以下、本発明の一実施形態であるパチンコ機を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、以下で例示するパチンコ機は、遊技者が遊技媒体である遊技球を投入し、投入した遊技球を遊技盤の遊技領域に打ち込んで遊技を行うものであり、遊技者が遊技媒体を投入して遊技を行う遊技機の代表的なものである。なお、本発明は、以下で例示するパチンコ機に限らず、他のタイプのパチンコ機にも適用することができる。また、パチンコ機に限らず、パチスロ機や、遊技者が遊技媒体を投入して遊技を行う他の遊技機にも適用することができる。
[パチンコ機の全体構成について] 図1に基づき説明する。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について] 図2及び図3に基づき説明する。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、この本体枠側ヒンジ具15は、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対して、ヒンジピン及びヒンジ孔によって回動自在に装着されている。外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されており、外枠2は、このヒンジ機構7によって、本体枠3に対して開閉自在に装着されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域には、スピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17には、スピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には、発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には、下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには、操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには、灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が設けられている。
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4が、片側に設けられたヒンジ機構36によって、前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には、開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39には、ガラス板や透明樹脂板等により形成された透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には、上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。
さらに、前面枠4の下部における上皿51の側方(操作ハンドル32側とは反対側)には、操作スイッチランプ21が内蔵された操作スイッチ20が設けられている。この操作スイッチ20は、遊技媒体である遊技球を遊技領域37に打ち込んで行われる遊技の実体に関する状態や、遊技に伴って行われる演出に関する状態等、遊技機の適宜の状態を変更したり、上記演出に遊技者が参加したり、遊技機から種々の情報を享受するため等、適宜目的のために遊技者によって操作されるものであり、遊技者による意図的な手動操作によって操作される操作手段や操作部等を構成するものである。
なお、操作スイッチ20としては、押動操作される押しボタン式のスイッチ、傾動操作されるシーソ式のスイッチ、回動操作されるチャンネル式のスイッチ等を代表的に例示することができる。また、本例では、操作スイッチ20が操作ハンドル32とは反対側に設けられていることから、遊技者は、操作ハンドル32を一方の手で操作しつつ、他方の手で操作スイッチ20を操作することができる。
そして、操作スイッチ20に内蔵された操作スイッチランプ21は、遊技機の状態に応じて操作スイッチ20による操作を許容する状態または許容しない状態となる態様等において、点灯することで許容する状態或いは許容しない状態であることを、遊技者に報知するためのものである。なお、このように機能する操作スイッチランプ21については、操作スイッチ20に内蔵するに限らず、操作スイッチ20とは別途に設けてもよい。操作スイッチランプ21を操作スイッチ20とは別途に設ける場合には、操作スイッチ20の近傍に設けるのが好適である。何故ならば、遊技者にとって、操作スイッチランプ21の作動状態を確認し易くすることができるからである。
[施錠装置の構成について] 図1及び図3に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作可能となるように、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵を挿入して一方向に回動操作すると、本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠される。また、これとは逆方向に鍵を回動操作すると、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠される。
[遊技盤装着枠及び遊技盤の構成について] 図1、図3及び図4に基づき説明する。
本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられており、遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるように構成されている。そして、遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、遊技球が上記隙間から排出されて下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
遊技盤5の後側には、遊技領域37に設けられた各種の入賞口に入球し、入賞口によって遊技盤5の前面から後面へと排出された遊技球を、入賞球として集めて本体枠3に設けられた入賞球通路3aへと誘導する入賞球誘導通路と、種々のボックスを装着するボックス装着部とが設けられている。ここで、本例では、上記入賞球誘導通路及び上記ボックス装着部が、双方の機能を兼ね備えたボックス装着台118によって構成されている。
また、遊技盤5の後側には、各種の入賞口に入球せず、遊技領域37の最下部に設けられたアウト口に到達し、このアウト口によって遊技盤5の前面から後面へと排出された遊技球を、アウト球として本体枠3に設けられたアウト球通路3bへと誘導するアウト球誘導通路も設けられている。ここで、本例では、アウト球誘導通路が、遊技盤5の後面に凹設された溝と、上記ボックス装着台118の前面とで、上記入賞球誘導通路とは個別に区画形成されている。
そして、ボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、遊技盤5の後側のボックス装着台118に対して副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなく、ボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
[本体枠の後側下部の装備について] 図3及び図4に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図4に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って、遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に送信し、中継用回路基板を介して払出用モータ172を作動制御するものである。
[後カバー体の構成について] 図4及び図5に基づき説明する。
遊技盤5後面に配置された主制御基板ボックス132の後端部は、本体枠3の機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、上下及び中間の計3箇所に、ヒンジ体216が一体に形成されている。各ヒンジ体216には、夫々、下向きのヒンジピン215が設けられており、各ヒンジピン215は、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に設けられたヒンジ体214のヒンジ孔に、上方から着脱可能に嵌込まれている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、弾性閉止体217が一体に形成されている。この弾性閉止体217は、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有するものである。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210を閉じ状態とすると、この後カバー体210によって、遊技盤5後面の主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が覆われる。主制御基板ボックス132の上部には、主制御基板131のコネクタが露呈されており、このコネクタに配線を接続することで、主制御基板131を他の適宜の基板に電気的に接続するのであるが、後カバー体210により主制御基板ボックス132の上部が覆われることで、主制御基板131のコネクタ部分が隠蔽される。よって、後カバー体210を開かない限り、主制御基板131のコネクタから配線を取外したり、主制御基板131のコネクタに他の配線を接続することができない構造となっている。
これに対し、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は、後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されている。よって、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板131の検査用コネクタ218に別途の基板検査装置を接続して、基板の検査を行うことが可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。ここで、後カバー体210を透明な合成樹脂材によって形成してもよいが、不透明な合成樹脂材によって形成するのが好ましい。不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を透明な合成樹脂材によって形成することで、後カバー体210を安価に製作することができるからである。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬・保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図2及び図6に基づき説明する。
本体枠3の後下部領域のヒンジ機構7寄り部分には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するためのものである。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図7及び図8に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び、払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には、球タンク136が装着されている。球タンク136は、島設備から供給される多数の遊技球を貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には、遊技球を放出する放出口138が形成されており、底板部137は、放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。なお、球タンク136は、透明な合成樹脂材により形成されており、遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133の下方にレール装着部134が一体に形成されている。そして、レール装着部134には、レール構成部材139が装着されており、これにより、タンクレール150が構成されている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図8に向かって左端)から他端(図8に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部(図示しない)と、下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設され、レール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成される。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する種々の部材の後部の上端部との干渉を避けるために、遊技盤5の裏面との間に適宜の間隙を確保した状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部152とは、夫々、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、レール通路の前後方向の幅寸法を十分に確保しつつ、遊技盤5の裏面とタンクレール150の前壁部151との間において、十分な間隙を確保できるようにしてある。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156が、レール通路の上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられており、整流体156の自重により、レール通路を流下する遊技球が整列させられる。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図7及び図8に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄り(図7及び図8で右側)の上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。ここで、払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図3参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、球払出装置170と遊技盤5との間には、上述のタンクレール150と遊技盤5との間隙と略同一レベルの間隙が確保されている。これによって、タンクレール150のレール通路と球払出装置170の球通路とが前後方向に略同一レベルで配置される。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150のレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されており、二股状に分岐された通路によって、賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とが構成されている。そして、賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[遊技領域の構成について] 図9及び図10に基づき説明する。なお、以下では、上下左右等の方向について、遊技者が遊技盤5の前面を正面から見た状態として説明する。
遊技盤5の盤面上には、合成樹脂により形成され盤面フレーム500が一体化されており、この盤面フレーム500の内側と、案内レール78の内レール77の内側とで略円形状に区画形成された遊技領域37が設けられている。この遊技盤5では、遊技領域37の左側に配設された案内レール78の上端部分の打込口78aから遊技領域37内に遊技球が打ち込まれ、遊技領域37内に打ち込まれた遊技球の挙動によって遊技が行われる。
遊技領域37には、遊技盤5に打設された多数の障害釘510(図10では図示省略)が所定のゲージ配列で配設されている。また、遊技領域37の左右方向のほぼ中央位置には、役物600が配設されており、この役物600によって、パチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。
役物600の上方には、遊技球が入球可能な入球口であり、遊技球の入球を契機として抽選(詳細は後述する)を行うための抽選入球口520が設けられている。そして、この抽選入球口520は、遊技球が入球し難い状態と入球し易い状態とで変動するように構成されている。具体的に、抽選入球口520は、開閉駆動される開閉部材521を備えており、開閉部材521が閉じた状態では、遊技球が入球し難い状態となるのであるが、開閉部材521が開いた状態になると、遊技球が入球し易い状態となる。
なお、本例では、抽選入球口520として、ソレノイド等の駆動装置によって左右方向に開閉駆動される左右一対の開閉部材521を備えた所謂「電動チューリップ(電チュー)」が採用されている。また、抽選入球口520は、入球した遊技球を入賞球として遊技盤5の後面側の入賞球誘導通路(ボックス装着台118)へと排出するもの、すなわち「入賞口」、となっている。よって、抽選入球口520に遊技球が入球すると、これに応じて所定個数の遊技球の払出しが行われるが、これに限らず、抽選入球口520を、入球した遊技球を遊技盤5の前面にて単に通過させるものとして、抽選入球口520に遊技球が入球しても遊技球の払出しを行わないようにしてもよい。
役物600の左側方には、遊技球が入球可能な入球口であり、遊技球の入球を契機として閉状態となっている上記抽選入球口520の開閉部材521を開駆動させる作動入球口530が設けられている。なお、本例では、作動入球口530が、入球した遊技球を遊技盤5の前面にて単に通過させるものとなっているが、これに限らず、作動入球口530を入賞口として機能するものとし、作動入球口530への遊技球が入球に応じて所定個数の遊技球の払出しを行うようにしてもよい。
役物600の右側方には、遊技球の入球に応じて所定個数の遊技球の払出しを行う入賞口である特別入賞口540が設けられている。そして、この特別入賞口540は、遊技球が入球不能な状態と入球可能な状態とで変動するように、または、遊技球が入球し難い状態と入球し易い状態とで変動するように、構成されている。具体的に、特別入賞口540は、開閉駆動される開閉部材541を備えており、開閉部材541が閉じた状態では、遊技球が入球不能または入球し難い状態になるが、開閉部材541が開いた状態になると、遊技球が入球可能または入球し易い状態となる。
なお、本例では、開閉部材541が閉じると遊技球が入球不能な状態になり、開閉部材541が開くと遊技球が入球可能な状態になる特別入賞口540を採用している。また、ソレノイド等の駆動装置によって前後方向に開閉駆動し、開駆動すると、複数の遊技球が同時に入球可能なように左右方向に大きな開放口を形成する開閉部材541、を備えた特別入賞口540を採用している。
また、特別入賞口540は、7セグメント表示装置等の適宜の表示装置を用いて構成された特別入賞口表示装置545をも備えている。この特別入賞口表示装置545は、特別入賞口540への遊技球の入球に基づく情報や、特別入賞口540の作動に関する情報等、適宜の情報を遊技者に案内すべく、種々の表示内容の表示を行うものである。
