JP2007334194A - 半透過型液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成で、透過領域および反射領域の光学マッチングをとりつつ部材点数の削減によるコストダウンが達成され、かつ視野角特性が大幅に改善された平行配向型のホモジニアスECB型半透過液晶表示装置の提供。
【解決手段】液晶セルが一対の偏光板に挟持されている半透過型液晶表示装置において、前記偏光板と前記液晶セルとの間との間に少なくとも一層のディスコティック液晶性化合物を含む組成物から形成された第1の位相差層が配置され、かつ該第1の位相差層の光軸が前記液晶セルの基板面に略平行配向している液晶表示装置。
【選択図】図4
【解決手段】液晶セルが一対の偏光板に挟持されている半透過型液晶表示装置において、前記偏光板と前記液晶セルとの間との間に少なくとも一層のディスコティック液晶性化合物を含む組成物から形成された第1の位相差層が配置され、かつ該第1の位相差層の光軸が前記液晶セルの基板面に略平行配向している液晶表示装置。
【選択図】図4
Description
本発明は、視野角特性を向上した半透過型液晶表示装置に関し、特に電圧無印加状態において液晶セルにおける液晶分子が基板面に対してホモジニアス配向した半透過型液晶表示装置に関するものである。
液晶表示装置は、液晶セル及び偏光板を有する。一般的に使用されている偏光板は保護膜と偏光膜とからなり、偏光膜は、一般的にはポリビニルアルコールフィルムをヨウ素にて染色、延伸して作製され、この偏光膜の両面に保護膜を貼り合せて偏光板が作製されている。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償膜を配置することもある。反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償膜、偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶分子、それを封入するための二枚の基板及び液晶性分子に電圧を加えるための電極層を有する。液晶セルは、液晶分子の配向状態の違いで、複屈折率を制御することで光学的なスイッチングを実現している。代表的な液晶の光学モードとしてはTN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードが提案されている。
光学補償膜は、画像着色の解消、視野角の拡大を実現するために様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償膜としては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されている。また、延伸複屈折フィルムからなる光学補償膜に代えて、透明支持体上に低分子もしくは高分子液晶性分子から形成された光学補償膜を有する光学補償膜を使用することが提案されている。液晶性分子には多様な配向形態があるため、液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することができる。さらに、偏光板の保護膜に複屈折性を付加することで、保護膜と光学補償膜を兼ねる構成も提案されている。
光学補償膜の光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償膜を製造することができる。液晶性分子を用いて製造された光学補償膜として、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。例えば、透過型液晶表示装置に関して言えば、TNモード液晶セルにおいて、電圧印加により液晶性分子がねじれ構造を解消しつつ基板面に傾斜した配向状態となるので、TNモード液晶セル用光学補償膜はこの状態の光学補償を行い、黒表示時の斜め方向の光漏れ防止によるコントラストの視角特性を向上させる(特許文献1参照)。平行配向液晶セルでは、電圧無印状態の黒表示時において、液晶性分子は基板面に平行配向した状態となる、平行配向液晶セル用光学補償膜はこの状態の液晶性分子の光学補償及び偏光板の直交透過率の視野角特性向上に寄与する(特許文献2参照)。
一方、半透過型液晶表示装置は、反射領域および透過領域の表示特性をマッチングさせる必要がある。そのための構成として、例えば、反射領域のセル厚を透過領域の半分程度とするマルチギャップ方式(特許文献3、4参照)が知られている。図1に示す概略図から分かるように、この構成においては、偏光板の他にλ/4(一般には波長分散性を改善したλ/4+λ/2)を使用することにより、図2に示すように反射領域と透過領域のスイッチング特性がマッチングされている。しかし、図3においてCR10以上(図中白部)の領域が非常に狭いことからわかるようにこの構成では視野角拡大は不十分であり、反射領域と透過領域の表示特性をマッチングさせつつ、十分な光学補償を達成している半透過型液晶表示装置に関する技術はまだ不十分である。
ノーマリーブラック型で視野角による色度変化を改善する方法としては、透過型液晶表示装置において、ホモジニアス配向の液晶分子の直交方向に遅相軸を持つ位相差層(または光学補償用液晶層)を付加する技術がすでに知られている(特許文献5)が、この技術を半透過型液晶表示装置において反射領域および透過領域の表示特性をマッチングさせるために応用した例は知られていない。
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、透過領域および反射領域の光学マッチングをとりつつ、部材点数の削減によるコストダウンが達成され、かつ視野角特性が大幅に改善された、広い視野角で高品位な画像を表示可能な半透過型液晶表示装置、特に液晶層にねじれ構造を持たない平行配向型のホモジニアスECB型半透過液晶表示装置を提供することを課題とする。
上記課題のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、下記手段により上記課題を解決しうることを見出した。具体的には、上記課題は以下の手段により達成された。
(1)互いに対向して配置された第1の基板及び第2の基板と、前記第1の基板上に形成された共通電極となる透明電極と、前記第2の基板上に形成された第1の画素電極となる透明電極と、該透明電極上の一部に形成された絶縁膜と、該絶縁膜上に形成された第2の画素電極となる反射電極と、前記第1の基板及び前記第2の基板にそれぞれ前記電極側で挟持され、かつ電圧無印加状態で該基板面にホモジニアス配向する液晶分子を含む液晶層とを有する液晶セルを有し、該液晶セルはさらに互いの吸収軸を直交にして配置される一対の偏光板に挟持されている半透過型液晶表示装置において、前記偏光板と前記液晶セルとの間に少なくとも一層のディスコティック液晶性化合物を含む組成物から形成された第1の位相差層を有する液晶表示装置。
(1)互いに対向して配置された第1の基板及び第2の基板と、前記第1の基板上に形成された共通電極となる透明電極と、前記第2の基板上に形成された第1の画素電極となる透明電極と、該透明電極上の一部に形成された絶縁膜と、該絶縁膜上に形成された第2の画素電極となる反射電極と、前記第1の基板及び前記第2の基板にそれぞれ前記電極側で挟持され、かつ電圧無印加状態で該基板面にホモジニアス配向する液晶分子を含む液晶層とを有する液晶セルを有し、該液晶セルはさらに互いの吸収軸を直交にして配置される一対の偏光板に挟持されている半透過型液晶表示装置において、前記偏光板と前記液晶セルとの間に少なくとも一層のディスコティック液晶性化合物を含む組成物から形成された第1の位相差層を有する液晶表示装置。
