長ホルモンの拡散、輸送、持続又は安定性を増加させることにより、膜流動性を増加させることにより、細胞内又は傍細胞透過を調節するカルシウム及び他のイオンの有効性又は作用を変調することにより、粘膜膜成分(例えば、脂質)を可溶化することにより、粘膜組織中の非タンパク質及びタンパク質のスルフヒドリルレベルを変化させることにより、粘膜表面を横切る水流入を増加させることにより、上皮接合生理学を変調することにより、粘膜上皮の表面を覆う粘膜の粘度を減少させることにより、粘膜繊毛クリアランス速度を減少させることにより、及びその他の機構、の任意の機構により起こすことが可能である。
本明細書において、「成長ホルモンの粘膜的有効量」とは、多様な送達あるいは輸送経路を含むことができる、対象中での薬剤活動のための標的部位への成長ホルモンの有効な経粘膜送達を企図している。例えば、規定の活性剤は、粘膜の細胞間の隙間を通ってその方向を見つけることができ、そして隣接する血管壁へ到達し、一方、別の経路により、細胞内で作用するために粘膜細胞内へ拾い上げられることができ(受動的にか又は能動的に)、あるいは全身循環のごとき、二次標的部位へ到達するために細胞外へ排出又は輸送されることができる。本発明の方法及び組成物は、一つ又はそれより多くのこうした別経路に沿って活性剤の移行を促進することができ、あるいは、活性剤の吸収又は浸透を促進するように、粘膜組織あるいは近位血管組織に直接作用することができる。この関連における吸収又は浸透の促進は、これらの機構に限定されるわけではない。
本明細書において、「血漿における成長ホルモンのピーク濃度(Cmax)」、「血漿における成長ホルモンの濃度vs.時間曲線下面積(AUC)」、「血漿における成長ホルモンの最大血漿濃度までの時間(tmax)」は、当業者には周知の薬物動態学的パラメーターである。Laursenら,Eur.J.Endocrinology,135:309−315,1996、本明細書において援用される。「濃度vs.時間曲線」は、鼻腔内、皮下か又は他の非経口投与による、対象への成長ホルモンの投薬量投与後に、対象の血清中の成長ホルモン濃度を時間に対して測定する。「Cmax」は、対象への成長ホルモンの一回投薬量の投与に続く、対象の血清中の成長ホルモン最大濃度である。「tmax」は、対象への成長ホルモンの一回投薬量の投与に続いて、対象の血清中で成長ホルモンが最大濃度に達する時間である。
本明細書において、「血漿における成長ホルモンの濃度vs.時間曲線下面積(AUC)」は、線形台形則に従い、そして残留面積を加えて計算する。二つの投薬量間の23%の減少及び30%の増加が、90%の確率(タイプII誤差β=10%)で検出されるであろう。「送達速度」あるいは「吸収の速度」は、最大濃度(Cmax)に達する時間(tmax)の比較により見積もられる。Cmax及びtmaxの両方とも、ノンパラメトリック法を使用して分析する。筋肉内、皮下、静脈内及び鼻腔内成長ホルモン投与の薬物動態学の比較は、分散分析(ANOVA)により実施した。対比較に対しては、ボンフェローニ−ホルム連続法を、有意差を評価するために使用した。三つの鼻用量間の用量−応答関係は、回帰分析により見積もった。P<0.05は、有意であるとみなした。結果は、平均値+/−SEMで与えられている。(Laursenら、1996)。
本明細書において、「薬物動態マーカー」は、一つ又はそれより多くの成長ホルモン化合物又は本明細書に開示した他の生物学的活性剤の、経粘膜送達の薬物動態をモデリングするために有用なインビトロ又はインビボシステムにおいて検出可能である、任意の受容された生物学的マーカーを含んでおり、ここにおいて、本明細書の方法及び製剤に従った成長ホルモン化合物投与に続いて、所望の標的部位で検出されたマーカーのレベルは、標的部位へ送達された成長ホルモン化合物のレベルの合理的な相関性見積もりを提供する。多くの中で、この関連における当該分野受容マーカーは、成長ホルモン化合物又は他の生物学的活性剤の投与により標的部位で誘導された物質である。例えば、本発明に従った一つ又はそれより多くの成長ホルモン化合物の有効量の経鼻粘膜送達は、限定されるわけではないが、インシュリン様成長因子−I(IGF−I)を含む薬物動態マーカーの産生により測定可能な、対象における免疫学的応答を刺激する。
粘膜吸収を増進すると報告されている多くの既知試薬はまた、粘膜組織に対する刺激作用又は損傷も起こす。Swenson及びCuratolo,Adv.Drug Delivery Rev.,8:39−92,1992、本明細書において援用される。例えば、腸吸収増進剤の研究において、多様な吸収促進剤の送達増進効果は、伝える所によればその膜毒性に直接相関している。Uchiyamaら,Biol.Pharm.Bull.,19:1618−1621,1996;Yamamotoら,J.Pharm.Pharmacol.,48:1285−1289,1996、各々本明細書において援用される。この点に関して、本発明の組み合わせ製剤及び協調投与法は、成長ホルモン及び本発明内で有用な他の生物学的活性巨大分子の経粘膜送達を増進するために、有効で、最少毒性の送達増進剤を取り込んでいる。
吸収促進の機構は、本発明の異なった鼻腔内送達増進剤で変化してもよいが、これに関連して有用な試薬は、粘膜組織には実質上不利に影響しないであろうし、そして特定の成長ホルモン又は他の活性又は送達増進剤の物理化学的特性に従って選択されるであろう。これに関連して、粘膜組織の浸透又は透過性を増加する送達増進剤はしばしば、粘膜の保護的透過障壁のいくらかの改変を生じるであろう。本発明で意義があるべきこうした送達増進剤に対しては、粘膜の透過性における任意の有意な変化が、薬剤送達の所望の持続時間に適切な時間枠内で可逆的であることが一般的に望まれる。さらに、長期間の使用により、実質的、蓄積的毒性、あるいは永久な有害変化が粘膜の障壁特性に誘導されるべきではない。
本発明の特定の側面内で、本発明の成長ホルモンとの協調的投与又は組み合わせ製剤のための吸収促進剤は、限定されるわけではないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、エタノール、プロピレングリコール及び2−ピロリドンを含む、小親水性分子から選択される。あるいは、長鎖両親媒性分子(例えば、デアシルメチルスルホキシド、アゾン、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸及び胆汁酸塩)を、成長ホルモンの粘膜浸透を増進するために用いることができる。追加の側面において、界面活性物質(例えば、ポリソルベート)を、成長ホルモンの粘膜浸透を増進するために、補助化合物、プロセシング剤あるいは製剤添加剤として用いる。これらの浸透増進剤は典型的には、鼻粘膜に裏打ちされている上皮細胞の脂質二重層に含まれている分子の極性頭部基か又は親水性尾領域と相互作用する。Barry,Pharmacology of the Skin,1:121−137;Shrootら,監修,Karger,Basel,1987;及びBarry,J.Controlled Release,6:85−97,1987、各々が本明細書において援用される。これらの部位での相互作用は、脂質分子のパッキングを破壊する効果を有することができ、二重層の流動性を増加させ、そして粘膜障壁を横切った成長ホルモンの輸送を容易にする。これらの浸透増進剤と極性頭部基との相互作用はまた、隣接する二重層の親水性領域がより水に引きつけられそしてお互いに離れて動くことを起こすあるいは可能にすることができ、従って成長ホルモンを輸送するための経細胞経路を開口する。これらの効果に加え、特定の増進剤は、鼻粘膜の水性領域の総体特性に対する直接効果を有することができる。DMSO、ポリエチレングリコール及びエタノールのごとき剤は、送達環境に十分な濃度で存在するならば(例えば、前投与あるいは治療製剤中への組み入れにより)、粘膜の水性相へ侵入し、そしてその可溶化特性を変化させ、それにより媒体から粘膜内への成長ホルモンの分配を増進する。
本発明の協調投与及びプロセシング法及び組み合わせ製剤内で有用である、追加の経粘膜送達増進剤には、限定されるわけではないが、混合ミセル;エナミン;一酸化窒素供与体(例えば、S−ニトロソ−N−アセチル−DLペニシラミン、NOR1、NOR4−−これらは好ましくは、カルボキシ−PITO又はドクロフェナックナトリウムのごときNO捕捉剤と共投与される);サリチル酸ナトリウム;アセト酢酸のグリセロールエステル(例えば、グリセリル−1,3−ジアセトアセテート又は1,2−イソプロピリデングリセリン−3−アセトアセテート);そして経粘膜送達に生理学的に適合性の他の放出−拡散又はイントラ−又はトランス−上皮浸透促進剤が含まれる。他の吸収促進剤は、成長ホルモンの経粘膜送達、安定性あるいはトランス−上皮浸透を増進する、多様な坦体、塩基及び賦形剤から選択する。これらには、なかでも、シクロデキストリン及びβ−シクロデキストリン誘導体(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及びヘプタキス(2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリン))が含まれる。これらの化合物は、所望により一つ又はそれより多くの活性成分とコンジュゲートされ、そしてさらに所望により油性塩基で製剤され、本発明の粘膜製剤の生物学的利用能を増進する。経粘膜送達に適合しているさらに追加の吸収増進剤は、モノ−及びジグリセリド(例えば、カプリン酸ナトリウム−−ココナツ油の抽出物、Capmul)及びトリグリセリド(例えば、アミロデキストリン、Estaram299,Miglyol810)を含む中鎖脂肪酸を含んでいる。
本発明の粘膜治療及び予防組成物には、粘膜障壁を横切った成長ホルモンの吸収、拡散又は浸透を容易にする、任意の適した浸透促進剤を補給することができる。浸透促進剤は、医薬として受容可能である任意の促進剤である。それ故、本発明のより詳細な側面において、サリチル酸ナトリウム及びサリチル酸誘導体(アセチルサリチル酸塩、サリチル酸コリン、サリチルアミドなど);アミノ酸及びその塩(例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリンなどのごときモノアミノカルボン酸;セリンのごときヒドロキシアミノ酸;アスパラギン酸、グルタミン酸などのごとき酸性アミノ酸;そしてリジンなどのごとき塩基性アミノ酸−−そのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を含めて);そしてN−アセチルアミノ酸(N−アセチルアラニン、N−アセチルフェニルアラニン、N−アセチルセリン、N−アセチルグリシン、N−アセチルリジン、N−アセチルグルタミン酸、N−アセチルプロリン、N−アセチルヒドロキシプロリンなど)及びその塩(アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩)、から選択される一つ又はそれより多くの浸透促進剤を組み入れた組成物を提供する。本発明の方法及び組成物内の浸透促進剤としてまた提供されるのは、乳化剤として一般に使用される物質(例えば、オレイルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステルなど)、カプロン酸、乳酸、リンゴ酸及びクエン酸及びそのアルカリ金属塩、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸アルキルエステル、N−アルキルピロリドン、プロリンアシルエステルなどである。
本発明の多様な側面内で、投与及び選択された標的部位間の粘膜障壁を横切る、本発明内の成長ホルモン及び経粘膜送達製剤の送達を可能にする、改良された経鼻粘膜送達製剤及び方法を提供する。特定の製剤は、選択された標的細胞、組織又は器官、あるいは特定の疾患状態さえにも特別に適応されている。別の側面において、製剤及び方法は、規定された細胞内あるいは細胞間経路に沿って特別に経路を定められた、成長ホルモンの有効な、選択的なエンドサイトーシスあるいは経細胞輸送を提供する。典型的には、成長ホルモンは坦体あるいは他の送達媒体中に有効な濃度レベルで効率よく添加され、そして、例えば、鼻粘膜で及び/又は薬剤作用のための離れた標的部位(例えば、血流又は規定された組織、器官又は細胞外区画)へ向かって、細胞内区画及び膜を通りすぎる通過の間、安定形で送達されそして維持される。成長ホルモンは、送達媒体中にあるいはさもなければ修飾されて(例えば、プロドラッグの形で)提供することができ、成長ホルモンの放出又は活性化は、生理学的刺激(例えば、pH変化、リソソーム酵素など)により引き金が引かれる。ほとんどの場合、成長ホルモン及び他の製剤成分は無毒そして非免疫原性である。この関連において、坦体及び他の製剤成分は、生理学的条件下、迅速に分解しそして排泄されるその能力で一般に選択する。同時に、製剤は有効貯蔵の間、剤形中で化学的及び物理的に安定である。
電荷修飾及びpH制御剤及び方法
これらの一般的教示と一致して、本発明の方法及び組成物内の、成長ホルモン及び他の生物学的活性剤を含んでいる荷電巨大分子種の経粘膜送達は、実質的に非イオン化、又は中性の電気的電荷状態で、粘膜表面へ送達される。
粘液溶解及び粘液清浄剤及び方法
鼻腔内投与を経た生物治療剤の有効な送達は、粘液層の糖タンパク質への結合による薬剤損失に加えて、鼻粘膜の保護的粘液裏打ちを横切る、減少した薬剤輸送速度を考慮に入れなければならない。正常粘液は、水、電解質、ムチン、巨大分子及び脱落した上皮細胞から成る粘弾性、ゲル様物質である。それは主として下にある粘膜組織のための細胞保護的及び催滑性カバーである。鼻上皮及び他の粘膜上皮に位置している、無作為に分布した分泌細胞は粘液を分泌する。粘液の構造単位はムチンである。糖タンパク質が主に粘液の粘弾性の原因であるが、他の巨大分子もまたこの特性に寄与することができる。気道粘液において、こうした巨大分子は、宿主防御機構においても重要な役割を果たす、局所的に産生された分泌型IgA、IgM、IgE、リゾチーム及び気管支トランスフェリンを含んでいる。
粘液の厚さは、器官間でそして種間で異なっている。しかしながら、異なった起源からの得られたムチン糖タンパク質は、同様な全アミノ酸及びタンパク質/炭水化物組成を有しているが、分子量は広く変化することができる。ムチンは、セリン及びスレオニン残基のヒドロキシル基へガラクトース又はN−アセチルグルコサミンのO−グリコシド結合を通して結びつけられたオリゴサッカリド側鎖を有する、大きなタンパク質コアから成っている。シアル酸か又はL−フコースが側鎖オリゴサッカリドの末端基を形成し、シアル酸(2.8より高いpHでは陰性に荷電される)が末端基の50から60%を形成している。ムチンコアの末端領域におけるシステインの存在は、ジスルフィド架橋形成を経るムチン分子の架橋結合を容易にしている。
本発明の協調投与法は、所望により、鼻孔内に投与された生物治療剤の吸収を容易にするため、鼻孔内粘膜表面からの薄い又は透明な粘液を低下するために働く、有効な粘液溶解又は粘液清浄剤を組み入れる。これらの方法内で、粘液溶解又は粘液清浄剤は、生物学的活性剤の鼻孔内送達を増進するため、補助化合物として協調的に投与する。もしくは、有効量の粘液溶解又は粘液清浄剤を、鼻孔内粘膜の障壁効果を減少させることにより生物治療化合物の鼻孔内送達を増進する、改良された製剤を提供するため、本発明の多プロセシング法内のプロセシング剤として、あるいは本発明の組み合わせ製剤内の添加剤として組み入れる。
本発明の方法及び組成物内への組み入れのため、多様な粘液溶解又は粘液清浄剤が入手可能である。その作用の機構に基づいて、粘液溶解又は粘液清浄剤はしばしば以下のクラスに分類することが可能である:ムチン糖タンパク質のタンパク質コアを切断するプロテアーゼ(例えば、プロナース、パパイン);ムコタンパク質ジスルフィド結合を分裂させるスルフヒドリル化合物;そしてムチン内の非共有結合を切断する界面活性剤(detergent)(例えば、トリトンX−100、トウィーン20)。これに関連する追加の化合物には、限定されるわけではないが、胆汁酸塩及び界面活性物質、例えば、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム及びリソホスファチジルコリンが含まれる。
粘液の構造崩壊を起こすことにおける胆汁酸塩の有効性は、デオキシコール酸>タウロコール酸>グリココール酸の順序である。本発明の方法に従った鼻腔内送達を増進するために粘液粘性又は接着を減少させる他の有効な剤には、例えば、短鎖脂肪酸、N−アシルコラーゲンペプチドのごときキレート化により働く粘液溶解剤、胆汁酸そしてサポニン(後者は、粘液層構造の維持において重要な役割を果たしているCa2+及び/又はMg2+をキレート化することにより一部機能する)、が含まれる。
本発明の方法及び組成物内で使用するための追加の粘液溶解剤には、気管支肺粘液の粘性及び粘着性の両方を減少させ、そして麻酔ラットにおいてヒト成長ホルモンの鼻生物学的利用能を中程度に増加させると報告されている(7.5から12.2%へ)、強力な粘液溶解剤、N−アセチル−L−システイン(ACS)が含まれる。これら及び他の粘液溶解又は粘液清浄剤は、鼻腔内粘液の極性粘性及び/又は弾性を減少させるため生物学的活性剤の投与と協調して、典型的には約0.2から20mMの濃度範囲で、鼻粘膜と接触させる。
さらに他の粘液溶解又は粘液清浄剤は、粘液糖タンパク質内のグリコシド結合を切断することが可能である、グリコシダーゼ酵素の範囲から選択することができる。その粘液溶解効果は限定されているけれども、α−アミラーゼ及びβ−アミラーゼが酵素のこのクラスの代表である(Leiberman,J.Am.Rev.Respir.Dis.97:662,1967、本明細書において援用される)。対照的に、微生物がその宿主の粘液層へ透過することを可能にする細菌グリコシダーゼは、高度に粘液溶解活性である。
本発明の方法及び組成物内で使用する粘液溶解剤の選択には、粘液溶解(あるいは粘液清浄)及び生物学的活性剤両方の化学的性質を考慮することが重要である。例えば、タンパク分解性酵素プロナーゼは、非常に強力な粘液溶解活性をpH5.0ならびにpH7.2で示す。対照的に、プロテアーゼ パパインは、実質的な粘液溶解活性をpH5.0で示すが、pH7.2では検出可能な粘液溶解活性を示さない。活性におけるこれらの相違は理由は、pH5.0であると報告されている、パパインの特有のpH−至適により部分的に説明されている。それ故、本発明内で使用するための粘液溶解性及び他の酵素は、典型的には対象酵素の至適pH又はその近辺のpHを有する製剤で送達する。
ペプチド及びタンパク質治療剤を含む、本発明内のほとんどの生物学的活性剤との組み合わせ使用のためには、非イオン発生性界面活性剤がまた一般に粘液溶解又は粘液清浄剤として有用である。これらの剤は典型的には、治療ポリペプチドの活性を修飾あるいは実質的に害しないであろう。
繊毛静止剤及び方法
粘膜繊毛クリアランスによる特定の粘膜組織(例えば、鼻粘膜組織)の自己清浄能力が、保護的機能(塵、アレルゲン及び細菌を除去するため)として必要であるため、この機能が粘膜薬物適用により実質的に害されるべきではないと一般に考えられてきた。呼吸道における粘膜繊毛輸送は、感染に対して特に重要な防御機構である(Wasserman,J.Allergy Clin.Immunol.73:17−19,1984)。この機能を達成するため、鼻及び気道通過における繊毛拍動(beating)は、粘膜に沿って粘液の層を移動させ、吸入された粒子及び微生物を除去している。慢性気管支炎及び慢性副鼻腔炎の間、気管及び鼻粘膜繊毛クリアランスはしばしば害されている(Wanner,Am.Rev.Respir.Dis.116:73−125,1977、本明細書において援用される)。このことはおそらく、粘液の過剰分泌(Dulfanoら,Am.Rev.Respir.Dis.104:88−98,1971)又は増加した粘性(Chenら,J.Lab.Clin.Med.91:423−431,1978、本明細書において援用される)、減少した拍動度数により起こされた繊毛活性の変化、繊毛性上皮の一部の損失、又はこれらの因子の組み合わせによるものであろう。減少したクリアランスはおそらく呼吸粘膜表面の細菌コロニー形成を有利にし、対象を感染しやすくする。この宿主防御システムを妨げる能力は、病理学的生物体の病原性へ著しく寄与することができる。
多様な報告が、粘膜繊毛クリアランスが粘膜的に投与された薬剤により、ならびに浸透増進剤及び保存剤を含む広範囲の製剤添加剤により害されることを示している。例えば、2%を超える濃度のエタノールは、インビトロ繊毛拍動度数を減少させることが示されている。このことは一部、高濃度では繊毛静止的であるカルシウムイオンの流入を間接的に増進する膜透過性を増加させることにより、あるいは繊毛軸糸又は繊毛停止応答に関与する調節タンパク質の発動作用に対する直接効果により仲介することができる。例示的保存剤(p−ヒドロキシ安息香酸メチル(0.02%及び0.15%)、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル(0.02%)及びクロロブタノール(0.5%))は、カエル口蓋モデルにおいて、繊毛活動を可逆的に阻害した。他の普通の添加剤(EDTA(0.1%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)、クロルヘキシジン(0.01%)、硝酸フェニル水銀(0.002%)及びホウ酸フェニル水銀(0.002%))は、粘膜繊毛輸送を不可逆的に阻害すると報告されている。加えて、STDHF、laureth−9、デオキシコール酸塩、デオキシコール酸、タウロコール酸及びグリココール酸を含むいくつかの浸透増進剤は、モデル系において繊毛活性を阻害すると報告されている。
繊毛静止因子に帰する、粘膜繊毛クリアランスへの不利な効果の可能性にもかかわらず、それでもなお繊毛静止剤は、粘膜的に(例えば、鼻腔内)投与された、成長ホルモン及び本明細書に記載した他の生物学的活性剤の常在時間を増加させるため、本発明の方法及び組成物内での使用を見いだした。特に、本発明の方法及び組成物内でのこれらの剤の送達は、粘膜的に投与された活性剤の常在時間における一時的、可逆的増加を提供するため、粘膜細胞の繊毛活性を可逆的に阻害するように機能する一つ又はそれより多くの繊毛静止剤の協調的投与又は組み合わせ製剤により、特定の側面で著しく増進される。本発明のこれらの側面内での使用のため、前述の繊毛静止因子(それらの活性が特異的にせよあるいは間接的にせよ)はすべて、許容しえない有害な副作用を伴わずに、成長ホルモン及び本明細書に記載した他の生物学的活性剤の送達を増進するため、粘膜の投与部位での粘膜クリアランスの一時的(即ち、可逆的)減少または中止をもたらすように、適切な量(濃度、持続時間及び送達の様式に依存して)での繊毛静止剤として、成功裡に使用するための候補である。
より詳細な側面内で、特別の繊毛静止因子を、成長ホルモン及び/又は本明細書に記載した他の生物学的活性剤との組み合わせ製剤あるいは協調的投与プロトコルで用いる。文献で単離されそして特徴付けられている多様な細菌繊毛静止因子を、本発明のこれらの態様内で用いることができる。例えば、例えば、Hingleyら(Infection and Immunity.51:254−262,1986)は最近、細菌シュードモナス−エルジノーサから繊毛静止因子を同定した。これらは、上皮細胞培養物で繊毛機能を阻害することが示された、シュードモナス−エルジノーサにより培養上清に放出される熱安定性因子である。これらの繊毛阻害成分の例は、フェナジン誘導体、ピオ化合物(2−アルキル−4−ヒドロキシキノリン)、そしてラムノリピド(ヘモリシンとしても知られている)である。これらそして他の活性成分の阻害濃度は、繊毛運動性及び拍動度数の定量的測定により確立した。ピオ化合物は、50μg/mlの濃度で繊毛静止を生み出し、そして明らかな微細構造損傷はなかった。実質的に400μg/mlを超えた濃度ではあるけれども、フェナジン誘導体もまた繊毛運動性を阻害したが、しかしいくらかの膜破壊を起こした。ラムノリピドへの気管外植片の限定暴露は繊毛静止を生じ、それは改変された繊毛膜と関連していた。ラムノリピドへのさらに延長された暴露は、軸糸からのダイニン腕の除去と関連していた。これら及び他の細菌繊毛静止因子は、P.エルジノーサが哺乳動物宿主の呼吸管で、より容易にそしてうまくコロニー形成するのを可能にすることを惹起すると提唱される。これに基づくと、呼吸細菌は、本発明の方法及び組成物内で使用するための、適した、特異的繊毛静止因子の同定に有用な病原体である。
いくつかの方法が、本発明の方法及び組成物内での繊毛静止剤の効果及び使用を評価するための粘膜繊毛クリアランスを測定するために利用可能である。鼻粘膜繊毛クリアランスは、墨、エジコール(edicol)オレンジ粉末そしてエジコールスプラオレンジのごとき目に見えるトレーサーの消失をモニターすることにより測定することが可能である。これらのトレーサーは、直接観察あるいは後検鼻法又は両眼作動顕微鏡の助けにより後を追う。この方法は、規定された距離を移動するのにかかったトレーサーの時間を単純に測定する。より現代的な技術において、放射性標識トレーサーをエアロゾルとして投与し、そして適切に視準された検出器により追跡する。もしくは、サッカリンのような強い味覚を有する粒子を鼻通路に置き、そして粘膜繊毛クリアランスの指標として使用される、対象が最初に味覚を知覚する前の時間を決定するようにアッセイすることが可能である。
繊毛拍動活性を測定するための、さらなるアッセイが当該技術分野で知られている。例えば、気管気管支粘膜繊毛活性を測定するためのレーザー光散乱技術は、レーザー光の単色性、干渉性そして指向性に基づいている。繊毛運動は、ドップラーシフトした散乱光の干渉による強度変動として測定する。動いている繊毛からの散乱光は光電子倍増管により検出され、そして単一相関器により分析されたその振動数含量が検出された光電流の自動補正関数を与える。この方法で、拍動繊毛の度数及び同調性の両方を、連続的に測定することが可能である。光ファイバー検鼻法を通じて、この方法もまた鼻通路の周辺部分の繊毛活性の測定を可能にする。
本発明内の製剤の繊毛活性を評価するためのインビトロアッセイもまた利用可能である。例えば、これに関連して普通に使用されそして受け入れられているアッセイは、ウサギ気管外植片システムである(Gabridgeら,Pediatr.Res.1:31−35,1979;Chandlerら,Infect.Immun.29:1111−1116,1980)。他のアッセイシステムは、単一細胞又は少数の細胞の繊毛拍動度数を測定する(Kennedyら,Exp.Cell Res.135:147−156,1981;Rutlandら,Lancet ii 564−565,1980;Verdugoら,Pediatr.Res.13:131−135,1979,)。
表面活性剤(surface active agent)及び方法
本発明のより詳細な側面内で、一つ又はそれより多くの膜浸透増進剤を、成長ホルモン及び本明細書に開示した他の生物学的活性剤の経粘膜送達を増進するために、本発明の経粘膜送達法及び組成物内で用いることができる。この関連における膜浸透増進剤は、(i)界面活性物質、(ii)胆汁酸塩、(ii)リン脂質添加剤、混合ミセル、リポソーム又は坦体、(iii)アルコール、(iv)エナミン、(v)NO供与化合物、(vi)長鎖両親和性分子、(vii)小疎水性浸透増進剤、(viii)ナトリウム又はサリチル酸誘導体、(ix)アセト酢酸のグリセロールエステル、(x)シクロデキストリン又はベータ−シクロデキストリン誘導体、(xi)中鎖脂肪酸、(xii)キレート剤、(xiii)アミノ酸又はその塩、(xiv)N−アセチルアミノ酸又はその塩、(xv)選択された膜成分に対する分解性酵素、(ix)脂肪酸合成の阻害剤、(x)コレステロール合成の阻害剤;又は(xi)(i)−(x)に列挙した膜浸透増進剤の任意の組み合わせ、から選択することが可能である。