その他、遊技領域37には、適宜の部位に、常時、遊技球が入球可能となっており、遊技球の入球に応じて所定個数の遊技球の払出しを行う一般入賞口550が設けられている。また、遊技領域37の最下部には、入賞口への入球を果たせなかった遊技球を遊技盤5の後面側のアウト球誘導路へと排出するアウト口560が設けられている。
[抽選について]
抽選入球口520に遊技球が入球すると、当選であるか落選であるかの抽選が行われる。ここで、本例では、コンピュータを用いて構成された主制御基板131にて所定のプログラムを実行することで上記抽選を行うこととしてあり、このような抽選の手段を、コンピュータを用いた電気的抽選手段として捉えることができる。また、本例での電気的抽選手段は、具体的に、抽選入球口520に応じて乱数を取得し、この取得した乱数の値によって抽選の結果を判定するものであり、このような抽選は、抽選入球口520への遊技球の入球に基づいて行う抽選として捉えることができる。
ところで、当選としては、複数種類のものが用意されており、抽選結果が当選である場合には、複数種類の当選の内の何れか一つの当選となる。具体的に、第一種当選、第二種当選、第三種当選及び第四種当選といった四種類の当選が設定されており、抽選結果が当選である場合には、第一種当選、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の内の何れか一つの当選となる。一方、抽選結果が何れの当選でもない場合には、抽選結果は、落選となる。
[特別遊技について]
本例のパチンコ機1では、抽選結果が当選になると、抽選入球口520に遊技球を入球させて抽選を受けることを主な目的とした通常の遊技(以下「通常遊技」という)よりも多くの遊技球を獲得することが可能な特別な遊技(以下「特別遊技」という)が発生する。
具体的に、特別遊技が発生すると、特別入賞口540の開閉部材が開駆動され、これにより、通常遊技では閉鎖されている特別入賞口540が開放されて、特別入賞口540に遊技球が入球可能となる。そして、特別入賞口540の開放は、所定の上限時間が経過するか、或いは、遊技球の入球が所定の上限個数に達するかの何れか一方の条件を満たすといったように、所定条件の成立によって終了する。また、このような特別入賞口540の1回の開放動作を1ラウンドとして、ラウンド数が所定の上限ラウンド数に達するまで、特別入賞口540の開放が繰り返される。
ここで、特別遊技としては、上記上限時間が長く(例えば30秒)、しかも、上記上限ラウンド数が多く(例えば15ラウンド)設定されており、多量の遊技球を獲得可能な第一種特別遊技と、上記上限時間が短く(例えば2秒)、しかも、上記上限ラウンド数が少なく(例えば2ラウンド)設定されており、第一種特別遊技ほど多くの遊技球を獲得できない第二種特別遊技との二種類のものが用意されている。なお、特別遊技については、抽選が当選、すなわち「当り」となると発生する遊技であることから、「当り遊技」と称することができる。また、第一種特別遊技及び第二種特別遊技を、夫々、遊技者にとって利益度合いの大小の差異から、「大当り遊技」及び「小当り遊技」と称することができる。
ところで、第二種特別遊技については、当選が第二種当選であっても、第三種当選であても、或いは、第四種当選であっても、特別入賞口540の作動態様が、外見上、同一態様であるが、内部的な作動態様は、換言すれば、特別入賞口540を作動させる制御処理は、以下のように異なっている。
特別入賞口540の1回(1ラウンド)の開放動作について、入球した遊技球が所定の上限個数に達することを、開放動作の終了条件としているのであるが、第二種当選及び第三種当選の場合には、上記上限個数が、例えば第一種特別遊技と同じ上限個数(例えば10個)としてあるのに対して、第四種当選の場合には、これよりも少ない上限個数(例えば6個)としてある。よって、第二種当選及び第三種当選と、第四種当選との夫々の当選によって発生する第二種特別遊技については、厳密には態様が異なるのであるが、異なるのは、外見からは差異を判別できない内部的な態様、すなわち、外見からは差異を判別できない制御、が異なるだけであることから、本書では、特別な記載をしない限り、第二種当選及び第三種当選と、第四種当選とで発生する夫々の第二種特別遊技を、同種の特別遊技として取り扱うこととする。
[抽選状態について]
本例では、パチンコ機1において、特別遊技状態を発生させる抽選に関与する状態(以下「抽選状態」という)が適宜の条件の成立によって変更されるようにしてあり、遊技者が、種々の抽選状態の下で、特別遊技を発生させるべく通常遊技を行うことができるようにしてある。具体的に、パチンコ機1の抽選状態が、通常遊技中の大半を占める普通の状態(以下「普通状態」という)と、この普通状態に対して上記特別遊技が発生し易くなるようにした特殊な状態(以下「特殊状態」という)とで変更されるようにしてある。そして、抽選結果が所定の当選となると、抽選状態が、普通状態から特殊状態へと、或いは、特殊状態から普通状態へと変更されるようにしてある。
ここで、特殊状態として、確変状態及び時短状態といった二種類のものが用意されている。さらに、時短状態として、第一種時短状態及び第二種時短状態といった二種類のものが用意されている。なお、以下では、確変状態ではない状態を、確変状態と明確に区別できるように、非確変状態と称し、時短遊技状態ではない状態を、時短状態と明確に区別できるように、非時短状態と称することとする。これにより、普通状態は、非確変状態で、しかも、非時短状態の抽選状態であるいえる。
確変状態は、普通状態に比して、全ての種類の当選について、或いは、所定の種類の当選について、当選になる確率が高くなるように当選確率を変動させた状態である。特に、本例では、詳細は後述する第一種当選が、複数種類の当選の中で遊技者にとって最も利益の高い当選であり、確変状態では、少なくともこの第一種当選の当選確率が普通状態よりも高確率となるように、当選確率が変動される。
これに対して、時短状態は、次のような抽選状態である。
遊技球の入球によって抽選を行うための抽選入球口520は、開閉部材521を有しており、開閉部材521が開側に駆動されると、抽選入球口520は、遊技球が入球し易い開状態となる。ここで、抽選入球口520は、作動入球口530に遊技球が入球することを契機として、1回または複数回の開状態を形成する1セットの動作を行う。なお、以下では、抽選入球口520の1セットの動作を「抽選入球口520の作動」と称する。そして、このように抽選入球口520の作動を開始するのは、作動入球口530に遊技球が入球してから所定時間が経過した後となるように設定されているのであるが、普通状態と時短状態とでは、上記所定時間が異なるように設定されている。具体的に、普通状態では、上記所定時間として、長い時間(例えば30秒)が設定されているのに対して、時短状態では、短い時間(例えば3秒)が設定されており、作動入球口530に遊技球が入球してから短時間で抽選入球口520の作動を開始する。
また、抽選入球口520の作動の態様についても、普通状態と時短状態とで異なる態様に設定されている。具体的に、普通状態では、抽選入球口520の1回の開状態が短い時間(例えば0.3秒)であり、1セットの動作にて、この短い時間の開状態を少ない回数(例えば1回)しか行わないこととしてあるのに対して、時短状態では、抽選入球口520の1回の開状態が長い時間(例えば1秒)であり、1セットの動作にて、この長い時間の開状態を多い回数(例えば3回)行うこととしてある。
なお、時短状態としては、普通状態に比して、「作動入球口530に遊技球が入球してから短時間で抽選入球口520の作動が開始する」、「抽選入球口520の1回の開状態の時間が長い」及び「1セットの動作における作動入球口530の開状態の作動回数が多い」といった全ての要件を満たす必要はなく、何れか一つの要件を満たす状態としたり、或いは、何れか二つの要件を満たす状態としてもよい。
このような時短状態では、普通状態に比して、単位時間当りに、抽選入球口520に多くの遊技球が入球可能であり、遊技者にとって、抽選を頻繁に受けることができることから、時短状態を、単位時間当りに、普通状態よりも多くの抽選を受けることが可能な抽選状態として捉えることができる。また、時短状態では、普通状態に比して、抽選入球口520に遊技球が入球し易いことから、時短状態を、普通状態よりも少ない遊技球の投入によって多くの抽選を受けることができる抽選状態として捉えることもできる。
なお、本例では、時短状態及び非時短状態の何れの抽選状態においても、作動入球口530に遊技球が入球してから抽選入球口520の作動が終了するまでの間に、再度、作動入球口530に遊技球が入球したとしても、この入球を無効として、抽選入球口520の作動を行わないこととしてあるが、これに限らない。抽選入球口520の作動が終了するまでに、再度、作動入球口530に遊技球が入球した場合には、入球した回数分の抽選入球口520の作動を、回数の上限なく、或いは、所定回数を上限として、一旦保留しておき、抽選入球口520の作動が終了した後に、保留しておいた分の抽選入球口520の作動を行うようにしてもよい。
また、作動入球口530への遊技球の入球に応じて抽選入球口520の作動を行うようにしてあるが、これに限らない。例えば、作動入球口530への遊技球の入球に基づいて作動用の抽選を行い、この作動用の抽選の結果が当選となる等、適宜の条件が成立した場合においてのみ、抽選入球口520の作動を行うこととしてもよい。
ところで、時短状態は、無期限に継続されるのではなく、所定条件の成立によって終了する。ここで、本例では、第一種時短状態と第二種時短状態との二種類の時短状態があり、第一種時短状態は、抽選入球口520への遊技球の入球に基づいて行われた抽選の結果が所定の当選になることを条件として終了する。換言すれば、第一種時短状態は、所定の当選となるまで継続される時短状態である。
第二種時短状態は、第一種時短状態と同様に、所定の当選になることを条件に終了するのであるが、この条件だけではなく、抽選入球口520への遊技球の入球に基づいて抽選が行われた回数や、抽選入球口530が作動した回数等、適宜事象の回数を時短遊技の回数としてカウントして、時短遊技の回数が所定の上限数に達することでも、終了条件が成立したとして、終了する。換言すれば、第二種時短状態は、所定の当選となるか、或いは、上記適宜事象が所定の上限の回数生じるまで、継続される時短状態である。なお、第二種時短状態は、第二種時短状態中に上記適宜事象が繰り返し生じることで、残りの時短遊技の回数(上限数からカウント数を減じた数)が少なくなり、やがて終了することから、第二種時短状態中に上記適宜事象が生じる都度、第二種時短状態が消化されることになる。よって、以下では、第二種時短状態中に上記適宜事象が生じることを「時短遊技の消化」と表現する。
以上、説明した特別遊技(第一種特別遊技及び第二種特別遊技)が発生した状態は、通常遊技の状態よりも多くの遊技球を直ちに獲得可能な状態であり、遊技者にとって、通常遊技の状態よりも有利な状態である。よって、特別遊技が発生した状態を「有利遊技状態」と称することができる。また、確変状態や時短状態(第一種時短状態及び第二種時短状態)といった特殊状態は、普通状態よりも特別遊技が生じ易く、特別遊技によって多くの遊技媒体を獲得できる可能性が高まった状態であり、遊技者にとって、普通状態よりも有利な状態である。よって、特殊状態も、「有利遊技状態」と称することができる。
[各種の当選の詳細について]
次に、第一種当選、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の詳細について説明する。
第一種当選は、第一種特別遊技を発生させるものである。また、第一種当選は、パチンコ機1の状態を、確変状態及び第一種時短状態にするものでもある。ここで、第一種当選の当選時の状態が確変状態及び第一種時短状態である場合には、第一種当選によって確変状態及び第一種時短状態になっても状態が変化しないことから、当選時の状態が、実質的に、そのまま継続されることになる。また、当選時の状態が非確変状態あれば、当選によって確変状態に変更され、当選時の状態が非時短状態や第二種時短状態であれば、当選によって第一種時短状態に変更されることになる。
第二種当選は、第二種特別遊技を発生させるものである。また、パチンコ機1の状態を、当選時の状態が非確変状態であれば確変状態に変更し、当選時の状態が確変状態であれば、そのまま確変状態を継続させるものでもある。さらに、パチンコ機1の状態を、当選時の状態が非時短状態であれば、そのまま非時短状態を継続させ、当選時の状態が第一種時短状態であれば、第二種時短状態に変更し、当選時の状態が第二種時短状態であれば、この第二種時短状態を終了させて、新たな第二種時短状態にするものでもある。ここで、新たな第二種時短状態にすることは、第二種当選となるまでに第二種時短状態中にカウントされた時短遊技の回数をリセットすることである。換言すれば、前回の第二種時短状態中で消化された時短遊技の回数を無視して、許容する時短遊技の回数を再び上限数に戻すことである。
第三種当選は、第二種特別遊技を発生させるものである。また、パチンコ機1の状態を、当選時の状態が非確変状態であれば、そのまま非確変状態を継続させ、当選時の状態が確変状態であれば、非確変状態に変更するものでもある。さらに、パチンコ機1の状態を、当選時の状態が非時短状態であれば、そのまま非時短状態を継続させ、当選時の状態が第一種時短状態であれば、第二種時短状態に変更し、当選時の状態が第二種時短状態であれば、この第二種時短状態を終了させて、新たな第二種時短状態にするものでもある。
第四種当選は、第二種特別遊技を発生させるものである。また、パチンコ機1の状態として、当選時の状態をそのまま継続させるものでもある。すなわち、当選時の状態が非確変状態であれば、そのまま非確変状態を継続させ、当選時の状態が確変状態であれば、そのまま確変状態を継続させる。また、当選時の遊技状態が、非時短遊技状態であれば、そのまま非時短遊技状態を継続させ、第一種時短状態であれば、そのまま第一種時短状態を継続させ、第二種時短態であれば、そのまま第二種時短状態を継続させる。ここで、当選時の第二種時短状態をそのまま継続させることは、当選後の第二種時短状態について、新たな第二種時短状態にせず、消化された時短遊技の回数のカウントを継続させることである。
ところで、本例では、種々の当選の当選確率が、概ね、以下のように設定されている。
非確変状態においては、第一種当選の当選確率が「20/10000」に、第二種当選の当選確率が「10/10000」に、第三種当選の当選確率が「5/10000」に、第四種当選の当選確率が「60/10000」に夫々設定されている。よって、非確変状態では、第四種当選が、他の当選に比して、現出頻度の高い当選となる。また、第一種当選、第二種当選及び第三種当選の3種類の当選の中では、第一種当選が現出頻度の最も高い当選となり、第三種当選が現出頻度の最も低い当選となる。
これに対して、確変状態においては、第一種当選の当選確率が「200/10000」、第二種当選の当選確率が「100/10000」、第三種当選の当選確率が「50/10000」といったように、非確変状態よりも著しく高く変動するように設定されている。また、第四種当選の当選確率については、「60/10000」といったように、非確変状態と同一の確率で変動しないように設定されている。よって、確変状態では、第四種当選の現出頻度は、他の当選に比して、さほど高くならないばかりか、他の全ての当選を含めた現出頻度に比して、現出頻度の低い当選となる。また、第一種当選、第二種当選及び第三種当選の3種類の当選の中では、非確変状態と同様に、第一種当選が現出頻度の最も高い当選となり、第三種当選が現出頻度の最も低い当選となる。
上述の例のように、適宜、確率を設定することで、非確変状態中においては、他の当選に比して、第四種当選になり易くすることができる一方で、確変状態中においては、他の当選に比して、第四種当選になり難くすることができる。なお、確変状態中において第四種当選の発生頻度を低くするためには、上述のように、確変状態において、他の当選の当選確率を高くする一方で第四種当選の当選確率については変動させないようにするに限らず、第四種当選の当選確率を、他の当選の当選確率ほど高めないように高くしたり、逆に、当選確率を低くするようにしてもよい。
また、本例では、第二種時短状態が、以下のように設定されている。
抽選入球口520への遊技球の入球に基づいて行われた抽選の回数が50回に達すると、すなわち、時短遊技の回数が50回に達すると、第二種時短状態を終了して非時短状態に変更することとしてある。また、上述の通り、第二種時短状態中において、第一種当選となると、第二種時短状態を終了して第一種時短状態に変更することとし、第二種当選または第三種当選の何れかの当選となると、当選時の第二種時短状態を終了して新たな第二種時短状態にすることとしてある。
[パチンコ機の状態の変化について] 図11に基づき説明する。
上述の通り、各種の当選に応じて、確変状態、非確変状態、時短状態や非時短状態といった抽選状態が変化するのであるが、抽選状態の変化の流れは、図11に示すような流れとなる。なお、図11では、第一種当選を白抜きの矢印で示し、第二種当選を実線の矢印で示し、第三種当選を破線の矢印で示し、時短遊技の消化を波線の矢印で示す。また、以下の説明では、第四種当選が抽選状態を変化させないものであることから、抽選状態と第四種当選との対応についての説明を省略する。また、以下では、種々の抽選状態について、非確変状態及び非時短状態の状態を「非確変非時短状態」と称し、確変状態及び第一種時短状態の状態を「確変第一種時短状態」と称し、確変状態及び第二種時短状態の状態を「確変第二種時短状態」と称し、確変状態ではあるが非時短状態の状態を「確変非時短状態」と称し、非確変状態ではあるが第二種時短状態の状態を「非確変第二種時短状態」と称して説明する。ここで、「非確変非時短状態」は、普通状態であり、「確変第一種時短状態」、「確変第二種時短状態」、「確変非時短状態」及び「非確変第二種時短状態」は、夫々、特殊状態の一種である。また、本例においては、非確変状態ではあるが第一種時短状態となっている状態はなく、この状態についての説明は不要である。
(1)非確変非時短状態からの変化
非確変非時短状態は、他の抽選状態に比して、遊技者にとって最も不利な状態であり、パチンコ機1の初期状態(リセット後の状態)は、この非確変非時短状態になるように設定されている。通常遊技の大半は、この非確変非時短状態の下で行われ、通常遊技の結果、各種の当選になると、当選の種類に応じて、以下のように、所定の特別遊技が発生すると共に、抽選状態について所定の処理が行われる。
(1−1)第一種当選になると、第一種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が非確変非時短状態から確変第一種時短状態に変更される。
(1−2)第二種当選になると、第二種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が非確変非時短状態から確変非時短状態に変更される。
(1−3)第三種当選になると、第二種特別遊技が発生するのであるが、抽選状態は変更されずに当選時の状態のままで維持される。すなわち、抽選状態は、非確変非時短状態のままでループする。
(2)確変第一種時短状態からの変化
