JP2007330101A - 核酸の増幅方法 - Google Patents

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Yoshihide Hayashizaki
崎 良 英 林
Toshizo Hayashi
利 藏 林
Yasumasa Mitani
谷 康 正 三
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Abstract

【課題】 高い増幅効率を有する核酸増幅法の提供。
【解決手段】 本発明による核酸増幅法は、核酸合成酵素およびプライマーを用いて鋳型核酸中に含まれる標的核酸配列を含む二本鎖標的核酸を増幅する方法であって、(i)前記二本鎖標的核酸の両鎖の間に介入することにより、いずれかの鎖におけるプライマー結合領域を一本鎖の状態に解離させうる、少なくとも1種のヌクレオチド分子を用意する工程、ならびに(ii)少なくとも1種の前記ヌクレオチド分子、鋳型核酸、プライマーおよび核酸合成酵素を含む核酸増幅反応液を調製し、これを用いた核酸増幅反応を行なう工程を含んでなるものである。
【選択図】 なし

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、目的とする標的核酸配列の増幅法に関する。
背景技術
近年、遺伝子診断、農作物の核酸検査、感染症診断などにおいて、核酸検出法が幅広く利用されており、核酸増幅技術はこれらの基幹となる技術である。
従来の核酸増幅法としては、最も良く知られているPCR法(特許文献1:米国特許第4683195号明細書;特許文献2:米国特許第4683202号明細書;および特許文献3:米国特許第4800159号明細書)をはじめとして、RNAを鋳型とするRT−PCR法(非特許文献1:Trends in Biotechnology 10, pp146-152, 1992)などが知られている。これらの方法には、複雑な温度制御を必要とすること、プライマーのミスアニ−リングによる非特異的な増幅産物が混入することなどの問題がある。
核酸増幅方法としてはまた、PCR法のような複雑な温度調節を必要としない等温増幅法が知られており、例えば、鎖置換増幅法(SDA法;特許文献4:特公平7−114718号公報)、自己維持配列増幅法(3SR法)、Qβレプリカーゼ法(特許文献5:日本国特許第2710159号公報)、NASBA法(特許文献6:日本国特許第2650159号公報)、LAMP法(特許文献7:国際公開第00/28082号パンフレット)、ICAN法(特許文献8:国際公開第02/16639号パンフレット)、ローリングサークル法、国際公開第2004/040019号パンフレット(特許文献9)に記載の方法などが知られている。これらの方法にも、反応が複雑であること、プライマーの設計が困難であること、増幅効率が低いことなど、それぞれに改善すべき点が残されている。
迅速かつ正確な検査および診断のためには、これらの問題を解決することが必要とされてきた。
米国特許第4683195号明細書 米国特許第4683202号明細書 米国特許第4800159号明細書 特公平7−114718号公報 日本国特許第2710159号公報 日本国特許第2650159号公報 国際公開第00/28082号パンフレット 国際公開第02/16639号パンフレット 国際公開第2004/040019号パンフレット Trends in Biotechnology 10, pp146-152, 1992
発明の概要
本発明者らは、核酸合成酵素およびプライマーを用いる核酸増幅法において、増幅の対象となる二本鎖標的核酸の両鎖の間に介入するヌクレオチド分子を反応液に添加して核酸増幅反応を行なうことにより、前記二本鎖標的核酸におけるプライマー結合領域を一本鎖の状態に解離させることができ、これにより、核酸増幅反応の増幅効率が顕著に向上することを見出した。本発明はこれら知見に基づくものである。
従って、本発明は、高い増幅効率を有する核酸増幅法を提供することを目的とする。
そして、本発明による核酸増幅法は、核酸合成酵素およびプライマーを用いて鋳型核酸中に含まれる標的核酸配列を含む二本鎖標的核酸を増幅する方法であって、(i)前記二本鎖標的核酸の両鎖の間に介入することにより、いずれかの鎖におけるプライマー結合領域を一本鎖の状態に解離させうる、少なくとも1種のヌクレオチド分子を用意する工程、ならびに(ii)少なくとも1種の前記ヌクレオチド分子、鋳型核酸、プライマーおよび核酸合成酵素を含む核酸増幅反応液を調製し、これを用いた核酸増幅反応を行なう工程を含んでなるものである。