(2)前記第1の位相差層の光軸が前記基板面に略平行配向している(1)に記載の液晶表示装置。
(3)前記第1の位相差層が液晶セルの第2の基板側に設けられている(1)または(2)に記載の液晶表示装置。
(4)前記の一対の偏光板のいずれか1つまたは両方が、偏光膜と、該偏光膜の吸収軸と交差する遅相軸を有しかつ下記式(I)を満たすセルロースアシレートフィルムとを含む(1)〜(3)のいずれか一項に記載の液晶表示装置
(I)0nm ≦ Re ≦ 10nm、且つ|Rth|≦25nm
上記式(I)中、Reは、波長550nmにおける正面レタデーション値(nm)を表し、Rthは、波長550nmにおける膜厚方向のレタデーション値(nm)を表す。
(3)前記第1の位相差層が液晶セルの第2の基板側に設けられている(1)または(2)に記載の液晶表示装置。
(4)前記の一対の偏光板のいずれか1つまたは両方が、偏光膜と、該偏光膜の吸収軸と交差する遅相軸を有しかつ下記式(I)を満たすセルロースアシレートフィルムとを含む(1)〜(3)のいずれか一項に記載の液晶表示装置
(I)0nm ≦ Re ≦ 10nm、且つ|Rth|≦25nm
上記式(I)中、Reは、波長550nmにおける正面レタデーション値(nm)を表し、Rthは、波長550nmにおける膜厚方向のレタデーション値(nm)を表す。
(5)前記の液晶層における液晶分子のプレチルト角が0.01°以上10°以下である(1)〜(4)のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
(6)前記第1の位相差層と前記偏光板の偏光膜との間に第2の位相差層を有する(1)〜(5)のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
(6)前記第1の位相差層と前記偏光板の偏光膜との間に第2の位相差層を有する(1)〜(5)のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
(7)前記第2の位相差層が下記式(II)を満たし、かつ、該第2の位相差層を配置している側の偏光板の吸収軸と該第2の位相差層の遅相軸とが直交または平行配置されている(1)〜(6)のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
(II)200nm ≦ Re ≦ 350nm且つ|Rth|≦175nm
上記式(II)中、Reは、波長550nmにおける正面レタデーション値(nm)を表し、Rthは、波長550nmにおける膜厚方向のレタデーション値(nm)を表す。
(8)前記液晶層厚さdと複屈折率Δnの積であるΔn・dが、前記反射電極上の液晶層において、前記反射電極を有しない第1の画素電極となる透明電極上の液晶層においてよりも小さい(1)〜(7)のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
(II)200nm ≦ Re ≦ 350nm且つ|Rth|≦175nm
上記式(II)中、Reは、波長550nmにおける正面レタデーション値(nm)を表し、Rthは、波長550nmにおける膜厚方向のレタデーション値(nm)を表す。
(8)前記液晶層厚さdと複屈折率Δnの積であるΔn・dが、前記反射電極上の液晶層において、前記反射電極を有しない第1の画素電極となる透明電極上の液晶層においてよりも小さい(1)〜(7)のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
本発明の液晶表示装置は、所定の光学特性を満足する位相差層が所定の配置で組み込まれているので、表示品位のみならず、視野角が大幅に改善されている。即ち、本発明によれば、複雑な構造を有さず、また従来の構造をほとんど変化させない構造を有する液晶表示装置であって、表示品位のみならず、視野角が従来よりも格段に改善された液晶表示装置、特にホモジニアスECB型半透過型液晶表示装置を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレタデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレタデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレタデーション値をあらわす。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2 - nz) x d --- 式(2)
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレタデーション値をあらわす。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2 - nz) x d --- 式(2)
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx-nz)/(nx-ny)が更に算出される。
本明細書において、「略平行」とは0°±11°の範囲内であることを意味する。また、例えば、本明細書において角度に関する記載(例えば「45°」、「直交」、単に「平行」など)がある場合は、厳密な角度±5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する保護膜(「保護フィルム」ともいう)又は透明支持体を有する積層体のことを意味するものとする。
以下、図面を用いて、本発明の液晶表示装置について説明する。
図4は本発明の一態様の液晶表示装置の一例の概略断面図である。図において、上側が視認者側、下側がバックライト側である。図4に示す液晶表示装置は、2つの透明基板2と該透明基板間に挟持されたホモジニアスECB液晶層とからなる液晶セルを有し、該液晶セルの両側に互いの吸収軸を直交にして配置される偏光膜4を含む偏光板3を2つ有する。
前記液晶セルにおいて、上側透明基板側には透明基板及びそれを被うように配向膜(不図示)が形成されている。一方、下側透明基板側には透明電極6が形成され、さらに該透明電極上の一部に絶縁膜8及び該絶縁膜を介して電気的に接続された反射電極7(通常は表面には凹凸が形成されている:不図示)が形成され、反射領域をなしている。一方、絶縁膜及び反射電極が形成されなかった領域は透過領域をなす。さらに、反射領域及び透過領域を被うように配向膜(不図示)が形成されている。
図4は本発明の一態様の液晶表示装置の一例の概略断面図である。図において、上側が視認者側、下側がバックライト側である。図4に示す液晶表示装置は、2つの透明基板2と該透明基板間に挟持されたホモジニアスECB液晶層とからなる液晶セルを有し、該液晶セルの両側に互いの吸収軸を直交にして配置される偏光膜4を含む偏光板3を2つ有する。
前記液晶セルにおいて、上側透明基板側には透明基板及びそれを被うように配向膜(不図示)が形成されている。一方、下側透明基板側には透明電極6が形成され、さらに該透明電極上の一部に絶縁膜8及び該絶縁膜を介して電気的に接続された反射電極7(通常は表面には凹凸が形成されている:不図示)が形成され、反射領域をなしている。一方、絶縁膜及び反射電極が形成されなかった領域は透過領域をなす。さらに、反射領域及び透過領域を被うように配向膜(不図示)が形成されている。
