JP2007330260A - イヌ科動物の遺伝子型決定のためのマイクロサテライト配列 - Google Patents

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Abstract

【課題】イヌ科動物の遺伝子型を決定する方法の提供。
【解決手段】マイクロサテライト遺伝子座において、イヌの遺伝子型を決定する方法であって、以下の工程を含む方法。(1)該マイクロサテライト遺伝子座に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、染色体DNAの領域を増幅する工程であって、ここでDNAの該領域はAAAまたはTTTからなる反復テトラヌクレオチドモチーフを含み、第4の残基はG、C、AまたはTのいずれかである工程。(2)該増幅の産物をサイズ分画して、該プライマー間の染色体DNAのサイズの測定を提供する工程。ここで、該プライマー間の染色体DNAの該サイズは、該遺伝子座の対立遺伝子マーカーである。
【選択図】なし

Description

本発明の分野は、イヌ科動物の遺伝子型決定である。
背景
異なる種からの個体の遺伝子構成を分析する能力の増大によって、多くの新しい技術の開発が可能になった。遺伝的多型性の検出は、個体間の識別、血統試験、法医学的試験、個体の血縁関係の分析、およびマイクロサテライト反復に連結した目的の遺伝子のマッピングに有用である。
マイクロサテライトは、別の独特のヌクレオチド配列中に埋め込まれた縦列反復ヌクレオチド配列の、完全な、不完全な、または混成のアレイである。マイクロサテライト反復は、代表的には、1〜6塩基対(bp)の長さの範囲である。マイクロサテライト反復アレイは、ヒトでは、反復数が6から30またはそれ以上まで変化する。しかし、反復のアレイが長ければ長いほど、滅多に単離されない。マイクロサテライトは、中断のない反復配列を1つだけ含む簡単な反復、小さな区間の非反復ヌクレオチドによって分離される2つの同一の反復の含む不完全な反復、またはいくつかの異なる反復配列型を含む混成反復からなり得る(Weber, 1990)。個々については、いずれの特定のマイクロサテライト染色体位置も、存在する反復の数が変化し得る。
通常使用されるマイクロサテライトによる遺伝子マッピングの方法は、個体間の長さの変動を利用する(WeberおよびMay, 1989)。クローニングされたマイクロサテライトのヌクレオチド配列およびその隣接領域を使用して、反復に隣接する独特の配列にアニーリングする、PCRのためのオリゴヌクレオチドプライマーが設計される。このプライマーは、所望のようにマイクロサテライトの近くまたは遠くに設計され得る。唯一の限定は、次の分析のためのPCR産物の得られるサイズである。
特定のマイクロサテライト座由来のPCR産物の検出およびサイズ決定は、いくつかの手段によって達成され得る。最初に記載された手順としては、PCR産物は32Pで標識され、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分画され、そしてオートラジオグラフィーで可視化される。あるいは、PCR産物は蛍光色素で標識され、そして自動DNA配列決定装置上で分離される。別の方法では、PCR産物はキャピラリー電気泳動によって分離される。この方法は、サイズ決定の正確さを維持しながら、アクリルアミド電気泳動よりはるかに迅速であるという利点を有する(Buttlerら、前出)。
DNAフラグメントのサイズ決定にどの方法を使用したとしても、達成される分解能には制限がある。サイズ決定されたフラグメントが500bp以上である場合は、1〜2bpの分解能を得ることはさらに困難になる。なぜなら、産物間のサイズ差が、全フラグメントサイズの割合として、小さいからである。従って、PCRプライマーは、反応産物が互いに容易に識別されそして正確にサイズ決定されるように、設計されなければならない。プライマーは、通常、50〜500bpのPCR産物を生成するように設計される。将来的には、1Kbまたはそれ以上のフラグメントを正確に分析するための方法が開発されるかもしれない。
今日では、(通常は、(CA)nモチーフの)多くの多型性ジヌクレオチドマイクロサテライトが、イヌ科動物ゲノムから単離されている(Holmesら、1993;Ostranderら、1993)。しかし、ジヌクレオチドモチーフに基づくもの以外の多型性マイクロサテライトはほとんど単離されていない。ジヌクレオチドモチーフに基づくマイクロサテライトの使用に関しては、いくつかの難点が存在する。1つの問題は、ジヌクレオチド反復に由来するPCR産物のサイズを正確に決定するために必要とされる高分解能に起因する、再現可能なサイズ決定の本質的な困難さである。別の障害は、PCRの間に見落とし鎖誤対合(slipped-strand mispairing)のために生じるいわゆる「吃音(stutter)」バンドの存在である。これは、ジヌクレオチドモチーフを有するマイクロサテライトを用いる場合に特に顕著である。正確なサイズのバンドの下に2bp間隔で現れる、これらの人工的なバンドは、多くの場合において、対立遺伝子のサイズ決定を困難にし得る。
ジヌクレオチド反復を用いる型決定の本質的な困難さに基づいて、トリヌクレオチドおよびテトラヌクレオチド反復多型性の決定に関心がある。このような多型性の特徴付けは、自動化され標準化された遺伝子型決定に有用であり得る。