本発明によれば、核酸増幅法において、その増幅効率を向上させることが可能となり、また、プライマーの非標的領域へのミスアニーリングを減少させることが可能となる。さらに、本発明による核酸増幅法は、等温下で実施することが可能であるため、複雑な温度制御を必要としない。
発明の具体的説明
本発明による核酸増幅法では、まず、二本鎖標的核酸の両鎖の間に介入することにより、いずれかの鎖におけるプライマー結合領域を一本鎖の状態に解離させうる、少なくとも1種のヌクレオチド分子(以下「ブリッジヌクレオチド分子」という)が用意される。
本発明において「ヌクレオチド分子」は、DNA、RNA、およびPNA(peptide nucleic acid)を含む意味で用いられる。本発明の好ましい実施態様によれば、ヌクレオチド分子はDNAである。
ブリッジヌクレオチド分子は、二本鎖標的核酸の一部の領域においてその2本の鎖の間に入り込み、核酸分子自体を破壊することなく、その部分の二本鎖構造をほどくことを可能とするものである。このようなブリッジヌクレオチド分子の介入により、その領域の周辺部分の二本鎖構造がほどかれ、部分的に一本鎖の状態となる。ブリッジヌクレオチド分子は、このようにして一本鎖の状態となる部分にプライマー結合領域が含まれるように設計される。
本発明の好ましい実施態様によれば、ブリッジヌクレオチド分子は、前記二本鎖標的核酸の第一鎖にハイブリダイズする第一の結合性配列を一方の末端部に有し、第二鎖にハイブリダイズする第二の結合性配列を他方の末端部に有するものとされる。このような2種のブリッジヌクレオチド分子を使用する場合におけるこれらの作用機序を図1に模式的に示す。
反応溶液中に存在する第一のブリッジヌクレオチド分子(4)および第二のブリッジヌクレオチド分子(5)は、鋳型となる二本鎖核酸(1)中の標的領域中に入り込み、図1(a)に示すような構造を形成する。これにより一本鎖の状態となっているプライマー結合領域にフォワードプライマー(6)およびリバースプライマー(7)がハイブリダイズし、その後、核酸合成酵素によるプライマー伸長反応が起こる。このような反応が繰り返される結果として、主要な鋳型は標的領域(2および3)の配列のみを有する増幅産物(8および9)となる(図1(b))。次いで、鋳型としてのこれらの増幅産物に対しても、ブリッジヌクレオチド分子(4および5)は同様に作用し、図1(c)に示すような構造を形成する。これにより一本鎖の状態となっているプライマー結合領域にフォワードプライマー(6)およびリバースプライマー(7)がハイブリダイズし、その後、核酸合成酵素によるプライマー伸長反応が起こる。このような反応が繰り返されることにより、効率的に大量の増幅産物(10)が形成される(図1(d))。
本発明において「ハイブリダイズする」とは、あるヌクレオチド分子がストリンジェントな条件下で標的ヌクレオチド分子にハイブリダイズし、標的ヌクレオチド分子以外のヌクレオチド分子にはハイブリダイズしないことを意味する。ストリンジェントな条件は、具体的なヌクレオチド分子とその相補鎖との二重鎖の融解温度Tm(℃)およびハイブリダイゼーション溶液の塩濃度などに依存して決定することができ、例えば、J. Sambrook, E. F. Frisch, T. Maniatis; Molecular Cloning 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory (1989)等を参照することができる。例えば、使用する核酸分子の融解温度よりわずかに低い温度下でハイブリダイゼーションを行なうと、ヌクレオチド分子を標的ヌクレオチド分子に特異的にハイブリダイズさせることができる。本発明の好ましい実施態様によれば、ある標的ヌクレオチド分子にハイブリダイズするヌクレオチド分子は、その標的ヌクレオチド分子に相補的なヌクレオチド分子の全部または一部の配列を含んでなるものとされる。
ブリッジヌクレオチド分子において、前記第一の結合性配列または前記第二の結合性配列は、二本鎖標的核酸の第一鎖または第二鎖におけるプライマー結合領域に近接した領域にハイブリダイズすることが好ましい。従って、本発明の好ましい実施態様によれば、ブリッジヌクレオチド分子は、前記第一の結合性配列がハイブリダイズする前記第一鎖上の領域の3’末端残基が、第一鎖上のプライマー結合領域の5’末端残基に対して20ヌクレオチド下流〜100ヌクレオチド上流、より好ましくは10ヌクレオチド下流〜50ヌクレオチド上流、さらに好ましくは1〜20ヌクレオチド上流に位置するものとなるように設計される。また、本発明の他の好ましい実施態様によれば、ブリッジヌクレオチド分子は、前記第二の結合性配列がハイブリダイズする前記第二鎖上の領域の3’末端残基が、第二鎖上のプライマー結合領域の5’末端残基に対して20ヌクレオチド下流〜100ヌクレオチド上流、より好ましくは10ヌクレオチド下流〜50ヌクレオチド上流、さらに好ましくは1〜20ヌクレオチド上流に位置するものとなるように設計される。