本発明の液晶表示装置は、前記液晶セルと上側の前記偏光板及び/又は下側の前記偏光板との間にさらに、ディスコティック液晶性化合物を含有する組成物から形成される光学補償膜(第1の位相差層)を有することを特徴としている。図4に示す液晶表示装置においては前記液晶セルと下側の前記偏光板との間に第1の位相差層が配置されている。本発明の液晶表示装置においては、光軸が基板面に略平行配向している該第1の位相差層によって、電圧無印加状態では通常白表示(ノーマリーホワイト)となるホモジニアスECB液晶表示装置が、電圧無印加状態で黒表示(ノーマーリーブラック)となり、従来技術に使用されていたλ/4層(4枚のフィルム)を使用しなくても、透過領域および反射領域の光学マッチングをとることができるうえ、部材点数も削減される。
ホモジニアスECB液晶層中の液晶性分子は、電圧無印加時には基板面に略平行配向し、基板間のツイスト角は、配向膜に施されたラビング処理等の方向に依存する。透明基板及び配向膜に施されるラビング処理の方向を45°以下とするのが好ましく、略平行とするのがより好ましい。かかる範囲とすることで、ツイスト構造を持たない略平行配向(ツイスト角が45°以下)を実現できる。上下基板間に封入される液晶分子の誘電率異方性Δεは正で、一般的に屈折率異方性Δn=0.06〜0.1(589nm、20°C)程度を用いる。液晶層の厚さdは透過領域で3〜5μm程度であることが好ましく、反射領域では略半分の1.5〜2.5μm程度であることが好ましい。ここで厚さdと屈折率異方性Δnの積Δn・dの大きさにより白表示時の明るさが変化する。200nm≦Δn・d≦400nmの範囲になるように設定すると、本発明の効果がより顕著になるので好ましい。Δn・dは、240nm〜320nmであることがより好ましい。
透明電極は、液晶層中の液晶分子に電圧を印加する機能を有する。透明電極としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)からなるものを用いることができる。層間絶縁膜は、有機系のアクリル系フォトレジンや一般的なノボラック系フォトレジストを使用して、一般的なフォトリソグラフィー工程により作製することができる。その上に、反射電極として、Al合金、銀合金などをスパッタまたは蒸着により形成することができる。このとき、層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し、反射電極と透明電極とを電気的に接続させることができる。
2つの偏光板は、互いの吸収軸の交差角を概略90°にした直交ニコル配置となっている。また、偏光板の吸収軸は、より近くに位置する透明基板の近傍に位置する液晶性分子の配向方向(一般的には内面に形成された配向膜のラビング方向)と概略45°で交差し、偏光板の吸収軸は、より近くに位置する透明基板の近傍に位置する液晶性分子の配向方向(一般的には内面に形成された配向膜のラビング方向)と概略45°(35〜55°)で交差して配置されている。偏光板は、一般的にはその2つの表面に、偏光膜を保護するセルロースアシレートフィルム等からなる保護膜を有する。
図4に示す液晶表示装置につき、透過領域におけるセルギャップが3.28μm、反射領域におけるセルギャップを1.6μm、透過領域におけるΔn・dを280nm、反射領域におけるΔn・dを137nmとして、電圧特性のシミュレーション(シンテック製LCDマスター)を行ったところ、図5に示す結果が得られた。図4に示す液晶表示装置においては、前述の第1の位相差層を有していることによって、反射と透過領域の光学マッチングが取られていることがわかる。さらに、同様に視野角特性のシミュレーション(シンテック製LCDマスター)を行ったところ、図6に示す結果が得られた。図4に示す液晶表示装置においては、図3で示す従来技術に比較して視野角特性が大幅に向上していることがわかる。
図4に示す液晶表示装置につき、透過領域におけるセルギャップが3.28μm、反射領域におけるセルギャップを1.6μm、透過領域におけるΔn・dを280nm、反射領域におけるΔn・dを137nmとして、電圧特性のシミュレーション(シンテック製LCDマスター)を行ったところ、図5に示す結果が得られた。図4に示す液晶表示装置においては、前述の第1の位相差層を有していることによって、反射と透過領域の光学マッチングが取られていることがわかる。さらに、同様に視野角特性のシミュレーション(シンテック製LCDマスター)を行ったところ、図6に示す結果が得られた。図4に示す液晶表示装置においては、図3で示す従来技術に比較して視野角特性が大幅に向上していることがわかる。
本発明の液晶表示装置においては、両側の偏光板の各々一方の保護膜に、下記式(I):
(I)0nm ≦ Re ≦ 10nm、且つ|Rth|≦25nm
(式(I)中、Reは、波長550nmにおける正面レタデーション値(nm)を表し、Rthは、波長550nmにおける膜厚方向のレタデーション値(nm)を表す。)
を満たすセルロースアシレートフィルムを使用してもよい。該フィルムとして低レタデーションTAC(フジフイルム製)を用いた態様を図7に示す。図4に示す液晶表示装置と同様にシミュレーションを行った結果(図8)から、図7に示す液晶表示装置は図4に示す液晶表示装置と比較して視野角がさらに拡大することがわかる。すなわち、偏光板の保護膜のレタデーション値は低いことが好ましく、保護膜のレタデーション値は、例えば632.8nmにおいて±10nm以下が好ましく、±5nm以下がさらに好ましい。レタデーション値の低い高分子フィルムとしては他に、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)のようなポリオレフィン類が好ましく挙げられる。その他、例えば特開平8−110402号公報又は特開平11−293116号公報に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料が挙げられる。
(I)0nm ≦ Re ≦ 10nm、且つ|Rth|≦25nm
(式(I)中、Reは、波長550nmにおける正面レタデーション値(nm)を表し、Rthは、波長550nmにおける膜厚方向のレタデーション値(nm)を表す。)
を満たすセルロースアシレートフィルムを使用してもよい。該フィルムとして低レタデーションTAC(フジフイルム製)を用いた態様を図7に示す。図4に示す液晶表示装置と同様にシミュレーションを行った結果(図8)から、図7に示す液晶表示装置は図4に示す液晶表示装置と比較して視野角がさらに拡大することがわかる。すなわち、偏光板の保護膜のレタデーション値は低いことが好ましく、保護膜のレタデーション値は、例えば632.8nmにおいて±10nm以下が好ましく、±5nm以下がさらに好ましい。レタデーション値の低い高分子フィルムとしては他に、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)のようなポリオレフィン類が好ましく挙げられる。その他、例えば特開平8−110402号公報又は特開平11−293116号公報に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料が挙げられる。
なお、図8では視野角の非対称性がみられるが、図7に示す液晶表示装置では3°程度である液晶分子のプレチルト角を0.01°としてシミュレーションを行った結果、図9に示すように、左右対称性が図8に比較して上がり、プレチルト角を限りなく0°に近づけることにより視野角の対称性が改善した。なお、本明細書においてプレチルト角とは液晶セルにおける液晶分子の長軸が基板となす角度を意味する。