関連する文献
制限フラグメント長多型性を用いたヒトにおける遺伝連鎖マップの構築は、Botsteinら(1980)Amer. J. Hum. Genet. 32:314-331に記載されている。三量体および四量体のタンデム反復を用いたDNA分類および遺伝子マッピングは、Edwardsら(1991) Amer. J. Hum. Genet. 49:746-756に記載されている。ヒト(dC-dA)n.(dG-dT)nの多型性が多くの情報量を提供することは、Weber (1990) Genomics 7:524-530に記載されている。
Przewalskiのウマに特に関するウママイクロサテライトマーカーの遺伝子内増幅は、Breenら(1994)Anim. Genet. 25:401-405.に開示されている。Marklundら(1994)Anim. Genet. 25:19-23は、高度に多型のマイクロサテライトのセットを用いたウマにおける血統試験および連鎖解析を記載する。
HolmesおよびSampson (1993) Anim. Genet. 24:289-292は、イヌ科ゲノムからのマイクロサテライトの単離および特徴付けを記載する。Shibuyaら(1993) Anim. Genet. 24:245-348は、イヌ科アンドロゲンレセプター遺伝子のコードセグメントにおける多型のマイクロサテライトを記載する。Ostranderら 1993 Genomics 16:207-213は、イヌの遺伝子マッピングのためのジヌクレオチド反復(CA)nマーカーを同定しそして特徴付けする。PrimmerおよびMatthews (1993) Anim. Genet. 24:332は、VIAS-D10遺伝子座のイヌ科テトラヌクレオチド反復多型性を同定する。Shibuyaら(1994)Anim. Genet. 25:122は、イヌ科フォン・ヴィルブラント因子遺伝子のイントロン中の多型の(AGGAAT)nタンデム反復を記載する。系図を調べ、そして完全同胞対メンバーを識別することについて、相互優性の多型の対立遺伝子系列を用いる有効性が、Jamieson (1994) Anim. Genet. 25:37-44に議論されている。
キャピラリー電気泳動による短いタンデム反復の迅速な解析が、Buttlerら(1994) BioTechniques 17:1062-1070に記載されている。HagueおよびLitt (1993) Hum. Mol. Genet. 2:411-415は、ジヌクレオチド反復多型性をPCRによって分類する場合に観察される「シャドーバンド」の起源を研究している。Knowlesら(1992) Amer. J. Hum. Gene. 51:905-909は、マイクロサテライトマーカーを用いた遺伝子マッピングにおける技術を記載する。Mooreら(1991)Genomics, 10:654-660は、密接に関連した種における異種PCRプライマー対の使用を記載する。WeberおよびMay (1989) Amer. J. Hum. Genet. 44:388-396は、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて分類され得るヒトDNA多型性の豊富なクラスを記載する。Ziegleら(1992) Genomics 14:1026-1031は、マイクロサテライト遺伝子座を遺伝子型分類するための自動化されたDNAサイズ決定技術の適用を提供する。
本発明によって以下が提供される:
(1)マイクロサテライト遺伝子座においてイヌを遺伝子型決定する方法であって、該遺伝子座に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて染色体DNAの領域を増幅する工程であって、ここで、DNAの該領域は、AAAまたはTTTからなる反復テトラヌクレオチドモチーフを含み、第4の残基はG、C、AまたはTのいずれかである、工程;
該増幅の産物をサイズ分画して、該プライマー間の染色体DNAのサイズの測定を提供する工程を包含し;
ここで、該プライマー間の染色体DNAの該サイズは、該遺伝子座の対立遺伝子マーカーである、方法。
(2)前記増幅する工程が、前記産物を検出可能な標識を用いて標識する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(3)前記増幅する工程がポリメラーゼ連鎖反応を使用する、項目2に記載の方法。
(4)少なくとも約5つの前記マイクロサテライト遺伝子座のパネルが遺伝子型決定され、ここで該遺伝子座の前記対立遺伝子マーカーが前記イヌの同定のための遺伝子フィンガープリントを提供する、項目3に記載の方法。
(5)マイクロサテライト遺伝子座においてイヌを遺伝子型決定する方法であって、
該遺伝子座に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて染色体DNAの領域を増幅する工程であって、ここで、DNAの該領域は、AAAG、GAAA、AAAT、TTTC、CTTT、TTTA、AAGG、GAAT、GAAG、GAAAA、AAAAAG、TGCおよびTTCからなる群より選択される反復モチーフを含む、工程;