確変第一種時短状態は、他の抽選状態に比して、遊技者にとって最も有利な状態である。そして、この確変第一種時短状態の下で各種の当選がなされると、当選の種類に応じて、以下のように、所定の特別遊技が発生すると共に、抽選状態について所定の処理が行われる。
(2−1)第一種当選になると、第一種特別遊技が発生するのであるが、抽選状態は変更されずに当選時の状態のままで維持される。すなわち、抽選状態は、確変第一種時短状態のままでループする。そして、繰り返し第一種当選になることで、抽選状態が最も有利な確変第一種時短状態で繰り返しループし、これにより、早期に複数回の第一種当選が発生する所謂「連荘」となり、遊技者は、この第一種当選の連荘によって多量の遊技球を獲得することができる。
(2−2)第二種当選になると、第二種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が確変第二種時短状態に変更される。ここで、遊技者にとって有利な状態から不利な状態になることを「転落」と表現すると、確変第一種時短状態中に第二種当選になることで、抽選状態が確変第一種時短状態から確変第二種時短状態に転落することになる。
(2−3)第三種当選になると、第二種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が非確変第二種時短状態に変更される。すなわち、抽選状態は、確変第一種時短状態から非確変第二種時短状態に転落する。
(3)確変第二種時短状態からの変化
確変第二種時短状態は、遊技者にとって、確変第一種時短状態よりは不利であるが、非確変非時短状態、確変非時短状態及び非確変第二種時短状態よりは有利な状態である。また、この確変第二種時短状態は、非確変非時短状態から直接、変更されず、少なくとも確変第一種時短状態を経由して変更される状態である。換言すれば、確変第二種時短状態は、第一種当選がなされない限り、生じ得ない状態である。そして、この確変第二種時短状態の下で各種の当選がなされると、当選の種類に応じて、以下のように、所定の特別遊技が発生すると共に、抽選状態について所定の処理が行われる。
(3−1)第一種当選になると、第一種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が確変第一種時短状態に変更される。ここで、確変第二種時短状態は、遊技中に第一種当選となって、一旦、抽選状態が確変第一種時短状態になった以降に生じた状態であり、確変第二種時短状態中に、再度、第一種当選になると、抽選状態が確変第二種時短状態から再び確変第一種時短状態に戻る。所謂「引戻し」である。
(3−2)第二種当選になると、第二種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が新たな確変第二種時短状態にリセットされる。すなわち、抽選状態は、表現的には確変第二種時短状態のままでループするのであるが、実体的には、時短状態について、当選時の第二種時短状態を継続させるのではなく、新たな第二種時短状態にリセットされる。確変第二種時短状態中に第二種当選になると、時短遊技がある程度消化された第二種時短状態が新たな第二種時短状態にリセットされることから、遊技者にとっては、第二種当選までに消化した分の時短遊技が返還されることになり、時短遊技についての利益を受けることができる。
(3−3)第三種当選になると、第二種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が非確変第二種時短状態に変更される。すなわち、抽選状態は、確変第二種時短状態から非確変第二種時短状態に転落する。ここで、時短状態については、当選時の第二種時短状態を継続させるのではなく、新たな第二種時短状態にリセットされる。よって、第三種当選になると、抽選状態は転落するものの、遊技者にとっては、時短遊技についての利益を受けることができる。
(3−4)確変第二種時短状態にて、すなわち、時短遊技の消化中において、第一種当選、第二種当選または第三種当選の何れの当選もなされず、時短遊技が全て消化されると、抽選状態が確変第二種時短状態から確変非時短状態に変更される。これは、時短遊技の消化による抽選状態の転落である。
(4)確変非時短状態からの変化
確変非時短状態は、遊技者にとって、確変第一種時短状態及び確変第二種時短状態よりは不利であるが、非確変非時短状態よりは有利な状態である。また、この確変非時短状態は、確変第一種時短状態及び非確変第二種時短状態から直接、変更されず、前段階の状態として、確変第二種時短状態或いは非確変非時短状態から変更される状態である。そして、この確変非時短状態の下で各種の当選がなされると、当選の種類に応じて、以下のように、所定の特別遊技が発生すると共に、抽選状態について所定の処理が行われる。
(4−1)第一種当選になると、第一種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が確変第一種時短状態に変更される。ここで、確変非時短状態が、前段階の状態として確変第二種時短状態から変更されたものである場合には、遊技中に第一種当選となって、一旦、抽選状態が確変第一種時短状態になった以降で、非確変非時短状態に戻る前に生じた確変非時短状態であることから、このような確変非時短状態中に、再度、第一種当選になると、所謂「引戻し」となる。
(4−2)第二種当選になると、第二種特別遊技が発生するのであるが、抽選状態は変更されずに当選時の状態のままで維持される。すなわち、抽選状態は、確変非時短状態のままでループする。
(4−3)第三種当選になると、第二種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が非確変非時短状態に変更される。すなわち、抽選状態は、確変非時短状態から非確変非時短状態に転落する。
(5)非確変第二種時短状態からの変化
非確変第二種時短状態は、遊技者にとって、確変第一種時短状態及び確変第二種時短状態よりは不利であるが、非確変非時短状態よりは有利な状態である。また、この確変非時短状態は、非確変非時短状態から直接、変更されず、前段階の状態として、確変第一種時短状態或いは確変第二種時短状態から変更される状態である。そして、この非確変第二種の下で各種の当選がなされると、当選の種類に応じて、以下のように、所定の特別遊技が発生すると共に、抽選状態について所定の処理が行われる。
(5−1)第一種当選になると、第一種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が確変第一種時短状態に変更される。ここで、非確変第二種時短状態は、遊技中に第一種当選となって、一旦、抽選状態が確変第一種時短状態になった以降に生じた状態であり、非確変第二種時短状態中に、再度、第一種当選になると、抽選状態が非確変第二種時短状態から再び確変第一種時短状態に戻ることから、所謂「引戻し」となる。
(5−2)第二種当選になると、第二種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が確変第二種時短状態に変更される。ここで、時短状態については、当選時の第二種時短状態を継続させるのではなく、新たな第二種時短状態にリセットされる。よって、第二種当選になると、遊技者にとては、確変状態への変更の利益ばかりでなく、時短遊技についての利益も受けることができる。
(5−3)第三種当選になると、第二種特別遊技が発生すると共に、抽選状態が新たな非確変第二種時短状態にリセットされる。すなわち、抽選状態は、表現的には非確変第二種時短状態のままでループするのであるが、実体的には、時短状態について、当選時の第二種時短状態を継続させるのではなく、新たな第二種時短状態にリセットされる。非確変第二種時短状態中に第二種当選になると、遊技者にとっては、時短遊技についての利益を受けることができる。
(5−4)非確変第二種時短状態にて、すなわち、時短遊技の消化中において、第一種当選、第二種当選または第三種当選の何れの当選もなされず、時短遊技が全て消化されると、抽選状態が非確変第二種時短状態から非確変非時短状態に変更される。これは、時短遊技の消化による抽選状態の転落である。
[遊技の流れについて]
以上、詳細に説明した種々の当選や種々の抽選状態が用意されている本例のパチンコ機1における遊技の流れは、主に、以下の通りとなる。
普通状態の下で通常遊技を行って第一種当選になると、第一種特別遊技が発生して、遊技者は、多量の遊技媒体を獲得できる。そして、第一種当選によって抽選状態が確変第一種時短状態となり、この確変第一種時短状態は、次回の当選が第二種当選となるか、或いは、第三種当選となるまで継続される。よって、第一種当選の後は、第一種当選、第二種当選または第三種当選の何れかの当選を、早期に引当てることができる。ここで、次回の当選が第一種当選であれば、所謂「連荘」となる。
一方、次回の当選が第二種当選または第三種当選であれば、その後の抽選状態は、第二種時短状態となり、時短遊技の消化が開始される。ここで、第二種当選によって第二種時短状態となっていれば、抽選状態は確変状態になったままなので、時短遊技の消化中に、或いは、時短遊技の消化後に、早期に、再度、第一種当選になる可能性が高いため、所謂「引戻し」がし易い。
これに対して、第三種当選によって第二種時短状態となっていれば、抽選状態は非確変状態であるので、時短遊技の消化中に、再度、第一種当選になったり、第二種当選によって確変状態になる可能性は低く、やがて、時短遊技を全て消化して、普通状態に戻る。また、第二種当選の後の時短遊技の消化中に第三種当選になった場合も、同様に、その後の時短遊技の消化中に、再度、第一種当選になったり、第二種当選によって確変状態になる可能性は低く、やがて、時短遊技を全て消化して、普通状態に戻る。
[役物について] 図12に基づき説明する。
遊技領域37の左右方向の中央部分には、上部に抽選入球口520が一体的に形成された役物600が設けられている。そして、この役物600は、詳細は後述する特別図柄表示装置710、状態表示装置720、特図保留表示装置730、抽選演出表示装置800、特図対応演出表示装置850及び状態演出表示装置860を備えている。ここで、特別図柄表示装置710、状態表示装置720及び特図保留表示装置730の夫々は、主制御基板131によって、その駆動の制御がなされるものである。一方、抽選演出表示装置800、特図対応演出表示装置850及び状態演出表示装置860の夫々は、主制御基板131からの情報(信号)に基づいて、副制御基板119によって、その駆動の制御がなされるものである。
[特別図柄表示装置について]
特別図柄表示装置710は、表示内容として図柄を表示することにより抽選結果を表示するものであり、「当選の可能がある」いったような、あやふやな抽選結果の情報を遊技者に提供するものではなく、表示内容によって抽選結果を明示するものである。そして、本例では、特別図柄表示装置71が以下のように構成されている。
特別図柄表示装置710は、夫々、単色または複数色で発光する複数の発光器711を用いて構成されており、各発光器711の発光パターンの組合わせからなる図柄を表示内容として表示することで、抽選結果が当選であるか或いは落選であるかを明示するものとして構成されている。また、当選である場合には、第一種当選か、第二種当選か、第三種当選か或いは第四種当選かを、明示するものとして構成されている。
具体的に、本例では、夫々異なる色である第一色(例えば赤色)及び第二色(例えば緑色)の2色で発光する発光器711を用いて、5つの発光器711によって特別図柄表示装置710が構成されている。また、各発光器711は、LED(発光ダイオード)によって構成されている。このような特別図柄表示装置710では、各発光器711の発光パターンの組合わせによって、表示する図柄が形成されるのであるが、各発光器711の発光パターンが、「消灯」、「第一色点灯」及び「第二色点灯」の3パターンとなっており、発光器711が5つであるため、この特別図柄表示装置710によれば、「3の5乗」の243パターンといった多様な図柄(表示内容)を表示することができる。なお、全ての発光器711が消灯するパターンの図柄は、発光器711の故障等によっても生じる可能性があるパターンの図柄となるため、このパターンの図柄を、表示する図柄として用いないこととするのがよい。
また、第一種当選であれば、例えば、各発光器711の全てを第一色で点灯させ、落選であれば各発光器711を全て第二色で点灯させるといったように、第一種当選及び落選の夫々については、図柄の種類に対して1対1で対応するように設定されている。これに対して、第二種当選、第三種当選及び第四種当選については、夫々の当選を表示する図柄として、複数種類の図柄が設定されている。特に、本例では、特別図柄表示装置710が多種類の図柄を表示できるものであることから、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の夫々については、第一種当選を表示する図柄の種類よりも多い図柄で、具体的には、5パターン以上といったような多種類の図柄が設定されている。これにより、特別図柄表示装置710に表示された図柄の種類によっては、当選の種類を、簡単には特定できないようにしてある。しかも、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の夫々を明示する複数種類の図柄のパターンは、例えば、特定の発光器711の発光態様が第一色で発光していれば、必ず第二種当選である等といったような規則性を有しておらず、不規則的(ランダム的)なパターンで設定されている。よって、夫々の当選に対応する複数種類の図柄を全て覚える等しない限り、特別図柄表示装置710に表示された図柄によっては、当選の種類を特定し難いようにしてある。
ところで、当選の種類に応じてパチンコ機1の抽選状態が変化するのであるが、この抽選状態の変化は、何らかの情報を出力しない限り、外見からは判別不能である。特に、時短状態であるか否かについては、抽選状態が変化した後の遊技中において特別入賞口540の作動態様が異なることから、遊技中においては判別可能ではあるものの、確変状態であるか否かについては、遊技中においても、外見からは判別不能である。
これに対して、特別遊技が発生したか否かの状態の変化については、特別遊技が発生すると特別入賞口540が作動することから、外見から判別可能である。しかも、第一種特別遊技と第二種特別遊技の差異も、特別入賞口540の作動態様が異なることから、外見から判別可能である。ここで、第一種特別遊技は、第一種当選によってのみ発生するものであり、第二種特別遊技は、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の何れかの当選によって発生するものである。
このことから、抽選結果が当選であるか或いは落選であるか、及び、当選である場合には第一種当選であるか否かについては、特別遊技が発生したか否か、及び、発生した特別遊技の種類によって、外見から判別可能である。よって、第一種当選及び落選を、外見上で判別可能な抽選結果として表現することができる。また、第一種当選は、他の当選とは異なる特別遊技(第一種特別遊技)を発生させるものであり、落選は、当選とは異なり特別遊技を行わない状態を発生させるものであることから、第一種当選及び落選を、外見上で他の抽選結果とは異なる状態を発生させる抽選結果として表現することもできる。
これに対して、第二種当選、第三種当選及び第四種当選については、同じ特別遊技(第二種特別遊技)を発生させるものであることから、第二種特別遊技が発生しても、どの種類の当選によって発生したのかは分からない。よって、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の夫々を、外見上で互いに判別不能な抽選結果として表現することができる。また、第二種当選、第三種当選及び第四種当選は、互いに同じ特別遊技(第二種特別遊技)を発生させるものであることから、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の夫々を、外見上で互いに同じ状態を発生させる抽選結果として表現することもできる。
このように、本例のパチンコ機1は、外見上で互いに判別不能な複数種類の当選、換言すれば、外見上で互いに同じ状態を発生させる複数種類の当選が用意されており、しかも、上述した通り、特別図柄表示装置710に表示された図柄によっては、当選の種類が特定し難いことから、本例のパチンコ機1特有の遊技性を持たせることができる。なお、この特有の遊技牲についての詳細は、後述することとする。
特別図柄表示装置710では、抽選入球口520への遊技球の入球を契機として、すなわち、抽選が行われることを契機として、図柄の変動が開始される。そして、主制御基板での内部的な処理では既に抽選結果が導出されてはいるのであるが、直ちに抽選結果を表示するのではなく、図柄の変動開始から所定時間経過後に、変動中の図柄を停止して抽選結果を表示する。ここで、本例では、各発光器711にて、一定のリズムで、2色の点灯及び消灯を繰り返すことで、図柄が変動中であることを表現する。そして、変動を停止して表示した図柄については、次回の変動を開始するまで、変動させることなく、表示を維持させる。
以上、特別図柄表示装置710の一例を示したが、特別図柄表示装置710としては、上述の例に限らない。例えば、複数の発光器711が、1箇所にまとめて配置されたものではなく、単一の特別図柄表示装置710において、或いは、複数の特別図柄表示装置710を用いて、複数の発光器711がばらばらに配置されたものであってもよい。また、発光器711の数も適宜、設定することができるし、発光器711として、7セグメント表示器を用いることもできる。さらには、点灯及び消灯するランプである発光器711を用いたものに限らず、静止画や動画等の画像或いは映像を表示する液晶表示装置等の表示器や、動作する可動体を用いたものであってもよい。
また、特別図柄表示装置710は、役物600の一部を構成するべく、役物600に設けられており、しかも、役物600の外縁部分における一部の領域に設けられ、目立つことのないものとなっているが、これに限らず、特別図柄表示装置710を、遊技領域37の他の部位、遊技盤5における遊技領域37外の部位、或いは、本体枠3や前面枠4等、遊技盤5以外の部位に設けてもよい。
[状態表示装置について]
パチンコ機1の抽選状態は、抽選結果が当選になるといったような所定の条件の成立に応じて、適時、変化するのであるが、適宜の抽選状態については、現状の状態がその抽選状態になっていることが、状態表示装置720にて明示される。具体的には、以下の通りである。
状態表示装置720は、確変表示器721、時短表示器722、第一種特別遊技表示器723及び第二種特別遊技表示器724といった4つの表示器を用いて構成されている。そして、本例では、各表示器721,722,723,724が、夫々、単色(例えば赤色)で点灯及び消灯する一つの発光器を用いて構成されており、各表示器721,722,723,724では、発光器の点灯又は消灯によって構成された図柄によって、適宜の抽選状態が明示される。
確変表示器721は、抽選状態が確変状態となっていれば、点灯することで、抽選状態が確変状態であることを明示するものである。ここで、抽選状態が確変状態であるか、或いは、非確変状態であるかは、外見上、判別不能であるが、確変表示器721を採用することで、確変状態についての抽選状態を判別可能にすることができる。また、本例では、遊技性上、確変状態であることを簡単に判別できないようにしたいが故に、確変表示器721を、パチンコ機1の電源投入時においては作動するが、遊技中には作動しないように設定してある。具体的には、電源投入時において抽選状態が確変状態であれば、点灯してこれを明示するのであるが、所定時間(例えば30秒)が経過すると消灯し、以降の遊技中においては、抽選状態が確変状態となったとしても、消灯したままで、点灯しないように設定してある。このように、確変表示器721を電源投入時においてのみ作動するようすることで、遊技中においては確認することができない確変状態であるか否かについて、一旦、電源を遮断して再度電源を投入することで、確認することができることとなる。