前記第一の結合性配列および前記第二の結合性配列の鎖長は、反応液中に存在する核酸配列の間で、その結合特異性が害されない限りにおいて特に限定されない。例えば、第一の結合性配列および第二の結合性配列の鎖長は、それぞれ独立して、5〜100ヌクレオチド、好ましくは5〜50ヌクレオチド、より好ましくは5〜30ヌクレオチド、さらに好ましくは7〜20ヌクレオチド、さらに好ましくは8〜15ヌクレオチドとすることができる。
ブリッジヌクレオチド分子は、第一の結合性配列と第二の結合性配列との間に介在配列を含むものとすることができる。このような介在配列の鎖長は、1ヌクレオチド以上、好ましくは3〜100ヌクレオチド、より好ましくは5〜50ヌクレオチド、さらに好ましくは8〜30ヌクレオチドとされる。介在配列の具体的なヌクレオチド配列は、図1に示されるようなブリッジヌクレオチド分子の作用機序に影響しない配列であればよく、特に限定されない。例えば、介在配列のヌクレオチド配列は、標的核酸配列およびその相補配列のいずれにも見られない配列とすることができる。あるいは、介在配列のヌクレオチド配列は、反応液中に存在する核酸配列のいずれにも見られない配列としてもよい。
前記第一の結合性配列と前記第二の結合性配列とは、相互に相補的でないものとすることが好ましい。これにより、ブリッジヌクレオチド分子の単一分子内でのハイブリダイゼーションが回避される。また、複数種のブリッジヌクレオチド分子を用いる場合には、これらの分子間でのハイブリダイゼーションが起こらないようにそれぞれのブリッジヌクレオチド分子を設計することが好ましい。
ブリッジヌクレオチド分子は、標的核酸配列にハイブリダイズした後にその3’末端からの核酸合成酵素による伸長反応が起こらないように修飾したものであることが好ましい。このような修飾は、当業者に公知のいずれの方法によって行なってもよい。このような方法としては、例えば、ヌクレオチド分子の3’末端をアミノ化修飾する方法が挙げられる。
本発明の特に好ましい実施態様によれば、ブリッジヌクレオチド分子は図2に示すように設計される。まず、標的核酸配列およびその相補配列において、図2(a)に示すようにブリッジヌクレオチド分子の設計に用いる領域を選択する。ここで、Fwはフォワードプライマーに含まれる配列を示し、Fw’はこれに相補的な配列を示す。また、Rvはリバースプライマーに含まれる配列を示し、Rv’はこれに相補的な配列を示す。A1、A2、A1’、A2’、C1、C2、C1’、およびC2’はブリッジヌクレオチド分子の設計に用いられる領域を示す。次いで、これらの領域の配列を用いて、図2(b)に示すようにブリッジヌクレオチド分子が設計される。ここで、介在配列の例として10個のチミン残基(T)が用いられているが、これに限定されるものではない。
本発明による核酸増幅法では、少なくとも1種のブリッジヌクレオチド分子、鋳型核酸、プライマーおよび核酸合成酵素を含む核酸増幅反応液が調製され、これを用いた核酸増幅反応が行われる。
本発明の好ましい実施態様によれば、前記核酸増幅反応液は、2種以上のブリッジヌクレオチド分子を含むものとされる。この実施態様では、例えば、一つのブリッジヌクレオチド分子を、二本鎖標的核酸の第一鎖上のプライマー結合領域を一本鎖の状態に解離させうるように設計し、他の一つのブリッジヌクレオチド分子を、二本鎖標的核酸の第二鎖上のプライマー結合領域を一本鎖の状態に解離させうるように設計することができる。
核酸増幅反応液に含まれるプライマーは、標的核酸配列を増幅しうるものであればよい。このようなプライマーは、当業者によって適宜設計される。このようなプライマーとしては、典型的には、標的核酸配列の3’末端部分にハイブリダイズするプライマーと、標的核酸配列の相補配列の3’末端部分にハイブリダイズするプライマーとを含んでなるプライマーセットを用いることができる。