該増幅の産物をサイズ分画して、該プライマー間の染色体DNAのサイズの測定を提供する工程を包含し;
ここで、該プライマー間の染色体DNAの該サイズは、該遺伝子座の対立遺伝子マーカーである、方法。
(6)前記増幅する工程が、前記産物を検出可能な標識を用いて標識する工程をさらに包含する、項目5に記載の方法。
(7)前記増幅する工程がポリメラーゼ連鎖反応を使用する、項目6に記載の方法。
(8)少なくとも約5つの前記マイクロサテライト遺伝子座のパネルが遺伝子型決定され、ここで該遺伝子座の前記対立遺伝子マーカーが前記イヌの同定のための遺伝子フィンガープリントを提供する、項目7に記載の方法。
(9)前記遺伝子座に特異的な前記オリゴヌクレオチドプライマーが、配列番号21と41、22と42、23と43、24と44、25と45、26と46、27と47、28と48、29と49、30と50、31と51、32と52、33と53、34と54、35と55、36と56、37と57、38と58、39と59、および40と60からなる群より選択される、項目8に記載の方法。
(10)単離されたDNAフラグメントを含む組成物であって、ここで、該DNAの配列が配列番号1〜配列番号20からなる群より選択される、組成物。
(11)長さが少なくとも約18ntのオリゴヌクレオチドプライマーであって、ここで、該プライマーが、ストリンジェントな条件下で配列番号1〜配列番号20からなる群の隣接する領域の配列を有するDNAにハイブリダイズし得る、オリゴヌクレオチドプライマー。
(12)前記プライマーの配列が、配列番号21〜配列番号60からなる群より選択される、項目11に記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
(13)イヌを遺伝子型決定するにおいて使用するためのキットであって、オリゴヌクレオチド増幅プライマーの対を含み、ここで、該プライマーの配列が配列番号1〜配列番号20からなる群の隣接する領域より選択される、キット。
(14)前記プライマーの少なくとも1つが検出可能な標識に結合される、項目13に記載のキット。
(15)前記検出可能な標識が蛍光色素である、項目14に記載のキット。
(16)前記キットが、オリゴヌクレオチド増幅プライマーの少なくとも約5つの前記対のパネルを含む、項目15に記載のキット。
(17)前記オリゴヌクレオチド増幅プライマーの配列が、配列番号21と41、22と42、23と43、24と44、25と45、26と46、27と47、28と48、29と49、30と50、31と51、32と52、33と53、34と54、35と55、36と56、37と57、38と58、39と59、および40と60からなる群より選択される、項目16に記載のキット。
発明の要旨
個体間の区別、血統試験、法医学鑑定、個体の関連性の解析、および目的の遺伝子のマッピングのためのイヌ科種の診断アッセイを行うための、方法および組成物が提供される。内部トリヌクレオチドおよびテトラヌクレオチドマイクロサテライト反復を有する独特のイヌ科DNA配列は、多型性のマーカーであり、これらは、個体間の相違について容易にアッセイされ得る。これらの多型性の検出は、遺伝子型決定の解析が行われるのを可能にする。
特定の実施態様の説明
マイクロサテライトDNA反復の数における多型性を解析することにより、イヌ科を遺伝子型決定するための方法が提供される。反復に隣接する領域に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーが、内部反復配列を増幅するために用いられる。反復の数、そしてそれゆえプライマー間の距離は、集団において高度に変動し得る。単一の遺伝子座からの長さの多型性は、目的の遺伝子のマッピングのために用いられ得る。マイクロサテライト遺伝子座の特異的なプライマーおよび配列が提供され、ここでその遺伝子座はイヌ科集団において高いPIC値を有する。複数の遺伝子座からの組み合わせた情報は、近交系のイヌの品種の間でさえ個体を識別する手段、血統試験、法医学鑑定、および個体の関連性の解析のための手段を提供する。
本発明の方法において有用なマイクロサテライト遺伝子座は、一般式:
U(R)U’
を有し、ここでUおよびU'は、特定の遺伝子座を独特に同定する非反復隣接配列であり、Rは、反復モチーフ、そしてnは反復の数である。遺伝子座は、イヌ科の染色体上に存在する。特定の例は、配列表の配列番号1から配列番号20中に提供される。
反復モチーフは、少なくとも3ヌクレオチド長、好ましくは4ヌクレオチド長である。内部配列は、単純な反復(例えば、(R))であり得るか、または複雑な反復(例えば、(R)(R');(R)(R')n’(R);(R)(R')n'(R")n"など)であり得る。いくつかの複雑な反復では、1つ以上のモチーフは6ヌクレオチドもの長さであり得る。このモチーフ配列は、一般に、4番目の残基がG、C、A、またはTのいずれかとともに、3つのAまたは3つのT残基からなる。この式を有する特定の反復配列は、AAAG;GAAA;AAAT;TTTC;CTTT;およびTTTAを包含する。他の反復モチーフは、AAGG、GAAT;GAAG;GAAAA;AAAAAG;TGC;およびTTCである。