時短表示器722は、抽選状態が、第一種時短状態及び第二種時短状態の何れであっても、時短状態となっていれば、点灯することで、抽選状態が時短状態となっていることを明示するものである。そして、この時短表示器722は、電源投入時に時短状態となっていれば、当然のことながら、これに対応して作動(点灯)し、遊技中において、抽選状態が非時短状態から時短状態に変化した場合も、これに対応して作動し(点灯)、第二種時短状態の終了(時短遊技の消化)によって、抽選状態が時短状態から非時短状態に変化した場合も、これに対応して作動(消灯)する。なお、時短状態であるか否かについては、抽選入球口540の作動態様が時短状態中と非時短状態中とで異なることから、遊技を行えば外見から確認することができるのであるが、時短表示器722を採用することで、遊技を行わなくても、時短状態であるか否かを確認することができることとなる。
第一種特別遊技表示器723は、第一種当選となって、第一種特別遊技が開始されると点灯し、第一種特別遊技が終了すると消灯するものであり、点灯することで、第一種特別遊技が発生している状態であることを明示するものである。
第二種特別遊技表示器724は、第二種当選、第三種当選または第四種当選となって、第二種特別遊技が開始されると点灯し、第二種特別遊技が終了すると消灯するものであり、点灯することで、第二種特別遊技が発生している状態であることを明示するものである。
ところで、第二種特別遊技表示器724については、第二種当選及び第三種当選によって第二種特別遊技が発生した状態では作動(点灯)して、この状態であることを表示するが、第四種当選によって第二種特別遊技が発生した状態では作動(点灯)せず、この状態であることを表示しないこととしてもよい。
第二種当選及び第三種当選は、抽選状態の変化に関与する当選である一方で、第四種当選は、抽選状態の変化には関与しない当選である。そして、第二種当別遊技の外見上の作動態様によっては、第四種当選であるか否かが判別不能なことから、当選が、抽選状態の変化に関与する当選であったのか否かは分からない。
そこで、上記のような第二種特別遊技表示器724とすることで、第一種特別遊技よりも短い時間である第二種特別遊技中において、第二種特別遊技表示器724の作動状態を確認することで、第四種当選であったのか否かが、外見から判別可能となる。すなわち、このような第二種特別遊技表示器724によれば、第二種特別遊技が発生している時間(第一種特別遊技よりも短い僅かな時間)において、当選の種類をある程度、判別できる機会を与えることができる。
このような第二種特別遊技表示器724を具備するパチンコ機1は、「抽選の結果の種類に応じて、外見上の差異がない所定の状態が発生した場合に、第二種特別遊技表示器724を観察することで、抽選の結果がある程度分かる」といった機能を有するものとなる。具体的に、本例では、「第二種当選、第三種当選または第四種当選の何れかの当選によって、外見上、同一の態様の第二種特別遊技が発生した場合に、第二種特別遊技表示器724を観察することで、少なくとも、当選が第四種当選であったのか否かが分かる」といった機能を有するものとなる。
よって、上記機能を知った遊技者は、「上記所定の状態が発生した場合に、第二種特別遊技表示器724を観察することで抽選の結果を確認する」といった遊技を楽しむことができる。特に、本例では、第二種特別遊技表示器724が、詳細は後述する演出表示装置800に比して、小さく、しかも、作動態様として発光器が点灯するだけであり、目立ち難いことから、遊技者に着目され難い。このため、上記機能は、淡々と遊技を行う遊技者にとっては知られ難く、ささいな現象にも注意を払ってこの種のパチンコ機1での遊技に励んだ遊技者が、上記機能を自ら発見すると、他の遊技者が知らない情報を知り得たことで大きな満足感が得られる。
以上、状態表示装置720の一例を示したが、状態表示装置720としては、上述の例に限らない。例えば、確変表示器721、時短表示器722、第一種特別遊技表示器723及び第二種特別遊技表示器724といった各種の表示器が、1箇所にまとめて配置されたものではなく、単一の状態表示装置720において、或いは、複数の状態表示装置720を用いて、各種の表示器がばらばらに配置されたものであってもよい。また、各種の表示器の内、適宜の表示器を省略することもできるし、他の適宜の状態を表示する表示器を追加してもよい。さらに、7セグメント表示器によって各種の表示器を構成したり、7セグメント表示器を採用することで、複数の表示器を兼用することとしてもよい。また、点灯及び消灯するランプである発光器を用いたものに限らず、静止画や動画等の画像或いは映像を表示する液晶表示装置等の表示器や、動作する可動体を用いたものであってもよい。
また、状態表示装置720は、役物600の一部を構成するべく、役物600に設けられており、しかも、役物600の外縁部分における一部の領域に設けられ、目立つことのないものとなっているが、これに限らず、状態表示装置720を、遊技領域37の他の部位、遊技盤5における遊技領域37外の部位、或いは、本体枠3や前面枠4等、遊技盤5以外の部位に設けてもよい。
[特図保留表示装置について]
上述した特別図柄表示装置710は、図柄が変動中に抽選入球口520に遊技球が入球することで行われた抽選の結果の表示については、一旦、保留して、先の抽選結果の表示が完了した後に、次の抽選結果の表示を行うように設定されている。そして、特別図柄表示装置710で図柄が変動中に抽選結果の表示が保留されていれば、結果の表示が保留されている抽選の回数(以下「保留数」という)が特図保留表示装置730にて表示される。なお、特図表示装置710の変動中に抽選入球口520に遊技球が入球することで行われる抽選については、所定の回数を上限(本例では4回分)として、上限回数を越えた分については無効として処理される。
特図保留表示装置730は、単色(例えば赤色)で点灯及び消灯する複数(本例では、保留数の上限が4回分であることから4個)の発光器731を用いて構成されており、特別図柄保留表示装置730では、点灯した発光器731の個数によって構成された図柄が表示される。そして、1つの発光器731が点灯していれば、保留数が「1」であり、2つの発光器731が点灯していれば、保留数が「2」であるといったように、点灯している発光器731の数(図柄)によって、保留数が明示される。そして、本例では、発光器730として単色で発光するLED(発光ダイオード)が用いられている。
このような特図保留表示装置730は、表示内容として図柄を表示することにより、特図表示装置710での結果の表示が保留されている抽選の回数を表示するものであり、抽選に関する情報を遊技者に提供する抽選情報提供手段の一種として捉えることができる。また、この特図保留表示装置730は、主制御基板131によって駆動が制御される。
以上、特図保留表示装置730の一例を示したが、特図保留表示装置730としては、上述の例に限らない。例えば、複数の発光器731が1箇所にまとめて配置されたものではなく、単一の特図保留表示装置730において、或いは、複数の特図保留表示装置730を用いて、各発光器731がばらばらに配置されたものであってもよい。また、点灯及び消灯するランプである複数の発光器731を用いたものに限らず、7セグメント表示器、静止画や動画等の画像或いは映像を表示する液晶表示装置等の表示器を用いて、保留数を数字で表示することとしてもよい。さらには、動作する可動体を用いて、保留数を表示することとしてもよい。
また、特図保留表示装置730は、役物600の一部を構成するべく、役物600に設けられているが、これに限らず、特図保留表示装置730を、遊技領域37の他の部位、遊技盤5における遊技領域37外の部位、或いは、本体枠3や前面枠4等、遊技盤5以外の部位に設けてもよい。
[抽選演出表示装置について]
役物600に設けられた抽選演出表示装置800は、上述の特別図柄表示装置710での図柄変動中の表現よりも、複雑な表示内容を表現可能なものであり、遊技中において、主に、特別図柄表示装置710での図柄の変動中に種々の演出を行うものである。そして、本例では、抽選演出表示装置800全体が、複数の表示装置を用いて構成されている。具体的には、第一演出表示装置810、第二演出表示装置820、第三演出表示装置830及び第四演出表示装置840を用いて構成されている。
第一演出表示装置810は、多様なパターンで動作する可動体810Tを用いて構成されている。具体的に、本例では、サングラスを掛けた丸い爆弾のキャラクタを模した可動体810Tを用いて構成されている。なお、図柄を表示する装置を表示装置と称することができることは明白であるが、上述のように可動体810Tを用いた装置も、可動体810Tの動作によって表示内容を構成することができることから、表示装置と称することができる。
そして、この第一演出表示装置810では、可動体810Tの多様な動作によって、多様な演出が行われる。ここで、本例では、可動体810Tが、回転駆動装置によって回転駆動され、しかも、昇降駆動装置によって上下動されるものとなっており、動作パターンとして、上方から見て時計回りに回転(以下「右回転」という)したり、上方から見て時計回りとは逆に回転(以下「左回転」という)したり、或いは、回転中に上下動したり、回転せずに上下動する等、多様な動作パターンが設定されている。
また、可動体810Tの大部分(キャラクタの顔の部分)は、種々の色の光が透過可能に白色の半透明な樹脂により形成されており、可動体810Tの内部には、光の三原色である「赤色」、「緑色」及び「青色」の三色の光を発光可能な発光器が設けられている。これにより、可動体810Tが動作する際に上記発光器から多彩な色の光を出力させて、可動体810Tの動作による演出(以下「動作演出」という)ばかりでなく、可動体810Tの色による演出(以下「色演出」という)も行うことができるようにしてある。
第二演出表示装置820は、複数種類の図柄を表示可能なものであり、本例では、複数種類の図柄を夫々表示可能な複数の図柄表示器を用いて構成されている。具体的に、第一図柄表示器821、第二図柄表示器822及び第三図柄表示器823の三つの図柄表示器を用いて構成されている。そして、各図柄表示器821,822,823の夫々は、複数の色の光を発光可能な発光器を具備しており、複数種類の図柄の中から、発光器の発光色に応じた図柄を表示する。なお、本例では、青色及び赤色の2色の光を発光可能な発光器を用いて、発光器が青色で点灯すると、「○」の図柄(以下「作動用図柄」という)が表示され、赤色で点灯すると、「×」の図柄(以下「非作動用図柄」という)が表示される。
第三演出表示装置830は、抽選表示装置800全体で行われる一連の演出が進行することを示す表示(以下「進行表示」という)を行うことが可能なものであり、本例では、進行表示を夫々表示可能な複数の進行表示器を用いて構成されている。具体的に、第一図柄表示器821と後述する第四演出表示装置840と間に配置され、第一図柄表示器821から第四演出表示装置840へと進行表示を行う第一進行表示器831、第二図柄表示器822と第四演出表示装置840と間に配置され、第二図柄表示器822から第四演出表示装置840へと進行表示を行う第二進行表示器832、及び、第三図柄表示器823から第四演出表示装置840へと進行表示を行う第三進行表示器833の三つの進行表示器を用いて構成されている。そして、各進行表示器831,832,833の詳細は、以下の通りである。
各進行表示器831,832,833の夫々は、図柄表示器821,822,823と第四演出表示装置840との間に連設され、単色で発光する複数の発光器(例えばLED(発光ダイオード))を具備している。そして、第二演出表示装置820の図柄の変動が終了した際に、少なくとも一つの図柄表示器821,822,823にて作動用図柄が表示された場合には、第二演出表示装置820全体での表示完了と同時に、作動用図柄を表示した図柄表示器821,822,823に対応する各進行表示器831,832,833にて、全ての発光器が点灯または消灯した状態から、図柄表示器821,822,823から第四演出表示装置840に向かって、発光器を、順次、消灯または点灯させることで、図柄表示器821,822,823から第四演出表示装置840へと消灯または点灯が進行する表示を行う。ここで、本例では、導火線を模した進行表示器831,832,833を採用しており、進行表示によって、あたかも、導火線に火がついて、火種が第四表示装置840に向かって進むような表現がなされる。
第四演出表示装置840は、複数種類の図柄を表示可能なものであり、本例では、7セグメント表示器を用いて構成されている。そして、この第四演出表示装置840では、上記第二演出表示装置820の三つの進行表示器821a,822a,823aのうちの少なくとも一つによって進行表示が行われた場合に、進行表示の終了タイミングに合わせて図柄の変動を開始し、所定時間経過後に、変動を停止させて適宜の図柄が表示される。ここで、本例では、第四演出表示装置840にて、図柄として「1」〜「9」の数字を表示することとしてある。また、7セグメント表示器の各セグメントは、光の三原色である「赤色」、「緑色」及び「青色」の三色の光を発光可能であり、多彩な色の図柄を表示でき
[抽選演出表示装置の作動態様について]
以上のような抽選演出表示装置800は、次のように作動する。
まず、抽選入球口520に遊技球が入球して抽選が行われると、特別図柄表示装置710での図柄の変動が開始されるのであるが、これに合わせて、第一演出表示装置810の可動体810Tの作動(可動体810Tの動作演出及び色演出)を開始して、第一演出表示装置810にて第一演出を行う。ここで、第一演出では、可動体810Tが上下動すると共に、青色や赤色等、種々の色で発光する。また、第一演出は、作動中の可動体810Tを確実に確認できるように、例えば3秒といったように、十分に長い時間に設定されている。
次に、第一演出表示装置810の可動体810Tの作動が停止して、第一演出表示装置810での第一演出が終了すると、第一演出の終了と同時に、第二演出表示装置820の図柄の変動を開始して、第二演出表示装置820での第二演出を行う。ここで、第二演出中においては、各図柄表示器821,822,823にて、作動用図柄(「○」)及び非作動用図柄(「×」)の表示を一定のリズムで交互に繰り返す、といった図柄変動中の単純な演出を行う。また、第一演出は、作動中の各図柄表示器821,822,823を確認できるように、例えば3秒といったように、十分に長い時間に設定されている。
なお、第二演出中では、第三演出表示装置830の各進行表示器831,832,833の全ての発光器が点灯しており、各図柄表示器821,822,823と第四演出表示装置840との間に導火線があることが表現される。
また、第二演出中においては、第一演出表示装置820にて、可動体820Tの作動による演出を行うこともある。例えば、第二演出表示装置820にて作動用図柄を表示する図柄表示器821,822,823が少なくとも一つある場合に、第二演出の終了に先駆けて、第一演出表示装置820の可動体820Tを1回転させたり、第二演出表示装置820にて作動用図柄を表示する図柄表示器821,822,823が三つである場合に、第二演出の終了に先駆けて、第一演出表示装置820の可動体820Tを高速で3回転させたりする等、第二演出表示装置820にて所定の事象が生じることを、第二演出表示装置820の演出によって、事前に予告する。なお、このような第二演出中に行われる第二演出表示装置820の演出は、上述の第一演出とは異なるものであり、第二演出と重なる「重複演出」として捉えることができる。また、この重複演出は、第二演出表示装置820にて所定の事象が生じる場合に、必ず現出するのではなく、所定の事象が生じる場合において、適宜確率で現出するように設定されている。これにより、重複演出が現出しないことで、対応する所定の事象が生じないことが判明してしまい、第二演出による演出効果が低下してしまうといった不具合が生じることを防止できる。
次に、第二演出表示装置820での第二演出が終了し、各図柄表示器821,822,823の全てに図柄が表示され、少なくとも一つの図柄表示器821,822,823に作動用図柄が表示された場合には、第二演出の終了と同時に、作動用図柄を表示した図柄表示器821,822,823に対応する進行表示器831,832,833にて、進行表示を開始して、第三演出表示装置830にて第三演出を行う。ここで、第三演出は、第二演出表示装置820から第三演出表示装置840への演出の移行を単に示すに過ぎないものであり、演出が移行することを確認できさえすればよいものであることから、抽選演出表示装置800全体での演出中に占める割合が過度に大きくならないように、例えば2秒といったように、第一演出や第二演出よりも短い時間に設定されている。
一方、各図柄表示器821,822,823の少なくとも一つにて作動用図柄が表示されていない場合には、すなわち、各図柄表示器821,822,823の全てに非作動用図柄が表示された場合には、第三演出表示装置830の何れの進行表示器831,832,833も作動させずに、すなわち、第三演出表示装置830にて第三演出を行わずに、演出表示装置800での演出を終了させる。
最後に、第三演出表示装置830にて第三演出が行われた場合には、この第三演出が終了すると同時に、或いは、例えば1秒以内といったような短時間の経過後に、第四演出表示装置840にて図柄の変動を開始して、第四演出表示装置840にて第四演出を行う。そして、第四演出では、第四演出表示装置840において、図柄を、種々のパターンで変動させた後に停止させて表示する。ここで、第四演出については、図柄の種々のパターンの変動によって、遊技者を楽しませるものであり、第四演出の種類によって、演出時間に差異が生じるように設定されている。そして、第四演出表示装置840に表示された図柄については、次回に第四演出を開始するまで、すなわち、次回に第四演出表示装置840で図柄の変動を開始するまで、第四演出表示装置840にて表示したままの状態で維持する。
なお、本例では、第四演出表示装置840にて、抽選の結果が第一種当選であれば、「7」の数字が表示することとしてあり、第二種当選、第三種当選及び第四種当選であれば、「3」の数字を表示することとしてある。一方、抽選の結果が落選であれば、「7」及び「3」以外の数字が表示することとしてある。よって、第四演出表示装置840にて「3」の数字が表示された場合には、当選であることは分かるものの、その当選が、第二種当選、第三種当選または第四種当選の何れの当選であるかは判別することができないこととしてある。
ところで、第四演出については、現出すると、当選用の図柄(本例では「7」及び「3」の数字)が表示されるに至る可能性が高く、遊技者に高い期待感を与える演出(以下「高期待度演出」という)と、現出しても、当選用の図柄が表示されるに至る可能性が低く、遊技者に高い期待感を与えない演出(以下「低期待度演出」という)との少なくとも2種類の演出が用意されており、演出の種類によって、当選用の図柄が表示されることへの期待感に差を生じさせることができるようにしてある。
