JP2007330833A - 汚染土壌の封じ込め方法および封じ込め構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】底部遮水層58が存在する地盤中の土壌汚染領域6を、平面的に見て、汚染濃度の高さの違いに応じて複数の濃度領域6H、6M、6Lに区分し、前記複数の濃度領域6H、6M、6Lの区分毎にそれぞれを取り囲み、且つ底部遮水層58に到達して汚染物質の拡散を防止する遮水壁8(8H、8M、8L)を形成する。
【選択図】図1
Description
第1の方法は、図10に示す汚染土壌の浄化方法である。この浄化方法には、
(a)汚染土壌50を掘削・除去して、汚染されていない土壌に置き換える方法。
(b)汚染土壌50を掘削し、原位置で洗浄プラントにより洗浄したものを再度埋め戻す 方法。
がある。図10において、符号52は非汚染の土壌を指している。
これに対して、上記第3の汚染土壌の封じ込め方法は、底部遮水層58が存在するという自然条件が不可欠であるが、汚染土壌の周囲に遮水壁56を形成するだけで汚染土壌対策ができるので、経済的である。よって、前記の自然条件を満たす場合には、この封じ込め方法が多く実施されている(例えば、特開2003−3456号公報、特許第3637518号公報など参照)。
なお、図15〜図16において、符号66Hと68Hは、汚染領域において汚染濃度が高い領域を指し、符号66M、68Mは同中位の領域を示し、同66L、68Lは同低い領域を指している。
即ち、汚染土壌が存在する場合、その汚染領域の濃度が均一であることは少ない。高い濃度領域や低い濃度領域、或いはこれ等の中間の濃度領域というように、濃度分布が存在している場合が多い(図13〜図16参照)。
従来の技術では、前記のような場合に、汚染濃度の高い領域からその周りの低い領域に汚染物質が拡散するので、汚染領域が拡大するという問題があった。
また、濃度の高い領域では濃度低下が生じ、その分だけ逆に濃度の低い領域では濃度が高くなるという汚染濃度の均一化が起るという問題もあった。こうした均一化は汚染の度合いが低かった低濃度の汚染領域が狭まることに他ならず、また、汚染濃度が比較的高いか、或いは中くらいの汚染領域が拡大するという現象に他ならない。
本発明はまた、汚染土壌の浄化の必要性が生じた場合には、汚染領域の汚染物質、濃度の違う領域を、それぞれの物質、濃度の違いに応じて適切な封じ込めができるようにし、施工の高効率化と低コスト化を図ることを目的とする。
本発明は更に、地盤の液状化防止を兼ねる汚染土壌の封じ込め構造、そして、建物の基礎の構築としても利用可能な汚染土壌の封じ込め構造を提供することも目的としている。
底部遮水層58が存在する地盤2中の土壌汚染領域6を、平面的に見て、汚染濃度の高さの違いに応じて複数の濃度領域6L、6M、6Hに区分し、
上記複数の濃度領域の区分毎にそれぞれを取り囲み、且つ底部遮水層58に到達して汚染物質の拡散を防止する遮水壁8を形成することを特徴とする。
底部遮水層58が存在する地盤2中の異なる汚染物質A、Bで汚染された複数の土壌汚染領域10、12を、平面的に見て、各汚染物質の種類毎に区分し、
上記土壌汚染領域10、12を汚染物質A、Bの種類毎の区分に分けてそれぞれを取り囲み、且つ底部遮水層58に到達して汚染物質の拡散を防止する遮水壁8を形成することを特徴とする。
底部遮水層58が存在する地盤2中に存在する土壌汚染領域10、12に対し、
前記土壌汚染領域10、12を含む敷地2内に、底部遮水層58に到達して汚染物質の拡散を防止する遮水壁8を、平面視が格子状に形成して前記土壌汚染領域10、12を細かく分割することを特徴とする。
土壌汚染物質で汚染された地盤2中に、請求項1又は2若しくは3記載の方法により底部遮水層58に到達する遮水壁8を形成して成ることを特徴とする。
土壌汚染物質で汚染された地盤2中に、請求項1又は2若しくは3記載の方法により底部遮水層58に到達する遮水壁8を形成し、その遮水壁8の上部に建造物18を構築して成ることを特徴とする。
そして、仮に、汚染土壌6の浄化の必要性が生じた場合には、土壌洗浄を、遮水壁8で囲まれた濃度の異なる区分6L、6M、6H毎に、異なる方法、態様で洗浄することができるので、低コスト化を図ることができる。
勿論、土地の売却等のため土壌洗浄の必要が生じた場合には、土壌汚染物質A、Bの種類が異なる区分10、12、14毎に、異なる方法、態様で土壌洗浄を実施することができ、土壌汚染物質の違いに応じた適切な方法、態様で洗浄することができ、洗浄の合理化、高効率化、低コスト化を図ることができる。