隣接配列UおよびU'は、イヌゲノム内のマイクロサテライト遺伝子座を独特に同定する。UおよびU'は、少なくとも約18ヌクレオチド長であり、そして何千塩基もの距離にわたっているかもしれない。UおよびU'配列を有するDNAは、制限フラグメント、増幅産物などとして実質的に純粋に得られ得、そしてインタクトな染色体の配列以外の配列として得られる。通常、DNAは、マイクロサテライト配列またはそのフラグメントを含まない他の核酸化合物を実質的に有さないで得られ、一般に、少なくとも約50%、通常少なくとも約90%純粋であり、そして典型的には「組換え体」(すなわち、天然の染色体上ではこれらと正常に結合しない1つ以上のヌクレオチドにより隣接する)である。
隣接する配列UおよびU'の中では、配列はプライマーPおよびP’の増幅について選択される。プライマー配列の正確な組成は本発明に重要ではなく、これらは、ストリンジェントな条件下で、それぞれ、隣接配列UおよびU'にハイブリダイズしなければならない。ストリンジェントなハイブリダイゼーションのための条件は当該分野で公知であり、例えば、5×SSCおよび50%ホルムアミドの溶液を用い、42℃でインキュベートし得る。遺伝子座でのサイズ分離の分解能を最大にするために、通常は少なくとも約100ntの反復、より通常は少なくとも約50nt、そして好ましくは少なくとも約25nt内の、反復配列に近いプライマー配列を選択することが好ましい。プライマー配列の選択のためのアルゴリズムは、一般に公知であり、そして市販のソフトウェアパッケージにおいて入手可能である。プライマーは、染色体DNAの相補鎖にハイブリダイズし、そして反復配列に向かってプライミングし、その結果反復が増幅される。プライマーは、通常、少なくとも約18nt長であり、そして通常な約35nt長を超えない。プライマーは、従来の方法に従って化学的に合成され得るか、または制限酵素消化などによりフラグメントとして単離され得る。
特定の遺伝子座での反復数nは、集団において多型であり、その結果、UとU'との間に存在するDNAの長さに個々の相違を生じる。この数は、少なくとも1反復〜約150もの反復まで、変化する。遺伝子型決定に有用なマーカーは、試験される集団における多型である。特定のマイクロサテライト遺伝子座での多型は、集団におけるnの値での分散に比例する。PIC値は、対立遺伝子頻度に対応する。PICを計算するための式は、以下:
Figure 2007330260
であり、ここで、piおよびpjは対立遺伝子頻度であり、そしてnは対立遺伝子数である。本方法で用いられるマイクロサテライト遺伝子座のPIC値は、試験されるべき集団について少なくとも約0.35、この集団について通常少なくとも0.5である。
Canidae科は、イヌ、オオカミ、コヨーテ、キツネ、およびジャッカルの種を包含する。これらの種間の相同性の程度は高くそしてほとんどの場合、本方法は、任意のイヌ科の種に用いられ得る。種々の亜集団(例えば、イヌの品種、単離された野生集団など)は、高度に近交系である。近交系集団は、非近交系集団と比較して減少した数の多型遺伝子座を有する。複数の遺伝子座を分析することが簡便であり、そして特定のマイクロサテライト遺伝子座について集団内で十分に有益でない(例えば、問題の集団について約0.25未満のPIC値を有する)場合は、この遺伝子座からのデータは、遺伝子型の最終的な決定に含まれない。
ゲノムDNAは、試験されるべき個体(単数または複数)から単離される。DNAは、任意の有核の(nucleated)細胞供給源(例えば、血液、毛幹、唾液、粘液、生検、糞便など)から単離され得る。増幅は、少なくとも約105細胞での使用が便利であるが、単細胞由来のDNAで行われ得る。
プライマーを使用して、反復を含むゲノムDNAの領域を増幅する。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応などを使用し得る。PCRのための適切な反応条件は、Saikiら、(1985)Science 239:487、およびSambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,CSH Press 1989, 14.2-14.33頁に記載される。当該分野で公知の有用な熱安定ポリメラーゼとして、Thermus aquaticus、Thermococcus litoralis、Pyrococcus furiosis、およびThermus thermophilusが挙げられる。リガーゼ連鎖反応(LCR)の記載は、国際特許出願WO 9302215に見出され得る。
都合のよいことに、検出可能な標識は、増幅反応に含まれる。適切な標識として、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、2',7'-ジメトキシ-4',5'-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシ-2',4',7',4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5-カルボキシフルオレセイン(5-FAM)、またはN,N,N',N',-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA))、放射性標識(例えば、32P、35S、3H);などが挙げられる。標識は、2段階システムであり得る。ここで、増幅されたDNAは、高親和性の結合パートナー(例えば、アビジン、特異的抗体など)を有するビオチン、ハプテンなどに結合し、結合パートナーが、検出可能な標識に結合する。標識は、プライマーのうちの1つまたは両方に結合し得る。あるいは、増幅に使用されるヌクレオチドのプールが、増幅産物に標識を組み込むために標識され得る。