特定の表面活性剤は、粘膜吸収増進剤として、本発明の経粘膜送達製剤及び方法内に容易に取り込まれる。成長ホルモン及び本明細書に開示した他の生物学的活性剤と協調的に投与でき、又は組み合わせて製剤することができるこれらの剤は、既知の界面活性物質の広範な集合から選択することができる。表面活性剤は一般に3つのクラスに分類される:(1)非イオン性ポリオキシエチレンエーテル;(2)グリココール酸ナトリウム(SGC)及びデオキシコール酸塩(DOC)のごとき胆汁酸塩;そして(3)タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム(STDHF)のごときフシジン酸の誘導体。表面活性剤のこれら多様なクラスの作用機構は、典型的には生物学的活性剤の可溶化を含んでいる。しばしば凝集体を形成するタンパク質及びペプチドに対しては、これらの吸収促進剤の表面活性特性は、界面活性物質被覆モノマーのごときより小さな単位を溶液中でより容易に維持することができるように、タンパク質との相互作用を可能にすることができる。これらのモノマーはおそらく凝集体よりもより輸送可能な単位である。第二の可能な機構は、粘膜環境における、プロテアーゼによるタンパク分解性分解からのペプチドあるいはタンパク質の保護である。胆汁酸塩及びいくつかのフシジン酸誘導体の両方が、報告されている所によれば、タンパク質吸収を増進するために必要とされる濃度よりもより低い又は同じ濃度で、鼻ホモジネートによるタンパク質のタンパク分解性分解を阻害する。このプロテアーゼ阻害は、短い生物学的半減期のペプチドに対しては特に重要であることができる。
分解酵素及び脂肪酸及びコレステロール合成の阻害
本発明の関連した側面において、粘膜投与のための成長ホルモン及び他の生物学的活性剤を、分解酵素、又は代謝刺激剤又は脂肪酸、ステロール又は他の選択された上皮障壁成分の合成の阻害剤(米国特許第6,190,894号を参照されたい)、から選択される浸透増進剤と製剤するか又は協調的に投与する。一つの態様において、透過性を増進するために粘膜組織成分に作用する既知の酵素を、本発明の多プロセシング法内にプロセシング剤として、本発明の組み合わせ製剤又は協調的投与に取り込んでいる。例えば、ホスホリパーゼ、ヒアルロニダーゼ、ノイラミダーゼ及びコンドロイチナーゼのごとき分解酵素を、粘膜障壁に不可逆的損傷を起こすことなく、成長ホルモン及び他の生物学的活性剤の粘膜浸透を増進するために用いることができる(例えば、Squier Brit.J.Dermatol111:253−264,1984;Aungst及びRogers.Int.J.Pharm53:227−235,1989、を参照されたい)。一つの態様において、粘膜の透過性障壁の糖タンパク質または糖脂質構成物を変化させ、それにより成長ホルモン及び本明細書に開示した他の生物学的活性剤の粘膜吸収を増進するため、本明細書に提供されたような方法又は組成物内で用いる。
粘膜障壁構成物の合成の阻害に関しては、遊離脂肪酸が、重量で上皮脂質の20−25%を占めていることが注目される。遊離脂肪酸の生合成においての二つの律速酵素は、アセチルCoAカルボキシラーゼ及び脂肪酸シンターゼである。一連の段階を通して、遊離脂肪酸はリン脂質へ代謝される。それ故、本発明の方法及び組成物内で使用するための脂肪酸合成及び代謝の阻害剤には、限定されるわけではないが、5−テトラデシルオキシ−2−フランカルボン酸(TOFA)のごときアセチルCoAカルボキシラーゼの阻害剤;ゴミシンA、2−(p−アミルシンナミル)アミノ−4−クロロ安息香酸、ブロモアセチルブロミド、モノアリド、7,7−ジメチル−5,8−エイコサジエノン酸、ニセルゴリン、セファランチン、ニカルジピン、ケルセチン、ジブチリル−サイクリックAMP、R−24571、N−オレイルエタノールアミン、N−(7−ニトロ−2,1,3−ベンゾキサジアゾール−4−イル)ホスホスチジルセリン、シクロスポリンA、ジブカインを含む局所麻酔薬、プレニルアミン、全−トランス及び13−シス−レチノイン酸のごときレチノイド、W−7、トリフルオペラジン、R−24571(カルミダゾリウム)、1−ヘキサドシル−3−トリフルオロエチル グリセロ−sn−2−ホスホメントール(MJ33);ニカルジピン、ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェジピン及びニモジピンを含むカルシウムチャネル遮断薬;キナクリン、メパクリン、クロロキン及びヒドロキシクロロキンを含む抗マラリア剤;プロパナロール及びラベタロールを含むベータ遮断薬;カルモジュリン拮抗薬;EGTA;チメルソール;デキサメタゾン及びプレドニゾロンを含むグルココルチコステロイド;そしてインドメタシン及びナプロキセンを含む非ステロイド性抗炎症剤、が含まれる。
遊離ステロール、主としてコレステロールは、重量で上皮脂質の20−25%を占めている。コレステロール生合成における律速酵素は3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル(HMG)CoAレダクターゼである。本発明の方法及び組成物内で使用するためのコレステロール合成阻害剤には、限定されるわけではないが、シンバスチン、ロバスチン、フルインドスタチン(フルバスチン)、パラバスチン、メバスチンのごとき(HMG)CoAレダクターゼの競合阻害剤、ならびに、コレステロールのオレイン酸エステル、コレステロールの硫酸及びリン酸エステルのごとき他のHMGCoAレダクターゼ阻害剤、そして25−OH−−及び26−OH−−コレステロールのごとき酸素化ステロール;スクアレンシンターゼの阻害剤;スクアレンエポキシダーゼの阻害剤;22,25−ジアザコレステロール、20,25−ジアザコレステロール、AY9944及びトリパラノールのごときDELTA7又はDELTA24レダクターゼの阻害剤、が含まれる。
脂肪酸シンターゼ又はステロールシンターゼ阻害剤の各々の阻害剤は、増進された活性剤の上皮浸透を達成するため、一つ又はそれより多くの成長ホルモン及び本明細書に開示された他の生物学的活性剤と協調的に投与するか又は組み合わせて製剤することができる。経粘膜送達のための治療的又は補助的製剤中の、ステロール阻害剤の有効濃度範囲は、一般に、全体の重量の約0.0001%から約20%、より典型的には約0.01%から約5%である。
一酸化窒素供与剤及び方法
本発明の別の関連する側面において、成長ホルモン及び本明細書に開示した他の生物学的活性剤の経粘膜送達を増進するための膜浸透増進剤として、一酸化窒素(NO)供与体が選択される。最近、Salzmanら(Am.J.Physiol268:G361−G373,1995、本明細書において援用される)は、NO供与体が、細胞生存性の損失又は乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)放出を伴わずに、Caco−2細胞単層を横切った水溶性化合物の透過性を増加させることを報告している。加えて、Utoguchiら(Pharm.Res15:870−876,1998、本明細書において援用される)は、Caco−2細胞における細胞剥離及びLDH放出研究により評価されるような付随の低細胞毒性で、NO供与体存在下、インシュリンの直腸吸収が著しく増進されたことを示している。
多様なNO供与体が当該技術分野で知られており、そして本発明の方法及び製剤内での有効濃度で有用である。NO供与体の例には、限定されるわけではないが、ニトログリセリン、ニトロプルシド、NOC5[3−(2−ヒドロキシ−1−(メチル−エチル)―2−ニトロソヒドラジノ)―1−プロパンアミン]、NOC12[N−エチル−2−(1−エチル−ヒドロキシ−2−ニトロソヒドラジノ)―エタンアミン]、SNAP[S−ニトロソ−N−アセチル−DL−ペニシラミン]、成長ホルモン及び他の生物学的活性剤の経粘膜送達を増進するための、NORI及びNOR4が含まれる。これら及び他のNO供与体、ならびに本明細書に開示された他の経粘膜送達増進剤の有効性は、Utoguchiら、Pharm.Res.15:870−876,1998(本明細書において援用される)により記載されているように、既知の有効性及び細胞毒性アッセイ法(例えば、カルボキシ−PIIOのごときNO捕捉剤の対照投与を含んで)に従って日常的に評価することが可能である。
本発明の方法及び組成物内で、選択されたNO供与体の有効量が、粘膜上皮内又は上皮を通して、成長ホルモン及び本明細書に開示した他の生物学的活性剤と協調的に投与されるか又は組み合わせて製剤される。
血管拡張剤及び方法
本発明の協調的投与及び組み合わせ製剤法及び組成物内で有利な有用性を示す、さらに別のクラスの吸収促進剤は血管活性化合物、より特別には血管拡張剤である。これらの化合物は、粘膜下脈管構造の構造及び生理学を変調し、粘膜上皮内への又は上皮を通した、及び/又は特定の標的組織又は区画(例えば、全身循環又は中枢神経系)への、成長ホルモン及び他の生物学的活性剤の輸送速度を増加するように本発明内で機能する。
本発明内で使用するための血管拡張剤は、典型的には、細胞質内カルシウムの減少か又は一酸化窒素(NO)の増加により、あるいはミオシン軽鎖キナーゼを阻害することにより、粘膜下血管弛緩を起こす。これらは一般的には9のクラスの分割される:カルシウム拮抗薬、カリウムチャンネル開口剤、ACE阻害剤、アンジオテンシン−IIレセプター拮抗薬、α−アドレナリン作動性及びイミダゾールレセプター拮抗薬、β1−アドレナリン作動性拮抗薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、エイコサノイド及びNO供与体。
化学的相違にもかかわらず、カルシウム拮抗薬の薬物動態学的特性は類似している。全身循環内への吸収は高く、そしてこれらの剤はそれ故肝臓によるかなりの初回通過代謝をうけ、薬物動態学に個々の変異を生じる。ジヒドロピリジン型のより新しい薬剤(アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニルバジピン、ニソルジピン及びニトレンジピン)を除いて、カルシウム拮抗薬の半減期は短い。それ故、多くのこれらの有効薬剤濃度を維持するため、本明細書の別の所に記載されているような、多数回投与または制御放出製剤による送達が必要である。カリウムチャンネル開口剤、ミノキシジルによる処置もまた、潜在的有害副作用により、投与の様式及びレベルが制限されるであろう。
ACE阻害剤は、アンジオテンシン−Iからアンジオテンシン−IIへの変換を防止し、そしてレニン産生が増加した場合に最も有効である。ACEは、強力な内在性血管拡張剤ブラジキニンを不活性化するキナーゼ−IIと同一であるので、ACE阻害剤はブラジキニン分解の減少を起こす。ACE阻害剤は、動物モデルにおいて心臓の繊維症及び心室の異常発達を予防する及び逆行させることにより、心臓保護及び心臓修復効果の追加の利点を提供する。ほとんどのACE阻害剤の主たる排出経路は、腎排泄を経るものである。それ故、腎障害には減少した排出が付随し、そして中程度及び重度腎障害を有する患者では、25から50%の投与量減少が推奨される。
NO供与体に関し、これらの化合物は、粘膜透過性に対するその追加の効果のため、本発明内で特に有用である。前に記載したNO供与体に加え、NO/求核試薬又はNONOateと称されるNOと求核試薬の複合体は、生理学的pHの水性溶液に溶解した場合、NOを自発的及び非酵素的に放出する。対照的に、ニトログリセリンのごときニトロ血管拡張剤は、NO放出に特異的酵素を必要とする。NONOateは、規定された化学量論で、そしてジエチルアミン/NOの<3分からジエチレントリアミン/NO(DETANO)の約20時間の範囲の予測可能な速度で、NOを放出する。
本発明の特定の方法及び組成物内で、選択された血管拡張剤を、対象中の標的組織又は区画(例えば、全身的循環又はCNS)へ到達するために活性剤の粘膜吸収を増進する有効量で、成長ホルモン及び他の生物学的活性剤と協調的に投与する(例えば、全身的に又は鼻腔内へ、同時に又は組み合わせ的に有効な時間的関係で)又は組み合わせて製剤する。
選択的輸送増進剤及び方法
本発明の特定の側面内において、巨大分子薬剤の標的選択的輸送機構及びエンドサイトーシスあるいは経細胞輸送を標的とする方法及び組成物は、生物学的活性剤の経粘膜送達を増進する。これに関し、本発明の組成物及び送達法は、一つ又はそれより多くの生物学的活性剤の輸送を容易にする、選択的輸送増進剤を所望により組み入れている。これらの輸送増進剤は、粘膜輸送障壁を横切った一つ又はそれより多くの追加の生物学的活性剤の送達を協調的に増進するため、対象中の標的組織又は区画(例えば、粘膜上皮、全身的循環又はCNS)へ到達するために活性剤の粘膜吸収を増進するため、本明細書に開示された成長ホルモンとの、組み合わせ製剤又は協調的投与プロトコルを用いることができる。もしくは、輸送増進剤は、追加の生物学的活性剤の増進された送達を伴って又は伴わないで、成長ホルモンの経粘膜送達を直接増進するため、組み合わせ製剤又は協調的投与プロトコルで用いることができる。
本発明のこの側面内において使用するための選択的輸送増進剤の例には、限定されるわけではないが、グリコシド、糖含有分子、そして上皮輸送障壁成分と特異的に相互作用することが知られているレクチン結合剤のごとき結合剤が含まれる。例えば、多様な植物及び細菌レクチンを含み、レセプター仲介相互作用により細胞表面糖部分へ結合する、特異的「生物接着性」リガンドを、本発明内の生物学的活性剤の粘膜(例えば、鼻)送達を増進するために、坦体あるいはコンジュゲート化輸送メディエーターとして用いることができる。本発明内で使用するための特定の生物接着性リガンドは、特殊化された細胞輸送過程(エンドサイトーシスあるいは経細胞輸送)による接着性リガンドの選択的取り込みの引き金を引く、生物学的シグナルの上皮標的細胞への伝達を仲介するであろう。これらの輸送メディエーターはそれ故、粘膜上皮内への及び/又は粘膜上皮を通した、成長ホルモン及び他の生物学的活性剤の選択的取り込みを刺激する又は方向付ける「坦体」システムとして用いることが可能である。これらの及び他の選択的輸送増進剤は、本発明内の巨大分子生物医薬(特に、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチドそしてポリヌクレオチドベクター)の経粘膜送達を著しく増進する。これらの輸送増進剤を利用するため、本明細書の別の所に記載されているような一般的坦体製剤及び/又はコンジュゲーションを、粘膜表面へ選択的輸送増進剤(例えば、レセプター特異的リガンド)及び生物学的活性剤を協調的に投与するために使用し、それにより、輸送増進剤は、粘膜上皮内への又は粘膜上皮を通した、及び/又は追加の標的細胞、組織あるいは区画への活性剤の増進されたエンドサイトーシスあるいは経細胞輸送の引き金を引くために、あるいは仲介するために有効である。
レクチンは、真核細胞の糖タンパク質及び糖脂質の表面上に観察される特異的糖へ結合する、植物タンパク質である。レクチンの濃縮液は「ムコトラクティブ(mucotractive)」効果を有しており、そして多様な研究は、粘膜表面を横切ったレクチン及びレクチンコンジュゲート(例えば、コロイド状金粒子とコンジュゲートされたコンカナバリンA)の迅速なレセプター仲介エンドサイトーシス(RME)を示している。さらなる研究は、レクチンに対する取り込み機構が、インビボ腸薬剤標的化のために利用可能であることを報告している。特定のこれらの研究において、ポリスチレンナノ粒子(500nm)をトマトレクチンへ共有結合で結合させ、そしてラットへの経口投与後に、改良された全身取り込みがもたらされたと報告されている。
ポリマー送達媒体及び方法
本発明の特定の側面内において、成長ホルモン及び本明細書に記載した他の生物学的活性剤、そして上に記載したような送達増進剤は、個々にあるいは組み合わせて、坦体あるいは基材として機能する生物適合性ポリマーを含む、粘膜的に(例えば、鼻に)投与される製剤内に組み入れられる。こうしたポリマー坦体には、ポリマー形のなかでも、ポリマー粉末、マトリックスあるいは微粒子送達媒体が含まれる。ポリマーは植物、動物または合成起源であることができる。しばしばポリマーは架橋されている。そのうえ、これらの送達システムにおいて、生物学的活性剤(例えば、成長ホルモン)は、ポリマーへ共有結合で結合可能であり、そして簡単な洗浄ではポリマーから分離できないようにするように機能化することが可能である。別の態様において、生物学的活性剤及び/又は送達増進剤を分解あるいは不活性化可能な酵素又は他の剤の阻害剤で、ポリマーを化学的に修飾する。特定の製剤において、ポリマーは部分的又は完全に水不溶性であるが、しかし水膨潤可能ポリマー、例えば、ヒドロゲルである。本発明のこの側面で有用なポリマーは、有意の量の水を吸収するように、その性質が望ましくは水相互作用的及び/又は親水性であり、そしてそれらは、水と平衡に達するのに十分な期間、水又は水性媒質と接触して置いた場合、しばしばヒドロゲルを形成する。より詳細な態様において、ポリマーは、過剰の水と接触して置いた場合、室温で水に暴露した時、平衡ではその重量の少なくとも2倍の水を吸収するヒドロゲルである(例えば、米国特許第6,004,583号を参照されたい)。
生分解性ポリマーに基づいた薬剤送達システムは、こうしたシステムが加水分解によるか又は酵素的反応により、無毒の分子へ分解されるので、多くの生物医学的応用で好まれる。生分解性ポリマーマトリックスの組成の操作は、分解の速度を制御する。これらの型のシステムはそれ故、生物学的活性剤の長期放出のための、特定の設定において用いることが可能である。ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)及びポリ(D,L−乳酸−コ(co)−グリコール酸)(PLGA)のごとき生分解性ポリマーは、これらのポリマーの分解産物は低い毒性しか有してしないことが観察されているので、可能な薬剤送達担体としてかなりの注目を集めている。身体の正常代謝機能の間、これらのポリマーは二酸化炭素及び水へ分解される(Mehtaら,J.Control.Rel29:375−384,1994)。これらのポリマーはまた、優れた生物適合性も示した。
成長ホルモン及び本明細書に開示した他の生物学的活性剤、ならびに所望による送達増進剤の生物学的活性を延長するため、これらの剤をポリマー性マトリックス、例えば、ポリオルトエステル、ポリ無水物又はポリエステル内へ組み入れることができる。このことは、例えば、ポリマーマトリックスの分解により決定されるような、活性剤の持続された活性及び放出をもたらしている(Heller,Formulation and Delivery of Proteins and Peptides,pp.292−305,Clelandら,監修,ACS Symposium Series 567,ワシントンDC,1994;Tabataら,Pharm.Res10:487−496,1993;及びCohenら,Pharm.Res.8:713−720,1991)。合成ポリマー内部への生物治療的分子の封入は、保存及び送達の間にはそれらを安定化させることができるが、ポリマーに基づいた放出技術の最も大きな障害は、しばしば熱、超音波処理あるいは有機溶媒を含む製剤過程間の、治療分子の活性損失である(Tabataら,Pharm.Res.10:487−496,1993;及びJonesら,Drug Targeting and Delivery Series,New Delivery Systems for Recombinant Proteins−Practical Issues from Proof of Concept to Clinic,第4巻,pp.57−67,Leeら,監修,Harwood Academic Publishers,1995)。
本発明内での使用が企図された吸収促進ポリマーは、改変、修飾または混和が、水吸収、ヒドロゲル形成及び/又は有用な応用のための化学的安定性のごとき、所望の特性に不利に影響しない限り、他の天然に存在する又は合成のポリマー、ゴム、樹脂及び他の剤に加えて、前に記した型のポリマーの誘導体あるいは化学的又は物理的修飾体、ならびにこれらの材料のお互いの又は他のポリマーとの混和物を含むことができる。本発明のより詳細な側面において、ナイロンのごときポリマー、アクリラン及び他の疎水性合成ポリマーを、水膨潤可能になるような及び/又は水性媒質中で安定なゲルを形成するような反応により、十分に修飾することができる。
本発明内での使用に適したポリマーは一般に、単独であるいは粘膜製剤の選択された生物学的活性剤及び追加の成分と組み合わされて安定であるべきであり、そして約pH1からpH10のpH条件の範囲で安定なヒドロゲルを形成すべきである。より典型的には、それらは追加の保護的コーティングなしで、約3から9の範囲のpH条件下、安定でありそしてポリマーを形成しなければならない。しかしながら、所望の安定性特性は、送達の標的化部位(例えば、鼻粘膜あるいは全身循環のごとき送達の二次的部位)の生理学的パラメーター特徴に適応させることができる。故に、特定の製剤において、特別のpHでの及び選択された化学的又は生物学的環境における、より高い又はより低い安定性がより望まれるであろう。
本発明の吸収促進ポリマーは、以下のビニルモノマーの多様な組み合わせに基づいた、ホモ−及びコポリマーの群からのポリマーを含むことができる:アクリル及びメタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレートあるいはメタクリレート、ビニルピロロドン、ならびにポリビニルアルコール及びそのコ(co)−及びターポリマー(terpolymer)、ポリ酢酸ビニル、その、前に収載したモノマー及び2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))とのコ−及びターポリマー。非常に有用であるのは、前に収載したモノマーと、アクリル又はメタクリルアミド、アクリレート又はメタクリレートエステル(ここにおいて、エステル基は直鎖又は分枝鎖アルキル、1から6の炭素原子のアルキル置換基を含むことができる4までの芳香環を有しているアリール、ステロイド系、スルフェート、ホスフェート又はN,N−ジメチルアミノアルキルアクリル(メタクリル)アミド、ジメチルアミノアルキルアクリレート(メタクリレート)、アクリル(メタクリル)オキシアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリル(メタクリル)オキシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドのごときカチオン性モノマーから誘導される)のごときコポリマー化可能、機能性モノマーとのコポリマーである。
本発明内で使用するための追加の吸収促進ポリマーは、デキストラン、デキストリンとして分類されるもの、天然ゴム及び樹脂として分類される材料のクラスからのもの、あるいは加工コラーゲン、キチン、キトサン、プルラン、ズーグラン、アルギン酸及び「Kelcoloid」(ポリプロピレングリコール修飾アルギン酸)のごとき修飾アルギン酸、「Kelocogel」のごときゲランゴム、「Keltrol」のごときキサナタンゴム、エスタチン、アルファ ヒドロキシ酪酸塩及びそのコポリマー、ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリ乳酸及びグリコール酸のごとき天然ポリマーのクラスからのものである。
本発明内において応用可能なポリマーの非常に有用なクラスは、少なくとも一つの活性化炭素−炭素二重結合を含んでいる、オレフィン性不飽和カルボン酸である;即ち、酸又は官能基は、カルボキシル基に関してアルファ−ベータ位か又は末端メチレン配置の一部としてのモノマー分子中のその存在のため、ポリマー化において容易に機能するオレフィン二重結合、を含んでいる酸へ容易に変換される。このクラスのオレフィン性不飽和酸には、アクリル酸それ自身、アルファ−シアノアクリル酸、ベータ−メチルアクリル酸(クロトン酸)、アルファ−フェニルアクリル酸、ベータ−アクリロキシプロピオン酸、桂皮酸、p−クロロ桂皮酸、1−カルボキシ−4−フェニルブタジエン−1、3、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸及びトリカルボキシエチレンに類型化されるアクリル酸のような物質が含まれる。本明細書において、用語「カルボン酸」は、ポリカルボン酸及びその無水物を含んでおり、ここにおいて、無水物基は、同じカルボン酸分子に位置している二つのカルボキシル基からの、一分子の水の脱離により形成される。
本発明内の吸収促進剤として有用な代表的アクリレートには、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、エタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシルなどが含まれる。高級アルキルアクリル酸エステルは、アクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル及びアクリル酸ミリシル及びそのメタクリル酸体である。2又は3又はそれより多い長鎖アクリル酸エステルの混合物は、カルボン酸モノマーの一つとうまくポリマー化することができる。他のコモノマーには、アルファオレフィンを含んでいるオレフィン、ビニルエーテル、ビニルエステルそしてその混合物が含まれる。
アクリルニトリルを含んだ他のビニリデンモノマーもまた、対象の標的化組織又は区画(例えば、全身循環)への活性剤の送達を増進することを含む、成長ホルモン及び他の生物学的活性剤の送達及び吸収を増進するための、本発明の方法及び組成物内の吸収促進剤として使用することができる。有用なアルファ、ベータ−オレフィン性不飽和ニトリルは、好ましくは、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのごとき、3から10炭素原子を有している、モノオレフィン性不飽和ニトリルである。最も好ましいのはアクリロニトリル及びメタクリロニトリルである。モノオレフィン性不飽和アミドを含んでいる、3から35の炭素原子を含んでいるアクリルアミドもまた使用することができる。代表的アミドには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、高級アルキルアミド(窒素上のアルキル基は8から32の炭素原子を含む)、N−メチロールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールマレイミド、N−メチロールマレアミド酸エステル、N−メチロール−p−ビニルベンズアミドなどのごとき、4から10の炭素原子を有するものを含む、アルファ、ベータ−オレフィン性不飽和カルボン酸のN−アルキロールアミド、が含まれる。
さらに追加の有用な吸収促進物質は、当業者には既知の、2から10の炭素原子、より好ましくは2から8の炭素原子を含んでいるアルファ−オレフィン;4から10の炭素原子を含んでいるジエン;酢酸ビニルのごときビニルエステル;スチレン、メチルスチレン及びクロロ−スチレンのごときビニル芳香族化合物;ビニルメチルエーテル及びメチルビニルケトンのごときビニル及びアリルエーテル及びケトン;アクリル酸アルファ−シアノメチル、及びアクリル酸アルファ−、ベータ−及びガンマ−シアノプロピルのごときアクリル酸シアノアルキル;アクリル酸メトキシエチルのごときアクリル酸アルコキシ;アクリル酸クロロエチルのごときハロアクリル酸、ビニルハライド及びビニルクロリド、ビニリデンクロリドなど;ジビニルエーテル、ジアクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸エチレングリコール、メチレン−ビス−アクリルアミド、アルキルペンタエリスリトールなどのごときジビニル、ジアクリル酸及び他の多官能性モノマー;そしてビス(ベータ−クロロエチル)ビニルホスホナートなどのごときビス(ベータ−ハロアルキル)アルケニルホスホナート、である。カルボキシ含有モノマーが副構成成分であり、そして主成分として他のビニリデンモノマーが存在するコポリマーは、本明細書に記載されている方法に従って容易に製造される。
