JP2007331517A - 車両のステアリング操作特性制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行路面の凹凸度合に応じてステアリング操作特性を適正に制御する。
【解決手段】車体の上下運動を生じさせる要因となる代表的な車両運転状態の情報であるエンジントルクや操舵角を入力とし、車体の上下運動による車高変位量C(サスペンション変位量)を出力とする車体運動モデルをECU40のメモリに記憶しておき、車両走行中に、この車体運動モデルにエンジントルクや操舵角を入力して車体の上下運動による車高変位量Cを算出する。そして、車高センサ43で検出した車高変位量Aと車体運動モデルで推定した車体の上下運動による車高変位量Cとの差分(A−C)を「路面凹凸による車高変位量B(路面凹凸度合)」として算出し、この車高変位量B(路面凹凸度合)に応じてステアリング操作特性を変化させる。
【選択図】図1
【解決手段】車体の上下運動を生じさせる要因となる代表的な車両運転状態の情報であるエンジントルクや操舵角を入力とし、車体の上下運動による車高変位量C(サスペンション変位量)を出力とする車体運動モデルをECU40のメモリに記憶しておき、車両走行中に、この車体運動モデルにエンジントルクや操舵角を入力して車体の上下運動による車高変位量Cを算出する。そして、車高センサ43で検出した車高変位量Aと車体運動モデルで推定した車体の上下運動による車高変位量Cとの差分(A−C)を「路面凹凸による車高変位量B(路面凹凸度合)」として算出し、この車高変位量B(路面凹凸度合)に応じてステアリング操作特性を変化させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両のステアリング操作特性を制御する車両のステアリング操作特性制御装置に関する発明である。
近年、車両のステアリング操作特性を制御する技術が幾つか開発されている。その一例として、特許文献1(特開2003−182619)に記載されているように、車両のサスペンションに設けられた変位センサの出力変動量に基づいて路面側から操舵輪に作用する路面反力の変動量を検出し、その検出結果に応じてステアリングの操作反力を制御するようにしたものがある。
特開2003−182619号公報(第2頁〜第4頁等)
ところで、上記特許文献1では、サスペンション変位センサの出力変動量に基づいて路面側から操舵輪に作用する路面反力の変動量を検出してから、ステアリングの操作反力を制御するため、路面反力の変動(路面の凹凸)の影響がステアリングの操作反力に現れてから、遅れてステアリングの操作反力を制御することになってしまい、路面凹凸に対する制御応答性が悪いという欠点がある。
また、サスペンション変位センサの出力変動は、路面の凹凸の他に、車体の上下振動によっても発生するため、サスペンション変位センサの出力変動量には車体の上下振動の成分が含まれる。車体の上下振動は、路面の凹凸を乗り越えた後も、暫く振動し続け、その他、加減速時、ブレーキ時、急ハンドル時等にも、路面の凹凸とは関係なく車体の上下振動が発生するため、サスペンション変位センサの出力変動は、必ずしも走行路面の凹凸度合に応じたものとはならない。従って、上記特許文献1のように、サスペンション変位センサの出力変動量に基づいてステアリングの操作特性を制御しても、走行路面の凹凸度合に応じてステアリングの操作特性を適正に制御することは困難である。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、走行路面の凹凸度合に応じてステアリングの操作特性を適正に制御することができる車両のステアリング操作特性制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両のステアリング操作特性を制御するステアリング操作特性制御手段を備えた車両のステアリング操作特性制御装置において、走行路面の凹凸度合を判定する路面凹凸度合判定手段を備え、車両走行中に前記路面凹凸度合判定手段で判定した走行路面の凹凸度合に応じてステアリング操作特性を変化させるようにしたものである。このように、本発明では、路面凹凸度合判定手段によって走行路面の凹凸度合を判定するため、走行路面の凹凸度合に応じてステアリング操作特性を適正に制御することができる。
ここで、路面凹凸度合判定手段の具体例としては、例えば、車輪と車体との間の上下方向の相対運動(サスペンションの伸縮運動)を検出するサスペンション変位センサを設けると共に、車体の上下方向の加速度を検出する車体加速度センサを設け、サスペンション変位センサの出力信号と車体加速度センサの出力信号とに基づいて走行路面の凹凸度合を検出するようにしても良い。