複数回の増幅が行われ得、ここでプライマーのいくつかのセットが同じ反応チューブに組み合わされる。これは、分析に利用可能なサンプルDNAの量が限定されている場合、特に有利である。都合の良いことには、プライマーの各セットは異なる蛍光色素で標識される。
増幅後、産物はサイズ分画される。分画は、ゲル電気泳動、特に変性アクリルアミドまたはアガロースゲルにより行われ得る。便利なシステムは、自動DNA配列決定機と組合わせて変性ポリアクリルアミドゲルを使用する。Hunkapillarら、(1991)Science 254:59-74を参照のこと。自動DNA配列決定機は、複数回の増幅に特に有用である。キャピラリー電気泳動はまた、分画に使用され得る。キャピラリー電気泳動の総説は、Landersら、(1993)Bio Techniques 14:98-111において見出され得る。
増幅産物のサイズは、プライマーにより特定される遺伝子座に存在する反復の数(n)に比例する。サイズは、集団において多型であり、従って、その遺伝子座についての対立遺伝子マーカーである。多くの適用のために、1パネルの遺伝子座、通常少なくとも約5つの遺伝子座、より通常には少なくとも10の遺伝子座が分析される。1パネルの遺伝子座について組み合わせた情報は、個体についての「DNAフィンガープリント」に役立つ。
DNAフィンガープリントは、例えば、ショードックまたは種イヌに必要とされ得るような、行方不明の動物および盗まれた動物の鑑定ならびに身元の確認を可能にする。遺伝子型は、2つの個体間の関連性の程度を評価するために比較され得る。密接に関連する個体は、関連のない個体より対立遺伝子を共有する可能性が高い(ChakrabortyおよびLin(1993) Hum.Biol. 65: 875-895;およびHammond(1994) Am.J.Hum.Genet. 55: 175-189を参照のこと)。関連性の知識は、繁殖計画の改良および集団における遺伝的多様性の増加に有用である。犯罪現場から回収されたイヌのDNAサンプルは、法医学的証拠を提供するために使用され得る。
遺伝子型は血統試験について有用である。個体は、それらの遺伝子型を比較することによって、問題の子孫の、可能性のある雄親または雌親として除外され得る。各個体は、各遺伝子座で、その母親由来の1つの対立遺伝子およびその父親由来の1つの対立遺伝子を受けなければならない。その結果、問題の個体を有する全ての遺伝子座で対立遺伝子を共有しない推定の親は、血統試験から排除され得る。血統試験のための1セットのマイクロサテライトマーカーを使用する場合、間違った血統の検出からマイクロサテライトマーカーがいかに強力であるかを知ることは重要である。血統排除(PE)についての式は、既知のシリーズの共優性対立遺伝子が間違って記録された親を検出する可能性を示す。(Jamieson(1994) Anim.Genet. 25:37-44)。PEは、各遺伝子座および組み合わされた全ての遺伝子座について算出され得る。
本願の方法の他の使用は、マーカー遺伝子座に遺伝的にリンクされる、目的の遺伝子(例えば、遺伝病、所望の特性などを制御する遺伝子)をマッピングすることを包含する。多くのマイクロサテライトマーカーの単離およびマッピングは、イヌゲノムの遺伝子マップを構築するために使用され得る;このマップは、イヌの繁殖における形態および行動の遺伝学の解明、ならびにヒトおよびイヌに共通する遺伝病を理解することの補助になる。保護の努力に関連するものは、遺伝子型情報を利用して、限定された集団サイズの種における遺伝子の多様性を最大にする。
キットが本願の方法の実施に提供され得る。このようなキットは、マイクロサテライトDNA反復を増幅するために有用な少なくとも1セットの特定のプライマーを含み、好ましくは、1パネルのプライマーを有する。プライマーは、検出可能なマーカーに結合し、通常4つのプライマーの1パネルは、複数回の増幅を容易にする4つの異なる標識を有する。好ましい実施態様において、プライマーのパネルは、実験的区分、配列番号21〜配列番号60において記載される配列から選択される。
以下の実施例は、限定のためではなく、例示のために提供される。
ゲノムDNAの単離およびライブラリーの構築
ゲノムDNAの単離: 家畜用イヌ由来の重さ約5gの精巣を、液体窒素中で凍結させ、そして乳鉢と乳棒とを用いて、磨砕して細粉化した。滅菌した50mlのコニカル遠心分離チューブ中で、30mlの抽出緩衝液(10mM Tris 8.0、0.1M EDTA 8.0、20mg/ml RNAse A、および0.5% SDS)を、磨砕した組織に添加した。チューブを十分に混合し、そして30分間37℃にてインキュベートした。プロテイナーゼKを最終濃度100mg/mlになるように添加し、混合し、そして振とう台(rocking platform)上で、50〜55℃にて3時間インキュベートした。次いで、チューブを室温まで冷却し、そして等容量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(1:1:24)を用いて、5回抽出を行った。10分の1の容量および2容量の3M酢酸ナトリウム、ならびに95%エタノールをそれぞれ添加した。溶液を十分に混合し、そしてDNAをガラス棒上に回収した。DNAを、70%エタノールで洗浄し、そして50〜55℃にて一晩振とうすることによってTE中に再懸濁した。