核酸増幅反応液に含まれる核酸合成酵素(ポリメラーゼ)は、核酸増幅反応に一般的に用いられるものであればよく、常温性、中温性、もしくは耐熱性のいずれのものも好適に使用できるが、好ましくは鎖置換(strand displacement)活性(鎖置換能)を有するものとされる。また、このポリメラーゼは、天然体もしくは人工的に変異を加えた変異体のいずれであってもよい。このようなポリメラーゼとしては、DNAポリメラーゼが挙げられる。さらに、このDNAポリメラーゼは、実質的に5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有しないものであることが好ましい。このようなDNAポリメラーゼとしては、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus、以下「B.st」という)、バチルス・カルドテナックス(Bacillus caldotenax、以下「B.ca」という)等の好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変異体、大腸菌(E.coli)由来DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント等が挙げられる。核酸増幅反応において使用するDNAポリメラーゼとしては、さらに、Vent DNAポリメラーゼ、Vent (Exo-) DNAポリメラーゼ、DeepVent DNAポリメラーゼ、DeepVent (Exo-) DNAポリメラーゼ、Φ29ファージDNAポリメラーゼ、MS−2ファージDNAポリメラーゼ、Z-Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Pfu turbo DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、9°Nm DNAポリメラーゼ、Therminater DNAポリメラーゼ等が挙げられる。
前記核酸増幅反応は、等温下で行なうことができる。ここで、「等温」とは、酵素およびプライマーが実質的に機能しうるような、ほぼ一定の温度条件下に保つことをいう。さらに、「ほぼ一定の温度条件」とは、設定された温度を正確に保持することのみならず、酵素およびプライマーの実質的な機能を損なわない程度の温度変化であれば許容されることを意味する。
一定の温度条件下での核酸増幅反応は、使用する酵素の活性を維持できる温度に保つことにより実施することができる。また、この核酸増幅反応において、プライマーが標的核酸にアニーリングするためには、例えば、反応温度を、そのプライマーの融解温度(Tm)付近の温度、もしくはそれ以下に設定することが好ましく、さらには、プライマーの融解温度(Tm)を考慮し、ストリンジェンシーのレベルを設定することが好ましい。従って、この温度は、好ましくは、約20℃〜約75℃であり、さらに好ましくは、約35℃〜約65℃とする。
核酸増幅反応において使用するその他の試薬としては、例えば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等の触媒、dNTPミックス等の基質、トリス塩酸バッファー、トライシンバッファー、リン酸ナトリウムバッファー、リン酸カリウムバッファー等の緩衝液を使用することができる。さらに、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)やベタイン(N,N,N-trimethylglycine)等の添加物、国際公開第99/54455号パンフレットに記載の酸性物質、陽イオン錯体等を使用してもよい。
本発明による核酸増幅法を実施するために、必要な試薬等をまとめてキットとすることができる。従って、本発明によれば、核酸合成酵素およびプライマーを用いて鋳型核酸中に含まれる標的核酸配列を含む二本鎖標的核酸を増幅するためのキットが提供され、該キットは、少なくとも1種のブリッジヌクレオチド分子を含んでなる。
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明によるキットは、上述のような2種以上のブリッジヌクレオチド分子を含んでなるものとされる。本発明の他の好ましい実施態様によれば、本発明によるキットは、鎖置換活性を有する上述の核酸合成酵素をさらに含んでなるものとされる。
本発明によるキットはさらに、dNTP、緩衝液などの上述の試薬類、反応容器、説明書等を含んでいてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
例1:ブリッジヌクレオチド分子を用いたAscl3遺伝子中の標的核酸配列の増幅
本例では、ブリッジヌクレオチド分子を用いて、Ascl3遺伝子中の標的核酸配列を等温下での反応により増幅した。
(1)鋳型として用いられるプラスミドの調製