しかし、この構成では、サスペンションセンサと車体加速度センサの2種類のセンサが必要となり、コストアップするという欠点がある。
また、車輪のサスペンション装置に上下方向の加速度を検出する加速度センサを設け、この加速度センサの出力信号をフィルタリング処理することで、特定周波数加速度成分を路面凹凸成分として抽出し、路面凹凸を検出することが考えられる。
しかし、この構成では、同じ路面凹凸度合であっても車速によって加速度センサの出力信号が大きく変化するため、車速の影響を受けずに路面凹凸度合を安定して精度良く検出することは困難であり、特に、低速時には加速度センサの出力信号が小さくなるため、路面凹凸の検出そのものが困難となる欠点がある。しかも、車輪が路面の凹凸を何回か乗り越えて加速度センサの出力信号が何回か大きく振動してからでないと路面凹凸を検出できないため、路面凹凸をリアルタイムで検出することができず(検出の遅れが大きく)、路面凹凸による影響が大きく現れてから、遅れてステアリング操作特性の制御を行うことになってしまい、路面凹凸に対する制御特性も悪いという欠点もある。
これらの欠点を解消するために、請求項2のように、車輪と車体との間の上下方向の相対変位量又はこれに相関する情報(以下これらを「車高変位量」と総称する)を検出する車高変位量検出手段と、車両運転状態に応じて変化する車体の上下運動を模擬した車体運動モデルに現在の車両運転状態の情報を入力して車体の上下運動を推定する車体上下運動推定手段とを備え、前記路面凹凸度合判定手段は、前記車高変位量検出手段で検出した車高変位量と前記車体上下運動推定手段で推定した車体の上下運動とに基づいて走行路面の凹凸度合を推定するようにしても良い。
この構成では、車体運動モデルによって車両運転状態の情報から車体の上下運動を推定するため、従来の路面凹凸検出技術で必要としていた車体加速度センサが不要となり、センサ数削減、低コスト化の要求を満たすことができる。しかも、車高変位量検出手段で検出する車高変位量は、車速の影響を受けずにほぼリアルタイムで検出できると共に、車体運動モデルによって車両運転状態の情報から推定する車体の上下運動も、車速の影響を受けずにほぼリアルタイムで推定できるため、車高変位量の検出値と車体の上下運動の推定値とに基づいて走行路面の凹凸度合を車速の影響を受けずにほぼリアルタイムで推定することができる。これにより、少ないセンサ数で低コスト化の要求を満たしながら、車速の影響を受けずに路面凹凸度合を精度良く且つ応答良く検出することができる。
この場合、走行中の車体は、駆動源となるエンジントルクの変化(加減速)によって上下動することを考慮して、請求項3のように、前記車体運動モデルは、入力となる前記車両運転状態の情報として少なくともエンジントルクを含み、当該車両運転状態で発生する車体の上下運動による車高変位量推定値を出力するように構成すると良い。このように、エンジントルクを用いて車体の上下運動による車高変位量を推定すれば、加減速時に発生する車高変位量を精度良く推定することができる。ここで、エンジントルクは、要求エンジントルク(目標エンジントルク)、実エンジントルク(実際に発生したエンジントルク)のいずれを用いても良いが、検出応答性向上の観点からは要求エンジントルクを用いることが望ましい。要求エンジントルクは、それに応じたエンジントルクが実際に発生する前に演算されるため、要求エンジントルクを用いれば、それに応じた実エンジントルクが発生する前でも、その実エンジントルクによって発生する車体の上下運動を予測することができる利点がある。また、車体運動モデルの出力を車体の上下運動による車高変位量推定値とすれば、車高変位量検出手段で検出した車高変位量と車高変位量推定値とから路面凹凸度合を簡単に推定することができる。
また、走行中の車体は、ステアリングハンドルの操舵角によって上下動することを考慮して、請求項4のように、前記車体運動モデルは、入力となる前記車両運転状態の情報として少なくとも操舵角を含み、当該車両運転状態で発生する車体の上下運動による車高変位量推定値を出力するように構成しても良い。このように、操舵角を用いて車体の上下運動による車高変位量を推定すれば、車両旋回時に発生する車高変位量を精度良く推定することができる。
車両走行中に、車輪が路面凹凸を乗り越える際に発生する車高変位量Aは、路面凹凸による車高変位量B(路面凹凸度合)と車体の上下運動による車高変位量Cとの合計変位量(A=B+C)であると考えられる。