ライブラリーの構築:10mgのイヌゲノムDNAをAluIで完全に消化した。消化したDNAを2%の低融点アガロースゲル中で画分化し、そして200〜500bpのフラグメントをゲル精製し、そしてpBluescriptSK+(Stratagene、La Jolla CA)(これは、あらかじめSmaIで消化し、そして仔ウシ腸アルカリホスファターゼで処理した)に連結した。連結を、10mlの容量中、15℃にて一晩行った。連結物を15分間、75℃にて加熱し、そしてプラスミドをエタノール沈殿し、乾燥し、そして水中に再懸濁した。次いで、連結物をSmaIで消化し、ベクターバックグランドを排除した。次いで、Top10F'コンピテントセル(Invitrogen、San Diego CA)をエレクトロポレーションにより形質転換し、そして15個の大きなシャーレにプレートした。得られたゲノムライブラリーは、472,000の一次組換え体を含んだ。ライブラリーをグリセロールストックとして保存した。
ライブラリースクリーニング:ライブラリーのグリセロールストックの小アリコートを、アンピシリン(100mg/ml)を加えたLB培地中で、1:106または1:107に希釈した。50mlの希釈したライブラリーをプレートした。個々のコロニーを選択し、そして9cmのシャーレ上に1プレートあたり100個の密度で移した。各プレートの2つの複製プレートをスクリーニングのために作製した。コロニーを、2つの複製プレートのそれぞれからニトロセルロースメンブレン(S&S、Keene NH)上にリフトした。各メンブレンを、サランラップのシート上で、約3mlの変性溶液(0.5M NaOH、1.5M NaCl)中にコロニー側を上にして5分間置き、次いで、同量の中和溶液(0.5M Tris、 1.5M NaCl、pH 7.0)に5分間移し、そして最後に2×SSCの溶液中に置き、緩やかに5分間振とうした。次いで、フィルターを穏やかに擦り、余分な細胞屑(debris)を取り除き、そしてWhatman 3mm ペーパー上でブロット乾燥した後、80℃にて1時間ベーキングした。次いで、メンブレンを2分間UV光に曝し、そして6×SSPE、5×Denhardt、および0.2% SDS中で、少なくとも30分間、60℃にてプレハイブリダイズした。次いで、末端標識したプローブを、一晩、60℃でのハイブリダイゼーションのために添加した。プローブとして使用するための標識オリゴヌクレオチド(BIOS Laboratories、New Haven CT)は以下のようであった:(AAG)9、(AAC)9、(AAT)12、(AAAC)7A、(AAAG)7A、および(AAAT)9。マイクロサテライト反復モチーフの容易な同定のために、フィルターを1回に上記のプローブのうちの1つでハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、フィルターを、室温にて15分間、6×SSPEおよび0.2% SDS中で1回洗浄し、次いで、各回60℃にて15分間、6×SSPEおよび0.2% SDS中で2回洗浄した。フィルターをサランラップで覆い、そして-80℃にて一晩、X線フィルムに露光した。プローブとハイブリダイズしたコロニーを選択し、そしてプラスミドDNAを単離した。
ポジティブクローンの配列決定およびPCRプライマーの設計:プラスミドDNAをQiagen tip-20キット(Qiagen、Chatsworth CA)を用いて単離し、そしてPRISM Dye Deoxy Terminator Sequencing Kit(Perkin Elmer、Norwalk CT)を用いて、DNAをApplied Biosystems 373A Stretch Automated Sequencerで配列決定した。各クローン中のマイクロサテライト反復に隣接するPCRプライマーを、75〜350bpの範囲の増幅DNAが生成されるように設計した。プライマーをOperon Technologies(Alameda、CA)によって合成し、各場合において、1方のプライマーを3つの蛍光色素(FAM、JOE、またはTAMRA)のうちの1つで末端標識したが、他方のプライマーは標識しなかった。プライマー対は以下の配列を有した:
Figure 2007330260
表中の遺伝子座の名称は配列番号に相当し、それゆえ、遺伝子座1は、配列番号1などの配列を有する。