しかし、製造性、液晶分子の配向安定性を考慮した場合、プレチルト角は3度から7度程度必要であることが一般に知られている。そこで、本発明の別態様として、図10に示すように、液晶セルにおける液晶分子のプレチルト角は3°に設定し、液晶セルにおける液晶分子のダイレクタ(液晶分子長軸方位)方位に第1の位相差板の光軸が液晶セルにおける液晶分子の長軸と平行になるようにチルトさせた液晶表示装置につき視野角特性を計算したところ、図11に示すように図9と同様の左右対称性の改善が見られた。
なお、第1の位相差板の光軸と液晶セルにおける液晶分子の長軸とを平行にする場合、両者のなす角度は0°±1°、好ましくは0°±0.5°であればよい。
しかし、製造性、液晶分子の配向安定性を考慮した場合、プレチルト角は3度から7度程度必要であることが一般に知られている。そこで、本発明の別態様として、図10に示すように、液晶セルにおける液晶分子のプレチルト角は3°に設定し、液晶セルにおける液晶分子のダイレクタ(液晶分子長軸方位)方位に第1の位相差板の光軸が液晶セルにおける液晶分子の長軸と平行になるようにチルトさせた液晶表示装置につき視野角特性を計算したところ、図11に示すように図9と同様の左右対称性の改善が見られた。
なお、第1の位相差板の光軸と液晶セルにおける液晶分子の長軸とを平行にする場合、両者のなす角度は0°±1°、好ましくは0°±0.5°であればよい。
また、本発明のさらの別の態様として、第1の位相差層におけるディスコティック構造単位の前記基板面に対する傾斜角度が前記第1の位相差板厚さ方向で異なっているように、具体的にはディスコティック構造単位の円盤面の法線方向と前記基板面とがなす傾斜角度が0°〜6°の範囲で前記第1の位相差板厚さ方向に従って異なるように傾斜配向(ハイブリッド配向)させ、かつ第1の位相差層の光軸(第1の位相差層におけるディスコティック構造単位の法線方向の平均)と前記液晶層の液晶分子の長軸とを平行にさせた液晶表示装置につき計算を行ったところ、図12に示す結果が得られ、視野角の対称性はさらに改善することがわかった。
さらに、本発明の別の一態様として、図13に示すような第2の位相差層を配置した液晶表示装置についてはさらに、視野角特性が改善できることを示す結果が得られた。また、該液晶表示装置において、図14に示すように対向側の偏光板保護層を低リタデーションTACに置き換えた液晶表示装置においてもさらに視野角を改善できることを示す結果が得られた。
さらに、本発明の別の一態様として、図13に示すような第2の位相差層を配置した液晶表示装置についてはさらに、視野角特性が改善できることを示す結果が得られた。また、該液晶表示装置において、図14に示すように対向側の偏光板保護層を低リタデーションTACに置き換えた液晶表示装置においてもさらに視野角を改善できることを示す結果が得られた。
前記の第2の位相差層は、偏光膜の保護膜を兼ねていてもよい。従って、第2の位相差層を保護膜として有する一体型偏光板を用いてもよい。また、第2の位相差層は、偏光膜の一方の保護膜又は透明支持体を兼ねるとともに、第1の位相差層の支持体を兼ねていてもよい。例えば、保護膜、偏光膜、第2の位相差層(偏光膜保護膜、及び第1の位相差層の支持体を兼ねる)及び第1の位相差層をこの順に有する一体型偏光板を用いてもよい。前記一体型偏光板は、偏光機能を有するのみならず、視野角の拡大、表示ムラの軽減に寄与する。さらに、該一体型偏光板は光学補償能を有する位相差層を備えているので、簡易な構成で液晶表示装置を正確に光学補償することができる。後者の一体型偏光板を液晶表示装置内に組み込む際は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、保護膜、偏光層、第2の位相差層(保護膜又は透明支持体、及び第1の位相差層の支持体を兼ねる)、及び第1の位相差層の順にして配置することが好ましい。
また、本発明の液晶表示装置を、一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にすると、輝度や色調の視野角特性がより改善されるので好ましい。具体的には、画素のそれぞれを液晶分子の初期配向状態が互いに異なる2以上(好ましくは4又は8)の領域で構成して平均化することで、視野角に依存した輝度や色調の偏りを低減することができる。また、それぞれの画素を、電圧印加状態において液晶分子の配向方向が連続的に変化する互いに異なる2以上の領域から構成しても同様の効果が得られる。
一画素内で液晶分子の配向方向が異なる領域を複数形成するには、例えば、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり、電界密度に偏りを持たせる等の方法を利用することができる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割あるいは8分割以上とすることで、略均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
本発明の液晶表示装置は図4、7、10、13、及び14に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間(液晶セルの内側であっても外側であってもよい)に、カラーフィルターを配置してもよい。また、液晶セルと偏光板との間に、別途他の光学補償膜を配置することもできる。また、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
次に、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材に用いられる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。
[第2の位相差層]
第2の位相差層は、下記式:
200nm ≦ Re ≦ 350nm且つ|Rth|≦175nm
より好ましくは、下記式:
225nm ≦ Re ≦ 300nm且つ|Rth|≦150nm
を満足することが好ましい
なお、上記の2つの式において、Reは、波長550nmにおける正面レタデーション値(nm)を表し、Rthは、波長550nmにおける膜厚方向のレタデーション値(nm)を表す。
第2の位相差層は、下記式:
200nm ≦ Re ≦ 350nm且つ|Rth|≦175nm
より好ましくは、下記式:
225nm ≦ Re ≦ 300nm且つ|Rth|≦150nm
を満足することが好ましい
なお、上記の2つの式において、Reは、波長550nmにおける正面レタデーション値(nm)を表し、Rthは、波長550nmにおける膜厚方向のレタデーション値(nm)を表す。
第2の位相差層を形成する材料については制限されないが、例えば、一般的に光学補償膜として液晶表示装置に用いられる、延伸複屈折ポリマーフィルム、及び透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償膜のいずれも使用することができる。二層以上の光学異方性層の積層体をはじめ、積層構造の光学補償膜を用いることもできる。積層構造の光学補償膜については、厚さを考慮すると、高分子の延伸フィルムの積層体からなる光学補償膜よりも、塗布型の積層体からなる光学補償膜が好ましい。また、前述した、一体型の偏光板を容易に作製可能である点では、前記第2の位相差層は、高分子フィルムからなるかまたは高分子を含んでいるのが好ましい。