この点を考慮して、請求項5のように、前記車高変位量検出手段で検出した車高変位量Aと前記車体上下運動推定手段で推定した車体の上下運動による車高変位量推定値Cとの差分(A−C)に基づいて路面凹凸度合Bを推定するようにすれば良い。これにより、極めて簡単に路面凹凸度合Bを推定することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ等によって開度調節されるスロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ等によって開度調節されるスロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
更に、スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク17が設けられ、このサージタンク17には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられている。また、サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。エンジン運転中は、燃料タンク21内の燃料が燃料ポンプ22によりデリバリパイプ23に送られ、各気筒の噴射タイミング毎に各気筒の燃料噴射弁20から燃料が噴射される。デリバリパイプ23には、燃料圧力(燃圧)を検出する燃圧センサ24が取り付けられている。
また、エンジン11には、吸気バルブ25と排気バルブ26の開閉タイミングをそれぞれ可変する可変バルブタイミング機構27,28が設けられている。更に、エンジン11には、吸気カム軸29と排気カム軸30の回転に同期してカム角信号を出力する吸気カム角センサ31と排気カム角センサ32が設けられ、エンジン11のクランク軸の回転に同期して所定クランク角毎(例えば30℃A毎)にクランク角信号のパルスを出力するクランク角センサ33が設けられている。
一方、エンジン11の各気筒の排気マニホールド35が集合する排気集合部36には、排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサ37が設置され、この空燃比センサ37の下流側に排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化する三元触媒等の触媒38が設けられている。
その他、このエンジン制御システムには、車速を検出する車速センサ41と、ステアリングハンドル45(図2参照)の操作量を検出するステアリングセンサ42と、車輪44(図2参照)と車体との間の上下方向の相対変位量(以下「車高変位量」という)を検出する車高センサ43(車高変位量検出手段)等が設けられている。
この場合、車高センサ43は、車両の少なくとも1つの車輪44のサスペンション装置(図示せず)に設けられている。この車高センサ43は、例えば、車体に対するサスペンションアームの上下方向の相対的変位量を、両者間に連結したリンク機構によって回転角に変換して、その回転角の変化を角度センサで検出するように構成したものを使用したり、或は、車体に超音波センサを路面に対向させるように取り付け、超音波を路面に向けて発射し、路面からの反射波を受信するまでの伝搬時間を測定することで、その伝搬時間から車高を検出するように構成したものを使用しても良い。要するに、車高センサ43は、車輪44と車体との間の上下方向の相対変位量又はこれに相関する情報をリアルタイムで検出するものであれば、どの様な検出方式のものであっても良い。
これら各種のセンサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)40に入力される。このECU40は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じてスロットル開度、各気筒の燃料噴射弁20の燃料噴射量、点火時期を制御する。
更に、このECU40は、後述する図5の路面凹凸度合推定ルーチンを実行することで、車高センサ43で検出した車高変位量と車体運動モデルで推定した車体の上下運動による車高変位量(サスペンション変位量)とに基づいて走行路面の凹凸度合を推定する。
この場合、車体運動モデルは、車体の上下運動を生じさせる要因となる代表的な車両運転状態の情報であるエンジントルクを入力uとし、このエンジントルクで発生する車体の上下運動による車高変位量(サスペンション変位量)を出力yとする自己回帰モデル(ARモデル)により構成されている。このモデルは、次のように定義される。
A(q)y(t)=B(q)u(t)
A(q)=1+a1 q-1+a2 q-2+a3 q-3+a4 q-4+a5 q-5+a6 q-6
B(q)=b1 q-1+b2 q-2+b3 q-3
ここで、qはシフトオペレータであり、q-nはn回前の入力u又は出力yを表す。