本発明内で吸収促進剤としてヒドロゲルが用いられる場合、これらは、水と相互作用的及び膨潤可能である、アクリル及びメタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシエチル(HEA)又はメタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、及びビニルピロリドンの群からの合成コポリマーから構成することができる。特にペプチド及びタンパク質の送達のために有用なポリマーの、特別の例示のための例は、以下の型のポリマーである:(meth)アクリルアミド及び0.1から99重量%(meth)アクリル酸;(meth)アクリルアミド及び0.1−75重量%(meth)アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド;(meth)アクリルアミド及び0.1−75重量%(meth)アクリルアミド;アクリル酸及び0.1−75重量%アルキル(meth)アクリレート;(meth)アクリルアミド及び0.1−75重量%AMPS.RTM(Lubrizol Corp.の登録商標);(meth)アクリルアミド及び0−30重量%アルキル(meth)アクリルアミド及び0.1−75重量%AMPS.RTM;(meth)アクリルアミド及び0.1から99重量%HEMA;(meth)アクリルアミド及び0.1−75重量%HEMA及び0.1から99重量%(meth)アクリル酸;(meth)アクリル酸及び0.1から99重量%HEMA;50モル%ビニルエーテル及び50モル%無水マレイン酸;(meth)アクリルアミド及び0.1−75重量%(meth)アクリロキシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;(meth)アクリルアミド及び0.1から99重量%ビニルピロリドン;(meth)アクリルアミド及び50重量%ビニルピロリドン及び0.1から99.9重量%(meth)アクリル酸;(meth)アクリル酸及び0.1−75重量%AMPS.RTM及び0.1−75重量%アルキル(meth)アクリルアミド。上記の例において、アルキルとはCからC30、好ましくはCからC22の直鎖及び分枝鎖、及びCからC16環状を意味しており、(meth)が使用されている場合、メチル基を有する又は有さないモノマーが含まれていることを意味している。他の非常に有用なヒドロゲルポリマーは、ポリ(ビニルピロリドン)デンプン、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールの膨潤可能であるが、不溶性のバージョンである。
本発明内で有用な追加のポリマー性ヒドロゲル材料には、(ポリ)ヒドロキシアルキル(meth)アクリレート;アニオン性及びカチオン性ヒドロゲル;ポリ(電解質)複合体:低アセテート残基を有するポリ(ビニルアルコール);架橋寒天及び架橋カルボキシメチルセルロースの膨潤可能組成物;節約型架橋寒天と混合されたメチルセルロースを含んでなる膨潤可能組成物;細かく分割された、無水マレイン酸とスチレン、エチレン、プロピレン又はイソブチレンのコポリマーの分散により産生された水膨潤可能コポリマー;N−ビニルラクタムの水膨潤可能ポリマー;膨潤可能カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩など、が含まれる。
本発明内の生物学的活性剤の経粘膜送達のための、親水性ヒドロゲルを形成するために有用な、他のゲル化可能、液体吸収及び保持ポリマーには、ペクチン;寒天、アカシア、カラヤ、トラガカント、アルギン及びガールのごときポリサッカリド及びその架橋体;アクリル酸ポリマー、コポリマー及び塩誘導体、ポリアクリルアミド;水膨潤可能インデン無水マレイン酸ポリマー;デンプングラフトコポリマー;その本来の重量の約2から400倍の水吸収性を有するアクリル酸型ポリマー及びコポリマー;ポリグルカンのジエステル;架橋ポリ(ビニルアルコール)及びポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)の混合物;ポリオキシブチレン−ポリエチレンブロックコポリマーゲル;イナゴマメゴム;ポリエステルゲル;ポリ尿素ゲル;ポリエーテルゲル;ポリアミドゲル;ポリイミドゲル;ポリペプチドゲル;ポリアミノ酸ゲル;ポリセルロースゲル;架橋インデン−無水マレイン酸アクリレートポリマー;及びポリサッカリド、が含まれる。
本発明内での使用のための合成ヒドロゲルポリマーは、いくつかのモノマーの、いくつかの比率による無限の組み合わせにより作製することができる。ヒドロゲルは架橋することが可能であり、そして一般に液体を吸い込み(imbibe)及び吸収する(absorb)能力を保有し、そして拡張された平衡状態へ膨潤又は拡大する。ヒドロゲルは典型的には、鼻粘膜表面への送達により膨潤し又は拡大し、その重量の約2−5、5−10、10−50、50−100倍まで、又はそれ以上の水を吸収する。規定のヒドロゲルに対する膨潤性の至適程度は、ポリマー内で運搬される又は捕捉された又は被包された活性剤の分子量、サイズ、溶解性及び拡散特性、及び各々の個々のポリマーに付随する特異的空間配置及び協調的鎖挙動のごとき因子に依存して、異なった生物学的活性剤に対して決定されるであろう。
本発明内で有用な親水性ポリマーは、水不溶性であるがしかし水膨潤可能である。こうした水膨潤ポリマーは典型的にはヒドロゲル又はゲルと称される。こうしたゲルは、適した架橋剤によるポリマーの架橋加工により、水溶性ポリマーから都合よく産生することができる。しかしながら、安定なヒドロゲルは、pH、温度及び/又はイオン濃度の規定された条件下、当該技術分野で既知の方法に従って、特別のポリマーから形成させることもできる。典型的には、ポリマーは、架橋され、即ち、ポリマーが良好な親水性特性を所有する程度まで架橋され、改良された物理的完全性を有し(同一あるいは類似の型の非架橋ポリマーと比較して)、そして目的の生物学的活性剤及びそれと同時投与のための、サイトカイン又は酵素阻害剤のごとき追加の化合物の両方をゲルネットワーク内で保持する改良された能力を示し、一方、適切な位置及び時間に活性剤を放出する能力を保持している。
一般に、本発明内での使用のためのヒドロゲルポリマーは、モノマーの重量に基づいて0.01から25重量パーセントの量の二機能性架橋剤、そしてより好ましくは0.1から20重量パーセントそしてより多くの場合0.1から15重量パーセントの架橋剤、で架橋する。別の有用な架橋剤の量は0.1から10重量パーセントである。3、4またはより高い多機能性架橋剤を用いることもできる。こうした試薬を利用する場合、均等な架橋密度、即ち、生物学的活性剤を有効に含むために十分である架橋の程度あるいはネットワーク特性、を達成するためには、より少ない量しか必要とされないであろう。
架橋は、水含有液体存在下で膨潤する能力を所有しているポリマーとの共有、イオンあるいは水素結合であることが可能である。こうした架橋剤及び架橋反応は当業者には周知であり、そして多くの場合がポリマーシステムに依存している。それ故、架橋ネットワークは、不飽和モノマーのフリーラジカル共重合により形成することができる。ポリマーのヒドロゲルはまた、前もって形成されたポリマー上に観察される、アルコール、酸、アミンのごとき官能基と、グリオキサール、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒド、ビス無水物などのごとき基と反応させることにより、前もって形成されたポリマーの架橋によっても形成することができる。
ポリマーは、さらに任意のポリエン、例えばデカジエン、トリビニルシクロヘキサン;N,N−メチレンビス(アクリルアミド)のごときアクリルアミド;トリメチロールプロパントリアクリレートのごとき多官能性アクリレート;又は、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、アリルアクリレートなどのごときを含む、少なくとも2末端CH基を含んでいる多官能性ビニリデンモノマー、と架橋することもできる。特定の態様において、コポリマーの製造において使用するための架橋モノマーは、分子当たり一つ以上のアルケニルエーテルグループ化を有しているポリアルケニルポリエーテルであり、それは所望により、オレフィン二重結合が末端メチレングループ化へ結合されて存在するアルケニル基を有することができる(例えば、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも2つのヒドロキシル基を含んでいる多価アルコールのエステル化により作製された)。この種の化合物は、アリルクロリド又はアリルブロミドのごときアルケニルハライドを、一つ又はそれより多くの多価アルコールの強アルカリ水溶液と反応させることにより生成することができる。生成物は、多様な数のエーテル基を有するポリエーテルの複雑な混合物であろう。ポリエーテル架橋剤の効率は、分子上の潜在的にポリマー化可能な基の数と共に増加する。典型的には、平均で分子当たり2又はそれより多いアルケニルエーテルグループ化を含んでいるポリエーテルを使用する。他の架橋剤には、例えば、ジアリルエーテル、ジメタリルエーテル、アリル又はメタリルアクリレート及びアクリルアミド、テトラビニルケイ素、ポリアルケニルメタン、ジアクリレート及びジメタクリレート、ジビニルベンゼンのごときジビニル化合物、リン酸ポリアリル、ジアリルオキシ化合物そして亜リン酸エステルなど、が含まれる。典型的な剤は、アリルペンタエリスリトール、アリルスクロース、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートなどである。アリルペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンジアリルエーテル及びアリルスクロースは、適したポリマーを提供する。架橋剤が存在する場合、ポリマーの混合物は通常、カルボン酸モノマーに他のモノマーを加えた総計に基づいて、約0.01から20重量パーセントの間の、例えば、重量で1%、5%又は10%又はそれより多い架橋モノマーを含んでいる。
本発明のより詳細な側面において、成長ホルモン及び本明細書に開示した他の生物学的活性剤の経粘膜送達は、分解酵素の作用から活性剤を遮蔽する、除放出又は酵素的又は物理学的保護坦体又は媒体(例えば、ヒドロゲル)中に活性剤を保持することにより増進される。特定の態様において、活性剤は坦体又は媒体へ化学的手段により結合されており、それに対し、酵素阻害剤、サイトカインその他のごとき追加の剤がまた混合又は結合されている。活性剤はもしくは、坦体又は媒体、例えば、ポリマーマトリックス内に、十分な物理的捕捉により固定化することもできる。
本発明内において有用なヒドロゲルのごときポリマーは、共に製剤される活性剤の鼻腔内生物学的利用能を増進するため、ポリマー内に化学的に組み入れられたグリコシドのごとき、機能性連結剤を組み入れることができる。こうしたグリコシドの例は、グルコシド、フルクトシド、ガラクトシド、アラビノシッド、マンノシド及びそのアルキル置換誘導体、そしてアルブチン、フロリジン、アミグダリン、ジギトニン、サポニン及びインジカンのごとき天然グリコシドである。典型的グリコシドをポリマーへ結合することができる、いくつかの方法が存在する。例えば、エーテルを形成するためのヒドロゲルからのアルキル基は、グルコシド又は他の類似の炭水化物のヒドロキシル基の水素と置き換えることができる。また、グルコシドのヒドロキシル基は、ポリマーのヒドロゲルのカルボキシル基をエステル化するために反応させることができ、原位置でポリマーのエステルを形成する。別のアプローチは、アセトブロモグルコースとマレイン酸のコポリマー上のコレスタ−5−エン−3ベータ−オールとの縮合を用いるものである。N−置換ポリアクリルアミドは、活性化ポリマーとオメガ−アミノアルキルグルコシドの反応により合成することが可能である:(1)(炭水化物−スペーサー)(n)−ポリアクリルアミド、偽ポリサッカリド;(2)(炭水化物−スペーサー)(n)−ホスファチジルエタノールアミン(m)−ポリアクリルアミド、ネオ糖脂質、ホスファチジルエタノールアミンの誘導体;(3)(炭水化物−スペーサー)(n)−ビオチン(m)−ポリアクリルアミド。これらのビオチニル化誘導体は粘膜表面のレクチンへ結合することができ、生物学的活性剤、例えば、ポリマー−被包化成長ホルモンの吸収を増進する。
本発明のより詳細な側面内において、本明細書に開示した、所望によりプロテアーゼ阻害剤、サイトカイン、細胞間接合部生理学の追加の変調剤その他を含んでいる、成長ホルモン及び/又は他の生物学的活性剤を、修飾し及びポリマーの坦体又はマトリックスへ結合する。例えば、このことは、架橋ポリマーネットワーク内へ、ペプチドあるいはタンパク質活性剤及び他の所望の剤を化学的に結合することにより達成される。ポリマーを別々にグリコシダル含有分子のごとき相互作用剤で化学的に修飾することも可能である。特定の態様において、生物学的活性剤及び所望の二次活性剤は、官能性化することができ、即ち、ここにおいては、適切な反応基を同定し、そして活性剤へ化学的に付加する。もっとも多くの場合、エチレンのポリマー化可能基を付加し、そして官能性化された活性剤を次ぎに、溶液ポリマー化(通常水中で)、乳化液、懸濁液又は分散液ポリマー化のごとき標準ポリマー化法を使用して、モノマー及び架橋剤でコポリマー化する。しばしば、官能性化剤は、活性剤のいくつかの部位が官能性化されることを確実にするため、官能又はポリマー化可能基に対して十分高い濃度で提供する。例えば、16アミン部位を含んでなるポリペプチドにおいては、前記部位の少なくとも2、4、5、7及び8まで、又はそれより多くが官能性化されるのが一般に望ましい。
官能性化後、官能性化された活性剤をモノマー及び、目的のポリマーが形成される試薬を含んでなる架橋剤と混合する。次ぎに、結合された活性剤を含んでいるポリマーを作製するため、この媒質中でのポリマー化を誘導する。ポリマーは次ぎに水あるいは他の適切な溶媒で洗浄するか、さもなければ痕跡の未反応不純物を除去し、そして、必要に応じ、撹拌、メッシュを通過するような強制、超音波処理又は他の適した手段のごとき物理的手段により、所望の粒子サイズまですり砕いた又は砕いた。溶媒(通常は水)を次ぎに、活性剤を変性又はさもなければ分解しないような様式で除去する。一つの望ましい方法は凍結乾燥(フリーズドライ)であるが、他の方法も利用可能であり、そして使用することができる(例えば、真空乾燥、風乾、スプレードライその他)。
本発明内のペプチド、タンパク質そして他の活性剤中に、ポリマー化可能基を導入するため、利用可能なアミノ、ヒドロキシル、チオール及び他の反応性基と不飽和基含有求電子体を反応させることが可能である。例えば、N−ヒドロキシスクシンイミジル基含有不飽和モノマー、p−ニトロフェニルカーボネート、トリクロロフェニルカーボネート、トレシレート、オキシカルボニルイミダゾール、エポキシド、イソシアネート及びアルデヒドのごとき活性カーボネート、そして不飽和カルボキシメチルアジド及び不飽和オルトピリジル−ジスルフィドはこの範疇の試薬に属している。不飽和試薬の例示的な例は、アリルグリシジルエーテル、アリルクロリド、アリルブロミド、アリルヨージド、アクリロイルクロリド、アリルイソシアネート、アリルスルホニルクロリド、無水マレイン酸、無水マレイン酸のコポリマー及びアリルエーテルなどである。
アルデヒドを除いたリジン活性誘導体のすべてが、ヒスチジンのイミダゾール基、チロシンの水酸基、シスチンのチオール基のごとき他のアミノ酸と、もし局所環境がこれらの基の求核性を増進するならば、一般に反応することが可能である。アルデヒド含有官能性化基はリジンに特異的である。リジン、システイン、チロシンからの利用可能な基とのこれらの型の反応は、文献に広範囲に記述されており、そして当業者には周知である。
アミン基を含む生物学的活性剤の場合、こうした基と、アクリロイルクロリドのごときアシロイルクロリドを反応させ、そして反応した剤上にポリマー化可能アクリル基を導入するのが都合がよい。アクリルアミドのコポリマー及びアクリル酸の架橋の間のごとき、ポリマー製造の間、アクリル基を通して官能性化活性剤をコポリマーへ結合させ、そしてそれに結合されるようにする。
本発明の追加の側面において、一つ又はそれより多くの活性剤をポリマーへ共有結合的に結合形成させ、親水性部分(例えば、直線状ポリアルキレングリコール)、親油性部分の両方でその不可欠な部分として組み入れることにより、ペプチド、タンパク質、インビトロで線物活性である他の分子を含んでいる生物学的活性剤をコンジュゲート−安定化する(例えば、本明細書において援用される米国特許第5,681,811号を参照されたい)。一つの側面において、生物学的活性剤を、(i)直線状ポリアルキレングリコール部分、及び(ii)親油性部分を含んでなるポリマーへ共有結合的に結合する、ここにおいて、活性剤、直線状ポリアルキレングリコール部分及び親油性部分は、活性治療剤が酵素分解に対して増進されたインビボ耐性を有するように、お互いに関連してコンホメーション的に配置されている(即ち、それらに結合されたポリマーを欠く、非コンジュゲート化形における同一の条件下のその安定性と比較して)。別の側面において、コンジュゲート−安定化製剤は、(i)直線状ポリアルキレングリコール部分、及び(ii)親油性部分を含んでなるポリソルベート複合体と共有結合的で結合された生物学的活性剤を含んでなる、三次元コンホメーションを有しており、ここにおいて、活性剤、直線状ポリアルキレングリコール部分及び親油性部分は、(a)親油性部分は三次元コンホメーションにおいて外部から利用可能であり、そして(b)組成物中の活性剤が酵素分解に対して増進されたインビボ耐性を有しているようにお互いに関連してコンホメーション的に配置されている。
さらに関連した側面において、トリグリセリド主鎖部分の炭素原子に結合されたポリアルキレングリコールスペーサー基を通してトリグリセリド主鎖部分に共有結合で結合された生物学的活性剤、及びトリグリセリド主鎖部分の炭素原子に直接共有結合で結合された、又はポリアルキレングリコールスペーサー基を通して共有結合で連結された少なくとも一つの脂肪酸部分を含んでなる、多リガンドコンジュゲート化複合体を提供する(例えば、米国特許第5,681,811号を参照されたい)。こうした多リガンドコンジュゲート化治療剤複合体において、トリグリセリド生物活性部分のアルファ’及びベータ炭素は、それらに直接的な共有結合的結合形成により、あるいはポリアルキレングリコールスペーサー基を通してそれらに間接的に共有結合された脂肪酸部分を含むことができる。もしくは、脂肪酸部分は、トリグリセリド主鎖部分のアルファ及びアルファ’炭素へ、直接あるいはポリアルキレングリコールスペーサー基を通して共有結合で結合され、生物活性治療剤はトリグリセリド主鎖部分のガンマ−炭素と、それに直接共有結合で結合されているか、またはポリアルキレングリコールスペーサー基を通してそれに間接的に結合されている。本発明の範囲内において、トリグリセリド主鎖部分を含んでなる、多リガンドコンジュゲート化治療剤複合体に対して、広範な多様性の構造的な、組成上の、及びコンホメーションの形が可能なことが認識されるであろう。本発明の範囲内において、こうした多リガンドコンジュゲート化治療剤複合体において、生物学的活性剤がアルキルスペーサー基、又は代わりに他の受容可能なスペーサー基を通して、トリグリセリド修飾主鎖部分と共有結合で都合よく結合できることが、さらに注目される。こうした関連において使用されるようなスペーサー基の受容性とは、立体的な、組成上の、そして最終使用応用特異的な、受容性特性を指している。
本発明のさらに追加の側面において、(i)脂肪酸基;そして(ii)共有結合により結合された生物学的活性剤又は部分を有しているポリエチレングリコール基(例えば、ポリエチレングリコール基の適切な官能性へ結合された)、を含んでいる、アルファ、アルファ’及びベータ炭素原子へ共有結合で結合された官能性化基を有しているトリグリセリド主鎖を含んでいるポリソルベート部分を含んでなる、ポリソルベート複合体を含んでなる、コンジュゲート安定化複合体を提供する(例えば、米国特許第5,681,811号を参照されたい)。こうした共有結合は直接であることもでき(例えば、ポリエチレングリコール基のヒドロキシ末端官能性へ)、又は代わりに、共有結合は間接的であることもできる(例えば、生じるキャップ化ポリエチレングリコール基が、生物学的活性剤又は部分が共有結合で結合することができる末端カルボキシ官能性を有するように、ポリエチレングリコール基のヒドロキシ末端を、末端カルボキシ官能性スペーサー基で反応性キャップ化することにより)。
本発明のさらに追加の側面において、安定で、水様液に可溶性であり、コンジュゲーション−安定化された複合体が提供され、それは、生理学的に適合性のポリエチレングリコール(PEG)修飾糖脂質部分に共有結合で結合された、本明細書に記載された一つ又はそれより多くの成長ホルモン及び/又は他の生物学的活性剤を含んでなる。こうした複合体において、生物学的活性剤は、活性剤の遊離アミノ酸基での不安定な共有結合により、生理学的に適合性のPEG修飾糖脂質部分に共有結合で結びつけることができ、ここにおいて不安定な共有結合は、生化学的加水分解及び/又はタンパク分解により、インビボで切断可能である。生理学的に適合性のPEG修飾糖脂質部分は、ポリソルベートポリマー、例えば、モノパルミチン酸エステル、ジパルミチン酸エステル、モノラウリン酸エステル、ジラウリン酸エステル、トリラウリン酸エステル、モノオレイン酸エステル、ジオレイン酸エステル、トリオレイン酸エステル、モノステアリン酸エステル、ジステアリン酸エステル及びトリステアリン酸エステルから選択された脂肪酸エステル基を含んでなるポリソルベートポリマーを都合よく含んでなることができる。こうした複合体において、生理学的に適合性のPEG修飾糖脂質部分は、脂肪酸のポリエチレングリコールエーテル及び脂肪酸のポリエチレングリコールエステルから成る群より選択されるポリマーを適切に含んでなることができ、ここにおいて脂肪酸は、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸及びステアリン酸から成る群より選択される脂肪酸を含んでなる。
生物接着性送達媒体及び方法
本発明の特定の態様において、本明細書の組み合わせ製剤及び/又は協調投与法は、成長ホルモンの経粘膜送達を増進するため、補助化合物又は担体として有効量の無毒生物接着剤を組み入れている。これに関連した生物接着剤は、標的化粘膜の一つ又はそれより多くの成分又は表面への一般的又は特異的接着を示す。生物接着剤は、粘膜上皮内への又は通した、大きな分子(例えば、ペプチド及びタンパク質)でさえの浸透を確実にするため、粘膜内への又は横切った成長ホルモンの望まれる濃度勾配を維持している。典型的には、本発明の方法及び組成物内での生物接着剤の使用は、粘膜上皮内への又は通した、成長ホルモンの透過性の2から5倍、しばしば5から10倍の増加をもたらす。この上皮透過の増進はしばしば、例えば、鼻上皮の基底部分への、又は隣接する細胞外区画又は全身循環内への、大きな巨大分子の有効な経粘膜送達を可能にする。
この増進された送達は、生物活性治療化学種の送達の、顕著に改良された有効性を提供する。これらの結果は、一部、化合物の親水性に依存するであろうが、それにより、水不溶性化合物と比較してより顕著な浸透が、親水性化学種で達成されるであろう。これらの効果に加え、粘膜表面での薬剤残留性を増進するための生物接着剤の使用は、遅延性薬剤送達のための貯蔵所(reservoir)機構を惹起することが可能であり、それにより、化合物は粘膜組織を横切って浸透するだけでなく、表面の物質が枯渇すると、粘膜表面へ向かって逆拡散する。
典型的には、本発明内で使用のための粘膜接着性ポリマーは、複雑な、しかし非特異的機構により湿った粘膜組織表面へ接着する、天然又は合成巨大分子である。これらの粘膜接着ポリマーに加え、本発明はまた、レセプター仲介を含む特異的相互作用により、粘膜というよりもむしろ細胞表面に直接的に接着する生物接着剤を組み入れた、方法及び組成物も提供する。この特異的様式で機能する生物接着剤の一つの例は、レクチンとして知られている化合物の群である。鼻腔内上皮細胞膜の一部を形成する糖分子(例えば、糖タンパク質又は糖脂質)を特異的に認識しそして結合する能力を有する糖タンパク質が存在し、そして「レクチンレセプター」と考えることができる。
本発明内で使用のための粘膜接着性ポリマーの例、例えばキトサンは、たとえ水性溶液又はゲルとして応用されても、粘膜上皮の透過性を増進する。一つの研究において、ポリ(アクリル酸)の水性ゲル基剤からの、ペプチド薬剤インシュリン及び成長ホルモン、及び親水性化合物フェノールレッドの吸収が、直腸、膣及び鼻投与後に報告されている。上皮透過性に直接影響することが報告されている別の粘膜接着性ポリマーはヒアルロン酸である。特に、ヒアルロン酸ゲル製剤は、報告される所によれば、バソプレッシン及びいくつかのその類似体の鼻吸収を増進している。ヒアルロン酸はまた、糖尿病イヌにおいて結膜からのインシュリンの吸収を増進するとも報告されている。凍結乾燥されたミクロスフェアの形のヒアルロン酸エステル誘導体が、インシュリンのための鼻送達システムとして記載されている。
本発明の協調的投与及び/又は組み合わせ製剤法内で特に有用な生物接着剤は、キトサンならびにその類似体及び誘導体である。キトサンは、その低毒性及び良好な生物適合性の好ましい特性のため、医薬及び医学応用に広く使用されている、無毒の、生物適合性及び生分解性ポリマーである。それは、アルカリによるN−脱アセチル化によりキチンから製造される天然ポリアミノサッカリドである。
本発明の方法及び組成物内で使用される場合、キトサンは、応用された粘膜部位での、成長ホルモン及び本明細書で開示した他の生物学的活性剤の保持を増加させる。
本明細書でさらに提供されるように、本発明の方法及び組成物は、所望により、新規キトサン誘導体あるいはキトサンの化学的修飾形を含むであろう。本発明内で使用するためのこうした新規誘導体の一つは、β−[1→4]−2−グアニジノ−2−デオキシ−D−グルコースポリマー(ポリ−GuD)として表示される。キトサンは、天然に存在するポリマー、キチンのN−脱アセチル化生成物であり、経口及び鼻腔内製剤のためのミクロスフェアを製造するために広範に使用されてきた。キトサンポリマーはまた、非経口薬剤送達のための可溶性坦体としても提案されてきた。本発明の一つの側面内において、o−メチルイソ尿素を、キトサンアミンをそのグアニジウム部分へ変換するために使用する。グアニジウム化合物は、例えば、図1に示された式により示されているように、8.0より上のpHで、キトサン及びo−メチルイソ尿素の等規定度溶液間の反応により製造する。
グアニジウム生成物は−[14]−グアニジノ−2−デオキシ−D−グルコースポリマーである。ここではポリ−GuDと略記する(キトサンにおけるアミンのモノマーのF.W.=161;ポリ−GuDにおけるグアニジウムのモノマーのF.W.=203)。
本発明内で使用するためのポリ−GuD製造法の一つの例には以下のプロトコルが含まれる。
溶液
0.5%酢酸溶液(0.088N)の調製
500mLのメスフラスコ内へ、2.5mLの氷酢酸をピペットで加え、精製水で容量まで希釈する。
2N NaOH溶液の調製
約20gのNaOHペレットを約150mLの精製水でビーカーに移す。溶解させ、室温まで冷却する。
O−メチルイソ尿素硫酸塩(0.4N尿素基当量)の調製
約493mgのO−メチルイソ尿素硫酸塩を10mLのメスフラスコへ移し、精製水で溶解しそして容量まで希釈する。
溶液のpHは4.2である。
塩化バリウム溶液(0.2M)の調製