前記第2の位相差層として用いられる高分子フィルムは、延伸された高分子フィルムであっても、また塗布型の高分子層と高分子フィルムとの併用でもよい。高分子フィルムの材料は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン系ポリマー、トリアセチルセルロース)が用いられる。
また、前記第2の位相差層は、液晶性化合物を含有する組成物からなる光学異方性層を有していてもよい。液晶性化合物には多様な配向形態があるため、配向を制御することにより、上記条件を満足する光学特性を、単層で又は複数層の積層体により、発現し得る。前記第2の位相差層は、支持体と該支持体上に形成された、一層以上の前記光学異方性層との積層体として、前記条件を満足する光学特性を示していてもよい。かかる態様では、第2の位相差層の光学特性は、高分子フィルム等からなる支持体の光学特性、及び液晶性組成物から形成された光学異方性層の光学特性の双方によって調整することができる。また、液晶性化合物は、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。
第2の位相差層は、その面内遅相軸を、より近くに位置する偏光層の吸収軸と直交又は平行にして配置される。第2の位相差層の面内遅相軸は、例えば、第2の位相差層が延伸ポリマーフィルムからなる場合は延伸方向によって、及び第2の位相差層が液晶性組成物からなる場合は液晶分子の配向を制御する例えばラビング軸等によって、その方向を調整することができる。
前記第2の位相差層は、例えば、特願2005−088467号明細書、特願2005−156147号明細書、特願2005−125356号明細書、特願2005−051750号明細書、特開平5−11115号公報、特開平10−48420号公報、特許第3459779号公報、特開平2005−156863号公報、WO03/062875A1号、特許第3165168号公報、特開2001−194530号公報、に開示されている公知技術を参考にして作製することができる。
[第1の位相差層]
前記第1の位相差層は、ディスコティック構造単位を有するディスコティック液晶性化合物を含有する組成物から形成される。前記第1の位相差層は、上記した通り、電圧印加時に基板近傍の液晶性分子の立ち上がりが充分でないために生じる残留レタデーションを相殺するものである。前記第1の位相差層の作製には、ディスコティック液晶性化合物を含有する組成物を用いる。ディスコティック液晶性化合物の分子は、層中において、層面に対して実質的に垂直(50〜90度の範囲の平均傾斜角)に配向した状態に固定されているのが好ましい。ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されているものを採用することができる。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載のものを採用できる。
前記第1の位相差層は、ディスコティック構造単位を有するディスコティック液晶性化合物を含有する組成物から形成される。前記第1の位相差層は、上記した通り、電圧印加時に基板近傍の液晶性分子の立ち上がりが充分でないために生じる残留レタデーションを相殺するものである。前記第1の位相差層の作製には、ディスコティック液晶性化合物を含有する組成物を用いる。ディスコティック液晶性化合物の分子は、層中において、層面に対して実質的に垂直(50〜90度の範囲の平均傾斜角)に配向した状態に固定されているのが好ましい。ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されているものを採用することができる。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載のものを採用できる。
ディスコティック液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有するのが好ましい。例えば、ディスコティック液晶性化合物のディスコティックコアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、但し、ディスコティックコアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、ディスコティックコアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記式(X)で表わされる化合物であることが好ましい。
式(X) D(−L−P)n
式中、Dはディスコティックコアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
式(X) D(−L−P)n
式中、Dはディスコティックコアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
前記式(X)中のディスコティックコア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。
前記ディスコティック液晶性化合物の分子は、層中では、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることがさらに好ましい。重合性基を有するディスコティック液晶性化合物の場合は、実質的に垂直配向させることが好ましい。実質的に垂直とは、ディスコティック液晶性化合物の分子の円盤面と、層面との平均角度(平均傾斜角)が50°〜90°の範囲内であることを意味する。ディスコティック液晶性化合物の分子を斜め配向させてもよいし、傾斜角が徐々に変化するように(ハイブリッド配向)させてもよい。斜め配向又はハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は50°〜90°であることが好ましい。
前記第1の位相差層は、少なくとも一種のディスコティック液晶性化合物、及び所望により下記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液(組成物)を、配向膜の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
(液晶性化合物の配向状態の固定化)
配向させた液晶性化合物の分子は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(例えば、米国特許2367661号、同2367670号の各公報に記載のもの)、アシロインエーテル(例えば、米国特許2448828号公報に記載のもの)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(例えば、米国特許2722512号公報に記載のもの)、多核キノン化合物(例えば、米国特許3046127号、同2951758号の各公報に記載のもの)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(例えば、米国特許3549367号公報に記載のもの)、アクリジン及びフェナジン化合物(例えば、特開昭60−105667号公報に記載のもの、米国特許4239850号公報に記載のもの)及びオキサジアゾール化合物(例えば、米国特許4212970号公報に記載のもの)が含まれる。