ここで、低期待度演出の期待度が低く、高期待度演出の期待度が高くなるようにするためには、演出の種類を選出するに際して、抽選結果が落選であれば、高期待度演出よりも低期待度演出が選出され易くする一方で、当選であれば、低期待度演出よりも高期待度演出が選出され易いようにすればよい。また、期待度が異なる3種類以上の演出がある場合には、落選であれば、期待度が高い演出ほど、選出され難くすればい。
また、第四演出の種類は、第二演出表示装置820及び第三演出表示装置830の表示内容に対して、以下のように関連付けられている。
すなわち、第二演出表示装置820にて作動用図柄を表示した図柄表示器821,822,823の数が多く、第三演出表示装置830にて進行表示を行った(作動した)進行表示器831,832,833の数が多くなればなるほど、第四演出として、高期待度演出が現出し易くなるようにしてある。特に、本例では、作動した進行表示器831,832,833の数が多くなればなるほど、第四演出として、より期待度の高い演出が現出し易くしてある。これにより、第二演出表示装置820及び第三演出表示装置830の表示内容によって、現出する第四演出に対する期待感に差を生じさせることができ、ひいては、第四演出表示装置840にて当選用の図柄が表示されることへの期待感に差を生じさせることができる。よって、第二演出表示装置820での第二演出及び第三演出表示装置830での第三演出は、抽選演出表示装置80全体の一連の演出において、第四演出が行われるまでの単なる過程的な演出ではなく、遊技者に興味を抱かすことのできる重要な役割を果たす演出となる。
具体的に、本例では、第四演出として、「第1期待度演出」、「第2期待度演出」、「第3期待度演出」、「第4期待度演出」、「第5期待度演出」及び「第6期待度演出」といったように、6種類の演出が用意されている。ここで、各演出については、第1〜第6のうち、数字が大きいほど、期待度が高い演出となっており、特に、第6期待度演出は、現出すると、当選用の図柄が表示されるに至ることが確定する、所謂「確定演出」となっている。そして、作動した進行表示器831,832,833の数が一つであるパターン(以下「1進行表示パターン」)では、期待度の低い演出ほど、現出し易い一方で、期待度の高い演出ほど、現出し難くなっている。なお、「期待度の低い(高い)演出ほど、現出し易い(難い)」といった表現は、期待度の順で隣接する演出について、夫々の演出における現出のし易さ(し難さ)が必ず異なることを示すものではなく、現出のし易さ(し難さ)が同じであることを含むものであり、以下の表現においても同様である。
また、作動した進行表示器831,832,833の数が二つであるパターン(以下「2進行表示パターン」)では、第1期待度演出及び第2期待度演出が現出しない、換言すれば、第3期待度演出以上の期待度の演出が現出することが確定する、こととなっている。そして、2進行表示パターンで現出する可能性のある第3〜第6までの演出については、期待度の低い演出ほど、現出し易い一方で、期待度の高い演出ほど、現出し難くなっている。
また、作動した進行表示器831,832,833の数が三つであるパターン(以下「3進行表示パターン」)では、第1期待度演出、第2期待度演出、第3期待度演出及び第4期待度演出が現出しない、換言すれば、第5期待度演出以上の期待度の演出が現出することが確定する、こととなっている。そして、3進行表示パターンで現出する可能性のある第5及び第6の演出については、期待度の低い演出ほど、現出し易い一方で、期待度の高い演出ほど、現出し難くなっている。
このように第二演出表示装置820及び第三演出表示装置830の表示内容によって、第四演出の現出可能性を異ならせるためには、第二演出表示装置820及び第三演出表示装置830の表示内容と第四演出の種類とを組合わせた複数種類の演出パターンを予め用意しておき、抽選結果に基づいて、適宜の演出パターンが適宜の確率で選出されるように、設定すればよい。また、これに限らず、抽選結果に基づいて、第一段階の処理にて、第四演出の種類を決定し、第二段階の処理として、決定された第四演出に応じて、第二演出表示装置820及び第三演出表示装置830の表示内容を決定するようにしてもよい。なお、第三演出表示装置830の表示内容は、第二演出表示装置820の表示内容に対応するものであることから、第四演出の種類に応じて、第三演出表示装置830の表示内容を決定するようにしてもよい。
第四演出表示装置840に表示される図柄は、第4演出に種類ばかりでなく、第一演出表示装置810の表示内容、すなわち「演出の種類」に対して、以下のように関連付けられている。
第一演出表示装置810での第一演出においては、可動体810Tが、上下動すると共に、「第1色」(例えば青色)、「第2色」(例えば黄色)、「第3色」(例えば緑色)、「第4色」(例えば赤色)、「第5色」(例えば白色)、「第6色」(例えば虹の7色)といったように、複数の種類の色から適宜選出された色で発光するようにしてある。そして、第1〜第6までの色のうち、数字が大きい色で可動体810Tが発光するほど、当選用の図柄が表示される可能性が高く、遊技者にとっての期待度が高い第一演出となっている。特に、第6色で可動体810Tが発光する演出は、当選用の図柄を表示することが確定したことを示す演出となっている。これにより、第一演出表示装置810での第一演出は、抽選演出装置800での一連の演出において、単なる初期段階の演出ではなく、遊技者に興味を抱かせることのできる重要な役割を果たす演出となる。
なお、第一演出の種類に応じて第四演出表示装置840にて当選用の図柄を表示する可能性を異ならせるためには、抽選結果に基づいて、第三演出として、適宜の種類の演出が適宜の確率で選出されるように、設定すればよい。
また、第一演出表示装置810での第一演出、第二演出表示装置820及び第三演出表示装置830での表示内容、第四演出表示装置840での第四演出、及び、第四演出表示装置840で表示される図柄の夫々を関連付けさせて、これにより、一連の演出の演出効果を向上させることもできる。例えば、「第一演出として所定の演出がなされ、第二演出表示装置820及び第三演出表示装置830での表示内容が所定の表示内容となれば、第四演出表示装置840にて所定の第四演出が現出することが確定する」、「第一演出として所定の演出がなされ、第四演出表示装置840にて所定の第四演出が現出すれば、第四演出表示装置840で当選用の図柄が表示されることが確定する」等といったような関連付けを例示できる。
そして、このように関連付けするためには、第一演出の種類、第二演出表示装置820及び第三演出表示装置830での表示内容の種類、第四演出表示装置840での第四演出の種類、及び、第四演出表示装置840で表示される図柄の種類等、適宜事項を組合わせた演出パターンを予め用意しておき、抽選結果に基づいて、適宜の演出パターンが適宜の確率で選出されるように、設定すればよい。また、これに限らず、抽選結果に基づいて、複数段階の処理によって、第四演出の種類を決定し、これに基づいて、第二演出表示装置820及び第三演出表示装置830の表示内容を決定すると共に、第一演出の種類を決定するようにしてもよい。
一方、第一演出の種類と第四演出の種類を決定するに際しては、相互に影響されない抽選結果に基づく個別の処理によって、夫々を決定することも、有効である。第一演出として期待度の高い演出がなされ、しかも、第四演出としても期待度の高い演出がなされれば、抽選結果が当選であるが故に夫々期待度の高い演出が選出された可能性が高く、遊技者に大きな期待感を抱かせることができる一方で、一つの演出として期待度の高い演出がなされても、他の演出として期待度の低い演出がなされれば、上述の例よりも抽選結果が当選である可能性が低く、遊技者に無用に大きな期待感を抱かせないようにすることができる、といったように、一連の演出における複数の演出の相乗効果によって、演出効果を向上させることができるからである。
ところで、特別図柄表示装置710での図柄の変動中に、上述した通り、抽選演出表示装置800では、第一演出、第二演出、第三演出及び第四演出といったような種々の演出が行われるのであるが、抽選演出表示装置800での演出については、特別図柄表示装置710での図柄の変動開始と同時或いは変動開始後に、演出を開始し、特別図柄表示装置710での図柄の変動停止(図柄の表示)の前或いは変動停止(図柄の表示)と同時に、演出を終了するように設定されている。これにより、特別図柄表示装置710での図柄の変動開始に先駆けて抽選演出表示装置800での演出が開始されることを防止することができる。また、特別図柄表示装置710での図柄表示後においても、抽選演出表示装置800での演出が無用に継続されることを防止することができる。なお、本書においては、特筆しない限り、「同時」とは、時間的に厳密な同時を示すものではなく、遊技者が認識できない程度の時間的ズレを含むこととし、「時間の前後」については、遊技者が認識可能な時間的な差を示すこととする。
また、抽選演出表示装置800で行う演出としては、複数種類のものが用意されており、主制御基板131から送られた情報(信号)に対応して適宜の処理を行う副制御基板119にて、複数種類の中から、抽選演出表示装置800で行う演出が、適宜、選出される。また、特別図柄表示装置710での図柄の変動開始から変動終了までの時間(以下「特別図柄表示装置710での図柄変動時間」という)は、複数種類の時間の中から、抽選結果に基づいて、適宜、設定されるのであるが、抽選演出表示装置800で行う演出として、開始から終了までの時間が異なる演出が用意されており、抽選演出表示装置800での演出開始から演出終了までの時間(以下「抽選演出表示装置800での演出時間」という)が特別図柄表示装置710での図柄変動時間に対応するように、抽選演出表示装置800で行う演出が選出される。特に、本例では、特別図柄表示装置710での図柄変動時間と、抽選演出表示装置800での演出時間とが、合致するような演出が選出される。
ここで、本例では、第一演出、第二演出及び第三演出については、その演出の種類に関わらず、演出時間が、常時、一定にしてあるのに対して、第四演出については、種類によって、演出時間が異なることとしてある。なお、本例では、第四演出について、期待度の低い演出よりも期待度の高い演出の方が、演出時間が長くなるようにしてある(期待度の順で隣接する演出について、夫々の演出時間が必ず異なることを示すものではなく、同じ演出時間であることを含む)。
よって、抽選演出表示装置800での演出全体の時間は、第四演出表示装置840での第四演出の種類によって変動するのであるが、第四演出を、既に設定された特別図柄表示装置710での図柄変動時間に対応して決定することとしてある。これにより、抽選演出表示装置800での演出全体の時間を、特別図柄表示装置710の図柄変動時間に対応させることができることとしている。このような処理は、既に設定された特別図柄表示装置710での図柄変動時間に基づいて、抽選演出表示装置800の演出、より具体的には、第四演出表示装置840の演出、を決定する処理であるともいえる。
[特図対応演出表示装置]
この特図対応演出表示装置850は、上述した特別図柄表示装置710と同様に、表示内容として図柄を表示することにより抽選結果を明示するものである。そして、本例では、特図対応演出表示装置850が以下のように構成されている。
特図対応演出表示装置850は、夫々、単色または複数色で発光する複数の発光器711を用いて構成されており、各発光器711の発光パターンの組合わせからなる図柄を表示内容として表示することで、抽選結果が当選であるか或いは落選であるかを明示するものとして構成されている。また、当選である場合には、第一種当選か、第二種当選か、第三種当選か或いは第四種当選かを、明示するものとして構成されている。
具体的に、本例では、夫々異なる色である第一色(例えば赤色)及び第二色(例えば緑色)の2色で発光する発光器851を用いて、10個の発光器711によって特図対応演出表示装置850が構成されている。また、各発光器851は、LED(発光ダイオード)によって構成されており、第三演出表示装置830の左右両側の夫々、5個づつ、左右対称となるように配置されている。このような特図対応演出表示装置850では、各発光器851の発光パターンの組合わせによって、表示する図柄が形成されるのであるが、各発光器851の発光パターンが、「消灯」、「第一色点灯」及び「第二色点灯」の3パターンとなっており、発光器851が10個であるため、この特図対応演出表示装置850によれば、「3の10乗」の59049パターンといった極めて多様な図柄(表示内容)を表示することができる。
また、第一種当選であれば、例えば、各発光器851の全てを第一色で点灯させ、落選であれば各発光器851を全て第二色で点灯させるといったように、第一種当選及び落選の夫々については、図柄の種類に対して1対1で対応するように設定されている。これに対して、第二種当選、第三種当選及び第四種当選については、夫々の当選を表示する図柄として、複数種類の図柄が設定されている。特に、本例では、特図対応演出表示装置850が、特別図柄表示装置710よりも極めて多様な図柄を表示できるものであることから、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の夫々については、第一種当選を表示する図柄の種類よりも多く、しかも、特別図柄表示装置710で表示する図柄の種類も多い、例えば10パターン以上といったような多種類の図柄が設定されている。これにより、特別図柄表示装置710に表示された図柄の種類によって当選の種類を特定することは、特別図柄表示装置710よりも、より一層、困難となっている。
また、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の夫々を明示する複数種類の図柄のパターンは、例えば、特定の発光器851の発光態様が第一色で発光していれば、必ず第二種当選である等といったような規則性を有しておらず、不規則的(ランダム的)なパターンで設定されている。また、当選に対応する図柄として、対称(本例では左右対称)に配置された複数の発光器851の発光パターンが対称となっていない図柄を含んでおり(当選に対応する全ての図柄をこのようにしてもよい)、当選に対応する図柄を、覚え難いものとしてある。よって、特別図柄表示装置710に表示された図柄によっては、当選の種類を特定し難くなっている。
ところで、7セグメント表示器等を用いて構成され、数字、文字、記号等の分かり易い図柄を表示する第四演出表示装置840は、遊技者にとって目立つ表示装置となるが、特図対応演出表示装置850は、この目立つ第四演出表示装置840の近傍に配置されており、しかも、単独で単に点灯及び消灯するランプである発光器851を用いた簡素な表示装置となっている。よって、特図対応演出表示装置850は、あたかも、第四演出表示装置840の周りを装飾するランプであるかのように見え、遊技者に注目され難いものとなっている。また、図柄の変動中においては、全ての発光器851が同じ色で点灯するように同調させ、しかも、全ての発光器851において2色の点灯を、パチンコ機1から出力されるBGMのテンポに合わせて、交互に繰り返すといったように、単純で違和感のない態様でさせる。よって、この点からも、特図対応演出表示装置850が、あたかも、単なる装飾用のランプであるかのように見え、遊技者に注目され難いものとなっている。
[状態演出表示装置について]
状態演出表示装置860は、多様なパターンで動作する可動体860Tを用いて構成されている。そして、この状態演出表示装置860では、可動体860Tの動作によって、遊技状態に関する演出が行われる。そして、この遊技状態に関する演出についての詳細は、以下の通りである。
可動体860Tは、回動駆動装置によって点Oを回転中心として回転駆動されるように構成されており、可動体860Tの周囲には、第一指標861、第二指標862、第三指標863といった複数の指標が配設されている。そして、可動体860Tの回動位置によって、適宜の指標が指し示される。ここで、本例では、第一指標861には、「V」の文字が描かれており、第二指標862には、「天国」の文字が描かれている。そして、第三指標863は、カウント前指標部863aとカウントダウン指標部863bとを備えてなる。ここで、カウント前指標部863aには、線が単に描かれているだけなのであるが、カウントダウン指標部863bは、単色で点灯及び消灯する複数の発光器(例えばLED(発光ダイオード)等)の夫々によって構成されている。
また、可動体860Tの回動位置によって指し示される指標が明確となるように、可動体860Tには、先端によって指し示す部位を示す指針部864が設けられている。ここで、可動体860Tは、丸い爆弾を模しており、指針部864は、爆弾から延び出る導火線を模している。また、指針部864の先端形状は、指先や矢印等(本例では指先を採用している)、指し示す部位を明確に案内可能な先細の形状としてある。
このような状態演出表示装置860では、図12に示す状態を、遊技状態に関する演出も行わない初期状態として、第一種当選により第一種特別遊技が発生すると、初期状態から、可動体860Tが第一指標861を指し示す状態に変動する。そして、第一種特別遊技が終了して、抽選状態が確変第一種時短状態になると、可動体860Tが第一指標861を指し示す状態から第二指標862を指し示す状態に変動する。そして、確変第一種時短状態中に、再度、第一種当選になり、第一種特別遊技が発生すると、可動体860Tが第二指標862を指し示す状態から、再び、第一指標861を指し示す状態に変動する。そして、繰り返し第一種当選がなされると、上記変動を繰り返す。
一方、確変第一種時短状態中に第二種当選または第三種当選になり、第二種特別遊技が発生すると、時短に関する抽選状態が第二種時短状態に変化するので、可動体860Tが第二指標862を指し示す状態から、第三指標861のカウント前指標部863aを指し示す状態に変動する。そして、時短遊技の残り回数がn回(本例では16回)の所定のカウントダウン回数になるまで、可動体860Tがカウント前指標部863aを指し示す状態で維持されるのであるが、時短遊技が消化されて、時短遊技の残り回数がn回になると、可動体860Tがカウント前指標部863aを指し示す状態からカウントダウン指標部863bを指し示す状態に変動する。具体的には、可動体860Tの周りに一定間隔で配設されたn個の発光器のうち、カウント前指標部863aに最も近接する発光器を指し示す状態に変動する。
そして、その後、時短遊技が1回、消化されるごとに、指し示す発光器を、カウント前指標部863aから離れる方向に一つづつ変更し、最後の時短遊技が行われて時短遊技が全て消化されると、すなわち、第二種遊技状態から非時短遊技状態になると、可動体860は、第一指標861、第二指標862及び第三指標863の何れの指標も指し示さない初期状態となる。
なお、可動体860Tがカウント前指標部863aを指し示す状態では、カウントダウン指標部863bを構成する発光器は、全て点灯した状態となっているが、可動体860Tがカウントダウン指標部863bを指し示す状態になった後は、すなわち、時短遊技の残り回数のカウントダウンが開始された後は、可動体860Tが回動して隣の発光器を指し示す状態に変動するごとに、先ほどまで指し示されていた発光器が消灯する。よって、時短遊技の残り回数が少なくなってカウントダウンが始まると、1回の時短遊技が消化されるごとに、点灯している発光器が、可動体860Tの外形に沿って、順次、一つづつ消灯することから、点灯している発光器の数によっても、時短遊技の残りの回数が示されることになる。
[遊技性について]