約2.086gの塩化バリウムを50mLのメスフラスコへ移し、精製水で溶解しそして容量まで希釈する。
キトサン溶液(0.06Nアミン当量)の調製
約100mgのキトサンを50mLビーカーに移し、10mLの0.5%の酢酸(0.088N)を加える。完全に溶解するまで撹拌する。
溶液のpHは4.5である。
O−メチルイソ尿素クロリド溶液(0.2N尿素基当量)の調製
5.0mLのO−メチルイソ尿素硫酸塩溶液(0.4N尿素基当量)及び5mLの0.2M塩化バリウム溶液をビーカーへピペットで加える。沈殿が生じる。さらに5分間、溶液の混合を続ける。0.45mフィルターを通して溶液を濾過し、そして沈殿は廃棄する。上清溶液中のO−メチルイソ尿素クロリドの濃度は0.2N尿素基当量である。
溶液のpHは4.2である。
製法
2.5節に記載したように調製した10mLのキトサン溶液(0.06Nアミン当量)に、1.5mLの2N NaOHを加える。2N NaOHで溶液のpHを約8.2から8.4へ調整する。さらに10分間、溶液の混合を続ける。上記のように調製した3.0mLのO−メチルイソ尿素クロリド溶液(0.2N尿素基当量)を加える。溶液を一夜撹拌する。
0.5%酢酸(0.088N)で溶液のpHを5.5へ調整する。
精製水を使用し、25mLの最終容量まで溶液を希釈する。
溶液中のポリ−GuD濃度は5mg/mLである、0.025N(グアニジウム基)当量。
要約すると、前述の生物接着剤は、本発明の組み合わせ製剤及び協調的投与において有用であり、それは所望により、成長ホルモンの存続を延長するため又はさもなければ粘膜吸収を増加させるための生物接着剤の有効量及び形を組み入れている。生物接着剤は、本発明の組み合わせ製剤内の補助的化合物として又は添加剤として、例えば、ベンゼトニウム又はクロロブタノールと、協調的に投与することができる。いくつかの場合において、上皮細胞「レセプター」との特異的レセプター−リガンド相互作用を促進することにより、そして他の場合において、送達の標的部位(例えば、CNS又は全身循環において)で測定される薬剤濃度勾配を著しく増加させるために上皮透過性を増加させることにより、特定の態様において、生物接着剤は「医薬接着剤」として働き、一方、他の態様においては、生物接着剤の補助送達又は組み合わせ製剤は、成長ホルモンと鼻粘膜との接触を強化するように働く。本発明内で使用するためのさらに追加の生物接着剤は、生物接着剤と協調的に送達された、又は組み合わせ製剤における、粘膜的に投与された生物治療剤(例えば、成長ホルモン)の安定性を増進するための酵素(例えば、プロテアーゼ)阻害剤として働く。
リポソーム及びミセル送達媒体
本発明の協調的投与法及び組み合わせ製剤は、所望により、成長ホルモン及び他の生物学的活性剤の経粘膜送達のために改良された製剤を提供するため、有効な脂質又は脂肪酸に基づいた坦体、プロセシング剤又は送達媒体を組み入れている。例えば、経粘膜送達の時に、生物学的活性剤の化学的及び物理的安定性を増進するため及び半減期を増加させるため(例えば、タンパク分解、化学的修飾及び/又は変性に対する感受性を減少させることにより)、リポソームと混合された又は被包された(又は協調的に投与された)、ミセル坦体又は乳剤と混合された、ペプチド又はタンパク質のごとき、一つ又はそれより多くのこれら活性剤を含んでなる、多様な製剤及び方法を経粘膜送達のために提供する。
本発明の特定の側面内において、生物学的活性剤のために特殊化された送達システムは、リポソームとして知られている小さな脂質媒体を含んでなる(例えば、Chonnら,Curr.Opin.Biotechnol:698−708,1995;Lasic,Trends Biotechnol16:307−321,1998;及びGregoriadis,Trends Biotechnol13:527−537,1995、を参照されたい)。これらは典型的には、天然の、生分解可能、無毒そして非免疫原性脂質分子から作製し、そして、ペプチド及びタンパク質を含む薬剤分子をその膜内に、あるいは膜上に、効率よく捕捉または結合する。多様な方法が、本発明内で使用するためのリポソームを調製するために利用可能である(例えば、Szokaら,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467,1980;及び米国特許第4,235,871,4,501,728及び4,837,028号に記載されているような)。リポソーム送達で利用するためには、生物学的活性剤を典型的にはリポソーム又は脂質媒体内に捕捉し、あるいは媒体の外側へ結合する。リポソームを特定の組織及び特定の細胞型へ標的化することにより、リポソーム仲介送達の有効性を増加させるためのいくつかの戦略が考案されている。カチオン性脂質含有リポソームを含むリポソーム製剤は、ヒト患者において安全でそしてよく許容されていることが示されている。
リポソーム同様、粘膜吸収に対して増進された活性を有する不飽和長鎖脂肪酸は、二重層様構造を有する、閉じた媒体を形成することが可能である(ウファソーム(ufasome)と称されている)。これらは、本発明内の粘膜(例えば、鼻腔内)送達のため、生物学的活性ペプチド及びタンパク質を捕捉するために、例えば、オレイン酸を使用して形成することが可能である。
本発明内で使用するための追加の送達媒体には、長及び中鎖脂肪酸、ならびに脂肪酸との界面活性物質混合ミセルが含まれる(例えば、本明細書において援用されるMuranishi,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.7:1−33,1990、を参照されたい)。エステルの形をとった、天然に存在するほとんどの脂質は、それら自身の粘膜を横切る輸送に関して重要な意味を有している。遊離脂肪酸及び、結合された極性基を有するそのモノグリセリドは、混合ミセルの形で、浸透増進剤として腸障壁に作用することが示されている。遊離脂肪酸(12から20の炭素原子で変化する鎖長を有するカルボン酸)及びその極性誘導体の障壁修飾機能の発見は、粘膜吸収増進剤としての、これらの剤の応用に対する広範な研究を刺激した。
本発明の方法内での使用のため、長鎖脂肪酸、特に膜融合性脂質(オレイン酸、リノール酸、リノール酸、モノオレインその他のごとき不飽和脂肪酸及びモノグリセリド)は、成長ホルモン及び本明細書に開示した他の生物学的活性剤の経粘膜送達を増進するための有用な坦体を提供する。中鎖脂肪酸(C6からC12)及びモノグリセリドもまた、腸薬剤吸収を増進する活性を有することが示されており、そして本発明の経粘膜送達製剤及び方法内に適応することが可能である。加えて、中及び長鎖脂肪酸のナトリウム塩は、本発明内での生物学的活性剤の経粘膜送達のための、有効な送達媒体及び吸収増進剤である。それ故、脂肪酸は、ナトリウム塩の可溶性形で、あるいは無毒の界面活性物質、例えば、ポリオキシエチル化、水素化ヒマシ油、タウロコール酸ナトリウムその他の添加により用いることが可能である。天然に存在する不飽和長鎖脂肪酸(オレイン酸又はリノール酸)及びそのモノグリセリドと胆汁酸塩との混合ミセルは、腸粘膜に対して基本的に無害である、吸収増進能を示すことが証明されている(例えば、Muranishi,Pharm.Res:108−118,1985;及びCrit.Rev.Ther.drug carrier Syst:1−33,1990、を参照されたい)。本発明内で有用である他の脂肪酸及び混合ミセルには、限定されるわけではないが、任意にグリココール酸塩及びタウロコール酸塩のごとき胆汁酸塩と組み合わせた、Naカプリル酸(C8)、Naカプリン酸(C10)、Naラウリン酸(C12)又はNaオレイン酸(C18)が含まれる。
分解酵素阻害剤及び方法
成長ホルモンペプチドを含む生物学的活性剤を効果的に経粘膜送達することの主な弱点は、それらが粘膜酵素による分解を受けやすいことである。療法化合物の投与の経口経路は、胃におけるタンパク分解に加え、薬剤作用が意図された標的部位へ到達する前に、胃の高い酸度が経粘膜送達製剤の多くの活性及び不活性成分を破壊するので、特に問題である。活性のさらなる減損は、胃及び膵臓の酵素、そして腸の刷子縁薄膜中のエキソ及びエンドペプチダーゼの作用により、そして浸透障壁が粘膜を横切った活性剤の通過を阻止している腸粘膜での代謝により起こる。酵素分解に対するそれらの感受性に加え、循環系内へ導入された多くの治療化合物、特に比較的低分子量のタンパク質及びペプチドは、腎臓により哺乳動物対象から迅速に排出される。
薬剤送達に対する、いわゆる酵素障壁を克服する試みは、リポソーム(Takeuchiら,Pharm.Res.,13:896−901,1996)及びナノ粒子(Mathiowitzら,Nature386:410−4,1997)の使用を含んでおり、報告された所によれば、酵素活性に対する組み入れられたインシュリンの保護、そして酵素活性が比較的低い結腸へ標的化された送達システムの開発を提供している。Rubensteinら,J.Control Rel.,46:59−73,1997。加えて、プロテアーゼ阻害剤の同時投与が、インシュリンの経口生物学的利用能を改良するための多様な研究で報告されている。
生物治療化合物の増進された送達のための、プロテアーゼ阻害の領域におけるより最近の研究努力は、薬剤坦体マトリックスとして使用される粘膜接着性ポリマー上の、酵素阻害剤の共有結合による固定化に焦点を当てている。Bernkop−Schnurchら,Drug Dev.Ind.Pharm.,23:733−40,1997;Bernkop−Schnurchら,J.Control.Rel.,47:113−21,1997;Bernkop−Schnurchら,J.Drug Targ.,:55−63,1999。これらの技術と共に、本発明はより詳細な側面において、成長ホルモン及び他の生物学的活性剤の経粘膜送達のための、共通の坦体又は媒体で製剤された酵素阻害剤(所望により一つ又はそれより多くの追加の生物学的活性又は送達増進剤と協調的に投与されるべきである)、を提供する。所望により、酵素阻害剤は、坦体又は媒体へ共有結合で連結されている。特定の態様において、坦体又は媒体は生分解性ポリマー、例えば、生物接着性ポリマーである。それ故、例えば、トリプシン及びα−キモトリプシンに対して阻害効果を示す、Bowman−Birk阻害剤(BBI)(Birk Y.Int.J.Pept.Protein Res.,25:113−31,1985)、又は、低分子サイズのエラスターゼ特異的阻害剤、エラスタチナールのごときプロテアーゼ阻害剤を、本明細書に記載したように、粘膜接着性ポリマーへ共有結合で連結することができる。生じたポリマー−阻害剤コンゲートは、単独で、又は他の生物学的活性剤又は追加の送達増進剤と組み合わせて製剤される又は送達される、ペプチド及び他の生物学的活性剤のための経粘膜送達媒体として、実質的な有用性を示す。
本発明の経粘膜送達製剤及び方法内で有用である、粘膜接着性ポリマー−酵素阻害剤複合体の例には、限定されるわけではないが、カルボキシメチルセルロース−ペプスタチン(抗ペプシン活性を有する);ポリ(アクリル酸)−Bowman−Birk阻害剤(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−キモスタチン(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−エラスタチナール(抗エラスターゼ);カルボキシメチルセルロース−−エラスタチナール(抗エラスターゼ);ポリカルボフィル−エラスタチナール(抗エラスターゼ);キトサン−アンチパイン(抗トリプシン);ポリ(アクリル酸)−バシトラクシン(抗アミノペプチダーゼN);キトサン−EDTA(抗アミノペプチダーゼN、抗カルボキシペプチダーゼA);キトサン−EDTA−アンチパイン(抗トリプシン、抗キモトリプシン、抗エラスターゼ)、が含まれる。Bernkop−Schnurch,J.Control.Rel.,52:1−16,1998、本明細書において援用される。以下にさらに詳細に記載されるように、本発明の特定の態様は、所望により新規キトサン誘導体又はキトサンの化学的修飾形を組み入れるであろう。本発明内で使用するための、こうした新規誘導体の一つは、β−[1→4]−2−グアニジノ−2−デオキシ−D−グルコースポリマー(ポリ−GuD)として示されている(図1を参照されたい)。
上皮接合部(junction)構造及び/又は生理学を変調するための剤
本発明は、生物学的活性剤及び哺乳動物対象中での生物学的活性剤の経粘膜送達を増進するために効果的な透過性化剤を含む、新規医薬組成物を提供する。透過性化剤は、典型的には、対象中の上皮接合部構造及び/又は粘膜上皮表面での生理学を変調することにより、粘膜上皮傍細胞輸送を可逆的に増進する。この効果は典型的には、隣接した上皮細胞の、上皮膜接着タンパク質間のホモ型あるいはヘテロ型結合の、透過性化剤による阻害を含んでいる。ホモ型あるいはヘテロ型結合のこの遮断のための標的タンパク質は、多様な関連接合部接着分子(JAM)、オクルディン又はクラウディンから選択することが可能である。
本発明のより詳細な態様において、透過性化剤はペプチド又はペプチド類似体又は模倣体である。透過性化ペプチドの例は、哺乳動物JAM−1、JAM−2又はJAM−3タンパク質の細胞外ドメインの、約4−25近接アミノ酸を含んでなる。あるいは、透過性化ペプチドは、哺乳動物JAM−1、JAM−2又はJAM−3タンパク質の細胞外ドメインの、約6−15近接アミノ酸を含んでなることができる。追加の態様において、透過性化ペプチドは、哺乳動物JAM−1、JAM−2又はJAM−3タンパク質の細胞外ドメインの、約4−25近接アミノ酸、あるいは哺乳動物JAM−1、JAM−2又はJAM−3タンパク質の細胞外ドメインの、4−25近接アミノ酸の対応参照配列と少なくとも85%アミノ酸同一性を示すアミノ酸の配列を含んでなる。特定の態様において、透過性化ペプチドのアミノ酸配列は、哺乳動物JAM−1、JAM−2又はJAM−3タンパク質の対応参照配列と比較して、一つ又はそれより多くのアミノ酸置換、挿入又は欠失を示している。例えば、透過性化ペプチドは、哺乳動物JAM−1、JAM−2又はJAM−3タンパク質の対応参照配列と比較して、一つ又はそれより多くの保存的アミノ酸置換を示すことができる。こうした機能性ペプチド類似体又は変異体は、例えば、同一のヒトJAMタンパク質(例えば、ヒトJAM−1)の対応する野生型配列と比較して、一つ又はそれより多くのアミノ酸突然変異を有しており、ここにおいて、突然変異は、異なったヒトJAMタンパク質(例えば、ヒトJAM−2又はJAM−3)又は異なった種で観察される相同的JAMタンパク質(例えば、マウス、ラット又はウシJAM−1、JAM−2又はJAM−3タンパク質)中で同定された多岐にわたったアミノ酸残基又は配列に対応している。
本発明のこれらの側面に関連したさらなる記述は、治療化合物の増進された経粘膜送達のために、上皮接合部接着分子の生理学を変調するための組成物及び方法、と題し、2003年6月24日提出、第10/601,953号の米国特許出願にみることができる。
JAM、オクルディン及びクラウディンペプチド、タンパク質、類似体及び模倣体に加え、上皮接合部生理学及び/又は構造を変調するための追加の剤が、本発明の方法及び製剤内における使用のために企図された。上皮の固い接合部は一般に、約15オングストロームの半径を有する分子に関しては、本発明内において提供されるような実質的に接合部開口を刺激する接合部生理学制御剤で処理しない限り、透過不能である。本発明の方法及び組成物内の二次生理学的変調に有用な標的として働くであろう、「二次」の固い接合部調節成分の中で、ZO1−ZO2ヘテロ二量体性複合体は、粘膜上皮における傍細胞透過性を、容易にそして効果的に改変することが可能な外来性剤による生理学的調節に、それ自身よく従うことが示されている。広く研究されてきたこうした剤の一つは、「密着帯(zonula occludens)毒素」(ZOT)として知られている、ビブリオコレラからの細菌毒素である。この毒素は、腸粘膜透過性の増加を仲介し、そして感染した対象において下痢を含む疾患症状を起こす(Fasanoら,Proc.Nat.Acad.Sci.,USA :5242−5246,1991;Johnsonら,J.Clin.Microb31/3:732−733,1993;及びKarasawaら,FEBS Let106:143−146,1993、各々、本明細書において援用される)。ウサギ回腸粘膜で試験された場合、ZOTは、細胞間密着結合(tight junction)の構造を変調することにより、腸透過性を増加させた。より最近、ZOTは、腸粘膜における密着結合を可逆的に開口可能であることが見いだされた(例えば、WO96/37196;米国特許第5,945,510;5,948,629;5,912,323;5,864,014;5,827,534;5,665,389号、各々、本明細書において援用される、を参照されたい)。ZOTは、鼻粘膜における密着結合を可逆的に開口可能であることも報告されている(米国特許第5,908,825号、本明細書において援用される)。それ故、ZOT及びZO1−ZO2複合体を変調する他の剤は、一つ又はそれより多くのJAM、オクルディン及びクラウディンペプチド、タンパク質、類似体及び模倣体、及び/又は本明細書に開示した他の生物学的活性剤と組み合わせて製剤されるか、又は協調的に投与されるであろう。本発明の方法及び組成物内において、ZOT、ならびにZOT活性の作用薬または拮抗薬として機能するZOTの多様な類似体及び模倣体は、鼻粘膜内への及び横切った傍細胞吸収を増加させることにより、生物学的活性剤の鼻腔内送達を増進するために有用である。
PEG化(PEGylation)
本発明内において提供される追加の方法及び組成物は、ポリマー材料、例えば、デキストラン、ポリビニルピロリドン、グリコペプチド、ポリエチレングリコール及びポリアミノ酸の共有結合的付着による、生物学的に活性なペプチド及びタンパク質の化学的修飾を含んでいる。生じたコンジュゲート化ペプチド及びタンパク質は、その生物学的活性及び粘膜投与のための溶解度を保持している。代替態様において、成長ホルモンペプチド、タンパク質、類似体及び模倣体、そして他の生物学的活性ペプチド及びタンパク質は、ポリアルキレンオキシドポリマー、特にポリエチレングリコール(PEG)へコンジュゲートされている。米国特許第4,179,337号、本明細書において援用される。文献中の多数の報告は、PEG化ペプチド及びタンパク質の潜在的利点を記載しており、それはしばしば、増加したタンパク分解性分解に対する耐性、増加した血漿半減期、増加した溶解性及び減少した抗原性及び免疫原性を示す。Nucciら,Advanced Drug Deliver Reviews:133−155,1991;Luら,Int.J.Peptide Protein Res.,43:127−138,1994、各々が本明細書において援用される。L−アスパラギナーゼ、ストレプト−キナーゼ、インシュリン、インターロイキン−2、アデノシンデアミナーゼ、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン アルファ2b、スーパーオキシドジスムターゼ、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ウロキナーゼ、ウリカーゼ、ヘモグロビン、TGF−ベータ、EGF及び他の成長因子を含む多くのタンパク質が、PEGへコンジュゲートされており、そして治療剤としてのその改変された生化学特性が評価されている。Hoら,Drug Metabolism and Disposition 14:349−352,1986;Abuchowskiら,Prep.Biochem.,:205−211,1979;及びRajagopaianら,J.Clin.Invest.,75:413−419,1985,Nucciら,Adv.Drug Delivery Rev.,:133−151,1991、各々が本明細書において援用される。PEG化タンパク質のインビトロ生物学的活性は減少するかもしれないが、この活性の損失は増加した血流中でのインビボ半減期により相殺される。Nucciら,Advanced Drug Deliver Reviews:133−155,1991、本明細書において援用される。従って、これらのそして他のポリマー結合ペプチド及びタンパク質は、本明細書の方法及び製剤に従って粘膜的に投与された場合、延長された半減期及び減少した免疫原性のごとき増進された特性を示す。
タンパク質及びペプチドへのPEGの付着及びその続いての精製について、いくつかの手法が報告されている。Abuchowskiら,J.Biol.Chem.,252:3582−3586,1977;Beauchampら,Anal.Biochem.,131:25−33,1983、各々が本明細書において援用される。加えて、Luら,Int.J.Peptide Protein Res.,43:127−138,1994、本明細書において援用される、は多様な技術的考察を記述しており、そしてタンパク質対ペプチドについてのPEG化手法を比較している。Katreら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,84:1487−1491,1987;Beckerら,Makromol.Chem.Rapid Commun.,:217−223,1982;Mutterら,Makromol.Chem.Rapid Commun.,13:151−157,1992;Merrifield,R.B.,J.Am.Chem.Soc.,85:2149−2154,1993;Luら,Peptide Res.,:142−146,1993;Leeら,Bioconjugate Chem.,10:973−981,1999;Nucciら,Adv.Drug Deliv.Rev.,:133−151,1991;Francisら,J.Drug Targeting:321−340,1996;Zalipsky,S.,Bioconjugate Chem.,:150−165,1995;Clarkら,J.Biol.Chem.,271:21969−21977,1996;Pettitら,J.Biol.Chem.,272:2312−2318,1997;Delgadoら,Br.J.Cancer73:175−182,1996;Benharら,Bioconjugate Chem.,:321−326,1994;Benharら,J.Biol.Chem.,269:13398−13404,1994;Wangら,Cancer Res.,53:4588−4594,1993;Kinstlerら,Pharm.Res13:996−1002,1996;Filpulaら,Exp.Opin.Ther.Patents:231−245,1999;Pelegrinら,Hum.Gene Ther.,:2165−2175,1998、各々が本明細書において援用される。
これらの及び当該技術分野の他の教示に従い、PEG化活性剤の活性の受容可能なレベルを保つと同時に、循環半減期を延長させ及び/又は免疫原性を減少させるという結果を期待して、生物学的に活性なペプチド及びタンパク質とポリエチレングリコールとのコンジュゲーションを企てた。本発明内で使用するためのアミン反応性PEGポリマーには、2000、5000、10000、12000及び20000の分子質量を有するSC−PEG;U−PEG−10000;NHS−PEG−3400−ビオチン;T−PEG−5000;T−PEG−12000;及びTPC−PEG−5000が含まれる。これらのポリマーのための化学コンジュゲーション化学は発表されている。Zalipsky,S.,Bioconjugate Chem.,:150−165,1995;Greenwaldら,Bioconjugate Chem.,:638−641,1996;Martinezら,Macromol.Chem.Phys.,198:2489−2498,1997;Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,605−618,1996;Whitlowら,Protein Eng.,:989−995,1993;Habeeb,A.F.S.A.,Anal.Biochem.,14:328−336,1966;Zalipskyら,Poly(ethyleneglycol) Chemistry and Biological Applications,318−341,1997;Harlowら,Antibodies:a Laboratory Manual,553−612,Cold Spring Harbor Laboratory,Plainview,NY,1988;Milenicら,Cancer Res.,51:6363−6371,1991;Friguetら,J.Immunol.Methods77:305−319,1985、各々が本明細書において援用される。これらのプロトコルではリン酸緩衝液が共通して用いられているが、ホウ酸緩衝液の選択が、PEG化速度及び得られる生成物に有利に影響することができる。
本発明内で使用するための生物学的に活性なペプチド及びタンパク質中に存在するチオ基へ、他の基を結合させることがさらに企図される。例えば、ペプチド又はタンパク質は、システイン残基のチオ基へビオチンを結合することによりビオチニル化することができる。例は、システイン−本発明のPEG化タンパク質、ならびに本発明に従ってシステイン残基を経て共有結合で結合されたPEG以外の基を有しているタンパク質である。
活性剤の他の安定化修飾
PEG化に加え、本発明内で使用するためのペプチド及びタンパク質のごとき生物学的活性剤は、例えば、一つ又はそれより多くの免疫グロブリン鎖のごとき、一つ又はそれより多くの坦体タンパク質へ連結された活性ペプチド、タンパク質、類似体又は模倣体との融合タンパク質の作製による、他の既知の保護又は安定化化合物へのコンジュゲーションを経た活性剤の遮蔽により、循環半減期を増進するために修飾することが可能である。米国特許第5,750,375;5,843,725;5,567,584及び6,018,026号、各々が本明細書において援用される。これらの修飾は、活性剤の分解、隔離又はクリアランスを減少させ、そして生理学的環境(例えば、循環系において、又は粘膜表面で)におけるより長い半減期を生じるであろう。これらの及び他の安定化コンジュゲーション法により修飾された活性剤は、それ故、本発明の方法の範囲内における増進された効力のため有用である。特に、このように修飾された活性剤は、非修飾活性剤と比較して、送達又は作用の標的部位で、より長い期間にわたって活性を維持する。活性剤がこのように修飾された場合でさえも、それは非修飾化合物の生物学的活性と比較して、実質的な生物学的活性を保持している。
本発明の他の側面において、ペプチド及びタンパク質治療化合物を、アミノレチシン、脂肪酸、ビタミンB12及びグリコシドのごとき、比較的低分子量化合物と、増進された安定性のためにコンジュゲートする。本発明の組成物及び方法の範囲内で使用するための追加の例示的修飾ペプチド及びタンパク質は、以下の方法によりインビボ使用のために有利に修飾されるであろう:
(a)細胞質及び細胞小器官膜を横切るように活性ペプチド又はタンパク質を方向付けるように及び/又は所望の細胞内区画(例えば、増進されたCTL誘導のための樹状細胞のごとき、抗原提示細胞(APC)の小胞体(ER))へ活性ペプチド又はタンパク質を輸送するために働く、哺乳動物シグナルペプチド(Linら,J.Biol.Chem.,270 14255,1995)又は細菌ペプチド(Joliotら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,88:1864,1991)を、活性ペプチド又はタンパク質へ連結するための化学的又は組換えDNA法;
(b)活性コンジュゲートが、細胞表面上に存在するトランスロケーターへ特異的(即ち、約10、10、10、10又は1010−1より多きな結合親和性)に結合するその能力のため、細胞膜を横切るように活性コンジュゲートを方向付けるように働く、活性ペプチド又はタンパク質へのビオチン残基の付加(Chenら,Analytical Biochem.,227:168,1995);