配向させた液晶性化合物の分子は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(例えば、米国特許2367661号、同2367670号の各公報に記載のもの)、アシロインエーテル(例えば、米国特許2448828号公報に記載のもの)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(例えば、米国特許2722512号公報に記載のもの)、多核キノン化合物(例えば、米国特許3046127号、同2951758号の各公報に記載のもの)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(例えば、米国特許3549367号公報に記載のもの)、アクリジン及びフェナジン化合物(例えば、特開昭60−105667号公報に記載のもの、米国特許4239850号公報に記載のもの)及びオキサジアゾール化合物(例えば、米国特許4212970号公報に記載のもの)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。第2の位相差層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
(配向膜)
第1の位相差層の形成に際して液晶性化合物を配向させるためには、配向膜を利用するのが好ましい。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セル又は光学補償膜について種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して位相差層を形成し、位相差層のみをポリマーフィルム(又は透明支持体)上に転写してもよい。
第1の位相差層の形成に際して液晶性化合物を配向させるためには、配向膜を利用するのが好ましい。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セル又は光学補償膜について種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して位相差層を形成し、位相差層のみをポリマーフィルム(又は透明支持体)上に転写してもよい。
第1の位相差層を支持する支持体については、特に制限されず、種々の高分子フィルム等を用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース、ノルボルネン樹脂等が挙げられる。前記第1の位相差層が高分子フィルムからなる場合は、第2の位相差層を第1の位相差層の支持体として利用してもよい。また、第1の位相差層の支持体が、偏光板の保護膜を兼ねていてもよい。かかる態様における支持体の材料の具体例については、偏光板の保護膜の材料の具体例と同一であり、後述する。
[偏光板]
一般的には、偏光板は、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる。例えば、ポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。上記した通り、一対の保護膜の一方又は双方が、前記第2の位相差層を兼ねていてもよいし、前記第1の位相差を有する態様では、一対の保護膜の一方又は双方が、前記第1の位相差層の支持体を兼ねていてもよく、さらに、前記第2の位相差層であり、且つ前記第1の位相差層の支持体であってもよい。
一般的には、偏光板は、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる。例えば、ポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。上記した通り、一対の保護膜の一方又は双方が、前記第2の位相差層を兼ねていてもよいし、前記第1の位相差を有する態様では、一対の保護膜の一方又は双方が、前記第1の位相差層の支持体を兼ねていてもよく、さらに、前記第2の位相差層であり、且つ前記第1の位相差層の支持体であってもよい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があり、いずれであってもよい。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
偏光板の保護膜としては、透明なポリマーフィルムを用いるのが好ましい。例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン(JSR製)、ゼオノア(日本ゼオン製)など)を用いてもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
(ECBモード液晶セルの作製)
透過領域におけるセルギャップが3.28μm、反射領域におけるセルギャップが1.6μmであるECBモード半透過液晶セルを形成し、対向配置された基板間に、正の誘電率異方性を持つ液晶材料を基板間に真空注入で封入して作製した液晶セルを用いた。この液晶層のΔn・dは、透過領域280nmとした。液晶材料は誘電異方性が正で、屈折率異方性、Δn=0.0854(589nm、20°C)、Δε=+8.5程度の液晶(メルク社製のMLC−9100)を使用した。また、液晶セルの交差角は0°であり、後で上下偏光板と貼り合わせる際に、液晶セルの上下基板ラビング方向(配向制御方向)は、二軸性セルロースアシレートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)と45°の交差角になるようにした。偏光板吸収軸は液晶セル配向方向(ラビング方向)と概略45°で交差し、かつ上下偏光板吸収軸の交差角は概略90°の直交ニコル配置とした。
(ECBモード液晶セルの作製)
透過領域におけるセルギャップが3.28μm、反射領域におけるセルギャップが1.6μmであるECBモード半透過液晶セルを形成し、対向配置された基板間に、正の誘電率異方性を持つ液晶材料を基板間に真空注入で封入して作製した液晶セルを用いた。この液晶層のΔn・dは、透過領域280nmとした。液晶材料は誘電異方性が正で、屈折率異方性、Δn=0.0854(589nm、20°C)、Δε=+8.5程度の液晶(メルク社製のMLC−9100)を使用した。また、液晶セルの交差角は0°であり、後で上下偏光板と貼り合わせる際に、液晶セルの上下基板ラビング方向(配向制御方向)は、二軸性セルロースアシレートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)と45°の交差角になるようにした。偏光板吸収軸は液晶セル配向方向(ラビング方向)と概略45°で交差し、かつ上下偏光板吸収軸の交差角は概略90°の直交ニコル配置とした。
偏光膜は延伸したポリマーを浴槽中のヨウ素溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素を浸透させることで作製した。この偏光膜の一方の面に、セルロースアシレートフィルム(富士フイルム製フジタック)を貼り付け、他方の面に低レタデーションTAC(フジフイルム製) を貼り付けた偏光板と、この偏光膜の一方の面にセルロースアシレートフィルム(富士フイルム製フジタック)を貼り付け、他方の表面に、セルロースアセテートフィルムを二軸延伸して作製した二軸性セルロースアシレートフィルム(Re=250nm、Rth=62.5nm)を、その面内遅相軸を偏光膜の吸収軸に対して平行にして貼り付けた偏光板とを作製した。二軸性セルロースアシレートフィルムを有する偏光板の二軸性セルロースアシレートフィルムの表面に、配向膜を形成した後、該配向膜表面に、ディスコティック液晶性化合物を含有する重合性組成物を適用して、ディスコティック液晶分子を配向させた後、重合によりその状態に固定して第1の位相差層を形成した。