以上のような構成を具備する本例のパチンコ機1は、主制御基板131によって制御される特別図柄表示装置710及び状態表示装置720と、副制御基板119によって制御される特図対応演出表示装置850とを備え、特別図柄表示装置710及び特図対応演出表示装置850の夫々によって、抽選結果が、当選の種類も含めて明示されものであり、また、状態表示装置720によって、抽選状態等の遊技の状態が変化したことがある程度、案内されるものではあるが、以下のような特有の遊技性を有するものとなっている。
特別図柄表示装置710、状態表示装置720及び特図対応演出表示装置850は、目立たず、注目され難い。また、特別図柄表示装置710及び特図対応演出表示装置850の夫々に表示された図柄によっては、抽選結果を的確に特定することは困難である。
特に、本例では、特図対応演出表示装置850が、抽選演出表示装置800の第四演出表示装置840の側方に配設された役物600の装飾用のランプのような体裁となっている。また、特別図柄表示装置710及び状態表示装置720も、状態演出表示装置860の側方である役物600の外縁部に配設された装飾用のランプのような体裁となっている。よって、特図対応演出表示装置850、特別図柄表示装置710及び状態表示装置720が、極めて目立ち難いものとなっている。しかも、図10及び図12に示すように、役物600において、状態演出表示装置860の周囲には、遊技盤5の盤面から前方に突出すると共に状態演出表示装置860を囲む枠壁610が設けられており、特別図柄表示装置710及び状態表示装置720が、枠壁610の外側に配設されている。よって、遊技者が役物600を正面からではなく、斜めから見ると、斜めに見る方向によっては、特別図柄表示装置710または状態表示装置720が、枠壁610に隠れて見えなくなる。この点からも、特別図柄表示装置710及び状態表示装置720は、状態演出表示装置860よりも目立ち難いものとなっている。
これに対して、抽選演出表示装置800は、特別図柄表示装置710、及び特図対応演出表示装置850よりも格段に目立つものであり、遊技者は、この目立つ抽選演出表示装置800に注目して遊技を行い、抽選演出表示装置800での表示に対して一喜一憂する。そして、遊技中に注目している演出表示装置800にて、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の表示として兼用される図柄(以下「兼用図柄」という)が表示された場合には、この演出表示装置800での表示によっては当選の種類を特定できないことから、抽選状態が有利な状態に変更されたか或いは不利な状態に変更されたを遊技者に分からせることなく、期待と不安とを抱かせて、その後の遊技に興じさることができる。
特に、抽選状態が普通状態である場合には、抽選状態が変化することのない第四種当選が、他の当選に比して、頻繁に生じ、兼用図柄が頻繁に表示されるのであるが、この兼用図柄の表示によって、「第二種当選によるものであり、抽選状態が確変状態に変更されているのではないか?」といった期待を遊技者に抱かせることができる。また、第一種当選後の確変第一種時短状態である場合には、抽選状態が変化することのない第四種当選によって兼用図柄が表示されても、時短遊技が開始されないことから、抽選状態に変化がないことを遊技者に分からせることができ、安心感を抱かせることができる。
このような特有の遊技性を有するパチンコ機1において、特別図柄表示装置710、特図対応演出表示装置850及び抽選演出表示装置800は、夫々、抽選結果に関する何らかの情報を表示するものであり、これらを、「抽選結果情報表示手段」として捉えることができる。特に、特別図柄表示装置710及び特図対応演出表示装置850については、抽選結果を特定できるように明示するものであり、特別図柄表示装置710及び特図対応演出表示装置850を、「抽選結果明示手段」として捉えることができる。
また、第一種当選、第二種当選、第三種当選及び第四種当選は、夫々、特別遊技を発生させるものであり、「特別遊技に関する抽選の当選」として捉えることができる。また、第一種当選、第二種当選及び第三種当選は、夫々、抽選状態を変化させるものであることから、「抽選状態の変更に関する抽選の当選」として捉えることができる一方で、第四種当選については、抽選状態を変化させないものであることから、「抽選状態の変更に関する抽選の落選」として捉えることができる。
ところで、第二種当選、第三種当選及び第四種当選については、特別遊技を発生させないこととしてもよい。この場合、第二種当選及び第三種当選が「抽選状態の変更に関する抽選の当選」であるのに対して、第四種当選は、「抽選状態の変更に関する抽選の落選」であり、第一種当選、第二種当選、第三種当選及び第四種当選以外の抽選結果である落選(以下「単純な落選」という)と、機能的な差異がないものとなる。しかしながら、第四種当選は、第一種当選、第二種当選及び第三種当選と同様に、抽選演出表示装置800にて当選の表示がなされるものであることから、第一種当選、第二種当選、第三種当選及び第四種当選を、「抽選演出表示装置での表示当選」として捉えることで、第四種当選を単純な落選と区別することができる。なお、このような態様では、第四種当選の場合には、抽選演出表示装置800において、他の適宜の当選を示す図柄と同一の表示当選用の図柄を表示する一方で、特別図柄表示装置710及び特図対応演出表示装置850においては、単純な落選と同様な図柄を表示することとしてもよい。
[制御について] 電気的構成の概略を示す図13に基づき説明する。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されている。ここで、主基板310のグループは、主制御基板131と払出制御基板197とを具備するものとして構成されており、遊技者が遊技球を打ち込んで賞球を獲得するといった遊技の主要な部分に関する制御、換言すれば、遊技球の払出しに関与する実体的部分に関する制御を行うものである。一方、周辺基板311のグループは、副制御基板119を具備するものとして構成されており、主に、主基板310のグループからの情報(信号)に基づいて、種々の機器による演出や装飾の制御等、遊技球の払出しに関与しない付加的部分に関する制御を行うものである。
主制御基板131は、図示省略するが、CPU(中央演算装置)、ROM(読出し専用メモリ)及びRAM(読書き可能メモリ)を具備するコンピュータを用いて構成されており、入力された情報に基づいて所定の制御プログラムを実行することで、遊技球の入賞や払出しに関わる駆動装置、遊技の実体的部分に関する情報を表示する表示装置等の各種装置に対する作動の制御処理、他の制御基板等への信号の出力処理等、種々の処理を行う。
具体的に、主制御基板131に、抽選入球口520への遊技球の入球を検出する抽選入球口センサ520S、作動入球口530への遊技球の入球を検出する作動入球口センサ530S、特別入賞口540への遊技球の入球を検出する特別入賞口センサ540S、各種の一般入賞口550への遊技球の入球を検出する各種の一般入賞口センサ550S等、各種のセンサからの検出信号が入力されると、主制御基板131は、各種のセンサから入力された検出信号に応じて所定の処理を行い、抽選入球口520を駆動させる抽選入球口駆動装置520K、特別入賞口540を駆動させる特別入賞口駆動装置540K等の駆動装置や、特別図柄表示装置710、状態表示装置720、特図保留表示装置730等の表示装置等、種々の装置の作動を制御する。また、主制御基板131は、主制御基板131の指令に基づいて他の制御基板にて所定の処理を行わせるべく、コマンド信号等の適宜の制御信号を他の制御基板へと出力する。特に、主制御基板131は、一般入賞口センサ550S等の入賞口への遊技球の入球を検出するセンサから検出信号が入力されると、入力された検出信号に応じた制御信号を払出制御基板197に出力する。
払出制御基板197は、図示省略するが、CPU,ROM及びRAMを具備するコンピュータを用いて構成されており、主制御基板131から入力された制御信号に基づいて球払出装置170の作動を制御する。また、払出制御基板197は、球払出装置170の作動状態に関する情報として、適宜の制御信号を主制御基板131に出力する。これにより、主制御基板131にて、実際に払出された遊技球に関する情報が管理される。
このように、主制御基板131と払出制御基板197との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
一方、主制御基板131と副制御基板119との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板131から副制御基板119への制御信号の送信はあっても、その逆は行われない。
副制御基板119は、CPU、ROM及びRAMを具備するコンピュータを用いて構成されており、主制御基板131から入力された制御信号に応じて所定の制御プログラムを実行することで、遊技中の演出や装飾等、パチンコ機1で行われる遊技の付加的な部分を制御する。
具体的に、副制御基板119は、主制御基板131から入力された制御信号に応じた処理を行い、特図対応演出表示装置850、抽選演出表示装置800(第一演出表示装置810、第二演出表示装置820、第三演出表示装置830及び第四演出表示装置840)、状態演出表示装置840といった演出用の表示装置の作動を制御する。なお、図示は省略するが、副制御基板119は、本体枠3、前面枠4や遊技盤5等に設けられ、点灯及び消灯することで適宜の装飾を行う各種の装飾ランプ、音楽、音声や効果音等の適宜の音を出力して適宜の演出を行う音出力装置等、演出用や装飾用の各種装置の作動を制御するものでもある。
ところで、副制御基板119によって制御される演出用の表示装置に代表される各種装置の作動の制御については、副制御基板119によって直接的に制御するに限らず、副制御基板119からコンピュータを用いて構成された他の制御基板に制御信号を出力することとし、この制御信号を受取った他の制御基板での適宜の処理によって、各種装置の作動を制御することとしてもよい。この場合、上記他の制御基板は、当然、周辺基板311のグループに含まれるものとなる。
[主制御基板での処理について]
主制御基板131は、一定の時間間隔(例えば2ms)の定時割込み処理にて所定の制御プログラムを実行し、これにより、抽選(抽選入球口520に遊技球が入球することで行われる抽選)の結果の判定処理、種々の装置に対する作動の制御処理、他の制御基板への制御信号の出力処理等、種々の処理を行う。以下に、主制御基板131が行う代表的な処理を説明する。
主制御基板131は、乱数を発生させるための種々の乱数カウンタを備えている。ここで、本例では、種々の乱数カウンタが、初期値から値が「1」づつ更新(加算または減算)され、所定の限度値(上限値または下限値)を越えると初期値に戻る周期カウンタとして構成されている。このような周期カウンタでは、例えば、初期値を「0」とし上限値を「n」として値が「1」づつ加算されるものとすると、カウンタ値が「0」から「n」までの範囲で「1」つづ、変化する。そして、適宜の事象が生じた際のカウンタ値を用いることで、「n+1」個の乱数を発生させることができる。
また、乱数カウンタとしては、定時割込み処理が行われるごとに値が更新されるもの、他の乱数カウンタが1周するごとに値が更新されるもの、時間的に不定な適宜の事象が生じるごとに値が更新されるもの、適宜のタイミングで値が更新されるもの、一定の時間内に所定の制御プログラムを実行した後の時間的に不定な残余の時間に値が繰返し更新されるもののうち、適宜のものを用いることができる。そして、本例で乱数カウンタを用いる場合には、特筆しない限り、上述の種々の乱数カウンタのうち、何れかの乱数カウンタが適用されている。なお、定時割込み処理が行われるごとに値が更新される乱数カウンタに代表されるように、値の更新タイミングが、時間的に、常時、一定である乱数カウンタを、「定常更新乱数カウンタ」と捉えることができる。一方、時間的に不定な適宜の事象が生じるごとに値が更新される乱数カウンタに代表されるように、値の更新タイミングが、時間的に、常時、不定である乱数カウンタを、「不定常更新乱数カウンタ」と捉えることができる。
主制御基板131は、抽選入球口センサ520Sからの検出信号を受けると、抽選入球口520への遊技球の入球がなされたとして、抽選を行う。ここで、抽選結果の判定では、抽選を行った際の抽選判定用の乱数カウンタのカウンタ値が、予め定められた所定の当選値であるか否かによって、抽選結果が当選であるか落選であるかが判定される。また、所定の当選値としては、当選の種類に対応する値が設定されており、当選である場合には、当選の種類も特定される。さらに、当選値としては、確変用当選値及び非確変用当選値といったように、複数種類の当選値が用意されており、抽選結果の判定に際しては、抽選状態に応じた当選値が参照される。すなわち、抽選状態が確変状態であれば、確変用当選値が参照され、抽選状態が非確変状態であれば、非確変用当選値が参照される。これにより、抽選状態に応じた抽選結果の判定が行われ、確変状態と非確変状態とで、当選となる確率に差異を生じさせることができる。
主制御基板131は、上述の抽選を行うと、抽選結果を特別図柄表示装置710に表示させるために、特別図柄表示装置710の作動を制御する。ここで、主制御基板131では、複数の図柄の中から特別図柄表示装置710に表示する図柄を選出し、また、図柄の変動開始から変動停止までの変動時間(以下「変動時間」という)が異なる複数の変動パターンの中から現出させる変動パターンを選出する。具体的に、主制御基板131では、抽選結果が単一の図柄に対応するものであれば、この図柄を表示する図柄として選出するのであるが、抽選結果が複数の図柄に対応するものであれば、適宜の選出手法によって、対応する図柄の中から一つの図柄を選出する。また、抽選結果が単一の変動パターンに対応するものであれば、この変動パターンを現出させる変動パターンとして選出するのであるが、抽選結果が複数の変動パターンに対応するものであれば、適宜の選出手法によって、対応する変動パターンの中から一つの変動パターンを選出する。
そして、主制御基板131は、上述の抽選を行った定時割込み処理にて、或いは、それ以降の定時割込み処理にて、特別図柄表示装置710で図柄の変動を開始させると共に、変動時間のタイマー(例えば、定時割込み処理の回数によって計測されるタイマー)をセットし、タイマーがタイムアップした定時割込み処理にて、特別図柄表示装置710で図柄の変動を終了させ、図柄を表示させる。
なお、本例では、上述の図柄の選出に際して、図柄選出用の乱数カウンタを用いた選出手法を採用している。具体的に、この選出手法では、複数の図柄の個々に対応するカウンタ値が割り振られており、図柄を選出する際のカウンタ値に応じて、図柄が選出される。
また、変動パターンの選出に際しても、変動パターン選出用の乱数カウンタを用いた選出手法を採用しているのであるが、カウンタ値に応じて図柄パターンを単純に選出するのではなく、複数種類の選出テーブルの中から、抽選結果に応じた選出テーブルを参照して、図柄パターンを選出することとしてある。ここで、複数種類の選出テーブルの夫々では、複数の変動パターンの個々に対応するカウンタ値の割り振り方が異なっており、選出テーブルごとに、適宜の変動パターンが選出される可能性(確率)に差異が生じるようにしてある。これにより、抽選結果の種類に応じて、適宜の変動パターンが選出され易くしたり、逆に、選出され難くすることができる。そして、本例では、抽選結果が落選であれば、変動時間の短い変動パターンが選出され易い一方で、変動時間の長い変動パターンが選出され難くなり、抽選結果が当選であれば、変動時間の長い変動パターンが選出され易い一方で、変動時間の短い変動パターンが選出され難くなるように設定されている。
なお、上述したような選出テーブルを用いた選出手法は、複数の選出対象を異なる振分け方で振分けた複数の選出テーブルを用意しておき、既に特定された既定事項に対応した選出テーブルを参照することで、選出対象の選出可能性(選出確率)に差異が生じるようにした手法であり、このような手法を、以下「選出テーブル方式」と称することとする。
ところで、本例のパチンコ機1では、特別図柄表示装置710で図柄の変動中において、抽選入球口520に遊技球が入球して、主制御基板131に抽選入球口センサ520Sからの検出信号が入力された場合にも、抽選を行うのであるが、この抽選の結果を判定する処理、抽選結果を表示する処理、パチンコ機1の状態を抽選結果に応じた状態に変更する処理等、抽選に基づいた抽選対応処理については、一旦、処理の実行を保留しておき、先発の抽選についての抽選対応処理を終了させた後に後発の抽選についての抽選対応処理を行うこととしてある。
具体的に、先発の抽選を行い、この抽選の結果を特別図柄表示装置710にて表示するために図柄を変動させている時等、先発の抽選についての抽選対応処理の実行中に後発の抽選を行うと、「抽選時に取得した抽選判定用の乱数カウンタのカウンタ値等、抽選結果を判定するための情報」、「抽選時に取得した図柄選出用の乱数カウンタのカウンタ値等、表示する図柄を選出するための情報」、「抽選時に取得した変動パターン選出用の乱数カウンタのカウンタ値等、変動パターンを選出するための情報」、「抽選時に取得した種々の乱数カウンタのカウンタ値等、特別図柄表示装置710以外の例えば演出表示装置800等の各種装置を作動させるための情報」等、抽選に関する処理にて取得した各種の情報(以下「抽選情報」という)、及び、抽選対応処理を保留させるための情報(以下「保留情報」という)を、データとしてRAMに記憶させておき、先発の抽選の抽選対応処理を終了した後の所定のインターバル時間の経過後に、記憶されたデータに基いて、後発の抽選についての抽選対応処理を実行する。
なお、先発の抽選についての抽選対応処理の実行中に、繰り返し抽選を行った場合には、抽選を行った順に、後発の抽選についての抽選対応処理を順次、実行するのであるが、本例では、所定の上限回数を限度として抽選を保留するものであり、保留数が上記上限回数に達した後に、抽選入球口520に遊技球が入球して、抽選入球口センサ520Sから主制御基板131に検出信号が入力されても、主制御基板131では抽選を行わずに無効(入賞については有効として賞球の払出は行う)とする。
他の代表的な処理として、主制御基板131は、上述の抽選を行うと、抽選情報を含んだ制御信号を副制御基板119に出力する。ここで、先発の抽選についての抽選対応処理の実行中に抽選を行った場合には、この抽選を行った際に、抽選情報を含む制御信号を副制御基板119に出力することとしてもよいが、本例では、先発の抽選についての抽選対応処理を終了した後であって、後発の抽選についての抽選対応処理を実行する際に、この後発の抽選の抽選情報を含む制御信号を副制御基板119に出力することとしてある。これにより、副制御基板119が、未処理の情報(データ)を無用に長時間の間、保有することを抑制でき、副制御基板119での処理において、誤ったデータが処理される等といった不具合を生じ難くすることができる。
また、主制御基板131は、抽選結果に応じて、特別遊技を発生させたり、抽選状態を変化させたりする等、種々の処理を行う。そして、種々の処理を行った情報を含んだ制御信号を副制御基板119に出力する。
[副制御基板での処理について]
主制御基板131からの制御信号を受けた副制御基板119は、所定の制御プログラムを実行して、主制御基板131からの制御信号に対応した態様で、特図対応演出表示装置850、抽選演出表示装置800、状態演出表示装置840といった演出用の表示装置を作動させる。