(c)インビボ安定性を増加させるための、活性ペプチド又はタンパク質のアミノ及びカルボキシ末端、片方又は両方での遮断剤の付加。このことは、ペプチドの合成間に化学的に、又は組換えDNA技術により行うことが可能である。ピログルタミン酸又は当業者には知られている他の分子のごとき遮断剤はまた、アミノ及び/又はカルボキシ末端残基へ結合することも可能であり、あるいはアミノ末端のアミノ基又はカルボキシ末端のカルボキシル基を異なった部分で置き換えることもできる。
プロドラッグ修飾
本発明の範囲内で有用なさらに別のプロセシング及び製剤戦略は、プロドラッグの修飾戦略である。小有機分子中のカルボキシル、ヒドロキシル及びアミノ基のごとき基の一時的(即ち、生物可逆的)誘導体化により、これらの分子の望ましくない物理化学的特性(粘膜浸透を減少させる、例えば、電荷、水素結合能力その他)を、分子の薬理学的特性を永久に変更することなく「マスクする(mask)」ことが可能である。治療的小分子薬剤の生物可逆的プロドラッグ誘導体は、多数の例示の治療剤、特にヒドロキシル及びカルボン酸基を含んでいる治療剤の物理化学的(例えば、溶解度、親油性)特性を改良することが示されている。
本発明のペプチド及びタンパク質のごとき、アミン含有活性剤のプロドラッグを作製するための一つのアプローチは、アミノ基のアシル化を経るものである。所望により、プロドラッグとしてのアミンのアシロキシアルコキカルバメート誘導体は議論されている。3−(2’−ヒドロキシ−4’,6’−ジメチルフェニル)−3,3−ジメチルプロピオン酸が、アミンの直線状、エステラーゼ−、ホスファターゼ−及びデヒドロゲナーゼ−感受性プロドラッグを製造するために用いられてきた(Amsberryら,Pharm.Res:455−461,1991;Wolfeら,J.Org.Chem57:6138,1992)。
本発明の範囲内で有用であるペプチドを製造する目的のためには、米国特許第5,672,584号(本明細書において援用される)がさらに、生物学的に活性なペプチドの環状プロドラッグ、そしてペプチド核酸(PNA)の製造及び使用を記載している。
精製及び製造
本発明に従った粘膜投与のための生物学的活性剤、例えば、成長ホルモンペプチド、タンパク質、類似体あるいは模倣体、及び本明細書に開示されている他の生物学的活性剤は、一般的に実質的に純粋な形で、対象への直接投与のために提供する。本明細書において、用語「実質的に精製された」とは、天然に付随するタンパク質及び他の夾雑物から、全部又は一部、単離されている、ペプチド、タンパク質、核酸あるいは他の化合物を指すことが企図されており、ここにおいて、ペプチド、タンパク質、核酸あるいは他の化合物は、その天然に存在する状態と比較して(例えば、細胞抽出物内のその純度と比較して)測定可能な程度まで精製されている。
特定の態様において、用語「実質的に精製された」とは、細胞、細胞培養培地又は他の粗調製物から単離され、そしてタンパク質、細胞細片及び他の成分のごとき最初の調製物の多様な成分を除去するために分画を受けている、ペプチド、タンパク質又はポリヌクレオチド成分を指している。もちろん、こうした精製された調製物は、グリコシド残基のごとき活性剤に共有結合で付随している物質、あるいは活性剤と混合された又はコンジュゲートされた物質を含んでいてもよく、それは、活性剤の修飾誘導体又は類似体を得るため、あるいは組み合わせ治療製剤、コンジュゲート、融合タンパク質などを産生するために望んでもよい。それ故用語「精製された」は、ポリエチレングリコール、ビオチン又は他の部分のごとき追加の化合物又は部分が、他の化合物の付加を可能にするため及び/又は治療的処置又は診断的手法で有用な製剤を提供するために活性剤へ結合されている、ペプチド及びタンパク質類似体又は模倣体あるいは他の生物学的に活性な化合物のような所望の生成物を含んでいる。
ペプチド及びタンパク質精製での使用に適した多様な技術は、当業者には周知である。これらには、例えば、硫酸アンモニウム、PEG、抗体などによる、あるいは熱変性による沈殿、続いての遠心分離;イオン交換、ゲル濾過、逆相、ヒドロキシルアパタイト及び/又はアフィニティークロマトグラフィーのごときクロマトグラフィー工程;等電点電気泳動;そしてこうした及び他の技術の組み合わせ、が含まれる。R.Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,Springer−Verlag:ニューヨーク,1982、本明細書において援用される。一般に、生物学的活性ペプチド及びタンパク質は、ペプチドを発現する組織又は細胞培養物から抽出でき、そして次ぎに免疫沈降させ、その後、ペプチド及びタンパク質を標準タンパク質化学/クロマトグラフィー法によりさらに精製することが可能である。
製剤及び投与
本発明の経粘膜送達製剤は、典型的には、一つ又はそれより多くの医薬として受容可能な坦体、そして所望により他の治療的成分と一緒に組み合わされた、投与されるべき生物学的活性剤(例えば、本明細書に開示された一つ又はそれより多くの成長ホルモン及び他の生物学的活性剤)を含んでなる。坦体は、製剤の他の成分に適合性であり、そして対象に受容不能な有害効果を惹起しない、という意味において「医薬として受容可能」でなければならない。こうした坦体は本明細書において上に記載されており、そしてさもなければ、薬理学の分野の当業者には周知である。望ましくは、それにより投与されるべき生物学的活性剤が非適合性になることが知られている、酵素又は酸化剤のごとき物質を製剤は含むべきではない。製剤は薬学の分野でよく知られているいずれかの方法により調製することができる。
本発明の組成物及び法本発明の範囲内において、成長ホルモン及び本明細書に開示した他の生物学的活性剤を、経口、経直腸、経膣、鼻腔内、肺内、あるいは経皮送達、あるいは目、耳、皮膚又は他の粘膜表面への局所的送達、を含む多様な粘膜投与様式により対象へ投与することができる。所望により、成長ホルモン及び本明細書に開示した他の生物学的活性剤を、筋肉内、皮下、静脈内、動脈内、腹膜内あるいは非経口経路を含む、非粘膜経路により、協調的あるいは補助的に投与することが可能である。他の代替態様において、生物学的活性剤を、例えば、適した液体又は固体坦体中に生物学的活性剤を含むエキソビボ組織又は器官処置製剤の成分として、哺乳動物対象を起源とする細胞、組織又は器官への直接投与により、エキソビボで投与することが可能である。
本発明に従った組成物はしばしば、鼻あるいは肺スプレーとして水性溶液中で投与され、そして当業者には既知の多様な方法によりスプレー形で投薬することができる。鼻スプレーとして液体を投薬するための好ましいシステムは、米国特許第4,511,069号に開示されている。こうした製剤は、本発明に従った組成物を水に溶解して水性溶液を作製することにより都合よく調製することができ、そして前記溶液を無菌にする。製剤は、多−容量容器中、例えば、米国特許第4,511,069号に開示されている密封投薬システム中に存在させることができる。他の適した鼻スプレー送達システムは、Transdermal Systemic Medication,Y.W.Chien監修,Elsevier Publishers,ニューヨーク,1985;及び米国特許第4,778,810号に記載されている。追加のエアロゾル送達形は、医薬溶媒、例えば、水、エタノール又はその混合物に溶解された又は懸濁された生物学的活性剤を送達する、例えば、圧縮空気−、ジェット−、超音波−及び圧電−噴霧器を含むことができる。
本発明の鼻及び肺スプレー溶液は、薬剤、又は所望により非イオン性界面活性物質(例えば、ポリソルベート−80)のごとき表面活性剤、及び一つ又はそれより多くの緩衝液で製剤された送達されるべき薬剤、を典型的には含んでなる。本発明のいくつかの態様において、鼻スプレー溶液はさらに噴射剤を含んでなる。鼻スプレー溶液のpHは所望によりpH6.8から7.2であるが、望まれる場合、実質的に非イオン化状態にある荷電巨大分子種(例えば、治療的タンパク質又はペプチド)の至適送達へ調整する。用いられる医薬溶媒もまた、わずかに酸性の水性緩衝液(pH4−6)であることが可能である。これらの組成物の範囲内で使用するために適した緩衝液は、前に記載したような、又はさもなければ当該技術分野で知られているようなものである。他の成分を、化学的安定性を増進する又は維持するために加えることができ、保存剤、界面活性物質、分散剤又はガスを含んでいる。適した保存剤には、限定されるわけではないが、フェノール、メチルパラベン、パラベン、m−クレゾール、チオメルサール、ベンジルアルコニウムクロリドなどが含まれる。適した界面活性物質には、限定されるわけではないが、オレイン酸、ソルビタントリオェエート、ポリソルベート、レシチン、ホスファチジルコリン及び多様な長鎖ジグリセリド及びリン脂質が含まれる。適した分散剤には、限定されるわけではないが、エチレンジアミン四酢酸などが含まれる。適したガスには、限定されるわけではないが、窒素、ヘリウム、クロロフルオロカーボン(CFC)、フッ化炭化水素(HFC)、二酸化炭素、空気などが含まれる。
代替態様において、粘膜製剤は、鼻腔内送達に適切な粒子サイズの、又は適切な粒子サイズ範囲内の、乾燥(通常凍結乾燥されて)形での生物学的活性剤を含んでなる、乾燥粉末製剤として投与する。鼻又は肺通路内沈着のために適した最小粒子サイズはしばしば、約5μ空気動力学的等価粒径(MMEAD)、通例約1μMMEAD、そしてより典型的には約2μMMEADである。鼻通路内沈着に適した最大粒子サイズはしばしば、約10μMMEAD、通例約8μMMEAD、そしてより典型的には約4μMMEADである。これらのサイズ範囲内の鼻腔内呼吸可能粉末は、噴射製粉、噴霧乾燥、溶媒沈殿、超臨界流体凝縮などの多様な慣用的技術により製造することが可能である。適切なMMEADのこれらの乾燥粉末は、エアロゾル化量へ粉末を分散するために患者の呼吸(肺又は鼻吸入)に頼る、慣用的乾燥粉末吸入器(DPI)を経て投与することが可能である。あるいは、乾燥粉末は、エアロゾル化量へ粉末を分散するために外部動力源を使用する空気補助装置、例えば、ピストンポンプを経て投与することができる。
乾燥粉末装置は典型的には、一回エアロゾル化用量(「パフ(puff)」)を産生するために、約1mgから20mgの範囲の粉末量を必要とする。もし生物学的活性剤の必要とされる又は望ましい用量がこの量よりも少ないならば、粉末化活性剤は典型的には、必要とされる粉末量を提供するため、スクロース、ラクトース、デキストロース、マンニトール、グリシン、トレハロース、ヒト血清アルブミン(HSA)及びデンプンを含む、医薬乾燥充填粉末と併用されるであろう。他の適した乾燥充填粉末には、セロビオース、デキストラン、マルトトリオース、ペクチン、クエン酸、アスコルビン酸ナトリウムなどが含まれる。
本発明の範囲内における経粘膜送達のための組成物を製剤するため、生物学的活性剤を多様な医薬として受容可能な添加剤、ならびに活性剤の分散のための基剤又は坦体と併用することが可能である。望まれる添加剤には、限定されるわけではないが、アルギニン、水酸化ナトリウム、グリシン、塩酸、クエン酸などのごときpH制御剤が含まれる。加えて、局所麻酔薬(例えば、ベンジルアルコール)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール)、吸着阻害剤(例えば、トゥイーン80)、溶解増進剤(例えば、シクロデキストリン及びその誘導体)、安定化剤(例えば、血清アルブミン)そして還元剤(例えば、グルタチオン)を含ませることが可能である。粘液送達のための組成物が液体である場合、単位としてとった0.9%(w/v)生理学的食塩水の張度に関して測定された製剤の張度は、典型的には投与部位で鼻粘膜において実質的な、不可逆的な組織損傷が誘導されないであろう値に調整する。一般に、溶液の張度は約1/3から3、より典型的には1/2から3、そして最も多くの場合3/4から1.7の値に調整する。
生物学的活性剤は、活性剤及び所望の添加剤を分散する能力を有している親水性化合物を含んでなることができる、基剤又は媒体に分散することができる。基剤は、限定されるわけではないが、ポリカルボン酸又はその塩、カルボン酸無水物(例えば無水マレイン酸)と他のモノマー(例えば、メチル(meth)アクリレート、アクリル酸など)とのコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンのごとき親水性ビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースその他のごときセルロース、そして、キトサン、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒアルロン酸そしてその無毒な金属塩のごとき天然ポリマーを含む、広範囲の適した坦体から選択することができる。しばしば、基剤又は坦体として生分解性ポリマーが選択される;例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)コポリマー、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸グリコール酸グリコール酸)コポリマー、及びその混合物。あるいは又は追加として、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステルなどのごとき合成脂肪酸エステルを、坦体として用いることが可能である。親水性ポリマー及び他の坦体は単独であるいは併用して使用することが可能であり、そして増進された構造完全性を、部分的結晶化、イオン結合、架橋などにより坦体へ与えることが可能である。坦体は、鼻粘膜への直接応用のために、液体又は粘稠性溶液、ゲル、ペースト、粉末、ミクロスフェア及びフィルムを含む多様な形で提供することが可能である。これに関連して選択された坦体の使用は、生物学的活性剤の吸収の促進をもたらすことができる。
生物学的活性剤は、多様な方法に従った基剤又は坦体と併用することが可能であり、そして活性剤の放出は、拡散、坦体の崩壊又は連合した水路の形成によることができる。いくつかの状況において、適したポリマー、例えば、イソブチル−2−シアノアクリレートから製造されたマイクロカプセル(ミクロスフェア)あるいはナノカプセル(ナノスフェア)中に活性剤を分散し、そして鼻粘膜へ応用される生分解可能分散媒質に分散すると、より長い期間にわたり、持続性送達及び生物学的活性がもたらされる。
本発明の範囲内の医薬品の経粘膜送達をさらに増進するため、活性剤を含んでなる製剤はまた、基剤又は賦形剤として親水性低分子量化合物を含むこともできる。こうした親水性低分子量化合物は、生理学的に活性なペプチド及びタンパク質のごとき水−可溶性活性剤が、基剤を通して体表面(そこで活性剤は吸着される)へ拡散することができる通過媒質を提供する。親水性低分子量化合物は所望により、粘膜又は投与大気から湿気を吸収し、そして水−可溶性活性剤を溶解する。親水性低分子量化合物の分子量は、一般に10000を超えず、そして好ましくは3000を超えない。親水性低分子量化合物の例には、スクロース、マンニトール、ラクトース、L−アラビノース、D−エリスロース、D−リボース、D−キシロース、D−マンノース、D−ガラクロース、ラクツロース、セロビオース、ゲンチビオース、グリセリン及びポリエチレングリコールのごときオリゴ−、ジ−及びモノサッカリドのごときポリオールが含まれる。本発明の範囲内における坦体として有用な親水性低分子量化合物の他の例には、N−メチルピロリドン及びアルコール(例えば、オリゴビニルアルコール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールその他)が含まれる。これらの親水性低分子量化合物は、単独で、あるいはお互いに又は鼻腔内製剤の他の活性又は不活性成分と併用して使用することが可能である。
本発明の組成物は、あるいは、生理学的条件に近づけるために必要とされる、医薬として受容可能な坦体物質として、pH調整及び緩衝化剤、張度調整剤、加湿剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンその他を含むことができる。固体組成物に対しては、慣用的な無毒、医薬として受容可能な坦体を使用することが可能であり、それには、例えば、医薬品質のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが含まれる。
生物学的活性剤を投与するための治療的組成物はまた、溶液、マイクロエマルジョン又は活性成分の高濃度のために適した他の規則正しい構造として処方することが可能である。坦体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)及びその適した混合物を含む、溶媒又は分散媒質であろう。溶液の適切な流動度は、例えば、レシチンのごときコーティングの使用により、分散性製剤の場合における所望の粒子サイズの維持により、そして界面活性物質の使用により維持することが可能である。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトールのごとき多価アルコール、ソルビトール又は塩化ナトリウムを含むことが望ましいであろう。吸収を遅らせる剤、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物に含ませることは、生物学的活性剤のより延ばされた吸収をもたらすことが可能である。
本発明の特定の態様において、生物学的活性剤を時間放出製剤、例えば、遅延放出ポリマーを含む組成物で投与する。活性剤を、急速な放出に逆らって保護するであろう坦体、例えば、ポリマー、マイクロカプセル化送達システムあるいは生物接着性ゲルのごとき制御放出媒体と調製することが可能である。吸収を遅らせる剤、例えば、アルミニウムモノステアレートヒドロゲル及びゼラチンを組成物に含ませることは、本発明の多様な組成物において、活性剤のより延ばされた送達をもたらすことが可能である。生物学的活性剤の制御放出製剤が望まれる場合、本発明に従って使用するために適した制御放出結合剤は、活性剤に対して不活性であり、そして生物学的活性剤を組み入れることが可能である任意の生物適合性制御放出物質を含んでいる。多数のこうした物質が当該技術分野で知られている。有用な制御放出結合剤は、その鼻腔内送達に続いた生理的条件下(例えば、鼻粘膜表面で、あるいは経粘膜送達後の体液存在下)、徐々に代謝される物質である。適した結合剤には、限定されるわけではないが、持続性放出製剤において当該技術分野で以前に使用されている生物適合性ポリマー及びコポリマーが含まれる。こうした生物適合性化合物は、取り囲んでいる組織に対して無毒そして不活性であり、そして鼻刺激、免疫応答、炎症などのごとき著しく有害な副作用の引き金を引かない。これらは、また生物適合性でありそして容易に体内から除去される代謝産物へ代謝される。
これに関係して使用するためのポリマー物質の例には、限定されるわけではないが、加水分解可能エステル結合を有している、コポリマー及びホモポリマーポリエステルから誘導されたポリマーマトリックスが含まれる。生分解可能であり、そして全く毒性がないか又は低毒性を有している分解産物へ導かれる、多数のものが当該技術分野で知られている。ポリマーの例には、ポリグリコール酸(PGA)及びポリ乳酸(PLA)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸)(DL PLGA)、ポリ(D−乳酸−コ−グリコール酸)(D PLGA)及びポリ(L−乳酸−コ−グリコール酸)(L PLGA)が含まれる。他の有用な生分解可能又は生物腐食可能ポリマーには、限定されるわけではないが、ポリ(イプシロン−カプロラクトン)、ポリ(イプシロン−アプロラクトン−CO−乳酸)、ポリ(ε−アプロラクトン−CO−グリコール酸)、ポリ(ベータ−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(アルキル−2−シアノアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチル メタクリレート)のごときヒドロゲル、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)(即ち、L−ロイシン、グルタミン酸、L−アスパラギン酸等)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(2−ヒドロキシエチル DL−アスパルトアミド)、ポリアセタールポリマー、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリマレアミド、ポリサッカリドそしてこれらのコポリマーが含まれる。こうした製剤を調製するための多くの方法は一般に当業者には知られている(例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,監修,Marcel Dekker,Inc.,ニューヨーク,1978、を参照されたい)。他の有用な製剤には、ロイプロリド(登録商標:Lupron.RTM.)の投与について当該技術分野で知られているごとき制御放出組成物が含まれる;例えば、マイクロカプセル(米国特許第4,652,441及び4,917,893号、各々が本明細書において援用される)、マイクロカプセル及び他の製剤の作製に有用な乳酸−グリコール酸コポリマー(米国特許第4,677,191及び4,728,721号)。
本発明の粘膜製剤は典型的には、製造、保存及び使用のすべての条件下、無菌及び安定でなければならない。無菌溶液は、必要なら上に列挙した成分の一つ又は組み合わせと共に、適切な溶媒中に必要とされる量の活性化合物を取り込み、続いて濾過滅菌することにより調製することが可能である。一般に、分散液は、基礎分散媒質及び必要とされる他の上に列挙したものからの成分を含む無菌媒体内へ、活性化合物を取り込むことにより調製する。無菌粉末の場合、製造法は、前記の滅菌濾過溶液からの、活性成分に加えて追加的な任意の所望の成分の粉末をもたらす真空乾燥及び凍結乾燥を含んでいる。微生物の作用の予防は、多様な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することが可能である。
本明細書において、用語「対象」とは、本発明の組成物を投与することができる任意の哺乳動物患者を意味している。本発明の組成物及び方法での処置が意図される典型的対象には、ヒトならびに非ヒト霊長動物及び他の動物が含まれる。本発明に従った粘膜投与は、もし投薬及び副作用を制御する及びモニターするための十分な保護が適切であれば、患者による処置の有効な自己投与を可能にする。粘膜投与はまた、痛みをもたらしそして患者を潜在的感染に暴露し、そして薬剤生物利用能の問題が存在してもよい、注射のごとき他の投与形の特定の欠点も克服する。鼻及び肺送達に対して、スプレーのような治療的液体の制御エアロゾル分配のためのシステムは周知である。一つの態様において、活性剤の計量された用量を、特別に構築された機械的ポンプバルブにより送達する(米国特許第4,511,069号)。この手で支える送達装置は、エアロゾル容器中の溶液の安定性が無期限に保たれるように、独特にも口が開けられていない。
投薬量
これに関連した有効投与量は典型的には、動物モデル研究、続いてのヒト臨床試験に基づいており、そして対象における標的化疾患症状又は状態の発生又は重度を有意に減少させる、有効投与量及び投与プロトコルを決定することにより導かれる。これに関して適したモデルには、例えば、マウス、ラット、ネコ、非ヒト霊長動物及び当該技術分野で知られている他の受容された動物モデルが含まれる。あるいは、有効投与量はインビトロモデルを使用しても決定することができる(例えば、免疫学的及び組織病理学的アッセイ)。こうしたモデルを使用すると、生物学的活性剤の治療的有効量(例えば、所望の応答を惹起するために、鼻腔内的に有効な、経皮的に有効な、静脈内的に有効な、又は筋肉内的に有用な量)を投与するために適切な濃度及び用量を決定するには、通常の計算及び調節のみしか典型的には必要とされない。代替態様において、生物学的活性剤の「有効量」又は「有効用量」は、治療的又は診断的目的のため、上に示したような、疾患又は状態に相関した、一つ又はそれより多くの選択された生物学的活性を単純に阻害し、あるいは増進してもよい。
生物学的活性剤の実際の量は、もちろん、疾患徴候及び対象の特定の状態(例えば、対象の年齢、大きさ、適性、症状の度合い、感受性因子等)、投与の時間及び経路、現在投与されている他の薬剤又は処置、ならびに対象における所望の活性又は生物学的応答を惹起する生物学的活性剤の特別の薬物学、のごとき因子に従って変化するであろう。投与計画は、最適の予防的又は治療的応答を提供するように調節することができる。治療的有効量はまた、臨床期間において、生物学的活性剤の毒性又は有害な副作用より、治療的に有益な効果が勝っているような量でもある。本発明の方法及び製剤範囲内の、生物学的活性剤の治療的有効量の非制限的な範囲は、0.01μg/kg−10mg/kg、より典型的には約0.005から5mg/kgの間、そして特定の態様においては約0.2から5mg/kgの間である。この範囲内の投与量は、一回又は、例えば、一日数回、毎日又は週一回投与を含む多回投与により達成することが可能である。一回投与当たり、少なくとも1マイクログラム、より典型的には約10μgから5.0mgの間の、そして特定の態様においては約100μgから1.0又は2.0mgの間の生物学的活性剤(例えば、成長ホルモン及び他の生物学的活性剤)を、平均ヒト対象へ投与するのが望ましい。各々の特定の対象に対し、個々の要求及び、透過性化ペプチド及び他の生物学的活性剤の投与を管理している又は監督している人物の職業的判断に従って、時間を通して具体的投与計画を評価及び調節しなければならないことをさらに注意すべきである。
標的部位での所望の濃度を維持することに参加している臨床家は、生物学的活性剤の投与量を変化することができる。例えば、血流又はCNSにおける生物学的活性剤の選択された局所濃度は、リットル当たり約1−50ナノモル、対象の状態及び企画された又は測定された応答に依存して、時にはリットル当たり約1ナノモルからリットル当たり10、15又は25ナノモルの間であることができる。より高いあるいはより低い濃度を、送達の様式に基づいて選択することができる、例えば、経表皮、経直腸、経口又は鼻腔内送達対静脈内又は皮下送達。投与量はまた、投与された製剤の放出速度に基づいても調節すべきである、例えば、鼻スプレー対粉末、持続的放出対注射された粒子又は経皮送達製剤その他。同一の血清レベルを達成するには、例えば、5ナノモルの放出速度を有する(標準条件下)遅放出粒子は、10ナノモルの放出速度を有する粒子の投与量の、約2倍が投与されるであろう。
成長ホルモンのエアロゾル鼻投与
我々は、成長ホルモンを鼻スプレー又はエアロゾルを使用して鼻腔内へ投与できることを発見した。多くの他及びペプチドがスプレー又はエアロゾル産生の際にアクチュエーターにより発生される機械的力により剪断又は変性されることが示されているので、このことは驚きである。この領域において以下の定義が有用である。
1.エアロゾル−圧力下で包装され、そして適切なバルブシステムの活性化により放出される治療的に活性な成分を含む製品。
2.定量式エアロゾル−各活性化で均一量の送達を可能にする、定量式用量バルブを含んでなる加圧型剤形。
3.粉末エアロゾル−圧力下で包装され、そして適切なバルブシステムの活性化により放出される、粉末の形の治療的に活性な成分を含む製品。
4.スプレーエアロゾル−湿ったスプレーとして製品を放出するための力を提供する推進剤として圧縮ガスを利用する、エアロゾル製品。