こうして敷地2内を遮水壁8により格子状に細かく分割・区分するので、地震時に地盤が液状化することも有効に防止でき、土壌汚染対策と地盤の液状化対策の双方を有効に講じることができる。
遮水壁8は、底部遮水層58の遮水性能と同程度の遮水性能とし、例えばRC造連続壁、シートパイル壁、ソイルセメント柱列壁、あるいは深層混合処理工法等による柱列壁などとして形成する。
図1は、請求項1に係る発明の実施例(実施例1)を平面図として示し、図2はその変形例を示す。
図面において、符号1は敷地境界線を示し、2は敷地(又は敷地内地盤若しくは土壌)を指す。この敷地2内の地盤は、自然条件として底部遮水層58(図9を参照)の上に存在することを前提に本発明が実施される。
符号6は土壌汚染領域を示す。そのうちの符号6Hは土壌汚染領域6において汚染濃度の高い領域として把握された高汚染濃度領域であり、土壌汚染領域6のほぼ中央部に位置する。逆に、符号6Lは汚染濃度の低い領域として把握された低汚染濃度領域で、前記高汚染濃度領域6Hの外周に位置する。6Mは前記した高汚染濃度領域6Hと低汚染濃度領域6Lの中間の汚染濃度を有する領域として把握された中汚染濃度領域であり、高汚染濃度領域6Hの外周に存在する。
本実施例1、及び後述する実施例2〜5を実施する場合にも、図12に示した従来技術、あるいは図9に示す実施例6と同様に、各遮水壁8は、底部遮水層58に到達して汚染物質の拡散を防止する構成で形成されている。よって、その断面構造の図示は重複するので省略した。
また、各遮水壁8は、底部遮水層58の遮水性能と同程度の遮水性能を発揮するように、例えばRC造連続壁、シートパイル壁、ソイルセメント柱列壁、深層混合処理工法による柱列壁など、種々の材質、工法で施工する。この点は、以下の各実施例に共通する事項である。
図1に示す実施例1と、図2に示す変形例の違いは、図1に示した遮水壁8H、8M、8Lは平面的に見て方形に形成されている。これに対して、図2に示す遮水壁8H、8M、8Lはそれぞれ楕円に近い円曲線形状に形成されていることである。いずれの遮水壁も連続して閉じた壁として形成されていることでは共通する。
本実施例1は、汚染領域6を汚染物質の濃度の違いに応じて複数の濃度領域6H、6M、6Lに区分して把握し、その区分毎に取り囲む遮水壁8H、8M、8Lを閉鎖形状に形成するので、濃度の違いにより区分した濃度領域6H、6M、6Lの間における汚染物質の拡散は、遮水壁8H、8M、8Lにより確実に防止でき、汚染領域の拡大、汚染濃度分布の変化、均一化を防止できる。
本実施例2は、一つの敷地2内の地盤中に、異なる2種以上の土壌汚染物質A、Bで汚染された土壌汚染領域10、12が複数近接して存在する場合に好適な封じ込め方法である。
図3、4において、符号10は土壌汚染物質Aにより汚染された土壌汚染領域、12は土壌汚染物質Aとは異なる土壌汚染物質Bにより汚染された土壌汚染領域を示す。そして、14は土壌汚染物質A及び土壌汚染物質Bにより汚染された土壌汚染領域であって、土壌汚染物質Aによる汚染と土壌汚染物質Bによる汚染の広がりがオーバーラップすることにより生じた領域である。
従って、本実施例2によれば、土壌汚染物質の種類が異なる土壌汚染領域10、12、14間における汚染物質A、Bの拡散を、遮水壁8により確実に防止することができ、汚染領域の拡大、汚染濃度分布の変化、均一化を防止することができる。
勿論、土地の売却等のため汚染土壌の洗浄の必要が生じた場合には、土壌汚染物質A、Bの異なる区分10、12、14毎に異なる方法、態様で洗浄することができる。よって各区分の土壌汚染物質の違いに応じた適切な方法、態様で洗浄することができる。従って、洗浄の合理化、高効率化、低コスト化を図ることができる。
本実施例3は、図3、図4に示した実施例2の土壌汚染物質Aによる土壌汚染領域10と、汚染物質Bによる土壌汚染領域12のそれぞれについて、汚染濃度の高さに応じて複数の濃度領域10H、10M、10L、12H、12Lに区分して把握し、区分された各濃度領域10H、10M、10Lおよび12H、12Lのそれぞれを、遮水壁8により取り囲んだ構成を特徴とする。
そして、上記の各領域10H、10M、10Lおよび12H、12L、並びに両物質A、Bの混在領域14の各々を、遮水壁8により取り囲み封じ込めている。
したがって、汚染土壌を洗浄する必要が生じた場合は、各遮水壁8で囲まれた区分毎の汚染土壌を分けて、汚染物質及び汚染濃度の違いに応じた適切な方法、態様で洗浄することができ、洗浄の合理化、高効率化、低コスト化を図ることができる。