上記作製したECBモードの液晶セルの一方に、上記作製した偏光板を、一方については低レタデーションTAC(フジフイルム製)をセル側にして第1の位相差層を有する偏光板については、該位相差層をセル側にして貼り付けてECBモードの液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置の視野角特性を、前記と同様のシミュレーション計算によって求めた結果を図15に示す。図3と比較すると非常に広い視野角特性が得られていることがわかる。
上記作製したECBモードの液晶セルの一方に、上記作製した偏光板を、一方については低レタデーションTAC(フジフイルム製)をセル側にして第1の位相差層を有する偏光板については、該位相差層をセル側にして貼り付けてECBモードの液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置の視野角特性を、前記と同様のシミュレーション計算によって求めた結果を図15に示す。図3と比較すると非常に広い視野角特性が得られていることがわかる。
[実施例2]
偏光膜はサンリッツ製を使用した。この偏光膜の一方の表面に、市販のセルロースアシレートフィルムを貼り付け、他方の面に低レタデーションTAC(フジフイルム製) を貼り付けた偏光板と、この偏光膜の一方の面にセルロースアシレートフィルム(富士フイルム製フジタック)を貼り付け、他方の表面に、セルロースアセテートフィルムを二軸延伸して作製した二軸性セルロースアシレートフィルム(Re=250nm、Rth≒0nm)を、その面内遅相軸を偏光膜の吸収軸に対して平行にして貼り付けてた偏光板とを作製した。二軸性セルロースアシレートフィルムを有する偏光板の二軸性セルロースアシレートフィルムの表面に、配向膜を形成した後、該配向膜表面に、ディスコティック液晶性化合物を含有する重合性組成物を適用して、ディスコティック液晶性分子を配向させた後、重合によりその状態に固定して第1の位相差層を形成した。
上記で作製したECBモードの液晶セルの一方に、上記で作製した偏光板を、一方については低レタデーションTAC(フジフイルム製)をセル側にして、第1の位相差層を有する偏光板については、該位相差層をセル側にして貼り付けてECBモードの液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置視野角特性を、前記と同様のシミュレーション計算によって求めた結果を図16に示す。図3と比較すると非常に広い視野角特性が得られていることがわかる。
偏光膜はサンリッツ製を使用した。この偏光膜の一方の表面に、市販のセルロースアシレートフィルムを貼り付け、他方の面に低レタデーションTAC(フジフイルム製) を貼り付けた偏光板と、この偏光膜の一方の面にセルロースアシレートフィルム(富士フイルム製フジタック)を貼り付け、他方の表面に、セルロースアセテートフィルムを二軸延伸して作製した二軸性セルロースアシレートフィルム(Re=250nm、Rth≒0nm)を、その面内遅相軸を偏光膜の吸収軸に対して平行にして貼り付けてた偏光板とを作製した。二軸性セルロースアシレートフィルムを有する偏光板の二軸性セルロースアシレートフィルムの表面に、配向膜を形成した後、該配向膜表面に、ディスコティック液晶性化合物を含有する重合性組成物を適用して、ディスコティック液晶性分子を配向させた後、重合によりその状態に固定して第1の位相差層を形成した。
上記で作製したECBモードの液晶セルの一方に、上記で作製した偏光板を、一方については低レタデーションTAC(フジフイルム製)をセル側にして、第1の位相差層を有する偏光板については、該位相差層をセル側にして貼り付けてECBモードの液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置視野角特性を、前記と同様のシミュレーション計算によって求めた結果を図16に示す。図3と比較すると非常に広い視野角特性が得られていることがわかる。
[実施例3]
(ECBモード液晶セルの作製)
ECBモード半透過型液晶セルとして、透過領域におけるセルギャップ3.5μm、反射領域におけるセルギャップ1.71μmで対向配置させた基板間に、正の誘電率異方性を持つ液晶材料を真空注入で封入して作製した液晶セルを用いた。この液晶層のΔn・dは280nmであった。液晶材料は誘電異方性が正で、屈折率異方性、Δn=0.08(589nm、20°C)、Δε=+5.2程度の液晶を使用した。また、液晶セルの交差角は0°であり、後で上下偏光板と貼り合わせる際に、液晶セルの上下基板ラビング方向(配向制御方向)は、支持体遅相軸(流延方向と平行方向)と45°の交差角になるようにする。偏光板吸収軸は液晶セル配向方向(ラビング方向)と概略45°交差し、かつ上下偏光板吸収軸の交差角は概略90°の直交ニコルとした。
(ECBモード液晶セルの作製)
ECBモード半透過型液晶セルとして、透過領域におけるセルギャップ3.5μm、反射領域におけるセルギャップ1.71μmで対向配置させた基板間に、正の誘電率異方性を持つ液晶材料を真空注入で封入して作製した液晶セルを用いた。この液晶層のΔn・dは280nmであった。液晶材料は誘電異方性が正で、屈折率異方性、Δn=0.08(589nm、20°C)、Δε=+5.2程度の液晶を使用した。また、液晶セルの交差角は0°であり、後で上下偏光板と貼り合わせる際に、液晶セルの上下基板ラビング方向(配向制御方向)は、支持体遅相軸(流延方向と平行方向)と45°の交差角になるようにする。偏光板吸収軸は液晶セル配向方向(ラビング方向)と概略45°交差し、かつ上下偏光板吸収軸の交差角は概略90°の直交ニコルとした。
偏光膜の一方の表面に市販のセルロースアシレートフィルムを、他方の表面に低レタデーションTAC{具体的にはRe=1.5nm(550nm)、Rth=−6(550nm)、特許出願2004−148269号明細書の実施例に記載の方法に従って作製したフィルム}を貼り付けて偏光板を作製した。さらに同様に作製した偏光板の低リタデーションTAC上に配向膜を形成した後、該配向膜の表面に、ディスコティック液晶性化合物を含有する重合性組成物を適用して、ディスコティック液晶性分子を配向させた後、重合によりその状態に固定して第1の位相差層を形成し、別の偏光板を作製した。
上記で作製したECBモードの液晶セルの双方の面に、上記で作製した二枚の偏光板をそれぞれ貼り付けた。低リタデーションTACフィルムを有する偏光板については、低リタデーションTACフィルムを液晶セル側にして、第1の位相差層を有する偏光板については、該位相差層をセル側にして貼り付けた。この様にして、ECBモードの液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置を黒表示させ、正面方向及び斜め方向から観察したが、いずれも理想的な黒表示であった。
上記で作製したECBモードの液晶セルの双方の面に、上記で作製した二枚の偏光板をそれぞれ貼り付けた。低リタデーションTACフィルムを有する偏光板については、低リタデーションTACフィルムを液晶セル側にして、第1の位相差層を有する偏光板については、該位相差層をセル側にして貼り付けた。この様にして、ECBモードの液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置を黒表示させ、正面方向及び斜め方向から観察したが、いずれも理想的な黒表示であった。
[実施例4]