5.スプレー−空気又は蒸気の噴射により細かく分割された液体。鼻スプレー薬剤製品は、非加圧ディスペンサー(dispenser)中で溶液又は賦形剤の混合物に熔解された又は懸濁された治療的に活性な成分を含んでいる。
6.定量式スプレー−各活性化によりスプレーの明記された量を分配することを可能にするバルブから成る非加圧剤形。
7.懸濁液スプレー−液体媒体中に分散され、そして粗い小滴の形として又は細かく分割された固体としての固体粒子を含んでいる液体製剤。
薬剤送達装置(「DDD」)としての定量式鼻スプレーポンプにより噴出されたエアロゾルスプレーの流体力学特徴付け。スプレー特徴付けは、新規及び既存の鼻スプレーポンプの研究及び開発、品質保証及び安定性試験法の食品医薬品局(「FDA」)承認に必要とされる規定提出書に絶対に必要な部分である。
スプレーのジオメトリー特徴付けをすることが鼻スプレーポンプの総合的性能の最良の指標であることが見いだされている。特に、装置から出て行くスプレーの発散角度(プリューム(plume)ジオメトリー);スプレーの横断面楕円率、均一性そして粒子/小滴分布(スプレーパターン);そして発達しているスプレーの時間展開の測定は、鼻スプレーポンプの特徴付けにおいて最も代表的な性能量であることが見いだされている。品質保証及び安定性試験の間、プリュームジオメトリー及びスプレーパターン測定は、鼻スプレーポンプのための承認されたデータ基準との一貫性及び適合性を証明している、鍵となる識別子(identifier)である。
定義
プリューム高−アクチュエーター先端から、プリューム角度が直線的流れの崩壊のため非直線となるまでの測定値。デジタル画像の視覚的試験に基づいており、スプレーパターンの最も遠い測定ポイントと一致している幅の測定地点を確立するため、30mmの高さがこの研究に定義される。
長軸−基礎ユニットのCOMwと交差した適合スプレーパターン内に引くことが可能な最も大きな弦(mm)。
短軸−基礎ユニットのCOMwと交差した適合スプレーパターン内に引くことが可能な最も小さな弦(mm)。
楕円率−短軸に対する長軸の比。
10−試料の全液体容量の10%が、より小さい直径の小滴から成る小滴の直径(μm)。
50−試料の全液体容量の50%が、より小さい直径の小滴から成る小滴の直径(μm)。
90−試料の全液体容量の90%が、より小さい直径の小滴から成る小滴の直径(μm)。
スパン(span)−分布の幅の測定。より小さな値は、分布をより狭くする。スパンは(D90−D10)/D50として計算される。
%RSD−パーセント相対標準偏差、一連のものの平均で標準偏差を割り、100倍する、%CVとしても知られている。
図1A及び1Bは、働く前(図1A)そして働いた後(図1B)の鼻スプレー装置10を示している。鼻スプレー装置10は、成長ホルモン製剤を入れるボトル12そしてアクチュエーター14から成っており、作動された又は働いた時、アクチュエーター14を通して、スプレーボトル12の外へ成長ホルモンのスプレープリューム16を押し出す。スプレーパターンは、プリュームの前もって決定された高さ18のスプレープリューム16の横断面の写真を撮ることにより決定する。スプレープリュームはまた、それがアクチュエーター14を離れている時、噴出20の角度も有している。スプレープリューム16のスプレーパターンは図2に示されている。スプレーパターン22は楕円であり、そして長軸24及び短軸26を有している。
以下に記載した製剤を使用し、噴出当たり0.1mLの用量を送達し、そして36.05mmのディップチューブ長を有する、鼻Spray Pump w/ Safety Clip,Pfeiffer SAP #60548、を有している1mL及び3mLボトル両方の、スプレーパターン特徴付け及び製剤の小滴サイズを決定することが可能である。
キット
本発明はまた、上述の医薬組成物、活性成分、及び/又は哺乳動物対象において、疾患及び他の状態の予防及び処置に使用するため、前記物質を投与するための手段を含有する、キット、パッケージ及び多容器単位も含む。簡潔には、これらのキットは、経粘膜送達のための医薬調製中に処方される成長ホルモン及び本明細書に開示する他の生物学的活性剤を含有する容器または製剤も含む。生物学的活性剤は、所望により、バルク分配容器あるいは単位剤形または多単位剤形に含有される。例えば肺または鼻内スプレーアプリケーターなど、所望による分配手段が提供可能である。パッケージング物質は、同時にパッケージングされる医薬剤が、特定の疾患または状態を処置するかまたは予防するため、粘膜的に、例えば鼻腔内的に使用することが可能であることを示す、ラベルまたは取り扱い説明書を、所望により含む。
以下の実施例は、例示のために提供されるが、制限ではない。
実施例1
本明細書の教示に従う成長ホルモンの増進された経鼻粘膜送達のための例示の製剤を以下のように調製しそして評価した:
Figure 2007500243
実施例2
経鼻粘膜送達−透過動力学及び細胞傷害性
1.器官型モデル
以下の方法は、本発明の製剤及び方法内の成長ホルモンの経鼻粘膜送達パラメーター、動力学及び副作用を評価する、並びに成長ホルモンとの組み合わせ製剤あるいは協調的投与のために本明細書に開示する多様な鼻腔内送達増進剤の効力及び特徴を決定するのに一般的に有用である。
透過動力学及び細胞傷害性はまた、経粘膜送達増進剤との組み合わせ製剤または協調的投与のため、本明細書に開示する多様な経粘膜送達増進剤の有効性及び特徴を決定するのにも有用である。一つの例示的なプロトコルにおいて、成長ホルモンに例示される、生物学的活性療法剤と組み合わせて、上に開示するような鼻腔内送達増進剤の、透過動力学及び許容しえない細胞傷害性の欠如が立証される。
呼吸管を裏打ちする擬似階層化上皮のモデルとして、EpiAirway(商標)システムがMatTek Corp(マサチューセッツ州アッシュランド)により開発された。上皮細胞は、空気−液体界面で、底が多孔膜である細胞培養挿入物上で増殖され、これによって、細胞は高度に極性化された形態に分化する。頂端表面は、微小繊毛超構造で繊毛化され、そして上皮は粘液を産生する(イムノブロッティングにより、ムチンの存在が確認されている)。挿入物は、0.875cmの直径を有し、0.6cmの表面面積を提供する。輸送のおよそ3週間前に、工場で、挿入物上に細胞を蒔く。1つの「キット」は24ユニットからなる。
A.到着したら、ユニットを6ウェル−マイクロプレート中の無菌支持体上に置く。各ウェルには、5mlの専売培地を入れる。このDMEMに基づく培地は、血清不含であるが、上皮増殖因子及び他の因子が補充されている。培地は常に、鼻内送達に関して考慮されるいかなるサイトカインまたは増殖因子の内因性レベルに関しても試験されているが、これまで、インスリンを除き、研究されたすべてのサイトカイン及び因子を含んでいない。5mlの量は、スタンド上のユニットの底に接触するのに十分であるが、上皮の頂端表面は、空気と直接接触を維持するようにされている。この工程及びユニットを液体含有ウェルに移すことを伴うすべての続く工程では、無菌ピンセットを用い、ユニットの底及び培地の間に空気がまったく捕捉されないことを確実にする。
B.プレート中のユニットを、空気中5%COの大気において、インキュベーター中で37℃に24時間維持する。この期間の最後に、培地を新鮮な培地と交換し、そしてユニットをさらに24時間、インキュベーターに戻す。
2.実験プロトコル−透過動力学
A.24のEpiAirwayユニットの「キット」は、5つの異なる製剤を評価するために日常的に使用することが可能であり、製剤は各々、4つ組のウェルに適用する。各ウェルは、透過動力学の測定(4つの時点)、経上皮電気抵抗、MTT還元によって測定されるようなミトコンドリアレダクターゼ活性、及びLDHの放出によって測定されるような細胞溶解に使用する。追加のセットのウェルを対照として使用し、これは透過動力学の測定中、偽処理するが、そうでなければ経上皮抵抗及び生存度の測定のための試験試料含有ユニットと同一に取り扱う。対照の測定もまた、日常的に、4つ組のユニット上で行うが、時に、われわれは、対照に関して3つ組ユニットを使用し、そしてキット中の残った4つのユニットを、未処理ユニットに対する経上皮抵抗及び生存度の測定にあてるか、または、総LDHレベルの測定用にユニットを凍結し、そして融解して、100%細胞溶解の参照値として用いた。
B.すべての実験において、研究されるべき経鼻粘膜送達製剤を、全頂端表面を覆うのに十分である100μlの容積中、各ユニットの頂端表面に適用する。続いてのELISAまたは他の設計されたアッセイによって活性物質の濃度を測定するため、頂端表面に適用する濃度で、試験製剤の適切な容積(一般的に100μlを超えては必要とされない)を取り分けておく。
C.実験のため、スタンドなしで、6ウェルプレート中にユニットを入れる:各ウェルは、0.9mlの培地を含有し、これは、ユニットの多孔膜の底に接触するのに十分であるが、ユニットに対して、いかなる有意な上方静水圧も生じない。
D.エラーの潜在的な源を最小限にし、そして濃度勾配のいかなる形成も回避するため、研究各時点で、ユニットを一つの0.9ml含有ウェルから別のウェルに移す。これらの移動は、100μl体積の試験物質を頂端表面に適用したゼロ時点に基づいて、以下の時点で行う:15分、30分、60分、及び120分。
E.各時点の間では、プレート中のユニットを37℃のインキュベーターに維持する。プレートを取り除き、そして無菌ピンセットを用いて、一つのウェルから別のウェルにユニットを移す短い期間中、温度に最小の変化しか起きないように、ウェルあたり0.9ml培地を含有するプレートもまた、インキュベーターに維持する。
F.各時点の完了時、各ユニットを移したウェルから培地を取り除き、そして透過した試験物質の濃度を測定するため、二つの試験管(一方の試験管には700μlを入れ、そしてもう一方には200μlを入れる)に分注し、そして試験物質が細胞傷害性である場合、上皮からの細胞溶解酵素、乳酸デヒドロゲナーゼの放出に関して測定する。もしアッセイを24時間以内に行うならば、これらの試料を冷蔵庫中に維持し、または試料を副分注し、アッセイ用に一回融解するまで、−80℃に凍結して維持する。繰り返しの凍結−融解サイクルは避けるべきである。
G.エラーを最小限にするため、すべての試験管、プレート、及びウェルは、実験を開始する前に、あらかじめラベルする。
H.120分時点の最後に、最後の0.9ml含有ウェルから、ウェルあたり0.3ml培地を含有する24ウェル・マイクロプレートにユニットを移す。この容積は再び、ユニットの底に接触するのに十分であるが、ユニットに上方静水圧を及ぼさない。経上皮抵抗の測定前に、ユニットをインキュベーターに戻す。
3.実験プロトコル−経上皮抵抗
A.呼吸気道上皮細胞は、インビボならびにインビトロで密着結合を形成し、そしてそれによって、組織を横切る溶質の流れを制限している。これらの結合は、切り出した気道組織において、数百オームxcmの経上皮抵抗を与える。MatTek EpiAirway(商標)ユニットにおいて、経上皮電気抵抗(TER)は、製造者によって、日常的に、ほぼ1000オームxcmであると主張されている。透過研究における一連の工程間、偽曝露された対照EpiAirwayユニットのTERは、いくぶん低い(700〜800オームxcm)ことを観察したが、小分子の透過は、TERの逆数に比例するため、この値は、なお、透過に対する主障壁を提供するのにはまだ十分に高い。細胞を含まない、底が多孔膜であるユニットは、逆に最小経膜抵抗しか提供しない(5〜20オームxcm)。
B.TERの正確な測定は、オーム測定装置の電極が、膜の上及び下の有意な表面面積に渡って配置され、そして膜からの電極の距離が、再生可能に制御されることを必要とする。MatTekに推奨され、そして本明細書のすべての実験に使用されるTER測定法は、World Precision Instruments,Inc.、フロリダ州サラソタの「EVOM」(商標)上皮ボルトオーム測定装置及び「ENDOHM」(商標)組織抵抗測定チャンバーを使用する。
C.電極を平衡化するため、TER測定前の少なくとも20分間、チャンバーをまず、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で満たす。
D.TERの測定は、チャンバー中1.5mlのPBS、及び測定しようとする、底が膜であるユニット中350μLのPBSで行う。細胞を含有しない(しかし350μLのPBSを含有する)ユニットの膜のすぐ上の位置にくるように上部電極を調整し、そしてその後、再生可能な配置を確実にするため、固定する。細胞不含ユニットの抵抗は、典型的には、5〜20オームxcm2である(「バックグラウンド抵抗」)。
E.チャンバーを用意し、そしてバックグラウンド抵抗を記録したら、透過測定にちょうど使用した24ウェルプレート中のユニットをインキュベーターから取り除き、そしてTER測定のため、個々にチャンバーに入れる。
F.膜の底が湿っていることを確実にするため、各ユニットを、まず、PBSを含有するペトリ皿に移す。PBS分割量350μLをユニットに添加し、そしてその後、注意深く吸引して、標識した試験管に入れ、頂端表面をリンスする。その後、350μL PBSの2回目の洗浄液をユニットに適用し、そして同じ収集試験管中に吸引する。
G.ユニットをチャンバー(新鮮なPBS分割量1.5mlを含有する)に入れる前に、外部表面の余分なPBSのみを穏やかに拭き取ってなくす。上部電極をチャンバーに入れ、そしてEVOM測定装置上でTERを読み取る前に、PBS分割量350μLを、ユニットに添加する。
H.ユニットのTERをENDOHMチャンバー中で読み取った後、ユニットを取り除き、PBSを吸引して、そして保存しておき、そして空気界面が頂端表面上であるように、ユニットを、ウェルあたり0.3mlの培地を含有する24ウェルプレートに戻す。
I.以下の順序でユニットを読み取る:すべて偽処理した対照、その後、すべて配合物処理した試料、その後、偽処理した対照各々の第二のTER読み取り。すべてのTER測定が完了した後、MTT還元により生存度を測定するため、24ウェルマイクロプレート中のユニットをインキュベーターに戻す。
4.実験プロトコル−MTT還元による生存度
MTTは、損なわれていないミトコンドリア機能を持つ生存細胞によって、または呼吸バーストを生じうる細胞由来の非ミトコンドリアNAD(P)Hデヒドロゲナーゼ活性によって、不溶性有色ホルマザンにミトコンドリア デヒドロゲナーゼ活性によって還元される、細胞透過性テトラゾリウム塩である。ホルマザンの形成は、上皮細胞の生存度の優れた指標であり、これは、これらの細胞が有意な呼吸バーストを生じないためである。我々は、生存度を評価するため、これらのユニットに対して、MatTek Corpによって調製されたMTT試薬キットを使用した。
A.MTT試薬は濃縮物として供給され、そして生存度をアッセイしようとする日(典型的には、透過動力学及びTERを午前中に測定し、その日の午後)に、専売のDMEMに基づいた希釈剤に希釈する。不溶性試薬は、使用前に簡単な遠心分離により除去する。最終MTT濃度は1mg/mlである。
B.最終MTT溶液をウェルあたり300μLの容積で、24ウェルマイクロプレートのウェルに添加する。上述のように、この容積は、EpiAirwayユニットの膜に接触するのに十分であるが、細胞に有意な陽性静水圧を課さない。
C.TER測定後に、入れておいた24ウェルプレートからユニットを取り出し、そしてユニットの外部表面からいかなる余分な液体も取り除いた後、MTT試薬を含有するプレートに移す。その後、プレート中のユニットを、空気中5%COの大気中、37℃のインキュベーターに3時間入れる。
D.3時間のインキュベーション終了時、生存細胞を含有するユニットは、目に見えて紫に変わっているであろう。不溶性ホルマザンは、MTT還元の度合いを定量化するため、ユニット中の細胞から抽出しなければならない。ホルマザンの抽出は、先のように、ユニットの外部表面から余分な液体を取り除いた後、ウェルあたり2mlの抽出溶液を含有する24ウェルマイクロプレートにユニットを移すことによって達成される。この容積は、ユニットの膜及び頂端表面両方を完全に覆うのに十分である。光遮断チャンバー中、室温で一晩、抽出を進行させる。MTT抽出物は、伝統的に、高濃度の界面活性剤を含有し、そして細胞を破壊する。
E.抽出終了時、各ユニット内の液体及び周りのウェルの液体を合わせ、そして試験管に移して、続いて96ウェルマイクロプレートに分注し(200μL分割量が最適である)そしてVMaxマルチウェルマイクロプレート分光光度計上で、570nmの吸光度を測定する。抽出されたユニットから生じる破片による濁度が吸光度に寄与しないことを確実にするため、VMaxにおいて、各ウェルに関して650nmでの吸光度もまた測定し、そして570nmでの吸光度から自動的に減じる。ホルマザン吸光度の測定の「ブランク」は、ユニットが曝露されていない抽出物の200μL分割量である。この吸光度の値は、ゼロ生存度を構成すると仮定される。
F.24EpiAirwayユニットの各キットから二つのユニットを、透過動力学及びTERの測定中、処理しないまま放置する。これらのユニットは、100%細胞生存度の陽性対象として使用される。行うすべての研究において、これらの未処理ユニットの細胞に対する、透過動力学に関して偽処理し、そしてTER測定を行った対照ユニットの細胞の細胞生存度には、統計的に有意な相違はなかった。試験製剤で処理したすべてのユニットの吸光度は、MTTとのインキュベーション時、ユニット中の細胞の生存度パーセントに直線的に比例すると仮定される。このアッセイは、TER測定中、典型的には、頂端表面に試験物質を導入し、そして続いて、ユニットの頂端表面をリンスした4時間後より前には行われないことに注目すべきである。
5.LDH放出による生存度の測定
MTT還元によるミトコンドリア レダクターゼ活性の測定は、細胞生存度の高感度プローブであるが、このアッセイは必然的に細胞を破壊し、そしてそれ故、各研究の終了時にのみ実行可能である。細胞が壊死性溶解を経る際、細胞質ゾルの内容物が周囲の培地に流出し、そして乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)などのごとき細胞質ゾル酵素がこの培地中で検出可能である。培地中のLDHに関するアッセイは、透過動力学の2時間の測定の各時点で取り除かれる培地試料に対して実行可能である。従って、かなりの時間が経過するまで発展しない、製剤の細胞傷害性の効果とともに、気道上皮への曝露の最初の数分間で細胞溶解を誘導する製剤の効果が検出可能である。
A.EpiAirwayユニットの細胞溶解を評価するため推奨されるLDHアッセイは、NADからのNADH生成を伴う、ラクテートのピルベートへの変換に基づいている。次ぎに、NADHは、未精製「ジアフォラーゼ」調製物によって触媒され、テトラゾリウム塩INTの同時還元を伴って再酸化される。INTの還元によって形成されるホルマザンは、可溶性であり、LDH活性の全アッセイは、ラクテート、NAD、ジアフォラーゼ、及びINTを含有する均質水性培地中で実行可能である。
B.LDH活性のアッセイは、EpiAirwayユニットを取り巻き、そして各時点で収集される、「上清」培地の試料由来の50μL分割量に対して行われる。これらの試料は、冷蔵庫で24時間より長くは保存されず、または収集数時間以内に凍結した後、融解されたかいずれかであった。各EpiAirwayユニットは、試験物質を適用した15分後、30分後、1時間後、及び2時間後に収集した上清培地の試料を生成する。分割量をすべて、96ウェルマイクロプレートに移す。
C.ユニットに曝露されていない培地の50μL分割量は、0%細胞傷害性の「ブランク」または陰性対照として働く。アッセイ試薬混合物と未曝露培地の反応後に存在する「内因性」LDHの見かけのレベルは、透過動力学研究を行うのに必要な2時間の全時間経過に渡って、すべて偽処理した対照ユニットに放出されるLDHの見かけのレベルと、実験誤差内で同一であることを見いだした。従って、実験誤差内で、これらの偽処理ユニットは、透過動力学測定の時間経過に渡って、上皮細胞の細胞溶解をまったく示さない。
D.ユニット中の細胞の100%が溶解された後に放出されるLDHのレベルを反映する上清培地試料を調製するため、いかなる前操作にもさらされていないユニットを、透過動力学測定のプロトコルにおけるように、0.9mlの培地を含有する6ウェルマイクロプレートのウェルに添加し、ユニットを含有するプレートを−80℃で凍結し、そしてその後、ウェルの内容物を融解させた。この凍結−融解サイクルは、細胞を効果的に溶解し、そしてLDHを含むその細胞質ゾル内容物を上清培地中に放出させた。凍結及び融解した細胞由来の培地50μL分割量を、100%細胞傷害性を反映する陽性対照として96ウェルプレートに添加する。
E.上清培地アリコットを含有する各ウェルに、LDHアッセイ試薬の50μL分割量を添加する。その後、プレートを暗所で30分間インキュベーションする。
F.1M酢酸の「停止」溶液を添加することによって、反応を終結させ、そして停止溶液を添加した1時間以内に、プレートの吸光度を490nmで測定する。
G.細胞溶解パーセントの計算は、吸光度及び細胞溶解の間に線形関係があるという仮定に基づいて、培地のみから得られる吸光度を0%細胞溶解の参照値として利用し、そして凍結及び融解したユニットを取り巻く培地を100%細胞溶解の参照値として利用する。
6.ELISA測定
本発明の経粘膜送達増進剤の協調的投与又は組み合わせ製剤と組み合わせて、活性剤の透過増進を評価する試験物質として、生物学的活性剤の濃度を測定する方法は、一般的に上記のとおりであり、そして既知の方法、及び各特定のアッセイに使用するELISAキットの製造者の特定の取扱説明書に従う。生物学的活性剤の透過動力学は、一般的に、生物学的活性剤を頂端上皮細胞表面と接触させた後(経粘膜送達増進剤に頂端細胞表面を曝露するのと同時に、またはそれに続いてであることも可能である)、多数の時点(例えば、15分、30分、60分及び120分)で測定値を得ることによって、測定される。
EpiAirway(商標)組織膜をフェノールレッド及びヒドロコルチゾン不含培地(MatTek Corp.,マサチューセッツ州アッシュランド)中で培養する。組織膜を37℃で48時間培養して組織を平衡化する。各組織膜を、0.9mlの血清不含培地を含有する6ウェルプレートの個々のウェルに入れる。100μLの製剤(試験試料または対照)を膜の頂端表面に適用する。各試験試料(生物学的活性剤、成長ホルモンと組み合わせた経粘膜送達増進剤)及び対照(生物学的活性剤、成長ホルモン、単独)の3つ組または4つ組試料を、各アッセイで評価する。各時点で(15分、30分、60分及び120分)、新鮮な培地を含有する新規ウェルに組織膜を移す。底にある0.9ml培地試料を各時点で採取し、そしてELISA及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)アッセイで使用するため、4℃で保存する。
ELISAキットは、典型的には2工程サンドイッチELISAである:研究する剤の免疫反応型はまず、96ウェルマイクロプレート上に固定された抗体に「捕捉」され、そしてウェルから未結合物質を洗浄した後、結合した免疫反応性剤と、「検出」抗体を反応させる。この検出抗体は、典型的には酵素(最もしばしば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)にコンジュゲート化され、そしてその後、色素原試薬を用いて活性をアッセイすることによって、免疫複合体中でプレートに結合した酵素の量を測定する。透過動力学研究において、各時点で収集した上清培地の試料に加えて、動力学研究開始時にユニットの頂端表面に適用した製剤(すなわち対象の生物学的活性試験剤を含有する)の適切に希釈した試料もまた、製造者が提供する標準のセットとともに、ELISAプレート中でアッセイする。各上清培地試料を、一般的に、ELISAによって2つ組ウェル中でアッセイする(透過動力学測定においては、各配合物に関して、4つ組ユニットを使用し、4つの時点すべてに渡って収集される、総数16の上清培地試料が生成されることが想起されるであろう)。
A.上清培地試料において、またはユニットの頂端表面に適用した物質の希釈試料において、活性試験剤の見かけの濃度が、ELISA完了後、標準の濃度範囲の外側にあることが珍しくない。実験試料に存在する物質の濃度はいずれも、標準濃度を超えた外挿によっては測定されない;むしろ、試料を適切に再希釈して、反復ELISAにおいて、標準間の内挿によって、より正確に測定可能な試験物質濃度を生成する。
B.生物学的活性試験剤、例えば、成長ホルモンのELISAは、設計及び推奨されるプロトコルにおいて独特である。大部分のキットと異なり、該ELISAは2つのモノクローナル抗体を使用し、一方は捕捉用であり、そして他方は検出抗体として、生物学的活性試験剤、例えば、成長ホルモンの重複しない決定基に向けられる(この抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲート化されている)。アッセイ上限未満のhGH濃度が実験試料中に存在する限り、製造者の指示にしたがってアッセイプロトコルを使用可能であり、これは、同時に存在する抗体両方とELISAプレート上の試料のインキュベーションを可能にする。試料中のhGHレベルがこの上限より有意に高い場合、免疫反応性hGHのレベルは、インキュベーション混合物中の抗体の量を超える可能性もあり、そして結合した検出抗体がない、ある程度のhGHが、プレート上に捕捉され、一方、結合した検出抗体を有する、ある程度のhGHは、捕捉されない可能性もある。これは、試料中のhGHの深刻な過小評価につながる(こうした試料中のhGHレベルは、アッセイ上限より有意に低い位置であるように見えるであろう)。この可能性を排除するため、アッセイプロトコルを修飾した:
B.1.希釈試料をまず、いかなる検出抗体も非存在下で、固定した捕捉抗体を含有するELISAプレート上で、1時間インキュベーションする。1時間インキュベーションした後、未結合物質が存在しないようにウェルを洗浄する。
B.2.検出抗体をプレートと1時間インキュベーションして、すべての捕捉抗原を含む免疫複合体の形成を可能にする。検出抗体の濃度は、捕捉抗体が結合したhGHの最大レベルと反応するのに十分である。その後、プレートを再び洗浄して、いかなる未結合検出抗体も除去する。
B.3.ペルオキシダーゼ基質をプレートに添加し、そして15分間インキュベーションして、発色が起こるのを可能にする。
B.4.「停止」溶液をプレートに添加し、そしてVMaxマイクロプレート分光光度計において、450nmとともに490nmで吸光度を読み取る。490nmでの有色産物の吸光度は、450nmでの吸光度よりはるかに低いが、各波長での吸光度はなお、産物濃度に比例する。2つの読み取り値によって、吸光度がVMax装置の作動範囲に渡って、結合したhGHの量と線形に関連することが確実になる(我々は、日常的に、範囲を0〜2.5ODに限定したが、装置は、0〜3.0ODの範囲に渡って正確であると報告されている)。試料中のhGH量は、ELISAに含まれる、異なる標準に関して得たOD値の間の内挿によって決定される。標準に関して得られる範囲外のOD読み取り値を持つ試料を、再希釈して、そして反復ELISAを行う。
結果
TERアッセイによる経上皮抵抗の測定:最終アッセイ時点後、0.3mlの清浄培地中、24ウェル培養プレートの個々のウェルに膜を入れ、そしてEVOM上皮ボルトオーム測定装置及びEndohmチャンバー(World Precision Instruments、フロリダ州サラソタ)を使用して、経上皮電気抵抗(TER)を測定した。上部電極を、膜上部表面に近いが接触しないように調整した。組織を1回に1つずつ、それぞれのウェルから取り除き、そして清浄PBSに浸すことによって、基底表面をリンスした。頂端表面をPBSで穏やかに2回リンスした。組織ユニットをEndohmチャンバーに入れ、250μLのPBSを挿入物に添加し、上部電極を元に戻し、そして抵抗を測定して、そして記録した。測定後、PBSをデカントし、そして組織挿入物を培養プレートに戻した。すべてのTER値を、組織表面面積の関数として報告する。