A(q)=1+a1 q-1+a2 q-2+a3 q-3+a4 q-4+a5 q-5+a6 q-6
B(q)=b1 q-1+b2 q-2+b3 q-3
ここで、qはシフトオペレータであり、q-nはn回前の入力u又は出力yを表す。
従って、A(q)y(t)とB(q)u(t)は具体的には次のように表される。
A(q)y(t)=y(t)+a1 y(t−1)+a2 y(t−2)
+a3 y(t−3)+a4 y(t−4)+a5 y(t−5)+a6 y(t−5) B(q)u(t)=b1 u(t−1)+b2 u(t−2)+b3 u(t−3)
A(q)y(t)=y(t)+a1 y(t−1)+a2 y(t−2)
+a3 y(t−3)+a4 y(t−4)+a5 y(t−5)+a6 y(t−5) B(q)u(t)=b1 u(t−1)+b2 u(t−2)+b3 u(t−3)
上式で表される車体運動モデルのパラメータa1 〜a6 、b1 〜b3 は、予め適合工程等でシステム同定の手法によって決定される。この車体運動モデルがECU40のROM又は書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されている。
図7は、エンジントルクを車体運動モデルに入力して、車体の上下運動による車高変位量(サスペンション変位量)を車体運動モデルにより演算したときのモデル出力と実機データとを対比して表す図である。エンジントルクを入力とする車体運動モデルを用いれば、加減速時のエンジントルクの変化により発生する車体の上下運動による車高変位量(サスペンション変位量)を精度良く推定することができる。
ここで、エンジントルクは、要求エンジントルク(目標エンジントルク)、実エンジントルク(実際に発生したエンジントルク)のいずれを用いても良いが、検出応答性向上の観点からは要求エンジントルクを用いることが望ましい。要求エンジントルクは、それに応じたエンジントルクが実際に発生する前に演算されるため、要求エンジントルクを用いれば、それに応じた実エンジントルクが発生する前でも、その実エンジントルクによって発生する車体の上下運動を予測することができる。
同様に、ステアリングセンサ42で検出した操舵角を入力とし、その操舵角によって生じる車体の上下運動による車高変位量(サスペンション変位量)を出力とする車体運動モデル(自己回帰モデル)をシステム同定により構築して、ECU40のROM又は書き換え可能な不揮発性メモリに記憶しておき、車両走行中に操舵角から車体の上下運動による車高変位量(サスペンション変位量)を推定するようにしても良い。操舵角を用いて車体の上下運動による車高変位量を推定すれば、車両旋回時に発生する車高変位量を精度良く推定することができる。
エンジントルクと操舵角の両方を考慮して車体の上下運動による車高変位量(サスペンション変位量)を推定する場合は、エンジントルクを入力とする車体運動モデルにより推定した車体の上下運動による車高変位量と、操舵角を入力とする車体運動モデルにより推定した車体の上下運動による車高変位量とを加算した値を、最終的な車体の上下運動による車高変位量として用いるようにすれば良い。
或は、エンジントルクと操舵角の他に、車体の上下運動を生じさせる要因となる車両運転状態の情報として、例えば、ブレーキ操作量(ブレーキ力)、車速等を入力とする車体運動モデルを作成して、ブレーキ操作量(ブレーキ力)、車速等から推定した車体の上下運動による車高変位量も考慮するようにしても良い。
車両走行中に、車輪44が路面凹凸を乗り越える際に発生する車高変位量Aは、路面凹凸による車高変位量B(路面凹凸度合)と車体の上下運動による車高変位量Cとの合計変位量(A=B+C)であると考えられる。
この点を考慮して、ECU40は、車高センサ43で検出した車高変位量Aと車体運動モデルで推定した車体の上下運動による車高変位量Cとの差分(A−C)を路面凹凸による車高変位量B(路面凹凸度合)として算出する。
ところで、サスペンション装置等が経時劣化すると、車両運転状態による車体の上下運動(車高変位量)が変化するため、サスペンション装置等の経時劣化が進むに従って、車体運動モデルの精度が低下して、路面凹凸度合の推定精度が低下する。
この対策として、本実施例では、ECU40によって後述する図6の車体運動モデル更新ルーチンを実行することで、路面凹凸度合の推定結果に基づいて平坦路走行中と判断される期間、すなわち路面凹凸による車高変位量Bがほぼ0と見なせる期間に、車体運動モデルの入力と出力のデータをECU40の書き換え可能な不揮発性メモリに蓄積しておき、その蓄積データに基づいて車体運動モデルのパラメータa1 〜a6 、b1 〜b3 を逐次更新するようにしている。