増幅反応に鋳型として用いるためのプラスミドを調製した。具体的には、Ascl3遺伝子(Mus musculus achaete-scute complex homolog-like 3 (Drosophila);NCBIデータベースアクセス番号:NM_020051)の部分配列(配列番号1)を挿入したpUC19ベクターを大腸菌に形質転換した。
(2)ブリッジヌクレオチド分子およびプライマーの作製
増幅の対象とするAscl3遺伝子部分配列(配列番号1)において、ブリッジヌクレオチド分子およびプライマーの設計に用いるための各領域を図3に示すように決定した。図3において、A1、A2、C1およびC2はブリッジヌクレオチド分子の設計に用いる領域を表し、FwおよびRvはそれぞれフォワードプライマーおよびリバースプライマーを表す。
ブリッジヌクレオチド分子としては、下記の配列を有するオリゴヌクレオチドを合成した。これらの配列と図3に示される各領域との関係は図4に示す。図4において、A2’およびC1’は、それぞれA2およびC1の相補配列を表す。また、増幅反応中に各オリゴヌクレオチドからの伸長反応が起こらないように、それぞれの3’末端をアミノ化修飾した。
オリゴセット1
Oligo 1-1:5'-tggagggctg tttttttttt gacaggctct-3'(配列番号2);
Oligo 1-2:5'-tccctggacc tttttttttt gccgcagctg-3'(配列番号3)。
オリゴセット2
Oligo 2-1:5'-gacaggctct tttttttttt tggagggctg-3'(配列番号4);
Oligo 2-2:5'-gccgcagctg tttttttttt tccctggacc-3'(配列番号5)。
プライマーとしては、下記の配列を有するオリゴヌクレオチドを合成した:
Fw:5'-ATGGACACCAGAAGCTACCC-3'(配列番号6);
Rv:5'-TCAAATGACTCTCAGAGCCG-3'(配列番号7)。
(3)増幅反応
次の組成を有する反応液(25μL):Tris−HCl(20mM,pH8.8)、KCl(10mM)、(NHSO(10mM)、MgSO(8mM)、DMSO(3%)、Triton X−100(1%)、dNTP(1.4mM)、それぞれ2000nMの上記のプライマー対、それぞれ2000nMのブリッジヌクレオチド分子(オリゴセット1およびオリゴセット2のいずれか一方または両方)、および鋳型プラスミド(1ng)、さらに16UのBst DNAポリメラーゼ(NEW ENGLAND BioLabs)を含有;を調製し、これを60℃で1時間インキュベートした。また、対照として、ブリッジヌクレオチド分子を含有しない反応液についても同様に実験を行なった。
(4)電気泳動
増幅反応後の各反応液5μlについて、3% NuSieve 3:1 Agarose(BioWhittaker Molecular Applications (BMA)社製;タカラバイオ社より購入;「NuSieve」はBMA社の登録商標である)を用いて、80分間、100Vで電気泳動した。泳動後のゲルをエチジウムブロマイド(EtBr)で染色することにより、核酸を検出した。結果は図5に示すとおりである。図5における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:サイズマーカー(pHYマーカー);レーン2:ブリッジヌクレオチド分子を含まない反応液;レーン3:ブリッジヌクレオチド分子としてオリゴセット1を含む反応液;レーン4:ブリッジヌクレオチド分子としてオリゴセット2を含む反応液;レーン5:ブリッジヌクレオチド分子としてオリゴセット1およびオリゴセット2の両方を含む反応液。
図5によれば、ブリッジヌクレオチド分子を含まないサンプルにおいても目的の増幅産物に対応する少量のバンド(約500bp)が見られ、標的核酸配列が僅かに増幅されたことがわかる。これに対し、ブリッジヌクレオチド分子を含むサンプルでは、目的の増幅産物に対応する顕著に多量のバンドが見られた。これらの結果によれば、核酸増幅反応系にブリッジヌクレオチド分子を添加することにより、標的核酸配列の増幅量が顕著に増加することが明らかとなる。
図1は、本発明による核酸増幅法について考えられる作用機序を模式的に示す図である。 図2は、好ましい実施態様によるブリッジヌクレオチド分子の構造を示す図である。 図3は、実施例において増幅の対象としたAscl3遺伝子の部分配列(配列番号1)、ならびにブリッジヌクレオチド分子およびプライマーの設計に用いるための各領域の位置を示す図である。 図4は、実施例において用いられたブリッジヌクレオチド分子のヌクレオチド配列、およびこれらがハイブリダイズする標的核酸配列上の位置を示す図である。 図5は、実施例における増幅反応の結果を示す電気泳動写真である。