本実施例4は、土壌汚染物質Aによる土壌汚染領域10(10H、10M、10L)であるか、又は土壌汚染物質Bによる土壌汚染領域12(12H、12L)であるか、あるいは両物質A、Bの混在領域14であるか、若しくは単一種の汚染であるかの別を問わず、土壌汚染物質と土壌汚染領域10、12、14が存在する敷地2内の地盤全面を、平面視が格子状の遮水壁8により細かく分割して封じ込めた方法を示す。
その上、地震時に地盤が液状化することも格子状の遮水壁8により有効に防止することができる。即ち、格子状の遮水壁8が地震発生時に、液状化対策技術として有効であることは、たとえば特公平4−5004号公報、特許第2568115号公報に記載された発明で知られたとおりで、地震が発生したときの液状化を防止する。
本実施例4の場合、土壌汚染物質の拡散を防止する遮水壁8を細かく格子状に形成するので、この遮水壁8を液状化に必要な強度と格子間隔で施工するかぎり、地盤の液状化防止に優れた効果を得ることができる。
図7に示した実施例は、敷地2が長方形で、その全域にわたり平面視が同じ形状、大きさ、ピッチの格子状に遮水壁8を形成したが、本実施例は、必ずしもそのように実施することは必要ではない場合を示す。液状化対策として有効である限り、土壌汚染物質の種類、濃度を考慮した遮水壁8の間隔、形状を設定して良く、部分的に遮水壁8の間隔、形状が異なっても良い。
その意味で、図8に示す実施例は、敷地2の境界線1に一部円形部分が存在し、その円形部分の近傍には、遮水壁8が他の部分のように方形の格子状ではなく、敷地境界線1に沿って円形と三角形の格子を成す様態に形成されている。
本実施例5は、底部遮水層58の上方に汚染領域6が存在する地盤中に、上記請求項1〜3のいずれか一の方法で、例えば図7或いは図8に示す実施例のように、平面視が格子状の遮水壁8を形成して、汚染物質の封じ込め及び地盤の液状化防止措置を講じた汚染土壌の封じ込め構造の例を示している。特に、図9は、前記平面視が格子状の遮水壁8とこれにより囲まれた地盤とを基礎に用い、その上部に建造物18を構築したた汚染土壌の封じ込め構造の実施例を示している。
本実施例5によれば、地盤2中の土壌汚染領域6やその濃度分布を遮水壁8により区分した状態で、汚染土壌の封じ込めが行われる上に、遮水壁8が液状化に必要な強度や格子間隔で施工されるかぎり、液状化防止効果が得られるし、更に平面視が格子状の遮水壁8と、遮水壁8で囲まれた地盤とを基礎に用い、建造物18の支持機能を発揮させることができ、複合効果が奏される。
6 土壌汚染領域
6H 高汚染濃度領域
6M 中汚染濃度領域
6L 低汚染濃度領域
8(8H、8M、8L) 遮水壁
10 汚染物質Aによる土壌汚染領域
10H 高汚染濃度領域
10M 中汚染濃度領域
10L 低汚染濃度領域
12 汚染物質Bによる土壌汚染領域
12H 高汚染濃度領域
12L 低汚染濃度領域
14 土壌汚染物質A、Bによる汚染領域
58 底部遮水層
18 建造物
Claims (5)
- 底部遮水層が存在する地盤中の土壌汚染領域を、平面的に見て、汚染濃度の高さの違いに応じて複数の濃度領域に区分し、
上記複数の濃度領域の区分毎にそれぞれを取り囲み、且つ底部遮水層に到達して汚染物質の拡散を防止する遮水壁を形成することを特徴とする、汚染土壌の封じ込め方法。 - 底部遮水層が存在する地盤中の異なる汚染物質で汚染された複数の土壌汚染領域を、平面的に見て、各汚染物質の種類毎に区分し、
上記土壌汚染領域を汚染物質の種類毎の区分に分けてそれぞれ囲み取り、且つ底部遮水層に到達して汚染物質の拡散を防止する遮水壁を形成することを特徴とする、汚染土壌の封じ込め方法。 - 底部遮水層が存在する地盤中に存在する土壌汚染領域に対し、
前記土壌汚染領域を含む敷地内に、底部遮水層に到達して汚染物質の拡散を防止する遮水壁を、平面視が格子状に形成して前記土壌汚染領域を細かく分割することを特徴とする、汚染土壌の封じ込め方法。 - 土壌汚染物質で汚染された地盤中に、請求項1又は2若しくは3記載の方法により底部遮水層に到達する遮水壁を形成して成ることを特徴とする、汚染土壌の封じ込め構造。
- 土壌汚染物質で汚染された地盤中に、請求項1又は2若しくは3記載の方法により底部遮水層に到達する遮水壁を形成し、その遮水壁上部に建造物を構築して成ることを特徴とする、汚染土壌の封じ込め構造。
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