実施例2の半透過型液晶表示装置において、二軸性セルロースアシレートフィルム(第2の位相差板)の光学特性又は貼り付け方向のみを変更した液晶表示装置を実施例2と同様の手順により作製して検討した結果、該第2の位相差板に関しては面内遅相軸は配置している偏光板吸収軸と平行でも直交でも効果があり、面内リタデーションReに関しては、最適解は1/2波長板(Re=λ/2)であることがわかった。さらに、200nm ≦ Re ≦ 350nmの範囲より好ましくは225nm ≦ Re ≦ 300nmで第2の位相差板を付加しない場合に比較して十分に効果があることが確認できた。さらに、第2の位相差板の厚さ方向のリタデーションに関しての最適解は|Rth|≒0であることがわかった。ただし、|Rth|≦175nmより好ましくは|Rth|≦150nmにおいて第2の位相差板を付加しない場合に比較して十分に効果があることが確認できた。
実施例2の半透過型液晶表示装置において、二軸性セルロースアシレートフィルム(第2の位相差板)の光学特性又は貼り付け方向のみを変更した液晶表示装置を実施例2と同様の手順により作製して検討した結果、該第2の位相差板に関しては面内遅相軸は配置している偏光板吸収軸と平行でも直交でも効果があり、面内リタデーションReに関しては、最適解は1/2波長板(Re=λ/2)であることがわかった。さらに、200nm ≦ Re ≦ 350nmの範囲より好ましくは225nm ≦ Re ≦ 300nmで第2の位相差板を付加しない場合に比較して十分に効果があることが確認できた。さらに、第2の位相差板の厚さ方向のリタデーションに関しての最適解は|Rth|≒0であることがわかった。ただし、|Rth|≦175nmより好ましくは|Rth|≦150nmにおいて第2の位相差板を付加しない場合に比較して十分に効果があることが確認できた。
1 液晶分子
2 透明基板(ガラス)
3 偏光板
4 偏光膜(PVA)
5 偏光膜保護層(フジTAC)
6 透明電極(ITO)
7 反射電極
8 絶縁膜
10 第1の位相差板(ディスコティック積層構造体)
11 広帯域λ/4板
12 λ/4板(アートン、PC)
13 λ/2板(アートン、PC)
14 低リタデーションTAC(兼偏光膜保護層)
20 第2の位相差板(兼偏光膜保護層)
2 透明基板(ガラス)
3 偏光板
4 偏光膜(PVA)
5 偏光膜保護層(フジTAC)
6 透明電極(ITO)
7 反射電極
8 絶縁膜
10 第1の位相差板(ディスコティック積層構造体)
11 広帯域λ/4板
12 λ/4板(アートン、PC)
13 λ/2板(アートン、PC)
14 低リタデーションTAC(兼偏光膜保護層)
20 第2の位相差板(兼偏光膜保護層)
Claims (8)
- 互いに対向して配置された第1の基板及び第2の基板と、前記第1の基板上に形成された共通電極となる透明電極と、前記第2の基板上に形成された第1の画素電極となる透明電極と、該透明電極上の一部に形成された絶縁膜と、該絶縁膜上に形成された第2の画素電極となる反射電極と、前記第1の基板及び前記第2の基板にそれぞれ前記電極側で挟持され、かつ電圧無印加状態で該基板面にホモジニアス配向する液晶分子を含む液晶層とを有する液晶セルを有し、該液晶セルはさらに互いの吸収軸を直交にして配置される一対の偏光板に挟持されている半透過型液晶表示装置において、前記偏光板と前記液晶セルとの間に少なくとも一層のディスコティック液晶性化合物を含む組成物から形成された第1の位相差層を有する液晶表示装置。
- 前記第1の位相差層の光軸が前記基板面に略平行配向している請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記第1の位相差層が液晶セルの第2の基板側に設けられている請求項1または2に記載の液晶表示装置。
- 前記の一対の偏光板のいずれか1つまたは両方が、偏光膜と、該偏光膜の吸収軸と交差する遅相軸を有しかつ下記式(I)を満たすセルロースアシレートフィルムとを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶表示装置
(I)0nm ≦ Re ≦ 10nm、且つ|Rth|≦25nm
上記式(I)中、Reは、波長550nmにおける正面レタデーション値(nm)を表し、Rthは、波長550nmにおける膜厚方向のレタデーション値(nm)を表す。 - 前記の液晶層における液晶分子のプレチルト角が0.01°以上10°以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
- 前記第1の位相差層と前記偏光板の偏光膜との間に第2の位相差層を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
- 前記第2の位相差層が下記式(II)を満たし、かつ、該第2の位相差層を配置している側の偏光板の吸収軸と該第2の位相差層の遅相軸とが直交または平行配置されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
(II)200nm ≦ Re ≦ 350nm且つ|Rth|≦175nm
上記式(II)中、Reは、波長550nmにおける正面レタデーション値(nm)を表し、Rthは、波長550nmにおける膜厚方向のレタデーション値(nm)を表す。 - 前記液晶層厚さdと複屈折率Δnの積であるΔn・dが、前記反射電極上の液晶層において、前記反射電極を有しない第1の画素電極となる透明電極上の液晶層においてよりも小さい請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006168486A JP2007334194A (ja) | 2006-06-19 | 2006-06-19 | 半透過型液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006168486A JP2007334194A (ja) | 2006-06-19 | 2006-06-19 | 半透過型液晶表示装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007334194A true JP2007334194A (ja) | 2007-12-27 |
Family
ID=38933707
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006168486A Pending JP2007334194A (ja) | 2006-06-19 | 2006-06-19 | 半透過型液晶表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007334194A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115394189A (zh) * | 2018-09-28 | 2022-11-25 | 东洋纺株式会社 | 带指纹验证传感器的图像显示装置 |
-
2006
- 2006-06-19 JP JP2006168486A patent/JP2007334194A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115394189A (zh) * | 2018-09-28 | 2022-11-25 | 东洋纺株式会社 | 带指纹验证传感器的图像显示装置 |
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