[特図対応演出表示装置の作動制御処理について]
副制御基板119は、抽選が行われた情報を含む制御信号を受けると、特図対応演出表示装置850で図柄の変動を開始させると共に、特図対応演出表示装置850で表示する図柄を選出する。ここで、図柄の選出に際して、抽選結果に対応する図柄が複数種類、用意されている場合には、複数種類の中から図柄を選出する。なお、この図柄の選出に際しては、主制御基板131から適宜の乱数カウンタのカウンタ値の情報を含む制御信号が送信されている場合に、この制御信号を用いたり、副制御基板119がそもそも具備する適宜の乱数カウンタのカウンタ値を用いる等すればよい。そして、主制御基板131から図柄の変動終了の情報を含む制御信号を受取ると、特図対応演出表示装置850での図柄の変動を終了させて、選出した図柄を特図対応演出表示装置850に表示させる。なお、特図対応演出表示装置850で表示する図柄については、副制御基板119にて選出するに限らず、主制御基板131にて選出することとし、副制御基板119は、主制御基板131から特図対応演出表示装置850で表示する図柄の情報を含む制御信号を受取って、これに応じて特図対応演出表示装置850の作動を制御するものであってもよい。
[抽選演出表示装置の作動制御処理について]
副制御基板119は、抽選が行われた情報を含む制御信号を受取ると、抽選用演出表示装置800にて現出させる演出を選出し、選出した演出を現出させるべく、抽選用演出表示装置800の作動を制御する。ここで、抽選用演出表示装置800での演出の選出に際しては、主制御基板131から適宜の乱数カウンタのカウンタ値の情報を含む制御信号が送信されている場合に、この制御信号を用いたり、副制御基板119がそもそも具備する適宜の乱数カウンタのカウンタ値を用いる等して、選出テーブル方式にて、主制御基板131からの抽選結果の情報、及び、特別図柄表示装置710での変動パターン(変動時間)の情報に応じて、演出用の選出テーブルを参照して演出を選出する。これにより、抽選結果、及び、特別図柄表示装置710の変動時間に対応した演出を、抽選用演出表示装置800にて現出させることができる。
なお、段階的に組合される複数の演出や、時間的に重複して組合される複数の演出等、複数の演出の組合わせにより演出全体が構成される場合には、選出テーブル方式にて抽選用演出表示装置800の演出を選出するに際して、一つの選出テーブルを参照することで、演出全体の全てを決定できるようにしてもよいが、これに限らない。例えば、演出全体の一部を構成する個々の演出別に専用の選出テーブルを用意しておき、各演出の夫々を、対応する選出テーブルを参照して個別に選出して、演出全体を決定することとしてもよい。また、演出全体を構成する複数の演出の全てを個別に選出するに限らず、演出全体における一部分の演出の組合わせを、組合わせ決定用の選出テーブルを参照して選出し、決定することとしてもよい。
ここで、複数の演出の組合わせからなる演出全体のうち、各演出の夫々を、或いは、一部分の演出の組合わせと他の演出との夫々を、相互に影響されないように独立した選出テーブルを用いて個別に選出することとすると、現出した演出の夫々の期待度により、各演出が相乗的に機能することから、演出全体の興趣を向上させることができる。
一方、各演出の夫々を、或いは、一部分の演出の組合わせと他の演出との夫々を、順次、選出することとすると共に、先に選出した演出を選出テーブル方式における既定事項として、この既定事項に対応する選出テーブルを参照して、残りの演出を選出することとすると、各演出が関連付けられた演出全体を現出させることができることから、演出全体の興趣を向上させることができる。
[状態演出表示装置の作動制御処理について]
副制御基板119は、抽選を行った情報(1回の時短遊技が消化された情報である)を含む制御信号、抽選状態を変更した情報を含む制御信号、特別遊技を発生させた情報を含む制御信号や、特別遊技を終了させた情報を含む制御信号を受取ると、生じた事象に応じた態様で状態演出表示装置860を作動させるべく、制御信号に応じて状態演出表示装置860の作動を制御する。
ところで、本例のパチンコ機1では、図13に示すように、副制御基板119に特別入賞口表示装置545が接続されており、副制御基板119が、主制御基板131からの信号に基づいて所定のプログラムを実行することで、特別入賞口表示装置545を駆動制御するように構成されている。次に、特別入賞口表示装置545の詳細を説明する。
特別入賞口表示装置545は、特別入賞口540の開閉部材541の近傍に配置された「0」〜「9」の数字を表示可能な7セグメント表示装置や、「0」〜「19」の数字を表示可能な9セグメント表示等の適宜の図柄表示装置によって構成されており、第一種当選によって第一種特別遊技が発生した状態において、特別入賞口540が所定のラウンド回数だけ開閉作動する(厳密には、開閉部材541が開閉作動するのであるが、以下では、特別入賞口540の開閉として説明する)際に、以下のように作動する。
まず、特別入賞口表示装置545は、特別入賞口540が開作動するのに先駆けて、ラウンド数の数字を表示する。そして、特別入賞口540が開作動中においては、初期値として「0」の数字を表示し、特別入賞口540に遊技球が1個、入球するごとに「1」、「2」、「3」といったように、「1」を加算した数字を表示する。すなわち、1回のラウンド中において、特別入賞口540に入球した遊技球の数をカウントする表示を行う。なお、第一種特別遊技を発生させている状態では、主制御基板131から副制御基板119に、ラウンド数の情報信号や、特別入賞口540に入球した遊技球の数の情報信号が出力され、副制御基板119は、受取った情報信号に応じたプログラムを実行することで、上述したように作動するよう、特別入賞口表示装置545の駆動を制御する。
一方、特別入賞口表示装置545は、第二種当選または第三種当選によって第二種特別遊技が発生した状態、及び、第四種当選によって第二種特別遊技が発生した状態においては、以下のように作動する。なお、第二種当選または第三種当選によって発生する第二種特別遊技と、第四種当選によって発生する第二種特別遊技とは、特別入賞口540の開閉作動態様は同一であり、外観上、区別できないものであるが、内部的な制御処理が異なるものである。よって、以下では、第二種当選または第三種当選によって発生するものを「第二種特別遊技A」と称し、第四種当選によって発生するものを「第二種特別遊技B」と称することで、区別することとする。
第二種特別遊技Aの下では、開作動した特別入賞口540に遊技球が一つでも入球すると、パチンコ機1の状態に応じて演出種類を選出し、選出した演出の表示を行う。一方、第二種特別遊技Bの下では、開作動した特別入賞口540に遊技球が入球しても、第二種特別遊技Aの下で行う演出を現出させない。よって、遊技者は、第二種特別遊技中において特別入賞口540に遊技球を入球させて、現出した演出を確認することで、抽選結果が第四種当選であったのか否を判別することができる。すなわち、本例のパチンコ機1では、第二種特別遊技中といった所定の状況下において、特別入賞口540に遊技球を入球させるといった遊技者の意図的な操作がなされると、抽選結果が第四種当選であったのか否が判別可能になっている。
ところで、第二種特別遊技Aの下で現出可能な演出としては、第二種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態と、第三種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態とで、夫々異なる割合で選出されるように割振られたA演出、B演出及びC演出の三種類の演出が用意されており、状態に応じた割合で適宜の演出が選出される。
具体的に、A演出は、開動作した特別入賞口540に遊技球が入球すると、特別入賞口表示装置545にて、「1」の数字を初期値として、「1」から「8」まで数字がカウントアップする表示を行う演出となっている。また、A演出では、特別入賞口表示装置545での「1」から「8」まで数字のカウントアップのタイミングに合わせて、スピーカを用いて構成されると共に副制御基板119に接続され、この副制御基板119によって駆動が制御される音出力装置から、「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」といった8音階の効果音が、順次、出力される。
B演出は、開動作した特別入賞口540に遊技球が入球すると、特別入賞口表示装置545にて、「1」の数字を初期値として、「1」から「7」まで数字がカウントアップする表示を行う演出となっている。また、B演出では、特別入賞口表示装置545での「1」から「7」まで数字のカウントアップのタイミングに合わせて、スピーカを用いて構成されると共に副制御基板119に接続され、この副制御基板119によって駆動が制御される音出力装置から、「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ」といった7音階の効果音が、順次、出力される。
C演出は、開動作した特別入賞口540に遊技球が入球すると、特別入賞口表示装置545にて、「1」の数字を初期値として、「1」から「6」まで数字がカウントアップする表示を行う演出となっている。また、C演出では、特別入賞口表示装置545での「1」から「6」まで数字のカウントアップのタイミングに合わせて、スピーカを用いて構成されると共に副制御基板119に接続され、この副制御基板119によって駆動が制御される音出力装置から、「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ」といった6音階の効果音が、順次、出力される。
また、第二種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態では、A演出、B演出及びC演出が夫々「5:4:1」の割合で選出されるように割振られており、第三種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態では、A演出、B演出及びC演出が夫々「1:4:5」の割合で選出されるように割振られている。
よって、A演出が現出すると、第二種特別遊技Aが第二種当選により発生した可能性が高いことになり、このA演出を確認した遊技者は、第二種当選によって以降の抽選状態が確変状態となったことへの期待感を高めて、以降の遊技に熱中する。また、B演出が現出すると、第二種特別遊技Aが第二種当選により発生した可能性と第三種当選により発生した可能性とが半々であり、このB演出を確認した遊技者は、第二種当選によって以降の抽選状態が確変状態となったことへの期待感と、第三種当選によって以降の抽選状態が非確変状態となったことへの不安感とを交錯させながら、以降の遊技に熱中する。また、C演出が現出すると、第二種特別遊技Aが第二種当選により発生した可能性は低いものの、まだ、その可能性は残されており、このC演出を確認した遊技者は、第三種当選によって以降の抽選状態が非確変状態となったことへの不安感を感じつつも、第二種当選によって以降の抽選状態が確変状態となったことへの淡い期待を抱いて、以降の遊技に熱中する。
このように、本例のパチンコ機1では、第二種特別遊技Aの下で種々の演出を現出させることで、遊技者に異なる感情を与えて、以降の遊技に熱中させることができるものとなっている。換言すれば、本例のパチンコ機1は、第二種特別遊技Aの下で、状態に応じて現出する可能性が異なる種々の演出を現出させることで、状態をある程度正確に想像できるように、遊技者に状態を示唆するものであり、遊技者が、状態を想像して遊技を行うことで、面白みの増した遊技を行うことのできるものとなっている。
なお、第二種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態は、抽選結果が第二種当選になった状態や、第二種当選により確変状態になった状態として捉えることもできる。また、第三種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態は、抽選結果が第三種当選になった状態や、第三種当選により非確変状態になった状態として捉えることもできる。そして、上述のように状態を示唆する手段は、状態に関する情報を出力する状態情報出力手段として捉えることもできる。
ところで、第二種特別遊技Aの下で現出可能な演出して、第二種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態の下では選出される可能性があるものの、第三種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態の下では選出される可能性がないように状態に応じて割振られた演出や、第三種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態の下では選出される可能性があるものの、第二種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態の下では選出される可能性がないように状態に応じて割振られた演出を用意してもよい。このような演出は、現出することで、第二種特別遊技Aが、第二種当選により発生したものであるかや、第三種当選により発生したものであるかを確実に特定できる演出、所謂「確定演出」となる。
なお、このような確定演出を用意する場合には、その選出割合を、他の演出に比して選出され難い割合に設定するのがよい。このようにすることで、確定演出を、めったに現出しないプレミア的な演出とすることができ、プレミア的な確定演出が現出することで遊技者を驚愕させることができ、遊技中の演出の興趣を向上させることができるからである。
また、第二種特別遊技Aが第二種当選により発生したものであることを特定できる確定演出を用意する一方で、第二種特別遊技Aが第三種当選により発生したものであることを特定できる確定演出については用意しないことが望ましい。抽選結果が第三種当選となり、抽選状態が非確変状態になったことが判明すると、遊技者が、その後の遊技に対する意欲を失ってしまう虞があるからである。
上述の例では、第二種特別遊技Bの下では、状態に応じた割合で選出する演出を行わず、状態を示唆しないこととしているが、第二種特別遊技Bの下でも、上述の演出を現出させることとしてもよい。この場合には、現状の状態、すなわち、「確変状態」または「非確変状態」の各状態に応じて、演出の選出割合を異ならせて、具体的には、確変状態では、上述の第二種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態と同様な割合で、非確変状態では、上述の第三種当選により発生した第二種特別遊技Aの状態と同様な割合で、演出の選出割合を割振ることとすればよい。
上述のような第二種特別遊技中での特別入賞口表示装置545や音出力装置の作動は、副制御基板119によって制御される。具体的に、第二種特別遊技中には、主制御基板131から副制御基板119に、この第二種特別遊技が第二種特別遊技Aであるか或いは第二種特別遊技Bであるかについての情報信号や、特別入賞口540に遊技球が入球したことを示す情報信号が出力され、副制御基板119は、受取った情報信号に応じたプログラムを実行することで、上述したように作動するよう、特別入賞口表示装置545や音出力装置の駆動を制御する。
以上、詳細に説明した本例のパチンコ機1は、機能的構成として、図14に示すように、抽選手段900と、抽選確率状態変更手段910と、特別状態発生手段920と、特別図柄表示装置710と、特図対応演出表示装置850と、抽選演出表示手段950と、操作対応演出手段960とを具備するものとして構成されている。以下、本例のパチンコ機1における機能的構成の詳細を説明する。
抽選手段900、抽選確率状態変更手段910及び特別状態発生手段920は、夫々、遊技者が遊技球を獲得するために行う遊技球の実体に関与するものであり、遊技の実体についての制御処理を行う主基板310の機能的構成であり、主基板310において所定のプログラムを実行することで作動するものである。
抽選手段900は、遊技に基づいて、具体的には、抽選入球口520への遊技球の入球に基づいて抽選を行うものである。ここで、抽選手段900では、第一種抽選結果、第二種抽選結果、第三種抽選結果、第四種抽選結果、及び、それ以外の抽選結果が設定された抽選を行う。なお、上述の例において、第一種当選が第一種抽選結果に、第二種当選が第二種抽選結果に、第三種当選が第三種抽選結果に、第四種当選が第四種抽選結果に、及び、落選がそれ以外の抽選結果に、夫々相当する。
抽選確率状態変更手段910は、抽選結果が第一種当選または第二種当選になると、所定の昇格条件が成立したとして、抽選手段900によって行われる抽選状態を、第一種当選となる確率を高くした高確率状態である確変状態とし、抽選結果が第三種当選になると、所定の降格条件が成立したとして、抽選状態を第一種当選となる確率を低くした低確率状態である非確変状態とするものである。ここで、現状の抽選状態が非確変状態であれば、第一種当選または第二種当選によって抽選状態が確変状態に変更、所謂「昇格」されるのであるが、現状の抽選状態が確変状態であれば、第一種当選または第二種当選によって抽選状態が確変状態になっても、抽選状態は、実質的には変更されずに現状のままで維持されることになる。また、現状の抽選状態が確変状態であれば、第三種当選によって抽選状態が非確変状態に変更、所謂「降格」されるのであるが、現状の抽選状態が非確変状態であれば、第三種当選によって抽選状態が非確変状態になっても、抽選状態は、実質的には変更されずに現状のままで維持されることになる。さらに、この抽選確率状態変更手段910は、抽選結果が第四種当選または落選である場合には、現状の抽選状態を変更せず、現状のままで維持させるものでもある。
特別状態発生手段920は、抽選手段900によって行われた抽選の結果が、第一種当選、第二種当選、第三種当選または第四種当選になると、遊技者にとって、通常の状態よりも多くの遊技球を獲得可能な特別状態を発生させるものである。なお、特別状態発生手段920は、本例では、通常では閉じている特別入賞口540を所定の態様で開閉作動させるといった特別遊技を発生させるものであり、「特別遊技発生手段」と称することができる。また、本例では、当選の種類に応じた特別遊技を発生させることとしてあり、特別遊技発生手段920は、第一種当選になると第一種特別遊技を発生させる第一種特別遊技発生手段921と、第二種当選または第三種当選になると第二種特別遊技Aを発生させる第二種特別遊技A発生手段922と、第四種当選になると第二種特別遊技Bを発生させる第二種特別遊技B発生手段923とを備えたものとして構成されている。
特別図柄表示装置710は、その駆動が主基板310によって直接的に制御され、抽選手段910によって行われた抽選結果を遊技者が特定可能となるように抽選結果に対応した図柄を表示すものである。ここで、特別図柄表示装置710に表示される図柄は、主基板310の抽選手段910によって行われた抽選の結果として、主基板310自体の直接的な制御によって表示されるものであり、遊技者に対して出力される最も重要な表示情報である。よって、この点で、特別図柄表示装置710での図柄表示を、各種の演出用の機器を用いて遊技中に遊技を盛り上げるために行われる種々の演出表示と区別することができる。