また、本実施例では、操舵輪(前輪)44の操舵角は、図2に示す電子ステアリングシステム46によって制御される。この電子ステアリングシステム46は、運転者が操作するステアリングハンドル45の操作量(以下「ステアリング操作量」という)をステアリングセンサ42によって検出し、そのステアリング操作量に応じてモータ等の操舵用アクチュエータ47を制御することで、操舵用アクチュエータ47の駆動力によってボールネジ機構等のステアリングギア48を回転させて、ステアリング操作量に応じて操舵輪44の操舵角を変化させる。この操舵角は、操舵角センサ49によって検出される。ステアリングハンドル45の操作反力は、操作反力発生アクチュエータ50によって車速、操舵角等に応じて制御される。
更に、ECU40は、車両走行中に後述する図4のステアリング操作特性制御ルーチンを実行することで、前記方法で推定した路面凹凸度合に応じてステアリング操作特性を図3の線形特性βと非線形特性γのいずれかに切り換える。この図3のステアリング操作特性は、ステアリング操作量と操舵輪44の操舵角との関係を設定する特性であり、路面凹凸度合が小さい平坦路走行中は、ステアリング操作特性を線形特性β(ステアリング操作量に応じて操舵輪44の操舵角をリニアに変化させる特性)に切り換えることで、ステアリング操作の応答性・操作性を向上させる。一方、路面凹凸度合が大きい悪路走行中は、ステアリング操作特性を非線形特性γに切り換える。この非線形特性γは、例えば、ステアリング操作量が所定値以下の領域では、ステアリング操作量に対する操舵角の変化率を小さくすることで、路面凹凸によりステアリングハンドル45が取られることを防止すると共に、運転者の過操作を防止して安全性を確保し、ステアリング操作量が所定値以上の領域では、ステアリング操作量に対する操舵角の変化率を大きくすることで、操舵角を限界まで操作できるようにする。
次に、ECU40によって実行される図4乃至図6の各ルーチンの処理内容を説明する。
[ステアリング操作特性制御ルーチン]
図4のステアリング操作特性制御ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいうステアリング操作特性制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、後述する図5の路面凹凸度合推定ルーチンを実行することで、車高センサ43で検出した車高変位量と車体運動モデルで推定した車体の上下運動による車高変位量(サスペンション変位量)とに基づいて路面凹凸度合を推定する。
図4のステアリング操作特性制御ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいうステアリング操作特性制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、後述する図5の路面凹凸度合推定ルーチンを実行することで、車高センサ43で検出した車高変位量と車体運動モデルで推定した車体の上下運動による車高変位量(サスペンション変位量)とに基づいて路面凹凸度合を推定する。
この後、ステップ102に進み、推定した路面凹凸度合が所定値αよりも小さいか否かを判定し、路面凹凸度合が所定値αよりも小さければ、平坦路走行中と判断して、ステップ103に進み、ステアリング操作特性を線形特性βに切り換えることで、ステアリング操作の応答性・操作性を向上させる。
これに対して、上記ステップ102で、路面凹凸度合が所定値α以上と判定されれば、凹凸のある悪路と判断して、ステップ104に進み、ステアリング操作特性を非線形特性γに切り換えることで、路面凹凸によりステアリングハンドル45が取られることを防止すると共に、運転者の過操作を防止して安全性を確保する。
尚、本ルーチンでは、走行路面が平坦路と悪路でステアリング操作特性を2段階に変化させるようにしたが、路面凹凸度合に応じてステアリング操作特性を3段階以上又は連続的に変化させるようにしても良いことは言うまでもない。
また、本ルーチンでは、路面凹凸度合に応じてステアリング操作量に対する操舵角の変化特性を変化させるようにしたが、路面凹凸度合に応じてステアリングハンドル45の操作反力(操作反力発生アクチュエータ50の発生トルク)を変化させるようにしても良い。
[路面凹凸度合推定ルーチン]
図5の路面凹凸度合推定ルーチンは、上記図4のステアリング操作特性制御ルーチンのステップ101で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう路面凹凸度合判定手段としての役割を果たす。
図5の路面凹凸度合推定ルーチンは、上記図4のステアリング操作特性制御ルーチンのステップ101で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう路面凹凸度合判定手段としての役割を果たす。