符号の説明
1 鋳型となる二本鎖核酸
2 アンチセンス鎖上の標的領域
3 センス鎖上の標的領域
4 第一のブリッジヌクレオチド分子
5 第二のブリッジヌクレオチド分子
6 フォワードプライマー
7 リバースプライマー
8 標的核酸配列を有する増幅産物(アンチセンス)
9 標的核酸配列を有する増幅産物(センス)
10 増幅産物

Claims (15)

  1. 核酸合成酵素およびプライマーを用いて鋳型核酸中に含まれる標的核酸配列を含む二本鎖標的核酸を増幅する方法であって、
    (i)前記二本鎖標的核酸の両鎖の間に介入することにより、いずれかの鎖におけるプライマー結合領域を一本鎖の状態に解離させうる、少なくとも1種のヌクレオチド分子を用意する工程、ならびに
    (ii)少なくとも1種の前記ヌクレオチド分子、鋳型核酸、プライマーおよび核酸合成酵素を含む核酸増幅反応液を調製し、これを用いた核酸増幅反応を行なう工程
    を含んでなる、方法。
  2. 前記ヌクレオチド分子が、前記二本鎖標的核酸の第一鎖にハイブリダイズする第一の結合性配列を一方の末端部に有し、第二鎖にハイブリダイズする第二の結合性配列を他方の末端部に有するものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第一の結合性配列がハイブリダイズする前記第一鎖上の領域の3’末端残基が、第一鎖上のプライマー結合領域の5’末端残基に対して20ヌクレオチド下流〜100ヌクレオチド上流に位置するものである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記第二の結合性配列がハイブリダイズする前記第二鎖上の領域の3’末端残基が、第二鎖上のプライマー結合領域の5’末端残基に対して20ヌクレオチド下流〜100ヌクレオチド上流に位置するものである、請求項2に記載の方法。
  5. 前記ヌクレオチド分子に含まれる第一の結合性配列と第二の結合性配列とが、相互に相補的でない、請求項2に記載の方法。
  6. 前記核酸増幅反応液が、2種以上の前記ヌクレオチド分子を含むものである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記核酸合成酵素が鎖置換活性を有するものである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記核酸増幅反応が等温下で行われる、請求項1に記載の方法。
  9. 核酸合成酵素およびプライマーを用いて鋳型核酸中に含まれる標的核酸配列を含む二本鎖標的核酸を増幅するためのキットであって、前記二本鎖標的核酸の両鎖の間に介入することにより、いずれかの鎖におけるプライマー結合領域を一本鎖の状態に解離させうる、少なくとも1種のヌクレオチド分子を含んでなる、キット。
  10. 前記ヌクレオチド分子が、前記二本鎖標的核酸の第一鎖にハイブリダイズする第一の結合性配列を一方の末端部に有し、第二鎖にハイブリダイズする第二の結合性配列を他方の末端部に有するものである、請求項9に記載のキット。
  11. 前記第一の結合性配列がハイブリダイズする前記第一鎖上の領域の3’末端残基が、第一鎖上のプライマー結合領域の5’末端残基に対して20ヌクレオチド下流〜100ヌクレオチド上流に位置するものである、請求項10に記載のキット。
  12. 前記第二の結合性配列がハイブリダイズする前記第二鎖上の領域の3’末端残基が、第二鎖上のプライマー結合領域の5’末端残基に対して20ヌクレオチド下流〜100ヌクレオチド上流に位置するものである、請求項10に記載のキット。
  13. 前記ヌクレオチド分子に含まれる第一の結合性配列と第二の結合性配列とが、相互に相補的でない、請求項10に記載のキット。
  14. 2種以上の前記ヌクレオチド分子を含んでなる、請求項9に記載のキット。
  15. 鎖置換活性を有する核酸合成酵素をさらに含んでなる、請求項9に記載のキット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2087928A2 (en) 2007-12-21 2009-08-12 Nintendo Co., Ltd. Computer-readable storage medium having game program stored therein and game apparatus

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