特図対応表示装置850は、その駆動が、主基板310からの出力信号に基づいて作動する周辺基板311によって制御され、特別図柄表示装置710と同様に、抽選手段910によって行われた抽選結果を遊技者が特定可能となるように抽選結果に対応した図柄を表示するものである。なお、特図対応表示装置850は、その駆動が主基板310によって直接的に制御されるものではなく、周辺基板311によって制御されるものであり、特図対応表示装置850での表示は、周辺基板311によって制御される演出表示の一種であると捉えることができる。
抽選演出表示手段950は、抽選演出表示装置800を用いて、より具体的には、抽選演出表示装置800の第四演出表示装置840を用いて構成されており、抽選手段900によって行われた抽選の結果が、第一種当選であると、第一種当選に対応する表示内容である図柄(本例では「7」の数字)を表示し、第二種当選、第三種当選または第四種当選であると、夫々に対応する表示内容である図柄で、しかも、兼用表示内容でもある兼用図柄(本例では「3」の数字)を表示するものである。そして、この抽選演出表示手段950での表示は、演出表示の一種であり、抽選演出表示手段950は、その駆動が、主基板310からの出力信号に基づいて作動する周辺基板311によって制御される。
操作対応演出手段960は、周辺基板311によってその駆動が制御される特別入賞口表示装置545や音出力装置を用いて構成されており、遊技を盛り上げるために種々の演出を行うものである。具体的に、操作対応演出手段960は、上述したように、第二種特別遊技中といった所定の状況下において、特別入賞口540に遊技球を入球させるといった遊技者の意図的な操作がなされると、その時の状態に応じて、種々の演出を現出させるものである。
また、図示は省略するが、周辺基板311は、主基板310からの信号に基づいて所定のプログラムを実行することで、予め用意された第一種操作対応演出及び第二種操作対応演出を含む複数種類の操作対応演出の中から、操作対応演出手段960にて現出させる操作対応演出を選出する操作対応演出選出手段を具備するものとして構成されている。そして、この操作対応演出選出手段は、確変状態においては、非確変状態よりも高い割合で第一種操作対応演出を選出し、非確変状態においては、確変状態よりも高い割合で第二種操作対応演出を選出するものとして機能する。ここで、具体的に、第一種操作対応演出は、上述したA演出であり、第二種操作対応演出は、上述したC演出である。また、本例の操作対応演出選出手段では、前述した「選出テーブル方式」を採用することで、状態に応じて異なる割合で操作対応演出の種類を選出するようにしてある。
以上、詳細に説明した本例のパチンコ機1によれば、次のような作用効果を得ることができる。
抽選結果に応じて抽選状態を低確率状態や高確率状態に変更するようにしたパチンコ機では、従来、抽選結果が抽選状態を低確率状態とするものになった場合や、高確率状態とするものになった場合に、この抽選結果を特定できるように明示していたが、このようなパチンコ機では、抽選結果が抽選状態を高確率状態とするものになった場合にこれを示す表示を行って遊技者に喜びを与えることができ、抽選結果が抽選状態を低確率状態とするものになった場合にこれを示す表示を行って遊技者を残念がらせることができるだけであり、抽選の結果や、現状の抽選の状態について想像させることができず、遊技の面白みが浅いものであった。
これに対して、本例のパチンコ機1では、抽選結果が抽選状態を高確率状態(確変状態)とする第二種抽選結果(第二種当選)になった場合や、抽選状態を低確率状態(非確変状態)と第三種抽選結果(第三種当選)になった場合に、抽選演出表示手段(抽選演出表示装置800の第四演出表示装置840)にて兼用表示内容(兼用図柄)を表示するため、遊技者に、抽選結果を特定させずに想像させることができる。よって、遊技者に、期待感と不安感とを与えつつ以降の遊技を楽しませることができ、このような新規な遊技性によって、遊技の面白みを深めることができる。
特に、本例では、抽選状態を変更しない第四種抽選結果(第四種当選)になった場合も、兼用表示内容(兼用図柄)を表示することしてあることから、遊技者に抽選結果を想像させる機会を頻繁に生じさせることができる。よって、これにより、淡々と行われがちな遊技にメリハリを与えることができる。
また、所定の状況下である第二種特別遊技中においては、特別入賞口540に遊技球を入球させるといった遊技者の意図的な操作によって、遊技者に、抽選結果や抽選状態に関する情報が与えられ、遊技者は、この情報によって抽選結果や抽選状態についてある程度の可能性を把握することができる。よって、期待感を大きく膨らませたり、不安感を感じる一方で淡い期待を抱かせる等、遊技者に多様な感情を生じさせることができ、この点からも遊技の面白みを深めることができる。
また、本例では、遊技球の打込み口78aが遊技領域37の左側に設けられており、入球に基づいて抽選を行う抽選入球口520が左右方向の中央の位置に配置されている。よって、遊技者は、抽選入球口520を狙い易いように、遊技領域37の左側の部位に遊技球を打込む所謂「左打ち」をする。特に、開閉する抽選入球口520が開動作する契機となる作動入球口530が遊技領域37の左側に設けられているため、より一層、積極的に左打ちをする。一方、特別入賞口540は、遊技領域37の右側に配置されており、第二種特別遊技では、第一種特別遊技に比して、特別入賞口540が開作動する時間は短く、しかも、開閉する回数も少ない。よって、第二種特別遊技が発生しても、遊技者は、左打ちを継続するか、或いは、遊技球の打込みを中断してしまう可能性が高い。このように、遊技球の打込み位置を常時一定とする遊技では、遊技が単純な作業となりがちであり、また、遊技球の打込みが中断されると、パチンコ機の稼働率が低下する。
これに対して、本例のパチンコ機1では、遊技者にとって、第二種特別遊技中において特別入賞口540に遊技球を入球させることで、抽選結果や抽選状態をある程度、正確に把握できる情報を入手することができる。よって、第二種特別遊技が発生すると、遊技者は、今まで左打ちをしていた遊技を、遊技球を遊技領域37の右側に打ち込む所謂「右打ち」に変えようとする。また、遊技球の打込みを中断せずに、特別入賞口540に遊技球を積極的に入球させようとする。従って、本例のパチンコ機1によれば、単純な作業になりがちな遊技に変化を与えることができ、また、稼働率が低下することを抑制することができる。特に、第四種抽選結果(第四種当選)によって第二種特別遊技を頻繁に発生させることができることから、単純な作業になりがちな遊技に対して頻繁に変化を与えて、遊技者に充実した遊技を行わせることができる。
ところで、本例のパチンコ機1は、図14に示すように、特殊演出手段970を備えている。この特殊演出手段970は、遊技中において、パチンコ機1の内部状態が、抽選手段910で行なわれた抽選の結果が当選になる確率の高い高確率状態、すなわち「確変状態」になっている場合には、当選になる確率の低い低確率状態、すなわち「非確変状態」になっている場合に比して、高い割合で特殊演出を行なうものであり、その作動が、周辺基板311によって制御されるものである。
次に、この特殊演出手段970及び特殊演出の詳細について説明する。
特殊演出手段970は、状態演出表示装置860を用いて構成されており、特殊演出として、抽選手段910で行なわれた抽選の回数をカウント表示するものである。具体的に、特殊演出を行なう場合には、状態演出表示装置860の可動体860Tによって第三指標部863を指し示して、抽選が行なわれる毎に所定回数(本例では16回)に対するカウントダウンの表示を行なう。このようなカウントダウンの表示では、所定回数のカウントダウンを開始することで、特殊演出を開始し、最終カウント(残り1回)の表示後に抽選が行なわれて、カウントダウンが完了されると、可動体860Tを初期状態に戻して、特殊演出を終了することになる。
なお、パチンコ機1の内部状態が非確変状態である場合には、上述の通り特殊演出を終了した後においては、特殊演出に関連した他の演出を行なわないようにする一方で、確変状態である場合には、特殊演出を終了した後に、カウントダウンをリセットしたり、最終カウントにてカウントダウンを中断したり、専用のランプ等、状態演出表示装置860以外の機器を作動させたりする等して、特殊演出に関連した演出を行なう、換言すれば、特殊演出後に追加された追加演出を行なうこととしてもよい。このような追加演出を現出させることで、内部状態が確変状態であることを遊技者に明確に告知することができる。そして、このような告知機能を有するパチンコ機1では、特殊演出の終了後に確変状態であることが告知される可能性のあることから、遊技者は、特殊演出が終了するまで遊技を継続しようとする。よって、上述のような告知機能をもたせることで、遊技者に遊技意欲を湧かせることができる。
また、カウントダウンの完了にて特殊演出を終了するばかりでなく、カウントダウンの途中において第一種当選、第二種当選または第三種当選になった場合にも、可動体860Tを初期状態に戻して、特殊演出を終了する。これは、第一種当選、第二種当選または第三種当選になると、特殊演出を開始した時点での内部状態が変化している可能性があり、内部状態を示唆する特殊演出が機能を果たさなくなるからである。
なお、当選によって特殊演出を終了させる場合には、抽選演出表示装置800にて当選の表示内容を表示した後に、特殊演出を終了させることする。抽選演出表示装置800にて当選の表示内容を表示する前に特殊演出を終了させると、特殊演出が終了したことで当選であることが判明してしまい、抽選演出表示装置800での演出効果が低下してしまうからである。
また、カウントダウンの途中において第一種当選、第二種当選または第三種当選になった場合に限らず、第四種当選になった場合にも、特殊演出を終了することとしてもよい。しかしながら、第四種当選になった場合には特殊演出を終了せずに継続させることとすると、特殊演出が継続されたことを確認した遊技者に、当選がパチンコ機1の内部状態を変化させない第四種当選であったことを知らせることができる。
ところで、本例のパチンコ機1では、非時短状態では、遊技球が入球し難い態様で抽選入球口520が開作動するのであるが、第一種時短状態や第二種時短状態といった時短状態では、遊技球が入球し難い態様で抽選入球口520が開作動する。そして、第二種時短状態は、第一種当選によって形成された確変第一種時短状態中に第二種当選や第三種当選になって、抽選手段910によって所定回数の抽選が行なわれることを限度に継続されるものである。
よって、本例のパチンコ機1は、本例のパチンコ機1において相当する構成を括弧書きで示すと、
「抽選入球口が開作動する状態として、遊技球が入球し難い態様で開作動する通常作動状態(非時短状態)と、遊技球が入球し易い態様で開作動する特別作動状態(時短状態)とが用意されており、
抽選手段によって所定回数の抽選が行なわれることを限度に、抽選入球口が開作動する状態を特別作動状態(時短状態)とする上限付作動状態変更手段(内部状態を第二種時短状態とする状態変更手段)と、
上限付作動状態変更手段による特別作動状態中(第二種時短状態中)において、抽選手段によって行われる抽選の回数をカウント表示する抽選回数カウント表示手段(状態演出表示装置)と
を具備する遊技機(パチンコ機)」
として捉えることができる。そして、特殊演出手段970は、上記遊技機の抽選回数カウント表示手段を用いて構成されたものとして捉えることができる。
なお、本例のパチンコ機1においては、主基板310にて所定のプログラムを実行することで内部状態が適宜の状態に変更されることから、上限付作動状態変更手段を、主基板310が具備する機能的構成として捉えることができる。また、抽選回数カウント表示手段(状態演出表示装置860)は、主基板310からの信号に基づいて所定のプログラムを実行する周辺基板311にて、その作動の制御がなされることから、周辺基板311を、抽選回数カウント表示手段(状態演出表示装置860)を制御する制御手段、換言すれば、「特殊演出手段を制御する特殊演出制御手段」を具備するものとして捉えることができる。
特殊演出手段970による特殊演出は、抽選入球口520への遊技球の入球に基づいて行なわれる。具体的に説明すると、以下の通りである。なお、これに限らず、遊技領域37に設けられた作動入球口530、普通入賞口550、アウト口560等の入球口や、特殊演出発生用に専用に設けられた入球口への遊技球の入球に基づく等、遊技球を遊技領域37に打込んで遊技を行うといった遊技者の遊技操作に基づいて特殊演出を行なうようにしてもよい。
抽選入球口520に遊技球が入球すると、この情報信号が主基板310から周辺基板311へと送信される。そして、周辺基板311は、機能的構成として、主基板310から受取った情報信号に基づいて所定のプログラムを実行することにより機能する特殊演出実行決定手段を具備しており、この特殊演出実行決定手段によって、特殊演出を行なうか否かを決定する。
特殊演出実行決定手段では、内部状態が確変状態になっている場合には、非確変状態になっている場合に比して、高い割合で特殊演出を行なうことを決定するように、内部状態が確変状態であるか非確変状態であるかで異なる選出テーブルを参照する所謂「選出テーブル方式」によって、特殊演出を行なうか否かを決定する。そして、特殊演出を行なうことを決定した場合には、周辺基板311が具備する機能的構成であり、所定のプログラムを実行することにより機能する特殊演出制御手段によって、特殊演出手段である状態演出表示装置860の作動を制御して、上述した通りのカウントダウンの表示を行なう特殊演出を開始させる。
なお、本例では、内部状態が第二種時短状態になっていると、状態演出表示装置860にて時短遊技の消化回数をカウントダウンしているため、特殊演出を行なうことができない。よって、内部状態が第二種時短状態である場合には、特殊演出を行なわないこととしてある。また、内部状態が第一種時短状態である場合には、状態演出表示装置860にて時短遊技の消化回数をカウントダウンしていないのであるが、第一種時短状態は、確変状態の下で形成される状態であり、第一種時短状態であれば、確変状態でもあることが遊技者にとって明白である。よって、内部状態が第一種時短状態である場合にも、特殊演出を行なわないこととしてある。このように、本例のパチンコ機1では、非時短状態である場合に限って、特殊演出が現出する可能性のあるものとして構成されている。
また、非確変状態では、第一種当選、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の当選確率は、夫々、「20/10000」、「10/10000」、「5/10000」及び「60/10000」に設定されており、当選全体の合成確率が「約1/111」、特に、内部状態を変更する当選である第一種当選、第二種当選及び第三種当選の合成確率が「約1/333」となっているのに対して、確変状態では、第一種当選、第二種当選、第三種当選及び第四種当選の当選確率は、夫々、「200/10000」、「100/10000」、「50/10000」及び「60/10000」に設定されており、当選全体の合成確率が「約1/28」、特に、内部状態を変更する当選である第一種当選、第二種当選及び第三種当選の合成確率が「約1/33」となっている。
これに対して、特殊演出は、16回の抽選回数をカウントダウンする演出となっている。よって、非確変状態でのカウントダウン中に何らかの当選(特に、内部状態を変更する当選である第一種当選、第二種当選及び第三種当選)となる現象は生じ難いのであるが、確変状態でのカウントダウン中においては、何らかの当選(特に、内部状態を変更する当選である第一種当選、第二種当選及び第三種当選)となる現象が生じ易く、適度な頻度で生じる。従って、カウントダウン中の遊技を、確変状態中のチャンスゲーム的な遊技であるかのようにイメージさせることができる。
このように、確変状態の当選確率(特に、内部状態を変更する当選確率)を「1/n」とした場合に、この逆数である「n」を基準して、カウントダウンする抽選回数を、n/2回程度に設定するのがよい。なお、これに限らず、カウントダウンする抽選回数を、n/5以上、n/10以上としてもよいが、上限値については、無用に長期に渡ってカウントダウンの演出が継続しないように、n回以内とするのがよい。
また、特殊演出を現出させる割合としては、非確変状態では、確変状態の1/2以下、好ましくは1/5以下、より好ましくは1/10以下とすると、特殊演出の現出により、確変状態である可能性に対する十分な期待感を遊技者に与えることができる。一方、非確変状態では、確変状態の1/100といったように、極めて現出頻度が低いこととすると、特殊演出の現出により、確変状態であることが、ほぼ特定できてしまう。よって、非確変状態では、確変状態の1/50以上、好ましくは1/20以上、より好ましくは1/10以上とするのが好適である。
また、非時短状態での遊技中において、確変状態であれば特殊演出が頻繁に現出することとすると、特殊演出が現出しないことで、内部状態が非確変状態であることが明白となってしまう。よって、特殊演出が適度な頻度で現出するように、確変状態において、当選確率(特に、内部状態を変更する第一種当選、第二種当選及び第三種当選の当選確率)の逆数の2倍程度(1〜3倍)の確率で、特殊演出が現出するようにするのが好適である。
以上のように特殊演出を行なう特殊演出手段を具備する本例のパチンコ機1によれば、次のような作用効果を得ることができる。
現状の内部状態が確変状態であるか或いは非確変状態であるか分かり難いのであるが、特殊演出の現出により確変状態である可能性が高いことを遊技者に示唆することができる。よって、特殊演出を確認した遊技者に、内部状態が確変状態であり、当選になり易いことに対する大きな期待感を抱かせることができ、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
特殊演出としてカウントダウンの演出が、突然、現出するため、非時短状態の下で淡々と遊技を行なっている遊技者を驚愕させることができ、退屈になりがちな通常の遊技にメリハリを与えることができる。特に、確変状態では、カウントダウンの回数が当選確率に対して適度な回数に設定されているため、「カウントダウン中に当選になる」といった事象が適度に生じる。よって、カウントダウン中の遊技をチャンスゲーム的な遊技と思わせることができ、遊技の面白みを深めることができる。
本例のパチンコ機1は、操作対応演出を行なう操作対応演出手段960を具備しており、第二種当選や第三種当選によって発生した所定の状況下である第二種特別遊技中においては、特別入賞口540に遊技球を入球させるといった遊技者の意図的な操作に応じて操作対応演出を行なって、遊技者に、抽選結果や抽選状態に関する情報を与える。そして、遊技者は、この情報によって抽選結果や抽選状態についてある程度の推測することができるのであるが、第二種特別遊技が終了した後の遊技にて特殊演出が現出する可能性があり、特殊演出が現出することで、遊技者が推測した抽選結果や抽選状態について、さらに信憑性が高いことを確認することができる。よって、操作対応演出と特殊演出とが相俟って、遊技の面白みを深めることができる。
特に、遊技者が、第二種特別遊技中に特別入賞口540に遊技球を入球させることができず、操作対応演出にて抽選結果や抽選状態に関する情報を得ることができなかった場合には、情報を得ることができなかった分だけ不利な感情を抱き、遊技意欲を失うこともある。しかしながら、本例のパチンコ機1では、確変状態になっていれば、その後の遊技において特殊演出が現出する可能性が高いため、現出した特殊演出によって、操作対応演出によっては得られなかった抽選状態に関する情報を遊技者に与えることができる。よって、特殊演出を、操作対応演出の補填的な演出として機能させることができ、遊技意欲を失いかけた遊技者に、再び遊技意欲を湧かせることができる。