最終の数字を以下のように計算した:
細胞膜のTER=(膜を含む挿入物の抵抗(R)−ブランク挿入物のR)X膜面積(0.6cm)。
EpiAirway(商標)細胞膜(粘膜上皮細胞層)を横切るTER測定に対する、成長ホルモン及び鼻腔内送達増進剤を含んでなる医薬製剤の効果は図1に示されている。対照値(対照=およそ1000オーム−cm;100に標準化)と比較したTER値の減少は、細胞膜抵抗の減少及び粘膜上皮細胞透過性の増加を示している。
例示的製剤GH−F−23は、細胞膜抵抗の最も大きな減少を示した(表2)。結果は、例示的製剤(例えば、GH−F−23)は試験された濃度で、対照の約20%まで膜の抵抗を減少させたことを示している。3回の重複測定が示されている(例えば、GH−F−23、GH−F−23−Rep及びGH−F−23−Rep2)。E〜Cの試料(EC−1、EC−2及びEC−3)は、0.5mlの精製水、USP、でSaizen(登録商標)5mg(成長ホルモンを含有している)を再構築することにより調製された対照である。増進剤なしの成長ホルモンは、抵抗を減少させなかった。対照−1、−5、−6及び−7は、成長ホルモン、アルギニンHCl及びEDTA二ナトリウムを欠く対照である。
結果は、成長ホルモンの増進された鼻腔内送達のための例示的製剤(例えば、GH−F−23)は、細胞膜抵抗を減少させ、そして粘膜上皮細胞透過性を有意に増加させたことを示している。例示的製剤は、血清又は中枢神経系への成長ホルモンの鼻腔内送達を増進するであろう。結果は、これらの例示的製剤が粘膜上皮と接触した場合、成長ホルモンに対する、粘膜上皮細胞透過性の有意な増加を示している。
Figure 2007500243
ELISAアッセイにより測定されるような透過動力学:成長ホルモン及び鼻腔内送達増進剤を含んでなる本発明の医薬製剤の、EpiAirway(商標)細胞膜(粘膜上皮細胞層)を横切る成長ホルモンの透過に対する効果を上述のように測定する。結果は表3に示されている。EpiAirway(商標)細胞膜(粘膜上皮細胞層)を横切る成長ホルモンの透過をELISAアッセイにより測定する。
本発明の例示の鼻腔内製剤(例えば、GH−F−23)について、表3に示されているように、製剤GH−F−23において成長ホルモン透過の最も大きな増加が起こった。方法は、多時点に渡って、上皮細胞から周りの培地内へ透過した、生物学的に活性な成長ホルモンの濃度を決定するためにELISAアッセイを使用する。結果は、EC−1、−2又は−3(成長ホルモン対照製剤;0.5mlの精製水、USP、で再構築されたSaizen(登録商標)5mg)と比較して、GH−F−23(Rep1、Rep2又はRep3)では成長ホルモンの増加した透過を示した。平均して、GH−F−23例示的鼻腔内製剤を使用する、120分での透過における累積的増加は、EC−1、−2又は−3対照製剤よりも約28から50倍大きい。
Figure 2007500243
MTTアッセイ:MatTekキット、MTT−100を使用して、MTTアッセイを行った。300mlのMTT溶液を各ウェルに加えた。組織挿入物を清浄PBSで穏やかにリンスし、そしてMTT溶液に入れた。試料を37℃で3時間インキュベーションした。インキュベーション後、細胞培養挿入物を、ウェルあたり2.0mLの抽出溶液に浸して、各挿入物を完全に覆った。抽出プレートを覆い、そして密封して蒸発を減少させた。抽出は、暗所、室温で一晩進行させる。抽出期間が完了した後、抽出溶液を混合し、そして96ウェルマイクロタイタープレートにピペッティングした。各3つ組試料とともに、抽出ブランクを装填した。次ぎにプレートリーダー(Molecular Devices)上、550nmで、試料の光学密度を測定した。
対照製剤(EC−1、−2又は−3)と比較した、本明細書の教示に従った成長ホルモンの増進した経鼻粘膜送達のための例示的製剤(例えば、GH−F−23)についてのMTTアッセイが、表4に示されている。成長ホルモン及び一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤を含んでなる製剤、例えば、GH−F−23Rep1、GH−F−23−Rep2及びGH−F−23−Rep3(GH−F−23の3回の重複測定)は、粘膜上皮組織の生存率に対し、この例示的態様は最小の毒性効果しかなかったことを示している。
Figure 2007500243
LDHアッセイ:本明細書の教示に従った成長ホルモンの増進した経鼻粘膜送達のための例示的製剤(例えば、GH−F−23)についてのLDHアッセイが、表5に示されている。GH−F−23Rep1、GH−F−23−Rep2及びGH−F−23−Rep3(GH−F−23の3回の重複測定)の結果は、粘膜上皮組織の生存率に対し、この例示的態様は最小の毒性効果しかなかったことを示している。
Figure 2007500243
実施例3
タンパク質である安定剤不含の成長ホルモン製剤の調製
実質的に、タンパク質である安定剤不含の、成長ホルモンの鼻腔内投与に適した成長ホルモン製剤は、以下に収載した製剤により製造することが可能である。
1.ビーカーに約3/4の水を添加し、そして撹拌プレート上、撹拌子で撹拌し、そしてクエン酸ナトリウムを添加し、そしてそれが完全に溶解するまで撹拌する。
2.次ぎにEDTAを添加し、そしてそれが完全に溶解するまで撹拌する。
3.次ぎにクエン酸を添加し、そしてそれが完全に溶解するまで撹拌する。
4.メチル−β−シクロデキストリンを添加し、そしてそれが完全に溶解するまで撹拌する。
5.次ぎにDDPCを添加し、そしてそれが完全に溶解するまで撹拌する。
6.次ぎにラクトースを添加し、そしてそれが完全に溶解するまで撹拌する。
7.次ぎにソルビトールを添加し、そしてそれが完全に溶解するまで撹拌する。
8.次ぎにクロロブタノールを添加し、そしてそれが完全に溶解するまで撹拌する。
9.成長ホルモンを添加し、そしてそれが溶解するまで穏やかに撹拌する。
10.pHを点検してそれが5.0±0.25であることを確かめる。pHを調整するには希HCl又は希NaOHを添加する。
11.最終容量まで水を加える。
Figure 2007500243
実施例4
多発性硬化症を処置するための、成長ホルモンとサイトカイン及びステロイドの組み合わせ製剤
成長ホルモンの増進された経鼻粘膜送達のための例示的製剤は、本明細書の教示に従っている。増進された経鼻粘膜送達のための例示的製剤で送達される、単独又はインシュリン様成長因子(IGF)−Iと組み合わせた成長ホルモンは、本明細書の教示に従って、鼻腔内製剤としてインターフェロン−β、グラチラマー及び/又はステロイドと組み合わせた場合、多発性硬化症の処置を改良する。多発性硬化症の処置の過程における慢性のステロイド使用は、ステロイドミオパシーと名付けられた、近位筋衰弱及び萎縮症を引き起こすことができる。本発明の例示的鼻腔内製剤として送達された、単独又はIGF−1と組み合わせた成長ホルモンは、慢性ステロイド使用により引き起こされるステロイドミオパシーに対して防止効果を示す。
多発性硬化症治療の現在の標準には、インターフェロン−β、グラチラマー、又はメチルプレドニゾロン及びプレドニゾロンのような副腎皮質ステロイドを含むステロイドの静脈内、皮下か又は筋肉内注射を含んでいる。これらのすべては、付随するいくらかの局所的有害反応を伴う注射であるという欠点を有している。本発明の方法及び製剤に従うと、成長ホルモン及び/又はIGF)−Iと組み合わせたインターフェロン−β、グラチラマー及び/又はステロイドは、多発性硬化症のごとき疾患及び状態を標的とする処置のため、鼻腔内で有効に送達することが可能である。
成長ホルモン製剤はGH−F−23(成長ホルモン(Saizen(登録商標));スクロース;アルギニンHCl;EDTA;2.6mg/0.1mlスプレー;上記表1を参照されたい)である。製剤GH−F−23の0.1mLを、微細なスプレーで、左の鼻孔と右を交互に、毎日一つの鼻孔へ投与する;あるいは、製剤GH−F−23の0.1mLを、微細なスプレーで、各々の鼻孔へ毎日投与する。
インターフェロン−β(Avonex(登録商標))は、再発性−弛張性多発性硬化症の再発を減少させるために指示されている。製剤F5は、本発明のステロイド及び成長ホルモン組成物と組み合わせた、鼻腔内送達のためのインターフェロン−βの例示的製剤である。製剤F5の0.1mLを、微細なスプレーで、左の鼻孔と右を交互に、毎日一つの鼻孔へ投与する。
Figure 2007500243
COPAXONE(登録商標)(注射用酢酸グラチラマー)は、再発性−弛張性多発性硬化症の再発を減少させるために指示されている。酢酸グラチラマー(GA)は、4,700から11,000の平均分子量を有する、4つのアミノ酸、L−グルタミン酸、L−アラニン、L−チロシン及びL−リジンから成る合成ペプチドの混合物である。GAは、多発性硬化症(MS)の動物モデルである、実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)の抑制において非常に有効である。GAの作用の多様な機構が提案されてきたが、最も重要なことはおそらく、抗原特異的サプレッサーT細胞の誘導であろう。
COPAXONE(登録商標)の最も普通な副作用は、注射部位での発赤、疼痛、腫張、痒み又は塊、フラッシング、胸痛、衰弱、感染、悪心、関節痛、不安及び筋肉強直である。これらの反応は通常軽度であり、そして滅多に専門的処置を必要としない。いくらかの患者では、COPAXONE(登録商標)の注射直後に短期間の反応が報告されている。この反応には、フラッシング(暖かさの感じ及び/又は発赤)、心臓動悸を伴う胸部緊張又は疼痛、不安及び呼吸困難が含まれるであろう。これらの症状は一般に注射後数分以内に現れ、約15分続き、そしてさらなる問題を起こすことなくそれら自身がなくなっていく。
Figure 2007500243
上記製剤の0.1mLを、微細なスプレーで、左の鼻孔と右を交互に、毎日一つの鼻孔へ投与する。
Figure 2007500243
上記製剤の0.1mLを、微細なスプレーで、左の鼻孔と右を交互に、毎日一つの鼻孔へ投与する。コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン及びプレドニゾロン、クロベタゾール、デソニド、フルオシノロン、フルオシノニド及びモメタゾンが、多発性硬化症に恩恵を提供する用量で、上の製剤において置き換えることができる。以下のステロイドは、多発性硬化症を処置するため、本明細書の製剤及び方法の範囲内で用いることが可能な例示の有用なステロイドである:アムシノニド、ベクロメタゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、デソキシメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド(ドレニゾン−1/4を除く)、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、モメタゾン、トリアムシノロン。
本発明の方法及び製剤に従うと、成長ホルモン及び/又はIGF−Iと組み合わせた、インターフェロン−β、グラチラマー及び/又はステロイドは、多発性硬化症のごとき疾患及び状態の処置のため、そして筋萎縮症のごとき、長期ステロイド使用による副作用の処置のために、鼻腔内で有効に送達することが可能である。
実施例5
トリアムシノロンアセトニド副腎皮質ステロイドと組み合わせた本発明の製剤GH−F−23は細胞生存度を改良する
本実施例は、ステロイド組成物、例えば、トリアムシノロンアセトニドと併用し、そしてさらに一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤と併用して、鼻腔内に投与した成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモンの透過性及び上皮粘膜炎症の減少を決定するための、インビトロ研究を提供する。本研究は、成長ホルモン及びトリアムシノロンアセトニドを含んでなる態様の適用による、TERアッセイによる上皮細胞透過性の決定、そしてMTTアッセイにおける細胞生存度におり測定されるような、上皮粘膜炎症の減少を含んでいる。
製剤GH−F−23(成長ホルモン(Saizen(登録商標));スクロース;アルギニンHCl;EDTA;2.6mg/0.1mlスプレー;上記表1を参照されたい)を0.5、2.0、5.0又は50μgの投与量のトリアムシノロンアセトニドと、製剤において組み合わせた。季節性アレルギー性鼻炎に対するトリアムシノロンアセトニド(Nasacort(登録商標)、Aventis Pharmaceuticals)の普通の用量は、スプレー当たり55μgである。トリアムシノロンアセトニド副腎皮質ステロイドと組み合わせた製剤GH−F−23は、MTTアッセイにより測定されたように、細胞生存度を改良し、一方、TERそしてELISAアッセイにより測定されたように、上皮細胞透過性を維持している。
本発明の方法及び製剤に従うと、トリアムシノロンアセトニド存在下又は非存在下での製剤GH−F−23の透過性の測定は、EpiAirway(登録商標)細胞膜における経上皮電気抵抗(TER)アッセイにより実行する。スプレー当たり0.5、2.0、5.0又は50μgの濃度でトリアムシノロンアセトニドを加えた製剤GH−F−23のTERアッセイでは、成長ホルモン透過性は減少せず、製剤GH−F−23単独の透過性と等しかった。スプレー当たり0から50μgの間の濃度でトリアムシノロンアセトニドを加えた製剤GH−F−23は、典型的には、Saizen(登録商標)対照中の成長ホルモンの透過性よりも少なくとも10倍大きい。
本発明の方法及び製剤に従うと、トリアムシノロンアセトニド存在下又は非存在下での製剤GH−F−23の透過性の測定は、EpiAirway(登録商標)細胞膜におけるELISAアッセイにより実行する。上記TERアッセイと同様に、スプレー当たり0.5、2.0、5.0又は50μgの濃度でトリアムシノロンアセトニドを加えた製剤GH−F−23のELISAアッセイは、成長ホルモン透過性は減少せず、製剤GH−F−23単独の透過性と等しかったことを示している。スプレー当たり0から50μgの間の濃度でトリアムシノロンアセトニドを加えた製剤GH−F−23は、典型的には、Saizen(登録商標)対照中の成長ホルモンの透過性よりも大きい。
本発明の方法及び製剤に従うと、MTTアッセイは、トリアムシノロンアセトニド存在下又は非存在下での製剤GH−F−23の細胞生存度を測定した。典型的には、製剤GH−F−23へのトリアムシノロンアセトニドの添加(スプレー当たり0.5、2.0、5.0又は50μgの濃度で)は、トリアムシノロンアセトニド非存在下での製剤GH−F−23と比較して、細胞生存度を改良する。
製剤GH−F−23へのトリアムシノロンアセトニドの添加は、トリアムシノロンアセトニド非存在下での製剤GH−F−23と比較して細胞生存度を増加させ、そしてTERアッセイにより測定されるように上皮透過性を維持している。
鼻腔内に投与された成長ホルモンの上皮粘膜炎症の減少は、一つ又はそれより多くのステロイド又は副腎皮質ステロイド化合物(典型的には高効力化合物又は製剤であるが、特定の場合において中程度の効力、又は低い効力の化合物又は製剤も)と併用された成長ホルモンの鼻腔内製剤により達成される。高、中及び低効力の全部の効力(均等な投与量)のステロイドを与えた。一つ又はそれより多くのステロイド又は副腎皮質ステロイド化合物を組み合わせた成長ホルモンの鼻腔内製剤は、慢性ステロイド使用によるステロイドミオパシーの処置、例えば、多発性硬化症のごとき自己免疫疾患の処置に有用である。典型的には、高効力ステロイド組成物と組み合わされた成長ホルモンの鼻腔内製剤は、限定されるわけではないが、ベタメタゾン(0.6から0.75mg投与量)又はデキサメタゾン(0.75mg投与量)を含んでいる。代替製剤において、中効力ステロイド組成物と組み合わされた成長ホルモンの鼻腔内製剤は、限定されるわけではないが、メチルプレドニゾロン(4mg投与量)、トリアムシノロン(4mg投与量)又はプレドニゾロン(5mg投与量)を含んでいる。さらに代替製剤において、低効力ステロイド組成物と組み合わされた成長ホルモンの鼻腔内製剤は、限定されるわけではないが、ヒドロコルチゾン(20mg投与量)又はコルチゾン(25mg投与量)を含んでいる。
実施例6
成長ホルモン欠乏患者へ投与された鼻成長ホルモン(GH)の3つの異なった用量の生物学的利用能及び生物活性:皮下投与との比較
研究概要.本実施例は、鼻腔内投与した成長ホルモンの、健康な男性志願者における血流への取り込みを決定するための非盲検研究を提供する。本研究は、成長ホルモン鼻製剤の吸収及び許容性を評価するため、上記のような、成長ホルモン鼻製剤の投与を含んでいる。
12人の健康な男性対象、年齢18〜50を本研究に登録する。各々は、試験製剤の一つの鼻腔内用量を受ける。各対象は、3週間に3回、臨床現場を訪れる。3回の来診は、スクリーニング来診、1回の投与来診そして最終来診から成っている。スクリーニングの時に、個体群統計学的データ、対象の頭文字、性、年齢、人種及び非喫煙状態の申告を記録する。完全な病歴及び心電図、生命徴候、身長及び体重を含む身体検査、そして臨床検査室評価を、スクリーニング及び対象が研究を完了した時点で行う。
提案された研究は、以下のような成長ホルモンの鼻腔内製剤の、一つの再製剤された生成物の投与を含んでいる:
対照生成物1:鼻スプレー=0.5mg/0.1mlスプレー。製剤Saizen(登録商標)(5mg Saizen(登録商標)、注射用ソマトロピン(rDNA)、注射のために1mlの静菌性水で再構築);一つの鼻孔に毎日、1回0.1mlスプレー、左の鼻孔と右を交互に。
対照生成物2:鼻スプレー=0.5mg/0.1mlスプレー(1回0.1mlスプレーを毎日各鼻孔に)。製剤Saizen(登録商標)。
試験製剤GH−F−23生成物:鼻スプレー=2.6mg/0.1mlスプレー。(製剤GH−F−23:成長ホルモン、Saizen(登録商標);スクロース;アルギニンHCl;EDTA;2.6mg/0.1mlスプレー;表1に記載したような)。1回0.1mlスプレーを毎日各鼻孔に;あるいは一つの鼻孔に毎日、1回0.1mlスプレー、左の鼻孔と右を交互に。
製剤Saizen(登録商標):再構築前に、Saizen(登録商標)[注射用ソマトロピン(rDNA)]は室温(15−30℃/59−86°F)で保存されなければならない。使用期限はラベル上に記されている。再構築するため、注射用の1mlの静菌性水(供給される)をSaizen(登録商標)のバイアル内へ、ガラスバイアル壁を液体が目標にするように注入する。内容物が完全に溶解するまで、穏やかな回転動作でバイアルを回旋させる。振盪しないこと。なぜなら、Saizen(登録商標)はタンパク質であるので、振盪すると曇った溶液を生じる。Saizen(登録商標)溶液は、再構築直後は透明でなければならない。再構築又は冷蔵直後、もし再構築された生成物が曇っていたら、使用しないこと。時折、再構築後、小さな無色粒子がSaizen(登録商標)溶液中に存在することがある。提供された希釈液で再構築する場合、溶液は冷蔵庫中2〜8℃で、14日に達するまで保存すべきである。Saizen(登録商標)の再構築されたバイアルは凍結させてはならない。
Saizen(登録商標)[注射用ソマトロピン(rDNA起源)]は、内因性成長ホルモンの不十分な産生による成長不全を有する小児の長期処置のため、Serono laboratoriesにより販売されている。Seronoから入手可能な商業的製品は、無菌、非発熱性、凍結乾燥粉末として供給されている。包装は、1バイアルの5mg(およそ15IU)Saizen(登録商標)及び1バイアルの10mL注射用静菌性水を含んでいる。
加えて、Genotropin(登録商標)(Pharmacia & Upjohn)のごとき他の成長ホルモン製品が、小児期又は成人発症病因学の成長ホルモン欠乏症(GHD)を有する成人における長期補充療法に指示されている。Genotropin(登録商標)はまた、内因性成長ホルモンの不十分な分泌による成長不全を有する小児患者の長期処置にも指示されている。他の販売されている成長ホルモン製品は、Nutropin(登録商標)(Genentech)、Humatrope(登録商標)(Eli Lilly)、Genotropin(登録商標)(Pharmacia & Upjohn)、Norditropin(登録商標)(Novo Nordisk)及びSerostim(登録商標)(Serono)である。
製剤GH−F−23は、成長ホルモン、例えば、Saizen(登録商標)(Sorono;注射用ソマトロピン(rDNA))、Nutropin(登録商標)(Genentech)、Humatrope(登録商標)(Eli Lilly)、Genotropin(登録商標)(Pharmacia & Upjohn)、Norditropin (登録商標)(Novo Nordisk)及びSerostim(登録商標)(Serono)のごとき販売されている成長ホルモン製品からのヒト成長ホルモンを利用し、表1に記載したように処方することができる。
試験されたすべての試験生成物の吸収及び許容性は作表され、そしてCmax、tmax及びAUCが分析されるであろう。本研究からのデータは、利用可能な文献の薬物動態学的パラメーター、及び製剤Saizen(登録商標)及び製剤GF−F−23を使用した成長ホルモン研究からのデータと比較されるであろう。
各調製物のため、投与後0(投与に先立って)、10、20、30、45、60、75、90、120、180そして240分に、真空採血管(vacutainer)内へ、7mLの血液試料を採血するであろう。
血清抗ヒト成長ホルモン抗体は、スクリーニング及び最終訪問で測定されるであろう。
投与日に、対象の生命徴候(血圧、脈拍、呼吸数及び体温)を、投薬前そして投薬後15、30、45、60、75、90、120及び240分、そして放免に先立ってモニターするであろう。
鼻検査は、投薬前、15、30、45、60、75、90、120及び240分そして来診からの放免に先立って、資格を持つ人物により実施されるであろう。
研究の結果は、各試験用量に対し、安全性及び吸収について評価されるであろう。もし用量の投与が、観察されたいずれかのパラメーターについて3の格付け階段標準を生じたら(共通毒性基準[CTC])、研究は中止されるであろう。
研究の意図、研究プロトコルそして研究で使用されるべきインフォームドコンセント様式は、研究の開始に先立ってIRBにより書面により同意された。
対象算入判定基準.以下の算入判定基準を使用した:
・健康な男性対象。
・年齢18−50。
・非喫煙者(6ヶ月以上)。
・成長ホルモンの投与が禁忌ではない者(生成物又はいずれかの構成物に対する既知の過敏性のごとき)。
男性対象は正常鼻粘膜を有している。個体群統計学的データ、対象の頭文字、性、年齢、人種及び非喫煙状態の申告をスクリーニングで記録する。完全な病歴及び心電図、生命徴候、身長及び体重を含む身体検査、そして以下の臨床検査を、スクリーニング及び対象が研究を完了した時点で行う:血液化学、甲状腺機能試験、甲状腺機能検査、血液学、尿検査、薬剤スクリーニング。
対象排除判定基準.以下の排除判定基準を使用した:
・天然のあるいは組換え成長ホルモン、あるいはSaizen(登録商標)製剤のいずれかの他の成分(スクロース、リン酸、静菌水、ベンジルアルコール、アルギニン、EDTA)に対する過敏性の病歴を有する対象。
・活性な新形成を有する対象。
・グルコース不耐性、糖尿病または糖尿病の家族歴を有する対象。
・甲状腺ホルモン異常を有する対象。
・現在グルココルチコイドを服用している対象。
・臨床的に有意な鼻異常を有する対象。
・鼻血あるいはアレルギー性鼻炎の病歴を有する対象。
・アルコール中毒または薬物乱用の病歴を有する対象。
・精神疾患の病歴を有する対象。
・開心又は腹部手術、多発性偶発性外傷後の合併症による急性で危険な病気を有する対象あるいは急性呼吸不全を有している患者。
投与.投与前、すべての患者に対して適切な投与技術及び研究の一般的やり方のオリエンテーションを行うであろう。
・身体活動性:投与後3時間は激しい労働作業を回避。
・拘束:対象は、最初の採血直前から少なくとも最後の採血が完了するまで拘束されるであろう。対象は、主研究者の判断により、より長く拘束することができる。
・絶食:志願者は、研究前に絶食する必要はない。しかしながら、研究の間、90分採血時点後までは、摂食してはならない。
・食事:食事は、90分採血後に提供されるであろう。
・液体摂取:暖かい及び冷たい炭酸ガス飽和液体は、投与前90分及び投与後90分は禁止される(水は許可される)。
・環境条件:対象は、投与時及び/又は研究拘束間には禁煙環境におかれるであろう。十分な活性を取り戻す設備がすぐに利用可能であろう。
・同時薬物適用:対象は、少なくとも2日は抗生物質を飲まないように、そして研究開始に先立って少なくとも3日間は、アルコール、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、鎮静剤、抗ヒスタミン薬、向精神薬及びOTC製品を含む薬物適用がないように医薬指導されるであろう。対象はまた、本研究のプロトコルにより投与されるものを除いて、研究に先立った3日間又は研究の間に鼻腔内医薬適用(鼻腔内OTCを含んで)を受けないように通知されるであろう。
鼻腔内製剤はGMP条件下、Nastech Pharmaceutical Clinical Supply部門により製造される。鼻腔内製剤は、上記のような製剤Saizen(登録商標)(対照)か又は製剤GF−F−23である。投与量は、1回0.1mlスプレーを各々の鼻孔へ毎日;あるいは左の鼻孔と右を交互に、毎日一つの鼻孔へ、を含んでなる。
鼻スプレーを受ける場合、対象は座らされそして投与前に穏やかに鼻をかむように指導される。投与の間、他の鼻孔は人差し指で閉じなければならない。対象は、投与のために頭をわずかに後ろへ傾け、そして投与後直ちに穏やかに鼻をすすりながら頭を直立した位置へ戻すように指導される。対象は、投与後5分の間、さらに鼻をすすることを回避しなければならず、そして頭を直立させて座った位置に留まらなければならない。対象は、もしくしゃみをしたり、あるいはもし生成物が彼らの鼻からしたたり落ちたら、スタッフに告げなければならない。
血液試料は7mLの真空採血管に採取し、そして採血の時点から少なくとも30分が経過した後、1,500rpmで8分以上、室温で遠心分離した。少なくとも1.2mLの血清を、2つの前もってラベルされているポリプロピレン試験管の第一の試験管へピペッティングし、残りを第二の試験管内へピペッティングした。両方の試験管を迅速に凍結し、そして30日を超えない分析まで、−10℃で保存した。
第二の試料は、研究モニターが適切な処分を通知するまで、研究者により保持される。
すべての対象は、研究の拘束部分を通してモニターされる。血圧、呼吸数、脈拍及び体温が、投与に先立って、そして投与後の予定に伴って得られた。投与は、研究を通して現場で及び/又はポケットベルで求めに応じられるであろう医学研究者により認可されたように進行する。
血清薬物濃度は、確認されたELISA法を使用して測定した。各試料採取時間での濃度及び薬物動態学的パラメーターが報告された。
投与の日、対象の生命徴候(血圧、脈拍、呼吸数及び体温)を、投与前そして投与後15、30、45、60、75、90、120及び240分、そして放免に先立ってモニターする。
鼻粘膜検査.研究者又は医学の資格を持つ被指名人(副研究者/看護従事者)は、すべての対象の鼻粘膜を視覚的に検査する。投与の日、これらの試験は鼻腔内投与直前、及び投与後15、30、45、60、75、90、120及び240分そして来診からの放免に先だって実施する。