多型性の検出のためのPCRプライマーのアッセイ:PCRを、50mlの反応液あたり、10pmolの各プライマー、3mM MgCl2、1×Perkin Elmer PCR緩衝液、175mMの各dNTP(Pharmacia, Uppsala Sweden)、および1単位のApmliTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer, Norwalk CT)を使用して、イヌのゲノムDNAについて実行した。DNAを、GeneAmp 9600サーモサイクラー(Perkin Elmer, Norwalk CT)において、94℃にて1分間、続いて94℃にて15秒間、58℃にて15秒間、および72℃にて30秒間からなるサイクルの30サイクル、続いて72℃にて10分間の最終伸長により増幅した。1〜5mlのPCR産物を、Applied Biosystems 373A Stretch Automated Sequencerを使用して、6%変性アクリルアミドゲル(12または24cmのwell-to-read)でサイズにより分画した。Genescan 350ROXマーカー(Perkin Elmer, Norwalk CT)が、内部サイズ標準として各レーンに存在した。PCR産物は、Genescanソフトウェア(Perkin Elmer, Norwalk CT)を使用してサイズで分け、そして遺伝子型表をGenotyperソフトウェア(Perkin Elmer, Norwalk Ct)を使用して作成した。
最初に、種々の血統の23匹のイヌ、およびクローン化マイクロサテライトを含むコントロールプラスミドを各プライマー対を用いて増幅した。イヌ集団における対立遺伝子頻度を計算するために、多型性に関して有望であるプライマー対を、さらに約75匹のイヌのDNAを用いてアッセイした。いくつかのプライマー対を使用して、遺伝子多型性について、近縁のドイツシェパードの集団をアッセイした。対立遺伝子の数およびサイズ範囲を一覧表にし、そして観察されたヘテロ接合性(ある遺伝子座でのヘテロ接合性イヌの数/分析したイヌの総数)を計算した。PIC値もまた、Botsteinらにより与えられた式に従って計算した。
個体からのゲノムDNAサンプルの調達:DNAサンプルを血液または頬のスワブのいずれかから得た。QiaAmp Blood Kit(Qiagen, Chatsworth CA)を製造業者の指示に従って使用して、血液からDNAを単離した。5mlの得られたDNAを各PCR反応に使用した。市販の細胞学ブラシをイヌの頬の内側に15〜30秒間擦りつけることによって採取された頬のスワブからDNAを単離した。スワブは、使用の前に、紙の包装紙中で数カ月間乾燥貯蔵され得る。ブラシの頭を、600μlの50mM NaOHを含む1mlのマイクロタイターチューブ(Bio-Rad, Hercules CA)中に置き、そしてブラシを穏やかに旋回させる。チューブ(ブラシはまだ内部にある)を、95〜100℃に5分間加熱する。次いで、ブラシを注意深く取り出し、そして60μlの1M Tris(pH8.0)をチューブに添加する。次いで、チューブをボルテックスし、そして5μlのDNAを各PCR反応に使用する。

イヌ科動物集団の分析
表1および2は、提供されたヌクレオチド配列から設計されたPCRプライマーの有用性を示す。PIC値(Botsteinら、1980)は、各マイクロサテライトが有益であることを明らかにする。PIC値により、一般的なイヌ集団において(表1)、示した20のマーカーのうち19は、高度に有益であり(PIC>0.5)、そして1つが適度に有益である(0.25<PIC<0.5)。近縁のドイツシェパードの集団では、9つのマーカーが高度に有益であり、8つが適度に有益であり、そして3つのマーカーがあまり有益でなかった(表2)。観察されたヘテロ接合性は、特定のマーカーについてヘテロ接合性であった一部のイヌである。一般的なイヌ集団では、20のマーカーのうちの19は、0.5より大きな観察されたヘテロ接合性を示し、そして20のうちの10が0.7より大きな観察されたヘテロ接合性を示す(表1)。ドイツシェパード集団において、11のマーカーが0.5より大きなヘテロ接合性を示し、そして5のマーカーが0.7より大きなヘテロ接合性を示す(表2)。
ドイツシェパード集団に関するデータを、大規模な系統飼育を実践し、近親交配および遺伝的変異の減少を生じさせている、2つの在来種飼育業者により所有されるイヌから得た。この近親交配にもかかわらず、本願発明のマーカーの大部分は、なお、個体間の顕著な多型性を示す。したがって、これらのマーカーは、イヌ科動物集団において、非常に近縁である個体でさえも区別するに有用である。
表1
種々の系統のイヌ集団における示されたイヌ科遺伝子座での
提供されたマイクロサテライトの特性
Figure 2007330260
表2
密に関連したシェパード集団における示されたイヌ科遺伝子座での
提供されたマイクロサテライトの特性
Figure 2007330260
2つのファミリーにおける血統試験の一例を以下の表3に示す。遺伝子型のスコア付けを容易にするために、異なる文字を各遺伝子座の各対立遺伝子サイズに割り当てた。第1のファミリーでは、全ての子孫が雌親に存在する一方の対立遺伝子を含有し、そして他方の遺伝子が雄親に存在するので、親は除外されない。第2ファミリーでは、2つの可能な雌親が存在し、うち一方(雌親2A)は、5つの遺伝子座(星印を記載)で問題の仔イヌの雌親としては除外される。なぜなら、仔イヌがそれらの遺伝子座で雌親2Aと共通した対立遺伝子を全く有していないからである。しかし、雌親2Bは、仔イヌの雌親として除外されない。なぜなら、仔イヌは、各遺伝子座で1つの対立遺伝子を雌親と、そして1つの対立遺伝子を雄親と共有しているからである。一般のイヌ集団では、表1のPIC値算定で用いたのと同じ対立遺伝子頻度を用いると、全遺伝子座を用いて誤って記録された親を検出する可能性は0.999999998である。表2のシェパード集団では、可能性は0.999613である。これらのデータは、これらのマーカーが血統試験のためにかなり強力であることを示す。なぜなら、非常に密に関連したシェパード集団においてさえも、誤った親を検出できない可能性は1/1000未満であるからである。