本ルーチンが起動されると、まずステップ201で、車体の上下運動を生じさせる要因となる代表的な車両運転状態の情報であるエンジントルク(要求エンジントルク又は実エンジントルク)と、ステアリングセンサ42で検出した操舵角を読み込むと共に、車高センサ43で検出した車高変位量A(サスペンション変位量)を読み込む。
この後、ステップ202に進み、エンジントルクや操舵角を入力とする車体運動モデルを用いて、加減速や車両旋回によって生じる車体の上下運動による車高変位量C(サスペンション変位量)を算出する。このステップ202の処理が特許請求の範囲でいう車体上下運動推定手段としての役割を果たす。この後、ステップ203に進み、車高センサ43で検出した車高変位量Aと車体運動モデルで算出した車体の上下運動による車高変位量Cとの差分(A−C)を路面凹凸による車高変位量Bとして算出する。この後、ステップ204に進み、路面凹凸による車高変位量Bに基づいてマップ又は数式により路面凹凸度合を決定する。尚、路面凹凸による車高変位量Bをそのまま路面凹凸度合を表すパラメータとして用いるようにしても良い。
[車体運動モデル更新ルーチン]
図6の車体運動モデル更新ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行され、次のようにして車体運動モデルを更新する。本ルーチンが起動されると、まずステップ301で、上記図5の路面凹凸度合推定ルーチンで演算した路面凹凸度合を読み込み、次のステップ302で、路面凹凸度合が所定値δよりも小さいか否かを判定し、路面凹凸度合が所定値δ以上と判定されれば、凹凸のある悪路と判断して、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
図6の車体運動モデル更新ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行され、次のようにして車体運動モデルを更新する。本ルーチンが起動されると、まずステップ301で、上記図5の路面凹凸度合推定ルーチンで演算した路面凹凸度合を読み込み、次のステップ302で、路面凹凸度合が所定値δよりも小さいか否かを判定し、路面凹凸度合が所定値δ以上と判定されれば、凹凸のある悪路と判断して、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ302で、路面凹凸度合が所定値δよりも小さいと判定されれば、平坦路走行中と判断して、ステップ303に進み、現在の車体運動モデルの入力のデータ(エンジントルク、操舵角)と、出力のデータ及び車高センサ43で検出した車高変位量AをECU40の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶する。
この後、ステップ304に進み、車体運動モデルの更新条件が成立しているか否かを、例えば次の2つの条件(1) 、(2) によって判定する。
(1) 不揮発性メモリに車体運動モデルのパラメータa1 〜a6 、b1 〜b3 の同定に必要なデータが蓄積されていること
(2) 前回の車体運動モデルの更新から所定期間以上(所定走行回数以上、所定積算走行距離以上)経過していること
(1) 不揮発性メモリに車体運動モデルのパラメータa1 〜a6 、b1 〜b3 の同定に必要なデータが蓄積されていること
(2) 前回の車体運動モデルの更新から所定期間以上(所定走行回数以上、所定積算走行距離以上)経過していること
これら2つの条件(1) 、(2) のいずれか一方でも満たさない条件があれば、車体運動モデルの更新条件が不成立となり、そのまま本ルーチンを終了する。
これに対して、上記2つの条件(1) 、(2) を同時に満たせば、車体運動モデルの更新条件が成立して、ステップ305に進み、不揮発性メモリに蓄積されているデータを用いて、システム同定の手法によって車体運動モデルのパラメータa1 〜a6 、b1 〜b3 を更新する。
以上説明した本実施例によれば、走行路面の凹凸度合を推定して、その走行路面の凹凸度合に応じてステアリング操作特性を変化させるようにしたので、走行路面の凹凸度合に応じてステアリング操作特性を適正に制御することができる。
更に、本実施例では、車体の上下運動を生じさせる要因となる代表的な車両運転状態の情報であるエンジントルクや操舵角を入力とし、車体の上下運動による車高変位量を出力とする車体運動モデルを用いて、エンジントルクや操舵角から車体の上下運動による車高変位量を算出し、この車体の上下運動による車高変位量と車高センサ43で検出した車高変位量とに基づいて路面凹凸による車高変位量(路面凹凸度合)を算出するようにしたので、従来の路面凹凸検出技術で必要としていた車体加速度センサが不要となり、センサ数削減、低コスト化の要求を満たすことができる。