観察は、隔壁及び鼻甲介を覆う鼻粘膜の検査で行われた。研究者は、色(発赤)及び膨潤、鼻血又は浸出液の検査に注目する。もし浸出液が存在するならば、特徴、透明性、粘液水嚢又は水嚢に注目する。鼻隔壁は、偏位、炎症又は隔壁の穿孔について検査する。隔壁は鼻出血について検査する。潰瘍又はポリープのごとき、どんな異常も記述する。
すべての観察を症例報告様式に、有害事象様式で報告する。各対象は、投与された製剤についての鼻許容性質問表を完成させた。
吸収データ評価.すべての吸収データは、個々の対象ならびに平均データについてプロットされるであろう。試験生成物のCmax、tmax及び生物学的利用能(個々の成長ホルモン時間曲線下の面積として測定される、AUC)は、上記のような鼻腔内製剤、製剤Saizen(登録商標)又は製剤GF−F−23の前記の薬物動態学的パラメータ−を比較することを目標にして評価する。
統計:AUCの決定.個々の血清GH濃度vs.時間曲線下面積(AUC)は、線形台形則に従い、そして残留面積を加えて計算する。二つの投薬量間の23%の減少及び30%の増加が、90%の確率(タイプII誤差β=10%)で検出されるであろう。吸収速度は、最大濃度(Cmax)に達する時間(tmax)の比較により見積もられる。Cmax及びtmaxの両方とも、ノンパラメトリック法を使用して分析する。筋肉内、皮下、静脈内及び鼻腔内成長ホルモン投与の薬物動態学の比較は、分散分析(ANOVA)により実施した。対比較に対しては、ボンフェローニ−ホルム連続法を、有意差を評価するために使用した。三つの鼻用量間の用量−応答関係は、回帰分析により見積もった。P<0.05は、有意であるとみなした。結果は、平均値+/−SEMで与えられている。Laursenら,Eur.J.Endocrinology,135:309−315,1996、本明細書において援用される。
結果:その独特な特徴のため、成長ホルモン及び一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤を含んでなる本発明の医薬製剤の鼻腔内投与は、経口投与後に吸収されないか又は不定に吸収される、あるいは筋肉内又は皮下注射後により遅く吸収される巨大分子薬剤の吸収を提供することに関して多くの利点を与える。成長ホルモンの非注射可能製品は、現在利用可能ではない。肺投与はいくつかの成功が達成されているが、患者の不便さ及び疑わしい肺安全性を含む欠点を有している。
本発明の方法及び製剤に従うと、本発明の医薬製剤(例えば、製剤GH−F−23)中の成長ホルモンの鼻腔内送達についての薬物動態学データが、成長ホルモンの対象製剤(Saizen(登録商標))の鼻腔内及び皮下送達の両方と比較される。
結果は、血清、CNS、CSFまたは別の選択された生理学的区画又は標的組織中の、成長ホルモンの最大濃度(Cmax)で測定された、本明細書の方法及び製剤により達成された成長ホルモンの生物学的利用能を例示している。表6を参照されたい。本発明の方法及び製剤に従うと、成長ホルモンの生物学的利用能は、典型的には、成長ホルモンのCmaxは、約1μIU/mLから6μIU/mL血漿又はCSF、成長ホルモンのCmaxは、約2.5μIU/mLから5.5μIU/mL血漿又はCSF、又は成長ホルモンのCmaxは、約4μIU/mLから約5IU/mL血漿又はCSFであろう。
結果は、血清、CNS、CSFまたは別の選択された生理学的区画又は標的組織中の、例えば、濃度曲線下面積(AUC)により測定されたような、本発明の方法および製剤により達成された成長ホルモンの生物学的利用能を例示している。表6を参照されたい。本発明の方法及び製剤に従うと、成長ホルモンの生物学的利用能は、典型的には、成長ホルモンのAUC0−8hrは約100μIU・hr/mLから約500μIU・hr/mL血漿又はCSF、成長ホルモンのAUC0−8hrは約200μIU・hr/mLから約450μIU・hr/mL血漿又はCSF、又は成長ホルモンのAUC0−8hrは約300μIU・hr/mLから約400μIU・hr/mL血漿又はCSFであろう。
本発明の方法及び製剤に従うと、本発明の成長ホルモンの例示の鼻腔内製剤(GH−F−23)の濃度曲線下面積(AUC)により測定されたような、相対的生物学的利用能は、匹敵する実験条件下の皮下投与に関して、典型的には3%から4%である。この結果を、匹敵する実験条件下の皮下投与に関して、典型的には0.5%未満(約0.3から0.5%)である、従来の技術製剤の鼻腔内送達(ヒト成長ホルモン;Saizen(登録商標))の相対的生物学的利用能と比較する。表6を参照されたい。本発明の方法及び製剤に従うと、鼻腔内で投与された例示の製剤は、典型的には0.3から1.0時間の、成長ホルモンが最大血漿濃度に達する時間を提供する。これらの結果は、前述の開示と完全に一致している。
Figure 2007500243
Figure 2007500243
前述の発明は、理解を明確にする目的のための例として詳細に記載されているが、当業者には、特定の変化および修飾が開示に包含され、そして付随する請求項の範囲内で、過剰な実験を伴わずに実行可能であり、これらは、例示のために提示され、限定のために提示されるのではないことが明らかであろう。
図1Aは働いていない鼻スプレーポンプ/アクチュエーターを示している。 図1Bは働き、そしてスプレープリュームを噴出している、鼻スプレーポンプ/アクチュエーターを示している。 図2は本発明の成長ホルモン鼻スプレーのスプレーパターンの例を示している。

Claims (70)

  1. 哺乳動物対象への経粘膜送達のために処方された一つ又はそれより多くの成長ホルモン化合物を含んでなり、該対象への粘膜投与後、一つ又はそれより多くの該成長ホルモン化合物の増進された経粘膜送達を生じ、そして、許容しえない有害な副作用を伴わずに、該対象における成長ホルモン欠乏症の一つ又はそれより多くの症状を軽減するために有効である、安定な医薬組成物。
  2. 一つ又はそれより多くの経粘膜送達増進剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 該組成物が哺乳動物対象への経鼻粘膜送達のために処方される、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 該組成物が鼻腔内スプレーあるいはパウダーとして処方される、請求項4に記載の医薬組成物。
  5. 該組成物が、粘膜投与後、許容しえない有害な副作用を伴わずに、小児あるいは成人対象における成長ホルモン欠乏症の一つ又はそれより多くの症状を軽減するために有効である、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 該組成物が、粘膜投与後、許容しえない有害な副作用を伴わずに、該対象における慢性腎不全あるいは末期腎臓疾患に付随した突発性低身長、HIV患者における衰弱あるいは栄養不良、慢性うっ血性心不全、心筋梗塞、先端肥大症、巨人症そして自己免疫疾患の一つ又はそれより多くの症状を軽減するために有効である、請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 複数の異なった成長ホルモン化合物をさらに含んでなる、請求項1に記載の医薬組成物。
  8. 該組成物が、該対象への粘膜投与後、(i)該対象に同等の濃度又は用量の該成長ホルモン化合物を皮下注射した後の、肝門脈又は血漿中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度(Cmax)と比較して15%又はそれ以上である、該対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度;(ii)該対象に同等の濃度又は用量の該成長ホルモン化合物を皮下注射した後の、肝門脈又は血漿中の成長ホルモンの濃度曲線下面積(AUC)と比較して25%又はそれ以上である、該対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモン化合物のAUC;あるいは(iii)約0.1から1.0時間の間の、対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンの最大濃度までの時間(tmax)、により特徴付けられる、一つ又はそれより多くの該成長ホルモン化合物の増進された経粘膜送達を生じる、請求項1に記載の医薬組成物。
  9. 該組成物が、該対象への粘膜投与後、該対象に同等の濃度又は用量の該成長ホルモン化合物を皮下注射した後の、肝門脈又は血漿中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度(Cmax)と比較して25%又はそれ以上である、該対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度を生じる、請求項1に記載の医薬組成物。
  10. 該組成物が、該対象への粘膜投与後、該対象に同等の濃度又は用量の該成長ホルモン化合物を皮下注射した後の、肝門脈又は血漿中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度(Cmax)と比較して50%又はそれ以上である、該対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度を生じる、請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 該組成物が、該対象への粘膜投与後、該対象に同等の濃度又は用量の該成長ホルモン化合物を皮下注射した後の、肝門脈又は血漿中の該成長ホルモン化合物の濃度曲線下面積(AUC)と比較して25%又はそれ以上である、該対象の該肝門脈又は血漿中の該成長ホルモン化合物のAUCを生じる、請求項1に記載の医薬組成物。
  12. 該組成物が、該対象への粘膜投与後、該対象に同等の濃度又は用量の該成長ホルモン化合物を皮下注射した後の、該肝門脈又は血漿中の該成長ホルモン化合物の濃度曲線下面積(AUC)と比較して50%又はそれ以上である、該対象の該肝門脈又は血漿中の該成長ホルモン化合物のAUCを生じる、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 該組成物が、該対象への粘膜投与後、約0.1から1.0時間の間に、対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンの最大濃度までの時間(tmax)を生じる、請求項1に記載の医薬組成物。
  14. 該組成物が、該対象への粘膜投与後、約0.2から0.5時間の間に、対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンの最大濃度までの時間(tmax)を生じる、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 該組成物が、該対象への粘膜投与後、該対象の血漿中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度と比較して10%又はそれ以上である、該対象の中枢神経系(CNS)組織又は液中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度を生じる、請求項1に記載の医薬組成物。
  16. 該組成物が、該対象への粘膜投与後、該対象の血漿中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度と比較して20%又はそれ以上である、該対象の中枢神経系(CNS)組織又は液中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度を生じる、請求項15に記載の医薬組成物。
  17. 該組成物が、該対象への粘膜投与後、該対象の血漿中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度と比較して40%又はそれ以上である、該対象の中枢神経系(CNS)組織又は液中の該成長ホルモン化合物のピーク濃度を生じる、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 一つ又はそれより多くの該鼻腔内送達剤新剤と組み合わされた、該対象への鼻腔内送達のために処方された該成長ホルモン化合物が、鼻腔内投与後、許容しえない有害な副作用を伴わずに、該対象における成長ホルモン欠乏症の一つ又はそれより多くの症状を軽減するのに有効である、請求項1に記載の医薬組成物。
  19. 請求項2に記載の医薬組成物であって、前記経粘膜送達増進剤が:
    (a)凝集阻害剤;
    (b)電荷修飾剤;
    (c)pH制御剤;
    (d)分解酵素阻害剤;
    (e)粘液溶解又は洗浄剤;
    (f)繊毛抑制剤;
    (g)(i)界面活性物質、(ii)胆汁酸塩、(ii)リン脂質添加剤、混合ミセル、リポソーム又は坦体、(iii)アルコール、(iv)エナミン、(v)NO供与化合物、(vi)長鎖両親和性分子、(vii)小疎水性浸透増進剤、(viii)ナトリウム又はサリチル酸誘導体、(ix)アセト酢酸のグリセロールエステル、(x)シクロデキストリン又はベータ−シクロデキストリン誘導体、(xi)中鎖脂肪酸、(xii)キレート剤、(xiii)アミノ酸又はその塩、(xiv)N−アセチルアミノ酸又はその塩、(xv)選択された膜成分に対する分解性酵素、(ix)脂肪酸合成の阻害剤、もしくは(x)コレステロール合成の阻害剤から選択される膜浸透増進剤;または(xi)前記(i)−(x)の膜浸透増進剤の任意の組み合わせ;
    (h)上皮接合部生理学の変調剤;
    (i)血管拡張剤;
    (j)選択的輸送増進剤;そして
    (k)成長ホルモンが有効に化合され、会合され、含有され、被包され又は結合されることにより増進された経鼻粘膜送達のための該成長ホルモンの安定化を生じせしめるような、安定化送達媒体、坦体、支持体又は複合体形成種、から選択され、
    ここにおいて該一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤を伴う該成長ホルモンの製剤が、該対象の血漿中の成長ホルモンの増加した生物学的利用能を提供する、前記医薬組成物。
  20. 複数の経粘膜送達増進剤をさらに含んでなる、請求項19に記載の医薬組成物。
  21. 一つ又はそれより多くの鼻腔内送達剤を含んでなる、請求項19に記載の医薬組成物。
  22. 複数の鼻腔内送達増進剤をさらに含んでなる、請求項21に記載の医薬組成物。
  23. 前記の経粘膜送達増進剤が、クエン酸、クエン酸ナトリウム、プロピレングリコール、グリセリン、L−アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、EDTA二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、水酸化ナトリウム及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
  24. 一つ又はそれより多くの持続性放出増進剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の医薬組成物。
  25. 持続性放出増進剤が、成長ホルモンと組み合わされたポリエチレングリコール(PEG)である、請求項24に記載の医薬組成物。
  26. 成長ホルモンがヒト成長ホルモンあるいはその生物学的に活性な類似体、断片又は誘導体である、請求項1に記載の医薬組成物。
  27. 該成長ホルモンが、約30から250μgの間の有効投薬量単位で処方される、請求項1に記載の医薬組成物。
  28. 一つ又はそれより多くのステロイド又は副腎皮質ステロイド化合物をさらに含んでなり、該組成物が、粘膜投与後、許容しえない副作用を伴わずに、炎症、鼻刺激、鼻炎あるいはアレルギーの一つ又はそれより多くの症状を軽減するために有効である、請求項1に記載の医薬組成物。
  29. 一つ又はそれより多くのステロイド又は副腎皮質ステロイド化合物をさらに含んでなり、該組成物が、粘膜投与後、許容しえない副作用を伴わずに、該対象における自己免疫疾患、ウイルス疾患あるいは成長ホルモン欠乏症の一つ又はそれより多くの症状を軽減するために有効である、請求項1に記載の医薬組成物。
  30. インターフェロン−βをさらに含んでなり、該自己免疫疾患が多発性硬化症であり、そして該組成物がステロイドミオパシーを防止する、請求項29に記載の医薬組成物。
  31. インシュリン様成長因子(IGF)−Iをさらに含んでなり、そして該組成物がステロイドミオパシーを防止する、請求項29に記載の医薬組成物。
  32. 約3.0〜6.0の間に調製されたpHである、請求項1に記載の医薬製剤。
  33. 約3.0〜5.0の間に調製されたpHである、請求項1に記載の医薬製剤。
  34. 約4.0〜5.0の間に調製されたpHである、請求項1に記載の医薬製剤。
  35. 約4.0〜4.5の間に調製されたpHである、請求項1に記載の医薬製剤。
  36. 該経粘膜送達増進剤が、哺乳動物対象における上皮接合部構造及び/又は生理学を変調することにより粘膜上皮傍細胞輸送を可逆的に増進する透過性化ペプチドであり、ここにおいて、該ペプチドは、接合部接着分子(JAM)、オクルディン又はクラウディンから選択される上皮膜接着性タンパク質のホモ型結合を有効に阻害する、請求項2に記載の医薬製剤。
  37. 成長ホルモン化合物の療法的投与による処置を受け入れ可能な哺乳動物対象における、成長ホルモン欠乏症あるいは状態を処置するあるいは予防する方法であって、
    該対象の粘膜表面へ、一つ又はそれより多くの経粘膜送達増進剤と組み合わされて、経粘膜送達のために処方された有効量の一つ又はそれより多くの成長ホルモン化合物を含んでなる医薬組成物を、許容しえない副作用を伴うことなく、該対象における該成長ホルモン欠乏症の一つ又はそれより多くの症状を軽減するために有効な投与計画で投与することを含んでなる、前記方法。
  38. 該成長ホルモン化合物が、一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤と組み合わされて、該対象へ鼻腔内送達のために処方され、そしてここにおいて、該方法が、許容しえない副作用を伴うことなく、該対象における該成長ホルモン欠乏症の一つ又はそれより多くの症状を軽減するために鼻腔内で有効な投与計画を用いる、請求項37に記載の方法。
  39. 該成長ホルモン化合物が、多回投薬量単位キットあるいは該対象による反復自己投与のための容器で提供される、請求項37に記載の方法。
  40. 該成長ホルモン化合物が、延長された投与期間の間、成長ホルモンの療法的に有効なベースラインレベルを維持するように、日あるいは週単位のスケジュールの間、該対象への該成長ホルモン化合物の多回投与を含む、鼻腔内有効投与計画で繰り返して投与される、請求項38に記載の方法。
  41. 該成長ホルモン化合物が、8時間から24時間延長された投与期間の間、成長ホルモンの療法的に有効なベースラインレベルを維持するように、毎日2から6回の間で、鼻製剤で該対象により自己投与される、請求項40に記載の方法。
  42. 該成長ホルモン化合物が、延長された投与期間の間、成長ホルモンの療法的に有効な上昇したあるいは低下したパルス状レベルを維持するように、日あるいは週単位のスケジュールの間、該対象への該成長ホルモン化合物の多回投与を含む、鼻腔内有効投与計画で繰り返して投与される、請求項38に記載の方法。
  43. 該成長ホルモン化合物が、8時間から24時間延長された投与期間の間、成長ホルモンの該療法的に有効な上昇したあるいは低下したパルス状レベルを維持するように、毎日2から6回の間で、鼻製剤で該対象により自己投与される、請求項42に記載の方法。
  44. 該対象に同等の濃度又は用量の成長ホルモンを皮下注射した後の、肝門脈又は血漿中の成長ホルモンのピーク濃度(Cmax)と比較して25%又はそれ以上である、該対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンのピーク濃度を、粘膜投与後に生じる、請求項37に記載の方法。
  45. 該対象に同等の濃度又は用量の成長ホルモンを皮下注射した後の、肝門脈又は血漿中の成長ホルモンのピーク濃度(Cmax)と比較して50%又はそれ以上である、該対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンのピーク濃度を、粘膜投与後に生じる、請求項44に記載の方法。
  46. 該対象に同等の濃度又は用量の成長ホルモンを皮下注射した後の、肝門脈又は血漿中の成長ホルモンの濃度曲線下面積(AUC)と比較して25%又はそれ以上である、該対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンのAUCを、粘膜投与後に生じる、請求項37に記載の方法。
  47. 該対象に同等の濃度又は用量の成長ホルモンを皮下注射した後の、肝門脈又は血漿中の成長ホルモンの濃度曲線下面積(AUC)と比較して50%又はそれ以上である、該対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンのAUCを、粘膜投与後に生じる、請求項46に記載の方法。
  48. 粘膜投与後、約0.1から1.0時間の間で、対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンの最大血漿濃度までの時間(tmax)を生じる、請求項37に記載の方法。
  49. 粘膜投与後、0.2から0.5時間の間で、対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンの最大血漿濃度までの時間(tmax)を生じる、請求項48に記載の方法。
  50. 対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンのピーク濃度と比較して10%又はそれ以上である、対象の中枢神経系(CNS)組織あるいは液中の該成長ホルモンのピーク濃度を、粘膜投与後に生じる、請求項37に記載の方法。
  51. 対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンのピーク濃度と比較して20%又はそれ以上である、対象の中枢神経系(CNS)組織あるいは液中の該成長ホルモンのピーク濃度を、粘膜投与後に生じる、請求項50に記載の方法。
  52. 対象の肝門脈又は血漿中の該成長ホルモンのピーク濃度と比較して40%又はそれ以上である、対象の中枢神経系(CNS)組織あるいは液中の該成長ホルモンのピーク濃度を、粘膜投与後に生じる、請求項50に記載の方法。
  53. 請求項37に記載の方法であって、前記経粘膜送達増進剤が:
    (a)凝集阻害剤;
    (b)電荷修飾剤;
    (c)pH制御剤;
    (d)分解酵素阻害剤;
    (e)粘液溶解又は洗浄剤;
    (f)繊毛抑制剤;
    (g)(i)界面活性物質、(ii)胆汁酸塩、(ii)リン脂質添加剤、混合ミセル、リポソーム又は坦体、(iii)アルコール、(iv)エナミン、(v)NO供与化合物、(vi)長鎖両親和性分子、(vii)小疎水性浸透増進剤、(viii)ナトリウム又はサリチル酸誘導体、(ix)アセト酢酸のグリセロールエステル、(x)シクロデキストリン又はベータ−シクロデキストリン誘導体、(xi)中鎖脂肪酸、(xii)キレート剤、(xiii)アミノ酸又はその塩、(xiv)N−アセチルアミノ酸又はその塩、(xv)選択された膜成分に対する分解性酵素、(ix)脂肪酸合成の阻害剤、もしくは(x)コレステロール合成の阻害剤から選択される膜浸透増進剤;または(xi)(i)−(x)の膜浸透増進剤の任意の組み合わせ;
    (h)上皮接合部生理学の変調剤;
    (i)血管拡張剤;
    (j)選択的輸送増進剤;そして
    (k)成長ホルモンが有効に化合され、会合され、含有され、被包され又は結合されることにより増進された経鼻粘膜送達のための該成長ホルモンの安定化を生じるような安定化送達媒体、坦体、支持体又は複合体形成種、から選択され、
    ここにおいて該一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤を伴う該成長ホルモンの製剤が、該対象の血漿中の成長ホルモンの増加した生物学的利用能を提供する、前記方法。
  54. 該医薬組成物が、複数の経粘膜送達増進剤をさらに含んでなる、請求項53に記載の方法。
  55. 該医薬組成物が、一つ又はそれより多くの鼻腔内送達増進剤を含んでなる、請求項37に記載の方法。
  56. 該医薬組成物が、複数の鼻腔内送達増進剤を含んでなる、請求項55に記載の方法。
  57. 該経粘膜送達増進剤が、クエン酸、クエン酸ナトリウム、プロピレングリコール、グリセリン、L−アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、EDTA二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、水酸化ナトリウム及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
  58. 該医薬組成物が、一つ又はそれより多くの持続性放出増進剤をさらに含んでなる、請求項37に記載の方法。
  59. 持続性放出増進剤がポリエチレングリコール(PEG)である、請求項58に記載の方法。
  60. 成長ホルモンがヒト成長ホルモンあるいはその生物学的に活性な類似体、断片又は誘導体である、請求項37に記載の方法。
  61. 該成長ホルモンが、約30から250μgの間の有効投薬量単位で処方される、請求項37に記載の方法。
  62. 許容しえない有害な副作用を伴わずに、小児あるいは成人対象における成長ホルモン欠乏症の一つ又はそれより多くの症状を軽減するために有効である、請求項37に記載の方法。
  63. 許容しえない有害な副作用を伴わずに、該対象における慢性腎不全あるいは末期腎臓疾患に付随した突発性低身長、HIV患者における衰弱あるいは栄養不良、慢性うっ血性心不全、心筋梗塞、先端肥大症、巨人症そして自己免疫疾患の一つ又はそれより多くの症状を軽減するために有効である、請求項37に記載の方法。
  64. 該医薬組成物が、複数の成長ホルモン化合物を含んでなる、請求項37に記載の方法。
  65. 次のものを含んでなる経鼻薬剤送達のための医薬キット:
    容器中の成長ホルモン及び賦形剤の水溶液;および
    該容器へ取り付けられて、そして容器中の成長ホルモン溶液と流動的に連結されている小滴発生アクチュエーター;
    であって、ここにおいて、該アクチュエーターが働く時、該アクチュエーターは、アクチュエーターの先端部を通して成長ホルモン溶液のスプレーを生成し、ここにおいて、成長ホルモン溶液の該スプレーは、アクチュエーター先端部から3.0cmの高さで測定した場合、約1.0から約1.4のスプレーパターン楕円率比を有している、前記キット。
  66. スプレーが成長ホルモン溶液の小滴を含んでなり、ここにおいて小滴の5%未満は10μm未満のサイズである、請求項65に記載のキット。
  67. スプレーが40及び25mmの長軸及び短軸のスプレーパターンを有している、請求項66に記載のキット。
  68. 成長ホルモンスプレーが成長ホルモン溶液の小滴を含んでなり、ここにおいて50%未満の小滴は26.9μm又はそれ未満のサイズである、請求項66に記載のキット。
  69. 成長ホルモンスプレーが成長ホルモン溶液の小滴を含んでなり、ここにおいて90%の小滴は55.3μm又はそれ未満のサイズである、請求項66に記載のキット。
  70. 10%未満の小滴は12.5μm又はそれ未満のサイズである、請求項66に記載のキット。
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