表3
イヌの2つのファミリーにおける血統試験
Figure 2007330260

野生型集団の遺伝子型決定
フェネックギツネにおける遺伝子型決定のマーカーのいくつかの使用の説明を以下の表4に示す。キツネA〜Dは、いくつかの兄弟を含み得る野生型集団に由来する。
表4
フェネックギツネの遺伝子型決定
Figure 2007330260
これらのキツネは、これらのマーカーに従って遺伝学的に顕著に類似しているが、これらは全て、8つのみのマーカーによって互いに識別され得る。この遺伝学的類似性は、この小さな標本サイズにおける高度の相互関係に起因し得る。
本発明が、イヌ科の遺伝子型決定の有用な手段を提供することは、上記結果から明らかである。マイクロサテライトマーカーは、かなり近交系のイヌ集団においてさえ、そして野生イヌ科集団において有益である。遺伝子型決定は、個々の動物の「フィンガープリンティング」の簡便な方法を提供する。親子分析は、本発明の方法を用いて、そしてイヌ科集団における遺伝子マッピングのために実施され得る。
本明細書中に引用された全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が参考として援用されていると詳細かつ個々に示されたかのように、本明細書中に参考として援用されている。
上記の発明は、理解の明瞭にする目的のために説明および実施例によって幾分詳細に記載されているが、本発の教示を考慮して、添付の請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に対して特定の変更および改変がなされ得ることは、当業者に容易に明らかである。
(配列表)
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Claims (21)

  1. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19および配列番号20からなる群より選択される配列を含む、単離された核酸。
  2. 前記核酸が、異種核酸と作動可能に連結される、請求項1に記載の単離された核酸。
  3. 前記異種核酸がベクターである、請求項2に記載の単離された核酸。
  4. 前記ベクターがプラスミドまたはウイルスベクターである、請求項3に記載の単離された核酸。
  5. 請求項3または請求項4に記載の核酸を含む宿主細胞。
  6. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19および配列番号20からなる群より選択される1または複数の単離された核酸、またはそのマイクロサテライト反復モチーフを含む、組成物。
  7. さらに固定相を含む、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記固定相が、重合膜、重合ビーズ、マイクロアレイまたはゲルマトリクスを含むカラムである、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記固定相はマイクロアレイである、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記マイクロアレイが、前記1または複数の単離された核酸の1または複数のフラグメントを含み、該フラグメントが前記1または複数のマイクロサテライト反復モチーフを含む、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記1または複数のフラグメントは標識を含む、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記1または複数の単離された核酸は、1または複数の異種核酸に作動可能に連結された、請求項6に記載の組成物。
  13. 前記異種核酸は、ベクターである、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記ベクターは、プラスミドベクターまたはウイルスベクターである、請求項13に記載の組成物。
  15. 前記ベクターを含む複数の宿主細胞をさらに含む、請求項13または14に記載の組成物。
  16. 前記宿主細胞は、流体低温保存物中に含まれる、請求項15に記載の組成物。
  17. さらに固定相を含み、前記宿主細胞は、該固定相の表面に結合されている、請求項15に記載の組成物。
  18. さらに固定相を含み、前記ベクターは該固定相の表面に結合されている、請求項13または14に記載の組成物。
  19. 前記固定相は重合膜である、請求項18に記載の組成物。
  20. 前記固定相はニトロセルロースである、請求項19に記載の組成物。
  21. 本願明細書に記載されるような、マイクロサテライト配列
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