しかも、車高センサ43で検出する車高変位量は、車速の影響を受けずにほぼリアルタイムで検出できると共に、車体運動モデルによってエンジントルクや操舵角から推定する車体の上下運動も、車速の影響を受けずにほぼリアルタイムで推定できるため、車高変位量の検出値と車体の上下運動の推定値とに基づいて走行路面の凹凸度合を車速の影響を受けずにほぼリアルタイムで推定することができる。これにより、本実施例の路面凹凸推定装置は、少ないセンサ数で低コスト化の要求を満たしながら、車速の影響を受けずに路面凹凸度合を精度良く且つ応答良く検出することができる。
その上、本実施例では、路面凹凸度合の推定結果に基づいて平坦路走行中と判断される期間、すなわち路面凹凸による車高変位量Bがほぼ0と見なせる期間に、車体運動モデルの入力と出力のデータを書き換え可能な不揮発性メモリに蓄積しておき、その蓄積データに基づいて車体運動モデルのパラメータを逐次更新するようにしたので、サスペンション装置等の経時劣化により車体の上下運動特性が変化するのに対応して車体運動モデルのパラメータを逐次更新することができ、サスペンション装置等の経時劣化による路面凹凸度合の推定精度低下を防止することができる。
尚、本発明で用いる路面凹凸度合判定手段は、車体運動モデルを用いて走行路面の凹凸度合を推定するものに限定されず、例えば、タイヤと車体との間の上下方向の相対運動(サスペンションの伸縮運動)を検出するサスペンションセンサを設けると共に、車体の上下方向の加速度を検出する車体加速度センサを設け、サスペンションセンサの出力信号と車体加速度センサの出力信号とに基づいて走行路面の凹凸度合を検出するようにしても良い。
その他、本発明は、電子ステアリングシステム46の構成を適宜変更しても良い等、種々変更して実施できることは言うまでもない。
11…エンジン、15…スロットルバルブ、20…燃料噴射弁、40…ECU(ステアリング操作特性制御手段,車体上下運動推定手段,路面凹凸度合判定手段)、41…車速センサ、42…ステアリングセンサ、43…車高センサ(車高変位量検出手段)、44…車輪(操舵輪)、45…ステアリングハンドル、46…電子ステアリングシステム、47…操舵用アクチュエータ、48…ステアリングギア、49…操舵角センサ、50…操作反力発生アクチュエータ
Claims (5)
- 車両のステアリング操作特性を制御するステアリング操作特性制御手段を備えた車両のステアリング操作特性制御装置において、
走行路面の凹凸度合を判定する路面凹凸度合判定手段を備え、
前記ステアリング操作特性制御手段は、車両走行中に前記路面凹凸度合判定手段で判定した走行路面の凹凸度合に応じて前記ステアリング操作特性を変化させることを特徴とする車両のステアリング操作特性制御装置。 - 車輪と車体との間の上下方向の相対変位量又はこれに相関する情報(以下これらを「車高変位量」と総称する)を検出する車高変位量検出手段と、
車両運転状態に応じて変化する車体の上下運動を模擬した車体運動モデルに現在の車両運転状態の情報を入力して車体の上下運動を推定する車体上下運動推定手段とを備え、
前記路面凹凸度合判定手段は、前記車高変位量検出手段で検出した車高変位量と前記車体上下運動推定手段で推定した車体の上下運動とに基づいて走行路面の凹凸度合を推定することを特徴とする請求項1に記載の車両のステアリング操作特性制御装置。 - 前記車体運動モデルは、入力となる前記車両運転状態の情報として少なくともエンジントルクを含み、当該車両運転状態で発生する車体の上下運動による車高変位量推定値を出力するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両のステアリング操作特性制御装置。
- 前記車体運動モデルは、入力となる前記車両運転状態の情報として少なくとも操舵角を含み、当該車両運転状態で発生する車体の上下運動による車高変位量推定値を出力するように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両のステアリング操作特性制御装置。
- 前記路面凹凸度合推定手段は、前記車高変位量検出手段で検出した車高変位量と前記車体上下運動推定手段で推定した車体の上下運動による車高変位量推定値との差分に基づいて走行路面の凹凸度合を推定することを特徴とする請求項3又は4に記載の車両のステアリング操作特性制御装置。
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